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特表2024-515474調節可能なスライドを備えた把持装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】調節可能なスライドを備えた把持装置
(51)【国際特許分類】
   B25J 15/06 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
B25J15/06 M
【審査請求】有
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023559085
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-09-26
(86)【国際出願番号】 AT2022060093
(87)【国際公開番号】W WO2022198256
(87)【国際公開日】2022-09-29
(31)【優先権主張番号】A50215/2021
(32)【優先日】2021-03-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AT
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】509296085
【氏名又は名称】トルンプ マシーネン オーストリア ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディトゲゼルシャフト
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100092624
【弁理士】
【氏名又は名称】鶴田 準一
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100153729
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 有一
(72)【発明者】
【氏名】ゲルハルト アンゲラー
(72)【発明者】
【氏名】ミヒャエル シェルンハンマー
(72)【発明者】
【氏名】クレーメンス フロイデンターラー
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン マイアー
(72)【発明者】
【氏名】ネナド コフイェニク
(72)【発明者】
【氏名】フロリアン ハウスマン
(72)【発明者】
【氏名】ベレナ シュタイニンガー
【テーマコード(参考)】
3C707
【Fターム(参考)】
3C707DS10
3C707FS01
3C707FT02
3C707FT11
3C707MT10
(57)【要約】
本発明は、把持装置(1)及びマニピュレーターに関する。把持装置(1)は、マニピュレーターと連結するための接続部(5)を備えた支持台(4)を有する。支持台(4)は、少なくとも2つの調節スライドガイド(11、12)を備えている。把持装置(1)は、保持要素(3)を作動させたり停止させたりするための供給要素(27)を有している。少なくとも2つの調節スライド(9、10)は、それぞれ少なくとも部分的に調節スライドガイド(11、12)の1つに収容又は保持されていて、調節スライドガイド(11、12)内で第1方向(13)に沿って支持台(4)に対して移動可能である。調節スライド(9、10)の少なくとも1つは、少なくとも1つの横方向ガイド(15)を備えている。少なくとも1つの横方向クロススライド(14)には、少なくとも1つの保持要素(3)が配置されている。横方向クロススライド(14)は、少なくとも部分的に横方向ガイド(15)に収容又は保持されていて、横方向ガイド(15)内で第2方向(16)に沿って調節スライド(9、10)に対して移動可能であり、第1方向(13)と第2方向(16)は互いに直交している。少なくとも1つの横方向クロススライド(14)のガイド部(42)は、少なくとも1つの横方向ガイド(15)に収容又は保持され、プロフィール形状であり、前記ガイド部(42)は横方向ガイド(15)内で直線的に引き出し可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送しようとする、好ましくは板状の工作物(2)を受け取り、再び解放するために設けられた把持装置(1)であって、
下面(17)及び該下面(17)とは反対側の上面(41)を有する支持台(4)であって、
該支持台(4)は、前記上面(41)に接続部(5)を備え、又は接続部(5)と連結可能であり、該接続部(5)は前記把持装置(1)をマニピュレーターと連結するために設けられ、
前記支持台(4)は、前記下面(17)に少なくとも2つの調節スライドガイド(11、12)を備える、支持台(4)と、
複数の保持要素(3)であって、
前記工作物(2)を保持するために設けられ、
前記支持台(4)と連結され、
接触面(7)を備えており、該接触面(7)は、前記支持台(4)の前記下面(17)から離れる方向を向き、共通の接触平面(8)に跨っている、複数の保持要素(3)と、
前記保持要素(3)を作動させたり停止させたりするように設けられた供給要素(27)と、
少なくとも2つの調節スライド(9、10)であって、
該調節スライド(9、10)は、それぞれ少なくとも部分的に前記調節スライドガイド(11、12)の少なくとも1つに受容され、又は保持され、
前記調節スライド(9、10)は、前記調節スライドガイド(11、12)内で第1方向(13)に沿って前記支持台(4)に対して移動可能であり、
前記調節スライド(9、10)の少なくとも1つは、少なくとも1つの横方向ガイド(15)を備える、少なくとも2つの調節スライド(9、10)と、
少なくとも1つの横方向クロススライド(14)であって、
該横方向クロススライド(14)には少なくとも1つの保持要素(3)が配置され、
前記横方向クロススライド(14)は、少なくとも部分的に前記横方向ガイド(15)に受容され又は保持され、
前記横方向クロススライド(14)は、前記横方向ガイド(15)内で第2方向(16)に沿って前記調節スライド(9、10)に対して相対的に移動可能である、少なくとも1つの横方向クロススライド(14)と、備え、
前記第1方向(13)と前記第2方向(16)は互いに直交している、把持装置(1)において、
前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)のガイド部(42)は、前記少なくとも1つの横方向ガイド(15)に受容され又は保持され、プロフィール形状に形成され、前記ガイド部(42)は、前記横方向ガイド(15)内で直線的に引き出し可能である、ことを特徴とする把持装置(1)。
【請求項2】
前記調節スライド(9、10)の少なくとも1つは、2つの互いに平行な横方向ガイド(15)を備え、引き出し可能な横方向クロススライド(14)が各横方向ガイド(15)内に収容され、前記保持要素(3)の少なくとも1つが各横方向クロススライド(14)に配置され、該保持要素(3)は、2つの横方向クロススライド(14)の互いから離れる方向を向く端部部分に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の把持装置(1)。
【請求項3】
前記調節スライド(9、10)はそれぞれ1つの調節スライド固定要素を備え、該調節スライド固定要素は、独立して操作可能であり、前記調節スライド(9,10)を前記支持台(4)に対して必要に応じて解放可能に固定するよう設けられ、及び/又は前記調節スライド(9、10)は、横方向クロススライド固定要素を備え、該横方向クロススライド固定要素は、少なくとも1つの横方向クロススライド(14)を前記調節スライド(9、10)に対して必要に応じて固定するように設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の把持装置(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの第1スケール(21)が前記支持台(4)に前記第1方向(13)に沿って設けられ、及び/又は第2スケール(23)が少なくとも1つの横方向クロススライド(14)に前記第2方向(16)に沿って設けられ、前記第1スケール(21)と前記第2スケール(23)は、好ましくは前記接触平面(8)に平行に配置され、前記支持台(4)の前記下面(17)を見るときに視認可能である、ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項5】
前記調節スライド固定要素は調節スライド移動止め要素(18)として設けられ、及び/又は前記横方向クロススライド固定要素は横方向クロススライド移動止め要素(22)として設けられ、前記支持台(4)は、前記第1方向(13)に沿って互いに等距離に離れた複数の移動止め凹部を備え、前記調節スライド移動止め要素(18)の移動止め要素は、前記支持台(4)の前記移動止め凹部に係合可能であり、前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)は、前記第2方向(16)に沿って互いに等距離に離れた複数の移動止め凹部を備え、前記横方向クロススライド移動止め要素(22)の移動止め要素は、前記横方向クロススライド(14)の前記移動止め凹部に係合可能である、ことを特徴とする、請求項3又は4に記載の把持装置(1)。
【請求項6】
前記調節スライド移動止め要素(18)の前記移動止め要素及び/又は前記横方向クロススライド移動止め要素(22)の前記移動止め要素はボルト(19)として設けられ、該ボルト(19)は前記支持台(4)の前記移動止め凹部及び/又は前記横方向クロススライド(14)の前記移動止め凹部に係合可能である、ことを特徴とする請求項5に記載の把持装置(1)。
【請求項7】
前記調節スライド固定要素は少なくとも1つのねじ(47)を有し、前記調節スライド(9、10)の一つと前記支持台(4)との間に締め付け力は前記少なくとも1つのねじ(47)によって加えることができ、及び/又は前記横方向クロススライド固定要素は少なくとも1つのねじ(47)を有し、前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)と前記調節スライド(9、10)の1つとの間に締め付け力は前記少なくとも1つのねじ(47)によって加えることができる、ことを特徴とする請求項3~6の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項8】
前記調節スライド固定要素は、少なくとも1つのクランプレバー(48)、偏心レバー(49)又はテンションレバーを有し、前記クランプレバー(48)、前記偏心レバー(49)又は前記テンションレバーによって、前記調節スライド(9、10)と前記支持台(4)との間に締め付け力を加えることができ、及び/又は前記横方向クロススライド固定要素は、少なくとも1つのクランプレバー(48)、偏心レバー(49)又はテンションレバーを有し、前記クランプレバー(48)、前記偏心レバー(49)又は前記テンションレバーによって、前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)と前記調節スライド(9、10)の1つとの間に締め付け力を加えることができる、ことを特徴とする請求項3~7の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項9】
前記調節スライド固定要素及び/又は前記横方向クロススライド固定要素は、空気圧固定要素(52)を含んでいることを特徴とする、請求項3~8の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項10】
前記調節スライドガイド(11、12)は、前記調節スライド(9、10)の部分と形状嵌合的に係合するためのプリズムトラックとして設けられ、特に前記調節スライドガイド(11、12)は、前記調節スライド(9、10)の部分と形状嵌合的に係合するためのプリズムトラックとして設けられている、ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)の前記ガイド部(42)は、少なくとも部分的に中空プロフィール部(45)を備え、該中空プロフィール部(45)は、負圧ダクト(30)として設けられ、該負圧ダクト(30)は、前記供給要素(27)及び前記横方向クロススライド(14)に配置された少なくとも1つの保持要素(3)と流体接続している、ことを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項12】
少なくとも1つの螺旋状供給管(50)が設けられ、前記少なくとも1つの螺旋状供給管(50)は少なくとも1つの保持要素(3)に負圧をかけるために設けられている、ことを特徴とする請求項1~11の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの螺旋状供給管(50)は、前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)の前記ガイド部(42)によって少なくとも部分的に貫通されている、ことを特徴とする請求項12に記載の把持装置(1)。
【請求項14】
前記供給要素(27)はバルブターミナル(28)を有し、該バルブターミナル(28)は遮断弁を介して前記保持要素(3)と流体接続している、ことを特徴とする請求項1~13の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項15】
別の調節スライド(33)が設けられ、該別の調節スライド(33)は第1ガイドバー(34)及び第2ガイドバー(35)を有し、前記第1ガイドバー(34)及び前記第2ガイドバー(35)は、前記第1方向(13)に沿って移動可能であり、特に前記支持台(4)の端面(39、40)に設けた貫通路によって、又は前記支持台(4)内のプリズムトラック又はプロフィール状トラックによって案内され、前記別の調節スライド(33)は前記第1ガイドバー(34)及び前記第2ガイドバー(35)によって前記第1方向(13)に沿って前記支持台(4)に対して直線的に引き出し可能である、ことを特徴とする、請求項1~14の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項16】
少なくとも1つの別の横方向クロススライド(36)が設けられ、該少なくとも1つの別の横方向クロススライド(36)に少なくとも1つの保持要素(3)が配置され、前記少なくとも1つの別の横方向クロススライド(36)は、別の調節スライド(33)の横方向ガイド(15)内に少なくとも部分的に収容され、前記横方向ガイド(15)内で前記別の調節スライド(33)に対して前記第2方向(16)に沿って移動可能であり、前記別の調節スライド(33)のガイド部(42)は、少なくとも1つの横方向ガイド(15)に収容され、プロフィール形状であり、特に中空プロフィール形状であり、前記ガイド部(42)は前記横方向ガイド(15)内で直線的に引き出し可能である、ことを特徴とする請求項15に記載の把持装置(1)。
【請求項17】
負圧パイプ(37)は、前記第1ガイドバー(34)及び前記第2ガイドバー(35)に平行に設けられ、前記支持台(4)に対して直線的に引き出し可能であり、前記負圧パイプ(37)は、前記供給要素(27)に対して流体接続し、及び前記別の調節スライド(33)に配置された前記別の横方向クロススライド(36)に設けた前記少なくとも1つの保持要素(3)と流体接続している、ことを特徴とする請求項16に記載の把持装置(1)。
【請求項18】
少なくとも1つの螺旋状供給管(50)は、前記調節スライド(9、10)の前記第1ガイドバー(34)及び前記第2ガイドバー(35)の少なくとも1つによって少なくとも部分的に貫通され、又は前記少なくとも1つの螺旋状供給管(50)は2つの第1ガイドバー(34)及び第2ガイドバー(35)の間に配置されている、ことを特徴とする
請求項15~17の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項19】
前記第1方向(13)に沿って移動可能に支持された少なくとも1つのエネルギーチェーン(51)が設けられ、該エネルギーチェーン(51)は、前記調節スライド(9、10)を移動させるために、及び/又は前記第1ガイドバー(34)及び前記第2ガイドバー(35)を移動させるために設けられ、少なくとも1つの負圧管(29)が前記エネルギーチェーン(51)内に案内されていることを特徴とする、請求項1~18の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項20】
搬送しようとする、好ましくは板状の工作物(2)を受け取って再び解放するために設けられた、把持装置(1)を有するマニピュレーターであって、
前記把持装置(1)は、請求項1~19の何れか一項に従って設けられていることを特徴とするマニピュレーター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調節可能な把持装置、及び調節可能な把持装置を備えたマニピュレーターに関する。
【背景技術】
【0002】
保持要素、特に負圧で作動する保持要素の位置を調節できるようにする調節可能又は調節可能な把持装置は、当業界で従来技術により知られている。保持要素の位置を調節することにより、異なるサイズの工作物を操作することを可能にするものである。この目的のために、例えば特許文献1から調節可能な把持装置が知られている。ガイドレールに沿って移動可能な複数の横アームを有する、ガイドレールを備えた固定アームが設けられており、移動可能な横アームに移動可能な保持要素が配置されている。特許文献2は、特定のプロフィール形状のロッドを備えた支持装置を開示しており、これらのロッドは移動可能なクランプ片を介して互いに解除可能に連結されている。本出願人に帰属する特許文献3は、軸を中心に回転可能な複数の支持アームを備えたマニピュレーター用の把持装置を開示している。支持アームはベースアームと片持ちアームを含んでおり、それぞれに保持要素が配置されている。特許文献4は、ブームと、ブームに沿って移動可能な複数のスライダーとを含む伸縮排気管を備えた吸引装置を開示している。
【0003】
しかしながら、従来技術より知られている設計は、あまりコンパクトに構成されておらず、十分フレキシブルではない上、様々な工作物形状に適応できないか、十分に適応できない。更に、既知の解決策は構造的に複雑であり、安定性又は堅牢性も乏しいため、重い部品の取り扱いにはほとんど適さないか、耐用年数が短いのが特徴である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】欧州特許出願第3031586号明細書
【特許文献2】欧州特許出願第1041295号明細書
【特許文献3】欧州特許出願第1871696号明細書
【特許文献4】米国特許出願第6796588号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、様々なサイズと形状の工作物、特に板状の工作物又は板金部品を、単一の、フレキシブルで簡単、且つ正確に調節可能な把持装置で操作できる装置を提供することである。この把持装置は、堅牢性と耐久性があり、構造的にもあまり複雑ではなく、コンパクトで、長寿命で、安全に取り扱うことができるものとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題は、特許請求の範囲による調節可能な把持装置によって、及びマニピュレーターによって解決される。
【0007】
本発明は、搬送しようとする、好ましくは板状の工作物を受け取り、再び解放するために設けられた把持装置に関する。このために、把持装置は下面、及び下面とは反対側の上面を含んでいる。支持台はその上面に、把持装置をマニピュレーターに連結するために形成された接続部が形成されている。また、支持台はその下面に、少なくとも2つの調節スライドガイドが形成されている。
【0008】
把持装置はまた、工作物を保持するための複数の保持要素を含んでいる。保持要素は支持台と連結されており、連結は直接的又は間接的に行うことができる。更に、この連結は、好ましくは解除可能であり、特に好ましくは工具なしに解除可能である。保持要素はそれぞれ接触面を有しており、これらの接触面は支持台の下面とは反対側に向けられていて、共通の接触平面を区切る。当業者は、様々なタイプの保持要素に精通しているので、ここではこれらについて詳細に説明しない。例えば、保持要素は吸盤のような負圧で作動する保持要素であることができる。代替として、磁気的に作用する保持要素も考えられ、圧力作動式の永久磁石も、電磁石を用いた保持要素も使用することができる。
【0009】
把持装置は、保持要素を作動させたり停止させたりするように設けられた供給要素も含んでいる。供給要素は、保持要素のタイプと機能機構に応じて、例えば負圧供給の構成要素(例えば動力ユニット、フレキシブルな負圧ホース、剛性負圧配管、バルブ、バルブ遮断器、バルブターミナルなど)、又は電源供給の構成要素(例えば動力ユニット、電導線)であることができる。
【0010】
更に、把持装置は、少なくとも2つの移動可能な調節スライドを含んでいる。これらの調節スライドは、それぞれ少なくとも部分的に調節スライドガイドの少なくとも1つに収容又は保持されている。更に、調節スライドは、これらの調節スライドガイド内で、第1方向に沿って支持台に対して相対的に移動可能である。第1方向は、以下にX方向ともいう。調節スライドの少なくとも1つは、少なくとも1つの横方向ガイドを備えて形成されている。把持装置は少なくとも1つの横方向クロススライドを含んでおり、これに少なくとも1つの保持要素が配置されている。横方向クロススライドは、少なくとも部分的に横方向ガイドに収容又は保持され、横方向ガイド内で第2方向に沿って調節スライドに対して相対的に移動可能である。第2方向は、以下にY方向ともいう。第1方向と第2方向とは互いに直交する。好ましくは第1方向と第2方向は接触面に平行に延びており、接触平面はX-Y平面に平行に延びることができる。
【0011】
本発明によれば、少なくとも1つの横方向クロススライドの、少なくとも1つの横方向ガイドに収容又は保持されているガイド部は、特定のプロフィール形状、特に中空プロフィール形状である。このガイド部は、横方向ガイド内で直線的に引き出すことができ、又は再び直線的に押し入れることもできる。
【0012】
少なくとも1つの横方向クロススライドの特定のプロフィール形状のガイド部は、例えば円形、矩形又は楕円形であることができる。基本的に蟻溝形状の断面も好都合であろう。
【0013】
保持要素は、すでに述べたように、横方向ガイドにも、追加的に調節スライドにも、また直接支持台にも配置することができる。基本的に、保持要素の実際の配置、サイズ及び数も、当業者の裁量に任される。特に、押し出し可能な横方向クロススライドに位置決めされた保持要素は、2次元、即ちX方向とY方向に移動可能であることを特徴とする。好ましくは個々の保持要素は、必要に応じて個々に、互いに独立に作動させたり停止させたりすることができる。この目的のために、例えばそれぞれの保持要素の供給管には、手動又は自動で操作可能な遮断弁を設けることができる。
【0014】
少なくとも2つの調節スライドと少なくとも1つの横方向クロススライドは、操作者が手動で変位させることができる。しかし代替として、スライドを自動的に、特に空気圧又は電気で変位又は調節可能にすることも考えられる。変位及び調節パラメータは、好ましくはソフトウェアベースのセットアッププランによって操作者に提供することができる。好ましくは調節スライドガイドも、少なくとも1つの横方向ガイドも、リニアガイドとして形成することができる。このような設計は、製造コストが安く、操作も簡単であり、保持要素が2方向へ移動可能であるために移動の自由度を損なうことがない。
【0015】
本発明により構成される把持装置は、既知の設計と比較して、構造的に単純であり、従って費用効果が高く、堅牢であり、従って耐久性があり、修理はほとんど必要ない。その上、把持装置は非常にコンパクトに畳むことができ、そのため個々の保持要素の間隔を極めて小さく調節することができる。これは特に、少なくとも1つの直線的に引き出すことができる横方向ガイドを完全に押し入れた場合に顕著である。このような調節は、特に非常に小さい工作物や、角度のついた又はエッジのある工作物の場合に有利である。他方、少なくとも1つの横方向クロススライドを押し出せることは、保持要素を互いに遠くに離すことを可能にする。特に、フレキシブルな移動可能性及び調節可能性は、マニピュレーターや、周辺の物体との衝突の危険性を防止し、少なくともほぼ防ぐことができる。
【0016】
スライドをガイドに沿って変位させることは、簡単に実行でき、多くの時間を必要としない。つまり、把持装置、又は把持装置に位置決めされた保持要素は、操作しようとする工作物のそれぞれの形状にフレキシブルに適応させることができる。唯一の、しかしフレキシブルに調節可能な把持装置で、多数の寸法の工作物を操作することができる。調節は非常に簡単で、そのためあまり訓練を受けていないセットアップ担当者でも行うことができるので、セットアップ時間を大幅に短縮することができる。これは、特に操作する工作物の数が少ない場合に、経済的にプラスの効果をもたらす。
【0017】
更に、調節スライドの少なくとも1つは、2つの互いに平行な横方向ガイドを備えて形成されており、各横方向ガイドに引き出し可能な横方向クロススライドが収容又は保持されており、横方向クロススライドに少なくとも1つの保持要素が配置されていると好都合であろう。ここで、保持要素は2つの横方向クロススライドの互いに反対側の端部部分に形成されている。2つの横方向クロススライドを引き出すと、それぞれの保持要素が調節スライドから更に離れるだけでなく、両保持要素間の距離も拡大する。このようにして可能な限り最大の引き出し距離を簡単に実現することができる。したがって2つの横方向クロススライドは、調節スライドを両側で第2方向に沿って長くする可能性を表しており、それによって更にフレキシブルな調節可能性が与えられている。これにより、保持要素がそれぞれの横方向クロススライドの両端部部分に配置されていると、押し入れた状態で可能な限り小さい突出を実現し、完全に引き出した状態で可能な限り大きい突出を実現することができる。
【0018】
保持要素が、2つの横方向クロススライドの互いに反対側の端部部分に形成されていることにより、又は支持装置の下面を観察したときに保持要素がその外側に配置されていることにより、吸盤によって区切られた面は、追加的な干渉輪郭を生じない。このことは、把持装置が機械の近傍に、特に曲げ機の曲げ型に接近できるようにするために有利であろう。そのため、例えば底面が把持装置の可能な限り最小の調節範囲を越えない箱形部品の場合、再設定が不要である。
【0019】
更に、把持装置の高さも、例えばツールケースの上方のような狭い領域にも可能な限り接近できるように設計することができる。これは、保持要素が、L字形の又は角度の付いた連結要素によって、横方向クロススライドと又は調節スライドとも連結されることによっても可能にでき又は助長できる。
【0020】
有利な発展形態によれば、2つの互いに平行な横方向ガイドの間に等距離に、第1方向に沿って向けられた横軸が位置するようにすることができる。この場合、2つの横方向クロススライドに位置決めされた保持要素は、それぞれの保持要素の中心が横軸上に位置するように位置決めされている。換言すれば、この発展形態によると、支持台の下面を観察したときに互いに反対側の保持要素は、それらの保持要素の中心が横軸上に位置するように互いに傾けられている。したがって把持要素は、把持装置をその下面の方向で観察すると、それぞれのガイド部に対してずらして位置決めされている。その結果、2つの横方向ガイド又は2つの横方向クロススライドを平行に配置することにより、万一発生するずれ誤差又はオフセット誤差が補正されるので、調節可能性の精度が更に向上する。
【0021】
更に、調節スライドは、それぞれ1つの調節スライド固定要素を備えて形成されているようにすることができる。これらの調節スライド固定要素は互いに独立して操作可能であり、必要に応じて調節スライドを支持台に対して解除可能に固定するように設計されている。代替的又は追加的に、調節スライドが、それぞれ少なくとも1つの横方向クロススライド固定要素を備えて形成されているのも有利であろう。これらの横方向クロススライド固定要素は、必要に応じて少なくとも1つの横方向クロススライドを調節スライドに対して解除可能に固定するように設計されている。好ましくは、固定要素は手動で、又は少なくとも工具をほとんど使わずに操作可能であることができる。この発展形態は、安全性を追加的に高める効果を有している。なぜなら、意図しない変位や移動に対してスライドが確実に固定されることで、人が負傷するリスクだけでなく、周辺の物体や工作物が損傷するリスクも大幅に低減されるからである。これは特に重い工作物や重心が中心にない工作物、或いはまたマニピュレーターによって空間内を自由に移動及び回転できる把持装置に該当する。
【0022】
支持台に、第1方向に沿って少なくとも1つの第1スケールが形成されている実施形態も有利である。支持台には、場合により複数の第1スケールを設けることもできる。代替的及び/又は追加的に、少なくとも1つの横方向クロススライドに、特にそのガイド部に、第2方向に沿って第2スケールが形成されているのも有利であろう。スケールの表示により、使用者は把持装置の設定又は調節を容易、且つ迅速に、しかも正確に実施することができる。両スケールにおいて、調節スライド及び少なくとも1つの横方向クロススライドのそれぞれの現在の設定又は位置をインジケータによって容易に読み取ることができる。特に複数の第1スケールが設けられている場合は、これらのスケールが調節スライドの幅だけずらして表示されており、それによって正確な調節可能性を保証できると有利であろう。
【0023】
特別の実施形態によれば、第1スケールと第2スケールは接触平面に平行に配置されていて、支持台の下面を観察すると見えるようにすることが可能である。これにより使用者は、調節スライド及び少なくとも1つの横方向クロススライドの現在の又は新しい調節位置を読み取ることが著しく容易になる。使用者は、調節作業中にスケールを読み取るためにわざわざ向きを変えたり動いたりする必要はなく、支持台の下面を観察すればすべての調節パラメータを認識できる。その上、下面を観察するとすべての移動止め凹部又は係止孔が見えるようにすることもできる。しかしまた、支持台の下面を観察すると支持台内の移動止め凹部だけが見え、且つ横方向クロススライドの移動止め凹部が接触平面に直交しているようにすることもできる。したがって横方向クロススライドの移動止め凹部は、把持装置を横から観察したときにのみ見えるであろう。移動止め凹部の正確な配置は係止機構に依存し、当業者の裁量に委ねられる。
【0024】
特別の実施形態において、調節スライド固定要素が調節スライド移動止め要素として形成され、及び/又は横方向クロススライド固定要素が横方向クロススライド移動止め要素として形成されることが考えられる。この場合、支持台は、第1方向に沿って互いに等距離に離れた複数の移動止め凹部を備えて形成されることができる。ここで好ましくは、移動止め凹部は横方向クロススライドのガイド部内に形成されている。調節スライド移動止め要素の移動止め要素は、支持台の移動止め凹部に係合させることができる。更に、横方向クロススライドは、第2方向に沿って互いに等距離に離れた複数の移動止め凹部を備えて形成され、横方向クロススライド移動止め要素の移動止め要素は横方向クロススライドの移動止め凹部に係合させることができる。好ましくは、第1スケール又は第2スケールのスケール表示は、互いに等距離に離れた又は離散したそれぞれの移動止め凹部の間隔に対応する。それにより使用者は、把持装置の設定又は調節を容易、且つ迅速に、しかも正確に行うことができる。調節スライド及び少なくとも1つの横方向クロススライドのそれぞれの現在の設定又は位置を、インジケータによって両スケールから容易に読み取ることができる。移動止め凹部とそれぞれのスケールは互いに並置されていることが好都合であり、そのため現在の設定を容易に、補助具なしで正確に読み取ることができる。しかしまた基本的には、互いに等距離に離れた移動止め凹部なしでも無段階調節が考えられる。
【0025】
一発展形態によれば、調節スライド移動止め要素の移動止め要素及び/又は横方向クロススライド移動止め要素の移動止め要素がボルトとして形成されており、このボルトは支持台の移動止め凹部及び/又は横方向クロススライドの移動止め凹部に係合させることができる。ここで、ボルトという用語は機能的にのみ解釈されるものであり、構造的に制限することを意味するものではない。この用語は、軸に沿って延びるあらゆるボルト状の操作要素を含む。特に、ボルトの断面は必ずしも円形である必要はなく、例えば楕円形や矩形であってもよい。ボルトの使用者側端部には、使用者がボルトを迅速、確実に操作できるように、一種の皿状頭部又はT字形グリップを形成できる。ボルトは、好ましくは移動止め凹部と嵌合的及び/又は摩擦的に係合させることができる。ボルトが移動止め凹部に係合するとすぐに、相対移動又は変位が阻止される。
【0026】
更に、ボルトが手動で操作可能であり、ボルトがばねで負荷された作動機構を備えて形成されており、好ましくはばね要素がボルトの軸線方向に作用するばね力によって、移動止め凹部の1つに係合していると好都合であろう。したがってボルトは係止位置で静止状態にあり、使用者がばね力に抗してボルトの固定軸に沿って引っ張ることによってそれぞれの移動止め凹部から引き抜き又は取り出すことができる。好ましくは調節スライド又は横方向クロススライドの調節は、両方の手で行うことができる。操作者は一方の手でボルトをその静止位置から、つまり現在の調節位置の移動止め凹部から引き出して、調節スライド又は横方向クロススライドを新しい調節位置に移動させる。調節位置に到達したことは、操作者は好ましくはスケールから読み取ることができる。新しい調節位置に到達するとすぐに、操作者はボルト又は移動止め要素を放し、それによりボルトはばねの自動復帰により新しい移動止め凹部内で静止し、そこでこの移動止め凹部に係合する。使用者はボルトを固定するために係止孔内に押し込まなければならない場合もある。これで、調節スライド又は横方向クロススライドが意図せず変位したり相対移動したりできなくなる。
【0027】
更に、支持台の移動止め凹部及び/又は横方向クロススライドの移動止め凹部が係止孔として形成されており、ボルトが係止孔と少なくともほぼ相補的な形状で係合させることができる。
【0028】
更に、支持台の移動止め凹部及び/又は横方向クロススライドの移動止め凹部は、歯溝を有するラックによって形成されているようにすることができ、ボルトはこれらの歯溝と少なくともほぼ相補的な形状で係合させることができる。更にボルトが歯溝に係合することにより、摩擦係合によって固定させることができ、それによって固定は更に確実なものとなる。特に横方向クロススライドのガイド部をラックとして形成することは、ここでは特に好都合である。
【0029】
調節スライド固定要素が少なくとも1つのねじを含んでおり、このねじによって調節スライドの1つと支持台の間に締め付け力を加えることができても好都合であることが分かった。代替的又は付加的に、横方向クロススライド固定要素が少なくとも1つのねじを含んでおり、このねじによって少なくとも1つの横方向クロススライドと調節スライドの1つとの間に締め付け力を加えることができるようにすることができる。1つ以上のねじ接合によって作用する調節スライド固定要素又は横方向クロススライド固定要素は、特に安定して高い強度を保証することができる。そのため何よりも意図しない緩み、ひいてはそれに伴う事故のリスクも低減することができる。
【0030】
一発展形態によれば、調節スライド固定要素は、少なくとも1つのクランプレバー、偏心レバー又はテンションレバーを含んでおり、このクランプレバー、偏心レバー又はテンションレバーによって調節スライドの1つと支持台との間に締め付け力を加えることができる。代替的又は付加的に、横方向クロススライド固定要素は少なくとも1つのクランプレバー、偏心レバー又はテンションレバーを含んでおり、このクランプレバー、偏心レバー又はテンションレバーによって少なくとも1つの横方向クロススライドと調節スライドの1つとの間に締め付け力を加えることができるようにすることができる。ねじ接合とレバーのような手動操作可能なロック機構を組み合わせることにより、特に安定した固定を達成することができる。そのため何よりも意図しない緩み、ひいてはそれに伴う事故のリスクも低減することができると同時に、調節スライドと横方向クロススライドを迅速に緩めて調節することができる。クランプレバー、偏心レバー又はテンションレバーをねじと組み合わせて設計することも可能であろう。
【0031】
一実施形態によれば、調節スライド固定要素及び/又は横方向クロススライド固定要素は、空気圧固定要素を含むことができ、したがって空気圧で固定することが可能である。このようにして固定を自動化することができる。空圧式固定要素を設けることにより、固定はより迅速に、必要に応じて極めて正確で確実に行うことができる。更に、スライドを空気圧で固定することにより、高い安全性を確保することができる。少なくとも2つの調節スライドと少なくとも1つの横方向クロススライドを空気圧で固定するだけでなく、自動化して空気圧で変位させることも可能である。
【0032】
有利な発展形態によれば、調節スライドガイドが、調節スライドの部分と嵌合的に係合するためのプリズムトラックとして形成されているようにすることができる。好ましくは、調節スライドガイドは、2つの調節スライドの部分と嵌合的に係合するためのプリズムトラックとして形成されている。ここで、部分という用語は、調節スライド全体ではなくその一部のみが調節スライドガイドに収容又は保持されていることを意味する。この一部又は部分は、例えば一種のスライドブロックであることができる。好ましくは、各調節スライドは2つのそのような部分又はスライドブロックを有しており、各スライドブロックは調節スライドガイドの1つに案内されている。こうすることにより、特に良好な安定性と正確な案内性又は変位性を保証できる。両スライドガイドがいわばレールとして機能するので、スムーズな走行が保証されている。これは特に、調節スライドが非常に長く、したがって第2方向に沿って長手方向に延びている場合に顕著である。
【0033】
特に、少なくとも1つの横方向クロススライドのガイド部が、少なくとも部分的に中空プロフィール部を備えて形成されており、この中空プロフィール部が負圧ダクトとして形成されていると有利であろう。この場合、負圧ダクトは、供給要素及び横方向クロススライドに配置された少なくとも1つの保持要素と流体接続している。供給要素は、負圧供給モジュール、バルブターミナル、及び好ましくはフレキシブルな又はホース状の負圧管を含むことができる。バルブターミナルは、有利には支持台の上面に配置することができる。好ましくは、少なくとも1つの横方向クロススライドのガイド部は、中空プロフィール部として形成されている。このような中空プロフィール部は、ダクト、特に負圧ダクトを画定することができ、負圧ダクト内には負圧パイプを配置することができる。負圧ダクトは、中空プロフィール部内で第2方向に沿って長手方向に延び、横方向クロススライドに位置決めされた保持要素と流体接続することができる。この場合、保持要素は、好ましくは負圧保持要素として形成されている。負圧パイプは、好ましくは調節スライドの1つにおいて第2方向に沿って長手方向に延びている。更に、負圧パイプは負圧ダクト内で第2方向に沿って移動可能に位置決めされている。負圧供給モジュールはバルブターミナルを介して、負圧管及び負圧パイプによって保持要素と流体接続している。
【0034】
少なくとも1つの螺旋状供給管が形成されており、この少なくとも1つの螺旋状供給管が、少なくとも1つの保持要素に負圧をかけるために設けられていると有利であろう。この場合、少なくとも1つの螺旋状供給管は支持台の下面に、第1方向に沿って位置合わせして配置できる。少なくとも1つの螺旋状供給管が、少なくとも1つの横方向クロススライドのガイド部によって少なくとも部分的に貫通されているのも有利であることが分かった。螺旋状又はコイル状又はヘリカルに巻かれた、好ましくはフレキシブルな又はホース状の供給管を設けることにより、それぞれのガイド部は、例えば保持要素を作動させたり停止させたりするために負圧を供給するための、いわばキャリアとして機能することができる。ここで、螺旋形状は、追加の補助具や追加の構造要素なしに、調節スライドと横方向クロススライドの調節又は引き出しを可能にする。更に、このように設けられた供給管は、省スペースで配置することができ、望ましくない引っ掛かりや挟まり又は損傷のリスクを回避し、更には防止することができる。しかも、このようにすることによって、互いに入れ子式に調節可能な中空プロフィール部の間に、構造的に複雑な又は摩耗しやすいシール部材を不要にすることができる。その上、このように配置された螺旋状供給管は、保守や修理が必要になった場合に、特に容易に接近できる。
【0035】
一発展形態によれば、供給要素がバルブターミナルを含んでおり、このバルブターミナルは遮断弁を介して保持要素と流体接続しているようにすることができる。バルブターミナルは、有利には支持台の上面に配置することができる。バルブターミナルの個々のバルブは、それぞれ1つの場合によっては複数の保持要素と流体接続することができる。この場合、保持要素は負圧保持要素として形成できることが好都合である。負圧供給モジュールは、バルブターミナルを介して保持要素と流体接続している。ここで、保持要素が、バルブターミナルの関連する弁によって必要に応じて作動させたり停止させたりすることができれば、特に有利である。このように個々の保持要素を遮断することは、把持装置の使用及び調節の可能性を追加的に拡大することができる。この場合、バルブターミナルに配置されたバルブは、例えば機械的に作用するように、又はばね復帰機構を備えて形成することができる。好ましくは、バルブは別々に通電でき、制御によって作動させたり停止させたりすることができる。このような設計は、特に停電が発生しても、ばね復帰弁とは対照的に危険ではなく、或いは工作物が意図せず保持要素から外れるようなことにはならないので、運転時は非常に安全であろう。
【0036】
更に、別の調節スライドが形成されており、この調節スライドは、第1ガイドバーと第2ガイドバーを有するようにすることができる。両ガイドバーは、第1方向に沿って移動可能である。この場合、調節スライドは、ガイドバーによって支持台に対して相対的に第1方向に沿って直線的に引き出すことができる。好ましくは、ガイドバーは、特に支持台の端面に設けた貫通路によって、又は支持台内のプリズムトラック又はプロフィール状トラックによって案内されている。しかしまた、ガイドバーは支持台の上面に配置され、又は支持台の上面に位置決めされた案内要素に案内されているようにすることも可能であろう。この発展形態により、把持装置の調節可能性を簡単な方法で追加的に拡大することができる。好ましくは、一方又は両方のガイドバーにも、別の第1スケール、即ち別の調節スライドが現在どの調節位置にあるかを使用者に示すスケールが形成されている。コストを節約するために、別の調節スライドは、第1の調節スライド及び第2調節スライドと少なくともほぼ同一の構造で形成されていることが好都合である。ここで有利には、別の調節スライドのガイドバーは互いにずらしてあるので、相互に干渉することはなく、特に進入した又は押し入れた状態でも望ましくない追加的な干渉輪郭を形成することはない。
【0037】
更に、少なくとも1つの別の横方向クロススライドが形成されており、この横方向クロススライドに少なくとも1つの保持要素が配置されており、この横方向クロススライドは別の調節スライドの横方向ガイド内に少なくとも部分的に収容又は保持されているようにすることができる。横方向クロススライドは、横方向ガイド内で調節スライドに対して相対的に第2方向に沿って移動可能であり、別の調節スライドの、少なくとも1つの横方向ガイドに収容又は保持されているガイド部は、特定のプロフィール形状、特に中空プロフィール形状であり、このガイド部は、横方向ガイド内で直線的に引き出すことができ、又は再び直線的に押し入れることもできる。好ましくは、把持装置のすべての調節スライドと、調節スライドに収容又は保持されて引き出し可能なすべての横方向クロススライドは、同一の構造であるか又は少なくともほぼ同一の構造である。これにより、保管コストが削減され、万一の保守及び修理作業をしばしば大幅に簡素化する。
【0038】
ガイドバーと平行に、支持台に対して相対的に直線的に引き出すことができる負圧パイプが形成されており、この負圧パイプは、供給要素と、及び別の調節スライドに配置された横方向クロススライドに設けた少なくとも1つの保持要素と流体接続している。しかしまた、供給要素は、好ましくは中空に断面されたガイドバー内の別の負圧ダクト内に配置された別の負圧パイプを含むこともできる。代替的に、別の負圧パイプは、支持台内にガイドバーと平行に配置することもできる。好ましくは、別の負圧パイプは、下面から支持台を観察したときに、ガイドバーの間に位置決めされている。別の負圧パイプは、別の調節スライドに配置されており、別の横方向クロススライドに位置決めされた保持要素は、好ましくは形状がフレキシブルな負圧管と、別の負圧パイプとを介して、バルブターミナル又は負圧供給モジュールと流体接続している。
【0039】
有利な発展形態によれば、少なくとも1つの螺旋状供給管が、調節スライドの少なくとも1つのガイドバーによって少なくとも部分的に貫通されており、又は少なくとも1つの螺旋状供給管が両ガイドバーの間に配置されているようにすることができる。
【0040】
第1方向に沿って移動可能に支持された少なくとも1つのエネルギーチェーンが形成されており、このエネルギーチェーンは調節スライドを変位させるために及び/又はガイドバーを変位させるために形成されており、及びエネルギーチェーン内に少なくとも1つの好ましくはフレキシブルな又はホース状の負圧管が案内されているようにすることもできる。調節スライド又はガイドバーを変位させるためのエネルギーチェーンを形成することにより、移動可能性又は調節可能性をより正確にすることができる。エネルギーチェーンは、当業界ではエネルギーガイドチェーン、Eチェーン又はドラッグチェーンとしても知られている。このような装置は、特に正確に移動させることができ、しかも比較的省スペースで設計することもできる。更に、螺旋状供給管は、この設計によって損傷から十分に保護されている。
【0041】
以上とは別に、本発明の課題は、搬送しようとする、好ましくは板状の工作物を受け取り、再び解放するために設けられたマニピュレーターによっても解決される。このマニピュレーターは、特許請求の範囲のいずれか1つの請求項に従って設けられた把持装置を含んでいる。
【0042】
このようなマニピュレーターの構成と利点は、本明細書の前述の説明部分で十分述べたので、この箇所でそれらの参照を求める。
【0043】
本発明をよりよく理解するために、以下の図を参照してより詳細に説明する。
【0044】
図は、それぞれ簡略化された模式的表現で示されている。
【図面の簡単な説明】
【0045】
図1図1は、加工機で加工する際に工作物を操作するための把持装置の上面に向かって見た立体図である。
図2図2図1による把持装置を下面に向かって見た立体図である。
図3図3図1による把持装置を下方から見た図である。
図4図4図3による調節スライド移動止め要素の領域における支持台と調節スライドの断面図である。
図5図5図3による調節スライドの移動止め要素の領域における支持台と調節スライドの代替断面図である。
図6図6は、供給要素を備えた、図2による把持装置を下面に向かって見た詳細立体図である。
図7図7図6による調節スライドと2つの横方向クロススライドとの間の横方向ガイドの縦断面である。
図8図8は把持装置の代替実施例を上面に向かって見た立体図である。
図9図9図8による把持装置を下方から見た図である。
図10図10は2つの横方向クロススライドを備えた調節スライドの立体図である。
図11図11は把持装置の別の実施例を上面に向かって見た立体図である。
図12図12図11による把持装置を下面に向かって見た立体図である。
図13図13は2つの横方向クロススライドを備えた別の調節スライドの立体図である。
図14図14は把持装置の別の実施例を下面に向かって見た立体図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
最初に確認しておくと、記載された異なる実施形態において同じ部材には同じ参照符号又は同じ部材名称を付す。この場合、説明全体に含まれている開示内容は同じ参照符号又は同じ部材名称を有する同じ部材に準用できる。説明の中で選択された位置を表す言葉、例えば上、下、横なども直接説明されている表示された図を基準としており、これらの位置を表す言葉は位置が変化した場合には新しい位置に準用される。
【0047】
以下、「特に」という用語は、対象物又は方法ステップの可能なより具体的な構成又はより詳細な説明を表わすことはあるが、必ずしもそれらの強制的に選好される実施形態又は強制的なやり方を表わすものではないと理解されたい。本明細書で使用される場合、「備える」、「有する」、「有した」、「包含する」、「包含した」、「含む」、「含んだ」などの用語、及びそれらのすべてのバリエーションは、非排他的な包含関係を意味する。
【0048】
図1図2及び図3、並びに図4及び図5に示す図3の断面図については、不要な繰り返しを避けるため、以下では大部分併せて参照して説明する。なお、同一の部分には同一の参照符号及び部材名称を付している。
【0049】
図1図5は、加工機で加工する際に、好ましくは板状の工作物2を操作するための、即ち搬送し、又は受け取って放し、引き渡し、又は降ろすための把持装置1を示す。このために把持装置1は中心的な要素として、接続部5を備えた、保持要素3に対する支持台4を含んでいる。把持装置1はこの接続部5の助けにより、例えばマニピュレーター、特に多関節アームロボットの多関節アーム6に固定できる。保持要素3は、支持台4に対して相対的に調節できるように支持台4と連結されている。
【0050】
支持台4は下面17と、下面17とは反対側の上面41を有する。接続部5は、支持台4の上面41に、把持装置1をマニピュレーターと連結するために形成されている。接続部5は、既知のどのようなタイプの連結要素でもよい。例えばねじ接合、或いはまたバヨネット結合を設けることができるが、フランジ接続も考えられる。更に、把持装置1がマニピュレーターに固定され、即ち恒久的に又は分離不能に配置されていることも可能であろう。
【0051】
把持装置1は、工作物に直接当接又は直接固定するための複数の保持要素3を有する。工作物2は、図1に破線によって板金工作物として概略的に示されている。保持要素3は、簡単のため図1図5には示されていない供給要素27により、必要に応じて作動させたり停止させたりすることができ、それによって工作物2を受け取り、又は再び降ろすことができる。保持要素3は支持台4と連結されていて接触面7を有している。これらの接触面7は支持台4の下面17とは離れる方向に向けられており、これらの接触面7は共通の平坦な接触平面8を区切り又は画定する。図示の保持要素3は負圧保持要素であってよく、それぞれ工作物2と当接するための接触面7を備えた吸盤を有する。保持要素3を作動させることによって受け取られた工作物2は、加工機の加工領域に送られる。
【0052】
保持要素3を支持台4に対して相対的に調節することによって保持要素3の位置を、工作物2又は工作物2の把持される表面の形状又は面積に、少なくともほぼ対応するように変更することができる。即ち、小さい工作物2の場合は保持要素3相互の相対距離を小さくすることが可能であり、大きい工作物2の場合は相対距離を相応に大きく調節することができる。
【0053】
把持装置1は、少なくとも1つの第1の調節スライド9と第2調節スライド10を備えている。2つの調節スライド9、10は、それぞれ調節スライド9、10と支持台4との間に調節スライドガイド11、12で、第1方向13に沿って移動できる。このために、少なくとも2つの調節スライドガイド11、12が、支持台4の下面17に形成されている。少なくとも2つの調節スライド9、10は、それぞれ少なくとも部分的に調節スライドガイド11、12に収容されており、調節スライドガイド11、12内で支持台4に対して相対的に第1方向13に沿って移動可能である。調節スライド9、10の少なくとも1つは、少なくとも1つの横方向ガイド15を備えて形成されている。図1図5では、2つの調節スライド9、10は、それぞれ互いに平行な2つの横方向ガイド15を備えて形成されている。更に、図1図5には合計4つの横方向クロススライド14が示されており、それぞれに少なくとも1つの保持要素3が形成されている。図示の実施例では、各横方向クロススライド14の端部部分に単一の保持要素3が位置決めされている。横方向クロススライド14は、少なくとも部分的にそれぞれの横方向ガイド15に収容されている。更に、横方向クロススライド14これらの横方向ガイド15内でそれぞれの調節スライド9、10に対して相対的に第2方向16に沿って移動可能、又は移動及び調節可能である。第1方向13と第2方向16は、互いに直交している。図では、第1方向13はX軸に沿って位置合わせされ、第2方向16はY軸に沿って位置合わせされている。
【0054】
図1図5に示す少なくとも1つ又は4つの横方向クロススライド14は、それぞれガイド部42を備えて形成されている。それぞれのガイド部42は、それぞれ1つの横方向ガイド15に収容されて、又はその中で移動可能に案内されて、プロフィール形状であるように、特に中空プロフィール形状であるように形成されている。ガイド部42は、横方向ガイド15内から直線的に引き出すことができ、そして再び直線的に押し入れることもできる。
【0055】
図2は、図1による把持装置1を、斜め下方から見た、即ち支持台4の下面17に向かって見た斜視図で示す。図3は、図1及び図2による把持装置1を下方から見た、即ち支持台4の下面17に向かって見た図で示す。
【0056】
調節スライド9、10は、実施例によるとそれぞれ2つの互いに平行な横方向ガイド15を備えて形成されており、各横方向ガイド15には引き出し可能な横方向クロススライド14が収容されている。この場合、各横方向クロススライド14には少なくとも1つの保持要素3が配置されており、これらの保持要素3は2つの横方向クロススライド14の互いに離れる方向に向けられている端部部分に形成されている。更に別の保持要素3を支持台4に直接、したがって変位不能に位置決めすることもできよう。更に、別の保持要素3が一方又は両方の調節スライド9、10に直接、したがって第1方向13に沿って移動可能に位置決めされていることも考えられる。しかしながら、これらの発展形態は図示されていない。
【0057】
2つの互いに平行な横方向ガイド15の間に等距離に、第1方向13に沿って向けられた横軸43が位置することができる。2つの横方向クロススライド14に位置決めされた保持要素3は、それぞれの保持要素の中心44が横軸43上に位置するように位置決めされている。これは、特に図3において明瞭に示されている。
【0058】
調節スライド9、10は、それぞれ調節スライド移動止め要素18の形態の調節スライド固定要素を備えて形成することができ、この調節スライド移動止め要素18は互いに独立して操作可能であり、必要に応じて調節スライド9、10を支持台4に対して解除可能に固定するように設計することができる。代替的又は追加的に、調節スライド9、10は、横方向クロススライド移動止め要素22の形態の1つ以上の横方向クロススライド移動止め要素を備えて形成することができ、この横方向クロススライド移動止め要素22は必要に応じて少なくとも1つの横方向クロススライド14を調節スライド9、10に対して解除可能に固定するように設計できる。特に図2図5に、調節スライド移動止め要素18及び横方向クロススライド移動止め要素22が図示されている。調節スライド9、10がそれぞれ2つの横方向クロススライド14を備えて形成されている場合、これらの2つの横方向クロススライド14は単一の横方向クロススライド移動止め要素22と同時に又は一緒に固定可能であるようにすることができる。しかしまた、各横方向クロススライド14が、図3に示すように、それぞれ固有の横方向クロススライド移動止め要素22を有するようにすることもできる。
【0059】
支持台4には、第1方向13に沿って少なくとも第1スケール21を形成することができる。支持台4は更に、第1方向13に沿って互いに等距離に離れ、且つ第1方向13に沿って相前後して配置された複数の移動止め凹部を備えて形成することができる。好ましくは、第1スケール21と、第1スケール21に関連する移動止め凹部とは、互いに隣接して配置されている。第1スケール21のスケール線は、係止孔20に対応している。これにより、使用者にとって保持要素3に対する所望のX位置を第1方向13に沿って調節することが簡単になる。このことは、特に図2及び図3において良く認識できる。ここで、支持台4の下面17には、2つの異なる表記の、又は互いに調節スライドの幅だけずらしたスケールが設けられている。方向表示46により使用者がスケールを正しく調節することを容易にする。このことは、特に使用者がコンピュータプログラムによって指定されて必要な調節パラメータを得る場合に好都合である。この場合、第1スケール21は、ゼロ値から開始できるが、図3に示すように、負の開始値から正の終了値に及ぶこともできる。
【0060】
図2でも図3でも、2つの調節スライド9、10が、リニアガイドとして形成された調節スライドガイド11、12の助けにより、支持台4の下面17で第1方向13に移動可能であることが分かる。このために、調節スライドガイド11、12は、2つの調節スライド9、10の部分と嵌合的に係合するためのプリズムトラックを含んでいる。調節スライドガイド11、12の図示されたT字形断面の代替として、蟻溝ガイドによって形成することもできる。調節スライドガイド11、12に係合している部分は、例えばスライドブロック、或いは転動要素であることができる。
【0061】
調節スライド移動止め要素18の移動止め要素は、支持台4の移動止め凹部に係合させることができる。代替的又は追加的に、横方向クロススライド14には第2方向16に沿って第2スケール23を形成できる。この第2スケール23も、図2及び図3で明瞭に見ることができる。横方向クロススライド14は、第2方向16に沿って互いに等距離に離れた複数の移動止め凹部を備えて形成することができ、横方向クロススライド移動止め要素22の移動止め要素は、横方向クロススライド14の移動止め凹部に係合させることができる。これらの移動止め凹部は、横方向クロススライド14のそれぞれのガイド部42に配置されており、特に図2の表現見て取ることができる。支持台4の移動止め凹部と横方向クロススライド14の移動止め凹部は、それぞれ係止孔20、24として形成することができる。
【0062】
第1スケール21と第2スケール23は、図2及び図3に示すように、接触平面8に平行に配置でき、この接触平面8は支持台4の下面17を観察すると見えるようになっている。
【0063】
特に、図4及び図5には、調節スライド移動止め要素18及び横方向クロススライド移動止め要素22の考えられる機能メカニズムが調節スライド移動止め要素18を用いて図示されている。もちろん、図示された係止機構は、調節スライド移動止め要素18のみならず、横方向クロススライド移動止め要素22にも使用できる。図4及び図5は、それぞれ把持装置1の断面を示している。切断位置は、図3にローマ数字で示されている。図4及び図5に示す調節スライド移動止め要素18の移動止め要素は、ボルト19を形成することができる。このボルト19は、支持台4の移動止め凹部に係合させることができる。
【0064】
調節スライド9、10を支持台4に位置決めすることに関連して述べたのと同様に、それぞれ横方向クロススライド14を各調節スライド9、10に位置決めするためにも横方向クロススライド移動止め要素22と第2スケール23が設けられている。したがって作動位置で横方向クロススライド移動止め要素22は、横方向クロススライド14に形成された係止孔24に係合する(図2)。横方向クロススライド14の係止孔24は、第2方向16のY方向に沿って互いに等距離にずらして横方向クロススライド14に配置されている。横方向クロススライド14は、横方向クロススライド移動止め要素22の助けにより、相応の数の係止位置でそれぞれの調節スライド9、10に固定することができる。この場合、横方向クロススライド14をそれぞれの調節スライド9、10に位置決めするための第2の横方向クロススライド移動止め要素22の作動形式は、先に調節スライド移動止め要素18について図4及び図5を参照して述べたのと同様に形成することができる。
【0065】
図4の実施例によれば、移動止め要素は、調節スライド10内に支持されて軸方向にばね付勢されたボルト19を含むことができる。この場合、ボルト19の、支持台4の下面17に面する端部は、支持台4に1列に形成された係止孔20の1つに入り込んでいる。それによってボルト19はロックを形成し、それにより調節スライド10は第1方向13に沿って変位することがないよう支持台4に固定される。このとき、調節スライド移動止め要素18は、その作動位置又は係合位置にある。調節スライド10、ひいては調節スライド10と接続された保持要素3を調節するために、調節スライド移動止め要素18の作動を停止させることができ、使用者はボルト19を係止孔20に係合した位置から引き戻し、次いで調節スライド10を第1方向13の方向で変位させることができる。最後に、保持要素3又は調節スライド10の所望の位置に達したら、使用がボルト19から手を離すことによって調節スライド移動止め要素18が再び作動し、ボルト19は他の係止孔20の1つに係合する。ボルト19がばね付勢されているため、調節スライド移動止め要素18は、その作動した係止位置に留まる。この実施例によれば、調節スライド移動止め要素18は嵌合的に作用するロック式移動止め要素として形成されており、ボルト19はロックとして機能する。支持台4の下面に設けた係止孔20は、図2及び図3にも示すように、第1方向13(X方向)に沿って等間隔で連なっている。
【0066】
図5は、調節スライド移動止め要素又は横方向クロススライド移動止め要素22の代替実施例を示す。また、図5には、図3に示す把持装置1の支持台4と調節スライド10の断面が示されている。この実施例によれば、支持台4の下面17には第1方向13又はX方向に平行に向けられた歯又はラック25が形成されている。この作動位置で、調節スライド移動止め要素18のボルト19はラック25の歯溝26に係合している。このようにして調節スライド10はX方向13に変位しないように固定されている。この実施例は、ラックの歯面が斜めに傾いているため摩擦的な固定である。したがって支持台4の移動止め凹部は、歯溝26を備えたラック25によって形成することができる。この場合、ボルト19は歯溝26とほぼ相補的な形状で係合させることができる。しかしまた、横方向クロススライド14の移動止め凹部は歯溝26を備えたラック25によって形成することもできる。特に好ましくは、横方向クロススライド14のガイド部42はラック25として形成することができる。
【0067】
更に、以下の図6及び図7を参照して、把持装置1の保持要素3を作動させたり停止させたりするための供給要素27について説明する。この場合、把持装置1は、いわゆる負圧グリッパー又は真空グリッパーであり、保持要素3は相応の管システムを介して作動可能又は停止可能な吸盤を含んでいる。図6は、供給要素27を備えた図2による把持装置1の詳細を斜視図で示している。第2調節スライド10の例で、図7に示す断面図には、追加的に保持要素3の供給要素27の構成要素も示されている。ここで、保持要素3が負圧保持要素として形成されていると好都合である。
【0068】
したがって供給要素27は、(図示しない)負圧供給モジュール又はユニット、バルブターミナル28、及び好ましくはフレキシブルな又はホース状の負圧管29を含むことができる。バルブターミナル28は、有利には支持台4の上面41に配置することができる。少なくとも1つの横方向クロススライド14のガイド部42は、特に図7から認識できるように、少なくとも部分的に中空プロフィール部45を備えて形成することができる。この中空プロフィール部45は負圧ダクト30をなすことができ、この負圧ダクト30内に伸縮可能な又は押し出し及び押し入れ可能な負圧パイプ31を配置することができる。負圧ダクト30は、供給要素27と、及び横方向クロススライド14に配置された少なくとも1つの保持要素3と流体接続することができる。負圧ダクト30は、中空プロフィール部45内で第2方向16に沿って長手方向に延び、横方向クロススライド14に位置決めされた保持要素3と流体接続することができる。更に、負圧パイプ31は負圧ダクト30内で第2方向16に沿って移動可能に位置決めされている。負圧供給モジュールは、バルブターミナル28を介して、負圧管29及び負圧パイプ31によって1つ以上の保持要素3と流体接続している。また、バルブターミナル28が対応する遮断弁を介して個々の保持要素3と流体接続することもできる。
【0069】
保持要素3に負圧を供給するためのこの流体接続は、特に図7に示されている。図7は、X-Y平面又は接触平面8に平行な切断面による、2つの調節スライド10と2つの横方向クロススライド14との間の2つの横方向ガイド15の縦断面を示す。横方向クロススライド14は、調節スライド10の2つの横方向ガイド15のそれぞれ1つに、第2方向16に平行に向けられた方向で調節可能及び押し出し可能に支持されている。把持装置1の供給要素27の一部として、横方向クロススライド14の内部に負圧ダクト30が形成されている。他方、それぞれ調節スライド10と接続された負圧パイプ31が形成されて、負圧ダクト30の内部に突入している。この場合、負圧ダクト30の長手方向は、負圧パイプ31の長手方向も、調節スライド10におけるそれぞれの横方向クロススライド14の引き出し方向又は第2方向16に平行に位置合わせされており、これによりそのように形成された管29の部分は、横方向クロススライド14を調節する際に押し出し可能又は伸縮可能である。必要な場合は、横方向クロススライド14のそれぞれの負圧ダクト30と、関連する負圧パイプ31との間にシール32が形成されている。
【0070】
図8及び図9には、把持装置1の別の、場合によってはそれ自体で独立した実施形態が示されているが、ここでも前出の図と同じ部材には同じ参照符号又は部材名称が用いられている。不必要な繰り返しを避けるために、前述の詳細な説明の参照を求め、又はこれに準拠する。
【0071】
この実施例では、図1及び図2により支持台4の下面17に移動可能に固定された調節スライド9、10に加えて、それぞれ支持台4の端面で進出可能な別の2つの調節スライド33が設けられている。これらの別の調節スライド33は、それぞれ第1方向13に平行である第1ガイドバー34と第2ガイドバー35を含んでいる。支持台4の端面39、40には、ガイドバー34、35を収容するための貫通路部又は孔部が形成されている。別の2つの調節スライド33はガイドバー34、35により。支持台4に対して相対的に第1方向13に沿って押し出し可能又は直線的に引き出すことができる。
【0072】
別の2つの調節スライド33には、それぞれ少なくとも1つの保持要素3のために、好ましくは第2方向16に沿ってそれぞれ2つの別の横方向クロススライド36を収容できる。これに対応して、端面で進出可能な調節スライド33においても、横方向クロススライド36は調節スライド33で第1方向13に垂直な第2方向16に移動可能である。支持台4の下面と接続された調節スライド9、10の場合と同様に、端面で進出可能な調節スライド33又はそれに連結された横方向クロススライド36についても、それらの位置は複数の所定の係止位置の1つに必要に応じて解除可能に固定できるようにされている。この目的のために、支持台4と調節スライド33のガイドバー34、35との間に、及びそれぞれ横方向クロススライド36と調節スライド33との間にも、図4及び図5を参照して上述したような調節スライド移動止め要素18及び横方向クロススライド移動止め要素22が形成されているが、図8には図示されていない。図9に示すように、支持台4を下面17から観察すると、ガイドバー34、35が調節位置を示すために第1スケール21を備えて形成できる。
【0073】
ガイドバー34、35に平行に、支持台4に対して相対的に直線的に引き出すことができる負圧パイプ37を形成することができる。負圧パイプ37は、供給要素27の構成要素として、別の調節スライド33に配置された少なくとも1つの横方向クロススライド36に設けた保持要素3と流体接続することができる。この場合、供給要素27は別の負圧パイプ37を含むことができ、この負圧パイプ37は別の負圧ダクト30内で、好ましくは中空プロフィール形状のガイドバー34、35に配置することができる。この変形例は図示されていない。代替として、図8及び図9によれば、別の負圧パイプ37は支持台4内に、ガイドバー34、35に平行に配置することができる。好ましくは、別の負圧パイプ37は、支持台4を下面17から観察すると、2つのガイドバー34、35の間に位置決めされている。更に、別の負圧パイプ37は別の調節スライド33に固定されており、別の横方向クロススライド36に配置された保持要素3は、好ましくは形状がフレキシブルな負圧管29及び別の負圧パイプ37を介してバルブターミナル28又は負圧供給モジュールと流体接続している。
【0074】
代替として、図示されていないが、別の横方向クロススライド36が図7に示すように、負圧ダクト30で移動可能な負圧パイプ31を備えて形成されており、この負圧パイプ31は保持要素3を別の負圧パイプ37と流体接続していると好都合であろう。そのため、別の調節スライド33と、これと連結された横方向クロススライド36との間の供給管の作動原理は、図7を参照して上述したのと同様に説明されよう。
【0075】
図9は、図8に示す実施例による把持装置1を下方から見た図である。より明瞭にするために、保持要素3に対する負圧供給システムの供給要素27の部分は表現されていない。図1図5による実施例におけると同様に、支持台4の下面17には2つの調節スライド9、10が配置されている。この場合、調節スライド9、10は調節スライドガイド11、12の助けにより支持台4と連結されており、これらの調節スライドガイド11、12内で13に沿って移動可能である。調節スライドガイド11、12は、は調節スライド移動止め要素18の助けにより、又は支持台4の下面17に設けた係止孔20の助けにより、必要に応じて複数の係止位置の1つに固定することができる。調節スライド9、10は更に、第2方向16に沿って反対方向に進出可能な、それぞれ1つの保持要素3を備えた横方向クロススライド14を有する。調節スライド9、10と横方向クロススライド14との間には、それぞれ横方向クロススライド移動止め要素22が形成されており、それにより横方向クロススライド14又はそれらの保持要素3も、必要に応じて複数の所定の係止位置の1つに固定することができる。使用者は、保持要素3を調節するために、支持台4の下面又は横方向クロススライド14に付けた第1スケール21及び第2スケール23で、所望のX位置又はY位置を見つけることができる。ここで、調節スライド9、10を調節するために支持台4で利用可能な領域は、第1方向13に沿って支持台4の長さ38にわたって延びている。
【0076】
調節スライド固定要素又は横方向クロススライド固定要素が調節スライド移動止め要素18及び横方向クロススライド移動止め要素22として形成されておらず、これらがねじ47で固定可能であることもできる。この変形例も図9に明瞭に示されており、ねじ47を用いて固定する場合、基本的に係止孔は必要ない。ねじ47によって、調節スライド9、10と支持台4との間に締め付け力を加えることができ、又は少なくとも1つの横方向クロススライド14と調節スライド9、10との間に締め付け力を加えることができる。
【0077】
既に図8を参照して説明したように、この実施例による把持装置1は、支持台4の下面17に設けた2つの調節スライド9、10に加えて別の調節スライド33を含んでおり、この調節スライド33は2つのガイドバー34、35によって第1方向13に従って端面で支持台4から進出可能である。ここで、調節スライド33のガイドバー34、35は、支持台4の下面17で調節スライド9、10の調節スライドガイド11,12に平行に位置合わせされている。これは、調節の方向が、調節スライド9、10の各々と同じ方向、即ち第1方向13(X方向)であることを意味する。さて、図9に示されているように、この実施例による把持装置1は、第1端面39にも第2端面40にも別の調節スライド33を有する。これらの調節スライド33は、それぞれ反対方向に進出可能な2つの横方向クロススライド36を備えて形成されており、これらの横方向クロススライド36はそれぞれのガイド部42によって案内されている。必要に応じて横方向クロススライド36を調節スライド33に固定するために、横方向クロススライド移動止め要素22が設けられている。他方、調節スライド33のガイドバー34と支持台4との間には同様に調節スライド移動止め要素18が設けられている。この場合、X方向の所望の位置を見つけるために、ガイドバー34に第1スケール21が付けられている。横方向クロススライド14と同じく、別の横方向クロススライド36もスケール23を有している。調節スライド移動止め要素18及び横方向クロススライド移動止め要素22及び第1スケール21及び第2スケール23も図9に示す方法で配置することにより、使用者は、保持要素3の位置調節を単一の位置で、即ち支持台4の下面17を見る方向で実施できるという利点が得られる。
【0078】
図10は、2つの進出可能な横方向クロススライド14、36を備えた調節スライド9、10、33の実施例を示す。ここで、横方向クロススライド14、36のガイド部42は、2つの横方向ガイド15に収容されている。これらのガイド部42は、プロフィール形状であり、横方向ガイド15から第2方向16に沿って直線的に引き出すことができる。不必要な繰り返しを避けるために、ここでも前出の図の説明に準拠する。
【0079】
調節スライド9、10、33は、必要に応じて2つの横方向クロススライド14を解除可能に固定するための2つの横方向クロススライド固定要素を備えて形成されている。これらの横方向クロススライド固定要素は、それぞれ2つのねじ47を備えて形成されており、ねじ47によって横方向クロススライド14、36と調節スライド9、10、33との間に締め付け力を加えることができる。加えて横方向クロススライド固定要素は、それぞれ偏心レバー49を含み、この偏心レバー49は2つのねじ47に関節式に連結されている。図10には、左側に図示された横方向クロススライド14、36は押し出された状態で示されており、右側の横方向クロススライド14、36は完全に押し入れられた状態で示されている。左側の横方向クロススライド14、36の偏心レバー49は閉じており、それによって横方向クロススライド固定要素は固定されている。右側の横方向クロススライド14、36の偏心レバー49は開いた又は立てた状態で示されている。この解除された又は固定されていない状態で、右側の横方向クロススライド14、36又はそのガイド部42の調節又は直線的変位が可能である。
【0080】
言うまでもなく、図示された横方向クロススライド固定要素も、必要に応じて調節スライド9、10を支持台4に対して解除可能に固定するための調節スライド固定要素と同じか又は類似の方法で形成できることは言うまでもない。
【0081】
図11及び図12は、把持装置1の別の実施例を示す2つの立体図である。この斜視図は、例えば図1及び図2の斜視図に対応している。図11及び図12の説明においても、不必要な繰り返しを避けるために、前述の説明の参照を求める。
【0082】
把持装置1は、例として合計4つの調節スライド9、10、33を含んでいる。この場合、中間の2つの調節スライド9、10は、図示されているように、それぞれ少なくとも部分的に調節スライドガイド11、12の少なくとも1つに収容できる。具体的には、中間の2つの調節スライド9、10は、例えば、支持台4の長手方向の両側面で、プロフィール状のガイドレールの溝に案内されている。安定性と円滑な走行を高めるために、中間の2つの調節スライド9、10は、それぞれプロフィール状のガイドレールとして形成された2つの調節スライドガイド11、12の下面と上面の溝に案内されている。中間の2つの調節スライド9、10は、調節スライドガイド11、12において支持台4に対して相対的に第1方向13に沿って13移動可能である。すべての調節スライド9、10、33は、それぞれ2つの直線的に移動可能又は引き出し可能な横方向クロススライド14、36を含んでいる。横方向クロススライド14、36の各々は、その端部部分にそれぞれ1つの保持要素3を有する。ここで、保持要素3は、角度の付いた板部材によってそれぞれの横方向クロススライド14、36に固定されている。角度の付いた形状により、保持要素3が把持装置1の全体の厚さ又は高さを可能な限り増やさず、望ましくない干渉輪郭が形成されないことを保証できる。
【0083】
別の外側の2つの調節スライド33は、図8と同様に、それぞれ第1ガイドバー34と第2ガイドバー35を含んでおり、これらのガイドバー34、35は第1方向13に沿って移動可能であり、これらのガイドバー34、35は特に支持台4内のプリズムトラック又はその他のプロフィール状トラックによって案内されている。外側の2つの調節スライド33は、ガイドバー34、35によって支持台4に対して相対的に第1方向13に沿って直線的に引き出すことができる。
【0084】
調節スライド9、10、33はそれぞれ調節スライド固定要素を備えて形成されており、これらの調節スライド固定要素は互いに独立して操作可能であり、必要に応じて調節スライド9、10、33を支持台4に対して解除可能に固定するように設計されている。更に、調節スライド9、10、33は横方向クロススライド固定要素を備えて形成されており、これらの横方向クロススライド固定要素は、必要に応じて横方向クロススライドを調節スライド9、10、33に対して解除可能に固定するように設計されている。調節スライド固定要素は、及び横方向クロススライド固定要素も、それぞれクランプレバー48を備えて形成されている。クランプレバー48によって調節スライド9、10、33と支持台4との間、特に調節スライド9、10、33と調節スライドガイド11、12との間、及び調節スライド9、10、33とガイドバー34、35との間に締め付け力を加えることができる。更に、締め付け力は横方向クロススライド14、36と調節スライド9、10の1つとの間に加えることができる。図11では、ほとんどすべてのクランプレバー48が固定された状態で示されている。押し出された状態で示されている外側の横方向クロススライド36のクランプレバー48のみが開いた状態で示されており、それにより変位又は調節が可能である。
【0085】
図11及び図12には、螺旋状又はコイル状で形状がフレキシブルな供給管50を形成できることも示されている。横方向クロススライド14、36に配置された保持要素3に供給するための螺旋状供給管50は、各横方向クロススライド14、36のそれぞれのガイド部42によって少なくとも部分的に貫通されていることが可能である。しかしまた、調節スライド9、10、33は、図12の例により互いに平行で互いに相対的に移動可能な少なくとも2つの横方向クロススライド14、36を有していること、及び螺旋状供給管50がそれぞれ隣接する又は平行な横方向クロススライド14、36のガイド部42によって少なくとも部分的に貫通されていることも可能である。上記の両変形例において、螺旋状供給管は直線的に引きし又は押し出す際に伸長又は展開することができる。
【0086】
更に、螺旋状供給管50が、調節スライド9、10、33のガイドバー34、35の少なくとも1つによって少なくとも部分的に貫通されているようにすることもでき、或いは図示されているように、螺旋状供給管50が、2つのガイドバー34、35の間に配置されているようにすることもできる。
【0087】
図13には、2つの横方向クロススライド14、36を備えた別の調節スライド9、10、33が立体図で示されている。不必要な繰り返しを避けるために、ここでも前述の説明部分、特に図10の説明に準拠する。この場合、保持要素3を位置決めするために、横方向クロススライド14、36の各々に複数の位置決め孔53が設けられており、その中に保持要素3を固定することができる。このようにして保持要素3は、操作される工作物2のそれぞれの工作物形状に必要に合せて適応させることができる。更に、複数の保持要素3及び必要に応じて異なるサイズの保持要素3を配置することもできる。図13には、横方向クロススライド固定要素が空気圧固定要素52を含むことができることも示されている。もちろん、調節スライド固定要素も、空気圧固定要素52を含むことができる。ここで、例により螺旋状供給管50が形成され、保持要素3に負圧を供給するようにされている。有利には、螺旋状供給管50は、空気圧固定要素52に供給するために用いることもできる。螺旋状供給管50は、それぞれ横方向クロススライド14、36のガイド部42によって貫通されている。
【0088】
図14は、図12の表現に準拠して、把持装置1の別の実施例を立体図で示す。ここでも、不必要な繰り返しを避けるために、前述の説明部分、特に図12の説明の参照を求め又は準拠する。特に図14には、第1方向13に沿って移動可能に支持されたエネルギーチェーン51が形成されている。ここで、エネルギーチェーン51は支持台4に配置することができる。これらのエネルギーチェーン51は、調節スライド9、10を変位させるため、及びガイドバー34、35を変位させるために形成されている。エネルギーチェーン51内には1つ以上の負圧管29が案内されている。これらの負圧管29はまた、横方向クロススライド14、36のガイド部42を貫通する螺旋状供給管50と流体接続している。これとは対照的に、図11及び図12には、横方向クロススライド14、36又は保持要素3に負圧を供給するために螺旋状供給管50を支持台4に配置できることが示されている。これらの螺旋状供給管50はまた、横方向クロススライド14、36のガイド部42を貫通する螺旋状供給管50と流体接続している。
【0089】
実施例は可能な実施態様を示すものであり、この箇所で注記しておくと、本発明は特別に図示された実施態様に限定されるものではなく、むしろ個々の実施態様を互いに様々に組み合わせることも可能であり、この変形可能性は本発明による技術的行為に関する教示に基づき当該技術分野に従事する当業者の能力の範囲内にある。
【0090】
保護の範囲は特許請求の範囲によって規定されている。しかしながら、特許請求の範囲を解釈するためには、詳細な説明と図面を援用する必要がある。図示及び説明された異なる実施例の個々の特徴や特徴の組み合せは、それ自体で独立した発明的解決をなすことができる。これらの独立した発明的解決の基礎にある課題は、本明細書から読み取ることができる。
【0091】
具体的な説明における値の範囲に関するすべての指示は、その指示に基づく任意のすべての部分範囲を含むものと理解すべきである。例えば1~10という指示には、下限の1から上限の10に至るまでのすべての部分範囲が含まれていると理解すべきである。即ち、すべての部分範囲は、例えば1~1.7又は3.2~8.1又は5.5~10のように、下限の1又はそれ以上から始まって上限の10又はそれ以下で終わる。
【0092】
最後に形式的に指摘しておくと、構造を理解しやすくするために、要素は一部縮尺通りではなく、及び/又は拡大して、及び/又は縮小して表現された。
【符号の説明】
【0093】
1 把持装置
2 工作物
3 保持要素
4 支持台
5 接続部
6 多関節アーム
7 接触面
8 接触平面
9 調節スライド
10 調節スライド
11 調節スライドガイド
12 調節スライドガイド
13 第1方向(X方向)
14 横方向クロススライド
15 横方向ガイド
16 第2方向(Y方向)
17 下面
18 調節スライド移動止め要素
19 ボルト
20 係止孔
21 第1スケール
22 横方向クロススライド移動止め要素
23 第2スケール
24 係止孔
25 ラック
26 歯溝
27 供給要素
28 バルブターミナル
29 負圧管
30 負圧ダクト
31 負圧パイプ
32 シール
33 別の調節スライド
34 ガイドバー
35 ガイドバー
36 別の横方向クロススライド
37 負圧パイプ
38 長さ
39 端面
40 端面
41 上面
42 ガイド部
43 横軸
44 保持要素の中心
45 中空プロフィール部
46 方向表示
47 ねじ
48 クランプレバー
49 偏心レバー
50 螺旋状供給管
51 エネルギーチェーン
52 空気圧固定要素
53 位置決め孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
【手続補正書】
【提出日】2023-03-09
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送しようとする、好ましくは板状の工作物(2)を受け取り、再び解放するために設けられた把持装置(1)であって、
下面(17)及び該下面(17)とは反対側の上面(41)を有する支持台(4)であって、
該支持台(4)は、前記上面(41)に接続部(5)を備え、又は接続部(5)と連結可能であり、該接続部(5)は前記把持装置(1)をマニピュレーターと連結するために設けられている、支持台(4)と、
複数の保持要素(3)であって、
前記工作物(2)を保持するために設けられ、
前記支持台(4)と連結され、
接触面(7)を備えており、該接触面(7)は、前記支持台(4)の前記下面(17)から離れる方向を向き、共通の接触平面(8)に跨っている、複数の保持要素(3)と、
前記保持要素(3)を作動させたり停止させたりするように設けられた供給要素(27)と、を備える把持装置(1)において、
前記支持台(4)は前記下面(17)に少なくとも2つの調節スライドガイド(11、12)を備え、
少なくとも2つの調節スライド(9、10)が設けられ、
該調節スライド(9、10)は、それぞれ少なくとも部分的に前記調節スライドガイド(11、12)の少なくとも1つに受容され、又は保持され、
前記調節スライド(9、10)は、前記調節スライドガイド(11、12)内で第1方向(13)に沿って前記支持台(4)に対して移動可能であり、
前記調節スライド(9、10)の少なくとも1つは少なくとも1つの横方向ガイド(15)を備え
少なくとも1つの横方向クロススライド(14)が設けられ、
該横方向クロススライド(14)には少なくとも1つの保持要素(3)が配置され、
前記横方向クロススライド(14)は、少なくとも部分的に前記横方向ガイド(15)に受容され又は保持され、
前記横方向クロススライド(14)は、前記横方向ガイド(15)内で第2方向(16)に沿って前記調節スライド(9、10)に対して相対的に移動可能であり、
前記第1方向(13)と前記第2方向(16)は互いに直交し、
前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)のガイド部(42)は、前記少なくとも1つの横方向ガイド(15)に受容され又は保持され、プロフィール形状に形成され、前記ガイド部(42)は、前記横方向ガイド(15)内で直線的に引き出し可能である、ことを特徴とする把持装置(1)。
【請求項2】
前記調節スライド(9、10)の少なくとも1つは、2つの互いに平行な横方向ガイド(15)を備え、引き出し可能な横方向クロススライド(14)が各横方向ガイド(15)内に収容され、前記保持要素(3)の少なくとも1つが各横方向クロススライド(14)に配置され、該保持要素(3)は、2つの横方向クロススライド(14)の互いから離れる方向を向く端部部分に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の把持装置(1)。
【請求項3】
前記調節スライド(9、10)はそれぞれ1つの調節スライド固定要素を備え、該調節スライド固定要素は、独立して操作可能であり、前記調節スライド(9,10)を前記支持台(4)に対して必要に応じて解放可能に固定するよう設けられ、及び/又は前記調節スライド(9、10)は、横方向クロススライド固定要素を備え、該横方向クロススライド固定要素は、少なくとも1つの横方向クロススライド(14)を前記調節スライド(9、10)に対して必要に応じて固定するように設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の把持装置(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの第1スケール(21)が前記支持台(4)に前記第1方向(13)に沿って設けられ、及び/又は第2スケール(23)が少なくとも1つの横方向クロススライド(14)に前記第2方向(16)に沿って設けられ、前記第1スケール(21)と前記第2スケール(23)は、好ましくは前記接触平面(8)に平行に配置され、前記支持台(4)の前記下面(17)を見るときに視認可能である、ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項5】
前記調節スライド固定要素は調節スライド移動止め要素(18)として設けられ、及び/又は前記横方向クロススライド固定要素は横方向クロススライド移動止め要素(22)として設けられ、前記支持台(4)は、前記第1方向(13)に沿って互いに等距離に離れた複数の移動止め凹部を備え、前記調節スライド移動止め要素(18)の移動止め要素は、前記支持台(4)の前記移動止め凹部に係合可能であり、前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)は、前記第2方向(16)に沿って互いに等距離に離れた複数の移動止め凹部を備え、前記横方向クロススライド移動止め要素(22)の移動止め要素は、前記横方向クロススライド(14)の前記移動止め凹部に係合可能である、ことを特徴とする、請求項3又は4に記載の把持装置(1)。
【請求項6】
前記調節スライド移動止め要素(18)の前記移動止め要素及び/又は前記横方向クロススライド移動止め要素(22)の前記移動止め要素はボルト(19)として設けられ、該ボルト(19)は前記支持台(4)の前記移動止め凹部及び/又は前記横方向クロススライド(14)の前記移動止め凹部に係合可能である、ことを特徴とする請求項5に記載の把持装置(1)。
【請求項7】
前記調節スライド固定要素は少なくとも1つのねじ(47)を有し、前記調節スライド(9、10)の一つと前記支持台(4)との間に締め付け力は前記少なくとも1つのねじ(47)によって加えることができ、及び/又は前記横方向クロススライド固定要素は少なくとも1つのねじ(47)を有し、前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)と前記調節スライド(9、10)の1つとの間に締め付け力は前記少なくとも1つのねじ(47)によって加えることができる、ことを特徴とする請求項3~6の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項8】
前記調節スライド固定要素は、少なくとも1つのクランプレバー(48)、偏心レバー(49)又はテンションレバーを有し、前記クランプレバー(48)、前記偏心レバー(49)又は前記テンションレバーによって、前記調節スライド(9、10)と前記支持台(4)との間に締め付け力を加えることができ、及び/又は前記横方向クロススライド固定要素は、少なくとも1つのクランプレバー(48)、偏心レバー(49)又はテンションレバーを有し、前記クランプレバー(48)、前記偏心レバー(49)又は前記テンションレバーによって、前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)と前記調節スライド(9、10)の1つとの間に締め付け力を加えることができる、ことを特徴とする請求項3~7の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項9】
前記調節スライド固定要素及び/又は前記横方向クロススライド固定要素は、空気圧固定要素(52)を含んでいることを特徴とする、請求項3~8の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項10】
前記調節スライドガイド(11、12)は、前記調節スライド(9、10)の部分と形状嵌合的に係合するためのプリズムトラックとして設けられ、特に前記調節スライドガイド(11、12)は、前記調節スライド(9、10)の部分と形状嵌合的に係合するためのプリズムトラックとして設けられている、ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)の前記ガイド部(42)は、少なくとも部分的に中空プロフィール部(45)を備え、該中空プロフィール部(45)は、負圧ダクト(30)として設けられ、該負圧ダクト(30)は、前記供給要素(27)及び前記横方向クロススライド(14)に配置された少なくとも1つの保持要素(3)と流体接続している、ことを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項12】
少なくとも1つの螺旋状供給管(50)が設けられ、前記少なくとも1つの螺旋状供給管(50)は少なくとも1つの保持要素(3)に負圧をかけるために設けられている、ことを特徴とする請求項1~11の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの螺旋状供給管(50)は、前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)の前記ガイド部(42)によって少なくとも部分的に貫通されている、ことを特徴とする請求項12に記載の把持装置(1)。
【請求項14】
前記供給要素(27)はバルブターミナル(28)を有し、該バルブターミナル(28)は遮断弁を介して前記保持要素(3)と流体接続している、ことを特徴とする請求項1~13の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項15】
別の調節スライド(33)が設けられ、該別の調節スライド(33)は第1ガイドバー(34)及び第2ガイドバー(35)を有し、前記第1ガイドバー(34)及び前記第2ガイドバー(35)は、前記第1方向(13)に沿って移動可能であり、特に前記支持台(4)の端面(39、40)に設けた貫通路によって、又は前記支持台(4)内のプリズムトラック又はプロフィール状トラックによって案内され、前記別の調節スライド(33)は前記第1ガイドバー(34)及び前記第2ガイドバー(35)によって前記第1方向(13)に沿って前記支持台(4)に対して直線的に引き出し可能である、ことを特徴とする、請求項1~14の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項16】
少なくとも1つの別の横方向クロススライド(36)が設けられ、該少なくとも1つの別の横方向クロススライド(36)に少なくとも1つの保持要素(3)が配置され、前記少なくとも1つの別の横方向クロススライド(36)は、別の調節スライド(33)の横方向ガイド(15)内に少なくとも部分的に収容され、前記横方向ガイド(15)内で前記別の調節スライド(33)に対して前記第2方向(16)に沿って移動可能であり、前記別の調節スライド(33)のガイド部(42)は、少なくとも1つの横方向ガイド(15)に収容され、プロフィール形状であり、特に中空プロフィール形状であり、前記ガイド部(42)は前記横方向ガイド(15)内で直線的に引き出し可能である、ことを特徴とする請求項15に記載の把持装置(1)。
【請求項17】
負圧パイプ(37)は、前記第1ガイドバー(34)及び前記第2ガイドバー(35)に平行に設けられ、前記支持台(4)に対して直線的に引き出し可能であり、前記負圧パイプ(37)は、前記供給要素(27)に対して流体接続し、及び前記別の調節スライド(33)に配置された前記別の横方向クロススライド(36)に設けた前記少なくとも1つの保持要素(3)と流体接続している、ことを特徴とする請求項16に記載の把持装置(1)。
【請求項18】
少なくとも1つの螺旋状供給管(50)は、前記調節スライド(9、10)の前記第1ガイドバー(34)及び前記第2ガイドバー(35)の少なくとも1つによって少なくとも部分的に貫通され、又は前記少なくとも1つの螺旋状供給管(50)は2つの第1ガイドバー(34)及び第2ガイドバー(35)の間に配置されている、ことを特徴とする
請求項15~17の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項19】
前記第1方向(13)に沿って移動可能に支持された少なくとも1つのエネルギーチェーン(51)が設けられ、該エネルギーチェーン(51)は、前記調節スライド(9、10)を移動させるために、及び/又は前記第1ガイドバー(34)及び前記第2ガイドバー(35)を移動させるために設けられ、少なくとも1つの負圧管(29)が前記エネルギーチェーン(51)内に案内されていることを特徴とする、請求項1~18の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項20】
搬送しようとする、好ましくは板状の工作物(2)を受け取って再び解放するために設けられた、把持装置(1)を有するマニピュレーターであって、
前記把持装置(1)は、請求項1~19の何れか一項に従って設けられていることを特徴とするマニピュレーター。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送しようとする、好ましくは板状の工作物(2)を受け取り、再び解放するために設けられた把持装置(1)であって、
下面(17)及び該下面(17)とは反対側の上面(41)を有する支持台(4)であって、
該支持台(4)は、前記上面(41)に接続部(5)を備え、又は接続部(5)と連結可能であり、該接続部(5)は前記把持装置(1)をマニピュレーターと連結するために設けられている、支持台(4)と、
複数の保持要素(3)であって、
前記工作物(2)を保持するために設けられ、
前記支持台(4)と連結され、
接触面(7)を備えており、該接触面(7)は、前記支持台(4)の前記下面(17)から離れる方向を向き、共通の接触平面(8)に跨っている、複数の保持要素(3)と、
前記保持要素(3)を作動させたり停止させたりするように設けられた供給要素(27)と、を備える把持装置(1)において、
前記支持台(4)は前記下面(17)に少なくとも2つの調節スライドガイド(11、12)を備え、
少なくとも2つの調節スライド(9、10)が設けられ、
該調節スライド(9、10)は、それぞれ少なくとも部分的に前記調節スライドガイド(11、12)の少なくとも1つに受容され、又は保持され、
前記調節スライド(9、10)は、前記調節スライドガイド(11、12)内で第1方向(13)に沿って前記支持台(4)に対して移動可能であり、
前記調節スライド(9、10)の少なくとも1つは少なくとも1つの横方向ガイド(15)を備え、
少なくとも1つの横方向クロススライド(14)が設けられ、
該横方向クロススライド(14)には少なくとも1つの保持要素(3)が配置され、
前記横方向クロススライド(14)は、少なくとも部分的に前記横方向ガイド(15)に受容され又は保持され、
前記横方向クロススライド(14)は、前記横方向ガイド(15)内で第2方向(16)に沿って前記調節スライド(9、10)に対して相対的に移動可能であり、
前記第1方向(13)と前記第2方向(16)は互いに直交し、
前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)のガイド部(42)は、前記少なくとも1つの横方向ガイド(15)に受容され又は保持され、プロフィール形状に形成され、
前記ガイド部(42)は、前記横方向ガイド(15)内で直線的に引き出し可能である、ことを特徴とする把持装置(1)。
【請求項2】
前記調節スライド(9、10)の少なくとも1つは、2つの互いに平行な横方向ガイド(15)を備え、引き出し可能な横方向クロススライド(14)が各横方向ガイド(15)内に収容され、前記保持要素(3)の少なくとも1つが各横方向クロススライド(14)に配置され、該保持要素(3)は、2つの横方向クロススライド(14)の互いから離れる方向を向く端部部分に形成されている、ことを特徴とする請求項1に記載の把持装置(1)。
【請求項3】
前記調節スライド(9、10)はそれぞれ1つの調節スライド固定要素を備え、該調節スライド固定要素は、独立して操作可能であり、前記調節スライド(9,10)を前記支持台(4)に対して必要に応じて解放可能に固定するよう設けられ、及び/又は前記調節スライド(9、10)は、横方向クロススライド固定要素を備え、該横方向クロススライド固定要素は、少なくとも1つの横方向クロススライド(14)を前記調節スライド(9、10)に対して必要に応じて固定するように設けられている、ことを特徴とする請求項1又は2に記載の把持装置(1)。
【請求項4】
少なくとも1つの第1スケール(21)が前記支持台(4)に前記第1方向(13)に沿って設けられ、及び/又は第2スケール(23)が少なくとも1つの横方向クロススライド(14)に前記第2方向(16)に沿って設けられ、前記第1スケール(21)と前記第2スケール(23)は、好ましくは前記接触平面(8)に平行に配置され、前記支持台(4)の前記下面(17)を見るときに視認可能である、ことを特徴とする請求項1~3の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項5】
前記調節スライド(9、10)の調節スライド固定要素は調節スライド移動止め要素(18)として設けられ、及び/又は前記調節スライド(9、10)の横方向クロススライド固定要素は横方向クロススライド移動止め要素(22)として設けられ、前記支持台(4)は、前記第1方向(13)に沿って互いに等距離に離れた複数の移動止め凹部を備え、前記調節スライド移動止め要素(18)の移動止め要素は、前記支持台(4)の前記移動止め凹部に係合可能であり、前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)は、前記第2方向(16)に沿って互いに等距離に離れた複数の移動止め凹部を備え、前記横方向クロススライド移動止め要素(22)の移動止め要素は、前記横方向クロススライド(14)の前記移動止め凹部に係合可能である、ことを特徴とする、請求項3又は4に記載の把持装置(1)。
【請求項6】
前記調節スライド移動止め要素(18)の前記移動止め要素及び/又は前記横方向クロススライド移動止め要素(22)の前記移動止め要素はボルト(19)として設けられ、該ボルト(19)は前記支持台(4)の前記移動止め凹部及び/又は前記横方向クロススライド(14)の前記移動止め凹部に係合可能である、ことを特徴とする請求項5に記載の把持装置(1)。
【請求項7】
前記調節スライド(9、10)の調節スライド固定要素は少なくとも1つのねじ(47)を有し、前記調節スライド(9、10)の一つと前記支持台(4)との間に締め付け力は前記少なくとも1つのねじ(47)によって加えることができ、及び/又は前記調節スライド(9、10)の横方向クロススライド固定要素は少なくとも1つのねじ(47)を有し、前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)と前記調節スライド(9、10)の1つとの間に締め付け力は前記少なくとも1つのねじ(47)によって加えることができる、ことを特徴とする請求項3~6の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項8】
前記調節スライド(9、10)の調節スライド固定要素は、少なくとも1つのクランプレバー(48)、偏心レバー(49)又はテンションレバーを有し、前記クランプレバー(48)、前記偏心レバー(49)又は前記テンションレバーによって、前記調節スライド(9、10)と前記支持台(4)との間に締め付け力を加えることができ、及び/又は前記調節スライド(9、10)の横方向クロススライド固定要素は、少なくとも1つのクランプレバー(48)、偏心レバー(49)又はテンションレバーを有し、前記クランプレバー(48)、前記偏心レバー(49)又は前記テンションレバーによって、前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)と前記調節スライド(9、10)の1つとの間に締め付け力を加えることができる、ことを特徴とする請求項3~7の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項9】
前記調節スライド(9、10)の調節スライド固定要素及び/又は前記調節スライド(9、10)の横方向クロススライド固定要素は、空気圧固定要素(52)を含んでいることを特徴とする、請求項3~8の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項10】
前記調節スライドガイド(11、12)は、前記調節スライド(9、10)の部分と形状嵌合的に係合するためのプリズムトラックとして設けられ、特に前記調節スライドガイド(11、12)は、前記調節スライド(9、10)の部分と形状嵌合的に係合するためのプリズムトラックとして設けられている、ことを特徴とする請求項1~9の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項11】
前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)の前記ガイド部(42)は、少なくとも部分的に中空プロフィール部(45)を備え、該中空プロフィール部(45)は、負圧ダクト(30)として設けられ、該負圧ダクト(30)は、前記供給要素(27)及び前記横方向クロススライド(14)に配置された少なくとも1つの保持要素(3)と流体接続している、ことを特徴とする請求項1~10の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項12】
少なくとも1つの螺旋状供給管(50)が設けられ、前記少なくとも1つの螺旋状供給管(50)は少なくとも1つの保持要素(3)に負圧をかけるために設けられている、ことを特徴とする請求項1~11の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項13】
前記少なくとも1つの螺旋状供給管(50)は、前記少なくとも1つの横方向クロススライド(14)の前記ガイド部(42)によって少なくとも部分的に貫通されている、ことを特徴とする請求項12に記載の把持装置(1)。
【請求項14】
前記供給要素(27)はバルブターミナル(28)を有し、該バルブターミナル(28)は遮断弁を介して前記保持要素(3)と流体接続している、ことを特徴とする請求項1~13の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項15】
別の調節スライド(33)が設けられ、該別の調節スライド(33)は第1ガイドバー(34)及び第2ガイドバー(35)を有し、前記第1ガイドバー(34)及び前記第2ガイドバー(35)は、前記第1方向(13)に沿って移動可能であり、特に前記支持台(4)の端面(39、40)に設けた貫通路によって、又は前記支持台(4)内のプリズムトラック又はプロフィール状トラックによって案内され、前記別の調節スライド(33)は前記第1ガイドバー(34)及び前記第2ガイドバー(35)によって前記第1方向(13)に沿って前記支持台(4)に対して直線的に引き出し可能である、ことを特徴とする、請求項1~14の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項16】
少なくとも1つの別の横方向クロススライド(36)が設けられ、該少なくとも1つの別の横方向クロススライド(36)に少なくとも1つの保持要素(3)が配置され、前記少なくとも1つの別の横方向クロススライド(36)は、別の調節スライド(33)の横方向ガイド(15)内に少なくとも部分的に収容され、前記横方向ガイド(15)内で前記別の調節スライド(33)に対して前記第2方向(16)に沿って移動可能であり、前記別の調節スライド(33)のガイド部(42)は、少なくとも1つの横方向ガイド(15)に収容され、プロフィール形状であり、特に中空プロフィール形状であり、前記ガイド部(42)は前記横方向ガイド(15)内で直線的に引き出し可能である、ことを特徴とする請求項15に記載の把持装置(1)。
【請求項17】
負圧パイプ(37)は、前記第1ガイドバー(34)及び前記第2ガイドバー(35)に平行に設けられ、前記支持台(4)に対して直線的に引き出し可能であり、前記負圧パイプ(37)は、前記供給要素(27)に対して流体接続し、及び前記別の調節スライド(33)に配置された前記別の横方向クロススライド(36)に設けた前記少なくとも1つの保持要素(3)と流体接続している、ことを特徴とする請求項16に記載の把持装置(1)。
【請求項18】
少なくとも1つの螺旋状供給管(50)は、前記調節スライド(9、10)の前記第1ガイドバー(34)及び前記第2ガイドバー(35)の少なくとも1つによって少なくとも部分的に貫通され、又は前記少なくとも1つの螺旋状供給管(50)は2つの第1ガイドバー(34)及び第2ガイドバー(35)の間に配置されている、ことを特徴とする請求項15~17の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項19】
前記第1方向(13)に沿って移動可能に支持された少なくとも1つのエネルギーチェーン(51)が設けられ、該エネルギーチェーン(51)は、前記調節スライド(9、10)を移動させるために、及び/又は別の調節スライド(33)の第1ガイドバー(34)及び2ガイドバー(35)を移動させるために設けられ、少なくとも1つの負圧管(29)が前記エネルギーチェーン(51)内に案内されていることを特徴とする、請求項1~18の何れか一項に記載の把持装置(1)。
【請求項20】
搬送しようとする、好ましくは板状の工作物(2)を受け取って再び解放するために設けられた、把持装置(1)を有するマニピュレーターであって、
前記把持装置(1)は、請求項1~19の何れか一項に従って設けられていることを特徴とするマニピュレーター。
【国際調査報告】