(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】自動燃料補給用の燃料ディスペンサアダプタ
(51)【国際特許分類】
B67D 7/32 20100101AFI20240403BHJP
B60S 5/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B67D7/32 G
B60S5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559706
(86)(22)【出願日】2022-03-29
(85)【翻訳文提出日】2023-11-14
(86)【国際出願番号】 EP2022058315
(87)【国際公開番号】W WO2022207662
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523249744
【氏名又は名称】オートフューエル エーピーエス
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100202751
【氏名又は名称】岩堀 明代
(74)【代理人】
【識別番号】100208580
【氏名又は名称】三好 玲奈
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】シジュブランド ヴォゲラー,ヨハネス
【テーマコード(参考)】
3D026
3E083
【Fターム(参考)】
3D026CA05
3E083AA08
3E083AD21
3E083AG33
3E083AK01
(57)【要約】
本開示は、アダプタツールと、燃料ディスペンサの一部である、または燃料ディスペンサに取り付けられるように構成された強磁性ユニットとを含む、燃料ディスペンサアダプタキットに関し、アダプタツールは、強磁性ユニットと磁気で係合するように構成された磁石、及び燃料ディスペンサのレバーを作動させるように構成された作動装置を含む。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アダプタツールと、燃料ディスペンサの一部である、または前記燃料ディスペンサに取り付けられるように構成された強磁性ユニットとを含む燃料ディスペンサアダプタキットであって、
前記アダプタツールは、
前記強磁性ユニットと磁気で係合するように構成された磁石、及び
前記燃料ディスペンサのレバーを作動させるように構成された作動装置、
を含む、
前記燃料ディスペンサアダプタキット。
【請求項2】
前記作動装置は、空圧または液圧または電気で作動する、請求項1に記載のアダプタキット。
【請求項3】
前記磁石は、前記アダプタツール内の前進位置と後退位置との間で可動であり、
前記磁石及び前記強磁性ユニットが互いに磁気で係合している場合、前記前進位置は前記強磁性材料に前記後退位置よりも近くなるように構成される、先行請求項のいずれかに記載のアダプタキット。
【請求項4】
前記磁石は第一シリンダ内で可動な第一位置に取り付けられ、
前記第一位置は空圧または液圧または電気で制御される、先行請求項のいずれかに記載のアダプタキット。
【請求項5】
前記アダプタツールは、前記第一位置が前記後退位置に到達したことを検知するように構成された少なくとも第一センサユニットをさらに含む、請求項4に記載のアダプタキット。
【請求項6】
前記第一ピストンが前記後退位置に到達したと前記第一センサユニットが検知する場合、前記アダプタキットは、電気的にオフになるように構成される、請求項5に記載のアダプタキット。
【請求項7】
前記作動装置は、ステム及び前記ステムに取り付けられたチップを有し、
前記チップは、前記燃料ディスペンサの前記レバーを引く、または前記レバーと係合するように構成される、先行請求項のいずれかに記載のアダプタキット。
【請求項8】
所定の閾値を上回る力が前記チップに作用すると、前記チップは前記ステムに対して第一位置から枢動可能であり、
前記チップは、前記レバーを前記ステムに対して第二位置に引く、または前記レバーと係合するように構成され、
前記チップは、前記レバーを引かない、または前記レバーと係合しないように構成される、請求項7に記載のアダプタキット。
【請求項9】
前記作動装置は、第二位置であって、前記ステムに連結され、第二シリンダ内で可動である前記第二位置を含む、先行請求項のいずれかに記載のアダプタキット。
【請求項10】
前記作動装置はばねを含み、
前記作動装置は、前記第二位置に作用する圧力によって前記レバーを作動させるように構成され、
前記ばねは、充填中に、前記圧力が前記第二位置に作用している場合、前記作動装置が完全作動位置に到達するのを防止するように構成され、
前記ばねは、前記充填が終了した場合、及び前記圧力が前記第二位置に作用している間、前記作動装置が前記完全作動位置に到達することを可能にするように構成される、先行請求項のいずれかに記載のアダプタキット。
【請求項11】
前記アダプタツールは、第二センサユニットをさらに含み、
前記第二センサユニットは、前記作動装置が前記完全作動位置に到達した場合、前記作動装置を停止させるように構成される、請求項10に記載のアダプタキット。
【請求項12】
前記燃料ディスペンサは、
ガソリンもしくはディーゼルなどの従来型燃料、または
水素もしくは電気などの非従来型燃料、
を分配するための燃料ディスペンサである、先行請求項のいずれかに記載のアダプタキット。
【請求項13】
ビークルのフューエルドアと係合するように構成されたサクションカップを含む、先行請求項のいずれかに記載のアダプタキット。
【請求項14】
前記サクションカップは、前記サクションカップと前記フューエルドアとの間に真空をもたらすように構成された開口部を有する、請求項13に記載のアダプタキット。
【請求項15】
前記アダプタキットは、前記サクションカップを後退位置の方に付勢するためのばねを含む、請求項13~14のいずれか1項に記載のアダプタキット。
【請求項16】
前記強磁性ユニットは、燃料ディスペンサに締着するように構成されたカラーに取り付けられる、先行請求項のいずれかに記載のアダプタキット。
【請求項17】
前記アダプタツールは光センサを含み、前記光センサは、ビークルのフューエルドアの画像をキャプチャすることで、サクションカップを前記フューエルドアまでガイドして、前記フューエルドアを開くことができるように構成される、先行請求項のいずれかに記載のアダプタキット。
【請求項18】
前記アダプタツールは光センサを含み、前記光センサは、ビークルのフューエルインレットの画像をキャプチャすることで、前記燃料ディスペンサを前記フューエルインレットまでガイドすることができるように構成される、先行請求項のいずれかに記載のアダプタキット。
【請求項19】
光センサ、
第一センサ、
第二センサ、及び
前記作動装置、
好ましくは前記光センサに照明を与えるための光源、
前記アダプタキットが手動で操作されることができるように構成された誘導形センサ、
の群のいずれか、またはいずれかの組み合わせ、またはすべては、ガスインレットを備えた気密キャビティ内に位置決めされ、前記ガスインレットはガスを受容して前記キャビティを加圧するように構成される、先行請求項のいずれかに記載のアダプタキット。
【請求項20】
前記アダプタツールは、前記燃料ディスペンサを受け入れるための受け入れ面を有し、
前記受け入れ面は、前記燃料ディスペンサを適応させるために凹状である、先行請求項のいずれかに記載のアダプタキット。
【請求項21】
前記アダプタツールは密閉ユニットを含み、前記密閉ユニットは、前記磁石が前記強磁性ユニットと係合する場合、前記磁石及び前記強磁性ユニットを分離するように構成される、先行請求項のいずれかに記載のアダプタキット。
【請求項22】
前記密閉ユニットは、非磁性膜を含む、請求項21に記載のアダプタキット。
【請求項23】
ビークルに燃料を補給するために燃料ステーションを自動的に操作するためのロボット燃料補給システムであって、
ビークルを識別するための検知ユニット、ロボットアーム、先行請求項のいずれかに記載のアダプタキットを含み、
前記ビークルを検知して識別し、前記ロボットアーム及び前記アダプタツールを制御して、前記燃料ステーションの燃料ディスペンサを係合し、前記ビークルに燃料を補給するように構成される、前記ロボット燃料補給システム。
【請求項24】
前記ロボットアームは協働ロボットアームである、請求項23に記載のロボット燃料補給システム。
【請求項25】
前記ロボット燃料補給システムは、所定の座標に追従するように構成されたサクションカップをさらに含む、請求項23~24のいずれかに記載のロボット燃料補給システム。
【請求項26】
前記所定の座標は、2点ティーチインによって規定される、請求項25に記載のロボット燃料補給システム。
【請求項27】
前記サクションカップは、所定の経路に追従するように構成され、
前記所定の経路は、2点の間の直線によって規定される、請求項23~26のいずれかに記載のロボット燃料補給システム。
【請求項28】
前記システムは、前記アダプタツールが前記燃料ディスペンサユニットと係合し、燃料吸入のために前記フューエルドアを準備し、前記燃料ディスペンサを前記ビークルの燃料受け入れ部に提供し、前記燃料を供給するようにさらに構成される、請求項23~27のいずれかに記載のロボット燃料補給システム。
【請求項29】
前記アダプタは、前記アダプタツールが手動で制御されることができるようにフリードライブ機能を作動させるように構成された誘導形センサをさらに含む、請求項23~28のいずれかに記載のロボット燃料補給システム。
【請求項30】
前記ロボット燃料補給システムはボタンユニットを含み、
前記ボタンユニットは作動状態中にフリードライブ機能を作動させるように構成される、先行請求項のいずれかに記載のロボット燃料補給システム。
【請求項31】
前記ボタンユニットは、前記ボタンユニットが前記作動位置にあるときを感知するためのセンサを含む、請求項30に記載のロボット燃料補給システム。
【請求項32】
前記ボタンユニットは気密である、請求項30~31のいずれか1項に記載のロボット燃料補給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、燃料ディスペンサアダプタキットと、ビークルに燃料を補給するように燃料ステーションを自動的に操作するための燃料ディスペンサアダプタキットを含むロボット燃料補給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
強力なロボットを使用する場合、ロボットガイドによる燃料補給の自動化は、潜在的に脅威になる。従って、ロボットには通常、動作の安全性を高めるために外部セキュリティシステムが装備されている。様々な業界にわたる様々な既存のロボット充電ステーションは、カメラまたは他のセンサによるロボットの作業エリアの監視など、様々な安全技術によって守られてきた。産業用ロボットシステムは通常、指定されたセル内に固定されている。しかしながら、自動燃料補給が人間または爆発物のすぐ近くで行われることができるように安全要件を満たすという課題がある。
【0003】
燃料をビークルのフューエルインレットに供給する装置またはツールにもいくつかの安全要件が適用される。燃料ディスペンサの周囲の領域にある電気安全スイッチ及びセンサは、そのような装置をサポートする必要がある。さらに、燃料付近でのスパークの発生を避けるために、必要な安全対策を講じながら、そのような装置の電子機器を最小限にすることが有利である。
【0004】
さらに、比較的単純で安価なビークル自動燃料補給装置を提供するという課題がある。燃料ステーションの必須要件は、待機時間を短縮するためにできる限り迅速に充填プロセスを進めることである。さらに、燃料補給ツールまたは装置は、燃料の過剰供給による燃料溢流及び過度のエネルギー消費を回避しながら、効率的に作業する必要がある。
【発明の概要】
【0005】
本開示は、ロボット燃料補給システムの燃料ディスペンサアダプタキットに関する。本開示のキットは、ビークルの燃料補給操作を自動化することができるようにロボット燃料補給システムに実装されることができる。これは、本開示では、運転者が燃料補給タスクから解放され、より多くの自由が与えられることを意味する。
【0006】
さらに、開示された燃料ディスペンサアダプタキットは、開示されたキットが人間及び爆発物のすぐ近くにある燃料ステーションで動作することができるように厳しい安全要件を満たすのに適している。
【0007】
一般に、本開示は、従って燃料ディスペンサアダプタキットに関し、この燃料ディスペンサアダプタキットは、ビークル(主に自動車であるが自動車に限定されない)の自動燃料補給用の自動燃料補給システムに実装されることができる。
【0008】
従って、第一態様では、本開示は、アダプタツールと、燃料ディスペンサの一部である、または燃料ディスペンサに取り付けられるように構成された強磁性ユニットとを含む燃料ディスペンサアダプタキットに関し、
このアダプタツールは、
強磁性ユニットと磁気で係合するように構成された磁石、及び
燃料ディスペンサのレバーを作動させるように構成された作動装置、
を含む。
【0009】
本開示の燃料補給システムは、アダプタツール及び強磁性ユニットを使用する。これにより、燃料ステーションのディスペンサと係合するアダプタツールの操作方法が単純になる。アダプタツールは、強磁性ユニットと係合する磁石を含む。ビークルの燃料補給中、アダプタツールと強磁性ユニットとの間の磁気係合によって燃料ディスペンサユニットが保持される。
【0010】
従って、本開示の重要な利点は、磁気係合によって燃料ステーションでの安全性が高まることである。磁気係合のため、燃料ディスペンサユニットは、安全な方法でアダプタツールから分離され得る。これは、安全な燃料補給環境を達成することができるように、磁気係合により加えられる力を制御することができることを意味する。
【0011】
開示されたキットのさらなる利点は、燃料ステーションの既存の燃料ディスペンサユニットに強磁性ユニットを追加することができることである。これにより、本開示のキットを含む、ロボット燃料補給解決策を、既存のフューエルアイランドに、例えばガソリンスタンドのフューエルアイランドに統合することができることが予想される。
【0012】
本開示のキットのさらに別の利点は、ディーゼル、電気、天然ガスまたは水素などの様々な燃料源の様々なタイプの燃料ディスペンサユニットに本開示のキットが適していることである。強磁性ユニットがあらゆるタイプの燃料の燃料ディスペンサと連結するように構成されるため、本開示の燃料分配キットは、様々な燃料タイプの燃料ディスペンサへの適合性を示すことで、フレキシビリティの向上をもたらす。
【0013】
本開示のキットの別の利点は、アダプタツールが様々なタイプのロボットアームに適していることである。例えば、ロボットアームは、協働ロボットまたはコボットアームのように、人間の間で作業することができる種類のものであることができる。
【0014】
好ましくは、アダプタツールは、本開示のキットが人間及び爆発物のすぐ近くで動作するための安全要件を満たすことができるように構成されることができる。軽量の組み立て材料、最小限の電気部品、丸みのあるエッジ、センサ、例えば変位センサ、圧力センサ、電気安全遮断オンオフ機構、及びカメラは、本開示のキットの安全な構成を確保するように適合され得る。これにより、改良された、小型で軽量な燃料分配アダプタキットが期待される。
【0015】
従って、本開示は、ビークルの自動充電または燃料補給を行うロボット用の燃料分配キットを提供し、このキットは、技術的に単純であり、費用効果が高く製造されることができ、材料を削減するように製造されることができ、そして本開示のキットまたは本開示のキットに関連するロボットもしくはシステムを操作することにより、人を脅かさないような安全要求を満たすことができる。
【0016】
本開示について、添付の図面を参照しながらより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】燃料ディスペンサと係合する燃料ディスペンサアダプタキットの一実施形態を示す。
【
図2】燃料ディスペンサに取り付けられた強磁性ユニットの一実施形態である。
【
図3】アダプタツールと係合する強磁性ユニットの詳細な断面図の一実施形態である。
【
図4A】アダプタツールの一実施形態であり、断面位置である。
【
図4B】アダプタツールの側断面図の一実施形態を示す。
【
図5A】アダプタツール及び断面位置の一実施形態である。
【
図5B】アダプタツールの上断面図の一実施形態を示す。
【
図8】レバー不具合位置での作動装置の一実施形態である。
【
図9A】作動装置が後退位置にある場合のアダプタツールの一実施形態を示す。
【
図9B】作動装置が延出位置にある場合のアダプタツールの一実施形態を示す。
【
図10】作動装置組立体及びサクションカップ組立体の一実施形態を示す。
【
図11】アダプタツールの側断面図の一実施形態を示す。
【
図12】ツールフリードライブボタン組立体の一実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本明細書で使用される場合、燃料ディスペンサという用語は、ビークルに燃料を分配する装置を指す。概して、燃料ディスペンサは、ビークルに燃料を供給するガソリンスタンドでの燃料分配ユニットであってもよい。燃料ディスペンサのタイプは、ビークルが消費する燃料タイプに応じて異なってもよい。
【0019】
本明細書で使用される場合、フューエルドアという用語は、ビークルの一部、例えばビークルの本体上にあるキャップを指す。概して、フューエルドアを開くまたは作動させることなどが可能になると、燃料は、例えば、フューエルインレットを通じて供給されることができる。通常、フューエルインレットは、フューエルドアの後方に位置決めされてもよい。
【0020】
本明細書で使用される場合、燃料補給という用語は、エネルギー源を供給することを指す。すなわち、燃料補給は、流体燃料または気体燃料の供給を指し得る。さらに、燃料補給は、電気などの様々なエネルギー源の燃料を供給することを指す場合がある。
【0021】
第一態様では、本開示は、燃料ディスペンサアダプタキットに関する。燃料ディスペンサアダプタキットは、アダプタツール及び強磁性ユニットを含む。強磁性ユニットは、燃料ディスペンサに取り付けられることができる。一実施形態では、強磁性ユニットは、燃料ディスペンサに締着されるように構成されたカラーに取り付けられる。代替に、燃料ディスペンサは、燃料ディスペンサが強磁性ユニットを含むように設けられることができる。
【0022】
有利には、磁石を含むアダプタツールは、燃料ディスペンサの強磁性ユニットと係合することができる。従って、さらなる実施形態では、アダプタツール及び燃料ディスペンサは、燃料補給操作中に磁力によって互いに係合する。
【0023】
好ましい実施形態では、磁石は、シリンダの内側に位置しているピストンを含むシリンダによって操作されることができる。さらに有利な実施形態では、磁石は第一シリンダ内で可動な第一位置に取り付けられることができ、第一位置は空圧、液圧または電気で制御される。これは、第一ピストンと係合しているロッドまたはバーに磁石を取り付けることができることを意味する。
【0024】
本開示のアダプタキットの利点は、磁石が磁気係合を提供しながらキャビティ内で動くことができる、効果的で安全な軽量の設計を提供することである。例えば、ピストンがシリンダ内側で動く場合、ピストンに関連してシリンダ外側に位置決めされた磁石は、アダプタツールのキャビティ内で変位することができる。一実施形態では、磁石は、アダプタツール内で、前進位置と後退位置との間で可動であることができる。磁気係合が制限される、または作動しない場合、ピストンは後退位置で静止することができる。アダプタツールをディスペンサユニットと係合することなどによって、燃料補給操作を開始する場合、磁気要素は互いに引き合い、ピストンを前進位置に変位させることができる。従って、前進位置は、後退位置よりも強磁性ユニットに近くなるように構成されてもよい。従って、前進位置は、磁石及び強磁性ユニットが互いに磁気で係合している場合の磁石の位置であることができる。
【0025】
一実施形態では、強磁性ユニットを燃料ディスペンサに堅く固定することができる。燃料ディスペンサがアダプタツールから一定の距離内にある場合、磁力は燃料ディスペンサの強磁性ユニットを引き付ける。アダプタツール内の磁石は、強磁性ユニットに向かって変位するように構成されてよい。ピストンがシリンダ内で変位することにより、ピストンに接合した磁石は、アダプタツールのキャビティ内で後退位置から前進位置に変位することができる。
【0026】
好ましい実施形態では、ピストンは、磁石が磁石の前進位置よりも強磁性ユニットからさらに離れている、後退位置に達することができる。磁力が中断される場合、例えば、磁石が前進位置で空圧によって作動している間に強磁性ユニット及びアダプタツールの分離が実行される場合、後退位置は得られることができる。磁石が前進位置に向かって前進した後、磁石は燃料ディスペンサの強磁性ユニットと係合することができる。第一圧力は、強磁性ユニットとの磁気係合を維持しながら、後退位置に向かう方向内で第一ピストンに作用するように、第一シリンダ内に加えられることができる。外力がディスペンサに加えられる場合、この外力は、磁気係合力を上回るほど十分に大きくなり得ることにより、燃料ディスペンサはアダプタツールから係脱する。次いで、第一シリンダに加えられた第一圧力は、磁石を後退位置に移動させる。このような場合、第一センサは、不具合が起こったことを感知することができる。一般に、不具合なく燃料補給が完了し、燃料ディスペンサがフューエルアイランドの燃料ディスペンサホルダに位置決めされる場合、磁石と強磁性ユニットとの間の磁気係合が中断されるようにシリンダ内に圧力を加えることができる。
【0027】
自動機械の制御システムに位置フィードバックを提供するために、センサを使用することは一般的な方法である。空圧シリンダ内のピストンの直線位置を検知するために、一般的に使用されるタイプのセンサのうちの1つは、磁気近接センサであることができる。磁気センサは、シリンダピストンに統合された磁石の磁場を検知することができる。
【0028】
従って、ピストンは磁石を含むことができ、シリンダ本体に取り付けられたセンサは、磁石に対する近接に基づいて「オン」または「オフ」をインディケートすることができる。従って一実施形態では、アダプタツールは、第一ピストンが後退位置に到達したことを検知するように構成された少なくとも第一センサユニットをさらに含むことができる。これにより、第一センサユニットは、アダプタツールに供給される電力を制御することができる。第一センサユニットは、印加された磁場によって動作するリードスイッチ、電気的スイッチ、またはピストンの位置を感知するための位置センサであってよい。従って本開示は、例えば、アダプタツールが燃料ステーションのディスペンサユニットと係合している間にビークルが発進するにもかかわらず、ディスペンサユニットがフューエルインレットを介してビークルに取り付けられている場合、アダプタツールに供給される全ての電気が第一センサユニットデータに基づいてオフになる(または停止する)ことができるように構成されることができる。燃料を供給するフューエルホースに取り付けられた燃料ディスペンサをフューエルホースから係脱する場合、一部の燃料がホースから出てアダプタツールの周囲の雰囲気に入ってくる場合がある。電気のスイッチをオフにすることは、アダプタツールからのスパークによる爆発のリスクがなくなることを意味する。
【0029】
従って、本開示のアダプタキットの利点は、第一ピストンが後退位置に到達したと第一センサユニットが検知する場合、アダプタキットが電気的にオフになるように構成されることができることである。好ましくは、センサは、アダプタキットの電子機器を制御するために使用されることができる信号を発生することができるタイプのものである。センサは、信号を発生する回路が閉じるような磁場下でオンになる、リードスイッチであることができる。これは、アダプタツールが燃料ステーションのディスペンサユニットと係合しており、燃料ディスペンサがビークルのフューエルインレット内に位置決めされている間に、ビークルが発進する場合、燃料ディスペンサの強磁性ユニットがアダプタツールの磁石から係脱され、第一ピストンが後退位置に変位することによって、センサを作動させることで、アダプタツールを電気的にオフにし、スパークがあらゆる漏れたガソリンに点火することを回避することができることを示す。推定されたリスクまたはリスク評価に応じて、アダプタツールの電気手段のスイッチをオフに作動させる(停止させる)ことができる。代替に、アダプタツールは、アダプタツールの気密キャビティ内の圧力が閾値を下回る場合、電気的にオフになるように構成されてもよい。
【0030】
さらに、磁石は、ネオジム磁石などの希土類磁石であることができる。強磁性ユニットまたは強磁性ユニットの一部は、磁石と磁気で係合することができる材料から製造されることができる。一実施形態では、強磁性ユニットはスチールリングである。突然の放電を引き起こす可能性のある帯電を最小にするために、アダプタツールの一部を帯電防止材料から作製することができる。アダプタツールの一部は、アルミニウム製であってもよい。
【0031】
さらに、作動装置は、ステム及びチップを含むことができ、チップは、燃料ディスペンサのレバーを引くまたはそれと係合するように構成される。好ましくは、作動装置のチップは、直線運動などによって、燃料ディスペンサのレバーと係合することができるため、レバーは変位して燃料補給を作動させる。燃料補給中、ステムに対するチップの位置は、第一位置であってよい。有利な実施形態では、力がチップに作用すると、チップは枢動可能であるため、チップは、ステムに対して第一位置から枢動することができ、チップは、ステムに対して第二位置にレバーを引くまたはそれと係合するように構成され、第二位置は、力がチップに加えられた結果としてチップが変位することができる位置であり得る。これは、チップまたはアダプタツールに作用する力が所定の閾値を上回る場合、作動装置のチップが枢動することができることを意味する。
【0032】
従って、さらなる実施形態では、所定の閾値を上回る力がチップに作用すると、チップはステムに対して第一位置からステムに対して第二位置に枢動することができ、チップは、レバーを引かない、またはそれと係合しないように構成される。有利には、アダプタツールのチップは、アダプタツールがレバー作動方向以外の方向に変位する場合、チップが枢動することにより、アダプタツールのチップまたは燃料ディスペンサユニットのレバーの破損などの損傷を回避することができるように構成されることができる。これは、燃料ディスペンサユニットがフューエルインレットにまだ入っている燃料補給中または燃料補給後の急発進状況の場合、チップが枢動することができることを意味する。このような発進状況では、燃料ディスペンサユニットの強磁性ユニットとアダプタツールの磁石との磁気係合が中断される。ただし、それでもチップは燃料ディスペンサのレバーと係合することができる。従って、チップは、一定の閾値を上回り枢動可能であることによって、アダプタツール、またはアダプタツールに連結して設けられたロボットシステムを害することを減少させるように構成されることができる。
【0033】
一実施形態では、作動装置は、空圧、または液圧、または電気で作動することができる。
【0034】
好ましい実施形態では、作動装置は、第二シリンダ内で可動な第二ピストンを含むことができ、第二ピストンは、空圧または液圧で制御されてもよい。代替に、第二ピストンは電気で制御されることができる。ステムは、第二ピストンに連結されることができるため、第二ピストンを動かすことによって、ステム及びチップを動かして、レバーの作動を制御することができる。
【0035】
さらに、作動装置は、ばねを含むことができる。作動装置は、第二ピストンに作用する圧力によって燃料ディスペンサのレバーを作動させるように構成されることができる。アダプタツールと燃料ディスペンサユニットとの間の磁気係合の際、アダプタツールのチップがディスペンサユニットのレバーを作動させることができるように、第二ピストンを動かすことができる。燃料ディスペンサのレバーは第二ばねを含むことができ、この第二ばねは、燃料ディスペンサが燃料補給していない閉位置の方にレバーを付勢するため、レバーに他の力が作用していない場合、燃料ディスペンサは閉じられている、またはそれ自体によって閉じている。燃料補給中、レバーに作用する作動装置からの力は、レバーが中間燃料補給状態になるように、ばね及び第二ばねからの力を釣り合わせることができる。ガソリン用及びディーゼル用などに使用される燃料ディスペンサは、ガソリン/ディーゼルレベルが燃料ディスペンサに達したときに検知するための燃料ディスペンサセンサを含むことができる。ガソリン/ディーゼルレベルが燃料ディスペンサに達したことを燃料ディスペンサセンサが検知する場合、ガソリン/ディーゼルの溢流を回避するために燃料ディスペンサを遮断する。燃料ディスペンサを遮断する場合、第二ばねはレバーに作用しなくなる。これは、一般的に燃料ディスペンサが構成される方法である。
【0036】
第二ピストンは、第二シリンダが加圧されない前進位置と、燃料ディスペンサのレバーを載荷することができるように第二シリンダが加圧される作動位置との間で、第二ピストン、ひいては第二ピストンに連結されたチップが動くことができ、レバーが中間燃料補給状態にあるように構成されてもよい。ビークルの燃料タンク内のガソリン/ディーゼルのレベルが燃料ディスペンサセンサに達したことを燃料ディスペンサセンサが検知する場合、燃料ディスペンサは遮断され、第二ばねはレバーに作用していない。燃料ディスペンサセンサは、オーバーフローセンサであってもよい。これは、燃料レベルが燃料ノズルのオリフィスに対してあるレベルを上回り上昇する場合、燃料ディスペンサが燃料の供給を制限しながら遮断されることができることを意味する。代替に、燃料ディスペンサセンサは、燃料ディスペンサを所定の燃料供給レベルで遮断することができるように構成されることができる。ビークルの燃料タンク内の燃料レベルが燃料ディスペンサセンサに達したことを燃料ディスペンサセンサが検知した場合、レバーに作用する力は、作動装置からの力及びばねからの力のみであり、第二ピストンに作用する力よりも小さい。次いで第二ピストンは、前進位置から離れた完全作動位置に動かされることができる。
【0037】
一実施形態では、ばねは、燃料補給中、圧力が第二ピストンに作用しているときに、作動装置が完全作動位置に達することを防止するように構成されることができる。完全作動位置は、例えば、第二シリンダのピストンが作動位置よりもさらに後退する配置であってもよい。ばねの利点は、燃料補給中にばねが載荷されることにより、それに応じて第二シリンダ内の圧力を調整することができることである。この特徴の利点は、作動装置を制御するための第二ピストンの負荷容量をばね係合によって高めることができることにある。好ましくは、アダプタツールは、燃料ディスペンサの遮断機構が作動する場合、燃料ディスペンサのばねがレバーに作用することを停止するため、第二シリンダのピストンがさらに後退位置に動くことができるように構成されることができる。一実施形態では、第二センサユニットは、作動した遮断機構に基づいて、アダプタツールの配置を検知することができる。従って、第二センサユニットの利点は、燃料補給プロセスが完了するときにセンサが感知することができることである。その結果、本開示のアプローチを含むシステムでは、このシステムは、センサデータに基づいて、燃料補給プロセスの完了を検知し、燃料ディスペンサをガソリンスタンドのフューエルアイランドに配置することができる。
【0038】
従って、一実施形態では、アダプタツールは、作動装置が完全作動位置に達した場合に作動装置を停止させるように構成される、第二センサユニットをさらに含むことができる。作動装置の完全作動位置は、ピストンがレバーからさらに離れるように後退する位置であること、または燃料補給中の荷重に比べてばねがさらに載荷されるときの位置であることができる。これにより、遮断機構が作動する場合、ばねがさらに載荷され、ピストンがさらに後退することで、第二センサが作動することができるようにレバーの反力が構成されることができることが予想される。第二センサは、リードセンサ、圧力センサ、光センサ、位置センサ、レーザセンサ、または燃料補給プロセスの完了を検知するように構成された任意のセンサであってよい。
【0039】
さらに一実施形態では、アダプタツールは、燃料ディスペンサを受け入れるための受け入れ面を有することができ、受け入れ面は、燃料ディスペンサを指向するために凹状である。
【0040】
一実施形態では、アダプタツールは密閉ユニットをさらに含み、この密閉ユニットは、磁石が強磁性ユニットと係合する場合、磁石及び強磁性ユニットを分離するように構成される。密閉ユニットは、アダプタツールの受け入れ面の一部として、またはその延長部分として設けられることができる。さらなる実施形態では、密閉ユニットは非磁性膜を含むことができる。非磁性膜は、受け入れ面が燃料ディスペンサの強磁性ユニットを受け入れる場合、非磁性膜が強磁性ユニットの上面と磁石の下面との間に位置することができるように構成されることができる。さらに、非磁性膜は、外部環境からアダプタツールの内部を密閉することができる。
【0041】
この膜は、非磁性材料から作製されることができる。磁石と強磁性ユニットとの間に密閉膜を設けることの利点は、磁気結合の効率を高めることであることができる。磁気係合中、磁力が高いため、凝着摩耗のような摩耗モードを作動させる可能性がある。その結果、強磁性ユニットを保持する際の効率だけでなく、磁性部品の寿命に悪影響を与える可能性がある。これにより、耐久性及び強度が高い非磁性薄膜は、外部環境からアダプタツールを密閉しながら、磁気係合の効率を高めることができる。
【0042】
さらなる実施形態では、密閉ユニットは、ばねを含むことができる。磁石が強磁性ユニットと係合する場合、ばねは圧縮されることができる。磁石と強磁性ユニットとの係脱中、ばねは除荷されることができる。この配置により、柔軟な係合を提供することができる。従って、ばねは、例えば膜の弾性が低い場合、膜のミスアライメントに対処するための柔軟な設計を提供することができる。
【0043】
一実施形態では、アダプタキットは、ビークルのフューエルドアと係合するように構成されたサクションカップを含むことができる。サクションカップは、ビークルのフューエルドアなどの表面に密着するために空気圧を使用することができる。好ましくは、サクションカップとフューエルドア面との間の圧力は、部分真空を設けることができるように負圧であることができる。例えば、真空エゼクタを使用して、インゼクタを通して加圧空気を吐出することによって、真空を作り出すことができる。有利には、サクションカップとフューエルドアとの間の結合領域中の圧力を調整することができる。
【0044】
好ましい実施形態では、サクションカップは、サクションカップとフューエルドアとの間に真空を与えるように構成された開口部を含み得る。加圧気流が終了する場合、インゼクタの排気によって空気を吸い戻すことで、サクションカップ回路内の真空を解除することができる。
【0045】
一実施形態では、アダプタキットは、サクションカップを後退位置に向けて付勢するためのばねを含むことができる。ばねは、凹状リングに連結して設けられることができ、この凹状リングは、アダプタツールの後退位置では、サクションカップが凹状リングに嵌め込まれること、及び/またはばねが係合した凹状リングまたはばねが係合したハウジングによって保持されることができるように構成されることができる。従って、一般にサクションカップがフューエルドアと係合しない限り、サクションカップは、ばねが係合したハウジングによって画定された位置に維持されることができる。サクションカップがフューエルドアと係合する場合、ばねが係合したハウジングは、アダプタツールの運動に従って動くことができる。従って、サクションカップがフューエルドアと係合する場合、ばねが係合したハウジングの運動に従って、ばねが圧縮されることができる。ばね係合の利点は、サクションカップがフューエルドアに係合していない限り、サクションカップがハウジング内で安定して維持されることができることを確保しながら、サクションカップの柔軟な運動を提供することであり得る。
【0046】
一実施形態では、アダプタツールは、ビークルのフューエルドアの画像をキャプチャするように構成された光センサを含むことができる。さらに、カメラなどの光センサは、ビークルのフューエルインレットの画像をキャプチャすることができる。さらなる実施形態では、アダプタツールは、燃料ディスペンサがフューエルインレットまでガイドされることができるように、ビークルのフューエルインレットの画像をキャプチャするように構成された光センサを含む。本開示のアダプタツールの利点は、フューエルドアへのサクションカップのガイド及び/またはフューエルインレットへの燃料ノズルのガイドを強化することができることである。なぜなら光センサは、フューエルドアを開いた後、燃料ノズル(燃料ディスペンサ)を挿入することができるように、フューエルインレットを検知して正確な位置を決定することができるからである。フューエルドアの開閉及び/または燃料ノズルとフューエルインレットとの係合の間、視覚ガイドが正確な燃料補給操作をサポートすることができる。従って、ばねが係合したハウジングがサクションカップを保持することができるため、光センサは、サクションカップまたはアダプタツールのいかなる他の構成要素の障害もなく、フューエルドアのより明瞭な画像を有することができる。
【0047】
本開示のアダプタキットの意図した使用は、安全対策を必要とする潜在的に爆発性雰囲気中の使用であってもよい。爆発性雰囲気中で、空気と十分に混合された可燃性物質が存在する場合、発火源が爆発を引き起こす場合がある。従って、本開示のアダプタキットは、危険である可能性がある作業者、顧客または物品を保護するための保護手段を含んでもよい。
【0048】
一実施形態では、光センサ、第一センサ、第二センサ、作動装置、光源、誘導形センサの群のうちのいずれか、または任意の組み合わせ、または全ては、キャビティを加圧するためにガスを受容するように構成されたガスインレットと気密キャビティ内に位置決めされることができる。光センサ、第一センサ、及び第二センサは、それぞれ、上述された光センサ、第一センサ、及び第二センサであることができ、上述されたような、それぞれに光センサ、第一センサ、及び第二センサの特徴及び利点のうちのいずれか、任意の組み合わせ、または全てを有することができる。好ましくは、アダプタツールの電子素子は、電子素子を収容するキャビティを加圧することができるようにアダプタツール内のキャビティ内に位置していることができる。電子素子は、本開示のアダプタツールを改善するために使用される様々なセンサであってもよい。センサは、ピストンの運動を感知するリードセンサ、誘導形センサまたは光源であってよい。光源は、好ましくは光センサに対する照明のために設けられたあらゆる光源であってもよい。誘導形センサは、アダプタキットが手動で操作されることができるように構成される。有利には、アダプタツールは、所定の圧力レベルを維持することができるように加圧されるため、任意の爆発性ガスがアダプタツールの内部の電子機器に到達するのを防止する。
【0049】
さらに、本開示のアダプタキットの利点は、アダプタキットを既存の燃料ステーションに追加することができることである。従って、燃料ディスペンサは、ガソリンもしくはディーゼルなどの従来型燃料、または水素もしくは電気などの非従来型燃料を分配するための燃料ディスペンサであってもよい。
【0050】
本開示は、さらに、ビークルに燃料を補給するように燃料ステーションを自動的に操作するためのロボット燃料補給システムに関する。ロボット燃料補給システムは、ビークルを識別するための検知ユニット、ロボットアーム、及びアダプタキットを含むことができる。このシステムは、ビークルを検知して識別し、ロボットアームを制御するように構成されることができる。好ましくは、アダプタツールは、ロボットアームと係合することができる。従って、システムは、アダプタツールを制御して、燃料ステーションの燃料ディスペンサに係合することによって、ビークルに燃料を補給するように構成されることができる。
【0051】
好ましい実施形態では、ロボットアームは、協働ロボットアームであることができる。本開示のロボット燃料補給システムの利点は、人間の間で作業するように設計され、専用作業セルの外側に安全な作業環境を提供する協働ロボットアームによってアダプタキットがガイドされるように構成されることである。
【0052】
一実施形態では、ロボット燃料補給システムは、サクションカップが所定の座標に追従することができるように構成されることができる。所定の座標は、システムに提供された2つの座標に関するデータに従って規定されることができる。2つの座標は、フューエルドアが燃料吸入のために作動中である(開いている)場合の座標と、フューエルドアが作動中でない(閉じている)場合の座標とに関連していてもよい。従って、さらなる実施形態では、2点ティーチインによって、所定の座標を規定することができる。この2点ティーチインは、フューエルドアの開閉に適用することができる。
【0053】
一実施形態では、サクションカップは、所定の経路に追従するように構成されることができ、所定の経路は、2点の間の直線によって規定される。2点は、フューエルドアが閉じるときと開くときのサクションカップの座標を表す2つの座標である。ビークルモデルごとに、ロボット燃料補給システムは、これら2つの座標を教示することができる。
【0054】
好ましくは、サクションカップは、作動装置から、例えば作動装置のステムから延出するハウジングによって保持されることができる。ハウジングは、ばねが係合したハウジングであることができる。従って、サクションカップは、作動装置が延出位置にある場合、適所に保持されることができる。サクションカップがフューエルドアに連結される場合、作動装置は、サクションカップから離れて後退位置に戻ることができることにより、サクションカップが自由に動き得る。好ましくは、固定配置と自由配置との間のサクションカップの運動は、2点ティーチインを適用することができるように、アダプタツールの作動装置によって制御される。従って、一実施形態では、アダプタツールは、サクションカップがビークルのフューエルドアと係合している間にアダプタツールが変位することができるように構成されることができる。
【0055】
2点教示の大きい利点は、効率的で高速な教示方法を提供することである。システムは、サクションカップの2つの位置に関するデータを受信するように構成されることができる。第一位置は、サクションカップがフューエルドアと最初に結合するときのものであってもよく、サクションカップの第二位置は、例えば、フューエルドアが燃料吸入に利用可能であるときのものであってもよい。2点ティーチインの大きい利点は、費用効果の高い自動解決策につながる効率的で高速な教示方法を提供することである。一つひとつのタイプのビークルのフューエルドアのサイズ及び/または回転軸にロボット燃料補給システムが適合する必要はない。
【0056】
さらに一実施形態では、アダプタは、アダプタツールが手動で制御されることができるようにフリードライブ機能を作動させるように構成された誘導形センサを含むことができる。特にビークルティーチインプロセス中、アダプタツールの手動制御(フリードライブ機能)が望ましい場合がある。従って一実施形態では、アダプタツール及び/またはロボット燃料補給システムはボタンユニットを含むことができ、ボタンユニットは作動状態中にフリードライブ機能を作動させるように構成される。有利な実施形態では、ボタンユニットは、ボタンユニットが気密ボタンユニットであることができるように構成されることができるため、ボタンユニットはアダプタツールに対して密閉されることができる。ボタンユニットが気密であるため、あらゆる爆発性ガスが電子機器に到達することを防止することができる。これにより、ボタンユニットは、防爆型ボタンユニットであることができ、爆発性環境中でいかなる事故も起こすことなく安全に作業するために機器が必要とする要件を満たすことができる。ボタンユニットは、ロボット燃料補給システムが過剰に加圧されている状態下では、切り離されることができる。有利には、防爆型アダプタツール及び/またはロボット燃料補給システムを設けることができる。
【0057】
ボタンユニットは、ユーザが作動させることができるボタンを含むことができる。ボタンユニットの作動は、制御システムなどによって、自動的に提供されてもよい。ボタンユニットは、アダプタツールへの密閉連結を提供する密閉部材をさらに含むことができる。さらなる実施形態では、ボタンユニットは、ボタンユニットが作動位置にあるときに感知するために、誘導形センサなどのセンサを備えることができる。ボタンユニットの作動位置は、燃料補給操作のリセット、手動燃料補給プロセスの作動、ロボットアームの後退、及び/またはティーチインプロセスに望ましいことができる。作動位置は、さらに、ロボット燃料補給システムをリセットすることが望ましい場合がある。例えば、運転者が誤って、ロボット燃料補給システムが停止する場合、運転者は、現場で技術者を必要とすることなく、燃料補給システムをリセットすることができる。
【0058】
この結果、本開示のシステムの利点は、アダプタツールが燃料ステーションの燃料ディスペンサユニットと係合し、ビークルのフューエルドアに燃料吸入の準備をし、燃料ディスペンサをビークルの燃料受け入れ部に提供し、燃料を供給することができることである。
【0059】
図面の詳細な説明
以降本明細書では、本開示は、該当する場合、図面に示される添付の例示的な実施形態を参照してより完全に説明される。しかしながら、本開示のシステム及び方法が様々な形態で実施され得ることに留意されたい。本明細書によって提供された実施形態は、徹底的かつ完全な開示を導くためのものである。従って、本明細書に記載の実施形態は、限定的なものとして解釈されるべきではないが、当業者に本開示の範囲を伝えるためのツールとして解釈されよう。同じ参照番号は、本文書全体を通して同じ要素を指す。
【0060】
図1は、燃料ディスペンサ3と係合する燃料ディスペンサアダプタキットの一実施形態を示す。アダプタキットは、アダプタツール1及び強磁性ユニット2を備える。強磁性ユニット2は、環状カラー21を備え、この環状カラーは、燃料ディスペンサ3の管状保持フレーム32の周囲に組み立てられる。
【0061】
図2には、燃料ディスペンサ3に取り付けられた強磁性ユニット2の詳細図の一実施形態が示される。強磁性ユニット2は、ステンレス鋼またはニッケルめっき鋼などのめっき鋼で作製されたシリンダなどの強磁性要素であることができる。強磁性ユニット2は、強磁性ユニット2の上面がアダプタツール1内に配置された円筒磁石と係合するようにカラー21に固定される。アダプタツール1の底面14は円形穴部を有し、この円形穴部に通して強磁性ユニット2が受け入れられ、
図3に示されるように磁石11と係合する。代替に、強磁性ユニット2は、燃料ディスペンサに統合されることができ、この場合、環状カラー21は不要である。
【0062】
図4Aは、アダプタツールの側断面図の一実施形態の断面線の位置を示す。側断面図の詳細は
図4Bに示される。アダプタツール1は、空圧シリンダなどの第一シリンダ12と、第一シリンダ12内で磁気吸引力の方向に可動なピストン7とを含む。ピストン7はロッド13を含み、ロッド13が他方の端部で磁石11に連結されるように、このロッドがピストン7の中心から延出する。磁石11の中心から延出してロッド13内のねじ穴に連結される、ねじ付き円形延出部によって、磁石11はロッド13に連結されることができる。磁石11は、キャビティ8内で前進位置と後退位置との間で可動である。
図3及び
図4Bには、前進位置の実施形態が示される。前進位置では、磁石11は強磁性ユニット2と磁気で係合する。強磁性ユニット2が燃料ディスペンサ3に固定されるため、アダプタツール1が燃料ディスペンサ3に接近すると、ピストンは第一シリンダ11内の底壁部27に向けて移動し、磁石11はアダプタツール1の底面14に向けてキャビティ8内で移動し、強磁性ユニット2を吸引する。
【0063】
さらに、アダプタツール1は、第一ピストン7が後退位置に到達したことを検知するために少なくとも第一センサを含む。後退位置は、アダプタツールが燃料ディスペンサと係合する前進位置と比較して、強磁性ユニット2からさらに離れている。後退位置は、例えば、燃料ディスペンサが誤って取り外された場合に達成され得る。このような場合、磁力が中断されると、ピストン7は第一シリンダ12の上壁部37に向かい押され、上壁部37は、ピストン7が磁場の下で吸引される、底壁部27に対して反対の壁部である。ピストン7に埋め込まれた磁石により導入される磁場をセンサが感知することができるように、リードセンサなどのセンサは、上壁部37に近い第一シリンダ12の上側に位置している。従って、センサがピストン7の後退位置を検知すると、それに応じてアダプタツール1を、電気的にオフにすることなどによって制御することができる。
【0064】
図5Aは、アダプタツールの一実施形態、及び切断面セクションを示す。アダプタツールの詳細な上断面図の対応する実施形態が
図5Bに示される。さらにアダプタツール1は、燃料ディスペンサ3のレバー31(
図1を参照)と係合するように構成された作動装置10を備える。作動装置10は、第二シリンダ42内で可動な第二ピストンを含み、第二ピストンは、空圧または液圧または電気で制御される。第二シリンダ42のピストンは、後退と前進との間で作業モードを有する。後退位置では、第二シリンダのピストンは、作動装置が燃料ディスペンサのレバーと係合するように構成される。
【0065】
作動装置10は、
図4A及び
図6に示されるようにアダプタツール1の底面14から長手方向に延出するステム16をさらに含む。管状チップ17は、チップ17がステム16の側面から延出するようにステム16に取り付けられる。従って、チップ17は、
図1に示されるように、燃料ディスペンサ3のレバー31を引くこと、またはそれと係合することができる。
【0066】
図7は、作動装置10の断面図の一実施形態を示す。作動装置10は、燃料補給中に載荷されるように構成されたばね18を含む。加えて、チップ17は、ステム16に対して第一位置から枢動可能である。燃料補給中、チップ17はステム16に垂直であるため、チップは第二シリンダ42のピストンの運動に応じて作動して直線運動し、燃料ディスペンサ3のレバーと係合することができる。所定の閾値を上回る力がチップ17に作用すると、チップ17は、ステム16に対して、チップがステムとほぼ同一線上にある第二位置に枢動することができ、その結果、レバー不具合位置になる。レバー不具合位置での作動装置10の一実施形態が
図8に示される。このレバー不具合位置では、燃料ディスペンサ3は、アダプタツール1の把持から容易に抜け出すことができるため、燃料ディスペンサがビークルにまだ取り付けられている状態で運転者が誤って運転して離れても、アダプタツール1及び/またはアダプタツールを保持するロボットアームが破壊されない。アダプタツールは、円錐面19によって、チップ17が作動装置10のステム16と係合するように構成される。円錐面19の配置及び枢動可能なチップ17の設計の利点は、力を受けてチップ17が枢動した結果、レバー不具合位置になることに、ツール部品の損傷を減少させながら対応することができることである。
【0067】
図6によれば、アダプタツール1はさらに、燃料ディスペンサ3を受け入れるための受け入れ面15を含んでもよい。受け入れ面15は、燃料ディスペンサ3を指向させるために凹状である。さらに、アダプタツール1はカメラ5を含み、このカメラは、サクションカップ6をフューエルドアまでガイドすることができ、燃料ディスペンサをビークルのフューエルインレットまでガイドすることができるように画像をキャプチャするように構成される。従ってカメラ5は、アダプタツール1のキャビティ内に位置しており、キャビティは、カメラ5が底面14から画像をキャプチャすることができるように、アダプタツール1の底面14に開口部を含む。
【0068】
サクションカップ6がビークルのフューエルドアと係合する場合、サクションカップ6とフューエルドアとの間に真空が作り出される。サクションカップ6は、真空管26に連結される(
図5A及び
図9Aを参照)。真空管26は、サクションカップとフューエルドアとの間の真空が真空エゼクタによってもたらされることができるように配置されることができ、単純で費用効果の高い解決策が提供されることができる。加圧空気が停止する場合、真空は中断される。加圧気流が終了する場合、真空管26の排気によって空気を吸い戻すことで、サクションカップ6の回路内の真空を解除する。代替に、あるタイプの真空ポンプは、サクションカップとフューエルドアとの間に真空をもたらすように構成されることができる。
【0069】
ステム16に取り付けられた凹状リング36は、ステム16が延出位置にある場合、サクションカップ6を適所に保持することができる。延出位置では、作動装置10は、作動装置10の後退位置と比較して、アダプタツールの底面14から長手方向に延出し、第二シリンダ42のピストンは、作動装置10のステム16及び/またはチップ17を後退させることができる。
【0070】
図9Bに示された延出位置の実施形態では、サクションカップ6は固定される。サクションカップ6がフューエルドアに連結される場合、ステム16、ひいては凹状リング36は、
図9Aに示されるように後退位置に戻るため、サクションカップ6は自由に移動する。従って、アダプタツールは、例えば90度回転する、フューエルドアを開けている間、ビークルに対して同じ向きに留まることができる。
【0071】
代替に、サクションカップ6がフューエルドアに連結されていないが、ステム16がレバーを作動させるために操作される場合、サクションカップ6を凹状リング36内に保持することができるように、凹状リング36及びサクションカップ6に取り付けられた強磁性リング内に1つまたは複数の磁石が存在してもよい。サクションカップ6を凹状リング36内に保持することは、真空管26にかかる応力を低下させ得る。さらに、燃料ディスペンサのレバーの操作時及び/または燃料補給操作の可能な干渉中、サクションカップ6は凹状リング36によって保持されることができる。
【0072】
さらに、サクションカップ6の運動の自由度により、フューエルドアの開閉に2点ティーチインを適用することができる。
【0073】
図10は、作動装置10と、ばねが係合したハウジングを含むサクションカップアセンブリとを備える作動装置組立体の一実施形態を示す。ばねが係合したハウジングは、ばね37、ストッパ38及び凹状リング36を含む。ばね37は、真空管(図示せず)の周囲に設けられ、真空をサクションカップ6にもたらす。ばね37は、ストッパ38に固定され、ストッパ38と凹状リング36との間に設けられる。ばね37は、凹状リング36をサクションカップ6に押し付けることで、サクションカップ6が作動しない場合、例えばフューエルドアと係合しない場合、ばね37は、サクションカップ6が凹状リング36のハウジング内に留まるように構成されることができる。ばね係合は、サクションカップの強磁性磁気リングの取り付けに代わる解決策であることができる。
【0074】
図11は、アダプタツール1の側断面図の一実施形態を示す。この実施形態の断面線は、
図4Aに示されたアダプタツールの側断面図の位置に類似している。
図11の図面では、提示を容易にするために、シリンダ、ピストン、磁石など、アダプタツール1が収容する部品の一部が隠されている。アダプタツール1は、アダプタツール1の底面14に向けて分離膜34を有する密閉ユニット30を含み、これは、アダプタツール1の内側キャビティ8を外側から分離して密閉する。
【0075】
アダプタツールの底面14は、燃料ディスペンサ(図示せず)上に位置決めされた強磁性ユニット(図示せず)を受け入れるための円錐形凹部35を含む。膜34は、凹部35の頂部に位置しているため、膜は、磁石の底面及び強磁性ユニットの頂面と係合することによって、磁石と強磁性ユニットとの磁気係合中に、強磁性ユニット及び磁石を分離させることができる。膜34は、非磁性材料で作製される。膜34は、ばね33がアダプタツール1のキャビティ8内に設けられている状態で配置される。ばね33は、強磁性ユニットが燃料ディスペンサ上に、従って膜34より下に位置決めされている状態で、膜34より上で磁石の滑らかな係合及び係脱を改善するように配置される。
【0076】
図12は、ツールフリードライブボタン組立体40など、ボタンユニットの一実施形態を示す。この実施形態ではボタンを押すことによって、ボタン43を作動させることは、例えば、アダプタツールの教示、リセット、フリードライブ、後退の目的に有利であることができる。この作動ボタンは、手動及び/または自動で作動することもできる。フリードライブボタン組立体40は、アダプタツールに密閉方式で組み立てられたハウジング44を含む。ハウジング44は、下端部にユーザがアクセスできるボタン43を部分的に収容する。ボタン43は、スリーブベアリング48と係合することにより、ボタンをハウジング44のキャビティに向けて押すことができる。ハウジング44内では、ばね46はボタン43の上部と係合する。ボタンシール45は、ばね43より上のハウジング内に設けられる。ボタンシール45より上には、誘導形センサ47が配置される。ボタン43が押されると、センサ47は押す動作を感知する。
【国際調査報告】