(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】HER2ワクチン組成物
(51)【国際特許分類】
G01N 33/50 20060101AFI20240403BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240403BHJP
A61K 39/00 20060101ALI20240403BHJP
A61P 37/04 20060101ALI20240403BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240403BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240403BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240403BHJP
C12N 15/63 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
G01N33/50 K
A61P35/00 ZNA
A61K39/00 H
A61P37/04
G01N33/53 P
A61K39/395 E
A61K39/395 T
C12N15/12
C12N15/63 Z
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023561907
(86)(22)【出願日】2022-05-03
(85)【翻訳文提出日】2023-10-06
(86)【国際出願番号】 KR2022006317
(87)【国際公開番号】W WO2022235045
(87)【国際公開日】2022-11-10
(32)【優先日】2021-05-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】521548308
【氏名又は名称】アストン エスシーアイ. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000796
【氏名又は名称】弁理士法人三枝国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディシス マリー エル
【テーマコード(参考)】
2G045
4C085
【Fターム(参考)】
2G045AA24
2G045BA13
2G045CA17
2G045CA18
2G045CA19
2G045CA20
2G045DA36
2G045FB03
2G045FB07
2G045FB15
4C085AA03
4C085AA13
4C085BB31
4C085CC22
4C085DD61
(57)【要約】
HER2-ICD DNAワクチン組成物の反応性、すなわち、免疫原性獲得及び治療効果を予測することができる方法に係り、ワクチン接種前、HER2-ICD抗原に対する免疫原性測定により、さらには、反応性を予測することができる方法を利用し、DNAワクチン接種対象を選別することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HER2-ICD(細胞内領域:intracellular domain)DNAワクチンを接種される患者の末梢血単核球(PBMC)において、ワクチン接種前、HER2-ICD抗原に対する免疫原性を検査する方法を含む、HER2-ICD DNAワクチンの反応性を予測する方法。
【請求項2】
前記HER2-ICD DNAワクチンを接種される患者は、HER2を発現する癌患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記HER2-ICD DNAワクチンを接種される患者は、ワクチン接種前、HER2標的治療を受けた経験がない、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記HER2標的治療は、HER2に対する治療用抗体を含む薬学的組成物によるものである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記HER2に対する治療用抗体は、トラスツズマブを含む薬学的組成物によるものである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の方法により、HER2-ICD DNAワクチンを投与する患者を選別する方法。
【請求項7】
前記HER2-ICD DNAワクチンは、配列番号2またはそれと80%以上の配列相同性を有するHER2-ICD領域を暗号化するヌクレオチド配列を含むプラスミドベクターを含む、請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
前記ヌクレオチド配列は、配列番号3、またはそれと80%以上の配列相同性を有する、請求項7に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年5月4日付の米国特許出願第63/183,869号に基づく優先権の利益を主張し、当該米国特許出願の文献に開示された全ての内容は、本明細書の一部として含む。
【0002】
本発明は、HER2ワクチン組成物に関する。
【背景技術】
【0003】
乳癌は、女性において最も頻繁に診断される癌であり、最も一般的な癌死亡の原因であるだけではなく、発生率が高くなり、発病年齢帯は、だんだんと低くなる傾向を示している。
【0004】
これまでの20年間、乳癌治療において、多様な標的治療及び診断法などにより、DFC(disease free survival)を他の癌腫に比べ、相当に改善させた。例えば、外科的な手術、及びパクリタキセルのような化学療法、または放射線療法のような伝統的な癌治療法に加え、エストロゲン受容体(ER:estrogen receptor)陽性乳癌患者には、エストロゲン受容体の活性化を抑制するタモキシフェンのようなER標的治療剤を使用し、HER2陽性患者には、トラスツズマブのようなHER2標的抗体を使用するというように、多様な標的治療剤を利用して乳癌を治療したり、乳癌進行を遅らせたりしている。
【0005】
しかしながら、乳癌治療において、治療方法の進展にもかかわらず、かなり多数の患者は、転移または再発によって死亡する場合が多いために、乳癌再発を低くし、生存率(OS:overall survival)または無病生存率(DFS:disease free survival)を高くしようとする試みがなされてきた。
【0006】
乳癌の転移または再発を防ぐための試みとして、乳癌幹細胞(breast cancer stem cell)に対するバイオマーカーを発掘し、それに対する標的治療を行う方法に係わる研究と共に、乳癌特異抗原に対するワクチンを利用する免疫療法について研究されている。癌ワクチンは、細胞毒性T細胞を活性化させ、活性化されたT細胞が、特定類型の癌細胞を認知し、それに対立して作用させるか、あるいは癌細胞表面に存在する抗原と結合する抗体の生産を誘導するようにデザインされる。
【0007】
これまでの数年間、癌治療または癌再発防止のために、ワクチン研究が広範囲になされたが、前立腺癌ワクチンであるシプリューセル-T(sipuleucel-T(Provenge(商標)))を除いては、成功した事例がまだ存在していない。そのような低い成功率については、特定類型の腫瘍細胞に抗原が特異的に発現されても、各個人によっては、低レベルで抗原を発現するか、あるいは転移性腫瘍の場合、最初発生腫瘍と転移性腫瘍との間に、抗原プロファイルが変化され、腫瘍細胞の免疫回避メカニズムも、一部低成功率の原因として説明されている。
【0008】
望ましいワクチン抗原は、腫瘍細胞において、排他的、または少なくとも上昇されたレベルに発現されなければならない。HER2/neu(以下、「HER2」とする)は、EGFR(epidermal growth factor receptor)のファミリー(EGFR2)であり、多くの癌腫において、EGFRの過発現が観察される。特に、全体乳癌患者の15~30%において、HER2過発現が観察され、HER2発現は、乳癌患者において、再発、及び望ましくない予後と関連していると知られている。
【0009】
HER2は、配列番号1のアミノ酸配列を有する細胞膜貫通タンパク質であり、タンパク質チロシンキナーゼ活性を有する細胞内ドメイン(ICD:intracellular domain)(HER2 a.a. 676-1255)、膜横断ドメイン(TM:transmembrane domain)(HER2 a.a. 653-675)及び細胞外ドメイン(ECM:extracellular domain)(HER2 a.a. 22-652)によって構成されている。
【0010】
乳癌におけるHER2は、相当に広範囲に研究されてきて、数個の免疫原性ペプチドが発掘されている。例えば、HER2タンパク質のアミノ酸369-377のペプチド(nelipepimut-S [NeuVax; HER2 a.a. 369-377; E75 (NP-S)])の場合、樹状細胞にローディングされた後、再注入されたりするというような免疫治療が試みられたが、進行状態の乳癌を有する女性において、臨床的に有意な治療効果または保護効果が報告されていない。そのために、最近、大規模臨床3床において、無病生存率(DFS)において偽薬群と違いがなく、臨床実験が中断されている。
【0011】
他のHER2ペプチドワクチンの例として、HER2-ICDペプチドワクチンであるAE37(LRMK-GVGSPYVSRLLGICL: LRMK-HER2 a.a. 776-790))、HER2-TMペプチドワクチンであるGP2(HER2 a.a. 654-662)などが存在し、それらワクチンにより、生存率が上昇するという効果が一部報告されている。また、HER2-ICD断片(以下、「HER2-ICD」とする)に対するワクチンが、HER2-ECD断片(以下、「HER2-ECD」とする)に対するワクチンに比べ、腫瘍サイズが小さくなるということを動物実験で報告されているが、HER2-ICD DNAワクチンを直接乳癌患者に適用した結果は、報告されていない。
【0012】
疾病治療目的のワクチンは、その特性上、2回以上、特定周期を有して繰り返し投与する場合が多く、対象体の免疫システムを利用した長期免疫原性が生成されなければならないので、ワクチンの効果を確認するためには、長期間の時間が必要である。
【0013】
しかしながら、乳癌患者の治療または再発防止のための癌ワクチンは、癌疾患の特性と、薬物の作用メカニズムとを考慮したとき、長期間の観察後、治療効果がないということを確認したときは、すでに疾病が悪化し、それ以上、治療方法がない場合が多いので、ワクチンに対する治療効果がある患者を事前に選別して薬物を投薬することが何よりも重要である。
【0014】
しかしながら、これまでのところ、乳癌治療ワクチン接種対象を選別することにつき、知られているところがない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】大韓民国登録特許10-1572474号(公告である:2015.11.30.)
【特許文献2】米国公開特許US2002/0193329(公開日:2002.12.19.)
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】Breast Care 2016; 11:116-121
【非特許文献2】Clin Cancer Res; 25(14) July 15, 2019
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
それにより、本発明者らは、前述の問題を解決すべく研究を行った結果、HER2-ICDを暗号化する核酸配列を含むプラスミドを含むDNAワクチン組成物が、乳癌患者において、副作用なしに安定してHER2-ICD抗原に対する免疫原性を高めるだけではなく、前記ワクチン組成物に長期免疫原性を示す患者群を発掘し、本発明の完成に至った。
【0018】
本発明は、DNAワクチン接種前、ワクチン抗原(HER2-ICD抗原)に対する免疫原性を検査する方法を介し、DNAワクチンに対する免疫原性(immunogenicity)獲得と、治療効果(efficacy)とを予測する方法を提供することを目的とする。
【0019】
また、本発明の、DNAワクチンに対する免疫原性獲得と、治療効果とを予測(prediction)する方法を介し、DNAワクチン接種対象を選別(enrichment)する方法を提供することを目的とする。
【0020】
その上にさらに、前記DNAワクチン接種対象を選別する方法を介し、DNAワクチンに対する免疫原性獲得と、治療効果とを有する患者選別のための情報提供方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
前記目的を達成するために、本発明は、DNAワクチン接種前、ワクチン抗原(HER2-ICD抗原)に対する免疫原性を検査する方法を介し、DNAワクチンに対する免疫原性獲得と、治療効果とを予測する方法を提供する。
【0022】
前記DNAワクチンの反応性予測方法を利用し、DNAワクチン接種対象(患者群)を選別することができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明によるDNAワクチン(HER2-ICD DNAワクチン)の免疫原性獲得と、治療効果とを予測する方法は、患者に大きい負担なしに、DNAワクチン接種前、DNAワクチンに対する免疫原性獲得と、治療効果とを予測するだけではなく、DNAワクチンに対する免疫原性獲得と、治療効果とを示すことができるワクチン接種対象(患者群)を選別することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】HER2標的治療に対する露出(exposure to HER2-directed therapy)を基準に、ベースラインにおけるHER2-ICD抗原に対するDNAワクチン投薬前の免疫原性を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0026】
本明細書で使用されているような単数形態(「a」、「an」及び「the」)は、文脈において、取り立てて明確に指示されない限り、複数の対象を含む。
【0027】
本開示内容の特定の特性を記述して請求するにおいて、以下の用語は、取り立てて指定されない限り、以下に記述された定義によって使用されるのである。
【0028】
本願において、ある態様が、「~を含む」という用語と共に記述されても、「~によって構成されている」、及び/または「本質的に~によって構成されている」という観点から記述された他の類似態様も、また提供されるということが理解されなければならない。
【0029】
用語「予防する」は、臨床的緩和状態の患者を、放射線または物理的方法などで検査したとき、乳癌再発(recurrence/relapse)を防いだ成功、または成功の徴候を言う。
【0030】
用語「再発がない」は、臨床的緩和状態の患者を、放射線または物理的方法などで検査したとき、乳癌、または他部位における癌の再発がない状態を意味する。
【0031】
従って、用語「再発(recurrence, relapse)」または「再出現(resurgence)」は、本明細書において相互交換的に使用され、乳癌治療による改善、緩和または寛解(remission)の期間後、乳癌、または他部位における癌の発生に対する徴候または症状を意味する。
【0032】
用語「乳癌がない(free of breast cancer)」、「疾患がない(disease free)」、「完全寛解(complete remission)」、または「疾患の証拠なし(NED:no evidence of disease)」は、患者が、現在標準医療療法による臨床的緩和状態にあることを意味する。その場合、たとえ癌細胞が身体に依然として存在しうるにしても、乳癌の臨床的徴候、放射線学的な徴候及び症状が、臨床診断に基づくとき、相当に低減されているか、あるいは完全に消えたことを意味する。従って、緩和は、部分的及び完全な緩和を含むということを意味する。
【0033】
用語「免疫原性(immunity, immunogenicity)」とは、対象体において、抗原のような特定物質が免疫反応を誘発しうる能力を意味する。本明細書においては、HER2-ICD抗原に対する免疫反応を誘発しうる能力を意味し、前記免疫反応は、インターフェロンガンマに対するエリスポット法(IFN-γELISPOT)(対象体から分離された末梢血単核球(PBMC:peripheral blood mononuclear cell)に、HER2-ICD抗原で刺激する)で測定するが、それに制限されるものではない。
【0034】
本明細書の一実施例においては、末梢血単核球(PBMC)が、HER2-ICDによって刺激されて生産するIFN-γの量をエリスポット法(ELISpot:enzyme-linked immuno-spot assay:)によって測定したとき、ベースライン(baseline)に比べ、HER2-ICD抗原特異的なIFN-γ生産が2倍以上である場合、HER2-ICD抗原特異的なT細胞反応が増大したことにより、ワクチン接種後、免疫原性が生成されたと見なす。
【0035】
用語「免疫反応(immune response)」とは、抗原に対する対象体の免疫系による生理的反応であり、本明細書においては、そのような免疫反応の結果として、HER2-ICD抗原に対する保護免疫を意味するが、それに制限されるものではない。
【0036】
本明細書において、前述の「保護免疫」または「保護免疫反応」は、対象体がHER2-ICD抗原に対して免疫反応を開始し、対象体の免疫系が同一抗原を発現する細胞を標的化させ、破壊することができ、対象体において、癌再発または癌進行を低減させることを意味する。本発明において、該保護免疫は、Tリンパ球によって付与されるが、それに制限されるものではない。
【0037】
本明細書においては、ワクチン投与前(ベースライン)・ワクチン投与後、対象体の末梢血単核球(PBMC)がHER2-ICDによって刺激されて生産するIFN-γの量を、エリスポット法(ELISpot)によって測定したとき、ベースラインに比べ、HER2-ICD抗原特異的なIFN-γ生産が2倍以上である場合、HER2-ICD抗原特異的なT細胞反応が増大したと見なした。
【0038】
用語「ブースター」は、保護免疫を増進、延長または維持し、調節T細胞によって媒介されるT細胞反応の下向き調節を克服するために、患者に投与される一定用量の免疫源を言う。
【0039】
用語「薬剤学的に許容されるもの」は、組成、剤形、安全性などにつき、薬理学的/毒性学的観点から、患者に許容される物質を意味し、「薬剤学的に許容される担体」は、活性成分の生物学的活性の効果を妨害しない媒質を言い、投与時に対象体に無毒性である。
【0040】
用語「約」は、測定可能な値、例えば、重量、持続期間などを言う場合、具体化された値から、±20%、±10%、±5%、±1%または±0.1%の変化を意味しうるが、それらに制限されるものではなく、記述された方法を遂行するのに適する変化を含むものであり、反応性に影響を与えない範囲を意味する。
【0041】
用語である「患者」または「対象体」とは、本発明のワクチン組成物の投与により、疾患が予防されたり治療されたりする病態、例えば、乳癌を病んでいるにしても、治療されているにしても、そのような病態にかかりやすい、生きている有機体を称し、ヒトと動物とのいずれも含む。対象体としては、哺乳動物(例えば、マウス、猿、馬、牛、豚、犬、猫など)を含むが、それらに限定されるものではなく、望ましくは、ヒトである。また、本発明における「患者」または「対象体」は、区分されずに、乳癌患者、またはHER2を発現する乳癌患者を含む。
【0042】
用語「投与すること」とは、本発明が属する技術分野で公知された多様な方法と伝達システム都のうち、任意のものを使用し、ワクチン組成物を対象体に導入することを称する。例示的投与経路は、静脈内、筋肉内、皮下、腹腔内、脊髄、またはその他非経口投与経路、例えば、注射または注入による投与経路を含む。本発明の明細書に使用された「投与」とは、一般的に、注射による皮内(intradermal)投与方式を意味し、静脈内、筋肉内、動脈内、脊髄腔内またはリンパ内の注射及び注入を含むが、それらに限定されるものではない。その他非経口経路としては、局所投与経路、上皮投与経路または粘膜投与経路、例えば、鼻内、膣、直腸または舌下の経路を含む。本明細書においては、対象体に「ワクチン投与(vaccine injection)」、「処置(treatment)」及び「接種(vaccination)」は、区分されずに使用される。
【0043】
本発明において、用語「免疫抗癌剤」は、癌自体を攻撃する既存抗癌剤とは異なり、人工免疫タンパク質を体内に注入し、免疫体系を刺激することにより、免疫細胞が選択的に癌細胞のみを攻撃するように誘導する治療薬剤であり、癌細胞が獲得した免疫抑制または免疫回避メカニズムを克服するために、免疫体系の腫瘍認知能または破壊能を回復または強化させるメカニズムの抗癌剤である。前記免疫抗癌剤は、免疫チェックポイント抑制剤(immune checkpoint inhibitor)、免疫細胞治療剤及び免疫ウイルス治療剤を含むが、それらに制限されるものではない。
【0044】
本発明において、用語「免疫チェックポイント抑制剤」は、一部癌細胞が体内免疫細胞であるT細胞の免疫チェックポイントを活用しながら免疫を回避する場合、T細胞抑制に関与する免疫チェックポイントタンパク質(immune checkpoint protein)の活性化を遮断し、T細胞を活性化させ、癌細胞を攻撃する作用を行う免疫抗癌剤の一種であり、CTLA-4抑制剤、PD-1抑制剤、LAG-3抑制剤、TIM-3抑制剤、TIGIT抑制剤及びVISTA抑制剤を含むが、それらに制限されるものではない。また、前記免疫チェックポイント抑制剤は、拮抗剤であり、拮抗剤抗体または小分子化合物でもある。
【0045】
用語「HER2を標的にする治療法」は、HER2タンパク質の活性を抑制するメカニズムによる治療法を意味するものであり、HER2の活性ドメインを遮断する薬物による治療法を意味する。具体的な薬物として、HER2に対する拮抗作用を行う治療用抗体、小分子、薬物と接合された抗体薬物接合体(ADC:antibody-drug conjugate)などを含むものでもある。代表的な拮抗剤抗体の例として、トラスツズマブがあるが、それに制限されるものではない。本明細書においては、「HER2を標的にする治療法」と「HER2標的治療」は、区分されずに使用される。
【0046】
本明細書に開示された組成物は、DNAワクチンに製造される。本発明の一部実施例において、DNAワクチンは、プローモーター(promoter)、適切な転写及び翻訳の制御要素、及び本発明の1またはそれ以上のポリペプチドを暗号化する核酸配列を有するプラスミドを含む。一部実施例において、前記プラスミドは、さらには、増強(enhance)配列、例えば、発現レベル、細胞内標的化などを増強する配列を含むものでもある。
【0047】
本発明のワクチン組成物の抗原は、HER2遺伝子の a.a.676-1255の細胞内ドメイン(intracellular domain:ICD)(HER2-ICD)である。前記HER2-ICDのポリペプチド配列は、配列番号2のアミノ酸配列と、100%相同性を有するか、あるいはそうではない場合、99%以上、95%以上、90%以上、85%以上または80%以上の相同性を有しうる。ただし、前記特定数値に限定された相同性を有する場合、ワクチン接種によるHER2-ICD抗原に対する免疫原性は、100%相同性を有する配列と、同一または均等な効果を有する。
【0048】
本発明の一部実施例においては、DNAワクチンは、本発明のHER2-ICDを暗号化する核酸配列を含むプラスミドベクターを含む。一部実施例において、前記プラスミドは、pUMVC3(従来の名称は、「pNGVL3」であるので、2つの名称は、混用されうる)プラスミドである。前記HER2-ICDを暗号化する核酸配列は、配列番号3の核酸配列と、100%相同性を有するか、あるいはそうではない場合、99%以上、95%以上、90%以上、85%以上、80%以上の相同性を有しうる。ただし、前記特定数値に限定された相同性を有する場合、ワクチン接種によるHER2-ICD抗原に対する免疫原性は、100%相同性を有する配列と同一または均等な効果を有する。
【0049】
本発明の一部実施例において、DNAワクチンは、ワクチンの効力を強化するか、免疫システムを刺激するか、あるいは免疫抑制を低減させるような生成された免疫反応を調節する免疫調節分子(immunomodulatory molecules)を追加して暗号化することができる。
【0050】
本発明の一部実施例において、HER2-ICD DNAワクチン組成物が投与される患者群は、3期または4期の乳癌患者群であり、HER2を発現する患者群である。患者それぞれは、乳癌標準治療を終えた後、完全寛解(complete remission)状態であるか、あるいは4期乳癌患者群では、安定した骨転移(SBD:stable bone only diseas)だけ許容されている。
【0051】
本発明において、ワクチン組成物は、乳癌再発に対し、保護免疫を誘導及び/または維持することが目的であるので、本発明においては、HER2-ICD抗原に対する細胞毒性T細胞反応を誘導及び/または維持するのに適する任意のスケジュールでもって、本発明のワクチン組成物を患者に投与することができる。例えば、一次予防接種として、本明細書で記述されて例示されるようなワクチン組成物を一定スケジュールで患者に投与した後、保護免疫を誘導及び/または維持するために、ブースターを投与することができる。
【0052】
本発明の一部実施例において、ワクチン組成物は、1ヵ月当たり1回、2回、またはそれ以上の回数で患者に投与されうる。該ブースターは、接種スケジュールを終えた後、一定間隔、例えば、1ヵ月の間隔で、単数回または複数回投与されし、6ヵ月以上の期間を有し、単数回数または複数回投与されうる。本発明の一部実施例において、一次接種に、毎月1回ずつ3回、HER2-ICDワクチンを投与したが、6ヵ月または1年後にさらなるブースターを接種することができる。
【0053】
このとき、ブースターは、一次接種時に使用したワクチン組成物と同一の用量及び構成でもあり、用量及び/または構成が変更されうる。
【0054】
用語「用量」は、対象体に1回投与するワクチン組成物の有効成分(HER2-ICDプラスミドDNA)の総量を意味する。本発明の一部実施例においては、HER2-ICD DNAワクチン組成物の投与用量を、それぞれのアーム(arm)(22人患者群)当たり10μg、100μg及び500μgの3種類アームで選定して投与した。各アームにおいては、それぞれワクチン投与により、HER2-ICD抗原に対する免疫原性が増大することを観察し、各アームで生じたワクチンと係わる副作用は、いずれも等級(grade)1,2(極めて低い等級)であり、等級3~5の深刻な副作用は、発見されていない。副作用と係わり、各アーム間に統計的に有意な違いがなかった。
【0055】
注目すべきことに、本発明のワクチン組成物を投与した患者群においては、HER2-ECDに対する免疫原性を増大させることができた。本発明のDNAワクチン組成物は、HER2-ICDを抗原にするワクチンであり、HER2-ECDまたはペプチドの配列とは異なるが、本発明のワクチン組成物を投与した患者群、特に、アーム2,アーム3患者群において、HER2-ECDに対する免疫反応性も増大されていた。
【0056】
そのような効果を推し量るとき、本発明のワクチン組成物は、HER2-ICDに対する免疫反応性がワクチン投与が終わっても、長期的に持続するということを確認し、乳癌治療において、寛解状態である患者群において、乳癌の再発または転移を予防するのにおいて、優秀な効果を有するのである。
【0057】
本発明のワクチン組成物において、1回投与されるワクチンに含まれたHER2-ICDのプラスミドDNAの総量は、10μgないし1,000μg、20μgないし1,000μg、30μgないし1,000μg、40μgないし1,000μg、50μgないし1,000μg、60μgないし1,000μg、70μgないし1,000μgでもあり、10μgないし900μg、20μgないし900μg、30μgないし900μg、40μgないし900μg、50μgないし900μg、60μgないし900μg、70μgないし900μgでもあり、10μgないし800μg、20μgないし800μg、30μgないし800μg、40μgないし800μg、50μgないし800μg、60μgないし800μg、70μgないし800μgでもあり、10μgないし700μg、20μgないし700μg、30μgないし700μg、40μgないし700μg、50μgないし700μg、60μgないし700μg、70μgないし700μgでもあり、10μgないし600μg、20μgないし600μg、30μgないし600μg、40μgないし600μg、50μgないし600μg、60μgないし600μg、70μgないし600μgでもあり、10μgないし500μg、20μgないし500μg、30μgないし500μg、40μgないし500μg、50μgないし500μg、60μgないし500μg、70μgないし500μgでもあり、;10μgないし900μg、10μgないし800μg、10μgないし700μg、10μgないし600μg、10μgないし500μg、10μgないし400μg、10μgないし300μgでもあり、20μgないし900μg、20μgないし800μg、20μgないし700μg、20μgないし600μg、20μgないし500μg、20μgないし400μg、20μgないし300μgでもあり、30μgないし900μg、30μgないし800μg、30μgないし700μg、30μgないし600μg、30μgないし500μg、30μgないし400μg、30μgないし300μgでもあり、40μgないし900μg、40μgないし800μg、40μgないし700μg、40μgないし600μg、40μgないし500μg、40μgないし400μg、40μgないし300μgでもあり、50μgないし900μg、50μgないし800μg、50μgないし700μg、50μgないし600μg、50μgないし500μg、50μgないし400μg、50μgないし300μgでもある。
【0058】
1回投与されるワクチンに含まれたHER2-ICDのプラスミドDNAの総量が1μg以下であるならば、目的とする免疫反応が起きず、1,000μg超過である場合、注射部位過敏反応や免疫寛容(immune tolerance)が起こり、免疫力がむしろ低減されてしまう。
【0059】
ワクチン接種において、免疫反応原性を予測することは、何より重要である。なぜならば、一般的にワクチンは、2回以上の繰り返し投与を必要とし、ワクチンの目的が、長期免疫原性獲得であるので、ワクチンの効果を確認するためには、長期間の時間が必要である。
【0060】
特に、治療用ワクチンにおいて、ワクチンに含まれた抗原に対する免疫原性獲得、及びそれに係わる持続性(長期免疫原性)は、何より重要であるが、長期免疫原性は、治療効果(efficacy)と直結されるためである。
【0061】
具体的には、癌患者の治療または再発防止のための癌ワクチンの場合、ワクチン接種後、ワクチンの効果がないということを確認したときには、他の治療方法を適用するだけの時間余裕がない場合が多いので、ワクチンに係わる治療効果を期待することができる患者、すなわち、ワクチンに含まれた抗原に対して免疫原性獲得と、長期免疫原性(治療効果)とを有する可能性が高い患者群を事前に選別し、ワクチンを接種することが何より重要である。
【0062】
本発明においては、HER2-ICD DNAワクチン接種前、末梢血単核球(PBMC)において、HER2-ICD抗原に対する免疫原性(immunogenicity, immunity)がほとんどない場合、すなわち、ベースライン(baseline)において、HER2-ICD抗原に対する免疫検査において、免疫反応がほとんどない場合(患者群)において、ワクチン接種後、HER2-ICD抗原に対する免疫原性が増大し(2倍以上)、増大された免疫原性が、ワクチン接種完了後、12ヵ月時点(LTFU:long term follow-up)まで維持されるということを確認した。しかしながら、ベースラインにおいて、HER2-ICD抗原に対する免疫原性をすでに有している患者の場合、ワクチン接種後、HER2-ICD抗原に対する免疫原性が、接種前、免疫原性(ベースライン)対比で、2倍以上増大しない場合が多いだけではなく(増大されたと判断することができない)、免疫原性が増大され他にしても、増大された免疫原性が長期間維持されない場合が多かった。
【0063】
ワクチン接種前、すでにHER2-ICD抗原に対する免疫原性を獲得することができる多様なメカニズムがありえるが、HER2を標的にする治療法露出によっても、HER2-ICD抗原に対する免疫原性を獲得することができる。本発明の一実施例においては、HER2を標的にする治療を受けた経験がない患者群(naive群)においては、ベースラインにおけるHER2-ICD抗原に対する免疫原性をほとんど示さなかったが、HER2を標的にする治療法(HER2-direct therapy)(本発明においては、トラスツズマブが処方される)を完了したか(prior treatment)、あるいはワクチン接種期間中、HER2を標的にする治療を受ける(concurrent treatment)というようなHER2を標的にする治療に露出(exposure)された経験がある患者群においては、ベースラインにおけるHER2-ICD抗原に対する免疫原性が増大されているということを確認した。
【0064】
従って、HER2-ICD DNAワクチン接種対象として、ベースラインにおいて、HER2-ICDに対して免疫原性をほとんど示さない患者群を選定することが望ましく、そのような患者のうちには、HER2を標的にする治療法に露出されていない患者が多く、HER2を標的にする治療法に対する経験がある患者であるとしても、ベースラインにおけるHER2-ICD抗原に対する免疫原性が低いか、あるいはほとんどない患者群を選定することが望ましいということが分かる。
【0065】
そのような結果は、接種部位のワクチンDNAの持続性とも係わっているが、DNAワクチンにおいて、DNA(プラスミドDNA)は、ワクチン投与部位において細胞を形質感染させ、目的とする抗原を生産させる持続的な源泉として作用する。従って、ワクチン投与部位に、DNAが長期間持続的に存在する場合、抗原を持続的に生産することができるので、抗原特異免疫力を維持するのに役に立つと考えられるが、それとは反対に、患者の体内に、異種物質であるDNA伝達体であるプラスミドDNAが、長期間持続するならば、対象体においては、プラスミドDNA自体に対する免疫反応を引き起こしてしまう。
【0066】
本発明の一実施例においては、ワクチン接種完了時点を基準に1月後、ワクチン投与部位の生検を介して皮膚組織を分離し、PCR法を介し、ベクターDNAを増幅した結果、31人の患者においては、ベクターDNAが検出され、21人の患者においては、検出されなかった。患者それぞれの末梢血単核球(PBMC)において、HER2-ICD抗原に対する免疫原性を分析した結果、ベクターDNAが検出されていない21人の患者群は、ベクターDNAが検出された患者に比べ、HER2-ICD抗原に対する免疫反応性が増大する傾向を示し、特に、LTFU(ワクチン接種完了12ヵ月時点)における免疫反応性が有意に違いを示すということを確認した。
【0067】
注目すべきことに、ワクチンDNAが検出された患者のうち半数以上(61%)が、ワクチン接種期間内に、HER2を標的にする治療法の経験があり、ワクチンDNAが検出されていない患者のうち76%の患者が、HER2を標的にする治療法に経験がなかった。また、前記2つの数値間には、統計学的に有意な違いを示した。
【0068】
そのような結果は、接種部位において、ワクチンDNAの持続期間が長かった患者群と、ワクチン接種前、HER2-ICD抗原に対して高い免疫原性を示すHER2を標的にする治療法に露出された患者群とが同一分布を示すということを示すものであり、前述の、ワクチン接種前、HER2-ICD抗原に対する免疫原性がほとんどないほど、ワクチン接種による免疫原性が増大され、長期免疫原性確保に有利であるという結果を支持すると見ることができる。
【0069】
本発明の明細書に記載されたワクチン組成物は、HER2-ICDを暗号化するDNAを含むプラスミド以外に、薬学的に許容される賦形剤(excipient)、担体、希釈剤、バッファ(buffer)、安定剤(stabilizer)、保存剤、アジュバント(adjuvant)、または本発明が属する技術分野に周知のその他物質を含むものでもある。そのような物質は、非毒性であり、有効成分の薬学的活性を妨害しない。薬剤学的担体または希釈剤は、例えば、水溶液でもある。本発明のワクチン組成物に含まれうる担体、または他物質は、投与経路(例えば、経口投与、静脈投与、皮膚投与または皮下投与、鼻投与、筋肉投与、皮内投与及び腹腔投与)により、異なるように選択されうる。
【0070】
本発明のワクチン組成物は、1またはそれ以上の「薬剤学的に許容される担体」を含むものでもある。それらは、典型的には、タンパク質、糖類(saccharides)、ポリ乳酸(polylactic acids)、ポリグリコール酸(polyglycolic acids)、ポリメリック(polymeric)アミノ酸、アミノ酸共重合体、スクロース(sucrose)、トレハロース(trehalose)などが属する。そのような担体は、本発明が属する技術分野に周知されている。ワクチン組成物は、また水、食塩水、グリセロールのような希釈剤を含むものでもある。また、湿潤剤または乳化剤、pHバッファ物質のような補助物質が存在しうる。無菌発熱源がないリン酸塩バッファ生理食塩水、トロメタミン(トリス)が代表的な担体である。
【0071】
本発明の一態様は、有効成分として、1またはそれ以上のプラスミドDNAを含む前述のようなワクチン組成物、またはキットに係わるものである。それらは、対象に免疫反応を誘導するか、あるいは治療、ワクチン接種(vaccinating)または免疫療法を提供する方法に使用するためのものでもあり、該ワクチン組成物は、ワクチンまたは免疫治療組成物でもある。そのような治療またはワクチン接種は、対象体に、本発明のワクチン組成物を投与することを含む。前記ワクチン組成物は、定められたスケジュールでもって、対象体に投与されうる。
【0072】
本発明のワクチン組成物は、凍結乾燥されるか、あるいは水性形態(aqueous form)でもある、例えば、水溶液または懸濁液でもある。そのような類型の液体製剤(liquid formulations)は、組成物が水性媒質(aqueous medium)において再構成(reconstitution)する必要なしに、包装された形態で直接投与することができるので、注射に理想的である。ワクチン組成物は、バイアル(vials)で提供されうるか、あるいは事前に充填された注射器でもって提供されうる。該注射器は、針と共に、または針なしに供給されうる。該注射器は、単一用量を含む一方、該バイアルは、単一用量または多数(multiple)用量を含むものでもある。また、本発明のワクチン組成物は、マイクロニードルを利用して投与されうる。
【0073】
また、本発明のワクチン組成物は、遅延放出ビークルまたはデポ(depot)製剤に剤形化されうる。そのような長期間作用剤形は、接種または移植(例えば、皮下または筋肉内)によるか、あるいは注射によって投与されうる。従って、例えば、該ワクチン組成物は、適する重合体性または疎水性の物質(例えば、許容されるオイル内のエマルジョン)、またはイオン交換樹脂と共に、または難溶性誘導体(例えば、難溶性塩)として剤形化されうる。リポソーム及びエマルジョンは、担体として使用するのに適する伝達ビークルとして周知されている例である。
【0074】
本発明のワクチン組成物は、多数の投与フォーマット(multiple dose format)に包装されるとき、抗菌剤(antimicrobial)を含むものでもある。抗菌剤としては、2-フェノキシエタノール(2-phenoxyethanol)またはパラベン(parabens)(メチルパラベン、エチルパラベン、プロピルパラベン)などのうちから選択されうる。任意の保存剤は、望ましくは、低レベルで存在する。該保存剤は、外因性に添加され、かつ/あるいは組成物を形成するために混合するバルク抗原の成分でもある。
【0075】
本発明のワクチン組成物は、マニュアルなどを含むキット形態で提供されうる。
【0076】
本発明のワクチン組成物は、組成物の免疫原性を増大させるために、1またはそれ以上のアジュバント(adjuvant)を含むものでもある。
【0077】
前述の適するアジュバント(adjuvant)は、水酸化アルミニウムまたはリン酸アルミニウムのようなアルミニウム塩を含むが、カルシウム、鉄または亜鉛の塩でもあるか、アシル化チロシンまたはアシル化糖の不溶性懸濁液でもあるか、あるいは陽イオン的または陰イオン的に誘導された糖類などのうちから選択されうるが、それらに制限されるものではない。また、該アジュバントには、免疫調節剤として使用されるサイトカインが含まれうる。
【0078】
前記免疫調節剤として使用するのに適するサイトカインは、インターロイキン(interleukin)(例えば、IL-1、IL-2、IL-4、IL-5、IL-6、IL-7、IL-12など)、大食細胞コロニー刺激因子(M-CSF:macrophage colony stimulating factor)、腫瘍壊死因子(TNF:tumor necrosis factor)、顆粒球大食細胞コロニー刺激因子(GM-CSF:granulocyte-macrophage colony stimulating factor)などのうちから選択されうるが、それらに制限されるものではない。
【0079】
本発明の一実施例においては、アジュバントとして顆粒球大食細胞コロニー刺激因子(GM-CSF)を含むものでもある。
【0080】
前記アジュバントは、1回用量当たり0.075mgないし0.2mg、または0.08mgないし0.12mgの量でもって添加されうる。
【0081】
本発明のワクチン組成物は、化学抗癌剤、標的抗癌剤及び免疫抗癌剤のうちから選択される1以上の抗癌剤と併用投与することができる。本発明のワクチン組成物と併用投与されうる化学抗癌剤、標的抗癌剤及び免疫抗癌剤のうちから選択される1以上の抗癌剤は、相互に同時、あるいは時間差を置いて順次に投与されるが、適切な時間及び周期によって選択されうる。
【0082】
本発明において、化学抗癌剤は、細胞毒性抗癌剤、化学薬物抗癌剤とも呼ばれる。前記化学抗癌剤は、例えば、ゲムシタビン(Gemcitabine)(ゲムシタビン注)、シタラビン(Cytarabine)、カルボプラチン(Carboplatin)(パラプラチン)、シスプラチン(Cisplatin)(プラチノール、プラチノール-AQ)、クリゾチニブ(Crizotinib)(ザーコリ)、シクロホスファミド(Cyclophosphamide)(シトキサン、ネオサール)、ドセタキセル(Docetaxel)(タキソテール)、ドキソルビシン(Doxorubicin)(アドリアマイシン)、エトポシド(Etoposide)(ベプシド)、フルオロウラシル(5-FU:5-fluorouracil)、イリノテカン(Irinotecan)(カンプトサール)、リポソームカプセル化ドキソルビシン(ドキシル)、メトトレキサート(Methotrexate)(ポレックス、メキセート、アメトプテリン)、パクリタキセル(Paclitaxel)(タキソール、アブラキサン)、トポテカン(Topotecan)(ハイカムチン)、トラベクテジン(Trabectedin)(ヨンデリス)、ビンクリスチン(Vincristine)(オンコビン、ビンカサールPFS)またはビンブラスチン(Vinbrastine)(ベルバン)などがあるが、それらに制限されるものではない。
【0083】
本発明において、標的抗癌剤は、トラメチニブ(Trametinib)、ベムラフェニブ(Vemurafenib)、アルペリシブ(Alpelisib)、ダクトリシブ(Dactolisib)、ゲフィチニブ(Gefitinib)、エルロチニブ(Erlotinib)、ラパチニブ(Lapatinib)、スニチニブ(Sunitinib)、ソラフェニブ(Sorafenib)、クリゾチニブ(Crizotinib)、ダブラフェニブ(Dabrafenib)、トラスツズマブ(Trastuzumab)、セツキシマブ(Cetuximab)、ベバシズマブ(Bevacizumab)、パニツムマブ(Panitumumab)、イピリムマブ(Ipilimumab)、ペルツズマブ(Pertuzumab)、トファシチニブ(Tofacitinib)、イマチニブ(Imatinib)、ボルテゾミブ(Bortezomib)、オファツムマブ(Ofatumumab)及びアレムツズマブ(Alemtuzumab)によってなる群のうちから選択される1以上の標的治療剤でもあるが、それらに制限されるものではない。
【0084】
本発明において、前記免疫抗癌剤は、CTLA-4(cytotoxic T-lymphocyte-associated protein 4)、PD-1(programmed cell death protein 1)、LAG3(lymphocyte activation gene-3)、TIM-3(T-cell immunoglobulin and mucin-domain containing-3)、TIGIT(T-cell immunoreceptor with Ig and ITIM domain)及びVISTA(V-domain Ig suppressor of T-cell activation)で構成された群のうちから選択されたどれ一つに対する免疫チェックポイント抑制剤でもあるが、それらに制限されるものではない。
【0085】
本発明において、前記組成物は、抗癌補助剤をさらに含むものでもあるが、さらに望ましくは、前記抗癌補助剤は、STING(stimulator of interferon gene)アゴニストでもあるが、それに制限されるものではない。
【0086】
本発明の一部実施例においては、HER2-ICD DNAワクチン組成物の投与は、他の癌治療剤による治療と同時に進められうる。前記癌治療剤は、乳癌治療に標準的に使用されるフルオロウラシル、ドキソルビシン、パクリタキセルのような抗癌剤、HER2に対する抗体治療剤であるトラスツズマブ(Trastuzumab, Herceptin)、ER(Estrogen receptor)標的治療剤であるタモキシフェン(Tamoxifen)またはビスホスホネートが使用されうるが、それらに制限されるものではない。
【0087】
取り立てて示されない限り、本明細書、及び特許請求の範囲に使用された全ての数は、言及があるにしてもないにしても、全ての場合、用語「約」によって修飾されうると理解されなければならない。また、本明細書、及び特許請求の範囲に使用された精密な数値は、本開示内容のさらなる実施態様を形成すると理解されなければならない。実施例に開示された数値の正確性を保証するために努力を傾けた。しかしながら、測定された全ての数値は、内在的にそのそれぞれの測定技法で実測された標準偏差から生成された特定誤差値を含むものでもある。
【0088】
以下、実施例を介し、本発明についてさらに詳細に説明する。それら実施例は、ただ本発明についてさらに具体的に説明するためのものであり、本発明の要旨により、本発明の範囲は、それら実施例によって制限されるものではないということは、当業界で通常の知識を有する者にいて自明であろう。
【0089】
臨床試験(NCT00436254)の設計及び結果
患者群
実験に参与した患者は、次の基準を満足する3期または4期の乳癌患者である:
(1)標準療法を完了し、完全に寛解状態であり、4期患者においては、安定した骨転移(stable bone only disease)だけある患者だけ許容された;
(2)免疫組織細胞化学(IHC:immunohistochemistry)または蛍光混成化(FISH:fluorescence in situ hybridization)を介する原発性腫瘍であるか、あるいは転移段階において、HER2遺伝子またはタンパク質を過発現すると判明された場合である;
(3)ECOG遂行状態点数は、0である(SCOG Performance Score O);
(4)白血球(WBC:white blood cell)≧3,000/mL、血小板(platelet)数≧100,000/mL、ヘマトクリット(hematocrit)≧30、そして正常な腎臓機能及び肝臓機能を有さなければならない;
(5)臨床試験登録前の30日間、化学療法またはステロイドのようなその他免疫抑制薬物治療を受けてはならない;
(6)正常範囲の左心室駆血率(LVEF:left ventricular ejection fraction)でなければならない。
【0090】
ワクチン接種期間中において、ビスホスホネート、抗エストロゲン療法及び抗トラスツズマブ(Trastuzumab)療法のような標準治療が許容された。全ての患者は、機関規定及び連邦規定により、書面同意を提供した。66人の患者が、2004年5月から2007年8月まで登録され、64人の患者が3回のワクチン接種をいずれも完了した。アーム1に登録した2人の患者は、ワクチンを1回投与された後、疾病が進行し、研究を中断した。連邦規定により、10年間、患者の長期毒性程度を追跡した。
【0091】
研究設計及び治療日程
本実験に参与する患者は、ワクチン用量に定義された3個のpNGVL3-HER2-ICD群(アーム1:10μg、アーム2:100μg、アーム3:500μg)のうち一つに順次に割り当てられた。全てのワクチンは、皮内(i.d.:intradermal)に投与されるが、同じ排液リンパ節部位(draining lymph node site)内において、一ヵ月に1回総3回のワクチンにつき、1回のワクチン投薬時、2つの注射部位に分けて接種した。患者は、最初接種前、陽性対照群として、破傷風トキソイドワクチンを投与された。併せて、トラスツズマブを投与された患者は、ベースラインと、最後のワクチン1ヵ月後とにおいて、マルチゲート(MUGA)スキャンを行った。毒性評価は、毎月行われ、ワクチンシリーズ完了後、3ヵ月目、6ヵ月目及び12ヵ月目に行われ、身体検査、自己免疫血清検査、CBC及び総合代謝パネル検査を含んでいる。毒性は、CTCAE v3.0によって等級が付けられ、ワクチン関連毒性は、深刻度にかかわらず、確実に(definitely)、多分(probably)、または関連性ある(possibly)異常反応(adverse effect)と定義された。長期的な副作用は、生存患者に対する年間医療記録検討を介して評価された。末梢血単核球(PBMC)は、ベースライン、並びにHER2-ICD及びHER2-ECDに対する誘導免疫反応を評価するために、3回目ワクチン投与後(12週)、及び最終ワクチン接種後の1ヵ月目、3ヵ月目、6ヵ月目及び12ヵ月(それぞれ、臨床参与(enrollment)後、16週、24週、36週、60週に該当する)に収集された。
【0092】
プラスミドDNAの持続性を評価するために、最後のワクチン投与の1ヵ月後と3ヵ月後とのワクチン注射部位から皮膚生検を得た。末梢血単核球(PBMC)は、ベースラインと、最後のワクチン1ヵ月後途において、プラスミドDNAの存在について評価された。
【0093】
ワクチン製剤
HER2-ICD配列(配列番号:2)をpNGVL3に挿入し、DNAシークエンシングで確認した。プラスミドDNAワクチンであるpNGVL3-HER2-ICDは、GMP条件下において、増幅して定量化し、バイアル(vial)に製造された。単一用量バイアルには、安定化緩衝液(1.2ml)として、トロメタミン(tromethamine)/EDTAに懸濁された10μg、100μgまたは500μgのプラスミドDNA(pNGVL3-HER2-ICD)、及び共通のものとして、100μgの顆粒球大食細胞コロニー刺激因子(GM-CSF)が含まれている。該バイアルは、微生物、無菌及び安定性のテストを経て、米国薬典標準により、ワシントン大学校Investigational Drug Services Pharmacyにおいて、-25℃と10℃との間に保管された。
【0094】
抗原特異的T細胞反応の評価
全患者の末梢血単核球(PBMC)サンプルは、リンパ球機能を保存すると立証された標準化された方法を使用して処理され、冷凍保存された。各患者に係わる全てのサンプルを同時に解凍して分析し、実験的変動性を低減させた。以前に公知されたDisisらの方法(J Clin Oncol. 2009 Oct 1; 27 (28): 4685-92)により、後述する抗原(刺激剤)によって刺激されたIFN-γエリスポット法を介し、HER2に対する特異的な反応を測定した。HER2-ICD抗原またはHER2-ECD抗原(刺激剤)は、11個アミノ酸が重畳される15個アミノ酸ペプチドプール(overlapping peptide pool(1mg/mL))を抗原として使用した。
【0095】
ワクチン接種後、エリスポット法で測定された末梢血単核球(PBMC)において、HER2-ICD抗原特異的なIFN-γ生産量がベースラインより2倍増加した場合、患者は、HER2-ICD抗原特異的T細胞反応を増大させたと見なした。
【0096】
皮膚及びリンパ球のプラスミドDNA持続性評価
ワクチン接種後、皮膚生検のための一貫されたマーカーの役割を行うために、ワクチン接種は、2つのタトゥーマーク間に投与された。指定された期間に、指定された接種部位(皮膚)で生検した。分離された皮膚組織は、70℃に保管した。組織及び末梢血単核球(PBMC)のDNAは、DNA分離用キットを介して分離させ、PRDM36プライマー[GACTAACAGACTGTTCCTTTCCATGG:コーディングプライマー]及びPRDM52プライマー[GCCAGAAGTCAGATGCTCAA:相補的プライマー]のプライマーカップルを利用し、ベクターDNAを増幅した。
【0097】
患者群分析、及び各アーム別毒性(adverse effect)分析
アーム1、アーム2及びアーム3は、それぞれ22人の患者によって構成され、それぞれHER2-ICDプラスミドDNAを、10μg、100μg及び500μgを含み、共通して、100μgの顆粒球大食細胞コロニー刺激因子(GM-CSF)が含まれたワクチン組成物を皮内(intradermal)に投与された。各アームの患者特性は、表1に記載されている。
【0098】
【0099】
全ての部門において、総990個の副作用(adverse effects)が観察され、517個は、ワクチンと係わるものと見なされる(表2)。最も一般的なワクチン関連副作用は、注射部位反応(23%)、疲れ(7%)及び筋肉痛(7%)を含む。全てのワクチン関連毒性は、ほとんど1等級(89%)または2等級(11%)であり、各アーム間に有意な差がない。
【0100】
DNAワクチンの安全性において、外部DNAが対象体に投与されるために、自家免疫反応の発生、及び/または対象体の遺伝体DNA(chromosomal DNA)への外部DNA挿入の危険性が非常に低いが存在する。本研究においては、全てのアームにおいて、16回の自家免疫に係わる異常血清学的反応が見出された(表2)。11人の患者においては、ワクチン接種期間にANA陽性を示し、5人の患者においては、C3の一時的な減少が観察された。
【0101】
全ての自家免疫関連毒性は、1等級であり、抗ds-DNA抗体は、全患者で見出されなかっただけではなく、自家免疫疾患の徴候または発生は、見出されなかった。ワクチンを接種した全患者のリンパ球(circulating lymphocyte)において、DNAワクチンは、検出されなかった。
【0102】
従って、本発明のワクチン組成物投与による副作用は、極めて低い等級であり、対象体への投与において、憂慮するほどであると言えず、自家免疫疾患の徴候または疾患の発生が観察されなかった。また、本発明のワクチン組成物は、対象体の遺伝体への挿入が観察されなかったので、臨床適用において、安全性に問題がないと判断される。
【0103】
【0104】
ワクチン接種前後によるHER2-ICDに対する免疫原性分析
各患者において、ワクチン接種前、すでに保有しているHER2-ICD抗原に対する免疫原性(ベースライン)を分析するために、ワクチン接種前、末梢血単核球(PBMC)において、HER-ICD抗原に対する免疫反応性を、インターフェロンガンマに係わるエリスポット法(IFN-γ ELISPOT)で分析した。また、この値は、ワクチン接種後、HER2-ICD抗原に係わる免疫反応原性の変化を計算するための基準として利用された。
【0105】
ワクチン接種前の患者は、HER2を標的にする治療経験いかんにより、HER2標的治療(HER2-direct therapy;本研究においては、トラスツズマブが処方される)経験がないnaive群、ワクチン接種前、HER2標的治療を完了したprior群、及びワクチン接種において、HER2標的治療中であるconcurrent群に分けられる。
【0106】
各群におけるエリスポットによるHER2-ICD抗原に対する免疫原性は、
図1に示されているが、naive群の場合、1:1,000,000(1:10,870~1:1,000,000)であり、prior群の場合、1:9,707(1:498~1:100,000;p=0.008)であり、concurrent群は、1:12,840(1:691~1:000000;p=0.005)と測定された。各群の1:1,000,000、1:9,707、1:12,840は、エリスポット法による測定値の中間値であり、naive群の数値は、prior群、concurrent群の数値と統計学的な違いを示したが、prior群及びconcurrent群の数値間には、統計学的な違いを示していない。
【0107】
従って、HER2を標的にする治療法に経験のある患者は、ワクチン接種前、HER2-ICD抗原に対する免疫原性があるということ、具体的には、HER2標的治療経験がない患者に比べ、10倍ほど増大された免疫原性を有するという点を知ることができる。
【0108】
その後、ワクチン接種完了時点を基準に、1ヵ月及び12ヵ月の時点(LTFU:long term follow-up)で分離された末梢血単核球(PBMC)において、HER2-ICD抗原に対する免疫反応性を分析した結果、注目すべきことに、ベースラインにおいて、HER2-ICD抗原に対する免疫原性を示していない患者において、HER2-ICD抗原に対する免疫反応が高レベル(2倍以上)に上昇しただけはなく、LTFUまで、免疫反応レベルが維持されるということを確認することができた。そして、前記ベースラインにおいて、HER2-ICD抗原に対する免疫原性を示していない患者には、ほとんどのnaive患者群が含まれており、HER2標的治療を受けた患者群のうち一部も含まれる。
【0109】
具体的には、本明細書のエリスポット法により、106個の末梢血単核球(PBMC)において、50個以上の細胞において、HER2-ICD抗原に対する反応性が、ベースラインで測定された場合(少なくとも1:20,000)、HER2-ICD抗原に対する免疫原性があると見ることができ、その場合、HER2-ICD DNAワクチンを接種しても、2倍以上の免疫原性増大及び/または長期維持の患者がほとんど見当たらなかった。
【0110】
従って、HER2-ICD抗原に対する免疫原性がないか、あるいは低い患者群が、HER2-ICD DNAワクチンによる免疫原性獲得及び長期維持を示す可能性が高いので、効果的な治療のためには、ワクチン接種対象になる患者群を、HER2標的治療を受けた経験がないか、あるいはHER2標的治療を受けたにしても、ワクチン接種前、ベースラインにおけるHER2-ICD抗原に対する免疫原性がほとんどない患者群と設定(specification based on clinical criteria)し、事前に選別(enrichment)することができる。
【0111】
ワクチン接種部位におけるプラスミドDNAの持続性分析
ワクチン接種開始後16週目(最後のワクチン投与後1ヵ月)に、皮膚生検組織におけるDNAワクチンの存在いかんを、HER2-ICDがクローニングされているベクターDNAのPCR増幅で分析した。
【0112】
全体52人患者の皮膚生検組織を得て、そのうち31人(60%)の患者において、ベクターDNAが検出された。アーム1においては、61%、アーム2においては、50%、アーム3においては、73%の患者において、ベクターDNAが検出された。
【0113】
前記DNAが検出された患者と、検出されていない患者とをそれぞれ追跡観察した結果(表3)、DNAが検出された患者は、経時的にHER2-ICD抗原に対する免疫原性が平均的に低かっただけではなく、ワクチン接種後60週(ワクチン接種後12ヵ月)時点におけるHER2-ICD抗原に対する免疫反応原性が有意に低いということを確認することができた(p=0.02)。
【0114】
【0115】
ところで、注目すべきことに、16週目にワクチンDNAが検出された患者は、検出されていない患者より、HER2標的治療に露出される可能性が高かった。すなわち、ワクチンDNAが検出された患者31人のうち19人が、HER2標的治療を受け(61%)、DNAが検出されていない患者21人のうち人が、HER2標的治療経験があった(24%)(p=0.008)。
【0116】
そのような結果は、接種部位において、ワクチンDNAの持続期間が長かった患者群と、ワクチン接種前、HER2-ICD抗原に対して高い免疫原性を示すHER2を標的にする治療法に露出された患者群とが同一分布を示すということを示すものであり、前述の、ワクチン接種前、HER2-ICD抗原に対する免疫原性がほとんどないほど、ワクチン接種による免疫原性増大及び長期免疫原性確保に有利であるという結果と一致すると見ることができる。
【配列表フリーテキスト】
【0117】
配列情報
配列番号1(HER2全長配列)
YLVPQQGFFCPDPAPGAGGMVHHRHRSSSTRSGGGDLTLGLEPSEEEAPRSPLAPSEGAGSDVFDGDLGMGAAKGLQSLPTHDPSPLQRYSEDPTVPLPSETDGYVAPLTCSPQPEYVNQPDVRPQPPSPREGPLPAARPAGATLERPKTLSPGKNGVVKDVFAFGGAVENPEYLTPQGGAAPQPHPPPAFSPAFDNLYYWDQDPPERGAPPSTFKGTPTAENPEYLGLDVPV
配列番号2(HER2-ICDアミノ酸配列)
MKRRQQKIRKYTMRRLLQETELVEPLTPSGAMPNQAQMRILKETELRKVKVLGSGAFGTVYKGIWIPDGENVKIPVAIKVLRENTSPKANKEILDEAYVMAGVGSPYVSRLLGICLTSTVQLVTQLMPYGCLLDHVRENRGRLGSQDLLNWCMQIAKGMSYLEDVRLVHRDLAARNVLVKSPNHVKITDFGLARLLDIDETEYHADGGKVPIKWMALESILRRRFTHQSDVWSYGVTVWELMTFGAKPYDGIPAREIPDLLEKGERLPQPPICTIDVYMIMVKCWMIDSECRPRFRELVSEFSRMARDPQRFVVIQNEDLGPASPLDSTFYRSLLEDDDMGDLVDAEEYLVPQQGFFCPDPAPGAGGMVHHRHRSSSTRSGGGDLTLGLEPSEEEAPRSPLAPSEGAGSDVFDGDLGMGAAKGLQSLPTHDPSPLQRYSEDPTVPLPSETDGYVAPLTCSPQPEYVNQPDVRPQPPSPREGPLPAARPAGATLERAKTLSPGKNGVVKDVFAFGGAVENPEYLTPQGGAAPQPHPPPAFSPAFDNLYYWDQDPPERGAPPSTFKGTPTAENPEYLGLDVPV
配列番号3(HER2-ICDヌクレオチド配列)
GGGACCTGGTGGATGCTGAGGAGTATCTGGTACCCCAGCAGGGCTTCTTCTGTCCAGACCCTGCCCCGGGCGCTGGGGGCATGGTCCACCACAGGCACCGCAGCTCATCTACCAGGAGTGGCGGTGGGGACCTGACACTAGGGCTGGAGCCCTCTGAAGAGGAGGCCCCCAGGTCTCCACTGGCACCCTCCGAAGGGGCTGGCTCCGATGTATTTGATGGTGACCTGGGAATGGGGGCAGCCAAGGGGCTGCAAAGCCTCCCCACACATGACCCCAGCCCTCTACAGCGGTACAGTGAGGACCCCACAGTACCCCTGCCCTCTGAGACTGATGGCTACGTTGCCCCCCTGACCTGCAGCCCCCAGCCTGAATATGTGAACCAGCCAGATGTTCGGCCCCAGCCCCCTTCGCCCCGAGAGGGCCCTCTGCCTGCTGCCCGACCTGCTGGTGCCACTCTGGAAAGGGCCAAGACTCTCTCCCCAGGGAAGAATGGGGTCGTCAAAGACGTTTTTGCCTTTGGGGGTGCCGTGGAGAACCCCGAGTACTTGACACCCCAGGGAGGAGCTGCCCCTCAGCCCCACCCTCCTCCTGCCTTCAGCCCAGCCTTCGACAACCTCTATTACTGGGACCAGGACCCACCAGAGCGGGGGGCTCCACCCAGCACCTTCAAAGGGACACCTACGGCAGAGAACCCAGAGTACCTGGGTCTGGACGTGCCAGTGTAA
【配列表】
【手続補正書】
【提出日】2023-10-06
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
HER2-ICD(細胞内領域:intracellular domain)DNAワクチンを接種される患者
より採取された末梢血単核球(PBMC)において、ワクチン接種前、HER2-ICD抗原に対する免疫原性を検査する方法を含む、HER2-ICD DNAワクチンの反応性を予測する方法。
【請求項2】
前記HER2-ICD DNAワクチンを接種される患者は、HER2を発現する癌患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記HER2-ICD DNAワクチンを接種される患者は、ワクチン接種前、HER2標的治療を受けた経験がない、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記HER2標的治療は、HER2に対する治療用抗体を含む薬学的組成物によるものである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記HER2に対する治療用抗体は、トラスツズマブを含む薬学的組成物によるものである、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記HER2-ICD DNAワクチンは、配列番号2またはそれと80%以上の配列相同性を有するHER2-ICD領域を暗号化するヌクレオチド配列を含むプラスミドベクターを含む、請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ヌクレオチド配列は、配列番号3、またはそれと80%以上の配列相同性を有する、請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
請求項1ないし5のうちいずれか1項に記載の方法によりHER2-ICD DNAワクチンを投与する患者を選別する方法。
【請求項9】
対象に接種するためのワクチン組成物であって、
配列番号2またはそれと80%以上の配列相同性を有するHER2-ICD(細胞内領域:intracellular domain)を暗号化するヌクレオチド配列を含むプラスミドを含み、
前記対象が、前記対象の末梢血単核球(PBMC)においてHER2-ICD抗原に対する免疫原性を検査する方法を含む、前記ワクチン組成物の反応性を予測する方法により選別された対象である、ワクチン組成物。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0004
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0004】
これまでの20年間、乳癌治療において、多様な標的治療及び診断法などにより、DFS(disease free survival)を他の癌腫に比べ、相当に改善させた。例えば、外科的な手術、及びパクリタキセルのような化学療法、または放射線療法のような伝統的な癌治療法に加え、エストロゲン受容体(ER:estrogen receptor)陽性乳癌患者には、エストロゲン受容体の活性化を抑制するタモキシフェンのようなER標的治療剤を使用し、HER2陽性患者には、トラスツズマブのようなHER2標的抗体を使用するというように、多様な標的治療剤を利用して乳癌を治療したり、乳癌進行を遅らせたりしている。
【手続補正3】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0087
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0087】
取り立てて示されない限り、本明細書、及び特許請求の範囲に使用された全ての数は、言及があるにしてもないにしても、全ての場合、用語「約」によって修飾されうると理解されなければならない。また、本明細書、及び特許請求の範囲に使用された精密な数値は、本開示内容のさらなる実施態様を形成すると理解されなければならない。実施例に開示された数値の正確性を保証するために努力を傾けた。しかしながら、測定された全ての数値は、内在的にそのそれぞれの測定技法で実測された標準偏差から生成された特定誤差値を含むものでもある。
本開示は、次の態様を包含する。
項1.
HER2-ICD(細胞内領域:intracellular domain)DNAワクチンを接種される患者の末梢血単核球(PBMC)において、ワクチン接種前、HER2-ICD抗原に対する免疫原性を検査する方法を含む、HER2-ICD DNAワクチンの反応性を予測する方法。
項2.
前記HER2-ICD DNAワクチンを接種される患者は、HER2を発現する癌患者である、項1に記載の方法。
項3.
前記HER2-ICD DNAワクチンを接種される患者は、ワクチン接種前、HER2標的治療を受けた経験がない、項2に記載の方法。
項4.
前記HER2標的治療は、HER2に対する治療用抗体を含む薬学的組成物によるものである、項3に記載の方法。
項5.
前記HER2に対する治療用抗体は、トラスツズマブを含む薬学的組成物によるものである、項4に記載の方法。
項6.
項1ないし5のうちいずれか1項に記載の方法により、HER2-ICD DNAワクチンを投与する患者を選別する方法。
項7.
前記HER2-ICD DNAワクチンは、配列番号2またはそれと80%以上の配列相同性を有するHER2-ICD領域を暗号化するヌクレオチド配列を含むプラスミドベクターを含む、項1ないし5のうちいずれか1項に記載の方法。
項8.
前記ヌクレオチド配列は、配列番号3、またはそれと80%以上の配列相同性を有する、項7に記載の方法。
【手続補正4】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0089
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0089】
臨床試験(NCT00436254)の設計及び結果
患者群
実験に参与した患者は、次の基準を満足する3期または4期の乳癌患者である:
(1)標準療法を完了し、完全に寛解状態であり、4期患者においては、安定した骨転移(stable bone only disease)だけある患者だけ許容された;
(2)免疫組織細胞化学(IHC:immunohistochemistry)または蛍光混成化(FISH:fluorescence in situ hybridization)を介する原発性腫瘍であるか、あるいは転移段階において、HER2遺伝子またはタンパク質を過発現すると判明された場合である;
(3)ECOG遂行状態点数は、0である(ECOG Performance Score O);
(4)白血球(WBC:white blood cell)≧3,000/mL、血小板(platelet)数≧100,000/mL、ヘマトクリット(hematocrit)≧30、そして正常な腎臓機能及び肝臓機能を有さなければならない;
(5)臨床試験登録前の30日間、化学療法またはステロイドのようなその他免疫抑制薬物治療を受けてはならない;
(6)正常範囲の左心室駆血率(LVEF:left ventricular ejection fraction)でなければならない。
【手続補正5】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0106
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0106】
各群におけるエリスポットによるHER2-ICD抗原に対する免疫原性は、
図1に示されているが、naive群の場合、1:1,000,000(1:10,870~1:1,000,000)であり、prior群の場合、1:9,707(1:498~1:100,000;p=0.008)であり、concurrent群は、1:12,840(1:691~1:
1000000;p=0.005)と測定された。各群の1:1,000,000、1:9,707、1:12,840は、エリスポット法による測定値の中間値であり、naive群の数値は、prior群、concurrent群の数値と統計学的な違いを示したが、prior群及びconcurrent群の数値間には、統計学的な違いを示していない。
【手続補正6】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0117
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0117】
配列情報
配列番号1(HER2全長配列)
MELAALCRWGLLLALLPPGAASTQVCTGTDMKLRLPASPETHLDMLRHLYQGCQVVQGNLELTYLPTNASLSFLQDIQEVQGYVLIAHNQVRQVPLQRLRIVRGTQLFEDNYALAVLDNGDPLNNTTPVTGASPGGLRELQLRSLTEILKGGVLIQRNPQLCYQDTILWKDIFHKNNQLALTLIDTNRSRACHPCSPMCKGSRCWGESSEDCQSLTRTVCAGGCARCKGPLPTDCCHEQCAAGCTGPKHSDCLACLHFNHSGICELHCPALVTYNTDTFESMPNPEGRYTFGASVTACPYNYLSTDVGSCTLVCPLHNQEVTAEDGTQRCEKCSKPCARVCYGLGMEHLREVRAVTSANIQEFAGCKKIFGSLAFLPESFDGDPASNTAPLQPEQLQVFETLEEITGYLYISAWPDSLPDLSVFQNLQVIRGRILHNGAYSLTLQGLGISWLGLRSLRELGSGLALIHHNTHLCFVHTVPWDQLFRNPHQALLHTANRPEDECVGEGLACHQLCARGHCWGPGPTQCVNCSQFLRGQECVEECRVLQGLPREYVNARHCLPCHPECQPQNGSVTCFGPEADQCVACAHYKDPPFCVARCPSGVKPDLSYMPIWKFPDEEGACQPCPINCTHSCVDLDDKGCPAEQRASPLTSIISAVVGILLVVVLGVVFGILIKRRQQKIRKYTMRRLLQETELVEPLTPSGAMPNQAQMRILKETELRKVKVLGSGAFGTVYKGIWIPDGENVKIPVAIKVLRENTSPKANKEILDEAYVMAGVGSPYVSRLLGICLTSTVQLVTQLMPYGCLLDHVRENRGRLGSQDLLNWCMQIAKGMSYLEDVRLVHRDLAARNVLVKSPNHVKITDFGLARLLDIDETEYHADGGKVPIKWMALESILRRRFTHQSDVWSYGVTVWELMTFGAKPYDGIPAREIPDLLEKGERLPQPPICTIDVYMIMVKCWMIDSECRPRFRELVSEFSRMARDPQRFVVIQNEDLGPASPLDSTFYRSLLEDDDMGDLVDAEEYLVPQQGFFCPDPAPGAGGMVHHRHRSSSTRSGGGDLTLGLEPSEEEAPRSPLAPSEGAGSDVFDGDLGMGAAKGLQSLPTHDPSPLQRYSEDPTVPLPSETDGYVAPLTCSPQPEYVNQPDVRPQPPSPREGPLPAARPAGATLERPKTLSPGKNGVVKDVFAFGGAVENPEYLTPQGGAAPQPHPPPAFSPAFDNLYYWDQDPPERGAPPSTFKGTPTAENPEYLGLDVPV
配列番号2(HER2-ICDアミノ酸配列)
MKRRQQKIRKYTMRRLLQETELVEPLTPSGAMPNQAQMRILKETELRKVKVLGSGAFGTVYKGIWIPDGENVKIPVAIKVLRENTSPKANKEILDEAYVMAGVGSPYVSRLLGICLTSTVQLVTQLMPYGCLLDHVRENRGRLGSQDLLNWCMQIAKGMSYLEDVRLVHRDLAARNVLVKSPNHVKITDFGLARLLDIDETEYHADGGKVPIKWMALESILRRRFTHQSDVWSYGVTVWELMTFGAKPYDGIPAREIPDLLEKGERLPQPPICTIDVYMIMVKCWMIDSECRPRFRELVSEFSRMARDPQRFVVIQNEDLGPASPLDSTFYRSLLEDDDMGDLVDAEEYLVPQQGFFCPDPAPGAGGMVHHRHRSSSTRSGGGDLTLGLEPSEEEAPRSPLAPSEGAGSDVFDGDLGMGAAKGLQSLPTHDPSPLQRYSEDPTVPLPSETDGYVAPLTCSPQPEYVNQPDVRPQPPSPREGPLPAARPAGATLERAKTLSPGKNGVVKDVFAFGGAVENPEYLTPQGGAAPQPHPPPAFSPAFDNLYYWDQDPPERGAPPSTFKGTPTAENPEYLGLDVPV
配列番号3(HER2-ICDヌクレオチド配列)
ATGAAGCGACGGCAGCAGAAGATCCGGAAGTACACGATGCGGAGACTGCTGCAGGAAACGGAGCTGGTGGAGCCGCTGACACCTAGCGGAGCGATGCCCAACCAGGCGCAGATGCGGATCCTGAAAGAGACGGAGCTGAGGAAGGTGAAGGTGCTTGGATCTGGCGCTTTTGGCACAGTCTACAAGGGCATCTGGATCCCTGATGGGGAGAATGTGAAAATTCCAGTGGCCATCAAAGTGTTGAGGGAAAACACATCCCCCAAAGCCAACAAAGAAATCTTAGACGAAGCATACGTGATGGCTGGTGTGGGCTCCCCATATGTCTCCCGCCTTCTGGGCATCTGCCTGACATCCACGGTGCAGCTGGTGACACAGCTTATGCCCTATGGCTGCCTCTTAGACCATGTCCGGGAAAACCGCGGACGCCTGGGCTCCCAGGACCTGCTGAACTGGTGTATGCAGATTGCCAAGGGGATGAGCTACCTGGAGGATGTGCGGCTCGTACACAGGGACTTGGCCGCTCGGAACGTGCTGGTCAAGAGTCCCAACCATGTCAAAATTACAGACTTCGGGCTGGCTCGGCTGCTGGACATTGACGAGACAGAGTACCATGCAGATGGGGGCAAGGTGCCCATCAAGTGGATGGCGCTGGAGTCCATTCTCCGCCGGCGGTTCACCCACCAGAGTGATGTGTGGAGTTATGGTGTGACTGTGTGGGAGCTGATGACTTTTGGGGCCAAACCTTACGATGGGATCCCAGCCCGGGAGATCCCTGACCTGCTGGAAAAGGGGGAGCGGCTGCCCCAGCCCCCCATCTGCACCATTGATGTCTACATGATCATGGTCAAATGTTGGATGATTGACTCTGAATGTCGGCCAAGATTCCGGGAGTTGGTGTCTGAATTCTCCCGCATGGCCAGGGACCCCCAGCGCTTTGTGGTCATCCAGAATGAGGACTTGGGCCCAGCCAGTCCCTTGGACAGCACCTTCTACCGCTCACTGCTGGAGGACGATGACATGGGGGACCTGGTGGATGCTGAGGAGTATCTGGTACCCCAGCAGGGCTTCTTCTGTCCAGACCCTGCCCCGGGCGCTGGGGGCATGGTCCACCACAGGCACCGCAGCTCATCTACCAGGAGTGGCGGTGGGGACCTGACACTAGGGCTGGAGCCCTCTGAAGAGGAGGCCCCCAGGTCTCCACTGGCACCCTCCGAAGGGGCTGGCTCCGATGTATTTGATGGTGACCTGGGAATGGGGGCAGCCAAGGGGCTGCAAAGCCTCCCCACACATGACCCCAGCCCTCTACAGCGGTACAGTGAGGACCCCACAGTACCCCTGCCCTCTGAGACTGATGGCTACGTTGCCCCCCTGACCTGCAGCCCCCAGCCTGAATATGTGAACCAGCCAGATGTTCGGCCCCAGCCCCCTTCGCCCCGAGAGGGCCCTCTGCCTGCTGCCCGACCTGCTGGTGCCACTCTGGAAAGGGCCAAGACTCTCTCCCCAGGGAAGAATGGGGTCGTCAAAGACGTTTTTGCCTTTGGGGGTGCCGTGGAGAACCCCGAGTACTTGACACCCCAGGGAGGAGCTGCCCCTCAGCCCCACCCTCCTCCTGCCTTCAGCCCAGCCTTCGACAACCTCTATTACTGGGACCAGGACCCACCAGAGCGGGGGGCTCCACCCAGCACCTTCAAAGGGACACCTACGGCAGAGAACCCAGAGTACCTGGGTCTGGACGTGCCAGTGTAA
【国際調査報告】