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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】多層羊膜組織移植片及びその使用
(51)【国際特許分類】
   A61L 27/36 20060101AFI20240403BHJP
   A61K 35/50 20150101ALI20240403BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20240403BHJP
   A61P 27/02 20060101ALI20240403BHJP
   A61P 27/06 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61L27/36 130
A61K35/50
A61P29/00
A61P27/02
A61P27/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562203
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-11-01
(86)【国際出願番号】 US2022071705
(87)【国際公開番号】W WO2022221852
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/174,280
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/267,820
(32)【優先日】2022-02-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】520169074
【氏名又は名称】セルラリティ インク.
(74)【代理人】
【識別番号】110000659
【氏名又は名称】弁理士法人広江アソシエイツ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】キューン,アダム
(72)【発明者】
【氏名】ロング,デジレー
(72)【発明者】
【氏名】シバレンカ,ラジャラジェスワリ
(72)【発明者】
【氏名】ゴシエウスカ,アンナ
(72)【発明者】
【氏名】ブリジド,ステファン エー.
(72)【発明者】
【氏名】ウィルク,ティモシー エフ.
(72)【発明者】
【氏名】トリンカ,アマンダ エル.
(72)【発明者】
【氏名】ハリリ,ロバート ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】マルティネス,ルイス
【テーマコード(参考)】
4C081
4C087
【Fターム(参考)】
4C081AB21
4C081BA12
4C081CD34
4C081DA05
4C081DC04
4C081EA02
4C081EA13
4C087AA01
4C087AA02
4C087AA05
4C087BB58
4C087CA03
4C087NA10
4C087ZA33
4C087ZB11
(57)【要約】
本発明は、細胞外マトリックスの複数の積層された層を含む組織移植片生成物であって、細胞外マトリックスが、羊膜に由来し、細胞外マトリックス層の間質側が、組織移植片生成物の上表面及び下表面の両方に提示される、組織移植片生成物を提供する。組織移植片生成物を作製及び使用する方法も提供される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一緒に積層された細胞外マトリックスの複数の層を含む組織移植片生成物であって、前記細胞外マトリックスが、羊膜に由来し、細胞外マトリックス層の間質側が、前記組織移植片生成物の上表面及び下表面の両方に提示される、組織移植片生成物。
【請求項2】
前記生成物が、細胞外マトリックスの3つ以上の層を含む、請求項1に記載の組織移植片生成物。
【請求項3】
前記生成物が、細胞外マトリックスの正確に3つの層を含む、請求項1に記載の組織移植片生成物。
【請求項4】
前記羊膜が、脱細胞化される、請求項1~3のいずれか一項に記載の組織移植片生成物。
【請求項5】
前記羊膜が、洗剤及び又は機械的破壊で脱細胞化される、請求項4に記載の組織移植片生成物。
【請求項6】
前記洗剤が、デオキシコール酸である、請求項5に記載の組織移植片生成物。
【請求項7】
前記細胞外マトリックスの複数の層が、乾燥によって一緒に積層される、請求項1~6のいずれか一項に記載の組織移植片生成物。
【請求項8】
前記生成物が、加熱及び又は真空によって乾燥される、請求項7に記載の組織移植片生成物。
【請求項9】
前記組織移植片生成物が、脱水される、請求項1~8のいずれか一項に記載の組織移植片生成物。
【請求項10】
前記生成物が、乾燥重量で約20%未満の水を含む、請求項9に記載の組織移植片生成物。
【請求項11】
前記生成物が、乾燥重量で約15%未満の水を含む、請求項9に記載の組織移植片生成物。
【請求項12】
前記生成物が、乾燥重量で約10%の水を含む、請求項9に記載の組織移植片生成物。
【請求項13】
前記生成物が、乾燥重量で約40%~約70%の総コラーゲンを含む、請求項9~12のいずれか一項に記載の組織移植片生成物。
【請求項14】
前記生成物が、乾燥重量で約45%~約60%の総コラーゲンを含む、請求項13に記載の組織移植片生成物。
【請求項15】
前記生成物が、乾燥重量で約50%~約55%の総コラーゲンを含む、請求項13に記載の組織移植片生成物。
【請求項16】
前記コラーゲンが、主に、I型コラーゲン及びIII型コラーゲンである、請求項9~15のいずれか一項に記載の組織移植片生成物。
【請求項17】
前記生成物が、乾燥重量で約8%~約24%のエラスチンを含む、請求項9~16のいずれか一項に記載の組織移植片生成物。
【請求項18】
前記生成物が、乾燥重量で約12%~約20%のエラスチンを含む、請求項17に記載の組織移植片生成物。
【請求項19】
前記生成物が、乾燥重量で約15%~約20%のエラスチンを含む、請求項17に記載の組織移植片生成物。
【請求項20】
前記生成物が、乾燥重量で約1%未満のグリコサミノグリカンを含む、請求項9~19のいずれか一項に記載の組織移植片生成物。
【請求項21】
前記生成物が、乾燥重量で約0.5%未満のグリコサミノグリカンを含む、請求項20に記載の組織移植片生成物。
【請求項22】
前記生成物が、乾燥重量で約1%未満のフィブロネクチンを含む、請求項9~21のいずれか一項に記載の組織移植片生成物。
【請求項23】
前記生成物が、乾燥重量で約0.5%未満のフィブロネクチンを含む、請求項22に記載の組織移植片生成物。
【請求項24】
前記生成物が、乾燥重量で約1%未満のラミニンを含む、請求項9~23のいずれか一項に記載の組織移植片生成物。
【請求項25】
前記生成物が、乾燥重量で約0.5%未満のラミニンを含む、請求項24に記載の組織移植片生成物。
【請求項26】
前記羊膜が、ヒト羊膜である、請求項1~25のいずれか一項に記載の組織移植片生成物。
【請求項27】
前記羊膜が、満期妊娠に由来する、請求項26に記載の組織移植片生成物。
【請求項28】
請求項1~27のいずれか一項に記載の組織移植片生成物を含む、眼球組織移植片。
【請求項29】
前記眼球組織移植片が、ほぼ円形である、請求項28に記載の眼球組織移植片。
【請求項30】
前記眼球組織移植片が、球体の一部分の形状に湾曲部分を含む、請求項28に記載の眼球組織移植片。
【請求項31】
前記形状が、前記組織移植片生成物を型上で乾燥させることによって付与される、請求項30に記載の眼球組織移植片。
【請求項32】
対象における眼の疾患又は傷害を治療する方法であって、前記対象の前記眼を、請求項1~27のいずれか一項に記載の組織移植片生成物、又は請求項28~31のいずれか一項に記載の眼球組織移植片と接触させ、それによって、前記対象を治療するステップを含む、方法。
【請求項33】
前記眼の前記傷害が、擦り傷を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記眼の前記傷害が、化学物質曝露を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
前記眼の前記傷害が、切り傷又は裂傷を含む、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
前記眼の前記疾患又は傷害が、角膜の疾患又は傷害を含む、請求項32~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記治療が、損傷した組織の修復を含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記治療が、治療していない眼に対する瘢痕組織の低減又は瘢痕組織形成の低減を含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記治療が、治療していない眼に対する上皮細胞移動の増加を含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記治療が、治療していない眼に対する上皮細胞接着性の増加を含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記治療が、治療していない眼に対する上皮細胞増殖の増加を含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
前記治療が、治療していない眼に対する上皮細胞被覆率の増加を含む、請求項32~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項43】
前記対象が、哺乳動物である、請求項32~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記対象が、ヒトである、請求項43に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2021年4月13日出願の米国仮特許出願第63/174,280号、及び2022年2月10日出願の同第63/267,820号に対する優先権を主張し、これらの内容はそれらの全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、部分的に、多層状羊膜組織移植片、及びオクラー(oclar)用途におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ヒトの羊膜(amniotic membrane)(羊膜(amnion))は、羊水と直接接触する羊膜嚢の最内層である。羊膜は、立方上皮細胞の単一層、基底膜、及び絨毛膜に緩く付着した無血管間質マトリックスからなる。ヒトの羊膜の主な成分は、コラーゲン及びエラスチンであることが報告されている。ラミニン及びプロテオグリカンなどの他の生化学的成分もまた、少量存在する。
【0004】
BIOVANCEは、ヒト羊膜から製造される。原材料羊膜は、血液成分の汚染を浄化し、天然コラーゲン系アーキテクチャを変更することなく膜から細胞を除去するように設計された、すすぎ及び脱細胞化プロセスを受ける。浄化及び脱細胞化された羊膜は、50℃の穏やかな温度で脱水され、最終生成物は、貯蔵、輸送が容易であり、より長い貯蔵寿命を有するであろう。この生成物は、電子線放射を使用して最終的に滅菌される。
【0005】
羊膜(AM)を眼球表面再建に使用して、輪部上皮細胞のエクスビボ拡張、結膜表面の再建(例えば、翼状片除去、翼状片以外の大きい病変の除去後、瞼球癒着溶解後の)、緑内障、新生物、翼状片、並びに強膜融解及び強膜穿孔のための担体として、輪部幹細胞欠損症の有無にかかわらない角膜表面障害を含む、種々の眼球病態を治療する(Walkden,2020、Elhassan,2019、Malhotra&Jain,2014、Mamede et al.2012)。
【0006】
AMは、パッチ又は移植片のいずれかとして使用することができる。AM上皮細胞を上に配置することによって、AMは、上皮細胞成長のための基質及び足場として作用する(Malhotra&Jain,2014)。パッチとして、AMは、一時的な生体包帯又はコンタクトレンズとして作用し、パッチの真下の宿主組織の再上皮化を促進する(Walden,2020,Malhotra&Jain,2014)。AMをパッチ間質側として下にして配置することにより、炎症細胞を捕捉し、アポトーシスを誘導することによる炎症応答が下方制御されると考えられている(Dua et al.2004)。したがって、特に上皮欠損に関連する場合、AMを、急性炎症の存在下で間質側を下にして配置して、炎症細胞及びメディエーターから眼球表面を保護する(Malhotra&Jain,2014、Mamede et al.2012)。
【0007】
AMの向き及び適用方法:適用方法の選択は、使用の適応、所望の転帰、並びに創傷の深さ及びサイズに依存する(Walkden,2020、Elhassan,2019、Malhotra&Jain,2014)。
【0008】
3つの適用方法は、文献全体を通して一貫して報告される。
インレイ技術(永久的な移植片)、
オンレイ技術(一時的な生体包帯又はコンタクトレンズ)、及び
組み合わされたインレイ-オンレイ技術(永久的な移植片及び一時的な生体包帯)。
【0009】
インレイ技術(永久的な移植片):AMは、上皮/基底膜側を上にして配置されて、それらが成長することができる基質を宿主の細胞に提供する。経時的に、AMマトリックスが宿主角膜に再形成される。したがって、AMマトリックスは、永久的な移植片として働いている。
【0010】
AMは、欠損に適合するようにトリミングされ、上皮側を上にして配置され、通常は角膜に縫合される。およそ2mmの宿主の角膜上皮が創面切除される。これにより、再生上皮がAMの上皮/基底膜上で成長することができる。欠損のサイズに依存して、単一層技術又は多層技術を使用することができる。多層技術により、AMをいくつかの部片に切断すること、又はブランケット状に折り畳むことができる。
【0011】
オンレイ技術(一時的な生体包帯又はコンタクトレンズ):AMは、宿主の上皮が膜の下で成長することが意図されているため、上皮/基底膜側を上にして又は間質側を上にして配置することができる。AMは、一定期間にわたって脱落、除去、又は自己分解することが予想される。したがって、AMは、一時的な生体包帯又はコンタクトレンズとして働いており、物理的なバリアを提供する。AMが宿主組織に組み込まれることを意図するものではない。
【0012】
AMは、欠損よりも大きいサイズであるため、膜の真下に宿主上皮が存在する。AMは、縫合されるか、又は所定の位置に接合されるかのいずれかである。
【0013】
組み合わされたインレイ-オンレイ技術:これは、インレイ技術及びオンレイ技術の両方を組み合わせている。上述のように、AMは、欠損の上皮側を上にして配置され、宿主組織に組み込まれると予想される。単一層技術又は多層技術のいずれかを使用することができる。これは、移植片が上皮/基底膜側を上して又は間質側を上にしてのいずれかで配置され、欠損の周囲を越えて延在している、オンレイ技術と組み合わされる。この技術の場合、上皮は、パッチの下であるが、最上部のインレイ移植片の上で成長すると予想される。
【発明の概要】
【0014】
本発明は、一緒に積層された細胞外マトリックスの複数の層を含む組織移植片生成物であって、細胞外マトリックスが、羊膜に由来し、細胞外マトリックス層の間質側が、組織移植片生成物の上表面及び下表面の両方に提示される、組織移植片生成物を提供する。
【0015】
本発明はまた、本発明の組織移植片生成物を含む眼球組織移植片を提供する。
【0016】
本発明はまた、対象における眼の疾患又は傷害を治療する方法であって、対象の眼を、本発明の組織移植片生成物又は眼球組織移植片と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】側及び羊膜による細胞接着性を示す。平均値及び標準偏差をプロットしている。細胞接着性は、蛍光強度(AU)で測定した。
【0018】
図2】細胞増殖を示す。平均値及び標準偏差をプロットしている。
【0019】
図3】クレラティブ(crelative)増殖率を示す。平均値及び標準偏差をプロットしている。
【0020】
図4】羊膜による移動面積を示す。平均値及び標準偏差をプロットしている。移動面積は、pxとして報告される。
【0021】
図5】7日間にわたるAMのE&S側における細胞生存率を示す。*p≦0.05、DDHAM-Sと比較した。
【0022】
図6】4日後、AMのS側上の細胞をCalceinAMで染色して、生存細胞を可視化し(A)、ファロイジンで染色して、アクチンを可視化した(B)ことを示す。
【0023】
図7】AM上で24時間、48時間、及び72時間培養したHCECにおけるTNFaの遺伝子発現を示す。*p≦0.05。
【0024】
図8A-8B】羊膜の免疫蛍光及びH&E染色を示す。DDHAM、DHAM、及びCHAMの免疫蛍光染色を示す(A)。膜の断面を、Hoechst染料(青色のDNA)、ファロイジン(緑色のアクチン)、及び抗ヒトI型コラーゲン抗体(赤色のCol1)で染色した。代表的な画像が示されており、スケールバー=50umである。DDHAM、DHAM、及びCHAMのH&E染色(青色の核、赤色の細胞質)が示されている(B)。代表的な画像を示しており、スケールバー=20um。
【0025】
図9】細胞接着性を示す。羊膜の上皮側及び間質側上に播種し、24時間インキュベートしたヒト角膜上皮細胞。各羊膜の上皮側と間質側との間の比較を示し、各側についての羊膜間の比較を示す。平均値及び標準偏差をプロットしている。蛍光強度を任意単位(AU)で表している。示されるデータは、平均値±SDである。*p≦0.05。略語:CHAM、凍結保存ヒト羊膜;DDHAM、脱細胞化脱水ヒト羊膜;DHAM、脱水ヒト羊膜。
【0026】
図10】4日目のAM上のヒト角膜上皮細胞の染色を示す。ヒト角膜上皮細胞を、3つのAMの間質側上に播種し、培養し、Calcein AMで染色して、4日目に生存細胞を可視化した(A)。AM上のヒト角膜上皮細胞の形態を、4日目のアクチン染色及び擬似着色した赤色によって監視した(B)。落射蛍光顕微鏡を使用して画像を取り込んだ。スケールバー=100μm。略語:CHAM、凍結保存ヒト羊膜;DDHAM、脱細胞化脱水ヒト羊膜;DHAM、脱水ヒト羊膜。
【0027】
図11A-11B】経時的な細胞生存率を示す。ヒト角膜上皮細胞を、羊膜の上皮側及び間質側上に播種し、1、4、及び7日間インキュベートした。alamarBlueアッセイによって、羊膜上の細胞の生存率を各時点で測定した。蛍光強度を任意単位(AU)で表している。平均値及び標準偏差を、羊膜の各側について経時的にプロットしている(A)。1日目の百分率として表される相対的細胞生存率、及び標準偏差を、羊膜の各々について経時的にプロットしている。各羊膜の上皮側と間質側との間の比較を示し、各側についての羊膜間の比較を示す。示されるデータは、平均値±SDである。*p≦0.05。略語:CHAM、凍結保存ヒト羊膜;DDHAM、脱細胞化脱水ヒト羊膜;DHAM、脱水ヒト羊膜。
【0028】
図12A-12B】移動の定量化を示す。代表的なスクラッチ創傷の画像を、0時間及び24時間でのヒト角膜上皮細胞移動に対する馴化培地の効果を実証するために示している(A)。異なる羊膜からの馴化培地(細胞の有無にかかわらず)を試験して、ヒト角膜上皮細胞移動に対するAM単独の効果を評価した(B)。画像Jを使用して、創傷面積を測定し、スクエアピクセルで表した(px2)。移動した面積=面積0時間-面積24時間。示されるデータは、平均値±SDである。*p≦0.05。略語:CHAM、凍結保存ヒト羊膜;DDHAM、脱細胞化脱水ヒト羊膜;DHAM、脱水ヒト羊膜;Medium Ctrl、対照。
【0029】
図13A-13D】24時間でのmRNA発現を示す。24時間でのGM-CSF(A)、IL-6(B)、IL-8(C)、及びTNF-α(D)の相対的mRNA発現を示す。24時間での相対的mRNA発現を、静止状態でTCPに対して正規化する。示されるデータは、平均値±SDである。*p≦0.05。略語:CHAM、凍結保存ヒト羊膜;DDHAM、脱細胞化脱水ヒト羊膜;DHAM、脱水ヒト羊膜;GM-CSF、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子;IL-6、インターロイキン-6;IL-8、インターロイキン-8;TNF-α、腫瘍壊死因子アルファ。
【0030】
図14A-14D】時間ごとのmRNA発現を示す。刺激された状態(+TNF-α)における時間ごとのGM-CSF(A)、IL-6(B)、IL-8(C)、及びTNF-α(D)の相対的mRNA発現を示す。時間ごとの相対的mRNA発現を、24時間で発現するように正規化する。統計的比較は、刺激された状態における各羊膜についての時点間である。示されるデータは、平均値±SDである。*p≦0.05。略語:CHAM、凍結保存ヒト羊膜;DDHAM、脱細胞化脱水ヒト羊膜;DHAM、脱水ヒト羊膜;GM-CSF、顆粒球マクロファージコロニー刺激因子;IL-6、インターロイキン-6;IL-8、インターロイキン-8;TNF-α、腫瘍壊死因子アルファ。
【0031】
図15A-15F】臨床事例を示す。上皮表面の画像を撮影して、臨床過程を示した:術前には、上皮の貧弱で不規則的な表面(A)、前部基底膜ジストロフィーからの目に見える上皮下破片を有する貧弱な上皮の除去後(B)、全ての上皮下瘢痕及び前部基底膜ジストロフィー破片のバーリング後(C)、DDHAMの配置(D)、DDHAM上の包帯コンタクトレンズの配置(E)を示し、術後1ヶ月には、明瞭な表面を示している。
【0032】
図16A-16C】眼球AMの調製を示す。DDHAMを10mmディスクとしてパッケージ化する(A)。研究のために、10mm生検パンチを使用して、DHAM(B)及びCHAM(C)を10mmディスクにした。略語:CHAM、凍結保存ヒト羊膜;DDHAM、脱細胞化脱水ヒト羊膜;DHAM、脱水ヒト羊膜。
【0033】
図17】湾曲した形状にBiovance 3L ocularを乾燥させることを可能にする3Dプリントされた型のモデルを示す。
【0034】
図18】湾曲した形状に乾燥させたBiovance 3L ocularを示す。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本発明は、一緒に積層された細胞外マトリックスの複数の層を含む組織移植片生成物であって、細胞外マトリックスが、羊膜に由来し、細胞外マトリックス層の間質側が、組織移植片生成物の上表面及び下表面の両方に提示される、組織移植片生成物を提供する。
【0036】
いくつかの実施形態では、生成物は、細胞外マトリックスの3つ以上の層を含む。いくつかの実施形態では、生成物は、正確に細胞外マトリックスの3つの層を含む。
【0037】
いくつかの実施形態では、羊膜は、脱細胞化される。いくつかの実施形態では、羊膜は、洗剤及び又は機械的破壊で脱細胞化される。いくつかの実施形態では、洗剤は、デオキシコール酸である。
【0038】
いくつかの実施形態では、細胞外マトリックスの複数の層は、乾燥によって一緒に積層される。いくつかの実施形態では、生成物は、加熱及び又は真空によって乾燥される。
【0039】
いくつかの実施形態では、組織移植片生成物は、脱水される。いくつかの実施形態では、生成物は、乾燥重量で約20%未満の水を含む。いくつかの実施形態では、生成物は、乾燥重量で約15%未満の水を含む。いくつかの実施形態では、生成物は、乾燥重量で約10%の水を含む。
【0040】
いくつかの実施形態では、生成物は、乾燥重量で約40%~約70%の総コラーゲンを含む。いくつかの実施形態では、生成物は、乾燥重量で約45%~約60%の総コラーゲンを含む。いくつかの実施形態では、生成物は、乾燥重量で約50%~約55%の総コラーゲンを含む。いくつかの実施形態では、コラーゲンは、主に、I型コラーゲン及びIII型コラーゲンである。
【0041】
いくつかの実施形態では、生成物は、乾燥重量で約8%~約24%のエラスチンを含む。いくつかの実施形態では、生成物は、乾燥重量で約12%~約20%のエラスチンを含む。いくつかの実施形態では、生成物は、乾燥重量で約15%~約20%のエラスチンを含む。
【0042】
いくつかの実施形態では、生成物は、乾燥重量で約1%未満のグリコサミノグリカンを含む。好ましい実施形態では、生成物は、乾燥重量で約0.5%未満のグリコサミノグリカンを含む。いくつかの実施形態では、生成物は、乾燥重量で約1%未満のフィブロネクチンを含む。好ましい実施形態では、生成物は、乾燥重量で約0.5%未満のフィブロネクチンを含む。いくつかの実施形態では、生成物は、乾燥重量で約1%未満のラミニンを含む。好ましい実施形態では、生成物は、約0.5%未満のラミニンを含む。
【0043】
いくつかの実施形態では、羊膜は、ヒト羊膜である。いくつかの実施形態では、羊膜は、満期妊娠に由来する。
【0044】
本発明はまた、本発明の組織移植片生成物を含む眼球組織移植片を提供する。
【0045】
いくつかの実施形態では、眼球組織移植片は、ほぼ円形である。いくつかの実施形態では、眼球組織移植片は、球体の一部分の形状に湾曲部分を含む。
【0046】
いくつかの実施形態では、形状は、組織移植片生成物を型上で乾燥させることによって付与される。
【0047】
本発明はまた、対象における眼の疾患又は傷害を治療する方法であって、対象の眼を、本発明の組織移植片生成物又は眼球組織移植片と接触させるステップを含む、方法を提供する。
【0048】
いくつかの実施形態では、眼の傷害は、擦り傷を含む。いくつかの実施形態では、眼の傷害は、化学物質曝露を含む。いくつかの実施形態では、眼の傷害は、切り傷又は裂傷を含む。いくつかの実施形態では、眼の疾患又は傷害は、角膜の疾患又は傷害を含む。
【0049】
いくつかの実施形態では、治療は、損傷した組織の修復を含む。いくつかの実施形態では、治療は、治療していない眼に対する瘢痕組織の低減又は瘢痕組織形成の低減を含む。いくつかの実施形態では、治療は、治療していない眼に対する上皮細胞移動の増加を含む。いくつかの実施形態では、治療は、治療していない眼に対する上皮細胞接着性の増加を含む。いくつかの実施形態では、治療は、治療していない眼に対する上皮細胞増殖の増加を含む。いくつかの実施形態では、治療は、治療していない眼に対する上皮細胞被覆率の増加を含む。
【0050】
いくつかの実施形態では、対象は、哺乳動物である。好ましい実施形態では、対象は、ヒトである。
【実施例
【0051】
実施例1:Biovanceの生化学的組成
BIOVANCEは、主にコラーゲン及びエラスチンで構成される。グリコサミノグリカン、フィブロネクチン、及びラミニンも少量存在する。

【0052】
実施例2:ヒト眼球上皮細胞に対する眼球足場の効果の比較研究
それらの独自の生物学的特性による羊膜足場は、様々な眼球疾患の治療に使用されてきた。ベンチトップデータは、足場の再生特性が先天的な治癒メカニズムに影響を及ぼし得ることを示している。羊膜足場は、自然治癒を速め、自覚的な痛み及び外科的合併症を軽減するのに役立ち得る。羊膜足場の固有の再生能力を文書化する広範な調査にもかかわらず、組織の取得及び処理は絶えず進化している。どの処理方法が眼科用途に理想的な足場を生成するかを解明するためには、更なる努力が必要である。
【0053】
目的:ヒト眼球上皮細胞の接着性及び増殖に対する3つの羊膜足場(Biovance3L Ocular、AMBIO2(登録商標)、AmnioGraft(登録商標))の効果を判定するため。
【0054】
方法:ヒト角膜上皮細胞(HCEC)及びヒト結膜上皮細胞(HConEpiC)をウェルに播種した。接着性及び増殖を、1、4、及び7日目に足場上で測定した。馴化培地をウェルから抽出し、成長アッセイに使用した。
【0055】
結果:2つの他の足場と比較して、Biovance3L Ocularは、有意に高い上皮細胞生存率(P<0.001)を示し、有意に高い上皮細胞接着性(P≦0.011)を示した。更に、上皮細胞増殖の速度は、AmnioGraft(登録商標)よりもBiovance3Lで有意に高かった(P<0.001)。Biovance3L Ocular及びAMBIO2(登録商標)上で培養された細胞からの馴化培地の存在下でのHCEC移動は、同等であり(P=0.885)、AmnioGraft(登録商標)上で成長させた細胞よりも有意に大きい(P≦0.006)。馴化培地の存在下での、眼球足場上で培養された細胞からのHCECの移動は、組織培養プラスチック上で成長させた細胞からの対照馴化培地よりも有意に大きかった(P<0.001)。異なる足場からの馴化培地は、HConEpiCの移動に影響を与えなかった。
【0056】
結論:Biovance3L Ocularは、他の足場と比較した場合、HCEC及びHConEpiCの両方のより高い生存率、接着性、及び増殖を支持することによって、ヒト上皮細胞に対する有意な効果を有していた。これらの所見の臨床的影響を判断するには、追加の調査が必要である。
【0057】
概要:Biovance3L Ocularを市場競合他社のAMBIO2(登録商標)及びAmnioGraft(登録商標)に対して比較して、様々なアッセイにおける細胞成長の差を判定した。Biovance3Lは、他の足場と比較した場合、HCEC及びHConEpiCの優れた生存率、接着性、及び増殖を示した。残留細胞、DNA、成長因子、及びサイトカインを欠いたBiovance3L Ocularは、自然な修復及び再生を達成するために必須である眼球上皮細胞についての優れた成長測定値を示した。
【0058】
実施例3:Biovance 3L
背景:羊膜は、幅広い臨床用途を有する。典型的には、単一層膜は、臨床的応用にわたって利用される。
【0059】
角膜上皮細胞の再上皮化のための好ましい向きは、間質側と比較して、再上皮化を支持する羊膜の上皮側であることが文書化されている。
【0060】
例えば、D.J Hu(Investigative Ophthalmology&Visual Science May 2003,Vol.44,3151)は、角膜欠損上に縫合された羊膜(AM)上の角膜再上皮化を2つの向きで比較した。AM基底膜前部(BMA)及びAM基底膜後部(BMP)側。彼の結論は、角膜再上皮化率がAMの向きによって影響されないというものであった。角膜上皮は、向きに関係なく、AMの基底膜(上皮側)に向かってより高い親和性を有する。臨床医は、この所見を考慮し、上皮は羊膜の両側で成長し得るが、再上皮化の大部分は基底膜表面上で起こることを認識する必要がある。
【0061】
我々の調査の問題/仮説:羊膜(AM)の側性(すなわち、上皮、間質)及び異なる膜処理方法(すなわち、DDHAM、DHAM、及びCHAM)は、HCECの接着性、増殖、及び移動にどのように影響を及ぼすか?
【0062】
加えて、残留細胞成分、細胞、細胞破片、DNA、成長因子、及びサイトカインの完全な除去、並びに本質的な細胞外マトリックス分子を有する無傷の先天的なコラーゲンフレームワークの保持を目的とする我々の独自の脱細胞化プロセスは、天然の3次元形態で、残留細胞、細胞破片、DNA、並びに成長因子及びサイトカインを含有する他の羊膜由来の生成物と比較して、優れた生体適合性、及び細胞分化機能を支持する能力を提供するというのが我々の仮説である。
【0063】
我々は、単一層状膜とは異なる3Lと呼ばれる3層状膜を、1つではなくこれらの3つの層で一緒に乾燥させ、新しい材料構成を形成することを考案した。新規の層形成ステップは、膜乾燥プロセスの前に追加され、予想外の新しい特性及び臨床用途を有する生成物を作り出した。この新規組成物の一部として、羊膜は、3層の厚さになるように重ねられ、上部及び下部で外向きの間質側を有する。この膜をそれ自体の上に重ね、乾燥させて、同じ羊膜から3つの層の膜を作り出す。
【0064】
我々の新しい生成物は、胎盤から剥がされ、浸漬のために中性洗剤である1%デオキシコール酸に入れられた羊膜からなる。羊膜は、膜の表面から羊膜細胞及び絨毛細胞のほぼ100%、並びに組織の物質から線維芽細胞の大部分を除去することを意図した機械的剥離を受ける。
【0065】
最終生成物は、コラーゲン及び他のマトリックス成分に結合するエラスチン及びフィブロネクチンを含む、羊膜の天然コラーゲン構造を保持する細胞外マトリックスで構成された三層羊膜構造組織である。
【0066】
新規の層形成ステップは、膜乾燥プロセスの前に追加され、予想外の新しい特性及び臨床用途を有する生成物を作り出した。
【0067】
この新規組成物の一部として、羊膜は、3層の厚さになるように重ねられ、上部及び下部で外向きの間質側を有する。乾燥後、羊膜を所望のサイズに切断し、各個々の部片を内側パウチに入れ、ラベル付けし、密封し、滅菌する。
【0068】
Biovance 3Lの予想外の結果は、3L BIOVANCE Ocularの間質側対上皮側におけるヒト角膜上皮及びヒト結膜細胞の付着、増殖、及び移動の違いに関連している。加えて、脱細胞化プロセスは、羊膜の性能に対する影響を有する。
【0069】
統計分析:独立変数は、AM(DDHAM、DHAM、CHAM)、側(上皮、間質)、及び時間(1日目、4日目、及び7日目)である。従属変数は、細胞の接着性、増殖、及び移動である。以下の結果は、3つの羊膜(AM)の上皮側及び間質側の両方におけるヒト角膜上皮細胞についてのものである:Biovance3L Ocular(DDHAM)、AMBIO2(DHAM)、及びAmnioGraft(CHAM)。
【0070】
データは、平均値±標準偏差(SD)として示される。データを試験し、ほぼ正規分布であることを見出した。細胞の接着性及び移動を、Tukey事後検定を伴う二元配置分散分析(ANOVA)で分析した。細胞増殖を、Tukey事後検定を伴う三元配置ANOVAで分析した。ANOVA結果は、F統計量及びその関連する自由度として報告される。ペアリングされていないt検定を、指示されたときに事後検定として実施した。p値<0.05を有意とみなした。IBM SPSS(Build 1.0.0.1444)を使用して、全ての分析を実施した。
【0071】
Biovance(登録商標)Tri-layerは、保存された天然上皮基底膜、及びその生化学的成分を有する無傷の細胞外マトリックス構造を有する三層状の脱細胞化脱水ヒト羊膜(DDHAM)である。この同種移植片の上皮基底膜及び細胞外マトリックスは、細胞付着又は浸潤及び成長因子貯蔵を可能にする天然足場を提供する。Biovance(登録商標)Tri-layerは、保護カバーを提供し、身体の創傷治癒プロセスを支持する。Biovance(登録商標)Tri-layerは、現在、3L Biovance(登録商標)及びBiovance(登録商標)3L Ocularとして市販されている。
【0072】
Biovance(登録商標)Tri-layer、脱細胞化脱水ヒト羊膜(DDHAM)は、胎盤から剥がされ、浸漬のために中性洗剤である1%デオキシコール酸に入れられた羊膜からなる。羊膜は、膜の表面から羊膜細胞及び絨毛細胞のほぼ100%を除去することを意図した機械的剥離を受ける。線維芽細胞の大部分も組織の物質から除去される。この膜をそれ自体の上に重ね、乾燥させて、Biovance(登録商標)の3層状生成物バージョンを作り出す。最終生成物は、コラーゲン及び他のマトリックス成分に結合するフィブロネクチンを含む、羊膜の天然コラーゲン構造を保持する細胞外マトリックスで構成された構造組織である。完成した生成物は、細胞、ホルモン、成長因子、及びサイトカインを欠いた三層羊膜である。
【0073】
Biovance(登録商標)Tri-layerの製造プロセスを合理化及び最適化するために、プロセス開発チームは、Biovance(登録商標)プロセスのための全ての処理ステップを活用した。膜を乾燥させる前に、層形成ステップを追加した。滅菌ステップ及び放出基準も、Biovance(登録商標)プロセスからBiovance(登録商標)Tri-layerプロセスに引き継がれた。
【0074】
羊膜は、1%デオキシコール酸溶液中に収穫され、最大14日間2~8℃で貯蔵することができる。許容可能な母体血液結果が得られると、羊膜が貯蔵部から取り出され、処理が開始される。羊膜は、一連の手作業で剥離され、洗浄された後に重ねられる。羊膜は、3層の厚さになるように重ねられ、上部及び下部で外向きの間質側を有する。乾燥後、羊膜を所望のサイズに切断し、各個々の部片を内側パウチに入れ、ラベル付けし、密封し、目視検査のために提出する。目視検査中、組織は、サイズ、形状、穴、破れ/裂け目、破片、及び染みについて検査される。目視検査後、内側パウチ内の各部片を、ラベル付けされた外側パウチに入れ、密封し、滅菌する。
【0075】
結果:
細胞接着性:
細胞接着性は、AMの上皮側(9,788.50±5,704.17AU)(側の主効果、F(1,18)=6.714、p=0.018)よりも間質側(12,342.42±4,536.60AU)において高く、これは、DHAMの間質側(13,100.25±4,675.24AU、p=0.017)、DDHAMの上皮側(16,725.25±1,453.62AU、p<0.001)、CHAMの上皮側(8,392.50±1,425.86AU、p<0.001)、DDHAMの間質側(16,334.75±591.85AU、p=0.002)、及びCHAMの間質側(7,592.25±1,073.22AU、p<0.001)(側×AM、p=0.001)と比較して、DHAMの上皮側(4,247.75±2,732.87AU)におけるより低い細胞接着性に起因し得る。
【0076】
追加的に、AM(AMの主効果、F(2,18)=30.896、p<0.001)間で細胞接着性に有意な差があり、DHAM(8,674.00±5,912.61AU、p<0.001)及びCHAM(7,992.38±1,244.16AU、p<0.001)よりもDDHAM(16,530.00±1,048.46AU)において有意に高い細胞接着性を有していた。しかしながら、上で示したように、細胞接着性は、側及びAMによって変動した。細胞接着性は、DDHAMの上皮側とDDHAMの間質側との間(p=0.645)、及びCHAMの上皮側とCHAMの間質側との間(p=0.404)で類似していた。しかしながら、細胞接着性は、DHAMの上皮側よりもDHAMの間質側において有意に高かった(P=0.017)。したがって、細胞接着性は、DHAMの上皮側(p≦0.002)、CHAMの上皮側(事後試験、p<0.001)、及びCHAMの間質側(事後検定、p<0.001)よりもDDHAMの間質側及び上皮側において有意に高く、一方、DDHAMの間質側とDHAMの間質側との間では細胞接着性が類似していた(p=0.219)。

【0077】
細胞増殖:
生存細胞の数は、7日間の培養にわたって有意に減少したが(時間の主効果;(F(2,54)=44.880、p<0.001)、細胞数は、側、AM、及び時間(側×AM×時間の相互作用;(F(4,54)=3.633、p=0.011)で有意に変動した。最も注目すべきは、細胞数は、4日目のDDHAMの間質側を除いて、全ての変数について時間ごとに減少した。4日目には、相対的増殖率は、DDHAMの上皮側(52.27±14.41%、p<0.001)、DHAMの上皮側(12.54±16.79%、p=0.012)、及びCHAMの間質側(15.00±6.73%、p<0.001)よりもDDHAMの間質側(115.29±15.54%)において有意に高かった。DDHAMの間質側とCHAMの上皮側(46.83±25.69%、p=0.731)との間、又はDDHAMの間質側とDHAMの間質側(95.54±44.25%、p=0.430)との間の相対的増殖率に有意な差はなかった。しかしながら、DHAMの間質側は、CHAMの間質側よりも有意に高かった(p=0.012)。4日目からの細胞数の減少にもかかわらず、7日目には、相対的増殖率は、CHAMの間質側(6.87±1.77%、p=0.035)及びDHAMの上皮側(7.54±5.84%、p=0.017)よりもDDHAMの間質側(59.47±28.48%)において有意に高かった。
【0078】
細胞の数はまた、AMの上皮側(5,648.00±5,312.56AU、主効果側;F(1,54)=39.545、p<0.001)よりも間質側(9,383.33±6,469.15AU)において有意に多く、これは、DDHAM及びDHAMの上皮側よりも間質側上の有意に多くの細胞によって主として引き起こされている(側×AM相互作用;p<0.001);DDHAM間質:14,972.00±4,973.00AU対DDHAM上皮:10,438.50±5,555.98AU、p=0.047;DHAM間質:10,103.33±4,336.49AU対DHAM上皮:1,590.42±2,431.25AU、t(22)=5.932、p<0.001)。逆に、CHAM 上皮側(4,915.08±3,072.42AU)及び間質側(3,074.67±3,401.09AU、p=0.178)において類似した数の細胞。
【0079】
細胞数はまた、CHAM(3,994.88±3,306.13AU、p<0.001)よりもDDHAM(12,705.25±5,652.67AU)上に有意に多い細胞を有するAM間で有意な差があった(主効果AM;F(2,54)=79.570、p<0.001)。DDHAMとDHAMとの間(5,846.88±5,543.10、P=0.065)、又はDHAMとCHAMとの間(p=0.085)の細胞数に有意な差はなかった。DHAM及びCHAMの類似した細胞カウントは、DHAMの上皮側における低い細胞カウント(1,590.42±2,431.25AU)によって説明することができ、これは、DHAMの間質側(10,103.33±4,336.49AU、p<0.001)、DDHAMの間質側(14,972.00±4,973.00AU、p<0.001)、DDHAMの上皮側(10,438.50±5,555.98AU、p<0.001)、及びCHAMの上皮側(4,915.08±3,072.42AU、p=0.008)よりも有意に低かった。DHAMの上皮側及びCHAMの間質側における細胞カウントは、類似していた(3,074.67±3,401.09AU、p=0.117)。

【0080】
細胞移動:
細胞移動は、AM間で有意に異なり(AM主効果;F(2,49)=6.819、p=0.002)、細胞移動は、CHAM(344,471.06±106,094.18px、p=0.003)よりもDDHAMにおいて有意に大きい(466,085.13±98,339.52px)。加えて、細胞移動は、DDHAM(p<0.001)、DHAM(420,349.88±95,109.86px、p<0.001)、及びCHAM(p<0.001)よりも培地対照において有意に低かった。側の主効果はなく、これは、AMの上皮側(421,669.96±113,435.95px)及び間質側(389,934.08±107,979.51px、F(1,49)=0.701、P=0.407)において細胞移動が類似していたことを示している。細胞移動は、羊膜及び側で統計的に差はなかった(p=0.159)。

【0081】
実施例4:脱細胞化脱水ヒト羊膜由来の生体材料は、ヒト角膜上皮細胞機能及び炎症応答を支持する
目的の記述:創傷治癒のための脱細胞化組織系生体材料の成功的な適用には、細胞の機能及び分化を支持するマトリックス成分が必要となる。羊膜(AM)は、眼球治癒に使用するのを好適にする独自の生物学的及び機械的特性を有するヒト胎盤組織からの天然由来の生体材料である(1,2)。この研究の目的は、ヒト角膜上皮細胞(HCEC)機能に対する側性及びAM処理方法のインビトロでの効果を評価することである。実験変数としては、AM側性(上皮[E]及び間質[S])及びAM処理方法(脱細胞化及び脱水[DDHAM]、脱水[DHAM]、及び凍結保存[CHAM])が挙げられる。従属変数としては、HCEC生存率、移動、及び炎症応答が挙げられる。
【0082】
方法:異なって処理された市販されている眼球AMを3つ選択した:Biovance3L Ocular(DDHAM)、Ambio2(登録商標)(DHAM)、及びAmnioGraft(登録商標)(CHAM)。HCECをAMのE側及びS側上に播種し、1、4、及び7日間インキュベートした。alamarBlueアッセイを使用して、細胞生存率をAM上の各時点で測定した。AM上で培養したHCECからの馴化培地を収集し、スクラッチ創傷アッセイを使用して、HCECの移動に対する馴化培地の効果を評価した。炎症応答は、TNFa治療によって誘導された。HCECにおける炎症誘発性遺伝子の発現に対するAMの効果を、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を使用して比較した。全ての統計的試験についての有意なレベルを、p=0.05に設定した。細胞生存率を二元配置分散分析(ANOVA)で、細胞増殖を三元配置ANOVAで、及びmRNA発現を一元配置ANOVAで分析した。Tukey検定及び対応のないt検定を事後分析に使用した。
【0083】
結果:1日目には、細胞生存率は、CHAM-E&S(p<0.001)及びDHAM-E(p≦0.002)よりもDDHAM-E&Sにおいて有意に高かった。4日目には、細胞生存率は、他の全ての変数よりもDDHAM-Sにおいて有意に高かった(p≦0.004、図1)。加えて、4日目には、細胞生存率は同等であった。
【0084】
DDHAM-EとDHAM-Sとの間(p=0.147)、及びDHAM-E(p≦0.004)、CHAM-S&E(p≦0.017)よりも有意に高い。7日目には、細胞生存率は、DHAM-E(p=0.028)及びCHAM-S&E(p≦0.049)よりもDDHAM-Sにおいて有意に高かった。細胞生存率は、DDHAM-Eと他の全ての変数との間で類似していた(p≧0.097)。DDHAM及びDHAM上で培養された細胞からの馴化培地の存在下でのHCEC移動は、同等であり(p=0.885)、CHAM上で成長した細胞よりも有意に大きい(p≦0.005)。興味深いことに、DDHAM上で培養されたHCECは、インサイチュでの眼球上皮細胞の形態を模倣する石畳形態(図2)を適応させた(3)。馴化培地の存在下での、眼球足場上で培養された細胞からのHCECの移動は、組織培養プラスチック上で成長させた細胞からの対照馴化培地よりも有意に大きかった(p<0.001)。更に、TNFaによる炎症刺激に応答して、DDHAM上のHCECにおける炎症誘発性サイトカイン(IL-6、IL-8、及びTNFa)の遺伝子発現は、初期の増加に続いて時間ごとに低下を示した(図3)。
【0085】
結論:このインビトロ研究では、DDHAM-Sは、HCEC生存率及び移動を最良に支持した。DDHAMの存在はまた、経時的にHCECの炎症応答を減衰させた。
【0086】
参考文献:
1.Walkden A.Clin Ophthalmol.2020;14:2057-2072.
2.Malhotra C.World J Transplant.2014;4(2):111-121.
3.Sosnova-Netukova M.Br J Ophthalmol.2007;91(3):372-378.
【0087】
実施例5:異なって設計された眼球羊膜におけるヒト角膜上皮細胞活性及び炎症応答のインビトロ比較、並びに臨床事例
羊膜(AM)は、眼科にとって重要な生物学的及び機械的特性を有する天然由来の生体材料である。AMの上皮側は上皮化を促進し、一方、間質側は炎症を調節する。しかしながら、全てのAMが等しいとは限らない。AMは、細胞含有量及び構造において得られた変化を伴う異なる処理を受ける。この研究では、ヒト角膜上皮細胞(HCEC)活性に対する側性及び処理の効果、並びにHCEC炎症応答に対する処理の効果を評価し、事例を提示する。異なって処理され、市販されている眼球AMを3つ選択した:(1)Biovance3L Ocular、脱細胞化脱水ヒトAM(DDHAM)、(2)AMBIO2(登録商標)、脱水ヒトAM(DHAM)、及び(3)AmnioGraft(登録商標)、凍結保存ヒトAM(CHAM)。HCECをAM上に播種し、1、4、及び7日間インキュベートした。細胞の接着性及び生存率を、alamarBlueアッセイを使用して評価した。スクラッチ創傷アッセイを使用して、HCEC移動を評価した。炎症応答は、TNFα治療によって誘導された。HCECにおける炎症誘発性遺伝子の発現に対するAMの効果を、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)を使用して比較した。染色により、DDHAMにおける完全な脱細胞化及び核の不存在を確認した。HCEC活性は、DDHAMの間質側において最良に支持された。炎症刺激下で、DDHAMは、より高い初期炎症応答を促進し、時間ごとに低下する傾向があった。臨床的に、DDHAMを使用して、前部基底膜ジストロフィーを成功的に治療した。DHAM及びCHAMと比較して、DDHAMは、インビトロでのHCECの細胞活性に対して有意なプラスの効果を有し、インビボでのより高い眼球細胞適合性を示唆し得る。
【0088】
序論:羊膜(AM)は、眼科で使用するために特に好適なものとする独自の生物学的及び機械的特性を有する天然由来の生体材料である(Leal-Marin et al.2021、Walden,2020、Liu et al.2019、Malhotra&Jain,2014、Fernandes et al.2005)。羊膜組織は、上皮化の促進(Shayan et al.2019、Meller et al.2002、Meller et al.1999)、炎症の軽減(Sharma et al.2016、Tabatabaei et al.2017、Tandon et al.2011)、瘢痕組織形成の阻害(Niknejad et al.2008、Tseng et al.1999 Lee et al.2000)、新しい血管の遮断(Hao et al.2000)、及び抗微生物剤として作用する能力(Mamede&Botelho,2015、Tehrani et al.2013、Sangwan et al.2011、Kjaergaard et al.2001、Kjaergaard et al.1999、Inge et al.1991)を通して、眼球表面の治癒及び再建を促進すると考えられている。眼科では、AMは、種々の眼球状態を治療するために広く使用される。臨床的に、AMは、外科用パッチとして、損傷した眼球組織を置き換えるための基質として、又はパッチ及び基質の両方として組み合わせて使用することができる。
【0089】
パッチとして、AMは、パッチの真下の宿主組織の再上皮化を促進する一時的な生体包帯又はコンタクトレンズとして作用し(Walden,2020、Malhotra&Jain,2014)、間質側を下にして配置して、炎症細胞を捕捉し、アポトーシスを誘導することによって炎症応答を下方制御する(Dua et al.2004、Shimmura et al.2001)。AM上皮側を上にして配置することによって、AMは、上皮細胞の移動及び成長のための基質及び足場として作用する(Malhotra&Jain,2014)。AMは再上皮化を促進するために上皮側を上にして配置するべきであると広く受け入れられているが(Hu et al.2003)、膜の間質側は上皮細胞成長を支持することが示されている(Seitz et al.2006)。注目すべきは、既存の調査の多くは、凍結保存されたAMに限定されており、これらの所見が、異なる処理方法を受けた他のAMにも適用されるかどうかは不明なままである。
【0090】
臨床的応用の前に、AMは、細胞の含有量及び構造に結果として生じる変化を伴って滅菌及び処理される(Leal-Marin et al.2021、von Versen-Hoeynck et al.2004、Lim et al.2010)。この組織は、直接使用することができるか、又は脱細胞化の追加のプロセスを受けることができる(Tehrani et al.2021)。脱細胞化は、細胞外マトリックス(ECM)の天然の構造的及び化学的要素を保持しながら、免疫応答を阻止するために内因性細胞、細胞破片、及びDNA残留物を除去するプロセスである(Gholipourmalekabadi et al.2015)。以前の研究では、ECM生成物中の残留DNAの量と宿主炎症応答との間の相関を示している(Keane et al.2012、Seif-Naraghi et al.2013)。組織の保存と同様に、脱細胞化はECM内の構造及び実体にも影響を与え得る(Aamodt&Grainger,2016)。したがって、成功的な保存-脱細胞化プロトコルは、細胞物質の除去と、ECMの先天的な特性及び機能的特性の保持との微妙なバランスを取る必要がある(Gholipourmalekabadi et al.2015、Aamodt&Grainger,2016、Balestrini et al.2015)。我々の知る限りでは、異なる保存-脱細胞化プロトコルがヒト角膜上皮細胞(HCEC)の細胞活性及び炎症応答にどのように影響を与えるかを評価した研究はない。
【0091】
このプロジェクトは、初めて、
HCECの細胞活性(すなわち、接着性、生存率、及び移動)に対する羊膜の側性(すなわち、上皮対間質)及び処理方法の効果、
HCECの炎症応答(すなわち、炎症誘発性サイトカインの発現)に対する異なる処理方法の効果、を評価することを目的としている。
【0092】
したがって、比較のために、異なって処理された市販されている眼球AMを3つ選択した:
Biovance3L Ocular(Celularity,Florham Park,NJ)、脱細胞化脱水ヒト羊膜(DDHAM)、
AMBIO2(登録商標)(Katena,Parsippany,NJ)、脱水ヒト羊膜(DHAM)、
AmnioGraft(登録商標)(Biotissue,Miami,FL)、凍結保存ヒト羊膜(CHAM)。
【0093】
Biovance(登録商標)3L Ocularは、3層DDHAMである。Biovance(登録商標)3L Ocularは、間質側が外側に面した状態で独自に設計されている。したがって、間質側は、その向きに関係なく、眼球表面と接する。更に、3つの層を有することにより、その取り扱い特性が強化される。AMを適格な時期の胎盤から切除し、洗浄し、剥離して、無関係の組織及び細胞を除去する。次いで、組織を、浸透圧ショック法を使用した後、中性洗剤処理を行って脱細胞化し、乾燥させ、滅菌する。以前の調査では、この専用の脱細胞化プロセスが、フィブロネクチン、ラミニン、グリコサミノグリカン、及びエラスチンなどの高いコラーゲン含有量及び主要な生物活性分子を有するECM構造を保持しながら、残留細胞、細胞破片、成長因子、及びサイトカインを除去することが確認されている(Bhatia et al.2007)。
【0094】
AMBIO2(登録商標)は、単層、無菌で処理されたDHAMである。脱水プロセスは、成長因子及びサイトカインを含む組織の構造的マトリックス及び生物学的成分を保存しながら、水分を除去する(使用説明書、2021)。
【0095】
AmnioGraft(登録商標)は、単層CHAMである。AMは、CRYOTEK(登録商標)という専用の凍結保存方法を使用して保存される。凍結保存プロセスは、無傷の細胞構造を維持し、成長因子及びサイトカインを保存しながら、羊膜上皮細胞を生存不能にする(Rodriguez-Ares et al.2009)。
【0096】
DDHAMは、その天然ECMを保持し、全ての細胞成分、DNA、成長因子、及びサイトカインを欠いている。したがって、著者らは、DDHAMが、残留DNA及び他の細胞成分を含有する他の2つの眼球AMと比較して、HCECの細胞活性及び炎症応答を支持する、より細胞に優しいマトリックスを提供するであろうという仮説を立てている。このインビトロ研究の結果は、羊膜組織の保存及び脱細胞化がヒト眼球上皮細胞の活性にどのように影響を与えるかについての基本的な理解を加速させる。また、その結果は、角膜上皮欠損治癒、翼状片修復、結膜嚢再建、及び他の眼球処置などの、角膜及び結膜に関連する傷害又は欠損を支持するためのDDHAMの臨床的応用を解明する可能性を有する。
【0097】
材料及び方法試験材料は市販の生成物であり、この研究ではヒト対象(ドナー)との直接的な相互作用を必要としなかったため、治験審査委員会の承認は必要なかった。
【0098】
眼球AM:この研究では、3つの眼球AMを使用した:DDHAM、DHAM、及びCHAM。DDHAM(ロット番号OCLR0010)及びDHAM試料を室温で貯蔵した。CHAM試料を-80℃で貯蔵した。全てのAMを、製造業者の指示に従って取り扱った。DDHAM試料は、個々にパッケージ化された10mmのディスクとして提供された。したがって、10mmの生検パンチ(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)を使用して、10mmのディスクをDHAMシートから作製した。CHAMの各部片(5cm×10cm)を解凍し、ペトリ皿内の20mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中で10分間(分)洗浄して、抗凍結剤を除去し、10mmの生検パンチを使用して、洗浄したAMから10mmのディスクを作製した。DDHAMは、両側に面するAMの間質側を有する多層状(3層状)である。DDHAMの側性を評価するために、両側に面するAMの上皮側を有して異なって設計されたバージョン(3層状)のDDHAM(E)を調製した。各AM試料の10mmディスクを、AMの間質側又は上皮側のいずれかが細胞と接触する48ウェルプレート(1ディスク/ウェル)(Cell-Repellent 48-Well Microplate,Greiner Bio-One,Monroe,NC,USA)のウェルに配置した。幅2mm及び内径7mm寸法の無菌Oリング(McMaster-Carr,Robbinsville,NJ,USA)を各AMの上部に配置して、AMを所定の位置に保持した。羊膜を、37℃で2時間(h)、成長培地(0.4mL/ウェル)で事前馴化した後、細胞を播種した。この研究では、各タイプのAMの少なくとも2つのロット(ドナー)を使用した。各独立した実験では、各AMから4つの試料(n=4)を使用し、これらのうち、2つの試料は、1つのロットからのものであり、2つの試料は、別のロットからのものであった。各個々のアッセイについて、少なくとも2つの独立した実験を行った。
【0099】
初代細胞ヒト角膜上皮細胞(HCEC、カタログ番号PCS-700-010 ロット番号80915170)、角膜上皮細胞基礎培地、及び角膜上皮細胞成長キットを、ATCC(Manassas,VA,USA)から購入した。HCECのための完全な成長培地を製造業者の指示に従って調製した。
【0100】
AMへの細胞接着性の判断:4代継代(P4)のHCECを、製造業者の指示に従って10cmの細胞培養皿内で80%のコンフルエンスまで培養した。細胞を5mLのリン酸緩衝生理食塩水(PBS)/皿で1回すすいだ。1ミリリットルの0.25%トリプシン(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)を各皿に加え、37℃で5分間インキュベートした。トリプシンを中和するために、10%のFBSを含有する2ミリリットルの最小必須培地-アルファ(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)培地を皿に加えた。細胞を15mLの円錐形チューブに移し、1000RPM(毎分回転数)で5分間遠心分離した。細胞を完全成長培地中に再懸濁し、血球計を使用してカウントした。
【0101】
事前馴化したAMを含有する各ウェルに、HCEC(2×104/ウェル)を加えた。プレートを、37℃、5%CO2及び95%湿度でインキュベートした。24時間インキュベートした後、培地を除去し、細胞をPBSで一度洗浄した。接着した細胞の生存率を、alamarBlueアッセイを使用して検出した。簡潔に述べると、完全成長培地+10%alamarBlue試薬(Bio-Rad,Hercules,CA,USA)からなる0.2mL/ウェルのalamarBlue溶液を各ウェルに加え、37℃で45分間インキュベートした。インキュベートした後、0.1mL/ウェルの上清を96ウェルプレートに移した。蛍光強度を、多重モードマイクロプレートリーダ(Spark(登録商標),TECAN,Switzerland)を使用して、励起/発光(Ex/Em)=540nm/590nmで測定した。蛍光強度を任意単位(AU)で表した。
【0102】
AM及び細胞の染色:AMの構造的特徴を視覚化するために、3つの異なるAMを再水和し、洗浄し、Tissue-Tek O.C.T.化合物(Sakura,Torrance,CA,USA)中に垂直に埋め込んだ。5ミクロン/スライスの凍結切片を、Leica CM1850クリオスタット(Leica Biosystems,Buffalo Grove,IL,USA)を使用して作製した。顕微鏡スライド上の凍結切片を、4%パラホルムアルデヒドで1時間固定し、PBS中の0.5%Triton X100中で1時間透過処理した。固定して透過処理した試料を、抗ヒトI型抗体(ab34710,Abcam,Cambridge,MA,USA)で一晩染色した。次いで、試料をAlexa Fluor 555-抗ウサギIgG、Alexa 488-ファロイジン(Life Technology,Carlsbad,CA,USA)、及びHoechst染料33258(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)で60分間染色した。染色後、カバースリップを、ProLong Gold Antifade Mountant(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)の存在下で各試料上に取り付けた。
【0103】
異なるAM上の生存細胞を視覚化するために、「羊膜への細胞接着性の判断」に記載されるように、HCECを異なるAM上で1又は4日間培養した。各時点で、培地を各ウェルから除去し、50nMのCalcein AM(Thermo Fisher Scientific,Waltham,MA,USA)を含有する0.2mL/ウェルの新鮮な完全成長培地を各ウェルに加えた。37℃で30分間インキュベートした後、培地を除去した。細胞をPBSで2回洗浄し、撮像する準備をした。
【0104】
細胞形態を可視化するために、異なるAMで4日間培養したHCEC細胞を、4%パラホルムアルデヒドで1時間固定し、PBS中の0.5%Triton X100中で1時間透過処理した。固定及び透過処理した細胞を、Alexa 488-ファロイジン(Life Technology,Carlsbad,CA,USA)で30分間染色し、落射蛍光顕微鏡(Zeiss Observer D1,Jena,Germany)下で観察した。
【0105】
AMのH&E染色:AMの凍結切片を60℃で一晩焼成し、4%パラホルムアルデヒドで30分間固定し、PBSで3回すすいだ。試料をハリスヘマトキシリン溶液(Sigma-Aldrich,Inc.,St.Louis,MO)中で10分間染色し、水道水を流して1分間すすいだ。次いで、スライドを分化溶液(100mLの70%アルコールに対して0.25mLの濃塩酸)中に2回浸漬した。その後、スライドを、水道水を流して1分間すすぎ、続いて、スコット水道水代替物(1%硫酸マグネシウム(MgSO4)及び0.06%重炭酸ナトリウム)に60秒間浸漬した。95%試薬アルコール中で30秒間洗浄した後、試料をアルコール性エオシンY溶液(Sigma-Aldrich,Inc.,St.Louis,MO 68178)中で10分間対比染色した。染色が完了した後、スライドを100%無水エタノール中での3回の洗浄、続いて3回のHistoclear II洗浄によって脱水した。スライドをPermount封入剤(Fisher Scientific Inc.)を使用して封入し、Zeiss Axio Observer A1顕微鏡を使用して撮像した。
【0106】
経時的なAMにおける細胞生存率の判断:事前馴化したAMを含有する48ウェルプレートの各ウェルに、HCEC(1×104/ウェル)を加えた。各細胞型について3組のプレートを用意し、37℃、5%のCO2及び95%の湿度で1、4、及び7日間インキュベートした。第1の時点で、全てのプレートの各ウェルから培地を除去し、新鮮な培地を加えた。第1の組のプレート中の細胞の生存率は、alamarBlueアッセイを使用して測定した。第2及び第3の組のプレートを37℃で培養した。第2の時点で、第2の組のプレート中の細胞の生存率を測定した。第3の組のプレートを37℃で新鮮な培地中で培養した。alamarBlueアッセイを使用して、第3の組のプレート中の細胞の生存率を第3の時点で測定した。
【0107】
移動アッセイのための馴化培地:試験条件において、HCEC(2×104/ウェル)を、事前馴化したAMを含有する48ウェルプレートの各ウェルに加えた。対照条件では、事前馴化したAMにHCECを加えなかった。24時間培養した後、培地を除去した。0.4mL/ウェルの新鮮な成長培地を、細胞の有無にかかわらず各ウェルに加え、37℃で24時間インキュベートした。上清(24時間馴化した培地)を各ウェルから収集し、直ちに移動アッセイに使用した。AMの間質側をこの実験に使用した。
【0108】
スクラッチ創傷移動アッセイ:5×104/ウェルのHCECを組織培養処理したポリスチレン48ウェルプレートの各ウェルに加え、37℃、5%のCO2及び95%の湿度で2日間培養した。滅菌金属ロッドの先端を使用して、コンフルエント単層上にスクラッチ創傷を作製した。培地を除去し、AM上で培養した細胞から収集した馴化培地を創傷に加えた。創傷領域の画像を0時間で取り込んだ。最少でも、各試験群について4つの面積を監視した。プレートを37℃で24時間インキュベートした。24時間で全く同じ創傷領域(マーカー参照を有する)を撮像した。創傷面積を、ImageJソフトウェア(NIH)を使用して任意単位(スクエアピクセル、px2)で測定した。移動した面積=面積0時間-面積24時間。
【0109】
HCECの炎症応答の刺激:2×104/ウェルのHCECを播種し、異なるAM上で24時間培養した。培地を除去し、新鮮な培地「-腫瘍壊死因子-アルファ(TNF-α)」、又は10ng/mLのヒトTNF-α(カタログ番号300-01A、PeproTech Cranbury,NJ)「+TNF-α」を含有する新鮮な培地を細胞に加え、24時間、48時間、又は72時間インキュベートした。各時点で、多重分析のために上清を収集し、以下に記載されるように、定量的ポリメラーゼ連鎖反応(qPCR)分析のために、細胞を0.2mLのRNA溶解緩衝液(Promega,Durham,NC)中で溶解した。
【0110】
qPCRによる相対的mRNA発現の判断:qPCRによるサイトカインの相対的遺伝子発現の定量化を、以前に記載されるように行った(Mao et al.2021)。簡潔に述べると、SV96 Total RNA Isolation System(Promega)を使用して、細胞溶解物からの全RNAを精製した。RNA濃度及び純度を、TECAN Spark Nanoプレート(TECAN,Morrisville,NC)を使用して測定した。cDNA調製及びqPCRを、記載されるように行った(Mao et al.2017)。本研究に使用されたqPCRのためのプライマーは、QuantiTect(Qiagen,Germantown,MD):顆粒球-マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF:QT00000896)、インターロイキン6(IL-6:QT00083720)、インターロイキン-8(IL-8:QT00000322)、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-α:QT01079561)、及びグリセルアルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH:QT01192646)からのものであった。各試料で2回ずつ実行した。実行が完了した後、生データを使用して二次導関数分析を行って、各試料ごとの平均Cp(クロスポイント-PCR-サイクル)を判定した。各遺伝子発現について、GAPDHの発現は、内部対照として働いた。相対的mRNA発現を、Pfaffl分析(EΔCp標的/EΔCp参照)によって判定した。ここでは、プライマー効率E=10^(-1/傾き)及びΔCp=試料の平均Cp-対照の平均Cp。組織培養ポリスチレン(TCP)上の細胞の発現又は24時間での細胞の発現を、「結果」における特定の分析で定義された、分析のための「対照」として使用した。
【0111】
統計的方法:HCEC活性の評価では、独立変数は、AM(DDHAM、DHAM、CHAM)、側(上皮、間質)、及び時間(1日目、4日目、及び7日目)であった。従属変数は、細胞接着性、細胞生存率、及び移動であった。mRNA発現によるHCEC炎症応答の評価では、独立変数は、羊膜(DDHAM、DHAM、CHAM、対照[TCP])、状態(安静、刺激)、及び時間(24時間、48時間、及び72時間)であった。タンパク質レベルによるHCEC炎症応答の評価では、独立変数は、羊膜(DDHAM、DHAM、CHAM、対照[TCP])及び状態(安静、刺激、AMのみ)であった。従属変数は、サイトカイン(GM-CSF、IL-6、IL-8、及びTNF-α)の相対的mRNA発現、並びにサイトカイン及びケモカイン(GM-CSF、IL-1β、IL-1RA、IL-6、IL-8、TGFβ2、及びVEGF)のタンパク質レベルであった。
【0112】
IBM SPSS(Build 1.0.0.1444)を使用して、全ての分析を実施した。全ての統計的試験についての有意なレベルを、p=0.05に設定した。データを試験し、正規分布であることを見出した。細胞の接着性及び移動を、Tukey事後検定を伴う二元配置分散分析(ANOVA)で分析した。細胞増殖を、Tukey事後検定を伴う三元配置ANOVAで分析した。24時間における相対的mRNA発現を、Tukey事後検定を用いた二元配置ANOVAで分析して、試験条件の各々における各従属変数を評価した。時間ごとの相対的mRNA発現を、Tukey事後検定を用いた一元配置ANOVAで分析して、試験条件の各々における各従属変数を評価した。多重比較のために、シダック補正を用いた単純主効果分析を用いて有意な相互作用を評価した。データを、テキスト及び図における平均値±標準偏差(SD)として報告する。
【0113】
結果:
AMの構造:これらの3つのAMの構造を評価するために、AMの断面を、細胞成分(DNA及びアクチン)及びECM(I型コラーゲン)を染色した(図8A)。強い核染色及びアクチン染色はDHAM及びCHAM中で検出されたが、アクチン及び核染色のどちらもDDHAMで検出されなかった。I型コラーゲンの存在は、3つ全てのAMで検出された。3つのAMのH&E染色(図8B)により、DHAM及びCHAMと比較して、DDHAMにおける完全な脱細胞化及び核の不存在が確認された。DHAMは濃青色の核残留物のわずかな染色を示し、一方、CHAMは核についての無傷の濃青色染色を示し、細胞の存在を示していた。
【0114】
異なるAM上でのHCECの接着性:異なるAM及びAMの異なる側上での細胞接着性を、24時間での細胞生存率(接着した細胞の量を反映する)を比較することによって評価した。蛍光強度を任意単位(AU)で表した。
【0115】
側性の効果。AMの上皮側よりも間質側での細胞接着性が高く(側の主効果、p=0.018)、これは、DHAMの間質側と比較してDHAMの上皮側でのより低い細胞接着性によって説明することができる(p<0.001;側×AM、p=0.001;図9)。DDHAMの上皮側と間質側との間(p=0.822)、及びCHAMの上皮側と間質側との間(p=0.645)に有意な差はなかった。
【0116】
AMの効果。追加的に、AM(AM主効果、p<0.001)間で細胞接着性に有意な差があり、DHAM(p<0.001)及びCHAM(p<0.001)よりもDDHAMにおいて有意に高い細胞接着性を有していた。しかしながら、前に示したように、細胞接着性は、側及びAMで変動した(p=0.001;図9)。上皮側では、細胞接着性は、DHAM(p<0.001)及びCHAM(p<0.001)よりもDDHAMにおいて有意に高く、CHAMとDHAMとの間に有意な差はなかった(p=0.076)。間質側では、細胞接着性は、DDHAM(p<0.001)及びDHAM(p=0.014)よりもCHAMにおいて有意に低く、DDHAMとDHAMとの間に有意な差はなかった(p=0.207)。これらの結果は、これらの3つのAMのうち、DDHAMの上皮及び間質側が最良に細胞接着性を支持したことを示している。
【0117】
4日目の異なるAMにおけるHCECの生存率及び形態:上皮細胞のライブ染色。異なるAM(DDHAM、CHAM、DHAM)の間質側におけるHCECの生存率を、細胞播種の4日後に観察した(図10)。定量的結果と一致して、DDHAM及びDHAM上のHCECは、細胞播種後4日目に接着して広がっているように見えたのに対して、CHAM上のHCECは乱れており、不均一な形態を取っているように見えた。AM上のHCECの形態を、4日目のアクチン染色によって監視した(図10)。DDHAM上のHCECは、高密度のアクチン環構造を有する石畳形態に適応した。
【0118】
経時的な異なるAM上での細胞生存率:異なるAM上での細胞の生存率を最大7日間監視した。生存細胞の数は、7日間の培養にわたって著しく減少したが(時間の主効果、p<0.001)、細胞生存率は、側、AM、及び時間で著しく変動した(側×AM×時間相互作用、p=0.011)。最も注目すべきは、細胞生存率は、4日目のDDHAMの間質側を除いて、全ての変数について時間ごとに低下した(図11A)。
【0119】
側性の効果。細胞生存率は、AMの上皮側よりも間質側において有意に高く(主効果 側、p<0.001)、これは、4日目及び7日目の側間での相対的細胞生存率の差によって説明することができる(図11B)。4日目には、相対的細胞生存率は、DDHAMの上皮側よりもDDHAMの間質側において有意に高く(p<0.001)、相対的細胞生存率は、DHAMの上皮側よりもDHAMの間質側において有意に高かった(p<0.001)。逆に、相対的細胞生存率は、CHAMの間質側よりもCHAMの上皮側において有意に高かった(p=0.039)。7日目には、DDHAM(p=0.102)又はCHAM(p=0.157)の上皮側と間質側との間で相対的細胞生存率に有意な差はなかった。しかしながら、相対的細胞生存率は、DHAMの上皮側よりもDHAMの間質側において有意に高かった(p<0.001)。
【0120】
AMの効果。細胞数はまた、AM(主効果 AM、p<0.001)間で有意に異なり、DHAM(p<0.001)及びCHAM(p<0.001)よりもDDHAMにおいて著しく多くの生存細胞を有し、CHAMよりもDHAMにおいて有意に多くの生存細胞を有していた(p=0.036)。AMの主効果を、4日目及び7日目の相対的細胞生存率における有意な差によって主として説明する(図11B)。
【0121】
4日目の上皮側では、相対的細胞生存率はDHAMよりもDDHAMにおいて有意に高く(p=0.032)、一方、相対的細胞生存率はDDHAMとCHAMとの間(p=0.978)、及びCHAMとDHAMとの間(p=0.077)で類似していた。7日目の上皮側では、3つの羊膜間で有意な差はなかった(p≧0.219)。
【0122】
4日目の間質側では、相対的細胞生存率はCHAMよりもDDHAMにおいて有意に高く(p<0.001)、相対的細胞生存率はCHAMよりもDHAMにおいて有意に高かった(p<0.001)。DDHAMとDHAMとの間の4日目の間質側における相対的細胞生存率に有意な差はなかった(p=0.477)。しかしながら、7日目の間質側では、相対的細胞生存率は、DDHAM(p=0.003)及びDHAM(p=0.002)よりもCHAMにおいて有意に低かった。上皮側と同様に、7日目の間質側では、DDHAMとDHAMとの間で相対的細胞生存率に有意な差はなかった(p=0.999)。
【0123】
AMの間質側におけるより高い細胞生存率、DHAM及びCHAMと比較してDDHAMにおける生存率のより良好な維持という所見は、細胞生存率がDDHAMの間質側において最良に維持されたことを示唆している。
【0124】
異なるAM上でのHCECの移動:HCECの不存在下での異なるAMからの馴化培地を試験して、HCECの移動に対するAM単独の効果を評価した。追加的に、細胞の存在下でのAM間の移動の差を比較して、異なるAM上で培養したHCECによって放出される因子が細胞移動に影響を与えるかどうかを判定した。AM上で培養した細胞を24時間馴化した。異なるAMからの馴化培地の存在下でのHCECの移動を、スクラッチ創傷アッセイを使用して評価した。創傷閉鎖を24時間監視した(図12A及び12B)。
【0125】
羊膜の効果と細胞の存在との間に有意な相互作用があった(p=0.006;図12A及び12B)。DDHAM(p=0.009)及びDHAM(p<0.001)では、細胞無しよりも細胞有りでの移動が有意に大きかった。移動は、CHAM(p=0.291)又は対照(p=0.265)上の細胞の有無にかかわらず有意な差はなかった。
【0126】
AMの効果。更に、細胞の存在下で収集した馴化培地(CM)のうち、DDHAM(p=0.004)及びDHAM(p=0.002)よりも、CMにおいて、CHAM上の細胞からの移動が有意に低かった。DDHAMとDHAMの間の移動に有意な差はなかった(p=1.000)。細胞の存在下での対照と比較して、CMにおいて、DDHAM(p<0.001)、DHAM(p<0.001)、及びCHAM(p=0.005)上の細胞からの移動が有意に大きかった。
【0127】
HCECにおける炎症性サイトカインの遺伝子発現:AMの間質側が炎症応答を調節することが報告されているため(Dua et al.2004、Shimmura et al.2001)、HCECの炎症応答に対するこれらの3つのAMの間質側の効果を評価した。GM-CSF、IL-6、IL-8、又はTNF-αを含む、創傷治癒において以前に実証された役割を有するサイトカインを選択した(Rho et al.2015、Arranz-Valsero et al.2014、Ebihara et al.2011、Nishida et al.1992、Hafezi et al.2018、Strieter et al.1992、Koch et al.1992、Wang et al.2020、Yang et al.2019)。この目的のために、インビトロ炎症条件下でのHCECの炎症応答を、24時間のTNF-αによる刺激によって模倣した。異なるAM上のHCECにおけるGM-CSF、IL-6、IL-8、又はTNF-αの遺伝子発現(相対的mRNAレベル)を、標準細胞培養表面であるTCP上で培養した細胞における遺伝子発現と比較して、qPCRによって判断した。
【0128】
GM-CSF。24時間でのGM-CSFの発現は、刺激状態(±TNFα)及びAM(p=0.049)によって有意に変動した(図13A)。刺激により、GM-CSFの発現は、DHAM(p<0.001)では有意に増加したが、DDHAM(p=0.226)、CHAM(p=0.664)、又はTCP(p=0.827)では増加しなかった。安静状態における羊膜間のGM-CSFの発現を比較すると、DDHAM、DHAM、CHAM、及びTCPにおいてGM-CSFの類似の発現を示した(p≧0.134)。刺激した状態での羊膜間のGM-CSFの発現を比較すると、DDHAM(p=0.001)、CHAM(p<0.001)、及びTCP(p<0.001)よりもDHAMにおいて有意に高い発現を示した。
【0129】
IL-6。24時間でのIL-6の発現は、刺激条件及び羊膜によって有意に変化した(p=0.002)(図13B)。刺激により、IL-6の発現は、DDHAM(p<0.001)、CHAM(p=0.017)、及びTCP(p=0.014)では有意に増加したが、DHAM(p=0.128)では増加しなかった。安静状態における羊膜間のIL-6の発現を比較すると、DDHAM、DHAM、CHAM、及びTCPにおいてIL-6の類似の発現を示した(p≧0.717)。刺激した状態では、DHAM(p<0.001)、CHAM(p<0.001)、及びTCP(p<0.001)よりもDDHAMにおいてIL-6の発現が有意に高かった。他の有意な差は見出されなかった。
【0130】
IL-8。24時間でのIL-8の発現は、刺激状態及びAMによって有意に変化しなかったが(p=0.188)、刺激状態(p<0.001)及びAM(p=0.002)に主効果があった。IL-8の全体的な発現は、刺激によって有意に増加した。事後分析により、全体的なIL-8発現がCHAM(p=0.018)及びTCP(p=0.014)よりもDHAMにおいて有意に高く、CHAM(p=0.022)及びTCP(p=0.017)よりもDDHAMにおいて有意に高かったことが明らかになった。DHAMとDDHAMとの間(p=1.000)、又はCHAMとTCPとの間(p=0.999)のIL-8発現に有意な差はなかった。
【0131】
TNFα。24時間でのTNFαの発現は、刺激状態及びAMによって有意に変動しなかったがp=0.194)、刺激状態(p=0.001)及びAM(p<0.001)に主効果があった(図13D)。TNFαの全体的な発現は、刺激によって有意に増加した。事後分析により、全体的なTNFα発現がCHAM(p<0.001)及びTCP(p<0.001)よりもDDHAMにおいて有意に高く、CHAM(p=0.022)及びTCP(p=0.024)よりもDHAMにおいて高かったことが明らかになった。DDHAMとDHAMとの間(p=0.095)、又はCHAMとTCPとの間(p=1.000)のTNFα発現に有意な差はなかった。
【0132】
これらの結果は、24時間で、DDHAM及びDHAMの存在が、HCECにおけるGM-CSF、IL-6、IL-8、及びTNF-αの発現を、CHAM又はTCP上の細胞よりも多く刺激したことを示す。
【0133】
経時的なHCECにおける炎症性サイトカインの遺伝子発現:炎症応答は、動的プロセスである。異なる時点でのサイトカインの発現は、創傷治癒プロセスの段階を示す。72時間の時間経過にわたるサイトカインの発現を評価するために、各サイトカインの発現を24時間間隔で分析した(図14A~14D)。
【0134】
DDHAM(p=0.206)、DHAM(p=0.078)、又はCHAM(p=0.215)に対する刺激状態では、GM-CSFの発現に時間ごとの有意な変化はなかった(図14A)。TCPは、刺激した状態でのGM-CSFの発現に時間ごとの有意な変化を伴う例外であった(p<0.001)。時間ごとのTCPにおけるGM-CSFの発現は、24から72時間まで(p<0.001)、及び48から72時間まで(p<0.001)有意に増加した。TCPにおけるGM-CSF発現は、24から48時間まで類似したままであった(p=0.700)。
【0135】
IL-6。DDHAM(p=0.007)、DHAM(p<0.001)、CHAM(p<0.001)、及びTCP(p=0.002)において、時間ごとに、刺激した状態におけるIL-6の発現に統計的に有意な変化があった(図14B)。DDHAMにおけるIL-6の発現を比較すると、24から72時間まで(p=0.007)、及び48から72時間まで(p=0.021)有意な低下を示した。DDHAMにおけるIL-6発現は、24から48時間まで類似したままであった(p=0.623)。DHAMにおけるIL-6の発現を時間ごとに比較すると、24から48時間に有意な増加(p=0.003)、次いで48から72時間まで有意な減少(p<0.001)を示した。DHAMにおけるIL-6発現は、24から72時間まで類似したままであった(p=0.321)。CHAMにおけるIL-6の発現を時間ごとに比較すると、24から48時間まで(p<0.001)、及び24から72時間まで(p<0.001)有意な低下を示した。CHAMにおけるIL-6発現は、48時間及び72時間の両方では検出不可能であった。時間ごとのTCPにおけるIL-6の発現は、24から48時間まで有意な増加(p=0.008)、次いで48から72時間まで有意な低下(p<0.002)を示した。TCPにおけるIL-6発現は、24から72時間まで類似したままであった(p=0.407)。
【0136】
IL-8。CHAM(p=0.024)及びTCP(p<0.001)では、時間ごとに、刺激した状態でのIL-8の発現に統計的に有意な変化があったが、DDHAM(p=0.179)及びDHAM(p=0.282)では、時間ごとに、IL-8発現は類似したままであった(図14C)。CHAMにおけるIL-8の発現は、24から72時間まで(p=0.040)、及び48から72時間まで(p=0.033)有意に増加した。CHAMにおけるIL-8発現は、24から48時間まで類似したままであった(p=0.984)。CHAMのように、TCPにおけるIL-8の発現は、24から72時間まで(p<0.001)、及び48から72時間まで(p<0.001)有意に増加した。TCPにおけるIL-8発現は、24から48時間まで類似したままであった(p=0.071)。
【0137】
TNF-α。DHAM(p<0.001)及びTCP(p=0.005)では、時間ごとに、刺激した状態でのTNF-αの発現に統計的に有意な変化があったが、DDHAM(p=0.125)及びCHAM(p=0.519)では、時間ごとに、TNF-α発現は類似したままであった(図14D)。時間ごとのDHAMにおけるTNF-αの発現は、24から48時間まで有意に増加し(p=0.009)、24から72時間まで(p=0.048)及び48から72時間まで(p<0.001)有意に低下した。加えて、時間ごとのTCPにおけるTNF-αの発現は、24から48時間まで(p=0.035)及び24から72時間まで(p=0.004)有意な増加を示した。TCPにおけるTNF-α発現は、48から72時間まで類似したままであった(p=0.201)。
【0138】
時間ごとの相対的mRNAレベルの変化は、異なるAM及びサイトカインについて異なる傾向を示した。TCP上で培養した細胞において、発現レベルは経時的に増加したが、そのようなサイトカインの発現は、DDHAM上で培養した細胞において低下の傾向を示した。
【0139】
臨床症例研究:87歳の女性は、過去数ヶ月間にわたって生じている左目の悪化の主訴を提示した。彼女は、長時間の読書による不快感及び異物感のために、小さい活字体を見ることが困難であると報告した。彼女の病歴は、ドライアイ症候群、原発性開放隅角緑内障、網膜上膜、及び両眼の黄斑ドルーゼンについて重篤であった。支持的治療としては、潤滑剤点眼薬、高浸透圧剤、及び包帯コンタクトレンズが挙げられた。彼女の眼科手術歴は、両眼の白内障摘出及び両眼のYAGレーザ嚢切開からなっていた。検査時に、マップ/ドット構成における上皮及び上皮下の瘢痕化が指摘された。彼女の症状、病歴、及び角膜の慎重な検査に基づいて、患者は、前部基底膜ジストロフィー(ABMD)と診断された。患者の承諾により、DDHAMを基質として使用して前部基底膜ジストロフィーを外科的に治療して、前部角膜表面に正常なボーマン膜(すなわち、上皮及び上皮基底膜)を再投入することを判定した。
【0140】
角膜上皮及びボーマン膜の創面切除、並びにAMの配置(縫合糸無し)を外来処置として行った。局所麻酔剤を適用し、不規則的な表面上皮を可視化した(図15A)。ダイヤモンドバリを使用して、全ての異常で緩い角膜上皮(図15B)、並びに基礎となる上皮下瘢痕化及びABMD破片を穏やかかつ均一に除去した(図15C)。次いで、上皮表面をバランスの取れた食塩水ですすいだ。DDHAMを、不快感及び治癒を助けるために、創面切除した膜(図15D)の上に慎重に配置し、包帯コンタクトレンズで被覆した(図15E)。術後、患者は、ステロイド/抗生物質点眼薬を1日に4回、10日間使用するように指示され、これを6週間にわたってゆっくりと減らしていった。彼女は、術後1週間、2週間、1ヶ月、及び2ヶ月に診察を受けた。患者は、日常生活の活動の快適性がほぼ即座に改善したと報告した。術後1ヶ月の来院時に、移植片は組織内に完全に溶解しており、残留物は見られなかった。角膜表面は滑らかであり、通常通りに認識可能であった(図15F)。
【0141】
考察
AM基底膜の構造は眼球表面上の上皮化を促進するという仮説が立てられる。コラーゲン組成物は、結膜及び角膜のコラーゲン組成物によく似ており、AMを上皮細胞の成長に好適な基質にする。AMは、提案された4つのメカニズムを通して角膜上皮の成長を促進する(Malhotra&Jain,2014、Walkden et al.2020):1)上皮細胞移動の促進(Meller et al.2002、Meller et al.1999)、2)基底上皮細胞接着性の補強(Keene et al.1987、Sonnenberg et al.1991、Terranova et al.1987)、3)上皮細胞分化の促進(Guo et al.1989、Streuli et al.1991、Kurpakus et al.1992)、及び4)アポトーシスの阻止(Boudreau et al.1996、Boudreau et al.1995)。間質表面が上皮細胞成長を支持することができるという証拠があるが(Seitz et al.2006)、上皮化は基底膜上で優先的に起こると考えられている(Hu et al.2003)。しかしながら、既存の調査のほとんどは凍結保存AMに限定されており、これらの所見が異なって処理されたAMに適用可能であるかどうかは不明である。
【0142】
異なる処理方法は、AMの細胞含有量及び構造を変更する可能性、及びECMの機能的特性に影響を及ぼす可能性を有する(Gholipourmalekabadi et al.2015)。以前の研究では、DDHAMとCHAMの間の組成及び超微細構造における有意な差を実証している(Lim et al.2010)。凍結保存は最も広く使用されている保存技術のうちの1つであるが、いくつかの欠点があり、つまり、細胞の生存率及び増殖能力に影響を及ぼし、-80℃で出荷及び貯蔵する必要もある(Kruse et al.2000)。したがって、本研究では、側性、並びに滅菌、保存、及び脱細胞化の異なる方法が、HCEC接着性、生存率、及び移動にどのように影響を及ぼすかを比較しようとした。以前の報告(Bhatia et al.2007)に示されているように、著者らは、理想的な眼球AMは、細胞、DNA、細胞破片、並びに残留成長因子及びサイトカインの除去と、炎症応答を阻止し、ECMと宿主細胞との間の動的相互作用を促進するための天然ECMアーキテクチャ及び生物活性成分の適切な保存と、を必要とすると仮定している。本研究結果は、DDHAMが完全に脱細胞化されたAMであるのに対して、DHAM及びCHAMが残留細胞及びDNAを含有することを実証することによって、我々の仮説を裏付ける。次いで、DDHAMは、HCECの細胞活性を最良に支持することが見出された。加えて、DDHAMの存在は、初期の炎症応答を強化し、インビトロ炎症条件下でのHCECにおける長期の炎症応答を阻止する。
【0143】
染色により、DDHAM中の細胞及び核の不存在が確認される。以前の調査では、眼科におけるAMの生物学的有効性は、AM中に保存された細胞ではなく、そのECMによって促進されることが記録されている(Dua et al.2004、Kubo et al.2001、Kruse et al.2000)。脱細胞化AMにおいて、ECMは、細胞浸潤のための物理的導管として働くと推定され、それによって、宿主細胞及びECMは、相互作用して、治癒応答を活性化するために必要な生化学的刺激を提供する(Bhatia et al.2007)。したがって、予備ステップとして、細胞含有量及び構造を視覚化するために、3つのAMの各々に染色を行った。免疫蛍光及びH&E染色の両方により、DDHAMにおける完全な脱細胞化及び核の不存在が確認されたのに対して、DHAM及びCHAMの両方により、核含有量、DHAM中の残留物、及びCHAM中の細胞の存在が示された。
【0144】
DDHAMの間質側は、HCECの細胞活性を最良に支持する。このインビトロ調査からの結果は、DDHAMの間質側がHCEC活性を最良に支持することを示唆している。側性は、DDHAM又はCHAMではHCEC接着性に影響を及ぼさなかったが、DHAMの上皮側ではHCEC接着性が有意に低かった。2つの脱水AMであるDDHAMとDHAMとの間の細胞接着性の差は、細胞成分、DNA、成長因子、及びサイトカインの除去が、HCECの付着を支持する、より細胞に優しい環境を提供することを示唆している。
【0145】
時間ごとに調べると、細胞生存率は、DDHAMの間質側を除いて、全ての側性及びAMの組み合わせで低下することが見出された。DDHAMの間質側において、細胞生存率は、1日目~4日目まで増加した。細胞生存率の全体的な低下の特定の原因は明らかでない。CHAM又はDHAM中の羊膜細胞(凍結保存又は乾燥)の存在は、これらのAMが角膜細胞増殖を支持する能力を阻害し得る。脱細胞化羊膜が角膜上皮細胞のための新鮮な羊膜よりも良好な基質であることが以前に報告されているが(Koizumi et al.2000)、これらの結果は側性も因子であり得ることを示唆している。この研究により、DDHAMの間質側がHCECの成長のための最も適合性のある基質であることが見出されたのに対して、CHAM及びDHAMの上皮側及び間質側のどちらも、それらの接着性及び成長を一貫して支持していないようである。
【0146】
これらの所見は、染色によって更に裏付けられる。4日目には、DDHAMは、HCECの最も均質な成長パターンを実証した(図10)。アクチン染色によって示されるように、DDHAM上の細胞の形態及び組織は、インサイチュでの角膜上皮細胞の形態と類似している(図11A及び11B)(Sosnova-Netukova et al.2007)。これらの観察結果は、AM上での秩序ある成長を示唆している。逆に、DHAMの成長パターンは乱れているように見え、CHAM上のHCECが生存可能であるか、又は存在するかは不明なままである。細胞がストレスを受けると、細胞が表現型を変化させることは十分に確立されている(Kumar et al.2013)。考慮するべき多くの因子があるが、これらの結果は、脱水、凍結保存、及び脱細胞化プロセスの差が、特に細胞接着性及び細胞生存率の点で、細胞がどのように膜と相互作用するかについて影響を及ぼし得ることを示唆している。
【0147】
異なって処理されたAMはまた、それらの上で培養された上皮細胞からの因子の放出に影響を与え得る。HCECの移動に対するAM単独の効果を評価するために、本研究は、細胞の有無にかかわらず3つの異なるAMからの馴化培地を試験し、DDHAM及びDHAM上に細胞が無い馴化培地よりも、細胞を有する馴化培地の存在下でHCECがより多く移動することを見出した。しかしながら、CHAM又は対照上の細胞の有無にかかわらず、馴化培地の存在下でHCEC移動に差はなかった。これらの所見は、細胞によって放出された因子が、AM(すなわち、DDHAM及びDHAM)単独の細胞移動以上に細胞移動を促進することを示唆している。加えて、DDHAM上の細胞及びDHAM上の細胞からの馴化培地の存在下でのHCECの移動は同等であり、両方ともCHAM上の細胞よりも有意に大きかった。この所見の1つの可能な説明は、馴化培地を収集したときにCHAM上の細胞が少なかったことである。より少ない細胞の場合、馴化培地の刺激効果が低くなり、結果として、CHAM上の細胞からの馴化培地の存在下での移動が小さくなり得る。追加的に、細胞を有する馴化培地の存在下でのHCECの移動は、培地対照よりも3つ全てのAMにおいて有意に大きかった。総合すると、これらの所見は、細胞及びAMから放出された因子が細胞移動を促進すること、並びに放出された因子がAMによって変化することを示唆し、結果として、CHAMよりもDDHAM及びDHAM上のHCEC移動が大きくなる。これらの因子の同一性及び供給源を判定するためには、追加の研究が必要である。
【0148】
側性がHCEC移動に影響するかどうかを判定するために、追加の独立した実験を実施した。実験は、「移動アッセイのための馴化培地」及び「スクラッチ創傷移動アッセイ」のセクションに記載されているものと同じ方法に従った。しかしながら、この実験では、馴化培地の存在下でのHCECの移動を、AMの間質側及び上皮側の両方で評価した。この実験の結果、AMの上皮側又は間質側上の細胞からの馴化培地の存在下でHCEC移動に差がないことを確認した(p=0.407、データを示さず)。
【0149】
伝統的に、AMは、欠損にわたる上皮化を促進するために上皮側を上にする移植片として配置される。DHAM及びCHAMの両方が、それらの側性のために、この臨床的応用性を有している。しかしながら、DDHAMは、向きに関係なく、眼球表面と接するように間質側が外向きに面した状態で製造される。このインビトロ研究からの結果は、HCEC活性がDDHAMの間質側で最も高く、したがって、移植片としてのその臨床的応用性を支持していることを実証している。更に、含まれている事例は、前部基底膜ジストロフィーを治療するためのDDHAMの成功的な適用を実証した。術後1ヶ月で、角膜表面は滑らかであり、正常であると認識可能であり、これにより、再上皮化が進行していることを示すことができる。しかしながら、追加の時点での組織学は、角膜上皮、その基底膜、及びボーマン層の再構成及び再構築を実証するために必要である。有望でありながら、DDHAMをより完全に評価し、眼球表面上での上皮化を促進するその能力を評価するには、より大きい試料サイズでの追加のインビボ調査が必要である。
【0150】
DDHAMは、初期の炎症応答を支持し、続いて時間ごとに低下する傾向にある。
【0151】
AMの抗炎症特性は、十分に文書化されている(Sharma et al.2016、Tabatabaei et al.2017、Tandon et al.2011)。インビトロ調査に基づいて、AMは、損傷した眼球組織からの成長因子及び炎症誘発性サイトカインの発現を低減し(Solomon et al.2001)、一方、更に炎症細胞を捕捉し、アポトーシスを誘導する(Dua et al.2004、Shimmura et al.2001)。したがって、この調査の二次的な目的は、異なるAM上のHCECの炎症応答を評価することであった。即時のmRNA発現及び時間ごとの傾向を調べることによって、これを実現した。角膜創傷治癒におけるそれらの既知の役割を考慮して、炎症誘発性サイトカイン、GM-CSF、IL-6、IL-8、及びTNF-αを選択して、HCECの炎症応答を判断した。
【0152】
GM-CSFは、炎症性(van Nieuwenhuijze et al.2013)及び免疫調節性サイトカイン(Parmiani et al.2007)の両方として認識され、その効果は用量及び状況に依存する(Bhattacharya et al.2015、Parmiani et al.2007、Shachar and Karin 2013)。この多能性サイトカインは、炎症及び創傷治癒において重要な役割を有すると認識されており、より具体的には、インビトロ及びインビボの両方で角膜創傷治癒を強化する証明された能力を有する(Rho et al.2015)。IL-6、IL-8、及びTNF-αは、より伝統的な炎症誘発性サイトカインである。炎症及び免疫応答を調節することに加えて、IL-6は、インビトロ及びインビボでの角膜創傷治癒を促進することが示されている(Arranz-Valsero et al.2014、Ebihara et al.2011、Nishida et al.1992、Hafezi et al.2018)。IL-8は、新生血管形成を誘導する角膜因子であり、創傷治癒を調整すると考えられている(Strieter et al.1992、Koch et al.1992)。最後に、TNF-αは、角膜傷害後の角膜炎症応答及び創傷治癒に関与する(Wang et al.2020、Yang et al.2019)。
【0153】
本研究では、最初の24時間にDDHAM上で培養した細胞において、炎症性サイトカイン(すなわち、IL-6、IL-8、TNF-α)のより高い発現があり、続いて時間ごとに低下する傾向があった。これらの観察結果は、DDHAMの存在が、初期の炎症応答を促進し、HCEC細胞における長期の炎症応答を阻止し得ることを示唆しており、これは、創傷治癒環境において有利であり得る。しかしながら、これらの所見をより完全に評価するためには、追加のインビボ調査が必要である。
【0154】
AMを眼球表面再建に使用して、とりわけ、輪部上皮細胞のエクスビボ拡張(Rama et al.2010、Shortt et al.2009)、緑内障(Sheha et al.2008)、新生物(Agraval et al.2017)、強膜融解及び強膜穿孔(Hanada et al.2001、Ma et al.2002)のための担体として、輪部幹細胞欠損症(Maharajan et al.2007、Sangwan et al.2012)の有無にかかわらない角膜表面障害、結膜表面の再建(例えば、翼状片除去[Roeck et al.2019、Akbari et al.2017])を含む、種々の眼球病態を治療する。治癒を強化し、宿主組織と一体化し、異物反応を回避する可能性を考慮して、脱細胞化AMは、近年、ますます関心を集めている(Gholipourmalekabadi et al.2015、Fenelon et al.2019、Lim et al.2010、Koizumi et al.2000、Salah et al.2018、Fransisco et al.2016、Gholipourmalekabadi et al.2016、Taghiabadi et al.2015)。脱細胞化AMにおけるECMの適切な保存は、AM内の様々な細胞タイプの相互作用を改善することが示されており、改善された細胞接着性、増殖、及び分化の証拠を有する(Fenelon et al.2019、Koizumi et al.2000、Salah et al.2018、Fransisco et al.2016、Gholipourmalekabadi et al.2016、Taghiabadi et al.2015)。更に、及びおそらく最も重要なことに、脱細胞化AMは、低い免疫原性を有する生体組織に一体化されることが示されている(Fenelon et al.2019、Fransisco et al.2016、Gholipourmalekabadi et al.2016)。
【0155】
AmbioDry(商標)は、低線量電子線滅菌され、機械的に排除された上皮層を用いた脱水を通して保存された単層AMである(Hovanesian,2012)。生成物はもはや入手することができないが、このDDHAM生成物の科学的評価から多くを得ることができる(Memarzadeh et al.2008、Chuck et al.2004)。Memarzadehらは、翼状片の再発を阻止するのに効果的な結膜自家移植片として作用するその能力を実証した(Memarzadeh et al.2008)。追加的に、生体力学的調査により、このDDHAMは、再水和時に望ましい弾性特徴を維持し、眼球表面再建のために操作しやすい組織であることが確認された(Chuck et al.2004)。Biovance(登録商標)3L Ocularの独自の3層設計、並びに細胞及び関連する成長因子のその完全な除去(Bhatia et al.2007)などの、AmbioDry(商標)とBiovance(登録商標)3L Ocularとの間の明確な違いにもかかわらず、これらの以前の刊行物は、DDHAM生成物への追加の洞察及び眼科におけるそれらの臨床的応用を提供する。
【0156】
本研究からの結果は有望であるが、いくつかの限定がある。何よりもまず、インビトロ調査からの所見は、臨床的応用に直接繋がらない。眼球上皮細胞との優れた適合性は、必ずしも眼球創傷治癒の臨床的改善に等しくはない。このインビトロ研究とは異なり、多くのタイプの細胞が存在し、インビボでの組織内で互いに相互作用する。1つの細胞タイプの細胞挙動は、必ずしも組織の応答を表すものではない。しかしながら、これらの限定にもかかわらず、この研究は、3つの市販のAMにおける眼球細胞活性及び炎症応答のその比較において独自のものである。更に、この研究は、細胞活性に対するAM側性の効果を実証する最初の研究である。
【0157】
結論
全体として、DDHAMでは、インビトロでより良好なHCEC機能を支持することを示し、これは、インビボでのより高い眼球細胞適合性を示唆し得る。DDHAMの創傷治癒応答、並びにその臨床的応用及び転帰を評価するために、追加の調査が必要である。
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【0158】
実施例6:湾曲したBiovance 3L Ocular
本実施例では、角膜及び眼球により良好に適合するように、Biovance 3L ocularを湾曲した形式で作り出す。
【0159】
異なる球面半径、高さ、及び直径を有する3D印刷によって型を製作した(図17)。層状の膜を型に合わせて乾燥させ、慎重に取り外す。乾燥させた生成物、図18は、湾曲したユニット間の空間内で切断される。

【0160】
本発明は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲が限定されるものではない。実際に、記載されるものに加えて、本発明の様々な修正は、前述の説明及び添付の図面から当業者には明白になるであろう。そのような修正は、添付の特許請求の範囲内に含まれることが意図されている。
【0161】
本明細書に引用される全ての参考文献は、各個々の刊行物、特許又は特許出願が、あらゆる目的のために、その全体が参照により組み込まれることを具体的かつ個別に指示されている場合と同程度まで、参照によりそれらの全体が、あらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。任意の刊行物の引用は、出願日の前のその開示のためのものであり、本発明が先行発明によりそのような刊行物に先行する権利を有しないことを認めるものと解釈されるべきではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8A
図8B
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13A
図13B
図13C
図13D
図14A
図14B
図14C
図14D
図15A-15F】
図16A-16C】
図17
図18
【国際調査報告】