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特表2024-515473ボールミルにおける粉砕プロセスを操作するための方法及びシステム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ボールミルにおける粉砕プロセスを操作するための方法及びシステム
(51)【国際特許分類】
   B02C 25/00 20060101AFI20240403BHJP
   B02C 17/10 20060101ALI20240403BHJP
   B02C 17/14 20060101ALI20240403BHJP
   B02C 17/18 20060101ALI20240403BHJP
   B02C 17/22 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B02C25/00 C
B02C17/10
B02C17/14
B02C17/18 A
B02C17/22
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559004
(86)(22)【出願日】2022-04-11
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 SE2022050362
(87)【国際公開番号】W WO2022216218
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】PCT/SE2021/000004
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(31)【優先権主張番号】2151244-7
(32)【優先日】2021-10-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】SE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523364933
【氏名又は名称】エス.ピー.エム.インストゥルメント エービー
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】サンドストローム,ティム
【テーマコード(参考)】
4D063
4D067
【Fターム(参考)】
4D063FF02
4D063FF08
4D063FF28
4D063FF35
4D063GA07
4D063GB02
4D063GD02
4D063GD15
4D067FF02
4D067FF14
4D067GA01
4D067GB01
(57)【要約】
回転可能なシェルを備えたボールミルにおける粉砕プロセスを操作する方法。回転可能なシェルが、生成物粒子を生成すべく、受け取った固体材料供給粒子を回転するシェル内の充填材料を転動させることにより粉砕するために充填材料と係合する突起物を備えた内部シェル表面を有し、これにより振動を引き起こす。方法では、シェルを回転させ、固体材料供給速度設定用の値を提供し、生成物粒子を分析し、生成物粒子粒度を示す生成物粒子分析に基づいて生成物測定値を生成し、振動を示す振動信号を受信し、回転するシェルの回転位置を示す位置信号を受信し、振動信号及び位置信号に基づいて先端位置値を含む内部状態を示すステータスパラメータ値を生成し、ステータスパラメータ基準値、ステータスパラメータ値、及び、特定の内部状態と生成物粒子粒度との因果関係を示す相関データセットに基づいて、調整器を介して生成物粒子粒度を制御する。
【選択図】図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回転可能なシェル(20)を備えたボールミル(10)における粉砕プロセスを操作する方法であって、前記回転可能なシェルが、生成物粒子(95;96)をミル出力(200)に生成すべく、受け取った固体材料供給粒子(115)を粉砕するために回転する前記シェル(20)内の充填材料(30)を転動させることによって前記充填材料(30)と係合するように構成された第1の数(L)の突起物(310)を備えた内部シェル表面(22)を有し、これによって突起物(310)が前記材料(30)の先端部分(205)と係合するときに、あるシェル回転速度(U1、fROT)に応じた第1の繰り返し周波数(f)を有する振動(VIMP)を引き起こし、
前記方法が、
前記シェル(20)を前記ボールミルの動作中に一定又は実質的に一定のシェル回転速度(U1、fROT)で回転させること、
ボールミル(10)の入力(100)に送り込まれる前記供給粒子(115)の時間単位あたりの量である固体材料供給速度(U2、R)を設定するための固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を提供することによって、前記粉砕プロセスの内部状態(X)に影響を与えること、
前記生成物粒子(96)の少なくとも一部を分析すること、
生成物粒子中央値粒度(Y2)を示す少なくとも1つの生成物測定値(Y1;Y2)を前記生成物粒子の分析に基づいて生成すること、
前記振動(VIMP)を示す振動信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を受信すること、
回転する前記シェルの回転位置を示す位置信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を受信すること、
前記振動信号及び前記位置信号に基づいて、前記内部状態(X)を示し、前記先端部分(205)の位置を示す先端位置値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X6、ATOE(r))を含む少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r);X2、Sp(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)を生成すること、
所望の生成物粒子中央値粒度(Y2REF)及び/又は所望の生成物粒子粒度分布(Y)を示すデータを受信すること、
少なくとも1つが先端位置基準値(X1REF(r)、FIREF(r)、TDREF;X6REF、ATOEREF(r))を含むステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)を、
前記所望の生成物粒子中央値粒度(Y2REF)及び/又は所望の生成物粒子粒度分布(Y)を示す前記データ、及び
前記少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、T、FI(r)、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)と、前記少なくとも1つの生成物測定値(Y1;Y2)と、の因果関係を示す相関データセット、及び/又は
前記粉砕プロセスの前記内部状態(X)と、前記生成物粒子粒度分布(Y)と、の因果関係を示す相関データセット
に基づいて生成すること、
調整器(150B、755C)を介して前記生成物粒子粒度分布(Y)を、
前記少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)、
前記少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)、及び、
少なくとも1つのステータスパラメータ誤差値(X1ERR(r)、FIERR(r)、TDERR、RTERR(r);X2ERR、SpERR(r);X3ERR、dSpERR(r);X4ERR、dRTERR(r);X5ERR、fROTERR;X6ERR、ATOE_ERR(r);X7ERR
に基づいて制御することを含み、
前記少なくとも1つのステータスパラメータ誤差値(X1ERR(r)、FIERR(r)、TDERR、RTERR(r);X2ERR、SpERR(r);X3ERR、dSpERR(r);X4ERR、dRTERR(r);X5ERR、fROTERR;X6ERR、ATOE_ERR(r);X7ERR)が、
前記少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)、及び
前記少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)
に依存する、方法。
【請求項2】
前記方法が更に、ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)を介して、前記固体材料供給速度(U2、R)に関する第1のユーザ入力を受信し、前記固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を生成するステップを含み、
生成した前記固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を示すデータが受信した前記第1のユーザ入力に基づいている、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記受信した第1のユーザ入力に基づいた前記生成した固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)が、前記生成物粒子を前記粉砕プロセスの影響を受けた前記内部状態(X)に対応する生成物粒子中央値粒度(Y2)で生成させるために、前記回転するシェル(20)内の前記材料を、前記影響を受けた内部状態(X)で転動させる、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記回転するシェル(20)内の前記材料を、前記生成物粒子を対応する生成物粒子中央値粒度(Y2)で生成させるために、前記粉砕プロセスの前記影響を受けた内部状態(X)で転動させる、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記回転するシェル(20)内の前記材料を、前記生成物粒子を前記粉砕プロセスの前記影響を受けた内部状態(X)に対応する生成物粒子中央値粒度(Y2)で生成させるために、前記影響を受けた内部状態(X)で転動させる、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記受信した第1のユーザ入力に基づいた前記生成した固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)が、前記生成物粒子を前記粉砕プロセスの前記影響を受けた内部状態(X)に対応する生成物粒子中央値粒度(Y2)で生成させるために、前記回転するシェル(20)内の前記材料を、前記影響を受けた内部状態(X)で転動させる、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が更に、ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)を介して、所望の生成物粒子中央値粒度(Y2)に関する、及び/又は、所望の生成物粒子粒度分布(Y)に関する、第2のユーザ入力を受信し、所望の生成物粒子中央値粒度(Y2REF)及び/又は所望の生成物粒子粒度分布(Y)を示す前記データを生成するステップを含み、
生成した前記所望の生成物粒子中央値粒度(Y2REF)及び/又は所望の生成物粒子粒度分布(Y)を示すデータが、受信した前記第2のユーザ入力に基づいている、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
ボールミル(10)の入力(130)に送り込まれる液体(120)の時間単位あたりの量である液体材料供給速度(U3、R)を設定するための液体供給速度設定点値(U3SP、RLSP)を提供することによって、前記粉砕プロセスの前記内部状態(X)に影響を与えること、
ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)を介して、前記液体材料供給速度(U3、R)に関する第3のユーザ入力を受信すること、
前記液体供給速度設定点値(U3SP、RLSP)を生成することによって、前記生成物粒子中央値粒度(Y2)を制御する又は前記生成物粒子中央値粒度(Y2)に影響を及ぼすために前記内部状態(X)に影響を与えること、を更に含み、
前記生成した液体供給速度設定点値(U3SP、RLSP)が受信した前記第3のユーザ入力に基づいている、請求項1から7のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記位置信号(E、P(i)、P(j)、P(q))が、前記回転速度(fROT)に応じた第2の繰り返し周波数(fRP)を有し、
前記振動信号(SEA、Se(i)、S(j)、S(q))が、振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列を含んでおり、
前記方法が更に、
振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の前記時系列において、前記第1の繰り返し周波数(f)に等しいイベントシグネチャ発生頻度(f)を有するイベントシグネチャ(S(r);S)を検出すること、
前記イベントシグネチャ発生頻度に基づいて、前記転動ミル(10)の動作中の前記シェルの1回転につき前記第1の数(L)の周期を示す周期イベント信号を生成すること、
前記位置信号(E、P、P(i)、P(j)、P(q))に基づいて、前記転動ミル(10)の動作中の前記シェルの1回転につき前記第1の数(L)の周期を示す周期基準信号を生成すること、
前記周期イベント信号と、前記周期基準信号と、の間の、前記転動ミル(10)の前記内部状態(X)を示す第1の時間的関係(X1(r)、R(r);T;FI(r))を示すデータを生成すること、
を含む、請求項1から8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
位置信号値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列において、前記回転するシェルの所定の回転位置を示す第1の基準位置信号値(1;PS)の第1の発生を検出すること、
基準信号(1、1C、PS、PC、0%)を、前記基準信号が前記シェルの1回転につきある特定の数(L)の回数だけ提供されるように前記位置信号に基づいて提供すること、
前記振動信号において、前記内部突起物(310)が前記材料の先端部分と係合するときに発生する信号イベントシグネチャを検出すること、
第1の基準信号(1、1C、PS、PC、0%)の提供から後続の基準信号(1、1C、PS、PC、100%)の提供までの第1の期間(100%)を測定すること、
基準信号の提供から後続の信号イベントシグネチャの発生までの第2の期間を測定すること、又は前記信号イベントシグネチャの発生から前記後続の基準信号の提供までの第2の期間を測定すること、及び 前記転動ミル(10)の前記内部状態(X)を示す時間的関係値を、前記第2の期間及び前記第1の期間(100%)に基づいて生成すること、
を更に含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記先端位置値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X6、ATOE(r))が請求項9に定義される前記第1の時間的関係である、又は
前記先端位置値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X6、ATOE(r))が請求項10に定義される前記時間的関係値である、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記内部状態(X)を示す少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r);X2、Sp(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)を生成することが更に、前記振動信号及び前記位置信号に基づいて、前記シェル回転速度(X5、fROT)を示す別のステータスパラメータ値(X5、fROT)を生成することを含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記粉砕プロセスを促進するために前記ボールミルの入力(100)に送り込まれる時間単位あたりの粉砕ボールの数であるボール供給速度(U4、RBF)を設定するためのボール供給速度設定点値(U4SP、RBFSP)を提供することを更に含み、これによって前記粉砕ボールが前記粉砕プロセスの前記内部状態(X)に影響を与える、請求項1から12のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)を介して、前記ボール供給速度(U4、RBF)に関する第4のユーザ入力を受信すること、
前記ボール供給速度設定点値(U4SP、RBFSP)を生成することによって、前記生成物粒子中央値粒度(Y2)を制御する又は前記生成物粒子中央値粒度(Y2)に影響を及ぼすために前記内部状態(X)に影響を与えること、を更に含み、
生成した前記ボール供給速度設定点値(U4SP、RBFSP)が、受信した前記第4のユーザ入力に基づいている、請求項1から13のいずれか一項に記載の又は請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記振動信号において、前記内部突起物(310)が前記材料の前記先端部分と係合するときに発生する信号イベントシグネチャを検出することを更に含み、
前記イベントシグネチャが、前記回転するシェル(20)の内部シェル表面(22)の突起物(310)が前記充填材料(30)の先端部分(205)と相互作用するときに生成される衝撃力(X2、FIMP)を示す、請求項1から14のいずれか一項に記載の又は請求項13に記載の方法。
【請求項16】
更に別のステータスパラメータ値(X2、FIMP)を前記衝撃力(X2、FIMP)に基づいて生成することを更に含み、
前記更に別のステータスパラメータ値(X2、FIMP)が、既知のシェル回転速度(X5、fROT)及び既知の先端位置値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X6、ATOE(r))で生成されるときに、前記充填材料(30)の質量を示す、請求項1から15のいずれか一項に記載の又は請求項15に記載の方法。
【請求項17】
更に別のステータスパラメータ値(X2、FIMP)を前記衝撃力(X2、FIMP)に基づいて生成することを更に含み、
前記更に別のステータスパラメータ値(X2、FIMP)が、既知のシェル回転速度(X5、fROT)及び既知の先端位置値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X6、ATOE(r))及び既知の充填材料体積で生成されるときに、前記充填材料(30)の質量密度の平均値を示す、請求項1から16のいずれか一項に記載の又は請求項15に記載の方法。
【請求項18】
前記ボール供給速度設定点値(U4SP、RBFSP)を、前記充填材料(30)の質量密度の前記平均値に基づいて、及び
前記供給粒子(115)の平均密度を示す第1の密度情報及び前記粉砕ボールの平均密度を示す第2の密度情報に基づいて、
生成することを更に含む、請求項1から17のいずれか一項に記載の又は請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記ボール供給速度設定点値(U4SP、RBFSP)を、前記衝撃力(X2、FIMP)、前記先端位置値(X1(r)、FI(r))、及び、前記シェル回転速度(U1、fROT)の組み合わせに基づいて生成することを更に含む、請求項1から18のいずれか一項に記載の又は請求項15に記載の方法。
【請求項20】
前記供給粒子(115)が、供給粒子中央粒度値を含む供給粒子粒度分布(Us)を有し、
前記供給粒子中央粒度値が、前記生成物粒子中央粒度値(Y2)よりも大きい、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記供給粒子の少なくとも80質量%が20ミリメートルを超える供給粒子粒度を有する、請求項1から20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記生成物粒子の少なくとも80質量%が30ミクロンから20ミリメートルの範囲内の生成物粒子粒度を有する、請求項1から21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記生成物粒子の少なくとも80質量%が30ミクロンから20ミリメートルの範囲内の生成物粒子粒度を有する、請求項1から22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記生成物粒子の少なくとも80質量%が150ミクロンから300ミクロンの範囲内の生成物粒子粒度を有する、請求項1から23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記生成物粒子の少なくとも80質量%が200ミクロンから220ミクロンの範囲内の生成物粒子中央粒度(Y2)を有する、請求項1から24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記供給粒子(115)が、供給粒子粒度分布(Us)を有し、
前記供給粒子の少なくとも80質量%が20ミリメートルを超える粒度を有する、請求項1から25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
ボールミルの動作中のシェル回転速度(U1、fROT)が所定のシェル回転速度である、請求項1から26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記相関データセットが、
少なくとも先端位置値の第1の範囲内及び前記シェル回転速度(U1、fROT)における、
前記先端位置値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X6、ATOE(r))と、前記生成物粒子中央値粒度(Y2)と、の線形関係を示し、
前記先端位置値の第1の範囲がミル動作領域(MOA)を提供する、請求項1から27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記転動ミル(10)がミルロケーション(780)に位置しており、
前記方法の少なくとも一部が、前記ミルロケーション(780)からある地理的距離だけ地理的に離れている監視ロケーション(870)で実行され、
前記方法が更に、前記ミルロケーション(780)と前記監視ロケーション(870)との間で前記信号の少なくとも一部を伝送するステップを含む、請求項1から28のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記地理的距離が1キロメートルを上回る、及び/又は、
前記ミルロケーション(780)が第1の管轄権を構成する第1の国にあり、前記監視ロケーション(870)が第2の管轄権を構成する第2の国にあることによって、前記内部状態(X)に関する情報を生成する前記方法の少なくとも一部が前記第1の国で実行され、前記方法の少なくとも一部が前記第2の国で実行される、
請求項1から29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記信号伝送の少なくとも一部が、例えばインターネットなどの通信ネットワーク(810)によって実行される、請求項1から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記生成物粒子粒度分布(Y)が、10分以下の測定瞬時期間に測定される生成物粒子粒度分布を示す瞬間的生成物粒子粒度分布(Y)である、請求項1から31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記相関データセットが、
前記シェル回転速度(U1、fROT)及び前記材料供給速度(U2、R)及び/又は前記液体材料供給速度(U3、R)及び/又は前記ボール供給速度(U4、RBF)における、前記先端位置値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X6、ATOE(r))と、前記生成物粒子中央値粒度(Y2)と、の相関関係を示す、
及び/又は、
前記シェル回転速度(U1、fROT)及び前記材料供給速度(U2、R)及び/又は前記液体材料供給速度(U3、R)及び/又は前記ボール供給速度(U4、RBF)における、前記内部状態(X)と、生成物粒子粒度分布(Y)と、の相関関係を示す、
請求項1から32のいずれか一項に記載の方法。
【請求項34】
前記相関データセットを、
前記先端位置値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X6、ATOE(r))、測定した生成物粒子中央値粒度(Y2)、及び、前記シェル回転速度(U1、fROT
及び/又は、
内部状態(X)を示す前記少なくとも1つのステータスパラメータ値、測定した生成物粒子粒度分布(Y)、及び、前記シェル回転速度(U1、fROT
に基づいて生成及び/又は更新することを更に含む、請求項1から33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記相関データセットを生成及び/又は更新することが、
前記先端位置値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X6、ATOE(r))、測定した生成物粒子中央値粒度(Y2)、前記シェル回転速度(U1、fROT)、及び、前記材料供給速度(U2、R)及び/又は前記液体材料供給速度(U3、R)及び/又は前記ボール供給速度(U4、RBF)、
及び/又は、
内部状態(X)を示す前記少なくとも1つのステータスパラメータ値、測定した生成物粒子粒度分布(Y)、前記シェル回転速度(U1、fROT)、及び、前記材料供給速度(U2、R)及び/又は前記液体材料供給速度(U3、R)及び/又は前記ボール供給速度(U4、RBF)、
に基づいている、請求項1から34のいずれか一項に記載の又は請求項29に記載の方法。
【請求項36】
前記相関データセットを生成及び/又は更新することが、前記ボールミル(10)を少なくとも2分間動作させることを示す値のセットに基づいている、請求項1から35のいずれか一項に記載の又は請求項34又は35に記載の方法。
【請求項37】
前記回転速度(fROT)が依存する回転速度設定点(fROTSP)を前記先端位置基準値(X1REF、FIREF)に応じて制御すること、
及び/又は、
前記転動ミル(10)の入力(130)に送り込まれる時間単位あたりの液体の量である液体供給速度(R)が依存する液体供給速度設定点(RLSP)を、前記先端位置基準値(X1REF、FIREF)に応じて制御すること、
を更に含む、請求項1から36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記調整器を介して前記生成物粒子粒度分布(Y)を制御することが、前記シェル回転速度(U1、fROT)、及び/又は前記固体材料供給速度(U2、R)、及び/又は前記液体材料供給速度(U3、R)、及び/又は前記ボール供給速度(U4、RBF)を制御すること、又はそれらの設定点を設定することを含む、請求項1から37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
方法が更に、
前記先端位置基準値(X1REF;FIREF)が前記先端位置値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X6、ATOE(r))よりも高い場合に、ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)に、オペレータ(230)に前記固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を増加させるように促すことを行わせること、
及び/又は、
前記先端位置基準値(X1REF;FIREF)が前記先端位置値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X6、ATOE(r))よりも低い場合に、ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)に、オペレータ(230)に前記固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を減少させるように促すことを行わせること、
を含む、請求項1から38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記供給粒子中央粒度値が、前記生成物粒子中央粒度値(Y2)よりも少なくとも10倍大きい、請求項1から39のいずれか一項に記載の又は請求項20に記載の方法。
【請求項41】
プログラム命令を含むコンピュータプログラムを有する非一時的コンピュータ可読記憶媒体を備えたコンピュータプログラム製品であって、
前記コンピュータプログラムがプロセッサにロード可能であり、
前記プロセッサに請求項1から40のいずれか一項に記載の方法を実行させるように構成されている、コンピュータプログラム製品。
【請求項42】
粉砕プロセスを実行するための転動ミル(10;730;780;720)であって、軸(60)の周りをある回転速度(fROT)で回転可能なシェル(20)を有し、生成物粒子(95;96)を生成すべく、充填材料(30)を回転する前記シェル内で複数の粉砕ボールと一緒に転動させることによって前記材料を粉砕するための、前記シェル(20)が、前記シェル(20)が前記軸(60)の周りを回転するときに材料及び/又は粉砕ボールと係合するように構成された第1の数(L)の突起物(310)を備えた内部シェル表面(22)を有し、これによって前記回転速度(fROT)に応じた第1の繰り返し周波数(f)を有する振動(VIMP)を引き起こすボールミル(10;730;780;720)であり、
前記ボールミルが、
前記転動ミル(10)の入力(100)に送り込まれることによって前記粉砕プロセスの内部状態(X)に影響を与える時間単位あたりの供給粒子粒度分布を有する固体材料供給粒子(115)の量であって、固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)により制御又は設定される固体材料供給速度(U2、R)で、粉砕のための固体供給材料(110)を受けるための第1の供給口(100)、
ボール供給口(100)であって、前記転動ミル(10)のボール供給口(100)に送り込まれることによって前記粉砕プロセスの前記内部状態(X)に影響を与える時間単位あたりの粉砕ボールの数であり、ボール供給速度設定点値(RBFSP)により制御又は設定されるボール供給速度(RBF)で、前記粉砕を促進するための前記粉砕ボールを受けるためのボール供給口(100)、
前記供給粒子粒度分布と異なる生成物粒子粒度分布(Y)を有する前記生成物粒子(95;96)の引き渡しのためのミル出力
を備えた、転動ミルと、
前記振動(VIMP)を示す信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を生成するための振動センサと、
前記回転するシェルの回転位置を示す信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を生成するための位置センサと、
前記振動信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を示すデータ、及び、前記位置信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を示すデータを受信するように構成された監視モジュール(150;150A)であって、
前記粉砕プロセスの内部状態(X)を示す、先端位置値(X6、ATOE(r);X1(r)、FI(r)、T、R(r))を含む少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)を、前記振動信号及び前記位置信号に基づいて生成するように構成されたステータスパラメータ抽出器(450;150;150A)を備えた、監視モジュール(150;150A)と、
前記生成物粒子(96)の少なくとも一部を分析するように構成された生成物分析器(1140)であって、生成物粒子中央値粒度(Y2)を示す少なくとも1つの生成物測定値(Y1;Y2)を前記生成物粒子の分析に基づいて生成するように構成された生成物分析器(1140)と、
を備えたシステムであって、
前記システムが更に、
所望の生成物粒子粒度分布(Y)を示すデータを受信するように構成された入力を有する基準値生成器(k-1)であって、
先端位置基準値(X1REF(r)、FIREF(r)、TDREF;X6REF、ATOEREF(r))を含む少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)を、
前記所望の生成物粒子粒度分布(Y)を示す前記データ、及び
前記少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、T、FI(r)、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)と、前記少なくとも1つの生成物測定値(Y1;Y2)と、の因果関係を示す相関データ、及び/又は、前記粉砕プロセスの前記内部状態(X)と、前記生成物粒子粒度分布(Y)と、の因果関係を示す相関データ
に基づいて生成するように構成された基準値生成器(k-1)と、
前記生成物粒子粒度分布(Y)を、
前記少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)、
前記少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)、及び
少なくとも1つのステータスパラメータ誤差値(X1ERR(r)、FIERR(r)、TDERR、RTERR(r);X2ERR、SpERR(r);X3ERR、dSpERR(r);X4ERR、dRTERR(r);X5ERR、fROTERR;X6ERR、ATOE_ERR(r);X7ERR
に基づいて制御するための調整器と、を備え、
前記少なくとも1つのステータスパラメータ誤差値(X1ERR(r)、FIERR(r)、TDERR、RTERR(r);X2ERR、SpERR(r);X3ERR、dSpERR(r);X4ERR、dRTERR(r);X5ERR、fROTERR;X6ERR、ATOE_ERR(r);X7ERR)が、
前記少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)、及び
前記少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)に依存する、システム。
【請求項43】
前記少なくとも1つのステータスパラメータ誤差値(XERR(r))が、
前記少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(XREF)と、
前記少なくとも1つのステータスパラメータ値(X(r))と、
の差に依存し、
前記少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(XREF)が、前記先端位置基準値(X1REF、FIREF(r))を含み、
前記少なくとも1つのステータスパラメータ値(X(r))が、前記先端位置値(X6、ATOE(r);X1(r)、FI(r)、T、R(r))を含む、請求項42に記載のシステム。
【請求項44】
設定点値ベクトル(USP)が前記設定点値(U1SP、U2SP、U3SP、U4SP、U5SP)を含み、
基準値ベクトル(XREF)が前記ステータスパラメータ基準値(X1REF;X2REF;X3REF;X4REF;X5REF;X6REF)を含み、
内部状態ベクトル(X)が前記内部状態値(X1、X2、X3、X4、X5、X6、)を含み、
出力値ベクトル(Y)が前記生成物測定値(Y1;Y2)を含む、請求項42又は43に記載のシステム。
【請求項45】
誤差値ベクトル(XERR)が前記誤差値(X1err、X2err、X3err、X4err、X5err、X6err、)を含む、請求項42から44のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項46】
前記調整器が、前記生成物粒子粒度分布(Y)を制御するために前記固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を生成するように構成されている、請求項42から45のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項47】
前記調整器が、前記出力値ベクトル(Y)を制御するために前記設定点値ベクトル(USP)を生成するように構成されており、
前記調整器が前記設定点値ベクトル(USP)を
前記基準値ベクトル(XREF)及び
前記内部状態ベクトル(X)及び
前記誤差値ベクトル(XERR
に基づいて生成する、請求項42から46のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項48】
前記調整器が、液体供給速度設定点(RLSP)を前記先端位置基準値(FIREF(r))に応じて制御するように構成されており、
前記転動ミル(10)の入力(130)に送り込まれる時間単位あたりの液体の量である液体供給速度(R)が前記液体供給速度設定点(RLSP)に依存する、請求項42から47のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項49】
前記先端位置値(X6、ATOE(r);X1(r)、FI(r)、T、R(r))が、
前記回転速度(fROT)、及び/又は、前記固体材料供給速度(R)、
液体供給速度(R)、及び/又は、前記ボール供給速度(RBF
に依存している、請求項42に記載の又は請求項42から48のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項50】
前記先端位置値(X6、ATOE(r);X1(r)、FI(r)、T、R(r))が絶対先端位置値(X6、ATOE(r))であり、
前記先端位置基準値(X6REF、ATOEREF(r);X1REF(r)、FIREF(r)、TDREF、RTREF(r))が絶対先端位置基準値(X6REF、ATOEREF(r))である、請求項42に記載のシステム。
【請求項51】
前記少なくとも1つの生成物測定値(Y1;Y2)と、
前記少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)と、
の関連付けを実行するための相関器を更に備え、
前記相関器が、
前記少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、T、FI(r)、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)と、前記少なくとも1つの生成物測定値(Y1;Y2)と、の因果関係を示す相関データ、及び/又は、前記粉砕プロセスの前記内部状態(X)と、前記生成物粒子粒度分布(Y)と、の因果関係を示す相関データ
を生成するように構成されている、請求項42から50のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項52】
ミルオペレータ(230)から、前記所望の生成物粒子中央値粒度(Y2REF)及び/又は所望の生成物粒子粒度分布(Y)を示すデータを受信するように構成されたユーザインターフェイス(210、210S)を更に備え、
前記先端位置値(X6、ATOE(r);X1(r)、FI(r)、T、R(r))が、受信した前記所望の生成物粒子中央値粒度(Y2REF)及び/又は所望の生成物粒子粒度分布(Y)を示す前記データに基づいている、請求項42から51のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項53】
前記ユーザインターフェイス(210、210S)が、前記少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、T、FI(r)、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)及び
前記少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF
を表示するように構成されている、請求項42から52のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項54】
前記調整器が、前記少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)と対応する少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、T、FI(r)、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)との差を最小化するように構成されている、請求項42から53のいずれか一項に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、転動ミルの分野及び転動ミルの監視に関する。本発明はまた、転動ミルの内部状態に関する情報を生成する方法及び転動ミルの制御の分野に関する。本発明はまた、転動ミルにおける粉砕プロセスを操作する方法、及び転動ミルの内部状態の監視のための装置に関する。本発明はまた、転動ミルの内部状態を制御するための装置に関する。本発明はまた、転動ミルの内部状態の監視のためのコンピュータプログラムに関する。本発明はまた、転動ミルの内部状態を制御するためのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
鉱業などの一部の産業では、大きな破片で入ってくる材料を、受け取った材料の個々の破片のサイズを小さくするために粉砕する必要がある。転動ミルは材料の粉砕を達成することができる。
【0003】
転動ミルは、回転するときに転動され粉砕される充填材料を含むシェルを備える。US2017/0225172A1は、転動ミルにおける粉砕が、特に粒子を破壊しない衝撃によってエネルギーが浪費される場合に非効率的であり得ること、及び自生粉砕(AG)ミル及び半自生粉砕(SAG)ミルが、大きな粒子の転動ミルへの供給速度と充填物の消費とのバランスを取ることが難しいという理由で不安定な状態で稼働することがあることを開示する。US2017/0225172A1によれば、このプロセスを制御するために、タンブラ内の充填物の現在の状態に関するリアルタイム情報が提供されることは不可欠である。US2017/0225172A1は、ロータダイナミクスを使用して転動ミル内を移動する充填物の特性を決定することを開示する。US2017/0225172A1によれば、タンブルミルを監視するための監視装置が提供される。装置は、タンブルミルの2つの主軸受及びミルのスラスト軸受に取り付けられた振動センサであって、センサが取り付けられる軸受に対応する振動信号を生成する振動センサを備える。これらの振動信号は、信号を分析しタンブルミルの稼働状態を数値的に又はグラフで表示する分析器に伝送される。
【0004】
US2017/0225172A1の図5には、2つの軌道プロット、すなわち時刻1で作成された1つの軌道プロット及び時刻2で作成されたもう1つの軌道プロットが開示されている。US2017/0225172A1によれば、時刻1から時刻2の軌道プロットの変化を観察することによって、ミルのオペレータは、振動の大きさが激減していること、及び軌道プロットの軌道パラメータ、周波数、フェーズ、歳差又はその他の特性変化が同様に激減していることを観察することになる。この情報は、US2017/0225172A1によれば、ミルロータの全体的な動作及び処理されている複合材料充填物に関する非常に重要な何かが変化したことをオペレータに伝えることになる。
【発明の概要】
【0005】
当分野の技術水準を考慮すると、対処すべき問題は、転動ミルの内部状態に関する改善された情報をどのように生成するか及び/又は転動ミルにおける粉砕プロセスを操作する改善された方法をどのように得るかである。
【0006】
この問題は、本明細書に提示される例によって対処される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本発明の簡単な理解のために、例を用いて添付の図面を参照した説明が行われることになる。
【0008】
図1A】転動ミルを備えるシステムのやや図式的かつ概略的な側面図を示す。
図1B】転動ミルを備えるシステムの別のやや図式的な図を示す。
図1C】転動ミルを複数の入力を受け取り複数の出力を生成するボックスとして示すブロック図である。
図2図1Aの線A-Aに沿って取った断面図の別の例を示す。
図3図1に示す分析装置のある例の概略的ブロック図である。
図4】プログラムメモリ及びそのコンテンツの簡略図である。
図5】分析装置のある例を示すブロック図である。
図6A】A/Dコンバータにより送出される信号ペアS(i)及びP(i)の図である。
図6B】A/Dコンバータにより送出される一連の信号ペアS(i)及びP(i)の図である。
図7】ステータスパラメータ抽出器の一部の例を示すブロック図である。
図8】メモリ及びそのコンテンツの例の簡略図である。
図9図7のステータスパラメータ抽出器を作動させる方法の例を示すフローチャートである。
図10図9のステップS#40を実行する方法の例を示すフローチャートである。
図11】方法の別の例を示すフローチャートである。
図12図9のステップS#40を実行する方法の別の例を示すフローチャートである。
図13】各位置信号Pが監視されるシェルの全回転を示す一連の時間的に連続した位置信号P1、P2、P3、...を示すグラフである。
図14A】動作中の回転するミルシェルの中央部98の断面図の別の例を示す。
図15】ステータスパラメータ抽出器の例を示すブロック図である。
図16】分析結果の可視表示の例の図である。
図17】分析結果の可視表示の別の例の図である。
図18】分析結果の可視表示の別の例の図である。
図19A】転動ミルの内部ステータスに関する分析結果の可視表示の更に別の例の図である。
図19B】転動ミルの内部ステータスに関する分析結果の可視表示の更に別の例の図である。
図20】補償デシメータのある例のブロック図である。
図21図20の補償デシメータを作動させる方法の実施形態を示すフローチャートである。
図22A図20の補償デシメータを作動させる方法の実施形態のフローチャートを示す。
図22B図20の補償デシメータを作動させる方法の実施形態のフローチャートを示す。
図22C図20の補償デシメータを作動させる方法の実施形態のフローチャートを示す。
図23】動作中の回転するミルシェルの中央部の断面図の別の例を示す。
図24】転動ミルを備える別のシステムのやや図式的な概略的上面図を示す。
図25】転動ミルを備えるシステムの更に別の実施形態のやや図式的かつ概略的な上面図を示す。
図26】転動ミルを含むシステムの更に別の実施形態のやや図式的かつ概略的な上面図を示す。
図27】転動ミルを含むシステムの更に別の実施形態のやや図式的かつ概略的な上面図を示す。
図28】転動ミルを含むシステムの更に別の実施形態のやや図式的かつ概略的な上面図を示す。
図29】転動ミルを含むシステムの更に別の実施形態のやや図式的かつ概略的な上面図を示す。
図30】動作中の回転するミルシェルの中央部の断面図の別の例を示す。
図31】ステータスパラメータ抽出器の別の例を示すブロック図である。
図40】ミルの内部状態Xの監視のための及びミル内で行われる粉砕プロセスの改善された制御を可能にするためのシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下の本文では、様々な例における類似の特徴が同じ参照番号で示される。
【0010】
図1Aは、転動ミル10を備えるシステム5のやや図式的かつ概略的な側面図を示している。転動ミル10は、例えば自生粉砕(AG)ミルである場合がある。代替的に、転動ミル10は、例えば半自生粉砕(SAG)ミルである場合がある。別の例の転動ミル10はボールミル10である。
図1Aはまた断面図A-Aを示す。断面図A-Aはまた参照番号15によって特定される。転動ミル10は、材料を粉砕するためのチャンバ25を形成する内部シェル表面22を有するシェル20を備える。図1Aにおいて参照番号15により特定される断面図では、シェル20は、曲線矢印fROTで示すように回転速度fROTで反時計回りに回転するものとして示される。
【0011】
転動ミルチャンバ25は、動作時に転動され粉砕される充填材料30を含む。充填材料は、材料表面33、すなわち回転可能なシェル20内の空気と材料30の境界を有する(図2参照)。転動ミルにおける粉砕は、固体材料の粒子の粒度を小さくするという目的を果たす。これは、例えば固体材料の破片を他の固体材料の破片に落下させることによって達成されることがある。したがって、転動ミルは充填物の粒子を充填物の他の粒子に対して加速させるために自然の力、すなわち重力を利用する。一部の実施形態によれば、シェル20の壁は、重粒子、例えばチャンバ25で転動される鉱石の大きな破片の衝撃に耐えるために、例えば鋼などの丈夫な素材を含む。一部の実施形態によれば、シェル20の壁は壁の摩耗を減らすために弾性材を含む。一部の実施形態によれば、弾性材はゴムを含む。
一部の実施形態によれば、弾性材はポリウレタンなどのポリマーを含む。一部の実施形態によれば、内部シェル表面22は、例えばゴムやポリウレタンなどの弾性材の表面コーティングを含む。
一部の実施形態によれば、シェル10は少なくとも2つの軸受40及び50に支持される。シェル20は回転軸60の周りを回転可能である。これに関連して、軸はオブジェクトがその周りを回転する仮想的な線(回転軸)であることに留意されたい。シェルの回転は、固体材料の粒子を含む充填物の一部分を、固体粒子の一部が重力の影響下で充填物の別の部分上に再び落下できるように持ち上げるのに利用される。したがって、充填物30の持ち上げ動作と落下動作のバランスを取るために、シェル20の回転速度fROTを適切な値に選択することが望ましい。図1Aの断面図15を参照すると、矢印62が回転しているシェル20及びその充填物30に関連して重力gの方向を示す。したがって、転動ミル10の内部状態は、重力62と、充填物30の内部シェル表面22に対して不動の部分を、中心から、すなわち回転軸60から半径方向に押すように作用する向心力65のバランスに部分的に依存する。換言すれば、転動ミル10の動作中に、シェル20の回転速度fROTに依存する向心力は、充填物30の一部を内部シェル表面22に向けて押すように作用する。これに関連して、内部シェル表面22に接触している固体材料の破片に作用する向心力がシェル20の内半径に依存していることに留意されたい。特定の固体材料の破片68に作用する重力62が、その固体材料の破片68に重力の方向と反対の方向に作用する向心力の部分69よりも大きい場合に、その固体材料の破片68は落下することになる。
【0012】
振動センサ70が測定信号SEAを生成するために設けられることがある。測定信号SEAは、シェル20が回転するときに生成される機械的振動又は衝撃パルスに依存していることがある。
【0013】
システム5の例は、振動センサ70が転動ミル10の測定点に堅固に取り付けられる場合に動作する。測定点は、センサ70が堅固に取り付けられる、又は取り外し可能に取り付け可能な接続継手を含む可能性がある。図1Aで示される例では、センサ70は軸受40に取り付けられる。
代替的にセンサ70は、シェル20が回転するときに生成される機械的振動又は衝撃パルスに依存した測定信号SEAをセンサ70が生成することができる転動ミルの他の場所に取り付けられることがある。
転動ミル10は、固体材料の破片を受け入れるための入力側80と、転動ミル10を通過した出力材料95の引き渡しのための出力側90と、を有する。
【0014】
シェル20は、実質的な円筒形状を有する中央部98を有することがあり、中央部のチャンバ25は内半径RMICを有する。内半径RMICは、例えば0.5メートルを超えることがある。代替的に内半径RMICは、例えば3メートルを超えることがある。転動ミル10は、代替的に8メートルを超えるチャンバ中央部内半径RMICを有することがある。シェル20の中央部は、入力側80から出力側90までの長さLMICを有する。中央部シェル長さLMICは、例えば1メートルを超えることがある。実施形態によれば、中央部シェル長さLMICは、8メートルを超えることがある。本明細書で例示されるいずれの内半径RMICも本明細書で例示されるいずれのシェル長さLMICと組み合わせられ得ることに留意されたい。
また、シェル20が多角形状を有する中央部98を有し得ることに留意されたい。そのような多角形のシェル形状の例は、転動ミルのチャンバ25を形成するために結合される少なくとも3つのシェル壁部を呈するシェルである。これに関連して、この開示のために、チャンバ25aを形成するために結合される少なくとも6つのシェル壁部を有する中央部98を有する転動ミルのシェルが実質的な円筒形状を有すると見なされ得ることに留意されたい。
したがって、この開示のために、六角形状の中央部98を有する転動ミルのシェルは実質的な円筒形状を有すると見なされることがある。
【0015】
図1Aにより示される例では、入力側80は、固体材料110の破片のための第1の入力100を備える。固体材料110は、供給材料110とも称され、様々なサイズを有する岩石及び鉱石の破片115を含むことがある。ただし、第1の入力100に送り込まれる固体材料110は、最大固体材料粒子粒度が存在するように処理されていることがある。換言すれば、供給材料110は供給粒子粒度分布を有する岩石及び鉱石の破片115を含むことがある。例えば供給粒子粒度分布は、一定の最大入力固体粒子体積VISPM、及び/又は一定の最大入力固体粒径DISPMが存在するようなものである場合がある。したがって、供給材料の最大固体材料粒子粒度は一定の最大入力固体粒子体積VISPMである場合がある。固体材料110は、例えば最大10立方デシメートルの粒子体積を有する鉱石の破片15を含むことがある、すなわち個別の入力固体粒子115が、10立方デシメートル未満、又は多くとも10立方デシメートルの最大入力固体粒子体積VISPを有する。代替的に、最大固体材料粒子粒度は一定の最大入力固体粒径DISPMである場合がある。したがって、個別の入力固体粒子115が、250mm未満、又は多くとも250mmの最大入力固体粒径DISPを有する。
【0016】
送込み粒子115は、有用鉱物及び有用性の低い鉱物を含むことがある。有用性の低い鉱物は廃棄鉱物と称されることがある。有用鉱物の廃棄鉱物からの分離を可能にするために、固体供給材料110は転動ミル10で粉砕される。転動ミル10から引き渡された粉砕された出力材料95は、直径が約0.1mmであるか又は0.1mm未満の粒子96を含むことがある。転動ミル10から引き渡された粒子96は、生成物粒子96と称されることがある。
【0017】
一部の実施形態によれば、転動ミル10は乾式粉砕を行うように動作する。ある実施形態によれば、転動ミル10は乾式粉砕を行うように動作するボールミルである。ボールミル10は、固体供給材料110の供給粒子の粉砕固体生成物粒子96への粉砕を強化するために複数のボール117を備える。
ある実施形態によれば、ボールミルのボール117は鋼球を含む。ある実施形態によれば、転動ミル10は、固い物質の供給粒子115をセメントと称される粉末95に粉砕するために使用されるボールミルである。これに関連して、水硬セメントの一形態であるポルトランドセメントが、石灰石、すなわち炭酸カルシウムを、二酸化炭素の分子を炭酸カルシウムから遊離させる焼成として知られているプロセスにおいて、粘土などの他の材料とともに加熱して、後に混合物中の他の材料と化学的に結合してケイ酸カルシウム及びその他のセメント質化合物を形成する酸化カルシウム、すなわち生石灰を形成することによって作られることに留意されたい。ある実施形態によれば、結果として生じる固い物質は、その後乾式粉砕のために上述のボールミル10を使用して、一定量の石膏で粉末に粉砕されてセメントが作られる。
【0018】
一部の実施形態によれば、転動ミル10は固体材料110の粉砕を行うように動作する。固体材料110の粉砕を行うように動作する転動ミル10を採用する粉砕プロセスの例は、鉱業における転動ミル10である。一部の実施形態によれば、鉱業用転動ミル10は、有用鉱物及び有用性が低いと考えられる鉱物の混合物を含む固体材料110の粉砕を行うように動作する。一部の実施形態によれば、鉱業用転動ミル10は自生粉砕(AG)ミルである。代替的に、鉱業用の転動ミル10は半自生粉砕(SAG)ミルである。一部の実施形態によれば、鉱業用の転動ミル10はボールミル10である。
【0019】
一部の実施形態によれば、固体材料110は金属含有量を有する鉱石である。固体材料110中の平均金属含有量は、例えば0.1%よりも高い場合がある。一部の実施形態によれば、固体材料110は、所望の金属の平均金属含有量が5%より多い。
【0020】
代替的に、固体材料110中の平均金属含有量は、例えば50%である場合がある。一部の実施形態によれば、固体材料110は所望の金属の含有量が40%より多い。一部の実施形態によれば、固体材料110は所望の金属である鉄の含有量が40%より多い。これに関連して、固体材料110中の所望の金属の含有量が転動ミル10内の充填物の密度に影響を及ぼし得ることに留意されたい。したがって、一部の実施形態によれば、転動ミル10内の充填物の密度は、転動ミル10内の充填物中の所望の金属と廃棄鉱物との関係を示していることがある。
【0021】
一部の実施形態によれば、粉砕プロセスは液体120を供給することによって促進されることがある。液体120を供給することによって促進される粉砕プロセスの例は、鉱業において使用される転動ミルである。一部の実施形態によれば、液体120は、転動ミル10の入力側80の第2の入力130において転動ミル10に入る。
【0022】
回転しているシェル20において、入力される固体材料110の破片は入力される液体120と混合されて充填物30を形成する。
【0023】
入力される液体120の密度が入力される固体材料110の密度と異なる場合に、充填物30の密度は、入力される液体120と入力される固体材料110の割合を制御することによって制御される可能性がある。したがって、入力される液体120が入力される固体材料110の密度よりも低い密度を有する場合に、充填物30の密度は、入力される液体120の量を増やすことによって下げられる可能性がある。
【0024】
入力される液体120は水を含むことがある。水は約997kg毎立方メートルの密度を有する。入力される固体材料の破片は通常、入力される液体の密度よりも高い密度を有する。入力される固体材料の破片は通常、1500kg毎立方メートルを超える密度を有する。入力される固体材料110は、その他の鉱物と混合された有用鉱物を保持する鉱石を含むことがある。
【0025】
有用鉱物の例は、例えばアルミニウム又は鉄などの金属を含む鉱物である。アルミニウムは約2700kg毎立方メートルの密度を有する。鉄は約7870kg毎立方メートルの密度を有する。上述の「その他の鉱物」は、例えば花崗岩又は他の岩石の破片を含むことがある。花崗岩は約2700kg毎立方メートルの密度を有する。
表1は、固体材料及び対応する材料特性のいくつかの例を示す。
【0026】
【表1】
【0027】
鉱物学の分野では、靭性という用語は、鉱物の破壊、ビーディング、切断、又はその他の形態の変形に対する耐性のことである。
材料は、応力にさらされたときに弾性変形及び塑性変形がほとんどなく破損する場合に脆い。脆性材料は、破壊の前にたとえ高強度のものであっても、比較的少ないエネルギーを吸収する。
可鍛性材料は、打ち延ばしによって又は圧力によって延長又は成形することができる。延性材料は、破壊されることなく機械力によって引っ張ったり引き伸ばしたりすることができる。
【0028】
圧縮強度(compressive strength)又は圧縮強度(compression strength)は、サイズを小さくする傾向のある負荷に耐える材料又は構造の能力である。一方、引張強度は伸びる傾向のある負荷に耐える材料又は構造の能力である。換言すれば、圧縮強度は(押し込まれる)圧縮に抵抗する一方、引張強度は(引き離される)引張力に抵抗する。
【0029】
金は19320kg毎立方メートルの密度を有し、上記表1に記載の他の固体材料の密度よりも大幅に高いことに留意されたい。これに関連して、いくらかの金を含む鉱石中の金含有量が、転動ミルへの供給材料110として使用される他の固体の含有量に比べて一般に低いことにも留意されたい。
【0030】
転動ミル10の出力側90は、出力材料95の出力200での引き渡しのため及び粒度が限界値を上回る材料の破片を保持するための分離器を備えることがある。分離器は、出力200で出力材料95として引き渡すために一定の限界値よりも小さい粒度を有する材料の破片をふるい分けるように構成されたふるいを備えることがある。転動ミル10から引き渡される粉砕された出力材料95は、一定の限界出力粒径よりも小さい直径を有する粒子を含むことがある。限界出力粒径は0.1mmである場合がある。
転動ミル10の製造品質の1つの尺度は、45μm(ここでμmはミクロンを意味する)未満の出力粒径を有する出力粒子の割合、又は45μm未満の出力粒径を有する出力粒子の1時間あたりの量である場合がある。
【0031】
また、高度な効率の粉砕プロセスを得ることが望ましい。粉砕プロセス効率の1つの側面は、時間単位あたりの粉砕材料の量である。したがって、限界値よりも小さい粒度を有する粉砕固体材料の1時間あたりのkg数を改善又は最適化することが望ましい。ただし、大きさは通常、転動ミル10に送り込まれる固体材料のメトリックトン/時である。
粉砕プロセス効率の別の側面は、粉砕プロセスエネルギー消費を最小限に抑えるための、エネルギー単位あたりの粉砕材料の量である。したがって、限界値よりも小さい粒度を有する粉砕固体材料のkg/キロワット時を単位としたスループットを改善又は最適化することが望ましい。これに関連して、転動ミルは通常、消費電力が4メガワット超であり得ることに留意されたい。一部の転動ミルは平均消費電力が10メガワットであり、中には20メガワットをピーク消費量として必要とするものもある。これに関連して、転動ミルの平均消費電力が10メガワットである場合に、エネルギー消費は1時間あたり10000kWhであることに留意されたい。したがって、そのような転動ミルが1日に24時間で1年間稼働する場合に、粉砕プロセスのエネルギー効率の改善が、例えば1パーセント(%)の改善と小さくても、1年あたりおよそ600万kWhのエネルギー節約になる。
【0032】
転動ミル10における粉砕プロセスの効率は、転動ミル10の内部状態に影響を及ぼす複数の変数に依存する。転動ミル10における粉砕プロセスの効率に影響を及ぼす1つの変数は、転動ミル10の充填度である。したがって、最適な充填度を達成するために入力される固体材料110の流入を制御することが望ましい。
したがって、転動ミル10からの出力材料95の量を最大にするために、転動ミルプロセスの最適状態を維持すべく入力材料110の流入を制御することが望ましい。転動ミルプロセスの最適内部状態は、シェル20の特定の充填度、すなわち特定の充填体積を含むことがある。したがって、転動ミル10における粉砕プロセスの効率に影響を及ぼす1つの変数は、固体供給速度R、すなわち転動ミル10に送り込まれる時間単位あたりの固体材料粒子の量である。
【0033】
転動ミル10における粉砕プロセスの効率に影響を及ぼす別の変数は、入力される固体材料粒子110の鉱物学的特性である。これに関連して、鉱物学は化学、鉱物の結晶構造、及び鉱物の物理的特性に関する科学的研究に特化した地質学の対象であることに留意されたい。また、充填物30中の粒子の鉱物学的特性は、鉱山の鉱石などの固体材料110の組成が時間とともに変化するために経時的に一定ではない。充填物30中の粒子の鉱物学的特性の変化は、転動ミル10の粉砕プロセスの効率に影響を及ぼすことがある。したがって、粉砕プロセスの効率は、充填物30中の粒子の鉱物学的特性の変化によって経時的に可変である場合がある。したがって、一定期間中の粉砕プロセスの効率の低下が、材料の送込みが一定に保たれる場合のミル10内の充填体積の増加を引き起こすことがある。したがって、転動ミルのオペレータがミル10内の現在の充填体積について十分に知らされていない限り、最悪の場合は粉砕プロセスの完全停止を引き起こし得る過負荷の危険性も存在する。
【0034】
粉砕プロセスの効率に影響を及ぼす更に別の変数は、転動ミル10に送り込まれる固体材料粒子110の粒子粒度分布である。一部の実施形態によれば、固体材料粒子110の送込みは、第1の入力100に供給される一定の割合の固体材料粒子110が粉砕プロセスの効率を高めるために1立方デシメートルよりも大きい個々の体積を有するように制御される。第1の入力100に供給される一定の割合の固体材料粒子110が1立方デシメートルよりも大きい個々の体積を有するように固体材料粒子110の送込みを制御することが、特に転動ミルがAGミル又はSAGミルである場合に粉砕プロセスの効率を高めるという結論に達した。
【0035】
シェル20は一般的に不透明である、すなわち転動ミル10の動作中にシェル内の充填物を目視検査することは不可能である。また、転動ミル10の動作中に転動される重い鉱石の動きは、カメラや他の高感度検出器をシェル20の内側に配置することを妨げる。
【0036】
この文書の目的は、動作中の転動ミルの内部状態の改善された監視のための方法及びシステムを説明することである。この文書の目的はまた、動作中の転動ミルの内部状態に関連する改善された人間コンピュータインターフェイス(HCI)のための方法及びシステムを説明することである。この文書の目的はまた、転動ミル10における粉砕プロセスに関連する改善されたグラフィカルユーザインターフェイスのための方法及びシステムを説明することである。
【0037】
発明者は、転動ミル10の動作中に回転しているシェル20の内面のリフタなどの突起物と、材料充填物30の先端部分205にある少なくとも1つの粒子との衝撃を示す機械的振動VIMPが存在し得ることに気付いた。発明者はまた、そのような機械的振動VIMPが転動ミル10の現在の内部状態及び/又は粉砕プロセスの現在の状態を示し得ると考えた。機械的振動VIMPは、リフタなどの突起物がチャンバ25内の材料充填物30の先端部分205にある粒子と相互作用するときに生成されることがある。回転運動するリフタと材料充填物30との相互作用の衝撃力FIMPは、材料充填物30の先端部分205にある少なくとも1つの粒子の加速を引き起こし、衝撃は機械的衝撃振動VIMPを引き起こす。実際、衝撃力FIMPは、転動ミル10の現在の内部状態を示す及び/又は粉砕プロセスの現在の状態を示す機械的衝撃振動VIMPを引き起こすことがある。
チャンバ25の外側に配置されるセンサ70は、転動ミル10の動作中にチャンバ25内の充填物30の粒子を伴う相互作用により引き起こされる振動を検出することがある。したがって、図1Aを参照すると、センサ70は、シェル20が回転するときに生成される機械的振動又は衝撃パルスに依存する測定信号SEAを生成することができる。したがって、測定信号SEAは、転動ミル10の動作中のリフタなどの突起物と、材料充填物30の先端部分205にある少なくとも1つの粒子との間の衝撃力FIMPに依存し、これを示していることがある。
【0038】
センサ70は、例えば衝撃力FIMPに依存する振幅を有する測定信号SEAを生成するように構成された加速度計70である場合がある。
発明者は、転動ミル10の現在の内部状態を示す及び/又は粉砕プロセスの現在の状態を示す機械的振動VIMPが存在し得るが、振動を測定する及び/又はそのような振動を分析する及び/又は視覚化する従来の方法は不十分であったと結論付けた。
【0039】
転動ミルプロセスの監視のために分析装置150が設けられる。分析装置150は監視モジュール150Aと称されることもある。
分析装置150は、測定信号SEAに依存した転動ミルプロセスの内部状態を示す情報を生成することがある。測定信号SEAを生成するセンサ70は、測定信号SEAを分析装置150に送出するために分析装置150の入力140に結合されている。分析装置150はまた、シェル20の回転位置に依存した位置信号Epを受信するための第2の入力160を有する。
【0040】
位置センサ170が、シェル20の回転位置に応じた位置信号Epを生成するために設けられる。上述のように、シェル20は回転軸60の周りを回転可能であるため、位置センサ170は、シェル20の瞬間的な回転位置を示すための一連のシェル位置信号値Pを有する位置信号Epを生成することがある。位置マーカ180が、シェル20が回転軸60の周りを回転するときにシェルが1回転するごとに1回位置センサ170のそばを通過し、それによって位置センサ170に回転マーカ信号Pを生成させるようにシェル20の外面に設けられることがある。そのような回転マーカ信号Pは、正確に検出され監視されるシェル20の一定の回転位置を示し得るエッジを有する電気パルスの形態をとることがある。分析装置150は、位置信号Epに応じたシェル20の回転速度fROTを示す情報を、例えば回転マーカ信号P間の時間的期間を検出することによって生成することがある。位置マーカ180は、例えばリフレックス180などの、位置センサ170が、例えばレーザビームがリフレックス180に衝突することによってレーザ反射の強度が変化するときに回転マーカ信号Pを生成するように構成されたレーザトランシーバなどの光学デバイスであるときに光学デバイス180である場合がある。
代替的に、位置マーカ180は、位置センサ170が変化した磁場を検出するように構成されたデバイス170であるときに、例えば強力な磁石180などの磁気デバイス180である場合がある。変化した磁場を検出するように構成されたデバイスの例は、変化した磁場に反応して電流を発生させる誘導コイルを含むデバイスである。したがって、変化した磁場を検出するように構成されたデバイス170は、磁気デバイス180のそばを通過するときに回転マーカ信号Pを生成するように構成されている。代替的に、位置センサ170は、回転しているミルシェル20に機械的に結合されるエンコーダ170であって、例えば回転しているミルシェル20が1回転するごとに1つのマーカ信号Pを生成するエンコーダ170によって具体化されることがある。
【0041】
システム5は、ミルオペレータ230が転動ミル10を運転することを可能にする制御ルーム220を備えることがある。分析装置150は、転動ミル10の内部状態を示す情報を生成するように構成されることがある。分析装置150はまた、ユーザ入力及びユーザ出力を可能にするための装置である人間コンピュータインターフェイス(HCI)210を備える。HCI210は、分析結果を視覚表示するためのディスプレイ、又はスクリーン210Sを備えることがある。表示された分析結果は、オペレータ230が転動ミルを制御できるようにするための転動ミルプロセスの内部状態を示す情報を含むことがある。
【0042】
転動ミルコントローラ240が、固体材料供給速度設定点RSSPを送出するように構成されており、また任意選択的に液体供給速度設定点RLSPを送出することがある。一部の実施形態によれば、設定点値RSSPはオペレータ230によって設定される。一部の実施形態によれば、設定点値RLSPもオペレータ230によって設定される。したがって、転動ミルコントローラ240は、オペレータが固体材料供給速度R及び/又は液体供給速度Rを調節できるようにするミルユーザ入出力インターフェイス250を備えることがある。
【0043】
上述のように、転動ミルの入力側80は、固体材料粒子110の破片のための第1の入力100を備え、任意選択的に入力側80はまた、例えば水などの液体120をチャンバ25に侵入させるための第2の入力130を有することがある。固体材料110はコンベヤベルト260によって第1の入力100に運ばれることがある。コンベヤベルト260は、コンベヤベルト速度で走行して固体材料110を第1の入力100に固体材料供給速度Rで運ぶ。
【0044】
固体材料供給速度Rは、例えば転動ミル10の動作中、転動ミル10のある内部状態で10000kg/分である場合がある。同様に、液体供給速度Rは、転動ミル10の動作中、転動ミル10のある内部状態で、例えば1000kg/分である場合がある。
【0045】
液体供給速度Rの制御は、転動ミルコントローラ240から液体供給速度設定点RLSPを受領する制御可能弁270の記号によって図1A及び/又は図1Bに図式的に示されている。同様に、固体材料供給速度RSFの制御は、転動ミルコントローラ240から固体材料供給速度設定点値RSSPを受領する制御可能弁280の記号によって図1A及び/又は図1Bに図式的に示されている。
【0046】
一部の実施形態によれば、転動ミルコントローラ240はまた、ミルシェルの回転速度fROTの設定点値fROT_SPを生成することがある。回転速度設定点値fROT_SPはU1SPとも称されることがある。U1SPとも称される回転速度設定点値fROT_SPは、図1Bに示すようにオペレータ230からユーザ入出力インターフェイス250経由のユーザ入力に応答して生成されることがある。
図1Bに示すように、転動ミルコントローラ240はまた、設定点値U2SP及びU3SPを生成することがあり、U2SPは上述のRSSPであり、U3SPは上述のRLSPである。
【0047】
また、転動ミルコントローラ240はまた、ボール供給速度U4,RBFを設定するためのボール供給速度設定点値U4SP,RBFSPを生成することがある。ボール供給速度U4,RBFは、粉砕プロセスを促進するためにボールミルに送り込まれている時間単位あたりの粉砕ボールの数である。したがって、この設定点値は、ミル10がボールミル、すなわち粉砕ボール1168を含む転動(図36参照)である場合に該当することがある。
ボールミルで使用されるボールは、クロム鋼やステンレス鋼を含むことがある。代替的に、ボールミルはセラミック材料で作られたボールを使用することがある。一部の例では、ボールミルはゴム材料を含むボールを使用することがある。
【0048】
ミルユーザ入出力インターフェイス250は、図1Aに示す例において調整器240に結合されており、HCI210は、転動ミル10の内部状態を示す情報を生成するように構成された分析装置150、又は監視モジュール150Aに結合されている。したがって、図1Aに示すように監視モジュール150Aのみに結合される場合に、HCI210は、有利には転動ミル10を運転するためにオペレータ230により使用される前から存在する入出力インターフェイス250及び調整器240を変更する必要なく、制御ルーム220に追加することができる。
【0049】
この文書に開示される解決策及び例が対処すべき目的は、動作中の転動ミル10の内部状態Xの改善された監視のための方法及びシステムを説明することである。この文書に開示される解決策及び例が対処すべき目的はまた、動作中の転動ミル10の内部状態Xの改善された制御のための方法及びシステムを説明することである。また、この文書に開示される解決策及び例が対処すべき目的は、動作中の転動ミルの内部状態Xに関する有用な情報を伝達することに関連する改善された人間コンピュータインターフェイス(HCI)のための方法及びシステムを説明することである。この文書が対処すべき別の目的は、転動ミル10における粉砕プロセスに関連する改善されたグラフィカルユーザインターフェイスのための方法及びシステムを説明することである。
【0050】
この文書に開示される解決策及び例が対処すべき別の目的は、動作中の転動ミル10からの出力Yの改善された制御のための方法及びシステムを説明することである。この文書に開示される解決策及び例が対処すべき更に別の目的は、動作中の転動ミル10からの出力Yに関する有用な情報を伝達すること及び/又は同様に動作中の転動ミルの対応する内部状態Xに関する有用な情報を伝達することに関連する改善された人間コンピュータインターフェイス(HCI)のための方法及びシステムを説明することである。
【0051】
図1Bは、転動ミル10を備えるシステム320の別のやや図式的な図を示している。したがって、参照番号320は、この文書において考察される回転可能なシェル20を有するミル10を備えるシステムに関連する。図1Bのシステム320は、図1A及び図2に関連して以上で説明したように及び/又はこの文書の他の部分で説明するように部品を備え構成されることがある。
【0052】
ミルユーザ入出力インターフェイス250は、図1Aに示した例では調整器240に結合され、HCI210は分析装置150、又は監視モジュール150Aに結合された別の入出力インターフェイスであるが、図1Bに示すシステムは統合されたHCI210、250、210Sを提供する。したがって、図1Bの入出力インターフェイス210は、インターフェイス210及び250と関連して以上で説明した全ての入力及び/又は出力を可能にするように構成されることがある。
【0053】
図1Cは、複数の入力U1、...Ukを受信し、複数の出力Y1、...Ynを生成する転動ミルをボックス10Bとして示すブロック図である。図1Cを参照すると、分析のために、転動ミル10が入力パラメータと称される複数の入力変数U1、U2、U3、...Uk(ここで添え字kは正の整数である)を有するブラックボックス10Bと見なされ得ることに留意されたい。ブラックボックス転動ミル10Bの動作中、ブラックボックス転動ミル10Bは内部状態Xを有し、出力パラメータY1、Y2、Y3、...Yn(ここで添え字nは正の整数である)とも称される複数の出力変数を生成する。
ミルの内部状態Xは、複数の内部状態パラメータX1、X2、X3、...、Xm(ここで添え字mは正の整数である)で記述される、又は示されることがある。
【0054】
線形代数学の用語を使用して、入力変数U1、U2、U3、...Ukは、まとめて入力ベクトルUと称されることがあり、内部状態パラメータX1、X2、X3、...、Xmは、まとめて内部状態ベクトルXと称されることがあり、出力パラメータY1、Y2、Y3、...Ynは、まとめて出力ベクトルYと称されることがある。
【0055】
rと呼ばれる時点のミル10の内部状態XはX(r)と称される可能性がある。その内部状態X(r)は、時刻rにおけるミル10の内部状態X(r)の様々な特徴を定義する複数のパラメータ値で記述される、又は示される可能性がある。
【0056】
ブラックボックス転動ミル10Bの内部状態X(r)は入力ベクトルU(r)に依存し、出力ベクトルY(r)は内部状態ベクトルX(r)に依存する。内部状態Xの1つの特徴はシェル20内の材料30の総量であり、その総量は瞬時には変化しない。したがって、ミル10の動作中、内部状態X(r)は、以前の内部状態X(r-1)及び入力U(r)の関数と見なされる可能性がある。
X(r)=f(X(r-1),U(r))、ここでX(r-1)は、rと呼ばれる時点に先行する時点のミル10の内部状態Xを表す。
同様に、ブラックボックス10Bの出力Yは、内部状態Xの関数と見なされる可能性がある。
Y(r)=f(X(r))
【0057】
図2は、図1Aの線A-Aに沿って取った断面図の別の例であり、シェル20の中央部98のより詳細な例を示している。シェル20は、チャンバ25に面する内部シェル表面22を有し、内部シェル表面22は複数の突起物310を備える。一部の実施形態によれば、少なくとも2つの突起物310が存在する。図2に示す例示的なシェル20は、シェル20の内部シェル表面22に互いに等距離に配置される12個の突起物310を備える。突起物310は、シェルが軸60の周りを回転するときに材料30と係合してこれを持ち上げるように構成されることがある。したがって、突起物310はリフタ310と称されることがある。充填材料は、材料表面33、すなわち回転可能なシェル20内の空気と材料30の境界を有する。
【0058】
図2には、シェル20が回転速度fROTで時計方向に回転している様子が示されている。リフタ310は、内部形成物、筋、バー、内部シェル表面22からシェル20の中心に向かって突き出る突起などの構造物を含む。突起物310とも称されるリフタ310は、転動ミル10が軸60の周りを回転するときに材料が内部チャンバ25内でそれ自体に落下するように材料充填物30と係合しこれを持ち上げる前縁312を有する。一例では、リフタ310は、少なくとも部分的にミル10の内部シェル表面22を覆い隠すように内部シェル表面22に取り付けられる細長いバーを含む。他の例では、リフタ310は、1つの単一体の一部として内部シェル表面22と一体に形成される。
一部の実施形態によれば、突起物310の前縁312は等距離のところにある。したがって、それぞれが前縁312を有する12個の突起物310を備える図2に示される例示的なシェル20を参照すると、任意の2つの隣接する前縁312間の角距離は30度である。これに関連して、内部シェル表面22に突起物310の前縁312が等距離のところにあるように配置されたL個の突起物310が存在する場合に、任意の2つの隣接する前縁312間の角距離は360/L度であることに留意されたい。したがって、内部シェル表面22の角度位置に互いに等距離になるように配置されたL個の突起物310が存在する場合に、任意の2つの隣接する突起物310間の角距離は360/L度である。
【0059】
図2に示す例では、位置センサ170は、シェル20の瞬間的な回転位置を示すための一連の位置信号値PSを有する位置信号Epを生成するように固定的に取り付けられる。位置マーカデバイス180は、シェル20が回転軸60の周りを回転するときに、シェルが1回転するごとに1回位置マーカ180が位置センサ170のそばを通過し、それによって位置センサ170に回転マーカ信号PSを生成させるようにシェル20の外壁面に設けられることがある。位置センサ170は、例えば1回転あたり1つの位置信号パルスEを送出するタコメータ170を含むことがある。
位置マーカデバイス180は金属体を含むことがある。金属体は、例えばボルト又は金属ブラケットである場合がある。
【0060】
図1Bを参照すると、固体材料粒子115が材料供給口100を介してミルのシェル20に入り、ミル10の動作中に他の粒子115、30及び/又は内部シェル表面22及び/又はボールとの衝突による破砕を受ける。破砕によって、固体材料生成物又は生成物粒子96とも称される固体材料生成物粒子96がもたらされる。固体材料生成物は出力200を介してミルシェル20を出る。
【0061】
粉砕プロセスの重要な特徴は破砕率である。破砕率は、例えば固体供給材料粒子115が回転しているシェル20に侵入した後に受ける衝突頻度に依存する。
【0062】
粉砕プロセスの別の重要な特徴は、衝突から生じる固体材料生成物粒子96の粒度分布である。粒度分布は出現分布関数と称されることもある。
【0063】
粉砕プロセスの更に別の重要な特徴は、固体材料生成物粒子96のミルシェル20からの流量である。ミルシェル20からの粒子輸送は、生成物排出量と称されることもある。
【0064】
したがって、要約すれば、固体供給粒子115がミル10のチャンバ25に固体材料供給速度Rで入る。供給粒子115は、供給粒度分布とも称される第1の粒子粒度分布を有する。固体供給材料はミル10に送り込まれているときに測定されることがある。供給材料分析器325が、少なくとも1つの供給材料特性U4を示す測定値を生成するために設けられることがある。少なくとも1つの供給材料特性U4は、固体供給材料粒度分布を含むことがある。したがって、供給材料粒度分布が、例えば測定によって推定されることがある。代替的に、固体供給材料粒度分布U4が予め定められていることがある。一部の例では、固体供給材料粒度分布U4は、固体供給材料110のコンベヤベルト260への引き渡し前の処理及び/又は選別によって知られている。
【0065】
ミルチャンバ25に受け取られると、受け取られた粒子はまとめて充填材料30と称されることがある。ミルチャンバ25内にある間、固体材料粒子30は、チャンバ25から出力200を介して排出される固体生成物粒子96をもたらす破砕を受ける。破砕は粒子の粒度分布の変化を引き起こす。
固体材料生成物粒子96は、ミルチャンバ25から生成物排出速度RSDisで流出する。生成物排出速度RSDisは測定されることがあり、出力パラメータY1と見なされることがある。
【0066】
排出される固体生成物粒子96は、生成物粒度分布とも称される第2の粒度分布を有する。生成物粒度分布は測定されることがあり、生成物粒度分布を示す値が、例えば出力パラメータ値Y2、Y3などとして与えられることがある。
【0067】
したがって、第1の粒度分布又は供給粒度分布U4を有する供給粒子115はミル10に固体材料供給速度Rで送り込まれ、生成物粒度分布Y2又は第2の粒度分布Y2を有する生成物粒子96はミル10から生成物排出速度Y1=RSDisで排出される。
供給粒子115の入口100から出口200への輸送の間に、供給粒子115は複数のより小さい生成物粒子96に変換される。この変換は、転動ミル10の動作中に行われる粉砕プロセスによるものである。
【0068】
生成物粒度分布は、
供給粒度分布、及び
受け取った供給粒子115の、供給入力100からミル出力200からの固体生成物粒子96の形での出力材料95の排出までの輸送中のミル10の内部状態X
に依存すると考えられる。
【0069】
したがって、固体供給材料粒子115の破砕量は、上述のミル10の破砕率及び内部状態Xに依存する。ミル10の内部状態Xは、とりわけ受け取った供給粒子115の供給入力100からミル出力200からの出力材料95の排出までの輸送の持続期間Tを決定する。供給入力100からミル出力200への輸送の平均的な時間的期間は持続期間Tと称されることがある。
【0070】
図1Bを参照すると、3つの相互に垂直な軸x、y及びzを有するデカルト座標系が示されている。ミル10の動作中に、材料30がx軸の正の方向にミルの入力側80から出力側90に進むことを理解すべきである。したがって、材料30がミル10内で転動される一方、材料30はまた、ミルの回転軸に平行な方向にミルの入力側からミルの出力側に徐々に進む。ただし、様々な個々の粒子がその距離を互いに異なる速度で進むことがある。小さな供給粒子の塊がミルの入力側からミルの出力側に輸送された後に、ミル出力200を介して比較的速く排出されることがあるのは、例えばより短い時間の後に出口グリッドを通過するほど小さくなるのに対して、最も大きい供給粒子はその同じ出口グリッドを通過するほど小さい生成物粒子に粉砕されるのにミル内でもっと時間が必要であるためである。したがって、一定の割合の大きい供給粒子が、対応する割合の小さい供給粒子よりも長くミル内に留まることになる。
ただし、定常動作状態の間、ミル10の中に入り、ミル10を通過し、ミル10から出る質量流量は一定、又は実質的に一定になる。したがって、材料30のミル10内の輸送は、例えばキログラム/分又はメトリックトン/時で測定される、時間単位あたりの質量を単位として考察されることがある。
【0071】
これに関連して、供給粒子115の供給入力100からミル出力200への輸送の平均的な時間的期間、及びそれらの供給粒子115の複数のより小さい生成物粒子96への同時変換は、ミルチャンバ25内のx軸方向の平均流速vxAに依存することに留意されたい。
よって、少なくともミルプロセスの定常状態下で、粒子の供給入力100からミル出力200への輸送の平均的な時間的期間は、ミルチャンバ25のx方向の長さ、及び平均流速vxAに依存する。
【0072】
図3は、図1に示す分析装置150のある例の概略的ブロック図である。分析装置150は、振動センサ70からアナログ振動信号SEAを受信するための入力140を有する。入力140はアナログ・デジタル(A/D)変換器330に接続されている。A/D変換器330は、受信したアナログ振動信号SEAをあるサンプリング周波数fで、そのサンプリング周波数fを有するデジタル測定データ信号SMDを送出するようにサンプリングし、各サンプルの振幅は、受信したアナログ振動信号のサンプリング時の振幅に依存する。デジタル測定データ信号SMDは、データ処理デバイス350に結合されるデジタル出力340に送出される。
【0073】
図3を参照すると、データ処理デバイス350は、プログラムコードを記憶するためのコンピュータ可読媒体360に結合されている。コンピュータ可読媒体360はメモリ360と称されることもある。プログラムメモリ360は、好ましくは不揮発性メモリである。メモリ360は読み書きメモリである場合がある、すなわち、メモリからのデータの読み出しと新しいデータのメモリ360への書き込みの両方を可能にする。ある例によれば、プログラムメモリ360はFLASHメモリによって具体化される。プログラムメモリ360は、基本操作を実行するように分析装置150を制御するように実行可能なプログラムコードの第1のセット380を記憶するための第1のメモリセグメント370を含むことがある。プログラムメモリ360はまた、プログラムコードの第2のセット394を記憶するための第2のメモリセグメント390を含むことがある。第2のメモリセグメント390におけるプログラムコードの第2のセットは、分析装置150に検出信号を処理させるためのプログラムコードを含むことがある。信号処理は、この文書の他の部分で考察するように、転動ミルの内部状態を示す情報を生成するための処理を含むことがある。また、信号処理は、この文書の他の部分で考察するように転動ミルの内部状態の制御を含むことがある。したがって、信号処理は、例えば図5図15及び/又は図24のステータスパラメータ抽出器450の実施形態と関連して開示されるように、転動ミルの内部状態を示すデータを生成することを含むことがある。
【0074】
プログラムメモリ360はまた、プログラムコードの第3のセット410を記憶するための第3のメモリセグメント400を含むことがある。第3のメモリセグメント400におけるプログラムコードのセット410は、分析装置に選択された分析機能を実行させるためのプログラムコードを含むことがある。分析機能が実行されるとき、分析装置に対応する分析結果をインターフェイス210、210Sに提示させる又は分析結果をポート420に出させることがある。
【0075】
データ処理デバイス350はまた、データ記憶のために読み書きメモリ430に結合されている。したがって、分析装置150は、データプロセッサ350と、データプロセッサ350にデジタル信号処理機能を含むいくつかの機能を実行させるためのプログラムコードとを備える。この文書において装置150がある機能又はある方法を実行すると記載される場合、その記載は、コンピュータプログラムがデータ処理デバイス350で動作して、装置150にこの文書に記載されるような方法又は機能を実行させることを意味することがある。
【0076】
プロセッサ350はデジタル信号プロセッサである場合がある。デジタル信号プロセッサ350はDSPと称されることもある。代替的に、プロセッサ350はフィールドプログラマブルゲートアレイ回路(FPGA)である場合がある。したがって、コンピュータプログラムはフィールドプログラマブルゲートアレイ回路(FPGA)によって実行されることがある。代替的にプロセッサ350は、プロセッサとFPGAの組み合わせを含むことがある。したがって、プロセッサはFPGAの動作を制御するように構成されることがある。
【0077】
図4は、プログラムメモリ360及びそのコンテンツの簡略図である。簡略図は、様々なプログラム機能をメモリ360に記憶するということの一般概念の理解を伝えることが意図されており、プログラムが実メモリ回路に記憶される方法の必ずしも正しい技術的教示ではない。第1のメモリセグメント370は、基本操作を実行するように分析装置150を制御するためのプログラムコードを記憶する。図4の簡略図は疑似コードを示しているが、プログラムコードがマシンコード、又はデータ処理デバイス350(図3)により実行又は解釈され得るいずれかのレベルのプログラムコードで構成され得ることを理解すべきである。
【0078】
図4に示す第2のメモリセグメント390は、プログラムコードの第2のセット394を記憶する。セグメント390のプログラムコード394は、データ処理デバイス350上で動作するとき、分析装置150にデジタル信号処理機能などの機能を実行させることになる。この機能は、デジタル測定データ信号SMDの高度な数学的処理を含むことがある。
【0079】
分析装置150の機能を制御するためのコンピュータプログラムが、サーバコンピュータからダウンロードされることがある。これは、ダウンロードすべきプログラムが通信ネットワークを介して伝送されることを意味する。これは、搬送波を変調してプログラムを通信ネットワークを介して搬送することによって行われる可能性がある。よって、ダウンロードされるプログラムはメモリ360(図3及び図4参照)などのデジタルメモリにロードされることがある。したがって、プログラム380及び/又は信号処理プログラム394及び/又は分析機能プログラム410が、それをプログラムメモリ360にロードするために、ポート420(図1A及び/又は図1B及び図3)などの通信ポートを介して受信されることがある。
【0080】
よって、この文書はまた、装置のデジタルメモリにロード可能なプログラムコード380及び/又はプログラムコード394及び/又はプログラムコード410などのコンピュータプログラム製品に関する。コンピュータプログラム製品は、その製品が装置150のデータ処理ユニット350上で動作されるときに信号処理方法及び/又は分析機能を実行するためのソフトウェアコード部分を含む。「データ処理ユニット上で動作」という用語は、コンピュータプログラムにデータ処理デバイス350を加えたものがこの文書に記載されるような方法を実行することを意味する。
【0081】
「分析装置のデジタルメモリにロード可能なコンピュータプログラム製品」という表現は、コンピュータプログラムが、この文書に記載されるような方法を実行できるようにプログラムされた又は適合された分析装置150を得るために分析装置150のデジタルメモリに導入され得ることを意味する。「装置のデジタルメモリにロードされる」という用語は、このようにプログラムされた装置が、この文書に記載される機能及び/又はこの文書に記載される方法を実行できる又は実行するように適合されていることを意味する。上述のコンピュータプログラム製品はまた、コンパクトディスクやDVDなどのコンピュータ可読媒体にロード可能なプログラム380、394、410であることがある。そのようなコンピュータ可読媒体は、プログラム380、394、410のクライアントへの引き渡しに使用されることがある。以上に示したように、コンピュータプログラム製品は、代替的にコンピュータプログラム380、394、410を通信ネットワークを介して搬送するために変調される搬送波を含むことがある。したがって、コンピュータプログラム380、394、410は、インターネットを介してダウンロードすることによって、供給者サーバから分析装置150を有するクライアントに引き渡されることがある。
【0082】
図5は、分析装置150のある例を示すブロック図である。図5の例では、機能ブロックの一部はハードウェアを表し、機能ブロックの一部はハードウェアを表すことがあるか、又は図3及び図4と関連して考察されるように、プログラムコードをデータ処理デバイス350上で実行することによって得られる機能を表すことがある。
【0083】
図5の分析装置150は、図1A及び/又は図1B及び/又は図3に示した分析装置150の例を示す。理解を簡単にするために、図5はまた、装置150に結合されたいくつかの周辺デバイスを示す。振動センサ70は、振動信号SEAとも称されるアナログ測定信号SEAを分析装置150に送出するために分析装置150の入力140に結合されている。また、位置センサ170は第2の入力160に結合されている。したがって、位置センサ170は、シェル20の回転位置に依存した位置信号Epを分析装置150の第2の入力160に送出する。
【0084】
入力140はアナログ・デジタル(A/D)変換器330に接続されている。A/D変換器330は、受信したアナログ振動信号SEAをあるサンプリング周波数fで、そのサンプリング周波数fを有するデジタル測定データ信号SMDを送出するようにサンプリングし、各サンプルの振幅は、受信したアナログ振動信号のサンプリング時の振幅に依存する。デジタル測定データ信号SMDは、データ処理ユニット440に結合されるデジタル出力340に送出される。データ処理ユニット440は、実行される機能を示す機能ブロックを備える。ハードウェアに関して、データ処理ユニット440は、上記図3及び図4と関連して説明されたデータ処理ユニット350、プログラムメモリ360、及び読み書きメモリ430を含むことがある。したがって、図5の分析装置150は、データ処理ユニット440と、分析装置150にいくつかの機能を実行させるためのプログラムコードとを備えることがある。
【0085】
デジタル測定データ信号SMDは位置信号Epと並列に処理される。したがって、A/D変換器330は、アナログ振動信号SEAのサンプリングと同時に位置信号Epをサンプリングするように構成されることがある。位置信号Epのサンプリングは、各サンプルP(i)の振幅が受信したアナログ位置信号Epのサンプリング時の振幅に依存するデジタル位置信号EPDを生成するためにその同じサンプリング周波数fを使用して実行されることがある。
上述のように、アナログ位置信号Epは、例えば正確に検出され、監視されるシェル20のある回転位置を示し得る振幅エッジを有する電気パルスの形をしたマーカ信号値Psを有することがある。したがって、アナログ位置マーカ信号Psは正確に検出され得る振幅エッジを有するのに対して、デジタル位置信号EPDは、第1の値、例えば「0」から第2の値、例えば「1」に明確な時間に切り替わることになる。
【0086】
したがって、A/D変換器330は、一連の対応する位置信号値P(i)と関連付けられた測定値S(i)のペアを送出するように構成されることがある。S(i)及びP(i)の文字「i」は、ある時点、すなわちサンプル番号を表す。したがって、回転しているシェルの回転基準位置の発生時刻は、位置信号値P(i)の時系列を分析し、デジタル位置信号EPDが第1の値、例えば「0」から第2の値、例えば「1」に切り替わったことを示すサンプルP(i)を特定することによって検出される可能性がある。
図6Aは、A/Dコンバータ330により送出される信号ペアS(i)及びP(i)の図である。
図6Bは、A/Dコンバータ330により送出される一連の信号ペアS(i)及びP(i)の図である。第1の信号ペアが、サンプルモーメント「n」に関連する第1の位置信号値P(n)と同時に送出される、サンプルモーメント「n」に関連する第1の振動信号振幅値S(n)を含む。その後に、サンプルモーメント「n+1」に関連する第2の位置信号値P(n+1)と同時に送出される、サンプルモーメント「n+1」に関連する第2の振動信号振幅値S(n+1)を含む第2の信号ペアなどが続く。
【0087】
図5を参照すると、信号ペアS(i)及びP(i)は、ステータスパラメータ抽出器450に送出される。ステータスパラメータ抽出器450は、測定サンプル値S(i)の時系列に基づいて振幅ピーク値S(r)を生成するように構成されている。振幅ピーク値S(r)は、回転しているシェルの内部シェル表面の突起310が充填材料30の先端部分205と相互作用するときに(図2参照)生成される衝撃力FIMPに依存していることがある。これに関連して、材料30の表面33はシェル20が回転するときの遠心力と重力の組み合わせによって水平配向から逸脱することになることに留意されたい。充填材料30の先端部分205は、図2に示すように表面33の下方縁部である。
【0088】
ステータスパラメータ抽出器450はまた、振幅ピーク値S(r)の発生時刻と回転しているシェルの回転基準位置の発生時刻との間の時間的期間(T)に基づいて、R(r)とも称される時間関係値R(j)を生成するように構成されている。上述のように、回転しているシェルの回転基準位置の発生時刻は、位置信号値P(i)の時系列を分析し、デジタル位置信号EPDが第1の値、例えば「0」から第2の値、例えば「1」に切り替わったことを示すサンプルP(i)を特定することによって検出される可能性がある。
【0089】
図7は、ステータスパラメータ抽出器450の一部の例を示すブロック図である。ある例によれば、ステータスパラメータ抽出器450はメモリ460を備える。ステータスパラメータ抽出器450は、一連の測定値S(i)及び一連の位置信号P(i)を、それらの間の時間的関係と一緒に受信するように適合されており、ステータスパラメータ抽出器450は、一連の時間的に結合された値S(i)、fROT(i)、及びP(i)を提供するように適合されている。したがって、個々の測定値S(i)が、対応する速度値fROT(i)と関連付けられており、速度値fROT(i)は、関連付けられた個々の測定値S(i)の検出時のシェル20の回転速度を示す。このことは図8から図13を参照して以下で詳細に説明される。
【0090】
図8は、メモリ460及びそのコンテンツの例の簡略図であり、図のメモリ460の左側の列#01、#02、#03、#04、#05は、エンコーダパルス信号P(i)(列#02参照)と対応する振動測定値S(i)(列#03参照)の検出時の間の時間的関係を示すことが意図された説明画像を提供する。
【0091】
上述のように、アナログ・デジタル変換器330は、デジタル測定データ信号SMDを生成するために初期サンプリング周波数fでアナログ電気測定信号SEAをサンプリングする。エンコーダ信号Pはまた、図8の列#02に示すように実質的に同じ初期時間分解能fで検出されることがある。
【0092】
列#01は、それぞれが期間dt=1/fSample(ここでfSampleは、アナログ電気測定信号SEAがサンプリングされる初期サンプル周波数fに対して整数関係を有するサンプル周波数である)を有する一連のタイムスロットとして時間の進行を示す。好適な例によれば、サンプル周波数fSampleは初期サンプル周波数fである。別の例によれば、サンプル周波数fSampleは、初期サンプリング周波数fと比較して整数M分の1に低減される第1の低減サンプリング周波数fSR1である。
【0093】
図8の列#2では、エンコーダ信号Pの各正のエッジが「1」で示されている。この例では、エンコーダ信号Pの正のエッジが、列#02に示されるように3番目、45番目、78番目のタイムスロット、及び98番目のタイムスロットで検出されている。別の例によれば、位置信号の負のエッジが検出され、正のエッジの検出と同等の結果がもたらされる。更に別の例によれば、位置信号の正及び負のエッジの両方が、正のエッジと負のエッジのどちらを使用すべきかという後の選択を可能にすることによって冗長性を得るために検出される。
【0094】
列#03は、一連の振動サンプル値S(i)を示す。列#05は、整数間引きが実行されるときの、対応する一連の振動サンプル値S(j)を示す。したがって、整数間引きはこの段階で実行されるときに、例えば整数間引き係数M=10を与えるようにセットアップされることがあり、図8に示すように、10個のサンプルS(i)ごとに(図8の列#03参照)1つの振動サンプル値S(j)が与えられることになる(図8の列#05参照)。ある例によれば、間引きした振動サンプル値S(j)に関連する非常に正確な位置及び時間情報PTが、正のエッジ(列#02参照)がタイムスロット#03で検出されたことを示すために、列#04の位置時間信号を値PT=3に設定することによって維持される。したがって、整数間引き後の位置時間信号の値は、サンプル値S(1)に対する位置信号エッジPの検出時刻を示す。
【0095】
図8の例では、位置時間信号のサンプルi=3における振幅値はPT=3であり、サンプルS(1)がタイムスロット10で送出されるように間引き係数M=10であるため、これは、エッジがサンプルS(1)のスロットのM-PT=10-3=7スロット前に検出されたことを意味する。
よって、装置150は、エンコーダ信号P(i)の正のエッジと、対応する振動サンプル値S(i)、及び/又は整数間引きした振動サンプル値S(j)との時間関係を、アナログ信号の検出から速度値fROTの確立までの上述の信号処理によって維持するように、エンコーダ信号P(i)の正のエッジに関する情報を振動サンプルS(i)と並列に処理するように動作することがある。
【0096】
図9は、図7のステータスパラメータ抽出器450を作動させる方法の例を示すフローチャートである。
【0097】
ある例によれば、ステータスパラメータ抽出器450は、監視されている回転シェル20が一定速度段階にあるか加速段階にあるかを確認するために、3つの連続して受信した位置信号間の時間的関係を分析する(ステップS#10)。この分析は、以上で説明したように(図8参照)メモリ460内の情報に基づいて行われることがある。
【0098】
分析によって位置信号間に同じ数のタイムスロットが存在することが明らかになる場合に、ステータスパラメータ抽出器450は、(ステップ#20において)速度が一定であると結論付け、その場合にステップS#30が実行される。
ステップS#30において、ステータスパラメータ抽出器450は、タイムスロットの期間dt=1/fsに2つの連続する位置信号間のタイムスロットの数を掛けることによって2つの連続する位置信号間の期間を計算することがある。位置信号が監視されているシェル20の全回転につき1回供給されるとき、回転の速度は次式のように計算されることがある。
V=1/(ndiff*dt)
ここでndiff=2つの連続した位置信号間のタイムスロットの数。
一定速度段階中に、3つの分析された位置信号と関連付けられたサンプル値S(j)(図8の列#05参照)の全てに、以上で定義したように同じ速度値fROT=V=1/(ndiff*dt)が割り当てられることがある。その後、ステップS#10が次の3つの連続して受信した位置信号に対して再び実行されることがある。代替的に、ステップS#10が繰り返されるときに、以前の第3の位置信号P3が第1の位置信号P1として使用されることになり(すなわちP1:=P3)、その結果、速度の変化が間近であるかどうかが確認される。
【0099】
分析(ステップS#10)によって、第1及び第2の位置信号間のタイムスロットの数が第2及び第3の位置信号間のタイムスロットの数と異なることが明らかになる場合に、ステータスパラメータ抽出器450は、ステップS#20において、監視されている回転シェル20が加速段階にあると結論付ける。加速は正、すなわち回転速度の上昇である場合があるか、又は加速は負、すなわち遅延とも称される回転速度の低下である場合がある。
【0100】
次のステップS#40では、ステータスパラメータ抽出器450は、加速段階において瞬間速度値を確立するように、及び測定データ値S(j)の各1つを、そのデータ値S(j)に対応するセンサ信号(SEA)値の検出時に監視されているミルシェルの回転速度を示す瞬間速度値Vpと関連付けるように動作する。
【0101】
ある例によれば、ステータスパラメータ抽出器450は、線形補間によって瞬間速度値を確立するように動作する。別の例によれば、ステータスパラメータ抽出器450は、非線形補間によって瞬間速度値を確立するように動作する。
【0102】
図10は、図9のステップS#40を実行する方法の例を示すフローチャートである。ある例によれば、加速度は2つの互いに隣接する位置インジケータP間の期間で一定値を有すると仮定される(図8の列#02を参照)。したがって、
位置インジケータPが1回転に1回送出され、
ギア比が1/1であるとき、
回転しているシェル20が2つの互いに隣接する位置インジケータP間で進む角距離は1回転(360度と表されることもある)であり、
期間はT=ndiff*dtであり、
ここでndiffは、2つの互いに隣接する位置インジケータP間の期間dtのスロット数である。
【0103】
図8を参照すると、第1の位置インジケータPがスロットi1=#03で検出され、次の位置インジケータPはスロットi2=#45で検出された。したがって、期間はndiff1=i2-i1=45-3=42タイムスロットであった。
【0104】
したがって、ステップS#60(図10図8と併せて参照)において、ステータスパラメータ抽出器450は、最初の2つの連続する位置信号P1及びP2間、すなわち位置信号P(i=3)と位置信号P(i=45)の間の第1のスロット数ndiff1を確立するように動作する。
【0105】
ステップS#70において、ステータスパラメータ抽出器450は、第1の回転速度値VT1を計算するように動作する。第1の回転速度値VT1は、次のように計算されることがある。
VT1=1/(ndiff1*dt)
ここで、VT1は1秒あたりの回転数で表される速度であり、
diff1=2つの連続する位置信号間のタイムスロットの数、
dtは秒数で表されるタイムスロットの期間である。
【0106】
加速度は2つの互いに隣接する位置インジケータP間の期間で一定値を有すると仮定されるため、計算した第1の速度値VT1は、2つの連続する位置信号間の中間のタイムスロットに割り当てられる(ステップS#80)。
【0107】
したがって、第1の位置インジケータP1がスロットiP1=#03で検出され、次の位置インジケータP2がスロットiP2=#45で検出されたこの例では、第1の中間タイムスロットは、スロットiP1-2=iP1+(iP2-iP1)/2=3+(45-3)/2=3+21=24である。
【0108】
したがって、ステップS#80において、第1の回転速度値VT1は、第2の位置信号エッジP(i=45)の検出時点よりも早い時点を表すタイムスロット(例えば、タイムスロットi=24)に割り当てられることがある(図8参照)。
【0109】
2つの連続する位置信号間のある時点を表すタイムスロットに速度値を遡及的に割り当てることは、有利には速度値の不正確さの大幅な減少を可能にする。転動ミルシェル20の瞬間的回転速度値を得る最先端の方法が、いくつかの互いに異なる回転速度において一定の速度値を確立するのに満足できるものであったのに対して、最先端の解決策は、加速段階中に回転転動ミルシェル20の速度値を確立するために使用される場合に満足できないものであるように思われる。
【0110】
一方、この文書で開示される例による方法は、加速段階中でも有利に小さい不正確さのレベルで速度値の確立を可能にする。
それに続くステップS#90において、ステータスパラメータ抽出器450は、次の2つの連続する位置信号間の第2のスロット数ndiff2を確立するように動作する。図8の例では、それはスロット45とスロット78の間のスロット数ndiff2、すなわち、
diff2=78-45=33
である。
【0111】
ステップS#100において、ステータスパラメータ抽出器450は、第2の回転速度値VT2を計算するように動作する。第2の回転速度値VT2は、以下のように計算されることがある。
VT2=Vp61=1/(ndiff2*dt)
ここで、ndiff2=次の2つの連続する位置信号P2及びP3間のタイムスロットの数。したがって、図8の例では、ndiff2=33、すなわちスロット45とスロット78の間のタイムスロットの数である。
【0112】
加速度は2つの互いに隣接する位置インジケータP間の期間で一定値を有すると仮定され得るため、計算した第2の速度値VT2は、2つの連続する位置信号間の中間のタイムスロットに割り当てられる(ステップS#110)。
したがって、図8の例では、計算した第2の速度値VT2は、45+(78-45)/2=61.5であることからスロット61に割り当てられる。したがって、スロット61における速度はV(61):=VT2
に設定される。
【0113】
したがって、1つの位置インジケータPがスロットi2=#45で検出され、次の位置インジケータPがスロットi3=#78で検出されたこの例では、第2の中間タイムスロットは、
P2-3=iP2+(iP3-iP2)/2=45+(78-45)/2=45+33/2=61.5
の整数部分である。
したがって、スロット61が第2の中間タイムスロットiP2-3である。
したがって、ステップS#110において、第2の速度値VT2は、有利には第3の位置信号エッジP(i=78)の検出時点よりも早い時点を表すタイムスロット(例えば、タイムスロットi=61)に割り当てられることがある(図8参照)。この特徴は、検出した速度の改善された正確さを達成しながら、回転速度のやや遅れたリアルタイム監視を可能にする。
【0114】
次のステップS#120において、関連する期間について第1の加速度値が計算される。第1の加速度値は、次のように計算される。
a12=(VT2-VT1)/((iVT2-iVT1)*dt)
図8の例では、第2の速度値VT2はスロット61に割り当てられていたためiVT2=61、そして第1の速度値VT1はスロット24に割り当てられていたためiVT1=24。
したがって、dt=1/fsであるため、加速度値は、図8の例ではスロット24とスロット60との間の期間について、
a12=fs*(VT2-VT1)/(iVT2-iVT1
に設定されることがある。
次のステップS#130において、ステータスパラメータ抽出器450は、確立した第1の加速度値a12を、確立した第1の加速度値a12が有効であるタイムスロットと関連付けるように動作する。これは第1の速度値VT1のスロットと第2の速度値VT2のスロットとの間の全てのタイムスロットである場合がある。したがって、確立した第1の加速度値a12は、第1の速度値VT1のスロットと第2の速度値VT2のスロットとの間の期間の各タイムスロットに関連付けられることがある。図8の例ではそれはスロット25~60である。これは図8の列#07に示されている。
【0115】
次のステップS#140において、ステータスパラメータ抽出器450は、確立した加速度値が有効である期間と関連付けられた測定値s(j)に対する速度値を確立するように動作する。したがって、速度値が、
測定値s(j)と関連付けられ、
確立した第1の加速度値a12と関連付けられる各タイムスロットについて確立される。
【0116】
直線加速の間、すなわち加速度aが一定であるとき、任意の時点における速度は次式で与えられる。
V(i)=V(i-1)+a*dt
ここで、V(i)はスロットiの時点における瞬間速度であり、
V(i-1)はスロットiの直前のスロットの時点における瞬間速度であり、
aは加速度であり、
dtはタイムスロットの期間である。
ある例によれば、スロット25からスロット60までの各スロットについての速度は、このように図8の列#08に示すように連続して計算されることがある。したがって、加速度値a12と関連付けられた検出測定値Se(25)、Se(26)、Se(27)、...Se(59)、及びSe(60)と関連付けられる瞬間速度値Vpが、このように確立されることがある(図8の列#08、列#03及び列#07のタイムスロット25~60参照)。
したがって、加速度値a12と関連付けられた検出測定値S(3)、S(4)、S(5)、及びS(6)と関連付けられる瞬間速度値S(j)[列#05参照]が、このように確立されることがある。
【0117】
別の例によれば、第1の測定値s(j)=S(3)に関連するスロット30についての瞬間速度は、次のように計算されることがある。
V(i=30)=Vp30=VT1+a*(30-24)*dt=Vp24+a*6*dt
第1の測定値s(j)=S(4)に関連するスロット40についての瞬間速度は、次のように計算されることがある。
V(i=40)=Vp40=VT1+a*(40-24)*dt=Vp40+a*16*dt 又は
V(i=40)=Vp40=V(30)+(40-30)*dt=Vp30+a*10*dt
その後、第1の測定値s(j)=S(5)に関連するスロット50についての瞬間速度は、次のように計算されることがある。
V(i=50)=Vp50=V(40)+(50-40)*dt=Vp40+a*10*dt
その後、第1の測定値s(j)=S(6)に関連するスロット60についての瞬間速度は、次のように計算されることがある。
V(i=60)=Vp50+a*10*dt
【0118】
確立した加速度値と関連付けられた測定サンプル値S(i)[図8の列#03参照]が以上で説明したように瞬間速度値と関連付けられている場合、それぞれが速度値V(i)、fROT(i)と関連付けられている測定サンプル値S(i)の時系列を含むデータの配列が、ステータスパラメータ抽出器450の出力に引き渡されることがある。
代替的に、サンプルレートの間引きが望まれる場合に、次のように行うことが可能である。確立した加速度値と関連付けられた測定サンプル値S(j)[図8の列#05参照]が以上で説明したように瞬間速度値と関連付けられている場合、それぞれが速度値V(j)、fROT(j)と関連付けられている測定サンプル値S(j)の時系列を含むデータの配列が、ステータスパラメータ抽出器450の出力に引き渡されることがある。
【0119】
図11を参照すると、方法の別の例が説明される。この例によれば、ステータスパラメータ抽出器450は、例えば第1の位置信号値P1(i)と第2の位置信号値P2(i)の間など、記録した位置信号値(P(i))の少なくとも一部の間に第1の時間的関係ndiff1が存在するように位置信号(Ep)の位置信号値P(i)の時系列を記録する(図11のステップS#160参照)ように動作する。ある例によれば、第2の位置信号値P2(i)は、第1の位置信号値P1(i)の受信後にndiff1スロットに達するタイムスロット(i)に受信され記録される(図11のステップS#160参照)。次いで第3の位置信号値P3(i)は、第2の位置信号値P2(i)の受信後にndiff2スロットに達するタイムスロット(i)に受信され記録される(図11のステップS#170参照)。
【0120】
図11のステップS#180で示されるように、ステータスパラメータ抽出器450は、関係値
a12=ndiff1/ndiff2
を計算するように動作することがある。
関係値a12が1、又は実質的に1に等しい場合に、ステータスパラメータ抽出器450は、速度が一定であることを確認するように動作し、一定速度段階の方法に従って速度の計算を進めることがある。
【0121】
関係値a12が1よりも大きい場合、関係値は速度のパーセント増加を示す。
関係値a12が1よりも小さい場合、関係値は速度のパーセント減少を示す。
関係値a12は、例えば次式のように、時系列の始めの速度V1に基づいて時系列の終わりの速度V2を計算するために使用されることがある
V2=a12*V1
【0122】
図12は、図9のステップS#40を実行する方法の例を示すフローチャートである。ある例によれば、加速度は2つの互いに隣接する位置インジケータP間の期間で一定値を有すると仮定される(図8の列#02参照)。したがって、
位置インジケータPが1回転に1回送出され、
ギア比が1/1であるとき、
2つの互いに隣接する位置インジケータP間で進む角距離は1回転(360度と表されることもある)であり、
期間はT=n*dtであり、
ここでnは、最初の2つの互いに隣接する位置インジケータP1及びP2間の期間dtのスロット数である。
ステップS#200において、第1の回転速度値VT1は、次のように計算されることがある。
VT1=1/(ndiff1*dt)
ここで、VT1は1秒あたりの回転数で表される速度であり、
ndiff1=2つの連続する位置信号間のタイムスロットの数、
dtは秒数で表されるタイムスロットの期間である。dtの値は、例えば初期サンプル周波数fsの逆数である場合がある。
【0123】
加速度は2つの互いに隣接する位置インジケータP間の期間で一定値を有すると仮定されるため、計算した第1の速度値VT1は、2つの連続する位置信号P(i)及びP(i+ndiff1)間の中間の第1の中間タイムスロットに割り当てられる。
【0124】
ステップS#210において、第2の速度値VT2が、次のように計算されることがある。
VT2=1/(ndiff2*dt)
ここで、VT2は1秒あたりの回転数で表される速度であり、
ndiff2=2つの連続する位置信号間のタイムスロットの数、
dtは秒数で表されるタイムスロットの期間である。dtの値は、例えば初期サンプル周波数fsの逆数である場合がある。
加速度は2つの互いに隣接する位置インジケータP間の期間で一定値を有すると仮定されるため、計算した第2の速度値VT2は、2つの連続する位置信号P(i+ndiff1)及びP(i+ndiff1+ndiff2)間の中間の第2の中間タイムスロットに割り当てられる。
【0125】
その後、速度差VDeltaは、
Delta=VT2-VT1
と計算されることがある。
【0126】
この差動速度VDelta値は、第2の中間タイムスロットと第1の中間タイムスロットの間のタイムスロット数で割られることがある。結果として生じる値は、隣接するスロット間の速度差dVを示す。これは当然のことながら、上述のように一定の加速度を仮定する。
【0127】
次いで選択したタイムスロットと関連付けられる瞬間速度値は、第1の回転速度値VT1、及び隣接するスロット間の速度差を示す値に応じて計算されることがある。
第1の中間タイムスロットと第2の中間タイムスロットの間のタイムスロットと関連付けられた測定サンプル値S(i)が以上で説明したように瞬間速度値と関連付けられている場合、それぞれが速度値V(i)と関連付けられている測定サンプル値S(i)の時系列を含むデータの配列が、ステータスパラメータ抽出器450の出力に引き渡される。瞬間速度値V(i)はfROT(i)と称されることもある。
【0128】
要するに、一部の例によれば、第1の瞬間速度値VT1が、
第1の位置信号P1と第2の位置信号P2の間の角距離ΔFIp1-p2に応じて、また
対応する期間ΔTp1-p2=tP2-tP1に応じて
確立されることがある。
その後、第2の瞬間速度値VT2が、
第2の位置信号P2と第3の位置信号P3の間の角距離ΔFIp2-p3に応じて、また
対応する期間ΔTp2-p3=tP2-tP1に応じて
確立されることがある。
その後、回転シェル20の瞬間速度値が、第1の瞬間速度値VT1と第2の瞬間速度値VT2の間の補間によって確立されることがある。
【0129】
つまり、例によれば、2つの瞬間速度値V1及びVT2が、角距離ΔFIp1-p2、ΔFIp2-p3、及び3つの連続する位置信号間の対応する期間に基づいて確立されることがあり、その後、回転シェル20の瞬間速度値が、第1の瞬間速度値VT1と第2の瞬間速度値VT2の間の補間によって確立されることがある。
図13は、各位置信号Pが監視されるシェル20の全回転を示す一連の時間的に連続した位置信号P1、P2、P3、...を示すグラフである。したがって、秒単位で数えられる時間値は、水平軸に沿って右に向かって増加する。
【0130】
垂直軸は、回転毎分(RPM)で等級分けされた回転速度を示す。図13を参照すると、ある例に係る方法の効果が示されている。第1の瞬間速度値V(t)=VT1が、
第1の位置信号P1と第2の位置信号P2の間の角距離ΔFIp1-p2に応じて、また
対応する期間ΔT1-2=tP2-tP1に応じて
確立されることがある。角距離ΔFIp1-p2を対応する期間(tP2-tP1)で割ることによって得られる速度値は、図13に示すようにmtp(中間時点)とも称される第1の中間時間tにおける回転シェル20の速度V(t)を表す。
【0131】
その後、第2の瞬間速度値V(t)=VT2が、
第2の位置信号P2と第3の位置信号P3の間の角距離ΔFIに応じて、また
対応する期間ΔT2-3=tP3-tP2に応じて
確立されることがある。
角距離ΔFIを対応する期間(tP3-tP2)で割ることによって得られる速度値は、図13に示すように第2の中間時間t(第2のmtp)における回転シェル20の速度V(t)を表す。
【0132】
その後、第1の中間時点と第2の中間時点の間の時間値の瞬間速度値が、曲線fROTintで示すように、第1の瞬間速度値VT1と第2の瞬間速度値VT2の間の補間によって確立されることがある。
【0133】
数学的に、これは次の式によって表されることがある。
V(t12)=V(t1)+a*(t12-t1)
【0134】
したがって、シェル20の速度を2つの時点(t1及びt2)で検出することができ、加速度aが一定である場合に、任意の時点の瞬間速度を計算することができる。具体的には、tの後かつtの前の時点である時刻t12におけるシェルの速度V(t12)は、
V(t12)=V(t)+a*(t12-t
によって計算することができ、
ここで、aは加速度であり、
は第1の中間時点tである(図13参照)。
【0135】
以上で説明した速度値の確立、及び図20図21、及び図22を参照して説明する補償的間引きは、対応する方法ステップを実行することによって成し遂げられることがあり、これは、以上で説明したようにメモリ60に記憶されているコンピュータプログラム94によって達成されることがある。コンピュータプログラムはDSP50によって実行されることがある。代替的にコンピュータプログラムは、フィールドプログラマブルゲートアレイ回路(FPGA)によって実行されることがある。
【0136】
以上で説明した速度値fROT(i)の確立は、プロセッサ350が図4と関連して以上で考察したように対応するプログラムコード380、394、410を実行するときに分析装置150によって実行されることがある。データプロセッサ350は、分析装置14の動作を制御するための中央処理装置350を含むことがある。代替的に、プロセッサ50はデジタル信号プロセッサ(DSP)350を含むことがある。別の例によれば、プロセッサ350は、フィールドプログラマブルゲートアレイ回路(FPGA)を含む。フィールドプログラマブルゲートアレイ回路(FPGA)の動作は、デジタル信号プロセッサ(DSP)350を含み得る中央処理装置350によって制御されることがある。
【0137】
転動ミル内の充填物の先端に関するデータの識別
上述のように、転動ミルシェル20はチャンバ25に面する内部シェル表面22を有し、内部シェル表面22は、シェルが軸60の周りを回転するときに材料30と係合してこれを持ち上げるように構成され得る、リフタとも称される複数の突起物310を備える(例えば図2参照)。チャンバ25に面する内部シェル表面22に設けられる複数の突起物310の数は、本明細書では変数Lで表す。
図2は、12個の突起物310が存在する、すなわちL=12の場合を示しているが、突起物310の数Lはそれよりも大きいか又は小さいことがある。一部の実施形態によれば、突起物310の数Lは少なくとも1である場合がある、すなわち突起物310の数LはL=1である場合がある。一部の実施形態によれば、突起物310の数LはL=1よりも大きい任意の数である場合がある。一部の実施形態によれば、突起物310の数Lは、L=2からL=60の範囲のどこかである場合がある。一部の実施形態によれば、突起物310の数Lは、L=2からL=35の範囲のどこかである場合がある。
【0138】
突起物310の数Lは、ミルシェル20の回転から生じる振動の分析に関連する重要な要素である。発明者は、突起物310の充填物の先端との相互作用が、充填物の材料を突起物310の移動方向に加速させ、機械的振動VIMPを引き起こすことに気付いた。発明者はまた、突起物310の充填物の先端との相互作用により引き起こされるこの機械的振動VIMPが繰り返しとなる、すなわち繰り返し周波数fが生じることになることに気付いた。図2を参照すると、突起物310Cが充填材料30の先端部分205に衝突する瞬間における回転するミルシェル20が示されていることに留意されたい。突起物310Cの先端部分205の材料の質量との衝突によって、先端部分の材料の質量が突起物310Cの移動方向AACCに加速し、この加速は突起物310Cの前縁面に対する力FIMPを生じさせる。なお、この衝撃力FIMPは、大きさが
IMP=m205*a205
であると推定されることがあり、
ここでm205は先端の加速される部分の質量であり、
205はその先端の部分の加速度の量である。
【0139】
したがって、測定信号SMD(例えば図5参照)は、回転運動する転動ミルシェル20の振動運動に依存する少なくとも1つの振動信号シグネチャSFIMPを含むことがあり、振動信号シグネチャSFIMPは、回転運動する転動ミルシェル20の回転速度fROTに依存する繰り返し周波数fを有する。
また、振動信号シグネチャSFIMPのピーク振幅の大きさは、衝撃力FIMPの大きさに依存すると思われる。
よって発明者は、振動信号シグネチャSFIMPのエネルギーの又は振幅の測度が衝撃力FIMPの大きさを示すものと思われると結論付けた。
したがって、回転運動するミルシェル20の振動運動に依存する振動信号シグネチャSFIMPの存在は、監視される転動ミルシェル20内の充填物の先端部分205を示すことがある。実際、回転運動するミルシェル20の振動運動に依存する振動信号シグネチャSFIMPは、監視される転動ミルシェル20内の充填物の先端部分205の位置であって、基準位置値に関連して示される位置を示すことがある。
【0140】
発明者は、突起物310の充填物の先端との相互作用により引き起こされる機械的振動VIMPの繰り返し周波数fが、内部シェル表面22に設けられる突起物310の数L及びシェル20の回転速度fROTに依存すると結論付けた。
監視される転動ミルシェル20が一定の回転速度で回転する場合、かかる繰り返し周波数fは、時間単位あたりの繰り返しの観点から、又は監視されているシェルの1回転あたりの繰り返しの観点から、2つを区別することなく考察されることがある。しかしながら、転動ミルシェル20が可変回転速度で回転する場合、例えば図20図21図22A図22B、及び図22Cと関連して本開示の他の部分で考察するように、問題は更に複雑である。実際、ミルシェルの回転速度の非常に小さな変化でさえも、検出した振動信号のスミアリングの観点から検出した信号品質に大きい悪影響を及ぼし得るように見える。したがって、ミルシェル20の回転速度fROTの非常に正確な検出が重要であると思われる。
【0141】
また、発明者は、機械的振動VIMPの振幅だけでなく機械的振動VIMPの発生時刻も転動ミル内の充填物の先端部分205に関するデータを示し得ることに気付いた。したがって、測定信号SMD(例えば図5参照)は、回転運動する転動ミルシェル20の振動運動に依存する少なくとも1つの振動信号振幅成分SFIMPを含むことがあり、
振動信号振幅成分SFIMPは、
回転運動する転動ミルシェル20の回転速度fROTに依存し、
ミルシェル20の内部シェル表面22に設けられる突起物310の数Lに依存する
繰り返し周波数fを有し、
繰り返し振動信号振幅成分SFIMPの発生と、
回転運動する転動ミルシェル20の回転速度fROTに依存した第2の繰り返し周波数fを有する位置信号P(i)の発生と、
の間に時間的関係がある。
【0142】
一定の回転速度に関して、発明者は、回転速度fROTが一定である場合に、振動サンプル値S(i)の時系列を含むデジタル測定信号SMDが、内部シェル表面22に設けられる突起物310の数Lに依存する繰り返し周波数fを有すると結論付けた。
【0143】
ステータスパラメータ抽出器450は、任意選択的にデジタル測定信号SMD、又はデジタル測定信号SMDに依存する信号を受信するために結合された高速フーリエ変換器(FFT)を備えることがある(図15参照)。回転するシェル20を有する転動ミルの分析と関連して、回転するシェル20の回転数fROTよりも高い信号周波数を分析することが興味深いことがある。これに関連して、シェル20の回転数fROTは「オーダー1」と称されることがある。関心信号が、例えばシェルの1回転あたり10回発生する場合、その回転数はオーダー10と称されることがある、すなわち(回転毎秒(rps)で測定される)回転速度fROTで割られた繰り返し周波数f(Hzで測定される)は10Hz/rpsに等しい、すなわちオーダーOi=f/fROT=10。
最高オーダーをY、使用するFFTにおける周波数ビンの総数をZとして、発明者は、ある例によれば次式が適用されると結論付けた。
Oi*Z=X*Y
逆に、X=Oi*Z/Y、ここで
Yは最高オーダーであり、
ZはFFTにより生成される周波数スペクトルにおけるビンの数であり、
Oiは監視される転動ミルシェル内の突起物310の数Lである。
【0144】
上記の変数Y、Z、及びOiは、変数Xを正の整数にするように設定されるべきである。上記の例と関連して、FFT分析器は、回転するシェル20の1回転あたり1回、基準信号、すなわち位置マーカ信号値PSを受信するように構成されていることに留意されたい。図2と関連して述べたように、シェル20が回転軸60の周りを回転するときに位置マーカ180がシェルの1回転あたり1回、位置センサ170のそばを通過し、これによって位置センサ170に回転マーカ信号値PSを生成させるように、位置マーカデバイス180がシェル20の外壁面に設けられることがある。
ちなみに、上記のFFT分析器の設定例を参照すると、結果として生じる整数Xは、デジタル信号SMDが分析される間の監視される転動ミルシェル20の回転数を示すことがある。ある実施形態によれば、上記の変数Y、Z、及びOiは、人間コンピュータインターフェイス(HCI)210、210Sによって設定されることがある(例えば図1及び/又は図5及び/又は図15参照)。
【0145】
上述のように、突起物310はリフタ310と称されることもある。デジタル測定信号SMDがFFT分析器に送出される場合について考えると、そのような場合、FFT分析器が10個の突起物、すなわちL=10、及びZ=160個の周波数ビンに対して設定され、ユーザが最高オーダーY=100の周波数を分析することに関心がある場合に、Xの値はX=Oi*Z/Y=10*160/100=16になる。
したがって、16回のシェル回転(X=16)中に、Z=160個の周波数ビンが望まれ、突起物の数がL=10であり、ユーザが最高オーダーY=100の周波数を分析することに興味がある場合に測定することが必要である。FFT分析器の設定と関連して、オーダー値Yは、デジタル測定信号SMDで分析される最高周波数を示すことがある。
一部の実施形態によれば、FFT分析器の設定は、FFT分析器が回転するシェル20の1回転あたり1回、基準信号、すなわち位置マーカ信号値PSを受信するように構成されている場合に以下の基準を満たすべきである。
整数値OiはL、すなわちシェル20内の突起物の数に等しくなるように設定され、設定可能な変数Y、及びZは、数式Oi*Z/Yが正の整数になるように選択される。表現を変えると、整数値OiがLに等しくなるように設定される場合に、設定可能な変数Y及びZは、変数Xを正の整数とするように整数値に設定される必要がある。
ここでX=Oi*Z/Y
ある例によれば、ビンの数Zは、1つの値Zを値の群から選択することによって設定可能である。周波数分解能Zの設定可能な値の群は、
Z=200
Z=400
Z=800
Z=1600
Z=3200
を含むことがある。
【0146】
一定速度段階の例
図9のステップS#30と関連して述べたように、ステータスパラメータ抽出器450は、一定速度段階、すなわちシェル20の一定回転速度fROTの状態を特定することがある。
【0147】
図14A及び図14Bは、動作中の回転するミルシェル20の中央部98の断面図の別の例を示す。この図は、例えば図1Aの線A-Aに沿って取られる可能性がある。図14Aの例によれば、転動ミルシェル20は、シェルが軸60の周りを回転するときに充填材料30に係合するように構成された6個の突起物310を有する、すなわち数L=6。
シェル20の内径は、例えば600cmである場合があり、回転速度は、例えば毎分13.6回転で一定である場合がある。この例の目的のために、サンプル周波数は、シェル20のその回転速度fROTで1回転あたりn=7680サンプルとなる。
【0148】
上述のように、シェル20は回転軸60の周りを回転可能であるため、位置センサ170は、シェル20の瞬間的な回転位置を示すために位置信号Epを生成することがある。シェル20が回転軸60の周りを回転するときに位置マーカ180がシェルの1回転あたり1回、位置センサ170のそばを通過し、これによって位置信号Epが位置マーカ信号値Pを示すように、位置マーカ180がシェル20の外面に設けられることがある。そのような各位置マーカ信号値Pは、静止位置、すなわち不動の固定子の位置を示す。
図14Aは、回転するシェル20の回転位置を示し、位置マーカ180は静的位置センサ170と同じ回転位置にあり、突起物310Aは先端部分205を通過している。突起物310Aの後には隣接する突起物310Bが続く。
図14Bは、図14Aに示す位置よりも少し後の、回転するシェル20の別の回転位置を示している。図14Bでは、隣接する突起物310Bは、先端205との衝突位置にある。衝突時は、振動信号に信号シグネチャイベントをもたらす振動VIMPを引き起こす。したがって、図14Bに示す回転位置は、回転するシェル20のイベント位置205Eである。イベント位置205Eは、突起物が先端205と衝突するときの回転するシェル20の回転位置である。したがって、イベント位置205Eは先端位置205を示す。よって、先端205の位置205Eは、図14Bに示すように2つの隣接する静止位置P3及びP4間の距離のパーセンテージとして表される可能性がある。
【0149】
1回転につき1つの位置マーカ信号値Pが存在し、回転速度fROTが一定又は実質的に一定である場合、ミルシェル20が1回転するごとに一定又は実質的に一定の数の振動サンプル値S(i)が生成されることになる。この例の目的のために、位置信号P(0)は、表2(下記参照)に示すように振動サンプルi=0を示す。この例の目的のために、位置信号P(0)のシェル20に対する位置は、繰り返し周波数fが回転運動する転動ミルシェル20の回転速度fROTに依存している限り重要でない場合がある。したがって、位置信号Epがシェル20の1回転につき1つのパルスPsを有する場合、デジタル位置信号も1回転につき1つの位置信号値P(i)=1を有することになり、残りの位置信号値はゼロである。
【0150】
【表2】
【0151】
したがって、ある一定の速度fROTでは、表2で示すように1回転につきn個のタイムスロットが存在することがある。表2の例では、n=7680。
【0152】
1回転につき1つの位置信号Psがある場合、位置信号は回転速度fROTが一定であるためn個のスロットごとに繰り返しになることが知られている。したがって、複数の仮想位置信号Pcが計算によって生成されることがある。ある例では、仮想位置信号Pcが生成されると考える。1個の突起物310につき1つの仮想位置信号Pcを提供することは、
繰り返し振動信号振幅成分SFIMPの発生と、
回転運動する転動ミルシェル20の回転速度fROTに依存した第2の繰り返し周波数fを有する位置信号P(i)の発生と、
の間の時間的関係を確立するために用いられることがある。
ミルシェル内のL個の等距離の突起物310、1回転につき1個の位置信号Ps、及び一定の回転速度fROTを有する場合、1個の突起物につき1つの仮想位置信号Pcを生成することが可能であり、その結果、位置信号Ps、Pcの総数が均等に分布する。そのような各位置マーカ信号値Ps及びPcは、図14A及び図14Bに「Ps」及び「Pc」で示すように、静止位置、すなわち不動の固定子の位置を示す。
したがって、1回転につきn個のタイムスロットが設けられる場合、位置信号Ps又はPcが表3に示すようにn/Lサンプル値位置ごとに発生することになる。表3では、n=7680、L=6であるため、1280サンプルごとに位置信号Pcが提供され、計算された位置信号は1Cと示されている。
図14の例に示すように、位置マーカ信号値Ps及びPcは、L個の静止位置P1、P2、P3、P4、P5及びPLを示しており、ここで図示されたシェル20には6個の突起物310が存在するためL=6。
【0153】
ミルの先端部分205の位置が、ミルシェル20が1回転する間に実質的に一定であると仮定されることがある。換言すれば、先端部分205の位置は実質的に動かない。
振動信号振幅成分SFIMP、Sは突起物と充填物の先端の相互作用によって生成される(図14B参照)ため、1個の突起物310につき1つの振動信号振幅成分SFIMP、Sの頻度で繰り返されることになる。したがって、
繰り返し振動信号振幅成分SFIMP、Sの発生と、
位置信号P、PCの発生と、
の間の時間的関係がL個のデータブロック(この例ではLはL=6である)のそれぞれについて実質的に一定になると仮定される可能性がある。
表3は、位置信号値P(i)の時間的進行の原理を示すものであり、計算される位置信号値P(i)は「1C」と示されている。
【0154】
【表3】
【0155】
【表4】
【0156】
【表5】
【0157】
上述のように、シェル20は回転軸60の周りを回転可能であるため、不動に取り付けられている位置センサ170は、シェル20の瞬間的な回転位置を示すために一連のシェル位置信号値Pを有する位置信号Epを生成することがある。図23に示すように、シェル20が回転軸60の周りを回転するときに位置マーカ180はシェル20が1回転する間に位置センサ170のそばを通過し、これによって位置センサ170に回転マーカ信号値Pを生成させるように、位置マーカ180がシェル20の外面に設けられることがある。
上述のように、位置センサ170は、シェル20が回転するときにシェル20の瞬間的な回転位置を示すために一連のシェル位置信号値Pを有する位置信号Epを生成することがある。この文書中の表2から表4を参照して、そのようなマーカ信号値Pは、表2から表4の列#2に「1」と示されている。
【0158】
回転するシェルに1つの位置マーカデバイス180が設けられる場合、マーカ信号値Pは1回転につき1回提供されることになる。マーカ信号値Pは、表2から表4の列#2に「1」と示されている。ミルシェル内のL個の等距離の突起物310、1回転につき1個の位置信号P、及び一定の回転速度fROTを有する場合、1個の突起物につき1つの仮想位置信号Pcを生成することが可能であり、その結果、位置信号P、Pcの総数が、以上で考察したように均等に分布する。したがって、1回転につきn個のタイムスロットが設けられる場合、位置信号P又はPcが表3に示すようにn/Lサンプル値位置ごとに発生することになる。表3では、n=7680、L=6であるため、1280サンプルごとに位置信号Pcが提供され、計算された位置信号は1Cと示されている。
【0159】
表2から表4の列#2に「1」と示されているマーカ信号値Pが1回転につき1回提供される場合に、突起物310の互いに等距離の位置が重要であり、シェル20の瞬間的な回転位置を示すために一連のシェル位置信号値に1回転につきn個のタイムスロットが設けられる場合、位置信号P又はPcが表3に示すようにn/Lサンプル値位置ごとに発生することになるように、仮想位置信号値Pcが均等に分布するように生成されると考えられる。表3では、実際に検出された回転マーカ信号値Pが「1」と示され(表3の列#2、タイムスロット「0」及びタイムスロット「7680」参照)、仮想位置信号値Pcが「1C」と示されている(表3の列#2、タイムスロット「0」及びタイムスロット「7680」参照)。
【0160】
これは、位置マーカ180が位置基準信号値を発生させ、突起物310が、回転するミルの充填物中の材料と係合する際に、振動信号に、例えば振幅ピーク値などの信号イベントを発生させるため(例えば、図1及び図15の参照記号SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q)参照)、この開示の一部の実施形態にとって重要であると考えられる。また、位置基準信号値の発生と、突起物310が回転するミルシェルの充填物中の材料と係合することによって引き起こされる振動信号における信号イベントの発生との間の時間的期間は、この開示の他の部分で考察するように動作中のミルの内部状態を示すことがある。
【0161】
表4は、n/L=7680/6=1280個の連続したタイムスロットを有する第1のブロック、すなわちブロックIの例証である。シェル20が完全に1回転する期間に一定速度段階(図9参照)が存在する場合に、ブロックI~VIのそれぞれ(表3参照)は表4に示されているブロックIと見かけが同じになることを理解すべきである。
【0162】
この開示の実施形態によれば、表4の列#03を参照して、振動サンプル値S(i)は振動信号シグネチャSFIMPの検出のために分析される。振動信号シグネチャSFIMPは、ピーク振幅サンプル値Spを呈することがある。ある例によれば、表4の列#03を参照して、振動サンプル値S(i)は、ピークサンプル値Spの検出のためにピーク値検出器によって分析される。表5を参照すると、ピーク値分析は、最高の振動サンプル振幅値S(i)の検出をもたらす。示される例では、振動サンプル振幅値S(i=760)は、最高ピーク値Spを保持するように検出される。
【0163】
タイムスロット760に位置するピーク値Spを検出した後に、繰り返し振動信号振幅成分Spの発生と位置信号P(i)の発生との間の時間的関係を確立することができる。表5には、位置信号P(i)を搬送するタイムスロットは、それぞれ0%及び100%と示されており、その間の全てのスロットは、表5の列#02に示すように、そのそれぞれの位置が表示されることがある。表5の列#02の例に示すように、スロット番号i=760の時間的位置は、スロットi=0とスロットi=1280との間の時間的距離の位置59%にある。表現を変えると、760/1280=0.59=59%。
【0164】
その結果、発明者は、
繰り返し振動信号振幅成分SFIMPの発生と、
位置信号P(i)の発生と、
の間の時間的関係は、回転するシェル20内の2つの連続する突起物310間の充填物の先端部分205の相対的な物理的位置の表示として使用され得ると結論付けた。
【0165】
よって、2つの隣接する前縁(表5と併せて図2の312C及び312D参照)間の距離のパーセンテージとして表される先端205の位置を、
サンプル番号N=0における第1の基準信号発生からサンプル番号N=1280における第2の基準信号発生までの総サンプル数(N-N=N-0=N=1280)をカウントし、
=0における第1の基準信号発生からサンプル番号Nにおけるピーク振幅値Spの発生までの別のサンプル数(N-N=N-0=N)をカウントし、
別のサンプル数N及び総サンプル数Nに基づいて第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))を生成すること
によって得ることができる。これは、
(r)=R(760)=(N-N)/(N-N)=(760-0)/(1280-0)=0.59=59%
とまとめることができる。
【0166】
したがって、相対先端位置が、
第1の基準信号発生から第2の基準信号発生までの総サンプル数(N)をカウントし、
第1の基準信号発生からサンプル番号Nにおけるピーク振幅値Spの発生までの別のサンプル数(N)をカウントし、
サンプル数N及び総サンプル数、すなわちNに基づいて第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))を生成する
ことによって生成されることがある。
【0167】
図14を参照すると、図示されている時点において、位置マーカ180がちょうど位置センサ170のそばを通る様子が描かれていることに留意されたい。したがって、図示されている時点は、タイムスロット1280で示される時点、すなわち位置信号P(i=1280)が生成されるときである場合がある。シェルは時計方向に回転するため、最新のピークサンプル値Spは、突起物310Aと先端部分205との衝突によって生成された(表5と併せて図14A及び14B参照)。したがって、最高ピーク値Spを保持するように検出された振動サンプル振幅値S(i=760)は、位置信号P(i=1280)の発生前の時刻TSP=dt*(1280-760)に発生した。
【0168】
S=v*t、ここでS=距離、v=一定速度、及びtは時間であるため、時間的関係を直接距離に変換することができる。その結果、表5の列#02を、突起物310Aと突起物310Bとの距離の59%の位置に先端部分205の物理的位置を示すものと見なすことができる(表5の列#02と併せて図14参照)。
【0169】
別の例によれば、表6を参照して、繰り返し振動信号振幅成分Spの発生と位置信号P(i)の発生との間の時間的関係を、度で表される位相偏移と見なすことができる。
【0170】
【表6】
【0171】
実際、デジタル測定信号SMD、S(i)、S(j)の基準信号として位置信号を使用し、高速フーリエ変換器の設定をある方法で調整することによって、高速フーリエ変換器は、以下で考察するように振幅最大値及び位相値を抽出するために使用されることがある。その結果、表6の列#02を、突起物310Aと突起物310Bとの総距離を360度と見なす場合に、突起物310Aと突起物310Bとの距離の213.75度の位置に先端部分205の物理的位置を示すものと見なすことができる(表6の列#02と併せて図14参照)。先端部分205の物理的位置は、2つの隣接する突起物310間の距離の一部として表される場合に、先端205の相対位置と称されることがある。換言すれば、この開示は、転動ミル内の充填物の先端205の相対先端位置を特定する方法を提供する。したがって、この開示は、回転するシェル20内の2つの隣接する突起物310間の距離の一部として表される場合に、先端部分205の位置を示す情報を生成する方法を提供する。図15及び図16を参照すると、相対先端位置は、以下で図15及び図16と関連して考察するように位相角度FI(r)として示されることがある。この開示の実施形態によれば、相対先端位置をパーセンテージとして示すことができる(上記表5の列#02参照)。また、この開示の実施形態によれば、相対先端位置を時間的期間として、又は時間的期間の一部として示すことができる。表5と関連して以上で考察したように、S=v*t、ここでS=距離、v=突起物の速度、及びtは時間であるため、時間的関係を直接距離に変換することができる。これに関連して、突起物の速度vはシェル20の角速度fROT及びシェル20の半径RMICに依存することに留意されたい(図14参照)。
【0172】
図15は、ステータスパラメータ抽出器450の例を示すブロック図である。図15のステータスパラメータ抽出器450は、デジタル振動信号SMD、S(i)及びデジタル位置信号(Pi)を受信するシェル速度検出器500を備える。シェル速度検出器500は、シェル速度値生成器500と称されることもある。シェル速度検出器500は、受信したデジタル振動信号SMD、S(i)及びデジタル位置信号(Pi)に基づいて3つの信号S(j)、P(j)及びfROT(j)を生成することがある。これは、図7から図13に関連して以上で説明したように達成されることがある。これに関連して、3つの信号S(j)、P(j)及びfROT(j)が同時に送出され得る、すなわち全てが同じタイムスロットjに関連することに留意されたい。換言すれば、3つの信号S(j)、P(j)及びfROT(j)は同期して提供されることがある。S(j)、P(j)及びfROT(j)などの信号を同期して提供することは、有利には個々の信号の信号値間の時間的関係に関する正確な情報を提供する。したがって、例えばシェル速度値生成器500により送出される速度値fROT(j)が、振幅値S(j)の検出時のシェル20の瞬間的な回転速度を示す。
シェル速度値生成器500により送出される信号S(j)及びP(j)は、シェル速度値生成器500により受信される信号S(i)及び(Pi)と関連して遅延されることに留意されたい。信号S(j)及びP(j)は信号S(i)及び(Pi)と関連して等しく遅延され、これによって2つの間の時間的関係は維持されていることにも留意されたい。換言すれば、信号S(j)及びP(j)は同期的に遅延される。
【0173】
シェル速度検出器500は、回転速度が十分な期間一定であったかどうかを示す信号を送出することがあり、その場合、信号S(j)及びP(j)は高速フーリエ変換器510に送出されることがある。
【0174】
変数Y、Z、及びLは、以上で考察したように変数Xを正の整数にするように設定されるべきである。ある例によれば、上記の変数Y、Z、及びLは、人間コンピュータインターフェイス、HCI、210、210Sによって設定されることがある(例えば図1及び/又は図5及び/又は図15参照)。上述のように、結果として生じる整数は、デジタル信号S(j)及びP(j)がFFT510によって分析される監視される転動ミルシェル20の回転数を示すことがある。したがって、変数Y、Z、及びLの設定に基づいて、FFT510は、測定セッションの分析の期間を示す値Xを生成することがあり、測定セッションの後に、FFT510は状態値Sp(r)及びFI(r)のセットを送出する。
【0175】
状態値Sp(r)及びFI(r)における観念「r」は時点を示す。FFT510の入力における第1の入力信号S(j)、P(j)のペアの受信からFFT510からの状態値Sp(r)及びFI(r)のペアの送出までの時間に遅延が存在し得ることに留意すべきである。状態値Sp(r)及びFI(r)のペアは、入力信号S(j)、P(j)のペアの時系列に基づいている場合がある。入力信号S(j)、P(j)のペアの時系列の期間は、少なくとも2つの連続した位置信号値P(j)=1と対応する入力信号ペアを含むべきである。
【0176】
状態値Sp(r)及びFI(r)は、以下で説明するように、それぞれC及びΦと称されることがある。図2に関連して以上で述べたように、振動信号SEA、SMD、S(j)、S(r)は、突起物310と先端部分205との衝突を示す信号シグネチャSFIMPを示すことになり、シェル20内にL個の突起物310が存在する場合に(図15及び図14と併せて図1参照)、その信号シグネチャSFIMPは、シェル20の1回転につきL回繰り返されることになる。
【0177】
この信号処理の直観的理解を伝えるために、重ね合わせの原理、及び正弦波信号などの反復信号を考慮することが役に立つことがある。
正弦波信号は、振幅値及び位相値を示すことがある。非常に簡潔にまとめると、重ね合わせ特性としても知られている重ね合わせの原理によれば、全ての線形システムで、2つ以上の刺激により引き起こされる所定の場所と時間における正味の応答は、各刺激により個別に引き起こされる応答の合計である。
音波もそのような刺激の一種である。また、突起物と先端部分205との衝突を示す信号シグネチャSFIMPを含む振動信号SEA、SMD、S(j)、S(r)などの振動信号がそのような刺激の一種である。実際、信号シグネチャSFIMPを含む振動信号SEA、SMD、S(j)、S(r)は、それぞれが振幅値及び位相値を示す正弦波信号の和と見なされることがある。これに関連して、フーリエ級数を参照する(以下の式1参照)。
【0178】
【数1】
【0179】
ここで、
n=0 一定期間の信号の平均値(ゼロである場合があるが、ゼロである必要はない)
n=1 信号F(t)の基本周波数に対応する
n=2 信号F(t)の第1高調波の部分音に対応する
ω=角周波数、すなわち(2*π*fROT
ROT=1秒あたりの周期で表されるシェルの回転速度
t=時間
Φ=n番目の部分音の位相角度
=n番目の部分音の振幅
【0180】
上記のフーリエ級数から、時間信号は複数の正弦波信号の重ね合わせで構成されていると見なされ得るということになる。
倍音とは、信号の基本周波数よりも高い周波数である。
上記の例では、FFT510がシェル20の1回転につき1回だけマーカ信号値P(j)=1を受信するため、基本周波数はfROT、すなわちシェルの回転速度になることに留意されたい(例えば図14参照)。
【0181】
フーリエ分析のモデルを用いて、基音と倍音を合わせて部分音と呼ぶ。高調波、又はより正確には高調波の部分音は、周波数が基音の整数倍である部分音である(それ自体が1倍の基音を含む)。
【0182】
図15及び上記の式1を参照すると、FFT510は、n=Lの場合の振幅値C(r)、すなわちC(r)=Sp(r)を送出することがある。FFT510はまた、部分音(n=L)の位相角度、すなわちΦL(r)=FI(r)を送出することがある。
【0183】
ここで、ミルシェルが毎分10回転(rpm)の速度で回転し、シェルが10個の突起物310を有する場合の例を考える。10rpmの速度は6秒ごとに1回転させる、つまり、fROT=0.1667回転/秒。10個の突起物(すなわち、L=10)を有し、fROT=0.1667回転/秒の速度で動作するシェルは、突起物310に関連する信号の繰り返し周波数fを、繰り返し周波数fが10次の周波数であるため1.667Hzにする。
【0184】
位置信号P(j)、P(q)(図15参照)は、デジタル測定信号S(j)、S(r)の基準信号として使用されることがある。一部の実施形態によれば、FFT分析器が基準信号、すなわち位置信号P(j)、P(q)を回転するシェル20の1回転につき1回受信するように構成されている場合、FFT分析器の設定は以下の基準を満たす必要がある。
整数値Oiは、L、すなわちシェル20内の突起物の数に等しくなるように設定され、
設定可能な変数Y、及びZは、数式Oi*Z/Yが正の整数になるように選択される。表現を変えると、整数値OiがLに等しくなるように設定される場合に、設定可能な変数Y及びZは、変数Xを正の整数とするように整数値に設定される必要があり、 ここでX=Oi*Z/Y
Yは最大次数であり、
ZはFFTにより生成される周波数スペクトル内のビンの数であり、Oiは次数の整数で表される関心周波数であり、fROTは1次の周波数、すなわち基本周波数である。換言すれば、シェル20の回転速度fROTは基本周波数であり、Lはシェル20内の突起物の数である。
【0185】
上記の設定を使用して、すなわち整数値OiがLに等しくなるように設定され、図15及び上記の式1を参照して、FFT510は、n=Lの場合の振幅値C、すなわちC=Sp(r)を送出することがある。FFT510はまた、部分音(n=L)の位相角度、すなわちΦL=FI(r)を送出することがある。
したがって、この開示の実施形態によれば、FFT510が位置基準信号P(j)、P(q)を回転するシェル20の1回転につき1回受信する場合に、FFT分析器を繰り返し周波数fがL次の周波数である信号のピーク振幅値Cを生成するように構成することができ、ここでLは回転するシェル20内の等距離に配置された突起物310の数である。
この開示の上記の式1に関する考察を参照すると、繰り返し周波数fがL次の周波数である信号の振幅は、n=Lの場合にC、すなわちCと呼ばれることがある。式1及び図15を参照すると、振幅値Cは、図15においてSp(r)と示されるピーク振幅値として送出されることがある。
この開示の上記の式1を再度参照すると、繰り返し周波数fがL次の周波数である信号の位相角度値Φは、衝撃力FIMPの発生と回転するシェルの回転基準位置の発生との間の時間的期間TD1を示す時間インジケータ値として送出されることがある。
したがって、この開示の実施形態によれば、FFT510が位置基準信号P(j)、P(q)を回転するシェル20の1回転につき1回受信する場合に、FFT分析器を繰り返し周波数fがL次の周波数である信号の位相角度値Φを生成するように構成することができ、ここでLは回転するシェル20内の等距離に配置された突起物310の数である。
【0186】
したがって、上記の設定を使用して、すなわち整数値OiがLに等しくなるように設定され、図15及び上記の式1を参照して、FFT510は位相角度値Φを生成することがある。
【0187】
図1Aと併せて図15を参照すると、状態値Sp(r)=C及びFI(r)=Φは、分析結果の可視表示を行うために人間コンピュータインターフェイス(HCI)210に送出されることがある。上述のように、表示された分析結果は、オペレータ230が転動ミルを制御できるようにするための転動ミルプロセスの内部状態を示す情報を含むことがある。
【0188】
図16は、分析結果の可視表示の例の図である。ある例によれば、分析結果の可視表示は、極座標系520の提供を含むことがある。極座標系は、平面上の各点が基準点530からの距離及び基準方向540からの角度によって決定される2次元座標系である。(デカルト座標系の原点に類似した)基準点530は極530と呼ばれ、極からの基準方向の線は極軸である。極からの距離は動径座標、動径距離又は単に動径と呼ばれ、角度は角座標、極角、又は方位角と呼ばれる。
ある例によれば、振幅値Sp(r)は動径として使用され、時間的関係値FI(r)、Φ(r)、Tは角座標として使用される。
【0189】
このようにして、監視される転動ミルの内部ステータスが、内部ステータスインジケータオブジェクト550を設けることによってディスプレイ210Sに示されることがある(図16図1A及び/又は図1Bの組み合わせ)。図16図1A及び/又は図1B並びに図14の組み合わせは、以下の例を理解するのに役に立つことがある。したがって、一例は、充填材料30を回転するシェル20内で転動させることによって粉砕するために回転速度fROTで軸60の周りを回転するシェル20を有する転動ミル10における粉砕プロセスに関する情報を生成及び表示するための電子転動ミル監視システム150、210Sに関する。例示的な監視システム150は、
転動ミルにおける粉砕プロセスの内部状態をスクリーンディスプレイ210Sに示すコンピュータ実装方法を含み、
その方法が、
スクリーンディスプレイ210Sに
基準点(O、530)及び基準方向(0°、360°、540°)を有する極座標系520と、
基準点(O)から第1の動径(Sp(r)、SP1)にあり、基準方向(0°、360°、540°)に対して第1の極角(FI(r)、Φ(r)、T、TD1)をなす、粉砕プロセスの内部状態を示す第1の内部ステータスインジケータオブジェクト(550、SP1、TD1)と、
を表示することを含み、
第1の動径(Sp(r)、SP1)が、回転するシェルの内部シェル表面上の突起(310)が充填材料(30)の先端部分205と相互作用するときに生成される衝撃力(FIMP)を示し、
第1の極角(FI(r)、Φ(r)、T、TD1)が、回転するシェル20内の2つの突起物310間にある先端部分205の位置を示す。
【0190】
上述のように、ステータスパラメータ抽出器450は、連続する状態値Sp(r)及びFI(r)のペアを生成するように構成されることがある。ステータスパラメータ抽出器450はまた、状態値Sp(r)及びFI(r)の時間微分値をそれぞれ生成することがある。これは、例えば2つの値の間の時間的期間で割った最新状態値Sp(r)から前の最新状態値Sp(r-1)を引くことによって行われることがある。
同様に、内部ステータス値FIの数値微分が達成されることがある。したがって、微分値dSp(r)及びdFI(r)が生成されることがある。微分値dSp(r)及びdFI(r)は、第1の内部ステータスインジケータオブジェクト(550、SP1、TD1)の動きを示すために使用されることがある。
【0191】
図17及び図18は、分析結果の可視表示の別の例の図である。図17及び図18を参照すると、上述の微分値は、第1の内部ステータスインジケータオブジェクト(550、SP1、TD1)の位置から始まり微分値の大きさに依存する長さを有する矢印560を、スクリーンディスプレイ210Sに表示するために使用されることがある。換言すれば、矢印560が存在しないということは、内部ステータスが安定しており、時間的期間に変化しなかったことを意味する。図18の矢印560は図17の矢印560よりも長く、これによって図18に示すミルの内部ステータスの進行中の変化が図17に示すミルの内部状態よりも速いことを示す。
【0192】
図19A及び図19Bは、転動ミル10の内部ステータスに関する分析結果の可視表示の更に別の例の図である。最新の内部ステータスインジケータオブジェクト550(r)が、ミル10の現在の内部ステータスを示す。別の内部ステータスインジケータオブジェクト550(r-1)が、ミル10の前の最新の内部ステータスを示す。
小さい白丸として示される内部ステータスインジケータオブジェクト550(1)が、ほぼ空の充填度におけるミル10の内部ステータスを示す。転動ミルを空の状態から起動するとき、初期内部ステータスインジケータオブジェクトはミルの本当に最初に検出された先端位置を表す初期極角Φ(1)で現れることに留意されたい。図19A及び図19Bでは、最初の31個の検出された先端位置は、小さな白丸550(1)から始まる白丸として示される。実験的測定に基づくと、初期極角Φ(1)が基準先端位置値として使用され得るようである。したがって、初期極角Φ(1)は基準先端位置値ΦTRと呼ばれることがある。その内部状態が図19A及び図19Bにより示されるディスプレイ210Sによって示される特定の転動ミルの場合、基準先端位置は、図19A及び図19Bに見られるように、約47度の角度値ΦTRに対応する。
最初の31個の検出された先端位置が白丸として示されているのに対し、その後に続く一連の先端位置は影付きの丸として示され、影付きの丸の1つが図19Aでは550(p)として示されている。図19Aの影付きの丸は、白丸で示す充填度よりもミルシェル20の充填度が高いことを表す。図19Aの完全な黒い丸は、ミルシェル20の充填度が影付きの丸で示した充填度よりも高いことを表す。したがって、初期の検出された最低の充填度は、初期極角Φ(1)において比較的小さい動径、すなわち低いピーク振幅値Spによって表されるように見えることに留意されたい。
図19Aを参照すると、徐々に増加する検出された先端位置FI(r)、及び対応するように徐々に増加するミルシェル20の充填度は、最初の内部ステータスインジケータオブジェクト550(1)から始まる図19Aの曲がった矢印560Aで示されるように、反時計回りの方向に外側に渦巻くスパイラルアームの画像を描画する。
【0193】
このようにして、転動ミル20の現在の内部ステータスは、ミルシステム5のオペレータ230に直観的に理解できるように表現され、視覚化されることがある。図17に示す単一の内部ステータスインジケータオブジェクト550の表示は、現在の内部ステータス、又はミル10の最新の検出内部ステータスを示すのに対して、図19Aに示す初期ステータス550(1)から550(p)及び550(r-1)などの中間状態を経由して550(r)に及ぶ内部ステータスインジケータオブジェクトの時間的進行の表示は、ミル10の現在の内部ステータス550(r)及びいくつかの以前の内部状態550(p)、550(p+1)、550(r-1)の履歴を示すことに留意すべきである。
換言すれば、徐々に増加する極角FI(r)と徐々に増加する動径値S(r)との組み合わせにより、最初の内部ステータスインジケータオブジェクト550(1)から始まる図19Aの曲がった矢印560Aで示されるように外側に渦巻くスパイラルアームの画像が描写される。最初の内部ステータスインジケータオブジェクト550(1)の初期極角Φ(1)から現在又は最新の検出先端位置FI(r)までのスパイラルアームの「角度長さ」X6(r)は、先端部分205の絶対位置X6(r)を示しているように思われる(例えば図2及び図14参照)。これに関連して、図19Aの極座標系520における360度は、図2の312C及び312Dなど、2つの隣接する突起物の前縁間の距離の100%に対応することに留意されたい。
【0194】
可変速度位相状態パラメータ抽出器の例
上述のように、転動ミルシェル20が可変回転速度fROTで回転する場合、測定データの分析は更に複雑である。実際、ミルシェルの回転速度の非常に小さな変化でさえ、スミアリングの観点から検出信号品質に大きな悪影響を与え得るように思われる。したがって、ミルシェル20の回転速度fROTを非常に正確に検出することが重要であると思われ、あらゆる速度変化を正確に補償することも重要であると思われる。
図15を参照すると、シェル速度検出器500は、図9と関連して考察したように回転速度が変化するときを示す信号を送出することがある。図15を再度参照すると、信号S(j)及びP(j)並びに速度値fROT(j)は速度変化補償デシメータ470に送出されることがある。速度変化補償デシメータ470は分数デシメータと称されることもある。デシメータ470は、受信した速度値fROT(j)に基づいてデジタル測定信号SMDを間引くように構成されている。ある例によれば、デシメータ470は、測定セッション中に可変速度値fROT(j)に基づいて調整される可変間引き係数Dによってデジタル測定信号SMDを間引くように構成されている。したがって、補償デシメータ470は、回転速度が変化するときに回転するシェルの1回転あたりのサンプル値の数が一定値に又は実質的に一定値に保たれるように、間引きしたデジタル振動信号SMDRを生成するように構成されている。一部の実施形態によれば、回転するシェルの1回転あたりのサンプル値の数は、1回転あたりのサンプル値の数の変化が5%未満である場合、実質的に一定値であると見なされる。好適な実施形態によれば、回転するシェルの1回転あたりのサンプル値の数は、1回転あたりのサンプル値の数の変化が1%未満である場合、実質的に一定値であると見なされる。最も好適な実施形態によれば、回転するシェルの1回転あたりのサンプル値の数は、1回転あたりのサンプル値の数の変化が0.2%未満である場合、実質的に一定値であると見なされる。
【0195】
したがって、図15の実施形態は、サンプリングレートを間引き係数D=N/U(U及びNはいずれも正の整数である)によって間引くための分数デシメータ470を備える。したがって、分数デシメータ470は、有利には分数によるサンプリングレートの間引きを可能にする。したがって、速度変化補償デシメータ470は、信号S(j)及びP(j)並びにfROT(j)を分数D=N/Uによって間引くように動作することがある。ある実施形態によれば、U及びNの値は2~2000の範囲内で選択されることがある。ある実施形態によれば、U及びNの値は500~1500の範囲内で選択されることがある。更に別の実施形態によれば、U及びNの値は900~1100の範囲内で選択されることがある。この文脈において、「分数」という用語の背景は次のとおりであることに留意されたい。
分数(ラテン語のfractus、「壊れた」に由来する)は、全体の一部、より一般的には、等しい部分の数を表す。正の公分数では、分子と分母は自然数である。分子は等しい部分の数を表し、分母はそれらの部分のうちのいくつが1つの単位又は全体を構成するかを示す。公分数は有理数を表す数値である。その同じ数は、小数、パーセントで、又は負の指数を用いて表すこともできる。例えば、0.01、1%、及び10-2は全て、分数1/100に等しい。したがって、分数D=N/Uは逆分数と見なされることがある。
したがって、分数デシメータ470により送出される、結果として生じる信号SMDRは、
SR=f/D=fs*U/N
のサンプルレートを有し、ここでfsは、分数デシメータ470により受信される信号SREDのサンプルレートである。
小数値U/Nは、入力ポート490で受信されるレート制御信号に依存している。レート制御信号は、回転するシェルの回転速度fROTを示す信号である場合がある。
【0196】
デシメータの可変デシメータ値DはD=f/fSRに設定されることがあり、ここでfはA/Dコンバータの初期サンプルレートであり、fSRは間引きしたデジタル振動信号SMDR中の1回転あたりのサンプル数を示す設定点値である。例えば監視対象のミルシェル内に12個の突起物がある場合、設定点値fSRは1回転あたり768サンプルに設定されることがある、すなわち1回転あたりのサンプル数は間引きしたデジタル振動信号SMDR中のfSRに設定される。補償デシメータ470は、間引きしたデジタル振動信号SMDRの設定点値fSRに応じた一定の間隔で位置信号P(q)を生成するように構成されている。例えばfSRが1回転あたり768サンプルに設定される場合、位置信号P(q)が間引きした振動信号S(q)の768サンプルごとに1回送出されることがある。
【0197】
したがって、出力データ値R(q)の、fSR2とも称されるサンプリング周波数fSRは、入力サンプリング周波数fよりも係数Dだけ低い。係数Dは、1よりも大きい任意の数に設定することができ、この開示の他の部分で考察するように分数である場合がある。好適な実施形態によれば、係数Dは1.0~20.0の間の値に設定可能である。好適な実施形態では、係数Dは約1.3~約3.0の間の値に設定可能な分数である。係数Dは、整数U及びNを適切な値に設定することによって得られることがある。係数DはNをUで割ったものに等しくなる。
D=N/U
【0198】
ある実施形態によれば、整数U及びNは、不正確さを最小限に抑えて係数D=N/Uが変化についていけるように、大きい整数に設定可能である。変数U及びNが1000よりも大きい整数となるように選択することで、有利なことに出力サンプル周波数をシェル20の回転速度の変化を追跡することに適合させる際の精度が高くなる。したがって、例えばNを500に、Uを1001に設定することでD=2.002になる。
【0199】
変数Dは測定の始めに適切な値に設定され、その値は監視対象の回転部の一定の回転速度と関連付けられる。その後、測定セッション中に、小数値Dは、出力信号SMDRが回転するシェル20の1回転あたり実質的に一定数のサンプル値を提供するように、監視対象の回転部の回転速度に応じて自動的に調整される。
【0200】
図20は、補償デシメータ470のある例のブロック図である。この補償デシメータの例は470Bで表される。
補償デシメータ470Bは、データ値S(j)と、監視される回転するミルシェルの対応する回転速度fROTを示す情報と、を受信及び記憶するように適合されたメモリ604を備えることがある。したがって、メモリ604は、各データ値S(j)がデータ値S(j)に対応するセンサ信号SEA値の検出時に監視されるミルシェルの回転速度fROT(j)を示す値と関連付けられるように、各データ値S(j)を記憶することがある。対応する回転速度fROT(J)と関連付けられたデータ値S(j)の提供は、図7から図13を参照して以上で説明されている。
【0201】
補償デシメータ470Bは、サンプリング周波数fSR1を有する信号SMDをデータ値S(j)の系列として受信し、低減されたサンプリング周波数fSRを有する出力信号SMDRを別のデータ値R(j)の系列としてその出力590上に送出する。
【0202】
補償デシメータ470Bは、データ値S(j)と、監視される回転するミルシェルの対応する回転速度fROTを示す情報と、を受信及び記憶するように適合されたメモリ604を備えることがある。メモリ604は、図21と関連して以下で説明するように、データ値S(j)をブロックに、各ブロックが監視されるミルシェルの関連回転速度を示す値と関連付けられるように記憶することがある。
【0203】
補償デシメータ470Bはまた、補償値Dを生成するように適合される補償間引き変数生成器606を備えることがある。補償値Dは浮動小数点数である場合がある。したがって、補償数は、浮動小数点数値がある程度の不正確さで速度値fROTを示すように受信した速度値fROTに応じて浮動小数点数値に制御することができる。適切にプログラムされたDSPによって実装される場合、上述のように、浮動小数点数値の不正確さは、DSPの浮動小数点数値を生成する能力に依存することがある。
【0204】
また、補償デシメータ470Bはまた、FIRフィルタ608を備えることがある。ちなみに、頭字語FIRは有限インパルス応答(Finite Impulse Response)を意味する。FIRフィルタ608は、係数DMAXによる間引きに適合された特定のローパスカットオフ周波数を有するローパスFIRフィルタである。係数DMAXは適切な値、例えば20,000に設定されることがある。また、補償デシメータ470Bはまた、フィルタパラメータ生成器610を備えることがある。
【0205】
補償デシメータ470Bの動作は、図21及び図22を参照して以下で説明される。
【0206】
図21は、図20の補償デシメータ470Bを作動させる方法の実施形態を示すフローチャートである。
【0207】
第1のステップS2000において、監視対象のミルシェルの回転速度fROTはメモリ604に記録され(図20及び図21)、これは振動の測定が始まるのとほぼ同時に行われることがある。別の例によれば、監視対象のミルシェルの回転速度は一定時間調査される。最高検出速度fROTmax及び最低検出速度fROTminは、例えばメモリ604に記録されることがある(図20及び図21)。
【0208】
ステップS2010において、記録された速度値は、回転速度が変化したかどうかを確認する目的で分析される。
【0209】
ステップS2020において、ユーザインターフェイス210、210Sは、記録された速度値fROT又は速度値fROTmin、fROTmaxを表示し、ユーザに所望のオーダー値Oiを入力するように要求する。上述のように、ミルシェル回転数fROTは「オーダー1」と称されることがよくある。関心信号はミルシェルの1回転につき約10回発生することがある(オーダー10)。また、一部の信号の倍音を分析することは興味深い場合があり、そのため最大でオーダー100、もしくはオーダー500、又はそれ以上を測定することは興味深い場合がある。したがって、ユーザはユーザインターフェイス210、210Sを使用してオーダー番号Oiを入力することがある。
【0210】
ステップS2030において、適切な出力サンプルレートfSRが決定される。出力サンプルレートfSRは、この開示ではfSR2と称されることがある。ある実施形態によれば、出力サンプルレートfSRは、fSR=C*Oi*fROTminに設定され、
ここで、
Cは2.0よりも高い値を有する定数であり、
Oiは、監視されるミルシェルの回転速度と、分析すべき信号の繰り返し周波数との関係を示す数であり、
ROTminは、来るべき測定セッション中に予想される監視されるミルシェルの最低回転速度である。ある実施形態によれば、値fROTminは、以上で説明したように、ステップS2020で検出された最低回転速度である。
【0211】
定数Cは、サンプリング定理の観点から2.00以上の値に選択されることがある。本開示の実施形態によれば、定数Cは2.40~2.70の値にプリセットされることがある。
ある実施形態によれば、係数Cは有利には100*C/2が整数になるように選択される。ある実施形態によれば、係数Cは2.56に設定されることがある。Cを2.56に選択することで、100*C=256=2の8乗になる。
【0212】
ステップS2050において、補償間引き変数値Dが決定される。監視対象のミルシェルの回転速度が変化するときに、補償間引き変数値Dは瞬間的な検出速度値に応じて変化することになる。
【0213】
ある実施形態によれば、最大補償間引き変数値DMAXは、DMAX=fROTmax/fROTminの値に設定され、最小補償間引き変数値DMINは1.0に設定される。その後、実際の速度値fROTの瞬間的なリアルタイム測定が行われ、それに応じて瞬間的補償値Dが設定される。
ROTは、監視対象の回転するミルシェルの測定回転速度を示す値である。
【0214】
ステップS2060において、実際の測定が開始され、所望の総測定期間が決定されることがある。総測定期間は、監視されるミルシェルの所望の回転数Xに応じて決定されることがある。
測定が開始されるとき、デジタル信号SMDが補償デシメータの入力480に送出される。以下では、信号SMDはサンプル値S(j)を有する信号に関して考察され、ここでjは整数である。
【0215】
ステップS2070において、データ値S(j)をメモリ604に記録し、各振動データ値S(j)を回転速度値fROT(j)と関連付ける。
【0216】
後続のステップS2080において、記録した回転速度値を分析し、記録したデータ値S(j)を回転速度値に応じたデータブロックに分割する。このようにして、それぞれが回転速度値と関連付けられたデータ値S(j)のブロックの複数のブロックが生成されることがある。回転速度値は、この特定のブロックデータ値S(j)が記録されたときの監視されるミルシェルの回転速度を示す。個々のデータブロックは互いに異なるサイズである場合がある、すなわち個々のブロックは互いに異なる数のデータ値S(j)を保持することがある。
例えば監視される回転するミルシェルが初めは第1の期間中に第1の速度fROT1で回転し、その後速度を変えて短い第2の期間中に第2の速度fROT2で回転した場合、記録されているデータ値S(j)は2つのデータブロック、すなわち第1の速度値fROT1と関連付けられている第1のデータ値ブロックと、第2の速度値fROT2と関連付けられている第2のデータ値ブロックとに分割されることがある。この場合、第2のデータブロックは、第2の期間が短いため第1のデータブロックよりも少ないデータ値を含むことになる。
【0217】
ある実施形態によれば、記録されているデータ値S(j)の全てがブロックに分割され、全てのブロックが回転速度値と関連付けられた場合に、方法はステップS2090を実行し始める。
【0218】
ステップS2090において、第1のデータ値S(j)のブロックを選択し、関連付けられている回転速度値fROTに対応する補償間引き値Dを決定する。この補償間引き値Dを第1のデータ値S(j)のブロックと関連付ける。ある実施形態によれば、全てのブロックが対応する補償間引き値Dと関連付けられた場合に、方法はステップS2100を実行し始める。したがって、補償間引き値Dの値は速度fROTに応じて適合される。
【0219】
ステップS2100において、データ値S(j)のブロック、及び上記ステップS2090に記載の関連付けられた補償間引き値Dを選択する。
【0220】
ステップS2110において、選択した入力値Sのブロック及び関連付けられた補償間引き値Dに応答して出力値Rのブロックを生成する。これは図22を参照して説明するように行われることがある。
【0221】
ステップS2120において、処理すべき入力データ値が残っているかどうかをチェックする。処理すべき別の入力データ値のブロックがある場合にステップS2100を繰り返す。処理すべき入力データ値のブロックが残っていない場合に、測定セッションが終了する。
【0222】
図22A図22B及び図22Cは、図20の補償デシメータ470Bを作動させる方法の実施形態のフローチャートを示す。
【0223】
ステップS2200において、入力データ値S(j)のブロック及び関連付けられた特定の補償間引き値Dを受信する。ある実施形態によれば、受信したデータは、以上の図21のステップS2100で説明されている。受信した入力データ値Sのブロック中の入力データ値S(j)は、全て特定の補償間引き値Dと関連付けられている。
【0224】
ステップS2210~S2390において、FIRフィルタ608(図20参照)は、ステップS2200で受信される特定の補償間引き値Dに適合されており、対応する出力信号値R(q)のセットが生成される。このことを以下でより具体的に説明する。
【0225】
ステップS2210において、特定の補償間引き値Dに適したフィルタ設定が選択される。図20と関連して以上で述べたように、FIRフィルタ608は、係数DMAXによる間引きに適合された特定のローパスカットオフ周波数を有するローパスFIRフィルタである。係数DMAXは適切な値、例えば20に設定されることがある。
フィルタ比率値Fが、係数DMAX及びステップS2200で受信した特定の補償間引き値Dに依存した値に設定される。ステップS2210は、フィルタパラメータ生成器610(図20)によって実行されることがある。
【0226】
ステップS2220において、受信した入力データブロックs(j)内の開始位置値xを選択する。開始位置値xは整数である必要がないことに留意すべきである。FIRフィルタ608は長さFLENGTHを有し、開始位置値xはフィルタ長さFLENGTH及びフィルタ比率値Fに応じて選択されることになる。フィルタ比率値Fは上記ステップS2210で設定されたとおりである。ある実施形態によれば、開始位置値xは、x:=FLENGTH/Fに設定されることがある。
【0227】
ステップS2230において、フィルタ合計値SUMが準備され、例えばSUM:=0.0などの初期値に設定される。
ステップS2240において、受信した入力データ内の位置xに隣接し先行する位置jが選択される。位置jはxの整数部として選択されることがある。
【0228】
ステップS2250において、受信した入力データ内の選択位置jに対応するFIRフィルタ内の位置Fposを選択する。位置Fposは補償数である場合がある。
フィルタ位置Fposは、フィルタの中間位置に関連し、
Fpos=[(x-j)*F
と決定されることがあり、
ここでFはフィルタ比率値である。
【0229】
ステップS2260において、決定されたフィルタ位置値Fposが許容限界値の外側にあるかどうか、すなわちフィルタの外側の位置を指しているかどうかをチェックする。外側にある場合は、以下のステップS2300を進める。そうでない場合はステップS2270を進める。
【0230】
ステップS2270において、フィルタ値が補間によって計算される。FIRローパスフィルタ内の隣接するフィルタ係数値は一般に同様の数値を有することに留意されたい。したがって、補間値が正確になるという利点がある。まず整数位置値IFposが計算される。
IFpos:=Fposの整数部
【0231】
位置Fposのフィルタ値Fvalは、
Fval=A(IFpos)+[A(IFpos+1)-A(IFpos)]*[Fpos-IFpos]
となり、ここでA(IFpos)及びA(IFpos+1)は基準フィルタにおける値であり、フィルタ位置Fposはこれらの値の間の位置である。
ステップS2280において、信号位置jに応答してフィルタ合計値SUMの更新を計算する。
SUM:=SUM+Fval*S(j)
【0232】
ステップS2290において、別の信号位置に移動する。
j:=j-1を設定する
その後、ステップS2250に進む。
【0233】
ステップS2300において、受信した入力データ内の位置xに隣接しそれに続く位置jが選択される。この位置jは、xの整数部プラス1、すなわちj:=1+(xの整数部)として選択されることがある。
【0234】
ステップS2310において、受信した入力データ内の選択位置jに対応するFIRフィルタ内の位置を選択する。位置Fposは補償数である場合がある。フィルタ位置Fposは、フィルタの中間位置に関連し、
Fpos=[(j-x)*F
と決定されることがあり、 ここでFはフィルタ比率値である。
【0235】
ステップS2320において、決定されたフィルタ位置値Fposが許容限界値の外側にあるかどうか、すなわちフィルタの外側の位置を指しているかどうかをチェックする。外側にある場合は、以下のステップS2360を進める。そうでない場合はステップS2330を進める。
【0236】
ステップS2330において、フィルタ値が補間によって計算される。FIRローパスフィルタ内の隣接するフィルタ係数値は一般に同様の数値を有することに留意されたい。したがって、補間値が正確になるという利点がある。まず整数位置値IFposが計算される。 IFpos:=Fposの整数部
【0237】
位置Fposのフィルタ値は、
Fval(Fpos)=A(IFpos)+[A(IFpos+1)-A(IFpos)]*[Fpos-IFpos]となり、ここでA(IFpos)及びA(IFpos+1)は基準フィルタにおける値であり、フィルタ位置Fposはこれらの値の間の位置である。
【0238】
ステップS2340において、信号位置jに応答してフィルタ合計値SUMの更新を計算する。
SUM:=SUM+Fval*S(j)
【0239】
ステップS2350において、別の信号位置に移動する。
j:=j+1を設定する その後、ステップS2310に進む。
【0240】
ステップS2360において、出力データ値R(j)を送出する。出力データ値R(j)は、連続した出力データ値が連続したメモリ位置に記憶されるようにメモリに送出されることがある。出力データ値R(j)の数値は、
R(j):=SUM
【0241】
ステップS2370において、位置値xを更新する。
x:=x+D
【0242】
ステップS2380において、位置値jを更新する。
j:=j+1
【0243】
ステップS2390において、所望の数の出力データ値が生成されたかどうかをチェックする。所望の数の出力データ値が生成されていない場合は、ステップS2230に進む。所望の数の出力データ値が生成されている場合は、図21に関連して説明した方法でステップS2120に進む。
実際、ステップS2390は、ステップS2200で受信した入力データ値Sのブロックに対応する出力信号値R(q)のブロックが生成されること、及び入力データ値Sに対応する出力信号値Rが生成された場合に、図21のステップS2120が実行される必要があることを保証するように設計される。
図22を参照して説明した方法は、コンピュータプログラムサブルーチンとして実装されることがあり、ステップS2100及びS2110はメインプログラムとして実装されることがある。
【0244】
図23は、動作中の回転するミルシェル20の中央部98の断面図の別の例を示す。この図は、例えば図1Aの線A-Aに沿って取られる可能性がある。図23の例によれば、転動ミルシェル20は、シェルが軸60の周りを回転するときに充填材料30に係合するように構成された6個の突起物310を有する、すなわち数L=6。明確にするために、図23の例における突起物は、310、310、310、310、310、及び310として個別に参照されている。
【0245】
位置センサ170が、シェル20の回転位置に応じた位置信号Epを生成するために設けられる。上述のように、シェル20は回転軸60の周りを回転可能であるため、不動に取り付けられている位置センサ170は、シェル20の瞬間的な回転位置を示すために一連のシェル位置信号値Pを有する位置信号Epを生成することがある。図23に示すように、複数の位置マーカ180が、シェル20が回転軸60の周りを回転するときに、いくつかの位置マーカ180が、シェル20が1回転する間に位置センサ170のそばを通過し、これによって位置センサ170に回転マーカ信号値Pを生成させるようにシェル20の外面に設けられることがある。ある実施形態によれば、シェル20が回転軸60の周りを回転するときに、位置マーカ180...180が連続して位置センサ170のそばを通過し、これによって位置センサ170にシェル20が1回転する間にL個の回転マーカ信号値Pを生成させるようにシェル20に設けられたL個の位置マーカ180が存在する。図23に示す実施形態によれば、6個の突起物310が存在し、すなわちL=6、6個の位置マーカ180、180、180、180、180、及び180が存在する。
角度位置に関する位置マーカ180の配置が、角度位置に関するシェル20の内部表面22の突起物310の配置を反映することが重要であると考えられる。
【0246】
図23の実施形態では、L個の位置マーカ180はシェル20の周囲に互いに等距離になるように配置され、これによって位置センサ170にシェル20が1回転する間に360/L度ごとにマーカ信号Psを生成させる。これに関連して、図23の実施形態では、L個の突起物310、310、310、310、310、及び310がシェル20の内部表面22に互いに等距離になるように配置される。突起物310の互いに等距離の位置及び位置マーカ180の互いに等距離の位置は、この開示の一部の実施形態にとって重要であると考えられる。これは、位置マーカ180が位置基準信号値を発生させ、突起物310が、回転するミルの充填物中の材料と係合する際に、振動信号に、例えば振幅ピーク値などの信号イベントを発生させるため(例えば、図1及び図15の参照記号SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q)参照)、この開示の一部の実施形態にとって重要であると考えられる。また、位置基準信号値の発生と、突起物310が回転するミルシェルの充填物中の材料と係合することによって引き起こされる振動信号における信号イベントの発生との間の時間的期間は、この開示の他の部分で考察するように動作中のミルの内部状態を示すことがある。例えば、位置基準信号値の発生と、突起物310が回転するミルシェルの充填物中の材料と係合することによって引き起こされる振動信号における信号イベントの発生との間の時間的期間は、例えば先端205の位置などの内部状態を示すことがある。
【0247】
しかしながら、位置マーカ180を突起物310の位置と関連して実際に配置することは、あまり重要でないと考えられる。したがって、図23は位置マーカ180が突起物310と同じ角度位置に配置されていることを示すが、位置マーカ180は恐らく角度位置に関して変位され得ることに留意すべきである。ただし、位置マーカ180が角度位置に関して変位される場合、位置マーカ180の全てが、位置マーカ180の互いに等距離の位置を維持するように等しく変位されることが重要であると考えられる。より具体的には、角度位置に関する位置マーカ180の配置が、角度位置に関するシェル20の内部表面22の突起物310の配置を反映することが重要であると考えられる。
【0248】
上記のように、図19A及び図19Bと関連して、転動ミルを空の状態から起動するとき、初期内部ステータスインジケータオブジェクトは、ミルの本当に最初に検出された先端位置205を表す初期極角Φ(1)で現れることが観察されている。実験的測定に基づくと、初期極角Φ(1)が基準先端位置値として使用され得るようである。したがって、初期極角Φ(1)は基準先端位置値ΦTRと呼ばれることがある。その内部状態が図19A及び図19Bにより示されるディスプレイ210Sによって示される特定の転動ミルの場合、基準先端位置は、図19A及び図19Bに見られるように、約47度の角度値ΦTRに対応する。図2及び図14を参照すると、基準先端位置値ΦTRの角度値は、位置マーカ180が角度位置に関して異なる配置に物理的に移動される場合に数値的に異なる角度値に変更されることになると考えられる。
【0249】
図23に示す回転するミルシェル20の設定は、この開示において例示されるステータスパラメータ抽出器450と組み合わせて使用されることがある。図15を参照して、図23に示す回転するミルシェル20の設定は、シェル速度値生成器500に送出されるマーカ信号P(i)を生成するために使用されることがある。したがって、シェル速度値生成器500は、シェル20が1回転する間に360/L度ごとに位置インジケータ信号値を有するマーカ信号P(i)を受信することになる。したがって、高速フーリエ変換器510は、回転速度fROTが一定である場合に、シェル20が1回転する間に360/L度ごとに速度値生成器500からマーカ信号値P(j)=1を受信することになる。代替的に、高速フーリエ変換器510は、回転速度fROTが変化する場合に、シェル20が1回転する間に360/L度ごとにデシメータ470、470Bからマーカ信号値P(q)=1を受信することになる。
【0250】
また、速度値生成器500は、シェル20が1回転する間に360/L度ごとに位置インジケータ信号値を有するマーカ信号P(i)、例えばP(i)=1を受信するときに更により正確な速度値fROT(j)を生成できることになる。
【0251】
シェル20が1回転する間に360/L度ごとにマーカ信号値P(j)=1を受信する場合のFFT510の適切な設定について、これは基本周波数が繰り返し周波数fになることを意味する。
【0252】
図2に関連して以上で述べたように、振動信号SEA、SMD、S(j)、S(q)は、突起物と先端部分205との衝突を示す信号シグネチャSFIMPを示すことになり、シェル20内にL個の突起物310が存在する場合に(以下の式2と併せて図23参照)、その信号シグネチャSFIMPは、シェル20の1回転につきL回繰り返されることになる。
【0253】
再びフーリエ級数を参照する(以下の式2参照)。
【0254】
【数2】
【0255】
ここで、
n=0 一定期間の信号の平均値(ゼロである場合があるが、ゼロである必要はない)
n=1 信号F(t)の基本周波数に対応する
n=2 信号F(t)の第1高調波の部分音に対応する
ω=関心角周波数、すなわち(2*π*f
=1秒あたりの周期で表される関心周波数
t=時間
Φ=n番目の部分音の位相角度
=n番目の部分音の振幅
【0256】
この実施形態では、シェル20が1回転する間に360/L度ごとにFFT510がマーカ信号値P(j)=1を受信する場合、基本周波数は1個の突起物310につき1つになることに留意されたい。
上記のように、FFT510の設定は基準信号を考慮して行われる必要がある。上記のように、位置信号P(j)、P(q)(図15参照)は、デジタル測定信号S(j)、S(q)の基準信号として使用されることがある。
一部の実施形態によれば、FFT分析器が基準信号、すなわち位置信号P(j)、P(q)をシェル20が1回転する間に360/L度ごとに1回受信するように構成されており、Lがシェル20内の突起物310の数である場合に、FFT分析器の設定は以下の基準を満たす必要がある。
整数値Oiは、1に、すなわち1に等しくなるように設定され、
設定可能な変数Y、及びZは、数式Oi*Z/Yが正の整数になるように選択される。表現を変えると、整数値Oiが1に等しくなるように設定される場合に、設定可能な変数Y及びZは、変数Xを正の整数とするように整数値に設定される必要があり、 ここでX=Oi*Z/Y
上記の設定を使用して、すなわち整数値Oiを1に等しくなるように設定し、図15及び上記の式2を参照すると、FFT510は、n=1の場合の振幅値C、すなわちC=Sp(r)を送出することがある。FFT510はまた、基本周波数の位相角度(n=1)、すなわちΦ=FI(r)を送出することがある。
【0257】
図1A及び/又は図1B並びに上記の式2と併せて図15を参照すると、状態値Sp(r)=C及びFI(r)=Φは、分析結果の可視表示を行うために人間コンピュータインターフェイス(HCI)210に送出されることがある。上述のように、表示された分析結果は、オペレータ230が転動ミルを制御できるようにするための転動ミルプロセスの内部状態を示す情報を含むことがある。
図16図17図18図19A、及び図19Bを参照すると、分析結果の可視表示の例示的な図は、図23に示す回転するミルシェル20の設定に有効であり、FFT510は、360/L(Lはシェル20内の突起物310の数である)度ごとに位置インジケータ信号値を有するマーカ信号P(i)、P(j)、P(q)を受信することになる。
【0258】
FFT510の設定に関連した以上の考察は、FFT変換器510の設定の背景の直観的理解を伝えるためにフーリエ級数並びに式1及び式2を参照しているが、デジタル信号処理を用いることが離散フーリエ変換(以下の式3参照)を含み得ることに留意されたい。
【0259】
【数3】
【0260】
したがって、この開示の実施形態によれば、上記の離散フーリエ変換(DFT)は、ステータスパラメータ抽出器450の実施形態と関連して考察したものなど、転動ミルの内部状態を示すデータを生成するための信号処理に含められることがある。なお、例えば図3図4図5図15及び/又は図24を参照する。FFTの対象及びフーリエ級数についての上記の考察に鑑み、離散フーリエ変換は、この開示の熟練した読者がよく知っているため更に詳しくは考察されない。
【0261】
図23には、複数の位置マーカ180がシェル20の外面に設けられることがあり、これによって各マーカ180が位置センサ170に回転マーカ信号値Pを生成させることが示されているが、そのような位置信号Pは代替的に、回転するミルシェル20に機械的に結合されているエンコーダ170によって生成され得ることに留意されたい。したがって、位置センサ170は、回転するミルシェル20に機械的に結合されているエンコーダ170によって、エンコーダが、例えばミルシェル20の回転中に回転するシェル20内の1個の突起物310につき1個のマーカ信号Pを生成するように具体化されることがある。
【0262】
まとめると、FFT510の適切な設定及び上記の式1及び式2に関して、n番目の部分音の位相角度、すなわちΦは先端205の相対位置を示し得ることに留意されたい。具体的には、n番目の部分音の位相角度、すなわちΦは、回転するシェル20内の2つの隣接する突起物310間の距離の一部として表される、先端205の位置を示すことがある。上記の表6及び図14を参照すると、2つの隣接する突起物間の総距離は360度と見なされることがあり、n番目の部分音の位相角度、すなわちΦを360で割った値が、2つの隣接する突起物間の総距離のパーセンテージを示すことがある。これは、例えば上記の表5及び表6の列#2を比較することから分かる。上述のように、Φ=n番目の部分音の位相角度、及びC=n番目の部分音の振幅である。以上で考察したように、回転するシェル20内の突起物の数L及び生成される基準信号の数、並びにその結果である関心信号のオーダーOiを考慮して、FFT510は、n番目の部分音の位相角度、Φ及びn番目の部分音の振幅、Cを送出するように設定されることがあり、その結果、n番目の部分音の位相角度、すなわちΦは先端205の相対位置を示すことができる。また、上記のようにFFT510は、変数Xを正の整数にするように設定されることがあり、ここで
X=Oi*Z/Y、
Oiは整数値に設定され、
Yは整数値に設定され、
Zは整数値に設定される。
【0263】
図24は、転動ミル10を備える別のシステム700のやや図式的な概略的上面図を示す。転動ミル10は、例えば自生粉砕(AG)ミルである場合がある。代替的に、転動ミル10は、例えば半自生粉砕(SAG)ミルである場合がある。 別の例の転動ミル10はボールミル10である。転動ミル10は、材料を粉砕するためのチャンバ25を形成する内部シェル表面22を有するシェル20を備える。図24の転動ミルシステム700は、この開示に、例えば図1から図31に関連して記載された他の実施形態のいずれかに説明されるように構成されることがある。ただし、図1A及び/又は図1Bの転動ミルシステムは、ミルの入力側のそばに振動センサ70を有するものと記載されていたが、図24の転動ミルシステム700は、
第1の測定信号SEAINを生成するための第1の振動センサ70IN、及び
第2の測定信号SEAOUTを生成するための第2の振動センサ70OUT
を有するように構成されることがあることに留意されたい。
第1の振動センサ70INにより生成される第1の測定信号SEAINの信号処理は、この開示に、例えば図1から図31に関連して記載された他の実施形態のいずれかに信号SEAに関連して説明されるものである場合がある。同様に、第2の振動センサ70OUTにより生成される第2の測定信号SEAOUTの信号処理は、この開示に、例えば図1から図31に関連して記載された他の実施形態のいずれかに信号SEAに関連して説明されるものである場合がある。したがって、上記の実施形態と比較される相違点は、システム700には、第1の測定信号SEAINに基づいた、転動ミルの入力側の内部状態を示すデータ、及び第2の測定信号SEAOUTに基づいた、転動ミルの出力側の内部状態を示すデータが提供されることになることである。よって、図24の転動ミルシステム700は、位置信号又は基準信号の提供に関して、この開示の上記の実施形態のいずれかに説明されるように構成されることがある。
【0264】
図24に示す分析装置150は、第1のステータスパラメータ抽出器450及び第2のステータスパラメータ抽出器450を含むことがある。ステータスパラメータ抽出器450及び450は、例えば図5及び/又は15を参照して他の上記の実施形態のいずれかに説明されるように並びに/又は図30から図31に関連して説明されるように動作することがある。したがって、第1のステータスパラメータ抽出器450は、パラメータSP1(r)、RT1(r)、fROT(r)、dSP1(r)、及びdRT1(r)を生成するように構成されることがある。
同様に、第2のステータスパラメータ抽出器450は、パラメータSP2(r)、RT2(r)、fROT(r)、dSP2(r)、及びdRT2(r)を生成するように構成されることがある。ただし、シェルの回転速度fROT(r)は、当然のことながら同じになるため、ステータスパラメータ抽出器の一方が回転速度値fROT(r)を送出すれば十分な場合がある。
【0265】
図24を参照すると、3つの相互に垂直な軸x、y及びzを有するデカルト座標系が示されている。ミル10の動作中に、材料30がx軸の正の方向にミルの入力側80から出力側90に進むことを理解すべきである。
【0266】
図24の転動ミルシステム700が、転動ミルの入力側の内部状態を示すパラメータ、SP1(r)、RT1(r)、dSP1(r)、及びdRT1(r)、及び転動ミルの出力側の内部状態を示すパラメータ、SP2(r)、RT2(r)、dSP2(r)、及びdRT2(r)を提供するという利点がある。
入力側パラメータと対応する出力側パラメータとを比較することが、ミル10の内部状態の理解に更に別の次元を追加できるという利点がある。例えば、RT2(r)とRT1(r)との関係は、
先端位置が入力及び出力側で同じであるかどうかを示す、又は
T1(r)>RT2(r)の場合に、先端位置が入力側でより高いことを示す、又は
T2(r)>RT1(r)の場合に、先端位置が出力側でより高いことを示す。
【0267】
先端位置が出力側でより高いことは初期障害を示すことがある。例えば、固体材料110の流入が減速しないペースで続く間に、出力材料95の流出量が閉塞のためか減少した場合に、転動ミルの粉砕プロセスの効率低下をもたらし得る過負荷のリスクが上昇することになる。よって、図24の転動ミルシステム700は、初期障害を早期に示すことができ得るという利点がある。したがって、入力側パラメータと対応する出力側パラメータとの比較に基づいて、転動ミルシステム700は、例えばミルの過負荷などの障害を回避するために制御パラメータの調整を可能にすることがある。
【0268】
図24を参照して、振動センサ70OUTがミル構造10の本体の非回転部に取り付けられ、振動センサ70OUTが主に水平方向Yの振動を検出するように配置される(Yが水平方向である、3つの相互に垂直な軸x、y及びzを有するデカルト座標系参照)。同様に、振動センサ70INがミル構造10の本体の非回転部に取り付けられ、振動センサ70INが主に水平方向Yの振動を検出するように配置される。実験的測定が、振動センサが主に垂直方向Zの振動を検出するように構成されている場合に得られる振動信号品質と比較して、改善された振動信号品質が、振動センサが主に水平方向Yの振動を検出するように構成されている場合に得られることを示すと思われる。例えば図2と関連して以上で述べたように、図2に示したように充填物の先端にある材料を突起物310の移動方向に加速させる、突起物310と充填物の先端205との相互作用は機械的振動VIMPを引き起こす。突起物310Cの先端部分205の材料の塊に対する衝突は、先端部分材料の塊を突起物310Cの移動方向AACCに加速させ、この加速は突起物310Cの前縁面に対する力FIMPを発生させる。ミルの充填物30中の固体材料の質量はメトリックトンの大きさであるため、この衝撃力FIMPはかなりの大きさである。ただし、ミル構造は通常、垂直方向の振動を軽減する傾向がある非常に硬い床面に置かれることになるため、水平方向Yの振動の検出によって振動信号品質が向上するように思われる。
【0269】
図25は、転動ミル10を備えるシステム720の更に別の実施形態のやや図式的かつ概略的な上面図を示す。 図25の転動ミルシステム720は、図24に関連して説明されるように構成されることがある。ただし、図24の転動ミルシステムは、図24の転動ミルシステム700は、ミル構造10の本体の非回転部に取り付けられた振動センサ70OUT、及びミル構造10の本体の別の非回転部に取り付けられた振動センサ70INを有するものと記載されていたが、図25の転動ミルシステム720は、ミル構造10の回転するシェル20に取り付けられる振動センサ7020を提供する点で異なる。振動センサ7020を回転するシェル20に直接設けることは、図25に示すように、具体的には振動センサ7020が、シェル壁の突起310とは反対側にあるシェルの外側に直接配置される場合に高い振動振幅を与えることになる。
【0270】
図25の転動ミルシステム720は、任意選択的に 第1の測定信号SEAINを生成するための第1の振動センサ7020IN、及び
第2の測定信号SEAOUTを生成するための第2の振動センサ7020OUT
を備えることがある。図25に示すように、第1の振動センサ7020INは、出力側90よりも入力側80に近い測定点位置310INでシェル20の外面に固着されることがある。第2の振動センサ7020OUTは、入力側80よりも出力側90に近い測定点位置310OUTでシェル20の外面に固着されることがある。
第1の振動センサ7020IN及び第2の振動センサ7020OUTは、例えば、それぞれトランシーバユニット740及び750を介して無線で装置150と通信するように装備されることがある。シェル20の外面上のセンサ7020、7020IN、7020OUTには、バッテリを介して、又は代替的に、1つ又はいくつかの不動の永久磁石との相互作用によって発電機として動作する、回転するシェル20の外面に取り付けられた誘導デバイス(図示せず)によって電力が供給されることがある。このように、シェル20が回転するとき、誘導デバイスを1つ又はいくつかの不動の永久磁石の磁場に繰り返し通過させることになり、これによってセンサ7020、7020IN、7020OUTのための電力として使用され得る電流を誘導する。
【0271】
図25の転動ミルシステム720はまた、転動ミルの入力側の内部状態を示すパラメータSP1(r)、RT1(r)、dSP1(r)、及びdRT1(r)、及び転動ミルの出力側の内部状態を示すパラメータ、SP2(r)、RT2(r)、dSP2(r)、及びdRT2(r)を提供し得るという利点がある。したがって、この開示の熟練した読者は、図25の転動ミルシステム720が、図24の転動ミルシステム700と実質的に類似した方法で初期障害を早期に示すことができ得るという利点があることを直接的かつ一義的に導き出す。具体的には、図25の転動ミルシステム720は、転動ミルシステム700に関連して以上で説明した方法で入力側パラメータと対応する出力側パラメータとの比較を可能にし得るという利点がある。したがって、図25の転動ミルシステム720はまた、例えばミルの過負荷などの障害を回避するために制御パラメータの調整を可能にし得るという利点がある。
【0272】
図26は、転動ミル10を含むシステム730の更に別の実施形態のやや図式的かつ概略的な上面図を示す。転動ミル10は、例えば自生粉砕(AG)ミルである場合がある。代替的に、転動ミル10は、例えば半自生粉砕(SAG)ミルである場合がある。別の例の転動ミル10はボールミル10である。転動ミル10は、材料を粉砕するためのチャンバ25を形成する内部シェル表面22を有するシェル20を備える。図26の転動ミルシステム730は、この開示に記載の他の実施形態のいずれかに、例えば図1から図25に関連して説明されるように及び/又は図30から図31に関連して説明されるように部品を備え構成されることがある。具体的には、図26に示す装置150は、この開示に記載の他の実施形態のいずれかに、例えば図1から図25に関連して説明されるように及び/又は図30から図31に関連して説明されるように構成されることがある。
ただし、図26に示すシステム730の実施形態では、装置150は、監視モジュール150A及び制御モジュール150Bを備える。図面は装置150を2つのボックスとして示しているが、装置150は、統一参照符号150で示される、監視モジュール150A及び制御モジュール150Bを含む単一のエンティティとして設けられることもあることを理解すべきである。
【0273】
システム730は、充填材料30を回転するシェル内で転動させることによって粉砕するために回転速度fROTで軸60の周りを回転するシェル20を有する転動ミル10の内部状態を制御するように構成されている。
【0274】
シェル20は、シェル20が軸60の周りを回転するときに材料と係合するように構成された第1の数L個の突起物310を含む内部シェル表面22を有する。システム730は、位置信号を生成するためのデバイス170、180を備えることがある。デバイス170、180は、この開示の他の部分で説明される位置センサ170及びマーカ180を含むことがある。位置信号は、回転するシェル20の回転位置を示すE、P(i)、P(j)、P(q)であり、位置信号は位置信号サンプル値P(i)、P(j)、P(q)の時系列を含む。
【0275】
センサ70、70IN、70OUT、330が設けられ、シェルの回転から生じる機械的振動VIMPに応じた振動信号SEA、SMD、Se(i)、S(j)S(q)を生成するように構成されている。振動信号SEA、Se(i)、S(j)S(q)は、振動サンプル値Se(i)、S(j)S(q)の時系列を含むことがある。
【0276】
システム730の装置150は、監視モジュール150A及び制御モジュール150Bを備えることがある。監視モジュール150Aは、位置信号サンプル値P(i)、P(j)、P(q)の時系列中の第1の基準位置信号値の第1の発生を検出するように構成されたステータスパラメータ抽出器450、450、450、450Cを備える(列#2が値1;1Cを有する位置信号を示す上記の表2、表3及び表4参照)。
ステータスパラメータ抽出器450は、位置信号サンプル値P(i)、P(j)、P(q)の時系列中の第2の基準位置信号値1;1C;100%の第2の発生を検出するように構成されることがある。ステータスパラメータ抽出器450はまた、振動サンプル値Se(i)、S(j)、S(q)の時系列中のイベントシグネチャS(r)の発生を検出するように構成されることがある。イベントは、突起物310の充填物30の先端部分205への衝突によって引き起こされることがあり、この開示の他の部分で考察されるように、振動信号シグネチャを引き起こし得る衝撃振動をもたらす。ステータスパラメータ抽出器450は、
イベントシグネチャ発生と、
第1及び第2の発生と、
の第1の時間的関係R(r);T;FI(r);X1(r)を示すデータを生成するように構成されることがある。
【0277】
上述のように、システム730は、ミル監視モジュール150、150Aからミル10の内部状態を示すデータを受信するように構成された制御モジュール150Bを備える。内部状態を示すデータは、この開示の図1から図31のいずれかに関連して説明されるように、ステータスパラメータ抽出器450により生成又は送出される情報のいずれかを含む可能性がある。図26を参照して、制御モジュール150Bは、
先端位置基準値FIREF(r)(図26参照)、
第1の時間的関係R(r);T;FI(r);X1(r)(図1から図31参照)、及び
先端位置誤差値FIERR(r)(図26参照)
に基づいて先端角度位置FI(r)、ATOE図2と併せて図26参照)を制御するための調整器755を備える。
先端位置誤差値(FIERR(r))は、先端位置基準値FIREF(r)、及び第1の時間的関係R(r);T;FI(r)に依存する(図3から図26参照)。先端位置基準値FIREF(r)は、手動入力(図26には示されていないが、例えば図1A及び/又は図1Bと関連して以上で考察されたように行われることがある)によって生成されることがある。
【0278】
図26に示すように、先端位置誤差値(FIERR(r))は、先端位置基準値FIREF(r)と、第1の時間的関係R(r);T;FI(r);X1(r)との差に依存することがある。
調整器755は、固体材料供給速度設定点RSSPを先端位置基準値FIREF(r)に応じて制御するように構成されることがある。図1Aと関連して考察した固体材料供給速度Rは、固体材料供給速度設定点RSSPに依存する(図26参照)。図1Aと関連して述べたように、固体材料供給速度Rは、転動ミル10の入力100に送り込まれる時間単位あたりの固体材料の量である。
【0279】
調整器はまた、液体供給速度設定点RLSPを先端位置基準値FIREF(r)に応じて制御するように構成されることがある。液体供給速度Rは、液体供給速度設定点RLSPに依存することがある。図1Aと関連して述べたように、液体供給速度Rは、転動ミル10の入力130に送り込まれる時間単位あたりの液体の量である場合がある。
【0280】
イベントシグネチャは、回転するシェル20の内部シェル表面22にある突起310が充填材料30の先端部分205と相互作用するときに生成される衝撃力FIMPを示すことがある。
【0281】
ステータスパラメータ抽出器450は、第1の時間的関係R(r);T;FI(r);X1(r)を位相角度(FI(r))として生成するように構成されることがある。
【0282】
第1の時間的関係R(r);T;FI(r);X1(r)は、先端位置205、ATOE(r)を示している(図26と併せて図2参照)。第1の時間的関係R(r);T;FI(r);X1(r)は、ミルシェル内の2つの隣接する突起物310間の距離の割合を示すことがある。
代替的に、関係値X1(r)は、先端部分205の相対位置、すなわち2つの隣接する突起物310の位置に対応するように互いに分離された2つの所定の固定子位置に関連した先端部分205の位置を示すことがある。
【0283】
また、関係値X1(r)は絶対先端位置を示すことがある。絶対先端位置は、関係値X1(r)と、Sp(r)とも称される第2の内部ステータスパラメータX2(r)との組み合わせに基づいて生成されることがある。具体的には、例えば図16図17図18図19A及び図19Bと関連して考察したように、第1の内部ステータスパラメータX1(r)と第2の内部ステータスパラメータX2(r)との組み合わせの時間的進行に基づいて絶対先端位置が生成されることがある。図19Aに示すように、X1(r=1)及びX2(r=1)に対応する初期データセット550(r)=550(1)は、ミルの空の、又はほぼ空の状態を表す。ミルの充填度が矢印560Aの方向に高くなるにつれて、絶対先端位置は上昇する。図19A及び図19Bでは、初期角度FITRから現在のインジケータ550(r)までの「角度長さ」は、絶対先端位置を示す。図2と併せて図19Bを参照すると、図2の垂直線960における先端角度0度は、図19Bの初期角度FITRに対応することがある。rが増加するときの値X2(r)の増加が、図19Bにおける起点からの距離の増加として示されており、この文書の他の部分で考察されるように、先端部分205の質量の増加を示す。パラメータX1(r)の値が360度に等しい値に増加するとき、それは先端位置205が初期角度FITRから角距離360/Lのところにあることを示す。
パラメータX1(r)の値が360度を上回る値に増加するとき、それは絶対先端位置205が初期角度FITRから角距離360/L+X1(r)のところにあることを示す。
【0284】
ステータスパラメータ抽出器450は、イベントシグネチャを振幅値S(r);Sp;C(r);C(r);X2(r)として生成するように構成されることがある。
【0285】
ステータスパラメータ抽出器450は、第1の時間的関係R(r);T;FI(r);X1(r)を生成するように構成されたフーリエ変換器510(図15参照)を備えることがある。
【0286】
表5と関連して考察したように、ステータスパラメータ抽出器450は、第1の発生から第2の発生までの総サンプル数Nをカウントするように構成されることがある。また、ステータスパラメータ抽出器450は、第1の発生からイベントの発生までの別のサンプル数Nをカウントするように構成されることがあり、ステータスパラメータ抽出器450は、別のサンプル数及び総サンプル数に基づいて第1の時間的関係R(r);T;FI(r);X1(r)を生成するように構成されることがある。
【0287】
ステータスパラメータ抽出器450は、第1の発生から第2の発生までの総サンプル数Nをカウントするように構成されることがあり、ステータスパラメータ抽出器450は、第1の発生からイベントの発生までの別のサンプル数Nをカウントするように構成されることがある。また、ステータスパラメータ抽出器450は、第1の時間的関係R(r);T;FI(r)を、先端位置205を示し得る別のサンプル数と総サンプル数の間の関係に基づいて生成するように構成されることがある。
【0288】
一実施形態によれば、調整器755は、入力側の先端位置(FIIN(r)、ATOE_IN)を
先端位置基準値(FIREFIN(r))、
第1の時間的関係(FIIN(r))、及び
先端位置誤差値(FIERRI(r))
に基づいて制御するように動作し、
先端位置誤差値(FIERRI(r))は、
先端位置基準値(FIREFIN(r))、及び
第1の時間的関係(R(r);T;FIIN(r))
に依存する。
【0289】
一実施形態によれば、調整器755は、固体材料供給速度設定点RSSPを先端位置基準値FIREFIN(r)に応じて制御するように動作する。
【0290】
一実施形態によれば、調整器755は、固体材料供給速度設定点RSSP
先端位置基準値(FIREFIN(r))、
第1の時間的関係(FIIN(r))、及び
先端位置誤差値(FIERRI(r))
に基づいて制御するように動作し、
先端位置誤差値(FIERRI(r))は、
先端位置基準値(FIREFIN(r))、及び
第1の時間的関係(FIIN(r))
に依存する。
【0291】
図26図28及び図29は、2つのフィードバック信号、すなわちミル10の入力側に関する第1の時間的関係FIIN(r)、及びミル10の出力側に関する第1の時間的関係FIOUT(r)を示しているが、システムは単一のフィードバック信号で動作し得ることを理解すべきである。したがって、例えば調整器には、例えばミルの入力側の状態に関する第1の時間的関係FIIN(r)を受信するための単一の入力が設けられることがある。
【0292】
一実施形態によれば、調整器755は、固体材料供給速度設定点RSSP
先端位置基準値(FIREFOUT(r))、
第1の時間的関係(FIOUT(r))、及び
先端位置誤差値(FIERRO(r))
に基づいて制御するように動作し、
先端位置誤差値(FIERRO(r))は、
先端位置基準値(FIREFOUT(r))、及び
第1の時間的関係(FIOUT(r))
に依存する。
【0293】
調整器755は、比例・積分・微分コントローラ(PIDコントローラ)を備えるように構成されることがある。代替的に、調整器755は比例・積分コントローラ(PIコントローラ)を備えるように構成されることがある。代替的に、調整器755は比例コントローラ(Pコントローラ)を備えるように構成されることがある。
【0294】
代替的に、調整器755は、線形二次推定(linear quadratic estimation:LQE)としても知られているカルマンフィルタリングを含むように構成されることがある。カルマンフィルタリングは、統計ノイズ及び他の不正確さを含む、経時的に観察される一連の測定値を使用し、単一の測定値のみに基づいたものより正確な傾向がある未知の変数の推定値を、各タイムフレームについて変数に関する同時確立分布を推定することによって生成するアルゴリズムである。
【0295】
図27は、分散プロセス監視システム770の概略的ブロック図を示す。参照番号780は、この文書の先行する図面に関連して以上で考察した回転可能なシェル20を有するミル10を備えたクライアントロケーションに関連する。クライアントパート又はミルロケーション780と称されることもあり得るクライアントロケーション780は、例えば鉱業会社の敷地、鉱石ミル工場の敷地、又は例えばセメントの製造のための製造工場である場合がある。
【0296】
分散プロセス監視システム770は、1つのセンサ70、又はいくつかのセンサ70、70IN、70OUTがシェル20に関連した測定点上又は測定点に取り付けられるときに作動している。上述のように、そのような測定点は、例えば軸受40、50(図26及び図27参照)に又は測定点位置310IN、310OUT図25参照)にある場合がある。
【0297】
測定信号SEA、SEAIN、SEAOUT、及びE(例えば図1図27図26図25参照)は、ミルロケーション通信デバイス790の入力ポートに結合されることがある。ミルロケーション通信デバイス790は、測定信号SEA、SEAIN、SEAOUT、及びEのA/D変換のためのアナログ・デジタル変換器795を備えることがある。A/D変換器975は、例えば図3及び図5に関連して、この文書の他の部分でA/D変換器330に関連して開示されたように動作することがある。ミルロケーション通信デバイス790は、双方向データ交換のための通信ポート800を有する。通信ポート800は、測定信号SEA、SEAIN、SEAOUT、及びEに対応するデジタルデータの配信を可能にするために、例えばデータインターフェイス820を介して通信ネットワーク810に接続可能である。通信ネットワーク810は、インターネットとしても知られているワールドワイドインターネットである場合がある。通信ネットワーク810はまた、公衆交換電話網を含むことがある。
【0298】
通信ネットワーク810にサーバコンピュータ830が接続される。サーバ830は、データベース840、ユーザ入出力インターフェイス850及びデータ処理ハードウェア852、並びに通信ポート855を備えることがある。サーバコンピュータ830は、ミルロケーション780から地理的に離れているサーバロケーション860に位置する。サーバロケーション860は、スウェーデンの首都ストックホルムなどの第1の都市にあることがあり、ミルロケーション780は、ミルの近くの地方、及び/又は、例えばノルウェー、オーストラリア又は米国などの別の国にあることがある。代替的に、サーバロケーション860は、ある郡の第1の地域にあることがあり、ミルロケーション780は同じ郡の別の地域にあることがある。サーバロケーション860は、サプライヤ地域860、又はサプライヤロケーション860と称されることもある。
【0299】
ある例によれば、中央制御ロケーション870が、遠隔ミルロケーション780においてミル10の内部状態を監視及び/又は制御するためのデータ処理ハードウェア及びソフトウェアを有する監視コンピュータ880を備える。監視コンピュータ880は、制御コンピュータ880と称されることもある。制御コンピュータ880は、データベース890、ユーザ入出力インターフェイス900及びデータ処理ハードウェア910、並びに通信ポート920、920A、又はいくつかの通信ポート920、920A、920Bを備えることがある。中央制御ロケーション870は、ミルロケーション780からある地理的距離だけ離れていることがある。中央制御ロケーション870は、スウェーデンの首都ストックホルムなどの第1の都市にあることがあり、ミルロケーション780は、ミルの近くの地方、及び/又は、例えばノルウェー、オーストラリア又は米国などの別の国にあることがある。代替的に、中央制御ロケーション870は、ある郡の第1の地域にあることがあり、ミルロケーション780は同じ郡の別の地域にあることがある。通信ポート920、920Aによって、制御コンピュータ880を、ミルロケーション通信デバイス790と通信するために結合することができる。したがって、制御コンピュータ880は、測定信号SEA、SEAIN、SEAOUT、及びE(例えば図1図27図26図25参照)をミルロケーション通信デバイス790から通信ネットワーク810を介して受信することができる。
【0300】
システム770は、ロケーション870からのリアルタイム又は実質的にリアルタイムの測定信号SEA、SEAIN、SEAOUT、及びEの受信又はミル10のリアルタイム監視及び/又はリアルタイム制御を可能にするように構成されることがある。また、制御コンピュータ880は、この文書中の例のいずれかに開示される、例えば図1から図26のいずれかに関連して以上で開示された監視モジュール150、150Aを備えることがある。
【0301】
サプライヤ企業がサーバロケーション860を占有する。サプライヤ企業は、装置150及び/又は監視モジュール150A及び/又はそのような装置150及び/又は監視モジュール150Aで使用するソフトウェアを販売及び供給することがある。したがって、サプライヤ企業は、中央制御ロケーション870の制御コンピュータ880で使用するソフトウェアを販売及び供給することがある。そのようなソフトウェア370、390、400が、例えば図4に関連して考察される。そのようなソフトウェア370、390、400は、通信ネットワーク810経由での送信によって供給されることがある。代替的に、そのようなソフトウェア370、390、400は、プログラムコードを記憶するためのコンピュータ可読媒体360として供給されることがある。したがって、コンピュータプログラム370、390、400は、符号化されたコンピュータプログラムを内部に有するコンピュータ記憶媒体を含む製造物品として提供されることがある。
【0302】
システム770の例示的な実施形態によれば、監視コンピュータ880は、測定信号SEA、SEAIN、SEAOUT、及びE(例えば図1図27図26図25参照)を、ミル10の内部状態の継続的な又は実質的に継続的な監視を可能にするために、例えば通信ネットワーク810を介してミルロケーション通信デバイス790から実質的に継続的に受信することがある。中央制御ロケーション870のユーザ入出力インターフェイス900は、この文書の他の部分でHCI210に関連して考察される画像及びデータを表示するためのスクリーン900Sを備えることがある。したがって、ユーザ入出力インターフェイス900は、分析結果の可視表示を行うためのディスプレイ、又はスクリーン900S、210Sを備えることがある。表示される分析結果は、中央制御ロケーション870にいるオペレータ930が転動ミル10を制御できるようにするための転動ミルプロセスの内部状態を示す情報を含むことがある。
【0303】
また、中央制御ロケーション870にある監視コンピュータ880は、転動ミルプロセスの内部状態を示す情報をHCI210に、通信ポート920、920Bを介して及び通信ネットワーク810を介して供給するように構成されることがある。このように、中央制御ロケーション870にある監視コンピュータ880は、クライアントロケーション780にいるオペレータ230が転動ミルを制御することを可能にするように構成されることがある。クライアントロケーション780にいるローカルオペレータ230は、制御ルーム220に配置されることがある(図1A及び/又は図1B及び/又は図27参照)。したがって、クライアントロケーション780、220は、第2のミルロケーション通信デバイス790Bを備えることがある。第2のミルロケーション通信デバイス790Bは、双方向データ交換のための通信ポート800Bを有し、通信ポート800Bは、例えばデータインターフェイス820Bを介して通信ネットワーク810に接続可能である。
明確にするために、2つのロケーション通信デバイス790、790Bとして説明しているが、代替的に、単一のミルロケーション通信デバイス790、790B、及び/又は双方向データ交換のための単一の通信ポート800、800Bが提供されることがある。したがって、アイテム790及び790Bは、ミルロケーション780における1つのユニットとして統合されることがあり、同様に、アイテム820及び820Bは、ミルロケーション780における1つのユニットとして統合されることがある。
【0304】
図28は、分散プロセス監視システム940の更に別の実施形態の概略的ブロック図を示す。参照番号780は、この文書の先行する図面に関連して以上で考察した回転可能なシェル20を有するミル10を備えたミルロケーションに関連する。図28の分散プロセス監視システム940は、この開示に記載の他の実施形態のいずれかに、例えば図1から図31に関連して説明されるように部品を備え構成されることがある。具体的には、図28に示す、監視モジュール150Aとも称される監視装置150は、この開示に記載の他の実施形態のいずれかに、例えば図1から図31に関連して説明されるように構成されることがある。具体的には、図28に示すプロセス監視システム940は、中央制御ロケーション870に位置する点を除いて、図27に関連して開示された監視モジュール150Aを備えるように構成されることがある。
【0305】
また、図28に示すプロセス監視システム940では、ミルロケーション780は、例えば図26に関連して以上で説明した制御モジュール150Bを備える。
【0306】
したがって、ミル10の内部状態は、ミルロケーション780に又はその近くにある制御モジュール150Bによって自動的に制御されることがあるのに対して、中央制御ロケーション870にある監視コンピュータ880は、中央制御ロケーション870にいるオペレータ930が転動ミル10の内部状態を監視することを可能にするために、転動ミルプロセスの内部状態を示す情報をHCI900、900Sに供給するように構成されることがある。
【0307】
測定信号SEA、SEAIN、SEAOUT、及びE(例えば図1図27図26図25参照)は、ミルロケーション通信デバイス790の入力ポートに結合されることがある。ミルロケーション通信デバイス790は、測定信号SEA、SEAIN、SEAOUT、及びEのA/D変換のためのアナログ・デジタル変換器795を備えることがある。A/D変換器975は、例えば図3及び図5に関連して、この文書の他の部分でA/D変換器330に関連して開示されたように動作することがある。ミルロケーション通信デバイス790は、双方向データ交換のための通信ポート800を有する。通信ポート800は、例えばデータインターフェイス820を介して通信ネットワーク810に接続可能である。通信ポート800は、測定信号SEA、SEAIN、SEAOUT、及びEに対応するデジタルデータの配信を可能にするために、例えばデータインターフェイス820を介して通信ネットワーク810に接続可能である。
また、クライアントロケーション780は、第2のミルロケーション通信デバイス790Bを備えることがある。第2のミルロケーション通信デバイス790Bは、双方向データ交換のための通信ポート800Bを有し、通信ポート800Bは、ミル10の内部状態を示すデータの制御モジュール150Bによる受信を可能にするために、例えばデータインターフェイス820Bを介して通信ネットワーク810に接続可能である。
【0308】
図28に示すように、ミル10の内部状態を示すデータが、中央制御ロケーション870にある監視モジュール150Aによって生成されることがある。
図28は、明確にするために、2つのロケーション通信デバイス790、790Bを説明しているが、代替的に、単一のミルロケーション通信デバイス790、790B、及び/又は双方向データ交換のための単一の通信ポート800、800Bが提供されることがある。したがって、アイテム790及び790Bは、ミルロケーション780における1つのユニットとして統合されることがあり、同様に、アイテム820及び820Bは、ミルロケーション780における1つのユニットとして統合されることがある。
【0309】
図29は、分散プロセス制御システム950の更に別の実施形態の概略的ブロック図を示す。繰り返しになるが、参照番号780は、この文書の先行する図面に関連して以上で考察した回転可能なシェル20を有するミル10を備えたミルロケーションに関連する。図29の分散プロセス監視システム950は、この開示に記載の他の実施形態のいずれかに、例えば図1から図31に関連して説明されるように部品を備え構成されることがある。具体的には、図28及び図29に示す、監視モジュール150Aとも称される監視装置150は、この開示に記載の他の実施形態のいずれかに、例えば図1から図31に関連して考察されるように構成されることがある。また、図29に示すプロセス監視システム950は、例えば図26に関連して以上で説明した制御モジュール150B、及び図27に関連して開示した監視モジュール150Aを備えるように構成されることがある。
【0310】
図29の例では、監視モジュール150A及び制御モジュール150Bは制御ロケーション870に設けられる。制御ロケーション870はミルロケーション780から離れていることがある。制御ロケーション870とミルロケーション780との間のデータの通信は、先行する図面に関連して以上で考察したように、データポート820及び920並びに通信ネットワーク810を介して行われることがある。
【0311】
図30は、動作中の回転するミルシェル20の中央部98の断面図の別の例を示す。この図は、例えば図1Aの線A-Aに沿って取られる可能性がある。図30の例によれば、転動ミルシェル20は、シェルが軸60の周りを回転するときに充填材料30に係合するように構成された4個の突起物310を有する、すなわち数L=4。明確にするために、図23の例における突起物は、310、310、310、及び310として個別に参照されている。
位置センサ170が、シェル20の回転位置に応じた位置信号Epを生成するために設けられる。図30に示すように、位置センサ170は、その周りをシェル20が回転可能な回転軸60からの垂直線960に沿って配置される。また、位置マーカ180はシェル20の外面に、突起物310が垂直線960のそばを通過するときに位置センサ170がマーカ信号Pを生成するように設けられる。転動ミルシェル20が図30に示すように4個の突起物310を有し、単一の静的位置センサ170が設けられる場合、ある例に係る方法は、位置マーカ180の第1の通過に応答して第1の静止位置信号Ps1、P1を受信することがあり、方法は、位置マーカ180の第2の通過に応答して第2の静止位置信号Ps2を受信することがあり、次いで方法は、記録されている位置信号サンプル値の時系列で仮想静止位置信号PCを生成することがある。生成した仮想静止位置信号PCは、突起物がシェル20の内周に均等に分布する場合に、記録されている位置信号サンプル値の時系列で均等に分布されるように挿入される。これは、図30に示すように、均等に分布するL個の静止位置を示す記録されている位置信号サンプル値の時系列をもたらすという利点がある。図30の例では、4個の突起物が存在する、すなわちL=4であるため、記録されている位置信号サンプル値の時系列は4個の静止位置P1、P2、P3、及びP4=PLを示す。L個の静止位置信号Ps、Pcは、その後基準位置信号として使用可能である。イベント信号シグネチャはまた、振動信号サンプル値の時系列で1回転につきL回発生することになり、イベント信号シグネチャの発生は、1つの静止位置信号Ps、Pc又は2つの静止位置信号Ps、Pcに関連して分析可能である。
【0312】
上記のように、図19A及び図19Bに関連して、転動ミルを空の状態から起動するとき、初期内部ステータスインジケータオブジェクトは、ミルの本当に最初に検出された先端位置205を表す初期極角Φ(1)で現れることが観察されている。実験的測定に基づくと、初期極角Φ(1)が基準先端位置値として使用され得るようである。したがって、初期極角Φ(1)は基準先端位置値ΦTRと呼ばれることがある。その内部状態が図19A及び図19Bにより示されるディスプレイ210Sによって示される特定の転動ミルの場合、基準先端位置は、図19A及び図19Bに見られるように、約47度の角度値ΦTRに対応する。図2及び図14を参照すると、基準先端位置値ΦTRの角度値は、位置マーカ180が角度位置に関して異なる配置に物理的に移動される場合に数値的に異なる角度値に変更されることになると考えられる。
図30を参照すると、位置マーカ180は、突起物310が垂直線960のそばを通過するときに、初期極角Φ(1)=ΦTRが転動ミルを空の状態から起動するときにミルの本当に最初に検出された先端位置を表すため、位置センサ170が、基準先端位置値ΦTRに非常に小さな値、又はゼロ値をとらせることになる回転マーカ信号値Pを生成するようにシェル20の外面に設けられると考えられる。 これに関連して、ゼロ度絶対先端位置X6を、先端がシェル20の最下部にあるときに、回転軸60からの垂直線960で示される位置に表すことができる(図2と併せて図30参照)。
図30図2、並びに図14A及び図14Bを参照すると、基準先端位置値ΦTRの角度値は、位置マーカ180が角度位置に関して異なる配置に物理的に移動される場合に数値的に異なる角度値に変更されることになると考えられる。
【0313】
図31は、ステータスパラメータ抽出器450Cと称されるステータスパラメータ抽出器450の別の例を示すブロック図である。ステータスパラメータ抽出器450Cは、以下で考察するように、とりわけ振動イベントシグネチャ検出器及び位置信号値検出器及び関係生成器を備えることがある。振動イベントシグネチャ検出器は、以下で考察するように、ピーク検出器によって具体化されることがある。
【0314】
この文書に開示される解決策の態様によれば、基準位置信号値Ep、1、1Cが、回転可能なシェル20のL個の所定の回転位置で生成され、L個の所定の回転位置はシェル20内のL個の突起物310の角度位置を反映するパターンに従う。そのような基準位置信号値Ep、1、1Cを、本明細書に開示される方法で振動イベントシグネチャ検出を行うのと同時に提供することは、有利に正確な方法で先端部分205の位置を示すデータを生成することを可能にする。
等間隔パターンで配置される、すなわちシェル20内で均等に分布する突起物310で例示されているが、この解決策は、シェル20内のL個の突起物310の角度位置の他のパターンでも実行可能である。シェル内のL個の突起物310の角度位置の他のパターンが使用される場合、基準位置信号値Ep、1、1Cが、シェル20内のL個の突起物310の角度位置を反映するパターンに従う、回転可能なシェル20のL個の所定の回転位置で生成されることが重要である。
【0315】
図5を参照すると、A/D変換器330は、対応する位置信号値P(i)と関連付けられた一連の振動測定値S(i)のペアを、ステータスパラメータ抽出器450に送出するように構成されることがある。
【0316】
図31のステータスパラメータ抽出器450Cは、測定値S(i)の系列及び位置信号P(i)の系列を、これらの間の時間的関係とともに受信するように適合される。
したがって、個々の測定値S(i)が対応する位置値P(i)と関連付けられている。そのような信号ペアS(i)及びP(i)はメモリ970に供給される。図31を参照すると、ステータスパラメータ抽出器450Cはメモリ970を備える。
メモリ970は、受信信号中のイベントの発生間の時間的関係の分析を可能にするために、信号ペアS(i)及びP(i)の形でデータを受信するように動作することがある。表3の列#2及び#3は、シェル20内にL=6個の突起物310が存在するために位置信号1、1Cが1回転につき6回提供される場合に、シェルが完全に1回転する間にメモリ970に収集されるデータの例を示す。表4及び表5は、表3の最初の1280個のタイムスロットにおける例示的な信号値に関するより詳細な情報を提供する。
【0317】
位置信号1、1Cは、物理的なマーカデバイス180によって生成されることがある及び/又は一部の位置信号1Cは仮想位置信号である場合がある。位置信号サンプル値P(i)、P(j)、P(q)の時系列は、シェル20内の突起物310の角度位置を反映する発生パターンで提供される必要がある。
例えば、シェル20内に6個(L=6)の等距離の突起物310が存在する場合、任意の2つの隣接する突起物310間の角距離は60度である。これは、360度が1回転であり、L=6の場合、任意の2つの隣接する突起物間の角距離は360/L=360/6=60である。よって、シェル20の全回転を表す対応する位置信号サンプル値P(i)の時系列は、表3に示すように対応する発生パターンを有する6個(L=6)の位置信号値1、1Cを含む必要がある。
【0318】
ステータスパラメータ抽出器450Cは更に、位置信号値検出器980及び振動イベントシグネチャ検出器990を備える。振動イベントシグネチャ検出器990は、受信した測定値S(i)の系列に振幅ピーク値などの振動信号イベントを検出するように構成されることがある。
【0319】
位置信号値検出器980の出力は、基準信号時間カウンタ1010のSTART/STOP入力995に、及びイベントシグネチャ時間カウンタ1020のSTART入力1015に結合される。位置信号値検出器980の出力はまた、分析対象期間の開始と終了を示すために振動イベントシグネチャ検出器990のSTART/STOP入力1023に結合されることがある。検出器990は、位置信号値1、1Cが検出されるとその出力で送信する。
【0320】
振動イベントシグネチャ検出器990は、2つの連続する位置信号値1、1C間の全てのサンプル値S(i)を、その中の最大ピーク振幅値Spを検出するために分析するように構成されている。振動イベントシグネチャ検出器990は、イベントシグネチャ時間カウンタ1020のSTOP入力1025に結合されている第1の出力1021を有する。
【0321】
基準信号時間カウンタ1010は、2つの連続する位置信号値1、1C間の期間をカウントするように構成されており、これにより第1の基準期間値TREF1を出力1030に生成する。これは、例えば基準信号時間カウンタ1010が2つの連続する位置信号値1、1C間の時間的期間をカウントするタイマーであることによって達成されることがある。図14Bを参照すると、第1の基準期間値TREF1は、このようにして静止位置信号P4と静止位置信号P5との間の時間的期間を示すことがある。
代替的に、基準信号時間カウンタ1010は、2つの連続する位置信号値1、1C間のタイムスロットの数(表3の列#01参照)をカウントすることがある。
【0322】
イベントシグネチャ時間カウンタ1020は、位置信号値1、1Cの発生から振幅ピーク値などの振動信号イベントの発生までの期間をカウントするように構成されている。これは以下の方法で達成されることがある。
イベントシグネチャ時間カウンタ1020は、位置信号値検出器980が位置信号値1、1Cの発生を検出したという情報をSTART入力1015で受信したときにカウントを開始する。
イベントシグネチャ時間カウンタ1020は、振動イベントシグネチャ検出器990が受信した測定値S(i)の系列に振幅ピーク値などの振動信号イベントを検出したという情報をSTOP入力1025で受信したときにカウントを終了する。
このように、イベントシグネチャ時間カウンタ1020は、位置信号値1、1Cの発生から振幅ピーク値の発生までの時間的期間をカウントするように構成されることがある。ここで位置信号値1、1Cの発生から振幅ピーク値の発生までの時間的期間は第2の基準期間値TREF2と称される。第2の基準期間値TREF2は、出力1040で送出されることがある。図14Bを参照すると、第2の基準期間値TREF2は、このように静止位置信号P4の発生と振幅ピーク値の発生との間の時間的期間を示すことがある。
【0323】
図31を参照すると、出力1040は、関係生成器1050の入力に、第2の基準期間値TREF2を関係生成器1050に提供するために結合されている。
関係生成器1050はまた、第1の基準期間値TREF1を基準信号時間カウンタ1010の出力1030から受信するために結合された入力を有する。関係生成器1050は、受信した第2の基準期間値TREF2及び受信した第1の基準期間値TREF1に基づいて関係値Xlを生成するように構成されている。関係値Xlは、R(r);T;FI(r)と称されることもある。関係値Xlは、シェル20の1回転につきL回生成されることがある。また、シェルの1回転からL回生成される関係値Xlは、シェル20の1回転あたりの1つの値X1(r)を生成するために平均化されることがある。このように、ステータスパラメータ抽出器450Cは、1回転につき1回更新された値X1(r)を送出するように構成されることがある。
【0324】
明確にするために、関係値Xlの例が以下の方法で生成される。図31と併せて表4の列#03を参照のこと。振動サンプル値S(i)は、振動信号シグネチャSFIMPの検出について、振動イベントシグネチャ検出器990によって分析される。
【0325】
振動信号シグネチャSFIMPは、ピーク振幅サンプル値Spを呈することがある。表5を参照すると、ピーク値分析は、最大振動サンプル振幅値S(i)の検出につながる。図示される例では、振動サンプル振幅値S(i=760)は最大ピーク値Spを保持するように検出される。
【0326】
ピーク値Spがタイムスロット760にあることを検出した後、時間的関係値Xlを確立することができる。
【0327】
表5では、位置信号サンプル値P(i)の時系列における、位置信号値1、1Cを搬送するタイムスロットは、それぞれ0%及び100%と示されている。
表5の列#02の例に示すように、スロット番号i=760の時間的位置は、スロットi=0とスロットi=1280の間の時間的距離の位置59%にある。表現を変えると、760/1280=0.59=59%。
よって、2つの隣接する静止位置PC(表5と併せて図14Bの静止位置P4及びP5参照)間の距離のパーセンテージとして表される先端205の位置を、
サンプル番号N=0における第1の基準信号発生からサンプル番号N=1280における第2の基準信号発生までの総サンプル数(N-N=N-0=N=1280)をカウントし、
=0における第1の基準信号発生からサンプル番号Nにおけるピーク振幅値Spの発生までの別のサンプル数(N-N=N-0=N)をカウントし、
別のサンプル数N及び総サンプル数Nに基づいて第1の時間的関係(Xl;R(r);T;FI(r))を生成すること
によって得ることができる。これは、
X1(r)=R(r)=R(760)=(N-N)/(N-N)=(760-0)/(1280-0)=0.59=59%
とまとめることができる。
【0328】
したがって、相対先端位置Xl、Rが、
第1の基準信号発生から第2の基準信号発生までの総サンプル数(N)をカウントし、
第1の基準信号発生からサンプル番号Nにおけるピーク振幅値Spの発生までの別のサンプル数(N)をカウントし、
サンプル数N及び総サンプル数、すなわちNに基づいて第1の時間的関係(Xl;R(r);T;FI(r))を生成する
ことによって生成されることがある。
【0329】
関係生成器1050は、シェル20の回転速度に依存する送出頻度で関係値Xlの更新を生成することがある。
上記のように、ステータスパラメータ抽出器450Cは、更新された値X1(r)を1回転につき1回送出するように構成されることがある。このように、送出した更新値X1(r)が、1回転の間に生成されるL個の値に基づくことがある。第1の内部ステータスパラメータX1(r)の最新の更新、番号rは、第1のステータスパラメータ抽出器出力1060で送出されることがある。
【0330】
図31を参照すると、振動イベントシグネチャ検出器990は、ピーク振幅サンプル値Spを検出するように構成されることがある。振動イベントシグネチャ検出器990は、検出した振動信号振幅ピーク値Spを送出するための出力1070を有する。検出した振動信号振幅ピーク値Spは、振動信号ピーク振幅検出器990の出力1070からステータスパラメータ抽出器450Cの出力1080に送出されることがある。出力1080は、Sp(r)とも称される第2の内部ステータスパラメータX2(r)の送出のための第2のステータスパラメータ抽出器出力を構成する。第2の内部ステータスパラメータX2(r)は、第1の内部ステータスパラメータX1(r)と同じ送出頻度で送出される。
また、第1の内部ステータスパラメータX1(r)及び第2の内部ステータスパラメータX2(r)は、好ましくは内部ステータスパラメータデータのセットとして同時に送出される。記号X1(r)において、「r」はタイムスロットを示すサンプル番号である、すなわち「r」の数値の増加は、表3の列#01の数「i」と同じように時間的進行を示す。
【0331】
この文書の他の部分で述べたように、振動信号シグネチャSFIMPのピーク振幅サンプル値Spの大きさは、衝撃力FIMPの大きさに依存すると思われる。回転運動する突起物310と材料充填物30との相互作用の衝撃力FIMPは、材料充填物30の先端部分205にある少なくとも1つの粒子の加速を引き起こし、衝撃は機械的衝撃振動VIMPを引き起こす。図2を参照すると、突起物310Cの先端部分205の材料の質量との衝突によって、先端部分の材料の質量が方向AACCに加速することに留意されたい。方向AACCは突起物310Cが移動する方向である。この加速は突起物310Cの前縁面312Cに対する力FIMPを生じさせる。この衝撃力FIMPは、大きさが
IMP=m205*a205
であると推定されることがあり、
ここでm205は先端の加速される部分の質量であり、 a205はその先端の部分の加速度の量である。
【0332】
上記に鑑み発明者は、検出したピーク振幅サンプル値Spが転動ミル10内の充填物の密度を示し得るという利点があると結論付けた。
これに関連して、充填材料30の固体材料110中の所望の金属の含有量が、この文書中で表1に関連して考察されるように、転動ミル10内の充填物の密度に影響を及ぼすことに留意されたい。したがって、転動ミル10内の充填物の密度は、転動ミル10内の充填物中の所望の金属と廃棄鉱物との関係を示すことがある。
よって発明者は、検出したピーク振幅サンプル値Spの大きさが、転動ミル10内の充填物中の所望の金属と廃棄鉱物との関係を示し得るという利点があると結論付けた。
【0333】
また、発明者は、検出したピーク振幅サンプル値の大きさSpと、先端位置を示すデータ、すなわち上記の関係値Xlとの組み合わせが転動ミル10の充填度を示し得るという利点があると結論付けた。
【0334】
これに関連して、転動ミル10の充填度が粉砕プロセスの効率に影響を及ぼすことに留意されたい。したがって、転動ミル10からの出力材料95の量を最大化するために、最適化された充填度を含む、転動ミルプロセスの最適状態を維持するように入力材料110の流入を制御することは望ましい。転動ミルプロセスの最適な内部状態は、シェル20の特定の充填度、すなわち特定の充填体積を含むことがある。
よって、固体材料供給速度設定点RSSPは、関係値X1(r)と検出したピーク振幅サンプル値X2(r)の大きさとの組み合わせに応じて制御されることがある。
【0335】
また、発明者は、検出したピーク振幅サンプル値の大きさSp(r)=X2(r)と、先端位置を示すデータ、すなわち上記の関係値X1(r)との組み合わせが、転動ミル10の絶対先端位置値X6(r)を示し得るという利点があると結論付けた。
【0336】
【表7】
【0337】
図19A及び図19Bには、徐々に増加する極角X1(r)=FI(r)と徐々に増加する動径値X2(r)=S(r)との組み合わせにより、最初の内部ステータスインジケータオブジェクト550(1)から始まる図19Aの曲がった矢印560Aで示されるように外側に渦巻くスパイラルアームの画像が描写される。最初の内部ステータスインジケータオブジェクト550(1)の初期極角Φ(1)から現在又は最新の検出先端位置FI(r)までのスパイラルアームの「角度長さ」X6(r)が、先端部分205の絶対位置X6(r)を示しているように思われる(例えば図2及び図14参照)。これに関連して、図19Aの極座標系520における360度は、図14Bに関連して考察したように、2つの隣接する静的基準位置間の距離の100%を示す相対先端位置値X1に対応することに留意されたい。
具体的には、図19A及び図19Bを参照すると、絶対先端位置X6の変化にある程度の遅さが存在することに留意されたい。
【0338】
図32は、複数の入力U1、...Ukを受信し、複数の出力Y1、...Ynを生成するボックス10として示された転動ミルを備えるシステム5、320、770のブロック図である。図32及び図1Cを参照すると、分析のために、転動ミル10が入力パラメータU1、U2、U3、...Uk(ここで添え字kは正の整数である)と称される複数の入力変数を有するブラックボックス10Bと見なされ得ることに留意されたい。転動ミル10、10Bの動作中、転動ミルは内部状態Xを有し、分析のために、転動ミル10は、出力パラメータY1、Y2、Y3、...Yn(ここで添え字nは正の整数である)とも称される複数の出力変数を有するブラックボックス10Bと見なされることがある。
ミルの内部状態Xは、複数の内部状態パラメータX1、X2、X3、...、Xm(ここで添え字mは正の整数である)で記述される、又は示されることがある。
【0339】
線形代数学の用語を使用して、入力変数U1、U2、U3、...Ukは、まとめて入力ベクトルUと称されることがある。したがって、入力ベクトルUの次元はk:
入力ベクトルU:Dim(U)=k
【0340】
同様に、内部状態パラメータX1、X2、X3、...、Xmは、まとめて内部状態ベクトルXと称されることがある。
内部状態ベクトルXの次元はm:
内部状態ベクトルX:Dim(X)=m
【0341】
出力パラメータY1、Y2、Y3、...Ynは、まとめて出力ベクトルYと称されることがある。
出力ベクトルYの次元はn:
出力ベクトルY:Dim(Y)=n
【0342】
rと呼ばれる時点のミル10の内部状態Xは、X(r)と称される可能性がある。その内部状態X(r)は、以上で考察したように、複数の内部状態パラメータX1、X2、X3、...、Xmで記述される、又は示される可能性がある。これらの内部状態パラメータは、時刻rにおけるミル10の内部状態X(r)の様々な特徴を定義する。
【0343】
転動ミル10の内部状態X(r)は入力ベクトルU(r)に依存する。内部状態Xの1つの特徴はシェル20内の材料30の総量であり、その総量は瞬時には変化しない。したがって、ミル10の動作中、内部状態X(r)は、以前の内部状態X(r-1)及び入力U(r)の関数と見なされる可能性がある。
X(r)=f(X(r-1),U(r)) (式4)
ここでX(r-1)は、rと呼ばれる時点に先行する時点のミル10の内部状態Xを表す。
【0344】
転動ミル10の出力Yは、内部状態Xの関数と見なされる可能性がある。したがって、線形代数学の用語を使用して、出力ベクトルY(r)は内部状態ベクトルX(r)に依存する。
Y(r)=f(X(r)) (式5)
【0345】
この文書のある態様の目的は、ミル10の内部粉砕プロセスをどのようにして適切な動作点に維持するかという問題に対処することである。したがって、ミル10の動作中、そのような動作点からの乖離に対抗するのが望ましい場合がある。この問題は、ある動作点における粉砕プロセスの線形化モデルを提供することによって対処されることがある。上記関数f及びfをそれぞれ適切な動作点近くの動作点で注視するとき、関数は線形である場合がある。よって、選択した動作点において、内部状態X(r)は、以下のように記述され得る線形モデルに従う以前の内部状態X(r-1)と入力U(r)の関数と見なされる可能性がある。
X(r)=A*X(r-1)+B*U(r) (式6)
ここでA及びBは係数行列である。
これに関連して、線形代数学では、係数行列とは一次方程式の集合における変数の係数からなる行列であることに留意されたい。この文書の熟練した読者が知っているように、係数行列は連立一次方程式を解く際に使用される。
これに関連して、行列A及びB内の係数はそれぞれ定数であり得ることに留意されたい。
【0346】
同様に、選択した動作点において、出力ベクトルY(r)は、以下のように記述され得る線形モデルに従う内部状態ベクトルX(r)に依存する。
Y(r)=C*X(r) (式7)
ここでCは係数行列である。
ただし式7は、恐らく時々、内部状態Xの変化の発生から生成物95、96の状態Y(r)の対応する変化の発生までに遅延が存在し得るため、状態Xの変化が状態Yの変化に直ちに伝えられる必要があることを意味しない。しかしながら、定常状態で動作する場合、時刻rにミル10に発生する粉砕プロセスの内部状態Xと、同じ時刻rにおける生成物95、96の状態Y(r)との間には因果関係があると思われる。したがって、式7は、少なくとも転動ミル10を定常状態で動作させる場合に有効である。
【0347】
式7を参照すると、行列C内の係数は定数である場合がある。行列C内の係数の定数値は、選択した動作点XOPにおける導関数C=dY/dXに設定されることがある。
【0348】
図32を参照すると、システムは、次元m(mは正の整数である)の内部状態ベクトルXを生成するための監視モジュール150Aを備える。ある例ではDim(X)が少なくとも2である。内部状態ベクトルXの値は、図1Aから図31のいずれかに関連して以上で開示したように生成されることがある。
【0349】
監視モジュール150Aは、ミル10の動作中のミルの内部状態Xを記述する情報を、矢印1122で示すように、例えばユーザインターフェイス210を介して伝達する(1122)ように適合されることがある。したがって、内部状態ベクトルXの1つ又はいくつかの値がオペレータ230にユーザインターフェイス210を介して伝達されることがある。これは、ミル10のオペレータ230が入力ベクトルUに影響を与えるために設定点値(SPの添え字が付される)を適切に調整する(1124)ことを単純化するという利点がある。したがって、例えば速度設定点値U1SPを調整することによって(図1Bと併せて図32参照)、オペレータ230は速度fROT、U1を調整することができる。
このようにオペレータは、関連する設定点値USPを調整することによって、対応する入力変数U1、U2、U3、...Ukを調整することができる。
設定点値U1SP、U2SP、U3SP、...Ukは、まとめて設定点ベクトルUSPと称されることがある。したがって、設定点ベクトルUSPの次元はkである。
設定点ベクトルUSP:Dim(USP)=k
【0350】
図32のシステム5、320、770は、この開示に記載の他の実施形態のいずれかに、例えば図1から図31のいずれかに関連して説明される監視モジュール150Aを備えることがある。
【0351】
図33は、複数の入力U1、...Ukを受信し、複数の出力Y1、...Ynを生成するボックス10として示された転動ミルを備える別のシステム730、940、950のブロック図である。
図33のシステム940は、この開示に記載の他の実施形態のいずれかに、例えば図1から図31のいずれかに関連して説明される監視モジュール150Aを備えることがある。また、図33のシステム940は、この開示に記載の他の実施形態のいずれかに、例えば図28に関連して説明される制御モジュール150Bを備えることがある。
【0352】
図33の監視モジュール150Aは、ミル10の動作中のミルの内部状態Xを記述する情報を、例えばユーザインターフェイス210を介して伝達するように適合されることがある。したがって、内部状態ベクトルXの1つ又はいくつかの値が、矢印1122で示すように、オペレータ230にユーザインターフェイス210を介して伝達される(1122)ことがある。これは、ミル10のオペレータ230がミル10の動作中のミルの内部状態Xに影響を与えるためにミル設定点値U及び/又は内部状態基準値XREF(REFの添え字が付される)を適切に調整する(1126)ことを単純化するという利点がある。矢印1126は、例えば所望の内部状態XREFに関連するユーザ入力を示す。内部状態基準パラメータX1REF、X2REF、X3REF、...、XmREFは、まとめて内部状態基準ベクトルXREFと称されることがある。
【0353】
内部状態基準ベクトルXREFの次元はmである。
内部状態基準ベクトルXREF:Dim(XREF)=m
このように、オペレータ230は、ミル設定点値U及び/又は関連する内部状態基準パラメータ値X1REF、X2REF、X3REF、...、XmREFを調整することによって、ミル10の動作中のミルの内部状態Xに影響を与えることができる。したがって、ユーザインターフェイス210は、ユーザ入力に応答して、内部状態基準ベクトルXREFの値を生成するように構成されることがある。
【0354】
内部状態基準ベクトルXREFは、図33に示すように制御モジュール150Bの基準入力に送出される。図26と併せて図33を参照すると、制御モジュール150Bは、監視モジュール150Aから上記の内部状態ベクトルXも受信する多変数制御モジュールである。
【0355】
これに関連して、内部状態ベクトルXは、ミル10内の粉砕プロセスの現在の状態を示すことがあり、内部状態基準ベクトルXREFは、粉砕プロセスの所望の状態を示す。
【0356】
多変数制御モジュール150Bは、受信した内部状態基準ベクトルXREF及び受信した内部状態ベクトルXに基づいて内部状態誤差ベクトルXERRを生成するように適合されることがある。
内部状態誤差ベクトルXERRは、内部状態誤差値X1ERR、X2ERR、X3ERR、...、XmERRを含む。
内部状態誤差ベクトルXERRの次元はmである。
内部状態誤差ベクトルXERR:Dim(XERR)=m
【0357】
誤差ベクトルは調整器755、755Cに送出される。図33の調整器755、755Cは、設定点ベクトルUSPを生成するように適合された多変数調整器である。よって、設定点ベクトルUSPは、対応する入力変数U1、U2、U3、...Ukを制御又は調整するために上記の設定点値を含む(図34と併せて図33参照)。
【0358】
したがって、図33に関連して説明するシステムは、オペレータが、例えば上記の内部状態基準ベクトルXREFの基準値の形態をとる、所望の内部状態を記述する情報を提供する(1126)ことも可能にしながら、ミル10のオペレータ230が動作中のミルの内部状態Xを示す情報を伝達する(1122)ことを単純化するという利点がある。
【0359】
調整器755、755Cは、多変数比例・積分・微分コントローラ(PIDコントローラ)を備えるように構成された多変数調整器である場合がある。代替的に、調整器755、755Cは、多変数比例・積分コントローラ(PIコントローラ)を備えるように構成されることがある。代替的に、調整器755、755Cは、多変数比例コントローラ(Pコントローラ)を備えるように構成されることがある。
【0360】
代替的に、調整器755、755Cは、線形二次推定(LQE)としても知られているカルマンフィルタリングを含むように構成されることがある。カルマンフィルタリングは、統計ノイズ及び他の不正確さを含む、経時的に観察される一連の測定値を使用し、単一の測定値のみに基づいたものより正確な傾向がある未知の変数の推定値を、各タイムフレームについて変数に関する同時確立分布を推定することによって生成するアルゴリズムである。
【0361】
図34は、転動ミル10を備えるシステム1130の別のやや図式的な図を示す。したがって、参照番号1130は、この文書において考察される回転可能なシェル20を有するミル10を備えるシステムに関連する。図34のシステム1130は、図1A及び/又は図1Bに関連して以上で説明したように及び/又はこの開示に記載の他の例のいずれかに、例えば図1から図33に関連して説明するように部品を備え構成されることがある。
【0362】
監視モジュール150Aは、内部状態パラメータX1、X2、X3、...、Xmを生成するための、この文書の他の部分に記載のステータスパラメータ抽出器機能を備えることがある。rと呼ばれる時点のミル10の内部状態XはX(r)と称され得ることに留意すべきである。その内部状態X(r)は、時刻rにおけるミル10の内部状態X(r)の様々な特徴を定義する複数のパラメータ値で記述される、又は示される可能性がある。したがって、時刻rにおける内部状態パラメータX1、X2、X3、...、Xmの値が、まとめて内部状態ベクトルX(r)と称されることがある。
【0363】
図34に示すシステムは、統合HCI210、250、210Sを提供することがある。したがって、図34の入出力インターフェイス210は、上記の入力及び/又は出力の全てを可能にするように構成されることがある。また、図34の入出力インターフェイス210は、出力材料の状態に関する情報を提供する(1132)ように構成されることがある。出力材料の状態は、まとめて出力ベクトルYと称される出力パラメータY1、Y2、Y3、...Ynによって記述されることがある。上述のように、出力ベクトルYの次元はnである。
出力ベクトルY:Dim(Y)=n
ベクトルYは、排出材料状態ベクトルYと称されることもある。
【0364】
図34のシステム1130は調整器1190を備える。調整器1190は、この文書の他の部分で説明される調整器240を参照して説明された全ての機能を可能にするように構成されることがある。代替的に、調整器1190は、この文書の他の部分で説明される調整器755を参照して説明された全ての機能を可能にするように構成されることがある。調整器240及び/又は調整器755で説明された機能に加えて、調整器1190は、例えば出力パラメータY1、Y2、Y3、...Ynの形態をとる、出力材料95、96に関する情報を伝達及び/又は受信するなどの追加の機能を実行するように構成されることがある。したがって、調整器1190は、参照番号240C及び/又は755Cで参照されることもある。
したがって、調整器1190は、矢印1132で示すように、出力材料95、96に関する情報をミルオペレータ230に伝達するように構成されることがある。また、調整器1190は、矢印1196で示すように、出力材料95、96に関する情報をミルオペレータ230から受信するように構成されることがある。
【0365】
図35は、図34の入出力インターフェイス210により伝達され得る情報の概略的概要である。図34及び図35を参照すると、図34の調整器1190、755Cが、入出力インターフェイス210とのデータ交換のためにカップリング1100を介して結合されることに留意されたい。カップリング1100を介して伝送される情報は、上記の内部状態基準ベクトルXREFの基準値を含む。
【0366】
図34を参照すると、システム1130は、生成物粒子96の少なくとも一部を分析するように構成された生成物分析器1140を備える。分析器1140は、生成物粒子分析に基づいて少なくとも1つの生成物測定値Y1、Y2、Y3、...Ynを生成するように構成されている。
【0367】
実際、少なくとも1つの出力材料測定値Y1、Y2、Y3、...Ynは、出力材料95の瞬間的な状態である排出材料状態Yを示すことがある。分析器1140が2つ以上の出力材料測定値を提供するとき、これらの値は上述の出力ベクトルYの形態で提供されることがある。
【0368】
少なくとも1つの生成物測定値は、例えば生成物排出速度RSDisを示す値を含むことがある。生成物排出速度RSDisは、出力パラメータY1と称されることもある。
【0369】
出力材料95の瞬間的な状態、すなわち排出材料状態Yは、少なくとも1つの出力材料測定値Y1、Y2、Y3、...Ynの測定によって特定されることがある。実際、排出材料状態(Y)を示す情報を得るために、2つ以上の出力材料測定値を生成することが望ましい場合がある。
【0370】
少なくとも1つの出力材料測定値は、以下の群から選択される1つ又は多くである場合がある。
出力材料95の時間単位あたりの質量を示す値Y1;Y2;
生成物粒子96の時間単位あたりの質量を示す値Y1;Y2;
中央粒度を示す値Y1;Y2;
粒度が所定の生成物粒子粒度限界を下回る生成物粒子96の時間単位あたりの質量を示す値Y1;Y2;
生成物粒子粒度が下側生成物粒子粒度限界と上側生成物粒子粒度限界の範囲内にある生成物粒子の割合、又はパーセンテージシェアを示す値Y1;Y2;
生成物粒子粒度が下側生成物粒子粒度限界と上側生成物粒子粒度限界の範囲内にある生成物粒子の総計、すなわち生成物粒子の数を示す値Y1;Y2;
標準偏差などの生成物粒子粒度分布Yを示す値Y1;Y2;及び
生成物粒子粒度Y1;Y2を示す値Y1;Y2。
【0371】
生成物粒子粒度Y1;Y2は、以下の群から選択される少なくとも1つである場合がある。
生成物粒子中央粒度値;
生成物粒子平均粒度値;
生成物粒子中央粒径値;及び
生成物粒子平均粒径値。
【0372】
生成物粒子粒度限界値は、以下の群から選択される少なくとも1つである場合がある。
生成物粒径値;及び
生成物粒子最大幅値。
【0373】
生成物粒子粒度分布Yを示す値Y1;Y2は、以下の群から選択される少なくとも1つである場合がある。
標準偏差値;
分散値;
最大粒度と最小粒度の間の範囲;
四分位範囲。
【0374】
最小粒度値と最大粒度値との間の範囲は、
30ミクロン~20ミリメートル;
150ミクロン~300ミクロン;
200ミクロン~220ミクロン;及び/又は
0ミリメートル~40ミリメートル
である場合がある。
【0375】
したがって、生成物分析器1140は、生成物粒子分析に基づいて少なくとも1つの生成物測定値Y1、Y2、Y3、...Ynを生成するために、生成物粒子96の少なくとも一部を分析するように構成されることがある。少なくとも1つの生成物測定値Y1、Y2、Y3、...Ynに、少なくとも1つの生成物測定値Y1、Y2、Y3、...Ynが生成された時点を示す情報が付与されることがある。
【0376】
また、wと呼ばれる時点における排出材料状態Yは、Y(w)と称される可能性がある。その排出材料状態Y(w)は、時刻wにミル10から排出される材料95、96の様々な特徴を定義する複数のパラメータ値Y1(w)、Y2(w)、Y3(w)、...Yn(w)で記述される、又は示される可能性がある。したがって、時刻wにおける排出材料パラメータ値Y1、Y2、Y3、...Ynの値が、まとめて出力ベクトルY(w)とも称される排出材料状態ベクトルY(w)と称されることがある。
【0377】
上記のように、ある特定の内部状態X(r)とある特定の出力Y(r)との間に因果関係があるため、転動ミル10の出力Yは内部状態Xの関数と見なされる可能性がある。
【0378】
図34を参照すると、出力ベクトルYは相関器150C1の第1の入力に送出されることがある。また、内部状態ベクトルXは、モジュール150Aによって相関器150C1の第2の入力に送出されることがある。相関器150C1は、内部状態Xと対応する出力Yとの対応を特定するように構成されている。
【0379】
しかしながら、関連付けを実行するために、出力Y(w)の測定値が内部状態X(r)と少なくともほぼ同じ時点を参照することを保証することが望ましい。換言すれば、内部状態ベクトルX(r)の値は、対応する出力ベクトルY(w)の値と同期させる必要があることがある。図34を参照すると、出力ベクトルY(w)は、任意選択的な同期装置1150の第1の入力に送出されることがある。同期装置1150が任意選択的であるのは、例えば内部状態ベクトルX(r)及び対応する出力ベクトルY(w)が、
時点wが時点rと同じ時点となるように、又は
時点wが時点rと少なくともほぼ同じ時点となるように、
同期して生成されるときに必要とされないことがあるためである。
【0380】
時間的に同期させたベクトルX(t)及びY(t)が、図34に示すように、相関データ生成器1160によって受信される。
【0381】
相関データ生成器1160は相関データセット1170を生成する。ある例によれば、相関データ生成器1160は、
例えばX1(t)などの受信した少なくとも1つのステータスパラメータ値と、
例えばY2(t)などの受信した少なくとも1つの対応する生成物測定値と、
の関連付けを実行することによって相関データセットを生成する。
【0382】
相関データ生成器1160は、複数のタイムスタンプ付き内部状態ベクトルX(r)及び対応する複数のタイムスタンプ付き出力ベクトルY(w)を受信することがある。受信される情報ベクトルは、X(10)、Y(12)、X(14)、Y(16)、X(18)、Y(20)、X(22)、Y(24)など時間的に交互に受信されることがあり、同期装置1150は、2つの連続するベクトルYを受信する間の期間にベクトルXを受信する。それは、例えばベクトルX(18)がt=20とt=16の間の期間にタイムスタンプ付与され、YベクトルであるY(16)及びY(20)がそれぞれ時点t=16及びt=20でタイムスタンプ付与される場合である。ミル10を定常状態で動作させる場合、すなわちベクトルX及びYの全ての値が長期にわたって安定しているとき、同期装置1150は、生成されるベクトルX及びYのペアが同じタイムスタンプを持つようにタイムスタンプを調整することによって、ベクトルX及びYのペアを生成することがある。その同じタイムスタンプは、例えば中間タイムスタンプである場合がある。例えば同期装置1150は、上述のベクトルX(18)及びY(20)を受信するときに、それらを中間時点t=19がスタンプ付与されたベクトルペアとして設定することがある。したがって、同期装置1150は、ベクトルX(t)及びY(t+2)の受信に応答して、ベクトルペアX(t+1)及びY(t+1)を生成し、相関データ生成器1160に送出することがある。
【0383】
また、Xベクトル及びYベクトルの送出頻度は異なることがある。この問題は、例えば、同期装置1150を
各タイムスタンプ付きベクトルYが、最も近く早いタイムスタンプを有するベクトルXと関連付けられるように、受信されるベクトルX及びYのペアを、相関データ生成器1160に送出する
ように構成することによって対処されることがある。結果として、同期装置1150は、一部のベクトルを破棄又は拒否する必要がある場合がある。
したがって、例えばXベクトルの送出頻度がYベクトルの送出頻度よりも低い場合に、同期装置1150は、以下のベクトルを受信することがあり、
ベクトルX(34)、
ベクトルY(36)、
ベクトルX(37)、
ベクトルY(38)、
ベクトルX(40)、
ベクトルY(40)、
ベクトルY(42)、
ベクトルX(43)、
ベクトルY(44)、
同期装置1150は、各タイムスタンプ付きベクトルYが、最も近く早いタイムスタンプを有するベクトルXと関連付けられるようにベクトルX及びYのペア1165を相関データ生成器1160に送出することがある。上記の例では、以下のペアは同期装置1150によって送出される可能性がある。
ベクトルX(34)、ベクトルY(36)、
ベクトルX(37)、ベクトルY(38)、
ベクトルX(40)、ベクトルY(40)、
ベクトルX(43)、ベクトルY(44)、そして結果として、ベクトルY(42)は破棄されることがある。
【0384】
以下の表7は、時間的順序で並べられた連続したベクトルX及びYのペア1165の例である。
【0385】
【表8】
【0386】
表7が示す連続したベクトルX及びYのペア1165の例は、先端位置X1を示す情報、及び対応する出力パラメータY2を示す情報を含む。出力パラメータY2は、転動ミルにより生成された粒子の中央値粒度を示す。
【0387】
相関データ生成器1160は、受信したベクトルX及びYのペア1165に基づいて関連付けを実行するように構成されることがある。ある例によれば、相関データ生成器1160は、多くの受信したベクトルX及びYのペア1165に基づいて回帰分析を実行するように構成されることがある。 回帰分析は、従属変数、すなわちベクトルYの値と、1つ以上の独立変数、すなわちベクトルXの値との間の関係を推定するための1つ又はいくつかの統計的プロセスを用いることがある。
【0388】
図36は、回転速度fROTで動作中のボールミル10のシェル20の断面図である。したがって、図36は、上記の図1A図2図14A図14B図23、及び図30の断面図と比較可能である。図36の転動ミル10はボールミルとして動作するため、充填材料30は、複数の粉砕ボール1168及び固体供給材料110、115を含む。充填材料30はまた、一部の例では水などの液体供給材料を含むことがある。
【0389】
図37は、一定又は実質的に一定の回転速度U1=fROT=18rpmで動作する、図36に示したものと同様のボールミルの多くの連続したベクトルX1及びY2のペア1165のプロットである。図37では、それぞれが値X1-Y1のペアを表す黒色点の密度は、X1=60度くらいの値で非常に高い。X1=60度くらいの値で黒色点の密度が高いことは、X1が60度又はそれに近い動作点でミルが頻繁に動作したことを示している。
X1=60は約260ミクロンの中央値粒度に対応することが分かる。黒色点の密度は、X1=40~50度くらいで低く、X1が40~50度の動作点でミルがあまり動作しなかったことを示している。
【0390】
図36と併せて図1Aを参照すると、ボールミルはRMIC=1930ミリメートルの半径を有し、28個の突起物310(図36に図示せず)を有していた。ボールミル10の動作中、粉砕ボールの量が一定又は実質的に一定に保たれるように設定又は選択される粉砕ボール供給速度U4が存在することがある。
【0391】
図34を参照すると、相関データ生成器1160は、図37に示すように受信した値X1及びY2のペア1165に基づいて、相関分析とも称される回帰分析を実行するように構成されることがある。
【0392】
回帰分析は、例えば線形回帰を採用することがある。線形回帰分析は、単一の従属変数Y2及び単一の独立変数、X1又はX6などに適用される場合、線形関係、すなわち特定の数学的基準に従ってデータに最もよく適合する線1180を特定するように動作することになる。例えば、通常の最小二乗法では、真のデータとその線の差の二乗和を最小化する一意の線1180を計算する。したがって、図37の線1180は、以上で考察したように、受信した値X1-Y1のペアに基づく線形回帰の結果の図である。
よって、相関器150C1が生成する相関データセット1170は、データのテーブル、あるいは一次方程式を含むことがある。
【0393】
図38は、生成された線形回帰結果のプロットである。したがって、図のプロットは、少なくともそのボールミルが一定の又は実質的に一定の回転速度fROT=18rpmで、0<X1<80度の動作点で動作するときのX1とY1との関係を示す特定された線1180を示す。したがって、相関データ生成器1160は、線形回帰分析が単一の従属変数Y2及び単一の独立変数に適用されたときの線形関係1180を示す相関データ1170を送出することがある。
【0394】
図34を参照すると、相関器150C1が生成する相関データセット1170は、内部状態基準値生成器150c2に送出されることがある。
内部状態基準値生成器150c2は、所望の値YREFを対応する内部状態基準値XREFに変換するために、受信した相関データ1170を使用するように構成されることがある。表8は、所望の値Y2REFを対応する内部状態基準値X1REFに変換するためのデータ変換テーブルの例の図である。実際には表8は、上記の表7の情報に対応する例示的なデータセットである。
【0395】
【表9】
【0396】
その例が表8で示される例示的な相関データテーブル1170は、先端位置を示す内部ステータスパラメータ値X1と、転動ミルが生成する粒子の中央値粒度を示す出力パラメータY2との相関関係を示す。
【0397】
多変数監視システムのより複雑な事例
図37及び図38は、単一の従属変数Y2及び単一の独立変数X1に適用される回帰分析の比較的単純な事例における相関データ生成器1160の機能を示す役割を果たす。実際、ボールミルは本質的に、具体的にはボールミルが以上で考察したように一定の又は実質的に一定の回転速度U1で動作する場合に、非ボールの転動ミルが示すよりも小さい先端位置の変化を示すものと思われる。
【0398】
一方、動作中の転動ミル10の内部状態Xの改善された監視及び/又は制御のための方法及びシステムを説明することも、この文書に開示される解決策及び例が対処すべき目的である。ミル転動ミル10が可変回転速度X5=U1で動作し、先端位置の変化X1も示す場合に、単一の従属変数Y2及び単一の独立変数X1に適用される上記の回帰分析では十分でない場合がある。しかしながら、この問題に対処するために、相関データ生成器1160は、回帰分析を
次元mの受信した内部状態ベクトルX(t)及び
次元nの受信した対応する出力ベクトルY(t)(m及びnは正の整数である)
を含む複数のデータペア1165に適用することがある。
【0399】
したがって、m個のステータスパラメータ値X1、X2、X3、...、Xmをn個の生成物測定値Y1、Y2、Y3、...Ynと関連付けたい場合に、相関データ生成器1160は、
受信した内部状態ベクトルX(t)と
受信した対応する出力ベクトルY(t)と
の関連付けを実行することによって設定した相関データ1170を生成するように構成されることがあり、
ここで
X(t)はm*1ベクトルであり、mは正の整数であり、
Y(t)はn*1ベクトルであり、nは正の整数である。
【0400】
よって、この事例では相関データ生成器1160は、特定の数学的基準に従ってデータに最もよく適合するより複雑な線形結合(すなわち線よりも複雑)を特定するために回帰分析を実行するように構成されることがある。例えば、相関データ生成器1160は、一意の超平面であって、受信したデータとその超平面の差の二乗和を最小化する超平面を計算するために、複数の次元mの受信したベクトルX(t)及び複数の次元nの受信した対応する出力ベクトルY(t)に適用される通常の最小二乗法を実行することがある。
【0401】
よって、相関データ生成器1160は、次元mのベクトルX(t)及び複数の次元nの受信した対応する出力ベクトルY(t)を受信する場合に、多次元相関データセット1170を生成するように構成されている。ある例によれば、多次元相関データセット1170は、上述の超平面を示すデータ1170として送出されることがある。代替的に、多次元相関データセット1170は、上記の式7に関連して考察したように、係数行列Cを示すデータ1170として送出されることがある。
【0402】
ある例によれば、相関データ生成器1160は、相関データセット1170を生成する場合の、線形二次推定(LQE)としても知られているカルマンフィルタリングを含むように構成されることがある。
【0403】
この解決策は、粉砕プロセスの内部状態Xと少なくとも1つの出力材料測定値Yとの因果関係の特定及び/又は決定を可能にするという利点を有する。
また、この解決策は、粉砕プロセスの内部状態Xと排出材料状態Yとの因果関係の特定及び/又は決定を可能にするという利点を有する。排出材料状態Yは生成物材料状態Yと称されることもある。
【0404】
この解決策は、所望の排出材料状態YREFの確定と、所望の排出材料状態YREFを引き起こす、もしくは生成する、又は所望の排出材料状態YREFにできるだけ近い排出材料状態Yを引き起こすもしくは生成する粉砕プロセスの内部状態XBEPを検索及び特定するために、粉砕プロセスの動作点XOPとも称される代替的な内部状態の検査とを可能にする点で汎用的である。そのような内部状態は最適動作点(Best Operating Point:BEP)と称されることがある。BEPにおけるパラメータの値は、まとめて内部状態BEPベクトルXBEPと称されることがある。
また、検出した瞬間的粉砕プロセス内部状態X(r)を対応する瞬間的排出材料状態Y(r)と関連付けて記録することで、
瞬間的粉砕プロセス内部状態X(r)と
対応する瞬間的排出材料状態Y(r)と
の相関関係を示す相関データが生成される。
検出した複数の互いに異なる瞬間的粉砕プロセス内部状態X(r)を、各瞬間的粉砕プロセス内部状態X(r)が引き起こした瞬間的排出材料状態Y(r)と関連付けて繰り返し記録することによって(ここでrは複数の様々な時点を示す数値変数である)、相関データセットが生成されることがある。そのような相関データセットは、
複数の瞬間的粉砕プロセス内部状態X(r)と
複数の対応する瞬間的排出材料状態Y(r)と
の相関関係を示す。
ボールミルのボールミル動作特性曲線、又はBMOC曲線は、図37及び図38などの、先端位置値が変化するときにボールミルにより生成される生成物粒子の中央値粒度(Y2)を示すグラフプロットである。
BMOC曲線は、様々な先端位置における生成物粒子の中央値粒度(Y2)に対して先端位置値をプロットすることによって作成される。
転動ミル動作点、又はXOP又はTOPは、転動ミルの動作特性内の特定点である。先端位置値が特定の転動ミル動作点(XOP、TOP)付近で先端位置値のある特定の範囲内で変化する場合に、先端位置値と生成物粒子粒度分布(Y)との間に線形関係があることが分かっている。この文書の文脈において、ミル動作領域(MOA)という用語は、そのような先端位置値のある特定の範囲を表すのに使用されることがある。
【0405】
転動ミルのミル動作特性曲線、又はMOC曲線は、ステータスパラメータ値(X1、X2、X3、X4、X5、X6、)の少なくとも1つが変化するときに転動ミルにより生成される生成物粒子の生成物粒子粒度分布(Y)を示すグラフプロットである。したがって、例えばMOC曲線は、例えばシェルの回転速度(fROT)が一定に保たれる場合に先端位置値に対する生成物粒子粒度分布(Y)の測度をプロットすることによって作成される。
【0406】
ボールミルにより生成される生成物粒子の中央値粒度(Y2)と
少なくとも先端位置値X1が先端位置値のある特定の範囲内で変化するときの先端位置値と
の間に線形関係があることが分かっている。
【0407】
図34を再度参照すると、内部状態基準値生成器150c2は、所望の値YREFを対応する内部状態基準値XREFに変換するために、受信した相関データ1170を使用するように構成されることがある。
【0408】
ミルを動作させるための相関データの使用
図34を参照すると、制御ルーム220にいるオペレータ230は、転動ミル10を動作させる任務を負っている。オペレータは、ミル10を動作させるために調整器1190を使用することがある。調整器1190は、図34に示すように、人間コンピュータインターフェイス(HCI)210Bとも称されるユーザインターフェイス210、210Bに結合されている。
【0409】
図34に示した例示的な制御ルーム220は、内部状態基準値生成器150c2及びユーザインターフェイス210、210B及び調整器755C又は調整器240Cを備える内部状態制御システム1200を備える。
【0410】
内部状態制御システム1200は、以下のステップを実行するように構成されることがある。
(ステップS3000:)ユーザインターフェイス210に、オペレータに所望の排出材料状態YREFを示すユーザ入力を提供するように要求する情報を伝達させる。所望の排出材料状態YREFを示すユーザ入力は、以上で考察したように、少なくとも1つの所望の出力材料測定値、Y1及び/又はY2などを示すことがある。例えば、ユーザ入力は、所望の生成物粒子中央値粒度Y2REF、及び/又は所望の生成物粒子粒度分布Y3REF、Y4REF、又は時間単位あたりの所望の出力材料量Y1REFを示すことがある。
この要求S3000は、調整器755Cに含まれるソフトウェアによって、又は調整器240Cに含まれるソフトウェアによって、又は内部状態基準値生成器150c2に含まれるソフトウェアによって生成されることがある。
【0411】
内部状態制御システム1200はまた、
(ステップS3005:)例えばユーザインターフェイス210を介して、所望の排出材料状態YREF及び/又は所望の生成物粒子中央値粒度Y2REF及び/又は所望の生成物粒子粒度分布Y2、Y3、Y4を示すデータを受信する
ように構成されることがある。
【0412】
また、内部状態制御システム1200は、以下のステップを含む方法を実行するように構成されることがある。
S3010:所望の排出材料状態YREF及び/又は所望の生成物粒子中央値粒度(Y2REF)及び/又は所望の生成物粒子粒度分布Y2REF、Y3REF、Y4REFに基づく先端位置基準値(X1REF;FIREF)、及び
相関データセット(1170)であって、
シェル回転速度(U1、fROT)における
ある特定の先端位置値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X6、ATOE(r))と
対応するある特定の生成物粒子中央値粒度(Y2)との因果関係を示す、
及び/又は
ある特定の内部状態XREF
対応するある特定の排出材料状態YREFとの因果関係を示す相関データセット(1170)
を生成する。
【0413】
対応する特定の排出材料状態YREFは、ある特定の生成物粒子粒度分布(Y2、Y3、Y4)を含むことがある。
【0414】
ステップS3010は、受信したデータのユーザインターフェイス210から内部状態基準値生成器150c2への送出を含むことがある(図34及び/又は図35及び/又は図39参照)。
【0415】
内部状態基準値生成器150c2は、以上で考察したように、所望の排出材料状態YREFに関するデータを、対応する所望の内部状態XREFを示すデータ及び/又は対応する所望の先端位置基準値X1REF(r)、FIREF(r)を示すデータに変換するように構成されている。
【0416】
図35と併せて図34を参照すると、内部状態制御システム1200はまた、
S3020:ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)に、対応する所望の排出材料状態YREFに関する情報及び/又は対応する所望の先端位置基準値(X1REF(r)、FIREF(r))を示すデータを伝達させ、
S3020:ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)に、例えば監視モジュール150Aから受信した、実際の先端位置値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X6、ATOE(r))を示す情報を伝達させ、
S3020:ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)を介して、固体材料供給速度(U2、R)に関する第1のユーザ入力を受信し、
S3020:固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を生成することによって、
所望の排出材料状態YREF
生成物粒子中央値粒度(Y2)
を制御する又はこれらに影響を及ぼすために内部状態(X)に影響を与える
ように構成されることがあり、
生成した固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)は、受信した第1のユーザ入力に基づいている。
【0417】
ある例によれば、受信した第1のユーザ入力に基づく、生成した固体材料供給速度設定点値U2SPは、回転するシェル(20)内の材料を、生成物粒子を粉砕プロセスの影響を受けた内部状態(X)に対応する生成物粒子中央値粒度(Y2)を有するように生成させるために影響を受けた内部状態(X)で転動させる。
【0418】
改善された粉砕プロセス情報コンテンツを監視しオペレータに提供するためのシステム
図39は、ミル10の内部状態Xの監視のための、及び改善された情報コンテンツをミル10のオペレータ230に提供するためのシステム1130のブロック図である。
【0419】
システム1130は、図34から図38に関連して以上で考察したように転動ミル10を備える。図39では、システム1130は、複数の入力U1、...Ukを受信し、複数の出力Y1、...Ynを生成するボックス10として示された転動ミルを備えるブロック図として示されている。したがって、信号処理及び分析の観点から、ミル10は、この文書の他の部分で考察されるように、入力ベクトルUを受信し、出力ベクトルYを生成する。図39のシステム1130は、図1A及び/又は図1Bに関連して以上で説明したように及び/又はこの開示に記載の他の例のいずれかに、例えば図1から図38に関連して説明するように部品を備え構成されることがある。
【0420】
システム1130は、図39に示すように監視モジュール150A及び/又は相関モジュール150Cを備える。相関モジュール150Cは、以上で説明したように、ミル10の動作中に相関データセット1170を生成するように動作することがある、及び/又は相関モジュール150Cは、所望の排出材料状態YREFに関するデータを対応する所望の内部状態XREFを示すデータに変換するように動作することがあり、変換ステップは動作しているミル10に関連する相関データセット1170に基づいている。
【0421】
図39に示すシステム1130は、内部状態基準値生成器150c2及びユーザインターフェイス210、210B及び調整器240Cを備える内部状態制御システム1200を備える。 内部状態制御システム1200は、以下のステップを実行するように構成されることがある。
(ステップS3000:)ユーザインターフェイス210に、オペレータに所望の排出材料状態YREFを示すユーザ入力を提供するように要求する情報を伝達させる。所望の排出材料状態YREFを示すユーザ入力は、以上で考察したように、少なくとも1つの所望の出力材料測定値、Y1及び/又はY2などを示すことがある。例えば、ユーザ入力は、所望の生成物粒子中央値粒度Y2REF、及び/又は所望の生成物粒子粒度分布Y3REF、Y4REF、又は時間単位あたりの所望の出力材料量Y1REFを示すことがある。
この要求S3000は、調整器240Cに含まれるソフトウェアによって生成されることがある。
【0422】
内部状態制御システム1200はまた、
(ステップS3005:)例えばユーザインターフェイス210を介して、所望の排出材料状態YREF及び/又は所望の生成物粒子中央値粒度Y2REF及び/又は所望の生成物粒子粒度分布Y2、Y3、Y4を示すデータを受信する
ように構成されることがある。
【0423】
また、内部状態制御システム1200は、以下のステップを含む方法を実行するように構成されることがある。
S3010:先端位置基準値(X1REF;FIREF)を含み得る対応する所望の内部状態XREF(内部状態基準ベクトルXREFとも称される)を生成する。内部状態基準ベクトルXREFは、
所望の排出材料状態YREF及び/又は所望の生成物粒子中央値粒度(Y2REF)及び/又は所望の生成物粒子粒度分布Y2REF、Y3REF、Y4REFを示すデータ、及び
相関データセット(1170)であって、
ある特定の内部状態XREF
対応するある特定の排出材料状態YREF
の因果関係を示す相関データセット(1170)に基づいている場合がある。
【0424】
対応する特定の排出材料状態YREFは、ある特定の生成物粒子粒度分布(Y2、Y3、Y4)、及び/又はある特定の生成物排出速度Y1REFを含むことがある。
【0425】
ステップS3010は、受信したデータ(すなわち所望の排出材料状態YREFを示す)のユーザインターフェイス210から相関モジュール150Cへの送出を含むことがある(図39参照)。
【0426】
相関モジュール150Cは、以上で考察したように、所望の排出材料状態YREFに関するデータを、対応する所望の内部状態XREFを示すデータ及び/又は対応する所望の先端位置基準値X1REF(r)、FIREF(r)を示すデータに変換するように構成された内部状態基準値生成器150c2を備えることがある。
【0427】
図35と併せて図39を参照すると、内部状態制御システム1200はまた、
S3020:ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)に、対応する所望の内部状態XREFを示す情報及び/又は対応する所望の先端位置基準値(X1REF(r)、FIREF(r))を示すデータを伝達させ、
S3020:ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)に、例えば監視モジュール150Aから受信した、実際の先端位置値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X6、ATOE(r))を示す情報を伝達させ、
S3020:ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)を介して、固体材料供給速度(U2、R)に関する第1のユーザ入力を受信し、
S3020:固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を生成することによって、
所望の排出材料状態YREF
生成物粒子中央値粒度(Y2)
を制御する又はこれらに影響を及ぼすために内部状態(X)に影響を与える
ように構成されることがあり、
生成した固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)は、受信した第1のユーザ入力に基づいている。
【0428】
ある例によれば、受信した第1のユーザ入力に基づく、生成した固体材料供給速度設定点値U2SPは、回転するシェル(20)内の材料を、生成物粒子を粉砕プロセスの影響を受けた内部状態(X)に対応する生成物粒子中央値粒度(Y2)を有するように生成させるために影響を受けた内部状態(X)で転動させる。
【0429】
ミル生成物を監視し、改善されたプロセス制御を提供するためのシステム
図40は、ミル10の内部状態Xの監視のための、及びミル10で行われる粉砕プロセスの改善された制御を可能にするためのシステム1130Bのブロック図である。システム1130Bは、図39に関連して考察した特徴の一部又は全てを備えることがある。したがって、システム1130Bは、図39のシステム1130の特徴の一部又は全てを備えることがある。
【0430】
システム1130Bは、図39に示す相関モジュール150Cを備え、システム1130Bはまた、監視モジュール150Aを備えることがある。
【0431】
相関モジュール150Cは、以上で説明したように、ミル10の動作中に相関データセット1170を生成するように動作することがある、及び/又は相関モジュール150Cは、所望の排出材料状態YREFに関するデータを対応する所望の内部状態XREFを示すデータに変換するように動作することがあり、変換ステップは動作しているミル10に関連する相関データセット1170に基づいている。
【0432】
図39に示すシステム1130は、内部状態基準値生成器150c2及びユーザインターフェイス210、210B及び調整器240Cを備える内部状態制御システム1200を備える。 システム1130Bは、以下のステップを実行するように構成されることがある。
(ステップS3000:)ユーザインターフェイス210に、オペレータに所望の排出材料状態YREFを示すユーザ入力を提供するように要求する情報を伝達させる。所望の排出材料状態YREFを示すユーザ入力は、以上で考察したように、少なくとも1つの所望の出力材料測定値、Y1及び/又はY2などを示すことがある。例えば、ユーザ入力は、所望の生成物粒子中央値粒度Y2REF、及び/又は所望の生成物粒子粒度分布Y3REF、Y4REF、又は時間単位あたりの所望の出力材料量Y1REFを示すことがある。
この要求S3000は、調整器150Bに含まれるソフトウェアによって、又は相関モジュール150Cに含まれるソフトウェアによって、又は内部状態制御システム1200に含まれるソフトウェアによって生成されることがある。
【0433】
システム1130Bはまた、
(ステップS3005:)例えばユーザインターフェイス210を介して、所望の排出材料状態YREF及び/又は所望の生成物粒子中央値粒度Y2REF及び/又は所望の生成物粒子粒度分布Y2、Y3、Y4を示すデータを受信する
ように構成されることがある。
【0434】
また、システム1130Bは、以下のステップを含む方法を実行するように構成されることがある。
S3010:先端位置基準値(X1REF;FIREF)を含み得る対応する所望の内部状態XREF(内部状態基準ベクトルXREFとも称される)を生成する。内部状態基準ベクトルXREFは、
所望の排出材料状態YREF及び/又は所望の生成物粒子中央値粒度(Y2REF)及び/又は所望の生成物粒子粒度分布Y2REF、Y3REF、Y4REFを示すデータ、及び
相関データセット(1170)であって、
ある特定の内部状態XREF
対応するある特定の排出材料状態YREF
の因果関係を示す相関データセット(1170)に基づいている場合がある。
【0435】
対応する特定の排出材料状態YREFは、ある特定の生成物粒子粒度分布(Y2、Y3、Y4)、及び/又はある特定の生成物排出速度Y1REFを含むことがある。
【0436】
ステップS3005は、受信したデータ(すなわち所望の排出材料状態YREFを示す)のユーザインターフェイス210から相関モジュール150Cへの送出を含むことがある(図40参照)。
【0437】
相関モジュール150Cは、以上で考察したように、所望の排出材料状態YREFに関するデータを、対応する所望の内部状態XREFを示すデータ及び/又は対応する所望の先端位置基準値X1REF(r)、FIREF(r)を示すデータに変換するように構成された内部状態基準値生成器150c2を備えることがある。
【0438】
また、システム1130Bは、以下のステップを含む方法を実行するように構成されることがある。
調整器755C、755を介して、排出材料状態(Y)を
内部状態基準ベクトルXREFに含まれる少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)、
粉砕プロセスの現在の内部状態(X)を示す少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7)又は少なくとも1つのステータスパラメータ値を含む内部状態ベクトル(X)、及び
少なくとも1つのステータスパラメータ誤差値(X1ERR、X2ERR、X3ERR、X4ERR、X5ERR、X6ERR、X7ERR)又は少なくとも1つのステータスパラメータ誤差値を含む内部状態誤差ベクトルXERR
に基づいて制御するステップ、
少なくとも1つのステータスパラメータ誤差値(X1ERR、X2ERR、X3ERR、X4ERR、X5ERR、X6ERR、X7ERR)は、
少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)、及び
少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1、X2、X3、X4、X5、X6、X7)に依存する。
【0439】
また、システム1130Bは、以下のステップを含む方法を実行するように構成されることがある。
調整器755C、755を介して、排出材料状態(Y)を
粉砕プロセスの現在の内部状態(X)を示す内部状態基準ベクトルXREF、及び
粉砕プロセスの現在の内部状態(X)を示す内部状態ベクトル(X)、及び
少なくとも1つのステータスパラメータ誤差値を含む内部状態誤差ベクトルXERR
に基づいて制御するステップ、
内部状態誤差ベクトルXERRは、
内部状態基準ベクトルXREF、及び
内部状態ベクトル(X)に依存する。
【0440】
また、システム1130Bは、以下のステップを含む方法を実行するように構成されることがある。
ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)を介して、固体材料供給速度(U2、R)に関する第1のユーザ入力を受信するステップ、及び
固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を生成するステップ、
固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を示す生成したデータは、受信した第1のユーザ入力に基づいている。
【0441】
例1から始まる様々な例を以下に開示する。
例1が、材料を粉砕するためのシステム5であって、
ある回転速度(fROT)で軸()の周りを回転するシェルを有し、回転するシェル内で充填材料を転動させることによって材料を粉砕するための転動ミルであって、シェルがシェル内の材料と係合するように構成された少なくとも1つの突起物を備える内部シェル表面を有する転動ミルと、
シェルの回転から生じる機械的振動(VIMP)に応じたアナログ測定信号(SEA)を生成するように構成された振動センサと、
回転するシェルの回転位置を示す位置信号を生成するように構成された位置センサと、
デジタル測定データ信号(SMD、SENV、SMD)の測定サンプル値(Se(i)、S(j))の時系列、及び
位置信号値(P(i))の時系列、及び
時間情報(i、dt;j)を、
個別の測定データ値(S(j))が個別の測定データ値(S(j))の発生時点を示すデータと関連付けられるように、及び
個別の位置信号値(P(i))が個別の位置信号値(P(i))の発生時点を示すデータと関連付けられるように
記録するように適合された信号記録器と、
記録した測定サンプル値(Se(i)、S(j))の時系列において振幅ピーク値の発生を検出するように適合された信号プロセッサであって、位置信号値の発生と振幅ピーク値の発生との間の時間的期間を示すデータを生成するように適合された信号プロセッサと、
を備えたシステムに関する。
2.信号プロセッサが、シェル内の内部充填状態を示し、振幅ピーク値及び時間的期間を含むシェル充填データセットを生成するように構成されている、例1のシステム。
3.シェル充填データセットが、回転するミルシェルの回転速度を示している、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
4.回転するシェルが、転動ミルの動作中に500kgを超える充填材料を保持するように構成されている、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
【0442】
例5が、ある回転速度(fROT)で軸(60)の周りを回転するシェルを有し、回転するシェル内で充填材料(30)を転動させることによって充填材料を粉砕するための転動ミル(10)における粉砕プロセスの内部状態に関する情報を生成及び表示するための電子転動ミル監視システムであって、
粉砕プロセスの内部状態を示し、第1の衝撃力インジケータ値(SP1)及び第1の時間インジケータ値(TD1)を含む第1の内部ステータスインジケータデータ構造(550、SP1、TD1)を生成するためのステータスパラメータ抽出器(450)を備え、
第1の衝撃力インジケータ値(SP1)が、回転するシェルの内部シェル表面の突起が充填材料の先端部分と相互作用するときに生成される衝撃力(FIMP)を示し、
第1の時間インジケータ値(TD1)が、衝撃力(FIMP)の発生と回転するシェルの回転基準位置の発生との間の時間的期間(TD1)を示す、電子転動ミル監視システムに関する。
6.ステータスパラメータ抽出器(450)が更に、
粉砕プロセスの内部状態を示し、第2の衝撃力インジケータ値(SP2)及び第2の時間インジケータ値(TD2)を含む、第2の内部ステータスインジケータデータ構造(SP2、TD2)を生成し、
第2の衝撃力インジケータ値(SP2)が、回転するシェルの内部シェル表面の突起が充填材料の先端部分と相互作用するときに生成される衝撃力(FIMP)を示し、
第2の時間インジケータ値(TD2)が、衝撃力(FIMP)の発生と回転するシェルの回転基準位置の発生との間の時間的期間(TD1)を示し、
第1の内部ステータスインジケータデータ構造(SP1、TD1)が、第1の時点における粉砕プロセスの内部状態を示し、
第2の内部ステータスインジケータデータ構造(SP2、TD2)が、第2の時点における粉砕プロセスの内部状態を示す、例5に記載の転動ミル監視システム。
7.内部ステータスインジケータデータ構造(SP2、TD2)と併せた第1の内部ステータスインジケータデータ構造(SP1、TD1)が、粉砕プロセスの内部状態の時間的進行を示す、例6に記載の転動ミル監視システム。
8.ステータスパラメータ抽出器(450)が、
デジタル位置信号(P(i))に基づいて転動ミルシェル回転速度(fROT(j))を示す値を生成するように構成されたシェル速度検出器(500)を備え、シェル速度検出器(500)が、転動ミルシェル回転速度(fROT(i))を示す値を時点(i)と関連付けるように構成されている、先行例のいずれか一つに記載の転動ミル監視システム
9.シェル速度検出器(500)が、第1の衝撃力インジケータ値(SP1;(S(i))を転動ミルシェル回転速度(fROT(j))を示す値と関連付けるように構成されている、先行例のいずれか一つに記載の転動ミル監視システム。
10.ステータスパラメータ抽出器(450)が、
第1の衝撃力インジケータ値(SP1;(S(i);S(j))と、
転動ミルシェル回転速度(fROT(i);fROT(j))を示す値と
の同期された時間的関係を維持するように構成されている、先行例のいずれか一つに記載の転動ミル監視システム。
【0443】
例11:ある回転速度(fROT)で軸(60)の周りを回転するシェルを有し、回転するシェル内で充填材料(30)を転動させることによって充填材料を粉砕するための転動ミルであって、シェルが、シェルが軸(60)の周りを回転するときに材料と係合するように構成された少なくとも1つの突起を備えた内部シェル表面を有する転動ミルにおける粉砕プロセスに関する情報を生成及び表示するための電子転動ミル監視システムにおける、
転動ミルにおける粉砕プロセスの内部状態をスクリーンディスプレイに表すコンピュータ実施方法であって、
スクリーンディスプレイに、
基準点(O)、及び
基準方向(0、360)、及び
粉砕プロセスの内部状態を示し、基準点(O)から第1の動径(SP1)にあり、基準方向(0、360)に対して第1の極角(TD1)をなす第1の内部ステータスインジケータオブジェクト(SP1、TD1
を有する極座標系を表示することを含み、
第1の動径(SP1)が、回転するシェルの内部シェル表面の突起が充填材料と相互作用するときに生成される衝撃力(FIMP)を示し、
第1の極角(TD1)が、衝撃力(FIMP)の発生と回転するシェルの回転基準位置の発生との間の時間的期間(TD1)を示すコンピュータ実施方法。
12.方法が更に、
スクリーンディスプレイに
基準点(O)から第2の動径(SP2)にあり、基準方向(0、360)に対して第2の極角(TD1)をなす第2の内部インジケータオブジェクト(SP2、TD2)を表示することを含み、
第2の動径(SP2)が、回転するシェルの内部シェル表面の突起が充填材料と相互作用するときに生成される衝撃力(S;FIMP)を示し、
第2の極角(TD1)が、衝撃力(FIMP)の発生と回転するシェルの回転基準位置の発生との間の時間的期間(TD1)を示し、
第1の内部インジケータオブジェクト(SP1、TD1)が、第1の時点における粉砕プロセスの内部状態を示し、
第2の内部インジケータオブジェクト(SP1、TD1)が、第2の時点における粉砕プロセスの内部状態を示す、例11に記載の方法。
13.第1の内部状態点(SP1、TD1)及び第2の内部状態点(SP1、TD1)のスクリーンディスプレイへの同時表示が、粉砕プロセスの内部状態の時間的進行を示している、例12に記載の方法。
【0444】
例14が、ある回転速度(fROT)で軸(60)の周りを回転するシェルを有し、回転するシェル内で充填材料(30)を転動させることによって充填材料を粉砕するための転動ミル(10)における粉砕プロセスの内部状態に関する情報を生成及び表示するための電子転動ミル監視システムであって、
粉砕プロセスの内部状態を示し、第1の衝撃力インジケータ値(SP1)及び第1の時間インジケータ値(P;TD1)を含む、第1の内部ステータスインジケータデータ構造(550、SP1、TD1)を生成するためのステータスパラメータ抽出器(450)を備え、
第1の衝撃力インジケータ値(SP1)が、回転するシェルの内部シェル表面の突起が充填材料の先端部分と相互作用するときに生成される衝撃力(FIMP)を示し、
第1の時間インジケータ値(TD1)が、衝撃力(FIMP)の発生と回転するシェルの回転基準位置の発生との間の時間的期間(TD1)を示し、
ステータスパラメータ抽出器(450)が、
転動ミルシェル回転速度(fROT(j))を示す値をデジタル位置信号(P(i))に基づいて生成するように構成されたシェル速度検出器(500)であって、転動ミルシェル回転速度(fROT(i))を示す値を時点(i)と関連付けるように構成されたシェル速度検出器(500)を備える、電子転動ミル監視システムに関する。
15.シェル速度検出器(500)が、回転速度(fROT(j))値が衝撃力(FIMP)の発生の時点(j)における転動ミルシェル回転速度(fROT(j))を示すように、第1の衝撃力インジケータ値(SP1;S(j))を転動ミルシェル回転速度(fROT(j))を示す値と関連付けるように構成されている、先行例のいずれか一つに記載の転動ミル監視システム。
16.ステータスパラメータ抽出器(450)が、
振動信号値(S(i))の時間的進行及び回転基準位置信号の時間的進行
を生成するように構成されており、
ステータスパラメータ抽出器(450)が更に、
振動信号値(R(q);S(r))の間引きした時間的進行を含む間引きした振動信号(SMDR)を生成するように、振動信号値(S(i);SMD)の時間的進行を速度値(fROT(j))に基づいて間引くように構成された速度変化補償デシメータ(470)を備える、先行例のいずれか一つに記載の転動ミル監視システム。
17.ステータスパラメータ抽出器(450)が更に、
第1の衝撃力インジケータ値(SP1)及び第1の時間インジケータ値(TD1)を間引きした振動信号(SMDR)に基づいて生成するように構成された高速フーリエ変換器(510)
を備える、先行例のいずれか一つに記載の転動ミル監視システム。
18.材料が材料の破片を含み、材料の破片が鉱物を含む、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
19.転動ミル(10)が乾式粉砕を実行するように動作する、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
20.転動ミル(10)が、固い物質の粒子のセメントを含む粉体への乾式粉砕を実行するように動作する、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
【0445】
例21が、ある回転速度(fROT)で軸(60)の周りを回転するシェル(20)を有し、回転するシェル内で充填材料(30)を転動させることによって充填材料を粉砕するための転動ミル(10)であって、シェル(20)が、シェル(20)が軸(60)の周りを回転するときに材料と係合するように構成された第1の数(L)の突起物(310)を備えた内部シェル表面(22)を有する転動ミルの内部状態に関する情報を生成する方法であって、
方法が、
回転するシェル(20)の回転位置を示し、位置信号サンプル値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列を含む位置信号(E、P、P(i)、P(j)、P(q))を生成すること、
位置信号サンプル値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列において第1の基準位置信号値(1;1C、0%)の第1の発生を検出すること、
位置信号サンプル値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列において第2の基準位置信号値(1;1C、100%)の第2の発生を検出すること、
振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列を含む振動信号(SEA、Se(i)、S(j)、S(q))を、シェルの回転から生じる機械的振動(VIMP)に応じて生成すること、
振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列においてイベントシグネチャ(S(r);S)の第3の発生を検出すること、
第3の発生、すなわちイベントシグネチャ発生と、第1及び第2の発生と、の間の第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))を示すデータを生成すること、
を含む方法に関する。
22.第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))が、2つの隣接する突起物(310)間の距離の割合を示している、先行例のいずれか一つに記載の方法。
23.第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))が相対先端位置(205)を示している、先行例のいずれか一つに記載の方法。
24.イベントシグネチャが、回転するシェル(20)の内部シェル表面(22)の突起(310)が充填材料(30)の先端部分(205)と相互作用するときに生成される衝撃力(FIMP)を示している、先行例のいずれか一つに記載の方法。
25.第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))を位相角度(FI(r))として生成することを更に含む、先行例のいずれか一つに記載の方法。
26.イベントシグネチャを振幅値(S(r);S;C(r);C(r))として生成することを更に含む、先行例のいずれか一つに記載の方法。
27.第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))がフーリエ変換によって生成される、先行例のいずれか一つに記載の方法。
28.第1の発生から第2の発生までの総サンプル数(N-)をカウントすること、及び
第1の発生から第3の発生までの別のサンプル数(N)をカウントすること、及び
別のサンプル数及び総サンプル数に基づいて第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))を生成すること
を更に含む、先行例のいずれか一つに記載の方法。
29.第1の発生から第2の発生までの総サンプル数(N-)をカウントすること、及び
第1の発生から第3の発生までの別のサンプル数(N)をカウントすること、及び
別のサンプル数と総サンプル数との関係に基づいて第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))を生成すること
を更に含む、先行例のいずれか一つに記載の方法。
30.別のサンプル数と総サンプル数との関係が相対先端位置(205)を示している、例29に記載の方法。31.別のサンプル数と総サンプル数との関係が、突起物(310)のうちの内部シェル表面(22)で互いに隣接する2つの突起物(310A、310B)間の距離の一部として表される充填材料(30)の先端(205)の位置を示している、例29又は30に記載の方法。
32.基準位置信号値(1;1C、0%)を、回転するシェル(20)の1回転につき少なくとも1回生成することを更に含む、先行例のいずれか一つに記載の方法。
33.基準位置信号値(1;1C、0%)を、回転するシェル(20)の1回転につき第1の数(L)に等しい第2の数の回数だけ生成することを更に含む、例32に記載の方法。
34.基準位置信号値(1;1C、0%)を、回転するシェル(20)の1回転につき第1の数(L)よりも小さい第2の数の回数だけ生成することを更に含む、例32に記載の方法。
35.基準位置信号値(PS;1;1C、0%)を回転位置マーカ(180)の検出に基づいて生成することを更に含み、回転位置マーカ(180)の回転が回転するシェル(20)の回転を示している、先行例のいずれか一つに記載の方法。
36.回転するシェル(20)の1回転につき少なくとも1回生成される基準位置信号値(1;1C、0%)が、回転位置マーカ(180)の検出に基づいており、回転位置マーカ(180)の回転が回転するシェル(20)の回転を示している、例32に記載の方法。
37.第1の基準位置信号値(1;1C、0%)及び
第2の基準位置信号値(1;1C;100%)
の少なくとも一方が、第1の数(L)に基づく計算によって生成される、例36に記載の方法。
38.第1の基準位置信号値(1;1C、0%)及び
第2の基準位置信号値(1;1C;100%)の
少なくとも一方がある角度位置で生成され、シェルの全回転が、仮想的又は数学的に第3の数の互いに等しい部分に分割される、例36に記載の方法。
39.第3の数が第1の数に等しく、互いに等しい部分が、第1の数の突起物(310)間の等しい距離に対応する、例38に記載の方法。
40.突起物が互いに実質的に等距離である、先行例のいずれか一つに記載の方法。
41.振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列を記録すること、
記録した振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列においてイベントシグネチャの発生を検出すること
を更に含む、先行例のいずれか一つに記載の方法。
42.イベントシグネチャが振幅ピーク値である、先行例のいずれか一つに記載の方法。
43.個別の振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))を個別の位置信号サンプル値(P(i)、P(j)、P(q))と関連付けることを更に含む、先行例のいずれか一つに記載の方法。
44.瞬間的回転速度値を示すデータを、
第1の基準位置信号値(1;1C、0%)の第1の発生と第2の基準位置信号値(1;1C;100%)の第2の発生との間の第2の時間的関係(R(r);T;FI(r))に基づいて生成することを更に含み、
瞬間的回転速度値(fROT)が回転速度(fROT)を示す、先行例のいずれか一つに記載の方法。
45.位置信号サンプル値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列をメモリに記録すること、及び
振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列をメモリに記録すること
を更に含み、
基準位置信号値(1;1C)の発生を検出するステップが、
記録した位置信号サンプル値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列において基準位置信号値(1;1C)の発生を検出することを含む、先行例のいずれか一つに記載の方法。
46.第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))が転動ミルの第1の内部状態を示している、先行例のいずれか一つに記載の方法。
47.第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))が転動ミルの第1の内部状態を示している、先行例のいずれか一つに記載の方法。
48.絶対先端位置値を示すデータを相対先端位置値に基づいて生成することを更に含む、先行例のいずれか一つに記載の方法。
49.イベントシグネチャがピーク振幅値である、先行例のいずれか一つに記載の方法。
50.回転速度(fROT)が可変回転速度(fROT)である、先行例のいずれか一つに記載の方法。
【0446】
例51が、材料を粉砕するためのシステムであって、
ある回転速度(fROT)で軸(60)の周りを回転するシェルを有し、回転するシェル内で充填材料を転動させることによって材料を粉砕するための転動ミルであって、シェルが、シェル内の材料と係合するように構成された互いに等しい間隔で配置される、少なくとも2である第1の数の突起物を備えた内部シェル表面を有する転動ミルと、
シェルの回転から生じる機械的振動(VIMP)に応じてアナログ測定信号(SEA)を生成するように構成された振動センサと、
回転するシェルの回転位置を示す位置信号を生成するように構成された位置センサと、
デジタル測定データ信号(SMD、SENV、SMD)の測定サンプル値(Se(i)、S(j))の時系列、及び
位置信号値(P(i))の時系列、及び
時間情報(i、dt;j)を、
個別の測定データ値(S(j))が個別の測定データ値(S(j))の発生時点を示すデータと関連付けられるように、及び
個別の位置信号値(P(i))が個別の位置信号値(P(i))の発生時点を示すデータと関連付けられるように
記録するように適合された信号記録器と、
記録した測定サンプル値(Se(i)、S(j))の時系列において振幅ピーク値の発生を検出するように適合された信号プロセッサであって、
位置信号に基づいて等しい角距離で生成される、シェルの1回転あたりの第1の数に等しい第2の数の基準位置信号、及び
基準位置信号値の発生と振幅ピーク値の発生との間の時間的期間を示すデータ
を生成するように適合された信号プロセッサと、を備えたシステムに関する。
【0447】
例52が、ある回転速度(fROT)で軸(60)の周りを回転するシェル(20)を有し、回転するシェル内で充填材料(30)を転動させることによって充填材料を粉砕するための転動ミル(10)であって、シェル(20)が、シェル(20)が軸(60)の周りを回転するときに材料と係合するように構成された第1の数(L)の突起物(310)を備えた内部シェル表面(22)を有する転動ミル(10)の内部状態を制御するためのシステムであって、システムが、
回転するシェル(20)の回転位置を示し、位置信号サンプル値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列を含む位置信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を生成するためのデバイス(170、180)と、
振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列を含む振動信号(SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を、シェルの回転から生じる機械的振動(VIMP)に応じて生成するように構成されたセンサ(70、70IN、70OUT、330)と、
位置信号サンプル値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列において第1の基準位置信号値(1;1C、0%)の第1の発生を検出するように構成されたステータスパラメータ抽出器(450)と、を備え、
ステータスパラメータ抽出器(450)が、位置信号サンプル値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列において第2の基準位置信号値(1;1C;100%)の第2の発生を検出するように構成され、
ステータスパラメータ抽出器(450)が、振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列においてイベントシグネチャ(S(r);S)の第3の発生を検出するように構成され、
ステータスパラメータ抽出器(450)が、第3の発生、すなわちイベントシグネチャ発生と、第1及び第2の発生と、の間の第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))を示すデータを生成するように構成され、
システムが、先端位置基準値(FIREF(r))、第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))、及び、先端位置誤差値(FIERR(r))に基づいて先端角度位置(FI(r)、ATOE)を制御するための調整器を備え、
先端位置誤差値(FIERR(r))が、先端位置基準値(FIREF(r))、及び、第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))に依存する、システムに関する。
53.先端位置誤差値(FIERR(r))が、
先端位置基準値(FIREF(r))と、
第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))と、
の差に依存する、例52に記載のシステム。
54.調整器が、固体材料供給速度設定点(R)を先端位置基準値(FIREF(r))に応じて制御するように構成されており、
固体材料供給速度(R)が固体材料供給速度設定点(R)に依存し、固体材料供給速度(R)が、転動ミル(10)の入力(100)に送り込まれる時間単位あたりの固体材料の量である、例52又は53に記載のシステム。
55.調整器が、液体供給速度設定点(R)を先端位置基準値(FIREF(r))に応じて制御するように構成されており、
液体供給速度(R)が液体供給速度設定点(R)に依存し、液体供給速度(R)が、転動ミル(10)の入力(130)に送り込まれる時間単位あたりの液体の量である、例52、53、又は54に記載のシステム。
56.第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))が、2つの隣接する突起物(310)間の距離の割合を示している、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
57.第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))が先端位置(205、ATOE(r))を示している、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
58.イベントシグネチャが、回転するシェル(20)の内部シェル表面(22)の突起(310)が充填材料(30)の先端部分(205)と相互作用するときに生成される衝撃力(FIMP)を示している、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
59.ステータスパラメータ抽出器(450)が、第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))を位相角度(FI(r))として生成するように構成されている、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
60.ステータスパラメータ抽出器(450)が、イベントシグネチャを振幅値(S(r);Sp;C(r);C(r))として生成するように構成されている、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
61.ステータスパラメータ抽出器(450)が、第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))を生成するように構成されたフーリエ変換器を備える、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
62.ステータスパラメータ抽出器(450)が、第1の発生から第2の発生までの総サンプル数(N-)をカウントするように構成されており、
ステータスパラメータ抽出器(450)が、第1の発生から第3の発生までの別のサンプル数(N)をカウントするように構成されており、 ステータスパラメータ抽出器(450)が、別のサンプル数及び総サンプル数に基づいて第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))を生成するように構成されている、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
63.ステータスパラメータ抽出器(450)が、第1の発生から第2の発生までの総サンプル数(N-)をカウントするように構成されており、
ステータスパラメータ抽出器(450)が、第1の発生から第3の発生までの別のサンプル数(N)をカウントするように構成されており、 ステータスパラメータ抽出器(450)が、別のサンプル数と総サンプル数との関係に基づいて第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))を生成するように構成されており、
別のサンプル数と総サンプル数との関係が先端位置(205)を示している、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
【0448】
例64が、ある回転速度(fROT)で軸(60)の周りを回転する回転可能なシェル(20)を有し、回転可能なシェル(20)内で充填材料(30)を転動させることによって充填材料を粉砕するための転動ミル(10)であって、回転可能なシェル(20)が、シェルが回転するときに材料(30)と係合するある特定の数(L)の内部突起(310)を備えた内部シェル表面(22)を有し、これによって回転可能なシェル(20)の回転速度(fROT)に応じた繰り返し周波数(f)を有する機械的振動(VIMP)を引き起こす転動ミル(10)の内部状態を決定及び視覚化する方法であって、
回転するシェルの回転位置を示す測定信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を受信すること、
振動(VIMP)を示す信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を受信すること、
充填材料(30)の先端(205)の位置を示す値(R(r);T;FI(r))を、振動信号及び位置信号に基づいて決定すること、
を含む方法に関する。
65.回転するシェルの回転位置を示す信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を受信することが、回転可能なシェル(20)における回転を少なくとも1つのセンサ170を利用して測定することを含む、例64に記載の方法。
66.振動(VIMP)を示す信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を受信することが、回転可能なシェル(20)における振動を少なくとも1つのセンサ70を利用して測定することを含む、例64又は65に記載の方法。
67.転動ミル(10)を、充填材料(30)の先端(205)の位置を示す値(R(r);T;FI(r))に基づいて制御することを更に含む、先行例のいずれか一つに記載の方法。
68.充填材料(30)の先端(205)の位置を示す値(R(r);T;FI(r))の視覚表示を提供することを更に含む、先行例のいずれか一つに記載の方法。
69.視覚表示を提供することが、充填材料(30)の先端(205)の位置を示す値(R(r);T;FI(r))の時系列を表す極線図を提供することを含む、例68に記載の方法。
70.先行例のいずれか一つに記載の方法を実行するための例示的なコンピュータプログラムであって、コンピュータプログラムがコンピュータ上で実行されるときに、先行例のいずれか一つに記載の方法のステップを実行するように適合されたコンピュータプログラムコード手段を含むコンピュータプログラム。
71.コンピュータプログラムがコンピュータ可読媒体上で具現化されている、先行例のいずれか一つに記載のコンピュータプログラム。
【0449】
例72が、回転可能なシェル(20)有する転動ミル(10)であって、シェルが回転するときに材料と係合する複数(L)の突起物(310)を有する内部シェル表面(22)を備え、これによってシェル(20)の回転速度(fROT)に応じた繰り返し周波数(f)を有する振動(VIMP)を引き起こす転動ミル(10)の内部状態を監視するためのシステムであって、
システム(150)が、
回転するシェルの回転位置を示す信号(E、P(i)、P(j)、P(q))、及び振動(VIMP)を示す信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を受信するための監視ユニット(150A)を備え、
監視ユニットが、振動信号及び位置信号から、充填材料(30)の先端(205)の位置を示す値(R(r);T;FI(r))を抽出するように構成される、システムに関する。
73.監視ユニットが、
回転するシェルの回転位置を示す振動を示す振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列を含む信号(E、P(i)、P(j)、P(q))、及び
振動を示す振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列を含む信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))
を受信するように構成されており、
監視ユニットが、
位置信号サンプル値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列における第1の基準位置信号値の第1の発生、
位置信号サンプル値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列における第2の基準位置信号値の第2の発生、及び
振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列におけるイベントシグネチャ(S(r);S)の発生
を検出するように構成されている、例72に記載のシステム。
74.監視ユニットが、充填材料(30)の先端(205)の位置を示す値(R(r);T;FI(r))を、検出した第1の基準位置信号値の第1及び第2の発生と、イベントシグネチャの発生との間の時間的関係に基づいて決定するように構成されている、例73に記載のシステム。
75.監視ユニットが、
第1の基準位置信号値の第1及び第2の発生間の第1の期間、
イベントシグネチャの発生と第1の基準位置信号値の第1及び/又は第2の発生との間の第2の期間、
を決定するように構成されており、
監視ユニットが、第1の期間と第2の期間との間の第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))を示すデータを生成するように構成されている、例73又は74に記載のシステム。
76.監視ユニットが、転動ミル(10)の内部状態を
動作点基準値(FIREF(r))、
第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))、及び
動作点誤差値(FIERR(r))
に基づいて決定するように構成されており、
動作点誤差値(FIERR(r))が
動作点基準値(FIREF(r))、及び
第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))
に依存する、例75に記載のシステム。
77.転動ミル(10)に配置され、
回転するシェルの回転位置を示す信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を提供し、
振動(VIMP)を示す信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を提供する
ように構成された少なくとも1つのセンサ(70、170)を備える測定ユニットを備えた、例72から76のいずれか一つに記載のシステム。
78.測定ユニットが少なくとも1つの振動センサを備え、振動センサが振動信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を生成する回転可能なシェル(20)に配置され、振動センサが、回転可能なシェル(20)により示される振動に基づいて振動信号を生成するように構成される、例77に記載のシステム。
79.測定ユニットが、回転可能なシェル(20)の所定の回転位置を示す位置信号を生成するように構成された少なくとも1つの位置センサを備える、例77又は78に記載のシステム。
80.少なくとも1つの位置マーカ(180)が回転可能なシェル(20)に設けられ、少なくとも1つの位置センサが少なくとも1つの位置マーカ(180)を検出するように構成され、位置信号が位置信号値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列を含む、例79に記載のシステム。
81.先端角度位置(FI(r)、ATOE)を、充填材料(30)の先端(205)の位置を示す抽出した値(R(r);T;FI(r))に基づいて制御するように構成された調整器を備えた制御ユニット(150B)を備える、例77又は78に記載のシステム。
82.測定ユニット、監視ユニット及び/又は制御ユニットが異なる場所に配置され、通信ネットワークを介して通信するように構成されている、例77又は78に記載のシステム。
83.監視ユニット及び/又は制御ユニットが、転動ミル(10)から地理的に離れた場所に配置されている、例82に記載のシステム。
84.監視ユニット及び測定ユニットが転動ミル(10)に配置されている、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
85.測定ユニットが、
第1の振動信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を生成するための第1のセンサであって、第1の振動信号を回転可能なシェル(20)の第1の部分で示される振動に基づいて生成するように構成された第1のセンサと、
第2の振動信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を生成するための第2のセンサであって、第2の振動信号を回転可能なシェル(20)の第2の部分で示される振動に基づいて生成するように構成された第2のセンサと、を備え、
監視ユニットが、第1の振動信号サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列におけるイベントシグネチャ(S(r);S)の第4の発生を検出するように構成されており、
監視ユニットが、第2の振動信号サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列におけるイベントシグネチャ(S(r);S)の第5の発生を検出するように構成されており、
監視ユニットが、第4の発生と第5の発生との発生順序を示すデータを生成し、
充填材料(30)の先端(205)の位置を示す値(R(r);T;FI(r))を発生順序に基づいて決定するように構成される、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
【0450】
例86が、ある回転速度(fROT)で軸(60)の周りを回転する回転可能なシェル(20)を有し、充填材料(30)を回転可能なシェル(20)内で転動させることによって粉砕する転動ミル(10)であって、回転可能なシェル(20)が、シェルが回転するときに材料(30)と係合するある特定の数(L)の内部突起(310)を備えた内部シェル表面(22)を有し、これによって回転可能なシェル(20)の回転速度(fROT)に応じた繰り返し周波数(fR)を有する機械的振動(VIMP)を引き起こす転動ミル(10)における粉砕プロセスに関する情報を生成及び表示するためのデジタル転動ミル監視システムのスクリーンディスプレイ(210S)に、転動ミル(10)における粉砕プロセスの内部状態を表すコンピュータ実施方法であって、
回転するシェル(20)の回転位置を示す信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を受信すること、
位置基準値(1;1C、0%;100%)を、位置基準値が回転可能なシェル(20)の1回転につき第1の数の回数だけ提供され、第1の数の位置基準値が回転可能なシェル(20)の第1の数の所定の回転位置を示すように、位置信号(E、P(i)、P(j)、P(q))に基づいて生成すること、
シェル(20)の回転から生じる機械的振動(VIMP)に基づいた振動信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を受信すること、
振動信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))におけるイベントシグネチャ(S(r);S)の発生を検出すること、
スクリーンディスプレイ(210S)に、基準点(O)、基準方向(0、360)、及び、基準方向(0、360)に対して第1の極角(TD1)をなす、粉砕プロセスの内部状態を示す第1の内部ステータスインジケータオブジェクト(SP1、TD1)を有する極座標系を表示すること、を含み、
第1の極角(TD1)が、イベントシグネチャ(S(r);S)の発生と、回転するシェルの回転基準位置の発生と、の間の時間的期間(TD1)を示す、及び/又は
第1の極角(TD1)が、イベントシグネチャ(S(r);S)の発生時の回転可能なシェル(20)の角度位置を示す、及び/又は
第1の極角(TD1)が、イベントシグネチャ(S(r);S)の発生時の充填材料の先端(205)の角度位置を示すコンピュータ実施方法に関する。
87.第1の数が少なくとも2である、及び/又は
第1の数が特定の数に等しい、先行例のいずれか一つに記載の方法。
88.振動信号が振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列を含み、
検出が、振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列におけるイベントシグネチャ(S(r);Sp)の発生を検出することを含む、先行例のいずれか一つに記載の方法。
【0451】
例89が、ある回転速度(fROT)で軸(60)の周りを回転する回転可能なシェル(20)を有し、充填材料(30)を回転可能なシェル(20)内で転動させることによって粉砕する転動ミル(10)であって、回転可能なシェル(20)が、シェルが回転するときに材料(30)と係合するある特定の数(L)の内部突起(310)を備えた内部シェル表面(22)を有し、これによって回転可能なシェル(20)の回転速度(fROT)に応じた繰り返し周波数(f)を有する機械的振動(VIMP)を引き起こす転動ミル(10)における粉砕プロセスに関する情報を生成及び表示するためのデジタル転動ミル監視システムのスクリーンディスプレイ(210S)に、転動ミル(10)における粉砕プロセスの内部状態を表すコンピュータ実施方法であって、
方法が、
回転するシェル(20)の回転位置を示す信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を受信すること、
シェルの回転から生じる機械的振動(VIMP)に応じた振動信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を受信すること、
振動信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))におけるイベントシグネチャ(S(r);S)の発生を検出すること、
スクリーンディスプレイに、基準点(O)、基準方向(0、360)、及び、基準方向(0、360)に対して第1の極角(TD1)をなす、粉砕プロセスの内部状態を示す第1の内部ステータスインジケータオブジェクト(SP1、TD1)を有する極座標系を表示すること、を含み、
第1の極角(TD1)が、イベントシグネチャ(S(r);Sp)の発生と、回転するシェルの回転基準位置の発生と、の間の時間的期間(TD1)を示すコンピュータ実施方法に関する。
90.第1の内部ステータスインジケータオブジェクト(SP1、TD1)が、スクリーンディスプレイ上の基準点(O)から第1の動径(SP1)のところに表示される、先行例のいずれか一つに記載の方法。
91.第1の内部ステータスインジケータオブジェクト(SP1、TD1)が、スクリーンディスプレイ上の基準点(O)から第1の動径(SP1)のところに表示され、
第1の動径(SP1)が、回転するシェルの内部シェル表面の突起が充填材料と相互作用するときに生成される衝撃力(FIMP)を示している、先行例のいずれか一つに記載の方法。
92.振動信号が、振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列を含む、先行例のいずれか一つに記載の方法。
【0452】
例93が、回転可能なシェルを備えた転動ミルであって、シェルが回転するときに材料と係合するある特定の数(L)の内部突起を有する内部シェル表面を備えて構成され、これによってシェルの回転速度に応じた繰り返し周波数を有する振動を引き起こす転動ミルの内部状態を監視するためのシステムであって、
システムが、
回転するシェルの所定の回転位置を示し、位置信号値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列を含む位置信号、及び、振動を示し振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列を含む信号(SEA、Se(i)、S(j)、S(q))を受信するための監視ユニットを備え、
監視ユニットが、位置基準値を、位置基準値がシェルの1回転につき第1の数の回数だけ提供されるように位置信号に基づいて生成するように構成されており、第1の数の位置基準値が回転可能なシェルの第1の数の所定の回転位置を示し、第1の数の所定の回転位置が、回転可能なシェルの内部シェル表面の内部突起の位置に対応し、第1の数が少なくとも2である及び/又は第1の数が多くとも特定の数に等しい、監視ユニットが、内部突起が材料の先端部分と係合するときに発生する信号シグネチャを振動信号から抽出するように構成されており、信号シグネチャが、シェルの1回転につき特定の数(L)の回数だけ振動信号から抽出され、
監視ユニットが、
第1の位置基準値の発生から第2の位置基準値の発生までの第1の期間を測定し、
信号シグネチャの発生と第1の位置基準値の発生との間、又は
信号シグネチャの発生と第2の位置基準値の発生との間の
第2の期間を測定し、
シェルの回転中の回転可能なシェル(20)の2つの所定の回転位置間の先端部分(205)の瞬間的な位置を示す関係値を、第2の期間及び第1の期間に基づいて生成する
ように構成されるシステムに関する。
94.監視ユニットが、信号シグネチャを振動信号からシェルの1回転につき特定の回数抽出するように構成されている、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
95.監視ユニットが、時間的関係値をシェルの1回転中に少なくとも1回生成する、及び/又は時間的関係値をシェルの1回転中に特定の回数生成する、及び/又は時間的関係値をシェルの1回転につき特定の回数生成するように構成される、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
【0453】
例96が、回転可能なシェル(20)を備えた転動ミル(10)であって、シェルが回転するときに材料と係合するある特定の数(L)の内部突起を有する内部シェル表面を備えて構成され、これによってシェルの回転速度に応じた繰り返し周波数を有する振動を引き起こす転動ミル(10)の内部状態を監視するためのシステムであって、
システムが、
回転するシェルの所定の回転位置を示し位置信号値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列を含む位置信号、及び、振動を示し振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列を含む信号(SEA、Se(i)、S(j)、S(q))を受信するための監視ユニットを備え、
監視ユニットが、位置基準値を、位置基準値がシェルの1回転につき第1の数の回数だけ提供されるように位置信号に基づいて生成するように構成されており、第1の数の位置基準値が回転可能なシェルの第1の数の所定の回転位置を示し、第1の数が少なくとも2であり、
監視ユニットが、内部突起が材料の先端部分と係合するときに発生する信号シグネチャを振動信号から抽出するように構成されており、
監視ユニットが、
第1の位置基準値の発生から第2の位置基準値の発生までの第1の期間を測定し、
信号シグネチャの発生と第1の位置基準値の発生との間、又は
信号シグネチャの発生と第2の位置基準値の発生との間の
第2の期間を測定し、
シェルの回転中の回転可能なシェルの2つの所定の回転位置間の先端部分の瞬間的な位置を示す関係値を、第2の期間及び第1の期間に基づいて生成する
ように構成されているシステムに関する。
90.第2の位置基準値の発生が、第1の位置基準値の発生に連続している、先行例のいずれか一つに記載のシステム。
【0454】
例96が、回転可能なシェル(20)を備えた転動ミル(10)であって、シェルが回転するときに材料と係合するある特定の数(L)の内部突起を有する内部シェル表面を備えて構成され、これによってシェル(20)の回転速度に応じた繰り返し周波数を有する振動を引き起こす転動ミル(10)の内部状態を監視するためのシステムであって、
システムが、
回転するシェルの所定の回転位置を示す位置信号及び振動を示す信号を受信するための監視ユニットを備え、
監視ユニットが、回転位置インジケータ信号を、回転位置インジケータ信号がシェルの1回転につき第1の数の回数だけ提供されるように位置信号に基づいて提供するように構成されており、
監視ユニットが、内部突起が材料の先端部分と係合するときに発生する信号シグネチャを振動信号から抽出するように構成されており、
監視ユニットが、
第1の回転位置インジケータ信号の提供から第2の回転位置インジケータ信号の提供までの第1の期間を測定し、
信号シグネチャの発生と第1の回転位置インジケータ信号の発生との間、又は
信号シグネチャの発生と第2の回転位置インジケータ信号の発生との間の
第2の期間を測定し、
回転するシェルの2つの連続した所定の回転位置間の(に関連する)先端部分の瞬間的な位置を示す時間的関係値を、第2の期間及び第1の期間に基づいて生成する
ように構成されており、
第1の数が少なくとも2であるシステムに関する。
【0455】
例97が、回転可能なシェル(20)を備えた転動ミル(10)であって、シェルが回転するときに材料と係合するある特定の数の内部突起を有する内部シェル表面を備えて構成され、これによってシェルの回転速度に応じた繰り返し周波数を有する振動を引き起こす転動ミル(10)の内部状態を監視するためのシステムであって、
システムが、
回転するシェルの所定の回転位置を示す位置信号及び振動を示す信号を受信するための監視ユニットを備え、
監視ユニットが、位置信号サンプル値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列における第1の基準位置信号値(1;1C、0%)の第1の発生を検出するように構成されており、
監視ユニットが、回転位置インジケータ信号を、回転位置インジケータ信号がシェルの1回転につき第1の数の回数だけ提供されるように位置信号に基づいて提供するように構成されており、
監視ユニットが、内部突起が材料の先端部分と係合するときに発生する信号シグネチャを振動信号から抽出するように構成されており、
監視ユニットが、
第1の回転位置インジケータ信号の提供から第2の回転位置インジケータ信号の提供までの第1の期間を測定し、
第1の回転位置インジケータ信号の提供から信号シグネチャの発生までの第2の期間を測定し、
回転するシェルの2つの連続した所定の回転位置間の先端部分の位置を示す時間的関係値を、第1の期間及び第2の期間に基づいて生成する
ように構成され、
特定の数が少なくとも2であるシステムに関する。
98.監視ユニットが、回転するシェルの1回転につき少なくとも2回、時間的関係値を生成するように構成されており、特定の数が少なくとも2である、例97のシステム。
99.監視ユニットが、回転するシェルの1回転につき少なくとも2回生成される関係値を信号シグネチャ及び2つの位置信号に基づいて生成するように構成され、特定の数が少なくとも2である、例97又は98のシステム。
【0456】
例100が、回転可能なシェル(20)を有し、シェルが回転するときに材料(30)と係合するある数(L)の突起物(310)を有する内部シェル表面(22)を備え、これによってシェル(20)の回転速度(fROT)に応じた繰り返し周波数(f)を有する振動(VIMP)を引き起こす転動ミル装置(730;780;720)であって、
転動ミル装置が、
振動(VIMP)を示す信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を生成するための振動センサと、
回転するシェルの回転位置を示す信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を生成するための位置センサと、
通信ネットワークに接続可能な第1の転動ミル装置データポート(800、820)と、
第1の転動ミル装置データポート(820)を介して、振動信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を示すデータ、及び、位置信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を示すデータを送出するように構成された第1の転動ミル装置通信デバイス(790)と、
を備えた転動ミル装置(730;780;720)に関する。
101.通信ネットワークが、インターネットとしても知られているワールドワイドインターネットを含む、例100の転動ミル装置。
102.通信ネットワークに接続可能な第2の転動ミル装置データポート(800B;820B)と、
第2の転動ミル装置データポート(800B;820B)を介して、ミルプロセスの内部状態を示すデータ(T;FI(r);R(r);X1(r);X2、Sp(r);X5、fROT、dR(r)、X4;dSp(r)、X3)を受信するように構成される第2の転動ミル装置通信デバイス(790B)と、
を更に備えた、例100又は101に記載の転動ミル装置。
103.通信ネットワークに接続可能な第2の転動ミル装置データポート(800B;820B)と、
第2の転動ミル装置データポート(800B;820B)を介して、充填材料(30)の先端(205)の位置を示すデータ(R(r);T;FI(r);X1(r);X2、Sp(r)、fROT、dR(r);dSp(r))を受信するように構成される第2の転動ミル装置通信デバイス(790B)と、
を更に備えた、先行例のいずれか一つに記載の転動ミル装置。
104.ユーザ入出力を可能にするための人間コンピュータインターフェイス(HCI;210)と、
スクリーンディスプレイ(210S)と、
を更に備え、
人間コンピュータインターフェイス(HCI;210)が、スクリーンディスプレイ(210S)に、ミルプロセスの内部状態(X)を示すデータ(T;FI(r);R(r);X1(r);X2、Sp(r);X5、fROT、dR(r)、X4;dSp(r)、X3)を表示するように構成されている、先行例のいずれか一つに記載の転動ミル装置。
105.ユーザ入出力を可能にするための人間コンピュータインターフェイス(HCI;210)と、
スクリーンディスプレイ(210S)と、
を更に備え、
人間コンピュータインターフェイス(HCI;210)が、スクリーンディスプレイ(210S)に、充填材料(30)の先端(205)の位置を示すデータ(T;FI(r);R(r);X1(r);X2、Sp(r);X5、fROT、dR(r)、X4;dSp(r)、X3)を表示するように構成されている、先行例のいずれか一つに記載の転動ミル装置。
106.第2の転動ミル装置通信デバイス(790B)が第1の転動ミル装置通信デバイス(790)であり、第2の転動ミル装置データポート(800B;820B)が第1の転動ミル装置データポート(820)である、先行例のいずれか一つに記載の転動ミル装置。
107.ミルプロセスの内部状態を示すデータ(T;FI(r);R(r);X1(r);X2、Sp(r);X5、fROT、dR(r)、X4;dSp(r)、X3)を受信するように構成された制御モジュール(150、150B)を更に備えた、先行例のいずれか一つに記載の転動ミル装置。
108.制御モジュール(150、150B)が、
転動ミルへの固体材料供給速度を、ミルプロセスの内部状態を示すデータ(T;FI(r);R(r);X1(r);X2、Sp(r);X5、fROT、dR(r)、X4;dSp(r)、X3)に基づいて制御するように構成された調整器(755)、及び/又は、
回転可能なシェル(20)の回転速度(fROT)を、ミルプロセスの内部状態を示すデータ(T;FI(r);R(r);X1(r);X2、Sp(r);X5、fROT、dR(r)、X4;dSp(r)、X3)に基づいて制御するように構成された調整器、及び/又は、
転動ミルへの液体供給速度を、ミルプロセスの内部状態を示すデータ(T;FI(r);R(r);X1(r);X2、Sp(r);X5、fROT、dR(r)、X4;dSp(r)、X3)に基づいて制御するように構成された調整器
を備える、先行例のいずれか一つに記載の転動ミル装置。
109.制御モジュール(150、150B)が、転動ミルへの固体材料供給速度を、充填材料(30)の先端(205)の位置を示す値(R(r);T;FI(r))に基づいて制御するように構成された調整器(755)、及び/又は、
回転可能なシェル(20)の回転速度(fROT)を、充填材料(30)の先端(205)の位置を示す値(R(r);T;FI(r))に基づいて制御するように構成された調整器、及び/又は、
転動ミルへの液体供給速度を、充填材料(30)の先端(205)の位置を示す値(R(r);T;FI(r))に基づいて制御するように構成された調整器
を備える、先行例のいずれか一つに記載の転動ミル装置。
【0457】
例105が、先行例のいずれか一つに記載の、又は例100から109のいずれか一つに記載の転動ミル装置と協働するための監視装置(870;880;150;150A)であって、
監視装置が、
転動ミル装置とデータ交換するための、通信ネットワーク(810)に接続可能な監視装置データポート(920、920A)を備え、
監視装置(870;880;150;150A)が、監視装置データポート(920、920A)を介して、
振動信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を示すデータ、及び
位置信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を示すデータ
を受信するように構成されており、
監視装置(870;880;150;150A)が更に、
ミルプロセスの内部状態を示すデータ(T;FI(r);R(r);X1(r);X2、Sp(r);X5、fROT、dR(r)、X4;dSp(r)、X3)を、振動信号及び位置信号に基づいて生成するように構成されるステータスパラメータ抽出器(450)を備える監視装置に関する。
110.監視装置(870;880;150;150A)が、監視装置データポート(920、920A)を介して、生成したミルプロセスの内部状態を示すデータ(T;FI(r);R(r);X1(r);X2、Sp(r);X5、fROT、dR(r)、X4;dSp(r)、X3)を、転動ミル装置に伝送するように構成されている、先行例のいずれか一つに記載の監視装置。
111.監視装置(870;880;150;150A)が、充填材料(30)の先端(205)の位置を示す値(R(r);T;FI(r))を生成し、転動ミル装置に伝送するように構成されている、先行例のいずれか一つに記載の監視装置。
112.監視装置(870;880;150;150A)が、リモートサーバロケーション(860)にあるサーバ(830)を利用して
充填材料(30)の先端(205)の位置を示す値(R(r);T;FI(r))を生成する及び/又は転動ミル装置に伝送する、及び/又は、
振動信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を示すデータ、及び/又は、
位置信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を示すデータ
を記憶及び/又は取得するように構成されている、先行例のいずれか一つに記載の監視装置。
113.監視装置(870;880;150;150A)がメモリストレージ(890)を備え、監視装置が、
振動信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を示すデータ、及び/又は、
位置信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を示すデータ
をメモリストレージ(890)に記憶する及び/又はメモリストレージ(890)から取得するように構成されている、先行例のいずれか一つに記載の監視装置。
【0458】
例114が、先行例のいずれか一つに記載の、又は例100から113のいずれか一つに記載の転動ミル装置と協働するためのアセンブリであって、アセンブリが
監視モジュール(150;150A)と、
制御モジュール(150;150B)と、
転動ミル装置とデータ交換するための、通信ネットワーク(810)に接続可能な少なくとも1つのアセンブリデータポート(920、920A、920B)と、を備え、
監視モジュール(150;150A)が、アセンブリデータポート(920、920A)を介して、
振動信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を示すデータ、及び
位置信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を示すデータ
を受信するように構成されており、
監視モジュール(150;150A)が、ミルプロセスの内部状態を示すデータ(T;FI(r);R(r);X1(r);X2、Sp(r);X5、fROT、dR(r)、X4;dSp(r)、X3)を振動信号及び位置信号に基づいて生成するように構成され、
制御モジュール(150;150B)が、転動ミル装置とアセンブリデータポート(920、920B)を介して通信するように構成され、
制御モジュール(150、150B)が、
転動ミルへの固体材料供給速度を、ミルプロセスの内部状態を示すデータ(T;FI(r);R(r);X1(r);X2、Sp(r);X5、fROT、dR(r)、X4;dSp(r)、X3)に基づいて制御するように構成された調整器(755)、及び/又は、
回転可能なシェル(20)の回転速度(fROT)を、ミルプロセスの内部状態を示すデータ(T;FI(r);R(r);X1(r);X2、Sp(r);X5、fROT、dR(r)、X4;dSp(r)、X3)に基づいて制御するように構成された調整器、及び/又は、
転動ミルへの液体供給速度を、ミルプロセスの内部状態を示すデータ(T;FI(r);R(r);X1(r);X2、Sp(r);X5、fROT、dR(r)、X4;dSp(r)、X3)に基づいて制御するように構成された調整器を備えるアセンブリに関する。
115.アセンブリが、転動ミル(10)から地理的に離れた場所に配置されている、先行例のいずれか一つに記載のアセンブリ。
116.ある回転速度(fROT)で回転するシェル(20)を有し、回転するシェル内の充填材料(30)を転動させることによって粉砕するための転動ミル(10)であって、シェル(20)が、シェル(20)が軸(60)の周りを回転するときに材料と係合するように構成された第1の数(L)の突起物(310)を備える内部シェル表面(22)を有し、これによって回転速度(fROT)に応じた第1の繰り返し周波数(f)を有する振動(VIMP)を引き起こす転動ミル(10)の内部状態(X)に関する情報を生成する方法であって、
方法が、
回転するシェル(20)の回転位置を示す位置信号(E、P、P(i)、P(j)、P(q))を、位置信号(E、P(i)、P(j)、P(q))が回転速度(fROT)に応じた第2の繰り返し周波数(fRP)を有するように受信すること、
シェルの回転から生じる機械的振動(VIMP)に応じた、振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列を含む振動信号(SEA、Se(i)、S(j)、S(q))を受信すること、
振動サンプル値(Se(i)、S(j)、S(q))の時系列において、第1の繰り返し周波数(f)に等しいイベントシグネチャ発生頻度(f)を有するイベントシグネチャ(S(r);S)を検出すること、
イベントシグネチャ発生頻度(f)に基づいて、転動ミル(10)の動作中のシェルの1回転につき第1の数(L)の周期を示す周期イベント信号を生成すること、
位置信号(E、P、P(i)、P(j)、P(q))に基づいて、転動ミル(10)の動作中のシェルの1回転につき第1の数(L)の周期を示す周期基準信号を生成すること、
周期イベント信号と、周期基準信号と、の間の、転動ミル(10)の内部状態(X)を示す第1の時間的関係(X1(r)、R(r);T;FI(r))を示すデータを生成すること、
を含む、方法。
117.周期イベント信号が正弦波イベント信号であり、
周期基準信号が正弦波基準信号であり、
第1の時間的関係(R(r);TD;FI(r))を示すデータが、
正弦波イベント信号と、
正弦波基準信号と、
の第1の時間的関係(R(r);TD;FI(r))を示す、先行例のいずれか一つに記載の方法。
118.周期基準信号が、第1の数(L)及び位置信号(E、P、P(i)、P(j)、P(q))に基づいて、周期基準信号が転動ミル(10)の動作中のシェルの1回転につき第1の数(L)の周期を示すように構成されるように、生成される、先行例のいずれか一つに記載の方法。
119.周期基準信号が、第1の数(L)及び位置信号(E、P、P(i)、P(j)、P(q))に基づいて、周期基準信号が転動ミル(10)の動作中のシェルの1回転につき第1の数(L)の周期、及び、ある特定の位置信号値(E、P、P(i)、P(j)、P(q))に基づいた、ピーク値などの基準振幅値を示すように構成されるように、生成される、先行例のいずれか一つに記載の方法。
120.周期基準信号が、転動ミル(10)の動作中のシェルの1回転につき少なくとも2つの周期を示すように構成されている、先行例のいずれか一つに記載の方法。
121.位置信号が位置信号サンプル値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列を含み、
第2の繰り返し周波数(fRP)が、第1の繰り返し周波数(f)以下の周波数である、先行例のいずれか一つに記載の方法。
122.回転可能なシェル(20)を備え、シェルが回転するときに材料(30)と係合する第1の数(L)の内部突起物(310)を有する内部シェル表面を備えて構成され、これによってシェルの回転速度に応じた繰り返し周波数を有する振動を引き起こす転動ミル(10)の内部状態(X)に関する情報を生成する方法であって、
方法が、
回転するシェルの回転位置に関する位置信号を受信するステップと、
位置信号値(P(i)、P(j)、P(q))の時系列において、回転するシェルの所定の回転位置を示す第1の基準位置信号値(1;PS)の第1の発生を検出するステップと、
基準信号(1、1C、PS、PC、0%)を、基準信号がシェルの1回転につきある特定の数(L)の回数(少なくとも2回)提供されるように位置信号に基づいて提供するステップと、
振動を示す信号を受信するステップと、
振動信号において、内部突起物(310)が材料の先端部分と係合するときに発生する信号イベントシグネチャを検出するステップと、
第1の基準信号(1、1C、PS、PC、0%)の提供から後続の基準信号(1、1C、PS、PC、100%)の提供までの第1の期間(100%)を測定するステップと、
基準信号の提供から後続の信号イベントシグネチャの発生までの第2の期間を測定するステップ、又は、信号イベントシグネチャの発生から後続の基準信号の提供までの第2の期間を測定するステップと、
転動ミル(10)の内部状態(X)を示す時間的関係値を、第2の期間及び第1の期間(100%)に基づいて生成するステップと、
を含む、方法。
123.時間的関係値が、回転するシェルの2つの連続する所定の回転位置(Ps、Pc)間の先端部分(205)の位置を示している、先行例のいずれか一つに記載の方法。
124.1つの突起物(310)が、別の突起物(310)に対して互いに等距離になるように内部シェル表面(22)に配置されている、先行例のいずれか一つに記載の方法。
125.1つの突起物(310)が、伸長方向を有する細長い突起物(310)であり、伸長方向が、転動ミル(10)の動作中の突起物(310)の移動方向に実質的に垂直な方向に延び、細長い突起物(310)が、ミル(10)の動作中にシェル(20)の回転速度(fROT)で移動する、先行例のいずれか一つに記載の方法。
126.周期イベント信号と、周期基準信号と、の間の第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))を位相角度(FI(r))として生成することを更に含む、先行例のいずれか一つに記載の又は例116に従属するいずれか一つの例に記載の方法。
127.第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))が、2つの隣接する突起物(310)間の距離である特定の距離の割合を示している、先行例のいずれか一つに記載の方法。128.第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))が相対先端位置(205)を示している、先行例のいずれか一つに記載の方法。
129.イベントシグネチャが、回転するシェル(20)の内部シェル表面(22)の突起物(310)が充填材料(30)の先端部分(205)と相互作用するときに生成される衝撃力(FIMP)を示している、先行例のいずれか一つに記載の方法。
130.先端角度位置(FI(r)、X1(r)、ATOE)を、
先端位置基準値(FIREF(r)、X1REF(r))、
第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))、及び
先端位置誤差値(FIERR(r)、X1ERR(r))
に基づいて制御することを更に含み、
先端位置誤差値(FIERR(r)、X1ERR(r))が
先端位置基準値(FIREF(r)、X1REF(r))、及び
第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))に依存する、先行例のいずれか一つに記載の方法。
131.先端位置誤差値(FIERR(r))が
先端位置基準値(FIREF(r))と、
第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))と、
の差に依存する、先行例のいずれか一つに記載の方法。
132.固体材料供給速度設定点(RSSP)を先端位置基準値(FIREF(r))に応じて制御することを更に含み、
転動ミル(10)の入力(100)に送り込まれる時間単位あたりの固体材料の量である固体材料供給速度(R)が、固体材料供給速度設定点(RSSP)に依存する、先行例のいずれか一つに記載の又は例130もしくは131に記載の方法。
133.回転速度設定点(fROTSP)を先端位置基準値(FIREF(r))に応じて制御することを更に含み、
回転速度(fROT)が回転速度設定点(fROTSP)に依存する、及び/又は、液体供給速度設定点(RLSP)を先端位置基準値(FIREF(r))に応じて制御することを更に含み、
転動ミル(10)の入力(130)に送り込まれる時間単位あたりの液体の量である液体供給速度(R)が液体供給速度設定点(RLSP)に依存する、先行例のいずれか一つに記載の又は例130から132のいずれか一つに記載の方法。
134.転動ミル(10)がミルロケーション(780)に位置し、
方法の少なくとも一部が、ミルロケーション780から離れたロケーション(870)で実行される、及び/又は、
方法の少なくとも一部が、ミルロケーション(780)からある地理的距離だけ地理的に離れているリモートロケーション(870)で実行され、
方法が、ミルロケーション(780)とリモートロケーション(870)との間で信号の少なくとも一部を伝送するステップを更に含む、先行例のいずれか一つに記載の又は請求項130から133のいずれか一つに記載の方法。
135.地理的距離が1キロメートルを上回る、及び/又は、
ミルロケーション(780)が第1の管轄権を構成する第1の国にあり、
リモートロケーション(870)が第2の管轄権を構成する第2の国にあることによって、方法の少なくとも一部が第1の国で実行され、方法の少なくとも一部が第2の国で実行される、先行例のいずれか一つに記載の方法。
136.信号伝送の少なくとも一部が、例えばインターネットなどの通信ネットワーク(810)によって実行される、先行例のいずれか一つに記載の方法。
137.イベントシグネチャが、回転するシェル(20)の内部シェル表面(22)の突起(310)が充填材料(30)の先端部分(205)と相互作用するときに生成される衝撃力(FIMP)を示している、先行例のいずれか一つに記載の又は例122から136のいずれか一つに記載の方法。
138.イベントシグネチャが、例えばピーク振幅値などの振幅値(S(r);Sp;C(r);C(r))である、先行例のいずれか一つに記載の又は例122から137のいずれか一つに記載の方法。
139.第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))が、第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))を生成するように構成されたフーリエ変換器によって生成される、先行例のいずれか一つに記載の又は例122から138のいずれか一つに記載の方法。
140.2つの連続する基準信号間の第1の期間が、
第1の基準信号の発生から連続する基準信号の発生までの総サンプル数(N)をカウントすることによって測定され、
第2の期間が、
基準信号の提供から後続の信号イベントシグネチャの発生までの別のサンプル数(N)をカウントすること、又は
信号イベントシグネチャの発生から後続の基準信号の提供までの別のサンプル数(N)をカウントすること、
によって測定され、
方法が更に、別のサンプル数(N)及び総サンプル数(N)に基づいて第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))を生成することを含む、先行例のいずれか一つに記載の又は例126から139のいずれか一つに記載の方法。
141.第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))が別のサンプル数と総サンプル数との関係に基づいている、先行例のいずれか一つに記載の又は例122から140のいずれか一つに記載の方法。
142.第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))が、第1の時間的関係(R(r);T;FI(r))を生成するように構成されたステータスパラメータ抽出器(450)によって生成される、先行例のいずれか一つに記載の又は例122から141のいずれか一つに記載の方法。
143.回転可能なシェル(20)を備えた転動ミル(10)であって、生成物粒子(95;96)をミル出力(200)に生成すべく充填材料(30)を粉砕するためにシェル(20)が回転するときに回転するシェル内の材料を転動させることによって材料と係合するように構成された第1の数(L)の突起物(310)を有する内部シェル表面(22)を有し、これによって突起物(310)が材料(30)の先端部分(205)と係合するときに回転速度(U1、fROT)に応じた第1の繰り返し周波数(f)を有する振動(VIMP)を引き起こす転動ミル(10)における粉砕プロセスを操作する方法であって、
方法が、
振動(VIMP)を示す振動信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を受信すること、
回転するシェルの回転位置を示す位置信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を受信すること、
粉砕プロセスの内部状態(X)を示す少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)を振動信号及び位置信号に基づいて生成すること、を含み、
少なくとも1つのステータスパラメータ値が、先端部分(205)の位置を示す先端位置値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X6、ATOE(r))を含む、方法。
144.少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)が、例112から138のいずれか一つに定義される第1の時間的関係である、又は
少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)が、例118から138のいずれか一つに定義される時間的関係値である、又は
少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)が、例1から111のいずれか一つに定義されるように生成される、例140に記載の方法。
145.固体材料供給速度(U2、R)を設定するための固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を提供することを更に含み、固体材料供給速度(U2、R)が、転動ミル(10)の入力(100)に送り込まれることによって内部状態(X)に影響を与える時間単位あたりの固体材料供給粒子(115)の量であり、供給粒子(115)が供給粒子粒度分布を有する、例143又は144に記載の方法。
146.生成物粒子(96)の少なくとも一部を分析すること、
少なくとも1つの生成物測定値(Y1;Y2)を生成物粒子分析に基づいて生成すること、を更に含み、
少なくとも1つの生成物測定値(Y1;Y2)が排出材料状態(Y(r))を示している、例143から145のいずれか一つに記載の方法。
147.少なくとも1つの生成物測定値(Y1;Y2)と、
少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)と、
の関連付けを実行すること、及び
関連付けによって、
少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、T、FI(r)、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)と、少なくとも1つの生成物測定値(Y1;Y2)と、の因果関係を示す相関データセット、及び/又は、
内部状態(X)と、排出材料状態(Y(r))と、の因果関係を示す相関データセット
を生成することを更に含む、先行例のいずれか一つに記載の又は例143から146のいずれか一つに記載の方法。
148.所望の排出材料状態(YREF(r))を示すデータを受信すること、
少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)を、所望の排出材料状態(YREF(r))を示すデータ及び相関データセットに基づいて生成すること、を更に含み、
生成した少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)が先端位置基準値(X1REF(r)、FIREF(r)、TDREF;X6REF、ATOEREF(r))を含む、先行例のいずれか一つに記載の又は例143から147のいずれか一つに記載の方法。
149.所望の排出材料状態(YREF(r))を示すデータを受信すること、
少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)を、所望の排出材料状態(YREF(r))を示すデータ及び相関データセットに基づいて生成すること、を更に含み、
生成した少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)が先端位置基準値(X1REF(r)、FIREF(r)、TDREF;X6REF、ATOEREF(r))を含み、
相関データセットが、少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、T、FI(r)、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)と、少なくとも1つの生成物測定値(Y1;Y2)と、の因果関係を示す、及び/又は、
相関データセットが、内部状態(X)と、排出材料状態(Y(r))と、の因果関係を示す、先行例のいずれか一つに記載の又は例143から148のいずれか一つに記載の方法。
150.ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)によって、少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)を表示すること、
オペレータ(230)がミル設定点値(U;U1;U2;U3)を調整できるようにするために、ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)によって、先端位置値(X6、ATOE(r);X1(r)、FI(r)、T、R(r))を含む少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、T、FI(r)、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)を表示すること、
ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)によって、ミル設定点値(U;U1;U2;U3)を受信し、受信したミル設定点値が受信した固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を含むこと、
固体材料供給速度(U2、R)を設定することによって内部状態(X)に影響を与えて排出材料状態(Y(r))を制御する又は排出材料状態(Y(r))に影響を与えるように、受信した固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を提供すること、
を更に含む、先行例のいずれか一つに記載の又は例143から149のいずれか一つに記載の方法。
151.排出材料状態(Y(r))を、
少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)、
少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r);X6、ATOE(r);X7)、及び
ステータスパラメータ誤差値(X1ERR(r)、FIERR(r);X6ERR、ATOE_ERR(r);X7ERR
に基づいて制御することを更に含み、
ステータスパラメータ誤差値(X1ERR(r)、FIERR(r);X6ERR、ATOE_ERR(r);X7ERR)が、
少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)、及び
少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r);X6(r)、ATOE(r);X7)
に依存する、先行例のいずれか一つに記載の又は例143から150のいずれか一つに記載の方法。
152.固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を含むミル設定点(U;U1;U2;U3)を制御することによって内部状態(X)に影響を与えて、
少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)、
少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r);X6、ATOE(r);X7)、及び
ステータスパラメータ誤差値(X1ERR(r)、FIERR(r);X6ERR、ATOE_ERR(r);X7ERR
に基づいて、少なくとも1つの生成物測定値(Y1;Y2)及び/又は排出材料状態(Y(r))を制御する又は少なくとも1つの生成物測定値(Y1;Y2)及び/又は排出材料状態(Y(r))に影響を及ぼすことを更に含み、
ステータスパラメータ誤差値(X1ERR(r)、FIERR(r);X6ERR、ATOE_ERR(r);X7ERR)が、
少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)、及び
少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r);X6(r)、ATOE(r);X7)
に依存する、先行例のいずれか一つに記載の又は例143から151のいずれか一つに記載の方法。
153.転動ミル(10)がボールミルであり、方法が更に、
粉砕プロセスを促進するためにボールミルの入力(100)に送り込まれる時間単位あたりの粉砕ボールの数であるボール供給速度(U4、RBF)を設定するためのボール供給速度設定点値(U4SP、RBFSP)を提供することを含み、
粉砕ボールが供給ボールサイズ分布を有する、先行例のいずれか一つに記載の又は例143から152のいずれか一つに記載の方法。
154.排出材料状態(Y(r))が、10分以下の測定瞬時期間に測定される生成物粒子粒度分布を示す瞬間的生成物粒子粒度分布(Y)である、先行例のいずれか一つに記載の又は例143から153のいずれか一つに記載の方法。
155.位置信号に基づいて、第2の数(L)の静止位置表示、又は不動の回転位置を示す第2の数(L)の静止位置表示値(P1、Pc、P1、P2、P3、PL)を生成すること、
振動信号に基づいて、第1の数(L)の可変位置表示、又は2つの不動の回転位置間の可変位置を示す可変位置表示値を生成すること、
を更に含む、先行例のいずれか一つに記載の又は例122から154のいずれか一つに記載の方法。
156.可変位置表示及び静止位置表示に基づいて、先端部分の2つの静止位置間の位置を示す関係値を生成することを更に含む、先行例のいずれか一つに記載の又は例155に記載の方法。
157.イベントシグネチャに基づいて、衝撃力を示す力値を生成すること、
力値と速度値の組み合わせに基づいて、充填材料の少なくとも一部の質量を示す質量値を生成すること、
を更に含む、先行例のいずれか一つに記載の又は例122から156のいずれか一つに記載の方法。
158.質量値及び関係値に基づいて、絶対先端位置値を生成することを更に含む、先行例のいずれか一つに記載の又は例122から157のいずれか一つに記載の方法。
159.絶対先端位置値と、速度値と、絶対先端位置値及び速度値と結合される力値に関する履歴データと、に基づいて質量値を生成することを更に含み、
質量値が充填材料(30)の総質量を示している、先行例のいずれか一つに記載の又は例122から158のいずれか一つに記載の方法。
160.回転するシェル内での材料(30)の転動が、生成物粒子(96)を含む出力材料(95)をミル出力(200)に生成する、例143から159のいずれか一つに記載の方法。
161.出力材料(95)が生成物粒子(96)及び液体を含む、例160に記載の方法。
162.転動ミル(10)が回転可能なシェル(20)を備え、回転可能なシェル(20)が、出力材料生成物粒子(95、96)をミル出力(200)に生成すべく、充填材料(30)を乾式粉砕するためにシェル(20)が回転するときに回転するシェル内の材料を転動させることによって材料と係合するように構成された第1の数(L)の突起物(310)を備えた内部シェル表面(22)を有する、例143から161のいずれか一つに記載の方法。
163.回転可能なシェル(20)を備えた転動ミル(10)であって、回転可能なシェル(20)が、生成物粒子(95;96)を含む出力材料(95)をミル出力(200)に生成すべく、充填材料(30)を粉砕するためにシェル(20)が回転するときに回転するシェル内の材料を転動させることによって材料と係合するように構成された第1の数(L)の突起物(310)を備えた内部シェル表面(22)を有し、これによって突起物(310)が材料(30)の先端部分(205)と係合するときにある回転速度(U1、fROT)に応じた第1の繰り返し周波数(f)を有する振動(VIMP)を引き起こす転動ミル(10)における粉砕プロセスを操作する方法であって、
方法が、
振動(VIMP)を示す振動信号(SFIMP;SEA、SMD、Se(i)、S(j)、S(q))を受信すること、
回転するシェルの回転位置を示す位置信号(E、P(i)、P(j)、P(q))を受信すること、
振動信号及び位置信号に基づいて、粉砕プロセスの内部状態(X)を示し、先端部分(205)の位置を示す第1のステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X6、ATOE(r))を含む少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)を生成すること、
を含む、方法。
164.第1のステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)が例112から138のいずれか一つに定義される第1の時間的関係である、又は
第1のステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)が、例118から138のいずれか一つに定義される時間的関係値である、又は
第1のステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)が、例1から111のいずれか一つに定義されるように生成される例163に記載の方法。
165.固体材料供給速度(U2、R)を設定するための固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を提供することを更に含み、固体材料供給速度(U2、R)が、転動ミル(10)の入力(100)に送り込まれることによって内部状態(X)に影響を与える時間単位あたりの固体材料供給粒子(115)の量であり、供給粒子(115)が供給粒子粒度分布を有する、例163又は164に記載の又は例143から163のいずれか一つに記載の方法。166.出力材料(95)の少なくとも一部を分析すること、
少なくとも1つの出力材料測定値(Y1;Y2)を出力材料分析に基づいて生成すること、
を更に含む、例163から165のいずれか一つに記載の又は例143から165のいずれか一つに記載の方法。
各出力材料測定値(Y1;Y2)が出力材料分析に対応するタイムスタンプ又は期間と関連付けられ得ることを理解すべきである。
167.少なくとも1つの出力材料測定値(Y1;Y2)が出力材料品質測度を示している、例162もしくは例143から145のいずれか一つに記載の又は例143から166のいずれか一つに記載の方法。
168.少なくとも1つの出力材料測定値(Y1;Y2)が、出力材料(95)の瞬間的な状態である排出材料状態(Y)を示している、例167もしくは例143から145のいずれか一つに記載の又は例143から167のいずれか一つに記載の方法。
169.少なくとも1つの出力材料測定値(Y1;Y2)が、以下の群から選択される1つ又はいくつかである、例166から168のいずれか一つに記載の又は例143から145のいずれか一つに記載の又は例143から168のいずれか一つに記載の方法、
出力材料(95)の時間単位あたりの質量を示す値(Y1;Y2);
生成物粒子(96)の時間単位あたりの質量を示す値(Y1;Y2);
生成物粒子(96)の時間単位あたりの質量を示す値(Y1;Y2);
生成物粒子(96)が、最小生成物粒子粒度限界値と最大生成物粒子粒度限界値との間の範囲内の生成物粒子粒度を有し、最小生成物粒子粒度限界値と最大生成物粒子粒度限界値との間の範囲内の生成物粒子粒度を有する生成物粒子(96)のパーセンテージを示す値(Y1;Y2);
標準偏差などの生成物粒子粒度分布(Y)を示す値(Y1;Y2);
生成物粒子粒度(Y1;Y2)を示す値(Y1;Y2)。
170.生成物粒子粒度(Y1;Y2)が、以下の群から選択される少なくとも1つである、例169に記載の方法、
生成物粒子中央粒度値;
生成物粒子平均粒度値;
生成物粒子中央粒径値;及び
生成物粒子平均粒径値。
171.生成物粒子粒度限界値が、以下の群から選択される少なくとも1つである、例169に記載の方法、
生成物粒子粒径値;及び
生成物粒子最大幅値。
最小生成物粒子粒度限界値がゼロに設定され得ることを理解すべきである。最小生成物粒子粒度限界値と最大生成物粒子粒度限界値との間の範囲は、最小生成物粒子粒度限界値が省略されても、最大生成物粒子粒度限界値が省略されても、その範囲が、それぞれ最大生成物粒子粒度限界値を下回る値又は最小生成物粒子粒度限界値を上回る値になるように定義されることがある。
この解決策は、粉砕プロセスの内部状態と少なくとも1つの出力材料測定値との因果関係の特定及び/又は決定を可能にする点で有利である。
また、この解決策は、粉砕プロセスの内部状態と排出材料状態(Y)との因果関係の特定及び/又は決定を可能にする点で有利である。排出材料状態(Y)は生成物材料状態(Y)と称されることもある。 この解決策は、所望の排出材料状態(YREF)の確定と、所望の排出材料状態(YREF)を引き起こす、もしくは生成する、又は所望の排出材料状態(YREF)にできるだけ近い排出材料状態(Y)を引き起こすもしくは生成する粉砕プロセスの内部状態を検索及び特定するために、粉砕プロセスの代替的な内部状態の検査とを可能にする点で汎用的である。また、検出した瞬間的粉砕プロセス内部状態(X(r))を対応する瞬間的排出材料状態(Y(r))と関連付けて記録することで、
瞬間的粉砕プロセス内部状態(X(r))と、
対応する瞬間的排出材料状態(Y(r))と、
の因果関係を示す相関データが生成される。 検出した複数の互いに異なる瞬間的粉砕プロセス内部状態(X(r))を、各瞬間的粉砕プロセス内部状態(X(r))が引き起こした瞬間的排出材料状態(Y(r))と関連付けて繰り返し記録することによって、相関データセットが生成されることがある。そのような相関データセットは、
複数の瞬間的粉砕プロセス内部状態(X(r))と、
複数の対応する瞬間的排出材料状態(Y(r))と、
の因果関係をしている。
172.少なくとも1つの生成物測定値(Y1;Y2)と、
少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)と、
の関連付けを実行すること、及び
関連付けによって、
少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、T、FI(r)、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)と、少なくとも1つの生成物測定値(Y1;Y2)と、の因果関係を示す相関データセット、及び/又は、
内部状態(X(r))と、排出材料状態(Y(r))と、の因果関係を示す相関データセット
を生成することを更に含む、例166から171のいずれか一つに記載の又は例143から145のいずれか一つに記載の又は例143から171のいずれか一つに記載の方法。
173.所望の排出材料状態(YREF(r))を示すデータを受信すること、
少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)を、所望の排出材料状態(YREF(r))を示すデータ及び相関データセットに基づいて生成することを更に含み、
生成した少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)が、第1のステータスパラメータ基準値(X1REF(r)、FIREF(r)、TDREF;X6REF、ATOEREF(r))を含む、例166から172のいずれか一つに記載の又は例143から145のいずれか一つに記載の又は例143から172のいずれか一つに記載の方法。
174.所望の排出材料状態(YREF(r))を示すデータを受信すること、
少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)を、所望の排出材料状態(YREF(r))を示すデータ及び相関データセットに基づいて生成すること、を更に含み、
生成した少なくとも1つのステータスパラメータ基準値(X1REF;FIREF)が、第1のステータスパラメータ基準値(X1REF(r)、FIREF(r)、TDREF;X6REF、ATOEREF(r))を含み、
相関データセットが、少なくとも1つのステータスパラメータ値(X1(r)、T、FI(r)、R(r);X2、Sp(r);X3、dSp(r);X4、dR(r);X5、fROT;X6、ATOE(r);X7)と、少なくとも1つの生成物測定値(Y1;Y2)と、の因果関係を示す、及び/又は
相関データセットが、所望の排出材料状態(YREF(r))と、対応する基準内部状態(XREF(r))と、の因果関係を示している、
例166から173のいずれか一つに記載の又は例143から145のいずれか一つに記載の又は例143から173のいずれか一つに記載の方法。
175.ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)に、第1のステータスパラメータ基準値(X1REF(r)、FIREF(r)、TDREF;X6REF、ATOEREF(r))を示す情報を伝達させること、
ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)に、先端部分(205)の位置を示す第1のステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T;X6、ATOE(r))を示す情報を伝達させること、
ユーザインターフェイス(210、210S、240、250)を介して、固体材料供給速度(U2、R)に関する第1のユーザ入力を受信すること、
固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を生成することによって、排出材料状態(Y(r))を制御する又は排出材料状態(Y(r))に影響を及ぼすために内部状態(X)に影響を与えること、を更に含み、
生成した固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)が受信した第1のユーザ入力に基づいている、例166から174のいずれか一つに記載の又は例143から145のいずれか一つに記載の又は例143から174のいずれか一つに記載の方法。
この解決策は、第1のステータスパラメータ基準値に関する情報を生成するという利点を有する。生成した第1のステータスパラメータ基準値は、所望の排出材料状態(YREF(r))に対応する所望の先端位置を示している。また、この解決策は、実際の第1のステータスパラメータ値に関する情報を生成するという利点を有する。生成した実際の第1のステータスパラメータ値は、先端部分(205)の位置を示し、したがって、粉砕プロセスの実際の内部状態(X)を示している。
したがって、この解決策は、ユーザにユーザインターフェイスを介して、粉砕プロセスの実際の内部状態(X)に関する情報及び粉砕プロセスの所望の内部状態(X)に関する情報を伝達するという利点を有する。そのような伝達情報は、排出材料状態(Y(r))を制御する又はこれに影響を及ぼすために固体材料供給速度(U2、R)を調整することを望むオペレータ(230)に有用である場合がある。
この文書では「所望の」値は「基準」値と称されることがある。したがって、例えば上述の「第1のステータスパラメータ基準値」は「所望の第1のステータスパラメータ値」に関する。この文書の文脈において、「ユーザ」という用語は、転動ミルを操作する者に関連することがあり、そのようなユーザはオペレータと称されることもある。
176.固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を生成することによって、排出材料状態(Y(r))を制御する又は排出材料状態(Y(r))に影響を及ぼすために内部状態(X)に影響を与えることを更に含み、
生成した固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)が
第1のステータスパラメータ基準値(X1REF(r)、FIREF(r)、TDREF;X6REF、ATOEREF(r))及び
先端部分(205)の位置を示す第1のステータスパラメータ値(X1(r)、FI(r)、T;X6、ATOE(r))
に基づいている、例166から175のいずれか一つに記載の又は例143から145のいずれか一つに記載の又は例143から175のいずれか一つに記載の方法。
この解決策は、所望の排出材料状態(YREF(r))に対応する所望の先端位置を示す第1のステータスパラメータ基準値に関する情報を生成するという利点を有する。
また、この解決策は、先端部分(205)の実際の位置を示す実際の第1のステータスパラメータ値に関する情報を生成するため、粉砕プロセスの現在の実際の内部状態(X)を示すという利点を有する。
したがって、この解決策は、排出材料状態(Y(r))を制御する又はこれに影響を及ぼすために同様に固体材料供給速度(U2、R)に影響を及ぼす固体材料供給速度設定点値(U2SP、RSSP)を自動的に生成するという利点を有する。
この文書では「所望の」値は「基準」値と称されることがある。したがって、例えば上述の「第1のステータスパラメータ基準値」は「所望の第1のステータスパラメータ値」に関する。
177.転動ミル(10)における粉砕プロセスを操作するためのシステムであって、
システムが、先行例のいずれか一つに記載の又は例112から172のいずれか一つに記載の方法のステップの全て又は少なくとも一部を実行するように構成された1つ以上のハードウェアプロセッサを備えるシステム。
178.転動ミル(10)における粉砕プロセスを操作するための第1のシステムであって、
転動ミル(10)がミルロケーション(780)に位置しており、
システムが、ミルロケーション(780)に位置する1つ以上のハードウェアプロセッサを備えており、
1つ以上のハードウェアプロセッサが、先行例のいずれか一つに記載の又は例122から177のいずれか一つに記載の方法のステップの少なくとも一部を実行するように構成されている第1のシステム。
179.例178に記載の第1のシステムと協働するための第2のシステムであって、
第2のシステムが、ミルロケーション(780)からある地理的距離だけ地理的に離れているリモートロケーション(870)に位置する1つ以上のハードウェアプロセッサを備えており、
1つ以上のハードウェアプロセッサが、先行例のいずれか一つに記載の又は例122から178のいずれか一つに記載の方法のステップの少なくとも一部を実行するように構成され、
方法の少なくとも一部が、ミルロケーション(780)からある地理的距離だけ地理的に離れているリモートロケーション(870)で実行され、方法が更に、
信号の少なくとも一部をミルロケーション(780)とリモートロケーション(870)との間で伝送するステップを含み、
システムが、先行例のいずれか一つに記載の又は例122から178のいずれか一つに記載の方法のステップの少なくとも一部を実行するように構成された1つ以上のハードウェアプロセッサを備えており、
転動ミル(10)がミルロケーション(780)に位置しており、
方法の少なくとも一部が、ミルロケーション(780)から離れたロケーション(870)で実行される、及び/又は
方法の少なくとも一部が、ミルロケーション(780)からある地理的距離だけ地理的に離れているリモートロケーション(870)で実行され、方法が更に、
信号の少なくとも一部をミルロケーション(780)とリモートロケーション(870)との間で伝送するステップを含む第2のシステム。180.地理的距離が1キロメートルを上回る、及び/又は
ミルロケーション(780)が第1の管轄権を構成する第1の国にあり、
リモートロケーション(870)が第2の管轄権を構成する第2の国にあることによって、方法の少なくとも一部が第1の国で実行され、方法の少なくとも一部が第2の国で実行される、先行例のいずれか一つに記載の方法。
181.信号伝送の少なくとも一部が、例えばインターネットなどの通信ネットワーク(810)によって実行される、先行例のいずれか一つに記載の方法。
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6A-6B】
図7
図8-1】
図8-2】
図8-3】
図8-4】
図8-5】
図9
図10
図11
【図
図12
【図
図13
図14A
図14B
図15
図16
図17
図18
図19A
図19B
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図23
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図25
図26
図27-1】
図27-2】
図28-1】
図28-2】
図29-1】
図29-2】
図30
図31
図32
図33
図34-1】
図34-2】
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図38
図39
図40
【国際調査報告】