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特表2024-515548カプセル化微生物組成物およびその製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】カプセル化微生物組成物およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
   C12N 1/20 20060101AFI20240403BHJP
   A01N 25/00 20060101ALI20240403BHJP
   A01N 63/27 20200101ALI20240403BHJP
   A01N 63/20 20200101ALI20240403BHJP
   A01P 3/00 20060101ALI20240403BHJP
   A01P 7/02 20060101ALI20240403BHJP
   A01P 7/04 20060101ALI20240403BHJP
   A01P 13/00 20060101ALI20240403BHJP
   A01N 25/26 20060101ALI20240403BHJP
   A01P 21/00 20060101ALI20240403BHJP
   A01G 7/00 20060101ALI20240403BHJP
   A01H 5/10 20180101ALI20240403BHJP
【FI】
C12N1/20 C
A01N25/00 102
A01N63/27
A01N63/20
A01P3/00
A01P7/02
A01P7/04
A01P13/00
A01N25/26
A01P21/00
A01G7/00 604Z
C12N1/20 E
A01H5/10
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561327
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-29
(86)【国際出願番号】 US2022023995
(87)【国際公開番号】W WO2022217038
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/172,898
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】501231613
【氏名又は名称】モンサント テクノロジー エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】アンジェム,アディル
(72)【発明者】
【氏名】ブコルツ,トレーシー
(72)【発明者】
【氏名】ファン,ミンヤ
(72)【発明者】
【氏名】ラウ,ミンウーイ
【テーマコード(参考)】
2B030
4B065
4H011
【Fターム(参考)】
2B030AA02
2B030AB03
2B030AD06
2B030AD07
2B030CA28
4B065AA01X
4B065AA43X
4B065AA87X
4B065AC20
4B065BD06
4B065BD10
4B065BD22
4B065BD27
4B065BD32
4B065BD36
4B065BD38
4B065BD41
4B065BD50
4B065CA47
4H011AA01
4H011AB01
4H011AB03
4H011AC01
4H011AC04
4H011BA01
4H011BB21
4H011BC06
4H011BC08
4H011BC09
4H011BC18
4H011BC19
4H011DA05
4H011DD03
4H011DH10
4H011DH11
(57)【要約】
例えば、成長を促進し、および/または有害生物防除を提供するために植物種子に施用することができる、安定性が増加したカプセル化微生物組成物、および安定性が増加したそのようなカプセル化微生物組成物を調製するための方法が記載される。この方法は、微生物と少なくとも1つのヒドロゲル、例えばアルギン酸塩とを組み合わせて前駆体混合物を形成するステップと、前駆体混合物を二価カチオン、二価カチオン塩、またはそれらの組み合わせを含む架橋剤で固化して中間微生物組成物を形成するステップと、および中間微生物組成物を乾燥させてカプセル化微生物組成物を形成するステップとを含むことができる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カプセル化微生物組成物を調製するための方法であって、以下の:
(a) 微生物と少なくとも1つのヒドロゲルを組み合わせて前駆体混合物を形成するステップであって、前記少なくとも1つのヒドロゲルがアルギン酸塩を含むステップと;
(b) 前記前駆体混合物を二価カチオン、二価カチオン塩、またはそれらの組み合わせを含む架橋剤で固化させて、中間微生物組成物を形成するステップと;および
(c) 前記中間微生物組成物を乾燥させて、約10%以下の水分含量を有するカプセル化微生物組成物を形成するステップであって、前記乾燥が、約15℃以上の乾燥温度で、約25,000g/hr/m以下の蒸発速度で行われるステップと
を含む、前記方法。
【請求項2】
カプセル化微生物組成物を調製するための方法であって、以下の:
(a) 微生物と少なくとも1つのヒドロゲルを組み合わせて前駆体混合物を形成するステップであって、前記少なくとも1つのヒドロゲルがアルギン酸塩を含むステップと;
(b) 前記前駆体混合物を二価カチオン、二価カチオン塩、またはそれらの組み合わせを含む架橋剤で固化させて、中間微生物組成物を形成するステップと;および
(c) 前記中間微生物組成物を乾燥させて、約0.5g/mL以上約1.5g/mL以下のタップ密度を有するカプセル化微生物組成物を形成するステップと
を含む、前記方法。
【請求項3】
前記アルギン酸塩が、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸バリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸ストロンチウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記少なくとも1つのヒドロゲルが、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、酢酸フタル酸セルロース、キトサンおよびキトサン誘導体、コラーゲン、ゼラチン、グリコサミノグリカン、グアーガム、アカシアゴム、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ローカストビーンガム、メチルセルロース、ペクチン、ポリエチレンオキシド、ポリグリコール酸、ポリウレタン、デンプン、加工デンプン、キサンタンガム、またはそれらの組み合わせをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記少なくとも1つのヒドロゲルが、前記前駆体混合物の総重量に基づいて、約5重量%~約50重量%の量で前記前駆体混合物中に存在する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記前駆体混合物が窒素含有安定剤を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記窒素含有安定剤が、アンモニア、水酸化アンモニウム、尿素、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、グルテン、加水分解カゼイン、加水分解ホエータンパク質、加水分解エンドウ豆タンパク質、加水分解ダイズタンパク質、麦芽抽出物、粉乳、ホエー粉末、酵母抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記窒素含有安定剤が、前記前駆体混合物の総重量に基づいて,約5重量%~約50重量%の量で前記前駆体混合物中に存在する、請求項6または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記前駆体混合物が糖含有安定剤を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記糖含有安定剤が、二糖類または糖アルコールである、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記糖含有安定剤が、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、スクロース、ラクトース、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項9または請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記糖含有安定剤が、前記前駆体混合物の総重量に基づいて、約5重量%~約50重量%の量で前記前駆体混合物中に存在する、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記微生物が芽胞非形成細菌である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記微生物が、シュードモナス(Pseudomonas)、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)、ハーバスピリラム(Herbaspirillum)、ファイトバクター(Phytobacter)、シュードアシドボラックス(Pseudacidovorax)、ミツアリア(Mitsuaria)、アゾスピリルム(Azospirillum)、バークホルデリア(Burkholderia)、クリセオモナス(Chryseomonas)、エロモナス(Aeromonas)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ステノトロホモナス(Stenotrophomonas)、クロモバクテリウム(Chromobacterium)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)、ゼノラブダス(Xenorhabdus)、フォトラブダス(Photorhabdus)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記微生物が、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)、ファイトバクター・ジアゾトロフィカス(Phytobacter diazotrophicus)、ハーバスピリラム・フリシンゲンス(Herbaspirillum frisingense)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記前駆体混合物が、フィラーをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記フィラーが、デンプン、セルロース、バイオ炭、軽石、シリカ、クレイ、ゼオライト、パーライト、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記フィラーが、前記前駆体混合物の総重量に基づいて、約0.1重量%~約90重量%の量で前記前駆体混合物中に存在する、請求項16または請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記二価カチオンが、バリウムカチオン、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、ストロンチウムカチオン、コバルトカチオン、ニッケルカチオン、亜鉛カチオン、マンガンカチオン、またはそれらの組み合わせである、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記二価カチオン塩が、バリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、コバルト塩、亜鉛塩、マンガン塩、またはそれらの組み合わせである、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記架橋剤が、溶媒をさらに含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記固化が、前記前駆体混合物の液滴を前記架橋剤と接触させるステップを含み、および前記中間微生物組成物が、架橋ビーズの形態である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記架橋ビーズが、約1mm~約20mmの平均粒径を有する、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記固化が、約100μm~約500μmの直径を有する開口部を通して前記前駆体混合物を流し、前記前駆体混合物を前記架橋剤と接触させるステップを含み、および前記中間微生物組成物が架橋マイクロビーズの形態である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記架橋マイクロビーズが、約100μm~約20mmの平均粒径を有する、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記二価カチオンが、前記カプセル化微生物組成物の総乾燥重量の約0.1%~約10%の量で存在する、請求項22~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記固化が、前記前駆体混合物の前記架橋剤との高せん断混合を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記高せん断混合が、少なくとも約3.5m/sの先端速度で、少なくとも約5秒間実施される、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記高せん断混合が、約3.5m/s~約25m/sの先端速度で、約5秒~約20分間実施される、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記高せん断混合が、約4℃~約30℃の温度で実施される、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記固化が、前記前駆体混合物を前記架橋剤と組み合わせて、前記中間微生物組成物を形成するステップを含み、前記架橋剤が前記二価カチオン塩を含み、および前記二価カチオン塩が二価カチオン炭酸塩である、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記二価カチオン炭酸塩が、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸コバルト、炭酸ニッケル、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、またはそれらの組み合わせである、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記二価カチオン炭酸塩が炭酸カルシウムである、請求項31または請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記固化が、酸性緩衝剤を添加することをさらに含む、請求項31~33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記酸性緩衝剤が、(i)前記架橋剤が前記前駆体混合物と組み合わされる前に、前記前駆体混合物および/または前記架橋剤に;(ii)前記架橋剤と実質的に同時に前記前駆体混合物に;(iii)前記前駆体混合物および前記架橋剤を含む混合物に;または(i)、(ii)、および(iii)の任意の組み合わせに添加される、請求項34に記載の使用。
【請求項36】
前記混合物が、約4~約6.5のpHを有する、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記組み合わせることが、約5分以上および/または約4℃以上の温度で実施される、請求項31~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記組み合わせることが、約5分間~約48時間および/または約4℃~約40℃の温度で実施される、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記組み合わせることが、前記前駆体混合物を前記架橋剤と混合することを含む、請求項31~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記二価カチオンが、前記カプセル化微生物組成物の総乾燥重量の約0.001%~約25%に相当する量で存在する、請求項27~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記中間微生物組成物を基材に適用するステップをさらに含み、前記中間微生物組成物が前記基材上のフィルムの形態である、請求項27~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記フィルムが、約1mm~約1cmの厚さを有する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記乾燥温度が、約15℃~約60℃である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
乾燥時間が約15分以上である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記乾燥時間が約15分~約200時間である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記蒸発速度が、約15,000g/hr/m以下である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記蒸発速度が、約10,000g/hr/m以下である、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記蒸発速度が、約5,000g/hr/m以下である、先行する請求項のいずれか一項に記載の使用。
【請求項49】
前記蒸発速度が、約1g/hr/m~約500g/hr/mである、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記カプセル化微生物組成物を処理して、カプセル化微生物粒子を形成するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
約200μm以下の平均粒径を有するようにカプセル化微生物粒子の大きさを減少させるステップをさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記カプセル化微生物粒子の大きさを減少させるステップが、前記カプセル化微生物粒子を粉砕するステップを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
前記カプセル化微生物組成物が、約5%以下の水分含量を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記カプセル化微生物組成物が、25℃および65%相対湿度(RH)で、4週間、8週間、または12週間後に、2log未満の、グラムあたりのコロニー形成単位(CFU/g)の損失を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記カプセル化微生物組成物が、25℃および65%相対湿度(RH)で、4週間、8週間または12週間後に、1log未満の、グラムあたりのコロニー形成単位(CFU/g)の損失を有する、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記カプセル化微生物組成物を、植物種子、植物、植物の一部、および植物環境の1つ以上に施用することをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記植物種子が、保護剤、除草剤、殺有害生物剤、殺菌剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記植物種子が、野菜種子、果実種子、穀物種子、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項56または請求項57に記載の方法。
【請求項59】
少なくとも1つの疎水性添加剤を前記微生物および前記少なくとも1つのヒドロゲルと組み合わせて、前記前駆体混合物を形成するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
前記中間微生物組成物を乾燥させて、前記カプセル化微生物組成物を形成するステップが、前記中間微生物組成物を空気乾燥させるステップ、前記中間微生物組成物を真空乾燥させるステップ、および/または流動床で前記中間微生物組成物を乾燥させるステップのうちの1つ以上を含む、先行する請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
カプセル化微生物組成物を調製するための方法であって、該方法が:
(a) 微生物と少なくとも1つのヒドロゲルを組み合わせて、前駆体混合物を形成するステップであって、前記少なくとも1つのヒドロゲルがアルギン酸塩を含むステップと;
(b) 前記前駆体混合物を架橋剤で固化して、架橋ビーズの形態で中間微生物組成物を形成するステップであって、前記固化が前記前駆体混合物の液滴を架橋剤と接触させるステップを含み、前記架橋剤が二価カチオン、二価カチオン塩、またはそれらの組み合わせを含むステップと;および
(c) 前記中間微生物組成物を乾燥させて、約10%以下の水分含量を有するカプセル化微生物組成物を形成するステップと
を含む、前記方法。
【請求項62】
カプセル化微生物組成物を調製するための方法であって、該方法が:
(a) 微生物と少なくとも1つのヒドロゲルを組み合わせて、前駆体混合物を形成するステップであって、前記少なくとも1つのヒドロゲルがアルギン酸塩を含むステップと;
(b) 前記前駆体混合物を架橋剤で固化して、架橋マイクロビーズの形態で中間微生物組成物を形成するステップであって、前記固化が、前記前駆体混合物を約100μm~約500μmの直径を有する開口部を通して流し、前記前駆体混合物を前記架橋剤と接触させるステップを含み、および前記架橋剤が二価カチオン、二価カチオン塩、またはそれらの組み合わせを含むステップと;および
(c) 前記中間微生物組成物を乾燥させて、約10%以下の水分含量を有する前記カプセル化微生物組成物を形成するステップと
を含む、前記方法。
【請求項63】
カプセル化微生物組成物を調製するための方法であって、該方法が:
(a) 微生物と少なくとも1つのヒドロゲルとを組み合わせて、前駆体混合物を形成するステップであって、前記少なくとも1つのヒドロゲルがアルギン酸塩を含むステップと;
(b) 前記前駆体混合物を架橋剤で固化して、中間微生物組成物を形成するステップであって、前記固化が、前記前駆体混合物を前記架橋剤と高せん断混合するステップを含み、および前記架橋剤が、二価カチオン、二価カチオン塩、またはそれらの組み合わせを含むステップと;および
(c) 前記中間微生物組成物を乾燥させて、約10%以下の水分含量を有する前記カプセル化微生物組成物を形成するステップと
を含む、前記方法。
【請求項64】
カプセル化微生物組成物を調製するための方法であって、該方法が:
(a) 微生物と少なくとも1つのヒドロゲルを組み合わせて、前駆体混合物を形成するステップであって、前記少なくとも1つのヒドロゲルがアルギン酸塩を含むステップと;
(b) 前記前駆体混合物を、二価カチオン塩を含む架橋剤で固化して、中間微生物組成物を形成するステップであって、前記固化が、前記前駆体混合物を前記架橋剤と組み合わせるステップを含み、および前記二価カチオン塩が二価カチオン炭酸塩であるステップと;および
(c) 前記中間微生物組成物を乾燥させて、約10%以下の水分含量を有する前記カプセル化微生物組成物を形成するステップと
を含む、前記方法。
【請求項65】
カプセル化微生物組成物であって:
二価カチオンと一緒に結合された少なくとも1つのヒドロゲルを含むポリマーマトリックス中に埋め込まれた微生物を含み、ここで、前記少なくとも1つのヒドロゲルがアルギン酸塩を含み;および前記カプセル化微生物組成物が約10%以下の水分含量を有する、前記組成物。
【請求項66】
カプセル化微生物組成物であって:
二価カチオンと一緒に結合した少なくとも1つのヒドロゲルを含むポリマーマトリックス中に埋め込まれた微生物を含み、ここで、前記少なくとも1つのヒドロゲルがアルギン酸塩を含み;および前記カプセル化微生物組成物が、約0.5g/mL以上約1.5g/mL以下のタップ密度を有する、前記組成物。
【請求項67】
前記アルギン酸塩が、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸バリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸ストロンチウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項65または請求項66に記載の組成物。
【請求項68】
前記少なくとも1つのヒドロゲルが、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、酢酸フタル酸セルロース、キトサンおよびキトサン誘導体、コラーゲン、ゼラチン、グリコサミノグリカン、グアーガム、アカシアゴム、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ローカストビーンガム、メチルセルロース、ペクチン、ポリエチレンオキシド、ポリグリコール酸、ポリウレタン、デンプン、加工デンプン、キサンタンガム、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項65~67のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項69】
前記少なくとも1つのヒドロゲルが、前記組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約50重量%の量で存在する、請求項65~68のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項70】
前記ポリマーマトリックスが窒素含有安定剤をさらに含む、請求項65~69のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項71】
前記窒素含有安定剤が、アンモニア、水酸化アンモニウム、尿素、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、グルテン、加水分解カゼイン、加水分解ホエータンパク質、加水分解エンドウ豆タンパク質、加水分解ダイズタンパク質、麦芽抽出物、粉乳、ホエー粉末、酵母抽出物、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項70に記載の組成物。
【請求項72】
前記窒素含有安定剤が、前記組成物の総重量に基づいて,約5重量%~約50重量%の量で存在する、請求項70または請求項71に記載の組成物。
【請求項73】
前記ポリマーマトリックスが糖含有安定剤をさらに含む、請求項65~72のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項74】
前記糖含有安定剤が、二糖類または糖アルコールである、請求項73に記載の組成物。
【請求項75】
前記糖含有安定剤が、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、スクロース、ラクトース、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項73または請求項74に記載の組成物。
【請求項76】
前記糖含有安定剤が、前記組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約50重量%の量で存在する、請求項73~75のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項77】
前記微生物が芽胞非形成細菌である、請求項65~76のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項78】
前記微生物が、シュードモナス(Pseudomonas)、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)、ハーバスピリラム(Herbaspirillum)、ファイトバクター(Phytobacter)、シュードアシドボラックス(Pseudacidovorax)、ミツアリア(Mitsuaria)、アゾスピリルム(Azospirillum)、バークホルデリア(Burkholderia)、クリセオモナス(Chryseomonas)、エロモナス(Aeromonas)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ステノトロホモナス(Stenotrophomonas)、クロモバクテリウム(Chromobacterium)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)、ゼノラブダス(Xenorhabdus)、フォトラブダス(Photorhabdus)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項65~77のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項79】
前記微生物が、シュードモナス(Pseudomonas)、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)、ファイトバクター(Phytobacter)、ハーバスピリラム(Herbaspirillum)、ミツアリア(Mitsuaria)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項65~78のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項80】
前記微生物が、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)、ファイトバクター・ジアゾトロフィカス(Phytobacter diazotrophicus)、ハーバスピリラム・フリシンゲンス(Herbaspirillum frisingense)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項65~79のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項81】
前記二価カチオンが、バリウムカチオン、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、ストロンチウムカチオン、コバルトカチオン、ニッケルカチオン、亜鉛カチオン、マンガンカチオンまたはそれらの組み合わせである、請求項65~80のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項82】
前記ポリマーマトリックスが、フィラーをさらに含む、請求項65~81のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項83】
前記フィラーが、デンプン、セルロース、バイオ炭、軽石、シリカ、クレイ、ゼオライト、パーライト、またはそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項82に記載の組成物。
【請求項84】
前記フィラーが、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%~約90重量%の量で存在する、請求項82または請求項83に記載の組成物。
【請求項85】
前記カプセル化微生物組成物が、約300μm以下の粒径を有する粒子の形態である、請求項65~84のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項86】
前記カプセル化微生物組成物が、約5%以下の水分含量を有する、請求項65~85のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項87】
前記カプセル化微生物組成物が、25℃および65%相対湿度(RH)で、4週間、8週間または12週間後に、2log未満の、グラムあたりのコロニー形成単位(CFU/g)の損失を有する、請求項65~86のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項88】
前記カプセル化微生物組成物が、25℃および65%相対湿度(RH)で、4週間、8週間または12週間後に、1log未満の、グラムあたりのコロニー形成単位(CFU/g)の損失を有する、請求項65~87のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項89】
前記ポリマーマトリックスが、少なくとも1つの疎水性添加剤をさらに含む、請求項65~88のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項90】
種子組成物であって:
植物種子;および
前記植物種子の表面の少なくとも一部に存在する、請求項65~89のいずれか一項に記載のカプセル化微生物組成物
を含む、前記種子組成物。
【請求項91】
前記植物種子が、保護剤、除草剤、殺有害生物剤、殺菌剤、またはそれらの組み合わせをさらに含む、請求項90に記載の種子組成物。
【請求項92】
前記植物種子が、野菜種子、果実種子、穀物種子、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項90または請求項91に記載の種子組成物。
【請求項93】
前記植物種子が、キャノーラ種子、トウモロコシ種子、ダイズ種子、コムギ種子、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項90または請求項91に記載の種子組成物。
【請求項94】
疎水性コーティングをさらに含む、請求項90~93のいずれか一項に記載の種子組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月9日に出願された米国仮特許出願第63/172,898号の利益および優先権を主張し、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる。
技術分野
本開示は一般に、植物種子処理などの施用のための安定性が増加したカプセル化微生物組成物に関する。本開示はさらに、一般に、安定性が増加したそのようなカプセル化微生物組成物を調製する方法、およびカプセル化微生物組成物を植物種子に施用する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
このセクションは、必ずしも従来技術ではない本開示に関連する背景情報を提供する。
【0003】
植物を取り囲む微生物相は、細菌、真菌、酵母、および藻類を含む非常に多様である。植物マイクロバイオームを構成する微生物(Microbes)(微生物(microorganisms)とも呼ばれる)は、種子、植物、土壌、花粉媒介者および他の動物、ならびに環境を含む様々な供給源に由来する。これらの微生物のいくつかはそれらの植物宿主に有益であり、植物成長および作物生産性を促進することができるが、一方、他のものは病原体と呼ばれることが多い病気の原因物質である。植物の形質を改善するための農業、園芸、林業および環境管理における微生物剤の使用に対する関心が高まっている。一般に根圏および根面として知られている、植物の根を取り囲む土壌のゾーンに存在することが知られている多くの微生物が、植物の成長を促進する能力について注目されている。さらに、微生物は例えば、植物病原体に対抗することおよび/または植物成長を改善することによって、農業生産性および効率を増加させるための生物学的防除剤として使用することができることが示されている。いくつかの微生物は、分子窒素の固定、土壌栄養素(例えば、鉄、リン、硫黄など)の動員、植物ホルモンおよびビタミンの合成、ならびに土壌有機物を増加させることができる土壌中の植物物質の分解などの多くの機構を通して、それらの宿主の適応能力を増強することができる。植物種子および/または土壌に特定の有益な微生物を接種することによって、植物に、有害生物を防除し、および/またはそれらの成長および発育を増強する重要な栄養素または有益な因子を供給することができる。しかしながら、微生物は典型的には、植物の健康および形質にプラスの影響を及ぼすために生存可能なままである必要があり、貯蔵または環境において、または植物もしくは植物種子上で安定でない場合がある。
【発明の概要】
【0004】
したがって、例えば、種子処理製剤、コーティングおよび/またはバイオ肥料または他の農業用途、例えば長期貯蔵および後の使用のために組み込むことができる、そのような有益な微生物を含む改善された方法および組成物が必要とされている。しかしながら、微生物の貯蔵、輸送および植物または植物種子への施用の間の、特に様々な温度および湿度での、微生物の生存率、構造および機能の保存は、困難であることが証明されている。生物学的材料を安定化するための方法および組成物が開発されてきたが、農業用途のために、細菌または真菌などの微生物を製剤化するための改善された組成物および方法が依然として必要とされている。実際、多くの芽胞非形成細菌および真菌株は貯蔵および製剤条件に特に感受性であり、既存の製剤アプローチおよび戦略を用いた貯蔵および農業用途の間、生存可能なままではない場合がある。したがって、生物学的材料の輸送および貯蔵中に遭遇するような、様々な温度および湿度での長期間にわたる広範囲の生物学的材料の貯蔵のためのより安定な組成物を製造するための方法がさらに必要とされている。別の態様では、植物、植物部分または種子への施用の前後で安定かつ活性を維持する微生物含有組成物が必要とされている。
概要
【0005】
このセクションは本開示の一般的な概要を提供するものであり、その全範囲またはその特徴の全ての包括的な開示ではない。
【0006】
新規で有用なカプセル化微生物組成物およびその製造方法は、添付の特許請求の範囲に記載されている。例示的な実施形態はまた、当業者が特許請求される主題を作製および使用することを可能にするために提供される。
【0007】
一態様において、カプセル化微生物組成物を調製するための方法が記載される。この方法は一般に、微生物と少なくとも1つのヒドロゲルとを組み合わせて前駆体混合物を形成するステップと、前駆体混合物を架橋剤で固化して中間微生物組成物を形成するステップと、および中間微生物組成物を乾燥してカプセル化微生物組成物を形成するステップとを含む。カプセル化微生物組成物は、約10%以下または約5%以下の水分含量を有することができる。少なくとも1つのヒドロゲルは一般に、アルギン酸塩を含み、架橋剤は一般に、二価カチオン、二価カチオン塩、またはそれらの組み合わせを含む。乾燥は、約15℃以上の乾燥温度で、約25,000g/hr/m以下の蒸発速度で行うことができる。
【0008】
別の態様において、カプセル化微生物組成物を調製するための方法が記載される。この方法は一般に、微生物と少なくとも1つのヒドロゲルとを組み合わせて前駆体混合物を形成するステップと、前駆体混合物を架橋剤で固化して中間微生物組成物を形成するステップと、および中間微生物組成物を乾燥してカプセル化微生物組成物を形成するステップとを含む。少なくとも1つのヒドロゲルは一般に、アルギン酸塩を含み、架橋剤は一般に、二価カチオン、二価カチオン塩、またはそれらの組み合わせを含む。カプセル化微生物組成物は、約0.5g/mL以上~約1.5g/mL以下のタップ密度を有することができる。
【0009】
アルギン酸塩は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸バリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸ストロンチウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0010】
少なくとも1つのヒドロゲルは、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、酢酸フタル酸セルロース、キトサンおよびキトサン誘導体、コラーゲン、ゼラチン、グリコサミノグリカン、グアーガム、アカシアガム、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ローカストビーンガム、メチルセルロース、ペクチン、ポリエチレンオキシド、ポリグリコール酸、ポリウレタン、デンプン、加工デンプン、キサンタンガム、またはそれらの組み合わせをさらに含み得る。
【0011】
少なくとも1つのヒドロゲルは、前駆体混合物の総重量に基づいて約5重量%~約50重量%の量で前駆体混合物中に存在し得る。
【0012】
前駆体混合物は、窒素含有安定剤、糖含有安定剤、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。含窒素安定剤としては、アンモニア、水酸化アンモニウム、尿素、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、グルテン、加水分解カゼイン、加水分解ホエータンパク質、加水分解エンドウ豆タンパク質、加水分解ダイズタンパク質、麦芽抽出物、粉乳、ホエー粉末、酵母抽出物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。糖含有安定剤としては、例えば、二糖類、糖アルコール、またはこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、糖含有安定剤は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、スクロース、ラクトース、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0013】
窒素含有安定剤および糖含有安定剤はそれぞれ、前駆体混合物の総重量に基づいて約5重量%~約50重量%の量で前駆体混合物中に存在し得る。
【0014】
微生物は、芽胞非形成細菌であり得る。例えば、微生物は、シュードモナス(Pseudomonas)(例えば、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens))、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)(例えば、ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum))、ハーバスピリラム(Herbaspirillum)(例えば、ハーバスピリラム・フリシンゲンス(Herbaspirillum frisingense)、ハーバスピリラム・セロペディカエ(Herbaspirillum seropedicae)、ハーバスピリラム・ルブリスバルビカンス(Herbaspirillum rubrisubalbicans)など)、ファイトバクター(Phytobacter)(例えば、ファイトバクター・ジアゾトロフィカス(Phytobacter diazotrophicus)、ファイトバクター・ウルシンギイ(Phytobacter ursingii)、ファイトバクター・パルマエ(Phytobacter palmae)など)、シュードアシドボラックス(Pseudacidovorax)(例えば、シュードアシドボラックス・インターメディウス(Pseudacidovorax intermedius))、ミツアリア(Mitsuaria)、アゾスピリルム(Azospirillum)、バークホルデリア(Burkholderia)、クリセオモナス(Chryseomonas)、エロモナス(Aeromonas)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ステノトロホモナス(Stenotrophomonas)、クロモバクテリウム(Chromobacterium)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)、ゼノラブダス(Xenorhabdus)、フォトラブダス(Photorhabdus)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0015】
前駆体混合物は、デンプン、セルロース、バイオ炭、軽石、シリカ、クレイ、ゼオライト、パーライト、またはそれらの組み合わせなどのフィラーをさらに含んでもよい。
【0016】
フィラーは、前駆体混合物の総重量に基づいて約0.1重量%~約90重量%の量で前駆体混合物中に存在し得る。
【0017】
二価カチオンは、バリウムカチオン、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、ストロンチウムカチオン、コバルトカチオン、ニッケルカチオン、亜鉛カチオン、マンガンカチオン、またはそれらの組み合わせであってもよい。二価カチオン塩は、バリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、コバルト塩、亜鉛塩、マンガン塩、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0018】
架橋剤は、溶媒をさらに含むことができる。
【0019】
固化は、前駆体混合物の液滴を架橋剤と接触させて、例えば、約1mm~約20mmの平均粒径を有する架橋ビーズの形態の中間微生物組成物を形成するステップを含んでもよい。
【0020】
追加的にまたは代替的に、固化は、例えば、約100μm~約500μmの直径を有する開口部を通して前駆体混合物を流すステップと、および前駆体混合物を架橋剤と接触させて、例えば、約100μm~約20mmの平均粒径を有する架橋マイクロビーズの形態の中間微生物組成物を形成するステップとを含み得る。
【0021】
二価カチオンは、カプセル化微生物組成物の総乾燥重量の約0.1%~10%の量で存在し得る。
【0022】
追加的にまたは代替的に、固化は、前駆体混合物と架橋剤との高せん断混合を含むことができる。例えば、高せん断混合は、少なくとも約3.5m/s(例えば、約3.5m/s~約25m/s)の先端速度で少なくとも約5秒間(例えば、約5秒~約20分)および約4℃~約30℃の温度で実施され得る。
【0023】
追加的または代替的に、固化は、前駆体混合物を架橋剤と組み合わせて中間微生物組成物を形成するステップを含んでもよく、ここで、架橋剤は、二価カチオン塩を含み、二価カチオン塩は、二価カチオン炭酸塩、例えば炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸コバルト、炭酸ニッケル、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、またはそれらの組み合わせ、特に炭酸カルシウムを含む。二価カチオンは、カプセル化微生物組成物の総乾燥重量の約0.001%~約25%に相当する量で存在し得る。
【0024】
固化は、酸性緩衝液を添加することをさらに含んでもよい。例えば、酸性緩衝剤は、(i)架橋剤が前駆体混合物と組み合わされる前に前駆体混合物および/または架橋剤に;(ii)架橋剤と共に前駆体混合物に実質的に同時に;(iii)前駆体混合物および架橋剤を含む混合物に;または(i)、(ii)、および(iii)の任意の組み合わせに添加され得る。混合物は、約4~約6.5のpHを有し得る。
【0025】
組み合わせるステップは、約5分以上(例えば、約5分~約48時間)および/または約4℃以上(例えば、約4℃~約40℃)の温度で行うことができる。
【0026】
組み合わせるステップは、前駆体混合物を架橋剤と混合することを含んでもよい。
【0027】
本方法は、中間微生物組成物を基材に適用するステップをさらに含んでもよく、例えば、中間微生物組成物は、基材上にフィルムの形態である。フィルムは、約1mm~約1cmの厚さを有することができる。
【0028】
本方法において、乾燥温度は、約15℃~約60℃であってもよく、および/または乾燥時間は約15分以上(例えば、約15分~約200時間)であってもよい。
【0029】
蒸発速度は、約15,000g/hr/m以下、約10,000g/hr/m以下、約5,000g/hr/m以下、または約1g/hr/m~約500g/hr/m、約50g/hr/m~約500g/hr/m、約1g/hr/m~約250g/hr/mまたは約1g/hr/m~約100g/hr/mであってもよい。
【0030】
本方法は、カプセル化微生物粒子を形成するためにカプセル化微生物組成物を処理するステップと、および/またはカプセル化微生物粒子のサイズを、例えば、カプセル化微生物粒子を粉砕することによって、約200μm以下の平均粒径を有するように縮小するステップとをさらに含み得る。
【0031】
カプセル化微生物組成物は、25℃および65%の相対湿度(RH)で、4週間、8週間、または12週間後に、グラムあたりのコロニー形成単位(CFU/g)の2log未満の損失または1log未満の損失を有し得る。
【0032】
本方法は、カプセル化微生物組成物を:植物種子、植物、植物の一部、および植物環境、のうちの1つ以上に施用することをさらに含み得る。植物種子は、保護剤、除草剤、殺有害生物剤(pesticide)、殺菌剤、またはそれらの組み合わせをさらに含み得る。植物種子としては、例えば、野菜種子、果実種子、穀物種子、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0033】
本方法は、少なくとも1つの疎水性添加剤を微生物および少なくとも1つのヒドロゲルと組み合わせて、前駆体混合物を形成するステップをさらに含み得る。
【0034】
本方法は、中間微生物組成物を空気乾燥させるステップ、中間微生物組成物を真空乾燥させるステップ、および/または流動床中で中間微生物組成物を乾燥させるステップのうちの1つ以上によって、中間微生物組成物を乾燥させて、カプセル化微生物組成物を形成するステップをさらに含み得る。
【0035】
さらなる態様において、カプセル化微生物組成物を調製するための別の方法が記載される。本方法は一般に、微生物と少なくとも1つのヒドロゲルとを組み合わせて前駆体混合物を形成するステップと、前駆体混合物を架橋剤で固化して架橋ビーズの形態の中間微生物組成物を形成するステップと、および中間微生物組成物を乾燥してカプセル化微生物組成物を形成するステップとを含む。固化は一般に、前駆体混合物の液滴を架橋剤と接触させるステップを含む。カプセル化微生物組成物は、約10%以下の水分含量を有することができる。少なくとも1つのヒドロゲルは一般に、アルギン酸塩を含み、架橋剤は一般に、二価カチオン、二価カチオン塩、またはそれらの組み合わせを含む。
【0036】
さらなる態様において、カプセル化微生物組成物を調製するための別の方法が記載される。本方法は一般に、微生物と少なくとも1つのヒドロゲルとを組み合わせて前駆体混合物を形成するステップと、前駆体混合物を架橋剤で固化して架橋マイクロビーズの形態の中間微生物組成物を形成するステップと、および中間微生物組成物を乾燥してカプセル化微生物組成物を形成するステップとを含む。固化は一般に、約100μm~約500μmの直径を有する開口部を通して前駆体混合物を流し、前駆体混合物を架橋剤と接触させるステップを含む。カプセル化微生物組成物は、約10%以下の水分含量を有することができる。少なくとも1つのヒドロゲルは一般に、アルギン酸塩を含み、架橋剤は一般に、二価カチオン、二価カチオン塩、またはそれらの組み合わせを含む。
【0037】
さらなる態様において、カプセル化微生物組成物を調製するための別の方法が記載される。本方法は一般に、微生物と少なくとも1つのヒドロゲルとを組み合わせて前駆体混合物を形成するステップと、前駆体混合物を架橋剤で固化して中間微生物組成物を形成するステップと、および中間微生物組成物を乾燥してカプセル化微生物組成物を形成するステップとを含む。固化は一般に、前駆体混合物を架橋剤と高せん断混合するステップを含む。カプセル化微生物組成物は、約10%以下の水分含量を有することができる。少なくとも1つのヒドロゲルは一般に、アルギン酸塩を含み、架橋剤は一般に、二価カチオン、二価カチオン塩、またはそれらの組み合わせを含む。
【0038】
さらなる態様において、カプセル化微生物組成物を調製するための別の方法が記載される。本方法は一般に、微生物と、アルギン酸塩を含む少なくとも1つのヒドロゲルとを組み合わせて前駆体混合物を形成するステップと、前駆体混合物を、二価カチオン塩を含む架橋剤で固化して中間微生物組成物を形成するステップと、および中間微生物組成物を乾燥させてカプセル化微生物組成物を形成するステップとを含む。固化は一般に、前駆体混合物を架橋剤と組み合わせるステップを含み、二価カチオン塩は、二価カチオン炭酸塩であり得る。カプセル化微生物組成物は、約10%以下の水分含量を有することができる。
【0039】
別の態様において、カプセル化微生物組成物が記載される。本カプセル化微生物組成物は一般に、二価カチオンと一緒に結合された少なくとも1つのヒドロゲルを含むポリマーマトリックス中に埋め込まれた微生物を含む。少なくとも1つのヒドロゲルは一般に、アルギン酸塩を含む。カプセル化微生物粒子組成物は、約10%以下または約5%以下の水分含量を有することができる。
【0040】
別の態様において、カプセル化微生物組成物が記載される。本カプセル化微生物組成物は一般に、二価カチオンと一緒に結合された少なくとも1つのヒドロゲルを含むポリマーマトリックス中に埋め込まれた微生物を含む。少なくとも1つのヒドロゲルは一般に、アルギン酸塩を含む。カプセル化微生物粒子組成物は、約0.5g/mL以上~約1.5g/mL以下のタップ密度を有することができる。
【0041】
アルギン酸塩は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸バリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸ストロンチウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0042】
少なくとも1つのヒドロゲルは、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、酢酸フタル酸セルロース、キトサンおよびキトサン誘導体、コラーゲン、ゼラチン、グリコサミノグリカン、グアーガム、アカシアガム、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ローカストビーンガム、メチルセルロース、ペクチン、ポリエチレンオキシド、ポリグリコール酸、ポリウレタン、デンプン、加工デンプン、キサンタンガム、またはそれらの組み合わせをさらに含み得る。
【0043】
少なくとも1つのヒドロゲルは、組成物の総重量に基づいて約5重量%~約50重量%の量で組成物中に存在し得る。
【0044】
ポリマーマトリックスは、窒素含有安定剤、糖含有安定剤、またはそれらの組み合わせをさらに含んでもよい。窒素含有安定剤としては、アンモニア、水酸化アンモニウム、尿素、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、グルテン、加水分解カゼイン、加水分解ホエータンパク質、加水分解エンドウ豆タンパク質、加水分解ダイズタンパク質、麦芽抽出物、粉乳、ホエー粉末、酵母抽出物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。糖含有安定剤としては、例えば、二糖類、糖アルコール、またはこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、糖含有安定剤は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、スクロース、ラクトース、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0045】
窒素含有安定剤および糖含有安定剤はそれぞれ、組成物の総重量に基づいて、約5重量%~約50重量%の量で組成物中に存在し得る。
【0046】
微生物は、芽胞非形成細菌であり得る。例えば、微生物は、シュードモナス(Pseudomonas)(例えば、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens))、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)(例えば、ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum))、ヘルバスピリラム(Herbaspirillum)(例えば、ハーバスピリラム・フリジンセン(Herbaspirillum frisingense)、ハーバスピリラム・セロペディカエ(Herbaspirillum seropedicae)、ハーバスピリラム・ルブリスバルビカンス(Herbaspirillum rubrisubalbicans)など)、ファイトバクター(Phytobacter)(例えば、ファイトバクター・ジアゾトロフィカス(Phytobacter diazotrophicus)、ファイトバクター・ウルシンギイ(Phytobacter ursingii)、ファイトバクター・パルマエ(Phytobacter palmae)など)、シュードアシドボラックス(Pseudacidovorax)(例えば、シュードアシドボラックス・インターメディウス(Pseudacidovorax intermedius))、ミツアリア(Mitsuaria)、アゾスピリルム(Azospirillum)、バークホルデリア(Burkholderia)、クリセオモナス(Chryseomonas)、エロモナス(Aeromonas)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ステノトロホモナス(Stenotrophomonas)、クロモバクテリウム(Chromobacterium)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)、ゼノラブダス(Xenorhabdus)、フォトラブダス(Photorhabdus)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0047】
ポリマーマトリックスは、デンプン、セルロース、バイオ炭、軽石、シリカ、クレイ、ゼオライト、パーライト、またはそれらの組み合わせなどのフィラーをさらに含んでもよい。
【0048】
フィラーは、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%~約90重量%の量で組成物中に存在し得る。
【0049】
二価カチオンは、バリウムカチオン、カルシウムカチオン、マグネシウムカチオン、ストロンチウムカチオン、コバルトカチオン、ニッケルカチオン、亜鉛カチオン、マンガンカチオン、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0050】
カプセル化微生物組成物は例えば、約300μm以下の粒径を有する粒子の形態であってもよい。
【0051】
カプセル化微生物組成物は、25℃および65%の相対湿度(RH)で、4週間、8週間または12週間後に、グラムあたりのコロニー形成単位(CFU/g)の2log未満の損失または1log未満の損失を有し得る。
【0052】
ポリマーマトリックスは、少なくとも1つの疎水性添加剤をさらに含んでもよい。
【0053】
別の態様において、種子組成物が記載される。種子組成物は一般に、植物種子と、植物種子の表面の少なくとも一部分上に存在する本明細書に記載されているカプセル化微生物組成物とを含む。植物種子としては、例えば、野菜種子、果実種子、穀物種子、およびこれらの組み合わせが挙げられる。植物種子のさらなる例としては、キャノーラ種子、トウモロコシ種子、ダイズ種子、コムギ種子、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0054】
植物種子には、保護剤、除草剤、殺有害生物剤、殺菌剤、またはそれらの組み合わせがさらに含まれ得る。
【0055】
種子組成物は、疎水性コーティングをさらに含んでもよい。
【0056】
さらなる適用可能領域は、本明細書の記載から明らかになるのであろう。この概要における説明および特定の実施例は例示のみを目的とするものであり、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
図面の簡単な説明
本明細書で説明される図面は、選択された実施形態の例示のみを目的とし、全ての可能な実装形態ではなく、本開示の範囲を限定することを意図するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0057】
図1図1(FIG.1)は、25℃および65%の相対湿度(RH)でのアルギン酸塩カプセル化シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)ビーズの種子上の安定性を示す;
図2図2(FIG.2)は、10℃および50%のRHでのアルギン酸塩カプセル化シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)ビーズの種子上の安定性を示す;
図3図3(FIG.3)は、25℃でのアルギン酸塩カプセル化シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)ビーズの微生物粉末(種子を外して)の安定性を示す;
図4図4(FIG.4)は、25℃および65%のRHでのアルギン酸塩カプセル化ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)ビーズの種子上の安定性を示す;
図5図5(FIG.5)は、10℃および50%のRHでのアルギン酸塩カプセル化ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)ビーズの種子上の安定性を示す;
図6図6(FIG.6)は、25℃および65%のRHでの様々な塩化カルシウム濃度でのせん断混合法によって調製されたアルギン酸塩カプセル化シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の種子上の安定性を示す;
図7図7(FIG.7)は、25℃および65%のRHでの追加のヒドロゲルまたはバイオ炭とのせん断混合法によって調製されたアルギン酸塩カプセル化シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の種子上の安定性を示す;
図8図8(FIG.8)は、異なる土壌水分濃度での24時間および96時間のインキュベーション後の平均CFU/gを示す;
図9図9(FIG.9)は、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)を含有する異なる架橋アルギン酸塩調製物についての動的水蒸気収着(DVS)データを示す;
図10図10(FIG.10)は、ハーバスピリラム・フリジンセン(Herbaspirillum frisingense)の安定性に対するアルギン酸塩カプセル化の影響を示す;
図11図11(FIG.11)は、シュードアシドボラックス・インターメディウス(Pseudacidovorax intermedius)の安定性に対するアルギン酸塩カプセル化の影響を示す;
図12図12(FIG.12)は、異なる添加剤が含まれている、アルギン酸塩カプセル化ファイトバクター・ジアゾトロフィカス(Phytobacter diazotrophicus)の動的水蒸気収着(DVS)データを示す;
図13図13(FIG.13)は、ファイトバクター・ジアゾトロフィカス(Phytobacter diazotrophicus)の安定性に対する、異なる添加剤を用いたアルギン酸塩カプセル化の影響を示す;
図14図14(FIG.14)は、疎水性コーティングを有するアルギン酸塩カプセル化シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の動的水蒸気収着(DVS)データを示す;および
図15図15(FIG.15)は、疎水性コーティングを有するアルギン酸塩カプセル化ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)の動的水蒸気収着(DVS)データを示す。
【発明を実施するための形態】
【0058】
例示的な実施形態の詳細な説明
例示的な実施形態の以下の説明は、当業者が添付の特許請求の範囲に記載される主題を作成および使用することを可能にする情報を提供するが、当技術分野で既に周知の特定の詳細を省略することがある。したがって、以下の詳細な説明は例示として解釈されるべきであり、限定として解釈されるべきではない。そうは言っても、例示的な実施形態は、添付の図面を参照してより完全に説明されることになる。
【0059】
例えば、成長を促進し、および/または有害生物防除を提供するために植物種子に施用することができる、安定性が増加したカプセル化微生物組成物、および安定性が増加したそのようなカプセル化微生物組成物を調製するための方法が、本明細書に記載される。組成物は、二価カチオンと一緒に結合したアルギン酸塩などの少なくとも1つのヒドロゲルを含むポリマーマトリックス中に埋め込まれた微生物、例えば、芽胞非形成細菌、を含むことができる。組成物は、一般的に(または相対的に)より低い水分含量、例えば約10%未満;一般的に(または相対的に)例えば約0.5g/mL~約1.5g/mLの増加したタップ密度;および/または約200μm以下(例えば約150μm以下、約100μm以下などを含む)の平均粒径などを有することができる。典型的には、カプセル化微生物組成物は、噴霧乾燥ステップなどの速乾ステップを含むプロセスによって製造されてきている。しかしながら、これらの従来の組成物は、長期貯蔵安定性を維持することが困難である。驚くべきことに、安定性が増加したカプセル化微生物組成物は、より遅い乾燥ステップを含む本明細書に記載されている方法によって、例えば、以下でより十分に議論されるように、より低い温度でより遅い蒸発速度を利用することによって、達成され得ることが発見された。
I.カプセル化微生物組成物
【0060】
カプセル化微生物組成物が本明細書に提供される。組成物は、二価カチオンと一緒に結合した少なくとも1つのヒドロゲルを含むポリマーマトリックス中に埋め込まれた微生物を含むことができる。組成物は有利には、より低い水分含量を有し、それらを、例えば、植物種子施用および処理のための長期貯蔵により適したものにする増大した安定性を有する。
【0061】
任意の実施形態において、カプセル化微生物組成物は、種子から離れて(または種子を外して)形成され得、例えば、種子への施用前に(例えば、種子のための種子処理の一部としてなど)粉末などとして貯蔵され得る。例えば、粉末形態で、微生物組成物は乾燥粉末として、または適切な溶媒、例えば、ポリエチレングリコールなどの水混和性溶媒中に分散された粉末として施用され得る。あるいは、任意の実施形態において、カプセル化微生物組成物は、種子に直接施用され、および/または、例えば、種子上の処理として、種子上に形成され得る。
A.微生物
【0062】
「微生物(microbe)」という用語は、細菌、古細菌、ウイルス、真菌、プリオン、原生動物、藻類、および寄生虫を含むがこれらに限定されない、任意の種またはタイプの微生物を指す。本明細書で使用される「微生物」という用語は、個々の微生物、および任意の数の微生物を含む組み合わせまたは調製物の両方を包含することが意図される。用語「微生物(microbe)」および「微生物(microorganism)」は、本明細書において互換的に使用される。「細菌(bacteria)」および「細菌(bacterium)」という用語は、単細胞原核生物微生物を指す。この用語は、マイコプラズマを含む、細菌と考えられる全ての微生物を包含することが意図される。球菌、桿菌、スピロヘータ、スフェロプラスト、プロトプラストなどを含む、あらゆる形態の細菌が本明細書に包含される。この用語はまた、グラム陰性およびグラム陽性細菌、ならびに芽胞形成細菌および芽胞非形成細菌を含む。「真菌(fungus)」または「真菌(fungi)」という用語は、カビ、酵母、およびキノコなどの真菌界由来の真核微生物を指す。
【0063】
任意の実施形態において、微生物は、芽胞非形成細菌、芽胞形成細菌の栄養細胞を含む芽胞形成細菌、真菌、またはそれらの組み合わせであり得る。例えば、任意の実施形態において、本明細書における微生物は、任意の細菌、真菌、またはそれらの組み合わせの栄養細胞を含み得る。さらに、微生物は、芽胞形成細菌の栄養細胞であってもよく、この場合、芽胞形成細菌は、製剤される培養細胞が全てまたは部分的に栄養細胞であるように、芽胞形成の完全な欠如または部分的な芽胞形成をもたらす方法で培養されている。
【0064】
細菌微生物の例としては以下の属の細菌が挙げられるが、これらに限定されない:アクロモバクタ―(Achromobacter)、アシネトバクター(Acinetobacter)、エロモナス(Aeromonas)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、アンペロミセス(Ampelomyces)、オーレオバシディウム(Aureobasidium)、アゾスピリルム(Azospirillum)、アゾトバクター(Azotobacter)、バシラス(Bacillus)、ボーベリア(Beauveria)、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)、バークホルデリア(Burkholderia)、カンジダ(Candida)、ケトミウム(Chaetomium)、クロモバクテリウム(Chromobacterium)、クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)、クリセオモナス(Chryseomonas)、コルディテプス(Cordyceps)、クリプトコッカス(Cryptococcus)、デバリオミセス(Dabaryomyces)、デルフチア(Delftia)、エルウィニア(Erwinia)、エクソフィアラ(Exophilia)、グリオクラディウム(Gliocladium)、ハーバスピリラム(Herbaspirillum)、ラクトバチルス(Lactobacillus)、マリアンナエア(Mariannaea)、ミクロコッカス(Microccocus)、ミツアリア(Mitsuaria)、ペキロマイセス(Paecilomyces)、パエニバシラス(Paenibacillus)、パントエア(Pantoea)、フォトラブダス(Photorhabdus)、ファイトバクター(Phytobacter)、ピチア(Pichia)、シュードモナス(Pseudomonas)、シュードアシドボラックス(Pseudacidovorax)、リゾビウム(Rhizobium)、サッカロマイセス(Saccharomyces)、スポロボロマイセス(Sporobolomyces)、ステノトロホモナス(Stenotrophomonas)、ストレプトマイセス(Streptomyces)、タラロマイセス(Talaromyces)、トリコデルマ(Trichoderma)、ゼノラブダス(Xenorhabdus)、およびそれらの組み合わせ。例えば、微生物は、シュードモナス(Pseudomonas)、ブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)、ハーバスピリラム(Herbaspirillum)、ファイトバクター(Phytobacter)、シュードアシドボラックス(Pseudacidovorax)、ミツアリア(Mitsuaria)、アゾスピリルム(Azospirillum)、バークホルデリア(Burkholderia)、クリセオモナス(Chryseomonas)、エロモナス(Aeromonas)、アシネトバクター(Acinetobacter)、ステノトロホモナス(Stenotrophomonas)、クロモバクテリウム(Chromobacterium)、アグロバクテリウム(Agrobacterium)、クリセオバクテリウム(Chryseobacterium)、ゼノラブダス(Xenorhabdus)、フォトラブダス(Photorhabdus)、およびそれらの組み合わせからなる群から選択される細菌であり得る。
【0065】
任意の実施形態において、微生物は、シュードモナス属(Pseudomonas genus)、ブラディリゾビウム属(Bradyrhizobium genus)、ファイトバクター属(Phytobacter genus)、またはそれらの組み合わせに属する細菌であり得る。シュードモナス種(Pseudomonas species)の例としては、これらに限定されないが、緑膿菌(Pseudomonas aeruginosa)グループ(例えば、P.エルギノーザ(P.aeruginosa)、P.アルカリゲネス(P.alcaligenes)、P.アンギリセプチカ(P.anguilliseptica)、など)、シュードモナス・クロロラフィス(Pseudomonas chloroaphis)グループ(例えば、P.アウランティアカ(P.aurantiaca)、P.アウレファシエンス(P.aureofaciens)、P.クロロラフィス(P.chlororaphis)、など)、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)グループ(例えば、P.アゾトフォルマンス(P.azotoformans)、P.フルオレッセンス(P.fluoroscens)、P.ミグラエ(P.migulae)、など)、シュードモナス・ペルツシノゲナ(Pseudomonas pertucinogena)グループ(例えば、P.デニトリフィカンス(P.denitrificans)、P.ペルツシノゲナ(P.pertucinogena))、シュードモナス・プチダ(Pseudomonas putida)グループ(例えば、P.クレモリコロラタ(P.cremoricolorata)、P.エントモフィラ(P.entomophila)、P.フルバ(P.fulva)、など)、シュードモナス・スタッツェリ(Pseudomonas stutzeri)グループ(例えば、P.バレアリカ(P.balearica)、P.ルテオラ(P.luteola)、P.スタッツェリ(P.stutzeri))、シュードモナス・シリンガエ(Pseudomonas syringae)グループ(例えば、P.アミグダリ(P.amygdali)、P.アベルラナエ(P.avellanae)、P.カリカパパヤエ(P.caricapapayae))の種、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ブラディリゾビウム種(Bradyrhizobium species)の例としては、これらに限定されないが、ブラディリゾビウム・アラキディス(Bradyrhizobium arachidis)、ブラディリゾビウム・ベタエ(Bradyrhizobium betae)、ブラディリゾビウム・カナリエンス(Bradyrhizobium canariense)、ブラディリゾビウム・ジアゾエフフィシエンス(Bradyrhizobium diazoefficiens)、ブラディリゾビウム・エリトロファレイ(Bradyrhizobium erythrophlei)、ブラディリゾビウム・フェリリグニ(Bradyrhizobium ferriligni)、ブラディリゾビウム・イセンセ(Bradyrhizobium icense)、ブラディリゾビウム・インゲ(Bradyrhizobium ingae)、ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)、ブラディリゾビウム・カバンゲンセ(Bradyrhizobium kavangense)、ブラディリゾビウム・オリゴトロフィカム(Bradyrhizobium oligotrophicum)、ブラディリゾビウム・レタメ(Bradyrhizobium retamae)、ブラディリゾビウム・ビリジフツリ(Bradyrhizobium viridifuturi)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。ファイトバクター種(Phytobacter species)の例としては、これらに限定されないが、ファイトバクター・ジアゾトロフィカス(Phytobacter diazotrophicus)、ファイトバクター・ウルシンギイ(Phytobacter ursingii)、ファイトバクター・パルマエ(Phytobacter palmae)、ファイトバクター・マスシリエンセス(Phytobacter massilienses)の種、およびそれらの組み合わせの種が挙げられる。ハーバスピリラム種(Herbaspirillum species)の例としては、これらに限定されないが、ハーバスピリラム・フリシンゲンス(Herbaspirillum frisingense)、ハーバスピリラム・セロペディカエ(Herbaspirillum seropedicae)、ハーバスピリラム・ルブリスバルビカンス(Herbaspirillum rubrisubalbicans)の種、およびこれらの組み合わせの種が挙げられる。いくつかの実施形態において、微生物は、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、ブラディリゾビウム・ジャポニカム(Bradyrhizobium japonicum)、ファイトバクター・ジアゾトロフィカス(Phytobacter diazotrophicus)、ハーバスピリラム・フリシンゲンス(Herbaspirillum frisingense)、またはそれらの組み合わせであり得る。
【0066】
追加的または代替的に、微生物は真菌であってもよい。真菌の例としては、それらに限定されないが、ムスコドル種(Muscodor species)、アスケルソニア・アレイロディス(Aschersonia aleyrodis)、ボーベリア・バシアーナ(Beauveria bassiana)(「ホワイトムスカリン」)、ボーベリア・ブロンニアティ(Beauveria brongniartii)、クラドスポリウム・ヘルバルム(Chladosporium herbarum)、コルディセプス・クラブラタ(Cordyceps clavulata)、コルディセプス・エントモルヒザ(Cordyceps entomorrhiza)、コルディセプス・ファシス(Cordyceps facis)、コルディセプス・グラシリス(Cordyceps gracilis)、コルディセプス・メロランタ(Cordyceps melolanthae)、コルディセプス・ミリタリス(Cordyceps militaris)、コルディセプス・ミルメコフィラ(Cordyceps myrmecophila)、コルジセプス・ラベネリイ(Cordyceps ravenelii)、コルジセプス・シネンシス(Cordyceps sinensis)、コルジセプス・スフェコセファラ(Cordyceps sphecocephala)、コルジセプス・サブセシリス(Cordyceps subsessilis)、コルジセプス・ウニラテラリス(Cordyceps unilateralis)、コルジセプス・バリアビリス(Cordyceps variabilis)、コルジセプス・ワシントネンシス(Cordyceps washingtonensis)、クリシノマイセス・クラボスポラス(Culicinomyces clavosporus)、エントモファガ・グリリ(Entomophaga grylli)、エントモファガ・マイマイガ(Entomophaga maimaiga)、エントモファガ・ムスカ(Entomophaga muscae)、エントモファガ・プラキシブリ(Entomophaga praxibulli)、エントモフトラ・プルテラ(Entomophthora plutellae)、フザリウム・ラテリチウム(Fusarium lateritium)、ヒルステラ・シトルホルミス(Hirsutella citriformis)、ヒルステラ・トムプセニ(Hirsutella thompsoni)、コッキョウビョウキン(Metarhizium anisopliae)(「グリーンムスカリン」)、メタリジウム・フラビリデ(Metarhizium flaviride)、マスコドール・アルバス(Muscodor albus)、ネオジギテスフロリダナ(Neozygitesfloridana)、ノムラエア・リレー(Nomuraea rileyi)、ぺシロマイセス・ファリノサス(Paecilomyces farinosus)、ペキロマイセス・フモソロセウス(Paecilomyces fumosoroseus)、パンドラ・ネオアフィディス(Pandora neoaphidis)、トリポクラディウム・シリンドロスポルム(Tolypocladium cylindrosporum)、バーチシリウム・レカニ(Verticillium lecanii)、ゾーフトラ・ラジカンス(Zoophthora radicans)、マイコルヒザル種(mycorrhizal species)、例えば、ラッカリア・ビカラー(Laccaria bicolor)、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
B.ヒドロゲル
【0067】
様々な態様では、少なくとも1つのヒドロゲルは、親水性ポリマー、多糖類、ガム、樹脂、加水分解タンパク質、またはそれらの組み合わせを含むことができる。好適なヒドロゲルの例としては、これらに限定されないが、アルギン酸塩、カルボキシメチルセルロース、カラギーナン、酢酸フタル酸セルロース、キトサンおよびキトサン誘導体、コラーゲン、ゼラチン、グリコサミノグリカン、グアーガム、アカシアゴム、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ローカストビーンガム、メチルセルロース、ペクチン、ポリエチレンオキシド、ポリグリコール酸、ポリウレタン、デンプン、加工デンプン、キサンタンガム、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0068】
任意の実施形態において、少なくとも1つのヒドロゲルは、アルギン酸塩を含むことができる。例えば、アルギン酸塩は、アルギン酸ナトリウム、アルギン酸カリウム、アルギン酸バリウム、アルギン酸カルシウム、アルギン酸マグネシウム、アルギン酸ストロンチウム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0069】
任意の実施形態において、少なくとも1つのヒドロゲルは、本明細書に記載されるアルギン酸塩、ならびにカルボキシメチルセルロース、カラギーナン、酢酸フタル酸セルロース、キトサンおよびキトサン誘導体、コラーゲン、ゼラチン、グリコサミノグリカン、グアーガム、アカシアゴム、ヒアルロン酸、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ローカストビーンガム、メチルセルロース、ペクチン、ポリエチレンオキシド、ポリグリコール酸、ポリウレタン、デンプン、加工デンプン、キサンタンガム、およびそれらの組み合わせからなる群から選択されるさらなるヒドロゲルを含むことができる。
【0070】
少なくとも1つのヒドロゲルは、組成物の総重量に基づいて、約2.5重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、または約30重量%以下、または約5重量%~約60重量%、約5重量%~約50重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約30重量%、約5重量%および約20重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、または約10重量%および約20重量%などの量で組成物中に存在し得る。任意の実施形態において、少なくとも1つのヒドロゲルは、組成物の総重量に基づいて、例えば、約5重量%~約50重量%の量で組成物中に存在し得る。
C.二価カチオン
【0071】
好適な二価カチオンとしては、ヒドロゲルを架橋することができる金属二価カチオンが挙げられる。好適な二価カチオンの非限定的な実例としては、バリウム(Ba2+)カチオン、カルシウム(Ca2+)カチオン、マグネシウム(Mg2+)カチオン、ストロンチウム(Sr2+)カチオン、コバルト(Co2+)カチオン、ニッケル(Ni2+)カチオン、亜鉛(Zn2+)が挙げられる。任意の実施形態において、二価カチオンは例えば、カルシウムカチオンであってもよい。
D.安定剤
【0072】
任意の実施形態において、ポリマーマトリックスは、1つ以上の安定剤をさらに含み得る。例えば、安定剤は、窒素含有安定剤、糖含有安定剤、またはそれらの組み合わせであってもよい。
【0073】
好適な窒素含有安定剤の例としては、これらに限定されないが、アンモニア、水酸化アンモニウム、尿素、リン酸アンモニウム、硫酸アンモニウム、ピロリン酸アンモニウム、塩化アンモニウム、グルテン、加水分解カゼイン、加水分解ホエータンパク質、加水分解エンドウ豆タンパク質、加水分解ダイズタンパク質、麦芽抽出物、粉乳、ホエー粉末、酵母抽出物、およびこれらの組み合わせが挙げられる。
【0074】
好適な糖含有安定剤の例としては、これらに限定されないが、二糖類、糖アルコール、およびこれらの組み合わせが挙げられる。例えば、糖含有安定剤は、マンニトール、ソルビトール、キシリトール、トレハロース、スクロース、ラクトース、およびそれらの組み合わせからなる群から選択され得る。
【0075】
安定剤、例えば、窒素含有安定剤および糖含有安定剤は、単独でまたは組み合わせて、組成物の総重量に基づいて、約2.5重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、または約30重量%以下、または約5重量%~約60重量%、約5重量%~約50重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約30重量%、約5重量%および約20重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、または約10重量%および約20重量%などの量で組成物中に存在し得る。任意の実施形態において、窒素含有安定剤および糖含有安定剤は、単独でまたは組み合わせて、組成物の総重量に基づいて、例えば、約5重量%~約50重量%の量で組成物中に存在し得る。
E.追加の成分
【0076】
任意の実施形態において、ポリマーマトリックスは、フィラー(不活性担体とも呼ばれる)をさらに含んでもよい。フィラーの例としては、これらに限定されないが、デンプン、加工デンプン、マルトデキストリン、ガム、珪藻土、ローム、セルロース、バイオ炭、軽石、シリカ、ケイ酸塩、タルク、カオリン、石灰石、ライン、チョーク、クレイ(例えば、メクタイト、ヘクトライト、ベントナイト、モンモリロナイト、セライト、イライト、およびそれらの組み合わせ)、ドロマイト、ゼオライト、パーライト、およびそれらの組み合わせが挙げられる。任意の実施形態において、フィラーは、バイオ炭を含んでもよい。用語「バイオ炭」は、無酸素または嫌気条件下でバイオマスの熱分解から形成される炭素質固体を指す。
【0077】
フィラーは、組成物の総重量に基づいて、約0.1重量%以上、約1重量%以上、約2.5重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、約50重量%以上、約95重量%以下、約90重量%以下、約80重量%以下、約70重量%以下、または約60重量%以下、または約0.1重量%~約95重量%、約0.1重量%~約90重量%、約0.1重量%~約80重量%、約0.1重量%~約70重量%、約0.1重量%~約60重量%、約0.1重量%~約50重量%、約0.1重量%~約40重量%、約0.1重量%~約30重量%、約0.1重量%~約20重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約2.5重量%、約10重量%~約95重量%、約10重量%~約90重量%、約10重量%~約80重量%、約10重量%~約70重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約20重量%、約50重量%~約95重量%、約50重量%~約90重量%、約50重量%~約80重量%、約50重量%~約70重量%、または約50重量%~約60重量%などの量で組成物中に存在することができる。任意の実施形態において、フィラーは、組成物の総重量に基づいて、例えば、約0.1重量%~約90重量%の量で組成物中に存在し得る。
【0078】
追加的または代替的に、組成物は,界面活性剤、分散剤、乳化剤、湿潤剤、アジュバント、可溶化剤、浸透促進剤、保護コロイド、接着剤、増粘剤、保湿剤、忌避剤、誘引剤、摂食刺激剤、相溶化剤、凍結防止剤、消泡剤、着色剤、粘着付与剤、結合剤、および/または疎水性添加剤などであるが、これらに限定されない、1つ以上の追加の成分(または添加剤)を任意に含み得る。特に、任意の実施形態において、追加の成分は、1つ以上の疎水性添加剤を含んでもよく、したがって、組成物は、疎水性、水溶性および/または分散性、微生物適合性、フィルム形成性、および/または乾燥時の水分バリアなどである1つ以上の疎水性添加剤を含んでもよい。このような実施形態において、1つ以上の疎水性添加剤が例えば、シルクフィブロイン溶液、ワックスベースの分散剤、エチルセルロースもしくは他の変性セルロースの分散剤、アルカリ化セラック溶液、変性キトサン溶液、ポリビニルアルコール、変性アクリレートもしくはメタクリレートベースの溶液、またはそれらの組合せを含み得る。加えて、そのような実施形態において、1つ以上の疎水性添加剤は、組成物の種子上の安定性を(例えば、組成物のマトリックスによる水分取り込みを低減、制限、阻害などすることによって)増強、延長、などし得る。
F.組成物特性
【0079】
上記のように、組成物は、有利には、増加した安定性を示すことができる。例えば、組成物の増加した安定性は、例えば、上昇した温度および上昇した相対湿度(RH)で、長期間後、組成物中に存在する微生物の持続的生存能力によって実証することができる。組成物中の微生物のこの持続的生存能力は例えば、組成物が種子、植物、または植物の一部に施用された後の、ある範囲の温度および相対湿度での期間後のグラム当たりの微生物コロニー形成単位(CFU/g)の最小限の損失によって実証することができる。例えば、カプセル化微生物組成物は、CFU/gの約4log以下の損失、CFU/gの約3log以下の損失、CFU/gの約2log以下の損失、またはCFU/gの約1log以下の損失を示すことができる。微生物のこの測定された損失CFU/gは、種子、植物、もしくは植物の一部への組成物の施用から約1週間、約4週間後、約6週間後、約8週間後、約10週間後、約12週間後、約16週間後、約20週間後、または約24週間後、または約1週間~約24週間、約1週間~約20週間、約1週間~約16週間、約1週間~約12週間、約1週間~約8週間、約1週間~約4週間、約4週間~約24週間、約4週間~約20週間、約4週間~約16週間、約4週間~約12週間、または約4週間~約8週間などに測定され得、および/または生じ得る。追加的または代替的に、微生物のこの測定された損失CFU/gは、約15℃以上、約20℃以上、約25℃以上、約40℃以下、約35℃以下、約30℃以下、または約15℃~約40℃、約15℃~約35℃、約15℃~約30℃、約15℃~約25℃、または約15℃~約20℃などの温度(例えば、周囲温度、組成物温度など)で測定され得、かつ/または生じ得る。追加的または代替的に、微生物のこの測定された損失CFU/gは、約50%以上、約60%以上、約65%以上、約90%以下、約80%以下、約70%以下、または約50%~約90%、約50%~約80%、約50%~約70%、または約50%~約65%などのRHで測定され得、および/または生じ得る。特に、カプセル化微生物組成物は、25℃および65%の相対湿度(RH)で4週間、8週間または12週間後に、コロニー形成単位/g(CFU/g)の2log未満または1log未満の損失を有し得る。
【0080】
さらに、組成物は、より低い水分含量を有し得る。例えば、組成物は、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、約5%以下、約1%以下、または約0.1%以下、または約0.1%~約25%、約0.1%~約20%、約0.1%~約15%、約0.1%~約10%、約0.1%~約5%、または約0.1%~約1%などの水分含量を有し得る。組成物の水分含量は、赤外線(IR)水分分析器を用いて測定することができる。例えば、試料の水分含量を測定するために、試料の開始重量を記録することができ、その後、ハロゲンランプまたは他の赤外線放射器が試料を加熱および乾燥させることができ、一方、統合された天秤が試料重量を継続的に記録する。試料もはや重量を失わない場合、IR水分分析器は停止し、水分含量は当業者によって理解されるように、重量の総損失に基づいて計算することができる。
【0081】
任意の実施形態において、組成物は、約1μm以上、約10μm以上、約25μm以上、約50μm以上、約100μm以上、約150μm以上、約200μm以上、約250μm以上、約300μm以上、約20mm以下、約1mm以下、約500μm以下、約300μm以下、約200μm以下、約100μm以下、約75μm以下、約50μm以下、約25μm以下、約10μm以下、約5μm以下、または約25μm~約20mm、約25μm~約1mm、約25μm~約500μm、約25μm~約300μm、約25μm~約200μm、約25μm~約150μm、約25μm~約100μm、約25μm~約50μm、約50μm~約300μm、約50μm~約200μm、約50μm~約150μm、約50μm~約100μmなどの平均粒径を有する粒子として存在し得る。
【0082】
任意の実施形態において、組成物は、約1×10CFU/グラム以上、約3×10CFU/グラム以上、約5×10CFU/グラム以上、約8×10CFU/グラム以上、約1×10CFU/グラム以上、約1×1010CFU/グラム以下、約8×10CFU/グラム以下、約5×10以下、または約3×10CFU/グラム以下、または約1×10CFU/グラム~約1×1010CFU/グラム、約1×10CFU/グラム~約8×10CFU/グラム、約1×10CFU/グラム~約5×10CFU/グラム、約1×10CFU/グラム~約3×10CFU/グラム、約1×10CFU/グラム~約1×10CFU/グラム、約1×10CFU/グラム~約8×10CFU/グラム、約1×10CFU/グラム~約5×10CFU/グラム、または約1×10CFU/グラム~約3×10CFU/グラムを含み得る。
【0083】
さらに、組成物は、一般的に(または比較的)より高いタップ密度(例えば、従来の形成された組成物(例えば、従来の噴霧乾燥技術を使用して形成された組成物など)と比較して)を有し得る。本明細書で使用される場合、タップ密度は、組成物を含有する容器を機械的にタップした後に達成される増加した嵩密度を指し得る。例えば、組成物の初期体積または質量を決定することができ、次いで、組成物を保持する容器を機械的にタッピングすることができる(例えば、容器および組成物を上昇させ、それ自体の質量、特定の距離などの下でそれを落下させることによって)。次いで、タッピングの各々の後に、さらなる体積または質量変化がほとんどまたはまったく(または最小限に)観察されなくなるまで、組成物のさらなる体積または質量読取り値を再度決定することができる。本明細書の組成物のそのようなより高いタップ密度は、組成物の水分取り込みの減少に関連し、それに対応することがあることなどが見出された。例えば、組成物は、約0.5g/mL以上、約0.6g/mL以上、約0.7g/mL以上、約0.8g/mL以上、約1.5g/mL以下、約1.4g/mL以下、約1.3g/mL以下、約1.2g/mL以下、約1.1g/mL以下、約1g/mL以下、または約0.9g/mL以下;または約0.5g/mL以上~約1.5g/mL以下、約0.5g/mL以上~約1.4g/mL以下、約0.5g/mL以上~約1.3g/mL、約0.5g/mL以上~約1.2g/mL以下、約0.7g/mL以上~約1.5g/mL以下、約0.7g/mL以上~約1.2g/mL以下、約0.7g/mL以上~約1.1g/mL以下等のタップ密度を有することができる。
II.種子組成物
【0084】
植物種子組成物も本明細書において提供され、それは、植物種子と、例えば、種子上のコーティングとして、植物種子の表面の少なくとも一部分上に存在する本明細書に記載されているカプセル化微生物組成物とを含む。任意の実施形態において、カプセル化微生物組成物は、種子処理として(または種子処理の一部として)製剤化され得る。種子は、種子に種子処理製品を正確に、安全に、かつ効率的に施用するように設計および製造された処理施用装置の使用を通して、混合、噴霧、またはそれらの組み合わせの従来の方法を使用して、本明細書に記載されているカプセル化微生物組成物の1つ以上の層で実質的に均一に被覆され得ることが、本明細書において企図される。そのような装置は、ロータリーコータ、ドラムコータ、流動床技術、噴流床、回転ミスト、またはそれらの組み合わせなどの様々なタイプのコーティング技術を使用する。したがって、任意の実施形態において、カプセル化微生物組成物は例えば、液体形態で、回転する「アトマイザー」ディスクまたはスプレーノズル(またはカプセル化微生物組成物の異なる成分にそれぞれ関連付けられた複数のスプレーノズル、例えば、種子上で形成される場合)のいずれかを介して、種子に施用され得、これはスプレーパターンを通って移動することにつれて、種子上に組成物を均一に分配する。好ましくは、その後、種子は追加の処理の分布および乾燥を達成するために、追加の期間、混合またはタンブリングされる。種子は、発芽および出芽の均一性を増加させるために、カプセル化微生物組成物でコーティングする前に、プライミングされてもよく、またはプライミングされなくてもよい。代替の実施形態において、乾燥粉末製剤が移動する種子上に計量され(例えば、施用され、等)、完全に分配されるまで混合されてもよい。
【0085】
追加的または代替的に、カプセル化微生物組成物を含む植物種子および/または種子処理は、活性炭、栄養素(肥料)、および製品の発芽および品質を改善することができる他の薬剤、またはそれらの組み合わせなどの、選択的除草剤の有害な効果から種子を保護することができる保護剤をさらに含有する可能性がある。
【0086】
カプセル化微生物組成物を含む種子処理製剤に様々な添加剤を添加することができる。結合剤は添加されてもよく、好ましくはコーティングされる種子に植物毒性効果を及ぼすことなく、天然または合成であり得る接着性ポリマーから構成されるものを含む。結合剤は、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、エチレン酢酸ビニル(EVA)コポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、エチルセルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースおよびカルボキシメチルセルロースを含むセルロース、ポリビニルピロリドン、デンプン、加工デンプン、デキストリン、マルトデキストリン、アルギン酸塩およびキトサンを含む多糖類、脂肪、油、ゼラチンおよびゼインを含むタンパク質、アラビアゴム、シェラック、塩化ビニリデンおよび塩化ビニリデンコポリマー、リグノスルホン酸カルシウム、アクリルコポリマー、ポリビニルアクリレート、ポリエチレンオキシド、アクリルアミドポリマーおよびコポリマー、ポリヒドロキシエチルアクリレート、メチルアクリルアミドモノマー、およびポリクロロプレン、またはそれらの組み合わせから選択され得る。
【0087】
ニトロソに分類される有機発色団;ニトロ;モノアゾ、ビスアゾおよびポリアゾを含むアゾ;アクリジン、アントラキノン、アジン、ジフェニルメタン、インダミン、インドフェノール、メチン、オキサジン、フタロシアニン、チアジン、チアゾール、トリアリールメタン、キサンテン;またはそれらの組み合わせなどの様々な着色剤のいずれかを含めることができる。添加され得る他の添加剤としては、鉄、マンガン、ホウ素、銅、コバルト、モリブデン、亜鉛の塩、またはそれらの組み合わせなどの微量栄養素が挙げられる。ポリマーまたは他のダスト制御剤を適用して、種子表面上に処理を保持することができる。
【0088】
追加的または代替的に、コーティングは、接着層をさらに含んでもよい。好適な接着剤の例としては限定されるものではないが、ポリ酢酸ビニル、ポリ酢酸ビニルコポリマー、ポリビニルアルコール、ポリビニルアルコールコポリマー、セルロース、例えばメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、およびヒドロキシメチルプロピルセルロース、デキストリン、アルギン酸塩、糖類、糖蜜、ポリビニルピロリドン、多糖類、タンパク質、脂肪、油、アラビアゴム、ゼラチン、シロップ、デンプン、およびそれらの組み合わせが挙げられる。
【0089】
分散剤、界面活性剤、ならびに栄養素および緩衝剤成分などの様々な添加剤も、種子上および/または種子処理製剤中に含めることができる。他の従来の種子処理添加剤としては、これらに限定されないが、コーティング剤、湿潤剤、緩衝剤、および多糖類が挙げられる。少なくとも1つの農業上許容される担体、例えば水、固体または乾燥粉末を種子処理製剤に添加することができる。乾燥粉末は、炭酸カルシウム、石膏、バーミキュライト、タルク、フムス、活性炭、様々なリン化合物、および/またはそれらの組み合わせなどの様々な材料から誘導され得る。
【0090】
任意の実施形態において、種子および/または種子処理製剤は、活性成分を組み合わせて種子への施用を容易にする有機または無機、天然または合成成分である少なくとも1種のフィラーを含んでもよい。好ましくは、フィラーは、不活性固体、例えばクレイ、天然または合成ケイ酸塩、シリカ、樹脂、ワックス、固体肥料(例えばアンモニウム塩)、天然土壌鉱物、例えばカオリン、クレイ、タルク、石灰、石英、アタパルガイト、モンモリロナイト、ベントナイトまたは珪藻土、または合成鉱物、例えばシリカ、アルミナまたはケイ酸塩、特にアルミニウムまたはマグネシウムケイ酸塩である。
【0091】
種子および/または種子処理製剤は、以下の成分の1つ以上をさらに含むことができる:殺有害生物剤、地下でのみ作用する化合物を含む;殺菌剤、例えばカプタン、チラム、メタラキシル、フルジオキソニル、オキサジキシル、およびそれらの各材料の異性体など;除草剤、グリホサート、カルバメート、チオカルバメート、アセトアミド、トリアジン、ジニトロアニリン、グリセロールエーテル、ピリダジノン、ウラシル、フェノキシ、尿素、および安息香酸から選択される化合物を含む;除草剤薬害軽減剤、例えばベンゾオキサジン、ベンズヒドリル誘導体、N,N-ジアリルジクロロアセトアミド、様々なジハロアシル、オキサゾリジニルおよびチアゾリジニル化合物、エタノン、ナフタル酸無水物化合物、およびオキシム誘導体などの;化学肥料;および生物肥料。これらの成分は、種子上の別個の層として添加されてもよく、あるいは本明細書に記載されている種子コーティング組成物の一部として添加されてもよい。
【0092】
好ましくは、種子処理に使用されるカプセル化微生物組成物または他の成分の量は、種子の発芽を阻害すべきではなく、または種子に植物毒性損傷を引き起こすべきではない。
【0093】
種子を処理するために使用される製剤は、懸濁液;エマルジョン;水性媒体(例えば、水)中の粒子のスラリー;水和剤(粉末);顆粒水和剤(ドライフロアブル);および乾燥顆粒の形態であり得る。
【0094】
上記のように、他の従来の不活性(inactive)または不活性(inert)成分を製剤に組み込むことができる。そのような不活性成分としては以下が挙げられるが、これらに限定されない:従来の粘着剤;メチルセルロースなどの分散剤、例えば、種子処理に使用するための混合分散剤/粘着剤としての役割を果たす、ポリビニルアルコール、レシチン、ポリマー分散剤(例えば、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニル)、増粘剤(例えば、粘度を改善し、粒子懸濁液の沈降を低減するためのクレイ増粘剤)、エマルジョン安定剤;界面活性剤;凍結防止化合物(例えば、尿素)、染料、着色剤など。
【0095】
本明細書に記載される微生物カプセル化組成物およびコーティング製剤は、容器(例えば、ボトルまたはバッグ)中での混合、機械的施用、タンブリング、噴霧および浸漬を含むが、これらに限定されない様々な方法によって種子に施用され得る。SEPIRET(商標)(Seppic,Inc.,N.J.)およびOPACOAT(商標)(Berwind Pharm.Services,P.A.)などの水系フィルムコーティング材料を含むがこれらに限定されない従来のフィルムコーティング材料などの、本明細書に記載されている微生物組成物と種子を接触させるために、様々な活性または不活性材料を使用することができる。本明細書に記載されている微生物カプセル化組成物およびコーティング製剤を、植物、植物の一部、植物環境、またはそれらの組み合わせに施用することができることも本明細書において企図される。例えば、種子は、ポリマーベースまたは糖ベースの結合剤でコーティングされ得、乾燥カプセル化微生物組成物は、種子に施用され得る。種子(単数または複数)および乾燥カプセル化微生物組成物(例えば、粉末形態)は、均一な分布を確実にするために、種子処理装置中で少なくとも約1分間混合され得る。
【0096】
種子の処理のために使用される組成物の量は、種子の種類および活性成分の種類に応じて変動し得るが、処理は、種子を農業上有効量のカプセル化微生物組成物と接触させることを含む。本明細書で使用される「有効量」は一般に、有益なまたは所望の結果をもたらすのに十分な量である。有効量は、1回以上の投与で施用することができる。
【0097】
コーティング層に加えて、種子は、以下の成分:殺菌剤および除草剤を含む他の殺有害生物剤、除草剤薬害軽減剤、肥料、および/または生物防除剤のうちの1つ以上で処理されてもよい。これらの成分は別個の層として添加されてもよく、あるいはコーティング層に添加されてもよい。
【0098】
カプセル化微生物組成物および/または種子コーティング製剤は、流動床技術、ローラーミル法、ロトスタティック(rotostatic)種子処理機、およびドラムコータなどの様々な技術および機械を使用して種子に施用され得る。噴流床などの他の方法も有用であり得る。種子は、コーティング前に予めサイズ調整することができる。コーティング後、種子は、典型的には乾燥され、次いで、サイジングのためにサイジング機に移される。そのような手順は、当技術分野で公知である。
【0099】
本明細書に記載されるカプセル化微生物組成物はまた、コーティングを保護するために(例えば、種子などに施用する前に)フィルムオーバーコーティングで包まれてもよく、そのようなオーバーコーティングは、流動床およびドラムフィルムコーティング技術を使用して適用されてもよい。例えば、任意の実施形態において、1つ以上の疎水性添加剤がカプセル化微生物組成物に追加的に適用され得る(例えば、流動床技術の一部としての乾燥中など)。そのような実施形態において、疎水性添加剤は例えば、乾燥中などに、組成物の周りにコーティングを提供し得る。
【0100】
任意の実施形態において、本明細書に記載されるカプセル化微生物組成物は、固体マトリックスプライミングの使用によって種子上に導入され得る。例えば、ある量のカプセル化微生物組成物を固体マトリックス材料と混合し、次いで、組成物を種子に導入することを可能にする期間、種子を固体マトリックス材料と接触させることができる。次いで、種子は場合により、固体マトリクス材料から分離され、貯蔵または使用され得るか、または固体マトリクス材料と種子との混合物は、直接貯蔵または植え付けられ得る。本明細書で有用な固体マトリックス材料としては、ポリアクリルアミド、デンプン、クレイ、シリカ、アルミナ、土壌、砂、ポリ尿素、ポリアクリレート、または本明細書の組成物をある時間吸収もしくは吸着し、その組成物を種子中または種子上に放出することができる任意の他の材料を挙げることができる。様々な例では、本明細書の組成物および固体マトリックス材料が互いに適合性であることが有用であり得る。例えば、固体マトリックス材料は適度な速度で、例えば、数分、数時間、または数日間にわたって組成物を放出することができるように選択することができる。
【0101】
本明細書では、発芽して植物を形成することができる任意の植物種子、例えば、野菜種子、果実種子、穀物種子、およびそれらの組み合わせを、上記のように処理することができることが企図される。好適な種子には、穀類、コーヒー、コール作物、繊維作物、花、果実、マメ科植物、油作物、樹木、塊茎作物、野菜、ならびに単子葉および双子葉種の他の植物の種子が含まれる。それにもかかわらず、コーティングされ得る例示的な作物種子としては、これらに限定されないが、マメ、キャノーラ、ニンジン、トウモロコシ、ワタ、ボクソウ、レタス、ピーナッツ、ピーナッツ、ピーマン、ジャガイモ、ナタネ、イネ、ライムギ、モロコシ、ダイズ、テンサイ、ヒマワリ、タバコ、トマト、およびコムギ種子が挙げられる。
III.カプセル化微生物組成物の調製方法
【0102】
本明細書に記載されているカプセル化微生物組成物を調製するための方法も提供される。本方法は、(a)本明細書に記載されている微生物と本明細書に記載されている少なくとも1つのヒドロゲルを組み合わせて前駆体混合物を形成するステップと;(b)前駆体混合物を架橋剤で固化して中間微生物組成物を形成するステップと;および(c)中間微生物組成物を乾燥させてカプセル化微生物組成物を形成するステップとを含み得る。本明細書に記載されている方法は驚くべきことに、増加した貯蔵安定性を有するより安定なカプセル化微生物組成物を達成することができる。例えば、上記のように、本明細書に提供される方法によって形成されるカプセル化微生物組成物は本明細書に記載されるように、グラムあたりの微生物コロニー形成単位(CFU/g)の最小損失を示し得る。例えば、カプセル化微生物組成物は、25℃および65%のRHで、4週間、8週間または12週間後に、コロニー形成単位/グラム(CFU/g)の2log未満の損失または1log未満の損失を有することができる。さらに、本明細書に提供される方法によって形成されるカプセル化微生物組成物は本明細書に記載されるように、より低い水分含量、例えば、約10%以下または約5%以下の水分含量を有することができる。さらに、本明細書に提供される方法によって形成されるカプセル化微生物組成物は本明細書に記載されるように,増加したタップ密度、例えば、約0.5g/mL以上~約1.5g/mL以下のタップ密度を有し得る。
【0103】
任意の実施形態において、少なくとも1つのヒドロゲルは、本明細書に記載されているアルギン酸塩を含んでもよく、場合により、本明細書に記載されているさらなるヒドロゲルを含んでもよい。少なくとも1つのヒドロゲルは、前駆体混合物の総重量に基づいて、約2.5重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以下、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、または約30重量%以下、または約5重量%~約60重量%、約5重量%~約50重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約30重量%、約5重量%および約20重量、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、または約10重量%および約20重量%などの量で前駆体混合物中に存在し得る。任意の実施形態において、少なくとも1つのヒドロゲルは、前駆体混合物の総重量に基づいて、約5重量%~約50重量%の量で前駆体混合物中に存在し得る。
【0104】
追加的にまたは代替的に、前駆体混合物は、本明細書に記載されるような窒素含有安定剤、本明細書に記載されるような糖含有安定剤、またはそれらの組み合わせなど、本明細書に記載されるような安定剤をさらに含み得る。安定剤、例えば、窒素含有安定剤および糖含有安定剤は、単独でまたは組み合わせて、前駆体混合物の総重量に基づいて、約2.5重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、約60重量%以下、約50重量%以下、約40重量%以下、または約30重量%以下、または約5重量%~約60重量%、約5重量%~約50重量%、約5重量%~約40重量%、約5重量%~約30重量%、約5重量%~約20重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、または約10重量%および約20重量%などの量で前駆体混合物中に存在し得る。任意の実施形態において、窒素含有安定剤および糖含有安定剤は、単独でまたは組み合わせて、前駆体混合物の総重量に基づいて、約5重量%~約50重量%の量で前駆体混合物中に存在し得る。
【0105】
追加的または代替的に、前駆体混合物は、本明細書に記載されているフィラーをさらに含んでもよい。フィラーは、前駆体混合物の総重量に基づいて、約0.1重量%以上、約1重量%以上、約2.5重量%以上、約5重量%以上、約10重量%以上、約20重量%以上、約30重量%以上、約40重量%以上、約50重量%以上、約95重量%以下、約90重量%以下、約80重量%以下、約70重量%以下、または約60重量%以下、または約0.1重量%~約95重量%、約0.1重量%~約90重量%、約0.1重量%~約80重量%、約0.1重量%~約70重量%、約0.1重量%~約60重量%、約0.1重量%~約50重量%、約0.1重量%~約40重量%、約0.1重量%~約30重量%、約0.1重量%~約20重量%、約0.1重量%~約10重量%、約0.1重量%~約5重量%、約0.1重量%~約2.5重量%、約10重量%~約95重量%、約10重量%~約90重量%、約10重量%~約80重量%、約10重量%~約70重量%、約10重量%~約60重量%、約10重量%~約50重量%、約10重量%~約40重量%、約10重量%~約30重量%、約10重量%~約20重量%、約50重量%~約95重量%、約50重量%~約90重量%、約50重量%~約80重量%、約50重量%~約70重量%、または約50重量%~約60重量%などの量で前駆体混合物中に存在してもよい。任意の実施形態において、フィラーは、前駆体混合物の総重量に基づいて、約0.1重量%~約90重量%の量で前駆体混合物中に存在し得る。
【0106】
追加的または代替的に、前駆体混合物は、界面活性剤、分散剤、乳化剤、湿潤剤、アジュバント、可溶化剤、浸透促進剤、保護コロイド、接着剤、増粘剤、保湿剤、忌避剤、誘引剤、摂食刺激剤、相溶化剤、凍結防止剤、消泡剤、着色剤、粘着付与剤、疎水性添加剤、および/または結合剤などであるが、これらに限定されない、1つ以上の追加の成分をさらに含んでもよい。
【0107】
前駆体混合物の成分、例えば、微生物、ヒドロゲル、安定剤、任意のフィラー、および任意の追加の成分は、任意の適切な様式および順序で組み合わせることができる。例えば、微生物はヒドロゲルと組み合わされ、例えば、安定剤、任意のフィラー、および本明細書に記載される任意の他の任意の追加の成分を含む保護剤水溶液に添加され得る。本明細書では、ヒドロゲルが微生物との組み合わせの前に混合され得る水溶液として存在し得ることが企図される。あるいは、ヒドロゲルおよび微生物が保護剤水溶液に別々に添加され、そこで組み合わされてもよい。保護剤水溶液は、微生物および/またはヒドロゲルの添加前に混合されてもよい。
A.前駆体混合物の固化
【0108】
架橋剤は、本明細書に記載されている二価カチオン、二価カチオン塩、またはそれらの組み合わせを含んでもよい。例えば、二価カチオンは、バリウム(Ba2+)カチオン、カルシウム(Ca2+)カチオン、マグネシウム(Mg2+)カチオン、ストロンチウム(Sr2+)カチオン、コバルト(Co2+)カチオン、ニッケル(Ni2+)カチオン、亜鉛(Zn2+)カチオン、マンガン(Mn2+)カチオン、およびこれらの組合せであり得る。二価カチオン塩の例としては、バリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、ストロンチウム塩、コバルト塩、亜鉛塩、マンガン塩、またはこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。塩の例としては、塩化物塩、フッ化物塩、臭化物塩、ヨウ化物塩、炭酸塩、クエン酸塩、およびこれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。任意の実施形態において、架橋剤は、塩化カルシウム(CaCl)、炭酸カルシウム(CaCO)、またはそれらの組み合わせであってもよい。追加的または代替的に、架橋剤は溶媒、例えば、水との溶液中に存在してもよい。
i.ビーズ(BEAD)固化法
【0109】
任意の実施形態において、固化ステップは、前駆体混合物の液滴を架橋剤と接触させて、架橋ビーズの形態である中間微生物組成物を形成するステップを含み得る。前駆体混合物の液滴を生成するために、任意の好適な装置を使用することができ、例えば、前駆体混合物は好適な断面を有するチューブを通してポンピングまたは流されて、液滴を生成し、次いで、架橋剤、例えば、架橋剤を含む水溶液と接触させることができる。場合により、架橋ビーズは、任意の過剰な二価カチオンを除去するために濾過および/または洗浄を受けてもよい。
【0110】
架橋ビーズは、約500μm以上、約1mm以上、約10mm以上、約15mm以上、約20mm以下、約50mm以下、約40mm以下、約30mm以下、または約25mm以下、または約500μm~約50mm、約500μm~約30mm、約500μm~約20mm、約1mm~約50mm、約1mm~約40mm、約1mm~約30mm、約1mm~約20mm、約1mm~約25mm、または約1mm~約15mmなどの平均粒径を有し得る。
【0111】
かくして、種々の態様において、本明細書に記載されるカプセル化微生物組成物を調製する方法が提供され、ここで、その方法は一般に、(a)本明細書に記載されている微生物と、本明細書に記載されている少なくとも1つのハイドロゲル、例えばアルギン酸塩とを組み合わせて、本明細書に記載される前駆体混合物を形成するステップと;(b)前駆体混合物を本明細書に記載されている架橋剤で固化して、架橋ビーズの形態で中間微生物組成物を形成するステップであって、固化が前駆体混合物の液滴を架橋剤と接触させるステップと;および(c)中間微生物組成物を乾燥して、本明細書に記載されるカプセル化微生物組成物を形成するステップとを含む。
【0112】
代替の実施形態において、固化ステップは、好適な直径を有する開口部を通して前駆体混合物を流すステップと、前駆体混合物が開口部を出るときに前駆体混合物を架橋剤と接触させて、架橋マイクロビーズの形態である中間微生物組成物を形成するステップとを含み得る。開口部は、約50μm以上、約100μm以上、約150μm以上、約650μm以下、約500μm以下、約450μm以下、または約300μm以下;または約50μm~約650μm、約50μm~約500μm、約50μm~約450μm、約50μm~約250μm、約50μm~約150μm、約100μm~約650μm、約100μm~約500μm、約100μm~約450μm、約100μm~約250μm、または約100μm~約150μmなどの直径を有する可能性がある。前駆体混合物を流すことができる装置の例としては、上述の直径を有する開口部(例えば、ノズル)を有する任意の市販のカプセル化装置を挙げることができる。ノズルは振動することができ、ビーズサイズは、ノズルサイズ、振動周波数、および流速、ならびにヒドロゲル粘度(温度)によって変化させることができる。市販されているカプセル化装置としては、例えば、Encapsulator B-390(BUECHI Labortechnik AGより入手可能)がある。前駆体混合物はカプセル化デバイスを出るとき、架橋剤、例えば、架橋剤を含む水溶液に注入することができる。任意に、架橋マイクロビーズは、任意の過剰な二価カチオンを除去するために濾過および/または洗浄を受けてもよい。
【0113】
架橋マイクロビーズは、約50μm以上、約100μm以上、約250μm以上、約500μm以上、約750μm以上、約30mm以下、約20mm以下、約15mm以下、約10mm以下、または約1mm以下、または約50μm~約30mm、約50μm~約20mm、約50μm~約1mm、約100μm~約30mm、約100μm~約20mm、約100μm~約10mm、約100μm~約1mm、約100μm~約750μm、約100μm~約500μm、または約100μm~約250μmなどの平均粒径を有し得る。
【0114】
したがって、様々な態様において、本明細書に記載されているカプセル化微生物組成物を調製するための方法が提供され、ここで、この方法は一般に、(a)本明細書に記載されている微生物と本明細書に記載されている少なくとも1つのヒドロゲル、例えばアルギン酸塩とを組み合わせて、本明細書に記載されている前駆体混合物を形成するステップと;(b)前駆体混合物を本明細書に記載されている架橋剤で固化して、本明細書に記載されている架橋マイクロビーズの形態の中間微生物組成物を形成するステップであって、固化が、前駆体混合物を、例えば約100μm~約500μmの直径を有する開口部を通して流すステップと、および前駆体混合物を架橋剤と接触させることを含むステップと;ならびに(c)中間微生物組成物を乾燥させて、本明細書に記載されているカプセル化微生物組成物を形成するステップとを含む。
ii.高せん断混合固化法
【0115】
追加的にまたは代替的に、固化ステップは、本明細書に記載されている前駆体混合物と本明細書に記載されている架橋剤との高せん断混合を含むことができる。例えば、前駆体混合物は、架橋剤と、例えば、架橋剤を含む水溶液として組み合わせることができ、組み合わせは、高せん断混合を受けることができる。用語「高せん断混合」とは、1000s-1を超えるまたはそれを超えるせん断速度を伴う混合または混合ステップをいう。高せん断混合は、任意の好適な高せん断混合装置、例えば、ボルテックスミキサーおよびホモジナイザーなどを用いて達成することができるが、これらに限定されない。任意の適切な市販のボルテックスミキサーまたはホモジナイザーなどを使用することができる。市販のホモジナイザーの例は、Kinematica POLYTRON(登録商標)ホモジナイザー(KINEMATICA AGから入手可能)である。
【0116】
任意の実施形態において、高せん断混合は、約2m/s以上、約3.5m/s以上、約5m/s以上、約7.5m/s以上、約10m/s以上、約30m/s以下、約25m/s以下、約20m/s以下、または約15m/s以下、または約2m/s~約30m/s、約2m/s~約25m/s、約2m/s~約20m/s、約3.5m/s~約30m/s、約3.5m/s~約25m/s、約3.5m/s~約20m/s、約3.5m/s~約15m/s、または約3.5m/s~約10m/sなどの混合先端速度で実施され得る。
【0117】
追加的または代替的に、高せん断混合は、約1,000rpm以上、約2,500rpm以上、約5,000rpm以上、約7,500rpm以上、約10,000rpm以上、約15,000rpm以下、または約12,500rpm以下、または約1,000rpm~約15,000rpm、約1,000rpm~約12,500rpm、約10,000rpm~約10,000rpm、約1,000rpm~約7,500rpm、約1,000rpm~約5,000rpm、または約1,000rpm~約2,500rpmなどで実施され得る。
【0118】
追加的にまたは代替的に、高せん断混合は、約2.5秒以上、約5秒以上、約30秒以上、約1分以上、約5分以上、約25分以下、約20分以下、約15分以下、または約10分以下、または約2.5秒~約25分、約2.5秒~約20分、約2.5秒~約15分、約2.5秒~約10分、約2.5秒~約5分、約2.5秒~約1分、約2.5秒~約30秒、約5秒~約25分、約5秒~約20分、約5秒~約15分、約5秒~約10分、約5秒~約5分、約5秒~約1分、または約5秒~約30秒などで実施され得る。任意の実施形態において、高せん断混合は、約3.5m/s以上、例えば、約3.5m/s~約25m/sの先端速度で、約5秒以上、例えば、約5秒~約20分実施され得る。
【0119】
追加的にまたは代替的に、高せん断混合を、例えば、約1℃以上、約4℃以上、約10℃以上、約15℃以上、約35℃以下、約30℃以下、約25℃以下、または約20℃以下、または約1℃~約35℃、約1℃~約30℃、約1℃~約25℃、約1℃~約20℃、約1℃~約15℃、約1℃~約10℃、約1℃~約4℃、約4℃~約35℃、約4℃~約30℃、約4℃~約25℃、約4℃~約20℃、約4℃~約15℃、または約4℃~約10℃などの温度、例えば周囲温度および/または前駆体混合体および架橋剤の混合物の温度で実施され得る。
【0120】
したがって、様々な態様において、本明細書に記載されているカプセル化微生物組成物を調製するための方法が提供され、ここで、この方法は一般に:(a)本明細書に記載されている微生物と本明細書に記載されている少なくとも1つのヒドロゲル、例えばアルギン酸塩とを組み合わせて、本明細書に記載されている前駆体混合物を形成するステップと;(b)前駆体混合物を本明細書に記載されている架橋剤で固化して、中間微生物組成物を形成するステップであって、固化が、前駆体混合物と本明細書に記載されている架橋剤との高せん断混合を含むステップと;および(c)中間微生物組成物を乾燥して、本明細書に記載されているカプセル化微生物組成物を形成するステップとを含む。
iii.炭酸塩固化法
【0121】
追加的または代替的に、固化ステップは、前駆体混合物を架橋剤と組み合わせて中間微生物組成物を形成するステップを含み得、ここで、架橋剤は二価カチオン塩を含み、二価カチオン塩は二価カチオン炭酸塩であり得る。例えば、二価カチオン炭酸塩は、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、炭酸ストロンチウム、炭酸コバルト、炭酸ニッケル、炭酸亜鉛、炭酸マンガン、またはそれらの組み合わせであってもよい。任意の実施形態において、二価カチオン炭酸塩は、炭酸カルシウムであってもよい。
【0122】
追加的にまたは代替的に、固化は、前駆体混合物および/または架橋剤に酸性緩衝剤を添加するステップをさらに含んでもよい。酢酸緩衝剤(例えば、酢酸と酢酸の塩(例えば、酢酸ナトリウム)の溶液)、グルコノ-デルタラクトン緩衝剤、弱酸(例えば、クエン酸、ギ酸、シュウ酸、フッ化水素酸、亜硝酸、亜硫酸、リン酸など)、およびそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない、約7以下のpHを有する任意の好適な酸性緩衝ジを添加することができる。
【0123】
酸性緩衝剤は、様々な方法および順序で添加することができる。例えば、酸性緩衝剤は:(i)架橋剤が前駆体混合物と組み合わされる前に前駆体混合物および/または架橋剤に;(ii)架橋剤と共に実質的に同時に前駆体混合物に;(iii)前駆体混合物および架橋剤を含む混合物に;または(i)、(ii)、および(iii)の任意の組み合わせに添加され得る。架橋剤、前駆体混合物、および任意の酸性緩衝剤を含む混合物は、約2以上、約4以上、約5以上、約7以下、約6.5以下、または約6以下、または約2~約7、約2~約6.5、約2~約6、約2~約5、約2~約4、約4~約7、約4~約6.5、約4~約6、または約4~約5などのpHを有し得るか、および/またはそのpHに維持され得る。
【0124】
任意の実施形態において、前駆体混合物、架橋剤、および任意の酸性緩衝剤は、約5分以上、約30分以上、約2時間以上、約6時間以上、約12時間以上、約18時間以上、約48時間以下、約42時間以下、約36時間以下、約30時間以下、または約24時間以下、または約5分~約48時間、約5分~約42時間、約5分~約36時間、約5分~約30時間、約5分~約24時間、約5分~約18時間、約5分~約12時間、約5分~約6時間、約5分~約2時間、または約5分~約30時間などで組み合わされ得る。この前述の期間の間、前駆体混合物、架橋剤、および任意の酸性緩衝剤を含む混合物は上記の期間のいずれかの好適なミキサーで混合されてもよく、および/または混合物は上記の期間のいずれかの間、さらなる混合なしに静置されてもよい。例えば、前駆体混合物、架橋剤、および任意の酸性緩衝剤を含む混合物を、約5分間~約6時間混合し、次いで、さらに約18時間~約30時間静置してもよい。
【0125】
追加的または代替的に、前駆体混合物、架橋剤、および任意の酸性緩衝剤は、約1℃以上、約4℃以上、約10℃以上、約15℃以上、約40℃以下、約30℃以下、約25℃以下、または約20℃以下、または約1℃~約40℃、約1℃~約30℃、約1℃~約25℃、約1℃~約20℃、約1℃~約15℃、約1℃~約10℃、約1℃~約4℃、約4℃~約35℃、約4℃~約40℃、約4℃~約25℃、約4℃~約20℃、約4℃~約15℃、または約4℃~約10℃などの温度、例えば、周囲温度および/または前駆体混合物、架橋剤、および任意の酸性緩衝剤の混合物の温度で、組み合わせることができる。任意の実施形態において、前駆体混合物、架橋剤、および任意の酸性緩衝剤は、約5分以上、例えば、約5分~約48時間組み合わされてもよく、約4℃以上、例えば、約4℃~約40℃の温度で実施されてもよい。
【0126】
したがって、様々な態様において、本明細書に記載されているカプセル化微生物組成物を調製するための方法が提供され、ここで、この方法は一般に:(a)本明細書に記載されている微生物と本明細書に記載されている少なくとも1つのヒドロゲル、例えばアルギン酸塩とを組み合わせて、本明細書に記載されている前駆体混合物を形成するステップと;(b)前駆体混合物を本明細書に記載されている二価カチオン塩、例えば二価カチオン炭酸塩を含む架橋剤で固化して、中間微生物組成物を形成するステップであって、固化が、前駆体混合物を架橋剤と組み合わせることを含むステップと;および(c)中間微生物組成物を乾燥して、本明細書に記載されているカプセル化微生物組成物を形成するステップとを含む。
【0127】
上記の固化ステップ(例えば、ビーズ固化、高せん断混合、炭酸塩固化等)のいずれかを行う場合、2価陽イオンは、カプセル化微生物組成物の全乾燥重量の約0.001%以上、約0.1%以上、約1%以上、約2.5%以上、約5%以上、約30%以下、約25%以下、約20%以下、約15%以下、約10%以下、または約7.5%以下、または約0.001%から約25%、約0.001%から約20%、約0.001%から約15%、約0.001%から約10%、約0.001%から約7.5%、約0.001%~約5%、約0.001%~約2.5%、約0.001%~約1%、約0.1%~約25%、約0.1%~約20%、約0.1%~約15%、約0.1%~約10%、約0.1%~約7.5%、約0.1%~約5%、約0.1%~約2.5%、または約0.1%~約2.5%などの量で存在し得る。例えば、ビーズ固化ステップのいずれかを実施する場合、二価カチオンは、カプセル化微生物組成物の総乾燥重量の約0.1%~約10%の量で存在し得る。さらに、高せん断混合または炭酸塩固化ステップのいずれかを実施する場合、二価カチオンは、カプセル化微生物組成物の総乾燥重量の約0.001%~約25%の量で存在し得る。
【0128】
例えば、高せん断混合固化ステップまたは炭酸塩固化ステップの後に形成される中間微生物組成物は、任意の好適な基材に適用されてもよく、中間微生物組成物は基材上に配置されたフィルムの形態であってもよいことも、本明細書において企図される。フィルムは、約1mm以上、2.5mm以上、5mm以上、約7.5mm以上、約5cm以下、約2.5cm以下、または約1cm以下、または約1mm~約5cm、約1mm~約2.5cm、約1mm~約1cm、約1mm~約7.5mm、約1mm~約5mm、または約1mm~約2.5mmなどの厚さを有し得る。
B.中間微生物組成物の乾燥
【0129】
上記のように、驚くべきことに、安定性が増加したカプセル化微生物組成物は、より遅い乾燥ステップを含む本明細書に記載されている方法によって、例えば、より低い温度でより遅い蒸発速度を利用することによって達成することができることが発見された。
【0130】
より遅い乾燥は例えば、中間微生物組成物のより遅い蒸発速度を維持することによって達成され得る。そのような乾燥は例えば、空気(例えば、空気乾燥、外気乾燥、強制または指向性空気乾燥)、真空乾燥、流動床乾燥などにおいて(またはそれらの使用によって)、乾燥機、オーブン、湿度制御チャンバー、またはそれらの任意の組み合わせによって(またはそれらの使用によって)達成(または実施、または完成など)され得る。例えば、乾燥は、約30,000g/hr/m以下、約25,000g/hr/m以下、約20,000g/hr/m以下、約15,000g/hr/m以下、約10,000g/hr/m以下、約5,000g/hr/m以下、約1,000g/hr/m以下、約500g/hr/m以下、約100g/hr/m以下、約50g/hr/m以下、約10g/hr/m以下、約1g/hr/m以上、約10g/hr/m以上、約25g/hr/m以上、約50g/hr/m以上、約100g/hr/m以上、約250g/hr/m以上、約500g/hr/m以上、または約1,000g/hr/m以上、または約1g/hr/m~約25,000g/hr/m、約10g/hr/m~約25,000g/hr/m、約25g/hr/m~約25,000g/hr/m、約50g/hr/m~約25,000g/hr/m、約1g/hr/m~約20,000g/hr/m、約50g/hr/m~約20,000g/hr/m、約1g/hr/m~約15,000g/hr/m、約50g/hr/m~約15,000g/hr/m、約1g/hr/m~約10,000g/hr/m、約50g/hr/m~約10,000g/hr/m、約1g/hr/m~約5,000g/m/hr/m、約50g/hr/m~約5,000g/hr/m、約1g/hr/m~約1,000g/m/hr/m、約50g/hr/m~約1,000g/hr/m、約1g/hr/m~約500g/hr/m、約50g/hr/m~約500g/hr/m、約1g/hr/m~約250g/hr/m、約50g/hr/m~約250g/hr/m、または約1g/hr/m~約100g/hr/m、約50g/hr/m~約100g/hr/m、約1g/hr/m~約50g/hr/m、約1g/hr/m~約30g/hr/mなどの蒸発速度で実施され得る。任意の実施形態において、蒸発速度は、約1g/hr/m~約150g/hr/m、約50g/hr/m~約150g/hr/mなどであり得る。
【0131】
任意の実施形態において、乾燥は、約10℃以上、約15℃以上、約20℃以上、約60℃以下、約50℃以下、約40℃以下、約30℃以下、または約25℃以下、または約10℃~約50℃、約10℃~約40℃、約10℃~約30℃、約10℃~約25℃、約10℃~約20℃、約10℃~約15℃、約15℃~約50℃、約15℃~約40℃、約15℃~約30℃、約15℃~約25℃、または約15℃~約20℃などの乾燥温度で行われ得る。任意の実施形態において、乾燥温度は、約15℃~約50℃であってもよい。
【0132】
追加的にまたは代替的に、乾燥は、約10分以上、約15分以上、約30分以上、約1時間以上、約12時間以上、約24時間以上、約48時間以上、約72時間以上、約288時間以下、約240時間以下、約200時間以下、約170時間以下、約144時間以下、または約96時間以下、または約10分~約288時間、約15分~約288時間、約15分~約240時間、約15分~約200時間、約15分~約170時間、約15分~約144時間、約15分~約96時間、約15分~約72時間、約15分~約48時間、約15分~約24時間、約15分~約12時間、約15分~約1時間、または約15分~約30分などの乾燥時間で実施され得る。任意の実施形態において、乾燥時間は、約15分~約200時間であり得る。
【0133】
記載されるように、本明細書において、中間微生物組成物の乾燥は、空気(例えば、空気乾燥、外気乾燥、強制または指向性空気乾燥)、真空乾燥、流動床乾燥など)、乾燥機、オーブン、湿度制御チャンバーにおいて(またはその使用によって)、またはそれらの任意の組み合わせにおいて(またはその使用によって)実施され得ることが企図される。例えば、中間微生物組成物を、上述の乾燥時間(例えば、約24時間~約72時間)、空気中で室温(例えば、約15℃~約25℃)に置いた後、任意に、約20℃~約30℃の温度で約15分~約72時間、湿度制御チャンバー中でさらに乾燥させ、任意に、続いて、約40℃~約60℃の温度で約15分~約72時間、乾燥機(例えば、流動床乾燥機)中でさらに乾燥させてもよい。
【0134】
任意の実施形態において、中間微生物組成物は上述の乾燥時間(例えば、約24時間~約72時間)の間、空気中で室温(例えば、約15℃~約25℃)に置かれ得る。そうすることで、上記のような中間微生物組成物の空気乾燥によって形成された得られた組成物のタップ密度は、噴霧乾燥などによって形成された組成物のタップ密度よりも相対的に高くなり得る。例えば、任意の実施形態において、上記のような中間微生物組成物の空気乾燥によって形成された組成物のタップ密度は、噴霧乾燥によって形成された組成物のタップ密度より、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約15%、少なくとも約20%、少なくとも約25%、少なくとも約30%、少なくとも約35%、少なくとも約40%、少なくとも約45%、少なくとも約50%、少なくとも約55%、少なくとも約60%、少なくとも約75%、少なくとも約100%、少なくとも約150%、少なくとも約200%、少なくとも約250%、または約300%、または約5%~約300%など高くてもよい。
【0135】
任意の実施形態において、中間微生物組成物の乾燥は、空気乾燥によって実施、達成等され得る。その際、例えば、架橋アルギン酸塩微生物混合物(Crosslinked Alginate Microbe Mixtures)(CAMMs)は、本明細書のせん断混合法またはビーズ/マイクロビーズ法(例えば、実施例3などを参照されたい)のいずれかによって生成され、シートまたは表面(例えば、9”×13”ベーキングシート、別のシートまたは表面など)上に広げられ、次いで、空気再循環を伴うバイオフード内に置かれ、混合物を室温(例えば、約18℃~約25℃(約64°F~約78°F)など)で24~72時間空気乾燥させる。室温で24~72時間後、CAMMS(表面上の)を、一般的に(または比較的)低い相対湿度(RH)(例えば、約10%~約20%など)に設定された湿度制御チャンバーに、または完全な乾燥(例えば、乾燥アルギン酸塩中の約5%未満の水分含量など)を容易にするために乾燥空気パージ(例えば、約5%未満のRHなど)を有する乾燥チャンバーに移動させることができる。
【0136】
任意の実施形態において、中間微生物組成物の乾燥は、流動床乾燥によって実施、達成等され得る。その際、例えば、架橋アルギン酸塩微生物混合物(Crosslinked Alginate Microbe Mixtures)(CAMMs)を、本明細書のビーズ/マイクロビーズ法(例えば、実施例3などを参照)によって生成し、流動床乾燥機、例えば、Sherwood Scientific Ltd.からのSherwood Scientific 50100201 Programmable Fluid Bed DryerまたはFreund-Vector CorporationからのFreund Vector VFC-Lab Micro Flo-Coaterに充填され得る。次いで、流動床乾燥機は、マイクロビーズの水分含量が約5%未満になるまで、約1時間~約8時間、約20℃~約60℃の間の温度で運転され得る。あるいは、マイクロビーズは、完全には乾燥していないが、依然として自由流動性粉末として流動床乾燥機から除去され、次いで、それらの水分含量が約5%未満になるまで、約20℃~約40℃の真空オーブン中で乾燥され得る。
【0137】
任意の実施形態において、中間微生物組成物の乾燥は、真空乾燥によって実施、達成等され得る。その際、例えば、架橋アルギン酸塩微生物混合物(Crosslinked Alginate Microbe Mixtures)(CAMMs)を、本明細書のビーズ/マイクロビーズ法(例えば、実施例3などを参照されたい)によって生成し、真空乾燥機、例えば、真空パドル乾燥機、撹拌真空乾燥機、または円錐スクリュー真空乾燥機に充填され得る。次いで、真空乾燥は、マイクロビーズの水分含量が約5%未満になるまで、約1時間~約8時間、約20℃~約50℃の温度で運転され得る。
C.任意の追加処理
【0138】
カプセル化微生物組成物はさらなる施用、例えば、種子処理としての使用、および/または種子への施用前に、任意のさらなる処理を受けてもよい。さらなる処理は例えば、カプセル化微生物粒子を形成するために、および/またはカプセル化微生物粒子のサイズをさらに低減するために、カプセル化微生物組成物を粉砕することを含み得る。例えば、ボールミル粉砕、凍結粉砕、またはそれらの組み合わせの当技術分野で公知の任意の好適な粉砕プロセスを使用して、カプセル化微生物粒子を形成することができる。
【0139】
任意の実施形態において、カプセル化微生物粒子は、約1μm以上、約15μm以上、約25μm以上、約50μm以上、約75μm以上、約100μm以上、約500μm以下、約350μm以下、または約200μm以下、または約1μm~約500μm、約1μm~約350μm、約1μm~約200μm、約1μm~約100μm、約1μm~約75μm、約1μm~約50μm、約1μm~約25μm、または約1μm~約15μmなどの直径を有し得る。
【実施例
【0140】
実施例
以下の非限定的な実施例は、本開示をさらに例証するために提供される。微生物製剤およびそのような製剤を作製および試験する方法の非限定的な例が提供され、これは、微生物、特に真菌株および芽胞非形成細菌株のカプセル化および改善された安定性に有用であり得る。
実施例1.微生物菌株の調製
微生物株と増殖条件
【0141】
ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)(OPTIMIZE(登録商標) XC)は4℃で保存して使用した。
【0142】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)、ファイトバクター・ジアゾトロフィカス(Phytobacter diazotrophicus)、ハーバスピリラム・フリシンゲンス(Herbasprillum frisingense)、およびシュードアシドボラックス・インターメディウス(Pseudacidovorax intermedius)発酵物を-80℃の凍結ストックから各実験用に新鮮に調製した。細胞を、28℃で18~48時間、振盪フラスコ中、リッチ複合培地(3g/Lビーフエキス、5g/Lペプトン水、6g/Lマンニトール、30g/Lグルコース、18.9g/Lトレハロース、15mM HEPES緩衝剤、pH約7.2)中で増殖させた。典型的には、600nmで測定された培養物の光学密度は、一晩の発酵中に0.05から1.5から2.5の範囲内に上昇した。
CFU(コロニー形成単位)測定
【0143】
培養物をPBS緩衝液中で連続的に希釈して、1ミリリットル当たり所望量のコロニー形成単位(CFU)を得た。細菌は、寒天プレート上に適切な希釈物をプレーティングし、30℃で一晩インキュベートすることによって定量した。プレート上で増殖させたコロニーを計数した。最終CFU/mLは、コロニー数に希釈係数を乗じることによって計算した。充填速度および安定性プロファイルを決定するために、菌株のCFU測定を、カプセル化前、カプセル化後、および異なる保存期間後に行ってもよい。
実施例2.アルギン酸塩微生物混合物(AMM)の調製
【0144】
保護剤、目的の微生物およびアルギン酸塩を含む混合物を、以下の溶液から調製した。調製した微生物培養物(20mL、未希釈)およびアルギン酸塩溶液を保護剤溶液に添加して、架橋アルギン酸塩微生物混合物(CAMMs)を調製するために使用したアルギン酸塩微生物混合物(Alginate Microbe Mixtures)(AMMs)を生成した。
保護剤溶液
【0145】
保護剤溶液を以下のように調製した:4グラムの可溶性デンプン、10グラムのスキムミルク粉末、10グラムのスクロース、5グラムのマルトデキストリン、0.0012g/mLの硫酸マグネシウム、0.018g/mLのマンニトール、0.117g/Lのベタイン、0.342g/mLのトレハロース、0.167g/mLのジピコリン酸、および2滴のAntifoam 204からなる200uLの1000Xの微量栄養成分を、180グラムのMilliQ水(すなわち、精製および脱イオン水)に添加し、高せん断ミキサー中で均質化した。
アルギン酸塩溶液
【0146】
アルギン酸塩溶液を以下のように調製した:8.0グラムのアルギン酸ナトリウムを192グラムのMilliQ水に添加して、4%w/wのアルギン酸ナトリウム混合物を形成した。混合物を55℃に加熱し、均質になるまで振盪機中で混合し、室温に冷却した。
【0147】
以下の試薬を追加の精製なしで使用した:「Std」褐藻類由来のアルギン酸ナトリウム(Sigma Aldrich W201502);褐藻類由来のアルギン酸ナトリウム、低粘度(Sigma Aldrich A1112);褐藻類由来のアルギン酸ナトリウム、中粘度(Sigma Aldrich A2033);アルギン酸ナトリウム、高粘度(Alfa Aesar J61887);水溶性キトサン(Carbosynth YC58325);ペクチン(リンゴ由来、Sigma-Aldrich 93854);およびゼラチン(ウシ皮膚タイプB由来、Sigma Aldrich G9391)。
実施例3.架橋アルギン酸塩微生物混合物(CAMMs)の調製
【0148】
異なるタイプの架橋アルギン酸塩微生物混合物(CAMMs)を、以下の方法によって調製した。
CAMMビーズ
【0149】
架橋アルギン酸塩微生物混合物(CAMM)ビーズを以下のように調製した:上記の実施例2におけるAMM調製物300mLを、1.6mm内径チューブ(Masterflex HV-06508-14)を通して57rpm(Watson-Marlowポンプ、モデル:120U/DM3)でポンピングし、AMM調製物の液滴を生成した。液滴を1.0w/w% CaCl液1リットル中に向けた。溶液中のカルシウムイオンと接触すると、固体架橋アルギン酸塩ビーズが形成された。ビーズを濾過し、水ですすぎ、過剰なカルシウムイオンを除去した。
【0150】
例えば、乾燥後のシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)CAMMビーズの典型的な調製物は、1×10から1×10CFU/グラムを含んでいた。この方法によって作製されたビーズは、典型的には直径が1センチメートルより大きかった。
CAMMマイクロビーズ
【0151】
架橋アルギン酸塩微生物混合物(CAMM)マイクロビーズを以下のように調製した:市販のカプセル化ユニット(Encapsulator B-390、BUCHI、Switzerland)を用いて、上記実施例2のAMM調製物300mLを1.0w/w%CaCl液1Lに注入して、ヒドロゲルマイクロビーズを調製した。カプセル化装置は、固定条件下:周波数=1500Hz;電極電位=1000V;および動作圧力=500~1000mbar、で動作させた。150、200、および450μmのノズルサイズは、それぞれ、カプセル化後に560μm、750μm、および1mm超の最終的な湿潤マイクロビーズサイズを生成した。
【0152】
例えば、乾燥後のシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)CAMMマイクロビーズの典型的な調製物は、1×10から3×10CFU/gを含有していた。これらの実施例に従って使用するためのこの方法によって作製されたマイクロビーズは、典型的には直径が1ミリメートル超であった。
せん断混合法
【0153】
せん断混合架橋アルギン酸塩微生物製剤を以下のように調製した:2.5mLの1%w/w塩化カルシウム溶液を、上記の実施例2のように調製したアルギン酸塩微生物混合物100mLに添加した。組合せをKinematica POLYTRON(登録商標)ホモジナイザー(KINEMATICA AG、Luzernerstrasse 147A CH-6014 Littau、Switzerlandから入手可能)で、11,000rpmで20~30秒間混合した。架橋アルギン酸塩の稠度は厚くなり、ペースト状になった。
炭酸カルシウム
【0154】
塩化カルシウムの代わりに、炭酸カルシウム溶液が架橋のために使用した。架橋アルギン酸塩微生物製剤を以下のように調製した:0.09グラムの炭酸カルシウムを100グラムのアルギン酸塩微生物混合物(AMM)に添加した。混合物を水平振盪機中で4時間激しく混合し、室温でさらに24時間静置した。炭酸カルシウムを、10mLの100mM酢酸緩衝液(AC)または100mMグルコノデルタラクトン(GDL)のいずれかを添加して中和し、水平振盪機中で4時間激しく混合し、室温でさらに24時間静置した。
実施例4.架橋アルギン酸塩微生物混合物の乾燥
【0155】
架橋アルギン酸塩微生物混合物(CAMMs)を9”×13”ベーキングシート上に広げ、空気再循環を伴うバイオフード中に置き、水分含量が5~10%に達するまで混合物を室温で少なくとも2日間空気乾燥した。例えば、CAMMビーズまたはマイクロビーズを室温で3日間空気乾燥した。
【0156】
あるいは、架橋アルギン酸塩微生物混合物(CAMMs)を9”×13”ベーキングシート上に広げ、空気再循環を伴うバイオフード中に置いて、混合物を室温で24時間空気乾燥させ、23℃および相対湿度(RH)20%の湿度制御チャンバー中に置いて、含水率を5~7%に低下させた。
【0157】
水分含量をさらに低減するために、架橋アルギン酸塩粒子を、Sherwood Scientific 50100201 Programmable Fluid Bed Dryer流動床乾燥機中、45~55℃で、水分含量が約3%に低減されるまで乾燥した。
実施例5.架橋アルギン酸塩微生物混合物の粉砕
【0158】
架橋アルギン酸塩微生物混合物(CAMM)を粉砕して、長期貯蔵および種子処理に適した粉末粒子を生成した。架橋アルギン酸塩微生物混合物を、液体窒素(Spex Sample Prep Model 6970D)を用いて、以下のような粉砕パラメータで凍結粉砕した:サイクル:3分、予冷:0分、実行時間:7分、実行間冷却:1分、速度13サイクル/秒(cps)。
【0159】
あるいは、材料は、ボールミルを使用して、粉砕機として3×20mmの金属ボールを有する125mLの広口瓶に10グラムの乾燥材料を充填することによって、大きさを縮小した。容器を、水平振とう機を用いて室温で1時間激しく振とうした。
【0160】
典型的な粉砕調製物は、D10=8~15μm、D50=75~100μm、およびD90=350~500μmの粒径分布を生じた。
実施例6.噴霧乾燥方法
【0161】
架橋アルギン酸塩微生物混合物(CAMMs)を、以下の噴霧乾燥法によって調製した。BUECHI(登録商標)Mini Spray Dryer B-290(BUECHI Labortechnik AG、Flawil、Switzerland)を用いて、カプセル化および乾燥を完了させた。
二流体ノズル噴霧乾燥およびポリマーカプセル化
【0162】
標準的な二流体ノズルを備えたBUECHI(登録商標)B-290実験室噴霧乾燥機を用いて、CAMM製剤を噴霧乾燥した。架橋アルギン酸塩微粒子を製造するための噴霧乾燥手順は以下の通りであった:空気流を40mmに設定し、空気圧を90psiに設定した。吸引を100%に設定し、除湿器を「オン」に設定し、ポンプ速度を、水を用いて~10mL/分に較正し、32%に設定した。入口温度は110~170℃であり、50~87℃の範囲の出口温度をもたらした。
三流体ノズル噴霧乾燥とポリマーカプセル化
【0163】
三流体ノズルを備えたBUECHI(登録商標)B-290実験室噴霧乾燥機を用いて、CAMM製剤を噴霧乾燥した。架橋アルギン酸塩微粒子を製造するための噴霧乾燥手順は以下の通りであった:空気流を最大に設定し、空気圧を90psiに設定した。吸引を100%に設定し、除湿器を「オン」に設定し、1.42mm×0.8mmのチューブ(部品番号983.0142.000)内部供給ポンプを備えたWATSON MARLOW(登録商標)120Uマルチチャンネルポンプを、水を用いて~5mL/分に較正し、57%に設定した。内部流体は別段の記載がない限り、等量の微生物発酵物および水性4%アルギン酸ナトリウム/2%可溶性デンプン溶液を含有し、外部(BUECHI(登録商標))供給ポンプ=17%(水を使用して~5mL/分に較正される)。外部流体:特に断りのない限り、希水性塩化カルシウム(典型的には0.125~0.25重量%)。水道からの冷水を、スプレーノズル組立体を通してポンプで注入した。入口温度は110~120℃の範囲であり、50~87℃の範囲の出口温度をもたらした。
実施例7.種子処理
【0164】
以下の手順を用いて、微生物アルギン酸塩製剤を種子に施用した。製剤を、作物保護化学物質で未処理または処理したダイズ種子に施用した。
【0165】
湿潤または乾燥架橋アルギン酸塩性剤を種子に施用するために、250グラムのダイズ種子および1.0グラムの種子処理糖溶液(使用する場合)をガロンサイズの袋に入れ、密封し、激しく振盪した。袋を再び開け、架橋アルギン酸塩製剤1.5グラムを加え、袋を再密封し、激しく振とうして均一なコーティングを確実にした。糖溶液は種子の表面を「粘着性」にし、その結果、アルギン酸塩製剤粉末は種子の表面を被覆し、それに付着する。
【0166】
処理した種子を、25℃/65%RHおよび/または10℃/50%RHでの長期保存のために、通気性の裏打ち紙袋(3.375インチ×2.5インチ×10.25インチ;Midco TTX591)に移した。
実施例8.ビーズ法を用いた乾燥架橋アルギン酸塩でカプセル化したシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の回収
【0167】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)をCAMMビーズ法によりカプセル化し、乾燥し、上記実施例3、4および5に記載のように粉砕した。ビーズをゲル化するために使用した塩化カルシウム濃度を0.5%~5%で変化させて、CFU回収に対するその影響を決定した。
【0168】
表1に示されるように、カプセル化直後のCAMMビーズからのシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)のCFU回収は、試験したより低い塩化カルシウム濃度で最も高かった(0.5%CaClが最も高いCFU回収を有した)。CFU回収は、寒天プレートにプレーティングすることによって決定した。
表1:異なる濃度の塩化カルシウムで作製された乾燥CAMMビーズ中にカプセル化されたシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の初期CFU回収
【表1】
実施例9.せん断混合法により作製した乾燥架橋アルギン酸塩でカプセル化したシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の回収
【0169】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)は、架橋前にアルギン酸塩微生物混合物にヒドロゲル(キトサン、ペクチン、ゼラチン)および/または不活性担体(バイオ炭)の異なる組み合わせを添加して、または添加せずに、上記実施例3に記載されたCAMMせん断混合法によってカプセル化した。添加した場合、アルギン酸塩対追加のヒドロゲルの比は1:1であり、全ヒドロゲル濃度は2%であった。追加のヒドロゲルを添加しなかった場合、アルギン酸塩の濃度は2%であったが、追加のヒドロゲルを添加した場合、アルギン酸塩およびヒドロゲルの濃度はそれぞれ1%であった(組み合わせて2%の合計)。添加した場合、アルギン酸塩対追加のバイオ炭の比は、乾燥重量で2:5であった。架橋製剤を乾燥し、上記実施例4および5に記載のように粉砕した。
【0170】
ヒドロゲルまたは不活性担体を含むまたは含まない全ての組み合わせは、1×10CFU/グラムを超える回収をもたらし、多くの組み合わせは表2に示されるように、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)株の1×10CFU/グラムを超える回収を有し、本明細書に記載される安定化方法のためのヒドロゲルのタイプの柔軟性を示した。
表2:せん断混合法により製造された架橋アルギン酸塩中でカプセル化されたシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の初期CFU回収
【表2】
実施例10.炭酸カルシウム法により作製した乾燥架橋アルギン酸塩でカプセル化したシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の回収
【0171】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)を、上記実施例3に記載の炭酸カルシウム法によって、異なるアルギン酸塩材料を用いて、および上記実施例9および表2に提供される組み合わせにおいて架橋する前に、アルギン酸塩微生物混合物にヒドロゲル(キトサン、ペクチン、ゼラチン)を添加して、または添加せずにカプセル化した。アルギン酸塩対追加のヒドロゲルの比は、1:1であり、全ヒドロゲル濃度は上記のように2%であった。架橋製剤を乾燥し、上記実施例4および5に記載のように粉砕した。
【0172】
様々な量の酢酸緩衝液(AC)またはグルコノデルタラクトン(GDL)で作製されたCAMMsは、1×10CFU/グラムの回収を超えて達成され、多くの調製物は、表3に示されるように、1×10CFU/グラムの回収を超えており、これは、架橋剤として炭酸カルシウムを使用する本明細書に記載されている安定化方法のための酸性化剤の量の柔軟性を示している。様々なタイプのヒドロゲルで作製されたCAMMsは、表4に示されるように、1×10CFU/グラムを超える回収を達成し、本明細書に記載される様々なアルギン酸塩による安定化方法のためのヒドロゲルのタイプの柔軟性を示している。
表3:炭酸カルシウム法により異なる量の酸性化剤で調製した架橋アルギン酸塩中にカプセル化したシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の初期CFU回収
【表3】
表4:炭酸カルシウム法による追加のヒドロゲルで調製した架橋アルギン酸塩中でカプセル化したシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の初期CFU回収
【表4】
実施例11.三流体ノズル噴霧乾燥により作製した乾燥架橋アルギン酸塩でカプセル化したシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の回収
【0173】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)を含有するせん断架橋アルギン酸塩を生成し、異なる量の塩化カルシウムを用いて、上記実施例3に記載されるような三流体ノズル噴霧乾燥機を使用して噴霧乾燥した。噴霧乾燥CAMM粉末の初期CFU測定(開始力価)を表5に示す。
表5:P.フルオレッセンス(P.fluorescens)を含有するイン・サイチュ(In-Situ)架橋噴霧乾燥製剤
【表5】
実施例12.種々の架橋アルギン酸塩調製物による種子上(On-Seed)のシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の生存率
噴霧乾燥前のアルギン酸塩架橋
【0174】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)を含有する架橋アルギン酸塩を、上記実施例3に記載されるようなせん断混合法を用いて生成し、上記実施例6に記載されるような二流体ノズル噴霧乾燥機を用いて噴霧乾燥し、上記実施例7に提供されるようにダイズ種子に施用した。図1(FIG.1)に示されるように、せん断架橋アルギン酸塩混合物中にカプセル化され、種子に施用されたシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)は、8週間を超えて1×10CFU/種子を上回る生存率を維持した。
架橋アルギン酸塩ペーストによる直接種子処理
【0175】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)を、上記実施例3に記載のせん断混合法によってアルギン酸塩にカプセル化し、本明細書に記載されているようにダイズ種子に施用したが、種子に施用する前に架橋アルギン酸塩ペーストを噴霧乾燥せずに施用した。この試験において、最初の微生物力価は、架橋アルギン酸塩ペーストについて1.7×10CFU/gであった。化学(AI)、亜硫酸水素塩処理(化学スラリー中の殺生物剤を除去するため)、および浸透圧保護剤溶液の微生物の安定性に及ぼす影響を決定した。種子処理時のCFU/種子の理論的最大量は、CFU損失がないと仮定すると、1×10CFU/種子である。この試験における全ての試料について測定された実際の初期CFU/種子は、10~10CFU/種子であり、種子上で1週間後、CFU/種子は、1~3logの減少を経験した(表6を参照)。
【0176】
直接種子処理後のシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の種子上の安定性は、アルギン酸塩ペースト中にカプセル化され、種子に施用されたものが低かった。噴霧乾燥に供されなかった架橋アルギン酸塩ペーストとして、シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)を種子に施用したところ、1週間内に1×10CFU/種子未満まで生存率が低下した(すなわち、種子上の1週間だけで少なくとも2~3logのCFU/種子の低下)(図1を参照されたい)。
表6:架橋アルギン酸塩ペーストによる直接種子処理からの25℃/65%RHでの種子上のシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の安定性
【表6】
種々の温度および湿度でのカプセル化シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)の安定性に及ぼすカプセル化方法および乾燥速度の影響
【0177】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)を、せん断混合(Shear Mix)またはビーズ法(Bead Methods)を介して架橋アルギン酸塩にカプセル化し、粉砕し、上記のように種子上に置いた。図1に示されるように、種子に施用された噴霧乾燥液体発酵物についての1週間あたりのほぼ2logの低下とは対照的に、25℃および65%RHで保存された種子について、種子上のCFU/種子の崩壊速度は0.15log/週であった。噴霧乾燥なしで、湿式せん断混合アルギン酸塩製剤で処理した種子は、1週間内に1×10CFU/種子未満までの微生物株の生存率低下を示した。これらの結果は、架橋アルギン酸塩混合物のためのより遅い乾燥方法が、種子上での施用のためのより安定な微生物製剤を提供することを示す。
【0178】
図2(FIG.2)にさらに示されるように、種子当たりのCFUの数は、10℃および50%RHでの23週間の試験期間にわたって実質的に変化しないままであった。さらなる研究において、10グラムのアルギン酸塩カプセル化シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)を20mLのガラスシンチレーションバイアル中に保存し、2グラムの乾燥剤パッケージを加え、バイアルに蓋をして25℃のチャンバーで保存した。図3に示すように、試料を定期的に採取して、その長期生存率を追跡した。
種子上の安定性に及ぼすカルシウム濃度の影響
【0179】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)を、せん断混合法によってアルギン酸塩でカプセル化し、粉砕し、本明細書に記載されているように種子上に置いた。アルギン酸塩を架橋するために使用される塩化カルシウムの量を変化させた。せん断混合法を用いてアルギン酸塩でカプセル化したシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)は、最初の4週間以内に良好な安定性を示した。(100mLのアルギン酸塩-微生物混合物に対して)2.5mLの1%w/wのカルシウムの充填で架橋された試料について、図6に示されるように、崩壊速度は、平均して0.15log/週であった。
追加のヒドロゲルまたはバイオ炭による種子上の安定性
【0180】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)は、架橋前にアルギン酸塩微生物混合物にヒドロゲル(キトサン、ペクチン、ゼラチン)および不活性担体(バイオ炭)を添加してCAMMせん断混合法によりカプセル化した。アルギン酸塩対追加のヒドロゲルの比は1:1であり、全ヒドロゲル濃度は2%であった。アルギン酸塩対追加のバイオ炭の比は、乾燥重量で2:5であった。架橋製剤を乾燥させ、上記のように粉砕し、種子上に置き、通気性紙袋中に保管し、25℃/65%RHの温かい温度および湿度に曝露した。アルギン酸塩を唯一のヒドロゲルとしてカプセル化すると、最大の安定性が得られた。固体賦形剤としてのバイオ炭の添加は安定性をさらに改善し、3~7週目からの1log未満の減少を伴い、バイオ炭が、図7に示されるような安定化剤として作用することを示す。
噴霧乾燥シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)製剤の種子上の安定性
【0181】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)を、三流体ノズル噴霧乾燥CAMMせん断混合法によってカプセル化し、種子上に置き、通気性紙袋中に保存し、以下の表7に示すように、25℃/65%RHで温かい温度および湿度に曝露した。それらの種子上の安定性の結果を図1に示す。乾燥および塩化カルシウムの充填は、安定性の傾向に影響しなかった。可溶性デンプンの含有はまた、有意な影響を有さなかった。
表7:種子上の安定性試験に使用したシュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)を含有するイン・サイチュ(in-situ)架橋噴霧乾燥製剤
【表7】
実施例13.異なる架橋アルギン酸塩調製物による種子上のブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)の生存率
25℃/65%RHおよび10℃/50%RHでのカプセル化ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)の安定性に及ぼすカプセル化方法および乾燥速度の影響
【0182】
ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)を、せん断混合およびビーズ法によってアルギン酸塩でカプセル化し、粉砕し、本明細書に記載されているように種子上に置いた。対照的に、ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)も噴霧乾燥し、種子上で処理して、安定性に対する乾燥速度の影響を比較した。図4(FIG.4)に示すように、25℃/65%RHでは、ビーズおよびせん断法の両方の種子上のCFU崩壊速度が0.26~0.31log/週で同等であった。これは、噴霧乾燥したブラディリゾビウム(Bradyrhizobium)については1週間当たり約1.5logの低下とは対照的である。図5(FIG.5)は、10℃/50%RHで、種子上のCFU崩壊は、23週間にわたって0.7logに実質的に低減されることを示す。
噴霧乾燥ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)製剤の種子上の安定性
【0183】
ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)を二流体ノズル噴霧乾燥CAMMせん断混合法によりカプセル化し、種子上に置き、通気性紙袋中に保存し、25℃/65%RHの温かい温度および湿度に曝露した。以下のに示すように、製剤を市販のピートベースの製剤と比較した。これらの製剤のCFU/種子価を数週間評価し、log10崩壊速度を決定するために使用した。
表8:種々のブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)製剤の25℃/65%RHでの保存安定性試験から計算した初期CFU/種子値および種子上での崩壊速度(週当たり)
【表8】
実施例14.カプセル化微生物の放出研究
【0184】
0.5%CaClのビーズ法で製剤化したアルギン酸塩カプセル化シュードモナス(Pseudomonas)をモデルカプセル化物質として用いて、カルシウム架橋アルギン酸塩カプセル化微生物の放出を評価した。この調製物が、模擬植え付け条件下で、時間および土壌水分含量の関数として、いかに容易に生存細胞を環境に送達することができるかを決定するために、研究を行った。
【0185】
グリーンビルMS(Greenville,MS)から採取した農場土壌を65℃で一晩オーブン乾燥し、オートクレーブ処理(121℃、15psi、30分間)により滅菌した。滅菌土壌の5グラムアリコートを滅菌50mL遠心管に分配し、約0%~約30%の範囲の水分含量を有する試料を滅菌水の添加によって作製した。ダイズ種子をこれらの試料に播種し、表9に示すように、これらの条件下で、22℃で96時間後に発芽する能力について評価した。
表9:土壌試料の組成およびダイズの発芽に対する結果としての効果
【表9】
【0186】
この研究に使用したアルギン酸塩カプセル化微生物調製物は、約1×10CFU/gを含有すると決定された。この物質を乾燥滅菌圃場土壌と組み合わせて、混合して、約2.4×10CFU/gを含む新しい土壌調製物を作製した。土壌+アルギン酸塩カプセル化P.フルオレッセンス(P.fluorescens)混合物の5gのアリコートを滅菌50mL遠心分離管に分配し、約0%~約30%の範囲の水分含量を有する試料を、上記のように滅菌水を添加することによって3回作製した。
【0187】
各試料を水添加後22℃でインキュベートした。アリコートを24時間および96時間で採取し、連続希釈プレーティングおよびR2A増殖培地上のコロニー計数を用いてCFU/gについてアッセイした。これらのカウントを表10にまとめ、図8(FIG.8)に示す。
表10:多様な土壌水分含量での24時間および96時間インキュベーション後のCFU/g
【表10】
【0188】
この研究の結果は、微生物集団がこのアルギン酸塩カプセル化物から容易に放出され、10~30%の水分含量の土壌中で96時間インキュベートした後、高力価まで活発に増殖することを示している。10%の水分含量を有する土壌中で24時間インキュベートした後の最初の成長の欠如によって示されるように、微生物の放出およびその後の増殖は、より乾燥した土壌中ではより遅い。生存細胞の濃度が約2.4×10CFU/gの最初の基準力価のままであったので、カプセル化物質は乾燥土壌中でこの時間枠にわたって安定であると思われる。
実施例15.シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)を含む種々の架橋アルギン酸塩調製物のタップ密度測定と吸湿特性
【0189】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)を含有する様々な乾燥アルギン酸塩製剤を、実施例3のCAMMせん断混合法および実施例6の噴霧乾燥法によって作製した。これらの粉末製剤のタップ密度を、測定容器として2mLの極低温バイアルを使用する手動方法を使用して決定し、以下の表11に示す。動的水蒸気収着(DVS)システム(例えば、Surface Measurement SystemsからDVSシステムなど)において、以下のプログラムを用いて、真空オーブン中で、40℃で一晩乾燥させた後、これらの配合物の吸湿性を比較した:0%RHで0.5時間(その後、100%に質量調整された)、90%RHで10時間、および0%RHで10時間。DVSデータ(図9(FIG.9))は、より高密度の配合物が同じ%RH下でより少ない水分を吸収することを示す。吸湿率が高いほど、図1に示す噴霧乾燥製剤の種子上での安定性が低くなる。
表11
【表11】
実施例16.架橋アルギン酸塩調製物での種子上のハーバスピリラム・フリシンゲンス(Herbaspirillum frisingense)の生存率
液体発酵物と比較した25℃/65%RHでのカプセル化ハーバスピリラム・フリシンゲンス(Herbaspirillum frisingense)の安定性に及ぼす製剤添加剤の影響
【0190】
ハーバスピリラム・フリシンゲンス(Herbaspirillum frisingense)を、せん断混合法によりアルギン酸塩でカプセル化し、シートで乾燥させ、凍結粉砕により粉砕し、本明細書に記載されているように種子上に置いた。ハーバスピリラム・フリシンゲンス(Herbaspirillum frisingense)発酵物を直接種子上に施用して、カプセル化製剤の安定性を液体物の種子上の安定性と比較した。発酵物を、実施例7に記載の種子処理と同様の方法で施用し、1mLの発酵ブロスを用いて、結合剤溶液なしで種子上に直接施用した。処理した種子をポリライニング紙袋(3.375インチ×2.5インチ×10.25インチ;Midco BA TT CW-6L)に移し、25℃/65%RHで長期保存した。図10(FIG.10)に示されるように、25℃/65%RHでは、全てのカプセル化製剤の種子上の安定性が直接種子上に施用される液体発酵物よりも著しく良好である。
実施例17.液体発酵物と比較した種子上のカプセル化シュードアシドボラックス・インターメディウス(Pseudacidovorax intermedius)の生存率
【0191】
シュードアシドボラックス・インターメディウス(Pseudacidovorax intermedius)を、せん断混合法によってアルギン酸塩でカプセル化し、シートで乾燥し、凍結粉砕によって粉砕し、本明細書に記載されているように種子上に置いた。シュードアシドボラックス・インターメディウス(Pseudacidovorax intermedius)発酵物も、カプセル化製剤の安定性を液体物の種子上の安定性と比較するために、直接種子上に施用した。発酵物を、実施例7に記載の種子処理と同様の方法で施用し、1mLの発酵ブロスを使用し、結合剤溶液を添加せずに、直接種子に施用した。これらの処理された種子を、25℃/65%RHでの長期保存のために、ポリライニング紙袋(3.375インチ×2.5インチ×10.25インチ;Midco BA TT CW-6L)に移した。図11に示されるように、25℃/65%RHでは、全てのカプセル化製剤の種子上の安定性が直接種子上に施用される液体発酵物よりも著しく良好である。
実施例18.異なる架橋アルギン酸塩調製物での種子上のファイトバクター・ジアゾトロフィカス(Phytobacter diazotrophicus)の生存率
液体発酵物と比較した25℃/65%RHでのカプセル化ファイトバクター・ジアゾトロフィカス(Phytobacter diazotrophicus)の安定性に及ぼす製剤添加剤の影響
【0192】
ファイトバクター・ジアゾトロフィカス(Phytobacter diazotrophicus)を、せん断混合法によりアルギン酸塩でカプセル化し、シートで乾燥させ、凍結粉砕機により粉砕し、本明細書に記載されているように種子上に置いた。表12に示すいくつかの市販の疎水性添加剤を、混合物中1.5wt/vol%で架橋する前にAMM中に含めて、種子処理前の粉末製剤の水分取り込みおよび種子上の安定性に対するこれらの添加剤の影響を確認した。
表12
【表12】
【0193】
乾燥および粉砕後、粉末製剤を真空オーブン中、40℃で24時間さらに乾燥させた。水分取り込みは、動的水蒸気収着(DVS)装置(Surface Measurement Systems DVS Advantage製)を介して65%RHで評価した。DVSプログラムは以下の通りであった:0%RHで6時間(その後、100%に質量調整)、65%RHで40時間、および0%RHで20時間。図12(FIG.12)は、疎水性添加剤の組み込みが、65%RHへの曝露時の質量変化を減少させ、添加剤#2および#3が水分取り込みの最大の減少を有することを示す。
【0194】
ファイトバクター・ジアゾトロフィカス(Phytobacter diazotrophicus)発酵物を直接種子上に施用して、異なるカプセル化製剤の安定性を液体物の種子上の安定性と比較した。発酵物を、実施例7に記載の種子処理と同様の方法で施用し、1mLの発酵ブロスを、結合剤を全く含まずに種子上に直接施用した。これらの処理された種子を、25℃/65%RHでの長期保存のために、ポリライニング紙袋(3.375インチ×2.5インチ×10.25インチ;Midco BA TT CW-6L)に移した。図13(FIG.13)に示されるように、25℃/65%RHにおいて、全てのカプセル化製剤の種子上の安定性は、直接種子上に施用される液体発酵物よりも著しく良好である。添加剤#2および#3で作製した製剤は、最良の種子上の安定性を有した。これらの製剤は、図12に示されるDVSデータにおいて最も低い水分取り込みを有した。
実施例19.外部コーティングとしての疎水性添加剤の組み込み
噴霧乾燥機における疎水性コーティングの添加
【0195】
シュードモナス・フルオレッセンス(Pseudomonas fluorescens)を含有する2種類のCAMMsを、実施例6に列挙した三流体ノズル噴霧乾燥手順を用いて作製した。第1の製剤は、噴霧乾燥機の外部流体中に0.125重量%の塩化カルシウムを使用して、イン・サイチュ架橋アルギン酸塩微粒子を作製した。第2の製剤は、0.125重量%塩化カルシウム+1重量%シルクフィブロイン(Sigma Aldrichから5重量%として供給される;カタログ♯5154-20ML)を使用した。他の全ての噴霧乾燥機の設定は同じであった。これらの製剤の吸湿性を、真空オーブン中、40℃で一晩、以下のプログラムを用いて乾燥させた後、DVS機器において比較した:0%RHで0.5時間(その後、100%に質量調整)、90%RHで10時間、および0%RHで10時間。DVSデータ(図14(FIG.14))は、疎水性コーティングを有する製剤が同じ%RHでより少ない水分を吸収することを示す。これらの製剤を、実施例7に記載されるように種子上に施用した。25℃/65%RHで、噴霧乾燥イン・サイチュ架橋アルギン酸塩製剤は、1週間あたり~2.5logの崩壊速度を示したが、外部流体中にシルクフィブロインを含有する製剤は1週間あたり~1.5logの崩壊速度で種子上でより安定であった。
流動床乾燥機における疎水性コーティングの添加
【0196】
ブラディリゾビウム・ジャポニクム(Bradyrhizobium japonicum)を含有するCAMMマイクロビーズを、実施例3に記載されるように、200μmノズルを使用して生成した。これらのマイクロビーズを、乾燥中に湿潤マイクロビーズ上に噴霧される10重量%のSURELEASE(登録商標)(Colorcon製;エチルセルロースの25重量%水性分散液)を用いて、または用いずに、40℃の流動床乾燥機中で乾燥させた。コーティングの添加量は、コーティングなしの乾燥CAMMマイクロビーズの重量の~5%であった。これらの製剤の吸湿性を、以下のプログラムを用いて、真空オーブン中で、40℃で一晩乾燥させた後、DVS機器において比較した:65%RHで24時間、続いて90%RHで12時間。DVSデータ(図15(FIG.15))は、疎水性コーティングを有する製剤が、同じ%RHにおいてはるかに少ない水分を吸収することを示す。
【0197】
本開示の実施形態の完全な理解を提供するために、特定の組成物、構成要素、装置、および方法の例など、多数の特定の詳細が記載される。特定の詳細が採用される必要がないこと、例示的な実施形態が多くの異なる形態で具現化され得ること、およびどちらも本開示の範囲を限定すると解釈されるべきではないことが、当業者には明らかであろう。いくつかの例示的な実施形態において、周知のプロセス、周知の装置構造、および周知の技術は詳細には説明されない。
【0198】
本明細書で使用される用語は例示的な実施形態を説明することのみを目的としており、限定することを意図するものではない。本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」、および「the」は、文脈が明らかに別のことを示さない限り、複数形も含むことが意図され得る。用語「含む(comprises)」、「含む(comprising)」、「含む(including)」、および「有する(having)」は包括的であり、したがって、記載された特徴、要素、組成物、ステップ、整数、操作、および/または構成要素の存在を特定するが、1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、操作、要素、構成要素、および/またはそれらの群の存在または付加を排除しない。「含む(comprising)」という非限定的な用語は、本明細書に記載された様々な実施形態を説明し、特許請求するために使用される非限定的な用語として理解されるべきであるが、特定の態様ではその用語が代わりに、「からなる(consisting of)」または「から本質的になる(essentially of)」などのより限定的かつ制限的な用語であると理解され得る。したがって、組成物、材料、構成要素、要素、特徴、整数、動作、および/またはプロセスステップを列挙する任意の所与の実施形態について、本開示はまた、具体的には、そのような列挙された組成物、材料、構成要素、要素、特徴、整数、操作、および/またはプロセスステップからなる、または本質的にそれらからなる実施形態を含む。「からなる」の場合、代替の実施形態は、任意の追加の組成物、材料、構成要素、要素、特徴、整数、操作、および/またはプロセスステップを除外するが、「から本質的になる」の場合、基本的および新規な特徴に実質的に影響を及ぼす任意の追加の組成物、材料、構成要素、要素、特徴、整数、操作、および/またはプロセスステップはそのような実施形態から除外されるが、基本的および新規な特徴に実質的に影響を及ぼさない任意の組成物、材料、構成要素、要素、特徴、整数、操作、および/またはプロセスステップは、実施形態に含まれ得る。
【0199】
本明細書で説明される任意の方法ステップ、プロセス、および操作は、実行順序として具体的に特定されない限り、説明または図示される特定の順序でそれらの実行を必ず必要とするものと解釈されるべきではない。また、別段の指示がない限り、追加のまたは代替のステップが使用されてもよいことを理解されたい。
【0200】
本開示を通して、数値は、言及された値を正確に有する実施形態と同様に、所与の値および言及された値からのわずかな逸脱およびほぼ言及された値を有する実施形態を包含する範囲に対する近似的な尺度または限界を表す。詳細な説明の最後に提供される実施例以外に、添付の特許請求の範囲を含む、本明細書におけるパラメータ(例えば、量または条件の)の全ての数値は、全ての場合において、数値の前に「約」が実際に現れるかどうかにかかわらず、用語「約」によって修飾されると理解されるべきである。「約」は、記載された数値がいくらかのわずかな不正確さを可能にすることを示す(値の正確さへのいくらかのアプローチを伴う;値におよそまたは合理的に近い;ほぼ)。「約」によって提供される不正確さが、この通常の意味で当技術分野において他に理解されない場合、本明細書で使用される「約」はそのようなパラメータを測定および使用する通常の方法から生じ得る少なくとも変動を示す。例えば、「約」は5%以下、任意で4%以下、任意で3%以下、任意で2%以下、任意で1%以下、任意で0.5%以下、特定の態様では任意で0.1%以下の変動を含むことができる。
【0201】
加えて、範囲の開示は、全ての値の開示、および範囲について与えられた端点および部分範囲を含む、全範囲内のさらなる分割された範囲を含む。
【0202】
上記の詳細な説明は、当業者が本開示を実施するのを助けるために提供される。しかしながら、本明細書に記載され、特許請求される開示は、これらの実施形態が本開示のいくつかの態様の例示として意図されるので、本明細書に開示される特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。任意の等価な実施形態は、本開示の範囲内であることが意図される。本明細書に示され、記載されたものに加えて、本開示の様々な修正が、前述の説明から、本開示の趣旨または範囲から逸脱しないことが当業者に明らかになるのであろう。また、そのような修正、は添付の特許請求の範囲内に該当する。

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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図14
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【国際調査報告】