(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ペルおよびポリフルオロアルキル物質(PFAS)の捕捉および脱フッ素化のための収着剤および方法
(51)【国際特許分類】
C02F 1/28 20230101AFI20240403BHJP
B01J 20/22 20060101ALI20240403BHJP
B01D 53/14 20060101ALI20240403BHJP
B01D 53/68 20060101ALI20240403BHJP
B01D 53/92 20060101ALI20240403BHJP
B01D 53/96 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
C02F1/28 L
B01J20/22 C
B01J20/22 A
B01D53/14 100
B01D53/68 200
B01D53/92 352
B01D53/96
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562601
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 US2022024385
(87)【国際公開番号】W WO2022221256
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523220754
【氏名又は名称】クラロス テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アッバス、アブデヌール
(72)【発明者】
【氏名】ブロックグレイテンズ、ジョン ウィルフリッド
(72)【発明者】
【氏名】シァ、ジージー
(72)【発明者】
【氏名】レスリー、エヴァン
【テーマコード(参考)】
4D002
4D020
4D624
4G066
【Fターム(参考)】
4D002AA22
4D002AC07
4D002BA03
4D002CA07
4D002DA31
4D002DA70
4D002EA07
4D002HA03
4D020AA08
4D020BA16
4D020BA18
4D020BA19
4D020BB01
4D020BC10
4D020CA02
4D020CA05
4D020CB08
4D624AA04
4D624AA05
4D624AB04
4D624BA16
4D624BB03
4D624BB07
4D624BC01
4D624CA04
4D624DA07
4D624DB28
4G066AA18D
4G066AA22D
4G066AA23D
4G066AA26D
4G066AA27D
4G066AB06B
4G066AB06D
4G066AB07D
4G066AB13B
4G066AB15B
4G066AC24C
4G066BA03
4G066BA20
4G066BA36
4G066BA38
4G066CA32
4G066DA02
4G066DA07
4G066DA08
4G066GA11
(57)【要約】
PFASなどの汚染物質の捕捉、脱着および/または破壊のための方法、システムおよび装置。システムは、ポリウレタンのようなフォームなどの多孔質ポリマー材料を含み、ナノ粒子および/または活性な化学基を含み得る。多孔質ポリマーは、活性化されて捕捉を改善し得る。捕捉された汚染物質は、溶媒および機械的方法を使用して脱着され得、次いで、汚染物質は、エネルギーの適用によって、例えば、音響エネルギー、超音波、および/またはUVもしくは可視光などの光によって、濃縮および破壊され得る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
多孔質ポリマー材料、および
前記多孔質ポリマー材料の外面および前記多孔質ポリマー材料内に結合した少なくとも1種の活性な化学基
を含む、収着剤システム。
【請求項2】
前記多孔質ポリマー材料がフォームを含む、請求項1に記載の収着剤システム。
【請求項3】
前記フォームがポリウレタンを含む、請求項2に記載の収着剤システム。
【請求項4】
前記多孔質ポリマー材料が繊維状ポリマーシートを含む、請求項1に記載の収着剤システム。
【請求項5】
前記繊維状ポリマーシートがポリアミドを含む、請求項4に記載の収着剤システム。
【請求項6】
前記少なくとも1種の活性な化学基が、アミン、チオール、およびアルコールのうちの少なくとも1種を含む、請求項1に記載の収着剤システム。
【請求項7】
前記活性な化学基が疎水性である、請求項1に記載の収着剤システム。
【請求項8】
多孔質ポリマー材料、
前記多孔質ポリマー材料の外面および前記多孔質ポリマー材料内に結合したナノ粒子、および
前記ナノ粒子に結合した少なくとも1種の活性な化学基
を含む、収着剤システム。
【請求項9】
前記ナノ粒子が、1種または複数の金属または金属酸化物を含む、請求項8に記載の収着剤システム。
【請求項10】
複数の前記ナノ粒子の各々が、1nm~500nmの間の直径を有する、請求項8に記載の収着剤システム。
【請求項11】
前記ナノ粒子が、チタン、鉄、マンガン、亜鉛、ケイ素またはそれらの酸化物もしくは水酸化物のうちの1種または複数を含む、請求項8に記載の収着剤システム。
【請求項12】
前記少なくとも1種の活性な化学基が、1種または複数のアミン、チオール、またはアルコールを含む、請求項8に記載の収着剤システム。
【請求項13】
前記活性な化学基が疎水性である、請求項8に記載の収着剤システム。
【請求項14】
前記多孔質ポリマー材料がフォームを含む、請求項8に記載の収着剤システム。
【請求項15】
前記フォームがポリウレタンを含む、請求項14に記載の収着剤システム。
【請求項16】
前記ポリマー多孔質ポリマー材料がポリアミドを含む、請求項8に記載の収着剤システム。
【請求項17】
結合した難分解性有機化合物を収着剤から脱着する方法であって、
収着剤をベッセルに添加することであって、前記収着剤が、前記収着剤に結合した1種または複数の難分解性有機化合物を伴う多孔質ポリマーを含む、収着剤をベッセルに添加すること、
有機溶媒および有機塩基を含む溶媒溶液を前記ベッセルに添加すること、および
前記ベッセル中の前記収着剤に前記溶媒溶液を通して、前記結合した難分解性有機化合物を前記収着剤から前記溶媒溶液中に放出させること
を含む、方法。
【請求項18】
前記難分解性有機化合物が、ペルフルオロアルキル物質またはポリフルオロアルキル物質を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記有機溶媒が、有機酸または有機アルコールを含む、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記有機溶媒が、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールを含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記収着剤がフォームを含む、請求項17に記載の方法。
【請求項22】
前記フォームがポリウレタンを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ベッセル中の前記収着剤に前記溶媒を通すことが、前記溶媒溶液中で前記ポリウレタンフォームを機械的に圧縮することおよび放出することを含む、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ベッセルが、長鎖の有機分子でコーティングされた内面を備える、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
前記長鎖の有機分子が、長鎖の脂肪族または分枝鎖の有機酸またはアルコールを含む、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
捕捉された難分解性有機化合物を破壊する方法であって、
結合した難分解性有機化合物を有する収着剤に溶媒溶液を通して、前記難分解性有機化合物を前記溶媒溶液中に放出させること、
前記放出された難分解性有機化合物を濃縮すること、および
前記放出された難分解性有機化合物にエネルギーを適用して前記難分解性有機化合物を破壊すること
を含む、方法。
【請求項27】
前記エネルギーが音響キャビテーションを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記音響キャビテーションのエネルギーが、約200kHz~約1000kHzの周波数を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記音響キャビテーションのエネルギーが、約850kHzの周波数を有する、請求項27に記載の方法。
【請求項30】
前記難分解性有機化合物が、ペルフルオロアルキル物質またはポリフルオロアルキル物質を含む、請求項26に記載の方法。
【請求項31】
前記難分解性有機化合物を破壊することが、前記難分解性有機化合物を脱フッ素化することを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記エネルギーが局所的に適用されるエネルギーを含む、請求項31に記載の方法。
【請求項33】
前記局所的に適用されるエネルギーが、超音波エネルギー、UVエネルギー、電気エネルギー、または超臨界条件下でのエネルギーを含む、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
前記放出された難分解性有機化合物を濃縮することが、前記溶媒溶液を蒸発させることを含む、請求項26に記載の方法。
【請求項35】
前記溶媒溶液を蒸発させることが、前記溶媒溶液を加熱することおよび前記溶媒溶液を真空下で蒸発させることのうちの少なくとも1つを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
破壊エネルギーを適用する前に、前記濃縮された難分解性有機化合物を水中に懸濁することをさらに含む、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
液体中に存在する難分解性有機化合物を捕捉する方法であって、
難分解性有機化合物を含有する汚れた液体を収着剤に通すことであって、前記収着剤が、多孔質ポリマーの表面および前記多孔質ポリマー内に結合した活性な化学基を有する前記多孔質ポリマーを含む、通すこと
を含む、方法。
【請求項38】
前記多孔質ポリマーがポリウレタンフォームを含む、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記汚れた液体を前記収着剤に通す前に、前記ポリウレタンフォームを溶媒に曝して、前記収着剤の結合容量を増加させることをさらに含む、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記溶媒がメタノールおよび水酸化アンモニウムを含む、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
多孔質ポリマー材料を活性化する方法であって、
有機汚染物質を捕捉する前に、第1の極性プロトン性溶媒を多孔質ポリマー材料に通して不純物を除去し、既存の官能基を遊離させることによって、前記多孔質ポリマー材料を浄化および活性化すること、
前記浄化し活性化された多孔質ポリマーを用いて少なくとも1種の有機汚染物質を捕捉すること、
第2の極性プロトン性溶媒を前記多孔質ポリマーに通して、前記少なくとも1種の捕捉された有機汚染物質を前記多孔質ポリマーから前記第2の極性プロトン性溶媒に放出させること、
前記放出された少なくとも1種の捕捉された有機汚染物質を含有する前記極性プロトン性溶媒を蒸発させて、前記少なくとも1種の有機汚染物質を濃縮すること、および
前記濃縮された少なくとも1種の捕捉された有機汚染物質を破壊すること
を含み、
前記第1および第2の極性プロトン性溶媒は、同じ溶媒であってもよく、または異なる溶媒であってもよい、方法。
【請求項42】
前記多孔質ポリマー材料がフォームを含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記多孔質ポリマー材料がポリウレタンを含む、請求項42に記載の方法。
【請求項44】
前記濃縮された少なくとも1種の捕捉された有機汚染物質を破壊することが、前記少なくとも1種の捕捉された有機汚染物質に音響キャビテーションのエネルギーを適用することを含む、請求項43に記載の方法。
【請求項45】
捕捉された汚染物質を破壊するための装置であって、
内部空間を囲む内面を備えるベッセル壁であって、前記内面が長鎖の有機分子でコーティングされている、ベッセル壁、
試薬供給源と流体連通する第1の入口、
溶媒中の脱着した汚染物質の供給源と流体連通する第2の入口、および
出口
を備えるベッセルと、
エネルギーを前記内部空間に導くように構成されたエネルギー源であって、前記エネルギーが、約200kHz~約1000kHzの周波数の超音波エネルギー、約100nm~約400nmのUVエネルギー、および/または約400~約700nmの可視光のうちの1種または複数を含む、エネルギー源と
を備える、装置。
【請求項46】
捕捉された汚染物質を破壊するためのシステムであって、
脱着ベッセルを含む第1のベッセルであって、前記脱着ベッセルが、
内部空間を画定するベッセル壁と、捕捉された汚染物質を含む収着剤および溶媒を受け入れるように構成された1つまたは複数の入口と、出口と、
前記収着剤を通る前記溶媒の流れを引き起こして、前記収着剤から前記溶媒への前記汚染物質の施設脱着のための1つまたは複数の機械的要素と
を備える、第1のベッセルと、
濃縮ベッセルを含む第2のベッセルであって、
内部空間を画定するベッセル壁と、入口と、出口と、
前記内部空間中の前記溶媒を濃縮または蒸発させるための装置と
を備える、第2のベッセルと、
破壊ベッセルを含む第3のベッセルであって、前記破壊ベッセルが、
内部空間を画定するベッセル壁と、入口と、出口と、
破壊エネルギーを前記内部空間に導くように構成されたエネルギー源と
を備える、第3のベッセルと
を備え、
前記捕捉された汚染物質が前記脱着ベッセル中の前記収着剤から放出された後、それが前記第1のベッセルの前記出口から前記第2のベッセルの前記入口に流れて前記第2のベッセルに入り、次いで前記第2のベッセルの前記出口から前記第3のベッセルの前記入口に流れて前記第3のベッセルに入るように、前記第1、第2および第3のベッセルが流体連通している、システム。
【請求項47】
多孔質ポリマー材料、および
前記多孔質ポリマー材料の外面および前記多孔質ポリマー材料内に結合した複数のナノ粒子
を含む、収着剤システム。
【請求項48】
前記複数のナノ粒子が、1nm~500nmの間の直径を有する、請求項47に記載の収着剤システム。
【請求項49】
前記ナノ粒子が、チタン、鉄、マンガン、亜鉛、ケイ素またはそれらの酸化物および水酸化物を含む、請求項47に記載の収着剤システム。
【請求項50】
前記ナノ粒子に結合した少なくとも1種の活性な化学基をさらに含む、請求項47に記載の収着剤システム。
【請求項51】
前記複数のナノ粒子が、1nm~500nmの間の直径を有する、請求項50に記載の収着剤システム。
【請求項52】
前記ナノ粒子が、チタン、鉄、マンガン、亜鉛、ケイ素またはそれらの酸化物および水酸化物を含む、請求項50に記載の収着剤システム。
【請求項53】
前記少なくとも1種の活性な化学基が、アミン、チオール、およびアルコールのうちの少なくとも1種を含む、請求項50に記載の収着剤システム。
【請求項54】
前記活性な化学基が疎水性である、請求項50に記載の収着剤システム。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
環境汚染は、工業プロセス、化石燃料、廃棄物処分、プラスチック、ならびに他のプロセスおよび材料によって引き起こされる可能性がある。多くの汚染物質は、人々に重大な害を引き起こす可能性があるが、一旦環境中に遊離すると、それらを除去することは極めて困難である。我々は生存するために清浄な飲料水に依存し、かつ非常に低いレベルのコンタミネーションでさえ被害を与える可能性があるため、水路の汚染は特に懸念される。人々は、環境への汚染物質の放出を防止する必要性をますます認識している。しかしながら、環境は過去に放出された汚染物質によって既に汚されており、かつ有害な汚染物質は放出され続けているか、または環境中に漏出し続けている。したがって、環境から汚染物質を効果的かつ効率的に除去し、それらが除去された後に汚染物質を管理することが大いに必要とされている。
【0002】
懸念される化学汚染物質の1つのクラスは、ペルフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質(PFAS)である。PFASは、アルキル鎖の水素原子のすべて(ペル-)または一部(ポリ-)がフッ素によって置き換えられている合成有機フッ素化合物の広いカテゴリーである。これらのC-F基は、PFASが顕著な化学的安定性および疎水性の特性を有することを可能にし、防水コーティング、消火フォームおよび化学製造における商業的使用においてそれらを理想的なものにする。フッ素化されたアルキル鎖は、一般に、親水性末端基を伴って生成されて、水溶性および商業的用途の強化を可能にする。しかしながら、これらの化合物は、水環境および海洋環境において高度に移動性および生物蓄積性であることが示されている。これらの化合物はとても難分解性であるため、これらは北極圏野生生物およびヒト組織で見出されている。PFASの潜在的な毒性の影響は依然として研究されているが、これらの化学物質の普及は、公衆衛生および環境保護機関からの懸念を引き起こしている。水源におけるPFASに対する規制圧力が高まっているため、多くの産業および公益企業は、それらの処理施設を更新しようとしている。これらの施設の高コストな維持およびアップグレード、現在のプロセスの不安定な性能、ならびにそれらの有害廃棄物の処分コストのために、産業界は現在、設備投資および運用コストを削減しながらPFASを効率的に除去することができる新しい技術を求めている。
【0003】
PFASなどの汚染物質を捕捉するための様々な方法が公知である。しかしながら、そのような方法は非選択的であり得、低い負荷容量を有し得、再放出または浸出のリスクがあり得る。さらに、捕捉された汚染物質は、環境の再コンタミナーションを回避するために尚も管理されなければならず、有毒または有害な廃棄物のように処理される必要があり得る。例えば、それらは、密封された地下貯蔵庫などの処分施設にしっかりと収容され、輸送され、保管され得る。捕捉された汚染物質を収着剤から除去することができる場合であっても、このプロセスの結果は、放出された汚染物質の濃縮された廃棄物、典型的には液体であり、その後さらに管理されなければならない。例えば、廃棄物中の汚染物質は、分解プロセスで処理され得る。しかしながら、この分解の生成物自体が環境に有害である可能性がある。別の処分方法は、汚染物質が結合した収着剤材料を工業炉などで燃焼して、コンタミナントおよび収着剤材料を破壊する焼却を含む。しかしながら、焼却は、望ましくない物質を空気中に放出し得る。したがって、これらの処分方法にはそれぞれ問題がある。
【0004】
汚染物質を捕捉し、汚染物質捕捉の最終産物を管理するための改善された方法が必要である。
【発明の概要】
【0005】
様々な実施形態は、多孔質ポリマー材料の外面および多孔質ポリマー材料内に結合した多孔質ポリマー材料の少なくとも1種の活性な化学基を含む収着剤システムを含む。いくつかの実施形態では、多孔質ポリマー材料は、ポリウレタンなどのフォームである。いくつかの実施形態では、多孔質ポリマーは、ポリアミドなどの繊維状ポリマーシートである。いくつかの実施形態では、収着剤はまた、アミン、チオール、およびアルコールのうちの少なくとも1種などの少なくとも1種の活性な化学基を含む。活性な化学基は疎水性であり得る。
【0006】
他の実施形態は、多孔質ポリマー材料と、多孔質ポリマー材料の外面および多孔質ポリマー材料内に結合したナノ粒子と、ナノ粒子に結合した少なくとも1種の活性な化学基とを含む収着剤システムを含む。ナノ粒子は、例えば、1種または複数の金属または金属酸化物を含み得る。いくつかの実施形態では、複数のナノ粒子の各々は、1nm~500nmの間の直径を有する。ナノ粒子は、チタン、鉄、マンガン、亜鉛、ケイ素またはそれらの酸化物もしくは水酸化物のうちの1種または複数を含み得る。少なくとも1種の活性な化学基は、1種または複数のアミン、チオール、またはアルコールであり得る。活性な化学基は疎水性であり得る。いくつかの実施形態では、多孔質ポリマー材料は、ポリウレタンなどのフォームである。いくつかの実施形態では、多孔質ポリマーはポリアミドである。
【0007】
他の実施形態は、結合した難分解性有機化合物を収着剤から脱着する方法を含む。いくつかの実施形態では、そのような方法は、収着剤をベッセルに添加することであって、収着剤が、収着剤に結合した1種または複数の難分解性有機化合物を伴う多孔質ポリマーを含む、収着剤をベッセルに添加することと、有機溶媒および有機塩基を含む溶媒溶液をベッセルに添加することと、ベッセル中の収着剤に溶媒溶液を通して、結合した難分解性有機化合物を収着剤から溶媒溶液中に放出させることとを含む。そのような実施形態では、難分解性有機化合物は、例えば、ペルフルオロアルキル物質またはポリフルオロアルキル物質であり得る。有機溶媒は、有機酸または有機アルコールであってもよい。いくつかの実施形態では、有機溶媒は、メタノール、エタノール、およびイソプロパノールであり得る。収着剤は、ポリウレタンなどのフォームであり得る。ベッセル中の収着剤に溶媒を通すステップは、溶媒溶液中でポリウレタンフォームを機械的に圧縮および放出することを含み得る。ベッセルは、いくつかの実施形態では、長鎖の脂肪族または分枝鎖の有機酸またはアルコールなどの長鎖の有機分子でコーティングされた内面を備える。
【0008】
他の実施形態は、捕捉された難分解性有機化合物を破壊する方法を含む。いくつかの実施形態では、そのような方法は、結合した難分解性有機化合物を有する収着剤に溶媒溶液を通して、難分解性有機化合物を溶媒溶液中に放出させること、放出された難分解性有機化合物を濃縮すること、および放出された難分解性有機化合物にエネルギーを適用して難分解性有機化合物を破壊することを含む。エネルギーとしては、例えば約200kHz~約1000kHz、例えば約850kHzの周波数を有し得る音響キャビテーションが挙げられ得る。難分解性有機化合物は、ペルフルオロアルキル物質またはポリフルオロアルキル物質であり得る。これらのような難分解性有機化合物を破壊することは、難分解性有機化合物を脱フッ素化することを含み得る。エネルギーは、局所的に適用されるエネルギーであり得る。様々な実施形態における局所的に適用されるエネルギーの例としては、UVエネルギー、電気エネルギー、または超臨界条件下でのエネルギーが挙げられる。放出された難分解性有機化合物を濃縮するステップは、溶媒溶液を蒸発させることを含み得る。例えば、溶媒溶液を蒸発させることは、溶媒溶液を加熱することおよび溶媒溶液を真空下で蒸発させることのうちの少なくとも1つを含み得る。方法はまた、破壊エネルギーを適用する前に、濃縮された難分解性有機化合物を水中に懸濁すること含み得る。
【0009】
他の実施形態は、液体中に存在する難分解性有機化合物を捕捉する方法を含む。方法は、難分解性有機化合物を含有する汚れた液体を収着剤に通すことを含み、収着剤は、多孔質ポリマーの表面および多孔質ポリマー内に結合した活性な化学基を有する多孔質ポリマーを含む。多孔質ポリマーは、ポリウレタンフォームであり得る、いくつかの実施形態では、方法はまた、汚れた液体を収着剤に通す前に、ポリウレタンフォームを溶媒に曝して、収着剤の結合容量を増加させることを含む。溶媒は、例えば、メタノールおよび水酸化アンモニウムであり得る。
【0010】
さらに他の実施形態は、多孔質ポリマー材料を活性化する方法であって、有機汚染物質を捕捉する前に、第1の極性プロトン性溶媒を多孔質ポリマー材料に通して不純物を除去し、既存の官能基を遊離させることによって、多孔質ポリマー材料を浄化および活性化することと、浄化し活性化された多孔質ポリマーを用いて少なくとも1種の有機汚染物質を捕捉することと、第2の極性プロトン性溶媒を多孔質ポリマーに通して、少なくとも1種の捕捉された有機汚染物質を多孔質ポリマーから第2の極性プロトン性溶媒に放出させることと、放出された少なくとも1種の捕捉された有機汚染物質を含有する極性プロトン性溶媒を蒸発させて、少なくとも1種の有機汚染物質を濃縮することと、濃縮された少なくとも1種の捕捉された有機汚染物質を破壊することとを含む、方法を含む。そのような実施形態では、第1および第2の極性プロトン性溶媒は、同じ溶媒であってもよく、または異なる溶媒であってもよい。多孔質ポリマー材料は、ポリウレタンなどのフォームであり得る。濃縮された少なくとも1種の捕捉された有機汚染物質を破壊するステップは、少なくとも1種の捕捉された有機汚染物質に音響キャビテーションのエネルギーを適用することを含み得る。
【0011】
他の実施形態は、捕捉された汚染物質を破壊するための装置を含む。いくつかのそのような実施形態では、装置は、長鎖の有機分子でコーティングされた、内部空間を囲む内面を備えるベッセル壁と、試薬供給源と流体連通する第1の入口と、溶媒中の脱着した汚染物質の供給源と流体連通する第2の入口と、出口とを備えるベッセル、およびエネルギーを内部空間に導くように構成されたエネルギー源を備え、エネルギーは、約200kHz~約1000kHzの周波数の超音波エネルギー、約100nm~約400nmのUVエネルギー、および/または約400~約700nmの可視光のうちの1種または複数を含む。
【0012】
他の実施形態は、捕捉された汚染物質を破壊するためのシステムを含む。いくつかのそのような実施形態では、システムは、内部空間を画定するベッセル壁と、捕捉された汚染物質を含む収着剤および溶媒を受け入れるように構成された1つまたは複数の入口と、出口と、収着剤を通る溶媒の流れを引き起こして、収着剤から溶媒への汚染物質の施設脱着のための1つまたは複数の機械的要素とを備える脱着ベッセルを含む第1のベッセルと、内部空間を画定するベッセル壁と、入口と、出口と、内部空間中の溶媒を濃縮または蒸発させるための装置とを備える濃縮ベッセルを含む第2のベッセルと、内部空間を画定するベッセル壁と、入口と、出口と、破壊エネルギーを内部空間に導くように構成されたエネルギー源とを備える破壊ベッセルを含む第3のベッセルとを備える。そのような実施形態では、第1、第2および第3のベッセルは、捕捉された汚染物質が脱着ベッセル中の収着剤から放出された後、第1のベッセルの出口から第2のベッセルの入口に流れて第2のベッセルに入り、次いで第2のベッセルの出口から第3のベッセルの入口に流れて第3のベッセルに入るように流体連通され得る。
【0013】
いくつかの実施形態では、収着剤システムは、多孔質ポリマー材料と、多孔質ポリマー材料の外面および多孔質ポリマー材料内に結合した複数のナノ粒子とを含む。複数のナノ粒子は、1nm~500nmの間の直径を有し得る。ナノ粒子は、チタン、鉄、マンガン、亜鉛、ケイ素またはそれらの酸化物および水酸化物を含み得る。いくつかのそのような実施形態では、収着剤システムは、ナノ粒子に結合した少なくとも1種の活性な化学基をさらに含む。少なくとも1種の活性な化学基は、アミン、チオール、およびアルコールのうちの少なくとも1種を含み得る。いくつかの実施形態では、活性な化学基は疎水性である。
【0014】
本明細書は、本開示の様々な実施形態を形成すると見なされる主題を特に指摘し、明確に請求する特許請求の範囲を用いて締めくくるが、本開示は、添付の図と併せて以下の説明からよりよく理解され得ると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】様々な実施形態によるPFASの捕捉および破壊の方法である。
【0016】
【
図2】様々な実施形態によるコンタミナント、脱着および破壊の方法である。
【0017】
【
図3】様々な実施形態によるコンタミナント、脱着および破壊のためのシステムの概略図である。
【0018】
【
図4】様々な実施形態によるコンタミナント、脱着および破壊のための代替システムの概略図である。
【0019】
【
図5】様々な実施形態によるコンタミナント、脱着および破壊のための別の代替システムの概略図である。
【0020】
【
図6】様々な実施形態によるコンタミナント、脱着および破壊のための別の代替システムの概略図である。
【0021】
【
図7】溶媒抽出ベッセルおよびロータリーエバポレータから構成されるコンタミナント、脱着および濃縮システムの実施例である。
【0022】
【
図8】PFOAを用いた処理の前後のポリウレタン支持体材料のフーリエ変換赤外分析結果である。
【0023】
【0024】
【
図10】ポリウレタンフォームの接触角の測定の写真である。
【0025】
【
図11a】活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットに対するPFOAおよびPFOSの負荷容量のグラフである。
【0026】
【
図11b】他の収着剤技術と比較した、活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットの負荷容量のグラフである。
【0027】
【
図11c】PFOAおよびPFOSに対する実験的収着の動力学的データのグラフである。
【0028】
【
図12】粒状活性炭および活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットについてのPFOAのブレークスルー曲線のグラフである。
【0029】
【
図13】未浄化および浄化した活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットを用いた試薬水からのPFOSの収着のグラフである。
【0030】
【
図14】活性化されたナノコンポジット収着剤材料の概念図である。
【0031】
【
図15】繊維状ポリアミドを用いた試薬水からのPFOSおよびPFOAの収着のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0032】
本発明は、収着剤と称される、吸着または他の化学結合の相互作用によって水からコンタミナントを除去するために利用された材料が脱着および回収を受け、回収された有機コンタミナントの濃縮物が処理後破壊プロセスを受ける方法を記載する。本明細書に記載のシステムおよび方法は、ナノコンポジットを有するまたは有しないポリウレタンフォームなどの収着剤の使用を含む。収着剤は、汚染物質が収着剤に結合するように、環境から、例えば、空気または水などから1種または複数の汚染物質を吸収するために、まず使用される。次いで、汚染物質は収着剤から放出され得、収着剤はリサイクルされ得、汚染物質は破壊され得る。PFASが捕捉されるいくつかの実施形態では、プロセスは、PFASが一般的にまたは完全に脱フッ素化され得るように、強い炭素-フッ素結合のすべてを壊し得る。
【0033】
様々な種類の収着剤システムが使用され得る。いくつかの実施形態では、収着剤は、ポリウレタンフォームなどのポリウレタンを含み、それは、ポリウレタンは単独であり得、ポリウレタンは汚染物質を直接捕捉する。他の実施形態では、収着剤システムはまた、ナノ粒子を含む。いくつかのそのような実施形態では、収着剤システムは、ナノコンポジットとしてフォームマトリックス上およびフォームマトリックス内にナノ粒子を有するポリウレタンフォームなどのポリウレタン支持体を含む。そのような実施形態では、ポリウレタン支持体マトリックスは汚染物質を直接捕捉し得る一方、ナノ粒子は同じ汚染物質および/または他の汚染物質も捕捉し得る。そのような実施形態では、アミンまたは第四級アンモニウム基のような化学官能基は、ポリウレタン支持体マトリックスに直接結合され得るか、またはフォームマトリックス上およびフォームマトリックス内のナノ粒子の表面に化学的に付着され得る。
【0034】
いくつかの実施形態では、収着剤は、電界紡糸、湿式、メルトブローン、および押出フィルムおよび繊維を含むがこれらに限定されないポリマーシートから構成され得る。ポリマーとしては、ポリアミド、ナイロン、ポリスチレン、ポリウレタンおよびセルロースまたはそれらの組合せが挙げられ得る。いくつかの実施形態では、ポリマーは繊維であり得る。この繊維は、湾曲繊維フィルタ材料として濾過に使用され得る。いくつかの実施形態では、収着剤は2つ以上のポリマーを含む。
【0035】
いくつかの実施形態では、ナノコンポジットは、支持体マトリックスの表面および支持体マトリックス内に金属または非金属ナノ粒子を含む二相材料である。ナノ粒子は、およそ1nmおよびおよそ1000nm、またはおよそ1nm~およそ500nmの間、またはおよそ100nm~およそ700nmの間などのナノスケール範囲のサイズを有し得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は金属であり得る。いくつかの実施形態では、ナノ粒子は、二酸化チタンなどの金属酸化物であり得る。マトリックスは、例えば、ポリマーマトリックスであり得る。マトリックスは多孔質であり得、スポンジ様構造を有し、ナノ粒子は細孔全体にわたってマトリックスの多孔質の内面および外面に結合している。収着剤システムがナノコンポジットである実施形態では、ポリウレタンマトリックスなどの収着剤は、スポンジの性質でその一部または全部にわたって細孔を有し得る多孔質マトリックスであり得る。マトリックスは、その表面に結合した金属または非金属ナノ粒子のための支持構造として機能し得る。いくつかの実施形態では、粒子は、銅、ヨウ素、銀、スズ、亜鉛、チタン、セレン、ニッケル、鉄、セリウム、ジルコニウム、マグネシウム、マンガン、ケイ素、酸化銅、二酸化チタン、酸化鉄および酸化亜鉛などの1種または複数の金属または金属酸化物もしくは水酸化物、セレンおよび炭素(グラフェン、グラファイトおよびそれらの酸化物を含む)などの非金属、またはこれらもしくは他のナノ粒子の2つ以上の組合せまたはそれらの合金であり得る。金属、非金属および金属酸化物ならびに他の組成物は、単独でもしくは組み合わせて使用されてもよく、または省略されてもよい。
【0036】
様々な実施形態において有用なナノ粒子を含む収着剤システムは、マトリックス内に結合した金属または非金属ナノ粒子のナノコンポジットを作製するために、熱還元プロセスを使用して作製され得る。使用される特定のナノ粒子およびマトリックスは、PFASなどの1種または複数の特定の汚染物質の吸着および拡散を改善するため、ならびに捕捉後の汚染物質の分解におけるそれらの使用のために選択的に調整され得る。
【0037】
いくつかの実施形態では、収着剤システムは、収着剤との直接相互作用、またはマトリックス内に予め結合したナノ粒子への付着のいずれかを介して、収着剤の表面およびバルクに結合している活性な化学基を含み得る。そのような化学基としては、第一級、第二級、第三級および第四級を含む窒素含有(アミン)化合物ならびにこれらの化合物を含む共役ポリマー、硫黄含有(チオール)化合物、ならびに酸素含有(アルコール)化合物が挙げられるが、これらに限定されない。他の化学基としては、脂質、共役糖、フッ素化された炭化水素鎖、および脂肪アルコールなどの長い炭化水素鎖を有する化合物、ならびにアルキルベンゼンおよび芳香族ポリマーなどの疎水性芳香族化合物を含むがこれらに限定されない、疎水性化合物が挙げられる。
【0038】
活性な化学基を含むことにより、PFASの吸収を改善し得る。例えば、第四級アンモニウム基は、収着剤材料の表面に安定な正電荷をもたらす。この電荷は、ペルフルオロブタン酸などの負に帯電した短鎖のPFAS分子を引きつけ、これらの基を含まない収着剤と比較して改善された捕捉を可能にする。疎水性相互作用に加えて電荷に基づく相互作用を利用することにより、収着剤が、長鎖および短鎖の両方のより広範囲のPFAS化合物を捕捉することを可能にする。
【0039】
様々な実施形態によるPFAS捕捉および脱フッ素化のための1つの方法を
図1に示す。この例では、方法10は3つの主要なステップを含む。ステップ12では、ポリウレタンなどの収着剤を使用してストリームからPFASが捕捉される。次いで、ステップ14では、プロセスは、捕捉されたPFASを収着剤から脱着させて濃縮されたストリームを形成することを含む。ステップ16では、濃縮されたストリームは、音響キャビテーション、UV光分解、超臨界水酸化、および/または電気化学的酸化を使用して処理されて、PFASを脱フッ素化する。このようにして、PFASは、収着剤を使用して捕捉され、それは、収着剤がさらなるPFAS捕捉のために再使用され得るように、収着剤から除去される。さらに、捕捉されたPFASは、廃棄物処分の懸念を払拭するために脱フッ素化される。これらのステップの詳細は、以下でさらに説明される。
【0040】
PFASは主要な環境上の懸念であり、本開示の特定の焦点であるが、本明細書に記載の方法はPFASに限定されず、むしろ他の汚染物質にも適用され得る。収着剤システムに結合する任意の種類の化合物は、本明細書に記載の収着剤システムおよび方法を使用して結合、除去、および分解され得る。捕捉および破壊され得る化合物の例としては、様々な化学物質、汚染物質またはコンタミナントが挙げられる。これらには、例えば、ペルフルオロアルキルおよびポリフルオロアルキル物質などの有機化合物、生物学的毒素、多環芳香族炭化水素(PAH)、ホルモン、抗生物質化合物、および揮発性有機化合物(VOC)が含まれる。いくつかの実施形態は、2種以上の汚染物質を同時に吸収することができ得る。様々な実施形態により結合、除去、および破壊され得るPFASの例としては、アルキル鎖の水素原子の全部または一部がフッ素によって置き換えられた合成有機フッ素化合物が挙げられる。具体例としては、ペルフルオロオクタン酸(PFOA)およびペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)が挙げられる。
【0041】
収着剤システムによって捕捉される化合物は、例えば、環境中の水または空気中に存在し得る。収着剤システムを使用して、例えば、水処理プラントで、または湖、河川、地下水および井戸などの水の表面または地下中で、水から化合物を除去し得る。しかしながら、いくつかの実施形態では、これらの化合物の除去は、環境中に排出される前、例えば、放出前もしくは放出中のインフルガスのような工業的状況において、または工業プラントからの排出前もしくは排出中の廃水において、汚染物質が決して放出されないかまたは放出が最小限に抑えられるように、または化学製造プロセスなどの製造プロセス中に行われ得る。したがって、本開示は、捕捉された化合物を汚染物質として称しているが、決して汚染物質にならないか、または通常は汚染物質ではないが、それらが存在する液体またはガスからそれらを捕捉および除去する必要がある他の化合物にも及ぶ。
【0042】
収着剤システムは、液体またはガスが流れるか、またはポンプにより収着剤の周り、および/または収着剤を通り、汚染物質が収着剤に結合するように、水または空気システムなどの液体またはガスシステムに配置され得る。収着剤システムを通る間に、汚染物質の分子は捕捉され、収着剤に結合する。この捕捉は、汚染物質およびポリウレタンのようなポリマーなどの収着剤の間、ならびに/または収着剤システムに存在する場合にはナノ粒子および/もしくは活性な化学基への結合によって起こり得る。例えば、PFASなどの汚染物質およびアルコールおよびポリウレタンマトリックスまたは他のポリマーマトリックスのカルボン酸官能基の間に静電相互作用が存在し得る。非極性PFASおよびナノコンポジットの間の疎水性相互作用およびコンポジット中のナノ粒子への表面結合が存在し得る。収着剤での負に帯電したPFAS化合物および正に帯電した活性な化学基の間には、電荷に基づく相互作用が存在し得る。他の結合相互作用も起こり得る。収着剤システムに1種または複数の汚染物質が負荷されると、収着剤は、それが配置された液体またはガスから除去され得る。汚染物質は、ここでは、収着剤にしっかりと結合している。このようにして、汚染物質は、液体または気体から部分的または完全に除去される。
【0043】
いくつかの実施形態では、収着剤は、濾過のために円筒形カートリッジに密封され得る。そして、水または空気が設定された接触時間の間、収着剤で処理されることを可能にする制御された様式で、水または空気をこのカートリッジに流入させる。他の実施形態では、収着剤は、中央分散点の周りに巻かれた平らなシートである。そして、水または空気をカートリッジに流入させ、それによって設定された接触時間の間、収着剤を通って放射状に流出する。
【0044】
いくつかの実施形態では、芳香族ポリウレタンフォームが収着剤として使用され得る。例えば、市販の芳香族ポリウレタンフォームは、PFASの除去、特にペルフルオロオクタン酸(PFOA)およびペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)に対して高い親和性を有することが発見された。そのようなフォームは、現在、寝具材料および室内装飾に使用されている。
【0045】
ポリウレタンフォームなどのポリマーフォームは、収着で使用するためのいくつかの利点を有する。フォームの連続気泡構造は、水が材料を通り疎水性層と接触することを可能にするミクロサイ細孔を備える。さらに、ポリウレタンフォームなどのポリマーフォームは、材料を反応器ベッセルに圧縮することを可能にする低密度であり、フォームの軽量性のために処分コストを低く抑える。様々な実施形態で使用され得るポリウレタンフォームの材料特性の例を以下の表1に示す。
【0046】
【0047】
化学的には、ポリウレタンフォームは、高度に疎水性であり、ウレタン結合にアミンおよびカルボニル基を含むウレタン結合に固有の特定の化学官能基を含む、PFAS結合を可能にするユニークな化学官能基を有するという点で、PFASの理想的な収着剤製品である。標的PFAS化合物の添加の前後に収着剤を分析することにより、標的および収着剤の間の吸着機構に関する情報を得ることができる。実験セクションで考察した実験結果は、PFAS化合物と、アルコールおよびウレタン基中に存在する酸素、メチル官能基およびポリウレタン支持体のウレタン官能基中に存在する炭素との間に静電相互作用が生じることを示している。ポリウレタンによるPFAS化合物の収着はまた、C-F結合の形成と共に起こる。
【0048】
ナイロンなどのポリアミドポリマーはまた、高度に疎水性であり、第二級アミン、第三級アミンおよびカルボニル基を含むアミド結合に固有の特定の化学官能基を含む、PFAS結合を可能にするユニークな化学官能基を有するという点で、PFASの理想的な収着剤製品である。さらに、ナイロンは、高い反応表面積を有する細い繊維に形成され得る。この表面積は、PFAS相互作用のために、より多くの結合部位を可能にする。アミン基を含む他のポリマーも、PFAS化合物に対して選好的な結合を示す。
【0049】
疎水性表面を有する収着剤および90度またはそれを超える接触角を有する収着剤は、様々な実施形態で使用され得る。ポリウレタンフォームは、140±5度の平均接触角を示す。PFAS化合物が疎水性表面に引き寄せられるため、この疎水性は重要である。一般に、90度またはそれを超える接触角を有する疎水性材料は、PFASのような疎水性化合物に対して選好的な収着を示し得る。
【0050】
様々な実施形態は、高い負荷容量を有する収着剤の使用を含む。負荷容量が高いほど、材料を交換しなければならなくなるまでに材料をより長く利用することができ、メンテナンスコストおよび濾過設備の全体的な設置面積を削減するので、高い負荷容量を有することは重要である。ポリウレタンは、特にPFOAおよびPFOSに対して高い負荷容量を有することが発見されている。例えば、収着剤1mgあたりに吸着されるPFOA/PFOSのmg単位でのポリウレタンの負荷容量は、活性炭のそれのほぼ30倍である。
【0051】
様々なフォーム材料または他の多孔質材料が収着剤として使用され得、本発明はポリウレタンフォームに限定されない。例えば、90度を超える、好ましくは120度を超える静的水接触角を有する疎水性表面を有する任意のフォームまたは多孔質ポリマーが、いくつかの実施形態で使用され得る。様々な実施形態で使用され得るフォームなどの収着剤材料の組成物は、PFASとの静電相互作用をもたらす親水性の帯電した官能基(例えば、アミン-NH、アルデヒド-C=Oおよび芳香族基、ウレタン基-NH-(C=O)-O-);疎水性相互作用によってPFASを捕捉する疎水性化学官能基(例えば、メチル-CH2またはエチル-CH3基)、および/またはアニオン-Pi相互作用によってPFASを捕捉する芳香族基のうちの1つまたは複数の組合せを含み得る。いくつかの実施形態では、収着剤の細孔径は、約5ナノメートル~約5ミリメートルの範囲であり得る。
【0052】
本開示の実施形態で使用され得る他のフォームの例としては、メラミン、ポリアミド、ナイロン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリエチレン-酢酸ビニルフォーム、エチレンビニルアルコール、ポリビニルアルコール、ポリカプロラクトン、および/またはポリ乳酸、リコポジウム(lycopodium)胞子または粉末から作製されるかまたはそれらで官能化されたフォームおよび多孔質材料、ならびに他の共役または複合フォームが挙げられるが、これらに限定されない。
【0053】
いくつかの実施形態では、収着剤は、ポリマーシート、例えば、繊維から構成されるポリマーシートであり得る。繊維は、例えば、約0.1~約5マイクロメートルの間の範囲のサイズを有し得る。これらの繊維は、セルロース、ポリエステル、ポリプロピレン、ポリアミド、ナイロン、およびポリウレタンのうちの1種または複数を含み得るが、これらに限定されない。
【0054】
上述のポリマーフォームと同様に、繊維状シートなどのシートは、ナノコンポジットおよび/または活性な化学基を含み得る、収着剤システムにおける収着剤として使用され得る。したがって、収着剤システムは、収着剤との直接相互作用を介して、収着剤シートの表面およびバルク内に結合した活性な化学基を含み得るか、または活性な化学基は、マトリックス上およびマトリックス内に予め結合したナノ粒子に付着され得る。そのような化学基としては、第一級、第二級、第三級および第四級を含むアミン化合物ならびにこれらの化合物を含む共役ポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。例えば、ポリマーフォームは、活性な化学基としてアミンを含み得る。いくつかの実施形態では、ポリマーフォームは、活性な化学基としてチオールを含み得る。さらに他の実施形態では、ポリマーフォームは、活性な化学基としてアルコールを含み得る。収着剤システムに含められ得る他の化学基としては、脂質、共役糖、フッ素化された炭化水素鎖、および脂肪アルコールなどの長い炭化水素鎖を有する化合物、ならびにアルキルベンゼンおよび芳香族ポリマーなどの疎水性芳香族化合物を含むがこれらに限定されない、疎水性化合物が挙げられる。これらの化合物は、収着剤および汚染物質の間の疎水性相互作用によって駆動される調整可能な表面相互作用を可能にする。
【0055】
活性な化学基は、帯電した汚染物質の水からの特定の捕捉を可能にする可変の調整可能な表面電荷を収着剤材料に導入する。調整可能な表面電荷は、ここでは、様々な活性な化学基の導入によって制御される電荷として定義される。例えば、第一級アミンは、完全にプロトン化され、ある特定のpH条件下で正電荷を有し得る。これらの化学基の位置の量の両方を制御することにより、収着剤の表面電荷を制御し得る。
【0056】
さらに、活性な化学基は、汚染物質の回収および濃縮のために所望される場合に、反転され得る調整可能な表面電荷をもたらす。第一級アミンの例を使用すると、塩基を使用して収着剤の周りのpHを上昇させることによって、アミンはプロトンを失い、結果としてその正電荷を失う。したがって、その正電荷に依存したすべての結合した汚染物質が放出され得る。
【0057】
いくつかの実施形態では、ポリウレタンなどの収着剤は、「活性化」と呼ばれ得るプロセスなどによって、収着を改善するように処理され得る。このプロセスは、PFASトレースおよび他の疎水性化合物を含む、収着剤に結合した任意の有機材料の除去を可能にし得、収着剤内にPFAS用のより多くの収着部位を遊離させ、フォームに捕捉され得るPFASの量を向上させ得る。収着剤は、PFAS収着のための最初の使用の前に活性化され得るか、および/またはPFAS脱着後かつ収着剤の再使用の前に活性化が繰り返され得る。様々な実施形態では、ポリウレタンの活性化は、フォーム製造中または収着剤として再使用する前などに、フォーム中に存在するPFASの低減またはトレースおよび他の有機コンタミナントの除去を可能にする。結果として、活性化プロセスは、PFASコンタミナントとの相互作用のための新しい部位を遊離させ、したがってPFAS化合物に対するポリウレタンの除去能力を向上させる。
【0058】
活性化ポリウレタンなどの活性化された収着剤を得るために、収着剤、例えば、シートまたはポリウレタンフォームなどのフォームは、溶媒および有機塩基、例えば、メタノールと水酸化アンモニウムとの溶媒の組合せに曝され得る。いくつかの実施形態では、溶媒は極性プロトン性溶媒である。いくつかの実施形態では、ポリウレタンフォームなどの収着剤は、体積で約80~100%のメタノールおよび約0.5~10%の水酸化アンモニウムに曝され得る。一例では、ポリウレタンフォームなどの収着剤を95%メタノールおよび約5%水酸化アンモニウムに曝して、収着剤として使用するための活性化ポリウレタンを形成することができる。次いで、溶媒は収着剤から除去され得、活性化された収着剤はPFAS捕捉のために使用され得る(または再び使用され得る)。このようにして、PFASの捕捉は、PFAS捕捉前に活性化されていない同じ収着剤と比較して、改善され得る。
【0059】
いくつかの実施形態では、収着剤システムは、ナノ粒子でコーティングされたポリウレタンフォームマトリックスのようなフォームマトリックスのシートなどのマトリックスを含む。そのような収着剤システムを作製するための1つのプロセスは、熱クレスコーティングと称され得る熱還元プロセスを含み、それによってナノ粒子は、ポリウレタンフォームなどの多孔質支持体材料上および全体にわたって増え得る。一例では、プロセスは3つのステップを含み得る。第1のステップは、マトリックス材料の濃度、水和、pHおよびゼータなどの適切な条件下での金属または非金属イオン性前駆体(例えば、硫酸第一鉄、塩化第二鉄または塩化チタン)を用いた多孔質または繊維状マトリックス材料の湿式含浸であり得る。次のステップは、熱還元ならびに多孔質材料の表面および内部へのナノ粒子の結晶化を開始するための、オーブン内での含浸マトリックスの加熱などによる溶液の蒸発であり得る。第3のステップは、収着剤材料の洗浄および乾燥であり得る。これは、使用され得るプロセスの単なる一例であり、プロセスは変更されてもよく、および/または追加のステップが代替的に含まれてもよい。そのようなプロセスの最終結果は、非常に高い汚染物質負荷容量を可能にし、効率的な汚染物質分解のためにさらに使用され得る、非常に優れた表面対体積比を有する収着剤システムである。
【0060】
活性な化学基は、収着剤の官能基間の直接相互作用を利用することによって、または収着剤に埋め込まれたナノ粒子との相互作用によって、収着剤に付加され得る。例えば、一端に第一級アミンを含み、いずれか一方に連結基を含む分子が収着剤に直接付加され得る。連結基の例としては、収着剤中に存在するアルコールおよびカルボニル基に自発的に結合し得るシロキサンが挙げられる。リンカー化学の別の例は、1-エチル-3-(3-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)およびN-ヒドロキシスクシンイミド(NHS)などの一般的な連結剤の使用であり、分子中のカルボキシレート基および収着剤中のアミド基の間で結合を生成する。さらに、シロキサンおよびチオール基などの多くの化学基は、ナノ粒子表面に自発的に結合し得るので、リンカーとして使用され得る。これらの相互作用を促進するために、収着剤は、付加される分子および適切なリンカー基を含む水溶液または有機溶媒溶液に添加される。次いで、用いられるリンカー化学の種類に応じて、この溶液は混合、加熱または乾燥され得る。
【0061】
コンタミナントは、様々な様式で、収着剤によって捕捉され得る。いくつかの実施形態では、コンタミナントのストリームは、収着剤システムを含むカラムシステムに導入され得る。カラムシステムは重力供給されてもよく、またはポンプシステムを使用してストリームが導入されてもよい。いくつかの実施形態では、収着剤は、収着剤内部のコンタミナントのより速い流れおよびより速い拡散を可能にするために、定期的に、任意選択的に繰り返して、圧縮および放出され得る。収着剤がフォームである場合、収着剤は、1つまたは複数の大きなフォーム片であってもよく、または多数の小片であってもよい。いくつかの実施形態では、フォームの収着剤は、多数の小片に細断されてもよく、または複数の薄いフィルム/膜の形態であってもよい。いくつかの実施形態では、収着剤は、中央水分散ユニットの周りに巻き付けられ得る、シートまたは繊維の形態であり得る。この中央分散ユニットは、典型的には、ポロシティを制御し、接触時間を最大にするように収着剤の周りにしっかりと巻き付けられた収着剤を通って水が放射状外側に向かって流れることを可能にするための穿孔を有する中空の円筒管である。いくつかの実施形態では、収着剤は粒状形態であり得る。
【0062】
PFASまたは他の標的汚染物質が収着剤に結合すると、PFASまたは他の標的汚染物質でいっぱいになった収着剤は、使用済みまたは枯渇した収着剤と称され得る。捕捉されたPFASは、様々な方法によって使用済み収着剤から除去され得る。いくつかの実施形態では、PFASの脱収着は溶媒によって引き起こされ得る。例えば、ポリウレタンが収着剤として使用される場合などのいくつかの実施形態では、収着剤および捕捉されたPFASの間の相互作用は可逆的であり得る。例えば、収着剤によるPFASの捕捉後、収着剤は溶媒で洗浄されてPFASを放出し得る。
【0063】
PFOAおよび/またはPFOSの捕捉のためにポリウレタンを使用するもの、ならびに本明細書に記載の他の収着剤などの様々な実施形態では、ポリウレタンなどの収着剤およびPFOA/PFOSの間の相互作用は、高濃度の有機溶媒の存在下で可逆的であり得る。いくつかの実施形態では、溶媒は極性プロトン性溶媒であり得る。このプロセスのための理想的な溶媒カテゴリーとしては、水混和性有機溶媒が挙げられる。特定の例示的なクラスとしては、ニトリル、アルコールおよびエーテルが挙げられる。水混和性ニトリルの例としては、アセトニトリルが挙げられる。メタノール、エタノール、およびイソプロパノールを含むがこれらに限定されない、PFOAおよび/またはPFOSの脱着に使用され得る水混和性アルコール。例えば、いくつかの実施形態では、メタノールは、本明細書に記載のPFOAおよび/またはPFOSの脱着に使用され得る。他の実施形態では、エタノールは、本明細書に記載のPFOAおよび/またはPFOSの脱着のために使用され得る。さらに他の実施形態では、イソプロパノールが使用され得るか、または本明細書に記載のPFOAおよび/もしくはPFOSの脱着。ヘキサンのようないくつかの非水混和性溶媒も使用され得る。例えば、ポリウレタンフォームなどの収着剤によるPFASの捕捉後、ポリウレタンは有機溶媒で1~15分間十分に洗浄されて、PFAS化合物を脱収着し得る。いくつかの実施形態では、ポリウレタンは有機溶媒でおよそ5分間洗浄され得る。捕捉されたPFASを収着剤から除去するために必要な有機溶媒の量は、収着剤を完全に濡らすために必要な最小体積であり得る。この脱収着プロセスは、1回行われ得るか、または脱収着性能を高めるために最大5回など、複数回繰り返され得る。いくつかの実施形態では、プロセスは2回行われる。
【0064】
電荷に基づく相互作用によって結合したPFASの除去を改善するために、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、塩酸、および硝酸などの無機酸または塩基が有機溶媒に添加されてもよい。これらの酸および塩基は、有機溶媒および水の希釈溶液に直接添加されてもよい。収着剤の第一級アミン基に結合したPFASの場合、抽出に使用される溶媒のpHを上昇させると、これらの化学基が効果的に脱プロトン化し、正電荷が除去され、結合したPFASを放出する。
【0065】
収着剤からのPFASの脱着は、毒性のままであり、管理されなければならない濃縮されたストリームを生じる。様々な実施形態では、PFASの濃縮されたストリームは脱フッ素化され得る。PFAS化合物の分解および脱フッ素化の間を区別することが重要である。分解とは、炭素-炭素結合の開裂によって、PFOAおよびPFOSのような長い炭素鎖のPFAS化合物の短鎖フルオロカーボンへの分解(decomposition)を指す。これらの短鎖フルオロカーボンは、環境移動度が詳細に研究されていないため、課題となっている。さらに、米国国立毒性プログラム(US National Toxicology Program)による最近の研究は、5個またはそれより短い炭素鎖を有するPFAS化合物が、より長い鎖のPFAS化合物と同様の肝臓および甲状腺の課題を呈することを示唆している。対照的に、脱フッ素化とは、水、二酸化炭素およびフッ化物(F-)イオンの最終的な非毒性産物をもたらす、非常に強い炭素-フッ素結合の破壊(breakdown)を指す。様々な実施形態は、PFASならびに潜在的に有毒な短鎖PFAS化合物の放出を防止するように、PFAS化合物のレメディエーションのための脱フッ素化を含む脱フッ素化プロセスを含む。
【0066】
破壊は、化学結合の開裂を介した標的化学汚染物質の同一性の変化を含む。最終産物として複雑な化学的化合物を生じる破壊は、分解と称される。PFASの場合の分解は、6個またはそれを超える炭素鎖からなるより大きなPFAS化合物が、5個またはそれを下回る炭素からなる短鎖PFAS化合物に破壊(broken down)されることを意味する。PFAS化合物の場合、二酸化炭素、フッ化物および水を生成するための炭素フッ素結合の開裂は、本明細書では脱フッ素化と称される。
【0067】
破壊は、毒性を低減または排除するために1つまたは複数の化学基を除去することを含む。いくつかの実施形態では、本開示は、ペル-およびポリフルオロアルキル物質を含む難分解性有機化合物が、多孔質ポリマーポリウレタンフォームおよび他のポリマーマトリックスを含む収着剤システムによって捕捉される方法およびシステムを含む。代替的または追加的に、本開示は、ポリマーフォームマトリックスを含む収着剤システムで捕捉された化合物が、有機溶媒および有機塩基を使用して濃縮された廃棄物のストリームに回収される方法およびシステムを含む。方法およびシステムはまた、音響キャビテーションデバイスを介したキャビテーションまたは紫外光支援の光触媒システムにより、濃縮された廃棄物のストリームを破壊することを含み得る。
【0068】
標的汚染物質を溶媒を用いて収着剤から抽出した後、抽出された標的汚染物質を濃縮するために溶媒除去により除去され得る。溶媒除去は、加熱、圧力または他の方法による蒸発、遠心分離、沈降、および/または濾過のうちの1種または複数を含むがこれらに限定されない、いくつかのプロセスによって達成され得る。
【0069】
PFAS材料が小体積の廃棄物のストリームに濃縮されると、PFASの脱フッ素化の方法が実践され得る。濃縮されたPFASまたは他の濃縮された汚染物質を破壊するために、様々な方法が使用され得る。いくつかの実施形態では、濃縮されたPFASおよび/または他の濃縮された汚染物質にエネルギーを適用し得る。例えば、超音波エネルギーを使用して、PFASおよび/または他の濃縮された汚染物質を破壊し得る。他の実施形態では、UVエネルギーを使用して、PFASまたは他の濃縮された汚染物質を破壊し得る。他の実施形態では、電気エネルギーを使用して、PFASおよび/または他の濃縮された汚染物質を破壊し得る。さらに他の実施形態では、他の超臨界条件を使用して、PFASおよび/または他の濃縮された汚染物質を破壊し得る。
【0070】
いくつかの実施形態では、PFASの脱フッ素化は、過硫酸ナトリウムなどのフリーラジカル発生剤の使用単独で、またはラジカル発生剤もしくは水和電子発生剤などの触媒の存在下で音響キャビテーションもしくは紫外光などのエネルギーの適用と組み合わせて行われ得る。フリーラジカル発生剤は、ラジカル、1つまたは複数の不対電子を含む高反応性の原子の生成を促進する。水和電子は、水分子に包まれた高反応性の自由電子である。PFASの破壊および脱フッ素化のために、ラジカルおよび水和電子の両方が炭素-フッ素結合を攻撃および開裂する。一例では、PFASの濃縮された体積は、ポリプロピレンボトルなどの容器に入れられ、超音波発生反応器チャンバに沈められ得る。過硫酸ナトリウムまたは過酸化水素などのフリーラジカル発生剤は、PFAS化合物の溶液に添加され得る。フリーラジカル発生剤の濃度は変動し得る。例えば、混合物中の過硫酸ナトリウムの濃度は、約1g/L~約5g/Lであり得る。次いで、この混合物は音響キャビテーションなどのエネルギー処理に曝され得る。様々なパラメータが使用され得る。例えば、約200kHz~約1000kHzの超音波処理周波数を有する音響キャビテーションのエネルギー、例えば約850kHzの超音波処理周波数が適用され得る。いくつかの実施形態では、エネルギーは、連続的または断続的に適用され得る。例えば、音響キャビテーションで使用される超音波処理周波数は、パルスモード下で60分間862kHzであり得、それによって試料は、100msオンおよび100msオフで断続的に処理され得る。試料の温度は、摂氏25度~摂氏40度の間に維持され得る。いくつかの実施形態では、より高い温度がより良好な性能のために好ましい場合がある。他の実施形態では、短時間内に高周波数(約600kHz~約1000kHzなど)および低周波数(200kHz~約600kHzなど)の間を交互に繰り返すことなどによるスイープモードが、超音波処理に使用され得る。例えば、1000ms以内に862kHzおよび358kHzの間の周波数スイープが手順に使用され得る。他の実施形態では、反応パラメータは同じであるか、または異なってもよく、アルゴンなどのガスが超音波処理中に反応器に連続的に流入され得る。追加的または代替的に、単独でまたは組み合わせて使用され得る他のガスとしては、窒素およびキセノンが挙げられる。これらのガスは、そうでなければ生成されたラジカルまたは水和電子を消費し得る、酸素を含むガスを除去するように、反応に添加される。
【0071】
この実施形態および様々な他の実施形態では、音響キャビテーションが使用され得る。場合によっては、音響キャビテーションは、約0.05~約1秒などの比較的短い期間内に高周波および低周波の間で交互になり得る。いくつかの実施形態では、「高」範囲は、例えば、約750~900kHzであり得、「低」範囲は、例えば、約200~350kHzであり得る。他の実施形態では、期間はより長くても短くてもよく、周波数変動はより大きくても小さくてもよく、またはより大きいもしくはより小さい範囲内でもよい。
【0072】
いくつかの実施形態では、PFASの破壊は、濃縮された溶液に紫外光を適用することによって達成され得る。紫外光は、過硫酸カリウムなどのラジカル発生剤、還元剤、またはUV光触媒と称され得るヨウ化カリウムなどの水和電子発生剤などの試薬の存在下で適用され得る。PFASの破壊は、例えば、波長100nm~400nmの紫外光を10分~72時間の期間、適用することによって達成され得る。
【0073】
PFASの脱フッ素化は、2つの要因、溶液中に生成される活性酸素種、ならびにキャビテーションによって生成される高温および衝撃波の結果として起こり得ると考えられている。超音波照射に曝される場合、液体は音響キャビテーションを受け、これは液体中の気泡/蒸気泡の形成、成長、および内破性崩壊である。キャビテーション中の気泡崩壊は、摂氏約5000度に達する光および高エネルギー化学の放出を担う一時的なホットスポットを生成する(参考文献:DOI:10.1126/science.253.5026.1397)。この高エネルギー環境は、PFASの炭素およびフッ素への化学反応および脱フッ素化を促進する。さらに、光触媒プロセスは、励起電子または酸素を含むラジカル種の放出を駆動する。次いで、これらの反応種は、化学結合の開裂を促進する。
【0074】
汚染物質の破壊は、光化学、音響化学、電気化学、熱化学、超臨界水酸化またはプラズマ処理などの汚染物質へのエネルギーの適用によって、単独で、またはこれらもしくは他の処理方法と組み合わせて起こり得る。例えば、エネルギーは、可視もしくはUV光などの光、プラズマ、電子、超音波処理、熱、または他の種類のエネルギーとして適用され得る。いくつかの実施形態では、可視および/または紫外波長範囲、例えば約180~約700ナノメートルの間、または約185~260nmの間の光が、反応が完了するのに必要な時間の長さにわたって適用され得る。
【0075】
様々な実施形態によって、どのように使用済み収着剤を回収し得るか、およびどのようにコンタミナントを濃縮および破壊し得るかのさらなる詳細を、
図2~
図7に示す。図は、代表的な概略形態で示されている。したがって、それらはシステムのいくつかの構成要素を含む一方、チュービング、パイプ、ポンプ、バルブ、または他のコンベヤシステムおよび他の機器などの当技術分野で公知の他の構成要素が、矢印によって示されるように流体および他の材料を輸送するため、ガスを収集するためなどの様々なステップを行うために使用され得る。
【0076】
図2は、捕捉および結合したコンタミナントの脱着およびコンタミナント濃縮物の破壊のための方法20を示す。ステップ21では、PFASが、収着剤を使用してストリームから捕捉される。収着剤は、例えば、ポリウレタン、ポリアミド繊維、シートまたはフォームを含み得る。ステップ22では、結合した有機コンタミナントの収着剤からの脱着のために抽出溶液が使用される。抽出溶液は、例えば、メタノール、エタノール、またはイソプロパノールなどの有機溶媒、および例えば、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、またはピリジンなどの塩基を含み得る。代替的または追加的に、他の方法または材料が脱着に使用され得る。脱着後、コンタミナントが、ステップ24で濃縮される。コンタミナントは、例えば、蒸発、沈降および/または濾過などによる抽出溶液の除去によって、濃縮され得る。次いで、濃縮されたコンタミナントは、ステップ26で、水または関連溶媒に懸濁される。ステップ28では、コンタミナントが、UV光触媒、音響キャビテーションおよび/または超臨界水などの破壊プロセスの適用によって破壊される。このシステムによって除去および破壊され得るコンタミナントとしては、ペルおよびポリフルオロアルキル物質(PFAS)、ポリ塩化ビフェニル(PCB)、農薬、化粧品、医薬品、および1,4-ジオキサンなどの有機コンタミナントが挙げられるが、これらに限定されない。使用され得る収着剤材料としては、活性炭、イオン交換樹脂、またはフォームポリウレタンなどのポリマーフォーム系の収着剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0077】
図3~
図7は、コンタミナントの濃縮および破壊に使用され得るシステムを示す。いくつかの実施形態では、これらのシステムに示され、様々な実施形態で使用される格納ベッセルは、ポリエチレン、ポリプロピレン、アルミニウム、鋼、プラスチック、ガラス、他の金属、非金属、またはポリマー容器のうちの1種または複数であり得るが、これらに限定されない。
【0078】
図3に示すシステムでは、結合したコンタミナントを有する使用済み収着剤材料は、圧縮および減圧および/または混合を行う能力および構成要素を有し得るベッセルA(脱着ベッセル)に入れられ得る。添加剤の有無にかかわらず、メタノール、イソプロピルアルコール、アセトニトリルを含むがこれらに限定されない有機溶媒を含有する抽出溶液が、例えば20%~100%(v/v)の純度でベッセルAに添加され得る。例えば、0.5%~50%(v/v)の濃度の水酸化アンモニウム、酢酸、水および水酸化ナトリウムを含むがこれらに限定されない添加剤が添加され得る。いくつかの実施形態では、ベッセルAは、圧縮性収着剤材料の能動的圧縮および放出を通じて脱着プロセスを数分にまで加速するためのプランジャを備え得る。他の実施形態では、ベッセルAは、圧縮性収着剤ならびに圧縮性でない可能性がある他の収着剤タイプからの脱着を可能にする混合または攪拌機構を備え得る。
【0079】
ベッセルAの溶液中の目的のコンタミナントの濃度は、連続的または定期的にモニターされ得る。例えば、ベッセルAはサンプリングポートを備え、目的のコンタミナントの濃度を測定することによって脱着プロセスをモニターすることができる。
【0080】
適切または所望のレベルのコンタミナント脱収着が達成されると、溶液はベッセルAからベッセルBに移送され得る。
図3に示される実施形態では、ベッセルAでの脱着プロセス後にバルブが開けられ、矢印1によって示されるように、使用済み溶媒をベッセルB(ボイラー)に通し得る。ベッセルBは、制御された様式で使用済み溶媒を加熱する加熱装置と、任意選択的に空気、窒素、および/またはアルゴンを含むがこれらに限定されない清浄なガスをベッセルBに流入させて、使用済み溶媒の蒸発を促進することを可能にするガス入口とを備え得る。加熱条件は、例えば、摂氏約40度~約120度の間であり得る。システムは、ベッセルBから蒸発した溶媒を蒸留によって回収するための凝縮器を備え得る。回収された溶媒は、矢印4によって示されるように、後続の脱着プロセスで使用するためにベッセルA内に戻り得る。蒸発後にベッセルB中に残っている放出されたPFASを含有する使用済み溶媒は、次のステップの前に完全またはほぼ完全に乾燥され得る。
【0081】
溶媒の蒸留が完了するか、または所望の段階まで進行すると、例えば、ベッセルBが完全またはほぼ完全に乾燥すると、蒸留水およびグレードI試薬水を含むがこれらに限定されない水がベッセルBに添加され得る。代替的または追加的に使用され得る他の溶媒は、油またはヘキサン、オクタノール、グリセロールを含有する炭化水素溶液、例えば約0.5~約20%(v/v)の濃度のイソプロパノール、メタノール、およびエタノールを含む希釈アルコールを含有する溶媒混合物を含む。これらは、水酸化アンモニウム、水酸化ナトリウム、塩酸および硝酸を含むがこれらに限定されない、有機または無機の酸または塩基を含有し得る。水および/または他の溶媒は、ベッセルBに残ったコンタミナントを再溶解および/または希釈し得る。いくつかの実施形態では、システムは、このプロセスを促進するように、攪拌または振盪装置を備え得る。
【0082】
コンタミナントが水および/または他の溶媒に溶解すると、コンタミナントを含有する水および/または他の溶媒は、矢印2によって示されるように、ベッセルCに移送され得る。ベッセルCは、プレコーティングされた破壊ベッセルであり得る。コーティングとしては、オクタン酸などの脂質、または他の非フッ素化界面活性剤が挙げられ得るが、これらに限定されない。ベッセルCは、使用される破壊方法に応じて、様々な様式で設定され得る。例えば、ベッセルCは、局所的に適用されるエネルギーの供給源を利用する様々な破壊方法に対応するように構成され得る。使用され得る局所的に適用されるエネルギーの例としては、超音波誘発キャビテーション、超臨界水酸化を誘発するための温度および圧力の変更、レーザーアブレーション、光触媒、電気化学、プラズマおよび/またはバイオレメディエーションのような代替機構が挙げられるが、これらに限定されない。
【0083】
ベッセルCと同様に、システムで使用されるすべての他のベッセルまたは機器のいずれかは、様々な実施形態では、任意選択的にプレコーティングされ得る。いくつかの実施形態では、コーティングは、格納ベッセルおよび他の機器の壁へのペル-およびポリフルオロアルキル物質の付着を防止するための、例えば格納、ベッセル、ガラス製品、プラスチック製品などの内面上の長鎖分子のコーティングであり得る。長鎖分子は、長鎖の有機分子であり得る。いくつかの実施形態では、長鎖の有機分子は、長い脂肪族有機酸であり得る。いくつかの実施形態では、それは長い脂肪族有機アルコールであり得る。他の実施形態では、それは分枝鎖の有機酸であり得る。さらに他の実施形態では、それは分枝鎖の有機アルコールであり得る。
【0084】
様々な実施形態で使用され得る破壊の1つの方法は、PFASの破壊に使用され得る超音波誘発キャビテーションを含む。そのような実施形態では、溶解したPFASを含有する水および/または他の溶媒は、約200~約10,000kHzの周波数で超音波に供され得る。過酸化物、過硫酸塩、硝酸塩、金属/金属酸化物およびナノ粒子を含むがこれらに限定されない追加の化学添加剤を添加してもよい。この方法は、炭素-フッ素結合の開裂を介して、PFOSおよびPFOAを>90%のレベルまで効果的に破壊することが実証されている。
【0085】
他の実施形態では、UV照射を使用して、PFASなどのコンタミナントを破壊し得る。そのような実施形態では、溶解したPFASを含有する水および/または他の溶媒は、約150~約400nmの波長範囲で約2時間~約72時間などの期間にわたって紫外線照射に供され得る。ラジカル発生過酸化物、過硫酸塩、硝酸塩、金属/金属酸化物、ならびに鉄、酸化鉄、および二酸化チタンなどのナノ粒子、ならびにメタノールおよびイソプロパノールを含むラジカルスカベンジング添加剤を含むがこれらに限定されない追加の化学添加剤を添加してもよい。この方法論を使用して、PFASの最大75%が脱フッ素化され得る。
【0086】
ベッセルC中のコンタミナントの濃度は、連続的または断続的にモニターされ得る。例えば、ベッセルCは、破壊プロセスをモニターするためのサンプリングポートを備え得る。
【0087】
ベッセルC中で破壊が所望のレベルに達すると、最終産物は、任意選択的に、矢印3によって示されるように、収着剤を含み得るベッセルDに移送され得る。ベッセルCの産物は、排出前にベッセルD中の収着剤を通り得る。残っている任意のコンタミナントを吸収した後、ベッセルD中の収着剤はベッセルAに移送され得る。あるいは、ベッセルCからの産物は、1回または複数回の追加サイクルで、矢印5によって示されるようにベッセルBに戻され得る。これは、初期処理がPFASを所望のレベルまで脱フッ素化せず、別のサイクルが必要であると判定された場合に行われ得る。例えば、一実施形態では、初期処理がPFASのすべてを脱フッ素化しなかった場合、別のサイクルが必要となり得る。完了すると、ベッセルDからの産物は排出され得、ベッセルD中の収着剤は、矢印6によって示されるようにベッセルAから開始するプロセスを再度経ることによってリサイクルされ得る。
【0088】
図4は、収着剤からのコンタミナントの脱着およびコンタミナントの破壊のための代替システムを示す。システムは、この実施形態ではベッセルBがボイラーの代わりに濃縮器であることを除いて、
図3に示すものと同様である。この実施形態では、濃縮器は、例えば、コンタミナントを濃縮し、それらを溶媒から分離するために、逆浸透、透析、および/またはフォーム分画を使用し得る。次いで、濃縮されたコンタミナントは、破壊ベッセルC中で破壊され得、分離された溶媒は、追加の浄化後などに再使用されてもよく、または処分されてもよい。
【0089】
図5は、収着剤からのコンタミナントの脱着およびコンタミナントの破壊のための別の代替システムを示す。このシステムは、
図3および
図4のそれと同様であるが、それらの例においてベッセルBとして示されているベッセル(それぞれボイラーまたは濃縮器ベッセルであった)を省略している。この実施形態では、いかなる供給源からの溶液中のコンタミナントも、ボイラーまたは濃縮器が不要であるほど十分に高い濃度で既に存在する。例えば、このシステムは、コンタミナントが1リットルあたり約1ミリグラムを超える濃度で存在する場合、溶液に対して使用され得る。この溶液は、他の例(そこではベッセルCであった)に記載されているように、この例では破壊ベッセルであるベッセルBに直接導入され得る。破壊後、溶液は、矢印2によって示されるように、収着剤床を含むベッセルCに進み得る。あるいは、ベッセルB中での破壊後、例えば、追加の破壊処理が所望または必要な場合、溶液は、任意選択的に、矢印3によって示されるようにベッセルAに逆戻しされ得る。溶液がベッセルCを通り、収着剤を十分に負荷した後、使用済み収着剤は、任意選択的に、
図3および
図4に示すものように、プロセスの脱着ベッセル中で処理されてもよい。
【0090】
図6は、本明細書に記載の脱着および破壊システムのいずれかにおいて使用され得るコンタミナントの破壊のための、代替の無毒化システムを示す。このシステムは、1つの無毒化ベッセル中で2つの破壊方法、具体的にはUV光触媒および音響キャビテーションを組み合わせることを除いて、
図3および
図4に示す無毒化システムと同様である。他の構成も可能であるが、無毒化ベッセルは、ベッセル内部にミキサと共に示されている紫外光源と、ベッセルの底部にあり、電源と連通する音響キャビテーション変換器とを備える。2つの無毒化プロセスは、同時に、または順次行われてもよい。
【0091】
図7は、様々な実施形態による汚染物質濃縮システムの別の例を図示する。このシステムは、その中に溶媒が保管されるベッセルAとして識別される溶媒タンクを含む。ポンプは、溶媒を、収着剤を含むベッセルBとして識別される材料カラムに移送して、結合した汚染物質を脱着させる。他の構成も可能であるが、示された材料カラムはまた、上部に溶媒のための第1の入口、水、リンス溶液、または他の材料のための第2の入口、ならびに下部にフィルタプレートおよび出口を備える。水またはリンス溶液のための第2の入口は、収着剤のすすぎを可能にする。汚染物質を収着剤から放出した後、溶媒リンセートは次いで、ベッセルCとして識別されるロータリーエバポレータに流入し、そこで溶媒は熱および機械的作用によって蒸発する。次いで、蒸発した溶媒は、冷却器を備えた凝縮コイルを通り再凝縮され、次いでベッセルA、溶媒タンクに戻る。ベッセルCは、エバポレータに流入する溶媒リンセートのための第1の入口、および試薬、破壊溶液、水、または他の材料のための第2の入口を備える。例えば、ロータリーエバポレータへの第2の入口は、濃縮物への汚染物質の再懸濁を可能にする。
【0092】
本明細書に記載の方法およびシステムは、収着剤の活性化、汚染物質の捕捉、汚染物質の脱着、汚染物質の濃縮、およびその後の汚染物質の破壊のための効率的な方法を提供する。例えば、いくつかの実施形態では、汚染物質の捕捉および破壊の方法は、有機汚染物質を捕捉する前に、極性プロトン性溶媒などの第1の溶媒を多孔質ポリマー材料に通して不純物を除去し、既存の官能基を遊離させることによって、多孔質ポリマー材料を浄化および活性化することを含む。多孔質ポリマーが浄化されて活性状態になると、次のステップは、浄化し活性化された多孔質ポリマーで少なくとも1種の有機汚染物質を捕捉することであり得る。次いで、少なくとも1種の捕捉された有機汚染物質は、第2の極性プロトン性溶媒などの第2の溶媒を多孔質ポリマーに通すことによって放出され得る。多孔質ポリマーの浄化および活性化に使用される第1の溶媒は、捕捉された有機汚染物質を多孔質ポリマーから放出させるために使用される第2の溶媒と同じであってもよく、または異なっていてもよい。次いで、放出された少なくとも1種の捕捉された有機汚染物質を含有する第2の溶媒を蒸発させて、少なくとも1種の有機汚染物質を濃縮し得る。次いで、濃縮された少なくとも1種の捕捉された有機汚染物質は、本明細書に記載の方法の1つを使用することなどによって破壊され得る。
【0093】
システムは、収着剤媒体からのPFAS、有機染料、および農薬などの有機環境汚染物質を含む様々なコンタミナントを破壊するための完全で汎用的かつ効率的な様式を提供する。収着剤の環境レメディエーションのためのエンド・オブ・ライフの解決策として、システムは二次コンタミネーションを回避する。さらに、システムは、有害な廃棄物を削減または排除するために溶媒を回収および再使用し得る。設計により、モジュールベースのシステムは、既存の施設に容易に適合するか、または特定のニーズを満たすことができる。様々な溶媒、添加剤、および他の構成要素が記載されているが、本開示は、具体的に特定されたものに限定されない。様々な化合物、化合物の組合せ、および様々な濃度の溶液を含む他の浄化溶液は、本発明の趣旨および範囲内である。例えば、いくつかの実施形態では、極性有機溶媒と塩基との組合せが使用され得る。使用され得るいくつかの溶媒としては、イソプロピルアルコール、エタノール、アセトン、およびアセトニトリルが挙げられるが、これらに限定されない。使用され得るいくつかの塩基としては、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化アンモニウムが挙げられるが、これらに限定されない。しかしながら、他の溶媒および/または塩基を使用してもよいことが認識されるべきである。
【0094】
例は、様々な実施形態に含まれ得る2つのエンド・オブ・ライフの選択肢を可能にするために、収着剤にとってどのような脱収着が重要であるかを示している。収着剤は再生して再使用され得る。さらに、PFASなどのコンタミナントは、破壊などの後処理および処分のために濃縮され得る。このプロセスは、超音波処理、熱処理、およびプラズマ処理など、サイズおよびスケールに関して他の点で制限されているエンド・オブ・ライフの脱フッ素化および分解手順を可能にする。効率的な収着およびその後の脱収着により、PFAS化合物などのコンタミナントは捕捉され、小体積の液体廃棄物のストリームに濃縮され得る。これらの小体積のストリームは、上述の方法によって処理するのがはるかに容易である。
【0095】
ポリウレタンおよびナイロンのような材料の機械的および化学的特性は、それらを収着および抽出プロセスの両方に対して理想的なものにする。第1に、これらの材料は、非常に機械的に堅牢であり、それらの構造的完全性を失うことなく混合および圧縮に耐えることができる。化学的には、これらの材料は、有機溶媒の存在下および高pH条件で安定であり、これらの両方は完全な抽出に必要である。
【0096】
本明細書に記載の様々な実施形態は、多くの他に負けない利点を提供する。例えば、より速い流速のために、活性炭に対して必要な大きな施設と比較して、より小さな処理システムを使用することができる。新しい収着剤技術の高い負荷容量のために、材料のタンノーバーが少なくなり得る。活性炭を他のシステムによって使用する場合、それを焼却によって処分する場合があり、これは短鎖PFASを生成することによって二次汚染を引き起こす可能性がある。対照的に、本明細書に記載の様々な方法によれば、ポリウレタンなどの収着剤を使用してPFASを回収し、音響キャビテーションなどによって脱フッ素化すると、有害な副産物を生成しない。
【0097】
実験:
【0098】
以下の例では、例示的な多孔質ポリウレタンナノコンポジットを、標的PFAS化合物の添加前後に分析した。典型的なセットアップでは、多孔質ポリウレタンナノコンポジットを、直径0.25~3cmの間のサイズ範囲を有する片(1cmが理想的なサイズ)に細断する。これらの片をカラムにしっかりと圧縮し、1~20分間の接触時間(10分間が理想的な接触時間)を可能にするような様式で水をこのカラムに流入させる。ブレークスルー試験のために、100ppbのPFOAの濃度を使用した。
【0099】
例1
【0100】
PFOAを用いた処理の前後のポリウレタン支持体材料に対して、フーリエ変換赤外分析を行った。結果を
図8に示す。収着剤上のPFOAの存在を示すC-F結合に特徴的なピークは、ラベルが付されている。
図9は、ウレタン骨格の一般構造を示す。
【0101】
FTIR分析は、PFAS化合物と、アルコールおよびウレタン基に存在する酸素、メチル官能基およびポリウレタン支持体のウレタン官能基に存在する炭素との間の静電相互作用を示した。C-F結合について特徴的なピークが観察されたので、FTIR分析により、PFAS化合物の収着も確認した。
【0102】
例2
【0103】
ポリウレタンフォームの支持体材料を使用して、接触角の測定を行った。接触角は140±5度であった。疎水性表面を
図10の画像に示す。
【0104】
例3
【0105】
PFOAおよびPFOSを、標的濃度の関数として多孔質ポリウレタンナノコンポジットから除去した。得られたグラフをラングミュア等温線モデルに適合させて、表2に報告されるように、ポリウレタン材料の最大理論「負荷容量」を予測した。
【表2】
【0106】
結果を
図11a~
図11cに示す。
図11aは、例示的な活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットに対してラングミュア等温線フィッティングを用いたPFOAおよびPFOSの負荷容量を示す。
図11bは、Zhang,D.Q.、W.L.Zhang、およびY.N.Liangの“Adsorption of perfluoroalkyl and polyfluoroalkyl substances(PFASs)from aqueous solution-A review.”Science of The Total Environment 694(2019):133606によって報告された他の利用可能な技術からの測定値を用いて、イオン交換樹脂、活性炭および金属有機構造体(MOF)を含む他の利用可能な技術と比較した、活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットの計算された負荷容量を示す。
図11cは、PFOAおよびPFOSに対する実験的収着の動力学的データを示す。
【0107】
活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットと比較した、粒状活性炭の報告された負荷容量の比較を表3に示す。
【表3】
【0108】
例4
【0109】
1008mlのベッドボリュームを有する粒状活性炭と、1950mlのベッドボリュームを有する活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットとを比較して、ブレークスルー曲線を作成した。粒状活性炭に対しては、100ppbの流入濃度および10分のEBCTを使用した一方、活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットに対しては2分のEBCTを使用した。結果は
図12に示され、ブレークスルー曲線は、ベッドボリュームで表される時間の関数として、活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットおよび粒状活性炭(GAC)の流入および流出PFOAの濃度比を示す。この図は、市販の粒状活性炭(GAC)と比較して、活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットの高い性能を示す。粒状活性炭を用いる場合、PFOAの80%がブレークスルーし、およそ175時間で捕捉されない。比較すると、ポリウレタンを用いる場合、325時間のブレークスルーは10%未満である。
【0110】
例5
【0111】
活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットを95%メタノールおよび5%アンモニウムですすぎ、ポリウレタンの「活性化」を達成した。この活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットを、同じ材料であるが活性化処理を行わなかった「非活性化」多孔質ポリウレタンナノコンポジットと比較した。2つの材料を使用して、PFOS水溶液からPFOSを除去した。結果を
図13に示す。「非活性化」多孔質ポリウレタンナノコンポジットは、約285pptの元の濃度の元の試薬水から49.9%のPFOSを除去した(
図13)。活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットは、元の試薬水から84.3%のPFOSを除去した。
【0112】
例6
0.08~0.09gの範囲の活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットの小片を、20mLの水中約100パーツ・パー・ビリオン(ppb)のPFOAおよびPFOSを用いて、シェーカーに10分間加えた。脱収着を、フォームを収集し、20mLの96%メタノールに5分間浸すことによって行った。結果を表4に示す。
【表4】
【0113】
結果は、80%を超えるPFOAおよび97%を超えるPFOSを、このようにして回収し得ることを示す。これにより、様々な実施形態による後処理および処分のための、脱収着収着剤の再生および再使用、ならびにPFASの濃縮が可能になる。
【0114】
例6
【0115】
この例では、フリーラジカル発生剤である過硫酸ナトリウムを使用して、PFASの分解を行った。水中の濃縮された体積のPFAS化合物を、ポリプロピレンボトル内に入れ、超音波発生反応器チャンバ(Meinhardt Ultrasonics)に浸した。過硫酸ナトリウム(1.25g/L)をPFAS化合物の溶液に添加した。次いで、この混合物を、パルスモード下、862kHzの周波数で60分間の超音波処理によって音響キャビテーションに曝し、それによって試料を100msオンおよび100msオフで断続的に処理した。試料の温度を、摂氏25度~摂氏40度の間に維持した。あるいは、高周波数(600kHz~1000kHz)および低周波数(200kHz~600kHz)の間を短期間内で交互に繰り返すことによるスイープモードを、超音波処理に使用することができる。例えば、1000ms以内に862kHzおよび358kHzの間の周波数スイープが手順に使用され得る。結果を表5に示す。
【0116】
【0117】
例7
【0118】
PFAS容器および格納ベッセルのコーティング。脱フッ素化処理ベッセルの壁へのPFAS損失を防ぐために、長鎖の有機酸のコーティングがアルミニウム反応器ベッセルに適しているかどうかを判定する実験を実施した。高度に濃縮されたPFASの廃棄物を取り扱う場合、反応器の壁への損失が効率を劇的に低下させ、欠陥のある研究をもたらす可能性があるため、反応器にコーティングを適用することは極めて重要であり得る。簡潔には、0.2%(v/v)ヘキサン酸の水溶液を作製し、ベッセルに加えた。ベッセルを超音波発生器に加え、超音波処理を200から300kHz~800から900kHzのスイープ周波数で40~120分間適用した。超音波処理が完了したら、有機酸溶液をベッセルから取り出し、ヘキサン酸の安定な層をベッセルの表面に観察した。次いで、PFOSの高度に濃縮された溶液を、コーティングされたベッセルに添加した。インキュベーション期間後、濃縮されたPFOS溶液を回収し、LC/MS/MSによって分析した。表6は、PFOSの濃縮された溶液についての反応器の壁への材料損失を示す。有機酸の単純な添加により、PFAS損失を劇的に低減することができる。
【表6】
【0119】
例8
【0120】
様々な実施形態で使用され得る破壊の1つの方法は、PFASの破壊に使用され得る超音波誘発キャビテーションを含む。溶解したPFASを含有する水を864kHzの周波数で超音波に供した。これは、ヘキサン酸でコーティングされた50mLのアルミニウムボトルに既知の濃度のPFASを入れることによって達成した。このボトルを超音波変換器に接続された水浴に浸漬し、864kHzで3時間超音波処理した。結果は表6に示され、これは、超音波処理がPFASの破壊のためのキャビテーションを誘発したことを示す。超音波処理の使用により、炭素-フッ素結合の開裂を介して、PFOSおよびPFOAを>90%のレベルまで効果的に破壊した。
【0121】
【0122】
例9
【0123】
この例では、アミン官能基を、本明細書でアミノ化と称されるプロセスで収着剤材料に導入した。この場合、ポリウレタンフォームを使用した。(3-アミノプロピル)トリエトキシシラン(APTES)などの一端にシラン含有リンカー分子を有するアミン含有ポリマーをフォームに導入した。ある場合では、アミン含有ポリマーを、未加工ポリウレタンの直接処理によってフォームに導入した。別の場合では、アミン処理したポリマーを、ポリウレタンに直接結合した鉄ナノ材料の表面処理によって形態に導入した。簡潔には、ポリウレタンを、アミノ化したシランの水溶液に30分間添加した。取り出したら、飽和ポリウレタンを取り出し、室温で12時間乾燥させた。このプロセスによって、シランリンカーは、ナノ粒子表面およびポリウレタンまたは他の支持体のカルボニルもしくはアルコール基に結合すると予想される(
図14)。
【0124】
鉄ナノ材料およびアミンポリマーを含む収着剤材料をシリンジに入れ、環境廃水を繰り返し吸引し押し込んで、短鎖のPFAS化合物、特にペルフルオロブタン酸(PFBA)およびペルフルオロブタンスルホン酸(PFBS)の捕捉を評価した。未加工ポリウレタン、鉄ナノ粒子を含まないアミノ化ポリウレタン、および上記のように作製されたナノ粒子を含むアミノ化ポリウレタンを使用して手順を繰り返した。この実験は、この材料のアミノ化がPFBAおよびPFBSの除去を改善することを実証した(表7)。
【表8】
【0125】
例10
【0126】
0.08~0.1gの範囲のナイロン繊維シートの小片を、20mLの水中10~15パーツ・パー・ビリオン(ppb)のPFOAおよびPFOSを用いて、シェーカーに24時間加えた。比較のために、ナイロン繊維の代わりにシェーカー中に活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットの小片を使用して、同じ手順を行った。結果は、
図15として提示されている棒グラフに示されており、PFOAおよびPROSの捕捉を含む、各収着剤のPFAS捕捉パーセプトを示す。理解され得るように、
図15に示されるように、97%を超えるPFOAおよびPFOSを除去するという点で、ナイロンは活性化された多孔質ポリウレタンナノコンポジットと同様の収着を示した。
【0127】
例11
【0128】
様々な実施形態で使用され得る破壊の1つの方法は、本明細書でUV光触媒と称される紫外光によって励起された触媒の使用による炭素フッ素結合の開裂を含む。この例では、PFAS、具体的には10~15パーツ・パー・ミリオン(ppm)の濃度のペルフルオロブタン酸(PFBA)を、還元剤(例えば、ヨウ化カリウム)を含む50mLの石英試験管に無酸素環境下で添加した。紫外光を、波長254nmで2時間、この試料に導入した。この試験は、液体クロマトグラフィー質量分析によって測定した場合、>99.0%のPFBAの破壊をもたらした。
【0129】
例12
【0130】
別の例では、破壊、炭素フッ素結合の開裂を、UV光触媒を使用して達成した。PFAS、具体的には10~15パーツ・パー・ミリオン(ppm)の濃度のPFOSを、還元剤を含む50mLの石英試験管に無酸素環境下で添加した。紫外光を、波長254nmで2時間、この試料に導入した。結果を以下の表8に示す。破壊は、液体クロマトグラフィー質量分析(LC-MS)によってPFOSの初期濃度対最終濃度を求めることによって測定した。脱フッ素化、炭素フッ素結合の開裂を測定するために、試料を全有機フッ素分析に送り、処理前後の全PFASを測定した。これらの2つの方法をタンデムで使用して、プロセスの全脱フッ素化効率は約80%近くであることを求めた。
【表9】
【0131】
本明細書で使用される場合、「実質的に」または「一般的に」という用語は、作用、特徴、特性、状態、構造、項目、または結果の完全またはほぼ完全な程度または度合いを指す。例えば、「実質的に」または「一般的に」に含まれている物体は、物体が完全に含まれているか、またはほぼ完全に含まれていることのいずれかを意味する。絶対的完全性からの正確な許容可能な逸脱度は、場合によって、具体的な状況に依存し得る。しかしながら、完了の近さは、あたかも絶対的および完全な完了が得られたかのように、一般的には全体的に同じ結果を有するようになる。「実質的に」または「一般的に」の使用は、作用、特徴、特性、状態、構造、項目、または結果の完全またはほぼ完全な欠如を指す否定的な意味合いで使用される場合にも等しく適用可能である。例えば、要素を「実質的に含まない」または「一般的に含まない」という要素、組合せ、実施形態または組成物は、その有意な効果がない限りにおいて、そのような要素を実際に尚も含んでもよい。
【0132】
上記の説明では、例示および説明の目的で本発明の様々な実施形態が提示されている。それらは網羅的であること、または本発明を開示された正確な形態に限定することを意図するものではない。上記の教示に照らして、明らかな修正または変形が可能である。実施形態は、本発明の原理およびその実際の適用の例示を提供し、当業者が本発明を様々な実施形態において、企図される特定の使用に適した様々な修正を加えて利用することを可能にするために選択および説明された。すべてのそのような修正および変形は、それらが公正に、法的に、および公平に権利を与えられる範囲に従って解釈される場合、添付の特許請求の範囲によって決定される本発明の範囲内である。
【国際調査報告】