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▶ オスラー ダイアグノスティクス リミテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】液体処理機器
(51)【国際特許分類】
   B65D 75/58 20060101AFI20240403BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B65D75/58
B65D83/00 G
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561064
(86)(22)【出願日】2022-04-01
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2022058804
(87)【国際公開番号】W WO2022207927
(87)【国際公開日】2022-10-06
(31)【優先権主張番号】2104784.0
(32)【優先日】2021-04-01
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523375652
【氏名又は名称】オスラー ダイアグノスティクス リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】メイ、スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】ヨーマン、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ハイランド、マーク
(72)【発明者】
【氏名】ラクストン、リチャード
(72)【発明者】
【氏名】リリス、バリー
【テーマコード(参考)】
3E014
3E067
【Fターム(参考)】
3E014PA01
3E014PB03
3E014PC03
3E014PC04
3E014PD15
3E014PD21
3E014PE30
3E014PF10
3E067AA03
3E067AB96
3E067BA11A
3E067BB14A
3E067BB15A
3E067BB16A
3E067CA16
3E067EA04
3E067EB15
3E067EB25
3E067FA01
3E067FC01
(57)【要約】
【解決手段】本明細書に記載される実施形態は、液体試薬を貯蔵するように構成されたカプセルと、第1のポートと流体連通する第1の導管および第2のポートと流体連通する第2の導管を有する液体処理装置と、第1のポートと流体連通するカプセルの第1の孔および第2のポートと流体連通するカプセルの第2の孔を形成するように構成されたカプセルインターフェース機構と、を備え、第1の孔および第2の孔を形成することは、液体試薬をカプセルから取り出すことを可能にする、液体処理機器に関する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体試薬を貯蔵するように構成されたカプセルと、
第1のポートと流体連通する第1の導管、および、第2のポートと流体連通する第2の導管を有する液体処理装置と、
前記第1のポートと流体連通する前記カプセルの第1の孔、および、前記第2のポートと流体連通する前記カプセルの第2の孔を形成するように構成されたカプセルインターフェース機構と、
を備え、
前記第1の孔および前記第2の孔を形成することは、前記液体試薬が前記カプセルから取り出されることを可能にする、液体処理機器。
【請求項2】
前記液体処理装置は、可変圧力源によって供給される気体を受け入れるように構成された気体供給ポートをさらに備え、
前記気体供給ポートは、前記第1の導管と流体連通しており、
前記第1の導管は、前記第1および第2の孔が形成された後、前記気体供給ポートを介して受け入れた気体を前記第1の孔に供給し、前記第2の孔から液体試薬を排出するように構成されている、請求項1に記載の液体処理機器。
【請求項3】
前記カプセルインターフェース機構は、前記第1の孔を形成する間に前記第2の孔を形成するように構成されている、請求項1または請求項2に記載の液体処理機器。
【請求項4】
前記カプセルインターフェース機構は、前記カプセルの同じ側に前記第1および第2の孔を形成するように構成されている、請求項1から3のいずれかに記載の液体処理機器。
【請求項5】
前記カプセルインターフェース機構は、前記カプセルの基部に前記第2の孔を形成するように構成されている、請求項1から4のいずれかに記載の液体処理機器。
【請求項6】
前記カプセルは変形可能な材料を備え、前記カプセルインターフェース機構は、前記変形可能な材料が変形されたときに前記カプセルに前記第2の孔を形成するように構成されている、請求項1から5のいずれかに記載の液体処理機器。
【請求項7】
前記カプセルおよび前記液体処理装置のうちの1つ以上は、前記カプセルを前記カプセルインターフェース機構から離して偏らせるように構成された圧縮性層を備え、
前記カプセルインターフェース機構は、前記圧縮性層が圧縮されたときに前記カプセルに前記第2の孔を形成するように構成されている、請求項1から6のいずれかに記載の液体処理機器。
【請求項8】
前記圧縮性層は、前記第2の導管と流体連通する通路を備え、前記通路は、前記圧縮性層を通る前記第2の孔からの液体試薬の流れを可能にするように構成されている、請求項7に記載の液体処理機器。
【請求項9】
前記カプセルインターフェース機構は、前記第2の孔を形成するために前記カプセルを穿孔するように構成された穿孔要素を備える、請求項1から8のいずれかに記載の液体処理機器。
【請求項10】
前記穿孔要素は前記通路内に配置される、請求項8に従属する場合の請求項9に記載の液体処理機器。
【請求項11】
前記液体処理装置は前記カプセルインターフェース機構を備える、請求項1から10のいずれかに記載の液体処理機器。
【請求項12】
前記カプセルは、
前記液体試薬を貯蔵するように構成された液体貯蔵チャンバと、
入口チャンバおよび出口チャンバであって、前記入口チャンバおよび前記出口チャンバの各々は前記液体貯蔵チャンバと流体連通している、入口チャンバおよび出口チャンバと、
前記カプセルにおける孔の形成前に前記液体貯蔵チャンバと前記出口チャンバとの間の液体の流れを妨げるように構成された第1の制限部と、
前記カプセルにおける孔の形成前に前記液体貯蔵チャンバと前記入口チャンバとの間の液体の流れを妨げるように構成された第2の制限部と、
を備える、請求項1から11のいずれかに記載の液体処理機器。
【請求項13】
前記カプセルインターフェース機構は、前記出口チャンバに前記第2の孔を形成するように構成されている、請求項12に記載の液体処理機器。
【請求項14】
前記第1の制限部の断面積は、前記第2の導管の断面積以上である、請求項12または請求項13に記載の液体処理機器。
【請求項15】
前記カプセルインターフェース機構は、前記入口チャンバに前記第1の孔を形成するように構成されている、請求項12から14のいずれかに記載の液体処理機器。
【請求項16】
前記出口チャンバは、前記出口チャンバを画定するカプセル本体の表面の凹部を備える、請求項12から15のいずれかに記載の液体処理機器。
【請求項17】
前記凹部は、剛性材料で充填されている、請求項16に記載の液体処理機器。
【請求項18】
前記カプセルは、前記カプセル本体の開口を封止するように構成された封止層を備え、
前記凹部の内面は、前記カプセルにおける孔の形成前に、前記封止層と接触している、請求項16または請求項17に記載の液体処理機器。
【請求項19】
前記カプセルにおける孔の形成前に、前記凹部の内面は、前記封止層に対して封止される、請求項18に記載の液体処理機器。
【請求項20】
前記液体貯蔵チャンバは、前記第1の制限部に隣接する球根状部分と、前記球根状部分と前記第2の制限部との間にテーパーを提供する頂点部分とを有する半涙滴形状を有する、請求項12から19のいずれかに記載の液体処理機器。
【請求項21】
前記球根状部分の形状は、入口角度によって規定され、前記入口角度は、前記液体貯蔵チャンバの対称面上に位置し、かつ、前記球根状部分の表面に対して接する第1の線と、前記カプセルの基部に垂直な第2の線と、の間の最小角度であり、
前記頂点部分の形状は、出口角度によって規定され、前記出口角度は、前記液体貯蔵チャンバの対称面上に位置し、かつ、前記頂点部分の表面に対して接する第3の線と、前記カプセルの前記基部に垂直な第4の線と、の間の最小角度であり、
前記出口角度は、前記入口角度より大きい、
請求項20に記載の液体処理機器。
【請求項22】
前記出口チャンバは、
第1の曲率を有する凹面を有する先端が切られたドーム形状を有する下部と、
前記下部に接合された上部であって、前記上部は、前記第1の曲率とは異なる第2の曲率を有する凹面を有するドーム形状を有する、上部と、を備え、
前記第1の曲率と前記第2の曲率との間の差は、前記上部と前記下部との間の接合部における曲率の段階的変化を提供する、
請求項12から21のいずれかに記載の液体処理機器。
【請求項23】
前記カプセルは、
第1の開口および第2の開口を備えるカプセル本体と、
前記第1の開口を封止するように構成された第1の封止層と、前記第2の開口を封止するように構成された第2の封止層と、を備え
前記第2の開口の面積は、前記第1の開口の面積よりも小さい、
請求項1から22のいずれかに記載の液体処理機器。
【請求項24】
前記カプセルインターフェース機構は、前記第1の封止層に前記第1および第2の孔を形成するように構成されている、請求項23に記載の液体処理機器。
【請求項25】
液体処理装置に取り付けられたカプセルに貯蔵された液体試薬を取り出す方法であって、
前記カプセルの第1の孔および前記カプセルの第2の孔を形成することと、
前記第2の孔から液体試薬を排出するために、前記第1の孔を介して気体を供給することと、
を備える、方法。
【請求項26】
前記第1の孔を介して気体を供給することは、
前記液体処理装置の気体供給ポートを、気体を供給するように構成された可変圧力源に結合することと、
前記気体供給ポートおよび前記第1の孔と流体連通する導管を介して、前記可変圧力源から前記第1の孔に気体を供給することと、
を備える、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
液体処理機器を受け入れるように構成された液体処理システムのプロセッサによって実行されると、前記液体処理システムに請求項25または請求項26の方法を実行させる命令を備える、コンピュータ読み取り可能媒体。
【請求項28】
第1のシールを用いてカプセル本体の第1の開口を熱封止し、それにより容器を形成することと、
カプセルの第2の開口を介して前記容器に液体試薬を充填することであって、前記第2の開口の面積は前記第1の開口の面積よりも小さい、充填することと、
第2のシールを用いて前記第2の開口を封止することと、
を備える、液体試薬カプセルの製造方法。
【請求項29】
前記第2の開口は、感圧接着剤を用いて封止される、請求項28に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、液体処理機器に関する。特に、本開示は、液体処理装置と、液体試薬を貯蔵するように構成されたカプセルとを備える液体処理機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ブリスターカプセルのような試薬貯蔵カプセルは、通常、イムノアッセイのような特定の診断検査において使用される液体試薬を貯蔵するためにポイントオブケア診断装置において使用される。カプセルは、通常、カプセルを空にするために圧縮されることができる材料で形成された剛性の容器と、容器に試薬が充填された後にカプセルを封止するために使用されるフィルム(例えば、ホイル)とで形成されている。封止されたカプセルは、次に、封止フィルムの周囲の接着剤層を使用して、ポイントオブケア診断装置に取り付けられることができる。
【0003】
カプセルから液体試薬を放出させるため、通常、硬性の容器に押圧力または潰す力が加えられ、それによって硬性の容器を圧縮し、かつ、封止フィルムを装置内の貫通構造(例えばスパイク)に接触させる。貫通構造は、カプセルの下に位置し(上方から力が加えられると仮定)、十分な力が加えられると封止フィルムに穴を開ける。カプセルの穿孔後、押圧または押し潰しを続けることは、液体試薬をカプセルの穴から装置の流体層に押し出す。
【0004】
既存の装置で使用されている試薬貯蔵カプセルは、液体試薬で完全に充填されることができない。なぜなら、完全に充填されたカプセル内の液体は、貫通構造によって変位し、これはカプセル内の液体を制御不能な態様で放出するからである。さらに、完全に充填されたカプセルを封止することは不可能である。なぜなら、カプセル内の液体は封止フィルムを濡らし、かつ、封止領域に広がり、それにより適切な封止が形成されるのを妨げるからである。従って、試薬貯蔵カプセルが空気を含むことは避けられない。液状試薬を押し出すためにカプセルを押したり潰したりする動作は、液状試薬の流れに気泡を導入し、このことは実施中の診断検査に支障をきたし得る。
【0005】
これを緩和するために、いくつかの既存の装置は、試薬がカプセルから放出された後に移される通気チャンバを含む。通気チャンバは、試薬中の空気を逃がす。試薬は、次に、診断検査で使用するために通気チャンバから移される。この方法の欠点は、通気チャンバが装置内に追加のスペースを必要とし、それによって液体処理装置のサイズが大きくなることである。
【0006】
加えて、押したり潰したりする動作は、カプセルから液体試薬のすべてを完全に放出するには不十分であり得る。特に、液体試薬を放出するために必要な力は、カプセル内の液体の割合が減少するにつれて増加し得る。これは、残りの試薬をカプセルから押し出すために、非常に高い押圧力または潰す力が必要とされ得ることを意味する。診断テストを実施するためにポイントオブケア診断装置を処理するために使用されるシステムは、液体試薬を完全に放出するためにそのような大きな力を加えることができない可能性がある。さらに、より大きな力を加えると、カプセルを装置に取り付けるために使用される接着剤が破損し、その結果、液体試薬がカプセルと装置の間の接合部から押し出される可能性がある。したがって、より大きな力を加えることは、接着材料の選択に影響を及ぼし、それはカプセルホイルとカートリッジ材料の両方に対して高い接着強度を有する接着剤が必要とされることを意味し、このことはポイントオブケア診断装置のコスト上昇につながり得る。
【0007】
より大きなカプセルを使用して、液体試薬の一部しか必要とされないようにすることが一つの解決策かもしれないが、そのような解決策は、しばしば制約されるポイントオブケア診断装置の設置面積を増加させる結果となるであろう。
【0008】
既存のカプセル製造方法のさらなる欠点は、カプセルを熱封止する処理が、温度変化に敏感な試薬を損傷し得ることである。これは、液体試薬の表面と封止領域との間に隙間ができるようにカプセルをより低い高さまで充填し、液体試薬に対する温度変化の影響を減らすことで軽減できる。しかし、この方法は、所定量の液体試薬に対してより大きなカプセルが必要とされることを意味する。別の方法は、封止処理で使用される温度または接触時間を調整することを伴うが、これらの方法は封止の質を低下させ得る。
【0009】
従って、以上で説明した問題の少なくともいくつかに対処できる改良された液体処理機器の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0010】
本概要は、詳細な説明においてより詳細に記載される概念を紹介する。それは、特許請求される主題の本質的な特徴を特定するために使用されるべきではなく、特許請求される主題の範囲を限定するために使用されるべきでもない。
【0011】
本開示の第1の態様によれば、液体試薬を貯蔵するように構成されたカプセルと、第1のポートと流体連通する第1の導管、および、第2のポートと流体連通する第2の導管を有する液体処理装置と、第1のポートと流体連通するカプセル内の第1の孔、および、第2のポートと流体連通するカプセルの第2の孔を形成するように構成されたカプセルインターフェース機構と、を備え、第1の孔および第2の孔を形成することは、液体試薬をカプセルから取り出すことを可能にする、液体処理機器が提供される。
【0012】
カプセル内に第1の孔および第2の孔を形成することは、液体試薬が第1の導管および/または第2の導管を介してカプセルから取り出されることを可能にする。例えば、第1の導管を介して空気が供給され、第2の導管を介して液体試薬を排出し得る。このように液体試薬をカプセルから放出することにより、液体試薬の大部分がカプセルから取り出されることができ、このことは、ある体積の液体試薬を供給するために、既存の液体処理装置で使用されるものよりも小さなカプセルが必要とされることを意味する。
【0013】
また、カプセルに第1および第2の孔を形成することは、液体試薬を含むカプセルの一部を押しつぶすことなく、液体試薬をカプセルから取り出すことを可能にする。その結果、液体試薬がカプセルの押しつぶされた材料内に閉じ込められるようにならない。
【0014】
液体処理装置は、可変圧力源によって供給される気体を受け入れるように構成された気体供給ポートをさらに備えてもよく、気体供給ポートは、第1の導管と流体連通しており、第1の導管は、第1および第2の孔が形成された後、気体供給ポートを介して受け入れた気体を第1の孔に供給し、第2の孔から液体試薬を排出するように構成されている。
【0015】
カプセルインターフェース機構は、第1の孔を形成する間に第2の孔を形成するように構成されてもよい。このようにして、カプセル内の孔は1回の動作で形成されることができる。
【0016】
カプセルインターフェース機構は、カプセルの同じ側に第1および第2の孔を形成するように構成されてもよい。例えば、カプセルインターフェース機構は、カプセルの封止層に第1および第2の孔を形成するように構成されてもよい。
【0017】
カプセルインターフェース機構は、カプセルの基部に第2の孔を形成するように構成されてもよい。カプセルの基部に第2の孔を形成することは、液体試薬出口(すなわち第2の孔)が常にカプセル内の液体試薬レベルの下にあるため、カプセルから取り出されることができる液体試薬の量を最大にする。
【0018】
カプセルは変形可能な材料を備えてもよく、カプセルインターフェース機構は、変形可能な材料が変形されたときにカプセルに第2の孔を形成するように構成される。
【0019】
カプセルおよび液体処理装置のうちの1つ以上は、カプセルをカプセルインターフェース機構から離して偏らせるように構成された圧縮性層を備えてもよく、カプセルインターフェース機構は、圧縮性層が圧縮されたときにカプセルに第2の孔を形成するように構成されている。
【0020】
圧縮性層は、第2の導管と流体連通する通路を備えてもよく、通路は、圧縮性層を通る第2の孔からの液体試薬の流れを可能にするように構成されている。したがって、圧縮性層は、孔が形成される前にカプセルをカプセルインターフェース機構から離して偏らせるとともに、カプセルから放出される液体試薬が液体処理装置に流入する経路を提供する。
【0021】
カプセルインターフェース機構は、第2の孔を形成するためにカプセルを穿孔するように構成された穿孔要素を備えてもよい。穿孔要素は、通路内に配置されてもよい。
【0022】
液体処理装置は、カプセルインターフェース機構を備えてもよい。あるいは、カプセルは、カプセルインターフェース機構の少なくとも一部を備えてもよい。
【0023】
カプセルは、液体試薬を貯蔵するように構成された液体貯蔵チャンバと、入口チャンバおよび出口チャンバであって、入口チャンバおよび出口チャンバの各々が液体貯蔵チャンバと流体連通している、入口チャンバおよび出口チャンバと、カプセルにおける孔の形成前に液体貯蔵チャンバと出口チャンバとの間の液体の流れを妨げるように構成された第1の制限部と、カプセルにおける孔の形成前に液体貯蔵チャンバと入口チャンバとの間の液体の流れを妨げるように構成された第2の制限部と、を備えてもよい。
【0024】
カプセルのチャンバ間の制限部は、液体試薬が制御された方法でカプセルから放出され得ることを意味する。特に、液体試薬は、液体試薬が必要とされる時に、液体貯蔵チャンバから出口チャンバに押し出されることができる。これは、第1の孔(これは入口チャンバにあり得る)を介して空気を供給し、第2の孔(これは出口チャンバにあり得る)を介して液体試薬を排出することによって達成され得る。このようにして液体試薬を排出することは、液体試薬が単一の体積(one single volume)で排出されることができるので、液体試薬の流れに気泡を混入することも避ける。
【0025】
さらに、制限部は、カプセルの保管中や処理中に液体が入口チャンバと出口チャンバを満たすのを防ぐ毛細管ストップとして機能する。
【0026】
カプセルインターフェース機構は、出口チャンバに第2の孔を形成するように構成されてもよい。カプセルインターフェース機構は、入口チャンバに第1の孔を形成するように構成されてもよい。
【0027】
第2の制限部の断面積は、第2の導管の断面積以上であってもよい。第2の制限部の断面積が第2の導管の断面積以上であることによって、液体処理装置内の液体試薬の流量は、カプセル内の第2の制限部を通る流量によって制限されない。第1の制限部の断面積は、また、第2の導管の断面積以上であってもよい。第1の制限部の断面積は、第2の制限部の断面積よりも大きくてもよい。
【0028】
出口チャンバは、出口チャンバを画定するカプセル本体の表面の凹部を備えてもよい。出口チャンバを画定するカプセル本体の表面に凹部を含めることは、第2の孔を形成するために必要なカプセル本体の変位を減少させる。これは、第2の孔を形成するために必要とされるカプセル本体の変形が減少することを意味し、このことは、第2の孔を形成するために必要とされる力がより小さいことを意味する。入口チャンバは、また、入口チャンバを画定するカプセル本体の表面の凹部を備えてもよい。
【0029】
凹部は剛性材料で充填されてもよい。凹部を剛性材料で充填することは、凹部の形状に適合する作動可能要素を必要とすることなく(かつ、凹部内における作動可能要素の正確な位置決めを必要とすることなく)、出口チャンバの表面が変位させられることができることを意味する。従って、第2の孔は、作動可能要素を備える液体処理システム内の液体処理装置のそのような正確な位置決めを必要とすることなく、より簡単な方法で形成されることができる。
【0030】
カプセルは、カプセル本体の開口を封止するように構成された封止層を備えてもよく、凹部の内面は、カプセルにおける孔の形成前に、封止層と接触している。これは、(例えば液体処理システムの作動可能要素による)凹部の任意の下方変位が封止層に直接作用することを意味する。このことは、孔を形成するのに必要な力を最小にする(ひいては、孔を形成するのに必要なカプセル本体の変形量を最小にする)。
【0031】
凹部の内面は、封止層に封止されてもよい。このことは、封止層が凹部の表面上を滑るのを防ぐことにより、孔を形成するのに必要な力の量をさらに減らす。
【0032】
液体貯蔵チャンバは、第1の制限部に隣接する球根状部分と、球根状部分と第2の制限部との間にテーパーを提供する頂点部分とを有する半涙滴形状(ハーフティアドロップ形状)を有してもよい。液体貯蔵チャンバに半涙滴形状を使用することは、液体貯蔵チャンバ内の液体試薬の自由表面を最小化する一方で、液体貯蔵チャンバの容積を最大化し、かつ、カプセルからの液体試薬の放出中に液体試薬が第2の制限部に向かって合体する均一な体積に留まる傾向を最大化する(つまり、試薬の放出中に液体貯蔵チャンバ内で液体試薬が分裂する傾向を最小化する)。また、半涙滴形状は、カプセルの製造後の液体試薬の沈殿中、およびカプセルの処理中に、液体試薬が断片化する傾向を最小化する。
【0033】
球根状部分の形状は、入口角度によって規定されてもよく、入口角度は、液体貯蔵チャンバの対称面上に位置し、かつ、球根状部分の表面に対して接する第1の線と、カプセルの基部に垂直な第2の線と、の間の最小角度であり、頂点部分の形状は、出口角度によって規定されてもよく、出口角度は、液体貯蔵チャンバの対称面上に位置し、かつ、頂点部部分の表面に対して接する第3の線と、カプセルの基部に垂直な第4の線と、の間の最小角度であり、かつ、出口角度は、入口角度より大きくてもよい。
【0034】
入口チャンバは、第1の曲率を有する凹面を有する先端が切られたドーム形状(truncated dome shape)を有する下部と、下部に接合された上部であって、上部は、第1の曲率とは異なる第2の曲率を有する凹面を有するドーム形状を有する、上部と、を備えてもよく、第1の曲率と第2の曲率との間の差は、上部と下部との間の接合部における曲率の段階的変化を提供する。これらの部分を有する入口チャンバを使用することは、液体試薬が放出された後、入口チャンバ内の流体中のあらゆる微細気泡が、入口チャンバ内に捕捉され、かつ、入口チャンバの周辺の周りに保持されることを確実にする。
【0035】
出口チャンバは、第1の曲率を有する凹面を有する先端が切られたドーム形状を有する下部と、下部に接合された上部であって、上部は、第1の曲率とは異なる第2の曲率を有する凹面を有するドーム形状を有する、上部と、を備えてもよく、第1の曲率と第2の曲率との間の差は、上部と下部との間の接合部における曲率の段階的変化を提供する。
【0036】
カプセルは、第1の開口および第2の開口を備えるカプセル本体と、第1の開口を封止するように構成された第1の封止層と、第2の開口を封止するように構成された第2の封止層と、を備えてもよく、第2の開口の面積は、第1の開口の面積よりも小さい。第2の開口を使用することは、カプセルが液体試薬で充填される方法に柔軟性を提供する。例えば、より大きな主開口(すなわち第1の開口)が熱封止され得、その後、より小さな第2の開口を介して液体試薬が充填され得る。これは、液体試薬を熱封止プロセスにさらすことを避ける。さらに、より小さな第2の開口を使用することは、カプセルのより大きな割合が充填されることができることを意味する(例えば、より小さな第2の開口がカプセルの上面に設けられている場合)。
【0037】
カプセルインターフェース機構は、第1の封止層に第1の開口および第2の開口を形成するように構成されてもよい。
【0038】
本開示の第2の態様によれば、液体処理装置に取り付けられたカプセルに貯蔵された液体試薬を取り出す方法が提供され、この方法は、カプセルに第1の孔および第2の孔を形成すること、および、第2の孔から液体試薬を排出するために、第1の孔を介して気体を供給することを備える。
【0039】
第1の孔を介して気体を供給することは、液体処理装置の気体供給ポートを、気体を供給するように構成された可変圧力源に結合することと、気体供給ポートおよび第1の孔と流体連通する導管を介して、可変圧力源から第1の孔に気体を供給することと、を備えてもよい。
【0040】
第2の態様の方法は、第1の態様の液体処理機器のカプセルから液体試薬を取り出すために使用され得る。
【0041】
本開示の第3の態様によれば、液体処理機器を受け入れるように構成された液体処理システムのプロセッサによって実行されると、液体処理システムに第2の態様の方法を実行させる命令を備える、コンピュータ読み取り可能媒体が提供される。
【0042】
本開示の第4の態様によれば、液体試薬カプセルの製造方法が提供され、この方法は、第1のシールを用いてカプセル本体の第1の開口を熱封止し、それにより容器を形成することと、カプセルの第2の開口を介して容器に液体試薬を充填することであって、第2の開口の面積は第1の開口の面積よりも小さい、充填することと、第2のシールを用いて第2の開口を封止することと、を備える。
【0043】
このようにカプセルを構築することにより、カプセル内の液体試薬は熱封止プロセスにさらされない。なぜなら、カプセルの熱封止は、カプセルが液体試薬で充填される前に行われるからである。したがって、液体試薬が温度変化に敏感な場合、それは、液体試薬が損傷を受けるような熱封止プロセスにさらされない。
【0044】
第2の開口は、感圧接着剤を用いて封止されてもよい。これは、第2のシールが液体試薬を熱封止プロセスにさらさないことを意味する。
【0045】
本開示の第5の態様によれば、液体試薬を貯蔵するように構成された液体貯蔵チャンバと、入口チャンバおよび出口チャンバであって、入口チャンバおよび出口チャンバの各々が液体貯蔵チャンバと流体連通している、入口チャンバおよび出口チャンバと、カプセルにおける孔の形成前に液体貯蔵チャンバと出口チャンバとの間の液体の流れを妨げるように構成された第1の制限部と、カプセルにおける孔の形成前に液体貯蔵チャンバと入口チャンバとの間の液体の流れを妨げるように構成された第2の制限部と、を備えるカプセルが提供される。
【0046】
カプセルのチャンバ間の制限部は、制御された方法で液体試薬がカプセルから放出され得ることを意味する。特に、液体試薬は、液体試薬が必要とされる時に、液体貯蔵チャンバから排出チャンバに押し出されることができる。さらに、液体試薬は単一の体積で排出されることができるので、液体試薬の流れに気泡を導入することなく液体試薬は排出されることができる。
【0047】
さらに、制限部は、カプセルの保管中や処理中に液体が入口チャンバと出口チャンバを満たすのを妨げる毛細管ストップとして機能する。第1の制限部の断面積は、第2の制限部の断面積よりも大きくてもよい。
【0048】
出口チャンバは、出口チャンバを画定するカプセル本体の表面における凹部を備えてもよい。出口チャンバを画定するカプセル本体の表面における凹部を含むことは、第2の孔を形成するために必要なカプセル本体の変位を減少させる。これは、第2の孔が形成されるために必要とされるカプセル本体の変形が減少することを意味し、このことは、第2の孔を形成するために必要とされる力がより小さいことを意味する。入口チャンバは、また、入口チャンバを画定するカプセル本体の表面における凹部を備えてもよい。
【0049】
凹部は剛性材料で充填されてもよい。凹部を剛性材料で充填することは、凹部の形状に適合する作動可能要素を必要とすることなく(かつ、凹部内の作動可能要素の正確な位置決めを必要とすることなく)、出口チャンバの表面が変位されることができることを意味する。従って、第2の孔は、作動可能要素を備える液体処理システム内の液体処理装置のそのような正確な位置決めを必要とすることなく、簡単な方法で形成されることができる。
【0050】
カプセルは、カプセル本体の開口を封止するように構成された封止層を備えてもよく、凹部の内面は、カプセルにおける孔の形成前に、封止層と接触している。これは、(例えば液体処理システムの作動可能要素による)凹部のあらゆる下方変位が封止層に直接作用することを意味する。これは、孔を形成するのに必要な力を最小化する(ひいては、孔を形成するのに必要なカプセル本体の変形量を最小化する)。
【0051】
凹部の内面は、封止層に対して封止されてもよい。このことは、封止層が凹部の表面上を滑ることを防ぐことにより、孔を形成するのに必要な力の量をさらに減らす。
【0052】
液体貯蔵チャンバは、第1の制限部に隣接する球根状部分と、球根状部分と第2の制限部との間にテーパーを提供する頂点部分とを有する半涙滴形状を有してもよい。液体貯蔵チャンバに半涙滴形状を使用することは、液体貯蔵チャンバ内の液体試薬の自由表面を最小化する一方で、液体貯蔵チャンバの容積を最大化し、かつ、カプセルからの液体試薬の放出中に液体試薬が第2の制限部に向かって合体する均一な体積に留まる傾向を最大化する(つまり、試薬の放出中に液体貯蔵チャンバ内で液体試薬が分裂する傾向を最小化する)。また、半涙滴形状は、カプセルの製造後の液体試薬の沈降中、およびカプセルの処理中に、液体試薬が分裂する傾向を最小化する。
【0053】
球根状部分の形状は、入口角度によって規定されてもよく、入口角度は、液体貯蔵チャンバの対称面上に位置し、かつ、球根状部分の表面に対して接する第1の線と、カプセルの基部に垂直な第2の線と、の間の最小角度であり、頂点部分の形状は、出口角度によって規定されてもよく、出口角度は、液体貯蔵チャンバの対称面上に位置し、かつ、頂点部部分の表面に対して接する第3の線と、カプセルの基部に垂直な第4の線と、の間の最小角度であり、かつ、出口角度は、入口角度より大きくてもよい。
【0054】
入口チャンバは、第1の曲率を有する凹面を有する先端が切られたドーム形状を有する下部と、下部に接合された上部であって、上部は、第1の曲率とは異なる第2の曲率を有する凹面を有するドーム形状を有する、上部と、を備えてもよく、第1の曲率と第2の曲率との間の差は、上部と下部との間の接合部における曲率の段階的変化を提供する。これらの部分を有する入口チャンバを使用することは、液体試薬が放出された後、入口チャンバ内の流体中のあらゆる微細気泡が入口チャンバ内に捕捉され、かつ、入口チャンバの周辺の周りに保持されることを確実にする。
【0055】
出口チャンバは、第1の曲率を有する凹面を有する先端が切られたドーム形状を有する下部と、下部に接合された上部であって、上部は、第1の曲率とは異なる第2の曲率を有する凹面を有するドーム形状を有する、上部と、を備えてもよく、第1の曲率と第2の曲率との間の差は、上部と下部との間の接合部における曲率の段階的変化を提供する。
【0056】
カプセルは、第1の開口および第2の開口を備えるカプセル本体と、第1の開口を封止するように構成された第1の封止層と、第2の開口を封止するように構成された第2の封止層と、を備えてもよく、第2の開口の面積は、第1の開口の面積よりも小さい。
【0057】
第5の態様のカプセルは、第1の態様の液体処理機器と共に使用されるカプセルの特徴のいずれかをさらに備えてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
具体的な実施形態は、例示としてのみ、添付の図面を参照して以下に記載される。
図1】液体処理装置に取り付けられたカプセルの概略図である。
図2図1に示す液体処理装置のポートを示す概略図である。
図3】可変圧力源に結合された、図1および図2に示す液体処理装置の概略図である。
図4図1に示す液体処理装置に取り付けられた変形可能なカプセルの概略図である。
図5A】代替の液体処理装置に取り付けられた変形可能なカプセルの概略図である。
図5B】変形した状態の図5Aに示す変形可能なカプセルを示す概略図である。
図6A図5Aに示される液体処理装置に取り付けられた代替の変形可能なカプセルの概略図である。
図6B】変形した状態の図6Aに示される代替の変形可能なカプセルを示す概略図である。
図7A図5Aに示される液体処理装置に取り付けられたさらなる代替の変形可能なカプセルの概略図である。
図7B】変形した状態の図7Aに示されるさらなる代替の変形可能なカプセルを示す概略図である。
図8】液体処理装置に取り付けられた圧縮性層を備えるカプセルの概略図である。
図9図8に示すカプセルの穿孔を示す概略図である。
図10A】涙滴形状を有する液体貯蔵チャンバを備える第1のカプセルの等角図である。
図10B図10Aに示す第1のカプセルの上面図である。
図10C図10Aに示す第1のカプセルの側面図である。
図10D】第1のカプセルからの第1の液体試薬の放出前の、図10Aに示される第1のカプセル内の第1の液体試薬の自由表面のシミュレーションを示す。
図10E】第1のカプセルからの第2の液体試薬の放出中の、図10Dに示される第1のカプセル内の第2の液体試薬の自由表面のシミュレーションを示す。
図10F図10Eに示される第2の液体試薬の分裂を最小化するように調整されたパラメータによって定義された代替のカプセルを示す。
図11A】涙滴形状の液体貯蔵チャンバを備える第2のカプセルの等角図である。
図11B図11Aに示す第2のカプセルの上面図である。
図11C図11Aに示す第2のカプセルの側面図である。
図12A】涙滴形状を有する液体貯蔵チャンバを備える第3のカプセルの等角図である。
図12B図12Aに示す第3のカプセルの上面図である。
図12C図12Aに示す第3のカプセルの側面図である。
図12D図12Aに示す第3のカプセル内の液体試薬の自由表面のシミュレーションを示す。
図13A】涙滴形状を有する液体貯蔵チャンバを備える第4のカプセルの等角図である。
図13B図13Aに示す第4のカプセルの上面図である。
図13C図13Aに示す第4のカプセルの側面図である。
図14図1に示す液体処理装置にカプセルが取り付けられたときの、涙滴形状の液体貯蔵チャンバを備えるカプセルの概略図である。
図15A】平坦化されたドーム形状を有する液体貯蔵チャンバを備えるカプセルの等角図である。
図15B図15Aに示すカプセルの上面図である。
図15C図15Aに示すカプセルの側面図である。
図16A】細長い形状を有する液体貯蔵チャンバを備えるカプセルの等角図である。
図16B図16Aに示すカプセルの上面図である。
図16C図16Aに示すカプセルの側面図である。
図17A】U字形の液体貯蔵チャンバを備えるカプセルの等角図である。
図17B図17Aに示すカプセルの上面図である。
図18】カプセルに貯蔵された液体試薬を取り出す方法のフローチャートである。
図19】カプセルの構築を示す概略図である。
図20】液体試薬カプセルの製造方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0059】
本開示の実施態様が、液体試薬貯蔵を特に参照して以下に説明される。しかしながら、本明細書に開示されるカプセルは、任意のタイプの液体を貯蔵するために使用され得、試薬を貯蔵することに限定されないことが理解されるであろう。本明細書において、液体試薬を貯蔵する「ように構成された」カプセルへの言及は、カプセルが液体試薬を貯蔵することに限定されることを意味すると取られるべきではない。
【0060】
概要
図1は、カプセル120が取り付けられた液体処理装置100(例えば、マイクロ流体カートリッジなどのカートリッジ)の概略図である。液体処理装置100およびカプセル120は、一緒に液体処理機器を構成する。
【0061】
カプセル120は、液体試薬122を貯蔵する。カプセル120は、入口チャンバ124、液体貯蔵チャンバ126、および出口チャンバ128の3つの部分を含む(図10Aから図10Cを参照してより詳細に説明される)。カプセル120はまた、入口チャンバ124と液体貯蔵チャンバ126との間に第1の制限部130を含み、液体貯蔵チャンバ126と出口チャンバ128との間に第2の制限部132を含む。第1および第2の制限部130,132の各々は、液体貯蔵チャンバ126と入口/出口チャンバとの間にネック(または狭められた領域)の形態で設けられる。入口チャンバ124は、第1の制限部130を介して液体貯蔵チャンバ126と流体連通している。出口チャンバ128は、第2の制限部132を介して液体貯蔵チャンバ126と流体連通している。
【0062】
第1の制限部130は、入口チャンバ124への液体試薬の流れを最小にする大きさである。同様に、第2の制限部132は、出口チャンバ128への液体試薬の流れを最小にする大きさである。液体試薬の流れを最小にするために、第1および第2の制限部130,132は、液体試薬の表面張力が制限部130,132を通って液体試薬が流れるのを妨げるように十分に狭い。これは、第1および第2の制限部130,132が、カプセル120に孔を形成する前に、液体貯蔵チャンバ126から入口および出口チャンバ124,128への液体の流れを妨げる毛細管ストップとして機能することを意味する。
【0063】
カプセル120は、液体貯蔵チャンバ126、入口チャンバ124、出口チャンバ128、および第1および第2の制限部130,132の形状を規定する、カプセル本体134を備える。カプセル本体134は、それを介してカプセル120が充填される1つ以上の開口を含む(図1に示す例では、カプセル本体134は単一の開口を含む)。カプセル120は、開口を封止する封止層136をさらに備える。カプセル本体134は、例えば、ポリプロピレン(PP)、高密度ポリエチレン(HDPE)、もしくは環状オレフィンコポリマー(COC)などの高分子材料を用いた射出成形によって、ポリ塩化ビニル(PVC)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、もしくはポリクロロトリフルオロエチレン(PCTFE)などの高分子材料を用いた熱成形によって、または、プラスチックフィルム(たとえばPVC、PP、PE)、アルミニウム層、およびポリアミド層の少なくとも3層を通常備えるアルミニウムをベースとするラミネートフィルムを用いた冷間成形によって形成され得る。封止層136は、薄いアルミニウムベースのラミネートフィルム(リッドホイル、プッシュスルーホイル、またはイージーピアサブルホイル(易突き刺し性ホイル)としても知られている)で形成され得る。
【0064】
液体処理装置100は、カプセル120と接触する表面110を含む。カプセル120は、封止層136と表面110との間の接着剤層(図示せず)を用いて液体処理装置100に取り付けられる。
【0065】
液体処理装置100はまた、第1の導管102および第2の導管104を含み、これらの各々は、液体処理装置100の流体層内に設けられ得る。第1の導管102は、第1のポート116と流体連通している。第2の導管104は、第2のポート118と流体連通している。液体処理装置100はまた、第1の穿孔要素112および第2の穿孔要素114の形態のカプセルインターフェース機構を含む。
【0066】
第1の穿孔要素112および第2の穿孔要素114は、それぞれ、カプセル120の封止層136を穿孔する(または破る)ことによってカプセル120に孔を形成するように構成されている。
【0067】
具体的には、第1の穿孔要素112は、(カプセル120が封止層136を下向きにして方向付けられるとき、)入口チャンバ124の下方に位置する封止層136を穿孔することによって、入口チャンバ124に第1の孔を形成するように構成されている。同様に、第2の穿孔要素114は、(カプセル120が封止層136を下向きにして方向付けられるとき、)出口チャンバ128の下方に位置する封止層136を穿孔することによって、出口チャンバ128に第2の孔を形成するように構成されている。
【0068】
図1に示すように、第1の穿孔要素112は、第1のポート116と流体連通する(したがって、第1の導管102と流体連通する)第1の孔を形成するように構成される。図1に示す例では、第1の導管102は、第1の穿孔要素112を通って延びて第1の穿孔要素112の上部に第1のポート116を画定し、このことは、第1の孔は、第1の穿孔要素112によって一旦形成されると、第1のポート116と流体連通することを意味する。
【0069】
同様に、第2の穿孔要素114は、第2のポート118と流体連通する(したがって、第2の導管104と流体連通する)第2の孔を形成するように構成される。図1に示す例では、第2の導管104は、第2の穿孔要素114を通って延びて第2の穿孔要素114の上部に第2のポート118を画定し、このことは、第2の孔は、第2の穿孔要素114によって一旦形成されると、第2のポート118と流体連通することを意味する。
【0070】
穿孔要素112,114を通って延びる第1および第2の導管102,104を使用することは、孔が封止層136に形成された後に、ポート116,118が封止層136の緩い部分によって塞がれるのを防ぐ。
【0071】
第1の穿孔要素112および第2の穿孔要素114は、カプセル120に向かう穿孔要素112,114の相対的な動きによってカプセル120に孔を形成するように構成される。カプセル120に向かう穿孔要素112,114の相対的な動きは、変形可能なカプセルに力を加えることによって提供され得る(例えば、図5から図7を参照して説明されるように)。例えば、力は、液体処理機器(すなわち、液体処理装置100およびカプセル120)が受け入れられる液体処理システムの作動可能要素50(後述)によって加えられてもよい。代替的にまたは追加的に、カプセル120に向かう穿孔要素112,114の相対的な移動は、カプセルの圧縮性層(例えば、図8および図9を参照して説明されるような)または液体処理装置内の圧縮性層の圧縮によって提供されてもよい。
【0072】
図1に示す例では、第1の穿孔要素112は第1の窪み106に設けられ、第2の穿孔要素114は第2の窪み108に設けられる。窪み106,108の各々は、カプセル120と接触する液体処理装置100の表面110に形成される。窪み106,108の各々は、それぞれの導管102,104と流体連通する孔(図示せず)を備えてもよい。孔は、窪み106,108内の穿孔要素112,114の基部に設けられ、窪み106,108内のあらゆる液体試薬がそれぞれの導管102,104内に排出されることを可能にする。
【0073】
変形可能なカプセルの場合(例えば、図5から図7を参照して説明されるように)、窪み106,108は、カプセルに圧縮力が加えられたときにカプセルの封止層が変形することを可能にし、これは、封止層が穿孔要素112,114に接触させられることを意味する。封止層が窪み106,108の中に変形するのを可能にするため、接着剤の層は、窪み106,108が位置する領域の上に延びない。
【0074】
しかしながら、(例えば、図8および図9を参照して説明されるような)圧縮性層を有するカプセルの場合、穿孔前の封止層の変形は必要とされず、これは、窪み106,108が設けられなくてもよいことを意味する。その代わりに、図8および図9を参照して説明されるように、各穿孔要素は、液体試薬が圧縮性層を通って流れることを可能にする圧縮性層の通路内に設けられてもよい。あるいは、圧縮性層が、例えば、液体貯蔵チャンバの下方にのみ配置される場合、穿孔要素は、入口チャンバおよび出口チャンバの下方に位置するそれぞれの空隙内に設けられてもよい。
【0075】
カプセル120に第1および第2の孔を形成することは、第1の導管102および/または第2の導管104を介して液体試薬122がカプセル120から取り出されることを可能にする。一例として、気体(例えば空気)が、第1の導管102および第1の孔を介してカプセル120に供給されてもよい。カプセル120に気体を供給すると、カプセル120内の液体試薬122が置換され、液体試薬122が第2の孔から第2の導管104内に押し出される。その後、液体試薬122は、実施される診断テストまたはアッセイによって必要とされるように、液体処理装置100の1つまたは複数の構成要素に輸送され得る。
【0076】
図1は、液体処理装置100が受け入れられる液体処理システム(図示せず)の2つの作動可能要素50を示す。上記で説明したように、作動可能要素50は、カプセル120に向かう穿孔要素112,114の相対移動を提供するために、カプセル120を変形させる力を加えることができ、または、硬質(すなわち非変形性)カプセルの場合には、カプセル120に向かう穿孔要素112,114の相対移動を提供するために、カプセル120の圧縮性層を圧縮する力を加えることができる。具体的には、作動可能要素50のうちの1つは、カプセル120の入口チャンバ124に力を加え、作動可能要素50のうちの別の1つは、カプセル120の出口チャンバ128に力を加える。
【0077】
作動可能要素50は、同時にカプセル120に力を加えるように構成されてもよい。例えば、作動可能要素50のうちの1つは、作動可能要素50のうちの別の1つによってカプセル120に力が加えられている間に、カプセル120に力を加えるように構成されてもよい。カプセル120に同時に力を加えることによって、カプセル120の孔は、単一の動作(例えば、作動可能要素50の単一の下方への動き)を用いて形成され得る。
【0078】
図1に示すように、カプセル120に向かう穿孔要素112,114の相対的な動きは、カプセル120の同じ側において(具体的には、カプセルの封止層136において)カプセル120に孔を形成する。図1に示す例では、穿孔要素112,114は、カプセル120の基部に第1および第2の孔を形成するように構成されている。カプセル120の基部に第2の孔を形成することは、液体試薬出口(すなわち第2の孔)がカプセル120内の液体試薬レベルの下に常にあるため、カプセル120から取り出されることができる液体試薬122の量を最大にする。
【0079】
第1および第2の制限部130,132は、第2の導管102の断面積よりも大きな断面積を有する。これは、液体処理装置100内の液体試薬の流量が、カプセル120内の制限部130,132のサイズによって制限されないことを確実にする。
【0080】
液体試薬を排出するための気体の供給
図2は、第1の導管102と流体連通する空気供給ポート150の形態の気体供給ポートをさらに備える図1の液体処理装置100を示す概略図である。
【0081】
使用中、気体(例えば空気)は、第1の孔がカプセル120内に形成された後、空気供給ポート150を介して第1の導管102内に供給される。第1の導管102と第1の孔との間の流体連通は、空気がカプセル120に供給されることを可能にする。カプセル120に第2の孔が形成された後、加圧された空気は、液体試薬を第2の孔から第2の導管104に押し出す。
【0082】
図3に示すように、空気は、可変圧力源(例えばポンプ)に結合された空気供給導管70によってポートに供給され得る。空気供給導管70は、液体処理機器が受け入れられる液体処理システムの構成要素であってもよい。例えば、空気供給導管70は、作動可能要素50を備える同じ液体処理システムの構成要素であってもよい。
【0083】
変形可能なカプセル
図4は、液体処理装置100に取り付けられた変形可能なカプセル220を示す概略図である。カプセル220は、変形可能なカプセル本体234を備える。カプセル220は、入口チャンバ224、液体貯蔵チャンバ226、出口チャンバ228、第1の制限部230および第2の制限部232を備え、それぞれ、図1を参照して説明した入口チャンバ124、液体貯蔵チャンバ126、出口チャンバ128、第1の制限部130および第2の制限部132と同じ機能を有する。図1に示すカプセル120と同様に、カプセル220は、液体試薬222を含み、封止層236を用いて封止される。
【0084】
図4は、変形された状態で示されているカプセル本体234を示す。特に、図4は、作動可能要素50によって入口チャンバ224および出口チャンバ228に力が加えられた後のカプセル220を示す。
【0085】
入口チャンバ224を例にとると、作動可能要素50によって入口チャンバ224に加えられる力は、入口チャンバ224を圧縮し、それによりその容積を減少させる。入口チャンバ224の容積の減少は、入口チャンバ224内の空気を圧縮し、このことは、封止層236を、第1の穿孔要素112が配置されている第1の窪み106の外側に膨らむように強制する。これにより、封止層236が第1の穿孔要素112と接触し、それは、第1の穿孔要素112が入口チャンバ224の下方の封止層236を穿孔することを意味する。出口チャンバ228の下の封止層236は、第2の穿孔要素114によって同様に穿孔される。
【0086】
代替のカプセルインターフェース機構
図5Aおよび図5Bは、液体試薬322を貯蔵するカプセル320が取り付けられる代替の液体処理装置300(例えばカートリッジ)の概略図である。図1に示される液体処理装置100と同様に、図5Aおよび5Bの液体処理装置300は、第1の導管302および第2の導管304を含み、これらの各々は、液体処理装置300の流体層内に設けられ得る。
【0087】
液体処理装置300は、第1の窪み306および第2の窪み308を含み、これらの各々は、カプセル320と接触する液体処理装置300の表面310に設けられる。第1の窪み306は、第1の窪み306の表面の第1のポート316を介して第1の導管302と流体連通している。同様に、第2の窪み308は、第2の窪み308の表面の第2のポート318を介して第2の導管304と流体連通している。
【0088】
図1に示されるカプセル120と同様に、図5Aおよび図5Bに示されるカプセル320は、入口チャンバ324、液体貯蔵チャンバ326、出口チャンバ328、第1の制限部330、第2の制限部332、カプセル本体334および封止層336を含む。これらの各構成要素は、図1に示すカプセル120について上述したのと同じ機能を有する。
【0089】
さらに、カプセル320は、入口チャンバ324の上面を画定するカプセル本体334の部分に第1の凹部338を備える。また、カプセル320は、出口チャンバ328の上面を画定するカプセル本体334の部分に第2の凹部340を含む。
【0090】
液体処理装置300の表面310の窪み306,308およびカプセル本体334の凹部338,340は、共に、カプセル320の封止層336に孔を形成することを可能にするカプセルインターフェース機構を形成する。
【0091】
図5Aおよび図5Bは、液体処理機器(すなわち、液体処理装置300およびカプセル320)が受け入れられる液体処理システム(図示せず)の2つの作動可能要素52を示す。作動可能要素52のうちの1つの端部は、第1の凹部338内に嵌合するように構成され、作動可能要素52のうちの別の1つの端部は、第2の凹部340内に嵌合するように構成される。凹部338,340および/または作動可能要素52は、作動可能要素52の端部が凹部338,340内に嵌合できる大きさにされ得る。
【0092】
図4に示されるカプセル220と同様に、カプセル320のカプセル本体334は変形可能である。図5Aは、変形していない状態のカプセル本体334を示し、図5Bは、変形した状態のカプセル本体334を示す。
【0093】
作動可能要素52のうちの1つは、凹部338に下向きの力を加えることによって入口チャンバ324に力を加えるように構成されている。作動可能要素52の別の1つは、凹部340に下向きの力を加えることによって出口チャンバ328に力を加えるように構成されている。
【0094】
入口チャンバ324を例にとると、作動可能要素52によって凹部338に加えられる力は、入口チャンバ324を圧縮し、これによりその容積を減少させる。入口チャンバ324の容積の減少は、入口チャンバ324内の空気を圧縮し、これは、封止層336を第1の窪み306の外側に伸びるように強制する。封止層336の伸びは、封止層336を破れさせ、それにより封止層336に孔を形成する。出口チャンバ328の下の封止層336は、第2の穿孔要素114によって同様に穿孔される。
【0095】
窪み306,308および凹部338,340の形態のカプセルインターフェース機構は、凹部338,340に力が加えられると、カプセル320の封止層336が窪み306,308内に変形できるようにする。これにより、封止層336に孔が形成される。図5Aおよび図5Bに示すように、第1の導管302は第1のポート316を介して第1の窪み306と流体連通しており、第2の導管304は第2のポート318を介して第2の窪み308と流体連通している。その結果、第1の窪み306は、第1のポート316と流体連通するように封止層336に孔が形成されることを可能にする。同様に、第2の窪み308は、第2のポート318と流体連通するように封止層336に孔が形成されることを可能にする。
【0096】
いくつかの実施例では、入口チャンバ324内の圧縮空気が封止層336に作用することが封止層336を破れさせるように、封止層336は、十分な非弾性を有する。他の実施例では、作動可能要素52からの圧縮力が封止層336に及ぼされることにより、封止層336は窪み306,308内に変形され得、それにより封止層336を窪み306,308内に変形させ、その後、破れさせる。
【0097】
作動可能要素52が封止層336に圧縮力を及ぼす例では、各凹部338,340は、凹部338,340の基部と封止層336との間の距離を最小にするように形成され得る。凹部338,340の基部と封止層336との間の距離を最小にすることによって、作動可能要素52が封止層336に接触するのに必要な作動可能要素52の変位が最小になる。これは、カプセル本体334を変形させるのに必要な力の量が、ひいては最小化されることを意味する。
【0098】
例えば、図6A(変形していないカプセル)および図6B(変形したカプセル)に示されるように、各凹部338,340は、各凹部338,340の内面が封止層336に接触するように形成されてもよい。これは、一旦作動可能要素52が凹部338,340に完全に挿入されると、作動可能要素52のあらゆるさらなる下方の変位が封止層336に直接作用することを意味する。これは、封止層336を破るのに必要な力を最小にする(ひいては、封止層336を破るのに必要なカプセル本体334の変形量を最小にする)。図6Bに最もよく示されるように、封止層336は、各凹部338,340の内面に対して封止されてもよく、このことは、封止層336が各凹部338,340の内面上を滑ることを防止する。これは、封止層336を破るのに必要な力の量をさらに減少させる。
【0099】
図5Aから図6Bは、作動可能要素52の端部に適合するプロファイルを凹部338,340が有することを示す。図7Aおよび図7Bに示される代替例では、充填された凹部438,440を有するカプセル420が示される。図5Aから図6Bに示される実施例と同様に、凹部438,440は、カプセル420のカプセル本体434に形成される。しかしながら、図7Aおよび図7Bに示される実施例では、第1の凹部438および第2の凹部440は、それぞれ、樹脂のような剛性材料で充填され、これは、第1および第2の作動可能要素54による係合のための実質的に平坦な表面を提供する。この例では、作動可能要素54の端部は、凹部438,440の形状に適合しない。
【0100】
孔は、作動可能要素54が凹部438,440内の剛性材料に力を加えることを除いて、図5Aから図6Bを参照して説明した実施例と同じ方法で封止層436に形成される。作動可能要素54によって加えられる力は、カプセル本体434を圧縮する。封止層436の孔は、非弾性の封止層の材料の破れによって、または、作動可能要素54によって充填された凹部438,440に加えられる力による封止層436の変形によって、形成され得る(両方とも、図5Aから図6Bについて上述したように)。
【0101】
凹部438,440を充填して、作動可能要素54による係合のための表面を提供することは、作動可能要素54の端部が凹部438,440の形状に適合する必要がないことを意味する。その結果、鈍端を有する作動可能要素54(例えば、図7Aおよび図7Bに示されるような)が、カプセル420に圧縮力を加えるために使用され得る。図6Aおよび図6Bに示される例と同様に、充填された凹部438,440は、封止層436に接触して設けられてもよく、そうであれば、封止層436に封止されてもよい。
【0102】
圧縮性層
図8は、液体試薬(図示せず)を備えるカプセル520が取り付けられる代替の液体処理装置500(例えばカートリッジ)を示す。上述した液体処理装置と同様に、液体処理装置500は、第1の導管502および第2の導管504を含み、これらの各々は、液体処理装置500の流体層内に設けられ得る。
【0103】
上述のカプセルと同様に、図8に示されるカプセル520は、入口チャンバ524、液体貯蔵チャンバ526、出口チャンバ528、第1の制限部530、第2の制限部532、カプセル本体534、および封止層を含む。これらの各構成要素は、上述したカプセルの対応する構成要素と同じ機能を有する。この例では、封止層は第1の封止層536である。
【0104】
カプセル520はまた、第1の通路508および第2の通路510を備える圧縮性層506を備える。圧縮性層506は、図8では非圧縮状態で示されている。圧縮性層506は、液体処理装置500の第1の封止層536と剛性層516との間に配置される。圧縮性層506は、第1の封止層536と圧縮性層506との間の接着剤層518を用いて第1の封止層536に取り付けられる。
【0105】
カプセル本体534は、カプセル520の基部に第1の開口538を備える。第1の開口538は、第1の封止層536によって封止されている。さらに、カプセル本体534は、1つ以上の第2の開口540を備える(図8に示される例では、2つの第2の開口540が示される)。1つ以上の第2の開口540の各々は、対応する第2の封止層542によって封止される。開口538,540は、図18を参照して後述するように、カプセル520の充填を可能にする。
【0106】
カプセル本体534は、第1の開口538及び1つ以上の第2の開口540を有するものとして図8に示されているが、液体処理装置500に取り付けられるカプセルは、代替的に、図1に示されるカプセル120または図10Aから図17Bを参照して以下に説明されるカプセルの形態をとり得る。
【0107】
液体処理装置は、第1の穿孔要素512および第2の穿孔要素514の形態のカプセルインターフェース機構を備える。穿孔要素512,514は、剛性層516と一体的に形成され得る。穿孔要素512,514および/または圧縮性層506の通路508,510は、カプセル520が液体処理装置500に取り付けられたときに、第1の穿孔要素512が第1の通路508内に位置し、第2の穿孔要素514が第2の通路510内に位置するように構成される。
【0108】
第1の穿孔要素512および第2の穿孔要素514は、それぞれ、カプセル520の第1の封止層536を穿孔することによってカプセル520に孔を形成するように構成される。具体的には、第1の穿孔要素512は、(カプセル520が第1の封止層536を下向きにして方向付けられるとき、)入口チャンバ524の下方に位置する第1の封止層536を穿孔することによって、入口チャンバ524に第1の孔を形成するように構成されている。同様に、第2の穿孔要素514は、(カプセル520が第1の封止層536を下向きにして方向付けられるとき、)出口チャンバ528の下方に位置する第1の封止層536を穿孔することによって、出口チャンバ528に第2の孔を形成するように構成されている。
【0109】
図8に示すように、第1の穿孔要素512は、第1の導管502と流体連通する第1の孔を形成するように構成される。図8に示す例では、第1の導管502は、第1の穿孔要素512を通って延びて第1の穿孔要素512に第1のポートを画定し、このことは、第1の孔は、第1の穿孔要素512によって一旦形成されると、第1のポート(ひいては第1の導管502)と流体連通することを意味する。
【0110】
同様に、第2の穿孔要素514は、第2の導管504と流体連通する第2の孔を形成するように構成される。図8に示す例では、第2の導管504は、第2の穿孔要素514を通って延びて第2の穿孔要素514に第2のポートを画定し、このことは、第2の孔は、第2の穿孔要素514によって一旦形成されると、第2のポート(ひいては第2の導管504)と流体連通することを意味する。
【0111】
第1の穿孔要素512および第2の穿孔要素514は、カプセル520に向かう穿孔要素512,514の相対的な移動によってカプセル520に孔を形成するように構成される。図8に示す例では、カプセル520に向かう穿孔要素512,514の相対的な移動は、圧縮性層506の圧縮によって達成され、これにより、穿孔要素512,514は、第1の封止層536に接触して、第1の封止層536を穿孔する。
【0112】
図9は、圧縮状態の圧縮性層506を示す。図9に示すように、圧縮性層506の圧縮は、穿孔要素512,514のカプセル520に向かう相対的な移動を提供し、それにより、穿孔要素512,514に第1の封止層536を穿孔させる。
【0113】
圧縮性層506は、(図1から図7を参照して説明した実施例と同様に)カプセル本体534に加えられる力によって圧縮されてもよい。例えば、カプセル本体534が剛性材料(または圧縮性層506よりも圧縮性が低い材料)を備える場合、カプセル本体534に加えられた力は圧縮性層506に伝達され、それにより圧縮性層506の圧縮を引き起こす。
【0114】
あるいは、圧縮性層506は、カプセル本体534のフットプリント(占有面積)を超えて延在してもよく、その場合、圧縮性層506は、カプセル本体534のフットプリントを超えた領域において圧縮性層506の上部に加えられる力によって圧縮され得る。
【0115】
図8および図9に示す圧縮性層506は、図1から図4に示すカプセルに組み込まれてもよい。この場合、カプセルに向かう穿孔要素の相対的な移動は、一部はカプセル本体の変形によって、および、一部は圧縮性層の圧縮によって、提供されてもよい。カプセルに含まれることの代替として、圧縮性層は、代わりに液体処理装置100,500に組み込まれてもよい。
【0116】
半涙滴形状の液体貯蔵部
図10Aから図10Cは、図1から図9に概略的に示されるカプセルに使用され得るカプセル620の構成を示す。図10Aはカプセル620の等角図であり、図10Bはカプセル620の上面図であり、図10Cはカプセル620の側面図である。
【0117】
図1から図9に示すカプセルと同様に、カプセル620は、入口チャンバ624、液体貯蔵チャンバ626、および出口チャンバ628を備える。入口チャンバ624は、第1の制限部630を介して液体貯蔵チャンバ626と流体連通している。出口チャンバ628は、第2の制限部632を介して液体貯蔵チャンバ626と流体連通している。入口チャンバ624、液体貯蔵チャンバ626および出口チャンバ628の形状は、カプセル本体634によって規定される。カプセル本体634は、封止層636を用いて封止されている。
【0118】
図10Aから図10Cに示すように、入口チャンバ624および出口チャンバ628は、それぞれ半球形状を有する。液体貯蔵チャンバ626は、半涙滴形状を有し、ここで、半涙滴形状は、涙滴の長手方向軸に平行であり涙滴の長手方向軸と一致する平面に沿って半分に分割された涙滴を意味するように取られるべきである。半涙滴形状は、連続的に滑らかな表面を使用して、半楕円体形状(すなわち、その長手方向軸に平行でありその長手方向軸と一致する平面に沿って半分に分割された半楕円体(例えば変形した半球))に接合された半円錐形状(すなわち、その長手方向軸に平行でありその長手方向軸と一致する平面に沿って半分に分割された円錐)によって近似されることができる。
【0119】
半涙滴形状の液体貯蔵チャンバ626は、第1の制限部630に位置する球根状部分638(半楕円体形状で近似される)と、第2の制限部632に位置する頂点部分640(半円錐体形状近似の頂点に対応する)とを有する。頂点部分640は、球根状部分638と第2の制限部632との間にテーパーを提供する。球根状部分638と頂点部分640の各々は、凹面を有する。
【0120】
液体貯蔵チャンバ626に半涙滴形状を使用することにより、液体貯蔵チャンバ626内の液体試薬の自由表面を最小化する一方で、液体貯蔵チャンバ626の容積を最大化し、かつ、カプセル620からの液体試薬の放出中に液体試薬が第2の制限部632に向かって合体する均一な体積に留まる傾向を最大化する(換言すれば、試薬の放出中に液体貯蔵チャンバ626内で液体試薬が分裂する傾向を最小化する)。
【0121】
第1の制限部630は、第2の制限部632よりも大きな断面積を有する。第1の制限部630のより大きい断面積は、入口チャンバ624の孔を介して供給される空気が液体貯蔵チャンバ626の球根状部分638に流れ込むようにするために提供される。
【0122】
第1の制限部630は、入口チャンバ624への液体試薬の流れを最小にする大きさである。同様に、第2の制限部632は、出口チャンバ628への液体試薬の流れを最小にする大きさである。液体試薬の流れを最小にするために、第1および第2の制限部630,632は、液体試薬の表面張力が制限部630,632を通って液体試薬が流れるのを妨げるように十分に狭い。
【0123】
カプセル620が液体試薬で満たされると、液体試薬の表面は、理想的な場合であっても、入口チャンバ624および出口チャンバ628内にはみ出るであろう。これは、液体貯蔵チャンバ626内の液体試薬の体積が、液体試薬を入口チャンバ624および出口チャンバ628に部分的に押し込む圧力ヘッドをもたらすからである。カプセル620が封止されると、入口チャンバ624および出口チャンバ628は空気を含み、この空気は、液体貯蔵チャンバ626内の液体試薬の圧力ヘッドによって入口チャンバ624および出口チャンバ628に押し込まれる液体試薬によって圧縮される。入口チャンバ624と出口チャンバ628内の空気の圧縮は、液体試薬の表面に圧縮力を加える。この圧縮力は、液体貯蔵チャンバ626内の液体試薬の圧力ヘッドの結果として液体試薬に作用する力を打ち消す。この結果、液体試薬の表面は、図10Dに示されるように、第1の制限部630の端部をわずかに超えて入口チャンバ624内に位置する第1の平衡位置と、第2の制限部632の端部をわずかに超えて出口チャンバ628内に位置する第2の平衡位置とを有する。
【0124】
理想的なケースでは、液体試薬の表面は、入口チャンバ624および出口チャンバ628が穿孔される位置(図10Dに示されるように)まで延びない。これは、入口チャンバ624の孔を介して供給される空気(例えば、図2及び図3に関連して説明されるような)が液体試薬の本体を通って流れないことを意味する。これは、液体試薬中の微細気泡の形成を防止する。
【0125】
液体貯蔵チャンバ626の球根状部分638は、液体試薬の自由表面が最小化されることを確実にし、これは、カプセル620からの放出中に液体試薬が分裂する傾向を低減する。図10Dに示されるように、この最小化された自由表面は、液体貯蔵チャンバ626内の液体試薬の体積の重心680(図10Dに示される)が、第2の制限部632の方に偏る(すなわち、第1の制限部630よりも第2の制限部632に近い)ことをもたらす。
【0126】
液体貯蔵チャンバ626の頂点部分640は、カプセル620からの液体試薬の放出中に液体試薬の自由表面を最小化する役割を果たす。特に、頂点部分640は、球根状部分638と第2の制限部632との間に液体貯蔵チャンバ626のテーパーを提供し、これは、液体がカプセル620から放出される際に液体試薬の自由表面が連続的に減少することを意味する。試薬の放出中に液体試薬の自由表面が連続的に減少することは、液体貯蔵チャンバ626内の液体試薬が、液体試薬が放出される際に第2の制限部632に向かって合体する均一な体積に留まることを促す。これは、液体試薬の放出中に液体貯蔵チャンバ626内の液体試薬が分裂する傾向を減少させる。
【0127】
液体貯蔵チャンバ626の形状は、入口角度642及び出口角度644によって規定され得る。図10Cに概略的に示すように、入口角度642は、(i)液体貯蔵チャンバ626の中心線(または対称面)上に位置し、かつ、球根状部分638の表面に対して接する線と、(ii)垂直(すなわち、封止層636またはカプセル620の基部に対して垂直)との間の最小角度である。同様に、出口角度644は、(i)液体貯蔵チャンバ626の中心線(または対称面)上に位置し、かつ、頂点部分640の表面に対して接する線と、(ii)垂直(すなわち、封止層636またはカプセル620の基部に対して垂直)との間の最小角度である。
【0128】
入口角度642および出口角度644の値は、カプセル620内の液体試薬の種類に依存する。すなわち、カプセル620からの試薬の放出中に液体試薬が分裂する傾向を低減するために、異なる液体試薬に対して異なる入口角度642および出口角度644の値(ひいては液体貯蔵チャンバ626の異なる形状)が使用される。
【0129】
入口角度642および出口角度644に使用される値は、カプセル本体634に使用される材料、入口チャンバ634への空気の流量、ならびに、表面張力、濡れ性および粘度を含む液体試薬の様々な特性に依存する。より高い表面張力を有する液体試薬の場合、入口角度642は大きくされ得、かつ、出口角度644は小さくされ得る(以下でさらに説明するように)。
【0130】
図10Aから図10Cに示すように、カプセル620は、カプセル本体634の開口(すなわち、封止層636によって封止された開口)を画定するベースプレート650を備える。ベースプレート650は、カプセル本体634と一体的に形成されてもよい。ベースプレート650は、上述したように、液体処理装置の表面にまたはカプセルの圧縮性層にカプセル620を取り付けるための表面を提供する。
【0131】
カプセル620からの液体試薬の放出中に、特定の液体試薬が分裂する傾向が、図10Eに示されており、これはまた、入口角度642および出口角度644を概略的に示している。図10Dを参照すると、液体試薬の自由表面は、孔の形成前に最小化されていることがわかる。空気が入口チャンバ624の孔を介して供給されると、液体試薬は液体貯蔵チャンバ626から出口チャンバ628内に押し出される。これは、液体貯蔵チャンバ626内の液体試薬の自由表面を増加させる。自由表面の増加は、液体試薬が、図10Eに示されるように、液体貯蔵チャンバ626の両側に位置する2つの部分に分裂することによって、その自由表面が最小化される平衡位置に達することをもたらし得る。分裂が起こると、出口チャンバ628の孔から押し出される液体試薬に空気が導入され得る。
【0132】
上記で説明したように、入口角度642および出口角度644の値は、特定の液体試薬が分裂する傾向を低減するように調整され得る。例えば、図10Eに示すカプセル620内の液体試薬の分裂を減らすために、図10Fに示すように、入口角度642の値が大きくされ得、かつ、出口角度644の値が小さくされ得る。この結果、液体試薬の分裂の前に液体貯蔵チャンバ626から放出される液体試薬の体積がより多くなる。その結果、分裂した部分の体積が減少し、これは、カプセル内の液体試薬のより高い割合が利用され得ることを意味する。
【0133】
異なる試薬に関する異なる半涙滴形状
図11Aから図11Cは、図10Aから図10Cに示されるカプセル620で使用される液体試薬とは異なる液体試薬に使用される、代替のカプセル形状を示す。図11Aから図11Cに示すように、カプセル720は、カプセル620の入口角度642よりも小さい入口角度742を有し、かつ、カプセル620の出口角度644よりも大きい出口角度744を有する液体貯蔵チャンバ726を含む。これは、図11Aから図11Cの球根状部分738の頂部を画定する曲線の曲率が、図10Aから図10Cの球根状部分638の頂部を画定する曲線の曲率よりも大きい(すなわち、より小さい曲率半径を有する)ことを意味する。図11Aから図11Cに示されるカプセル720は、カプセル620と共に使用される液体試薬よりも低い表面張力を有する液体試薬に使用され得る。
【0134】
図11Aから図11Cに示すように、カプセル720は、試薬がカプセル720から放出される際に液体試薬の自由表面の連続的な減少を提供するために、(すなわち、液体貯蔵チャンバ726の頂部部分740において)凸状の曲率を有する1つ以上の領域746を含んでもよい。
【0135】
フィレットエッジ(切り取られた縁部)
図12Aから図12Cは、カプセル820が、フィレットエッジ848を有するカプセル本体834を備える、さらなる代替的なカプセル形状を示す。具体的には、フィレットエッジ848は、カプセル本体834とベースプレート850との間の接合部に設けられている。したがって、フィレットエッジ848は、入口チャンバ824、液体貯蔵チャンバ826および出口チャンバ828の基部に設けられる。カプセル本体834とベースプレート850との間にフィレットエッジ848を設けることは、冷間成形などの製造方法に対するカプセル820の製造の容易性を向上させる。
【0136】
フィレットエッジ848が設けられると、液体試薬の一部は、毛細管現象によって入口チャンバ824内に引き込まれ、かつ、入口チャンバ824の縁の周りにリングを形成する(図12Dに示されるように)。さらに、液体試薬の一部は、毛細管現象によって出口チャンバ828内に引き込まれ、それにより出口チャンバ828の縁の周りにリングを形成する。図12Dに示すように、毛細管現象によって入口チャンバ824および出口チャンバ828に引き込まれた液体試薬は、入口チャンバ824および出口チャンバ828が穿孔された位置まで延びない。このことは、入口チャンバ824の孔を介して供給される空気(例えば、図2及び図3に関連して説明されるような)が液体試薬の本体を通って流れないことを意味する。これは、液体試薬中の微細気泡の形成を防止する。
【0137】
製造のための大きい抜き勾配(draft angle)およびニップル部
図13Aから図13Cは、カプセル920が、図12Aから図12Cに示すカプセル820のフィレットエッジ848よりも大きい抜き勾配を有する接合部952を用いてベースプレート950に接合されたカプセル本体934を備える、さらなる代替的なカプセル形状を示す。より大きい抜き勾配を有する接合部952は、カプセル820のフィレットエッジ848を提供できない可能性のある製造方法(冷間成形など)に対するカプセル920の製造の容易性を高める。
【0138】
より大きい抜き勾配を有する接合部952が使用される場合、カプセル920の入口チャンバ924および出口チャンバ928内の液体試薬の体積は、フィレットエッジ848を有するカプセル820の入口チャンバ824および出口チャンバ828内の液体試薬の体積よりも大きい。その結果、入口チャンバ924の孔を介して供給される空気は、液体試薬の体積を通過するかもしれず、液体試薬中に微細気泡が形成される。
【0139】
入口チャンバ924内の液体試薬中の微細気泡が液体貯蔵チャンバ926に通過するのを防止するために、入口チャンバ924はニップル部954を備える。ニップル部954は、入口チャンバ924を画定するカプセル本体934の表面間の曲率の段差変化956によって入口チャンバ924内に画定される。曲率の段差変化956は、入口チャンバ924の内部の周囲に延びる鋭利な縁を提供する。これは、入口チャンバ924が、凹面を有する先端が切られたドーム形状を有する、入口チャンバ924の基部における下部958と、入口チャンバ924の上面(これはニップル部954の上面でもある)を提供する、凹面を有するドーム形状を有する上部960とを備えることを意味する。上部960は、下部958とは異なる曲率を有し、これにより、下部958と上部960との間の曲率の段差変化956が生じる。上部960および下部958は、代替的に、(曲率の段差変化956によって生じる鋭利な縁の代わりに)入口チャンバ924の表面が入口チャンバ924の内部から離れて湾曲する中間部分によって接合されてもよい。
【0140】
図13Aから図13Cに示すように、曲率の段差変化956は、第1の制限部930の高さよりも上方で入口チャンバ924の表面の周囲に延びている。これは、第1の制限部930が液体貯蔵チャンバ926を入口チャンバ924の下側凹部958に接合していることを意味する。
【0141】
ニップル部954は、入口チャンバ924内の液体中のあらゆる微細気泡が入口チャンバ924内に捕捉されることを確実にする。具体的には、空気が入口チャンバ924の孔を介して供給されると、いかなる微細気泡も曲率の段差変化956の周囲に捕捉される。入口チャンバ924内の液体試薬の体積が減少すると(すなわち、液体試薬がカプセル920から放出されると)、入口チャンバ924内に捕捉された微細気泡は、下側凹部958の基部における入口チャンバ924の周縁の周囲に保持される。
【0142】
入口チャンバ924の全体の高さと曲率の段差変化956の高さとの比は、微細気泡を最小にするように選択することができる。この比は、入口チャンバ924の孔を介して供給される空気の流量、および、カプセル920が破壊されて液体試薬が入口チャンバ924の基部上に形成された場合、液体試薬の特性に依存するであろう。例えば、破壊されたカプセルの流量が高い場合、曲率の段差変化956は、入口チャンバ924の表面上のより上方に位置し得る(すなわち、入口チャンバ924の高さと曲率の段差変化956の高さとの比が低くなる)。
【0143】
また、出口チャンバ928は、出口チャンバ928を画定するカプセル本体934の表面の周囲に延びる曲率の段差変化964によって画定されたニップル部962を含み得る。この場合、出口チャンバ928はまた、凹面を有する先端が切られたドーム形状を有する下部966と、凹面を有するドーム形状を有し、ニップル部962の頂部(すなわち、出口チャンバ928の頂部)を画定する上部968とを含む。上部968は、下部966とは異なる曲率を有し、これにより、下部966と上部968との間の曲率の段差変化964が生じる。上部968および下部966は、代替的に、(曲率の段差変化964によって生じる鋭利な縁の代わりに)出口チャンバ928の表面が出口チャンバ928の内部から離れて湾曲する中間部分によって接合されてもよい。曲率の段差変化964は、第2の制限部932の高さの上方で出口チャンバ928の表面の周りに延びる。
【0144】
液体試薬が界面活性剤および/または他の気泡発生剤および/または発泡剤を含む場合、カプセル920が叩かれるかまたは破壊されると、液体貯蔵チャンバ926内の液体試薬の表面に微細気泡が形成され得る。出口チャンバ928のニップル部962は、出口チャンバ928内のあらゆる微細気泡を捕捉する。具体的には、液体試薬が液体貯蔵チャンバ926から出口チャンバ928に移動するとき、あらゆる微細気泡が曲率の段差変化964の周囲に捕捉される。出口チャンバ928内の液体試薬の体積が減少すると(すなわち、液体試薬がカプセル920から放出されると)、出口チャンバ928内に捕捉された微細気泡は、下側凹部966の基部における出口チャンバ928の周縁の周囲に保持される。
【0145】
ニップル部954,962は、入口チャンバ924および出口チャンバ928に加えられる力によって押しつぶされるため、ニップル部954,962は変形可能なカプセル本体では効果を減少させるであろうことが理解されよう。したがって、好ましくは、カプセル920は硬質カプセルと共に使用される。例えば、カプセル920の封止層936は、(例えば、図8および図9を参照して説明されるように)圧縮性層に取り付けられてもよい。
【0146】
半涙滴形状の液体貯蔵チャンバからの液体試薬の取り出し
図14は、図1から図4に示す液体処理装置100に取り付けられる、半涙滴形状の液体貯蔵チャンバ1026を有するカプセル1020の概略図である。カプセル1020は、主に液体貯蔵部1026内に保持される液体試薬1022を貯蔵する。図1から図4に関連して説明したように、液体処理装置100は、カプセル1020の入口チャンバ1024に第1の開口を形成し、かつ、カプセル1020の出口チャンバ1028に第2の開口を形成するように構成されたカプセルインターフェース機構を備える。液体試薬1022は、図1から図4に関連して上述したのと同様の方法でカプセル1020から放出され得る。
【0147】
あるいは、カプセル1020は、圧縮性層(例えば、図8および図9に関連して説明されるような)をさらに備えてもよい。さらなる代替案として、カプセル1020は、穿孔要素を備えない液体処理装置に取り付けられてもよく(例えば、図5から図7に関連して説明されるように)、この場合、カプセル1020の入口チャンバ1024および出口チャンバ1028は、凹部(充填されてもよい)を備えてもよく、好ましくはニップル部を含まない。
【0148】
代替の液体貯蔵チャンバの形状
図15Aから図15Cは、カプセル1120が平坦化されたドーム形状を有する液体貯蔵チャンバ1126を備える、代替のカプセル設計を示す。カプセル1120は、上述した液体処理装置のいずれかとともに使用できる。カプセル1120は、入口チャンバ1124および出口チャンバ1128を備える。入口チャンバ1124および出口チャンバ1128は、カプセル1120に孔が形成されることを可能にする凹部を備えるとして図15Aから図15Cに示されている。入口チャンバ1124および出口チャンバ1128は、代替的に、図10Aから図14を参照して説明されるカプセルの入口チャンバおよび出口チャンバの特徴を有する凹形状を有してもよい。
【0149】
液体貯蔵チャンバ1126は、平坦化されたドーム形状を有する。さらなる代替のカプセル設計では、液体貯蔵チャンバ1126は、その頂点がカプセルの高さを規定する丸みを帯びた円錐形状(または非扁平ドーム形状)を有してもよい。液体貯蔵チャンバ1126のこれらの形状は、最終的なカプセルの形状を提供するために変形させる材料が少なくて済むため、冷間成形を用いた製造がより容易であり得る。従って、液体貯蔵チャンバ1126のこれらの形状は、ホイルカプセル(foil capsule)について推奨される3:1のドロー比(ここで、ドロー比は、成形されたホイルの表面積を成形前のホイルの表面積で割ったものとして定義される)に、よりよく対応し得る。
【0150】
図16Aから図16Cは、カプセル1220が細長い形状を有する液体貯蔵チャンバ1226を備える、さらなる代替のカプセル設計を示す。カプセル1220は、上述した液体処理装置のいずれかと共に使用できる。カプセル1220は、図10Aから図14を参照して説明したカプセルの入口チャンバ及び出口チャンバの特徴を備え得る入口チャンバ1224及び出口チャンバ1228を備える。カプセル1220が図5から図7に示される液体処理装置300と共に使用される場合、入口及び出口チャンバ1224,1228は、代替的に凹部(充填されてもよい)を含んでもよい。
【0151】
カプセル1220の液体貯蔵チャンバ1226は、細長い形状を有する。具体的には、液体貯蔵チャンバ1226は、一定の断面を有する細長い部分1274によって分離された2つの半円錐形部分1272(それらの先端がカプセル120の高さを規定する)を備える。この場合も、液体貯蔵チャンバ1226のこの形状は、最終的なカプセルの形状を提供するために変形させる材料が少なくて済むので、冷間成形を使用して製造するのがより容易であり得る。
【0152】
図17Aおよび図17Bは、カプセル1320が、互いに隣接する入口チャンバ1324と出口チャンバ1328との間のU字形の液体貯蔵チャンバ1326を備える、さらなる代替的なカプセル設計を示す。カプセル1320は、(図1から図9に示される穿孔要素および/または窪み間の分離が減少することが理解されるであろうが、)上述された液体処理装置のいずれかと共に使用され得る。入口チャンバ1324および出口チャンバ1328は、図10Aから図14を参照して説明されるカプセルの入口チャンバおよび出口チャンバの特徴を備え得る。カプセル1320が図5から図7に示される液体処理装置300と共に使用される場合、入口チャンバ1324及び出口チャンバ1328は、代替的に凹部(充填されてもよい)を含んでもよい。
【0153】
カプセルの液体貯蔵チャンバ1326は、一定の断面を有するU字形部分1376を有する。液体貯蔵チャンバ1326はまた、U字形部分1376を制限部1330,1332に結合する丸みを帯びた端部1378を有する。この形状は、入口孔と出口孔とを他の形状よりも一緒に接近させることを可能にする。このことは、2つの孔を単一の動作で(例えば単一のアクチュエータを使用して)形成することがより容易であることを意味する。カプセル1320はまた、液体処理装置で利用可能な設置面積を効率的に使用するコンパクトな設計である。
【0154】
液体試薬の取り出し方法
図18は、カプセル(例えば、先の図に関連して説明したようなカプセル)から液体試薬を取り出す方法1400のフローチャートである。方法1400は、液体処理機器(すなわち、液体処理装置およびカプセル)が受け入れられる液体処理システムと組み合わせて、カプセルが取り付けられる液体処理装置(例えば、図1から図9に示されるような)を使用して実施され得る。特に、液体処理システムは、液体処理装置に対して、又は、液体処理装置に取り付けられたカプセルの1つ又は複数の部分に対して力を加えるように構成された1つ又は複数の作動可能要素を備え得る。液体処理システムはまた、空気供給導管(例えば、図3に示される空気供給導管70)を介して空気を供給するように構成された可変圧力源(例えばポンプ)を備えてもよい。
【0155】
1402において、カプセルの第1の孔およびカプセルの第2の孔が形成される。上述したように、第1の孔及び第2の孔は、カプセルとカプセルインターフェース機構との間の相対的な移動によって形成され得る。相対的な移動は、液体処理システムを用いてカプセル及び液体処理装置のうち1つ以上に力を加えることによって提供されてもよい。例えば、カプセルを変形させるために、液体処理システムによってカプセルに力が加えられてもよい。別の例として、カプセルの圧縮性層を圧縮するために、液体処理システムによって液体処理装置及び/又はカプセルに力が加えられてもよい。
【0156】
1404において、カプセルの第2の孔から液体試薬を排出するために、カプセルの第1の孔を介して気体が供給される。第1の孔を介して気体を供給することは、液体処理装置の気体供給ポートを、気体(例えば空気)を供給するように構成された可変圧力源(例えばポンプ)に結合することと、気体供給ポートおよび第1の孔と流体連通している液体処理装置の導管を介して、可変圧力源から第1の孔に気体を供給することと、を備え得る。
【0157】
液体処理装置が液体処理システムに挿入されると、液体処理システムは、方法1400のステップを実行でき得る。液体処理システムはまた、液体処理装置上で1つ以上の流体操作を実行することを可能にするソフトウェアを含み得る。ソフトウェアはまた、液体処理システムが方法1400のステップを実行することを可能にするように構成されてもよい。したがって、記載された方法は、コンピュータ実行可能命令を使用して実施されてもよい。コンピュータプログラム製品またはコンピュータ可読媒体は、コンピュータ実行可能命令を備え得るか、または格納し得る。コンピュータプログラム製品またはコンピュータ可読媒体は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、読み取り専用メモリ(ROM)、CD、DVD、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および/または、情報が任意の期間(例えば、長時間、永続的、短期間、一時的なバッファリングのため、および/または情報のキャッシュのため)記憶される任意の他の記憶媒体を備えてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータ実行可能命令を備えてもよい。コンピュータ可読媒体は、有形または非一過性のコンピュータ可読媒体であってもよい。「コンピュータ可読」という用語は、「機械可読」を包含する。
【0158】
カプセル構築
図19は、カプセル1520(例えば、図8及び図9に示すカプセル)の構築を示す概略図である。図19に示すように、カプセル1520は、第1の開口1538と1つ以上の第2の開口1540(図19では2つの第2の開口が示されている)とを備えるカプセル本体1534を備える。カプセル本体1534は、第1の制限部1530によって液体貯蔵チャンバ1526から分離された入口チャンバ1524と、第2の制限部1532によって液体貯蔵チャンバ1526から分離された出口チャンバ1528とを画定する。第1の開口1538は、入口チャンバ1524、液体貯蔵チャンバ1526および出口チャンバ1528の基部、ならびに、制限部1530,1532が位置する領域を横切って延びている。
【0159】
第1の開口1538の面積は、1つ以上の第2の開口1540の面積よりも大きい。例えば、1つ以上の第2の開口1540の総面積は、第1の開口1538の面積よりも50%小さく、好ましくは90%小さく、または、より好ましくは95%小さくてもよい。
【0160】
カプセル1520は、第1の開口1538を封止するように構成された第1の封止層1536と、1つ以上の第2の開口1540のうち対応する1つを封止するように各々構成された1つ以上の第2の封止層1542とを備える(2つの第2の封止層1542が図19に示されている)。あるいは、1つ以上の第2の封止層のうちの1つは、複数の第2の開口を封止するように構成されてもよい。例えば、テープ状の封止層が、互いに隣接する複数の第2の開口を封止してもよい(例えば、図17A及び図17Bのカプセル本体1334が、入口及び出口チャンバ1324,1328の各々の上部に開口を備える場合)。
【0161】
さらに、カプセル1520は、第1の通路1508および第2の通路1510を有する圧縮性層1506を備える。圧縮性層1506は、接着剤層1518を用いて第1の封止層1536に取り付けられている。
【0162】
カプセルの構築方法
図20は、カプセル(例えば、図19に示すカプセル1520)を構築する方法1600のフローチャートである。すなわち、カプセルは、第1の開口と1つ以上の第2の開口とを備えるカプセル本体を備える。一例として、第1の開口はカプセル本体の基部を横切って延び、一方、1つ以上の第2の開口はカプセル本体の表面(例えば、入口チャンバおよび/または出口チャンバの頂部の開口)に設けられる。その結果、1つ以上の第2の開口の面積は、第1の開口の面積よりも小さい。
【0163】
1602で、カプセル本体の第1の開口は、第1のシールを用いて熱封止される。この工程は、液体試薬の体積を保持するように構成された容器を形成する。
【0164】
1604で、容器は、1つ以上の第2の開口の少なくとも1つを介して液体試薬で充填される。具体的には、容器は、入口チャンバの上面に設けられた第2の開口を介して液体試薬で充填され得る。これにより、液体貯蔵チャンバと出口チャンバとの間の制限部により提供される毛細管ストップにより、液体試薬が出口チャンバに流入することなく、容器に液体試薬を充填することができる。
【0165】
例えば、液体試薬は、1つ以上の第2の開口のうちの(例えば入口チャンバ内の)第1のものに供給され得、1つ以上の第2の開口のうちの(例えば出口チャンバ内の)他のものは、液体試薬で充填される際にカプセルから移される空気を排出するために使用される。代替的または追加的に、(例えば入口チャンバ内の)1つ以上の第2の開口のうちの第1のものは、液体試薬の供給およびカプセルから移される空気の排出に適応するのに十分に大きくてもよい(この場合、1つの第2の開口のみが必要であり得る)。
【0166】
1606において、一旦容器が所望の体積の液体試薬で満たされると、1つ以上の第2の開口は、第2のシールを用いて封止され得る。例えば、1つ以上の第2の開口は、1つ以上の第2の開口を覆う1つ以上の封止層と、封止層(複数可)とカプセル本体との間の感圧接着剤とを用いて封止され得る。
【0167】
上述の方法1600を用いてカプセルを構築することにより、カプセル内の液体試薬は熱封止プロセスにさらされない。なぜなら、カプセルの熱封止は、カプセルが液体試薬で満たされる前に行われるからである。したがって、液体試薬が温度変化に敏感な場合、それは、液体試薬に損傷を引き起こす熱封止工程にさらされない。
【0168】
1606で1つ以上の第2の開口を封止する前に、入口チャンバを空気で満たし、かつ、液体試薬を入口チャンバから液体貯蔵チャンバに移すために、1つ以上の開口のうちの(例えば入口チャンバ内の)第1のものを介して空気が供給されてもよい。
【0169】
方法1600は、コンピュータ実装製造プロセスの一部として実施されてもよい。従って、記載された方法は、コンピュータ実行可能命令を用いて実施されてもよい。コンピュータプログラム製品またはコンピュータ可読媒体は、コンピュータ実行可能命令を備え得るか、または格納し得る。コンピュータプログラム製品またはコンピュータ可読媒体は、ハードディスクドライブ、フラッシュメモリ、読み出し専用メモリ(ROM)、CD、DVD、キャッシュ、ランダムアクセスメモリ(RAM)、および/または、情報が任意の期間(例えば、長時間、永続的、短期間、一時的なバッファリングのため、および/または情報のキャッシュのため)記憶される任意の他の記憶媒体を備えてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータ実行可能命令を備えてもよい。コンピュータ可読媒体は、有形または非一過性のコンピュータ可読媒体であってもよい。「コンピュータ可読」という用語は、「機械可読」を包含する。
【0170】
上述した実施例のカプセルは、3つのチャンバならびに第1及び第2の制限部を含むが、より少ない数のチャンバを持つカプセルが、上述した液体処理装置及びカプセルインターフェース機構と共に使用されてもよい。より少ない数のチャンバが使用される場合、カプセルから放出された液体試薬は、液体処理装置内の特定の場所に輸送される前に、液体処理装置内の第2の孔と流体連通するチャンバに排出されてもよい。これにより、液体試薬中のあらゆる気泡を排出できる。より少ない数のチャンバを有するカプセルは、(例えば、カプセル内の別の孔から液体試薬を排出するためにカプセル内の1つの孔を介して空気を供給することによって)カプセルから液体試薬のより大きな割合を放出するという上述の利点を提供する。
【0171】
単数形の用語「1つ(a)」および「1つ(an)」は、「1つだけ」を意味するものと解釈すべきではない。むしろ、別段の記載がない限り、「少なくとも1つ」または「1つ以上」を意味すると解釈すべきである。「備える(comprises)」及び「備える(comprises)」を含む「備える(comprising)」ならびにその派生語は、記載された各特徴を含むが、1つ以上のさらなる特徴を含むことを排除するものではない。
【0172】
上記の実施態様は、例示としてのみ記載されており、記載された実施態様は、全ての点において、例示としてのみ考慮され、制限的なものではない。本発明の範囲から逸脱することなく、記載された実施態様の変形がなされ得ることが理解されよう。また、説明されていないが、添付の特許請求の範囲に属する多くの変形例があることも明らかであろう。
図1
図2
図3
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図10F
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図12D
図13A
図13B
図13C
図14
図15A
図15B
図15C
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図18
図19
図20
【国際調査報告】