(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】圧着プレス及び圧着接続確立方法
(51)【国際特許分類】
B30B 1/26 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
B30B1/26
B30B1/26 A
B30B1/26 C
B30B1/26 B
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561310
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 IB2022053220
(87)【国際公開番号】W WO2022214998
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】599122503
【氏名又は名称】シュロニガー アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001210
【氏名又は名称】弁理士法人YKI国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ヘフナー マルコ
【テーマコード(参考)】
4E090
【Fターム(参考)】
4E090AA01
4E090AB01
4E090BA02
4E090CC02
4E090CC03
4E090EB01
4E090EC01
4E090HA10
(57)【要約】
本発明は、第1プレスジョー60を備えるとともに圧着駆動装置26を備える圧着プレス20に関しており、圧着駆動装置26は、駆動要素50と、駆動要素50を移動させる為の駆動シャフト40と、第1プレスジョー60を移動させる為の少なくとも一つの回転シャフト42と、回転シャフト42が回転可能に取り付けられる少なくとも一つの第1軸受システム41とを具備する。第1軸受システム41は、少なくとも一つのボール軸受と少なくとも一つのニードル軸受とを具備する。更に、本発明は、圧着プレスによって圧着接続を確立する為の方法と、圧着プレス20の圧着駆動装置26における少なくとも一つの第1軸受システム41の使用とに関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プレスジョー(60,60a,60b)を具備するとともに圧着駆動装置(26,26a,26b)を具備する圧着プレス(20,20a,20b)であって、前記圧着駆動装置(26,26a,26b)が、駆動要素(50,50a,50b)と、前記駆動要素(50,50a,50b)を移動させる為の駆動シャフト(40,40a,40b)と、前記第1プレスジョー(60,60a,60b)を移動させる為の少なくとも一つの回転シャフト(42,42a,42b,52,52a,52b)とともに、前記回転シャフト(42,42a,42b,52,52a,52b)が回転可能に取り付けられた少なくとも一つの第1軸受システム(41,41a,51a,51b)を具備する、圧着プレスにおいて、前記駆動シャフト(40,40a,40b)と前記回転シャフト(42,42a,42b,52,52a,52b)の両方が互いに対して回転可能であって、前記第1軸受システム(41,41a,51a,51b)が少なくとも一つのボール軸受と少なくとも一つのニードル軸受とを具備することを特徴とする、圧着プレス。
【請求項2】
前記第1軸受システム(41,41a,51a,51b)の前記少なくとも一つのボール軸受と少なくとも一つのニードル軸受とが互いに隣接して配置されることを特徴とする、請求項1に記載の圧着プレス。
【請求項3】
前記第1軸受システム(41,41a,51a,51b)の前記少なくとも一つのボール軸受と前記少なくとも一つのニードル軸受とが共通の軸受ハウジング(43a,53a,53b)に配置されることを特徴とする、請求項1又は2に記載の圧着プレス。
【請求項4】
前記少なくとも一つのニードル軸受が、2.5から10の長さ/直径比を有する複数のニードルを具備することを特徴とする、請求項1~3のいずれか1項に記載の圧着プレス。
【請求項5】
前記第1軸受システム(41,41a,51a,51b)が、前記第1プレスジョー(60,60a,60b)又は前記駆動シャフト(40,40a)の前記駆動要素(50,50a,50b)内に配置されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか1項に記載の圧着プレス。
【請求項6】
前記駆動要素(50,50a,50b)が接続ロッド(50,50a)又はカムローラ(50b)であることを特徴とする、請求項1~5のいずれか1項に記載の圧着プレス。
【請求項7】
前記接続ロッド(50,50a)が、少なくとも一つのボール軸受と少なくとも一つのニードル軸受をやはり具備する別の軸受システム(41,41a,51a)に回転可能に取り付けられる別の回転シャフト(42,42a,52,52a)を具備することを特徴とする、請求項6に記載の圧着プレス。
【請求項8】
前記駆動シャフト(40,40a,40b)が偏心シャフト(40,40a)又はカムシャフト(40b)であることを特徴とする、請求項6又は7に記載の圧着プレス。
【請求項9】
前記第1プレスジョー(60b)のエリア又は前記駆動要素(50b)のエリアにおいて前記駆動シャフト(40b)の方向の力を発生させる受動力要素(60b)が存在することを特徴とする、請求項1~8のいずれか1項に記載の圧着プレス。
【請求項10】
前記第1プレスジョー(60,60a,60b)を動作経路に沿って案内する為の案内装置(61,61a)が設けられることを特徴とする、請求項1~9のいずれか1項に記載の圧着プレス。
【請求項11】
前記第1プレスジョー(60,60a,60b)が別のプレスジョー(70,70a)へ移動されて圧着接続を確立することを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の圧着プレス(20,20a,20b)で圧着接続を確立する為の方法。
【請求項12】
圧着プレス(20,20a,20b)の圧着駆動装置(26,26a,26b)における少なくとも一つのボール軸受と少なくとも一つのニードル軸受とから成る軸受システム(41,41a,51a,51b)の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1による圧着プレスと、請求項11による圧着接続確立方法とともに、請求項12による圧着プレスの圧着駆動装置における軸受システムの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
圧着プレスで圧着接続を確立する為に、一般的には、圧着プレスに配置される少なくとも二つの圧着工具が使用される。二つの圧着工具は、垂直可動プレスジョーに、そして概ね静止しておりアンビルとも称される別のプレスジョーに対向して配置される。二つの圧着工具の間のエリアは一般的に、圧着領域と呼ばれる。
【0003】
圧着接続は通常、単一コア又は複数コアのケーブルと、例えばプラグ、アイレット、又はブシュなどの接続要素とを具備する。圧着工程中に、ケーブルは、少なくともある区分では接続要素に配置され、接続要素の一区分の塑性変形によって接続要素に接続される。
【0004】
周知の圧着プレスにおける垂直可動プレスジョーの移動の為に、通常はシャフトのモータ式回転運動をプレスジョーの所望の垂直直線運動に変換する圧着駆動装置が通常は設けられる。一般的に、ここでは偏心作用部又はカム作用部が使用される。
【0005】
特許文献1は、カムローラがカムシャフト上を転動して第1プレスジョーを移動させるカム作用部を備える圧着プレスを開示している。その短所は、カムローラの軸受システムをプレスジョーに対して取り付ける為の空間が非常に小さいことである。これを理由として、この圧着プレスのこの軸受システムは、単一のころ軸受、一般的にはニードル軸受のみを備える設計である。技術文献では通常、「浮動軸受システム」と称されるこのタイプの軸受システムは軸方向力を吸収できず、これも「伝統的な」設計ルールによれば推奨されるものではない。その結果、この圧着プレスにおける圧着工程の反復性又は精度は、ある種のケーブル又はケーブルタイプについて不完全である。
【0006】
特許文献2は、偏心作用部により圧着接続を確立する為の圧着プレスを開示している。ここでは、偏心シャフト内に回転可能に取り付けられた接続ロッドを介してプレスジョーに力が伝達される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2843779号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第3806250号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
先行技術の一つ又は複数の短所を改善することが本発明の目的である。詳しく記すと、この目的は、高精度の圧着接続が確立され得る圧着プレスを製作することを必然的に伴う。更に、この目的は、高精度の圧着接続を確立する圧着プレスを製作することに加えて、第1軸受システムの使用を通して精度の向上を行なうことを必然的に伴う。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上述した目的の少なくとも幾つかは、独立請求項の特徴によって達成される。更に好ましい実施形態が図及び従属特許請求項に示されている。
【0010】
本発明による圧着プレスは、第1プレスジョーと圧着駆動装置とを具備し、圧着駆動装置は、駆動要素と、駆動要素を移動させる為の駆動シャフトとともに、第1プレスジョーを移動させる為の少なくとも一つの回転シャフトと、回転シャフトが回転可能に取り付けられる少なくとも一つの第1軸受システムとを具備する。第1軸受システムは、少なくとも一つのボール軸受と少なくとも一つのニードル軸受とを具備する。
【0011】
少なくとも一つのボール軸受によって、軸受システムがその際には軸方向力も吸収できることが確実になる。これにより、互いに向かって回転し得る二つの要素、例えば、偏心シャフトとして設計された駆動シャフトと接続ロッドとして設計された駆動要素とが軸方向において互いに対してシフトすることが防止され、こうして圧着駆動装置全体の軸受間隙を縮小することで、圧着の反復性、ゆえに精度又は品質を向上させる。
【0012】
少なくとも一つのニードル軸受は径方向力を吸収し、同等の径方向負荷容量を持つボール軸受よりはるかに小型である。これは圧着駆動装置での摩擦損失を著しく減少させるので、少なくとも一つのボール軸受と少なくとも一つのニードル軸受との組み合わせにより圧着工程の精度が更に向上する。加えて、少なくとも一つのボール軸受の適切な寸法決定により、圧着駆動装置で必要とされる追加の設置空間が縮小され、これは改良小型設計を可能にする。
【0013】
好ましくは、更に改良された小型設計が軸方向にも可能であるように、第1軸受システムの少なくとも一つのボール軸受と少なくとも一つのニードル軸受とは互いに隣接して配置される。少なくとも一つのボール軸受と少なくとも一つのニードル軸受とは、互いの隣に配置され、適用可能な場合には、互いに接触するか数ミリメートル離間していてもよい。
【0014】
変形実施形態(不図示)において、第1軸受システムは、少なくとも一つのニードル軸受に隣接して配置される別のボール軸受を具備する。少なくとも一つのボール軸受が少なくとも一つのニードル軸受の一つの前方側に置かれ、他のボール軸受がニードル軸受の第2の前方側に置かれるので、第1軸受システムからの軸方向力がより良好に吸収され得る。こうしてボール軸受の直径が縮小され得て、適用可能な場合に、これは小型化にも寄与する。
【0015】
好ましくは、第1軸受システムの少なくとも一つのボール軸受と少なくとも一つのニードル軸受とは、共通の軸受ハウジング内に配置される。共通の軸受ハウジングは少なくとも一つのボール軸受のボールとともに少なくとも一つのニードル軸受のニードルを収容するので、より小型の設計と、回転シャフトへの第1軸受システムの容易な取り付けとが可能であり、これにより製造コストの節約を可能にする。この文脈において、「軸受ハウジング」の語は、ころ軸受の内側及び外側のリングの全体を意味するものと理解され、またこれら二つのリングの少なくとも一方は、複数の部品で、例えば外側リングが単一部材として、内側リングが二つの部品で設計され、少なくとも一つのボール軸受のボールのエリアに分離点が存在し得る。
【0016】
好ましくは、少なくとも一つのニードル軸受は、2.5から10の長さ/直径比を有する複数のニードルを具備する。
【0017】
その結果、これらの軸受は、回転シャフトへの径方向における同時的な高レベルの力吸収により非常に小型の設計を可能にする。
【0018】
好ましくは、第1プレスジョー又は駆動シャフトの駆動要素内に第1軸受システムが置かれる。ゆえに、駆動要素は第1プレスジョーに対して軸方向に規定又は決定される。これは、回転シャフトの軸受システムでの軸受間隙の縮小による圧着精度の向上につながる。例えば、第1軸受システムが駆動シャフトに配置され、回転シャフトの一端部が第1軸受システムで回転可能であり、安定的に保持されるように回転シャフトの第2端部が駆動要素へ圧入される。代替的に、第1軸受システムが駆動要素内に配置されて回転シャフトの一端部が第1軸受システムで回転可能であり、安定的に保持されるように回転シャフトの第2端部が駆動シャフトへ圧入される。
【0019】
好ましくは、モータ駆動による駆動シャフトの回転運動が第1プレスジョーの望ましい垂直直線運動に容易に変換される得るように、駆動要素は接続ロッド又はカムローラである。
【0020】
好ましくは、接続ロッドは、少なくとも一つのボール軸受と少なくとも一つのニードル軸受とをやはり具備する別の軸受システムで回転可能である別の回転シャフトを具備する。ゆえに、接続ロッドは第1と他の軸受システムの両方で、駆動シャフトに対して、また第1プレスジョーに対して軸方向に規定又は決定され、一つの自由度により圧着駆動装置全体の過決定が行われる。意外なことに、これは、圧着駆動装置全体での軸受間隙の縮小による精度の利得は、過決定が行われたことによる損失より著しく高いので、二つの軸受システムの軸受間隙の縮小による圧着精度の改良につながる。
【0021】
好ましくは、駆動シャフトは偏心シャフト又はカムシャフトである。偏心作用部、つまり偏心シャフトと接続ロッドとを備える実施形態では、力をプレスジョーへ両方向で伝達することを可能にし、これは、受動力要素が復元力を発生させる必要がないことを意味する。接続ロッドには、少なくとも二つの軸受システムが取り付けられ得る。
【0022】
カム作用部、つまりカムシャフトとカムローラとを備える実施形態では、カムローラのエリアに軸受システムが一つのみ必要である。この為、カムローラとカムシャフトとの間の接触を確実にするには、受動力要素、例えば戻しばねが好ましい。
【0023】
概して、カム作用部を備える実施形態は幾分小型の設計を可能にし、偏心作用部を備える実施形態は精度が若干良好である。
【0024】
好ましくは、第1プレスジョーのエリア又は駆動要素のエリアに駆動シャフトの方向の力を発生させ得る為の受動力要素が存在する。受動力要素はカムローラとカムシャフトとの間での接触を確実にするので、改良圧着接続が確立され得る。例えば、受動力要素は戻しばね又は磁石である。戻しばねとしての実施形態で、受動力要素は好ましくは圧着プレスの接続構造に接続される。
【0025】
好ましくは、第1プレスジョーをその動作経路に沿って案内するのに案内装置が利用可能である。第1プレスジョーは案内装置に沿って直線状に案内され、案内装置の案内レールと係合する案内区分を具備する。これは、第1プレスジョーを第2プレスジョーに向かって精密に移動させることを可能にし、軸受間隙が改良されているので、第1軸受システムゆえにこの動きが再現可能に行われ得る。例えば、案内装置は摺動案内装置である。
【0026】
圧着プレスで圧着接続を確立する為の本発明による方法は、本明細書に記載されるように、他のプレスジョーへの、又は第2プレスジョーへの第1プレスジョーの精密な移動を可能にするので、再現可能な圧着接続が確立され得る。
【0027】
本発明による軸受システムの使用は、圧着プレスの圧着駆動装置での少なくとも一つのボール軸受と少なくとも一つのニードル軸受とから成る。少なくとも一つのボール軸受によって、軸受システムがその際には軸方向力も吸収できることが確実となる。こうして、互いに向かって回転し得る二つの要素、例えば、偏心シャフトとして設計された駆動シャフトと、接続ロッドとして設計された駆動要素とが、互いに対して軸方向にシフトすることが防止され、これは圧着駆動装置全体の軸受間隙を縮小し、こうして圧着の反復性、ゆえに精度又は品質を向上させる。少なくとも一つのニードル軸受は径方向力を吸収し、同等の径方向負荷容量を持つボール軸受よりもはるかに小型である。これは圧着駆動装置に必要とされる設置空間を縮小し、こうして改良小型設計を可能にする。
【0028】
本発明の更なる利点、特徴、及び詳細は、本発明の例示的実施形態が図面を参照して説明される以下の記載から明らかとなる。第1、第2、第3、又はその他などの列挙は、構成要素を特定する為にのみ使用される。
参照リストはまた、特許請求項及び図の技術的内容と同様に開示の一体的な一部である。図は互いに対して包括的に記載されている。同一の参照番号は同一の構成要素を指し、異なる添字を有する参照番号は機能的に同一又は類似の構成要素を示している。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】本発明による圧着プレスの第一実施形態を概略断面図で示す。
【
図2】本発明による圧着プレスの別の実施形態を概略断面図で示す。
【
図3a】
図1による圧着プレスの第1位置における正面図である。
【
図3b】
図1による圧着プレスの第2位置における正面図である。
【
図4】本発明による圧着プレスの別の実施形態を概略断面図で示す。
【
図5a】
図4による圧着プレスの第1位置における正面図である。
【
図5b】
図4による圧着プレスの第2位置における正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
図1は、接続構造27と圧着エリア25とを備える圧着プレス20を示し、二つの圧着工具65,75の各々がプレスジョー60,70に配置され、互いに対して移動されて圧着接続を確立する。「アンビル」とも呼ばれる下方圧着工具75は下方プレスジョー70に装着され、そしてこれは接続構造27に接続されている。上方圧着工具65は上方プレスジョー60に配置され、これは、接続構造27に対して、そして下方圧着工具75が装着された下方プレスジョー70に対して、圧着駆動装置26によって垂直方向に可動である。この目的の為、ここで摺動案内部として設計されている直線案内装置61によって、上方プレスジョー60の移動が垂直方向に案内される。
【0031】
圧着駆動装置26は、駆動シャフト40をその軸線で能動的に回転させる圧着駆動部30と、接続ロッドとして設計された駆動要素50とともに、機械力及びトルク伝達の為の他の要素、すなわち回転シャフト42,52と、軸受システム31,41,51と、補償継手301とを具備する。圧着駆動部30は、接続構造27に接続され、好ましくはフランジ取り付けの衛星歯車を備える電気モータとして設計され、好ましくは回転エンコーダを具備する。圧着プレスに使用される代替的なモータ又は駆動部も使用され得る。圧着駆動部30は制御部及び制御装置に電気的に接続され、そしてこれらは圧着プレス20の中央制御システム、及び/又は、高レベルの機械又はシステム制御システム(不図示)と通信する。この圧着駆動部30は駆動シャフト40を回転させ、組立及び/又は製造の公差による不整合は、一般的に補償継手301により補償される。ここではO配置の二つのテーパ状ころ軸受311,312によるペアとして設計されている軸受システム31の補助により、この駆動シャフト40は接続構造27において回転可能であって軸方向に規定される。
【0032】
この文脈で、「軸方向」は、当該の回転シャフトの回転軸線と平行であることを意味する。駆動シャフト40と回転シャフト42,52の回転軸線は、互いに平行に、そして圧着工程中にはケーブルの長手延在方向により特定されるケーブル軸線Xと平行に整合される。
【0033】
接続ロッドとして設計された駆動要素50は駆動シャフト40に対して回転可能に取り付けられ、接続ロッド50の回転軸線と駆動シャフト40の回転軸線とは互いに平行に配置され、中心距離又は偏心度Eだけオフセットしている。この理由から、駆動シャフト40は通常、当業者により偏心シャフトとも呼ばれ、関連の作用部は偏心作用部と呼ばれ、このように駆動される圧着プレス20は偏心プレスと呼ばれる。他端部で、接続ロッド50はプレスジョー60に対して回転可能に取り付けられる。
【0034】
両回転軸線の事例で、回転シャフト42,52は、接続ロッド50に装着、好ましくは圧入されて、それぞれの隣接部品、つまり偏心シャフトとして設計された駆動シャフト40と可動プレスジョー60とに接続されている軸受システム41,51で回転する。可動プレスジョー60の軸受システム51は、O配置の二つのテーパ状ころ軸受511,512のペアとして設計される。偏心シャフト40の軸受システム41は、ボール軸受として設計された固定軸受411とニードル軸受として設計された浮動軸受412とを備える固定浮動軸受として設計される。
【0035】
2本の短い回転シャフト42,52は、駆動シャフト40とは対照的にトルクを伝達しないので、大抵は「軸線」とも称される。
【0036】
本書において、「ニードル軸受」の語は、直径と比較して非常に長い細長円筒ころ要素を備えるころ軸受を指す。一般的に、長さ/直径比は2.5から10の係数であり、それゆえこれらのころ要素は「ニードル」とも称され、関連の軸受は「ニードル軸受」と称される。その結果、これらの軸受は非常に小型の設計を可能にするのと同時に径方向での高い力吸収を行ない、大抵は「球形ころ軸受」とも称される短いローラの「通常の」円筒ころ軸受と異なっている。
【0037】
図2は、代替的な圧着駆動装置26aを備える圧着プレス20aの代替的実施形態を示す。これは、
図1による圧着駆動装置26と同じ作用部を使用する。しかしながら、以下で開示されるように、回転シャフト42,52は、軸受システム31a,41a,51a及び直線案内装置61aとともに、異なる形で配置されている。更に、他のプレスジョー70aは別の案内装置71aで垂直方向に案内され、別の圧着駆動装置72aの補助により移動され得る。
【0038】
接続構造27において偏心シャフトとして設計された駆動シャフト40aの軸受システム31aもここでは、ボール軸受として設計された固定軸受311aと円筒ころ軸受又は球形ころ軸受として設計された浮動軸受312aとを備える固定浮動軸受システムとして実装されている。
【0039】
回転シャフト42aは、偏心シャフトとして設計された駆動シャフト40aに固定又は圧入され、回転シャフト52aは可動プレスジョー60aに固定又は圧入され、一方で対応の軸受システム41a,51aは接続ロッド50aとして設計された駆動要素に接続されるか、接続ロッド50aに配置される。両方の軸受システム41a,51aの各々は共通の軸受ハウジングを有し、ニードル軸受とボール軸受の両方が共通の軸受ハウジング43a,53aに配置されるか、同じ内側又は外側のリングを共有している。言い換えると、偏心シャフトとして設計された駆動シャフト40と接続ロッド50との間の軸受システム41aは、ニードル軸受とボール軸受とが共通の軸受ハウジング43a内で組み合わされた複合ニードル・ボール軸受として設計されている。この文脈で、「軸受ハウジング」の語は、ころ軸受の内側及び外側のリングの全体を意味すると理解され、またこれらのリングの少なくとも一方は複数の部品で、例えば、外側リングが単一部材として、内側リングが二つの部品で設計されてもよく、分離点は球形ころ要素のエリアにある。
【0040】
接続ロッド50とプレスジョー60との間の軸受システム51aも、このような複合ニードル・ボール軸受を備える設計であり、共通の軸受ハウジング53aを具備する。
【0041】
可動プレスジョー60と接続構造27との間の直線案内装置61aは、適合レールを備える再循環ボール軸受案内部として設計される。
【0042】
代替的な圧着駆動装置26aの残りの要素は、
図1による圧着駆動装置26のものと機能的及び構造的に同一である。
【0043】
他のプレスジョー70aは別の案内装置71aで垂直方向に案内され、別の圧着駆動装置72aの補助で移動され得る。この他の圧着駆動装置72aは、ブロック矢印により概略的にのみ表されている。ここでも偏心又はカム作用部は特定の実施形態として考えられ、つまり圧着駆動装置26,26a,26b(
図4参照)について記載されたものと類似している。代替的に、例えば欧州特許出願公開第3806250号に記載されているように、トグルレバー又はウェッジ、及び/又は、関連の駆動要素を備える代替的な駆動作用部も、簡易空気圧シリンダとして可能である。
【0044】
加えて、又は代替例として、上に示された圧着プレスの実施形態が可能であり、これは、図示されている二つの圧着プレス20,20aの要素を備える、例えば、片側の軸受システムと反対側で圧入されたシャフトとを具備する接続ロッドを備えるか、偏心シャフトと接続構造との間にボール軸受とニードル軸受とを備える上に記載の別の軸受システムを備える多様な組み合わせと中間的変形とを包含する。この軸受システムの事例では、ボール軸受の代わりに球形ころ軸受が固定軸受として代替的に使用されてもよい。X配置でのテーパ状ころ軸受のペアの配置も考えられる。言うまでもなく、圧着駆動装置26は可動の下方プレスジョー70aと組み合わされてもよい。接続ロッドとプレスジョーとの間の軸受システムの事例では、平軸受を使用することも可能である。
【0045】
図3a,3bに基づいて、
図1による圧着プレス20で圧着接続を確立する為の方法がこれから記載される。
【0046】
この事例では、二つの圧着工具65,75が圧着接続を確立できるように圧着駆動装置26によって上方プレスジョー60が下方プレスジョー70へ案内される。
【0047】
図3aは中央位置における圧着プレス20の上方プレスジョー60を示し、
図3bは圧着位置におけるこのジョーを示す。プレスジョー60を圧着位置へ移送する為に、偏心シャフトとして設計された駆動シャフト40が90°だけ時計方向に回転され、接続ロッド50によって駆動力がプレスジョー60に伝達され、二つの軸受システム41,51と回転シャフト42,52とによって、偏心シャフト40とプレスジョー60の両方で接続ロッド50が回転可能である。
【0048】
図4は、代替的な圧着駆動装置26bを備える圧着プレス20bの別の代替的実施形態を示す。
【0049】
これは、関連のシャフト及び軸受システムとの接続ロッドが設けられていないカム作用部を使用する。代わりに、カムローラとして設計された駆動要素50bが、カムシャフトとして設計された駆動シャフト40b上で転動し、可動プレスジョー60bの周囲で回転可能に取り付けられている。
【0050】
カムシャフトとして設計された駆動シャフト40bの外側輪郭は、その回転軸線と同心でなく(
図5参照)、カムシャフト40bが回転する時にカムシャフト40bとカムローラ50bとの回転軸線の間の距離N,Ni(
図5a)が変化する。こうしてカムシャフト40bの回転運動はプレスジョー60bの直線運動を発生させる。カムシャフト40bとカムローラ50bとの常時接触を確実にする為に、好ましくは螺旋圧縮ばねとして設計された戻しばねとしてここでは示されている受動力要素62bが、可動プレスジョー60bと接続構造27との間に設けられている。
【0051】
加えて、あるいは代替例として、受動力要素62bとして磁石が使用されてもよく、及び/又は、磁気接着要素でカムシャフト及び/又はカムローラを補完してもよい。
【0052】
カムローラ50bの為の回転シャフト52bは、プレスジョー60bに装着されるかこれに圧入される。軸受システム51bはカムローラ60bに装着されるかこれに圧入される。本明細書に図示されている実施形態において、この軸受システム51bは、
図2の軸受システム41a,51aに類似した複合ニードル・ボール軸受として設計されている。
【0053】
代替的に、軸受システム41の事例で
図1に示されているものと同様に、別々の軸受ハウジングでの二つの別々のころ軸受の組み合わせとして軸受システム51bを設計することも可能である。軸受システムをプレスジョーとカムローラのシャフトとに固定することも可能であり、この実施形態では、シャフトとカムローラとが共通の回転部品として設計されてもよい。
【0054】
代替的な圧着駆動装置26bの残りの要素は、圧着駆動装置26のものと機能的及び構造的に同一である。
【0055】
ここで、他の二つの圧着プレス20,20aの要素との組み合わせとして考えられるもの全ても可能かつ有用であり、例示的な実施形態は既に
図2についての説明箇所に記載されている。
【0056】
図5a,5bに基づいて、
図4による圧着プレス20bで圧着接続を確立する為の方法がこれから記載される。二つの圧着工具65,75が圧着接続を確立できるように、圧着駆動装置26bによって上方プレスジョー60bが下方プレスジョー70へ案内される。
【0057】
図5aは中央位置における圧着プレス20bの上方プレスジョー60bを示し、
図5bは圧着位置におけるこのジョーを示す。プレスジョー60bを圧着位置へ移送する為に、カムシャフトとして設計された駆動シャフト40bが90°だけ時計方向に回転され、転動するカムローラ50bによってプレスジョー60bへ駆動力が伝達され、軸受システム51と回転シャフト52とによって、カムローラ50bがプレスジョー60bに回転可能に取り付けられる。カムローラ50bとカムシャフト40bとの間の接触は、受動力要素62bにより確実となる。
【符号の説明】
【0058】
20,20a‐b 圧着プレス
25 圧着エリア
26,26a‐b 圧着駆動装置
27 接続構造
30 圧着駆動部(ギヤモータ)
301 補償継手
31,31a 軸受システム(軸受ペア)
311,311a ころ軸受(テーパ状ころ軸受、固定軸受、ボール軸受)
312,312a ころ軸受(テーパ状ころ軸受、浮動軸受、円筒ころ軸受)
40,40a 駆動シャフト(偏心シャフト)
40b 駆動シャフト(カムシャフト)
41,41a 軸受システム(軸受ペア、複合ニードル・ボール軸受)
411 ころ軸受(固定軸受、ボール軸受)
412 ころ軸受(浮動軸受、ニードル軸受)
42,42a 回転シャフト(軸線)
43a 軸受ハウジング
50,50a 駆動要素(接続ロッド)
50b 駆動要素(カムローラ)
51,51a‐b 軸受システム(軸受ペア、複合ニードル・ボール軸受)
511,512 ころ軸受(テーパ状ころ軸受)
52,52a‐b 回転シャフト(軸線)
53a‐b 軸受ハウジング
60,60a‐b (第1、上方)プレスジョー
61,61a (直線)案内装置
62b 受動力要素(戻しばね、磁石)
65 (第1、上方)圧着工具
70,70a (他の、下方)プレスジョー
71a (直線)案内装置
72a 他の圧着駆動装置
75 (他の、下方)圧着工具(アンビル)
E (偏心シャフトの)(中心)距離(偏心度)
N,N1 (回転角度に応じたカムシャフトの)(中心)距離
X ケーブル軸線(軸線方向)
【国際調査報告】