(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】合成皮革
(51)【国際特許分類】
D06N 3/04 20060101AFI20240403BHJP
C08L 23/04 20060101ALI20240403BHJP
C08L 91/00 20060101ALI20240403BHJP
B32B 27/12 20060101ALI20240403BHJP
B32B 27/32 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
D06N3/04
C08L23/04
C08L91/00
B32B27/12
B32B27/32 102
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561196
(86)(22)【出願日】2021-04-09
(85)【翻訳文提出日】2023-10-04
(86)【国際出願番号】 CN2021086150
(87)【国際公開番号】W WO2022213359
(87)【国際公開日】2022-10-13
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】502141050
【氏名又は名称】ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ユンフォン
(72)【発明者】
【氏名】リュー、シュエジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヤン、ホン
(72)【発明者】
【氏名】マデンジャン、リサ エス.
【テーマコード(参考)】
4F055
4F100
4J002
【Fターム(参考)】
4F055AA01
4F055BA12
4F055BA13
4F055CA05
4F055FA05
4F055GA26
4F100AH01A
4F100AH01H
4F100AJ11A
4F100AJ11H
4F100AK04A
4F100AK62A
4F100AK62J
4F100AL02A
4F100AL02J
4F100AL05A
4F100AT00
4F100BA02
4F100CA04A
4F100CA04H
4F100CA19A
4F100CA19H
4F100DG11B
4F100GB72
4F100GB74
4F100JA06
4F100JA13
4J002AE002
4J002BB021
4J002BB051
4J002BP031
4J002FD026
4J002FD046
4J002FD056
4J002FD076
4J002FD096
4J002FD146
4J002FD156
4J002FD346
4J002GC00
4J002GK00
4J002GN00
(57)【要約】
物品が提供され、物品は、(A)最上層の総重量に基づいて、(i)70重量%~88重量%のエチレン系ポリマーと、(ii)12重量%~30重量%の油とから構成される組成物から構成された最上層を含む。物品は、(B)テキスタイルから構成された最下層を更に含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品であって、
A.最上層であって、
(i)70重量%~88重量%のエチレン系ポリマーと、
(ii)前記最上層の総重量に基づいて、12重量%~30重量%の油と、
(iii)任意選択の添加剤と、を含む組成物から構成され、
(i)、(ii)、及び(iii)の量を合計すると、前記最上層の100重量%になる、最上層と、
B.テキスタイルを含む最下層と、を含む、物品。
【請求項2】
前記エチレン系ポリマーが、エチレン/C
4~C
8α-オレフィンコポリマー、エチレン/C
4~C
8α-オレフィンマルチブロックコポリマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記エチレン系ポリマーが、
0.857g/cc~0.88g/ccの密度、
0.5g/10分~20g/10分のメルトインデックス、及び
75以下のショアA値を有する、エチレン/C
4~C
8α-オレフィンコポリマーである、請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記エチレン系ポリマーが、
0.857g/cc~0.88g/ccの密度、
0.5g/10分~20g/10分のメルトインデックス、及び
75以下のショアA値を有する、エチレン/C
4~C
8α-オレフィンマルチブロックコポリマーである、請求項2に記載の物品。
【請求項5】
80重量%~87重量%の前記エチレン/C
4~C
8α-オレフィンコポリマーと、
13重量%~20重量%の前記油と、を含み、
前記最上層が、86,000超のベーリー耐屈曲性値を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
30重量%~50重量%のエチレン/C
4~C
8α-オレフィンマルチブロックコポリマーと、
30重量%~50重量%のエチレン/C
4~C
8α-オレフィンコポリマーと、
13重量%~30重量%の前記油と、を含み、
前記最上層が、86,000超のベーリー耐屈曲性値を有する、請求項1~4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項7】
前記最上層の前記組成物が、2g/10分超~10g/10分のメルトインデックスを有する、請求項5又は6に記載の物品。
【請求項8】
前記最上層の前記組成物が、80未満のショアA値を有する、請求項5~7のいずれか一項に記載の物品。
【請求項9】
C.中間発泡体層であって、
(i)エチレン系ポリマーと、
(ii)前記中間発泡体層の総重量に基づいて、10重量%~30重量%の油と、を含む組成物から構成された、中間発泡体層を含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の物品。
【請求項10】
前記中間発泡体層中の前記エチレン系ポリマーが、エチレン/α-オレフィンコポリマー、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9に記載の物品。
【請求項11】
前記中間発泡体層中の前記エチレン系ポリマーが、
0.857g/cc~0.88g/ccの密度、
0.5g/10分~20g/10分のメルトインデックス、及び
75以下のショアA値を有する、エチレン/C
4~C
8α-オレフィンコポリマーである、請求項10に記載の物品。
【請求項12】
前記中間発泡体層中の前記エチレン系ポリマーが、
0.857g/cc~0.88g/ccの密度、
0.5g/10分~20g/10分のメルトインデックス、及び
75以下のショアA値を有する、エチレン/C
4~C
8α-オレフィンマルチブロックコポリマーである、請求項10に記載の物品。
【請求項13】
前記中間発泡体層が、
80重量%~87重量%の前記エチレン/C
4~C
8α-オレフィンコポリマーと、
10重量%~20重量%の前記油と、を含み、
前記中間発泡体層が、60,000超のベーリー耐屈曲性値を有する、請求項9~12のいずれか一項に記載の物品。
【請求項14】
前記中間発泡体層が、
30重量%~50重量%のエチレン/C
4~C
8α-オレフィンマルチブロックコポリマーと、
30重量%~50重量%のエチレン/C
4~C
8α-オレフィンコポリマーと、
10重量%~30重量%の前記油と、を含み、
前記中間発泡体層が、86,000超のベーリー耐屈曲性値を有する、請求項9~12のいずれか一項に記載の物品。
【請求項15】
前記油が、任意の他の種類の油を除いた鉱油である、請求項1~14のいずれか一項に記載の物品。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
合成皮革の用途は増え続けている。合成皮革は、衣類、履物、バッグ及び旅行かばん、家庭用室内装飾品、並びに自動車シートを製造するために使用される。合成皮革は、天然皮革と比較して、類似の性能及び手触りを示す。合成皮革は、動物に優しいという利点を提供し、天然皮革と比較して製造が安価である。
【0002】
従来の合成皮革には欠点がある。ポリウレタン系合成皮革(polyurethane-based synthetic leather、PU皮革)の製造は、ポリウレタン合成皮革マトリックスを形成するために、有機溶媒、典型的にはジメチルホルムアミド(dimethyl formamide、DMF)の使用を必要とする。DMFは、製造業者、加工業者、消費者、及び環境に有害である。
【0003】
ポリ塩化ビニル合成皮革(polyvinyl chloride synthetic leather、PVC皮革)は、ハロゲン化ポリマー及び可塑剤、典型的にはフタレート系可塑剤を必要とする。ハロゲン化ポリマー及びフタレート系可塑剤はそれぞれ、製造業者、加工業者、消費者、及び環境にとって有害である。
【0004】
ポリオレフィンエラストマー系合成皮革(polyolefin elastomer based synthetic leather、POE皮革)は、ハロゲンを含まず、フタレートを含まず、POE皮革の製造は、DMFなどの有害な溶媒の使用を必要としないので有利である。POE皮革は、その熱可塑性の性質のためにリサイクル性という追加の利点を有する。性能の観点から、POEは、優れた耐候性及び低温屈曲性を有し、加水分解に耐性があり、黄変に耐性がある。更に、POE皮革は、PU皮革及びPVC皮革のそれぞれの密度と比較してより低い密度を有するので、POE皮革は、旅行かばん/バッグ、靴及び自動車内装セグメントにおいて現在生じている軽量化の傾向に有利であることが見出されている。
【0005】
それ故に、当技術分野は、POE皮革の必要性を認識している。当技術分野では更に、PU皮革及び/又はPVC合成皮革のベーリー耐屈曲性能(bally flex resistance)及び柔軟性を満たすか又はそれを上回るベーリー耐屈曲性能及び柔軟性を有するPOE皮革が必要であることが、認識されている。
【発明の概要】
【0006】
本開示は、物品を提供する。一実施形態では、物品が提供され、物品は、(A)最上層の総重量に基づいて、(i)70重量%~88重量%のエチレン系ポリマーと、(ii)12重量%~30重量%の油とから構成される組成物から構成された最上層を含む。物品は、(B)テキスタイルから構成された最下層を更に含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】本発明の実施例3(Inventive Example、IE3)を比較試料7(comparative sample、CS7)と比較する動的機械分光グラフである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
定義
元素周期表への任意の参照は、CRC Press,Inc.,1990-1991によって出版されたものへの参照である。この表での元素群への参照は、群に番号を付けるための新しい表記法によるものである。
【0009】
米国特許実務の目的のために、任意の参照される特許、特許出願又は公開の内容は、特に定義の開示(具体的に本開示で提供されるいずれの定義とも矛盾しない範囲)及び当該技術分野における一般知識に関して、参照によりそれらの全体が組み込まれる(又はそれと等価な米国版がそのように参照により組み込まれる)。
【0010】
本明細書に開示される数値範囲は、下限値~上限値の全ての値(境界値も含む)を含む。明示的な値を含有する範囲(例えば1、又は2、又は3~5、又は6、又は7の範囲)の場合、2つの明示的な値の間の任意の部分範囲が含まれる(例えば、上記の範囲1~7には、部分範囲1~2、2~6、5~7、3~7、5~6、などが含まれる)。
【0011】
特に反対の記載がないか、文脈から暗示されるか、又は当該技術分野で慣習的でない限り、全ての部及びパーセントは、重量に基づき、全ての試験方法は、本開示の出願日時点で最新のものである。
【0012】
本明細書で使用される「ブレンド」又は「ポリマーブレンド」という用語は、2つ以上のポリマーのブレンドである。そのようなブレンドは、混和性(分子レベルで相分離しない)であっても、そうでなくてもよい。このようなブレンドは、相分離していても、していなくてもよい。このようなブレンドは、透過電子分光法、光散乱、X線散乱、及び当該技術分野において既知の他の方法から判定される、1つ以上のドメイン構成を含んでいても、含んでいなくてもよい。
【0013】
「組成物」という用語は、組成物を含む材料の混合物、並びに組成物の材料から形成された反応生成物及び分解生成物を指す。
【0014】
「含む(comprising)」、「含む(including)」、「有する」という用語、及びそれらの派生語は、それが具体的に開示されているかどうかにかかわらず、任意の追加の構成成分、工程又は手順の存在を除外することを意図するものではない。いかなる疑念も避けるために、「含む(comprising)」という用語の使用を通して特許請求される全ての組成物は、別段矛盾する記述がない限り、ポリマー性か又は別のものであるかにかかわらず、任意の追加の添加剤、アジュバント、又は化合物を含み得る。対照的に、「から本質的になる(consisting essentially of)」という用語は、任意の後続の詳述の範囲から、操作性に必要不可欠ではないものを除き、任意のその他の成分、工程、又は手順を除外する。「からなる(consisting of)」という用語は、具体的に記述又は列挙されていない任意の構成要素、工程、又は手順を除外する。「又は」という用語は、別途明記しない限り、列挙された項目を個々に、並びに任意の組み合わせで指す。
【0015】
本明細書で使用する場合、「エチレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセントを超える重合エチレンモノマーを含有し、所望により、少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。
【0016】
「生地」は、個々の繊維又は糸から形成された、織られた、又は不織の(ニットなど)構造である。
【0017】
「繊維」及び類似の用語は、絡み合ったフィラメントの細長いカラムを指す。繊維径は、様々な方法で測定及び報告することができる。概して、繊維径は、1フィラメント当たりのデニールで測定する。デニールは、繊維の長さ9,000メートル当たりのその繊維のグラム数として定義されるテキスタイル用語である。モノフィラメントは、一般に、15超、通常は30超の1フィラメント当たりのデニールを有する押出しストランドを指す。微細デニール繊維とは、一般に、15以下のデニールを有する繊維を指す。マイクロデニール(別名マイクロ繊維)とは、一般に、100マイクロメートル以下の直径を有する繊維を指す。
【0018】
「フィラメント」及び類似の用語とは、概して、円形の断面、及び10超の長さ対直径比を有する、単一の連続した伸長材料のストランドを指す。
【0019】
本明細書で使用する場合、「発泡体」又は「発泡体物品」という用語は、ポリマーから構築された構造であり、構造は、ポリマーによって完全に取り囲まれた複数の別個のガスポケット又は発泡体セルを含む。本明細書で使用する場合、「発泡体気泡」又は「気泡」という用語は、発泡体組成物内の別個の空間である。発泡体気泡は、発泡体組成物のポリマーで構成された膜壁によって分離されるか、又は別様に画定される。
【0020】
「インターポリマー」とは、少なくとも2つの異なるモノマーの重合によって調製されたポリマーである。この総称は、2つの異なるモノマーから調製されたポリマー、及び3つ以上の異なるモノマーから調製されたポリマー、例えばターポリマー、テトラポリマーなどを指すために通常用いられるコポリマーを含む。
【0021】
「ニット生地」は、手によって、編み針で、又は機械上で、糸又は繊維を一連の連結したループに絡み合せることから形成される。生地は、縦編み又は横編み、平編み、及び丸編みによって形成することができる。好適な縦編みの非限定的な例としては、トリコット、ラッセルパワーネット、及びレースが挙げられる。好適な横編みの非限定的な例には、丸編み、平編み、及びシームレス(これは多くの場合丸編みのサブセットとみなされる)が含まれる。
【0022】
「不織の」とは、ランダムに交錯させ合って配置されているが、ただし、ニット生地の場合のように識別可能な様式では交錯させ合って配置されていない、個々の繊維又はより糸の構造を有するウェブ又は生地である。
【0023】
「オレフィン系ポリマー」又は「ポリオレフィン」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセント超の重合オレフィンモノマーを含有するポリマーであり、任意選択で少なくとも1つのコモノマーを含有し得る。オレフィン系ポリマーの非限定的な例は、エチレン系ポリマーである。
【0024】
「ポリマー」は、ポリマーを構成する複数の及び/又は反復する「単位」又は「構造単位」を重合形態で提供する、同一の種類であるか異なる種類であるかにかかわらずモノマーを重合させることによって調製される、化合物である。したがって、一般的なポリマーという用語は、ただ1つの種類のモノマーのみから調製されるポリマーを指すために通常用いられるホモポリマーという用語と、少なくとも2つの種類のモノマーから調製されるポリマーを指すために通常用いられるコポリマーという用語と、を包含する。また、例えば、ランダム、ブロックなどの全ての形態のコポリマーも包含する。「エチレン/α-オレフィンポリマー」及び「プロピレン/α-オレフィンポリマー」という用語は、それぞれエチレン又はプロピレンを重合させて調製した上述のコポリマー及び1つ以上の追加の重合性α-オレフィンモノマーを示す。ポリマーは、多くの場合、特定されたモノマー又はモノマーの種類に「基づいて」、特定されたモノマー含有量を「含有している」など、1つ以上の特定されたモノマー「から作製される」ものとして言及されるが、この文脈では、「モノマー」という用語は、特定されたモノマーの重合残留物を指し、非重合種には言及していないと理解されることに留意されたい。概して、本明細書におけるポリマーは、対応するモノマーの重合形態である「単位」に基づくものとして言及される。
【0025】
「プロピレン系ポリマー」は、(重合性モノマーの総量に基づいて)50重量パーセントを超える重合プロピレンモノマーを含有し、任意選択で、少なくとも1つのコモノマーを含有し得るポリマーである。
【0026】
「スチレン」は、以下の構造Aを有する。「スチレン系ポリマー」は、モノマーとして重合スチレンを含有するポリマーである。
【0027】
【0028】
「織られた」とは、識別可能な様式で、一定のパターンで交錯させ合って配置された個々の繊維又はより糸の構造を有するウェブ又は生地を指す。織られた生地の非限定的な例は、ニット生地である。
【0029】
試験方法
ベーリー屈曲性試験は、ASTM D6182に従って25℃で実施される。ベーリー屈曲試験は、試験片を繰り返し曲げることによって、合成皮革、皮革及び布に塗布されたコーティングの耐久性を決定する。ベーリー屈曲試験機は、DIN 53351に準拠し、100サイクル/分の速度で動作する。終了サイクルは、プラーク表面に亀裂が生じたサイクルによって決定され、ベーリー屈曲結果として報告される。各試料について2つの試験片を試験し、平均値をベーリー耐屈曲性値として報告した。結果をサイクル数で報告する。2つの試験片について100,000サイクル後に亀裂/損傷が見出されない場合、結果は「100,000より大きい」又は「>100k」として報告される。
【0030】
密度を、ASTM D792、方法Bに従い測定する。結果を、1立方センチメートル当たりのグラム単位(g/cc)で記録する。
【0031】
示差走査熱量測定(Differential Scanning Calorimetry、DSC)。示差走査熱量測定(DSC)を使用して、広範囲にわたる温度のポリマーの融解、結晶化、及びガラス転移挙動を測定し得る。例えば、RCS(冷蔵冷却システム(refrigerated cooling system))及びオートサンプラーを備えたTA Instruments Q2000 DSCを使用して、本分析を実行する。試験中、50ml/分の窒素パージガス流量を使用する。各試料を約175℃で融解圧縮して薄膜にし、次に、融解した試料を室温(約25℃)まで空冷する。3~10mg、直径6mmの試験片を冷却したポリマーから抽出し、秤量し、軽量アルミニウムパン(約50mg)内に置き、圧着して閉じる。次に、その熱特性を決定するために分析を実行する。
【0032】
試料の熱挙動は、試料温度を昇降させて熱流対温度のプロファイルを創出することにより決定する。まず、試料を180℃に急速に加熱し、3分間等温に保持して熱履歴を除去する。次に、試料を10℃/分の冷却速度で-80℃まで冷却し、-80℃で3分間、等温で保持する。次いで、試料を10℃/分の加熱速度で180℃に加熱する(これが「第2の加熱」上昇である)。冷却曲線及び第2の加熱曲線を記録する。ベースラインエンドポイントを結晶化の開始から-20℃までに設定することによって、冷却曲線を分析する。ベースラインエンドポイントを-20℃から融解終了までに設定することによって、熱曲線を分析する。決定される値は、外挿融解開始点Tm及び外挿結晶化開始点Tcである。融解熱(Hf)(1グラム当たりのジュール)、並びに以下の式を使用して計算されたポリエチレン試料の結晶化度%である:結晶化度%=((Hf)/292J/g)×100。
【0033】
第2の加熱曲線から、融解熱(Hf)(融解エンタルピーとしても周知)及びピーク融解温度が報告される。
【0034】
融点Tmは、まず融解転移の開始と終了との間にベースラインを引くことにより、DSC加熱曲線から決定される。次に、融解ピークの低温側のデータに接線を引く。この線がベースラインと交差する箇所が、外挿融解開始点(Tm)である。これは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,in Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,277-278(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に記載されている通りである。
【0035】
ガラス転移温度Tgは、Bernhard Wunderlich,The Basis of Thermal Analysis,in Thermal Characterization of Polymeric Materials 92,278-279(Edith A.Turi ed.,2d ed.1997)に記載されている通り、試料の半分が液体の熱容量を獲得したDSC加熱曲線から求められる。ガラス転移領域の下及び上からベースラインを引き、Tg領域を通して外挿する。試料の熱容量がこれらのベースラインの中間となる温度が、Tgである。
【0036】
動的機械分光法(Dynamic Mechanical Spectroscopy、DMS)は、180℃のホットプレスで10MPaの圧力で5分間形成された圧縮成形ディスクで測定され、その後プレスで90℃/分で水冷される。試験は、ねじれ試験用の二重カンチレバー固定具を取り付けたAR2000exレオメーター(TA instruments、形状:25mm平行プレート、周波数掃引、温度:160℃、角周波数:1~628rad/s、歪み:5%)を使用して行った。
【0037】
(エチレン系ポリマーの)メルトインデックス(MI又はI2)は、190℃/2.16kgの条件でASTM D 1238に従って測定し、結果は10分間当たりのグラム(g/10分)で報告する。
【0038】
ショアA硬度を、ASTM D2240に従って測定した。負荷1kg、持続時間5秒。2枚の3mm厚のプラークを、試験のために一緒に積み重ねた。
【0039】
詳細な説明
本開示は、物品を提供する。一実施形態では、物品は、(A)最上層の総重量に基づいて、(i)70重量%~88重量%のエチレン系ポリマーと、(ii)12重量%~30重量%の油とから構成される組成物から構成された最上層を含む。物品はまた、(B)テキスタイルから構成された最下層を含む。
【0040】
A.最上層
(i)エチレン系ポリマー
最上層は、(i)70重量%~88重量%のエチレン系ポリマーと、(ii)12重量%~30重量%の油とを含む組成物から構成される。重量パーセントは、最上層の総重量に基づく。エチレン系ポリマーは、(i)エチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマー、(ii)エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマー、並びに(iii)(i)及び(ii)の組み合わせである。
【0041】
エチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマーは、(i)エチレンの重合単位及び(ii)C4~C8α-オレフィンコモノマーの重合単位からなる。好適なエチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマーの非限定的な例としては、エチレン/ブテンコポリマー、エチレン/ヘキセンコポリマー、及びエチレン/オクテンコポリマーが挙げられる。
【0042】
一実施形態では、エチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマー樹脂は、以下の特性のうちの1つ、いくつか、又は全てを有するエチレン/オクテンコポリマーである:
(i)0.857g/cc~0.880g/cc若しくは0.865g/cc~0.875g/ccの密度、及び/又は
(ii)0.5g/10分~20g/10分、若しくは1g/10分~15g/10分、若しくは3g/10分~13g/10分のメルトインデックス(I2)、及び/又は
(iii)80未満、又は75未満、又は50~75、又は60~75のショアA硬度値。
【0043】
一実施形態では、エチレン系ポリマーは、エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーである。「エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマー」という用語は、重合形態のエチレン及び1つの共重合性C4~C8α-オレフィンコモノマー(及び任意選択の添加剤)からなるエチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーを指し、ポリマーは、化学的特性又は物理的特性が異なる2つの重合モノマー単位の複数のブロック又はセグメントを特徴とし、ブロックは、線状に接合(又は共有結合)している。これはすなわち、ポリマーは、重合エチレン性官能基に対して端部と端部とが接合されている化学的に区別された単位を含む。エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、2つのブロック(ジブロック)及び2つを超えるブロック(マルチブロック)を有するブロックコポリマーを含む。C4~C8α-オレフィンは、ブテン、ヘキセン、及びオクテンから選択される。エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、スチレン(すなわち、スチレンフリー)、及び/又はビニル芳香族モノマー、及び/又は共役ジエンを含まないか、又は別様にそれらを除外する。コポリマー中の「エチレン」又は「コモノマー」の量に言及する場合、これはその重合単位を指すと理解される。いくつかの実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、以下の式:(AB)nによって表され得、式中、nは、少なくとも1であり、好ましくは1超の整数であり、例えば、2、3、4、5、10、15、20、30、40、50、60、70、80、90、100、又はそれ以上であり、「A」は、ハードブロック又はセグメントを表し、「B」は、ソフトブロック又はセグメントを表す。A及びBは、実質的に分岐又は実質的に星形の方式とは対照的に、実質的に線状方式で、又は線状様式で、連結又は共有結合される。その他の実施形態では、Aブロック及びBブロックは、ポリマー鎖に沿ってランダムに分布される。言い換えれば、ブロックコポリマーは、通常、次のような構造を有しない:AAA-AA-BBB-BB。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、異なるコモノマーを含む第3の種類のブロックを有しない。別の実施形態では、ブロックA及びブロックBのそれぞれは、ブロック内に実質的にランダムに分布したモノマー又はコモノマーを有する。言い換えれば、ブロックAもブロックBも、残りのブロックとは実質的に異なる組成を有する先端セグメントなどの別個の組成の2つ以上のサブセグメント(又はサブブロック)を含まない。
【0044】
一実施形態では、エチレンは、全エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーの過半数のモル分率を構成する、すなわち、エチレンは、全エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーの少なくとも50重量%を構成する。より好ましくは、エチレンは、C4~C8α-オレフィンコモノマーを含むエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー全体の実質的に残りの部分と共に、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%、又は少なくとも80重量%を含む。一実施形態では、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、50重量%~90重量%のエチレン、又は60重量%~85重量%のエチレン、又は65重量%~80重量%のエチレンを含有する。多くのエチレン/オクテンマルチブロックコポリマーの場合、組成物は、全エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーの80重量%超のエチレン含有量及び全マルチブロックコポリマーの10重量%~15重量%又は15重量%~20重量%のオクテン含有量を含む。
【0045】
エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、様々な量の「ハード」セグメント及び「ソフト」セグメントを含む。「ハード」セグメントは、エチレンが、ポリマーの重量に基づいて、90重量%超、又は95重量%、又は95重量%超、又は98重量%超、最大100重量%の量で存在する重合単位のブロックである。言い換えれば、ハードセグメント中のコモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)は、ポリマーの重量に基づいて、10重量%未満、又は5重量%、又は5重量%未満、又は2重量%未満であり、最低でゼロであり得る。いくつかの実施形態では、ハードセグメントは、エチレンに由来する全ての、又は実質的に全ての単位を含む。「ソフト」セグメントは、コモノマー含有量(エチレン以外のモノマーの含有量)が、ポリマーの重量に基づいて、5重量%超、又は8重量%超、10重量%超、又は15重量%超である重合単位のブロックである。一実施形態では、ソフトセグメント中のコモノマー含有量は、20重量%超、25重量%超、30重量%超、35重量%超、40重量%超、45重量%超、50重量%超、又は60重量%超であり、最大100重量%であり得る。
【0046】
ソフトセグメントは、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーの総重量の1重量%~99重量%、又はエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーの総重量の5重量%~95重量%、10重量%~90重量%、15重量%~85重量%、20重量%~80重量%、25重量%~75重量%、30重量%~70重量%、35重量%~65重量%、40重量%~60重量%、又は45重量%~55重量%でエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマー中に存在し得る。逆に、ハードセグメントは、同様の範囲で存在し得る。ソフトセグメントの重量百分率及びハードセグメントの重量百分率は、DSC又はNMRから得られたデータに基づいて計算され得る。このような方法及び計算は、例えば、Colin L.P.Shan、Lonnie Hazlittらの名義で2006年3月15日に出願され、Dow Global Technologies Inc.に譲渡された、米国特許第7,608,668号、発明の名称:「Ethylene/α-Olefin Block Inter-polymers」に開示されており、その開示は、参照によってそれらの全体が本明細書に組み込まれる。特に、ハードセグメント及びソフトセグメントの重量パーセント及びコモノマー含有量は、米国特許第7,608,668号の第57欄~第63欄に記載されるように決定されてもよい。
【0047】
エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、線状に接合(又は共有結合)した2つ以上の化学的に異なる領域又はセグメント(「ブロック」と称される)を含む、すなわち、ペンダント又はグラフト化されるのではなく、重合エチレン性官能基に対して端部と端部とが接合されている化学的に区別された単位を含有する。一実施形態では、ブロックは、組み込まれたコモノマーの量若しくは種類、密度、結晶化度の量、このような組成のポリマーに起因し得る微結晶サイズ、立体規則性の種類若しくは程度(アイソタクチック若しくはシンジオタクチック)、位置規則性若しくは位置不規則性、分岐(長鎖分岐若しくは超分岐を含む)の量、均一性、又は任意のその他の化学的若しくは物理的特性が異なる。連続的なモノマー添加、流動触媒、又はアニオン重合技術によって生成されるインターポリマーを含む、従来技術のブロックインターポリマーと比較して、本発明のエチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、一実施形態では、ポリマー多分散性(PDI又はMw/Mn又はMWD)、多分散ブロック長分布、及び/又はそれらの調製に使用される複数の触媒と組み合わせたシャトル剤の効果による多分散ブロック数分布の両方の独特の分布によって、特徴付けられる。
【0048】
一実施形態では、エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、連続プロセスで生産され、1.7~3.5、又は1.8~3、又は1.8~2.5、又は1.8~2.2の多分散性指数(Mw/Mn)を有する。バッチ又はセミバッチプロセスで生産された場合、エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、1.0~3.5、又は1.3~3、又は1.4~2.5、又は1.4~2のMw/Mnを有する。
【0049】
更に、エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、ポアソン分布ではなくSchultz-Flory分布に適合するPDI(又はMw/Mn)を有する。本エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、多分散ブロック分布及びブロックサイズの多分散分布の両方を有する。これにより、改善された識別可能な物理的特性を有するポリマー生成物が形成される。多分散ブロック分布の理論上の利点は、Potemkin,Physical Review E(1998)57(6),pp.6902-6912、及びDobrynin,J.Chem.Phvs.(1997)107(21),pp9234-9238において既にモデル化され、考察されている。
【0050】
一実施形態では、本エチレン/α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、ブロック長の最確分布を有する。
【0051】
更なる実施形態では、本開示のエチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマー、特に、連続溶液重合反応器で作製されたものは、ブロック長の最確分布を有する。本開示の一実施形態では、エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、
(A)約1.7~約3.5のMw/Mn、摂氏度で表される少なくとも1つの融点Tm、及びグラム/立方センチメートルで表される密度d、Tm及びdの数値は、以下の関係に対応する:
Tm>-2002.9+4538.5(d)-2422.2(d)2、かつ/又は
(B)約1.7~約3.5のMw/Mn、融解熱によって特徴付けられ、ΔH(J/g)、及びデルタ量ΔTは、最も高いDSCピークと最も高い結晶化分析分別(「CRYSTAF」)ピークとの間の温度差として定義される摂氏度であり、ΔT及びΔHは、以下の関係を有する:
ΔT>-0.1299ΔH+62.81(0超かつ最大130J/gのΔHの場合)
ΔT≧48℃(130J/g超のΔHの場合)
CRYSTAFピークが、累積ポリマーの少なくとも5パーセントを使用して決定され、ポリマーの5パーセント未満が識別可能なCRYSTAFピークを有する場合、CRYSTAF温度が30℃である、かつ/又は
(C)エチレン/α-オレフィンインターポリマーの圧縮成形フィルムを用いて測定された300パーセント歪み及び1サイクルでの弾性回復率Re(パーセント)有するものとして定義され、かつ密度d(グラム/立方センチメートル)を有し、エチレン/α-オレフィンインターポリマーが、架橋相を実質的に含まない場合、Re及びdの数値は、以下の関係を満たす:
Re>1481-1629(d);かつ/又は
(D)TREFを使用して分画した場合に40℃~130℃で溶出する分子画分を有し、画分は、同じ温度間で溶出する同等のランダムエチレンインターポリマー画分よりも少なくとも5パーセント高いコモノマーモル含有量を有することを特徴とし、同等のランダムエチレンインターポリマーは、同じコモノマーを有し、エチレン/α-オレフィンインターポリマーの10パーセント以内のメルトインデックス、密度、及びコモノマーモル含有量(ポリマー全体に基づいて)を有する、かつ/又は
(E)25℃でG’(25℃)、100℃でG’(100℃)での貯蔵弾性率を有し、G’(100℃)に対するG’(25℃)の比が、1:1から9:1の範囲にある。
【0052】
エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーはまた、
(F)TREFを使用して分画された場合に40℃~130℃で溶出する分子画分であって、少なくとも0.5かつ最大1のブロック指数及び1.3超の分子量分布Mw/Mnを有することを特徴とする、分子画分、並びに/又は
(G)0超かつ最大1.0の平均ブロック指数、及び1.3超の分子量分布Mw/Mnを有する。
【0053】
エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、特性(A)~(G)のうちの1つ、いくつか、全て、又は任意の組み合わせを有してもよいことが理解される。ブロック指数は、その目的のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,608,668号に詳述されている通り、決定され得る。特性(A)~(G)を決定するための分析方法は、例えば、その目的のために参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,608,668号の第31欄26行目~第35欄44行目に開示されている。
【0054】
一実施形態では、エチレン/C4~C8αオレフィンマルチブロックコポリマーは、ハードセグメント及びソフトセグメント有し、スチレンフリーであり、(i)エチレン及び(ii)C4~C8α-オレフィン又はC8α-オレフィン(及び任意選択の添加剤)、のみからなり、1.7~3.5のMw/Mn、少なくとも1つの融点Tm(摂氏温度)、及び密度d(グラム/立方センチメートル)を有すると定義され、Tm及びdの数値は、以下の関係に対応する:
Tm>-2002.9+4538.5(d)-2422.2(d)2、
式中、密度dは、0.850g/cc、又は0.860g/cc、又は0.870g/cc~0.875g/cc、又は0.877g/cc、又は0.880g/cc、又は0.890g/ccであり、融点Tmは、110℃、又は115℃、又は120℃~125℃、又は130℃、又は135℃である。
【0055】
一実施形態では、エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、エチレン/1-オクテンマルチブロックコポリマー(エチレン及びオクテンコモノマーのみからなる)であり、以下の特性のうちの1つ、いくつか、又は全てを有する:
(i)1.7若しくは1.8から2.2、若しくは2.5、若しくは3.5のMw/Mn、並びに/又は
(ii)0.857、0.860g/cc若しくは0.865g/ccから0.870g/cc、若しくは0.877g/cc、若しくは0.880g/ccの密度、並びに/又は
(iii)115℃、若しくは118℃、若しくは119℃、若しくは120℃から120℃、若しくは123℃、若しくは125℃の融点Tm、並びに/又は
(iv)0.1g/10分若しくは0.5g/10分から1.0g/10分、若しくは2.0g/10分、若しくは5g/10分、若しくは10g/10分のメルトインデックス(MI)、並びに/又は
(v)(エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーの総重量に基づいて)50~85重量%のソフトセグメント及び40~15重量%のハードセグメント、並びに/又は
(vi)ソフトセグメント中10モル%、若しくは13モル%、若しくは14モル%、若しくは15モル%から16モル%、若しくは17モル%、若しくは18モル%、若しくは19モル%、若しくは20モル%、若しくは25モル%のオクテン、並びに/又は
(vii)ハードセグメント中0.5mol%、若しくは1.0mol%、若しくは2.0mol%、若しくは3.0mol%から4.0mol%、若しくは5mol%、若しくは6mol%、若しくは7mol%、若しくは9mol%のオクテン、並びに/又は
(viii)ASTM D 1708に従って測定した際に、21℃で300%/分1の変形率において50%若しくは60%から70%、若しくは80%、若しくは90%の弾性回復(Re)、並びに/又は
(ix)ブロックの多分散分布及びブロックサイズの多分散分布(以後、マルチブロックコポリマーの特性(i)~(ix)と称する)。
【0056】
一実施形態では、エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーである。エチレン/オクテンマルチブロックコポリマーは、The Dow Chemical Company(Midland,Michigan,USA)から入手可能な商品名INFUSE(商標)で販売されている。
【0057】
エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,858,706号に記載のものなどの連鎖シャトリングプロセスを介して、生成され得る。特に、好適な連鎖シャトリング剤及び関連情報は、16欄39行目~19欄44行目に列挙されている。好適な触媒は、19欄45行目~46欄19行目に記載されており、好適な共触媒は、46欄20行目~51欄28行目に記載されている。本プロセスは、当該文書の全体にわたって記載されているが、特に、51欄29行目~54欄56行目に記載されている。本プロセスは、例えば、以下にも記載されている:米国特許第7,608,668号、同第7,893,166号、及び同第7,947,793号。
【0058】
一実施形態では、エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、0.86g/cc~0.88g/ccの密度、0.5g/10分~20g/10分、又は1g/10分~15g/10分のメルトインデックス、及び80未満、又は75以下、又は60~75のショアA硬度値を有するエチレン/オクテンマルチブロックコポリマーである。
【0059】
(ii)油
最上層は、エチレン系ポリマーに加えて、12重量%~30重量%の油を含む。重量パーセントは、最上層の総重量に基づく。油は、鉱油、芳香族油、ナフテン油、パラフィン油、トリグリセリドベースの植物油(ヒマシ油又はダイズ油など)、合成炭化水素油(ポリプロピレン油など)、シリコーン油、及びそれらの組み合わせであり得る。
【0060】
一実施形態では、油は鉱油である。本明細書で使用するとき、「鉱油」は、C15~C40アルカンの混合物である無色無臭の油である。鉱油は、芳香族油、ナフテン油、パラフィン油、トリグリセリド系植物油、合成炭化水素油、シリコーン油、及びそれらの任意の組み合わせを除いて、最上層に存在する。鉱油は、最上層の総重量に基づいて、最上層に12~30重量%、13~27重量%、又は15~25重量%の量で存在する。
【0061】
B.最下テキスタイル層
本発明の物品は、最上層に加えて最下テキスタイル層を含む。「テキスタイル」とは、天然繊維、人工繊維、及びそれらの組み合わせのネットワークで構成された可撓性材料である。テキスタイルには、生地及び布が含まれる。テキスタイルは、織られたもの、不織のもの、編まれたもの、平織のもの、又はスパンボンドのものであってもよい。天然繊維の非限定的な例には、綿、羊毛、麻、及びそれらの組み合わせが含まれる。人工繊維の非限定的な例には、ポリエステル(PET)、ポリアミド(ナイロン)、アクリル、ポリオレフィン、ポリウレタン(例えば、スパンデックス材料)、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール及びそれらの組み合わせが含まれる。
【0062】
一実施形態では、テキスタイルは、不織テキスタイルである。
【0063】
一実施形態では、テキスタイルは、マイクロファイバー不織テキスタイルである。「マイクロファイバー」テキスタイルは、直径が100マイクロメートル以下の繊維を含有する生地である。
【0064】
一実施形態では、テキスタイルは、0.20g/cc、又は0.25g/cc~0.27g/cc、又は0.30g/cc、又は0.31g/cc、又は0.32g/cc、又は0.35g/cc、又は0.40g/cc、又は0.50g/ccの密度を有する。
【0065】
一実施形態では、テキスタイルは、0.1デニール、又は0.3デニール、又は1デニール、又は2デニール、又は3デニール~4デニール、又は5デニール、又は6デニール、又は7デニール、又は8デニール、又は9デニール、又は10デニールのサイズを有する繊維を含有する。別の実施形態では、テキスタイルは、10デニール以下のサイズを有する繊維を含有する。
【0066】
一実施形態では、テキスタイルは、0.5mm、又は1.0mm~1.5mm、又は2.0mmの厚さを有する。
【0067】
一実施形態では、テキスタイルは、以下の特性のうちの1つ、いくつか、又は全てを有する不織テキスタイルである:
(a)0.20g/cc、若しくは0.25g/cc~0.32g/cc、若しくは0.35g/ccの密度、及び/又は
(b)1デニール、若しくは3デニール~5デニールの繊維サイズ、並びに/又は
(c)0.5mm、若しくは1.0mm~1.5mm、若しくは2.0mmの厚さ。
【0068】
一実施形態では、テキスタイルは、ポリエステル、ポリエチレン及び/又はポリプロピレンから構成された生地である。生地は、コロナ表面処理、含浸などの予備積層処理を受け、最上層は、最上層と最下層との間に介在層又は介在構造が存在しないように最上層が最下層に直接接触するように、布に熱積層される。
【0069】
テキスタイルは、本明細書に開示される2つ以上の実施形態を含み得る。
【0070】
一実施形態では、物品は、(A)最上層及び(B)テキスタイルを含有する最下層を含有する。最上層は、最下層に直接接触する。(A)最上層は、(i)80重量%~88重量%のエチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマー、及び(ii)12重量%~20重量%の油を含有する。エチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマーは、0.86g/cc~0.88g/ccの密度、0.5g/10分~20g/10分のメルトインデックス、及び75未満のショアA値を有する。油は、任意の他の種類の油を除いた鉱油である。最上層は、86,000超、又は87,000~150,000、又は90,000~140,000のベーリー耐屈曲性値を有する。更なる実施形態では、最上層(A)の組成物は、2g/10分~10g/10分のメルトインデックス及び60~75未満のショアA硬度値を有する。
【0071】
一実施形態では、物品は、(A)最上層及び(B)テキスタイルを含有する最下層を含有する。最上層は、最下層に直接接触する。最上層は、(i)30重量%~50重量%、又は35重量%~45重量%のエチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマー、(ii)30重量%~50重量%、又は35重量%~45重量%のエチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマー、及び(iii)12重量%~30重量%、又は15重量%~25重量%の油を含有する。エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマー、エチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマー、及び油の量を合計すると、最上層の100重量%になることが理解される。エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、0.86g/cc~0.88g/ccの密度、0.5g/10分~20g/10分のメルトインデックス、及び60~75以下のショアA値を有する。最上層は、86,000超、又は87,000~150,000、又は90,000~140,000のベーリー耐屈曲性値を有する。更なる実施形態では、最上層は、2g/10分~10g/10分のメルトインデックス、及び80未満、又は60~75未満のショアA硬度値を有する。
【0072】
C.中間発泡体層
一実施形態では、物品は、最上層及び最下層に加えて中間発泡体層を含む。中間層は、最上層と最下層の間に配置される。中間発泡体層は、最上層及び/又は最下層と直接接触する。一実施形態では、中間発泡体層は、最上層に直接接触し、最下層に直接接触する。中間発泡体層は、中間発泡体層の総重量に基づいて、(i)70重量%~90重量%、又は70重量%~88重量%のエチレン系ポリマーと、(ii)10重量%~30重量%、又は12重量%~30重量%の油とを含む組成物から構成される。
【0073】
一実施形態では、中間発泡体層は、任意の従来の混合装置、例えば、バンバリーニーダー又は任意の好適な押出機において、実質的に均質な混合物を生成する条件下及び時間で、個々の成分を互いにブレンド又は配合し、従来の装置及び条件を使用して混合物をカレンダー加工してシートを形成し、次いで、従来の積層装置及び条件を使用してシートを最上層及び/又は最下テキスタイル層に熱積層することによって調製される。中間発泡体層は、典型的には、それが最上層(A)及び最下層テキスタイル層(B)に積層される後まで、発泡条件に供されない。発泡条件は、非常に微細で規則的な気泡が中間発泡層全体にわたって形成されるようなものである。典型的な発泡条件としては、200℃以上のオーブン温度及び60~120秒のオーブン滞留時間が挙げられる。発泡体効率[すなわち、元の(非膨張)体積に対する膨張体積の比]は、厚さ比に基づき、典型的には1.5~5、又は2~3である。
【0074】
一実施形態では、物品は、(A)最上層及び(B)テキスタイルを含有する最下層、並びに(C)中間発泡体層を含有する。中間発泡体層(C)は、最上層(A)と最下テキスタイル層(B)との間にある。最上層(A)は、中間発泡体層(C)と直接接触し、中間発泡体層(C)は最下層と直接接触する。最上層(A)及び中間発泡体層(C)はそれぞれ、(i)70重量%~90重量%、又は80重量%~88重量%のエチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマー、及び(ii)10重量%~30重量%、又は12重量%~20重量%の油を含有する。上層(A)及び中間発泡体層(C)中のエチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマーは、同じであっても異なっていてもよい。最上層(A)及び中間発泡体層(C)中のエチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマーはそれぞれ、0.86g/cc~0.88g/ccの密度、0.5g/10分~20g/10分のメルトインデックス、及び75以下のショアA値を有する。上層(A)中の油及び中間発泡体層(C)中の油は、任意の他の種類の油を除いた鉱油である。最上層中の油の量及び中間発泡体層中の油の量は、同じであっても異なっていてもよい。最上層(A)及び発泡体層(C)は、それぞれ、86,000超、又は87,000~150,000、又は90,000~140,000のベーリー耐屈曲性値を有する。更なる実施形態では、最上層(A)の組成物及び中間層(C)中の発泡体はそれぞれ、2g/10分~10g/10分のメルトインデックス及び60~75未満のショアA硬度値を有する。
【0075】
一実施形態では、物品は、(A)最上層及び(B)テキスタイルを含有する最下層、並びに(C)中間発泡体層を含有する。中間発泡体層(C)は、最上層(A)と最下テキスタイル層(B)との間にある。最上層(A)は、中間発泡体層(C)と直接接触し、中間発泡体層(C)は最下層と直接接触する。最上層(A)及び中間発泡体層(C)はそれぞれ、(i)30重量%~50重量%、又は35重量%~45重量%のエチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマー、(ii)30重量%~50重量%、又は35重量%~45重量%のエチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマー、及び(iii)10重量%~30重量%、又は12重量%~30重量%、又は15重量%~25重量%の油を含有する。エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマー、エチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマー、及び油の量を合計すると、最上層(A)の100重量%になることが理解される。エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマー、エチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマー、及び油の量を合計すると、中間発泡体層(C)の100重量%になることが理解される。最上層(A)中のエチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマー及び中間発泡体層(C)中のエチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、同じであっても異なっていてもよい。最上層中の油の量及び中間発泡体層中の油の量は、同じであっても異なっていてもよい。最上層(A)中のエチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマー及び中間層(C)中のエチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーは、それぞれ、0.86g/cc~0.88g/ccの密度、0.5g/10分~20g/10分のメルトインデックス、60~75以下のショアA値を有する。最上層(A)は、86,000超、又は87,000~150,000、又は90,000~140,000のベーリー耐屈曲性値を有する。更なる実施形態では、最上層(A)の組成物及び中間層(C)中の発泡体はそれぞれ、2g/10分~10g/10分のメルトインデックス及び60~75未満のショアA硬度値を有する。
【0076】
D.添加剤
最上層及び/又は中間発泡体層は、1つ以上の任意選択の添加剤を含んでもよい。好適な添加剤の非限定的な例としては、酸化防止剤、硬化剤、架橋助剤、増強溶剤及び抑制剤、加工助剤、紫外線吸収剤又は安定剤、帯電防止剤、核形成剤、スリップ剤、可塑剤、潤滑油、粘度制御剤、粘着付与剤、粘着防止剤、界面活性剤、酸掃去剤、顔料及び/又は染料、及び金属不活性化剤が挙げられる。存在する場合、添加剤は、それぞれの個々の層-最上層及び/又は中間発泡体層の総重量に基づいて、0.01重量%~10重量%未満、又は0.1重量%~5重量%未満、又は0.1重量%~1.0重量%未満の量で存在する。
【0077】
一実施形態では、最上層(A)及び最下テキスタイル層(B)を有する2層物品、並びに/又は最上層(A)、最下テキスタイル層(B)、及び中間発泡体層(C)を有する3層物品は、プライマー層及びトップコーティング層を更に含む。トップコーティング層が物品の最外層であるように、プライマー層は最上層に直接接触し、トップコーティング層はプライマー層に直接接触する。プライマー層は、最上層にプライマー(例えば、塩素化ポリプロピレン(chlorinated polypropylene、CPP)を塗布することによって形成される。続いて、ポリウレタンをプライマー層に塗布する。最下テキスタイル層は、物品すなわち、合成皮革の成形を維持し、物品に機械的特性を提供する。最下テキスタイル層はまた、中間発泡体層(存在する場合)の発泡の安定性を提供する。中間発泡体層は、存在する場合、物品の多層構造に屈曲性、緩衝性、柔軟性、断熱性、軽量性、及び手触りを提供する。最上層は、紫外線放射、熱及び他の耐候性因子に対する保護を提供する。最上層はまた、印刷、エンボス加工、色及び/又は光沢などの可視機能性を有してもよい。トップコーティング層の目的は、最上層に保護を提供すること、並びに引掻き傷、傷及び摩耗から物品を保護すること、テキスト及びデザインのための表面を提供すること、及び物品に審美的に心地よい仕上げを与えることである。プライマー層の目的は、トップコーティング層のトップ層への接着を容易にすることである。
【0078】
ベーリー耐屈曲性は、合成皮革製品にとって重要な特徴であり、ベーリー耐屈曲性は、繰り返し曲げ応力中の耐久性及び機械的疲労の特徴である。出願人は、合成皮革物品の最上層中の(i)エチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマー及び/若しくは(ii)エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーへの12重量%~30重量%の鉱油の添加、並びに/又は中間発泡体層中の10重量%~30重量%若しくは12重量%~30重量%の油の添加が、匹敵するPU合成皮革構造及び/又はPVC合成皮革構造のベーリー耐屈曲性値を満たすか又は超える、POE合成皮革のベーリー耐屈曲性値を予想外に改善(増加)することを発見した。12重量%~30重量%の鉱油を(i)エチレン/C4~C8α-オレフィンコポリマー及び/又は(ii)エチレン/C4~C8α-オレフィンマルチブロックコポリマーに最上層中で添加すると、組成物のメルトインデックスも2g/10分~10g/10分の範囲に維持され、これはカレンダー加工及び押出しキャスティングなどのプロセス操作に適した融解粘度を維持するのに必要であり、2~10g/10分のMIは、表面平滑性及び効率的な生産速度を可能にする。
【0079】
本物品は、合成皮革すなわち、POE皮革として多くの有用な用途を見出す。したがって、本物品の非限定的な例としては、衣類(シャツ、ブラウス、スラックス、スカート、ドレス、コート、ジャケット、靴、ブーツ、帽子)、財布、旅行かばん、自動車内装(自動車シート、内装ドアパネル、ダッシュボード)、及び家具(椅子、ソファ)が挙げられる。
【0080】
限定ではなく例として、ここで、本開示のいくつかの実施形態を、以下の実施例で詳細に説明する。
【実施例】
【0081】
本発明の実施例及び比較試料で使用した材料を、下記の表1に示す。
【0082】
【0083】
Brabender混合及び圧縮成形。
【0084】
化学発泡剤(chemical blowing agent、CBA)を含まない実施例では、POE樹脂を、設定温度150℃、ローター速度30rpmでBrabenderミキサーに供給した。2分後、樹脂を均一に加熱して融解した。その後、全ての他の成分を秤量し、チャンバに徐々に添加した。混合を50rpmで更に6分間続けた。
【0085】
CBAを含有する試料については、チャンバ温度を130℃に設定した。混合を35rpmで約6分間行った。最終融解温度を制御し、145℃未満に保持した。化合物を収集し、次の使用のために平らなパイの形にプレスした。
【0086】
Brabender混合からの化合物を厚さ1.1mmの金型中で圧縮成形してプラークにした。化合物を150℃で5分間予熱し、次いで脱気し、続いて150℃で更に2分間プレス処理した。室温まで下げた後、プラークを型から取り出した。得られたプラークを、更に、ベーリー屈曲試験及びDMS分析のために必要な形状及びサイズに、又はメルトインデックス測定のためにペレットに切断した。
【0087】
CBAを含有する試料については、厚さ0.5mmの第1の圧縮成形フィルム、次いでこのフィルムを空気循環オーブン内で220℃で90秒間発泡させて、ベーリー屈曲試験用の発泡体プラークにした。
【0088】
表2 本発明の実施例(IE)及び比較試料(CS)の組成及び性能
【0089】
【0090】
【0091】
表2Aは、(i)1つ以上のエチレン系ポリマーと、(ii)12重量%~30重量%の鉱油とから構成された最上層組成物についての本発明の実施例(IE)IE1~IE6を示す。表2Aはまた、1つ以上のエチレン系ポリマーから構成され、かつ油から構成されない比較試料(CS)CS1~CS9を示す。表2Aにおいて、IE1~IE6は、補足量(88~70重量%)の1つ以上のエチレン/C
4~C
8α-オレフィンコポリマー(100重量%まで)への12~30重量%の鉱油の添加が、予期せぬことに、改善されたベーリー耐屈曲性、86,000超であるベーリー耐屈曲性値、及び改善されたMIを有する組成物をもたらすことを示し、すなわち2.0g/10分を超えるMI。2.0g/10分を超えるMIを有する組成物は、押出し加工又はカレンダー加工の間の適切な屈曲性のために必要である。CS1~CS9は、86,000を超えるベーリー耐屈曲性値及び2.0を超えるMIの両方を達成することができない。DMSを更に使用して、
図1に示すように、広いせん断速度範囲における実施例の流動性を特徴付けた。
図1に示されるように、IE3は、CS7と比較してより低い粘度(すなわち、より高い流動性)を有する。更に、IE3はまた、CS7(58k)と比較して、より大きいベーリー耐屈曲性値(100k)を有し、これは、加工性のための良好なベーリー耐屈曲性値(86,000超)及び高流動性(2.0g/10分超のMI)の両方を同時に達成するために、油を添加することが高MI樹脂をブレンドすることよりも効果的であることを示す。
【0092】
表2Bにおいて、IE7~IE8及びCS10化学発泡剤を組成物に添加して、典型的な合成皮革構造の中間発泡体層を模倣するために使用することができる発泡した薄いプラークを作製した。同様の膨張比(ER)を有する発泡プラークのベーリー耐屈曲性値は、10重量%~30重量%、又は12重量%~30重量%の鉱油の添加が、油を含まない発泡プラークと比較して、ベーリー耐屈曲性値を維持することを実証した。その結果、合成皮革の中間発泡体層組成物への10~30重量%の油の添加を使用して、(発泡体組成物のMIを2.0g/10分超に増加させることによって)耐屈曲性を維持し、加工性を改善することができる。
【0093】
本開示は、本明細書に含まれる実施形態及び例示に限定されず、実施形態の一部、及び異なる実施形態の要素の組み合わせを含むこれらの実施形態の変更された形態を、以下の特許請求の範囲内に該当するものとして含むことが、特に意図されている。
【国際調査報告】