(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】加熱要素、加湿材料、及び含水量を判断するためのデバイスを備えた、腹腔鏡検査の送気管
(51)【国際特許分類】
A61B 17/34 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
A61B17/34
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561127
(86)(22)【出願日】2022-05-02
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 IB2022054025
(87)【国際公開番号】W WO2022229935
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】102021002272.6
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(31)【優先権主張番号】102021003506.2
(32)【優先日】2021-07-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】516060679
【氏名又は名称】ヴェーオーエム ワールド オブ メディスン ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100091683
【氏名又は名称】▲吉▼川 俊雄
(74)【代理人】
【識別番号】100179316
【氏名又は名称】市川 寛奈
(72)【発明者】
【氏名】ミュラー,ベルント
【テーマコード(参考)】
4C160
【Fターム(参考)】
4C160MM23
(57)【要約】
本発明は、腹腔鏡検査のための、統合された加熱要素及び加湿材料を伴う送気管を備え、それによって含水量の測定が可能である、送気装置に関する。加湿材料の含水量を測定するために、別個の水分センサは必要ない。既に送気管の一部である構成要素、特に加熱要素または温度センサの接続ワイヤを使用できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療技術で使用する、ガス供給のための送気装置及び送気管を備えた、送気デバイスであって、前記送気管はその内部に加湿材料を備え、前記加湿材料は加熱要素と接触し、前記加湿要素は、電流を適用することによって起動させることができるワイヤから構成され、
ここで前記送気デバイスは、前記送気管が、2本の互いに絶縁されたワイヤをさらに含み、それらは共にコンデンサを形成し、そのインピーダンスは前記加湿材料の湿度に依存することを特徴とする、デバイス。
【請求項2】
電気絶縁された前記ワイヤの少なくとも一方は、前記送気管の外壁上、前記送気管の壁内部、前記送気管の内壁上、または前記送気管の内側、に配置される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記送気管は、温度センサをさらに備える、請求項1に記載のデバイス。
【請求項4】
前記温度センサは、前記送気管の端部が患者に配設される、請求項2に記載のデバイス。
【請求項5】
前記コンデンサを形成する前記ワイヤの少なくとも一方は、前記温度センサの接続ケーブルによって形成される、請求項3または4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記コンデンサを形成する前記ワイヤの少なくとも一方は、加熱ワイヤによって形成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記コンデンサを形成する前記ワイヤの少なくとも一方は、金属製の編組管によって形成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
ガスが流れ抜ける、送気装置の送気管に位置された、加湿材料の水分量を測定するための方法であって、a)高周波電圧が、コンデンサを形成する2本のワイヤに印加されること、b)前記コンデンサのインピーダンスが判断されること、c)前記加湿材料の湿度が前記インピーダンスから判断されること、を特徴とする方法。
【請求項9】
請求項8に記載された、ガスが流れ抜ける、送気装置の送気管に含まれた、加湿材料の水分量を測定するための方法であって、a)高周波電圧がコンデンサを形成する2本のワイヤに印加されること、b)乾燥した加湿材料を用いて、前記コンデンサのインピーダンスが判断されること、c)前記加湿材料が加湿されること、d)加湿された加湿材料を用いて、前記コンデンサのインピーダンスが判断されること、e)前記送気管が、ガスが流れ抜けるように使用されること、f)前記加湿材料の湿度が、送気中のインピーダンスの変化から判断されること、を特徴とする方法。
【請求項10】
前記加湿材料の湿度が、予め設定された閾値を下回ったとき、警報信号を発することを特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項11】
前記予め設定された閾値は、最大湿度の50%、40%、30%、20%、10%、または5%に相当することを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記コンデンサのインピーダンスは、前記送気装置によって乾燥及び/または湿潤の加湿材料を用いて使用するよう意図する前に、高周波電圧を印加することによって測定されること、ならびに、周波数を変化させることによって、乾燥及び/または湿潤の加湿材料の、所定の公称インピーダンスが設定され、前記公称インピーダンスに達した周波数は、ガスの加湿を伴う意図した送気のために使用されること、を特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【請求項13】
乾燥及び/または湿潤の加湿材料を伴う、製造後の前記コンデンサのインピーダンスは、高周波電圧の印加によって測定されること、ならびに、周波数を変化させて、乾燥及び/または湿潤の加湿材料を用いて所定の公称インピーダンスが設定され、前記公称インピーダンスに達した周波数は、データキャリアに保存され、前記データキャリアは前記送気装置によって読み取られ、保存された前記データは、ガスの加湿を伴う意図した送気のために使用されること、を特徴とする、請求項8または9に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、腹腔鏡検査のための、統合された加熱要素及び加湿材料を備えた送気管を有し、それによって含水量の測定が可能である、送気装置に関する。
【背景技術】
【0002】
腹腔鏡検査は、腹腔及び臓器の内側の目視検査を可能にする、医療処置である。一般的に小さい皮膚切開(0.3~2センチメートル)が腹壁に成され、この切開部を通してトロカールが導入され、次にそれは光学デバイスを収容することができる。特別の内視鏡(腹腔鏡)が、腹腔を観察するために使用される。診断用の腹腔鏡検査において、腹腔は視覚的に検査されるのみであり、治療用の腹腔鏡検査においては、外科的処置も実施され得る。
【0003】
一般的に、腹腔鏡検査は、腹腔にガスを充填して気腹を作り出すことで開始する。空気、窒素、及び二酸化炭素(CO2)を含む、様々なガスが使用されている。二酸化炭素ガスの使用が、特に好結果をもたらす。特に長い腹腔鏡処置の間に、導入されるガスを加熱及び加湿することが有用であることが判明している。ガスの加熱は、患者が冷え込むのを防止するため、及び、恐らくは冷却ガスが入ることによる局所的な冷却の結果である、患者の拡散痛の知覚を避けるため、に使用される。加湿は、腹部の内面が、乾燥及び冷却することを防止するために使用される。
【0004】
これに対する提案は、従来技術において既に成されている。例えば、独国の特許である、独国特許出願公開第19510710号明細書は、ガスの湿度を調整する手段(例えばスポンジ)を含んだデバイスを開示しており、それは任意選択で追加の加熱要素を含み得る。
【0005】
独国特許出願公開第102013000492号明細書は、腹腔鏡検査のための、一体化された加熱要素を伴う管を記載しており、それは加湿材料も含む。この文献によると、加湿材料は、手術の前に水を用いて加湿される。そこで記載された材料の吸水率、ガス量のフロー、及び手術の継続時間に依存して、手術中に加湿材料の再加湿を要する場合がある。水分蒸発の速さは、いくつかのパラメータに依存するので、いつ補給が可能であるかは、推定することができるだけである。代替として、加湿センサを使用してガスチャネルの中のガス湿度を判断する設計が記載されている。しかし、これはいくつかの不利点を有する。まず、湿度センサは電気接続されなければならず、それはフィルタのインターフェースの設計を複雑にする。追加として、湿度センサは、ガスチャネルの中で大幅な流れの抵抗を作り出す。これは、低い流量をもたらし、それは現在のフローの要求に逆行する。
【0006】
医療技術における、ガスを加湿するための別のデバイスが、独国特許出願公開第3617031号明細書(優先権:ニュージーランド国特許第21263号明細書、ニュージーランド国特許第215123号明細書、及びニュージーランド国特許第214694号明細書)に記載されている。管システムに関して、それは複雑な方法で製造する必要があり、管は常に水で充填されて提供される。水蒸気は、微小管壁を通してガスとして解放される。センサは、水の温度を監視する。
【0007】
先行技術で公知である別の解決策は、湿度センサを使用することである。このような解決策の1つとして、国際公開第2017/157365号に記載されるような、加熱中に温度曲線を測定するセンサを挙げることができる。
【0008】
湿度センサを用いずに残余湿度を判断するための別の方法は、「水和警報」と題する米国特許第8836521号明細書に記載されている。実施される熱処理(電気処理)が決定され、加湿媒体の補給を使用者に警告を発するよう使用される。それは、再充填の警報を発するための、送気された膨張媒体の合計量を、いかにして使用するかも記載されている。記載されたこの解決策の不利点は、加湿するひもに存在する加湿媒体を間接的にしか判断しないことと共に、デバイスにおけるセンサ及び装備の高いコストである。
【0009】
欧州特許出願公開第2388041号明細書は、送気中に薬剤を体内に導入するためのデバイスを記載している。記載されたデバイスは、湿度センサを含み得る。それは同様に容量測定に基づいている。
【0010】
米国特許第5483414号明細書は、物理パラメータ、特に温度を測定するための、インピーダンスセンサを記載している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】独国特許出願公開第19510710号明細書
【特許文献2】独国特許出願公開第102013000492号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第3617031号明細書
【特許文献4】国際公開第2017/157365号
【特許文献5】米国特許第8836521号明細書
【特許文献6】欧州特許出願公開第2388041号明細書
【特許文献7】米国特許第5483414号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、従来技術で公知である解決策の不利点を克服すること、及び追加のセンサなしで加湿材料の湿度を測定できる送気デバイスを提供すること、を意図する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、加湿する材料の誘電率を測定することができる加熱管の、実施形態を教示する。本発明による解決策の基本原則は、コンデンサに類似した加熱管を構成することである。
【0014】
電気工学において、コンデンサは受動素子として知られている。原則としてコンデンサは、誘電体である絶縁材料によって互いに離隔された、2つの導電面(電極)から構成される。プレート状の電極(コンデンサ極板)は、このようなコンデンサにおいて一般的な設計である。コンデンサの電気特性は、表面積、容積、及び電極間の距離だけではなく、プレート間の誘電体の誘電率によっても決定される。
【0015】
交流電流が適用された場合、コンデンサが抵抗を形成することも、よく知られている。このAC抵抗は、インピーダンスとも呼ばれ、複合AC抵抗と表わすことができる。インピーダンスは、先行技術で記載された方法によって、特に適用した交流電流の抵抗を測ることによって、測定することができる。
【0016】
「複合抵抗」としてのコンデンサの説明は必要である。なぜなら、数式(I)によって計算される抵抗
(I)R=U/I
は、時間に依存するためである。必要な計算方法は、電気工学の教本に詳細に記載されている。
【0017】
コンデンサのインピーダンスまたは複合抵抗が、誘電体の誘電率εを変えることによって変化することは、本発明に関連する。
【0018】
この場合、誘電体は、主に加湿材料、及びその水分量(「含水量」)から構成される。水の導電性のため、電極は、互いから電気絶縁されなければならない。この目的のため、電極の少なくとも一方は、電気絶縁体でコーティングされる。
【0019】
本発明による適用目的、すなわち加熱要素及び水分加湿材料を含んだ送気管の内側における湿度を測定するために、最も簡単なケースにおいて、2本のワイヤを、上述のようなコンデンサを形成する電極として配置することができる。これらのワイヤは、管の内腔の中に配置することができ、特にワイヤは、管の内壁に(例えば接着または溶接で)固定することができる。固定が推奨される。なぜなら、固定しなければインピーダンスは、加熱管の考えられる動きを伴い変化し得るからである。他の可能性として、これらのワイヤを管壁の中に(例えば成型で)統合するか、またはワイヤを管の外壁に(例えば接着で)装着することが挙げられる。管内の配置が好ましい。ワイヤは、主に直線に(管の方向に対して平行に)配置することができる。代替として、ワイヤは、管壁に沿って螺旋状に配置することができる。本発明の機能のために、加湿材料はワイヤ間に位置されることが重要である。このように、反対の極の2本のワイヤは、少なくとも一方を絶縁しなければならないが、コンデンサを形成して、その(一定の周波数における)インピーダンスは、誘電体の特性に依存する。誘電体の含水量が変えられると、インピーダンスが変化し、それは測定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明による送気管の構造を示す概略図である。空の管が上の図に示される。2本のワイヤが管の中に挿入され、管壁に装着される(真中の図)。互いから電気絶縁されたワイヤは、コンデンサとして作用し、そのインピーダンスは、それらの間の媒体に依存する。送気装置への接続が示される。周りに巻かれた加熱ワイヤを伴う加湿材料が、下の図に示される。加熱のための電気接続も示される。
【
図2】コンデンサを形成するワイヤが、温度センサの接続ケーブルによって形成された、本発明の実施形態を示す図である。
【
図3】コンデンサを形成するワイヤの一方が、加熱ワイヤによって形成された、本発明の代替の実施形態を示す図である。任意選択の変形において、温度も加熱ワイヤによって測定することができる(国際公開第2014/111083号に類似)。
【
図4】測定サイクルの例及び結果を示すグラフである。サンプル管は、初めに乾燥状態で測定され、100オームのインピーダンスを示す。t=0のとき、10ミリリットルの蒸留水で加湿され、インピーダンスは10オームまで降下した。ガス(ここではCO )をサンプルに通過させ、サンプルを39℃まで加熱することで、水は時間と共に、またはガスフロー(ここでは10リットル/分の一定のガスフロー)を伴い蒸発する。200リットルが流れ抜けた後、水は事実上全て使い果たされ、加湿材料は再び乾燥し、100オームの当初のインピーダンスが(概ね)再び測定された。等張性の生理食塩水(破線)が、(蒸留)水の代わりに使用された場合、測定された絶対値が異なることが確認できる。しかし、測定曲線の形状は類似し、そのため湿度測定もこの場合可能である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明による送気管の構造を概略で示す。空の管が上の図に示される。2本のワイヤが管の中に挿入され、管壁に装着される(真中の図)。ワイヤは電極として作用する。ワイヤ(電極)は互いから電気絶縁され、間の媒体と共に互いにコンデンサを形成する。送気装置への接続が示される。周りに巻かれた加熱ワイヤを伴う加湿材料が、下の図に示される。加熱ワイヤのための電気接続も示される。
【0022】
本発明による送気管は、一般に乾燥状態で送気装置に接続され、送気装置は初めに乾燥状態で、すなわち乾燥した加湿材料を用いてインピーダンスを測定する。加湿材料は、次に適切な量の加湿材料(例えば水)を用いて加湿される。これに必要な水の量は、管内の加湿材料の量に依存する。この管は、水充填ポートを有し得る。加湿後、インピーダンスを再び測定する。手術中、加湿材料は、空気中に水を解放する。次にインピーダンスは、乾燥した管のレベルまで戻る。
【0023】
研究は、径0.1~1mmの単純な金属製(例えば銅)ワイヤが、加湿材料の誘電特性の変化を測定するために十分であることを示している(以下を参照)。
図4は、送気時間の関数としての、インピーダンスの測定された変化を概略で示す。
【0024】
ワイヤの生成に関連した変動(例えばワイヤの径、長さ)またはそれらの経路設定が、インピーダンスに小さい変化をもたらす場合があることが判明している。インピーダンスは周波数に依存するので、このような変動は、周波数変化によって相殺される場合がある。本発明の特定の実施形態において、インピーダンスは乾燥及び/または湿潤状態で送気装置によって測定され、適用した交流電流の周波数を変化させることによって、所定の公称インピーダンスに調整される。
【0025】
本発明の代替の実施形態において、インピーダンスは、製造後に乾燥及び/または湿潤状態で測定され、測定値はデータキャリアに保存される。保存されたデータは、以下を含み得る:
-1つまたは複数の測定周波数における(乾燥した加湿材料を用いた)インピーダンス;
-1つまたは複数の測定周波数における(湿潤の加湿材料を用いた)インピーダンス;
-湿潤の加湿材料を用いて所与のインピーダンスを実現するための、測定周波数;
-乾燥した加湿材料を用いて所与のインピーダンスを実現するための、測定周波数。
【0026】
データは、例えばRFIDチップ、磁気テープ、またはバーコードに保存することができ、送気装置は、適合性のある読み取り機を有しなければならない。この場合、送気装置は、送気管の装着中または装着後に、保存したデータを読み取り、デバイスを調整するためにそれを使用する。
【0027】
本発明の別の実施形態において、コンデンサを形成するワイヤが、温度センサの接続ケーブルによって形成される。この実施形態において、一般的な温度センサ(例えばDS18S20)が、管の中に設置される。いずれの場合も、コンデンサが短絡しないように、測定のために使用されるAC周波数において、高いインピーダンスの、温度に依存した抵抗器でなければならない。基本的な回路図が
図2に示される。本発明のこの実施形態において、温度及び含水量は同時に測定できない。これらの特性は、順番に、特に連続して交互に測定される。直流を2本の接続ケーブルに適用することによって、温度センサの抵抗を測定することができ、そこから温度は判断される。高周波の交流電流を提供することによって、形成されたコンデンサのインピーダンスを測定することが可能であり、それは加湿材料の湿度に関連する。
【0028】
この実施形態の利点は、追加の湿度センサを必要としないことである。同時に、管の中のワイヤ数は制限される。さらにこの実施形態において、温度センサのためのリードワイヤを、管の外側もしくは内側、または管壁の内部に設置することができる。
【0029】
本発明の別の代替実施形態において、コンデンサを形成するワイヤの一方も、加熱ワイヤであってもよい(
図3)。加熱ワイヤを伴う送気管は、例えば国際公開第2014/111083号に記載されている。この実施形態において、やはり一時的な交互の加熱または測定のみが可能である。加熱ワイヤに直流電流を適用することによって、オーム抵抗を介して熱を発現させ、それが、通過するガス及び加湿材料を加熱する。さらに、既に上述した利点は、管の中に追加の構成要素を導入させる必要なく実現され、それによって既に存在する構成要素を使用して測定できる。高周波AC電圧を、一方の側で加熱ワイヤに、及び他方の側で平行のワイヤに印加することによって、得られたコンデンサのインピーダンスを判断することができ、これから加湿材料の湿度を判断することができる。
【0030】
本発明の好ましい実施形態において、送気管の中へのガスフローは、編組管として形成され、次に送気管内に位置付けられた加湿材料を通る。国際公開第2014/111083号に記載されるように、編組管は、加湿材料及び加熱ワイヤによっても巻かれ得る。いずれの場合も、編組管を流れ抜けるガスは、シース面の孔を通して出て、加熱かつ加湿される。本発明の1つの実施形態において、金属製の編組管を使用することで、コンデンサ領域の増加が測定の質に、有利に影響を及ぼす場合がある。
【0031】
加熱ワイヤが、抵抗が温度と共に増加する材料(国際公開第2014/111084号に記載されているような、正または負の温度係数(PTCまたはNTC)を伴う材料)の場合、温度は、加熱ワイヤの抵抗を測ることによっても測定することができる。このような温度測定の詳細は、国際公開第2014/111084号に記載されており、それを参照することができる。本発明のこのような実施形態において、加熱期間と、加湿材料の湿度測定及び温度測定のための測定期間とは、周期的に交互に行う。このような配置におけるデジタル測定センサの使用は、あまり推奨できない。なぜならバスシステムとしての、デジタル温度センサの供給ラインは、RF信号の放射のために干渉を受けやすいからである。
【0032】
本発明による加湿材料の湿度の測定は、基本的に公知の方法によって、すなわち適用される可能な最大周波数(例えば100kHz~100MHz)の交流電流で、インピーダンスを測定することによって、行われる。インピーダンスが、本発明によるデバイスの正確な構造に依存するので(とりわけコンデンサを形成するワイヤ間の距離、加湿材料のタイプ、加湿材料の組成、ワイヤの幾何学的配置など)、インピーダンスの測定は、このような管の各構造について行わなければならない。この目的のため、以下で示す管構造は、最初に加湿材料(水)なしで実現され、形成されたコンデンサのインピーダンスは、通常の方法で測定される。次に、加湿材料(水)を加えることで、加湿材料は最大限に加湿される。次に、管を加熱するためにダミーが使用され、ガスが流れ抜けるのを可能にする。この処理の間、インピーダンスは継続的または周期的に測定され、インピーダンス曲線が記録される。本発明による、このような送気管の考えられる様々な設計のため、インピーダンスの絶対値は比較的重要ではない。重要なのは、加湿材料の加湿程度に関連した、インピーダンスの経過である。
【0033】
図4は、測定サイクルの例及び結果を示す。サンプル管は、初めに乾燥で測定され、100オームのインピーダンスを示す。水10ミリリットルで加湿することで、インピーダンスは10オームまで降下する。ガス(ここではCO )をサンプルに通過させ、サンプルを39℃まで加熱することで、水は時間と共に、またはガスフロー(ここでは10リットル/分の一定のガスフロー)を伴い蒸発する。200リットルが流れ抜けた後、水は事実上全て使い果たされ、加湿材料は再び乾燥し、100オームの当初のインピーダンスが(概ね)再び測定された。等張性の生理食塩水が、(蒸留)水の代わりに使用された場合、測定された絶対値が異なることが確認できる。しかし、測定曲線の形状は類似し、そのため湿度測定はこの場合も同様に可能である。
【0034】
本発明の主な目的は、水分量に対する加湿材料の状態、すなわち加湿材料の水分量の状態を、最初に言及した不利点を被ることなく、判断することである。主な目的は、補給警報/信号、すなわち水の補給が必要とされるときに、使用者に知らせる信号を生成することである。
【0035】
例えば、警報信号は、加湿材料の水分量が予め設定された閾値を下回って降下したときに、発することができる。例えば、警報信号は、予め設定された閾値が、最大湿度の50%、40%、30%、20%、10%、または5%のときに、発することができる。
【0036】
本発明に関して、用語「加湿材料の水分量」及び「加湿材料の湿度」は、同義語と考慮する。
【国際調査報告】