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特表2024-515503エアロゾル生成物品及びそれを製造する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】エアロゾル生成物品及びそれを製造する方法
(51)【国際特許分類】
   A24D 1/20 20200101AFI20240403BHJP
   A24F 40/42 20200101ALI20240403BHJP
   A24C 5/01 20200101ALI20240403BHJP
   A24D 1/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A24D1/20
A24F40/42
A24C5/01
A24D1/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560425
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-09-29
(86)【国際出願番号】 EP2022060589
(87)【国際公開番号】W WO2022223711
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】21170088.5
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516004949
【氏名又は名称】ジェイティー インターナショナル エスエイ
【住所又は居所原語表記】8,rue Kazem Radjavi,1202 Geneva,SWITZERLAND
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100202854
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 卓行
(72)【発明者】
【氏名】宮谷 康洋
(72)【発明者】
【氏名】シュピーレス,ザンドラ
(72)【発明者】
【氏名】クルカルニ,プラナブ
【テーマコード(参考)】
4B045
4B144
4B162
【Fターム(参考)】
4B045AA21
4B045AA50
4B045AB02
4B045AB14
4B045AB16
4B144CB32
4B144CG01
4B144CL07
4B144CM01
4B162AA03
4B162AA05
4B162AA22
4B162AB01
4B162AB12
4B162AC06
4B162AC14
4B162AC41
(57)【要約】
エアロゾル生成装置(102)で使用するためのエアロゾル生成物品(1、2、3)は、複数のエアロゾル生成ストリップ(32)を含むエアロゾル生成基材(14)であって、複数のエアロゾル生成ストリップ(32)は、第1の方向に延び、且つ第1の方向に垂直な第2の方向に断続的に配置される、エアロゾル生成基材(14)と、複数のエアロゾル生成ストリップ(32)に沿って第1の方向に延び、且つ第2の方向に複数のエアロゾル生成ストリップ(32)と交互に配置される複数の細長い支持要素(20)と、実質的に平坦なエアロゾル生成物品を形成するために、複数のエアロゾル生成ストリップ(32)及び複数の細長い支持要素(20)を取り囲む包装部材(22)とを含む。エアロゾル生成物品を製造する方法も記載される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エアロゾル生成装置(102)で使用するためのエアロゾル生成物品(1、2、3)であって、
複数のエアロゾル生成ストリップ(32)を含むエアロゾル生成基材(14)であって、前記複数のエアロゾル生成ストリップ(32)は、第1の方向に延び、且つ前記第1の方向に垂直な第2の方向に断続的に配置される、エアロゾル生成基材(14)と、
前記複数のエアロゾル生成ストリップ(32)に沿って前記第1の方向に延び、且つ前記第2の方向に前記複数のエアロゾル生成ストリップ(32)と交互に配置される複数の細長い支持要素(20)と、
実質的に平坦なエアロゾル生成物品を形成するために、前記複数のエアロゾル生成ストリップ(32)及び前記複数の細長い支持要素(20)を取り囲む包装部材(22)と
を含むエアロゾル生成物品(1、2、3)。
【請求項2】
前記細長い支持要素(20)は、前記エアロゾル生成ストリップ(32)よりも長く、且つ前記エアロゾル生成ストリップ(32)の端部を越えて延びて、前記物品の口側端部を形成する、請求項1に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項3】
前記包装部材(22)は、実質的に平らな形状を有する主面(40、42)の対を形成し、前記主面の少なくとも一方(42)は、前記主面(42)と前記エアロゾル生成ストリップ(32)との間に隙間(36)を形成するために、前記エアロゾル生成ストリップ(32)から離間され、及び前記隙間(36)は、前記エアロゾル生成ストリップ(32)に沿って前記第1の方向に延びて、空気流チャネル(16)を形成する、請求項1又は2に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項4】
前記主面の一方(40)は、前記複数のエアロゾル生成ストリップ(32)及び前記複数の細長い支持要素(20)に接触する、請求項3に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項5】
前記複数のエアロゾル生成ストリップ(32)及び前記複数の細長い支持要素(20)は、主面(44、46)の対を有する平らな矩形形状を形成し、及び前記包装部材(22)は、前記主面(44、46)の対にそれぞれ取り付けられた矩形シート(24、26)の対を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項6】
前記物品の口側端部(34)を形成する支持部材(28)を含み、及び前記支持部材(28)は、前記エアロゾル生成ストリップ(32)及び前記細長い支持要素(20)の下流端を受け入れるために管状形態を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項7】
前記包装部材(22)は、結露を吸収するための、前記エアロゾル生成基材(14)の方に面する多孔質内面(22a)と、前記エアロゾル生成基材(14)から離れる方に面する粘着防止外面(22b)とを有する、請求項1~6のいずれか一項に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項8】
前記包装部材(22)は、前記外面(22b)上に粘着防止コーティングを含む、請求項7に記載のエアロゾル生成物品。
【請求項9】
エアロゾル生成装置(102)で使用するためのエアロゾル生成物品(1、2、3)を製造する方法であって、
第1の方向に延びる複数のエアロゾル生成ストリップ(32)を提供し、且つ前記複数のエアロゾル生成ストリップ(32)を、前記第1の方向に垂直な第2の方向に断続的に配置することと、
前記複数のエアロゾル生成ストリップ(32)に沿って前記第1の方向に延びる複数の細長い支持要素(20)を提供し、且つ前記複数の細長い支持要素(20)を前記第2の方向に前記複数のエアロゾル生成ストリップ(32)と交互に配置することと、
実質的に平坦なエアロゾル生成物品を形成するために、前記複数のエアロゾル生成ストリップ(32)及び前記複数の細長い支持要素(20)を包装部材(22)で巻くことと
を含む方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、エアロゾル生成物品に関し、より具体的には、エアロゾル生成物品を加熱して、使用者による吸入のためのエアロゾルを生成するエアロゾル生成装置で使用するためのエアロゾル生成物品に関する。本開示の実施形態は、エアロゾル生成物品を製造する方法にも関する。本開示は、特に、携帯型(手持ち式)エアロゾル生成装置で使用するためのエアロゾル生成物品に適用可能である。
【背景技術】
【0002】
近年、(エアロゾル生成装置又は蒸気生成装置としても知られる)リスク低減装置又はリスク修正装置の人気及び使用は、従来のタバコ製品の使用に代わるものとして急速に成長している。エアロゾル生成物質を加熱又は加温して、使用者が吸入するエアロゾルを生成する様々な装置及びシステムが入手可能である。
【0003】
一般に入手可能なリスク低減装置又はリスク修正装置は、基材加熱式エアロゾル生成装置、すなわちいわゆる非燃焼加熱式装置である。このタイプの装置は、エアロゾル生成基材を典型的には150℃~300℃の範囲の温度に加熱することにより、エアロゾル又は蒸気を生成する。エアロゾル生成基材を燃やしたり燃焼させたりすることなく、エアロゾル生成基材をこの範囲内の温度に加熱することにより、蒸気を生成し、蒸気は、通常、冷却及び凝縮して、装置の使用者が吸入するためのエアロゾルを形成する。
【0004】
現在入手可能なエアロゾル生成装置は、抵抗加熱要素を利用する抵抗加熱及び誘導コイルと、誘導加熱可能なサセプタの形態の加熱要素とを利用する誘導加熱を含む多数の異なる手法の1つを使用して、エアロゾル生成基材に熱を供給することができる。
【0005】
エアロゾル生成基材を加熱するためにいずれの手法が使用されたとしても、エアロゾル生成装置によって生成されるエアロゾルの特性は、エアロゾル生成装置で使用されるエアロゾル生成物品の構造を含むいくつかの要因に依存する。したがって、物品の使用中に生成されるエアロゾルの特性を最適化することを可能にし、同時にエアロゾル生成装置と組み合わせて使用しやすいエアロゾル生成物品を提供することが望まれている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の第1の態様によれば、エアロゾル生成装置で使用するためのエアロゾル生成物品が提供され、エアロゾル生成物品は、
複数のエアロゾル生成ストリップを含むエアロゾル生成基材であって、複数のエアロゾル生成ストリップは、第1の方向に延び、且つ第1の方向に垂直な第2の方向に断続的に配置される、エアロゾル生成基材と、
複数のエアロゾル生成ストリップに沿って第1の方向に延び、且つ第2の方向に複数のエアロゾル生成ストリップと交互に配置される複数の細長い支持要素と、
実質的に平坦なエアロゾル生成物品を形成するために、複数のエアロゾル生成ストリップ及び複数の細長い支持要素を取り囲む包装部材と
を含む。
【0007】
本開示の第2の態様によれば、エアロゾル生成装置で使用するためのエアロゾル生成物品を製造する方法が提供され、本方法は、
第1の方向に延びる複数のエアロゾル生成ストリップを提供し、且つ複数のエアロゾル生成ストリップを、第1の方向に垂直な第2の方向に断続的に配置することと、
複数のエアロゾル生成ストリップに沿って第1の方向に延びる複数の細長い支持要素を提供し、且つ複数の細長い支持要素を第2の方向に複数のエアロゾル生成ストリップと交互に配置することと、
実質的に平坦なエアロゾル生成物品を形成するために、複数のエアロゾル生成ストリップ及び複数の細長い支持要素を包装部材で巻くことと
を含む。
【0008】
エアロゾル生成物品は、エアロゾル生成基材を燃やすことなく、エアロゾル生成基材を加熱して、エアロゾル生成基材の少なくとも1種の成分を揮発させ、それにより加熱された蒸気を生成し、この蒸気が冷却及び凝縮されて、エアロゾル生成装置の使用者が吸入するためのエアロゾルが形成される、エアロゾル生成装置で使用するためのものである。エアロゾル生成装置は、手持ち式の携帯型装置である。
【0009】
一般論として、蒸気は、臨界温度よりも低い温度で気相である物質であり、これは、温度を低下させずに圧力を高めることにより、蒸気を液体に凝縮させ得ることを意味する一方、エアロゾルは、空気又は別のガス中に微細な固体粒子又は液滴が浮遊しているものである。しかしながら、本明細書では、「エアロゾル」及び「蒸気」という用語は、特に使用者が吸入するために生成される吸入可能媒体の形態に関して互換的に使用され得ることに留意すべきである。
【0010】
細長い支持要素は、特にエアロゾル生成ストリップの変形に耐えるか又は変形を防止することにより、エアロゾル生成物品の構造的剛性及び断面形状を維持するのに役立つ。第1の方向に延びる複数の細長い支持要素を設けることにより、エアロゾル生成物品の加工、及び/又は保管、及び/又は取り扱い中における、例えばエアロゾル生成物品のつぶれ又は圧縮によるエアロゾル生成物品の変形のリスクが最小限になる。したがって、エアロゾル生成物品の加工、及び/又は保管、及び/又は取り扱い中、例えば空気流チャネルによって提供される空気流ルートが塞がれるリスクも最小限になる。エアロゾル生成ストリップと支持要素とを取り囲む包装部材を設けることにより、エアロゾル生成装置内でエアロゾル生成物品の使用中に生成される蒸気及び/又はエアロゾルは、使用者によって吸入される前に、空気流チャネルなどの空気流ルートに沿って物品内部を流れる。これは、最大可能量の蒸気及び/又はエアロゾルが使用者に送達され、送達される蒸気及び/又はエアロゾルが最適な特性を有することを確実にするのに役立ち得る。
【0011】
細長い支持要素は、エアロゾル生成ストリップよりも高い強度又は剛性若しくは剛さを有する材料を含み得る。それにより、エアロゾル生成ストリップの変形は、細長い支持要素によって阻止又は防止される。細長い支持要素は、紙、成形パルプ、金属、織布(例えば、布)、不織布又は難燃性木材のいずれか1つを含み得る。これらの材料のそれぞれは、いくつかの利点を提供し得る。例えば、紙は、軽量、低コスト、加工性、温度耐性及び不要な揮発性成分を発生させるリスクの低さ(すなわち制御可能な発生)を含む利点を提供し、成形パルプは、軽量、加工性、温度耐性及び強度(普通の紙と比較して)を含む利点を提供し、金属は、温度耐性、高熱伝導性及び不要な揮発性成分を発生させるリスクの低さ(すなわち制御可能な発生)を含む利点を提供し、織布又は不織布は、低コスト、温度耐性及び不要な揮発性成分を発生させるリスクの低さ(すなわち制御可能な発生)を含む利点を提供し、難燃性木材は、加工性、温度耐性及び強度(普通の紙と比較して)を含む利点を提供する。
【0012】
エアロゾル生成物品は、遠位端と、口側端(又は口側端部)と、口側端と遠位端との間に延び得る長手軸とを含み得る。口側端(又は口側端部)は、エアロゾル生成物品の、遠位端と反対の端部に位置する。より具体的には、例えばエアロゾル生成装置におけるエアロゾル生成物品の使用中、すなわち使用中に使用者が口側端(又は口側端部)を通して吸入するとき、口側端(又は口側端部)は、エアロゾル生成物品を通る空気流の方向に対して遠位端の下流に位置する。したがって、口側端(又は口側端部)は、エアロゾル生成物品の下流部分を構成する。第1の方向は、長手軸に実質的に平行であり得る。したがって、支持部材は、遠位端と口側端との間で長手軸に実質的に平行な方向に延び得る。空気は、エアロゾル生成物品の使用中、遠位端から口側端にエアロゾル生成物品を通して流れ、それにより加熱されたエアロゾル生成ストリップから最大量の揮発性成分が空気中に放出されることを確実にする。これにより、したがってエアロゾル生成物品の使用中、最大可能量の蒸気及び/又はエアロゾルが生成され、使用者に送達されることを確実にする。
【0013】
細長い支持要素は、第1の方向においてエアロゾル生成ストリップよりも長くてよい。細長い支持要素は、エアロゾル生成ストリップの端部を越えて延びて、エアロゾル生成物品の口側端部(又は口側端)を形成し得る。これは、エアロゾル生成物品が使用者の唇によって係合される口側端部(又は口側端)におけるエアロゾル生成物品の剛性及び構造的完全性の向上に役立ち得る。
【0014】
包装部材は、実質的に平らな形状を有し得る主面の対を形成し得、主面の少なくとも一方は、主面とエアロゾル生成ストリップとの間に隙間を形成するために、エアロゾル生成ストリップから離間され得、隙間は、エアロゾル生成ストリップに沿って第1の方向に延びて、空気流チャネルを形成し得る。空気流チャネルは、エアロゾル生成物品の内部をエアロゾル及び/又は蒸気が流れるためのルートを提供する。それにより、エアロゾル生成装置の内面上における凝縮物質の形成が実質的に排除されるか又は少なくとも最小限になる。
【0015】
包装部材の主面の1つは、エアロゾル生成ストリップから離間し、それにより前記隙間を形成するように複数の細長い支持要素と接触し得る。したがって、隙間、したがって空気流チャネルは、包装部材の主面と細長い支持要素との間の接触により、エアロゾル生成物品の製造時に容易に形成される。
【0016】
包装部材の主面の1つは、複数のエアロゾル生成ストリップ及び複数の細長い支持要素に接触し得る。これは、エアロゾル生成ストリップ及び支持要素に対する包装部材の正しい位置決めを容易にするのに役立ち得る。
【0017】
複数のエアロゾル生成ストリップ及び複数の細長い支持要素は、主面の対を有し得る平らな矩形形状を形成し得る。包装部材は、主面の対にそれぞれ取り付けられ得る矩形シートの対を含み得る。エアロゾル生成物品は、複数のエアロゾル生成ストリップによって形成されるエアロゾル生成基材の平らな矩形形状により、好ましい審美的外観を有し得る。エアロゾル生成基材を形成するエアロゾル生成ストリップは、包装部材によって容易に被覆され得、それによりエアロゾル生成物品の取り扱い中に使用者がエアロゾル生成ストリップに直接触れないようにする。平らな矩形形状は、複数のエアロゾル生成物品の包装及び保管も容易にし得る。
【0018】
エアロゾル生成物品は、物品の口側端部を形成し得る支持部材を含み得る。支持部材は、エアロゾル生成ストリップ及び細長い支持要素の下流端を受け入れるために管状形態、例えば矩形管状形態を有し得る。支持部材は、自己支持式であり得、例えば厚紙又はプラスチック材料を含み得る。支持部材は、有利には、物品の使用中に生成された蒸気及び/又はエアロゾルを使用者の口に直接送達し得る。支持部材は、エアロゾル生成物品の使用中に生成される加熱された蒸気が冷却及び凝縮して、使用者による吸入に最適な特性を有するエアロゾルを形成することを可能にし得る。
【0019】
包装部材は、実質的に非導電性且つ非透磁性の材料を含み得、例えば紙製ラッパーを含み得る。紙製ラッパーの使用により、エアロゾル生成物品の製造及び取り扱いが容易になる可能性があり、エアロゾルの生成が強化される可能性がある。
【0020】
包装部材は、結露を吸収するための、エアロゾル生成ストリップの方に面し得る多孔質内面を有し得る。多孔質内面は、エアロゾル生成装置の内面上における凝縮物質の形成が実質的に排除されるか又は少なくとも最小限になるようにするのに役立つ可能性がある。包装部材は、エアロゾル生成基材から離れる方、より具体的にはエアロゾル生成ストリップから離れる方に面し得る粘着防止外面を有し得る。例えば、包装部材は、外面上に粘着防止コーティングを含み得る。粘着防止外面は、エアロゾル生成装置が加熱されたときに包装部材がエアロゾル生成装置の表面に粘着しないようにするのに役立ち得る。多孔質内面及び粘着防止外面は、共にエアロゾル生成装置内の残留物の蓄積を低減するのに役立ち、したがって装置の使用者が実施しなければならない場合があるクリーニング及び保守作業の回数を減らすことができる。
【0021】
エアロゾル生成基材、より具体的にはエアロゾル生成ストリップは、非液体エアロゾル生成材料、例えば任意の種類の固体又は半固体材料を含み得る。エアロゾル生成固体の例示的なタイプとしては、粉末、顆粒、ペレット、シュレッド、ストランド、粒子、ゲル、ルーズリーフ、カットリーフ、カットフィラー、多孔質材料、発泡材料又はシートが挙げられる。エアロゾル生成ストリップは、植物由来の材料を含み得、特にタバコを含み得る。これらは、有利には、例えばタバコと、セルロース繊維、タバコ茎繊維及びCaCO3などの無機充填剤の任意の1つ以上とを含む再構成タバコを含み得る。
【0022】
したがって、エアロゾル生成物品で使用することが意図されるエアロゾル生成装置は、「加熱式タバコ装置」、「加熱非燃焼式タバコ装置」、「タバコ製品気化用装置」などと称することができ、この装置は、これらの効果を実現するのに好適な装置として解釈される。本明細書に開示される特徴は、任意のエアロゾル生成基材を気化させるように設計された装置に等しく適用可能である。
【0023】
エアロゾル生成基材は、エアロゾル形成剤を含み得る。エアロゾル形成剤の例としては、グリセリン又はプロピレングリコールなどの多価アルコール及びその混合物が挙げられる。典型的には、エアロゾル生成基材は、乾燥重量ベースで約5%~約50%のエアロゾル形成剤含有量を含み得る。いくつかの実施形態では、エアロゾル生成基材は、乾燥重量ベースで約10%~約20%、場合により乾燥重量ベースで約15%のエアロゾル形成剤含有量を含み得る。
【0024】
エアロゾル生成物品は、ヒータを含む電動エアロゾル生成装置で使用するように構成され得る。ヒータは、抵抗加熱器又は誘導加熱器であり得る。加熱すると、エアロゾル生成基材を形成するエアロゾル生成ストリップは、揮発性化合物を放出し得る。揮発性化合物は、ニコチン又はタバコ香味料などの香味化合物を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】エアロゾル生成物品の第1の例の概略長手方向断面図である。
図2図1の線A-Aに沿った概略断面図である。
図3図2に類似する、エアロゾル生成物品の第2の例の概略断面図である。
図4】エアロゾル生成物品の第3の例の概略長手方向断面図である。
図5】本開示によるエアロゾル生成装置及びエアロゾル生成物品を含むエアロゾル生成システムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
ここで、本開示の実施形態について、単なる例として添付の図面を参照して説明する。
【0027】
最初に、図1及び図2を参照すると、電動エアロゾル生成装置102で使用するためのエアロゾル生成物品1の第1の例が示されている。この例については、本明細書で図5を参照して後述する。エアロゾル生成物品1は、実質的に平坦であり、遠位端10と、エアロゾル生成物品1の反対端にある口側端12(又は近位端)とを有する。口側端12は、図1に3つの矢印で表されるように、エアロゾル生成物品1を通る空気流の方向に対して、遠位端10の下流にある。長手軸は、遠位端10と口側端12との間に延びて、エアロゾル生成物品1の長手方向を画定する。
【0028】
エアロゾル生成物品1は、実質的に平坦なエアロゾル生成基材14を含む。エアロゾル生成基材14は、遠位端10と口側端12との間において、エアロゾル生成物品1の長手方向に実質的に平行な第1の方向に延びる複数のエアロゾル生成ストリップ32を含む。エアロゾル生成ストリップ32は、横方向に離間される。換言すると、エアロゾル生成ストリップ32は、第1の方向に垂直な第2の方向に断続的に且つ離間されて配置される。エアロゾル生成ストリップ32によって形成されるエアロゾル生成基材14は、反対方向に配置された主面14a、14bの対を有する平らな矩形形状を有する。エアロゾル生成物品1は、その中のエアロゾル生成ストリップ32がタバコ又はタバコ材料を含み得る消耗品又は使い捨て物品である。
【0029】
エアロゾル生成物品1は、図示の例では、エアロゾル生成基材14の主面14aに形成された複数の溝18を含む複数の空気流チャネル16を含む。溝18は、互いに隣り合わせに、平行に配置され、溝18は、遠位端10と口側端12との間において、長手軸に実質的に平行に長手方向に延びる。溝18は、任意の適切な手法で、例えば、溝18が形成される領域内に低減させた量のエアロゾル生成ストリップ32を提供することにより形成され得る。図1及び図2の例では3つの溝18が示されているが、例えば、エアロゾル生成物品1の所望の吸い込み抵抗に応じて、任意の適切な数の溝18が設けられ得ることが理解されるであろう。溝18は、図2に示されるような矩形、正方形、台形又は半円形を含むが、これらに限定されない任意の適切な断面形状を有し得ることにも留意されたい。
【0030】
エアロゾル生成物品1は、複数の細長い支持要素20を含み、複数の細長い支持要素20も、遠位端10と口側端12との間において、エアロゾル生成ストリップ32に実質的に平行であり、且つエアロゾル生成物品1の長手方向に実質的に平行な第1の方向に延びる。支持要素20は、横方向に離間され、より具体的には第2の方向に複数のエアロゾル生成ストリップ32と交互に配置される。図1及び図2に示されるエアロゾル生成物品1の第1の例では、支持要素20は、実質的に円形の断面形状を有する。図3に示されるエアロゾル生成物品2の第2の例では、支持要素20は、矩形の断面形状を有する。例えば正方形及び楕円形を含む他の断面形状は、本開示の範囲内である。支持要素20は、エアロゾル生成ストリップ32よりも高い剛性又は剛さを有する材料を含み、したがって、エアロゾル生成物品1、2の構造的剛性及び形状の維持に役立つ。
【0031】
図1から明らかなように、支持要素20は、エアロゾル生成ストリップ32よりも長く、エアロゾル生成ストリップ32の下流端を越えて、口側端12に向かって延びる。したがって、支持要素20は、エアロゾル生成物品1の口側端部34を形成する。
【0032】
エアロゾル生成物品1は、エアロゾル生成ストリップ32と支持要素20とを取り囲む包装部材22を更に含む。エアロゾル生成ストリップ32と支持要素20は、主面44、46の対を有する平らな矩形形状を形成し、例えば、シガレットの巻紙又は類似の材料を含み得る包装部材22によって完全に囲まれる。包装部材22は、主面44、46にそれぞれ取り付けられた矩形シート24、26の対を含む。包装部材22は、典型的には、エアロゾル生成ストリップ32及び支持要素20に巻き付けられ、包装部材22を所定の位置に固定するために互いに接着される重なり合う縁部を有し得る一枚の材料によって形成される。
【0033】
包装部材22は、実質的に平らな形状を有する主面40、42の対を形成する。主面40は、主面44においてエアロゾル生成ストリップ32及び支持要素20に接触する。主面42は、支持要素20に接触するが、エアロゾル生成ストリップ32から離間され、主面42とエアロゾル生成ストリップ32との間に一連の隙間36を形成する。各隙間36は、遠位端10と口側端12との間において、エアロゾル生成ストリップ32に実質的に平行であり、且つエアロゾル生成物品1の長手方向に実質的に平行な第1の方向に延びる。各隙間36は、上述したように、空気流チャネル16(又は溝18)を形成する。
【0034】
例示的及び非限定的な例では、エアロゾル生成ストリップ32によって形成されるエアロゾル生成基材14は、(エアロゾル生成物品1の長手方向の)長さ約18.0mmを有し得、幅約11.8mmを有し得、厚さ(又は深さ)約1.2mmを有し得る。エアロゾル生成ストリップ32は、図1に示すように、エアロゾル生成物品1の遠位端10から小さい距離、例えば約3.0mmだけ内側に離間され得る。エアロゾル生成物品1は、包装部材22の内側にエアロゾル生成ストリップ32を収容するために、幅約12.0mm及び厚さ(又は深さ)約1.4mmを有し得る。エアロゾル生成物品1は、エアロゾル生成ストリップ32の下流端と口側端12との間に延びる包装部材22の部分の長さを変化させ、且つ支持要素20の長さを同様に変化させることにより、遠位端10と口側端12との間に任意の適切な長さを有し得る。エアロゾル生成装置102におけるエアロゾル生成物品1の使用中、蒸気は、包装部材22のこの部分を流れるため、蒸気は、冷却及び凝縮し、使用者が吸入するためのエアロゾルを形成し得る。したがって、エアロゾル生成ストリップ32の下流端とエアロゾル生成物品1の口側端12との間に延びる包装部材22及び支持要素20の部分の長さは、所望の特性を有するエアロゾルを提供するように、製造時に選択され得る。
【0035】
いくつかの実施形態では、包装部材22は、エアロゾル生成基材14の方に面する、加熱プロセス中に形成される可能性のある結露を吸収可能な多孔質内面22aを含む。代わりに又は加えて、包装部材22は、包装部材22が加熱されたときにエアロゾル生成装置102の表面に粘着するリスクを低下させるために、エアロゾル生成基材14から離れる方に面する粘着防止外面22bを含み得る。粘着防止外面22bは、包装部材22の外面22b上に粘着防止コーティングを含み得る。
【0036】
上記のエアロゾル生成物品1、2は、(i)第1の方向に延びる複数のエアロゾル生成ストリップ32を提供し、且つエアロゾル生成ストリップ32を第2の方向に断続的に配置することと、(ii)第1の方向に延びる複数の細長い支持要素20を提供し、且つ細長い支持要素20を第2の方向に複数のエアロゾル生成ストリップ32と交互に配置することとによって製造され得る。工程(i)及び工程(ii)は、任意の順序又は同時に実施され得ることに留意されたい。製造方法の最終工程は、(iii)実質的に平坦なエアロゾル生成物品1、2を形成するために、エアロゾル生成ストリップ32及び細長い支持要素20を包装部材22で巻くことを含む。
【0037】
ここで、図4を参照すると、エアロゾル生成物品3の第3の例が示されている。エアロゾル生成物品3は、図1図3を参照して上述したエアロゾル生成物品1及びエアロゾル生成物品2に類似しており、対応する特徴は、同じ参照番号を使用して識別される。
【0038】
エアロゾル生成物品3は、エアロゾル生成装置102におけるエアロゾル生成物品3の使用中に使用者の唇によって係合され得る口側端部34を更に形成するために、エアロゾル生成物品3の口側端12に配置された支持部材28を含む。支持部材28は、典型的には、厚紙又はプラスチック材料などの自己支持材料を含み、エアロゾル生成ストリップ32及び支持要素20の下流端を受け入れるために、断面で見ると矩形管状形態を有する。包装部材22も支持部材28を取り囲む。
【0039】
ここで、図5を参照すると、エアロゾル生成装置102と、図1及び図2を参照して上述したエアロゾル生成物品1の第1の例とを含むエアロゾル生成システム100が示されている。エアロゾル生成装置102は、図3及び図4を参照して上述したエアロゾル生成物品2、3の第2又は第3の例など、本開示による代替的なエアロゾル生成物品と組み合わせて使用され得ることが理解されるであろう。
【0040】
エアロゾル生成装置102は、収容チャンバ106と、装置本体108内に配置された、収容チャンバ106に熱を供給するためのヒータ104とを含む。ヒータ104は、抵抗加熱器であり得るか、又は代わりにサセプタと、誘導コイルを含む電磁場発生器とを含む誘導加熱器であり得る。
【0041】
使用時、使用者は、エアロゾル生成物品1を収容チャンバ106に挿入する。エアロゾル生成装置102は、カバー110と、カバー110を図5に示す閉位置と開位置(図示せず)との間で移動させることを可能にする枢動取付部112とを含み得る。当業者に理解されるように、使用者は、収容チャンバ106へのエアロゾル生成物品1の挿入を可能にするためにカバー110を開位置に枢動させなければならず、その後、エアロゾル生成物品1を収容チャンバ106内の所定の位置に保持するために、カバーを図5に示される閉位置に再び枢動させなければならない。
【0042】
エアロゾル生成装置102は、電源114、例えば充電式バッテリーと、コントローラ116とを含み、これらは、両方とも、ヒータ104に接続される。ヒータ104は、例えば、エアロゾル生成装置102上のボタンなどのユーザインタフェースを介して手動で作動され得るか、又は使用者がエアロゾル生成装置102のマウスピース118で吸い込んだことに応答して自動的に作動され得る。エアロゾル生成装置102は、エアロゾル生成物品1に空気を流入させ、空気流チャネル16を通過させることを可能にするための1つ以上の空気入口120を含む。空気流の方向は、図5の矢印によって示される。
【0043】
エアロゾル生成物品1が収容チャンバ106内に配置された状態で、電源114からヒータ104に電力が供給され(上述したようにヒータ104の手動作動又は自動作動のいずれかによって)、それにより、エアロゾル生成ストリップ32を燃焼させることなく加熱して、1種以上の揮発性成分を放出させる。揮発性成分は、空気流チャネル16内を流れる空気に同伴され、それにより蒸気を形成する。蒸気は、空気流チャネル16内を流れる際に冷却及び凝縮して、エアロゾル生成装置102のマウスピース118を通して使用者が吸入するエアロゾルを形成する。
【0044】
エアロゾル生成ストリップ32が使用済みになり、満足のいく品質のエアロゾルを生成するのに十分な揮発性成分をもはや放出しなくなると、カバー110を開位置に枢動させた後にエアロゾル生成物品1を収容チャンバ106から取り除くことができ、交換用のエアロゾル生成物品1をその場所に挿入することができる。
【0045】
エアロゾル生成装置102が、支持部材28を有するエアロゾル生成物品、例えば、図4を参照して上述したエアロゾル生成物品3の第3の例と組み合わせて使用される場合、支持部材28は、収容チャンバ106の開放端106aから突出し、それにより、使用者の唇が支持部材28によって形成されるエアロゾル生成物品3の口側端部34に係合することを可能にし得る。
【0046】
これまでの段落で例示的実施形態について説明してきたが、当然のことながら、添付の特許請求の範囲から逸脱しない限り、それらの実施形態に対する様々な修正形態がなされ得る。したがって、特許請求の広さ及び範囲は、上述した例示的な実施形態に限定されるべきではない。
【0047】
本明細書において別途記載のない限り又は文脈に明らかに矛盾しない限り、上述の特徴のそのあらゆる可能な変形形態でのいかなる組み合わせも本開示によって包含される。
【0048】
文脈上明らかに他の意味に解すべき場合を除き、本明細書及び特許請求項の全体を通して、「含む」、「含んでいる」等の語は、排他的又は網羅的な意味ではなく、包含的な意味、すなわち「含むが、限定されない」という意味で解釈されるべきである。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】