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特表2024-515557非石灰石材料からのセメント質の生成
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】非石灰石材料からのセメント質の生成
(51)【国際特許分類】
   C04B 7/38 20060101AFI20240403BHJP
   C04B 7/345 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
C04B7/38
C04B7/345
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561633
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 US2022024496
(87)【国際公開番号】W WO2022221334
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/173,703
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/240,319
(32)【優先日】2021-09-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/279,596
(32)【優先日】2021-11-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
(71)【出願人】
【識別番号】523378114
【氏名又は名称】ブリムストーン エナジー インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】BRIMSTONE ENERGY, INC.
【住所又は居所原語表記】1715 Poplar Street, Oakland, California, United States of America
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フィンケ コディ
(72)【発明者】
【氏名】ドライ マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】カシャップ ヴィヴェック
(72)【発明者】
【氏名】カラム エヴォーディ チジク
(72)【発明者】
【氏名】ハーヴェイ-コステロ ニドラ
(72)【発明者】
【氏名】ブレッソン ジェームス アレクシス
(72)【発明者】
【氏名】ケラー マーガレット ジョゼフィン
(72)【発明者】
【氏名】レアンドリ ヒューゴ フランソワ
(57)【要約】
1種以上の非石灰石材料、例えば1種以上の非石灰石岩石及び/またはミネラル類、からセメント及び/またはポゾランなどの補助セメント質材料を誘導するための方法及び組成物が提供される。非石灰石材料、例えば、非石灰石岩石及び/またはミネラル類は、所望の生成物、例えば、セメント及び/または補助セメント質材料、が生成される様式で加工される。
【選択図】図12
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クリンカを生成する方法であって、
(a)カルシウムを含む非石灰石材料を塩酸と接触させることによって、カルシウム減損固体画分と、塩化カルシウムを含むカルシウム高含有液体画分とを生成し、
(b)前記カルシウム高含有液体画分を処理して塩化カルシウムを含む固体を生成し、
(c)塩化カルシウムを含む前記固体を脱塩素化して、カルシウム化合物を含む脱塩素固体を生成し、
(d)カルシウムを含む前記脱塩素固体を処理して、クリンカを生成する
ことを含む方法。
【請求項2】
前記カルシウム高含有液体画分から前記カルシウム減損固体画分を分離することをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記カルシウム高含有液体画分が、マグネシウム、鉄、及び/またはアルミニウムの1種以上の非カルシウム塩を含み、前記カルシウム高含有液体画分の処理が、前記液体を処理して、1種以上の不溶性のマグネシウム化合物、鉄化合物、及び/またはアルミニウム化合物を沈殿させることを含む、請求項1または請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記カルシウム高含有液体画分の処理が、前記画分を塩基と接触させることを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記カルシウム高含有液体画分の処理が、前記画分を熱加水分解に供して、アルミニウム及び/または鉄を含有する不溶性化合物を沈殿させ、前記アルミニウム及び/または鉄を含有する不溶性化合物を除去し、次いで、残りの前記カルシウム高含有液体画分を前記塩基と接触させることを含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記カルシウム高含有液体画分を脱水し、塩化カルシウムを含む前記固体を生成することをさらに含む、請求項1~5のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
塩化カルシウムを含む前記固体の脱塩素化が、蒸気及びシリカの存在下で前記固体を加熱して、カルシウムを含む前記脱塩素固体を生成することを含む、請求項1~6のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
カルシウム及びシリカが、2.45~3.25のCa:Siのモル比で存在する、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
クリンカを生成するための、カルシウムを含む前記脱塩素固体の処理が、前記固体をフラックスと共に加熱することを含む、請求項1~8のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
前記フラックスが、酸化アルミニウム及び酸化鉄を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記クリンカを加工してセメントを生成することをさらに含む、請求項1~10のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物を1種以上含む固体材料を調製する方法であって、
(a)非石灰石出発材料を酸と接触させて、マグネシウムを含むカルシウム高含有液体画分とカルシウム減損固体画分とを生成し、
(b)前記カルシウム高含有液体画分を処理して、二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物の1種以上を沈殿させ、
(c)前記カルシウム高含有液体画分からマグネシウム高含有沈殿物を分離し、
(d)前記マグネシウム高含有沈殿物をすすぎ、乾燥させる
ことを含む、方法。
【請求項13】
前記二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物の1種以上を、前記液体から分離することをさらに含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物の1種以上を、すすぎ、乾燥させることをさらに含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物の1種以上が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、オキシ水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム水和物、それらの複合体または組み合わせを含む、請求項12~14のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
前記二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物の1種以上を二酸化炭素と接触させて、前記二酸化炭素を炭酸マグネシウムまたは重炭酸マグネシウムとして隔離することをさらに含む、請求項12~15のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記接触させることが、前記二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物の1種以上を、二酸化炭素を含む煙道ガス、例えば、前記二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物の1種以上を生成するためのプロセス中に生成される煙道ガス、に曝露して、炭酸マグネシウムを生成することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記接触させることが、前記二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物の1種以上を、二酸化炭素を含む空気に曝露して、炭酸マグネシウムを生成することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記接触させることが、前記二酸化炭素と反応し二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物の1種以上を海洋などの水域に入れて、前記水域中の二酸化炭素と反応させて重炭酸マグネシウムを生成することを含む、請求項16に記載の方法。
【請求項20】
カーボンクレジットを取得する方法であって、
(a)回避された正味の二酸化炭素(CO)の値及び/または隔離された正味のCO値の値を計算するために、
(i)請求項1~18、27~72、または139~161のいずれか1項に記載の方法を実施し、
(ii)隔離されたCOの1つ以上の量、回避されたCOの1つ以上の量、及びCO排出量の1つ以上の量を追跡し、
(iii)前記隔離されたCOの1つ以上の量、前記回避されたCOの1つ以上の量、及び前記CO2排出量から、回避されたCOの量及び/または隔離されたCOの量を決定し、
(b)カーボンクレジットを、前記(a)の(iii)で得た回避及び/または隔離されたCOの値に基づいて取得する
ことを含む、方法。
【請求項21】
回避されたCOの値が、石灰石を焼成することを含むプロセスによって同量のセメントを生成し、請求項1~18、27~72、または139~161のいずれか1項に記載のプロセスによって生成されたCOの量と比較することによって決定される、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記隔離されたCOの値が、Mg化合物でCOを隔離し、所定量のMg化合物によって隔離されたCOの量を数量化することによって決定される、請求項20または21に記載の方法。
【請求項23】
前記隔離されたCOの少なくとも一部分が、大気中のCOである、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
少なくとも50、60、70、80、90、または95%w/wの塩化カルシウム、例えば少なくとも90%、好ましい実施形態では少なくとも95%の塩化カルシウムと、少なくとも50、60、65、70、75、80、85、90、または95%、例えば少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%w/wのシリカとを含む、組成物。
【請求項25】
含まれるCl量が、10、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、または0.1%w/w未満、好ましい実施形態では5%未満、より好ましい実施形態では1%未満である、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
含まれるCaO量が、20、15、10、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、または0.1%w/w未満、好ましい実施形態では5%未満、より好ましい実施形態では0.5%未満である、請求項24または25に記載の組成物。
【請求項27】
塩化カルシウムを含む固体を脱塩素化する方法であって、
(i)前記塩化カルシウムを含む固体を、シリカを含む固体と組み合わせ、
(ii)組み合わせた前記塩化カルシウム及び前記シリカを蒸気の存在下で750~1250℃の温度まで加熱して、HClガス及び脱塩素カルシウム生成物を生成する
ことを含む、方法。
【請求項28】
前記温度が900~1250℃である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記温度が1000~1250℃である、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記温度が1100~1250℃である、請求項27に記載の方法。
【請求項31】
前記温度が700~750℃に達したら、800~850℃の温度に達するまで、毎分60、50、40、30、10、または5℃以下の速度で加熱を進行させる、請求項27~30のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記塩化カルシウムを含む固体と前記シリカを含む固体を、Ca-Siモル比が2.5~3.5となるように組み合わせる、請求項27~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記塩化カルシウムを含む固体が50~90重量%で存在し、前記シリカが10~40重量%で存在する、請求項27~31のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
塩化カルシウムを含む前記固体が、少なくとも80、90、92、93、94、95、96、97、98、または99%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の塩化カルシウムを含む、請求項27~33のいずれか1項に記載の方法。
【請求項35】
前記シリカを含む固体が、少なくとも50、60、65、70、75、80、85、90、または95%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも75%、さらにより好ましくは少なくとも80%のシリカを含む、請求項27~34のいずれか1項に記載の方法。
【請求項36】
前記塩化カルシウムを含む固体が、少なくとも90%の塩化カルシウムを含み、前記シリカを含む固体が、少なくとも80%のシリカを含む、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記蒸気が5~100体積%で存在する、請求項27~36のいずれか1項に記載の方法。
【請求項38】
塩化物含有量が、少なくとも60、70、80、90、95、96、97、98、または99%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%低減する、請求項27~37のいずれか1項に記載の方法。
【請求項39】
前記脱塩素カルシウム生成物が、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、または80重量%のケイ酸二カルシウム、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも25%のケイ酸二カルシウムを含み、且つCaO量が30、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1重量%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満である、請求項27~38のいずれか1項に記載の方法。
【請求項40】
前記脱塩素カルシウム生成物が、少なくとも15%のケイ酸二カルシウムを含み、且つCaO量が10%未満である、請求項40に記載の方法。
【請求項41】
塩化カルシウムを含む固体からクリンカを生成する方法であって、
(a)塩化カルシウムを含む固体を脱塩素化して、Caを含み、且つCl量が10%w/w未満である脱塩素組成物を生成し、
(b)前記脱塩素組成物をフラックスの存在下で加熱してクリンカを生成する
ことを含む、方法。
【請求項42】
前記クリンカが、ケイ酸二カルシウム及びケイ酸三カルシウムを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記クリンカが、ポルトランドセメントクリンカを含む、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
前記塩化カルシウムを含む組成物がシリカをさらに含む、請求項41~43のいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
塩化カルシウム及びシリカを含む前記組成物中のCa:Siのモル比が、1.0~5.0、好ましくは2.0~4.0、より好ましくは2.5~3.25である、請求項44に記載の方法。
【請求項46】
前記塩化カルシウムを含む組成物が、少なくとも80、90、92、95、96、97、98、または99%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%の塩化カルシウムを含む、請求項41~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記脱塩素組成物のCaO量が、30、20、10、8、5、4、3、2、または1%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満である、請求項41~46のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記脱塩素組成物のCl量が、重量基準で、10、8、6、5、4、3、2、または1%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらにより好ましくは1%以下である、請求項41~47のいずれか1項に記載の組成物。
【請求項49】
前記脱塩素組成物が、少なくとも2、5、10、15、20、25、30、35、または40%、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも25%のケイ酸二カルシウムを含む、請求項41~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記塩化カルシウムを含む組成物の脱塩素化が、前記組成物の加熱を含む、請求項41~49のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記塩化カルシウムを含む組成物が300℃以上の温度に達したときに蒸気を導入することをさらに含む、請求項50に記載の方法。
【請求項52】
前記塩化カルシウムを含む組成物の蒸気の存在下での加熱が、少なくとも750℃及び/または1250℃以下の温度まで加熱することを含む、請求項51に記載の方法。
【請求項53】
700~750℃及び800~1000°の間の前記加熱を、100、80、50、40、30、25、20、15、10、5、もしくは1°/分以下またはそれよりも遅い速度で実施する、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記脱塩素化中にHClが生成される、請求項41~53のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
前記フラックスが、鉄化合物及び/またはアルミニウム化合物を含む、請求項41~54のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
前記アルミニウム化合物がAlを含む、及び/または前記鉄化合物がFeを含む、請求項55に記載の方法。
【請求項57】
前記鉄化合物及び/または前記アルミニウム化合物と、前記塩化カルシウムを含む組成物とが、同じ出発材料から生成される、請求項55または請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記出発材料が、カルシウム含有岩石及び/またはミネラル類を含む、請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記シリカが、前記塩化カルシウムを含む組成物の出発材料と同じ出発材料から生成される、請求項44~58のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
フラックスの存在下での前記脱塩素組成物の前記加熱が、1200~1600、好ましくは1400~1600℃まで前記組成物を加熱することを含む、請求項41~59のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
1500~1600℃まで前記組成物を加熱することを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項62】
1450~1500℃まで前記組成物を加熱することを含む、請求項60に記載の方法。
【請求項63】
前記脱塩素組成物の前記脱塩素化及び/または前記加熱がキルン内で行われる、請求項41~62のいずれか1項に記載の方法。
【請求項64】
前記キルンがロータリーキルンを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
ケイ酸二カルシウムと、20、15、10、5、2、または1%以下のCaO、例えば10%以下のCaO、とを含む組成物を、フラックスの存在下で加熱して、クリンカを生成することを含む、クリンカを生成する方法。
【請求項66】
前記組成物のケイ酸三カルシウム量が、5、4、3、2、1、0.5、または0.1%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.1%未満であり、前記クリンカが、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも50%のケイ酸三カルシウムを含む、請求項65に記載の方法。
【請求項67】
前記フラックスが、酸化アルミニウム及び/または酸化鉄を含む、請求項65または66に記載の方法。
【請求項68】
カルシウムとケイ素とを含有する非石灰石材料を含む出発材料からクリンカ及び補助セメント質材料(SCM)の両方を生成する方法であって、
(i)前記非石灰石材料をHClに溶解し、塩化カルシウムを含むカルシウム高含有液体画分と、シリカを含むカルシウム減損固体画分とを生成し、
(ii)シリカを含む前記カルシウム減損固体画分から前記SCMを生成し、
(iii)塩化カルシウムを含む前記カルシウム高含有液体画分からクリンカを生成する
ことを含む、方法。
【請求項69】
前記非石灰石材料から骨材を生成することをさらに含む、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
前記クリンカからセメントを生成することをさらに含む、請求項68または請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記セメント、前記骨材、及び水を組み合わせてコンクリートを生成することをさらに含む、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記SCMを前記セメント、骨材、及び水と組み合わせてコンクリートを生成することをさらに含む、請求項71に記載の方法。
【請求項73】
非石灰石材料からクリンカを生成するための装置であって、
(i)前記非石灰石出発材料を処理して、塩化カルシウムを含む固体組成物を生成するように構成された第1の加工器と、
(ii)塩化カルシウムを含む前記固体組成物からクリンカを形成するように構成された第2の加工器と
を備え、前記第1の加工器が前記第2の加工器に動作可能に接続されている、装置。
【請求項74】
前記第1の加工器が、
(a)前記非石灰石材料を酸と接触させ、第1のカルシウム高含有液体画分及びカルシウム減損固体画分を生成するように構成された浸出器と、
(b)前記カルシウム高含有画分から除去される1種以上の非カルシウム塩を固体形態に変換することによって、前記1種以上の非カルシウム塩を前記カルシウム高含有画分から除去するように構成された沈殿器と、
(c)前記沈殿器からの前記カルシウム高含有液体画分から水を除去し、塩化カルシウムを含む前記固体を生成するように構成された脱水器と
を備え、前記浸出器が前記沈殿器に動作可能に接続されている、請求項73に記載の装置。
【請求項75】
前記第1の加工器が、前記浸出器に動作可能に接続され、且つ非石灰石出発材料を加工するように構成された材料加工器をさらに含む、請求項73または請求項74に記載の装置。
【請求項76】
前記材料加工器が、前記非石灰石材料のサイズを低減させる及び/または前記材料を1種以上のサイズ範囲に分類するように構成されている、請求項75に記載の装置。
【請求項77】
前記第1の加工器が、前記浸出器に動作可能に接続された酸貯蔵タンクをさらに含む、請求項74~76のいずれか1項に記載の装置。
【請求項78】
前記浸出器が加熱要素を含む、請求項74~77のいずれか1項に記載の装置。
【請求項79】
前記浸出器が攪拌器を含む、請求項74~78のいずれか1項に記載の装置。
【請求項80】
前記浸出器が、前記浸出器及び前記沈殿器に動作可能に接続され、且つ前記カルシウム高含有液体画分及び前記カルシウム減損固体画分を分離して前記カルシウム高含有液体画分を前記沈殿器に誘導するように構成された第1の分離器をさらに含む、請求項74~79のいずれか1項に記載の装置。
【請求項81】
前記沈殿器が、前記固体を前記カルシウム高含有液体画分から分離するための第2の分離器に動作可能に接続されている、請求項74~80のいずれか1項に記載の装置。
【請求項82】
前記沈殿器が第1の沈殿ユニットを含み、前記第1の沈殿ユニットが第1のセットの非カルシウム化合物を沈殿させるように構成された塩基沈殿ユニットである、請求項74~81のいずれか1項に記載の装置。
【請求項83】
前記第1の沈殿ユニットに動作可能に接続された1種以上の塩基源をさらに備える、請求項82に記載の装置。
【請求項84】
前記1種以上の塩基源が、カルシウム塩基源を含む、請求項83に記載の装置。
【請求項85】
前記沈殿器が第2の沈殿ユニットを含み、前記第2の沈殿ユニットが前記カルシウム高含有液体画分から第2のセットの非カルシウム化合物を沈殿させるように構成された熱加水分解沈殿ユニットである、請求項82~85のいずれか1項に記載の装置。
【請求項86】
前記第2の沈殿ユニットが、前記カルシウム高含有液体画分から前記第2のセットの沈殿した非カルシウム化合物を分離するための第3の分離器に動作可能に接続されている、請求項85に記載の装置。
【請求項87】
前記沈殿器が第3の沈殿ユニットを含み、前記第3の沈殿ユニットが前記カルシウム高含有液体画分から第3のセットの非カルシウム化合物を沈殿させるための熱加水分解ユニットである、請求項85または請求項86に記載の装置。
【請求項88】
前記第3の沈殿ユニットが、前記カルシウム高含有液体画分から前記第3のセットの沈殿した非カルシウム化合物を分離するための第4の分離器に動作可能に接続されている、請求項87に記載の装置。
【請求項89】
前記第2及び第3の沈殿ユニットが同じであり、前記第2及び第3のセットの沈殿した非カルシウム化合物が同じである、請求項87または請求項88に記載の装置。
【請求項90】
前記第2及び第3の沈殿ユニットが異なり、前記第2の沈殿ユニットが、第1の温度または温度範囲まで前記カルシウム高含有液体を加熱することによってアルミニウム化合物を沈殿させるように構成されており、前記第3の沈殿ユニットが、前記第1の温度または温度範囲よりも高い第2の温度または温度範囲まで前記カルシウム高含有液体を加熱することによって鉄化合物を沈殿させるように構成されている、請求項87または請求項88に記載の装置。
【請求項91】
前記脱水器が加熱要素を含む、請求項74~90のいずれか1項に記載の装置。
【請求項92】
前記第2の加工器が、
(a)カルシウム化合物を含む脱塩素固体を生成するために、CaClを含む前記固体を脱塩素化するように構成された脱塩素器と、
(b)前記脱塩素固体をフラックスの存在下で加熱してクリンカを生成するように構成されたクリンカラーと
を含み、前記脱塩素器が前記クリンカラーに動作可能に接続されている、請求項73~91のいずれか1項に記載の装置。
【請求項93】
前記脱塩素器が、カルシウム化合物を含み、且つCl量が20、15、10、8、7、6、5、4、3、2、または1重量%未満である脱塩素固体を生成するように構成されている、請求項92に記載の装置。
【請求項94】
前記塩基源が、前記脱塩素器からの脱塩素固体及び/または前記セメントキルンからのセメントクリンカを含む、請求項92または請求項93に記載の装置。
【請求項95】
前記脱塩素器が、
1. 1種以上の蒸気源、及び
2. 1種以上のシリカ源
に動作可能に接続されている、請求項92~94のいずれか1項に記載の装置。
【請求項96】
前記1種以上の蒸気源が、前記第1の加工器の前記脱水器を含む、請求項95に記載の装置。
【請求項97】
前記1種以上のシリカ源が、前記第1の加工器またはその一部分を含む、請求項95または請求項96に記載の装置。
【請求項98】
前記第1の加工器またはその一部分が、前記第1の分離器を含む、請求項97に記載の装置。
【請求項99】
前記クリンカラーが、1種以上のフラックス源に動作可能に接続されている、請求項92~98のいずれか1項に記載の装置。
【請求項100】
前記1種以上のフラックス源が、前記第1の加工器またはその一部分を含む、請求項99に記載の装置。
【請求項101】
前記第1の加工器またはその一部分が、前記沈殿器を含む、請求項100に記載の装置。
【請求項102】
前記脱塩素器及び/または前記クリンカラーが、ロータリーキルンを含む、請求項92~101のいずれか1項に記載の装置。
【請求項103】
前記クリンカラーからのクリンカを加工するためのクリンカ加工器をさらに備える、請求項92~102のいずれか1項に記載の装置。
【請求項104】
制御システムをさらに備え、前記制御システムが、
(i)前記第1の加工器及び/または前記第2の加工器からの1種以上のインプット源、
(ii)前記1種以上のインプット源からのインプットを処理し、アウトプットを提供するためのプロセッサ、ならびに
(iii)前記アウトプットを受け取り、前記第1の加工器及び/または前記第2の加工器の1種以上の動作を調整するための1種以上のアクチュエータを含む、
請求項73~102のいずれか1項に記載の装置。
【請求項105】
前記1種以上のインプット源が、前記浸出器、前記脱水器、前記脱塩素器、及び/または前記クリンカラー、または1種以上のセンサ、例えばそれらの一部分の温度を検出するための1種以上の温度センサ、を含む、請求項104に記載の装置。
【請求項106】
前記アクチュエータが、前記浸出器、前記脱水器、前記脱塩素器、及び/または前記クリンカラーの加熱要素の動作を調整する1種以上のアクチュエータを含む、請求項104または請求項105に記載の装置。
【請求項107】
請求項73~106のいずれか1項に記載の装置を複数含むネットワークであって、前記装置が空間的に分離しており、前記装置の各々が1つの共通のコントローラ及び/または複数のコントローラに情報を送信する、ネットワーク。
【請求項108】
カルシウムを含む非石灰石材料から塩化カルシウムを含む固体を生成するための装置であって、前記非石灰石出発材料を処理し、塩化カルシウムを含む前記固体を生成するように構成された加工器を備える、前記装置。
【請求項109】
前記加工器が、
(a)前記非石灰石材料を酸と接触させて、第1のカルシウム高含有液体画分及びカルシウム減損固体画分を生成するように構成された浸出器と、
(b)前記カルシウム高含有画分から除去される1種以上の非カルシウム塩を固体形態に変換することによって、前記1種以上の非カルシウム塩を前記カルシウム高含有画分から除去するように構成された沈殿器と、
(c)塩化カルシウムを含む固体を生成するために、前記沈殿器からの前記カルシウム高含有液体画分から水を除去するように構成された脱水器と
を含み、前記浸出器が前記沈殿器に動作可能に接続されている、請求項108に記載の装置。
【請求項110】
前記加工器が、前記浸出器に動作可能に接続された、非石灰石出発材料を加工するように構成された材料加工器をさらに含む、請求項108または請求項109に記載の装置。
【請求項111】
前記材料加工器が、前記非石灰石材料のサイズを低減させる及び/または前記材料を1種以上のサイズ範囲に分類するように構成されている、請求項110に記載の装置。
【請求項112】
前記加工器が、前記浸出器に動作可能に接続された酸貯蔵タンクをさらに含む、請求項109~111のいずれか1項に記載の装置。
【請求項113】
前記浸出器が加熱要素を含む、請求項109~112のいずれか1項に記載の装置。
【請求項114】
前記浸出器が攪拌器を含む、請求項109~113のいずれか1項に記載の装置。
【請求項115】
前記浸出器が、前記浸出器及び前記沈殿器に動作可能に接続され、且つ前記カルシウム高含有液体画分及び前記カルシウム減損固体画分を分離して前記カルシウム高含有液体画分を前記沈殿器に誘導するように構成された第1の分離器をさらに含む、請求項109~114のいずれか1項に記載の装置。
【請求項116】
前記沈殿器が、前記固体を前記カルシウム高含有液体画分から分離するための第2の分離器に動作可能に接続されている、請求項109~115のいずれか1項に記載の装置。
【請求項117】
前記沈殿器が第1の沈殿ユニットを含み、前記第1の沈殿ユニットが、第1のセットの非カルシウム化合物を沈殿させるように構成された塩基沈殿ユニットである、請求項109~116のいずれか1項に記載の装置。
【請求項118】
前記第1の沈殿ユニットに動作可能に接続された1種以上の塩基源をさらに備える、請求項117に記載の装置。
【請求項119】
前記1種以上の塩基源が、カルシウム塩基源を含む、請求項118に記載の装置。
【請求項120】
前記沈殿器が第2の沈殿ユニットを含み、前記第2の沈殿ユニットが、前記カルシウム高含有液体画分から第2のセットの非カルシウム化合物を沈殿させるように構成された熱加水分解沈殿ユニットである、請求項109~120のいずれか1項に記載の装置。
【請求項121】
前記第2の沈殿ユニットが、前記カルシウム高含有液体画分から前記第2のセットの沈殿した非カルシウム化合物を分離するための第3の分離器に動作可能に接続されている、請求項121に記載の装置。
【請求項122】
前記沈殿器が第3の沈殿ユニットを含み、前記第3の沈殿ユニットが、前記カルシウム高含有液体画分から第3のセットの非カルシウム化合物を沈殿させるための熱加水分解ユニットである、請求項120または請求項121に記載の装置。
【請求項123】
前記第3の沈殿ユニットが、前記カルシウム高含有液体画分から前記第3のセットの沈殿した非カルシウム化合物を分離するための第4の分離器に動作可能に接続されている、請求項122に記載の装置。
【請求項124】
前記第2及び第3の沈殿ユニットが同じであり、前記第2及び第3のセットの沈殿した非カルシウム化合物が同じである、請求項122または請求項123に記載の装置。
【請求項125】
前記第2及び第3の沈殿ユニットが異なり、前記第2の沈殿ユニットが、第1の温度または温度範囲まで前記カルシウム高含有液体を加熱することによってアルミニウム化合物を沈殿させるように構成されており、前記第3の沈殿ユニットが、前記第1の温度または温度範囲よりも高い第2の温度または温度範囲まで前記カルシウム高含有液体を加熱することによって鉄化合物を沈殿させるように構成されている、請求項122または請求項123に記載の装置。
【請求項126】
前記脱水器が加熱要素を含む、請求項109~125のいずれか1項に記載の装置。
【請求項127】
塩化カルシウムを含む固体からクリンカを生成する装置であって、
(a)塩化カルシウムを含む前記固体を脱塩素化して、カルシウム化合物を含む脱塩素固体を生成するように構成された脱塩素器と、
(b)前記脱塩素固体をフラックスの存在下で加熱してクリンカを生成するように構成されたクリンカラーと
を備え、前記脱塩素器が前記クリンカラーに動作可能に接続されている、装置。
【請求項128】
前記脱塩素器が、カルシウム化合物を含み、且つCl量が20、15、10、8、7、6、5、4、3、2、または1重量%未満である脱塩素固体を生成するように構成されている、請求項127に記載の装置。
【請求項129】
前記脱塩素器が、
1. 1種以上の蒸気源、及び
2. 1種以上のシリカ源
に動作可能に接続されている、請求項127または請求項128に記載の装置。
【請求項130】
前記クリンカラーが、1種以上のフラックス源に動作可能に接続されている、請求項127~129のいずれか1項に記載の装置。
【請求項131】
前記脱塩素器及び/または前記クリンカラーが、ロータリーキルンを含む、請求項127~130のいずれか1項に記載の装置。
【請求項132】
前記セメントキルンからのクリンカを加工するためのクリンカ加工器をさらに備える、請求項127~131のいずれか1項に記載の装置。
【請求項133】
制御システムをさらに備え、前記制御システムが、
(i)前記脱塩素器及び/または前記クリンカラーからの1種以上のインプット源、
(ii)前記1種以上のインプット源からのインプットを処理し、アウトプットを提供するためのプロセッサ、ならびに
(iii)前記アウトプットを受け取り、前記脱塩素器及び/または前記クリンカラーの1種以上の動作を調整するための1種以上のアクチュエータ
請求項127~132のいずれか1項に記載の装置。
【請求項134】
前記1種以上のインプット源が、前記脱塩素器、及び/または前記クリンカラー、または1種以上のセンサ、例えば、それらの一部分の温度を検出するための1種以上の温度センサ、を含む、請求項133に記載の装置。
【請求項135】
前記アクチュエータが、前記脱塩素器、及び/または前記クリンカラーの加熱要素の動作を調整する1種以上のアクチュエータを含む、請求項133または請求項134に記載の装置。
【請求項136】
(a)非石灰石材料からセメントを生成するように構成された第1の加工器と、
(b)前記非石灰石材料からSCMを生成するように構成された第2の加工器と
を備える、システム。
【請求項137】
(c)前記非石灰石材料から骨材を生成するための第3の加工器をさらに備える、請求項136に記載のシステム。
【請求項138】
前記第1及び第2の加工器が同じである、請求項136及び請求項137に記載のシステム。
【請求項139】
クリンカを生成する方法であって、
(a)カルシウムを含む非石灰石材料を酸に溶解して、塩化カルシウムを含むカルシウム高含有液体画分とカルシウム減損固体画分とを生成し、
(b)前記カルシウム高含有液体画分から前記カルシウム減損固体画分を分離し、
(c)前記カルシウム高含有液体から塩化カルシウムを含む固体を生成し、
(d)塩化カルシウムを含む前記固体を処理してクリンカを形成する
を含む、方法。
【請求項140】
前記非石灰石材料が、ケイ素をさらに含む、請求項139に記載の方法。
【請求項141】
前記非石灰石材料が、岩石及び/またはミネラル類を含む、請求項139または請求項140に記載の方法。
【請求項142】
岩石及び/またはミネラル類を含む前記非石灰石材料が、斜長岩、スカルン、斑れい岩、輝岩、マフルアイト、玄武岩、銅スカルン、タングステンスカルン、採掘岩石、苦鉄質岩石、超苦鉄質岩石、またはそれらの組み合わせを含む、請求項141に記載の方法。
【請求項143】
前記出発材料中の前記カルシウムの40、30、20、15、10、5、4、3、2、または1%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下が、炭酸カルシウムとして存在する、請求項139~142のいずれか1項に記載の方法。
【請求項144】
前記出発材料が、アルミニウム、鉄、及び/またはマグネシウムをさらに含む、請求項139~143のいずれか1項に記載の方法。
【請求項145】
石灰石を焼成することを含むプロセスによって同量の水硬セメントを生成する場合と比較して、前記石灰石から生成される排出COが90、80、70、60、50、40、30、20、10、または5%未満となる、請求項139~144のいずれか1項に記載の方法。
【請求項146】
生成される排出COが80%未満である、請求項145に記載の方法。
【請求項147】
生成される排出COが60%未満である、請求項145に記載の方法。
【請求項148】
生成される排出COが40%未満である、請求項145に記載の方法。
【請求項149】
補助セメント質材料(SCM)、Mg誘導体、及び/または骨材をさらに生成する、請求項139~148のいずれか1項に記載の方法。
【請求項150】
前記SCM、Mg誘導体、及び/または骨材が、前記セメントを生成するために使用するのと同じ出発材料から生成される、請求項149に記載の方法。
【請求項151】
前記酸が、HCl、HBr、HI、HNO、またはそれらの組み合わせを含む、請求項139~151のいずれか1項に記載の方法。
【請求項152】
前記酸が、少なくとも80、90、95、99、または100%のHClを含む、請求項151に記載の方法。
【請求項153】
前記酸が10~37%の濃度である、請求項139~152のいずれか1項に記載の方法。
【請求項154】
前記酸の濃度が15~25%である、請求項153に記載の方法。
【請求項155】
前記酸の濃度が20%である、請求項153に記載の方法。
【請求項156】
前記カルシウム高含有液体から、塩化カルシウムを含むカルシウム化合物を含む固体を生成することが、前記カルシウム高含有液体から、アルミニウム、鉄、及び/またはマグネシウムを含む1種以上の化合物を沈殿させることを含む、請求項139~155のいずれか1項に記載の方法。
【請求項157】
前記カルシウム高含有液体から塩化カルシウムを含むカルシウム化合物を含む固体を生成することが、前記液体を脱水して塩化カルシウムを含む前記固体を生成することを含む、請求項139~156のいずれか1項に記載の方法。
【請求項158】
クリンカを形成するための、塩化カルシウムを含む前記固体の処理が、塩化カルシウムを含む前記固体を脱塩素化して、カルシウム化合物を含む脱塩素固体を生成することを含む、請求項139~157のいずれか1項に記載の方法。
【請求項159】
前記脱塩素化が、蒸気及びシリカの存在下で塩化カルシウムを含む前記固体を加熱することを含む、請求項158に記載の方法。
【請求項160】
カルシウム化合物を含む前記脱塩素固体を処理してクリンカを生成することをさらに含む、請求項158または請求項159に記載の方法。
【請求項161】
前記処理が、フラックスの存在下でカルシウム化合物を含む前記脱塩素固体を加熱することを含む、請求項160に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年4月12日に出願された米国仮特許出願第63/173,703号、2021年9月2日に出願された米国仮特許出願第63/240,319号、及び2021年11月15日に出願された米国仮特許出願第63/279,596号に対する優先権を主張するものであり、これらの米国仮特許出願はすべて参照により本明細書に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
セメント及びセメント生成物は、本質的に人々のインフラストラクチャ全体を構築する、現代生活における必需品である。最も一般的なタイプのセメントは普通ポルトランドセメントであり、コンクリート、モルタル、スタッコ、非特殊グラウト、及び他の多くの物品の生成において使用されている。セメントは我々にとって必要なものであるが、セメント生成にはたびたび対処する必要のある多くの欠点が存在する。ポルトランドセメントは有毒であり、原材料の採掘、製造、及び輸送に大量のエネルギー消費を必要とする。さらに、ポルトランドセメントの生成は大量の温室効果ガスも放出し、ポルトランドセメントの生成は世界の二酸化炭素排出量の8%に寄与している。さらに、Internal Energy Agency(IEA)は、セメント生成が2050年までに12~23%増加すると推定している。
【0003】
したがって、セメント生成分野では、新しく、有用で、より環境に優しいセメント生成法を生み出す必要がある。
【0004】
参照による組み込み
本明細書で言及されるすべての公表文献、特許、及び特許出願は、各個の公表文献、特許、または特許出願が参照により組み込まれることが具体的かつ個別に示されているのと同程度に、参照により本明細書に組み込まれる。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1】第1の方法をフローチャートで表したものを示す。
図2】第2の方法をフローチャートで表したものを示す。
図3】非石灰石材料からカルシウム高含有液体画分とカルシウム減損固体画分とを生成する方法を示す。
図4】カルシウム減損固体画分からSCMを生成する方法を示す。
図5】カルシウム高含有液体画分からアルミニウム、鉄、及び/またはマグネシウムを沈殿させるための3つの異なる方法を示す。
図6】塩化カルシウムを含む固体からカルシウムを含む脱塩素固体を生成する方法を示す。
図7】カルシウムを含む脱塩素固体からクリンカを生成する方法を示す。
図8】第1の加工器及び第2の加工器を備える、非石灰石出発材料からクリンカを生成するための装置を示す。
図9図8の第1の加工器の一実施形態を示す。
図10図8の第2の加工器の一実施形態を示す。
図11】塩基沈殿ユニット/ステップだけを使用して、非石灰石材料、例えば岩石から、補助セメント質材料(SCM)及びOPC用クリンカなどのクリンカを生成するためのシステム及び方法を示す。
図12】少なくとも1つの熱加水分解沈殿ユニット/ステップ及び塩基沈殿ユニット/ステップを使用して、非石灰石材料、例えば岩石から、補助セメント質材料(SCM)及びOPC用クリンカなどのクリンカを生成するためのシステム及び方法を示す。
図13】OPC用クリンカなどのクリンカを生成するためのシステムの例示的な実施形態を示す。
図14】実施例4の手順で取得されたクリンカサンプルの光学顕微鏡写真を示す。
図15】実施例5の手順を示す。
【発明の概要】
【0006】
本発明の実施形態に関する以下の説明は、本発明をこれらの実施形態に限定することを意図したものではなく、当業者が本発明を作製及び使用できるようにすることを意図したものである。
【0007】
1.概要
カルシウム及びケイ素元素を含む非石灰石材料からセメント前駆体及びミネラル類を抽出するための方法及び装置が提示される。ある方法は、浸出剤を使用して非石灰石材料を溶解し、カルシウム高含有画分とカルシウム低含有画分(本明細書ではカルシウム減損画分ともいう)とを分離すること、カルシウム低含有画分をポゾラン及び/または他のセメント前駆体化合物に変換すること、カルシウム高含有画分からカルシウム化合物を抽出すること、ならびに浸出剤を再生することを含み得る。本明細書で使用される場合、「カルシウム高含有画分」は、例えば、HClなどの酸のような浸出剤で非石灰石材料を溶解することから生成される、概して液体の画分を含む。明らかなことだが、この画分は、例えば、特定の材料を除去するために、1つ以上の追加のステップにかけられる場合がある。結果として得られる材料は、通常、特定の材料のうちの1種以上をより少ない量で含むか、または別様に改変されているが、依然として「カルシウム高含有画分」ということができる。典型的に、「カルシウム高含有画分」は、例えばHClが浸出剤である実施形態では、脱水されて塩化カルシウムを含む固体などの固体を生成するまでプロセスを継続する。非石灰石材料の組成に応じて、当該方法は、他のミネラル類を抽出すること(例えば、沈殿及び/または熱分解もしくは熱加水分解による)を含み得る。当該方法は、多目的の抽出及び生成プロセスとして機能し、当該方法により、潜在的に貴重な元素(例えば、アルミニウム、鉄、マグネシウムなど)の抽出に加えて、セメント前駆体材料(例えば、SCM、石灰、クリンカなど)の抽出が可能になる。本明細書で使用される場合、「クリンカ」という用語は、別段指示されない限り、ポルトランドセメントクリンカなどのセメントクリンカを含む。さらに、当該方法は、セメント(例えば、普通ポルトランドセメント)の生成のためにも有効であり得る。これらの変形例において、当該方法は、カルシウム化合物をセメントに(例えば、クリンカリングまたは焼結プロセスを通じて)変換することをさらに含み得る。
【0008】
当該方法は、ミネラル類掘削及びコンクリート生成の分野で特に有用であり得る。当該方法は、追加の資源を生成/抽出するためにミネラル類の掘削中または掘削後に実施され得る。この方法では、セメント前駆体材料及びセメントの両方を抽出し、生成することができる。1つのミネラル類掘削の実施態様では、非石灰石岩石が既に掘削され、岩石からミネラル類が除去されるようにプロセスされている可能性がある。その場合、当該方法を実施して、他のミネラル類を抽出し、セメント生成物を生成できる可能性がある。
【0009】
当該方法は、セメント生成の一般的な目的にも特に有用である可能性がある。非石灰石岩石からのセメントの生成には、セメント生成をより環境に優しいものにできる可能性がある。
【0010】
当該方法は、いくつかの潜在的な利点を提供し得る。当該方法は、そのような利点を常に提供することに限定されず、単に当該方法がどのように使用され得るかについての例示的な表現として提示されるものである。利点のリストは網羅的であることを意図したものではなく、他の利点が追加的または代替的に存在する可能性がある。
【0011】
当該方法は、より環境に優しいセメント生成法を可能にするという利点をもたらす可能性がある。現在、セメントを生成する最も一般的な方法は、石灰石を加熱して石灰及び二酸化炭素を生成することである。石灰石を用いずにセメントを生成することにより、二酸化炭素の排出量が大幅に減少し得る。
【0012】
当該方法は、セメント生成のための新しい資源を提供する可能性がある。石灰石の必要性がなければ、セメント生成は、世界のさらに多くの地域に広がり得る。
【0013】
当該方法は、さらに、コンクリート生成の簡略化という利点を提供し得る可能性がある。コンクリートの生成は、典型的に、普通ポルトランドセメント(OPC)、補助セメント質材料(SCM)、及び骨材を必要とする。現在、コンクリート生成者は、OPC及びSCMを取得するために異なる供給源を使用する必要がある。当該方法は、同じ出発材料などの供給源からのSCMの抽出及びOPCの生成を可能にし得る。さらに、当該方法は、同じ供給源からのSCMの抽出ならびにOPC及び骨材の生成を可能にし得る。これにより、コンクリート生成プロセスが大幅に簡略化し得、コンクリート生成のコストが低下する可能性がある。したがって、本明細書では、ポルトランドセメント及びポゾランなどのSCMからコンクリートを生成する方法であって、ポルトランドセメント及びポゾランなどのSCMが、同じ供給源、例えば、同じ非石灰石材料(非石灰石岩石及び/またはミネラル類など)から誘導される方法が提供される。特定の実施形態では、ポルトランドセメント、ポゾランなどのSCM、及び骨材からコンクリートを生成する方法であって、ポルトランドセメント、ポゾランなどのSCM、及び骨材が、同じ供給源、例えば、同じ非石灰石材料(非石灰石岩石及び/またはミネラル類など)から誘導される方法が、本明細書で提供される。特定の実施形態では、コンクリートを生成するためのシステムであって、コンクリートが、ポルトランドセメント及びポゾランなどのSCMを含み、ポルトランドセメントが、本明細書に記載される装置のようなセメント生成装置において、非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの非石灰石材料から生成され、SCMが、本明細書に記載される装置のようなSCM生成装置において、非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの非石灰石材料から生成され、セメント生成装置、SCM生成装置、ならびに非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの非石灰石材料がすべて、非石灰石岩石及び/またはミネラル類が供給源から採掘される場所のような単一の場所にある、システムが提供される。特定の実施形態では、セメント生成装置及びSCM生成装置は同じ装置である。コンクリートは、骨材をさらに含むことができ、システムは、非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの非石灰石材料から骨材を生成するための、破砕機、粉砕機、及び篩を含む装置のような骨材生成装置をさらに含むことができ、骨材生成装置は、セメント生成装置及びSCM生成装置と同じ場所にある。同じ場所は、例えば、様々な装置がすべて半径10、5、1、または0.5マイル以内、例えば半径1マイル以内またはさらには半径0.5マイル以内であるようなものであり得、採掘される非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの非石灰石材料の供給源が、当該半径以内にあってもよく、または、さらに離れていてもよいが、いずれの場合も、当該場所から10、5、4、3、2、または1マイル以内、例えば、2マイル以内である。
【0014】
当該方法はさらに、コンクリートを作製するために添加される材料により有用性が高まるという潜在的な利点を提供し得る。すなわち、当該方法は、コンクリート生成を可能にすることに加えて、コンクリート生成を超えたミネラル類抽出の利点も提供し得る(例えば、アルミニウム及び鉄などの金属も、使用または販売のために抽出され得る)。
【0015】
さらに、コンクリート生成のための使用を超えたミネラル類の抽出の利点として、当該方法は、セメント材料抽出と同時の効率的なミネラル類の精製(例えば、アルミニウム及び鉄などの金属の精製)の利点を提供する可能性がある。
【0016】
特定の変形例では、当該方法はさらに、高純度SCM(例えば、マイクロまたはナノのシリカまたはシリカフューム)の抽出という潜在的な利点を提供し得る。すなわち、抽出されたシリカが、例えば、金属の抽出のためのカルシウム塩基の生成のために再利用されない変形例(例えば、アルミニウム及び鉄が熱分解によって抽出される変形例)では、大量の抽出されたシリカが、より純度の高い形態で保存され得る。
【0017】
当該方法は、セメント及び他のミネラル類の抽出のためのよりエネルギー効率の高い方法の利点を提供する可能性がある。いくつかの変形例において、当該方法には、エネルギー(特に非電気エネルギー)の消費を低減するために、水の蒸発もしくは他の電気加熱のために潜熱をリサイクルする、または他の反応ステップからの熱を再導入するための、機械的蒸気再圧縮の使用が組み込まれ得る。
【0018】
図1に示すように、非石灰石出発材料からセメント前駆体及びミネラル類を抽出するための方法は、非石灰石材料を取得することS110(ここで、非石灰石材料は、カルシウム元素、及び場合によりケイ素元素を含む材料を含む);非石灰石材料からカルシウム高含有画分及びカルシウム減損画分を作出することS130(少なくともカルシウム化合物を溶解することにより、非石灰石材料のカルシウム高含有画分及びカルシウム減損画分を作出することを含み、ここで、非石灰石材料を溶解することは、少なくとも1つの浸出剤を添加することS132を含む);カルシウム高含有画分からカルシウム減損画分を分離することS140(ここで、カルシウム減損画分はポゾランを含み得る);カルシウム高含有画分からカルシウム含有化合物を分離すること(例えば、HClが浸出剤である実施形態の場合、塩化カルシウムを含む固体を生成するため)S150;場合により、カルシウム化合物を分解すること(例えば、カルシウムを含む脱塩素固体を生成するために、塩化カルシウムを含む固体を脱塩素化すること、及び、場合により、カルシウムを含む脱塩素固体をクリンカリングすること)S160;ならびに、場合により、浸出剤を再生することS170を含む。
【0019】
当該方法は、非石灰石材料から、ポゾラン(補助セメント質材料(SCM)ともいう)、及び/または他のセメント前駆体材料(例えば、クリンカ、石灰、消石灰、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、及び炭酸カルシウム)、マグネシウム化合物、ならびに金属を抽出するように機能する。実施態様及び非石灰石材料のタイプに応じて、当該方法には、当該方法が所望のインプット(すなわち、非石灰石材料のタイプ)及び/またはアウトプット(すなわち、セメント材料及び金属)に関して改変され得る複数の変形例があり得る。したがって、実施態様に応じて、追加/代替のステップを有することに加えて、実施態様に必要なように、方法ステップを省略したり、繰り返したり、変更したりすることができる。当該方法は、ケイ酸カルシウム岩石を加工するために特に有用であり得るが、ケイ素及び/またはカルシウムを含有するいずれの非石灰石材料でも実施できる。
【0020】
改変された実施形態では、当該方法は、セメントの生成に使用され得る。この実施形態では、図2に示すように、セメント生成及びセメント前駆体生成のための方法は、非石灰石材料を取得することS110(ここで、非石灰石材料は、カルシウム元素、及び場合によりケイ素元素を含む材料を含む);非石灰石材料からカルシウム高含有画分及びカルシウム減損画分を作出することS130(少なくともカルシウム化合物を溶解することにより、非石灰石材料のカルシウム高含有画分及びカルシウム減損画分を作出することを含み、ここで、非石灰石材料を溶解することは、少なくとも1つの浸出剤を添加することS132を含む);カルシウム高含有画分からカルシウム減損画分を分離することS140(ここで、カルシウム減損画分はポゾランを含み得る);カルシウム高含有画分からカルシウム含有化合物を分離すること(例えば、HClが浸出剤である実施形態の場合、塩化カルシウムを含む固体を生成するため)S150;場合により、カルシウム化合物を分解すること(例えば、カルシウムを含む脱塩素固体を生成するために、塩化カルシウムを含む固体を脱塩素化すること、及び、場合により、カルシウムを含む脱塩素固体をクリンカリングすること)S160;場合により、浸出剤を再生することS170;ならびに、分解がカルシウム化合物生成物を含む場合、カルシウム化合物生成物からクリンカまたはセメントを生成することS180を含む。
【0021】
この方法は、非石灰石材料から、補助セメント質材料(SCM)、及び/または他のセメント前駆体材料(例えば、クリンカ、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、石灰、または消石灰)、ならびに金属を抽出し、場合により、セメント前駆体材料をセメントに変換するように機能する。実施態様及び非石灰石材料のタイプに応じて、当該方法には、当該方法が所望のインプット(すなわち、非石灰石材料のタイプ)及び/またはアウトプット(すなわち、セメント及び金属のタイプ)に関して改変され得る複数の変形例があり得る。したがって、実施態様に応じて、追加/代替のステップを有することに加えて、実施態様に必要なように、方法ステップを省略したり、繰り返したり、変更したりすることができる。当該方法は、ケイ酸カルシウム岩石を加工するために特に有用であり得るが、ケイ素及びカルシウムを含有するいずれの非石灰石材料でも実施できる。当該方法は、クリンカまたはセメント、例えば、普通ポルトランドセメント(OPC)の生成のために特に有用であり得、ポルトランドセメントのタイプ(例えば、タイプ1ポルトランドセメント、タイプ2ポルトランドセメント、タイプ3ポルトランドセメント、タイプ4ポルトランドセメント、またはタイプ5ポルトランドセメント、または同等のタイプ)、またはより一般的には、他のタイプのセメント及びセメント質材料(例えば、石灰、消石灰、モルタル、フライアッシュ、スラグ、ケイ酸三カルシウム、ケイ酸二カルシウム、及びシリカフューム)の生成のために実施され得る。当該方法は、追加的に、または代替的に、出発材料として無定形シリカ、酸化カルシウム(CaO)、及び/または酸化マグネシウム(MgO)を含む任意の化合物の生成を可能にし得る。
【0022】
いくつかの変形例において、当該方法は、追加または代替のステップを含み得る。追加のステップは、材料を加工すること、化合物を再生すること、廃棄物を加工すること、及び/または他の反応を改善することに関連し得る。追加/代替のステップは、所望の実施態様のために組み込まれ得る。追加/代替のステップの例としては、試薬/材料を電気分解すること、試薬/材料または溶液を熱分解または熱加水分解すること、試薬/材料を沈殿させること、接触加工を適用すること、ならびに、最初の岩石の溶解及び/またはカルシウム種の単離のために、酸と塩基の両方または酸もしくは塩基だけを発生させるために、水電気分解を使用して試薬/材料を合成することが挙げられる。多くの変形例において、当該方法は、カルシウム濃縮ステップを含み得る。すなわち、当該方法は、非石灰石材料を濃縮することS120を含むことができ、それにより、元の材料と比較して高い濃度のカルシウムを有する材料が作出される。多くの変形例において、当該方法はさらに、炭素捕捉/隔離ステップを実施し得る。すなわち、当該方法は、煙道ガスをスクラビングすることをさらに含み得る。
【発明を実施するための形態】
【0023】
出発材料
非石灰石材料を取得することを含むブロックS110は、プロセスの出発材料を取得することにおいて機能する。非石灰石材料を取得することS110は、非石灰石材料を取得するための任意の一般的なプロセス、例えば、非石灰石材料の掘削、購入、発見、受領などを含み得る。
【0024】
概して、出発材料が、所望の最終生成物、例えばクリンカまたはセメント、例えば最終的なポルトランドセメントを提供するのに十分な量でカルシウムを含む限り、任意の好適な出発材料を使用することができる。補助セメント質材料(SCM)も生成するプロセスが使用される場合、出発材料は、SCMとして機能し得る無定形(非晶質)化合物を含む最終材料をもたらし得る1種以上の化合物も含有することになる。これらは無定形シリカを含み得、その場合、出発材料はケイ素も含むことになる。しかしながら、当技術分野で知られているように、他の物質が、無定形の鉄及びアルミナ化合物のようなSCMとして機能する無定形化合物をもたらす場合もあり、これらの場合には、出発材料は必要な出発元素を含む。クリンカまたはポルトランドセメントなどのセメント及びSCMの両方が生成される特定の実施形態では、出発材料は、カルシウム及びケイ素を含む非石灰石岩石及び/またはミネラル類、例えばケイ酸カルシウム含有岩石及び/またはミネラル類を含む。玄武岩、斑れい岩、輝岩、斜長岩、スカルン、角閃岩、またはそれらの組み合わせのうちの1種以上のような、任意の好適な岩石及び/またはミネラル類が使用され得る。
【0025】
特定の実施形態では、非石灰石材料が使用される。本明細書で使用される場合、「非石灰石材料」には、低量の炭酸カルシウム(例えば、石灰石)、例えば10%未満の炭酸カルシウムを含有する材料が含まれる。概して、様々なステップで二酸化炭素の生成を避けるために、炭酸カルシウムの量は少ない方が好ましい。しかしながら、非石灰石岩石及び/またはミネラル類のような多くの材料が、いくらかの量の炭酸カルシウムを含有していても、本明細書に記載されるプロセス及び装置での使用に好適であり得る。非石灰石材料は、岩石及び/またはミネラル類、または産業廃棄物、またはそれらの組み合わせであり得る。非石灰石材料は、カルシウムと、一般にケイ素とを含む。好ましい非石灰石出発原料は、少なくとも10%のカルシウム、より好ましくは少なくとも15%のカルシウム、さらにより好ましくは少なくとも25%のカルシウムを含む。好ましい出発材料は、30、25、20、15、10、5、2、または1%未満、例えば10%未満または5%未満の炭酸カルシウムを含む。
【0026】
いくつかの変形例において、非石灰石材料は、ケイ酸塩岩石を含むが、概して、任意の1つまたは複数の非石灰石材料を含むことができ、これらの材料は一緒に、カルシウム、及び場合によりケイ素を含有する。非石灰石材料は、任意のセットの所望の化合物(及び/または未知の化合物)を追加的に含むように発見/選択され得る。カルシウム、及び場合によりケイ素に加えて、非石灰石材料は、他のミネラル類及び/または化合物を含んでもよい。例としては、カルシウム化合物(例えば、酸化カルシウム)、マグネシウム化合物(例えば、酸化マグネシウム)、アルミニウム化合物(例えば、酸化アルミニウム)、鉄化合物(例えば、酸化鉄(II)、酸化鉄(III))、ケイ酸塩(例えば、二酸化ケイ素)、及び炭素化合物(例えば、二酸化炭素)が挙げられる。ケイ酸塩岩石の例には、斜長岩、スカルン、斑れい岩、輝岩、マフルアイト、玄武岩、銅スカルン、タングステンスカルン、フライアッシュ、スラグ、古セメント、コンクリート、採掘岩石、及び尾鉱が含まれ得る。他の岩石の例には、苦鉄質岩、及び超苦鉄質岩石が含まれ得る。より一般的には、好適な非石灰石岩石及び/またはミネラル類には、玄武岩、火成リン灰石、珪灰石、斜長岩、モンモリロナイト、ベントナイト、カルシウム含有長石、灰長石、透輝石、輝石、輝岩、マフルアイト(mafuhte)、カマフルアイト(kamafuhte)、単斜輝石、灰硼石、灰バンザクロ石、オージャイト、ピジオン輝石、マーガライト、カルシウム蛇絞石、ザクロ石、灰重石、スカルン、石灰石、天然セッコウ、リン灰石、フッ素リン灰石、またはこれらのいずれかの組み合わせが含まれる。他の好適な岩石及び/またはミネラル類は、当業者には明らかであろう。非石灰石材料は、1種以上の産業生成物、例えば、1種以上の産業廃棄物も含み得る。
【0027】
いくつかの変形例において、非石灰石材料を取得することS110は、加工された、部分的に加工された、材料を取得することを含み得る。すなわち、非石灰石材料は、最初は何らかの他の理由で取得及び加工され、その後この加工のために(例えば、塩抽出のために)移送されたものでもよい。加工された、または部分的に加工された非石灰石材料を含む変形例では、非石灰石材料の含有量に応じて、方法ステップを追加または省略してもよい。例えば、一部の金属が既に抽出されている一例では、分離ステップ(例えば、沈殿)及び分解(例えば、熱分解)ステップを改変または省略することができる。別の例では、相当に減損した非石灰石材料を使用するために、濃縮ステップを追加してもよい(例えば、非石灰石材料を濃縮することS120)。
【0028】
いくつかの変形例において、当該方法は、ブロックS120、すなわち非石灰石材料を濃縮することを含み得る。非石灰石材料を濃縮することは、非石灰石材料のカルシウム濃度を増加させるように機能する。これは、ミネラル類または化合物が抽出されている、事前に加工された岩石において特に有用であり得る。例えば、浮遊選鉱、磁気分離、ならびに他の物理的及び化学的分離方法を使用して、岩石のカルシウム減損画分を除去することができる。
【0029】
非石灰石材料、例えば、岩石及び/またはミネラル類は、所望のサイズ範囲内の粒子をもたらすように加工され得る。破砕磨砕、及び/または粉砕、ならびに篩分などのような、任意の好適な1つまたは複数のプロセスが使用され得る。好適なサイズ範囲には、1~500u、5~300u、10~200u、20~130u、45~90u、またはそれらの組み合わせが含まれる。好ましい一実施形態では、サイズ範囲は20~130uである。より好ましい実施形態では、サイズ範囲は45~90uである。
【0030】
カルシウム高含有画分及びカルシウム減損画分の生成
非石灰石材料からカルシウム高含有画分及びカルシウム減損画分を作出することを含むブロックS130は、SCMなどの非カルシウム化合物からカルシウム化合物を分離するために、非石灰石材料を分解するように機能する。ブロックS130は、非石灰石材料内の少なくともカルシウム化合物を溶解することを含む、非石灰石材料を溶解することを含み得、それにより、カルシウム高含有画分及びカルシウム減損画分が作出される。このようにして、非石灰石材料を溶解することS130は、シリカ及びシリカ化合物が固体のままであり、他の化合物(例えば、カルシウムに結合している)が溶解するように、非石灰石材料を部分的に溶解し得る。
【0031】
非石灰石材料を溶解することS130は、浸出剤を添加することS132を含み得る。浸出剤は、単一の化合物、複数の化合物、及び/または一連の化合物を含んでもよい。特定の実施形態では、浸出剤は、単一の化合物、例えばHClを含む。浸出剤は、非石灰石材料を少なくとも部分的に溶解することにおいて機能し得る。浸出剤は、水、金属塩、酸、及び/または酸化剤であり得る。概して、浸出剤は、浸出剤が非石灰石材料中のカルシウム化合物を溶解するという制限を有し得る。いくつかの変形例において、浸出剤は、補充可能な化合物(複数可)を含む。
【0032】
一例において、浸出剤は酸、すなわち、第一酸である。特定の実施形態では、1つの酸のみが使用され、例えばHClのみが使用される。第一酸は、非石灰石材料内のカルシウム化合物を溶解するように機能する。さらに、第一酸は、材料中の非ケイ酸塩化合物(例えば、金属及び塩)を溶解し、それにより、カルシウム減損固体画分、例えば、ケイ酸塩ベースの固体画分と、ミネラル類ベースの液体画分(カルシウム高含有液体画分)とを作出することができる。代替的には、第一酸はケイ酸塩材料を溶解してもよい。第一酸は、好ましくは強酸であるが、代替的には、水分解などによってアノードで発生する弱酸またはプロトンを含み得る。1つの変形例では、第一酸は塩酸(HCl)を含む。1つの変形例では、第一酸はHClから本質的になる。別の変形例では、第一酸はヨウ化水素酸(HI)を含む。他の第一酸の例には、臭化水素酸、硝酸、及び水の電気分解により生じるヒドロニウムイオンが含まれ得る。1つの変形例では、HClは、非石灰石材料中の金属を溶解し、金属高含有液体画分(カルシウム高含有液体画分)を作出し得る。
【0033】
特定の実施形態では、非石灰石材料、例えば、岩石及び/またはミネラル類材料を強酸と接触させることで、酸ならびに岩石及び/またはミネラル類を含むパルプが形成される。HCl、HBr、HI、HSO、またはHNOなど、任意の好適な強酸が使用され得る。特定の実施形態では、強酸はHClを含み、HClは、この手順で使用される唯一の強酸であり得る。概して、そのような実施形態では、機器清浄化などのような非必須機能のために他の酸が使用され得るが、非石灰石材料を溶解するために使用される酸はHClであることが理解されるであろう。HClは、プロセス中のさらなるステップのための有用な出発材料である塩化カルシウムなどの塩化物を生成するため、特に有用である。HClは、プロセス中の1種以上の時点での比較的簡単な再生にも役立つ。便宜上、プロセスの残りの部分をHClの観点から説明する。当業者には明らかなように、HClに加えて、またはその代替として別の酸が使用される場合、追加/代替の酸に適応するために好適な調節を行うことができる。
【0034】
非石灰石材料、例えば、ケイ酸塩岩石材料などの岩石及び/またはミネラル類は、塩酸(HCl)に溶解する。特定の実施形態では、強酸のうちHClを含む割合は、強酸の少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、95、または99%である。特定の実施形態では、強酸の100%がHClである。5~40%、10~37%、10~30%、15~35%、17~23%、20~30%、または約もしくは厳密に15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30%、例えば約もしくは厳密に20%など、任意の好適な濃度のHClが使用され得る。好ましい実施形態では、HClは10~37%である。さらにより好ましい実施形態では、HClは15~35%である。初期パルプ中の液体、例えば酸などの浸出剤に対する、固体岩石及び/またはミネラル類などの出発材料の比は、任意の好適な比であり得る。固体岩石及び/またはミネラル類の一部が直ちに酸に溶解し始め、固体が溶液に溶解するにつれてこれらの比が変化することは理解されるであろう。好適な初期比率は、固体5%/液体95%から固体40%/液体60%の範囲内、例えば固体10%/液体90%から固体30%/液体70%;好ましい実施形態では固体15%/液体85%から固体25%/液体75%、例えば固体20%/液体80%であり得る。
【0035】
パルプは、良好な最終生成物をもたらすように、例えば、クリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントに変換されるように、非石灰石材料、例えば岩石及び/またはミネラル類中の、少なくとも十分な量のカルシウム化合物を溶解させて溶液に入れるように処理される。特定の実施形態では、出発材料中のカルシウムの少なくとも50、60、70、80、90、95%、または100%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%が溶液に入る。この処理は、大気に開放された、または少なくとも加圧されていないプロセスで行われ得る。この処理は、パルプをある温度または温度範囲で特定の期間にわたって加熱及び/または維持することを含み得る。概して、所望の溶解をもたらす処理期間及び/または温度が使用され得る。パルプを維持する好適な温度範囲には、60~115℃、80~115℃、90~115℃、100~115℃、60~112℃、80~112℃、90~112℃、100~112℃、60~110℃、80~110℃、90~110℃、または100~110℃が含まれる。高濃度のHCLが存在するため、また材料が液相に溶解するにつれて、HCl溶液の沸騰温度が100℃を超える可能性があることは理解されるであろう。したがって、特定の実施形態では、温度は少なくとも95、96、97、98、99、または100℃であり、好ましい実施形態では、温度は少なくとも90℃であり、より好ましい実施形態の範囲では、温度は少なくとも95℃であり、さらにより好ましい実施形態では、温度は少なくとも98℃であり、さらにより好ましい実施形態では、温度は少なくとも100℃である。特定の実施形態では、最高温度は105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、または115℃であり、好ましい実施形態では、最高温度は105℃であり、より好ましい実施形態では、最高温度は108℃であり、さらにより好ましい実施形態では、最高温度は110℃である。特定の実施形態では、温度を100~115℃にし、及び/または100~115℃で維持する。特定の実施形態では、温度を100~110℃にし、及び/または100~110℃で維持する。特定の実施形態では、温度を100~115℃にし、及び/または100~115℃で維持する。任意の好適な処理期間が使用され得る。これは、ある程度、非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの出発材料のカルシウム含有量に依存し得る。カルシウム含有量が低い材料は、溶液中のカルシウム塩の所望の量を達成するために、より長い処理を必要とし得る。したがって、処理期間は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、もしくは10時間、及び/または、2、3、4、5、6、7、8、10、12、15、20、24、30、36、40、48、60、もしくは72時間以下であり得る。特定の実施形態では、当該期間は、2~24時間、例えば4~18時間、またはさらには4~12時間以下であり得る。特定の実施形態では、当該期間は、6~72時間、例えば4~48時間、または4~36時間、または4~24時間であり得る。パルプは、処理中に攪拌、例えば、攪拌、例えば10~1000RPM、20~800RPM、50~500RPM、50~400RPM、または100~300RPMで攪拌され得る。好ましい実施形態において、パルプは、50~400RPM、より好ましくは100~300RPMで攪拌される。当技術分野で知られている他の攪拌方法を使用してもよい。カルシウム減損画分(固体)及びカルシウム高含有画分(液体)がパルプから生成される。HClなどの酸の一部は、加工中に気相または蒸気相に移動する可能性があり、浸出剤として使用するために再捕捉されて戻され得る。
【0036】
いくつかの変形例において、第一酸を添加することは、有機酸または生体酸(例えば、シュウ酸)を添加することを含み得る。有機第一酸を添加することは、非石灰石材料を選択的に浸出させ、それにより金属の選択的抽出を可能にすることができる。組み込むことができる有機酸の例としては、プロピオン酸、酪酸、クエン酸、コハク酸、リンゴ酸、酒石酸、及びシュウ酸が挙げられる。一例において、第一有機酸は、非石灰石材料から(例えば、熱分解によって)すべてのミネラル類を選択的に浸出させることができる。別の例では、有機第一酸は、非石灰石材料からカルシウム以外のすべてのミネラル類を選択的に浸出させることができる。
【0037】
いくつかの変形例では、微生物を用いて第一有機酸を生成することができる。微生物は、COを炭素源として利用することによって有機酸を生成するようにエンジニアリングされていてもよく、したがって、後続のステップで有機酸を分解することによって生成されるCOは、このCOを微生物に供給することによってリサイクルまたは軽減され得る。
【0038】
カルシウム減損画分からのカルシウム高含有画分の分離
カルシウム高含有画分からカルシウム減損画分を分離することを含むブロックS140は、非石灰石材料から生成された固体及び液体画分を分離するように機能する。多くの変形例において、カルシウム減損画分はポゾランを含む。第一酸浸出剤が添加されるいくつかの変形例において(例えば、HCl第一酸)、これには、溶解した液体画分(カルシウム高含有画分)から固体画分ケイ酸塩岩石(カルシウム減損画分)を分離し、したがって非石灰石材料中の金属からSCMを抽出することが含まれる。任意の好適な分離方法が実施され得る。いくつかの変形例において、ブロックS130は、分離された固体画分を乾燥させること(例えば、SCMを乾燥させること)をさらに含み得る。HClに対する追加または代替の酸には、HBr、HI、HNO、または可溶性カルシウム塩を生じる任意の酸が含まれ得る。
【0039】
多くの変形例において、カルシウム高含有画分からカルシウム減損画分を分離することS140は、ブロックS130の一部及び/または全部の後に行われる。いくつかの変形例において、カルシウム高含有画分からカルシウム減損画分を分離することS140は、非石灰石材料の溶解の前に、またはそれと同時に行われ得る。これは、非石灰石材料の溶解の前に、カルシウム減損部からカルシウム高含有部を機械的に(例えば、構成要素を物理的に磨砕して分離すること、密度により分離することなど)、及び/または静電気的に分離することによって行われ得る。
【0040】
いくつかの変形例において、カルシウム高含有画分からカルシウム減損画分を分離することS140は、非石灰石材料を濾過することによって達成される。濾過は、固体部分と液体部分とを分離するために使用され得る。一実施態様では、圧力差を使用して流体を流してフィルタに通す真空濾過が使用される。別の実施態様では、溶液を加熱した後にフィルタに強制的に通す温式濾過が使用される。別の実施態様では、溶液を最初に冷却して追加の構成要素(例えば、SCM)を結晶化させた後に濾過する冷式濾過が使用される。
【0041】
いくつかの変形例において、固体画分を分離するために濾過プレスが実施される。フィルタプレスは、複数のフィルタ要素を積み重ねて、濾過された固体を除去するためにフィルタを容易に開けられるようにすることができる。フィルタプレスは、上述の任意の所望の濾過プロセスで実施することができる。
【0042】
カルシウム高含有画分からカルシウム減損画分を分離することS140は、液体画分の体積を著しく減損させ得る。したがって、これが起こる前、またはこれが起こった後に、追加の溶液をカルシウム高含有画分に追加して体積を補うことができる。これは、いずれの分離及び/または沈殿ステップで行われてもよい。追加の溶液は、所望の作業量を維持するために、いずれのステップで追加されてもよい。
【0043】
カルシウム高含有画分からカルシウム化合物を分離すること、例えば、塩化カルシウムを含む固体を形成することを含むブロックS150は、非石灰石材料からカルシウム化合物を分離するように機能する。さらに、ブロックS150は、他の金属化合物を分離することを含んでもよく、これらの金属化合物は、カルシウム化合物の一部でもよく、そうでなくてもよい。ブロックS150は、実施態様に特有のものであり得、所望の金属抽出及び/または非石灰石材料のミネラル類含有量に応じて変化し得る。例えば、いくつかの変形例において、カルシウム高含有画分からカルシウム化合物を分離することS150は、液体または液体様の混合物からカルシウム化合物を沈殿させることを含む。さらに、ブロックS150は、先行する方法ステップに依存し得る。例えば、HClと比較して、HIを第一酸浸出剤として利用すると、ブロックS150の特定の詳細が変化し得る。概して、カルシウム高含有画分からカルシウム化合物を分離することS150は、熱力学的条件を変更すること(例えば、温度を増加または減少させること、圧力を増加または減少させること、化合物濃度を増加または減少させること)、酸もしくは塩基を添加すること、及び/または酸化剤もしくは還元剤を添加することを含み得る。特定の実施形態では、例えば、HClが酸である場合、カルシウム化合物を分離することは、塩化カルシウムを含む固体を生成するために、カルシウム高含有液体画分を(場合により、カルシウム高含有液体画分を処理して1種以上の非カルシウム化合物を除去した後に)脱水することを含む。
【0044】
カルシウム高含有画分の処理
したがって、カルシウム高含有画分は、さらに処理される。特定の実施形態では、さらなる処理の最終結果は、クリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントを生成すること、そして、概して酸を再生することである。さらに、カルシウム高含有画分の処理に応じて、特定の非カルシウム物質、例えば、鉄、アルミニウム、及び/またはマグネシウムのうちの1種以上を含有する物質が発生し得る。さらなる処理は、カルシウム高含有画分の可能性のある組成に依存し得、この組成は、出発材料に少なくとも部分的に依存し得る。
【0045】
概して、カルシウム高含有画分は、塩化カルシウムなどのカルシウム塩に加えて、本明細書では金属化合物ともいう非カルシウム塩を含有し、次の手順は、カルシウム塩に対する非カルシウム塩(金属化合物)の割合、または予想される割合に依存し得、この割合は、少なくとも部分的に、出発材料に基づき得る。1種以上の非カルシウム塩の割合がカルシウム高含有画分において特定の閾値を超えるか、または超えると予想される場合、1種以上の非カルシウム塩の少なくとも一部分を除去するために、例えば、カルシウム高含有画分中のそれらのレベルを閾値未満にするために、カルシウム高含有画分を処理することができる。閾値は、例えば、最終生成物、例えば、クリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントの所望の組成によって決定され得る。例えば、特定の非カルシウム物質、例えば、鉄、アルミニウム、及び/またはマグネシウム塩の誘導体は、クリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントにおいて許容可能であり得るが、特定のレベル未満に限られ、このレベルは、セメントのタイプ(例えば、タイプ1、2、3、4、または5)及び/または満たすべき規格に依存することが多く、それは、規格が地理的位置に応じて異なり得るためである。閾値は、少なくとも部分的に、さらなる処理後の最終的なクリンカまたはポルトランドセメント生成物などのセメントにおける、アルミニウム、鉄、及び/またはマグネシウム物質などの非カルシウム塩由来物質の予想されるレベルに基づき得る。
【0046】
特定の実施形態では、カルシウム高含有画分は、非カルシウム塩を除去するために処理されない。これは、出発材料がカルシウム化合物を特に多く含む場合に当てはまり得、そのような出発材料の例は珪灰石である。そのような場合、カルシウム高含有画分の処理は概して、固体カルシウム塩を生成するための水の除去と、カルシウム塩を変換して、所望の最終生成物、例えばクリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントにするためのさらなる処理とを対象とする。そのような処理について、以下でさらに説明する。
【0047】
特定の実施形態では、カルシウム高含有画分は、1種以上の非カルシウム塩を除去するために処理される。十分な量の非カルシウム塩が、固体形態に変換されるなど、カルシウム高含有画分から分離できる形態に変換される限り、任意の好適な処理または処理の組み合わせを使用することができる。処理または処理の組み合わせは、元の強酸、例えば、HClの少なくとも一部分の再生をもたらす場合もある。溶液中に残る割合が閾値割合を下回っている限り、非カルシウム塩のすべてを除去する必要はない。特定の実施形態では、1種以上の非カルシウム塩からの1種以上の不溶性非カルシウム物質の形成を引き起こすために、カルシウム高含有画分を1種以上の温度もしくは温度範囲まで上昇させ、及び/または1種以上の温度もしくは温度範囲で維持する。追加的または代替的に、特定の実施形態では、1種以上の非カルシウム塩からの1種以上の不溶性非カルシウム物質の形成を引き起こす、1種以上の塩基などの1種以上の物質で、カルシウム高含有画分を処理する。
【0048】
したがって、カルシウム高含有画分は、金属含有化合物といわれることもある、Al、Fe、及び/またはMgの塩などの可溶性非カルシウム塩を含有し得る。カルシウム高含有画分からカルシウム含有化合物を分離することS150は、金属含有化合物を沈殿させることを含む。特定の実施形態では、これは、1工程の熱分解(熱加水分解)プロセスを含む。特定の実施形態では、これは、2工程の熱分解(熱加水分解)プロセスなど、複数ステップの熱分解(熱加水分解)プロセスを含む。特定の実施形態では、これは塩基の添加を含む。特定の実施形態では、1工程の熱分解(熱加水分解)及び塩基の添加が使用される。特定の実施形態では、2工程の分解(熱加水分解)及び塩基の添加が使用される。特定の実施形態では、塩基の添加のみが使用される。概して、プロセス(複数可)中に、強酸、例えば、HClの少なくとも一部も再生される。
【0049】
特定の実施形態では、カルシウム高含有画分を1つの温度もしくは温度範囲に上昇させる及び/または1つの温度もしくは温度範囲で維持すること(1工程の熱分解または熱加水分解)で、カルシウム高含有画分から除去され得る不溶性非カルシウム物質のセットの形成を引き起こす。温度または温度範囲は、1種以上の非カルシウム塩、例えば少なくとも鉄塩及びアルミニウム塩が、不溶性の鉄及びアルミニウム物質などの不溶性物質を形成するものであり得る。不溶性物質を形成し得るさらなる非カルシウム塩には、ホウ素、リチウム、ルビジウム、セシウム、ストロンチウム、バリウム、及び/またはラジウムの塩が含まれる。温度は、任意の好適な温度または温度範囲、例えば、少なくとも140、145、150、155、160、165、170、175、もしくは180℃、及び/または145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、もしくは195℃以下であり得る。特定の実施形態では、カルシウム高含有画分は、140~195℃まで加熱され、好ましい実施形態では、カルシウム高含有画分は、140~185℃まで加熱され、より好ましい実施形態では、カルシウム高含有画分は、160~185℃、またはさらには175~185℃まで加熱される。特定の実施形態では、カルシウム高含有画分は、少なくとも1600℃、例えば、少なくとも170℃、例えば少なくとも175℃、特定の場合には少なくとも180℃まで加熱される。カルシウム高含有画分を所望の温度にする及び/またはそれを所望の温度で維持する任意の好適な方法が使用され得る。ある温度もしくは温度範囲で溶液を加熱する及び/またはある温度もしくは温度範囲でそれを維持する方法は、当技術分野ではよく知られている。カルシウム高含有溶液は、好適な期間、例えば少なくとも0、1、2、5、10、20、30、40、もしくは50分、または1、1.5、2、2.5、3、4、5、7、もしくは10時間、及び/または1、2、5、10、20、30、40、もしくは50分以下、または1、1.5、2、2.5、3、4、5、7、10、もしくは15時間以下にわたり、所望の温度またはその付近で維持され得る。特定の実施形態では、カルシウム高含有画分は、10分~5時間、例えば30分~4時間、場合によっては1~3時間にわたり、所望の温度またはその付近で維持される。カルシウム高含有画分が高温で加熱及び/または維持されるにつれて、HClガスが追い出される。このガスの一部または全部を捕捉し、水性媒体に溶解して、HClを再生することができる。特定の実施形態では、HClガスが捕捉され、カルシウムを含む後続材料の処理のための浸出剤として使用される、または使用されることになるHCl溶液のような、水性媒体に戻される。温度を上昇させることによって発生する不溶性物質は、遠心分離、濾過などといった任意の好適な方法によって、残りのカルシウム高含有画分から分離することができる。不溶性物質には、例えば、Mg、Al、Fe、Ca、及びSi、O、ならびにHのいずれかを含有する酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、ケイ酸塩、ケイ酸塩水和物、または複合相、例えば、Al(OH)、Al、AlO(OH)、Fe(OH)、Fe(OH)、FeO(OH)、FeO、FeO、Feなどの、アルミニウム及び/または鉄の1種以上の化合物が含まれ得る。
【0050】
特定の実施形態では、2工程の熱分解(熱加水分解)プロセスが使用される。これは、まず2工程の熱分解を組み込むことによって行われる。まず、アルミニウム塩、例えばAlClが、不溶性アルミニウム物質、例えばAl(OH)、Al、AlO(OH)などを形成するが、鉄塩、例えばFeCl及び/またはFeClは、不溶性物質、例えばFe(OH)、Fe(OH)、FeO(OH)、FeO、FeO、Feなどを形成しない、または不溶性物質を実質的に形成しないような温度または温度範囲まで、混合物を加熱する。特定の実施形態では、第1の温度は150℃未満、好ましくは145℃未満、さらにより好ましくは140℃未満である。特定の実施形態では、第1の温度は、130~145℃、131~144℃、132~141℃、133~139℃、または135~137℃、例えば約もしくは厳密に136℃、または例えばおよそ140℃である。カルシウム高含有画分を所望の温度にする及び/またはそれを所望の温度で維持する任意の好適な方法が使用され得る。カルシウム高含有溶液は、好適な期間、例えば少なくとも0、1、2、5、10、20、30、40、もしくは50分、または1、1.5、2、2.5、3、4、5、7、もしくは10時間、及び/または1、2、5、10、20、30、40、もしくは50分以下、または1、1.5、2、2.5、3、4、5、7、10、もしくは15時間以下にわたり、所望の温度またはその付近で維持され得る。特定の実施形態では、カルシウム高含有画分は、10分~5時間、例えば30分~4時間、場合によっては1~3時間にわたり、所望の温度またはその付近で維持される。このプロセスは、Al、Ca、及びSi、O、ならびにHのいずれかを含有する酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物ケイ酸塩、ケイ酸塩水和物、または複合相などの、不溶性の、例えば酸化されたアルミニウム種を生成する(例えば、Al(OH)、Al、AlO(OH)などを形成する)。1工程の熱分解プロセスについて説明したように、HClも再生される。次いで、不溶性の、例えば酸化されたアルミニウムを、カルシウム高含有画分溶液から分離することができ、これらを、さらに加工する、例えば、乾燥させることができる。次いで、残りの溶液を、少なくとも鉄塩などの1種以上の非カルシウム塩が、Fe、Ca、及びSi、O、ならびにHのいずれかを含有する酸化物、水酸化物、オキシ水酸化物、ケイ酸塩、ケイ酸塩水和物、または複合相、例えば、Fe(OH)、Fe(OH)、FeO(OH)、FeO、FeO、Feなどの不溶性物質を形成する、第2の温度または温度範囲にする。温度は、任意の好適な温度または温度範囲、例えば、少なくとも140、145、150、155、160、165、170、175、もしくは180℃、及び/または145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、もしくは195℃以下であり得る。特定の実施形態では、残りの溶液は、140~195℃まで加熱され、好ましい実施形態では、残りの溶液は、145~190℃まで加熱され、より好ましい実施形態では、残りの溶液は、145~185℃まで、好ましい実施形態では、165~185℃まで、より好ましい実施形態では、175~185℃まで加熱される。特定の実施形態では、残りの溶液は、少なくとも145℃、例えば少なくとも150℃、特定の場合には少なくとも155℃まで、例えば第2の加熱ステップでおよそ180℃まで加熱される。カルシウム高含有画分を所望の温度にする及び/またはそれを所望の温度で維持する任意の好適な方法が使用され得る。カルシウム高含有溶液は、好適な期間、例えば少なくとも0、1、2、5、10、20、30、40、もしくは50分、または1、1.5、2、2.5、3、4、5、7、もしくは10時間、及び/または1、2、5、10、20、30、40、もしくは50分以下、または1、1.5、2、2.5、3、4、5、7、10、もしくは15時間以下にわたり、所望の温度またはその付近で維持され得る。特定の実施形態では、カルシウム高含有画分は、10分~5時間、例えば30分~4時間、場合によっては1~3時間にわたり、所望の温度またはその付近で維持される。この温度は、第1の加熱ステップのように、不溶性の、例えば酸化された鉄種を形成する(例えば、Fe(OH)、Fe(OH)、FeO(OH)、FeO、FeO、Feなどを形成する)と同時に、HCl第一酸を再生するのに役立つ。次いで、不溶性Feをカルシウム高含有画分溶液から分離することができ、次いでこれを、さらに加工する、例えば、乾燥させることができる。
【0051】
特定の実施形態では、カルシウム高含有画分を1種以上の塩基で処理し、カルシウム高含有画分から除去され得る不溶性非カルシウム物質のセットの形成を引き起こす。塩基添加中にHClを再生することもできる。特定の実施形態では、これが、不溶性非カルシウム物質(沈殿する金属化合物)の形成を引き起こすために使用される唯一のプロセスである。特定の実施形態では、1工程の熱分解プロセス及び塩基の添加が使用される。特定の実施形態では、2工程の熱分解プロセス及び塩基の添加が使用される。1つまたは複数の塩基は、1つまたは複数の塩基の強度及び量が所望の量の金属化合物を沈殿させるのに十分である限り、任意の好適な1つまたは複数の塩基であり得る。特定の実施形態では、1つまたは複数の塩基は、カルシウム塩基、例えばプロセス中に生成物として生成される1種以上のカルシウム塩基、例えばCaO、Ca(OH)、またはCaSi、例えばケイ酸二カルシウム及び/またはケイ酸三カルシウムを含む。特定の実施形態では、1つまたは複数の塩基の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または95%、好ましい実施形態では、少なくとも30%、より好ましい実施形態では、少なくとも80%、さらにより好ましい実施形態では、少なくとも90%が、プロセス中に生成される1種以上の生成物、例えばカルシウム塩基、例えば、CaO、Ca(OH)、またはCaSi、例えばケイ酸二カルシウムまたはケイ酸三カルシウムを含む。特定の実施形態では、1つまたは複数の塩基の100%が、プロセス中に生成される1種以上の生成物、例えばカルシウム塩基、例えば、CaO、Ca(OH)、またはCaSi、例えばケイ酸二カルシウムまたはケイ酸三カルシウムを含む。添加される塩基の一部または全部は、プロセスのさらなるステップ、例えば、CaO、ケイ酸二カルシウム及び/またはケイ酸三カルシウムなどを生成するカルシウム塩分解中に再生され得る。特定の実施形態では、すべての所望の化合物を沈殿させるために、例えば、Al、Fe、及びMg化合物を沈殿させるために、1工程のプロセスでカルシウム高含有画分に塩基が添加される。特定のプロセスでは、例えば、1工程または2工程の熱分解プロセスによって、非カルシウム塩(金属化合物)の一部が沈殿した後に塩基が添加される。そのような場合、残りの金属化合物またはその一部分(例えば、残りのFe及びMg化合物、または残りのMg化合物)を沈殿させるのに十分な塩基が添加される。
【0052】
特定の実施形態では、塩基を添加して、Mg化合物を沈殿させる。沈殿物は、Mg(OH)、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸マグネシウムアルミナ、及び/または他のマグネシウム化合物などの1種以上のマグネシウム化合物を含み得る。沈殿物は、本明細書に記載される方法などの任意の好適な方法によって、残りのカルシウム高含有画分から分離することができる。沈殿物は、例えば、乾燥させることによって、さらに処理することができる。マグネシウム沈殿物を使用して、二酸化炭素、例えば、プロセス全体のエネルギーを提供するためにプロセスの一環として生成される煙道ガスなどの煙道ガス(例えば、天然ガスまたは石炭の燃焼からの煙道ガス)中の二酸化炭素と反応させる、及び/または、大気中の二酸化炭素、及び/または海洋などの水域のような他の二酸化炭素源と反応させることで、マグネシウム-二酸化炭素生成物、例えばMgCO、場合によってはMg(HCOを生成し、したがって二酸化炭素を隔離することができる。このように隔離された二酸化炭素の量は、場合によってはプロセス全体をカーボンニュートラルまたはさらにはカーボンネガティブにするのに十分なほど、プロセス全体で生成される二酸化炭素の総量を低減させることができる。さらに、煙道ガス中の他の物質、例えば、SOx及び/またはNOxといった、煙道ガスから除去される必要のある物質を、Mg沈殿物と反応させてもよく、場合によっては、物質のうちの1種以上のレベルが、大気中に放出される煙道ガスに必要なレベル未満に低下する。さらに、または代替的に、マグネシウム沈殿物は、大気から二酸化炭素を隔離することができ、このためには、任意の好適な構成を使用することができる。特定の実施形態では、表面積を増加させるために場合により加工されたマグネシウム沈殿物を、単純に積み重ねて置くか、層状に地面に広げるか、または他の好適な様式で分配し、数日、数週間、数か月、1年、または1年超であり得る適切な期間にわたって、大気中の二酸化炭素を隔離させることができる。特定の実施形態では、マグネシウム沈殿物を水性スラリー/溶液に入れ、これを例えば、煙道ガスまたは大気と接触させてもよい。さらに、または代替的に、マグネシウム沈殿物は、海水などの水域から二酸化炭素を隔離することができ、このためには、任意の好適な構成を使用することができる。この場合、可溶性の重炭酸塩種が生じ、隔離される二酸化炭素の量を効果的に2倍にし得る。
【0053】
カルシウム化合物の分解
カルシウム化合物を分解することを含むブロックS160は、カルシウム化合物、例えば、塩化カルシウムを、異なるカルシウム化合物に、例えば、ケイ酸カルシウム、ケイ酸二カルシウム、及び/またはケイ酸三カルシウムを含む脱塩素固体に、好ましくは使用可能な形態へと分解するように機能する。ブロックS160は、他の金属化合物を分解することをさらに含み得る。例としては、マグネシウム化合物、アルミニウム化合物、及び鉄化合物が挙げられる。いくつかの変形例において、分解することは、熱分解を実施することを含む。例えば、炭酸カルシウムを熱分解して酸化カルシウム及び二酸化炭素にすることである。
【0054】
追加的または代替的に、他のタイプの分解を実施してもよい(例えば、化学的分解、電気化学的分解)。いくつかの変形例において、ブロックS160は、電気分解により、カルシウム化合物及び他の金属化合物を電気化学的に分解することを含む。例えば、これは、クロロアルカリプロセスを使用した塩化ナトリウム電気分解を使用して行われ得る。
【0055】
多くの変形例において、カルシウム化合物を分解することS160は、ブロックS150と併せて機能する。例えば、多くの変形例において、熱分解は、カルシウム化合物及び/または他の金属化合物を分離することの一部である。これらの変形例では、ブロックS160は、ブロックS150の直前に、それと同時に、またはその直後に行われ得る。
【0056】
例えば、いくつかの変形例において、ブロックS160は、カルシウム高含有画分からカルシウム化合物を分離することS150の前に、カルシウム高含有画分から金属化合物(非カルシウム化合物)を分解及び/または分離するために組み込まれ得る。特定の実施形態では、分離された金属のうちの1種以上が、例えばクリンカリング用のフラックスとして、プロセス中で使用される。これは、カルシウム化合物の分離を改善及び/または簡略化するように機能し得る。さらに、これにより、抽出された金属を別の目的で利用するための「より純度の高い」抽出が可能になり得る。一例において、熱分解または熱加水分解は、金属(例えば、アルミニウム及び鉄)を抽出するために、カルシウム高含有画分に対して実施され得る。熱分解または熱加水分解は、場合によっては実装されるシステムに応じて、任意の所望の形態で実施され得る(例えば、熱分解または水蒸発のために反応の他の部分から発生した熱を再導入するために、機械的蒸気再圧縮が使用され得る)。この例では、カルシウム高含有画分を、160~190℃、例えば175~180℃、例えば、およそ180℃まで加熱して、それによりAl及びFeを加水分解する(例えば、Al(OH)、Al2O、AlO(OH)、Fe(OH)、Fe(OH)、FeO(OH)、FeO、FeO、Feなどを形成する)ことができる。さらに、熱分解は、ブロックS170について以下で説明するように、浸出剤の再生(例えば、HClの再生)に役立ち得る。金属の加水分解は、それらを溶液から効果的に沈殿させ得る。これらは次いで、カルシウム高含有画分溶液から別の固体画分として分離され得る。分離された金属は、シリカの添加の有無を問わず、SCMとして販売することもできる。特定の実施形態では、分離された金属のうちの1種以上が、例えば、クリンカリング用のフラックスとして、プロセス中で使用される。
【0057】
別の実施態様例では、ブロックS160は、ブロックS150の前に2工程の熱分解を組み込み得る。すなわち、カルシウム高含有画分をまず、125~145℃、例えば130~140℃、例えば、135~140℃、場合によってはおよそ136℃まで加熱し、それによりアルミニウムを加水分解する(例えば、Al(OH)、Al、AlO(OH)などを形成する)ことができる。次いで、加水分解されたアルミニウム固体を、カルシウム高含有画分から分離することができる。アルミニウムがカルシウム高含有画分から除去されたら、160~190℃、例えば175~185℃、例えばおよそ180℃までの、カルシウムの2度目の加熱を行い、それにより鉄を加水分解する(例えば、Fe(OH)、Fe(OH)、FeO(OH)、FeO、FeO、Feなどを形成する)ことができる。次いで、同じ様式で、加水分解された鉄固体をカルシウム高含有画分から分離することができる。この2工程の熱分解は、潜在的な再利用のためのアルミニウム及び鉄のさらに「純粋な」分離を可能にし得る。特定の実施形態では、分離された金属のうちの1種以上が、例えばクリンカリング用のフラックスとして、プロセス中で使用される。
【0058】
単一ステップ及び2工程の熱分解と同じ様式で、カルシウム高含有画分の組成及び所望のアウトプット(複数可)に応じて、複数ステップの分解(例えば、熱分解)が組み込まれ得る。例えば、複数ステップの熱分解は、カルシウム高含有画分から他の金属化合物を加水分解するために組み込まれ得る。
【0059】
概して、金属化合物の除去後のカルシウム高含有画分は、非常に多くの塩化カルシウム(CaCl)、例えば、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、場合によっては少なくとも95%、またはさらには少なくとも99%の塩化カルシウムを含むことになる。カルシウム高含有画分はまた、典型的に、例えば、CaCl 40%/水60%からCaCl 70%/水30%、または50%/50%から60%/40%、またはさらには55%/45%から60%/40%など、高度に濃縮される。
【0060】
酸溶解ステップ、1工程の熱分解、2工程の熱分解、塩基添加、またはそれらの任意の好適な組み合わせによって生成されるかにかかわらず、カルシウム高含有画分中に残る、結果として得られる、例えば塩化カルシウムを含む、カルシウム化合物は、その後、1種以上のさらなる生成物、例えば、ポルトランドセメント用クリンカなどのクリンカを生成する処理に供することができる。これには、カルシウム化合物を含有する残りのカルシウム高含有画分から水を除去すること(脱水)により、1種以上のカルシウム化合物、例えば、1種以上のカルシウム塩、例えば、CaClを含む高カルシウム固体をもたらし、この固体を処理して、例えば、石灰(CaO)を含んでも含まなくてもよい脱塩素カルシウム化合物に変換すること、及び/または、さらなる処理の後に、例えば、ケイ酸二カルシウム及びケイ酸三カルシウムを含むポルトランドセメント用クリンカなどのクリンカに変換することが含まれ得る。
【0061】
脱水
任意の好適な方法、例えば、水を蒸気として蒸発させるために加熱することによって、カルシウム高含有画分から水を除去することができる。結果として得られる蒸気の一部または全部は、後述するように、蒸気を必要とするさらなるプロセスで使用され得る。結果として得られるカルシウム化合物固体は、1種以上のカルシウム塩、例えば、CaClを含み(塩化カルシウムを含む固体)、さらに、非カルシウム塩、例えば、鉄、アルミニウム、及び/またはマグネシウムの塩、及び/または他の塩が、最終生成物を、例えばクリンカもしくはポルトランドセメントなどのセメントとしてなど、その意図される用途に不適当にする量、及び/またはクリンカもしくはポルトランドセメントなどのセメントを生成するためのプロセスと干渉する量で存在しない限り、非カルシウム塩を含み得る。
【0062】
カルシウム化合物固体、例えば、塩化カルシウムを含む固体は、例えば、フレーキング、磨砕、または他の好適な方法によって、さらなる処理のために望ましいサイズの粒子を生成するために処理され得る。次いで、これを処理して、カルシウム含有化合物を分解し、例えば、塩化カルシウムを含む固体を脱塩素して、CaOを含んでも含まなくてもよいカルシウムを含む脱塩素固体を生成し、HClを再生することができる。クリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントを生成するために、これを、Si、Fe、及びAlを提供するフラックスなどのフラックスの存在下でさらに加熱して(焼結)、クリンカを生成することができ、これをさらに処理して、ポルトランドセメントなどのセメントを生成することができる。所望の最終生成物が生成されるように、方法全体の1種以上の材料またはプロセスを設定、調節、または選択できることは理解されるであろう。例えば、所望の範囲の量のケイ酸二カルシウム、ケイ酸三カルシウム、そして場合によっては、生成物中に存在する(または存在しない)ことが望ましい他の種を含むクリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントを生成するように、出発材料、脱塩素/クリンカリング用のCa:Si比、フラックスの組成及び/またはクリンカリング用の量、及び/またはクリンカリング条件を調節することができる。したがって、40~70%w/w、好ましい実施形態では50~65%、より好ましい実施形態では52~63%のケイ酸三カルシウム(C3S)を含み、及び/または、10~35%w/w、好ましい実施形態では15~25%、いくつかの実施形態では15%未満のケイ酸二カルシウム(C2S)を含むクリンカを生成するように、1種以上の材料またはプロセスを設定、調節、または選択することができる。特定の実施形態では、MgOは、特定の閾値未満、例えば1.0%未満、または0.6%未満である。特定の実施形態では、15、12、10、または8%以下、例えば8%以下のアルミン酸三カルシウム(C3A)が存在する。組成特性の代わりに、または組成特性に加えて、機能特性、例えば、1種以上の時点でのセメントまたはモルタルの圧縮強度が望まれ、操作され得ることが理解されるであろう。
【0063】
脱塩素化
特定の実施形態では、カルシウム化合物固体、例えば、塩化カルシウムを含む固体は、蒸気、シリカ、及び場合によりフラックスの存在下で加熱される。概して、このステップではフラックスは必要ないが、例えば、便宜上、アルミニウム、例えばAl(OH)3、及び/または鉄、例えばFe(OH)を含有するフラックスなどを混合物に添加してもよい。特定の実施形態では、シリカの一部または全部、例えば、シリカの少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、98、99%、またはシリカの100%は、例えばプロセスの初期ステップで、例えば、本明細書に記載されるSCM(ポゾラン)の生成で、非石灰石岩石及び/またはミネラル類から生成されたシリカである。特定の実施形態では、フラックスの一部または全部、例えば、フラックスの少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、98、99%、またはフラックスの100%は、例えばプロセスの初期ステップで非石灰石岩石及び/またはミネラル類から生成された、例えば、本明細書に記載されるようにカルシウム高含有画分から不溶性塩として沈殿した、鉄及びアルミニウムの酸化物、水酸化物、ならびに潜在的に他の好適な化合物である。カルシウム化合物固体、例えば、塩化カルシウムを含む固体は、フラックスとして作用し得る1種以上の物質を含むことができるが、概して、外因性フラックスを添加することが好ましいことが理解されるであろう。加熱は、カルシウムを含む固体、例えば塩化カルシウムを含む固体を分解し、かつ、得られた化合物をフラックスと共にクリンカリング/焼結するのに十分に高い温度で、単一ステップで行われ得る。最も単純な場合では、カルシウム化合物固体、例えば塩化カルシウムを含む固体は、蒸気及びシリカの存在下で、カルシウム化合物を分解し、HClを生成し、フラックスと共にクリンカリング/焼結するのに十分に高い温度まで加熱される。好ましい実施形態において、加熱は、2つ以上のステップにおいて連続的に高くなる熱で行われてもよく、フラックスは、使用される場合、ステップ(クリンカリング/焼結)の全部または一部分にのみ存在する。
【0064】
前述のように、カルシウム化合物固体は、塩化カルシウムを含み得、特定の実施形態では、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、または95%、例えば少なくとも90%、場合によっては少なくとも95%の塩化カルシウムを含む。分解プロセスは、固体中の塩化カルシウムの脱塩素、例えば、固体中の塩化カルシウムの少なくとも90、95、97、98、99、99.1、99.5、99.9、99.91、99.95、または99.99%の脱塩素をもたらす。驚くべきことに、塩化カルシウムの少なくとも99%、99.5%、99.9%、またはさらには99.95%を脱塩素できることが判明しており、これらのレベルの脱塩素により、さらなる処理なしで、最終生成物の塩化物含有量が、塩化物1%未満、または0.1%未満など、ポルトランドセメントの規格を満たすのに十分に低くなる。好ましい一実施形態では、固体中の塩化カルシウムの少なくとも99%が脱塩素され、より好ましい実施形態では、固体中の塩化カルシウムの少なくとも99.9%が脱塩素され、さらにより好ましい実施形態では、固体中の塩化カルシウムの少なくとも99.95%が脱塩素される。
【0065】
特定の実施形態では、カルシウム化合物固体、例えば、塩化カルシウムを含む固体は、蒸気及びシリカの存在下で1種以上の温度または温度範囲まで加熱され、この1種以上の温度または温度範囲は、固体から塩素ガスを追い出すのに十分である。塩素ガスは蒸気からのプロトンと結合してHClを再生し、これは前述のようにリサイクルされ得る。同時に、塩化カルシウムが、酸化カルシウムを含んでも含まなくてもよい脱塩素カルシウム化合物に変換される。概して、脱塩素化合物は、ケイ酸二カルシウムなどの1種以上のケイ酸塩を含む。温度は、ケイ酸三カルシウムを生成するほど高くてはならず、または微量しか生成しないものである。
【0066】
ある全体的な反応は以下のとおりであり得る。
CaCl+HO→CaO+2HCl
【0067】
ただし、より一般的には、反応は次のように表され得る:
CaCl+SiO+HO→Caケイ酸塩及び他の種+2HCl
【0068】
分解及びクリンカリング/焼結を1つの温度で行うことは可能であるが、材料が所定の温度で特定の期間、例えば、0.5~5時間、もしくは0.75~4時間、もしくは1~3時間、例えば1、2、もしくは3時間にわたって保たれ得る、及び/または温度が1つもしくは複数の好適な速度で連続的に増加し得る、連続的に高くなる温度の複数ステップのプロセスにおいて分解及びクリンカリング(例えば、焼結)を行うことが好ましい。これにより、脱塩素の効率及び収率が改善し、他の箇所に記述したように、このプロセスによって驚くほど高レベルの脱塩素が達成される。特に、特定の実施形態では、シリカは、加熱中に例えば2.5~3.25のCa:Siモル比で存在する。また、加熱を、例えば700~750℃、例えば700、710、720、730、740、または750℃の閾値などの閾値温度に達した後、例えば80、70、60、50、40、30、25、20、15、10、5、2、または1℃/分以下、例えば20℃/分以下、または10℃/分以下の制御された速度に保ち、例えば800~1000℃、例えば800、810、820、830、840、850、860、870、880、890、900、910、920、930、940、950、960、970、980、990、または1000℃などの第2の閾値に達するまで、その速度に保つことができる。場合によっては、材料は、進行する前に1種以上の期間にわたって1種以上の温度または温度範囲に保たれ得る。正確な速度及び閾値は、材料及び他の条件に依存し得る。追加的または代替的に、温度は、1つの温度から次の温度へと徐々に増加させることができる。加熱は、流動床またはキルンなどの任意の好適なシステムで行うことができ、好ましい実施形態では、加熱は、ロータリーキルンなどのキルン内で行われる。
【0069】
したがって、本明細書では、塩化カルシウムを脱塩素化する方法であって、蒸気、シリカ、ならびに、場合により、本明細書で開示される鉄及び/またはアルミニウム化合物のうちの1種以上などの鉄及び/またはアルミニウム化合物を含むフラックスの存在下で、第1の温度まで塩化カルシウムを加熱し、次いで、1)少なくともHClを含む第1のセットの1種以上の生成物を生成するために、塩化カルシウム及び他の構成要素を第1の期間にわたって第1の温度に保ち、場合により、HClを除去すること;第1のセットの1種以上の生成物の残りを第2の温度まで、蒸気の存在下で、第2のさらに高い温度まで加熱し、1種以上の生成物及び蒸気を第2の温度に保って、HClを含む第2のセットの1種以上の生成物を生成し、場合により、HClを除去すること;場合により、例えば、第3の温度まで加熱し、次いで、特定の実施形態では、さらに第4の温度まで加熱し、特定の期間にわたって各温度に保って生成物のセット(そのうちの1つはHClである)を生成する追加のステップ(温度、アルミニウム及び/または鉄化合物(使用される場合;注記したように、この段階では概して不必要)、シリカ、ならびに期間は記載のとおりであり得る);あるいは2)塩化カルシウム及び他の構成要素を第1の温度から第2のさらに高い温度まで徐々に加熱することであって、加熱速度が、所望のレベルの、例えば最大の、HCl生成及び脱塩素を可能にするのに十分に遅い、加熱することを含み、それによって、塩化カルシウムが少なくとも95%脱塩素され、好ましい実施形態では少なくとも99.9%脱塩素され、より好ましい実施形態では少なくとも99.95%脱塩素される、方法が提供される。
【0070】
特定の実施形態では、塩化カルシウムを含む固体を脱塩素化する方法であって、(i)塩化カルシウムを含む固体を、シリカを含む固体と組み合わせること、(ii)組み合わせられた塩化カルシウム及びシリカを蒸気の存在下で750~1250℃の温度まで加熱して、HClガス及び脱塩素カルシウム生成物を生成することを含む、方法が提供される。特定の実施形態では、温度は900~1250℃である。特定の実施形態では、温度は1000~1250℃である。特定の実施形態では、温度は1100~1250℃である。特定の実施形態では、温度が700~750℃、例えば700℃、場合によっては720℃、場合によっては750℃に達したとき、加熱は、800~850℃の温度に達するまで、毎分60、50、40、30、10、または5℃以下の速度で進行する。理論に束縛されるものではないが、速度を特定のレベルまたはそれ未満に保つ閾値温度、及び速度は、塩化カルシウムの融解を回避または減少させること、ならびに脱塩素及び/またはシリカとの反応が起こり得ることを確実にすることに基づくと考えられる。特定の実施形態では、塩化カルシウムを含む固体とシリカを含む固体とは、1~4、好ましくは2.5~3.5、より好ましくは2.5~3.25のCa-Siモル比が達成されるように組み合わせられる。特定の実施形態では、塩化カルシウムを含む固体は50~90重量%で存在し、シリカは10~40重量%で存在する。特定の実施形態では、塩化カルシウムを含む固体は、少なくとも80、90、92、93、94、95、96、97、98、または99%の塩化カルシウムを含む。特定の実施形態では、シリカを含む固体は、少なくとも50、60、65、70、75、80、85、90、または95%、例えば少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%のシリカを含む。特定の実施形態では、塩化カルシウムを含む固体は、少なくとも90%の塩化カルシウムを含み、シリカを含む固体は、少なくとも80%のシリカを含む。特定の実施形態では、蒸気は5~100体積%で存在する。特定の実施形態では、塩化物含有量は、少なくとも80、90、95、96、97、98、または99%低減する。これは、本明細書に記載されるように、加熱のための漸増の使用、1種以上の期間にわたって材料を1種以上の温度に保つこと、及び/または他の操作によって達成され得る。特定の実施形態では、脱塩素カルシウム生成物は、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、または80重量%のケイ酸二カルシウム、場合によっては少なくとも30%、例えば少なくとも50%のケイ酸二カルシウムと、30、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1重量%未満のCaO、場合によっては10%未満、例えば5%未満のCaOとを含む。特定の実施形態では、脱塩素カルシウム生成物は、少なくとも30%のケイ酸二カルシウム及び10%未満のCaOを含む。脱塩素カルシウム生成物は、5%未満のCl、場合によっては1%未満のClを含有してもよい。
【0071】
特定の実施形態では、1)少なくとも50、60、70、80、90、または95%の塩化カルシウム、例えば少なくとも90%、好ましい実施形態では少なくとも95%の塩化カルシウムを含む固体;2)シリカ;ならびに、場合により、3)1種以上の鉄化合物、例えばFe(OH)、Fe(OH)、FeO(OH)、FeO、FeO、Feのうちの1種以上、及び/または1種以上のアルミニウム化合物、例えばAl(OH)、Al、AlO(OH)のうちの1種以上を含むフラックスを含む、固体組成物が提供される。この組成物は、塩化カルシウム固体50~90%、シリカ10~40%、フラックスとして機能する鉄化合物0~4%、フラックスとして機能するアルミニウム化合物0~4%の割合(重量%)で構成要素を有し得る。好ましい一実施形態では、この割合は、塩化カルシウム固体60~85%、シリカ15~30%、フラックスとして機能する鉄化合物1~3%、フラックスとして機能するアルミニウム化合物1~3%である。より好ましい実施形態では、この割合は、塩化カルシウム固体70~80%、シリカ15~25%、フラックスとして機能する鉄化合物1~2%、フラックスとして機能するアルミニウム化合物1~2%である。特定の実施形態では、すべての構成要素が、単一の供給源、例えば非石灰石岩石及び/またはミネラル類を含む単一の供給源から誘導される。
【0072】
カルシウム化合物固体を、蒸気、及び概してシリカ、及び場合によりフラックスの存在下で、当技術分野で知られている方法に従ってHClを取り扱うことができる温度である第1の温度などの第1の温度まで加熱し、保持することが好ましい。特定の実施形態では、固体を、蒸気、シリカ、ならびに、場合により、アルミニウム及び鉄を含有する化合物の存在下で1250℃以下、例えば、800~1250℃、特定の場合には850~1000℃まで加熱して、HClと、脱塩素カルシウム化合物(例えば、場合によってはCaOを含む)を含有する生成物とを生成する。固体は、任意の好適な様式及びシステム、例えば流動床またはキルンで加熱され得る。このステップ及び他のステップにおいて、シリカは、カルシウム化合物、例えば、CaClに対して任意の好適な比で存在し得る。例えば、100~105gのサンプルは、約80gmのCaCl、約20gmのシリカ、ならびに場合により各々約1~3gmのアルミニウム及び鉄化合物を含有し得る。これは単なる例示であり、当業者には明らかなように、様々な構成要素の比率は、生成されるクリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントのタイプの規格に従って変化し得ることが理解されるであろう。
【0073】
次いで、脱塩素カルシウム化合物(例えば、場合によってはCaOを含む)を含有する生成物を、概してやはり蒸気、シリカ(この時点で、シリカの一部または全部がケイ酸塩を形成している可能性がある)、ならびにフラックスとして機能するアルミニウム及び/または鉄化合物などのフラックスの存在下で、第2の温度まで、場合により第3の温度まで、場合によってはさらに第4の温度まで加熱することができ、最高温度のうちの1つ以上では、蒸気は存在しなくてもよい。したがって、脱塩素カルシウム化合物(例えば、場合によってはCaOを含む)を含有する生成物は、ポルトランドセメントクリンカなどのクリンカを生成するために、例えば、アルミニウム及び/または鉄を含有するフラックスなどのフラックスの存在下で焼結することを含み得るプロセスでクリンカリングされる。「クリンカリング」には、この用語が本明細書で使用される場合、セメントクリンカを生成するために固体材料を高温で処理するプロセスが含まれる。「クリンカリング」及び「焼結」は本明細書では概して同義に使用される。本明細書に記載されるプロセスは、所望の生成物が生成される限り、様々な量の焼結を含むことができ、場合によっては、焼結を含まなくてもよい。フラックスには、プロセスの初期ステップで生成される材料、例えば、上述のように、カルシウム高含有画分から除去されるアルミニウム及び/または鉄化合物が含まれ得る。特定の実施形態では、アルミニウム及び/または鉄を含有する外因性フラックスの少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または95%、例えば少なくとも50%、場合によっては少なくとも70%、特定の実施形態では少なくとも90%が、カルシウム高含有画分から除去される1種以上の化合物を含む。特定の実施形態では、アルミニウム及び/または鉄を含有する外因性フラックスの100%が、カルシウム高含有画分から除去される1種以上の化合物を含む。特定の実施形態では、当技術分野で知られているように、プロセスの初期段階で生成されない外因性フラックス、例えば粘土などが使用される。外因性フラックスが存在するか否か、そして存在する場合はその量は、少なくとも部分的に、所望の最終組成、例えば、生成されるポルトランドセメントのタイプによって決定され得る。特定の実施形態では、鉄含有化合物とアルミニウム含有化合物との両方を含むフラックスが使用される。
【0074】
第2の温度のみが使用される場合、このプロセスには、脱塩素カルシウム化合物(例えば、場合によってはCaOを含む)を含有する生成物を、フラックスの存在下で、1200~1550℃、好ましくは1450℃以下に加熱することにより、ケイ酸二カルシウム及びケイ酸三カルシウムを含むポルトランドセメントクリンカなどのクリンカを形成することが含まれ、場合によっては、クリンカまたは中間体は、アルミン酸三カルシウム及び/または鉄アルミン酸四カルシウムも含む。中間温度が使用される場合、温度は、例えば、900~1100℃、例えば950~1050℃でもよく、温度は、例えば、1100~1300℃、例えば1150~1250℃でもよく、温度は、例えば、1400~1600℃、例えば1450~1550℃でもよい。例示的な実施形態において、温度は、連続して、850、1000、1200、及び1500℃に各1時間保たれる。これらは単なる例示であり、当業者は最適なまたは所望の温度を決定することができる。
【0075】
加熱プロセス中、塩基沈殿ステップで使用された可能性のある塩基、例えば1種以上のカルシウム塩基を再生することができ、例えば、塩基沈殿ステップで使用された塩基の量の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、85、90、95、98、または99%が再生され得る。
【0076】
プロセスの終わりにクリンカが残ることがあり、このクリンカは、ミリメートル単位、例えば、0.5~50mm、または1~40mm、または1~30mmの直径を有し得るが、さらなる加工のために他のサイズも許容される。
【0077】
したがって、本明細書では、ケイ酸二カルシウム及びケイ酸三カルシウムを含むポルトランドセメントクリンカなどのクリンカであって、ケイ酸二カルシウム及びケイ酸三カルシウムが、例えば、本明細書に記載されるプロセスにおいて、非石灰石岩石及びミネラル類などの非石灰石材料から誘導される、クリンカが提供される。特定の実施形態では、カルシウム及びケイ酸塩は、同じ出発材料、例えば、同じ非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの非石灰石材料から誘導される。本明細書で使用される場合、「ケイ酸二カルシウム」(本明細書ではビーライト、C2Sともいう)及び「ケイ酸三カルシウム」(本明細書ではエーライト、C3Sともいう)には、セメント及びコンクリート生成の技術分野で知られている意味が含まれ、例えば、ケイ酸三カルシウムは、少量の他の構成成分、例えば、3~4%の置換酸化物を含むことができ、ケイ酸二カルシウムは、CaO及びSiO2以外に少量の他の酸化物を含むことができる。
【0078】
また、本明細書では、本明細書に記載されるプロセスのうちの1種以上によって生成される、すなわち、石灰石の焼成を必要としないプロセスで生成される、OPCのようなポルトランドセメントなどのセメントを含むコンクリートが提供される。特定の実施形態では、コンクリートは、従来のプロセス、すなわち石灰石の焼成を必要とするプロセスによって生成される、OPCのようなポルトランドセメントなどのセメントを含むこともできる。
【0079】
また、塩化カルシウム(CaCl)を含むカルシウム化合物固体からクリンカを生成する方法であって、(a)Caを含み、且つCl量が10%w/w未満である脱塩素組成物を生成するために、CaClを含むカルシウム化合物固体を脱塩素化すること、及び(b)脱塩素組成物をフラックスの存在下で加熱してクリンカを生成することを含む、方法が提供される。クリンカ、例えば、OPCクリンカなどのポルトランドセメントクリンカは、ケイ酸二カルシウム及びケイ酸三カルシウムを含むことができる。CaCl2を含む組成物は、シリカを含むこともでき、例えば、Ca:Siのモル比は、1.0~5.0、好ましくは2.0~4.0、より好ましくは2.5~3.25であり得る。
【0080】
浸出剤の再生
浸出剤を再生することを含むブロックS170は、非石灰石材料の分解において用いられる浸出剤を補充するように機能する。いくつかの変形例において、浸出剤を再生することS170は、単に、以前に消費された浸出剤を置き換えるために新しい浸出剤を追加することを含み得る。追加的または代替的に、浸出剤を再生することS170において、プロセス(例えば、熱的、化学的、または電気的な刺激)が実施され得る。
【0081】
浸出剤がHClなどの強酸を含む実施形態では、HCl再生などのすべての酸再生ステップの終わりに、初期HClなどの初期酸の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、85、90、95、98、または99%が再生され得る。好ましい一実施形態では、初期HClの少なくとも80%が再生される。別の好ましい実施形態では、初期HClの少なくとも90%が再生される。非石灰石材料の後続の処理に十分な酸、例えば十分なHClを提供するために、ある量の再生されないHClなどの強酸を追加して戻すこと、すなわち、HClなどの強酸を補充することができる。
【0082】
多くの変形例において、浸出剤を再生することS170は、分解プロセスの一部として、ブロックS160と併せて行われ得る。例えば、一例では、別個の熱分解が行われ得る。例えば、一実施態様では、酸化カルシウム及びケイ酸カルシウムを生じるように亜硫酸カルシウムを熱分解すると同時に、二酸化硫黄を再生する。
【0083】
追加的または代替的に、浸出剤を再生することは、別個のプロセスでもよい。例えば、酸化カルシウムまたはケイ酸カルシウム及び二酸化硫黄を生じるように硫酸カルシウムを熱分解してもよい。二酸化硫黄はその後、浸出剤を再生するために硫酸に変える必要がある。
【0084】
クリンカまたはセメントの生成
いくつかの変形例において、当該方法は、セメント生成ステップを含み得る。すなわち、分解がカルシウム化合物生成物(例えば、酸化カルシウム、ケイ酸二カルシウム、及び/またはケイ酸三カルシウム)を含む変形例では、当該方法には、カルシウム化合物生成物からセメントを生成することを含むブロックS180が含まれ得る。前述したように、生成されるセメントのタイプは、実施態様に特有であり得る(例えば、普通ポルトランドセメント)。多くの変形例において、セメントを生成することは、カルシウム化合物生成物をクリンカリング/焼結することを含み得、セメントを生成するように機能する。他の変形例では、カルシウム化合物生成物からセメントを生成することS180には、熱分解またはカルシウム含有化合物生成物へのシリカの電気化学的挿入を介してケイ酸カルシウムを直接生成することが含まれ得る。代替的には、他のプロセスを実施してセメントを生成してもよく、このプロセスは、カルシウム化合物生成物のタイプ及び所望のセメントアウトプットに依存し得る。
【0085】
一実施形態では、非石灰石材料を浸出剤と接触させてパルプを作出すること、ならびにパルプからカルシウム高含有液体画分及びカルシウム減損固体画分を誘導することを含む方法が提供される。例えば、図3を参照されたい。好ましい一実施形態では、非石灰石材料はカルシウムを含み、酸は塩酸であり、塩化カルシウムを含むカルシウム高含有液体画分を生成する。特定の実施形態では、非石灰石材料は、本明細書に記載される1種以上の岩石及びミネラル類などの岩石及び/またはミネラル類を含む。特定の実施形態では、当該方法は、塩化カルシウムを含む固体を生成するために、塩化カルシウムを含むカルシウム高含有液体画分を処理すること、及び、カルシウム化合物を含む脱塩素固体を生成するために、塩化カルシウムを含む固体を脱塩素化することを含む。特定の実施形態では、カルシウム化合物を含む脱塩素固体を処理してクリンカを生成し、場合によっては、これをさらに処理して、普通ポルトランドセメントなどのセメントを生成することができる。本明細書の他の箇所に記載されているように、例えば、所望の濃度範囲内のケイ酸二カルシウム及び/またはケイ酸三カルシウム及び/または他の構成要素などの組成特性のような所望の特性を有するセメントへとプロセスされるクリンカを生成するように、材料の様々なパラメータ及び/または条件を設定、調節、及び/または選択することができる。カルシウム減損固体画分は、カルシウム高含有液体画分から分離され得る。特定の実施形態では、非石灰石出発材料は、カルシウム及びケイ素の両方を含み、カルシウム減損固体画分は、シリカ、例えば無定形シリカを含み、カルシウム減損固体画分は、例えばすすぎ、乾燥、及びさらなる使用のための貯蔵などの操作によって、補助セメント質材料(SCM)として使用されるようにさらに処理され得る。例えば、図4を参照されたい。固体は、所望のサイズまたは1つもしくは複数のサイズ範囲の粒子を生成するなどのプロセスにかけることもできる。特定の実施形態では、塩化カルシウムを含むカルシウム高含有液体画分は、アルミニウム、鉄、及び/またはマグネシウムの塩などの非カルシウム塩を含み、カルシウム高含有画分を処理することは、液体を処理して、1種以上の不溶性アルミニウム、鉄、またはマグネシウム化合物を沈殿させることを含む。例えば、図5を参照されたい。沈殿のプロセスは、概して、カルシウム高含有液体画分を、ケイ酸二カルシウム及び/またはケイ酸三カルシウムなどのケイ酸カルシウムを含むカルシウム塩基のようなカルシウム塩基などの塩基と接触させることを少なくとも含み、特定の実施形態では、カルシウム塩基の少なくとも一部は、脱塩素及び/またはクリンカリングなどの後続の操作から提供される。特定の実施形態では、唯一の沈殿ステップは塩基沈殿ステップである。代替的には、沈殿は、アルミニウム及び/または鉄化合物を沈殿させるための、通常は塩基沈殿に先行する、1種以上の熱加水分解ステップを含むこともできる。アルミニウム及び鉄化合物の両方を沈殿させることができる1工程の熱加水分解ステップを使用してもよく、または、第1のステップでアルミニウム化合物を沈殿させ、第2のステップで鉄化合物を沈殿させる2工程の熱加水分解プロセスを使用してもよい。熱加水分解が使用される場合、概して、塩基沈殿は、主にマグネシウム種を生成する。1工程及び2工程の熱加水分解は、他の箇所に記載のとおりに行うことができる。熱加水分解が使用されるかどうか、及び出発材料中のマグネシウムの含有量、例えば、Ca/Mg比に応じて、より多くのまたはより少ない塩基を使用することができ、そのため、最終プロセスからの材料が塩基源として使用される場合、その量は、例えば、クリンカの1/20(出発材料がCa:Mg 20:1の場合)またはさらにはクリンカの1/2(例えば、出発材料が1:1の場合)であり得るが、ただし、プロセスの初期に消費される材料は、プロセスの後期で置き換えられる。HClの一部は沈殿ステップ中に再生され得る。1種以上の沈殿ステップの後、塩化カルシウムを含むカルシウム高含有液体から不溶性固体を分離することができ、カルシウム高含有液体画分を脱水することで、塩化カルシウムを含む固体が生成される。次いで、塩化カルシウムを含む固体を、例えば、Ca:Siのモル比を1~4、例えば2~4、好ましい実施形態では2.45~3.25、より好ましい実施形態では2.5~3.25にする比でシリカと組み合わせ、蒸気、例えば、5~100体積%の蒸気の存在下で加熱することなどにより、脱塩素化することができる(例えば、図6を参照のこと)。シリカの一部または全部、例えば少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、もしくは99%、または100%は、カルシウム減損固体画分から提供され得る。蒸気の一部または全部、例えば少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、もしくは99%、または100%は、脱水ステップから提供され得る。脱塩素化は、カルシウム化合物を含む脱塩素固体を生成するために、本明細書に記載される条件下で進行することができ、脱塩素固体は、10、8、7、6、5、4、3、2、1、または0.1%未満、好ましくは5%未満、場合によってはより好ましくは1%w/w未満のClを含有することができる。脱塩素によってHClも生成され、これは非石灰石材料を酸と接触させるステップに戻すことができる。脱塩素固体は、1種以上のケイ酸カルシウム、例えばケイ酸二カルシウム及び他のものを含むことができ、ケイ酸二カルシウムは、例えば少なくとも1、5、10、20、30、または40%、例えば少なくとも5%w/wで存在することができる。脱塩素固体中には、CaOがほとんどまたは全く存在しなくてもよく、例えば10、5、3、2、または1%w/w未満などであり得る。カルシウムを含む脱塩素固体は、例えば、アルミニウム及び鉄の酸化物(本明細書で使用される場合、水酸化物を含む)のようなアルミニウム及び鉄化合物を含むフラックスなどのフラックスの存在下で加熱することによって、クリンカを生成するために処理され得る(例えば、図7を参照のこと)。クリンカを生成するための条件は、本明細書に記載のとおりであり得る。特定の実施形態では、フラックスの一部または全部、例えば少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、もしくは99%、または100%は、1種以上の沈殿から提供される。特定の実施形態では、フラックスの一部または全部、例えば少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、もしくは99%、または100%は、1種以上の外因性物質、例えば粘土などから提供される。このようにして生成されたクリンカは、少なくともケイ酸二カルシウム及びケイ酸三カルシウムなどの水硬性ケイ酸カルシウムを含む。様々なステップの条件(例えば、脱塩素及びクリンカの生成のためのCa:Si比、クリンカの生成のためのフラックスの組成など)は、ケイ酸三カルシウム(C3S)40~70%、好ましくは50~65%、例えば52~63%、及びケイ酸二カルシウム(C2S)10~35%、例えば15~25%など、所望の割合でケイ酸二カルシウム及びケイ酸三カルシウムを含むクリンカを生成するために調節することができる。クリンカは、例えば5~12%のアルミン酸三カルシウム、及び/または例えば6~12%の鉄アルミン酸四カルシウム(C4AF)を含むこともできる。このプロセスは、OPCのようなポルトランドセメントなどのセメントを生成するためにクリンカを加工することをさらに含み得る。このようにして生成されたセメントは、例えば、骨材及び水と混合すること、場合によってはSCMと混合することにより、コンクリートの生成に使用することができる。骨材及び/またはSCMは非石灰石材料から生成することもできる。凝結及び硬化は、同じ組成の従来法で生成されたセメント、例えば、石灰石を焼成してから生成物を焼結することによって生成されたセメントで見られるものと概して同様または同一である。加工することは、例えば、破砕、磨砕、または粉砕などによるサイジング及びスクリーニングを含むことができ、1種以上の追加の物質、例えば、セッコウの添加を含むこともできる。
【0086】
単一の沈殿ステップ(プロセス中にカルシウム塩基の一部または全部が生成されるカルシウム塩基沈殿)を利用する例示的なプロセスを図11に示す。1種以上の熱加水分解沈殿とそれに続く塩基沈殿を利用する例示的なプロセスを図12に示す。
【0087】
特定の実施形態では、上記プロセスまたは本明細書に記載される他のプロセスの沈殿ステップ中に生成された不溶性マグネシウム種、例えばケイ酸マグネシウム、水酸化マグネシウムなどを使用して、大気中の二酸化炭素、及び/または、プロセスのためのエネルギーを生成するために1種以上の燃焼ステップで生成される煙道ガスの構成要素である二酸化炭素などの二酸化炭素を隔離する(また場合によっては、他の構成要素、例えばSOx、NOx、及び/または他の構成要素を隔離する)ことができる。二酸化炭素は、マグネシウム種と反応して炭酸マグネシウムを生成する。特定の実施形態では、マグネシウム種を海洋などの水域に入れることができ、ここでマグネシウム種は重炭酸マグネシウムを形成し、したがって炭酸マグネシウム生成の2倍の二酸化炭素を隔離することができる。これらは緩衝効果を生じる可能性もある。
【0088】
本明細書で提供されるプロセスは、典型的に石灰石の焼成及び焼結を必要とするセメントの従来の生成方法よりも少ない二酸化炭素を生成し得ることが理解されるであろう。焼成は石灰石から二酸化炭素を生成し、焼成及び焼結の両方が、材料を加熱するための燃料の燃焼から二酸化炭素を生成する。本明細書で提供されるようなプロセスは、大量の炭酸カルシウムを含む出発材料を利用せず、実際、炭酸カルシウムは非石灰石材料中に多少存在してもよいが必要ではない。出発材料に応じて(例えば、マグネシウム含有量の高い材料は、二酸化炭素を隔離するためのマグネシウム種をより多く生成することができる)、また特に、様々なステップ(加熱など)のエネルギーを提供するために使用される燃料、及び輸送などといった他の要因に応じて、生成される二酸化炭素は、石灰石から同量の同等のセメントを生成するために従来のプロセスで生成される量の80、70、60、50、40、または30%未満になり得る。特定の実施形態では、本明細書で提供されるようなプロセスは、例えば石炭が燃料として使用される場合、生成されるセメント1000kg当たり500kg未満の二酸化炭素を生成し得る。特定の実施形態では、本明細書で提供されるようなプロセスは、例えば天然ガスが燃料として使用される場合、生成されるセメント1000kg当たり300kg未満の二酸化炭素を生成し得る。プロセス中に生成される1種以上のマグネシウム種が、例えば、煙道ガスからの二酸化炭素や大気中の二酸化炭素を隔離するために使用される場合、及び/または海洋などの水域に入れられたとき、生成される二酸化炭素は、生成されるセメント1000kg当たり、250、200、150、100、または50kg未満の二酸化炭素であり得る。特定の実施形態では、このプロセスは、カーボンニュートラルまたはさらにはカーボンネガティブであり、例えば、生成されるセメント1000kg当たり少なくとも50、75、100、125、150、200、250、300、400、または500kgの二酸化炭素が隔離される。一般に、マグネシウム種が海洋などの水域に入れられた場合、重炭酸塩が生成されてMg当たり2つのCO2を隔離し得るため、より小さなカーボンポジティブ値、またはより大きなカーボンネガティブ値が生成される。従来のプロセスと比較した二酸化炭素量の減少、またはさらには負の二酸化炭素が、カーボンクレジットに変換され得ることは理解されるであろう。このようなクレジットは、回避された二酸化炭素(例えば、同量の同等のセメントを生成するための従来のプロセスと比較して)、また場合によっては、隔離された二酸化炭素(例えば、プロセス中に生成されたマグネシウム種によって)に基づき得る。既存の規格及び規制への準拠を確実にするための措置と共に、回避及び/または隔離された二酸化炭素に対する生成された二酸化炭素の適切なモニタリング/計算を行うことができる。
【0089】
本明細書では、上述の方法の実施態様例が示される。これらの例は、当該方法に追加の制限を加えることなく、当該方法の様々な実施態様の可能性を示すものである。すべての例に明示的に含まれてはいないが、取得される非石灰石材料に応じて、いずれの例も、所望または必要であれば追加の濃縮ステップ(例えば、ブロックS120)を含み得る。
【0090】
第1の例において、非石灰石材料を取得することS110は、ケイ酸塩岩石材料を取得することを含む。非石灰石材料を溶解することS130は、ヨウ化水素(HI)第一酸を浸出剤として添加することを含む。したがって、ケイ酸塩岩石材料はHIに溶解する。カルシウム高含有画分からカルシウム減損画分を分離することS140は、固体画分、主にSiOを、液体画分から分離し、次いでSiOを乾燥させてSCMとしてパッケージングすることを含む。その後、SCMは、任意の所望の様式で貯蔵及び梱包、販売、または利用され得る。カルシウム高含有画分からカルシウム含有化合物を分離することS140は、金属含有化合物を沈殿させることを含む。これは、CaSiOをゆっくりと添加し、その後、Ca(OH)、CaSiO、CaSiO、電気化学的に生成された水酸化物もしくはNaOH、または同様に十分に強い塩基を添加し、それによりHI第一酸を中和すること;Al(OH)、Fe(OH)、及びMg(OH)を沈殿させること;CaIを形成すること;ならびに温度を低下させてCaI及びHOを沈殿させることによって行われる。カルシウム化合物を分解することS160と、浸出剤を再生することS170とは、カルシウム含有化合物を熱分解することによって同時に行われる。したがって、CaIの熱分解は、CaO、CaSiO、CaSiO、またはCaSiOを形成し、HI第一酸を再生することができる。セメント生成の一実施態様において、第1の例は、キルンにおいて、CaOをSiO、Al(OH)及びFe(OH)と焼結することで、普通ポルトランドセメントを形成することを含む、酸化カルシウムを焼結することをさらに含み得る。さらに、この例は、煙道ガスをMg(OH)でスクラビングしてMgCOを生じることを含み得る。追加的または代替的に、Mg(OH)を廃棄物パイルに入れることができ、ここでそれを空気に接触させてゆっくりとMgCOに変化させることができる。
【0091】
第2の例において、非石灰石材料を取得することS110は、ケイ酸塩岩石材料を取得することを含む。非石灰石材料を溶解することS130は、塩酸(HCl)第一酸を添加することを含む。したがって、ケイ酸塩岩石材料は塩酸(HCl)に溶解する。カルシウム高含有画分からカルシウム減損画分を分離することS140は、固体画分、主にSiOを、液体画分から分離し、次いでSiOを乾燥させてSCMとしてパッケージングすることを含み、SCMは、所望のとおりに(例えば、セメント生成用、貯蔵用、販売用)に使用され得る。カルシウム高含有画分からカルシウム含有化合物を分離することS140は、金属含有化合物を沈殿させることを含む。これは、CaSiOをゆっくりと添加すること;Ca(OH)CaSiO、CaSiO、または同様に強い塩基を添加し、それによりHCl第一酸を中和すること;Al(OH)、Fe(OH)、及びMg(OH)を沈殿させること;CaClを形成することによって行われる。次に、浸出剤であるSOを添加することにより、CaSOを沈殿させ、HClを再生する。カルシウム化合物を分解することS160と、浸出剤を再生することS170とは、カルシウム含有化合物を熱分解することによって同時に行われる。したがって、CaSOの熱分解は、CaO、CaSiO、CaSiOまたはCaSiOを形成し、SOを再生することができる。セメント生成の一実施態様において、第2の例は、キルンにおいて、CaOをSiO、Al(OH)及びFe(OH)と焼結することで、普通ポルトランドセメントを形成することを含む、酸化カルシウムを焼結することをさらに含み得る。さらにこの例は、煙道ガスをMg(OH)でスクラビングしてMgCOを生じることを含み得る。追加的に、または代替的に、Mg(OH)を廃棄物パイルに入れることができ、ここでそれを空気に接触させてゆっくりとMgCOに変化させることができる。例2は、高濃度のCa(OH)を有する実施態様で特に適用可能であり得る。
【0092】
第3の例において、非石灰石材料を取得することS110は、ケイ酸塩岩石材料を取得することを含む。非石灰石材料を溶解することS130は、塩酸(HCl)第一酸を添加することを含む。したがって、ケイ酸塩岩石材料は塩酸(HCl)第一酸に溶解する。カルシウム高含有画分からカルシウム減損画分を分離することS140は、固体画分、主にSiOを、液体画分から分離し、次いでSiOを乾燥させてSCMとしてパッケージングすることを含む。カルシウム高含有画分からカルシウム含有化合物を分離することS150は、金属含有化合物を沈殿させることを含む。これは、HSOをゆっくりと添加することで、CaSO及びHClを形成すること;ならびに、追加のHClを添加することで、金属塩化物(例えば、AlCl、FeCl、MgCl)を沈殿させることによって行われる。カルシウム化合物を分解することS160は、カルシウム化合物を熱分解することによって行われ得る。すなわち、CaO、CaSOが熱分解され、SOが再生される。浸出剤を再生することS170は、水の存在下で金属含有化合物を熱分解することによって行われる。すなわち、AlCl、FeCl、MgCl、及びHCl第一酸が再生される。セメント生成の変形例において、第3の例は、CaSOをAl、Fe、及びSiOと共に熱分解することで、普通ポルトランドセメント及びSOを生成することをさらに含み得る。さらにこの例は、煙道ガスをMg(OH)でスクラビングしてMgCOを生じることを含み得る。追加的または代替的に、Mg(OH)を廃棄物パイルに入れることができ、ここでそれを空気に接触させてゆっくりとMgCOに変化させることができる。
【0093】
第4の例において、非石灰石材料を取得することS110は、ケイ酸塩岩石材料を取得することを含む。非石灰石材料を溶解することS130は、塩酸(HCl)第一酸を添加することを含む。したがって、ケイ酸塩岩石材料は塩酸(HCl)第一酸に溶解する。カルシウム高含有画分からカルシウム減損画分を分離することS140は、固体画分、主にSiOを、液体画分から分離し、次いでSiOを乾燥させてSCMとしてパッケージングすることを含む。カルシウム高含有画分からカルシウム含有化合物を分離することS140は、金属含有化合物を沈殿させることを含む。これは、NaOHをゆっくりと添加することにより第一酸を中和し、Al(OH)、Fe(OH)、及びMg(OH)を沈殿させ、NaClを形成すること;NaClを電気分解することによりNaOHを再生し、H及びClを形成すること;ならびに合成ユニットを使用してH及びClからHClを生じることによって行われる。この合成ユニットは、クロロアルカリプロセス用の典型的な合成ユニットを含む。例えば、合成ユニットは、HCl合成ユニットのためにHで塩素を燃焼させることを含み得る。セメント生成の変形例において、第4の例は、キルンにおいて、CaOHをSiO、Al(OH)及びFe(OH)と焼結することで、普通ポルトランドセメントを形成することを含む、カルシウム生成物を焼結することをさらに含み得る。さらにこの例は、煙道ガスをMg(OH)でスクラビングしてMgCOを生じることを含み得る。追加的または代替的に、廃棄物パイル中のMg(OH)は、ここで空気と接触してゆっくりとMgCOに変化することができる。
【0094】
第5の例では、有機酸または生体酸を浸出剤として利用する。この例において、非石灰石材料を取得することS110は、ケイ酸塩岩石材料を取得することを含む。非石灰石材料を溶解することS130は、有機酸第一酸(例えば、シュウ酸)である浸出剤を添加することを含む。あらゆる有機酸(例えば、シュウ酸)が、他の金属(例えば、Al、Fe、及びMg)を選択的に浸出させてカルシウム化合物のほとんどを残すか、または(シュウ酸とは異なり)カルシウムを選択的に浸出させて他の金属を残すことができる。浸出した金属有機酸複合体(例えば、金属シュウ酸塩)の分離は、浮遊選鉱を使用して使用済み非石灰石原料から分離され得る。次いで、有機酸金属複合体を酸化(例えば燃焼)させて、二酸化炭素及び金属酸化物を生じることができる。代替的には、カルシウムを浸出させた場合、酸化カルシウムを酸化し、焼結してセメントを作ることもできる。有機酸浸出剤を再生することには、エンジニアリングされた微生物、二酸化炭素、及び太陽光を使用することが含まれ得る。カルシウムが使用済み岩石中に残される実施態様では、方法ステップを繰り返して、よりよくカルシウムを浸出させ、沈殿させることができる。
【0095】
第6の例において、非石灰石材料を取得することS110は、ケイ酸塩岩石材料を取得することを含む。非石灰石材料を溶解することS130は、電解槽を使用して水または塩を分解することで、アノードで酸を発生させ、カソードで塩基を発生させること、及び非石灰石材料と酸を反応させることを含む。したがって、ケイ酸塩岩石材料は、ヒドロニウムイオン、HCl、HBr、及び任意の十分に強い酸であり得る、電解的に生成された第一酸に溶解する。カルシウム高含有画分からカルシウム減損画分を分離することS140は、固体画分、主にSiOを、液体画分から分離し、次いでSiOを乾燥させてSCMとしてパッケージングすることを含む。カルシウム高含有画分からカルシウム含有化合物を分離することS140は、金属含有化合物を沈殿させることを含む。これは、水の分解または塩の分解によってカソードで生じた、水酸化物イオン、NaOH、Ca(OH)、または任意の他の十分に強い塩基であり得る塩基をゆっくりと添加し、それにより第一酸を中和し、Al(OH)、Fe(OH)、Mg(OH)、そして最後にCa(OH)を沈殿させることによって行われる。セメント生成の変形例において、第6の例は、キルンにおいて、CaOHをSiO、Al(OH)及びFe(OH)と焼結することで、普通ポルトランドセメントを形成することを含む、カルシウム生成物を焼結することをさらに含み得る。さらにこの例は、煙道ガスをMg(OH)及び/または他のマグネシウム化合物でスクラビングしてMgCOを生じることを含み得る。追加的または代替的に、Mg(OH)及び/または他のマグネシウム化合物を廃棄物パイルに入れ、ここでそれを空気に接触させてゆっくりとMgCOに変化させることができる。
【0096】
第7の例において、非石灰石材料を取得することS110は、例えば、非石灰石岩石及び/またはミネラル類、例えば、ケイ酸塩岩石材料を取得することを含む。所望の最終生成物、例えば、最終的なクリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントをもたらすのに十分な量でカルシウムを含む限り、任意の好適な出発材料が使用され得る。補助セメント質材料(SCM)も生成するプロセスが使用される場合、出発材料は、SCMとして機能し得る無定形(非晶質)化合物を含む最終材料をもたらし得る1種以上の化合物も含有することになる。これらは無定形シリカを含み得、その場合、出発材料はケイ素も含むことになる。しかしながら、当技術分野で知られているように、他の物質が、無定形の鉄及びアルミナ化合物のようなSCMとして機能する無定形化合物をもたらす場合もあり、これらの場合には、出発材料は必要な出発元素を含む。クリンカまたはポルトランドセメントなどのセメント及びSCMの両方が生成される特定の実施形態では、出発材料は、カルシウム及びケイ素を含む非石灰石岩石及び/またはミネラル類、例えばケイ酸カルシウム含有岩石及び/またはミネラル類などの非石灰石材料を含む。岩石及び/またはミネラル類が使用される場合、玄武岩、斑れい岩、輝岩、斜長岩、スカルン、角閃岩、またはそれらの組み合わせのうちの1種以上のような、任意の好適な岩石及び/またはミネラル類が使用され得る。他の好適な岩石及び/またはミネラル類は、本明細書に記載されているか、または当業者には明らかである。
【0097】
概して、非石灰石材料、例えば、岩石及び/またはミネラル類は、1種以上のカルシウム塩を含むカルシウム高含有画分と、概して固体のカルシウム減損画分とをもたらすように処理される。カルシウム減損画分、例えば固体は、除去され得る。特定の実施形態では、固体は、無定形シリカなどの無定形化合物を含み、SCMとして使用され得る。カルシウム高含有画分は、カルシウム塩を含む溶液であることができ、Fe、Al、Mg(例えば、それらの塩化物)、及び/または他の塩などの非カルシウム塩を含むこともできる。特定の場合には、非カルシウム塩の性質及び濃度は、内容物が、許容可能な最終生成物、例えば、クリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントに変換され得る故に、カルシウム高含有画分をさらに加工する必要がないようなものである。これは、例えば、出発材料が珪灰石を含むかまたはそれからなる場合に当てはまり得る。他の場合には、非カルシウム塩の性質及び濃度により、それらのうちの1種以上を溶液から除去することが必要になる。この場合、カルシウム高含有画分は、例えば、最終的なクリンカまたはポルトランドセメント生成物などのセメントのような最終生成物の生成に許容可能なレベルまで、非カルシウム塩の濃度を低下させるように処理される。その後、溶液を処理して、1種以上のカルシウム塩を固体形態にし、1種以上のカルシウム塩を処理して、例えばクリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントに好適な割合で少なくともケイ酸二カルシウム及びケイ酸三カルシウムをもたらすように分解することなどにより、さらなる生成物を生成することができる。上記処理のうちの1種以上は、出発材料のうちの1種以上を再生するのに役立ち得る。例えば、出発材料が強酸などの酸を含む場合、酸の少なくとも一部分が再生され得る。材料は、例えば、ポルトランドセメントとして使用するために、例えば好適なサイズまたはサイズ範囲になるように、さらに処理され得る。このプロセスは、当技術分野で知られているような、任意の好適なタイプのプロセス、例えばバッチプロセス、連続プロセス(例えば、1種以上の向流プロセスを含む)、半連続プロセスなどであり得る。
【0098】
非石灰石材料、例えば、岩石及び/またはミネラル類は、所望のサイズ範囲内の粒子をもたらすようにプロセスされ得る。破砕、磨砕、及び/または粉砕、ならびに篩分などのような、任意の好適な1つまたは複数のプロセスが使用され得る。好適なサイズ範囲には、1~500u、5~300u、10~200u、20~130u、45~90u、またはそれらの組み合わせが含まれる。好ましい一実施形態では、サイズ範囲は20~130uである。より好ましい実施形態では、サイズ範囲は45~90uである。
【0099】
非石灰石材料、例えば、岩石及び/またはミネラル類材料を強酸と接触させることで、酸ならびに非石灰石材料、例えば岩石及び/またはミネラル類を含むパルプが形成される。HCl、HBr、HI、HSO、またはHNOなど、任意の好適な強酸が使用され得る。特定の実施形態では、強酸はHClを含む。便宜上、プロセスの残りの部分をHClの観点から説明する。当業者には明らかなように、HClに加えて、またはその代替として別の酸が使用される場合、追加/代替の酸に適応するために好適な調節を行うことができる。
【0100】
非石灰石材料を溶解することS130は、塩酸(HCl)を添加することを含む。したがって、非石灰石材料、例えば、ケイ酸塩岩石材料などの岩石及び/またはミネラル類は、塩酸(HCl)に溶解する。特定の実施形態では、強酸のうちHClを含む割合は、強酸の少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、95、または99%である。好ましい一実施形態では、強酸の少なくとも90%がHClである。より好ましい実施形態では、強酸の少なくとも95%がHClである。さらにより好ましい実施形態では、強酸の少なくとも98%がHClである。さらにより好ましい実施形態では、強酸の99~100%がHClであり、例えば、強酸の100%がHClである。5~40%、10~37%、10~30%、15~35%、17~23%、20~30%wt/wt、または約もしくは厳密に15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30%、例えば約もしくは厳密に20%など、任意の好適な濃度の強酸、例えばHClが使用され得る。好ましい実施形態では、HClは10~37%である。さらにより好ましい実施形態では、HClは15~35%である。初期パルプ中の液体(酸)に対する、固体非石灰石材料、例えば、岩石及び/またはミネラル類の比は、任意の好適な比であり得る。固体岩石及び/またはミネラル類の一部が直ちに酸に溶解し始め、固体が溶液に溶解するにつれてこれらの比が変化することは理解されるであろう。好適な初期比率は、固体5%/液体95%から固体40%/液体60%の範囲内、例えば固体10%/液体90%から固体30%/液体70%;好ましい実施形態では固体15%/液体85%から固体25%/液体75%、例えば固体20%/液体80%であり得る。
【0101】
パルプは、良好な最終生成物をもたらすように、例えば、クリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントに変換されるように、非石灰石材料、例えば岩石及び/またはミネラル類中の、少なくとも十分な量のカルシウム化合物を溶解させて溶液に入れるように処理される。特定の実施形態では、出発材料中のカルシウムの少なくとも50、60、70、80、90、または95%、好ましくは少なくとも70%、より好ましくは少なくとも80%、さらにより好ましくは少なくとも90%が溶液に入る。この処理は、大気に開放された、または少なくとも加圧されていないプロセスで行われ得る。この処理は、パルプをある温度または温度範囲で特定の期間にわたって加熱及び/または維持することを含み得る。概して、所望の溶解をもたらす処理期間及び/または温度が使用され得る。パルプを維持する好適な温度範囲には、60~115℃、70~115℃、80~115℃、90~115℃、100~115℃、60~112℃、70~112℃、80~112℃、90~112℃、100~112℃、60~110℃、80~110℃、90~110℃、または100~110℃が含まれる。高濃度のHClが存在するため、また材料が液相に溶解するにつれて、HCl溶液の沸騰温度が100℃を超える可能性があることは理解されるであろう。したがって、特定の実施形態では、温度は少なくとも95、96、97、98、99、または100℃であり、好ましい実施形態では、温度は少なくとも90℃であり、より好ましい実施形態の範囲では、温度は少なくとも95℃であり、さらにより好ましい実施形態では、温度は少なくとも98℃であり、さらにより好ましい実施形態では、温度は少なくとも100℃である。特定の実施形態では、最高温度は105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、または115℃であり、好ましい実施形態では、最高温度は105℃であり、より好ましい実施形態では、最高温度は108℃であり、さらにより好ましい実施形態では、最高温度は110℃である。特定の実施形態では、温度を100~115%にし、及び/または100~115%で維持する。特定の実施形態では、温度を100~110℃にし、及び/または100~110℃で維持する。任意の好適な処理期間が使用され得る。これは、ある程度、非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの出発材料のカルシウム含有量に依存し得る。カルシウム含有量が低い材料は、溶液中のカルシウム塩の所望の量を達成するために、より長い処理を必要とし得る。したがって、処理期間は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、もしくは10時間、及び/または、2、3、4、5、6、7、8、10、12、15、20、24、30、36、40、48、60、もしくは72時間以下であり得る。特定の実施形態では、当該期間は、2~24時間、例えば4~18時間、またはさらには4~12時間以下であり得る。特定の実施形態では、当該期間は、6~72時間、例えば4~48時間、または4~36時間、または4~24時間であり得る。パルプは、処理中に攪拌、例えば、攪拌、例えば10~1000RPM、20~800RPM、50~500RPM、50~400RPM、または100~300RPMで攪拌され得る。好ましい実施形態において、パルプは、50~400RPM、より好ましくは100~300RPMで攪拌される。当技術分野で知られている他の攪拌方法を使用してもよい。
【0102】
カルシウム減損画分(固体)及びカルシウム高含有画分(液体)がパルプから生成される。例えば、図3を参照されたい。
【0103】
カルシウム高含有画分からカルシウム減損画分を分離することS140は、主にSiOであり得る固体画分、例えば無定形シリカ、及び/またはポゾランなどのSCMとして使用するのに好適な他の無定形物質を、液体画分から分離し、場合により、その後、SiOなどの固体画分をすすぎ、次いで乾燥させ、特定の場合にはSCMとしてパッケージングすることを含む。ポゾランなどのSCMの生成を対象としたプロセスのさらなる詳細を以下に示す。固体画分がシリカを含む場合、固体画分の一部分を、後述するように、脱塩素及び/またはクリンカリングプロセスにかけてもよい。
【0104】
カルシウム高含有画分は、さらに処理される。特定の実施形態では、さらなる処理の最終結果は、クリンカまたはセメント、例えばポルトランドセメントなどの水硬セメント、例えば普通ポルトランドセメント(OPC)を生成すること、そして、概して酸を再生することである。さらに、カルシウム高含有画分の処理に応じて、特定の非カルシウム物質、例えば、鉄、アルミニウム、及び/またはマグネシウムのうちの1種以上を含有する物質が発生し得る。さらなる処理は、カルシウム高含有画分の可能性のある組成に依存し得、この組成は、出発材料に少なくとも部分的に依存し得る。
【0105】
概して、カルシウム高含有画分は、カルシウム塩に加えて、本明細書では金属化合物ともいう非カルシウム塩を含有し、次の手順は、カルシウム塩に対する非カルシウム塩(金属化合物)の割合、または予想される割合に依存し得、この割合は、少なくとも部分的に、出発材料に基づき得る。1種以上の非カルシウム塩の割合がカルシウム高含有画分において特定の閾値を超えるか、または超えると予想される場合、1種以上の非カルシウム塩の少なくとも一部分を除去するために、例えば、カルシウム高含有画分中のそれらのレベルを閾値未満にするために、カルシウム高含有画分を処理することができる。閾値は、例えば、最終生成物、例えば、ポルトランドセメント、例えばOPCなどの水硬セメントのようなセメントの所望の組成によって決定され得る。例えば、特定の非カルシウム物質、例えば、鉄、アルミニウム、及び/またはマグネシウム塩の誘導体は、OPCなどのポルトランドセメントのような水硬セメントにおいて許容可能であり得るが、特定のレベル未満に限られ、このレベルは、セメントのタイプ(例えば、ASTMタイプ1、2、3、4、もしくは5、または同様の規格)及び/または満たすべき規格に依存することが多く、それは、規格が地理的位置に応じて異なり得るためである。閾値は、少なくとも部分的に、さらなる処理後の最終的なクリンカまたはOPCなどのポルトランドセメントのようなセメントの生成物における、アルミニウム、鉄、及び/またはマグネシウム物質などの非カルシウム塩由来物質の予想されるレベルに基づき得る。
【0106】
特定の実施形態では、カルシウム高含有画分は、非カルシウム塩を除去するために処理されない。これは、出発材料がカルシウム化合物を特に多く含む場合に当てはまり得、そのような出発材料の例は珪灰石である。そのような場合、カルシウム高含有画分の処理は概して、固体カルシウム塩を生成するための水の除去と、カルシウム塩を変換して、所望の最終生成物、例えばクリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントにするためのさらなる処理とを対象とする。そのような処理について、以下でさらに説明する。
【0107】
特定の実施形態では、カルシウム高含有画分は、1種以上の非カルシウム塩を除去するために処理される。十分な量の非カルシウム塩が、固体形態に変換されるなど、カルシウム高含有画分から分離できる形態に変換される限り、任意の好適な処理または処理の組み合わせを使用することができる。処理または処理の組み合わせは、元の強酸、例えば、HClの少なくとも一部分の再生をもたらす場合もある。溶液中に残る割合が閾値割合を下回っている限り、非カルシウム塩のすべてを除去する必要はない。特定の実施形態では、1種以上の非カルシウム塩からの1種以上の不溶性非カルシウム物質の形成を引き起こすために、カルシウム高含有画分を1種以上の温度もしくは温度範囲まで上昇させ、及び/または1種以上の温度もしくは温度範囲で維持する。追加的または代替的に、特定の実施形態では、1種以上の非カルシウム塩からの1種以上の不溶性非カルシウム物質の形成を引き起こす、1種以上の塩基などの1種以上の物質で、カルシウム高含有画分を処理する。
【0108】
したがって、カルシウム高含有画分は、金属含有化合物といわれることもある、Al、Fe、及び/またはMgの塩などの可溶性非カルシウム塩を含有し得る。カルシウム高含有画分からカルシウム含有化合物を分離することS150は、可溶性非カルシウム塩(金属含有化合物)を沈殿させることを含む。特定の実施形態では、これは、1工程の熱分解(熱加水分解)プロセスを含む。特定の実施形態では、これは、2工程の熱分解プロセスなど、複数ステップの熱分解(熱加水分解)プロセスを含む。特定の実施形態では、これは塩基の添加を含む。特定の実施形態では、1工程の熱分解(熱加水分解)及び塩基の添加が使用される。特定の実施形態では、2工程の分解(熱加水分解)及び塩基の添加が使用される。特定の実施形態では、塩基の添加のみが使用される。概して、プロセス(複数可)中に、強酸、例えば、HClの少なくとも一部も再生される。
【0109】
特定の実施形態では、カルシウム高含有画分を1つの温度もしくは温度範囲に上昇させる及び/または1つの温度もしくは温度範囲で維持すること(1工程の熱分解または熱加水分解)で、カルシウム高含有画分から除去され得る不溶性非カルシウム物質のセットの形成を引き起こす。温度または温度範囲は、1種以上の非カルシウム塩、例えば少なくとも鉄塩及びアルミニウム塩が、不溶性の鉄及びアルミニウム物質などの不溶性物質を形成するものであり得る。不溶性物質を形成し得るさらなる非カルシウム塩には、ホウ素、リチウム、ルビジウム、セシウム、ストロンチウム、バリウム、及び/またはラジウムの塩が含まれる。温度は、任意の好適な温度または温度範囲、例えば、少なくとも140、145、150、155、160、165、170、175、もしくは180℃、及び/または145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、もしくは195℃以下であり得る。特定の実施形態では、カルシウム高含有画分は、140~195℃まで加熱され、好ましい実施形態では、カルシウム高含有画分は、140~185℃まで加熱され、より好ましい実施形態では、カルシウム高含有画分は、150~185℃、またはさらには175~185℃まで加熱される。特定の実施形態では、カルシウム高含有画分は、少なくとも140℃、例えば、少なくとも150℃、例えば少なくとも160℃、特定の場合には少なくとも170℃まで加熱される。カルシウム高含有画分を所望の温度にする及び/またはそれを所望の温度で維持する任意の好適な方法が使用され得る。ある温度もしくは温度範囲で溶液を加熱する及び/またはある温度もしくは温度範囲でそれを維持する方法は、当技術分野ではよく知られている。カルシウム高含有溶液は、好適な期間、例えば少なくとも0、1、2、5、10、20、30、40、もしくは50分、または1、1.5、2、2.5、3、4、5、7、もしくは10時間、及び/または1、2、5、10、20、30、40、もしくは50分以下、または1、1.5、2、2.5、3、4、5、7、10、もしくは15時間以下にわたり、所望の温度またはその付近で維持され得る。特定の実施形態では、カルシウム高含有画分は、10分~5時間、例えば30分~4時間、場合によっては1~3時間にわたり、所望の温度またはその付近で維持される。カルシウム高含有画分が高温で加熱及び/または維持されるにつれて、HClガスが追い出される。このガスの一部または全部を捕捉し、水性媒体に溶解して、HClを再生することができる。特定の実施形態では、HClガスが捕捉され、カルシウムを含む後続材料の処理のための浸出剤として使用される、または使用されることになるHCl溶液のような、水性媒体に戻される。温度を上昇させることによって発生する不溶性物質は、遠心分離、濾過などといった任意の好適な方法によって、残りのカルシウム高含有画分から分離することができる。不溶性物質には、アルミニウム及び/または鉄の1種以上の化合物、例えばAl(OH)、Al、AlO(OH)、Fe(OH)、Fe(OH)、FeO(OH)、FeO、FeO、Feなどが含まれ得る。
【0110】
特定の実施形態では、2工程の熱分解プロセスが使用される。これは、まず2工程の熱分解(2工程の熱加水分解)を組み込むことによって行われる。まず、アルミニウム塩、例えばAlClが、不溶性アルミニウム物質、例えばAl(OH)、Al、AlO(OH)などを形成するが、鉄塩、例えばFeCl及び/またはFeClは、不溶性物質、例えばFe(OH)、Fe(OH)、FeO(OH)、FeO、FeO、Feなどを形成しない、または不溶性物質を実質的に形成しないような温度または温度範囲まで、混合物を加熱する。特定の実施形態では、第1の温度は150℃未満、または145℃未満、または140℃未満である。特定の実施形態では、第1の温度は、130~145℃、131~144℃、132~141℃、133~139℃、または135~137℃、例えば約もしくは厳密に136℃、または例えばおよそ140℃である。カルシウム高含有画分を所望の温度にする及び/またはそれを所望の温度で維持する任意の好適な方法が使用され得る。カルシウム高含有溶液は、好適な期間、例えば少なくとも0、1、2、5、10、20、30、40、もしくは50分、または1、1.5、2、2.5、3、4、5、7、もしくは10時間、及び/または1、2、5、10、20、30、40、もしくは50分以下、または1、1.5、2、2.5、3、4、5、7、10、もしくは15時間以下にわたり、所望の温度またはその付近で維持され得る。特定の実施形態では、カルシウム高含有画分は、10分~5時間、例えば30分~4時間、場合によっては1~3時間にわたり、所望の温度またはその付近で維持される。このプロセスは、アルミニウムに不溶性化合物を形成させ、例えば、アルミニウムを酸化させる(例えば、Al(OH)、Al、AlO(OH)などを形成する)。1工程の熱分解プロセスについて説明したように、HClも再生される。次いで、不溶性の、例えば酸化されたアルミニウム化合物を、カルシウム高含有画分溶液から分離することができ、これらを、さらに加工する、例えば、乾燥させることができる。次いで、残りの溶液を、少なくとも鉄塩などの1種以上の非カルシウム塩が、不溶性物質、例えば、Fe(OH)、Fe(OH)、FeO(OH)、FeO、FeO、Feなどを形成する第2の温度または温度範囲にする。温度は、任意の好適な温度または温度範囲、例えば、少なくとも140、145、150、155、160、165、170、175、もしくは180℃、及び/または145、150、155、160、165、170、175、180、185、190、もしくは195℃以下であり得る。特定の実施形態では、残りの溶液は、140~195℃まで加熱され、好ましい実施形態では、残りの溶液は、150~190℃まで加熱され、より好ましい実施形態では、残りの溶液は、175~185℃まで加熱される。特定の実施形態では、残りの溶液は、少なくとも145℃、例えば少なくとも170℃、特定の場合には少なくとも175℃まで、例えば第2の加熱ステップでおよそ180℃まで加熱される。カルシウム高含有画分を所望の温度にする及び/またはそれを所望の温度で維持する任意の好適な方法が使用され得る。カルシウム高含有溶液は、好適な期間、例えば少なくとも0、1、2、5、10、20、30、40、もしくは50分、または1、1.5、2、2.5、3、4、5、7、もしくは10時間、及び/または1、2、5、10、20、30、40、もしくは50分以下、または1、1.5、2、2.5、3、4、5、7、10、もしくは15時間以下にわたり、所望の温度またはその付近で維持され得る。特定の実施形態では、カルシウム高含有画分は、10分~5時間、例えば30分~4時間、場合によっては1~3時間にわたり、所望の温度またはその付近で維持される。この温度は、第1の加熱ステップのように、不溶性の鉄化合物の形成を引き起こす、例えば、鉄を酸化させる(例えば、Fe(OH)、Fe(OH)、FeO(OH)、FeO、FeO、Feなどを形成する)と同時に、HCl第一酸を再生するのに役立つ。次いで、不溶性の、例えば酸化されたFeを、カルシウム高含有画分溶液から分離することができ、次いでこれを、さらに加工する、例えば、乾燥させることができる。
【0111】
特定の実施形態では、カルシウム高含有画分を1種以上の塩基で処理し、カルシウム高含有画分から除去され得る不溶性非カルシウム物質のセットの形成を引き起こす。塩基添加中にHClを再生することもできる。特定の実施形態では、これが、不溶性非カルシウム物質(沈殿する金属化合物)の形成を引き起こすために使用される唯一のプロセスである。特定の実施形態では、1工程の熱分解プロセス及び塩基の添加が使用される。特定の実施形態では、2工程の熱分解プロセス及び塩基の添加が使用される。1つまたは複数の塩基は、1つまたは複数の塩基の強度及び量が所望の量の金属化合物を沈殿させるのに十分である限り、任意の好適な1つまたは複数の塩基であり得る。特定の実施形態では、塩基はカルシウム塩基を含む。特定の実施形態では、1つまたは複数の塩基は、プロセス中に生成物として生成される物質または物質、例えばカルシウム塩基、例えば、CaO、Ca(OH)、またはCaSi、例えばケイ酸二カルシウムまたはケイ酸三カルシウムを含む。特定の実施形態では、1つまたは複数の塩基の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または95%が、プロセス中に生成される1種以上の生成物、例えばカルシウム塩基、例えば、CaO、Ca(OH)、またはCaSi、例えばケイ酸二カルシウムまたはケイ酸三カルシウムを含む。特定の実施形態では、1つまたは複数の塩基の100%が、プロセス中に生成される1種以上の生成物、例えばカルシウム塩基、例えば、CaO、Ca(OH)、またはCaSi、例えばケイ酸二カルシウムまたはケイ酸三カルシウムを含む。添加される塩基の一部または全部は、プロセスのさらなるステップ、例えば、CaO、ケイ酸二カルシウム及び/またはケイ酸三カルシウムなどを生成するカルシウム塩分解中に再生され得る。特定の実施形態では、すべての所望の化合物を沈殿させるために、例えば、Al、Fe、及びMg化合物を沈殿させるために、1工程のプロセスでカルシウム高含有画分に塩基が添加される。特定のプロセスでは、例えば、1工程または2工程の熱分解プロセスによって、非カルシウム塩(金属化合物)の一部が沈殿した後に塩基が添加される。そのような場合、残りの金属化合物またはその一部分(例えば、残りのFe及びMg化合物、または残りのMg化合物、またはその一部分)を沈殿させるのに十分な塩基が添加される。特定の実施形態では、塩基を添加して、Mg化合物を沈殿させる。沈殿物は、Mg(OH)、ケイ酸マグネシウム水和物、ケイ酸マグネシウムアルミナ、及び/または他のマグネシウム化合物などの1種以上のマグネシウム化合物を含み得る。沈殿物は、本明細書に記載される方法などの任意の好適な方法によって、残りのカルシウム高含有画分から分離することができる。沈殿物は、例えば、乾燥させることによって、さらに処理することができる。マグネシウム沈殿物を使用して、二酸化炭素、例えば、プロセス全体のエネルギーを提供するためにプロセスの一環として生成される煙道ガスなどの煙道ガス(例えば、天然ガスまたは石炭の燃焼からの煙道ガス)中の二酸化炭素と反応させる、及び/または、大気中の二酸化炭素、及び/または海洋などの水域中の二酸化炭素のような他の二酸化炭素源と反応させることで、マグネシウム-二酸化炭素生成物、例えばMgCO(及び/または、水域の場合には、重炭酸塩)を生成し、したがって二酸化炭素を隔離することができる。このように隔離された二酸化炭素の量は、場合によってはプロセス全体をカーボンニュートラルまたはさらにはカーボンネガティブにするのに十分なほど、プロセス全体で生成される二酸化炭素の総量を低減させることができる。さらに、煙道ガス中の他の物質、例えば、SOx及び/またはNOxといった、煙道ガスから除去される必要のある物質を、Mg沈殿物と反応させてもよく、場合によっては、物質のうちの1種以上のレベルが、大気中に放出される煙道ガスに必要なレベル未満に低下する。さらに、または代替的に、マグネシウム沈殿物は、大気から二酸化炭素を隔離することができ、このためには、任意の好適な構成を使用することができる。特定の実施形態では、表面積を増加させるために場合によりプロセスされたマグネシウム沈殿物を、単純に積み重ねて置くか、層状に地面に広げるか、または他の好適な様式で分配し、数日、数週間、数か月、1年、または1年超であり得る任意の適切な期間にわたって、大気中の二酸化炭素を隔離させることができる。
【0112】
二酸化炭素の生成量の低減
したがって、本明細書に記載されるクリンカもしくはポルトランドセメントなどのセメント及び/またはSCMを生成するプロセスは、標準プロセスほど多くの二酸化炭素を生成しない。実際、特定の実施形態では、本明細書に記載されるプロセスはカーボンネガティブであり得る。本明細書で開示されるプロセスによって生成されるクリンカもしくはポルトランドセメントなどのセメント及び/またはSCMは、クリンカもしくはポルトランドセメントなどのセメント及び/またはSCMが通常使用されるように、例えば、コンクリート、モルタル、スタッコ、グラウトなどに使用され得る。本明細書に記載されるプロセスは、ポルトランドセメントを生成する従来のプロセスよりも少ない二酸化炭素を生成し、場合によってはカーボンネガティブにさえなり得るため、標準的なクリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントの一部または全部を、本明細書に記載されるプロセスによって生成されたクリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントに置き換えることで、コンクリートまたは他の生成物のカーボンフットプリントを削減することができ、実際、特定の場合には、コンクリートがカーボンネガティブにさえなり得る。同じことがSCMにも当てはまり得る。クリンカまたはポルトランドセメントなどのセメント、SCM、及び場合によっては骨材が、1つの場所で生成され、その場所でコンクリートにブレンドされる実施形態では、様々な構成要素の輸送が低減される(またはなくなる)ため、さらなる炭素削減が実現される。標準的なクリンカもしくはポルトランドセメントなどのセメント及び/またはSCMの代わりに、本明細書に記載されるプロセスで生成されたクリンカもしくはポルトランドセメントなどのセメント及び/またはSCMを使用することによって回避及び/または隔離される二酸化炭素の量は、当技術分野で知られているように、インプット及びアウトプットなどに基づいて計算され得るため、回避/隔離された二酸化炭素に基づいてカーボンクレジットを取得することができる。したがって、本明細書では、カーボンクレジットを取得する方法であって、クリンカまたはポルトランドセメントなどのセメント、及び場合によってはSCMを生成するために、本明細書に記載されるプロセスのうちの1種以上を行うことと、当該クリンカまたはポルトランドセメントなどのセメント、及び場合によってはSCMを、標準的方法によって生成されるクリンカまたはポルトランドセメントなどのセメント、及び場合によってはSCMの代替物として使用することと、本明細書に記載されるプロセス(複数可)で生成及び消費される二酸化炭素を評価することと、標準的方法によるクリンカまたはポルトランドセメントなどのセメント、及び場合によってはSCMで生成されたコンクリートと比較して回避及び/または隔離された二酸化炭素の量を決定することと、その量に基づいてカーボンクレジットを取得することとを含む、方法が提供される。
【0113】
1工程または2工程の熱分解プロセスが使用される特定の実施形態では、金属化合物を沈殿させることは、例えば上述のような、カルシウム塩基(例えば、CaO、Ca(OH)、またはCaSi)などの塩基を添加し、それによりカルシウム高含有画分からマグネシウムを沈殿させて、効果的に、カルシウム化合物のみ、またはプロセスの1つもしくは複数の最終生成物において許容可能なほど十分に低いレベルの金属化合物を含むカルシウム化合物を残すことを含み得る。さらに、HClが塩基沈殿ステップ中に再生され得る。
【0114】
概して、金属化合物の除去後のカルシウム高含有画分は、非常に多くの塩化カルシウム、例えば、少なくとも90%、場合によっては少なくとも95%、またはさらには少なくとも99%の塩化カルシウムを含むことになる。カルシウム高含有画分はまた、典型的に、例えば、CaCl 40%/水60%からCaCl 70%/水30%、または50%/50%から60%/40%、またはさらには55%/45%から60%/40%など、高度に濃縮される。
【0115】
酸溶解ステップ、1工程の熱分解、2工程の熱分解、塩基添加、またはそれらの任意の好適な組み合わせによって生成されるかにかかわらず、カルシウム高含有画分中に残る、結果として得られるカルシウム化合物は、その後、1種以上のさらなる生成物、例えば、クリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントを生成する処理に供することができる。これには、カルシウム化合物を含有する残りのカルシウム高含有画分から水を除去することにより、1種以上のカルシウム化合物、例えば、1種以上のカルシウム塩、例えば、CaClを含む高カルシウム固体をもたらし、この固体を処理して、例えば、脱塩素カルシウム生成物に変換し、そこから、例えば、ケイ酸二カルシウム及びケイ酸三カルシウムを含むポルトランドセメントの生成用のクリンカなどのクリンカに変換することが含まれ得る。
【0116】
任意の好適な方法、例えば、水を蒸気として蒸発させるために加熱することによって、カルシウム高含有画分から水を除去することができる。結果として得られる蒸気の一部または全部は、後述するように、蒸気を必要とするさらなるプロセスで使用され得る。結果として得られるカルシウム化合物固体は、1種以上のカルシウム塩、例えば、CaClを含み、本明細書では「塩化カルシウムを含む固体」ともいわれ、さらに、非カルシウム塩、例えば、鉄、アルミニウム、及び/またはマグネシウムの塩、及び/または他の塩が、最終生成物を、例えばクリンカもしくはポルトランドセメントなどのセメントとしてなど、その意図される用途に不適当にする量、及び/またはクリンカもしくはポルトランドセメントなどのセメントを生成するためのプロセスと干渉する量で存在しない限り、非カルシウム塩を含み得る。
【0117】
カルシウム化合物固体(塩化カルシウムを含む固体)は、例えば、フレーキング、磨砕、または他の好適な方法によって、さらなる処理のために望ましいサイズの粒子を生成するために処理され得る。次いで、これを処理して、カルシウム含有化合物を分解して、例えば、CaO及び/または他のカルシウムを含有する脱塩素生成物にし、HClを再生することができる。ポルトランドセメント用クリンカなどのクリンカを生成するために、これを、Si、Fe、及びAlを提供するフラックスなどのフラックスの存在下でさらに加熱して(焼結)、クリンカを生成することができ、これをさらに処理して、ポルトランドセメントなどのセメントを生成することができる。
【0118】
特定の実施形態では、カルシウム化合物固体(塩化カルシウムを含む固体)は、蒸気、シリカ、ならびに、場合により、アルミニウム、例えばAl(OH)3、及び/または鉄、例えばFe(OH)を含有する外因性フラックスなどの外因性フラックスの存在下で加熱される。概して、フラックスは、このステップでは必要ないが、便宜上添加されてもよい。特定の実施形態では、シリカの一部または全部、例えば、シリカの少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、98、99%、またはシリカの100%は、例えばプロセスの初期ステップで、例えば、本明細書に記載されるSCM(ポゾラン)の生成で、非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの非石灰石材料から生成されたシリカである。特定の実施形態では、外因性フラックスの一部または全部、例えば、フラックスの少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、95、98、99%、またはフラックスの100%は、例えばプロセスの初期ステップで非石灰石岩石及び/またはミネラル類から生成された、例えば、本明細書に記載されるようにカルシウム高含有画分から不溶性塩として沈殿した、鉄及びアルミニウムの酸化物、水酸化物、ならびに潜在的に他の好適な化合物である。カルシウム化合物固体(塩化カルシウムを含む固体)は、フラックスとして作用し得る1種以上の物質を含むことができるが、概して、外因性フラックスを添加することが好ましいことが理解されるであろう。加熱は、カルシウムを含む固体を分解し、かつ、得られた化合物をフラックスと共にクリンカリングする、例えば焼結するのに十分に高い温度で、単一ステップで行われ得る。最も単純な場合では、カルシウム化合物固体は、蒸気の存在下で、カルシウム化合物を分解し、HClを生成し、クリンカを生成するのに十分に高い温度まで内因性フラックスと共に加熱する、例えば、焼結するのに十分に高い温度まで加熱される。好ましい実施形態において、加熱は、2つ以上のステップにおいて連続的に高くなる熱で行われてもよく、外因性フラックスは、使用される場合、ステップ(例えば加熱、例えば焼結などのクリンカリング)の全部または一部分にのみ存在する。
【0119】
前述のように、カルシウム化合物固体(塩化カルシウムを含む固体)は、塩化カルシウムを含み、特定の実施形態では、少なくとも20、30、40、50、60、70、80、90、92、95、96、97、98、または99%、例えば少なくとも90%、場合によっては少なくとも95%の塩化カルシウムを含む。分解プロセスは、固体中の塩化カルシウムの脱塩素、例えば、固体中の塩化カルシウムの少なくとも80、90、95、96、97、98、99、99.1、99.5、99.9、99.91、99.95、または99.99%の脱塩素をもたらし、すなわち、出発材料中の当該量、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%の塩化物が追い出される。驚くべきことに、塩化カルシウムの少なくとも99%、99.5%、99.9%、またはさらには99.95%を脱塩素できることが判明しており、これらのレベルの脱塩素により、さらなる処理なしで、最終生成物の塩化物含有量が、塩化物1%未満、または0.1%未満など、ポルトランドセメントの規格を満たすのに十分に低くなる。好ましい一実施形態では、固体中の塩化カルシウムの少なくとも99%が脱塩素され、より好ましい実施形態では、固体中の塩化カルシウムの少なくとも99.9%が脱塩素され、さらにより好ましい実施形態では、固体中の塩化カルシウムの少なくとも99.95%が脱塩素される。
【0120】
特定の実施形態では、カルシウム化合物固体(塩化カルシウムを含む固体)は、蒸気の存在下で1種以上の温度または温度範囲まで加熱され、この1種以上の温度または温度範囲は、固体から塩素ガスを追い出すのに十分である。塩素ガスは蒸気からのプロトンと結合してHClを再生し、これは前述のようにリサイクルされ得る。同時に、塩化カルシウムが、酸化カルシウムを含んでも含まなくてもよい脱塩素カルシウム化合物に変換される。ある全体的な反応は以下のとおりであり得る。
CaCl+HO→CaO+2HCl
【0121】
より一般的には、反応は次のように表され得る。
CaCl+SiO2+HO→Caケイ酸塩及び他の種+2HCl
【0122】
塩化ケイ酸カルシウム、塩化ケイ酸カルシウムアルミニウム化合物などといった中間化合物が形成される可能性があり、プロセスがより高い温度に達すると、ケイ酸一カルシウム及びケイ酸二カルシウムが形成され得る。CaOが存在してもよいが、必ずしも存在するとは限らない。したがって、特定の実施形態では、このプロセスは、ケイ酸二カルシウムを少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、または80重量%、場合によっては少なくとも30%、例えば少なくとも50%の量で含むと共に、30、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1重量%未満、場合によっては10%未満、例えば5%未満のCaOを含む生成物を生成する。概して、脱塩素の生成物は、20、15、10、5、3、2、1、0.5、または0.1%未満、例えば5%未満など、ケイ酸三カルシウムをほとんどまたは全く含有しない。特定の実施形態では、少なくとも30%のケイ酸二カルシウム及び10%未満のCaOを含み、場合によっては0.5%未満のケイ酸三カルシウムを含む生成物が形成される。この生成物は、その後、クリンカを生成するためにさらに処理され得る。
【0123】
したがって、特定の実施形態では、ポルトランドセメントなどのセメントに変換され得るクリンカなどのクリンカを生成するプロセスが提供され、このプロセスは、1)例えば少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、または80重量%、場合によっては少なくとも30%、例えば少なくとも50%の量でケイ酸二カルシウムを含むと共に、30、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1重量%未満、場合によっては10%未満、例えば5%未満のCaOを含む組成物、例えば、少なくとも30%のケイ酸二カルシウム及び10%未満のCaOを含む組成物、好ましい実施形態では、5%未満または1%未満、さらには0.5%未満など、ケイ酸三カルシウムをほとんどまたは全く含まない組成物を用意すること、ならびに2)プロセスしてOPCなどのポルトランドセメントにすることができるクリンカなどのクリンカを生成する条件下で組成物を処理すること(クリンカリング)を含む。特定の実施形態では、ステップ2)のプロセスは、さらに詳しく後述するように、酸化アルミニウム及び/または酸化鉄などのアルミニウム及び/または鉄化合物を含むフラックスの存在下で、例えば1200~1600℃の温度まで組成物を加熱することを含む。フラックスの一部または全部は、ステップ1)の組成物を生成するプロセスで生成され得る。得られるクリンカは、ケイ酸三カルシウムを、例えば少なくとも10、20、25、30、35、40、45、50、55、または60%w/w、好ましい実施形態では少なくとも50%で含む。
【0124】
分解及びクリンカリングを1つの温度で行うことは可能であるが、材料が所定の温度で特定の期間、例えば、0.5~5時間、または0.75~4時間、または1~3時間、例えば1、2、または3時間にわたって保たれ得る、連続的に高くなる温度の複数ステップのプロセスにおいて分解及びクリンカリングを行うことが好ましい。これにより、脱塩素の効率及び収率が改善し、他の箇所に記述したように、このプロセスによって驚くほど高レベルの脱塩素が達成される。追加的または代替的に、温度は、1つの温度から次の温度へと徐々に増加させることができる。加熱は、流動床またはキルンなどの任意の好適なシステムで行うことができ、好ましい実施形態では、加熱は、ロータリーキルンなどのキルン内で行われる。
【0125】
したがって、本明細書では、塩化カルシウムを脱塩素化する方法であって、蒸気、シリカ、ならびに、場合により、本明細書で開示される鉄及び/またはアルミニウム化合物のうちの1種以上などの鉄及び/またはアルミニウム化合物を含むフラックスの存在下で、第1の温度まで塩化カルシウムを加熱し、次いで、1)少なくともHClを含む第1のセットの1種以上の生成物を生成するために、塩化カルシウム及び他の構成要素を第1の期間にわたって第1の温度に保ち、HClを除去すること;第1のセットの1種以上の生成物の残りを第2の温度まで、蒸気の存在下で、第2のさらに高い温度まで加熱し、1種以上の生成物及び蒸気を第2の温度に保って、HClを含む第2のセットの1種以上の生成物を生成し、HClを除去すること;場合により、例えば、第3の温度まで加熱し、次いで、特定の実施形態では、さらに第4の温度まで加熱し、特定の期間にわたって各温度に保って生成物のセット(そのうちの1つはHClである)を生成する追加のステップ(温度、アルミニウム及び/または鉄化合物、シリカ、ならびに期間は記載のとおりであり得る);あるいは2)塩化カルシウム及び他の構成要素を第1の温度から第2のさらに高い温度まで徐々に加熱することであって、加熱速度が、所望の程度の、例えば最大の、HCl生成を可能にするのに十分に遅い、加熱することを含み、それによって、塩化カルシウムが少なくとも95%脱塩素され、好ましい実施形態では少なくとも99.9%脱塩素され、より好ましい実施形態では少なくとも99.95%脱塩素されて、脱塩素カルシウム生成物が生成される、方法が提供される。
【0126】
特定の実施形態では、1)塩化カルシウム、例えば、少なくとも50、60、70、80、90、または95%の塩化カルシウム、例えば少なくとも90%、好ましい実施形態では少なくとも95%の塩化カルシウムを含む固体;2)シリカ、例えば、少なくとも50、60、65、70、75、80、85、90、または95%、例えば少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%のシリカを含む固体;ならびに、場合により、3)1種以上の鉄化合物、例えばFe(OH)、Fe(OH)、FeO(OH)、FeO、FeO、Feのうちの1種以上、及び/または1種以上のアルミニウム化合物、例えばAl(OH)、Al、AlO(OH)のうちの1種以上を含むフラックスを含む、固体組成物が提供される。特定の実施形態では、塩化カルシウムを含む固体は、少なくとも80%の塩化カルシウムを含み、シリカを含む固体は、少なくとも60%のシリカを含む。特定の実施形態では、塩化カルシウムを含む固体は、少なくとも90%の塩化カルシウムを含み、シリカを含む固体は、少なくとも80%のシリカを含む。概して、固体は、Ca-Siモル比が2.5~3.25になるように組み合わせられる。この組成物は、塩化カルシウム固体50~90%、シリカ固体10~40%、使用される場合はフラックスとして機能する鉄化合物0~4%、使用される場合はフラックスとして機能するアルミニウム化合物0~4%の割合(重量%)で構成要素を有し得る。好ましい一実施形態では、この割合は、塩化カルシウム固体60~85%、シリカ固体15~30%、使用される場合はフラックスとして機能する鉄化合物1~3%、使用される場合はフラックスとして機能するアルミニウム化合物1~3%である。より好ましい実施形態では、この割合は、塩化カルシウム固体70~80%、シリカ固体15~25%、使用される場合はフラックスとして機能する鉄化合物1~2%、使用される場合はフラックスとして機能するアルミニウム化合物1~2%である。特定の実施形態では、すべての構成要素が、単一の供給源、例えば非石灰石岩石及び/またはミネラル類を含む単一の供給源から誘導される。特定の実施形態では、塩化カルシウムを含む固体とシリカを含む固体とを含む組成物は、本明細書に記載されるプロセス、例えば、酸溶解によって非石灰石出発材料を処理すること、及び、塩化カルシウムを含む固体を生成するためにさらに加工すること、及び、塩化カルシウムを含む固体にシリカを含む固体をCa-Siモル比2.5~3.25などの所望の比で添加することによって生成される。シリカを含む固体は、任意の好適な固体であり得る。特定の実施形態では、固体の一部または全部が、例えば、酸溶解ステップからのカルシウム減損固体として、塩化カルシウムを含む固体を生成するプロセスで生成される。
【0127】
カルシウム化合物固体を、蒸気、及び概してシリカ、及び場合によりフラックスの存在下で、当技術分野で知られている方法に従ってHClを取り扱うことができる温度である第1の温度などの第1の温度まで加熱し、保持すること、または漸増形式で加熱することが好ましい。特定の実施形態では、固体を、蒸気、シリカ、ならびに、場合により、アルミニウム及び鉄を含有する化合物の存在下で1250℃以下、例えば、750~1250℃、800~1250℃、特定の場合には850~1000℃、場合によっては900~1250℃、好ましくは1000~1250℃、さらにより好ましくは1100~1250℃まで加熱して、HCl及び脱塩素カルシウム生成物を生成する。固体混合物は700~750℃まで急速に加熱され得る。温度が700、705、710、715、720、730、740、または750℃、好ましくは700℃、または720℃に達したとき、加熱は概して、温度が800、850、900、950、または1000℃、好ましくは1000℃に達するまで、毎分2、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、または100℃以下、好ましくは30℃以下、さらにより好ましくは20℃以下、さらにより好ましくは10℃/分以下の速度で進行すべきである。理論に束縛されるものではないが、約700~約1000℃の範囲内では、塩化カルシウムが融解する可能性があって望ましくなく、かつ追い出される塩素の量が低減する可能性があるが、制御された速度に加熱を保つことは、代わりに、カルシウムとシリカとの間の反応、及びより多くの塩素を追い出すことを可能にする生成物を生成するためのHClの生成に有利に働き得ると考えられる。このプロセスは、1~180分、例えば5~120分、例えば10~120分の期間にわたり、1種以上の温度に保たれ得る(「浸漬」)。実施例4は、例示的な浸漬温度及び時間を示すが、これらは単なる例示である。追加的または代替的に、温度は、一定または可変の速度で連続的に漸増させることができる。そのような改良は、定型的な実験を通して決定することができる。蒸気は、5~100体積%などの任意の好適な濃度で存在し得る。蒸気の流れはT>300℃のときに開始できる。
【0128】
固体は、任意の好適な様式及びシステム、例えば流動床またはキルンで加熱され得る。このステップ及び他のステップにおいて、シリカは、カルシウム化合物、例えば、CaClに対して任意の好適な比で存在し得る。例えば、100~105gのサンプルは、約80gmのCaCl、約20gmのシリカ、ならびに場合により各々約1~3gmのアルミニウム及び鉄化合物を含有し得る。これは単なる例示であり、当業者には明らかなように、様々な構成要素の比率は、生成されるポルトランドセメントのタイプの規格に従って変化し得ることが理解されるであろう。例えば、シリカに対するカルシウムの割合が高いほど、C2Sと比較してC3Sの割合が高い最終生成物が生成され得る。
【0129】
次いで、脱塩素カルシウム生成物(場合によってはCaO含有生成物だが、CaOをほとんどまたは全く含まない場合もある)を、概してやはり1種以上のより低い温度の蒸気、シリカまたはシリカ及びカルシウムから形成された化合物、ならびに場合により、フラックスとして機能するアルミニウム及び/または鉄化合物の存在下で、第2の温度まで、場合により第3の温度まで、場合によってはさらに第4の温度まで加熱することができ、1種以上の温度、例えば、より高い温度では、蒸気は存在しなくてもよい。したがって、脱塩素カルシウム生成物(例えば、CaO含有生成物または非CaO含有生成物)は、ポルトランドセメントクリンカなどのクリンカを生成するために、例えば、シリカ、ならびに、場合により、アルミニウム及び/または鉄を含有するフラックスなどのフラックスの存在下で、クリンカリングされる、すなわちクリンカを生成する(場合によっては焼結される)。フラックスには、プロセスの初期ステップで生成される材料、例えば、上述のように、カルシウム高含有画分から除去されるアルミニウム及び/または鉄化合物が含まれ得る。特定の実施形態では、アルミニウム及び/または鉄を含有する外因性フラックスの少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、90、または95%、例えば少なくとも50%、場合によっては少なくとも70%、特定の実施形態では少なくとも90%が、カルシウム高含有画分から除去される1種以上の化合物を含む。特定の実施形態では、特定の実施形態では、アルミニウム及び/または鉄を含有する外因性フラックスの100%が、カルシウム高含有画分から除去される1種以上の化合物を含む。外因性フラックスが存在するか否か、そして存在する場合はその量は、少なくとも部分的に、所望の最終組成、例えば、生成されるクリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントのタイプによって決定され得る。特定の実施形態では、鉄含有化合物とアルミニウム含有化合物との両方を含むフラックスが使用される。
【0130】
第2の温度のみが使用される場合、このプロセスには、脱塩素カルシウム生成物(場合によってはCaO含有生成物だが、CaOをほとんどまたは全く含まない場合もある)を、シリカ、及び場合によりフラックスの存在下で、1200~1550℃、好ましくは1450℃以下に加熱することにより、ケイ酸二カルシウム及びケイ酸三カルシウムを含むポルトランドセメントクリンカを形成することが含まれ、場合によっては、クリンカは、アルミン酸三カルシウム及び/または鉄アルミン酸四カルシウムも含む。中間温度が使用される場合、温度は、例えば、900~1100℃、例えば950~1050℃でもよく、温度は、例えば、1100~1300℃、例えば1150~1250℃でもよく、温度は、例えば、1400~1600℃、例えば1450~1550℃でもよい。例示的な実施形態において、温度は、連続して、850、1000、1200、及び1500℃に各1時間保たれる。これらは単なる例示であり、当業者は定型的な実験を通じて最適な温度及び期間を選択することができる。
【0131】
加熱プロセス中、塩基沈殿ステップで使用された可能性のある塩基、例えば1種以上のカルシウム塩基を再生することができ、例えば、塩基沈殿ステップで使用された塩基の量の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、85、90、95、98、または99%が再生され得る。
【0132】
プロセスの終わりにクリンカが残ることがあり、このクリンカは、ミリメートル単位、例えば、0.5~50mm、または1~40mm、または1~30mmの直径を有し得るが、さらなる加工のために他のサイズも許容される。
【0133】
特定の実施形態では、塩化カルシウムを含む固体からクリンカを生成する方法であって、Caを含み、10%w/w未満のClを有する脱塩素組成物を生成するために、CaClを含む固体を脱塩素化すること、ならびに、脱塩素組成物をフラックスの存在下で加熱して、ポルトランドセメントを生成するためのクリンカ、例えば、ケイ酸二カルシウム及びケイ酸三カルシウムを含むクリンカなどのクリンカを生成することを含む、方法が提供される。
【0134】
特定の実施形態では、ケイ酸二カルシウムと、20、15、10、5、2、または1%以下のCaO、例えば10%以下のCaOとを含む組成物を、フラックスの存在下で加熱して、クリンカを生成することを含む、クリンカを生成する方法が、本明細書で提供される。組成物は、5、4、3、2、1、0.5、または0.1%未満のケイ酸三カルシウムを含有してもよく、クリンカは、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60%のケイ酸三カルシウムを含む。フラックスは、酸化アルミニウム及び/または酸化鉄を含むことができる。
【0135】
カルシウムとケイ素とを含む非石灰石材料を含む出発材料からクリンカ及び補助セメント質材料(SCM)の両方を生成する方法であって、(i)塩化カルシウムを含むカルシウム高含有液体画分とシリカを含むカルシウム減損固体画分とを生成するために、非石灰石材料をHClに溶解すること、(ii)シリカを含むカルシウム減損固体画分からSCMを生成すること、及び(iii)塩化カルシウムを含むカルシウム高含有液体画分からクリンカを生成することを含む、方法。
【0136】
ポルトランドセメントクリンカなどのクリンカは、硫酸カルシウムなどと組み合わせて所望のサイズ範囲の粒子を作出するために、さらに加工される、例えば処理される場合がある。
【0137】
HCl再生などのすべての酸再生ステップの終わりに、初期HClなどの初期酸の少なくとも10、20、30、40、50、60、70、80、85、90、95、98、または99%が再生され得る。好ましい一実施形態では、初期HClの少なくとも80%が再生される。別の好ましい実施形態では、初期HClの少なくとも90%が再生される。非石灰石材料の後続の処理に十分な酸、例えば十分なHClを提供するために、ある量の再生されないHClなどの強酸を追加して戻すこと、すなわち、HClなどの強酸を補充することができる。
【0138】
第7の例では、前述のように、カルシウム化合物を分解することS160と、浸出剤を再生することS170とは、鉄及びアルミニウムを沈殿させるための熱分解と同時に行われ得る。セメント生成の変形例において、第7の例は、キルンにおいて、脱塩素カルシウム化合物(例えば、CaO、CaOHなど)を、SiO、Al(OH)及びFe(OH)とクリンカリング、例えば、焼結することで、普通ポルトランドセメント用クリンカなどのクリンカを形成することを含む、カルシウム生成物クリンカリングの処理、例えば、カルシウム生成物の焼結をさらに含み得る。さらにこの例は、プロセス中に生成された不溶性Mg化合物、例えばMg(OH)で煙道ガスをスクラビングしてMgCOを生じることを含み得る。追加的または代替的に、プロセス中に生成された不溶性Mg化合物、例えばMg(OH)を廃棄物パイルに入れることができ、ここでそれを空気に接触させてゆっくりとMgCOに変化させることができる。追加的または代替的に、プロセス中に生成された不溶性Mg化合物を海洋などの水域に入れてもよい。このプロセスでは、重炭酸塩も形成され得る。
【0139】
補助セメント質材料(SCM)の生成方法
特定の実施形態では、非石灰石材料、例えば岩石及び/またはミネラル類から、ポゾランなどのSCMを生成する方法が提供される。概して、当該方法には、非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの非石灰石材料を、例えば、非石灰石材料の特定の構成要素を溶解する強酸などの浸出剤に曝露して、ポゾランなどのSCMとして機能し得る1種以上の無定形物質を含む固体浸出残留物は残しながら、液体浸出物を生成し、液体浸出物から固体浸出残留物を分離することが含まれる。任意選択のさらなるステップには、例えば、すすぐこと、SCMを処理してそれを乾燥させること、及び/または所望のサイズ範囲のSCMを生成するためにSCMを処理することにより、SCMを処理して液体浸出物を除去することが含まれ得る。
【0140】
非石灰石材料は、SCMとして機能し得る無定形(非晶質)物質を含む最終材料をもたらし得る1種以上の化合物を含有する限り、任意の好適な材料であり得る。これらは無定形シリカを含み得、その場合、出発材料は、シリカ、ケイ酸塩、シリカ化合物、及び/またはケイ酸塩化合物などのケイ素ベースの物質も含むことになる。しかしながら、当技術分野で知られているように、他の物質が、無定形の鉄及びアルミニウム物質のようなSCMとして機能する無定形化合物をもたらす場合もあり、これらの場合には、出発材料は必要な出発元素を含む。概して、「無定形物質」には、この用語が本明細書で使用される場合、1種以上の結晶多形または非晶質多形として存在し得る物質が含まれ、非晶質多形は、無定形多形、または無定形物質、または非晶質物質といわれることがある。特定の実施形態では、非石灰石材料は、ケイ素を含む。特定の実施形態では、非石灰石材料は、ケイ素を含む岩石及び/またはミネラル類を含む。特定の実施形態では、非石灰石材料は、鉄及び/またはアルミニウムを含有する物質など、無定形物質を生成するための材料として機能する非ケイ素物質を含む岩石及び/またはミネラル類を含み、これらは、ケイ素に加えて存在することもあれば、場合によっては、最終的なSCMにおける無定形物質の主要な供給源または唯一の供給源として機能することもある。特定の実施形態では、非石灰石材料、例えば、岩石及び/またはミネラル類は、ケイ酸カルシウムを含む。例示的な好適な非石灰石岩石及び/またはミネラル類としては、玄武岩、斑れい岩、輝岩、斜長岩、スカルン、角閃岩、またはそれらの組み合わせが挙げられる。他の好適な非石灰石材料は、本明細書の他の箇所に記載のとおりであり得る。
【0141】
非石灰石材料、例えば、岩石及び/またはミネラル類は、所望のサイズ範囲内の粒子をもたらすように加工され得る。破砕及び篩分のような、任意の好適な1つまたは複数のプロセスが使用され得る。好適なサイズ範囲には、1~500u、5~300u、10~200u、20~130u、45~90u、またはそれらの組み合わせが含まれる。好ましい一実施形態では、サイズ範囲は20~130uである。より好ましい実施形態では、サイズ範囲は45~90uである。
【0142】
非石灰石材料、例えば、岩石及び/またはミネラル類は、本明細書に記載されるものなどの任意の好適な浸出剤であり得る浸出剤と接触させられる。特定の実施形態では、浸出剤は強酸を含み、接触させるプロセスは、酸ならびに岩石及び/またはミネラル類を含むパルプを生成する。HCl、HBr、HI、H2SO4、またはHNO3など、任意の好適な浸出剤、例えば、強酸が使用され得る。特定の実施形態では、強酸はHClを含む。特定の実施形態では、使用される唯一の酸はHClである。便宜上、プロセスの残りの部分をHClの観点から説明する。当業者には明らかなように、HClに加えて、またはその代替として別の酸が使用される場合、追加/代替の酸に適応するために好適な調節を行うことができる。
【0143】
5~40%、10~37%、10~30%、15~35%、17~23%、20~30%、または約もしくは厳密に15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、もしくは30%、例えば約もしくは厳密に20%など、任意の好適な濃度のHClが使用され得る。好ましい実施形態では、HClは10~37%である。さらにより好ましい実施形態では、HClは15~35%である。
【0144】
初期パルプ中の液体(酸)に対する、固体である非石灰石材料、例えば、固体岩石及び/またはミネラル類の比は、任意の好適な比であり得る。固体岩石及び/またはミネラル類の一部が直ちに酸に溶解し始め、固体が溶液に溶解するにつれてこれらの比が変化することは理解されるであろう。好適な初期比率は、固体5%/液体95%から固体40%/液体60%の範囲内、例えば固体10%/液体90%から固体30%/液体70%;好ましい実施形態では固体15%/液体85%から固体25%/75%、例えば固体20%/液体80%であり得る。特定の実施形態では、固体非石灰石岩石及び/またはミネラル類と、HClなどの強酸のような液体浸出剤とを含むパルプ組成物であって、パルプが、固体5%/液体95%から固体40%/液体60%、例えば固体10%/液体90%から固体30%/液体70%、好ましい実施形態では固体15%/液体85%から固体25%/75%、例えば固体20%/液体80%の比率で固体及び液体を含むパルプ組成物が、本明細書で提供される。特定の実施形態では、固体非石灰石岩石及び/またはミネラル類は、1~500u、5~300u、10~200u、20~130u、45~90u、またはそれらの組み合わせのサイズ範囲の粒子の少なくとも60、70、80、90、または95%を構成する。好ましい一実施形態では、サイズ範囲は20~130uである。より好ましい実施形態では、サイズ範囲は45~90uである。特定の実施形態では、浸出剤は強酸、例えばHClであり、10~40%、例えば10~35%、場合によっては15~35%、またはさらには20~30%の濃度で存在する。
【0145】
パルプは、非無定形材料、例えば非シリカ材料などの少なくとも一部、好ましくは大部分を溶液中に溶解させて、無定形シリカなどの無定形物質が豊富な固体を残すように処理される。この処理は、大気に開放された、または少なくとも加圧されていないプロセスで行われ得る。概して、処理期間及び/または温度は、例えば、出発材料に従って使用することができ、また調節することができる。パルプを維持する好適な温度範囲には、60~115℃、80~115℃、90~115℃、100~115℃、60~112℃、80~112℃、90~112℃、100~112℃、60~110℃、80~110℃、90~110℃、または100~110℃が含まれる。より多くの材料が液相に溶解するにつれて、HCl溶液の沸騰温度が上昇することは理解されるであろう。したがって、特定の実施形態では、温度は少なくとも95、96、97、98、99、または100℃であり、好ましい実施形態では、温度は少なくとも90℃であり、より好ましい実施形態の範囲では、温度は少なくとも95℃であり、さらにより好ましい実施形態では、温度は少なくとも98℃であり、さらにより好ましい実施形態では、温度は少なくとも100℃である。特定の実施形態では、最高温度は105、106、107、108、109、110、111、112、113、114、または115℃であり、好ましい実施形態では、最高温度は105℃であり、より好ましい実施形態では、最高温度は108℃であり、さらにより好ましい実施形態では、最高温度は110℃である。したがって、特定の実施形態では、温度は100~110℃で維持される。
【0146】
任意の好適な処理期間が使用され得る。これは、ある程度、非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの出発材料に依存し得る。したがって、処理期間は、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、もしくは10時間、及び/または、2、3、4、5、6、7、8、10、12、15、20、24、30、36、40、48、60、もしくは72時間以下であり得る。特定の実施形態では、当該期間は、2~24時間、例えば4~18時間、またはさらには4~12時間以下であり得る。特定の実施形態では、当該期間は、6~72時間、例えば4~48時間、または4~36時間、または4~24時間であり得る。
【0147】
パルプは、処理中に攪拌、例えば、攪拌、例えば10~1000RPM、20~800RPM、50~500RPM、50~400RPM、または100~300RPMで攪拌され得る。好ましい実施形態において、パルプは、50~400RPM、より好ましくは100~300RPMで攪拌される。他の好適な形態の攪拌を使用してもよい。
【0148】
好適な処理期間に達した後、非石灰石材料からの溶解材料の塩を含む溶液(本明細書では、浸出液、または浸出貴液もしくはPLSともいう)と、固体の未溶解部分(本明細書では浸出残留物ともいう)とが生成されている。浸出残留物は浸出液から分離される。任意の好適な方法、例えば、単にPLSを排出すること、遠心分離、濾過、及び本明細書に記載される方法などが使用され得る。
【0149】
浸出残留物は、概して、1種以上の無定形物質、例えば、ポゾランなどのSCMとして機能し得る1種以上の無定形物質を含有する。出発材料がケイ素を含む特定の実施形態では、浸出残留物は無定形シリカを含有する。追加的または代替的に、浸出残留物は、同じくポゾランなどのSCMとして機能し得る、無定形Fe及び/またはAl、例えば無定形アルミナ、無定形酸化鉄などといった他の無定形化合物を含有し得る。特定の実施形態では、浸出残留物は、少なくとも10、20、30、40、50、60、70、または80重量%の無定形シリカを含む。浸出残留物は、例えば水ですすぐことなどによって、浸出液の一部または全部を除去するように処理され得る。これはその後乾燥させることができる。乾燥した浸出残留物はSCMであり得、そのまま使用してもよく、またはさらにプロセスした後に、例えば、破砕及び篩分などにより、さらにプロセスして粒子のサイズを所望の範囲まで低減させた後に使用してもよい。
【0150】
出発材料がケイ素を含む特定の実施形態では、浸出残留物は無定形シリカを含有する。追加的または代替的に、浸出残留物は、同じくポゾランなどのSCMとして機能し得る、無定形Fe、Al、及び/またはMg化合物、例えば無定形アルミナ、無定形酸化鉄、無定形酸化マグネシウムなどといった他の無定形化合物を含有し得る。
【0151】
装置
一態様では、本明細書に記載されるプロセスのうちの1種以上を行うのに好適な装置などの装置が、本明細書で提供される。特定の実施形態では、非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの非石灰石材料からSCM(ポゾラン)を生成するための装置であって、1種以上の浸出容器と、浸出容器で生成された固体を液体から分離するための分離システムと、分離された固体を加工してSCMをもたらすための加工用システムとを備える装置が提供される。さらなる構成要素には、装置によって行われるプロセスのための1種以上のエネルギー源、非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの非石灰石材料を加工して、それらを浸出に好適にするための1種以上のシステム(分離された固体を加工するための加工用システムと同じでもよいが、典型的には異なる)が含まれ得る。構成要素の正確な構成は、場合によっては、行われるプロセスの種類に依存し得る。例えば、バッチプロセスでは、浸出容器は、浸出プロセスの温度及び酸性度に耐えることができ、浸出中に酸を収容するのに十分な防水性、例えば、完全な防水性を持つ材料を含むタンクなどの容器であり得る。向流浸出プロセスなどの連続プロセスでは、浸出容器は、非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの非石灰石材料を第1の方向に搬送するための第1のコンベヤと、HClなどの強酸のような浸出剤を反対方向に搬送して、これら2つが向流形式で互いと接触するようにするための第2のコンベヤとを含むことができ、浸出剤と接触する構成要素は、使用される浸出剤及び温度に耐えることができる材料を含む。他のタイプの浸出プロセスのための他の構成は、当業者には容易に分かるであろう。分離システムは、本明細書の他の箇所に記載されるように、例えば、1種以上の遠心分離機、フィルタ、フィルタプレスなどを含み得る。加工用システムはドライヤーを含むことができ、ドライヤーは、任意の好適なドライヤー、さらに場合によっては、単にSCMを大気に開放して乾燥させるドライヤー、または任意の他の好適なドライヤー、例えばSCMに熱を供給して乾燥を加速させるものなどであり得る。このような装置は当技術分野でよく知られている。加工用システムは、乾燥前にSCMから浸出剤及び浸出液をすすぎ落とすための任意選択のリンサーを含むことができる。加工用システムには、破砕機、ボールミル、篩、及び/または当技術分野で知られる他の構成要素など、所望のサイズ範囲または一組のサイズ範囲内の粒子を生成するためにSCMを加工するための1種以上の構成要素も含まれ得る。1種以上のエネルギー源は、電気グリッドなどのエネルギーグリッド、再生可能エネルギー源(例えば太陽光、風力、地熱など)、バッテリーなどのエネルギー貯蔵デバイス、天然ガス式発電機もしくは石炭式発電機などの化石燃料式発電機、他の好適な発電機、またはそれらの任意の好適な組み合わせへの接続の1種以上の好適な構成であり得る。化石燃料式発電機が使用される実施形態では、エネルギー源には、化石燃料発電機によって生成された煙道ガスをスクラビングして、SOx、NOx、及び/または他の規制された汚染物質を許容可能なレベルまで減少させる、及び/または煙道ガスの二酸化炭素含有量を減少させるためのシステムがさらに含まれ得る。特定の実施形態では、そのようなシステムは、カルシウム高含有画分をさらに加工することで生成されるマグネシウム化合物と煙道ガスを接触させるための装置を含み(以下で詳述するとおり)、このシステムは、二酸化炭素、ならびに場合によってはSOx及び/またはNOxを煙道ガスから除去する。
【0152】
特定の実施形態では、非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの非石灰石材料からクリンカまたはポルトランドセメントなどのセメントを生成するための装置であって、1種以上の浸出容器と、カルシウム高含有液体画分から浸出容器内で生成されたカルシウム減損固体画分を分離するための分離システムと、カルシウム高含有画分から非カルシウム化合物及び物質を除去するための加工用システムと、カルシウム高含有画分から固体カルシウム化合物を沈殿させるためのシステムと、固体カルシウム化合物を分解して脱塩素生成物を含有する生成物にし、処理してポルトランドセメントクリンカを生成するためのシステムと、ポルトランドセメントクリンカを加工してポルトランドセメントにするためのシステムとを備える装置が提供される。さらなる構成要素には、装置によって行われるプロセスのための1種以上のエネルギー源、非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの非石灰石材料をプロセスして、それらを浸出に好適にするための1種以上のシステム(分離された固体を加工するための加工用システムと同じでもよいが、典型的には異なる)が含まれ得る。SCMも生成される場合は、上述のような追加の構成要素が含まれる。浸出容器、分離システム、エネルギー源、非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの非石灰石材料を加工するためのシステムは、前述したとおりである。カルシウム高含有画分から非カルシウム化合物及び物質を除去するための加工用システムには、カルシウム高含有画分を所望の温度もしくは温度範囲で加熱しそれを維持するための1種以上のシステム、及び/またはカルシウム高含有画分に塩基を添加するためのシステム、ならびにカルシウム高含有画分から不溶性非カルシウム化合物及び物質を除去するための分離システムが含まれ得る。ある温度で溶液を加熱し維持するためのシステムは、当技術分野で知られており、任意の好適な構成、例えば、浸出容器の外側または内側に適用される熱源、1種以上の温度センサ、制御システムなどを含むことができる。塩基を添加するためのシステムには、塩基(例えば、CaO、ケイ酸二カルシウム、及び/またはケイ酸三カルシウムなど、プロセスの後期で生成される塩基)をカルシウム高含有画分に輸送し、塩基の量を測定し、塩基を導入し、反応時間を計るためなどの輸送メカニズムが含まれ得る。これらのシステムのすべての構成要素は、当技術分野でよく知られているものであり得る。特定の実施形態では、カルシウム高含有画分を加熱するためのシステムと、カルシウム高含有画分に塩基を添加するためのシステムとの両方が、装置に組み込まれている。不溶性化合物及び/または物質を分離するためのシステムは、記載のとおりである。HClなどの強酸が浸出剤として使用され、かつHClなどの強酸が再生される場合、装置には、例えば、当技術分野でよく知られているシステムのような、HClガスを捕捉し、それを水性液体と接触させて液体HClを生成するための1種以上の構成要素がさらに含まれてもよい。カルシウム高含有画分からカルシウム含有固体を沈殿させるためのシステムは、カルシウム高含有溶液を加熱して蒸気を生成するための熱源のように単純であり得る。場合により、1種以上の導管などのような輸送システムが、カルシウム含有固体をポルトランドセメントクリンカに分解するためのシステムに蒸気を輸送するために含まれていてもよい。カルシウム含有固体を分解して脱塩素生成物にし、焼結してポルトランドセメントクリンカにするためのシステムには、1種以上の熱源と、蒸気、シリカ、ならびに概して1種以上のアルミニウム及び/または鉄を含有するフラックスを、カルシウム含有固体に導入するための1種以上の装置と、流動床またはキルン、好ましくはロータリーキルンなどの、焼結カルシウム含有固体を収容するための装置とが含まれ得る。ポルトランドセメントクリンカを加工してポルトランドセメントにするための任意選択のシステムは、当技術分野でよく知られており、破砕機、ボールミル、篩などを含み得る。固体カルシウム化合物を分解するためのシステムには、再生された酸、例えば再生されたHClを捕捉し、HCl源に輸送して戻すための装置がさらに含まれ得る。
【0153】
特定の実施形態では、非石灰石材料、例えば岩石及び/またはミネラル類、及び/または本明細書に記載される他の好適な出発材料から、ポルトランドセメントなどのセメントを生成するのに好適なクリンカなどのクリンカを生成するための装置が提供される。概して、そのような装置は、少なくとも、塩化カルシウムなどの1種以上のカルシウム化合物を含む固体組成物からのクリンカ、例えば、OPCクリンカなどのクリンカを形成し、場合により、クリンカからOPCなどのセメントを生成するように構成された第2の加工器に動作可能に接続された、CaClなどの1種以上のカルシウム化合物を含む固体を生成するために非石灰石出発材料を処理するように構成された第1の加工器を備える。例えば、図8を参照されたい。
【0154】
第1の加工器は、脱水器に動作可能に接続された、1つまたは複数の沈殿器に動作可能に接続された、浸出器を含み得る。例えば、図9を参照されたい。非カルシウム塩を沈殿させることなく使用され得る出発材料が使用される特定の実施形態では、第1のシステムは、1種以上の沈殿器を含まず、浸出器及び脱水器を含み得る。
【0155】
浸出器は、第1のカルシウム高含有液体画分及びカルシウム減損固体画分を生成するために非石灰石材料を酸と接触させるように構成されていてもよい。これは、非石灰石出発材料を加工するように構成された、例えば、非石灰石材料のサイズを低減させる及び/または材料を1種以上のサイズ範囲に分類するように構成された材料加工器、例えば、破砕機及び/またはミル、ならびに1種以上のサイジングスクリーン、または他の好適な構成を含む材料加工用システムに、動作可能に接続されていてもよい。浸出器は、概して、酸及び非石灰石材料から作出されたパルプを保持及び処理するための浸出容器を含む。浸出条件に耐えることができる限り、任意の好適な材料が使用され得る。浸出器は、加熱要素及び/または攪拌器を含み得る。これは、酸リザーバに動作可能に接続されていてもよい。これは、第1の分離器に動作可能に接続されていてもよく、第1の分離器はまた、沈殿器に動作可能に接続されていてもよく、第1の分離器は、カルシウム高含有液体画分とカルシウム減損固体画分とを分離し、カルシウム高含有液体画分を沈殿器に誘導するように構成されていてもよい。第1の分離器は、例えば、リンサー及びドライヤーなどを含む、シリカなどのカルシウム減損固体を加工するための固体加工用システムに、動作可能に接続されていてもよい(便宜上、固体をシリカとして説明するが、特定の場合には他の材料が含まれ得ることは理解されるであろう)。シリカの一部は、脱塩素及び/またはクリンカリング(下記参照)に使用されてもよく、その場合、固体加工用システムは、シリカを供給するために、脱塩素器及び/またはクリンカラーに動作可能に接続されている。シリカの一部は、SCMとして使用されてもよく、装置は、例えば粒径、貯蔵などの1つまたは複数の所望の特徴をもたらすために必要または所望に応じてさらに加工するための1種以上の追加の加工器をさらに含み得る。
【0156】
沈殿器は、カルシウム高含有画分から除去される1種以上の非カルシウム塩を固体形態に変換することによって、1種以上の非カルシウム塩をカルシウム高含有画分から除去するように構成されていてもよい。概して、沈殿器は、カルシウム高含有液体画分が分離システムから沈殿器に移動するか、または複数の沈殿ユニットが使用される場合にはシリーズ内の第1の沈殿ユニットに移動するように、浸出容器の分離システムに動作可能に接続されている。沈殿器、または複数の沈殿ユニットが使用される場合には各沈殿ユニットは、沈殿器または沈殿ユニットで生成された固体をカルシウム高含有液体画分から分離するための第2の(そして場合によっては第3及び/または第4の)分離器に動作可能に接続されている。
【0157】
沈殿器は、第1のセットの非カルシウム化合物を沈殿させるように構成された塩基沈殿ユニットである第1の沈殿ユニットを含む。塩基沈殿ユニットは、動作可能に接続された1種以上の塩基源であり得る。塩基源は、カルシウム塩基源を含み得る。塩基沈殿は、本明細書の他の箇所でさらに詳細に記載されるとおりである。特定の実施形態では、カルシウム塩基源の少なくとも一部分には、脱塩素器及び/またはクリンカラーに動作可能に接続され、これらから1種以上の生成物を受け取る供給源が含まれる。特定の実施形態では、沈殿器は塩基沈殿ユニットのみを含む。これらの場合、塩基沈殿は概して、アルミニウム、鉄、及びマグネシウム種の沈殿をもたらし、これもまた本明細書の他の箇所でさらに詳細に記載されている。
【0158】
特定の実施形態では、沈殿器は、カルシウム高含有液体画分から第2のセットの非カルシウム化合物を沈殿させるように構成された熱加水分解沈殿ユニットである第2の沈殿ユニットをさらに含む。上記のように、これは、カルシウム高含有液体画分から第2のセットの沈殿した非カルシウム化合物を分離するための第3の分離器に動作可能に接続されていてもよい。特定の実施形態では、沈殿器には、カルシウム高含有液体画分から第3のセットの非カルシウム化合物を沈殿させるための熱加水分解ユニットである第3の沈殿ユニットが含まれ、これは、カルシウム高含有液体画分から第3のセットの沈殿した非カルシウム化合物を分離するための第4の分離器に動作可能に接続されていてもよい。特定の実施形態では、第2及び第3の沈殿ユニットが同じであり、第2及び第3のセットの沈殿した非カルシウム化合物が同じである。例えば、第2/第3の沈殿ユニットは、本明細書の他の箇所でさらに詳細に記載されているように、1工程の熱加水分解を行うように構成されていてもよく、第2/第3のセットの沈殿した非カルシウム生成物は、これもまた本明細書の他の箇所でさらに詳細に記載されているように、Al-及びFe-種を含み得る。特定の実施形態では、第2及び第3の沈殿ユニットは異なり、第2の沈殿ユニットは、例えば、本明細書の他の箇所でさらに詳細に記載されているように、第1の温度または温度範囲までカルシウム高含有液体を加熱することによってアルミニウム化合物を沈殿させるように構成されており、第3の沈殿ユニットは、例えば、本明細書の他の箇所でさらに詳細に記載されているように、第1の温度または温度範囲よりも高い第2の温度または温度範囲までカルシウム高含有液体を加熱することによって鉄化合物を沈殿させるように構成されている。装置は、非カルシウム沈殿生成物のうちの1種以上をクリンカラー及び/または脱塩素器に輸送するための1種以上のユニットをさらに含み得る。これらは概して、クリンカラーでフラックスとして機能し得るアルミニウム化合物及び鉄化合物を含む。
【0159】
沈殿器は脱水器に動作可能に接続されており、非カルシウム化合物が除去されたカルシウム高含有液体を脱水器に送る。
【0160】
脱水器は、例えば、所望のレベルの乾燥状態が達成されるまで水を蒸発させるためにカルシウム高含有液体を加熱することによって、塩化カルシウムなどの1種以上のカルシウム化合物を含む固体を生成するために、沈殿器からのカルシウム高含有液体画分から水を除去するように構成されている。脱水器は加熱要素を含み得る。特定の実施形態では、脱水器は、脱水器で生成された蒸気を脱塩素器に、そして場合によりクリンカラーに輸送するように構成された、導管を含む装置などの装置を含み得る。脱水器によって生成される固体生成物は、1種以上の水和状態、例えば無水物、一水和物などで存在し得る塩化カルシウムなどの1種以上のカルシウム化合物を含む固体である。出発材料及びプロセスに応じて、固体は80、90、95、または98%超がCaCl2であり得る。さらなるステップで残りの水を追い出すのに必要なエネルギーが少なくて済むため、より低い水和状態の塩化カルシウム、例えば無水物を生成するように脱水器を構成することが望ましい。例えば、固体から粒子、フレークなどを生成することによって固体のサイズを低減させるために、さらなる加工用機器が脱水器に接続されていてもよい。
【0161】
第2の加工器は、脱塩素器及びクリンカラー(セメントキルン)を含む。例えば、図10を参照されたい。脱水器に動作可能に接続されており、塩化カルシウムを含む固体(脱塩素器への途中でさらにプロセスされ得る)を受け取る脱塩素器は、カルシウム化合物を含む脱塩素固体を生成するために、CaClを含む固体を脱塩素化するように構成されている。脱塩素器は、脱塩素固体をフラックスの存在下で加熱してクリンカを生成するように構成されたクリンカラーに動作可能に接続されている。脱塩素器及びクリンカラーは単一のユニットであり得る。好ましい実施形態において、脱塩素器及びクリンカラーは別個のユニットである。好ましい実施形態において、脱塩素器及び/またはクリンカラーのうちの一方または両方がロータリーキルンを含む。より好ましい実施形態では、脱塩素器とクリンカラーの両方がロータリーキルンを含む。
【0162】
脱塩素器は、カルシウム化合物及び20、15、10、8、7、6、5、4、3、2、または1重量%未満のClを含む脱塩素固体を生成するように構成されていてもよい。塩化カルシウムを含む固体を低レベルの塩化物まで脱塩素化するための方法及びシステムは、本明細書に記載のとおりであり得る。例えば、脱塩素器は、材料が閾値温度、例えば、700~750℃、最高で800~1000℃などの別の温度に達したとき、1、2、3、5、7、10、15、20、30、40、50、60、または80℃未満になるように十分に低い速度で加熱し続けるように構成されていてもよい。追加的または代替的に、脱塩素器は、1種以上の期間にわたって1種以上の温度に材料を保つように、及び/または、1種以上の望ましい漸増速度で加熱を調節する及び/または維持するように構成されていてもよい。脱塩素器は、1種以上の蒸気源、及び1種以上のシリカ源に動作可能に接続されている。蒸気源のうちの1つは脱水器であり得る。1種以上のシリカ源は、第1の加工器またはその一部分、例えば、第1の分離器でカルシウム高含有画分から分離されたカルシウム減損固体を含むことができ、これは例えば、すすぎ及び乾燥によってさらに処理され、次いで脱塩素器に輸送され得る。シリカは、脱水器からの塩化カルシウムを含む固体と混合される。これは、脱塩素器の前に行われ得る。シリカは、所望の比、例えば、Ca:Si 1~4、好ましくは2~4、より好ましくは2.5~3.5、さらにより好ましくは2.5~3.25のモル比で混合され得る。HClが脱塩素器によって生成され、脱塩素器は、浸出器、酸リザーバ、またはその両方にHClを補充するために、浸出器に動作可能に接続されていてもよい。
【0163】
クリンカラーは、カルシウム化合物を含む脱塩素固体を脱塩素器から受け取り、フラックス、及び場合により蒸気の存在下で(少なくとも初期段階で)固体をさらに処理してクリンカを生成するように構成されている。クリンカラーは、フラックスと混合された、カルシウム化合物を含む脱塩素固体を、例えば本明細書に記載されるような1種以上の温度まで及び/または1種以上の期間にわたって加熱する。1種以上のフラックス源が、クリンカラーに動作可能に接続されている。任意の好適なフラックスが使用され得る。特定の実施形態では、フラックスの一部または全部は、第1の加工器において、例えば、沈殿器の1種以上の沈殿ユニットで生成された1種以上の種を含み、クリンカラーは、第1の加工器、例えば、1種以上の沈殿ユニット、例えば、Al2O3及び/またはFe2O3などを含み得る、酸化アルミニウム及びまたは酸化鉄を含む、アルミニウム及び/または鉄種を生成する、1種以上の沈殿ユニットに、動作可能に接続されている。特定の実施形態では、フラックスは、プロセス中で生成されない材料、例えば、当技術分野で知られているような、粘土及び他の材料などの材料を含み、1種以上のフラックス源は、1種以上の他の材料を含む。特定の実施形態では、クリンカラーは、カルシウム塩基源としても機能し、例えばケイ酸二カルシウム及び/またはケイ酸三カルシウムを含む、クリンカラーの1種以上の生成物が、沈殿器内でカルシウム塩基として使用され、クリンカラーは、沈殿器に、例えば塩基沈殿ユニットに、動作可能に接続されている。
【0164】
特定の実施形態では、システムには、クリンカラーからクリンカを受け取り、例えば、OPCなどのポルトランドセメントのようなセメントを生成するために、それをさらに加工するように構成されたクリンカ加工器がさらに含まれる。クリンカ加工器は、例えば、磨砕、粉砕、スクリーニングなどを通じてクリンカのサイズ/サイズ分布を調整するように、及び/またはセッコウなどの追加の材料を導入するように構成されていてもよい。クリンカ加工器はまた、加工された材料、例えば、OPCなどのセメントを、輸送及び/または販売のために準備するように構成されていてもよい。
【0165】
特定の実施形態では、クリンカ加工器は、概して非石灰石材料などの出発材料の供給源の近傍で、コンクリート生成設備に動作可能に接続されており、コンクリート生成設備は、クリンカ加工器からのセメントを使用して、また特定の実施形態では、セメント及び/またはSCMを生成するために使用されるものと同じ非石灰石材料から生成された骨材も使用して、コンクリートを生成する。
【0166】
図13は、非石灰石材料からクリンカを生成するためのシステム及び方法の一実施形態を示す。本明細書に記載される非石灰石材料、例えば非石灰石岩石及び/またはミネラル類などの出発材料が、フィード(1301)を介して、出発材料をプロセスして複数のサイズを含む破砕粒子にする破砕機(1303)を含む材料加工器(1302)に提供される。次いで、破砕粒子は、所望よりも大きいサイズ範囲の破砕粒子から、所望のサイズ範囲の破砕粒子を分離する、1種以上の篩(1304)に通される。所望よりも大きい破砕粒子は破砕機(1303)に戻され、場合により、さらに加工するために新しい出発材料と混合される。所望のサイズ範囲の破砕粒子はその後、ミル(1305)に供給され、ここで破砕粒子がより細かいサイズに粉砕される。粉砕粒子は空気流(1306)と組み合わされ、バッグハウス(1307)に供給され、ここで粉砕粒子が空気から分離され、ホッパー(1309)に供給され、清浄な空気が排気される(1308)。
【0167】
次いで、粉砕粒子はホッパーから浸出器(1310)に移送され、ここで粉砕粒子は、浸出タンク(1311)内の浸出剤、例えばHClなどの酸と接触して、パルプを形成する。浸出剤は酸貯蔵タンク(1312)から提供される。必要に応じて、酸貯蔵タンク(1312)から追加の浸出剤を添加または除去することができる(1313)。浸出タンク(1311)は、攪拌器/攪拌要素を含み得る。浸出タンクは、パルプを加熱するための1種以上の加熱要素(図示せず)を含み得る。浸出システムには、蒸発した酸を回収し、それを浸出タンク(1311)に戻す、及び/またはそれを排気する(1315)、酸回収要素(1314)が含まれ得る。任意の好適な水源、例えばボイラー/蒸気再圧縮システム(1316)から酸貯蔵タンクに水を加えて、所望の濃度の酸を調製することができる。好適な処理の後、概してカルシウム高含有液体画分とカルシウム減損固体画分とを含む処理済みパルプは、カルシウム高含有液体画分からカルシウム減損固体画分を分離するために、この例では浸出フィルタ(1317)を含む第1の分離器を通して移送され得る。水(1318)、及び/または任意の他の好適な流体が、例えばカルシウム減損固体画分をすすぐために、いつでも浸出フィルタに添加され得る。カルシウム減損固体画分は、乾燥のためにキルン(1319)に移送され得る。概して、固体カルシウム減損画分はシリカを含み、固体画分の一部または全部は、プロセスの後期段階で、例えば脱塩素中に、シリカ源として使用され得る。追加的または代替的に、固体画分の一部または全部をさらに処理して、例えば、所望のサイズ範囲を得るように処理して、補助セメント質材料(SCM)をもたらすことができ、これは、販売する及び/またはプロセス中に生成されたセメントと組み合わせてコンクリートなどを作るために使用することができる。
【0168】
第1の分離器、例えば、浸出フィルタ(1317)からのカルシウム高含有液体画分は、次いで、水、NaCl、及び/またはKClを浸出物(1321)から除去するために前処理の有無を問わず加熱するための熱加水分解沈殿ユニット、この実施形態では溶融塩加水分解チャンバ(1320)である沈殿ユニットに送られる。溶融塩加水分解チャンバ、例えば、熱加水分解チャンバ(1320)は、鉄及び/またはアルミニウムの可溶性種、例えば、塩化鉄及び/または塩化アルミニウムから、酸化鉄及び/または酸化アルミニウムなどの酸化物を含み得る不溶性種への変換を含む、特定の化学反応を促進するために、1種以上の温度において、各温度で既定の期間にわたってカルシウム高含有液体画分を処理する。処理済みカルシウム高含有液体画分は、次いで、クエンチャー(1322)で冷却され、ミキサー(1323)で水と混合される。処理プロトコルに応じて、不溶性のアルミニウム及び鉄種、例えば、酸化物は、例えばミキサー(1323)での水の添加中に、分離器などで、処理後に回収され得る(1324)。処理済みカルシウム高含有液体画分は、次いで、沈殿容器(1325)を含む塩基沈殿ユニットである沈殿ユニットに移送され、ここで、処理済みカルシウム高含有液体画分が1種以上の塩基性化学物質と接触し、その結果、可溶性マグネシウム種、例えば、塩化マグネシウムが、不溶性マグネシウム種、例えば、酸化マグネシウムに変換され、沈殿する。処理済み浸出物と接触させる前に、塩基をスレーカー(1326)で処理してもよい。次いで、不溶性の沈殿したマグネシウム種、例えば酸化マグネシウム種は、例えば、一連の沈降ユニット(1327)及び/またはフィルタ(1328)を含む分離器を通して、処理済みカルシウム高含有液体画分から分離され、場合により、水、または任意の他の好適な液体ですすがれる(1329)。特定の実施形態では(図示せず)、システムは熱加水分解チャンバを含まず、塩基沈殿ユニットである沈殿ユニットが、アルミニウム、鉄、及び/またはマグネシウム種を沈殿させるのに役立つ。
【0169】
処理済みカルシウム高含有液体画分は、酸貯蔵タンク、例えば酸リザーバ(1312)及び/または脱水器(1330)に移送することができ、ここでカルシウム高含有液体画分が脱水され、1種以上の水和状態で、概して高濃度の塩化カルシウムを含む、塩化カルシウムを含む固体が残る。次いで、塩化カルシウムを含む固体(1種以上の水和状態にあり得る)が脱塩素器(1331)に送られ、1種以上の好適なケイ酸塩種(カルシウム減損固体画分からのシリカなど)と混合され、蒸気の存在下で加熱されて、塩化カルシウムを含む固体が、本明細書の他の箇所に記載されているようなカルシウム化合物を含む脱塩素固体に変換され、同時に、HClなどの浸出剤が再生され、これが浸出タンクまたは酸リザーバに戻され得る。カルシウム化合物を含む脱塩素固体は、後の使用のために貯蔵すること(1332)、及び/または、クリンカへの変換のために、好適なフラックスと組み合わせて、クリンカラー(セメントキルン)(1333)に移送することができる。フラックスの一部または全部は、処理済み浸出物(1324)から分離された、例えば、酸化鉄及び/または酸化アルミニウムなどの金属酸化物を含む、不溶性金属種を含み得る。クリンカラー(セメントキルン)(1333)での熱処理後、クリンカは次に冷却ユニット(1334)に移送され、冷却済みクリンカは次に、加工してセメントにするためにミル(1335)に移送され得る。カルシウム化合物を含む脱塩素固体、クリンカ及び/またはセメントの一部分は、沈殿タンク(1325)でマグネシウムの沈殿のための塩基の一部または全部として使用され得る。セメントの一部分または全部は販売されてもよい。セメントの一部分または全部は、場合により、カルシウム減損固体画分の一部分(SCMとして作用する)、及び/または、例えば破砕及び/または粉砕プロセスにおいて出発材料から形成された骨材と組み合わせて、コンクリートを生成するために使用されてもよい。
【0170】
特定の実施形態では、セメント源及び骨材源を備えるコンクリート生成設備が本明細書で提供され、セメント及び骨材は両方とも、同じ材料、例えば、本明細書に記載される非石灰石材料から誘導される。当該設備は、SCM源をさらに備えることができ、SCMも同じ材料から誘導される。当該設備は、コンクリートを生成するために、セメント、骨材、及び場合によりSCMを混合するためのミキサーをさらに備えることができる。特定の実施形態では、このシステムは、従来の方法(焼成及び焼結)によって生成されるセメント源も含み、特定の実施形態では、この従来のセメントもミキサーに提供される。
【0171】
実施形態
実施形態1では、クリンカを生成する方法であって、(a)カルシウムを含む非石灰石材料を塩酸と接触させることによって、カルシウム減損固体画分と塩化カルシウムを含むカルシウム高含有液体画分とを生成し、(b)カルシウム高含有液体画分を処理して塩化カルシウムを含む固体を生成し、(c)塩化カルシウムを含む固体を脱塩素化して、カルシウム化合物を含む脱塩素固体を生成し、(d)カルシウムを含む脱塩素固体を処理してクリンカを生成することを含む、方法が提供される。実施形態2では、カルシウム高含有液体画分からカルシウム減損固体画分を分離することをさらに含む、実施形態1に記載の方法が提供される。実施形態3では、カルシウム高含有液体画分が、マグネシウム、鉄、及び/またはアルミニウムの1種以上の非カルシウム塩を含み、カルシウム高含有液体画分を処理することが、液体を処理して、1種以上の不溶性のマグネシウム化合物、鉄化合物、及び/またはアルミニウム化合物を沈殿させることを含む、実施形態1または実施形態2に記載の方法が提供される。実施形態4では、カルシウム高含有液体画分の処理が、画分を塩基と接触させることを含む、実施形態3に記載の方法が提供される。実施形態5では、カルシウム高含有液体画分の処理が、画分を熱加水分解に供して、アルミニウム及び/または鉄を含有する不溶性化合物を沈殿させ、アルミニウム及び/または鉄を含有する不溶性化合物を除去し、次いで、残りのカルシウム高含有液体画分を塩基と接触させることを含む、実施形態4に記載の方法が提供される。実施形態6では、カルシウム高含有液体画分を脱水し、塩化カルシウムを含む固体を生成することをさらに含む、先行実施形態のいずれかに記載の方法が提供される。実施形態7では、塩化カルシウムを含む固体の脱塩素化が、蒸気及びシリカの存在下で固体を加熱して、カルシウムを含む脱塩素固体を生成することを含む、先行実施形態のいずれかに記載の方法が提供される。実施形態8では、カルシウム及びシリカが、2.45~3.25のCa:Siのモル比で存在する、実施形態7に記載の方法が提供される。実施形態9では、クリンカを生成するための、カルシウムを含む脱塩素固体の処理が、固体をフラックスと共に加熱することを含む、先行実施形態のいずれかに記載の方法が提供される。実施形態10では、フラックスが、酸化アルミニウム及び酸化鉄を含む、実施形態9に記載の方法が提供される。実施形態11では、クリンカを加工してセメントを生成することをさらに含む、先行実施形態のいずれかに記載の方法が提供される。
【0172】
実施形態12では、二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物を1種以上含む固体材料を調製する方法であって、(a)非石灰石出発材料を酸と接触させて、マグネシウムを含むカルシウム高含有液体画分とカルシウム減損固体画分とを生成し、(b)カルシウム高含有液体画分を処理して、二酸化炭素と反応し二酸化炭素を隔離することが可能な1種以上のマグネシウム化合物を沈殿させ、(c)カルシウム高含有液体画分からマグネシウム高含有沈殿物を分離し、(d)マグネシウム高含有沈殿物をすすぎ、乾燥させることを含む、方法が提供される。実施形態13では、二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能な1種以上のマグネシウム化合物を液体から分離することをさらに含む、実施形態12に記載の方法が提供される。実施形態14では、二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物の1種以上をすすぎ、乾燥させることをさらに含む、実施形態13に記載の方法が提供される。実施形態15では、二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物の1種以上が、酸化マグネシウム、水酸化マグネシウム、オキシ水酸化マグネシウム、ケイ酸マグネシウム、ケイ酸マグネシウム水和物、それらの複合体または組み合わせを含む、実施形態12~14のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態16では、二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物の1種以上を二酸化炭素と接触させて、二酸化炭素を炭酸マグネシウムまたは重炭酸マグネシウムとして隔離することをさらに含む、実施形態12~15のいずれか1つに記載の方法。実施形態17では、接触させることが、二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物の1種以上を、二酸化炭素を含む煙道ガス、例えば、二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物の1種以上を生成するためのプロセス中に生成される煙道ガス、に曝露して、炭酸マグネシウムを生成することを含む、実施形態16に記載の方法が提供される。実施形態18では、接触させることが、二酸化炭素と反応して二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物の1種以上を、二酸化炭素を含む空気に曝露して、炭酸マグネシウムを生成することを含む、実施形態16に記載の方法が提供される。実施形態19では、接触させることが、二酸化炭素と反応し二酸化炭素を隔離することが可能なマグネシウム化合物の1種以上を海洋などの水域に入れて、水域中の二酸化炭素と反応させて重炭酸マグネシウムを生成することを含む、実施形態16に記載の方法が提供される。
【0173】
実施形態20では、カーボンクレジットを取得する方法であって、(a)回避された正味の二酸化炭素(CO)の値及び/または隔離された正味のCO値の値を計算するために、(i)実施形態1~18、27~72、または139~161のいずれか1つに記載の方法を実施し、(ii)隔離されたCOの1種以上の量、回避されたCOの1種以上の量、及びCO排出量の1種以上の量を追跡し、(iii)隔離されたCOの1種以上の量、回避されたCOの1種以上の量、及びCO排出量から、回避されたCOの量及び/または隔離されたCOの量を決定し、(b)カーボンクレジットを、(a)の(iii)で得た回避及び/または隔離されたCOの値に基づいて取得することを含む、方法が提供される。実施形態21では、回避されたCOの値が、石灰石を焼成することを含むプロセスによって同量のセメントを生成し、実施形態1~18、27~72、または139~161のいずれか1つに記載のプロセスによって生成されたCOの量と比較することによって決定される、実施形態20に記載の方法が提供される。実施形態22では、隔離されたCOの値が、Mg化合物でCOを隔離し、所定量のMg化合物によって隔離されたCOの量を数量化することによって決定される、実施形態20または21に記載の方法が提供される。実施形態23では、隔離されたCOの少なくとも一部分が、大気中COである、実施形態22に記載の方法が提供される。
【0174】
実施形態24では、少なくとも50、60、70、80、90、または95%w/wの塩化カルシウム、例えば少なくとも90%、好ましい実施形態では少なくとも95%の塩化カルシウムと、少なくとも50、60、65、70、75、80、85、90、または95%、例えば少なくとも60%、好ましくは少なくとも75%、より好ましくは少なくとも80%w/wのシリカとを含む、組成物が提供される。実施形態25では、含まれるCl量が、10、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、または0.1%w/w未満、好ましい実施形態では5%未満、より好ましい実施形態では1%未満である、実施形態24に記載の組成物が提供される。実施形態26では、含まれるCaO量が、20、15、10、8、7、6、5、4、3、2、1、0.5、または0.1%w/w未満、好ましい実施形態では5%未満、より好ましい実施形態では0.5%未満である、実施形態24または25に記載の組成物が提供される。
【0175】
実施形態27では、塩化カルシウムを含む固体を脱塩素化する方法であって、(i)塩化カルシウムを含む固体を、シリカを含む固体と組み合わせ、(ii)組み合わせた塩化カルシウム及びシリカを蒸気の存在下で750~1250℃の温度まで加熱して、HClガス及び脱塩素カルシウム生成物を生成することを含む、方法が提供される。実施形態28では、温度が900~1250℃である、実施形態27に記載の方法が提供される。実施形態29では、温度が1000~1250℃である、実施形態27に記載の方法が提供される。実施形態30では、温度が1100~1250℃である、実施形態27に記載の方法が提供される。実施形態31では、温度が700~750℃に達したら、800~850℃の温度に達するまで、毎分60、50、40、30、10、または5℃以下の速度で加熱を進行させる、実施形態27~30のいずれかに記載の方法が提供される。実施形態32では、塩化カルシウムを含む固体とシリカを含む固体とを、Ca-Siモル比が2.5~3.5となるように組み合わせる、実施形態27~31のいずれかに記載の方法が提供される。実施形態33では、塩化カルシウムを含む固体が50~90重量%で存在し、シリカが10~40重量%で存在する、実施形態27~31のいずれかに記載の方法が提供される。実施形態34では、塩化カルシウムを含む固体が、少なくとも80、90、92、93、94、95、96、97、98、または99%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%の塩化カルシウムを含む、実施形態27~33のいずれかに記載の方法が提供される。実施形態35では、シリカを含む固体が、少なくとも50、60、65、70、75、80、85、90、または95%、好ましくは少なくとも60%、より好ましくは少なくとも75%、さらにより好ましくは少なくとも80%のシリカを含む、実施形態27~34のいずれかに記載の方法が提供される。実施形態36では、塩化カルシウムを含む固体が、少なくとも90%の塩化カルシウムを含み、シリカを含む固体が、少なくとも80%のシリカを含む、実施形態35に記載の方法が提供される。実施形態37では、蒸気が5~100体積%で存在する、実施形態27~36のいずれかに記載の方法が提供される。実施形態38では、塩化物含有量が、少なくとも60、70、80、90、95、96、97、98、または99%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%低減する、実施形態27~37のいずれかに記載の方法が提供される。実施形態39では、脱塩素カルシウム生成物が、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、または80重量%のケイ酸二カルシウム、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも25%のケイ酸二カルシウムを含み、且つCaO量が、30、20、15、12、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1重量%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満である、実施形態27~38のいずれかに記載の方法が提供される。実施形態40では、脱塩素カルシウム生成物が、少なくとも15%のケイ酸二カルシウムを含み、且つCaO量が10%未満である、実施形態40に記載の方法が提供される。
【0176】
実施形態41では、塩化カルシウムを含む固体からクリンカを生成する方法であって、(a)塩化カルシウムを含む固体を脱塩素化して、Caを含み、且つCl量が10%w/w未満である脱塩素組成物を生成し、(b)脱塩素組成物をフラックスの存在下で加熱してクリンカを生成することを含む、方法が提供される。実施形態42では、クリンカが、ケイ酸二カルシウム及びケイ酸三カルシウムを含む、実施形態41に記載の方法が提供される。実施形態43では、クリンカが、ポルトランドセメントクリンカを含む、実施形態41または42に記載の方法が提供される。実施形態44では、塩化カルシウムを含む組成物がシリカをさらに含む、実施形態41~43のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態45では、塩化カルシウム及びシリカを含む組成物中のCa:Siのモル比が、1.0~5.0、好ましくは2.0~4.0、より好ましくは2.5~3.25である、実施形態44に記載の方法が提供される。実施形態46では、塩化カルシウムを含む組成物が、少なくとも80、90、92、95、96、97、98、または99%、好ましくは少なくとも80%、より好ましくは少なくとも90%、さらにより好ましくは少なくとも95%の塩化カルシウムを含む、実施形態41~45のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態47では、脱塩素組成物のCaO量が、30、20、10、8、5、4、3、2、または1%未満、好ましくは10%未満、より好ましくは5%未満である、実施形態41~46のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態48では、脱塩素組成物のCl量が、重量基準で、10、8、6、5、4、3、2、または1%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下、さらにより好ましくは1%以下のClを含む、実施形態41~47のいずれか1つに記載の組成物が提供される。実施形態49では、脱塩素組成物が、少なくとも2、5、10、15、20、25、30、35、または40%、好ましくは少なくとも15%、より好ましくは少なくとも25%のケイ酸二カルシウムを含む、実施形態41~48のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態50では、塩化カルシウムを含む組成物の脱塩素化が、組成物を加熱することを含む、実施形態41~49のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態51では、塩化カルシウムを含む組成物が300℃以上の温度に達したときに蒸気を導入することをさらに含む、実施形態50に記載の方法が提供される。実施形態52では、塩化カルシウムを含む組成物の蒸気の存在下での加熱が、少なくとも750℃及び/または1250℃以下の温度まで加熱することを含む、実施形態51に記載の方法が提供される。実施形態53では、700~750℃及び800~1000°の間の加熱を、100、80、50、40、30、25、20、15、10、5、もしくは1°/分以下またはそれよりも遅い速度で実施する、実施形態52に記載の方法が提供される。実施形態54では、脱塩素化中にHClが生成される、実施形態41~53のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態55では、フラックスが、鉄化合物及び/またはアルミニウム化合物を含む、実施形態41~54のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態56では、アルミニウム化合物がAlを含む、及び/または鉄化合物がFeを含む、実施形態55に記載の方法が提供される。実施形態57では、鉄化合物及び/またはアルミニウム化合物ならびに塩化カルシウムを含む組成物が、同じ出発材料から生成される、実施形態55または実施形態56に記載の方法が提供される。実施形態58では、出発材料が、カルシウム含有岩石及び/またはミネラル類を含む、実施形態57に記載の方法が提供される。実施形態59では、シリカが、塩化カルシウムを含む組成物の出発材料と同じ出発材料から生成される、実施形態44~58のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態60では、フラックスの存在下での脱塩素組成物の加熱が、1200~1600、好ましくは1400~1600℃まで組成物を加熱することを含む、実施形態41~59のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態61では、1500~1600℃まで組成物を加熱することを含む、実施形態60に記載の方法が提供される。実施形態62では、1450~1500℃まで組成物を加熱することを含む、実施形態60に記載の方法が提供される。実施形態63では、脱塩素組成物の脱塩素化及び/または加熱がキルン内で行われる、実施形態41~62のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態64では、キルンがロータリーキルンを含む、実施形態63に記載の方法が提供される。
【0177】
実施形態65では、ケイ酸二カルシウムと、20、15、10、5、2、または1%以下のCaO、例えば10%以下のCaOとを含む組成物を、フラックスの存在下で加熱して、クリンカを生成することを含む、クリンカを生成する方法が提供される。実施形態66では、組成物のケイ酸三カルシウム量が、5、4、3、2、1、0.5、または0.1%未満、好ましくは1%未満、より好ましくは0.1%未満であり、クリンカが、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、または60%、好ましくは少なくとも20%、より好ましくは少なくとも50%のケイ酸三カルシウムを含む、実施形態65に記載の方法が提供される。実施形態67では、フラックスが、酸化アルミニウム及び/または酸化鉄を含む、実施形態65または66に記載の方法が提供される。
【0178】
実施形態68では、カルシウムとケイ素とを含有する非石灰石材料を含む出発材料からクリンカ及び補助セメント質材料(SCM)の両方を生成する方法であって、(i)非石灰石材料をHClに溶解し、塩化カルシウムを含むカルシウム高含有液体画分とシリカを含むカルシウム減損固体画分とを生成し、(ii)シリカを含むカルシウム減損固体画分からSCMを生成し、(iii)塩化カルシウムを含むカルシウム高含有液体画分からクリンカを生成することを含む、方法が提供される。実施形態69では、非石灰石材料から骨材を生成することをさらに含む、実施形態68に記載の方法が提供される。実施形態70では、クリンカからセメントを生成することをさらに含む、実施形態68または実施形態69に記載の方法が提供される。実施形態71では、セメント、骨材、及び水を組み合わせてコンクリートを生成することをさらに含む、実施形態70に記載の方法が提供される。実施形態72では、SCMをセメント、骨材、及び水と組み合わせてコンクリートを生成することをさらに含む、実施形態71に記載の方法が提供される。
【0179】
実施形態73では、非石灰石材料からクリンカを生成するための装置であって、(i)非石灰石出発材料を処理して、塩化カルシウムを含む固体組成物を生成するように構成された第1の加工器と、(ii)塩化カルシウムを含む固体組成物からクリンカを形成するように構成された第2の加工器とを備え、第1の加工器が第2の加工器に動作可能に接続されている、装置が提供される。実施形態74では、第1の加工器が、(a)非石灰石材料を酸と接触させ、第1のカルシウム高含有液体画分及びカルシウム減損固体画分を生成するように構成された浸出器と、(b)カルシウム高含有画分から除去される1種以上の非カルシウム塩を固体形態に変換することによって、1種以上の非カルシウム塩をカルシウム高含有画分から除去するように構成された沈殿器と、(c)沈殿器からの前記カルシウム高含有液体画分から水を除去し、塩化カルシウムを含む固体を生成するように構成された脱水器とを備え、浸出器が沈殿器に動作可能に接続されている、実施形態73に記載の装置が提供される。実施形態75では、第1の加工器が、浸出器に動作可能に接続され、且つ非石灰石出発材料を加工するように構成された材料加工器をさらに含む、実施形態73または実施形態74に記載の装置が提供される。実施形態76では、材料加工器が、非石灰石材料のサイズを低減させる及び/または材料を1種以上のサイズ範囲に分類するように構成されている、実施形態75に記載の装置が提供される。実施形態77では、第1の加工器が、浸出器に動作可能に接続された酸貯蔵タンクをさらに含む、実施形態74~76のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態78では、浸出器が加熱要素を含む、実施形態74~77のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態79では、浸出器が攪拌器を含む、実施形態74~78のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態80では、浸出器が、浸出器及び沈殿器に動作可能に接続され、且つカルシウム高含有液体画分及びカルシウム減損固体画分を分離してカルシウム高含有液体画分を沈殿器に誘導するように構成された第1の分離器をさらに含む、実施形態74~79のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態81では、沈殿器が、固体をカルシウム高含有液体画分から分離するための第2の分離器に動作可能に接続されている、実施形態74~80のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態82では、沈殿器が第1の沈殿ユニットを含み、第1の沈殿ユニットが第1のセットの非カルシウム化合物を沈殿させるように構成された塩基沈殿ユニットである、実施形態74~81のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態83では、第1の沈殿ユニットに動作可能に接続された1種以上の塩基源をさらに備える、実施形態82に記載の装置が提供される。実施形態84では、1種以上の塩基源が、カルシウム塩基源を含む、実施形態83に記載の装置が提供される。実施形態85では、沈殿器が第2の沈殿ユニットを含み、第2の沈殿ユニットが、カルシウム高含有液体画分から第2のセットの非カルシウム化合物を沈殿させるように構成された熱加水分解沈殿ユニットである、実施形態82~85のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態86では、第2の沈殿ユニットが、カルシウム高含有液体画分から第2のセットの沈殿した非カルシウム化合物を分離するための第3の分離器に動作可能に接続されている、実施形態85に記載の装置が提供される。実施形態87では、沈殿器が第3の沈殿ユニットを含み、第3の沈殿ユニットがカルシウム高含有液体画分から第3のセットの非カルシウム化合物を沈殿させるための熱加水分解ユニットである、実施形態85または実施形態86に記載の装置が提供される。実施形態88では、第3の沈殿ユニットが、カルシウム高含有液体画分から第3のセットの沈殿した非カルシウム化合物を分離するための第4の分離器に動作可能に接続されている、実施形態87に記載の装置が提供される。実施形態89では、第2及び第3の沈殿ユニットが同じであり、第2及び第3のセットの沈殿した非カルシウム化合物が同じである、実施形態87または実施形態88に記載の装置が提供される。実施形態90では、第2及び第3の沈殿ユニットが異なり、第2の沈殿ユニットが、第1の温度または温度範囲までカルシウム高含有液体を加熱することによってアルミニウム化合物を沈殿させるように構成されており、第3の沈殿ユニットが、第1の温度または温度範囲よりも高い第2の温度または温度範囲までカルシウム高含有液体を加熱することによって鉄化合物を沈殿させるように構成されている、実施形態87または実施形態88に記載の装置が提供される。実施形態91では、脱水器が加熱要素を含む、実施形態74~90のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態92では、第2の加工器が、(a)カルシウム化合物を含む脱塩素固体を生成するために、CaCl2を含む固体を脱塩素化するように構成された脱塩素器と、(b)脱塩素固体をフラックスの存在下で加熱してクリンカを生成するように構成されたクリンカラーとを含み、脱塩素器がクリンカラーに動作可能に接続されている、実施形態73~91のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態93では、脱塩素器が、カルシウム化合物を含み、且つCl量が20、15、10、8、7、6、5、4、3、2、または1重量%未満である脱塩素固体を生成するように構成されている、実施形態92に記載の装置が提供される。実施形態94では、塩基源が、脱塩素器からの脱塩素固体及び/またはセメントキルンからのセメントクリンカを含む、実施形態92または実施形態93に記載の装置が提供される。実施形態95では、脱塩素器が、(1)1種以上の蒸気源、及び(2)1種以上のシリカ源に動作可能に接続されている、実施形態92~94のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態96では、1種以上の蒸気源が、第1の加工器の脱水器を含む、実施形態95に記載の装置が提供される。実施形態97では、1種以上のシリカ源が、第1の加工器またはその一部分を含む、実施形態95または実施形態96に記載の装置が提供される。実施形態98では、第1の加工器またはその一部分が、第1の分離器を含む、実施形態97に記載の装置が提供される。実施形態99では、クリンカラーが、1種以上のフラックス源に動作可能に接続されている、実施形態92~98のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態100では、1種以上のフラックス源が、第1の加工器またはその一部分を含む、実施形態99に記載の装置が提供される。実施形態101では、第1の加工器またはその一部分が、沈殿器を含む、実施形態100に記載の装置が提供される。実施形態102では、脱塩素器及び/またはクリンカラーが、ロータリーキルンを含む、実施形態92~101のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態103では、クリンカラーからのクリンカを加工するためのクリンカ加工器をさらに備える、実施形態92~102のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態104では、制御システムをさらに備え、制御システムが、(i)第1の加工器及び/または第2の加工器からの1種以上のインプット源、(ii)1種以上のインプット源からのインプットを処理し、アウトプットを提供するためのプロセッサ、ならびに(iii)アウトプットを受け取り、第1の加工器及び/または第2の加工器の1種以上の動作を調整するための1種以上のアクチュエータを含む、実施形態73~102のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態105では、1種以上のインプット源が、浸出器、脱水器、脱塩素器、及び/またはクリンカラー、またはそれらの一部分の温度を検出するための1種以上の温度センサのような、1種以上のセンサを含む、実施形態104に記載の装置が提供される。実施形態106では、アクチュエータが、浸出器、脱水器、脱塩素器、及び/またはクリンカラーの加熱要素の動作を調整する1種以上のアクチュエータを含む、実施形態104または実施形態105に記載の装置が提供される。
【0180】
実施形態107では、実施形態73~106のいずれか1つに記載の装置を複数含むネットワークであって、装置が空間的に分離しており、装置の各々が1つの共通のコントローラ及び/または複数のコントローラに情報を送信する、ネットワークが提供される。
【0181】
実施形態108では、カルシウムを含む非石灰石材料から塩化カルシウムを含む固体を生成するための装置であって、塩化カルシウムを含む固体を生成するために非石灰石出発材料を処理するように構成された加工器を備える、装置が提供される。実施形態109では、加工器が、(a)第1のカルシウム高含有液体画分及びカルシウム減損固体画分を生成するために非石灰石材料を酸と接触させるように構成された浸出器と、(b)カルシウム高含有画分から除去される1種以上の非カルシウム塩を固体形態に変換することによって、1種以上の非カルシウム塩をカルシウム高含有画分から除去するように構成された沈殿器と、(c)塩化カルシウムを含む固体を生成するために、沈殿器からのカルシウム高含有液体画分から水を除去するように構成された脱水器とを含み、浸出器が沈殿器に動作可能に接続されている、実施形態108に記載の装置が提供される。実施形態110では、加工器が、浸出器に動作可能に接続された、非石灰石出発材料を加工するように構成された材料加工器をさらに含む、実施形態108または実施形態109に記載の装置が提供される。実施形態111では、材料加工器が、非石灰石材料のサイズを低減させる及び/または材料を1種以上のサイズ範囲に分類するように構成されている、実施形態110に記載の装置が提供される。実施形態112では、加工器が、浸出器に動作可能に接続された酸貯蔵タンクをさらに含む、実施形態109~111のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態113では、浸出器が加熱要素を含む、実施形態109~112のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態114では、浸出器が攪拌器を含む、実施形態109~113のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態115では、浸出器が、浸出器及び沈殿器に動作可能に接続されている、カルシウム高含有液体画分及びカルシウム減損固体画分を分離してカルシウム高含有液体画分を沈殿器に誘導するように構成された第1の分離器をさらに含む、実施形態109~114のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態116では、沈殿器が、固体をカルシウム高含有液体画分から分離するための第2の分離器に動作可能に接続されている、実施形態109~115のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態117では、沈殿器が、第1のセットの非カルシウム化合物を沈殿させるように構成された塩基沈殿ユニットである第1の沈殿ユニットを含む、実施形態109~116のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態118では、第1の沈殿ユニットに動作可能に接続された1種以上の塩基源をさらに備える、実施形態117に記載の装置が提供される。実施形態119では、1種以上の塩基源が、カルシウム塩基源を含む、実施形態118に記載の装置が提供される。実施形態120では、沈殿器が、カルシウム高含有液体画分から第2のセットの非カルシウム化合物を沈殿させるように構成された熱加水分解沈殿ユニットである第2の沈殿ユニットを含む、実施形態109~120のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態121では、第2の沈殿ユニットが、カルシウム高含有液体画分から第2のセットの沈殿した非カルシウム化合物を分離するための第3の分離器に動作可能に接続されている、実施形態121に記載の装置が提供される。実施形態122では、沈殿器が、カルシウム高含有液体画分から第3のセットの非カルシウム化合物を沈殿させるための熱加水分解ユニットである第3の沈殿ユニットを含む、実施形態120または実施形態121に記載の装置が提供される。実施形態123では、第3の沈殿ユニットが、カルシウム高含有液体画分から第3のセットの沈殿した非カルシウム化合物を分離するための第4の分離器に動作可能に接続されている、実施形態122に記載の装置が提供される。実施形態124では、第2及び第3の沈殿ユニットが同じであり、第2及び第3のセットの沈殿した非カルシウム化合物が同じである、実施形態122または実施形態123に記載の装置が提供される。実施形態125では、第2及び第3の沈殿ユニットが異なり、第2の沈殿ユニットが、第1の温度または温度範囲までカルシウム高含有液体を加熱することによってアルミニウム化合物を沈殿させるように構成されており、第3の沈殿ユニットが、第1の温度または温度範囲よりも高い第2の温度または温度範囲までカルシウム高含有液体を加熱することによって鉄化合物を沈殿させるように構成されている、実施形態122または実施形態123に記載の装置が提供される。実施形態126では、脱水器が加熱要素を含む、実施形態109~125のいずれか1つに記載の装置が提供される。
【0182】
実施形態127では、塩化カルシウムを含む固体からクリンカを生成する装置であって、(a)カルシウム化合物を含む脱塩素固体を生成するために、塩化カルシウムを含む固体を脱塩素化するように構成された脱塩素器と、(b)脱塩素固体をフラックスの存在下で加熱してクリンカを生成するように構成されたクリンカラーとを備え、脱塩素器がクリンカラーに動作可能に接続されている、装置が提供される。実施形態128では、脱塩素器が、カルシウム化合物及び20、15、10、8、7、6、5、4、3、2、または1重量%未満のClを含む脱塩素固体を生成するように構成されている、実施形態127に記載の装置が提供される。実施形態129では、脱塩素器が、(1)1種以上の蒸気源、及び(2)1種以上のシリカ源に動作可能に接続されている、実施形態127または実施形態128に記載の装置が提供される。実施形態130では、クリンカラーが、1種以上のフラックス源に動作可能に接続されている、実施形態127~129のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態131では、脱塩素器及び/またはクリンカラーが、ロータリーキルンを含む、実施形態127~130のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態132では、セメントキルンからのクリンカを加工するためのクリンカ加工器をさらに備える、実施形態127~131のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態133では、制御システムをさらに備え、制御システムが、(i)脱塩素器及び/またはクリンカラーからの1種以上のインプット源、(ii)1種以上のインプット源からのインプットを処理し、アウトプットを提供するためのプロセッサ、ならびに(iii)アウトプットを受け取り、脱塩素器及び/またはクリンカラーの1種以上の動作を調整するための1種以上のアクチュエータを含む、実施形態127~132のいずれか1つに記載の装置が提供される。実施形態134では、1種以上のインプット源が、脱塩素器、及び/またはクリンカラー、または1種以上のセンサ、例えば、それらの一部分の温度を検出するための1種以上の温度センサ、を含む、実施形態133に記載の装置が提供される。実施形態135では、アクチュエータが、脱塩素器、及び/またはクリンカラーの加熱要素の動作を調整する1種以上のアクチュエータを含む、実施形態133または実施形態134に記載の装置が提供される。
【0183】
実施形態136では、(a)非石灰石材料からセメントを生成するように構成された第1の加工器と、(b)非石灰石材料からSCMを生成するように構成された第2の加工器とを備える、システムが提供される。実施形態137では、(c)非石灰石材料から骨材を生成するための第3の加工器をさらに備える、実施形態136に記載のシステムが提供される。実施形態138では、第1及び第2の加工器が同じである、実施形態136及び実施形態137に記載のシステムが提供される。
【0184】
実施形態139では、カルシウムを含む非石灰石材料を酸に溶解して、クリンカを生成する方法であって、(a)塩化カルシウムを含むカルシウム高含有液体画分とカルシウム減損固体画分とを生成し、(b)カルシウム高含有液体画分からカルシウム減損固体画分を分離し、(c)カルシウム高含有液体から塩化カルシウムを含む固体を生成し、(d)塩化カルシウムを含む前記固体を処理してクリンカを形成することを含む、方法が提供される。実施形態140では、非石灰石材料が、ケイ素をさらに含む、実施形態139に記載の方法が提供される。実施形態141では、非石灰石材料が、岩石及び/またはミネラル類を含む、実施形態139または実施形態140に記載の方法が提供される。実施形態142では、岩石及び/またはミネラル類を含む非石灰石材料が、斜長岩、スカルン、斑れい岩、輝岩、マフルアイト、玄武岩、銅スカルン、タングステンスカルン、採掘岩石、苦鉄質岩石、超苦鉄質岩石、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態141に記載の方法が提供される。実施形態143では、出発材料中のカルシウムの40、30、20、15、10、5、4、3、2、または1%以下、好ましくは10%以下、より好ましくは5%以下が、炭酸カルシウムとして存在する、実施形態139~142のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態144では、出発材料が、アルミニウム、鉄、及び/またはマグネシウムをさらに含む、実施形態139~143のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態145では、石灰石を焼成することを含むプロセスによって同量の水硬セメントを生成する場合と比較して、前記石灰石から生成される排出COが90、80、70、60、50、40、30、20、10、または5%未満となる、実施形態139~144のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態146では、生成される排出COが80%未満である、実施形態145に記載の方法が提供される。実施形態147では、生成される排出COが60%未満である、実施形態145に記載の方法が提供される。実施形態148では、生成される排出COが40%未満である、実施形態145に記載の方法が提供される。実施形態149では、補助セメント質材料(SCM)、Mg誘導体、及び/または骨材をさらに生成する、実施形態139~148のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態150では、SCM、Mg誘導体、及び/または骨材が、セメントを生成するために使用するのと同じ出発材料から生成される、実施形態149に記載の方法が提供される。実施形態151では、酸が、HCl、HBr、HI、HNO3、またはそれらの組み合わせを含む、実施形態139~151のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態152では、酸が、少なくとも80、90、95、99、または100%のHClを含む、実施形態151に記載の方法が提供される。実施形態153では、酸が10~37%の濃度である、実施形態139~152のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態154では、酸の濃度が15~25%である、実施形態153に記載の方法が提供される。実施形態155では、酸の濃度が20%である、実施形態153に記載の方法が提供される。実施形態156では、カルシウム高含有液体から塩化カルシウムを含むカルシウム化合物を含む固体を生成することが、カルシウム高含有液体から、アルミニウム、鉄、及び/またはマグネシウムを含む1種以上の化合物を沈殿させることを含む、実施形態139~155のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態157では、カルシウム高含有液体から塩化カルシウムを含むカルシウム化合物を含む固体を生成することが、液体を脱水して塩化カルシウムを含む固体を生成することを含む、実施形態139~156のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態158では、クリンカを形成するための、塩化カルシウムを含む固体の処理が、塩化カルシウムを含む固体を脱塩素化してカルシウム化合物を含む脱塩素固体を生成することを含む、実施形態139~157のいずれか1つに記載の方法が提供される。実施形態159では、脱塩素化が、蒸気及びシリカの存在下で塩化カルシウムを含む固体を加熱することを含む、実施形態158に記載の方法が提供される。実施形態160では、カルシウム化合物を含む脱塩素固体を処理してクリンカを生成することをさらに含む、実施形態158または実施形態159に記載の方法が提供される。実施形態161では、処理が、フラックスの存在下でカルシウム化合物を含む脱塩素固体を加熱することを含む、実施形態160に記載の方法が提供される。
【0185】
本明細書を通して、組成物が特定の構成要素を有する(having)、含む(including)、もしくは備える(comprising)と記述される場合、またはプロセス及び方法が特定のステップを有する、含む、もしくは備えると記述される場合、それに加えて、記載される構成要素から本質的になるか、もしくはそれからなる本発明の組成物が存在すること、ならびに記載されるプロセスステップから本質的になるか、もしくはそれからなる本発明に係るプロセス及び方法が存在することが企図される。
【0186】
本願において、ある要素または構成要素が、列挙された要素または構成要素の一覧に含まれる及び/またはその一覧から選択されると言われる場合、当該要素もしくは構成要素は、列挙された要素もしくは構成要素のいずれか1つであってもよく、または当該要素もしくは構成要素は、列挙された要素もしくは構成要素の2つ以上からなる群から選択されてもよいことを理解されたい。
【0187】
さらに、本明細書に記載される組成物または方法の要素及び/または特徴は、本明細書において明示的であるか黙示的であるかを問わず、本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、種々の方法で組み合わされ得ることを理解されたい。例えば、特定の化合物への言及がなされる場合、その化合物は、文脈上別様に理解される場合を除き、本発明の組成物の様々な実施形態及び/または本発明の方法において使用され得る。換言すれば、本願においては、明瞭で簡潔な適用形態が記述及び描画され得るように実施形態が記述及び図示されているが、実施形態は、本願の教示及び発明(複数可)から離れることなく、様々に組み合わせたり分離したりできることが意図されており、またそのように理解されるであろう。例えば、本明細書に記載及び図示されているすべての特徴は、本明細書に記載及び図示されている発明(複数可)のすべての態様に適用可能であり得ることが理解されるであろう。
【0188】
本発明を説明する文脈における(特に以下の特許請求の範囲の文脈における)「a」及び「an」及び「the」という用語ならびに同様の言及は、本明細書において別段指示されない限り、または文脈上明らかに矛盾しない限り、単数形及び複数形の両方を含むと解釈されるべきである。例えば、「細胞(a cell)」という用語は、複数の細胞を含み、それらの混合物も含む。化合物、塩などに複数形が使用される場合、これは単一の化合物、塩なども意味するものと解釈される。
【0189】
「のうちの少なくとも1種」という表現は、文脈及び使用法から別様に理解される場合を除き、その表現の後に列挙された対象の各々、及び列挙された対象のうちの2種以上の様々な組み合わせを個別に含むことを理解されたい。3種以上の列挙された対象に関連する「及び/または」という表現は、文脈上別様に理解される場合を除き、同じ意味を有すると理解されるべきである。
【0190】
「含む(include)」、「含む(includes)」、「含む(including)」、「有する(have)」、「有する(has)」、「有する(having)」、「含有する(contain)」、「含有する(contains)」、または「含有する(containing)」という用語の使用は、それらの文法上の均等物を含め、別段特記されている場合を除き、または文脈上別様に理解される場合を除き、概して無制約かつ非限定的、例えば、列挙されていない追加の要素またはステップを除外しないものと理解されるべきである。
【0191】
定量値の前に「約」「およそ」などの用語が使用される場合、本発明には、別段特記されている場合を除き、その特定の定量値自体も含まれる。本明細書で使用される場合、「約」という用語は、別段指示または推定されない限り、公称値からの±10%の変動を指す。
【0192】
工程の順序または特定の動作を行うための順序は、本発明が動作可能である限りは、重要ではないことを理解されたい。さらに、2つ以上の工程または動作を、同時に実行してもよい。
【0193】
本明細書における、ありとあらゆる例または例示的な文言、例えば、「など(such as)」または「含む(including)」の使用は、単に本発明をよりよく例示することを意図したものであり、主張されない限り本発明の範囲に制限を課すものではない。本明細書におけるいかなる文言も、主張されていない要素を本発明の実践に必須なものとして示していると解釈されてはならない。
【実施例
【0194】
実施例1
この実施例では、非石灰石岩石からのカルシウムの高効率浸出が実証された。
【0195】
以下の浸出パラメータをCa含有岩石に使用したところ、誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-OES)による測定で90%超のCa抽出がもたらされた。カルシウムの質量収支は、最初の岩石及び浸出残留物の蛍光X線(XRF)測定によって終了した。
【0196】
【表1】
【0197】
すべての場合において、岩石からのカルシウム収率は90%を超え、スカルン及び斜長岩ではそれぞれ95%及び99%を超えた。したがって、HCl処理を使用すると、種々の非石灰石岩石から高いパーセンテージのカルシウムを抽出することができる。
【0198】
実施例2
この実施例では、カルシウム含有溶液からの非カルシウム構成要素の優先的な沈殿が実証された。
【0199】
実施例1と同様にして生成された浸出物にCaClを添加することによって、以下の組成の試験溶液を調製した。その組成は次のとおりであった。
【0200】
【表2】
【0201】
上記の溶液(微量元素は記載されていない)を150℃まで2時間加熱することにより、Caが高度に減損し、鉄及びアルミニウムが濃縮された固体が沈殿した。これらのデータは、非Mg、非Caの構成要素が、加水分解によって実質的に除去され得ることを示す。XRFによって測定された沈殿剤の組成は次のとおりであった。
【0202】
【表3】
【0203】
沈殿剤の組成は、鉄及びアルミニウム構成要素が高度に濃縮されており、カルシウム及びマグネシウム構成要素は非常に少量であることが分かり、したがって、溶液を加熱することによって鉄及びアルミニウムが選択的に除去されることを示している。
【0204】
実施例3
この実施例では、非石灰石岩石から誘導された組成物からのケイ酸二カルシウム及びケイ酸三カルシウムの生成、ならびに塩化物の極めて高度な減損が実証された。
【0205】
CaClをSiO(斜長岩岩石の浸出から生成された)と3:1のCaCl:SiOモル比で混合した。材料を坩堝に入れ、1500℃を除くすべての温度で蒸気雰囲気を使用して、850℃、1000℃、1200℃、及び1500℃の順に1時間加熱した。X線回折(XRD)で測定したところ、ケイ酸二カルシウムとケイ酸三カルシウムとの両方が大量に生成された(下記)。
【0206】
【表4】
【0207】
また、驚くべきことに、XRFによって示されるようにCaClが99.5%超まで脱塩素され得ることも示された。
【0208】
【表5】
【0209】
したがって、この実施例では、ケイ酸二カルシウム及びケイ酸三カルシウムを含む固体材料の生成、ならびにポルトランドセメントの基準を十分に下回るレベルまでの塩化物の減損が実証された。
【0210】
実施例4
代替経路によるポルトランドセメントクリンカの実験室での生成
【0211】
出発供給材料は、Ca-Siモル比が2.5~3.25の範囲のCaCl、SiO、Fe、Alの混合物であり、Al-Feの量は、最終生成物として所望される特定のポルトランドセメント/クリンカの要件を満たすように調節した。供給材料を2工程の高温プロセスにかけて、出発比率に応じた様々なポルトランドセメントの化学組成要件を満たす、クリンカリングされた材料を生成した。第1のステップのプロセスは脱塩素であった。脱塩素では、混合物を750℃~1250℃の範囲の温度の過熱蒸気(5体積%~100体積%)との反応に供した。例えばクリンカリングプロセスにおいて、より高い温度で追加の脱塩素を行ってもよい。Al及びFeは脱塩素に必須の構成要素ではなく、後から添加してもよいことに留意されたい。脱塩素の目的は、Cl含有量を5重量%未満、好ましくは1重量%未満に減少させることである。次いで、脱塩素生成物を1400℃~1600℃の範囲の温度でクリンカリングにかけ、OPC規格の化学的要件、組成要件、及び性能要件を満たすクリンカを生成した。脱塩素生成物のクリンカリングは、燃焼煙道ガス中の含水率と同様またはそれ以上の水蒸気の存在下で行うこともでき、これにより、0.01重量%未満の残留Clを含有するクリンカが得られる可能性がある。
【0212】
脱塩素のための一般的な実験室手順
i.純度既知のCaCl、SiO、Al及びFeのサンプルを300℃のマッフル/ボックス炉で2時間乾燥させて、出発材料が乾燥したことを確実にした。
【0213】
ii.乾燥したサンプルを秤量し、Ca-Siモル比が2.5~3.25になるように所望の組成で混合した。Al及びFeの量は、脱塩素中の理論上の質量損失を考慮して計算した。
【0214】
iii.化学成分の均質性を確保するために、サンプルを一晩ボールミルで粉砕した。次いで、ボールミルで粉砕した混合物を、脱塩素用の供給サンプルとして使用した。
【0215】
iv.白金坩堝を秤量し、坩堝で秤量した供給サンプルを300℃で2時間乾燥させて、乾燥状態を確実にした。管状炉を300℃に予熱した。
【0216】
v.2時間後、サンプル+坩堝を秤量し、管状炉に入れた。
【0217】
vi.次いで、管状炉を約10℃/分の漸増速度で850℃に達するようにプログラムした。この第1の「浸漬」温度は、実験の目標に応じて750~1250℃の範囲内であり得る。蒸気流は約750℃~800℃で開始した。蒸気流は、Tが300℃超である限り、悪影響なく早めに開始することができる。
【0218】
漸増速度は5~20℃の範囲で変化し得るが、実験室の炉によって制限されることが多く、必ずしもプロセス要件によって制限されるわけではない。サンプルは悪影響なく約700~700℃まで急速に加熱することができる。約700℃から約1000℃までの加熱は、概して、CaCl/SiO混合物に固溶体を形成させ、HOと反応して脱塩素し、HCl(g)を生成するための時間を与えるために、よりゆっくりと行うことができる。10℃/分の漸増速度での加熱は、CaCl画分がH2O(g)及びSiO(s)と反応し得る前に尚早に融解することなく、ゆっくりとした融解要件を満たす。
【0219】
vii.実験の過程で加えられる水の量が化学量論的に過剰になるように、蠕動ポンプを使用して蒸気発生器への水の流量を維持した。
【0220】
viii.熱処理プログラムは、典型的に、850℃で60分、1000℃で60分、及び1100℃で120分の浸漬からなっていた。しかしながら、熱処理サイクル条件は変化することが多い。例えば、脱塩素反応条件は、様々な中間漸増温度及び浸漬温度で750~1250℃の間で変化した。
【0221】
ix.ピーク温度での反応時間の後、水の流量を停止させ、坩堝を炉内で10℃/分で降温させた。坩堝は約600℃で取り出した。このステップは安全性及び実験室の便宜のために行った。サンプル自体は、ピーク温度の終わりに悪影響なく炉から取り出すことができる。
【0222】
x.サンプルを含む坩堝を秤量した後、サンプルを気密シンチレーションバイアルに移す。
【0223】
クリンカリングのための一般的な実験室手順
i.白金坩堝を秤量し、坩堝で秤量した脱塩素サンプルを300℃で2時間乾燥させて、サンプルが乾燥していることを確実にした。管状炉を300℃に予熱した。
【0224】
ii.2時間後、サンプル+坩堝を秤量し、管状炉に入れた。
【0225】
iii.次いで、管状炉を約10℃/分の漸増速度で1500℃~1600℃に達するようにプログラムした。クリンカリング温度の範囲は1400~1600℃であり得る。灰色OPCの場合、1450~1500°が典型的である。白色OPCの場合、1500~1600℃が典型的である。漸増速度は実験室機器の制限に基づく。クリンカリングは、クリンカリング温度で予熱した炉にサンプルを直接入れることによって達成でき、及び/または、漸増速度がより高くてもよく、もしくは初期炉温度がより高くてもよい。
【0226】
iv.蒸気/O流は約350℃で開始した。供給ガス中の蒸気濃度は0.5%~10%で変化し得る。また、蒸気/O混合物の代わりに、燃焼煙道ガスを蒸気及びOの供給源として使用することができる。
【0227】
v.熱処理サイクルは、典型的に、1500℃で5時間の浸漬からなっていた。クリンカリングの時間は、条件に応じて、場合によっては15分まで変更できる。
【0228】
vi.反応時間の後、坩堝を管状炉から引き出して耐火煉瓦の上に置き、空気中で温度をクエンチした。
【0229】
vii.クリンカサンプルを含む坩堝を秤量した後、気密シンチレーションバイアルに移した。
【0230】
XRFによって材料を試験し、Bogue計算を行った。表1は、様々な出発材料及び最終生成物の結果を提示する。
【0231】
【表6】
【0232】
図14は、試験1で取得されたクリンカサンプルの例示的な光学顕微鏡写真を示す。両方の顕微鏡写真のエーライト(C3S)は、暗い領域として示されている。右側の顕微鏡写真の矢印は、フェライト相及びアルミネート相を指している。左側の顕微鏡写真の矢印は、多数の小さな褐色のビーライト(C2S)包有物のうちの1つを指している。
【0233】
この実施例は、例えば、様々なタイプのセメントのASTM規格を満たす、様々な割合のC3S、C2S、C3A、及びC4AFを有するクリンカが、塩化カルシウム、シリカ、酸化アルミニウム及び酸化鉄出発材料から生成され得ることを実証する。
【0234】
実施例5
この実施例では、補助セメント質材料(SCM)を岩石から生成した。ある実験では、フライアッシュのASTM要件を満たすSCMを生成し、別の実験では、シリカフュームのASTM要件を満たすSCMを生成した。
【0235】
図15は、Caを含む材料の浸出のための簡略化されたプロセスフロー図を示す。このプロセスには、材料の受領、破砕及び磨砕、浸出、液体/固体の分離、乾燥、ならびにASTM規格を満たすための固体の加工が含まれた。各ステップについて、サブセクションで説明する。
【0236】
供給材料の調製
5インチから数百ミクロンの範囲のサイズの、供給材料(77.6%の灰長石(CaAlSi)、3.4%の石英(SiO)、1.2%の白雲母または関連雲母KAl(AlSi10)(OH)2、0.4%のカオリナイトAlSi(OH)、及び17.4%の無定形材料を含む、グリーンランド、カナダ産の斜長岩)を受領した。受領したままの材料を視認できる含水率について検査した。湿っていたり濡れていたりした場合は、110℃の乾燥オーブンで乾燥させた。1000ミクロンより大きい材料は、1200~1000ミクロン範囲のP80に破砕した。次いで、原料岩石を45~90ミクロン範囲のP80に磨砕した。次いで、準備できた岩石の初期組成を蛍光X線(XRF)によって分析した。
【0237】
浸出
試薬グレードの塩酸(HCl)を浸出試薬として使用した。その腐食性のため、リアクター容器の構成材料はすべて、ホウケイ酸ガラス及びテフロンからなっていた。還流凝縮器を、水及び酸の回収のために15~20℃に設定された再循環水冷却器に接続した。加熱マントルを温度コントローラに接続し、J型熱電対を用いてリアクター内の温度を測定した。Caを含む原料岩石の浸出を次のように行った:
1.目標浸出条件は、15~30%重量/重量HCl、10~30%重量/体積パルプ密度(浸出溶液の体積に対する固体の重量)、6~24時間、リアクター容器の50~70体積%の充填であった。フライアッシュ及びシリカフュームを生成するために使用した浸出条件は、20%HCl重量/重量、パルプ密度27%(浸出溶液100mLごとに原料岩石27gm)であった。
2.浸出パラメータが定義されたら、原料岩石の必要量を計算し、0.1~1mgまで正確に測定した。原料酸及び水の必要量も決定した。
3.浸出試薬を100~150rpmでゆっくりと攪拌しながらリアクター容器に加えた。攪拌しながら、固体供給ポートを通して原料岩石をリアクターにゆっくりと加えた。
4.容器を閉じ、反応のために攪拌を200~300rpmに増加させた。100~120℃の温度目標範囲まで加熱を開始した。反応混合物が目標温度に達したら、反応を既定の期間にわたって継続させた。フライアッシュの場合、期間は24時間であり、その後、材料を分離した。シリカフュームの場合、第1のステップで浸出を24時間行い、残留物を取得した後、同じ酸濃度及びパルプ密度でさらに4時間、再度浸出させた。反応の終わりに加熱を停止し、反応混合物、すなわち浸出貴液(PLS)及び固体(残留物)から構成されたパルプを60~70度まで降温させる。
【0238】
固体/液体の分離
生成物の固体/液体の分離は、図15に示されており、次のように進行する。
1. アダプタに接続された耐食性チューブの一端を反応容器排出ポートに、そして耐食性収集容器内に配置した。反応混合物を収集ボトル内に流し、これを濾過または遠心分離した。
2. 遠心分離:
a. PLSパルプを遠心分離ボトルに均等に分配し、遠心分離ローターに挿入した。
b. 遠心分離機を5~10分間運転した。
c. 上清を収集し、物理的特性データ収集(密度、pH、体積、RmV)のために加工し、その後アリコートを化学分析に送った。
3. 濾過
a. 濾過アセンブリは、濾過フラスコ、Buchner漏斗、様々なグレード(3、4、5、50)の濾紙、及び真空ポンプからなっていた。
b. 濾紙をBuchner漏斗内に入れ、湿らせ、ポンプを作動させて、良好な密閉性を確認した。
c. パルプを漏斗に加え、分離を行った。濾過された浸出貴液を収集し、物理的特性データ収集(密度、pH、体積、RmV)のために加工し、その後アリコートを化学分析に送った。
4. 固体およそ25~50体積%まで水を加えて濾過ケーク/遠心分離ペレットを再パルプ化し、次いで、別の濾過または遠心分離ステップを実行した。濾過/遠心分離の終了が約6~7のケークpHによって示されるように、濾過ケークのpHをモニターした。
5. 濾過ケーク/固体ペレットを乾燥皿に収集し、湿重量を記録する。
【0239】
乾燥
乾燥固体プロセス前に、S/L分離ステップから収集された残留材料を110℃の乾燥オーブンに24~48時間入れた。乾燥プロセスの終わりに、ケークの乾重量を記録し、保持された含水率を計算した。乳鉢及び乳棒を使用して固体を解凝集させた。
【0240】
分析方法
サンプルの調製
液体画分
図15に示すように、PLS、洗浄液、及び残留物の3つの流れを浸出から収集した。PLS及び洗浄画分のアリコートを誘導結合プラズマ発光分光法(ICP-OES)によって分析した。
【0241】
固体画分
収集後、残留物をASTM D7348による強熱減量(LOI)分析に供した。酸化残留物サンプルの画分をホウ酸リチウム溶融に供し、それによってガラスビーズを生成し、蛍光X線(XRF)を使用して分析した。
【0242】
SCMの生成
シリカフューム及びフライアッシュの仕様は、それぞれ、ASTM C1240及びC618の表1及び2によって提供された。SCMの仕様を満たすように、以下の手順を実行した。
【0243】
1. NIST 46h OPC細度規格を使用し、ASTM C430に従って、325メッシュASTM篩を較正した。
2. 残留物サンプルを用いて細度試験を3回実行した。
3. 細度結果に基づいて、必要な粒径に達するために必要な磨砕媒体及び期間を決定した。
4. 磨砕ジャーを取得し、容積の40~50%が満たされるまで磨砕媒体を投入した。固体を媒体表面からおよそ1/2インチ上まで加えた。
5. 固体+媒体を収容したジャーをボールミル上に置き、磨砕した。
6. サイズ試験のためにステップ2及び検査を繰り返した。
7. 必要であれば、ステップ2~6を必要に応じて繰り返した。
【0244】
ASTM C618「Standard Specification for Coal Fly Ash and Raw or Calcined Natural Pozzolan for Use in Concrete」に従う補助セメント質材料(SCM)の試験。
「フライアッシュ」のサンプルを、ASTM C618の標準的な物理的要件及び組成要件への準拠について評価した。
【0245】
混合割合及び結果
サンプルの化学組成の分析結果を表2(ASTM/C618)に示す。試験モルタルサンプルの割合及び流量を表3に示す。SCMの含有量は、そのポルトランドセメントとの混合物の20重量%であった(参考:ASTM C618及びASTM C311)。「フライアッシュ」の標準的な物理的要件の試験結果を表4(ASTM C618)に示す。
【0246】
【表7】
【0247】
【表8】
【0248】
【表9】
【0249】
流量(%)、「フライアッシュ」のASTM C1437 102 105SCMサンプルは、ASTM C618によって指定された「クラスF」フライアッシュの標準的な物理的要件及び組成要件に準拠している。
【0250】
ASTM C1240「Standard Specification for Silica Fume Used in Cementitious Mixtures」に従うシリカフュームの試験
「シリカフューム」のサンプルを、ASTM C1240の標準的な物理的要件及び組成要件への準拠について評価した。
【0251】
サンプルの化学組成の分析結果を表5(ASTM C1240)に示す。試験モルタルサンプルの割合及び流量を表6(ASTM C1240及びASTM C311)に示す。「シリカフューム」の標準的な物理的要件の試験結果を表7(ASTM C1240)に示す。
【0252】
【表10】
【0253】
【表11】
【0254】
【表12】
【0255】
シリカフュームサンプル「シリカフューム」は、ASTM C1240によって指定された標準的な物理的要件及び化学的要件に準拠している。
【0256】
この実施例は、非石灰石出発材料、この場合は岩石及び/またはミネラル類から、業界標準を満たす様々なタイプのSCMを生成することができ、このSCMが組成及び機能の業界標準を満たすことを実証する。
【0257】
当業者であれば、前述の詳細な説明ならびに図面及び特許請求の範囲から分かるように、以下の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲から逸脱することなく、本発明の実施形態に改変及び変更を加えることができる。
図1
図2
図3
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図5
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図10
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【国際調査報告】