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特表2024-515485ポリイソブチレン-ポリオレフィンフィルムでコーティングされた物品
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ポリイソブチレン-ポリオレフィンフィルムでコーティングされた物品
(51)【国際特許分類】
   B32B 29/00 20060101AFI20240403BHJP
   B32B 27/10 20060101ALI20240403BHJP
   D21H 27/30 20060101ALI20240403BHJP
   B65D 65/40 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B32B29/00
B32B27/10
D21H27/30 C
B65D65/40 D
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023559844
(86)(22)【出願日】2021-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 CN2021087527
(87)【国際公開番号】W WO2022217546
(87)【国際公開日】2022-10-20
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100128484
【弁理士】
【氏名又は名称】井口 司
(72)【発明者】
【氏名】チェン、ホンユ
(72)【発明者】
【氏名】グオ、ユンロン
(72)【発明者】
【氏名】マロツキー、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ピウォワル、アラン エム.
(72)【発明者】
【氏名】ソン、シャオメイ
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、チャンチャン
【テーマコード(参考)】
3E086
4F100
4L055
【Fターム(参考)】
3E086AB01
3E086BA04
3E086BA14
3E086BA15
3E086BA24
3E086BB02
3E086DA08
4F100AK03B
4F100AK04B
4F100AK09B
4F100AK62B
4F100AK70B
4F100BA02
4F100DG10A
4F100EH46B
4F100JD04
4F100JL13
4F100YY00B
4L055AG58
4L055AG59
4L055AG71
4L055AG89
4L055AH33
4L055AJ02
4L055BE08
4L055EA14
4L055EA32
(57)【要約】
紙又は板紙基材に貼り付けられたフィルムを含む物品であって、フィルムが、ポリイソブチレンと、ポリオレフィンと、を含み、フィルムが、約3μm~20μmの範囲の厚さを有する、物品。この物品は、望ましい防湿性及び粘着性を提供するのに有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙又は板紙基材に貼り付けられたフィルムを含む物品であって、前記フィルムが、20~80重量パーセントのポリイソブチレンと、20~80重量パーセントのポリオレフィンと、を含み、前記フィルムが、約3μm~20μmの範囲の厚さを有する、物品。
【請求項2】
前記ポリオレフィンがポリエチレンであり、前記ポリイソブチレンがポリイソブチレンホモポリマーである、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記ポリイソブチレンホモポリマーの、前記ポリエチレンに対する重量対重量比が、25:75~70:30の範囲である、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記ポリイソブチレンホモポリマーの、前記ポリエチレンに対する重量対重量比が、25:75~65:35の範囲である、請求項2に記載の物品。
【請求項5】
前記ポリエチレンが、エチレン-コ-オクテンコポリマー若しくはエチレン-アクリル酸エチルコポリマー又はそれらの組み合わせを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
前記ポリエチレンが、高密度ポリエチレンを含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
分散剤及びカップリング剤を更に含む、請求項1に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリイソブチレンとポリオレフィンとの組み合わせでコーティングされた紙又は板紙に関する。コーティングは、これらの基材に防水蒸気特性を提供する。
【背景技術】
【0002】
防湿特性は、従来から、コーティング、通常は溶融ポリエチレンを紙基材上に適用し、その後に冷却し、カレンダー加工することによって、紙又は板紙に付与されている。ポリエチレンは、ヒートシール可能であり、可撓性であり、オムニフォビック(omniphobic)であるという利点を有する。それにもかかわらず、業界では標準的であるが、ポリエチレンコーティングされた紙及び板紙には、いくつかの欠点がある。第1に、所望の防湿特性を達成し、基材への接着を提供し、ピンホール漏れなどのフィルム欠陥を回避するために、典型的には約1mil(25ミクロン)の厚いコーティングを基材に適用する必要がある。アクリルなどのポリエチレンの代替物は、許容可能な防湿特性を提供しない。更に、アクリルは、ポリエチレンとは異なり、容易にヒートシール可能ではない。ポリ塩化ビニリデン(polyvinylidene chloride、PVDC)は、別の代替物であり、これは、低いコート重量で優れた防湿性を提供するが、低温で分解して再利用物の汚染を引き起こし、材料リサイクル装置に腐食及び損傷を引き起こす。
【0003】
したがって、紙及び板紙コーティングの技術分野において、原材料コストを節約するだけでなく、コーティングされた製品をリサイクルに適したものにするために、今日必要とされる標準的なフィルム厚さの何分の1かで許容可能な防湿特性を達成することは有利であろう。更に、最終物品(例えば紙コップ)の重量の減少は、わずか2重量%であっても、輸送コストに顕著な影響を及ぼす。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、一態様では、紙又は板紙基材に貼り付けられたフィルムを含む物品であって、フィルムが、20~80重量パーセントのポリイソブチレンと、20~80重量パーセントのポリオレフィンと、を含み、フィルムが、約3μm~20μmの範囲の厚さを有する、物品を提供することによって、当該技術分野の必要性に対処する。
【0005】
第2の態様では、本発明は、組成物であって、a)ポリイソブチレン粒子と、b)ポリエチレン粒子又はポリプロピレン粒子であるポリオレフィン粒子の水性分散液を含み、ポリイソブチレン粒子の、ポリオレフィン粒子に対する重量対重量比が、20:80~80:20の範囲であり、組成物が、20~60重量%の範囲のポリイソブチレン粒子及びポリオレフィン粒子から生じる固形物含有量を有し、ポリイソブチレン粒子及びポリオレフィン粒子が、0.1μm~12μmの範囲のD90粒径を有する、組成物である。
【発明を実施するための形態】
【0006】
第1の態様では、本発明は、紙又は板紙基材に貼り付けられたフィルムを含む物品であって、フィルムが、20~80重量パーセントのポリイソブチレンと、20~80重量パーセントのポリオレフィンと、を含み、フィルムが、約3μm~20μmの範囲の厚さを有する、物品である。
【0007】
本発明の物品は、紙又は板紙基材を、ポリイソブチレン及びポリオレフィンポリマー粒子の水性分散液でコーティングし、次いで本明細書に記載されるように水を除去することによって調製することができる。ポリイソブチレン及びポリオレフィンポリマー粒子の水性分散液は、有利には、ポリイソブチレンポリマー粒子の水性分散液とポリオレフィンポリマー粒子の水性分散液とをブレンドすることによって調製される。ポリイソブチレンポリマー粒子の水性分散液は、高せん断条件下で、適切な界面活性剤の存在下で、樹脂状流動性ポリイソブチレンを水中に分散させることによって調製されてもよい。本明細書で使用される場合、「ポリイソブチレン」は、イソブチレンホモポリマー、並びにイソブチレン及びコモノマーの繰り返し単位を含み、イソブチレン繰り返し単位がコポリマーの大部分を形成するコポリマーを指す。コポリマーの例としては、ポリ(イソブチレン-イソプレン)及びポリ(イソブチレン-無水コハク酸)が挙げられ、市販のポリイソブチレン(ポリイソブテンとも呼ばれる)ホモポリマー及びコポリマーの例としては、Oppanol B10、Oppanol B12、Oppanol B15、Oppanol B100、及びOppanol B200ポリイソブチレン、Glissopal V190、Glissopal V500、Glissopal V640、及びGlissopal V1500ポリイソブテン、Vistanex LM-MH、Vistanex LM-MS、LM-Hポリイソブテン、Laxess XブチルRB 100、Laxess XブチルRB 101-3、及びLaxess XブチルRB 402イソブチレン-イソプレンコポリマー、並びにHRD-350、HRD-400、HRD-450、HRD-500、HRD-600、HRD-650、及びHRD 950ポリイソブチレンが挙げられる。
【0008】
好適な界面活性剤の例としては、アルカリ金属C~C20-アルキルベンゼンスルホネート及びスルフェートなどのアニオン性界面活性剤、並びに二級アルコールエトキシレート及びC~C20-アルキルグルコシドなどの非イオン性界面活性剤が挙げられる。好適なアニオン性界面活性剤の具体例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム及びドデシルベンゼン硫酸ナトリウムが挙げられる。二級アルコールエトキシレートは、以下の式
【化1】

によって特徴付けることができ、式中、xは8~50であり、O(CHCHO)H基は、C10~1522~32鎖上のCH基に結合している。好ましくは、二級アルコールエトキシレートは、以下の式
【化2】

によって特徴付けることができ、式中、xは好ましくは10~50、好ましくは10~40である。好適な界面活性剤の市販の例としては、TERGITOL(商標)15-S-40、TERGITOL 15-S-20、及びTERGITOL TMN-10二級アルコールエトキシレート界面活性剤(The Dow Chemical Company又はその関連会社の商標)が挙げられる。好適なアルキルグルコシドとしては、デシルグルコシド、ドデシルグルコシド、及びラウリルグルコシドが挙げられる。
【0009】
分散ポリイソブチレンポリマー粒子のD90粒径は、動的光散乱粒径分析器(例えば、Beckman LS230 Particle Size Analyzer)を使用して決定される場合、0.1μmから、好ましくは0.2μmから、より好ましくは0.5μmから、12μmまで、好ましくは8μmまで、より好ましくは4μmまで、最も好ましくは2μmまでの範囲である。
【0010】
ポリオレフィン粒子の水性分散液は、米国特許第8318257号及び米国特許第7803865号に記載されているような連続二軸スクリュー押出プロセスによって調製されてもよい。ポリオレフィンポリマー粒子の分散液は、例えば、米国特許第10612913号に記載されているように、分散剤、中和剤、及びカップリング剤の存在下でポリマー粒子を分散させることによって調製されてもよい。分散剤は、好ましくは、エチレンの構造単位及びカルボン酸モノマーの構造単位を含むコポリマー(すなわち、エチレン-カルボン酸コポリマー)であり、コポリマーは、50g/10分~2000g/10分の範囲のメルトフローインデックスを有し、エチレンの構造単位の、カルボン酸モノマーの構造単位に対する重量対重量比は、95:5~70:30の範囲にある。メルトフローインデックス範囲は、190℃の温度及び2.16Kgの荷重荷重で、ASTM1238によって決定される範囲である。
【0011】
本明細書中で使用される場合、適切なポリオレフィン粒子は、広い分子量範囲を有するが、ポリオレフィンワックスを含まず、これは、以下の式
【化3】

によって記載されてもよく、式中、Rは、H又はCHであり、xは、72~360の範囲にある。
【0012】
中和剤は、無機塩基又は有機塩基であってもよい。好適な無機塩基の例としては、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、及び水酸化カルシウムが挙げられ、適切な有機塩基の例としては、N,N-ジメチルエタノールアミン、ジエチルアミン、及びモルホリンが挙げられる。中和剤の濃度は、好ましくは、分散剤中のカルボン酸基の少なくとも半分を中和するのに十分に高い。例えば、分散剤が0.05モルのカルボン酸基を含む場合、少なくとも0.025モルのN,N-ジメチルエタノールアミンなどの中和剤が必要とされるであろう。したがって、中和剤中の塩基官能基、好ましくはアミン基又はアンモニアの、分散剤中のカルボン酸基に対する比は、好ましくは、少なくとも0.5:1である。分散剤及び中和剤を用いて調製された組成物は、中和剤、又はその塩、又はそれらの組み合わせを含む。
【0013】
分散剤とポリオレフィンとの間の相溶性を改善するために、カップリング剤が含まれてもよい。適切なカップリング剤の一例としては、エチレン-コ-無水マレイン酸が挙げられ、これが使用される場合、ポリオレフィン、分散剤、及びカップリング剤の重量を基準として、5重量パーセント~20重量パーセント、より好ましくは10重量パーセントまでの範囲の濃度で存在する。
【0014】
分散ポリオレフィン粒子のD90粒径は、これも動的光散乱粒径分析器を用いて決定される場合、0.1μmから、好ましくは0.2μmから、より好ましくは0.5μmから、12μmまで、好ましくは8μmまで、より好ましくは4μmまで、最も好ましくは2μmまでの範囲である。
【0015】
ポリオレフィン分散液は、ポリプロピレン分散液又はポリエチレン分散液である。本明細書で使用される場合、「ポリエチレン」は、直鎖低密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン-コ-オクテンコポリマー、エチレン-コ-ヘキセンコポリマー、又はエチレン-プロピレンコポリマーなどのエチレン-アルケンコポリマー、エチレン-アクリル酸メチルコポリマー、又はエチレン-アクリル酸エチルコポリマーなどのエチレン-カルボン酸エステルコポリマー、及びエチレン-メタクリル酸などのエチレン-カルボン酸コポリマー、並びにそれらの組み合わせを指す。(ポリエチレン-カルボン酸コポリマーは、90mg KOH/g未満の酸価を有する場合、ポリエチレンであるとみなされる。)
【0016】
水性ポリエチレン分散液の市販例としては、CANVERA(商標)1110ポリオレフィン分散液、HYPOD(商標)2000ポリオレフィン分散液、及びRHOBARR(商標)320ポリオレフィンエラストマー分散液(CANVERA、HYPOD、及びRHOBARRは、The Dow Chemical Company又はその関連会社の商標である)が挙げられる。
【0017】
本明細書で使用される場合、ポリプロピレンは、ポリプロピレンホモポリマー、並びにポリプロピレン及びコモノマーの繰り返し単位を含み、ポリプロピレン繰り返し単位がコポリマーの大部分を形成するコポリマーを指す。
【0018】
ポリイソブチレンポリマー粒子の、ポリオレフィンポリマー粒子、好ましくはポリエチレンポリマー粒子に対する重量対重量比は、好ましくは25:75~70:30、より好ましくは65:35までの範囲である。
【0019】
分散液を組み合わせた後、組成物を、ワイヤ巻きドローダウンバーを用いて紙又は板紙に適用することができる。有利には、湿潤フィルムを、好ましくは50℃から、より好ましくは70℃から、好ましくは150℃まで、より好ましくは120℃までの範囲の温度まで加熱して、水を除去し、乾燥コーティングを形成し、3μmから、好ましくは6μmから、より好ましくは8μmから、20μmまで、好ましくは16μmまで、より好ましくは12μmまでの範囲の厚さを有する最終的な乾燥フィルムを提供する。
【0020】
別の態様では、本発明は、紙又は板紙基材に貼り付けられたフィルムを含む物品であって、フィルムが、20~80重量パーセントのポリイソブチレンポリマーと、20~80重量パーセントのポリエチレン又はポリプロピレンであるポリオレフィンと、を含み、フィルムが、約4μm~20μmの範囲の厚さを有する、物品である。好ましくは、フィルムは、本明細書で上に定義されたポリイソブチレンポリマー及びポリエチレンを含む。フィルム中の、ポリイソブチレンポリマーの、ポリオレフィンポリマー、好ましくはポリエチレンポリマーに対する重量対重量比は、好ましくは25:75~70:30、より好ましくは65:35までの範囲である。
【0021】
紙又は板紙の重量密度は、40g/m~350g/mの範囲である。紙の場合、好ましい重量密度は、60g/m~100g/mの範囲であり、板紙の場合、好ましい重量密度は、200g/m~300g/mの範囲である。紙又は板紙は、コーティングされていなくてもよく、又はコーティング配合物の適用前に平滑な表面を生成するために予めコーティングされていてもよい。
【0022】
紙又は板紙基材上のポリイソブチレン-ポリオレフィンフィルムの薄いコーティングは、許容可能な低レベルの粘着性と組み合わせて望ましい防水蒸気特性を付与することが発見された。コーティングされた基材は、リサイクル目的のために、コーティングされた樹脂の、基材重量に対する比が比較的低いことを必要とするパッケージング用途に好適である。
【0023】
実施例
実施例1-ポリイソブチレン樹脂分散液A(PIBD(Polyisobutylene Resin Dispersion)-A)の調製
HRD-400ポリイソブチレン樹脂(50g、Shandong Hongrui New Material Technology Co.,Inc.によって供給される)、TERGITOL(商標)TMN-10分散液(2.8g、有効成分90%)及び水(2.2g)を合わせ、FlackTek SpeedMixer DAC 150.1 FV-Kを使用して、3500rpmで4分間混合した。次いで、撹拌しながら追加の水(45g)を徐々に加え、50%の固形分含有量、1.13μmのD90粒径を有する水性ポリイソブチレン(PIB)分散液を形成した。
【0024】
実施例2-ポリイソブチレン樹脂分散液B(PIBD-B)の調製
HRD-400ポリイソブチレン樹脂(50g)、TERGITOL(商標)15-s-9分散液(2.5g)及び水(2.5g)を合わせ、FlackTek SpeedMixer DAC 150.1 FV-Kを使用して、3500rpmで4分間混合した。次いで、撹拌しながら追加の水(45g)を徐々に加え、50%の固形分、1.03μmのD90粒径を有する水性PIB分散液を形成した。
【0025】
実施例3-ポリイソブチレン樹脂分散液C(PIBD-C)の調製
HRD-400ポリイソブチレン樹脂(50g)及びPlantacare 2000UPデシルグルコシド(5g、有効成分50%、BASFによって供給される)を合わせ、FlackTek SpeedMixer DAC 150.1 FV-Kを使用して、3500rpmで4分間混合した。次いで、撹拌しながら追加の水(45g)を徐々に加え、50%の固形分含有量、1.02μmのD90粒径を有する水性PIB分散液を形成した。
【0026】
実施例4-ポリイソブチレン樹脂分散液D(PIBD-D)の調製
HRD-400ポリイソブチレン樹脂(50g)及びDS-4ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム(5g、23%有効成分)を合わせ、FlackTek SpeedMixer DAC 150.1 FV-Kを使用して、3500rpmで4分間混合した。次いで、撹拌しながら追加の水(45g)を徐々に加え、50%の固形分含有量、0.87μmのD90粒径を有する水性PIB分散液を形成した。
【0027】
CANVERA 1110ポリオレフィン分散液(CANV、43%固形分)、又はRHOBARR 320ポリオレフィン分散液(RHOB、43%固形分)を周囲温度でPIB分散液と合わせ、表1に記載の組成物を形成した。列挙された全ての量は、固形分含有量について未調整の全分散液のグラム数である。
【表1】
【0028】
コーティング配合物を、室温で成分をブレンドすることによって調製した。このブレンドを、メイヤーバー自動フィルムコーティング装置を用いて、紙シート上にワイヤバーでコーティングした(60g/m)。コーティングしたフィルムを100℃で2分間乾燥させ、乾燥フィルムの厚さを10±2μmに制御した。
【0029】
表2は、38℃及び相対湿度90%での水蒸気透過率(WVTR)性能を示す。WVTRは、MOCON TRAN Model 3/33 Permeation Analyzerを使用して、ASTM D3985-02に従って38℃及び相対湿度90%で測定した。比較実施例3は、純粋なPIB分散液である。PT-1000プローブ粘着性テスターを用いて、0.5cm/秒のプローブ速度及び1秒の滞留時間でフィルム粘着性を評価した。WVTRを、g/m・日で測定する。WVTR低減は、比較実施例1、2、及び4における対応するブレンドされていないPE分散液からのコーティングに対する、PB/PEブレンドからのコーティングのWVTRの低減パーセントを指す。
【表2】
【0030】
データは、ポリエチレン分散液のみから形成されたコーティングが、不十分なWVTR(100g/m・日より大きい)を示すことを示す。対照的に、100g/m
日未満のWVTRが、PIB分散液のみから、又はPIB分散液とPE分散液のブレンドから調製されたコーティングを使用して達成された。しかしながら、表3が示すように、WVTRとプローブ粘着性との適切なバランスは、ブレンドから形成されるコーティングを必要とする。プローブ粘着性は、グラム単位で測定される。低い粘着性は、紙コーティング用途に必要である。
【表3】
【0031】
PIBD-Aと、高密度ポリエチレンの分散液であるCANVERA 1110ポリオレフィン分散液とのブレンドから生じるコーティングは、広範囲にわたって優れた粘着性及びWVTR性能を与えた。対照的に、PIBD-Aのみから生じるコーティングは、不十分な粘着性(4.5gを超える)しか与えなかった。
【国際調査報告】