(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】寛容化ナノ粒子でのピーナッツアレルギーの治療
(51)【国際特許分類】
A61K 39/35 20060101AFI20240403BHJP
A61K 9/51 20060101ALI20240403BHJP
A61K 47/34 20170101ALI20240403BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240403BHJP
A61K 31/495 20060101ALI20240403BHJP
A61K 31/573 20060101ALI20240403BHJP
A61P 37/08 20060101ALI20240403BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240403BHJP
C07K 14/415 20060101ALN20240403BHJP
【FI】
A61K39/35 ZNA
A61K9/51
A61K47/34
A61K39/395 U
A61K31/495
A61K31/573
A61P37/08
A61P43/00 121
C07K14/415
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562869
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 US2022024951
(87)【国際公開番号】W WO2022221619
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】515245424
【氏名又は名称】クール ファーマシューティカルズ ディベロップメント カンパニー インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】プイシス,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】ハーマン,ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】ボイン,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】エルホフィ,アダム
(72)【発明者】
【氏名】ポドジル,ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】ウォダルチク,グレタ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C085
4C086
4H045
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076AA30
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4C085GG08
4C086AA01
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4C086ZC75
4H045BA10
4H045CA30
4H045DA86
4H045EA20
(57)【要約】
本開示は、概して、抗原特異的寛容を誘発するためにピーナッツ抗原を封入するナノ粒子を使用してピーナッツアレルギーを治療する方法に関する。
【選択図】
図1A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象におけるピーナッツアレルギーを治療する方法であって、前記対象に、ピーナッツタンパク質を封入する寛容化免疫修飾粒子(TIMP-PPE)を、単独で又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与することを含み、TIMP-PPEが、約0.1mg/kg~12mg/kgの用量レベルで投与される、方法。
【請求項2】
前記TIMP-PPE粒子が、100nm~1500nmの平均直径を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記TIMP-PPE粒子が、負のゼータ電位を有する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記粒子が、-30mV~-100mVの負のゼータ電位を有する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
TIMP-PPEが、約0.05mg/mL~約50mg/mL、任意に約0.1mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、11mg/mL、12.5mg/mL、15mg/mL、17.5mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、又は50mg/mLの濃度で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
TIMP-PPEが、約0.1mg/kg、0.25、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、6mg/kg、8.0mg/kg、10mg/kg、又は12mg/kgの用量レベルで投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
TIMP-PPEが、約10mg~800mgの用量レベルで投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
TIMP-PPEが、約10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、又は800mgの用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
TIMP-PPEが、単回用量又は複数回用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
TIMP-PPEが、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、2ヶ月毎に1回、3ヶ月毎に1回、6ヶ月毎に1回、又は1年当たり1回投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
TIMP-PPEが、1週間間隔の2回用量で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
TIMP-PPEが、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、又は経口投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
TIMP-PPEが、0.05mg/mL~50mg/mLの濃度で投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記追加の治療剤が、IgEを阻害する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記追加の治療剤が、抗IgE抗体、抗IL-4Rα抗体、抗IL13抗体、抗IL-33抗体、抗ヒスタミン、ステロイド、コルチコステロイド、ロイコトリエン修飾剤、又は非ステロイド抗炎症薬(NSAID)である、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記抗IgE抗体が、オマリズマブである、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記抗IgE抗体が、皮下投与される、請求項15又は16に記載の方法。
【請求項18】
前記抗IgE抗体が、単回用量又は複数回用量で投与される、請求項15~17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記抗IgE抗体が、TIMP-PPEの投与前に、それと同時に、又はその後に投与される、請求項15~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記抗IgE抗体が、TIMP-PPEの投与前に、2週間間隔の3回用量、又は4週間間隔の2回用量で投与される、請求項15~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記抗IgE抗体が、約10mg~500mgの用量で投与される、請求項15~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記抗IgE抗体が、約10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、又は500mgの用量で投与される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記抗IgE抗体の用量レベルが、前記対象の血液中のIgEのレベルに基づいて決定される、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記抗IgE抗体の用量レベルが、前記対象の体重に基づいて決定される、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項25】
TIMP-PPEを単独で又は追加の治療剤と組み合わせて前記対象に投与することが、ピーナッツアレルギーの1つ以上の症状を低減する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
ピーナッツアレルギーの前記1つ以上の症状が、皮膚反応、蕁麻疹、皮膚発赤、皮膚腫脹、かゆみ、喉の絞扼感(tightening)、呼吸困難、息切れ、及びアナフィラキシーからなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項27】
TIMP-PPEを単独で又は追加の治療剤と組み合わせて前記対象に投与することが、ピーナッツタンパク質に対するアレルギー性免疫応答の持続時間及び重症度を低減する、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記アレルギー性免疫応答が、Th2細胞応答、B細胞活性化、好塩基球活性化、好酸球活性化、マスト細胞活性化、及び/又はIgE誘発である、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記Th2細胞応答、B細胞活性化、好塩基球活性化、好酸球活性化、マスト細胞活性化、及び/又はIgE誘発が、前記対象から取得された1つ以上の生体試料からアッセイされる、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記生体試料が、全血、末梢血、末梢血単核細胞(PBMC)、血清、血漿、尿、脳脊髄液(CSF)、便、組織生検、及び/又は骨髄生検からなる群から選択される、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
TIMP-PPEを単独で又は追加の治療剤と組み合わせて前記対象に投与することが、末梢血中の全T細胞集団に存在するTh2a+T細胞の割合を低減する、請求項27に記載の方法。
【請求項32】
TIMP-PPEを単独で又は追加の治療剤と組み合わせて前記対象に投与することが、末梢血中の活性化ピーナッツタンパク質特異的T細胞対非活性化ピーナッツタンパク質特異的T細胞の比を低減する、請求項27に記載の方法。
【請求項33】
TIMP-PPEを単独で又は追加の治療剤と組み合わせて前記対象に投与することが、血液中のピーナッツタンパク質特異的Treg細胞のレベルを増加させる、請求項27に記載の方法。
【請求項34】
TIMP-PPEを単独で又は追加の治療剤と組み合わせて前記対象に投与することが、好塩基球活性化を低減する、請求項27に記載の方法。
【請求項35】
好塩基球活性化が、好塩基球活性化試験(BAT)においてピーナッツタンパク質での好塩基球のエクスビボ刺激からアッセイされる、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
TIMP-PPEを単独で又は追加の治療剤と組み合わせて前記対象に投与することが、血液中のピーナッツタンパク質特異的IgEレベルを低減する、請求項27に記載の方法。
【請求項37】
TIMP-PPEを単独で又は追加の治療剤と組み合わせて前記対象に投与することが、血液中のピーナッツタンパク質特異的IgE対IgGレベルの比を低減する、請求項27に記載の方法。
【請求項38】
TIMP-PPEを単独で又は追加の治療剤と組み合わせて前記対象に投与することが、精製されたピーナッツタンパク質でのエクスビボ刺激によって測定される場合、PBMCによって産生されたIL-5対IFN-γの比を低減する、請求項27に記載の方法。
【請求項39】
TIMP-PPEを単独で又は追加の治療剤と組み合わせて前記対象に投与することが、血液中のTh2サイトカインレベルのレベルを低減する、請求項1~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記Th2サイトカインが、IL-4、IL-5、IL-9、及びIL-13からなる群から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
TIMP-PPEを単独で又は追加の治療剤と組み合わせて前記対象に投与することが、ピーナッツタンパク質に対する寛容を増加させる、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
ピーナッツタンパク質に対する寛容が、二重盲検プラセボ対照食物チャレンジによって決定される、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
ピーナッツタンパク質に対する寛容が、皮膚プリック試験(SPT)によって決定される、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記TIMP-PPEが、Ara h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、Ara h8、Ara h9、Ara h10、Ara h11、Ara h12、Ara h13、Ara h14、Ara h15、Ara h16、Ara h17、及びAra h18からなる群から選択されるピーナッツ抽出物又は1つ以上のピーナッツタンパク質若しくはその抗原性断片を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記TIMP-PPEが、Ara h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、又はAra h8の1つ以上のタンパク質又はその抗原断片を含む、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記対象が、TIMP-PPEでの治療前に、抗ヒスタミン及び/又はコルチコステロイドを投与される、先行請求項のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記抗ヒスタミンが、セチリジンである、請求項46に記載の方法。
【請求項46】
前記コルチコステロイドが、メチルプレドニゾロンである、請求項46又は47に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる、2021年4月16日に出願された、米国仮特許出願第63/175,968号の優先権の利益を主張する。
【0002】
本開示は、アレルギー性ピーナッツタンパク質又はその抗原性断片を含有する精製されたピーナッツ抽出物を封入する寛容化免疫修飾ナノ粒子を使用してピーナッツアレルギーを治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
ピーナッツアレルギーは、全米国人口の1.2%近く、及び小児人口の2.5%に影響を及ぼす最も一般的な食物アレルギーのうちの1つであり、過去10年で発生率が上昇している(Cannon HE.Am J Manag Care.2018;24(19 Suppl):S428-s433)。ピーナッツアレルギーは、病理学的な過免疫応答によって引き起こされ、ピーナッツへの曝露は、悪心、嘔吐、発疹、呼吸障害、血圧低下、及び更には死亡などの軽度から重度の症状につながり得る。
【0004】
健康な免疫系を有する正常な個体は、ピーナッツのような一般的な食品物質において遭遇される抗原に対する非応答性を維持することができるが、ピーナッツアレルギー対象では、ピーナッツ抗原に対する免疫寛容の喪失は、病理学的過免疫応答を駆動する。今日まで、8つのピーナッツタンパク質(Ara h1~Ara h8)が、アレルギー性過免疫応答を駆動する優勢な抗原性ピーナッツタンパク質として同定されている(Keet et al.,J Allergy Clin Immunol Pract.2013;1(1):101-103)。追加のピーナッツアレルゲンもまた最近報告されており、最大合計18個のアレルゲン性ピーナッツタンパク質を報告している。Ozias-Akins et al.,Allergy.2019 May;74(5):888-898)。ピーナッツ抗原性タンパク質に対するアレルギー性免疫応答は、上方調節Tヘルパー2型(Th2)サイトカイン産生(例えば、IL-4、IL-5、IL-9、及びIL-13)、並びにIgE抗体の産生及びマスト細胞及び好塩基球の脱顆粒につながるB細胞クラススイッチングを含むT細胞依存的メカニズムによって媒介される(Sampath et al.,J Clin Invest.2019;129(4):1431-1440)。
【0005】
現在、ピーナッツアレルギーの治癒はなく、ピーナッツ抗原への曝露の厳密な回避及びアナフィラキシーの管理が患者に利用可能な唯一の選択肢である。ピーナッツ抗原に対するT細胞寛容を誘発することができる免疫寛容化療法は、ピーナッツアレルギーの治療のためのゴールドスタンダードとみなされているが、これまで困難であった。免疫寛容化療法を開発するいくつかの試みは、経口免疫療法(OIT)、皮下免疫療法(SCIT)、皮表免疫療法(EPIT)、及び舌下免疫療法(SLIT)アプローチを使用して行われている(Feuille et al.,Allergy Asthma Immunol Res.2018;10(3):189-206)。これらの療法の成功は、非常に可変的であり、ピーナッツタンパク質に対する脱感作のみが報告されており、これは偶発的な曝露に対してのみ保護を提供するが、治癒ではない(Chinthrajah et al.,Lancet.2019;394(10207):1437-1449、Vickery et al..N Engl J Med.2018;379(21):1991-2001、Fleischer et al.,J.Am Med Assoc.2019;321(10):946-955)。
【発明の概要】
【0006】
1つ以上の抗原を含む、寛容化免疫修飾粒子(TIMP)は、抗原特異的免疫寛容の誘発を介した免疫媒介性障害(例えば、自己免疫疾患及びアレルギー)の治療のために以前に記載されている(参照により本明細書に組み込まれるWO2013/1319253及びWO2015/023796)。自己免疫疾患及びアレルギーのいくつかの前臨床モデルにおいて、TIMPは、T細胞寛容を誘発することに有効性を実証している。精製されたピーナッツ抽出物(PPE)を封入する及び/又はAra h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、Ara h8、Ara h9、Ara h10、Ara h11、Ara h12、Ara h13、Ara h14、Ara h15、Ara h16、Ara h17、及びAra h18を含む、1つ以上のピーナッツタンパク質若しくはその抗原性断片を含む、TIMP(TIMP-PPE)を使用したピーナッツ抗原に対する抗原特異的T細胞寛容の誘発は、潜在的にピーナッツアレルギー(PA)を治癒する可能性がある。
【0007】
本明細書では、対象におけるピーナッツアレルギーを治療する方法であって、対象にTIMP-PPEを投与することを含み、TIMP-PPEが、0.1~12mg/kgの用量で投与される、方法が提供される。また、本明細書では、PAに罹患している対象におけるピーナッツ抗原に対するアレルギー性免疫応答を低減する方法であって、対象にTIMP-PPEを投与することを含み、TIMP-PPEが、約0.1~12mg/kgの用量で投与される、方法が提供される。様々な実施形態では、TIMP-PPEは、約0.5~10mg/kg、約1~8mg/kg、約1.5~10mg/kg、約2~12mg/kg、約2~10mg/kg、約3~10mg/kg、約4~10mg/kg、約4~12mg/kg、又は約5~12mg/kgの用量で投与される。様々な実施形態では、TIMP-PPEは、約0.1mg/kg、0.25、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、3.0mg/kg、4.0mg/kg、5mg/kg、6mg/kg、8.0mg/kg、10mg/kg、又は12mg/kgの用量で投与される。様々な実施形態では、TIMP-PPEは、約10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、又は800mgの用量で投与される。
【0008】
様々な実施形態では、TIMP-PPEは、単回用量又は複数回用量で投与される。様々な実施形態では、TIMP-PPEは、1週間間隔の2回用量で投与される。様々な実施形態では、TIMP-PPEは、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、2ヶ月毎に1回、3ヶ月毎に1回、6ヶ月毎に1回、又は1年当たり1回投与される。
【0009】
様々な実施形態では、TIMP-PPEは、1つ以上のピーナッツ抗原及び好適な緩衝剤又は賦形剤を封入するポリ(乳酸コグリコール酸)(PLGA)粒子からなる。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子は、表面官能化される。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子は、カルボキシル化によって表面官能化される。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子は、負のゼータ電位を有する。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子の負のゼータ電位は、約-100mV~約0mVである。様々な実施形態では、粒子のゼータ電位は、約-100mV~約-25mV、約-100~約-30mV、約-80mV~約-30mV、約-75mV~約-30mV、約-70mV~約-30mV、約-75~約-35mV、約-70~約-25mV、約-60mV~約-30mV、約-60mV~約-35mV、又は約-50mV~約-30mVである。様々な実施形態では、ゼータ電位は、約-25mV、-30mV、-35mV、-40mV、-45mV、-50mV、-55mV、-60mV、-65mV、-70mV、-75mV、-80mV、-85mV、-90mV、-95mV、又は-100mVである。
【0010】
様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子のサイズ、又は直径は、0.05μm~約10μmである。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子の直径は、0.1μm~約10μmである。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子の直径は、0.1μm~約5μmである。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子の直径は、0.1μm~約3μmである。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子の直径は、0.3μm~約5μmである。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子の直径は、約0.3μm~約3μmである。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子の直径は、約0.3μm~約1μmである。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子の直径は、約0.4μm~約1μmである。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子は、約100~10000nm、約100~5000nm、約100~3000nm、約100~2000nm、約300~5000nm、約300~3000nm、約300~1000nm、約300~800nm、約400~800nm、又は約200~700nmの直径を有する。様々な実施形態では、TIMP-PPE粒子は、約50nm、100nm、200nm、300nm、400nm、500nm、600nm、700nm、800nm、900nm、1000nm、1100nm、1200nm、1300nm、1400nm、1500nm、又は2000nmの直径を有する。様々な実施形態では、負に帯電した粒子の直径は、400nm~800nmである。
【0011】
様々な実施形態では、TIMP-PPEは、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、又は経口投与される。
【0012】
様々な実施形態では、TIMP-PPEは、約0.05mg/mL~約50mg/mLの濃度で投与される。様々な実施形態では、TIMP-PPEは、約0.1mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、11mg/mL、12.5mg/mL、15mg/mL、17.5mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、又は50mg/mLの濃度で投与される。様々な実施形態では、TIMP-PPEは、約1、2、3、4、5、6、7、又は8時間持続する静脈内注入を介して投与される。
【0013】
様々な実施形態では、TIMP-PPEは、単独で又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与される。様々な実施形態では、追加の治療剤は、IgEの阻害剤、好塩基球活性化の阻害剤、マスト細胞活性化の阻害剤、抗ヒスタミン、又は小分子若しくは生物学的治療剤である。様々な実施形態では、追加の治療剤は、IgEを阻害する。様々な実施形態では、追加の治療剤は、好塩基球活性化を阻害する。様々な実施形態では、追加の治療剤は、マスト細胞活性化を阻害する。様々な実施形態では、追加の治療剤は、生体又は低分子である。様々な実施形態では、追加の治療剤は、抗IgE抗体、抗IL-4Rα抗体、抗IL13抗体、抗IL-33抗体、抗ヒスタミン、ステロイド、コルチコステロイド、ロイコトリエン修飾剤、又は非ステロイド抗炎症薬(NSAID)である。
【0014】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、抗ヒスタミンである。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、第一世代抗ヒスタミンである。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、第二世代抗ヒスタミンである。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、ブロムフェニラミン、マレイン酸カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、トリプロリジン、アゼラスチン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、レボセトリジン、ドキシラミン、エバスチン、エンブラミン、エピネフリン、フェキソフェナジン、ロラタジン、及びオロパタジンからなる群から選択される。
【0015】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、ステロイドである。様々な実施形態では、ステロイドは、ベクロメタゾン、シクレソニド、フロ酸フルチカゾン、モメタゾン、ブデノシド、フルチカゾン、トリアムシノロン、及びロテプレドノールからなる群から選択される。
【0016】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、コルチコステロイドである。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、及びヒドロコルチゾンからなる群から選択される。
【0017】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)である。様々な実施形態では、NSAIDは、非選択的NSAIDである。様々な実施形態では、NSAIDは、COX-2選択的NSAIDである。様々な実施形態では、NSAIDは、COX-1選択的NSAIDである。様々な実施形態では、NSAIDは、プロスタグランジンシンターゼ阻害剤である。様々な実施形態では、NSAIDは、ジクロフェナク、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、エトドラック、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、ケトロラック、ケトロラックトロメタミン、ケトプロフェン、トルメチン、トルメチンナトリウム、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、インドメタシンナトリウム、スリンダク、フェルビナク、ピロキシカム、メフェナム酸、メクロフェナメートナトリウム、メロキシカム、ナブメトン、オキサプロジン、ピロキシカム、セレコキシブ、エトドラック、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、ロフェコキシブ、及びバルデコキシブからなる群から選択される。
【0018】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、ロイコトリエン修飾剤である。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、抗ロイコトリエンである。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、ロイコトリエン受容体アンタゴニストである。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、ロイコトリエン合成阻害剤である。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、モンテルカスト、ジレウトン、及びザフィルルカストからなる群から選択される。
【0019】
様々な実施形態では、生物学的製剤は、抗体である。様々な実施形態では、抗体は、抗IgE、抗IL-4Rα、抗IL-13、又は抗IL-33抗体である。様々な実施形態では、抗IgE抗体は、オマリズマブ(XOLAIR(登録商標))である。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、デュピルマブ(DUPIXENT(登録商標))である。様々な実施形態では、抗IL-33抗体は、エトキヌマブである。様々な実施形態では、追加の治療剤は、TIMP-PPEの投与前、その間、又はその後に投与される。様々な実施形態では、追加の治療剤は、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、又は経口投与される。
【0020】
本開示は、対象におけるピーナッツアレルギーを治療する方法であって、対象に抗IgE抗体と組み合わせてTIMP-PPEを投与することを含み、TIMP-PPEが、約0.1mg/kg~12mg/kgの用量で投与され、抗IgE抗体が、約10mg~約500mgの用量で投与される、方法を記載する。様々な実施形態では、抗IgE抗体は、オマリズマブ(XOLAIR(登録商標))である。様々な実施形態では、TIMP-PPEは、約0.5~10mg/kg、約1~8mg/kg、約1.5~10mg/kg、約2~12mg/kg、約2~10mg/kg、約3~10mg/kg、約4~10mg/kg、約4~12mg/kg、若しくは約5~12mg/kg、又は約0.1mg/kg、0.25、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、6mg/kg、8.0mg/kg、10mg/kg、若しくは12mg/kgの用量で投与される。様々な実施形態では、TIMP-PPEは、約10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、又は800mgの用量で投与される。様々な実施形態では、TIMP-PPEと組み合わせて投与される抗IgE抗体は、約10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、又は500mgの用量で投与される。様々な実施形態では、抗IgE抗体の用量レベルは、血清IgEレベルに基づいて決定される。様々な実施形態では、血清IgEレベルは、30~100IU/mL、100~200IU/mL、200~300IU/mL、300~400IU/mL、400~500IU/mL、500~600IU/mL、600~700IU/mL、700~800IU/mL、800~900IU/mL、900~1000IU/mL、1000~1100IU/mL、1100~1200IU/mL、1200~1300IU/mL、1300~1400IU/mL、又は1400~1500IU/mLである。様々な実施形態では、抗IgE抗体の用量レベルは、対象の体重に基づいて決定される。様々な実施形態では、対象の体重は、30~40kg、40~50kg、50~60kg、60~70kg、70~80kg、80~90kg、90~125kg、又は125~150kgである。
【0021】
様々な実施形態では、抗IgE抗体は、単回用量又は複数回用量で投与される。様々な実施形態では、抗IgE抗体は、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回投与される。様々な実施形態では、抗IgE抗体は、TIMP-PPEの投与前に、それと同時に、又はその後に投与される。様々な実施形態では、抗IgE抗体は、TIMP-PPEの投与前1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、抗IgE抗体は、TIMP-PPEの投与後1週間、2週間、3週間、又は4週間にわたって投与される。
【0022】
本開示は、ピーナッツアレルギーを治療するための方法であって、対象に、抗IgE抗体と組み合わせてTIMP-PPEを投与することを含み、対象が、TIMP-PPEの投与前に、2週間にわたって週1回又は4週間にわたって週1回、抗IgE抗体を投与され、TIMP-PPEが、1週間間隔の2回用量で、0.1mg/kg~12mg/kgの用量レベルで投与され、抗IgE抗体が、約50mg~500mgの用量レベルで投与される、方法を提供する。
【0023】
本開示は、対象におけるピーナッツアレルギーを治療する方法であって、対象に抗IL-4Rα抗体と組み合わせてTIMP-PPEを投与することを含み、TIMP-PPEが、約0.1mg/kg~12mg/kgの用量で投与され、抗IL-4Rα抗体が、約10mg~約500mgの用量で投与される、方法を記載する。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、デュピルマブ(DUPIXENT(登録商標))である。様々な実施形態では、TIMP-PPEは、約0.5~10mg/kg、約1~8mg/kg、約1.5~10mg/kg、約2~12mg/kg、約2~10mg/kg、約3~10mg/kg、約4~10mg/kg、約4~12mg/kg、若しくは約5~12mg/kg、又は約0.1mg/kg、0.25、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、6mg/kg、8.0mg/kg、10mg/kg、若しくは12mg/kgの用量で投与される。様々な実施形態では、TIMP-PPEは、約10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、又は800mgの用量で投与される。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、約10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、又は600mgの用量で投与される。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体の用量レベルは、血清IgEレベルに基づいて決定される。様々な実施形態では、血清IgEレベルは、30~100IU/mL、100~200IU/mL、200~300IU/mL、300~400IU/mL、400~500IU/mL、500~600IU/mL、600~700IU/mL、700~800IU/mL、800~900IU/mL、900~1000IU/mL、1000~1100IU/mL、1100~1200IU/mL、1200~1300IU/mL、1300~1400IU/mL、又は1400~1500IU/mLである。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体用量レベルは、対象の体重に基づいて決定される。様々な実施形態では、対象の体重は、30~40kg、40~50kg、50~60kg、60~70kg、70~80kg、80~90kg、90~125kg、又は125~150kgである。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、単回用量又は複数回用量で投与される。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回投与される。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、TIMP-PPEの投与前に、それと同時に、又はその後に投与される。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、TIMP-PPEの投与前1週間、2週間、3週間、又は4週間にわたって投与される。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、TIMP-PPEの投与後1週間、2週間、3週間、又は4週間にわたって投与される。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、2回の用量にわたって400mg~600mgの初期用量レベル、続いて後続用量にわたって200mg~300mgの維持用量レベルで投与される。
【0024】
様々な実施形態では、TIMP-PPEと組み合わせて投与される抗ヒスタミンは、約0.05mg~2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、約0.05mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、4mg、5mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、1000mg、1500mg、又は2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、単回用量又は複数回用量で投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、1日1回、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、1日2回、3回、4回、5回、又は6回投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、TIMP-PPEの投与前に、それと同時に、又はその後に投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、TIMP-PPEの投与前1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、TIMP-PPEの投与後1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、TIMP-PPEの投与の5、10、15、30、45、又は60分前に投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、36、48、72、又は96時間前に投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。
【0025】
様々な実施形態では、TIMP-PPEと組み合わせて投与されるステロイドは、約0.05mg~2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、約0.05mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、4mg、5mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、1000mg、1500mg、又は2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、単回用量又は複数回用量で投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、1日1回、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、1日2回、3回、4回、5回、又は6回投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、TIMP-PPEの投与前に、それと同時に、又はその後に投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、TIMP-PPEの投与前1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、コステロイドは、TIMP-PPEの投与後1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、TIMP-PPEの投与の5、10、15、30、45、又は60分前に投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、36、48、72、又は96時間前に投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。
【0026】
様々な実施形態では、コルチコステロイドと組み合わせて投与されるTIMP-PPEは、約0.05mg~2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、約0.05mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、4mg、5mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、1000mg、1500mg、又は2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、単回用量又は複数回用量で投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、1日1回、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、1日2回、3回、4回、5回、又は6回投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、TIMP-PPEの投与前に、それと同時に、又はその後に投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、TIMP-PPEの投与前1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、TIMP-PPEの投与後1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、TIMP-PPEの投与の5、10、15、30、45、又は60分前に投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、36、48、72、又は96時間前に投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。
【0027】
様々な実施形態では、TIMP-PPEと組み合わせて投与されるNSAIDは、約0.05mg~2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、約0.05mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、4mg、5mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、1000mg、1500mg、又は2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、単回用量又は複数回用量で投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、1日1回、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、1日2回、3回、4回、5回、又は6回投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、TIMP-PPEの投与前に、それと同時に、又はその後に投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、TIMP-PPEの投与前1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、TIMP-PPEの投与後1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、TIMP-PPEの投与の5、10、15、30、45、又は60分前に投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、36、48、72、又は96時間前に投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。
【0028】
様々な実施形態では、TIMP-PPEと組み合わせて投与されるロイコトリエン修飾剤は、約0.05mg~2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、約0.05mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、4mg、5mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、1000mg、1500mg、又は2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、単回用量又は複数回用量で投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、1日1回、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、1日2回、3回、4回、5回、又は6回投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、TIMP-PPEの投与前に、それと同時に、又はその後に投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、TIMP-PPEの投与前1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、TIMP-PPEの投与後1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、TIMP-PPEの投与の5、10、15、30、45、又は60分前に投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、36、48、72、又は96時間前に投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。
【0029】
TIMP-PPEが、本明細書に記載される追加の治療剤とともに投与される場合、TIMP-PPEは、単回用量又は複数回用量で投与されることが企図される。様々な実施形態では、TIMP-PPEは、1週間間隔の2回用量で投与される。
【0030】
様々な実施形態では、TIMP-PPEを、単独で又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することは、ピーナッツアレルギーの1つ以上の症状を緩和する。様々な実施形態では、ピーナッツアレルギーの症状は、皮膚反応、蕁麻疹、皮膚発赤、皮膚腫脹、かゆみ、喉の絞扼感(tightening)、呼吸困難、息切れ、及びアナフィラキシーからなる群から選択される。
【0031】
様々な実施形態では、TIMP-PPEを、単独で又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することは、ピーナッツタンパク質に対するアレルギー性免疫応答の持続時間及び重症度を低減する。様々な実施形態では、TIMP-PPEを、単独で又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することは、ピーナッツタンパク質への曝露後にアレルギー性免疫応答の持続時間及び重症度を低減する。様々な実施形態では、アレルギー性免疫応答は、Th2細胞応答、B細胞活性化、好塩基球活性化、好酸球活性化、マスト細胞活性化、及び/又はIgE誘発である。様々な実施形態では、ピーナッツアレルギーの1つ以上の症状を緩和すること、並びに/又はピーナッツタンパク質に対するアレルギー性免疫応答の持続時間及び重症度を低減することにおけるTIMP-PPEの有効性は、対象からの1つ以上の生体試料のアッセイから決定される。様々な実施形態では、生体試料は、全血、末梢血、末梢血単核細胞(PBMC)、血清、血漿、尿、脳脊髄液(CSF)、便、組織生検、及び/又は骨髄生検からなる群から選択される。様々な実施形態では、ピーナッツアレルギーの1つ以上の症状を緩和すること、並びに/又はピーナッツタンパク質に対するアレルギー性免疫応答の持続時間及び重症度を低減することにおけるTIMP-PPEの有効性は、二重盲検プラセボ対照食物チャレンジ(DBPCFC)によって決定される。様々な実施形態では、ピーナッツアレルギーの1つ以上の症状を緩和すること、並びに/又はピーナッツタンパク質に対するアレルギー性免疫応答の持続時間及び重症度を低減することにおけるTIMP-PPEの有効性は、皮膚プリック試験(SPT)によって決定される。
【0032】
本明細書に記載される、各特徴若しくは実施形態、又は組み合わせは、本発明の態様のいずれかの非限定的、例示的な例であり、そのようなものとして、本明細書に記載される、任意の他の特徴若しくは実施形態、又は組み合わせと組み合わせ可能であることを意味することが理解される。例えば、特徴が「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「特定の実施形態」、「更なる実施形態」、「特定の例示的な実施形態」、及び/又は「別の実施形態」などの言語で説明される場合、これらのタイプの実施形態の各々は、本明細書に記載される任意の他の特徴、又は特徴の組み合わせと組み合わされることが意図される特徴の非限定的な例であり、全ての可能な組み合わせを列挙する必要はない。そのような特徴又は特徴の組み合わせは、本発明の態様のいずれかに適用される。範囲内に該当する値の例が開示される場合、これらの例のいずれかは、範囲の可能なエンドポイントとして企図され、そのようなエンドポイント間の任意及び全ての数値が企図され、上限及び下限エンドポイントの任意及び全ての組み合わせが想定される。
【0033】
本明細書における見出しは、読者の便宜のためであり、限定することを意図するものではない。本発明の追加の態様、実施形態、及び変形は、詳細な説明及び/又は図面及び/又は特許請求の範囲から明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1A-1E】予防的CNP-201治療に対するピーナッツ特異的抗体応答である。CNP-201は、有意なピーナッツ特異的抗体応答を誘発しない。IgM、IgG、及びIgE応答の誘発の14日目の測定値は、CNP-201の2回投与(0日目及び7日目)後、並びにピーナッツ/ミョウバンプライミング(
図1A~1C)前に取得され、35日目の測定値は、ピーナッツ/ミョウバンプライミング(14日目及び28日目)後に取得された。ピーナッツ特異的抗体応答は、ピーナッツ特異的ELISAによって評価した(
図1D~1E)。
【
図2】予防的CNP-201治療に対するピーナッツ特異的T細胞応答である。CNP-201は、CNP-201の2回投与(0日目及び7日目)後及びピーナッツ/ミョウバンでのプライミング(14日目及び28日目)後の35日目の精製されたピーナッツ抽出物の存在下での全脾細胞のエクスビボリコールによって決定されるように、ピーナッツ特異的T細胞応答を阻害する。脾細胞が精製ピーナッツ抽出物の存在下で培養されたとき、CNP-201治療されたマウスから収集された脾T細胞は、有意により少ないTh2関連サイトカイン(IL-4、IL-5、及びIL-13)を分泌した。
【
図3】35日目のPPEチャレンジ後のアナフィラキシー安全性である。35日目に、マウスを200μgのPPEで注射し、60分の期間にわたってアナフィラキシーの徴候について追跡した。抗IgEでの共治療は、対照抗体での共治療と比較してアナフィラキシーの徴候を有意に減少させた。追加的に、抗IgEでの共治療は、チャレンジ後60分で有意に減少した血液中のMCPT-1をもたらした。CNP-201治療は、無負荷CNPでの治療と比較してアナフィラキシーの徴候を有意に改変しなかった。アナフィラキシースコアリングは、以下の尺度に従って行った:0=マウスは正常で活動的に見える;1=マウスはむくんでいるように見え、かつ/又は逆立った毛を有する;2=マウスはむくんでいるように見え、かつ/又は逆立った毛を有し、息切れを有する;3=マウスはむくんでいるように見え、かつ/又は逆立った毛、息切れ、及び制限された動きを有し、かつ/又は横たわっている;死亡。
【
図4】治療的CNP-201治療に対するピーナッツ特異的抗体応答である。CNP-201は、ピーナッツ特異的IgG1及びIgEのレベルを減少させる。IgM、IgG1、及びIgE応答の35日目の測定値は、ピーナッツ/ミョウバンプライミング(0日目及び14日目)、抗IgE又は対照抗体の4回投与(20日目、24日目、28日目、及び32日目)、及びCNP-201又は無負荷CNP対照の2回投与(21日目及び28日目)後に取得された。ピーナッツ特異的抗体応答は、ピーナッツ特異的ELISAによって評価した。
【
図5A-5E】治療的CNP-201治療に対するピーナッツ特異的T細胞応答である。CNP-201は、ピーナッツ/ミョウバンプライミング(0日目及び14日目)、抗IgE又は対照抗体の4回投与(20日目、24日目、28日目、及び32日目)、及びCNP-201又は無負荷CNP対照の2回投与(21日目及び28日目)後の35日目に精製ピーナッツ抽出物の存在下での全脾細胞のエクスビボリコールによって決定されるように、ピーナッツ特異的T細胞応答を阻害する。以下のサイトカインのレベルを測定した:IFN-γ(
図5A)、IL-4(
図5B)、IL-5(
図5C)、IL-10(
図5D)、及びIL-13(
図5E)。
【
図6A】CNP-201粒子のヒト試験のパートAに参加する対象についての事象のスケジュールである。
図6B.CNP-201粒子のヒト試験のパートBに参加する対象についての事象のスケジュールである。
【発明を実施するための形態】
【0035】
本開示は、免疫療法を受けた後の対象における免疫寛容の誘発及び維持を監視するための方法論を提供する。
【0036】
定義
別段に記載されない限り、本明細書及び特許請求の範囲を含む、本出願で使用される以下の用語は、以下に与えられる定義を有する。
【0037】
本明細書及び添付の特許請求の範囲で使用される場合、不定冠詞「a」及び「an」並びに定冠詞「the」は、文脈が明らかに別段の指示をしない限り、複数及び単数の指示対象を含む。
【0038】
「約」又は「およそ」という用語は、当業者によって決定される特定の値についての許容誤差を意味し、それは値がどのように測定又は決定されるかに一部依存する。特定の実施形態では、「約」又は「およそ」という用語は、1、2、3、又は4標準偏差以内を意味する。特定の実施形態では、「約」又は「およそ」という用語は、所与の値又は範囲の30%、25%、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、又は0.05%以内を意味する。一連の2つ以上の数値における最初の数値に「約」又は「およそ」という用語が先行するときはいつでも、「約」又は「およそ」という用語は、その一連における数値の各1つに適用されることが理解される。
【0039】
本明細書で使用される「粒子」は、任意の非組織由来組成物を指し、スフェア若しくはスフェア様実体、ビーズ、又はリポソームであり得る。「粒子」という用語、「免疫修飾粒子」という用語、「担体粒子」という用語、及び「ビーズ」という用語は、文脈に応じて交換可能に使用され得る。追加的に、「粒子」という用語は、ビーズ及びスフェアを包含するように使用され得る。
【0040】
本明細書で使用される「負に帯電した粒子」は、ゼロ未満である実効表面電荷を有するように修飾された粒子を指す。
【0041】
「カルボキシル化粒子」又は「カルボキシル化ビーズ」又は「カルボキシル化スフェア」は、その表面上にカルボキシル基を含有するように修飾された任意の粒子を含む。いくつかの実施形態では、カルボキシル基の付加は、例えば、MARCOなどのスカベンジャー受容体との相互作用を通して、循環からの粒子の食細胞/単球取り込みを増強する。粒子のカルボキシル化は、カルボキシル基を付加する任意の化合物を使用して達成することができる。
【0042】
本明細書で使用される「TIMP-PPE」は、ピーナッツ抽出物、又はAra h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、Ara h8、Ara h9、Ara h10、Ara h11、Ara h12、Ara h13、Ara h14、Ara h15、Ara h16、Ara h17、及びAra h18を含む、1つ以上のピーナッツタンパク質若しくはその抗原性断片を含む、負に帯電した寛容化免疫修飾粒子(TIMP)を指す。
【0043】
本明細書で使用される場合、「Th細胞」又は「ヘルパーT細胞」という用語は、CD4+細胞を指す。CD4+ T細胞は、B細胞の形質細胞及びメモリーB細胞への成熟、並びに細胞傷害性T細胞及びマクロファージの活性化を含む、免疫学的プロセスで他の白血球を補助する。T細胞は、抗原提示細胞(APC)の表面上で発現される、MHCクラスII分子によってペプチド抗原を提示されるときに活性化される。
【0044】
本明細書で使用される場合、「Th1細胞」という用語は、炎症誘発性メディエーターを産生するTh細胞のサブセットを指す。Th1細胞は、サイトカインを分泌して免疫応答を促進し、部分的には好中球及びマクロファージの感染組織への動員を媒介することによって、病原体に対する宿主防御において役割を果たす。Th1細胞は、IFN-ガンマ、IL-2、IL-10、及びTNFアルファ/ベータを含むサイトカインを分泌して、ウイルス及びいくつかの細菌などの細胞内病原体に対する防御を調整する。
【0045】
本明細書で使用される場合、「Th2細胞」という用語は、細胞外寄生虫、細菌、アレルゲン、及び毒素に対する抗体媒介性免疫応答の活性化及び維持を媒介するTh細胞のサブセットを指す。Th2細胞は、抗体産生、好酸球活性化、及びいくつかのマクロファージ機能の阻害に関与する、IL-4、IL-5、IL-6、IL-9、IL-13、及びIL-17E(IL-25)などの様々なサイトカインを産生することによってこれらの機能を媒介し、よって食細胞に依存しない保護応答を提供する。
【0046】
「ポリペプチド」及び「タンパク質」は、ペプチド結合又はペプチド結合アイソステアを介して結合した、アミノ酸残基、関連する天然に存在する構造バリアント、及びその合成の天然に存在しないアナログで構成されるポリマーを指す。合成ポリペプチドは、例えば、自動ポリペプチド合成装置を使用して、合成することができる。「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語は、産生物の最小長に限定されない。「タンパク質」という用語は、典型的には、大きなポリペプチドを指す。「ペプチド」という用語は、典型的には、短いポリペプチドを指す。よって、ペプチド、オリゴペプチド、ダイマー、、マルチマーなどが定義内に含まれる。完全長タンパク質及びその断片の両方が定義によって包含される。「ポリペプチド」及び「タンパク質」という用語はまた、ポリペプチド又はタンパク質の発現後修飾、例えば、グリコシル化、アセチル化、リン酸化などを含む。更に、本開示の目的のために、「ポリペプチド」は、ネイティブ配列への、「修飾」、例えば、欠失、付加、置換(本質的に保存的であり得るか、あるいはヒトタンパク質に一般的に存在する20個のアミノ酸のいずれか、又は任意の他の天然に存在するか若しくは天然に存在しないか若しくは非定型のアミノ酸での置換を含み得る)、及び化学修飾(例えば、ペプチド模倣物の付加又はそれでの置換)を含むことができる。これらの修飾は、部位特異的変異誘発を通して、又は化学部分を除去若しくは結合するためのアミノ酸の化学修飾を通して、意図的であり得るか、あるいはタンパク質を産生する宿主細胞を介して発生する変異を通して、又は宿主細胞トランスフェクション前のPCR増幅に起因するエラーを通してなど、偶発的であり得る。
【0047】
本明細書で使用される「抗原性部分」又は「抗原」は、宿主の免疫系によって認識される任意の部分、例えば、ペプチドを指す。抗原性部分の例としては、これらに限定されないが、自己抗原、アレルゲン、酵素、及び/又は細菌若しくはウイルスタンパク質、ペプチド、薬物、又は成分が挙げられる。
【0048】
「薬学的に許容される担体」は、標準的な薬学的担体、緩衝剤などのいずれか、例えば、リン酸緩衝生理食塩水、デキストロースの5%水溶液、及びエマルジョン(例えば、油/水又は水/油エマルジョン)を指す。賦形剤の非限定的な例としては、アジュバント、結合剤、充填剤、希釈剤、崩壊剤、乳化剤、湿潤剤、潤滑剤、流動促進剤、甘味剤、香味剤、及び着色剤が挙げられる。好適な薬学的担体、賦形剤、及び希釈剤は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,19th Ed.(Mack Publishing Co.,Easton,1995)に記載される。好ましい薬学的担体は、活性剤の意図される投与様式に依存する。典型的な投与様式には、経腸(例えば、経口)又は非経口(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、若しくは腹腔内注射、又は局所、経皮、若しくは経粘膜投与)又は吸入を介するものが含まれる。
【0049】
「薬学的に許容される」又は「薬理学的に許容される」とは、生物学的に又は別段に望ましくないものではない材料を意味し、すなわち、材料は、いずれの望ましくない生物学的効果も引き起こすことなく、あるいはそれが含まれる組成物の成分のいずれとも、又は個体の体上若しくは体内に存在するいずれの成分とも有害な様式で相互作用することなく、個体に投与され得る。
【0050】
本明細書で使用される場合、「対象」という用語は、哺乳動物及び非哺乳動物を包含する。哺乳動物の例としては、哺乳動物クラスの任意のメンバー:ヒト、チンパンジーなどの非ヒト霊長類、並びに他の類人猿及びサル種;ウシ、ウマ、ヒツジ、ヤギ、ブタなどの家畜;ウサギ、イヌ、及びネコなどの飼育動物;ラット、マウス、及びモルモットなどのげっ歯類などを含む実験動物が挙げられるが、これらに限定されない。非哺乳動物の例としては、鳥類、魚類などが挙げられるが、これらに限定されない。用語は、特定の年齢又は性別を示すものではない。
【0051】
「エピトープ」という用語は、抗原結合領域のうちの1つ以上で選択的結合剤によって認識され、結合することができる任意の分子の部分を指す。エピトープは、通常、アミノ酸又は炭水化物側鎖などの、分子の化学的に活性な表面グルーピングからなり、特異的三次元構造特徴及び特異的電荷特徴を有する。本明細書で使用されるエピトープは、連続又は不連続であり得る。また、エピトープは、抗体を生成するために使用されるエピトープと同一であるが、抗体免疫応答を刺激するために使用された標的において見出されたアミノ酸残基のいずれも含まないか、又はいくつかのみを含む、三次元構造を含むという点で、模倣(ミモトープ)であり得る。本明細書で使用される場合、ミモトープは、選択的結合剤によって結合したエピトープとは異なる抗原とみなされず、選択的結合剤は、エピトープ及びミモトープの同じ三次元構造を認識する。
【0052】
「治療有効量」という用語は、本明細書では、治療される疾患の症状又は徴候を改善又は軽減するのに有効である本開示の抗原特異的組成物の量を示すために使用される。
【0053】
本明細書における方法に関して使用される「治療する」、「治療される」、「治療すること」、及び「治療」という用語は、一時的又は永続的のいずれか、部分的又は完全のいずれかで、事象、疾患、又は状態の臨床症状、兆候、又は進行を排除すること、低減すること、抑制すること、又は改善することを指す。そのような治療することは、有用であるために絶対的である必要はない。
粒子
【0054】
粒子のサイズ及び電荷は、許容誘発のために重要である。粒子は、粒子内に封入された抗原に基づいてサイズ及び電荷が異なるが、一般に、本明細書に記載される粒子は、それらが約100ナノメートル~約1500ナノメートルであり、0~約100mVの電荷を有するとき、寛容を誘発するのに有効である。様々な実施形態では、粒子は、直径が400~800ナノメートルであり、約-25mV~-70mVの電荷を有する。様々な実施形態では、粒子は、直径が400~800ナノメートルであり、約-30mV~-60mVの電荷を有する。平均粒子サイズ及び粒子の電荷は、凍結乾燥プロセスにおいてわずかに改変され得、したがって、合成後平均及び凍結乾燥後平均の両方が記載される。本明細書で使用される場合、「合成後サイズ」及び「合成後電荷」という用語は、凍結乾燥前の粒子のサイズ及び電荷を指す。「凍結乾燥後サイズ」及び「凍結乾燥後電荷」という用語は、凍結乾燥後の粒子のサイズ及び電荷を指す。
【0055】
いくつかの実施形態では、粒子は、非金属である。これらの実施形態では、粒子は、ポリマーから形成され得る。好ましい実施形態では、粒子は、個体において生分解性である。この実施形態では、粒子は、個体における粒子の蓄積なしに、複数回の用量にわたって個体において提供することができる。好適な粒子の例としては、ポリスチレン粒子、PLGA粒子、PLURONICS安定化ポリプロピレンスルフィド粒子、及びダイヤモンド粒子が挙げられる。
【0056】
好ましくは、粒子表面は、非特異的又は望ましくない生物学的相互作用を最小限に抑える材料で構成される。粒子表面と間質との間の相互作用は、リンパ取り込みにおいて役割を果たす因子であり得る。粒子表面は、非特異的相互作用を防止又は減少させる材料でコーティングされ得る。ポリ(エチレングリコール)(PEG)及びそのコポリマー、例えば、PLURONICS(登録商標)(ポリ(エチレングリコール)-bl-ポリ(プロピレングリコール)-bl-ポリ(エチレングリコール)のコポリマーを含む)などの親水性層で粒子をコーティングすることによる立体安定化は、皮下注射後の改善されたリンパ取り込みによって実証されるように、間質のタンパク質との非特異的相互作用を低減し得る。これらの事実の全ては、リンパ取り込みの観点から、粒子の物理的特性の関連性を示す。生分解性ポリマーは、ポリマー及び/又は粒子及び/又は層の全部又は一部を作製するために使用され得る。生分解性ポリマーは、例えば、官能基が溶液中の水と反応する結果によって、分解され得る。本明細書で使用される「分解」という用語は、分子量の低減又は疎水性基の親水性基への変換のいずれかによって、可溶性になることを指す。エステル基を有するポリマー、例えば、ポリラクチド及びポリグリコリドは、一般に、自発的加水分解に供される。
【0057】
本明細書に開示される粒子はまた、追加の成分を含有し得る。例えば、担体は、担体に組み込まれるか、又はコンジュゲートされた造影剤を有し得る。現在市販されている造影剤を有する担体ナノスフェアの例は、Kodak X-sightナノスフェアである。量子ドット(QD)として知られる、無機量子閉じ込め発光ナノ結晶は、FRET用途において理想的なドナーとして現れた:それらの高い量子収率及び調節可能なサイズ依存的ストークスシフトは、単一の紫外線波長で励起されるとき青から赤外線まで異なるサイズを放出することを可能にする。(Bruchez,et al.,Science,1998,281,2013、Niemeyer,C.M Angew.Chem.Int.Ed.2003,42,5796、Waggoner,A.Methods Enzymol.1995,246,362、Brus,L.E.J.Chem.Phys.1993,79,5566)。デンドリマーとして知られるポリマーのクラスに基づくハイブリッド有機/無機量子ドットなどの、量子ドットは、生物学的標識、イメージング、及び光学バイオセンシングシステムにおいて使用され得る。(Lemon,et al.,J.Am.Chem.Soc.2000,122,12886)。無機量子ドットの従来の合成とは異なり、これらのハイブリッド量子ドットナノ粒子の合成は、高温又は高毒性の、不安定な試薬を必要としない。(Etienne,et al.,Appl.Phys.Lett.87,181913,2005)。
【0058】
粒子は、広範囲の材料から形成することができる。粒子は、好ましくは、生物学的使用に好適な材料で構成される。例えば、粒子は、ガラス、シリカ、ヒドロキシカルボン酸のポリエステル、ジカルボン酸のポリ無水物、又はヒドロキシカルボン酸及びジカルボン酸のコポリマーで構成され得る。より一般的には、担体粒子は、直鎖若しくは分岐、置換若しくは非置換、飽和若しくは不飽和、線状若しくは架橋、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、アラルケニル、ヘテロアリール、若しくはアルコキシヒドロキシ酸のポリエステル、又は直鎖若しくは分岐、置換若しくは非置換、飽和若しくは不飽和、線状若しくは架橋、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アリール、アラルキル、アルケニル、アラルケニル、ヘテロアリール、若しくはアルコキシジカルボン酸のポリ無水物で構成され得る。追加的に、担体粒子は、量子ドットであり得るか、又は量子ドットポリスチレン粒子など、量子ドットで構成され得る(Joumaa et al.(2006)Langmuir 22:1810-6)。エステル及び無水物結合の混合物(例えば、グリコール酸及びセバシン酸のコポリマー)を含む担体粒子も使用され得る。例えば、担体粒子は、ポリグリコール酸ポリマー(PGA)、ポリ乳酸ポリマー(PLA)、ポリセバシン酸ポリマー(PSA)、ポリ(乳-co-グリコール)酸コポリマー(PLGA又はPLG、用語は交換可能である)、ポリ(乳-co-セバシン)酸コポリマー(PLSA)、ポリ(グリコール-co-セバシン)酸コポリマー(PGSA)、ポリプロピレンスルフィドポリマー、ポリ(カプロラクトン)、キトサンなどを含む材料を含み得る。本発明において有用な他の生体適合性、生分解性ポリマーには、カプロラクトン、炭酸塩、アミド、アミノ酸、オルトエステル、アセタール、シアノアクリレート、及び分解性ウレタンのポリマー又はコポリマー、並びにこれらの直鎖又は分岐、置換又は非置換、アルカニル、ハロアルキル、チオアルキル、アミノアルキル、アルケニル、又は芳香族ヒドロキシ若しくはジカルボン酸とのコポリマーが含まれる。加えて、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、トレオニン、チロシン、及びシステインなどの、反応性側鎖基を有する生物学的に重要なアミノ酸、又はそれらのエナンチオマーは、抗原ペプチド及びタンパク質にコンジュゲートするための反応性基及びコンジュゲート部分を提供するために、前述の材料のいずれかとのコポリマーに含まれ得る。本発明に好適な生分解性材料には、ダイヤモンド、PLA、PGA、ポリプロピレンスルフィド、及びPLGAポリマーが含まれる。生体適合性であるが非生分解性の材料も、本発明の担体粒子に使用され得る。例えば、アクリレート、エチレン-ビニルアセテート、アシル置換セルロースアセテートの非生分解性ポリマー、非分解性ウレタン、スチレン、塩化ビニル、フッ化ビニル、ビニルイミダゾール、クロロスルホン化オレフィン、エチレンオキシド、ビニルアルコール、TEFLON(登録商標)(DuPont、Wilmington、Del.)、及びナイロンが使用され得る。
【0059】
特定の実施形態では、粒子は、約80:20~約100:0のモル比を有するコポリマーである。本免疫修飾粒子の好適なコポリマー比は、25:75、30:70、35:65、40:60、45:55、50:50、55:45、60:40、65:35、70:30、75:25、80:20、81:19、82:18、83:17、84:16、85:15、86:14、87:13、88:12、89:11、90:10、91:9、92:8、93:7、94:6、95:5、96:4、97:3、98:2、99:1、又は100:0であり得る。特定の実施形態では、粒子は、PLURONICS安定化ポリプロピレンスルフィド粒子、ポリグリコール酸粒子(PGA)、ポリ乳酸粒子(PLA)、又はポリ(乳酸-co-グリコール酸)粒子である。特定の実施形態では、粒子は、ポリ乳酸/ポリグリコール酸80:20:ポリ乳酸/ポリグリコール酸90:10、又はポリ乳酸:ポリグリコール酸/50:50のコポリマー比を有する。様々な実施形態では、粒子は、ポリ(乳酸-co-グリコール酸)粒子であり、約50:50ポリ乳酸:ポリグリコール酸のコポリマー比を有する。
【0060】
粒子は、界面活性剤を更に含み得ることが企図される。界面活性剤は、アニオン性、カチオン性、又は非イオン性であり得る。ポロキサマー及びポロキサミンファミリーの界面活性剤は、粒子合成に一般的に使用されている。使用され得る界面活性剤としては、これらに限定されないが、PEG、Tween-80、ゼラチン、デキストラン、プルロニックL-63、PVA、PAA、メチルセルロース、レシチン、DMAB、及びPEMAが挙げられる。追加的に、生分解性及び生体適合性界面活性剤は、ビタミンE TPGS(D-α-トコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸塩)、ポリアミノ酸(例えば、リジン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、セリン、スレオニン、チロシン、及びシステインのポリマー、又はそれらのエナンチオマー)、及び硫酸塩ポリマーを含むが、これらに限定されない。特定の実施形態では、2つの界面活性剤が使用される。例えば、粒子が二重エマルジョン法によって産生される場合、2つの界面活性剤は、第1のエマルジョンのための疎水性界面活性剤、及び第2のエマルジョンのための疎水性界面活性剤を含むことができる。
【0061】
特定の実施形態では、ポリペプチド抗原は、単一エマルジョンプロセスによって粒子中に封入される。更なる実施形態では、ポリペプチド抗原は、より疎水性である。時には、二重エマルジョンプロセスは、親水性活性成分の漏出及び低い捕捉効率をもたらし得る大きな粒子の形成をもたらす。合体及びオストヴァルト熟成は、二重エマルジョン液滴を不安定化し得る2つのメカニズムであり、親水性活性成分の有機相を通した拡散は、低レベルの捕捉活性成分の原因となる主なメカニズムである。いくつかの実施形態では、ナノ粒子サイズを低減することが有益であり得る。これを達成するための1つの戦略は、第2の強力なせん断速度を適用することである。漏出効果は、高ポリマー濃度及び高ポリマー分子量を使用することによって低減することができ、内部水相の粘度の増加及び界面活性剤分子量の増加を伴う。特定の実施形態では、抗原を封入する粒子は、ナノ沈殿、共沈殿、不活性ガス縮合、スパッタリング、マイクロエマルジョン、ゾル-ゲル法、レイヤー-バイ-レイヤー技法、又はイオンゲル化法によって製造される。ナノ粒子を製造するためのいくつかの方法は、文献に記載されており、参照により本明細書に組み込まれる(Sanchez,Mejia,and Orozco 2020、Zielinska et al.2020)。
【0062】
抗原
抗原は、分子の個別部分、例えば、ポリペプチド又はペプチド配列、ポリペプチド又はペプチドの3D構造形成、宿主免疫細胞によって認識され得る多糖又はポリヌクレオチドを指す。抗原特異的とは、対象の宿主細胞が、エピトープ又はミモトープと同様に、抗原単独に対する、又は抗原に非常に類似した分子に対する免疫応答を認識し、生成する能力を指す。
【0063】
「アナジー」、「寛容」、又は「抗原特異的寛容」は、T細胞受容体媒介性刺激に対するT細胞の非感受性を指す。そのような非感受性は、一般に、抗原特異的であり、抗原性ペプチドへの曝露が停止した後に持続する。例えば、T細胞におけるアナジーは、サイトカイン産生、例えば、IL-2の欠如を特徴とする。T細胞アナジーは、T細胞が抗原に曝露され、第2のシグナル(共刺激シグナル)の不在下で第1のシグナル(T細胞受容体又はCD-3媒介性シグナル)を受けるときに発生する。これらの条件下では、細胞の同じ抗原への再曝露は(共刺激分子の存在下で再曝露が発生する場合でも)、サイトカイン産生の失敗、及びその後の増殖の失敗をもたらす。よって、サイトカイン産生の失敗は、増殖を防止する。しかしながら、アナジー性T細胞は、サイトカイン(例えば、IL-2)で培養される場合に増殖することができる。
【0064】
本明細書に記載される寛容化療法は、抗原特異的であることが企図される。例えば、寛容化療法として投与されるTIMPは、当該寛容化療法、及び治療される関連疾患又は状態に関連する1つ以上の抗原を封入する。寛容化療法に使用されるTIMPは、1つ以上のピーナッツ抗原を含むことが企図される。1つ以上のピーナッツ抗原は、ピーナッツタンパク質抽出物に由来するか、又は既知のピーナッツタンパク質に由来するペプチドであり得る。
【0065】
15を超えるピーナッツアレルゲン、Ara h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、Ara h8、Ara h9、Ara h10、Ara h11、Ara h12、Ara h13、Ara h14、Ara h15、Ara h16、Ara h17、及びAra h18を含む、Ara h1~Ara h18が、WHO/IUIS Allergen Nomenclature Sub-Committee(www.allergen.org)によって正式に認識される。ピーナッツアレルゲンは、Ara h1、h2、h3、h5、h6、及びh8に基づくそれらのアーキテクチャー(例えば、トリマー、モノマー、クピン、アルブミン、プロラミン、プロフィリン、オレオシン、ディフェンシン、ビンシリン、及び非特異的脂質輸送タンパク質(nsLTP))に基づいて異なる群に分類することができ、これらの群の各々は、異なる程度のアレルゲン効力を有する(Ozias-Akins et al.,Allergy 74:888-898,2019)。既知のピーナッツアレルゲンには、Arachis hypogaeaAra h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、Ara h8、及びAra h18に由来するものが含まれる。例えば、Ara h1ポリペプチド配列(配列番号1)を示すUNIPROTデータベース番号E5G076、Ara h2ポリペプチド(配列番号2)についてのUNIPROTデータベース番号A0A445BYI5、Ara h3ポリペプチド(配列番号3)についてのUNIPROTデータベース番号E5G077(それぞれ、Ara h3イソアレルゲン1及び2(以前のAra h4)についてのUNIPROTデータベース番号O82580(配列番号4)及びQ9SQH7(配列番号5)も参照されたい)、Ara h5ポリペプチド(配列番号6)についてのUNIPROTデータベース番号L7QH52、Ara h6ポリペプチド(配列番号7)についてのUNIPROTデータベース番号A5Z1R0、Ara h7ポリペプチド(配列番号8)についてのUNIPROTデータベース番号B4XID4、Ara h8ポリペプチド配列(配列番号9)についてのUNIPROTデータベース番号Q6VT83、Ara h9、イソアレルゲン1及び2、それぞれ、UNIPROTデータベース番号B6CEX8及びB6CG41、(配列番号10及び11)、Ara h10、イソアレルゲン1及び2、それぞれ、UNIPROTデータベース番号Q647G5及びQ647G4、(配列番号12及び13)、Ara h11、イソアレルゲン1及び2、それぞれ、UNIPROTデータベース番号Q45W87及びQ45W86、(配列番号14及び15)、Ara h12 UNIPROTデータベース番号B3EWP3(配列番号16)、Ara h13、イソアレルゲン1及び2、それぞれ、UNIPROTデータベース番号B3EWP4及びC0HJZ1、(配列番号17及び18)、Ara h14、イソアレルゲン1、2、及び3、それぞれ、UNIPROTデータベース番号Q9AXI1、Q9AXI0、及びQ6J1J8、(配列番号19~21)、Ara h15、UNIPROTデータベース番号Q647G3(配列番号22)、Ara h16、UNIPROTデータベース番号A0A509ZX51(配列番号23)、Ara h17、UNIPROT Aデータベース番号0A510A9S3(配列番号24)、並びにAra h18、UNIPROTデータベース番号A0A444XS96(配列番号25)を参照されたい。
【0066】
様々な実施形態では、アレルギー性ピーナッツタンパク質は、Ara h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、Ara h8、Ara h9、Ara h10、Ara h11、Ara h12、Ara h13、Ara h14、Ara h15、Ara h16、Ara h17、及びAra h18の1つ以上を含む。様々な実施形態では、ピーナッツタンパク質に由来するペプチドは、Ara h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、Ara h8、Ara h9、Ara h10、Ara h11、Ara h12、Ara h13、Ara h14、Ara h15、Ara h16、Ara h17、及びAra h18タンパク質の1つ以上からのアレルギー性エピトープを含む。
【0067】
特定の実施形態では、1つ、2つ、3つ、又はより多数の抗原又は抗原性ペプチドがTIMPにおいて使用される。特定の実施形態では、1つ以上のピーナッツ抗原は、粒子の内面への共有結合によってTIMPに封入される(例えば、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2019/0282707号を参照されたい)。特定の実施形態では、例えば、Ara h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、及び/又はAra h8由来の、2つ以上のピーナッツタンパク質の配列は、融合タンパク質において結合しており、本明細書に記載されるTIMP内に封入されることが企図される。特定の実施形態では、例えば、Ara h1、Ara h2、Ara h3、Ara h5、Ara h6、Ara h7、Ara h8、Ara h9、Ara h10、Ara h11、Ara h12、Ara h13、Ara h14、Ara h15、Ara h16、Ara h17、及びAra h18由来の、2つ以上のピーナッツタンパク質の配列は、融合タンパク質において結合しており、本明細書に記載されるTIMP内に封入されることが企図される。結合したエピトープを有するTIMPを作製するための方法は、参照により本明細書に組み込まれる、米国特許公開第2019/0365656号に記載される。
使用方法
【0068】
本明細書では、対象におけるピーナッツアレルギーを治療する方法であって、対象にTIMP-PPEを投与することを含み、TIMP-PPEが、0.1~12mg/kgの用量で投与される、方法が提供される。また、本明細書では、PAに罹患している対象におけるピーナッツ抗原に対するアレルギー性免疫応答を低減する方法であって、対象にTIMP-PPEを投与することを含み、TIMP-PPEが、0.1~12mg/kgの用量で投与される、方法が提供される。
【0069】
TIMP-PPEは、約0.5~10mg/kg、約1~8mg/kg、約1.5~10mg/kg、約2~12mg/kg、約2~10mg/kg、約3~10mg/kg、約4~10mg/kg、約4~12mg/kg、又は約5~12mg/kgの用量で投与されることも企図される。任意に、TIMP-PPEは、約0.1mg/kg、0.25、0.5mg/kg、1.0mg/kg、2.0mg/kg、4.0mg/kg、6mg/kg、8.0mg/kg、10mg/kg、又は12mg/kgの用量で投与される。代替え的には、TIMP-PPEは、約10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、325mg、350mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、600mg、625mg、650mg、675mg、700mg、725mg、750mg、775mg、又は800mgの用量で投与される。別の実施形態では、TIMP-PPEは、約0.05mg/mL~約50mg/mL、任意に約0.1mg/mL、0.5mg/mL、1mg/mL、2mg/mL、3mg/mL、4mg/mL、5mg/mL、6mg/mL、7mg/mL、8mg/mL、9mg/mL、10mg/mL、11mg/mL、12.5mg/mL、15mg/mL、17.5mg/mL、20mg/mL、25mg/mL、30mg/mL、40mg/mL、又は50mg/mLの濃度で投与される。
【0070】
TIMP-PPEは、単回用量又は複数回用量で投与されることが企図される。様々な実施形態では、TIMP-PPEは、1週間に1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、4週間毎に1回、2ヶ月毎に1回、3ヶ月毎に1回、6ヶ月毎に1回、又は1年当たり1回投与される。特定の実施形態では、TIMP-PPEは、1週間間隔の2回用量で投与される。
【0071】
様々な実施形態では、TIMP-PPEは、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、又は経口投与される。TIMP-PPEが静脈内に与えられる場合、約1、2、3、4、5、6、7、又は8時間持続する静脈内注入を介し得ることが企図される。
【0072】
TIMP-PPEは、単独で又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて投与されることが更に企図される。例示的な追加の治療剤としては、これらに限定されないが、IgEの阻害剤、好塩基球活性化の阻害剤、マスト細胞活性化の阻害剤、抗ヒスタミン、又は小分子若しくは生物学的治療剤が挙げられる。
【0073】
様々な実施形態では、生物学的製剤は、抗体である。様々な実施形態では、抗体は、抗IgE、抗IL-4Rα、抗IL-13、又は抗IL-33抗体である。様々な実施形態では、抗IgE抗体は、オマリズマブ(XOLAIR(登録商標))である。例示的な抗-IL IL-4Rα抗体としては、デュピルマブ(DUPIXENT(登録商標))が挙げられ、抗IL-33抗体としては、エトキヌマブが挙げられる。
【0074】
様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、第一世代抗ヒスタミンである。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、第二世代抗ヒスタミンである。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、ブロムフェニラミン、マレイン酸カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、トリプロリジン、アゼラスチン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、レボセトリジン、ロラタジン、及びオロパタジンからなる群から選択される。様々な実施形態では、追加の治療剤は、ステロイドである。様々な実施形態では、ステロイドは、ベクロメタゾン、シクレソニド、フロ酸フルチカゾン、モメタゾン、ブデノシド、フルチカゾン、トリアムシノロン、及びロテプレドノールからなる群から選択される。様々な実施形態では、追加の治療剤は、コルチコステロイドである。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、及びヒドロコルチゾンからなる群から選択される。
【0075】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、非ステロイド抗炎症薬(NSAID)である。様々な実施形態では、NSAIDは、非選択的NSAIDである。様々な実施形態では、NSAIDは、選択的NSAIDである。様々な実施形態では、NSAIDは、COX-2選択的NSAIDである。様々な実施形態では、NSAIDは、COX-1選択的NSAIDである。様々な実施形態では、NSAIDは、プロスタグランジンシンターゼ阻害剤である。様々な実施形態では、NSAIDは、ジクロフェナク、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、エトドラック、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、ケトロラック、ケトロラックトロメタミン、ケトプロフェン、トルメチン、トルメチンナトリウム、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、インドメタシンナトリウム、スリンダク、フェルビナク、ピロキシカム、メフェナム酸、メクロフェナメートナトリウム、メロキシカム、ナブメトン、オキサプロジン、ピロキシカム、セレコキシブ、エトドラック、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、ロフェコキシブ、及びバルデコキシブからなる群から選択される。
【0076】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、ロイコトリエン修飾剤である。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、抗ロイコトリエンである。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、ロイコトリエン受容体アンタゴニストである。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、ロイコトリエン合成阻害剤である。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、モンテルカスト、ジレウトン、及びザフィルルカストからなる群から選択される。
【0077】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、TIMP-PPEの投与前、その間、又はその後に投与される。
【0078】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、静脈内、皮下、筋肉内、腹腔内、鼻腔内、吸入を介して、又は経口投与される。
【0079】
本開示は、対象におけるピーナッツアレルギーを治療する方法であって、対象に抗IgE抗体と組み合わせてTIMP-PPEを投与することを含み、TIMP-PPEが、約0.1mg/kg~12mg/kgの用量で投与され、抗IgE抗体が、約10mg~約500mgの用量で投与される、方法を提供する。様々な実施形態では、抗IgE抗体は、オマリズマブ(XOLAIR(登録商標))、キリズマブ、又はリゲリズマブである。
【0080】
様々な実施形態では、TIMP-PPEと組み合わせて投与される抗IgE抗体は、約10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、又は500mgの用量で投与される。抗IgE抗体の用量レベルは、30~100IU/mL、100~200IU/mL、200~300IU/mL、300~400IU/mL、400~500IU/mL、500~600IU/mL、600~700IU/mL、700~800IU/mL、800~900IU/mL、900~1000IU/mL、1000~1100IU/mL、1100~1200IU/mL、1200~1300IU/mL、1300~1400IU/mL、又は1400~1500IU/mLであり得る、血清IgEレベルに基づいて決定される。代替え的には、抗IgE抗体の用量レベルは、対象の体重に基づいて決定される。様々な実施形態では、対象の体重は、30~40kg、40~50kg、50~60kg、60~70kg、70~80kg、80~90kg、90~125kg、又は125~150kgである。
【0081】
様々な実施形態では、抗IgE抗体は、単回用量又は複数回用量で投与される。様々な実施形態では、抗IgE抗体は、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回投与される。様々な実施形態では、抗IgE抗体は、TIMP-PPEの投与前に、それと同時に、又はそれに続いて/その後に投与される。様々な実施形態では、抗IgE抗体は、TIMP-PPEの投与前1週間、2週間、3週間、又は4週間にわたって投与される。様々な実施形態では、抗IgE抗体は、TIMP-PPEの投与後1週間、2週間、3週間、又は4週間にわたって投与される。
【0082】
2つの治療剤の併用又は同時投与は、薬剤がそれらの治療効果を発揮している期間に重複がある限り、薬剤が同時に又は同じ経路によって投与されることを必要としない。同時又は連続投与が企図され、異なる日又は週の投与も同様である。治療剤は、別個の製剤で投与され、同時に又は併用して投与され、同時に互いに30分以内に与えられる薬剤を指すことが更に企図される。事前投与は、TIMP-PPEでの治療の1週間前から、TIMP-PPEの投与の30分前までの範囲内での治療剤の投与を指す。後続投与は、TIMP-PPE治療の30分後からTIMP-PPE投与の1週間後までの投与を記載することが意図される。
【0083】
本開示は、ピーナッツアレルギーを治療するための方法であって、対象に、抗IgE抗体と組み合わせてTIMP-PPEを投与することを含み、対象が、TIMP-PPEの投与前に、2週間にわたって週1回又は4週間にわたって週1回、抗IgE抗体を投与され、TIMP-PPEが、1週間間隔の2回用量で、0.1mg/kg~12mg/kgの用量レベルで投与され、抗IgE抗体が、約50mg~500mgの用量レベルで投与される、方法を提供する。
【0084】
対象におけるピーナッツアレルギーを治療する方法であって、対象に抗IL-4Rα抗体と組み合わせてTIMP-PPEを投与することを含み、TIMP-PPEが、約0.1mg/kg~12mg/kgの用量で投与され、抗IL-4Rα抗体が、約10mg~約500mgの用量で投与される、方法も提供される。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、デュピルマブ(DUPIXENT(登録商標))である。
【0085】
様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、約10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、525mg、550mg、575mg、又は600mgの用量で投与される。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体の用量レベルは、30~100IU/mL、100~200IU/mL、200~300IU/mL、300~400IU/mL、400~500IU/mL、500~600IU/mL、600~700IU/mL、700~800IU/mL、800~900IU/mL、900~1000IU/mL、1000~1100IU/mL、1100~1200IU/mL、1200~1300IU/mL、1300~1400IU/mL、又は1400~1500IU/mLであり得る、血清IgEレベルに基づいて決定される。代替え的には、抗IL-4Rα抗体用量レベルは、対象の体重に基づいて決定される。様々な実施形態では、対象の体重は、30~40kg、40~50kg、50~60kg、60~70kg、70~80kg、80~90kg、90~125kg、又は125~150kgである。
【0086】
様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、単回用量又は複数回用量で投与される。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回投与される。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、TIMP-PPEの投与前に、それと同時に、又はその後に投与される。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、TIMP-PPEの投与前1週間、2週間、3週間、又は4週間にわたって投与される。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、TIMP-PPEの投与後1週間、2週間、3週間、又は4週間にわたって投与される。様々な実施形態では、抗IL-4Rα抗体は、2回の用量にわたって400mg~600mgの初期用量レベル、続いて後続用量にわたって200mg~300mgの維持用量レベルで投与される。
【0087】
様々な実施形態では、TIMP-PPEと組み合わせて投与される抗ヒスタミンは、約0.05mg~2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、約0.05mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、4mg、5mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、1000mg、1500mg、又は2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、単回用量又は複数回用量で投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、1日1回、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、1日2回、3回、4回、5回、又は6回投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、TIMP-PPEの投与前に、それと同時に、又はその後に投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、TIMP-PPEの投与前1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、TIMP-PPEの投与後1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、TIMP-PPEの投与の5、10、15、30、45、又は60分前に投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24時間前に投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、第一世代抗ヒスタミン又は第二世代抗ヒスタミンである。様々な実施形態では、抗ヒスタミンは、ブロムフェニラミン、マレイン酸カルビノキサミン、クロルフェニラミン、クレマスチン、ジフェンヒドラミン、ヒドロキシジン、トリプロリジン、アゼラスチン、セチリジン、デスロラタジン、フェキソフェナジン、レボセトリジン、ドキシラミン、エバスチン、エンブラミン、エピネフリン、フェキソフェナジン、ロラタジン、及びオロパタジンからなる群から選択される。
【0088】
様々な実施形態では、TIMP-PPEと組み合わせて投与されるステロイドは、約0.05mg~2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、約0.05mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、4mg、5mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、1000mg、1500mg、又は2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、単回用量又は複数回用量で投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、1日1回、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、1日2回、3回、4回、5回、又は6回投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、TIMP-PPEの投与前に、それと同時に、又はその後に投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、TIMP-PPEの投与前1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、TIMP-PPEの投与後1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、TIMP-PPEの投与の5、10、15、30、45、又は60分前に投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24時間前に投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。様々な実施形態では、ステロイドは、ベクロメタゾン、シクレソニド、フロ酸フルチカゾン、モメタゾン、ブデノシド、フルチカゾン、トリアムシノロン、及びロテプレドノールからなる群から選択される。
【0089】
様々な実施形態では、追加の治療剤は、コルチコステロイドである。様々な実施形態では、コルチコステロイドと組み合わせて投与されるTIMP-PPEは、約0.05mg~2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、約0.05mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、4mg、5mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、1000mg、1500mg、又は2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、単回用量又は複数回用量で投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、1日1回、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、1日2回、3回、4回、5回、又は6回投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、TIMP-PPEの投与前に、それと同時に、又はその後に投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、TIMP-PPEの投与前1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、TIMP-PPEの投与後1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、TIMP-PPEの投与の5、10、15、30、45、又は60分前に投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、又は24時間前に投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。様々な実施形態では、コルチコステロイドは、コルチゾン、プレドニゾン、プレドニゾロン、メチルプレドニゾロン、デキサメタゾン、ベタメタゾン、及びヒドロコルチゾンからなる群から選択される。
【0090】
様々な実施形態では、TIMP-PPEと組み合わせて投与されるNSAIDは、約0.05mg~2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、約0.05mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、4mg、5mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、1000mg、1500mg、又は2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、単回用量又は複数回用量で投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、1日1回、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、1日2回、3回、4回、5回、又は6回投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、TIMP-PPEの投与前に、それと同時に、又はその後に投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、TIMP-PPEの投与前1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、TIMP-PPEの投与後1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、TIMP-PPEの投与の5、10、15、30、45、又は60分前に投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、36、48、72、又は96時間前に投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。様々な実施形態では、NSAIDは、非選択的NSAID、COX-2選択的NSAID、又はCOX-1選択的NSAIDである。様々な実施形態では、NSAIDは、プロスタグランジンシンターゼ阻害剤である。様々な実施形態では、NSAIDは、ジクロフェナク、ジクロフェナクカリウム、ジクロフェナクナトリウム、ジフルニサル、エトドラック、フルルビプロフェン、フェノプロフェン、フェノプロフェンカルシウム、ケトロラック、ケトロラックトロメタミン、ケトプロフェン、トルメチン、トルメチンナトリウム、アスピリン、イブプロフェン、ナプロキセン、インドメタシン、インドメタシンナトリウム、スリンダク、フェルビナク、ピロキシカム、メフェナム酸、メクロフェナメートナトリウム、メロキシカム、ナブメトン、オキサプロジン、ピロキシカム、セレコキシブ、エトドラック、エトリコキシブ、ルミラコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブからなる群から選択される。
【0091】
様々な実施形態では、TIMP-PPEと組み合わせて投与されるロイコトリエン修飾剤は、約0.05mg~2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、約0.05mg、0.1mg、0.5mg、1mg、2mg、4mg、5mg、10mg、25mg、50mg、75mg、100mg、125mg、150mg、175mg、200mg、225mg、250mg、275mg、300mg、375mg、400mg、425mg、450mg、475mg、500mg、1000mg、1500mg、又は2000mgの用量で投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、単回用量又は複数回用量で投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、1日1回、週1回、2週間毎に1回、3週間毎に1回、又は4週間毎に1回投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、1日2回、3回、4回、5回、又は6回投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、TIMP-PPEの投与前に、それと同時に、又はその後に投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、TIMP-PPEの投与前1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、TIMP-PPEの投与後1週間、2週間、3週間、4週間、1ヶ月、2ヶ月、3ヶ月、4ヶ月、5ヶ月、6ヶ月、7ヶ月、8ヶ月、9ヶ月、10ヶ月、11ヶ月、又は12ヶ月にわたって投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、TIMP-PPEの投与の5、10、15、30、45、又は60分前に投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、36、48、72、又は96時間前に投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、TIMP-PPEの投与の1、2、3、4、5、6、又は7日前に投与される。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、抗ロイコトリエン、ロイコトリエン受容体アンタゴニスト、又はロイコトリエン合成阻害剤である。様々な実施形態では、ロイコトリエン修飾剤は、モンテルカスト、ジレウトン、及びザフィルルカストからなる群から選択される。
【0092】
TIMP-PPEを、単独で又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することは、ピーナッツアレルギーの1つ以上の症状を緩和することが提供される。ピーナッツアレルギーの症状は、皮膚反応、蕁麻疹、皮膚発赤、皮膚腫脹、かゆみ、喉の絞扼感、呼吸困難、息切れ、及びアナフィラキシーを含む。
【0093】
TIMP-PPEを、単独で又は1つ以上の追加の治療剤と組み合わせて、それを必要とする対象に投与することは、ピーナッツタンパク質に対する、又はピーナッツタンパク質への曝露後の、アレルギー性免疫応答の持続時間及び重症度を低減することも企図される。本明細書において企図されるアレルギー性免疫応答は、Th2 T細胞応答、B細胞活性化、好塩基球活性化、好酸球活性化、マスト細胞活性化、及び/又はIgE誘発を含む。
【0094】
スクリーニング方法
免疫寛容の誘発、及びその維持は、本明細書に記載されるピーナッツ抗原を封入するTIMPからなる抗原特異的寛容化療法で治療されているか、又はその治療を受けようとしているピーナッツアレルギーに罹患している対象において監視されることが企図される。
【0095】
本明細書に記載される寛容化療法を受ける対象からの細胞型、サイトカイン、又は寛容の他の尺度についてのスクリーニングの方法は、当該技術分野で既知である。寛容を評価する方法は、フローサイトメトリー、質量サイトメトリー(CyTOF)、ELISA、ELISPOT、インビボ/エクスビボ細胞刺激アッセイ(細胞増殖アッセイ、好塩基球活性化試験(BAT)、マクロファージ刺激アッセイを含むが、これらに限定されない)、例えば、ImmunoCapアッセイによって、自己抗体を測定すること又はIg血清型を測定することなどの技法を使用して行われる。
【0096】
生体試料からのアッセイすることができるヒト代謝産物のリストは、(Psychogios et al.,2011)、(Wishart et al.,HMDB:the Human Metabolome Database.Nucleic Acids Res.2007 Jan;35(Database issue):D521-6,2007)、及びHuman Metabalome Database(HMDB)を含む文献に見出すことができ、参照により本明細書に組み込まれる。
【0097】
対象の免疫寛容状態、及び免疫シグネチャーの一態様は、生体試料からの1つ以上の細胞表面タンパク質を分析することによって決定される。様々な実施形態では、細胞表面タンパク質は、CD1c、CD2、CD3、CD4、CD5、CD8、CD9、CD10、CD11b、CD11c、CD14、CD15、CD16、CD18、CD19、CD20、CD21、CD22、CD23、CD24、TACI、CD25、CD27、CD28、CD30、CD30L、CD31、CD32、CD32b、CD34、CD33、CD38、CD39、CD40、CD40-L、CD41b、CD42a、CD42b、CD43、CD44、CD45、CD45RA、CD47、CD45RA、CD45RO、CD48、CD52、CD55、CD56、CD58、CD61、CD66b、CD69、CD70、CD72、CD79、CD68、CD84、CD86、CD93、CD94、CD95、CRACC、BLAME、BCMA、CD103、CD107、CD112、CD120a、CD120b、CD123、CD125、CD127、CD134、CD135、CD140a、CD141、CD154、CD155、CD160、CD161、CD163、CD172a、XCR1、CD203c、CD204、CD206、CD207 CD226、CD244、CD267、CD268、CD269、CD355、CD358、CRTH2、NKG2A、NKG2B、NKG2C、NKG2D、NKG2E、NKG2F、NKG2H、KIR2DL1、KIR2DL2、KIR2DL3、KIR2DL5A、KIR2DL5B、KIR3DL1、KIR3DL2、KIR3DL3、KIR3DL4、KIR2DS1、KIR2DS2、KIR2DS3、KIR2DS4、KIR2DS5、DAP12、KIR3DS、NKp44、NKp46、TCR、BCR、インテグリン、FcβεRI、MHC-I、MHC-II、IL-1R、IL-2Rα、IL-2Rβ、IL-2Rγ、IL-3Rα、CSF2RB、IL-4R、IL-5Rα、CSF2RB、IL-6Rα、gp130、IL-7Rα、IL-9R、IL-10R、IL-12Rβ1、IL-12Rβ2、IL-13Rα1、IL-13Rα2、IL-15Rα、IL-21R、IL-23R、IL-27Rα、IL-31Rα、OSMR、CSF-1R、細胞表面IL-15、IL-10Rα、IL-10Rβ、IL-20Rα、IL-20Rβ、IL-22Rα1、IL-22Rα2、IL-22Rβ、IL-28RA、PD-1、PD-1H、BTLA、CTLA-4、PD-L1、PD-L2、2B4、B7-1、B7-2、B7-H1、B7-H4、B7-DC、DR3、LIGHT、LAIR、LTα1β2、LTβR、TIM-1、TIM-3、TIM-4、TIGIT、LAG-3、ICOS、ICOS-L、SLAM、SLAMF2、OX-40、OX-40L、GITR、GITRL、TL1A、HVEM、41-BB、41BB-L、TL-1A、TRAF1、TRAF2、TRAF3、TRAF5、BAFF、BAFF-R、APRIL、TRAIL、RANK、AITR、TRAMP、CCR1、CCR2、CCR3、CCR4、CCR5、CCR6、CCR7、CCR8、CCR9、CCR10、CCR11、CXCR1、CXCR2、CXCR3、CXCR4、CXCR5、CXCR6、CXCR7、CLECL9a、DC-SIGN、IGSF4A、SIGLEC、EGFR、PDGFR、VEGFR、FAP、α-SMA、FAS、FAS-L、FC、ICAM-1、ICAM-2、ICAM-3、ICAM-4、ICAM-5、PECAM-1、MICA、MICB、UL16、ULBP1、ULBP2、ILBP3、ULBP4、ULBP5、ULBP6、MULT1、RAE1 α、β、γ、δ、及びε、H60a、H60b、H60c、GPR15、ST2、並びに/又はそれらの組み合わせを含む。インテグリンは、α1、α2、αIIb、α3、α4、α5、α6、α7、α8、α9、α10、α11、αD、αE、αL、αM、αV、αX、β1、β2、β3、β4、β5、β6、β7、β8、及び/又はそれらの組み合わせを含む。TCRは、α、β、γ、δ、ε、ζ鎖、及び/又はそれらの組み合わせを含む。フローサイトメトリー及びマスサイトメトリー(CyTOF)を含む、細胞表面タンパク質発現をアッセイするためのいくつかの方法が文献に記載されている。
【0098】
特定の実施形態では、対象の寛容状態は、生体試料からの核酸を分析することによって決定される。様々な実施形態では、核酸は、一本鎖DNA、二本鎖DNA、mRNA、rRNA、tRNA、siRNA、miRNA、長い非コードRNA(長いncRNA、lncRNA)、及び非コードRNA(ncRNA)、ミトコンドリアRNAを含むが、これらに限定されない、DNA及び/又はRNAである。様々な実施形態では、対象の免疫寛容状態は、生体試料からの遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。様々な実施形態では、免疫寛容状態は、免疫機能、抗体、異物応答、代謝、アポトーシス、細胞死、壊死、フェロトーシス、オートファジー、細胞移動、エンドサイトーシス、食作用、飲作用、タイトジャンクション調節、細胞接着、分化、及び/又はそれらの組み合わせに関連する遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。様々な実施形態では、免疫寛容状態は、免疫抑制に関連する遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。様々な実施形態では、免疫寛容状態は、免疫活性化に関連する遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。様々な実施形態では、免疫寛容状態は、調節機能に関連する遺伝子発現をアッセイすることによって決定される。様々な実施形態では、核酸分析は、免疫寛容シグネチャーを生成するために使用される。RNAシーケンシング(RNA-seq)、単一細胞RNAシーケンシング(scRNA-seq)、エクソームシーケンシング、及びマイクロアレイベース分析を含む、高スループット遺伝子発現分析のためのいくつかの方法論が文献に記載されている。
【0099】
生体試料は、抗原、アレルゲン、及び1つ以上の活性化剤などの1つ以上の刺激でのインビボ及び/又はエクスビボ刺激後に任意にアッセイされる。アッセイにおいて使用されるT細胞、B細胞、及び免疫グロブリンは、抗原特異的であることが企図される。例示的なT細胞は、エフェクターメモリーT細胞、抗原特異的T細胞、活性化抗原特異的T細胞、Th1細胞、病原性Th2a+細胞、Th17細胞、T濾胞性ヘルパー(TFH)細胞、TH0細胞、又は他の抗原特異的T細胞を含む。B細胞は、エフェクターB細胞、メモリーB細胞、形質細胞、及び調節B(Breg)細胞を含む。特定の実施形態では、T細胞は、表1に記載されるタンパク質の発現に基づいて特定される。
【表1】
【0100】
様々な実施形態では、対象の免疫寛容状態は、第1のTIMP-PPE投与の日の用量前(1日目)、第2の用量の投与後14日、次いで第2の用量後90日毎(例えば、第2の用量後90、180、270、及び360日目)に対象から1つ以上の試料、例えば、全血を取得することによって決定される。次いで、全血を処理して、下流分析のために末梢血単核細胞(PBMC)、好塩基球、好中球、血漿、及び血清を単離することができる。1つ以上の試料から単離された細胞のアッセイを対象から収集され、以下に記載されるような方法を使用して分析される。
【0101】
以下の分析は、TIMP-PPE寛容化療法を受けている対象の免疫状態及び寛容誘発に追跡することが企図される。
【0102】
精製された抗原性ピーナッツタンパク質でエクスビボ刺激されたピーナッツ特異的Th2a+細胞(Th2a+細胞/全ピーナッツ特異的T細胞)の割合は、例えば、フローサイトメトリーによって測定することができる。Th2a+細胞は、CRTH2+/CD161+/CD154+/CD27-として定義される。全ピーナッツ反応性化合物は、CRTH2-/CD161+/CD154+/CD27-として定義される。
【0103】
ピーナッツタンパク質でのエクスビボ刺激後の活性化ピーナッツ特異的T細胞(活性化ピーナッツ特異的T細胞/全ピーナッツ特異的T細胞)の割合は、フローサイトメトリーによって決定される。活性化ピーナッツ特異的T細胞は、CD154+/CD38+として定義される。非活性化ピーナッツ特異的T細胞は、CD154+として定義される。
【0104】
フローサイトメトリーによって決定されるT調節細胞集団(CD4+/CD25+/FoxP3+/Helios+/IL-10+)又は(CD4+CD45RA低CD4+CD137+CD25+CD127低)の頻度。マルチカラーフロー分析を行い、ピーナッツ特異的T調節細胞(ピーナッツ特異的T調節細胞/ピーナッツ特異的CD4+エフェクターメモリー細胞)の割合を提供する。
【0105】
PBMC培養上清中に続く細胞のIL-5対IFN-γの比は、例えば、Luminex 200によって検出されるように、測定される。
【0106】
免疫寛容状態の以下の指標は、対象から収集され、精製された抗原性ピーナッツタンパク質でエクスビボで刺激された1つ以上の血液試料から単離された好塩基球のアッセイから調べることができる:好塩基球活性化試験(BAT)(Santos and Lack 2016 Clin Transl Allergy.6:10)を使用した精製抗原性ピーナッツタンパク質でのエクスビボ刺激後の活性化CD203+/CD63+/-の割合、並びに活性化好塩基球がCD203+/CD63+/-である、好塩基球活性化試験を使用して測定された精製抗原性ピーナッツタンパク質でのエクスビボ刺激後の最大好塩基球活性化の50%での有効濃度(EC50)。最大好塩基球活性化の50%での有効濃度(EC50)を提供するために分析が実施される。
【0107】
免疫寛容状態の以下の指標は、対象から取得された1つ以上の血液試料から単離された血清のアッセイから調べることができる:ImmunoCapアッセイによって測定される場合のピーナッツ特異的IgE対IgGの比。
【0108】
組み合わせて、上記分析の結果を使用して、免疫寛容シグネチャー、及び対象が免疫寛容を維持しているかどうかを決定することができる。そのような分析が免疫寛容の弱化及び/又は喪失を示す場合、TIMP-PPEは、免疫寛容を回復するために対象に再投与され得る。
【0109】
ピーナッツアレルギーの1つ以上の症状を緩和すること、並びに/又はピーナッツタンパク質に対するアレルギー性免疫応答の持続時間及び重症度を低減することにおけるTIMP-PPEの有効性は、対象からの1つ以上の生体試料のアッセイから決定される。生体試料は、全血、末梢血、末梢血単核細胞(PBMC)、血清、血漿、尿、脳脊髄液(CSF)、便、組織生検、及び/又は骨髄生検を含む。様々な実施形態では、生体試料のアッセイは、細胞表面タンパク質、細胞外タンパク質、細胞内タンパク質、核酸、代謝産物、及び/又はそれらの組み合わせのレベル、及び/又は存在若しくは不在を分析することを含む。
【0110】
特定の実施形態では、ピーナッツアレルギーの1つ以上の症状を緩和すること、並びに/又はピーナッツタンパク質に対するアレルギー性免疫応答の持続時間及び重症度を低減することにおけるTIMP-PPEの有効性は、二重盲検プラセボ対照食物チャレンジ(DBPCFC)及び/又は皮膚プリック試験(SPT)によって決定される。DBPCFC及びSPTを実施するための手順は、以前に以前に記載されている(Sampson et al.,J Allergy Clin Immunol.2012;130(6):1260-1274、Heinzerling et al.The skin prick test-European standards.Clin Transl Allergy.2013;3(1):3)。
【0111】
生体試料からのアッセイされる細胞は、免疫細胞、非免疫細胞、及び/又はそれらの組み合わせを含む。免疫細胞は、先天性免疫細胞、適応性免疫細胞、及び/又はそれらの組み合わせを含む。生体試料からのアッセイされる先天性免疫細胞は、抗原提示細胞(APC)である。生体試料からのアッセイされる例示的な先天性免疫細胞は、単球、マクロファージ、好中球、顆粒球、樹状細胞、マスト細胞、好酸球、好塩基球、及び/又はそれらの組み合わせを含む。生体試料からのアッセイされる適応性免疫細胞は、CD4+T細胞、CD8+T細胞、B細胞、NK細胞、NK-T細胞、及び/又はそれらの組み合わせなどの、エフェクター免疫細胞を含む。様々な実施形態では、T細胞は、Th1細胞、Th2a細胞、Treg細胞、及びTr1細胞である。
【0112】
特定の実施形態では、生体試料からのアッセイされる細胞は、上皮細胞、間質細胞、内皮細胞、線維芽細胞、周細胞、脂肪細胞、間葉系幹細胞、造血幹細胞、造血前駆細胞、肝類洞内皮細胞(LSEC)、及び/又はクッパー細胞である。
【0113】
対象の免疫寛容シグネチャーは、対象から取得され、かつインビボ及び/又はエクスビボで刺激された1つ以上の生体試料からのアッセイされた以下のパラメータのうちの1つ以上を使用して生成される:
a.全T細胞集団中のエフェクターT細胞の割合、
b.全T細胞集団中のTreg細胞の割合、
c.全B細胞集団中のエフェクターB細胞の割合、
d.特異的IgG、IgA、IgM、及び/若しくはIgEのレベル、
e.炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、
f.抗炎症性サイトカイン及びケモカインのレベル、
g.炎症性代謝産物のレベル、並びに
h.抗炎症性代謝産物のレベル。
【0114】
上記(a)~(h)において列挙される1、2、3、4、5、6、7、又は8つのパラメータが、免疫寛容の維持を示す場合、免疫寛容シグネチャーは、免疫寛容の維持を示す。様々な実施形態では、(a)~(h)において列挙される少なくとも2/8つのパラメータが、免疫寛容の維持を示す場合、免疫寛容シグネチャーは、免疫寛容の維持を示す。様々な実施形態では、上記(a)~(h)において列挙される1、2、3、4、5、6、7、又は8つのパラメータが、免疫寛容の維持を示す場合、対象は、TIMPでの治療を必要としないことが決定される。様々な実施形態では、上記(a)~(h)において列挙される少なくとも3/8つのパラメータが、免疫寛容の維持を示す場合、対象は、TIMPでの治療を必要としないことが決定される。
【0115】
本明細書に記載される1つ以上のパラメータを使用して生成される対象の免疫寛容シグネチャーは、以下の場合、TIMP-PPEでの治療前又は後に免疫寛容の弱化及び/又は不在を示す:
【0116】
a.全T細胞集団中のエフェクターT細胞の割合が、5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)である、かつ/又は
【0117】
b.全T細胞集団中のTreg細胞の割合が、1~3%である、かつ/又は
【0118】
c.全B細胞集団中のエフェクターB細胞の割合が、5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)である、かつ/又は
【0119】
d.IgG、IgA、IgM、及び/若しくはIgEのレベルが、健康な対象及び/若しくは治療中の対象から取られた1つ以上のベースライン測定値と比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)増加している、かつ/又は
【0120】
e.炎症性サイトカイン/ケモカインのレベルが、健康な対象及び/若しくは治療中の対象から取られた1つ以上のベースライン測定値と比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)増加している、かつ/又は
【0121】
f.抗炎症性サイトカイン及びケモカインのレベルが、健康な対象及び/若しくは治療中の対象から取られた1つ以上のベースライン測定値と比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)減少している、かつ/又は
【0122】
g.炎症性代謝産物のレベルが、健康な対象及び/若しくは治療中の対象から取られた1つ以上のベースライン測定値と比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)増加している、かつ/又は
【0123】
h.抗炎症性代謝産物のレベルが、健康な対象及び/若しくは治療中の対象から取られた1つ以上のベースライン測定値と比較して、約5%~100%(例えば、約5%、約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、約75%、約80%、約85%、約90%、約95%、若しくは約100%、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)、10~95%、15~90%、20~85%、25~75%、30~70%、35~65%、40~60%、45~55%、若しくは50%、又は約2~100倍(例えば、約2、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、若しくは100倍、全ての値及びこれらの値の間の範囲を含む)減少している。
【0124】
用量前1日目時点でのTh2a+細胞の割合は、ピーナッツアレルギー対象において>15%であることが予想されることが仮定される。TIMP-PPEでの治療は、免疫寛容の誘発を示す第2の用量の14日後にTh2a+細胞の割合を<15%に低減することが予想される。後続の時点(例えば、用量後90、180、270、及び360日目)のうちのいずれかでの>15%へのTh2a+細胞の割合の増加は、免疫寛容の弱化を示し、免疫寛容の回復のためのTIMP-PPEの再投与を正当化するであろう。
薬学的製剤
【0125】
本明細書に記載されるTIMP-PPEを活性成分として含有する本開示の薬学的組成物は、投与経路に応じて、薬学的に許容される担体又は添加剤を含有し得る。そのような担体又は添加剤の例としては、水、薬学的に許容される有機溶媒、コラーゲン、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシビニルポリマー、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ポリアクリルナトリウム、アルギン酸ナトリウム、水溶性デキストラン、カルボキシメチルデンプンナトリウム、ペクチン、メチルセルロース、エチルセルロース、キサンタンガム、アラビアガム、カゼイン、ゼラチン、寒天、ジグリセリン、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ワセリン、パラフィン、ステアリルアルコール、ステアリン酸、ヒト血清アルブミン(HSA)、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、薬学的に許容される界面活性剤などが挙げられる。使用される添加剤は、本開示の剤形に応じて、必要に応じて、上記又はそれらの組み合わせから選択されるが、これらに限定されない。
【0126】
薬学的組成物の製剤は、選択される投与経路(例えば、溶液、エマルジョン)に従って変動するであろう。投与される治療剤を含む適切な組成物は、生理学的に許容されるビヒクル又は担体中で調製することができる。溶液又はエマルジョンについて、好適な担体としては、例えば、生理食塩水及び緩衝媒体を含む、水性又はアルコール性/水性溶液、エマルジョン又は懸濁液が挙げられる。非経口ビヒクルは、塩化ナトリウム溶液、リンゲルデキストロース、デキストロース及び塩化ナトリウム、乳酸リンゲル又は固定油を含むことができる。静脈内ビヒクルは、様々な添加剤、保存剤、又は液体、栄養素、若しくは電解質補充剤を含むことができる。
【0127】
様々な水性担体、例えば、無菌リン酸緩衝生理食塩水、静菌水、水、緩衝水、0.4%生理食塩水、0.3%グリシンなどは、軽度化学修飾などに供された、アルブミン、リポタンパク質、グロブリンなどのような、増強された安定性のための他のタンパク質を含み得る。
【0128】
阻害剤の治療用製剤は、所望の純度を有する阻害剤を、凍結乾燥製剤又は水溶液の形態で、任意の生理学的に許容される担体、賦形剤、又は安定剤(Remington’s Pharmaceutical Sciences 16th edition,Osol,A.Ed.(1980))と混合することによって、保存用に調製される。許容される担体、賦形剤、又は安定剤は、使用される投与量及び濃度でレシピエントに対して非毒性であり、リン酸塩、クエン酸塩、及び他の有機酸などの緩衝剤;アスコルビン酸及びメチオニンを含む抗酸化剤;防腐剤(塩化オクタデシルジメチルベンジルアンモニウム;塩化ヘキサメトニウム;塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム;フェノール、ブチル、若しくはベンジルアルコール;メチル若しくはプロピルパラベンなどのアルキルパラベン;カテコール;レゾルシノール;シクロヘキサノール;3-ペンタノール;及びm-クレゾールなど);低分子量(約10残基未満)ポリペプチド;血清アルブミン、ゼラチン、若しくは免疫グロブリンなどのタンパク質;ポリビニルピロリドンなどの親水性ポリマー;グリシン、グルタミン、アスパラギン、ヒスチジン、アルギン、若しくはリジンなどのアミノ酸;単糖類、二糖類、及びグルコース、マンノース、若しくはデキストリンを含む他の炭水化物;EDTAなどのキレート剤;スクロース、マンニトール、トレハロース、若しくはソルビトールなどの糖類;ナトリウムなどの塩形成対イオン;金属錯体(例えば、Zn-タンパク質錯体);並びに/又はTWEEN(商標)、PLURONICS(商標)、若しくはポリエチレングリコール(PEG)などの非イオン性界面活性剤を含む。
【0129】
インビボ投与に使用される製剤は、無菌でなければならない。これは、無菌濾過膜を通した濾過によって容易に達成される。
【0130】
水性懸濁液は、水性懸濁液の製造に好適な賦形剤と混合した活性化合物を含有し得る。そのような賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントガム及びアカシアガムであり、分散剤又は湿潤剤は、天然に存在するホスファチド、例えば、レシチン、又は酸化アルキレンと脂肪酸との縮合産生物、例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、又は酸化エチレンと長鎖脂肪族アルコールとの縮合産生物、例えば、ヘプタデカエチル-エンオキシセタノール、又は酸化エチレンと脂肪酸及びヘキシトールに由来する部分エステルとの縮合産生物、例えば、ソルビトールモノステアリン酸ポリオキシエチレン、又は酸化エチレンと脂肪酸及びヘキシトール無水物に由来する部分エステルとの縮合産生物、例えば、モノステアリン酸ポリエチレンソルビタンであり得る。水性懸濁液はまた、1つ以上の防腐剤、例えば、エチル、又はn-プロピル、p-ヒドロキシ安息香酸塩を含有し得る。
【0131】
本明細書に記載されるTIMP-PPEは、保存のために凍結乾燥させ、使用前に好適な担体中で再構成することができる。
【0132】
経口投与のための固体剤形としては、カプセル剤、錠剤、丸剤、粉末剤、及び顆粒剤が挙げられる。そのような固体剤形では、修飾粒子は、少なくとも1つの不活性な、薬学的に許容される賦形剤又は担体、例えば、クエン酸ナトリウム若しくはリン酸二カルシウム、並びに/又はa)デンプン、ラクトース、スクロース、グルコース、マンニトール、及びケイ酸などの充填剤若しくはエクステンダー、b)例えば、カルボキシメチルセルロース、アルギン酸塩、ゼラチン、ポリビニルピロリジノン、スクロース、及びアカシアなどの結合剤、c)グリセロールなどの保湿剤、d)寒天-寒天、炭酸カルシウム、ジャガイモ若しくはタピオカデンプン、アルギン酸、特定のケイ酸塩、及び炭酸ナトリウムなどの崩壊剤、e)パラフィンなどの溶液遅延剤、f)四級アンモニウム化合物などの吸収促進剤、g)例えば、セチルアルコール及びモノステアリン酸グリセロールなどの湿潤剤、h)カオリン及びベントナイトクレーなどの吸収剤、並びにi)タルク、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、固体ポリエチレングリコール、ラウリル酸ナトリウムなどの潤滑剤、並びにそれらの混合物と混合される。カプセル剤、錠剤、及び丸剤の場合、剤形はまた、緩衝剤を含み得る。
キット
【0133】
追加の態様としては、本開示は、本開示の方法を実施するためのそれらの使用を促進する方法でパッケージされた1つ以上の化合物又は組成物を含むキットを含む。一実施形態では、そのようなキットは、本明細書に記載される化合物又は組成物(例えば、TIMPを単独で、又は第2の薬剤と組み合わせて含む組成物)を含み、密封されたボトル又はベッセルなどの容器にパッケージされ、方法の実施における化合物又は組成物の使用を説明する、容器に貼付されるか又はパッケージに含まれるラベルを有する。好ましくは、化合物又は組成物は、単位剤形でパッケージされる。キットは、特定の投与経路に従って組成物を投与するため、又はスクリーニングアッセイを実施するため、好適なデバイスを更に含み得る。好ましくは、キットは、阻害剤組成物の使用を説明するラベルを含む。
【0134】
本開示の追加の態様及び詳細は、限定的ではなく例示的であることが意図される、以下の例から明らかであろう。
【実施例】
【0135】
実施例1-TIMP-PPEは動物モデルにおける抗原特異的T細胞応答を阻害する
Th2細胞アレルギー関連ピーナッツ特異的T細胞応答を阻害することにおける精製されたピーナッツ抽出物(CNP-201)を封入するTIMPの有効性を、ピーナッツアレルギーの予防マウスモデルにおいて調べた。この試験に使用されたCNP-201粒子は、400~800nmの平均直径及び-32~-50mVのゼータ電位を有した。
【0136】
このモデルでは、マウスを、ピーナッツに対するアレルギー反応を誘発するミョウバンと混合された精製ピーナッツ抽出物でプライミングした。マウスの血清内に存在するピーナッツ特異的IgG1及びIgEのレベルに対するCNP-201粒子の効果、並びに精製ピーナッツ抽出物の存在下での全脾細胞のエクスビボリコール培養によって測定される場合のピーナッツ特異的T細胞サイトカイン放出に対するCNP-201治療の効果を決定した。
【0137】
雌C57BL/6マウス(6~8週齢)に、0日目及び7日目にCNP-201又は無負荷対照粒子(2.5mg/マウス、又は約10mg/kgのHED)で静脈内注射し、その後、それらを14日目及び28日目に精製ピーナッツ抽出物/ミョウバンでプライミングした。ピーナッツ特異的抗体応答は、ピーナッツ特異的ELISAを介して、14日目(ピーナッツ/ミョウバンプライミングの不在下)及び35日目(プライミング後)のIgM、IgG、及びIgE応答の誘発を測定することによって評価した。CNP-201治療は、14日目(ピーナッツ/ミョウバンプライミング前の時点)にピーナッツ特異的抗体応答を誘発しなかった。試験の35日目に、脾細胞を収集し、分泌されたサイトカインIL-4、IL-5、IL-13、IL-10、GM-CSF、IL-17、及びIFN-γのレベルを測定することによって、脾ピーナッツ特異的T細胞応答を評価した。この試験は、CNP-201が薬理学的に活性であり、C57BL/6マウスにおけるピーナッツ特異的T細胞応答を阻害し(
図1)、脾細胞が精製ピーナッツ抽出物の存在下で培養されたときに、CNP201治療されたマウスからの脾T細胞が有意により少ないTh2関連サイトカイン(IL-4、IL-5、及びIL-13)を分泌したことを確認した(
図2)。追加的に、CNP-201治療は、精製されたピーナッツ抽出物の存在下で培養された脾細胞によって分泌されたGM-CSF、IL-17、及びIFN-γのレベルの増加を誘発しなかった。
【0138】
この試験の結果は、CNP-201がともに、投与について安全であり、確立されたピーナッツ特異的アレルギー応答を有するマウスにおけるTh2細胞アレルギー関連ピーナッツ特異的T細胞応答を阻害することを実証する。
【0139】
実施例2--TIMP-PPEは動物モデルにおける進行中アレルギー反応を治療する
Th2細胞アレルギー関連ピーナッツ特異的T細胞応答を阻害することにおける精製されたピーナッツ抽出物(CNP-201)を封入するTIMPの有効性を、ピーナッツアレルギーの治療マウスモデルにおいて調べた。この試験に使用されたCNP-201粒子は、400~800nmの平均直径及び-32~-50mVのゼータ電位を有した。
【0140】
マウスの血清内に存在するピーナッツ特異的IgG1及びIgEのレベルに対するCNP-201粒子の効果、並びに精製ピーナッツ抽出物の存在下での全脾細胞のエクスビボリコール培養によって測定される場合のピーナッツ特異的T細胞サイトカイン放出に対するCNP-201治療の効果を決定した。この試験はまた、CNP-201での治療前に表面IgEのマスト細胞及び好塩基球を枯渇させる抗IgE治療の組み込みを調査した。抗IgEは、マスト細胞及び好塩基球の表面上の高親和性IgE受容体(FcεRI)へのIgEの結合を阻害し、ひいては血液中の遊離IgEのレベルを低減する。
【0141】
雌C57BL/6マウス(6~8週齢)を、0日目及び14日目に精製ピーナッツ抽出物(PPE)/ミョウバンでプライミングし、その後それらを、20日目、24日目、28日目、及び32日目に抗IgE又は対照抗体、並びに21日目及び28日目にCNP-201又は無負荷対照粒子で、表2に詳述される用量レベルで静脈内注射した。
【表2】
【0142】
35日目に、マウスを200μgのPPEで注射し、60分の期間にわたってアナフィラキシーの徴候について追跡した。抗IgEでの共治療は、対照抗体での共治療と比較してアナフィラキシーの徴候を有意に減少させた(
図3)。追加的に、抗IgEでの共治療は、チャレンジ後60分で有意に減少した血液中のMCPT-1をもたらした。CNP-201治療は、無負荷CNPでの治療と比較してアナフィラキシーの徴候を有意に改変しなかった。
【0143】
ピーナッツ特異的抗体応答は、ピーナッツ特異的ELISAを介して35日目(CNP-201治療後)のIgM、IgG、及びIgE応答の誘発を測定することによって評価した。CNP-201治療は、無負荷対照治療と比較して35日目のピーナッツ特異的IgG1及びIgEのレベルを減少させた(
図4)。CNP-201の最高用量(1mg)は、ピーナッツ特異的IgMのわずかな減少をもたらした。しかしながら、これは、ピーナッツ特異的CD4+T細胞によって分泌されたIL-5のCD4+ T細胞誘発IgG1及びIgEクラススイッチングのCNP-201阻害に起因する可能性が高い。
【0144】
また、試験の35日目に、脾細胞を収集し、分泌されたサイトカインIL-4、IL-5、IL-13、IL-10、GM-CSF、IL-17、及びIFN-γのレベルを測定することによって、脾細胞集団及び脾ピーナッツ特異的T細胞応答を評価した。CNP-201は、用量依存的様態で、全CD4+T細胞及びB細胞のパーセンテージを有意に減少させ、脾臓中のTreg細胞のパーセンテージを増加させた(
図5)。対照抗体を受けたマウスにおけるCNP-201での治療は、用量依存的様態で、インビトロで分泌されたIFN-γ(
図5A)及びIL-13(
図5E)のレベルの有意な減少をもたらした。更に、それぞれ、分泌されたIL-5(
図5C)及びIL-4(
図5B)において、変化がなかったか、又は減少傾向があったかのいずれかであった。対照的に、分泌されたIL-10(
図5D)のレベルは、用量依存的様態で増加した。
【0145】
この試験は、CNP-201が、用量依存的様態で、確立されたピーナッツ特異的アレルギー応答を有するマウスにおけるTh2細胞アレルギー関連ピーナッツ特異的T細胞応答を阻害すること、抗IgEでの共治療が、CNP201の機能性を改変しなかったこと、及び抗IgEの使用が、CNP-201を投与されるときでも、PPEでのインビボチャレンジ時にアナフィラキシーの徴候を減少させたことを実証する。
実施例3-ピーナッツアレルギーにおけるTIMP-PPEの第I/II相試験
【0146】
本例は、ピーナッツアレルギーを有する16~55歳の対象におけるTIMP-PPE(CNP-201)の安全性、忍容性、薬力学、及び有効性を評価するための第1b/2a相無作為化二重盲検プラセボ対照2パート試験を説明する。
【0147】
CNP-201は、精製されたピーナッツ抽出物を封入するPLGAナノ粒子からなる。CNP-201粒子は、400~800nmの平均直径及び-32mV~-50mVの負のゼータ電位を有した。CNP-201粒子は、凍結乾燥された製剤として供給される。CNP-201粒子は、注射用無菌水中で再構成され、投与前に無菌生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)中で希釈される。
【0148】
試験は、パートA及びパートBを含む。
【0149】
パートA:パートAは、上昇用量レベルのCNP-201の忍容性の安全性の無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。パートAは、複数の上昇用量レベルでCNP-201又はプラセボを受ける3つのコホートを登録する。パートBは、パートAから決定されたCNP-201の安全かつ耐性用量レベルを使用した無作為化二重盲検プラセボ対照反復用量試験として続く。
【0150】
初期スクリーニング評価後に全ての包含基準を満たし、除外基準を満たさない対象は、皮膚プリック試験(SPT)、続いてベースライン二重盲検プラセボ対照食物チャレンジ(DBPCFC)(ピーナッツ及びプラセボ(オート麦)チャレンジ、2つの別々の日に投与される)を受けて、ピーナッツに対するアレルギーを確認する。SPT及びDBPCFCは、現場に存在する臨床緊急事態を管理するために訓練を受け、緊急医薬品及び装置にすぐにアクセスでき、必要に応じて緊急治療の迅速な送達のために病院救急部門に近接している試験医師又はスタッフで実施される。DBPCFCの両日を完了した後に全ての包含基準を満たし続け、除外基準を満たさない対象は、試験に登録される資格がある。
【0151】
DBPCFC後に全てのI/E基準を満たし続ける全ての対象は、オマリズマブ(XOLAIR(登録商標))の皮下注射を受ける。オマリズマブ(XOLAIR(登録商標))の用量は、プロトコルで指定された製品ラベルに従い、初期スクリーニング時の対象の体重及び血清IgEによって決定される。対象は、製品ラベルに従って2週間毎又は4週間毎のいずれかで投与される。
【0152】
包含/除外基準を満たし続ける対象は、1日目に2:1比(パートA)又は1:1比(パートB)で無作為化され、CNP-201又はプラセボ(0.9%塩化ナトリウムUSP)のいずれかを静脈内(IV)注入によって受ける。対象は、1日目及び8日目にCNP-201又はプラセボを投与される。
【0153】
この試験において登録の資格のあるピーナッツアレルギーを有する対象は、以下の包含基準に基づいて定義される:
1.16歳~55歳の、男性及び妊娠していない女性。
2.スクリーニング時に≧18及び≦32のボディマス指数(BMI)並びに>30kg及び≦150kgの体重を有する対象。
3.スクリーニング時に≧30IU/mL及び≦1500IU/mLの血清IgEを有する対象。
4.医師に診断されたピーナッツアレルギー又はピーナッツアレルギーの文書化された既往歴を有する対象。
5.低酸素症なしでの軽度喘鳴又は呼吸困難を含む、ピーナッツに対する非重度アナフィラキシー(グレード≦3)の文書化された既往歴を有する対象。
6.スクリーニング時にImmunoCAPによって測定される場合>5kU/Lのピーナッツ特異的IgEを有する対象。
7.スクリーニング前の少なくとも14日にわたって、任意のピーナッツ食物チャレンジを含む、ピーナッツ曝露の疑いのないピーナッツフリー食であり、試験DBPCFCを除く試験中にピーナッツ曝露への制限を継続することに同意することが自己報告される対象。
8.スクリーニング時に陰性対照(50%グリセリン)と比較して>3mmの膨疹径の変化を有するピーナッツに対する陽性皮膚プリック試験(SPT)を有する対象。
9.施設内審査委員会(IRB)に承認された書面によるインフォームドコンセントを提供する意思及び能力がある対象。
10.≧10mg及び≦300mgの誘発用量のピーナッツタンパク質でスクリーニング時に陽性のピーナッツDBPCFC(ベースラインDBPCFC)を有する対象。
11.スクリーニング時にPBMCのエクスビボ刺激後≧15%のピーナッツ特異的Th2a+ T細胞(ピーナッツ特異的Th2a+細胞/全ピーナッツ特異的T細胞)を有する対象。
【0154】
ベースラインDBPCFC(ピーナッツ及びプラセボチャレンジ、2つの別々の日に投与される)の両セットを含む両方のスクリーニング訪問を完了した後に、全ての包含基準を満たし、除外基準を満たさない対象は、3つの用量漸増コホートのうちの1つに登録される。対象は、2:1比で無作為化されて、CNP-201又はプラセボ(0.9%塩化ナトリウム注射)のいずれかを200mLの静脈内注入として1日目及び8日目に受ける。
【0155】
3つのコホートについての用量レベルは、以下の通りである:コホート1:250mg、コホート2:450mg、コホート3:650mg。用量コホート内の対象の投与は、少なくとも48時間分離される。
【0156】
初期スクリーニング評価後に全ての包含基準を満たし、除外基準を満たさない対象は、皮膚プリック試験(SPT)、続いてベースライン二重盲検プラセボ対照食物チャレンジ(DBPCFC)(ピーナッツ及びプラセボ(オート麦)チャレンジ、2つの別々の日に投与される)を受けて、ピーナッツに対するアレルギーを確認する。反応が発生し、処理される場合、ピーナッツ及びプラセボチャレンジは、少なくとも48時間間隔で実施される。この試験についての手順のスケジュールは、
図6A及び6Bに示される。
【0157】
DBPCFC及び2時間の観察期間の第2のセットの完了後、全ての包含基準を満たし続け、除外基準を満たさない対象は、オマリズマブの第1の皮下注射を受ける。オマリズマブ(XOLAIR(登録商標))の用量は、プロトコルで指定された製品ラベルに従い、表3に記載されるようなスクリーニング時の対象の体重及び血清IgEによって決定される。対象は、製品ラベルに従って2週間毎(-29、-15、及び-1日目)又は4週間毎(-29及び-1日目)のいずれかで投与される。
【表3】
【0158】
オマリズマブに対する重度過敏反応を経験する任意の対象は、適切な治療を提供され、試験から中止され、次いで同じ用量レベルでの追加の対象で置き換えられる。
【0159】
対象は、適格性の最終評価及び実験室試料の収集のために、1日目に診療所に戻る。全ての包含基準を満たし続け、除外基準を満たさない対象は、その時点で開いている用量コホートに無作為化される。対象は、1日目に及び8日目にCNP-201又はプラセボを投与される。CNP-201又はプラセボは、段階的な注入速度を使用して約3~4時間かけて静脈内注入によって投与される。対象は、注入後4時間にわたって注入反応(IR)を含む急性有害事象(AE)について診療所で医学的観察を受ける。抗ヒスタミン/エピネフリンは、アレルギー性反応が発生した場合に、それを治療するためにすぐに利用可能である。
【0160】
対象は、安全性検査値の収集、医薬品のレビュー、及びAEの評価のために、各注入(3日目及び10日目)の2日後にオフィス訪問のために戻り、いずれのAE及び医薬品変更も評価及び文書化するために注入(33~36日目)間の電話訪問を通して毎日追跡される。投与後の期間において、対象は、安全性検査値の収集、PD測定、並びにAE及び医薬品変更の評価のために、15日目に診療所に戻る。
【0161】
用量コホートにおける全ての対象が15日目のオフィス訪問(第2の用量の7日後)を完了した後、データモニタリング委員会(DMC)が招集されて、全ての入手可能な安全性データがレビューされ、次の上昇用量コホートに進むことが許容されるか、コホートの拡大が正当化される(最少3人の追加の対象が2:1に無作為化されて、CNP-201又はプラセボ(0.9%塩化ナトリウムUSP)を受ける)か、又は任意の他の臨床的推奨が行われるべきかが決定される。
【0162】
対象は、免疫安全性検査値の収集、PD測定、及び第2のSPT、続いてDBPCFC(61日目に完了する)のために、60日目に診療所に戻る。対象は、安全性検査値の収集、PD測定、並びにAE及び医薬品変更の最終評価のために、90日目の試験訪問の終わりに診療所に戻る。全ての対象が15日目の訪問を完了すると、パートAにおいて特定されたCNP-201の安全及び耐性用量でのパートBへの継続に関する推奨が行われる。
【0163】
パートB:パートBにおける対象は、1:1比で無作為化されて、安全及び耐性レベルのパートAにおいて特定されたCNP-201又はプラセボ(0.9%塩化ナトリウムUSP)を受ける。初期スクリーニング評価後に全ての包含基準を満たし、除外基準を満たさない対象は、皮膚プリック試験(SPT)、続いてベースライン二重盲検プラセボ対照食物チャレンジ(DBPCFC)(ピーナッツ及びプラセボ(オート麦)チャレンジ、2つの別々の日に投与される)を受けて、ピーナッツに対するアレルギーを確認する。反応が発生し、処理される場合、ピーナッツ及びプラセボチャレンジは、少なくとも48時間間隔で実施される。DBPCFC及び2時間の観察期間の第2のセットの完了後、全ての包含基準を満たし続け、除外基準を満たさない対象は、オマリズマブの第1の皮下注射を受ける。
【0164】
オマリズマブ(XOLAIR(登録商標))の用量は、プロトコルで指定された製品ラベルに従い、スクリーニング時の対象の体重及び血清IgEによって決定され、表3に記載される。対象は、製品ラベルに従って2週間毎又は4週間毎のいずれかで投与される。オマリズマブに対する重度過敏反応を経験する任意の対象は、適切な治療を提供され、この試験から中止される。これらの対象は、パートBにおいて置き換えられる。
【0165】
対象は、適格性の最終評価及び実験室試料の収集のために、1日目に診療所に戻る。全ての包含基準を満たし続け、除外基準を満たさない対象は、CNP-201又はプラセボのいずれかを受けるように無作為化される。
【0166】
対象は、1日目及び8日目にCNP-201又はプラセボを受ける。試験製品は、段階的な注入速度を使用して約3~4時間かけてIV注入によって投与される。対象は、注入後4時間にわたって急性AEについて診療所で医学的観察を受ける。抗ヒスタミン/エピネフリンは、アレルギー性反応が発生した場合に、それを治療するためにすぐに利用可能である。対象は、任意のAE及び医薬品変更を評価及び文書化するために、各注入(2~7日目及び9~14日目)間の毎日の電話訪問を通して追跡される。
【0167】
投与後の期間において、対象は、安全性検査値の収集、PD測定、並びにAE及び医薬品変更の評価のために、15日目に診療所に戻る。対象はまた、免疫安全性検査値、PD測定、及び第2のSPT、続いてDBPCFC(61日目に完了する)のために、60日目に診療所に戻る。対象は、安全性検査値の収集、PD測定、並びにAE及び医薬品変更の最終評価のために、90日目の試験訪問の終わりに診療所に戻る。
【0168】
新たに出現する安全性及び忍容性データは、パートBにおいて監視される。メディカルモニターは、いずれの重篤有害事象(SAE)及びいずれの>グレード2有害事象(CTCAE v.5.0)も、そのような事象を認識してから24時間以内に通知される。次いで、メディカルモニターは、安全性及び忍容性データを評価して、投与を継続することが許容されるままであるかを決定し、投与の継続及び対象における投与の中止又は一時停止を含むがこれらに限定されない、推奨を行う、臨時DMC会議を招集し得る。DMCは、彼らの意見において、投与の継続が対象に安全性リスクをもたらす場合、試験中のいずれの時点でも試験の中止又は一時停止を推奨し得る。
【0169】
試験のパートA及びパートBの両方において、対象は、以下の段階的な注入速度に従って、約3~4時間持続する静脈内注入を介してCNP-201を受ける:最初の15分間は20mL/時間、次の15分間は40mL/時間、残りの注入は80mL/時間。
【0170】
試験期間:2用量、7日間隔(パートA及びB)。個々の対象についての試験の全期間は、約134日、スクリーニングに14日、オマリズマブ投与に30日、IP投与に60日、及び30日のフォローアップ期間である。
【0171】
一次エンドポイント(パートA及びパートB)には以下が含まれる:有害事象(AE)及び重篤有害事象(SAE)の頻度、MedDRA 23.0(CTCAE v.5.0);実験室安全性評価(血液学、血清化学、凝固パネル、尿検査);バイタルサイン(血圧、心拍数、体温)を含む身体検査;12誘導心電図(ECG)12誘導心電図;血清サイトカイン(TNF-α、IL-2、IL-6、IL-8、IL-1β、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、IFN-γ、IL-12p70);ベースライン(用量前1日目)及び15日目でのプラセボとCNP-201との間のPBMCのエクスビボ刺激後のピーナッツ特異的Th2a+T細胞(ピーナッツ特異的Th2a+細胞/全ピーナッツ特異的T細胞)の割合の変化;並びにベースライン(用量前1日目)及び15日目でのプラセボとCNP-201との間のPBMCのエクスビボ刺激後の活性化ピーナッツ特異的T細胞対全ピーナッツ特異的T細胞の割合の変化。
【0172】
二次エンドポイント(パートA及びパートB)には以下が含まれる:ベースライン(用量前1日目)及び15日目でのプラセボとCNP-201との間のPBMCのエクスビボ刺激後のIL-5対IFN-γの比の変化。
【0173】
探索的エンドポイント(パートA及びパートB)には以下が含まれる:ベースライン(用量前1日目)及び15日目でのプラセボとCNP-201との間のPBMCのエクスビボ刺激後のピーナッツ特異的T調節細胞(ピーナッツ特異的T調節細胞/ピーナッツ特異的CD4+エフェクターメモリー細胞)の割合の変化;ベースライン(DBPCFC前-30日目)及び60日目でのプラセボとCNP-201との間の好塩基球活性化試験(CD203c+/CD63+/-好塩基球活性化)によって測定される場合の最大好塩基球活性化の50%での有効濃度(EC
50)の変化;ベースライン(DBPCFC前-30日目)及び60日目でのプラセボとCNP-201との間のImmunoCapアッセイによって測定される場合のピーナッツ特異的IgE対IgGの比の変化;並びにベースライン(-30~-29日目)及び60~61日目でのプラセボとCNP-201との間のDBPCFC中に投与されるピーナッツタンパク質(mg)の累積耐性用量(CTD)の変化。探索的エンドポイントの評価に使用される細胞マーカーは、以下の表4に記載される:
【表4】
【0174】
実施例3A-ピーナッツアレルギーにおけるTIMP-PPEの第I/II相試験
ピーナッツアレルギーを有する16~35歳の対象におけるTIMP-PPE(CNP-201)の安全性、忍容性、薬力学、及び有効性を評価するための第1b/2a相無作為化二重盲検プラセボ対照2パート試験を実施するための代替的なプロトコルが提供される。
【0175】
CNP-201は、400~800nmの平均直径及び-30mV~-60mVの負のゼータ電位を有する精製されたピーナッツ抽出物を封入するPLGAナノ粒子からなる。CNP-201粒子は、凍結乾燥された製剤として供給される。CNP-201粒子は、注射用無菌水中で再構成され、投与前に無菌生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)中で希釈される。
【0176】
試験は、パートA及びパートBを含む。パートA:パートAは、上昇用量レベルのCNP-201の忍容性の安全性の無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。パートAは、複数の上昇用量レベルでCNP-201又はプラセボを受ける3つのコホートを登録する。パートBは、パートAから決定されたCNP-201の安全かつ耐性用量レベルを使用した無作為化二重盲検プラセボ対照反復用量試験として続く。
【0177】
初期スクリーニング評価後に全ての包含基準(訪問2で入手可能でない場合があるIgG及びIgE結果を除く)を満たし、除外基準を満たさない対象は、皮膚プリック試験(SPT)、続いてベースライン二重盲検プラセボ対照食物チャレンジ(DBPCFC)(ピーナッツ及びプラセボ(オート麦)チャレンジ、2つの別々の日に投与される)を受けて、ピーナッツに対するアレルギーを確認する。SPT及びDBPCFCは、現場に存在する臨床緊急事態を管理するために訓練を受け、緊急医薬品及び装置にすぐにアクセスでき、必要に応じて緊急治療の迅速な送達のために病院救急部門に近接している試験医師又はスタッフで実施される。DBPCFCの両日を完了した後に全ての包含基準を満たし続け、除外基準を満たさない対象は、試験に登録される資格がある。
【0178】
DBPCFC後に全てのI/E基準を満たし続ける全ての対象は、オマリズマブ(XOLAIR)の皮下注射を受ける。オマリズマブ(XOLAIR(登録商標))の用量は、プロトコルで指定された製品ラベルに従い、初期スクリーニング時の対象の体重及び血清IgEによって決定される。対象は、製品ラベルに従って2週間毎又は4週間毎のいずれかで投与される。
【0179】
包含基準を満たし続け、除外基準を満たさない対象は、1日目に2:1比(パートA)又は1:1比(パートB)で無作為化され、CNP-201又はプラセボ(0.9%塩化ナトリウムUSP)のいずれかを静脈内(IV)注入によって受ける。対象は、1日目及び8日目にCNP-201又はプラセボを投与される。注入反応、アナフィラキシー、又は他の有害事象が監視する期間の延長を必要としない限り、対象は、入院時(CNP-201又はプラセボの投与前)から、同日の用量後4時間で行われる最終手順まで、1日目及び8日目に診療所に留まる。安全性パラメータが責任医師に許容される場合、対象は退院する。
【0180】
この試験において登録の資格のあるピーナッツアレルギーを有する対象は、以下の包含基準に基づいて定義される:
1.16歳~35歳の、男性及び妊娠していない女性。
2.スクリーニング時に≧18及び≦32のボディマス指数(BMI)並びに>30kg及び≦150kgの体重を有する対象。この範囲から外れる対象は、責任医師の裁量で含まれ得る。
3.スクリーニング時に≧30IU/mL及び≦1500IU/mLの血清IgEを有する対象。この範囲から外れる対象は、責任医師の裁量で含まれ得る。
4.医師に診断されたピーナッツアレルギー又はピーナッツアレルギーの文書化された既往歴を有する対象。
5.低酸素症なしでの軽度喘鳴又は呼吸困難を含む、ピーナッツに対する非重度アナフィラキシー(グレード≦3)の文書化された既往歴を有する対象。
6.スクリーニング時にImmunoCAPによって測定される場合>2kU/Lのピーナッツ特異的IgE、及び/又はスクリーニング時に陰性対照(50%グリセリン)と比較して>3mmの膨疹径の変化を有するピーナッツに対する陽性皮膚プリック試験(SPT)を有する対象。
7.スクリーニング前の少なくとも14日にわたって、任意のピーナッツ食物チャレンジを含む、ピーナッツ曝露の疑いのないピーナッツフリー食であり、試験DBPCFCを除く試験中にピーナッツ曝露への制限を継続することに同意することが自己報告される対象。
8.禁欲、同性のヒトのみとの性交、精管結紮されたパートナーとの一対一の関係、精管結紮術、子宮摘出術、両側卵管結紮術、認可されたホルモン法、子宮内避妊器具(IUD)、又はスクリーニングで開始し、試験全体を通して90日目(EOS/ET)まで継続するバリア法(例えば、コンドーム、ダイヤフラム)と組み合わされた殺精子剤の使用を含み得るが、これらに限定されない、非常に効果的な避妊方法を実施する意思のある女性対象並びに男性対象及びその女性配偶者/パートナー。
9.初期スクリーニングで開始して試験全体を通して90日目(EOS/ET)まで授乳しないことに同意する女性対象。
10.初期スクリーニングで開始して試験全体を通して90日目(EOS/ET)まで卵子を提供しないことに同意する女性対象。
11.施設内審査委員会(IRB)に承認された書面によるインフォームドコンセントを提供する意思及び能力がある対象。
12.予定通りに試験訪問に参加し、2つのDBPCFCを完了することを含む、全ての試験手順を実施し、遵守する意思のある対象。
13.スクリーニングで開始して試験全体を通して90日目(EOS/ET)まで精子を提供しないことに同意する男性対象。
【0181】
対象は、探索的エンドポイントについての統計分析に含めるために、≧10mg及び≦300mgの誘発用量のピーナッツタンパク質でスクリーニング時に陽性ピーナッツDBPCFCを有する必要がある。>444mgのピーナッツ(累積耐性用量)を忍容する対象は、安全性について追跡され、別々に評価される。
【0182】
ベースラインDBPCFC(ピーナッツ及びプラセボチャレンジ、2つの別々の日に投与される)の両セットを含む両方のスクリーニング訪問を完了した後に、全ての包含基準を満たし、除外基準を満たさない対象は、3つの用量漸増コホートのうちの1つに登録される。対象は、2:1比で無作為化されて、CNP-201又はプラセボ(0.9%塩化ナトリウム注射)のいずれかを200mLの静脈内注入として1日目及び8日目に受ける。3つのコホートについての用量レベルは、以下の通りである:コホート1:250mg、コホート2:450mg、コホート3:650mg。用量コホート内の対象の投与は、少なくとも48時間分離される。
【0183】
初期スクリーニング評価後に全ての包含基準を満たし、除外基準を満たさない対象は、皮膚プリック試験(SPT)、続いてベースライン二重盲検プラセボ対照食物チャレンジ(DBPCFC)(ピーナッツ及びプラセボ(オート麦)チャレンジ、2つの別々の日に投与される)を受けて、ピーナッツに対するアレルギーを確認する。反応が発生し、処理される場合、ピーナッツ及びプラセボチャレンジは、少なくとも48時間間隔で実施される。
【0184】
DBPCFCの第2のチャレンジ及び2時間の観察期間の完了後、全ての包含基準を満たし続け、除外基準を満たさない対象は、XOLAIR(登録商標)の第1の皮下注射に進む。
【0185】
XOLAIR(登録商標)の用量及び投与頻度(2週間毎又は4週間毎)は、表3に記載されるようなXOLAIR(登録商標)用量1で測定されるスクリーニング時の対象の血清IgE及び体重によって決定される。
【0186】
対象は、適格性の最終評価及び実験室試料の収集のために、1日目に診療所に戻る。全ての包含基準を満たし続け、除外基準を満たさない対象は、その時点で開いている用量コホートに無作為化される。対象は、1日目に及び8日目にCNP-201又はプラセボを投与される。CNP-201又はプラセボは、段階的な注入速度を使用して約3~4時間かけて静脈内注入によって投与される。対象は、注入後4時間にわたって注入反応(IR)を含む急性有害事象(AE)について診療所で医学的観察を受ける。抗ヒスタミン/エピネフリンは、アレルギー性反応が発生した場合に、それを治療するためにすぐに利用可能である。
【0187】
CNP-201に関連する可能性が高いと考えられる同じグレード3有害事象(AE)のうちの2つ又は1つの≧グレード4(アレルギー関連AEのCTCAE v.5.0又はCoFAR V.1)が発生する場合、投与することは一時停止され、これまでに取得された全ての入手可能な安全性データをレビューするためにDMCが招集される。重篤AE(SAE)であるとみなされるグレード4又はグレード5のAEが当局に報告されている。全ての入手可能な安全性データのレビュー後、DMCは、投与の中止、投与の段階的緩和、投与の継続、現在のコホートの拡大、パートAにおけるコホートの追加、又は用量限定毒性の決定を含むがこれらに限定されない、推奨を行う。DMCはまた、依頼者メディカルモニターによる安全性データの継続的な毎日の監視に基づいて、パートAにおける任意の対象の投与中に新たに出現する安全性懸念に対処するために臨時に招集する場合がある。DMCは、AE、身体検査、バイタルサイン、12誘導ECG、及び入手可能な実験室結果を含むがこれらに限定されない、入手可能な安全性データを評価する。
【0188】
対象は、安全性検査値の収集、医薬品のレビュー、及びAEの評価のために、各注入(3及び10日目)の2日後にオフィス訪問のために戻り、いずれのAE及び医薬品変更も評価及び文書化するために各注入(4~7日及び11~14日目)後の電話訪問を通して毎日追跡される。投与後の期間において、対象は、安全性検査値の収集、PD測定、並びにAE及び医薬品変更の評価のために、用量2のCNP-201又はプラセボの投与の7日後に診療所に戻る。
【0189】
用量コホートにおける全ての対象が15日目のオフィス訪問(第2の用量の7日後)を完了した後、DMCが招集されて、全ての入手可能な安全性データがレビューされ、次の上昇用量コホートに進むことが許容されるか、コホートの拡大が正当化される(最少3人の追加の対象が2:1に無作為化されて、CNP-201又はプラセボを受ける)か、又は任意の他の臨床的推奨(例えば、パートBへの拡大)がなされるべきかを決定する。
【0190】
対象は、免疫安全性検査値の収集、PD測定、及び第2のSPT、続いて投与後のDBPCFCのために60日目に診療所に戻り、安全性検査値の収集、PD測定、並びにAE及び医薬品変更の最終評価のために90日目に試験訪問の終わりに診療所に戻る。新たに出現する安全性及び忍容性データは、継続的に監視されるものである。メディカルモニターは、試験製品(CTCAE v.5.0又はCoFAR V.1)に関連する可能性が高いいずれの重篤有害事象(SAE)及びいずれの>グレード2有害事象も、そのような事象を認識してから24時間以内に通知される。次いで、メディカルモニターは、安全性及び忍容性データを評価して、投与を継続することが許容されるままであるかを決定し、投与の継続及び対象における投与の中止又は一時停止を含むがこれらに限定されない、推奨を行う、臨時DMC会議を招集し得る。DMCは、彼らの意見において、投与の継続が対象に許容されない安全性リスクをもたらす場合、試験中のいずれの時点でも試験の中止又は一時停止を推奨し得る。全ての対象が15日目の訪問を完了すると、パートAにおいて特定されたCNP-201の安全及び耐性用量でのパートBへの継続に関する推奨が行われる。
【0191】
パートB:パートBにおける対象は、1:1比で無作為化されて、安全及び耐性レベルのパートAにおいて特定されたCNP-201又はプラセボを受ける。パートA及びパートBにおける対象は、同じ評価を受けるが、2つのパート間の唯一の違いは、パートAにおける用量漸増である。
【0192】
初期スクリーニング評価後に全ての包含基準を満たし、除外基準を満たさない対象は、皮膚プリック試験(SPT)、続いてベースライン二重盲検プラセボ対照食物チャレンジ(DBPCFC)(ピーナッツ及びプラセボ(オート麦)チャレンジ、2つの別々の日に投与される)を受けて、ピーナッツに対するアレルギーを確認する。反応が発生し、処理される場合、ピーナッツ及びプラセボチャレンジは、少なくとも48時間間隔で実施される。
【0193】
DBPCFCの第2のチャレンジ及び2時間の観察期間の完了後、全ての包含基準を満たし続け、除外基準を満たさない対象は、XOLAIR(登録商標)の第1の皮下注射に進む。XOLAIR(登録商標)の用量及び投与頻度(2週間毎又は4週間毎)は、表3に記載されるようなXOLAIR(登録商標)用量1で測定されるスクリーニング時の対象の血清IgE及び体重によって決定される。
【0194】
対象は、適格性の最終評価及び実験室試料の収集のために、1日目に診療所に戻る。全ての包含基準を満たし続け、除外基準を満たさない対象は、CNP-201又はプラセボのいずれかを受けるように無作為化される。
【0195】
対象は、1日目に及び8日目にCNP-201又はプラセボを投与される。CNP-201又はプラセボは、段階的な注入速度を使用して約3~4時間かけて静脈内注入によって投与される。対象は、注入後4時間にわたって注入反応(IR)を含む急性有害事象(AE)について診療所で医学的観察を受ける。抗ヒスタミン/エピネフリンは、アレルギー性反応が発生した場合に、それを治療するためにすぐに利用可能である。
【0196】
対象は、安全性検査値の収集、医薬品のレビュー、及びAEの評価のために、各注入(3及び10日目)の2日後にオフィス訪問のために戻り、いずれのAE及び医薬品変更も評価及び文書化するために各注入(4~7日及び11~14日目)後の電話訪問を通して毎日追跡される。投与後の期間において、対象は、安全性検査値の収集、PD測定、並びにAE及び医薬品変更の評価のために、用量2のCNP-201又はプラセボの投与の7日後に診療所に戻る。
【0197】
対象は、免疫安全性検査値の収集、PD測定、及び第2のSPT、続いて投与後のDBPCFCのために60日目に診療所に戻り、安全性検査値の収集、PD測定、並びにAE及び医薬品変更の最終評価のために90日目に試験訪問の終わりに診療所に戻る。新たに出現する安全性及び忍容性データは、継続的に監視されるものである。メディカルモニターは、試験製品(CTCAE v.5.0又はCoFAR V.1)に関連する可能性が高いいずれの重篤有害事象(SAE)及びいずれの>グレード2有害事象も、そのような事象を認識してから24時間以内に通知される。次いで、メディカルモニターは、安全性及び忍容性データを評価して、投与を継続することが許容されるままであるかを決定し、投与の継続及び対象における投与の中止又は一時停止を含むがこれらに限定されない、推奨を行う、臨時DMC会議を招集し得る。DMCは、彼らの意見において、投与の継続が対象に許容されない安全性リスクをもたらす場合、試験中のいずれの時点でも試験の中止又は一時停止を推奨し得る。
【0198】
試験のパートA及びパートBの両方において、対象は、以下の段階的な注入速度に従って、約3~4時間持続する静脈内注入を介してCNP-201を受ける:最初の15分間は20mL/時間、次の15分間は40mL/時間、残りの注入は80mL/時間。
【0199】
パートA及びパートBの両方において、プラセボに無作為化された対象は、注射用の0.9%塩化ナトリウム(生理食塩水[NS])を受ける。プラセボは、以下の段階的注入速度に従って、1日目及び8日目に200mLの静脈内注入として投与される:最初の15分間は20mL/時間、次の15分間は40mL/時間、残りの注入は80mL/時間。
【0200】
試験期間:2用量、7日間隔(パートA及びB)。個々の対象についての試験の全期間は、約134日、スクリーニングに14日、XOLAIR(登録商標)投与に約30日、試験製品投与に60日、及び投与後フォローアップに約30日である。
【0201】
一次エンドポイント(パートA及びパートB)には以下が含まれる:有害事象(AE)及び重篤有害事象(SAE)の頻度、MedDRA 23.0(アレルギー関連AEについてのCTCAE v.5.0又はCoFAR V.1);実験室安全性評価(血液学、血清化学、凝固パネル、及び尿検査);バイタルサイン(血圧、心拍数、及び体温)を含む身体検査;12誘導心電図(ECG);血清サイトカイン(TNF-α、IL-2、IL-6、IL-8、IL-1β、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、IFN-γ、及びIL-12p70)。
【0202】
探索的エンドポイント(パートA及びパートB)には以下が含まれる:ベースライン(用量前1日目)及び15日目でのプラセボとCNP-201との間のPBMCのエクスビボ刺激後のピーナッツ特異的Th2a+ T細胞(ピーナッツ特異的Th2a+ T細胞/全ピーナッツ特異的T細胞)の割合の変化;ベースライン(スクリーニング、DBPCFC前訪問2)及び訪問11でのプラセボとCNP-201との間の好塩基球活性化試験(CD203c+/CD63+/-好塩基球活性化)によって測定される場合の最大好塩基球活性化の50%での有効濃度(EC50)の変化;ベースライン(スクリーニング、DBPCFC前訪問2)及び訪問11でのプラセボとCNP-201との間のImmunoCapアッセイによって測定される場合のピーナッツ特異的IgEの変化;ベースライン(スクリーニング、DBPCFC前訪問2)及び訪問11でのプラセボとCNP-201との間のImmunoCapアッセイによって測定される場合のピーナッツ特異的IgE対IgGの比の変化;ベースライン(スクリーニングDBPCFC、訪問2及び3)及び投与後(DBPCFC投与後、訪問11及び12)でのプラセボとCNP-201との間のDBPCFC中に投与されたピーナッツタンパク質(mg)の累積耐性用量(CTD)の変化;ベースライン(1日目用量前)及び15日目でのプラセボとCNP-201との間のPBMCのエクスビボ刺激後の活性化ピーナッツ特異的T細胞(活性化ピーナッツ特異的T細胞/全ピーナッツ特異的T細胞)の割合の変化。
実施例4-ピーナッツアレルギーにおけるIgE阻害剤なしでのTIMP-PPEの第I/II相試験
【0203】
本例は、ピーナッツアレルギーを有する16~55歳の対象における、IgE阻害剤の投与なしでのTIMP-PPE(CNP-201)の安全性、忍容性、及び薬力学を評価するための第1b/2a相無作為化二重盲検プラセボ対照試験を説明する。
【0204】
CNP-201は、400~800nmの平均直径及び-30mV~-60mVの負のゼータ電位を有する精製されたピーナッツ抽出物を封入するPLGAナノ粒子からなる。CNP-201粒子は、凍結乾燥された製剤として供給される。CNP-201粒子は、注射用無菌水中で再構成され、投与前に無菌生理食塩水(0.9%塩化ナトリウム)中で希釈される。
【0205】
試験は、上昇用量レベルのCNP-201の安全性及び忍容性の無作為化二重盲検プラセボ対照試験である。試験は、複数の上昇用量レベルでCNP-201又はプラセボを受ける3つのコホートを登録する。
【0206】
全ての包含基準を満たし、除外基準を満たさない対象が試験に登録される。包含/除外基準を満たし続ける対象は、1日目に2:1比で無作為化され、CNP-201又はプラセボ(0.9%塩化ナトリウムUSP)のいずれかを静脈内(IV)注入によって受ける。対象は、1日目及び8日目にCNP-201又はプラセボを投与される。
【0207】
対象は、抗ヒスタミン(10mgのIVセチリジンなど)及びコルチコステロイド(125mgのIVメチルプレドニゾロンなど)の事前投与を、CNP-201又はプラセボの各注入の30分前に受け得る。対象は、12時間のウォッシュアウト期間(ベータ-アゴニスト、テオフィリン、及びクロモリンのみのための)及び皮膚プリック試験(SPT)前の抗ヒスタミンのための7日のウォッシュアウト期間を除き、試験中もそれらの現在のSoCを維持する。対象は、SPT後にそれらのSoCレジメンを再開し、試験の投与/期間を通してSoCを維持する。
【0208】
この試験において登録の資格のあるピーナッツアレルギーを有する対象は、以下の包含基準に基づいて定義される:
1.16歳~55歳の、男性及び妊娠していない女性。
2.医師に診断されたピーナッツアレルギー又はピーナッツアレルギーの文書化された既往歴を有する対象。
3.スクリーニング時に≧31.25kgの体重を有する対象。この範囲から外れる対象は、責任医師の裁量で含まれ得る。
4.低酸素症なしでの軽度喘鳴又は呼吸困難を含む、ピーナッツに対する非重度アナフィラキシー(グレード≦3)の文書化された既往歴を有する対象。
5.スクリーニング時にImmunoCAPによって測定される場合>5kU/Lのピーナッツ特異的IgEを有する対象。
6.スクリーニング前の少なくとも14日にわたって、任意のピーナッツ食物チャレンジを含む、ピーナッツ曝露の疑いのないピーナッツフリー食であり、試験中にピーナッツ曝露への制限を継続することに同意することが自己報告される対象。
7.スクリーニング時に陰性対照(50%グリセリン)と比較して>3mmの膨疹径の変化を有するピーナッツに対する陽性皮膚プリック試験(SPT)を有する対象。
8.禁欲、同性のヒトのみとの性交、精管結紮されたパートナーとの一対一の関係、精管結紮術、子宮摘出術、両側卵管結紮術、認可されたホルモン法、子宮内避妊器具(IUD)、又はスクリーニングで開始し、試験全体を通して38日目(EOS/ET)まで継続するバリア法(例えば、コンドーム、ダイヤフラム)と組み合わされた殺精子剤の使用を含み得るが、これらに限定されない、非常に効果的な避妊方法を実施する意思のある女性対象並びに男性対象及びその女性配偶者/パートナー。
9.初期スクリーニングで開始して試験全体を通して38日目(EOS/ET)まで授乳しないことに同意する女性対象。
10.初期スクリーニングで開始して試験全体を通して38日目(EOS/ET)まで卵子を提供しないことに同意する女性対象。
11.施設内審査委員会(IRB)に承認された書面によるインフォームドコンセントを提供する意思及び能力がある対象。
12.全ての試験手順を実施し、遵守する意思のある対象。
13.スクリーニングで開始して試験全体を通して38日目(EOS/ET)まで精子を提供しないことに同意する男性対象。
【0209】
スクリーニング訪問を完了した後に全ての包含基準を満たし、除外基準を満たさない対象は、3つの用量漸増コホートのうちの1つに登録される。対象は、2:1比で無作為化されて、CNP-201又はプラセボ(0.9%塩化ナトリウム注射)のいずれかを200mLの静脈内注入として1日目及び8日目に受ける。3つのコホートについての用量レベルは、以下の通りである:コホート1:250mg、コホート2:450mg、コホート3:650mg。用量コホート内の対象の投与は、少なくとも48時間分離される。
【0210】
スクリーニング時に全ての包含基準を満たし、除外基準を満たさない対象が試験に登録される。対象は、適格性の最終評価及び実験室試料の収集のために、1日目に診療所に戻る。全ての包含基準を満たし続け、除外基準を満たさない対象は、その時点で開いている用量コホートに無作為化される。対象は、抗ヒスタミン(10mgのIVセチリジンなど)及びコルチコステロイド(125mgのIVメチルプレドニゾロンなど)の事前投与を、1日目及び8日目のCNP-201又はプラセボの各注入の30分前に受け得る。CNP-201又はプラセボは、段階的な注入速度を使用して約3~4時間かけて静脈内注入によって投与される。対象は、注入後4時間にわたって注入反応(IR)を含む急性有害事象(AE)について診療所で医学的観察を受ける。筋肉内(IM)及び静脈内(IV)エピネフリンを含む、抗ヒスタミン/エピネフリンは、アレルギー性反応が発生した場合に、それを治療するためにすぐに利用可能である。
【0211】
対象は、任意のAE及び医薬品変更を評価及び文書化するために、各注入後の電話訪問(2~7日目及び9~14日目)を通して毎日追跡される。投与後の期間において、対象は、安全性検査値の収集、PD測定、並びにAE及び医薬品変更の評価のために、用量2のCNP-201又はプラセボの投与の7日後(15日目)に診療所に戻る。
【0212】
用量コホートにおける全ての対象が15日目のオフィス訪問(第2の用量の7日後)を完了した後、DMCが招集されて、全ての入手可能な安全性データがレビューされ、次の上昇用量コホートに進むことが許容されるかが決定される。
【0213】
対象は、安全性検査値の収集、PD測定、並びにAE及び医薬品変更の最終評価及び第2のSPTのために、38日目の試験訪問の終わりに診療所に戻る。
【0214】
新たに出現する安全性及び忍容性データは、継続的に監視されるものである。メディカルモニターは、試験製品(CTCAE v.5.0又はCoFAR V.3.0)に関連する可能性が高いいずれの重篤有害事象(SAE)及びいずれの≧グレード2有害事象も、そのような事象を認識してから24時間以内に通知される。メディカルモニターは、安全性及び忍容性データを評価して、投与を継続することが許容されるままであるかを決定し、投与の継続及び対象における投与の中止又は一時停止を含むがこれらに限定されない、推奨を行う、臨時DMC会議を招集し得る。DMCは、彼らの意見において、投与の継続が対象に許容されない安全性リスクをもたらす場合、試験中のいずれの時点でも試験の中止又は一時停止を推奨し得る。
【0215】
対象は、以下の段階的な注入速度に従って、約3~4時間持続する静脈内注入を介してCNP-201を受ける:最初の15分間は20mL/時間、次の15分間は40mL/時間、残りの注入は80mL/時間。
【0216】
試験期間:2用量、7日間隔。個々の対象についての試験の全期間は、約45日、スクリーニングに7日、試験製品投与に8日、及び投与後評価に30日である。
【0217】
一次エンドポイントには以下が含まれる:有害事象(AE)及び重篤有害事象(SAE)の頻度、MedDRA 23.0(アレルギー関連AEについてのCTCAE v.5.0又はCoFAR V.3.0);実験室安全性評価(血液学、血清化学、凝固パネル、及び尿検査);バイタルサイン(血圧、心拍数、及び体温)を含む身体検査;12誘導心電図(ECG);血清サイトカイン(TNF-α、IL-2、IL-6、IL-8、IL-1β、MCP-1、MIP-1β、MIP-1α、IFN-γ、及びIL-12p70)。
【0218】
探索的エンドポイントには以下が含まれる:ベースライン及び38日目でのプラセボとCNP-201との間のImmunoCapアッセイによって測定される場合のピーナッツ特異的IgE対IgGの比の変化;ベースライン及び38日目でのプラセボとCNP-201との間のImmunoCapアッセイによって測定される場合のピーナッツ特異的IgEの変化。
【0219】
本開示の好ましい実施形態が、本明細書に記載される。それらの好ましい実施形態の変形は、前述の説明を読むと当業者には明らかになり得る。発明者らは、当業者がそのような変形を適切に採用することを期待しており、発明者らは、本明細書に具体的に記載される以外の方法で本開示が実施されることを意図している。したがって、本開示は、適用法によって許可されるように、本明細書に添付される特許請求の範囲において列挙される主題の全ての修飾及び等価物を含む。また、本明細書に別段の指示がない限り、又は文脈による別段の明らかな矛盾がない限り、その全ての可能な変形における上記要素の任意の組み合わせは、本開示によって包含される。
【配列表】
【国際調査報告】