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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】超音波糸接合
(51)【国際特許分類】
   B29C 65/08 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
B29C65/08
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562664
(86)(22)【出願日】2022-04-07
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2022059213
(87)【国際公開番号】W WO2022218797
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】21168237.2
(32)【優先日】2021-04-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】514184278
【氏名又は名称】バイエル・オーイュー
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【弁理士】
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【弁理士】
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【弁理士】
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【弁理士】
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【弁理士】
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【弁理士】
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】テデル,タイナ
(72)【発明者】
【氏名】ミコネン,ヨーナス
(72)【発明者】
【氏名】トイリレ,アンティ
(72)【発明者】
【氏名】リスキ,ヤリ
(72)【発明者】
【氏名】ペララ,ペトリ
(72)【発明者】
【氏名】リティカイネン,ヘイキ
(72)【発明者】
【氏名】モイサラ,エスコ
(72)【発明者】
【氏名】ポジョラ,ユウソ
(72)【発明者】
【氏名】ロワン,ヨルマ
【テーマコード(参考)】
4F211
【Fターム(参考)】
4F211AC02
4F211AD16
4F211AH63
4F211TA01
4F211TC12
4F211TN23
4F211TQ05
(57)【要約】
本発明の一態様によれば、子宮内システム(2)の除去糸(1)を超音波接合するための装置が提供される。前記装置は、接合開先(4)を備える接合治具(3)であって、前記接合開先が、長さLg、幅Wgおよび深さDgならびに凹形状を有する底部(5)を備える接合治具を備える。前記装置5は、Lgの150~200%である長さLs、Wgの80~98%であるソノトロードの接合先端部(7)の幅Wsおよび深さDsを有するソノトロード(6)をさらに備える。さらに、前記ソノトロードの接合先端部は、凹形状を有する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
子宮内システム(2)の除去糸(1)を超音波接合するための装置であって、
- 接合開先(4)を備える接合治具(3)であって、前記接合開先が、長さLg、幅Wgおよび深さDgならびに凹形状を有する底部(5)を有する接合治具と、
- Lgの150~220%である長さLs、Wgの80~98%であるソノトロードの接合先端部(7)の幅Wsおよび深さDsを有するソノトロードと
を備え、ここで、前記ソノトロードの接合先端部が、凹形状を有する、前記装置。
【請求項2】
前記接合開先(4)の底部(5)の凹形状が、0.1~0.2mmの曲率半径を有する、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記接合先端部(7)の凹形状が、0.1~0.2mmの曲率半径を有する、請求項1または2に記載の装置。
【請求項4】
前記長さLgが、2.5~20mmである、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項5】
前記幅Wgが、接合される前記糸(1)の最大断面寸法と本質的に同一である、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項6】
前記幅Wgが、0.25~0.5mmである、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記深さDgが、接合される前記糸(1)の最大断面寸法の2倍よりも大きい、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項8】
前記深さDgが、0.5~1.5mmである、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記長さLsが、Lgの180~210%である、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項10】
前記幅Wsが、幅Wgの84~98%である、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項11】
前記ソノトロード(6)が、チタンまたは析出硬化アルミニウムでできている、先行する請求項のいずれか一項に記載の装置。
【請求項12】
請求項1~11のいずれかに記載の装置を用いた子宮内システム(2)の除去糸(1)の超音波接合方法であって、
- 第1の糸条(1)を接合開先(4)の底部(5)に、その長さに沿って配置するステップと;
- 第2の糸条を接合開先内の第1の糸条の上に、その長さに沿って配置するステップと;
- 接合先端部(7)を接合開先内の前記第2の糸条の上にその長さに沿って配置するステップと;および
- 第1および第2の糸条を一緒に接合するステップと
を含む、前記方法。
【請求項13】
システム圧力が、1.6~2.4バールである、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
超音波エネルギーが、0.5~1.5Wsである、請求項11または12に記載の方法。
【請求項15】
請求項12に記載の方法を用いて取り付けられた除去糸(1)を備えた子宮内システム(2)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
分野
本発明は、子宮内システムの除去糸を超音波接合するための装置、並びに子宮内システムの除去糸を超音波接合するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
背景と目的
子宮内システム(IUS)は、典型的には本体と、本体上に配置された銅ばねまたは避妊化合物を含む容器のいずれかを備える。それらはまた、IUSが子宮内に配置されると子宮から突出するのに十分な長さの除去糸を備える。したがって、除去糸は、IUSがその使用時間の終わりに達するか、または何らかの他の理由で除去される必要がある場合に、IUSを引き出すために使用される。さらに、除去糸は、典型的には保管、輸送、および挿入手順中に挿入器内にIUSを保持するために使用される。
【0003】
典型的には、除去糸が、例えばWO2012/107464に開示されているように、結節によってIUSの本体に取り付けられる。しかしながら、IUSが挿入器を使用して子宮内に配置され、典型的には挿入器が子宮頸部を通過するので、患者の快適性のために、より小さい直径を有するIUSおよびその挿入器の両方を提供する必要がある。
【0004】
超音波接合自体は公知の技術であり、多くの産業用途で使用されている。それは、固相接合法を作り出すために、圧力下で一緒に保持されているアイテムに局所的に適用される高周波超音波音響振動に基づく。これは、一般に、プラスチックおよび金属のために、特に、異なる材料を接合するために使用される。
【発明の概要】
【0005】
上記の欠点に鑑みて、本開示の目的は、IUSの断面寸法を増大させない信頼性のある取り付け部をもたらす、除去糸をIUSに取り付けるための装置および方法を提供することである。有利なことに、この方法はまた高速であり、少なくとも既知の結節プロセスよりも高速である。さらなる目的は、子宮組織の機械的刺激を引き起こさない除去糸を提供することである。
【0006】
本発明は、独立請求項の特徴によって定義される。いくつかの特定の実施形態は、従属請求項において定義される。
【0007】
第1の態様によれば、
- 接合開先を備えた接合治具であって、前記接合開先が、長さLg、幅Wg、深さDgを有し、および凹形状の底面を有する接合治具と、
- Lgの150~220%である長さLs、Wgの80~98%であるソノトロードの接合先端部の幅Ws、および深さDsを有するソノトロードと
を備え、ここで、前記ソノトロードの接合先端部が凹形状を有する、子宮内システムの除去糸を超音波接合するための装置が提供される。
【0008】
第2の態様によれば、
- 接合開先の底部に、その長さに沿って第1の糸条を配置するステップと;
- 接合開先内の第1の糸条の上に、その長さに沿って第2の糸条を配置するステップと;
- 接合先端部を、接合開先内の第2の糸条の上にその長さに沿って配置するステップと;および
- 第1および第2の糸条を一緒に接合するステップと
を含む、上記装置を用いて子宮内システムの除去糸を超音波接合するための方法が提供される。
【0009】
第3の態様によれば、上記の装置によって調製された、上記の方法を使用して取り付けられた除去糸を備える子宮内システムが提供される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、本発明の一実施形態による超音波接合のための装置を示す。
図2図2は、使用のために準備されたときの図1の装置を示す。
図3図3は、使用中の図1の装置を示す。
図4図4は、一実施形態による接合開先およびソノトロードを示す。
図5図5は、別の実施形態によるソノトロードを示す。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、子宮内システムの除去糸を超音波接合するための装置に関し、この装置は
- 接合開先を有する接合治具であって、前記接合開先は、長さLg、幅Wg、深さDgおよび凹形状の底面を有する接合治具と、
- Lgの150~220%の長さLs、Wgの8098%であるソノトロードの接合先端部の幅Ws、および深さDsを有するソノトロードと
を備え、ここで、前記ソノトロードの接合先端部は凹形状を有する。
【0012】
したがって、除去糸をIUSに取り付けるための本発明の装置および方法は、楕円形などのわずかに丸みを帯びた形状を有し、除去糸の長さに沿って特定の長さを有する取り付け部をもたらす。したがって、この取り付け部は挿入器の内部で詰まる可能性が非常に低く、挿入器からのIUSの取り外しはスムーズである。超音波接合はまた、製造において糸を焼き切る危険性を低減し、結節よりも速い。超音波接合はまた、自動化がより容易であり、より信頼性の高い最終結果につながる。
【0013】
本発明の装置において、接合開先が接合中に除去糸の正確な位置決めを確実にするように設計される。この目的のために、接合開先の底部は凹形状を有し、好ましくは、第1の除去糸の下部がその中にぴったりと嵌合するような、すなわち、圧力が加えられたときに滑り落ちないような形状を本質的に有する。したがって、第2の除去糸が第1の除去糸の上部に配置され、ソノトロードの接合先端部が第2の除去糸に適用されるとき、2つの除去糸は、本質的に定位置に留まる。この目的のために、ソノトロードの接合先端部も凹形状を有し、好ましくは、本質的に、第2の除去糸の上部がその中にぴったりと嵌合するような形状を有し、すなわち、圧力が加えられたとき、ソノトロードが滑り落ちないような形状を有する。接合開先の幅は、好ましくは接合開先の壁に対する強制摩擦によってほつれずに接合開先内に配置され得るように、また、圧力がその上に加えられたときに、除去糸が転がったり、滑り落ちたりしないように、除去糸がその中に適合するように本質的になっている。したがって、目的は、2つの除去糸が接合中に互いに重なり合ったままであること、すなわち、接合開先の幅が、上側糸が下側糸に隣接して摺動または転動することを可能にしないように選択されることである。接合治具およびソノトロードのこれらの特徴は、結果として得られる超音波接合が可能な限り滑らかで均質であることを確実にし、したがって、除去糸のIUSへの強力で信頼性のある取り付け部をもたらす。
【0014】
ソノトロード、ひいてはその接合先端部は一定の圧力で除去糸に対して適用され、この圧力は得られる接合部の品質に影響を及ぼす。接合先端部は除去糸と接触しており、超音波エネルギーは、ソノトロードを振動させることによって生成される。これは、除去糸の材料の加熱につながり、2つの糸が一緒に接合されることにつながる。ソノトロードは、好ましくは接合継手が周囲温度まで冷却されるまで所定の位置に保持される。
【0015】
接合開先の底部は、除去糸の全体的な外観と著しく異ならない取り付け部を得るために凹状であり、すなわち、除去糸上に正方形または長方形の断面を有することは望ましくなく、むしろ丸みを帯びた断面を有することが望ましい。典型的には、得られた断面は、2つの糸が互いに上下に取り付けられるので、楕円形である。したがって、一実施形態によれば、接合開先の底部の凹形状は、0.1~0.2mmの曲率半径を有する。別の実施形態によれば、接合先端部の凹形状は、0.1~0.2mmの曲率半径を有する。最も典型的には、接合開先の底部の曲率半径が接合先端部の曲率半径と同一である。一実施形態において、これらの部分の両方の曲率半径は0.16mmである。これらの部分のそれぞれの曲率半径は、独立して、例えば0.1、0.11、0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17または0.18mmから0.12、0.13、0.14、0.15、0.16、0.17、0.18、0.19または0.2mmまでであり得る。湾曲部の高さは、例えば0.06mm(ここでは高さとは湾曲部の側部と湾曲部の底部とのレベルの距離の差を意味する)とすることができる。
【0016】
装置の寸法は、使用される除去糸に適し、所望の強度特性をもたらすように選択される。好適な寸法のいくつかの例を以下に示す。
【0017】
一実施形態によれば、接合治具の接合開先の長さLgは、2.5~20mmである。長さLgは、例えば、2.5、3、4、4.5、5、5.5、6、7、9、10、12、14または16mmから4、4.5、5、5.5、6、7、9、10、12、14、16、18または20mmまでであり得る。別の実施形態によれば、ソノトロードの長さLsは、Lgの180~210%である。ソノトロードの長さLsは例えば、Lgの150、155、160、165、170、175、180、185、190または200%から、160、165、170、175、180、185、190、195、200、205、210、215または220%までであり得る。実施形態によれば、ソノトロードの長さLsは、3.8-35mmである。長さLsは例えば、3.8、4、4.5、5、6、6.5、7、8、10、12、15、18、20または25mmから5、6、6.5、7、8、10、12、15、18、20、25、28、30、32または35mmまでであり得る。したがって、ソノトロードの長さLsは、接合治具の接合開先の長さLgよりも大きい。さらに別の実施形態によれば、ソノトロードの接合先端の長さは、例えば、4~30mm、例えば、6mmであり得る。
【0018】
一実施形態によれば、接合治具の接合開先の幅Wgは、接合される糸の最大断面寸法と本質的に同一である。接合開先の幅Wgは、当然、除去糸が(糸を損傷し得る)摩擦なしにその中に配置され得るようなものである必要がある。一実施形態によれば、幅Wgは0.25~0.5mmである。したがって、幅Wgは例えば、0.25、0.28、0.3、0.32、0.35、0.4または0.45mmから0.28、0.3、0.32、0、35、0.4、0.42、0.45または0.5mmまでとすることができる。さらなる実施形態によれば、ソノトロードの接合先端部の幅Wsは、接合開先の幅Wgの84~98%である。したがって、幅Wsは例えば、幅Wgの80、82、84、86、88、90、92、93、95または96%から、84、86、88、90、93、98、96、97または98%までであり得る。例えば、接合開先の幅Wgは、ソノトロードの接合先端部の幅Wsよりも0.01~0.05mm大きくすることができる。したがって、ソノトロードも接合開先内にぴったりと嵌合し、したがって、その凹状の接合先端部は、接合された糸のための上述の楕円形の断面形状の形成を可能にする。
【0019】
さらに別の実施形態によれば、接合開先の深さDgは、接合される糸の最大断面寸法の2倍よりも大きい。したがって、接合開先は、互いに接合される2つの糸の両方を収容するだけでなく、ソノトロードの少なくとも一部も収容するのに十分な深さである。深さDgは例えば、0.5~1.5mmとすることができる。したがって、深さDgは例えば、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2または1.3mmから0.7、0.8、0.9、1、1.1、1.2、1.3、1.4または1.5mmまでであり得る。
【0020】
ソノトロードは、好ましくはチタンまたは析出硬化アルミニウムなどの医療デバイスを製造するのに適した材料で作製される。一実施形態によれば、ソノトロードはチタン製である。ソノトロードは例えば、適切な材料のロッドを機械加工することによって製造することができる。ソノトロードは、典型的には超音波接合機への取り付けを可能にするアダプタまたは他の適切な部品も備える。しかしながら、上述の寸法に関して、ソノトロードは、実際の接合を行う、すなわち超音波エネルギーの下で振動する部品を意味すると理解される。
【0021】
装置は、ブースタおよび/またはコンバータなどの超音波接合装置のための典型的な機器を備える。超音波接合装置は典型的には市販の装置、例えば、Rinco Ultrasonics AGによって販売されている機械「Standard 50」である。
【0022】
第2の態様によれば:
- 接合開先の底部に、その長さに沿って第1の糸条を配置するステップと;
- 接合開先内の第1の糸条の上にその長さに沿って第2の糸条を配置するステップと;
- 接合先端部を、接合開先内の第2の糸条の上にその長さに沿って配置するステップと;および
- 第1および第2の糸条を一緒に接合するステップと
を含む、上記装置を用いて子宮内システムの除去糸を超音波接合するための方法が提供される。
【0023】
一実施形態によれば、本発明の方法はエネルギーモードで接合装置を使用し、一方、アフターパルス設定は、オンまたはオフのいずれかであり得る。アフターパルスがオンに設定されている場合、アフターパルス時間は、例えば100msに設定することができる。さらに、スロットルパラメータは、例えば4~10の設定に設定することができる。接合継ぎ目の長手方向の引張強度を高くするには、5~7の設定が好ましい。このパラメータは、接合先端部と接合対象物との間の力の蓄積速度、ひいては接合力の蓄積速度を調整する。100~1000msの保持時間、例えば300msを使用することができる。保持時間は、接合停止条件が満たされ、接合が停止した後に、ソノトロードによって接合される対象物に圧力を保持する時間である。接合装置がエネルギーモードで使用される場合、短時間隔で接合対象物によって吸収される瞬間的なパワーが加算される。超音波接合は、所定のトリガ圧力に達したときに開始される。超音波接合は、所定のトリガエネルギーレベルが達成されると停止する。
【0024】
システム圧力は例えば、1.4~3.0バール、好ましい範囲は、1.5~2.4バール、典型的には2.0バールであり得る。トリガ圧力は例えば、1.0~3.0バール、例えば、1.6バールとすることができる。好ましい範囲は、1.5~2.4バールである。したがって、システム圧力は、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2または2.5バールから1.6、1.8、2.0、2.2、2.5、2.8または3.0バールまでであり得る。トリガ圧力は例えば、1.0、1.2、1.4、1.6、1.8、2.0、2.2または2.5バールから1.4、1.6、1.8、2.0、2.2、2.5、2.8または3.0バールまでであり得る。トリガ圧力は典型的にはシステム圧力に対して設定され、実際的な理由から、システム圧力を超えないことが好ましい。超音波は、接合対象上の接合先端部の決定された接触力(例えば、空気圧シリンダ内の圧力差)が測定されるときに始動される。システム圧力は、この圧力差の目標値である。
【0025】
ソノトロードの振幅は、例えば75~100%とすることができる。好ましい範囲は、80~100%であり、使用されるエネルギーは0.3~3.0Wsであってもよい。使用される好ましいエネルギーは、0.5~1.5Wsの範囲である。たとえば、2.50のゲインでコンバータを使用する場合、Rinco Ultrasonics AGのStandard 50をVST 50アクチュエータとADG 70-100ジェネレータ(70kHzシステム)とともに使用すると、完全な絶対振幅範囲は12.75μmになる。このシステムでは、相対振幅は例えば、9.56~12.75μmの絶対振幅範囲に対応する、75~100%とすることができる。したがって、ソノトロードおよびコンバータのゲイン設定は共に、完全な絶対振幅範囲を決定する。超音波接合の異なるパラメータは、最終結果に影響を及ぼす。上記の情報に加えて、以下に示される具体例は、当業者が所与の糸材料および糸の厚さのための好適な条件を見出すことを可能にする。
【0026】
第3の態様によれば、上記の装置によって調製された、上記の方法を使用して取り付けられた除去糸を備える子宮内システムが提供される。子宮内システムは、本体の軸の周りに巻かれた銅ストリングを有するT字形の本体、または本体の周りに配置された治療的に活性な薬剤(複数可)を含有するカプセルを有するような、任意の公知のシステムであり得る。IUSの本体はまた、子宮内使用に適した任意の他の形態を有する可能性がある。同様に、IUSのために使用される材料は、当技術分野で知られている通りである。典型的には、IUSは、その近位端(すなわち、IUSが子宮内の所定の位置にあるときに子宮頸部管に最も近い端)にループを有し、そこに除去糸が取り付けられる。いくつかのIUSにおいて、除去糸は挿入前および挿入中にIUSの遠位端にあり、挿入の終わりにループを通してロックまで引っ張られ、それによって、除去糸は挿入後にIUSの近位端にある。
【0027】
除去糸は、そのような使用に適した任意の材料、典型的には医療グレードの熱可塑性ポリマーから作製することができる。いくつかの好適なポリマーは例えば、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレン(PE)、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリアミドPA、ポリ(フッ化ビニリデン)(PVDF)または熱可塑性ポリウレタン(TPU)である。使用するポリマーの水分含有量はかなり低くする必要があり、水分が多くなると減衰が大きくなり、接合性が低下する(ブリスタリングを発生する可能性があるため)。これは、少なくとも半結晶性ポリアミンおよび熱可塑性ポリウレタンに関連すると考えられる。
【0028】
以下の実験の部では、本発明をさらに説明するために、糸の接合の具体例および得られた取り付け部の強度を示す。
【実施例
【0029】
実験の部
直径0.27mmの本質的に円形の断面を有する、フィラメント押出用に設計されたポリプロピレンホモポリマー製の除去糸(例えば、IneosによるEltex MED 100-MG03)を用いて、接合実験を行った。0.24mmの直径を有する除去糸も試験した。除去糸の直径は、約±0.02mmで変化し得る。
【0030】
使用された超音波接合機は、「エネルギーモード(energy mode)」で(VST 50アクチュエータおよびADG 70-100ジェネレータを有する、Rinco Ultrasonics AGによるStandard 50)であり、これは、各接合動作に対して同じ量の接合エネルギーを保証する。接合エネルギーは0.5~1.5Wsで変化したが、振幅は製造者によってポリプロピレン材料に推奨された振幅の90%であった。大部分の実験(表1)において、超音波接合機の相対振幅セットは、90%であった。この値は、製造業者によってポリプロピレン材料に推奨される値であった。使用されるコンバータのゲイン値2.50では、これは11.47μmの絶対振幅に対応する。83%および86%の相対振幅も試験した(表1)。
【0031】
予備試験の間、この材料および構成について、より低い接合エネルギーは、糸が適切に一緒に溶融されず、したがって強度が低すぎることを意味し、一方、より高い接合エネルギーは、糸が過度に溶融され、接合部が変形され、接合部の周りにフィルム状の余分な部分を有することを意味することが観察された。これはより高い引裂強度をもたらしたが、より低い引張強度をもたらした。保持時間は一定の300msであり、周波数は69977Hzであった。接合治具の幅Wgおよびソノトロードの接合先端部の幅Wsは、ミリメートル単位で以下の表1に与えられる。
【0032】
試験に使用したトリガ圧は1.6バールで、ソノトロードの接合対象物への接触力を意味した。スロットル設定7を実験に使用し、アフターパルスは適用しなかった。所定のトリガ圧力が達成されると、接合プロセスが開始する。
【0033】
以下の表1において、システム圧力は、接合プロセス中にピストンの上側と下側との間で測定される目標圧力差である。この量は、接合すべき糸上の接合先端部の接触力に比例する。それをバールで示す。試験#1~7は、0.27mmの直径を有する糸を用いて実施し、試験#8および9は、0.24mmの直径を有する糸を用いて実施した。
【0034】
【表1】
【0035】
試験中、この材料および構成について、接合行程(welding travel)(すなわち、接合プロセス中に接合領域が圧縮される程度)は、実際には観察するのに最も有用な値であったことが観察された(行程は制御パラメータではなく、エネルギーモードで動作するときに制御パラメータとして直接設定することはできず、他の接合パラメータを設定することによって目標とすることができる)。接合行程が0.09~0.17mmである場合、接合強度との明確な相関は観察されなかったが、接合行程が0.09~0.13mmである場合、結果のわずかに良好な一貫性が観察された。この接合行程領域の外では、接合強度はより低かった。接合行程が小さすぎる場合、糸は適切に一緒に溶融されず、接合行程が長すぎる場合、糸は一緒に圧縮されすぎ、余分なフィルム状の物質が接合部の周りに形成され、および/または鋭い縁部が接合部の端部に形成され、接合部をより弱くすると考えられる。
【0036】
得られた接合部の引張強度を、ISO(ISO 7439:2015(en)、銅含有避妊用子宮内装置-要件および試験;試験はこの規格のように実施したが、Tフレームを使用しなかった)の手順の原理に従って試験した。上記の試験#1~#9の結果を、試験に応じて、1~90の平行試料についてのNにおける平均引張強度として以下の表2に示す。得られた接合部の視覚的品質も、1~4(1が最悪であり、4が最良である)のスケールで評価し、形成された場合のフィルム状の物質も考慮した(視覚的品質を低下させた)。
【0037】
【表2】
【0038】
より細い糸についてのより低い引張強度の結果は、接合領域における糸のより小さい接触面積と同様に、糸のより小さい直径によって生じると考えられる。
【0039】
接合された糸はまた、市販製品Kyleena(商標)で使用されるように、従来の結節(水夫結び;「オーバーハンドループ」)を使用してIUSに取り付けられた同じ糸材料と比較された。上記の試験#6による試料(平行試料の最大数、90)の引張強度は、平均21.19Nであり、標準偏差は、1.36であったが、糸が結節によって取り付けられた試料(48の平行試料)の引張強度は、21.36Nであり、標準偏差は、1.83であった。
【0040】
上記の実験と同様に、さらなる実験を行い、以下に記載する(表3)。
【0041】
以下に記載したすべての実験で、以下のパラメータは、一定であった(表3):
1) 糸:IneosによるEltex MED 100-MG03糸であり、直径0.27mmの本質的に円形の断面を有する。
2) Wg=0.32mm
3) Ws=0.30mm
4) 超音波接合機の相対振幅設定=90%
5) 保持時間=300ms
6) アフターパルス=100ms
【0042】
表3に示されるデータは、N(3または15)によって示されるサンプルの数から平均化される。
【0043】
【表3】
【0044】
当業者であれば、いくつかの簡単な試験を行うだけで、所与の糸材料に対する最適な接合条件を容易に定義できると考えられる。
【0045】
図面の詳細な説明
図1は、本発明の一実施形態による超音波接合のための装置を示し、接合治具3を示す。図は、本明細書で使用される高さH、幅W、および深さDの様々な方向を示す。図は各方向を一般的に示しているが、方向は接合治具およびソノトロードについて同じであることを理解されたい。
【0046】
図2は、図1の装置を示し、ここで、子宮内システム2およびその除去糸1が、除去糸1が接合治具の開先内に位置するように配置されている(図4により詳細に示される)。
【0047】
図3において、ソノトロード6が、除去糸1を互いに接合するために、ある長さに沿って除去糸1の上に配置されている。図3はまた、IUSおよび糸1を接合開先のみよりも長い距離で支持するために、接合治具3に接続して配置された支持要素3’を示す。
【0048】
図4は、一実施形態による接合開先4およびソノトロード6を示す。接合開先4は凹状の底部5を有し、すなわち、接合開先の底部は丸みを帯びている。理想的には、ここに示されるように、底部の凹形状は本質的に、第1の除去糸1がその中で最初にぴったり合うような形状である。第2の除去糸が第1の除去糸の上部に配置され、次にソノトロード6の接合先端部7が第2の除去糸の上部に適用される。この場合も、接合先端部7の形状は凹状であり、理想的には、除去糸の形状と本質的に同一である。同様に、この好ましい実施形態から分かるように、接合治具の幅Wsは、除去糸1の直径と本質的に同一である(つまり、この実施形態は、その断面が本質的に球形である)。
【0049】
図5は、別の実施形態によるソノトロード(6)を示す。図は、ソノトロードを接合機に取り付けるためのアダプタ(8)も示している。ソノトロードの接合先端部(7)は、側面図として示されている。
【0050】
開示される本発明の実施形態は、本明細書に開示される特定の構造、プロセスステップ、または材料に限定されず、当業者によって認識されるのであろうその均等物に拡張されることを理解されたい。また、本明細書で使用される用語は、特定の実施形態を説明する目的でのみ使用され、限定することを意図しないことも理解されたい。
【0051】
更に、記載される機能、構造、または特徴は、いずれの好適な方法で、一つ以上の実施形態において組み合わせることができる。本説明において、本発明の実施形態の完全な理解を提供するために、長さ、幅、形状などの例など、多数の具体的な詳細が提供される。
【0052】
「含む(to comprise)」および「含む(to include)」という動詞は本明細書において、記載されていない特徴の存在を排除することも要求することもない、オープンな制限として使用される。従属請求項に記載された特徴は特に明記しない限り、相互に自由に組み合わせることができる。さらに、本明細書全体を通して、「a」または「an」、すなわち単数形の使用は、複数形を排除しないことを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
【国際調査報告】