(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ポリエステルカーペットタイルまたはカーペットストリップ、およびポリエステルカーペットタイルまたはカーペットストリップの製造プロセス
(51)【国際特許分類】
A47G 27/02 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
A47G27/02 102
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562334
(86)(22)【出願日】2022-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-21
(86)【国際出願番号】 IB2022053521
(87)【国際公開番号】W WO2022219579
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】BE
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】522148112
【氏名又は名称】ドゥ ポルテール デコ エスアー
【氏名又は名称原語表記】DE POORTERE DECO SA
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100225060
【氏名又は名称】屋代 直樹
(72)【発明者】
【氏名】ベール スクリエ
【テーマコード(参考)】
3B120
【Fターム(参考)】
3B120AA19
3B120BA03
3B120BA25
3B120BA28
3B120BA35
3B120CA04
3B120DB01
3B120DB03
3B120EA20
3B120EB06
(57)【要約】
本発明は、契約市場、特にオフィスおよび商業ビル用のカーペットタイルまたはカーペットストリップであって、縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンを有する機械織りカーペットと、ニードルフェルトと、ニードルフェルトと機械織りの布地との間の中間層と、を含み、ここで、機械織りの布地の裏面にポリエステル合成ラテックスコーティングが適用されており、合成ラテックスコーティングは、布地の裏面から布地の裏面と前面との間の垂直距離の少なくとも30%の深さまで布地に入り込んでいる、カーペットタイルまたはカーペットストリップに関する。本発明はまた、契約市場、特にオフィスおよび商業ビル用のカーペットタイルまたはカーペットストリップを製造する方法にも関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
契約市場、より具体的にはオフィスまたは商業ビル用のカーペットタイルまたはカーペットストリップであって、
難燃性ポリエステルの縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンを含む、使用面としての前面および裏面を含む機械織りの布地と、
難燃性ポリエステルのニードルフェルトと、
前記ニードルフェルトと前記機械織りの布地との間の中間層と、を含み、
前記機械織りの布地の前記裏面にポリエステル合成ラテックスコーティングが適用されており、ここで、前記合成ラテックスコーティングは、前記布地の前記裏面から、該布地の該裏面と前記前面との間の垂直距離の少なくとも30%に等しい深さまで該布地に入り込んでいることを特徴とする、カーペットタイルまたはカーペットストリップ。
【請求項2】
前記縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンのヤーン糸番手が、1100dtex~4400dtexであることを特徴とする、請求項1に記載のカーペットタイルまたはカーペットストリップ。
【請求項3】
布地1cmあたりの縦糸ヤーンの数が6~30本であり、かつ布地1cmあたりの横糸ヤーンの数が3~10本であることを特徴とする、請求項1または2に記載のカーペットタイルまたはカーペットストリップ。
【請求項4】
前記カーペットタイルまたはカーペットストリップの重量は、最大で2500g/m
2であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載のカーペットタイルまたはカーペットストリップ。
【請求項5】
前記機械織りの布地および前記ニードルフェルトは、前記中間層を利用して一緒に積層されることを特徴とする、請求項1~4のいずれか一項に記載のカーペットタイルまたはカーペットストリップ。
【請求項6】
前記中間層はポリエステル接着剤を含むことを特徴とする、請求項1~5のいずれか一項に記載のカーペットタイルまたはカーペットストリップ。
【請求項7】
前記縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンはフィラメントを含み、ここで、フィラメントの重量ナンバーが2DPF~35DPFであることを特徴とする、請求項1~6のいずれか一項に記載のカーペットタイルまたはカーペットストリップ。
【請求項8】
前記縦糸ヤーンは、少なくとも一連の伸長縦糸と一連の結合縦糸とを含み、ここで、前記結合縦糸および前記伸長縦糸は、前記布地の単位長さ当たりの長さが異なり、布地の単位長さ当たりの、該伸長縦糸の長さに対する該結合縦糸の長さの比は1.20より大きいことを特徴とする、請求項1~7のいずれか一項に記載のカーペットタイルまたはカーペットストリップ。
【請求項9】
前記カーペットタイルまたはカーペットストリップは、前記機械織りの布地と前記中間層との間にポリエステルメンブレンを含むことを特徴とする、請求項1~8のいずれか一項に記載のカーペットタイルまたはカーペットストリップ。
【請求項10】
契約市場、より具体的にはオフィスまたは商業ビル用のカーペットタイルまたはカーペットストリップを製造する方法であって、
難燃性ポリエステルの縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンを含む、使用面としての前面および裏面を含む布地を機械織りするステップと、
難燃性ポリエステルのニードルフェルトを製造するステップと、
中間層を利用して前記ニードルフェルトを前記布地に積層するステップと、
カーペットタイルまたはカーペットストリップに切断するステップと、を含み、
該方法は、積層するステップの前に、前記機械織りの布地の前記裏面に合成ラテックスコーティングを適用する追加のステップを含み、ここで、該合成ラテックスコーティングは、該布地の該裏面から、該布地の該裏面と該前面との間の垂直距離の少なくとも30%の深さまで該布地に入り込んでいることを特徴とする、カーペットタイルまたはカーペットストリップを製造する方法。
【請求項11】
前記積層するステップは、前記中間層において接着剤としてのポリエステルの使用を含むことを特徴とする、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記布地の前記機械織り中に、少なくとも1つの一連の伸長縦糸および一連の結合縦糸が縦糸ヤーンとして設けられ、ここで、前記伸長縦糸および前記結合縦糸に対するプレ‐ストレスが、該布地の単位長さ当たりの該結合縦糸および該伸長縦糸について異なる長さが得られるように調整され、ここで、該布地の単位長さ当たりの該伸長縦糸の長さに対する該結合縦糸の長さの比は、1.20より大きいことを特徴とする、請求項10または11に記載の方法。
【請求項13】
前記カーペットタイルまたはカーペットストリップに切断するステップは、該カーペットタイルまたは該カーペットストリップの端部で前記縦糸ヤーンおよび横糸ヤーン一部を少なくとも部分的に溶融することを含むことを特徴とする、請求項10~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
該方法は、積層するステップ間に、ポリエステルメンブレンを前記機械織りの布地の前記裏面に積層する追加のステップを含むことを特徴とする、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
請求項1~9のいずれか一項に記載のカーペットタイルまたはカーペットストリップの製造のための、請求項10~14のいずれか一項に記載の方法の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、契約市場、特にオフィスおよび商業ビル用のカーペットタイルまたはカーペットストリップに関する。
【0002】
第2の態様では、本発明は、契約市場、特にオフィスおよび商業ビル用のカーペットタイルまたはカーペットストリップの製造方法に関する。
【0003】
第3の態様では、本発明は、第1の態様に係るカーペットタイルまたはカーペットストリップを製造するための、第2の態様に係る方法の使用に関する。
【背景技術】
【0004】
カーペットは床の敷物としてよく知られており、オフィスおよび商業ビルの広いスペースで床の敷物としてよく利用される。通常、カーペットタイルまたはカーペットストリップが提供される。カーペットタイルは、あらかじめ長方形または正方形に切断され、現場にて並置させるように床に取り付けられる。場合によっては、カーペットストリップは、幅の広いカーペットロールを長手方向に切断することによって得られる。カーペットストリップは、現場で広げられ、床面に並置される。カーペットタイルまたはカーペットストリップは、現場に合わせて切断する必要が頻繁にある。これは、例えば、カーペットタイルまたはカーペットストリップをスペースの隅または端に設置する場合に必要となる。オフィスまたは商業ビルでは、設置中または設置後にカーペットタイルまたはカーペットストリップから、ある形状で切り抜くのは珍しいことではない。これは、例えば、オフィスまたは商業ビルの床領域において、追加のネットワークへのプラグまたはアクセスを設置するため、カーペットタイルまたはカーペットストリップにくぼみを要する場合に必要となり得る。
【0005】
オフィスまたは商業ビルのカーペットタイルおよびカーペットストリップには、重い負荷がかかっている。毎日多くの人が、カーペットタイルまたはカーペットストリップの上を歩行する。このため、契約市場用のカーペットタイルまたはカーペットストリップには高度な耐摩耗性が求められる。オフィスまたは商業ビルのレイアウトも頻繁に変更され得る。スペースは他の目的のために再利用され得る。ゆえに、カーペットタイルまたはカーペットストリップは、容易に設置、交換およびリサイクルできることが好ましい。
【0006】
オフィスまたは商業ビルのフレキシブルなアレンジのため、実際の床面よりも高い位置に上げ床が選択されることがしばしばある。実際の床面と上げ床との間のスペースには、すべてのユーティリティのためのスペースがある。この上げ床のために、該上げ床への負担をできるだけ緩和する目的で、軽量のカーペットタイルまたはカーペットストリップを使用することが推奨される。さらには、軽量のカーペットタイルまたはカーペットストリップは、設置者が持ち運びするのにより人間工学的である。
【0007】
オフィスまたは商業ビルでは、多くの場合、防火に関する厳しい要件があり、カーペットタイルまたはカーペットストリップは難燃性であることが要求される。カーペットタイルまたはカーペットストリップは、少なくともEN13501-12007火災基準に準拠した分類Cfl-s1の要件を満たしていなければならない。
【0008】
準拠しなければならない他の基準は、せん断強度の決定のためのEN15114基準、オフィスチェアの試験方法に関するEN985基準、繊維および積層床材の静電気傾向に関するISO6356基準、さまざまな水条件および熱条件の影響による寸法変化の決定に関するISO2551基準である。
【0009】
EP0176346は、カーペットタイルを記載している。カーペットタイルは、そこから立ち上がるパイルヤーンを備えた一次カーペットベースと、一次カーペットベースの下の発泡ベース層と、一次カーペットベースを発泡ベース層に付け合わせる熱可塑性材料とを備え、熱可塑性材料は、安定化材料の一体層を有し、発泡ベース層は、支持材料と、支持材料上に積層された高密度発泡体と、を含む。
【0010】
EP0176346はいくつかの欠点を有する。そのようなカーペットタイルの場合、一次カーペットベースは、パイルヤーンがPVCまたはホットメルト接着剤で結合されたタフテッドカーペットまたはボンデッドカーペットを含む。設置中にカスタムカットまたはカーペットタイルからある形状を切断する際、タフテッドカーペットおよびボンデッドカーペットの両方の切端でパイルヤーンを含む層が損傷する。パイルヤーンの中には端部で剥がれるものがあり、カーペットタイルは切端でほつれる。これにより、接合箇所が顕わになり、カーペットタイルの劣化を引き起こす。
【0011】
パイルヤーンを使用すれば、厚くて心地良い一次カーペットベースが得られる。その欠点としては、パイルヤーンは、例えばオフィスおよび商業ビルなどのようなカーペットに重い負荷がかかっている状況での使用にはそれほど適していないことである。パイルヤーンは、頻繁にカーペットの上を歩くことによって急速に摩耗し、例えばフォルダを運搬するのにカートを使用することが困難になる。
【0012】
発泡ベース層および熱可塑性材料を使用することで、EP0176346に準拠した重いカーペットタイルになってしまう。これら2つの層のみを一緒にすると、2900g/m2の重量のカーペットタイルとなり得る。これは上げ床にとって重い負荷である。安定化材料の一体層を備える支持材料および熱可塑性材料を含む発泡ベース層の使用により、様々な材料が用いられることとなり、カーペットタイルをリサイクルすることがより困難になる。これは、オフィスおよび商業ビルのカーペットタイルがしばしば交換されることを考慮すると、大きな欠点である。パイルヤーンのタフティングまたはボンディングをすることで、潜在的にパイルヤーンのリサイクルを複雑にするか、または部分的にリサイクル不可能にしてしまい得る。
【0013】
結局のところ、発泡ベース層は非常に可燃性であり、オフィスおよび商業ビルでの使用には適していない。
【0014】
本発明は少なくともこれらの不利益の解決策を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0015】
第1の態様において、本発明は請求項1に記載の発明品に関する。
【0016】
そのようなカーペットタイルまたはカーペットストリップの利点は、ポリエステル合成ラテックスコーティングが機械織りの布地の裏面に適用されることであり、合成ラテックスコーティングは、布地の裏面から、布地の裏面と布地の前面との間の垂直距離の少なくとも30%の深さまで布地中に入り込んで(penetrated into)いる。カーペットタイルまたはカーペットストリップが、設置中またはカーペットタイルもしくはカーペットストリップから形状の切断中にカスタムカットされる場合、少なくとも縦糸ヤーンは互いに結合されたままであるため、カーペットタイルまたはカーペットストリップの強度が維持され、カーペットタイルまたはカーペットストリップの切端でのほつれが少なくなる。この利点は、製造プロセス中にカーペットタイルまたはカーペットストリップを切断する際にも当てはまる。合成ラテックスコーティングは、裏面から布地の裏面と前面との間の垂直距離の少なくとも30%の深さまで布地に入り込んでいるため、横糸ヤーンの少なくとも一部も縦糸ヤーンに結合され、それによって、切断中に布地の横糸ヤーンがほつれるリスクが軽減される。別の利点は、カーペットタイルまたはカーペットストリップを縦糸ヤーンに対して横方向に切断する際、縦糸ヤーンの限定された部分が切端において合成ラテックスコーティングによって結合されないことである。この部分は任意に起立し(stand up)、目に見える切端を形成してもよい。合成ラテックスコーティングは、裏面から布地の裏面と前面との間の垂直距離の少なくとも30%の深さまで布地に入り込んでいるため、この部分は最小限であって、起立した縦糸ヤーンによって顕わにされた切端は一切無い。
【0017】
第2の利点は、布地自体がすでに非常に強く、寸法安定性に優れているため、オフィスまたは商業ビル内を、およびカートにて幾度も移動することで伴う負荷に対して、すぐにはほつれないことである。合成ラテックスコーティングのおかげで、縦糸ヤーンは、および結果として横糸ヤーンも、互いの自由な動きが制限され、耐摩耗性が向上する。合成ラテックスコーティングが布地に入り込むことによって、相互的におよび縦糸ヤーンに対する横糸ヤーンの動きの自由度を減少させる。
【0018】
布地はすでに合成ラテックスコーティングで補強されているため、布地を補強したり、布地およびニードルフェルトを積層したりするための重い中間層を用いる必要がない。より軽い中間層を使用して、布地およびニードルフェルトのみを積層することができる。これにより、カーペットタイルまたはカーペットストリップの表面積あたりの重量の低減につながる。接着剤は縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンと部分的に混合されてはいけないため、布地とニードルフェルトとの分離およびリサイクルがより容易になる。
【0019】
さらに、本発明は、布地およびニードルフェルトの両方に難燃性ポリエステルを使用する。したがって、カーペットタイルまたはカーペットストリップは可燃性に関するFAR25.853基準を満たす。
【0020】
カーペットタイルまたはカーペットストリップはまた、少なくともEN13501-12007火災基準に準拠したCfl-s1分類の要件も満たす。さらに、追加の利点は、ポリエステルのみを使用した後、布地、その合成ラテックスコーティング、およびニードルフェルトを同時にリサイクルできることである。合成ラテックスコーティングがポリエステル製でない場合、カーペットタイルまたはカーペットストリップをリサイクルするために、合成ラテックスコーティングを布地から分離する必要があるが、これは現実的には不可能である。
【0021】
発明品の好ましい実施形態は、請求項2から9に記載されている。
【0022】
特別な実施形態において、本発明は、請求項6に記載の発明品に関する。中間層では、ポリエステルは、布地およびニードルフェルトを積層するための接着剤としても使用される。これにより、リサイクル性がさらに向上する。もはや、布地とニードルフェルトとを分離する必要さえない。中間層は、布地およびニードルフェルトと一緒に処理およびリサイクルしてもよい。
【0023】
第2の態様において、本発明は請求項10に記載の方法に関する。布地およびニードルフェルトが積層される前に、機械織りの布地の裏面にポリエステル合成ラテックスコーティングを適用し、該合成ラテックスコーティングは、布地の裏面から布地の裏面と前面との間の垂直距離の少なくとも30%の深さまで布地に入り込んでいるため、前記方法は、とりわけ、カーペットタイルまたはカーペットストリップに切断するときに、カーペットタイルまたはカーペットストリップが切端でほつれにくいという利点を有する。さらに、十分に強く、かつ寸法安定性を有する布地が得られる。布地は、軽い中間層を用いてニードルフェルトに積層され得、布地およびニードルフェルトは後で容易に分離してリサイクルすることができる。
【0024】
該方法の好ましい実施形態は、従属請求項11から14までに記載されている。
【0025】
特別な実施形態において、本発明は請求項13に記載の発明品に関する。カーペットタイルまたはカーペットストリップに切断するとき、縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンの一部がカーペットタイルまたはカーペットストリップの端部で少なくとも部分的に互いに溶融する。これにより、切端がさらに強化され、切端のほつれがさらに低減される。
【0026】
第3の態様において、本発明は、第2の態様に係る方法を用いた、第1の態様に係るカーペットタイルまたはカーペットストリップの製造に関する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【発明を実施するための形態】
【0028】
特に明記しない限り、技術用語および科学用語を含む、本発明の説明で使用されるすべての用語は、本発明の技術分野の当業者によって一般的に理解される意味で使用される。本発明の説明をよりよく理解するために、以下の用語が明示的に説明される。
【0029】
本文書中の「A」、および「the」は、文脈で明確に別のことを暗示していない限り、単数形および複数形の両方を指す。「区分(segment)」とは、例えば、1つ以上の区分を意味する。
【0030】
「含む(comprise, comprising)」、「~構成される(compose of, composed of)」、「備える(provided with)」、「有する(have, having)」「含有する(contain, containing)」、という用語は同義語であり、以下の存在を示す包括的またはオープン形式の用語であり、先行技術から知られている、または先行技術に記載されている他の構成要素、特徴、要素、部材、ステップを除外または排除するものではない。
【0031】
終点による数値間隔の引用は、これらの終点を包含する、終点間のすべての整数、分数、および/または実数を含む。
【0032】
「熱可塑性(thermoplastic)」という用語は、特定の温度より高い温度で折り畳み、化石化(petri-)または液化することができ、かつ、冷却後に実質的に硬化するポリマー材料を指す。熱可塑性ポリマーの例として、これらに限定されないが、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルアルコール、および他のビニル樹脂およびビニリデン樹脂、ならびにそれらのコポリマーなどのビニル含有熱可塑性プラスチック;低密度ポリエチレンおよび高密度ポリエチレンならびにそれらのコポリマーなどのポリエチレン化合物;ABS、SAN、ポリスチレンおよびそのコポリマーなどのスチレン化合物;ポリプロピレンおよびそのコポリマー;飽和および不飽和ポリエステル;アクリル;ポリアミド;アセチル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂および硫化物樹脂などのエンジニアリングプラスチックを含む。
【0033】
「フロート(float)」という用語は、布地の表面に現れるヤーンのセクションを指す。フロートは、上部フロートおよび/または下部フロートであり得る。「上部フロート(upper float)」という用語は、布地の表面より上部に現れるヤーンのセクションを指す。上部フロートは、縦糸:横糸の結合密度(bonding density)が2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1またはそれ以上の接合パターンで形成される。これは、各横糸ヤーンは少なくとも2本、少なくとも3本などの縦糸ヤーンの上に浮いている(float)ことを意味する。あるいは、各縦糸ヤーンは少なくとも2本、少なくとも3本などの横糸ヤーンの上に浮いている。「下部フロート(lower float)」という用語は、布地の下部に現れるヤーンのセクションを指す。下部フロートは、縦糸:横糸の結合密度が1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9、1:10以下の接合パターンで形成される。これは、各横糸ヤーンは少なくとも2本、少なくとも3本などの縦糸ヤーンの下に浮いていることを意味する。あるいは、各縦糸ヤーンは少なくとも2本、少なくとも3本などの横糸ヤーンの下に浮いている。「結合(bonding)」という用語は、縦糸ヤーンと横糸ヤーンとを織り合わせて布地を形成することを指すのに用いられる。
【0034】
「横糸フロート」という用語は、横糸ヤーンによって形成されるフロートを指す。「縦糸フロート」という用語は、縦糸ヤーンによって形成されるフロートを指す。
【0035】
ヤーン糸番手は、ヤーンの厚さを表す。その測定値は、1本のヤーン部分の重量と長さとの比として示される。重量ナンバリング中に、固定されたヤーン長の重量が決定される。長さのナンバリング中に、固定されたヤーン長の長さが決定される。Texが、重量ナンバリングの一例であり、texは1000mのヤーンの重量をグラム単位で示す。Dtexがより頻繁に使用され、10,000mのヤーンのグラム単位の重量である。重量ナンバリングの別の例は、デニールであり、または略してdenであり、9000mのワイヤの重量をグラム単位で示す。フィラメントを含むヤーンの場合、フィラメントにもまたデニールナンバリングが用いられる。フィラメント当たりのデニール、すなわちDPFは、ヤーンのフィラメントの重量ナンバー(weight number)を指す。
【0036】
「ほつれ(fraying)」という用語は、本願明細書では、カーペットの側面のヤーンが、剥がれて、視覚的に明確に見えるようになる現象を表すために用いられる。カーペットの切断は、ほつれの高いリスクを招く。実際、切断中に、ヤーンおよび/またはヤーン間の結合が切断され、その結果、切断面のヤーンがより容易に剥がれ、視覚的に明確に見えるようになり得る。
【0037】
第1の態様において、本発明は契約市場、より具体的にはオフィスおよび商業ビル用のカーペットタイルまたはカーペットストリップに関する。
【0038】
一実施形態によれば、上記発明品は、難燃性ポリエステルの縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンを含む、使用面としての前面および裏面を含む機械織り布地と、難燃性ポリエステルのニードルフェルトと、該ニードルフェルトと機械織りの布地との間の中間層と、を備え、該機械織りの布地の裏面にポリエステル合成ラテックスコーティングが適用されている。合成ラテックスコーティングは、布地の裏面から布地の裏面と前面との間の垂直距離の少なくとも30%の深さまで布地に入り込んでいる。
【0039】
布地は、前面および裏面を含む。前面は、オフィスまたは商業ビルディングで人が歩いたり、カートが転がって進んだりする使用面である。設置後、カーペットタイルまたはカーペットストリップの目に見える部分である。
【0040】
布地は、布地またはニードルフェルトのようなベースを必要とせず、それによって、パイルヤーンに穴が開けられるという、タフテッドカーペットに優る利点を有する。布地にベースが存在しないことによって、タフテッドカーペットと比較して重量を低減させることができる。さらに、タフテッドカーペットは長いパイルであることが多く、カートで転がり進むのを困難にする。さらには、長いパイルのカーペットはより早く摩耗する。
【0041】
布地は、滑らかな布地であることが好ましい。滑らかな布地はパイルの無い布地である。パイル布地は、カートを使用するときに長いパイルのタフテッドカーペットと同じ欠点を有する。パイル布地は、繰り返すがより早く摩耗することになる。パイル布地の第2の欠点は、パイルを形成するために使用されるパイルヤーンのほかに、縦糸ヤーンもまた、パイルを結合するための追加のヤーンを含むということである。その結果、滑らかな布地と比較して布地が重くなる。
【0042】
布地は、難燃性ポリエステルの縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンを含む。難燃性ポリエステルは、少なくとも90%のポリエステルと少なくとも1%の難燃性成分とを含む。ポリエステルは非常に強く、硬質であり、変形に対する優れた耐性があり、クリープがほとんどない。したがって、高負荷での使用に適している。ヤーンはカビおよび細菌によって損傷されない。このことは、例えば、オフィスまたは商業ビル内で、コーヒーまたは他の飲料をこぼす可能性があり、それによってカビおよび細菌の発生に繋がり得るため、有利である。ポリエステルは液体をほぼ吸収しない。酸、酸化手段および希釈アルカリ洗剤に対しては十分に耐性がある。ポリエステルは蒸気による滅菌が可能である。これらの特徴のおかげで、その布地は効率的かつ迅速に洗浄するのに適している。これは、洗浄業者の稼働時間が限られるために、オフィスまたは商業ビルにとって有利である。
【0043】
難燃性ポリエステルは優れた耐熱性を有する。それは引火しにくく、火炎を消滅させ、煙の発生を制限する。これらの特徴のおかげで、少なくともEN13501-1 2007火災基準に準拠した分類Cfl-s1の要件を満たすことができる。
【0044】
難燃性ポリエステルは優れた耐熱性を有する。それは引火しにくく、火炎を消滅させ、煙の発生を制限する。これらの特徴のおかげで、可燃性に関してFAR25.853基準を満たすことが可能となる。
【0045】
カーペットタイルまたはカーペットストリップは、難燃性ポリエステルのニードルフェルトを含む。ニードルフェルトは、少なくとも90%のポリエステルファイバーと少なくとも1%の難燃性成分のファイバーとを含む。したがって、ニードルフェルトは、少なくともEN13501-1 2007火災基準に準拠した分類Cfl-s1の要件を満たす。
【0046】
カーペットタイルまたはカーペットストリップは、難燃性ポリエステルのニードルフェルトを含む。したがって、ニードルフェルトは可燃性に関するFAR25.853基準を満たす。
【0047】
ニードルフェルトは不織布である。ニードルフェルトの厚さは、1mm~8mm、好ましくは1mm~6mm、より好ましくは1mm~5mm、さらにより好ましくは1mm~4mmである。
【0048】
ニードルフェルトは、中間層を利用して布地の裏面に取り付けられる。ニードルフェルトは、布地を機械的に補強するのに適している。カーペットタイルまたはカーペットストリップの切端に剛性を与え、カーペットタイルまたはカーペットストリップに高い寸法安定性を与え、カーペットタイルまたはカーペットストリップ上を歩く快適性を高め、並びに吸音および歩行時の接触騒音を低減することによってオフィスまたは商業ビルの音響を改善するのに適している。
【0049】
ニードルフェルトは不織布であるため、そのカーペットタイルまたはカーペットストリップは、オフィスまたは商業ビルでの迅速な設置および交換に適している。カーペットタイルまたはカーペットストリップは、ベルクロストリップを使用して上げ床または床面に取り付けることができる。ベルクロストリップは、床面または上げ床に接着される。ベルクロストリップのホック部が、ニードルフェルトの糸に嵌まり、カーペットタイルまたはカーペットストリップは固定されている。カーペットタイルまたはカーペットストリップは、ベルクロストリップからカーペットタイルまたはカーペットストリップを引っ張り取ることで簡単に取り外すことができる。ベルクロストリップは再利用可能で、上げ床または床面に接着したままの状態である。本発明に係る新しいカーペットタイルまたはカーペットストリップは、該新しいカーペットタイルまたはカーペットストリップを既存のベルクロストリップに押し付けることによって容易に設置することができ、該新しいカーペットタイルまたはカーペットストリップは固定される。本発明に係るカーペットタイルまたはカーペットストリップはまた、接着剤、両面接着剤によって設置することもできるし、または上げ床もしくは床面から容易に引き剥がすこともできることは当業者には明らかである。
【0050】
ベルクロストリップは、好ましくは耐火性の器具から作製され、可燃性に関するFAR25.853(a)(1)(ii)基準を満たす。適切な材料の非限定的な例として、ポリアミドPA6がある。その重量は、好ましくは0.60kg/m2未満、より好ましくは0.55kg/m2未満、さらにより好ましくは0.55kg/m2未満、さらにより好ましくは0.45kg/m2未満である。ベルクロストリップは、ストリップの一方の面にはヤーンを取り付けるように構成されたホック部と、反対側の面には接着剤と、を備えている。接着剤の接着強度は、少なくとも10.0N/cm、好ましくは少なくとも12.0N/cm、さらにより好ましくは少なくとも13.0N/cmである。ベルクロストリップのホック部からカーペットタイルを引き剥がすのに必要な力は、少なくとも0.60N/cm、好ましくは少なくとも0.70N/cm、さらにより好ましくは少なくとも0.80N/cmである。ベルクロストリップのせん断力は、少なくとも20N/cm2、好ましくは少なくとも25N/cm2、さらにより好ましくは少なくとも29N/cm2である。ループ張力は、少なくとも5N/cm2、好ましくは少なくとも7N/cm2、さらにより好ましくは少なくとも8N/cm2である。適切なベルクロストリップの非限定的な例として、Velcro社のHTH577がある。
【0051】
布地の重量は最大で800g/m2である。合成ラテックスコーティングの重量は最大で350g/m2である。ニードルフェルトの重量は、最大で1000g/m2である。中間層の重量は、最大で350g/m2である。したがって、カーペットタイルまたはカーペットストリップの総重量は、最大で2500g/m2である。標準のカーペットタイルまたはカーペットストリップの重量は、最大で3000g/m2、またはそれ以上となり得る。これにより、本発明に係るカーペットタイルまたはカーペットストリップは、オフィスまたは商業ビル、特に上げ床での使用に適したものとなる。該カーペットタイルまたはカーペットストリップはまた、設置者が持ち運びするのにより人間工学的である。
【0052】
機械織りの布地の裏面に、ポリエステル合成ラテックスコーティングが適用される。合成ラテックスコーティングは、布地の裏面から、布地の裏面と前面との間の垂直距離の少なくとも30%の深さまで布地に入り込んでいる。垂直距離とは、使用面に対して垂直に測定された距離を意味する。
【0053】
合成ラテックスコーティングは、好ましくは、布地の裏面と前面との間の垂直距離の少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも55%、および最も好ましくは少なくとも60%の深さまで布地に入り込んでいる。布地の裏面と前面との間の垂直距離の少なくとも30%の深さは、横糸ヤーンの少なくとも一部を縦糸ヤーンに接合するのに有利であり、また縦糸ヤーンに強力な結合ももたらす。
【0054】
合成ラテックスコーティングは、布地の裏面と前面との間の垂直距離の最大80%、より好ましくは最大75%、さらにより好ましくは最大70%、および最も好ましくは最大65%の深さまで布地に入り込んでいる。したがって、合成ラテックスコーティングは布地の前面には見えないままの状態である。
【0055】
カーペットタイルもしくはカーペットストリップが、設置中、またはカーペットタイルもしくはカーペットストリップからの形状の切断中にカスタムカットされる場合、少なくとも縦糸ヤーンは互いに結合されたままであるため、カーペットタイルもしくはカーペットストリップの強度が保持され、カーペットタイルもしくはカーペットストリップの切端でのほつれが少なくなる。この利点は、製造プロセス中にカーペットタイルまたはカーペットストリップに切断する際にも当てはまる。合成ラテックスコーティングは、布地の裏面から、布地の裏面と前面との間の垂直距離の少なくとも30%の深さまで布地に入り込んでいるため、横糸ヤーンの少なくとも一部も縦糸ヤーンに結合されており、切断中に布地の横糸ヤーンがほつれる危険性が低減される。さらなる利点は、カーペットタイルまたはカーペットストリップを縦糸ヤーンに対して横方向に切断する際、縦糸ヤーンの限られた部分が切端において合成ラテックスコーティングによって結合されないことである。この部分は任意に起立し、目に見える切端を形成してもよい。合成ラテックスコーティングは、裏面から布地の裏面と前面との間の垂直距離の少なくとも30%の深さまで布地に入り込んでいるため、この部分は最小限であって、起立した縦糸ヤーンによって顕わにされた切端は一切無い。
【0056】
合成ラテックスコーティングは布地の裏面に適用されているため、縦糸ヤーンは、および結果として横糸ヤーンも、互いの自由な動きが制限される。このような状況下では、ヤーン間の相互摩擦が少なくなり、したがって摩耗も少なくなる。これにより、布地およびカーペットタイルまたはカーペットストリップが補強される。合成ラテックスコーティングが布地に入り込むことによって、相互的におよび縦糸ヤーンに対する横糸ヤーンの動きの自由度を減少させる。
【0057】
布地はすでに合成ラテックスコーティングで補強されているため、布地を補強したり、布地およびニードルフェルトを積層したりするための重い中間層を用いる必要がない。より軽い中間層を使用して、布地およびニードルフェルトのみを積層することができる。これにより、カーペットタイルまたはカーペットストリップの表面積あたりの重量の低減につながる。接着剤は縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンと部分的に混合されてはいけないため、布地とニードルフェルトとの分離およびリサイクルがより容易になる。
【0058】
一実施形態によれば、合成ラテックスコーティングの重量は、最大で350g/m2、好ましくは最大で325g/m2、より好ましくは最大で300g/m2、さらにより好ましくは最大で275g/m2、およびさらにより好ましくは最大で250g/m2である。
【0059】
合成ラテックスコーティングの重量は、カーペットタイルまたはカーペットストリップの重量を制限するために可能な限り軽いことが好ましい。さらには、縦糸ヤーンと横糸ヤーンとを相互に結合するために、十分な合成ラテックスコーティングを適用しなければならない。そのときは、合成ラテックスコーティングの重量は最大で350g/m2で十分である。
【0060】
一実施形態によれば、布地は滑らかな結合を有する。滑らかな結合では、各横糸ヤーンは縦糸ヤーンの上下に交互に延在し、各縦糸ヤーンは横糸ヤーンの上下に交互に延在する。これが最も簡単かつ考えうる強力な結合である。オフィスまたは商業ビルを通行する人からの、およびカートからの布地に対する日常的な重い負荷によって、縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンが引き剥がされ、寸法安定性が低減し得る。これを回避するには強い結合が有利である。さらに、強い結合によって、オフィスまたは商業ビルの通行人の負荷、およびカートの負荷の影響下において、縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンが互いに動きにくくなることが保証され、そのため、ヤーン間の摩擦が少なくなり、結果として摩耗が少なくなる。これは、例えば通行人の靴およびカートの車輪との摩擦によるヤーンの摩耗に影響しない。
【0061】
別の実施形態によれば、布地内の接合は横糸のレップである。各横糸ヤーンは、2本の並置された縦糸ヤーンの上下に交互に延在し、各縦糸ヤーンは、横糸ヤーンの上下に交互に延在する。これにより滑らかな結合時とは異なる視覚効果が得られる。横糸ヤーンは、横糸のレップ中に、2本の並置された縦糸ヤーンの上または下にのみ延在するため、常に強い結合となる。
【0062】
布地は、上部および下部の両方のフロートの数が限られていることが好ましい。フロートは、さまざまな色のヤーンと組み合わせて使用して、布地にパターン、エンブレムまたはシンボルを織り込むことができる。フロートを使用することの欠点は、滑らかな接合にたわみが生じ、その結果、布地の接合を局所的に弱めてしまうことである。フロートは、好ましくは5:1以下かつ1:5以上の結合密度、より好ましくは3:1以下かつ1:3以上の結合密度、さらにより好ましくは2:1以下かつ1:2以上の結合密度を有する。
【0063】
一実施形態によれば、布地はジャカード布地である。ジャカード布地は、織機のフレームの使用では織ることができない複雑なパターンおよび/またはエンブレムを含む。フレームを用いて織るということは、同じフレームを通過したすべての縦糸ヤーンが、布地の各横糸ヤーンの位置で、該横糸ヤーンの一方の側かまたは他方の側か、のいずれか一方に配置されていることを意味する。ジャカード布地は、ジャカード織機を使用して織られる。ジャカードとは、個々の縦糸ヤーンが、他の縦糸ヤーンの位置と独立して、横糸ヤーンの両側の位置に配置されていることを意味する。
【0064】
一実施形態によれば、縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンの一部は、カーペットタイルまたはカーペットストリップの端部で互いに少なくとも部分的に溶融している。この目的のために、縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンは熱可塑性のヤーンである。これにより、切端がさらに強化され、切端でのほつれがさらに減少する。カーペットタイルまたはカーペットストリップの端部をステッチもしくは追加の接着剤の層、または端部へのカバーによって補強する必要がないため、結果として重量が低減される。
【0065】
縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンは、好ましくは縦糸ヤーンと横糸ヤーンとの間の交差部分の少なくとも10%、より好ましくは該交差部分の少なくとも20%、さらにより好ましくは該交差部分の少なくとも30%、また、さらにより好ましくは該交差部分の少なくとも50%が互いに溶融している。
【0066】
一実施形態によれば、縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンのヤーン糸番手は、1100dtex~4400dtexである。
【0067】
ヤーン糸番手が大きいほど、より重くてより厚いヤーンであることを意味する。高い寸法安定性を備えた重くて強度のある布地には、高いヤーン糸番手が示される。軽くて柔らかい布地には、低いヤーン糸番手が示される。カーペットタイルまたはカーペットストリップは、好ましくは、軽くて強く、オフィスまたは商業ビルにおいて通行人による日常的な負荷の下でその形状を維持する。カーペットタイルまたはカーペットストリップに対しては、1100dtex~4400dtex、好ましくは1500dtx~3700dtex、さらにより好ましくは1800dtex~3300dtexのヤーン糸番手が示される。したがって、カーペットタイルまたはカーペットストリップは十分に軽くて強度がある。
【0068】
一実施形態によれば、横糸ヤーンおよび縦糸ヤーンはフィラメントを含む。フィラメントの重量ナンバーは、2DPF~35DPFである。
【0069】
好ましくは、フィラメントの重量ナンバーは、少なくとも5DPF、より好ましくは少なくとも10DPF、さらにより好ましくは少なくとも15DPF、また、いっそうより好ましくは少なくとも20DPFである。
【0070】
好ましくは、フィラメントの重量ナンバーは、最大で34DPF、より好ましくは最大で33DPF、さらにより好ましくは最大で32DPF、また、いっそうより好ましくは最大で31DPFである。
【0071】
高い重量ナンバーを有するフィラメントは、縦糸ヤーンまたは横糸ヤーンの含むフィラメントが少なくなるため有利である。縦糸ヤーンまたは横糸ヤーンに含まれるフィラメントの数が多いほど、縦糸ヤーンまたは横糸ヤーンが切端でほつれたり解けたりする危険性が高くなり、切端はより鮮明に見えるようになってしまう。
【0072】
一実施形態によれば、横糸ヤーンおよび縦糸ヤーンはいわゆるフィラメントヤーンであり、該ヤーンは連続フィラメントを含む。
【0073】
別の実施形態によれば、横糸ヤーンおよび縦糸ヤーンはいわゆるフィラメントヤーンであり、該ヤーンは連続フィラメントを含み、ここで、ヤーンのテクスチャーはエアジェットを用いて改変され、小さなループが形成される。これにより、さらなる断熱性および抵抗性が付与される。
【0074】
一実施形態によれば、布地1cmあたりの縦糸ヤーンの数は6~30本であり、布地1cmあたりの横糸ヤーンの数は3~10本である。
【0075】
布地1cmあたりの縦糸ヤーンの数はまた、布地の密度も決定する。密度のより高い布地はより強度が増し、寸法安定性もより高くなるが、より重くもなる。布地1cmあたりの縦糸ヤーンの数が少ない場合、布地は軽くて柔らかくなるが、強度が低下し、寸法安定性が低下する。布地1cmあたりの縦糸ヤーンの数は6~30本、好ましくは13~25本、さらにより好ましくは15~20本である。そうすると、カーペットタイルまたはカーペットストリップは十分に軽くて強度がある。
【0076】
布地1cmあたりの横糸ヤーンの数もまた、布地の密度を決定する。密度のより高い布地はより強く、寸法安定性がより高くなるが、より重くもなる。布地1cmあたりの横糸ヤーンの数が少ない場合、布地は軽くて柔らかくなるが、強度が低下し、寸法安定性が低下する。布地1cmあたりの横糸ヤーンの数は3~10本、好ましくは3~8本、さらにより好ましくは3~7本である。そうすると、カーペットタイルまたはカーペットストリップは十分に軽くて強度がある。
【0077】
一実施形態によれば、カーペットタイルまたはカーペットストリップの単位面積あたりの重量は、最大2500g/m2である。
【0078】
カーペットタイルおよびカーペットストリップの重量は、布地、合成ラテックスコーティング、中間層およびニードルフェルトの重量によって決まる。カーペットタイルまたはカーペットストリップの重量は、布地、合成ラテックスコーティング、中間層およびニードルフェルトを慎重に選択することで最適化できる。より重い布地はそれ自体すでに強度があり、良好な寸法安定性のためにより薄いニードルフェルトが必要である。機械織りの布地の裏面に合成ラテックスコーティングを適用しているため、中間層は最小限である。中間層は、布地とニードルフェルトとの間の結合部分である。布地が軽いほど、寸法安定性を高めるためにわずかに厚いニードルフェルトが必要である。中間層は常に最小限にすることができる。とりわけ、ヤーン糸番手、布地1cmあたりの縦糸ヤーンの数および布地1cmあたりの横糸ヤーンの数によって決定される布地の厚みを適切に選択することにより、合成ラテックスコーティングの重量を適切に選択し、適切なニードルフェルトを適切に選択することにより、カーペットタイルまたはカーペットストリップの重量は、最大で2500g/m2、好ましくは最大で2400g/m2、さらにより好ましくは最大で2300g/m2、また、一層より好ましくは2250g/m2となる。
【0079】
一実施形態によれば、機械織りの布地およびニードルフェルトは、中間層を利用して一緒に積層される。
【0080】
機械織りの布地およびニードルフェルトは、一緒に結合される。ニードルフェルトは布地に結合されているため、寸法安定性を提供し、布地を補強する。布地およびニードルフェルトは、中間層を利用して一緒に積層される。
【0081】
一実施形態によれば、中間層はポリエステル接着剤を含む。
【0082】
ポリエステルを接着剤として用いることにより、カーペットタイルまたはカーペットストリップは簡単にリサイクルできる。布地、合成ラテックスコーティング、ニードルフェルト、および中間層の接着剤はポリエステルを含むため、カーペットタイルまたはカーペットストリップ全体をまとめてリサイクルできる。布地、合成ラテックスコーティング、およびニードルフェルトを分離する必要はない。ポリエステル接着剤は、例えば、ポリエステルホットメルト自己接着性フィルム、ポリエステルホットメルトパウダーまたは他の適切な代替物である。
【0083】
一実施形態によれば、カーペットタイルまたはカーペットストリップは、機械織りの布地と中間層との間にポリエステルメンブレンを含む。
【0084】
メンブレンもまた不織布である。メンブレンは、少なくとも90%のポリエステルファイバーと少なくとも1%の難燃性成分のファイバーとを含む。メンブレンは非常に薄い。メンブレンの厚さは、最大で0.5mm、好ましくは最大で0.3mm、さらにより好ましくは最大で0.2mm、また、さらにより好ましくは最大で0.1mmである。メンブレンの重量は、最大で150g/m2、好ましくは最大で100g/m2、さらにより好ましくは最大で50g/m2、また、さらにより好ましくは最大で40g/m2である。
【0085】
ポリエステルのメンブレンは、カーペットタイルまたはカーペットストリップの完全なリサイクルを保証する。
【0086】
カーペットタイルの寸法が限られているため、機械織りの布地の寸法安定性はカーペットの寸法安定性よりもさらに制限され得る。そのため、カーペットタイルは設置後に細くなり、カーペットタイル間の継ぎ目が顕わになる可能性がある。これは、ベルトの長手方向に対して横方向にあるカーペットストリップの場合にも当てはまる。設置後カーペットストリップが細くなると、カーペットストリップ間の通路がより顕わになる。機械織りの布地と中間層との間のメンブレンは、カーペットタイルまたはカーペットストリップの使用面に平行な全方向におけるカーペットタイルまたはカーペットストリップの寸法安定性を高めるのに適している。
【0087】
一実施形態によれば、縦糸ヤーンは、少なくとも1つの一連の伸長縦糸(tension warps)と、1つの一連の結合縦糸(bonding warps)とを含む。伸長縦糸および結合縦糸は、布地の単位長さ当たりの長さが異なる。布地の長さの単位は、縦糸ヤーンの方向である。布地の単位長さ当たりの、伸長縦糸の長さに対する結合縦糸の長さの比は、1.20より大きく、好ましくは1.35より大きく、さらにより好ましくは1.50より大きい。結合縦糸は横糸ヤーンを結束する。伸長縦糸は結合縦糸に比べて大きく、合成ラテックスコーティングが布地の裏面から布地の深さの少なくとも50%まで確実に入り込んでいる構造を提供する。したがって、カーペットタイルまたはカーペットストリップを縦糸ヤーンについて横方向に切断する際、縦糸ヤーンの一部は切端に非常に限定され、より具体的には合成ラテックスコーティングによって結束されない結合縦糸となる。この部分は任意に起立し、目に見える切端を形成し得る。結合縦糸および伸長縦糸の使用に従って、これは最小限であり、まっすぐになった縦糸ヤーンによっては目に見える切端は形成されない。
【0088】
第2の態様において、本発明は、契約市場、特にオフィスおよび商業ビル用のカーペットタイルまたはカーペットストリップの製造方法に関する。
【0089】
一実施形態によれば、該方法は、難燃性ポリエステルの縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンを含む、使用面としての前面および裏面を含む布地を機械織りするステップと、難燃性ポリエステルのニードルフェルトを製造するステップと、中間層を用いてニードルフェルトを前記布地に積層するステップと、カーペットタイルまたはカーペットストリップに切断するステップと、を含む方法であって、ここで、該方法は、積層するステップの前に、機械織りの布地の裏面に合成ラテックスコーティングを適用する追加のステップを含み、ここで、該合成ラテックスコーティングは、布地の裏面から布地の裏面と前面との間の垂直距離の少なくとも30%の深さまで布地に入り込んでいる、方法である。
【0090】
織機を使用した布地の機械織りは先行技術から知られている。
【0091】
フィラメントからニードルフェルトを形成することは、先行技術で知られている。これは、連続法および不連続法の2つの方法で実行され得る。連続法の場合、フィラメントは粒子(grain)からの押し出しによる連鎖型プロセスで直接形成され、ニードルフェルトが形成され、該フィラメントは該ニードルフェルト内に結合される。不連続法の場合、フィラメントヤーンが、コイルからニードルフェルトマシンに繰り出される。ここでは、フィラメントヤーンが解かれ(opened)、所望の形状のニードルフェルトに変換され、次いで結合される。好ましくは、ニードルフェルト内のフィラメントを結合するために、機械的方法が使用される。一例として、返しのある針を使用してニードルフェルトをニードリングすることが挙げられる。ニードリングによってフィラメントは混合されるが、床面または上げ床に取り付ける際に、ベルクロストリップを使用してベルクロストリップのホック部に引っ掛かる可能性のある剥がされたフィラメントの端部またはループが多数あることもある。ニードルフェルトの化学的補強は、ニードルフェルトのリサイクルに影響を与え得るため、あまり好ましくない。ニードルフェルトの熱補強により、ベルクロストリップのホック部に引っ掛かる可能性のある、剥がされたループまたはフィラメントの端部の数を低減させることができる。
【0092】
ニードルフェルトを布地に積層される。
【0093】
積層ステップの前に、機械織りの布地の裏面にポリエステルの合成ラテックスコーティングが適用される。合成ラテックスコーティングは、好ましくは、リックローラーおよびスクレーパーを用いて適用される。好ましくは、合成ラテックスコーティングを適用した後、布地は2つの旋回可能なローラーの間で押し出される。2つの旋回可能なローラー間の距離は、好ましくは調整可能である。2つの旋回可能なローラーは、ローラー間の距離に応じて、布地および合成ラテックス コーティングに多少なりとも圧力をかける。布地および合成ラテックスコーティングにかかる圧力により、合成ラテックスコーティングは布地の裏面から布地に入り込んでいる。合成ラテックスコーティングは、布地の裏面から布地の裏面と前面との間の垂直距離の少なくとも30%の深さまで布地に入り込んでいる。
【0094】
合成ラテックスコーティングは、布地の裏面と前面との間の垂直距離の、好ましくは少なくとも40%、より好ましくは少なくとも50%、さらにより好ましくは少なくとも55%、また、最も好ましくは少なくとも60%の深さまで布地に入り込んでいる。布地の裏面と前面との間の垂直距離の少なくとも30%の深さは、横糸ヤーンの少なくとも一部を縦糸ヤーンに結合させるのに有利であり、また、縦糸ヤーンに強固な結合を付与する。
【0095】
合成ラテックスコーティングは、布地の裏面と前面との間の垂直距離の最大で80%、より好ましくは最大で75%、さらにより好ましくは最大で70%、また、最も好ましくは最大で65%の深さまで布地に入り込んでいる。このようにして、合成ラテックスコーティングは布地の前面には見えない状態となる。
【0096】
この方法は、カーペットタイルまたはカーペットストリップに切断する際に、カーペットタイルまたはカーペットストリップが切端よりもほつれにくいため、有利である。さらに、かなり強固かつ寸法安定性のある布地が得られる。布地はニードルフェルトを備えた軽い中間層で積層してもよく、布地およびニードルフェルトは簡単に分離してリサイクルすることができる。
【0097】
一実施形態によれば、積層は、中間層における接着剤としてのポリエステルの使用を含む。これは、カーペットタイルまたはカーペットストリップのリサイクルを容易にするのに有利である。
【0098】
一実施形態によれば、積層中にポリエステルホットメルト自己接着性フィルムが使用される。裏面に合成ラテックスコーティングが適用された布地は第1ローラーから、ポリエステルホットメルト自己接着性フィルムは第3ローラーから、およびニードルフェルトは第3ローラーから広げられる。布地、自己接着性フィルムおよびニードルフェルトが組み立てられ、ここで自己接着性フィルムは布地およびニードルフェルトの裏面に接触する。全体が加熱されることにより、ポリエステルホットメルト自己接着性フィルムは粘性を帯び、2本のローラー間で強く押し付けられる。冷却後、布地およびニードルフェルトは自己接着性フィルムによって組み立てられる。自己接着性フィルムは中間層を形成する。
【0099】
一実施形態において、積層中にポリエステルホットメルトパウダーが使用される。裏面に合成ラテックスコーティングが適用された布地は、第1ローラーから広げられ、ニードルフェルトは第2ローラーから広げられる。ポリエステルホットメルトパウダーは、適切なディスペンサーを使用して、布地の裏面またはニードルフェルトの表面、布地の裏面およびニードルフェルトの表面のいずれかを通して分配される。布地およびニードルフェルトは組み立てられ、ここで、布地の裏面はニードルフェルトの方向に配向され、ポリエステルホットメルトパウダーは布地とニードルフェルトとの間に位置する。全体が加熱され、ホットメルトパウダーは粘性を帯び、2つのローラーの間で強く押し付けられる。冷却後、ポリエステルホットメルトパウダーを使用して布地およびニードルフェルトは組み立てられる。ポリエステルホットメルトパウダーは中間層を形成する。
【0100】
一実施形態によれば、カーペットタイルまたはカーペットストリップに切断することは、カーペットタイルまたはカーペットストリップの端部における縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンの一部を少なくとも部分的に溶融することを含む。この目的のために、縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンは熱可塑性ヤーンである。
【0101】
カーペットタイルまたはカーペットストリップに切断するためのいくつかの解決策が知られている。切断は、自動化されているかどうかにかかわらず従来のはさみを用いて、好ましくは円形またはその他の適切な形状を有する回転切断刃を用いて、もしくは超音波切断機を用いてなされ、またはフィラメントもしくは加熱されたナイフを用いて行うことができ、ここで、フィラメントまたは加熱されたナイフは、溶融またはレーザーによってカーペットタイルまたはカーペットストリップを切断する。
【0102】
フィラメントもしくは加熱されたナイフ、またはレーザーのため、縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンの一部は、カーペットタイルまたはカーペットストリップの端部で少なくとも部分的に互いに溶融する。これにより、切端がさらに強化され、切端のほつれをさらに低減させる。カーペットタイルまたはカーペットストリップの端部をステッチもしくは追加の接着剤の層、または端部へのカバーによって補強する必要がないため、重量が低減される。
【0103】
あるいは、例えば従来のはさみ、回転切断刃、または超音波切断機を用いてカーペットタイルまたはカーペットストリップに切断した後、縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンの一部は、フィラメント、加熱されたナイフ、レーザー、またはその他の適切なデバイスを使用して、カーペットタイルまたはカーペットストリップの端部で少なくとも部分的に互いに溶融する。結果として、加熱したフィラメントもしくはナイフ、またはレーザーを使用してカーペットタイルまたはカーペットストリップに切断する場合と同じ端部の増強効果が達成される。
【0104】
一実施形態によれば、該方法は、積層する間での、ポリエステルメンブレンを機械織りの布地の裏面に積層する追加のステップを含む。
【0105】
機械織りの布地の裏面へのメンブレンの積層は、布の裏面に合成ラテックスコーティングを適用した後に行われる。布地の裏面へのメンブレンの積層により、カーペットタイルまたはカーペットストリップの寸法安定性が、カーペットタイルまたはカーペットストリップの使用面に平行な全方向において増加する。
【0106】
別の実施形態によれば、メンブレンの積層は、接着剤としてのポリエステルの使用を含む。これにより、カーペットタイルまたはカーペットストリップが完全にリサイクル可能であることが保証される。
【0107】
一実施形態によれば、布地の機械織り中に、少なくとも1つの一連の伸長縦糸および一連の結合縦糸が縦糸ヤーンとして設けられ、ここで、伸長縦糸および結合縦糸に対するプレ‐ストレスは、結合縦糸および伸長縦糸について、布地の単位長さ当たり異なる長さが得られるように調整される。布地の長さの単位は、縦糸ヤーンの方向にある。布地の単位長さ当たりの伸長縦糸の長さに対する結合縦糸の長さの比は、1.20より大きく、好ましくは1.35より大きく、また、さらにより好ましくは1.50より大きい。この実施形態は、上述のカーペットタイルまたはカーペットストリップの実施形態のように、真っ直ぐにされた縦糸ヤーンによって形成される目に見える切端を避けるのに有利である。
【0108】
第3の態様において、本発明は、第2の態様に係る方法を使用した、第1の態様に係るカーペットタイルまたはカーペットストリップの製造に関する。
【0109】
本発明に係るカーペットタイルまたはカーペットストリップが、オフィスおよび商業ビルだけでなく、病院、学校、さらには住宅などの他の建物にも使用できることは、当業者には明らかであろう。
【0110】
ここから、非限定的な実施例または図を参照して、本発明をより詳細に説明する。
【0111】
[図面の説明]
図1は、本発明の一実施形態の断面図を示す。
【0112】
ポリエステルカーペットタイルまたはカーペットストリップは、中間層2によって滑らかな布地6に積層されたニードルフェルト1を含む。中間層2は、ポリエステル系接着剤を含む。滑らかな布地6は、縦糸ヤーン3の第1グループおよび縦糸ヤーン4の第2グループを含む。縦糸ヤーン3および4は、布地の長手方向に交互に並置されている。滑らかな布地6は横糸ヤーン5を含む。横糸ヤーン5は、縦糸ヤーン3および4の方向に対して横方向に配置されている。第1の横糸ヤーン5は、縦糸ヤーン3の下かつ縦糸ヤーン4の上に配置されている。次いで、横糸ヤーン5は、縦糸ヤーン3の上かつ縦糸ヤーン4の下に配置されている。このようにして布地が形成される。結果として得られる結合は、平坦な結合である。2本の縦糸ヤーン3のグループおよび2本の縦糸ヤーン4のグループが、布地の長手方向に交互に並置される場合、同様の方法で横糸のレップを得ることができる。滑らかな布地6の裏面には合成ラテックスコーティング7が適用されている。合成ラテックスコーティング7は、滑らかな布地6の裏面から滑らかな布地6の裏面と前面との間の垂直距離の少なくとも50%の深さまで滑らかな布地6に入り込んでいる。これにより、少なくとも縦糸ヤーン3および4は滑らかな布地6の裏面に結合される。
【0113】
【0114】
図2のポリエステルカーペットタイルまたはカーペットストリップは、
図1のカーペットタイルまたはカーペットストリップと同様である。縦糸ヤーン3および4は、結合縦糸3および伸長縦糸4を含む。
【0115】
結合縦糸3と伸長縦糸4とは、滑らかな布地6の単位長さ当たりの長さが異なる。布地6の単位長さ当たりの結合縦糸3の長さと伸長縦糸4の長さとの比は、1.20より大きい。これにより、合成ラテックスコーティング7は、滑らかな布地6の裏面から布地中に入り込み、滑らかな布地6の深さの少なくとも50%まで入り込んでいることが保証される構造が得られる。
【0116】
【0117】
ポリエステルカーペットタイルは、中間層2によって滑らかな布地6に積層されたニードルフェルト1を含む。滑らかな布地6は、縦糸ヤーン3の第1グループおよび縦糸ヤーン4の第2グループを含む。縦糸ヤーン3および4は、布地の長手方向に交互に並置されている。滑らかな布地6は、横糸ヤーン5を含む。横糸ヤーン5は、縦糸ヤーン3および4の方向に対して横方向に配置されている。第1の横糸ヤーン5は、縦糸ヤーン3の下かつ縦糸ヤーン4の上に配置されている。横糸ヤーン5は、縦糸ヤーン3によって完全に隠され、かつ縦糸ヤーン4は、縦糸ヤーン3および横糸ヤーン5によって完全に隠される。次いで、横糸ヤーン5は、縦糸ヤーン3の上かつ縦糸ヤーン4の下に配置される。横糸ヤーン5は、縦糸ヤーン4によって完全に隠され、かつ縦糸ヤーン3は、縦糸ヤーン4および横糸ヤーン5によって完全に隠される。このようにして布地は形成される。得られた結合は、平坦な結合である。
【0118】
特定の場所では、滑らかな結合は局所的にたわんでいた。上部フロート9は、縦糸:横糸の結合密度が2:1の結合パターンによって形成されている。横糸ヤーン5は、2本の縦糸ヤーン4の上に浮いている。上部フロート8は、縦糸:横糸の結合密度が3:1の結合パターンによって形成されている。横糸ヤーン5は、3本の縦糸ヤーン4の上に浮いている。
【0119】
滑らかな布地6の裏面には合成ラテックスコーティング7が適用されている。合成ラテックスコーティング7は、滑らかな布地6の裏面から、滑らかな布地6の裏面と前面との間の垂直距離の少なくとも30%の深さまで滑らかな布地6に入り込んでいる。これにより、少なくとも縦糸ヤーン3および4が滑らかな布地6の裏面に結合される。
【0120】
この例がカーペットストリップにも当てはまることは当業者には明らかである。
【実施例】
【0121】
本発明を以下の実施例を用いて説明するが、それに限定されるものではない。
【0122】
本実施例は、本発明に係る、契約市場、より具体的にはオフィスおよび商業ビル用のポリエステル製のカーペットタイルまたはカーペットストリップの実施形態に関する。カーペットタイルまたはカーペットストリップは、滑らかな布地、中間層およびニードルフェルトを含む。
【0123】
滑らかな布地およびニードルフェルトは両方とも、難燃性ポリエステルを含む。中間層はポリエステル接着剤を含む。滑らかな布地の裏面にはポリエステル合成ラテックスコーティングが適用されている。したがって、カーペットタイルまたはカーペットストリップは、オフィスまたは商業ビルにおいて新しいカーペットタイルまたはカーペットストリップと交換しただけで、100%のリサイクルが可能である。
【0124】
ニードルフェルトは不織布である。オフィスまたは商業ビルの上げ床または床面には、HTH577タイプのベルクロストリップが接着される。ニードルフェルトにある多くの剥がされたフィラメント端部またはループが、ベルクロストリップのホック部に引っ掛かる。したがって、カーペットタイルまたはカーペットストリップはすばやく設置できるだけでなく、床面または上げ床に交換することもできる。カーペットタイルまたはカーペットストリップは、ベルクロストリップから容易に引き剥がされなければならず、また、新しいカーペットベルトまたはカーペットストリップは、ベルクロテープに接着されなければならない。床面または上げ床には、除去しなければならない接着剤の残留が一切ない。ニードルフェルトにも接着剤が残留しないため、リサイクルが容易である。本発明に係るカーペットタイルまたはカーペットストリップはまた、接着剤、両面接着剤によって床面もしくは上げ床に設置することも、または床面もしくは上げ床から容易に引き剥がすこともできることは当業者には明らかである。
【0125】
布地は、2200dtexのヤーン糸番手を有する熱可塑性の縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンを含む。該ヤーンは、ISO2062に従った試験から、30%の平均破断伸び、および3g/denの最小引張強度を有する。該ヤーンの平均煮沸水収縮率は、ISO12590基準に従うと、平均で1.5%まで上昇する。布地1cmあたり17本の縦糸ヤーンおよび布地1cmあたり5本の横糸ヤーンがある。これにより、軽量でありながら強度のある布地が実現する。布地の重量は570g/m2に制限される。
【0126】
合成ラテックスコーティングの重量は250g/m2である。
【0127】
滑らかな布地の裏面には、ポリエステル合成ラテックスコーティングが適用され、ここで、合成ラテックスコーティングは、布地の裏面から布地の裏面と前面との間の垂直距離の55%に等しい深さまで布地に入り込んでいる。これにより、滑らかな布地が補強され、寸法安定性が向上する。カーペットタイルまたはカーペットストリップに切断する際、端部はほつれないか、またはほとんどほつれない。また、カスタムカット中、または設置時にカーペットタイルまたはカーペットストリップから形状を切断中にも、カーペットタイルまたはカーペットストリップはほつれないか、またはほつれが少なくなる。切端は見えないか、またはほぼ見えない。
【0128】
縦糸ヤーンおよび横糸ヤーンが互いに対してあまり動かなくなることで、縦糸ヤーンおよび横糸ヤーン間の摩擦が少なくなり、したがって、オフィスまたは商業ビル内を移動する人々からの、またはカートからの日常的なストレスによる摩耗も少なくなる。合成ラテックスコーティングを布地の裏面に適用するに伴い、布地はより強力になり、また寸法安定性が向上するため、より軽量な中間層を使用することができる。したがって、接着剤を含む中間層はより軽い。中間層の重量は300g/m2に制限される。
【0129】
カーペットタイルまたはカーペットストリップは、レーザーを用いてカーペットから切断される。次いで、横糸ヤーンの一部と縦糸ヤーンの一部とが、少なくとも部分的に溶融される。これにより、切端がさらに強化され、切端のほつれがさらに低減する。カーペットタイルまたはカーペットストリップの端部をステッチもしくは追加の接着剤の層、または端部のカバーによって補強する必要がないため、重量が低減される。
【0130】
ニードルフェルトは、カーペットタイルまたはカーペットストリップに対して必要な寸法安定性を与えるのに適している。ニードルフェルトは、オフィスビルまたは商業ビルを移動する人々の歩行快適性を高めたり、遮音材としての役割を果たしたりするのに適している。合成ラテックスコーティングを布地の裏面に適用することで布地がより強力になるため、布地はすでに一定の寸法安定性を有する。したがって、カーペットタイルまたはカーペットストリップには、より薄いニードルフェルトを使用することが可能である。ニードルフェルトの最大重量は125g/m2である。そうすると、カーペットタイルまたはカーペットストリップの単位面積あたりの総重量は、1245g/m2になる。
【0131】
カーペットタイルまたはカーペットストリップは、可燃性についてFAR25.853基準、特にFAR25.853(A)-App.F Part I para(a)(1)(ii)航空機材料の可燃性の測定に従って試験した。試験は、「連邦試験方法基準191、方法5903.2」に従って、気流から遮蔽されたキャビネット内で実施した。75mm×305mmのカーペットタイルまたはカーペットストリップの3つのサンプルを、少なくとも843℃の温度のブンゼンバーナー炎に60秒間さらした。サンプルを、ブンゼンバーナーの先端から20mm上に長手方向に垂直に吊るした。ブンゼンバーナーの炎の高さは、ブンゼンバーナーの先端から40mmである。次いで、カーペットタイルまたはカーペットストリップを、80mm未満の長さおよび幅で平均して最大2秒間燃焼した。カーペットタイルまたはカーペットストリップの焼けた部分が脱落することはなかった。したがって、カーペットタイルまたはカーペットストリップは基準を満たしており、この基準では、炎から取り除いた後、該カーペットタイルまたはカーペットストリップは最大15秒間燃焼し続け、該カーペットタイルまたはカーペットストリップが最大長152mmにわたって燃焼し、かつ、該カーペットタイルまたはカーペットストリップの落下部分が最大で5秒間燃焼することが要求される。
【0132】
カーペットタイルまたはカーペットストリップは、少なくともEN13501-1 2007火災基準に準拠した分類Cfl-s1の要件を満たす。
【0133】
カーペットタイルまたはカーペットストリップを、Vetterman試験およびLisson試験に供した。Vetterman試験は、実験室条件下での摩耗をシミュレートする。Lisson試験は、カーペットタイルまたはカーペットベルトが所定の回数だけ四足ホイールの往復運動(double passes)を受けた後の、質量損失およびファイバーまたはヤーンの結合を決定する。どちらの試験でも、カーペットタイルまたはカーペットベルトは最高評価33を獲得した。これは、頻繁に使用する用途に適していることを意味する。カーペットタイルまたはカーペットストリップはまた、せん断強度の決定のためのEN15114基準、オフィスチェアの試験方法に関するEN985基準、繊維および積層床材に静電気傾向に関するISO6356基準、並びにさまざまな水条件および熱条件の影響による寸法変化の決定に関するISO2551基準に従って試験に供し、準拠している。これらすべての基準に準拠することで、カーペットタイルまたはカーペットストリップは、オフィスまたは商業ビルを移動する人々による、およびカートによる日常的な負荷に適していることが保証される。
【国際調査報告】