(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ポリマー及びその組成物
(51)【国際特許分類】
C08G 63/91 20060101AFI20240403BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240403BHJP
A61K 9/06 20060101ALI20240403BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240403BHJP
C08G 63/664 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
C08G63/91
A61K47/34
A61K9/06
A61K9/08
C08G63/664
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560184
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-09-27
(86)【国際出願番号】 CN2022090327
(87)【国際公開番号】W WO2022228555
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】202110479406.2
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(31)【優先権主張番号】202111188454.2
(32)【優先日】2021-10-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523238368
【氏名又は名称】上海森▲輝▼医▲葯▼有限公司
(71)【出願人】
【識別番号】519352757
【氏名又は名称】江▲蘇▼恒瑞医▲薬▼股▲フン▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】JIANGSU HENGRUI PHARMACEUTICALS CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】NO.7 KUNLUNSHAN ROAD, ECONOMIC AND TECHNOLOGICAL DEVELOPMENT ZONE, LIANYUNGANG, JIANGSU 222047, CHINA
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】曲 希明
(72)【発明者】
【氏名】武 帆
(72)【発明者】
【氏名】▲馮▼ 磊
(72)【発明者】
【氏名】黄 ▲鵬▼
(72)【発明者】
【氏名】黄 建
【テーマコード(参考)】
4C076
4J029
【Fターム(参考)】
4C076AA09
4C076AA12
4C076AA94
4C076BB11
4C076CC05
4C076DD23Z
4C076DD26Z
4C076EE23
4C076EE24
4C076EE49
4C076FF32
4C076FF35
4C076FF61
4J029AA02
4J029AB02
4J029AC03
4J029AD01
4J029AE06
4J029EH02
4J029EH03
4J029FA13
4J029JB171
4J029JE182
4J029JF371
4J029KE08
4J029KH01
(57)【要約】
ポリマー及びその組成物に関する。具体的には、式(I-2)で示される感温性ポリマー及びその調製方法、並びにそれを含む医薬組成物を提供しており、前記ポリマーはスターマルチアーム構造を有し、芳香族コア及び生分解可能なAB型両親媒性コポリマーを含む。前記ポリマーは薬剤又は生物活性試薬の溶解性、安定性を向上させ、薬剤又は生物活性剤の放出を制御することができる。式(I-2)における各基の定義は、明細書に記載されている通りである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I-2)の構造を有する感温性ポリマーであって、
【化1】
そのうち、
R
1は相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的にC
1-C
12アルキル基から選ばれ、前記C
1-C
12アルキル基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、シアノ基、アミノ基及びニトロ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
環Eはアリール基又はヘテロアリール基から選ばれ、好ましくは、環EはC
6-C
12アリール基又は5員~10員ヘテロアリール基から選ばれ、より好ましくは、環Eはフェニル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、イミダゾリル基、インダゾリル基又はベンゾイミダゾリル基から選ばれ、
Lは相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的に結合、-C(O)-、-O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(O)O-、-NR’-、-C(O)NR’-、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、ヘテロアルキレン基、シクロアルキレン基、ヘテロシクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、PEGから選ばれ、前記アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、ヘテロアルキレン基、シクロアルキレン基、ヘテロシクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基は、任意選択的にヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基及びニトロ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
Aは相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的に疎水性ブロックから選ばれ、
Bは相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的に親水性ブロックから選ばれ、
Wは相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的に結合、-O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR’-、-C(O)NR’-、アルキレン基から選ばれ、前記アルキレン基は、任意選択的にヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基及びニトロ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R’は水素、重水素、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基から選ばれ、前記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
mは1~300の間から選ばれる整数であり、好ましくは5~150の間から選ばれる整数であり、より好ましくは10~120の間から選ばれる整数であり、更に好ましくは10~45の間から選ばれる整数であり、また更に好ましくは15~25の間から選ばれる整数であり、
nは1~500の間から選ばれる整数であり、好ましくは5~300の間から選ばれる整数であり、より好ましくは10~45の間から選ばれる整数であり、更に好ましくは10~30の間から選ばれる整数であり、また更に好ましくは10~20の間から選ばれる整数であり、
aは1~20の間から選ばれる整数であり、好ましくは2~15の間から選ばれる整数であり、より好ましくは3~11の間から選ばれる整数であり、更に好ましくは4~8の間から選ばれる整数である、
感温性ポリマー。
【請求項2】
前記親水性ブロックはポリエチレングリコール又はポリビニルピロリドンから選ばれ、前記疎水性ブロックはポリエステル又はポリアミノ酸から選ばれ、
好ましくは、前記疎水性ブロックはポリDL-乳酸、ポリD-乳酸、ポリL-乳酸、ポリ(DL-乳酸-グリコール酸)、ポリ(L-乳酸-グリコール酸)、ポリ(D-乳酸-グリコール酸)、ポリ-カプロラクトン、ポリ(DL乳酸-カプロラクトン)、ポリ(L乳酸-カプロラクトン)、ポリ(D乳酸-カプロラクトン)、ポリグリシン、ポリアラニン、ポリフェニルアラニン、ポリグルタミン酸、ポリリジン、ポリオルニチン、ポリアルギニンから選ばれる1つ又はそれらのコポリマーである、
請求項1に記載の感温性ポリマー。
【請求項3】
前記環Eはフェニル基から選ばれる、
請求項1又は2に記載の感温性ポリマー。
【請求項4】
式(II-1)で示される構造であり、
【化2】
そのうち、L、A、B、W、R
1、m、nは請求項1又は2に定義される通りである、
請求項1~3の何れか一項に記載の感温性ポリマー。
【請求項5】
Lは相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的に結合、-C(O)-、-O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(O)O-、-NR’-、-C(O)NR’-、C
1-C
6アルキレン基から選ばれ、
R’は水素、重水素、ヒドロキシ基、C
1-C
6アルキル基、C
1-C
6アルコキシ基から選ばれ、
好ましくは、Lは-C(O)-、-O-、-C(O)NH-、-C(O)O-から選ばれ、より好ましくは-C(O)-である、
請求項1~4の何れか一項に記載の感温性ポリマー。
【請求項6】
Wは相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的に結合、-O-、-C(O)-、-NH-から選ばれ、好ましくは-O-である、
請求項1~5の何れか一項に記載の感温性ポリマー。
【請求項7】
【化3】
は相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的に
【化4】
から選ばれ、そのうち、R
1は相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的にメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基から選ばれ、好ましくはメチル基であり、nは請求項1又は2に定義される通りである、
請求項1~6の何れか一項に記載の感温性ポリマー。
【請求項8】
【化5】
は、
【化6】
から選ばれ、
そのうち、
W、Lは請求項1~7の何れか一項に定義される通りであり、
xは0~300の間から選ばれる整数であり、好ましくは0~50の間から選ばれる整数であり、より好ましくは0~20の間から選ばれる整数であり、
yは1~300の間から選ばれる整数であり、好ましくは5~70の間から選ばれる整数であり、より好ましくは5~25の間から選ばれる整数であり、
zは10~300の間から選ばれる整数であり、好ましくは10~120の間から選ばれる整数であり、より好ましくは10~45の間から選ばれる整数である、
請求項1~7の何れか一項に記載の感温性ポリマー。
【請求項9】
【化7】
から選ばれ、
そのうち、n、x、y、zは請求項1~8の何れか一項に定義される通りである、
請求項1~8の何れか一項に記載の感温性ポリマー。
【請求項10】
nは5~15の間から選ばれる整数であり、
xは3~10の間から選ばれる整数であり、
yは5~20の間から選ばれる整数であり、
zは15~25の間から選ばれる整数である、
請求項9に記載の感温性ポリマー。
【請求項11】
構造は請求項1~10の何れか一項の式(I-2)で示される、
化合物。
【請求項12】
その分子量分布係数(Mw/Mn)は2未満であり、好ましくは、分子量分布係数は1.5未満である、
請求項1~10の何れか一項に記載の感温性ポリマー。
【請求項13】
請求項1~10、12の何れか一項に記載の感温性ポリマーを調製する方法であって、
疎水性ブロック及び親水性ブロックを含む両親媒性コポリマーと、芳香環又はヘテロ芳香環を含む無水物、酸塩化物、活性エステル又はカルボン酸とを、縮合剤又は触媒の作用下で化学カップリング反応させるステップを含み、好ましくは、前記縮合剤はジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドから選ばれる1つ又は複数であり、前記触媒は4-ジメチルアミノピリジン、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、4-ピロリジニルピリジンから選ばれる1つ又は複数である、
方法。
【請求項14】
請求項1~10、12の何れか一項に記載の感温性ポリマーを含み、好ましくは、溶媒を更に含み、より好ましくは、前記溶媒はリン酸塩緩衝溶液、純水又は生理食塩水から選ばれる、
組成物。
【請求項15】
前記感温性ポリマーの濃度は1wt%~80wt%、好ましくは5wt%~50wt%である、
請求項14に記載の組成物。
【請求項16】
薬剤又は生物活性試薬を更に含む、
請求項14又は15に記載の組成物。
【請求項17】
前記薬剤又は生物活性試薬は持続的及び/又は制御的に放出される、
請求項16に記載の組成物。
【請求項18】
注射可能な組成物である、
請求項14~17の何れか一項に記載の組成物。
【請求項19】
1つ又は複数の、請求項1~10、12の何れか一項に記載の感温性ポリマー又は請求項14~18の何れか一項に記載の組成物を含む、ヒドロゲル。
【請求項20】
温度の上昇と共に溶液-ゲル相転移が発生し、前記溶液-ゲル相転移の温度は4℃~40℃、好ましくは10℃~37℃、より好ましくは20℃~37℃である、
請求項1~10、12の何れか一項に記載の感温性ポリマー又は請求項14~18の何れか一項に記載の組成物又は請求項19に記載のヒドロゲル。
【請求項21】
薬剤又は生物活性試薬の溶解性を向上させる方法であって、
薬剤又は生物活性試薬を1つ又は複数の、請求項1~10、12の何れか一項に記載の感温性ポリマー又は請求項14~18の何れか一項に記載の組成物又は請求項19に記載のヒドロゲルに混合することを含む、
方法。
【請求項22】
薬剤又は生物活性試薬の安定性を向上させる方法であって、
薬剤又は生物活性試薬を1つ又は複数の、請求項1~10、12の何れか一項に記載の感温性ポリマー又は請求項14~18の何れか一項に記載の組成物又は請求項19に記載のヒドロゲルに混合することを含む、
方法。
【請求項23】
薬剤又は生物活性試薬を持続放出又は制御放出する方法であって、
薬剤又は生物活性試薬を1つ又は複数の、請求項1~10、12の何れか一項に記載の感温性ポリマー又は請求項14~18の何れか一項に記載の組成物又は請求項19に記載のヒドロゲルに混合することを含む、
方法。
【請求項24】
疾患を治療する方法であって、
1つ又は複数の、請求項1~10、12の何れか一項に記載の感温性ポリマー又は請求項11若しくは12に記載の化合物又は請求項14~18の何れか一項に記載の組成物又は請求項19に記載のヒドロゲルを生理的環境に注射するステップを含む、
方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、出願日が2021年04月30日である中国特許出願CN202110479406.2及び出願日が2021年10月12日である中国特許出願CN202111188454.2の優先権を主張し、本願は上記中国特許出願の原文を参照する。
【0002】
本開示は医薬分野に属し、感温性ポリマー、その調製方法及びその医学における応用に関する。特に、本開示は、ヒドロゲル長時間作用性徐放性製剤を調製するための感温性スターポリマーに関する。
【背景技術】
【0003】
ヒドロゲルは、親水性の三次元網目構造を有する高分子ネットワークシステムであり、柔軟な形態を有し、且つ特定の形状を維持し、良好な生体適合性を有し、様々な分野、例えば、組織工学、薬物送達、3D細胞培養などの医薬分野で広く適用されている。
【0004】
ヒドロゲルには、人間の体温付近ではゲル状態であり、人間の体温から離れると溶液状態になる感温性ヒドロゲル材料があり、生物医学などにおいて特に重要である。この感温性ヒドロゲルは、溶液状態でポリペプチド、タンパク質、細胞などの生物学的活物質を包埋することができ、皮下組織、筋肉組織に注射した後、温度の変化により、活物質を包埋した溶液は速やかにゲルに変化し、活物質は、拡散作用とゲル自体分解作用の二重推進により、ゲル内部からスムーズに放出され、長時間作用の徐放効果を奏する。包埋プロセスにおいて、任意の有機溶剤が関与しないため、包埋された活物質を不活性化するのは容易ではなく、顕著な利点を有する。また、感温性ヒドロゲルの注射や移植は、他の固体製剤の移植や埋め込みよりも簡単で使いやすく、手術が不要であり、外傷も少ない。
【0005】
感温性ゲル化特性を持つポリマーは両親媒性になる傾向がある。両親媒性ブロックコポリマーには、線状コポリマー、スターコポリマー、グラフトコポリマー及び樹枝状コポリマーが含まれ、ヒドロゲル調製のための両親媒性ブロックコポリマーに関するほとんどの研究は、線状ブロックコポリマーに焦点を当てる。MacroMed社は、薬物ベクターとして使用される、商品名がReGelである線状注射可能な感温性ヒドロゲルPLGA-PEG-PLGA(1500-1000-1500)を開発する。Jeongらは、トリブロックコポリマーmPEG-PLGA-mPEGを初めて報告し、ポリマー水溶液は室温で自由流動状態を呈し、体温まで上昇するとゲルを形成する。溶液をマウスの背中に注射した後、その場でゲルを形成する(「Biodegradable block copolymers as injectable drug-delivery systems.」,Nature.1997 Aug 28;388(6645):860-2.doi:10.1038/42218を参照)。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、スターマルチアーム構造を有すると共に、芳香族コア及び生分解可能なAB型両親媒性コポリマーを含む感温性ポリマー又は化合物を提供しており、上記生分解可能なAB型両親媒性コポリマーは疏水性Aブロック及び親水性Bブロックを含む。
【0007】
幾つかの実施形態において、上記親水性Bブロックは上記生分解可能なAB型両親媒性コポリマーの約10wt%~約90wt%を占める。幾つかの実施形態において、親水性Bブロックは上記生分解可能なAB型両親媒性コポリマーの約20wt%~約80wt%、約20wt%~約60wt%、約25wt%~約50wt%又は約30wt%~約40wt%を占める。
【0008】
幾つかの具体的な実施形態において、上記親水性Bブロックは上記生分解可能なAB型両親媒性コポリマーの約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%、約20wt%、約21wt%、約22wt%、約23wt%、約24wt%、約25wt%、約26wt%、約27wt%、約28wt%、約29wt%、約30wt%、約31wt%、約32wt%、約33wt%、約34wt%、約35wt%、約36wt%、約37wt%、約38wt%、約39wt%、約40wt%、約41wt%、約42wt%、約43wt%、約44wt%、約45wt%、約46wt%、約47wt%、約48wt%、約49wt%、約50wt%、約51wt%、約52wt%、約53wt%、約54wt%、約55wt%、約56wt%、約57wt%、約58wt%、約59wt%、約60wt%、約61wt%、約62wt%、約63wt%、約64wt%、約65wt%、約66wt%、約67wt%、約68wt%、約69wt%、約70wt%、約71wt%、約72wt%、約73wt%、約74wt%、約75wt%、約76wt%、約77wt%、約78wt%、約79wt%、約80wt%、約81wt%、約82wt%、約83wt%、約84wt%、約85wt%、約86wt%、約87wt%、約88wt%、約89wt%又は約90wt%を占める。
【0009】
幾つかの実施形態において、上記疏水性Aブロックは上記生分解可能なAB型両親媒性コポリマーの約90wt%~約10wt%を占める。幾つかの実施形態において、疏水性Aブロックは上記生分解可能なAB型両親媒性コポリマーの約80wt%~約20wt%、約80wt%~約40wt%、約75wt%~約50wt%、約70wt%~約60wt%を占める。
【0010】
幾つかの具体的な実施形態において、疏水性Aブロックは上記生分解可能なAB型両親媒性コポリマーの約90wt%、約89wt%、約88wt%、約87wt%、約86wt%、約85wt%、約84wt%、約83wt%、約82wt%、約81wt%、約80wt%、約79wt%、約78wt%、約77wt%、約76wt%、約75wt%、約74wt%、約73wt%、約72wt%、約71wt%、約70wt%、約69wt%、約68wt%、約67wt%、約66wt%、約65wt%、約64wt%、約63wt%、約62wt%、約61wt%、約60wt%、約59wt%、約58wt%、約57wt%、約56wt%、約55wt%、約54wt%、約53wt%、約52wt%、約51wt%、約50wt%、約49wt%、約48wt%、約47wt%、約46wt%、約45wt%、約44wt%、約43wt%、約42wt%、約41wt%、約40wt%、約39wt%、約38wt%、約37wt%、約36wt%、約35wt%、約34wt%、約33wt%、約32wt%、約31wt%、約30wt%、約29wt%、約28wt%、約27wt%、約26wt%、約25wt%、約24wt%、約23wt%、約22wt%、約21wt%、約20wt%、約19wt%、約18wt%、約17wt%、約16wt%、約15wt%、約14wt%、約13wt%、約12wt%、約11wt%又は約10wt%を占める。
【0011】
幾つかの実施形態において、感温性ポリマー又は化合物の溶液は温度の上昇と共に溶液-ゲル相転移が発生し、上記溶液-ゲル相転移の温度は約4℃~約40℃であり、幾つかの実施形態において、溶液-ゲル相転移の温度は約10℃~約37℃、約20℃~約37℃である。
【0012】
幾つかの具体的な実施形態において、溶液-ゲル相転移の温度は約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃又は約40℃である。
【0013】
幾つかの実施形態において、上記親水性Bブロックはポリエチレングリコール、又はポリビニルピロリドンから選ばれる。幾つかの実施形態において、ポリエチレングリコールから選ばれる。幾つかの実施形態において、モノメチルエーテル、モノエチルエーテル形態のポリエチレングリコールから選ばれる。
【0014】
幾つかの実施形態において、上記親水性Bブロックの重量平均分子量は約100~約20000である。幾つかの実施形態において、親水性Bブロックの重量平均分子量は約200~約5300である。幾つかの実施形態において、親水性Bブロックの重量平均分子量は約400~約1000である。
【0015】
幾つかの具体的な実施形態において、親水性Bブロックの重量平均分子量は約200、約300、約400、約410、約420、約430、約440、約450、約460、約470、約480、約490、約500、約510、約520、約530、約540、約550、約560、約570、約580、約590、約600、約700、約800、約900、約1000、約2000、約3000、約4000、約5000、約6000、約7000、約8000、約9000、約10000、約11000、約12000、約13000、約14000、約15000、約16000、約17000、約18000、約19000又は約20000である。
【0016】
幾つかの実施形態において、上記親水性Bブロックの数平均分子量は重量平均分子量より小さい。
【0017】
幾つかの実施形態において、上記親水性Bブロックの数平均分子量は約100~約20000である。幾つかの実施形態において、親水性Bブロックの数平均分子量は約200~約5300である。幾つかの実施形態において、親水性Bブロックの数平均分子量は約400~約1000である。
【0018】
幾つかの具体的な実施形態において、親水性Bブロックの数平均分子量は約200、約300、約400、約410、約420、約430、約440、約450、約460、約470、約480、約490、約500、約510、約520、約530、約540、約550、約560、約570、約580、約590、約600、約700、約800、約900、約1000、約2000、約3000、約4000、約5000、約6000、約7000、約8000、約9000、約10000、約11000、約12000、約13000、約14000、約15000、約16000、約17000、約18000、約19000又は約20000である。
【0019】
本開示において、親水性Bブロックの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、ポリエチレングリコールを標準試料とする)により測定される。
【0020】
幾つかの実施形態において、上記疏水性Aブロックはポリエステル又はポリアミノ酸から選ばれる。幾つかの実施形態において、ポリDL-乳酸、ポリD-乳酸、ポリL-乳酸、ポリ(DL-乳酸-グリコール酸)、ポリ(L-乳酸-グリコール酸)、ポリ(D-乳酸-グリコール酸)、ポリ-カプロラクトン、ポリ(DL乳酸-カプロラクトン)、ポリ(L乳酸-カプロラクトン)、ポリ(D乳酸-カプロラクトン)、ポリグリシン、ポリアラニン、ポリフェニルアラニン、ポリグルタミン酸、ポリリジン、ポリオルニチン、ポリアルギニンから選ばれる1つ又はそれらのコポリマーである。
【0021】
幾つかの実施形態において、上記疏水性Aブロックの重量平均分子量は約72~約60000である。幾つかの実施形態において、疏水性Aブロックの重量平均分子量は約150~約20000である。幾つかの実施形態において、疏水性Aブロックの重量平均分子量は約200~約15000である。幾つかの実施形態において、疏水性Aブロックの重量平均分子量は約300~約10000である。幾つかの実施形態において、疏水性Aブロックの重量平均分子量は約400~約8000である。幾つかの実施形態において、疏水性Aブロックの重量平均分子量は約500~約3000である。幾つかの実施形態において、疏水性Aブロックの重量平均分子量は約700~約2000である。
【0022】
幾つかの具体的な実施形態において、疏水性Aブロックの重量平均分子量は約72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000、20000、30000、40000、50000又は60000である。
【0023】
幾つかの実施形態において、上記疏水性Aブロックの数平均分子量は重量平均分子量より小さい。
【0024】
幾つかの実施形態において、上記疏水性Aブロックの数平均分子量は約72~約60000である。幾つかの実施形態において、疏水性Aブロックの数平均分子量は約150~約20000である。幾つかの実施形態において、疏水性Aブロックの数平均分子量は約200~約15000である。幾つかの実施形態において、疏水性Aブロックの数平均分子量は約300~約10000である。幾つかの実施形態において、疏水性Aブロックの数平均分子量は約400~約8000である。幾つかの実施形態において、疏水性Aブロックの数平均分子量は約500~約3000である。幾つかの実施形態において、疏水性Aブロックの数平均分子量は約700~約2000である。
【0025】
幾つかの具体的な実施形態において、疏水性Aブロックの数平均分子量は約72、約73、約74、約75、約76、約77、約78、約79、約80、約81、約82、約83、約84、約85、約86、約87、約88、約89、約90、約91、約92、約93、約94、約95、約96、約97、約98、約99、約100、約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、約2000、約3000、約4000、約5000、約6000、約7000、約8000、約9000、約10000、約20000、約30000、約40000、約50000又は約60000である。
【0026】
本開示において、疏水性Aブロックの数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、ポリエチレングリコールを標準試料とする)により測定される。
【0027】
幾つかの実施形態において、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物の重量平均分子量は約200~約300000である。幾つかの実施形態において、感温性ポリマー又は化合物の重量平均分子量は約500~約100000である。幾つかの実施形態において、感温性ポリマー又は化合物の重量平均分子量は約1000~約50000である。幾つかの実施形態において、感温性ポリマー又は化合物の重量平均分子量は約2000~約10000である。幾つかの実施形態において、感温性ポリマー又は化合物の重量平均分子量は約1000~約8000である。
【0028】
幾つかの具体的な実施形態において、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物の重量平均分子量は約200、300、400、500、600、700、800、900、1000、1100、1200、1300、1400、1500、1600、1700、1800、1900、2000、2100、2200、2300、2400、2500、2600、2700、2800、2900、3000、3100、3200、3300、3400、3500、3600、3700、3800、3900、4000、4100、4200、4300、4400、4500、4600、4700、4800、4900、5000、5100、5200、5300、5400、5500、5600、5700、5800、5900、6000、6100、6200、6300、6400、6500、6600、6700、6800、6900、7000、7100、7200、7300、7400、7500、7600、7700、7800、7900、8000、8100、8200、8300、8400、8500、8600、8700、8800、8900、9000、9100、9200、9300、9400、9500、9600、9700、9800、9900、10000、11000、12000、13000、14000、15000、16000、17000、18000、19000、20000、25000、30000、35000、40000、45000、50000、55000、60000、65000、70000、75000、80000、85000、90000、95000、100000、200000、300000である。
【0029】
幾つかの実施形態において、上記の本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物の数平均分子量は重量平均分子量より小さい。
【0030】
幾つかの実施形態において、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物の数平均分子量は約200~約300000である。幾つかの実施形態において、感温性ポリマー又は化合物の数平均分子量は約500~約100000である。幾つかの実施形態において、感温性ポリマー又は化合物の数平均分子量は約1000~約50000である。幾つかの実施形態において、感温性ポリマー又は化合物の数平均分子量は約2000~約10000である。幾つかの実施形態において、感温性ポリマー又は化合物の数平均分子量は約800~約7000である。
【0031】
幾つかの具体的な実施形態において、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物の数平均分子量は約200、約300、約400、約500、約600、約700、約800、約900、約1000、約1100、約1200、約1300、約1400、約1500、約1600、約1700、約1800、約1900、約2000、約2100、約2200、約2300、約2400、約2500、約2600、約2700、約2800、約2900、約3000、約3100、約3200、約3300、約3400、約3500、約3600、約3700、約3800、約3900、約4000、約4100、約4200、約4300、約4400、約4500、約4600、約4700、約4800、約4900、約5000、約5100、約5200、約5300、約5400、約5500、約5600、約5700、約5800、約5900、約6000、約6100、約6200、約6300、約6400、約6500、約6600、約6700、約6800、約6900、約7000、約7100、約7200、約7300、約7400、約7500、約7600、約7700、約7800、約7900、約8000、約8100、約8200、約8300、約8400、約8500、約8600、約8700、約8800、約8900、約9000、約9100、約9200、約9300、約9400、約9500、約9600、約9700、約9800、約9900、約10000、約11000、約12000、約13000、約14000、約15000、約16000、約17000、約18000、約19000、約20000、約25000、約30000、約35000、約40000、約45000、約50000、約55000、約60000、約65000、約70000、約75000、約80000、約85000、約90000、約95000、約100000、約200000、約300000である。
【0032】
本開示において、感温性ポリマー又は化合物の数平均分子量(Mn)及び重量平均分子量(Mw)は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、ポリエチレングリコールを標準試料とする)により測定される。
【0033】
本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物の分子量分布係数(Mw/Mn)は2未満である。
【0034】
幾つかの実施形態において、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物の分子量分布係数(Mw/Mn)は2未満である。幾つかの実施形態において、分子量分布係数は1.5未満である。幾つかの実施形態において、分子量分布係数は1.4未満である。幾つかの実施形態において、分子量分布係数は1.3未満である。幾つかの実施形態において、分子量分布係数は1.2未満である。幾つかの実施形態において、分子量分布係数は1.18未満である。幾つかの実施形態において、分子量分布係数は1.15未満である。
【0035】
幾つかの具体的な実施形態において、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物の分子量分布係数は約1.00、約1.01、約1.02、約1.03、約1.04、約1.05、約1.06、約1.07、約1.08、約1.09、約1.10、約1.11、約1.12、約1.13、約1.14、約1.15、約1.16、約1.17、約1.18、約1.19、約1.20、約1.21、約1.22、約1.23、約1.24、約1.25、約1.26、約1.27、約1.28、約1.29、約1.30、約1.31、約1.32、約1.33、約1.34、約1.35、約1.36、約1.37、約1.38、約1.39、約1.40、約1.41、約1.42、約1.43、約1.44、約1.45、約1.46、約1.47、約1.48、約1.49、約1.50、約1.51、約1.52、約1.53、約1.54、約1.55、約1.56、約1.57、約1.58、約1.59、約1.60、約1.61、約1.62、約1.63、約1.64、約1.65、約1.66、約1.67、約1.68、約1.69、約1.70、約1.71、約1.72、約1.73、約1.74、約1.75、約1.76、約1.77、約1.78、約1.79、約1.80、約1.81、約1.82、約1.83、約1.84、約1.85、約1.86、約1.87、約1.88、約1.89、約1.90、約1.91、約1.92、約1.93、約1.94、約1.95、約1.96、約1.97、約1.98、約1.99、約2.00から選ばれる。
【0036】
幾つかの実施形態において、感温性ポリマー又は化合物は式(I)の構造を有し、
【化1】
そのうち、
R
1は相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的にC
1-C
12アルキル基(例えばC
1、C
2、C
3、C
4、C
5、C
6、C
7、C
8、C
9、C
10、C
11、C
12)から選ばれ、上記C
1-C
12アルキル基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、シアノ基、アミノ基及びニトロ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
R
2、R
3は相同又は相異であり、それぞれ独立的に存在せず、-O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR’-、-C(O)NR’-、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、ヘテロアルキレン基、シクロアルキレン基、ヘテロシクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、PEG、1~20(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20)個の炭素数を有すると共に分岐構造を有してもよいアルキル基、又は1~20(例えば1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20)個の炭素数を有すると共に分岐構造を有してもよいアルコキシ基から選ばれ、上記アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、ヘテロアルキレン基、シクロアルキレン基、ヘテロシクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、アルキル基、アルコキシ基は、任意選択的にヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、アミノ基及びニトロ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、上記R’は水素、重水素、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基から選ばれ、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
環Eは相同又は相異であり、それぞれ独立的にアリール基又はヘテロアリール基から選ばれ、幾つかの実施形態において、環Eは相同又は相異であり、それぞれ独立的にC
6-C
12(例えばC
6、C
7、C
8、C
9、C
10、C
11、C
12)アリール基又は5員~10員(例えば5員、6員、7員、8員、9員、10員)ヘテロアリール基から選ばれ、幾つかの実施形態において、環Eは相同又は相異であり、それぞれ独立的にフェニル基、ピリジル基、ピラジニル基、ピラゾリル基、トリアゾリル基、イソオキサゾリル基、オキサゾリル基、チアゾリル基、チアジアゾリル基、イミダゾリル基、インダゾリル基又はベンゾイミダゾリル基から選ばれ、
Lは相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的に結合、-C(O)-、-O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(O)O-、-NR’-、-C(O)NR’-、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、ヘテロアルキレン基、シクロアルキレン基、ヘテロシクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、PEGから選ばれ、上記アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、ヘテロアルキレン基、シクロアルキレン基、ヘテロシクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基は、任意選択的にヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、アミノ基及びニトロ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、上記R’は水素、重水素、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基から選ばれ、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
Aは疎水性ブロックから選ばれ、
幾つかの実施形態において、疎水性ブロックはポリエステル又はポリアミノ酸から選ばれ、幾つかの実施形態において、疎水性ブロックはポリDL-乳酸、ポリD-乳酸、ポリL-乳酸、ポリ(DL-乳酸-グリコール酸)、ポリ(L-乳酸-グリコール酸)、ポリ(D-乳酸-グリコール酸)、ポリ-カプロラクトン、ポリ(DL乳酸-カプロラクトン)、ポリ(L乳酸-カプロラクトン)、ポリ(D乳酸-カプロラクトン)、ポリグリシン、ポリアラニン、ポリフェニルアラニン、ポリグルタミン酸、ポリリジン、ポリオルニチン、ポリアルギニンから選ばれる1つ又はそれらのコポリマーであり、
Bは親水性ブロックから選ばれ、
幾つかの実施形態において、親水性ブロックはポリエチレングリコール、又はポリビニルピロリドンから選ばれ、幾つかの実施形態において、親水性ブロックはポリエチレングリコールから選ばれ、幾つかの実施形態において、親水性ブロックはモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、ジメチルエーテル又はグリセリンエーテル形態のポリエチレングリコールから選ばれ、
Wは相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的に結合、-O-、-S-、-SO-、-SO
2-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR’-、-C(O)NR’-、アルキレン基から選ばれ、上記アルキレン基は、任意選択的にヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、アミノ基及びニトロ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、上記R’は水素、重水素、ヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基から選ばれ、上記アルキル基、アルコキシ基、シクロアルキル基、ヘテロシクリル基、アリール基又はヘテロアリール基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、
mは1~300の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、mは5~150の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、mは10~120の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、mは10~45の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、mは15~25の間から選ばれる整数であり、
幾つかの具体的な実施形態において、mは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299又は300から選ばれ、
nは1~500の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、nは5~300の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、nは10~45の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、nは10~30の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、nは10~20の間から選ばれる整数であり、
幾つかの具体的な実施形態において、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499又は500から選ばれ、
aは1~20の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、2~15の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、3~11の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、4~8の間から選ばれる整数であり、
幾つかの具体的な実施形態において、aは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19又は20から選ばれ、
bは1、2、3、4、5、6から選ばれ、
oは1、2、3、4から選ばれる。
【0037】
幾つかの実施形態において、式(I)の構造は、
【化2】
から選ばれ、
そのうち、R
1、R
2、R
3、環E、L、A、B、W、m、n、a、bは式(I)に定義される通りである。
【0038】
幾つかの実施形態において、式(I-1)は、
【化3】
から選ばれ、
そのうち、
cは1~8の間から選ばれる整数であり、例えば1、2、3、4、5、6、7、8であり、
dは相同又は相異であり、それぞれ独立的に1~8の間から選ばれる整数であり、例えば1、2、3、4、5、6、7、8であり、
R
1、環E、L、A、B、W、m、n、a、bは式(I)に定義される通りである。
【0039】
幾つかの実施形態において、式(I-3)は、
【化4】
から選ばれ、
そのうち、cは1~8の間から選ばれる整数であり、例えば1、2、3、4、5、6、7、8であり、
dは相同又は相異であり、それぞれ独立的に1~8の間から選ばれる整数であり、例えば1、2、3、4、5、6、7、8であり、
R
1、R
3、環E、L、A、B、W、m、n、a、bは式(I)に定義される通りである。
【0040】
幾つかの実施形態において、環Eはフェニル基から選ばれる。
【0041】
幾つかの実施形態において、式(I)は、
【化5】
から選ばれ、
そのうち、
cは1~8の間から選ばれる整数であり、例えば1、2、3、4、5、6、7、8であり、
dは相同又は相異であり、それぞれ独立的に1~8の間から選ばれる整数であり、例えば1、2、3、4、5、6、7、8であり、
R
1、R
2、R
3、L、A、B、W、m、n、aは式(I)に定義される通りである。
【0042】
式(II-1)、(II-2)、(II-3)、(II-4)において、Lは相同又は相異であり、それぞれ独立的に結合、-C(O)-、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-C(O)O-、-NR’-、-C(O)NR’-、C1-C6アルキレン基(例えばC1、C2、C3、C4、C5、C6)、PEGから選ばれ、上記アルキレン基は、任意選択的にヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、アミノ基及びニトロ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、上記R’は水素、重水素、ヒドロキシ基、C1-C6アルキル基(例えばC1、C2、C3、C4、C5、C6)、C1-C6アルコキシ基(例えばC1、C2、C3、C4、C5、C6)から選ばれ、上記C1-C6アルキル基(例えばC1、C2、C3、C4、C5、C6)、C1-C6アルコキシ基(例えばC1、C2、C3、C4、C5、C6)は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、幾つかの実施形態において、Lは-O-、-C(O)-、-C(O)NH-、-C(O)O-から選ばれる。
【0043】
式(II-1)、(II-2)、(II-3)、(II-4)において、Wは相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的に結合、-O-、-C(O)-、-NH-から選ばれる。
【0044】
式(II-1)、(II-2)、(II-3)、(II-4)において、R1は相同又は相異であり、且つそれぞれ独立的にC1-C6アルキル基(例えばC1、C2、C3、C4、C5、C6)から選ばれ、上記C1-C6アルキル基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、アルコキシ基、ハロアルコキシ基、シアノ基、アミノ基及びニトロ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、好ましくはメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基は、任意選択的にヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ハロゲン、ヒドロキシ基、シアノ基、アミノ基及びニトロ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換される。
【0045】
式(II-1)、(II-2)、(II-3)、(II-4)において、R3は結合、-O-、-S-、-SO-、-SO2-、-C(O)-、-C(O)O-、-NR’-、-C(O)NR’-、C1-C6アルキレン基(例えばC1、C2、C3、C4、C5、C6)、PEGから選ばれ、上記C1-C6アルキレン基は、任意選択的にヒドロキシ基、アルキル基、アルコキシ基、ハロアルキル基、ハロアルコキシ基、ハロゲン、シアノ基、アミノ基及びニトロ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、上記R’は水素、重水素、ヒドロキシ基、C1-C6アルキル基(例えばC1、C2、C3、C4、C5、C6)、C1-C6アルコキシ基(例えばC1、C2、C3、C4、C5、C6)から選ばれ、上記C1-C6アルキル基、C1-C6アルコキシ基は、任意選択的にハロゲン、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基から選ばれる1つ又は複数の置換基で置換され、幾つかの実施形態において、結合、-O-、-S-、-C(O)-、-SO2-から選ばれる。
【0046】
式(II-1)、(II-2)、(II-3)、(II-4)において、aは相同又は相異であり、それぞれ独立的に1、2、3、4、5、6から選ばれる。
【0047】
式(II-1)、(II-2)、(II-3)、(II-4)において、cは相同又は相異であり、それぞれ独立的に1、2、3又は4から選ばれる。
【0048】
式(II-1)、(II-2)、(II-3)、(II-4)において、dは相同又は相異であり、それぞれ独立的に1、2、3又は4から選ばれる。
【0049】
式(II-1)、(II-2)、(II-3)、(II-4)において、
【化6】
は
【化7】
から選ばれ、そのうち、R
1は上記に定義される通りであり、nは1~500の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、nは10~300の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、nは5~150の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、nは10~120の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、nは10~45の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、nは10~20の間から選ばれる整数である。
【0050】
幾つかの具体的な実施形態において、nは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299、300、301、302、303、304、305、306、307、308、309、310、311、312、313、314、315、316、317、318、319、320、321、322、323、324、325、326、327、328、329、330、331、332、333、334、335、336、337、338、339、340、341、342、343、344、345、346、347、348、349、350、351、352、353、354、355、356、357、358、359、360、361、362、363、364、365、366、367、368、369、370、371、372、373、374、375、376、377、378、379、380、381、382、383、384、385、386、387、388、389、390、391、392、393、394、395、396、397、398、399、400、401、402、403、404、405、406、407、408、409、410、411、412、413、414、415、416、417、418、419、420、421、422、423、424、425、426、427、428、429、430、431、432、433、434、435、436、437、438、439、440、441、442、443、444、445、446、447、448、449、450、451、452、453、454、455、456、457、458、459、460、461、462、463、464、465、466、467、468、469、470、471、472、473、474、475、476、477、478、479、480、481、482、483、484、485、486、487、488、489、490、491、492、493、494、495、496、497、498、499又は500から選ばれる。
【0051】
式(II-1)、(II-2)、(II-3)、(II-4)において、
【化8】
はポリエステル又はポリアミノ酸から選ばれ、幾つかの実施形態において、上記
【化9】
はポリDL-乳酸、ポリD-乳酸、ポリL-乳酸、ポリ(DL-乳酸-グリコール酸)、ポリ(L-乳酸-グリコール酸)、ポリ(D-乳酸-グリコール酸)、ポリ-カプロラクトン、ポリ(DL乳酸-カプロラクトン)、ポリ(L乳酸-カプロラクトン)、ポリ(D乳酸-カプロラクトン)、ポリグリシン、ポリアラニン、ポリフェニルアラニン、ポリグルタミン酸、ポリリジン、ポリオルニチン、ポリアルギニンから選ばれる1つ又はそれらのコポリマーである。
【0052】
幾つかの実施形態において、
【化10】
は、
【化11】
から選ばれ、
そのうち、
W、Lは上記に定義される通りであり、
xは0~300の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、xは0~50の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、xは0~20の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、xは3~10の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、xは0~8の間から選ばれる整数であり、
幾つかの具体的な実施形態において、xは0、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299又は300から選ばれる。
【0053】
yは1~300から選ばれ、幾つかの実施形態において、yは5~70の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、yは5~25の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、yは5~20の間から選ばれる整数であり、
幾つかの具体的な実施形態において、yは1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299又は300から選ばれる。
【0054】
zは10~300から選ばれ、幾つかの実施形態において、zは10~120の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、zは10~45の間から選ばれる整数であり、幾つかの実施形態において、zは20~25の間から選ばれる整数であり、
幾つかの具体的な実施形態において、zは10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、53、54、55、56、57、58、59、60、61、62、63、64、65、66、67、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99、100、101、102、103、104、105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、115、116、117、118、119、120、121、122、123、124、125、126、127、128、129、130、131、132、133、134、135、136、137、138、139、140、141、142、143、144、145、146、147、148、149、150、151、152、153、154、155、156、157、158、159、160、161、162、163、164、165、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、178、179、180、181、182、183、184、185、186、187、188、189、190、191、192、193、194、195、196、197、198、199、200、201、202、203、204、205、206、207、208、209、210、211、212、213、214、215、216、217、218、219、220、221、222、223、224、225、226、227、228、229、230、231、232、233、234、235、236、237、238、239、240、241、242、243、244、245、246、247、248、249、250、251、252、253、254、255、256、257、258、259、260、261、262、263、264、265、266、267、268、269、270、271、272、273、274、275、276、277、278、279、280、281、282、283、284、285、286、287、288、289、290、291、292、293、294、295、296、297、298、299又は300から選ばれる。
【0055】
幾つかの具体的な実施形態において、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物は、
【化12】
から選ばれ、
nは5~15の間から選ばれる整数であり、
xは3~10の間から選ばれる整数であり、
yは5~20の間から選ばれる整数であり、
幾つかの実施形態において、nは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15から選ばれ、
幾つかの実施形態において、xは3、4、5、6、7、8、9、10から選ばれ、
幾つかの実施形態において、yは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20から選ばれる。
【0056】
幾つかの具体的な実施形態において、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物は、
【化13】
から選ばれ、
nは5~15の間から選ばれる整数であり、
yは5~20の間から選ばれる整数であり、
幾つかの実施形態において、nは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15から選ばれ、
幾つかの実施形態において、yは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20から選ばれる。
【0057】
幾つかの具体的な実施形態において、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物は、
【化14】
から選ばれ、
nは5~15の間から選ばれる整数であり、
xは3~10の間から選ばれる整数であり、
yは5~20の間から選ばれる整数であり、
幾つかの実施形態において、nは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15から選ばれ、
幾つかの実施形態において、xは3、4、5、6、7、8、9、10から選ばれ、
幾つかの実施形態において、yは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20から選ばれる。
【0058】
幾つかの具体的な実施形態において、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物は、
【化15】
から選ばれ、
nは5~15の間から選ばれる整数であり、
zは15~25の間から選ばれる整数であり、
幾つかの実施形態において、nは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15から選ばれ、
幾つかの実施形態において、zは15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25から選ばれる。
【0059】
幾つかの具体的な実施形態において、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物は、
【化16】
から選ばれ、
nは5~15の間から選ばれる整数であり、
zは15~25の間から選ばれる整数であり、
幾つかの実施形態において、nは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15から選ばれ、
幾つかの実施形態において、zは15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25から選ばれる。
【0060】
幾つかの具体的な実施形態において、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物は、
【化17】
から選ばれ、
nは5~15の間から選ばれる整数であり、
xは3~10の間から選ばれる整数であり、
yは5~20の間から選ばれる整数であり、
幾つかの実施形態において、nは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15から選ばれ、
幾つかの実施形態において、xは3、4、5、6、7、8、9、10から選ばれ、
幾つかの実施形態において、yは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20から選ばれる。
【0061】
幾つかの具体的な実施形態において、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物は、
【化18】
から選ばれ、
nは5~15の間から選ばれる整数であり、
xは3~10の間から選ばれる整数であり、
yは5~20の間から選ばれる整数であり、
幾つかの実施形態において、nは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15から選ばれ、
幾つかの実施形態において、xは3、4、5、6、7、8、9、10から選ばれ、
幾つかの実施形態において、yは5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20から選ばれる。
【0062】
本開示は、上記感温性ポリマー又は化合物の調製方法であって、AB型両親媒性コポリマーと、芳香環又はヘテロ芳香環を含む無水物、酸塩化物、活性エステル又はカルボン酸とを、縮合剤又は触媒作用下で化学カップリングにより調製することを含む方法を更に提供する。
【0063】
幾つかの実施形態において、上記縮合剤はジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドのうちの1種又は複数種から選ばれる。
【0064】
幾つかの実施形態において、上記触媒は4-ジメチルアミノピリジン、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、4-ピロリジニルピリジンのうちの1種又は複数種から選ばれる。
【0065】
幾つかの実施形態において、AB型両親媒性コポリマーは疎水性ブロック及び親水性ブロックを含む両親媒性コポリマーである。
【0066】
幾つかの実施形態において、上記親水性ブロックはポリエチレングリコール又はポリビニルピロリドンから選ばれ、上記疎水性ブロックはポリエステル又はポリアミノ酸から選ばれる。
【0067】
幾つかの実施形態において、上記疎水性ブロックはポリDL-乳酸、ポリD-乳酸、ポリL-乳酸、ポリ(DL-乳酸-グリコール酸)、ポリ(L-乳酸-グリコール酸)、ポリ(D-乳酸-グリコール酸)、ポリ-カプロラクトン、ポリ(DL乳酸-カプロラクトン)、ポリ(L乳酸-カプロラクトン)、ポリ(D乳酸-カプロラクトン)、ポリグリシン、ポリアラニン、ポリフェニルアラニン、ポリグルタミン酸、ポリリジン、ポリオルニチン、ポリアルギニンから選ばれる1つ又はそれらのコポリマーである。
【0068】
幾つかの実施形態において、上記親水性ブロックはポリエチレングリコールから選ばれ、幾つかの実施形態において、上記親水性ブロックはモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、ジメチルエーテル又はグリセリンエーテル形態のポリエチレングリコールから選ばれ、幾つかの実施形態において、AB型両親媒性コポリマーはmPEG-PLA、mPEG-PLGAである。
【0069】
本開示は、本開示に記載される感温性ポリマー又は本開示に記載される化合物を含む組成物又は医薬組成物を更に提供する。
【0070】
幾つかの実施形態において、上記組成物又は医薬組成物は溶媒を更に含み、幾つかの実施形態において、上記溶媒はリン酸塩緩衝溶液、純水、生理食塩水から選ばれる。
【0071】
幾つかの実施形態において、上記組成物又は医薬組成物において感温性ポリマー又は化合物の濃度は1wt%~80wt%であり、幾つかの実施形態において、5wt%~50wt%、10wt%~70wt%、15wt%~50wt%、20wt%~40wt%、5wt%~30wt%から選ばれる。
【0072】
幾つかの具体的な実施形態において、上記組成物又は医薬組成物において感温性ポリマー又は化合物の濃度は約1wt%、約2wt%、約3wt%、約4wt%、約5wt%、約6wt%、約7wt%、約8wt%、約9wt%、約10wt%、約11wt%、約12wt%、約13wt%、約14wt%、約15wt%、約16wt%、約17wt%、約18wt%、約19wt%、約20wt%、約21wt%、約22wt%、約23wt%、約24wt%、約25wt%、約26wt%、約27wt%、約28wt%、約29wt%、約30wt%、約31wt%、約32wt%、約33wt%、約34wt%、約35wt%、約36wt%、約37wt%、約38wt%、約39wt%、約40wt%、約41wt%、約42wt%、約43wt%、約44wt%、約45wt%、約46wt%、約47wt%、約48wt%、約49wt%、約50wt%、約51wt%、約52wt%、約53wt%、約54wt%、約55wt%、約56wt%、約57wt%、約58wt%、約59wt%、約60wt%、約61wt%、約62wt%、約63wt%、約64wt%、約65wt%、約66wt%、約67wt%、約68wt%、約69wt%、約70wt%、約71wt%、約72wt%、約73wt%、約74wt%、約75wt%、約76wt%、約77wt%、約78wt%、約79wt%又は約80wt%である。
【0073】
幾つかの実施形態において、上記組成物又は医薬組成物は薬剤又は生物活性試薬を更に含む。
【0074】
幾つかの実施形態において、上記薬剤又は生物活性試薬は、核酸、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、アプタマー、siRNA、低分子薬、糖類、多糖類、ホルモン、ポリペプチド、タンパク質、酵素、サイトカイン、抗体、ワクチン及びその組み合わせを含むが、これらに限定されない。例えばハーセプチン、インターロイキン-2などである。
【0075】
幾つかの実施形態において、上記薬剤又は生物活性試薬は、ヒト又は動物の疾患を治療する活性成分であり、抗腫瘍薬、心臓血管薬、抗感染症薬、抗真菌薬、抗ウイルス薬、抗アレルギー薬、抗炎症薬、内分泌薬、向精神薬、抗生物質、免疫抑制剤、ビタミン剤又は麻酔薬などから選ばれることができる。幾つかの実施形態において、組成物における薬剤又は生物活性試薬は持続的及び/又は制御的に放出される。
【0076】
幾つかの実施形態において、上記組成物又は医薬組成物は薬学的に許容されるベクター及び/又は賦形剤を更に含む。
【0077】
幾つかの実施形態において、上記組成物又は医薬組成物の単位用量は0.001mg~1000mgである。
【0078】
幾つかの実施形態において、組成物又は医薬組成物の総重量に基づいて、上記組成物は、0.01%~99.99%の薬剤又は生物活性試薬又はその薬学的に許容される塩を含む。幾つかの実施形態において、上記組成物は、0.1%~99.9%の薬剤又は生物活性試薬又はその薬学的に許容される塩を含む。幾つかの実施形態において、上記組成物は、0.5%~99.5%の薬剤又は生物活性試薬又はその薬学的に許容される塩を含む。幾つかの実施形態において、上記組成物は、1%~99%の薬剤又は生物活性試薬又はその薬学的に許容される塩を含む。幾つかの実施形態において、上記組成物は、2%~98%の薬剤又は生物活性試薬又はその薬学的に許容される塩を含む。
【0079】
幾つかの実施形態において、組成物又は医薬組成物の総重量に基づいて、上記組成物又は医薬組成物は、0.01%~99.99%の薬学的に許容される賦形剤を含む。幾つかの実施形態において、上記組成物又は医薬組成物は、0.1%~99.9%の薬学的に許容される賦形剤を含む。幾つかの実施形態において、上記組成物又は医薬組成物は、0.5%~99.5%の薬学的に許容される賦形剤を含む。幾つかの実施形態において、上記組成物又は医薬組成物は、1%~99%の薬学的に許容される賦形剤を含む。幾つかの実施形態において、上記組成物又は医薬組成物は、2%~98%の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0080】
幾つかの実施形態において、上記組成物又は医薬組成物は、温度の上昇と共に溶液-ゲル相転移が発生し、上記溶液-ゲル相転移の温度は4℃~40℃であり、幾つかの実施形態において、溶液-ゲル相転移の温度は約10℃~約37℃、約20℃~約37℃である。幾つかの実施形態において、溶液-ゲル相転移の温度は人間の体温である。
【0081】
幾つかの具体的な実施形態において、上記組成物又は医薬組成物の溶液-ゲル相転移の温度は約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃又は約40℃である。
【0082】
幾つかの実施形態において、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物、或いは組成物又は医薬組成物は注射可能である。
【0083】
本開示は、本開示に記載される感温性ポリマー又は本開示に記載される化合物、或いは本開示に記載される組成物又は医薬組成物を含むヒドロゲルを更に提供する。
【0084】
幾つかの実施形態において、ヒドロゲルは温度の上昇と共に溶液-ゲル相転移が発生し、上記溶液-ゲル相転移の温度は4℃~40℃であり、幾つかの実施形態において、溶液-ゲル相転移の温度は約10℃~約37℃、約20℃~約37℃である。幾つかの実施形態において、溶液-ゲル相転移の温度は人間の体温である。
【0085】
幾つかの具体的な実施形態において、上記ヒドロゲルの溶液-ゲル相転移の温度は約4℃、約5℃、約6℃、約7℃、約8℃、約9℃、約10℃、約11℃、約12℃、約13℃、約14℃、約15℃、約16℃、約17℃、約18℃、約19℃、約20℃、約21℃、約22℃、約23℃、約24℃、約25℃、約26℃、約27℃、約28℃、約29℃、約30℃、約31℃、約32℃、約33℃、約34℃、約35℃、約36℃、約37℃、約38℃、約39℃又は約40℃である。
【0086】
本開示は、以下のステップを含むヒドロゲルの調製方法を提供する。
【0087】
(1)本開示に記載されるAB型両親媒性コポリマーと、芳香環又はヘテロ芳香環を含む無水物、酸塩化物、活性エステル又はカルボン酸とを、縮合剤、触媒作用下で化学カップリングによりスターコポリマーを合成する。
【0088】
(2)ステップ(1)に記載のスターコポリマーを溶媒に溶解し、体温(37℃)付近でヒドロゲルを自発的に形成する。
【0089】
幾つかの実施形態において、上記縮合剤はジシクロヘキシルカルボジイミド、ジイソプロピルカルボジイミド、1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミドのうちの1種又は複数種から選ばれる。
【0090】
幾つかの実施形態において、上記触媒は4-ジメチルアミノピリジン、1-ヒドロキシベンゾトリアゾール、4-ピロリジニルピリジンのうちの1種又は複数種から選ばれる。
【0091】
本開示は、薬剤又は生物活性試薬の溶解性を向上させる方法であって、薬剤又は生物活性試薬を、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物又は組成物又はヒドロゲルに混合することを含む、方法を更に提供する。
【0092】
本開示は、薬剤又は生物活性試薬を持続放出又は制御放出する方法であって、薬剤又は生物活性試薬を、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物又は組成物又はヒドロゲルに混合することを含む、方法を更に提供する。
【0093】
本開示は、薬剤又は生物活性試薬の安定性を向上させる方法であって、薬剤又は生物活性試薬を、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物又は組成物又はヒドロゲルに混合することを含む、方法を更に提供する。
【0094】
本開示は、疾患を治療及び/又は予防する方法であって、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物又は組成物又はヒドロゲルを生理的環境に注射するステップを含む、方法を更に提供する。選択的な実施形態において、本開示における疾患は、血管疾患、腫瘍疾患、糖尿病、免疫系疾患などから選ばれるが、これらに限定されない。
【0095】
本開示にかかる治療及び/又は予防方法に使用される用量は通常、疾患の重症度、患者の体重及び化合物の相対的な有効性によって変わる。但し、一般的な目安として、好適な単位用量は0.1mg~1000mgであってもよい。
【0096】
本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物又は組成物又は医薬組成物又はヒドロゲルは、室温又は室温未満で溶液状態にあり、人間の体温でゲル状態に変化することができる感温性特性を有し、本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物又は組成物又はヒドロゲルを薬剤又は生物活性試薬と共混合することで、特定の部位への簡便且つ効率的な注射(カテーテルや針などの低侵襲的な方法を含むが、これらに限定されない)を可能にする(例えば、外科的欠損部位、外科的病変部位の近く又は皮下組織に隣接する部位への標的投与)。
【発明が解決しようとする課題】
【0097】
本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物又は組成物又は医薬組成物又はヒドロゲルは、体温でその場でゲルを形成し、長時間作用性徐放性製剤として、薬剤拡散及びゲル分解の二重作用により、薬剤又は生物活性試薬の穏やか且つ緩慢な放出が実現される。
【0098】
本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物又は組成物又は医薬組成物又はヒドロゲルの溶液は、病変部位に到達した後、その流動性により、形成されたゲル形状を欠損部位の形状により良く一致させ、材料と組織との間の隙間又は硬い塊の膨れを回避することができる。
【0099】
本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物又は組成物又は医薬組成物又はヒドロゲルの溶液は、薬剤、生物活性試薬、細胞などと十分に混合され、体内に注射した後にゲルを形成し、当該ゲルは、薬物送達における薬物貯蔵庫又は組織工学における細胞増殖や分化及び再生時の一時的な足場を形成する。
【0100】
本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物又は組成物又は医薬組成物又はヒドロゲルは、生分解性又は生体吸収性材料であり、体内で无毒性成分に劣化又は分解することができ、患者にとって安全であり、その周囲組織への刺激を最小限に抑え、且つ薬剤適合性媒体である。
【0101】
本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物又は組成物又は医薬組成物又はヒドロゲルは、特別なトポロジカル構造を有し、鎖セグメントの絡み合いの度合いが線状ポリマーより高く、その中に包埋された薬物が溶出する可能性が低い。
【0102】
本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物又は組成物又は医薬組成物又はヒドロゲルは単一な線状ポリマーよりも、同じ分子量の線状ポリマーと比較して、より小さい流体力学体積を有し、溶液中の粘度が低く、血液中でブロックされにくい。
【0103】
本開示にかかる感温性ポリマー又は化合物又は組成物又は医薬組成物は、ミセルに自己集合しやすく、ミセル形成後にミセル間に架橋構造を形成しやすく、更に感温性ヒドロゲルを形成し、且つヒドロゲルはより優れる抗膨張特性を有する。
【0104】
別の態様によれば、配置が明示されていない場合、本開示に係る感温性ポリマー又は化合物は、特定の幾何又は立体異性体の形態があってもよい。本開示は、シス・トランス異性体、(-)-と(+)-エナンチオマー、(R)-と(S)-エナンチオマー、ジアステレオマー、(D)-異性体、(L)-異性体、及びそのラセミ混合物と他の混合物、例えば、エナンチオマーやジアステレオマーに富む混合物のような混合物の全てを含み、このような感温性ポリマー又は化合物の全てが本開示の範囲に含まれることを意図する。アルキル基などの置換基には、他の不斉炭素原子があってもよい。特に断りのない限り、このような異性体及びそれらの混合物の全ては、本開示の範囲に含まれる。
【0105】
本開示に係る感温性ポリマー又は化合物は不斉のものであってもよく、例えば、1つ又は複数の立体異性体を有する。配置が明示されていない場合、すべての立体異性体は何れも例えば、エナンチオマーとジアステレオマーを含む。本開示に係る不斉炭素原子を含む感温性ポリマー又は化合物は、光学活性純品の形態又はラセミ形態で単離されることができる。光学活性純品の形態は、ラセミ混合物から分割され、或いはキラル原料又はキラル試薬を使用することで合成されてもよい。
【0106】
本開示に記載される化合物の化学構造において、
【化19】
という結合は配置が指定されていないことを示し、即ち、化学構造にキラル異性体が存在する場合、
【化20】
という結合は
【化21】
であってもよく、或いは
【化22】
という2種類の配置を同時に含んでもよい。便宜上、上記構造式の全てをある異性体形式として描かれているが、配置が指定されていない場合、本開示は、回転異性体、幾何異性体、ジアステレオマー、ラセミ体及びエナンチオマーなどの全ての異性体を含んでもよい。本開示に記載される化合物の化学構造において、
【化23】
という結合は、配置が指定されておらず、即ち、
【化24】
という結合の配置はE配置又はZ配置であってもよく、或いはEとZという2つの配置を同時に含んでもよい。
【0107】
キラル合成又はキラル試薬又は他の通常の技術により、光学活性の(R)-と(S)-異性体及びDとL異性体を調製することができる。本開示のある感温性ポリマー又は化合物の1つのエナンチオマーを得るには、不斉合成又はキラル助剤を有する誘導作用により調製することができ、ここで、得られたジアステレオマー混合物を単離し、且つ基の分裂を補助することにより、必要なエナンチオマーの純品を提供する。或いは、分子に塩基性官能基(例えば、アミノ基)又は酸性官能基(例えば、カルボキシ基)が含まれる場合、適当な光学活性的な酸又は塩基と共にジアステレオマーの塩を形成し、そしてこの分野でよく知られている通常の方法によりジアステレオマー分割を行い、その後、回収してエナンチオマーの純品を得る。なお、エナンチオマーとジアステレオマーの単離は、一般的にクロマトグラフィーにより完成され、上記クロマトグラフィーはキラル固定相を採用し、且つ任意選択的に化学誘導法と組み合わせる(例えば、アミンからカルバミン酸塩を生成する)。
【0108】
本開示は更に、本明細書に記載されるものと同じであるが、1つ又は複数の原子が、自然界で通常見られる原子量又は質量数と異なる原子量又は質量数を有する原子で置換された同位体標識の幾つかの本開示の化合物を含む。本開示の化合物に結合可能な同位体の実例は、水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、ヨウ素及び塩素の同位体を含み、例えば、それぞれ2H、3H、11C、13C、14C、13N、15N、15O、17O、18O、31P、32P、35S、18F、123I、125I及び36Clなどである。
【0109】
特に説明のない限り、1つの位置が特に重水素(D)と指定される場合、当該位置は、重水素の天然存在度(0.015%である)よりも少なくとも1000倍高い存在度を有する重水素(即ち、少なくとも10%の重水素が組み込まれた)であると理解すべきである。例における化合物の、重水素の天然存在度よりも高い存在度を有するものは、少なくとも1000倍の存在度の重水素、少なくとも2000倍の存在度の重水素、少なくとも3000倍の存在度の重水素、少なくとも4000倍の存在度の重水素、少なくとも5000倍の存在度の重水素、少なくとも6000倍の存在度の重水素又はそれ以上の存在度の重水素であってもよい。本開示は、種々の重水素化形態の化合物を更に含む。炭素原子に連結されるそれぞれの利用可能な水素原子は、独立的に重水素原子で置換されてもよい。当業者は、関連文献を参照して重水素化形態の化合物を合成することができる。重水素化形態の化合物は、調製している場合、市販の重水素化出発物質を使用してもよく、又は、通常の技術により重水素化試薬で合成されてもよく、重水素化試薬は、重水素化ボラン、三重水素化ボランテトラヒドロフラン溶液、重水素化水素化アルミニウムリチウム、重水素化ヨードエタン及び重水素化ヨードメタンなどを含むが、これらに限られるものではない。
【課題を解決するための手段】
【0110】
用語の説明
本開示が更に容易に理解されるように、以下、幾つかの技術・科学用語を具体的に定義する。本明細書で別途明確に定義しない限り、本明細書に使用される他の技術・科学用語の全ては、当業者に通常理解されている意味を持っている。
【0111】
「任意選択的に」又は「任意選択に」は、その後に説明される事象又は状況が生じてもよいが、生じなくてもよいことを意味し、この説明は、当該事象又は状況が生じる場合と生じない場合を含む。例えば、「任意選択的にハロゲン又はシアノ基で置換されるC1-6アルキル基」は、ハロゲン又はシアノ基が存在してもよいが、存在しなくてもよいことを意味し、この説明は、アルキル基がハロゲン又はシアノ基で置換されている場合と、アルキル基がハロゲン又はシアノ基で置換されていない場合とを含む。
【0112】
「線状」という用語は、ポリマーが分岐単位を有しないか又は基本的に有しないため、ポリマー骨格の末端の数が2であることを指す。
【0113】
「スター」という用語は、ポリマー骨格が少なくとも1つの分岐部位を有するため、少なくとも3個の末端、例えば3個、4個、5個、6個、7個、8個、9個、10個の末端を有することを指す。
【0114】
「生分解可能」という用語は、ポリマーが体内で化学分解又は劣化して无毒性成分を生成することができ、分解の速度が薬物放出速度と相同又は相異であってもよいことを指す。
【0115】
「ポリマー」という用語は、共有結合した複数のモノマー単位を含む分子を指し、且つ分岐ポリマー、樹枝状ポリマー、スターポリマー及び線状ポリマーを含んでもよい。当該用語は、ホモポリマー、コポリマー及びその組み合わせを更に含み、例えばランダムコポリマー、ブロックコポリマー、グラフトコポリマー、並びに非架橋ポリマー、わずかや中程度及び基本的に架橋したポリマーである。
【0116】
「溶液-ゲル相転移温度」という用語は、下限臨界ゲル温度、ゲル化温度とも呼ばれ、互換的に使用され、ポリマー溶液が温度の上昇と共に、溶液状態からゲル状態に転移する温度を指す。
【0117】
「感温性」又は「感温性特性」という用語は、溶液の温度がポリマーの溶液-ゲル相転移の温度より高い場合、温度の上昇がポリマー鎖の再配列と整列を引き起こし、三次元構造にゲル化され、ポリマーの溶液粘度が自然に増加し、且つ多くの場合では、当該コポリマーが半固体ゲルに変化することを指す。ゲルを生成する全ての相互作用は、共有結合の形成又は切断を必要としない物理的反応である。
【0118】
「ポリマー溶液」、「ポリマー水溶液」、「ヒドロゲル溶液」などの用語は、当該溶液に含まれるポリマーに使用される場合、ポリマーのゲル化温度よりも低い温度に上記溶液が維持されることを指す。
【0119】
「ゲル」及び「ヒドロゲル」という用語は、互換的に使用され、水に不溶性の膨張した水分含有の網状微細分散ポリマー鎖を指し、ここで、ポリマー分子は外側又は分散外相にあり、且つ水(又は水溶液)は内側又は分散相を形成する。例えば、温度がポリマーのゲル化温度以上に上昇する場合、ポリマー溶液又はヒドロゲル溶液は自発的に半固相を形成する。
【0120】
「ポリエチレングリコール」、「PEG」という用語は、ポリ(エチレンオキシド)(PEO)又はポリ(オキシエチレン)と呼ばれる場合もあり、且つ本開示の目的では、これらの用語は互換的に使用されてもよい。
【0121】
「ポリ乳酸-ヒドロキシ酢酸コポリマー」、「PLGA」という用語は、「ポリ(ラクチド-コポリ-グリコリド)」と呼ばれる場合もあり、乳酸とヒドロキシ酢酸の重縮合又はα-ヒドロキシ酸前駆体、例えばグリコリド又はラクチドの開環重合によって得られたコポリマーを指す。「ラクチド」、「乳酸エステル」、「グリコリド」及び「ヒドロキシ酢酸エステル」という用語は、ここで互換的に使用される。本開示におけるPLGAは、E型又はF型に分類されてもよく、E型又はF型はここで互換的に使用され、何れも本開示の範囲内にある。
【化25】
【0122】
「ポリ乳酸-ポリカプロラクトンコポリマー」、「PCLA」という用語は、「ポリ(ε-カプロラクトン-コ-ラクチド)」と呼ばれる場合もあり、ここで互換的に使用される。本開示におけるPCLAは、G型又はH型に分類されてもよく、G型又はH型はここで互換的に使用され、何れも本開示の範囲内にある。
【化26】
【0123】
「約」又は「ほぼ」という用語は、数値が当業者により測定される具体値の許容可能な誤差範囲にあることを意味し、上記数値部分が如何に計測又は測定するか(即ち、計測システムの限度)によって決められる。例えば、「約」は、1以内又は1を超えた標準偏差を意味してもよい。或いは、「約」又は「基本的に含む」は、最大20%の範囲、例えば1%~15%の間、1%~10%の間、1%~5%の間、0.5%~5%の間、0.5%~1%の間で変動することを意味してもよい。本開示において、数字又は数値範囲の前に付く「約」という用語は、それぞれの場合において、所定の数の実施形態も含む。特に説明のない限り、具体値が本願及び特許請求の範囲に現れる場合、「約」又は「基本的に含む」の意味は、当該具体値の許容可能な誤差範囲内にあると仮定すべきである。
【0124】
「生体適合性」という用語は、用量範囲内で毒性がなく、化学的に不活性であり、患者において基本的に非免疫原性であり、血液に基本的に不溶性である物質を指す。材料自体及びその任意の代謝産物又は分解産物に関して、受容者にとって一般に毒性がなく、受容者に対する如何なる明らかな悪影響も引き起こさない材料である。一般的には、生体適合性材料は、個体に投与された時に、著しい炎症反応、免疫反応又は毒性反応を引き起こさない材料である。
【0125】
「アルキル基」という用語は、飽和脂肪族炭化水素基を指し、1個~20個の炭素原子を含む直鎖又は分岐鎖基であり、好ましくは1個~12個の炭素原子を含むアルキル基である。非限定的な実例は、メチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、2,3-ジメチルブチル基、n-ヘプチル基、2-メチルヘキシル基、3-メチルヘキシル基、4-メチルヘキシル基、5-メチルヘキシル基、2,3-ジメチルペンチル基、2,4-ジメチルペンチル基、2,2-ジメチルペンチル基、3,3-ジメチルペンチル基、2-エチルペンチル基、3-エチルペンチル基、n-オクチル基、2,3-ジメチルヘキシル基、2,4-ジメチルヘキシル基、2,5-ジメチルヘキシル基、2,2-ジメチルヘキシル基、3,3-ジメチルヘキシル基、4,4-ジメチルヘキシル基、2-エチルヘキシル基、3-エチルヘキシル基、4-エチルヘキシル基、2-メチル-2-エチルペンチル基、2-メチル-3-エチルペンチル基、n-ノニル基、2-メチル-2-エチルヘキシル基、2-メチル-3-エチルヘキシル基、2,2-ジエチルペンチル基、n-デシル基、3,3-ジエチルヘキシル基、2,2-ジエチルヘキシル基、及びその種々の分岐鎖異性体などを含む。より好ましくは1個~6個の炭素原子を含むアルキル基であり、非限定的な実施例はメチル基、エチル基、n-プロピル基、イソプロピル基、n-ブチル基、イソブチル基、tert-ブチル基、sec-ブチル基、n-ペンチル基、1,1-ジメチルプロピル基、1,2-ジメチルプロピル基、2,2-ジメチルプロピル基、1-エチルプロピル基、2-メチルブチル基、3-メチルブチル基、n-ヘキシル基、1-エチル-2-メチルプロピル基、1,1,2-トリメチルプロピル基、1,1-ジメチルブチル基、1,2-ジメチルブチル基、2,2-ジメチルブチル基、1,3-ジメチルブチル基、2-エチルブチル基、2-メチルペンチル基、3-メチルペンチル基、4-メチルペンチル基、2,3-ジメチルブチル基などを含む。アルキル基は置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は任意の利用可能な接続部位で置換されてもよく、上記置換基は、アルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルチオ基、アルキルアミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、シクロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルチオ基、オキソ基、カルボキシ基又はカルボン酸エステル基から独立的に選ばれる1つ又は複数の基が好ましい。
【0126】
「アルコキシ基」という用語は、-O-(アルキル基)及び-O-(非置換のシクロアルキル基)を指し、そのうち、アルキル基の定義は上記の通りである。アルコキシ基の非限定的な実例は、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、ブトキシ基、シクロプロポキシ基、シクロブトキシ基、シクロペンチルオキシ基、シクロヘキシルオキシ基を含む。アルコキシ基は、任意選択的に置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は、独立的にハロゲン、重水素、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6アルキニルオキシ基、C3-6シクロアルコキシ基、3員~6員ヘテロシクロアルコキシ基、C3-8シクロアルケニルオキシ基、5員~6員アリール基又はヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の基が好ましく、上記C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6アルキニルオキシ基、C3-6シクロアルコキシ基、3員~6員ヘテロシクロアルコキシ基、C3-8シクロアルケニルオキシ基、5員~6員アリール基又はヘテロアリール基は、任意選択的にハロゲン、重水素、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基から選ばれる1つ又は複数の基で置換される。同様に、「アルキニルオキシ基」、「アルケニルオキシ基」、「シクロアルコキシ基」、「ヘテロシクロアルコキシ基」、「シクロアルケニルオキシ基」の定義は上記「アルコキシ基」に定義される通りである。
【0127】
「アルケニル基」という用語は、少なくとも1つの炭素-炭素二重結合を含むと共に2個~10個の炭素原子を有する直鎖又は分岐鎖の非芳香族炭化水素基を指す。このような基には最大5個の炭素-炭素二重結合が存在することができる。例えば、「C2-C6」アルケニル基は、2個~6個の炭素原子を有するアルケニル基として定義される。アルケニル基の例は、ビニル基、プロペニル基、ブテニル基及びシクロヘキセニル基を含むが、これらに限定されない。アルケニル基の直鎖、分岐鎖又は環状部分は、二重結合を含んでもよく、そして通常の原子価に許容される任意の位置に、任意選択的にモノ-、ジ-、トリ-、テトラ-又はペンタ-で置換される。
【0128】
「アルキニル基」という用語は、2個~10個の炭素原子を含むと共に少なくとも1つの炭素-炭素三重結合を有する直鎖又は分岐鎖の炭化水素基を指す。最大5個の炭素-炭素三重結合が存在することができる。従って、「C2-C6アルキニル基」は、2個~6個の炭素原子を有するアルキニル基を表す。アルキニル基の例は、エチニル基、2-プロピニル基及び2-ブチニル基を含むが、これらに限定されない。アルキニル基の直鎖、分岐鎖部分は、通常の原子価に許容される三重結合を含んでもよく、そして通常の原子価に許容される任意の位置に、任意選択的にモノ-、ジ-、トリ-、テトラ-又はペンタ-で置換される。
【0129】
「シクロアルキル基」又は「炭素環」という用語は、飽和又は部分不飽和の単環式又は多環式環状炭化水素置換基を指し、シクロアルキル基環は、3個~20個の炭素原子を含み、好ましくは3個~7個の炭素原子を含む。単環式シクロアルキル基の非限定的な実例は、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンテニル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、シクロヘキサジエニル基などを含み、多環式シクロアルキル基は、スピロ環、縮合環及び架橋環のシクロアルキル基を含む。シクロアルキル基は、置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は任意の利用可能な接続部位で置換されてもよく、独立的にハロゲン、重水素、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6アルキニルオキシ基、C3-6シクロアルコキシ基、3員~6員ヘテロシクロアルコキシ基、C3-8シクロアルケニルオキシ基、5員~6員アリール基又はヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の基が好ましく、上記C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6アルキニルオキシ基、C3-6シクロアルコキシ基、3員~6員ヘテロシクロアルコキシ基、C3-8シクロアルケニルオキシ基、5員~6員アリール基又はヘテロアリール基は、任意選択的にハロゲン、重水素、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基から選ばれる1つ又は複数の基で置換される。
【0130】
上記シクロアルキル環は、アリール基又はヘテロアリール基に縮合されてもよく、そのうち、母体構造に連結された環はシクロアルキル基であり、非限定的な実例はインダニル基、テトラヒドロナフチル基、ベンゾシクロヘプタニル基などを含む。「ヘテロシクロアルキル基」又は「複素環」又は「ヘテロシクリル基」という用語は、3個~20個の環原子を含む飽和又は部分不飽和の単環式又は多環式環状炭化水素置換基を指し、そのうち、1つ又は複数の環原子は、窒素、酸素又はS(O)
m(そのうち、mは0~2の整数である)から選ばれるヘテロ原子であるが、-O-O-、-O-S-又は-S-S-の環部分を含まず、残りの環原子は炭素である。好ましくは3個~12個の環原子を含み、そのうち、1個~4個はヘテロ原子であり、より好ましくは3個~7個の環原子を含む。単環式ヘテロシクロアルキル基の非限定的な実例は、ピロリジニル基、イミダゾリジニル基、テトラヒドロフラニル基、テトラヒドロチエニル基、ジヒドロイミダゾリル基、ジヒドロフラニル基、ジヒドロピラゾリル基、ジヒドロピロリル基、ピペリジニル基、ピペラジニル基、モルホリニル基、チオモルホリニル基、ホモピペラジニル基などを含む。多環式ヘテロシクロアルキル基は、スピロ環、縮合環及び架橋環のヘテロシクロアルキル基を含む。「ヘテロシクロアルキル基」の非限定的な実例は、
【化27】
などを含む。
【0131】
上記ヘテロシクロアルキル環は、アリール基又はヘテロアリール基に縮合されてもよく、そのうち、母体構造に連結された環はヘテロシクロアルキル基であり、その非限定的な実例は、
【化28】
などを含む。
【0132】
ヘテロシクロアルキル基は、任意選択的に置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は、独立的にハロゲン、重水素、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6アルキニルオキシ基、C3-6シクロアルコキシ基、3員~6員ヘテロシクロアルコキシ基、C3-8シクロアルケニルオキシ基、5員~6員アリール基又はヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の基が好ましく、上記C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6アルキニルオキシ基、C3-6シクロアルコキシ基、3員~6員ヘテロシクロアルコキシ基、C3-8シクロアルケニルオキシ基、5員~6員アリール基又はヘテロアリール基は、任意選択的にハロゲン、重水素、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基から選ばれる1つ又は複数の基で置換される。
【0133】
「アリール基」という用語は、共役したπ電子系を有する6員~14員の全炭素単環式又は縮合多環(つまり、隣接する炭素原子対を共有する環)式基を指し、好ましくは6員~12員であり、例えば、フェニル基及びナフチル基である。前記アリール基環は、ヘテロアリール基、ヘテロシクロアルキル基又はシクロアルキル基環に縮合してもよく、そのうち、母体構造に接続された環はアリール基環であり、その非限定的な実例は、
【化29】
を含み、
アリール基は、置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は、独立的にハロゲン、重水素、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基、C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基、C
2-6アルケニルオキシ基、C
2-6アルキニルオキシ基、C
3-6シクロアルコキシ基、3員~6員ヘテロシクロアルコキシ基、C
3-8シクロアルケニルオキシ基、5員~6員アリール基又はヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の基が好ましく、上記C
1-6アルキル基、C
1-6アルコキシ基、C
2-6アルケニルオキシ基、C
2-6アルキニルオキシ基、C
3-6シクロアルコキシ基、3員~6員ヘテロシクロアルコキシ基、C
3-8シクロアルケニルオキシ基、5員~6員アリール基又はヘテロアリール基は、任意選択的にハロゲン、重水素、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基から選ばれる1つ又は複数の基で置換される。
【0134】
「ヘテロアリール基」という用語は、1個~4個のヘテロ原子、5個~14個の環原子を含む複素芳香族系を指し、そのうち、ヘテロ原子は酸素、硫黄及び窒素から選ばれる。ヘテロアリール基は、6員~12員が好ましく、5員又は6員がより好ましい。例えば。その非限定的な実例は、イミダゾリル基、フリル基、チエニル基、チアゾリル基、ピラゾリル基、オキサゾリル基(oxazolyl)、イソオキサゾリル基(isoxazolyl)、ピロリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリミジニル基、チアジアゾリル基、ピラジニル基、トリアゾリル基、インダゾリル基、ベンゾイミダゾリル基、
【化30】
などを含む。
【0135】
上記ヘテロアリール基環は、アリール基、ヘテロシクロアルキル基又はシクロアルキル基環に縮合してもよく、そのうち、母体構造に接続された環はヘテロアリール基環であり、その非限定的な実例は、
【化31】
を含む。
【0136】
ヘテロアリール基は、任意選択的に置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は、独立的にハロゲン、重水素、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基、C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6アルキニルオキシ基、C3-6シクロアルコキシ基、3員~6員ヘテロシクロアルコキシ基、C3-8シクロアルケニルオキシ基、5員~6員アリール基又はヘテロアリール基から選ばれる1つ又は複数の基が好ましく、上記C1-6アルキル基、C1-6アルコキシ基、C2-6アルケニルオキシ基、C2-6アルキニルオキシ基、C3-6シクロアルコキシ基、3員~6員ヘテロシクロアルコキシ基、C3-8シクロアルケニルオキシ基、5員~6員アリール基又はヘテロアリール基は、任意選択的にハロゲン、重水素、ヒドロキシ基、オキソ、ニトロ基、シアノ基から選ばれる1つ又は複数の基で置換される。
【0137】
化学部分の名称における「-レン」という接尾語は、任意の二価炭素含有物質を指し、アルキレン基、アルケニレン基、アルキニレン基、シクロアルキレン基、ヘテロシクロアルキレン基、アリーレン基、ヘテロアリーレン基、シクロシクリレン基及びヘテロシクリレン基を含むが、これらに限定されない。化学的に可能な場合、二価部分上の2つの結合は、同じ原子上で、又は異なる原子上で生じ得る。
【0138】
「アルキレン基」は、アルカン分子から2個の水素原子を除去した後に残った部分を表し、1個~20個の炭素原子を含む直鎖及び分岐鎖のサブユニットである。1個~6個の炭素原子を含むアルキレン基の非限定的な実例は、メチレン基(-CH2-)、エチリデン基(例えば、-CH2CH2-又は-CH(CH3)-)、プロピリデン基(例えば、-CH2CH2CH2-又は-CH(CH2CH3)-)、ブチリデン基(例えば、-CH2CH2CH2CH2-)を含む。アルキレン基は、置換されても、置換されなくてもよく、置換される場合に、置換基は任意の利用可能な接続部位で置換されてもよく、独立的にハロゲン、重水素、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基又はアミノ基から選ばれる1つ又は複数の基が好ましい。
【0139】
「アルケニレン基」という用語は、親アルケンの相同又は2つの相異の炭素原子から2つの水素原子を除去することによって誘導される2つの一価のラジカル中心を有するアルケンを指す。アルケニレン基の非限定的な例は、-CH=CH-、-CH=CHCH2-、-CH=CHCH2CH2-、-CH2CH=CHCH2-などを含むが、これらに限定されない。アルケニレン基は、置換されても、置換されなくてもよい。置換される場合に、置換基は、独立的にアルキル基、アルケニル基、アルキニル基、アルコキシ基、アルキルスルホ基、アルキルアミノ基、ハロゲン、メルカプト基、ヒドロキシ基、ニトロ基、シアノ基、シクロアルキル基、ヘテロシクロアルキル基、アリール基、ヘテロアリール基、シクロアルコキシ基、ヘテロシクロアルコキシ基、シクロアルキルチオ基、ヘテロシクロアルキルチオから選ばれる1つ又は複数、好ましくは1個~5個、より好ましくは1個~3個の置換基が好ましい。
【0140】
「アルキニレン基」という用語は、親アルキンの相同又は2つの相異の炭素原子から2つの水素原子を除去することによって誘導される2つの一価のラジカル中心を有するアルキニル基を指す。典型的なアルキニレン基は、エチニル基(-C≡C-)、プロパルギレン基(-CH2C≡C-)及び1-ペンチニレン基(-CH2CH2CH2C≡C-)を含むが、これらに限定されない。
【0141】
「アリーレン基」という用語は、親アリール基の相同又は2つの相異の炭素原子から2つの水素原子を除去することによって誘導される2つの一価のラジカル中心を有するアリール基を指す。
【0142】
「ヘテロアリーレン基」という用語は、上記に定義されるヘテロアリール基を指し、親ヘテロアリール基の相同又は2つの相異の炭素原子から2つの水素原子を除去するか、又は、1つの炭素原子から水素を除去すると共に1つの窒素原子から水素を除去することによって誘導される2つの一価のラジカル中心を有する。
【0143】
「ヘテロアルキレン基」という用語は、本明細書に定義されるアルキレン基を指し、そのうち、1つ又は複数の炭素原子が酸素、硫黄又は窒素原子で置換される。
【0144】
「シクロアルキレン基」という用語は、飽和又は部分不飽和の単環式又は多環式環状炭化水素が形態上で2つの水素原子を除去することによって形成される基を指し、3個~20個の炭素原子を含み、好ましくは3個~12個の炭素原子を含み、より好ましくは、単環式シクロアルキレン基環は3個~10個の炭素原子、最も好ましくは3個~6個の炭素原子を含む。単環式シクロアルキレン基の非限定的な実施例は、シクロプロピレン基、シクロブチレン基、シクロペンチレン基、シクロヘキシレン基、シクロヘプチレン基、シクロオクチレン基、1,2-シクロプロピレン基、1,3-シクロブチレン基、1,4-シクロヘキシレン基などを含む。多環式シクロアルキレン基は、スピロシクリレン、縮合シクリレン及び架橋シクリレンのシクロアルキレン基を含む。
【0145】
「ヘテロシクロアルキレン基」という用語は、ヘテロシクリル基及び単環炭素における2つの置換基によって形成される二価基を指す。
【0146】
「ヒドロキシ基」という用語は、-OH基を指す。
【0147】
「ハロゲン」という用語は、フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を指す。
【0148】
「ハロアルキル基」という用語は、ハロゲンで置換されるアルキル基を指し、そのうち、アルキル基は上記のように定義される。
【0149】
「ハロアルコキシ基」という用語は、本開示に定義されるように、任意選択的に1つ又は複数のハロゲン原子で置換されるアルコキシ基を指す。
【0150】
「シアノ基」という用語は、-CNを指す。
【0151】
「ニトロ基」という用語は、-NO2を指す。
【0152】
「オキソ」という用語は、=O基を指し、例えば、炭素原子は二重結合によって酸素原子に連結し、ここで、ケトン又はアルデヒド基が形成される。
【0153】
「アミノ基」という用語は、-NH2を指す。
【0154】
「置換される」という用語は、特定の原子(通常、炭素、酸素及び窒素原子)上の何れか1つ又は複数の水素原子が、本明細書に限定される任意の基で置換されることを表し、条件としては上記特定の原子の通常の原子価を超えず、安定的な化合物を形成する。置換基の非限定的な例は、C1-C6アルキル基、C2-C6アルケニル基、C2-C6アルキニル基、シアノ基、ヒドロキシ基、オキソ基、カルボキシ基、シクロアルキル基、シクロアルケニル基、ヘテロシクリル基、ヘテロアリール基、アリール基、ケトン、アルコキシカルボニル基、アリールオキシカルボニル基、ヘテロアリールオキシカルボニル基又はハロゲン(例えば、F、Cl、Br、I)を含む。置換基がケトン又はオキソ(即ち、=O)である場合、原子上の2つ(2個)の水素が置換される。
【0155】
「1つ又は複数の…で置換される」は、単一又は複数の置換基で置換されてもよいことを指す。複数の置換基で置換される場合、複数の同じ置換基であってもよく、1つ又は複数の異なる置換基の組み合わせであってもよい。
【0156】
「有効量」又は「有効用量」という用語は、何れか1種又は複数種の有益な又は必要な治療結果を得るために必要な薬剤、化合物又は医薬組成物の量を指す。予防的使用に関しては、有益又は必要な結果は、病状、その合併症及び病状の進行中に現れた中間的な病理学的表現型の生化学的、組織学的及び/又は行動的症状を含め、リスクの解消や低減、重症度の軽減又は病状の発作の遅延を含む。治療的応用として、有益な又は必要な結果は、種々の標的遺伝子、標的mRNA又は標的タンパク質関連病状の発症率の低減或いは上記病状の1つ又はそれ以上の症状の改善、病状の治療に必要な他の薬剤の用量の低減、別の薬剤の治療効果の向上、及び/又は、患者の標的遺伝子、標的mRNA又は標的タンパク質関連病状の進行の遅延などの臨床的結果を含む。
【0157】
「医薬組成物」という用語は、1種又は複数種の本明細書に記載される化合物又はその生理学的に薬用可能な塩又はプロドラッグと他の化学成分の混合物と、生理学的に薬用可能なベクター及び賦形剤などの他の成分とを含むものを示す。医薬組成物は、生体への投与を促進し、活性成分の吸収に寄与して更に生物活性を発揮するためのものである。
【0158】
「薬用可能な賦形剤」又は「薬学的に許容される賦形剤」という用語は、アメリカ食品医薬品局によって承認された、ヒト又は家畜動物への使用が許容される任意の助剤、ベクター、賦形剤、流動促進剤、甘味料、希釈剤、防腐剤、染料/着色剤、着香剤、界面活性剤、湿潤剤、分散剤、懸濁化剤、安定剤、等張化剤、溶媒又は乳化剤を含むが、これらに限定されない。
【0159】
本開示で商品名が使用される場合、出願者は当該商品名を有する製品の製剤、当該商品名を有する製品の非特許薬及び活性薬物部分を含むことを意図する。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【
図1】ジブロックポリマーmPEG-PLGAの
1H-NMRスペクトルである。
【
図2】スターマルチアームポリマーPMDA-mPEG-PLGAの
1H-NMRスペクトルである。
【
図3】スターマルチアームポリマーPMDA-mPEG-PLGAの溶液-ゲル転移の相図であり、ここで、三角印は一定の濃度でポリマーゲルが沈澱する温度を示し、菱形は一定の濃度でポリマー溶液がゲルになる温度を示す。
【
図4】ジブロックポリマーmPEG-PLAの
1H-NMRスペクトルである。
【
図5】スターマルチアームポリマーPMDA-mPEG-PLAの
1H-NMRスペクトルである。
【
図6】スターマルチアームポリマーPMDA-mPEG-PLAの溶液-ゲル転移の相図であり、ここで、四角印は一定の濃度でポリマーゲルが沈澱する温度を示し、菱形は一定の濃度でポリマー溶液がゲルになる温度を示す。
【
図7】PMDA-mPEG-PLAフルルビプロフェンヒドロゲルの放出曲線である。
【
図8】CMPEGの
1H-NMRスペクトルである。
【
図9】非芳香族コアスターポリマー4-arm PLGAの
1H-NMRスペクトルである。
【
図10】非芳香族コアスターポリマー4-arm PLGA-PEGの
1H-NMRスペクトルである。
【
図11】非芳香族コアスターポリマー4-arm PLGA-PEGの溶液-ゲル転移の相図であり、ここで、四角印は一定の濃度でポリマーゲルが沈澱する温度を示し、菱形は一定の濃度でポリマー溶液がゲルになる温度を示す。
【
図12】非芳香族コアスターポリマー4-arm PLGA-PEGフルルビプロフェンヒドロゲルの放出曲線である。
【発明を実施するための形態】
【0161】
以下、実施例と合わせて本開示を更に説明するが、これらの実施例は本開示の範囲を限定するものではない。
【0162】
化合物の構造は、核磁気共鳴(NMR)によって決定される。NMRシフト(δ)は、10-6(ppm)の単位で示される。NMRの測定は核磁気計Bruker AVANCE-400を用い、測定溶媒は重水素化クロロホルム(CDCl3)、内部標準はテトラメチルシラン(TMS)であった。
【0163】
ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)分析は、ゲル浸透クロマトグラフWaters 2695 GPCを用い、移動相はテトラヒドロフランであった。
【0164】
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)分析は、高速液体クロマトグラフAgilent HPLC 1200DADを使用した。
【0165】
本開示で公知の出発原料は、当該分野で公知の方法を用いるか、又はそれに従って合成することができ、又はAldrich Chemical Company、アダマール試薬、JinanDaigang生物工程などの会社から購入することができる。
【0166】
実施例において、特に説明のない限り、反応は何れもアルゴン雰囲気又は窒素雰囲気において行うことができる。
【0167】
アルゴン雰囲気又は窒素雰囲気は、反応フラスコに容積が約1 Lのアルゴン又は窒素バルーンが接続されていることを指す。
【0168】
実施例において、特に説明のない限り、溶液は水溶液を指す。
【0169】
実施例において特に説明のない限り、反応温度は室温で、20℃~30℃である。
【0170】
実施例1
1.1 両親媒性ジブロックコポリマーmPEG-PLGAの合成
100mLの丸底フラスコに5gのmPEG 550を秤量し、撹拌しながら130℃で真空で水分を1h除去した。温度を室温に冷却した後、8.14gのD,L-ラクチド及び1.86gのグリコリドを加え、15mgのオクタン酸第一スズを含むキシレン溶液を加え、2h真空引きしてキシレンを除去し、窒素ガス保護下で、140℃の油浴で16h反応させた。次にジクロロメタンで溶解し、更に石油エーテルでポリマーを沈澱させ、真空乾燥して最終生成物、即ちジブロックポリマーmPEG-PLGAを得た。当該ブロックポリマーの性質を測定し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、ポリエチレングリコールを標準試料とする)により測定される上記ポリマーの数平均分子量と重量平均分子量(Mn、Mw)はそれぞれ1557と2109であり、分子量分布係数(Mw/Mn)は1.35であった。このコポリマーは水に溶解することができ、温度の上昇と共に可逆的に溶液-ゲル転移を起こすことができる。
【0171】
ジブロックポリマーmPEG-PLGAの構造は、
【化32】
であり、そのうち、nは12、xは4、yは13であった。
【0172】
当該ブロックポリマーの性質を測定し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、ポリエチレングリコールを標準試料とする)により測定される上記ポリマーの数平均分子量と重量平均分子量(Mn、Mw)はそれぞれ1557と2109であり、分子量分布係数(Mw/Mn)は1.35であった。このコポリマーは水に溶解することができ、温度の上昇と共に可逆的に溶液-ゲル転移を起こすことができる。
【0173】
図1はポリマーmPEG-PLGAの
1H-NMRスペクトルであり、3.65ppmでの水素はmPEG中のメチレンに由来し、3.38ppmでの水素はmPEG中のメチル基に由来し、4.8ppmでの水素はグリコリド中のメチレンに由来し、5.1ppmでの水素はD,L-ラクチド中のメチンに由来し、面積の積算により計算すると、結果は投与量と一致した。
【0174】
1.2 スターマルチアームポリマーPMDA-mPEG-PLGAの合成
100mLの丸底フラスコに4gの上記ジブロックコポリマーmPEG-PLGAを加え、28mLのジクロロメタンを加えて溶解させ、次に124mgのピロメリット酸二無水物、1.719gのN,N-ジイソプロピルカルボジイミド、166mgの4-ジメチルアミノピリジンを順に加え、25℃の油浴で24h反応させた。次に無水エタノールでポリマーを沈澱させ、真空乾燥して最終生成物、即ちスターマルチアームポリマーPMDA-mPEG-PLGAを得た。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、ポリエチレングリコールを標準試料とする)により測定される上記ポリマーの数平均分子量と重量平均分子量(Mn、Mw)はそれぞれ5112と5836であり、分子量分布係数(Mw/Mn)は1.14であった。スターマルチアームポリマーPMDA-mPEG-PLGAの構造は、
【化33】
であり、そのうち、nは12、xは4、yは16であった。
【0175】
図2はスターマルチアームポリマーPMDA-mPEG-PLGAの
1H-NMRスペクトルであり、上記ジブロックポリマーの水素を含むに加えて、8.2ppmで新しいピークが現れ、当該ピークはPMDAのベンゼン環上の水素であり、スターポリマーPMDA-mPEG-PLGAの合成に成功したことを示している。
【0176】
適量のスターコポリマーを秤量し、水を溶媒として、ポリマーの質量百分率含有量が20wt%と25wt%の溶液を調製した。逆配管試験の結果は、得られたスターコポリマーの溶液が生理温度(37℃)で溶液-ゲル相転移を起こすことを示している。
【0177】
図3はスターマルチアームポリマーPMDA-mPEG-PLGA溶液-ゲル転移の相図であった。適量のスターマルチアームポリマーを秤量し、水を溶媒として、ポリマーの質量含有量が5wt%~25wt%の溶液を調製し、逆配管試験が行われ、具体的にはスターマルチアームポリマー溶液を入れた試料瓶を24℃~80℃の水浴に浸漬し、15minの平衡後に直ちに180°反転させ、30s以内に試料に明らかな流動が生じない場合、試料がゲル状態になると見なし、この時の温度は溶液-ゲル転移温度とした。
【0178】
図3において、三角印は一定の濃度でポリマーゲルが沈澱する温度を示し、菱形は一定の濃度でポリマー溶液がゲルになる温度を示している。
【0179】
実施例2
2.1 両親媒性ジブロックコポリマーmPEG-PLAの合成
100mLの丸底フラスコに10gのmPEG 550を秤量し、撹拌しながら130℃で真空で水分を1h除去した。温度を室温に冷却した後、13gのD,L-ラクチドを加え、18mgのオクタン酸第一スズを含むキシレン溶液を加え、2h真空引きしてキシレンを除去し、窒素ガスの保護で、140℃の油浴で16h反応させた。次にジクロロメタンで溶解し、更に石油エーテルでポリマーを沈澱させ、真空乾燥して最終生成物、即ちジブロックポリマーmPEG-PLAを得た。当該ブロックポリマーの性質を測定し、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、ポリエチレングリコールを標準試料とする)により測定される上記ポリマーの数平均分子量と重量平均分子量(Mn、Mw)はそれぞれ1172と1355であり、分子量分布係数(Mw/Mn)は1.16であった。ジブロックポリマーmPEG-PLAの構造は、
【化34】
であり、そのうち、nは12、yは9であった。
【0180】
図4はポリマーmPEG-PLAの
1H-NMRスペクトルであり、3.65ppmでの水素はmPEG中のメチレンに由来し、3.38ppmでの水素はmPEG中のメチル基に由来し、5.1ppmでの水素はD,L-ラクチド中のメチンに由来し、面積の積算により計算すると、結果は投与量と一致した。
【0181】
2.2 スターマルチアームポリマーPMDA-mPEG-PLAの合成
100mLの丸底フラスコに23gの上記ジブロックコポリマーmPEG-PLAを加え、160mLのジクロロメタンを加えて溶解させ、次に1.04gのピロメリット酸二無水物、14.46gのN,N-ジイソプロピルカルボジイミド、1.40gの4-ジメチルアミノピリジンを順に加え、25℃の油浴に24h反応させた。次に無水エタノールでポリマーを沈澱させ、真空乾燥して最終生成物、即ちスターマルチアームポリマーPMDA-mPEG-PLAを得た。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、ポリエチレングリコールを標準試料とする)により測定される上記ポリマーの数平均分子量と重量平均分子量(Mn、Mw)はそれぞれ4110と4518であり、分子量分布係数(Mw/Mn)は1.10であった。スターマルチアームポリマーPMDA-mPEG-PLAの構造は、
【化35】
であり、そのうち、nは12、yは10であった。
【0182】
図5はスターマルチアームポリマーPMDA-mPEG-PLAの
1H-NMRスペクトルであり、上記ジブロックポリマーの水素を含むに加えて、8.2ppmで新しいピークが現れ、当該ピークはPMDAのベンゼン環上の水素であり、スターポリマーPMDA-mPEG-PLAの合成に成功したことを示している。
【0183】
適量のスターポリマーPMDA-mPEG-PLAを取ってフルルビプロフェンと混合し、最終的に調製された溶液に1.59mgのフルルビプロフェンが含まれ、ポリマーの濃度は25%であった。1mLのフルルビプロフェン溶液を取って10mLの試験管に入れ、試験管を37℃の水浴に5min放置し、ゲル形成後に事前に37℃に予熱した3mLのPBSを加え、37℃、50rpmで定温振とうし、一定の時間置いてから1.5mLの上清を取り、更に37℃に予熱した等量のPBSを加え、HPLCで薬物濃度を検出し、放出率を計算した。
【0184】
図6はスターマルチアームポリマーPMDA-mPEG-PLA溶液-ゲル転移の相図であった。適量のスターマルチアームポリマーを秤量し、水を溶媒として、ポリマーの質量含有量が10wt%~25wt%の溶液を調製し、逆配管試験が行われ、具体的にはスターマルチアームポリマー溶液を入れた試料瓶を24℃~80℃の水浴に浸漬し、15minの平衡後に直ちに180°反転させ、30s以内に試料に明らかな流動が生じない場合、試料がゲル状態になると見なし、この時の温度は溶液-ゲル転移温度とした。
【0185】
図6において、四角印は一定の濃度でポリマーゲルが沈澱する温度を示し、菱形は一定の濃度でポリマー溶液がゲルになる温度を示している。
【0186】
図7はPMDA-mPEG-PLAフルルビプロフェンヒドロゲルの放出曲線であり、放出時間の延長に伴い、放出率が徐々に増加し、最終放出率が96.6%であった。
【0187】
比較例1
1.1 CMPEGの合成
250mLの丸底三口フラスコに20gの精製されたmPEG 550、4.37gの無水コハク酸、4.45gの4-ジメチルアミノピリジン及び3.68gのトリエチルアミンを加え、73mLの乾燥した1,4-ジオキサンを加え、窒素ガス保護下で、室温で48h反応させた。反応完成後、減圧下でジオキサンを除去し、ジクロロメタンを加えて生成物を溶解し、石油エーテルに生成物を沈澱させ、50℃で真空乾燥後にCMPEGを得た。CMPEG構造は
【化36】
であり、n-1は11であった。
【0188】
当該生成物に対して特徴付けすると、
図8はCMPEGの
1H-NMRスペクトルであり、n-1は11であった。3.62ppmでの水素はmPEG中のメチレンに由来し、3.36ppmでの水素はmPEG中のメチル基に由来し、2.62ppmでの水素は無水コハク酸中のメチレンに由来した。
【0189】
1.2 非芳香族コアスターポリマー4-arm PLGAの合成
100mLの単口フラスコに0.8gのペンタエリスリトール、4.7gのグリコリド及び17.78gのD,L-ラクチドを加え、更に33mgのオクタン酸第一スズを含むキシレン溶液を加え、3h真空引きし、窒素ガス保護下で、150℃の油浴に6h反応させた。反応終了後、ジクロロメタンで溶解し、更に無水エタノールでポリマーを沈澱させ、真空乾燥して最終生成物、即ち4-arm PLGAを得た。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、ポリエチレングリコールを標準試料とする)により測定される上記ポリマーの数平均分子量と重量平均分子量(Mn、Mw)はそれぞれ3119と3706であり、分子量分布係数(Mw/Mn)は1.19であった。
【0190】
非芳香族コアスターポリマー4-arm PLGAの構造は、
【化37】
である。
【0191】
図9は非芳香族コアポリマー4-arm PLGAの
1H-NMRスペクトルであり、1.5ppmでの水素はD,L-ラクチド中のメチル基に由来し、4.8ppmでの水素はグリコリド中のメチレンに由来し、4.16ppmでの水素はペンタエリスリトール中のメチレン及び-OHに連結したメチンとメチレンに由来し、5.1ppmでの水素はD,L-ラクチド中のメチンに由来した。
【0192】
1.3 非芳香族コアスターポリマー4-arm PLGA-PEGの合成
250mLの丸底三口フラスコに5gの4-arm PLGA、4.19gのCMPEG、1.33gのジシクロヘキシルカルボジイミド、0.391gの4-ジメチルアミノピリジン及び80mLの乾燥したDCMを加え、窒素ガス保護下で、室温で48h反応させた。反応終了後、ろ過し、ろ液を無水エタノールに沈澱させ、真空乾燥して最終生成物、即ち4-arm PLGA-PEGを得た。ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC、ポリエチレングリコールを標準試料とする)により測定される上記ポリマーの数平均分子量と重量平均分子量(Mn、Mw)はそれぞれ5502と7319であり、分子量分布係数(Mw/Mn)は1.33であった。
【0193】
4-arm PLGA-PEGの構造は、
【化38】
であり、
図10は非芳香族コアスターポリマー4-arm PLGA-PEGの
1H-NMRスペクトルであり、CMPEGと4-arm PLGA-PEGの全ての水素が帰属を見出すことができた。計算により、n-1は11、xは5、yは15であった。
【0194】
図11は非芳香族コアスターポリマー4-arm PLGA-PEG溶液-ゲル転移の相図であった。適量のスターポリマーを秤量し、水を溶媒として、ポリマーの質量含有量が10wt%~35wt%の溶液を調製し、逆配管試験が行われ、具体的にはスターポリマー溶液を入れた試料瓶を25℃~74℃の水浴に浸漬し、15minの平衡後に直ちに180°反転させ、30s以内に試料に明らかな流動が生じない場合、試料がゲル状態になると見なし、この時の温度は溶液-ゲル転移温度とした。
【0195】
図11において、四角印は一定の濃度でポリマーゲルが沈澱する温度を示し、菱形は一定の濃度でポリマー溶液がゲルになる温度を示している。
【0196】
図3と
図11を比較すると、PMDA-mPEG-PLGAの臨界ゲル濃度は10wt%であったが、4-arm PLGA-PEGの臨界ゲル濃度は20wt%であった。
【0197】
適量の非芳香族コアスターポリマー4-arm PLGA-PEGを取ってフルルビプロフェンと混合し、最終的に調製された溶液に1.57mgのフルルビプロフェンが含まれ、ポリマーの濃度は25%であった。1mLのフルルビプロフェン溶液を取って10mLの試験管に入れ、試験管を37℃の水浴に5min放置し、ゲル形成後に事前に37℃に予熱した3mLのPBSを加え、37℃、50rpmで定温振とうし、一定の時間置いてから1.5mLの上清を取り、更に37℃に予熱した等量のPBSを加え、HPLCで薬物濃度を検出し、放出率を計算した。
【0198】
図12は非芳香族コアスターポリマー4-arm PLGA-PEGフルルビプロフェンヒドロゲルの放出曲線であり、放出時間の延長に伴い、放出率が徐々に増加したが、最終放出率がわずか26%であった。
【0199】
図6と比較して、PMDA-mPEG-PLAヒドロゲルは4-arm PLGA-PEGヒドロゲルよりも高い薬物放出率が示され、PMDA-mPEG-PLAヒドロゲルは薬物をより容易に包埋する。
【0200】
明らかに理解されるように、図面と実例によって上記発明を詳しく説明したが、これらの説明と実例は、本開示の範囲を制限するものと解釈すべきではない。
【国際調査報告】