(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ニコチン酸誘導体の製剤およびフラボノイドポリフェノールの製剤およびその使用
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20240403BHJP
A61K 31/706 20060101ALI20240403BHJP
A61K 31/352 20060101ALI20240403BHJP
A61K 31/455 20060101ALI20240403BHJP
A61K 31/7048 20060101ALI20240403BHJP
A61P 43/00 20060101ALI20240403BHJP
A61P 17/02 20060101ALI20240403BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240403BHJP
A61P 25/18 20060101ALI20240403BHJP
A61P 25/22 20060101ALI20240403BHJP
A61P 25/24 20060101ALI20240403BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20240403BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20240403BHJP
A61P 21/04 20060101ALI20240403BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240403BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240403BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240403BHJP
A61P 13/12 20060101ALI20240403BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240403BHJP
A61P 3/06 20060101ALI20240403BHJP
A61P 9/00 20060101ALI20240403BHJP
A61P 29/00 20060101ALI20240403BHJP
A61P 3/04 20060101ALI20240403BHJP
A61P 3/00 20060101ALI20240403BHJP
A61P 19/02 20060101ALI20240403BHJP
A61P 3/08 20060101ALI20240403BHJP
A61P 19/10 20060101ALI20240403BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K31/706
A61K31/352
A61K31/455
A61K31/7048
A61P43/00 121
A61P17/02
A61P25/00
A61P25/18
A61P25/22
A61P25/24
A61P25/02
A61P25/14
A61P21/04
A61P25/28
A61P25/16
A61P25/08
A61P13/12
A61P21/00
A61P3/06
A61P9/00
A61P29/00
A61P3/04
A61P3/00
A61P19/02
A61P3/08
A61P19/10
A61P27/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023562970
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-12-11
(86)【国際出願番号】 US2022024604
(87)【国際公開番号】W WO2022221401
(87)【国際公開日】2022-10-20
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(32)【優先日】2022-02-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523387013
【氏名又は名称】アニマル・バイオサイエンシーズ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】ANIMAL BIOSCIENCES, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100156144
【氏名又は名称】落合 康
(74)【代理人】
【識別番号】100103230
【氏名又は名称】高山 裕貢
(72)【発明者】
【氏名】レントコ,バージニア
(72)【発明者】
【氏名】シンクレア,ニコラス
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA20
4C084MA02
4C084MA35
4C084MA37
4C084MA52
4C084NA05
4C084NA14
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4C084ZA012
4C084ZA021
4C084ZA022
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4C084ZA152
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4C084ZA162
4C084ZA181
4C084ZA182
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4C084ZC75
4C086AA01
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4C086BA08
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4C086ZA16
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4C086ZA20
4C086ZA29
4C086ZA33
4C086ZA36
4C086ZA70
4C086ZA81
4C086ZA89
4C086ZA94
4C086ZA96
4C086ZA97
4C086ZB11
4C086ZC21
4C086ZC33
4C086ZC35
4C086ZC41
4C086ZC52
4C086ZC75
(57)【要約】
本出願は、NAD+アゴニストおよびフラボノイドポリフェノールの組み合わせを含む製剤に関する。また、対象における年齢に関連する疾患または障害の少なくとも一つの症状または兆候を処置、改善または予防する方法に使用するための、NAD+アゴニストおよびフラボノイドの組み合わせ剤を投与することを含む方法が提供される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
a. NAD
+アゴニストを含む第一の製剤;および
b. フラボノイドを含む第二の製剤、
を含む、組み合わせ剤。
【請求項2】
NAD
+アゴニストが、NAD
+前駆体である、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項3】
NAD
+前駆体が、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、ニコチンアミドリボシド(NR)、ニコチン酸リボシド(NaR)、ニコチン酸リボシドのエステル誘導体、ニコチン酸(niacin)、ニコチン酸のエステル誘導体、ニコチン酸モノヌクレオチド(NaMN)、ニコチン酸モノヌクレオチドのエステル誘導体、ニコチン酸アデニンジヌクレオチド(NaAD)、ニコチン酸アデニンジヌクレオチド(NAAD)、またはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグの一つ、または二つまたはそれ以上の組み合わせを含む、請求項2に記載の組み合わせ剤。
【請求項4】
第一の製剤が、NaRまたはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項5】
第一の製剤が、NaRの塩を含む、請求項4に記載の組み合わせ剤。
【請求項6】
第一の製剤が、NaRの無機塩を含む、請求項5に記載の組み合わせ剤。
【請求項7】
NaRの無機塩が、Li
+、Na
+、K
+、Rb
+、Cs
+、Be
2+、Mg
2+、Ca
2+、Sr
2+、Zn
2+およびBa
2+またはこれらの組み合わせを含む、請求項6に記載の組み合わせ剤。
【請求項8】
第一の製剤が、NaRのアミノ酸塩を含む、請求項5に記載の組み合わせ剤。
【請求項9】
NaRのアミノ酸塩が、フェニルアラニン、イソロイシン、トリプトファン、リシン、アスパラギン、バリン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニンおよびプロリンから選択される、請求項8に記載の組み合わせ剤。
【請求項10】
NaRのアミノ酸塩が、トリプトファン塩である、請求項8に記載の組み合わせ剤。
【請求項11】
第一の製剤が、NaMNまたはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項12】
第一の製剤が、NaMNの無機塩を含む、請求項11に記載の組み合わせ剤。
【請求項13】
NaMNの無機塩が、Li
+、Na
+、K
+、Rb
+、Cs
+、Be
2+、Mg
2+、Ca
2+、Sr
2+、Zn
2+およびBa
2+またはこれらの組み合わせを含む、請求項12に記載の組み合わせ剤。
【請求項14】
第一の製剤が、NaMNのアミノ酸塩を含む、請求項11に記載の組み合わせ剤。
【請求項15】
NaMNのアミノ酸塩が、モノL-バリン塩、モノL-グルタミン塩、ジL-バリン塩、ジL-グルタミン塩、モノL-ヒスチジン塩、ジL-ヒスチジン塩、モノL-アルギニン塩、モノL-トリプトファン塩、ジL-アルギニン塩、ジL-グルタミン塩、ジL-トリプトファン塩、ジL-スレオニン塩、ジL-リシン塩、モノL-メチオニン塩、ジL-ロイシン塩およびジD-バリン塩から選択されるか、またはこれらの組み合わせである、請求項14に記載の組み合わせ剤。
【請求項16】
第一の製剤が、NMNまたはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項17】
第一の製剤が、NMNの無機塩を含む、請求項16に記載の組み合わせ剤。
【請求項18】
NMNの無機塩が、Li
+、Na
+、K
+、Rb
+、Cs
+、Be
2+、Mg
2+、Ca
2+、Sr
2+、Zn
2+およびBa
2+またはこれらの組み合わせを含む、請求項17に記載の組み合わせ剤。
【請求項19】
第一の製剤が、NMNのアミノ酸塩を含む、請求項16に記載の組み合わせ剤。
【請求項20】
NMNのアミノ酸塩が、モノL-バリン塩、モノL-トリプトファン塩、モノL-プロリン塩から選択されるか、またはこれらの組み合わせである、請求項19に記載の組み合わせ剤。
【請求項21】
第一の製剤が、NAまたはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグを含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項22】
第一の製剤が、NAの無機塩を含む、請求項21に記載の組み合わせ剤。
【請求項23】
NAの無機塩が、Li
+、Na
+、K
+、Rb
+、Cs
+、Be
2+、Mg
2+、Ca
2+、Sr
2+、Zn
2+およびBa
2+塩またはこれらの組み合わせを含む、請求項22に記載の組み合わせ剤。
【請求項24】
第一の製剤が、NAのアミノ酸塩を含む、請求項21に記載の組み合わせ剤。
【請求項25】
第一の製剤が、経口投与に適したものである、請求項1~24のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項26】
第一の製剤が、錠剤またはカプセルの形態である、請求項25に記載の組み合わせ剤。
【請求項27】
第一の製剤が、少なくとも約50mgのNAD
+アゴニストを含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項28】
第一の製剤が、少なくとも約100mg、150mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、500mg、750mg、1000mg、1250mg、2500mg、3500mg、5000mgまたは7000mgのNAD
+アゴニストを含む、請求項27に記載の組み合わせ剤。
【請求項29】
第二の製剤が、フィセチン;ケルセチン;ルチン;クエルシトリン;カテキン;ガロカテキン;カテキン3-ガレート;ガロカテキン3-ガレート;エピカテキン;エピガロカテキン;エピカテキン3-ガレート;エピガロカテキン3-ガレート;テアフラビン-3-ガレート;テアフラビン-3'-ガレート;テアフラビン-3,3'-ジガレート;ケンフェロール;ミリセチン;ガランギン;イソラムネチン;パキポドール;ラムナジン;ピラノフラボノール;フラノフラボノール;ルテオリン;レスベラトロール;アピゲニン;タンゲレチン;ヘスペレチン;ナリンゲニン;エリオジクチオール;ホモエリオジクチオール;これらのアナログおよび誘導体;ならびにこれらの二つまたはそれ以上の組み合わせから選択されるフラボノイドを含む、請求項1~28のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項30】
第二の製剤が、フィセチン(3,3',4',7-テトラヒドロキシフラボン)またはそのアナログ、誘導体もしくは代謝物を含む、請求項29に記載の組み合わせ剤。
【請求項31】
第二の製剤が、フィセチンのグルクロン酸抱合代謝物、硫酸化代謝物またはメチル化代謝物を含む、請求項30に記載の組み合わせ剤。
【請求項32】
第二の製剤が、グルクロン酸抱合フィセチンを含む、請求項30に記載の組み合わせ剤。
【請求項33】
第二の製剤が、NAD
+アゴニストを含む、請求項1~32のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項34】
NAD
+アゴニストが、NAD
+前駆体である、請求項33に記載の組み合わせ剤。
【請求項35】
NAD
+前駆体が、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、ニコチンアミドリボシド(NR)、ニコチン酸リボシド(NaR)、ニコチン酸リボシドのエステル誘導体、ニコチン酸(niacin)、ニコチン酸のエステル誘導体、ニコチン酸モノヌクレオチド(NaMN)、ニコチン酸モノヌクレオチドのエステル誘導体、ニコチン酸アデニンジヌクレオチド(NaAD)、ニコチン酸アデニンジヌクレオチド(NAAD)、またはこれらの薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグの一つ、または二つまたはそれ以上の組み合わせを含む、請求項34に記載の組み合わせ剤。
【請求項36】
第二の製剤が、NaRまたはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグを含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項37】
第二の製剤が、NaRの塩を含む、請求項36に記載の組み合わせ剤。
【請求項38】
第二の製剤が、NaRの無機塩を含む、請求項37に記載の組み合わせ剤。
【請求項39】
NaRの無機塩が、Li
+、Na
+、K
+、Rb
+、Cs
+、Be
2+、Mg
2+、Ca
2+、Sr
2+、Zn
2+およびBa
2+またはこれらの組み合わせを含む、請求項38に記載の組み合わせ剤。
【請求項40】
第二の製剤が、NaRのアミノ酸塩を含む、請求項37に記載の組み合わせ剤。
【請求項41】
NaRのアミノ酸塩が、フェニルアラニン、イソロイシン、トリプトファン、リシン、アスパラギン、バリン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニンおよびプロリンから選択される、請求項40に記載の組み合わせ剤。
【請求項42】
NaRのアミノ酸塩が、トリプトファン塩である、請求項41に記載の組み合わせ剤。
【請求項43】
第二の製剤が、NaMNまたはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグを含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項44】
第二の製剤が、NaMNの無機塩を含む、請求項43に記載の組み合わせ剤。
【請求項45】
NaMNの無機塩が、Li
+、Na
+、K
+、Rb
+、Cs
+、Be
2+、Mg
2+、Ca
2+、Sr
2+、Zn
2+およびBa
2+またはこれらの組み合わせを含む、請求項44に記載の組み合わせ剤。
【請求項46】
第二の製剤が、NaMNのアミノ酸塩を含む、請求項43に記載の組み合わせ剤。
【請求項47】
NaMNのアミノ酸塩が、モノL-バリン塩、モノL-グルタミン塩、ジL-バリン塩、ジL-グルタミン塩、モノL-ヒスチジン塩、ジL-ヒスチジン塩、モノL-アルギニン塩、モノL-トリプトファン塩、ジL-アルギニン塩、ジL-グルタミン塩、ジL-トリプトファン塩、ジL-スレオニン塩、ジL-リシン塩、モノL-メチオニン塩、ジL-ロイシン塩およびジD-バリン塩から選択されるか、またはこれらの組み合わせである、請求項46に記載の組み合わせ剤。
【請求項48】
第二の製剤が、NMNまたはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグを含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項49】
第二の製剤が、NMNの無機塩を含む、請求項48に記載の組み合わせ剤。
【請求項50】
NMNの無機塩が、Li
+、Na
+、K
+、Rb
+、Cs
+、Be
2+、Mg
2+、Ca
2+、Sr
2+、Zn
2+およびBa
2+またはこれらの組み合わせを含む、請求項49に記載の組み合わせ剤。
【請求項51】
第二の製剤が、NMNのアミノ酸塩を含む、請求項48に記載の組み合わせ剤。
【請求項52】
NMNのアミノ酸塩が、モノL-バリン塩、モノL-トリプトファン塩、モノL-プロリン塩から選択されるか、またはこれらの組み合わせである、請求項51に記載の組み合わせ剤。
【請求項53】
第二の製剤が、NAまたはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグを含む、請求項1~35のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項54】
第二の製剤が、NAの無機塩を含む、請求項53に記載の組み合わせ剤。
【請求項55】
NAの無機塩が、Li
+塩、Na
+塩、K
+塩、Rb
+塩、Cs
+塩、Be
2+塩、Mg
2+塩、Ca
2+塩、Sr
2+塩、Zn
2+塩およびBa
2+塩またはこれらの組み合わせを含む、請求項53に記載の組み合わせ剤。
【請求項56】
第二の製剤が、NAのアミノ酸塩を含む、請求項53に記載の組み合わせ剤。
【請求項57】
第二の製剤が、フィセチンを含む、請求項33~56のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項58】
第二の製剤が、経口投与用に製剤化される、請求項1~57のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項59】
第二の製剤が、錠剤またはカプセルの形態である、請求項58に記載の組み合わせ剤。
【請求項60】
第二の製剤が、少なくとも約100mg、150mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、500mg、750mg、1000mg、1250mg、2500mg、3500mg、5000mgまたは7000mgのフラボノイドを含む、請求項1~59のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項61】
第二の製剤が、少なくとも約50mgのNAD
+アゴニストを含む、請求項1~60のいずれか一項に記載の組み合わせ剤。
【請求項62】
第二の製剤が、少なくとも約100mg、150mg、150mg、200mg、250mg、300mg、350mg、400mg、500mg、750mg、1000mg、1250mg、2500mg、3500mg、5000mgまたは7000mgのNAD
+アゴニストを含む、請求項58に記載の組み合わせ剤。
【請求項63】
第一の製剤が、NaRまたはその薬学的に許容できる塩を含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項64】
第一の製剤がNaRまたはその薬学的に許容できる塩を含み、第二の製剤がフィセチンを含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項65】
第一の製剤がNaRの無機塩を含み、第二の製剤がフィセチンを含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項66】
第一の製剤がNaRのアミノ酸塩を含み、第二の製剤がフィセチンを含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項67】
第一の製剤がNaRのトリプトファン塩を含み、第二の製剤がフィセチンを含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項68】
第一の製剤がNaMNまたはその薬学的に許容できる塩を含み、第二の製剤がフィセチンを含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項69】
第一の製剤がNaMNの無機塩を含み、第二の製剤がフィセチンを含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項70】
第一の製剤がNaMNのアミノ酸塩を含み、第二の製剤がフィセチンを含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項71】
第一の製剤がNaMNのトリプトファン塩を含み、第二の製剤がフィセチンを含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項72】
第一の製剤がNaRまたはその薬学的に許容できる塩を含み、第二の製剤がフィセチンおよびNaRまたはその薬学的に許容できる塩を含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項73】
第一の製剤がNaRの無機塩を含み、第二の製剤がフィセチン、およびNaRの無機塩を含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項74】
第一の製剤がNaRのアミノ酸塩を含み、第二の製剤がフィセチン、およびNaRのアミノ酸塩を含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項75】
第一の製剤がNaRのトリプトファン塩を含み、第二の製剤がフィセチン、およびNaRのトリプトファン塩を含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項76】
第一の製剤がNaMNまたはその薬学的に許容できる塩を含み、第二の製剤がフィセチン、およびNaMNまたはその薬学的に許容できる塩を含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項77】
第一の製剤がNaMNの無機塩を含み、第二の製剤がフィセチン、およびNaMNの無機塩を含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項78】
第一の製剤がNaMNのアミノ酸塩を含み、第二の製剤がフィセチン、およびNaMNのアミノ酸塩を含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項79】
第一の製剤がNaMNのトリプトファン塩を含み、第二の製剤がフィセチン、およびNaMNのトリプトファン塩を含む、請求項1に記載の組み合わせ剤。
【請求項80】
請求項1~79のいずれか一項に記載の組み合わせ剤を含むキットまたは製品。
【請求項81】
老化に関連する年齢に関連する障害を処置または予防する方法であって、それを必要とする対象に請求項1~79のいずれか一項に記載の組み合わせ剤を投与することを含む、方法。
【請求項82】
神経変性疾患または障害を処置または予防する方法であって、それを必要とする対象に請求項1~79のいずれか一項に記載の組み合わせ剤を投与することを含む、方法。
【請求項83】
NAD
+アゴニストが、約10mg/kg~約100mg/kgの用量で投与される、請求項81または請求項82に記載の方法。
【請求項84】
NAD
+アゴニストが、約20mg/kgの用量で投与される、請求項83に記載の方法。
【請求項85】
NAD
+アゴニストが、NaRまたはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグを含む、請求項83または請求項84に記載の方法。
【請求項86】
NAD
+アゴニストが、NMNまたはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグを含む、請求項83または請求項84に記載の方法。
【請求項87】
フラボノイドが、約20mg/kg~約100mg/kgの用量で投与される、請求項81~86のいずれか一項に記載の方法。
【請求項88】
フラボノイドが、約40mg/kgの用量で投与される、請求項87に記載の方法。
【請求項89】
フラボノイドが、フィセチンである、請求項87または請求項88に記載の方法。
【請求項90】
NAD
+アゴニストが、毎日投与される、請求項81~89のいずれか一項に記載の方法。
【請求項91】
フラボノイドが、少なくとも週に2回投与される、請求項81~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項92】
フラボノイドが、少なくとも週に3回投与される、請求項81~90のいずれか一項に記載の方法
【請求項93】
フラボノイドが、週に2~3日間連続して投与される、請求項81~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項94】
フラボノイドが、1週間おきに2~3日間連続して投与される、請求項81~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項95】
フラボノイドが、少なくとも月に2回投与される、請求項81~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項96】
フラボノイドが、月に2~3日間連続して投与される、請求項81~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項97】
フラボノイドが、月に2日間連続して投与される、請求項81~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項98】
週間投与レジメンを含み、該投与レジメンは、請求項33~62および72~79のいずれか一項に記載の第二の製剤を少なくとも2~3日間連続して投与すること、次いで第一の製剤を毎日投与すること、を含む、請求項81~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項99】
月間投与レジメンを含み、該投与レジメンは、請求項33~62および72~79のいずれか一項に記載の第二の製剤を少なくとも1週間おきに2~3日間連続して投与すること、およびその月の残りの日に第一の製剤を毎日投与すること、を含む、請求項81~90のいずれか一項に記載の方法。
【請求項100】
月間投与レジメンを含み、該投与レジメンは、
第一の製剤(ここで、NAD
+アゴニストは、NaRまたはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグである)を、約20mg/kgの用量で毎日投与すること;および
第二の製剤(ここで、フラボノイドはフィセチンである)を、約40mg/kgの用量で2日間連続して投与すること、
を含む、請求項81~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項101】
月間投与レジメンを含み、該投与レジメンは、
第一の製剤(ここで、NAD
+アゴニストは、NMNまたはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグである)を、約20mg/kgの用量で毎日投与すること;および
第二の製剤(ここで、フラボノイドは、フィセチンである)を、約40mg/kgの用量で2日間連続して投与すること、
を含む、請求項81~84のいずれか一項に記載の方法。
【請求項102】
月間投与レジメンの長さが28日間であり、ここで、第二の製剤の投与は28日間のうち第1日目および第2目に行われる、請求項100または101に記載の方法。
【請求項103】
前記月間投与レジメンが、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも7ヶ月間、少なくとも8ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも10ヶ月間、少なくとも11ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、少なくとも36ヶ月間、少なくとも48ヶ月間、少なくとも60ヶ月間、少なくとも72ヶ月間、少なくとも84ヶ月間、少なくとも96ヶ月間、少なくとも108ヶ月間、少なくとも120ヶ月間、または少なくとも240ヶ月間繰り返される、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
年齢に関連する疾患または障害が、眼機能の喪失、骨密度の低下、インスリン非感受性、虚弱、骨関節症、認知障害(例えば、認知症)、代謝性疾患、肥満、炎症性症候群、心血管疾患、脂質障害、年齢に関連する筋肉喪失、骨粗鬆症、慢性腎臓疾患、血管疾患から選択されるか、またはこれらの組み合わせである、請求項81および83~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項105】
神経変性疾患または障害が、レヴィー小体病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(ALS)、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、老人性認知症、ピック病、パーキンソニズム認知症症候群、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、視床変性症症候群、遺伝性失語症、またはミオクローヌスてんかんである、請求項82~103のいずれか一項に記載の方法。
【請求項106】
神経変性疾患または障害が、前頭側頭型認知症(frontal-temporal dementia)、気分・不安障害(mood and anxiety disorder)、うつ病、統合失調症、自閉症、不安、パニック発作、過食、社会恐怖症、情動障害、精神障害、軽度認知機能障害、発作、神経変性疾病、認知症、頭部外傷または傷害、混乱を伴うヒステリー、認知障害;年齢に関連する認知症;年齢による記憶機能障害;イオン欠乏性障害(ion deficit disorder);精神病;精神病と関連する認知障害である、請求項82~103のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は、2021年4月13日出願の米国仮特許出願63/174,456および2022年2月16日出願の米国仮特許出願63/310,881の優先権を主張し、これら全内容は引用により本明細書に包含される。
【0002】
(発明の分野)
本発明の分野は、ニコチン酸誘導体の製剤、フラボノイドポリフェノールの製剤、これらの調製プロセスおよび使用方法に関する。
【背景技術】
【0003】
NAD+は、様々な代謝機能を支えるために必要な細胞プロセスの必須成分である。NAD+の典型的な役割は、細胞の酸化還元反応を触媒する補酵素であり、解糖、脂肪酸のβ酸化、またはトリカルボン酸サイクルなどの多くの基本的な代謝プロセスにおいて、NADHに還元されるNAD+は、アミノ酸、脂肪酸および炭水化物のエネルギー代謝において電子担体として機能する(Bogan & Brenner, 2008)。さらに、NAD+は、酸化還元反応に重要であり、DNA修復、エネルギー代謝、細胞生存および概日リズムの調節においてD’-消費酵素であるポリ-アデノシン-リボースポリメラーゼ(PARPs)、サーチュイン(SIRT1~SIRT7)およびCD38/157外酵素によるシグナル伝達の基質としても重要である(Bonkowski, M.S. & Sinclair, D., Nat. Rev. Mole. Cell. Bio., 17, 679-690, 2016))。
【0004】
NAD+レベルは、年齢とともに細胞、組織/臓器、および生物レベルで低下する。NAD-消費酵素の活性は、このNAD+の低下によって影響を受け、これは、年齢に関わる広範な病態生理学に関与する。老化の過程でNAD+のレベルを高めると、グルコース代謝とミトコンドリア機能が改善することが観察されている。NAD+濃度を上げると、酵母、ハエおよびマウスにおいて老化が遅れる(Mouchiroud et al. Cell 154, 464-471, 2014)。さらに、NAD+がタンパク質-タンパク質相互作用を直接調節することも実証されており、その調節は、老化に直接的な影響を及ぼすだけでなく、癌や放射線被曝からも防護できる可能性がある((Li et al., Science 355, 1312-1317, 2017)。
【0005】
NAD+を合成するためのいくつかの前駆体および中間体がある:トリプトファン、ニコチンアミド、ニコチン酸(NA)、ニコチンアミドリボシド(NR)、およびニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、ニコチン酸リボース(NaR)およびニコチン酸モノヌクレオチド(NaMN)。これらの前駆体、中間体およびそれらの誘導体は、幅広い生物学的活性を有し、NAD前駆体およびその誘導体の補給は、NAD+レベルを増加させることにより、哺乳動物における身体的持久力の増加、健康寿命および長寿と関連している。
【0006】
フラボノイドおよびそのポリマーは、有益な健康効果を与える植物栄養素の最大のグループの一つを含む。これらの化合物は、老化細胞を選択的に標的し、アポトーシス/死を誘導する老化細胞破壊剤(senolytic agent)老化細胞破壊である(Kirkland, et al. 2017 J Am GeriatrSoc 65(10):2297-2301; Zhu, et al. 2015 Aging Cell 14(4):644-658)。年齢とともに増加する細胞老化は、DNA損傷の蓄積により、増殖細胞または終末分化した非分裂細胞のクロマチンの状態に変化が生じるときに発生する。その後、これらの細胞は分裂を停止し、アポトーシスに対して抵抗性を示すようになる。フラボノイドポリフェノールは、その老化細胞破壊活性を通じて、健康と寿命に影響を及ぼすことが示されている。
【0007】
フィセチン、モリン、ケルセチン、イソラムネチン、ルテオリンおよびミリセチンなどのフラボノイドポリフェノールは、研究されており、それらの老化細胞破壊活性に寄与すると考えられる多くの生物学的活性を有することが示されている。例えば、フィセチン(3,3',4',7-テトラヒドロキシフラボン)は、様々なヒト食品に存在する生理活性フラボノールであり、抗増殖性、アポトーシス活性、抗酸化活性および神経保護活性と関連している(Khan et al., Antioxidants & Redox Signaling 19(2):151-162, 2013)。フィセチンはまた、インビトロでヒト低比重リポタンパク質(LDL)の酸化を阻害し(Shia et al., Agric. Food Chem 57:83-89, 2009))、キノンオキシドレダクターゼ活性を誘導し(Kimura et al., I. Epidemiol. 8:168-175, 1998)、ERK1/2およびPC12の分化を活性化することによって神経突起伸長を誘導すると報告されている((Szliska et al., Int. J. Oncol. 39:771-779, 2011)。
【0008】
したがって、多くのアプローチが研究されているにもかかわらず、老化および年齢に関連する状態と関連する生理学的な低下を軽減する製剤の開発が引き続き必要とされている。
【発明の概要】
【0009】
本明細書では、NAD+アゴニストを含む製剤、フラボノイドポリフェノールを含む製剤、NAD+アゴニストおよびフラボノイドポリフェノールの組み合わせを含む製剤が提供される。また、本明細書では、対象において年齢に関連する疾患または障害の少なくとも一つの症状または兆候を処置、改善、または予防する(すなわち、発生の可能性を低減する)方法において使用するための、これらの製剤の組み合わせ剤を投与する方法が提供される。
【0010】
本明細書で提供される製剤および方法は、フラボノイドポリフェノール(例えば、フィセチン)によって誘導される老化細胞の選択的アポトーシスおよび老化細胞の除去(セノリシス、senolysis)、ならびにNAD+アゴニストによって誘導される健常細胞におけるNAD+濃度の増加をもたらす。従って、本明細書で提供される製剤の使用により、年齢に関連する状態、例えば、心血管疾患および代謝性疾患の処置に対する相乗効果を提供する。
【0011】
従って、一態様において、本明細書では、(a)NAD+アゴニスト、その薬学的に許容される塩、誘導体または代謝物を含む、第一の製剤;および(b)ポリフェノールフラボノイドを含む、第二の製剤、を含む組み合わせ剤が提供される。いくつかの実施態様において、NAD+アゴニストは第一の製剤中の唯一の活性剤であり、ポリフェノールフラボノイドは第二の製剤中の唯一の活性剤である。いくつかの実施態様において、NAD+アゴニストは第1の製剤中の唯一の活性物質であり、第二の製剤は、フラボノイドポリフェノールおよびNAD+アゴニストを含む。
【0012】
別の態様において、本明細書では、改善、処置および/または遅延を必要とする対象において年齢に関連する疾患または障害を改善、処置および/または遅延する方法であって、有効量の(a)NAD+アゴニストを含む製剤;および(b)ポリフェノールフラボノイドを含む製剤、を投与することを含む、方法が提供される。
【0013】
別の態様において、改善または予防を必要とする対象において認知パフォーマンスの低下を改善または予防する方法であって、有効量の(a)NAD+アゴニストを含む製剤;および(b)ポリフェノールフラボノイドを含む製剤、を投与することを含む、方法が提供される。
【0014】
また、本明細書では、第一の製剤および第二の製剤を含むキットおよび製品が提供される。
【0015】
本明細書で提供される製剤の他の特徴および利点は、以下の説明、実施例、および特許請求の範囲から明らかになるであろう。本明細書で言及される全ての刊行物、特許出願、特許および他の参考文献は、引用によりその全体が包含される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】
図1は、群1の個々のビーグル犬における、-7日目と、1日目および7日目にNARの経口投与(10mg/kg/日)後の、NAD
+の処理した全血液中濃度のグラフィックデピクションである。
【0017】
【
図2】
図2は、群2の個々のビーグル犬における、-7日目と、1日目および7日目にNARの経口投与(20mg/kg/日)後の、NAD
+の処理した全血液中濃度のグラフィックデピクションである。
【0018】
【
図3】
図3は、群3の個々のビーグル犬における、-7日目と、1日目および7日目にNARの経口投与(30mg/kg/日)後の、NAD
+の処理した全血液中濃度のグラフィックデピクションである。
【0019】
【
図4】
図4は、群1~3の個々のビーグル犬における、-7日目と、1日目および7日目のNARの経口投与後の、NAD
+のC
max、処理した全血液中濃度のグラフィックデピクションである。
【0020】
【
図5】
図5は、群1~3の個々のビーグル犬における、-7日目と、1日目および7日目にNARの経口投与後の、NAD
+のAUC
0-24、処理した全血液中濃度のグラフィックデピクションである。
【0021】
【
図6】
図6は、個々のビーグル犬における、1日目および7日目にNARの経口投与後の、NAD
+の処理した全血液中比率のグラフィックデピクションである。
【0022】
【
図7】
図7A~7Cは、低用量および高用量のNaR(それぞれ60mg/kgおよび400mg/kg)で処置したマウスの虚弱指数(Frailty Index)(
図7A)、FRIGHT Age(
図7B)およびAFRAIDスコア(
図7C)のグラフィックデピクションである。試料は18~30ヵ月齢から毎月採取した。
【0023】
【
図8】
図8Aおよび8Bは、実施例6の試験#1のビーグルにおける、NaRおよびフィセチンの用量レベルに対する全血液中NAD濃度および全体的曝露(AUC
0-24)のグラフィックデピクションである。
図8Aは、24時間にわたる異なる用量レベルのNaRおよびフィセチンの全体的曝露(AUC
0-24)に対する全血液中NAD濃度を示すプロットである。正方形のセルは同じ目盛りを有し、各正方形の右上の象限は望ましい結果(NADの高濃度およびACU
0-24の高値)である。
図8Bは、20mg/kgのNaRおよび40mg/kgのフィセチンを投与したビーグルにおけるNADの全血中濃度のプロットである。NADレベルは2日目にピーク濃度を示した後、NaRを毎日投与したにもかかわらず、3日目、4日目、5日目および7日目にはベースラインまで低下した。その後、NaRまたはフィセチンをさらに投与しなかったら、NADレベルは21日目と35日目に上昇した。
【0024】
【
図9】
図9Aおよび9Bは、実施例6の試験#2からのNaRおよびフィセチンの用量レベルに対する全血液中NAD濃度および全体的曝露(AUC
0-12)のグラフィックデピクションである。
図9Aは、12時間にわたるNaR 20mg/kgおよびフィセチン20mg/kgの投与レジメンから得られた全体的曝露(AUC
0-12)に対する全血液中NAD濃度を示すプロットである。
図9Bは、NaR 20mg/kgおよびフィセチン20mg/kgの投与から得られたNADの全血液中濃度のプロットである。14日目、21日目および28日目の12時間にわたるNAD濃度は、前の日と比較して回復していない。
【0025】
【
図10】
図10A~10Eは、実施例6の試験#1および試験#2からの全血液中NAD濃度(ng/mL)および全体的曝露(AUC
0-12およびAUC
0-24)相関分析のグラフデピクションである。
図10Aおよび
図10Bは、NaRのみを様々な用量レベルで投与することによる、それぞれ12時間および24時間の期間にわたるNAD濃度および全体的曝露を描写したプロットである。
図10Cは、20mg/kgの用量のフィセチンのみを投与することによる12時間にわたるNAD濃度と全体的曝露を描写したプロットである。
図10Dおよび
図10Eは、NaRとフィセチンの組み合わせ剤を様々な用量レベルで投与することによる、それぞれ12時間および24時間にわたるNAD濃度および全体的曝露を描写したプロットである。
【0026】
【
図11】
図11A~11Fは、実施例6の試験#1および試験#2のすべての投与レジメンについて、日ごとのNADの濃度(ng/mL)を比較したグラフ描写である。NaRのみの投与量(
図11A~11B)では、C
max中央値が6990ng/mLであり、AUC
0-24中央値が133,000ng/mLであった。フィセチンのみの投与量(
図11C~11D)では、C
max中央値が5090ng/mLであり、AUC
0-24中央値が49,900ng/mLであった。NaRとフィセチンの組み合わせ投与量(
図11E~11F)では、C
max中央値が6290ng/mLであり、AUC
0-24中央値が125,000ng/mLであった。
【0027】
【
図12】
図12は、実施例6の試験#2からの20mg/kgのNaRおよび20mg/kgのフィセチン対20mg/kgのNARおよび40mg/kgのフィセチンの投与を比較した全血液中NAD濃度のプロットである。NaRは28日間にわたって投与し、フィセチンは1日目と2日目のみに投与した。両投与レジメンとも、7日目と14日目にNAD濃度の低下をもたらしたが、20mg/kgのNARと40mg/kgのフィセチンの投与レジメンでは、NAD濃度は28日目と35日目にベースラインレベル超に回復した。
【0028】
詳細な説明
本明細書では、老化に関連する疾患または障害を処置、予防または改善する方法に使用するためのニコチンアミド(NAD)誘導体およびフラボノイドポリフェノールの組み合わせを含む製剤、ならびにキットおよび製品、ならびにそれらの調製方法が提供される。
【0029】
決して限定することを意図するものではないが、本明細書で提供される製剤、キット、および製品を使用できる適切な用途をこの部分に記載し、実施例で例示する。
【0030】
I.定義
本説明をより容易に理解できるようにするために、最初に特定の用語を定義する。追加の定義は、詳細な説明全体にわたって説明される。他に定義されない限り、本明細書で使用されるすべての技術用語および科学用語は、当業者によって一般に理解されるのと同じ意味を有し、免疫学、タンパク質化学、生化学、組換えDNA技術および薬理学の従来の方法が使用される。
【0031】
本明細書で使用される場合、単数形「a」、「an」および「the」は、文脈上明らかに別段の指示がない限り、複数の指示対象を含む。「または」または「および」の使用は、特に明記されていない限り、「および/または」を意味する。さらに、「含む」という用語、ならびに「含む(include)」、「含む(includes)」、および「含まれる」などの他の形式の使用は、限定的なものではない。
【0032】
本明細書において、量、時間的区切りなどの測定可能な値に言及する際に使用される用語「約」は、規定値から±10%までの変動を包含する。特に断らない限り、本明細書で使用される成分の量、分子量などの性質、反応条件などを表す数値はすべて、「約」という用語によって修飾されていると理解される。
【0033】
本明細書で使用される場合、「NADアゴニスト」とは、細胞または血液試料中のNAD+レベルを上昇させ、および/または細胞または血液試料中のNAD+とNADHレベルとの比を上昇させ、および/または細胞または血液試料中のNAD+産生を増加させる薬剤である。細胞または血液試料中のNAD+の量、細胞または血液試料中のNAD+とNADHとの比、および細胞または血液試料中のNAD+の産生を測定する方法は、当該分野で公知であり、例えば、Schwartz et al. (1974) J. Biol. Chem. 249:4138-4143; Sauve and Schramm (2003) Biochemistry 42(31):9249-9256; Yamada et al. (2006) Analytical Biochemistry 352:282-285に記載されているか、または、例えば、NAD/NADH-Glo Assay (Promega Inc.)またはNAD/NADH Quantitation Colorimetric Kit(BioVision Inc.)のような市販のキットを用いて測定することができる。
【0034】
用語「製剤」とは、活性成分の生物学的活性を有効にできる形態であって、製剤が投与される対象に対して有意に毒性のある追加成分を含まない調製物を意味する。
【0035】
「無菌」製剤とは、病原性生物を含まない、または本質的に含まない製剤を意味する。
【0036】
用語「無菌」または「商業的に無菌の」製剤は、無菌であるか、活性成分を変化または分解し得る全ての生きた微生物およびその芽胞を含まないか、または本質的に含まない。
【0037】
本明細書で使用する「安定な」製剤とは、その中の活性成分が、保存時に物理的安定性および/または化学的安定性および/または生物学的活性を本質的に保持するものである。
【0038】
本明細書で使用する「担体」、「栄養学的に許容できる担体」および「薬学的に許容できる担体」という用語は、対象の体内での活性物質の運搬または輸送に関与する、液体または固体の増量剤、希釈剤、賦形剤、溶媒またはカプセル化材料などの材料、組成物またはビヒクルを含む、本明細書で提供される製剤中の他の成分と適合性があり、対象にとって有害でない担体、賦形剤および希釈剤を包含する。
【0039】
用語「界面活性剤」とは、両親媒性構造(すなわち、相反する溶解傾向を有する基、典型的には油溶性の炭化水素鎖と水溶性のイオン性基とから構成される)を有する有機物質であって、二つの液体間または液体と固体との間の表面張力(または界面張力)を低下させることができるものを意味する。界面活性剤は、洗浄剤、湿潤剤、乳化剤、起泡剤および分散剤として作用する。界面活性剤は、表面活性部分の電荷に応じて、アニオン性剤、カチオン性剤および非イオン性剤に分類され、様々な医薬組成物や生物学的材料の調製に使用される。
【0040】
「防腐剤」は、製剤中に任意に含有させることができる化合物であって、その中で細菌の作用を本質的に減少させ、したがって、例えば、多用途製剤の製造を容易にする化合物である。潜在的な防腐剤の例としては、オクタデシルジメチルベンジルアンモニウムクロライド、ヘキサメトニウムクロライド、ベンザルコニウムクロライド(アルキル基が長鎖化合物であるアルキルベンジルジメチルアンモニウムクロライドの混合物)、およびベンゼトニウムクロライドがある。その他の防腐剤としては、芳香族アルコール、例えばフェノール、ブチルおよびベンジルアルコール、アルキルパラベン、例えばメチルまたはプロピルパラベン、カテコール、レゾルシノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、およびm-クレゾールがある。
【0041】
本明細書で使用される用語「処置する(treat)」、「処置する(treating)」および「処置(treatment)」ならびに「処置」の方法は、疾患もしくは障害または再発性の疾患もしくは障害の一つまたはそれ以上の症状の治癒、遅延、重症度の軽減、または改善のために、またはそのような処置がない場合に予想されるよりも対象の生存を延長するために、対象への本明細書に開示される組み合わせ剤の投与する際に用いる。
【0042】
本明細書で使用される用語「有効量」とは、疾患の症状を軽減または改善するため、または処置される対象の生存を延長するために、本明細書で提供される組み合わせ剤の量を意味する。有効量の決定は、特に本明細書で提供される詳細な開示に照らして、当業者の能力の範囲内である。有効量は、インビトロおよびインビボの方法を用いて決定され得る。
【0043】
本明細書で使用される「投与」とは、当業者に公知の様々な方法および送達システムのいずれかを用いて、本明細書で提供される製剤を含む組成物を対象に物理的に導入することを意味する。本明細書に記載の製剤の好ましい投与経路としては、経口、局所、上皮または粘膜投与経路、例えば、鼻腔内、経口、膣、直腸、舌下などがある。他の投与経路としては、静脈内、腹腔内、筋肉内、皮下、脊髄または他の非経腸投与経路、例えば注射または注入による投与がある。本明細書で使用される語句「非経腸投与」とは、経腸投与および局所投与以外の投与様式を意味し、通常は注射によるものであり、静脈内、腹腔内、筋肉内、動脈内、髄腔内、リンパ管内、病巣内、嚢内、眼窩内、心臓内、皮内、経気管、皮下、表皮下、関節内、嚢下、クモ膜下、脊髄内、硬膜外および胸骨内注射および注入、ならびにインビボエレクトロポレーションがあるが、これらに限定されない。投与はまた、例えば、1回、複数回、および/または1回以上の長期間にわたって行うことができる。
【0044】
本明細書で使用される用語「予防的使用」または「予防」は、疾患または状態(例えば、年齢に関連する疾患または状態)の可能性を減少させること、またはそれを予防することを意味する。
【0045】
「最適生物学的用量(OBD)」とは、臨床的に許容できない毒性を伴わずに、最も最適で持続的なインビボ応答を与える化合物の最小用量として定義される。
【0046】
化合物について言及する場合の「生物学的に利用可能」という用語は、当技術分野で認識されており、それを可能にする、または投与される化合物の量の一部が、それが投与される対象または患者に吸収されるか、取り込まれるか、または他の方法で生理学的に利用可能である、化合物の形態を意味する。
【0047】
本明細書で使用される場合、用語「慢性的に」(例えば、化合物を慢性的に投与する)または類似の用語は、本明細書で提供される製剤が、少なくとも1ヶ月間(例えば、少なくとも2ヶ月間、3ヶ月間、4ヶ月間、5ヶ月間、または6ヶ月間)、対象において薬剤の有効量を維持するのに十分な量および頻度で対象に投与される投与方法を意味する。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される製剤は、対象に1年またはそれ以上慢性的に投与することができる。
【0048】
本開示に使用される用語「障害」とは、特に断らない限り、疾患、状態または病気という用語を意味するために使用され、疾患、状態、または病気という用語と互換的に使用される。
【0049】
本明細書で使用される場合、用語「対象」は、任意のヒトまたは非ヒト動物を含む。用語「非ヒト動物」とは、すべての脊椎動物、例えば、哺乳動物および非哺乳動物、例えばマウス、ラット、モルモット、イヌ、ネコ、ウマ、ウシまたはブタ、または非ヒト霊長類、例えばサル、チンパンジー、ヒヒまたはアカゲザルを含む。
【0050】
用語「試料」とは、対象から単離された体液、細胞または組織の集合体を意味する。生物学的体液は、通常、生理的温度で液体であり、対象または生物学的供給源に存在する、それから引き抜かれた、それから発現された、またはそれから抽出された、天然に存在する液体を含み得る。生物学的液体の例としては、血液、血清、漿液、血漿、リンパ液、尿、脳脊髄液、唾液、眼液、嚢胞液、涙液、糞便、喀痰、粘膜分泌液、膣分泌液、婦人科液、腹水液、胸水、心膜液、腹膜液、腹腔液、その他の体腔液、気管支洗浄によって採取される液体などが挙げられる。
【0051】
本明細書で使用される用語「対照試料」とは、例えば、健康な対象からの試料または評価される対象からより早い時点で作製された試料を含む、臨床的に関連する任意の対照試料を意味する。
【0052】
本明細書で説明する様々な態様を、以下の小項目でさらに詳細に説明する。
【0053】
II.NADアゴニストおよび誘導体
本明細書で提供される第一の製剤に使用することができる適当なNAD+アゴニストには、ニコチンアミドモノヌクレオチド(NMN)、ニコチンアミドリボシド(NR)、ニコチン酸リボシド(NaR)、ニコチン酸リボシドのエステル誘導体、ニコチン酸(niacin)、ニコチン酸のエステル誘導体、ニコチン酸モノヌクレオチド(NaMN)、ニコチン酸モノヌクレオチドのエステル誘導体、ニコチン酸アデニンジヌクレオチド(NaAD)、ニコチン酸アデニンジヌクレオチド(NAAD)、またはこれらの薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグの一つ、または二つまたはそれ以上の組み合わせ(これらに限定されない)を含む、NAD+前駆体およびその誘導体を含む。
【0054】
NAD+前駆体およびその誘導体は、当該技術分野において公知であり、例えば、米国特許8106184、米国特許10654883、米国特許10183036、WO2019/221813、WO2019/222368、WO2020/028682、WO2020/028684、WO2019/222360およびWO2019/023748、WO2019/226755(これらの各内容は参照により組み込まれる)に記載されているように、市販の出発物質を使用して製造することができ、または公知の有機、無機および/もしくは酵素プロセスを使用して合成することができる。
【0055】
いくつかの実施態様において、第一の製剤は、NaRまたはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグを含む。いくつかの実施態様において、前記製剤は、NaRの塩を含む。
【0056】
いくつかの実施態様において、第一の製剤は、NaRの無機塩を含む。いくつかの実施態様において、NaRの無機塩は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Zn2+およびBa2+またはこれらの組み合わせを含む。一実施態様において、NaRの無機塩は、Na+を含む。一実施態様において、NaRの無機塩は、K+を含む。
【0057】
いくつかの実施態様において、第一の製剤は、NaRのアミノ酸塩を含む。NaRのアミノ酸塩は、20種類の天然に存在するアミノ酸またはその誘導体のいずれか一つを含むことができる。いくつかの実施態様において、NaR塩はモノ-アミノ酸塩である。いくつかの実施態様において、NaR塩はジ-アミノ酸塩である。いくつかの実施態様において、NaRのアミノ酸塩は、フェニルアラニン、イソロイシン、トリプトファン、リジン、アスパラギン、バリン、アスパラギン酸、アラニン、アルギニンおよびプロリンから選択される。
【0058】
いくつかの実施態様において、NaRのアミノ酸塩は、
(S)-2-アンモニオ-3-フェニルプロパノエート化合物と1-((2R,3R,4 S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート(1:1);
(2S,3S)-2-アンモニオ-3-メチルペンタノエート化合物と1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート(1:1);
(S)-2-アンモニオ-3-(1H-インドール-3-イル)プロパノエート化合物と1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート(1:1);
1-((2R,3R,4 S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート-(S)-6-アミノ-2-アンモニオヘキサノエート(1:1);
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート(S)-5-アミノ-2-アンモニオ-5-オキソペンタノエート(1:1);
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン-2-イル-ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート-(S)-2-アンモニオ-4-メチルペンタノエート(1:1);
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート-(S)-2-アンモニオ-4-カルボキシブタノエート(1:1);
(S)-2-アンモニオ-3-メチルブタノエート-1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート(1:1);
(S)-2-アンモニオ-5-グアニジノペンタノエート-1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート(1:1);および
1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート-(S)-2-アンモニオ-3-(1H-イミダゾール-4-イル)プロパノエート(1:1)、から選択される。
【0059】
いくつかの実施態様において、NaRのアミノ酸塩は、(2S,3S)-2-アンモニオ-3-メチルペンタノエート化合物と1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチルテトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート(1:1);または(S)-2-アンモニオ-3-(1H-インドール-3-イル)プロパノエート化合物と1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-(ヒドロキシメチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート(1:1)である。
【0060】
一実施態様において、NaRのアミノ酸塩は、トリプトファン塩である。
【0061】
いくつかの実施態様において、第一の製剤は、NaMN、またはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグを含む。いくつかの実施態様において、第一の製剤は、NaMNの塩を含む。
【0062】
いくつかの実施態様において、第一の製剤は、NaMNの無機塩を含む。いくつかの実施態様において、NaMNの無機塩は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Zn2+およびBa2+またはこれらの組み合わせを含む。一実施態様において、NaMNの無機塩は、Na+を含む。一実施態様において、NaRの無機塩は、K+を含む。一実施態様において、NaRの無機塩は、Na+およびK+を含む。
【0063】
いくつかの実施態様において、第一の製剤は、
ナトリウム1-((2R,3R,4S,5R)-5-(((水素ホスホネート)オキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;
カリウム1-((2R,3R,4S,5R)-5-(((水素ホスホネート)オキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イルピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート:
ナトリウム1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((ホスホネートオキシ)メチル)-テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;
カリウム1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((ホスホネートオキシ)メチル)-テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート;
カリウムナトリウム1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((ホスホネートオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;
ナトリウム1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(((水素ホスホネート)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;
カリウム1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(((水素ホスホネート)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;
リチウム1-((2R,3R,45,5R)-5-(((水素ホスホネート)オキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート;
リチウム1-((2R,3R,45,5R)-2,4-ジヒドロキシ-5-((ホスホネート)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート;
カルシウム1-((2R,3R,4S,5R)-5-(((水素ホスホネート)オキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;および
マグネシウム1-((2R,3R,4S,5R)-5-(((水素ホスホネート)オキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン1-イウム-3-カルボキシレート;
またはこれらの組み合わせから選択される、NaMNの無機塩を含む。
【0064】
特定の実施態様において、第一の製剤は、ナトリウム1-((2R,3R,4S,5R)-5-(((水素ホスホネート)オキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;カリウム1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((ホスホネートオキシ)メチル)-テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート;カリウムナトリウム1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((ホスホネートオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;カリウム1-((2R,3R,4R,5R)-3,4-ジアセトキシ-5-(((水素ホスホネート)オキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート、またはこれらの組み合わせを含む。
【0065】
いくつかの実施態様において、第一の製剤は、NaMNのアミノ酸塩を含む。NaMNのアミノ酸塩は、20種類の天然に存在するアミノ酸またはその誘導体のいずれか一つを含むことができる。いくつかの実施態様において、NaMN塩はモノ-アミノ酸塩である。いくつかの実施態様において、NaMN塩はジ-アミノ酸塩である。いくつかの実施態様において、NaMNのアミノ酸塩は、バリン、グルタミン、ヒスチジン、アルギニン、トリプトファン、スレオニン、プロリン、リシン、メチオニン、ロイシン、イソロイシンおよびバリンから選択される。
【0066】
いくつかの実施態様において、NaMNのアミノ酸塩は、モノL-バリン塩、モノL-グルタミン塩、ジL-バリン塩、ジL-グルタミン塩、モノL-ヒスチジン塩、ジL-ヒスチジン塩、モノL-アルギニン塩、モノL-トリプトファン塩、ジL-アルギニン塩、ジL-グルタミン塩、ジL-トリプトファン塩、ジL-スレオニン塩、ジL-リシン塩、モノL-メチオニン塩、ジL-ロイシン塩およびジD-バリン塩から選択される。
【0067】
いくつかの実施態様において、第一の製剤は、
(S)-1-カルボキシ-2-メチルプロパン-1-アミニウム1-(2R,3R,4S,5R)-5-(((水素ホスホネート)オキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;
(S)-4-アミノ-1-カルボキシ-4-オキソブタン-1-アミニウム1-((2R,3R,4S,5R)-5-(((水素ホスホネート)オキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;
ビス((S)-1-カルボキシ-2-メチルプロパン-1-アミニウム)-1-((2R,3R,4S,5R)-3,4- ジヒドロキシ-5-((ホスホネートオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート;
ビス((S)-4-アミノ-l-カルボキシ-4-オキソブタン-l-アミニウム)-1-((2R,3R,45,5R)-3.4-ジヒドロキシ-5-((ホスホネートオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート;
(S)-1-カルボキシ-2-(1H-イミダゾール-4-イル)エタナミニウム1-((2R,3R,4S,5R)-5-(((水素ホスホネート)オキシ)メチル)-3.4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;
ビス((S)-1-カルボキシ-2-(1H-イミダゾール-4-イル)エタナミニウム)-1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((ホスホネートオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;
(S)-1-カルボキシ-4-グアニジノブタン-1-アミニウム1-((2R,3R,4S,5R)-5-(((水素ホスホネート)オキシ)メチル-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;
(S)-1-カルボキシ-2-(1H-インドール-3-イル)エタナミニウム1-((2R,3R4S,5R)-5-(((水素ホスホネート)オキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;
ビス((S)-1-カルボキシ-4-グアニジンブタン-1-アミニウム)-1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((ホスホネートオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;
ビス((S)-1,3-ジカルボキシプロパン-l-アミニウム)-1-(2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((ホスホネートオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;
ビス((S)-1-カルボキシ-2-(1H-インドール-3-イル)エタナミニウム)-1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((ホスホネートオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;
ビス((1S,2R)-1-カルボキシ-2-ヒドロキシプロパン-1-アミニウム)-1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((ホスホネートオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート;
(S)-5-アミノ-5-カルボキシペンタン-1-アミニウム1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((ホスホネートオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;
(S)-1-カルボキシ-3-(メチルチオ)プロパン-l-アミニウム1-((2R,3R,4S,5R)-5-(((水素ホスホネート)オキシ)メチル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-1-イウム-3-カルボキシレート;
(S)-1-カルボキシ-3-メチルブタン-l-アミニウム1-((2R,3R,4S,5R)-3,4-ジヒドロキシ-5-((ホスホネートオキシ)メチル)テトラヒドロフラン-2-イル)ピリジン-l-イウム-3-カルボキシレート、
またはこれらの組み合わせから選択されるNaMNのアミノ酸塩を含む。
【0068】
いくつかの実施態様において、第一の製剤は、NMN、またはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグを含む。いくつかの実施態様において、第一の製剤は、NMNの塩を含む。
【0069】
いくつかの実施態様において、第一の製剤は、NMNの無機塩を含む。いくつかの実施態様において、NMNの無機塩は、Li+、Na+、K+、Rb+、Cs+、Be2+、Mg2+、Ca2+、Sr2+、Zn2+およびBa2+またはこれらの組み合わせを含む。
【0070】
いくつかの実施態様において、NMNの無機塩は、
ナトリウム((2R,3S,4R,5R)-5-(3-カルバモイルピリジン-1-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルホスフェート;
カリウム((2R,3S、4R、5R)-5-(3-カルバモイルピリジン-l-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルホスフェート;
カルシウム((2R,35,4R,5R)-5-(3-カルバモイルピリジン-1-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルホスフェート;
マグネシウム((2R,3S,4R,5R)-5-(3-カルバモイルピリジン-1-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルホスフェート;
リチウム((2R,3S,4R,5R)-5-(3-カルバモイルピリジン-1-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルホスフェート;
から選択されるか、またはこれらの組み合わせである。
【0071】
いくつかの実施態様において、第一の製剤は、NMNのアミノ酸塩を含む。NMNのアミノ酸塩は、20種類の天然に存在するアミノ酸またはその誘導体のいずれか一つを含むことができる。いくつかの実施態様において、NMN塩はモノ-アミノ酸塩である。いくつかの実施態様において、NMN塩はジ-アミノ酸塩である。いくつかの実施態様において、NMNのアミノ酸塩は、モノL-バリン塩、モノL-トリプトファン塩、モノL-プロリン塩、またはこれらの組み合わせである。
【0072】
いくつかの実施態様において、第一の製剤は、
(S)-1-カルボキシ-2-メチルプロパン-l-アミニウム((2R、3S、4R、5R)-5-(3-カルバモイルピリジン-l-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルホスフェート;
S)-1-カルボキシ-2-(1H-インドール-3-イル)エタナミニウム((2R,3S,4R,5R)-5-(3-カルバモイルピリジン-1-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルホスフェート;
S)-2-カルボキシピロリジン-1-イウム((2R,3S,4R,5R)-5-(3-カルバモイルピリジン-1-イウム-1-イル)-3,4-ジヒドロキシテトラヒドロフラン-2-イル)メチルホスフェート;
またはこれらの組み合わせから選択される、NMNのアミノ酸塩を含む。
【0073】
いくつかの実施態様において、第一の製剤は、ニコチン酸(NA)またはその薬学的に許容できる塩、誘導体もしくはプロドラッグを含む。いくつかの実施態様において、第一の製剤は、NAの塩を含む。いくつかの実施態様において、第一の製剤は、NAの無機塩、例えば、Li+塩、Na+塩、K+塩、Rb+塩、Cs+塩、Be2+塩、Mg2+塩、Ca2+塩、Sr2+塩、Zn2+塩、Ba2+塩またはこれらの組み合わせを含む。
【0074】
いくつかの実施態様において、第一の製剤は、NAのアミノ酸塩を含む。
【0075】
いくつかの実施態様において、第一の製剤は、
ニコチン酸L-アルギニン塩;
ニコチン酸L-グルタミン酸塩;
(S)-1-カルボキシ-2-(1H-イミダゾール-4-イル)エタナミニウムニコチネート;
(S)-2-カルボキシピロリジン-1-イウムニコチネート;
(S)-1-カルボキシ-2-メチルプロパン-1-アミニウムニコチネート;
(S)-1-カルボキシ-2-(1H-インドール-3-イル)エタナミニウムニコチネート;
2-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチルアミニウムニコチネート;
(R)-3-カルボキシ-2-ヒドロキシ-N,N,N-トリメチルプロパン-1-アミニウムニコチネート;
(S)-1-カルボキシ-3-(メチルチオ)プロパン-1-アミニウムニコチネート;
(1S,2S)-1-カルボキシ-2-メチルブタン-1-アミニウムニコチネート;
(R)-1-カルボキシ-メチルプロパン-1-アミニウムニコチネート;
(1S,2S)-1-カルボキシ-メチルブタン-1-アミニウムニコチネート;
(S)-1-カルボキシ-メチルブタン-1-アミニウムニコチネート;
ニコチン酸と(R)-5-((S)-1,2-ジヒドロキシエチル)-3,4-ジヒドロキシフラン-2(5H)-オン(1:1);
またはこれらの組み合わせから選択される、NAのアミノ酸塩を含む。
【0076】
III.ポリフェノールフラボノイド
本明細書で提供される第二の製剤に使用するための適当なポリフェノールフラボノイドは、フィセチン;ケルセチン;ルチン;クエルシトリン;カテキン;ガロカテキン;カテキン3-ガレート;ガロカテキン3-ガレート;エピカテキン;エピガロカテキン;エピカテキン3-ガレート;エピガロカテキン3-ガレート;テアフラビン-3-ガレート;テアフラビン-3'-ガレート;テアフラビン-3,3'-ジガレート;ケンフェロール;ミリセチン;ガランギン;イソラムネチン;パキポドール;ラムナジン;ピラノフラボノール;フラノフラボノール;ルテオリン;レスベラトロール;アピゲニン;タンゲレチン;ヘスペレチン;ナリンゲニン;エリオジクチオール;ホモエリオジクチオール;これらの代謝物、アナログおよび誘導体;ならびにこれらの二つまたはそれ以上の組み合わせを含む。特定の実施態様において、第二の製剤は、フィセチンまたはその代謝物(例えば、ジェラルドール(geraldol))、そのアナログもしくは誘導体を含む。
【0077】
フラボノイド、そのアナログ、代謝物および誘導体は、当該技術分野において公知であり、市販されている(例えば、Biomol, Sigma/Aldrich, Indofine)。あるいは、これらは、例えば、AU 201112012および米国特許第9241916号に記載されているように、公知の有機、無機および/または酵素プロセスを用いて、市販の出発物質を用いて製造することができる。
【0078】
特定の実施態様において、フラボノイドは、フィセチン(3,3',4',7-テトラヒドロキシフラボン)またはそのアナログ、誘導体もしくは代謝物である。いくつかの実施態様において、フラボノイドは、フィセチンのグルクロン酸抱合代謝物、硫酸化代謝物またはメチル化代謝物である。いくつかの実施態様において、フラボノイドは、グルクロン酸抱合フィセチンである。いくつかの実施態様において、フラボノイドは、フィセチンの代謝物、例えば、ジェラルドール(geraldol)(3,4’,7-トリヒドロキシ-3’-メトキシフラボン)である。いくつかの実施態様において、フラボノイドは、グルクロン酸抱合ジェラルドール(geraldol)である。
【0079】
IV. 製剤化
意図される投与様式に応じて、本明細書で提供される製剤は、例えば、注射剤、錠剤、坐薬、丸剤、時間放出カプセル、エリキシル、チンキ、エマルジョン、シロップ、粉末、液体、懸濁液などのような、固体、半固体または液体剤形とすることができ、場合によっては単位投与量で、従来の製薬慣行と一致する。同様に、静脈内(ボーラスおよび注入の両方)、腹腔内、皮下または筋肉内の形態も可能であり、製薬技術に精通した当業者によく知られた形態を使用することができる。
【0080】
Remington's Pharmaceutical Sciences 16th edition, Osol, A. Ed. (1980)に記載されているような、一つまたはそれ以上の他の薬学的に許容できる担体、賦形剤または安定剤も、所望の製剤特性に重大な悪影響を与えない限り、製剤に含めることができる。許容できる担体、賦形剤または安定剤は、採用される用量および濃度においてレシピエントに対して無毒であり、以下を含む:追加の緩衝剤;共溶媒;抗酸化剤;EDTAのようなキレート剤;および/またはポリエステルなどの生分解性ポリマー。
【0081】
例えば、いくつかの実施態様において、本明細書で提供される第一の製剤および第二の製剤は、錠剤、カプセルまたは錠剤の形態である。適切な担体としては、限定されないが、精製水、トリグリセリド油、例えば水素化または部分的水素化植物油、またはこれらの混合物、トウモロコシ油、オリーブ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、魚油、例えばEPAまたはDHA、またはこれらのエステルまたはトリグリセリドまたはこれらの混合物、オメガ-3脂肪酸またはその誘導体、ラクトース、デキストロース、スクロース、マンニトール、ソルビトール、セルロース、ナトリウム、サッカリン、グルコースおよび/またはグリシン;滑沢剤、例えば、シリカ、タルカン、ステアリン酸、そのマグネシウム塩またはカルシウム塩、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、塩化ナトリウムおよび/またはポリエチレングリコール;錠剤;結合剤、例えば、ケイ酸アルミニウム・マグネシウム、デンプンペースト、ゼラチン、トラガカント、メチルセルロース、ナトリウムカルボキシメチルセルロース、炭酸マグネシウム、天然糖、例えばグルコースまたはベータ-ラクトース、トウモロコシ甘味剤、天然ガムおよび合成ガム、例えばアカシア、トラガカントまたはアルギン酸ナトリウム、ワックスおよび/またはポリビニルピロリドン、所望であれば;d)崩壊剤、例えば、デンプン、寒天、メチル セルロース、ベントナイト、ザンサンガム、アルギン酸またはそのナトリウム塩、または起沸性混合物;e)吸収剤、着色剤、香味料および甘味料;f)乳化剤または分散剤、例えばツイーン80、Labrasol、HPMC、DOSS、カプロイル909、labrafac、labrafil、peceol、transcutol、capmul MCM、capmul PG-12、captex 355、gelucire、ビタミンE TGPSまたは他の許容できる乳化剤;および/またはg)塩の吸収を向上させる剤、例えばシクロデキストリン、ヒドロキシプロピル-シクロデキストリン、PEG400、PEG200があるが、これらに限定されない。
【0082】
特定の実施態様において、第一の製剤および第二の製剤は、経口投与、例えばカプセル、錠剤、丸剤、顆粒を含む固体形態、または溶液、懸濁液もしくはエマルジョンを含む液体形態に適している。
【0083】
特定の実施態様において、一方または両方の製剤は、錠剤の製造に適した非毒性の経口的に許容できる賦形剤との混和物中に活性成分を含有する錠剤の形態である。これらの賦形剤は、不活性希釈剤、例えば炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウムまたはリン酸ナトリウム;造粒剤および崩壊剤、例えばトウモロコシデンプンまたはアルギン酸;結合剤、例えばデンプン、ゼラチンまたはアカシア;および滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸またはタルクである。錠剤は、コーティングされていなくてもよく、消化管での崩壊および吸収を遅延させ、それによってより長期間にわたって持続的な作用を提供するために、公知の技術によってコーティングされていてもよい。例えば、モノステアリン酸グリセリルまたはステアリン酸グリセリルのような時間遅延物質を採用することができる。
【0084】
特定の実施態様において、一方又は両方の製剤は、不活性固体希釈剤、例えば炭酸カルシウム、リン酸カルシウムまてゃカオリンと混合された活性成分を含有するカプセルの形態であるか、または活性成分を含む組成物が水または油媒体、例えばピーナッツ油、液体パラフィンまたはオリーブ油と混合されるソフトゼラチンカプセルの形態である。
【0085】
本明細書で提供される製剤は、それぞれ従来の混合、造粒またはコーティング方法に従って調製することができる。例えば、本明細書で提供される製剤に含まれる担体には、固体または液体のいずれかが含まれ得る。固形製剤には、粉末、錠剤、分散顆粒、カプセル、カシェ剤および坐薬が含まれる。粉末および錠剤は、約5~45重量%の活性成分を含み得る。適当な固体担体は当技術分野で知られており、例えば炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖またはラクトースである。錠剤、粉末、カシェ剤およびカプセルは、経口投与に適した固体剤形として使用することができる。薬学的に許容できる担体および様々な組成物の製造方法の例は、A. Gennaro (ed.), Remington's Pharmaceutical Sciences, 18th Edition, (1990), Mack Publishing Co., Easton, Paで見出すことができる。
【0086】
本発明の製剤は、滅菌濾過、放射線などを含む種々の滅菌方法によって滅菌することができる。一実施態様において、製剤は、予め滅菌された0.22ミクロンのフィルターを用いて濾過滅菌される。 無菌組成物は、"Remington: The Science & Practice of Pharmacy", 21st ed., Lippincott Williams & Wilkins, (2005)に記載されているように、従来の製薬慣行に従って製剤化することができる。
【0087】
A.第一の製剤
特定の実施態様において、本明細書で提供されるNAD+アゴニストを含む第一の製剤は、経口投与用に製剤化される。好ましい実施態様において、第一の製剤は、カプセル、錠剤または丸剤を含むがこれらに限定されない固体の形態である。
【0088】
経口使用を意図した組成物は、有効な組成物の製造のために当該技術分野で公知の任意の方法に従って調製することができ;そしてそのような組成物は、本明細書に開示されるような一つまたはそれ以上の追加の薬剤を含有することができる。例えば、いくつかの実施態様において、錠剤の形態の製剤は、当技術分野で公知の方法に従ってフィルムコーティングまたは腸溶性コーティングすることができる。
【0089】
第一の製剤中のNAD+アゴニスト(例えば、NaR、NMN、NaMNおよびそれらの塩)の濃度は、所望の用量および投与様式に従って決定される。いくつかの実施態様において、NAD+アゴニストは、少なくとも約2mg/kgのNAD+アゴニストを対象に送達するように製剤化される。いくつかの実施態様において、NAD+アゴニストは、約2mg/kg~100mg/kg、約5mg/kg~100mg/kg、10mg/kg~100mg/kg、約5mg/kg、10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、90mg/kgまたは約100mg/kgを送達するように製剤化される。上記の濃度の中間の範囲も使用できる。例えば、上限値および/または下限値として上記の値のいずれかの組み合わせを使用した値の範囲が含まれることが意図されている。
【0090】
したがって、第一の製剤中のNAD+アゴニストの濃度は、約0.5mg~約10,000mgである。いくつかの実施態様において、第一の製剤は、少なくとも25mg、20mg、50mg、75mg、100mg、150mg、250mg、500mg、750mg、1000mg、1250mg、2500mg、3500mg、4000mg、5000mg、6000mgまたは7000mgのNAD+アゴニストを含むか、または用量リスト中のある量から別の量までの範囲で含む。
【0091】
B.第二の製剤
特定の実施態様において、第二の製剤は、フラボノイドを含む。特定の実施態様において、第二の製剤は、NAD+アゴニストをさらに含む。いくつかの実施態様において、第二の製剤は経口投与用に製剤化される。好ましい実施態様において、第二の製剤は、カプセル、錠剤または丸剤を含むがこれらに限定されない固体の形態である。
【0092】
特定の実施態様、第二の製剤は、フィセチン、ケルセチン;ルチン;クエルシトリン;カテキン;ガロカテキン;カテキン3-ガレート;ガロカテキン3-ガレート;エピカテキン;エピガロカテキン;エピカテキン3-ガレート;エピガロカテキン3-ガレート;テアフラビン-3-ガレート;テアフラビン-3'-ガレート;テアフラビン-3,3'-ジガレート;ケンフェロール;ミリセチン;ガランギン;イソラムネチン;パキポドール;ラムナジン;ピラノフラボノール;フラノフラボノール;ルテオリン;レスベラトロール;アピゲニン;タンゲレチン;ヘスペレチン;ナリンゲニン;エリオジクチオール;ホモエリオジクチオール;これらのアナログおよび誘導体;ならびにこれらの二つまたはそれ以上の組み合わせを含む。
【0093】
特定の実施態様において、第二の製剤は、フィセチン(3,3',4',7-テトラヒドロキシフラボン)またはそのアナログ、誘導体もしくは代謝物を含む。いくつかの実施態様において、第二の製剤は、フィセチンのグルクロン酸抱合代謝物、硫酸化代謝物またはメチル化代謝物を含む。いくつかの実施態様において、第二の製剤は、グルクロン酸抱合フィセチンを含む。いくつかの実施態様において、第二の製剤は、ジェラルドール(geraldol)(3,4',7-トリヒドロキシ-3'-メトキシフラボン)を含む。いくつかの実施態様において、第二の製剤は、グルクロン酸抱合ジェラルドール(geraldol)を含む。
【0094】
第二の製剤中のフラボノイド濃度は、所望の用量および投与様式に従って決定される。いくつかの実施態様において、フラボノイド製剤は、少なくとも約10mg/kgのフラボノイドを対象に送達するように製剤化される。いくつかの実施態様において、フラボノイドは、約10mg/kg~500mg/kg、約10mg/kg~200mg/kg、約10mg/kg~100mg/kg、約10mg/kg、15mg/kg、20mg/kg、25mg/kg、30mg/kg、40mg/kg、50mg/kg、60mg/kg、70mg/kg、75mg/kg、80mg/kg、90mg/kgまたは約100mg/kgを送達するように製剤化される。上記の濃度の中間の範囲も使用できる。例えば、上限値および/または下限値として上記の値のいずれかの組み合わせを使用した値の範囲が含まれることが意図されている。
【0095】
したがって、第二の製剤中のフラボノイドの濃度は、約1mg~約10,000mgである。いくつかの実施態様において、第一の製剤は、少なくとも約100mg、150mg、250mg、500mg、750mg、1000mg、1250mg、2500mg、3500mg、4000mg、5000mg、6000mgまたは7000mgのフラボノイドを含むか、または用量リスト中のある量から別の量までの範囲で含む。
【0096】
いくつかの実施態様において、第二の製剤は、NAD+アゴニスト、その薬学的に許容できる塩、誘導体または代謝物をさらに含む。第二の製剤に使用するのに適当なNAD+アゴニストおよびその濃度には、本明細書のセクションIIおよびIIIAに開示されるものが含まれる。
【0097】
C.さらなる実施態様
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される製剤は、ベンジルアルコール、フェノール、m-クレゾール、クロロブタノールおよびベンゼトニウムClなどの一つまたはそれ以上の防腐剤を本質的に含まない。他の実施態様において、特に製剤が多用量製剤である場合、防腐剤が製剤に含まれ得る。
【0098】
いくつかの実施態様において、本明細書で提供される製剤は、内毒素および/または関連する発熱物質を実質的に含まないパイロジェンフリー製剤である。内毒素には、微生物内に閉じ込められ、微生物が分解または死滅した場合にのみ放出される毒素が含まれる。発熱物質には、細菌やその他の微生物の外膜に由来する、発熱を誘発する耐熱性物質(グリコタンパク質)も含まれる。これらの物質はいずれも、ヒトに投与された場合、発熱、低血圧およびショックを引き起こすことができる。特定の実施態様において、組成物中の内毒素およびパイロジェンレベルは、10EU/mg未満、または5EU/mg未満、または1EU/mg未満、または0.1EU/mg未満、または0.01EU/mg未満、または0.001EU/mg未満である。
【0099】
V.投与
本明細書で提供される第一の製剤および第二の製剤は、公知の方法に従って、処置を必要とする哺乳動物に投与される。特定の有効用量の選択は、処置、軽減または改善される障害;処置される障害の性質および重症度、宿主の体重;などの、当業者に公知であろういくつかの因子の考慮に基づいて、当業者によって決定され得る。障害の処置;軽減改善において採用される正確な用量はまた、投与経路に依存し得る。有効用量は、インビトロまたは動物モデル試験系から得られた用量反応曲線から推定することができる。本明細書に記載の製剤からなる投与レジメンは、最適な所望の応答を提供するように調整され得る。
【0100】
いくつかの実施態様において、製剤は、投与の容易さおよび投与量の均一性のために単位剤形で調製することができる。「単位剤形」とは、本明細書で使用される場合、処置される対象に対して単位投与量として適する物理的に離散した単位を意味し;所定量の活性成分を含有する各単位投与量は、本明細書で提供される製剤において所望の効果をもたらすように計算され、例えば、1サイクルの投与に十分な量を提供するように計算された量である。
【0101】
本明細書で提供される製剤を利用する投与レジメンは、患者の種類、種、年齢、体重、性別および病状;処置される状態の重症度;投与経路;患者の腎機能または肝機能;および採用される特定の開示された塩を含む種々の因子に従って選択される。当業者の医師または獣医師は、状態の予防、対策、または進行阻止に必要な薬剤の有効量を容易に決定し、処方することができる。
【0102】
いくつかの実施態様において、NAD+アゴニストを含む製剤は、1mg/kg~約500mg/kg、約5~約500mg/kg体重;約10~約200mg/kg;約10~約300mg/kg;約10~約200mg/kg;または約10~約100mg/kgの1日用量で投与される。いくつかの実施態様において、NAD+アゴニストは、約20mg/kgの1日用量で投与される。いくつかの実施態様において、NAD+アゴニストは、単回用量で投与される。他の実施態様において、NAD+アゴニストは、分割用量で、例えば、1日に2回、3回または4回で、または徐放形態で投与される。特定の実施態様において、NAD+アゴニストは、NaRまたはその薬学的に許容できる塩である。特定の実施態様において、NAD+アゴニストは、NaMNまたはその薬学的に許容できる塩である。特定の実施態様において、NAD+アゴニストは、NMNまたはその薬学的に許容できる塩である。
【0103】
いくつかの実施態様において、フラボノイドは、約5mg/kg~約100mg/kg、約10mg/kg~約100mg/kg、約20mg/kg~約100mg/kg、約20mg/kg、約25mg/kg、約30mg/kg、約40mg/kg、約50mg/kg、約60mg/kg、約70mg/kg、約75mg/kg、約80mg/kg、約90mg/kgまたは約100mg/kgの用量で投与される。いくつかの実施態様において、フラボノイドは、約40mg/kgの用量で投与される。特定の実施態様において、フラボノイドは、フィセチンまたはジェラルドール(geraldol)から選択される。いくつかの実施態様において、フラボノイドはフィセチンである。
【0104】
いくつかの実施態様において、フラボノイドは、週に2~3日間連続して投与される。いくつかの実施態様において、フラボノイドは、1週間おきに2~3日間連続して投与される。いくつかの実施態様において、フラボノイドは、月に2~3日間連続して投与される。いくつかの実施態様において、フラボノイドは、月に2日間連続して投与される。他の実施態様において、フラボノイドは、週に1回、週に2回投与される。いくつかの実施態様において、フラボノイドは、1週間おきに1回投与される。いくつかの実施態様において、フラボノイドは、月に1回投与される。いくつかの実施態様において、フラボノイドは、月に2回投与される。
【0105】
いくつかの実施態様において、第一の製剤および第二の製剤の投与は、28日間の長さの月間投与レジメンを含む。さらなる実施態様において、第二の製剤の投与は、28日間のうちの1日目および2日目に行われる。前記月間投与レジメンは、所望の結果を得るのに必要な期間だけ繰り返すことができる。例えば、月間投与レジメンは、少なくとも1ヶ月間、少なくとも2ヶ月間、少なくとも3ヶ月間、少なくとも4ヶ月間、少なくとも5ヶ月間、少なくとも6ヶ月間、少なくとも7ヶ月間、少なくとも8ヶ月間、少なくとも9ヶ月間、少なくとも10ヶ月間、少なくとも11ヶ月間、少なくとも12ヶ月間、少なくとも24ヶ月間、少なくとも36ヶ月間、少なくとも48ヶ月間、少なくとも60ヶ月間、少なくとも72ヶ月間、少なくとも84ヶ月間、少なくとも96ヶ月間、少なくとも108ヶ月間、少なくとも120ヶ月間、または少なくとも240ヶ月間繰り返すことができる。
【0106】
いくつかの実施態様において、第二の製剤は、フラボノイドポリフェノールおよびNAD+アゴニストを含む。いくつかの実施態様において、フラボノイドおよびNAD+アゴニストを含む第二の製剤は、週に2~3日間連続して投与され、その後、NAD+アゴニストを含む第一の製剤が毎日投与される。いくつかの実施態様において、フラボノイドポリフェノールおよびNAD+アゴニストを含む第二の製剤は、1週間おきに2~3日間連続して投与され、NAD+アゴニストを含む第一の製剤は、各週の残りの日に毎日投与される。いくつかの実施態様において、フラボノイドを含む第二の製剤は、月に2~3日間連続して投与され、NAD+アゴニストを含む第一の製剤は、その月の残りの日に毎日投与される。他の実施態様において、フラボノイドを含む第二の製剤は、週に1回、または週に2回投与される。いくつかの実施態様では、フラボノイドは1週間おきに1回投与される。いくつかの実施態様において、フラボノイドは月に1回投与される。いくつかの実施態様において、フラボノイドは月に2回投与される。
【0107】
特定の実施態様において、第一の製剤はNaRの塩を含み、第二の製剤はフィセチンを含む。いくつかの実施態様において、第一の製剤はNaRの無機塩を含み、第二の製剤はフィセチンを含む。いくつかの実施態様において、第一の製剤はNaRのアミノ酸塩を含み、第二の製剤はフィセチンを含む。一実施態様において、第一の製剤NaRのトリプトファン塩を含み、第二の製剤はフィセチンを含む。
【0108】
特定の実施態様において、第一の製剤NaMNの塩を含み、第二の製剤はフィセチンを含む。いくつかの実施態様において、第一の製剤はNaMNの無機塩を含み、第二の製剤はフィセチンを含む。いくつかの実施態様において、第一の製剤はNaMNのアミノ酸塩を含み、第二の製剤はフィセチンを含む。一実施態様において、第一の製剤はNaMNのトリプトファン塩を含み、第二の製剤はフィセチンを含む。
【0109】
特定の実施態様において、第一の製剤は、NaRまたはその薬学的に許容できる塩を含み、第二の製剤は、フィセチンおよびNaRまたはその薬学的に許容できる塩を含む。特定の実施態様において、第一の製剤はNaRの無機塩を含み、第二の製剤はフィセチンおよび、NaRの無機塩を含む。特定の実施態様において、第一の製剤はNaRのアミノ酸塩を含み、第二の製剤はフィセチンおよび、NaRのアミノ酸塩を含む。特定の実施態様において、第一の製剤はNaRのトリプトファン塩を含み、第二の製剤はフィセチンおよび、NaRのトリプトファン塩を含む。
【0110】
特定の実施態様において、第一の製剤は、NaMNまたはその薬学的に許容できる塩を含み、第二の製剤は、フィセチンおよびNaMNまたはその薬学的に許容できる塩を含む。特定の実施態様において、第一の製剤はNaMNの無機塩を含み、第二の製剤はフィセチンおよび、NaMNの無機塩を含む。特定の実施態様において、第一の製剤はNaMNのアミノ酸塩を含み、第二の製剤はフィセチンおよび、NaMNのアミノ酸塩を含む。特定の実施態様において、第一の製剤はNaMNのトリプトファン塩を含み、第二の製剤はフィセチンおよび、NaMNのトリプトファン塩を含む。
【0111】
VI.キットおよび製品
本明細書に記載の製剤はまた、本明細書に記載の方法において使用するための説明書とともに、所定量の試薬のパッケージ化される組み合わせであるキットで提供され得る。例えば、いくつかの実施態様において、キットは、本明細書に記載の製剤を含み、例えば、投与量および投与レジメンを含む投与パラメーターを含む説明書を含む。
【0112】
従って、本明細書では、本明細書において開示される製剤を保持する容器を有する製品が提供される。適当な容器としては、例えば、ボトルまたはブリスターパックが挙げられる。容器は、ガラスまたはプラスチックなどの様々な材料から形成され得る。いくつかの実施態様において、容器はUV光を排除するものである。
【0113】
いくつかの実施態様において、容器は製剤を保持し、容器上の、または容器と関連するラベルは、使用方法を示すことができる。製品は、使用説明書を有するパッケージ挿入物を含む、商業的および使用者の立場から望ましい他の材料をさらに含んでもよい。適切な説明書媒体の非限定的な例としては、ラベル、パンフレット、挿入物、およびデジタル媒体が挙げられる。
【0114】
VII.使用方法
いくつかの実施形態において、本明細書では、本明細書において提供される第一の製剤および第二の製剤を、それを必要とする対象に投与することによって、老化、細胞内分解、および/または細胞再生に関連する疾患または障害を処置または予防する方法が提供される。
【0115】
本明細書で提供される方法に従って処置することができる年齢に関連する障害には、眼機能の喪失、骨密度の低下、インスリン非感受性、虚弱、骨関節症、認知機能障害(例えば、認知症)、代謝性疾患(糖尿病)、肥満、炎症症候群、心血管疾患、脂質障害、年齢に関連する筋肉喪失、骨粗鬆症、慢性腎臓疾患、血管疾患、またはそれらの組み合わせが含まれる。
【0116】
本明細書で提供されるいくつかの実施態様において、本明細書で提供される第一の製剤および第二の製剤を、それを必要とする対象に投与することによって、神経変性疾患または障害を処置または予防する方法が提供される。
【0117】
本明細書で提供される方法に従って処置することができる神経変性疾患または障害には、認知パフォーマンスを障害する障害、例えば、神経変性疾患または中枢神経系状態、例えば、レヴィー小体病、アルツハイマー病、筋萎縮性側索硬化症(amnio tropic lateral sclerosis、ALS)、パーキンソン病、ハンチントン舞踏病、老人性認知症、ピック病、パーキンソニズム認知症症候群、進行性皮質下グリオーシス、進行性核上性麻痺、視床変性症症候群、遺伝性失語症(hereditary aphasia)およびミオクローヌスてんかんからなる群から選択される疾患が含まれる。処置され得る他の疾患には、前頭側頭型認知症(frontal-temporal dementia)、気分・不安障害(mood and anxiety disorder)、うつ病、統合失調症、自閉症、不安、パニック発作、過食、社会恐怖症、情動障害、精神障害、軽度認知機能障害、発作、神経変性疾病、認知症、頭部外傷または傷害、混乱を伴うヒステリー、認知障害;年齢に関連する認知症;年齢による記憶機能障害;イオン欠乏性障害(ion deficit disorder);精神病;精神病と関連する認知障害;および薬物からなる群から選択される状態または疾患が含まれる。
【0118】
本明細書で提供される製剤および方法の有効性は、例えば、歩行持久力、歩行速度、体力の増加、心血管活動(例えば、CV負荷試験)および心拍数の改善など、様々な行動の一つまたはそれ以上の改善によって決定することができる。いくつかの実施態様において、本明細書で提供される製剤および方法の有効性はまた、処置前、異なる時点(例えば、1週間後、1ヶ月後、6ヶ月後など)における処置経過中、および処置後の対象の虚弱指数(Frailty Index:FI)の評価によって決定することができる(e.g., Kane et al., J. Gerontol. A. Biol. Sci. Med. Sci. 71(3):333-339, 2016; Liu et al., J. Gerontol. A. Biol. Sci. Med. Sci.69(12):1485-1491).
【0119】
さらに、バイオアッセイ、イムノアッセイ、フローサイトメトリー、およびナノ粒子修飾アプタマーを利用するアッセイなど、当技術分野で公知の方法を使用して、本明細書で提供される方法の有効性をモニタリングするためのサロゲートとして、様々なマーカーを使用することができる。適切なマーカーとしては、例えば、測定炎症性サイトカイン(TNF、IL-1、IL-6)(例えば、Shokrani, 2011, https://www.mlo-online.com/home/article/13004250/cytokines-utility-and-laboratory-measurementから総説)、DNAメチル化レベル、脂質代謝の改善、およびインスリン感受性(例えば、HbA1Cレベル)、および細胞代謝および運動耐容能の指標としての乳酸代謝(Gladden, J. Physiol. 558.1:5-30, 2004)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
以下の実施例は単なる例示であり、本開示を読めば多くの変形例および等価物が当業者に明らかになるので、本開示の範囲をいかなる形でも限定するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0121】
実施例1-NaRの7日間反復投与忍容性試験
本試験の目的は、NaRの7日間反復投与後の忍容性および薬物動態プロファイルを評価することであった。
【0122】
材料および方法
NaRは100mgカプセル、サイズ4、18~26℃で保存、フィセチンは100mgカプセル、サイズ0、18~26℃で保存。Canis familaris(犬)/ビーグル-9匹の非ナイーブ雄性、年齢1~3歳、体重7~11kg。
以下の表は、研究群の配置を示している:
【表1】
【0123】
適切な数のNaRカプセルを非ナイーブ雄性ビーグル犬に1日1回投与した。カプセルの後、少なくとも5mLの水道水を投与し、完全に送達されるようにした。動物には投与約2時間前に餌を与え、投与約2時間後に餌を除去した。生物分析のための試料は、投与前期間(-7日目;午前9時のタイムゼロ(Time Zero)を基準とする)中に、タイムゼロ後0時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、および24時間で採取した。試料を、1日目と7日目に投与後0時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、24時間で、3~5日目に投与後2時間で採取した。試料はバイオアッセイを用いてNAD+を分析した。
【0124】
結果
死亡率または瀕死状態、臨床観察、体重または摂食量に対する試験品に関連する影響はなかった。すべての動物は、測定可能な内在性レベルのNAD+を有していた。Tmaxの中央値は、全ての動物において投与後2時間未満で到達し、その値は0~2時間の範囲であった。全ての投与群の平均Cmaxは1日目と7日目の間に蓄積を示した。この差は最高用量群(30mg/kg/日)で顕著に大きかった。平均AUC0-24および部分AUC(0-8および8-24)はCmaxとほぼ同じ傾向を示した。
【0125】
内在性レベルに大きな幅があるため、各個々の動物について7日目と1日目のCmaxおよびAUC0-24の比を比較した。Cmaxは、他と比較して最高用量群で明らかな増加を示した。しかしながら、AUC0-24は、中用量群(20mg/kg/日)で他の2群よりも高い値に達した。
【0126】
この試験の結果に基づいて、10mg/kg/日、20mg/kg/日および30mg/kg/日での7日間の雄性のビーグル犬へのNaRのカプセル投与では、良好な忍容性を示した。死亡率または瀕死状態、臨床観察、体重または摂食量に対して試験物質に関連する影響は観察されなかった。生物分析の結果に基づいて、NaRの経口カプセル投与はNAD+レベルの測定可能な増加をもたらし、したがって生物学的に利用可能であると考えらる。
【0127】
実施例2-NaR経口投与の忍容性
本実施例に記載の試験の目的は、NaR経口投与の忍容性を評価することである。
【0128】
材料および方法
NaR経口投与の忍容性は、目的飼育したビーグル(雄雌、6.3~9.2kg、試験開始時6ヵ月齢)を用いた2段階の実験室試験で決定した。試験の第1段階は、100mg/kg、300mg/kg、1000mg/kgおよび2000mg/kgの単回用量漸増を含む(各群n=4)。第2段階では、100mg/kg、300mg/kg、1000mg/kgを7日間にわたって毎日投与する反復投与を試験した(各群n=6)。投与は、18フレンチカテーテルを用いて胃へのオーラルガベージを介して行った。群平均体重が同程度に達成するように設計した層別無作為化スキームにより、動物を群に割り付けた。雄性と雌性は別々に無作為化した。すべての動物が試験を生き延びた。
【0129】
結果
処置に関連する臨床観察はなかった。体重と摂食量は処置による影響を受けなかった。単一の臨床病理学的所見が認められた。試験物に関連する可能性のある平均ソルビトールデヒドロゲナーゼ(SDH)濃度の増加が、処置前期間の値と比較して、2日目に雄性群で300および1000mg/kgと、雌性群では300mg/kgと認められた。SDH活性の増加は、影響の程度が低い(例えば、0U/L~2U/L)こと、および他の肝酵素に影響を及ぼさないため、有害ではないと見なされた。変化は最小限であり、研究室の歴史的背景の範囲内であったにもかかわらず、傾向は試験物に関連する潜在的な影響を示していた。血清化学に対する試験物に関連する他の影響はなかった。最大耐量は試験した最高用量であり、単回投与段階では2000mg/kg、7日間の反復投与段階では1000mg/kg/日とした。
【0130】
実施例3-経口投与したNaRの活性と安全性
本実施例に記載する試験の目的は、経口投与したNaRの活性と安全性を評価することである。
【0131】
材料および方法
活性および安全性を評価するための二重盲検プラセボ対照非無作為化実験室試験を、成熟した目的飼育のビーグルと雑種犬15頭で28日間にわたって完了させた。雄性4匹、雌性11匹の年齢は4~11歳で、平均年齢は7.75歳であった。体重はビーグル(n=12)が9.5~15kg、雑種犬(n=3)が24~40kgであった。動物には活動用首輪を装着し、1日あたり約9時間自由に動ける部屋に収容した。動物は1日15分のエンリッチメントを3回受け、世話人と交流した。動物の活動は、アクチグラフ(動物の首輪に取り付けた加速度計)および歩行の変化を評価するためのフォースプレート分析を用いて1日24時間追跡した。修正犬認知機能障害評価(CCDR)(Madari et al., “Assessment of Severity and Progression of Canine Cognitive Dysfunction Syndrome Using the Canine Dementia Scale (CADES),” Applied Animal Behaviour Science 171: 138-145 (2015)、引用によりその全体が本明細書に包含される)および犬整形外科指数(COI)(Brown, D., “The Canine Orthopedic Index. Step 1: Devising the Items,” Veterinary Surgery 43: 232-240 (2014); Brown, D., “The Canine Orthopedic Index. Step 2: Psychometric Testing,” Veterinary Surgery 43: 241-246 (2014); and Brown, D., “The Canine Orthopedic Index. Step 3: Responsiveness Testing,” Veterinary Surgery 43: 247-254 (2014)、引用によりその全体が本明細書に包含される)は、処置前、および14日目と28日目に完了した。身体検査、体重、ボディ・コンディション・スコア(BCS)、全血球数および血液化学を、処置前および毎週評価した。動物には一晩絶食後、毎日カプセルを経口投与した。
【0132】
結果
対照と比較して、処置した犬の日内リズムにプラスの効果が見られ、全体的な活動(頻度および強度)が増加し、安静時の動きが減少した(睡眠が深くなった)。有害な臨床所見は認められず、血液化学および血液学の結果は基準範囲内にとどまった。体重とBCSの軽微な変化は、処置群と対照群の両方でみられたが、傾向はみられなかった。試験期間中、CCDRとCOIに変化は認められなかった。
【0133】
実施例4-全血試料中のNAD
+
濃度と安定性
NAD+の濃度を分析し、NAD+の長期安定性アッセイを1週間および1ヶ月の長期にわたって実施した。試料は、この安定性試験の期間中、-70℃で保存した。対照実験に対する単純な試験が、1週間と1ヶ月の両方の時点で行った。
【0134】
処理したばかりの犬の全血試料を分注し、全ての時点について-70℃の冷凍庫に入れ、一貫性のために新鮮な真のQCを含む処理したばかりのDiH20の曲線と比較した。処理した試料も分注し、-20℃の冷凍庫で1ヶ月間保管し、対照と比較した。結果が承認されるためには、試験対対照のパーセント差が±20.0%であることが要求された。
【0135】
非コンパートメント型薬物動態学
経口投与経路に合致した非コンパートメント型薬物動態学(PK)アプローチを用いて、Watson LIMS(バージョン7.5)でPKパラメーターを推定した。すべてのパラメーターは、実用的である限り、処理された全血中の個々の濃度から生成された。各投与群の平均値も報告した。すべての濃度値はng/mL単位で、すべての時点は時間単位とした。投与濃度およびサンプリング時間は公称値を用いた。観察された最大処理全血液中濃度(Cmax)、Cmaxの時間(Tmax)、およびAUC(濃度対時間曲線下面積)は、投与後24時間の全時間間隔のデータから直接決定した。用量レベルは10mg/kg/日、20mg/kg/日または30mg/kg/日とした(それぞれ群1、群2、群3)。PK試料は、1日1回7日間の試験のうち、投与前-7日目、投与後1日目および7日目に採取した。投与後3日目、4日目および5日目の試料は、一つの時点でのみ採取したが、PKパラメーター推定には含ませなかった。
【0136】
可能な限り、Watson LIMSが決定した標準偏差と変動係数を使用した。Watsonでサポートされていない分析、すなわちカスタム比較にはExcelを使用し、Excelのアルゴリズムによって決定された統計量を報告した。
【0137】
結果
全血投与濃度対時間経過グラフを
図1~
図3に示す。T
maxの中央値は投与後2時間未満で到達した。値は0~2時間の範囲であった。全投与量群の平均C
maxは、1日目と7日目の間で上昇を示した。この差は最高用量群(30mg/kg/日)で有意に大きかった。
図4を参照。
【0138】
平均AUC
0-24は平均C
maxと同じ傾向を示した。部分AUC(0-8および8-24)も測定し、AUC
0-24とほぼ同じ傾向を示した。データについては
図5を参照のこと。
【0139】
内在性レベルに大きな幅があるため、各動物について7日目と1日目のC
maxおよびAUC
0-24の比を比較した。C
maxは、他と比較して最高用量群で明らかな増加を示した。しかし、AUC
0-24は中用量群(20mg/kg/日)で他の2群より高い値に達した。
図6を参照。
【0140】
実施例5-老化したC56BL/6雄性マウスにおける虚弱性の測定
老化したC56BL/6雄性マウスにおいて、18ヵ月齢から毎月1回(1群あたりn=50)、プラセボ処置対照と比較して虚弱性を経時的に測定した。NaRを水中で低用量60mg/kgおよび高用量400mg/kgで投与した。動物は1ケージに4匹ずつ群飼し、水は毎週交換した。飼料は自由摂取とし、光周期は毎日約12時間の明期と12時間の暗期を交互に繰り返した。
【0141】
検証済みの3つのスコアリング法、(Whitehead et al., “A clinical frailty index in aging mice: Comparisons with frailty index data in humans” J Gerontol A Biol Sci Med Sci. 69:621-632(2014))、FRIGHT Age (Schultz et al., “Age and life expectancy clocks based on machine learning analysis of mouse frailty” Nature Comm. 11(1):4618 (2020))とAFRAIDスコア(Schultz et al., “Age and life expectancy clocks based on machine learning analysis of mouse frailty” Nature Comm. 11(1):4618 (2020))を生後25ヶ月で実施した。臨床的虚弱スコアには、潜在的な健康障害の非侵襲的測定が含まれる:全身の不快感、立毛(毛の逆立ち)、しかめ面(顔の表情)、呼吸数、目(白内障、角膜混濁、分泌物、大きさ)、ひげ(色と本数)、目の反射的まばたき、歩調、筋肉の震え、脱毛、毛色の喪失、成長、直腸脱、下痢の証拠、腹部の膨張、体の状態、脊椎の湾曲、歯の咬合、鼻汁、体重。各測定値は、存在しない、軽度の虚弱、最も虚弱の場合に、それぞれ0、0.5、1が割り当てられる。FRIGHT age(Frailty Inferred Geriatric Health Timeline)はマウスの見かけの年齢を示す指標であり、AFRAID clock(Analysis of Frailty and Death)はマウスの余命を予測する指標である。
【0142】
3つの方法すべてで測定したところ、低用量NaR処置マウスは、試験終了時に対照よりも著しく虚弱でなかった(
図7A~7C)(一元配置分散分析(one-way ANOVA)後、Tukeyの多重比較検定を用いて算出したp<0.05の統計学的有意性)。3つの方法のうち2つでは、両方の処置群が対照と比較して有意に異なっていた。
【0143】
実施例6-NaRとフィセチンのバイオアベイラビリティおよび薬物動態
本実施例に記載の試験の目的は、NaRおよびフィセチンの一連の投与量および投与レジメンのバイオアベイラビリティを評価することである。
【0144】
材料および方法
一連の薬物動態試験を実施し、非絶食ビーグル成犬の全血で測定した一連の投与量および投与レジメンのバイオアベイラビリティを評価した。NaR、NMN、フィセチンの単独投与および組み合わせ投与(NaR-フィセチンおよびNMN-フィセチン)について試験した。
【0145】
表1および表2は、それぞれ7日間にわたって実施した試験#1および28日間にわたって実施した試験#2の投与レジメンを示す。試験#1では、3つの投与量の組み合わせについて試験した(群1~3)。NADの全血液中濃度に対する絶食の影響を調べるために、さらに1つの群(群4)を加えた。試験#2では、各化合物の単独および組み合わせによる効果を評価した(群1~3)。試験#2では、7日目までにフィセチンと組み合わせたNMN対NaRの効果を比較することで、NAD濃度に見られる効果が一般的にNaRとNADブースターに特有なものなのかを判定するために、もう1つの試験群(群4)を含ませた。-7日目に24時間にわたってサンプリングしたベースラインNAD濃度は、内在性NAD濃度の対照として機能した。
【表2】
【表3】
【0146】
試験#1および試験#2の試験物:
NaRは100mgカプセルとして提供し、フィセチンは100mgカプセルとして提供し、NMNは100mgカプセルとして提供した。カプセルはすべて環境温度(すなわち、18~26℃)で保存した。
【0147】
試験#1および試験#2の動物:
Canis familaris(犬)/ビーグル-12匹の非ナイーブな雄性、年齢1~3歳、体重7~11kg。この動物の種および系統は、忍容性試験に適切であると認識されている。犬は、摂食量測定期間中およびPK収集期間中は必要に応じて、ステンレス製ケージに個別に収容した。すべての動物に定期的な運動の機会を与え、環境エンリッチメントを提供した。
【0148】
室内の温度と湿度は継続的にモニターし、調整し、動物は毎日約12時間の光と12時間の暗闇を交互に受ける。
【0149】
犬用の食事を1日1回提供した(約250g/匹/日)。水は自由摂取とした。
【0150】
試験#1の投与スケジュール:
1~2日目:適切な数のNaRカプセルおよびフィセチンカプセルを1日1回投与し(表1参照)、次いで、少なくとも5mLの水道水を投与して完全な送達を確保した。
【0151】
3~7日目:適切な数のNaRカプセルを1日1回投与し(表1参照)、次いで、少なくとも5mLの水道水を投与して完全送達を確保した。
【0152】
カプセル全体が逆流した場合には、動物に新しいカプセルを再投与し、その時間を記録した。
【0153】
試験#2の投与スケジュール:
適切な数のNaRカプセル、フィセチンカプセルおよび/またはNMNカプセルを1日1回投与し(表2参照)、次いで、少なくとも5mLの水を投与して完全な送達を確保した。
【0154】
カプセル全体が逆流した場合、動物に新しいカプセルを再投与し、その時間を記録した。
【0155】
試験#1の給餌スケジュール:
投与前の採血は、-2日目から開始し8日目まで継続して給餌スケジュールに従った。
【0156】
群1~3:1日1回、用量投与約2時間前に餌を提供した。餌は投与後約2時間で除去した。
【0157】
群4:餌を1日1回、投与の約4時間後に与えた、すなわち、犬に絶食状態で試験物を投与した。
【0158】
試験#2の給餌スケジュール:
餌を1日1回、用量投与の約2時間前に提供した。餌は投与後少なくとも2時間後に除去した。
【0159】
試験#1の臨床観察:
毎日の観察は、投与前の採血日に行った。
【0160】
1~7日目:動物を毎日、投与前および投与後1~2時間で観察した。餌摂取量は-
2日目から8日目まで連続して測定した。
【0161】
試験#2の臨床観察:
1~28日目:動物を毎日観察し、場合によっては投与前に観察した。餌摂取量を0日目から測定し、28日目まで継続した。動物の体重は、1日目、その後少なくとも週に2回、および28日目に測定した。
【0162】
試験#1の薬物動態評価:
各投与群の全動物から、抗凝固剤としてK2EDTAを用いて、各時点で2mLの血液試料を採取した。試料は投与前に採取した(投与前-7日目)。-7日目に、群1~3は、給餌前と、時間ゼロから0時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間および24時間で1つの試料を採取した。2日目に、群1~3は、給餌前(時間ゼロの約2時間前)と投与後の0時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間および24時間で1つの試料を採取した。3~5日目には、投与後の2時間で試料を採取し、7日目には、群1~3に給餌前(タイムゼロの約2時間前)、および投与後の0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間および24時間の時点ですべての動物から試料を採取した。
【0163】
群2について、21日目には、投与後、および35日目には、給餌前、およびタイムゼロ後0時間、0.25時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、6時間、8時間、12時間、および24時間に、1つの試料を採取した。試料はNAD+について処理した。
【0164】
試験#2の薬物動態評価:
各投与群の全動物から、抗凝固剤としてK2EDTAを用いて、各時点で2mLの血液試料を採取した。第0日目に、各群は、タイムゼロ後0時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間および12時間で一つの試料を採取した。1日目、2日目、3日目、7日目には、各群とも投与後の0時間、0.5時間、1時間、2時間、4時間、8時間、12時間で一つの試料を採取した。14日目、21日目、28日目に、群1~3は投与後の0時間、0.5時間、1時間、2時間、12時間で試料を採取した。
【0165】
試験#1および試験#2のサンプル・ハンドリング
採取後すぐに、試料チューブを複数回転倒させて均質化し、次に、分析まで氷水浴に入れた。すべての試料を処理してNAD+分析とフィセチン分析にかけた。
【0166】
試験#1および試験#2の薬物動態評価
生物分析データは、2日目および7日目においえ各個体の動物について計算したパラメーターを使用して、薬物動態データの生成に使用した:Tmax、Cmax、AUC0-24およびT1/2は、先の実施例に記載したとおりであり、曝露に対する反復投与の影響は、統計学的分析、例えば、数値パラメーターの平均および標準偏差によって評価した。
【0167】
結果
全体として、NaRおよびフィセチンでは用量効果が観察され;絶食させた犬は、投与前および投与後のNAD濃度が低かった。NMNおよびフィセチンの組み合わせと、NaRおよびフィセチンの組み合わせとの間では、7日間の投与後、NAD濃度に有意差は認められなかった。20mg/kgのNaR(毎日)と40mg/kgのフィセチン(1日目と2日目のみ)の月間投与スケジュールが、
図8~12に示したデータに基づいて最適な結果を示した。驚くべきことに、20mg/kgのNaR(毎日)および40mg/kgのフィセチン(1日目と2日目のみ)の投与は、2日目に予想されたNAD濃度の上昇の後、7日目と14日目にNAD濃度の低下をもたらした。しかし、この一過性の減少の後、NAD濃度はその後28日目と35日目にベースライン値より増加した(
図12)。
【0168】
試験#1では、NaR 20mg/kgとフィセチン40mg/kgの投与により、24時間の経過にわたってNAD濃度が最も高い最大の対照集団が得られた(
図8A)。
図8Aは、試験したNaRおよびフィセチンの用量レベルが異なる場合の全血液中NAD濃度とAUC
0-24の相関プロットである。全体的な曝露量(AUC
0-24)とNAD濃度との比較により、NAD濃度が増加すると全体的な曝露量が高くなることが確認された。
図8Aの各ボックスで同じスケールが使用されているため、データポイントの左から右はより大きな曝露を示し、データポイントの下から上は濃度の上昇を示す。言い換えれば、望ましい結果は、各ボックスの右上四分円に、より多くのデータ点を観察することである。これに基づいて、20mg/kgのNaR(毎日)および40mg/kgのフィセチン(1日目と2日目のみ)の組み合わせ投与が最適な投与量であることを示している。完全なデータセットが表されており、左下四分円のデータ点には、NAD濃度が低くなった条件(投与前やピークでない日など)が含まれていることに注意すべきである。
【0169】
さらに、NADのピーク濃度は、7日目までNaRを毎日投与したにもかかわらず、すべての投与群で2日目に観察された。この所見に基づき、NAD濃度の最大増加を示した犬において、21日目および35日目にNAD濃度を測定した(群2~20mg/kgのNaR+40mg/kgのフィセチン;
図8B)。NADレベルは2日目にピークを示した後、NaRを連日投与したにもかかわらず、3日目、4日目、5日目および7日目にはベースライン値まで低下した。その後、NaRまたはフィセチンをさらに投与することなく、NADレベルは21日目と35日目に、以前に2日目に認められたピーク値まで上昇した。この21日目と35日目のNAD濃度の増加は、他の投与レジメンでは観察されなかった。例えば、試験#2において、NaR 20mg/kgおよびフィセチン20mg/kgの投与は、14日目、21日目および28日目に12時間にわたるNAD濃度(AUC
0-12)を生じ、前日に得られた高濃度まで回復しない(
図9A~9B)。
【0170】
図10A~10Eは、試験#1および試験#2の両方におけるすべての用量についてのNAD濃度(ng/mL)および総曝露量(AUC
0-12およびAUC
0-24)の比較を示す。
図10Aおよび10Bは、NaRのみの投与から得られたNAD濃度を示しており、20mg/kgの用量が、対照のこのサブセットについて最も高いAUCおよびNAD濃度をもたらしている。
図10Cは、フィセチンのみの投与から得られたNAD濃度を示している。NADの濃度は、フィセチンのみの投与で低いままであった(7000ng/mL未満)。
図10Dおよび10Eは、NARおよびフィセチンの組み合わせ投与から得られたNAD濃度を示している。20mg/kgのNARおよび20mg/kgのフィセチンの組み合わせ投与では、右上四分円の日数が大半を占め;しかしながら、AUCは20mg/kgのNARおよび40mg/kgのフィセチンの用量レベルのものよりも低い(AUC
0-12:100,000対AUC
0-24:160,000)。これらのデータは、最適用量が20mg/kgのNARおよび40mg/kgのフィセチンであることを示している。
【0171】
図11A~11Fは、試験#1および試験#2の両方におけるすべての投与レジメンの日ごとのNAD濃度(ng/mL)の差を示す。NaRのみの投与(
図11Aおよび11B)では、すべての用量レベルで、1日目から7日目までNAD濃度の増加が観察された。興味深いことに、7日目から28日目にかけてNAD濃度が減少したのは、用量レベル20mg/kgだけであった。C
maxの中央値は6990ng/mL、AUC
0-24の中央値は133,000ng/mLであった。フィセチンのみの投与(
図11Cおよび11D)では、NAD濃度は7日目、14日目および21日目に減少し、28日目にベースラインに戻った。フィセチンのみの投与では、C
maxの中央値は5090ng/mL、AUC
0-12の中央値は49,900ng/mLであった。NaRおよびフィセチンの組み合わせ投与では、全て7日目のNAD濃度がベースライン値と比較して低下した(
図11Eおよび11F)。20mg/kgのNaRおよび40mg/kgのフィセチンの投与量は、21日目と35日目に再びNAD濃度の上昇を示した。C
maxの中央値は6290ng/mLであり、AUC
0-24の中央値は125000ng/mLであった。この結果はさらに、試験#2の20mg/kgのNaRおよび20mg/kgのフィセチンの投与と20mg/kgのNaRおよび40mg/kgフィセチンの投与を比較した、全血液中NAD濃度のグラフ描写である
図12に示されている。このプロットは、NaRを20mg/kgおよび40mg/kgのフィセチンとともに投与した場合、7日目と14日目にNAD濃度が低下していることを示している。20mg/kgのNARおよび20mg/kgのフィセチンの投与レジメンでは、NAD濃度は21日目と28日目にも低下したままである。しかしながら、NAD濃度は、20mg/kgのNARおよび40mg/kgのフィセチンの投与レジメンでは、28日目と35日目にベースラインを上回る値まで回復した。20mg/kgのNaRおよび40mg/kgのフィセチンの投与レジメンの高いAUC
0-24と対になったNAD濃度の増加が、最適投与量として選択された根拠である。
【0172】
実施例7-NaRおよびフィセチンの経口投与の有効性
本実施例に記載の試験の目的は、老化した犬にNaRおよびフィセチンを経口投与することにより、飼い主が感じるクオリティ・オブ・ライフ(QOL)、活動性および運動性のレベル、筋肉量および注意力を安定化または改善させる有効性を評価することである。
【0173】
材料および方法
試験のための動物:
Canis familaris(犬)-年齢10歳以上、体重8~40kgで、組み入れ基準を満たす、犬種を特定しない60匹の犬。
【0174】
包含基準:
1)6か月の試験期間中に、健康に重大な影響を与える可能性のある既知の併存症がないこと。健康状態は、最初に、過去6か月以内の血液検査と、過去6か月以内の獣医師の記録を検討することによって確認する。
2)滑りにくい路面上で自力歩行ができる。
3)認知機能:軽度の機能不全-CADESスケールでスコアが14超、かつ34未満。
4)すべての犬は視覚があり、命令を聞いて応答できる必要がある。
【0175】
動物の観察
ベースラインデータは、犬とその環境に関する情報を含む試験開始時に収集する。全全血球数(CBC)化学パネルおよび尿分析を含む身体検査を実施する。
【0176】
以下を含む飼い主のアンケートを収集する:i)単純な0~10スケール;ii)4つのドメイン-活力、仲間づきあい、痛みおよび可動性-を評価する修正CORQアンケート(Giuffrida et al., JAVMA, 252(9):1073-1083 (2018)(これは引用によりその全体が本明細書に包含される);iii)クライアント特有の結果測定;およびiv)幸福度評価。飼い主はさらに、i)活動性- Liverpool Osteoarthritis in Dogs (LOAD)調査、ii)痛め-Canine Brief Pain Inventory、iii)睡眠の質-Sleep Survey、およびiv)認知/行動-CADES調査を評価する調査を行う。
【0177】
研究者は動物を評価して以下に関するデータを取得する:i)骨関節症のグレード;ii)脊椎痛のグレード;iii)身体と筋肉の状態のスコア;iv)可動性スコア;v)歩行速度および歩幅;vi)安定性試験;vii)活動性モニターデータ;viii)認知テスト。
【0178】
老化のエピジェネティックなマーカーの評価として、バンクPBMCを実施する。
【0179】
投与スケジュール
これらのベースラインデータが収集したら、犬を、乱数発生器を用いて12群に無作為化させる。薬/プラセボは、A、B、Cとラベル付けた、身元を隠す形で提供する。
【0180】
A群:NaR 10mg/kgを毎日、フィセチン20mg/kgを月に2日間連続して投与。
【0181】
B群:NaR 20mg/kgを毎日、フィセチン40mg/kgを月に2日間連続して投与。
【0182】
群C:プラセボを毎日投与。
【0183】
データ収集
すべての飼い主および治験責任医師の動物観察は、1ヵ月、3ヵ月および6ヵ月で繰り返す。血液検査およびUAは、ベースライン時、1ヵ月時および6ヵ月時に実施する。血清、血漿およびPBMCバンキングは、ベースライン時および6ヵ月目に実施する。
【0184】
アウトカム分析
本試験の主要アウトカム分析には、CADESスコアの経時的変化、活動性の経時的差、およびCORQスコアの経時的変化の群間比較が含まれる。
【0185】
研究の二次アウトカム分析には、所有者アンケートから得られたクオリティ・オブ・ライフ、痛み、活動性、および睡眠に関するアウトカムデータの変化を群間で比較することが含まれる。認知検査は、群間で比較される連続データを生成する。可動性、姿勢安定性、身体と筋肉の状態、脊髄痛、骨関節症スコアおよび大腿周囲径の評価も比較する。
【0186】
本開示は、その特定の実施態様を参照して説明されてきたが、当業者には、本開示の真の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更がなされ得、等価物が代替され得ることが理解されるべきである。加えて、特定の状況、材料、組成物、プロセス、プロセスステップまたはステップを、本開示の目的、精神および範囲に適合させるために、多くの修正を行うことができる。このような修正はすべて、本開示の範囲内にあることを意図している。
【国際調査報告】