IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ジャズ ファーマシューティカルズ アイルランド リミテッドの特許一覧

<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】L-アスパラギナーゼの製剤
(51)【国際特許分類】
   A61K 38/50 20060101AFI20240403BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240403BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 9/14 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 47/18 20170101ALI20240403BHJP
   A61K 47/04 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 47/12 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 47/10 20170101ALI20240403BHJP
   C12N 9/82 20060101ALI20240403BHJP
   C12N 15/55 20060101ALN20240403BHJP
   C12N 5/09 20100101ALN20240403BHJP
【FI】
A61K38/50 ZNA
A61P35/00
A61P35/02
A61K45/00
A61K9/08
A61K9/14
A61K47/26
A61K47/18
A61K47/04
A61K47/12
A61K47/10
C12N9/82
C12N15/55
C12N5/09
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561628
(86)(22)【出願日】2022-04-05
(85)【翻訳文提出日】2023-11-17
(86)【国際出願番号】 US2022071562
(87)【国際公開番号】W WO2022217231
(87)【国際公開日】2022-10-13
(31)【優先権主張番号】63/171,429
(32)【優先日】2021-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】519426911
【氏名又は名称】ジャズ ファーマシューティカルズ アイルランド リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】カナプラン セカール
(72)【発明者】
【氏名】マイティ ハリパダ
(72)【発明者】
【氏名】ジャン グイフェン
(72)【発明者】
【氏名】ナーワル ロジャ
【テーマコード(参考)】
4B065
4C076
4C084
【Fターム(参考)】
4B065AA94X
4B065BB21
4C076AA12
4C076AA29
4C076BB13
4C076BB15
4C076CC27
4C076DD23
4C076DD26Z
4C076DD41Z
4C076DD46
4C076EE23
4C076FF36
4C076FF63
4C084AA02
4C084AA03
4C084AA19
4C084BA01
4C084BA02
4C084BA22
4C084BA23
4C084BA44
4C084CA59
4C084DC22
4C084MA05
4C084MA66
4C084NA03
4C084NA05
4C084ZB261
4C084ZB262
4C084ZB271
4C084ZB272
(57)【要約】
L-アスパラギナーゼの安定した水性の非凍結乾燥型製剤が本明細書で提供される。アスパラギン枯渇によって治療可能な1つ以上の疾患、障害、又は病状(例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)又はリンパ芽球性リンパ腫(LBL)などのがん)の治療においてこうした製剤を使用する方法も本明細書で提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水性の非凍結乾燥型製剤であって、
(i)4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する、L-アスパラギナーゼと、
(ii)1つ以上の安定剤、若しくは1つ以上の緩衝液、又はこれらの任意の組み合わせと
を含む、前記製剤。
【請求項2】
前記1つ以上の安定剤が、1つ以上の二糖類、1つ以上のソルビトール、1つ以上のアミノ酸、又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1に記載の製剤。
【請求項3】
前記1つ以上の二糖類が、トレハロース、スクロース、又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項2に記載の製剤。
【請求項4】
前記1つ以上の緩衝液が、アミノ酸を実質的に含まない、請求項1~3のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項5】
40℃で2ヶ月間貯蔵した後で、約0.6%未満の低分子量(LMW)種を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項6】
37℃で1週間貯蔵した後で、約0.6%未満の低分子量(LMW)種を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項7】
40℃で2ヶ月間貯蔵した後で、2%未満の高分子量(HMW)種を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項8】
前記L-アスパラギナーゼが、約20mg/mLの濃度で存在する、請求項1~7のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項9】
前記L-アスパラギナーゼが、非PEG化且つ非PAS化(non-PASylate)されている、請求項1~8のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項10】
前記1つ以上の二糖類が、トレハロースを含む、請求項1~9のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項11】
前記1つ以上の緩衝液が、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項1~10のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項12】
前記1つ以上の緩衝液が、リン酸緩衝液を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項13】
前記1つ以上の緩衝液が、リン酸ナトリウムを含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項14】
前記リン酸ナトリウムが、リン酸二ナトリウム(無水)、リン酸一ナトリウム一水和物、又はこれらの組み合わせである、請求項13に記載の製剤。
【請求項15】
前記リン酸ナトリウムが、約0.5mM~約50mMの濃度で存在する、請求項13に記載の製剤。
【請求項16】
塩化ナトリウムを更に含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項17】
前記塩化ナトリウムが、25mM~約150mMの濃度で存在する、請求項16に記載の製剤。
【請求項18】
1つ以上の賦形剤を更に含む、請求項1~17のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項19】
前記1つ以上の賦形剤が、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー188、又はこれらの任意の組み合わせを含む、請求項18に記載の製剤。
【請求項20】
前記1つ以上の賦形剤が、約0.004%(w/v)~約0.3%(w/v)の濃度で存在する、請求項18に記載の製剤。
【請求項21】
約4.0~約8.5のpHを有する、請求項1~20のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項22】
その必要のある対象において、アスパラギン枯渇によって治療可能な疾患、病状、又は障害を治療する方法であって、請求項1~21のいずれか一項に記載の製剤を前記対象に投与することを含む、前記方法。
【請求項23】
前記疾患、病状、又は障害ががんである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記がんが急性リンパ芽球性白血病(ALL)である、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記ALLが再発性ALLである、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
前記がんがリンパ芽球性リンパ腫(LBL)である、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
前記LBLが再発性LBLである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記製剤が筋肉内投与される、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記製剤が静脈内投与される、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項30】
前記製剤が皮下投与される、請求項22~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記製剤が、1つ以上の他の化学療法剤と同時投与される、請求項22~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
(i)請求項1~21のいずれか一項に記載の製剤と、
(ii)その必要のある対象において、アスパラギン枯渇によって治療可能な疾患、病状、又は障害を治療するための、説明書と
を含む、キット。
【請求項33】
前記疾患、病状、又は障害ががんである、請求項32に記載のキット。
【請求項34】
前記がんが急性リンパ芽球性白血病(ALL)である、請求項33に記載のキット。
【請求項35】
前記ALLが再発性ALLである、請求項34に記載のキット。
【請求項36】
前記がんがリンパ芽球性リンパ腫(LBL)である、請求項33に記載のキット。
【請求項37】
前記LBLが再発性LBLである、請求項36に記載のキット。
【請求項38】
(i)請求項1~21のいずれか一項に記載の製剤と、
(ii)1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と
を含む、単位剤形。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、その開示全体が参照により本明細書に組み込まれる2021年4月6日出願の米国仮特許出願第63/171,429号に対する優先権及び利益を主張する。
【0002】
ASCIIテキストファイルの配列表の提出
ASCIIテキストファイルでの以下提出物の内容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる:コンピュータ可読形式(CRF)の配列表(ファイル名称:210463000300SEQLIST.TXT、記録日:2021年4月5日、サイズ:3KB)。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
一般にL-アスパラギナーゼとして知られる、L-アスパラギンアミノヒドロラーゼ活性を有するタンパク質は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)及びリンパ芽球性リンパ腫(LBL)などのがんを含む、致死的となる可能性のある様々な疾患(これらの疾患に襲われる患者の大部分が小児である)の治療に対して成功裏に用いられてきている。
【0004】
細菌起源のL-アスパラギナーゼは高い免疫原性及び抗原性能を有する。現在の市場における第一選択治療は、大腸菌(E.coli)由来のL-アスパラギナーゼ及びペガスパルガーゼである。これらの生成物は、患者において、アレルギー反応、無症候性不活化、及びアナフィラキシー・ショックを含む有害な過敏性反応を誘発する場合がある。これらの生成物に対して過敏性反応を経験する患者は、多くの場合で治療を中止する必要があり、その結果、予後及び生存率は不良となる。これらの患者は、過敏性反応を経験した後でErwinaze(登録商標)に頼るようになった。Erwinaze(登録商標)は、長年にわたる供給の問題に悩まされており、報道によれば、これは調製に9ヶ月間かかる場合がある(例えば、“Saving Ava:When a cancer drug shortage imperiled a toddler,her mom got to work”,Stat News,Karen Weintraub(Oct.31,2016);Asparaginase Erwinia Chrysanthemi Drug Shortage,Drugs.comを参照されたい)。現在でもこの問題は続いており、Erwinase(登録商標)の不足は一般的である。FDAは、製造業者に対して行政警告書を発令し、「原料物質又は細胞株の変更は、Erwinase(登録商標)の同一性、力価、品質、純度、又は効力に悪影響を及ぼす相当な可能性を有する」と言明した。
【0005】
免疫原性的な交差反応性のない治療選択肢に対する必要性が存在する。大腸菌由来のアスパラギナーゼに対する免疫学的交差反応性のないL-アスパラギナーゼ(蛍光菌(Pseudomonas fluorescens)中で組み換え産生されるL-アスパラギナーゼなど)が、大腸菌由来アスパラギナーゼに対する過敏症を発症した患者に対するアスパラギナーゼの利用可能性を保証することを助けることによって、(多剤式化学療法レジメンの一構成要素として)ALL/リンパ芽球性リンパ腫(LBL)患者に対する大きな医学的ニーズに対処する。
【0006】
現在では、Erwinase(登録商標)は、滅菌の凍結乾燥された白色粉末としてバイアル中で供給されている。各バイアルは、10,000国際単位のアスパラギナーゼであるエルウィニア・クリサンテミ(Erwinia chrysanthemi)、及び以下の非活性成分:グルコース一水和物(5.0mg)、塩化ナトリウム(0.5mg)を含有する。非凍結乾燥型製剤が利用可能であれば、対象、例えばヒトに投与する前の再水和の必要性が排除される。この目的のために、代替的な非凍結乾燥型の治療選択肢であるOncaspar(登録商標)が、透明、無色、防腐剤不含有のリン酸緩衝食塩水中等張滅菌溶液としてpH7.3で供給されている。各ミリリットルが、注入用水(USP)中の、750±150国際単位のペガスパルガーゼ、リン酸二ナトリウム(USP)(5.58mg)、リン酸一ナトリウム(USP)(1.20mg)、及び塩化ナトリウム(USP)(8.50mg)を含有する。更に、別の非凍結乾燥型の代替物であるASPARLAS(登録商標)が、静脈内注入前に希釈を必要とする、透明、無色、防腐剤不含有のリン酸緩衝食塩水中等張滅菌溶液としてpH7.3で供給されている。ASPARLAS(登録商標)の各バイアルは、5mLの溶液中に3,750単位を含有する。各ミリリットルが、注入用水(USP)中の、750単位のカラスパルガーゼ・ペゴル-mknl、リン酸二ナトリウム(USP)(5.58mg)、リン酸一ナトリウム(USP)(1.20mg)、及び塩化ナトリウム(USP)(8.50mg)を含有する。しかしながら、非凍結乾燥型の製剤(Oncaspar(登録商標)及びASPARLAS(登録商標)など)が存在するものの、例えば、既存の製剤は、室温で貯蔵される場合は48時間以内に使用しなければいけないなどの安定性の問題が存在する。
【0007】
したがって、当該技術分野では、非凍結乾燥型の安定したL-アスパラギナーゼの水性製剤に対する必要性が存在する。
【発明の概要】
【0008】
L-アスパラギナーゼの水性の非凍結乾燥型製剤が本明細書で提供される。いくつかの態様では、こうした製剤は、例えば、急性リンパ芽球性白血病(ALL)及びリンパ芽球性リンパ腫(LBL)(再発性ALL及び再発性LBLを含む)などのがんを含む、アスパラギン枯渇によって治療可能な1つ以上の疾患、障害、又は病状の治療における用途を見出し得る。
【0009】
一態様では、水性の非凍結乾燥型製剤であって、
(i)4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する、L-アスパラギナーゼと、
(ii)1つ以上の安定剤、若しくは1つ以上の緩衝液、又はこれらの任意の組み合わせと
を含む当該製剤が、本明細書で提供される。
【0010】
いくつかの実施形態では、1つ以上の安定剤は、1つ以上の二糖類、1つ以上のソルビトール、1つ以上のアミノ酸、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の二糖類は、トレハロース、スクロース、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の二糖類はトレハロースを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、アミノ酸を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、リン酸緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、リン酸ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、リン酸ナトリウムは、リン酸二ナトリウム(無水)、リン酸一ナトリウム一水和物、又はこれらの組み合わせである。いくつかの実施形態では、製剤は、塩化ナトリウムを更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の賦形剤を更に含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の賦形剤は、ポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー188、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約4.0~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼは、約20mg/mLの濃度で存在する。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼは、非PEG化且つ非PAS化(non-PASylate)されている。
【0011】
いくつかの実施形態では、製剤は、40℃で2ヶ月間貯蔵した後で、約0.6%未満の低分子量(LMW)種を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約0.6%未満の低分子量(LMW)種を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、40℃で2ヶ月間貯蔵した後で、2%未満の高分子量(HMW)種を含む。
【0012】
一態様では、水性の非凍結乾燥型製剤であって、
(i)4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有する、L-アスパラギナーゼと、
(ii)トレハロース、スクロース、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の二糖類と、
(iii)アミノ酸を実質的に含まない1つ以上の緩衝液と
を含み、37℃で1週間貯蔵した後で、約5%未満の低分子量(LMW)種を含む、当該製剤が、本明細書で提供される。
【0013】
別の態様では、本明細書に記載される製剤のうちのいずれかを対象に投与することを含む、その必要のある対象において、アスパラギン枯渇によって治療可能な疾患、病状、又は障害を治療する方法が、本明細書で提供される。
【0014】
別の態様では、(i)本明細書に記載される製剤のうちのいずれかと、(ii)1つ以上の薬学的に許容される賦形剤と、を含む単位剤形が、本明細書で提供される。
【0015】
別の態様では、(i)本明細書に記載される製剤のうちのいずれかと、(ii)その必要のある対象において、アスパラギン枯渇によって治療可能な疾患、病状、又は障害を治療するための説明書と、を含むキットが、本明細書で提供される。
【発明を実施するための形態】
【0016】
定義
「対象」とは哺乳動物を指し、これとしてはヒト及び非ヒト哺乳動物が挙げられる。個体の例としては、マウス、ラット、ハムスター、モルモット、ブタ、ウサギ、ネコ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、雌ウシ、及びヒトが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、対象とはヒトを指す。
【0017】
冠詞「1つの(a)」及び「1つの(an)」は、本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用するとき、文脈から明らかな別段の指示がない限り、1つ又は2つ以上(すなわち、少なくとも1つ)の冠詞の文法的対象を指すために用いられる。一例として、「緩衝液(a buffer)」は、1つの緩衝液又は2つ以上の緩衝液を意味する。
【0018】
本明細書で使用する場合、「約(about)」パラメータ又は値は、そのパラメータ又は値自体を含み且つ説明する。例えば「約X」は、X自体を含み且つ説明する。本明細書で使用する場合、例えば、寸法、体積、組成物中の成分の量、濃度、プロセス温度、プロセス時間、収率、流量、圧力、及び同様の値、並びにこれらの範囲を修飾する用語「約」は、例えば、化合物、組成物、濃縮物、又は使用製剤の作製に用いられる典型的な測定及び取り扱いの手順を介して、これらの手順における故意ではない誤りを介して、方法を実行するために使用される出発物質又は成分の製造、供給源、又は純度の差、及び同様の事情を介して、起こり得る数量の変動を指す。用語「約」は、例えば組成物、製剤、又は細胞培養物の経年変化に起因して、特定の初期濃度又は混合物とは異なる量、及び組成物又は製剤の混合又は加工に起因して、特定の初期濃度又は混合物とは異なる量も包含する。用語「約」によって修飾されるか否かにかかわらず、本明細書に添付される特許請求の範囲は、これらの量との均等物を含む。用語「約」は、更に、記載された基準値に類似する値の範囲を指す場合がある。特定の実施形態では、用語「約」は、記載された基準値の10、9、8、7、6、5、4、3、2、又は1パーセント以下に含まれる値の範囲を指す。
【0019】
本明細書で使用する場合、用語「アスパラギンの枯渇によって治療可能な」及び「アスパラギン枯渇によって治療可能な」とは、疾患、病状、又は障害に関与するか又はこれの原因となる細胞が、L-アスパラギンを合成する能力を有さないか、又はこれが低減したかのいずれかである、疾患、病状、又は障害を指す。L-アスパラギンの枯渇又は欠乏は、部分的であってもよく、実質的に完全であってもよい(例えば、当該技術分野で既知の方法又は装置を用いて検出不可能なレベルで)。
【0020】
用語「配列番号1の配列を含む」は、タンパク質のアミノ酸配列が、配列番号1に厳しく限定されなくてもよく、追加のアミノ酸を含んでもよいことを意味する。
【0021】
「低分子量種」又は「LMW種」とは、本明細書で使用する場合、L-アスパラギナーゼの分子量よりも低い分子量を有する種を指す。いくつかの実施形態では、LMW種は、L-アスパラギナーゼの分子量の約100%未満、約90%未満、約80%未満、約70%未満、約60%未満、約50%未満、約45%未満、約40%未満、約35%未満、約30%未満、約25%未満、約20%未満、約15%未満、約10%未満、約5%未満、約2%未満、又は約1%である分子量を有する。いくつかの実施形態では、LMW種は、例えば、L-アスパラギナーゼ中の1つ以上の共有結合の加水分解を介した、L-アスパラギナーゼの分解又は崩壊によって形成される。
【0022】
「高分子量種」又は「HMW種」とは、本明細書で使用する場合、L-アスパラギナーゼの分子量よりも高い分子量を有する種を指す。いくつかの実施形態では、HMW種は、L-アスパラギナーゼの分子量の約100%超、約150%超、約200%超、約250%超、約300%超、約350%超、約400%超、約450%、又は約500%超である分子量を有する。
【0023】
「トレハロース」とは、以下の構造を有する二糖を指す:
【0024】
「スクロース」とは、以下の構造を有する二糖を指す:
【0025】
「ポリソルベート80」又は「PS-80」とは、以下の構造を有する賦形剤を指す:
【0026】
「PEG化」とは、本明細書で使用する場合、PEG(ポリエチレングリコール)がコンジュゲート又は結合している構造又は部分を説明するために使用される。任意の好適な数のPEG単位が、任意の好適な方法で(例えば、1つ以上の共有結合を介して)、且つ問題の構造又は部分の任意の好適な位置で、結合されてもよい。例えば、「PEG化L-アスパラギナーゼ」は、1つ以上のPEG単位がコンジュゲート又は結合しているL-アスパラギナーゼを指す。したがって、「非PEG化」部分とは、PEGがコンジュゲート又は結合していないものである。
【0027】
「PAS化」とは、本明細書で使用する場合、プロリン、アラニン、若しくはセリン、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ以上のポリペプチド単位がコンジュゲート結合(conjugated attached)している構造又は部分を説明するのに用いられる。任意の好適な数のこうしたポリペプチド単位が、任意の好適な方法で(例えば、1つ以上の共有結合を介して)、且つ問題の構造又は部分の任意の好適な位置で、結合されてもよい。例えば「PAS化L-アスパラギナーゼ」とは、プロリン、アラニン、若しくはセリン、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ以上のポリペプチド単位がコンジュゲート又は結合しているL-アスパラギナーゼを指す。したがって、「非PAS化」部分とは、プロリン、アラニン、若しくはセリン、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ以上のポリペプチド単位がコンジュゲート又は結合していないものである。
【0028】
「配列番号1」は以下の通りである:
ADKLPNIVILATGGTIAGSAATGTQTTGYKAGALGVDTLINAVPEVKKLANVKGEQFSNMASENMTGDVVLKLSQRVNELLARDDVDGVVITHGTDTVEESAYFLHLTVKSDKPVVFVAAMRPATAISADGPMNLLEAVRVAGDKQSRGRGVMVVLNDRIGSARYITKTNASTLDTFKANEEGYLGVIIGNRIYYQNRIDKLHTTRSVFDVRGLTSLPKVDILYGYQDDPEYLYDAAIQHGVKGIVYAGMGAGSVSVRGIAGMRKAMEKGVVVIRSTRTGNGIVPPDEELPGLVSDSLNPAHARILLMLALTRTSDPKVIQEYFHTY。
【0029】
製剤
一態様では、水性の非凍結乾燥型製剤であって、(i)4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する、L-アスパラギナーゼと、(ii)1つ以上の安定剤、若しくは1つ以上の緩衝液、又はこれらの任意の組み合わせと、を含む当該製剤が、本明細書で提供される。
【0030】
いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、1つ以上の安定剤を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の安定剤は、1つ以上の二糖類、1つ以上のソルビトール、1つ以上のアミノ酸、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、1つ以上の二糖類を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の二糖類は、トレハロース、スクロース、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、1つ以上の緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液であって、アミノ酸を実質的に含まない、1つ以上の緩衝液。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、1つ以上の安定剤及び1つ以上の緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、40℃で2ヶ月間貯蔵した後で、約0.6%未満の低分子量(LMW)種を含む。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、40℃で2ヶ月間貯蔵した後で、2%未満の高分子量(HMW)種を含む。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、40℃で2ヶ月間貯蔵した後で、約0.6%未満の低分子量(LMW)種及び2%未満の高分子量(HMW)種を含む。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約0.6%未満の低分子量(LMW)種を含む。
【0031】
一態様では、水性の非凍結乾燥型製剤であって、(i)4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有する、L-アスパラギナーゼと、(ii)トレハロース、スクロース、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の二糖類と、(iii)アミノ酸を実質的に含まない1つ以上の緩衝液と、を含み、37℃で1週間貯蔵した後で、約5%未満の低分子量(LMW)種を含む、当該製剤が、本明細書で提供される。
【0032】
一態様では、本明細書で提供される本開示によるL-アスパラギナーゼは、組み換えL-アスパラギナーゼである。更なる態様では、本明細書に記載される本発明によるL-アスパラギナーゼは、L-アスパラギンアミノヒドロラーゼ活性を有する酵素である。こうしたL-アスパラギナーゼの酵素活性としては、アスパラギンからアスパラギン酸及びアンモニアへの脱アミド化のみならず、グルタミンからグルタミン酸及びアンモニアへの脱アミド化も挙げられ得る。
【0033】
いくつかの実施形態では、本明細書に開示されるL-アスパラギナーゼは、多量体として活性である。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼは四量体としての活性酵素である。四量体は、4つのサブユニット(単量体としても知られる)で構成される。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼは、4つの同一の35kDサブユニットからなる四量体である。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼは、非ジスルフィド結合四量体治療用タンパク質である。特定の実施形態では、多量体L-アスパラギナーゼのサブユニット又は単量体の各々が、配列番号1のアミノ酸配列を含む。
【0034】
特定の実施形態では、四量体Lアスパラギナーゼのサブユニット又は単量体の各々が、配列番号1のアミノ酸配列を含む。別の実施形態では、L-アスパラギナーゼは、シグナルペプチド及び/又はリーダー配列を含むか又は含まないかのいずれかである、エルウィニア・クリサンテミNCPPB1066(Genbank登録番号CAA32884、その全体が参照により本明細書に組み込まれる)に由来する。
【0035】
いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼは複数のサブユニット、例えば4つのサブユニット又は単量体(四量体)からなる。対応する修飾タンパク質は、続いて、例えば、その四量体の単量体の各々にコンジュゲートした1~20(又はこれ以上)のペプチドからなり得る。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼは、単量体、並びにL-アスパラギナーゼの単量体の各々にコンジュゲートした1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、及び20(又はこれ以上)のペプチドを含む。特定の実施形態では、L-アスパラギナーゼは、複数のサブユニット又は単量体を含む多量体、例えば四量体であり、その四量体中の単量体の各々が1つのペプチドにコンジュゲートし、4つのコンジュゲートしたペプチド(1つが各単量体に対する)を含む四量体をもたらす。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼは、単量体の各々にコンジュゲートした1~4個のペプチドを含む四量体である。
【0036】
いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼは、L-単量体の各々にコンジュゲートした4~20個のペプチドを含む四量体である。いくつかの実施形態では、Lアスパラギナーゼは、単量体の各々にコンジュゲートした6~18個のペプチドを含む四量体である。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼは、単量体の各々にコンジュゲートした6~18個のペプチドを含む四量体である。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼは、単量体の各々にコンジュゲートした10~15個のペプチドを含む四量体である。
【0037】
一態様では、本発明は、L-アスパラギナーゼ、及び複数の化学結合したペプチド配列を含む修飾タンパク質に関する。更なる態様では、ペプチド配列の長さは、約10~約100、約15~約60、又は約20~約40である。
【0038】
L-アスパラギナーゼのフラグメント、好ましくは配列番号1のL-アスパラギナーゼのフラグメントは、本明細書で説明される発明において役立ち得る。用語「L-アスパラギナーゼのフラグメント」(例えば、配列番号1のL-アスパラギナーゼのフラグメント)とは、L-アスパラギナーゼの配列が、本明細書で例示されるL-アスパラギナーゼ(例えば配列番号1のL-アスパラギナーゼ)よりも少ないアミノ酸であるが、L-アミノヒドロラーゼ活性を付与するのに十分なアミノ酸を含み得ることを意味する。例えば、「L-アスパラギナーゼのフラグメント」とは、本明細書で例示されるL-アスパラギナーゼのうち1つ(例えば、配列番号1のL-アスパラギナーゼ)の少なくとも約150又は200個の連続するアミノ酸(例えば、約150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、300、310、320、321、322、323、324、325、又は326個の連続するアミノ酸)である/からなるフラグメントであり、且つ/或いは、上記のフラグメントは、本明細書で例示される上記のL-アスパラギナーゼ(例えば、配列番号1のL-アスパラギナーゼ)のN末端から、最大50個(例えば、最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50個)のアミノ酸が欠失している、並びに/又は、本明細書で例示される上記のL-アスパラギナーゼ(例えば、配列番号1のLアスパラギナーゼ)のC末端から、最大75若しくは100個(例えば、最大1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、75、80、85、90、95、又は100個)のアミノ酸が欠失している、並びに/又は、本明細書で例示される上記のL-アスパラギナーゼ(例えば、配列番号1のL-アスパラギナーゼ)のN末端及びC末端の両方で、アミノ酸が欠失しており、ここで、欠失したアミノ酸の総数は、最大で125又は150個のアミノ酸であり得る。
【0039】
実際のところ、当業者であれば、そのL-アスパラギナーゼ活性を実質的に保持する相同タンパク質を選択及び設計するための方法を理解するであろう。典型的には、Mashburn及びWristonによって説明される方法(Mashburn,L.,and Wriston,J.(1963)“Tumor Inhibitory Effect ofLAsparaginase,”Biochem Biophys Res Commun 12,50(全体が参照により本明細書に組み込まれる))に従い、L-アスパラギナーゼ活性を決定するためにネスラー(Nessler)アッセイが用いられる。
【0040】
ポリペプチドは、1つ以上のアミノ酸の置換、挿入、欠失、及び/又は付加によって、その酵素活性を保持しながらの修飾が可能であることは、当該技術分野で周知されている。この文脈において、用語「1つ以上のアミノ酸」は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又はそれ以上のアミノ酸を指すことができる。例えば、所与の位置における、タンパク質の機能特性に影響を及ぼさない化学的に同等のアミノ酸による1つのアミノ酸の置換は、以下の基のうちの1つの中での交換として定義され得る一般的な置換である:小脂肪族の、非極性又はわずかに極性の残基:Ala、Ser、Thr、Pro、Gly;極性の、負荷電残基及びそれらのアミド:Asp、Asn、Glu、Gln;極性の、正荷電残基:His、Arg、Lys;大脂肪族の、非極性残基:Met、Leu、Ile、Val、Cys;大芳香族残基:Phe、Tyr、Trp。
【0041】
したがって、1つの不荷電残基から別の不荷電残基への(例えばアスパラギン酸からグルタミン酸への)置換、又は1つの正荷電残基から別の正荷電残基への(例えばアルギニンからリシンへの)置換をもたらす変化は、機能的に同等な生成物を産生することが期待され得る。
【0042】
アミノ酸が修飾される位置、及びアミノ酸配列中で修飾され得るアミノ酸の数は、特に限定されない。当業者であれば、タンパク質の活性に影響を及ぼすことなく導入可能な修飾を認識することができる。例えば、タンパク質のN又はC末端部分における修飾は、特定の環境下ではタンパク質の活性を変更しないことが予期され得る。特に、アスパラギナーゼに関しては、特に活性の触媒部位を形成する配列、構造、及び残基に関して多くの特性決定を行う必要がある。これにより、酵素の活性に影響を及ぼすことなく修飾が可能な残基に関する手引きが得られる。既知の細菌供給源由来のLアスパラギナーゼは全て、共通の構造的特性を有する。全てが、2つの隣接する単量体のN末端ドメインとC末端ドメインとの間に4つの活性部位を有するホモ四量体である(Aghaipour(2001)Biochemistry 40,5655-5664(全体が参照により本明細書に組み込まれる))。全てが、その三次構造及び四次構造に高度な類似性を有している(Papageorgiou(2008)FEBS J.275,4306-4316(全体が参照により本明細書に組み込まれる))。L-アスパラギナーゼの触媒部位の配列は、エルウィニア・クリサンテミ、エルウィニア・カロトボーラ(Erwinia carotovora)、及び大腸菌のL-アスパラギナーゼIIの間で高度に保存されている(同書)。活性部位の可動性ループは、アミノ酸残基14~33を含有しており、構造解析は、Thrl5、Thr95、Ser62、Glu63、Asp96、及びAlal20がリガンドに接触することを示す(同書)。Aghaipour et al.は、その基質と複合体を形成した酵素の高分解能結晶構造を調べることによって、エルウィニア・クリサンテミL-アスパラギナーゼの4つの活性部位の詳細な解析を実施した(Aghaipour(2001)Biochemistry 40,5655-5664)。Kotzia et al.は、いくつかのエルウィニア(Erwinia)の種及び亜種由来のL-アスパラギナーゼの配列を提供し、タンパク質は、エルウィニア・クリサンテミとエルウィニア・カロトボーラとの間で約75~77%の同一性しか有さないが、これらの各々は依然としてL-アスパラギナーゼ活性を有する(Kotzia(2007)J.Biotechnol.127,657-669)。Moola et alは、エルウィニア・クリサンテミ3937L-アスパラギナーゼのエピトープマッピング研究を実施し、アスパラギナーゼの免疫原性を低下させる試みにおいて様々な抗原配列を突然変異させた後であっても、これらは酵素活性を保持することが可能であった(Moola(1994)Biochem.J.302,921-927)。L-アスパラギナーゼ上で実施された広範囲の特性決定を考慮すると、当業者であれば、依然として酵素活性を保持しながらフラグメント及び/又は配列置換を行う方法を決定することが可能である。
【0043】
より具体的には、本発明のL-アスパラギナーゼに用いられるタンパク質の定義には、配列番号1のタンパク質のフラグメントも含まれる。用語「配列番号1のフラグメント」とは、ポリペプチドの配列が、完全長の配列番号1よりも少ないアミノ酸を含む場合があるが、Lアミノヒドロラーゼ活性を付与するのに十分なタンパク質を保持することを意味する。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼは、配列番号1を含むタンパク質と少なくとも約80%の相同性又は同一性を有する。
【0044】
いくつかの実施形態では、製剤のL-アスパラギナーゼは4つの単量体単位を含み、各単量体単位は、配列番号1と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、各単量体単位は、配列番号1と少なくとも約70%、約71%、約72%、約73%、約74%、約75%、約76%、約77%、約78%、約79%、約80%、約81%、約82%、約83%、または約84%同一であるアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態では、各単量体単位は、配列番号1と少なくとも約85%、約86%、約87%、約88%、約89%、約90%、約91%、約92%、約93%、約94%、約95%、約96%、約97%、約98%、または約99%同一であるアミノ酸配列を有する。
【0045】
いくつかの実施形態では、製剤のL-アスパラギナーゼは、約20mg/mLの濃度で存在する。
【0046】
いくつかの実施形態では、製剤のL-アスパラギナーゼは非PEG化されている。いくつかの実施形態では、製剤のL-アスパラギナーゼは非PAS化されている。いくつかの実施形態では、製剤のL-アスパラギナーゼは、非PEG化且つ非PAS化されている。
【0047】
いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、L-アスパラギナーゼ製剤は、1つ以上の安定剤を含む。いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、1つ以上の安定剤は、1つ以上の二糖類、1つ以上のソルビトール、1つ以上のアミノ酸、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、L-アスパラギナーゼ製剤は、1つ以上の緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、1つ以上の緩衝液は、酢酸塩、グルタミン酸塩、クエン酸塩、ヒスチジン、コハク酸塩、リン酸塩、ヒドロキシメチルアミノメタン(例えば、Tris)、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、L-アスパラギナーゼ製剤は、1つ以上の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、1つ以上の界面活性剤は、ポリソルベート80(例えばTween80)、ポリソルベート20(例えばTween20)、ポロキサマー188、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、L-アスパラギナーゼ製剤は、1つ以上のポリオール(例えばマンニトール及びソルビトール)、1つ以上の二糖類(例えばスクロース及びトレハロース)、及び1つ以上の多糖類(例えばデキストラン40)を含む。いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、L-アスパラギナーゼ製剤は、塩化ナトリウムを含む。いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、L-アスパラギナーゼ製剤は、1つ以上のアミノ酸(例えばプロリン、グリシン、及びアルギニー(arginie))を含む。
【0048】
いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、製剤は、1つ以上の安定剤を約50mM~約300mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の安定剤を、約75mM~約300mM、約100mM~約300mM、約125mM~約300mM、約150mM~約300mM、約175mM~約300mM、約200mM~約300mM、約225mM~約300mM、約250mM~約300mM、又は約275mM~約300mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の安定剤を、約50mM~約275mM、約50mM~約250mM、約50mM~約225mM、約50mM~約200mM、約50mM~約175mM、約50mM~約150mM、約50mM~約125mM、約50mM~約100mM、又は約50mM~約75mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の安定剤を約150mM~約275mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の安定剤を、約150mM~約200mM、約150mM~約190mM、約150mM~約180mM、150mM~約170mM、又は約160mM~150mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の安定剤を、約160mM~約200mM、約170mM~約200mM、約180mM~約200mM、又は約190mM~約200mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の安定剤を約170mMの濃度で含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、製剤の1つ以上の二糖類はトレハロースを含む。その他の実施形態では、製剤の1つ以上の二糖類はスクロースを含む。いくつかの実施形態では、製剤の1つ以上の二糖類は、トレハロースとスクロースとの組み合わせを含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の二糖類を約50mM~約300mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の二糖類を、約75mM~約300mM、約100mM~約300mM、約125mM~約300mM、約150mM~約300mM、約175mM~約300mM、約200mM~約300mM、約225mM~約300mM、約250mM~約300mM、又は約275mM~約300mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の二糖類を、約50mM~約275mM、約50mM~約250mM、約50mM~約225mM、約50mM~約200mM、約50mM~約175mM、約50mM~約150mM、約50mM~約125mM、約50mM~約100mM、又は約50mM~約75mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の二糖類を約150mM~約275mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の二糖類を、約150mM~約200mM、約150mM~約190mM、約150mM~約180mM、150mM~約170mM、又は約160mM~150mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の二糖類を、約160mM~約200mM、約170mM~約200mM、約180mM~約200mM、又は約190mM~約200mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の二糖類を約170mMの濃度で含む。
【0051】
いくつかの実施形態では、製剤は、トレハロースを約50mM~約300mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の二糖類を、約75mM~約300mM、約100mM~約300mM、約125mM~約300mM、約150mM~約300mM、約175mM~約300mM、約200mM~約300mM、約225mM~約300mM、約250mM~約300mM、又は約275mM~約300mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、トレハロースを、約50mM~約275mM、約50mM~約250mM、約50mM~約225mM、約50mM~約200mM、約50mM~約175mM、約50mM~約150mM、約50mM~約125mM、約50mM~約100mM、又は約50mM~約75mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、トレハロースを約150mM~約275mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、トレハロースを、約150mM~約200mM、約150mM~約190mM、約150mM~約180mM、150mM~約170mM、又は約160mM~150mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、トレハロースを、約160mM~約200mM、約170mM~約200mM、約180mM~約200mM、又は約190mM~約200mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、トレハロースを約170mMの濃度で含む。
【0052】
いくつかの実施形態では、製剤の1つ以上の緩衝液は、アミノ酸を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤の1つ以上の緩衝液は、ヒスチジン若しくはアルギニン、又はその両方を実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤の1つ以上の緩衝液は、ヒスチジンを実質的に含まない。いくつかの実施形態では、製剤の1つ以上の緩衝液は、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、リン酸緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、酢酸緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、リン酸緩衝液と酢酸緩衝液との組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液はアルカリ金属の酢酸塩を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液はアルカリ金属のリン酸塩を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液は、リン酸ナトリウムを含む。
【0053】
いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の緩衝液を約0.5mM~約50mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の緩衝液を、約1mM~約50mM、約2.5mM~約50mM、約5mM~約50mM、約10mM~約50mM、約15mM~約50mM、約20mM~約50mM、約25mM~約50mM、約30mM~約50mM、約35mM~約50mM、約40mM~約50mM、又は約45mM~約50mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の緩衝液を、約0.5mM~約45mM、約0.5mM~約40mM、約0.5mM~約35mM、約0.5mM~約30mM、約0.5mM~25mM、約0.5mM~約20mM、約0.5mM~約15mM、約0.5mM~約10mM、約0.5mM~約5mM、約0.5M~約2.5mM、又は0.5mM~約1mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の緩衝液を、約10mM~約30mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の緩衝液を、約15mM~約25mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の緩衝液を約20mMの濃度で含む。
【0054】
いくつかの実施形態では、製剤は、リン酸ナトリウムを約0.5mM~約50mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、リン酸ナトリウムを、約1mM~約50mM、約2.5mM~約50mM、約5mM~約50mM、約10mM~約50mM、約15mM~約50mM、約20mM~約50mM、約25mM~約50mM、約30mM~約50mM、約35mM~約50mM、約40mM~約50mM、又は約45mM~約50mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、リン酸ナトリウムを、約0.5mM~約45mM、約0.5mM~約40mM、約0.5mM~約35mM、約0.5mM~約30mM、約0.5mM~25mM、約0.5mM~約20mM、約0.5mM~約15mM、約0.5mM~約10mM、約0.5mM~約5mM、約0.5M~約2.5mM、又は0.5mM~約1mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、リン酸ナトリウムを約10mM~約30mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、リン酸ナトリウムを約15mM~約25mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、リン酸ナトリウムを約20mMの濃度で含む。
【0055】
いくつかの実施形態では、製剤は、アルカリ金属塩を更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ハロゲン化物塩を更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、アルカリ金属のハロゲン化物塩を更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、塩化ナトリウムを更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、塩化ナトリウムを約25mM~約150mMの濃度で更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、塩化ナトリウムを、約30mM~約150mM、約40mM~約150mM、約50mM~約150mM、約60mM~約150mM、約70mM~約150mM、約80mM~約150mM、約90mM~約150mM、約100mM~約150mM、約110mM~約150mM、約120mM~約150mM、約130mM~約150mM、又は約140mM~約150mMの濃度で更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、塩化ナトリウムを、約25mM~約140mM、約25mM~130mM、約25mM~約120mM、約25mM~約110mM、約25mM~約100mM、約25mM~約90mM、約25mM~約80mM、約25mM~約70mM、約25mM~約60mM、約25mM~約50mM、約25mM~約40mM、又は約25mM~30mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、塩化ナトリウムを、約30mM~約70mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、塩化ナトリウムを、約40mM~約60mMの濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、塩化ナトリウムを約50mMの濃度で含む。
【0056】
いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の賦形剤を更に含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の賦形剤は、1つ以上の界面活性剤を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の賦形剤は、1つ以上の乳化剤を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の賦形剤はソルビタン由来である。いくつかの実施形態では、1つ以上の賦形剤はポリソルベート80(PS-80としても知られる)を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の賦形剤はポリソルベート20を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の賦形剤は、ポリソルベート80とポリソルベート20との組み合わせを含む。
【0057】
いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の賦形剤を約0.3%(w/v)以下の濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の賦形剤を約0.28%(w/v)以下の濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の賦形剤を約0.26%(w/v)以下の濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の賦形剤を約0.24%(w/v)以下の濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の賦形剤を約0.22%(w/v)以下の濃度で含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の賦形剤を、約0.004%(w/v)~約0.3%(w/v)の濃度で更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の賦形剤を、約0.01%(w/v)~約0.3%(w/v)の濃度で更に含む。
【0058】
いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の賦形剤を、約0.004%(w/v)~約0.2%(w/v)の濃度で更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の賦形剤を、約0.004%(w/v)~約0.18%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.16%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.14%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.12%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.1%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.08%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.06%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.04%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.03%、約0.004%(w/v)~約0.025%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.02%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.015%(w/v)、又は約0.004%(w/v)~約0.01%(w/v)の濃度で更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の賦形剤を、約0.01%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.015%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.02%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.025%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.03%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.04%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.05%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.06%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.07%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.08%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.09%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.1%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.12%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.14%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.16%(w/v)~約0.2%(w/v)、又は約0.18%(w/v)~0.2%(w/v)の濃度で更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の賦形剤を、約0.01%(w/v)~約0.03%(w/v)の濃度で更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の賦形剤を、約0.015%(w/v)~約0.025%(w/v)の濃度で更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、1つ以上の賦形剤を約0.02%(w/v)の濃度で更に含む。
【0059】
いくつかの実施形態では、製剤は、ポリソルベート80を、約0.004%(w/v)~約0.2%(w/v)の濃度で更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ポリソルベート80を、約0.004%(w/v)~約0.18%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.16%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.14%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.12%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.1%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.08%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.06%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.04%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.03%、約0.004%(w/v)~約0.025%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.02%(w/v)、約0.004%(w/v)~約0.015%(w/v)、又は約0.004%(w/v)~約0.01%(w/v)の濃度で更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ポリソルベート80を、約0.01%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.015%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.02%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.025%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.03%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.04%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.05%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.06%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.07%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.08%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.09%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.1%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.12%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.14%(w/v)~約0.2%(w/v)、約0.16%(w/v)~約0.2%(w/v)、又は約0.18%(w/v)~0.2%(w/v)の濃度で更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ポリソルベート80を、約0.01%(w/v)~約0.03%(w/v)の濃度で更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ポリソルベート80を、約0.015%(w/v)~約0.025%(w/v)の濃度で更に含む。いくつかの実施形態では、製剤は、ポリソルベート80を、約0.02%(w/v)の濃度で更に含む。
【0060】
いくつかの実施形態では、本明細書で提供される製剤は、約4.0~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、製剤は、約4.5~約8.5、約5.0~約8.5、約5.5~約8.5、約6.0~約8.5、約6.5~約8.5、約7.0~約8.5、約7.5~約8.5、又は約8.0~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、製剤は、約4.5~約8.0、約4.5~約7.5、約4.5~約7.0、約4.5~約6.5、約4.5~約6.0、約4.5~約5.5、又は約4.5~約5.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される製剤は、約4.0~約8.0、約4.0~約7.5、約4.0~約7.0、約4.0~約6.5、約4.0~約6.0、約4.0~約5.5、約4.0~約5.0、又は約4.0~約4.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される製剤は、約5.5~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される製剤は、約6.0~約8.0のpHを有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される製剤は、6.5~約7.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、本明細書で提供される製剤は、7.0前後のpHを有する。
【0061】
いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、水性の非凍結乾燥型製剤であって、(i)4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する、L-アスパラギナーゼと、(ii)1つ以上の安定剤、若しくは1つ以上の緩衝液、又はこれらの任意の組み合わせと、を含む当該製剤が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、1つ以上の安定剤を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の安定剤は、1つ以上の二糖類、1つ以上のソルビトール、1つ以上のアミノ酸、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、1つ以上の二糖類を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の二糖類は、トレハロース、スクロース、又はこれらの任意の組み合わせを含む。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、1つ以上の緩衝液を含む。いくつかの実施形態では、1つ以上の緩衝液であって、アミノ酸を実質的に含まない、1つ以上の緩衝液。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、40℃で2ヶ月間貯蔵した後で、約0.6%未満の低分子量(LMW)種を含む。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、40℃で2ヶ月間貯蔵した後で、2%未満の高分子量(HMW)種を含む。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、40℃で2ヶ月間貯蔵した後で、約0.6%未満の低分子量(LMW)種及び2%未満の高分子量(HMW)種を含む。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約0.6%未満の低分子量(LMW)種を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約4.0~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、製剤は約7.0のpHを有する。
【0062】
いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、(i)L-アスパラギナーゼは、各単量体単位が配列番号1と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する4つの単量体単位を含み、且つ20mg/mL前後の濃度で存在する、(ii)約50mM~約300mMの濃度で1つ以上の安定剤(例えば、二糖類、ソルビトール、アミノ酸、又はこれらの任意の組み合わせ)、(iii)約0.5mM~約50mMの濃度の1つ以上の緩衝液(例えば、酢酸塩、グルタミン酸塩、クエン酸塩、ヒスチジン、コハク酸塩、リン酸塩、ヒドロキシメチルアミノメタン、又はこれらの任意の組み合わせ)、(iv)約25mM~約150mMの濃度で存在する塩化ナトリウム、及び(v)約0.004%(w/v)~約0.3%(w/v)の濃度の1つ以上の界面活性剤(例えばポリソルベート80、ポリソルベート20、ポロキサマー188、又はこれらの任意の組み合わせ)。いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、製剤は、約4.0~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、製剤は約7.0のpHを有する。
【0063】
いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、(i)L-アスパラギナーゼは、各単量体単位が配列番号1と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する4つの単量体単位を含み、且つ20mg/mL前後の濃度で存在する、(ii)約50mM~約300mMの濃度で存在するトレハロース、(iii)リン酸ナトリウムであって、当該リン酸ナトリウム(例えばリン酸二ナトリウム(無水)、リン酸一ナトリウム一水和物、又はこれらの組み合わせ)が約0.5mM~約50mMの濃度で存在する、当該リン酸ナトリウム、(iv)約25mM~約150mMの濃度で存在する塩化ナトリウム;及び(v)約0.004%(w/v)~約0.2%(w/v)の濃度で存在するポリソルベート80。
【0064】
いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、L-アスパラギナーゼは単位剤形中に製剤化され得る。用語「単位剤形」とは、ヒト対象及びその他の哺乳動物への単位用量として好適な物理的に別個の単位を指し、各単位は、好適な薬学的賦形剤と共同して所望の治療効果を生むように計算された所定量の活性成分を含有する。いくつかの実施形態では、単位用量は、12時間毎、24時間毎、48時間毎、又は72時間毎に投与され得る。いくつかの実施形態では、単位用量は48時間毎に投与される。いくつかの実施形態では、単位用量は約5mg~約50mg(例えば、約6mg、7mg、8mg、9mg、10mg、11mg、12mg、13mg、14mg、15mg、16mg、17mg、18mg、19mg、20mg、21mg、22mg、23mg、24mg、25mg、26mg、27mg、28mg、29mg、30mg、31mg、32mg、33mg、34mg、35mg、36mg、37mg、38mg、39mg、40mg、41mg、42mg、43mg、44mg、45mg、46mg、47mg、48mg、及び49mg)のL-アスパラギナーゼを含有する。
【0065】
いくつかの実施形態では、水性の非凍結乾燥型製剤であって、(i)4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有する、L-アスパラギナーゼと、(ii)トレハロース、スクロース、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の二糖類と、(iii)アミノ酸を実質的に含まない1つ以上の緩衝液と、(iv)塩化ナトリウムと、を含み、37℃で1週間貯蔵した後で、約5%未満の低分子量(LMW)種を含む、当該製剤が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、製剤は、約4.0~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、製剤は約7.0のpHを有する。
【0066】
いくつかの実施形態では、水性の非凍結乾燥型製剤であって、(i)4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有する、L-アスパラギナーゼと、(ii)トレハロース、スクロース、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の二糖類と、(iii)アミノ酸を実質的に含まない1つ以上の緩衝液と、(iv)1つ以上の賦形剤と、を含み、37℃で1週間貯蔵した後で、約5%未満の低分子量(LMW)種を含む、当該製剤が、本明細書で提供される。
【0067】
いくつかの実施形態では、水性の非凍結乾燥型製剤であって、(i)4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有する、L-アスパラギナーゼと、(ii)トレハロース、スクロース、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の二糖類と、(iii)アミノ酸を実質的に含まない1つ以上の緩衝液と、(iv)塩化ナトリウムと、(v)1つ以上の賦形剤と、を含み、37℃で1週間貯蔵した後で、約5%未満の低分子量(LMW)種を含む、当該製剤が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、製剤は、約4.0~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、製剤は約7.0のpHを有する。
【0068】
いくつかの実施形態では、水性の非凍結乾燥型製剤であって、(i)4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有する、L-アスパラギナーゼと、(ii)トレハロース、スクロース、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の二糖類と、(iii)アミノ酸を実質的に含まない1つ以上の緩衝液と、(iv)ポリソルベート80と、を含み、37℃で1週間貯蔵した後で、約5%未満の低分子量(LMW)種を含む、当該製剤が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、製剤は、約4.0~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、製剤は約7.0のpHを有する。
【0069】
いくつかの実施形態では、水性の非凍結乾燥型製剤であって、(i)4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有する、L-アスパラギナーゼと、(ii)トレハロース、スクロース、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の二糖類と、(iii)アミノ酸を実質的に含まない1つ以上の緩衝液と、(iv)塩化ナトリウムと、(v)ポリソルベート80と、を含み、37℃で1週間貯蔵した後で、約5%未満の低分子量(LMW)種を含む、当該製剤が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、製剤は、約4.0~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、製剤は約7.0のpHを有する。
【0070】
いくつかの実施形態では、水性の非凍結乾燥型製剤であって、(i)4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有する、L-アスパラギナーゼと、(ii)トレハロースと、(iii)リン酸ナトリウムと、(iv)塩化ナトリウムと、(v)ポリソルベート80と、を含み、37℃で1週間貯蔵した後で、約5%未満の低分子量(LMW)種を含む、当該製剤が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、製剤は、約4.0~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、製剤は約7.0のpHを有する。
【0071】
いくつかの実施形態では、水性の非凍結乾燥型製剤であって、(i)L-アスパラギナーゼであって、当該L-アスパラギナーゼが4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有し、当該L-アスパラギナーゼが、20mg/mL前後の濃度で存在する、当該L-アスパラギナーゼと、(ii)約50mM~約300mMの濃度で存在するトレハロースと、(iii)約0.5mM~約50mMの濃度で存在するリン酸ナトリウムと、(iv)約25mM~約150mMの濃度で存在する塩化ナトリウムと、(v)約0.004%(w/v)~約0.2%(w/v)の濃度で存在するポリソルベート80と、を含み、37℃で1週間貯蔵した後で、約5%未満の低分子量(LMW)種を含む、当該製剤が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、製剤は、約4.0~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、製剤は約7.0のpHを有する。
【0072】
いくつかの実施形態では、水性の非凍結乾燥型製剤であって、(i)L-アスパラギナーゼであって、当該L-アスパラギナーゼが4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有し、当該L-アスパラギナーゼが、20mg/mL前後の濃度で存在する、当該L-アスパラギナーゼと、(ii)約170mMの濃度で存在するトレハロースと、(iii)約20mMの濃度で存在するリン酸ナトリウムと、(iv)約50mMの濃度で存在する塩化ナトリウムと、(v)約0.02%(w/v)の濃度で存在するポリソルベート80と、を含み、37℃で1週間貯蔵した後で、約5%未満の低分子量(LMW)種を含む、当該製剤が、本明細書で提供される。いくつかの実施形態では、製剤は、約4.0~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、製剤は約7.0のpHを有する。
【0073】
いくつかの実施形態では、本明細書の他の箇所で説明される製剤が本明細書で提供され、当該製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約5%未満の低分子量(LMW)種を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約4.5%未満の低分子量(LMW)種を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約4%未満の低分子量(LMW)種を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約3.5%未満の低分子量(LMW)種を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約3%未満の低分子量(LMW)種を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約2.5%未満の低分子量(LMW)種を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約2%未満の低分子量(LMW)種を含む。製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約1.5%未満の低分子量(LMW)種を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約1%未満の低分子量(LMW)種を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約0.5%未満の低分子量(LMW)種を含む。
【0074】
本明細書で説明される製剤の各構成要素及び/又は特徴は、本明細書で説明される製剤の任意の他の構成要素及び/又は特徴との組み合わせで、あたかも本明細書で説明される構成要素及び/又は特徴のありとあらゆる組み合わせが個別に且つ具体的に列挙されているかのように存在し得ることを理解されたい。
【0075】
治療方法
本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、対象(例えばヒト)における、アスパラギンの枯渇又はアスパラギナーゼの投与によって治療可能な疾患の治療に使用することができる。いくつかの実施形態では、ヒト対象は、L-アスパラギナーゼを投与する前に、大腸菌由来のアスパラギナーゼの無症候性不活化を経験している。いくつかの実施形態では、対象は、L-アスパラギナーゼを投与する前に、大腸菌由来のアスパラギナーゼに対するアレルギー反応を経験している。いくつかの実施形態では、対象は、L-アスパラギナーゼを投与する前に、大腸菌由来のアスパラギナーゼに対するアナフィラキシーを経験している。アレルギー又は過敏症の他覚的徴候の非限定的な例としては、アスパラギナーゼ酵素に対する「抗体陽性」の試験が挙げられる。
【0076】
いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)の治療、又はその治療に使用するための薬剤の製造に有用である。ALL患者におけるL-アスパラギナーゼでの治療した後の再発率は依然として高く、小児ALL患者の約10~25%で早期再発がある(例えば、一部は導入後30~36ヶ月における維持段階の間に)。大腸菌由来L-アスパラギナーゼで治療された患者に再発があった場合、大腸菌調剤による後続の治療は、「ワクチン接種」効果をもたらすことができ、それにより、大腸菌調剤は後続の投与中で免疫原性が増加する。一実施形態では、本発明のL-アスパラギナーゼは、過去に他のアスパラギナーゼ調剤で治療を受けた再発性ALL患者、特に、過去に大腸菌由来アスパラギナーゼで治療を受けた再発性ALL患者の治療法に用いることができる。
【0077】
本開示のL-アスパラギナーゼ製剤が治療に有用である疾患又は障害としては、血液学的悪性腫瘍、リンパ腫、非ホジキンリンパ腫、NKリンパ腫、膵臓がん、ホジキン病、大細胞型免疫芽球性リンパ腫、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病、急性骨髄単球性白血病、急性単球白血病、急性T細胞白血病、急性骨髄性白血病(AML)、混合型B細胞骨髄単球性白血病、慢性リンパ球性白血病、リンパ肉腫、細網肉腫、及び黒色肉腫、並びにびまん性大細胞型B細胞リンパ腫(DLBCL)が挙げられるがこれらに限定されない、悪性腫瘍又はがんが挙げられるが、これらに限定されない。L-アスパラギナーゼ製剤が治療に有用なその他の疾患又は障害は、腎細胞癌、腎細胞腺癌、多形性膠芽腫及び膠芽細胞腫星状細胞腫を含む膠芽細胞腫、髄芽細胞腫、横紋筋肉腫、悪性黒色腫、類表皮癌、扁平上皮細胞癌腫、大細胞型肺癌及び小細胞型肺癌を含む肺癌、子宮内膜癌、卵巣腺癌、卵巣奇形癌、子宮頸腺癌、乳癌、乳腺癌、乳管癌、膵臓腺癌、膵管癌、結腸癌、結腸腺癌、結腸直腸腺癌、膀胱移行細胞癌、膀胱乳頭腫、前立腺癌、骨肉腫、骨類上皮癌、前立腺癌、及び甲状腺がんが挙げられるがこれらに限定されないがんである。がんは固形がん、例えば肺がん又は乳がんであり得る。アスパラギン枯渇に応答する代表的な非悪性の血液性疾患としては、免疫系媒介性の血液疾患が挙げられ、これとしては、HIV感染症によって引き起こされるもの(即ちAIDS)などの感染性疾患が挙げられるが、これらに限定されない。アスパラギン依存性に関連する非血液学的疾患としては、自己免疫疾患、例えば、関節リウマチ、膠原血管病、AIDS、変形性関節症、アイザック症候群、乾癬、インスリン依存性糖尿病、多発性硬化症、硬化性汎脳炎、全身性エリテマトーデス(SLE)、リウマチ熱、炎症性腸疾患(例えば、潰瘍性大腸炎及びクローン病)、原発性胆汁性肝硬変、慢性活動性肝炎、糸球体腎炎、重症筋無力症、尋常性天疱瘡、及びグレーブス病が挙げられる。疾患の原因と疑われる細胞は、任意の好適なインビトロ又はインビボアッセイ、例えば、成長培地がアスパラギンを欠如しているインビトロアッセイにて、アスパラギン依存性を試験されてもよい。
【0078】
いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、その必要のある対象におけるアスパラギン枯渇によって治療可能な疾患、病状、又は障害は、WNT変異結腸直腸がん(CRC)を含む。いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、その必要のある対象におけるアスパラギン枯渇によって治療可能な疾患、病状、又は障害は、再発寛解型(R/R)急性骨髄性白血病(AML)を含む。
【0079】
本開示のL-アスパラギナーゼ製剤が治療に有用である疾患又は障害としては、肉腫、乳がん、転移性乳がん、肝がん、胃がん、結腸直腸がん、及び頭頸部がんが挙げられるが、これらに限定されない。
【0080】
医薬組成物及び同時投与
いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、多剤式化学療法レジメンと同時投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、多剤式化学療法レジメンの一部としての1つ以上の他の化学療法剤と同時投与される。いくつかの実施形態では、その他の剤に加えて本開示のL-アスパラギナーゼ製剤で患者を治療することは、大腸菌由来アスパラギナーゼに対する過敏症を発症した患者に対するアスパラギナーゼの利用可能性を保証することを助ける。
【0081】
本開示のL-アスパラギナーゼとの多剤式化学療法レジメンの一部となり得る剤の例としては、シタラビン、ビンクリスチン、ダウノルビシン、メトトレキサート、ロイコボリン、ドキソルビシン、アントラサイクリン、コルチコステロイド及びグルココルチオド(glucocortiod)(プレドニゾン、プレドニゾロン、及び/又はデキサメタゾンが挙げられるが、これらに限定されない)シクロホスファミド、6-メルカプトプリン、ベネトクラクス、並びにエトポシドが挙げられるが、これらに限定されない。いくつかの実施形態では、多剤式化学療法レジメンは、L-アスパラギナーゼ及び1つの追加の化学療法剤である。いくつかの実施形態では、多剤式化学療法レジメンは、L-アスパラギナーゼ及び2つ以上の追加の化学療法剤である。
【0082】
一例として、ALL患者は、本開示のL-アスパラギナーゼは、導入、地固め、又は強化を含む3つの化学療法段階、及び維持の間に、多剤化学療法と共に同時投与されることになる。具体的な実施例では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、アスパラギン合成酵素阻害剤(例えば、その全体が参照に本明細書に組み込まれる国際公開第2007/103290号パンフレットに記載されるような)と同時投与される。別の具体的な実施例では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、アスパラギン合成酵素阻害剤とは同時投与されないが、他の化学療法薬と同時投与される。別の具体的な実施例では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、アスパラギン合成酵素阻害剤及び他の化学療法薬と同時投与される。本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、多剤化学療法レジメンの一部として、その他の化合物の前に、後に、又はこれと同時に、同時投与され得る。特定の実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼは、蛍光菌中で組み換え産生されたタンパク質、より具体的には配列番号1の配列を含むL-アスパラギナーゼを含む。
【0083】
本明細書に記載の製剤は、医薬組成物として標準的技法を用いて患者に投与され得る。技法及び製剤は、一般的には、Remington’s Pharmaceutical Sciences,22nd edition,Mack Publishing,2015(参照により本明細書に組み込まれる)で見出され得る。
【0084】
好適な剤形は、一部には、例えば、経口的、経皮的、経粘膜的、又は注射による(非経口的)などの用法又は侵入経路に依存する。こうした剤形は、治療薬が標的細胞に到達することを可能にするか、又はその他の方法で所望の治療効果を有するべきである。例えば、血流中に注射された医薬組成物は、好ましくは可溶性である。本開示の医薬組成物は、薬学的に許容される塩及びその複合体として製剤化され得る。薬学的に許容される塩は、それが投与される量及び濃度で存在する非毒性塩である。こうした塩の調製は、化合物の物理的特性を変化させることにより、その生理学的効果の発揮を妨げることなしに薬学的使用を容易にさせ得る。物理的特性の有用な変化としては、経粘膜的投与を容易にするために融点を低下させること、及びより高濃度の薬物の投与を容易にするために可溶性を増加させることが挙げられる。当業者には理解されるように、本明細書に記載の修飾タンパク質の薬学的に許容される塩は、複合体として存在し得る。薬学的に許容される塩としては、硫酸塩、塩酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、スルファミン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミン酸塩、及びキナ酸塩を含有するものなどの酸付加塩が挙げられる。薬学的に許容される塩は、塩酸、マレイン酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、フマル酸、及びキナ酸を含む酸から得ることができる。カルボン酸又はフェノールなどの酸性官能基が存在する場合、薬学的に許容される塩としては、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム、アルキルアミン、及び亜鉛を含有するものなどの塩基付加塩も挙げられる。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences(上記)を参照されたい。こうした塩は、適した対応する塩基を用いて調製することができる。特定のアスパラギナーゼの投与を容易にするため、薬学的に許容される担体及び/又は賦形剤も、本発明の医薬組成物に組み込むことができる。本発明の実行における使用に好適な担体の例としては、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、ラクトース、グルコース若しくはスクロースなどの様々な糖類、又は一種のデンプン、セルロース誘導体、ゼラチン、植物油、ポリエチレングリコール、及び生理学的に適合した溶媒が挙げられる。生理学的に適合した溶媒の例としては、注射用蒸留水(WFI)の滅菌溶液、食塩水、及びデキストロースが挙げられる。
【0085】
本発明の医薬組成物は、静脈内、腹腔内、皮下、筋肉内、経口、局所(経皮)、又は経粘膜的投与を含む異なる経路によって投与可能である。経口投与の場合、例えば、化合物は、カプセル剤、錠剤、並びに液状製剤、例えば、シロップ、エリキシル剤、及び濃縮滴剤などの従来の経口剤形中に製剤化が可能である。或いは、筋肉内、静脈内、腹腔内、及び皮下注射などの注射(非経口投与)を使用してもよい。注射の場合、医薬組成物は、溶液、好ましくは、例えば、生理食塩液、ハンクス溶液、又はリンガー溶液などの生理学的に適合した緩衝液又は溶液中に製剤化される。特定の態様では、L-アスパラギナーゼ製剤は筋肉内投与される。特定の態様では、L-アスパラギナーゼ製剤は静脈内投与される。特定の態様では、L-アスパラギナーゼ製剤は皮下投与される。
【0086】
全身投与もまた、経粘膜又は経皮的手段によって達成可能である。経粘膜又は経皮投与の場合、製剤中で、浸透させるべき障壁に適した浸透剤が使用される。こうした浸透剤は当該技術分野で周知されており、これとしては、例えば、経粘膜投与の場合では胆汁塩及びフシジン酸誘導体が挙げられる。更に、浸透を促進するために界面活性剤を用いてもよい。経粘膜投与は、例えば、鼻腔用スプレー、(肺送達用)吸入器、肛門坐剤、又は膣坐剤を介してもよい。局所投与の場合、当該技術分野で周知されるように、化合物は、軟膏(ointment)、軟膏(salve)、ゲル、又はクリーム中に製剤化することが可能である。
【0087】
投薬
いくつかの実施形態では、用量とは、特定の時間及び頻度にわたりヒト対象に投与される量である。いくつかの実施形態では、過敏症が減弱される場合にのみ、過敏症を有するヒト対象にL-アスパラギナーゼ製剤の用量が与えられる。
【0088】
例示的な一実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、約10mg/m~100mg/mの量でヒト対象に投与される。例示的な一実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、連続5日間にわたって1日おきに筋肉内投与され、これに連続2日間の休止期間が続き、量は約25mg/mである。例示的な一実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、連続5日間にわたって1日おきに静脈内投与され、これに連続2日間の休止期間が続き、量は約37.5mg/mである。例示的な一実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、連続5日間にわたって1日おきに静脈内投与され、これに連続2日間の休止期間が続き、量は約50mg/mである。
【0089】
更なる例示的な実施形態では、また、投薬に関する本明細書の考察のいずれかに従えば、こうした用量で投与されるL-アスパラギナーゼ製剤は、PEG部分などのポリマーにコンジュゲートせず、且つ/或いは、アラニン及び/又はプロリン残基のみを含むペプチドにコンジュゲートしない。
【0090】
1.用量の量
送達するべき本開示のL-アスパラギナーゼ製剤の量は、多くの因子、例えばIC50、EC50、化合物の生物学的半減期、患者の年齢、寸法、体重、及び健康状態、並びに治療対象の疾患又は障害によって変わる。考慮されるべきこれら及びその他の因子の重要性は、当業者に周知されている。一般に、ALL又はLBLが挙げられるがこれらの限定されない疾患を治療するためは、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤の量が、患者の身体の表面積1平方メートルあたり約1ミリグラム(mg/m)から1,000/mの範囲で投与され、用量範囲は約10mg/m~約100mg/mである。当然ながら、主治医によって決定されるとおり、他の用量及び/又は治療レジメンを用いてもよい。
【0091】
いくつかの実施形態では、方法は、本開示の組み換えL-アスパラギナーゼを、約10mg/m~約100mg/mの量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤を、10mg/m~100mg/mの量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、若しくは95mg/mの量、又はその同等量(例えば、タンパク質含量基準で)で投与される。より具体的な実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約10、20、30、40、50、60、70、80、90、及び約100mg/mからなる群から選択される量で投与される。別の具体的な実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約1、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、95、100、200、又は300mg/m以上の用量で投与される。別の具体的な実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約300、200 100、95、80、75、70、65、60、55、50、45、40、35、30、25、20、15、10、5、又は1mg/m以下の用量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約12mg/m~約90mg/mの量で投与される。別の例示的な実施形態では、本開示の組み換えL-アスパラギナーゼ製剤は、約20mg/m~約80mg/mの量で投与される。別の例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約25mg/m~約70mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約25mg/m~約80mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約37.5mg/m~約80mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約37.5mg/m~約65mg/mの量で投与される。例示的な実施形態では、本開示の組み換えL-アスパラギナーゼ製剤は、約25mg/m~約37.5mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約25mg/m~約100mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約25mg/m~約65mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約25mg/m~約80mg/mの量で投与される。
【0092】
いくつかの実施形態では、方法は、本開示の組み換えL-アスパラギナーゼを、約25mg/m~約50mg/mの量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、方法は、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤を、25mg/m~50mg/mの量で投与することを含む。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、又は50mg/mの量、又はその同等量(例えば、タンパク質含量基準で)で投与される。
【0093】
例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約20mg/m~約30mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約22.5mg/m~約28.5mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約23mg/m~約27mg/mの量で投与される。例示的な実施形態では、本開示の組み換えL-アスパラギナーゼ製剤は、約24mg/m~約26mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約24.5mg/m~約25.5mg/mの量で投与される。
【0094】
例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約40mg/m~約60mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約42.5mg/m~約58.5mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約43mg/m~約57mg/mの量で投与される。例示的な実施形態では、本開示の組み換えL-アスパラギナーゼ製剤は、約44mg/m~約56mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約45mg/m~約55mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約46mg/m~約54mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約47.5mg/m~約52.5mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約48mg/m~約52mg/mの量で投与される。例示的な実施形態では、本開示の組み換えL-アスパラギナーゼ製剤は、約49mg/m~約51mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約49.5mg/m~約50.5mg/mの量で投与される。
【0095】
例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約30mg/m~約75mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約35mg/m~約70mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約40mg/m~約65mg/mの量で投与される。例示的な実施形態では、本開示の組み換えL-アスパラギナーゼ製剤は、約45mg/m~約60mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約50mg/m~約55mg/mの量で投与される。
【0096】
例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約40mg/m~約75mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約45mg/m~約70mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約50mg/m~約65mg/mの量で投与される。例示的な実施形態では、本開示の組み換えL-アスパラギナーゼ製剤は、約55mg/m~約60mg/mの量で投与される。
【0097】
例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約40mg/m~約60mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約45mg/m~約55mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約47.5mg/m~約50mg/mの量で投与される。
【0098】
例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約30mg/m~約35mg/mの量で投与される。
【0099】
例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約30mg/m~約95mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約35mg/m~約90mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約40mg/m~約85mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約45mg/m~約80mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約50mg/m~約75mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約55mg/m~約70mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約60mg/m~約65mg/mの量で投与される。
【0100】
例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約30mg/m~約60mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約35mg/m~約55mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約40mg/m~約50mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約42.5mg/m~約57.5mg/mの量で投与される。
【0101】
例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約30mg/m~約75mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約35mg/m~約70mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約40mg/m~約65mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約45mg/m~約60mg/mの量で投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約50mg/m~約55mg/mの量で投与される。
【0102】
いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約10mg/m~約50mg/mの量で筋肉内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約12.5mg/m~約47.5mg/mの量で筋肉内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約15mg/m~約45mg/mの量で筋肉内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約20mg/m~約42.5mg/mの量で筋肉内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約22.5mg/m~約40mg/mの量で筋肉内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約24mg/m~約39mg/mの量で筋肉内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約27mg/m~約37.5mg/mの量で筋肉内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約30mg/m~約45mg/mの量で筋肉内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約25mg/mの量で筋肉内投与される。いくつかの実施形態では、本開示の組み換えL-アスパラギナーゼは、25mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約25mg/m~約80mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約37.5mg/m~約80mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約37.5mg/m~約65mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約25mg/m~約37.5mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約30mg/m~約75mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約35mg/m~約70mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約40mg/m~約65mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約45mg/m~約60mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約50mg/m~約55mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約40mg/m~約75mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約45mg/m~約70mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約50mg/m~約65mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約55mg/m~約60mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約40mg/m~約60mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約45mg/m~約55mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約47.5mg/m~約50mg/mの量で筋肉内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約30mg/m~約35mg/mの量で筋肉内投与される。
【0103】
いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約10mg/m~約95mg/mの量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約20mg/m~約60mg/mの量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約22.5mg/m~約57.5mg/mの量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約25mg/m~約55mg/mの量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約27.5mg/m~約47.5mg/mの量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約30mg/m~約45mg/mの量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約32.5mg/m~約42.5mg/mの量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約21.5mg/m~約38.5mg/mの量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約36mg/m~約45mg/mの量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約37.5mg/mの量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、37.5mg/mの量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、50mg/mの量で静脈内投与される。
【0104】
例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約25mg/m~約37.5mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約25mg/m~約100mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約25mg/m~約65mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約25mg/m~約80mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約30mg/m~約35mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約30mg/m~約95mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約35mg/m~約90mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約40mg/m~約85mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約45mg/m~約80mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約50mg/m~約75mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約55mg/m~約70mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約60mg/m~約65mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約30mg/m~約60mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約35mg/m~約55mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約40mg/m~約50mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約42.5mg/m~約57.5mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約30mg/m~約75mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約35mg/m~約70mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約40mg/m~約65mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約45mg/m~約60mg/mの量で静脈内投与される。例示的な一実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約50mg/m~約55mg/mの量で静脈内投与される。
【0105】
別の実施形態では、方法は、非組み換えL-アスパラギナーゼと比較して低い免疫原性応答を患者において誘発する本開示の組み換えL-アスパラギナーゼを投与することを含む。
【0106】
2.投与頻度
特定の実施形態では、治療は、約1mg/m~約1000mg/m、典型的には約10mg/m~約100mg/mの範囲の用量で、1週間に約3回から1ヶ月に約1回、典型的には1週間に1回又は1週間おきに1回の範囲のスケジュールで、単剤(例えば単剤療法)として、又はグルココルチコイド、コルチコステロイド、抗がん化合物、若しくはその他の剤、例えば、非限定的にメトトレキサート、デキサメタゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、ビンクリスチン、シクロホスファミド、及びアントラサイクリン、が挙げられるがこれらに限定されない化学療法薬の組み合わせの一部として投与される。
【0107】
本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、多剤化学療法レジメンの一部として、その他の化合物の前に、後に、又はこれと同時に、投与され得る。特定の実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、蛍光菌で組み換え産生されたタンパク質を含み、より具体的には、L-アスパラギナーゼ製剤は配列番号1の配列を含む。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、単回用量で約3日間~約10日間(例えば3、4、5、6、7、8、9、又は10日間)の期間、当該技術分野で既知の方法及び機器を用いて、L-アスパラギンを検出不可能なレベルまで枯渇させる用量で投与される。
【0108】
いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、週3回投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、連続5日間にわたって1日おきに投与され、これに連続2日間の休止期間が続く。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、同じ週の月曜日、水曜日、及び金曜日に投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は少なくとも1~3週間の間、週3回投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約1~3週間の間、連続5日間にわたって1日おきに投与され、これに連続2日間の休止期間が続く。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約1~3週間の間、週の月曜日、水曜日、及び金曜日に投与される。
【0109】
いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約2週間の間、週3回投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約2週間の間、連続5日間にわたって1日おきに投与され、これに連続2日間の休止期間が続く。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約2週間の間、同じ週の月曜日、水曜日、及び金曜日に投与される。
【0110】
いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、2週間の間、週3回投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、2週間の間、連続5日間にわたって1日おきに投与され、これに連続2日間の休止期間が続く。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、2週間の間、同じ週の月曜日、水曜日、及び金曜日に投与される。
【0111】
いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、アスパラギンの枯渇によって治療可能な疾患を患者が有さなくなるまで継続して、週3回投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、アスパラギンの枯渇によって治療可能な疾患を患者が有さなくなるまで継続して、連続5日間にわたって1日おきに投与され、これに連続2日間の休止期間が続く。いくつかの実施形態では、本開示の組み換えL-アスパラギナーゼは、アスパラギンの枯渇によって治療可能な疾患を患者が有さなくなるまで継続して、同じ週の月曜日、水曜日、及び金曜日に投与される。
【0112】
いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、患者が治療を終了又は延期することを決定するまで継続して、週3回投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、患者が治療を終了又は延期することを決定するまで継続して、連続5日間にわたって1日おきに投与され、これに連続2日間の休止期間が続く。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、患者が治療を終了又は延期することを決定するまで継続して、同じ週の月曜日、水曜日、及び金曜日に投与される。
【0113】
いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約48時間毎に投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、40~58時間毎に投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約42~56時間毎に投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約44~52時間毎に投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約46~50時間毎に投与される。いくつかの実施形態では、本開示の組み換えL-アスパラギナーゼは、約72時間毎に投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、64~80時間毎に投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約66~78時間毎に投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約68~76時間毎に投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、約70~74時間毎に投与される。
【0114】
いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、大腸菌由来L-アスパラギナーゼに対して過敏症であり、且つ/又は過去にエルウィニア・クリサンテミ由来L-アスパラギナーゼに対する過敏症を有していた可能性のある、患者の二次治療として投与される。
【0115】
いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、長時間作用型の大腸菌由来アスパラギナーゼの用量の代替品としてヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、6用量のL-アスパラギナーゼ製剤が、1用量の長時間作用型の大腸菌由来アスパラギナーゼの代替品としてヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、7用量のL-アスパラギナーゼ製剤が、1用量の長時間作用型の大腸菌由来アスパラギナーゼの代替品としてヒト対象に投与される。いくつかの実施形態では、長時間作用型の大腸菌由来アスパラギナーゼは、ペガスパルガーゼである。更なる実施形態では、約2週間にわたり6回の個別の用量が生じ得る。更に別の実施形態では、約2週間にわたり7回の個別の用量が生じ得る。
【0116】
いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤の用量レジメンは、サイクルを含み、このサイクルは第1の用量、第2の用量、及び第3の用量を含み、サイクルは任意選択的に反復可能であり、第1の用量、第2の用量、及び第3の用量は、約48~72時間間隔で投与される。
【0117】
いくつかの実施形態では、用量の量はサイクル内で変化し得る。
【0118】
いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤の用量レジメンは、サイクルを含み、サイクルは任意選択的に反復可能であり、サイクルは、連続5日間にわたる1日おきのL-アスパラギナーゼ製剤の投与、及びこれに続く連続2日間の休止期間を含み、サイクルの第1の用量は25mg/mであり、サイクルの第2の用量は25mg/mであり、サイクルの第3の用量は50mg/mであり、これに連続2日間の休止期間が続く。
【0119】
いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤の用量レジメンは、サイクルを含み、サイクルは任意選択的に反復可能であり、サイクルは、連続5日間にわたる1日おきのL-アスパラギナーゼ製剤の投与、及びこれに続く連続2日間の休止期間を含み、サイクルの第1の用量は25mg/mであり、サイクルの第2の用量は25mg/mであり、サイクルの第3の用量は37.5mg/mであり、これに連続2日間の休止期間が続く。
【0120】
いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤の用量レジメンは、サイクルを含み、サイクルは任意選択的に反復可能であり、サイクルは、連続5日間にわたる1日おきのL-アスパラギナーゼ製剤の投与、及びこれに続く連続2日間の休止期間を含み、サイクルの第1の用量は37.5mg/mであり、サイクルの第2の用量は37.5mg/mであり、サイクルの第3の用量は37.5mg/mであり、これに連続2日間の休止期間が続く。
【0121】
いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤の用量レジメンは、サイクルを含み、サイクルは任意選択的に反復可能であり、サイクルは、連続5日間にわたる1日おきのL-アスパラギナーゼ製剤の投与、及びこれに続く連続2日間の休止期間を含み、サイクルの第1の用量は37.5mg/mであり、サイクルの第2の用量は25mg/mであり、サイクルの第3の用量は37.5mg/mであり、これに連続2日間の休止期間が続く。
【0122】
いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤の用量レジメンは、サイクルを含み、サイクルは任意選択的に反復可能であり、サイクルは、連続5日間にわたる1日おきのL-アスパラギナーゼ製剤の投与、及びこれに続く連続2日間の休止期間を含み、サイクルの第1の用量は37.5mg/mであり、サイクルの第2の用量は25mg/mであり、サイクルの第3の用量は25mg/mであり、これに連続2日間の休止期間が続く。いくつかの実施形態では、サイクルの第1の用量は月曜日に投与され、サイクルの第2の用量は水曜日に投与され、サイクルの第3の用量は金曜日に投与される。
【0123】
いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤の用量レジメンは、サイクルを含み、サイクルは任意選択的に反復可能であり、サイクルは、連続5日間にわたる1日おきのL-アスパラギナーゼ製剤の投与、及びこれに続く連続2日間の休止期間を含み、サイクルの第1の用量は25mg/mであり、サイクルの第2の用量は25mg/mであり、サイクルの第3の用量は50mg/mであり、これに連続2日間の休止期間が続く。いくつかの実施形態では、サイクルの第1の用量は月曜日に投与され、サイクルの第2の用量は水曜日に投与され、サイクルの第3の用量は金曜日に投与される。
【0124】
いくつかの実施形態では、本開示は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)又はリンパ芽球性リンパ腫(LBL)を治療するためにヒト対象におけるアスパラギナーゼを枯渇させるための方法を提供し、方法は、ヒト対象が2週間にわたって合計で7用量のL-アスパラギナーゼを投与されるように、月曜日、水曜日、及び金曜日に、ヒト対象に約25mg/mのL-アスパラギナーゼを筋肉内投与することを含む。
【0125】
いくつかの実施形態では、本開示は、急性リンパ芽球性白血病(ALL)又はリンパ芽球性リンパ腫(LBL)を治療するためにヒト対象におけるアスパラギナーゼを枯渇させるための方法を提供し、方法は、ヒト対象が2週間にわたって合計で6用量のL-アスパラギナーゼを投与されるように、(a)月曜日及び水曜日に、ヒト対象に約25mg/mのL-アスパラギナーゼを筋肉内投与すること、並びに(b)金曜日に、ヒト対象に約50mg/mのL-アスパラギナーゼを筋肉内投与すること、を含む。
【0126】
用量レジメンは、任意の数の週にわたる、又は本明細書で指定される任意のエンドポイントまでの、任意の数のサイクルを包含し得る。
【0127】
いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、(i)月曜日に25mg/m、(ii)水曜日に25mg/m、及び(iii)金曜日に50mg/mの量で静脈内投与される。
【0128】
いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、48時間毎に25mg/mの量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、48時間毎に37.5mg/mの量で静脈内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、48時間毎に50mg/mの量で静脈内投与される。
【0129】
いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、48時間毎に25mg/mの量で筋肉内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、48時間毎に37.5mg/mの量で筋肉内投与される。いくつかの実施形態では、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、48時間毎に50mg/mの量で筋肉内投与される。
【0130】
いくつかの実施形態では、上記又は下記の実施形態と関連して、本開示のL-アスパラギナーゼ製剤は、(i)月曜日に25mg/mの量で静脈内投与され、(ii)水曜日に25mg/mの量で静脈内投与され、(iii)金曜日に50mg/mの量で筋肉内投与される。
【0131】
例えば、投与レジメンは、2週間にわたる6用量(例えば第1の用量、第2の用量、第3の用量、第4の用量、第5の用量、及び第6の用量)のL-アスパラギナーゼ製剤の投与を含み得、ここでは、第1週目の間に、(i)月曜日に、第1の用量が25mg/m又は37.5mg/mの量で静脈内又は筋肉内投与され、(ii)水曜日に、第2の用量が25mg/m37.5mg/mの量で静脈内又は筋肉内投与され、(iii)金曜日に、第3の用量が25mg/m37.5mg/mの量で静脈内又は筋肉内投与され、第2週目の間に、(iv)月曜日に、第4の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、(v)水曜日に、第5の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、(vi)金曜日に、第6の用量が50mg/mの量で筋肉内投与される。
【0132】
いくつかの実施形態では、投与レジメンは、2週間にわたる6用量のL-アスパラギナーゼ製剤の投与を含み、ここで、第1週目の間に、(i)月曜日に、第1の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、(ii)水曜日に、第2の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、(iii)金曜日に、第3の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、第2週目の間に、(iv)月曜日に、第4の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、(v)水曜日に、第5の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、(vi)金曜日に、第6の用量が50mg/mの量で筋肉内投与される。
【0133】
いくつかの実施形態では、投与レジメンは、2週間にわたる6用量のL-アスパラギナーゼ製剤の投与を含み、ここで、第1週目の間に、(i)月曜日に、第1の用量が25mg/mの量で筋肉内投与され、(ii)水曜日に、第2の用量が25mg/mの量で筋肉内投与され、(iii)金曜日に、第3の用量が25mg/mの量で筋肉内投与され、第2週目の間に、(iv)月曜日に、第4の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、(v)水曜日に、第5の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、(vi)金曜日に、第6の用量が50mg/mの量で筋肉内投与される。
【0134】
いくつかの実施形態では、投与レジメンは、2週間にわたる6用量のL-アスパラギナーゼ製剤の投与を含み、ここで、第1週目の間に、(i)月曜日に、第1の用量が37.5mg/mの量で静脈内投与され、(ii)水曜日に、第2の用量が37.5mg/mの量で静脈内投与され、(iii)金曜日に、第3の用量が37.5mg/mの量で静脈内投与され、第2週目の間に、(iv)月曜日に、第4の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、(v)水曜日に、第5の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、(vi)金曜日に、第6の用量が50mg/mの量で筋肉内投与される。
【0135】
いくつかの実施形態では、投与レジメンは、2週間にわたる6用量のL-アスパラギナーゼ製剤の投与を含み、ここで、第1週目の間に、(i)月曜日に、第1の用量が37.5mg/mの量で筋肉内投与され、(ii)水曜日に、第2の用量が37.5mg/mの量で筋肉内投与され、(iii)金曜日に、第3の用量が37.5mg/mの量で筋肉内投与され、第2週目の間に、(iv)月曜日に、第4の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、(v)水曜日に、第5の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、(vi)金曜日に、第6の用量が50mg/mの量で筋肉内投与される。
【0136】
いくつかの実施形態では、投与レジメンは、2週間にわたる6用量のL-アスパラギナーゼ製剤の投与を含み、ここで、第1週目の間に、(i)月曜日に、第1の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、(ii)水曜日に、第2の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、(iii)金曜日に、第3の用量が50mg/mの量で静脈内投与され、第2週目の間に、(iv)月曜日に、第4の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、(v)水曜日に、第5の用量が25mg/mの量で静脈内投与され、(vi)金曜日に、第6の用量が50mg/mの量で筋肉内投与される。
【0137】
キット
一態様では、(i)本明細書に記載される製剤のうちのいずれか1つと、(ii)その必要のある対象において、アスパラギン枯渇によって治療可能な疾患、病状、又は障害を治療するための説明書と、を含むキットが、本明細書で提供される。
【0138】
いくつかの実施形態では、キットは、(i)4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有する、L-アスパラギナーゼと、(ii)1つ以上の安定剤、若しくは1つ以上の緩衝液、又はこれらの任意の組み合わせとを含む、製剤を含む。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、40℃で2ヶ月間貯蔵した後で、約0.6%未満の低分子量(LMW)種を含む。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、40℃で2ヶ月間貯蔵した後で、2%未満の高分子量(HMW)種を含む。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、40℃で2ヶ月間貯蔵した後で、約0.6%未満の低分子量(LMW)種及び2%未満の高分子量(HMW)種を含む。いくつかの実施形態では、L-アスパラギナーゼ製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約0.6%未満の低分子量(LMW)種を含む。
【0139】
いくつかの実施形態では、キットは、(i)4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有する、L-アスパラギナーゼと、(ii)トレハロース、スクロース、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の二糖類と、(iii)アミノ酸を実質的に含まない1つ以上の緩衝液と、を含む、製剤を含み、当該製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約5%未満の低分子量(LMW)種を含む。
【0140】
いくつかの実施形態では、キットは、(i)L-アスパラギナーゼであって、当該L-アスパラギナーゼが4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約70%同一であるアミノ酸配列を有し、当該L-アスパラギナーゼが、20mg/mL前後の濃度で存在する、当該L-アスパラギナーゼと、(ii)約170mMの濃度で存在するトレハロースと、(iii)約20mMの濃度で存在するリン酸ナトリウムと、(iv)約50mMの濃度で存在する塩化ナトリウムと、(v)約0.02%(w/v)の濃度で存在するポリソルベート80と、を含む、製剤を含み、製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約0.6%未満の低分子量(LMW)種を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約4.0~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、製剤は約7.0のpHを有する。
【0141】
いくつかの実施形態では、キットは、(i)L-アスパラギナーゼであって、当該L-アスパラギナーゼが4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有し、当該L-アスパラギナーゼが、20mg/mL前後の濃度で存在する、当該L-アスパラギナーゼと、(ii)約170mMの濃度で存在するトレハロースと、(iii)約20mMの濃度で存在するリン酸ナトリウムと、(iv)約50mMの濃度で存在する塩化ナトリウムと、(v)約0.02%(w/v)の濃度で存在するポリソルベート80と、を含む、製剤を含み、製剤は、37℃で1週間貯蔵した後で、約5%未満の低分子量(LMW)種を含む。いくつかの実施形態では、製剤は、約4.0~約8.5のpHを有する。いくつかの実施形態では、製剤は約7.0のpHを有する。
【0142】
上記のいくつかの実施形態では、キットは、がんを治療するための説明書を含む。いくつかの実施形態では、キットは、急性リンパ芽球性白血病(ALL)を治療するための説明書を含む。いくつかの実施形態では、ALLは再発性である。いくつかの実施形態では、キットは、リンパ芽球性リンパ腫(LBL)を治療するための説明書を含む。いくつかの実施形態では、LBLは再発性である。
【実施例
【0143】
ネスラー活性
アスパラギナーゼの活性を、ネスラーアッセイで測定し、ここでアスパラギナーゼ活性の測定値はエンドポイント限界(endpoint limit)アッセイに基づき、酵素は+37℃のL-アスパラギン飽和濃度下で15分間インキュベートされる。反応は、ネスラー試薬を添加することによって停止し、反応中に産生されたアンモニア量は、既知の量の硫酸アンモニウムから構築した較正曲線を用いた比色分析(450nmの)で評価する。
【0144】
サイズ排除クロマトグラフィー(SEC)
注射の1時間前に、カラムを1mL/分の移動相でコンディショニングした(50mMのリン酸塩、200mMのNaCl、pH7.0)。BioRad Gel Filtration Standardsをブルーデキストランで10倍希釈し、合計体積を1mLにした。移動相中で試料及び参照標準を1mg/mLに希釈し、移動相ブランクを複数回注射してカラムをきれいにした後で注射した。
【0145】
下記の実施例の様々な表で、項目「ND」は、特定のデータ点が決定されなかったことを示すことに留意されたい。
【0146】
実施例1:ベースライン緩衝液/賦形剤のスクリーニング
L-アスパラギナーゼの安定性に対する、4.5~8.0の範囲の6つの緩衝液/pH組み合わせからのpH及び緩衝液のタイプの効果を評価した。pH7.0の20mMヒスチジン緩衝液又はpH8.0の20mMリン酸ナトリウムのいずれかの中の6つの異なる賦形剤を備える製剤の追加のセットを、初期賦形剤スクリーニングとして調製した(表1)。L-アスパラギナーゼ(1.0mLの、20.9mg/mLのロットRM-LAP-P03/P05/P06のバルクのプール)を、遠心限外濾過装置(Amicon Ultra-4 10k MWCO)を用いて、100mLの対応する製剤緩衝液と緩衝液交換した。最後の緩衝液交換の後で、タンパク質濃度を測定し、試料を約20mg/mLに調整した。製剤化した試料を2つのアリコートに分割し、製剤化したRCを用いて37℃及び5℃で1週間の安定性研究を実施した。1週間の貯蔵の終了時に、製剤を同時に分析した。
【0147】
(表1)
【0148】
賦形剤スクリーニングの目的は、pH4.5~8.5の酢酸塩、コハク酸塩、クエン酸塩、ヒスチジン、リン酸塩、及びTris緩衝液を評価することであった。更に、pH7.0のヒスチジン緩衝液又はpH8.0のリン酸緩衝液中の賦形剤プロリン、リジン、塩化ナトリウム、アルギニン、トレハロース、ソルビトール、及びスクロースを、賦形剤の影響に関して評価した。SEC及びネスラー活性アッセイを用いて、選択された緩衝液中のこれらの賦形剤の存在下でのRCの安定性を評価した。
【0149】
26個の製剤の純度をSEC-HPLCによって評価した。結果を表2及び表3にまとめる。全ての製剤で、1週間貯蔵した後の5℃条件と37℃条件との間ではSECプロファイルの差異はほとんど観察されなかった。しかし、異なる製剤間では差異が観察された。主ピーク純度は、66.4~98.3%の範囲を有した。ヒスチジン緩衝液製剤は全て、66.4%~74.0%の純度レベルを有し、一方で残りの製剤は90.6%~98.3%の純度レベルを有した。ヒスチジン、コハク酸塩、クエン酸塩、リジン含有リン酸塩、及びアルギニン含有リン酸塩の緩衝液においては、約11.6分でLMW種が1.3~32.4%の範囲で観察された。酢酸塩、リン酸塩、及びTris緩衝液中の製剤は、0.2~0.6%のLMW種を示した。塩化ナトリウム、トレハロース、ソルビトール、及びスクロースを含むリン酸緩衝液中の製剤は、賦形剤なし製剤と近いレベルのLMW種を示した。
【0150】
(表2)
【0151】
(表3)
【0152】
最高の純度及び最低のLMW種のパーセンテージに基づき、酢酸及びリン酸緩衝液を更なる評価のために選択した。更に、トレハロース、ソルビトール、及び塩化ナトリウムを、DOE中で評価すべき賦形剤として選択し、より厳しいストレス条件下での製剤安定性に対するその影響を評価した。
【0153】
実施例2:DOE
1つの数値因子1(pH)及び1つの分類的因子(賦形剤)を考慮する統計的実験計画(statistical design of experiment、DOE)アプローチを用いて、それぞれ4.5~5.5及び7.0~8.0の範囲内にある酢酸及びリン酸緩衝液のpH及び賦形剤の、L-アスパラギナーゼに対する効果を評価した。酢酸及びリン酸の2つの緩衝系の非重複範囲に対応するため、線形1因子設計(linear one-factor design)を用いた2つの独立したDOEを、各緩衝系に対して同時に実施した。実験設計は、Stat Ease,Inc.のDesign-Expert(登録商標)バージョン9.0.6.2を使用して生成した。応答の有意性を、95%の信頼水準で評価した。
【0154】
設計外(off-design)製剤の追加のセットは、ソルビトール及びトレハロースを用いるDOEで、pH8.5のTris緩衝液を使用する3つの選択された賦形剤の効果、並びにpH5.3の酢酸塩及びpH7.5のリン酸塩にPS-80を添加することの効果を評価した。製剤を2週間の40℃の熱ストレス、及び単一の凍結/解凍サイクルに晒した。
【0155】
単一の凍結/解凍サイクルに晒された、又は40℃で2週間貯蔵された製剤のネスラー活性アッセイは、600~1270μmol/分.mgEの範囲の活性を有した(表4及び表5)。熱又は凍結/解凍ストレス下で製剤の有意な活性の喪失は観察されず、活性が増加した製剤が、製剤緩衝液の結果であるかネスラー活性アッセイの変動性の結果であるかは不明である。製剤をRP-HPLCによって分析した。RP-HPLCによって、酢酸及びリン酸緩衝液の両方の中の全ての製剤が、単一の凍結/解凍ストレス後に100%主ピークであり、40℃で2週間後に98%主ピーク及び2%微小ピークであることが決定された。
【0156】
(表4)
【0157】
(表5)
【0158】
全ての製剤及びストレス条件をSEC-HPLCによって分析した。結果を表6に示す。熱ストレスの後で、リン酸緩衝製剤の純度は88.70%~99.31%の範囲であり、HMWピークは0.66%~1.00%の範囲であり、どのLMWのショルダーも10.98%であると検出されず、どれもLMWピークは検出されなかった。pH7.0では、3つの賦形剤の全てが熱ストレス後に近似するSECプロファイルを示し、各賦形剤の主ピークのパーセンテージは99%であった。
【0159】
(表6)
【0160】
主ピーク純度の低下及びLMWショルダーパーセンテージの増加を、pH7.0で観察された最大主ピーク純度のみを有するpHに依存する線形モデルに適合させた(表7)。pH8.5の設計外製剤はまた、熱ストレス後の大量のLMWショルダーの形成を示す(表8)。HMW種の形成は、pHではなく賦形剤に依存することが判明し、ソルビトールはHMW種の全体的な最大のパーセンテージを有する。
【0161】
(表7)
【0162】
(表8)
【0163】
リン酸ナトリウム製剤に対する凍結/解凍ストレス下では、SEC-HPLCの主ピーク純度は98.05%~99.34%の範囲であり、HMWピークは0.66%~0.71%の範囲であり、LMWピークは非検出~1.28%の範囲であった。トレハロース製剤中では、凍結/解凍ストレス下のSECに関する傾向は発見されず、LMWピークのみが観察された。
【0164】
酢酸ナトリウム製剤に対する凍結/解凍ストレス下では、SEC-HPLCの主ピーク純度は97.69%~98.07%の範囲であり、HMWピークは0.54%~0.69%の範囲であり、LMWピークは1.34%~1.62%の範囲であった。結果を表9に示す。凍結/解凍ストレス下のSECに関する傾向は発見されなかった。熱ストレス下で、酢酸塩製剤の純度は97.65%~98.02%の範囲であり、HMWピークは0.46%~0.68%の範囲であり、LMWピークは1.52%~1.82%の範囲であった。HMWパーセンテージの小さな差異は、pH及び賦形剤に依存することが判明し、pH5.5以上では、HMW種はトレハロース又はソルビトールよりも塩化ナトリウムで高かった。
【0165】
(表9)
【0166】
全ての製剤及びストレス条件をIEX-HPLCによって分析した。熱ストレスの後で、リン酸緩衝液製剤は、52.9%~63.1%の主ピーク純度範囲、9.3%~18.8%の酸性種、及び25.2%~30.1%の塩基性種を示した。pHが増加すると、酸性種の量は増加し、その一方で主ピークは低下した。主ピークのパーセンテージも賦形剤のタイプに依存した。結果を表10及び表11に示す。
【0167】
(表10)
【0168】
(表11)
【0169】
pH7.0では、主ピークのパーセンテージは、塩化ナトリウム、トレハロース、及びソルビトールでそれぞれ62.1~63.1%、59.3~59.9%、及び57.2~57.5%であった。熱ストレス下で塩基性種の量の傾向は観察されなかった。凍結/解凍ストレス下のこれらの製剤の主ピーク及び酸性種パーセンテージに関してpHの類似の傾向が観察された(表12)が、賦形剤間で差異はほとんど観察されなかった。
【0170】
(表12)
【0171】
熱ストレスの後で、酢酸緩衝液製剤の純度は51.3%~56.4%の範囲であり、酸性種は5.9%~7.3%、及び塩基性種は37.2%~41.8%であった(上記の表11)。pHが低下すると主ピークが低下し、主ピークのパーセンテージも賦形剤のタイプに依存した。pH5.0では、主ピークのパーセンテージは、ソルビトール、トレハロース、及び塩化ナトリウムでそれぞれ54.0%、55.2%、及び52.1%であった。熱ストレス下で塩基性種の量の傾向は観察されなかった。酢酸ナトリウム緩衝液中の凍結/解凍ストレス下では、pH及び賦形剤で熱ストレスと類似する傾向が観察されたが、製剤間の差異は比較的小さい(上記の表12)。設計外製剤のIEX-HPLC結果は、表13及び表14で見られる。
【0172】
(表13)
【0173】
(表14)
【0174】
全ての製剤は、バイアルに入れた後に無色透明であった。凍結/解凍ストレス後、全ての製剤は無色且つわずかに乳白色であった(表15、表16、及び表17)。リン酸ナトリウム製剤に対する熱ストレス下では、ソルビトールの場合はpH8.0で、トレハロースの場合はpH7.5及び8.0で、並びに全ての塩化ナトリウム製剤で生成物に関連する沈殿物が観察された。酢酸ナトリウム製剤の場合、pH4.5の250mMソルビトール及びpH5.5の250mMトレハロースを除く全ての製剤で微粒子が観察された。
【0175】
(表15)
【0176】
(表16)
【0177】
(表17)
【0178】
熱ストレス下でのリン酸ナトリウム緩衝化製剤の分析データを、更なる分析のために、製剤間の差異の程度、及びリン酸緩衝液中のRCに関するクライアントの歴史的経験に基づいて選択した。SEC、IEX、及び外観試験からの結果は、pH7.0の製剤に対して賦形剤が効果の低下を示す、製剤の安定性に関するpHの明確な傾向を示した。
【0179】
SEC及びIEXの主ピークパーセンテージを最大化し、SECにおけるLMW及びHMW種、並びにIEXにおける酸性及び塩基性種の形成を最小化するために、Stat-Ease,Inc.のDesign-Expert(登録商標)バージョン9.0.6.2を用いて、熱ストレス下でのリン酸ナトリウム製剤に対して数値最適化を行った。数値最適化を、2週間の熱ストレス後の20mMのリン酸ナトリウムDOEからの分析結果に対して実施した。pH又は賦形剤に関する制約のない最適な製剤を見つけるために、製剤最適化を実施した。最適化パラメータ及び結果は、表18、表19、表20、及び表21で見られる。応答として用いられる製剤中の微粒子の存在及び全ての結果に、等しい重要度が与えられたとき、最適な製剤は、pH7.2の20mMリン酸ナトリウム、250mMトレハロースであると算出された。製剤中の微粒子の外観が、最適化における制約としての因子ではなく、全ての結果に同じ重要度が与えられた場合、最適な製剤は、pH7.0の20mMリン酸ナトリウム、150mM塩化ナトリウムであると算出された。DOE及びDOE外製剤に基づき、20mg/mL RCでの20mMリン酸ナトリウム、250mMトレハロース、pH7.0を、界面活性剤研究で更に試験するために選択した。
【0180】
(表18)
【0181】
(表19)
【0182】
(表20)
【0183】
(表21)
【0184】
実施例3:界面活性剤研究
界面活性剤のスクリーニング研究を実施して、凍結/解凍又は攪拌ストレス後に観察される乳白光に対するPS-80の濃度の影響を評価した。0.00%~0.06%w/vのPS-80濃度で、250mMトレハロースを含むpH6.5、7.0、及び7.5の20mMリン酸ナトリウム中で、L-アスパラギナーゼを製剤化した(表22)。代替的製剤として、0.00%及び0.04%w/vのPS-80を伴う、pH5.5の、20mM酢酸ナトリウム、250mMトレハロースが含まれる。
【0185】
(表22)
【0186】
L-アスパラギナーゼ(22mg/mLの、1760mg)を、10K MWCOのSlide-A-Lyzer G2透析カセットを用いて、PS-80なしの対応する製剤緩衝液中に透析した。透析を、室温で、最小限の製剤緩衝液対試料の体積を40:1として実施した。4回の透析緩衝液交換を実施した。透析の後に、材料をカセットから除去し、濃度及びpHを測定した。続いて材料を分割し、HO中の10%(w/v)PS-80溶液を用いて、適切な濃度になるまでPS-80を添加した。混合後、各製剤を、6つの2mLバイアルへと均等に等分する。
【0187】
凍結/解凍及び攪拌評価の間、初回時点試験のために各製剤からの1つのバイアルを5℃で維持した(合計で8つ)。各製剤の個別のバイアル上で独立して1回及び3回の凍結/解凍サイクルを実施した。各凍結/解凍サイクルは、-75±10℃で最低2時間の凍結、及び室温で最低2時間、且つ完全に解凍するまでの解凍であった。攪拌評価には各製剤からの3個のバイアルを必要とした(合計で24個)。1つのバイアルは、雰囲気温度で24時間、60rpmのローテータ上で攪拌し、1つのバイアルは、同じ条件下で48時間攪拌し、1つのバイアルは、対照として研究中はローテータの隣に配置した。
【0188】
0.00%、0.02%、0.04%、及び0.06%のPS-80を含むpH6.5、7.0、及び7.5の20mMリン酸塩、250mMトレハロース中のRC製剤に関する、凍結/解凍又は攪拌ストレス下での乳白光の形成についてPS-80に対する影響を評価するために、界面活性剤研究を実施した(表22)。潜在的な緩衝液の代替物として、以下の2つの追加の製剤を研究に加えた:0.00%及び0.04%のPS-80を含むpH5.5の20mM酢酸塩、250mMトレハロース。続いて製剤を、-75℃で1回及び3回の凍結/解凍サイクルに晒し、室温で24及び48時間の攪拌でストレスを加えた。各製剤の対照を、攪拌せずに、凍結/解凍ストレスの場合で5℃、及び室温で、48時間保持した。
【0189】
外観試験によって、全ての対照及びストレスを加えられた試料は、生成物に関連する微粒子のない、無色且つわずかに乳白色であった。対照の試料と凍結/解凍及び攪拌試料との間で、又は異なるレベルのPS-80の間で、乳白光の程度の差異は観察されなかった。対照及びストレスを加えた製剤のタンパク質濃度も評価した。タンパク質濃度は、19~22mg/mLであった(表22)。凍結/解凍又は攪拌ストレスの際に有意な変化又は傾向は観察されなかった。
【0190】
DLS分析は、全ての試料が4.1~4.5の流体力学的半径を有し、多分散度百分率は10.7%~19.4%であったことを示した(表23及び表24)。製剤又はストレス条件に対するDLSの有意な差異又は傾向は観察されなかった。
【0191】
(表23)
【0192】
(表24)
【0193】
SEC-HPLCの結果は、ストレスに関係なく、20mMリン酸緩衝液中の全ての製剤は、ストレス条件の前後で同様のプロファイルを有し、主ピークパーセンテージは99.3%であり、HMWピークは0.7%であったことを示す(表25)。同様に、20mM酢酸塩製剤のSECHPLCは、0.7%のHMWピーク、97.9%~98.1%の主ピーク、及び1.3%~1.4%のLMWピークを示した(表26)。
【0194】
(表25)
【0195】
(表26)
【0196】
様々なPS-80濃度の、T0、1回凍結/解凍サイクル、3回凍結/解凍サイクル、攪拌対照、24時間攪拌、及び48時間攪拌試料に関して、可視未満(Sub-visible)の微粒子をHIACによって測定した。結果を表27及び表28にまとめる。全ての試料で、累積係数/mLは、≧2μm、5μm、≧10μm、≧25μmの場合にそれぞれ2330~45270、390~35857、78~6430、及び0~150の範囲であった。同じ製剤の他の条件と比較して、いくつかの条件が微粒子のレベルを増加させたが、これらの試料は、傾向を表すものではなく、異常値であると考えられる。例えば、20mMリン酸塩、250mMトレハロース、0.04%PS-80、pH7.0溶液は、初期時点で2842個の≧10μm粒子を有したが、攪拌対照中にはわずか155個の粒子しか存在しなかった。
【0197】
(表27)
試料の試験は中断され、完全に完了しなかった。しかし、取られた測定値(複数可)は、試料の実際の結果を示す。
【0198】
(表28)
【0199】
IEX-HPLCを、全ての条件で全ての20mMリン酸塩製剤に対して実施した。0%、0.02%、0.04%、及び0.06%のPS-80を含むpH7.0のT0対照の主ピークパーセンテージは、それぞれ68.88%、69.83%、71.36%、及び70.38%であった(表29)。0.04%のPS-80では、pH6.5、7.0、及び7.5のT0対照の主ピークパーセンテージは、それぞれ70.11%、71.36%、及び68.04%であった。凍結/解凍又は攪拌ストレスに晒した後で、全ての製剤のIEXプロファイルに有意な変化は観察されなかった。これらの結果は、0.06%w/v以下のPS-80の添加に利益がほとんどないことを示す。
【0200】
(表29)
【0201】
実施例4:塩/トレハロース依存性研究
22mg/mLのL-アスパラギナーゼで実施される予形成された塩/トレハロースの依存性研究を、表30に従い、9つの異なる製剤緩衝液中で策定した。27mLのロットRE-LAP-P59のアリコートを、約3mL(3部分)及び6mL(3部分)の6部分に分割した。製剤1~6に対し、10K MWCOのSlide-A-Lyzer G2カセットを用いた透析による緩衝液交換を実施した。透析を、室温で、最小限の緩衝液対試料の体積比を40:1として実施した。各製剤に対して4回の透析緩衝液交換を約2時間毎に実施し、1回の交換は終夜行った。
【0202】
(表30)
【0203】
透析に続いて、材料を透析カセットから除去し、pH及びタンパク質濃度を確認した。続いて、対応する緩衝液で試料の濃度を20±2mg/mLに調節した。調節後、緩衝液1~3中の材料を、各3mLの等分に分割した。これらのアリコートのうち1つの組に10%のPS-80を補充して、最終濃度を0.02%とした。続いてすべての試料を濾過し、安全キャビネット内のバイアルに入れた。製剤のうち1つの組は、5℃で初期材料品質評価の試験まで貯蔵し、1つの組は5℃で3週間貯蔵し、1つの組は40℃で3週間の熱ストレスに供した。40℃で1.5週間貯蔵した後の外観評価の後で、3週間の時点を選択した。5℃の製剤1及び2を、7週間後にIEX及びSEC HPLCによって更に試験した。
【0204】
0.02%のPS-80を含む及び含まないpH7.0の20mM又は50mMのリン酸塩、175mMのトレハロース中のL-アスパラギナーゼ製剤に対する塩化ナトリウム濃度の影響を評価するために、塩/トレハロース依存性研究を実施した(表30)。製剤を、1.5及び3週間の5℃及び40℃に晒した。サイズ排除及びIEXクロマトグラフィーを用いて、選択された緩衝液中のこれらの様々な塩濃度の存在下でのRCの安定性を評価した。オスモル濃度及び導電度も初期の時点で決定し、これを表31に示す。
【0205】
(表31)
【0206】
外観試験によって、全ての初期試料及びストレスを加えられた試料は、生成物に関連する微粒子がほとんどないから全くないまでの、無色且つわずかに乳白色であった。全ての製剤は、ストレスに応じてより強い乳白色となった。0.02%のPS-80を含有する製剤には、貯蔵期間に関わらず、粒子が全く存在しなかった(表32)。この結果は、0.02%のPS-80を添加することで、長期貯蔵中の粒子の形成が遅延し得ることを示す。塩濃度に対する外観の依存性は存在しなかった。初期製剤及びストレスを加えた製剤のタンパク質濃度も評価した。タンパク質濃度は、19.7~25.2mg/mLであった(表33)。ストレスを加えられた試料における有意な変化又は傾向は観察されなかった。
【0207】
(表32)
【0208】
(表33)
【0209】
初期時点でのIEX-HPLCの結果は同様のプロファイルを示し、主ピークパーセンテージが64.1%~66.4%であり、酸性種パーセンテージが5.9%~7.5%であり、塩基性種パーセンテージが27.7%~28.7%であった。40℃で3週間後、試料は、電荷不均一性プロファイルの有意な差異を示し、主ピークパーセンテージが35.0%~42.3%であり、酸性種パーセンテージが22.5%~32.0%であり、塩基性種パーセンテージが33.0%~36.2%であった。5℃で7週間後、わずかな変動のみが観察され、主ピークパーセンテージが59.3%~61.3%であり、酸性種パーセンテージが9.7%~12.8%であり、塩基性種パーセンテージが27.9%~29.0%であった(表34)。塩を含む製剤は、塩を含まない製剤と比較してわずかに高い主ピークパーセンテージを有する。0.02%のPS-80を添加しても、電荷不均一性の点で利益はほとんど又は全くなかった。
【0210】
(表34)
研究開始から7週間後まで試料を分析しなかった。
【0211】
初期時点でのSEC-HPLCの結果は、同様のプロファイルを示し、主ピークパーセンテージが98.0%~98.2%であり、HMWピークパーセンテージが1.9%~2.0%であった。40℃で3週間後、試料は、LMWピークの出現に起因する純度のわずかな劣化を示した。3週間ストレスを加えた試料の主ピークパーセンテージは94.8%~95.4%であり、HMWピークパーセンテージは1.9%~2.1%であり、LMWピークパーセンテージは2.7%~3.1%であった。5℃で3週間後、主ピーク及びHMWピークのパーセンテージの有意な変化は観察されなかった(表35)。高分子量及び低分子量種は、塩を添加することで最小化され、製剤に0.02%のPS-80を補充したとき利益は観察されなかった。
【0212】
(表35)
【0213】
実施例5:シュードモナス(Pseudomonas)由来の組み換えクリサンタスパーゼ(RC-P)とErwinaseとの比較
シュードモナス由来の組み換えクリサンタスパーゼ(RC-P)及びErwinaseの関連する品質属性を比較するために実験を実施した。同等性を示すためにRC-PとErwinaseと比較するデータ及び結果の要約を表36に示す。結果は、RC-PとErwinaseとがその構造及び酵素活性の点で同等であることを示す。サイズ及び電荷の差異が観察された。
【0214】
(表36)同等性結果の要約
【0215】
ペプチドをマッピングするMSデータを、酸化、脱アミド化、スクシンイミド、異性化、糖化、メチル化、及びアセチル化を含むペプチドを含有する一般的な又は既知の修飾に関してマイニングした。修飾及び被修飾の合計ペプチドに対して正規化した修飾ペプチドの計数を用いて、各修飾の相対的程度を計算した。本明細書で報告される相対レベルは半定量的であった。メチル化及びアセチル化修飾は、いずれの材料でも見られなかった。酸化、脱アミド化、及びスクシンイミドは、RC-P及びErwinaseの両方で見られた。表37に示すように、これらのレベルは同等であり、且つ比較的低かった(注記:0.5%未満のPTMは報告していない)。更に、Erwinaseでのみ、複数のリジン位置で低レベルの糖化が観察された。Erwinaseにおける追加の糖化修飾は、その電荷特性に影響を与え、その酸性バリアントの増加をもたらす。全体として、RC-P及びErwinaseの両方が、確立された一次アミノ酸構造を有する。これらのPTMは、Erwinaseで観察された追加の糖化修飾を除いて同等である。
【0216】
(表37)観察された翻訳後修飾
【0217】
サイズ排除クロマトグラフィー(SE-UHPLC)は、天然タンパク質の分子サイズ分布に関する定量的情報を提供する。表38に示すように、RC-P及びErwinaseのSE-UHPLCプロファイルは、サイズ排除ピークの相対的なピーク面積の分布を示した。RC-P及びErwinaseの両方が、優位な主ピーク含有量を有した。Erwinaseで観察された高分子量種(HMW)の量(7.3%)はRC-P(0.2%)よりも高かった。RC-P(0.1%)及びErwinase(0.3%)の両方で観察された低分子量種(LMW)の量は同等であった。
【0218】
(表38)SE-UHPLC分析からのHMW、主ピーク、及びLMWパーセント
【0219】
マルチアングルレーザー光散乱を用いるサイズ排除クロマトグラフィー:SE-HPLC_MALLSを、RC-P及びErwinaseの両方に対して実施した。サイズ排除ピークの識別を表39に列挙した。RC-P及びErwinaseの両方に対して実施されたMALLSと組み合わせたSE-HPLC分離により、四量体としてのSECの主要含有量が同定され、分子量は133~134kDaの範囲内であった。どちらの材料も優位な四量体含有量を示した。両方の材料のHMW1種は、MWが277~286kDaの範囲の八量体であると同定され、これは、理論的な八量体質量である280kDaに近似していた。Erwinaseでのみ観察されたHMW2種は、MWが554kDaのヘキサデカマー(16量体)として同定され、これは、理論的ヘキサデカマー質量の560kDaと一致していた。LMW種のサイズは、RC-P及びErwinaseのどちらもこれらの型の存在量が非常に低いため、MALLSによって正確に評価することができなかった。SEC-MALLSの結果は、RC-P及びErwinaseの両方が優位な四量体型を含有し、これらのHMW型は類似しており、八量体であると同定されたことを示した。更に、Erwinaseは低レベルの16量体を含有した。
【0220】
(表39)SEC-MALLSの結果
【0221】
画像化キャピラリー等電点電気泳動法(iCIEF):iCIEFは、RC-Pタンパク質の電荷不均一性の定量的測定値を提供する直交アッセイである。RC-P及びErwinaseのiCIEFプロファイル、合計面積に対する主ピーク、酸性基、及び塩基性基の相対的ピーク面積を表40に列挙した。どちらの材料も、主含有量に関して非常に同等なpI値を示した。Erwinaseは、より高い酸性バリアント含有量を有した。
【0222】
(表40)RC-P及びErwinaseのiCIEF電荷バリアントの分布
注:丸めをするため、合計の%は正確に100%とはならない場合がある。
【0223】
酸化研究:
RC-P及びErwinase試料の両方を、それぞれ室温で4時間0.01%(v/v)のHで処理することにより、強制酸化に供した。分析試験の結果は、酸化されたRC-P及びErwinase試料が、合計で30%前後のメチオニン残基の酸化、RP-UHPLCのピーク前含有量の約20%の増加、iCIEFの酸性バリアントの増加、SECのHMW含有量の微増を有し、また、同等なCIEX、HIC、活性特性を有したことを示した。詳細な分析結果を以下で説明する。
【0224】
ペプチドマッピングの結果:トリプシンペプチドマッピングLC-MS法を用いて、タンパク質の一次構造を確認し、強制酸化条件、特にメチオニン酸化によって誘発される潜在的な翻訳後修飾を同定した。ペプチドマッピングの結果は、強制酸化されたRC-P及びErwinaseが、複数の位置でメチオニンの酸化を有する予期された一次構造を有していたことを示した(表41)。Hで処理されたRC-P及びErwinaseのペプチドマッピングプロファイルのオーバーレイは、同等である。どちらの酸化試料のトレースも、それぞれM133、M60、及びM121を含有する酸化ペプチドのピーク強度の増加を示した。Hで処理されたRC-P及びErwinaseは、複数のメチオニン位置で様々なレベルの酸化を示した(表41)。最も酸化しやすいものから最も酸化しにくいものまでの、酸化傾向のあるメチオニン位置は、M133(~20%)>M60(~8%)>M121(~4%)>M308(~1%)である。両方の試料で33%前後の合計メチオニン酸化が観察された。両方の酸化試料及び参照標準で、Asn281において同様のレベルの脱アミド化及びスクシンイミド中間体が観察された。
【0225】
(表41)酸化RC-P及びErwinaseのPTM
【0226】
SE-UHPLCの結果:SE-UHPLC法を用いて、非変性条件下での天然状態のRC-Pのサイズ分布を評価した。酸化RC-P、酸化Erwinase、及び参照標準のオーバーレイを分析した。酸化試料及びRSの間で有意なプロファイルの差異は観察されなかった。両方の酸化試料は、参照標準と比較して、主に四量体のピーク、HMW含有量の微増、同等なLMW含有量を示した。相対的ピーク強度を表42に列挙する。
【0227】
(表42)SE-UHPLCの結果
【0228】
CIEXの結果:CIEX法を用いて、非変性条件下での天然状態のRC-Pの電荷分布を評価した。酸化RC-P、酸化Erwinase、及び参照標準のオーバーレイを分析した。酸化試料及び参照標準の間で有意なプロファイルの変化は存在しなかった。酸化した試料のどちらも、主に主ピークの含有量を示した。ストレスを加えた試料、及び参照標準の相対的ピーク強度を表43に列挙する。
【0229】
(表43)CIEXの結果
【0230】
iCIEFの結果:iCIEF法は、電場を印加されたRC-Pの電荷分布を評価するための直交法である。酸化試料及び参照標準のオーバーレイを分析した。これらの相対的ピーク強度を表44に列挙する。どちらの酸化試料も、8.5前後のpIで酸性ピークの増加を示した。酸化は、塩基性バリアントに対する影響を有さない。
【0231】
(表44)酸化試料及びRSからのiCIEF結果
【0232】
低pH研究:
RC-P及びErwinase試料の両方を、室温でpH3.4の50mMリン酸ナトリウムを用いた低pH処理に供し、続いて-80℃で凍結させた。前研究は、pH3.4での、15分間から7日間までのインキュベーション時間は重要ではなく、処理された試料のSE-UHPLCプロファイルは同等であったことを示した。処理された試料は、-80℃で最大8週間、比較的安定して貯蔵された。分析試験の結果は、処理したRC-P及びErwinaseの試料が、10%前後の単量体含有量を有し、活性が低下したことを示した。これらのペプチドマッピングプロファイル、PTM、CIEX、RP-UHPLC、及びHIC特性は、未処理のものと同等であった。詳細な分析結果を以下で説明する。
【0233】
SE-UHPLCの結果:SE-UHPLC法を用いて、非変性条件下での天然状態のRC-Pのサイズ分布を評価する。低pHで処理されたRC-P、Erwinase、及び参照標準のオーバーレイを分析した。低pHで処理されたRC-P及びErwinaseの両方が、参照標準と比較して、主に四量体のピーク、及び10%前後のLMW含有量の増加を示した。低pH処理は、Erwinaseに対しては7.3%から10.6%までのHMW含有量の微増をもたらしたが、RC-Pに対する影響はなかった。これらの相対的ピーク強度を表45に列挙する。
【0234】
(表45)SE-UHPLCの結果
【0235】
CIEXの結果:CIEX法を用いて、非変性条件下での天然状態のRC-Pの電荷分布を評価する。低pHで処理されたRC-P、Erwinase、及び参照標準のオーバーレイを分析した。pHで処理された試料及び参照標準の間で有意なプロファイルの変化は存在しなかった。処理された試料のどちらも、主に主ピークの含有量を示した。処理された試料、及び参照標準の相対的ピーク強度を表46に列挙する。
【0236】
(表46)CIEXの結果
【0237】
iCIEFの結果:iCIEF法は、電場を印加されたRC-Pの電荷分布を評価するための直交法である。低pHで処理されたRC-P、Erwinase、及び参照標準のオーバーレイを分析した。これらの相対的ピーク強度を表47に列挙する。低pHで処理されたRC-P及びErwinaseのどちらも、7.2前後のpIで酸性ピークの増加を示し、これは既に単量体であると同定されている。低pH処理は、塩基性バリアントに対する影響を有さなかった。
【0238】
(表47)酸化試料及びRSからのiCIEF結果
【0239】
RC-P及びErwinaseの同等性を、これらの物理化学、純度、構造、及び効力特性を比較することによって評価した。SE-UHPLC、SEC-MALLS、及びSEC-MSによって分析されたサイズに基づく不均一性は、同等であった。どちらの材料も優位な四量体構造を有する。HMW種は、八量体であると同定された。Erwinaseは、より高レベルの八量体を有する。低レベルの16量体種も、Erwinase中で観察された(<2%)。RC-Pのサイズバリアント特性評価(size variant characterization)を介して、八量体が四量体と同等な活性を示すことは既に実証されている。全体的に、ErwinaseとRC-Pとの間で観察されるサイズ分布の差異が薬物の効力に対して有する影響は最小限である。Erwinaseは、酸性バリアントの差異に寄与する糖化修飾を有する。Erwinase中で観察されるより高レベルの八量体/16量体は、CIEX上で示される後期溶出性の塩基性バリアントに寄与した。以前のRC-Pの強制分解研究は、糖化RC-PがRC-Pと同等な構造及び活性を有することを実証する。HIC及びRP-UHPLCによって測定した疎水性プロファイルは、両方の材料で同等である。観察されたわずかな差異は、Erwinaseの糖化修飾及びより高いレベルのHMW含有量に起因するものである。両方の材料の一次構造及び高次構造は同等である。効力の結果は同等である。強制分解研究は、Erwinase及びRC-Pが、酸化及び低pHストレス下で同等な安定性を有することを示す。RP-UHPLCのプレピークが20%前後増加した酸化RC-P及びErwinaseの両方が、これらの未処理の材料と比較して同等な活性を有する。低pHストレス条件で処置されたRC-P及びErwinaseの両方が、活性の低減を有し、これは、処理された試料の単量体含有量と非常によく相関する。これらのデータに基づけば、RC-PはErwinaseと同等な構造、生物学的特性、及び機能を示す。
【0240】
列挙される実施形態
以下で列挙される実施形態は、本発明の一部の態様を表す。
【0241】
実施形態1:水性の非凍結乾燥型製剤であって、
(i)4つの単量体単位を含み、各単量体単位が、配列番号1と少なくとも約95%同一であるアミノ酸配列を有する、L-アスパラギナーゼと、
(ii)トレハロース、スクロース、又はこれらの任意の組み合わせを含む1つ以上の二糖類と、
(iii)アミノ酸を実質的に含まない1つ以上の緩衝液と
を含み、37℃で1週間貯蔵した後で、約5%未満の低分子量(LMW)種を含む、前記製剤。
【0242】
実施形態2:L-アスパラギナーゼが、約20mg/mLの濃度で存在する、実施形態1に記載の製剤。
【0243】
実施形態3:L-アスパラギナーゼが、非PEG化且つ非PAS化(non-PASylate)されている、実施形態1又は実施形態2に記載の製剤。
【0244】
実施形態4:1つ以上の二糖類が、トレハロースを含む、実施形態1~3のいずれか1つに記載の製剤。
【0245】
実施形態5:トレハロースが、約50mM~約300mMの濃度で存在する、実施形態4に記載の製剤。
【0246】
実施形態6:トレハロースが、約150mM~約275mMの濃度で存在する、実施形態4に記載の製剤。
【0247】
実施形態7:トレハロースが、約170mMの濃度で存在する、実施形態4に記載の製剤。
【0248】
実施形態8:1つ以上の緩衝液が、リン酸緩衝液、酢酸緩衝液、又はこれらの任意の組み合わせを含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の製剤。
【0249】
実施形態9:1つ以上の緩衝液が、リン酸緩衝液を含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の製剤。
【0250】
実施形態10:1つ以上の緩衝液が、リン酸ナトリウムを含む、実施形態1~7のいずれか1つに記載の製剤。
【0251】
実施形態11:リン酸ナトリウムが、約0.5mM~約50mMの濃度で存在する、実施形態10に記載の製剤。
【0252】
実施形態12:リン酸ナトリウムが約20mMの濃度で存在する、実施形態10に記載の製剤。
【0253】
実施形態13:塩化ナトリウムを更に含む、実施形態1~12のいずれか1つに記載の製剤。
【0254】
実施形態14:塩化ナトリウムが、約25mM~約150mMの濃度で存在する、実施形態13に記載の製剤。
【0255】
実施形態15:塩化ナトリウムが約50mMの濃度で存在する、実施形態13に記載の製剤。
【0256】
実施形態16:1つ以上の賦形剤を更に含む、実施形態1~15のいずれか1つに記載の製剤。
【0257】
実施形態17:1つ以上の賦形剤がポリソルベート80を含む、実施形態16に記載の製剤。
【0258】
実施形態18:ポリソルベート80が、約0.004%(w/v)~約0.2%(w/v)の濃度で存在する、実施形態17に記載の製剤。
【0259】
実施形態19:ポリソルベート80が約0.02%(w/v)の濃度で存在する、実施形態17に記載の製剤。
【0260】
実施形態20:約4.0~約8.5のpHを有する、実施形態1~19のいずれか1つに記載の製剤。
【0261】
実施形態21:約7.0のpHを有する、実施形態1~19のいずれか1つに記載の製剤。
【0262】
実施形態22:その必要のある対象において、アスパラギン枯渇によって治療可能な疾患、病状、又は障害を治療する方法であって、実施形態1~21のいずれか1つに記載の製剤を対象に投与することを含む、前記方法。
【0263】
実施形態23:疾患、病状、又は障害ががんである、実施形態22に記載の方法。
【0264】
実施形態24:がんが急性リンパ芽球性白血病(ALL)である、実施形態23に記載の方法。
【0265】
実施形態25:ALLが再発性ALLである、実施形態24に記載の方法。
【0266】
実施形態26:がんがリンパ芽球性リンパ腫(LBL)である、実施形態23に記載の方法。
【0267】
実施形態27:LBLが再発性LBLである、実施形態26に記載の方法。
【0268】
実施形態28:前記製剤が筋肉内投与される、実施形態22~27のいずれか1つに記載の方法。
【0269】
実施形態29:前記製剤が静脈内投与される、実施形態22~27のいずれか1つに記載の方法。
【0270】
実施形態30:前記製剤が、1つ以上の他の化学療法剤と同時投与される、実施形態22~29のいずれか1つに記載の方法。
【0271】
実施形態31:
(i)実施形態1~21のいずれか1つに記載の製剤と、
(ii)その必要のある対象において、アスパラギン枯渇によって治療可能な疾患、病状、又は障害を治療するための、説明書と
を含む、キット。
【0272】
実施形態32:疾患、病状、又は障害ががんである、実施形態31に記載のキット。
【0273】
実施形態33:がんが急性リンパ芽球性白血病(ALL)である、実施形態32に記載のキット。
【0274】
実施形態34:ALLが再発性ALLである、実施形態33に記載のキット。
【0275】
実施形態35:がんがリンパ芽球性リンパ腫(LBL)である、実施形態32に記載のキット。
【0276】
実施形態36:LBLが再発性LBLである、実施形態35に記載のキット。
【配列表】
2024515555000001.app
【国際調査報告】