(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】顔に対する治療の有効性を決定する方法
(51)【国際特許分類】
A61B 5/107 20060101AFI20240403BHJP
A61B 17/00 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61B5/107 110
A61B17/00
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561745
(86)(22)【出願日】2022-04-08
(85)【翻訳文提出日】2023-11-16
(86)【国際出願番号】 IB2022053319
(87)【国際公開番号】W WO2022215046
(87)【国際公開日】2022-10-13
(32)【優先日】2021-04-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】522236350
【氏名又は名称】ジョンソン アンド ジョンソン コンシューマー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100088605
【氏名又は名称】加藤 公延
(74)【代理人】
【識別番号】100130384
【氏名又は名称】大島 孝文
(72)【発明者】
【氏名】エジソン・ブレンダ
(72)【発明者】
【氏名】シャイヤー・トーマス
(72)【発明者】
【氏名】ティアニー・ニーナ
【テーマコード(参考)】
4C038
4C160
【Fターム(参考)】
4C038VA04
4C038VB03
4C038VB08
4C038VB36
4C038VC05
4C160MM22
(57)【要約】
顔治療の有効性を決定する方法であって、治療の使用前に顔の前向き画像を提供することと、顔のy軸を識別することであって、y軸が、顔の中心を通って顔の顎の中心位置を結ぶ線によって定義される、ことと、顔のx軸を識別することであって、x軸が、y軸から90度の角度に位置付けられ、顔の顎の中心を通る線によって定義される、ことと、顔目印を選択することと、顔目印線を識別することであって、顔目印線が、顔の顎の中心位置と顔目印とを結ぶ線によって定義される、ことと、x軸と顔目印線との間の角度を測定することと、顔に対して治療を行うことと、治療後の顔の前向き画像を提供することと、を含む、方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下顎の輪郭及び顎を有する顔に対する治療の有効性を決定する方法であって、
(a)前記治療の使用前に前記顔の第1の前向き画像を提供することと、
(b)前記顔のy軸を識別することであって、前記y軸が、前記顔の中心を通って前記顔の前記顎の中心位置を結ぶ線によって定義される、ことと、
(c)前記顔のx軸を識別することであって、前記x軸が、前記y軸から90度の角度に位置付けられ、前記顔の前記顎の中心を通る線によって定義される、ことと、
(d)前記顔の前記下顎の輪郭に沿って顔目印を選択することと、
(e)顔目印線を識別することであって、前記顔目印線が、前記顔の前記顎の前記中心位置と前記顔目印とを結ぶ線によって定義される、ことと、
(f)前記x軸と前記顔目印線との間の角度を測定することと、
(g)前記顔に対して前記治療を行うことと、
(h)前記治療後の前記顔の第2の前向き画像を提供することと、
(i)ステップ(b)~(f)を繰り返すことと、を含む、方法。
【請求項2】
前記治療後の前記顔の前記第2の前向き画像が、前記治療の少なくとも1週間後に撮影される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
追加の前向き画像が提供され、ステップ(b)~(f)が規則的な間隔で繰り返される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
追加の前向き画像が提供され、ステップ(b)~(f)が治療期間中に繰り返される、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
(j)前記治療前の前記x軸と前記顔目印線との間の角度を、前記治療後の前記x軸と前記顔目印線との間の角度と比較することを更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記治療が、アンチエイジング製品の適用を含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記アンチエイジング製品が、クリーム又はローションである、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記アンチエイジング製品が、1つ以上のアンチエイジング活性成分を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記製品が、レジメンの一部として適用される、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記製品及び/又は前記レジメンが、(i)の後に改変される、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記改変が、第1の製品の代わりに異なる製品を使用すること、前記第1の製品に加えて新たな製品を使用すること、前記レジメンを変更すること、又は前記製品が前記顔の上に残される時間の量を変更すること、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記治療が、アンチエイジング処置を含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記アンチエイジング処置が、1つ以上の充填剤の注入、形成外科手術、剥離治療、レーザー治療、光治療、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、様々な製品の使用によって皮膚の改善を評価する方法、及び必要に応じて又は所望に応じてその使用に対する改変を行う方法に関する。
【背景技術】
【0002】
人は、特に老化し、特定の特徴がそのような老化の徴候を示し始めると、多くの場合、若々しい見た目を望む。特に、老化した顔の特徴は、時には望ましくないと考えられる場合があり、使用者は、これらの老化の徴候を逆転させるか、さもなければ改変しようとする。老化した皮膚の1つの簡単な尺度は、若さの三角形(triangle of youth)と呼ばれる。若さの三角形は、頬骨と顎の中心との間に形成される線によって測定される実質的に三角形の形状である。「若々しい」三角形は、逆三角形の形状を有すると考えられ、各頬骨と顎の中心とを結ぶ線が形成する角度がより小さい(すなわち、頬骨が高い、頬がふっくらとしている、及び下顎の輪郭が明確である)。より老化した三角形は、より広い角度と関連しており、下顎の輪郭の側部から眼の中心まで測定される「老化のピラミッド(pyramid of age)」を形成するように反転していると考えられ得る。
【0003】
硬くなった皮膚を助け、老化の徴候を改変するのを助けるために、様々な製品が利用可能であるが、多くの場合、そのような製品の有効性は見分けるのが困難である。したがって、特定のレジメン又は特定の製品が老化の徴候を改変するのに有効であるかどうかを知ることは困難である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
有効性の客観的な測定を可能にし、使用者が必要に応じてレジメン又は製品の使用を改変することを可能にする方法を開発する必要がある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様は、下顎の輪郭及び顎を有する顔に対する治療の有効性を決定する方法であって、
(a)治療の使用前に顔の第1の前向き画像を提供することと、
(b)顔のy軸を識別することであって、y軸が、顔の中心を通って顔の顎の中心位置を結ぶ線によって定義される、ことと、
(c)顔のx軸を識別することであって、x軸が、y軸から90度の角度に位置付けられ、顔の顎の中心を通る線によって定義される、ことと、
(d)顔の下顎の輪郭に沿って顔目印を選択することと
(e)顔目印線を識別することであって、顔目印線が、顔の顎の中心位置と顔目印とを結ぶ線によって定義される、ことと、
(f)x軸と顔目印線との間の角度を測定することと、
(g)顔に対して治療を行うことと、
(h)治療後の顔の第2の前向き画像を提供することと、
(i)ステップ(b)~(f)を繰り返すことと、を含む、方法に関する。
【0006】
1つ以上の実施形態では、治療後の顔の第1の前向き画像は、治療の少なくとも1週間後に撮影される。いくつかの実施形態では、追加の前向き画像が提供され、ステップ(b)~(f)が治療期間中に繰り返される。1つ以上の実施形態では、追加の前向き画像が提供され、ステップ(b)~(f)が治療期間中に繰り返される。いくつかの実施形態では、本方法は、(j)治療前のx軸と顔目印線との間の角度を、治療後のx軸と顔目印線との間の角度と比較することを更に含む。1つ以上の実施形態において、治療は、アンチエイジング製品の適用を含む。いくつかの実施形態では、アンチエイジング製品は、クリーム又はローションである。1つ以上の実施形態において、アンチエイジング製品は、1つ以上のアンチエイジング活性成分を含む。いくつかの実施形態では、製品は、レジメンの一部として適用される。1つ以上の実施形態において、製品及び/又はレジメンは、(i)の後に改変される。いくつかの実施形態では、改変は、第1の製品の代わりに異なる製品を使用すること、第1の製品に加えて新たな製品を使用すること、レジメンを変更すること、又は製品が顔の上に残される時間の量を変更すること、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。1つ以上の実施形態では、治療は、アンチエイジング処置を含む。いくつかの実施形態では、アンチエイジング処置が、1つ以上の充填剤の注入、形成外科手術、剥離治療、レーザー治療、光治療、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1A】それぞれ、若い顔及び年老いた顔の図を示す。
【
図1B】それぞれ、若い顔及び年老いた顔の図を示す。
【
図2A】それぞれ、下顎輪郭角度の描写及び様々な顔目印を有する顔の図を示す。
【
図2B】それぞれ、下顎輪郭角度の描写及び様々な顔目印を有する顔の図を示す。
【
図3】公的に利用可能なCACDデータセットからの正面画像の分析に基づいて、様々な年齢層について計算された平均下顎輪郭角度を示す。
【
図4】公的に利用可能なFairFaceデータセットからの正面画像の分析に基づいて、各年齢層について計算された平均下顎輪郭角度を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明は、製品又は製品を使用するレジメンの有効性を決定する方法に関し、更に、使用者に対して効果的に利益を提供するために、製品を使用する方法又は製品の使用を改変する方法に関する。所望の利益は、一般に、使用者の顔における老化の徴候を低減することとみなされ、以下でより詳細に説明される。この利益を提供することが意図される任意の1つ以上の製品は、本発明において有用であり得、以下に記載される特定のアンチエイジング製品を含む。
【0009】
したがって、本発明の一態様は、下顎の輪郭及び顎を有する顔に対する治療の有効性を決定する方法であって、
(a)治療の使用前に顔の第1の前向き画像を提供することと、
(b)顔のy軸を識別することであって、y軸が、顔の中心を通って顔の顎の中心位置を結ぶ線によって定義される、ことと、
(c)顔のx軸を識別することであって、x軸が、y軸から90度の角度に位置付けられ、顔の顎の中心を通る線によって定義される、ことと、
(d)顔目印を選択することと、
(e)顔目印線を識別することであって、顔目印線が、顔の顎の中心位置と顔目印とを結ぶ線によって定義される、ことと、
(f)x軸と顔目印線との間の角度を測定することと、
(g)顔に対して治療を行うことと、
(h)治療後の顔の第2の前向き画像を提供することと、
(i)ステップ(b)~(f)を繰り返すことと、を含む、方法に関する。
【0010】
本明細書で使用される場合、「治療」は、顔の皮膚に対する効果、特にアンチエイジング効果を有することが意図される任意の活動を指す。治療の例としては、限定されないが、アンチエイジング製品の適用、又は以下に更に詳述されるようなアンチエイジング処置が挙げられる。
【0011】
本明細書で使用される場合、「前向き画像」は、顔の両側の輪郭(outline)が実質的に対称である(顔の任意の自然に生じる非対称性を補正する)ように、正面から撮影された顔の画像を指す。好ましくは、比較されている前向き画像は、対称性に関して可能な限り忠実に一致すべきである。
【0012】
本明細書で使用される場合、「顔の顎の中心位置」は、前向き画像において顔上に現れる最下点をいう。
【0013】
本明細書で使用される場合、「顔の中心」は、顔の最も広い部分の中点を指す。更なる実施形態では、中点は、顔の右側及び左側の点の複数の対にわたる平均として計算され得る。すなわち、顔の最も広い点の上及び/又は下にある下顎の輪郭に沿った点の対を平均して、顔の中心を計算することができる。
【0014】
本明細書で使用される場合、「顔目印」は、顔の下顎の輪郭に沿って選択される任意の点を指す。
【0015】
人の顔は多くの特徴を有し、個人が年齢を重ねるにつれて様々な老化の徴候を示す。老化の徴候としては、例えば、頬の平坦化、頬の上の皮膚の垂れ下がり、下顎の輪郭のたるみ、下顎の輪郭における明確さの欠如、及び首と顎との間に蓄積する脂肪が挙げられる。若々しい外観を有すると考えられる顔は、頬骨と顎の中心とを結ぶ線によって定義される「若さの三角形」を示すとみなされる。より老化した外観を有すると考えられる顔は、下顎の側部と眼の中心とを結ぶ線によって定義される老化のピラミッド(pyramid of aging)を示すとみなされる。
【0016】
より若々しく、かつより若く見える顔は、上述した三角形と関連した、より「逆ピラミッド」形状を有する傾向がある。この若々しい形状は、以下に説明され、かつ
図1Aに示される、より大きな角度と関連している。
図1Aに示される顔は、顎から顔まで測定される角度がより大きく、一方、
図1Bに示される顔は、顎から測定される角度がより平坦である。
図1Bに示される顔の、より小さくかつより平坦な角度は、より老化した外観と関連している。この角度が大きくなるにつれて、効果は、視覚的な老化の徴候を低減し、したがって、より「若々しい」見た目及び外観を使用者に提供することである。
【0017】
老化プロセスによりこの下顎輪郭角度が変化するので、下顎輪郭角度はまた、年齢推定のための測定ツールとして、又は製品の適用後若しくは治療期間後の老化の(age)外観の有効な改善を決定するために有効であり得る。したがって、本明細書に説明される下顎輪郭角度方法は、使用者の顔を評価し、例えば、角度が経時的に減少し始めたら、アンチエイジング治療を必要とする又は所望するかどうかを判断するための方法として有効である。いくつかの例では、これは、使用者がアンチエイジング治療又はレジメンを以前に受けていない場合であっても、使用者を助けるプレ老化(pre-aging)ツールとして有用であり得る。本発明の目的は、以下に説明する角度を評価し、若さの三角形と関連する老化の徴候を低減する際のその効力(efficacy)を決定することである。効力を決定することによって、治療に対する改変がなされ得る。これは、以下により詳細に説明される。
【0018】
より若々しい外観を維持するために、一部の個人は、老化の徴候を低減し、「若さの三角形」の見た目を維持することを望む場合がある。より若々しく見える皮膚のいくつかの特徴としては、より明確な頬骨、ボリュームのある皮膚の外観、及びよりはっきりとした(contoured)下顎の輪郭の外観が挙げられる。老化した皮膚の特定の指標としては、頬の扁平な外観の減少、法令線の出現(頬の上の皮膚の垂れ下がり)、及び下顎の輪郭のたるみが挙げられる。
【0019】
個人が老化の特徴を改善するか又は若々しい特徴を強調することができる場合、その個人は、自分の顔及び皮膚がより心地よい審美的外観を有すると感じ得る。皮膚の特徴の改善は、以下に記載されるように、1つ以上の皮膚製品又は製品適用のレジメンの使用を通して達成され得る。しかしながら、特定の製品又はレジメンが有効に機能しているかどうかを使用者が判断することは困難である場合が多い。本発明は、使用者の顔がより若々しい外観を示しているか、又は顔における老化の徴候を低減しているかを、使用者がより有効かつ明確に識別することを可能にする。
【0020】
老化の徴候の治療
顎の先端から顔まで(例えば、個人のこめかみ又は耳まで)測定される角度を大きくすることができる方法、製品、及びレジメンを含む、老化の徴候を治療する方法がある。製品は、ローション、クリーム、又は当該技術分野において既知の他の形式の形態であってもよい様々なアンチエイジング製品を含んでもよい。そのようなアンチエイジング製品は、レチノイド、ヒドロキシ酸及びペプチドなどの1つ以上のアンチエイジング活性成分を含有し得る。レチノイドの例としては、レチノール、レチンアルデヒド、レチノイン酸、パルミチン酸レチニル、イソトレチノイン、タザロテン、ベキサロテン、及びアダパレンが挙げられるが、これらに限定されない。特定の実施形態では、レチノイドは、レチノールである。ポリヒドロキシ酸は、多くの場合、保湿剤、抗刺激剤及び保水剤として作用し得る複数のヒドロキシル基を有する酸である。ポリヒドロキシ酸の例としては、グルコン酸ラクトン及びアルドン酸ラクトン、例えばアロノラクトン、アルトロノラクトン、グルコノラクトン、グルコヘプトノラクトン、マンノラクトン、グロノラクトン、イドノラクトン、ガラクトノラクトン、タロノラクトン、ラクトビオン酸、マルトビオン酸、及び酒石酸が挙げられるが、これらに限定されない。αヒドロキシ酸は、隣接する炭素原子上でヒドロキシル基で置換されたカルボン酸を含有する化合物である。αヒドロキシ酸の例としては、グリコール酸、リンゴ酸、酒石酸、尿酸、マンデル酸、又は前述のいずれかの任意の組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。ペプチドの一例としては、米国特許第9,067,969号(その全内容は参照により本明細書に開示される)に記載及び開示されているそれらのN-アシルジペプチド誘導体などのジペプチドが挙げられる。皮膚を引き締めるのに役立ち得るか、又は老化の徴候を低減し得る他の美容成分及び製剤が利用可能である。これらの製品のいくつかは、1日1回適用され、いくつかは、1日2回適用されてもよく、いくつかは、規則的又は不規則な間隔のいずれかで、1日2回より多く適用されてもよい。いくつかの製品は、皮膚上に残され得るか、又はいくつかは、適用後の特定の期間の後に除去され得る。このような製品の適用レジメンは、それらの有効性及び所望の影響に応じて異なり得る。
【0021】
しかしながら、製品の有効性に応じてこのような製品の使用を改変することが望ましい。場合によっては、製品は、製品を1日1回適用することによって、ある使用者には有効であり得るが、同製品が、製品を1日2回適用することによって、別の使用者に同じ有効性を与え得る。特定の製品又はレジメンが特定の使用者によって使用される際にその有効性を理解し、その使用者における実際の有効性に応じて製品及び/又はレジメンを改変することは有用であろう。加えて、本明細書に記載される方法は、特定の製品又はレジメンが個体集団又は個体群によって使用される際にその有効性を決定し、それによって、その製品又はレジメンが老化の徴候の低減に成功しているかどうかを評価するのに有用であり得る。更に、本方法は、個体群にわたるその有効性に応じて製品及び/又はレジメンを改変するための指示を提供するのに有用であり得る。本技術革新(innovation)は、特定の使用者に改善された有効性を提供するのに役立つように、製品及び/又はレジメンを提供又は改変する方法を提供し、いくつかの事例では、本方法は、特定の使用者のために使用するための特定の製品を生成するのに役立ち得る。いくつかの態様では、製品は、特定の1つ以上の成分を含んでもよく、又は特定レベルの1つ以上の成分を含んでもよい。いくつかの態様では、本方法は、例えば、特定の使用者が製品を1日1回、又は1日2回、又は1日2回より多く適用し得る場合、製品の適用レジメンを決定するのに役立ち得る。
【0022】
有効性を決定する方法
本明細書では、老化の徴候に影響を及ぼすことが意図される製品、一連の製品、又はレジメンの有効性を決定する方法が提供される。本方法は、製品又はレジメンが老化の徴候を改善するのに有効であるかどうかを使用者が判断するのを助けることができるだけでなく、使用者が従っている1つ以上の製品又はレジメン(複数可)を改変するように使用者を誘導するのを助けることもできる。本方法は、経時的に有効性を決定するために、又は製品(複数可)若しくはレジメン(複数可)に対して変更がなされたときに、繰り返されてもよい。
【0023】
使用者の下顎の輪郭の角度、例えば、若さの三角形の底点を決定する方法は、アルゴリズムを使用して、前向き画像から顔の下顎の輪郭目印位置を推定することから始まる。座標系は、顎の位置を基準点として使用して定義することができる。顎の位置により、顎の中心から顔の中心までの線を決定し、y軸として設定することができる。x軸は、y軸から90度の角度で顎の中心からの線として定義される。x軸及びy軸は、
図2に見ることができる。1つ以上の下顎輪郭角度は、
図2に見られるように、x軸に対して、顎から任意の検出された下顎の輪郭目印まで形成される線間で計算されることができる。望ましくは、一貫した下顎輪郭角度測定のために、特定の使用者についての角度は、同じ下顎の輪郭目印を用いて計算されるべきであり、望ましくは、測定は、一貫した顔姿勢及びカメラ焦点距離を用いて時系列正面顔画像から行われる。
【0024】
上述した方法のように、角度測定は、下顎の輪郭がはっきりと見え、遮られていない任意の正面顔画像に適用することができる。本明細書では、下顎の輪郭を使用して正面顔画像を説明するが、顔の側部、上部、又は底部などの異なる基準点を使用して、製品又はレジメンの有効性を決定する際に他の角度が有用であり得ることが企図される。
【0025】
角度を決定するステップは、老化の徴候を治療するのを助けるために、使用者が製品を塗布している期間である「治療期間」中に1回以上行われてもよい。例えば、治療期間は、アンチエイジング製品の適用の開始(又はそのような適用の開始の直前)からそのような適用の完了までであってもよく、数日、数週間、数ヶ月、又は更には数年であってもよい。本方法は、老化の徴候の治療の有効性を評価することと、必要に応じて、製品及び/又は製品の適用レジメンを改変することと、を含む。
【0026】
治療期間中、及び任意選択で治療期間の前又は後に、経時的に一貫して取得された正面顔画像から下顎輪郭角度を計算することによって、治療有効性を評価及び分析してもよい。所望の結果に応じて、角度の変化は、製品及び/又はレジメンが老化の徴候の治療に成功したことを示す改善とみなしてもよい。例えば、角度は、毎日、又は設定された日数の一貫した使用の後に測定されてもよい。いくつかの態様では、角度の変化は有効であると決定され、この態様では、使用者は、製品を使用していたように製品を使用し続けることができる。有効性の継続を決定するために、別の設定期間後(例えば、毎日、又は設定された日数の後)に角度測定を繰り返すことが望ましい場合がある。代替として、完全な所望の結果が満たされた場合、使用者は、製品の使用を中止することを選択してもよい。製品の使用を中止した後であっても、角度測定ステップを行って、使用後に有効性が維持されているかどうかを判断することができる。
【0027】
しかしながら、角度の変化が、意図された期間後に有効な結果のために所望されるほど大きくないと判断される場合、老化の改善は、所望されるほど有効ではないと考えられ得る。この場合、使用者は、製品若しくは成分を追加若しくは置換すること、より強い形態の製品を使用すること、又は適用レジメンを改変すること(例えば、製品をより頻繁に又は異なる期間で使用すること)のうちの1つ以上を含む、提供される治療を改変してもよい。製品及び/又はレジメンの有効性は、角度の変化によって決定されるが、特定の製品又はレジメンが有効であるかどうかの判断は、所望の結果に依存し得、人によって異なり得る。例えば、ある使用者では、設定期間にわたる所望の角度改変は0.1度であり得るが、別の使用者では、同じ設定期間にわたる所望の角度改変は0.5度以上であり得る。
【0028】
製品及び/又はレジメンの有効性は、設定期間後の少なくとも0.1度の角度変化として定義され得、又は少なくとも0.5度の角度変化であり得、又は少なくとも1度の角度変化であり得る。あるいは、製品及び/又はレジメンの有効性は、開始角度と比較して少なくとも1%増加した角度、又は開始角度と比較して少なくとも3%増加した角度、又は開始角度と比較して少なくとも5%増加した角度として定義され得る。再び、所望の角度変化は、治療期間が開始した後の設定期間の後であり、設定期間は、1日であってもよく、1週間であってもよく、1ヶ月であってもよく、2ヶ月であってもよく、3ヶ月であってもよく、又は任意の他の所望の期間であってもよい。有効性が個人群又は使用者集団について決定される態様では、有効性は、使用者群にわたる統計的に有意な改善として定義され得る。
【0029】
非限定的な例として、使用者は、治療期間の開始前に14.0度の開始下顎輪郭角度を有し得、0.1%の有益成分を有する局所リーブオン組成物を1日1回の割合で8週間適用した後、得られる角度は14.7度であり得る。有効性が、8週間後の開始角度と比較して少なくとも0.5度の角度の増加として定義される場合、製品及びレジメンは有効であると考えることができ、製品又はレジメンに対する変更は必要ない。使用者は、レジメンを終了してもよく、又は所望に応じてレジメンを継続してもよい。しかしながら、有効性が、8週間後の開始角度と比較して少なくとも1.0度の角度の増加として定義される場合、製品及びレジメンは、無効であると考えることができ、使用者は、治療を改変してもよい。例えば、使用者は、より多くの量の有益成分を有する製品を使用してもよく、又は製品をより頻繁に適用してもよく、又はレジメンに追加の製品を加えてもよく、又は有益成分を代替製品と置き換えてもよい。
【0030】
非限定的な例として、使用者は、14.0度の開始下顎輪郭角度を有してもよく、製品中に0.1%の有益成分を有する組成物を1日1回の割合で8週間適用した後、得られる角度は14.7度であり得る。有効性が、8週間後の開始角度と比較して少なくとも5%の角度の増加として定義される場合、製品及びレジメンは有効であると考えることができ、製品又はレジメンに対する変更は必要ない。使用者は、レジメンを終了してもよく、又は所望に応じてレジメンを継続してもよい。しかしながら、有効性が、8週間後の開始角度と比較して少なくとも10%の角度の増加として定義される場合、製品及びレジメンは無効であると考えることができ、使用者は治療を改変してもよい。例えば、使用者は、より多くの量の有益成分を有する製品を使用してもよく、又は製品をより頻繁に適用してもよく、又はレジメンに追加の製品を加えてもよく、又は有益成分を代替製品と置き換えてもよい。
【0031】
いくつかの実施形態では、本方法は、局所製剤以外の治療の有効性及びその改変の必要性を評価するのに有用であり得る。例えば、充填剤の注入、美容処置などによって、顔の特徴の見た目を改善しようとする個人がいることが知られている。本明細書に記載される方法は、そのような治療方法が有効であるかどうかを判断するのに有用であり得る。したがって、本方法は、充填剤の注入の前後、又は美容処置の前後の角度を比較することができる。角度測定は、ある長さの時間又は様々な長さの時間にわたって行われて、意図された利益結果が個人においてどれだけ長く残るかを決定することができ、使用者が別の治療(例えば、充填剤の注入)をいつ受けることができるかを決定することができる。
【0032】
治療の改変
本明細書に記載される本発明の方法は、治療(例えば、美容製品若しくは治療製品(複数可)の適用及び/又は治療レジメン)が老化の徴候を低減するのに有効であるかどうかを判断するのに有用である。治療の有効性は、使用者にとって有益であり得、いくつかの態様では、本方法は、製品又はレジメンの有効性の決定に応じて治療を改変するステップを更に含んでもよい。治療は、1つ以上の美容治療又は美容処置を含んでもよい。例えば、治療は、1つ以上の充填剤の注入、美容処置(形成外科手術を含む)、剥離治療、レーザー治療、又は光治療の使用を含んでもよい。治療はまた、又は代替的に、使用者の顔の皮膚への1つ以上の美容製品の適用を含んでもよく、1つ以上の老化の徴候を低減する美容効果をもたらす。測定は、治療期間中の任意の時点で行われてもよく、ベースライン角度(ベースライン角度は治療期間前の角度として定義される)と比較されてもよい。
【0033】
本方法は、治療を改変するステップを含んでもよい。上述したように、治療は、本明細書で使用される場合、設定された時間に使用者の顔の皮膚に1つ以上の化粧品を適用することを含み、1つ以上の製品は、その中に特定量の有益成分を有する。治療を改変することは、例えば、評価されている製品の代わりに異なる製品を使用することを含んでもよい。あるいは、評価されている製品に加えて新たな製品を使用することを含んでもよい。改変は、評価されている期間よりも長い又は短い期間、使用者の顔の皮膚上に製品を残すことを含んでもよい。改変は、評価されている製品中の有益成分(複数可)の量を変更することを含んでもよい。改変は、評価されている製品のために現在使用されているレジメンを変更することを含んでもよい。レジメンを変更することは、例えば、より多くの若しくはより少ない製品を適用すること、又はより頻繁に若しくはより少ない頻度で製品を適用すること、又は製品の適用順序を変更すること、又は使用される製品/複数の製品を変更することを含み得る。有効性の継続を決定するために、治療期間中に2回以上角度を測定することが望ましい場合がある。
【0034】
使用者が別の治療を受けるべきかどうかを判断するために、治療期間が完了した後に角度を1回以上測定することが望ましい場合がある。例えば、治療は有効であると考えられていてもよく、更なる治療は不要であると判断されていてもよいが、ある期間(例えば、3ヶ月、6ヶ月、1年、又は他の期間)の後、有効性が低減していると決定される。このとき、使用者は、治療を繰り返すことを選択してもよいし、異なる治療を受けることを選択してもよい。新しい治療期間が始まってもよく、本明細書に記載される方法を新たな治療のために繰り返してもよい。
【0035】
製品及び/又はレジメンの有効性に関するデータをコンパイルし、製品及び/又はレジメンの広告又はマーケティングなどを用いて、この有効性レベル及び本明細書に記載されるような決定方法を伝達することが望ましい場合がある。いくつかの態様では、有効性のレベルは、製品又はパッケージと、例えばそのラベルなどと関連していてもよい。
【0036】
方法
本発明の1つの方法は、以下のステップのうちの1つ以上を含む。本方法は、アンチエイジング製品が適用されるべき使用者の顔の画像を撮影することと、上記の
図2に記載されるような点のセットを確立することと、を含んでもよい。顎の中心が決定され、x軸及びy軸が決定される。顎の中心から下顎の輪郭上の所望の点までの角度をx軸と比較して測定し、角度を初期ベースラインとして設定する。次いで、治療期間が始まり、使用者は、設定期間に1つ以上の製品を適用するか、又は上記の他の治療が顔に対して行われる。例えば、設定期間は、毎日又は1日に複数回であってもよい。所望の期間(例えば、1日、数日、1週間、数週間)の後、角度を再び測定し、初期ベースラインと比較する。ベースライン角度と測定された角度との差を計算し、所望の角度変化と比較する。いくつかの態様では、所望の角度変化は、実際の角度変化よりも大きく(無効な治療の発見をもたらす)、いくつかの態様では、所望の角度変化は、実際の角度変化以下である(有効な治療の発見をもたらす)。
【0037】
所望の角度変化が実際の角度変化よりも大きい場合、製品及び/又はレジメンに対する改変を行うことができる。改変は、皮膚に適用される製品の量若しくは頻度を変更すること、又は異なる製品と交換すること、又は別の製品をレジメンに追加すること、又は有益成分の活性量を増加若しくは減少させることなどの上記の任意の改変であり得、あるいは、他の非局所的治療が上記のように行われてもよい。別の所望の期間(例えば、1日、数日、1週間、数週間)の後、角度を再び測定し、ベースラインと比較し、任意の他の角度測定値とも比較する。例えば、新たな角度測定値を前回の角度測定値と比較し、変化を決定することが有用であり得る。所望の角度変化が実際の角度変化よりも大きい場合、製品及び/又はレジメンに対する別の改変を行ってもよい。
【0038】
角度測定及び比較は、所望の角度変化が見られるまで、必要な回数だけ繰り返してもよい。製品及び/又はレジメンは、所望の角度変化に等しいか又は近い角度変化をもたらす製品及び/又はレジメンを提供するために、必要に応じて改変してもよい。所望の角度変化が満たされたら、治療期間は、必要に応じて終了してもよい。いくつかの態様では、治療期間が終了した後の特定の期間に、角度を再び決定して、老化の徴候の有効な低減が減少した(老化の徴候を示す)かどうかを評価してもよい。角度が、老化の徴候の減少がもはや存在しないか、又はそれらの有効性を失っていることを実証する場合、使用者は、同じ又は異なる製品及び/又はレジメンのいずれかを用いて別の治療期間を受けることを選択してもよい。この態様では、必要に応じて本明細書に記載の方法を繰り返してもよい。
【実施例】
【0039】
実施例1-製品使用前及び使用後の下顎輪郭角度の評価
42人の対象を、3つの期間(ベースライン、6週目及び16週目)で評価した。各期間で、顔画像を撮影し、評価した。対象のうちの4人は、16週目に画像を有さず、したがって、生成された最終数は、38人の対象についてであった。
【0040】
本発明の1つ以上の実施形態に従って、正面顔画像を使用して、顔目印を検出し、下顎輪郭角度を計算した。最初に、公的に利用可能なDLIBライブラリ(Davis E.King.Dlib-ml:A Machine Learning Toolkit.Journal of Machine Learning Research 10,pp.1755-1758,2009)に含まれる「顔目印検出」アルゴリズムを使用して、68個の顔目印(
図2Bを参照)を正面顔画像から自動的に検出する。
【0041】
第2に、Y軸(正中面)を、
図2Bに示される点#8(顎の中心位置)及び全ての目印点の平均(顔の中心)に基づいて決定した。X軸を、Y軸から90度の角度で引いた。
【0042】
第3に、下顎輪郭角度を、点#8及び点#10から形成される線とX軸との間で計算する。
【0043】
下顎輪郭角度を使用して、各期間における角度を評価し、製品の有効性を決定した。上述したように、角度の増加は、若々しい外観の増加(したがって、老化の徴候の減少)に関連すると判断された。
【0044】
この試験における各使用者は、市販のアンチエイジングフェイシャルクリームを使用した。この製品は老化の徴候を改善することが期待され、したがって、本明細書に記載の試験方法を評価するのに有用である。具体的には、この製品は、製品使用の6週後に0.56、16週後に0.64の角度の平均改善を提供することが予想された。製品によって示されるように、製品を使用者の顔に1日2回適用した。製品を皮膚に擦り込み、除去せずに放置した。
【0045】
全体として、ベースラインでの平均角度は15.52度であり、6週目では平均角度は16.09度であり、16週目では平均角度は16.17度であった。6週目及び16週目の角度測定値の改善は、ベースラインと有意に異なり、有効であると判断された。これは、本明細書に記載される角度測定方法が正確であり、有効性を決定することができることを実証する。
【0046】
上記のように、この研究は、製品がその使用及びレジメンにおいて有効であることを実証したが、角度が所望の量まで改善されなかった場合、使用される治療を、所望又は必要に応じて改変することができた。改変は、別の製品を追加すること、異なる製品で置換すること、有益成分の割合を増加若しくは減少させるように使用される製品を改変すること、又は製品をより頻繁に若しくはより少ない頻度で使用するようにレジメンを改変することのうちの1つ以上を含むことができた。所望であれば、製品及び/又はレジメンを改変するために、角度測定をより頻繁に行うことが有用であり得る。治療開始から6週間後及び16週間後に行われた測定は、十分であり得るか、又はより高い頻度若しくはより低い頻度で、若しくはより長い期間(例えば、より長い治療期間)の後に測定を行うように改変され得る。
【0047】
実施例2-Cross-Age Celebrity Datasetに基づく下顎輪郭角度の計算
コンピュータビジョンにおける最近の進歩により、研究者らは、それぞれの年齢と共に公的に利用可能な顔画像を含む様々なデータセットを収集している。1つのそのようなデータセットは、16歳から62歳までの範囲の年齢でインターネットから収集された2,000人の有名人からの160,000枚を超える画像を含む、Cross-Age Celebrity Dataset(CACD)である。160,000枚のうち、50,852枚が鮮明な正面顔画像であった。実施例1に記載した下顎輪郭角度分析方法を使用して、下顎輪郭角度を各画像について計算し、平均結果を10歳の年齢間隔ごとにグループ分けする。
【0048】
平均下顎輪郭角度は、11~20歳、21~30歳、31~40歳、41~50歳、51~60歳、及び61~70歳の年齢群について、それぞれ、23.17、23.01、22.59、22.21、21.82、及び21.84である。下顎輪郭角度は、10歳ごとにおおよそ約0.5度、年齢と共に一貫して減少することが分かる。
図3は、公的に利用可能なCACDデータセットからの正面画像の分析に基づく各年齢層(11~20、21~30、31~40、41~50、51~60、61+)についての平均下顎輪郭角度と共に、結果をグラフで示す。エラーバーは、95%信頼区間を表す。下顎輪郭角度は、
図3に見られるように、若さの三角形からの若々しい外観の喪失を捉えることができる。これは、角度が経時的に減少することを実証し、角度が老化と関連することを実証する。
【0049】
実施例3-FairFaceに基づく下顎輪郭角度の計算
先の実施例におけるCACDデータセットは、下顎輪郭角度に対する老化の影響の情報を与えるが、その集団サンプリングには2つの制限がある:1)白人の顔に強く偏っていること、及び2)下顎輪郭角度を変更する矯正処置の可能性がより高い有名人に基づいていること。方法を拡大し、一般的な集団を表すために方法をより包括的かつ多様にするために、下顎輪郭角度測定方法分析は、有名人に限定されない別の公的に利用可能なデータセットまで拡張され、特に、既存の公的な顔画像データセットによる人種バイアスを緩和するために作成された。このデータセットはFairFaceと呼ばれ、人種バランスに重点を置いた100,000枚を超える顔画像を含む。データセットのうち、8604枚の画像は、本発明の方法論で使用するのに適した鮮明な正面画像であった。実施例1に記載された下顎輪郭角度分析方法を使用して、平均下顎輪郭角度を、データセットに含まれる各年齢層について計算した。
図4は、公的に利用可能なFairFaceデータセットからの正面画像の分析に基づく、各年齢層の平均下顎輪郭角度を示す。エラーバーは、95%信頼区間を表す。
【0050】
図から分かるように、平均下顎輪郭角度は、0~2歳、3~9歳、10~19歳、20~29歳、30~39歳、40~49歳、50~59歳、60~69歳、及び70歳超の年齢群について、それぞれ18.81、21.39、21.40、20.74、20.15、18.84、18.58、18.40、及び18.60である。平均下顎輪郭角度は、年齢群20~29歳と年齢群50~59歳との間で10歳ごとに約0.72度減少する。この結果は、先の実施例と一致しており、更に、年齢と共に下顎輪郭角度が減少するという一般法則を実証する。
【0051】
〔実施の態様〕
(1) 下顎の輪郭及び顎を有する顔に対する治療の有効性を決定する方法であって、
(a)前記治療の使用前に前記顔の第1の前向き画像を提供することと、
(b)前記顔のy軸を識別することであって、前記y軸が、前記顔の中心を通って前記顔の前記顎の中心位置を結ぶ線によって定義される、ことと、
(c)前記顔のx軸を識別することであって、前記x軸が、前記y軸から90度の角度に位置付けられ、前記顔の前記顎の中心を通る線によって定義される、ことと、
(d)前記顔の前記下顎の輪郭に沿って顔目印を選択することと、
(e)顔目印線を識別することであって、前記顔目印線が、前記顔の前記顎の前記中心位置と前記顔目印とを結ぶ線によって定義される、ことと、
(f)前記x軸と前記顔目印線との間の角度を測定することと、
(g)前記顔に対して前記治療を行うことと、
(h)前記治療後の前記顔の第2の前向き画像を提供することと、
(i)ステップ(b)~(f)を繰り返すことと、を含む、方法。
(2) 前記治療後の前記顔の前記第2の前向き画像が、前記治療の少なくとも1週間後に撮影される、実施態様1に記載の方法。
(3) 追加の前向き画像が提供され、ステップ(b)~(f)が規則的な間隔で繰り返される、実施態様2に記載の方法。
(4) 追加の前向き画像が提供され、ステップ(b)~(f)が治療期間中に繰り返される、実施態様3に記載の方法。
(5) (j)前記治療前の前記x軸と前記顔目印線との間の角度を、前記治療後の前記x軸と前記顔目印線との間の角度と比較することを更に含む、実施態様4に記載の方法。
【0052】
(6) 前記治療が、アンチエイジング製品の適用を含む、実施態様5に記載の方法。
(7) 前記アンチエイジング製品が、クリーム又はローションである、実施態様6に記載の方法。
(8) 前記アンチエイジング製品が、1つ以上のアンチエイジング活性成分を含む、実施態様7に記載の方法。
(9) 前記製品が、レジメンの一部として適用される、実施態様8に記載の方法。
(10) 前記製品及び/又は前記レジメンが、(i)の後に改変される、実施態様9に記載の方法。
【0053】
(11) 前記改変が、第1の製品の代わりに異なる製品を使用すること、前記第1の製品に加えて新たな製品を使用すること、前記レジメンを変更すること、又は前記製品が前記顔の上に残される時間の量を変更すること、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様10に記載の方法。
(12) 前記治療が、アンチエイジング処置を含む、実施態様11に記載の方法。
(13) 前記アンチエイジング処置が、1つ以上の充填剤の注入、形成外科手術、剥離治療、レーザー治療、光治療、及びそれらの組み合わせからなる群から選択される、実施態様12に記載の方法。
【国際調査報告】