(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】水素製造プロセスユニットにおける水素富化生成物の製造及びCO2の回収方法
(51)【国際特許分類】
F25J 3/02 20060101AFI20240403BHJP
B01D 53/047 20060101ALI20240403BHJP
F25J 3/08 20060101ALI20240403BHJP
C07C 7/12 20060101ALI20240403BHJP
C07C 9/04 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
F25J3/02 Z
B01D53/047
F25J3/08
C07C7/12
C07C9/04
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560082
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 US2022071385
(87)【国際公開番号】W WO2022213053
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2021-10-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598055242
【氏名又は名称】ユーオーピー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】クルス、アディソン
(72)【発明者】
【氏名】ラッセル、ブラッドリー
(72)【発明者】
【氏名】ベネット ザ サード、エリック ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】クラウス、カート
(72)【発明者】
【氏名】ビエット、ステファノ
(72)【発明者】
【氏名】キャディ、ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】クエラー、カイル
(72)【発明者】
【氏名】カヨーデ、オルワセイ
【テーマコード(参考)】
4D012
4D047
4H006
【Fターム(参考)】
4D012BA01
4D012BA02
4D012BA03
4D012CA20
4D012CB16
4D012CD07
4D012CG01
4D012CH02
4D012CH05
4D047AA07
4D047BA00
4D047BB04
4D047BB07
4D047DA04
4H006AA02
4H006AD17
4H006BC51
4H006BC52
(57)【要約】
水素製造プロセスユニットからの流出物流から水素富化生成物を製造し、CO2を回収するためのプロセス及び装置が記載される。プロセスは、水素製造プロセスにおける水素PSAユニットの排ガス流から追加の水素及びCO2を回収するために、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムと統合されたCO2回収システムを利用する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素富化生成物を製造し、CO
2を回収する方法であって、
水素製造プロセスユニット(120)において炭化水素又は炭素質原料を含む供給流(105)を処理して、水素、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種を含む合成ガス混合物を生成するステップ、
水素圧力スイング吸着(PSA)ユニット(140)において、前記水素製造プロセスユニットからの前記合成ガスを含む流出物流(125)を、水素に富む第1の高圧水素流(145)と、前記水素の一部、前記二酸化炭素、前記水、並びに前記メタン、前記一酸化炭素、前記窒素、及び前記アルゴンのうちの前記少なくとも1種を含む水素枯渇排ガス流(150)とに分離するステップ、
前記水素枯渇排ガス流(150)を圧縮機(155)内で圧縮して、圧縮された排ガス流(160)を形成するステップ、
CO
2回収システム(165)において、前記圧縮された排ガス流(165)を、精製された液体CO
2生成物を含むCO
2富化流(170)と、前記水素の一部、前記二酸化炭素の一部、並びに前記メタン、前記一酸化炭素、前記窒素、及び前記アルゴンのうちの前記少なくとも1種を含む塔頂流(175)とに分離するステップ、
少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム(180)において、前記CO
2回収システムからの前記塔頂流(175)を、少なくとも水素に富む第2の高圧水素流(190)と、二酸化炭素に富む低圧CO
2流(195)とに分離するステップ、
前記第2の高圧水素流(190)を回収するステップ、及び
任意選択で前記低圧CO
2流(195)を前記圧縮機(155)に再循環させるステップ
を含む方法。
【請求項2】
少なくとも2つの生成物流を生成する前記PSAシステムが3生成物PSAユニット(185)を含み、前記CO
2回収システムから前記塔頂流(175)を分離するステップが、
前記塔頂流(175)を、3生成物PSAサイクルを有する前記3生成物PSAユニット(185)に導入すること、
前記3生成物PSAサイクルにおける高圧並流吸着ステップ中に前記第2の高圧水素流(190)を除去することであって、前記第2の高圧流(190)が、二酸化炭素、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを実質的に含まない、除去すること、
前記3生成物PSAサイクルにおける並流減圧ステップ中に第2のガス流(200)を除去することであって、前記第2のガス流(200)が、前記メタン、前記一酸化炭素、前記窒素、及び前記アルゴンのうちの前記少なくとも1種を含む、除去すること、
前記3生成物PSAサイクルにおける向流減圧ステップ及び向流パージステップのうちの少なくとも1つの間に前記低圧CO
2流(195)を除去すること、
前記第2の高圧水素流(190)を回収すること、及び
任意選択で前記低圧CO
2流(195)を前記圧縮機(155)に再循環させること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
少なくとも2つの生成物流を生成する前記PSAシステムが第2のPSAユニット(205)を含み、前記CO
2回収システムから前記塔頂流(175)を分離するステップが、
前記塔頂流(175)を前記第2のPSAユニット(205)に導入し、前記塔頂流(175)を前記低圧CO
2流(195)と前記第2の高圧水素流(215)とに分離することであって、前記第2の高圧水素流(215)が、前記水素の75%超、並びに前記メタン、前記一酸化炭素、前記窒素、及び前記アルゴンのうちの前記少なくとも1種の一部を含む、分離すること、並びに
任意選択で前記低圧CO
2流(195)を前記圧縮機(155)に再循環させること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
少なくとも2つの生成物流を生成する前記PSAシステムが第3のPSAユニット(210)を更に含み、前記方法が、
前記第3のPSAユニット(210)において、前記第2の高圧水素流(215)を第3の高圧水素流(190)と第2のガス流(200)とに分離するステップであって、前記第3の高圧水素流(190)が二酸化炭素、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを実質的に含まず、前記第2のガス流(200)が前記塔頂流(175)中の前記メタン、前記一酸化炭素、前記窒素、及び前記アルゴンのうちの前記少なくとも1種を含むステップ、及び
前記第3の高圧水素流(190)を回収するステップ
を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2のガス流(200)の少なくとも一部を前記水素製造プロセスユニット(120)に再循環させるステップ、
前記第2のガス流(200)の少なくとも一部を水性ガスシフトプロセスユニット(330)に再循環させるステップ、及び
前記第2のガス流(200)の少なくとも一部を燃焼ユニットに送るステップ
のうちの少なくとも1つを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第2の高圧水素流(190)が1,000kPa~6,000kPaの範囲の圧力を有するか、又は前記低圧CO
2流(195)が100kPa~250kPaの範囲の圧力を有するか、又はその両方である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記圧縮された排ガス流(160)を乾燥機内で乾燥させて水を除去するステップ、及び
前記乾燥排ガス流(160)をチラー内で-20℃~-50℃の温度に冷却してチルド排ガス流を形成し、その後前記排ガス流(160)を分離するステップを更に含み、前記圧縮された排ガス流(160)を分離するステップが前記チルド排ガス流を分離することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記水素製造プロセスユニット(120)が、任意選択のガス加熱改質器を有する新規又は既存の水蒸気改質ユニット、任意選択のガス加熱改質器を有する自己熱改質ユニット、部分酸化ユニット又はガス化ユニットを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
水素富化生成物を製造し、CO
2を回収するための装置であって、
少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を有する水素製造プロセスユニット(120)、
入口、水素出口、及び排ガス出口を有する水素PSAユニット(140)であり、前記水素PSAユニットの入口が前記水素製造プロセスユニットの出口と流体連通している、水素PSAユニット(140)、
入口及び出口を有する圧縮機(155)であり、前記圧縮機の入口が前記水素PSA排ガス出口と流体連通している、圧縮機(155)、
入口及び少なくとも1つの出口を有する乾燥機であり、前記乾燥機の入口が前記圧縮機の出口と流体連通している、乾燥機、
ガス入口、ガス出口、チリング流体入口、及びチリング流体出口を有するチラーであり、前記チラーのガス入口が前記乾燥機の出口と流体連通し、前記チラーの流体入口がチリング流体源と流体連通している、チラー、
入口、第1の出口及び塔頂出口を有するCO
2回収システム(165)であり、前記CO
2回収システムの入口が前記チラーのガス出口と流体連通している、CO
2回収システム(165)、並びに
少なくとも入口、高圧水素出口、及び低圧CO
2出口を有するPSAシステム(180)であり、前記PSAシステムの入口が前記CO
2回収システムの塔頂出口と流体連通し、前記低圧CO
2出口が前記圧縮機の入口と流体連通している、PSAシステム(180)
を含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(優先権の記載)
本出願は、その全体が本明細書に組み込まれる、「Method of Producing Hydrogen and Recovering CO2 in a Hydrogen Production Process Unit」と題する、2021年3月29日に出願された米国仮出願第63/167,338号の利益を主張する。
【背景技術】
【0002】
水素は、クリーン燃焼燃料であるため、著しい成長可能性を有すると予想される。しかし、水素製造は、伝統的にCO2の顕著な排出源であり、政府規制及び社会的圧力により、CO2排出への課税若しくは罰則、又はCO2捕捉の奨励が高まっている。その結果、水素製造コストを下げつつ、副生成物であるCO2をその後の地中貯留のために回収し、成長市場を獲得しようとする大きな競争が予想される。CO2は、共通のパイプラインに投入される蒸気として分離することができるが、世界の特定の地域におけるCO2パイプラインインフラストラクチャが現在不足しているため、トラック又は船舶による容易な輸送のために液化形態で製造する必要がある可能性がより高い。
【0003】
低減されるCO2排出の所望のレベルは地域の経済状態に依存し、一部の水素製造者はCO2捕捉による水素製造の最大化を優先し、他の水素製造者は、水素製造によるCO2排出の最小化を優先し、一部はその間のどこかに入る。別の重要な要因は、所与の水素製造ユニットのために選択される改質器技術である。水蒸気改質プラントでは、50%~60%のCO2捕捉で十分であり得るが、自己熱改質器(ATR)、ガス化装置、又は部分酸化(POX)改質器では、90%超又は95%超が予想され得る。
【0004】
ほとんどの既存の水素製造プロセスは、シフト合成ガスから高純度の生成物水素を回収するために圧力スイング吸着(PSA)を利用する。PSAユニットからの低圧排ガス流は、典型的に燃焼されて、プロセスのための熱又は水蒸気を発生させる。流れが燃焼器に送られない場合、プロセス中の不純物の蓄積を防止するためにパージが必要である。
【0005】
米国特許第8,021,464号は、合成ガスに変換される炭化水素の混合物からの水素及びCO2の複合製造のためのプロセスを記載している。合成ガスは、PSAユニットにおいて水素富化流とPSAオフガス流に分離される。PSAオフガスは圧縮され、乾燥され、続いてCO2リッチ凝縮物を凝縮及び分離するいくつかの連続ステップが行われ、温度は各ステップで低下し、温度は周囲温度から-56℃の範囲である。しかし、プロセスは、プロセスから除去されなければならない顕著な量のCO2を含有するパージ流をもたらす。分離を改善するために透過モジュールを使用することができるが、電力要件の増加という犠牲を払う。
【0006】
米国特許第8,241,400号は、改質器ユニット、任意選択の水性ガスシフト反応器、PSAユニット、及び極低温精製ユニット又は触媒酸化装置を含むシステムを利用して、炭化水素の混合物から水素及びCO2を回収するためのプロセスを記載している。PSAユニットは、高圧水素流、低圧CO2流、及びCO2共パージステップ中に取り出されるCH4リッチ流の3つの流れを生成する。プロセスにおけるCO2精製ユニットからの精製CO2は、PSAユニットにおける共パージとして使用される。吸着ステップは、250psig~700psigの圧力で行われる。共パージステップ中の圧力は、300psig~800psigの範囲であり、CO2共パージ流は、好ましくは吸着ステップ中の圧力よりも高い圧力で導入される。
【0007】
第2の高圧供給流(CO2共パージ流)の使用は、米国特許第8,241,400号におけるプロセスのコスト及び複雑さを増加させる。セグメント化された吸着器(又は2つの別個の容器)、及びその2つと中間のサイドドローとの間に隔離弁を有する必要性のために、プロセスのコスト及び複雑さは更に増加する。
【0008】
したがって、改善された費用効果の高いCO2回収を伴う改善された水素製造プロセスが必要とされている。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを使用して、水蒸気改質プロセスユニットから水素を製造し、CO
2を回収する方法の一実施形態の図である。
【
図2】本発明の少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムで使用するための3生成物PSAユニットの一実施形態の図である。
【
図3】本発明の少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムの別の実施形態を使用して水蒸気改質プロセスユニットから水素を製造し、CO
2を回収する方法の別の実施形態の図である。
【
図4】本発明の少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを使用してATRプロセスユニットから水素を製造し、CO
2を回収する方法の別の実施形態の図である。
【
図5】本発明の少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを使用してATRプロセスユニットから水素を製造し、CO
2を回収する方法の別の実施形態の図である。
【
図6】二元冷媒CO
2分留プロセスを使用するCO
2回収システムの一実施形態の図である。
【
図7】混合冷媒CO
2分留プロセスを使用するCO
2回収システムの別の実施形態の図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
プロセスは、水素製造プロセスユニットの流出物流から水素富化生成物を製造し、CO2を回収することを可能にする。プロセスは、水素製造プロセスにおける水素分離ユニットからの排ガス流から水素富化生成物を回収するために、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを使用する。プロセスは、追加の水素及び高純度液体CO2を回収するために、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAと統合されたCO2回収システムを利用する。
【0011】
少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを用いてCO2回収システムの塔頂流から直接水素富化生成物(及びいくつかの実施形態では純粋な水素生成物)を抽出することは、再循環構成を使用するシステムを上回る経済的利点をもたらす可能性がある。追加の水素製造は、プロセス経済性を実質的に改善する。CO2回収システムの塔頂流で少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを使用することにより、膜分離プロセスの使用によって生じるCO2の非透過損失も回避される。少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを利用することによって革新及び柔軟性がもたらされ、下流の設備サイズ及び有用性が低減され、捕捉されるCO2が増加する(不純物リッチパージ流が顕著なCO2を含有しないため)。
【0012】
水素製造プロセスユニットは、任意選択のガス加熱改質器を有する新規又は既存の水蒸気改質ユニット、任意選択のガス加熱改質器を有する自己熱改質ユニット、ガス化ユニット、又は部分酸化(POX)ユニットを含むことができる。水素製造プロセスは、水素、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素及びアルゴンのうちの少なくとも1種を含むガスの混合物を含む流出物を生成する。
【0013】
流出物流は、最初に水素圧力スイング吸着(PSA)ユニットに送られ、水素に富む高圧水素流と、残りの水素、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素及びアルゴンのうちの少なくとも1種を含む水素枯渇排ガス流とに分離される。高圧水素流は、流出物中の水素の90%を含有し、これは回収される。
【0014】
水素枯渇排ガス流は圧縮され、CO2回収システムに送られ、そこで液体CO2生成物と、水素及びいくらかの二酸化炭素、並びにメタン、一酸化炭素、窒素及びアルゴンのうちの少なくとも1種のいくらかを含む塔頂流とに分離される。
【0015】
塔頂流は、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムに送られる。少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムは、塔頂流を少なくとも2つの流れ:第2の高圧水素流及び低圧CO2流に分離する。高圧水素流は水素に富む。低圧CO2流は二酸化炭素に富む。第2の高圧水素流は回収され、低圧CO2流は圧縮機に再循環される。
【0016】
いくつかの実施形態では、プロセスは、水素PSAユニットからの排ガス流中の水素の80~90%の回収、並びにCO2の実質的にすべて(例えば、95%~100%)の捕捉を可能にする。
【0017】
水素PSAシステムに供給される水素製造プロセスユニットからの流出物は、典型的に20℃~60℃、又は30℃~50℃、又は40℃の範囲(又は温度範囲の任意の組み合わせ)である。圧力は、典型的に2,000~5,000kPaの範囲である。
【0018】
流出物は、水素PSAユニットにおいて高圧水素流と排ガス流に分離される。高圧水素流は、流出物中の水素の80%~90%を含有する。高圧水素流は、典型的に2,000~5,000kPaの範囲の圧力にある。
【0019】
流出物流中の水素の10%~20%、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種を含有する水素PSAユニットからの排ガス流は、100~200kPaの範囲の圧力である。
【0020】
排ガス流は、3,000~6,000kPaの範囲の圧力に圧縮され、CO2回収システムに送られる。圧縮された排ガス流は、乾燥され、-20℃~-50℃の温度に冷却される。これは、CO2富化流と、水素、二酸化炭素のいくらか、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種のいくらかを含有する塔頂流とに分離される。いくつかの実施形態では、CO2富化流は、水素PSAユニットからの排ガス流中のCO2の実質的にすべて(例えば、95%~100%)を含み、水素、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、CO2富化流は、95.0mol%以上のCO2、98.0mol%以上のCO2、又は98.5mol%以上のCO2、又は99.0mol%以上のCO2、又は99.5mol%以上のCO2、又は99.9mol%以上のCO2を含む。
【0021】
CO2回収システムは蒸留カラムを含むことができ、CO2富化生成物流はカラムの底部から回収され、より軽質の成分(水素、メタン、窒素など)はカラムの頂部から回収される。CO2回収システムは、代わりに又は同様に、単一又は複数の連続フラッシュ気液分離容器を含むことができ、各分離器は、物質移動の追加の理論的段階を提供し、CO2富化生成物は液体流中に回収され、より軽質の成分(水素、メタン、窒素など)は塔頂蒸気流中に回収される。
【0022】
CO2富化流は回収される。CO2富化流は、液体流であってもよい。一部の場合では、必要に応じて、液体流を気化させて使用してもよい。
【0023】
塔頂流は、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムに送られる。少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムは、3つの生成物流を有する3生成物PSAユニット、2つの生成物流を有するPSAユニット、又はそれぞれ2つの生成物流を有し、第1のPSAユニットからの生成物流が第2のPSAユニットに供給される2つのPSAユニットであってもよい。
【0024】
3生成物PSAユニットは、4つ以上のPSA吸着容器を含む。一般に少なくとも6つの容器、典型的に8~14個の容器がある。容器は、1つ以上、一般に1~5つ、典型的に2~3つの吸着剤層を含む。吸着層の床の割合は、典型的に10%~100%である。異なる吸着剤層は、当業者に公知のように、塔頂流中の成分に対して異なる選択性を有する。いくつかの層は、メタン、一酸化炭素、窒素、アルゴン、及び水素に対してCO2を選択的に吸着するための吸着剤を含有し、活性アルミナ、シリカゲル、及びナトリウムYゼオライトの層を含むがこれらに限定されない。他の層は、水素に対してCO2、メタン、一酸化炭素、窒素及びアルゴンを選択的に吸着するための吸着剤を含有し、活性炭、シリカゲル、及びモレキュラーシーブゼオライト(例えば、5A又はナトリウムXゼオライト)の層を含むがこれらに限定されない。当業者は、他のゼオライトが使用され得ることを理解し、適切な吸着剤を選択する方法を認識する。
【0025】
容器の一端に第1の開口部があり、反対端に第2の開口部がある。便宜上、端部を容器の上部及び底部と呼ぶ。底部の第1の開口部は、高圧供給ガス入口ライン及び低圧排ガス出口ラインに選択的に接続される。容器の頂部の第2の開口部は、高圧生成物出口ライン、中圧ベントガス出口ライン、及び低圧パージガス入口ラインに選択的に接続される。
【0026】
供給ガスは、容器の底部の第1の開口部を通って高圧で入り、高圧並流吸着及び生成物除去ステップが行われ、生成物は、容器の上部の第2の開口部を通って高圧で容器から出る。少なくとも1回の並流減圧ステップ、次いで中圧並流減圧及びベントガス除去ステップがある。第2の流れは、第2の圧力で容器の上部の開口部を通して除去される。向流ブローダウンステップ及び向流パージステップがある。パージガスは、低圧で容器の上部の開口部を通って入る。CO2は、向流ブローダウンステップ及び向流パージステップのいずれか又は両方の間に、容器の底部の開口部を通して低圧で除去することができる。向流パージ及び排ガス除去ステップ後に少なくとも1つの向流再加圧ステップがある。
【0027】
少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムは、2つの生成物流を有する1つのPSAユニット、又はそれぞれ2つの生成物流を有する直列の2つのPSAユニットを含むことができる。2つの生成物流を有する単一のPSAユニットにおいて、CO2回収システムからの塔頂流はPSAユニットに導入され、そこでCO2に富む低圧排ガス流と、水素に富む(例えば、85%~95%)高圧流とに分離される。高圧流は、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種の一部を含有してもよい。
【0028】
直列の2つのPSAユニットを用いて、CO2回収システムからの塔頂流は、2つの生成物流を有する第1のPSAユニットに導入され、そこでCO2に富む低圧排ガス流と、実質的にすべての水素(例えば、85%~95%)、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種の一部を含む高圧流とに分離される。高圧流は、2つの生成物流を有する第2のPSAユニットに供給され、そこで水素に富む高圧水素流と、実質的にすべてのメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴン(例えば、95%~100%)を含有する低圧流とに分離される。
【0029】
本発明の少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムは、いくつかの利点を提供する。第2の流れは高圧で除去されない。3生成物PSAユニットでは、第2の流れは、水素が除去される高圧とCO2が除去される低圧との間であるが、高圧よりも低圧にはるかに近い中圧で除去される。中圧は、典型的に450kPa未満である。少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムが2つのPSAユニットを含む場合、第2の流れは、低圧、典型的に250kPa未満で除去される。
【0030】
更に、高圧共パージ流は使用されない。更に、容器はセグメント化されない。第2の流れは、容器の上部の開口部を通して取り出される。したがって、2つの吸着剤床の間に隔離弁及びサイドドロー出口は必要ない。これらの要因により、3生成物PSAユニットは、米国特許第8,241,400号のPSA及びプロセスよりも構築及び運転がはるかに複雑でなく、安価になる。
【0031】
(チリング回収及び熱交換後に)少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムに入る塔頂流の温度は、典型的に20℃~60℃、又は30℃~50℃、又は40℃の範囲内(又は温度範囲の任意の組み合わせ)である。
【0032】
少なくとも2つの生成物流を有するPSAユニットに供給される塔頂流中の水素濃度は、一般に20mol%~60mol%の範囲である。例えば、水蒸気メタン改質プラント排ガスのCO2回収システム内の塔頂ガス中の水素濃度は、30mol%~50mol%である。
【0033】
3生成物PSAユニットの場合、塔頂流中の水素の80%~90%が典型的に高圧水素流中に回収され、高圧水素流は、CO2、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを実質的に含まない。高圧水素流は、典型的に塔頂流に対して1%未満、又は0.1%未満、又は0.01%未満のCO2を含有する。高圧水素流は、典型的に塔頂流に対して10%未満、又は5%未満、又は2%未満、又は1%未満、又は0.1%未満のメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを含有する。高圧水素流は、典型的に1,000~6,000kPa、又は2,000kPa~5,000kPa、又は2,500kPa~4,500kPaの範囲の高圧で除去される。
【0034】
低圧排ガス流は、典型的に50kPa~250kPa、又は100kPa~200kPaの範囲の低圧で除去される。
【0035】
低圧CO2流は、典型的に塔頂流中のCO2の実質的にすべて(例えば、95%~100%)を含有する。これは、典型的に、塔頂流に対して10%の水素(例えば、5%~15%)、並びに塔頂流に対して40%のメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴン(例えば、20%~60%)を含有する。
【0036】
少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムが3生成物PSAユニットを含む場合、第2のガス流は高圧と低圧との間の中圧で除去され、中圧は高圧よりも低圧にはるかに近く、典型的に低圧の400kPa、又は300kPa、又は200kPa以内である。典型的に、中圧生成物流は、150kPa~450kPa、又は250kPa~350kPaの範囲の圧力で除去される。中圧範囲と低圧範囲との間には一部の重複があるが、特定の場合には、低圧が中圧よりも低いことが理解される。
【0037】
第2の流れは、典型的に、塔頂流中のメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンの40%~80%を含有する。第2の流れは、典型的に、塔頂流に対して10%の水素(例えば、5%~25%)、及び塔頂流に対して5%未満、又は1%未満、又は0.1%未満のCO2を含有する。
【0038】
第2の流れの全部又は一部は、水素製造プロセスユニット、水性ガスシフトプロセスユニット、及び/又は燃焼ユニットに再循環することができる。
【0039】
少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムが1つのPSAユニットを含む場合、塔頂流はPSAユニットに導入され、そこでCO2の実質的にすべて(95%~100%)を含有する低圧CO2流と、水素の実質的にすべて(例えば、75%超、又は85%~95%)、並びにメタン、一酸化炭素及び窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種の一部(50%~90%)を含む高圧流とに分離される。低圧CO2流は、50kPa~250kPa、又は100kPa~200kPaの低圧を有する。高圧流は、1,000~6,000kPa、又は2,000kPa~5,000kPa、又は2,500kPa~4,500kPaの範囲の高圧を有する。
【0040】
少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムが直列の2つのPSAユニットを含む場合、第1のPSAユニットからの高圧流は第2のPSAユニットに供給され、そこで実質的にすべての水素(例えば、80%~90%)を含有する高圧水素流と第2のガス流とに分離される。第2のガス流は、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種の実質的にすべて(例えば、95%~100%)を含む。高圧水素流は、典型的に1,000~6,000kPa、又は2,000kPa~5,000kPa、又は2,500kPa~4,500kPaの範囲の高圧を有する。この構成では、第2の流れは、50kPa~250kPa、又は100kPa~200kPaの範囲の圧力を有する。
【0041】
第1のPSAユニットは、メタン、一酸化炭素、窒素、アルゴン、及び水素に対してCO2を選択的に吸着するための吸着剤を含有し、活性アルミナ、シリカゲル、及びナトリウムYゼオライトの層を含むがこれらに限定されない。第2のPSAユニットは、水素に対してCO2、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを選択的に吸着するための吸着剤を含有し、活性炭、シリカゲル、及びモレキュラーシーブゼオライト(例えば、5A又はナトリウムXゼオライト)の層を含むがこれらに限定されない。当業者は、他のゼオライトが使用され得ることを理解し、第1及び第2のPSAユニットのための適切な吸着剤を選択する方法を認識する。
【0042】
少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムが3生成物PSAユニットを含む場合、高圧水素流は、PSAサイクルにおける高圧並流吸着ステップ中に除去されてもよく、第2のガス流は、PSAサイクルにおける並流減圧ステップ中に除去されてもよく、低圧CO2流は、PSAサイクルにおける向流減圧ステップ及び向流パージステップ中に除去されてもよい。
【0043】
いくつかの実施形態では、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムが3生成物PSAユニットである場合、PSAサイクルは、
高圧並流吸着及び水素除去ステップ、
高圧並流吸着ステップ及び水素除去ステップに続く少なくとも1つの並流減圧ステップ、
少なくとも1つの並流減圧ステップに続く並流減圧及び第2のガス除去ステップ、
中圧並流減圧及び第2のガス除去ステップに続く向流ブローダウンステップ及びCO2除去ステップ、
向流ブローダウンステップに続く向流パージ及びCO2除去ステップ、
向流パージ及びCO2除去ステップに続く少なくとも1つの向流再加圧ステップ、並びに
任意選択で少なくとも1つの向流再加圧ステップに続く並流供給物再加圧ステップ、又は少なくとも1つの向流再加圧ステップに続く向流生成物再加圧を含んでもよい。
【0044】
いくつかの実施形態では、CO2回収システムは冷凍CO2分留プロセスを含み、冷凍冷却は、少なくとも2つの冷凍回路であって、冷凍回路のうちの1つが、蒸留カラムから回収された液体CO2生成物の一部を利用する少なくとも2つの冷凍回路、又は以下でより詳細に説明される単一閉ループ多成分混合冷媒回路によって提供される。
【0045】
いくつかの実施形態では、プロセスは、水素製造プロセスからの未変換一酸化炭素及びメタン、並びに未回収水素から高圧水蒸気の形態で熱を回収するために、第2の流れ上に触媒酸化(CATOX)反応器を含むことができる。第2の流れが炉に送られるときとほぼ同じ量の熱又は水蒸気が生成される。しかし、それをCATOX反応器ユニットに送ることにより、炉内でこれらの成分を燃焼させることから生じるCO2排出が回避され、プロセスから捕捉されるCO2の割合が増加する。CATOX反応器ユニットは、ほぼ等温であり得、熱交換器の一方の側に触媒を有し、他方の側に沸騰水を有する。例えば、CATOX反応器ユニットは、250℃の水/水蒸気(反応器)温度を有することができる。反応器の規模は比較的小さくてもよく、例えば、100,000Nm3/時間の水素製造プラント能力に対して6,000Nm3/時間の全ガス供給速度(燃料ガス+酸素)であってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態では、圧縮機、CO2回収システム、又は少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムに問題がある場合にシステムが動作することを可能にする選択的バイパス構成が存在する。この場合、圧縮機、CO2回収システム、又は少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムはバイパスされ、水素PSAユニットからの排ガス流は、水素製造プロセスユニットの炉又は他の場所に送られる。好適な炉バーナーとしては、これらに限定されないが、排ガス流のための入口を含むように改変された米国特許第6,875,008号に記載されるバーナー、及び本出願と同日に出願された、Active And Passive Combustion Stabilization For Burners For Highly and Rapidly Varying Fuel Gas Compositionsと題する米国特許出願第63/167,286号に記載されるバーナーが挙げられ、これらはそれぞれその全体が参照により組み込まれる。
【0047】
追加のエネルギー回収は、プロセスにおいてWGSユニットの流出物から得ることができる。WGSユニットからの流出物流は、プロセス流と熱交換されて、冷却された流出物流及び予熱されたプロセス流を形成することができる。リン酸の可逆的オリゴマー化反応を伴うプロセスを使用して、冷却された流出物流から廃熱を回収して水蒸気を発生させることができる。廃熱とリン酸との接触は、二リン酸へのオリゴマー化をもたらす。オリゴマー化の結果として、水分子が分裂して凝縮し、廃熱の冷却を引き起こす。二リン酸流の圧力を上昇させる。廃熱はその後、二リン酸によって吸収される水を蒸発させる。これにより、脱オリゴマー化及び加水分解が起こり、リン酸へと戻る変換及びより価値の高いプロセス熱の生成がもたらされる。次いで、リン酸流の圧力を低下させ、サイクルを繰り返す。リン酸の可逆的オリゴマー化を使用する廃熱回収プロセスは、アントワープ、ベルギーのQpinchから入手可能である。
【0048】
本発明の別の態様は、水素製造プロセスユニットから水素富化生成物を製造し、CO2を回収するための装置である。一実施形態では、装置は、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を有する水素製造プロセスユニット、入口、水素出口、及び排ガス出口を有する水素PSAユニットであって、水素PSAユニットの入口が水素製造プロセスユニットの出口と流体連通している水素PSAユニット、入口及び出口を有する圧縮機であって、圧縮機の入口が水素PSA排ガス出口と流体連通している圧縮機、入口、第1の出口、及び塔頂出口を有するCO2回収システムであって、CO2回収システムの入口が圧縮機の出口と流体連通しているCO2回収システム、並びに少なくとも1つの入口、高圧水素出口、及び低圧CO2出口を有するPSAシステムであって、PSAシステムの入口がCO2回収システムの塔頂出口と流体連通し、低圧CO2出口が圧縮機の入口と流体連通する、PSAシステムを含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、装置は、圧縮機とCO2回収システムとの間に配置された乾燥機及びチラー、入口及び少なくとも1つの出口を有する乾燥機であって、乾燥機の入口が圧縮機の出口と流体連通している乾燥機、ガス入口、ガス出口、チリング流体入口、及びチリング流体出口を有するチラーであって、チラーのガス入口が乾燥機の出口と流体連通し、チラーの流体入口がチリング流体源と流体連通し、CO2回収システムの入口がチラーのガス出口と流体連通しているチラーを更に含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、PSAシステムは、水素製造プロセスユニット内の燃焼ユニットと流体連通している第2のガス出口を更に含むか、又はPSAシステムの第2のガス出口は触媒酸化ユニットの入口と流体連通し、触媒酸化ユニットの出口は、圧縮機の入口と流体連通している。
【0051】
いくつかの実施形態では、PSAシステムは、入口並びに第1及び第2の出口を有する第1のPSAユニットと、入口並びに第1及び第2の出口を有する第2のPSAユニットとを含み、第1のPSAユニットの入口はPSAシステムの入口を含み、第1のPSAユニットの第1の出口は低圧CO2出口を含み、第2のPSAユニットの入口は、第1のPSAユニットの第2の出口と流体連通し、第2のPSAユニットの第1の出口は高圧水素出口を含み、第2のPSAユニットの第2の出口は第2のガス出口を含む。
【0052】
図1は、本発明の3生成物PSAユニットを含む、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを組み込んだ水素製造プロセス100の一実施形態を示す。天然ガス105及び水110は、水蒸気改質プロセスユニット120の反応セクション112に送られ、アシスト燃料ガス114及び空気115は、水蒸気改質プロセスユニット120において空気と燃焼させるために炉118に送られる。天然ガスの代わりに、これらに限定されないが、ナフサ及び液化石油ガス(LPG)を含む炭化水素を含む他の供給流を使用することができる。アシスト燃料ガスは、PSA排ガス又はベントガスがプロセスを駆動するのに十分な熱を提供しないので、改質反応のための安定性及び十分な熱を提供するための追加の燃料源である。適切なアシスト燃料ガスには、これらに限定されないが、天然ガス、及び他の主に炭化水素を含有する燃料、例えば精製燃料ガス、石油化学複合合成燃料ガス、気化したナフサ又は気化した液化石油ガス(LPG)、又は炭化水素を含有する燃料と、粗水素又は精製された水素に至るまでの、かつこれらを含む水素とのブレンドが含まれる。
【0053】
水蒸気改質及び水性ガスシフト反応は、水素、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1種を含む流出物流125を生成する。煙道ガス流130及び水蒸気流135もまた、水蒸気改質プロセスユニット120から出る。
【0054】
流出物流125は、30℃~50℃の温度(水蒸気改質プロセスにおける熱回収及び冷却後)、及び2,000~3,000kPaの圧力を有する。流出物流125は、水素PSAユニット140に送られ、そこで水素に富む高純度水素流145と、水素の一部、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1種を含む水素枯渇排ガス流150とに分離される。
【0055】
排ガス流150は圧縮機155に送られ、そこで110kPa~200kPaの範囲の圧力から3,000kPa~6,000kPaの範囲の圧力に圧縮される。
【0056】
圧縮された排ガス流160は、CO2回収ユニット165に送られ、そこで乾燥されて水流167が除去され、-20℃~-50℃の温度に冷却され、底部流170と塔頂流175に分離される。液体CO2を含む底部流170は回収される。
【0057】
塔頂流175は、3生成物PSAユニット185を含む少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム180に送られ、そこで3つの流れに分離される。高圧水素流190は回収される。低圧CO2流195は、圧縮機155に再循環される。メタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1種、並びに少量の水素(例えば、20%未満、又は10%~20%)を含む中圧ベントガス流200は、燃料として水蒸気改質プロセスユニット120に送られる。
【0058】
バイパスライン202は、燃焼のために排ガス流150を水蒸気改質プロセスユニット120内の炉118に送る。これにより、水蒸気改質プロセスユニット120は、圧縮機155、CO2回収ユニット165、又は少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム180に問題が生じた場合に、CO2を回収することなく動作し続けることができる。
【0059】
図2は、PSA吸着容器10を含むPSAユニット5を示す。PSA吸着容器10は、3つの吸着層15、20、25を含む。PSA吸着容器10は、第1の端部35に第1の開口部30を含み、第2の端部45に第2の開口部40を含む。第1の開口部30は、弁55を介して高圧供給ガス入口ライン50と、また弁65を介して低圧排ガス出口ライン60と選択的に流体連通している。第2の開口部40は、弁75を介して高圧生成物出口ライン70と、弁85を介して中圧ベントガス出口ライン80と、また弁95を介して低圧パージガス入口ライン90と選択的に流体連通している。
【0060】
PSAサイクルの高圧並流吸着及び生成物除去ステップの間、弁55及び75は開き、弁65、85及び95は閉じており、高圧供給ガスがPSA吸着容器10に入り、高圧水素流が出ることを可能にする。
【0061】
少なくとも1つの並流減圧ステップの間、弁55、65、75、85、及び95は閉じている。
【0062】
中圧並流減圧及びベント除去ステップの間、弁85は開き、弁55、65、75及び95は閉じている。
【0063】
向流ブローダウンステップ及び排ガス除去ステップの間、弁65は開き、弁55、75、85及び95は閉じている。床は弁65を通して減圧され、CO2のいくらかが脱着される。
【0064】
向流パージ及び排ガス除去ステップの間、弁65及び95は開き、弁55、75及び85は閉じている。パージガスが導入され、CO2が除去される。
【0065】
少なくとも1つの向流再加圧ステップ中、弁55、65、75、85、及び95は閉じている。
【0066】
図3は、本発明の水素製造プロセス250の別の実施形態を示す。天然ガス105及び水110は水蒸気改質プロセスユニット120の反応セクション112に送られ、アシスト燃料ガス114及び空気115は水蒸気改質プロセスユニット120内の炉118に送られる。
【0067】
改質反応は、水素、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1種を含む流出物流125を生成する。煙道ガス流130及び水蒸気流135もまた、水蒸気改質プロセスユニット120から出る。
【0068】
流出物流125は水素PSAユニット140に送られ、そこで水素に富む高純度水素流145と、水素の一部、CO2、水、並びにメタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1種を含む水素枯渇排ガス流150とに分離される。
【0069】
排ガス流150は圧縮機155に送られる。圧縮された排ガス流160は、CO2回収システム165に送られ、底部流170と塔頂流175とに分離される。液体CO2を含む底部流170は回収される。
【0070】
塔頂流175は、直列の2つのPSAユニット205、210を含む少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム180に送られる。塔頂流175は、低圧CO2流195と、水素並びにメタン、一酸化炭素及び窒素のうちの少なくとも1種を含む高圧流215とに分離される。低圧CO2流195は圧縮機155に再循環される。
【0071】
高圧流215は第2のPSAユニット210に送られ、そこで高圧水素流190と低圧排ガス流200とに分離される。高圧水素流190は回収される。メタン、一酸化炭素、及び窒素のうちの少なくとも1種を含む低圧排ガス流200は、燃料として水蒸気改質プロセスユニット120に送られる。
【0072】
バイパスライン202は、燃焼のために排ガス流150を水蒸気改質プロセスユニット120内の炉118に送る。
【0073】
図4は、本発明の3生成物PSAユニットを組み込んだ水素製造プロセス300の別の実施形態を示す。天然ガス305、水蒸気310、及び酸素流315は、ATR/GHR反応ユニット320に送られる。ATR/GHR、水蒸気改質、及びPOXプロセスのために天然ガスの代わりに使用され得る炭化水素を含む他の供給流としては、ナフサ及び液化石油ガス(LPG)が挙げられるが、これらに限定されない。POX及びガス化プロセスは、石炭及び石油コークスを含むがこれらに限定されない固体原料を使用することができる。
【0074】
改質反応は流出物流325を生成し、これは水性ガスシフト反応ユニット330に送られる。水性ガスシフト反応ユニット330からの流出物335は、水素、CO2、並びにメタン、一酸化炭素、アルゴン、及び窒素のうちの少なくとも1種を含む。
【0075】
流出物335は、PSAユニット340に送られ、そこで水素に富む高純度水素流345と、水素の一部、CO2、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを含む水素枯渇排ガス流350とに分離される。
【0076】
排ガス流350は圧縮機355に送られる。圧縮された排ガス流360は、CO2回収システム365に送られ、底部流370と塔頂流375とに分離される。液体CO2を含む底部流370が回収される。
【0077】
塔頂流375は、3生成物PSAユニット385を含む少なくとも2つの生成物流380を生成するPSAシステムに送られ、そこで3つの流れに分離される。高圧水素流390は回収される。低圧CO2流395は、圧縮機355に再循環される。メタン、一酸化炭素、窒素及びアルゴンを含む中圧ベントガス流400は、燃焼ユニットに送られて、水蒸気流310の一部に必要な熱を発生させる。この燃焼ユニットは、燃焼ヒーター又は廃熱ボイラーを伴うことができるか、又はガス流は、施設の他の場所で燃料ガスとして使用することができる。
【0078】
図5は、本発明の水素製造プロセス450の別の実施形態を示す。天然ガス305、水蒸気310、及び酸素流315は、ATR/GHR反応ユニット320に送られる。改質反応は流出物流325を生成し、これは水性ガスシフト反応ユニット330に送られる。水性ガスシフト反応ユニット330からの流出物335は、水素、CO
2、並びにメタン、一酸化炭素、アルゴン、及び窒素のうちの少なくとも1種を含む。
【0079】
流出物335は、PSAユニット340に送られ、そこで水素に富む高純度水素流345と、水素の一部、CO2、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを含む水素枯渇排ガス流350とに分離される。
【0080】
排ガス流350は圧縮機355に送られる。圧縮された排ガス流360は、CO2回収システム365に送られ、底部流370と塔頂流375とに分離される。液体CO2を含む底部流370が回収される。
【0081】
塔頂流375は、3生成物PSAユニット385を含む少なくとも2つの生成物流380を生成するPSAシステムに送られ、そこで3つの流れに分離される。高圧水素流390は回収される。低圧CO2流395は、圧縮機355に再循環される。
【0082】
メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを含む中圧ベントガス流400は、酸素流315の一部415と共に触媒酸化反応ユニット405に送られる。メタン及び一酸化炭素及び水素の触媒酸化反応は、CO2再循環流425を形成する。水流410は、触媒酸化反応ユニット405を冷却するために使用され、水蒸気流420を生成する。水蒸気流420は、ATR/GHR反応ユニット320に送られる。CO2再循環流425は、圧縮機355に再循環される。ブリード流430は、プロセス中の不純物の蓄積を防止するためにCO2再循環流425から除去される。触媒酸化反応ユニット405において形成された水は、CO2回収システム365の下流の乾燥機で流れ367として除去される。
【0083】
図6は、合成ガス流からの水素及びより軽質の成分から二酸化炭素を除去するためのCO
2回収システムの設計を示すプロセスフロー図である。プロセスは、二元冷媒CO
2分留プロセスの使用を含む。
【0084】
このプロセスでは、入口ガスが供給流931としてプラントに入る。供給流931は通常、極低温条件下での水和物(氷)形成を防止するために脱水される。固体乾燥剤と液体乾燥剤の両方がこの目的のために使用されてきた。
【0085】
供給流931は、2つの流れ(流れ939及び940)に分割される。流れ939は、熱交換器911において、冷二酸化炭素蒸気(流れ938c)及び低温残留ガス流933aとの熱交換によって冷却される。流れ940は、熱交換器910において、カラムリボイラー液(流れ936)及びカラムサイドリボイラー液(流れ935)との熱交換によって冷却される。熱交換器910及び911からの冷却された流れは、流れ931aに再結合される。流れ931aは、市販の冷媒950(例えば、プロパン又はR-134A)で更に冷却され、結果として生じる流れ(冷却された流れ931b)は、膨張弁912によって分留塔913の動作圧力まで膨張され、流れ931cを冷却した後、分留塔913にその頂部カラム供給点で投入される。
【0086】
塔頂蒸気流932は、分留塔913を出て熱交換器914で冷却され、部分的に凝縮される。部分的に凝縮された流れ932aは分離器915に入り、そこで蒸気(低温残留ガス流933)が凝縮された液体流934から分離される。凝縮された液体流934は、ポンプ919によって分留塔913の動作圧力よりもわずかに高い圧力までポンプ輸送され、その後液体流934aが熱交換器916に入り、蒸留カラムの底部からの二酸化炭素冷媒との熱交換によって加熱され、部分的に気化される(以下に記載)。部分的に気化された流れ934bは、その後、中間カラム供給点で分留塔913への供給物として投入される。PSAシステムへの供給物中により高圧及び/又はより低い二酸化炭素含有量が所望される場合、低温圧縮機(図示せず)を塔頂蒸気流932に適用することができる。圧縮機がこの流れに使用される場合、ポンプ919を排除することができ、分離器915からの液体は、液体レベル制御弁を介して分留塔913に送られる。
【0087】
分留塔913は、複数の垂直方向に間隔を置いて配置されたトレイ、1つ以上の充填床、又はトレイと充填物の何らかの組み合わせを含む従来の蒸留カラムである。これはまた、カラムを下に流れる液体の一部を加熱及び気化させてストリッピング蒸気を提供するリボイラー(例えば、前述のリボイラー及びサイドリボイラー)を含み、ストリッピング蒸気はカラムを上に流れ、水素及びより軽質の成分のカラム底部液体生成物流937をストリッピングする。トレイ及び/又は充填物は、上方に上昇するストリッピング蒸気と下方に降下する低温液体との間の必要な接触を提供し、その結果、カラム底部液体生成物流937は、底部生成物中の水素及びより軽質の成分の濃度を減少させて非常に純粋な二酸化炭素生成物を作製することに基づいて塔の底部を出る。
【0088】
カラム底部液体生成物流937は、主に液体二酸化炭素である。わずかな部分(流れ938)は、前述のように分離器915からの液体流934aによって熱交換器916内でサブクールされる。サブクールされた液体(流れ938a)は、膨張弁920によってより低い圧力に膨張され、部分的に気化され、流れ938bを更に冷却した後、熱交換器914に入る。流れ938bは、熱交換器914において冷媒として機能して、前述のように部分的に凝縮された流れ932aを冷却し、得られた二酸化炭素蒸気は流れ938cとして出る。
【0089】
熱交換器914からの冷二酸化炭素蒸気(流れ938c)は、前述のように供給ガスとの熱交換によって熱交換器911内で加熱される。次いで、温二酸化炭素蒸気(流れ938d)は、圧縮機921、923、及び925によって3段階で分留塔913の圧力より高い圧力に圧縮され、圧縮の各段階後に排出冷却器922、924、及び926によって冷却される。次いで、圧縮された二酸化炭素流(流れ938j)は、弁942を通してフラッシュ膨張され、分留塔913内の底部供給位置に戻される。再循環された二酸化炭素(流れ938k)は、分留塔913において更なる熱負荷及びストリッピングガスを提供する。カラム底部液体生成物流937の残りの部分(流れ941)は、流れ941aが高圧二酸化炭素流を形成するようにポンプ929によって高圧にポンプ輸送され、高圧二酸化炭素流は次にパイプライン又は再注入に流れる。特定の場合では、二酸化炭素流は、断熱運送コンテナで輸送することができる、より低圧のサブクール液体として送達される必要がある。こうした場合、二酸化炭素生成物(流れ941)は、熱交換器917において冷媒950でサブクールされた後、貯蔵タンク条件まで下げられる。したがって、ポンプ929は排除される。
【0090】
低温残留ガス流933は、分離器915を出て、熱交換器914において追加の冷却をもたらす。加温された残留ガス流933aは、前述のように熱交換器911において供給ガスと熱交換された後に更に加熱される。次いで、温残留ガス流933bは、更なる処理のためにPSAシステムに送られる。
【0091】
図7は、合成ガス流からの水素及びより軽質の成分から二酸化炭素を除去するための処理ユニットの設計を示すプロセスフロー図である。このプロセスでは、入口ガスが供給流931としてプラントに入る。プロセスは、混合冷媒CO
2分留プロセスの使用を含む。
【0092】
供給流931は通常、極低温条件下での水和物(氷)形成を防止するために脱水される。固体乾燥剤と液体乾燥剤の両方がこの目的のために使用されてきた。
【0093】
供給流931は、熱交換器910において、カラムリボイラー液(流れ936)及びカラムサイドリボイラー液(流れ935)との熱交換によって冷却される。流れ931aは、熱交換器911において、低温残留ガス流933、及び炭化水素成分と非炭化水素成分の両方からなるフラッシュ膨張多成分混合冷媒流との熱交換によって更に冷却される。混合冷媒流中の成分混合物は、入口ガス供給条件に基づいて熱交換器911内で最も効率的な冷却曲線を提供するように設計される。更に冷却された流れ931bは、膨張弁912によって分留塔913の動作圧力まで膨張され、中間カラム供給点で分留塔913に送られる。
【0094】
塔頂蒸気流932は、分留塔913を出て熱交換器911において混合冷媒流によって冷却され、部分的に凝縮される。部分的に凝縮された流れ932aは分離器915に入り、そこで蒸気(低温残留ガス流933)が凝縮された液体流934から分離される。凝縮された液体流934は、ポンプ919によって分留塔913の動作圧力よりもわずかに高い圧力までポンプ輸送され、その後液体流934aが頂部供給点で分留塔913に送られる。PSAシステムへの供給物中により高圧及び/又はより低い二酸化炭素含有量が所望される場合、低温圧縮機(図示せず)を塔頂蒸気流932に適用することができる。圧縮機がこの流れに使用される場合、ポンプ919を排除することができ、分離器915からの液体は、液体レベル制御弁を介して分留塔913に送られる。
【0095】
分留塔913は、複数の垂直方向に間隔を置いて配置されたトレイ、1つ以上の充填床、又はトレイと充填物の何らかの組み合わせを含む従来の蒸留カラムである。これはまた、カラムを下に流れる液体の一部を加熱及び気化させてストリッピング蒸気を提供するリボイラー(例えば、前述のリボイラー及びサイドリボイラー)を含み、ストリッピング蒸気はカラムを上に流れ、水素及びより軽質の成分のカラム底部液体生成物流937をストリッピングする。トレイ及び/又は充填物は、上方に上昇するストリッピング蒸気と下方に降下する低温液体との間の必要な接触を提供し、その結果、カラム底部液体生成物流937は、底部生成物中の水素及びより軽質の成分の濃度を減少させて非常に純粋な二酸化炭素生成物を作製することに基づいて塔の底部を出る。
【0096】
カラム底部液体生成物流937は、主に液体二酸化炭素である。カラム底部液体生成物流937は、流れ937aが高圧二酸化炭素流を形成するようにポンプ929によって高圧にポンプ輸送され、高圧二酸化炭素流は次にパイプライン又は再注入に流れる。特定の場合では、二酸化炭素流は、断熱運送コンテナで輸送することができる、より低圧のサブクール液体として送達される必要がある。こうした場合、カラム底部液体生成物流937中の二酸化炭素生成物は、混合冷媒950によって熱交換器911中でサブクールされた後、貯蔵タンク条件まで下げられる。したがって、ポンプ929は排除される。
【0097】
温残留ガス流933aは、前述のように供給ガスと熱交換された後に熱交換器911を出る。次いで、温残留ガス流933aは、更なる処理のためにPSAシステムに送られる。
【実施例】
【0098】
以下の実施例は、統合プロセスを更に説明することを意図している。これらは、本発明の特許請求の範囲を実施例の特定の詳細に限定するものではない。
【0099】
実施例1-2つのPSAユニットを含むPSAシステム
表1~10は、直列の2つのPSAユニットを含む少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムについてのコンピュータシミュレーション結果を示す。
【0100】
表1は、第1のPSAユニットのための3つの均圧化ステップを有する6床サイクルを示す。これは、全体的なPSAサイクルの簡略化された形態であり(サブサイクルと呼ばれる)、完全な多床PSAサイクルを表すために必要な情報の最小量を取得するために、実践者によって日常的に使用される。これらのサブサイクルは、完全なサイクルチャートを作成するために既知の手順に従って繰り返される(各行が1つの床に対応する)。サイクルの詳細の他の変形が可能であることが理解される。表2は、表1の6床サブサイクルの詳細な説明を提供する。
【0101】
これらのサイクルをコンピュータシミュレーションで使用して、表3~5に示す第1の2生成物PSAユニット205(
図3)の結果を得た。
【0102】
【0103】
【表2】
*x=サブサイクル時間(50~150秒の範囲)
【0104】
表1~2に示すサイクルを使用して、第1のPSAユニットについてコンピュータシミュレーションを行った。供給ガス組成を表3に示し、床装填量を表4に示す。表5に見ることができるように、低圧CO2流は、塔頂流中のCO2の99.6%及び水素のわずか6.7%を含有する。低圧CO2流はまた、COの25%、CH4の30%超、及び窒素の15%を含む。第3のガス流は、COの75%、CH4の65%超、及び窒素の85%と共に、塔頂流中の水素の93%超及びCO2の0.4%を含有する。
【0105】
【0106】
【0107】
【0108】
表6は、第2のPSAユニットのための5つの均圧化ステップを有する8床サイクルを示し、表7は、表6の8床PSAサイクルの詳細な説明を示す。
【0109】
これらのサイクルは、表8~10に示される第2の2生成物PSAユニット210(
図3)の結果を提供するためにコンピュータシミュレーションにおいて使用された。
【0110】
【0111】
【表7】
*x=サブサイクル時間(30~150秒の範囲)
【0112】
表6~7に示すサイクルを使用して、第2のPSAユニットについてコンピュータシミュレーションを行った。供給ガス組成を表8に示し、床装填量を表9に示す。表10に示すように、高圧水素流は、第2のPSAユニットへの供給流中の水素の90%、窒素の3%を含有し、CO、CO2又はCH4のいずれも含有しない。低圧の第2のガス流(排ガス流)は、第2のPSAユニットへの供給流中の水素の残り10%、窒素の97%、並びにすべてのCO2、CO、及びCH4を含有する。
【0113】
【0114】
【0115】
【0116】
実施例2-3生成物PSAユニットを含むPSAシステム
表11~15は、3生成物PSAユニットを含むPSAシステムについての実験結果を示す。
【0117】
表11は、3つの均圧化ステップを有する10床サイクルを示す。表12は、表11の10床PSAサイクルの詳細な説明を示す。
【0118】
これらのサイクルを、表13~15に示す3生成物PSAユニット185(
図1)の実験的パイロットプラント試験で使用した。
【0119】
【0120】
【表12】
*x=サブサイクル時間(30~120秒の範囲)
【0121】
供給ガス組成を表13に示し、床装填量を表14に示す。表15に示すように、高圧水素流は、流入する塔頂流中の水素の82.5%を含有し、CO2、CO、CH4、又は窒素のいずれも含有しない。低圧CO2流は、すべてのCO2、水素の8.8%、COの30.8%、CH4の49.8%、及び窒素の11.4%を含有する。中圧ベントガス流は、水素の8.7%、COの69.2%、CH4の50.2%、窒素の88.6%を含有し、CO2を含有しない。
【0122】
【0123】
【0124】
【0125】
本明細書で使用する場合、「流れ」という用語は、様々な炭化水素分子及び他の物質を含むことができる。
【0126】
本明細書で使用する場合、「流れ」、「供給物」、「生成物」、「部分」又は「一部」という用語は、直鎖及び分岐アルカン、ナフタレン、アルケン、アルカジエン、及びアルキンなどの様々な炭化水素分子、並びに任意選択で他の物質、例えばガス、例えば水素、又は不純物、例えば重金属、並びに硫黄及び窒素化合物を含むことができる。上記の各々は、芳香族及び非芳香族炭化水素も含み得る。
【0127】
本明細書で使用する場合、「塔頂流」という用語は、カラムなどの容器の頂部又はその付近で取り出された流れを意味してもよい。
【0128】
本明細書で使用する場合、「底部流」という用語は、カラムなどの容器の底部又はその付近で取り出された流れを意味してもよい。
【0129】
本明細書で使用する場合、「ユニット」という用語は、1つ以上の設備機器及び/又は1つ以上のサブゾーンを含む領域を指してもよい。設備機器としては、1つ以上の反応器又は反応容器、分離容器、蒸留塔、加熱器、交換器、パイプ、ポンプ、圧縮機、及びコントローラを挙げることができるが、これらに限定されない。加えて、反応器、乾燥機、又は容器などの設備機器は、1つ以上のゾーン又はサブゾーンを更に含むことができる。
【0130】
用語「カラム」は、異なる揮発性の1つ以上の成分を分離するための1つ又は複数の蒸留カラムを意味する。別途記載のない限り、各カラムは、カラムの頂部に戻る塔頂流の一部を凝縮かつ還流させるためにカラムの塔頂に凝縮器と、底部流の一部を、気化させ、カラムの底部へと返送するためにカラムの底部にリボイラーと、を含む。カラムへの供給物は、予熱され得る。頂部又はオーバーヘッドの圧力は、カラムの蒸気出口におけるオーバーヘッド蒸気の圧力である。底部温度は、液体底部出口温度である。正味の塔頂ライン及び正味の底部ラインは、特に示されない限り、カラムへの任意の還流又は再沸騰の下流のカラムからの正味のラインを指す。ストリッピングカラムは、カラムの底部のリボイラーを省略し、代わりに加熱要件及び水蒸気などの流動化不活性媒体からの分離推進力を提供することができる。再沸騰された吸収カラムは、カラム頂部の凝縮器を省略することができる。
【0131】
図示されるように、図中のプロセスフローラインは、例えば、ライン、パイプ、供給物、ガス、生成物、排出物、部分、一部、又は流れとして交換可能に参照されてもよい。
【0132】
「通過する」という用語は、材料が導管又は容器から対象物へと通過することを意味する。
【0133】
「水素富化」及び「水素に富む流れ」という用語は、生成物流の水素含有量/濃度が入口ガス流よりも高いことを意味する。例えば、いくつかの実施形態では、生成物流は、40mol%超、又は50mol%超、又は60mol%超、又は70mol%超、又は80mol%超、又は90mol%超、又は95mol%超、又は98mol%超、又は99mol%超、又は99.9mol%超の水素を含有し得る。
【0134】
「CO2富化」及び「CO2に富む流れ」という用語は、生成物流のCO2含有量/濃度が入口ガス流よりも高いことを意味する。例えば、いくつかの実施形態では、生成物流は、40mol%超、又は50mol%超、又は60mol%超、又は70mol%超、又は80mol%超、又は90mol%超、又は95mol%超、又は98mol%超、又は99mol%超、又は99.9mol%超のCO2を含有し得る。
【0135】
特定の実施形態
以下を特定の実施形態と併せて説明するが、本明細書は、前述の説明及び添付の特許請求の範囲の範囲を例解するものであり、限定することを意図するものではないことが理解されよう。
【0136】
本発明の第1の実施形態は、水素富化生成物を製造し、CO2を回収する方法であって、水素製造プロセスユニットにおいて炭化水素又は炭素質原料を含む供給流を処理して、水素、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種を含む合成ガス混合物を生成するステップ、水素圧力スイング吸着(PSA)ユニットにおいて、水素製造プロセスユニットからの合成ガスを含む流出物流を、水素に富む第1の高圧水素流と、水素の一部、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種を含む水素枯渇排ガス流とに分離するステップ、水素枯渇排ガス流を圧縮機内で圧縮して、圧縮された排ガス流を形成するステップ、圧縮された排ガス流を、CO2回収システムにおいて、CO2富化生成物流と、水素の一部、二酸化炭素の一部、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種を含む塔頂流とに分離するステップ、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムにおいて、CO2回収システムからの塔頂流を、少なくとも水素に富む第2の高圧水素流と、二酸化炭素に富む低圧CO2流とに分離するステップ、第2の高圧水素流を回収するステップ、及び任意選択で、低圧CO2流を圧縮機に再循環させるステップを含む方法である。本発明の一実施形態は、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムが3生成物PSAユニットを含み、CO2回収システムから塔頂流を分離するステップが、3生成物PSAサイクルを有する3生成物PSAユニットに塔頂流を導入すること、3生成物PSAサイクルにおける高圧並流吸着ステップ中に第2の高圧水素流を除去することであって、第2の高圧流が二酸化炭素、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを実質的に含まない、除去すること、3生成物PSAサイクルにおける並流減圧ステップ中に第2のガス流を除去することであって、第2のガス流が、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種を含む、除去すること、3生成物PSAサイクルにおける向流減圧ステップ及び向流パージステップのうちの少なくとも1つの間に低圧CO2流を除去すること、第2の高圧水素流を除去すること、及び任意選択で低圧CO2流を圧縮機に再循環させることを含む、本段落の第1の実施形態までの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか又はすべてである。本発明の一実施形態は、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムが、高圧並流吸着及び水素除去ステップ、高圧並流吸着ステップ及び水素除去ステップに続く少なくとも1つの並流減圧ステップ、少なくとも1つの並流減圧ステップに続く並流減圧及び第2のガス除去ステップ、中圧並流減圧及び第2のガス除去ステップに続く向流ブローダウンステップ及びCO2除去ステップ、向流ブローダウンステップに続く向流パージ及びCO2除去ステップ、向流パージ及びCO2除去ステップに続く少なくとも1つの向流再加圧ステップ、及び任意選択で少なくとも1つの向流再加圧ステップに続く並流供給物再加圧ステップ、又は少なくとも1つの向流再加圧ステップに続く向流生成物再加圧を含む3生成物PSAサイクルを有する3生成物PSAユニットを含む、本段落の第1の実施形態までの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の一実施形態は、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムが第2のPSAユニットを含み、CO2回収システムから塔頂流を分離するステップが、塔頂流を第2のPSAユニットに導入し、塔頂流を低圧CO2流と第2の高圧水素流とに分離することであって、第2の高圧水素流が、水素の75%超、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種の一部を含む、分離すること、並びに任意選択で低圧CO2流を圧縮機に再循環させることを含む、本段落の第1の実施形態までの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか又はすべてである。本発明の一実施形態は、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムが第3のPSAユニットを更に含み、方法が、第3のPSAユニット内の第2の高圧水素流を第3の高圧水素流と第2のガス流とに分離するステップであって、第3の高圧水素流が二酸化炭素、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを実質的に含まず、第2のガス流が塔頂流中のメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種を含むステップ、並びに第3の高圧水素流を回収するステップを更に含む、本段落の第1の実施形態までの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の一実施形態は、CO2回収システムが冷凍CO2分留プロセスを含み、冷凍冷却が、少なくとも2つの冷凍回路であって、冷凍回路のうちの1つが、CO2回収システム内の蒸留カラムから回収されたCO2富化生成物流の一部を利用する少なくとも2つの冷凍回路、又は単一閉ループ多成分混合冷媒回路によって提供される、本段落の第1の実施形態までの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の一実施形態は、第2のガス流中のメタン、一酸化炭素、及び任意の水素を、触媒酸化ユニットにおいて酸素で酸化して水、CO2及び熱を生成するステップ、並びにCO2を触媒酸化ユニットから圧縮機に再循環させるステップを更に含む、本段落の第1の実施形態までの本段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の一実施形態は、圧縮機、CO2回収システム、及び少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムを選択的にバイパスするステップ、並びに水素PSAユニットからの水素枯渇排ガス流を水素製造プロセスユニット内の燃焼ユニットに送るステップを更に含む、本段落の第1の実施形態までの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の一実施形態は、水素製造プロセスが水性ガスシフト(WGS)流出物流を生成するWGSユニットを含み、水素製造プロセスユニットからの流出物流がWGS流出物流を含み、WGS流出物流をプロセス流と熱交換して、冷却された流出物水蒸気及び予熱されたプロセス流を形成するステップ、並びに冷却された流出物流から廃熱を回収して、リン酸の可逆的オリゴマー化反応を含むプロセスを使用して水蒸気を発生させるステップを更に含む、本段落の第1の実施形態までの本段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の一実施形態は、第2の高圧水素流が1,000kPa~6,000kPaの範囲の圧力を有する、本段落の第1の実施形態までの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の一実施形態は、低圧CO2流が100kPa~250kPaの範囲の圧力を有する、本段落の第1の実施形態までの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の一実施形態は、第2のガス流が100kPa~450kPaの範囲の圧力を有する、本段落の第一の実施形態までの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の一実施形態は、第2のガス流の少なくとも一部を水素製造プロセスユニットに再循環させるステップ、第2のガス流の少なくとも一部を水性ガスシフトプロセスユニットに再循環させるステップ、及び第2のガス流の少なくとも一部を燃焼ユニットに送るステップのうちの少なくとも1つを更に含む、本段落の第1の実施形態までの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の一実施形態は、圧縮された排ガス流を乾燥機内で乾燥させて水を除去するステップ、乾燥排ガス流をチラー内で冷却してチルド排ガス流を形成し、その後排ガス流を分離するステップを更に含み、圧縮された排ガス流を分離することが、チルド排ガス流を分離することを含む、本段落の第1の実施形態までの本段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の一実施形態は、乾燥排ガス流が-20℃~-50℃の温度に冷却される、本段落の第1の実施形態までの本段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の一実施形態は、水素製造プロセスユニットが、任意選択のガス加熱改質器を有する新規又は既存の水蒸気改質ユニット、任意選択のガス加熱改質器を有する自己熱改質ユニット、部分酸化ユニット、又はガス化ユニットを含む、本段落の第1の実施形態までの本段落の先行する実施形態のうちの1つ、いずれか、又はすべてである。
【0137】
本発明の第2の実施形態は、水素富化生成物を製造し、CO2を回収する方法であって、水素製造プロセスユニットにおいて炭化水素又は炭素質原料を含む供給流を処理して、水素、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種を含む合成ガス混合物を生成するステップ、水素圧力スイング吸着(PSA)ユニットにおいて、水素製造プロセスユニットからの合成ガス混合物を含む流出物流を、水素に富む第1の高圧水素流と、水素の一部、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種を含む水素枯渇排ガス流とに分離するステップ、水素枯渇排ガス流を圧縮機内で圧縮して圧縮された排ガス流を形成するステップ、圧縮された排ガス流を乾燥機内で乾燥させて水を除去するステップ、乾燥排ガス流をチラー内で-20℃~-50℃の温度に冷却してチルド排ガス流を形成するステップ、CO2回収システムにおいて、チルド排ガス流をCO2富化生成物流と、水素の一部、二酸化炭素の一部、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種を含む塔頂流とに分離するステップ、少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステムにおいて、CO2回収システムからの塔頂流を、少なくとも水素に富む第2の高圧水素流と二酸化炭素に富む低圧CO2流とに分離するステップ、第2の高圧水素流を回収するステップ、及び低圧CO2流を圧縮機に再循環させるステップを含む方法である。
【0138】
本発明の第3の実施形態は、水素富化生成物を製造し、CO2を回収するための装置であって、少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を有する水素製造プロセスユニット、入口、水素出口、及び排ガス出口を有する水素PSAユニットであり、水素PSAユニットの入口が水素製造プロセスユニットの出口と流体連通している水素PSAユニット、入口及び出口を有する圧縮機であり、圧縮機の入口が水素PSA排ガス出口と流体連通している圧縮機、入口及び少なくとも1つの出口を有する乾燥機であり、乾燥機の入口が圧縮機の出口と流体連通している乾燥機、ガス入口、ガス出口、チリング流体入口、及びチリング流体出口を有するチラーであり、チラーのガス入口が乾燥機の出口と流体連通し、チラーの流体入口がチリング流体源と流体連通しているチラー、入口、第1の出口、及び塔頂出口を有するCO2回収システムであり、CO2回収システムの入口がチラーのガス出口と流体連通しているCO2回収システム、並びに少なくとも入口、高圧水素出口、及び低圧CO2出口を有するPSAシステムであり、PSAシステムの入口がCO2回収システムの塔頂出口と流体連通し、低圧CO2出口が圧縮機の入口と流体連通しているPSAシステムを含む装置である。本発明の一実施形態は、PSAシステムが水素製造プロセスユニット内の燃焼ユニットと流体連通している第2のガス出口を更に含むか、又はPSAシステムの第2のガス出口が、触媒酸化ユニットの入口と流体連通し、触媒酸化ユニットの出口が圧縮機の入口と流体連通している、本段落の第3の実施形態までの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又はすべてである。本発明の一実施形態は、PSAシステムが、入口並びに第1及び第2の出口を有する第1のPSAユニットと、入口並びに第1及び第2の出口を有する第2のPSAユニットとを含み、第1のPSAユニットの入口がPSAシステムの入口を含み、第1のPSAユニットの第1の出口が低圧CO2出口を含み、第2のPSAユニットの入口が第1のPSAユニットの第2の出口と流体連通し、第2のPSAユニットの第1の出口が高圧水素出口を含み、第2のPSAユニットの第2の出口が第2のガス出口を含む、本段落の第3の実施形態までの本段落の先行する実施形態の1つ、いずれか、又はすべてである。
【0139】
更に詳述することなく、前述の説明を使用して、当業者が、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく本発明を最大限まで利用し、かつ本発明の本質的な特性を容易に確認することができ、本発明の様々な変更及び修正を行い、様々な使用及び条件に適合させることができると考えられる。したがって、先行する好ましい特定の実施形態は、単なる例示として解釈されるべきであり、いかなるようにも本開示の残りを限定するものではなく、添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれる様々な修正及び同等の構成を網羅することを意図するものである。
【0140】
上記では、すべての温度は摂氏度で記載され、すべての部及び百分率は、別途記載のない限り、重量基準である。
【手続補正書】
【提出日】2023-11-16
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水素富化生成物を製造し、CO
2を回収する方法であって、
水素製造プロセスユニット(120)において炭化水素又は炭素質原料を含む供給流(105)を処理して、水素、二酸化炭素、水、並びにメタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンのうちの少なくとも1種を含む合成ガス混合物を生成するステップ、
水素圧力スイング吸着(PSA)ユニット(140)において、前記水素製造プロセスユニットからの前記合成ガスを含む流出物流(125)を、水素に富む第1の高圧水素流(145)と、前記水素の一部、前記二酸化炭素、前記水、並びに前記メタン、前記一酸化炭素、前記窒素、及び前記アルゴンのうちの前記少なくとも1種を含む水素枯渇排ガス流(150)とに分離するステップ、
前記水素枯渇排ガス流(150)を圧縮機(155)内で圧縮して、圧縮された排ガス流(160)を形成するステップ、
CO
2回収システム(165)において、前記圧縮された排ガス流(165)を、精製された液体CO
2生成物を含むCO
2富化流(170)と、前記水素の一部、前記二酸化炭素の一部、並びに前記メタン、前記一酸化炭素、前記窒素、及び前記アルゴンのうちの前記少なくとも1種を含む塔頂流(175)とに分離するステップ、
少なくとも2つの生成物流を生成するPSAシステム(180)において、前記CO
2回収システムからの前記塔頂流(175)を、少なくとも水素に富む第2の高圧水素流(190)と二酸化炭素に富む低圧CO
2流(195)とに分離するステップ、
前記第2の高圧水素流(190)を回収するステップ、及び
任意選択で前記低圧CO
2流(195)を前記圧縮機(155)に再循環させるステップ
を含む、方法。
【請求項2】
少なくとも2つの生成物流を生成する前記PSAシステムが3生成物PSAユニット(185)を含み、前記CO
2回収システムから前記塔頂流(175)を分離するステップが、
前記塔頂流(175)を3生成物PSAサイクルを有する前記3生成物PSAユニット(185)に導入すること、
前記3生成物PSAサイクルにおける高圧並流吸着ステップ中に前記第2の高圧水素流(190)を除去することであって、前記第2の高圧流(190)が、二酸化炭素、メタン、一酸化炭素、窒素、及びアルゴンを実質的に含まない、除去すること、
前記3生成物PSAサイクルにおける並流減圧ステップ中に第2のガス流(200)を除去することであって、前記第2のガス流(200)が、前記メタン、前記一酸化炭素、前記窒素、及び前記アルゴンのうちの前記少なくとも1種を含む、除去すること、
前記3生成物PSAサイクルにおける向流減圧ステップ及び向流パージステップのうちの少なくとも1つの間に前記低圧CO
2流(195)を除去すること、
前記第2の高圧水素流(190)を回収すること、及び
任意選択で前記低圧CO
2流(195)を前記圧縮機(155)に再循環させること
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
水素富化生成物を製造し、CO
2を回収するための装置であって、
少なくとも1つの入口及び少なくとも1つの出口を有する水素製造プロセスユニット(120)、
入口、水素出口、及び排ガス出口を有する水素PSAユニット(140)であり、前記水素PSAユニットの入口が前記水素製造プロセスユニットの出口と流体連通している、水素PSAユニット(140)、
入口及び出口を有する圧縮機(155)であり、前記圧縮機の入口が前記水素PSA排ガス出口と流体連通している、圧縮機、
入口及び少なくとも1つの出口を有する乾燥機であり、前記乾燥機の入口が前記圧縮機の出口と流体連通している、乾燥機、
ガス入口、ガス出口、チリング流体入口、及びチリング流体出口を有するチラーであって、前記チラーのガス入口が前記乾燥機の出口と流体連通し、前記チラーの流体入口がチリング流体源と流体連通している、チラー、
入口、第1の出口、及び塔頂出口を有するCO
2回収システム(165)であり、前記CO
2回収システムの入口が前記チラーのガス出口と流体連通している、CO
2回収システム(165)、及び
少なくとも入口、高圧水素出口、及び低圧CO
2出口を有するPSAシステム(180)であり、前記PSAシステムの入口が前記CO
2回収システムの塔頂出口と流体連通し、前記低圧CO
2出口が前記圧縮機の入口と流体連通する、PSAシステム(180)
を含む、装置。
【国際調査報告】