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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】研磨スラリー組成物
(51)【国際特許分類】
   C09K 3/14 20060101AFI20240403BHJP
   C09G 1/02 20060101ALI20240403BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240403BHJP
   B24B 37/00 20120101ALI20240403BHJP
【FI】
C09K3/14 550D
C09K3/14 550Z
C09G1/02
H01L21/304 622B
H01L21/304 622D
B24B37/00 H
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561246
(86)(22)【出願日】2022-03-07
(85)【翻訳文提出日】2023-10-11
(86)【国際出願番号】 KR2022003137
(87)【国際公開番号】W WO2022231115
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】10-2021-0056801
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】318007591
【氏名又は名称】ケーシーテック カンパニー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】キム ジョンフン
(72)【発明者】
【氏名】ファン ジュンハ
(72)【発明者】
【氏名】クウォン オソン
【テーマコード(参考)】
3C158
5F057
【Fターム(参考)】
3C158AA07
3C158CB01
3C158CB03
3C158CB10
3C158DA02
3C158DA12
3C158DA17
3C158EA11
3C158EB01
3C158ED04
3C158ED06
3C158ED11
3C158ED21
3C158ED26
5F057AA07
5F057AA09
5F057AA17
5F057AA28
5F057BA15
5F057BB15
5F057BB16
5F057BB19
5F057CA12
5F057DA03
5F057EA01
5F057EA09
5F057EA16
5F057EA21
5F057EA26
5F057EA31
(57)【要約】
本発明は、研磨スラリー組成物に関し、ナノセリア研磨粒子;および、分子内親水性基を含む水溶性化合物;を含み、選択的に、分子内カルボキシル基およびアミン基を含む両性化合物、有機酸を含む表面改質剤、およびpH調整剤の少なくとも1つ以上をさらに含む、研磨スラリー組成物に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ナノセリア研磨粒子;
および、分子内親水性基を含む水溶性化合物;
を含み、
下記式1の結果値(S)が0.9~1.1である、研磨スラリー組成物:
【数1】

(式1において、
a:基準となるセリア研磨粒子の1次粒度サイズ
b:前記ナノセリア研磨粒子の1次粒度サイズ
A:aサイズのセリア研磨粒子を含む研磨スラリー組成物の研磨対象膜の研磨率
B:bサイズのセリア研磨粒子を含む研磨スラリー組成物の研磨対象膜の研磨率)
【請求項2】
前記bは、30nm以下の1次粒度サイズである、請求項1に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項3】
前記研磨粒子は、前記スラリー組成物の0.0001重量%~5重量%である、請求項1に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項4】
前記水溶性化合物は、前記研磨スラリー組成物の0.001重量%~1重量%である、請求項1に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項5】
前記水溶性化合物の分子量は、3000未満である、請求項1に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項6】
前記水溶性化合物は、アルキレングルコール、オキシアルキレンアルキルエーテル、オキシアルキレンアルケニルエーテル、オキシアルキレンアルキルアリールエーテル、およびオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸からなる群から選択された少なくとも1つ以上のモノマーを含むポリマー、コポリマー、またはこの両方を含む、請求項1に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項7】
前記水溶性化合物は、アルキルアクリレート;アルキル(メタ)アクリレート;脂肪族環または芳香族環を含む(メタ)アクリレート;および、脂肪族環または芳香族環を含むアクリレート;からなる群から選択された少なくとも1つ以上のモノマーを含むポリマー、コポリマー、またはこの両方を含む、請求項1に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項8】
両性化合物をさらに含み、
前記両性化合物は、両性アミノ酸、アミン基およびカルボキシル基含有有機酸またはこの両方を含む、請求項1に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項9】
前記両性化合物のPI値は、5.5~6.5であり、
前記両性化合物の分子量は、1000以下である、請求項8に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項10】
前記両性アミノ酸は、リシン、メチオニン、システイン、チロシン、グリシン、グルタミン酸、アラニン、セリン(Serine)、アスパラギン、フェニルアラニン、スレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、アスパラギン酸、トリプトファン、グルタミン、システイン(cysteine)、ベタイン(betaine)、ココミドプロピルベタイン(cocomidopropylbetaine)、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルプロピルベタイン(laurylpropylbetaine)、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルアルファ-カルボキシエチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリウムベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシドおよびレシチンからなる群から選択された少なくとも1つ以上を含む、請求項8に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項11】
前記アミン基およびカルボキシル基含有有機酸は、サルコシン(sarcosine)、アミノ酪酸(Aminobutyric acid、4-aminobutyric acid)、ジアミノ酪酸、ラウリルプロピルベタイン、オルニチン、ココミドプロピルベタイン、テアニン(Theanine)、アミノアジピン酸、イミノジ酢酸(Iminodiacetic acid)、ニトリロトリ酢酸(Nitrilotriacetic acid)、アントラニル酸(Anthranilic acid)、3-アミノ安息香酸(3-aminobenzoic acid)、4-アミノ安息香酸(4-aminobenzoic acid)、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール-5-カルボン酸(3-amino-1,2,4-triazole-5-carboxylic acid)、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(1,2,3,4-tetrahydroisoquinoline-3-carboxylic acid)、ピペコリン酸(pipecolic acid)、ニペコチン酸(Nipecotic acid)、イソニペコチン酸(Isonipecotic acid)、4-アミノ-3-ヒドロキシ酪酸(4-amino-3-hydroxybutyric acid)、6-アミノヘキサン酸(6-aminohexanoic acid、Aminocaproic acid)、2-アミノ-チアゾリン-4-カルボン酸(2-amino-2-thiazoline-4-carboxylic acid)、3-アミノ-3-メチル安息香酸(3-amino-3-methyl Benzoic acid)、3-アミノメチル酪酸(3-aminomethylbutanoic acid)、5-アミノペンタン酸(5-aminopentanoic acid)、2-アミノチオフェン酢酸(2-aminothiopheneacetic acid)、アミノナフチオン酸(Aminonaphthoic acid)、3-アミノピラゾ 4-カルボン酸(3-aminopyrazo 4-carboxylic acid)、2-アミノ-4-ペンテン酸(2-amino-4-pentenoic acid)、3-アミノ酪酸(3-aminobutyric acid)、アミノレブリン酸(Ami
nolevulinic acid)、および8-アミノカプリル酸(8-aminocaprylic acid)からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含む、請求項8に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項12】
前記両性化合物は、前記研磨スラリー組成物の0.001重量%~1重量%である、請求項8に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項13】
有機酸を含む表面改質剤をさらに含み、
前記有機酸は、モノカルボン酸を含む、請求項1に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項14】
前記モノカルボン酸は、ギ酸(formic acid)、酢酸(acetic acid)、プロピオン酸(propionic acid)、酪酸(butyric acid)、吉草酸(valeric acid)、ヘキサン酸(hexanoic acid)、ヘプタン酸(heptanoic acid)、カプリル酸(caprylic acid)、ノナン酸(nonanoic acid)、デカン酸(decanoic acid)、ウンデシル酸(undecylenic acid)、ラウリン酸(lauric acid)、トリデシル酸(tridecylic acid)、ミリスチン酸(myristic acid)、ペンタデカン酸(pentadecanoic acid)、パルミチン酸(palmitic acid)、フェニル酢酸(Phenylacetic acid)、2-フェニルプロピオン酸(2-Phenylpropionic acid)、トリフェニル酢酸(Triphenylacetic acid)、マンデル酸(Mandelic acid)、ヒドロケイ皮酸(Hydrocinnamic acid)、トリル酢酸(o-、p-、m-Tolylacetic acid)、4-ヒドロキシフェニル酢酸(Hydroxyphenyl acetic acid)、安息香酸(Benzoic acid)、トルイル酸(Toluic acid)、ジメチル安息香酸(Dimethylbenzoic acid)、ジクロロ酢酸(Dichlorophenylacetic acid)、ナフトエ酸(Naphthoic acid、1-ナフトエ酸、2-ナフトエ酸など)、およびサリチル酸(Salicylic acid)からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含む、請求項13に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項15】
前記有機酸は、前記研磨スラリー組成物の0.001重量%~0.1重量%である、請求項13に記載の研磨スラリー組成物。
【請求項16】
pH調整剤をさらに含み、
前記pH調整剤は、酸性物質、塩基性物質、または両方を含み、
前記酸性物質は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸、臭素酸、過塩素酸、フッ酸、ヨウ素酸、亜硝酸、過硫酸、亜硫酸、次亜硫酸、ボロン酸、ヨウ素酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、過リン酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、過塩素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸、過臭素酸、次亜ヨウ素酸、過ヨウ素酸、フッ化水素、三フッ化ホウ素、テトラフルオロホウ酸、リンフッ化水素酸、およびそれぞれの塩からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含み、
前記塩基性物質は、アンモニウムメチルプロパノール(ammonium methyl propanol;AMP)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetra methyl ammonium hydroxide;TMAH)、水酸化アンモニウム、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、イミダゾール、およびそれぞれの塩からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含む、請求項1に記載の研磨用スラリー組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノセリア研磨粒子を含む研磨スラリー組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
化学的機械的研磨(Chemical Mechanical Polishing;CMP)工程は、研磨粒子が含まれたスラリーを基板上に投入し、研磨装置に取り付けられた研磨パッドを用いて実施するようになる。このとき、研磨粒子は、研磨装置からの圧力を受けて機械的に表面を研磨し、研磨スラリー組成物に含まれた化学的成分が基板の表面を化学的に反応して、基板の表面部位を化学的に取り除くことになる。
【0003】
一般的に研磨スラリー組成物は、除去対象の種類および特性によって様々な種類がある。その中で、特定の被研磨膜を選択的に取り除く研磨スラリー組成物は非常に多様であるが、最近の半導体装置構造では、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、およびポリシリコン膜を同時に研磨することができるスラリー組成物が必要である。しかしながら、従来のスラリー組成物は、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、およびポリシリコン膜を選択的に研磨することができず、所望の水準の研磨速度が得られず、または欠陥およびスクラッチが発生し、低い分散安定性により凝集が生じる問題がある。また、セリア粒子は、角ばった結晶粒形状と広範囲な粒径分布を有する場合に、ポリシリコン膜のマイクロスクラッチの発生が避けられなくなる。また、研磨膜質のディフェクト、スクラッチを改善し、パターンでディッシングおよびエロージョン(Erosion)値を改善するためには、小さいサイズの粒子適用の必要性が増加している。
【0004】
セリア粒子は、大きさが40nm以下である場合、絶縁膜の研磨率が非常に低く、粒径が100nm以上である場合、多面体構造の鋭い結晶面部分によってマイクロスクラッチの数が急激に増加するようになる。これは、粒子の大きさが減少するほど研磨粒子の研磨膜質の間の圧力が減少して研磨膜質の研磨率が減少し、かつ、粒子サイズが特定のサイズ以下になると研磨メカニズムが変化して非活性(inactive)研磨粒子の数が増加するようになる。理論的に、粒子のサイズが減少すると、一部の粒子は「Hydrodynamical Contact model”を従う。これは、「IEEE TRANSACTIONS ON SEMICONDUCTOR MANUFACTURING,VOL.14,NO.2,MAY 2001」の文献で提案された。CMP装置の研磨パッドと粒子、粒子と研磨面との距離によって研磨メカニズムが変わり、粒子のサイズが減少するにつれて、非活性研磨粒子が研磨率を下落させる原因として作用する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記の問題点を解決するために、セリア研磨粒子の適切な分散環境を提供して粒子サイズの減少による非活性研磨粒子の発生を抑制し、研磨粒子が均一に研磨工程に参加して研磨膜質の研磨率を向上することができる、研磨スラリー組成物を提供することである。
【0006】
しかしながら、本発明が解決しようとする課題は、以上のものなどに制限されず、言及されていないまた別の課題は、以下の記載から該当分野における通常の技術者に明確に理解されるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施例は、ナノセリア研磨粒子;および、分子内親水性基を含む水溶性化合物;を含み、下記式1の結果値(S)が0.9~1.1である、研磨スラリー組成物に関するものである。
【0008】
【数1】

(式1において、
a:基準となるセリア研磨粒子の1次粒度サイズ
b:前記ナノセリア研磨粒子の1次粒度サイズ
A:aサイズのセリア研磨粒子を含む研磨スラリー組成物の研磨対象膜の研磨率
B:bサイズのセリア研磨粒子を含む研磨スラリー組成物の研磨対象膜の研磨率)
【0009】
本発明の一実施例によると、前記bは、30nm以下の1次粒度サイズであってもよい。
【0010】
本発明の一実施例によると、前記研磨粒子は、前記スラリー組成物の0.0001重量%~5重量%であってもよい。
【0011】
本発明の一実施例によると、前記水溶性化合物は、前記研磨スラリー組成物の0.001重量%~1重量%であってもよい。
【0012】
本発明の一実施例によると、前記水溶性化合物の分子量は、3000未満であってもよい。
【0013】
本発明の一実施例によると、前記水溶性化合物は、アルキレングルコール、オキシアルキレンアルキルエーテル、オキシアルキレンアルケニルエーテル、オキシアルキレンアルキルアリールエーテル、およびオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸からなる群から選択された少なくとも1つ以上のモノマーを含むポリマー、コポリマー、またはこの両方を含むものであってもよい。
【0014】
本発明の一実施例によると、前記水溶性化合物は、アルキルアクリレート;アルキル(メタ)アクリレート;脂肪族環または芳香族環を含む(メタ)アクリレート;および、脂肪族環または芳香族環を含むアクリレート;からなる群から選択された少なくとも1つ以上のモノマーを含むポリマー、コポリマー、またはこの両方を含むものであってもよい。
【0015】
本発明の一実施例によると、両性化合物をさらに含み、前記両性化合物は、両性アミノ酸、アミン基およびカルボキシル基含有有機酸またはこの両方を含むものであってもよい。
【0016】
本発明の一実施例によると、前記両性化合物のPI値は、5.5~6.5であり、前記両性化合物の分子量は、1000以下でってもよい。
【0017】
本発明の一実施例によると、前記両性アミノ酸は、リシン、メチオニン、システイン、チロシン、グリシン、グルタミン酸、アラニン、セリン(Serine)、アスパラギン、フェニルアラニン、スレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、アスパラギン酸、トリプトファン、グルタミン、システイン(cysteine)、ベタイン(betaine)、ココミドプロピルベタイン(cocomidopropylbetaine)、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルプロピルベタイン(laurylpropylbetaine)、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルアルファ-カルボキシエチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリウムベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシドおよびレシチンからなる群から選択された少なくとも1つ以上を含むものであってもよい。
【0018】
本発明の一実施例によると、前記アミン基およびカルボキシル基含有有機酸は、サルコシン(sarcosine)、アミノ酪酸(Aminobutyric acid、4-aminobutyric acid)、ジアミノ酪酸、ラウリルプロピルベタイン、オルニチン、ココミドプロピルベタイン、テアニン(Theanine)、アミノアジピン酸、イミノジ酢酸(Iminodiacetic acid)、ニトリロトリ酢酸(Nitrilotriacetic acid)、アントラニル酸(Anthranilic acid)、3-アミノ安息香酸(3-aminobenzoic acid)、4-アミノ安息香酸(4-aminobenzoic acid)、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール-5-カルボン酸(3-amino-1,2,4-triazole-5-carboxylic acid)、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(1,2,3,4-tetrahydroisoquinoline-3-carboxylic acid)、ピペコリン酸(pipecolic acid)、ニペコチン酸(Nipecotic acid)、イソニペコチン酸(Isonipecotic acid)、4-アミノ-3-ヒドロキシ酪酸(4-amino-3-hydroxybutyric acid)、6-アミノヘキサン酸(6-aminohexanoic acid、Aminocaproic acid)、2-アミノ-チアゾリン-4-カルボン酸(2-amino-2-thiazoline-4-carboxylic acid)、3-アミノ-3-メチル安息香酸(3-amino-3-methyl Benzoic acid)、3-アミノメチル酪酸(3-aminomethylbutanoic acid)、5-アミノペンタン酸(5-aminopentanoic acid)、2-アミノチオフェン酢酸(2-aminothiopheneacetic acid)、アミノナフチオン酸(Aminonaphthoic acid)、3-アミノピラゾ 4-カルボン酸(3-aminopyrazo 4-carboxylic acid)、2-アミノ-4-ペンテン酸(2-amino-4-pentenoic acid)、3-アミノ酪酸(3-aminobutyric acid)
、アミノレブリン酸(Aminolevulinic acid)、および8-アミノカプリル酸(8-aminocaprylic acid)からなる群から選択される少なくとも1種以上を含むものであってもよい。
【0019】
本発明の一実施例によると、前記両性化合物は、前記研磨スラリー組成物の0.001重量%~1重量%であってもよい。
【0020】
本発明の一実施例によると、有機酸を含む表面改質剤をさらに含み、前記有機酸は、モノカルボン酸を含むものであってもよい。
【0021】
本発明の一実施例によると、前記モノカルボン酸は、ギ酸(formic acid)、酢酸(acetic acid)、プロピオン酸(propionic acid)、酪酸(butyric acid)、吉草酸(valeric acid)、ヘキサン酸(hexanoic acid)、ヘプタン酸(heptanoic acid)、カプリル酸(caprylic acid)、ノナン酸(nonanoic acid)、デカン酸(decanoic acid)、ウンデシル酸(undecylenic acid)、ラウリン酸(lauric acid)、トリデシル酸(tridecylic acid)、ミリスチン酸(myristic acid)、ペンタデカン酸(pentadecanoic acid)、パルミチン酸(palmitic acid)、フェニル酢酸(Phenylacetic acid)、2-フェニルプロピオン酸(2-Phenylpropionic acid)、トリフェニル酢酸(Triphenylacetic acid)、マンデル酸(Mandelic acid)、ヒドロケイ皮酸(Hydrocinnamic acid)、トリル酢酸(o-、p-、m-Tolylacetic acid)、4-ヒドロキシフェニル酢酸(Hydroxyphenyl acetic acid)、安息香酸(Benzoic acid)、トルイル酸(Toluic acid)、ジメチル安息香酸(Dimethylbenzoic acid)、ジクロロ酢酸(Dichlorophenylacetic acid)、ナフトエ酸(Naphthoic acid、1-ナフトエ酸、2-ナフトエ酸など)、およびサリチル酸(Salicylic acid)からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含むものであってもよい。
本発明の一実施例によると、前記有機酸は、前記研磨スラリー組成物の0.001重量%~0.1重量%であるものであってもよい。
【0022】
本発明の一実施例によると、前記pH調整剤をさらに含み、前記pH調整剤は、酸性物質、塩基性物質、または両方を含み、前記酸性物質は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸、臭素酸、過塩素酸、フッ酸、ヨウ素酸、亜硝酸、過硫酸、亜硫酸、次亜硫酸、ボロン酸、ヨウ素酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、過リン酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、過塩素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸、過臭素酸、次亜ヨウ素酸、過ヨウ素酸、フッ化水素、三フッ化ホウ素、テトラフルオロホウ酸、リンフッ化水素酸、およびそれぞれの塩からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含み、前記塩基性物質は、アンモニウムメチルプロパノール(ammonium methyl propanol;AMP)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetra methyl ammonium hydroxide;TMAH)、水酸化アンモニウム、アンモニア、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、イミダゾール、およびそれぞれの塩からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含んでもよい。
【発明の効果】
【0023】
本発明は、研磨粒子のサイズが小さくなると研磨メカニズムの変化による非活性研磨粒子が増加することを防止して、研磨組成物内の研磨粒子の研磨工程参加率を増加することができる研磨スラリー組成物を提供することができる。すなわち、粒子のサイズが減少すると、「Hydrodynamic Contact Model」による研磨メカニズムで研磨が行われ、このとき、非活性粒子が増加し、例えば、30nm以下の粒子サイズで研磨率が減少するようになる。しかしながら、本発明の研磨スラリー組成物は、研磨スラリー組成物内で研磨粒子の適切な分散環境を提供し、研磨粒子のサイズが減少しても研磨粒子の研磨工程参加率を向上して研磨膜質に対する研磨率を向上することができる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施例を詳述する。本発明の説明において、関連する公知の機能または構成の具体的な説明が本発明の要旨を不必要に不明瞭にすることができると判断される場合には、その詳細な説明を省略する。また、本明細書で使用される用語は、本発明の好ましい実施例を適切に表現するために使用される用語であり、これはユーザ、運用者の意図、または本発明が属する分野の慣例などによって変わり得る。したがって、本用語の定義は、本明細書の全般にわたる内容に基づいてしなければならない。
【0025】
明細書全体において、ある部材が他の部材「上に」位置しているとする場合、これは、ある部材が他の部材に接している場合だけでなく、両部材の間にさらに別の部材が存在する場合も含む。
【0026】
明細書全体において、ある部分がある構成要素を「含む」とする場合、これは、他の構成要素を除くのではなく、他の構成要素をさらに含むことができることを意味する。
【0027】
以下、本発明は、研磨スラリー組成物について実施例を参照して具体的に説明する。しかしながら、本発明はこのような実施例に制限されない。
【0028】
本発明は、研磨スラリー組成物に関し、本発明の一実施例により、前記研磨スラリー組成物は、セリア研磨粒子;および、水溶性化合物;を含み、選択的に両性化合物、表面改質剤、およびpH調整剤の少なくとも1つ以上;をさらに含んでもよい。
【0029】
本発明の一実施例により、本発明は、すべての研磨粒子が研磨工程に活性(active)の研磨粒子を増加させて研磨率を改善し、ディッシング、エロージョン、スクラッチなどを改善することができる研磨スラリー組成物を提供するものである。前記研磨率は、研磨粒子と研磨面の接触面積に比例し、“Journal of The Electrochemical Society、147(9)3523-3528(2000)”の文献を参照して、粒子の比表面積が増加するほど研磨率が増加することを確認することができる。しかしながら、研磨粒子のサイズが減少すると、このような研磨面の接触面積が減少したり、研磨工程に非活性的に参加する研磨粒子が増加したりして研磨率が低くなることがある。本発明による研磨スラリー組成物は、下記式1にナノセリア研磨粒子の1次粒度サイズ、およびこの研磨率を代入する場合に式1の結果値(S)は0.9~1.1であり、好ましくはほぼ1に近隣した値を得ることができる。つまり、本発明による研磨スラリー組成物は、ナノセリア研磨粒子の適切な分散環境を提供し、これは研磨粒子のサイズが減少する場合に発生する非活性研磨粒子の増加を防止し、研磨スラリー組成物内に構成された(ほぼ)すべてのナノセリア研磨粒子が均一に研磨工程に参加できる環境を提供する。例えば、30nm以下の1次粒度サイズのナノセリア研磨粒子を適用しても研磨率を向上することができる。
【0030】
【数1】
【0031】
前記式1において、aは基準となる研磨粒子の1次粒度サイズであり、bは本発明による研磨粒子の1次粒度サイズであり、Aはaサイズのセリア研磨粒子を含む研磨スラリー組成物の研磨対象膜の研磨率であり、Bはbサイズのセリア研磨粒子を含む研磨スラリー組成物の研磨対象膜の研磨率である。例えば、aは30nm(または、超え)~40nmの1次粒度サイズを有する研磨粒子であってもよく、bは30nm以下、20nm以下、または10nm以下の1次粒度サイズを有する研磨粒子であってもよい。a、およびbは互いに異なる1次粒度サイズに該当する。
【0032】
本発明の一実施例により、前記セリア研磨粒子は、本発明の技術分野で公知の金属酸化物粒子の製造方法であれば特に制限されないが、好ましくは、水熱合成法、ゾル-ゲル法、共浸法、スプレイドライ法、熱蒸発法などが用いられ、セリウム3価前駆体を用いて製造されてもよい。前記セリア研磨粒子は、(平均)1次粒度サイズが30nm以下;20nm以下;または10nm以下であってもよい。前記粒度サイズの範囲内に含まれると、研磨組成物内で分散安定性に優れ、長期の研磨工程で性能低下を防止することができる。
【0033】
本発明の一例として、前記1次粒度を有するセリア研磨粒子の比表面積は、31m/g以上;40m/g以上;31m/g~200m/g;または40m/g~150m/gであり、前記比表面積範囲内に含まれると、研磨対象膜と接触部分の面積を充分に確保して高水準の研磨速度を提供し、研磨対象膜の表面のスクラッチおよびディッシング発生を低めることができる。前記比表面積は、BET(Brunauer-Emmett-Teller;BET)法で測定できる。例えば、気孔分布測定器(Porosimetry analyzer;Bell Japan Inc、Belsorp-II mini)を使用し、窒素ガス吸着流通法によってBET6点法で測定できる。
【0034】
本発明の一例として、前記セリア研磨粒子は、前記研磨スラリー組成物の0.01~5重量%;0.05~2重量%;または0.05~1重量%を含んでもよい。前記研磨粒子の含量が0.01重量%未満であると、高水準の研磨率を確保し難しく、5重量%を超えると、研磨粒子の分散安定性が低くなり、ディフェクト(Defect)発生が増加し、ディッシング発生を低減させる効果を得難い。
【0035】
本発明の一実施例により、前記水溶性化合物は、分子内親水性基を含む水溶性化合物であってもよい。すなわち、前記親水性基を有する水溶性化合物と下記のアミン基を有する両性化合物の濃度および分子量を制御して、(ほぼ)すべてのセリア研磨粒子が均一に研磨工程に参加できる環境を提供し、これは上記式1の計算された値が1に近接するようにスラリー組成物を設計して、ナノセリア粒子の研磨工程で研磨対象膜と接触面積の急激な変化なしに研磨工程参加率を増加して研磨率を向上することができる。
【0036】
本発明の一例として、前記水溶性化合物は、親水性基を有する単分子、モノマー、ポリマー、およびコポリマーの少なくとも1つ以上を含み、例えば、前記親水性基は、水酸基(hydroxyl group)、カルボキシル基(carboxyl group)、エーテル基(ether group)、エステル基(ester group)、アミノ基(amino group)などである。前記水溶性化合物は、アルキレングリコール系化合物、アクリレート系化合物、またはその両方を含み、前記アルキレングリコール系化合物およびアクリレート系化合物は、それぞれ分子内のモイアティ、単分子、モノマー、ポリマー、およびコポリマーを意味する。
【0037】
本発明の一例として、前記アルキレングリコール系化合物は、アルキレングルコール、オキシアルキレンアルキルエーテル、オキシアルキレンアルケニルエーテル、オキシアルキレンアルキルアリールエーテル、およびオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸から選択された少なくとも1つ以上を含むモノマー、ポリマー、コポリマー、およびそれぞれの塩の少なくとも1つ以上を含み、例えば、ポリアルキレングルコール(polyalkylene glycol)、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(polyoxyalkylene alkyl ether)、ポリオキシアルキレンアルケニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルアリールエーテル、およびポリオキシアルキレンアルキルエーテルカルボン酸から選択される(アルキルおよびアルキレンは、炭素数1~20;炭素数1~10;または炭素数2~5から選択され、アルケニルは、炭素数2~20から選択され、アリールは、炭素数5~30から選択される。より具体的に、前記水溶性化合物は、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリ(イソプロピレングリコール)、ポリブチレングルコールポリオキシエチレンメチルエーテル、ポリエチレングルコールスルホン酸、ポリビニールアルコール、ポリエチレンオキシド-プロピレンオキシド共重合体、ポリ(エチレングリコール)-末端キャップされたポリ(プロピレングリコール)(PEG-PPG-PEG ブロック共重合体)などである。
【0038】
本発明の一例として、前記アクリレート系化合物は、アルキルアクリレート、アルキル(メタ)アクリレート;および脂肪族環または芳香族環を含む(メタ)アクリレート;および脂肪族環または芳香族環を含むアクリレート;からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含むモノマー、ポリマー、コポリマーおよびそれぞれの塩の少なくとも1つ以上を含み、前記アルキルは、炭素数1~30から選択され、前記脂肪族環は、炭素数4~30から選択され、前記芳香族環は、炭素数6~30から選択される。より具体的に、アクリレート(acrylate)、メチルアクリレート(methyl acrylate)、エチルアクリレート(ethyl acrylate)、プロピルアクリレート(propyl acrylate)、イソプロピルアクリレート(isopropyl acrylate)、ブチルアクリレート(butyl acrylate)、イソブチルアクリレート(isobutyl acrylate)、ペンチルアクリレート(pentyl acrylate)、イソペンチルアクリレート(isopentyl acrylate)、ヘキシルアクリレート(hexyl acrylate)、イソヘキシルアクリレート(isohexyl acrylate)、ヘプチルアクリレート(heptyl acrylate)、オクチルアクリレート(octyl acrylate)、イソオクチルアクリレート(isooctyl acrylate)、ノニルアクリレート(nonyl acrylate)、ラウリルアクリレート(lauryl acrylate)、カルボキシエチルアクリレート(carboxyethyl acrylate)、カルボキシエチルアクリレートオリゴマー(carboxyethyl acrylate oligomers)、(メタクリロイルオキシ)エチルマレエート((methacryloyloxy)ethyl maleate)、(メタクリロイルオキシ)エチルコハク酸((methacryloyloxy)ethyl succinate)、およびアンモニウムアクリレート(ammonium acrylate)、シクロペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、ベンジルメタクリレート、シクロヘキシルアクリレート、および2-フェノキシエチルアクリレートの少なく
とも1つのモノマーを含むポリマー、コポリマー、およびその塩;および、マレイン酸/アクリレートのコポリマー(copolymer of maleic acid/acrylate)、フマル酸/アクリレートのコポリマー(copolymer of fumaric acid/acrylate)、イタコン酸/アクリレートのコポリマー(copolymer of itaconic acid/acrylate)、シトラコン酸/アクリレートのコポリマー(copolymer of citraconic acid/acrylate)、アクリル酸/アクリレートのコポリマー(copolymer of acrylic acid/acrylate)、メタクリル酸/アクリレートのコポリマー(copolymer of methacrylic acid/acrylate)、クロトン酸/アクリレートのコポリマー(copolymer of crotonic acid/acrylate)、ビニル酢酸/アクリレートのコポリマー(copolymer of vinylacetic acid/acrylate)、ポリアクリルアミド/アクリル酸コポリマー、ポリアクリル酸/スルホン酸コポリマー、ポリスルホン酸/アクリルアミドコポリマー、ポリアクリルアミドメチルプロパンスルホン酸、ポリアクリル酸/スチレンコポリマー、ポリアクリル酸-マロン酸共重合体、カルボキシメチルスルホエチルセルロースポリアクリル酸、ポリアクリルマレイン酸、ポリメタクリル酸、およびポリメタクリル酸アンモニウム塩;からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含む。
【0039】
本発明の一例として、前記水溶性化合物は、前記研磨スラリー組成物の0.001重量%~1重量%;0.01重量%~1重量%;または0.1重量%~1重量%であり、前記範囲内に含まれると、研磨粒子の研磨工程参加率を増加し、研磨率を向上することができる。
【0040】
本発明の一例として、前記水溶性化合物の分子量は、3000未満であり、例えば、前記分子量の範囲内に含まれると、分子量増加による研磨粒子と研磨対象膜との間のクッション作用による研磨率下落を防止して良好な研磨率を確保しながら、ディッシング、スクラッチなどの欠陥を低めることができる。
【0041】
本発明の一実施例により、前記両性化合物は、研磨スラリー組成物の分散安定性および研磨率向上のためのもので、前記両性化合物は、酸性物質に対しては塩基の作用をし、塩基性物質に対しては酸の作用をする化合物を意味する。本発明における両性化合物は、アミン基およびカルボキシル基含有化合物であり、両性電荷を有するアミノ酸;および、アミン基およびカルボキシル基含有有機酸;またはこの両方を含んでもよい。
【0042】
本発明の一例として、アミノ酸は、1つの分子中に酸性を示すカルボキシル基(-COOH)と、塩基性を示すアミノ基(-NH)を合わせて有している。水に溶けるとpHによって酸や塩基として作用するため、アミノ酸を両性化合物という。溶液のpHによって分子構造中に水素イオン(H)を受け入れた(塩基)陽イオン(-NH+H>>>-NH )と、水素イオン(H)を放出した(酸)陰イオン(-COOH>>>-COO+H)を合わせて有することができるため、両性イオンを形成する。例えば、リシン、メチオニン、システイン、チロシン、グリシン、グルタミン酸、アラニン、セリン(Serine)、アスパラギン、フェニルアラニン、スレオニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、プロリン、ヒスチジン、リシン、アルギニン、アスパラギン酸、トリプトファン、グルタミン、システイン(cysteine)、ベタイン(betaine)、ココミドプロピルベタイン(cocomidopropylbetaine)、ラウリルベタイン、ステアリルベタイン、ラウリルプロピルベタイン(laurylpropylbetaine)、ココジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルカルボキシメチルベタイン、ラウリルジメチルアルファ-カルボキシエチルベタイン、セチルジメチルカルボキシメチルベタイン、アミノカルボン酸塩、イミダゾリウムベタイン、2-アルキル-N-カルボキシメチル-N-ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ラウリルジメチルアミンオキシドおよびレシチンからなる群から選択された少なくとも1つ以上を含む。
【0043】
本発明の一例として、前記アミン基およびカルボキシル基含有有機酸は、サルコシン(sarcosine)、アミノ酪酸(aminobutyric acid、4-aminobutyric acid)、ジアミノ酪酸、ラウリルプロピルベタイン、オルニチン、ココミドプロピルベタイン、テアニン(theanine)、アミノアジピン酸、イミノジ酢酸(iminodiacetic acid)、ニトリロトリ酢酸(nitrilotriacetic acid)、アントラニル酸(anthranilic acid)、3-アミノ安息香酸(3-aminobenzoic acid)、4-アミノ安息香酸(4-aminobenzoic acid)、3-アミノ-1,2,4-トリアゾール-5-カルボン酸(3-amino-1,2,4-triazole-5-carboxylic acid)、1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(1,2,3,4-tetrahydroisoquinoline-3-carboxylic acid)、ピペコリン酸(pipecolic acid)、ニペコチン酸(Nipecotic acid)、イソニペコチン酸(isonipecotic acid)、4-アミノ-3-ヒドロキシ酪酸(4-amino-3-hydroxybutyric acid)、6-アミノヘキサン酸(6-aminohexanoic acid、Aminocaproic acid)、2-アミノ-チアゾリン-4-カルボン酸(2-amino-2-thiazoline-4-carboxylic acid)、3-アミノ-3-メチル安息香酸(3-amino-3-methyl Benzoic acid)、3-アミノメチル酪酸(3-aminomethylbutanoic acid)、5-アミノペンタン酸(5-aminopentanoic acid)、2-アミノチオフェン酢酸(2-aminothiopheneacetic acid)、アミノナフチオン酸(Aminonaphthoic acid)、3-アミノピラゾ 4-カルボン酸(3-aminopyrazo 4-carboxylic acid)、2-アミノ-4-ペンテン酸(2-amino-4-pentenoic acid)、3-アミノ酪酸(3-aminobutyric acid)、アミ
ノレブリン酸(aminolevulinic acid)、および8-アミノカプリル酸(8-aminocaprylic acid)からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含む。
【0044】
本発明の一例として、前記両性化合物は、PI値が5.5~6.5であり、分子量が1000以下であってもよい。前記範囲内に含まれると、研磨粒子の研磨工程への参加率を増加させて研磨対象膜の研磨率を向上し、ディッシング、エロージョンなどの欠陥を低めるのに有利である。
【0045】
本発明の一例として、前記両性化合物は、前記研磨スラリー組成物の0.001重量%~1重量%;または0.01重量%~0.5重量%であってもよい。前記範囲内に含まれると、ナノ研磨粒子の研磨対象膜に対する接触面積が減少することを防止して、研磨対象膜に対する研磨率を向上することができる。
【0046】
本発明の一実施例により、前記表面改質剤は、有機酸を含んでもよい。前記有機酸は、カルボキシル基を1個有するモノカルボン酸を含み、前記モノカルボン酸は、脂肪族モノカルボン酸および芳香族モノカルボン酸の少なくとも1つ以上を含み、前記脂肪族モノカルボン酸は、ギ酸(formic acid)、酢酸(acetic acid)、プロピオン酸(propionic acid)、酪酸(butyric acid)、吉草酸(valeric acid)、ヘキサン酸(hexanoic acid)、ヘプタン酸(heptanoic acid)、カプリル酸(caprylic acid)、ノナン酸(nonanoic acid)、デカン酸(decanoic acid)、ウンデシル酸(undecylenic acid)、ラウリン酸(lauric acid)、トリデシル酸(tridecylic acid)、ミリスチン酸(myristic acid)、ペンタデカン酸(pentadecanoic acid)、およびパルミチン酸(palmitic acid)からなる群から選択される少なくとも1つ以上を含む。前記芳香族モノカルボン酸は、フェニル酢酸(phenylacetic acid)、2-フェニルプロピオン酸(2-phenylpropionic acid)、トリフェニル酢酸(triphenylacetic acid)、マンデル酸(mandelic acid)、ヒドロケイ皮酸(hydrocinnamic acid)、トリル酢酸(o-、p-、m-tolylacetic acid)、4-ヒドロキシフェニル酢酸(hydroxyphenyl acetic acid)、安息香酸(benzoic acid)、トルイル酸(toluic acid)、ジメチル安息香酸(dimethylbenzoic acid)、ジクロロ酢酸(dichlorophenylacetic acid)、ナフトエ酸(naphthoic acid、1-ナフトエ酸、2-ナフトエ酸など)、およびサリチル酸(salicylic acid)からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含む。
【0047】
本発明の一例として、前記有機酸は、前記研磨スラリー組成物の0.001重量%~0.1重量%;または0.005重量%~0.1重量%であり、前記範囲内に含まれると、粒子の凝集(Aggregation)を防止し、これは、粒子の一定の比表面積の維持により一定の膜質の研磨率を確保するのに有利である。
【0048】
本発明の一実施例により、前記pH調整剤は、酸性物質、塩基性物質、または両方を含み、前記酸性物質は、塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、過塩素酸、臭素酸、過塩素酸、フッ酸、ヨウ素酸、亜硝酸、過硫酸、亜硫酸、次亜硫酸、ボロン酸、ヨウ素酸、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、過リン酸、亜塩素酸、次亜塩素酸、過塩素酸、亜臭素酸、次亜臭素酸、過臭素酸、次亜ヨウ素酸、過ヨウ素酸、フッ化水素、三フッ化ホウ素、テトラフルオロホウ酸、リンフッ化水素酸、およびそれぞれの塩からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含み、前記塩基性物質は、アンモニウムメチルプロパノール(ammonium methyl propanol;AMP)、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(tetra methyl ammonium hydroxide;TMAH)、水酸化アンモニウム、アンモニア(無水物または水溶液)、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化マグネシウム、水酸化ルビジウム、水酸化セシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、イミダゾール、およびそれぞれの塩からなる群から選択された少なくとも1つ以上を含むものであってもよい。例えば、前記pH調整剤は、前記研磨スラリー組成物のpH2~11、好ましくはpH5~7の範囲に調節するのに適切な量で使用してもよい。
【0049】
本発明の一実施例により、前記研磨スラリー組成物は、シリコン窒化膜、シリコン酸化膜、ポリシリコン膜およびシリコン膜の少なくとも1つ以上の膜を含む半導体ウェーハのCMP研磨工程に用いられてもよい。前記研磨スラリー組成物は、シリコン酸化膜を高い研磨率で取り除く工程、またはシリコン酸化膜を高い研磨率で取り除きながらポリシリコン膜で研磨停止する工程に用いられてもよい。研磨工程でシリコン酸化膜に対する研磨率は、2,000Å/min~6,000Å/minである。
【0050】
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、下記の実施例は単なる説明の目的のためのものであり、本発明の範囲を限定しようとするものではない。
【0051】
参照例1
表1により、セリア粒子(1次粒度サイズ、32nm、0.1wt%)、ポリエチレングリコール(分子量:600、0.5wt%)、L-アラニン(PI Value 6.11、0.1wt%)、ギ酸(0.02wt%)、およびpH調整剤(アンモニア)を混合して、pH=6の研磨スラリー組成物を製造した。
【0052】
実施例1
表1により、セリア粒子(1次粒度サイズ、18nm、0.1wt%)、ポリエチレングリコール(分子量:600、0.5wt%)、L-アラニン(PI Value 6.11、0.1wt%)、ギ酸(0.02wt%)、およびpH調整剤(アンモニア)を混合して、pH=6の研磨スラリー組成物を製造した。
【0053】
実施例2
表1により、セリア粒子(1次粒度サイズ、7nm、0.1wt%)、ポリエチレングリコール(分子量:600、0.5wt%)、L-アラニン(PI Value 6.11、0.1wt%)、ギ酸(0.02wt%)、およびpH調整剤(アンモニア)を混合して、pH=6の研磨スラリー組成物を製造した。
【0054】
実施例3
表1により、セリア粒子(1次粒度サイズ、4nm、0.1wt%)、ポリエチレングリコール(分子量:600、0.5wt%)、L-アラニン(PI Value 6.11、0.1wt%)、ギ酸(0.02wt%)、およびpH調整剤(アンモニア)を混合して、pH=6の研磨スラリー組成物を製造した。
【0055】
実施例4
表1により、セリア粒子(1次粒度サイズ、7nm、0.1wt%)、ポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル(polyoxyethylene polyglyceryl ethers、分子量:1000、0.5wt%)、L-バニリン(PI Value 5.97、0.1wt%)、酢酸(0.02wt%)、およびpH調整剤(アンモニア)を混合して、pH=6の研磨スラリー組成物を製造した。
【0056】
実施例5
表1により、セリア粒子(1次粒度サイズ、7nm、0.1wt%)、ポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル(polyoxyethylene polyglyceryl ethers、分子量:1000、0.5wt%)、L-(-)-プロリン(PI Value 6.30、0.1wt%)、酢酸(0.02wt%)、およびpH調整剤アンモニアを混合して、pH=6の研磨スラリー組成物を製造した。
【0057】
実施例6
表1により、セリア粒子(1次粒度サイズ、7nm、0.1wt%)、ポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル(polyoxyethylene polyglyceryl ethers、分子量:1000、0.5wt%)、L-(-)-プロリン(PI Value 6.30、0.1wt%)、酪酸(0.02wt%)、およびpH調整剤アンモニアを混合して、pH=6の研磨スラリー組成物を製造した。
【0058】
比較例1
表1により、セリア粒子(1次粒度サイズ、52nm、0.1wt%)、ポリエチレングリコール(分子量:600、0.5wt%)、L-アラニン(PI Value 6.11、0.1wt%)、ギ酸(0.02wt%)、およびpH調整剤(アンモニア)を混合して、pH=6の研磨スラリー組成物を製造した。
【0059】
比較例2
表1により、湿式セリア粒子(1次粒度サイズ、61nm、0.1wt%)、ポリエチレングリコール(分子量:600、0.5wt%)、L-アラニン(PI Value 6.11、0.1wt%)、ギ酸(0.02wt%)、およびpH調整剤(アンモニア)を混合して、pH=6の研磨スラリー組成物を製造した。
【0060】
比較例3
表1により、セリア粒子(1次粒度サイズ、7nm、0.1wt%)、ポリエチレングリコール(分子量:600、0.5wt%)、ギ酸(0.02wt%)、およびpH調整剤(アンモニア)を混合して、pH=6の研磨スラリー組成物を製造した。
【0061】
比較例4
表1により、セリア粒子(1次粒度サイズ、7nm、0.1wt%)、ポリエチレングリコール(分子量:600、0.5wt%)、L-バニリン(PI Value 5.97、0.1wt%)、およびpH調整剤(アンモニア)を混合して、pH=6の研磨スラリー組成物を製造した。
【0062】
比較例5
表1により、セリア粒子(1次粒度サイズ、7nm、0.1wt%)、ポリオキシエチレンポリグリセリルエーテル(polyoxyethylene polyglyceryl ethers、分子量:1000、0.5wt%)、酪酸(0.02wt%)、およびpH調整剤(アンモニア)を混合して、pH=6の研磨スラリー組成物を製造した。
【0063】
比較例6
表1により、湿式セリア粒子(1次粒度サイズ、7nm、0.1wt%)、ポリエチレングリコール(分子量:4000、0.5wt%)、L-アラニン(PI Value 6.11、0.1wt%)、ギ酸(0.02wt%)、およびpH調整剤(アンモニア)を混合して、pH=6の研磨スラリー組成物を製造した。
【0064】
研磨特性評価
参照例、実施例、および比較例の研磨スラリー組成物を用いて、下記のような研磨条件でPETEOS含有基板を研磨した。
[研磨条件]
(1)研磨装置:ST#01(KCT)
(2)Carrier rpm:60/63
(3)Wafer Pressure:2psi
(4)Flow rate(ml/min):200
(5)パッド:IC 1000
(6)時間:60s
(7)R-ring pressure:4.5psi
【0065】
研磨特性を評価するために、実施例および比較例による研磨スラリー組成物を用いて、PETEOSウェーハ基板研磨後の研磨速度を測定し、その結果は、表1に示した。また、実施例および比較例の研磨粒子の比表面積は、BET(Brunauer-Emmett-Teller;BET)法で測定して表2に示した。
【0066】
【表1】

A-1:PEG 600(重量平均分子量600)
A-2:POE(20)polyglyceryl ether(重量平均分子量1,000)
A-3:PEG 4000(重量平均分子量4,000)
B-1:L-Alanine(PI Value 6.11)
B-2:L-Valine(PI Value 5.97)
B-3:L-(-)-Proline(PI Value 6.30)
C-1:Formic acid
C-2:Acetic acid
C-3:Butyric acid
*1次粒度サイズは、TEMで確認した。
【0067】
表1の粒度サイズおよび研磨率を代入し、下記のReal Contact/Theory Contact計算式に代入して計算した。

a:参照例1のセリアナノ粒子の1次粒度サイズ
A:aの1次粒度サイズを有するセリアナノ粒子のPETEOS研磨率
b:セリアナノ粒子の1次粒度サイズ(割合計算を所望の対象の粒度サイズ)
B:bの1次粒度サイズを有するセリアナノ粒子のPETEOS研磨率
【0068】
【表2】
【0069】
表1に示したように、本発明による研磨スラリー組成物は、ナノサイズ、例えば、30nm以下のセリア粒子を適用する場合に、これらの分散性を向上して研磨工程で非活性な研磨粒子の割合を低めて研磨対象膜との接触面積が低くなることを防止することができる。つまり、表1で示した実施例1~実施例6の研磨スラリー組成物は、組成物内で様々な範囲のナノサイズを適用しても、式1により基準となる参照例1を代入してこれらの研磨率による接触面積の比較の際にほぼ1に近接した値を示している。すなわち、本発明による研磨スラリー組成物内でナノサイズのセリア粒子の研磨工程で非活性な粒子の発生を低くし、すべての粒子を均一に研磨工程に参加させて研磨率を向上することができる。
【0070】
以上のように、実施例が限定された実施例によって説明されたが、該当技術分野における通常の知識を有する者であれば、上記の記載から様々な修正および変形が可能である。例えば、説明された技術が説明された方法と異なる手順で行われ、および/または説明された構成要素が説明された方法と異なる形で結合または組み合わされ、他の構成要素または均等物によって交換または置き換えられても、適切な結果が達成されることができる。よって、他の具現、他の実施例、および特許請求の範囲と均等なものなども後述する特許請求の範囲に属する。
【国際調査報告】