(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】表面上にウェットコーティングを施工するための装置およびその方法
(51)【国際特許分類】
B05C 5/00 20060101AFI20240403BHJP
E04F 21/16 20060101ALI20240403BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20240403BHJP
B05D 1/28 20060101ALI20240403BHJP
B05C 11/10 20060101ALI20240403BHJP
E04F 21/08 20060101ALN20240403BHJP
E04G 21/16 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
B05C5/00 101
E04F21/16 Z
E04F21/16 Q
B05D3/00 D
B05D1/28
B05C11/10
E04F21/08 Z
E04G21/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560134
(86)(22)【出願日】2022-03-25
(85)【翻訳文提出日】2023-11-09
(86)【国際出願番号】 GB2022050751
(87)【国際公開番号】W WO2022208057
(87)【国際公開日】2022-10-06
(32)【優先日】2021-03-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】515324279
【氏名又は名称】キュー-ボット リミテッド
【氏名又は名称原語表記】Q-BOT LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100170597
【氏名又は名称】松村 直樹
(72)【発明者】
【氏名】エロディー ソーラー
(72)【発明者】
【氏名】マシュー ホロウェイ
(72)【発明者】
【氏名】クリス ハンブリン
(72)【発明者】
【氏名】ジョシュア キフ
(72)【発明者】
【氏名】トム ジョリー
(72)【発明者】
【氏名】アシュリー ネイピア
(72)【発明者】
【氏名】シュブハム ワー
【テーマコード(参考)】
2E174
4D075
4F041
4F042
【Fターム(参考)】
2E174DA14
2E174DA17
2E174DA52
4D075AC47
4D075AC48
4D075AC49
4D075AC57
4D075AC88
4D075AC93
4D075AC99
4D075DC01
4D075DC05
4D075EA05
4F041AA08
4F041AB01
4F041BA04
4F041BA05
4F041BA12
4F041BA22
4F041BA38
4F042AA16
4F042AB00
4F042BA08
4F042BA21
4F042BA25
4F042CB02
4F042CC02
4F042CC09
4F042DH09
4F042ED02
4F042ED13
(57)【要約】
表面に塗布されるレンダリング材料等のウェットコーティングを施工するための装置であって、装置は、ウェットコーティングが塗布された表面にわたってアームを移動させるように構成されたアクチュエータと、ツールパスに沿って表面にわたってアームを移動させるように構成されたコントローラと、アームに取り付けられたツールヘッドであって、適合モジュールおよび適合モジュールに取り付けられたツールを含み、それにより、ツールがアームに対して表面に向かうストローク方向に移動可能であるツールヘッドと、を備える。適合モジュールは、ツールをストローク方向に付勢することで、ツールとウェットコーティングとの間の接触を維持し、それにより、アームが表面にわたって移動するとツールがウェットコーティングを施工するように配置された付勢モジュールを備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面に塗布されるレンダリング材料等のウェットコーティングを施工するための装置であって、
ウェットコーティングが塗布された表面にわたってアームを移動させるように構成されたアクチュエータと、
ツールパスに沿って前記表面にわたって前記アームを移動させるように構成されたコントローラと、
前記アームに取り付けられたツールヘッドであって、適合モジュールおよび前記適合モジュールに取り付けられたツールを含み、それにより、前記ツールが前記アームに対して前記表面に向かうストローク方向に移動可能である、前記ツールヘッドと、
を備え、前記適合モジュールは、前記ツールを前記ストローク方向に付勢することで、前記ウェットコーティングとの接触を維持して、前記アームが前記表面にわたって移動すると前記ウェットコーティングを施工するように配置された付勢モジュールを備える、装置。
【請求項2】
前記装置は、前記ストローク方向における前記アームと前記ウェットコーティングとの間の距離に応じて変化するパラメータを検出するように構成されたセンサを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記センサは、前記ストローク方向における前記ツールヘッドに対する前記ツールの変位を測定するように構成されている、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記センサは、前記表面にわたって前記アームを移動させる際に、前記アクチュエータによって印加される力を検出するように構成されている、請求項2または請求項3に記載の装置。
【請求項5】
前記コントローラは、前記アームが前記表面にわたって移動する際に、前記検出されたパラメータに基づいて、前記ツールパスを調整するように構成されている、請求項2~4のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記装置は、前記アームを前記表面に向けて、または前記表面から遠ざけるように移動させるように構成された第2のアクチュエータを備え、前記コントローラは、前記検出されたパラメータに基づいて、前記第2のアクチュエータを制御するように構成されている、請求項2~5のいずれか一項に記載の装置。
【請求項7】
前記ツールヘッドは、前記適合モジュールを前記ストローク方向に移動させるように構成されたツールアクチュエータを備え、前記コントローラは、前記検出されたパラメータに基づいて、前記ツールアクチュエータを制御するように構成されている、請求項2~6のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記コントローラは、前記検出されたパラメータに基づいて、前記ツールと前記ウェットコーティングとの間に所定の力を維持しながら、前記表面にわたって前記ツールを移動させるように構成されている、請求項2~7のいずれか一項に記載の装置。
【請求項9】
前記ツールがスクレーパまたは鏝を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記コントローラは、前記アームが前記表面にわたって移動する際に、前記ツールを前記表面に対して実質的に垂直な方位に配置するように構成されている、請求項1~9のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記適合モジュールおよびツールを前記ストローク方向に垂直な第1の軸を中心に前記アームに対して回転させるように構成された回転アクチュエータを更に備える、請求項1~10のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
前記適合モジュールおよびツールを前記ストローク方向に平行な第2の軸を中心に前記アームに対して回転させるように構成された第2の回転アクチュエータを更に備える、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
表面上にレンダリング材料等のウェットコーティングを施工する方法であって、
ウェットコーティングが塗布された表面に隣接して、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置を配置することと、
前記ツールと前記ウェットコーティングとの間の接触を維持しながら、ツールパスに沿って前記表面にわたって前記ツールヘッドを移動させて、前記ウェットコーティングを施工することと、
を含む、方法。
【請求項14】
前記ストローク方向における前記ツールヘッドと前記ウェットコーティングとの間の距離に応じて変化するパラメータを検出することを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記検出されたパラメータが前記適合モジュールに対する前記ツールの変位である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記検出されたパラメータが前記アームを移動させる前記アクチュエータの電力電流である、請求項14または請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記検出されたパラメータに基づいて、前記ツールパスを調整することを含む、請求項14~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記検出されたパラメータに基づいて、前記ツールを前記ストローク方向に前記ウェットコーティングに対して移動させることを含む、請求項14~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記ツールを前記ストローク方向に移動させることに、前記アームを移動させることを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記ツールを前記ストローク方向に移動させることに、前記ツールを前記ツールヘッドに対して移動させることを含む、請求項18または請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記ツールと前記ウェットコーティングとの間に所定の力を維持することを含む、請求項14~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記表面を走査することと、前記走査プロセスからの走査データに基づいて、前記ツールパスを生成することと、を含む、請求項13~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
表面上にレンダリング材料等のウェットコーティングを施工する方法であって、
前記表面を走査して、前記表面のおおよその位置を示す走査データを生成することと、
ウェットコーティングが塗布された前記表面に隣接して、請求項1~12のいずれか一項に記載の装置を配置することと、
前記走査データに基づいて、前記装置のツールパスを生成することと、
装置を操作して前記ツールを移動させ、前記表面上に前記ウェットコーティングを施工することと、
を含み、前記装置の動作中、前記ツールが前記アームに対して移動して、前記表面および/またはウェットコーティングの位置の変化に適応する、方法。
【請求項24】
前記ストローク方向における前記ツールヘッドと前記ウェットコーティングとの間の距離に応じて変化するパラメータを検出することを含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記検出されたパラメータに基づいて、前記ツールを移動させることを含む、請求項24に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、表面上にレンダリング材料等のウェットコーティングを施工するための装置、および表面上にウェットコーティングを施工する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
建築工事は、所望の基準に合わせて完成させるには、個々の建築業者の側に相当な時間および専門知識を必要とする、多くの手作業プロセスを伴うことが多い。例えば、建物をレンダリングする建築業者は、レンダリングが正確に適用されていることを確実とするのに、レンダリング層を適切な圧力で壁に適用し、押し付ける際に、視覚的フィードバックと触覚フィードバックとの両方に依存する。レンダリングの適用が適切でないと、塊、ひび割れ、または跡が形成される結果となり得、これは、建物に適用される材料の審美的性能と技術的性能との両方に影響を与える可能性がある。レンダリング材料および絶縁材は、建物に適用されるウェット材料の2つの例に過ぎない。ウェットコーティングを適用する際に考慮すべき変数がより少ないオフサイト環境でさえも、壁や床等のプレハブ建築の表面を準備するステップの少なくとも一部に、またはレンガのスリップを適用してファサードを仕上げるのに、依然として手作業のプロセスが必要である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
例えば、LIDARまたは深度カメラからのセンサデータを使用して建物を走査し、レンダリングを適用するロボットを自動化するために使用可能な表面マップを生成することにより、これらのプロセスを自動化することは可能である。このようなセンサの精度は、通常、+/-5mm~+/-25mmである。しかしながら、実質的に平坦な壁を有する建物では、通常、そのようなセンサの精度よりも大きな表面変動が生じる。例えば、幅6メートルの壁において+/-1%の変動があると、その幅全体で+/-6cmの変動が生じる結果となり、作業面が不均一になる。表面マップの誤差と建物自体の変動とが合わさることにより、既存の自動装置を使用して建物に適用されるウェット層は、結果的に不均一となる。これは、建物の美観と性能との両方に悪影響を及ぼし、例えば、壁の熱特性、構造的完全性、または耐候性に影響を与える。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様によると、本発明は、表面に塗布されるレンダリング材料等のウェットコーティングを施工するための装置を提供し、装置は、
ウェットコーティングが塗布された表面にわたってアームを移動させるように構成されたアクチュエータと、
ツールパスに沿って表面にわたってアームを移動させるように構成されたコントローラと、
アームに取り付けられたツールヘッドであって、適合モジュールおよび適合モジュールに取り付けられたツールを含み、それにより、ツールがアームに対して表面に向かうストローク方向に移動可能であるツールヘッドと、
を備え、適合モジュールは、ツールをストローク方向に付勢することで、ウェットコーティングとの接触を維持して、アームが表面にわたって移動するとウェットコーティングを施工するように配置された付勢モジュールを備える。
【0005】
装置は、表面コーティング装置、例えば、レンダリング装置であってもよい。
【0006】
従って、本発明は、建物の周囲に容易に配置することができ、ウェットコーティングに対してツールが移動することにより、制御ルーチン、ウェットコーティング、および表面における変動に関わらず、ツールがウェットコーティングとの接触を維持し続けることを保証しながら、建物の表面上でツールヘッドを操作可能な装置を提供する。
【0007】
ストローク方向は、表面に対して垂直であってもよく、または表面に対して角度をなしていてもよい。ストローク方向は、表面とツールとの間の反力と平行であってもよい。例えば、反力は、ツールが移動する際の、表面に垂直な力と、ツールと表面との間の摩擦力との合力ベクトルであってもよい。
【0008】
実施例において、装置は、ストローク方向におけるアームとウェットコーティングとの間の距離に応じて変化するパラメータを検出するように構成されたセンサを備えることができる。検出されるパラメータは、以下に説明するように、アクチュエータの力、位置、変位、または電力電流であり得る。
【0009】
例えば、センサは、ストローク方向におけるツールヘッドに対するツールの変位を測定するように構成することができる。センサは、ツールヘッドに対するツールの位置を測定するように構成された変位センサであってもよい。他の実施例において、センサは、付勢モジュールによってツールに印加される付勢力を検出するように構成された力センサ、例えば、ロードセルであってもよい。
【0010】
実施例において、代替的または付加的に、センサは、表面にわたってアームを移動させる際にアクチュエータによって印加される力を検出するように構成することができる。例えば、センサは、アクチュエータの電力電流を検出するように構成することができる。アクチュエータの電力電流は、ツールとウェットコーティングとの間の相互作用の程度に応じて増減することができ、それ故、アクチュエータの電力電流は、ウェットコーティングに対するツールの位置を示す。即ち、ツールが表面に近付くと、アームが移動する際により多くのウェットコーティングを移動させ、アームを動かすアクチュエータの電力電流がより大きくなる。
【0011】
いくつかの実施例において、ツールヘッドは、ウェットコーティングと接触したツールを回転させるように構成されたモータを備えることができる。このような実施例において、センサは、モータの電力電流および/またはモータによって印加されるトルクを測定するように構成されたトルクセンサを備えることができる。より高い電力電流またはトルクは、ウェットコーティングとツールとの間の接触力がより大きいことを示し得る。
【0012】
実施例において、付勢モジュールは、バネを含む。バネは、ツールをストローク方向に、即ち、表面に向けて付勢するように配置されている。バネは、圧縮バネであってもよい。付勢モジュールは、付加的に、ダンパーを備えてもよい。
【0013】
実施例において、コントローラは、アームが表面にわたって移動する際に、検出されたパラメータに基づいてツールパスを調整するように構成することができる。例えば、検出されたパラメータが、ツールが特定の領域において高い抵抗に遭遇していることを示している場合、その領域を回避するようにツールパスを構成することができる。
【0014】
実施例において、装置は、アームを表面に向けて、または表面から遠ざけるように移動させるように構成された第2のアクチュエータを更に備えることができる。コントローラは、検出されたパラメータに基づいて、第2のアクチュエータを制御するように構成することができる。即ち、コントローラは、検出されたパラメータに基づいて、第2のアクチュエータによって、ツールを表面により近付ける、または表面からより遠ざけるよう移動させるように構成することができる。これにより、装置が対処可能な変動量を増加させるという利点があり、なぜなら、センサによって表面により大きな変動が検出される可能性があり、それに応じてツールヘッドの位置を調整することができるからである。
【0015】
実施例において、ツールヘッドは、適合モジュールをストローク方向に移動させるように構成されたツールアクチュエータを備えることができる。適合モジュールを移動させると、ツールもストローク方向に移動する。コントローラは、検出されたパラメータに基づいて、ツールアクチュエータを制御するように構成することができる。即ち、コントローラは、検出されたパラメータに基づいて、ツールアクチュエータによってツールを表面により近付ける、または表面からより遠ざけるよう移動させるように構成することができる。これにより、装置が対処可能な変動量を増加させるという利点があり、なぜなら、センサによって表面により大きな変動が検出される可能性があり、それに応じてツールヘッドの位置を調整することができるからである。
【0016】
実施例において、付勢モジュールは、調整可能な剛性を有する。剛性は、手動で調整可能である。異なるウェットコーティング材料および/または異なる所望の仕上げに対して異なる剛性を提供することができる。より高い剛性は、ウェットコーティングのより滑らかな仕上がりに対応し得る。
【0017】
実施例において、調整可能な剛性付勢モジュールは、剛性を制御するアクチュエータを有し、コントローラは、検出されたパラメータに基づいて、付勢モジュールの剛性を調整するように構成することができる。
【0018】
実施例において、コントローラは、検出されたパラメータに基づいて、ツールとウェットコーティングとの間に所定の力を維持しながら、表面にわたってツールを移動させるように構成することができる。所定の力は、ある範囲の力であり得る。
【0019】
実施例において、ツールは、スクレーパまたは鏝を含んでもよい。実施例において、ツールは、変更可能である。適合モジュールは、ツールを適合モジュールに接続するためのコネクタを備えることができる。ツールは、コネクタから取り外せなくてもよい。複数の異なるツールをコネクタに接続可能であってもよい。
【0020】
実施例において、コントローラは、アームが表面にわたって移動するときに、表面に対して実質的に垂直な方位にツールを配置するように構成される。
【0021】
実施例において、装置は、ストローク方向に垂直な第1の軸を中心にアームに対して適合モジュールおよびツールを回転させるように構成された回転アクチュエータを更に備えることができる。更なる実施例において、装置は、ストローク方向に平行な第2の軸を中心にアームに対して適合モジュールおよびツールを回転させるように構成された第2の回転アクチュエータを備えることができる。これにより、有利に、装置を非平面の、弓形の、または不規則な表面輪郭(例えば、出窓、角部、または表面内の開口部の周囲)で使用することが可能となる。
【0022】
更なる態様から見ると、本発明は、表面上にレンダリング材料等のウェットコーティングを施工する方法を提供し、この方法は、
上述した装置をウェットコーティングが塗布された表面に隣接して配置することと、
ツールとウェットコーティングとの間の接触を維持しながら、ツールパスに沿って表面にわたってツールヘッドを移動させて、ウェットコーティングを施工することと、
を含む。
【0023】
実施例において、方法は、ストローク方向におけるツールヘッドとウェットコーティングとの間の距離に応じて変化するパラメータを検出することを含んでもよい。検出されるパラメータは、以下に説明するように、アクチュエータの力、位置、変位、または電力電流であり得る。
【0024】
実施例において、検出されるパラメータは、ストローク方向におけるツールヘッドに対するツールの変位であり得る。検出されるパラメータは、ツールヘッドに対するツールの位置であり得る。他の実施例において、検出されるパラメータは、付勢モジュールによってツールに印加される付勢力であり得る。
【0025】
実施例において、検出されるパラメータは、アームを表面にわたって動かすときにアクチュエータによって印加される力であってもよい。例えば、検出されるパラメータは、アームを動かすアクチュエータの電力電流であってもよい。アクチュエータの電力電流は、ツールとウェットコーティングとの間の相互作用の程度に応じて増減する可能性があるため、アクチュエータの電力電流は、ウェットコーティングに対するツールの位置を示す。即ち、ツールが表面により近付くと、アームが移動する際により多くのウェットコーティングが移動し、アームを動かすアクチュエータの電力電流がより大きくなる。
【0026】
実施例において、ツールヘッドは、ウェットコーティングと接触してツールを回転させるように構成されたモータを備えることができる。このような実施例において、検出されるパラメータは、モータによって印加されるトルクであってもよい。より高い電力電流またはトルクは、ウェットコーティングとツールとの間の接触力がより大きいことを示し得る。
【0027】
いくつかの実施例において、付勢モジュールは、調整可能な剛性を有してもよい。このような実施例において、方法は、ツールヘッドが表面にわたって移動するときに付勢モジュールの剛性を調整することを含んでもよい。
【0028】
実施例において、方法は、アームが表面にわたって移動するときに、検出されたパラメータに基づいて、ツールパスを調整することを含んでもよい。例えば、検出されたパラメータが、ツールが特定の領域において高い抵抗に遭遇していることを示している場合、印加される力を軽減するようにツールパスを構成することができる。
【0029】
実施例において、方法は、検出されたパラメータに基づいて、ウェットコーティングに対してストローク方向にツールを移動させることを含んでもよい。例えば、方法は、アームを移動させること、および/またはツールをツールヘッドに対して移動させることを含んでもよい。
【0030】
実施例において、方法は、ツールとウェットコーティングとの間に所定の力を維持することを含んでもよい。所定の力は、所定範囲の力であってもよい。
【0031】
実施例において、方法は、表面を走査することと、走査プロセスからの走査データに基づいて、ツールパスを生成することとを含んでもよい。走査は、表面へのウェットコーティングの塗布前または塗布後のいずれかに、LiDARスキャナを使用して、表面のポイントクラウドデータを取得することを含んでもよい。ツールパスは、ツールを表面上で(ウェットコーティングと接触して)移動させ、それにより、ツールが表面上の全てまたはほぼ全てのウェットコーティングを施工するように構成することができる。
【0032】
いくつかの実施例において、装置は、走査プロセスからの走査データに基づいて配置することができる。装置は、走査データに基づいて配置することができ、それにより、アームがツールを配置してウェットコーティングを施工することができる。ツールパスは、表面に対する装置の位置だけでなく、表面に対するアームの位置も含むことができる。ツールパスは、表面に対して装置を移動させて、例えば、表面の別の部分のウェットコーティングを施工することを含んでもよい。
【0033】
更なる態様から見ると、本発明は、表面上にレンダリング材料等のウェットコーティングを施工する方法を提供し、この方法は、
表面を走査して、表面のおおよその位置を示す走査データを生成することと、
上述した装置をウェットコーティングが塗布された表面に隣接して配置することと、
走査データに基づいて、装置のツールパスを生成することと、
装置を操作してツールを移動させて、表面上にウェットコーティングを施工することと、を含み、
装置の動作中、ツールはアームに対して移動して、表面および/またはウェットコーティングの位置の変動に適応する。
【0034】
ツールは、適合モジュールによってアームに対して移動する。付勢モジュールは、ツールを表面に向けて付勢することができる。従って、適合モジュールにより、ツールを移動させて、走査データでは検出されなかった表面変動に適応することができる。有利には、走査データを使用して、装置を表面に隣接して配置し、アームがツールを第1の許容範囲内で表面上で移動させる一方で、適合モジュールによりツールをアームに対して移動させて、第1の許容範囲よりも小さい第2の許容範囲内の表面変動に適応することができるように、ツールパスを構成することができる。従って、走査データを使用して、ウェットコーティングの施工を自動化することができる一方、適合モジュールにより、ツールがより小さな表面変動に対応できることが保証される。
【0035】
実施例において、方法は、ストローク方向におけるツールヘッドとウェットコーティングとの間の距離に応じて変化するパラメータを検出することを含む。検出されるパラメータは、以下に説明するように、アクチュエータの力、位置、変位、または電力電流であり得る。
【0036】
実施例において、方法は、検出されたパラメータに基づいてツールを移動させることを含む。ツールは、アームをストローク方向に移動させることによって、および/またはツールをアームに対して移動させることによって移動させることができる。
【0037】
更なる態様から見ると、本発明は、上述したような適合モジュールを提供する。
【0038】
更なる態様から見ると、本発明は、
アームに取り付け可能な本体と、
表面上にウェットコーティングを施工するためのツールを受け入れるように構成されたコネクタと、
コネクタをストローク方向に本体から遠ざけるように付勢し、それにより、ツールがウェットコーティングと接触して表面にわたって移動するときに、ツールが本体に対して移動可能となるように付勢された付勢モジュールと、
を含む適合モジュールを提供する。
【0039】
実施例において、適合モジュールは、ストローク方向における本体とウェットコーティングとの間の距離に応じて変化するパラメータを検出するように構成されたセンサを更に備えることができる。検出されるパラメータは、以下に説明するように、アクチュエータの力、位置、変位、または電力電流であり得る。
【0040】
実施例において、センサは、ストローク方向におけるツールヘッドに対するツールの変位を測定するように構成することができる。センサは、適合モジュールの本体に対するツールの位置を測定するように構成された変位センサであってもよい。他の実施例において、センサは、付勢モジュールによってツールに印加される付勢力を検出するように構成された力センサ、例えばロードセルであってもよい。
【0041】
実施例において、ツールヘッドは、ウェットコーティングと接触したツールを回転させるように構成されたモータを備えることができる。このような実施例において、センサは、モータの電力電流および/またはモータによって印加されるトルクを測定するように構成されたトルクセンサを備えることができる。より高い電力電流またはトルクは、ウェットコーティングとツールとの間の接触力がより大きいことを示し得る。
【0042】
実施例において、付勢モジュールは、バネを備える。バネは、ツールをストローク方向に、即ち、表面に向けて付勢するように構成されている。バネは、圧縮バネであってもよい。付勢モジュールは、付加的に、ダンパーを備えてもよい。
【0043】
実施例において、付勢モジュールは、調整可能な剛性を有する。剛性は、手動で調整可能である。異なるウェットコーティング材料および/または異なる所望の仕上げに対して異なる剛性を提供することができる。より高い剛性は、ウェットコーティングのより滑らかな仕上げに対応し得る。
【0044】
本発明の実施形態を、添付の図面を参照して、以下に更に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【
図4】アームに接続された例示的なツールヘッドを示す図である。
【
図5】アームに接続された例示的なツールヘッドを示す図である。
【
図6】アームに接続された例示的なツールヘッドを示す図である。
【
図7】アームに接続された例示的なツールヘッドを示す図である。
【
図8】表面上にウェットコーティングを施工するための例示的なツールパスの概略図である。
【
図9】オフサイトの場所で基材のウェットコーティングを施工する装置を示す図である。
【
図10】オフサイトの場所で基材のウェットコーティングを施工する装置を示す図である。
【
図11】建物に適用される基材のウェットコーティングを施工する例示的な装置を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図1は、フレーム55、第1のアーム60および第2のアーム65、第1のアクチュエータ70、第2のアクチュエータ75、およびツールヘッド80を備える例示的なガントリ50を示す。第1のアクチュエータ70は、フレーム55に沿って移動するように配置されており、第1のアーム60をフレーム55に対して移動させる。第2のアクチュエータ75は、第1のアーム60に沿って移動し、また第2のアーム65をフレーム55に対して移動させるように配置されている。図示されたガントリ50では、第1のアクチュエータ70は、フレーム55に対して横方向に移動し、第2のアクチュエータ75は、第2のアーム65をフレーム55に対して垂直に、またフレーム55に対して直線軸140に沿って前後に移動させる。第2のアクチュエータ75は、第2のアーム65をフレーム55によって画定される平面において移動させるように配置されているが、しかしながら、これは必須ではないことが明白であろう。第2のアクチュエータ75は、第2のアーム65を2方向に移動させるように構成されているように図示されているが、これは必須ではなく、第2のアーム65を垂直方向および前後方向に移動させるのに別個のアクチュエータを使用可能であることは明白であろう。従って、第1のアクチュエータ70および第2のアクチュエータ75は、ツールヘッド80を建物または同様の基材の表面にわたって移動させることができ、また、表面に向けて、および表面から遠ざかるように垂直方向に移動させることができる。
【0047】
図2に示すように、ツールヘッド80は、2軸回転ヘッド125を使用して第2のアーム65に接続されている。この構成は、3つの軸の線形平行移動によって提供される3自由度に加えて、更に2つの運動軸130A、130Bがツールヘッド80に提供され、従って、ツールヘッド80に5自由度が提供される故に、特に有利である。このような可動範囲により、表面とツールヘッド80に取り付けられたツールとの間にあらゆる所望の角度を維持することが可能である。従って、本装置は、表面34上のウェットコーティング層32に、例えばウェットレンダリングコーティングまたは絶縁材に一定レベルの力を印加しつつ、例えば、非平面あるいは湾曲した表面または表面内の物体、例えば、出窓または角部の周囲等の広範囲の表面輪郭を施工することができる。更なる回転の自由度により、ツールヘッド80は、ツールを表面に対して垂直な方位に維持しながら、表面にわたって移動することができる。これは、手動による設定およびロボットを作業面に確実に位置合わせする必要性をなくすため、特に有利である。回転ヘッド125は、互いに垂直な回転軸130A、130Bを有するように図示されているが、これは必須ではなく、2つの回転軸130A、130Bは、互いに対して並列配置を含む任意の角度で設けられ得ることが明白であろう。
【0048】
ツールヘッド80は、2軸回転ヘッド125に固定されたハウジング85も含む。ツールヘッド80は、適合モジュール105も含むことで、ハウジング85とコネクタヘッド100とを適合させる。適合モジュール105は、ハウジング85に取り付けられた直線状レール90を備える。ツールを受け入れるための端部120を有するコネクタヘッド100は、キャリッジ95を介して直線状レール90に固定されている。コネクタヘッド100を直線状レール90に固定することによって、コネクタ100は、ハウジング85に対して移動可能であり、特定の方向135(本明細書ではストローク方向と称する)に拘束される。例えば、コネクタヘッド100に取り付けられたツールに力が印加されると、これにより、適合モジュール105、特に直線状レール90およびキャリッジ95に起因して、ハウジング95に対するコネクタヘッド100の変位が生じる結果となる。この実施例においてはバネである付勢モジュール180は、ツールを表面32に向けて付勢するように配置されている。これは、表面における表面変動を考慮する便利な方法を提供する。端部120は、1つ以上のツールを適合モジュール105に接続するためのコネクタを含む。これにより、有利には、単一のツールヘッドを多くのツールで使用することが可能となる。代替的に、または付加的に、コネクタヘッド100は、直線状レール90に取り外し可能に固定されてもよい。従って、同じツールヘッド80を複数の異なるコネクタヘッド100と共に使用することができ、それぞれが本明細書に記載されるように、1つ以上のツールに接続することができる。
【0049】
いくつかの実施例において、ツールヘッド80は、例えば、LIDARセンサまたは深度センサを使用して、建物の表面走査に基づいたツールパスに沿って表面上を移動される。表面の走査は、ツールヘッド80のための適切なツールパス34を計画するのに使用される表面のおおよその位置を示す走査データを生成することができる。走査データは、例えば、約+/-25mm未満のより小さな表面変動を検出するのに十分なほど正確ではない可能性があり、それ故、ツールが表面にわたって移動するとき、適合モジュール105は、ウェットコーティングに対するツールの移動を可能にし、ウェット材料の一貫した施工を提供し、実質的に均一な表面のウェットコーティングを生成する。
【0050】
図示の付勢モジュール180は、図面ではバネとして図示されているが、弾性部材および/またはダンパー等の他の受動部品をバネの代わりにまたはバネに加えて使用可能であることは明白であろう。
【0051】
リニアエンコーダ115もハウジング85に固定されている。リニアエンコーダ95は、コネクタヘッド100の平行移動を測定することができ、これを使用して、ツールヘッド80に動作可能に結合されたコントローラ(図示せず)にフィードバックが提供される。このフィードバックを使用して、ツールが辿るツールパス34を調整することができ、それにより、ツールが施工される表面30上のウェットコーティング32と接触した状態を維持する。建物の表面に小さな変動がある場合、ストローク方向135への付勢モジュール180の変形は、ツールがウェットコーティング32と接触した状態を維持し、ウェットコーティング32が所望のレベルで施工されることを保証するのに十分である。表面にわたるツールの速度は、以下に説明するように、リニアエンコーダ115および/または適合モジュール105内に存在する任意の力センサによって提供されるフィードバックに応じて調整することもできる。リニアエンコーダ115は、表面にわたって変化するパラメータを検出するように構成されたセンサの一例として単に提供されており、以下に説明するように、表面にわたって変化する1つ以上の関連パラメータを検出するのに1つ以上の追加のセンサが設けられ得ることは明白であろう。センサは、コネクタヘッド100、適合モジュール105、またはハウジング85のいずれかに固定可能であることは明白であろう。同様に、センサデータは、ガントリ50のオンボードコントローラによって処理することができ、または処理用の遠隔装置に送信することができる。次いで、遠隔装置は、コントローラに命令を送信して、感知されたパラメータに基づいてツールヘッド80を移動させることができる。
【0052】
コネクタヘッド100の平行移動は、付勢モジュール180の変形に直接関係しており、従って、測定された平行移動を使用して、ツールによってウェットコーティングに印加される力を導き出すことができ、この力を使用して、一貫した力がウェットコーティング32に印加されることを保証する。印加される力の量は、完成したレンダリング層の所望の厚さ等の要件に応じた力の範囲内であり得る。
【0053】
場合によっては、第2のアクチュエータ75を動作させて、ツールヘッド80を直線軸140に沿った表面に向けて、または表面から遠ざけるよう移動させて、所望の接触が維持されることを確実とすることで、適合モジュール105に起因するコネクタヘッド100の動きを補完することができる。これは、コネクタヘッド100の変位が所定の閾値を超えている場合である可能性がある。第2のアクチュエータ75に加えて、または第2のアクチュエータ75の代わりに、ツールヘッド80は、ツールアクチュエータ(図示せず)を含んでもよく、ツールを表面に向けて、または表面から遠ざけるように移動させることができる。ツールアクチュエータは、コネクタヘッド100または適合モジュール105の一部であってもよく、または適合モジュール105とツールとの間の任意の場所に接続されることでツールヘッド位置の追加の補正を提供してもよい。好ましくは、ツールアクチュエータは、適合モジュール105とアーム65との間に設けられる。
【0054】
閾値を超える表面変動、例えば、付勢モジュール180の最大移動量を考慮すると、ツールヘッド80の能動的な移動が必要になる可能性があるが、ツールヘッドが辿るツールパスが、適合モジュール105のあらゆるレベルの変位にてリニアエンコーダ115からのデータに基づいて能動的に制御されることで、所望の力が維持され得ることは明白であろう。ストローク方向135は、直線軸140に実質的に平行であるように図示されているが、これが必須ではないことは明白であろう。同様に、ストローク方向135は、施工される表面34に対して垂直であるように図示されているが、これも必須ではなく、ストローク方向135は、表面34に対して角度をなしていてもよいことは明白であろう。特に、ストローク方向135は、付勢モジュール180がコネクタヘッド100(およびツール)を表面に向けて付勢し、それにより、コネクタヘッド100(およびツール)が表面34から離れる方向に変位可能となる任意の方向とすることができる。ツールは、反力を、例えば、ツールが表面34にわたって移動する際の、表面34に垂直な反力と、典型的には表面に平行な摩擦力と、を受ける。従って、いくつかの実施例において、適合モジュール105の方位は、ストローク方向135が垂直力と摩擦力との合力ベクトルに平行になるようにされ得る。これは、ツールが表面にわたって移動する際に表面に対して角度を成す可能性がある。
【0055】
付勢モジュール180の剛性もまた、好ましくは調整可能であり、例えば、図面に示されるように、ダイヤル110または他のユーザ入力を使用して手動で、またはコントローラによって電子的に調整可能であるようにする。付勢モジュール180の剛性は、リニアエンコーダ115によって提供されるフィードバックに基づいて、コントローラによって制御することができる。
【0056】
他の実施例において、表面にわたってツールヘッド80を移動させるアクチュエータ70の電力電流を検出することができる。電力電流は、ツールヘッド80によってウェットコーティングに印加される力を示しており、従って、コントローラにフィードバックを提供することができる。コントローラは、検出された電力電流に基づいて、装置の動作を調整するように構成することができる。例えば、高電力電流は、ツールヘッド80を表面から更に離間する必要があることを示し、アクチュエータ70またはツールヘッド80上のアクチュエータ(図示せず)を動作させて、ツールを表面から遠ざけることができる。
【0057】
上述したツールヘッド80の機能は、以下に説明するロボットのいずれかと組み合わせて使用することができる。コネクタヘッド100は、直線状レール90に取り外し可能に固定されることが好ましい。これにより、表面34上で実行される特定の施工に応じて、同じガントリ50を異なるツールと共に使用することが可能になる。ツールヘッドは、コネクタヘッド100に接続されたツールを回転させるようトルクを印加するためのモータ、例えば、ブラシレスDCモータを有することもできる。モータによって引き出される電流を使用して、コントローラにフィードバックを提供し、ツールの位置または速度を調整することもできる。コントローラは、アクチュエータ70、75を操作して、ツールをツールパスに沿って移動させるように構成されている。コントローラは、例えば、センサデータに基づいてツールパスを計算してもよく、またはコントローラは、遠隔装置(図示せず)からツールパスを示すデータを受信してもよい。存在する場合、コントローラは、リニアエンコーダ115および存在する任意の力/トルクセンサからのフィードバックに基づいて、ツールのアクティブ制御を提供することもできる。
【0058】
従って、本ガントリ50は、ウェット材料を建築表面上に塗布、成形、および仕上げることができ、または3Dプリント構造を仕上げることができる。ウェット材料には、レンダリング材料、塗装材または石膏材、コーティング材料(例えば、コートウール等のスプレー可能なミネラルウール)、絶縁材(例えば、ポリウレタン)が含まれる。ウェット材料は、打設コンクリート壁または鋼構造物等の基材に塗布することができる。以下に説明するように、ガントリ50は、オンサイト(例えば、建物上のウェット材料を処理するため)またはオフサイト(例えば、プレハブの壁を処理するための工場)にて配備することができる。
【0059】
図4は、「ピックアンドプレイス」ロボットエンドアクチュエータの形態の例示的な装置を示す。このロボットのツールヘッド80は、バックプレートと、絶縁材を把持するためにバックプレートから延在して絶縁材のボードを穿孔する一連のスパイクとを有する把持ヘッド150を含む。このロボットのコネクタヘッド100は、空気圧ピストン155を含むことで、絶縁ボードを把持ヘッド150から押し離し、壁に対する位置に押し込むことができる。次いで、ロボットは、第1のアクチュエータ70および第2のアクチュエータ75をそれに応じて動作させることによって、絶縁材を所望通りに配置することができる。一旦、絶縁ボードが所望の位置に配置されると、ツールヘッド80が表面に押し付けられ、これにより、コネクタヘッド100が変位し、ボードが表面に押し付けられている間に、空気圧ピストン155を作動させることができる故、ボードは、ツールヘッド80をボードから後退させても、所定の位置に留まる。あるいは、第2のアーム65をアクチュエータ75によって作動させて、ボードを表面に押し付けることもできる。これをいくつかの絶縁ボードに対して繰り返すことで、例えば、絶縁すべき建物の壁を被覆することができる。配置するためにロボットに絶縁ボードを設ける手段は、ユーザが手動でボードを提供する形態、または把持ヘッド150がピックアンドプレイスするのに適した方法で絶縁ボードを提供する別個の装置の形態であり得ることは明白であろう。
【0060】
図5は、レンダリングロボットエンドアクチュエータの形態の例示的な装置を示す。このロボットのツールヘッド80は、表面34、例えば、絶縁ボードが設けられていない場合は基礎をなす壁の表面上に、または絶縁ボードの表面上にレンダリングを押し出すためのノズル160を含む。ツールヘッド80は、ノズル160を通るレンダリングの流れを制御するための空気圧ピストン165も含む。ノズル160は、ボールバルブ制御ノズルであることが好ましい。ノズル160は、ツールパス34を辿るよう、コントローラによって制御することで、レンダリング材料が所望の表面を確実に覆うようにすることができる。レンダリングロボットを使用して、絶縁ボードまたは基礎をなす基材の表面上に1つ、2つ、またはそれより多くのレンダリング層を塗布することができる。異なるレンダリング層を塗布することが第2のレンダリングロボットまたは同じロボットのいずれかを使用して実現可能であることは明白だろう。第2のレンダリング層は、第1の層とは異なる厚さで塗布することができ、また、第1のレンダリング層を塗布するのに使用したツールパスとは異なるツールパスを使用して塗布することができることも明白だろう。ノズル160は、通常、テザーによってウェットコーティング材料の供給源に結合されており、材料は、表面上に投影または押出するためにノズル160にポンプ輸送される。ノズル160は、最大10センチメートルの距離で表面にわたって移動されることが好ましく、レンダリングがノズル160から表面上に押し出され、表面上にウェットコーティングを形成する。
【0061】
図6は、スムージングロボットエンドアクチュエータの形態の例示的な装置を示す。このロボットのツールヘッド80は、表面30上のウェットレンダリング32をスムージングするための鏝145を含む。鏝145の移動は、ツールパス34に従う。このツールパス34は、鏝は、基礎をなす表面30からオフセット36させることができ、それにより、鏝145がウェットレンダリング32のみと接触するようにする。鏝145が表面30にわたって移動してウェットレンダリング32をスムージングするとき、表面30内の変動は、上述したように、受動構成および/または能動構成で構成された適合モジュール105によって考慮される。鏝145は、レンダリングをスムージングし、レンダリングに対して一貫した力を印加して、ウェットレンダリングが基礎をなす基材の表面30に適切に付着することを確実とする。従って、スムージングロボットにより、完成したレンダリング32が十分に滑らかであり、表面30全体にわたって一貫した厚さおよび/または表面レベルできちんと付着していることを保証する。スムージングロボットのツールパスは、表面30を横断し、レンダリングを1回以上平滑化し、同じことを別のパターンで繰り返す。
【0062】
場合によっては、レンダリング機能とスムージング機能とを組み合わせたロボットを使用して、同時にレンダリングを塗布し、レンダリングをスムージングすることができる。この場合、ノズル160の位置を微調整する必要はなく、なぜなら、ノズル160の許容誤差は、通常、レンダリングされる表面の表面変動よりもはるかに大きいからである。例えば、建物のレーザ走査の精度が+/-12.5mmである場合、ツールパス34は、表面から25mm以内であり得る。ノズル160は、この誤差帯域を使用して表面との衝突を回避するように調整することができるが、ノズルは、通常、例えば、少なくとも2~10cmの距離にわたって塗料を噴霧し、石膏を押し出し、レンダリングまたは他のコーティングを塗布する等、表面にウェットコーティングを塗布する故、レンダリングを基材に確実に到達させつつ、建物の表面の変動を容易に考慮することができる。あるいは、ノズルを調整して、材料を表面上に直接押し出すことができ、表面から0cm~5cmの距離とすることもできる。
【0063】
例えば、レンダリングロボットは、8mmの厚さ(例えば、5~25mmの範囲)でレンダリングの層を塗布することができる。8mmは、通常、LIDARスキャナまたは深度センサの感知能力および壁の変動よりも小さい故、ロボットは、提示された表面を走査し、センサの精度を考慮しつつ、走査データに基づいてツールパス34を計画するようにプログラムされている。これは、ツールの最終調整が適合モジュール105によって提供される変位によって達成されるため、ツールがウェットコーティング32を正確に施工することを保証するのに、このようなプロセスが、非常に正確なセンサまたは校正および詳細なセットアップ手順を必要としない故に有利である。このフィードバックは、フィードバックを提供するのに(例えば、リニアエンコーダ115からの)センサデータを使用して強化することができる。このフィードバックを使用して、制御ルーチンを調整し、ツールが表面30にわたって移動する際にツールパスを能動的に制御することができる。
【0064】
図7は、スクラッチロボットエンドアクチュエータの形態の例示的な装置を示す。このロボットのツールヘッド80は、部分的に乾燥したレンダリングをスクラッチするためのスクラッチツール170を含む。スクラッチプロセスにより、レンダリングに溝が形成されるため、その後に塗布されるトップコートをレンダリングのスクラッチされたコートによりしっかりとくっ付けることができる。本出願の適合モジュール105を利用することにより、スクラッチツール170のツールパスを設定し、それにより、スクラッチツール170が基礎をなす表面ではなくレンダリングのみをスクラッチすることができる。スクラッチロボットのコネクタヘッド100は、ブラシレスDCモータを含むことで、スクラッチツール170を回転させて、スクラッチ層を形成する。ブラシレスDCモータによって印加されるトルク、またはブラシレスDCモータによって引き出される電力電流を感知して、スクラッチツール170とウェットコーティングとの間の力を決定することができる。感知されたトルクまたは電力電流を使用して、スクラッチツール170のツールパスまたは位置を調整することができる。しかしながら、回転スクラッチツール170が説明されているが、これは必須ではなく、直線運動を利用して所望の溝を形成することができる他のスクラッチツールを使用してもよいことは明白であろう。一旦、スクラッチ層が形成されると、スクラッチされたレンダリングコートを塗布するのに使用したツールパスと同じまたは異なるツールパスに従って、上述したレンダリングロボットを使用して、レンダリングのトップコートを塗布することができることは明白であろう。
【0065】
図9および
図10に示すように、ガントリ50は、工場10等のオフサイトの場所で、壁パネル等のプレハブ建築要素12に対して上述したプロセスのうちの1つ以上を実行することができる。工場10は、例えば、組立ラインにおいて、上述したステップのうちの1つ以上を実行するように構成された上述のガントリ50のうちの1つ以上を含むことができる。従って、各建築要素の表面14がガントリ50によって施工された後、建築要素は、例えば、レール18上に取り付けられたプラットフォーム16上に建築要素を配置することによって、処理のために次のステーション(図示せず)に移動させることができる。あるいは、またはこれに加えて、1つのガントリ50は、上述したプロセスのうちの1つ以上を実行するように構成された1つ以上の異なるツールヘッド80を有してもよい。固定要素52をガントリ50上に設けて、ガントリ50を建築要素12に固定することで、表面14上のウェットコーティングが施工されているときにガントリ50と建築要素12との間の相対位置を維持することができる。
【0066】
図11に示すように、代替的に、ガントリ50を移動車両40に取り付けて、建物20の表面22に対して配置することもできる。本装置は、上述したように、能動および/または受動構成で構成されたツールヘッド80を使用して、建物表面22の変動を考慮することができる。これにより、完成したレンダリングコーティング32が十分に滑らかであり、また、表面22全体にわたって一貫した厚さおよび/または表面を有することが保証され、これは、建物20の耐候性、熱特性および/または美観を改善するのに役立つ。
図11に示されるように、ガントリ50は、ガントリ50から離れた、例えば、
図11の実施例においては地上にある材料源に繋がれている。
【0067】
図12は、例示的なプロセス200を示す。プロセス200は、建物20等の基材の表面22を走査して205、表面22を示す走査データを取得することを含む。その後、走査データを処理して210、建物20の計算モデル、例えば、表面22の寸法あるいは特性または建物20の輪郭を決定することができる。走査データおよび/または決定されたモデルから、1つ以上の異なるツールについて1つ以上のツールパス34を計算して215、建物20の表面22を施工することができる。一旦、ツールパスが計算されると、例えば、上述したピックアンドプレースロボットを使用して、絶縁ボードを表面22に対して配置することができる220。次に、例えば、上述したレンダリングロボットを使用して、1つ以上のレンダリング層を塗布することができる225。一旦、レンダリングが塗布されると、例えば、上述したスムージングロボットおよびスクラッチロボットを使用して、スムージングステップ230およびスクラッチステップ235に従って、レンダリングをスムージングし、次いでスクラッチすることができる。レンダリングをスクラッチした後、例えば、上述したレンダリングロボットを使用して、レンダリングのトップコートを塗布することができる240。これらのプロセスの全てがこの方法に必須ではないことは明白であろう。例えば、他のロボットまたは人が残りのステップを実行した可能性がある故、ロボットは、上記のプロセスのうちの1つ以上のみを実行することもできる。
【0068】
本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通じて、「備える、含む(comprise)」および「含む(contain)」という用語、並びにそれらの変形は、「含むがこれらに限定されない」ことを意味し、他のコンポーネント、整数またはステップを除外すること(および排除しないこと)を意図していない。本明細書の説明および特許請求の範囲全体を通じて、文脈上別段の要求がない限り、単数形は、複数形を包含する。特に、不定冠詞が使用される場合、文脈上別段の要求がない限り、明細書は、単数形だけでなく複数形も考慮しているものと理解すべきである。
【国際調査報告】