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特表2024-515612球脊髄性筋萎縮症(SBMA)の治療に有用な組成物
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】球脊髄性筋萎縮症(SBMA)の治療に有用な組成物
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/864 20060101AFI20240403BHJP
   C12N 7/01 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 35/76 20150101ALI20240403BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20240403BHJP
   A61P 21/00 20060101ALI20240403BHJP
   A61K 48/00 20060101ALI20240403BHJP
   C12N 15/113 20100101ALN20240403BHJP
【FI】
C12N15/864 100Z
C12N7/01 ZNA
A61K35/76
A61P25/00
A61P21/00
A61K48/00
C12N15/113 140Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562714
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-06
(86)【国際出願番号】 US2022024415
(87)【国際公開番号】W WO2022221276
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/293,505
(32)【優先日】2021-12-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/187,883
(32)【優先日】2021-05-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/173,885
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.LABRASOL
2.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】502409813
【氏名又は名称】ザ・トラステイーズ・オブ・ザ・ユニバーシテイ・オブ・ペンシルベニア
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウイルソン,ジェームス・エム
(72)【発明者】
【氏名】ヒンデラー,クリスチャン
(72)【発明者】
【氏名】ワークマン,アイリーン
【テーマコード(参考)】
4B065
4C084
4C087
【Fターム(参考)】
4B065AA95X
4B065AB01
4B065AC14
4B065BA01
4B065CA23
4B065CA44
4C084AA13
4C084MA56
4C084NA14
4C084ZA01
4C084ZA94
4C087AA01
4C087AA02
4C087BC83
4C087CA12
4C087MA56
4C087NA14
4C087ZA01
4C087ZA94
(57)【要約】
AAVカプシドと、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上の標的部位に結合する標的化配列を含む、少なくとも1つのヘアピン形成miRNAをコードする配列を含むベクターゲノムであって、miRNAがヒトアンドロゲン受容体の発現を阻害する、ベクターゲノムと、を有する組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)ベクターの投与を含む、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)の治療に有用な組成物が提供される。また、rAAVベクターを含有する組成物、及びrAAVベクターの投与を含む、患者においてSBMAを治療する方法も提供される。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベクターゲノムを中にパッケージングしたAAVhu68カプシドを含むアデノ随伴ウイルス(AAV)であって、前記ベクターゲノムが、対象における核酸配列の発現を指示する調節配列と作動可能に連結された、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上のmiRNA標的部位に結合する標的化配列を含む、少なくとも1つのヘアピン形成miRNAをコードする前記核酸配列を含む、発現カセットを含み、前記miRNAが、ヒトアンドロゲン受容体の発現を阻害し、前記発現カセットが、5’AAV ITR及び3’AAV ITRに隣接する、アデノ随伴ウイルス(AAV)。
【請求項2】
前記miRNA標的部位が、
a)GAA CTA CAT CAA GGA ACT CGA(配列番号1)、又は
b)CTA CAT CAA GGA ACT CGA TCG(配列番号27)を含む、請求項1に記載のAAV。
【請求項3】
前記miRNAコード配列が、TCG AGT TCC TTG ATG TAG TTC(配列番号2)の配列又は最大10個の置換を有する配列を含む、請求項1又は2に記載のAAV。
【請求項4】
前記miRNAコード配列が、CGA TCG AGT TCC TTG ATG TAG(配列番号3)の配列又は最大10個の置換を有する配列を含む、請求項1又は2に記載のAAV。
【請求項5】
前記miRNAコード配列が、配列番号4若しくは配列番号5、又は最大30個の置換を有する配列を含む、請求項1~4のいずれか一項に記載のAAV。
【請求項6】
前記miRNAコード配列が、配列番号11若しくは配列番号12、又は最大60個の置換を有する配列を含む、請求項1~5のいずれか一項に記載のAAV。
【請求項7】
前記調節配列が、プロモーター、イントロン、WPRE、及びポリAのうちの1つ以上を含む、請求項1~6のいずれか一項に記載のAAV。
【請求項8】
前記プロモーターが、CB7プロモーターである、請求項7に記載のAAV。
【請求項9】
前記調節配列が、WPREを含む、請求項7又は8に記載のAAV。
【請求項10】
前記調節配列が、イントロンを含む、請求項7~9のいずれか一項に記載のAAV。
【請求項11】
前記調節配列が、ウサギベータグロビンポリAを含む、請求項7~10のいずれか一項に記載のAAV。
【請求項12】
請求項1~11のいずれか一項に記載のAAVと、薬学的に許容される水性懸濁液体、賦形剤、及び/又は希釈剤と、を含む、医薬組成物。
【請求項13】
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)を有する対象を治療する方法であって、有効量の、請求項1~11のいずれか一項に記載のAAV、又は請求項12に記載の組成物を、それを必要とする対象に送達することを含む、方法。
【請求項14】
球脊髄性筋萎縮症(SBMA)を有する患者の治療のための、請求項1~11のいずれか一項に記載のAAV、又は請求項12若しくは25に記載の組成物の、使用。
【請求項15】
前記組成物が、1x1010GC/g脳質量~3.33x1011GC/g脳質量のrAAVの用量で髄腔内に投与されるように製剤化される、請求項13又は14に記載の方法又は使用。
【請求項16】
前記患者が、ヒト成人であり、1.44×1013~4.33×1014GCの用量の前記rAAVを投与される、請求項13~15のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項17】
前記rAAVが、脳室内送達を介して、又は実質内送達を介して、髄腔内に送達される、請求項13~16のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項18】
前記組成物が、大槽(大槽内)へのコンピュータ断層撮影(CT)ガイドによる後頭下注入を介して、単回用量として投与される、請求項13~17のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項19】
前記患者が、SBMAを有する、請求項13~18のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項20】
前記患者が、請求項1~11のいずれか一項に記載のAAV又は請求項12に記載の組成物を投与される、請求項13~19のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項21】
前記患者が、1×1010GC/g脳質量~3.33×1011GC/g脳質量の用量の前記rAAVを、髄腔内に投与される、請求項13~20のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項22】
前記患者が、ヒト成人であり、1.44×1013~4.33×1014GCの用量の前記rAAVを投与される、請求項13~21のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項23】
miRのコード配列を含む前記rAAVが、脳室内送達を介して、又は実質内送達を介して、髄腔内に送達される、請求項13~22のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項24】
前記rAAVが、大槽(大槽内)へのコンピュータ断層撮影(CT)ガイドによる後頭下注入を介して、単回用量として投与される、請求項13~23のいずれか一項に記載の方法又は使用。
【請求項25】
対象における核酸配列の発現を指示する調節配列と作動可能に連結された、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上のmiRNA標的部位に結合する標的化配列を含む、少なくとも1つのヘアピン形成miRNAをコードする前記核酸配列を含む、発現カセットであって、前記miRNAが、ヒトアンドロゲン受容体の発現を阻害し、前記発現カセットが、5’AAV ITR及び3’AAV ITRに隣接する、発現カセット。
【請求項26】
前記miRNA標的部位が、
a)GAA CTA CAT CAA GGA ACT CGA(配列番号1)、又は
b)CTA CAT CAA GGA ACT CGA TCG(配列番号27)を含む、請求項25に記載の発現カセット。
【請求項27】
前記miRNAコード配列が、TCG AGT TCC TTG ATG TAG TTC(配列番号2)の配列又は最大10個の置換を有する配列を含む、請求項25又は26に記載の発現カセット。
【請求項28】
前記miRNAコード配列が、CGA TCG AGT TCC TTG ATG TAG(配列番号3)の配列又は最大10個の置換を有する配列を含む、請求項25又は26に記載の発現カセット。
【請求項29】
前記調節配列が、プロモーター、イントロン、WPRE、及びポリAのうちの1つ以上を含む、請求項25~28のいずれか一項に記載の発現カセット。
【請求項30】
前記プロモーターが、CB7プロモーターである、請求項29に記載の発現カセット。
【請求項31】
前記調節配列が、WPREを含む、請求項29又は30に記載の発現カセット。
【請求項32】
前記調節配列が、イントロンを含む、請求項29~31のいずれか一項に記載の発現カセット。
【請求項33】
前記調節配列が、ウサギベータグロビンポリAを含む、請求項29~31のいずれか一項に記載の発現カセット。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
球脊髄性筋萎縮症(本明細書ではSBMA又はケネディ病と称される)は、アンドロゲン受容体(AR)のエクソン1内のポリグルタミン(CAG)伸長鎖によって引き起こされるX連鎖性の緩徐進行性運動ニューロン疾患である。この伸長は、アンドロゲンを介した毒性の活性化に起因して、ほぼ男性のみにおいて運動ニューロン変性を引き起こすARタンパク質の核凝集をもたらす。これまで、SBMAに対する有効な治療は承認されていない。ニューロン中のアンドロゲン受容体のノックダウンが有害作用をもたらすことは知られていないため、SBMA中のARレベルを低下させることは、疾患の治療のための魅力的な戦略である。
【0002】
パルボウイルスファミリーのメンバーであるアデノ随伴ウイルス(AAV)は、約4.7キロ塩基(kb)の長さの一本鎖直鎖DNA(ssDNA)ゲノムを有する小さな非エンベロープ性の正二十面体ウイルスである。野生型ゲノムは、DNA鎖の両端に逆位末端反復(ITR)、並びに2つのオープンリーディングフレーム(ORF)であるrep及びcapを含む。Repは、AAVの生活環に必要なrepタンパク質をコードする4つの重複遺伝子から構成され、capは、カプシドタンパク質の重複ヌクレオチド配列であるVP1、VP2、及びVP3を含有し、自己集合して二面体対称のカプシドを形成する。
【0003】
AAVは、このウイルスが精製されたアデノウイルスストック中の混入物として発見されたため、ディペンドウイルス属に割り当てられている。AAVの生活環には、感染後にAAVゲノムが宿主染色体に特異的に組み込まれる潜伏相と、アデノウイルス又は単純ヘルペスウイルスのいずれかの感染後に、組み込まれたゲノムが、その後に感染性ウイルスへと救出、複製、及びパッケージングされる感染相とが含まれる。非病原性、非分裂細胞を含む広範な宿主範囲の感染性、及び潜在的な部位特異的染色体組み込みの特性により、AAVは、遺伝子導入のための魅力的なツールとなる。
【0004】
望まれるのは、SBMAの治療のための治療薬である。
【発明の概要】
【0005】
SBMAに関連する症状の治療及び/又は低減を必要とするヒト患者において、それを行うために有用である、治療用の組換え(r)複製欠損アデノ随伴ウイルス(AAV)が提供される。rAAVは、望ましくは複製欠損性であり、運動ニューロンに対してアンドロゲン受容体を標的とするmiRNAを発現するベクターゲノムを担持する。
【0006】
一態様では、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上のmiRNA標的部位に結合し、ヒトアンドロゲン受容体の発現を阻害する標的化配列を含む、少なくとも1つのヘアピン形成miRNAをコードする核酸配列を含む、発現カセットが本明細書で提供される。コード配列は、対象における核酸配列の発現を指示する調節配列と作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、miRNA標的部位は、以下を含む:GAA CTA CAT CAA GGA ACT CGA(配列番号1)、又は配列番号1と比較して、1、2、3、4、若しくは5個の置換(若しくは切断)を有する配列。いくつかの実施形態では、miRNAコード配列は、TCG AGT TCC TTG ATG TAG TTC(配列番号2-3610標的化配列)の配列を含む。他の実施形態では、miRNAコード配列は、CGA TCG AGT TCC TTG ATG TAG(配列番号3-36
13標的化配列)の配列を含む。いくつかの実施形態では、miRNA標的化配列は、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上の標的部位との正確な相補性より少なく共有する。いくつかの実施形態では、miRNAコード配列は、a)TCG AGT TCC TTG
ATG TAG TTC(配列番号2-3610)、若しくは最大10個の置換を有する配列、又はb)CGA TCG AGT TCC TTG ATG TAG(配列番号3-3613)、若しくは最大10個の置換を有する配列の配列を含む。別の実施形態では、miRNAコード配列は、配列番号4(3610-64mer)、又は最大30個の置換を有する配列を含む。更に別の実施形態では、miRNAコード配列は、配列番号5(3613-64mer)、又は最大30個の置換を有する配列を含む。
【0007】
別の態様では、組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)が提供される。rAAVは、ベクターゲノムを中にパッケージングしたAAVカプシドを含み、ベクターゲノムは、5’AAV ITR及び3’AAV ITRに隣接する、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上のmiRNA標的部位に結合し、ヒトアンドロゲン受容体の発現を阻害する標的化配列を含む、少なくとも1つのヘアピン形成miRNAをコードする核酸配列を含む発現カセットを含む。いくつかの実施形態では、AAVカプシドは、AAV9、AAVhu68、AAV1、及びAAVrh91から選択される。いくつかの実施形態では、AAVカプシドは、AAVhu68である。
【0008】
更に別の態様では、対象における核酸配列の発現を指示する調節配列と作動可能に連結された、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上のmiRNA標的部位に結合する標的化配列を含む、少なくとも1つのヘアピン形成miRNAをコードする核酸配列を含み、miRNAが、ヒトアンドロゲン受容体の発現を阻害する、組成物が提供される。一実施形態では、組成物は、医薬組成物であり、薬学的に許容される水性懸濁液体、賦形剤、及び/又は希釈剤を含む。
【0009】
別の態様では、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)を有する対象を治療するための方法が提供される。本方法は、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上のmiRNA標的部位に結合し、ヒトアンドロゲン受容体の発現を阻害する標的化配列を含む、少なくとも1つのヘアピン形成miRNAをコードする核酸配列を含む、有効量の発現カセット、べクター、rAAV、又は組成物を、SBMAを有する対象に送達することを含む。一実施形態では、標的部位は、配列番号1の配列、又は、配列番号1と比較して、1、2、3、4、若しくは5個の置換(若しくは切断)を有する配列を有する。
【0010】
別の態様では、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)を有する患者の治療のための発現カセット、ベクター、rAAV、又は組成物の使用が提供される。発現カセット、ベクター、rAAV、又は組成物は、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上のmiRNA標的部位に結合し、ヒトアンドロゲン受容体の発現を阻害する標的化配列を含む、少なくとも1つのヘアピン形成miRNAをコードする核酸配列を含む。一実施形態では、標的部位は、配列番号1の配列、又は、配列番号1と比較して、1、2、3、4、若しくは5個の置換(若しくは切断)を有する配列を有する。
【0011】
別の態様では、球脊髄性筋萎縮症を有するヒト患者を治療する方法が提供される。本方法は、アデノ随伴ウイルスhu.68(AAVhu.68)のAAVカプシドを有する組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を中枢神経系(CNS)に送達することを含み、当該rAAVは、AAVカプシド中にパッケージングされたベクターゲノムを更に含み、当該ベクターゲノムは、AAV逆位末端反復と、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上の標的部位に結合する標的配列を含む、少なくとも1つのヘアピン形成miRNAをコードする核酸配列であって、miRNAが、ヒトアンドロゲン受容体の発現を阻害する、核酸配列と、miRNAの発現を指示する調節配列と、を含む。一実施形態では、miRNAは
、miR3610である。別の実施形態では、miRNAは、miR3163である。一実施形態では、患者は、1×1010GC/g脳質量~3.33×1011GC/g脳質量の用量のrAAVを、髄腔内に投与される。別の実施形態では、患者は、ヒト成人であり、1.44×1013~4.33×1014GCの用量のrAAVを投与される。別の実施形態では、miRコード配列を含むrAAVは、脳室内送達を介して、又は実質内送達を介して、髄腔内に送達される。別の実施形態では、rAAVは、大槽(大槽内)へのコンピュータ断層撮影(CT)ガイドによる後頭下注入を介して、単回用量として投与される。
【0012】
本発明のこれらの及び他の態様は、以下の本発明の詳細な説明から明らかなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1A】SBMAの発病がCAGの反復の数と相関することを示す4つのグラフである。
図1B】SBMAの発病がCAGの反復の数と相関することを示す4つのグラフである。
図1C】SBMAの発病がCAGの反復の数と相関することを示す4つのグラフである。
図1D】SBMAの発病がCAGの反復の数と相関することを示す4つのグラフである。
図2A】SBMA疾患の進行速度が、47個未満のCAG又は47個超のCAGの反復を有する全ての患者について、類似していることを示す3つのグラフである。グラフは、各症状を示す患者の割合対年齢を示す。これらの群は、47個未満の反復又は47個超の反復を有する患者に分けられる。
図2B】SBMA疾患の進行速度が、47個未満のCAG又は47個超のCAGの反復を有する全ての患者について、類似していることを示す3つのグラフである。グラフは、各症状を示す患者の割合対年齢を示す。これらの群は、47個未満の反復又は47個超の反復を有する患者に分けられる。
図2C】SBMA疾患の進行速度が、47個未満のCAG又は47個超のCAGの反復を有する全ての患者について、類似していることを示す3つのグラフである。グラフは、各症状を示す患者の割合対年齢を示す。これらの群は、47個未満の反復又は47個超の反復を有する患者に分けられる。
図3A】SBMA疾患の進行速度が、47個未満のCAG又は47個超のCAGの反復を有する全ての患者について、類似していることを示す4つのグラフである。最初の症状(衰弱)から、階段を上るのに手すりが必要になるまでの時間、杖の使用、車いすの依存、及び死亡は、患者間で再現性が高い。47個超のCAG反復を有する患者は、発病がより早いが、同一の進行を有する。
図3B】SBMA疾患の進行速度が、47個未満のCAG又は47個超のCAGの反復を有する全ての患者について、類似していることを示す4つのグラフである。最初の症状(衰弱)から、階段を上るのに手すりが必要になるまでの時間、杖の使用、車いすの依存、及び死亡は、患者間で再現性が高い。47個超のCAG反復を有する患者は、発病がより早いが、同一の進行を有する。
図3C】SBMA疾患の進行速度が、47個未満のCAG又は47個超のCAGの反復を有する全ての患者について、類似していることを示す4つのグラフである。最初の症状(衰弱)から、階段を上るのに手すりが必要になるまでの時間、杖の使用、車いすの依存、及び死亡は、患者間で再現性が高い。47個超のCAG反復を有する患者は、発病がより早いが、同一の進行を有する。
図3D】SBMA疾患の進行速度が、47個未満のCAG又は47個超のCAGの反復を有する全ての患者について、類似していることを示す4つのグラフである。最初の症状(衰弱)から、階段を上るのに手すりが必要になるまでの時間、杖の使用、車いすの依存、及び死亡は、患者間で再現性が高い。47個超のCAG反復を有する患者は、発病がより早いが、同一の進行を有する。
図4A】HEK293細胞におけるAR標的化miRNAのスクリーニング結果を示す。HEK293細胞をインビトロBlock-iTプラスミドでトランスフェクトした。Block-ITプラスミドは、CMVプロモーター、emGFP、miRNAのクローニング部位、及びTKポリAを含む。miRNAを、Block-iTオンラインソフトウェアを使用して設計した。図4Aは、いくつかの個々のmiRNAのノックダウン後のアンドロゲン受容体のmRNAレベルを示す。図4Bは、いくつかの個々のmiRNAのノックダウン後のアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。mRNA及びタンパク質データの両方が、インビトロでアンドロゲン受容体をノックダウンする効果的なmiRNAであるmiR3610を強調する。
図4B】HEK293細胞におけるAR標的化miRNAのスクリーニング結果を示す。HEK293細胞をインビトロBlock-iTプラスミドでトランスフェクトした。Block-ITプラスミドは、CMVプロモーター、emGFP、miRNAのクローニング部位、及びTKポリAを含む。miRNAを、Block-iTオンラインソフトウェアを使用して設計した。図4Aは、いくつかの個々のmiRNAのノックダウン後のアンドロゲン受容体のmRNAレベルを示す。図4Bは、いくつかの個々のmiRNAのノックダウン後のアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。mRNA及びタンパク質データの両方が、インビトロでアンドロゲン受容体をノックダウンする効果的なmiRNAであるmiR3610を強調する。
図5A】マウスにおける投与の評価を示す。図5Aでは、新生児マウスに、ICVを介して、PBS又は1e11GCでmiR NeuNのいずれかを注入した。脳を14日目に採取し、NeuN抗体を用いたウエスタンブロット分析のために処理した。β-アクチンを負荷対照として使用した。図5Bは、各群におけるNeuNのパーセンテージとしてのタンパク質の定量を示す。図5Cでは、成体マウスに、IVを介して、3e11GCで、PBS、AAV.CB7.miR.NeuN、又はAAV.CB57.GFPを注入した。脳を14日目に採取し、NeuN抗体を用いたウエスタンブロット分析のために処理した。散布図は、各群におけるNeuNのパーセンテージとしてのタンパク質の定量を示す。
図5B】マウスにおける投与の評価を示す。図5Aでは、新生児マウスに、ICVを介して、PBS又は1e11GCでmiR NeuNのいずれかを注入した。脳を14日目に採取し、NeuN抗体を用いたウエスタンブロット分析のために処理した。β-アクチンを負荷対照として使用した。図5Bは、各群におけるNeuNのパーセンテージとしてのタンパク質の定量を示す。図5Cでは、成体マウスに、IVを介して、3e11GCで、PBS、AAV.CB7.miR.NeuN、又はAAV.CB57.GFPを注入した。脳を14日目に採取し、NeuN抗体を用いたウエスタンブロット分析のために処理した。散布図は、各群におけるNeuNのパーセンテージとしてのタンパク質の定量を示す。
図5C】マウスにおける投与の評価を示す。図5Aでは、新生児マウスに、ICVを介して、PBS又は1e11GCでmiR NeuNのいずれかを注入した。脳を14日目に採取し、NeuN抗体を用いたウエスタンブロット分析のために処理した。β-アクチンを負荷対照として使用した。図5Bは、各群におけるNeuNのパーセンテージとしてのタンパク質の定量を示す。図5Cでは、成体マウスに、IVを介して、3e11GCで、PBS、AAV.CB7.miR.NeuN、又はAAV.CB57.GFPを注入した。脳を14日目に採取し、NeuN抗体を用いたウエスタンブロット分析のために処理した。散布図は、各群におけるNeuNのパーセンテージとしてのタンパク質の定量を示す。
図6A】miR3610を介したアンドロゲン受容体のノックダウン効率を示す。野生型マウスに、尾静脈を介して3e11GCのAAV.PHP.eB.CB7.miRを注入した。脳及び脊髄を14日目に採取し、RNA及びタンパク質分析のために処理した。図6A及び図6Bは、PBS及びmiR3610で処置された脳におけるアンドロゲン受容体のmRNA発現レベルを示す。図6A(対照に対する%)、図6B(倍率発現)。図6Cは、PBS及びmiR3610で処置された脳におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。
図6B】miR3610を介したアンドロゲン受容体のノックダウン効率を示す。野生型マウスに、尾静脈を介して3e11GCのAAV.PHP.eB.CB7.miRを注入した。脳及び脊髄を14日目に採取し、RNA及びタンパク質分析のために処理した。図6A及び図6Bは、PBS及びmiR3610で処置された脳におけるアンドロゲン受容体のmRNA発現レベルを示す。図6A(対照に対する%)、図6B(倍率発現)。図6Cは、PBS及びmiR3610で処置された脳におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。
図6C】miR3610を介したアンドロゲン受容体のノックダウン効率を示す。野生型マウスに、尾静脈を介して3e11GCのAAV.PHP.eB.CB7.miRを注入した。脳及び脊髄を14日目に採取し、RNA及びタンパク質分析のために処理した。図6A及び図6Bは、PBS及びmiR3610で処置された脳におけるアンドロゲン受容体のmRNA発現レベルを示す。図6A(対照に対する%)、図6B(倍率発現)。図6Cは、PBS及びmiR3610で処置された脳におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。
図7A】脳及び脊髄におけるアンドロゲン受容体に対して標的化された2つのmiRNAを比較する。成体雄野生型マウス(6~8週齢)は、3.0×1011GC)の用量で、AAV9.PHP.eB.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG又はAAV9.PHP.eB.CB7.CI.AR.miR3613.WPRE.rBGの単回静脈内投与を受けた(N=5/群)。追加の野生型マウスに、対照としてビヒクル(PBS)を投与した(N=5)。14日目に、マウスを剖検した。脳の半球の1つを採取して、マウスAR mRNA発現を評価した(TaqMan qPCR)。図7Aは、PBS、miR3610、又はmiR3613で処置された脳におけるアンドロゲン受容体のmRNA発現レベルを示す。各動物の発現の倍率変化を、比較Ct法に基づいて計算し、Gapdhに対して正規化した。エラーバーは、標準偏差を表す。図7Bは、PBS、miR3610、又はmiR3613で処置された脊髄におけるアンドロゲン受容体のmRNA発現レベルを示す。図7C及び7Dは、miR NT及びmiR3610で処置された脳(C)又はmiR3613で処置された脳(D)におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。図7Eは、4つの群全ての中のパーセンテージでのアンドロゲンタンパク質レベルの定量化を示す。
図7B】脳及び脊髄におけるアンドロゲン受容体に対して標的化された2つのmiRNAを比較する。成体雄野生型マウス(6~8週齢)は、3.0×1011GC)の用量で、AAV9.PHP.eB.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG又はAAV9.PHP.eB.CB7.CI.AR.miR3613.WPRE.rBGの単回静脈内投与を受けた(N=5/群)。追加の野生型マウスに、対照としてビヒクル(PBS)を投与した(N=5)。14日目に、マウスを剖検した。脳の半球の1つを採取して、マウスAR mRNA発現を評価した(TaqMan qPCR)。図7Aは、PBS、miR3610、又はmiR3613で処置された脳におけるアンドロゲン受容体のmRNA発現レベルを示す。各動物の発現の倍率変化を、比較Ct法に基づいて計算し、Gapdhに対して正規化した。エラーバーは、標準偏差を表す。図7Bは、PBS、miR3610、又はmiR3613で処置された脊髄におけるアンドロゲン受容体のmRNA発現レベルを示す。図7C及び7Dは、miR NT及びmiR3610で処置された脳(C)又はmiR3613で処置された脳(D)におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。図7Eは、4つの群全ての中のパーセンテージでのアンドロゲンタンパク質レベルの定量化を示す。
図7C】脳及び脊髄におけるアンドロゲン受容体に対して標的化された2つのmiRNAを比較する。成体雄野生型マウス(6~8週齢)は、3.0×1011GC)の用量で、AAV9.PHP.eB.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG又はAAV9.PHP.eB.CB7.CI.AR.miR3613.WPRE.rBGの単回静脈内投与を受けた(N=5/群)。追加の野生型マウスに、対照としてビヒクル(PBS)を投与した(N=5)。14日目に、マウスを剖検した。脳の半球の1つを採取して、マウスAR mRNA発現を評価した(TaqMan qPCR)。図7Aは、PBS、miR3610、又はmiR3613で処置された脳におけるアンドロゲン受容体のmRNA発現レベルを示す。各動物の発現の倍率変化を、比較Ct法に基づいて計算し、Gapdhに対して正規化した。エラーバーは、標準偏差を表す。図7Bは、PBS、miR3610、又はmiR3613で処置された脊髄におけるアンドロゲン受容体のmRNA発現レベルを示す。図7C及び7Dは、miR NT及びmiR3610で処置された脳(C)又はmiR3613で処置された脳(D)におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。図7Eは、4つの群全ての中のパーセンテージでのアンドロゲンタンパク質レベルの定量化を示す。
図7D】脳及び脊髄におけるアンドロゲン受容体に対して標的化された2つのmiRNAを比較する。成体雄野生型マウス(6~8週齢)は、3.0×1011GC)の用量で、AAV9.PHP.eB.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG又はAAV9.PHP.eB.CB7.CI.AR.miR3613.WPRE.rBGの単回静脈内投与を受けた(N=5/群)。追加の野生型マウスに、対照としてビヒクル(PBS)を投与した(N=5)。14日目に、マウスを剖検した。脳の半球の1つを採取して、マウスAR mRNA発現を評価した(TaqMan qPCR)。図7Aは、PBS、miR3610、又はmiR3613で処置された脳におけるアンドロゲン受容体のmRNA発現レベルを示す。各動物の発現の倍率変化を、比較Ct法に基づいて計算し、Gapdhに対して正規化した。エラーバーは、標準偏差を表す。図7Bは、PBS、miR3610、又はmiR3613で処置された脊髄におけるアンドロゲン受容体のmRNA発現レベルを示す。図7C及び7Dは、miR NT及びmiR3610で処置された脳(C)又はmiR3613で処置された脳(D)におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。図7Eは、4つの群全ての中のパーセンテージでのアンドロゲンタンパク質レベルの定量化を示す。
図7E】脳及び脊髄におけるアンドロゲン受容体に対して標的化された2つのmiRNAを比較する。成体雄野生型マウス(6~8週齢)は、3.0×1011GC)の用量で、AAV9.PHP.eB.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG又はAAV9.PHP.eB.CB7.CI.AR.miR3613.WPRE.rBGの単回静脈内投与を受けた(N=5/群)。追加の野生型マウスに、対照としてビヒクル(PBS)を投与した(N=5)。14日目に、マウスを剖検した。脳の半球の1つを採取して、マウスAR mRNA発現を評価した(TaqMan qPCR)。図7Aは、PBS、miR3610、又はmiR3613で処置された脳におけるアンドロゲン受容体のmRNA発現レベルを示す。各動物の発現の倍率変化を、比較Ct法に基づいて計算し、Gapdhに対して正規化した。エラーバーは、標準偏差を表す。図7Bは、PBS、miR3610、又はmiR3613で処置された脊髄におけるアンドロゲン受容体のmRNA発現レベルを示す。図7C及び7Dは、miR NT及びmiR3610で処置された脳(C)又はmiR3613で処置された脳(D)におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。図7Eは、4つの群全ての中のパーセンテージでのアンドロゲンタンパク質レベルの定量化を示す。
図8】CB7及びSynのプロモーター効率を評価する。野生型マウスに、3e11GCの以下のベクターを注入した:AAV9-PHP.eB.CB7.CI.miR.NT.WPRE.rBG、AAV9.PHP.eB.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG、AAV9-PHP.eB.Syn.PI.miR.NT.WPRE.bGH、又はAAV9-PHP.eB.hSyn.PI.hARmiR3610.WPRE.bGH。脊髄を14日目に採取し、RNA単離及びqPCRのために処理した。グラフは、それらの対照に対して、2つのプロモーターにおけるアンドロゲン受容体のノックダウン効率を示す。
図9A】AR97Q SBMAトランスジェニックマウスコロニーにおけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベル及び生存を示す。図9Aでは、脊髄をトランスジェニックマウスから採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。ブロットは、AR97Q WT及びHET雄及び雌のマウスにおけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。図9Bは、雄及び雌のAR97Qトランスジェニックマウスの生存プロットを示す。
図9B】AR97Q SBMAトランスジェニックマウスコロニーにおけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベル及び生存を示す。図9Aでは、脊髄をトランスジェニックマウスから採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。ブロットは、AR97Q WT及びHET雄及び雌のマウスにおけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。図9Bは、雄及び雌のAR97Qトランスジェニックマウスの生存プロットを示す。
図10A】AR97Q SBMAトランスジェニックマウスにおけるmiR3610の効果を示す。5~6週齢の雄トランスジェニックマウスに、尾静脈を介して、3e11GCのAAV9.PHP.eB.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGを注入したか、又はマウスを注入されていないままにした。マウスを生存について追跡した。脳を採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。図10Aは、両方の群におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。年齢は、注入後に脳が採取されたときを示す。図10Bは、注入されていない群に対する、処置されたマウスにおける両方の形態のアンドロゲン受容体のタンパク質定量を示す。図10Cは、注入されていない及び処置されたマウスの生存プロットを示す。
図10B】AR97Q SBMAトランスジェニックマウスにおけるmiR3610の効果を示す。5~6週齢の雄トランスジェニックマウスに、尾静脈を介して、3e11GCのAAV9.PHP.eB.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGを注入したか、又はマウスを注入されていないままにした。マウスを生存について追跡した。脳を採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。図10Aは、両方の群におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。年齢は、注入後に脳が採取されたときを示す。図10Bは、注入されていない群に対する、処置されたマウスにおける両方の形態のアンドロゲン受容体のタンパク質定量を示す。図10Cは、注入されていない及び処置されたマウスの生存プロットを示す。
図10C】AR97Q SBMAトランスジェニックマウスにおけるmiR3610の効果を示す。5~6週齢の雄トランスジェニックマウスに、尾静脈を介して、3e11GCのAAV9.PHP.eB.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGを注入したか、又はマウスを注入されていないままにした。マウスを生存について追跡した。脳を採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。図10Aは、両方の群におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。年齢は、注入後に脳が採取されたときを示す。図10Bは、注入されていない群に対する、処置されたマウスにおける両方の形態のアンドロゲン受容体のタンパク質定量を示す。図10Cは、注入されていない及び処置されたマウスの生存プロットを示す。
図11A】AR97Q SBMAトランスジェニックマウスにおけるmiR3610の効果を示す。3週齢の雄トランスジェニックマウスに、後眼窩静脈(ROV)を介して、3e11GCのAAV9.PHP.eB.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGを注入したか、又はマウスを注入されていないままにした。マウスを生存について追跡した。脳を採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。図11Aは、処置されたマウス及びAR97Qトランスジェニックマウスの生存プロットを示す。図11Bは、両方の群におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。年齢は、注入後に脳が採取されたときを示す。図11Cは、注入されていない群に対する、処置されたマウスにおける両方の形態のアンドロゲン受容体のタンパク質定量を示す。
図11B】AR97Q SBMAトランスジェニックマウスにおけるmiR3610の効果を示す。3週齢の雄トランスジェニックマウスに、後眼窩静脈(ROV)を介して、3e11GCのAAV9.PHP.eB.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGを注入したか、又はマウスを注入されていないままにした。マウスを生存について追跡した。脳を採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。図11Aは、処置されたマウス及びAR97Qトランスジェニックマウスの生存プロットを示す。図11Bは、両方の群におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。年齢は、注入後に脳が採取されたときを示す。図11Cは、注入されていない群に対する、処置されたマウスにおける両方の形態のアンドロゲン受容体のタンパク質定量を示す。
図11C】AR97Q SBMAトランスジェニックマウスにおけるmiR3610の効果を示す。3週齢の雄トランスジェニックマウスに、後眼窩静脈(ROV)を介して、3e11GCのAAV9.PHP.eB.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGを注入したか、又はマウスを注入されていないままにした。マウスを生存について追跡した。脳を採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。図11Aは、処置されたマウス及びAR97Qトランスジェニックマウスの生存プロットを示す。図11Bは、両方の群におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。年齢は、注入後に脳が採取されたときを示す。図11Cは、注入されていない群に対する、処置されたマウスにおける両方の形態のアンドロゲン受容体のタンパク質定量を示す。
図12A】AR97Q SBMA新生児トランスジェニックマウスにおけるmiR3610の効果を示す。性別及び遺伝子型が不明な新生児トランスジェニックマウスに、側頭静脈を介して、3e11GCのAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG(群2)又はPBS(群1)を注入した。マウスを生存について追跡し、遺伝子型/性別を決定した。脳を採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。図12Aは、両方の群におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。図12B及び12Cは、雄(B)及び雌(C)の両方の群の生存プロットを示す。図12Dは、雄WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Eは、雌HET SBMAマウスの脊髄におけるヒト及びマウスのAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Fは、雌WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12G及び12Hは、経時的な、雄(G)及び雌(H)についてのPBS又はAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGのいずれかを与えられたHET及びWTマウスの体重を示す。図12Iでは、各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。マウスをケージ上部の上部に配置し、次いで、それを反転させてホームケージの上に配置した。マウスが落下するときまでの潜時を秒単位で記録した。
図12B】AR97Q SBMA新生児トランスジェニックマウスにおけるmiR3610の効果を示す。性別及び遺伝子型が不明な新生児トランスジェニックマウスに、側頭静脈を介して、3e11GCのAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG(群2)又はPBS(群1)を注入した。マウスを生存について追跡し、遺伝子型/性別を決定した。脳を採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。図12Aは、両方の群におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。図12B及び12Cは、雄(B)及び雌(C)の両方の群の生存プロットを示す。図12Dは、雄WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Eは、雌HET SBMAマウスの脊髄におけるヒト及びマウスのAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Fは、雌WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12G及び12Hは、経時的な、雄(G)及び雌(H)についてのPBS又はAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGのいずれかを与えられたHET及びWTマウスの体重を示す。図12Iでは、各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。マウスをケージ上部の上部に配置し、次いで、それを反転させてホームケージの上に配置した。マウスが落下するときまでの潜時を秒単位で記録した。
図12C】AR97Q SBMA新生児トランスジェニックマウスにおけるmiR3610の効果を示す。性別及び遺伝子型が不明な新生児トランスジェニックマウスに、側頭静脈を介して、3e11GCのAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG(群2)又はPBS(群1)を注入した。マウスを生存について追跡し、遺伝子型/性別を決定した。脳を採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。図12Aは、両方の群におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。図12B及び12Cは、雄(B)及び雌(C)の両方の群の生存プロットを示す。図12Dは、雄WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Eは、雌HET SBMAマウスの脊髄におけるヒト及びマウスのAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Fは、雌WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12G及び12Hは、経時的な、雄(G)及び雌(H)についてのPBS又はAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGのいずれかを与えられたHET及びWTマウスの体重を示す。図12Iでは、各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。マウスをケージ上部の上部に配置し、次いで、それを反転させてホームケージの上に配置した。マウスが落下するときまでの潜時を秒単位で記録した。
図12D】AR97Q SBMA新生児トランスジェニックマウスにおけるmiR3610の効果を示す。性別及び遺伝子型が不明な新生児トランスジェニックマウスに、側頭静脈を介して、3e11GCのAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG(群2)又はPBS(群1)を注入した。マウスを生存について追跡し、遺伝子型/性別を決定した。脳を採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。図12Aは、両方の群におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。図12B及び12Cは、雄(B)及び雌(C)の両方の群の生存プロットを示す。図12Dは、雄WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Eは、雌HET SBMAマウスの脊髄におけるヒト及びマウスのAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Fは、雌WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12G及び12Hは、経時的な、雄(G)及び雌(H)についてのPBS又はAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGのいずれかを与えられたHET及びWTマウスの体重を示す。図12Iでは、各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。マウスをケージ上部の上部に配置し、次いで、それを反転させてホームケージの上に配置した。マウスが落下するときまでの潜時を秒単位で記録した。
図12E】AR97Q SBMA新生児トランスジェニックマウスにおけるmiR3610の効果を示す。性別及び遺伝子型が不明な新生児トランスジェニックマウスに、側頭静脈を介して、3e11GCのAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG(群2)又はPBS(群1)を注入した。マウスを生存について追跡し、遺伝子型/性別を決定した。脳を採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。図12Aは、両方の群におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。図12B及び12Cは、雄(B)及び雌(C)の両方の群の生存プロットを示す。図12Dは、雄WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Eは、雌HET SBMAマウスの脊髄におけるヒト及びマウスのAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Fは、雌WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12G及び12Hは、経時的な、雄(G)及び雌(H)についてのPBS又はAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGのいずれかを与えられたHET及びWTマウスの体重を示す。図12Iでは、各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。マウスをケージ上部の上部に配置し、次いで、それを反転させてホームケージの上に配置した。マウスが落下するときまでの潜時を秒単位で記録した。
図12F】AR97Q SBMA新生児トランスジェニックマウスにおけるmiR3610の効果を示す。性別及び遺伝子型が不明な新生児トランスジェニックマウスに、側頭静脈を介して、3e11GCのAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG(群2)又はPBS(群1)を注入した。マウスを生存について追跡し、遺伝子型/性別を決定した。脳を採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。図12Aは、両方の群におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。図12B及び12Cは、雄(B)及び雌(C)の両方の群の生存プロットを示す。図12Dは、雄WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Eは、雌HET SBMAマウスの脊髄におけるヒト及びマウスのAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Fは、雌WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12G及び12Hは、経時的な、雄(G)及び雌(H)についてのPBS又はAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGのいずれかを与えられたHET及びWTマウスの体重を示す。図12Iでは、各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。マウスをケージ上部の上部に配置し、次いで、それを反転させてホームケージの上に配置した。マウスが落下するときまでの潜時を秒単位で記録した。
図12G】AR97Q SBMA新生児トランスジェニックマウスにおけるmiR3610の効果を示す。性別及び遺伝子型が不明な新生児トランスジェニックマウスに、側頭静脈を介して、3e11GCのAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG(群2)又はPBS(群1)を注入した。マウスを生存について追跡し、遺伝子型/性別を決定した。脳を採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。図12Aは、両方の群におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。図12B及び12Cは、雄(B)及び雌(C)の両方の群の生存プロットを示す。図12Dは、雄WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Eは、雌HET SBMAマウスの脊髄におけるヒト及びマウスのAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Fは、雌WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12G及び12Hは、経時的な、雄(G)及び雌(H)についてのPBS又はAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGのいずれかを与えられたHET及びWTマウスの体重を示す。図12Iでは、各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。マウスをケージ上部の上部に配置し、次いで、それを反転させてホームケージの上に配置した。マウスが落下するときまでの潜時を秒単位で記録した。
図12H】AR97Q SBMA新生児トランスジェニックマウスにおけるmiR3610の効果を示す。性別及び遺伝子型が不明な新生児トランスジェニックマウスに、側頭静脈を介して、3e11GCのAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG(群2)又はPBS(群1)を注入した。マウスを生存について追跡し、遺伝子型/性別を決定した。脳を採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。図12Aは、両方の群におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。図12B及び12Cは、雄(B)及び雌(C)の両方の群の生存プロットを示す。図12Dは、雄WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Eは、雌HET SBMAマウスの脊髄におけるヒト及びマウスのAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Fは、雌WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12G及び12Hは、経時的な、雄(G)及び雌(H)についてのPBS又はAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGのいずれかを与えられたHET及びWTマウスの体重を示す。図12Iでは、各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。マウスをケージ上部の上部に配置し、次いで、それを反転させてホームケージの上に配置した。マウスが落下するときまでの潜時を秒単位で記録した。
図12I】AR97Q SBMA新生児トランスジェニックマウスにおけるmiR3610の効果を示す。性別及び遺伝子型が不明な新生児トランスジェニックマウスに、側頭静脈を介して、3e11GCのAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG(群2)又はPBS(群1)を注入した。マウスを生存について追跡し、遺伝子型/性別を決定した。脳を採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。図12Aは、両方の群におけるアンドロゲン受容体のタンパク質レベルを示す。図12B及び12Cは、雄(B)及び雌(C)の両方の群の生存プロットを示す。図12Dは、雄WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Eは、雌HET SBMAマウスの脊髄におけるヒト及びマウスのAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12Fは、雌WT SBMAマウスの脊髄におけるマウスAR発現、ウエスタンブロット、及び定量プロットを示す。図12G及び12Hは、経時的な、雄(G)及び雌(H)についてのPBS又はAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGのいずれかを与えられたHET及びWTマウスの体重を示す。図12Iでは、各群の雄マウスを、約3か月齢でワイヤーハング試験に供した。マウスをケージ上部の上部に配置し、次いで、それを反転させてホームケージの上に配置した。マウスが落下するときまでの潜時を秒単位で記録した。
図13A】非ヒト霊長類(NHP)におけるmiR3610の有効性を実証する。5歳の雄アカゲザルに、3e13GCのAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGをICM注入した。35日目に動物を屠殺し、脊髄及び肝臓を採取した。脊髄を、レーザー捕捉微小解剖(LCM)のために処理した。運動ニューロンを脊髄切片から切断し、qPCRのために処理した。肝臓をまた、qPCRのために処理した。脊髄(A)及び肝臓(B)の両方が、miR3610での処置後のアンドロゲン受容体の有効なノックダウンを示す。図13C アカゲザルARタンパク質の発現は、対照動物に対する発現パーセントに基づいて、肝臓試料においても測定された(ウエスタンブロッティング)。発現は、β-アクチンに対して正規化された。エラーバーは、標準偏差を表す
図13B】非ヒト霊長類(NHP)におけるmiR3610の有効性を実証する。5歳の雄アカゲザルに、3e13GCのAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGをICM注入した。35日目に動物を屠殺し、脊髄及び肝臓を採取した。脊髄を、レーザー捕捉微小解剖(LCM)のために処理した。運動ニューロンを脊髄切片から切断し、qPCRのために処理した。肝臓をまた、qPCRのために処理した。脊髄(A)及び肝臓(B)の両方が、miR3610での処置後のアンドロゲン受容体の有効なノックダウンを示す。図13C アカゲザルARタンパク質の発現は、対照動物に対する発現パーセントに基づいて、肝臓試料においても測定された(ウエスタンブロッティング)。発現は、β-アクチンに対して正規化された。エラーバーは、標準偏差を表す
図13C】非ヒト霊長類(NHP)におけるmiR3610の有効性を実証する。5歳の雄アカゲザルに、3e13GCのAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGをICM注入した。35日目に動物を屠殺し、脊髄及び肝臓を採取した。脊髄を、レーザー捕捉微小解剖(LCM)のために処理した。運動ニューロンを脊髄切片から切断し、qPCRのために処理した。肝臓をまた、qPCRのために処理した。脊髄(A)及び肝臓(B)の両方が、miR3610での処置後のアンドロゲン受容体の有効なノックダウンを示す。図13C アカゲザルARタンパク質の発現は、対照動物に対する発現パーセントに基づいて、肝臓試料においても測定された(ウエスタンブロッティング)。発現は、β-アクチンに対して正規化された。エラーバーは、標準偏差を表す
図14A】実施例9に記載される実験の結果を示す。図14Aは、PBS及びpAAV.CB7.CI.AR.miR3610.WPRE.RBGで処置されたSBMA雄マウスの生存曲線を示す。図14B、14C、及び14Dは、PBSで処置されたマウス及びベクターで処置されたマウスの落下までの潜時(秒)を示す。
図14B】実施例9に記載される実験の結果を示す。図14Aは、PBS及びpAAV.CB7.CI.AR.miR3610.WPRE.RBGで処置されたSBMA雄マウスの生存曲線を示す。図14B、14C、及び14Dは、PBSで処置されたマウス及びベクターで処置されたマウスの落下までの潜時(秒)を示す。
図14C】実施例9に記載される実験の結果を示す。図14Aは、PBS及びpAAV.CB7.CI.AR.miR3610.WPRE.RBGで処置されたSBMA雄マウスの生存曲線を示す。図14B、14C、及び14Dは、PBSで処置されたマウス及びベクターで処置されたマウスの落下までの潜時(秒)を示す。
図14D】実施例9に記載される実験の結果を示す。図14Aは、PBS及びpAAV.CB7.CI.AR.miR3610.WPRE.RBGで処置されたSBMA雄マウスの生存曲線を示す。図14B、14C、及び14Dは、PBSで処置されたマウス及びベクターで処置されたマウスの落下までの潜時(秒)を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
対象のヒトアンドロゲン受容体遺伝子又は転写物における部位を特異的に標的とする少なくとも1つのmiRNAをコードする核酸配列を対象に投与するための配列、ベクター、及び組成物が本明細書に提供される。新規miRNA配列及びそれを含む構築物が本明細書に提供される。これらは、SBMAの治療のために、単独で、又は互いに及び/又は他の治療薬と組み合わせて使用され得る。
【0015】
本明細書で使用される場合、「アンドロゲン受容体」という用語は、ヒトにおけるタンパク質アンドロゲン受容体(AR)をコードするアンドロゲン受容体(AR)遺伝子[配列番号6に再現される](Uniprot P10275-1)を指す。アンドロゲン受容体(AR)は、リガンド依存性核転写因子であり、ステロイドホルモン核受容体ファミリーのメンバーであり、広範囲の細胞及び組織で発現される。ARタンパク質は、活性化クラスIステロイド受容体と呼ばれる核受容体のクラスに属し、これはまた、グルココルチコイド受容体、プロゲステロン受容体、及びミネラルコルチコイド受容体を含む。これらの受容体は、標準的なアンドロゲン応答要素(ARE)を認識する。ARの主なドメインとしては、活性化機能-1(AF-1)及びAF-2と称されるN末端及びC末端活性化ドメイン、リガンド結合ドメイン、並びにポリグルタミン鎖が挙げられる。この遺伝子は、代替的に、ジヒドロテストステロン受容体(DHTR)、核受容体サブファミリー3、グループC、メンバー4(NR3C4)とも称され得る。OMIM.ORG/entry/313700を参照されたい。
【0016】
ケネディ病としても知られているX連鎖性球脊髄性筋萎縮症(SBMA、SMAX1)は、アンドロゲン受容体(AR、313700.0014)をコードする遺伝子のエクソン1におけるトリヌクレオチドCAG反復伸長によって引き起こされる。CAG反復数は、SBMA患者において38~62の範囲であるが、健康な個体は、10~36のCAG反復を有する。SBMAの発病は、CAG反復の数と相関することが示されている(図1A図1D、Fratta P,Nirmalananthan N,Masset L,et al.Correlation of clinical and molecular features in spinal bulbar muscular atrophy.Neurology.2014;82(23):2077-2084.doi:10.1212/WNL.0000000000000507、これは参照により本明細書に組み込まれる)。しかしながら、進行速度は、全ての患者間で同様である(図2A図3D、Natural history of spinal and bu
lbar muscular atrophy(SBMA):a study of 223 Japanese patients;Brain.2006;129(6):1446-1455、これは参照により本明細書に組み込まれる。)
【0017】
内因性アンドロゲン受容体の発現を抑制する人工マイクロRNA(miRNA)を発現するベクターが本明細書に記載される。SBMAのトランスジェニックマウスモデルでは、これらのベクターは、脊髄における変異アンドロゲン受容体の発現を劇的に低減し、運動機能及び生存を改善することが示された。
【0018】
本明細書で使用される場合、「miRNA」は、マイクロRNAを指し、これは、メッセンジャーRNA(mRNA)を調節して、タンパク質の翻訳を阻害する小さな非コードRNA分子である。miRNAは、プレmiRNAヘアピン構造(ステムループとも称される)に存在し、最終的に成熟miRNAに処理される。本明細書で使用される「miRNA」及び「miR」という用語は、未処理又は成熟miRNA(又はそれをコードする配列)のいずれかを指すために使用され得る。一般に、ヘアピン形成RNAは、ループ配列によってアンチセンス鎖(例えば、ガイド鎖)と接続されたセンス鎖(例えば、パッセンジャー鎖)を含む二本鎖を有するステム部分をコードする単一の核酸を含む自己相補的な「ステムループ」構造を有する。パッセンジャー鎖及びガイド鎖は、相補性を共有する。いくつかの実施形態では、パッセンジャー鎖及びガイド鎖は、100%の相補性を共有する。いくつかの実施形態では、パッセンジャー鎖及びガイド鎖は、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は少なくとも99%の相補性を共有する。パッセンジャー鎖及びガイド鎖は、塩基対のミスマッチにより相補性を欠き得る。いくつかの実施形態では、ヘアピン形成RNAのパッセンジャー鎖及びガイド鎖は、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも4、少なくとも5、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、少なくとも9、又は少なくとも10塩基対のミスマッチを有する。
【0019】
一般に、ステムの最初の2~8ヌクレオチド(ループに対して)は「シード」残基と称され、標的認識及び結合において重要な役割を果たす。ステムの最初の残基(ループに対して)は、「アンカー」残基と称される。いくつかの実施形態では、ヘアピン形成RNAは、アンカー残基でミスマッチを有する。本明細書で使用される場合、miRNAは、mRNAの破壊又はサイレンシングをもたらす、相補的塩基対形成によって標的mRNA(例えば、ヒトアンドロゲン受容体)と特異的に結合するヌクレオチドの領域である「シード配列」を含む。かかるサイレンシングは、内因性hARの完全な消滅ではなく、下方制御をもたらし得る。本明細書で提供されるmiRNAは、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上の標的部位に結合する標的化配列を含む。標的化配列は、シード配列を含む。
【0020】
本明細書で提供されるコードされたmiRNAは、SBMAを有する患者において内因性ヒトアンドロゲン受容体遺伝子を特異的に標的とするように設計されている。ある特定の実施形態では、miRNAコード配列は、以下の表1のアンチセンス配列を含む。
【表1】
【0021】
本明細書で使用される場合、「miRNA標的部位」、「標的配列」、又は「標的領域」は、DNAプラス鎖(5’から3’)(例えば、hARの)上に位置する配列であり、miRNAシード配列(又は標的化配列)を含むmiRNA配列と少なくとも部分的に相補的である。典型的には、miRNA標的配列は、少なくとも7ヌクレオチド~約28ヌクレオチド、少なくとも8ヌクレオチド~約28ヌクレオチド、7ヌクレオチド~28ヌクレオチド、8ヌクレオチド~18ヌクレオチド、約12~約28ヌクレオチド、約20~約26ヌクレオチド、約18、19、20、21、22、23、24、25又は26ヌクレオチドであり、miRNAシード配列に相補的である少なくとも1つの連続領域(例えば、7又は8ヌクレオチド)を含有する。ある特定の実施形態では、標的配列は、miRNAシード配列と正確な相補性(100%)を有する配列、又はmiRNAシード配列といくつかのミスマッチを含む部分的な相補性を有する配列を含む。ある特定の実施形態では、標的配列は、miRNAシード配列と100%相補的である少なくとも7~8個のヌクレオチドを含む。ある特定の実施形態では、標的配列は、miRNAシード配列と100%相補的である配列からなる。ある特定の実施形態では、標的配列は、シード配列と100%相補的である配列を複数コピー(例えば、2又は3コピー)含む。ある特定の実施形態では、100%相補性の領域は、標的配列の長さの少なくとも30%を含む。ある特定の実施形態では、標的配列の残部は、miRNAに対して少なくとも約80%~約99%の相補性を有する。ある特定の実施形態では、DNAプラス鎖を含む発現カセットでは、miRNA標的配列は、miRNAの逆相補である。
【0022】
ある特定の実施形態では、miRNAは、以下のAR標的部位に結合する標的化配列を含む:GAA CTA CAT CAA GGA ACT CGA(配列番号1)、又はそれから1、2、3、4、若しくは5個の置換(若しくは切断)を有する配列。いくつかの実施形態では、標的化配列は、配列番号2である。他の実施形態では、標的化配列は、配列番号3である。ある特定の実施形態では、シード配列は、成熟miRNAに位置し(5’から3’へ)、概して、miRNAのmiRNAセンス鎖の5’末端から(センス(+)鎖の5’末端から)2~7、2~8、又は約6ヌクレオチドの位置から始まるが、それはより長い長さであり得る。ある特定の実施形態では、シード配列の長さは、成熟miRNA配列の長さの約30%以上であり、少なくとも7ヌクレオチド~約28ヌクレオチド、少なくとも8ヌクレオチド~約28ヌクレオチド、7ヌクレオチド~28ヌクレオチド、8ヌクレオチド~18ヌクレオチド、12ヌクレオチド~28ヌクレオチド、約20~約26ヌクレオチド、約18、19、20、21、22、23、24、25、又は26ヌクレオチドであり得る。本明細書に提供される例では、miRNAは、例えば、約50~約80ヌクレオチド長、又は約55ヌクレオチド~約70ヌクレオチド、又は60~65ヌクレオチド長のステムループmiRNA前駆体配列の形態で送達される。いくつかの実施形態では、ステムループmiRNA前駆体配列は、64ヌクレオチドである。ある特定の実施形態では、このmiRNA前駆体は、約5ヌクレオチド、約21ヌクレオチドの標的化配列(シード配列を含有する)、約21ヌクレオチドのステムループ、及び約20
ヌクレオチドのセンス配列を含み、センス配列は、1、2、又は3ヌクレオチドがミスマッチであるアンチセンス配列に対応する。他の実施形態では、このmiRNA前駆体は、約5ヌクレオチド、約21ヌクレオチドの標的化配列、約21ヌクレオチドのステムループ、及び約18ヌクレオチドのセンス配列を含み、センス配列は、1、2、又は3ヌクレオチドがミスマッチであるアンチセンス配列に対応する。ある特定の実施形態では、miRNAは、ヒトアンドロゲン受容体上の配列番号1若しくは配列番号27のmiRNA標的部位、又はそれから1、2、3、4、若しくは5個の置換(切断を含む)を有する配列を標的とする。
【0023】
一態様では、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上のmiRNA標的部位に結合し、ヒトアンドロゲン受容体の発現を阻害する標的化配列を含む、少なくとも1つのヘアピン形成miRNAをコードする核酸配列を含む、発現カセットが本明細書で提供される。コード配列は、対象における核酸配列の発現を指示する調節配列と作動可能に連結される。いくつかの実施形態では、miRNA標的部位は、以下を含む:配列番号1又は配列番号1と比較して、1、2、3、4、若しくは5個の置換(若しくは切断)を有する配列。いくつかの実施形態では、miRNAコード配列は、TCG AGT TCC TTG ATG TAG TTC(配列番号2-3610標的化配列)の配列を含む。いくつかの実施形態では、miRNA標的部位は、以下を含む:配列番号27又は配列番号27と比較して、1、2、3、4、若しくは5個の置換(若しくは切断)を有する配列。他の実施形態では、miRNAコード配列は、CGA TCG AGT TCC TTG ATG TAG(配列番号3-3613標的化配列)の配列を含む。いくつかの実施形態では、miRNA標的化配列は、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上の標的部位との正確な相補性より少なく共有する。いくつかの実施形態では、miRNAコード配列は、a)TCG AGT TCC TTG ATG TAG TTC(配列番号2-3610)、若しくは最大10個の置換を有する配列、又はb)CGA TCG AGT TCC TTG ATG TAG(配列番号3-3613)、若しくは最大10個の置換を有する配列の配列を含む。別の実施形態では、miRNAコード配列は、配列番号4又は最大30個の置換を有する配列を含む。更に別の実施形態では、miRNAコード配列は、配列番号5又は最大30個の置換を有する配列を含む。
【0024】
好適なmiRNAコード配列の例は、配列番号4の配列であり、これは、プレmiRNAヘアピンのコード配列を提供し、成熟miR、miR3610を含む。ある特定の実施形態では、miRNAコード配列は、配列番号4、配列番号4の少なくとも60個の連続するヌクレオチドを含むmiRNAコード配列、又は配列番号4の約ヌクレオチド6~約ヌクレオチド26と100%の同一性を有する配列を含む、配列番号4と少なくとも90%の同一性を含むmiRNAコード配列を含む。更に別の実施形態では、配列番号4の6位~26位が保持され、代替配列が、ステムループ骨格について選択される。別の実施形態では、miRNA配列は、5’及び/又は3’隣接配列を含む。ある特定の実施形態では、miRNA配列は、配列番号11、又は配列番号11の少なくとも60個の連続するヌクレオチドを含むmiRNA配列、又は配列番号11と少なくとも90%の同一性を含むmiRNA配列を含む。
【0025】
好適なmiRNAコード配列の別の例は、配列番号5の配列であり、これは、プレmiRNAヘアピンをコードする配列を提供し、成熟miR、miR3613を含む。ある特定の実施形態では、miRNAコード配列は、配列番号5、配列番号5の少なくとも60個の連続するヌクレオチドを含むmiRNAコード配列、又は配列番号5の約ヌクレオチド9~約ヌクレオチド29と100%の同一性を有する配列を含む、配列番号5と少なくとも90%の同一性を含むmiRNAコード配列を含む。更に別の実施形態では、配列番号5の9位~29位が保持され、代替配列が、ステムループ骨格について選択される。別の実施形態では、miRNA配列は、5’及び/又は3’隣接配列を含む。ある特定の実
施形態では、miRNA配列は、配列番号12、又は配列番号12の少なくとも60個の連続するヌクレオチドを含むmiRNA配列、又は配列番号12と少なくとも90%の同一性を含むmiRNA配列を含む。
【0026】
ある特定の実施形態では、配列番号26、又はそれと少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、若しくは99.9%の同一性を共有する配列を含む発現カセットが提供される。
【0027】
ある特定の実施形態では、核酸分子(例えば、発現カセット又はベクターゲノム)は、1つ超のmiRNAコード配列を含み得る。そのような核酸分子は、以下のうちの1、2個、又はそれ以上の配列を有するmiRNAコード配列を含み得る:(a)配列番号4を含むmiRNAコード配列、(b)配列番号4の少なくとも60個の連続するヌクレオチドを含むmiRNAコード配列、(c)配列番号4の約ヌクレオチド6~約ヌクレオチド26と100%の同一性を有する配列を含む、配列番号4と少なくとも50%の同一性を含むmiRNAコード配列、及び/又は(d)TCG AGT TCC TTG ATG
TAG TTC、配列番号2を含むmiRNAコード配列。別の実施形態では、核酸分子は、以下のうちの1、2個、又はそれ以上の配列を有するmiRNAコード配列を含み得る。(a)配列番号5を含むmiRNAコード配列、(b)配列番号5の少なくとも60個の連続するヌクレオチドを含むmiRNAコード配列、(c)配列番号5の約ヌクレオチド6~約ヌクレオチド26と100%の同一性を有する配列を含む、配列番号5と少なくとも50%の同一性を含むmiRNAコード配列、及び/又は(d)CGA TCG
AGT TCC TTG ATG TAG、配列番号3を含むmiRNAコード配列。
【0028】
本明細書で使用される場合、「AAV.AR-miR」又は「rAAV.AR.miR」という用語は、調節配列の制御下で、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上のmiRNA標的部位に結合し、ヒトアンドロゲン受容体の発現を阻害する標的化配列を含む、少なくとも1つのヘアピン形成miRNAをコードする核酸配列を含むベクターゲノムをその中に有するAAVカプシドを有する組換えアデノ随伴ウイルスを指すために使用される。いくつかの実施形態では、標的配列は、配列番号1に示されるものである。
【0029】
例えば、AAV1カプシドを有する組換えAAVを指すAAV1.AR.miR、AAVhu68カプシドを有する組換えAAVを指すAAVhu68.AR.miRなどの特定のカプシドの種類が指定され得る。
【0030】
「組換えAAV」又は「rAAV」は、2つの要素、AAVカプシド、及びAAVカプシド内にパッケージングされた少なくとも非AAVコード配列を含むベクターゲノムを含むDNAse耐性ウイルス粒子である。特に明記しない限り、この用語は「rAAVベクター」という句と互換的に使用され得る。rAAVは、任意の機能的AAV rep遺伝子又は機能的AAV cap遺伝子を欠き、子孫を生成することができないため、「複製欠損ウイルス」又は「複製欠損ウイルスベクター」である。ある特定の実施形態では、唯一のAAV配列は、AAV逆方向末端反復配列(ITR)であり、ITR間に位置する遺伝子及び調節配列がAAVカプシド内にパッケージングされることを可能にするために、典型的にはベクターゲノムの5’及び3’最末端に位置する。5’及び3’ITR配列は、それぞれ、配列番号7及び配列番号14に示されている。一般に、AAVカプシドは、60カプシド(cap)タンパク質サブユニットであるVP1、VP2、及びVP3で構成され、選択されるAAVに応じて、およそ1:1:10~1:1:20の比で二十面体対称に配置される。様々なAAVが、上記で特定されるAAVウイルスベクターのカプシドの供給源として選択され得る。一実施形態では、AAVカプシドは、AAVhu.68カプシド又はそのバリアントである(例えば、WO2018/160582及び2020年10月18日に出願された米国仮特許出願第63/093,275号を参照されたく、
それらは、参照により本明細書に組み込まれる)。配列番号17を参照されたい。別の実施形態では、AAVカプシドは、AAV.PHP.ebカプシド(配列番号21)である。ある特定の実施形態では、カプシドタンパク質は、rAAVベクターの名称で「AAV」という用語の後の数値又は数値及び文字の組み合わせによって指定される。特に明記しない限り、本明細書に記載のAAVカプシド、ITR、及び他の選択されるAAV成分は、限定されないが、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAVrh10、AAVhu37、AAVrh32.33、AAV8bp、AAV7M8、及びAAVAnc80、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9.47、AAV9(hu14)、AAV10、AAV11、AAV12、AAVrh8、AAVrh74、AAV-DJ8、AAV-DJ、AAVhu68として特定されているAAVを含むがこれに限定されない任意のAAVの中から容易に選択され得る。例えば、米国特許出願公開第2007/0036760-A1号、米国特許出願公開第2009/0197338-A1号、EP1310571を参照されたい。また、WO2003/042397(AAV7及び他のサルAAV)、米国特許第7790449号及び米国特許第7282199号(AAV8)、WO2005/033321及びUS7,906,111(AAV9)、並びにWO2006/110689、及びWO2003/042397(rh.10)、WO2005/033321、WO2018/160582、及び2020年10月18日に出願された米国仮特許出願第63/093,275号(AAVhu68)も参照されたく、これらは参照により本明細書に組み込まれる。これら及び他のAAVカプシドの脱アミド化プロファイルを記載する、WO2019/168961及びWO2019/169004も参照されたい。他の好適なAAVには、AAVrh90[2020年4月28日に出願された、PCT/US20/30273、]、AAVrh91[2020年4月28日に出願された、PCT/US20/30266、及び2020年8月14日に出願された、米国仮特許出願第63/065,616号]、AAVrh92[2020年4月28日に出願された、PCT/US20/30281]、AAVrh93[2020年4月28日に出願された、PCT/US20/30281]、AAVrh91.93[2020年4月28日に出願された、PCT/US20/30281]が含まれ得るが、これらに限定されず、これらは参照により本明細書に組み込まれる。他の好適なAAVには、2019年10月21日に出願された米国仮特許出願第62/924,112号、及び2020年5月15日に出願された米国仮特許出願第63/025,753号に記載されるAAV3Bバリアントが含まれ、そこには、AAV3B.AR2.01、AAV3B.AR2.02、AAV3B.AR2.03、AAV3B.AR2.04、AAV3B.AR2.05、AAV3B.AR2.06、AAV3B.AR2.07、AAV3B.AR2.08、AAV3B.AR2.10、AAV3B.AR2.11、AAV3B.AR2.12、AAV3B.AR2.13、AAV3B.AR2.14、AAV3B.AR2.15、AAV3B.AR2.16、又はAAV3B.AR2.17が記載されており、これらは参照により本明細書に組み込まれる。これらの文書はまた、rAAVを生成するために選択され得る他のAAVカプシドについても記載されており、参照により組み込まれる。ヒト又は非ヒト霊長類(NHP)から単離され、又は操作され、十分に特徴付けられたAAVのうち、ヒトAAV2が、遺伝子導入ベクターとして開発された最初のAAVであり、それは、異なる標的組織及び動物モデルにおいて、効率的な遺伝子導入実験に広く使用されている。
【0031】
本明細書で使用される場合、「ベクターゲノム」は、ウイルス粒子を形成するrAAVカプシドの内側にパッケージングされる核酸配列を指す。かかる核酸配列は、AAV逆方向末端反復配列(ITR)を含む。本明細書の例では、ベクターゲノムは、少なくとも5’から3’に、AAV5’ITR、miRNAコード配列、及びAAV3’ITRを含む。AAV2からのITR、カプシドとは異なる供給源AAV、又は完全長ITR以外が選択され得る。特定の実施形態では、ITRは、産生中のrep機能又はトランス相補AA
Vを提供するAAVと同じAAV供給源由来である。更に、他のITRが使用され得る。更に、ベクターゲノムは、miRNAの発現を指示する調節配列を含む。ベクターゲノムの好適な成分が本明細書でより詳細に考察される。
【0032】
ある特定の実施形態では、髄腔内注入に好適な水性液体と、例えば、神経細胞(錐体細胞、プルキンエ細胞、顆粒細胞、紡錘体細胞、及び介在ニューロン細胞など)及びグリア細胞(星状膠細胞、乏突起膠細胞、ミクログリア、及び上衣細胞など)を含む、中枢神経系及び/又は後根神経節(例えば、CNS)における細胞を優先的に標的とするAAVカプシドを有するベクター(例えば、rAAV)のストックと、を含む組成物が提供され、ベクターは、中枢神経系(CNS)への送達のための、少なくとも1つのARに特異的なmiRNAを有する。ある特定の実施形態では、本明細書に記載の1つ以上のベクターを含む組成物は、大槽(大槽内)への後頭下注入用に製剤化される。ある特定の実施形態では、組成物は、コンピュータ断層撮影(CT)rAAV注入を介して投与される。ある特定の実施形態では、患者に、単回用量の組成物を投与する。
【0033】
本明細書で使用される場合、「発現カセット」は、カセットが、ベクター(例えば、rAAV、レンチウイルス、レトロウイルスなど)にパッケージングされ得る、ヒトARを標的とするmiRNAコード配列、プロモーターを含み、そのための他の調節配列を含み得る、核酸ポリマーを指す。
【0034】
rAAV
組換えパルボウイルスは、特に、SBMAの治療のためのベクターとして好適である。本明細書に記載されるように、組換えパルボウイルスは、AAVカプシド(又はボカウイルスカプシド)を含み得る。ある特定の実施形態では、カプシドは、後根神経節内の細胞並びに/又は下位運動ニューロン及び/若しくは一次感覚ニューロン内の細胞を標的とする。ある特定の実施形態では、本明細書で提供される組成物は、内因性hARレベルを下方制御するために、hARを特異的に標的とするmiRNAを含むrAAVを含む単一のrAAVストックを有し得る。
【0035】
例えば、クレードF由来のAAVカプシド(例えば、AAVhu68又はAAV9)を使用して生成されたベクターを使用して、CNSにおいてmiRを標的にして発現するベクターを生成することができる。代替的に、クレードA由来のAAVカプシド(例えば、AAV1、AAVrh91)を使用して生成されたベクターが選択され得る。更に他の実施形態では、他のパルボウイルス又は他のAAVウイルスが、AAVカプシドの好適な供給源であり得る。
【0036】
AAV1カプシドは、AAV vp1タンパク質、AAV vp2タンパク質、及びAAV vp3タンパク質を有するカプシドを指す。特定の実施形態では、AAV1カプシドは、約1:1:10の所定の比率のAAV vp1タンパク質、AAV vp2タンパク質、及びAAV vp3タンパク質で構成され、60個の総vpタンパク質のT1正二十面体カプシドに組み立てられる。AAV1カプシドは、ゲノム配列をパッケージングして、AAV粒子(例えば、ゲノムがベクターゲノムである組換えAAV)を形成することができる。典型的には、最も長いvpタンパク質(すなわち、VP1)をコードするカプシド核酸配列は、AAV1カプシドを有するrAAVの産生中にトランスで発現される。例えば、米国特許第6,759,237号、米国特許第7,105,345号、米国特許第7,186,552号、米国特許第8,637,255号、及び米国特許第9,567,607号に記載されている(これらは、参照により本明細書に援用される)。例えば、WO2018/168961も参照されたく、これは参照により組み込まれる。ある特定の実施形態では、AAV1は、質量分析を使用して決定されたカプシド中のVPタンパク質の総量に基づいて、以下の表で定義されるように脱アミド化されたVPアイソフォーム
の異質集団のカプシド組成によって特徴付けられる。ある特定の実施形態では、AAVカプシドは、質量分析を使用して決定される、以下に提供される範囲で、以下の位置のうちの1つ以上で修飾される。好適な修飾には、脱アミド化標識された上記段落に記載の修飾が含まれ、本明細書に組み込まれる。ある特定の実施形態では、以下の位置、又はNに続くグリシンのうちの1つ以上は、本明細書に記載されるように修飾される。ある特定の実施形態では、57位、383位、512位、及び/又は718位のNに続くグリシンが保存されている(すなわち、未修飾のままである)AAV1変異が構築される。ある特定の実施形態では、前文で示した4つの位置のNGは、天然配列で保存される。ある特定の実施形態では、人工NGは示される、上の表で特定される位置のうちの1つとは異なる位置に導入される。
【0037】
本明細書で使用される場合、AAVhu68カプシドは、WO2018/160582で定義されるカプシドを指す(参照により本明細書に援用される)。配列番号17を参照されたい。AAVhu68の産生配列は、配列番号16及び配列番号18(カプシドのみのコード配列)に見出され得る。
【0038】
単一のvp1核酸配列を使用する産生から得られたrAAVhu68は、vp1タンパク質、vp2タンパク質、及びvp3タンパク質の異質集団を産生する。これらの亜集団は、最低限、脱アミド化アスパラギン(N又はAsn)残基を含む。例えば、アスパラギン-グリシン対におけるアスパラギンは、高度に脱アミド化される。ある特定の実施形態では、vp2及び/又はvp3タンパク質は、追加的又は代替的に、例えば、選択された発現系においてvpタンパク質の比を変化させるために、vp1とは異なる核酸配列から発現され得る。
【0039】
ある特定の実施形態では、AAVhu68カプシドは、それぞれ、配列番号17のアミノ酸1~736、アミノ酸138~736、及びアミノ酸203~736、並びに/又はそれらのバリアントであるAAVhu68 VP1、VP2、及びVP3タンパク質を含み、当該バリアントは、当該AAVhu68 VP1、VP2、及びVP3タンパク質であるが、(i)アセチル化リジン、リン酸化セリン及び/若しくはトレオニン、異性化アスパラギン酸、酸化トリプトファン及び/若しくはメチオニン、又はアミド化アミノ酸から選択される1つ以上の修飾、並びに/あるいは(ii)好適な方法(例えば、質量分析)を使用して決定される、N57、N66、N94、N113、N252、N253、Q259、N270、N303、N304、N305、N314、N319、N328、N329、N336、N409、N452、N477、N512、N515、N598、Q599、N628、N651、N663、N709、N735、又はそれらの組み合わせの脱アミノ化を有する。
【0040】
ある特定の実施形態では、AAVhu68キャプシドは、配列番号17の1~736の予測されたアミノ酸配列をコードする核酸配列からの発現により産生されるvp1タンパク質、配列番号18から産生されるvp1タンパク質、又は配列番号17の1~736の予測されたアミノ酸配列をコードする、配列番号18と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一の核酸配列から産生されるvp1タンパク質から選択されるAAVhu68 vp1タンパク質の異質集団と、配列番号17の少なくとも約アミノ酸138~736の予測されたアミノ酸配列をコードする核酸配列からの発現により産生されるvp2タンパク質、配列番号18の少なくともヌクレオチド412~2211を含む配列から産生されるvp2タンパク質、又は配列番号17の少なくとも約アミノ酸138~736の予測されたアミノ酸配列をコードする、配列番号18の少なくともヌクレオチド412~2211と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一の核酸配列か
ら産生されるvp2タンパク質から選択されるAAVhu68 vp2タンパク質の異質集団と、配列番号17の少なくとも約アミノ酸203~736の予測されたアミノ酸配列をコードする核酸配列からの発現により産生されるvp3タンパク質、配列番号18の少なくともヌクレオチド607~2211を含む配列から産生されるvp3タンパク質、又は配列番号17の少なくとも約アミノ酸203~736の予測されたアミノ酸配列をコードする、配列番号18の少なくともヌクレオチド607~2211と少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、若しくは99%同一の核酸配列から産生されるvp3タンパク質から選択されるAAVhu68 vp3タンパク質の異質集団と、を含む。
【0041】
ある特定の実施形態では、AAVhu68カプシドは、(a)配列番号17の1~736のアミノ酸配列をコードする核酸配列からの発現により産生されるAAVhu68 VP1、AAVhu68 VP2、及びAAVhu68 VP3タンパク質、並びに/又は(b)質量分析法を使用して決定される、配列番号17の57位、329位、452位、及び512位でのアスパラギンの少なくとも60%の脱アミド化を更に含む、配列番号17のアミノ酸1~736、アミノ酸138~736、及びアミノ酸203~736であるAAVhu68 VP1、AAVhu68 VP2、及びAAVhu68 VP3タンパク質を含む。ある特定の実施形態では、脱アミド化は、質量分析法を使用して決定される、配列番号17の57位、329位、452位、及び512位で少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、又は100%である。AAVhu68カプシドは、67位にグルタミン酸及び157位にバリンを保持しながら、他の位置での脱アミド化を含む、他の翻訳後修飾を含み得る。
【0042】
ある特定の実施形態では、AAVhu68カプシドは、操作されたAAVhu68コード配列を使用して産生される。例えば、2020年10月18日に出願された米国仮特許出願第63/093,275号、及び2021年10月18日に出願された国際特許出願第PCT/US21/55436号を参照されたく、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。カプシドは、細胞培養、接着細胞、又は細胞懸濁液を含む任意の好適な産生細胞系で産生され得る。
【0043】
AAVカプシド中にパッケージングされ宿主細胞に送達されるゲノム配列は、典型的には、最低でも導入遺伝子(miRNA)、及びその調節配列、及びAAV逆方向末端反復(ITR)から構成される。一本鎖AAV及び自己相補的(sc)AAVの両方がrAAVに含まれる。導入遺伝子は、目的のポリペプチド、タンパク質、機能性RNA分子(例えば、miRNA、miRNA阻害剤)、又は他の遺伝子産物をコードするベクター配列とは異種の核酸コード配列である。核酸コード配列は、標的組織の細胞中で導入遺伝子の転写、翻訳、及び/又は発現を可能にする様式で調節要素に作動可能に連結される。
【0044】
ベクターのAAV配列は、典型的には、シス作用性5’及び3’逆位末端反復配列を含む(例えば、B.J.Carter,in”Handbook of Parvoviruses”,ed.,P.Tijsser,CRC Press,pp.155 168(1990)を参照されたい)。ITR配列は、約130又は145bp長である。好ましくは、実質的にITRをコードする全体配列が分子内で使用されるが、これらの配列のある程度の軽微な修飾が許容される。これらのITR配列を修飾する能力は、当技術分野の範囲内である。(例えば、Sambrook et al,「Molecular Cloning.A Laboratory Manual”,2d ed.,Cold Spring Harbor Laboratory,New York(1989);and K.Fisher et al.,J.Virol.,70:520 532(1996)を参照されたい)。本発明で利用されるかかる分子の一例は、選択された導入遺伝子配列及び関連する調節要素が5’及び3’AAV ITR配列に隣接する導入遺伝
子を含む「シス作用性」プラスミドである。一実施形態では、ITRは、カプシドを供給するものとは異なるAAV由来である。一実施形態では、AAV2由来のITR配列である。ΔITRと称される5’ITRの短縮型が報告されており、D配列及び末端分離部位(trs)が欠失されている。他の実施形態では、全長AAV5’及び3’ITRが使用される。しかしながら、他のAAV起源からのITRが選択されてもよい。ITRの供給源がAAV2由来であり、AAVカプシドが別のAAV供給源由来である場合、得られるベクターは、擬似型と称され得る。しかしながら、これらの要素の他の構成が好適であり得る。
【0045】
ベクター(例えば、rAAV)について上記で特定された主要な要素に加えて、ベクターはまた、細胞内でのその転写、翻訳、及び/又は発現を可能にする様式で導入遺伝子と作動可能に連結される、必要な従来の調節要素を含む。本明細書で使用される場合、「発現」又は「遺伝子発現」という用語は、遺伝子からの情報が、機能的な遺伝子産物の合成に使用されるプロセスを指す。遺伝子産物は、miRNA、タンパク質、ペプチド、又は核酸ポリマー(RNA、DNA、又はPNAなど)であり得る。
【0046】
本明細書で使用される場合、「調節配列」又は「発現制御配列」という用語は、イニシエーター配列、エンハンサー配列、及びプロモーター配列などの核酸配列を指し、それらが操作可能に連結されるタンパク質コード核酸配列の転写を誘導するか、抑制するか、さもなければ制御する。
【0047】
本明細書で使用される場合、「作動可能に連結される」配列は、目的の遺伝子と隣接する発現制御配列、及び目的の遺伝子を制御するためにトランスで又は離れて作用する発現制御配列の両方が含まれる。
【0048】
調節制御要素は、典型的には、発現制御配列の一部として、例えば、選択される5’ITR配列とコード配列との間に位置するプロモーター配列を含む。ある特定の実施形態では、プロモーターは、CMVエンハンサー要素を有するニワトリベータアクチンプロモーター、例えば、CB7プロモーター(配列番号23)である。一実施形態では、CB8プロモーターは、配列番号24の配列を有する。ある特定の実施形態では、CB7プロモーターは、CMVエンハンサー(配列番号8)、ニワトリベータアクチンプロモーター(配列番号9)、及びキメライントロン(配列番号10)を含む。特定の実施形態では、中枢神経系の組織特異的なプロモーターが選択される。例えば、プロモーターは神経細胞プロモーター、例えば、gfaABC(1)Dプロモーター(Addgene番号50473))、又はヒトSynプロモーター(配列はAddgeneから入手可能、参照番号50465、配列番号15)であり得る。
【0049】
他の好適なプロモーターとしては、例えば、構成的プロモーター、制御可能なプロモーター[例えば、WO2011/126808及びWO2013/04943を参照されたい]、又は生理学的合図に応答するプロモーターが挙げられる。プロモーターは、異なる供給源、例えば、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)最初期エンハンサー/プロモーター、SV40最初期エンハンサー/プロモーター、JCポリモマウイルスプロモーター、ミエリン塩基性タンパク質(MBP)又は神経膠原線維酸性タンパク質(GFAP)プロモーター、単純ヘルペスウイルス(HSV-1)潜伏関連プロモーター(LAP)、ラウス肉腫ウイルス(RSV)長末端反復(LTR)プロモーター、ニューロン特異的プロモーター(NSE)、血小板由来成長因子(PDGF)プロモーター、メラニン凝集ホルモン(MCH)プロモーター、CBA、マトリックス金属タンパク質プロモーター(MPP)、及びニワトリベータアクチンプロモーターから選択され得る。
【0050】
プロモーターに加えて、ベクターは、1つ以上の他の適切な転写開始、終結、エンハン
サー配列、スプライシング及びポリアデニル化(ポリA)シグナルなどの効率的なRNAプロセシングシグナル、細胞質mRNAを安定化させる配列、例えばWPRE、翻訳効率を高める配列(すなわち、コザックコンセンサス配列)、タンパク質の安定性を増強する配列、及び必要に応じて、コードされた産物の分泌を増強する配列を含み得る。好適なエンハンサーの例は、CMVエンハンサーである。他の好適なエンハンサーには、所望の標的組織適応症に適切なものが含まれる。一実施形態では、発現カセットは、1つ以上の発現エンハンサーを含む。一実施形態では、発現カセットは、2つ以上の発現エンハンサーを含む。これらのエンハンサーは同じであっても、互いに異なっていてもよい。例えば、エンハンサーは、CMV前初期エンハンサーを含み得る。このエンハンサーは、互いに隣接して位置する2つのコピーに存在し得る。代替的には、エンハンサーの二重コピーは、1つ以上の配列によって分離され得る。更に別の実施形態では、発現カセットは、イントロン、例えば、ニワトリベータアクチンイントロンを更に含む。他の好適なイントロンとしては、当該技術分野で既知のものが含まれ、例えば、WO2011/126808に記載される。好適なポリA配列の例には、例えば、ウサギベータグロビンポリA(配列番号25)、SV40、SV50、ウシ成長ホルモン(bGH)、ヒト成長ホルモン、及び合成ポリAが含まれる。任意選択的に、1つ以上の配列を選択して、mRNAを安定させてもよい。かかる配列の一例は、修飾WPRE配列であり、これは、ポリA配列の上流及びコード配列の下流で操作され得る[例えば、MA Zanta-Boussif,et al,Gene Therapy(2009)16:605-619を参照されたい。好適なWPREの例は、配列番号13に示される。
【0051】
一実施形態では、ベクターゲノムは、AAV5’ITR、プロモーター、任意選択のエンハンサー、任意選択のイントロン、ヒトアンドロゲン受容体を標的とするmiRNAのコード配列、ポリA、及びAAV3’ITRを含む。ある特定の実施形態では、ベクターゲノムは、AAV5’ITR、プロモーター、任意選択のエンハンサー、任意選択のイントロン、ヒトアンドロゲン受容体を標的とするmiRNAのコード配列、任意選択のWPRE、ポリA、及びAAV3’ITRを含む。ある特定の実施形態では、ベクターゲノムは、AAV5’ITR、プロモーター、エンハンサー、イントロン、配列番号1のヒトアンドロゲン受容体配列を標的とするmiRNAのコード配列、WPRE、ポリA、及びAAV3’ITRを含む。ある特定の実施形態では、ベクターゲノムは、AAV5’ITR、CB7プロモーター/エンハンサー、ニワトリ-ベータイントロン、配列番号1のヒトアンドロゲン受容体配列を標的とするmiRNAのコード配列、WPRE、ウサギベータグロビンポリA、及びAAV3’ITRを含む。ある特定の実施形態では、ベクターゲノムは、AAV5’ITR、CB7プロモーター/エンハンサー、ニワトリ-ベータイントロン、配列番号2を含む配列番号1のヒトアンドロゲン受容体配列を標的とするmiRNAのコード配列又はそれらから最大10個の置換を有する配列、WPRE、ウサギベータグロビンポリA、及びAAV3’ITRを含む。ある特定の実施形態では、ベクターゲノムは、AAV5’ITR、CB7プロモーター/エンハンサー、ニワトリ-ベータイントロン、配列番号3を含む配列番号27のヒトアンドロゲン受容体配列を標的とするmiRNAのコード配列又はそれらから最大10個の置換を有する配列、WPRE、ウサギベータグロビンポリA、及びAAV3’ITRを含む。miRNAコード配列は、本明細書で定義される配列から選択される。ベクターゲノムの他の要素又はこれらの配列上のバリエーションは、本発明の特定の実施形態について、ベクターゲノムに対して選択され得る。
【0052】
ベクター産生
AAVウイルスベクター(例えば、組換え(r)AAV)の産生における使用のために、発現カセットは、パッケージング宿主細胞に送達される任意の好適なベクター、例えば、プラスミド上に担持され得る。本発明において有用なプラスミドは、とりわけ、原核細胞、昆虫細胞、哺乳類細胞におけるインビトロでの複製及びパッケージングに適しているように操作され得る。好適なトランスフェクション技術及びパッケージング宿主細胞は、
既知であり、かつ/又は当業者によって容易に設計することができる。
【0053】
ある特定の実施形態では、産生プラスミドは、SBMA患者におけるヒトアンドロゲン受容体に特異的な少なくとも1つのmiRNA配列を含み、患者におけるmiRNAの発現を指示する調節配列に作動可能に連結される、カプシド中へのパッケージングのためのベクターゲノムを含む。
【0054】
ベクターとしての使用に好適なAAVを生成及び単離するための方法は、当該技術分野において既知である。一般に、例えば、Grieger & Samulski,2005,“Adeno-associated virus as a gene therapy vector:Vector development,production
and clinical applications,”Adv.Biochem.Engin/Biotechnol.99:119-145、Buning et al.,2008,”Recent developments in adeno-associated virus vector technology,”J.Gene Med.10:717-733、及び以下に引用される参考文献を参照されたい(これらの各々は、その全体が参照により本明細書に援用される)。導入遺伝子をビリオンにパッケージングするために、ITRは、発現カセットを含む核酸分子と同じ構築物中でシスに必要とされる唯一のAAV成分である。cap及びrep遺伝子は、トランスで供給され得る。
【0055】
一実施形態では、本明細書に記載される発現カセットは、ウイルスベクターを産生するために、その上に担持されるmiRNA構築物配列をパッケージング宿主細胞に導入する遺伝子要素(例えば、シャトルプラスミド)に操作される。一実施形態では、選択される遺伝子要素は、トランスフェクション、エレクトロポレーション、リポソーム送達、膜融合技術、高速DNAコーティングペレット、ウイルス感染、及びプロトプラスト融合を含む任意の好適な方法によってAAVパッケージング細胞に送達され得る。安定したAAVパッケージング細胞も作製することができる。代替的には、発現カセットは、AAV以外のウイルスベクターを生成するために、又はインビトロでの抗体の混合物の産生のために使用され得る。かかる構築物を作製するために使用される方法は、核酸操作における技術者に既知であり、遺伝子工学、組換え工学、及び合成技術を含む。例えば、Molecular Cloning:A Laboratory Manual,ed.Green
and Sambrook,Cold Spring Harbor Press,Cold Spring Harbor,NY(2012)を参照されたい。
【0056】
「AAV中間体」又は「AAVベクター中間体」という用語は、それにパッケージングされた所望のゲノム配列を欠失している組み立てられたrAAVカプシドを指す。これらは、「空の」カプシドと称され得る。そのようなカプシドは、発現カセットの検出可能なゲノム配列を全く含まないか、又は遺伝子産物の発現を達成するには不十分な部分的にパッケージングされたゲノム配列のみを含み得る。これらの空のカプシドは、目的の遺伝子を宿主細胞に導入するために非機能的である。
【0057】
本明細書に記載の組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)は、既知の技法を使用して産生されてもよい。例えば、WO2003/042397、WO2005/033321、WO2006/110689、US7588772B2を参照されたい。かかる方法は、AAVカプシドタンパク質をコードする核酸配列、機能的rep遺伝子、最低限でもAAV逆方向末端反復(ITR)及び導入遺伝子からなる発現カセット、並びに発現カセットをAAVカプシドタンパク質にパッケージングするのを許可する十分なヘルパー機能を含む宿主細胞を培養することを含む。カプシドを産生する方法、そのためのコード配列、及びrAAVウイルスベクターを産生するための方法が記載されている。例えば、Gao,e
t al,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.100(10),6081-6086(2003)及びUS2013/0045186A1を参照されたい。
【0058】
一実施形態では、組換えAAVを産生するために有用な産生細胞培養物が提供される。そのような細胞培養物は、宿主細胞中でAAVカプシドタンパク質を発現する核酸、AAVカプシド中にパッケージングするのに好適な核酸分子、例えば、AAV ITRを含有するベクターゲノム、及び宿主細胞中の導入遺伝子の発現を指示する配列と作動可能に連結された導入遺伝子(例えば、miRNA)をコードする非AAV核酸配列、並びに組換えAAVカプシド中への核酸分子のパッケージングを可能にするのに十分なAAVrep機能及びアデノウイルスヘルパー機能を含む。一実施形態では、細胞培養物は、哺乳動物細胞(例えば、とりわけヒト胚性腎臓293細胞)又は昆虫細胞(例えば、バキュロウイルス)で構成される。
【0059】
典型的には、rep機能は、ベクターゲノムに隣接するITRを提供するAAVと同じAAVソースに由来する。本明細書の実施例では、AAV2 ITRを選択し、AAV2
repを使用する。任意選択的に、他のrep配列又は別のrepソース(及び任意選択的に別のITRソース)が選択されてもよい。例えば、repは、これらに限定されないが、AAV1 repタンパク質、AAV2 repタンパク質、又はrep78、rep68、rep52、rep40、rep68/78、及びrep40/52、若しくはそれらの断片であり得る。任意で、rep及びcap配列は、細胞培養物中の同じ遺伝子要素上にある。rep配列とcap遺伝子との間にスペーサーが存在し得る。これらのAAV又は変異AAVカプシド配列のいずれかは、宿主細胞中でそれらの発現を指示する外因性制御性調節配列の調節下にあり得る。
【0060】
一実施形態では、細胞は、好適な細胞培養物において製造される(例えば、HEK293)。本明細書に記載の治療用ベクターを製造するための方法には、治療用ベクターの産生のために使用されるプラスミドDNAの生成、ベクターの生成、及びベクターの精製などの、当該技術分野で周知の方法が含まれる。いくつかの実施形態では、治療用ベクターは、AAVベクターであり、生成されたプラスミドは、AAVゲノム及び目的の遺伝子をコードするAAVシス-プラスミド(例えば、miRNA)、AAVrep及びcap遺伝子を含有するAAVトランス-プラスミド、及びアデノウイルスヘルパープラスミドである。ベクター生成プロセスは、細胞培養の開始、細胞の継代、細胞の播種、プラスミドDNAによる細胞のトランスフェクション、トランスフェクション後の無血清培地への培地交換、ベクターを含む細胞及び培養培地の回収などの方法ステップを含み得る。
【0061】
ある特定の実施形態では、rAAV.AR-miRの製造プロセスは、プラスミドDNAでのHEK293細胞の一過性トランスフェクションを伴う。単一バッチ又は複数バッチは、PALL iCELLisバイオリアクターで、HEK293細胞のPEI媒介性三重トランスフェクションによって産生される。回収したAAV材料は、可能な場合、使い捨ての閉鎖型バイオプロセッシングシステムにおいて、清澄化、TFF、アフィニティクロマトグラフィー、及びアニオン交換クロマトグラフィーによって順次精製される。
【0062】
回収したベクター含有細胞及び培養培地は、本明細書では粗細胞採取物と称される。更に別のシステムでは、治療用ベクターは、バキュロウイルスベースベクターでの感染によって昆虫細胞に導入される。これらの産生システムに関するレビューについては、概して、例えば、Zhang et al.,2009,“Adenovirus-adeno-associated virus hybrid for large-scale
recombinant adeno-associated virus production,”Human Gene Therapy 20:922-929を参照されたい(各々の内容は、参照によりその全体が本明細書に援用される)。これら及び他
のAAV生産システムの製造及び使用方法は、以下の米国特許にも記載され、それらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる:5,139,941、5,741,683、6,057,152、6,204,059、6,268,213、6,491,907、6,660,514、6,951,753、7,094,604、7,172,893、7,201,898、7,229,823、及び7,439,065(これらは、参照により本明細書に援用される)。
【0063】
粗細胞回収物は、その後、ベクター回収物の濃縮、ベクター回収物の透析濾過、ベクター回収物の顕微溶液化、ベクター回収物のヌクレアーゼ消化、顕微溶液化された中間体の濾過、クロマトグラフィーによる粗精製、超遠心分離による粗精製、接線流濾過による緩衝液交換、及び/又はバルクベクターを調製するための製剤化及び濾過などの、追加の方法ステップに供され得る。
【0064】
2ステップの高塩濃度でのアフィニティクロマトグラフィー精製、続いて、アニオン交換樹脂クロマトグラフィーを用いて、ベクター薬物製品を精製し、空のカプシドを除去する。これらの方法は、2016年12月9日に出願された国際特許出願第PCT/US2016/065970号に更に詳細に記載されている(これは、参照により本明細書に援用される)。AAV8の精製方法:2016年12月9日に出願された国際特許出願第PCT/US2016/065976号、及びrh10の精製方法:2016年12月9日に出願され、「Scalable Purification Method for AAVrh10」と題する国際特許出願第PCT/US16/66013号(2015年12月11日にも出願されている)、並びにAAV1の精製方法:2016年12月9日に出願された国際特許出願第PCT/US2016/065974号、2015年12月11日に出願された「Scalable Purification Method for AAV1」は、全て参照により本明細書に援用される。
【0065】
空の及び完全粒子含有量を算出するために、選択された試料(例えば、本明細書の実施例では、イオジキサノール勾配-精製された調製物、ここで、GCの数=粒子の数)についてのVP3バンド容量が、ロードされたGC粒子に対してプロットされる。得られた線形方程式(y=mx+c)を用いて、試験物ピークのバンド容量中の粒子の数を算出する。次いで、ロードされた20μL当たりの粒子の数(pt)に50を掛け、粒子(pt)/mLを得る。Pt/mLをGC/mLで除算することにより、ゲノムコピーに対する粒子の比(pt/GC)を得る。Pt/mL~GC/mLは、空のpt/mLを与える。空pt/mLをpt/mLで割って、次いで100を掛けることよって、空粒子のパーセンテージを得る。
【0066】
一般に、空のカプシド及びパッケージングされたゲノムを含むAAVベクター粒子をアッセイするための方法は、当該分野において既知である。例えば、Grimmら、Gene Therapy(1999)6:1322-1330;Sommerら、Molec.Ther.(2003)7:122-128を参照されたい。変性したカプシドについて試験するために、方法は、例えば、緩衝液中3~8%のTris-アセテートを含有する勾配ゲルなどの3つのカプシドタンパク質を分離可能な任意のゲルからなるSDS-ポリアクリルアミドゲル電気泳動に処理済みAAVストックを供すること、次いで、試料材料が分離するまでゲルをランさせること、ナイロン又はニトロセルロースメンブレン、好ましくは、ナイロンにゲルをブロットすることを含む。抗-AAVカプシド抗体は、次いで、変性したカプシドタンパク質、好ましくは、抗-AAVカプシドモノクローナル抗体、最も好ましくは、B1抗-AAV-2モノクローナル抗体に結合する主要な抗体として使用される(Wobus et al.,J.Virol.(2000)74:9281-9293)。次いで、一次抗体に結合し、一次抗体、より好ましくは、抗体に共有結合した検出分子を含有する抗-IgG抗体、最も好ましくは、西洋ワサビペルオキシダーゼ
に共有結合したヒツジ抗-マウスIgG抗体との結合を検出するための手段を含む、二次抗体が使用される。一次及び二次抗体との間の結合を半定量的に測定するために、結合を検出するための方法、好ましくは、放射性アイソトープ放射、電磁放射、又は発色変化を検出可能な検出方法、最も好ましくは、化学発光検出キットが使用される。例えば、SDS-PAGEでは、カラムフラクションからの試料を取って、還元剤(例えば、DTT)を含有するSDS-PAGE充填緩衝液中で加熱することができ、カプシドタンパク質は、プレキャスト勾配ポリアクリルアミドゲル(例えば、Novex)中で分解された。SilverXpress(Invitrogen、CA)を製造元の指示に従って用いて、銀染色を実施してもよく、又は他の適切な染色方法、すなわち、SYPROルビー若しくはクーマシー染色を実施してもよい。一実施形態では、カラムフラクション中のAAVベクターゲノム(vg)の濃度は、定量的リアルタイムPCR(Q-PCR)により測定されることができる。試料は希釈され、DNaseI(又は別の適切なヌクレアーゼ)で消化されて、外因性DNAが除去される。ヌクレアーゼの不活化後、試料は更に希釈され、プライマー及びプライマー間のDNA配列に特異的なTaqMan(商標)蛍光発生プローブを用いて増幅される。規定レベルの蛍光(閾値サイクル、Ct)に到達するのに必要とされるサイクル数は、Applied Biosystems Prism 7700配列検出システム上で各試料について測定される。AAVベクター中に含有されるものと同一の配列を含有するプラスミドDNAを利用して、Q-PCR反応における標準曲線を作成する。試料から得られたサイクル閾値(Ct)値を用いて、プラスミド標準曲線のCt値に対してそれを正規化することにより、ベクターゲノム力価を決定した。デジタルPCRに基づくエンドポイントアッセイも使用されることができる。
【0067】
一態様では、広域スペクトル血清プロテアーゼ、例えば、プロテアーゼK(例えば、Qiagenから商業的に入手可能なもの)を利用する最適化されたq-PCR方法が使用される。より具体的には、最適化されたqPCRゲノム力価アッセイは、DNaseI消化の後に、試料をプロテアーゼK緩衝液で希釈し、プロテアーゼKで処理し、続いて、熱失活させることを除き、標準的なアッセイと同様である。適切には、試料は、試料サイズと等しい量のプロテアーゼK緩衝液で希釈される。プロテアーゼK緩衝液は、2倍以上に濃縮され得る。典型的に、プロテアーゼK治療は、約0.2mg/mLであるが、0.1mg/mL~約1mg/mLで変動し得る。処理ステップは、一般に、約55℃で約15分間実施されるが、より低い温度(例えば、約37℃~約50℃)でより長時間(例えば、約20分~約30分)にわたって、又はより高い温度(例えば、最高約60℃)でより短時間(例えば、約5~10分)行われてもよい。同様に、熱不活性化は、一般に、約95℃で約15分間であるが、温度を下げてもよく(例えば、約70~約90℃)、時間を延ばしてもよい(例えば、約20分~約30分)。次いで、試料は希釈され(例えば、1000倍)、標準的なアッセイで記載されるように、TaqMan分析に供される。
【0068】
追加的に、又は代替的に、ドロップレットデジタルPCR(ddPCR)が使用されてもよい。例えば、ddPCRによる一本鎖及び自己相補的なAAVベクターゲノム力価を測定するための方法が記載されている。例えば、M.Lock et al,Hu Gene Therapy Methods,Hum Gene Ther Methods.2014 Apr;25(2):115-25.doi:10.1089/hgtb.2013.131.Epub 2014 Feb 14を参照されたい。
【0069】
簡潔に言うと、パッケージングされたゲノム配列を有するrAAV粒子をゲノム欠損AAV中間体から分離するための方法は、組換えAAVウイルス粒子及びAAVカプシド中間体を含む懸濁液を高性能液体クロマトグラフィーに供することを含み、AAVウイルス粒子及びAAV中間体は、高pHで平衡化された強力アニオン交換樹脂に結合され、約260及び約280で紫外吸光度のために溶出液をモニタリングしながら、塩勾配に供される。pHは、選択されたAAVに応じて調整され得る。例えば、WO2017/1603
60(AAV9)、WO2017/100704(AAVrh10)、WO2017/100676(例えば、AAV8)、及びWO2017/100674(AAV1)を参照されたい(これらは、参照により本明細書に援用される)。この方法では、AAV完全カプシドは、A260/A280の比が感染ポイントに到達した場合に溶出するフラクションから回収される。一実施例では、アフィニティクロマトグラフィーステップのために、ダイアフィルトレーションされた産物を、AAV2血清型を効率的に捕らえるCapture Select(商標)Poros-AAV2/9アフィニティ樹脂(Life Technologies)に適用してもよい。これらのイオン条件下、残留細胞DNA及びタンパク質の有意なパーセンテージは、カラムの中を流れ、AAV粒子は効率的に捕捉される。
【0070】
非AAV及び非ウイルスベクター
本明細書で使用される「ベクター」は、核酸配列を含む生物学的又は化学的部分であり、当該核酸配列の複製又は発現のために適切な標的細胞に導入され得る。ベクターの例としては、組換えウイルス、プラスミド、リポプレックス、ポリマーソーム、ポリプレックス、デンドリマー、細胞透過性ペプチド(CPP)コンジュゲート、磁性粒子、又はナノ粒子が挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、ベクターは、外因性又は異種又は操作されたmiRNAが挿入され得、次いで適切な標的細胞に導入され得る核酸分子である。かかるベクターは、好ましくは、1つ以上の複製起点と、組換えDNAが挿入され得る1つ以上の部位とを有する。ベクターは、しばしば、ベクターを有する細胞を、有さない細胞から選択することができる手段を有しており、例えば、それらは薬剤耐性遺伝子をコードしている。一般的なベクターには、プラスミド、ウイルスゲノム、及び「人工染色体」が含まれる。ベクターの生成、産生、特徴付け、又は定量化の従来の方法は、当業者に利用可能である。
【0071】
一実施形態では、ベクターは、それについて記載された発現カセットを含む非ウイルスプラスミド、例えば、「ネイキッドDNA」、「ネイキッドプラスミドDNA」、RNA、mRNA、shRNA、RNAiなどである。任意選択で、プラスミド又は他の核酸配列は、好適なデバイスを介して、例えば、エレクトロスプレー、エレクトロポレーションを介して送達される。他の実施形態では、核酸分子は、例えば、ミセル、リポソーム、カチオン性脂質-核酸組成物、ポリグリカン組成物、及び他のポリマー、脂質及び/又はコレステロール系-核酸コンジュゲート、並びに本明細書に記載されるような他の構築物を含む様々な組成物及びナノ粒子と結合される。例えば、WO2014/089486、US2018/0353616A1、US2013/0037977A1、WO2015/074085A1、US9670152B2、及びUS8,853,377B2、X.Su et al,Mol.Pharmaceutics,2011,8(3),pp774-787;ウェブ公開:March 21,2011、WO2013/182683、WO2010/053572、及びWO2012/170930を参照されたく、これらは全て参照により本明細書に組み込まれる。
【0072】
ある特定の実施形態では、非ウイルスベクターは、例えば、配列番号1又は配列番号27で内因性hARを標的とするmiRNA転写産物の送達に使用される。いくつかの実施形態では、miRNAは、用量当たり約0.5mg/kg(例えば、約1.0mg/kg、1.5mg/kg、2.0mg/kg、2.5mg/kg、3.0mg/kg、4.0mg/kg、5.0mg/kg、6.0mg/kg、7.0mg/kg、8.0mg/kg、9.0mg/kg、又は10.0mg/kgを超える)体重を超えるmiRNAの量で送達される。いくつかの実施形態では、miRNAは、用量当たり約0.1~100mg/kg(例えば、約0.1~90mg/kg、0.1~80mg/kg、0.1~70mg/kg、0.1~60mg/kg、0.1~50mg/kg、0.1~40mg/kg、0.1~30mg/kg、0.1~20mg/kg、0.1~10mg/kg)体重
のmiRNAの範囲の量で送達される。いくつかの実施形態では、miRNAは、用量当たり約1mg、5mg、10mg、15mg、20mg、25mg、30mg、35mg、40mg、45mg、50mg、55mg、60mg、65mg、70mg、75mg、80mg、85mg、90mg、95mg、100mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、450mg、又は500mgを超える量で送達される。
【0073】
ある特定の実施形態では、miRNA転写物は、脂質ナノ粒子(LNP)にカプセル化される。本明細書で使用される場合、「脂質ナノ粒子」という語句は、1つ以上の脂質(例えば、カチオン性脂質、非カチオン性脂質、及びPEG修飾脂質)を含む移送ビヒクルを指す。好ましくは、脂質ナノ粒子は、1つ以上のmiRNAを1つ以上の標的細胞(例えば、後根神経節、下位運動ニューロン及び/又は上位運動ニューロン、又はCNSにおいて上記で特定された細胞型)に送達するように製剤化される。好適な脂質の例には、例えば、ホスファチジル化合物(例えば、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルコリン、ホスファチジルセリン、ホスファチジルエタノールアミン、スフィンゴ脂質、セレブロシド、及びガングリオシド)が含まれる。また、単独で、又は他の移送ビヒクルと組み合わせての、移送ビヒクルとしてのポリマーの使用も企図される。好適なポリマーには、例えば、ポリアクリレート、ポリアルキルシアノアクリレート、ポリラクチド、ポリラクチド-ポリグリコリドコポリマー、ポリカプロラクトン、デキストラン、アルブミン、ゼラチン、アルギネート、コラーゲン、キトサン、シクロデキストリン、デンドリマー、及びポリエチレンイミンが含まれ得る。一実施形態では、移送ビヒクルは、標的細胞へのmiRNAのトランスフェクションを促進するその能力に基づいて選択される。miRNAに有用な脂質ナノ粒子は、タンパク質産生のためのデポーとして機能する標的細胞へのmiRNAの送達をカプセル化及び/又は増強するための陽イオン性脂質を含む。本明細書で使用される場合、「カチオン性脂質」という語句は、生理的pHなどの選択されたpHで正味の正電荷を担持するいくつかの脂質種のうちのいずれかを指す。企図される脂質ナノ粒子は、1つ以上のカチオン性脂質、非カチオン性脂質、及びPEG修飾脂質を用いる変動する比の多成分脂質混合物を含むことによって調製され得る。いくつかのカチオン性脂質が文献に記載されており、その多くは市販されている。例えば、WO2014/089486、US2018/0353616A1、及びUS8,853,377B2を参照されたく、これらは参照により組み込まれる。ある特定の実施形態では、LNP製剤は、コレステロール、イオン化性脂質、ヘルパー脂質、PEG脂質、及びカプセル化されたmRNAの周囲に脂質二重層を形成するポリマーを含む慣例的な手順を使用して実施される(Kowalski et al.,2019,Mol.Ther.27(4):710-728)。いくつかの実施形態では、LNPは、ヘルパー脂質DOPEを有するカチオン性脂質(すなわち、N-[1-(2,3-ジオレオイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)、又は1,2-ジオレオイル-3-トリメチルアンモニウム-プロパン(DOTAP))を含む。いくつかの実施形態では、LNPは、イオン化性脂質Dlin-MC3-DMAイオン化性脂質、又はジケトピペラジン系イオン化性脂質(cKK-E12)を含む。いくつかの実施形態では、ポリマーは、ポリエチレンイミン(PEI)又はポリ(β-アミノ)エステル(PBAE)を含む。例えば、WO2014/089486、US2018/0353616A1、US2013/0037977A1、WO2015/074085A1、US9670152B2、及びUS8,853,377B2を参照されたく、これらは参照により組み込まれる。
【0074】
ある特定の実施形態では、本明細書に記載のベクターは、合成又は人工のウイルス粒子を指す「複製欠損ウイルス」又は「ウイルスベクター」であり、その中の発現カセットは、hARを標的とする少なくとも1つのmiRNAコードする核酸配列を含有する。複製欠損ウイルスは、後代ビリオンを生成することができないが、標的細胞に感染する能力を保持する。一実施形態では、ウイルスベクターのゲノムは、複製に必要とされる酵素をコ
ードする遺伝子を含まない(ゲノムは、人工ゲノムの増幅及びパッケージングに必要とされるシグナルに隣接するE2をコードする核酸配列のみを含む「ガットレス(gutless)」であるように操作されることができる)が、これらの遺伝子は、産生中に供給され得る。したがって、それは、後代ビリオンによる複製及び感染が、複製に必要とされるウイルス酵素の存在下以外で生じることができないために、遺伝子療法における使用のために安全であると考えられる。
【0075】
本明細書で使用される場合、組換えウイルスベクターは、例えば、組換えアデノ随伴ウイルス(AAV)、アデノウイルス、ボカウイルス、ハイブリッドAAV/ボカウイルス、単純ヘルペスウイルス、又はレンチウイルスを含む、任意の好適な複製欠損ウイルスベクターであり得る。
【0076】
本明細書で使用される場合、「宿主細胞」という用語は、ベクター(例えば、組換えAAV)が産生されるパッケージング細胞株を指し得る。宿主細胞は、原核細胞又は真核細胞(例えば、ヒト、昆虫、又は酵母)であり得、任意の手段、例えば、エレクトロポレーション、リン酸カルシウム沈殿、マイクロインジェクション、形質転換、ウイルス感染、トランスフェクション、リポソーム送達、膜融合技術、高速DNAコーティングペレット、ウイルス感染、及びプロトプラスト融合によって細胞に導入される、外因性DNA又は異種DNAを含有する。宿主細胞の例としては、単離された細胞、細胞培養、Escherichia coli細胞、酵母細胞、ヒト細胞、非ヒト細胞、哺乳類細胞、非哺乳類細胞、昆虫細胞、HEK-293細胞、肝臓細胞、腎臓細胞、中枢神経系細胞、ニューロン、グリア細胞、又は幹細胞が挙げられ得るが、これらに限定されない。
【0077】
本明細書で使用される場合、「標的細胞」という用語は、miRNAの発現が所望される任意の標的細胞を指す。ある特定の実施形態では、「標的細胞」という用語は、SBMAの治療を受けている対象の細胞の言及が意図される。標的細胞の例には、中枢神経系内の細胞が含まれ得るが、これに限定されない。
【0078】
組成物
ヒトアンドロゲン受容体を標的とするmiRNAをコードする配列を含む少なくとも1つのベクター(例えば、rAAV.AR-miRストック)、及び/又はAR-miRを含む少なくとも1つのベクター、及び/又はAR-miRストックを含む少なくとも1つのベクター、並びに任意選択の担体、賦形剤、及び/又は保存剤を含む組成物が本明細書で提供される。ベクター(例えば、rAAV)ストックは、例えば、濃度及び用量単位の考察において以下に記載される量などで同じである複数のベクターを指す。
【0079】
ある特定の実施形態では、組成物は、単独で、又は他のベクターストック若しくは組成物と組み合わせて、SBMAの治療における使用に好適な組換えAAV(rAAV)であるウイルスストックを少なくとも含む。ある特定の実施形態では、組成物は、SBMAの治療における使用に好適な組換えAAV(rAAV)であるウイルスストックを含み、当該rAAVは、(a)アデノ随伴ウイルスカプシドと、(b)AAVカプシド中にパッケージングされたベクターゲノムであって、当該ベクターゲノムが、AAV逆位末端反復、ヒトアンドロゲン受容体に対して特異的に標的化された少なくとも1つのmiRNAのコード配列、及びmiRNAの発現を指示する調節配列を含む、ベクターゲノムと、を含む。ある特定の実施形態では、ベクターゲノムは、プロモーター、エンハンサー、イントロン、配列番号1のhAR配列を標的とするmiRNAコード配列、WPRE、及びポリアデニル化シグナルを含む。ある特定の実施形態では、ベクターゲノムは、AAV2 5’ITR及びAAV2 3’ITRを更に含み、これらは、ベクターゲノムの全てのエレメントに隣接する。ある特定の実施形態では、ベクターゲノムは、プロモーター、エンハンサー、イントロン、miR3610をコードするmiRNAコード配列、WPRE、及び
ポリアデニル化シグナルを含む。ある特定の実施形態では、ベクターゲノムは、プロモーター、エンハンサー、イントロン、miR3613をコードするmiRNAコード配列、WPRE、及びポリアデニル化シグナルを含む。
【0080】
rAAV.AR-miRは、ヒトSBMA患者に投与される生理学的に適合性のある担体に懸濁され得る。ある特定の実施形態では、ヒト患者への投与のために、ベクターは、食塩水、界面活性剤、及び生理学的に適合性のある塩、又は塩の混合物を含有する水性溶液中に好適に懸濁される。好適には、配合物は、生理学的に許容されるpH、例えば、pH6~9、若しくはpH6.5~7.5、pH7.0~7.7、又はpH7.2~7.8の範囲に調整される。脳脊髄液のpHは、約7.28~約7.32、又は髄腔内送達の場合、約7.2~約7.4であるので、この範囲内のpHが望ましいが、静脈内送達の場合、約6.8~約7.2のpHが望ましい場合がある。しかしながら、より広範囲にある他のpH、及びこれらの下位範囲が、他の送達経路のために選択され得る。
【0081】
ある特定の実施形態では、製剤は、重炭酸ナトリウムを含まない緩衝生理食塩水溶液を含有し得る。かかる製剤は、ハーバード緩衝液などの緩衝生理食塩水溶液を含有してもよく、水中に、リン酸ナトリウム、塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化カルシウム、塩化マグネシウム、及びそれらの混合物のうちの1つ以上を含む。水溶液は、ポロキサマーであるKolliphor(登録商標)P188を更に含んでもよく、これは、BASFから市販され、以前、Lutrol(登録商標)F68という商品名で販売されていた。水溶液は、7.2のpH又は7.4のpHを有し得る。
【0082】
別の実施形態では、製剤は、1mMのリン酸ナトリウム(Na3PO4)、150mMの塩化ナトリウム(NaCl)、3mMの塩化カリウム(KCl)、1.4mMの塩化カルシウム(CaCl2)、0.8mMの塩化マグネシウム(MgCl2)、及び0.001%のKolliphor(登録商標)188が含まれる、緩衝生理食塩水溶液を含み得る。例えば、harvardapparatus.com/harvard-apparatus-perfusion-fluid.htmlを参照されたい。ある特定の実施形態では、ハーバード緩衝液が好ましい。
【0083】
他の実施形態では、製剤は、1つ以上の透過促進剤を含んでもよい。好適な浸透促進剤の例は、例えば、マンニトール、グリココール酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、デオキシコール酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン-9-ラウリルエーテル、又はEDTAを含み得る。
【0084】
別の実施形態では、組成物は、担体、希釈剤、賦形剤及び/又はアジュバントを含む。好適な担体は、導入ウイルスが対象とする適応症を考慮して、当業者により容易に選択され得る。例えば、1つの好適な担体は、生理食塩水を含み、様々な緩衝溶液(例えば、リン酸緩衝食塩水)とともに製剤化され得る。他の例示的な担体としては、滅菌生理食塩水、ラクトース、スクロース、リン酸カルシウム、ゼラチン、デキストラン、寒天、ペクチン、ピーナッツ油、ゴマ油、及び水が含まれる。緩衝液/担体は、rAAVが注入チューブに付着するのを防ぐが、インビボでrAAV結合活性を妨げない成分を含むべきである。
【0085】
任意に、組成物は、ベクター(例えば、rAAV)及び担体に加えて、防腐剤又は化学安定剤などの他の従来の医薬成分を含み得る。好適な例示的な防腐剤としては、クロロブタノール、ソルビン酸カリウム、ソルビン酸、二酸化硫黄、没食子酸プロピル、パラベン、エチルバニリン、グリセリン、フェノール、及びパラクロロフェノールが含まれる。好適な化学安定剤としては、ゼラチン及びアルブミンが含まれる。
【0086】
本明細書で使用される場合、「担体」は、ありとあらゆる溶媒、分散媒体、ビヒクル、コーティング、希釈剤、抗菌剤及び抗真菌剤、等張剤及び吸収遅延剤、緩衝液、担体溶液、懸濁液、コロイドなどを含む。薬学的活性物質に対するかかる媒体及び薬剤の使用は、当該技術分野において周知である。補足有効成分を組成物中に組み込むこともできる。「薬学的に許容される」という語句は、宿主に投与されるときにアレルギー又は類似の有害反応を生じない分子実体及び組成物を指す。リポソーム、ナノカプセル、微粒子、ミクロスフェア、脂質粒子、小胞などの送達ビヒクルが、本発明の組成物を好適な宿主細胞に導入するために使用され得る。詳細には、rAAVベクター送達導入遺伝子は、脂質粒子、リポソーム、小胞、ナノスフィア、又はナノ粒子などに封入化された送達のいずれかのために製剤化され得る。
【0087】
一実施形態では、組成物は、対象への送達に適した最終製剤を含み、例えば、生理的に適合するpH及び塩濃度に緩衝される水性液体懸濁液である。任意選択的に、1つ以上の界面活性剤が配合物中に存在する。別の実施形態では、組成物は、対象への投与のために希釈される濃縮物として輸送され得る。他の実施形態では、組成物は、凍結乾燥され、投与時に再構成され得る。
【0088】
好適な界面活性剤、又は界面活性剤の組み合わせが、非毒性である非イオン界面活性剤のうちから選択され得る。一実施形態では、例えば、中性pHを有し、平均分子量8400を有するポロキサマー188としても知られているPluronic(登録商標)F68[BASF]などの、末端が一級ヒドロキシル基の二機能性ブロックコポリマー界面活性剤が選択される。他の界面活性剤及び他のポロキサマー、すなわち、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))の2つの親水性鎖に隣接するポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))の中心疎水性鎖からなる非イオン性トリブロックコポリマー、SOLUTOL HS 15(マクロゴール-15ヒドロキシステアラート)、LABRASOL(ポリオキシカプリン酸グリセリド)、ポリオキシ10オレイルエーテル、TWEEN(ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、エタノール、及びポリエチレングリコールが選択され得る。一実施形態では、配合物は、ポロキサマーを含有する。これらのコポリマーは、一般に、文字「P」(ポロキサマーについて)に続いて、3桁数字を用いて命名され、初めの2桁数字×100は、ポリオキシプロピレンコアのおおよその分子質量を示し、最後の数字×10は、ポリオキシエチレン含有量パーセントを示す。一実施形態では、ポロキサマー188が選択される。界面活性剤は、懸濁液の最高約0.0005%~約0.001%の量で存在し得る。
【0089】
ベクターは、細胞をトランスフェクトするのに十分な量で投与され、十分なレベルの遺伝子導入及び発現を提供して、過度の悪影響なしに、又は医学的に許容される生理的効果を伴う治療効果を提供し、これは当業者によって決定され得る。任意選択的に、髄腔内投与以外の経路、例えば、所望の臓器(例えば、肝臓(任意選択的に肝動脈を介して)、肺、心臓、眼、腎臓)への直接送達、経口、吸入、鼻腔内、気管内、動脈内、眼内、静脈内、筋肉内、皮下、皮内、及び他の親の投与経路などを使用することができる。投与経路は、所望される場合、組み合わされてもよい。
【0090】
ベクターの用量は、主に、治療される状態、患者の年齢、体重、及び健康状態などの要因に依存し、したがって、患者間で異なり得る。例えば、ウイルスベクターの治療上有効なヒト投薬量は、概して、約25~約1000マイクロリットル~約100mLの範囲の、(体重が70kgの平均的な対象を治療するために)約1×10~1×1016ゲノムウイルスベクターの濃度(その範囲内の全ての整数又は分数量を含み、好ましくは、ヒト患者に対して、1.0×1012GC~1.0×1014GC)を含む溶液である。一実施形態では、組成物は、範囲内の全ての整数又は小数を含む、用量当たり少なくとも1
×10、2×10、3×10、4×10、5×10、6×10、7×10、8×10、又は9×10GCを含むように製剤化される。別の実施形態では、組成物は、範囲内の全ての整数又は小数を含む、用量当たり少なくとも1×1010、2×1010、3×1010、4×1010、5×1010、6×1010、7×1010、8×1010、又は9×1010GCを含むように製剤化される。別の実施形態では、組成物は、範囲内の全ての整数又は小数を含む、用量当たり少なくとも1×1011、2×1011、3×1011、4×1011、5×1011、6×1011、7×1011、8×1011、又は9×1011GCを含むように製剤化される。別の実施形態では、組成物は、範囲内の全ての整数又は小数を含む、用量当たり少なくとも1×1012、2×1012、3×1012、4×1012、5×1012、6×1012、7×1012、8×1012、又は9×1012GCを含むように製剤化される。別の実施形態では、組成物は、範囲内の全ての整数又は小数を含む、用量当たり少なくとも1×1013、2×1013、3×1013、4×1013、5×1013、6×1013、7×1013、8×1013、又は9×1013GCを含むように製剤化される。別の実施形態では、組成物は、範囲内の全ての整数又は小数を含む、用量当たり少なくとも1×1014、2×1014、3×1014、4×1014、5×1014、6×1014、7×1014、8×1014、又は9×1014GCを含むように製剤化される。別の実施形態では、組成物は、範囲内の全ての整数又は小数を含む、用量当たり少なくとも1×1015、2×1015、3×1015、4×1015、5×1015、6×1015、7×1015、8×1015、又は9×1015GCを含むように製剤化される。一実施形態では、ヒトへの適用のために、用量は、範囲内の全ての整数又は少数を含む、用量当たり1×1010~約1×1012GCの範囲であり得る。
【0091】
ある特定の実施形態では、用量は、約1×10GC/g脳質量~約1×1012GC/g脳質量の範囲である。ある特定の実施形態では、用量は、約1×1010GC/g脳質量~約3.33×1011GC/g脳質量の範囲である。ある特定の実施形態では、用量は、約3.33×1011GC/g脳質量~約1.1×1012GC/g脳質量の範囲である。ある特定の実施形態では、用量は、約1.1×1012GC/g脳質量~約3.33×1013GC/g脳質量の範囲である。ある特定の実施形態では、用量は、3.33×1011GC/g脳質量よりも低い。ある特定の実施形態では、用量は、1.1×1012GC/g脳質量よりも低い。ある特定の実施形態では、用量は、3.33×1013GC/g脳質量よりも低い。ある特定の実施形態では、用量は、約1×1010GC/g脳質量である。ある特定の実施形態では、用量は、約2×1010GC/g脳質量である。ある特定の実施形態では、用量は、約2×1010GC/g脳質量である。ある特定の実施形態では、用量は、約3×1010GC/g脳質量である。ある特定の実施形態では、用量は、約4×1010GC/g脳質量である。ある特定の実施形態では、用量は、約5×1010GC/g脳質量である。ある特定の実施形態では、用量は、約6×1010GC/g脳質量である。ある特定の実施形態では、用量は、約7×1010GC/g脳質量である。ある特定の実施形態では、用量は、約8×1010GC/g脳質量である。ある特定の実施形態では、用量は、約9×1010GC/g脳質量である。ある特定の実施形態では、用量は、約1×1011GC/g脳質量である。ある特定の実施形態では、用量は、約2×1011GC/g脳質量である。ある特定の実施形態では、用量は、約3×1011GC/g脳質量である。ある特定の実施形態では、用量は、約4×1011GC/g脳質量である。ある特定の実施形態では、用量は、rAAVの約1.44×1013~4.33×1014GCの範囲の均一用量として、ヒトに投与される。ある特定の実施形態では、用量は、rAAVの約1.44×1013~2×1014GCの範囲の均一用量として、ヒトに投与される。ある特定の実施形態では、用量は、rAAVの約3×1013~1×1014GCの範囲の均一用量として、ヒトに投与される。ある特定の実施形態では、用量は、rAAVの約5×1013~1×1014GCの範囲の均一用量として、ヒトに投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、投薬量単位で製剤化され、
rAAVの約1×1013~8×1014GCの範囲にある量のAAVを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、投薬量単位で製剤化され、rAAVの約1.44×1013~4.33×1014GCの範囲にある量のrAAVを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、投薬量単位で製剤化され、rAAVの約3×1013~1×1014GCの範囲にある量のrAAVを含み得る。いくつかの実施形態では、組成物は、投薬量単位で製剤化され、rAAVの約5×1013~1×1014GCの範囲にある量のrAAVを含み得る。
【0092】
ある特定の実施形態では、ベクターは、単回用量で対象に投与される。ある特定の実施形態では、複数回の注入(例えば、2用量)によってベクターを送達され得ることが所望される。
【0093】
投薬量を調整して、任意の副作用に対する治療的利益のバランスをとり、かかる投薬量は、組換えベクターが利用される治療適用に応じて変化し得る。導入遺伝子の発現レベルをモニタリングして、ウイルスベクター、好ましくはミニ遺伝子を含有するAAVベクターをもたらす投薬頻度を決定することができる。任意に、治療目的で記載されているものと同様の投薬レジメンは、本明細書で提供される組成物を使用した免疫に利用され得る。
【0094】
本明細書で使用される場合、「髄腔内送達」又は「髄腔内投与」という用語は、脊柱管への、より詳細には、脳脊髄液(CSF)へ到達するようにクモ膜下腔空間内への注入を介した、投与経路を指す。髄腔内送達は、腰椎穿刺、脳室内(側脳室内(ICV)を含む)、後頭下/槽内、及び/又はC1-2穿刺を含み得る。例えば、材料は、腰部穿刺により、クモ膜下腔空間にわたって拡散させるために導入され得る。別の実施例では、注入は、大槽へのものであり得る。ある特定の実施形態では、送達は、Ommayaリザーバなどの硬膜下植え込み可能なデバイスの使用によって達成される。
【0095】
本明細書で使用される場合、「槽内送達」又は「槽内投与」という用語は、大槽小脳延髄(cisterna magna cerebellomedularis)の脳脊髄液内への直接的な投与経路、より詳細には、後頭下穿刺を介した、又は大槽内への直接的な注入による、又は永久的に配置されたチューブを介した、投与経路を指す。
【0096】
(例えば、SBMA患者における)内因性hARを抑制するための本明細書に記載のmiR標的配列を含む組成物は、概して、ニューロン(例えば、下位運動ニューロン及び/又は一次感覚ニューロンを含む。これらは、例えば、錐体細胞、プルキンエ細胞、顆粒細胞、紡錘体細胞、及び介在ニューロン細胞を含み得る)を含むがこれらに限定されない、中枢神経系内の1つ以上の異なる細胞型を標的とする。
【0097】
使用
本明細書で提供されるベクター及び組成物は、球脊髄性筋萎縮症(SBMA)、又はそれに関連する様々な症状を有する患者を治療するのに有用である。SBMAを有する患者を治療するためのレジメンが提供される。ある特定の実施形態では、このレジメンは、対象における核酸配列の発現を指示する調節配列と作動可能に連結された、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上のmiRNA標的部位に結合する標的化配列を含む、少なくとも1つのヘアピン形成miRNAをコードする組換え核酸配列を投与することを含み、miRNAが、ヒトアンドロゲン受容体の発現を阻害する。ある特定の実施形態では、miRNA標的部位は、GAA CTA CAT CAA GGA ACT CGA(配列番号1)を含む。ある特定の実施形態では、本明細書に記載のAAV、発現カセット、核酸、又は組成物が使用される。
【0098】
ある特定の実施形態では、組成物は、1×1010GC/g脳質量~3.33×10
GC/g脳質量のrAAVの用量で髄腔内に投与されるように製剤化される。他の実施形態では、患者は、ヒト成人であり、1.44×1013~4.33×1014GCの用量のrAAVを投与される。他の実施形態では、組成物は、脳室内送達を介して、又は実質内送達を介して、髄腔内に送達される。別の実施形態では、組成物は、大槽(大槽内)(ICM)へのコンピュータ断層撮影(CT)ガイドによる後頭下注入を介して、単回用量として投与される。
【0099】
任意に、本明細書で提供されるベクター及び組成物は、アセトアミノフェン、非ステロイド系抗炎症薬(NSAID)、三環系抗うつ薬、又は抗てんかん薬、例えば、カルバマゼピン又はガバペンチンから選択される1つ以上の併用療法と組み合わせて使用され得る。他の併用療法としては、PEG化IGF-1模倣物(例えば、BVS857)(例えば、Grunseich C,et al,BVS857 study group.Safety,tolerability,and preliminary efficacy of an IGF-1 mimetic in patients with spinal and bulbar muscular atrophy:a randomised,placebo-controlled trial.Lancet Neurol.2018 Dec;17(12):1043-1052.doi:10.1016/S1474-4422(18)30320-X.Epub 2018 Oct
15.PMID:30337273を参照されたい)、AR遺伝子発現を抑制するアンチセンスオリゴヌクレオチド(例えば、Cell Rep.2014 May 8;7(3):774-784.doi:10.1016/j.celrep.2014.02.008を参照されたい)、イントラボディ(例えば、INT41)、小分子Nrf1又はNrf2活性化因子(例えば、AJ201,ALZ002 aka ASC-JM17)(例えば、Human Molecular Genetics,2016,Vol.25,No.10を参照されたい)、ロイプロレリンアセテート(例えば、Lancet Neurol 2010;9:875-84を参照されたい)、デュタステリド(合成4-アザステロイド化合物)(例えば、1 Lancet Neurol.2011 February;10(2):140-147.doi:10.1016/S1474-4422(10)70321-5を参照されたい)、mrR-196a、Srcキナーゼ阻害剤(例えば、A419259)、ARアイソフォーム45(例えば、AAV9-AR45)、及びクレンブテロール(例えば、Querin G,D’Ascenzo C,Peterle E,et al.Pilot trial of clenbuterol in spinal and bulbar muscular atrophy.Neurology 2013;80:2095-8を参照されたい)が挙げられる。更に他の実施形態では、ベクターは、1つ以上のステロイド、例えば、プレドニゾンを含む免疫調節レジメンと組み合わせて送達され得る。
【0100】
本明細書で使用される場合、コンピュータ断層撮影(CT)という用語は、軸に沿って作成された一連の平面断面画像から、コンピュータによって身体構造の三次元画像が構築される放射線撮影を指す。
【0101】
「自己相補的核酸」とは、核酸鎖内のヌクレオチドの相補性(例えば、塩基対合)により、それ自体とハイブリダイズ(すなわち、それ自体を折り返す)して、一本鎖二重構造を形成することができる核酸を指す。自己相補的核酸は、ヘアピンループ、ループ、バルジ、接合部、及び内部バルジなどの様々な二次構造を形成することができる。ある特定の自己相補的核酸(例えば、miRNA又はAmiRNA(人工miRNA))は、遺伝子サイレンシングなどの調節機能を実施する。
【0102】
「実質的相同性」又は「実質的類似性」という用語は、核酸又はその断片に言及する場合、適切なヌクレオチドの挿入又は欠失を伴って別の核酸(又はその相補鎖)と最適に整
列した場合、整列した配列の少なくとも約95~99%においてヌクレオチド配列の同一性がある。好ましくは、相同性は、全長配列、又はそのオープンリーディングフレーム、又は少なくとも15ヌクレオチド長である別の好適な断片にわたる。好適な断片の例は、本明細書に記載されている。
【0103】
核酸配列の文脈で「配列同一性」、「パーセント配列同一性」、又は「パーセント同一」という用語は、最大限対応するように整列させたときに同じである2つの配列中の残基を指す。配列同一性の比較の長さは、ゲノムの全長、遺伝子コード配列の全長、又は、望ましくは、少なくとも約500~5000個のヌクレオチドの断片にわたり得る。しかしながら、例えば、少なくとも約9個のヌクレオチド、通常は少なくとも約20~24個のヌクレオチド、少なくとも約28~32個のヌクレオチド、少なくとも約36個以上のヌクレオチドの、より小さい断片間の同一性も望まれ得る。同様に、「パーセント配列同一性」は、タンパク質の全長わたるアミノ酸配列又はその断片について容易に決定することができる。好適には、断片は、少なくとも約8アミノ酸長であり、最大で約700アミノ酸長であり得る。好適な断片の例は、本明細書に記載されている。
【0104】
「実質的相同性」又は「実質的類似性」という用語は、アミノ酸又はその断片に言及する場合、適切なアミノ酸の挿入又は欠失を伴って別のアミノ酸(又はその相補鎖)と最適に整列した場合、整列した配列の少なくとも約95~99%においてアミノ酸配列の同一性がある。好ましくは、相同性は、全長配列、若しくはそのタンパク質、例えば、capタンパク質、repタンパク質、又は少なくとも8アミノ酸長であるそれらの断片、若しくはより好ましくは、少なくとも15アミノ酸長にわたる。好適な断片の例は、本明細書に記載されている。
【0105】
「高度に保存された」という用語は、少なくとも80%の同一性、好ましくは、少なくとも90%の同一性、より好ましくは97%超の同一性を意味する。同一性は、当業者に既知のアルゴリズム及びコンピュータプログラムを用いることによって、当業者によって容易に決定される。
【0106】
一般に、2つの異なるアデノ随伴ウイルス間の「同一性」、「相同性」、又は「類似性」に言及する場合、「同一性」、「相同性」、又は「類似性」は、「整列された」配列を参照して決定される。「整列された」配列又は「整列」とは、複数の核酸配列又はタンパク質(アミノ酸)配列を指し、参照配列と比較して、多くの場合、欠損若しくは追加の塩基又はアミノ酸についての補正を含む。実施例では、公開されたAAV9配列を参照点として使用してAAV整列を行う。整列は、様々な公的又は商業的に利用可能である多重配列整列プログラムのいずれかを使用して行われる。かかるプログラムの例としては、インターネット上のウェブサーバを通してアクセス可能な「Clustal Omega」、「Clustal W」、「CAP Sequence Assembly」、「MAP」、及び「MEME」が挙げられる。かかるプログラムの他のソースは、当業者に既知である。代替的には、Vector NTIユーティリティもまた使用される。また、当該技術分野で既知のいくつかのアルゴリズムが存在し、上記のプログラムに含まれるものを含め、ヌクレオチド配列同一性を測定するために使用することができる。別の例として、ポリヌクレオチド配列は、GCGバージョン6.1のプログラムであるFasta(商標)を用いて比較することができる。Fasta(商標)は、照会配列(query sequence)及び検索配列(search sequence)の間の最良の重複領域の整列及びパーセント配列同一性を提供する。例えば、核酸配列間の配列同一性パーセントは、Fasta(商標)を、そのデフォルトパラメータ(ワードサイズ6及びスコアリングマトリックスについてNOPAM係数)を参照により本明細書に組み込まれるGCGバージョン6.1に提供されるように用いて使用して決定することができる。「Clustal Omega」、「Clustal X」、「MAP」、「PIMA」、「MSA
」、「BLOCKMAKER」、「MEME」、及び「Match-Box」プログラムなどの多重配列整列プログラムもまた、アミノ酸配列に対して利用可能である。一般に、これらのプログラムのいずれかがデフォルト設定で使用されるが、必要に応じて、当業者は、これらの設定を変更することができる。代替的には、当業者は、別のアルゴリズム又はコンピュータプログラムを利用することができ、参照のアルゴリズム及びプログラムによって提供されるように、少なくとも同一性のレベル又は整列が提供される。例えば、J.D.Thomson et al,Nucl.Acids.Res.,“A comprehensive comparison of multiple sequence alignments”,27(13):2682-2690(1999)を参照されたい。
【0107】
「a」又は「an」という用語は、1つ以上を指すことに留意されたい。したがって、「a」(又は「an」)、「1つ以上(one or more)」、及び「少なくとも1つ(at least one)」という用語は、本明細書では互換的に使用される。
【0108】
「含む(comprise)」、「含む(comprises)」、及び「含んでいる(comprising)」という用語は、排他的ではなく包括的に解釈されるべきである。「なる(consist)」、「なっている(consisting)」という用語、及びその変形は、包括的ではなく排他的に解釈されるべきである。本明細書の様々な実施形態は、「含む(comprising)」という言葉を用いて示されているが、他の状況では、関連する実施形態は、「からなる(consisting of)」又は「本質的にからなる(consisting essentially of)」という言葉を用いて解釈及び記載されるべきことも意図される。
【0109】
本明細書で使用される場合、「約」という用語は、別途指定されない限り、与えられた参照から10%(±10%、例えば、±1、±2、±3、±4、±5、±6、±7、±8、±9、±10、又はそれらの間の値)の可変性を意味する。
【0110】
本明細書で使用される場合、「疾患」、「障害」、及び「状態」は、対象における異常な状態を示すために互換的に使用される。
【0111】
本明細書で使用される場合、「SBMA関連症状」又は「症状」という用語は、SBMA患者及びSBMA動物モデルで見られる症状を指す。SBMAの初期症状には、腕及び脚の筋肉における衰弱/けいれん、顔、口、及び舌の筋肉の衰弱、話すこと及び嚥下の困難、れん縮(線維束性れん縮)、ある特定の位置での震え(tremors)及び震え(trembling)、乳房の肥大、(女性化乳房)、しびれ、不妊症、及び精巣萎縮のうちの1つ以上が含まれ得る。疾患は、脚、腕、口、及び喉の多くの筋肉の動きを担う下位運動ニューロンに影響を及ぼす。罹患した個体は、多くの場合、舌及び/又は手にれん縮の徴候を示し、続いて筋肉の衰弱及び顔の筋肉の問題を示す。脊髄を筋肉に接続するこれらのニューロンは、欠損して死滅するため、筋肉は収縮できない。これらの神経の破壊が、しびれ、筋肉の衰弱、及び筋肉の収縮を制御することができない主な理由である。正常な神経筋機能の欠如により、患者は、筋肉のけいれんによりふくらはぎの筋肉が厚くなる肥大したふくらはぎを経験する場合がある。いくつかの場合では、患者はまた、身体の片側が反対側よりも影響を受ける場合がある。
【0112】
この疾患はまた、呼吸、話すこと、及び嚥下に重要な球筋を制御する神経にも影響を及ぼす。アンドロゲン不感受性も生じ得、時には青年期に始まり、成人期まで続き、乳房の肥大、男性的な外観の減少、及び不妊症によって特徴付けられる。患者は、精子数の低下及び勃起不全などの問題を経験する場合がある。
【0113】
本明細書で使用される場合、「患者」又は「対象」は、臨床研究に使用される男性又は女性のヒト、イヌ、及び動物モデルを意味する。一実施形態では、これらの方法及び組成物の対象は、SBMAと診断されたヒトである。ある特定の実施形態では、これらの方法及び組成物のヒト対象は、出生前、新生児、乳児、幼児、未就学児、小学生、十代、若年成人、又は成人である。更なる実施形態では、これらの方法及び組成物の対象は、成人SBMA患者である。更なる実施形態では、対象は、男性である。
【0114】
「発現」という用語は、本明細書で最も広い意味で使用され、RNA又はRNA及びタンパク質の産生を含む。RNAに関して、「発現」又は「翻訳」という用語は、特に、ペプチド又はタンパク質の産生に関する。発現は、一過性又は安定であり得る。
【0115】
本明細書で使用される場合、「発現カセット」は、コード配列、プロモーターを含む核酸分子を指し、それらのための他の調節配列を含み得、そのカセットは、遺伝子要素(例えば、プラスミド)によりパッケージング宿主細胞に送達され得、ウイルスベクターのカプシド(例えば、ウイルス粒子)へパッケージングされる。典型的に、ウイルスベクターを産生するためのそのような発現カセッは、ウイルスゲノムのパッケージングシグナルに隣接する本明細書に記載のmiRNAのコード配列、及び本明細書に記載のものなどの他の発現制御配列を含む。
【0116】
本明細書で使用される場合、「操作可能に連結された」という用語は、目的の遺伝子に連続している発現制御配列、及び目的の遺伝子にトランス又は離れて作用して制御する発現制御配列の両方を指す。
【0117】
タンパク質又は核酸を参照して使用される場合、「異種性」という用語は、タンパク質又は核酸が、天然における互いの関係と同じ関係で見出されない、2つ以上の配列又は下位配列を含むことを示す。例えば、新規の機能的核酸を作製するために配置された関連のない遺伝子からの2つ以上の配列を有する核酸は、典型的に、組換えにより産生される。例えば、一実施形態では、核酸は、異なる遺伝子からコーディング配列の発現を指示するように配置された1つの遺伝子からのプロモーターを有する。したがって、コーディング配列に関しては、プロモーターは、異種性である。
【0118】
本発明の文脈における「翻訳」という用語は、リボソームでのプロセスに関し、mRNA鎖は、アミノ酸配列の集合を制御して、タンパク質又はペプチドを生成する。
【0119】
具体的な実施形態
1.対象における核酸配列の発現を指示する調節配列と作動可能に連結された、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上のmiRNA標的部位に結合する標的化配列を含む、少なくとも1つのヘアピン形成miRNAをコードする核酸配列を含む発現カセットであって、miRNAが、ヒトアンドロゲン受容体の発現を阻害する、発現カセット。
【0120】
2.miRNA標的部位が、GAA CTA CAT CAA GGA ACT CGA(配列番号1)を含む、実施形態1の発現カセット。
【0121】
3.miRNAコード配列が、TCG AGT TCC TTG ATG TAG TTC(配列番号2)の配列を含む、実施形態1又は2の発現カセット。
【0122】
4.miRNAコード配列が、CGA TCG AGT TCC TTG ATG TAG(配列番号3)の配列を含む、実施形態1又は2の発現カセット。
【0123】
5.miRNA標的化配列が、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上の標的部位との正
確な相補性より少なく共有する、実施形態1~4のいずれか1つの発現カセット。
【0124】
6.miRNAコード配列が、
a)TCG AGT TCC TTG ATG TAG TTC(配列番号2)若しくは最大10個の置換を有する配列、又は
b)CGA TCG AGT TCC TTG ATG TAG(配列番号3)若しくは最大10個の置換を有する配列の配列を含む、実施形態1~5のいずれか1つの発現カセット。
【0125】
7.miRNAコード配列が、配列番号4、又は最大30個の置換を有する配列を含む、実施形態1~6のいずれか1つの発現カセット。
【0126】
8.miRNAコード配列が、配列番号5、又は最大30個の置換を有する配列を含む、実施形態1~6のいずれか1つの発現カセット。
【0127】
9.miRNAコード配列が、配列番号11、又は最大60個の置換を有する配列を含む、実施形態1~6のいずれか1つの発現カセット。
【0128】
10.miRNAコード配列が、配列番号12、又は最大60個の置換を有する配列を含む、実施形態1~6のいずれか1つの発現カセット。
【0129】
11.調節配列が、プロモーター、イントロン、WPRE、及びポリAのうちの1つ以上を含む、実施形態1~10のいずれか1つに記載の発現カセット。
【0130】
12.調節配列が、CB7プロモーター又はSynプロモーターを含む、実施形態11に記載の発現カセット。
【0131】
13.ベクターゲノムを中にパッケージングしたAAVカプシドを含むアデノ随伴ウイルス(AAV)であって、ベクターゲノムが、5’AAV ITR及び3’AAV ITRに隣接する、実施形態1~12のうちのいずれかの発現カセットを含む、アデノ随伴ウイルス(AAV)。
【0132】
14.AAVカプシドが、AAV9、AAVhu68、AAV1、又はAAVrh91から選択される、実施形態13に記載のAAV。
【0133】
15.AAVカプシドが、AAVhu68である、実施形態14に記載のAAV。
【0134】
16.調節配列が、ニューロン特異的プロモーターを含む、実施形態13~15のいずれか1つに記載のAAV。
【0135】
17.プロモーターが、ヒトシナプシンプロモーターである、実施形態16に記載のAAV。
【0136】
18.調節配列が、構成的プロモーターを含む、実施形態13~17のいずれか1つに記載のAAV。
【0137】
19.プロモーターが、CB7プロモーターである、実施形態18に記載のAAV。
【0138】
20.調節配列が、WPREを含む、実施形態13~19のいずれか1つに記載のAAV。
【0139】
21.調節配列が、イントロンを含む、実施形態13~20のいずれか1つに記載のAAV。
【0140】
22.調節配列が、ウサギベータグロビンポリAを含む、実施形態13~21のいずれか1つに記載のAAV。
【0141】
23.対象における核酸配列の発現を指示する調節配列と作動可能に連結された、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上のmiRNA標的部位に結合する標的化配列を含む、少なくとも1つのヘアピン形成miRNAをコードする核酸配列を含む組成物であって、miRNAが、ヒトアンドロゲン受容体の発現を阻害する、組成物。
【0142】
24.miRNAが、ヒトアンドロゲン受容体mRNA上の以下の部位:GAA CTA CAT CAA GGA ACT CGA(配列番号1)を標的とする、実施形態23に記載の組成物。
【0143】
25.実施形態1~12のいずれか1つに記載の発現カセット、実施形態13~22に記載のAAV、又は実施形態23若しくは24に記載の組成物と、薬学的に許容される水性懸濁液体、賦形剤、及び/又は希釈剤と、を含む、医薬組成物。
【0144】
26.球脊髄性筋萎縮症(SBMA)を有する対象を治療するための方法であって、有効量の、実施形態1~12のいずれか1つに記載の発現カセット、実施形態13~22に記載のAAV、又は実施形態23若しくは25に記載の組成物を、それを必要とする対象に送達することを含む、方法。
【0145】
27.球脊髄性筋萎縮症(SBMA)を有する患者の治療のための、実施形態1~12のいずれか1つに記載の発現カセット、実施形態13~22に記載のAAV、又は実施形態23若しくは25に記載の組成物の、使用。
【0146】
28.組成物が、1x1010GC/g脳質量~3.33x1011GC/g脳質量のrAAVの用量で髄腔内に投与されるように製剤化される、実施形態27に記載の使用。
【0147】
29.患者が、ヒト成人であり、1.44×1013~4.33×1014GCの用量のrAAVを投与される、実施形態27又は28のいずれか1つに記載の使用。
【0148】
30.rAAVが、脳室内送達を介して、又は実質内送達を介して、髄腔内に送達される、実施形態27~29のいずれか1つに記載の使用。
【0149】
31.組成物が、大槽(大槽内)へのコンピュータ断層撮影(CT)ガイドによる後頭下注入を介して、単回用量として投与される、実施形態27~29のいずれか1つに記載の使用。
【0150】
32.患者が、SBMAを有する、実施形態19~25のいずれか1つに記載の使用。
【0151】
33.球脊髄性筋萎縮症を有するヒト患者を治療する方法であって、アデノ随伴ウイルスhu.68(AAVhu.68)のAAVカプシドを有する組換えアデノ随伴ウイルス(rAAV)を中枢神経系(CNS)に送達することを含み、当該rAAVは、AAVカプシド中にパッケージングされたベクターゲノムを更に含み、当該ベクターゲノムは、AAV逆位末端反復と、ヒトアンドロゲン受容体のmRNA上の標的部位に結合する標的配列を含む、少なくとも1つのヘアピン形成miRNAをコードする核酸配列であって、m
iRNAが、ヒトアンドロゲン受容体の発現を阻害する、核酸配列と、miRNAの発現を指示する調節配列と、を含む、方法。
【0152】
34.患者が、実施形態1~12のいずれか1つに記載の発現カセット、実施形態13~22に記載のAAV、又は実施形態23若しくは25に記載の組成物を投与される、実施形態33に記載の方法。
【0153】
35.患者が、1×1010GC/g脳質量~3.33×1011GC/g脳質量の用量のrAAVを、髄腔内に投与される、実施形態33又は34のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
36.患者が、ヒト成人であり、1.44×1013~4.33×1014GCの用量のrAAVを投与される、実施形態33~35のいずれか1つに記載の方法。
【0155】
37.miRのコード配列を含むrAAVが、脳室内送達を介して、又は実質内送達を介して、髄腔内に送達される、実施形態33~36のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
38.rAAVが、大槽(大槽内)へのコンピュータ断層撮影(CT)ガイドによる後頭下注入を介して、単回用量として投与される、実施形態33~37のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
39.患者が、SBMAを有する、実施形態27~35のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
本明細書で別途定義されない限り、本明細書で使用される技術用語及び科学用語は、当業者によって、及び本明細書で使用されている多数の用語に対して当業者に一般的な手引きを提供する公開された文書を参照することによって、一般的に理解されているものと同じ意味を有する。
【実施例
【0159】
以下の実施例は、例示的なものに過ぎず、本発明を限定することを意図するものではない。
【0160】
実施例1:インビトロでのアンドロゲン受容体(AR)標的化miRNAのスクリーニング
HEK293細胞を、Block-iTプラスミドでトランスフェクトした。Block-ITプラスミドは、CMVプロモーター、emGFP、miRNAのクローニング部位、及びTKポリAを含有し、miRNAを、Block-iTオンラインソフトウェアを使用して設計した。miRNA隣接領域は、miR155に基づいた。細胞溶解物を抽出し、RNA抽出及びqPCR又はウエスタンブロッティングのために準備した。細胞から抽出されたRNAをcDNAに逆転写し、ARに対するTaqManアッセイを使用してqPCRを実施した。グラフは、種々のmiRNAでのトランスフェクション後のARのノックダウンレベルを示す。qPCRは、インビトロでARをノックダウンする最も効率的なmiRNAとしてmiR3160を強調した(図4A)。限られた数のmiRNAに関するタンパク質分析により、miR3610がARのタンパク質発現を効果的にノックダウンすることが確認された(図4B)。
【0161】
実施例2:投与経路の評価
投与経路を評価するために、以下のものを、野生型成体マウスには尾静脈を介して注入し、新生児マウスには脳室内を介して注入した:PBS、AAV.CB7.miR_NeuN(3x1011GC)、又はAAV.CB7.GFP(3x1011GC)。マウス
を注入から14日後に安楽死させた。脳及び脊髄を採取し、均質化し、ウエスタンブロッティングのために処理した。miR NeuNを注入した新生児マウス及び成体マウスの両方において、NeuNタンパク質レベルが低減した(図5A~5C)。
【0162】
実施例3:インビボにおけるアンドロゲン受容体のノックダウンの評価
マウスに、AAV9.PHP.eB.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG(100μL中の3×1011GC)又はPBSを、尾静脈注入を介して投与した。マウスを注入から14日後に屠殺した。脳及び脊髄を採取し、RNA及びウエスタンブロッティングのために処理した。miR3610は、ヒト及びマウスARmRNAと交差反応する。RNAを単離し、cDNAを合成し、hARに対するTaqManプライマーを使用してqPCRを実施した。miR3610が注入された群における全てのマウスは、PBSが注入された群と比較して、AR mRNAレベルの40%の低減を示した(図6A、6B)。miR3610が注入された群では、PBSが注入された群と比較して、ARタンパク質レベルも低減した(図6C)。
【0163】
種々のmiRNAのインビトロスクリーニングはまた、miR3613を、ARをノックダウンする潜在的な治療標的として特定した。miR3610と比較してインビボでmiR3613を評価するために、マウスに、尾静脈を介して、以下のベクターを投与した:AAV9.PHP.eB.CB7.Cl.hARmiRNT.WPRE.rBG、AAV9.PHP.eB.CB7.Cl.hARmiR3610.WPRE.rBG、AAV9.PHP.eB.CB7.Cl.hARmiR3610.WPRE.rBG、又はPBS。14日目に全てのマウスを屠殺した。脳及び脊髄を採取し、RNA及びウエスタンブロッティングのために処理した。両方のmiRNAは、脳(図7A)及び脊髄(図7B)におけるAR mRNAレベルの低減を誘発した。脳におけるタンパク質レベルについて、両方のmiRNAで同様の結果が見られた(図7C~E)が、miR3610は、miR3613と比較して、遺伝子及びタンパク質レベルに対してより顕著な効果を有した。
【0164】
実施例4:種々のプロモーターの評価
この研究は、非標的化人工miRNA(miR.NT)又はAR標的化された人工miRNA(miR3610)のいずれかを発現する2つの異なるプロモーター(CB7又はhSyn)を含有することを除いて、同一であった4つの異なるAAV9-PHP.eBベクターを評価した。CB7プロモーター(GTP-211に含まれる)は、遍在性ニワトリβ-アクチンプロモーターであり、任意のCNS細胞型において高レベルの発現をもたらすため、評価された。hSynプロモーターは、ヒトシナプシンプロモーターであり、これは、ニューロンにおいて特異的に高レベルの発現をもたらし、非ニューロン細胞型での発現を最小限に抑えることが期待される。miR.NTは、マウスにおいて他の発現された遺伝子との配列類似性がほとんどないか又は全くないことが期待される非標的化人工miRNAであり、陰性対照ベクターとして機能する。hAR.miR3610(GTP-211に含まれる)は、ヒトAR mRNAを標的とする人工miRNA配列であり、以前に収集されたデータに基づいて選択された。
【0165】
成体雄野生型マウス(6~8週齢)は、3.0×1011GCの用量で、AAV9.PHP.eB.CB7.CI.miR.NT.WPRE.rBG、AAV9.PHP.eB.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG、AAV9.PHP.eB.Syn.PI.miR.NT.WPRE.bGH、又はAAV9.PHP.eB.hSyn.PI.hARmiR3610.WPRE.bGHの単回静脈内投与を受けた。14日目に、マウスを剖検した。脊髄を採取して、マウスAR mRNA発現を評価した(TaqMan qPCR)。
【0166】
AAV投与は、良好な忍容性であり、全てのマウスは、予定された剖検まで生存した。
【0167】
図8に示されるように、非標的化人工miRNA(miR.NT)を発現するAAV9.PHP.eBベクターの投与は、AR mRNAの発現に影響を与えず、CB7及びhSynプロモーターの両方で同様の発現レベルが観察された。比較して、ヒトAR mRNAを標的とする人工miRNA配列(hAR.miR3610)を発現するAAV9.PHP.eBベクターで処置されたマウスは、マウスAR mRNA転写産物のノックダウンを示し、CB7及びhSynプロモーターの両方がhAR.miR3610の堅牢な発現をもたらしたことを示した。
【0168】
実施例5:インビボSBMA AR97Qトランスジェニックマウス研究
SBMAトランスジェニックマウスは、Katsunoらによって説明されている(Neuron.2002 Aug 29;35(5):843-54.doi:10.1016/s0896-6273(02)00834-6、参照により本明細書に組み込まれる)。マウスモデルは、97個のCAGを含有する全長ARを担持する。AR97Qトランスジェニックマウスで発現されるARのレベルを評価するために、脊髄を、野生型の雄マウス、並びにヘテロ接合雄及び雌マウスから採取した。脊髄を、ウエスタンブロッティングのために処理した。雄及び雌のヘテロ接合マウスは、hAR(AR97Q)の堅牢なレベルを示したが、WT雄マウスは、hARの発現を示さなかった。全てのマウスは、mARにおいて様々なレベルを示した(図9A)。生存率もまた、このコロニーで追跡された。プロットは、生存中央値が92日であるオスの生存の急激な低下を示したが、生存中央値が192日である雌については生存の緩やかな低下が観察された(図9B)。
【0169】
トランスジェニック系統におけるmiR3610の効果を評価するために、成体雄SBMAマウス(5~6週齢)は、尾静脈を介して3.0×1011GCの用量で、AAV9.PHP.eB.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGの単回IV投与を受けた。追加の年齢を一致させた雄SBMAマウスは、対照として注入されていないままであった。動物は、生存率(生存)について、毎日チェックされた。人道的エンドポイントでは、マウスを剖検し、脳を採取して、ウエスタンブロットによって、変異ヒトARタンパク質及び内因性マウスARタンパク質の発現を評価した。
【0170】
AAV投与は、良好な忍容性であった。全てのマウスは、2/5又はそれ以下の身体状態スコア、マウスが自分自身を正すことができないこと、又は2つ以上の四肢の麻痺によって特徴付けられる疾患進行に起因する人道的エンドポイントに達した。
【0171】
AAVで処置されたSBMAマウスの生存中央値は、81日齢であったが、注入されていない対照のSBMAマウスの生存中央値は、75日齢であった(図10C)。AAVで処置されたSBMAマウスと注入されていない対照との間の生存の差は、統計的に有意ではなかった。
【0172】
脳では、内因性マウスARタンパク質及び変異ヒトARタンパク質の両方の実質的なノックダウンが、AAVで処置されたSBMAマウスにおいてウエスタンブロットによって観察されたが、注入されていない対照では観察されなかった(図10A)。ウエスタンブロット定量化により、AAVで処置されたSBMAマウスは、注入されていないSBMA対照マウスと比較して、脳内の内因性マウスARタンパク質及び変異ヒトARタンパク質の発現の約2倍の低減を示したことが明らかになった(図10B)。
【0173】
AAVで処置されたSBMAマウス中で、変異ヒトARタンパク質のより大きなノックダウンを示した動物において、より長い生存が観察された。注目すべきことに、動物140及び動物163は、変異ヒトARタンパク質発現の最も大きい低減を示し、それぞれ111日及び158日の生存を有した(図10A)。対照的に、動物147、149、及び
154は、変異ヒトARタンパク質のより高い発現を示し、73日~81日の範囲のより短い生存を有した(図10A、10C)。
【0174】
若年雄SBMAマウス(3週齢)は、後眼窩静脈を介して、3.0×1011GCの用量で、AAV9.PHP.eB.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGの単回IV投与を受けた。SBMAマウスコロニー又は注入されていないSBMAマウスからの自然歴データは、歴史的対照としての役割を果たした。動物は、生存率(生存)について、毎日チェックされた。人道的エンドポイントでは、マウスを剖検し、脳を採取して、ウエスタンブロットによって、変異ヒトARタンパク質及び内因性マウスARタンパク質の発現を評価した。
【0175】
AAV投与は、良好な忍容性であった。全てのマウスは、2/5又はそれ以下の身体状態スコア、マウスが自分自身を正すことができないこと、又は2つ以上の四肢の麻痺によって特徴付けられる疾患進行に起因する人道的エンドポイントに達した。
【0176】
AAVで処置されたSBMAマウスの生存中央値は、105.5日であったが、注入されていない歴史的対照SBMAマウスは、92日の生存中央値であった(図11A)。AAVで処置されたSBMAマウスと注入されていない歴史的対照との間の生存の差は、統計的に有意ではなかった。
【0177】
脳では、内因性マウスARタンパク質及び変異ヒトARタンパク質の両方の実質的なノックダウンが、AAVで処置されたSBMAマウスにおいてウエスタンブロットによって観察されたが、注入されていない歴史的対照では観察されなかった(図11B)。ウエスタンブロット定量は、AAV処置SBMAマウスが、未注入のSBMA履歴対照マウスと比較して、それぞれ約5倍及び8倍の内因性マウスARタンパク質及びヒト変異ARタンパク質の発現の低減を示したことを明らかにした(図11C)。
【0178】
AAVで処置されたSBMAマウス中で、変異ヒトARタンパク質のより大きなノックダウンを示した動物において、より長い生存が観察された。注目すべきことに、動物225、226、及び230は、変異ヒトARタンパク質発現の最も大きい低減を示し、112~123日の範囲の生存を有した(図11B)。対照的に、動物232、235、及び237は、変異ヒトARタンパク質発現のそれほど実質的な低減を示さず、87~99日の範囲の短い生存を有した(図11B)。
【0179】
新生児(PND0-1)の雄及び雌のSBMAマウスは、側頭静脈を介して、3.0×1011GCの用量でのAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG又はビヒクル(PBS)のいずれかの単回IV投与を受けた。追加の年齢を一致させた雄及び雌のC57BL/6J(野生型)は、対照として、及びPND21付近の離乳後まで遺伝子型を確認できなかったため、側頭静脈を介して、3.0×1011GCの用量でのAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG又はビヒクル(PBS)いずれかの単回IV投与を受けた。動物を生存率(生存)について毎日チェックし、体重を毎週測定した。両方の処置群からの雄マウスは、約90日齢でワイヤーハング試験を受けた。人道的エンドポイントでは、マウスを剖検し、脳を採取して、ウエスタンブロットによって変異ヒトARタンパク質及び内因性マウスARタンパク質の発現を評価する。ARタンパク質の発現を図12Aに示す。
【0180】
AAV投与は、毎日の生存率チェックに基づいて良好な忍容性であった。これまでに剖検された全てのSBMAマウスは、不確定な原因により、55日目、168日目、及び238日目に死亡したことが見出された3/4のAAVで処置された雄のSBMAマウスを除いて、疾患進行(2/5若しくはそれ以下の身体状態スコア、マウスが自分自身を正す
ことができないこと、又は2つ以上の四肢の麻痺として定義される)により、人道的エンドポイントに達した。不明な原因により109日目及び143日目に死亡が見出された2/11のAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGで処置された雄の野生型マウスを除き、全ての野生型マウスは、依然として生存している。
【0181】
AAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG投与は、性別を一致させたビヒクルで処置されたSBMA対照マウスと比較した場合、雄及び雌のSBMAマウスの両方の生存中央値の実質的な増加をもたらした。雄マウスの中で、ビヒクルで処置されたSBMAマウスの生存中央値は101.5日であったが、GTP-211で処置されたSBMAマウスについては、有意に長い203日の生存中央値が観察された。雌マウスでは、ビヒクルで処置されたSBMAマウスの生存中央値は175日であったが、全てのAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGで処置されたSBMAマウス(N=8/8)は、現在366~373日齢の範囲の年齢で生存しており、AAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG処置後の生存の有意な増加を示した(図12B及び12C)。
【0182】
雄及び雌のGTP-211で処置されたSBMAマウスの両方が、性別を一致させたビヒクルで処置されたSBMA対照と比較して、経時的に改善された体重増加及び維持を示し、疾患進行に関連する体消耗性表現型の改善を示した(図12G、12H)。
【0183】
約90日齢で、ワイヤーハング試験を雄マウスに対して実施して、筋力及び協調を評価した。ビヒクルで処置されたSBMAマウスは、ビヒクル及びAAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGで処置された野生型対照と比較して、落下潜時の有意な低減を示した。対照的に、AAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBG投与は、ビヒクルで処置されたSBMAマウスと比較して、SMBAマウスにおける落下潜時の有意な増加をもたらした。更に、AAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGで処置された動物は、野生型マウスと同様に、この行動アッセイを実施し、AAVhu68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGが、SBMAマウスにおける筋力及び協調を完全に維持したことを示した(図12I)。
【0184】
実施例6:NHPにおけるMIR3610の評価
5歳の雄アカゲザルに、大槽内(ICM)を介して、3×1013GCのAAVhu.68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGを投与した。対照試料は、注入されていないNHP試料に由来した。35日目にNHPを屠殺した。脊髄を採取し、ホルマリンで固定し、レーザー捕捉微小解剖(LCM)のために包埋した。ホルマリン固定パラフィン包埋ブロックを切断し、LCMに好適なPEN膜スライド上に配置した。運動ニューロンを、脊髄切片から切断した。RNAを抽出し、qPCRを実施した。また、肝臓を採取し、RNA単離及びqPCRのために処理した。運動ニューロン(図13A)及び肝臓(図13B)の両方が、miR3610での注入後、AR mRNAレベルの有意な低減(約75%)を示した。ARタンパク質の発現は、miR3610での注入後にも低減した(図13C)。ケージ側の観察、血清化学、全血球計数、神経伝導研究、並びにCSF化学及び細胞学を含む生存中の安全性エンドポイントは、35日後にベクター関連の毒性の証拠を示さなかった。DRGを含むいずれの組織においても、重大な病理学的所見は観察されなかった。
【0185】
実施例7:マウスMED研究
この計画されたGLP準拠薬理学研究は、雄SBMAマウスモデル(AR-97Qマウス)における、IV投与されたAAVhu.68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGの有効性を評価し、MEDを決定することを目的とする。
【0186】
本研究は、N=60の新生児(PND0-1)雄SBMAマウス、及び対照として、N=12の年齢を一致させた雄野生型C57BL/6Jマウスを評価する。この研究には、1つの剖検時点(180日)が含まれるであろう。4つの用量レベルのAAVhu.68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGを、IV投与を使用して評価するであろう。用量レベルは、成体アカゲザルNHPで実施された完了したパイロット安全性及び薬理学研究に加えて、新生児SBMAマウスの治療を評価する進行中の研究におけるPOC有効性データに基づいて選択されるであろう。評価された用量レベルは、予想される臨床用量を一括するであろう。
【0187】
現在、IV投与が、この研究のために計画されているが、新生児マウスでの進行中のパイロット研究では、疾患関連細胞型(脊髄運動ニューロン)を標的とするために、CSFへの直接のベクター送達のためのICV経路を評価している(データはまだ利用できない)。同様の脊髄運動ニューロン標的化が、全身投与としてのICV投与で達成され得る場合、この髄腔内経路を本研究に用いて、意図された臨床ROA(ICM投与)をより密接にモデル化するであろう。
【0188】
実施例8:GLP NHP薬理/毒性研究
180日のGLP準拠毒性研究は、成体雄アカゲザル(5~7歳)への低用量、中用量、又は高用量(N=4/用量)での単回ICM投与後の安全性、忍容性、薬理学(アカゲザルARの人工miRNA媒介ノックダウン)、生体内分布、及び排出プロファイルを評価するであろう。追加の年齢を一致させた雄NHPに、対照としてビヒクル(ITFFB)を投与するであろう(N=2)。
【0189】
14匹の成体雄アカゲザルは、画像ガイドによる大槽内(ICM)を介して、3用量(用量当たり4NHP、2NHPはビヒクルを受ける)のAAVhu.68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGうちの1つを受ける。半分を90日で屠殺し、残りを180日で屠殺する。脊髄を採取し、ホルマリンで固定し、レーザー捕捉微小解剖(LCM)のために包埋する。ホルマリン固定パラフィン包埋ブロックを切断し、LCMに好適なPEN膜スライド上に配置する。運動ニューロンを、脊髄切片から切断する。RNAを抽出し、qPCRを実施する。また、肝臓を採取し、RNA単離及びqPCRのために処理する。以下の試験も実施される:CBC/chem/Coags、CSF化学及び細胞学、盲検神経学的検査、神経伝導速度試験、並びに組織病理学。
【0190】
実施例9:SBMA新生児マウスにおけるAAVhu.68.CB7.CI.hARmiR3610.WPRE.rBGのICV送達の評価
新生児SBMAトランスジェニックマウスに、ICVを介して3e11GCのAAVhu68.CB7.CI.ARmiR3610.WPRE.rBG、又はPBSを投与した。マウスを生存及び体重について追跡し、性別及び遺伝子型を決定した。マウスをワイヤーハング試験に供した。脳を、死亡時に採取し、ウエスタンブロッティングのために処理した。
【0191】
雄SBMAマウスは、PBSで処置されたマウスで135日、AAVで処置されたマウスで181.5日の平均寿命を有した(図14A)。PBSで処置されたマウスの平均発病齢は、PBSで処置された場合、80日、AAVで処置されたマウスでは150日であった(図14A)。PBSで処置されたHetは、PBSで処置されたWT及びAAVで処置されたHetと比較して、つり下がり時間を有意に低減させた(図14B)。PBSで処置されたHetについて、14週(図14C)及び16週(図14D)でのつり下がり時間が著しく減少した。
【0192】
実施例10:第I/II相臨床試験
ヒトにおける第I/II相臨床試験が提案されている。このプロトコルには、最近のFDAプレINDフィードバック及び同様の用途の業界向けガイダンスが組み込まれている。用量漸増/安全性研究はまた、主要なバイオマーカー(MRIによって測定された大腿筋容積)の評価を可能にするように設計されている。同時無作為化対照(FDA当たり)は、比較データを提供する。
【0193】
2つのベクター用量の安全性及び忍容性を評価する。合計12人の対象が登録され、ベクター:プラセボが2:1で無作為化される。ベクター群に無作為化された8人の対象:低用量で2人、高用量で2人、MTDで4人。最初の4人の対象については、後続の対象の投薬前にDSMBによって30日間のデータがレビューされた。プラセボ群に無作為化された4人の対象。1年での安全性及びMRI変化の分析、5年の長期フォローアップ。
【0194】
29人のSBMA患者のデンマーク自然歴研究を18か月間追跡した(Dahlqvist JR,et al.Disease progression and outcome measures in spinobulbar muscular atrophy.Ann Neurol.2018 Nov;84(5):754-765(参照により本明細書に援用される))。Dahlqvistは、複数の筋肉の複合Dixon MRIスコアが非常に有意な低下を示し、臨床試験でのMRIスコアの使用を検証した。また、6MWT、階段上昇、及び握力の統計的に有意な低下が示されたが、これらの転帰測定は介入試験でより大きな力を必要とする。
【0195】
本明細書に引用される全ての文書は、「21-9557.PCT_ST25.txt」とラベル付けされた配列表と同様に、参照により本明細書に組み込まれる。加えて、米国仮出願第63/293,505号、同第63/187,883号、及び同第63/173,885号は、参照により本明細書に組み込まれる。本発明は、特定の実施形態を参照して記載されているが、本発明の趣旨から逸脱することなく修正を行うことができることが理解されよう。かかる修正は、添付の特許請求の範囲内であることが意図される。
【0196】
(配列表フリーテキスト)
以下の情報は、数値識別子<223>の下でフリーテキストを含む配列を提供する。
【表2】
図1A-1D】
図2A
図2B
図2C
図3A
図3B
図3C
図3D
図4A
図4B
図5A
図5B
図5C
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図7E
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図10C
図11A
図11B
図11C
図12A
図12B
図12C
図12D
図12E
図12F
図12G
図12H
図12I
図13A
図13B
図13C
図14A
図14B
図14C-14D】
【配列表】
2024515612000001.app
【国際調査報告】