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特表2024-515469塩基性触媒を使用した不飽和側鎖を含有するベンゾキノンの閉環
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  • 特表-塩基性触媒を使用した不飽和側鎖を含有するベンゾキノンの閉環 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】塩基性触媒を使用した不飽和側鎖を含有するベンゾキノンの閉環
(51)【国際特許分類】
   C07D 311/72 20060101AFI20240403BHJP
   A61P 39/06 20060101ALI20240403BHJP
   C07D 311/78 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 31/355 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 8/67 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
C07D311/72 101
A61P39/06
C07D311/78
A61K31/355
A61K8/67
A61K47/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023558789
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-02
(86)【国際出願番号】 EP2022061095
(87)【国際公開番号】W WO2022229215
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】21170913.4
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503220392
【氏名又は名称】ディーエスエム アイピー アセッツ ビー.ブイ.
【氏名又は名称原語表記】DSM IP ASSETS B.V.
【住所又は居所原語表記】Het Overloon 1, NL-6411 TE Heerlen,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】ボンラス, ワーナー
(72)【発明者】
【氏名】クエンジ, ロルフ
(72)【発明者】
【氏名】ティルパンチ, メルテム
(72)【発明者】
【氏名】ネッチェル, トーマス
【テーマコード(参考)】
4C076
4C083
4C086
【Fターム(参考)】
4C076DD59S
4C076FF51
4C083AD661
4C083CC01
4C083EE01
4C083FF01
4C086AA04
4C086BA08
4C086BA09
4C086MA01
4C086NA20
4C086ZC37
(57)【要約】
本発明は、触媒量の塩基の存在下の式(II)の化合物の閉環反応による式(I)の化合物の形成に関する。


本反応は非常に効率的であり、例えば、3,4-デヒドロ-α-トコトリエノール、それぞれα-トコトリエノール及びα-トコフェロールを合成するための効率的な経路を提供することが判明した。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

の化合物を製造するプロセスであって、式(II)
【化2】

の化合物を、式(I)の化合物を得るために、塩基性触媒の存在下で閉環する工程を含み、
式中、
n=0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12であり;
は、水素又はメチル基を表し;
及びRは、
いずれも互いに独立して、水素若しくはメチル基若しくはメトキシ基を表すか、
又は共に-CH-CH-CH-を表し、芳香族基を形成し;
点線
【化3】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表し;
前記塩基性触媒と式(I)の化合物のモル比は、1:1’000~1:5、特に1:100~1:10であることを特徴とする、プロセス。
【請求項2】
=R=R=CHであることを特徴とする、請求項1に記載のプロセス。
【請求項3】
前記塩基性触媒が、有機アミン、好ましくは有機第三級アミン、又は金属水酸化物若しくは金属炭酸塩のいずれか、特に有機第三級アミン水酸化物又はアルカリ金属水酸化物であることを特徴とする、請求項1又は2に記載のプロセス。
【請求項4】
前記塩基性触媒の共役酸が、水中で測定して8.6~15.7、特に9~15.7のpKを有することを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項5】
前記塩基性触媒が、4-ジメチルアミノピリジン(=DMAP)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(=DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(=DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(=DABCO)、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(=キヌクリジン)及びスパルテインからなる群から選択され、特に4-ジメチルアミノピリジン(=DMAP)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(=DBU)及び1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(=キヌクリジン)からなる群から選択されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項6】
式(I)の化合物が式(I-BB)の化合物であり、式(II)の化合物が式(II-BB)の化合物であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のプロセス。
【化4】
【請求項7】
前記閉環工程が、炭化水素溶媒中、特にトルエン中で行われることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のプロセス。
【請求項8】
式(III)
【化5】

の化合物を製造するプロセスであって、
a)請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセスにより、式(I)
【化6】

(式中、点線
【化7】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す)の化合物を製造する工程と、
b)部分水素化に好適な水素化剤によって式(I)の化合物を部分的に水素化し、前記式(III)の化合物を得る工程とを含む、プロセス。
【請求項9】
式(IV)
【化8】

の化合物を製造するプロセスであって、
a)請求項1~8のいずれか一項に記載のプロセスにより、式(I)
【化9】

(式中、点線
【化10】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す)の化合物を製造する工程と、
b’)水素化剤によって式(I)の化合物を水素化し、前記式(IV)の化合物を得る工程とを含む、プロセス。
【請求項10】
組成物であって、
i)式(II)
【化11】

(式中、
n=0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12であり;
は、水素又はメチル基を表し;
及びRは、
いずれも互いに独立して、水素若しくはメチル基若しくはメトキシ基を表すか、
又は共に-CH-CH-CH-を表し、芳香族基を形成し;
点線
【化12】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す)の化合物、
並びに、
ii)塩基性触媒を含み、
前記塩基性触媒と式(I)の化合物のモル比は、1:1’000~1:5、特に1:100~1:10であることを特徴とする、組成物。
【請求項11】
前記塩基性触媒の共役酸が、水中で測定して8.5~15.7、特に9~15.7のpKを有することを特徴とする、請求項10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記式(II)の化合物が式(II-BB)の化合物であることを特徴とする、請求項10~11のいずれか一項に記載の組成物。
【化13】
【請求項13】
式(I)の化合物を得るための式(II)の化合物の閉環反応のための、塩基の触媒的使用であって、
【化14】

式中、
n=0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12であり;
は、水素又はメチル基を表し;
及びRは、
いずれも互いに独立して、水素若しくはメチル基若しくはメトキシ基を表すか、
又は共に-CH-CH-CH-を表し、芳香族基を形成し;
点線
【化15】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す、使用。
【請求項14】
式(I-A)若しくは(I-C)又は(III-A)若しくは(III-C)又は(IV-A)若しくは(IV-C)の化合物の抗酸化剤としての使用であって、
【化16】

式中、n=0~9、特にn=8であり、
【化17】

式中、n=0~12であり、
【化18】

式中、n=0~9、特にn=8であり、
【化19】

式中、n=0~12であり、
【化20】

式中、n=0~9、特にn=8であり、
【化21】

n=0~12であり、
式中、
は、水素又はメチル基を表し;
点線
【化22】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す、使用。
【請求項15】
式(I-As)又は(I-Cis)又は(III-Cis)又は(IV-Cs)の化合物であって、
【化23】

式中、n=3~9、特にn=8であり、
【化24】

式中、n=1~12、特にn=2~5であり、
【化25】

式中、n=3~6、特にn=5であり、
【化26】

式中、n=3~12、特にn=3~5であり、
且つ、式中、
は、水素又はメチル基を表し;
点線
【化27】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す、化合物。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本発明は、クロマン及びクロメン、特に、3,4-デヒドロトコフェロール、3,4-デヒドロトコトリエノール、トコフェロール及びトコトリエノールの合成の分野に関する。
【0002】
[発明の背景]
クロマン化合物の重要なクラスは、ビタミンE及びそのエステルである。クロマンの合成経路は、それらの対応するクロメンを経由する。
【0003】
クロメンを形成するために、様々な経路が存在する。
【0004】
Schudel,Mayer,Isler,Helv.Chim.Acta 46,2517-2526(1963)には、反応媒体としてのピリジン、すなわち(ベンゾキノンの量に対して著しく過剰であることに対応して)大量に存在するピリジンにおける閉環によってクロメンを形成する際に、ゲラニルゲラニルトリメチルベンゾキノンを閉環反応させることによって3,4-デヒドロトコトリエノールを形成することが開示されている。ピリジンは、動物に対して発がん性の化合物であり、極めて発火しやすい化合物であるため、特に多量に使用することは、非常に好ましくない。さらに、得られた反応混合物は複雑な混合物であり、所望の生成物を単離するには、結晶化による分離及び精製のために、デヒドロトコトリエノール-p-フェニルアゾベンゾエートを形成する複雑な誘導体化手順が必要となる。この手順では、非常に高価で高い毒性の化学物質である、4-(フェニルアゾ)ベンゾイルクロリドが使用されるため、このプロセスは、全体的に非常に不利である。
【0005】
また、Doetz K.H.et al.,Chem.Ber.115,1278-1285(1982)及びTerashima K.et al,Bioorganic & Medicinal Chemistry 10,1619-1625(2002)では、著しくモル過剰のピリジン中で対応するベンゾキノンを還流することによる環化反応が開示されている。
【0006】
国際公開第2015/028643 A1号パンフレットでは、Au(I)又はAg(I)触媒によるキラルアリールアルキンの分子内ヒドロアリール化によるクロメンの形成が開示されている。金触媒及び銀触媒は非常に高価である。
【0007】
[発明の概要]
従って、本発明によって解決すべき課題は、一般的に大量のピリジン又は塩基を使用することを回避するという方法で、クロメン及びクロマンをもたらすプロセスを提供することである。
【0008】
本問題は、請求項1に記載のプロセスによって解決される。特に、式(I)のクロメンを得るために、式(II)のベンゾキノンの閉環反応に塩基を触媒量で使用することができることが判明した。特に、前記閉環反応の触媒塩基としては、強塩基性の触媒が特に好適であることが判明した。式(I)の化合物を極めて高い転換率及び収率で得ることができることが判明した。
【0009】
このプロセスは、請求項8又は9に記載の式(III)又は(IV)のクロマンに非常に有利な合成経路を提供する。
【0010】
本発明のさらなる態様は、さらなる独立請求項の対象である。特に好ましい実施形態は、従属請求項の主題である。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】環内の炭素-炭素二重結合のみが水素化される一方で、オレフィンの炭素-炭素二重結合が水素化されず(「部分水素化」)、それによって水素化により式(III)の化合物が生じ、全てのオレフィンの炭素-炭素二重結合が水素化され(「完全水素化」)、それによって水素化により式(IV)の化合物が生じることを示す。
【0012】
[発明の詳細な説明]
第1の態様では、本発明は、式(I)
【化1】

の化合物を製造するプロセスに関し、式(II)
【化2】

の化合物を、式(I)の化合物を得るために、塩基性触媒の存在下で閉環する工程を含み、
式中、
n=0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12であり;
は、水素又はメチル基を表し;
及びRは、
いずれも互いに独立して、水素若しくはメチル基若しくはメトキシ基を表すか、
又は共に-CH-CH-CH-を表し、芳香族基を形成し;
点線
【化3】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表し;
塩基性触媒と式(I)の化合物のモル比は、1:1’000~1:5、特に1:100~1:10であることを特徴とする。
【0013】
明確にするために、本明細書で使用されているいくつかの用語を以下のように定義する。
【0014】
本明細書において、「Cx~yアルキル」基とは、x~y個の炭素原子を含むアルキル基であり、すなわち、例えば、C1~3アルキル基は、1~3個の炭素原子を含むアルキル基である。アルキル基は直鎖であってもよく、又は分岐鎖であってもよい。例えば、-CH(CH)-CH-CHは、Cアルキル基とみなされる。
【0015】
本明細書において、複数の式の中で記号又は基に対して同じ表示が存在する場合、特定の式に関連してなされた前述の基又は記号の定義は、同じ前述の表示を含む他の式にも適用される。
【0016】
本明細書において、置換基、部分、又は基の文脈における「互いから独立して」という用語は、同様に指定された置換基、部分、又は基が、同じ分子中に異なる意味を有しながら同時に存在することができることを意味する。
【0017】
本明細書において、式中の点線はいずれも、置換基が分子の残部に結合されることによる結合を表す。
【0018】
本明細書において、化学式における点線
【化4】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表す。
【0019】
本明細書の任意の式中の任意の波線は、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す。全ての分子において、炭素-炭素二重結合はE配置であることが好ましい。
【0020】
「pK」は、酸解離定数の負の10を底とする対数(pK=-log10)として一般に公知である。有機酸が複数のプロトンを有する場合、本明細書で使用されるpKは、最後のプロトンの解離定数に関する。例えば、2つの塩基部位を有する塩基の場合、「pka」はpKa2に関する。pKは、標準温度及び標準気圧で測定される。
【0021】
[式(II)の化合物]
式(II)の化合物は、それらの合成と同様に当業者に公知の物質である。
【化5】
【0022】
1つの好ましい実施形態では、置換基R及びRは、メトキシ基を表す。本実施形態では、点線
【化6】

の任意の結合は、好ましくは炭素-炭素二重結合を表し、好ましくはE配置である。
【0023】
ユビキノンは、本実施形態の重要な代表格である。ユビキノンは、側鎖のイソプレノイド基の数に従って、ユビキノン-2(n=0)、ユビキノン-3(n=1)、ユビキノン-4(n=2)、ユビキノン-5(n=3)、ユビキノン-6(n=4、ユビキノン-7(n=5)、ユビキノン-8(n=6)、ユビキノン-9(n=7)及びユビキノン-10(n=8)と表記される。ユビキノンは、コエンザイムQという古い用語においても公知である。ユビキノン-10(n=8)(=コエンザイムQ10)は、本実施形態の特に好ましい種である。
【0024】
別の好ましい実施形態では、置換基R及びRは、H又はメチル基のいずれかを表す。R=R=CHであることが好ましい。
【0025】
=R=R=CHであることが特に好ましい。
【0026】
n=2であることが好ましい。式(II)の点線
【化7】

の全ての結合が炭素-炭素二重結合であることがさらに好ましく、全てE配置であることが好ましい。
【0027】
本実施形態では、式(II)の化合物は、式(II-BB)
【化8】

=ゲラニルゲラニルトリメチルベンゾキノン
の化合物であることが好ましい。
【0028】
別の好ましい実施形態では、置換基R及びRは、共に-CH-CH-CH-を表し、芳香族基を形成する。本実施形態の化合物は、
【化9】

で表される。
【0029】
本実施形態では、Rは、好ましくはメチル基を表す。
【0030】
ビタミンK1(フィロキノン)は、本実施形態の一例である。
【0031】
ビタミンK2としても公知のメナキノン(MK)は、本実施形態のさらに重要な代表格である。
【0032】
点線
【化10】

の任意の結合は、好ましくは炭素-炭素二重結合を表し、好ましくはE配置である。
【0033】
メナキノンは、側鎖のイソプレノイド基の数に従って、MK-2(n=0)、MK-3(n=1)、MK-4(n=2)、MK-5(n=3)、MK-6(n=4)、MK-7(n=5)、MK-8(n=6)、MK-9(n=7)、MK-10(n=8)、MK-11(n=9)、MK-12(n=10)及びMK-13(n=11)と表記される。
【0034】
MK-4(n=2)は、本実施形態の特に好ましい種である。
【0035】
点線
【化11】

の結合のいずれかが炭素-炭素二重結合を表す場合、(存在する炭素-炭素二重結合によって)二次的に環形成が生じる恐れがあることが当業者に予想されるであろう。この二次的な環形成は観察されていないため、点線の結合の少なくとも1つが炭素-炭素二重結合を表すことが特に好ましい。従って、特にこのプロセスにより、側鎖に3つの二重結合を有するα-トコトリエノールが生じる。α-トコトリエノールは、天然のビタミンEにおいて重要な化合物である。
【0036】
[塩基性触媒]
前記プロセスは、図1の反応スキーム内で工程a)と表されるような、式(I)の化合物を得るために塩基性触媒(「cat」)の存在下で式(I)の化合物を閉環する工程を含む。
【0037】
塩基性触媒は、好ましくはアルカリ金属又は土類アルカリ金属の水酸化物又は炭酸塩、好ましくは水酸化物であり、特にアルカリ金属水酸化物である。
【0038】
塩基性触媒は、有機アミン、特に有機第三級アミンであることがさらに好ましい。
【0039】
塩基性触媒は、塩基である。本発明に全ての塩基が等しく十分に作用するわけではない。塩基性触媒は、ピリジンでないことが好ましい。水中で測定して8.6~15.7、特に9~15.7のpKを有する前記塩基性触媒の共役酸が特に好適であることが示されている。このことは、前記塩基性触媒が好ましくは5.4~0、特に5~0のpKを有することを意味する。
【0040】
【表1】
【0041】
一実施形態では、塩基性触媒は、特に、4-ジメチルアミノピリジン(=DMAP)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(=DBU)、1,5-ジアザビシクロ[4.3.0]ノン-5-エン(=DBN)、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(=DABCO)、1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(=キヌクリジン)及びスパルテインからなる群から選択され、好ましくは4-ジメチルアミノピリジン(=DMAP)、1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(=DBU)及び1-アザビシクロ[2.2.2]オクタン(=キヌクリジン)からなる群から選択される有機アミンである。
【0042】
別の実施形態では、塩基性触媒は、好ましくはアルカリ金属又は土類アルカリ金属の水酸化物又は炭酸塩、好ましくは水酸化物であり、特にアルカリ金属水酸化物である。本実施形態では、塩基性触媒は、NaOH又はKOHであることが最も好ましい。
【0043】
塩基は、特に、式(II)の化合物と接触させたときに水素化物が分子水素を形成するため、水素化ナトリウムのような水素化物ではない。水素が発生すると、閉環工程及び一般的にはプロセス中に重大な安全上のリスクが生じる。
【0044】
塩基を固体として使用する場合、相間移動剤、特に第四級アンモニウム塩、特に式[NR]X(式中、RはC2~18アルキル基、特にC3~8アルキル基であり、Xはハロゲン化物である)の第四級アンモニウム塩を使用することが好ましい。好ましくは、相間移動剤はテトラブチルアンモニウムハライド、特にテトラブチルアンモニウムブロミドである。前記相間移動剤は、式(II)の化合物に対して0.1~10mol%、特に0.5~2mol%の量で使用されることが好ましい。
【0045】
別の実施形態では、塩基性触媒がアルカリ金属水酸化物である場合、水が存在してもよい。
【0046】
閉環工程は、炭化水素溶媒中、特にトルエン中で行うのが好ましい。
【0047】
炭化水素溶媒が使用される場合、溶媒は、式(II)の化合物を含む溶液が、式(II)の化合物に対して0.05~5モル、より好ましくは0.1~1モルとなるような量で使用されることが好ましい。
【0048】
水が存在する場合は、閉環反応を二相系、すなわち水相及び有機相、特に水及び有機溶媒相で行うことが好ましい。
【0049】
塩基性物質は触媒量で存在し、すなわち、塩基性触媒が式(II)の化合物に対して化学量論量で存在せずに、しかしながら極めてより少ない量で、すなわち塩基性触媒と式(I)の化合物とのモル比が1:1’000~1:5、特に1:100~1:10の量で存在することを強調することが重要である。
【0050】
閉環工程は、典型的に、好ましくは40~200℃、好ましくは90~150℃の温度で、より好ましくは、有機溶媒が使用される場合は有機溶媒の還流温度で、及び/又は1bara~10baraの圧力で撹拌しながら行われる。この反応は不活性雰囲気下、好ましくは窒素下で行うのがさらに好ましい。
【0051】
前記プロセスにより、式(I)
【化12】

の化合物をスムーズに得られることが示されている。
【0052】
特に、前記プロセスにより、簡単な方法で、すなわち、Schudel,Mayer,Isler,Helv.Chim.Acta 46,2517-2526(1963)で開示されているようなプロセスの場合のように、任意の複雑な誘導体化の後に結晶化することによって精製をし、最終的に誘導体を所望の化合物に化学変換することを必要とせずに、式(I)の所望の化合物を単離することが可能となる。
【0053】
式(I)の化合物の特に好ましい実施形態は、式(I-A)、(I-B)及び(I-C)の化合物であり、好ましくは、式(I-AA)、(I-BB)、(I-CC1)及び(I-CC2)の化合物である:
【化13】

n=0~9、特にn=8
【化14】

n=0~9、特にn=8
【化15】

n=0~9、特にn=2
【化16】

【化17】

n=0~12
【化18】

n=0~12、特にn=2
【化19】
【0054】
非常に好ましい化合物は、式(I-As)の化合物である。
【化20】

n=3~9、特にn=8
【0055】
非常に好ましい化合物は、式(I-Cis)の化合物である。
【化21】

n=1~12、特にn=2~5
【0056】
上記に示されるようにして得られた式(I)の化合物は、水素化剤によって水素化することができる。
【0057】
一実施形態では、図1に示されるように、この水素化の際に、環内の炭素-炭素二重結合のみが水素化される一方で、オレフィンの炭素-炭素二重結合が水素化されず(「部分水素化」)、それによって水素化により式(III)の化合物が生じる。
【化22】
【0058】
式(III)の化合物の特に好ましい実施形態は、式(III-A)、(III-B)及び(III-C)の化合物であり、好ましくは式(III-AA)、(III-BB)、(III-CC1)及び(III-CC2)の化合物である:
【化23】

n=0~9、特にn=8
【化24】

n=0~9、特にn=8
【化25】

n=0~9、特にn=2
【化26】

【化27】

n=0~12
【化28】

n=0~12、特にn=2
【化29】
【0059】
非常に好ましい化合物は、式(III-Cis)の化合物である。
【化30】

n=3~6、特にn=5
【0060】
別の実施形態では、図1に示されるように、この水素化の際に、全てのオレフィンの炭素-炭素二重結合が水素化され(「完全水素化」)、それによって水素化により式(IV)の化合物が生じる。
【化31】
【0061】
式(IV)の化合物の特に好ましい実施形態は、式(IV-A)、(IV-B)及び(IV-C)の化合物であり、好ましくは式(IV-A)、(IV-BB)及び(IV-CC)の化合物である:
【化32】

n=0~9、特にn=8
【化33】

n=0~9、特にn=2
【化34】

n=0~12
【化35】
【0062】
非常に好ましい化合物は、式(IV-Cs)の化合物である。
【化36】

n=3~12、特にn=3~5
【0063】
従って、さらなる態様では、本発明はまた、式(III)
【化37】

の化合物を製造するプロセスに関し、
a)上記に極めて詳細に説明されているようなプロセスにより、式(I)
【化38】

(式中、点線
【化39】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す)の化合物を製造する工程と、
b)部分水素化に好適な水素化剤によって式(I)の化合物を部分的に水素化し、前記式(III)の化合物を得る工程とを含む。
【0064】
工程b)で使用される水素化剤は、式(I)の環の炭素-炭素二重結合のみを水素化する水素化剤である。水素化剤として特に好適なのは、Schudel,Mayer,Isler,Helv.Chim.Acta 46,2517-2526(1963)、特に2524頁の最後の段落に記載されているようなナトリウム/エタノールである。
【0065】
従って、さらなる態様では、本発明はまた、式(IV)
【化40】

の化合物を製造するプロセスに関し、
a)上記に極めて詳細に説明されているようなプロセスにより、式(I)
【化41】

(式中、点線
【化42】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す)の化合物を製造する工程と、
b’)水素化剤によって式(I)の化合物を水素化し、式(IV)の化合物を得る工程とを含む。
【0066】
工程b’)で使用される水素化剤は、式(I)の環の全てのオレフィンの炭素-炭素二重結合を水素化する水素化剤である。水素化剤として特に好適なものは、特にPd、Pt、Rh、Ru、Mn、Fe、Co、及びNiからなる群から選択され、より好ましくはPdである、第7族、第8族、第9族又は第10族遷移金属の存在下の水素である。
【0067】
不均一遷移金属触媒は、不均一担持遷移金属触媒であることが好ましい。
【0068】
本実施形態では、遷移金属は担体に担持されており、すなわち、パラジウムが担体に付着/又は堆積されている。担体は、固体材料である。
【0069】
好ましくは、前記担体は、炭素又は無機担体である。好ましい無機担体は、酸化物又は炭酸塩である。好ましい酸化物は、Si、Al、Ce、Ti又はZr、特にAl又はSiの酸化物である。二酸化ケイ素、アルミナ及び二酸化チタン及びセリアが特に好ましい。
【0070】
担持体がCeの場合、好ましい酸化物はCeOである。好ましくは、Alの酸化物はAl及びAlO(OH)である。特に好ましいのはAlである。
【0071】
加圧下、特に2~20barの水素圧下で水素化を行うのが好ましい。0℃~100℃の温度で水素化を行うことがさらに好ましい。
【0072】
式(II)の化合物及び塩基性触媒それ自体を含む組成物もまた、本発明の目的である。
【0073】
従って、さらなる態様では、本発明は、
i)式(II)
【化43】

(式中、
n=0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12であり;
は、水素又はメチル基を表し;
及びRは、
いずれも互いに独立して、水素若しくはメチル基若しくはメトキシ基を表すか、
又は共に-CH-CH-CH-を表し、芳香族基を形成し;
点線
【化44】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す)の化合物、
並びに、
ii)塩基性触媒を含み、
塩基性触媒と式(I)の化合物のモル比は、1:1’000~1:5、特に1:100~1:10であることを特徴とする組成物に関する。
【0074】
式(II)の化合物及び塩基性触媒、同様にそれらの好ましい実施形態は、既にプロセスについて上記で極めて詳細に説明されている。
【0075】
本発明の中で、上記の閉環工程における効率的な閉環のために、触媒量の塩基を用いることができることが判明した。
【0076】
従って、さらなる態様では、本発明は、式(I)の化合物を得るための式(II)の化合物の閉環反応のための、塩基の触媒的使用に関し、
【化45】

式中、
n=0又は1又は2又は3又は4又は5又は6又は7又は8又は9又は10又は11又は12であり;
は、水素又はメチル基を表し;
及びRは、
いずれも互いに独立して、水素若しくはメチル基若しくはメトキシ基を表すか、
又は共に-CH-CH-CH-を表し、芳香族基を形成し;
点線
【化46】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す。
【0077】
式(II)の化合物、塩基性触媒及び閉環工程と同様に、それらの好ましい実施形態は、既にプロセスについて上記で極めて詳細に説明されている。
【0078】
さらに、式(I-A)若しくは(I-C)又は(III-A)若しくは(III-C)又は(IV-A)若しくは(IV-C)の化合物は、抗酸化特性を有することが判明している。
【0079】
従って、さらなる態様では、本発明は、式(I-A)若しくは(I-C)又は(III-A)若しくは(III-C)又は(IV-A)若しくは(IV-C)の化合物の抗酸化剤としての使用に関する。
【化47】

n=0~9、特にn=8
【化48】

n=0~12
【化49】

n=0~9、特にn=8
【化50】

n=0~12
【化51】

n=0~9、特にn=8
【化52】

n=0~12
式中、Rは、水素又はメチル基を表す。
【0080】
式(I-A)若しくは(I-C)又は(III-A)若しくは(III-C)又は(IV-A)若しくは(IV-C)の化合物と同様に、それらの好ましい実施形態は、既にプロセスについて上記で極めて詳細に説明されている。
【0081】
本明細書に開示されるいくつかの化合物は新規である。前記化合物は、開示されたプロセス及び使用に適合性があるため、新規であるだけでなく、発明性もある。
【0082】
従って、さらなる態様では、本発明は、特に、式(I-As)又は(I-Cis)又は(III-Cis)又は(IV-Cs)の化合物に関し、
【化53】

式中、n=3~9、特にn=8であり、
【化54】

式中、n=1~12、特にn=2~5であり、
【化55】

式中、n=3~6、特にn=5であり、
【化56】

式中、n=3~12、特にn=3~5であり、
且つ、式中、
は、水素又はメチル基を表し;
点線
【化57】

の任意の結合は、互いに独立して、炭素-炭素単結合又は炭素-炭素二重結合のいずれかを表し;
任意の波線は、互いに独立して、炭素-炭素二重結合に連結している場合、Z配置又はE配置のいずれかである炭素-炭素結合を表す。
【0083】
[実施例]
本発明を以下の実験によってさらに説明する。
【0084】
[(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2,5,7,8-テトラメチル-2H-クロメン-6-オールの形成]
4-ヒドロキシ-2,3,6-トリメチル-5-((6E)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-イル)フェニルアセテート(2.0g、4.74mmol)を50mLのジエチルエーテルと混合し、5℃に冷却した。次いで、水素化アルミニウムリチウム(THF中2M)(2.96ml、5.92mmol)を添加し、0~24℃で3.5時間後に、40mL(4N)のHCLを添加することで反応を停止させた。有機相を40mLのブライン及び0.2gの亜ジチオン酸ナトリウムで1回洗浄し、MgSO上で乾燥させた。濾過及び蒸発の後、2,3,5-トリメチル-6-((6E)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-イル)ベンゼン-1,4-ジオールを収率85%で単離した。
【0085】
2,3,5-トリメチル-6-((6E)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-イル)ベンゼン-1,4-ジオールをジエチルエーテル(7.5mL)に溶解し、1.5当量の酸化銀と46μLの酢酸を添加し、この混合物を室温で2時間撹拌した。濾過及びクロマトグラフィ(中性シリカ)による精製の後、2,3,5-トリメチル-6-((6E)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-イル)シクロヘキサ-2,5-ジエン-1,4-ジオンを収率88%で単離した。
【0086】
2,3,5-トリメチル-6-((6E)-3,7,11-トリメチルドデカ-2,6,10-トリエン-1-イル)シクロヘキサ-2,5-ジエン-1,4-ジオン(1.27g(3.29mmol))と、18mlのトルエンと、0.15ml(0.988mmol)の1,8-ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ-7-エン(=DBU)とを添加し、還流(110℃)しながら20時間撹拌して、(E)-2-(4,8-ジメチルノナ-3,7-ジエン-1-イル)-2,5,7,8-テトラメチル-2H-クロメン-6-オールを収率86.5%で生成した。
【0087】
[実験系列1]
ゲラニルゲラニルトリメチルベンゾキノン(純度97%)(0.5g(1.183mmol))と、6mlのトルエンと、表1に提供されている対応する量の塩基性触媒とを添加し、表1に提示された反応時間で還流(110℃)しながら撹拌し、2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデカ-3,7,11-トリエン-1-イル)-2H-クロメン-6-オール(3,4-デヒドロ-α-トコトリエノール)を表1に示すような変換率と収率で得た。
【0088】
【表2】
【0089】
触媒量で使用された全ての塩基で、所望の生成物、すなわち3,4-デヒドロ-α-トコトリエノールが形成されたことを示すことが、表1の結果で示される。大分部の実施例では、非常に高い変換率且つ94%を超える収率が達成することができることが示されている。さらに、表1の実施例7及び8及び9には、特に共役酸が8.6より低いpKを有する塩基性触媒により、さらに低い変換率及び収率をもたらすことが示されている。また、この実験から、ピリジンは触媒濃度で特に低い変換率を示すことも明らかになった。実施例2と3を比較すると、濃度が10倍低いにもかかわらず、なお格段に高い変換率と収率を達成することができることを示している。
【0090】
[部分水素化]
上記で調製された3,4-デヒドロ-α-トコトリエノール(=2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデカ-3,7,11-トリエン-1-イル)-2H-クロメン-6-オール)を、Schudel,Mayer,Isler,Helv.Chim.Acta 46,2517-2526(1963)の2524頁の最後の段落に開示された手順に従って定量的に水素化し、α-トコトリエノール(=2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデカ-3,7,11-トリエン-1-イル)クロマン-6-オールを得、その同定はNMRにより確認することができた。
【0091】
[完全水素化]
上記で調製された3,4-デヒドロ-α-トコトリエノール(=2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデカ-3,7,11-トリエン-1-イル)-2H-クロメン-6-オール)を、Kabbe and Heitzer,Synthesis 1978;12,888-889の888頁の最後の段落に従ってPd/Cの水素によって定量的に水素化し、α-トコトリエノール(=2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデシル)クロマン-6-オールを得、その同定はNMRにより確認することができた。
【0092】
[実験系列2]
0.46g(1.098mmol)のゲラニルゲラニルトリメチルベンゾキノン(純度97%)と、表2に提供されるような量のトルエンと、5.49μmolのDBU(1/200)とを添加し、還流(110℃)しながら24時間撹拌して、2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデカ-3,7,11-トリエン-1-イル)-2H-クロメン-6-オール(3,4-デヒドロ-α-トコトリエノール)を表2に示すような変換率と収率で得た。
【0093】
【表3】
【0094】
[実験系列3]
さらなる系列では、3.5mgの臭化テトラブチルアンモニウム(1mol%(ゲラニルゲラニルトリメチルベンゾキノンに対して))の存在下で、0.46g(1.098mmol)のゲラニルゲラニルトリメチルベンゾキノン(純度97%)と、6mlのトルエンと、4.7mgの固体NaOH(0.1098mmol、10mol%(ゲラニルゲラニルトリメチルベンゾキノンに対して))とを添加し、表2に提示された反応時間で還流(110℃)しながら撹拌して、2,5,7,8-テトラメチル-2-(4,8,12-トリメチルトリデカ-3,7,11-トリエン-1-イル)-2H-クロメン-6-オール(3,4-デヒドロ-α-トコトリエノール)を表3に示すような変換率と収率で得た。
【0095】
【表4】
図1
【国際調査報告】