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特表2024-515526感圧接着剤組成物及びその調製方法及びフレキシブル有機発光ダイオードにおける使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】感圧接着剤組成物及びその調製方法及びフレキシブル有機発光ダイオードにおける使用
(51)【国際特許分類】
   C09J 7/38 20180101AFI20240403BHJP
   C09J 183/05 20060101ALI20240403BHJP
   C09J 183/07 20060101ALI20240403BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20240403BHJP
   C08L 83/05 20060101ALI20240403BHJP
   C08K 5/05 20060101ALI20240403BHJP
   H10K 71/00 20230101ALI20240403BHJP
   H10K 77/10 20230101ALI20240403BHJP
   H10K 50/844 20230101ALI20240403BHJP
   H10K 71/80 20230101ALI20240403BHJP
   H10K 59/10 20230101ALI20240403BHJP
   H10K 50/10 20230101ALI20240403BHJP
【FI】
C09J7/38
C09J183/05
C09J183/07
C09J11/06
C08L83/05
C08K5/05
H10K71/00
H10K77/10
H10K50/844
H10K71/00 851
H10K71/80
H10K59/10
H10K50/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023560934
(86)(22)【出願日】2022-02-16
(85)【翻訳文提出日】2023-10-02
(86)【国際出願番号】 US2022016542
(87)【国際公開番号】W WO2022216367
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/172,737
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217663
【弁理士】
【氏名又は名称】末広 尚也
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ハンナ
(72)【発明者】
【氏名】チャン、ウォンボム
【テーマコード(参考)】
3K107
4J002
4J004
4J040
【Fターム(参考)】
3K107AA01
3K107BB01
3K107BB02
3K107CC45
3K107DD17
3K107EE49
3K107EE55
3K107FF14
3K107GG28
4J002CP042
4J002CP121
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4J002EX017
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4J002FD147
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4J004BA02
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4J004CC02
4J004DB02
4J004FA05
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4J040EK042
4J040EK091
4J040HD32
4J040HD43
4J040KA14
4J040KA17
4J040LA01
4J040NA19
(57)【要約】
感圧接着剤組成物は、ヒドロシリル化によって硬化して感圧接着剤を形成することができる。感圧接着剤組成物は、基材上にコーティングされ、硬化されて、保護フィルムを形成し得る。保護フィルムは、例えば、パッシベーション層を保護するためのフレキシブルOLEDデバイスの製作プロセスに有用である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感圧接着剤組成物であって、
A)85~100重量部のポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーであって、前記ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーが、1~10個の炭素原子を有するケイ素結合アルキル基及び2~6個の炭素原子を有するケイ素結合アルケニル基を有し、前記アルケニル基が、前記ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーの重量に基づいて0.14%~<0.3%の量で存在する、ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーと、
C)0.1~5重量部の、単位式(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2を有するポリアルキル水素シロキサンであって、式中、各Rが、独立して選択された1~10個の炭素原子のアルキル基であり、下付き文字x≧0、下付き文字y≧0であり、量(x+y)が、毛細管粘度計を用いて25℃で測定したとき、前記ポリアルキル水素シロキサンの粘度が<20mPa・sになるために十分である、ポリアルキル水素シロキサンと、
F)前記組成物中に10~5000ppm濃度のPt族金属を提供するために十分な量の白金族金属触媒と、
E)0.01~1重量部のアセチレンアルコールと、
G)前記組成物中の全ての出発物質の組み合わされた重量に基づいて、10重量%~90重量%の有機溶媒と、を含むが、組み合わされた前記組成物中の全ての出発物質は、ケイ素結合水素原子/ケイ素結合アルケニル基のモル比(SiH:アルケニル比)が0.5:1~2:1であることを条件とする、感圧接着剤組成物。
【請求項2】
前記組成物が、出発物質C)の重量に基づいて、最大20%のH)単位式(R SiO1/2(RHSiO2/2を有する追加のポリアルキル水素シロキサンを更に含み、式中、下付き文字zが、200~250である、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
出発物質C)が、>0~<1重量%のケイ素結合水素(SiH)含有量を有する、請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
B)15重量部までの、式(R SiO1/2(R SiO1/2(SiO4/2の単位を含むポリアルキルシロキサン樹脂を更に含み、式中、各Rが、独立して、1~10個の炭素原子のアルキル基であり、各Rが、独立して、R、OH、及び2~6個の炭素原子のアルケニル基から選択され、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c>0、量(a+b)>0、及び下付き文字a、b、及びcが、0.9≦(a+b)/c≦1.2となる値を有する、請求項1~3のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
1重量部までのD)定着添加剤を更に含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項6】
出発物質D)が、D-1)ビニルトリアセトキシシラン、D-2)グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、D-3)2-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、D-4)D-1)、D-2)、及びD-3)のうちの2つ以上の組み合わせ、並びにD-5)D-1)、D-2)、D-3)、及び/又はD-4)のうちのいずれかと、ヒドロキシル基、メトキシ基で終端するか、又はヒドロキシ基及びメトキシ基の両方で終端するポリジメチルシロキサンとの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
A)前記ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーが、>0.2%~0.26%のアルケニル基を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項8】
A)前記ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーが、単位式:(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(R SiO2/2を含み、式中、各Rが、独立して、1~10個の炭素原子のアルキル基であり、各Rが、独立して、2~6個の炭素原子のアルケニル基であり、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f>0、下付き文字g≧0であり、式中、量(d+e)=2、量(d+e+f+g)が、4,500~5,000である、請求項1~7のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
出発物質F)が、(F-1)白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウムから選択された白金族金属、(F-2)前記白金族金属の化合物、(F-3)前記化合物と低分子量オルガノポリシロキサンとの複合体、(F-4)マトリックス又はコア/シェル型構造中にマイクロカプセル化された前記化合物(F-2)又は前記複合体(F-3)、からなる群から選択される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項10】
出発物質E)が、(E-1)1-エチニル-1-シクロヘキサノール、(E-2)メチルブチノール、(E-3)マレイン酸ジアリル、並びに(E-4)(E-1)、(E-2)、及び(E-3)うちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~9のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
出発物質G)が、ベンゼン、トルエン、ヘプタン、エチルベンゼン、キシレン、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1~10のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記組成物が、基部と硬化剤部分とを含む多液型組成物であり、前記基部が、出発物質A)、C)、及びG)を含み、前記硬化剤部分が、出発物質A)、F)、及びG)を含み、前記組成物が、前記基部又は別個の第3の部分のうちの1つ以上の中に出発物質E)を更に含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
基材の表面に感圧接着剤フィルムを含む感圧接着剤テープを調製する方法であって、
任意に、1)前記基材の前記表面を処理することと、
2)請求項1~12のいずれか一項に記載の感圧接着剤組成物を、前記基材の前記表面に塗布することと、
任意に、3)前記溶媒の全て又は一部を除去することと、
4)前記感圧接着剤組成物を硬化させて、前記基材の前記表面上に前記感圧接着剤フィルムを形成することと、を含む、方法。
【請求項14】
フレキシブル有機発光ダイオードデバイスを製作するための方法であって、請求項13に記載の方法工程を実施して、それによって感圧接着剤テープを調製することと、前記感圧接着剤テープを前記デバイス内のパッシベーション層に適用することと、を含む、方法。
【請求項15】
フレキシブル有機発光ダイオードデバイス内の
パッシベーション層の保護のための、請求項13に記載の方法によって調製された前記感圧接着剤テープの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2021年4月9日に出願された米国仮特許出願第63/172,737号の優先権を主張するものである。米国特許仮出願第63/172,737号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、フレキシブル有機発光ダイオード(OLED)ディスプレイを製作するためのプロセスに有用な感圧接着剤組成物に関する。感圧接着剤組成物を硬化して、初期接着力が低く、経時的な接着安定性が高く、かつ移行性の低い感圧接着剤を形成する。
【背景技術】
【0003】
フレキシブルOLEDディスプレイを製作するための典型的なプロセスでは、OLEDは、比較的剛性の基材(例えば、ガラス又はポリイミドワニスでコーティングされたガラス)上に形成され、基材とは反対側のOLEDの表面上にパッシベーション層が形成される。更なる加工中に、剛性基材が除去される。弱い層又は脆弱な層は、更なる加工中の損傷(例えば、掻き傷又は他の衝撃)から保護する必要がある。
【0004】
製作プロセス中に層を保護するためには、使用後に保護フィルムを剥がす際にOLEDモジュールの表面上の層(例えば、パッシベーション層)が層剥離するのを防ぐために、接着性が低い保護フィルムが望まれる。接着制御が失敗し、接着力が時間とともに増加する場合(すなわち、製作プロセス中)、保護フィルムを除去するときに層が層間剥離したり損傷したりすることがある。したがって、業界では、接着力が低く、接着安定性が高い保護フィルムを提供する必要がある(この場合、層間剥離又は損傷を引き起こす程度まで、製作プロセスに必要な時間中に接着力は増加しない)。
【0005】
また、保護フィルムの除去後に追加のフィルム又は層を積層できるように、層の表面を清浄に保つことも重要である。したがって、業界では、移行性の低い保護フィルムを提供する必要がある(保護フィルムを除去した後、フレキシブルOLEDデバイスの層の表面上に保護フィルムからの接着剤がまったく又は最小限しか残らないように)。
【発明の概要】
【0006】
感圧接着剤組成物は、
ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーであって、ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーが、1~10個の炭素原子を有するケイ素結合アルキル基及び2~6個の炭素原子を有するケイ素結合アルケニル基を有し、アルケニル基が、ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーの重量に基づいて0.14%~<0.3%の量で存在する、(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーと、
単位式
(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2、を有するポリアルキル水素シロキサンであって、式中、各Rは、1~10個の炭素原子の独立して選択されたアルキル基であり、下付き文字x≧0、下付き文字y≧0であり、量(x+y)は、ポリアルキル水素シロキサンの粘度が<20mPa・sになるために十分である、ポリアルキル水素シロキサンと、
白金族金属触媒と、
アセチレンアルコールと、
有機溶媒と、を含む。
【0007】
感圧接着剤組成物を調製する方法、感圧接着剤組成物を使用して感圧接着剤テープを形成する方法、及び感圧接着剤テープを使用してフレキシブル有機発光ダイオードデバイスを製作する方法も開示される。
【発明を実施するための形態】
【0008】
感圧接着剤組成物は、
A)85~100重量部のポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーであって、コポリマーが、1~10個の炭素原子を有するケイ素結合アルキル基及び2~6個の炭素原子を有するケイ素結合アルケニル基を有し、アルケニル基が、コポリマーの重量に基づいて0.14%~<0.3%の量で存在する、ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーと、
C)0.1~5重量部の、単位式(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2を有するポリアルキル水素シロキサンであって、式中、各Rが、独立して選択された1~10個の炭素原子のアルキル基、下付き文字x≧0、下付き文字y≧0であり、量(x+y)が、ポリアルキル水素シロキサンの粘度が<20mPa・s(代替的に8mPa・s~16mPa・s)になるのに十分である、ポリアルキル水素シロキサンと、
F)組成物中に10~5000ppm濃度のPt族金属を提供するために十分な量の白金族金属触媒と、
E)0.01~1重量部のアセチレンアルコールと、
G)組成物中の全ての出発物質の組み合わされた重量に基づいて、10重量%~90重量%の有機溶媒と、を含むが、組み合わされた組成物中の全ての出発物質は、ケイ素結合水素原子/ケイ素結合アルケニル基のモル比(SiH:アルケニル比)が0.5:1~2:1であることを条件とする。
【0009】
出発物質A)ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマー
感圧接着剤組成物中の出発物質A)は、ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーであり、これは、1~10個の炭素原子を有するケイ素結合アルキル基及び2~6個の炭素原子を有するケイ素結合アルケニル基を有し、アルケニル基は、ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーの重量に基づいて、0.14%~<0.3%の量で存在する。代替的に、出発物質A)は、少なくとも0.15%、代替的に>0.20%、代替的に少なくとも0.21%、代替的に少なくとも0.22%のアルケニル基を含有し得、一方同時に、出発物質A)は、同じ基準で、最大0.29%、代替的に最大0.28%、代替的に最大0.27%、代替的に最大0.26%、代替的に最大0.25%、代替的に最大0.24%、代替的に最大0.23%、代替的に最大0.22%、及び代替的に最大0.21%のアルケニル基を含有し得る。代替的に、ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーは、0.14%~<0.3%、代替的に>0.20%~0.26%のアルケニル基、代替的に0.202%のアルケニル基を含有し得る。理論に束縛されるものではないが、ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーが>0.3%のアルケニル基を含有する場合、組成物から調製された感圧接着剤はバリを引き起こす可能性があり、これは、フレキシブル有機発光ダイオードデバイスなどの電子デバイスの製作中に感圧接着剤フィルムを除去するときに、パッシベーション層に損傷を与える原因となる。また、ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーのアルケニル含有量が低すぎる場合(例えば、<0.14%)、移行性が増加し得、その後の接着強度試験結果が低くなりすぎる場合があり、及び/又は、経時変化により接着力が増加し得る(接着安定性が悪くなる可能性がある)。出発物質A)は、ケイ素結合芳香族ヒドロカルビル基を含まなくてもよい。この文脈で「含まない」とは、出発物質A)が芳香族ヒドロカルビル基(フェニル、トリル、キシリル、若しくはベンジルなど)又は消化ガスクロマトグラフィー分光測定(gas chromatography mass spectrometry、GCMS)分析では検出できない量の芳香族ヒドロカルビル基を含有しないことを意味する。
【0010】
出発物質A)は、平均単位式(I):(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(R SiO2/2のポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)を含み得、式中、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f>0、下付き文字g≧0であり、量(d+e)=2であり、量(d+e+f+g)は、3~10,000、代替的に2,000~9,500、代替的に4,500~5,000である。代替的に、下付き文字d、e、f、及びgは、2≧d≧0、2≧e≧0、70≧f≧0、10,000≧g≧0となる値を有する。代替的に、下付き文字fは、50≧f≧0、代替的に40≧f≧10、代替的に37≧f≧20となる値を有し得る。代替的に、下付き文字gは、9,500≧g≧0、代替的に5,500≧g≧4,000、代替的に5,000≧g≧4,500、代替的に4,950≧g≧4,450となる値を有し得る。下付き文字d、e、f及びgは、ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)が上記のアルケニル含有量を有するように選択される値を有する。代替的に、下付き文字d、e、f、及びgは、出発物質A)の数平均分子量(Mn)が少なくとも200,000g/モル、代替的に少なくとも250,000g/モル、代替的に少なくとも300,000g/モル、代替的に少なくとも330,000g/モルとなる値を有し得、一方同時に、Mnは、米国特許第9,593,209号の第31欄、参照例1の試験方法に従ってゲル浸透クロマトグラフィーによって測定した場合、最大500,000g/モル、代替的に最大450,000g/モル、代替的に最大400,000g/モル、代替的に最大370,000g/モルであり得る。
【0011】
単位式(I)では、各Rは独立して、炭素原子1~10個のアルキル基であり、各Rは独立して、炭素原子2~6個のアルケニル基である。好適なアルキル基には、分岐又は非分岐の飽和一価炭化水素基が含まれる。アルキルは、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル及びデシル、並びに6~10の炭素原子の分岐状飽和一価炭化水素基によって例示されるが、これらに限定されない。代替的に、各Rは、メチル、エチル、及びイソプロピルから選択され得る。代替的に、各Rは、メチルであってもよい。好適なアルケニル基には、終端二重結合を有する分岐又は非分岐一価炭化水素基が含まれる。アルケニルは、ビニル、アリル、ブテニル(例えば、イソブテニル、n-ブテニル、tert-ブテニル、及び/又はsec-ブテニル)、並びに6個の炭素原子の分岐及び直鎖基を含むヘキセニルによって例示されるが、これらに限定されない。代替的に、各Rは、アルケニルであり得る。代替的に、各Rは、ビニル、アリル、又はヘキセニルであり得る。代替的に、各Rは、ビニル又はヘキセニルであり得る。
【0012】
出発物質A)のアルケニル含有量は、ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)の全分子量を計算し、アルケニル基を含有する各単位の分子量を計算し、アルケニル基を含有する各単位の合わせた分子量を全分子量で割ることによって計算することができる。例えば、出発物質A、(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(R SiO2/2において、Rがメチルであり、Rがビニルであり、下付き文字d=2、下付き文字e=0、下付き文字f=25、及び下付き文字g=4829のとき、出発物質A)は、ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)コポリマー(MVi Vi 254829)であり、数平均分子量(Mn)とアルケニル(ビニル)含有量は次のように計算される:
・コポリマーの数平均分子量、360,429.89gf/モル
ViのMw=93.20g/モル、DのMw=74.15g/モル及びDViのMw=86.17g/モル
→MnのMVi4829Vi 25Vi=2*93.2+4829*74.15+25*86.17=360,429.89g/モル
・ビニル含有量=0.202%
ViのMw=93.20g/モル、DのMw=74.15g/モル、DviのMw=86.17g/モル、及びMw=27のビニルが、
→MVi4829Vi 25ViのMn=(27*27)/(2*93.2+4829*74.15+25*86.17)×100%=0.2022%の場合
【0013】
出発物質A)は、
i)ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
ii)ジメチルビニルシロキシ終端ポリメチルビニルシロキサン、
iii)ビス-トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
iv)トリメチルシロキシ終端ポリメチルビニルシロキサン、
v)ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)、
vi)ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
vii)ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリメチルヘキセニルシロキサン、
viii)トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
ix)トリメチルシロキシ終端ポリメチルヘキセニルシロキサン、
x)ジメチルヘキセニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルヘキセニルシロキサン)、
xi)i)、ii)、iii)、iv)、v)、vi)、vii)、viii)、ix)、及びx)、のうちの2つ以上の組み合わせによって例示される。
【0014】
出発物質A)は、1つのポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマー、又はアルキル基の選択、アルケニル基の選択、分子量、及びジアルキルシロキサン単位並びにアルキルアルケニルシロキサン単位の数などの少なくとも1つの特性が異なる2つ以上のポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーの組み合わせであり得る。対応するオルガノハロシランの加水分解及び縮合又は環状ポリジオルガノシロキサンの平衡化などの、出発物質A)としての使用に好適なポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)の調製方法は、当技術分野で周知である。
【0015】
出発物質B)ポリアルキルシロキサン樹脂
感圧接着剤組成物は、任意に、出発物質B)ポリアルキルシロキサン樹脂を更に含んでもよい。ポリアルキルシロキサン樹脂は、本質的にR SiO1/2(M)単位とSiO4/2(Q)単位からなるMQ樹脂であり、式中、各Rは、独立して、Rについて記載したような1~10個の炭素原子のアルキル基、及びRについて上記したような2~6個の炭素原子のアルケニル基からなる群から選択される。出発物質B)は、ケイ素結合芳香族ヒドロカルビル基を含まなくてもよい。
【0016】
調製されたとき、ポリオルガノシリケート樹脂は上記のM及びQ単位を含み、また、ポリオルガノシリケート樹脂は、シラノール(ケイ素結合ヒドロキシル)基を有する単位を更に含み、また、式Si(OSiR のネオペンタマーを含み得、式中、Rは、上記の通りである。米国特許第9,593,209号第32欄の参照例2に記載されたように、Si29核磁気共鳴(NMR)分光法を使用して、M及びQ単位のモルM(樹脂)+(M(ネオペンタマー)}/{Q(樹脂)+Q(ネオペンタマー)}として表現され、樹脂及びネオペンタマー部におけるシリケート基(Q単位)の総数に対するポリオルガノシリケート樹脂の樹脂及びネオペンタマー部のトリオルガノシロキシ基(M単位)の総数のモル比(M:Q比)を表す。M:Q比は、0.5:1~1.5:1、代替的に0.6:1~1.2:1であり得る。
【0017】
ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、存在するRによって表される炭化水素基の種類を含む様々な要因に依存する。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、ネオペンタマーを表すピークが測定から除外される場合、米国特許第9,593,209号の第31欄の参照例1における手順に従ってゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)を使用して測定される数平均分子量を指す。ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、2,000g/モル以上、代替的に>2,000g/モル~10,000g/モル、代替的に3,000g/モル~8,000g/モルであり得る。代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂のMnは、4,000g/モル~7,000g/モルであり得る。
【0018】
米国特許第8,580,073号第3欄5行目~第4欄31行目は、本明細書で使用するのに好適なポリオルガノシリケート樹脂であるシリコーン樹脂を開示するために、参照により本明細書に組み込まれる。ポリオルガノシリケート樹脂は、対応するシランの共加水分解又はシリカヒドロゾルキャッピング法などの任意の好適な方法によって調製することができる。ポリオルガノシリケート樹脂は、Daudtらの米国特許第2,676,182号、Rivers-Farrellらの米国特許第4,611,042号、及びButlerらの米国特許第4,774,310号に開示されているものなどのシリカヒドロゲルキャッピングプロセスによって調製され得る。上記のDaudtらの方法は、酸性条件下でシリカヒドロゾルと、トリメチルクロロシランなどの加水分解性トリオルガノシラン、ヘキサメチルジシロキサンなどのシロキサン又はこれらの混合物とを反応させることと、M単位及びQ単位を有するコポリマーを回収することと、を伴う。得られるコポリマーは一般的に、2~5重量パーセントのケイ素結合ヒドロキシル(シラノール)基を含有する。
【0019】
ポリオルガノシリケート樹脂を調製するために使用される中間体は、トリオルガノシラン及び4つの加水分解性置換基を含むシラン又はアルカリ金属シリケートであり得る。トリオルガノシランは、式R SiX(式中、Rは上記のとおりであり、Xは、ハロゲン、アルコキシ、アシルオキシ、ヒドロキシル、オキシモ、又はケトキシモ、代替的にハロゲン、アルコキシ、又はヒドロキシルなどの加水分解性置換基を表す)を有し得る。4つの加水分解性置換基を有するシランは、式SiX を有し得、式中、各Xは、ハロゲン、アルコキシ、又はヒドロキシルである。好適なアルカリ金属シリケートとしては、ナトリウムシリケートが挙げられる。
【0020】
上記のように調製されたポリオルガノシリケート樹脂は、典型的には、例えば、式HOSi3/2及び/又はHOR SiO1/2の単位で、ケイ素結合ヒドロキシル基を含有する。ポリオルガノシリケート樹脂は、最大2%のケイ素結合ヒドロキシル基を含み得る。ポリオルガノシリケート樹脂中に存在するケイ素結合ヒドロキシル基の濃度は、ASTM Standard E-168-16に従ってフーリエ変換赤外(Fourier Transform-Infra Red、FTIR)分光法を使用して求めることができる。ある特定の用途では、ケイ素結合ヒドロキシル基の量は、0.7%未満、代替的に0.3%未満、代替的に1%未満、代替的に0.3%~0.8%であることが望ましい場合がある。ポリオルガノシリケート樹脂の調製中に形成されるケイ素結合ヒドロキシル基は、ポリオルガノシリケート樹脂を適切な終端基を含有するシラン、ジシロキサン又はジシラザンと反応させることによって、トリヒドロカルビルシロキシ基、又は別の加水分解性基に変換することができる。加水分解性基を含有するシランは、ポリオルガノシリケート樹脂におけるケイ素結合ヒドロキシル基と反応するのに必要な量よりもモル過剰で添加されてもよい。
【0021】
代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂は、2%以下、代替的に0.7%以下、代替的に0.3%以下、代替的に0.3%~0.8%の、式XSiO3/2及び/又はNXR SiO1/2で表される単位を更に含み得、式中、Rは上記のとおりであり、Xは、Xについて上述した加水分解性置換基を表す。
【0022】
代替的に、ポリオルガノシリケート樹脂は、終端脂肪族不飽和基を有し得る。終端脂肪族不飽和基を有するポリオルガノシリケート樹脂は、最終生成物中に3~30モル%の不飽和有機基を提供するのに十分な量の、不飽和有機基含有末端封止剤及び脂肪族不飽和を含まない末端封止剤と、Daudtらの生成物を反応させることによって調製することができる。末端封止剤の例としては、限定されないが、シラザン、シロキサン、及びシランが挙げられる。好適な末端封止剤は、当該技術分野において既知であり、米国特許第4,584,355号、同第4,591,622号、及び同第4,585,836号に例示されている。単一の末端封止剤又はこのような剤の混合物を使用して、このような樹脂を調製することができる。
【0023】
代替的に、ポリアルキルシロキサン樹脂は、単位式(II):(R SiO1/2(R SiO1/2(SiO4/2を含み得、式中、R及びRは上記の通りであり、下付き文字a、b、及びcは、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c>0、量(a+b)>0となる値を有するモル分率を表し、下付き文字a、b、及びcは、0.9≦(a+b)/c≦1.3となる値を有する。
【0024】
感圧接着剤組成物中の出発物質B)の量は、組成物の反応生成物の所望の形態、出発物質A)のアルケニル基の量及びヒドロシリル化反応性、触媒の種類及び量、並びに出発物質C)のケイ素結合水素原子の含有量を含む様々な要因に依存する。代替的に、出発物質B)の量は、同じ基準で出発物質A)の100重量部当たり、0~15重量部、代替的に、>0~15重量部の範囲であり得る。
【0025】
出発物質C)ポリアルキル水素シロキサン
感圧接着剤組成物は、出発物質C)ポリアルキル水素シロキサンを更に含む。ポリアルキル水素シロキサンは、式(III):
(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2を有し、式中、Rは上記の通りである。
【0026】
単位式(III)において、下付き文字x≧0、下付き文字y≧0であり、量(x+y)は、ポリアルキル水素シロキサンに<20mPa・s、代替的に8mPa・s~16mPa・sの粘度を与えるのに十分であり、粘度は25℃で毛細管粘度計によって測定される。下付き文字xは、出発物質C)、ポリアルキル水素シロキサンに、出発物質C)の重量に基づいて>0~<1%、代替的に>0~0.75%のSiH含有量を与えるのに十分であり得る。
【0027】
出発物質C)のポリアルキル水素シロキサンは、以下によって例示される:
a)ジメチル水素シロキシ終端ポリジメチルシロキサン、
b)ジメチルハイドロジェンシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルハイドロジェンシロキサン)、
c)ジメチル水素シロキシ終端ポリメチル水素シロキサン、及び
d)a)、b)、c)、のうちの2つ以上の組み合わせ。
【0028】
オルガノハロシランの加水分解及び縮合などの、出発物質C)として使用するのに好適なポリアルキル水素シロキサンの調製方法は、当技術分野で周知である。
【0029】
組成物中の出発物質C)の正確な量は、出発物質A)の反応性、出発物質B)が存在するかどうか、及び存在する場合、任意の追加の出発物質(例えば、出発物質D))の種類及び量を含む様々な要因に依存する。しかしながら、感圧接着剤組成物中の出発物質C)の量は、組成物中の全ての出発物質の合計重量に基づいて、0.1%~5%、代替的に0.5%~3%、代替的に0.5%~2%であり得る。
【0030】
出発物質A)及びケイ素結合アルケニル基を含有する組成物中の任意の他の出発物質(例えば、アルケニル官能性の場合、出発物質B)及び出発物質C))のアルケニル含有量並びに出発物質B)及び感圧接着剤組成物中の任意の他のSiH含有材料(例えば、SiH官能性の場合、出発物質D)接着促進剤)のSiH含有量は、ケイ素結合水素原子とケイ素結合アルケニル基とのモル比(SiH/アルケニル)比が、少なくとも0.5:1、代替的に最大2:1、代替的0.5:1~2:1、代替的に1:1~1.5:1、及び代替的に>1~1.2の感圧接着剤組成物を提供するのに十分である。
【0031】
出発物質D)定着添加剤
出発物質D)は、感圧接着剤組成物に任意に含まれ得る定着添加剤である。理論に束縛されるものではないが、定着添加剤は、本明細書に記載の感圧接着剤組成物を硬化させることによって調製された感圧接着剤による基材への結合を促進すると考えられる。しかしながら、定着添加剤が存在することで、所望の剥離力に悪影響が及ぶことはなく、この結果、デバイスが損傷することなく、又はあまり残留物を残すことなく、感圧接着剤を電子デバイスから除去することが可能になる。
【0032】
好適な定着添加剤としては、メチルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、N-(2-アミノエチル)-3-アミノプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリメトキシシリル)プロパン、及びビス(トリメトキシシリル)ヘキサンなどのシランカップリング剤、並びに当該シランカップリング剤の混合物又は反応混合物が挙げられる。代替的に、定着添加剤は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルフェニルジメトキシシラン、メチルフェニルジエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、又は3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシランであり得る。
【0033】
代替的に、定着添加剤の例として、アルケニル官能性アルコキシシラン(例えばビニルアルコキシシラン)とエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物、アルケニル官能性アセトキシシラン(例えばビニルアセトキシシラン)とエポキシ官能性アルコキシシランとの反応生成物、及び1分子中に少なくとも1つの脂肪族不飽和炭化水素基と少なくとも1つの加水分解性基を有するポリオルガノシロキサンとエポキシ官能性アルコキシシランとの(例えば、物理的なブレンド及び/又は反応生成物のような)組み合わせ(例えば、ヒドロキシ終端ビニル官能性ポリジメチルシロキサンとグリシドキシプロピルトリメトキシシランとの組み合わせ)を挙げることができる。好適な定着添加剤及びその調製方法は、例えば、米国特許第9,562,149号、米国特許出願公開第2003/0088042号、2004/0254274、2005/0038188、2012/0328863の段落[0091]、及び米国特許出願公開第2017/0233612号の段落[0041]、並びに欧州特許第0556023号に開示されている。
【0034】
定着添加剤は、市販されている。例えば、SYL-OFF(商標)297、SYL-OFF(商標)397、及びSYL-OFF(商標)9176は、Dow Silicones Corporation(Midland、Michigan、USA)から入手可能である。他の例示的な定着添加剤としては、D-1)ビニルトリアセトキシシラン、D-2)グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、D-3)2-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、D-4)D-1)、D-2)、及びD-3)のうちの2つ以上の組み合わせ、並びにD-5)D-1)、D-2)、D-3)、及び/又はD-4)のうちのいずれかと、ヒドロキシル基、メトキシ基で終端する、又はヒドロキシ基及びメトキシ基の両方で終端するポリジメチルシロキサンとの組み合わせが挙げられる。D-4)とD-5)との組み合わせは、物理的なブレンド及び/又は反応生成物であり得る。
【0035】
定着添加剤の量は、組成物が塗布される基材の種類、及び組成物の塗布前にプライマー又は他の表面処理を使用するかどうかを含む様々な要因によって異なる。しかしながら、定着添加剤の量は、組成物中の全出発物質の組み合わされた重量に基づいて、0~5%、代替的に1%~5%、代替的に1%~3%、代替的に0%~1%であってもよい。定着添加剤は、ケイ素結合芳香族ヒドロカルビル基を含まなくてもよい。
【0036】
出発物質E)阻害剤
感圧接着剤組成物は、出発物質E)アセチレンアルコールを更に含む。アセチレンアルコールは、感圧接着剤組成物の阻害剤又は安定剤として添加され得る。好適なアセチレンアルコールは、メチルブチノール、エチニルシクロヘキサノール(ETCH)、ジメチルヘキシノール、及び3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、1-ブチン-3-オール、1-プロピン-3-オール、2-メチル-3-ブチン-2-オール、3-メチル-1-ブチン-3-オール、3-メチル-1-ペンチン-3-オール、3-フェニル-1-ブチン-3-オール、4-エチル-1-オクチン-3-オール、3,5-ジメチル-1-ヘキシン-3-オール、及び1-エチニル-1-シクロヘキサノール、並びにそれらの組み合わせによって例示される。代替的に、出発物質E)は、(E-1)1-エチニル-1-シクロヘキサノール、(E-2)メチルブチノール、(E-3)マレイン酸ジアリル、並びに(E-4)(E-1)、(E-2)、及び(E-3)の2つ以上の組み合わせ、からなる群から選択され得る。代替的に、出発物質E)は、ETCHによって例示される。
【0037】
組成物に添加されるアセチレンアルコールの量は、感圧接着剤組成物の所望のポットライフ、組成物が一液型組成物であるか多液型組成物であるかどうか、使用される特定のアセチレンアルコール、並びに出発物質C)の選択及び量を含む様々な要因に依存する。しかしながら、存在する場合、出発物質E)の量は、0.01~0.5重量部の範囲であり得る。
【0038】
出発物質F)ヒドロシリル化反応触媒
感圧接着剤組成物は、出発物質F)ヒドロシリル化反応触媒を更に含む。好適なヒドロシリル化反応触媒は当該分野で既知であり、市販されている。ヒドロシリル化触媒は、白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウムから選択される白金族金属であり得る。代替的に、ヒドロシリル化触媒は、このような金属の化合物(例えば、塩化白金酸、塩化白金酸六水和物、二塩化白金)、及び上記化合物と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体、又はマトリックス若しくはコア/シェル型構造にマイクロカプセル化された白金化合物であってもよい。白金と低分子量オルガノポリシロキサンとの錯体には、白金との1,3-ジエテニル-1,1,3,3-テトラメチルジシロキサン錯体が含まれる。これらの錯体は、樹脂マトリックス中にマイクロカプセル化されていてもよい。例示的なヒドロシリル化触媒は、米国特許第3,159,601号、同第3,220,972号、同第3,296,291号、同第3,419,593号、同第3,516,946号、同第3,814,730号、同第3,989,668号、同第4,784,879号、同第5,036,117号、及び同第5,175,325号、並びに欧州特許第0347895(B)号に記載されている。マイクロカプセル化されたヒドロシリル化触媒及びその調製方法は、米国特許第4,766,176号及び同第5,017,654号に例示されているとおり、当該技術分野において公知である。
【0039】
ヒドロシリル化反応触媒は、ヒドロシリル化反応を触媒するのに十分な量、典型的には10重量ppm~5,000重量ppmの白金族金属を提供するのに十分な量で感圧接着剤組成物に添加される。
【0040】
出発物質G)溶媒
感圧接着剤組成物は、溶媒を更に含む。溶媒は、有機溶媒であり得る。有機溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール、又はn-プロパノール等のアルコール;アセトン、メチルエチルケトン、又はメチルイソブチルケトン等のケトン、ベンゼン、トルエン、又はキシレン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、ヘキサン若しくはオクタンなどの脂肪族炭化水素;グリコールエーテル、例えばプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、プロピレングリコールn-ブチルエーテル、プロピレングリコールn-プロピルエーテル、又はエチレングリコールn-ブチルエーテル、ハロゲン化炭化水素、例えばジクロロメタン、1,1,1-トリクロロエタン又は塩化メチレン;クロロホルム;ジメチルスルホキシド;ジメチルホルムアミド、アセトニトリル;テトラヒドロフラン、ホワイトスピリット;ミネラルスピリット、ナフサ;n-メチルピロリドン;又はそれらの組み合わせであり得る。代替的に、溶剤は、ベンゼン、トルエン、エチルベンゼン、キシレン及びこれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択され得る。
【0041】
溶媒の量は、選択された溶媒の種類並びに感圧接着剤組成物のために選択された他の出発物質の量及び種類を含む様々な要因に依存する。しかしながら、溶媒の量は、感圧接着剤組成物中のすべての出発物質の合計重量に基づいて、10%~90%、代替的に20%~60%の範囲であり得る。溶媒は、例えば、混合及び送達を補助するために、感圧接着剤組成物の調製中に添加することができる。溶剤の全て又は一部を、他の出発物質のうち1のつと共に添加してもよい。例えば、出発物質A)、及び存在する場合、出発物質B)は、組成物中の他の出発物質と組み合わせる前に、芳香族炭化水素などの溶媒に溶解させ得る。溶媒の全て又は一部は、感圧接着剤組成物を調製した後に、任意に除去されてもよい。
【0042】
出発物質H)追加のポリアルキル水素シロキサン
感圧接着剤組成物は、任意に、出発物質C)の重量に基づいて20%までの出発物質H)単位式(R SiO1/2(RHSiO2/2を有する追加のポリアルキル水素シロキサンを更に含み得、式中、Rは上記の通りであり、下付き文字zが、200~250である。理論に束縛されるものではないが、出発物質H)は、SiH:アルケニル比を本明細書に記載の範囲に調整するために使用され得ると考えられる。
【0043】
アルキルハロシロキサンの加水分解及び縮合などの、出発物質H)として使用するのに好適なポリアルキル水素シロキサンの調製方法は、当技術分野で周知である。出発物質H)に好適な追加のヒドロシリル化反応触媒の例としては、H-1)トリメチルシロキシ終端ポリ(メチル水素シロキサン)、
H-2)トリメチルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチル水素シロキサン)、及びH-3)H-1)とH-2)の両方の組み合わせが挙げられる。
【0044】
上記の感圧接着剤組成物用の出発物質を選択する場合、本明細書に記載の特定の出発物質は、複数の機能を有し得るため、出発物質の種類間で重複してもよい。例えば、特定のアルコキシシランは、充填処理剤及び接着促進剤として有用であり得る。特定の微粒子、例えばカーボンブラックは、充填剤としても、顔料としても、更には難燃剤としても、有用であり得る。組成物に追加の出発物質を添加する場合、追加の出発物質は、互いに異なり、組成物に必要な出発物質とは異なる。
【0045】
感圧接着剤組成物は、周囲温度又は高温での混合などの任意の簡便な手段によって、全ての出発物質を組み合わせることを含む方法によって、調製することができる。出発物質E)アセチレンアルコールは、出発物質F)白金族金属触媒の前に、例えば、感圧接着剤組成物が高温で調製される場合、及び/又は組成物が一液型組成物として調製される場合に添加され得る。
【0046】
代替的に、感圧組成物は、例えば組成物が使用前に長期間保存される場合、多液型組成物として調製され得る。多液型組成物では、出発物質F)白金族金属触媒は、ケイ素結合水素原子を有する出発物質とは別の部分に保管され、例えば、出発物質C)ポリアルキル水素シロキサン及び出発物質H)(存在する場合)及び部分は、感圧接着剤組成物を使用する直前に部品を組み合わせられる。例えば、二液型組成物は、混合などの任意の簡便な手段によって、A)アルケニル含有ポリジアルキルシロキサン、C)ポリアルキル水素シロキサン(及び出発物質H)、存在する場合)、及びG)有機溶媒、並びに任意に上記の1つ以上の他の追加の出発物質を含む出発物質を組み合わせて基部を形成することによって調製され得る。硬化剤は、混合などの任意の簡便な手段によって、A)アルケニル含有ポリジアルキルシロキサン、F)白金族金属触媒、及びG)有機溶媒、並びに任意に上記の1つ以上の他の追加の出発物質を含む出発物質を組み合わせることによって調製され得る。出発物質は、周囲温度又は高温で混合され得る。出発物質E)アセチレンアルコールは、基部、硬化剤部分、又は別個の追加部分のうちの1つ以上に含まれ得る。出発物質D)定着添加剤は、使用する場合、基部に添加するか、又は別個の追加部分として添加され得る。出発物質B)ポリアルキルシロキサン樹脂は、使用する場合、基部、硬化剤部分、又は別個の追加部分に添加され得る。二液型組成物を使用する場合、基部の量と硬化剤部分の量との重量比は、1:1~10:1の範囲であり得る。感圧接着剤組成物は、ヒドロシリル化反応により硬化して感圧接着剤を形成する。
【0047】
上記の方法は、1つ以上の追加の工程を更に含んでもよい。上記のように調製した感圧接着剤組成物を使用して、基材上に接着剤物品、例えば、感圧接着剤(上記の感圧接着剤組成物を硬化させることにより調製する)を形成してもよい。上記の方法は、感圧接着剤硬化型組成物を基材に塗布することを更に含んでもよい。
【0048】
基材に感圧接着剤硬化型組成物を塗布することは、任意の便利な手段によって実施することができる。例えば、感圧接着剤硬化型組成物は、グラビアコーター、オフセットコーター、オフセットグラビアコーター、ローラーコーター、リバースローラーコーター、エアナイフコーター又はカーテンコーターによって基材上に塗布することができる。
【0049】
基材は、感圧接着剤硬化型組成物を硬化させて基材上に感圧接着剤を形成するのに使用される硬化条件(後述する)に耐えることができる任意の材料であり得る。例えば、120℃以上、代替的に150℃の温度での熱処理に耐えることができる任意の基材が好適である。そのような基材に好適な材料の例としては、ポリイミド(PI)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、液晶ポリアリレート、ポリアミドイミド(PAI)、ポリエーテルスルフィド(PES)、又はポリエチレンテレフタレート(PET)、又はPE(ポリエチレン)、又はPP(ポリプロピレン)などのプラスチックフィルムが挙げられる。代替的に、基材は、アルミニウムホイル又は銅箔などの金属箔であり得る。基材の厚さは重要ではないが、厚さは、5マイクロメートル~300マイクロメートルの範囲であり得る。
【0050】
基材への感圧接着剤の結合を改善するために、本方法は、任意に、感圧接着剤組成物を塗布する前に基材を処理することを更に含み得る。基材の処理は、感圧接着剤組成物を基材に塗布する前に、プライマーを塗布すること、又は基材をコロナ放電処理、エッチング、若しくはプラズマ処理に供することなどの任意の便利な手段により実施してもよい。
【0051】
保護フィルムなどの接着剤物品は、上記の基材上に上記の感圧接着剤組成物を塗布することによって調製され得る。本方法は、任意に、硬化前及び/又は硬化中に溶媒の全て又は一部を除去することを更に含んでいてもよい。溶剤の除去は、感圧接着剤組成物を完全には硬化させずに溶剤を気化させる温度で加熱すること、例えば70℃~120℃、代替的に50℃~100℃、代替的に70℃~80℃の温度で、溶剤の全て又は一部を除去するのに十分な時間(例えば30秒間~1時間、代替的に1分間~5分間)加熱すること、などの任意の都合のよい手法で実施してもよい。次いで、本方法は、感圧接着剤組成物(乾燥工程が実施される際に溶媒の一部又は全てを除去してもよい)を、感圧接着剤硬化型組成物を硬化させるのに十分な時間(例えば、30秒~1時間、代替的に1分~5分)、室温又は140℃~220℃、代替的に150℃~220℃、代替的に160℃~200℃、及び代替的に165℃~180℃の温度で加熱することによって硬化させることを更に含む。これにより、基材上に感圧接着剤が形成される。乾燥及び/又は硬化は、基材をオーブン内に置くことによって実施することができる。基材に塗布される感圧接着剤組成物の量は、特定の用途に依存するが、その量は、硬化後に感圧接着剤の厚さが、5マイクロメートル~200マイクロメートルであり得るのに十分な量であり得、保護フィルムの場合、その厚さは、10マイクロメートル~50マイクロメートル、代替的に20マイクロメートル~40マイクロメートル、代替的に30マイクロメートルであり得る。
【0052】
本明細書に記載の方法は、例えば、接着剤物品の使用前に感圧接着剤を保護するために、基材の反対側の感圧接着剤に除去可能な剥離ライナーを適用すること、を任意に更に含んでもよい。
【0053】
上記のように調製された接着剤物品(例えば、保護フィルム)は、低接着性、高接着安定性、及び/又は低移行性を有する保護フィルムとして、フレキシブルOLEDデバイス製作プロセスでの使用に好適である。
【0054】
例えば、フレキシブルOLEDデバイスを製作するための方法は、基材の表面上にOLEDモジュール、例えば、基材の反対側のOLEDモジュールの表面上にパッシベーション層を形成し、本明細書に記載のように調製された保護フィルムをOLEDモジュールの反対側のパッシベーション層の表面に塗布することを含み得る。
【実施例
【0055】
これらの実施例は、本発明のいくつかの実施形態を説明することを意図しており、本特許請求の範囲に記載された本発明の範囲を限定するかのように解釈するべきではない。これらの実施例で使用した出発物質を表1に記載する。
【0056】
【表1】
【0057】
上記の表において、「N/A」は該当しないことを意味し、「Me」はメチルを意味する。DOWSIL(商標)、SILASTIC(商標)、及びSYL-OFF(商標)製品は、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)から市販されている。
【0058】
参照例1(感圧接着剤組成物試料の調製)
感圧接着剤組成物試料は、表1に示す出発物質を組み合わせることによって調製した。最初に、出発物質A1)ジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)コポリマー100重量部を出発物質G1)トルエン溶媒と混合して25重量%溶液を作製した。ポリアルキル水素シロキサン(H1)~H4)及びC1)のうちの1つ以上)を、以下の表2及び表3に示す量で混合物に添加した。ポリアルキル水素シロキサンの量は、混合物中のSiH/Viモル比を0.5、1、又は2にするのに十分であった。この比には、ビニル含有シロキサン錯体化白金触媒F1)中に存在するビニルが含まれており、この手順の最後に添加した。阻害剤E1)を添加し、得られた組み合わせ物をよく混合した。混合物を均質化した後、出発物質(F1)を混合物に添加した。発熱しないように混合物をすぐに慎重に再度混合した。得られた感圧接着剤組成物試料は、その後使用する準備ができた。試料中の各出発物質の量(重量部)を、以下の表2(比較)及び表3(実施)に示す。表2及び表3はまた、SiH/Vi比、全Pt含有量、及び固形分%(溶媒を除く全ての出発物質の重量に基づく)を示す。
【0059】
参照例2-PSAシートの調製
感圧接着剤組成物試料を、参照例1に記載されるように調製し、50umのポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム上に塗布して、感圧接着剤層(硬化後に30umの厚さを有した)を形成した。コーティングされたフィルムを2分間150℃で加熱することによって、感圧接着剤シートを生成した。基材フィルム(PET)は市販のものであり、Toray Advanced Material Korea(商品名SH-86、TAMK)の商品名で販売されている。
【0060】
参照例3-初期接着力測定
感圧接着剤テープを参照例2に従って得られたシートを1インチ幅の細片に切断することにより形成した。ステンレス鋼板(SUS304)に対する接着強度は、ASTM D1000に規定された180°剥離試験に従って測定した。各テープを可剥性ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥がし、ゴムローラーで発生させた2kgfの圧力下で鏡面ステンレス鋼板(SUS304)の形態で被着体に接着した。2gf/インチより高い初期接着力を不合格と定義した。
【0061】
参照例4-85℃/85%での接着(接着安定性)
感圧接着剤テープを参照例2に従って得られたシートを1インチ幅の細片に切断することにより形成した。ステンレス鋼板(SUS304)に対する接着強度は、エージング後にASTM D1000に規定された180°剥離試験に従って以下のように測定した。各テープを可剥性ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥がし、ゴムローラーで発生させた2kgfの圧力下で鏡面ステンレス鋼板(SUS304)の形態で被着体に接着した。テープは、85℃/85%水分のオーブンで1日(24時間)及び3日(72時間)エージングさせた。室温まで冷却した後、接着力を、12インチ/分の一定速度の引張試験機を使用して、被着体の表面上に対して、180°の角度で被着体から感圧接着剤テープを引き剥がすことにより測定した。(試験機器、AR-1000(Cheminstrument Company))。結果を以下の表2及び3に示す。いくつかの用途では、接着力が24時間後で<9gf/in、72時間後で<15gf/inであることが望ましい場合がある。
【0062】
参照例5-単純引っ掻き試験(バリ試験)
参照例2に従って感圧接着剤シートを調製した。感圧接着剤面にカッターで切断し、その断面を肉眼及び顕微鏡で観察した。切断エッジが清浄に見え、微塵が発生しなかった場合、合格とした。エッジに微塵が発生して観察された場合、又はエッジにバリが見られた場合を不合格とした。
【0063】
参照例6-単純摩擦落ち試験(定着試験)
PET上にコーティングされた感圧接着剤を参照例2に従って調製し、感圧接着剤の定着性を以下のように評価した。切断を行った:カッターによってPSA上にのみ10cm×10cmのX印を付ける(底部のPETを切断しないように注意する)。印を付けた表面を指で激しく擦った。30秒間擦った後、表面を観察して、PSAが擦り取られたか否かを決定した。PSAが擦り取られた場合、結果は不合格とした。
【0064】
参照例7-85℃/85%条件への暴露後の残留接着剤残留特性及びシリコーン移行特性(残留接着性)
感圧接着剤テープを参照例2に従って得られたシートを1インチ幅の細片に切断することにより形成した。各テープを可剥性ポリエチレンテレフタレートフィルムから剥がし、ゴムローラーで発生させた2kgfの圧力下で鏡面ステンレス鋼板(SUS304)の形態で被着体に接着した。これらを、85℃/85%のオーブンで1日(24時間)及び3日(72時間)エージングさせた。室温まで冷却した後、PSAテープを鏡面ステンレス鋼板から除去した。Siテープが除去された場所に2KGローラーでNitto 31Bを接着する。30分後、接着力を、12インチ/分の一定速度の引張試験機を使用して、被着体の表面上に対して、180°の角度で被着体から感圧接着剤テープを引き剥がすことにより測定した。各試料の結果も以下の表2及び3に示す。表中の「AF」は接着破壊を表示し、いくつかの用途には望ましくない。
【0065】
参照例8-バリ試験
参照例2に従って調製された感圧接着剤シート試料を使用した。カッターを使用して感圧接着剤表面にカットを入れ、これを肉眼及び顕微鏡によって視覚的に観察した。カットのエッジが清浄に見え、微塵が生成されなかった場合、試料は合格とした。エッジに微塵や破片が発生した場合、又はバリが観察された場合には、その試料は不合格とした。各試料の結果も以下の表2及び3に示す。
【0066】
【表2】
【0067】
【表3】
【0068】
表2及び表3において、「N/D」は、接着剤移動に起因して検出されなかったことを意味する。「AF」は、接着不良、すなわち、接着剤が基材に移動することを意味し、「RF」は、摩擦不良、すなわち、接着剤が応力によって擦り落とされることを意味し、「RF」は、結果が本発明に「適用不可」であることを意味する。
【0069】
実施例9(比較例)
試料は、出発物質A2)ペンダント基と終端ビニル基との両方を有するが、ビニル含有量=0.41%、DP>5,000である、比較例のジメチルビニルシロキシ終端ポリ(ジメチルシロキサン/メチルビニルシロキサン)コポリマー、300重量部のトルエン、0.748重量部の出発物質H4)、0.15重量部の出発物質E1)、及び1.5重量部の出発物質F1)の100重量部含有組成物を除いて、参照例1の手順に従って調製した。この組成物を硬化させることによって調製されたシリコーン感圧接着剤は、参照例8に従って試験した場合、バリ試験に不合格であった。理論に束縛されるものではないが、感圧接着剤組成物中の出発物質A)のビニル含有量が高すぎる場合、それから調製された感圧接着剤はバリ試験に不合格であったと考えられる。
【0070】
産業上の利用可能性
本明細書に記載の感圧接着剤組成物を硬化させて、フレキシブルOLEDデバイス製作プロセスでの使用に好適な感圧接着剤を形成する。上記の実施例は、上記の感圧接着剤組成物を硬化させることによって調製される感圧接着剤が、ステンレス鋼(SUS)上で<2gf/インチの初期接着力(参照例3に従って試験した場合)、参照例4に従って試験した場合、24時間後の接着力<9gf/インチ及び72時間後の接着力<15gf/インチを有し得ることを示した。本明細書に記載される感圧接着剤組成物はまた、硬化して、(参照例7に従って試験した場合)24時間後に>300gf/in、72時間後に>250g/inのSUS上の残留接着力を有する感圧接着剤を形成し得る。SUSは、感圧接着剤を開発及び試験するための業界標準である。したがって、理論に縛られることを望まずに、SUS上の接着力特性が、パッシベーション層などのOLED製作プロセスで使用される基材に匹敵する結果を提供すると考えられ、この特性の組み合わせにより、感圧接着フィルムをフレキシブルOLEDデバイスの製作中にパッシベーション層上の保護フィルムとして使用することが可能であると予想される。
【0071】
更に、驚くべきことに、感圧接着剤組成物が0.14%~<0.3%のアルケニル含有量を有するポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーを含有する場合、得られた感圧接着剤はバリ試験に合格する(実施例8に示すように、アルケニル含有量>0.3%を有する代替の官能性ポリジアルキルシロキサンを含有する比較感圧接着剤がバリ試験に不合格であった場合)ことが見出された。
【0072】
用語の使用
全ての量、比、及び百分率は、明細書の文脈により別途指示のない限り、重量によるものである。明細書の文脈により別途指定がない限り、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、それぞれ1つ以上を指す。範囲の開示は、その範囲自体及び範囲内に包含される任意のもの、並びに端点を含む。例えば、0.14~<0.3の範囲の開示は、0.14~<0.3の範囲だけでなく、0.15、0.20、0.26,及び<0.3も個別に含み、並びに範囲内に包含される任意の他の数も含む。更に、例えば、0.15~<0.3の範囲の開示は、例えば、0.15~0.21、0.15~0.26、0.202~0.26、及び0.202~<0.3の部分集合、並びにその範囲内に包含される任意の他の部分集合を含む。同様に、マーカッシュ群の開示は、その群全体を含み、そこに包含される任意の個別の要素及び下位群も含む。例えば、ビニル、アリル、又はヘキセニルのマーカッシュ群の開示は、個別にそのメンバーであるビニル;サブグループのビニル及びヘキセニル;並びにそれに包含される任意の他の個々のメンバー及びサブグループを包含する。
【0073】
本明細書で使用される略語は、以下の意味を有する:「℃」、「度C」はそれぞれ摂氏度を意味し、「DP」は、重合度を意味し、「ETCH」はエチニルシクロヘキサノールを意味し、「GPC」はゲル浸透クロマトグラフィーを意味し、「GCMS」はガスクロマトグラフィー質量分析を意味し、「gf」は、重量グラムを意味し、「hr」は時間を意味し、「KG」又は「kg」はキログラムを意味し、「kgf」は、キログラム力を意味する。「min」は分を意味し、「Me」はメチルを意味し、「mPa・s」はミリパスカル秒を意味し、「OLED」は有機発光ダイオードを意味し、「um」はマイクロメートルを意味し、「Vi」はビニルを意味する。
【0074】
本発明の実施形態
第1の実施形態において、フレキシブル有機発光ダイオードデバイスを製作するための方法は、
1)感圧接着剤組成物を基材の表面に塗布することと、
2)当該感圧接着剤組成物を硬化させて、感圧接着剤フィルムを形成することと、
3)当該デバイス内のパッシベーション層に当該感圧接着剤フィルムを適用することと、
を含み、感圧接着剤組成物が。
A)85~100重量部のポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーであって、ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーが、1~10個の炭素原子を有するケイ素結合アルキル基及び2~6個の炭素原子を有するケイ素結合アルケニル基を有し、アルケニル基が、ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーの重量に基づいて0.14%~<0.3%の量で存在する、(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーと、
C)0.1~5重量部の、単位式(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2を有するポリアルキル水素シロキサンであって、式中、各Rが、独立して選択された1~10個の炭素原子のアルキル基であり、下付き文字x≧0、下付き文字y≧0であり、量(x+y)が、25°で測定したとき、ポリアルキル水素シロキサンの粘度が<20mPa・sになるのに十分である、ポリアルキル水素シロキサンと、
F)組成物中に10~5000ppm濃度のPt族金属を提供するために十分な量の白金族金属触媒と、
E)0.01~1重量部のアセチレンアルコールと、
G)組成物中の全出発物質を組み合わせた重量に基づいて、10重量%~90重量%の有機溶媒と、を含むが、組み合わされた組成物中の全ての出発物質は、ケイ素結合水素原子/ケイ素結合アルケニル基のモル比(SiH:アルケニル比)が0.5:1~2:1であることを条件とする。
【0075】
第2の実施形態では、第1の実施形態の方法において、出発物質A)は、i)200,000g/モル~500,000g/モルの数平均分子量、ii)0.20%~0.26%のアルケニル基含有量、並びにiii)i)及びii)の両方からなる群から選択される特性を有する。
【0076】
第3の実施形態では、第1の実施形態又は第2の実施形態の方法において、出発物質A)は、平均単位式:(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(R SiO2/2を含み、式中、各Rは、各々独立して、1~10個の炭素原子のアルキル基であり、各Rは、独立して、R、OH、及び2~6個の炭素原子のアルケニル基から選択され、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f>0、下付き文字g≧0であり、式中、量(d+e)=2、量(d+e+f+g)が、4,500~5,000である。
【0077】
第4の実施形態では、第1~第3の実施形態のいずれか1つの方法において、出発物質C)は、i)25度Cで8mPa・s~16mPa・sの粘度、ii)>0%~<1%のSiH含有量、iii)i)及びii)の両方からなる群から選択される特性を有する。
【0078】
第5の実施形態では、第1~第4の実施形態のいずれか1つの方法において、出発物質F)は、(F-1)白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウムから選択される白金族金属、(F-2)白金族金属の化合物、(F-3)化合物と低分子量オルガノポリシロキサンとの複合体、(F-4)マトリックス又はコア/シェル型構造中にマイクロカプセル化された化合物(F-2)又は複合体(F-3)、からなる群から選択される。
【0079】
第6の実施形態では、第1~第5の実施形態のいずれか1つの方法において、出発物質E)は、(E-1)1-エチニル-1-シクロヘキサノール、(E-2)メチルブチノール、(E-3)マレイン酸ジアリル、並びに(E-4)(E-1)、(E-2)及び(E-3)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。出発物質E)は、エチニルシクロヘキサノールを含む。
【0080】
第7の実施形態では、第1~第6の実施形態のいずれか1つの方法において、出発物質G)は、ベンゼン、トルエン、ヘプタン、エチルベンゼン、キシレン、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される。
【0081】
第8の実施形態では、第1~第7の実施形態のいずれか1つに記載の方法において、感圧接着剤組成物は、出発物質C)の重量に基づいて、最大20%のH)単位式(R SiO1/2(RHSiO2/2を有する追加のポリアルキル水素シロキサンを更に含み、式中、下付き文字zが、200~250である。
【0082】
第9の実施形態では、第1~第8の実施形態のいずれか1つの方法において、感圧接着剤組成物は、15重量部までの、B)式(R SiO1/2(R SiO1/2(SiO4/2の単位を含むポリアルキルシロキサン樹脂を更に含み、式中、各Rが、独立して、1~10個の炭素原子のアルキル基であり、各Rは、独立して、R、OH、及び2~6個の炭素原子のアルケニル基から選択され、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c>0、量(a+b)>0、及び下付き文字a、b、及びcは、0.9≦(a+b)/c≦1.2となる値を有する。
【0083】
第10の実施形態では、第1~第9の実施形態のいずれか1つの方法において、感圧接着剤組成物は、1重量部までのD)定着添加剤を更に含む。
【0084】
第11の実施形態では、第10の実施形態の方法において、出発物質D)は、(D-1)ビニルトリアセトキシシラン、(D-2)グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、(D-3)(D-1)と(D-2)との組み合わせ、並びに(D-4)(D-3)と、ヒドロキシル基、メトキシ基で終端されたポリジメチルシロキサン、又はヒドロキシ基及びメトキシ基の両方で終端されたポリジメチルシロキサンとの組み合わせ、からなる群から選択される。
【0085】
第12の実施形態では、第1~第11の実施形態のいずれか1つの方法は、工程2)の前に、感圧接着剤組成物から溶媒の全て又は一部を除去することを更に含む。
【0086】
実施形態13では、第1~12の実施形態のいずれか1つの方法は、工程1)の前に基材を処理することを更に含む。
【0087】
第14の実施形態では、出発物質A)は、ケイ素結合芳香族ヒドロカルビル基を含まず、出発物質B)は、存在する場合、ケイ素結合芳香族ヒドロカルビル基を含まず、出発物質C)は、ケイ素結合芳香族ヒドロカルビル基を含まず、出発物質D)は、存在する場合、第19の実施形態におけるケイ素結合芳香族ヒドロカルビル基又はそれらの2つ以上を含まない。
【手続補正書】
【提出日】2023-10-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレキシブル有機発光ダイオードデバイスを製作するための方法であって、
1)感圧接着剤組成物を基材の表面に塗布することと、
2)前記感圧接着剤組成物を硬化させて、感圧接着フィルムを形成することと、
3)前記感圧接着剤フィルムを前記デバイス内のパッシベーション層に適用することであって、前記感圧接着剤組成物が、
A)85~100重量部のポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーであって、前記ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーが、1~10個の炭素原子を有するケイ素結合アルキル基及び2~6個の炭素原子を有するケイ素結合アルケニル基を有し、前記アルケニル基が、前記ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーの重量に基づいて0.14%~<0.3%の量で存在する、ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーと、
C)0.1~5重量部の、単位式(R HSiO1/2(R SiO2/2(RHSiO2/2を有するポリアルキル水素シロキサンであって、式中、各Rが、独立して選択された1~10個の炭素原子のアルキル基であり、下付き文字x≧0、下付き文字y≧0であり、
量(x+y)が、毛細管粘度計を用いて25℃で測定したとき、前記ポリアルキル水素シロキサンの粘度が<20mPa・sになるために十分である、ポリアルキル水素シロキサンと、
F)前記組成物中に10~5000ppm濃度のPt族金属を提供するために十分な量の白金族金属触媒と、
E)0.01~1重量部のアセチレンアルコールと、
G)前記組成物中の全ての出発物質の組み合わされた重量に基づいて、10重量%~90重量%の有機溶媒と、を含むが、組み合わされた前記組成物中の全ての出発物質は、ケイ素結合水素原子/ケイ素結合アルケニル基のモル比(SiH:アルケニル比)が0.5:1~2:1であることを条件とする、方法。
【請求項2】
前記組成物が、出発物質C)の重量に基づいて、最大20%のH)単位式(R SiO1/2(RHSiO2/2を有する追加のポリアルキル水素シロキサンを更に含み、式中、下付き文字zが、200~250である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
出発物質C)が、>0~<1重量%のケイ素結合水素(SiH)含有量を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
15重量部までの、B)式(R SiO1/2(R SiO1/2(SiO4/2の単位を含むポリアルキルシロキサン樹脂を更に含み、式中、各Rが、独立して、1~10個の炭素原子のアルキル基であり、各Rが、独立して、R、OH、及び2~6個の炭素原子のアルケニル基から選択され、下付き文字a≧0、下付き文字b≧0、下付き文字c>0、量(a+b)>0、及び下付き文字a、b、及びcが、0.9≦(a+b)/c≦1.2となる値を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
1重量部までのD)定着添加剤を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
出発物質D)が、D-1)ビニルトリアセトキシシラン、D-2)グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、D-3)2-(3、4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、D-4)D-1)、D-2)、及びD-3)のうちの2つ以上の組み合わせ、並びにD-5)D-1)、D-2)、D-3)、及び/又はD-4)のうちのいずれかと、ヒドロキシル基、メトキシ基で終端するか、又はヒドロキシ基及びメトキシ基の両方で終端するポリジメチルシロキサンとの組み合わせ、からなる群から選択される、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
A)前記ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーが、>0.2%~0.26%のアルケニル基を有する、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
A)前記ポリ(ジアルキルシロキサン/アルキルアルケニルシロキサン)コポリマーが、単位式:
(R SiO1/2(R SiO1/2(RSiO2/2(R SiO2/2を含み、式中、各Rが、独立して、1~10個の炭素原子のアルキル基であり、各Rが、独立して、2~6個の炭素原子のアルケニル基であり、下付き文字d≧0、下付き文字e≧0、下付き文字f>0、下付き文字g≧0であり、式中、量(d+e)=2、量(d+e+f+g)が、4,500~5,000である、請求項1~6のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
出発物質F)が、(F-1)白金、ロジウム、ルテニウム、パラジウム、オスミウム、及びイリジウムから選択された白金族金属、(F-2)前記白金族金属の化合物、(F-3)前記化合物と低分子量オルガノポリシロキサンとの複合体、(F-4)マトリックス又はコア/シェル型構造中にマイクロカプセル化された前記化合物(F-2)又は前記複合体(F-3)、からなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
出発物質E)が、(E-1)1-エチニル-1-シクロヘキサノール、(E-2)メチルブチノール、(E-3)マレイン酸ジアリル、並びに(E-4)(E-1)、(E-2)、及び(E-3)のうちの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
出発物質G)が、ベンゼン、トルエン、ヘプタン、エチルベンゼン、キシレン、及びそれらの2つ以上の組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
工程1)の前に、前記基材の前記表面を処理することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【国際調査報告】