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特表2024-515592偏光積層体及びそれを含む画像表示装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】偏光積層体及びそれを含む画像表示装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 5/30 20060101AFI20240403BHJP
   G09F 9/00 20060101ALI20240403BHJP
   G09F 9/33 20060101ALI20240403BHJP
   G02B 1/14 20150101ALI20240403BHJP
   H01L 33/00 20100101ALI20240403BHJP
   G02B 1/16 20150101ALI20240403BHJP
   G02B 1/18 20150101ALI20240403BHJP
   G02B 1/111 20150101ALI20240403BHJP
【FI】
G02B5/30
G09F9/00 313
G09F9/33
G02B1/14
H01L33/00 L
G02B1/16
G02B1/18
G02B1/111
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562305
(86)(22)【出願日】2022-03-28
(85)【翻訳文提出日】2023-10-10
(86)【国際出願番号】 KR2022004332
(87)【国際公開番号】W WO2022220443
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】10-2021-0047878
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503454506
【氏名又は名称】東友ファインケム株式会社
【氏名又は名称原語表記】DONGWOO FINE-CHEM CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】132, YAKCHON-RO, IKSAN-SI, JEOLLABUK-DO 54631, REPUBLIC OF KOREA
(74)【代理人】
【識別番号】100137095
【弁理士】
【氏名又は名称】江部 武史
(74)【代理人】
【識別番号】100091627
【弁理士】
【氏名又は名称】朝比 一夫
(72)【発明者】
【氏名】キム, ジン ミ
(72)【発明者】
【氏名】キム, ユン ソン
(72)【発明者】
【氏名】リ, ジェ ヒョク
【テーマコード(参考)】
2H149
2K009
5C094
5F142
5G435
【Fターム(参考)】
2H149AA01
2H149AA18
2H149AB01
2H149BA02
2H149CA02
2H149DA02
2H149DA12
2H149EA02
2H149EA12
2H149FA08X
2H149FC03
2H149FC04
2H149FD10
2H149FD12
2H149FD47
2K009AA15
2K009BB11
2K009CC24
5C094AA01
5C094BA23
5C094DA13
5C094ED14
5C094FA02
5C094FB01
5C094FB20
5C094JA08
5C094JA11
5F142CB14
5F142DB35
5F142GA01
5G435AA01
5G435AA09
5G435BB04
5G435FF05
5G435GG43
5G435HH11
5G435HH20
5G435KK07
(57)【要約】
本発明の偏光子と、前記偏光子の一方の面上に形成され、ヘイズ値が15%~40%、反射率が2.5%以下である表面処理層と、前記偏光子の他方の面上に形成された位相遅延層と、前記位相遅延層の表面上に形成された粘接着層とを含む偏光積層体を含む。画像表示装置の継ぎ目が視認されることを防止でき、画像表示装置の光学特性を改善することができる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
偏光子と、
前記偏光子の一方の面上に形成され、ヘイズ値が15%~40%、反射率が2.5%以下である表面処理層と、
前記偏光子の他方の面上に形成された位相遅延層と、
前記位相遅延層の表面上に形成された粘接着層とを含む、偏光積層体。
【請求項2】
前記表面処理層の表面上に積層された保護フィルムをさらに含む、請求項1に記載の偏光積層体。
【請求項3】
前記表面処理層は、ハードコートフィルムを含む、請求項1に記載の偏光積層体。
【請求項4】
前記表面処理層は、(メタ)アクリレート化合物を含むコート組成物から形成される、請求項3に記載の偏光積層体。
【請求項5】
前記表面処理層は、イオン伝導性物質をさらに含む、請求項3に記載の偏光積層体。
【請求項6】
前記表面処理層の厚さは1~20μmである、請求項1に記載の偏光積層体。
【請求項7】
基板と、
前記基板上に積層された請求項1に記載の前記偏光積層体と、
前記基板の下に配置された表示パネルとを含む、画像表示装置。
【請求項8】
前記偏光積層体は、前記基板から前記粘接着層、前記位相遅延層、前記偏光子、および前記表面処理層が順次配置されるように積層される、請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項9】
前記表示パネルは、マイクロ発光ダイオード(LED)モジュールを含む、請求項7に記載の画像表示装置。
【請求項10】
前記マイクロLEDモジュールは、複数のマイクロLEDチップが結合したアレイを含む、請求項9に記載の画像表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、偏光積層体及びそれを含む画像表示装置に関する。より詳細には、偏光子および機能性フィルムを含む偏光積層体、並びにそれを含む画像表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、液晶表示装置(LCD)、電界発光(EL)表示装置、プラズマ表示装置(PDP)、電界放出表示装置(FED)等のような各種の画像表示装置が市販及び使用されている。画像表示装置の使用の普遍化により、画像表示装置の機能を改善するための研究が盛んに行われている。例えば、画像表示装置に用いられる偏光積層体の研究が進められている。
【0003】
一般的に偏光積層体は、ヨウ素系ポリビニルアルコール(polyvinyl alcohol,PVA)偏光子と、前記偏光子の一方の面または両面を保護するための保護フィルムとを含む。偏光積層体の構造の一例として、偏光子の一方の面には保護フィルムが積層され、他方の面には、保護フィルム、粘着剤層および離型フィルム等が順に積層され得る。
【0004】
また、画像表示装置は、偏光積層体の他に、表示品質を改善するために表面処理層を含むことができる。表面処理層はまた、防眩層、低反射層、またはハードコートフィルム等をさらに含むことができる。
【0005】
硬度を向上させるために表面処理層の厚さを増やすと、表面処理層が基板から剥離されることがある。また、耐スクラッチ性または耐衝撃性などの物性が不足することがある。さらに、従来の表面処理層は十分な光学的性質を提供していないため、画像表示装置の大面積化を実現するためには、さらなる研究が必要である。
【0006】
例えば、韓国公開特許第10-2013-0074167号では、ハードコート層が含まれたプラスチック基板を開示している。しかし、光学的性質が不十分であり、前述の問題への対応策は提供していない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の課題は、光学的性質が改善された偏光積層体を提供することである。
【0008】
本発明の課題は、光学的性質が改善された画像表示装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1.偏光子と、前記偏光子の一方の面上に形成され、ヘイズ値が15%~40%、反射率が2.5%以下である表面処理層と、前記偏光子の他方の面上に形成された位相遅延層と、前記位相遅延層の表面上に形成された粘接着層とを含む、偏光積層体。
【0010】
2.前記項目1において、前記表面処理層の表面上に積層された保護フィルムをさらに含む、偏光積層体。
【0011】
3.前記項目1において、前記表面処理層は、ハードコートフィルムを含む、偏光積層体。
【0012】
4.前記項目3において、前記表面処理層は、(メタ)アクリレート化合物を含むコート組成物から形成される、偏光積層体。
【0013】
5.前記項目3において、前記表面処理層は、イオン伝導性物質をさらに含む、偏光積層体。
【0014】
6.前記項目1において、前記表面処理層の厚さは1~20μmである、偏光積層体。
【0015】
7.基板と、前記基板上に積層された前記項目1に記載の前記偏光積層体と、前記基板の下に配置された表示パネルとを含む、画像表示装置。
【0016】
8.前記項目7において、前記偏光積層体は、前記基板から前記粘接着層、前記位相遅延層、前記偏光子、および前記表面処理層が順次配置されるように積層される、画像表示装置。
【0017】
9.前記項目7において、前記表示パネルは、マイクロ発光ダイオード(LED)モジュールを含む、画像表示装置。
【0018】
10.前記項目9において、前記マイクロLEDモジュールは、複数のマイクロLEDチップが結合したアレイを含む、画像表示装置。
【発明の効果】
【0019】
本発明の実施形態によれば、所定のヘイズ値を有する表面処理層が、偏光子、位相遅延層、粘接着層と積層されている偏光積層体を提供することができる。また、所定のヘイズ値を有する表面処理層を用いることにより、画像表示装置の光学特性を改善することができる。
【0020】
例示的な実施形態による表面処理層を含む場合には、表示パネルに含まれる継ぎ目が視認されず、輝度が改善され、鮮明な色感を実現することができる。
【0021】
また、偏光積層体が表面処理層を含むことにより、継ぎ目による色差の発生を抑制することができる。これにより、表示パネルの面積を容易に拡張することができ、画像表示装置の大面積化に求められる工程コストを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1図1は、例示的な実施形態による偏光積層体を示す概略断面図である。
図2図2は、例示的な実施形態による偏光積層体を示す概略断面図である。
図3図3は、例示的な実施形態による偏光積層体を含む画像表示装置の概略断面図である。
【発明を行うための形態】
【0023】
本発明の実施形態は、偏光子と、前記偏光子の一方の面上に形成され、ヘイズ値が15%~40%、反射率が2.5%以下である表面処理層と、前記偏光子の他方の面上に形成された位相遅延層と、前記位相遅延層の表面上に形成された粘接着層とを含む偏光積層体を開示する。
【0024】
前記偏光積層体の使用により、画像表示装置の表示パネルに位置する継ぎ目の視認を抑制することができ、継ぎ目による色差の発生を抑制することができる。また、前記偏光積層体により、画像表示装置の鮮明度を向上させることができる。以下では、各構成について詳述することとする。
【0025】
また、本明細書で「配置する」という用語は、「形成する」、「位置する」、「積層する」、または「塗布する」などを包括する用語として使用される。さらに、「配置する」は、例示的な実施例及び比較例に含まれる各層の相対的な位置を説明するために使用される用語であり、各層の製造方法を限定するものではない。またさらに、「配置する」の代わりに「積層する」と記載したとしても、前述のような記載は、必ずしも特定の層を「積層」の方法で他の層の一方の面に接触しなければならないことを意味するのではない。
【0026】
また、本明細書で「一方の面」および「他方の面」は相対的な概念として使用される。例えば、「一方の面」が上面である場合、下面は「他方の面」と称することができる。逆に、「一方の面」が下面である場合、上面は「他方の面」と称することができる。
【0027】
また、本明細書で「上」、「上面」、「上部」、「視認側」、「下」、「下面」、「下部」、「パネル側」等の記載は、図面の方位を基準としている。例えば、特定の層の一方の面が図面の上方に向かって配置されていると、前記一方の面は「視認側」、「上面」または「上部」と称することができる。また、前記一方の面と反対側の面、すなわち他方の面は「パネル側」、「下面」または「下部」と称することができる。
【0028】
また、「上」、「上面」または「上部」は、観察者が見ている位置(すなわち、視認側)を指すために使用することができる。したがって、観察者は一般に上面方向に位置して下面方向を見ていると理解できる。観察者の位置と対比される概念としての「下」、「下面」または「下部」は、表示パネルの位置(すなわち、パネル側)を指すために使用することができる。
【0029】
<表面処理層>
例示的な実施形態による表面処理層のヘイズ値は、15%~40%であってもよい。前記ヘイズ(Haze)値とは、光が試料を通過するときに現れる曇りの程度であり、拡散透過光(Diffuse Transmittance,Td)を全透過光(Total Transmittance,Tt)で割った割合を意味する。拡散透過光Tdとは、試料を透過した光の中で散乱した光の量をいい、全透過光Ttとは、試料を透過した全ての光の量をいう。一方、平行透過光Tpとは、透過した光の中で散乱を起こさずに透過した光の量であり、全透過光Ttから拡散透過光Tdを差し引いた値とすることができる。
【0030】
また、表面処理層が前述のヘイズ値を満たすことにより、表示パネル間の継ぎ目が視認される現象を抑制することができる。表面処理層のヘイズ値が15%未満であると、表示パネル間の継ぎ目が視認されることがある。表面処理層のヘイズ値が40%を超えると、光の過度の拡散により鮮明度のような画像表示装置の光学特性が低下する恐れがある。
【0031】
また、好ましくは、表面処理層の反射率は2.5%以下であってもよい。前記表面処理層の反射率は、表面反射率を意味し得る。表面反射率の低減により、画像表示装置の鮮明度および色再現性を改善することができる。
【0032】
例示的な実施形態では、表面処理層は透明性が保証された高分子樹脂を含むことができる。表面処理層に含まれる高分子樹脂の例としては、ノルボルネンや多環ノルボルネン系単量体のようなシクロオレフィンを含む単量体の単位を有するシクロオレフィン系誘導体、セルロース(ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース、アセチルセルロースブチレート、イソブチルエステルセルロース、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース)、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリエステル、ポリスチレン、ポリアミド、ポリエーテルイミド、ポリアクリル、ポリイミド、ポリエーテルスルホン、ポリスルホン、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリエーテルケトン、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエーテルスルホン、ポリメチルメタアクリレート、ポリエチレンテレフタレート 、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、およびポリエポキシからなる群より選択される少なくとも1つの高分子樹脂が挙げられる。
【0033】
また、表面処理層は、未延伸フィルムであっても、1軸または2軸の延伸フィルムを含んでもよい。いくつかの例示的な実施形態では、透明性、耐熱性、または光学特性を向上させるために、表面処理層として1軸または2軸の延伸ポリエステルフィルムや、シクロオレフィン系誘導体フィルム、またはトリアセチルセルロースフィルムを使用することができる。
【0034】
さらに、表面処理層は、ハードコートフィルム、帯電防止性ハードコートフィルム、防眩コート層、帯電防止性防眩コート層、または低反射コート層であってもよい。あるいは、表面処理層は、ハードコートフィルム、帯電防止性ハードコートフィルム、防眩コート層、帯電防止性防眩コート層、または低反射コート層を含む複合層であってもよい。
【0035】
いくつかの例示的な実施形態では、ハードコートフィルムは、紫外線硬化性樹脂組成物から得ることができる。また、紫外線硬化性樹脂組成物は、多官能(メタ)アクリレート、光重合開始剤および有機溶媒を含むことができる。(メタ)アクリレートは、アクリレートとメタクリレートの両方を含む。
【0036】
また、いくつかの例示的な実施形態では、多官能(メタ)アクリレートの例として、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸エステル、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコール(メタ)アクリレート、1,3-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレンクリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ビス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、イソデキシル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、テトラフルフリル(メタ)アクリレート、およびフェノキシエチル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
【0037】
また、いくつかの例示的な実施形態では、光重合開始剤の例として、ジフェニルケトンベンジルジメチルケタール、アセトフェノンジメチルケタール、p-ジメチルアミン安息香酸エステル、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニル-1-オン、4-ヒドロキシシクロフェニルケトン、ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、アントラキノン、2-アミノアントラキノン、フルオレン、トリフェニルアミン、カルバゾール、ベンゾフェノン、p-フェニルベンゾフェノン、3-メチルアセトフェノン、4,4-ジメトキシアセトフェノン、4,4-ジアミノベンゾフェノン、ベンゾイン、および2-エチルチオキサントンなどが挙げられる。
【0038】
また、有機溶媒は多官能(メタ)アクリレートと相溶することができる。有機溶媒の例としては、メタノール、エタノール、イソプロパノール、プロパノール、ブタノール、イソブタノール、エチルセロソルブ、メチルセロソルブ、ブチルアセテート、ジメチルホルムアミド、ジアセトンアルコール、エチレングリコールイソプロピルアルコール、プロピレングリコールイソプロピルアルコール、メチルエチルケトン、およびN-メチルピロリドンなどが挙げられる。
【0039】
また、いくつかの例示的な実施形態では、表面処理層の機械的特性などをさらに改善するために添加剤を使用することができる。例えば、表面処理層の表面強度を改善するためにナノシリカ粒子を使用することができ、光重合効率を改善するために光重合開始助剤を使用することができる。他にも、充填剤、レベリング剤、消泡剤、紫外線吸収剤、抗酸化剤などを添加することができる。
【0040】
また、いくつかの例示的な実施形態では、前記ハードコートフィルムは、防眩性が付与された防眩コート層であってもよい。ハードコートフィルムに防眩性を付与するために、シリカなどの無機粒子またはポリメチルメタアクリレート(PMMA)などの高分子粒子を用いることができる。分散性を向上させるために、前記高分子粒子は、平均粒径が1~20μmの単分散粒子、多分散粒子、または前記単分散と多分散粒子の混合物であってもよい。
【0041】
また、いくつかの例示的な実施形態では、ハードコートフィルムまたは防眩コート層に帯電防止性を付与するために、さらに伝導性物質を使用することができる。伝導性物質はコート液組成物に含まれ、コート層に帯電防止性を付与することができる。伝導性物質の例としては、第4級アンモニウム塩系、ホスホニウム塩系、スルホニウム塩系などの陽イオン系界面活性剤;カルボン酸系、スルホネート系、硫酸系、リン酸塩系、ホスファイト系などの陰イオン系界面活性剤;スルホベタイン系、アルキルベタイン系、アルキルイミダゾリウムベタイン系などの陽イオン系界面活性剤;多価アルコール誘導体、ソルビタン脂肪酸モノエステル・ジエステル、ポリアルキレンオキシド誘導体などの非イオン系界面活性剤などが挙げられる。
【0042】
その他にも、伝導性物質として、ポリエチレンメタクリレート等の親水性高分子とアクリル系樹脂とを混合した永久帯電防止剤、アセチレンブラックないし酸化アルミニウムのような導電性フィラー、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアニリン等の伝導性高分子などが挙げられる。
【0043】
例示的な実施形態では、表面処理層の一方の面には偏光子を積層することができる。いくつかの例示的な実施形態では、表面処理層の他方の面には保護フィルムを積層することができる。これにより、いくつかの例示的な実施形態では、保護フィルム、表面処理層、および偏光子を順次積層することができる。
【0044】
また、例示的な実施形態では、表面処理層の厚さは0.1~200μm、好ましくは1~50μm、より好ましくは1~20μmであってもよい。前記の数値範囲内では、表面処理層の機械的強度を改善することができ、表面処理層の大面積化を容易にすることができる。例えば、表面処理層の厚さが0.1μm未満であると、表面処理層の機械的強度が不十分なことがあり、表面処理層の厚さが20μmを超えると、表面処理層の大面積化に過度の工程コストが求められることがある。
【0045】
<偏光子>
偏光子は延伸性フィルムに二色性色素が吸着配向されたものであってもよい。延伸性フィルムは、二色性物質によって染色可能な樹脂を含むことができる。例えば、延伸性フィルムは、ポリエチレンテレフタレート樹脂、エチレン-酢酸ビニル共重合体、エチレン- ビニルアルコール共重合体、セルロース樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂、これらの部分的に鹸化された樹脂等のような親水性高分子;又は脱水処理されたポリビニルアルコール系樹脂、脱塩酸処理されたポリビニルアルコール系樹脂等のようなポリエン配向樹脂等を含むことができる。
【0046】
好ましくは、面内において偏光度の均一性を確保し、二色性物質に対する染色親和性に優れるという点から、ポリビニルアルコール系樹脂を用いることができる。
【0047】
例えば、偏光子は、ポリ酢酸ビニル系樹脂を鹸化して得られたポリビニルアルコール系樹脂を含むことができる。ポリ酢酸ビニル系樹脂としては、酢酸ビニルの単独重合体であるポリ酢酸ビニル、又は酢酸ビニルとそれと共重合可能な単量体の共重合体などが挙げられる。酢酸ビニルと共重合可能な単量体としては、不飽和カルボン酸系単量体、不飽和スルホン酸系単量体、オレフィン系単量体、ビニルエーテル系単量体、アンモニウム基を有するアクリルアミド系単量体などが挙げられる。
【0048】
また、前述のポリビニルアルコール系樹脂は、変性されたものであってもよい。例えば、アルデヒド系化合物の添加により変性されたポリビニルホルマルやポリビニルアセタールなどを用いることができる。
【0049】
偏光子は、ポリビニルアルコール系樹脂を膨潤、染色、架橋、延伸、水洗、乾燥するなどのステップを含む工程によって加工して得ることができる。偏光子の製造方法は、延伸方法により分類される。例えば、延伸方法としては、乾式延伸方法、湿式延伸方法、又は前記二種類の延伸方法を混合したハイブリッド延伸方法等が挙げられる。
【0050】
以下では、ポリビニルアルコール系樹脂を湿式延伸方法で加工することを前提として偏光子の製造方法を説明するが、このような製造方法に実施例が限定されるものではない。
【0051】
膨潤ステップ、染色ステップ、架橋ステップ、延伸ステップ、水洗ステップ等の工程は、恒温水槽内にポリビニルアルコール系樹脂が含まれたフィルムを浸漬した状態で行うことができる。各工程の順序および反復回数は特に限定されず、各工程は同時に行われても順次に行われてもよく、一部の工程は必要によって省略してもよい。
【0052】
膨潤ステップは、フィルムの表面上に堆積した埃やブロッキング防止剤のような不純物を除去し、フィルムの延伸効率および染色均一性を向上させるためのステップであってもよい。染色ステップは、フィルムに二色性物質を吸着させるステップであってもよい。染色効率を改善するために、染色補助剤としてヨウ化物を使用することができる。ヨウ化物の例としては、ヨウ化カリウム、ヨウ化リチウム、ヨウ化ナトリウム、ヨウ化亜鉛、ヨウ化アルミニウム、ヨウ化鉛、ヨウ化銅、ヨウ化バリウム、ヨウ化カルシウム、ヨウ化スズ、ヨウ化チタンなどを使用することができる。
【0053】
架橋ステップは、フィルムに吸着された二色性物質を化学的に固定させるために行うことができる。例えば、アセテート金属塩が含有された架橋用水溶液に、二色性物質が物理的に吸着されたフィルムを浸漬することにより、二色性物質の架橋反応を誘導することができる。乾燥ステップは、水洗されたフィルムを乾燥し、二色性物質の配向をより改善して偏光子の光学特性を向上させるためのステップであってもよい。
【0054】
例示的な実施形態では、偏光子は表面処理層の一方の面に積層することができる。また、偏光子の他方の面には位相遅延層を積層することができる。これにより、例示的な実施形態では、表面処理層、偏光子および位相遅延層を順次積層することができる。
【0055】
<位相遅延層>
例示的な実施形態では、位相遅延層はλ/4位相差フィルム(1/4波長位相差フィルム)であってもよい。λ/4位相差フィルムは、高分子フィルムを単軸方向、両軸方向、または他の適切な方法で配向して得ることができる。λ/4位相差フィルムは、反射光を抑制することができる。
【0056】
位相遅延層に含まれる高分子化合物の例としては、ポリカーボネート系化合物、ポリエステル系化合物、ポリスルホン系化合物、ポリエーテルスルホン系化合物、ポリスチレン系化合物、ポリオレフィン系化合物、ポリビニルアルコール系化合物、セルロースアセテート系化合物、ポリメチルメタクリレート系化合物、塩化ポリビニル系化合物、ポリアクリレート塩化ポリビニル系化合物、ポリアミド塩化ポリビニル系化合物などが挙げられる。高分子化合物の選択では、透明性を指標として用いることができる。
【0057】
また、例示的な実施形態では、位相遅延層は、同じ反応系の重合によって重合可能なネマチックまたはスメクチック液晶物質を含むことができ、好ましくは、ネマチック液晶物質を含むことができる。さらに、例示的な実施形態では、位相遅延層は逆波長分散性を提供することができ、様々な位相差値を有することができる。
【0058】
さらに、いくつかの例示的な実施形態では、位相遅延層は、さらに正のCプレート層を含むことができる。また、偏光積層体の厚さ方向位相差(Rth)の値を適切な範囲に設定するために、正のCプレート層の位相差の値を所定の範囲に調整することができる。いくつかの例示的な実施形態では、λ/4位相差フィルムの厚さ方向位相差の値が40nm~65nmであると、正のCプレート層の厚さ方向位相差の値は-85nm~-60nmであってもよい。また、λ/4位相差フィルムの厚さ方向位相差の値が65nm~80nmであると、正のCプレート層の厚さ方向位相差の値は-100nm~-85nmであってもよい。また、λ/4位相差フィルムの厚さ方向位相差の値が80nm~100nmであると、正のCプレート層の厚さ方向位相差の値は-120nm~-100nmであってもよい。また、λ/4位相差フィルムの厚さ方向位相差の値が100nm~180nmであると、正のCプレート層の厚さ方向位相差の値は-200nm~-120nmであってもよい。
【0059】
例示的な実施形態では、位相遅延層の一方の面には偏光子を積層し、前記位相遅延層の他方の面には粘接着層を配置することができる。例えば、偏光子、位相遅延層および粘接着層が順次配置される。また、位相遅延層が積層されていない偏光子の一方の面が外側を向くように、偏光子、位相遅延層および粘接着層を配向することができる。
【0060】
<粘接着層>
例示的な実施形態では、粘接着層は、感圧性粘着剤(Pressure sensitive Adhesive,PSA)または光学透明接着剤(Optically Clear Adhesive,OPC)を用いて形成することができる。
【0061】
例えば、感圧性粘着剤または光学透明接着剤は、アクリル系共重合体および架橋剤を含む粘着剤組成物から得るか、又はウレタン(メタ)アクリレート樹脂、(メタ)アクリレートエステル単量体および光開始剤を含む粘着剤組成物から得ることができる。
【0062】
例示的な実施形態では、粘接着層は位相遅延層の一方の面に配置することができる。また、いくつかの例示的な実施形態では、粘接着層の他方の面には離型層を積層することができる。例えば、位相遅延層、粘接着層および離型層を順次積層することができる。
【0063】
<保護フィルム>
いくつかの例示的な実施形態では、保護フィルムは表面処理層の一方の面に積層することができる。表面処理層の一方の面に保護フィルムが配置された場合、前記表面処理層の他方の面には偏光子が配置される。例えば、保護フィルム、表面処理層および偏光子を順次配置することができる。また、表面処理層が積層されていない保護フィルムの一方の面が画像表示装置の外側面に向かうように保護フィルムを配向することができる。
【0064】
いくつかの例示的な実施形態では、保護フィルムに含まれる樹脂は、保護フィルムの透明性、機械的強度、熱安定性、水分遮蔽性、等方性などを指標として選択することができる。
【0065】
保護フィルムに含まれる樹脂の例としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂、ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系又はノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレンプロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミド等のポリアミド系樹脂;イミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテルケトン系樹脂;硫化ポリフェニレン系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラール系樹脂;アリレート系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;エポキシ系樹脂のような熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0066】
また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、エポキシ系、シリコン系等の熱硬化性樹脂又は紫外線硬化型樹脂からなるフィルムを保護フィルムとして用いてもよい。いくつかの例示的な実施形態では、偏光特性および耐久性の改善が容易であるという点から、石鹸化(鹸化)された表面を有するセルロース系フィルムを保護フィルムとして用いることができる。
【0067】
<離型層>
いくつかの例示的な実施形態では、剥離層は粘接着層の一方の面に積層することができる。粘接着層の一方の面に離型層が配置された場合、前記粘接着層の他方の面には位相遅延層が配置される。例えば、位相遅延層、粘接着層および離型層を順次配置することができる。
【0068】
また、いくつかの例示的な実施形態では、離型層は、偏光積層体に通常使用される樹脂から形成することができる。例えば、離型層は、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレートなどのポリエステル樹脂;ポリイミド樹脂;アクリル樹脂;ポリスチレンおよびアクリロニトリル-スチレンなどのスチレン系樹脂;ポリカーボネート樹脂;ポリ乳酸樹脂;ポリウレタン樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン-プロピレン共重合体などのポリオレフィン樹脂;ポリビニルクロライド、ポリビニリデンクロライドなどのビニル樹脂;ポリアミド樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテル-エーテルケトン系樹脂;アリレート系樹脂;または前記樹脂の混合物から形成することができる。
【0069】
<画像表示装置>
例示的な実施形態による画像表示装置は、基板と、前記基板上に積層され、例示的な実施形態による偏光積層体と、前記基板の下に配置された表示パネルとを含むことができる。
【0070】
いくつかの例示的な実施形態では、偏光積層体、基板、および表示パネルが順次位置し、前記偏光積層体は表面が外部に露出し得る。これにより、偏光積層体は、前記基板から前記粘接着層、前記位相遅延層、前記偏光子および前記表面処理層が順次配置されるように積層できる。
【0071】
また、いくつかの例示的な実施形態による画像表示装置では、偏光積層体が保護フィルムをさらに含む場合、基板の一方の面に前記偏光積層体の粘接着層が積層され、表示パネルは前記基板の他方の面に離隔して位置することができる。この場合、保護フィルムの表面が外部に露出し得る。
【0072】
基板
基板は絶縁基板で提供され、この場合、前記絶縁基板はガラス、樹脂などの絶縁性材料からなっていてもよい。また、基板は、折ったり曲げたりが可能なように可撓性(flexibility)を有する材料からなっていてもよく、単層構造または多層構造を有することができる。
【0073】
前記基板は、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンテレフタレートなどのポリエステル系樹脂;ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース等のセルロース系樹脂;ポリカーボネート系樹脂;ポリメチル(メタ)アクリレート、ポリエチル(メタ)アクリレート等のアクリル系樹脂;ポリスチレン、アクリロニトリル-スチレン共重合体等のスチレン系樹脂;ポリエチレン、ポリプロピレン、シクロ系またはノルボルネン構造を有するポリオレフィン、エチレン-プロピレン共重合体等のポリオレフィン系樹脂;塩化ビニル系樹脂;ナイロン、芳香族ポリアミド等のアミド系樹脂;イミド系樹脂;ポリエーテルスルホン系樹脂;スルホン系樹脂;ポリエーテルエーテルケトン系樹脂;硫化ポリフェニレン系樹脂;ビニルアルコール系樹脂;塩化ビニリデン系樹脂;ビニルブチラール系樹脂;アリレート系樹脂;ポリオキシメチレン系樹脂;エポキシ系樹脂等のような熱可塑性樹脂を含むことができ、前記熱可塑性樹脂のブレンド物を含むこともできる。
【0074】
また、(メタ)アクリル系、ウレタン系、アクリルウレタン系、エポキシ系、シリコン系などの熱硬化性樹脂または紫外線硬化型樹脂を含むこともできる。しかし、基板を構成する材料は様々に変更することができ、いくつかの例示的な実施形態では、基板はガラス繊維強化プラスチック(FRP,Fiber glass reinforced plastic)などで形成することもできる。
【0075】
表示パネル
例示的な実施形態では、画像表示装置の表示パネルは、マイクロ発光ダイオード(Light Emitting Diode,LED)モジュールを含むことができる。マイクロLEDモジュールの「マイクロ」は、スケールが1~100μmのLEDモジュールを指すために使用される。しかし、例示的な実施形態は必ずしもそれに限定されるものではなく、いくつかの実施形態では、より小さなスケールのLEDモジュール、またはより大きなスケールのLEDモジュールを使用することができる。
【0076】
さらに、例示的な実施形態では、マイクロLEDモジュールは、LEDグループまたはLEDアレイの形態を有することができる。LEDグループまたはLEDアレイは、LEDモジュールが並列に結合された形態であり、各LEDモジュールの間には継ぎ目が形成され得る。
【0077】
例えば、マイクロLEDモジュールが含まれたアレイは、10μm×10μmのピッチ、または5μm×5μmのピッチを有することができる。また、これらの密度では、6インチ基板は、10μm×10μmのピッチを有する約1億6千5百万個のマイクロLEDモジュールを収容することができる。または、6インチ基板は、5μm×5μmのピッチを有する約6億6千万個のマイクロLEDモジュールを収容することができる。
【0078】
また、マイクロLEDモジュールは、それぞれR(Red)、G(Green)、B(Blue)を含む複数のサブピクセルで構成することができる。R(Red)、G(Green)、B(Blue)の3つのサブピクセルは1つのピクセル(PA)を構成し、このピクセル(PA)を連続して配列することができる。また、マイクロLEDモジュールは、蛍光体のような波長変換物質と組み合わせて青色光、緑色光または赤色光を発光することができ、白色光、紫外光などを発光することもできる。
【0079】
また、例示的な実施形態では、表示パネルは基板の一方の面に離隔して位置することができる。本明細書で使用される「離隔」という用語は、両者が直接接触していないことを意味する。例えば、前記表示パネルと前記基板との間には空気層を形成することができ、前記表示パネルと前記基板とは前記空気層によって離隔していてもよい。
【0080】
また、前記基板と前記表示パネルとの間に空気層を形成するために、別の支持部材を含むことができる。支持部材は、空気層が一定の厚さを維持できるように、表示パネルと基板とを適切に離隔することができる。他にも、空気層を形成および維持するために、基板と表示パネルの外周面を固定することができる。前記外周面の固定のために、別のパッケージングを行うことができる。
【0081】
また、例示的な画像表示装置では、偏光積層体、基板および表示パネルが順次位置していてもよい。偏光積層体、基板および表示パネルは、それぞれ準備されて組み立てられてもよく、同時に準備されてもよい。また、基板の一方の面に偏光積層体を積層することができ、前記基板の他方の面は表示パネルに向けて配向することができる。
【0082】
また、LEDモジュールが小型化することで継ぎ目の面積がさらに増加し、継ぎ目がユーザに視認されることがある。例示的な実施形態による画像表示装置は、前述の偏光積層体を含むことにより、マイクロLEDモジュール間に存在する継ぎ目の視認を抑制することができる。これにより、偏光積層体によって継ぎ目の視認が抑制され、画像表示装置の光学特性を改善することができる。
【0083】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態をより具体的に説明する。ただし、本明細書に添付される図面は、本発明の好適な実施形態を例示するものであって、発明の詳細な説明とともに本発明の技術思想をさらに理解する一助となる役割を果たすものであるため、本発明は図面に記載された事項のみに限定されて解釈されるものではない。
【0084】
図1及び図2は、例示的な実施形態による偏光積層体100を示す概略断面図である。
【0085】
図1を参照すると、偏光積層体100は、表面処理層110、偏光子120、位相遅延層130、および粘接着層140を含むことができる。また、例示的な実施形態では、表面処理層110、偏光子120、位相遅延層130、および粘接着層140は、順次積層されて偏光積層体100を形成することができる。また、表面処理層110の上面は外部に露出し、粘接着層140の下面は外部に露出し得る。
【0086】
図2を参照すると、偏光積層体100は、さらに保護フィルム150および離型層160を含むことができる。また、保護フィルム150、表面処理層110、偏光子120、位相遅延層130、粘接着層140および離型層160は、順次積層されて偏光積層体100を形成することができる。また、保護フィルム150の上面は、外部に露出し、離型層160の下面は、外部に露出し得る。
【0087】
図3は、例示的な実施形態による偏光積層体100を含む画像表示装置1の概略断面図である。
【0088】
例示的な実施形態では、画像表示装置1は、偏光積層体100と、基板200と、表示パネル300とを含むことができる。また、偏光積層体100、基板200および表示パネル300は、順に配置されて画像表示装置1を形成することができる。また、表示パネル300は、基板200の下に配置することができ、基板200と表示パネル300との間には空気層400が形成され、表示パネル300と基板200とを離隔することができる。
【0089】
以下、本発明の理解を助けるために好ましい実施例を提示するが、これらの実施例は単に本発明を例示するものに過ぎず、添付の特許請求の範囲を制限するものではなく、本発明の範疇及び技術思想の範囲内で実施例に対する様々な変更及び修正が可能であることは当業者にとって明らかであり、このような変形及び修正が添付の特許請求の範囲に属することも当然である。
【実施例
【0090】
実施例及び比較例
実施例1.偏光積層体の製造
トリアセチルセルロースフィルム(厚さ40μm、TAC)上に、メチルエチルケトン(MEK)溶剤を用いて、湿塗膜の厚さが5μmとなるようにマイヤーバー(Meyer bar)で塗布した後、40℃で1分間熱風乾燥して粗面化を誘導した。その後、乾燥塗膜の厚さが5μmとなるようにマイヤーバーでハードコート液(DN-0081、JSR社製)を塗布し、70℃において1分間熱風で乾燥及び硬化して表面処理層を得た。得られた表面処理層のヘイズ値は30%であった。
【0091】
鹸化度が99.9%以上である透明な未延伸ポリビニルアルコールフィルム(VF-PE 60μm、KURARAY社)を、30℃の水(脱イオン水)で2分間浸漬して膨潤させた後、ヨウ素3.5mmol/Lとヨウ化カリウム2重量%が含有された30℃の染色用水溶液に4分間浸漬して染色した。このとき、膨潤及び染色ステップでポリビニルアルコールフィルムをそれぞれ1.3倍、1.4倍に延伸した。続いて、ヨウ化カリウム10重量%、ホウ酸3.5重量%が含有された50℃の第1架橋用水溶液と、クエン酸(citric acid)1.0重量%、酢酸亜鉛1.0重量%が含有された50℃の第2架橋用水溶液に、それぞれ2分間、1分間浸漬して架橋させた。このとき、架橋ステップは総累積延伸比が6.4倍となるようにした。架橋完了後、ポリビニルアルコールフィルムを70℃のオーブンで4分間乾燥させて偏光子を製造した。
【0092】
準備された表面処理層を前記偏光子の上面に積層し、前記偏光子の下面に厚さ47μmの位相差フィルム(ZD12、ZEON社製)を積層した。また、前記位相遅延層の下面に厚さ20μmの粘接着層(アクリル系粘着剤、リンテック株式会社製)を形成して偏光積層体を製造した。
【0093】
実施例2.偏光積層体の製造
表面処理層のヘイズ値が21%となるように溶剤およびハードコートフィルムの組成を異ならせた以外は、実施例1と同様にして偏光積層体を製造した。
【0094】
実施例3.偏光積層体の製造
表面処理層のヘイズ値が18%となるように溶剤およびハードコートフィルムの組成を異ならせた以外は、実施例1と同様にして偏光積層体を製造した。
【0095】
実施例4.偏光積層体の製造
表面処理層のヘイズ値が35%となるように溶剤およびハードコートフィルムの組成を異ならせた以外は、実施例1と同様にして偏光積層体を製造した。
【0096】
実施例5.偏光積層体の製造
表面処理層のヘイズ値が40%となるように溶剤およびハードコートフィルムの組成を異ならせた以外は、実施例1と同様にして偏光積層体を製造した。
【0097】
比較例1.偏光積層体の製造
表面処理層を排除して偏光積層体を製造した以外は、実施例1と同様にして偏光積層体を製造した。
【0098】
比較例2.偏光積層体の製造
表面処理層のヘイズ値が約14%となるように溶剤およびハードコートフィルムの組成を異ならせた以外は、実施例1と同様にして偏光積層体を製造した。
【0099】
比較例3.偏光積層体の製造
表面処理層のヘイズ値が約50%となるように溶剤およびハードコートフィルムの組成を異ならせた以外は、実施例1と同様にして偏光積層体を製造した。
【0100】
比較例4.偏光積層体の製造
表面処理層のヘイズ値が約13%となるように溶剤およびハードコートフィルムの組成を異ならせた以外は、実施例1と同様にして偏光積層体を製造した。
【0101】
比較例5.偏光積層体の製造
表面処理層のヘイズ値が約45%となるように溶剤およびハードコートフィルムの組成を異ならせた以外は、実施例1と同様にして偏光積層体を製造した。
【0102】
実験例
1.ヘイズ値および反射率の評価
分光光度計(HZ-1、スガ試験機株式会社製)を用いて、ヘイズ(Haze)値を測定した。表示パネルは5V 9Wハロゲン球、受光部はシリコンフォトセル(比視感度フィルター付)であり、測定はJIS K-7136に準じて行った。
【0103】
また、反射率を測定するために、UV-2450(島津製作所社製)とアダプターMPC-2200(島津製作所社製)を使用した。波長380~780nmにおいて、入射角5°での出射角5°に対する鏡面反射率を測定し、450~650nmの平均反射率を算出した。
【0104】
前述の方法により測定した、実施例及び比較例の偏光積層体に含まれた表面処理層のヘイズ値及び反射率は、下記表1に示す通りである。
【0105】
【表1】
【0106】
2.継ぎ目の視認性および色差の評価
マイクロLEDモジュールおよび継ぎ目が含まれた表示パネルの上部に一定間隔の空気層を形成し、前記空気層の上部に透明ガラス基板を位置させた。マイクロLEDモジュールの幅は50μmであり、継ぎ目の幅は0.1μmであった。また、透明ガラス基板の屈折率は1.51、透明ガラス基板の厚さは520μm、空気層の幅は120μmであった。前記基板の上部に実施例または比較例の偏光積層体を位置させて画像表示装置を準備した。
【0107】
実施例及び比較例の偏光積層体が含まれた画像表示装置に対して、目視で継ぎ目の視認性を可否で検定し、表示パネルの発光部と継ぎ目との間の色差値を測定した。実験で使用した色度計はOSP-SP200(OLYMPUS社製)であった。△Lは、CIE1976(L、a、b)空間表色系に対して、発光部と継ぎ目の色差を計算したものである。実施例及び比較例の偏光積層体が含まれた画像表示装置に対する評価結果を下記表2に示す。
【0108】
<評価基準>
○:継ぎ目が視認される
X:継ぎ目が視認されない
【0109】
【表2】
【0110】
3.鮮明度の評価
表示パネルに黒と白のパターンが繰り返されるように設定した後、画像の鮮明度を正面と45度の角度で目視観察して評価した。評価基準は以下の通りであり、評価結果は下記表3に示す。
【0111】
<評価基準>
◎(優秀):画像の歪みがなく鮮明である
○(適正):パターンの幅が微細に変化するが、パターンの境界を確認できる
X(未達):パターンの境界を確認できないほど歪んでいる
【0112】
【表3】
【0113】
表1及び表2を参照すると、例示的な実施形態では、表面処理層が所定のヘイズ値を満たすことにより、表示パネルに含まれた継ぎ目の視認性が改善されることを確認できる。したがって、例示的な実施形態による偏光積層体の採用により、外部観察者による継ぎ目の視認を抑制することができ、画像表示装置に含まれた継ぎ目の視認による光学特性の低下を防止することができる。
【0114】
また、表2及び表3を参照すると、例示的な実施形態では、表面処理層が所定のヘイズ値を満たすことにより、表示パネルに含まれた継ぎ目が視認されないとともに適正以上の鮮明度が確保されることを確認できる。また、画像表示装置は、より鮮明な色感を実現することができた。その結果、例示的な実施形態による偏光積層体は、画像表示装置の大面積化および鮮明度を共に改善することができる。
【0115】
これに対して、比較例1、2及び4の場合は、鮮明度は適正であるが、継ぎ目が視認され、比較例3及び5の場合は、鮮明度が未達であった。したがって、比較例1、2及び4の場合は、表面処理層による光の散乱が不在または不足していることを確認でき、比較例3及び5の場合は、光の過度の散乱によって画像表示装置の鮮明度が顕著に低下することを確認できる。
図1
図2
図3
【国際調査報告】