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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】試験構成および温度センサ
(51)【国際特許分類】
   G01K 1/14 20210101AFI20240403BHJP
【FI】
G01K1/14 E
G01K1/14 L
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562230
(86)(22)【出願日】2022-04-26
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 EP2022061081
(87)【国際公開番号】W WO2022229204
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】102021110764.4
(32)【優先日】2021-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】300002160
【氏名又は名称】ティーディーケイ・エレクトロニクス・アクチェンゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】TDK ELECTRONICS AG
【住所又は居所原語表記】Rosenheimer Strasse 141e, 81671 Muenchen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ヴェーリング, マルクス
(72)【発明者】
【氏名】ドッド, コナル
(72)【発明者】
【氏名】バシアナ マルティ, ジョルディ
(72)【発明者】
【氏名】デホフ, カールステン
(72)【発明者】
【氏名】オストリック, ベルンハルト
【テーマコード(参考)】
2F056
【Fターム(参考)】
2F056CE10
2F056CL01
2F056CL11
(57)【要約】
本発明は、試験体および試験体の温度を測定するための温度センサ、ならびに対応する好適な温度センサを備える試験構成に関する。試験構成において、温度センサの感温素子は、試験体内の凹部内に、凹部内への挿入によって少なくとも部分的に埋め込まれている。
【選択図】 図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験体(2)と、前記試験体(2)の温度を測定するための温度センサ(1)と、を備える試験構成であって、前記試験体(2)が、前記試験体(2)の挿入面(3)に向かって開口した凹部(4)を有し、前記温度センサ(1)の感温素子(5)が、挿入によって前記凹部(4)内に少なくとも部分的に埋め込まれる、試験構成。
【請求項2】
前記感温素子(5)が、前記凹部(4)内に完全に埋め込まれる、請求項1に記載の試験構成。
【請求項3】
挿入方向に反する移動に対して前記温度センサ(1)を固定するための締結デバイス(7)を含む、請求項1または2に記載の試験構成。
【請求項4】
前記締結デバイス(7)が、ばねクランプ(7a)を備える、請求項3に記載の試験構成。
【請求項5】
前記締結デバイス(7)が、ケーブルタイ(7b)を備える、請求項3に記載の試験アセンブリ。
【請求項6】
前記凹部(4)が、止まり穴である、請求項1~5のいずれか一項に記載の試験構成。
【請求項7】
前記凹部(4)が、前記挿入面(3)に加えて、前記温度センサの封止部品(9a)によって覆われる前記試験体(2)の外面にさらなる開口部を有する、請求項1~5のいずれか一項に記載の試験構成。
【請求項8】
前記温度センサ(1)が、前記試験体(2)の前記挿入面(3)の前記凹部(4)を少なくとも部分的に覆う、請求項1~7のいずれか一項に記載の試験構成。
【請求項9】
空気よりも良好な熱伝導率を有する接触剤が、前記感温素子の外側と前記凹部(4)の壁(4a)との間の空間(10)を満たす、請求項1~8のいずれか一項に記載の試験アセンブリ。
【請求項10】
前記接触剤が、サーマルペーストである、請求項9に記載の試験アセンブリ。
【請求項11】
測定ヘッド(6)と前記凹部(4)の壁(4a)との間の空間(10)が、ポッティングコンパウンドで少なくとも部分的に満たされる、
請求項1~10のいずれか一項に記載の試験構成。
【請求項12】
前記感温素子(5)の外側から前記凹部の側壁上の点までの距離が、最大で0.6mmである、請求項1~11のいずれか一項に記載の試験構成。
【請求項13】
前記温度センサ(1)が、前記温度センサ(1)が前記挿入方向に対して傾かずに固設されるように成形されている、請求項1~12のいずれか一項に記載の試験構成。
【請求項14】
前記感温素子(5)が中に配置された測定ヘッド(6)が、前記凹部(4)の形状に少なくとも部分的な嵌合様式で嵌合する形状嵌合領域(6b)を有する、請求項13に記載の試験構成。
【請求項15】
前記形状嵌合領域(6b)が、前記挿入面(3)の前記凹部を部分的に塞ぐ、請求項14に記載の試験構成。
【請求項16】
前記温度センサ(1)の保持領域(11)が、前記試験体(1)の前記挿入面に当接し、前記ばねクランプ(7a)が、前記試験体(1)の周りに係合し、かつ前記ばねクランプ(7a)の支持領域(9)を前記試験体の外面に当接させることによって、前記保持領域(11)と前記支持領域(9)との間にクランプ効果をもたらす、請求項4に記載の試験構成。
【請求項17】
測定ヘッド(6)内の感温素子(5)と、ばねクランプ(7a)と、を有し、前記測定ヘッド(6)と前記ばねクランプ(7a)とが、接続領域(12)において互いに接続されており、前記測定ヘッド(6)が、前記接続領域(12)から前記測定ヘッド(6)の挿入方向に延びており、前記接続領域(12)が、支承面を有し、ばね部が、前記接続領域(12)に対向して配置されており、このばね部が、前記接続領域(12)に対して前記挿入方向にばね効果を及ぼすことができる、温度センサ(1)。
【請求項18】
前記ばねクランプ(7a)とともに打ち抜き曲げ部品として製造されたセンサハウジング(8)を備える、請求項17に記載の温度センサ(1)。
【請求項19】
前記感温素子(5)が、NTCセラミックおよびメタライゼーションを含む、請求項17または18に記載の温度センサ(1)。
【請求項20】
前記感温素子(5)の外側カバーが、熱放射に対して0.5未満の吸収値を有する、請求項17~19のいずれか一項に記載の温度センサ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、試験体および試験体の温度を測定するための温度センサを備える試験構成(Pruefanordnung)、ならびに対応する好適な温度センサに関する。
【背景技術】
【0002】
多くの用途では、電気自動車の電動機のパワーレール上、または空気調和機もしくはヒートポンプの導管上などの試験体の温度測定は、非常に技術的に重要である。原則として、試験体への温度センサの良好な熱的接続を確実にするように注意しなければならない。
【0003】
米国特許第10436648号明細書、独国特許出願公開第102017222543号明細書、または独国実用新案第202020101413号明細書に開示されているものなどの、本発明以前に説明されているような温度センサは、通常、温度が測定される電気部品の表面に外部から押し付けられる。あるいは、欧州特許出願公開第2830179号明細書に記載されているように、温度センサはまた、原則として、接着結合によって試験される部品の表面に取り付けられ得る。
【発明の概要】
【0004】
本発明によれば、試験構成および温度センサが提供され、これにより、試験構成内に温度センサを簡単にかつ機械的に安定して設置することが可能になる。
【0005】
本発明の第1の態様によれば、試験体と、試験体の温度を測定するための温度センサと、を備える試験構成が提供される。試験体は、試験体の挿入面に向かって開口した凹部を有する。温度センサの感温素子は、挿入によって凹部内に少なくとも部分的に埋め込まれている。
【0006】
ここで、および以下において、挿入は、好ましくは、主に回転のない移動または主に凹部内への並進移動として理解される。したがって、好ましくは、凹部内に埋め込まれた温度センサの一部のねじ留めは行われない。特に、好ましくは、温度センサの凹部内への埋込み部または部分的な埋込み部のねじ留めは行われない。したがって、好ましくは、凹部も、凹部内に埋め込まれた、または埋め込まれることになる温度センサの一部のいずれも、ねじ山を有さない。
【0007】
対応する試験構成または温度センサは、温度センサを試験体に取り付けることが容易であるという利点を有する。例えば、温度センサの取付けは、温度センサをねじ込むためのいかなる工具も必要としない。
【0008】
同時に、試験体内への少なくとも部分的な埋込みは、挿入方向に対して垂直な温度センサのずれが凹部の壁によって抑制されるという利点を有する。これにより、試験体の表面に対して平行なずれも抑制され得る。センサの移動を制限することにより、位置保証を達成することができる。したがって、振動などに対する鋭敏性を低減することができ、かつ測定の安全性および精度を高めることができる。これは、温度の長期的または連続的な測定に関して特に関連する。
【0009】
さらに、感温素子の少なくとも部分的な埋込みは、試験体から感温素子へのいくつかの空間方向からの熱交換または熱の流れを可能にする。熱が感温素子に流れる方向の数が多いほど、または冷却の場合には熱の流出の方向の数が多いほど、感温素子の温度を試験体の温度により速く一致させることができる。したがって、温度検出を向上させることができる。
【0010】
例えば、センサが試験体の外側に適用された従来の試験構成では、熱の流れは片側にのみ発生する。対照的に、本発明による温度センサおよび本発明による試験構成は、より速い熱交換を可能にする。
【0011】
感温素子が凹部内で完全に束縛なくぶら下がっており、試験体との直接接触がない場合でも、部分的に埋め込まれており、したがって少なくとも部分的に囲まれているという事実は、凹部の壁と感温素子との間に空気層が存在しても十分な熱交換が起こり得ることを意味する。感温素子または外側カバーへの直接的な物理的接触は不要である。また、感温素子と凹部の壁との緩い接触により、センサが外部にのみ適用される場合よりも温度測定に与える影響を小さくすることができる。
【0012】
試験体が感温素子を少なくとも部分的に取り囲むため、感温素子から環境への放熱を低減することができる。このようにして、外部にのみ適用されたセンサとは異なり、感温素子と試験体との間の体系的な温度差を少なくとも部分的に防止することができる。
【0013】
一実施形態では、本発明によれば、感温素子または感温素子を取り囲むカバーは、凹部の壁と直接接触し得る。あるいは、感温素子は、凹部内で束縛なくぶら下がるかまたは自立していてもよい。壁との直接接触は、温度変化の迅速な検出に有利であり得る。
【0014】
好ましくは、試験体は固体状材料を含む。好ましくは、凹部は固体状材料に形成される。
【0015】
凹部が試験体の挿入面から向こう側の面まで試験体を貫通する場合、感温素子は、向こう側の面の凹部から突き出ないように凹部内に埋め込まれていることが好ましい。
【0016】
例えば、ここでの試験体は、例えば電気自動車の電動機のパワーレールであり得る。したがって、試験体は、例えば金属で作製され得る。
【0017】
あるいは、試験体は、空気調和機もしくはヒートポンプのチューブまたは別のチューブであり得る。この場合、凹部は導管壁内のみに形成されることが好ましい。本発明によれば、温度センサは導管内部を貫通しない、例えば導管内を案内される流体に到達しないことが好ましい。あるいは、試験体は、上記の本体のうちの1つ上の片持ち梁であってもよい。これに関連して、片持ち梁は、主本体から突出する一部として理解することができる。
【0018】
感温素子は、凹部内に完全に埋め込まれていることが好ましい。
【0019】
完全な埋込みにより、熱交換がさらに向上し得る。
【0020】
完全な埋込みにより、感温素子の直近および感温素子自体から周囲環境への放熱がさらに低減され得る。
【0021】
上述の温度センサは、測定ヘッド(Messkopf)内に感温素子を包有し、測定ヘッドはカバーを有することが好ましい。
【0022】
特に、測定ヘッドは、感温素子自体よりも機械的に安定的であり得る。これにより、感温素子の機械的応力からの保護が可能になる。さらに、感温素子を有する測定ヘッドを挿入することにより、挿入方向に対して垂直な移動を抑制することも比較的不安定な露出した感温素子単体を用いるよりも実現可能である。
【0023】
別の好ましい態様によれば、挿入方向に反する移動に対して温度センサを固定するための締結デバイスが試験構成に含まれ得る。
【0024】
部分的に埋め込まれた温度センサおよび締結デバイスによる移動の抑制の組合せにより、試験体に対する温度センサの全空間方向の移動または変位が大幅に抑制または抑えられ得る。
【0025】
好ましい態様によれば、締結デバイスはばねクランプを備える。
【0026】
好ましくは、ばねクランプは温度センサと試験体との間にある一定の接触圧力を生じさせ、これは主に、温度センサが挿入方向とは反対の方向に凹部から脱落すること、または試験体から脱落することを防止する役割を有する。
【0027】
本発明による試験構成の設計の結果として、クランプは、必ずしも挿入方向に対して垂直な変位またはずれを防止する必要はない。したがって、クランプ効果に対する公差要件は、クランプが挿入方向に対して垂直な変位またはずれに対しても作用しなければならないこととなる場合よりも低くても十分である。
【0028】
好ましくは、温度センサハウジングの部品またはばねクランプの部品など、温度センサのいわゆる保持領域と呼ばれ得る温度センサの部品は、凹部の近くの試験体上に当接する。したがって、ばねクランプは、保持領域から外方に面するばねクランプの一部と保持領域との間にクランプ効果をもたらし得る。
【0029】
固定としてのばねクランプは、温度センサの一部として設計することができるという特定の利点を有し得る。したがって、例えば、温度センサは、単純な押し込み動作によって試験体に取り付けられ得、感温素子は凹部内に少なくとも部分的に埋め込まれるようになり、ばねクランプはクランプ効果をもたらすように温度センサに係合する。したがって、感温素子の挿入後に、温度センサの台部から分離された別個のばねクランプの追加の取付けを回避することができる。さらに、ばねクランプは単に差し込むだけで締結および固定を行うことができるため、複雑なねじ留めまたはねじ込みを回避することができる。
【0030】
特に、単一または複数のばねクランプは固定をもたらし得る。単一のばねクランプの場合、例えば、アプリケーションへの設置によりいくつかの面からのアクセスが遮断されるために全ての面からはアクセスすることができない試験体に温度センサを取り付けることもできる。
【0031】
例えば、2つのばねクランプなどの複数のばねクランプは、多面的であり、したがってより確実な固定をもたらすことができる。
【0032】
ばねクランプは、例えば、弾性金属または弾性ポリマーで作製されている。
【0033】
ばねクランプは、ハウジングと同様または同じ材料で作製され得る。しかしながら、異なる材料も可能である。
【0034】
さらなる態様によれば、温度センサを固設するために、ばねクランプの代わりに、またはばねクランプとともに累積的にケーブルタイが使用され得る。
【0035】
ケーブルタイは、例えば、試験体および温度センサの周りに取り付けられ得る。したがって、ケーブルタイは、試験体および温度センサを一緒に包み込み得るか、または試験体および温度センサの周りにしっかりと引っ張られ得る。ケーブルタイは、簡単かつ安価な固定手段であり得る。特に、ケーブルタイは細長い試験体に、試験体が試験体の長手方向軸線を基準とした全周において自由である点で取り付けられ得る。
【0036】
別の好ましい態様によれば、凹部は止まり穴である。
【0037】
止まり穴は挿入面の反対側に底部(Boden)を有するため、感温素子は、凹部の壁に加えて、この底部の面における試験体の材料によっても取り囲まれ得る。これにより、熱が凹部から環境に逃げることがさらに良好に防止され、温度測定がさらに向上する。
【0038】
止まり穴についても、以下のとおり、感温素子または感温素子の測定ヘッドは壁または床に接触し得るが、そうである必要はないことが適応される。
【0039】
しかしながら、代替的に、凹部は、挿入面の開口部に加えて、試験体の外側上に別の開口部を有してもよい。これは、例えば、試験体を通る連続開口部であり得、この開口部は、例えば挿入面の反対の面にある。この場合、温度センサは、このさらなる開口部を少なくとも部分的に覆う封止部品を有することが好ましい。
【0040】
試験体内の連続開口部は、場合によっては止まり穴よりも製作が容易である。例えば、安価なパンチングプロセスがこの目的のために用いられ得る。
【0041】
好ましくは、この追加の開口部は完全に覆われる。
【0042】
これにより、例えば対流によってこの追加の開口部から熱が逃げるのを防ぐことができ、したがって、止まり穴の効果と同様の効果が達成されることを意味する。
【0043】
好ましくは、このような封止部品はばねクランプの一部であり得、これは特に、ばねクランプが温度センサハウジングの接続部または中間部から試験体にまたがり、挿入面とは反対側の面に当接する場合に有利である。
【0044】
例えば、ばねクランプの平坦部分またはばねクランプの接触面により、ばねクランプによるそのような覆いまたはより好ましくは閉塞をもたらし得る。
【0045】
別の好ましい態様によれば、温度センサは、試験体の挿入面の凹部を少なくとも部分的に覆う。
【0046】
さらにより好ましくは、試験体は、挿入面の凹部の開口部を完全に覆う。
【0047】
挿入面の開口部を少なくとも部分的に覆うことにより、温度測定のための空間として凹部をさらに塞ぐことができる。これにより、凹部からの熱の損失が低減され得、したがって、より正確な温度測定が可能となり得る。
【0048】
別の好ましい態様によれば、空気よりも良好な熱伝導率を有する接触剤もまた、感温素子の外側と凹部の壁との間の空間を少なくとも部分的に満たし得る。
【0049】
好ましくは、接触剤は、例えばサーマルペーストであり得る。
【0050】
凹部内の空気に少なくとも部分的に取って代わる接触剤により、感温素子と試験体内の凹部の壁との間の熱伝導が向上し得る。これにより、温度測定がさらにより正確に、またはさらにより速くなり得る。ここでより速いとは、感温素子によって試験体の温度変化をより迅速に検出できることを意味し得る。これは、より速い応答時間と呼ばれ得る。したがって、接触剤は、試験体が急激な温度変化を受け、迅速に検出される用途に特に好ましい可能性がある。
【0051】
止まり穴の場合、接触剤は挿入方向に流出することができないため、使用に好ましい。
【0052】
別の好ましい態様によれば、凹部内に少なくとも部分的に埋め込まれており、感温素子を有する測定ヘッドは、ポッティングコンパウンドによって凹部内に成型され得る。
【0053】
好ましくは、測定ヘッドと凹部の壁との間の空間は、ポッティングコンパウンドで少なくとも部分的に満たされ得る。
【0054】
そのようなポッティングコンパウンドは、例えば、ガラス、エポキシ樹脂、セラミック、シリコーン、ポリウレタン、またはこれらの物質の組合せの混合物を含み得る。ポッティングコンパウンドはまた、そのような物質またはそれらの組合せからなり得る。
【0055】
ポッティングコンパウンドは、組み立てられた試験アセンブリ(Pruefanordnung)内で硬化したまたは固体状態にあるという点で、接触剤と区別され得る。
【0056】
ポッティングコンパウンドによって、測定ヘッドの固定をさらに改善することができ、したがって、上述の他の固定の可能性に加えて、またはその代替として、挿入方向と逆方向の固定が達成され得る。
【0057】
さらに、これはまた、空気を介して可能であるよりも良好な熱輸送をもたらし得る。
【0058】
試験構成の別の好ましい態様によれば、例えば測定ヘッドの外側カバーである感温素子の外面と凹部の側壁上の点との間の距離は、最大で0.6mmである。
【0059】
これにより、感温素子と側壁上の点との間のある特定のサイズの隙間を通じた凹部から出る方向の放熱を最小限に抑えることができる。
【0060】
別の好ましい態様によれば、温度センサは、挿入方向に対して傾くのを防止するように成形されている。
【0061】
適切に成形または形成された温度センサにより、凹部内における過度のぐらつきが低減または防止され得る。
【0062】
好ましくは、この効果は、感温素子が中に配置された測定ヘッドを有する温度センサ、および凹部の形状に少なくとも部分的な嵌合様式で嵌合する形状嵌合領域を有するこの測定ヘッドによって達成され得る。
【0063】
凹部内への嵌合は、好ましくは、ここでは、形状嵌合領域と凹部の壁との間の距離が前述の0.6mmよりも著しく小さいことを意味すると理解することができる。例えば、凹部の壁上の点と形状嵌合領域との間の距離は、0.1mm未満であり得る。
【0064】
より好ましくは、形状嵌合領域は、少なくとも1つの点で、さらにより好ましくは2つ以上の点で凹部の壁に接触している。
【0065】
形状嵌合領域を少なくとも部分的な形状嵌合様式で凹部内に嵌合させることにより、測定ヘッドまたはセンサ全体の挿入方向に対して垂直な方向のぐらつきまたは傾きが低減または抑えられ得る。
【0066】
好ましくは、形状嵌合領域は、挿入面の凹部を少なくとも部分的に塞ぎ得る。
【0067】
さらにより好ましくは、形状嵌合領域は、挿入面の凹部を完全に塞ぎ得る。
【0068】
例えば、対応する測定ヘッドにおいて、感温素子は、測定ヘッドの形状嵌合領域よりも凹部内のより深くに埋め込まれるように配置され得る。形状嵌合領域を形状嵌合様式で凹部内に嵌合させることによって、少なくとも部分的に囲まれた測定体積が凹部のより内側部分に形成され得、それによって、測定体積からの厄介な熱損失が軽減される。
【0069】
試験構成の別の好ましい態様によれば、温度センサの保持領域は、挿入面、すなわち試験体の挿入面に当接し得る。さらに、ばねクランプは、試験体の周りを包囲するように係合し得る。この包囲する係合は、例えば、ばねクランプの可撓性エリアにより行われ得る。さらに、ばねクランプの下側支持領域は、試験体の外側上に当接し得る。試験体のこの外面は、好ましくは挿入面のほぼ反対側に配置され得る。この接触により、温度センサの保持領域とばねクランプの支持領域との間にクランプ効果がもたらされ得る。
【0070】
試験構成におけるそのような配置は、温度センサを特に効率的かつ安定した方法で試験体に配置することを可能にする。
【0071】
本発明の別の態様によれば、温度センサがより詳細に説明される。温度センサは、試験構成の文脈で前述したような温度センサに対応し得、以下に説明する特徴および利点に加えて、試験構成による温度センサの特徴および利点も有し得る。
【0072】
測定ヘッド内に感温素子を備え、ばねクランプをさらに備える温度センサが提供される。測定ヘッドおよびばねクランプは、温度センサの接続領域において互いに接続されている。測定ヘッドは、接続領域から測定ヘッドの挿入方向に沿って延びる。さらに、接続領域は、支承面を有し、支承面は、例えば前述の保持領域に対応し得る。さらに、ばね部が接続領域に対向して配置されている。これにより、接続領域に対して挿入方向にばね作用が及ぼされ得る。
【0073】
そのような温度センサは、前述のような試験アセンブリへの効率的かつ簡単な設置によく適している。特に、測定ヘッドを挿入方向に接続領域から離れるように突出させることにより、試験体内の凹部内に挿入することができる。
【0074】
したがって、そのような温度センサは、温度センサ自体で本発明による利点を提供する。
【0075】
したがって、試験アセンブリを形成し得る温度センサおよび試験体を備える、組み立てられていないアンサンブルもまた、対応する利点を有する。
【0076】
好ましい態様によれば、温度センサのセンサハウジングは、打ち抜き曲げ部品としてばねクランプとともに製造され得る。好ましくは、温度センサのセンサハウジングは、共通の一体型の打ち抜き曲げ部品としてばねクランプとともに製造され得る。
【0077】
好ましくは、ここでのおよび以下のセンサハウジングは、センサの筐体、例えばセンサの電子機器を囲むまたは収容するものであり得る。好ましくは、センサハウジングは測定ヘッドを除く全ての部品を囲み得る。この場合、測定ヘッドはハウジングから突き出てもよい。あるいは、測定ヘッドの外側カバーは、センサハウジングの一部であってもよい。
【0078】
センサハウジングを一体型の打ち抜き曲げ部品としてばねクランプとともに製造することにより、温度センサを容易に製造することができる。
【0079】
打ち抜き曲げ部品は、打ち抜き曲げ部品の材料がある特定の可撓性を有さなければならず、したがって容易な変形を可能にするには弾性すぎてはならないため、本発明の文脈において特に適している。この要件は、一般に、ばねクランプが可能な限り多くの弾性を有するという要件に逆行し得る。本発明によれば、ばねクランプによって生成された接触圧力は、温度センサが試験体から脱落するのを防止するのに役立つだけであり、ばねの高い弾性は絶対に必要というわけではない。したがって、パンチ曲げに好適な材料をさらなる困難を伴わずに使用することができる。
【0080】
温度センサの別の好ましい態様によれば、感温素子は、NTCセラミックおよびメタライゼーションを含む。
【0081】
したがって、好ましくは、温度センサはNTC温度センサであり得る。
【0082】
別の好ましい態様によれば、好ましくは、例えば測定ヘッドの外側カバーであり得る感温素子の外側カバーは、熱放射に対して0.5以上の吸収値を有し得る。
【0083】
基本的に、吸収値が高いほど、測定ヘッドの試験体への熱的接続がより良好であると言える。例えば、吸収値は0.7以上であり得る。
【0084】
したがって、好ましくは、外側カバーは黒体放射体の特性を少なくとも部分的に有し得る。これは、例えば、対応するコーティングまたは対応する着色もしくは塗装によって達成することができる。
【0085】
特に、測定ヘッドまたは感温素子が試験体の凹部の壁に直接接触しない場合、空気を介する熱伝導および対流に加えて、凹部の壁からセンサへの熱放射も効率的に利用することができるため、温度測定はより速くかつより正確になり得る。
【0086】
別の好ましい態様によれば、凹部の上記カバーまたは閉塞は、熱放射損失に対する温度シールドをさらに提供し得る。
【0087】
本発明は、例示的な実施形態を参照して以下により詳細に説明される。これらの例示的な実施形態は、縮尺通りではない以下の図に示されている。したがって、長さならびに相対寸法および絶対寸法は、図から得ることができない。さらに、本発明はまた、以下の実施形態に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0088】
図1】試験構成の第1の実施形態の概略側面図を示す。
図2】試験構成の第1の実施形態の概略断面図を示す。
図3】第1の実施形態による試験構成における温度センサ内で使用するための測定ヘッドの概略側面図を示す。
図4図3に示す測定ヘッドの概略断面図を示す。
図5】試験構成の第2の例示的な実施形態を概略断面図で示す。
図6】試験構成の第3の例示的な実施形態を概略断面図で示す。
図7】試験構成の第4の例示的な実施形態を概略断面図で示す。
図8】試験構成の第5の例示的な実施形態を概略平面図で示す。
図9】試験構成の第5の例示的な実施形態を概略断面図で示す。
【発明を実施するための形態】
【0089】
図1は、試験構成の第1の例示的な実施形態を概略側面図で示しており、試験構成は、温度センサ1および試験体2を備える。
【0090】
温度センサ1は、温度センサ1の保持領域11が試験体2の挿入面3上に当接した状態で、試験体2上に当接する。
【0091】
第1の例示的な実施形態では、試験体は、締結デバイス7としてのばねクランプ7aによって固定されている。ばねクランプ7aは、温度センサのセンサハウジング8上の接続領域12内に配置されており、挿入面3から試験体2の周りに係合し、支持領域9を有する挿入面3の反対側の面に当接する。したがって、ばねクランプ7aは、挿入方向に対して、すなわちこの場合には保持領域11と支持領域9との間にクランプ効果をもたらす。
【0092】
ばねクランプは、可撓性金属または可撓性ポリマーで作製され得る。
【0093】
外部接続部13は、外部との接触のために温度センサ1に通じている。
【0094】
図示の試験体2は、一般に、これ以上限定されない。本実施形態では、細長い金属固体であることが好ましい。例えば、電気自動車における電動機のパワーレールであり得る。
【0095】
試験体2の寸法はこれ以上限定されない。例えば、パワーレールは、30mm×5mm、30mm×10mm、40mm×10mm、50mm×10mm、60mm×10mm、80mm×10mm、100mm×10mmなど、2.5mm~100mm×5mm~10mmの断面積を有し得る。自動車分野では、パワーレールは、例えば、2.5mm×9mmの断面積を有し得る。
【0096】
センサ1のセンサハウジング8の材料は、特に限定されない。センサハウジング8は、任意の金属であり得る。あるいは、センサハウジング8は、例えばポリマーを含み得るか、またはポリマーからなり得る。ポリマーに加えて、センサハウジング8はまた、ガラス、セラミック、または炭素を含んでもよい。これらの添加剤は、ポリマーと混合され得る。
【0097】
センサハウジングに使用可能なポリマーは、PA6またはPA66などのポリアミド、ポリプロピレン、液晶ポリマー、ポリフタルアミド、液状シリコーンなどのシリコーン、およびポリエーテルエーテルケトンから選択され得る。
【0098】
センサハウジングの長さ、すなわち細長い試験体の長手方向の延在部は、詳細に限定されない。典型的なパワーレールの場合、例えば、センサハウジングの長さは5~30mmであり得る。
【0099】
図2は、試験構成の第1の実施形態のさらなる図を概略断面図で示している。図から分かるように、ばねクランプ7aは、接続領域12においてセンサハウジング8の台部に接続されている。
【0100】
測定ヘッド6は、試験体2内の凹部4内に埋め込まれており、センサハウジング8から突出するか、またはセンサハウジング8の内部から突き出る。測定ヘッド6は、挿入方向に沿って完全に埋め込まれている。
【0101】
測定ヘッド6は、外側カバー6aを有する。測定ヘッドのカバー6aは、金属製であり得る。カバー6aは、好ましくは、銅、アルミニウム、または鋼を含み得るか、またはこれらの材料で構成され得る。鋼に関しては、鋼の耐食性の点から、亜鉛めっき鋼またはニッケルめっき鋼が好ましい。
【0102】
あるいは、カバー6aは、ポリマー材料を含み得るか、またはポリマー材料からなり得る。これは、例えば、ハウジング8と同じポリマーとすることができる。任意選択で、ポリマーは、無機材料またはセラミック材料と混合され得る。これは、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、または炭素から選択され得る。これらの添加剤は、プラスチックの熱伝導率を高めることができ、したがって、温度変化の迅速な検出、すなわちより速い応答時間を可能にすることができる。
【0103】
あるいは、カバー6aは、セラミックで作製され得る。これは、例えば、以下の成分である、アルミニウム、亜鉛、ケイ素、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、ホウ素、窒素、酸素、および/または炭素を含有し得る。
【0104】
さらに、測定ヘッド6またはカバー6aは、熱放射に対して少なくとも0.5の吸収値を有し得る。吸収値は、0.7以上がより好ましい。
【0105】
これは、例えば、シェル6aの暗色または黒色のコーティングによって行われ得る。
【0106】
さらに、感温素子5が測定ヘッド6内に配置されており、したがって、凹部4内に埋め込まれている。第1の例示的な実施形態によれば、感温素子5は、凹部内に完全に埋め込まれている。
【0107】
凹部4は、凹部の側壁4aと、凹部の底部4bと、を有する。したがって、凹部4は止まり穴である。凹部4は、円形の断面を有することが好ましいが、形状は任意に選択することができる。凹部の寸法は、これ以上限定されない。典型的なパワーレールの場合、凹部は、2mm~15mm、好ましくは5mm~9mmの直径を有し得る。止まり穴の深さ、すなわち挿入面3を起点とする挿入方向の寸法は、0.5mm~10mm、好ましくは3mm~7mmであり得る。
【0108】
第1の例示的な実施形態では、試験ヘッド(Messkopf)6またはカバー6aは、凹部4の底部4bと直接接触している。したがって、これにより、試験体2と測定ヘッド6または測定ヘッド6内に包有された感温素子5との間の熱流が促進され得る。
【0109】
しかしながら、代替的に、本発明による測定ヘッド6またはカバー6aは地面9(Boden)に接触していなくてもよい。
【0110】
この第1の例示的な実施形態では、測定ヘッド6のカバー6aと凹部4の壁4aとは接触していない。しかしながら、そのような接触は、原則として本発明の範囲内にも存在し得る。
【0111】
測定ヘッド6の外側シェル6aと壁4aとの間には、空間10が存在する。この空間10において、測定ヘッド6の外側シェル6a間の距離は、0.6mm以下であることが好ましい。さらにより好ましくは、この距離は0.3mm以下である。したがって、測定ヘッド6の寸法は、この距離を満たすように凹部の寸法に合わせて調整され得る。
【0112】
この第1の実施形態では、空間10は空気で満たされている。しかしながら、代替的に、空間10は熱伝導性ペーストなどの接触剤によって満たされ得る。この場合、接触剤は空気よりも熱伝導率が高い。これにより、感温素子5への熱伝導を向上させることができる。
【0113】
あるいは、凹部4内の測定ヘッド6を、組み立てられた試験構成内で、好ましくは硬化した固体であるポッティングコンパウンドによって囲むこともできる。したがって、ポッティングコンパウンドは空間10を満たし得る。硬化したポッティングコンパウンドは、熱伝導を高め得る。さらに、硬化したポッティングコンパウンドは他の締結デバイスに加えて、またはその代わりに、温度センサ1を試験体2に固定するのに役立ち得る。例えば、ポッティングコンパウンドは、ガラス、エポキシ樹脂、セラミック、シリコーン、ポリウレタン、またはこれらの物質の組合せを含み得る。ポッティングコンパウンドはまた、そのような物質またはそれらの組合せを含み得る。
【0114】
図1について上述したように、挿入面3上に当接する保持領域11とばねクランプ7aの支持領域9との間のばねクランプ7aは、挿入方向に対するクランプ効果をもたらす。
【0115】
導入部で説明したように、温度測定値は凹部4の境界内でほぼ均一であり得るため、クランプ効果は凹部4の境界内におけるずれを防止するほど強くある必要はない。さらに、凹部4の壁4aは、試験体が凹部の境界を越えて挿入方向に対して垂直な方向にずれることを防止する。
【0116】
ここに示すような挿入面3上の保持領域11の平坦な支持、または一般化された正確な嵌合は、凹部4内での、または挿入方向に対する温度センサ1または測定ヘッド4のぐらつきまたは傾きも防止することができる。
【0117】
図3および図4は各々、例えば、図3の概略側面図および図4の概略断面図の両方において、第1の例示的な実施形態に従って採用または設置することができる測定ヘッド6を示している。測定ヘッド6は、好ましくは感温素子5を完全に囲み、したがって感温素子5を保護するカバー6aを有する。内部接触素子14が、感温素子5から出て延びる。これらは、電子機器の一部としてセンサハウジング内部の試験構成内にルーティングされ得、好ましくは上記に示す外部接続部13と直接または間接的に電気的に接触する。
【0118】
図5は、試験構成の第2の例示的な実施形態を概略断面図で示している。
【0119】
試験構成における試験体2は、第1の例示的な実施形態によるものにほぼ対応し得るが、ここでは、試験体2は、試験体2の挿入面3から反対の面まで試験体2を貫通する凹部4としての孔を有する。また、温度センサ1は、第1の実施形態の例で説明したような特徴をほぼ有し得る。
【0120】
しかしながら、第1の実施形態の例とは異なり、温度センサ1上には締結および固定のためのばねクランプは配置されていないが、本実施形態の例における締結デバイスはケーブルタイ7bである。原則として、ケーブルタイ7bに加えてばねクランプも据え付けることもできる。
【0121】
ここでは、ケーブルタイ7bは、試験体2の長手方向軸線の周りにルーピングされているか、または締め付けられている。
【0122】
ケーブルタイ7bは、試験体上の温度センサにある一定の接触圧力を提供し、したがって測定ヘッド6を凹部4内に固定し、試験アセンブリが凹部4内の測定ヘッド6の挿入方向とは反対の方向に脱落するのを防止する。
【0123】
さらに、測定ヘッド6は、第1の実施形態と比較して形状嵌合領域6bを有する。この場合、この形状嵌合領域6bは、凹部に対して相補的な形状を有し、主に凹部の形状に形状嵌合様式で嵌合することが好ましい。形状嵌合領域6b内の測定ヘッド6の外側シェルの少なくとも1つの側壁4aまたは好ましくは全ての側壁4aまでの距離は、上述の0.6mmよりも著しく小さく、そうでなければ好ましくは測定ヘッドと壁との間の空間として存在し得る。例えば、距離は0.1mm未満であり得る。さらにより好ましくは、形状嵌合領域は、形状嵌合領域6b内のエンベロープ6aと壁4aとの間に隙間を残すことなく、凹部内の技術的に実現可能な精度内にぴったりと嵌合し形状嵌合する。
【0124】
形状嵌合領域6bは、凹部4の範囲内であっても、測定ヘッド6およびセンサ1全体を傾かないようにまたはずれないように固設させる。さらに、本実施形態では、形状嵌合領域6bは、挿入面3上の凹部を少なくとも部分的に、好ましくは完全に塞ぐ。
【0125】
本例示的な実施形態では、感温素子は測定ヘッド6内に配置されているが、感温素子は形状嵌合領域6bの下方、すなわち形状嵌合領域6bよりもさらに内側の挿入面3から測定ヘッド6内に配置されることが好ましい。
【0126】
図6は、本発明による試験構成の第3の例示的な実施形態の概略断面図を示している。
【0127】
第3の例示的な実施形態の全ての特徴は、締結デバイスを除いて、第2の例示的な実施形態の特徴に対応し得る。本実施形態では、締結デバイスは単一のばねクランプ7aである。単一のばねクランプ7aは接続領域12から延び、接続領域12においてセンサハウジング8上に配置されており、そこから測定ヘッド6が挿入方向に延びる。この点から、ばねクランプ7aは試験体2を挿入面3の反対側の面まで包囲する。このようにして、保持領域11、すなわちセンサハウジング8が挿入面3上に当接する領域と、ばねクランプ7aの支持領域9との間にクランプ効果が生成される。
【0128】
さらに、挿入面3の反対側の面の凹部4の開口部と接触する領域において、ばねクランプ7aは、ばねクランプ7aが凹部4の開口部を少なくとも部分的に覆うかまたは好ましくは凹部4の開口部を塞ぐ封止部品9aを有するか、または封止部品9aを形成するように成形されている。すなわち、封止部品9aの形状は、好ましくは、開口部のすぐ周囲の形状に適合されている。したがって、平坦な周囲の場合、封止部品9aも平坦であることが好ましい。そのため、この方向への放熱が阻害または防止される。
【0129】
好ましくは、封止部品9aは、支持領域9の延在部または接続部内に形成される。本実施形態の例では、支持領域9は、挿入面3とは反対側の表面の大部分にわたって形成されている。
【0130】
単一のばねクランプはまた、温度センサ1を取り付けるために試験体2が全ての面からアクセス可能である必要がないという利点を有する。例えば、アクセシビリティは、挿入面3、およびばねクランプ7aによって取り囲まれた試験体2の面からのみ必要とされる。反対の面は、完全にアクセスできないままであり得る。挿入面3の反対側の面は、支持領域9を試験体上に位置付けるために、少なくとも部分的にアクセス可能でなければならない。
【0131】
図7は、本発明による試験構成の第4の例示的な実施形態の概略断面図を示す。以下の特徴を除いて、これは図2に示すような試験構成に対応する。
【0132】
図2に示す第1の例とは対照的に、凹部4は、ここでは挿入面3と挿入面の反対側の試験体2の面との間の連続開口部として形成されている。第3の例示的な実施形態に示すものと同様に、締結はばねクランプ7aを介して実行されており、この場合、2つのばねクランプ7aによって実現されている。これらのばねクランプ7aのうちの一方は、第1の例示的な実施形態のばねクランプと同様または同一に形成されている。他方のばねクランプ7aは、第3の実施形態の例とものと同様の設計である。これは、測定ヘッド6および測定ヘッド6に包有された感温素子5が挿入方向に対して凹部4から移動および脱落することを防止するだけでなく、封止部品9aによって挿入面3とは反対側の面の貫通孔状凹部を塞ぐ。
【0133】
図8は、試験構成の第5の例示的な実施形態の概略上面図を示している。第5の例示的な実施形態は、基本的に、第1のまたはさらなる例示的な実施形態の特徴を有し得る。
【0134】
第5の実施形態の特別な特徴は、図示のばねクランプ7aがセンサハウジング8とともに単一の共通の打ち抜き曲げ部品として製造されていることである。
【0135】
好ましくは、ばねクランプ7aは、例に示すように、例えばほぼ長方形であり得る開口部を有する。このようにして、部品全体の重量を低減することができる。
【0136】
図9は、図8に示す第5の例示的な実施形態の概略断面図を示している。図から分かるように、第5の例示的な実施形態によれば、センサ1のセンサハウジング8全体が測定ヘッド6として形成され得、測定ヘッド6は、センサハウジング8をばねクランプ7aに接続する接続領域12から挿入方向に延びる。すなわち、センサハウジング8の試験体2または凹部4により近い部分が測定ヘッド6を構成する。さらに、測定ヘッド6および測定ヘッド6内に包有された感温素子(図示せず)は、凹部内に部分的にのみ埋め込まれている。
【0137】
先の例とは異なり、測定ヘッド6はまた、測定ヘッド6のカバー6aが凹部4の底部4bおよび壁4aの両方に接触するという特徴を有する。凹部4の全ての利用可能な内面とのこの完全な直接接触により、温度伝達が向上し得、試験体2の温度変化のより速い検出、すなわち改善された応答時間が可能になり得る。
【符号の説明】
【0138】
1 温度センサ
2 試験体
3 挿入面
4 凹部
4a 凹部の壁
4b 凹部の底部
5 感温素子
6 測定ヘッド
6a 測定ヘッドのカバー
6b 形状嵌合領域
7 締結デバイス
7a ばねクランプ
7b ケーブルタイ
8 センサハウジング
9 支持領域
9a 封止部品
10 空間
11 保持領域
12 接続領域
13 外部接続部
14 内部接触素子
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
【手続補正書】
【提出日】2023-11-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
試験体(2)と、前記試験体(2)の温度を測定するための温度センサ(1)と、を備える試験構成であって、前記試験体(2)が、前記試験体(2)の挿入面(3)に向かって開口した凹部(4)を有し、前記温度センサ(1)の感温素子(5)が、挿入によって前記凹部(4)内に少なくとも部分的に埋め込まれる、試験構成。
【請求項2】
前記感温素子(5)が、前記凹部(4)内に完全に埋め込まれる、請求項1に記載の試験構成。
【請求項3】
挿入方向に反する移動に対して前記温度センサ(1)を固定するための締結デバイス(7)を含む、請求項1に記載の試験構成。
【請求項4】
前記締結デバイス(7)が、ばねクランプ(7a)を備える、請求項3に記載の試験構成。
【請求項5】
前記締結デバイス(7)が、ケーブルタイ(7b)を備える、請求項3に記載の試験アセンブリ。
【請求項6】
前記凹部(4)が、止まり穴である、請求項1に記載の試験構成。
【請求項7】
前記凹部(4)が、前記挿入面(3)に加えて、前記温度センサの封止部品(9a)によって覆われる前記試験体(2)の外面にさらなる開口部を有する、請求項1に記載の試験構成。
【請求項8】
前記温度センサ(1)が、前記試験体(2)の前記挿入面(3)の前記凹部(4)を少なくとも部分的に覆う、請求項1に記載の試験構成。
【請求項9】
空気よりも良好な熱伝導率を有する接触剤が、前記感温素子の外側と前記凹部(4)の壁(4a)との間の空間(10)を満たす、請求項1に記載の試験アセンブリ。
【請求項10】
前記接触剤が、サーマルペーストである、請求項9に記載の試験アセンブリ。
【請求項11】
測定ヘッド(6)と前記凹部(4)の壁(4a)との間の空間(10)が、ポッティングコンパウンドで少なくとも部分的に満たされる、
請求項1に記載の試験構成。
【請求項12】
前記感温素子(5)の外側から前記凹部の側壁上の点までの距離が、最大で0.6mmである、請求項1に記載の試験構成。
【請求項13】
前記温度センサ(1)が、前記温度センサ(1)が前記挿入方向に対して傾かずに固設されるように成形されている、請求項1に記載の試験構成。
【請求項14】
前記感温素子(5)が中に配置された測定ヘッド(6)が、前記凹部(4)の形状に少なくとも部分的な嵌合様式で嵌合する形状嵌合領域(6b)を有する、請求項13に記載の試験構成。
【請求項15】
前記形状嵌合領域(6b)が、前記挿入面(3)の前記凹部を部分的に塞ぐ、請求項14に記載の試験構成。
【請求項16】
前記温度センサ(1)の保持領域(11)が、前記試験体(1)の前記挿入面に当接し、前記ばねクランプ(7a)が、前記試験体(1)の周りに係合し、かつ前記ばねクランプ(7a)の支持領域(9)を前記試験体の外面に当接させることによって、前記保持領域(11)と前記支持領域(9)との間にクランプ効果をもたらす、請求項4に記載の試験構成。
【請求項17】
測定ヘッド(6)内の感温素子(5)と、ばねクランプ(7a)と、を有し、前記測定ヘッド(6)と前記ばねクランプ(7a)とが、接続領域(12)において互いに接続されており、前記測定ヘッド(6)が、前記接続領域(12)から前記測定ヘッド(6)の挿入方向に延びており、前記接続領域(12)が、支承面を有し、ばね部が、前記接続領域(12)に対向して配置されており、このばね部が、前記接続領域(12)に対して前記挿入方向にばね効果を及ぼすことができる、温度センサ(1)。
【請求項18】
前記ばねクランプ(7a)とともに打ち抜き曲げ部品として製造されたセンサハウジング(8)を備える、請求項17に記載の温度センサ(1)。
【請求項19】
前記感温素子(5)が、NTCセラミックおよびメタライゼーションを含む、請求項17に記載の温度センサ(1)。
【請求項20】
前記感温素子(5)の外側カバーが、熱放射に対して0.5未満の吸収値を有する、請求項17に記載の温度センサ。
【国際調査報告】