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特表2024-515551光ファイバコネクタおよび端面の非接触クリーニングのための方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】光ファイバコネクタおよび端面の非接触クリーニングのための方法
(51)【国際特許分類】
   G02B 6/36 20060101AFI20240403BHJP
   B08B 5/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G02B6/36
B08B5/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】有
(21)【出願番号】P 2023561368
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2022023382
(87)【国際公開番号】W WO2022216640
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/170,821
(32)【優先日】2021-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523050553
【氏名又は名称】ザイノン・テクノロジーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】エミリー・ジェイ・ペック
(72)【発明者】
【氏名】サミュエル・リンドヤー
(72)【発明者】
【氏名】ジョン・ティ・ドーティ
(72)【発明者】
【氏名】リチャード・エム・ホフマン
(72)【発明者】
【氏名】ジェイ・エス・トゥリニー
【テーマコード(参考)】
2H036
3B116
【Fターム(参考)】
2H036KA04
2H036QA01
2H036QA46
3B116AA06
3B116AB42
3B116BB22
3B116BB32
(57)【要約】
光ファイバ端面をクリーニングするためのクリーニングデバイス(100)は、ジェットカラム(118)の中へのクリーニング溶媒の間欠的な注入によるコアンダ効果によって発生させられるジェットカラム(118)を吐出するように構成されているディスペンシングノズル104を含む。方法は、クリーニングされている端面からのスタンドオフ距離を維持しながら、光ファイバ端面(120)の上にジェットカラム(118)を衝突させるステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ノズル出口部を有するノズルを含むクリーニングデバイスによって光ファイバの端面をクリーニングする方法であって、前記ノズル出口部の中には、前記ノズルを通る外向きフローの方向の断面が減少し、前記ノズルの外向きに面する尖った先端部において終端するニードルプラグが配設されており、
前記方法は、
前記ノズルを通して前記ニードルプラグの上におよび前記ノズル出口部を通して圧縮ガスを流すステップであって、前記ニードルプラグおよび前記ノズル出口部は、前記ノズル出口部から出る放出ガスジェットを形成するように構成されており、前記放出ガスジェットは、周囲圧力に対して低減された圧力のゾーンを形成し、前記低減された圧力のゾーンは、前記放出ガスジェットを取り囲んでいる、ステップと、
前記ノズル出口部を前記端面と整合させ、前記端面から約0.25インチから約0.75インチ(0.64cmから1.91cm)に前記ニードルプラグの尖った先端部を位置決めするステップと、
前記ノズル出口部の上流において前記圧縮ガスの中へ液体溶媒を導入するステップであって、それによって、溶媒が、前記放出ガスジェットの中で霧化される、ステップと、
霧化された溶媒を含有する放出ガスジェットをクリーニング時間期間にわたって前記端面の上に衝突させるステップと、
前記圧縮ガスの中への溶媒の導入を中断し、結果として生じる乾燥したガスジェットを乾燥時間期間にわたって前記端面の上に衝突させ、前記端面の上にまたは前記端面に隣接して真空を課すことなく、前記低減された圧力のゾーンによって加速される蒸発によって溶媒を除去するステップと、
を含む、方法。
【請求項2】
前記クリーニング時間期間は、約0.5秒から約2秒であり、前記乾燥時間期間は、約1秒から約4秒である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記液体溶媒は、25℃および1気圧における約20kPaから約30kPaの蒸気圧力を有しており、約18から約44のカウリブタノール値を有しており、ASTM D-56密閉式引火点試験にしたがって不燃性である、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ガスジェットの中へ導入される液体溶媒は、
(a)55wt%から90wt%のメチルノナフルオロイソブチルエーテル、および、10wt%から45wt%のメチルノナフルオロブチルエーテルを含む、83wt%ハイドロフルオロエーテルと、
(b)90wt%のZ-異性体および10wt%のE-異性体を含む、10wt%ハイドロフルオロエーテルと、
(c)7wt%ヘプタンと、
を含むことが可能であり、
前記溶媒は、10ppm未満の不揮発性の残留物および100ppm未満の水分を含有している、請求項1または2に記載の方法。
【請求項5】
前記ガスジェットの中へ導入される液体溶媒は、
60wt% 1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパンと、
34.9wt% 1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロパ-1-エンと、
5.0wt%アセトンと、
0.10wt%ニトロメタンと、
を含み、前記溶媒は、10ppm未満の不揮発性の残留物および100ppm未満の水分を含有している、請求項1または2に記載の方法。
【請求項6】
前記ノズル出口部は、ガス出口部および別個の溶媒出口部を含み、前記ニードルプラグは、前記溶媒出口部の中に配設されており、
前記方法は、
開放位置と閉鎖位置との間で前記ニードルプラグを移動させるステップであって、前記開放位置は、前記溶媒出口部を開放し、前記放出ガスジェットの中へ溶媒をディスペンスし、前記閉鎖位置は、前記放出ガスジェットの中へ溶媒をディスペンスすることを停止する、ステップと、
前記クリーニング時間期間を開始させるために、前記ニードルプラグを前記開放位置へ移動させるステップと、
前記クリーニング時間期間を終端させ、前記乾燥時間期間を開始させるために、前記ニードルプラグを前記閉鎖位置へ移動させるステップと、
をさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項7】
前記圧縮ガスは、空気、窒素、および二酸化炭素からなる群から選択される、請求項1または2に記載の方法。
【請求項8】
前記ニードルプラグの上を流れる放出ガスジェットの速度は、コアンダ効果が前記低減された圧力のゾーンを発生させることを引き起こすのに十分である、請求項1または2に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、Emily J. Peckらの名において、「DEVICE AND METHOD FOR NON-CONTACT CLEANING OF FIBER OPTIC CONNECTORS AND END FACES」という標題で、2021年4月5日に出願された仮特許出願第63/170,821号の優先権を主張する。
【0002】
本発明は、概して、光ファイバのフェルール端部表面をクリーニングするための非接触クリーニングデバイスを利用する方法に関する。フェルール端部表面は、別の光ファイバとのまたは光電子デバイスとの相互接続するために、プラグまたはバルクヘッドなどのフェルールコネクタに露出しているかまたは据え付けられているかにかかわらず、効率的にクリーニングすることが可能である。
【0003】
光ファイバネットワークにおいて、通常、約8マイクロメートルの直径を有している光ファイバストランドは、ケーブルを形成するために保護ジャケット(図示せず)の中にストランドを包み込むことによって、および、2つのケーブル端部を一緒に突き合わせることによって接続されている。これを行うために、個々の光ファイバストランド10a、10b、10c(図1A図1B図1C)の端部は、典型的に、ジャケットから剥がされ、ロッド状のセラミックフェルール12a、12b、12cの中心の中に結合されて包み込まれている。このフェルールは、光ファイバストランドの露出された端面の仕上げ研磨のための拡大された表面積を提供している。フェルール端面14a、14b、14cは、別の光ファイバに接続されているときに反射光を低減させるために、平坦に(図1A)、わずかに凸形に(図1B)、または、おおよそ8度の角度付きに(図1C)のいずれかに研磨されている。次いで、これらのフェルールは、さまざまなタイプのコネクタハウジング(たとえば、コネクタ16(図2))の中へフィットされており、それは、カプラまたはバルクヘッド18を介して、同様のデバイス(たとえば、コネクタ16'(図3))と精密に相互接続し、突き合わせられた光ファイバストランドの正確なアライメントを保証する。クリーニングのために、図3のアセンブリは分解され、クリーニングのためにフェルール端面を露出させるが、一方で、フェルール端面は、カプラまたはバルクヘッド18のその関連の半分に依然として接続されたままである。
【0004】
図4は、外側保護ジャケットまたはシース22を有する光ファイバストランド20を含む光ファイバケーブル19の端部を示しており、その端部部分は、剥ぎ取られており、ストランド20の剥がされた部分が、端面24aを有するフェルール24の中に包み込まれている。フェルール24は、その端面24aにおいてレンズ26に固着されており、レンズ26は、フェルール24を拡大ビーム(「EB」)フェルールとするために、球形の構成またはおおよそ球形の構成のものであることが可能である。レンズ26は、通常はコリメートレンズであるが、それは、イメージングレンズであることも可能である。いずれのケースでも、レンズ26は、光学的な伝送の関係で、その関連の光ファイバストランド20の端部に配設されている。
【0005】
図5は、1対の光ファイバケーブル19、19'を示しており、それぞれが、それぞれのEBフェルール24、24'を有しており、EBフェルール24、24'のそれぞれのレンズ26、26'は、コネクタ28、28'によって互いに光学的に接続されている。コネクタ28、28'は、任意の適切な手段(たとえば、機械的な締結具またはカプラなど)によって互いに接続されることが可能である。コネクタ28および28'は、切り離されているフェルール端面24、24a'およびそれらの関連のレンズ26、26'の検査およびクリーニングを可能にするために、互いから解除されるようにそれぞれ構成されている。
【0006】
図6は、図5のコネクタのうちの1つ(コネクタ28)を示しており、それは、その関連のコネクタ28'から切り離されており、したがって、クリーニングの準備ができている。
【0007】
ケーブル接続部(たとえば、上記に説明されているものなど)の清潔さは、ピーク信号通信性能を維持する上で重要な要因であるが、そのようなケーブル接続部は、光ファイバの当接端面において汚染の影響を非常に受けやすい。したがって、光ファイバ端部が互いに接続される前に、および/または、それらが通常の使用の間に汚染された後に、端部表面がクリーニングされることが不可欠である。
【背景技術】
【0008】
従来のアーティストのエアブラシ(それは、往復式のテーパー付きニードルバルブを利用する)は、下記に議論されているコアンダ効果を発生させることとなるということが知られている。コアンダ効果は、エアブラシのスプレーパターンを成形する役割を果たすことが知られている。
【0009】
S. Lytleらに2007年6月19日に発行された特許文献1(「Lytle」)は、インターフェースデバイスの中に含有されている光ファイバの端面をクリーニングするためのクリーニング装置を開示している。装置は、加圧流体(たとえば、空気または窒素など)を利用し、加圧流体送達チューブよりも大きな直径の溶媒送達チューブの中に加圧流体送達チューブのノズル先端部を配備することによって、溶媒(たとえば、炭化水素およびテルペンの混合物など)を送達する。Lytleデバイスは、コネクタ200の中へ挿入される。たとえば、Lytleの図2ならびに第9欄第41~50行および第9欄第58行~第10欄第3行を参照されたい。第11欄第6~22行において、吐出ポート(すなわち、ノズル先端部114)から光ファイバ端面202(図2)への距離は、好ましくは、おおよそ0.02インチから0.20インチ(たとえば、0.05インチ)であるが、Lytleは、「他の距離も本発明での使用に適切である」と述べている。第11欄の第15行から開始して、Lytleは、ノズル先端部が光ファイバ端面の近くにあり過ぎる場合には、増加した背圧が、クリーニングの有効性を減少させ、一方では、ノズル先端部が光ファイバ端面から遠くにあり過ぎる場合には、ガス/溶媒ジェットのエネルギーが消散され、それによって、クリーニング有効性を低減させるということを記述している。
【0010】
G.J. Gerhardに2004年11月23日に発行された特許文献2(「Gerhard」)は、図2において、Lytleにおいて説明されているものと同様の様式で光ファイバ端面202から間隔を置いて配置された加圧ガス/クリーニング溶媒吐出ポートまたはノズル114を含むデバイスを開示している。その配置は、光ファイバコネクタ214および216を保持するバルクヘッドアダプタのメス型入力204および206の中へ挿入されるように設計されたクリーニングアセンブリ100(Gerhardの図1および第5欄第23行以降)の中に含有されている。Gerhardの図4は、代替的な実施形態を示しており、そこでは、クリーニング溶媒/加圧ガス送達システムは、光ファイバ端面402に対して所定の角度で配設されており、排気チューブ304および顕微鏡500を含む。第10欄第26行以降における説明を参照されたい。
【0011】
Lytle特許およびGerhard特許は、光ファイバ端面との物理的接触なしでの光ファイバ端面のクリーニングを開示しているが、コネクタまたは光ファイバコネクタに関連付けられる他の構造体の中へのノズル配置の挿入を必要とする。他の特許は、接触クリーニングを開示しており、そこでは、スワブまたは布が、端面と物理的に接触させられる。たとえば、J.S. Tourignyに2008年7月22日に発行された特許文献3およびJ.S. Tourignyに2017年10月24日に発行された特許文献4(両方とも本出願の譲受人に譲渡されている)は、コネクタカプラまたはバルクヘッド受容部の中に配設されている光ファイバ端面をクリーニングするための手動で操作されるスワブ状のクリーニングデバイスを開示している。特許文献4は、拡大ビーム光ファイバをクリーニングするように適合されているクリーニングスワブを開示している。K. Fujiwaraに2012年1月3日に発行された特許文献5は、ときには「クリッカー」と称されるタイプの接触クリーニングツールを開示している。クリーニングツール1(図1)は、「クリーニング本体部」(すなわち、クリーニング布のストリップ)を利用しており、それは、供給リール30からヘッド部材23の上にディスペンスされ、次いで、巻取リール31に至る。ヘッド部材23は、光学的なアダプタ70のコネクタ挿入ポート71の中へ挿入されており(第13欄第1~6行および図7図9を参照)、クリーニングヘッドは、クリーニング本体部(布ストリップ)との直接的な接触によって光ファイバ端面をクリーニングするように回転させられ、クリーニング本体部(布ストリップ)は、新鮮なクリーニング布を提供するために、必要に応じて前進させられる。そのようなデバイスにおいてクリーニング布を前進させることは、機械的に達成され、クリック音を結果として生じさせ、したがって、このタイプのデバイスは「クリッカー」と称されている。
【0012】
多数の特許公報が、光ファイバ端面をクリーニングするためのデバイスおよび方法を取り扱っている。以下は、いくつかの例である。G.J. Gerhardに2006年12月12日に発行された特許文献6(「Gerhard II」)は、光ファイバ端面クリーニング装置を開示しており、それは、インターフェースデバイスのハウジングに進入するように設計されており、クリーニングのための圧縮空気および溶媒を供給し、また、残留溶媒を除去するための真空ラインを備えている。Gerhard IIは、ハウジングの中の面取りまたは他の割れ目の中に捕捉される残留溶媒が、クリーニングされたばかりの端面の上に逆流してそれを汚染させるという問題を議論している。クリーニングサイクルの終わりに印加される真空は、そのような割れ目から残留溶媒を引き出すことができない可能性があり、したがって、Gerhard IIは、そもそも溶媒がそのような割れ目に進入することを防止しようとするための追加的な構造体(後退可能なバッフル)を提供している。たとえば、Gerhard IIの第12欄第48行から第13欄第2行を参照されたい。
【0013】
K.M. Hillらに2021年4月8日に公開された特許文献7は、光ファイバのハウジングの中へ挿入されなければならないインターフェースチューブ250(図2)を含む光ファイバ端面をクリーニングするための圧縮ガス缶システムを開示している。S. Lytleらに2009年7月28日に発行された特許文献8は、同様の配置を示している。
【0014】
以下の特許公報は、全体的にスプレーデバイスを開示している。J. Haruchらに2004年8月17日に発行された特許文献9は、たとえば、第3欄第52~67行に説明されているように、スプレーを制御するための往復式の移動可能なバルブニードルを含む銃のようなスプレーデバイスを開示している。2007年7月19日に公開された特許文献10(「Jackson」)は、ノズル出口部において推進剤流体(たとえば、圧縮空気)と乱流混合するために、デバイスの外部表面の上に潤滑剤を移送するための複合スプレーデバイスにおいてコアンダ効果を利用することを議論している。たとえば、Jacksonの段落[0008]および[0030]ならびに図2を参照されたい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第7232262号明細書
【特許文献2】米国特許第6821025号明細書
【特許文献3】米国特許第7401374号明細書
【特許文献4】米国特許第9798093号明細書
【特許文献5】米国特許第8087118号明細書
【特許文献6】米国特許第7147490号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2021/0101167号明細書
【特許文献8】米国特許第7566176号明細書
【特許文献9】米国特許第6776360号明細書
【特許文献10】特許出願公開第2007/0164130号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明は、コアンダ効果として知られる現象を利用し、加圧空気(または、他の適切なガス)および霧化された溶媒の精密なフローを生成させ、それは、光ファイバ端面のアライメント表面および周囲のエリアを辿り、アライメント表面および周囲のエリアをクリーニングおよび乾燥させる。コアンダ効果は、公知の現象であり、流体の自由ジェットが表面の近くに出現するときに起こる。ジェットは、より完全に下記に説明されているように、表面に「付着」し、表面に沿って流れる傾向がある。従来技術のクリーニングデバイスおよび方法とは対照的に、本発明は、光ファイバ端面がアダプタの凹部の中に含有されているかまたは露出されているか(すなわち、アダプタの中に囲まれていない)にかかわらず、光ファイバ端面の非接触クリーニングを可能にする。非接触クリーニングは、下記に説明されているように、クリーニングされている端面からの特定の距離に、および、アダプタの凹部の中へクリーニングデバイスの任意のパーツを導入することなく、クリーニングデバイスのノズル出口部を配置することによって得られる。これは、同伴された霧化された溶媒を伴う空気のジェットと、次いで、乾燥している空気のジェットのみとの両方を、クリーニングされることとなるコネクタ端面表面の上に方向付けられるようにするために、コアンダ効果を利用することによって得られる。本発明のクリーニングデバイスおよび方法は、光ファイバを嵌合させるために使用される光ファイバフェルール端面(そこでは、接続/切り離し能力が要求される)の非接触クリーニングにとりわけ有用である。
【0017】
本発明のクリーニングデバイスは、ディスペンシングノズルを有するハウジングを含み、ディスペンシングノズルは、加圧ガスの狭いジェットまたはカラム(column)を送達し、加圧ガス(たとえば、空気、二酸化炭素、窒素、または他の適切なガス)の狭いカラムの中で溶媒を霧化するように適合されている。ハウジングは、加圧ガスの狭いカラムと、加圧ガスの狭いカラムおよび霧化された溶媒の両方を、光ファイバ端面または拡大ビームレンズの上に選択的に方向付けるように位置決めされており、端面がアダプタの中に含有されているかどうかにかかわらず、端面の上の汚染物質を除去する。光ファイバの端面をクリーニングするための方法は、コアンダ効果の使用によって開発された低圧エリアを使用し、ノズルからディスペンスされる加圧ガスの狭いカラムを端面に向けておよび端面と接触するように確立して方向付けるステップを含む。また、本方法は、コアンダ効果によってガスカラムの中に確立される低圧エリアによって、加圧ガスの中へ溶媒を注入するステップを含む。低圧エリアは、溶媒を霧化して液滴にし、液滴は、狭いカラムの中の加圧ガスと混合し、ファイバ端面の非接触クリーニングを提供する。本発明の方法は、溶媒フローが中断された後に端面を乾燥させるために、加圧ガス(たとえば、空気)のカラムを送達するためにコアンダ効果を使用するステップをさらに含む。
【0018】
本発明によれば、ニードルバルブノズルを含む装置が使用され、ニードルバルブノズルは、加圧ガスのジェットまたはカラムの中にコアンダ効果を誘発させ、霧化された液体溶媒を加圧ガスのカラムと選択的に混合するように構成されている。
【0019】
任意の適切な溶媒組成が本発明の実践において用いられることが可能であるが、本発明者らは、本発明の実践においてとりわけ有用ないくつかの特定の溶媒配合を開発した。別段の具体的な指示がない限り、本明細書で開示されている溶媒配合のコンポーネントの量は、コンポーネントの重量パーセント(「wt%」)で与えられ、組成の合計重量のパーセンテージとしてのコンポーネントの重量を意味している。
【0020】
具体的には、本発明の1つの態様によれば、ノズル出口部を有するノズルを含むクリーニングデバイスによって光ファイバの端面をクリーニングする方法であって、ノズル出口部の中には、ノズル出口部を通る外向きフローの方向の断面が減少するニードルプラグが配設されている、方法が提供される。ニードルプラグは、ノズルの外向きに面する尖った先端部において終端している。本方法は、以下のステップを含む。ノズルを通してニードルプラグの上におよびノズル出口部を通して圧縮ガスを流すステップであって、ニードルプラグおよびノズル出口部は、ノズル出口部から退出する放出ガスジェットを形成するように構成されており、放出ガスジェットは、周囲大気圧力に対して低減された圧力のゾーンを形成し、低減された圧力のゾーンは、放出ガスジェットを取り囲んでいる、ステップ。ノズル出口部を端面と整合させ、端面から約0.25インチから約0.75インチ(0.64cmから1.91cm)にニードルプラグの尖った先端部を位置決めするステップ。ノズル出口部の上流において圧縮ガスの中へ液体溶媒を導入するステップであって、それによって、溶媒が、放出ガスジェットの中で霧化される、ステップ。霧化された溶媒を含有する放出ガスジェットをクリーニング時間期間にわたって端面の上に衝突させるステップ。次いで、圧縮ガスの中への溶媒の導入を中断し、結果として生じる乾燥したガスジェットを乾燥時間期間にわたって端面の上に衝突させ、端面の上にまたは端面に隣接して真空を課すことなく、低減された圧力のゾーンによって加速される蒸発によって溶媒を除去するステップ。
【0021】
本発明の他の態様は、単独でまたは任意の適切な組み合わせで、以下のうちの1つまたは複数を含む。クリーニング時間期間は、約0.5秒から約2秒であることが可能であり、乾燥時間期間は、約1秒から約4秒であることが可能である。液体溶媒は、25℃および1気圧における約20kPaから約25kPaの蒸気圧力を有することが可能であり、約18から約44のカウリブタノール値を有することが可能であり、ASTM D-56 密閉式引火点試験(Closed Cup Flash Point test)にしたがって不燃性である。ガスジェットの中へ導入される液体溶媒は、(a) 55wt%から90wt%のメチルノナフルオロイソブチルエーテル、および、10~45wt%のメチルノナフルオロブチルエーテルを含む、83wt%ハイドロフルオロエーテルと、(b) 90wt%のZ-異性体および10wt%のE-異性体を含む、10wt%ハイドロフルオロエーテルと、(c) 7wt%ヘプタンとを含むことが可能であり、溶媒は、10ppm未満の不揮発性の残留物および100ppm未満の水分を含有することが可能である。
【0022】
本発明の別の態様において、ガスジェットの中へ導入される液体溶媒は、60wt% 1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパンと、34.9wt% 1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロパ-1-エンと、5.0wt%アセトンと、0.10wt%ニトロメタンとを含むことが可能であり、溶媒は、10ppm未満の不揮発性の残留物および100ppm未満の水分を含有している。
【0023】
本発明のさらなる別の態様は、ノズル出口部が、ガス出口部および別個の溶媒出口部を含むことが可能であり、ニードルプラグは、溶媒出口部の中に配設されることが可能であり、方法は、開放位置と閉鎖位置との間でニードルプラグを移動させるステップであって、開放位置は、溶媒出口部を開放し、放出ガスジェットの中へ溶媒をディスペンスし、閉鎖位置は、放出ガスジェットの中へ溶媒をディスペンスすることを停止する、ステップと、クリーニング時間期間を開始させるために、ニードルプラグを開放位置へ移動させるステップと、クリーニング時間期間を終端させ、乾燥時間期間を開始させるために、ニードルプラグを閉鎖位置へ移動させるステップとをさらに含むということを提供する。
【0024】
本発明の他の態様は、単独でまたは任意の適切な組み合わせで、以下の1つまたは複数を含む。圧縮ガスは、空気、窒素、および二酸化炭素からなる群から選択されることが可能である。ニードルプラグの上を流れる放出ガスジェットの速度は、低減された圧力のゾーンを発生させるためのコアンダ効果を付与するのに十分である。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1A】従来技術による、平坦な端部表面を備えた、光ファイバの端部をその中に備えたフェルール端部の断面図である。
図1B】従来技術による、凸形端部表面を備えた、光ファイバの端部をその中に備えたフェルール端部の断面図である。
図1C】従来技術による、角度付きの端部表面を備えた、光ファイバの端部をその中に備えたフェルール端部の断面図である。
図2】従来技術による、フェルール端部をその中に備えたコネクタフィッティングの立面図である。
図3】従来技術による、光ファイバを相互接続するためのカップリングにおいて、光ファイバをその中に備えた2つのフェルール端部の部分断面図である。
図4】従来技術による、拡大ビーム端部表面を備えた、光ファイバの端部をその中に備えたフェルール端部の概略断面図である。
図5】従来技術による、光ファイバ相互接続するためのカップリングにおいて、拡大ビーム光ファイバをその中に備えた2つのフェルール端部の概略断面図である。
図6図5のフェルールコネクタのうちの1つの概略断面図である。
図7A】空気または他のガスのジェットに作用する大気圧力の概略図である。
図7B】湾曲したまたは曲げられた構造体の表面を横断する図7Aの空気ジェットの概略図である。
図8】本発明の実施形態のノズルの概略断面図である。
図9】露出された光ファイバ端面(すなわち、コネクタの中に囲まれていない光ファイバ端面)をクリーニングするように位置決めされている、本発明の実施形態のノズルの概略断面図である。
図10図9に対応する概略断面図であるが、コネクタの中に囲まれている光ファイバ端面をクリーニングするようにノズルが位置決めされた状態の図である。
図10A図10の線A-Aに沿ってとられた立面図である。
図11-1】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、写真である。
図11-2A】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、写真である。
図11-2B】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、写真である。
図11-3A】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、写真である。
図11-3B】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、写真である。
図11-4A】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、写真である。
図11-4B】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、写真である。
図11-5A】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、写真である。
図11-5B】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、写真である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
光ファイバネットワークでは、約8マイクロメートルの直径を有するシングルモードガラス光ファイバストランドが、ケーブルを形成するために保護ジャケットの中にストランドを包み込むことによって、および、2つのケーブル端部を一緒に突き合わせることによって接続されている。これを行うために、個々の光ファイバストランドの両方の終端端部は、典型的に、ジャケットを剥がされており、ロッド状のフェルールの中心に結合されて包み込まれている。このフェルールは、光ファイバストランドの露出された端面の仕上げ研磨のための拡大された表面積を提供する。フェルールは、典型的に、セラミックから作製されているが、金属またはプラスチックから作製されることも可能である。フェルールは、一般的に、標準的なサイズに適合しており、最も一般的なものは、1.25ミリメートル(「mm」)、1.6mm、2.0mm、または2.5mmの直径を有する端面を有している。後方反射に関係付けられる信号問題に起因して、平坦な研磨された端面は、現在では滅多に使用されない。嵌合されているときの2つのコネクタの良好な物理的な接触を確保するために、シングルモードコネクタの最も一般的な端面幾何学形状は、凸形の曲線に研磨されている。最新のファイバネットワークでは、フェルール端面は、凸形の物理的接触仕上げ(「PC Finish」)で研磨されるか、または、あまり一般的ではないが、8度の角度付きプロファイル(APC仕上げ)として研磨されるかのいずれかであり、凸形の物理的接触仕上げ(「PC Finish」)では、端面が、7mmと22mmとの間の半径としてTelecordia GR-326(ベンダーニュートラル技術的仕様および標準の最も一般的に使用されるセット)によって定義された曲率の最小値および最大値を有する、わずかに湾曲した凸形のまたは球形形状のプロファイルに研磨されている。両方のプロファイルは、2つのコネクタ端面が嵌合されているときに、ファイバストランドの所望の物理的なガラス対ガラスの接触を確保する。この物理的な接触は、フレネル反射に起因する光源分離損失、および、接続部における戻り光の反射を低減させる。フェルールは、さまざまなタイプのコネクタアダプタハウジングの中へフィットされ、コネクタアダプタハウジングは、カプラまたはバルクヘッドを介して同様のデバイス(たとえば、コネクタ)と精密に相互接続するための内側スリーブを組み込んでおり、突き合わせられた光ファイバストランドの正確なアライメントを保証する。
【0027】
ケーブル接続部の清潔さは、ピーク信号通信性能を維持する上で重要な要因である。嵌合されたコネクタは、光ファイバの当接端面のそれぞれにおいて顕微鏡的な量の汚染の影響を非常に受けやすい。具体的には、2つの光ファイバの間の接合部の光学的な伝送能力は、ファイバの研磨された端部表面の上の顕微鏡的に小さな汚染の沈着によって著しく損なわれる可能性がある。そのような顕微鏡的な汚染の供給源は、煙のスス、ダスト、ほこり、水分、および他の周囲汚染物質(コネクタ製造および組み立て、ケーブル据え付け、または現場でのサービス作業の間に、技術者の皮膚との接触によって移送される油、塩、および粒子を含む)を含む。顕微鏡的な粒子または顕微鏡的な油のかすみの形態の少量の汚染は、突き合わせられた接続部を横切る光の減衰を著しく増加させることとなる。波長分割多重(WDM)技術の使用によってネットワークトラフィックが増加されるにつれて、清潔な光ファイバ端面に対する必要性が重要性を増している。また、光ファイバ通信システムにおける信号トラフィックバンド幅に関する要求が増加するにつれて、光ファイバ端面における清潔さは、光ファイバ信号を駆動するレーザーパワーの増加に起因して、ますます重要になっている。高出力レーザーが光ファイバ端面の上の顕微鏡的に小さな汚染のピースに当たるときに、汚染は、光ファイバ端面の上にススまたは焦げ跡を残すように燃焼する可能性があり、それは、接続部を通した信号転送を著しく劣化させることが可能である。
【0028】
したがって、光ファイバ端部が互いに嵌合される前に、および/または、それらが通常の使用の間に汚染された後に、コネクタ端部表面がクリーニングされることが不可欠である。
【0029】
シングルモードファイバでは、ガラスコア直径は、直径に関してわずか8ミクロンであり、拡大なしにフェルール端面を意味のあるように検査することは不可能である。特殊な顕微鏡は、端面を目視検査し、嵌合の前に顕微鏡的な汚染の除去を確認するように設計されている。ほとんどの検査スコープは、検査画像が小さなビデオスクリーンに表示された状態で、200倍から400倍の間に端面を拡大する。光ファイバ端面の清潔さを決定する際のオペレータエラーを最小化するために、業界標準(たとえば、IEC 61300-3-35など)にしたがって検査されるときに、合格/不合格アウトカムを使用して清潔さを確認するために、検査スコープがソフトウェアを用いることが一般的である。また、最新のスコープは、クリーニングされたコネクタの画像のデジタルアーカイブを維持することができ、多数の個々のコネクタの成功したクリーニングアウトカムを記録することが可能である。
【0030】
アダプタハウジングの凹部の中に据え付けられているファイバ端面をクリーニングするために使用される加圧ガス/溶媒クリーニングデバイス(たとえば、従来技術の説明において上記に説明されているものなど)は、アダプタの中へのノズルの挿入を必要とし、したがって、1.25mm、1.6mm、2.0mm、または2.50mmのいずれかのコネクタをクリーニングするように独自にサイズ決めされなければならない。1.25mmコネクタをクリーニングするために、2.5mmコネクタのために設計されている従来技術のクリーナを使用することは不可能であり、その逆もまた同様である。結果として、日常業務として従来技術のクリーナによってコネクタをクリーニングしている現場技術者は、特定のサイズおよびタイプのコネクタをクリーニングするように設計されたさまざまなサイズクリーナを装備していなければならない。さらに、アダプタの中へのノズルの必要な挿入は、物理的な接触を必要とし、それは、クリーニングデバイスが光ファイバ端面の上に油またはダスト汚染を導入または再分配するリスクを増加させる。
【0031】
現在、50ミクロンまたは60.5ミクロンのいずれかのコア直径を有するマルチモードファイバコネクタ、リボンコネクタの8本、12本、または24本のファイバを同時に嵌合させるのに理想的に適しているマルチファイバプッシュオン(MPO: Multi Fiber Push On)コネクタ、および、同様のクリーニングの課題を有するさまざまな他のファイバコネクタ構成が存在している。シングルモード光ファイバコネクタが本明細書で議論されているが、本明細書で説明されているコアンダ効果クリーニング方法は、すべてのタイプおよび構成のファイバコネクタをクリーニングするのによく適しており、シングルモードコネクタに関して本明細書で説明されているものと同じ利益を提供する。
【0032】
本発明の特定の実施形態について議論する前に、コアンダ効果の説明が有用である。コアンダ効果は、Henri Coanda(ルーマニアのエンジニアおよび数学者)にちなんで命名された。コアンダは、オリフィスから出現する流体のジェットが、平坦な表面であるかまたは湾曲した表面であるかにかかわらず、隣接する表面に追従し、周囲からの流体を同伴する傾向があり、より低い圧力の領域が流体のジェットに沿って発達するようになっているということに注目した。コアンダ効果は、周知のベルヌーイの原理を参照して理解されることが可能であり、ベルヌーイの原理は、高速で移動する空気のジェットは、隣接する静止したまたはより遅く移動する空気よりも低い圧力を有するというものである。航空機の翼は、それらの上部表面において湾曲しており、空気が翼の底部表面に沿うよりも翼の上部表面に沿って高速にトラベルしなければならないようになっており、それによって、上部表面に作用する圧力を低減させる。翼の底部表面の上の結果として生じるより高い圧力は、航空機が飛行することを可能にする「揚力」を発生させる。コアンダ効果は、図7Aおよび図7Bを参照して説明される。オリフィスOから退出する空気または他のガスのジェットGは、取り囲む周囲の雰囲気(それは、静止している可能性がある)の速度よりも速い速度で移動している。したがって、ジェットGは、ベルヌーイの原理によれば、周囲の雰囲気の圧力Paよりも低い圧力Pgを有している。図7Aでは、周囲の雰囲気の圧力(たとえば、大気圧力)は、矢印Paによって示されており、ジェットGの外側周囲部全体に作用することが見られる。それとは対照的に、図7Bに示されているように、ジェットGが構造体Tの表面Sに隣接して吐出される場合には、構造体Tは、大気圧力PaがジェットGの一方の側に作用することを阻止し、阻止されていない周囲圧力PaがジェットGを表面Sと接触させるようになっている。図7Bに示されているように、表面Sが湾曲しているかまたは曲げられている場合でも、周囲圧力Paは、ジェットGを表面Sの輪郭に追従させる。コアンダの原理は、エアフォイル(空気力学)、ガスバーナーフレアチップ、およびフィルム吹き付けなどのような、さまざまな分野において適用される。本発明は、コアンダ効果を利用し、クリーニングデバイスとクリーニングされることとなる構造体との接触なしに、流体のクリーニングおよび乾燥ジェットを、フェルール端面および任意の周囲の囲む構造体の輪郭に方向付けられようにし、それに付着させ、およびそれに追従させる。コアンダ効果を得るためには、ジェットを正確に向けること、および、ジェットが出て来るノズルを、クリーニングされることとなる表面から適正な距離に離すことに注意が払われなければならない。
【0033】
図8図9、および図10において、ガスおよび溶媒のフローを制御するために、ならびに、ニードルバルブを動作させるために用いられる通常の制御装置は、図面を簡単化するために省略されている。そのような制御は、当技術分野において周知であり、それ自体は、本発明の一部を形成しない。
【0034】
本発明の実施形態によるクリーニングデバイス100(図8)は、その一方の端部においてディスペンシングノズル104を有するハウジング102を含む。ディスペンシングノズル104は、2つのオリフィスを有しており、一方のオリフィス106aは、ガス経路106の吐出端部にあり、他方のオリフィス108aは、溶媒経路108の吐出端部にある。溶媒オリフィス108aは、ノズル104の中で中央に置かれており、中央に位置決めされている移動可能な対称的な形状のニードルプラグ110によって閉鎖可能であり、ニードルプラグ110は、滑らかな側壁部を有しており、側壁部は、ニードルプラグの先端部における鋭いポイントにおいて終わるように傾斜している。ニードルプラグ110は、通常、溶媒オリフィス108aが閉鎖位置(図示されていない)になるように位置決めされている。第2の外側のガスオリフィス106aは、溶媒オリフィス108aに近接しており、溶媒オリフィス108aと同心円状になっている。オリフィス106aおよび108aは、図10Aに最良に見られるように、断面に関してそれぞれ円形になっている。
【0035】
ニードルプラグ110は、溶媒経路108の退出部に配設されており、溶媒経路108を閉鎖するために(図8図9、および図10において見たときに左方向に)移動可能であり、溶媒経路108を開放するために(図8図9、および図10において見たときに右方向に)移動可能である。ニードルプラグ110のこの移動は、図8における両頭矢印Vによって示されており、また、溶媒フローの量は、ニードルプラグ110の位置、および、全開と全閉との間の任意の選択された開度によって調整されるということが見られる。
【0036】
圧縮空気の供給源112からの乾燥した濾過された圧縮空気のストリームは、ライン114を通して流され、空気外側オリフィス106aを通して、ニードルプラグ110の傾斜した側壁部に平行に通される。移動する圧縮空気は、溶媒オリフィス108aを越えて突き出ているニードルプラグ110の鋭いポイントの傾斜形状にくっついており、それは、コアンダ効果を提供し、低圧力のエリアを結果として生じさせ、低圧のエリアは、ニードルプラグ110の鋭いポイントにおいて生じており、図8図9、および図10において、付番されていない破線の境界を有するジェットカラム118によって示されている。低圧ゾーンは、ジェットカラム118を取り囲んでおり、いくらかトランペット形状になっている。低圧は、空気ストリーム速度の集中を引き起こし、ニードルプラグ110の鋭い先端部から0.25インチと0.75インチとの間にある(すなわち、0.635センチメートル(「cm」)と1.905cmとの間にある)距離dにおいて高度に集中されたままの狭いジェットカラム118へと空気ストリーム形状を操作する。これは、物理的な接触(たとえば、クリーニング布によって端面を擦るなど)の必要性なしに、クリーニングのために露出されたファイバ端面の上に、集中されたジェットカラム118が集束されることを可能にする。図9は、光ファイバオス型コネクタ(すなわち、プラグ)113の光ファイバ端面120に衝突する、低圧ゾーンによって取り囲まれているジェットカラム118を示している。
【0037】
クリーニングの間のファイバ端面からのディスペンシングノズル104の間隔は、集中されたクリーニングジェットカラム118が、アダプタハウジング122(図10)の中に凹ませられている(メス型コネクタ)光ファイバ端面をクリーニングして乾燥させることを可能にする。また、同じクリーニングノズルは、アダプタの中に据え付けられていない端面(すなわち、ファイバ端面120(図9)を有する光ファイバオス型コネクタ113)をクリーニングすることもできる。具体的には、図9は、クリーニングデバイス100とコネクタ113との間の物理的な接触なしにジェットカラム118によってクリーニングされている光ファイバ端面120を有する光ファイバオス型コネクタ113を示している。図10に示されているように、集中されたジェットカラム118は、アダプタハウジング122の開放端部を通して、および、アダプタハウジングの凹ませられた領域の中に据え付けられている光ファイバ端面124の上に方向付けられることが可能である。アダプタハウジング122の中のアライメントスリーブ115は、オス型コネクタ113を受け入れる。端面がどこに位置付けされているかにかかわらず、端面124との物理的な接触は必要とされず、アダプタハウジング122の中へのクリーニングデバイス100またはその任意のパーツの挿入の必要性もない。アダプタハウジングに接触し、クリーニングデバイスを支持するフィクスチャが、クリーニングサイクルの間に、アダプタハウジングに対するクリーニングデバイスの精密な位置決めを維持するために使用されることが可能である。
【0038】
コアンダ効果は、ガス(たとえば、空気)と液体の両方において誘発されることが可能である。したがって、高純度の速乾性の溶媒クリーナが、既存の空気ストリームカラムの中へ瞬間的に注入されることが可能である。これは、移動可能なニードルプラグ110を開くことによって行われ、溶媒116の供給源からライン119を通して溶媒を導入し、内側溶媒オリフィス108aから外へ導く。ジェットカラム118(図8図9、および図10)を形成する低圧のエリアは、コアンダ効果によって生成され、溶媒がジェットカラム118の中で液滴の高速ミストへと瞬時に霧化することを引き起こす。空気ストリームおよび霧化された溶媒液滴は、霧化されたミストを含有する高速ジェットカラム118を生成させるように組み合わさり、それは、機械的な流体クリーニング作用を生成させ、それは、非接触クリーニングのために光ファイバ端面の上に方向付けられ得る。ニードルプラグ110をその閉鎖位置に(図8図9、および図10において見たときに左方向に)移動させることによって、溶媒フローが遮断されるときには、ジェットカラム118は、乾燥しており、残留溶媒が蒸発することを引き起こす役割を果たす。溶媒の蒸発は、コアンダ効果によって引き起こされるジェットカラム118の中の低減された圧力によって促進され、多くの従来技術デバイスによって必要とされるような、残留溶媒を除去するために真空を適用する必要性を軽減する。
【0039】
図8図10のクリーニングデバイスディスペンシングノズル104は、本発明のノズルの1つの実施形態であり、それは、光ファイバ端面から適正に間隔を置いて配置されているときに、加圧ガスおよび溶媒ストリームを適正に組み合わせることによって、所望のコアンダ効果ストリームを生成させることとなる。図示されているディスペンシングノズル設計における変形が行われることが可能であり、それは、また、同様のコアンダ効果を提供することとなる。
【0040】
コアンダ誘発型の低圧空気ストリームカラムを使用したテストは、以下の通りに、5秒から10秒の持続期間のクリーニングプロセスを使用して、光ファイバ端面のエリア全体を横切って、顕微鏡的なサイズのダスト、油、または、組み合わせられたダストおよび油の残留物の優れたクリーニングを実証した。
【実施例1】
【0041】
a.)ディスペンシングノズルは、光ファイバ端面から0.25インチと0.75インチとの間に(0.6335cmから1.905cmに)位置決めされており、空気/溶媒クリーニングジェットの中心は、研磨された光ファイバ端面の頂点(または、中心)をターゲットとした状態になっている。端面のフェルール直径は、1.25ミリメートル(「mm」)と同程度に小さくなっていることが可能であり、端面は、アダプタハウジングの中に凹ませられていることも可能であるので、ノズルは、クリーニングサイクルの間のノズルおよびクリーニングジェットの移動が全くないかまたは最小移動の状態で、クリーニングジェットの適正なターゲッティングを維持するように装着される。
b.)クリーニングプロセスは、ノズルからディスペンスされる圧縮空気フローの1秒間のランプアップによって開始され、対称的な形状の移動可能なニードルの先端部からのコアンダ効果低圧空気フローを確立し、高圧空気の一定の集中された空気フロージェットを確保する。
c.)ニードルを開放位置に移動させることによって、対称的な形状のニードルの先端部からの、および、コアンダ効果空気フローによって確立される低圧エリアの中への、溶媒の1~2秒の時限式の注入が得られる。低圧は、集中された空気フローカラムの中の極小の液滴の高速ミストへと溶媒が即座に霧化することを引き起こす。1~2秒の時限式の注入においてディスペンスされる溶媒の合計量は、おおよそ24マイクロリットルから55マイクロリットルである。
d.)1~2秒後に、空気フローの中へ溶媒の注入は、ニードルを閉鎖位置に移動させることによって停止され、一方では、集中された空気フローカラムが、最終的な3~5秒にわたって継続され、端面および周囲のエリアを高速コアンダ効果空気フローに露出させ、ディスペンスされた霧化された溶媒を迅速に揮発させ、端面および周囲のエリアを乾燥させる。
【実施例2】
【0042】
クリーニングサイクル時間を低減させるために、試験は、以下のタイミングサイクルが、全体的なクリーニングサイクル時間を1秒だけ低減させながら、効果的なクリーニングを提供するということを実証した。クリーニングプロセスは、以下の通りである。
a.)クリーニングサイクルが始まるときに、ノズルオリフィスから出て来るジェットフローがコネクタ端面の上に方向付けられるように、ディスペンシングノズル(たとえば、図8図9、および図10におけるノズル104など)を位置決めする。
b.)圧縮空気のフローを開始させ、同時にニードルプラグを開放位置に移動させ、ノズルから溶媒をディスペンスし、対称的な形状の移動可能なニードルの先端部から溶媒とともに注入された高圧空気のコアンダ効果空気フローを確立する。溶媒は、コアンダ効果空気フローによって確立される低圧エリアによって、集中された空気フローの中で極小の液滴の高速ミストへと瞬時に霧化される。
c.)1秒後に、ニードルプラグは、閉鎖位置に移動され、空気ストリームの中への溶媒のフローを停止させる。1秒の時限式の注入においてディスペンスされる溶媒の合計量は、おおよそ10~20マイクロリットルである。
d.)ニードルが閉鎖位置にある状態で、集中された高圧空気フローは、追加的な2.5秒にわたって継続し、端面および周囲のエリアを高速コアンダ効果空気フローに露出させ、霧化された溶媒を迅速に揮発させ、端面および周囲のエリアを乾燥させる。
e.)クリーニングサイクルは、3.5秒後に完了される。
【0043】
任意の圧縮ガス(たとえば、窒素または二酸化炭素など)がこの用途で働くこととなるが、実施例1および実施例2において説明されているクリーニングテストは、17PSIGの圧力および毎分8.5リットルの空気フロー体積において空気を送達する小型のポータブル圧縮機によって発生させられる濾過された乾燥した圧縮空気を使用した。
【0044】
本明細書において例示されている圧縮空気供給仕様は、理想的なコアンダ効果クリーニングプロセスを実現するための1つの方式を示している。コアンダ効果空気フローの特性は、ディスペンシングノズルおよびニードルの表面条件および幾何学形状によって、および、空気圧力および空気フロー体積の変化によっても操作される。コアンダ効果を取得するために、他のノズル設計、空気圧力、および空気フロー体積も、使用されて調節されることが可能であるということが理解されるべきである。
【0045】
このクリーニング方法において使用される高純度の溶媒は、すべてのコンポーネントに関して速い乾燥速度を有するように選択される。適切な配合は以下の通りであり、存在しているそれぞれのコンポーネントの量は、溶媒の合計重量の重量によるパーセント(「wt%」)として示されている。
【実施例3】
【0046】
60wt% -- 1,1,1,3,3,3-ヘキサフルオロ-2-メトキシプロパン(CAS 13171-18-1)
34.9wt% -- 1-クロロ-2,3,3-トリフルオロプロパ-1-エン(CAS 1263679-68-0および1263679-71-5)
05.0wt% -- アセトンCAS 67-64-1
00.1wt% -- ニトロメタンCAS 75-52-5
沸点: 52℃(126°F)
NVR: < 10ppm
水分含有量: < 100ppm
蒸気圧力(計算値): 33.7kPa
比重: 1.33g/ml
可燃性: ASTM-D56 密閉式引火点試験(Closed Cup Flash Point test)によれば可燃性でない。
上記の溶媒処方は、本明細書で説明されている試験において使用された。しかし、コアンダ効果クリーニングプロセスを使用するときに、同様の物理的特性を有する代替的な化学物質も、同様の結果を生み出すこととなる。
【0047】
溶媒は、静電気消散特性を有しており、静電気消散特性は、既存の端面摩擦電気電荷、または、クリーニングの間に除去されるダスト粒子を含有する加圧空気フローによって生成され得る静電気電荷の蓄積を排除する。ACL Staticide Electrostatic Locator meter(モデル300B)を使用して、クリーニングの前に4,000~5,000ボルトによって帯電された表面は、上記に説明されたクリーニングサイクルの完了時にゼロボルトまで低減されるということが実証された。
【0048】
本発明のクリーニング方法は、端面との拭き取り式のまたは擦り式の接触を含まないので、クリーニングによって光ファイバ端面の上に摩擦電気電荷は発達されない。さらに、静電気消散特性を有する溶媒を使用することは、摩擦電気電荷が他の理由のために発達することを回避することを助ける。その理由は、溶媒和物が、そのような電荷を消散させるからである。したがって、本発明のクリーニングプロセスは、プラグ、端面、および、関連のコネクタコンポーネントの上にすでに存在する可能性のある摩擦電気電荷を排除する。摩擦電気電荷は、検査のためにまたはクリーニングによってアダプタハウジングにプラグを挿入する間およびアダプタハウジングからプラグを引き抜く間に、プラグアセンブリの移動によって発生させられる可能性がある。端面全体およびすぐ隣の関連のエリアを横切って静電荷を排除することによって、このクリーニングプロセスは、コネクタプラグが嵌合された後に静電気によって誘発されるダスト粒子の移行の可能性を排除する。
【0049】
ディスペンシングノズルは、ファイバ端面から0.25インチから0.75インチ(0.635cmから1.905cm)離れるように位置決めされているので(図10)、ノズルは、特定の端面サイズと嵌合するためにカスタムサイズにされる必要はない。これは、1つのサイズのクリーニングノズルが、1.25mmから2.5mmの広範なコネクタサイズ、ならびに、一般に使用される他のコネクタの形態およびサイズをクリーニングすることが可能であるということ意味している。出口部ノズルから端面への特定の距離は、端面、図8図9、および図10における寸法dによって示されているように、ニードルプラグ110の先端部から測定されるということが留意されるべきである。
【0050】
クリーニングノズルは、クリーニングの間にファイバ端面から間隔を置いて配置されているので、本発明のクリーニングプロセスは、研磨、曲率、または端面幾何学形状にかかわらず、端面の100%をクリーニングする。この100%クリーニングは、端面直径の外側エリアの汚染(それは、検査スコープソフトウェアメトリクスを通過するが、その後に、アダプタの中で嵌合されている2つの突き合わせられたファイバの頂点に移行することによって、信号を妨害する可能性がある)が存在することを防止する。
【0051】
オス型およびメス型コネクタに関して、顕微鏡的な量の端面汚染が、端面から、および、コネクタから離れるように、集中されたクリーニングジェットカラムによって運搬される。それは、クリーニングサイクルの乾燥局面の間に溶媒が蒸発するときに、空気フローによって無害に連れ去られるかおよび/または揮発されるかのいずれかである。
【0052】
実施例1のより遅いクリーニングサイクルにおいてディスペンスされる霧化された溶媒液滴の量は、合計で24マイクロリットルから55マイクロリットルになり、実施例2のより速いクリーニングサイクルでは、10マイクロリットルのみを使用する。クリーニングプロセスにおいて使用されるこれらの少量の溶媒は、乾燥プロセスの一部として、迅速に揮発される。隣接する表面の上に存在する液体が、クリーニングの後に端面の上に流れ出すことはない。また、クリーニングされた端面アダプタから、隣接するコネクタへの、他のアダプタハウジングへの、または、コネクタアダプタアセンブリの近くに位置付けされている通信/電子機器への、溶媒漏出も存在しない。プラグおよび端面は、乾燥しており、清潔であり、クリーニングの後にすぐに使用できる状態になるように準備ができている。
【0053】
業界のより広く使用されている接触クリーニングデバイスは、上記に説明されているように、当業界では「クリッカー」として呼ばれることが多い。クリーニング性能を比較するためのベースラインとして、そのような従来技術のクリッカーを使用すると、以下の実施例4は、コアンダ効果クリーニングの結果とベースライン「クリッカー」クリーニングアウトカムとを比較するクリーニングトライアルの結果を実証している。下記の表にあるクリーニングテスト結果は、1.25mmのLC(「ルーセントコネクタ」)タイプコネクタについて実施されたものであり、それは、その小さな端面直径に起因して、クリーニングするには最も困難なコネクタであると考えられている。ルーセントコネクタは、Lucent Technologiesによって最初に開発された1.25mmコネクタのためのファイバ業界の指定である。
【実施例4】
【0054】
当業界は、標準化されたクリーニングテスト方法を欠いているので、下記に文書化されたテストが、MicroCare Critical Cleaning Laboratory, New Britain, Connecticut(本出願人の関連会社によって維持されている実験室)によって生成された方法論を使用して、制御された実験室条件の下で実施された。クリーニングアウトカムのための検査は、FMA-LCアダプタフィッティングを備えたViavi, FVDi-2080検査顕微鏡を使用して実施された。結果は、single mode Fiber Ultra Polished Connectors (SM UPC)に関するIEC-61300-3-35, Ed 2.0; Pass/FailにしたがってプログラムされたViavi FiberChekPRO Softwareを使用して決定された。
【0055】
テスト方法論
1.クリーニングし、検査し、視覚的におよび検査スコープソフトウェアを使用して対象の1.25 LC端面が完璧に清潔であるということを確認し、汚染または引っ掻き傷のない端面「合格」アウトカムを確認する。
2.粒子汚染を再現するためにアリゾナロードダストによって、または、ASTM D4265-14にしたがって配合された人間の皮脂を再現するために人工皮脂のいずれかによって、公知の清潔な1.25 LC端面を汚染させる。汚染の適用のための方法は、クリーニングトライアルの前の端面の汚染の量および密度の観点から変数を最小からするために、それぞれの端面テストに関してそれぞれの汚染タイプの一貫した適用を提供するように開発された。
3.テストされたクリーニング方法:
a.STICKLERS(登録商標)ブランドのCLEANCLICKER(登録商標) #MCC- CCU125、それぞれのクリーニング試行ごとに1回完全に作動する。
b.IBCブランドのクリーナH125 #12910、それぞれのクリーニング試行ごとに1回完全に作動する。
c.コアンダ効果、それぞれのクリーニング試行ごとに1つの6秒サイクル、光ファイバ端面は、クリーニングノズルから0.25インチにおいて、ディスペンシングノズル(図9における104)の中心に固定されている。(図9における距離dは、0.25インチである。)本明細書の他のどこかで説明されている3.5秒のクリーニングサイクルによって取得されるクリーニング結果は、この実施例4の6秒のクリーニングサイクルにおいて取得されるものと同様であったということが留意されるべきである。
4.第1のクリーニング試行の後に、「合格/不合格」アウトカムを決定する検査スコープソフトウェアによって検査する。第1の試行において「合格」である場合には、追加的なクリーニングは必要とされない。「不合格」である場合には、同じ端面においてクリーニングを繰り返し、スコープによって検査する。それぞれの個々のトライアルごとに3回を超えるクリーニング試行は行われない。
5.3回の試行の後にクリーニング結果が「不合格」である場合には、これは、カラムに合格するための平均クリーニング数に考慮され、不合格のための理由が記録される。
6.端面においてそれぞれのソフトウェア決定された「合格」アウトカムに関して、検査スコープビデオディスプレイの視覚的なレビューが実施され、以下の条件のうちのどれの下で、端面がソフトウェアによって「合格」となったかを確認する。
a.端面は、ソフトウェアの許容値にしたがって合格したが、端面の縁部まで完璧に清潔ではなかった。
b.端面は、引っ掻き傷または別の線状の欠陥を示した。
c.端面は、ソフトウェアにしたがって合格し、ビデオスクリーンの視覚的なレビューは、端面が目に見える残留物のない状態で「完璧に清潔」であることを示した。完璧に清潔ということは、端面は外側縁部まで汚染が除去された状態であることを示している。
7.クリーニング方法ごとにそれぞれのテストトライアル10回を実施する。結果は、Table 1(表1)に報告されている。
【0056】
【表1】
【0057】
クリーニング結果;検査スコープ画像
図11-1から図11-5Bは、80倍に拡大された1.25mm LCタイプコネクタ端面の写真である。これらの端面は、上記に詳述された方法論にしたがってクリーニングおよびテストされた。
【0058】
図11-1
清潔な端面であり、汚染または欠陥はない。これは、アダプタハウジングの中で突き合わせられた相互接続部を作製する前の、コネクタの清潔さに関して理想的な端面条件である。これは、上記に詳述されたそれぞれのクリーニングトライアルの前のそれぞれのコネクタの条件である。
【0059】
図11-2A
CCU125クリッカーによるクリーニングの前のアリゾナロードダストを伴う端面である。
【0060】
図11-2B
CCU125によるクリーニングの後のアリゾナロードダストを伴う端面である。検査スコープソフトウェアにしたがって合格した。端面の頂点(中心)は清潔であるが、頂点から最も離れたエリアでは、粒子の存在および集中が増加していることに留意されたい。
【0061】
図11-3A
コアンダ効果によるクリーニングの前のアリゾナロードダストを伴う端面である。
【0062】
図11-3B
コアンダ効果によるクリーニングの後のアリゾナロードダストを伴う端面である。残っているダスト汚染のない状態で、検査ソフトウェアにしたがって合格した。完璧に清潔である。
【0063】
図11-4A
CCU125クリッカーによるクリーニングの前の皮脂油を伴う端面である。
【0064】
図11-4B
CCU125クリッカーによるクリーニングの後の皮脂油を伴う端面である。検査ソフトウェアにしたがって合格したが、コネクタの頂点エリアのみクリーニングされている。コネクタの外側縁部は、クリーニングされていないままである。その理由は、端面の凸形の湾曲が、クリッカークリーニング先端部との完全な接触を防止するからである。
【0065】
図11-5A
コアンダ効果によるクリーニングの前の皮脂油を伴う端面である。
【0066】
図11-5B
コアンダ効果によるクリーニングの後の皮脂油を伴う端面である。検査ソフトウェアにしたがって合格し、端面全体が、端面の上の外側縁部までクリーニングされている。
【実施例5】
【0067】
とりわけ有用な溶媒は、以下の組成を有している。
83wt% HFE-7100:ハイドロフルオロエーテル、以下を含む。
55wt%から90wt%のイソブチル異性体: CAS# 163702-08-7、メチルノナフルオロイソブチルエーテル
10wt%から45wt%のブチル異性体: CAS #163702-07-6、メチルノナフルオロブチルエーテル
10wt% Asahi AS300ハイドロフルオロエーテル、以下を含む。
90wt%のZ-異性体: CAS#1263679-68-0
10wt%のE-異性体: CAS#1263679-71-5
7wt%ヘプタン: CAS# 142-82-5
この溶媒の物理的特性は、以下の通りである。
沸点: 56℃(132°F);分別蒸留の間に記録される。沸点は、どれだけ早く流体が乾燥することとなるかを示している。
不揮発性の残留物(「NVR」): 10ppm未満、ASTM D2109を介して収集される。
溶媒は一貫して高い純度である必要があるので、これは重要である。その理由は、除去している汚染が顕微鏡的なものであるからである。10PPMよりも高いNVRが存在する場合には、クリーニングされているエリアに顕微鏡的な汚染を追加するリスクが存在している。
水分含有量100ppm未満; ASTM D3401を介してKarl Fischer滴定装置によって収集される。
蒸気圧力(計算値): 24.7kPa。(蒸気圧力は、25℃における3つのコンポーネントのモル分率および蒸気圧力を使用して計算された)
テストは、理想的な蒸気圧力は約24.7kPa(たとえば、約25kPa)であるということを示している。これは、どれくらい早く溶媒が蒸発するかということに関して役割を果たす。クリーニング流体の蒸気圧力が約25kPaよりも20%以上低い場合には、流体は、蒸発するのがより遅くなり、それは、クリーニングの後の乾燥時間が長くなり過ぎることとなるということを意味している。
乾燥の遅い溶媒は、クリーニングの後に端面の上に移行して戻ることとなり、場合によっては、汚染を端面の上に戻す。
また、乾燥の遅い溶媒は、クリーニングされているコネクタに直接隣接したコネクタの上にも移行する可能性がある。これは、コネクタがラックの中におよび他のコネクタに直接近接して密に装着されているときに危険である。
蒸気圧力が約25kPaよりも20%以上高い場合には、これは、あまりに早く乾燥する溶媒を結果として生じさせ、すなわち、高速コアンダ空気ストリームの中にある間にあまりに迅速に蒸発することとなる溶媒を結果として生じさせ、コネクタ端面を適正にクリーニングするのに不十分な量の溶媒を結果として生じさせる。
比重: 1.39g/ml;比重計によって25℃において測定される。1.39は、水に対する値である。
より高い比重を有することは、溶媒をより高密度にし、また、浮力を通して顕微鏡的な汚染を表面から浮かせることができるものにする。たとえば、オーク材(それは、比較的に高密度の木材である)は、0.75の比重を有しており、それは、オークダスト/粒子および同様の建設ダストがこの溶媒の中で容易に浮遊することとなるということを意味している。短時間でおよび少量の溶媒が使用され、端面の上のより少ない量の顕微鏡的な汚染もクリーニングするので、比較的に重い溶媒が、クリーニングに有益である。
上記の属性は、本発明の実践において使用される溶媒にとって有用である。
【実施例6】
【0068】
コアンダ効果空気フローが溶媒乾燥時間に及ぼす影響を実証するために、テストが実行された。定常状態空気供給が、下記に説明されているテストフィクスチャの槽(basin)の中心の垂直方向上方に位置決めされているディスペンシングデバイスを通して、清潔で乾燥した空気フローを送達した。2つの異なるディスペンシングデバイスが、10マイクロリットルの溶媒を乾燥させるために、同じ圧力および速度において空気フローを送達するために交互に用いられた。空気フローを送達する2つの方法における唯一の違いは、テストの1つのセットのテストでは、空気が、従来のシリンジカニューレのオリフィスから直接的に溶媒の上に流され、別のセットのテストでは、空気が、コアンダ効果空気フローを確立するためにニードルバルブを組み込んだオリフィスから溶媒の上に流されるということであった。ニードルは、図8図9、および図10に示されているように、オリフィスの中に位置決めされていたが、乾燥した空気のみが流された。
【0069】
テスト詳細
テストは、浅い円筒形状のカップの底部の中央に置かれている槽状の窪みの0.250インチ(0.635cm)上方に空気送達デバイスを垂直方向に位置決めするために、フィクスチャを使用し、浅い円筒形状のカップは、0.585インチ(1.486cm)の外径、0.511インチ(1.298cm)の内径を有しており、厚さ0.074インチ(0.188cm)および高さ0.197インチ(0.500cm)の円周方向壁部を提供する。カップの底部に形成された槽は、0.289インチ(0.734cm)の外径および0.028インチ(0.071cm)の深さを有していた。次いで、槽は、下記に説明されているFisherbrand精密投与単一シリンジを使用して、その中に設置されている実施例5の10マイクロリットル(「μL」)の溶媒を有していた。
【0070】
溶媒蒸発テストにおいて、以下の機器が使用された。槽の中の溶媒を乾燥させるための空気フローを送達するために、非コアンダ空気フローのための従来の円形カニューレを有するシリンジと、コアンダ空気フローを提供するために、図8図9、および図10に示されているような様式で配置されているニードルバルブを有する従来のアーティストのエアブラシとを使用した。可能な限り多くの変数を軽減するために、(空気フローのための)シリンジカニューレオリフィスは、サイズがエアブラシの中の空気フローオリフィスに可能な限り近付くようにサイズ決めされていた。シリンジオリフィス直径は、0.0095in2であり、エアブラシオリフィス直径は、0.0041in2であった。従来のカニューレのより大きな直径は、それにエアブラシを上回る幾分かの利点を与える。シリンジからディスペンスされる空気速度は、エアブラシから出て来る空気速度にマッチするように制御され、4.5メートル毎秒(「m/s」)であった。
【0071】
空気フローを確認するために使用されるメーターは、Air Science - Air Velocity Control Meterであった。10マイクロリットルの溶媒をディスペンスするために使用されるデバイスは、Fisherbrand Single Syringe Pump Model 78-0100Lであった。テスト時間における室温は、試験のある日には、65°F(18.3℃)であり、試験の他の日には73°F (23.9℃)であり、より暖かい日には蒸発時間がより短くなるようなっているが、相対的な蒸発速度は、両方の日において同じであった。
【0072】
精密な用量の10μLの溶媒が槽の中へ堆積され、次いで、圧縮機がターンオンされ、送達デバイスを通して溶媒の表面に垂直方向に溶媒の上に直接的に空気を吹き付けた。乾燥するまでの合計時間(すべての10μLの溶媒の蒸発)は、シリンジとエアブラシとの両方に関して少なくとも20テストサイクルにわたって両方の方法に関して測定される時間の平均であった。結果は、以下の通りである。
【0073】
【表2】
【0074】
全体的に、時間差は顕著である。上記のTable 2(表2)は、コアンダ効果空気ストリームが、シリンジからの空気よりも平均で約3秒早く、槽の中の10μLの溶媒を乾燥させたということを示しており、それは、非コアンダ効果空気フローよりも約37%早いレートである。このテストは、コアンダ効果空気フローが、溶媒の乾燥時間を大幅に強化する条件(方向付けられた空気フローと低圧ゾーンの両方)を確立するということを実証している。
【0075】
本発明によれば、溶媒は、コアンダ効果によって空気フローの中で霧化され、それは、霧化されていない溶媒のスラグを使用するのと比較して、乾燥時間をさらに速める。コアンダ効果は、クリーニングサイクル(それは、実際には、合計持続期間において約3.5秒でしかない)を実現する上で本質的な役割を果たす。クリーニングサイクルは、約1秒間の圧縮空気(または、他の適切なガス)の送達を含み、約2.5秒の乾燥した空気または他のガスを提供するために、溶媒フローを遮断することがそれに続く。短いクリーニングサイクル時間は、非常に重要である。光ファイバケーブルコネクタは、多くの個々の光ファイバ端面を含むことが可能である、たとえば、キャビネットの中の800個のメス型コネクタに接続されている800個ものオス型コネクタを含むことが可能である。結果的に、1600個もの端面がクリーニングされなければならない。端面ごとに数秒だけでも節約することは、大幅な時間の節約を提供する。
【0076】
本発明は、その特定の実施形態に関して詳細に説明されてきたが、これらの特定の実施形態は、本発明の範囲に対する限定として解釈されることを意図するものではない。
【符号の説明】
【0077】
10a、10b、10c 光ファイバストランド
12a、12b、12c セラミックフェルール
14a、14b、14c フェルール端面
16 コネクタ
16' コネクタ
18 カプラ、バルクヘッド
19 光ファイバケーブル
19' 光ファイバケーブル
20 光ファイバストランド
22 外側保護ジャケット、シース
24 EBフェルール
24' フェルール
24a 端面
26 レンズ
26' レンズ
28 コネクタ
28' コネクタ
100 クリーニングデバイス
102 ハウジング
104 ディスペンシングノズル
106 ガス経路
106a 空気外側オリフィス
108 溶媒経路
108a 溶媒オリフィス
110 ニードルプラグ
112 圧縮空気の供給源
113 光ファイバオス型コネクタ
114 ライン
115 アライメントスリーブ
116 溶媒
118 ジェットカラム
119 ライン
120 光ファイバ端面
122 アダプタハウジング
124 光ファイバ端面
d 距離
G ジェット
O オリフィス
Pa 周囲圧力、大気圧力
Pg 圧力
T 構造体
V 移動
図1A
図1B
図1C
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図10A
図11-1】
図11-2A】
図11-2B】
図11-3A】
図11-3B】
図11-4A】
図11-4B】
図11-5A】
図11-5B】
【手続補正書】
【提出日】2023-12-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0025
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0025】
図1A】先行技術による、平坦な端部表面を備えた、光ファイバの端部をその中に備えたフェルール端部の断面図である。
図1B】先行技術による、凸形端部表面を備えた、光ファイバの端部をその中に備えたフェルール端部の断面図である。
図1C】先行技術による、角度付きの端部表面を備えた、光ファイバの端部をその中に備えたフェルール端部の断面図である。
図2】先行技術による、フェルール端部をその中に備えたコネクタフィッティングの立面図である。
図3】先行技術による、光ファイバを相互接続するためのカップリングにおいて、光ファイバをその中に備えた2つのフェルール端部の部分断面図である。
図4】先行技術による、拡大ビーム端部表面を備えた、光ファイバの端部をその中に備えたフェルール端部の概略断面図である。
図5】先行技術による、光ファイバ相互接続するためのカップリングにおいて、拡大ビーム光ファイバをその中に備えた2つのフェルール端部の概略断面図である。
図6図5のフェルールコネクタのうちの1つの概略断面図である。
図7A】空気または他のガスのジェットに作用する大気圧力の概略図である。
図7B】湾曲したまたは曲げられた構造体の表面を横断する図7Aの空気ジェットの概略図である。
図8】本発明の実施形態のノズルの概略断面図である。
図9】露出された光ファイバ端面(すなわち、コネクタの中に囲まれていない光ファイバ端面)をクリーニングするように位置決めされている、本発明の実施形態のノズルの概略断面図である。
図10図9に対応する概略断面図であるが、コネクタの中に囲まれている光ファイバ端面をクリーニングするようにノズルが位置決めされた状態の図である。
図10A図10の線A-Aに沿ってとられた立面図である。
図11-1】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真を模写するインク画であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、インク画である。
図11-2A】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真を模写するインク画であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、インク画である。
図11-2B】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真を模写するインク画であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、インク画である。
図11-3A】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真を模写するインク画であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、インク画である。
図11-3B】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真を模写するインク画であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、インク画である。
図11-4A】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真を模写するインク画であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、インク画である。
図11-4B】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真を模写するインク画であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、インク画である。
図11-5A】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真を模写するインク画であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、インク画である。
図11-5B】80倍に拡大された光ファイバ端面の写真を模写するインク画であり、本発明の方法およびデバイスによるクリーニングの前および後の端面の汚染を示す、インク画である。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0057
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0057】
クリーニング結果;検査スコープ画像
図11-1から図11-5Bは、80倍に拡大された1.25mm LCタイプコネクタ端面の写真を模写するインク画である。これらの端面は、上記に詳述された方法論にしたがってクリーニングおよびテストされた。
【国際調査報告】