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特表2024-515499エレクトロニクスアセンブリのための工学的材料
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】エレクトロニクスアセンブリのための工学的材料
(51)【国際特許分類】
   B23K 35/14 20060101AFI20240403BHJP
   B23K 35/26 20060101ALI20240403BHJP
   C22C 13/00 20060101ALI20240403BHJP
   C22C 13/02 20060101ALI20240403BHJP
   C22C 12/00 20060101ALI20240403BHJP
   C22C 28/00 20060101ALI20240403BHJP
   B23K 1/00 20060101ALI20240403BHJP
   B23K 1/005 20060101ALI20240403BHJP
   B23K 3/04 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B23K35/14 F
B23K35/26 310A
B23K35/26 310C
B23K35/26 310D
C22C13/00
C22C13/02
C22C12/00
C22C28/00 B
B23K1/00 330E
B23K1/005 A
B23K3/04 X
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560315
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-10-20
(86)【国際出願番号】 EP2022025151
(87)【国際公開番号】W WO2022223147
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】63/177,555
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】598085065
【氏名又は名称】アルファ・アセンブリー・ソリューションズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ALPHA ASSEMBLY SOLUTIONS INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(74)【代理人】
【識別番号】100221501
【弁理士】
【氏名又は名称】式見 真行
(74)【代理人】
【識別番号】100197583
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 健
(74)【代理人】
【識別番号】110002848
【氏名又は名称】弁理士法人NIP&SBPJ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パンデール、ランジット
(72)【発明者】
【氏名】ナガラジャン、ニヴィディータ
(72)【発明者】
【氏名】シドン、ジラール
(72)【発明者】
【氏名】ビルグリエン、カール
(57)【要約】
電子アセンブリにおいて使用するためのはんだ材料であって、はんだ材料が、はんだ層
と、コア材料を含むコア層であって、はんだ層の間に挟まれている、コア層と、を含み、
コア材料の熱伝導率が、はんだの熱伝導率よりも大きい、はんだ材料。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子アセンブリにおいて使用するためのはんだ材料であって、
はんだ層と、
コア材料を含むコア層であって、前記はんだ層の間に挟まれている、前記コア層と、を
含み、
前記コア材料の熱伝導率が、前記はんだの熱伝導率よりも大きい、はんだ材料。
【請求項2】
前記コア材料が、65W/m.K以上、好ましくは65w/m.K超、より好ましくは
70W/m.k超、更により好ましくは75W/m.K超の熱伝導率を有する、請求項1
に記載のはんだ材料。
【請求項3】
前記コア材料の融点が、前記はんだ、及びのリフロー温度よりも高い、請求項1又は2
に記載のはんだ材料。
【請求項4】
前記コア層の厚さが、100~500μm、好ましくは200~400μm、より好ま
しくは150~300μmである、請求項1~3のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【請求項5】
各はんだ層の厚さが、25~150μm、好ましくは50~100μm、より好ましく
は50超~99μm、更により好ましくは55~95μm、なお更により好ましくは60
~90μmである、請求項1~4のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【請求項6】
前記コア材料が、金属及び/又は合金を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のは
んだ材料。
【請求項7】
前記コア材料が、銅、銀、ニッケル、モリブデン、ベリリウム、コバルト、鉄、銅-タ
ングステン合金、ニッケル-銀合金、銅-亜鉛合金、及び銅-ニッケル-亜鉛合金のうち
の1つ以上を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【請求項8】
前記はんだが、鉛を含んでいない、請求項1~7のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【請求項9】
前記はんだが、In、SnIn合金(例えば、5~58%Sn、42~95%In)、
SnBi合金(例えば、42~60%Sn、40~58%Bi)、BiIn合金(例えば
、5~67%Bi、33~95%In)、AgIn合金(例えば、3%Ag、97%In
)、SnAg合金(例えば、90~97.5%Sn、2.5~10%Ag)、SnCu合
金(例えば、99.3~99.6%Sn、0.4~0.7%Cu)、InGa合金(例え
ば、99.3~99.5%In、0.5~0.7%Ga)、SnBiAgCu合金(例え
ば、50%Sn、47%Bi、1%Ag、2%Cu)、SnBiZn合金(例えば、65
.5%Sn、31.5%Bi、3%Zn)、SnInAg合金(例えば、77.2%Sn
、20%In、2.8%Ag)、SnBiAgCuIn合金(例えば、82.3%Sn、
2.2%Bi、3%Ag、0.5%Cu、12%In)、SnZn合金(例えば、91%
Sn、9%Zn)、SnCuInGa合金(例えば、92.8%Sn、0.7%Cu、6
%In、0.5%Ga)、SnCuAg合金(例えば、95.5%Sn、3.8%Ag、
0.7%Cu)、SnAgSb合金(例えば、95%Sn、3.5%Ag、1.5%Sb
)、SnSb合金(例えば、95%Sn、5%Sb)、Innolot合金(Sn-Ag
3.7Cu0.65Bi3.0Sb1.43Ni0.15)、及びSnCuSb合金(例
えば、4~95%Sn、1~2%Cu、4%Sb)のうちの1つ以上を含む、請求項1~
8のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【請求項10】
前記コア材料が、銅を含み、前記はんだが、Sn-20In-2Ag合金を含む、請求
項1~9のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【請求項11】
前記コア層の前記厚さが、150~300μmであり、
各はんだ層の前記厚さが、50超~100μmであり、
前記コア材料が、銅及び銀のうちの1つ以上を含む、請求項1~10のいずれか一項に
記載のはんだ材料。
【請求項12】
各はんだ層の前記厚さが、55~100μmである、請求項11に記載のはんだ材料。
【請求項13】
前記コア層が、1つ以上の更なるはんだ層によって分離された2つ以上のコア副層を含
み、前記2つ以上のコア副層が、コア材料から形成され、1つの副層の前記コア材料が、
別の副層の前記コア材料とは異なる熱膨張係数を有する、請求項1~12のいずれか一項
に記載のはんだ材料。
【請求項14】
1つのコア副層の前記コア材料が、別のコア副層の前記コア材料とは異なる、請求項1
3に記載のはんだ材料。
【請求項15】
2つの副層を含む、請求項13又は14に記載のはんだ材料。
【請求項16】
1つのコア副層のコア材料が、銅を含み、他方のコア副層のコア材料が、ニッケルを含
む、請求項15に記載のはんだ材料。
【請求項17】
3つの副層を含む、請求項13又は14に記載のはんだ材料。
【請求項18】
前記コア副層の前記コア材料の前記熱膨張係数が、前記はんだ材料の前記厚さにわたっ
て増加する、請求項17に記載のはんだ材料。
【請求項19】
前記3つの副層が、内側副層及び2つの外側副層を含み、1つのコア副層のコア材料が
、銅を含み、別のコア副層の前記コア材料が、ニッケルを含み、別のコア副層の前記コア
材料が、銅-タングステン合金を含む、請求項17又は18に記載のはんだ材料。
【請求項20】
1つのコア副層の前記コア材料が、銀を含み、別のコア副層の前記コア材料が、ニッケ
ルを含み、別のコア副層の前記コア材料が、モリブデンを含む、請求項17又は18に記
載のはんだ材料。
【請求項21】
前記コア副層が、異なる厚さを有する、請求項13~20のいずれか一項に記載のはん
だ材料。
【請求項22】
前記はんだ材料が、長さ、幅、及び厚さを有する直方体の形態にはなく、前記厚さが、
前記コア層の平面に対して垂直であり、前記長さが、10mmであり、前記幅が、10m
mであり、かつ/又は
前記コア層の前記厚さが、0.2mm、0.3mm、若しくは0.4mmではなく、か
つ/又は
前記はんだ層が各々、0.05若しくは0.1mmの厚さを有しておらず、かつ/又は
前記はんだ材料が、Sn20%In2%Agを含まず、かつ/又は
前記コア材料が、銅を含まない、
請求項1~21のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【請求項23】
箔、ストリップ、フィルム、リボン、又はプリフォーム、好ましくはプリフォームの形
態の、請求項1~22のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【請求項24】
前記コアが、前記はんだで完全にコーティングされている、請求項1~23のいずれか
一項に記載のはんだ材料。
【請求項25】
65W/m.K超、好ましくは80W/m.K超、より好ましくは100W/m.K超
、更により好ましくは130W/m.K超の有効熱伝導率を有する、請求項1~24のい
ずれか一項に記載のはんだ材料。
【請求項26】
電子アセンブリにおいて使用するための多層構造であって、
2つの外側はんだ層であって、各外側はんだ層が、はんだ材料を含む、2つの外側はん
だ層と、
前記2つの外側はんだ層の間に挟まれたコア層と、を含み、
前記コア層が、2つの外側コア副層と、任意選択で1つ以上の中心コア副層と、を含み

前記2つのコア副層、及び存在する場合には中心コア層が、1つ以上のはんだ層によっ
て互いに分離されており、
前記外側コア副層及び内側コア副層が、コア材料を含み、
1つの外側コア副層の前記コア材料が、他方の外側コア副層の前記コア材料とは異なる
熱膨張係数を有し、
前記コア材料の熱伝導率が、前記はんだ材料の熱伝導率よりも大きい、多層構造。
【請求項27】
前記コアが、少なくとも1つの中心コア副層を含み、前記外側及び内側コア副層の前記
コア材料の前記熱膨張係数が、前記コアの前記厚さにわたって増加する、請求項26に記
載の多層構造。
【請求項28】
請求項1~25のいずれか一項に記載のはんだ材料又は請求項26及び27に記載の多
層構造を含む、はんだ接合部。
【請求項29】
請求項1~25のいずれか一項に記載のはんだ材料又は請求項26及び27に記載の多
層構造を含む、相互接続部。
【請求項30】
請求項1~25のいずれか一項に記載のはんだ材料、請求項26及び27に記載の多層
構造、請求項28に記載のはんだ接合部、又は請求項29に記載の相互接続部を含む、I
GBT、MOSFET、LED、又はマイクロプロセッサ。
【請求項31】
表面実装技術(SMT)はんだ付け、ダイ取り付けはんだ付け、熱界面はんだ付け、手
はんだ付け、レーザー及びRF誘導はんだ付け、並びにサーモソニックはんだ付けから選
択されるはんだ付け方法における、請求項1~25のいずれか一項に記載のはんだ材料又
は請求項26及び27に記載の多層構造の、使用。
【請求項32】
ダイ取り付け(レベルI)、基板取り付け(レベルII)又はパッケージからヒートシ
ンクへの取り付け(レベルIII)のための、請求項1~25のいずれか一項に記載のは
んだ材料又は請求項26及び27に記載の多層構造の、使用。
【請求項33】
はんだ接合部を形成する方法であって、
接合される2つ以上の工作物の近くに請求項1~25のいずれか一項に記載のはんだ材
料又は請求項26若しくは27に記載の多層構造を提供することと、
前記はんだ材料を加熱して、はんだ付けされた接合部を形成することと、を含む、方法
【請求項34】
接合される前記2つ以上の工作物が、
デバイス若しくはダイ及び基板、又は
基板及びプリント回路板(PCB)、又は
プリント回路板及びヒートシンク、を含む、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記2つ以上の工作物が、使用時に異なるサイズ及び/又は異なる熱発生率を有する、
請求項33又は34に記載の方法。
【請求項36】
接合される前記2つ以上の工作物が、少なくとも3つの工作物を含み、
前記工作物が、異なる厚さを有し、
異なるはんだ材料が、異なる工作物を接合するために使用され、
前記はんだ材料の前記厚さが、前記工作物間の熱膨張係数の不整合を低減するように調
整される、
請求項33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記はんだ接合部が、マルチチップモジュールの前記アセンブリにおいて形成される、
請求項33~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記コア層が、1つ以上の更なるはんだ層によって分離された2つ以上のコア副層を含
み、前記2つ以上のコア副層が、コア材料から形成され、1つの副層の前記コア材料が、
別の副層の前記コア材料とは異なる熱膨張係数を有し、前記副層は、前記副層の前記コア
材料の前記熱膨張係数が前記はんだ材料の前記厚さにわたって増加して、より高い熱膨張
係数を有する側面及びより低い熱膨張係数を有する側面を提供するように配置され、
接合される前記2つ以上の工作物が、異なる熱膨張係数を有する接触材料を有し、
前記はんだ材料が、前記2つ以上の工作物の間に置かれ、前記工作物が、前記より低い
熱膨張係数を有する前記接触材料を、より低い熱膨張係数を有する前記側面と接触させて
有し、前記工作物が、前記より高い熱膨張係数を有する接触材料を、より高い熱膨張係数
を有する前記側面と接触させて有する、
請求項33~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
請求項1~25のいずれか一項に記載のはんだ材料又は請求項26若しくは27に記載
の多層構造を製造する方法であって、
はんだの2つ以上の層を提供することと、
コア材料の層を提供することと、
コア材料の前記層のいずれかの側面にはんだの前記層を積層することと、を含む、方法
【請求項40】
前記コア材料の前記層が、リボンの形態にあり、かつ/又ははんだの前記層が、リボン
の形態にある、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記リボンが、鋳造、押出、又は延伸によって提供される、請求項40に記載の方法。
【請求項42】
前記層が、共延伸プロセス、好ましくは高圧共延伸プロセスで積層される、請求項39
~41のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
積層された層が、ダイシング及び/又は打ち抜きされる、請求項39~42のいずれか
一項に記載の方法。
【請求項44】
コア材料の追加の層を提供することと、
コア材料の前記追加の層をはんだの層上に積層することと、
はんだの追加の層を提供することと、
はんだの前記追加の層をコア材料の前記追加の層上に積層することと、
を更に含む、請求項33~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
コア材料の別の追加の層を提供することと、
コア材料の前記別の追加の層をはんだの層又は追加のはんだの層上に積層することと、
はんだの別の追加の層を提供することと、
はんだの前記追加の層をコア材料の前記別の追加の層上に積層することと、
を更に含む、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
請求項1~25のいずれか一項に記載のはんだ材料又は請求項26及び27に記載の多
層構造を製造する方法であって、
コア材料の層を提供することと、
前記コア材料をはんだでコーティングすることと、を含む、方法。
【請求項47】
前記コア材料の層の表面が、前記はんだでコーティングされる前に洗浄される、請求項
46に記載の方法。
【請求項48】
前記コア材料をはんだでコーティングすることが、前記コア材料を溶融はんだ浴と接触
させることを含む、請求項46又は47に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子アセンブリにおいて使用するためのはんだ材料に関する。
【0002】
IGBT、MOSFET、高出力LED、高出力マイクロプロセッサ、及び通常の作動
中に大量の熱を発生する他の大面積デバイスなどの高出力電子デバイスのパッケージング
及びアセンブリlに関連して2つの主要な課題がある。第1の課題は、通常の作動温度を
維持するために発生した熱の効率的な放散を保証する方法である。第2の課題は、はんだ
又は他の接着剤材料によって取り付けられた隣接層の材料間の熱膨張係数(coefficient
of thermal expansion、CTE)の不一致による剪断応力を低減する方法である。
【0003】
図1は、相互接続部3(レベルI)を介して基板4に接続されたデバイス2を含む、典
型的な電子デバイス1のアセンブリを示している。基板4は、相互接続部5(レベルII
)を介してプリント回路板(printed circuit board、PCB)6に接続されている。P
CB6は、相互接続部7(レベルIII)を介してヒートシンク8に接続されている。高
出力電子デバイスのための最も重要な相互接続部は、デバイス/ダイを基板に、基板をプ
リント回路板(PCB)に、PCBをヒートシンクに接続する相互接続部である(すなわ
ち、図1の3、5、及び7)。そのような相互接続部は、放熱の経路にある。したがって
、相互接続材料の熱伝導率は高いことが望ましい。半導体ダイ、基板、及びPCB材料は
、異なるCTEを有し、それによって、高温作動中に、界面に応力が発生する。その応力
を最小限に抑えるために、設計者は、通常は、相互接続部の界面厚さを増加させるが、こ
れは、界面の耐熱性を増加させる。
【0004】
はんだは、電子産業で使用される最も一般的な相互接続材料の1つである。殆どのはん
だの熱伝導率は、65W/m.K未満である。放熱を助けるように、より高い熱伝導率を
有する相互接続材料を使用できることが有利であろう。厚いはんだ相互接続部に関する別
の問題は、リフロープロセス中に、はんだが液相であるとき、ダイ又は基板が、はんだの
凍結温度よりも低い温度に冷却される前に、液体材料上に浮遊することである。これによ
り、全ての方向(いわゆる「ティルト」)においてダイ/基板の移動がもたらされ、それ
は、デバイスの性能及び信頼性に関わる問題である。このダイの移動を制御することが課
題である。
【0005】
本発明は、先行技術に関連する問題の少なくとも一部に取り組むこと、又は少なくとも
、それに対して商業的に許容可能な代替策を提供することを希求する。
【0006】
第1の態様では、本発明は、電子アセンブリで使用するためのはんだ材料を提供し、は
んだ材料は、
はんだ層と、
コア材料を含むコア層であって、はんだ層の間に挟まれている、コア層と、を含み、
コア材料の熱伝導率は、はんだの熱伝導率よりも大きい。
【0007】
本明細書で定義される各態様又は実施形態は、別途明確に示されない限り、任意の他の
態様又は実施形態と組み合わせることができる。特に、好ましい又は有利であると示され
る任意の特徴は、好ましい又は有利であると示される任意の他の特徴と組み合わされても
よい。
【0008】
本発明者らは、驚くべきことに、高温で作動する電子デバイスの構成要素を接続するた
めに使用されるとき、そのようなはんだ材料には、接続された構成要素のCTE値の不一
致によって引き起こされる応力を低減できる可能性があることを発見した。理論に束縛さ
れるものではないが、コア材料の存在は、接続された構成要素間の接合部を「増粘」し、
それによって応力を減少させるように機能すると考えられる。有利には、そのような応力
の低減は、接続された構成要素からの放熱を有意に低減することなく、提供され得る。理
論に束縛されるものではないが、これは、コア材料の熱伝導率が、はんだの熱伝導率より
も大きいためであると考えられる。言い換えれば、はんだの熱伝導率よりも高い熱伝導率
を有するコア材料を使用することによって、放熱を低減することなく、接合部を増粘させ
て、熱応力を低減することが可能である。結果として、IGBT、MOSFET、高出力
LED、高出力マイクロプロセッサ、又は他の大きな面積デバイスなどの高出力電子デバ
イスは、通常の作動中に多くの熱を発生し、その構成要素は、はんだ材料を使用して接続
され、改善された性能及び/又は信頼性を示し得る。そのような性能及び信頼性は、高温
で、及び/又はオン/オフの切り替え中に改善され得る。
【0009】
はんだ材料を使用して形成された接合部又は相互接続部は、SnCu、SAC、SnA
g及びSnBiなどの典型的なPbを含まないはんだと比較して、より良好な熱機械的信
頼性を有し得る。
【0010】
本明細書で使用される「電子アセンブリ」という用語は、例えば、電子パッケージとデ
バイスとのアセンブリを包含し、例えば、基板へのデバイス若しくはダイの取り付け、プ
リント回路板への基板の取り付け、又はヒートシンクへのプリント回路板取り付けを含み
得る。
【0011】
本明細書で使用される「はんだ」という用語は、90~400℃の範囲の融点を有する
可融性の金属又は金属合金を包含する。
【0012】
はんだ材料は、はんだ層及びコア層を含む。はんだ材料は、はんだ層及びコア層から本
質的になり得る、又はそれらからなり得る。「から本質的になる」とは、はんだ材料が、
はんだ材料の特性に実質的に影響を及ぼさない限り、他の非特定の構成要素を含み得るこ
とを意味する。
【0013】
はんだ材料は、典型的には2つのはんだ層を含むが、3つ以上のはんだ層を含み得る。
はんだ層は、同じはんだ又は異なるはんだで形成され得る。典型的には、はんだ層は、同
じはんだ、又は、少なくとも、同様のリフロー温度を有する、すなわち、20℃以下だけ
、典型的には10℃以下だけ、より典型的には5℃以下だけ異なる液体温度を有するはん
だで形成される。
【0014】
はんだ及びコアは、層の形態にある。そのような層は、典型的には、2つの対向する表
面(主表面)が他の表面よりも顕著に大きな表面積を有するシートの形態にあろう。はん
だ層は、同じサイズ及び形状であってもよく、又は異なるサイズ及び/又は形状であって
もよい。コア層は、はんだ層のうちの1つ以上と同様なサイズ及び形状を有していてもよ
く、又は異なるサイズ及び/又は形状を有していてもよい。
【0015】
コア層は、コア材料を含む。コア層は、コア材料から本質的になり得る、又はコア材料
からなり得る。
【0016】
コア層は、はんだ層の間に挟まれている。典型的には、はんだ層は、コア層の少なくと
も2つの対向する表面の実質的に全体、典型的には主要な(すなわち最大の表面積)表面
を覆うことになる。コア層は、コア材料が露出されないように、はんだ内に完全に封入さ
れ得る。このような状態では、第1のはんだシートは、シートの主表面を覆うと考えられ
、第2のはんだ層は、シートの対向する主表面を覆い、2つのはんだ層は、主表面に「垂
れ下がり」、その結果、コア層の残りの表面を覆う。あるいは、コア層は、表面の一部の
みを、典型的には2つの対向する表面のみを、より典型的には主表面を、はんだ層によっ
て覆われ得る。
【0017】
はんだ層は、典型的には、コア層と直接接触している。はんだ層は、典型的には、外側
層である。
【0018】
コア材料の熱伝導率は、はんだの熱伝導率よりも大きい。典型的には、そのような熱伝
導率は、ナノフラッシュ過渡測定技術(nano-flash transient measurement technique)
によって測定される。
【0019】
コア材料は、好ましくは65W/m.K以上、好ましくは65w/m.K超、より好ま
しくは70W/m.k超、更により好ましくは75W/m.K超の熱伝導率を有する。コ
ア材料は、600W/m.K未満の熱伝導率を有してもよい。そのような熱伝導率は、ナ
ノフラッシュ過渡測定技術によって測定され得る。電子アセンブリに用いられる典型的な
はんだは、65w/m.K未満の熱伝導率を有するため、熱伝導率が高いコア材料の存在
は、はんだ材料の総熱伝導率を増加させる。
【0020】
コア材料の融点は、好ましくは、はんだのリフロー温度よりも高い。例えば、コア材料
は、はんだのリフロー温度よりも少なくとも50℃高い、典型的には少なくとも75℃高
い、より典型的には少なくとも100℃高い溶融温度を有し得る。「リフロー温度」とい
う用語は、本明細書では、はんだの固体塊が(単に軟化するとは全く異なって)確実に溶
融する温度を超える温度を指すために使用される。この温度を下回ると、はんだは流動し
ない。その温度を超えてもう一度温めると、はんだは再び流れる、すなわち「リフロー」
である。はんだのリフロー温度よりも高い溶融温度を有するコア材料を有することによっ
て、ダイ/パッケージの移動及び/又はティルトが実質的に増加することなく、接合部/
相互接続部の厚さが増加する場合があり、それは、はんだが液体状態にあるときに液体は
んだの上に浮遊するダイ/パッケージから生じる。これは、はんだ材料を使用して接続さ
れた構成要素を有する電子デバイスの性能又は信頼性を改善し得る。
【0021】
コア層の厚さは、好ましくは100~500μm、より好ましくは200~400μm
、更により好ましくは150~300μmである。そのような厚さは、電子デバイスのサ
イズを過度に増加させることなく、構成要素のCTEの不一致によって引き起こされる応
力を低減するのに特に好適であり得る。厚みが増すと、耐熱性は増大し得る。比較的厚い
厚さは、より高い抵抗をもたらし得るが、より低い横方向応力をもたらし得る。
【0022】
各はんだ層の厚さは、好ましくは25~150μm、より好ましくは50~100μm
、更に好ましくは50超~99μm、更に好ましくは55~95μm、なお更に好ましく
は60~90μmである。好ましい実施形態では、各はんだ層の厚さは、50μm超~1
50μmである。別の好ましい実施形態では、各はんだ層の厚さは、55μm~150μ
mである。そのような厚さは、はんだ材料の総熱伝導率を顕著に減少させることなく、又
はデバイスのサイズを過度に増加させることなく、構成要素間に適切な接着を提供するの
に特に好適であり得る。厚さが薄くなると、温度サイクルの高温作動中により高い横方向
の応力をもたらし得る。
【0023】
コア及びはんだ層の厚さは、パッケージ設計によって所望されるように、かつ相互接続
部の所望の厚さを達成するように、選択され得る。
【0024】
コア材料は、好ましくは、金属及び/又は合金を含む(又はそれからなるか、又は本質
的にそれからなる)。金属及び金属合金は、はんだ付け材料によって接合された構成要素
間に高レベルの電気接続を提供するのに十分な導電率を提供し得る。
【0025】
コア材料は、好ましくは、銅、銀、ニッケル、モリブデン、ベリリウム、コバルト、鉄
、銅-タングステン合金、ニッケル-銀合金、銅-亜鉛合金、及び銅-ニッケル-亜鉛合
金のうちの1つ以上、より好ましくは銅及び銀のうちの1つ以上を含む(又はからなる、
又はから実質的になる)。そのような材料は、高い導電率と高い熱伝導率との好ましい組
み合わせを提供し得る。
【0026】
コア材料のCTEは、界面における応力に影響を及ぼす。この応力は、適切なコア材料
を選択することによって低減することができる。例えば、ニッケルのCTEは13ppm
/Kであり、銅のCTEは17ppm/Kであり、CuW合金のCTEは組成に依存し、
デバイス設計のニーズを満たすように調整することができる。
【0027】
コア材料は、好ましくは、20℃で少なくとも1×10S/m、より好ましくは少な
くとも1×10S/m、より好ましくは少なくとも1×10S/m、更により好まし
くは少なくとも4x10S/m、更により好ましくは少なくとも5x10S/mの導
電率を有する。そのような導電率は、はんだ付け材料によって接合された構成要素間に高
レベルの電気接続を提供し得る。
【0028】
はんだは、好ましくは鉛を含まない。これは、意図的に鉛が添加されないことを意味す
る。したがって、鉛の含有量は、ゼロであるか、又は偶発的不純物レベル以下である。鉛
を含まないはんだは、健康の懸念及び規制要件の観点から好ましい可能性がある。
【0029】
はんだは、好ましくは、In、SnIn合金(例えば、5~58%Sn、42~95%
In)、SnBi合金(例えば、42~60%Sn、40~58%Bi)、BiIn合金
(例えば、5~67%Bi、33~95%In)、AgIn合金((例えば、1~5%A
g、95~99%In、例えば、3%Ag、97%In)、SnAg合金(例えば、90
~97.5%Sn、2.5~10%Ag)、SnCu合金(例えば、99.3~99.6
%Sn、0.4~0.7%Cu)、InGa合金(例えば、99.3~99.5%In、
0.5~0.7%Ga)、SnBiAgCu合金(例えば、50%Sn、47%Bi、1
%Ag、2%Cu)、SnBiZn合金(例えば、65.5%Sn、31.5%Bi、3
%Zn)、SnInAg合金(例えば、77.2%Sn、20%In、2.8%Ag)、
SnBiAgCuIn合金(例えば、82.3%Sn、2.2%Bi、3%Ag、0.5
%Cu、12%In)、SnZn合金(例えば、91%Sn、9%Zn)、SnCuIn
Ga合金(例えば、92.8%Sn、0.7%Cu、6%In、0.5%Ga)、SnC
uAg合金(例えば、95.5%Sn、3.8%Ag、0.7%Cu)、SnAgSb合
金(例えば、95%Sn、3.5%Ag、1.5%Sb)、SnSb合金(例えば、95
%Sn、5%Sb)、Innolot合金(Sn-Ag3.7Cu0.65Bi3.0S
b1.43Ni0.15)、及びSnCuSb合金(例えば、4~95%Sn、1~2%
Cu、4%Sb)のうちの1つ以上を含む。%値は、重量%を指す。合金は、任意の不可
避な不純物と共に、列挙された元素を含み得る。そのような合金は、電気デバイスの構成
要素を接続するのに特に好適であり得る。
【0030】
好ましい例では、コア材料は銅を含み、はんだはSn-20In-2Ag合金を含む。
【0031】
好ましい実施形態では、コア層の厚さは、150~300μmであり、各はんだ層の厚
さは、50超~100μmであり、コア材料は、銅及び銀のうちの1つ以上を含む。その
ような実施形態では、各はんだ層の厚さは、好ましくは55~100μmである。そのよ
うなはんだ材料は、特に、接続された部品からの熱放散を顕著に低減することなく、接続
された構成要素のCTE値の不一致によって引き起こされる応力を低減することが可能で
あり得る。
【0032】
コア層は、好ましくは、1つ以上の更なるはんだ層によって分離された2つ以上のコア
副層を含み、2つ以上のコア副層は、コア材料から形成され、1つの副層のコア材料は、
別の副層のコア材料とは異なる熱膨張係数を有する。これは、一方の側面で他方の側面と
は異なる熱膨張係数を有するはんだ材料をもたらし得る。これは、異なる熱膨張係数を有
する構成要素を接続するときに有益であり得、高温で異なる熱膨張係数によって引き起こ
される応力を低減し得る。そのような場合、より高い熱膨張係数を有する構成要素は、よ
り高い熱膨張係数を有するコア副層を有するはんだ材料の側面に接続されてもよく、より
低い熱膨張係数を有する構成要素は、より低い熱膨張係数を有するコア副層を有するはん
だ材料の側面に接続されてもよい。
【0033】
更なるはんだ層は、はんだ材料を含む。更なるはんだ層のはんだ材料は、はんだ層のは
んだ材料と同じであってもよい。代替的に、更なるはんだ層のはんだ材料は、はんだ層の
はんだ材料とは異なってもよい。
【0034】
1つのコア副層のコア材料は、好ましくは、別のコア副層のコア材料とは異なる。
【0035】
はんだ材料は、好ましくは、2つの副層を含む。そのような構成の好ましい実施形態で
は、1つのコア副層のコア材料は、好ましくは銅を含み、他方のコア副層のコア材料は、
好ましくはニッケルを含む。そのような金属は、その厚さにわたって熱膨張係数の好まし
い変化を呈するはんだ材料をもたらすことができる。
【0036】
はんだ材料は、好ましくは、3つの副層を含む。そのような場合、好ましくは、コア副
層のコア材料の熱膨張係数は、はんだ材料の厚さにわたって、すなわち、コア層の平面に
垂直な方向に増加する。そのような配置の好ましい実施形態では、3つの副層は、内側副
層及び2つの外側副層を含み、1つのコア副層のコア材料は、銅を含み、別のコア副層の
コア材料は、ニッケルを含み、別のコア副層のコア材料は、銅-タングステン合金を含む
。別の好ましい実施形態では、1つのコア副層のコア材料は、銀を含み、別のコア副層の
コア材料は、ニッケルを含み、別のコア副層のコア材料は、モリブデンを含む。そのよう
な金属は、その厚さにわたって熱膨張係数の好ましい変化を呈するはんだ材料をもたらす
ことができる。
【0037】
コア副層は、異なる厚さを有してもよいか、又はコア副層は、同じ厚さを有してもよい
。コア副層は、好ましくは10~80μm、より好ましくは20~60μm、更に好まし
くは25~50μmの厚さを有する。
【0038】
更なるはんだ層は、上述のはんだ層と同じ厚さを有してもよいか、又は上述のはんだ層
とは異なる厚さを有してもよい。
【0039】
好ましい実施形態では、
はんだ材料は、長さ、幅、及び厚さを有する直方体の形態にはなく、厚さは、コア層の
平面に対して垂直であり、長さは、10mmであり、幅は、10mmであり、かつ/又は
コア層の厚さは、0.2mm、0.3mm、若しくは0.4mmではなく、かつ/又は
はんだ層は各々、0.05若しくは0.1mmの厚さを有しておらず、かつ/又は
はんだ材料は、Sn20%In2%Agを含まず、かつ/又は
コア材料は、銅を含まない。
【0040】
より好ましい実施形態では、
はんだ材料は、長さ、幅、及び厚さを有する直方体の形態にはなく、厚さは、コア層の
平面に対して垂直であり、長さは、10mmであり、幅は、10mmであり、
コア層の厚さは、0.2mm、0.3mm、又は0.4mmではなく、
はんだ層は各々、0.05又は0.1mmの厚さを有しておらず、
はんだ材料は、Sn20%In2%Agを含まず、かつ
コア材料は、銅を含まない。
【0041】
はんだ材料は、好ましくは、箔、ストリップ、フィルム、リボン、又はプリフォーム、
より好ましくはプリフォームの形態にある。そのような形態は、電子デバイスの構成要素
を接続するのに特に好適であることができ、かつ/又は好ましい取り扱い適正を示し得る
【0042】
好ましい実施形態では、コアは、はんだで完全にコーティングされている。言い換えれ
ば、コアは、はんだによって完全に囲まれ、コアの一部は露出されない。この場合、コア
材料の一部は、空気又は他の作動環境に晒されない。この設計は、例えば、Cu又はNi
などの酸素及び/又は湿度に晒されたときに酸化される傾向があるコア材料のために好ま
しい場合がある。
【0043】
代替の好ましい実施形態では、コアは、2つの大きな対向する表面のみ、典型的には2
つの最大の対向する表面(主表面)で、はんだでコーティングされる。この設計は、大き
なサイズのシート又はリボンをはんだでコーティングすることができ、そこからプリフォ
ームを高速スタンピングプロセスで切断できるため、大量生産にとって比較的簡単であり
得る。
【0044】
はんだ材料は、好ましくは、65W/m.K超、より好ましくは80W/m.K超、更
により好ましくは100W/m.K超、更により好ましくは130W/m.K超の有効熱
伝導率を有する。「有効熱伝導率」とは、はんだ材料の総熱伝導率を意味しており、すな
わち、はんだ(より低い熱伝導率を有する)及びコア(より高い熱伝導率を有する)の両
方を含む。そのような有効熱伝導率は、はんだ材料からの放熱を改善し得る。
【0045】
本発明の第1の態様は、はんだ材料に関する。「はんだ材料」という用語は、「多層構
造」という用語と同義であり得る。更に、「はんだ層」という用語は、「2つ以上のはん
だ層」という用語と同義である。更に、疑義を避けるために、はんだ層は、はんだ材料を
含む。はんだ層は、典型的には、外層である。
【0046】
したがって、本発明の第1の態様は、代わりに、電子アセンブリで使用するための多層
材料と呼ばれ、多層材料は、
2つ以上の(例えば、外側の)はんだ層であって、各はんだ層がはんだ材料を含む、は
んだ層と、
コア材料を含むコア層であって、2つ以上のはんだ層の間に挟まれている、コア層と、
を含み、
コア材料の熱伝導率は、はんだ材料の熱伝導率よりも大きい。
【0047】
更なる態様では、本発明は、電子アセンブリで使用するための多層構造を提供し、多層
構造は、
2つの外側はんだ層であって、各外側はんだ層は、はんだ材料を含む、2つの外側はん
だ層と、
2つの外側はんだ層の間に挟まれたコア層と、を含み、
コア層は、2つの外側コア副層と、任意選択で1つ以上の中心コア副層と、を含み、
2つのコア副層、及び存在する場合には中心コア層は、1つ以上のはんだ層によって互
いに分離されており、
外側コア副層及び内側コア副層は、コア材料を含み、
1つの外側コア副層のコア材料は、他方の外側コア副層のコア材料とは異なる熱膨張係
数を有し、
コア材料の熱伝導率は、はんだ材料の熱伝導率よりも大きい。
【0048】
第1の態様の利点及び好ましい特徴は、この態様に等しく当てはまる。
【0049】
コアは、好ましくは、少なくとも1つの中心コア副層を含み、外側及び内側コア副層の
コア材料の熱膨張係数は、コアの厚さにわたって増加する。第1の態様に関連して上述し
たように、これは、異なる熱膨張係数を有する構成要素を接続するときに有益であり得、
高温で異なる熱膨張係数によって引き起こされる応力を低減し得る。
【0050】
更なる態様では、本発明は、本明細書に記載のはんだ材料又は本明細書に記載の多層構
造を含むはんだ接合部を提供する。疑義を避けるために、第1の態様の利点及び好ましい
特徴は、この態様に等しく適用される。そのような接合部は、接合された構成要素のCT
E不一致によって引き起こされる低応力と、高い放熱との好ましい組み合わせを示し得る
。したがって、そのような接合部を含有する電子デバイスは、従来の電子デバイスと比較
して、改善された性能及び信頼性を示し得る。はんだ接合部の厚さは、コア層とはんだ層
との厚さの合計に相当する。典型的には、厚さは、リフロー中に変化しない。
【0051】
更なる態様では、本発明は、本明細書に記載のはんだ材料又は本明細書に記載の多層構
造を含む相互接続部を提供する。疑義を避けるために、第1の態様の利点及び好ましい特
徴は、この態様に等しく適用される。そのような相互接続部は、接合された構成要素のC
TE不一致によって引き起こされる低応力と、高い放熱との好ましい組み合わせを示し得
る。したがって、そのような相互接続部を含有する電子デバイスは、従来の電子デバイス
と比較して、改善された性能及び信頼性を示し得る。
【0052】
更なる態様では、本発明は、本明細書に記載のはんだ材料、多層構造、はんだ接合部、
又は相互接続部を含む電子デバイスを提供する。疑義を避けるために、第1の態様の利点
及び好ましい特徴は、この態様に等しく適用される。そのような電子デバイスは、従来の
電子デバイスと比較して、改善された性能及び信頼性を示し得る。
【0053】
更なる態様では、本発明は、本明細書に記載のはんだ材料、又は多層構造、はんだ接合
部、又は相互接続部を含む、IGBT、MOSFET、LED、又はマイクロプロセッサ
を提供する。疑義を避けるために、第1の態様の利点及び好ましい特徴は、この態様に等
しく適用される。そのような電子デバイスは、従来の電子デバイスと比較して、改善され
た性能及び信頼性を示し得る。
【0054】
更なる態様では、本発明は、表面実装技術(Surface Mount Technology、SMT)はん
だ付け、ダイ取り付けはんだ付け、熱界面はんだ付け、手はんだ付け、レーザー及びRF
誘導はんだ付け、並びにサーモソニックはんだ付けから選択されるはんだ付け方法におけ
る、本明細書に記載のはんだ材料又は本明細書に記載の多層構造の使用を提供する。疑義
を避けるために、第1の態様の利点及び好ましい特徴は、この態様に等しく適用される。
本明細書に記載のはんだ材料及び多層構造は、そのような用途に特に好適である。
【0055】
更なる態様では、本発明は、ダイ取り付け(レベルI)、基板取り付け(レベルII)
又はパッケージからヒートシンクへの取り付け(レベルIII)のための、本明細書に記
載のはんだ材料又は本明細書に記載の多層構造の使用を提供する。疑義を避けるために、
第1の態様の利点及び好ましい特徴は、この態様に等しく適用される。本明細書に記載の
はんだ材料及び多層構造は、そのような用途に特に好適である。
【0056】
更なる態様では、本発明は、はんだ接合部の形成方法を提供し、この方法は、
接合される2つ以上の工作物の近くに本明細書に記載のはんだ材料又は本明細書に記載
の多層構造を提供することと、
はんだ材料を加熱して、はんだ付けされた接合部を形成することと、を含む。
【0057】
疑義を避けるために、第1の態様の利点及び好ましい特徴は、この態様に等しく適用さ
れる。得られた接合部は、接合された構成要素のCTE不一致によって引き起こされる低
応力と、高い放熱との好ましい組み合わせを示し得る。したがって、そのような接合部を
含有する電子デバイスは、従来の電子デバイスと比較して、改善された性能及び信頼性を
示し得る。
【0058】
接合される2つ以上の工作物は、好ましくは、
デバイス若しくはダイ及び基板、又は
基板及びプリント回路板(PCB)、又は
プリント回路板及びヒートシンク、を含む。
【0059】
そのような工作物は、はんだ材料によって接合するのに特に好適である。それは、それ
らは高い放熱を有することが要求され、それらが、CTE不一致から生じる低い応力を示
すことが有益であるためである。
【0060】
更なる態様では、本発明は、本明細書に記載のはんだ材料又は本明細書に記載の多層構
造を製造する方法であって、
はんだの2つ以上の層を提供することと、
コア材料の層を提供することと、
コア材料の層のいずれかの側面にはんだの層を積層することと、を含む、方法を提供す
る。
【0061】
疑義を避けるために、第1の態様の利点及び好ましい特徴は、この態様に等しく適用さ
れる。はんだ及びコア材料、並びに加工条件に応じて、積層後の構造の厚さが低減する。
目標寸法を達成するには、その低減係数を考慮する必要がある。
【0062】
コア材料の層は、好ましくはリボンの形態にあり、かつ/又ははんだの層は、リボンの
形態にある。
【0063】
リボンは、好ましくは、鋳造、押出、又は延伸によって提供される。
【0064】
層は、好ましくは、共延伸プロセス、好ましくは高圧共延伸プロセスで積層される。
【0065】
積層された層は、好ましくはダイシング及び/又は打ち抜きされる。
【0066】
更なる態様では、本発明は、本明細書に記載のはんだ材料又は本明細書に記載の多層構
造を製造する方法であって、
コア材料の層を提供することと、
コア材料をはんだでコーティングすることと、を含む、方法を提供する。
【0067】
コア材料の層の表面は、好ましくは、はんだでコーティングされる前に、洗浄される。
これにより、コアとはんだの間の接着が強化され、それによって層間剥離の発生が減少し
、はんだ材料を使用して形成された接合部を含有するデバイスの信頼性の損失が低減され
得る。
【0068】
はんだでコア材料をコーティングすることは、好ましくは、例えば、コア材料を溶融は
んだ浴に浸漬することによって、コア材料を溶融はんだ浴と接触させることを含む。
【0069】
はんだ浴温度、はんだ浴などを通過するリボン速度などの様々なプロセスパラメータを
変化させて、はんだコーティングの厚さを制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【0070】
本発明を、これより、以下の非限定的な図面に関連して説明する。
図1】典型的な電子デバイスのアセンブリの概略図を示している。
図2】本発明によるはんだ材料の代替配列の断面概略図を示している。
図3】本発明によるはんだ材料の断面概略図を示している。
図4】本発明によるはんだ材料の断面概略図を示している。
図5】本発明によるはんだ材料の断面の顕微鏡画像を示している。
【0071】
図2は、本発明による2種類のはんだ材料の断面図を示している。はんだ材料は、はん
だ層10の間に挟まれたコア層9を含む。上の絵に示されているはんだ材料は、上部及び
底部側にのみはんだを有する。側面にはんだは存在しない。他のはんだ材料は、コアのす
べての側面にはんだを有する。
【0072】
図3及び図4は、本発明による2種類のはんだ材料の断面図を示している。図3のはん
だ材料では、コア層9は、更なるはんだ層12によって分離された2つのコア副層11を
含む。2つのコア層11は、コア材料で形成されている。上部副層のコア材料は、底部副
層のコア材料とは異なる熱膨張係数を有する。好ましい実施形態では、上部コア副層のコ
ア材料は、ニッケルであり、底部コア副層のコア材料は、ニッケルである。その結果、C
TEは、上部から底部に減少する。図4のはんだ材料では、コア層9は、更なるはんだ層
12によって分離された3つのコア副層11を含む。3つのコア層11は、コア材料で形
成されている。上部副層のコア材料は、中間副層及び底部副層のコア材料とは異なる熱膨
張係数を有する。コア副層のコア材料の熱膨張係数は、はんだ材料の厚さにわたって増加
又は減少し得る。好ましい実施形態では、上部コア副層のコア材料は、モリブデンであり
、中間コア副層のコア材料は、ニッケルであり、底部コア副層のコア材料は、銀である。
その結果、CTEは、上部から底部に減少する。別の好ましい実施形態では、上部コア副
層のコア材料は、銅-タングステン合金であり、中間コア副層のコア材料は、ニッケルで
あり、底部コア副層のコア材料は、銅である。その結果、CTEは、上部から底部に増加
する。
【0073】
本発明は、これより、以下の非限定的な実施例に関連して論じられる。
【0074】
実施例1
はんだ材料(プリフォーム)を高圧積層プロセスによって調製した。図5は、プリフォ
ームの断面の顕微鏡画像を示している。中心コアは、厚さ300μmであり、銅から形成
されている。両側のはんだは、Sn20%In2%Agである。はんだ厚は、50~10
0μmで変化する。この試料の有効熱伝導率は、ナノフラッシュ過渡測定技術によって測
定すると、約130W/m.Kである。
【0075】
実施例2
実施例1と同様の方法で、いくつかのプリフォームを調製したが、コア(Keff=4
00W/m.K)及びはんだ層(Keff=54W/m.K)の厚さが変わっている。プ
リフォームの熱性能を評価した。表1は、推定熱抵抗及び等価熱伝導率を示している。は
んだのみと比較して、厚い界面の耐熱性は、はるかに低い(等価Keffははるかに高い
)。
【0076】
【表1】

表2:Cu-コアプリフォームの選択例、それらの推定された耐熱性及び等価熱伝導率
【0077】
本発明は、これより、以下の番号を付した条項によって更に説明される。
1.はんだ材料であって、
コア材料を含むコアと、
コアを少なくとも部分的にコーティングしているはんだと、
を含む、はんだ材料。
【0078】
2.電子アセンブリにおいて使用するための、条項1に記載のはんだ材料。
【0079】
3.コアが、層の形態にある、条項1又は条項2に記載のはんだ材料。
【0080】
4.コア層の厚さが、100~500μm、好ましくは200~400μm、より好ま
しくは150~300μmである、条項3に記載のはんだ材料。
【0081】
5.はんだが、層の形態にあり、コアが、2つのはんだ層の間に挟まれている、条項3
又は条項4に記載のはんだ材料。
【0082】
6.はんだ層の厚さが、25~150μm、好ましくは50~100μmである、条項
6に記載のはんだ材料。
【0083】
7.箔、ストリップ、フィルム、リボン、又はプリフォームの形態の、先行条項のいず
れか一項に記載のはんだ材料。
【0084】
8.コア材料の融点が、はんだのリフロー温度よりも高い、先行条項のいずれか一項に
記載のはんだ材料。
【0085】
9.コア材料の熱伝導率が、はんだの熱伝導率よりも大きい、先行条項のいずれか一項
に記載のはんだ材料。
【0086】
10.コア材料が、65W/m.K以上、好ましくは65w/m.K超、より好ましく
は70W/m.k超、更により好ましくは75W/m.K超の熱伝導率を有する、条項9
に記載のはんだ材料。
【0087】
11.コア材料が、金属及び/又は合金を含む、先行条項のいずれか一項に記載のはん
だ材料。
【0088】
12.コア材料が、銅、銀、ニッケル、モリブデン、ベリリウム、コバルト、鉄、銅-
タングステン合金、ニッケル-銀合金、銅-亜鉛合金、及び銅-ニッケル-亜鉛合金のう
ちの1つ以上を含む、先行条項のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【0089】
13.はんだが、鉛を含んでいない、先行条項のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【0090】
14.はんだが、In、SnIn合金(例えば、5~58%Sn、42~95%In)
、SnBi合金(例えば、42~60%Sn、40~58%Bi)、BiIn合金(例え
ば、5~67%Bi、33~95%In)、AgIn合金(例えば、3%Ag、97%I
n)、SnAg合金(例えば、90~97.5%Sn、2.5~10%Ag)、SnCu
合金(例えば、99.3~99.6%Sn、0.4~0.7%Cu)、InGa合金(例
えば、99.3~99.5%In、0.5~0.7%Ga)、SnBiAgCu合金(例
えば、50%Sn、47%Bi、1%Ag、2%Cu)、SnBiZn合金(例えば、6
5.5%Sn、31.5%Bi、3%Zn)、SnInAg合金(例えば、77.2%S
n、20%In、2.8%Ag)、SnBiAgCuIn合金(例えば、82.3%Sn
、2.2%Bi、3%Ag、0.5%Cu、12%In)、SnZn合金(例えば、91
%Sn、9%Zn)、SnCuInGa合金(例えば、92.8%Sn、0.7%Cu、
6%In、0.5%Ga)、SnCuAg合金(例えば、95.5%Sn、3.8%Ag
、0.7%Cu)、SnAgSb合金(例えば、95%Sn、3.5%Ag、1.5%S
b)、及びSnCuSb合金(例えば、4~95%Sn、1~2%Cu、4%Sb)のう
ちの1つ以上を含む、先行条項のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【0091】
15.コア材料が、銅を含み、はんだが、Sn-20In-2Ag合金を含む、先行条
項のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【0092】
16.コア及びはんだが、層の形態にあり、はんだ層が、コア層のいずれかの側にコー
ティングされている、先行条項のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【0093】
17.コア層の厚さが、100~500μm、好ましくは200~400μm、より好
ましくは150~300μmである、条項16に記載のはんだ材料。
【0094】
18.はんだ層の厚さが、25~150μm、好ましくは50~100μmである、条
項16又は条項17に記載のはんだ材料。
【0095】
19.コアが、はんだで完全にコーティングされている、先行条項のいずれか一項に記
載のはんだ材料。
【0096】
20.65W/m.K超、好ましくは80W/m.K超、より好ましくは100W/m
.K超、更により好ましくは130W/m.K超の有効熱伝導率を有する、先行条項のい
ずれか一項に記載のはんだ材料。
【0097】
21.表面実装技術(SMT)はんだ付け、ダイ取り付けはんだ付け、熱界面はんだ付
け、手はんだ付け、レーザー及びRF誘導はんだ付け、並びにサーモソニックはんだ付け
から選択されるはんだ付け方法における先行条項のいずれか一項に記載のはんだ材料の使
用。
【0098】
22.ダイ取り付け(レベルI)、基板取り付け(レベルII)又はパッケージからヒ
ートシンクへの取り付け(レベルIII)のための、条項1~20のいずれか一項に記載
のはんだ材料の使用。
【0099】
23.条項1~20のいずれか一項に記載のはんだ材料を含む相互接続部。
【0100】
24.条項1~20のいずれか一項に記載のはんだ材料、又は条項23に記載の相互接
続部を含む、IGBT、MOSFET、LED、又はマイクロプロセッサ。
【0101】
25.はんだ接合部を形成する方法であって、
接合される2つ以上の工作物の近くに条項1~20のいずれか一項に記載のはんだ材料
を提供することと、
はんだ材料を加熱して、はんだ付けされた接合部を形成することと、を含む、方法。
【0102】
26.条項1~20のいずれか一項に記載のはんだ材料を製造する方法であって、
はんだの2つ以上の層を提供することと、
コア材料の層を提供することと、
コア材料の層のいずれかの側面にはんだの層を積層することと、を含む、方法。
【0103】
27.コア材料の層が、好ましくはリボンの形態にあり、かつ/又ははんだの層が、リ
ボンの形態にある、条項26に記載の方法。
【0104】
28.リボンが、鋳造、押出、又は延伸によって提供される、条項27に記載の方法。
【0105】
29.層が、共延伸プロセス、好ましくは高圧共延伸プロセスで積層される、条項26
~28のいずれか一項に記載の方法。
【0106】
30.積層された層が、ダイシング及び/又は打ち抜きされる、条項26~29のいず
れか一項に記載の方法。
【0107】
31.条項1~20のいずれか一項に記載のはんだ材料を製造する方法であって、
コア材料の層を提供することと、
コア材料をはんだでコーティングすることと、を含む、方法。
【0108】
32.コア材料の層の表面が、はんだでコーティングされる前に洗浄される、条項31
に記載の方法。
【0109】
33.コア材料をはんだでコーティングすることが、溶融はんだ浴にコア材料を通過さ
せることを含む、条項31又は条項33に記載の方法。
【0110】
34.プリフォームの形態の、条項1~20のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【0111】
35.プリフォームが、隣接する材料とはんだとの界面における応力を低減するために
、上部から底部へ増加するCTEを提供する、条項34に記載のはんだ材料。
【0112】
36.プリフォームが、隣接する材料とはんだとの界面における応力を低減するために
、上部から底部へと減少するCTEを提供する、条項34に記載のはんだ材料。
【0113】
37.プリフォームが、レベルI、レベルII、又はレベルIIIの相互接続部に使用
することができる、条項34~36のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【0114】
38.プリフォームが、IGBT、MOSFET、LED、マイクロプロセッサ、及び
他の電子デバイスのパッケージング並びにアセンブリに使用することができる、条項34
~37のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【0115】
39.プリフォームが、異なるサイズの構成要素及び異なる熱発生率を有する構成要素
を有するマルチチップモジュールのアセンブリにおいて使用され得る、条項34~38の
いずれか一項に記載のはんだ材料。
【0116】
40.プリフォームが、異なる厚さの構成要素を有するマルチチップモジュールのアセ
ンブリにおいて使用することができ、プリフォームの厚さは、構成要素の厚さを調整する
ように選択される、条項34~39のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【0117】
前述の詳細な記載は、説明及び図解によって提供されたものであり、添付の特許請求の
範囲の範囲を限定することを意図するものではない。本明細書に示される現時点で好まし
い実施形態の多くの変形例は、当業者に明らかであり、添付の特許請求の範囲及びそれら
の等価物の範囲内に留まる。
図1
図2
図3
図4
図5
【手続補正書】
【提出日】2023-10-20
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子アセンブリにおいて使用するためのはんだ材料であって、
はんだ層と、
コア材料を含むコア層であって、前記はんだ層の間に挟まれている、前記コア層と、を
含み、
前記コア材料の熱伝導率が、前記はんだの熱伝導率よりも大きい、はんだ材料。
【請求項2】
各はんだ層の厚さが、50超~99μm、好ましくは55~95μm、より好ましくは
60~90μmである、請求項1に記載のはんだ材料。
【請求項3】
前記はんだが、SnSb合金(例えば、95%Sn、5%Sb)又はInnolot合
金(Sn-Ag3.7Cu0.65Bi3.0Sb1.43Ni0.15)の一方または
両方を含む、請求項1又は2に記載のはんだ材料。
【請求項4】
前記コア層の厚さが、150~300μmであり、
各はんだ層の前記厚さが、50超~100μm、好ましくは55~100μmであり、
前記コア材料が、銅及び銀のうちの1つ以上を含む、
請求項1~3のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【請求項5】
前記コア層が、1つ以上の更なるはんだ層によって分離された2つ以上のコア副層を含
み、前記2つ以上のコア副層が、コア材料から形成され、1つの副層の前記コア材料が、
別の副層の前記コア材料とは異なる熱膨張係数を有し、好ましくは、1つのコア副層の前
記コア材料が、別のコア副層の前記コア材料とは異なる、請求項1~4のいずれか一項に
記載のはんだ材料。
【請求項6】
2つの副層を含み、好ましくは、1つのコア副層の前記コア材料が、銅を含み、他方の
コア副層の前記コア材料が、ニッケルを含む、請求項5に記載のはんだ材料。
【請求項7】
3つの副層を含み、好ましくは、
前記コア副層の前記コア材料の熱膨張係数が、前記はんだ材料の厚さにわたって増加し
、かつ/又は
前記3つの副層が、内側副層及び2つの外側副層を含み、1つのコア副層のコア材料が
、銅を含み、別のコア副層の前記コア材料が、ニッケルを含み、別のコア副層の前記コア
材料が、銅-タングステン合金を含み、かつ/又は
1つのコア副層の前記コア材料が、銀を含み、別のコア副層の前記コア材料が、ニッケ
ルを含み、別のコア副層の前記コア材料が、モリブデンを含む、請求項5に記載のはんだ
材料。
【請求項8】
前記はんだ材料が、長さ、幅、及び厚さを有する直方体の形態にはなく、前記厚さが、
前記コア層の平面に対して垂直であり、前記長さが、10mmであり、前記幅が、10m
mであり、かつ/又は
前記コア層の前記厚さが、0.2mm、0.3mm、若しくは0.4mmではなく、か
つ/又は
前記はんだ層が各々、0.05若しくは0.1mmの厚さを有しておらず、かつ/又は
前記はんだ材料が、Sn20%In2%Agを含まず、かつ/又は
前記コア材料が、銅を含まない、
請求項1~7のいずれか一項に記載のはんだ材料。
【請求項9】
電子アセンブリにおいて使用するための多層構造であって、
2つの外側はんだ層であって、各外側はんだ層が、はんだ材料を含む、2つの外側はん
だ層と、
前記2つの外側はんだ層の間に挟まれたコア層と、を含み、
前記コア層が、2つの外側コア副層と、任意選択で1つ以上の中心コア副層と、を含み
前記2つのコア副層、及び存在する場合には中心コア層が、1つ以上のはんだ層によっ
て互いに分離されており、
前記外側コア副層及び内側コア副層が、コア材料を含み、
1つの外側コア副層の前記コア材料が、他方の外側コア副層の前記コア材料とは異なる
熱膨張係数を有し、
前記コア材料の熱伝導率が、前記はんだ材料の熱伝導率よりも大きい、多層構造。
【請求項10】
前記コアが、少なくとも1つの中心コア副層を含み、前記外側及び内側コア副層の前記
コア材料の前記熱膨張係数が、前記コアの厚さにわたって増加する、請求項9に記載の多
層構造。
【請求項11】
はんだ接合部を形成する方法であって、
接合される2つ以上の工作物の近くに請求項1~8のいずれか一項に記載のはんだ材料
又は請求項9若しくは10に記載の多層構造を提供することと、
前記はんだ材料を加熱して、はんだ付けされた接合部を形成することと、を含む、方法
【請求項12】
接合される前記2つ以上の工作物が、少なくとも3つの工作物を含み、
前記工作物が、異なる厚さを有し、
異なるはんだ材料が、異なる工作物を接合するために使用され、
前記はんだ材料の前記厚さが、前記工作物間の熱膨張係数の不整合を低減するように調
整される、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コア層が、1つ以上の更なるはんだ層によって分離された2つ以上のコア副層を含
み、前記2つ以上のコア副層が、コア材料から形成され、1つの副層の前記コア材料が、
別の副層の前記コア材料とは異なる熱膨張係数を有し、前記副層は、前記副層の前記コア
材料の前記熱膨張係数が前記はんだ材料の前記厚さにわたって増加して、より高い熱膨張
係数を有する側面及びより低い熱膨張係数を有する側面を提供するように配置され、
接合される前記2つ以上の工作物が、異なる熱膨張係数を有する接触材料を有し、
前記はんだ材料が、前記2つ以上の工作物の間に置かれ、前記工作物が、前記より低い
熱膨張係数を有する前記接触材料を、より低い熱膨張係数を有する前記側面と接触させて
有し、前記工作物が、前記より高い熱膨張係数を有する接触材料を、より高い熱膨張係数
を有する前記側面と接触させて有する、
請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
コア材料の追加の層を提供することと、
コア材料の前記追加の層をはんだの層上に積層することと、
はんだの追加の層を提供することと、
はんだの前記追加の層をコア材料の前記追加の層上に積層することと、
を更に含む、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
コア材料の別の追加の層を提供することと、
コア材料の前記別の追加の層をはんだの層又は追加のはんだの層上に積層することと、
はんだの別の追加の層を提供することと、
はんだの前記追加の層をコア材料の前記別の追加の層上に積層することと、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子アセンブリにおいて使用するためのはんだ材料であって、
はんだ層と、
コア材料を含むコア層であって、前記はんだ層の間に挟まれている、前記コア層と、を含み、
前記コア材料の熱伝導率が、前記はんだの熱伝導率よりも大きい、はんだ材料。
【請求項2】
各はんだ層の厚さが、50超~99μm、好ましくは55~95μm、より好ましくは60~90μmである、請求項1に記載のはんだ材料。
【請求項3】
前記はんだが、SnSb合金(例えば、95%Sn、5%Sb)又はInnolot合金(Sn-Ag3.7Cu0.65Bi3.0Sb1.43Ni0.15)の一方または両方を含む、請求項1に記載のはんだ材料。
【請求項4】
前記コア層の厚さが、150~300μmであり、
各はんだ層の厚さが、50超~100μm、好ましくは55~100μmであり、
前記コア材料が、銅及び銀のうちの1つ以上を含む、
請求項1に記載のはんだ材料。
【請求項5】
前記コア層が、1つ以上の更なるはんだ層によって分離された2つ以上のコア副層を含み、前記2つ以上のコア副層が、コア材料から形成され、1つの副層の前記コア材料が、別の副層の前記コア材料とは異なる熱膨張係数を有し、好ましくは、1つのコア副層の前記コア材料が、別のコア副層の前記コア材料とは異なる、請求項1に記載のはんだ材料。
【請求項6】
2つの副層を含み、好ましくは、1つのコア副層の前記コア材料が、銅を含み、他方のコア副層の前記コア材料が、ニッケルを含む、請求項5に記載のはんだ材料。
【請求項7】
3つの副層を含み、好ましくは、
前記コア副層の前記コア材料の熱膨張係数が、前記はんだ材料の厚さにわたって増加し、かつ/又は
前記3つの副層が、内側副層及び2つの外側副層を含み、1つのコア副層のコア材料が、銅を含み、別のコア副層の前記コア材料が、ニッケルを含み、別のコア副層の前記コア材料が、銅-タングステン合金を含み、かつ/又は
1つのコア副層の前記コア材料が、銀を含み、別のコア副層の前記コア材料が、ニッケルを含み、別のコア副層の前記コア材料が、モリブデンを含む、請求項5に記載のはんだ材料。
【請求項8】
前記はんだ材料が、長さ、幅、及び厚さを有する直方体の形態にはなく、前記厚さが、前記コア層の平面に対して垂直であり、前記長さが、10mmであり、前記幅が、10mmであり、かつ/又は
前記コア層の厚さが、0.2mm、0.3mm、若しくは0.4mmではなく、かつ/又は
前記はんだ層が各々、0.05若しくは0.1mmの厚さを有しておらず、かつ/又は
前記はんだ材料が、Sn20%In2%Agを含まず、かつ/又は
前記コア材料が、銅を含まない、
請求項1に記載のはんだ材料。
【請求項9】
電子アセンブリにおいて使用するための多層構造であって、
2つの外側はんだ層であって、各外側はんだ層が、はんだ材料を含む、2つの外側はんだ層と、
前記2つの外側はんだ層の間に挟まれたコア層と、を含み、
前記コア層が、2つの外側コア副層と、任意選択で1つ以上の中心コア副層と、を含み
前記2つのコア副層、及び存在する場合には中心コア層が、1つ以上のはんだ層によって互いに分離されており、
前記外側コア副層及び内側コア副層が、コア材料を含み、
1つの外側コア副層の前記コア材料が、他方の外側コア副層の前記コア材料とは異なる熱膨張係数を有し、
前記コア材料の熱伝導率が、前記はんだ材料の熱伝導率よりも大きい、多層構造。
【請求項10】
前記コアが、少なくとも1つの中心コア副層を含み、前記外側及び内側コア副層の前記コア材料の前記熱膨張係数が、前記コアの厚さにわたって増加する、請求項9に記載の多層構造。
【請求項11】
はんだ接合部を形成する方法であって、
接合される2つ以上の工作物の近くに請求項1~8のいずれか一項に記載のはんだ材料又は請求項9若しくは10に記載の多層構造を提供することと、
前記はんだ材料を加熱して、はんだ付けされた接合部を形成することと、を含む、方法。
【請求項12】
接合される前記2つ以上の工作物が、少なくとも3つの工作物を含み、
前記工作物が、異なる厚さを有し、
異なるはんだ材料が、異なる工作物を接合するために使用され、
前記はんだ材料の前記厚さが、前記工作物間の熱膨張係数の不整合を低減するように調整される、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記コア層が、1つ以上の更なるはんだ層によって分離された2つ以上のコア副層を含み、前記2つ以上のコア副層が、コア材料から形成され、1つの副層の前記コア材料が、別の副層の前記コア材料とは異なる熱膨張係数を有し、前記副層は、前記副層の前記コア材料の前記熱膨張係数が前記はんだ材料の厚さにわたって増加して、より高い熱膨張係数を有する側面及びより低い熱膨張係数を有する側面を提供するように配置され、
接合される前記2つ以上の工作物が、異なる熱膨張係数を有する接触材料を有し、
前記はんだ材料が、前記2つ以上の工作物の間に置かれ、前記工作物が、前記より低い熱膨張係数を有する前記接触材料を、より低い熱膨張係数を有する前記側面と接触させて有し、前記工作物が、前記より高い熱膨張係数を有する接触材料を、より高い熱膨張係数を有する前記側面と接触させて有する、
請求項11に記載の方法。
【請求項14】
コア材料の追加の層を提供することと、
コア材料の前記追加の層をはんだの層上に積層することと、
はんだの追加の層を提供することと、
はんだの前記追加の層をコア材料の前記追加の層上に積層することと、
を更に含む、請求項11に記載の方法。
【請求項15】
コア材料の別の追加の層を提供することと、
コア材料の前記別の追加の層をはんだの層又は追加のはんだの層上に積層することと、
はんだの別の追加の層を提供することと、
はんだの前記追加の層をコア材料の前記別の追加の層上に積層することと、
を更に含む、請求項14に記載の方法。
【国際調査報告】