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特表2024-515632クレーンオペレータを支援するためのシステム及び方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】クレーンオペレータを支援するためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   B66C 13/00 20060101AFI20240403BHJP
   E04G 21/16 20060101ALI20240403BHJP
   B66C 13/48 20060101ALI20240403BHJP
   G01B 11/03 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B66C13/00 D
E04G21/16
B66C13/48 G
G01B11/03 Z
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563001
(86)(22)【出願日】2022-04-12
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 US2022024466
(87)【国際公開番号】W WO2022221311
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/173,584
(32)【優先日】2021-04-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/283,801
(32)【優先日】2021-11-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.QRコード
2.UNIX
(71)【出願人】
【識別番号】523387378
【氏名又は名称】ストラクチュアル サービシズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100102978
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 初志
(74)【代理人】
【識別番号】100205707
【弁理士】
【氏名又は名称】小寺 秀紀
(74)【代理人】
【識別番号】100160923
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 裕孝
(74)【代理人】
【識別番号】100119507
【弁理士】
【氏名又は名称】刑部 俊
(74)【代理人】
【識別番号】100142929
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 隆一
(74)【代理人】
【識別番号】100148699
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 利光
(74)【代理人】
【識別番号】100188433
【弁理士】
【氏名又は名称】梅村 幸輔
(74)【代理人】
【識別番号】100128048
【弁理士】
【氏名又は名称】新見 浩一
(74)【代理人】
【識別番号】100129506
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 智彦
(74)【代理人】
【識別番号】100114340
【弁理士】
【氏名又は名称】大関 雅人
(74)【代理人】
【識別番号】100214396
【弁理士】
【氏名又は名称】塩田 真紀
(74)【代理人】
【識別番号】100121072
【弁理士】
【氏名又は名称】川本 和弥
(74)【代理人】
【識別番号】100221741
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 直子
(74)【代理人】
【識別番号】100114926
【弁理士】
【氏名又は名称】枝松 義恵
(72)【発明者】
【氏名】ベンジング ジェームズ ティー.
(72)【発明者】
【氏名】ハラー ウィリアム アール.
(72)【発明者】
【氏名】スレイビン セス ティー.
(72)【発明者】
【氏名】カシカ-ソルタン マルタ
【テーマコード(参考)】
2E174
2F065
3F204
【Fターム(参考)】
2E174CA12
2E174EA01
2F065AA22
2F065AA24
2F065CC14
2F065FF11
3F204AA04
3F204BA02
3F204CA01
3F204DB04
3F204DC06
(57)【要約】
構造部材の識別に基づいて、構造部材についての射影経路及び最終的な取り付け位置が、クレーンオペレータに提示される。更に、各構造部材の寸法が決定され、建設現場データベースと比較される。建設現場データベースに列記された寸法に適合しない構造部材が識別されると、クレーンオペレータにアラートが出される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
クレーンオペレータを支援するためのシステムであって、
前記システムは、シェイクアウトフィールド内の建築材料オブジェクトを識別するための撮像システムを備え、前記撮像システムは、撮像器及び距離センサを備え、前記撮像システムは、
前記撮像器を用いて、建築材料オブジェクトの少なくとも1つの画像を、前記撮像器を用いて捕捉することであって、前記画像は、前記建築材料オブジェクトについての識別印を含む、捕捉することと、
前記識別印を認識し、前記認識された識別印を、持ち上げリスト上の複数の識別印と比較することと、
少なくとも前記距離センサを使用して、前記構造部材の少なくとも1つの寸法を測定することと、
前記建築材料オブジェクトの前記少なくとも1つの寸法が、前記持ち上げリスト上の前記構造部材の対応する寸法と合致することを確認することと、
前記シェイクアウトフィールド内の前記建築材料オブジェクトの位置を含むメッセージを送信することと
を行うように構成されている、システム。
【請求項2】
前記システムは、データベースを記憶するサーバを更に備え、前記データベースは、前記持ち上げリストの表現と、前記シェイクアウトフィールド内の前記建築材料オブジェクトに関連する物理的属性と、を含み、前記撮像システムは、前記建築材料オブジェクトの任意の測定された属性が、前記建築材料オブジェクトについての対応する物理的属性と合致することを確認する、請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記建築材料オブジェクトを初期位置から目的位置まで移動させるためのクローラクレーンを備える、請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記撮像システムは、前記クローラクレーンのメインフックブロックに物理的に結合されている、請求項3に記載のシステム。
【請求項5】
前記少なくとも1つの距離センサは、LIDARセンサを含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
撮像システムは、前記少なくとも1つの画像内の英数字を認識するためのコンピュータビジョンモジュールを備え、前記識別印は英数字を含む、請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
クレーンオペレータを支援するための方法であって、
シェイクアウトフィールド内の建築材料オブジェクトを識別することが可能な撮像システムを用いて、前記撮像システムの撮像器を用いて建築材料オブジェクトの少なくとも1つの画像を捕捉することであって、前記少なくとも1つの画像は、前記建築材料オブジェクトについての識別印を含む、捕捉することと、
前記識別印を認識することと、
前記撮像システムを用いて、前記認識された識別印を、持ち上げリスト上の複数の識別印と比較することと、
前記撮像システムの少なくとも1つの距離センサを使用して、前記建築材料オブジェクトの少なくとも1つの寸法を測定することと、
前記建築材料オブジェクトの前記少なくとも1つの寸法が、前記持ち上げリスト上の前記建築材料オブジェクトについての対応する寸法と合致することを確認することと、
前記シェイクアウトフィールド内の前記建築材料オブジェクトの位置を含むメッセージを送信することと
を含む、方法。
【請求項8】
前記建築材料オブジェクトの任意の測定された属性が、データベース中の前記建築材料オブジェクトについての対応する物理的属性と合致することを確認することであって、前記データベースは、前記持ち上げリストの表現と、前記シェイクアウトフィールド内の前記建築材料オブジェクトに関連する物理的属性と、を含む、確認することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
クローラクレーンを使用して、前記建築材料オブジェクトをその最初の目的地から目的位置まで移動させることを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記撮像システムは、前記クローラクレーンのメインフックブロックに物理的に結合されている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記少なくとも1つの距離センサは、LIDARセンサを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項12】
前記撮像システムのコンピュータビジョンモジュールを用いて、前記少なくとも1つの画像内の英数字を認識することであって、前記識別印は英数字を含む、認識することを更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
命令を含む、クレーンオペレータを支援するための非一時的コンピュータ可読媒体であって、前記命令が、実行されると、シェイクアウトフィールド内の建築材料オブジェクトを識別することが可能な撮像システムに、
前記撮像システムの撮像器を用いて、建築材料オブジェクトの少なくとも1つの画像を捕捉することであって、前記少なくとも1つの画像は、前記建築材料オブジェクトについての識別印を含む、捕捉することと、
前記識別印を認識することと、
前記認識された識別印を、持ち上げリスト上の複数の識別印と比較することと、
少なくとも1つの距離センサを使用して、前記建築材料オブジェクトの少なくとも1つの寸法を測定することと、
前記建築材料オブジェクトの前記少なくとも1つの寸法が、前記持ち上げリスト上の前記建築材料オブジェクトについての対応する寸法と合致することを確認することと、
前記シェイクアウトフィールド内の前記建築材料オブジェクトの位置を含むメッセージを送信することと
を行わせる、非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項14】
前記非一時的コンピュータ可読媒体が更なる命令を含み、前記命令が、実行されると、前記撮像システムに、
前記建築材料オブジェクトの任意の測定された属性が、データベース中の前記建築材料オブジェクトについての対応する物理的属性と合致することを確認することであって、前記データベースは、前記持ち上げリストの表現と、前記シェイクアウトフィールド内の前記建築材料オブジェクトに関連する物理的属性と、を含む、確認すること
を行わせる、請求項13に記載のクレーンオペレータを支援するための非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項15】
クローラクレーンが、クローラクレーンを使用して、前記建築材料オブジェクトをその最初の目的地から目的位置まで移動させるように構成されている、請求項13に記載のクレーンオペレータを支援するための非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項16】
クローラクレーンのメインフックブロックに物理的に結合された撮像システムの中に位置付けられている、請求項13に記載のクレーンオペレータを支援するための非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項17】
前記少なくとも1つの距離センサは、LIDARセンサを含む、請求項13に記載のクレーンオペレータを支援するための非一時的コンピュータ可読媒体。
【請求項18】
前記非一時的コンピュータ可読媒体が更なる命令を含み、前記命令が、実行されると、前記撮像システムに、
前記撮像システムのコンピュータビジョンモジュールを用いて、前記少なくとも1つの画像内の英数字を認識することであって、前記識別印は英数字を含む、認識すること
を行わせる、請求項13に記載のクレーンオペレータを支援するための非一時的コンピュータ可読媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月12日に出願された米国仮特許出願第63/173,584号、及び2021年11月29日に出願された米国仮特許出願第63/283,801号の優先権を主張するものであり、これらの内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれたものとする。
【0002】
発明の分野
本発明は、概して、クレーンに関し、より詳細には、人工知能及びコンピュータビジョン技術を使用して、桁、梁、及び/又は柱を含む構造部材等の建築材料オブジェクトを、設置に先立って建設現場において識別するための装置に関する。
【背景技術】
【0003】
発明の背景
建物、橋、及び他の大型構造物の建設は通常、最初にセメント及び/又はコンクリートの基礎の建設を含み、その後、その上に鉄骨構造が建てられる。鉄骨構造は通常、相互に接続された梁、桁、及び柱(すなわち構造部材)で構成され、これらは構造物の荷重を基礎に伝達する。一般的な構造部材は、I形梁、H形梁、W形梁、ユニバーサル梁、圧延根太(RSJ)梁、箱形梁、及びダブルT形梁等を含む。セメント、補強筋(鉄筋)、埋め込みプレート、HVAC機器、電気システム等の、他の建築材料が、建物及び橋の建設によく使用される。構造物の建設において使用され、クレーンによって第1の位置から第2の位置まで吊り上げられる全ての建築材料が、本明細書では建築材料オブジェクトと呼ばれ、例えば構造部材、セメント、HVAC機器、鉄筋、及びガラス板を含むあらゆる建築材料を包含する。構造物という用語は、例えば建物及び橋を含む任意の人工の装置を指す。
【0004】
鉄骨建方プロセスの間、建築材料オブジェクトは最初に、通常は1台以上のトラックによって、建設現場に輸送される。例えば、HVAC機器は平台のセミトレーラトラックによって建設現場に輸送され得、セメントはセメントトラックによって建設現場に輸送され得る。建築材料オブジェクトは次いで、建方現場においてクレーンの近くで、トラックから持ち上げられる。構造部材は通常、当業界で一般に「シェイクアウトフィールド」と呼ばれるエリアにおいて、地上で長手方向に互いに隣り合って位置決めされ、そこでその後、鉄骨構造上のそれぞれの取り付け位置まで吊り上げられる。コンクリート(通常はホッパに収容される)、鉄筋のスタック及び束、段ボールシート、配管、電気及びHVAC用品及びシステム、及び埋め込みプレート等の、他の建築材料オブジェクトもまた、シェイクアウトフィールド内(又はクレーンの近くの別個の現場位置)に位置付けられ、その後クレーンによってそれぞれの目的位置まで吊り上げられる。
【0005】
各建築材料オブジェクトは通常、部材の外側表面に配置された手書きの又は塗料吹き付けによる印(建築材料オブジェクトの「識別印」)によって識別される。印は通常、英数字及び/又は記号のセットからなり、鋼材組立業者によって建築材料オブジェクトの目に見える位置に配置される。他のタイプの識別印は、手書きの又は塗料吹き付けによる印に加えて、又はその代わりに、建築材料オブジェクトを識別するために使用される無線周波数識別(RFID)タグ、クイックレスポンス(QR)コード、バーコード、又は他のタイプの機械可読ラベルを含む。
【0006】
各識別印は、建築情報モデリング(BIM)ソフトウェアパッケージ、又は他のタイプのデータベースシステムによって提供される、建設現場データベースにリンクされ得る。Trimble Solutions,Inc.(Kennesaw、Georgia)によって提供される「Tekla」ソフトウェアパッケージは、BIMソフトウェアパッケージの一例である。Teklaのような高度な構造BIMソフトウェアは、鋼材ディテーラ、組立業者、及び構造エンジニア等が、多材料(例えば構造部材及び/又は補強筋)及び関連する建設情報の3Dモデルを作成、結合、管理、及び共有することを可能とする。データベースはまた、建築材料オブジェクトについての、吊り上げ順序、最終的な建設現場取り付け位置又は配置位置を含む、識別印に関連する情報を記憶し得る。例えば、HVAC機器の建設現場最終配置位置は、ほぼ完成した構造物の屋根の位置として定義され得る。最終的な建設現場取り付け位置又は配置位置のGNSS座標もまた、建築材料オブジェクトの配置を支援するために利用可能とされ得る。
【0007】
このデータは通常は統合され、簡略化された順序付きリスト(一般に「持ち上げリスト」と呼ばれる)においてクレーンオペレータに提供され、このリストは、各建築材料オブジェクトについての、吊り上げ順序、識別印、及び最終的な取り付け位置又は配置位置を含む。それゆえ、各建築材料オブジェクトの識別印は、通常は建設現場データベースに含まれる、識別された各建築材料オブジェクトについての詳細情報へのアクセスを提供し得る。例えば、構造部材の識別印は、構造部材のデータへのアクセスを可能とすることとなり、このデータは、構造部材の構造物上の取り付け位置;構造部材の幅、長さ、高さ(当業界では一般に深さと呼ばれ、一方のフランジの外側面から他方のフランジの外側面までの公称高さを表す)、及び重量;金属の表面処理;構造部材がいつどこで製造されたか;鋼材組立業者の身元;識別された部材に接続されることとなる他の構造部材の識別;材料のタイプ;取り付けられるブラケット、穴のパターン、接続位置等の、構造部材に起因する他の構造特徴;並びに/又は構造部材に関連する他の適切な情報(データ)を含み得る。別の例としては、束ねられた鉄筋の識別印は、鉄筋のデータへのアクセスを提供し、このデータは、束についての構造物上の目的位置、サイズ、長さ、束内に含まれる部品の数、鉄筋の製造に使用された鋼のタイプ、鉄筋がいつどこで製造されたか、組立業者、及び鉄筋の束に関連し得る他のデータを含み得る。
【0008】
それゆえ、識別印は、識別された建築材料オブジェクトのそれぞれに関連するデータをロック解除するキーである。クレーンオペレータにとって特に重要なものは、構造部材の持ち上げ順序、及び特定の構造部材の最終的な建設現場取り付け位置データである。例えば、構造部材がトラックから降ろされ、シェイクアウトフィールドに移動させられると、クレーンオペレータは、部分的に完成した構造物上の取り付け位置に荷(すなわち構造部材)を吊り上げる前に、適切な持ち上げ順序で最初の及び後続する構造部材を選択する任務を負う。構造部材は通常、作業員が識別印を遮るものなく見ることができることを確実にするように、シェイクアウトフィールドにおいて方向付けられる。同様に、他のタイプの建築材料オブジェクトの識別印に関連するデータは、吊り上げ順序及び最終的な建設現場目的位置を含み得る。このデータは通常、簡略化された順序付きリスト(例えば建築材料オブジェクト持ち上げリスト)の形でクレーンオペレータに提供され、このリストは、吊り上げ順序、識別印、及び他の各タイプの建築材料オブジェクトについての目的位置を含む。
【0009】
持ち上げ順序は通常、持ち上げリストの形をとり、この持ち上げリストは、構造物上の最初の及び後続する構造部材及びそれらの取り付け位置を識別する。少ない数の構造部材しか有さない単純な構造物の場合、持ち上げリストデータは手書きのリストの形をとってもよい。より大きな構造物の場合、持ち上げリストデータは、建設現場データベースに組み込まれ、クレーンの運転室等に常駐するコンピュータシステムを通してアクセスされ得る。また、構造部材のみならず他のタイプの建築材料オブジェクトを含む、複合持ち上げリストが提供され得る。例えば、持ち上げリストは、構造物上の種々の位置までの吊り上げについての3つの構造部材及び2つのセメントバケットの順序付きリストを含み得る。
【0010】
クレーンオペレータが持ち上げのために正しい建築材料オブジェクトを選択するのを支援するために、1人以上のシェイクアウトフィールド担当者(「シェイクアウト担当者」)が、建築材料オブジェクトの識別印を読み取り、識別印を持ち上げリストデータと比較することによって、正しい建築材料オブジェクトを視覚的に識別する。次に、レイアウト担当者が、正しく識別された建築材料オブジェクトの位置にクレーンフックを移動させるようクレーンオペレータに指示し、当該オブジェクトにメインフックブロックを取り付ける。次に、クレーンオペレータが、取り付け位置の近くにいる1人以上の鉄工作業員の支援を受けながら、建築材料オブジェクトを構造物上の目的位置まで吊り上げる。鉄工作業担当者及びクレーンオペレータの間では、手信号及び/又は無線通信を使用して、シェイクアウトフィールドから構造物上の目的位置への建築材料オブジェクトの持ち上げ移動の間、通信が維持される。しかしながら、無線通信及び/又は手信号を使用しても、クレーンオペレータと鉄工作業担当者との間の不十分な通信のため、又は荷の吊り上げの間にクレーンオペレータの作業現場の視界が妨げられるため、建築材料オブジェクトを既存の構造物に衝突させてしまう可能性が依然としてある。
【0011】
鋼材組立業者は典型的には、建築材料オブジェクトに英数字及び/又は他の記号を用いて識別印をマークする。かかる印は通常、チョーク、塗料、消えないインク、又は他のタイプの材料を使用して手書きされるが、その理由は、この技術が迅速で、安価であり、通常は作業員がシェイクアウトフィールドにおいて特定の建築材料オブジェクトを識別するのに十分であるからである。しかしながら、手書きの識別印は、作業員が英数字及び他の記号を読むことによる解釈の影響を受けるものとなり得る。例えば、大文字の「J」が「1」と解釈されてしまい、小文字の「b」が「6」と解釈されてしまい得る。手書きの印はまた、読み手の視点に依存して上下逆さまに書かれるか又は横向きに書かれ得るものであり、英数字及び/又は記号の正しい認識を更に困難にする。かくして、シェイクアウトフィールドの担当者によって建築材料オブジェクトを誤識別する高い可能性がある。
【0012】
建築材料オブジェクトの不適切な識別は、クレーンオペレータが建築材料オブジェクトを誤った目的位置に位置決めすることに帰着し得る。この場合、最初に、不適正に識別された建築材料オブジェクトを目的位置まで運び、次いで、不適正に識別された建築材料オブジェクトをシェイクアウトフィールドまで戻し、不適正に識別された建築材料オブジェクトをメインフックブロックから切り離し、正しい建築材料オブジェクトを再識別し、正しい建築材料オブジェクトまでクレーンを移動させ、正しい建築材料オブジェクトにクレーンケーブルを再接続し、次いで、正しい建築材料オブジェクトを構造物上の望ましい目的位置まで再び吊り上げることによって、貴重な建設時間が失われる。
【0013】
また、現在の建設実務は、識別印が建築材料オブジェクトを正しく識別し、その対応する情報が建設現場データベース又は鉄骨構造についての他のデータベースに含まれていることを仮定している。しかしながら、建築材料オブジェクトの鋼材組立業者又は鋼材供給業者が、誤った識別印を建築材料オブジェクトに割り当てることがある。かかるエラーもまた、レイアウト要員が建築材料オブジェクトを誤識別した場合のように、オペレータが誤った建築材料オブジェクトを取り付け位置まで吊り上げ、次いでシェイクアウトフィールドに戻すことに帰着する。
【0014】
鋼材組立業者が建築材料オブジェクトを適切に識別しても、建設現場データベースの仕様に従って建築材料オブジェクトを製造できなかった場合にも、同様の問題が生じる。例えば、構造部材が望ましい長さ、幅及び/又は高さで組み立てられていないこととなり得る。この時点において、鋼材組立業者によって新たな構造部材が修正又は再製造されなければならないが、これは通常、製造のエラーの程度、構造部材のサイズ、鋼材の入手可能性、及び他の要因に依存して、何時間も又は何日もかかる。これに加えて、構造部材は、構造物に対する適切な取り付けのために必要とされる構造特徴が欠落していることがあり得る。例えば、ブラケット及び/又は穴のパターンが欠けている、誤ったサイズとされている、又は構造部材上で誤った位置を有していることがあり得る。これらのエラーは通常、問題のある構造部材が取り付け位置に吊り上げられ、構造物に適切に取り付けられなくなるまで明らかにならない。かかるエラーは、ダウンタイムを伴うため、総合建設請負業者にとって非常に大きなコストとなり、(構造部材は特定の順序で持ち上げなければならないため)再製造された構造部材が修正されるか又は再製造されて建設現場に戻されるまで、建設現場のプロセス全体を停止させる可能性を有する。
【0015】
同様の問題は、他の建築材料オブジェクトについても存在する。適切に識別はされているが、建築材料供給業者によって建設現場データベースの仕様に従って製造されていない建築材料オブジェクトは、吊り上げられた建築材料オブジェクトがシェイクアウトフィールドに戻されることを引き起こすこととなる。例えば、ある建築材料オブジェクトは、10フィートの長さの#10鉄筋を20本有し、10/8インチの直径を有するものとして識別され得るが、製造におけるエラーのために、鉄筋が、8/8インチの公称直径を有するサイズ#8のものであり得る。
【0016】
かくして、建設業界においては、人間の介在を必要とすることなく、シェイクアウトフィールドにおける各建築材料オブジェクトを容易に、正確に、及び自動的に識別することができる装置に対するニーズがある。追加的に、建設業界においては、実際のシェイクアウトフィールドの建築材料オブジェクトの仕様を自動的に決定し、これらの仕様をそれぞれの建設現場データベース又は他の設計仕様データベースと比較して、誤って製造された建築材料オブジェクトの吊り上げを排除する装置に対するニーズがある。更に、建設業界においては、目的位置に吊り上げられる建築材料オブジェクトと、目的位置に既に配置されている他の建築材料オブジェクトとの衝突を防止する装置に対する別のニーズがある。建設業界における別のニーズは、クレーンオペレータが建築材料オブジェクトをその目的位置まで吊り上げるのを補助する吊り上げ経路を提供することである。
【発明の概要】
【0017】
以上の及び他の欠陥に対処するために、本発明のいくつかの実施形態は、シェイクアウトフィールド内に含まれる各建築材料オブジェクトを自動的に撮像し、画像を処理して各オブジェクトの識別印を決定する、撮像システムを含む。例えば、撮像システムは、英数字の印の画像を捕捉し、機械学習又は人工知能アルゴリズムを利用して、識別印を解読してもよい。撮像システムはまた、QRコード又はバーコード等を走査して、識別印を解読してもよい。撮像システムは、クレーンブームのメインフックブロックに取り付けられるか又はその近く等の、いずれの適切な位置に位置付けられてもよい。撮像システムはまた、1つ以上のドローン機又は更なるモバイルデバイス内に位置付けられてもよい。
【0018】
本発明のいくつかの実施形態においては、撮像システムは、建築材料オブジェクトの幾何学的特性(例えば構造部材の幅(フランジ幅)、長さ、及び高さ)を測定し、測定された幾何学的特性を、建設現場データベース(例えばBIMデータ)又は他のデータベースに記憶された幾何学的特性と比較する。例えば、撮像システムは、建築材料オブジェクトをセメントバケツとして識別し、幾何学的特性(例えば丸い形状のバケツの直径及び高さ)を決定してもよく、次いで、セメントが充填されたバケツの体積を計算し、又は、バケツ内に含まれるセメントの高さを決定することによって、部分的に充填されたバケツのセメントの体積を決定してもよい。別の例として、コンピューティングシステムはまた、吊り上げのために長手方向に束ねられ一緒に巻き付けられた鉄筋の本数を決定し、鉄筋の幾何学的属性(長さ及び直径)を決定し、計算された幾何学的特性を建設現場データベースに記憶されているものと比較してもよい。設計仕様の幾何学的特性に合致しない建築材料オブジェクトはその後、持ち上げプロセスが開始する前に、シェイクアウトフィールドの視覚的表現内で視覚的に識別され、正しい建築材料オブジェクトが建設現場の目的位置に吊り上げられることとなることを更に確実にしてもよい。
【0019】
本発明のいくつかの実施形態においては、撮像システムは、建築材料オブジェクトに関連するブラケット又は穴パターン等の構造特徴の実際の寸法、位置、及び他の幾何学的属性を識別、分類、及び決定し、それらの特徴の寸法及び位置を、建設現場データベース(BIM又は他のデータベース)に記憶されたものと比較し、構造特徴についての寸法、位置、及び他の幾何学的仕様を満たしていない部材を視覚的に識別してもよい。測定された幾何学的特性が正確であることを確実にするために、撮像システムは、画像データを、LIDAR等の距離測定デバイスの出力と組み合わせてもよい。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態においては、撮像システムは、英数字及び/又は記号を認識するようにトレーニングされた画像処理及び畳み込みニューラルネットワークソフトウェアを実行して、識別印を正確に認識し、シェイクアウトフィールド内の構造部材の幾何学的特性を測定する。これと合わせて、このソフトウェアは、シェイクアウトフィールド内の構造部材を識別し、各構造部材についての識別印を識別及び認識し、各構造部材に関連する構造特徴を識別及び認識し、構造部材及びその構造特徴の両方の幾何学的測定値を提供してもよい。
【0021】
本発明のいくつかの実施形態においては、撮像システムは、撮像システムの位置及び作業現場内で吊り上げられた構造部材の位置を追跡する、慣性航法システム(INS)を備える。撮像システムのINSからのデータは、撮像システム自体の位置、シェイクアウトフィールド内の構造部材の位置、及び/又は、クレーンオペレータが構造部材をその初期位置からその目的位置まで持ち上げる間に回避する必要があることとなる障害物等の作業現場の他の重要な特徴をリアルタイムで追跡するために、建設現場データベースに供給されてもよい。
【0022】
本発明のいくつかの実施形態においては、撮像システムは、例えばクレーンの運転室内に位置付けられてもよいオペレータシステム、モバイルシステム(「モバイルシステム」)、及び/又はサーバシステム(「サーバ」)を含む、いくつかの他のシステムとインタラクトする。これらのシステムは、互いに双方向通信してもよく、無線周波数(RF)モデム等を介してデータを送受信してもよい。追加的に、これらのシステムの各々は、クラウドサービスと双方向通信してもよく、インターネット又は他の適切なネットワークを介してクラウドとデータを全て送受信してもよい。
【0023】
本発明のいくつかの実施形態においては、オペレータシステムは、クレーンの運転室内に位置付けられ、1つ以上のコンピュータ、表示デバイス(例えば液晶ディスプレイ(LCD))、入力デバイス(例えばキーボード、ジョイスティック、タッチ感応ディスプレイ)、無線通信モデム、及び電源システムを含む。コンピュータはまた、クレーンオペレータに音声指示及び他の情報を与えるためのスピーカを含む。撮像システムと同様に、オペレータシステムもまた、作業現場内でのオペレータシステムの位置を追跡する、1つ以上のINSを備えてもよい。
【0024】
本発明のいくつかの実施形態においては、撮像システムは、クレーンのメインフックブロックに取り付けられ、それとともに移動する。この状況においては、撮像システム及びオペレータシステムは、特定のクレーンに専用のものであり、クレーン特有システム(すなわち単一の特定のクレーンのみに関連付けられる)と呼ばれる。クレーン特有システムには、任意の数のモバイルシステムが関連付けられてもよい。それゆえ、1台よりも多いクレーンを有する建設現場については、各クレーンのための第1の撮像システムと、各クレーン特有システムに関連付けられた1つ以上のモバイルシステムと、を備える、多数のクレーン特有システムがあることとなる。他の実施形態においては、撮像システムは、1台以上のドローン機に取り付けられてもよい。これらの実施形態においては、撮像システムは、(クレーン特有システムを維持する)単一のクレーンと通信可能に結合されてもよいし、又は単一の建設現場における複数のクレーンの各々と通信可能に結合されてもよく、その場合、撮像システムによって収集されたデータは、識別された識別印に基づいて、及び/又は建設現場における(例えば特定のシェイクアウトフィールドにおける)建築材料オブジェクトの位置によって、収集されて特定のクレーンと関連付けられてもよい。
【0025】
本発明のいくつかの実施形態においては、指示、グラフィック、及び他の情報を、ディスプレイを介してクレーンオペレータに表示するための、追加的なソフトウェアが提供される。例えば、運転室内の表示デバイスが、オペレータに作業現場の3D表現を表示してもよい。3D表現は、シェイクアウトフィールド内の構造部材の位置、建設中の構造物の詳細、及び/又は作業現場の境界を含む、撮像システムによって捕捉された任意の情報を図示してもよい。3D表現はまた、識別された各構造部材について、その初期位置からその目的位置までの経路、及び経路に沿った又は経路の近傍にある任意の潜在的な障害物を図示してもよい。
【0026】
本発明のいくつかの実施形態においては、コンピューティングシステム(撮像システム、オペレータシステム、モバイルシステム、サーバシステム、又はクラウドサービスであってもよい)は、オペレータシステムのディスプレイ上でクレーンオペレータに提示され得る、及び/又は1つ以上のモバイルシステムを介して他の建設現場作業員に送信され得る、コンピュータ生成された識別印を用いて注釈付けされた各識別された建築材料オブジェクトとともに、シェイクアウトフィールドの視覚的表現を生成する。吊り上げられるべき待ち行列に入れられた各建築材料オブジェクトについて、一意な視覚的識別子が、クレーンオペレータのために、シェイクアウトフィールドの視覚的表現内で建築材料オブジェクトを強調表示する。例えば、(持ち上げリストにおいて識別された)吊り上げられるべき次の構造部材が、クレーンオペレータに視覚的に識別されてもよい(例えば建築材料オブジェクトを緑色に着色する、及び/又はその周囲を強調表示することによって)。所望の建築材料オブジェクトが持ち上げリストに記されているように正しい順序で吊り上げられることを確実にするために、他の視覚的又は聴覚的識別子が使用されてもよい。いくつかの実施形態においては、持ち上げリスト内には含まれないが、シェイクアウトフィールド内に位置付けられている建築材料オブジェクトは、例えば赤色の「X」等の対照的な色の記号によって視覚的に識別されてもよい。
【0027】
本発明のいくつかの実施形態においては、コンピューティングシステムは、建築材料オブジェクトの重心を決定し、識別された建築材料オブジェクトの上に重ねられた視覚的な重心位置特定記号を配置する。追加的に、クレーンオペレータが(構造部材等の)建築材料オブジェクトをシェイクアウトフィールドの位置から吊り上げる準備をすると、メインフックブロックのシェイクアウトフィールドの位置を視覚的に示すために、十字線パターンがシェイクアウトフィールド上の視覚的表現に重ねられてもよい。フック及びブロックが、ある位置から別の位置に移動されると、クレーンオペレータに表示される十字線パターンは、メインフックブロックの移動に関連して移動してもよい。クレーンオペレータは次いで、吊り上げのための準備において、吊り上げられるべき待ち行列に入れられた建築材料オブジェクトのLCDスクリーン位置を、メインフックブロックの十字線パターンと視覚的に比較し、強調表示された建築材料オブジェクトの上に、具体的には選択された建築材料オブジェクトの重心位置記号の上に、十字線パターンを位置合わせするようにクレーンブームを動かしてもよい。
【0028】
本発明のいくつかの実施形態においては、選択された構造部材又は建築材料オブジェクトをそれぞれ取り付け位置又は目的位置に適切に配置するよう、クレーンオペレータを更に支援するために、シェイクアウトフィールド(開始位置)から鉄骨構造上の指定された取り付け位置又は目的位置までの三次元射影経路を生成することができるコンピューティングデバイスが提供される。建築材料オブジェクトの初期位置は、撮像システムから取得され、目的位置は、サーバシステムに予め記憶された建設現場データ(BIMデータ)から決定されてもよい。射影経路は、初期位置から目的位置まで算出され、鉄骨構造に追加的な建築材料オブジェクトが追加されると、建設現場データベースにおいて継続的に更新される。更新された建設現場データベースは、射影経路の生成のための回避データを提供する。射影経路は、運転室コンピュータ及びオペレータシステムのディスプレイを介して視覚的にクレーンオペレータに通信されることができ、且つ/又は、オペレータシステムのスピーカを介して可聴の吊り上げ指示によりクレーンオペレータに通信されることができる。
【0029】
射影経路算出は、鉄骨構造上の取り付け位置又は目的位置の正しい識別に依存し、この識別は、識別印及びBIMデータベースから取得されたデータを用いて、全ての構造部材又は建築材料オブジェクトにリンクされる。構造部材又は建築材料オブジェクトの誤識別は、誤った射影経路算出、それゆえ誤った取り付け位置又は目的位置に帰着することとなる。
【0030】
誤識別された構造部材又は建築材料オブジェクトは更に、既に吊り上げられた構造部材又は建築材料オブジェクトがシェイクアウトフィールドに戻され、望ましい構造部材又は建築材料オブジェクトが再識別され、次いで望ましい取り付け位置又は目的位置まで再び吊り上げられなければならないことに帰着する。
【0031】
本発明のいくつかの実施形態においては、コンピューティングデバイスが、各建築材料オブジェクトのまわりの仮想3D「回避シュラウド」を計算する。回避シュラウドは、建築材料オブジェクトについての識別印と、識別された建築材料オブジェクトの建設現場データベースに含まれる寸法と、に基づいて算出されてもよい。3D回避シュラウドは、建築材料オブジェクトを包囲するために拡張された寸法からなってもよい。例えば、10フィートの長さ、1フィートの幅、及び2フィートの高さを有するI形梁構造部材のための長方形の3D回避シュラウド(包囲空間)は、長さについては12フィートに、幅については2フィートに、高さについては3フィートに、これらの寸法が拡大されてもよいし、又は実際の寸法のパーセントの拡大が使用されてもよい。それゆえ、配置され吊り上げられた各建築材料オブジェクトは、実際の対象物を包囲する関連する衝突回避シュラウドを有する。建築材料オブジェクト(「荷」)が吊り上げられるとき、オペレータシステムは、荷の目的位置への現在の吊り上げ経路の射影が、既存の鉄骨構造又は他の建築材料オブジェクトと衝突し得ることをクレーンオペレータに警告する、早期衝突警告衝突アラートを提供してもよい。早期警告衝突警告システムは、既に配置された建築材料オブジェクトの衝突回避シュラウドと、吊り上げられた建築材料オブジェクトの衝突回避シュラウドとを使用して、吊り上げられたシュラウドが、射影された目的地経路に沿って、既に配置された建築材料オブジェクトの衝突回避シュラウドと交差するか否かを決定してもよい。この手法は、建設現場において先に配置されている建築材料オブジェクトと、現在それぞれの目的位置へと吊り上げられている建築材料オブジェクトとの衝突のリスクを最小化する。
【0032】
本発明のいくつかの実施形態においては、コンピューティングデバイスは、吊り上げられた各建築材料オブジェクトについて、シェイクアウトフィールド位置から目的位置までの最適な3D吊り上げ経路を計算する。計算された最適な3D経路は、現在吊り上げられている建築材料オブジェクト及びそのそれぞれの衝突回避シュラウドの位置とともに、既に配置されている建築材料オブジェクト及びそのそれぞれの衝突回避シュラウドを考慮に入れてもよい。いくつかの実施形態においては、クレーンオペレータによって吊り上げられるべき第1の建築材料オブジェクトについての3D経路が、自動的に記録され、メモリに記憶される。第2の建築材料オブジェクトについての後続する経路は、最初に記録された経路、シェイクアウトフィールド位置、第2の建築材料オブジェクトの目的位置、並びに既に配置された建築材料オブジェクト及び吊り上げられたオブジェクトの衝突回避シュラウドに基づいて算出される。全ての建築材料オブジェクトについての目的位置は、各建築材料オブジェクトの識別印を使用して、建設現場データベースから導出されてもよい。3D経路は、衝突回避シュラウドとともにクレーンオペレータに表示され、クレーンオペレータが建築材料オブジェクトを望ましい目的位置に配置することを支援し、オペレータが既に配置された建築材料オブジェクト間の衝突を回避するのを支援するための動き(左、右、上、及び下)が提案されてもよい。これらの提案される動きは、クレーンのオペレータに視覚的に又は口頭で伝達されてもよい。追加的に、吊り上げられた建築材料オブジェクトが正しい目的位置まで吊り上げられると、オペレータシステムは、建設現場データベースに従って、正しい建築材料オブジェクトが正しい目的位置にあることをオペレータにアラートしてもよい。
【0033】
本発明のいくつかの実施形態は、撮像システム、オペレータシステム、及び/又はサーバシステムと双方向通信する、1つ以上のモバイルシステムを含む。モバイルシステムは好ましくは、ラップトップコンピュータ、タブレット、又は携帯電話等のようなハンドヘルドコンピュータシステムとして実装され、それゆえ1つ以上のプロセッサ、表示デバイス、及び/又は入力デバイスを含んでもよい。モバイルシステムはまた、他のシステム要素と通信するためのRFモデムを含み、またインターネットにアクセスするよう装備(ハードウェア及びソフトウェア)される。追加的に、モバイルシステムは、すぐ近くの建設現場内及び建設現場外の両方のモバイルシステムの位置を決定するための、RTK対応GNSS受信器を含むINSを組み込んでいる。モバイルシステムはまた、完全な建設現場データベース、持ち上げリスト、及び3D経路データ等の、作業現場についての完全又は制限されたアクセスデータを有してもよい。モバイルシステムは、請負業者、現場監督者、クレーンオペレータ、シェイクアウトフィールド担当者、又は他のクルーの適切なメンバーに、このデータを表示してもよい。モバイルシステムは、鉄骨構造上に位置付けられた鉄骨作業員によって、シェイクアウトフィールド作業員によって、又は他の建設現場人員によって、持ち運ばれてもよい。モバイルシステムは、従来のタブレット型若しくは携帯型コンピュータ、携帯電話、又は他のタイプの通信デバイスを含んでもよい。モバイルシステムは、特に任意の1つのクレーン専用のものでなくてもよく、インターネット及びサーバを介して他のクレーンに関連する他のクレーン特有のデータにアクセスしてもよい。
【0034】
本発明のいくつかの実施形態は、撮像システム、オペレータシステム、及び/又はサーバシステムと双方向通信する、1つ以上のサーバシステムを含む。サーバシステムは、従来の設計のものであってもよく、一般の要求-応答パラダイムに基づいて動作してもよい。例えば、サーバシステムは、持ち上げリストデータ及び他の建設現場関連データを含む建設現場データベースを記憶し、要求に応じて又は必要に応じて、そのデータをオペレータシステム、撮像システム、及び/又はモバイルシステムに提供してもよい。サーバシステムは更に、Wi-Fiを介して、携帯電話を介して、又は他の任意の従来の手段によって、インターネットにアクセスするよう装備されている。サーバはまた、他のシステムと通信するための、1つ以上の無線通信モデムを含む。
【0035】
本発明の他の目的及び利点は、明細書及び図面の検討に続いて明らかになるであろう。以上の一般的な説明及び以下の詳細な説明はいずれも、本発明の例示であって、制限するものではないことは、理解されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0036】
本発明の以上の及び他の態様及び利点は、添付図面とともに考慮される以下の詳細な説明の考慮に際してより明らかになり、添付図面においては、全体を通して、同様の参照文字が同様の部分を指す。
【0037】
図1】本発明の実施形態による、建築材料オブジェクト及び部分的に完成した構造物を含むシェイクアウトフィールドとともに、建設現場に位置付けられた典型的なクローラクレーンの斜視図である。
図2】本発明の実施形態による、クレーンの運転室に装着されたオペレータシステム、及びメインフックブロックに装着された撮像システムを含む、クローラクレーンの斜視図である。
図3A】本発明の実施形態による、撮像システム、オペレータシステム、モバイルシステム、サーバシステム、及びクラウドサービス間の双方向通信を示す模式図である。
図3B】本発明の実施形態による、撮像システム、オペレータシステム、モバイルシステム、サーバシステム、及びクラウドサービス間の双方向通信を示す模式図である。
図4】本発明の実施形態による、例示的なオペレータシステムのブロック図である。
図5】本発明の実施形態による、例示的な撮像システムのブロック図である。
図6】本発明の実施形態による、例示的なモバイルシステムのブロック図である。
図7】本発明の実施形態による、例示的なサーバシステムのブロック図である。
図8A】本発明の実施形態による、目に見える手書きの識別印がマークされた構造部材の部分的な上面図である。
図8B】本発明の実施形態による、図8Aの構造部材の側面立面図である。
図9A】本発明の実施形態による、持ち上げフックの上方に装着された撮像システムを有するメインフックブロックの前面図である。
図9B】本発明の実施形態による、図9Aのメインフックブロックの側面図である。
図10】本発明の実施形態による、例示的なオペレータシステムのコンピュータのブロック図である。
図11】本発明の実施形態による、画像補正及びノイズ除去プログラムのブロック図である。
図12A】本発明の実施形態による、ブラケットと4対の取り付け穴とを有する構造部材の上面の、歪められた画像である。
図12B】本発明の実施形態による、ブラケットと4対の取り付け穴とを有する構造部材の上面の、歪み補正されノイズフィルタリングされたセグメント化画像である。
図13A】本発明の実施形態による、単一の構造部材を有する例示的なシェイクアウトフィールドの6つの重なる画像を示す。
図13B】本発明の実施形態による、図13Aのシェイクアウトフィールドのステッチされた画像を示す。
図14】本発明の実施形態による、レンズから撮像されるオブジェクトまでの距離の関数としての、画像空間からオブジェクト空間への変換比率のグラフである。
図15】本発明の実施形態による、シェイクアウトフィールドの別のステッチされた画像である。
図16】本発明の実施形態による、地表面に静置しているI形梁、及びI形梁の上方に位置付けられた可動距離センサの、側面立面図である。
図17】本発明の実施形態による、例示的な構造部材に関連するデータを表すデータ構造を示す。
図18】本発明の実施形態による、例示的な構造部材に関連するデータを表すデータ構造を示す。
図19】本発明の実施形態による、例示的な撮像システムのコンピュータのブロック図である。
図20】本発明の実施形態による、撮像システムからオペレータシステムに送信されるデータパケットのブロック図である。
図21A】いくつかの実施形態による、本発明を実施するための例示的な方法のフロー図である。
図21B】いくつかの実施形態による、本発明を実施するための例示的な方法のフロー図である。
図21C】いくつかの実施形態による、本発明を実施するための例示的な方法のフロー図である。
図22】吊り上げのために待ち行列に入れられた構造部材の上面画像上に表示された重心位置記号を有するシェイクアウトフィールドの画像を示す。
図23】BIM建設現場データベース、IFCファイル、及びGNSS位置算出器の間の関係を示す。
【発明を実施するための形態】
【0038】
発明の詳細な説明
以下の説明においては、本明細書で開示される発明概念の実施形態の完全な理解を提供するために、いくつかの具体的な詳細が提示される。しかしながら、関連分野の当業者であれば、本明細書に開示された発明概念の実施形態は、具体的な詳細のうちの1つ以上がなくても、又は他のコンポーネント等と組み合わせても、実施され得ることを認識するであろう。他の実施態様においては、本明細書に開示される発明概念の様々な実施形態の態様を不明瞭にすることを回避するために、よく知られた実装又は動作は、詳細には図示又は説明されない。
【0039】
図1を参照すると、クレーン105、シェイクアウトフィールド110、及び図示のように部分的に完成している構造物115を有する、典型的な建設現場100の図が示されている。クレーン105はクローラクレーンとして図示されているが、例えばタワークレーン、港湾(浮体)クレーン、テレスコピッククレーン、水平ラフィングクレーン、ラフテレーンクレーン、並びにガントリー及びジブタイプクレーン等の、他のタイプのクレーンも明示的に想定される。ここに特に列記されていない他のタイプのクレーン及び同様の建設機器も、本発明の範囲内であることが明示的に想定される。クレーン105は、クレーン吊り上げ位置107において地面109上に位置決めされ、クレーン吊り上げ位置107は典型的には、シェイクアウトフィールド110及び構造物115の近くに位置付けられて、シェイクアウトフィールドから部分的に完成した構造物への建築材料オブジェクトの効率的な吊り上げを可能とする。構造物115は、基礎116及び部分的に完成した構造物118を含む。部分的に完成した構造物118は、従来から基礎116に取り付けられている垂直柱117a、117b、117c、及び117dを含む。
【0040】
シェイクアウトフィールド110は、鉄骨組立業者から到着した構造部材のような建築材料オブジェクトが、通常は平台型トラックから荷降ろしされる、建設担当者によって指定されたエリアである。1台よりも多いクレーンを有する大規模な建設プロジェクトについては、多数の複数のシェイクアウトフィールドがあり得、その各々は、それぞれのクレーンのクレーン吊り上げ位置の近くにある。それゆえ、シェイクアウトフィールド位置は、建設現場内に固定されていないが、関連するクレーンの吊り上げ位置に対して便利な位置に配置されることが多い。同様に、クレーン105は、ある日に構造物115の一方の側で建築材料オブジェクトを吊り上げ、別の日に別の位置に移動して構造物115の別の側で建築材料オブジェクトを吊り上げることとなり得る。この場合、1台以上のクレーンの2つの異なる吊り上げ位置に対応する、2つ(又はそれ以上)のシェイクアウトフィールド110があることとなる。
【0041】
シェイクアウトフィールド110は、シェイクアウトフィールドから部分的に完成した構造物118上の取り付け位置まで吊り上げられる構造部材、又は鉄筋若しくはセメントバケット等の他のタイプの建築材料オブジェクト等の、様々な建築材料オブジェクトを含む。これらの構造部材は典型的には、梁、桁、及び柱等を含むが、構造部材は、任意の適切な建築コンポーネントであってもよい。図1に示されるように、シェイクアウトフィールド110は、I形梁120及び121並びに束ねられた鉄筋121aを含む。構造部材は通常、異なるサイズのものであり、穴、ガセット、ブラケット、及び構造物115の建築仕様によって指示される他の構造特徴を有し得る。明確さのため2本のI形梁120及び121のみが示されているが、通常はシェイクアウトフィールド内には更に多くの構造部材が含まれる。同様に、明確さのため1つの鉄筋121aの束だけが示されているが、限定するものではないが、セメントバケツ、HVAC機器、ガラス板等を含む他のタイプの建築材料オブジェクトが、シェイクアウトフィールドのエリア内に配置されてもよい。シェイクアウトフィールド110は、構造物115の建設に必要な任意の数の異なる建築材料オブジェクトを含み得る。
【0042】
クレーン105が建築材料オブジェクトをシェイクアウトフィールド110から適所に吊り上げると、既に吊り上げられた建築材料オブジェクトを補充するために、新たな建築材料オブジェクトの追加的な配送がシェイクアウトフィールドに到着することは珍しくない。構造物115の仕様に依存して、建設現場100において種々のタイプのクレーンが使用され得る。例えば、クローラクレーンに加えて、タワークレーン等の複数の異なるタイプのクレーンが現場に配置されることも珍しくない。
【0043】
構造物115の建設におけるクレーン105の主要な機能は、構造部材(例えばI形梁121)を、シェイクアウトフィールド110から、部分的に完成した構造物118上の取り付け位置まで吊り上げることである。例えば、柱117d上の取り付け位置122が、I形梁121の目的位置となり得る。I形梁121が適所に吊り上げられると、1人以上のクルー(図示せず)が、従来の手段(例えばボルト及びリベット等)によって、I形梁を柱117dの取り付け位置122に取り付ける。構造部材をシェイクアウトフィールド110から部分的に建てられた構造物118に吊り上げる他に、鉄骨の束121a等の他の建築材料も同様に、シェイクアウトフィールド110から部分的に建てられた構造物118に吊り上げられてもよい。
【0044】
ここで図2を参照すると、上部アーム125、下部アーム126、マスタストラップ127、マスタワイヤロープ128、ラフィングプーリ129、ラフィングワイヤロープ130、マストブラケット131、カウンタウェイト132、クレーン運転室133、右側動力式トレッド134a、左側動力式トレッド134b、メインフックブロックシーブ135a及び135b、並びに持ち上げフック140を有するメインフックブロック136を有する、クレーン105が示されている。クレーン105は、ディーゼルエンジン137、油圧システム138(図示せず)、及び/又は電力源139によって動かされ、電力源139は、少なくともメインフックブロック136を昇降させるための電力をクレーンに供給するものである。クレーン105の他の部品及び動作は本分野でよく知られており、本明細書では検討されない。
【0045】
撮像システム210は、メインフックブロック136に取り付けられて示されており、任意の耐候性ハウジング212内に収容されている。撮像システム210は、下向きに焦点を合わせた撮像器430a及び430bを含む。図2には2つの撮像器が描かれているが、撮像システム210はいずれの数の撮像器を含んでもよい。撮像システム210のための代替の取り付け位置213は、図9Bに示されている。
【0046】
撮像システム210はまた、INSを含む。INSは、リアルタイムキネマティック(RTK)対応の全地球航法衛星システム(GNSS)受信器及び慣性測定ユニット(IMU)を含んでもよい。GNSS受信器は、正確な緯度、経度、及び高度データを決定するために、米国のGPS、ロシア連邦のGlonassシステム、中華人民共和国のBeiDouシステム、欧州のGalileoシステム、及び他のナビゲーション信号を受信してもよい。IMUは、INS座標系を基準とした直線加速度、角速度(及び/又は角加速度)、及び方位データを提供し、GNSS信号が利用できなくなった場合にオペレータシステムの位置の推測航法算出を可能とする。GNSSアンテナ421は、防水ハウジング212の上に装着される。しかしながら、アンテナは、撮像システム210の任意の適切な部分に位置付けられてもよい。オペレータシステム205及び撮像システム210は、図3図5を参照しながら、より完全に議論される。
【0047】
ここで図3を参照すると、クレーン支援システム200は、オペレータシステム205、撮像システム210、モバイルシステム215、及びサーバシステム220を含む。これらのシステムの各々は、インターネット又は他の適切なネットワークを介して、クラウドサービス225と通信してもよい。オペレータシステム205は、(a)通信チャネル230を介して撮像システム210と、(b)通信チャネル235を介してモバイルシステム215と、(c)通信チャネル240を介してサーバシステム220と、(d)通信チャネル260を介してクラウド225と、双方向通信する。撮像システム210はまた、(a)通信チャネル245を介してモバイルシステム215と、(b)通信チャネル250を介してサーバシステム220と、(c)通信チャネル265を介してクラウドサービス225と、双方向通信する。モバイルシステム215はまた、(a)通信チャネル255を介してサーバシステム220と、(b)通信チャネル270を介してクラウドサービス225と、双方向通信する。最後に、サーバシステム220もまた、通信チャネル275を介してクラウドサービス225と双方向通信する。かくして、システム200の全てのシステム要素が、互いと及びクラウドと双方向通信する。
【0048】
図3Bを参照すると、クレーン支援システム200は、1台よりも多いクレーンを含むように拡張され得る。個々のクレーンは、オペレータシステム205(n)及び撮像システム210(n)を含む、クレーン特有システム280(n)を有してもよい。1つ以上のモバイルコンピュータベースのシステム215(n)(nはインデクスでありクレーン番号を示す)もまた、クレーン特有システム280(n)に関連付けられてもよい。各クレーン特有システム280(n)は、特定のクレーンについて、オペレータシステム205(n)、第2のコンピュータベースのシステム210(n)、クラウドサービス225、及び1つ以上のモバイルシステム215(n)の間で、同じ通信チャネルを維持する。各クレーン特有システム280(n)は依然として、単一のマスタサーバシステム282と通信する。マスタサーバシステム282は、通信チャネル275を介してクラウドサービス225と通信する。それゆえ、各クレーン特有システム280(n)は、他の任意のクレーン特有システム280(m)(mはクレーン番号を示す)と通信することができる。例えば、クレーン特有システム280(3)のモバイルシステム215(3)は、クレーン特有システム280(4)のモバイルシステム215(4)と通信してもよい。全てのクレーン特有システムによって収集及び処理された全てのデータは次いで、マスタサーバ282を介してアクセスされ得る。それゆえ、マスタサーバ282は、関連するモバイルシステムを含むクレーン特有システムによって収集された全てのデータのためのデータリポジトリである。建設現場プロセス全体のデータが記録され、マスタサーバ282からクラウドサービス225を介して他者に利用可能であり、建設現場の効率及び他の建設現場のメトリクスを決定するために分析されてもよい。
【0049】
図4を参照すると、オペレータシステム205のブロック図が示されている。オペレータシステムは、オペレータ無線モデム310、オペレータINS320、オペレータディスプレイ330、オペレータコンピュータ340、オペレータ入力デバイス350、オペレータスピーカ370、及びオペレータ電源380を含む。オペレータシステム205はまた、任意に第2のオペレータディスプレイ360を含む。
【0050】
オペレータ無線モデム310は、他のシステム要素(例えば撮像システム210、モバイルシステム215、及びサーバシステム220)の無線モデムと通信するためのRF無線モデム311と、Wi-Fi又はセルラネットワークを介してクラウドサービス225と通信するための無線モデム312及び/又はセルラモデム313(図示せず)と、をそれぞれ含んでもよい。必要に応じて、追加的なモデムが、オペレータシステムの無線モデム310に更に組み込まれてもよい。他の実施形態においては、全てのシステム要素がクラウドサービス225と直接通信し、クラウドサービス225の通信チャネルを介して互いに通信する。この場合、オペレータシステム205は、モデム312のみを必要とする。オペレータ無線モデム310は、それぞれのアンテナ315(ただし図4においては1つのアンテナのみが示されている)を介して、到来する信号314aを受信し、出ていく信号314bを送信する。オペレータ無線モデム310は、ローカルバス316及び/又はマスタバス318を介して、INSシステム320及びコンピュータ340を含むオペレータシステム205の他のコンポーネントと通信する。
【0051】
INSシステム320は、GNSSアンテナ321及びGNSS受信器324を介して、衛星群328(明確さのため群328は1つの衛星のみで示されている)からGNSS信号329を受信する。このシステムはまた、慣性測定ユニット322からのデータとともに、オペレータシステムについてのLLA及び/又はECEFロケーションフィックスを計算する。かくして、クレーン105のGNSS位置は既知である。LLA及び/又はECEFロケーションフィックスは、ユニバーサル横メルカトル(UTM)座標系等の他の座標系においてクレーン105の位置を決定するために使用されてもよい。様々な従来の座標系間の変換は、本分野においてよく知られている。INSシステム320(具体的にはGNSS受信器324)はまた、モデム310を介してRTK補正データを受信する。IMU322は、並進(X、Y、及びZ)加速度、角速度、及びINSの座標系に関する方位情報を提供する。INS320は、バス326及び/又はマスタバス326を介して、オペレータシステム205の他のシステムコンポーネントと通信する。INS320の一例は、Sydney、AustraliaのAdvanced NavigationによるCertusモデルである。多くのINSシステムの製造業者があり、Sunnyvale、CaliforniaのTrimble Navigation、及びSanta Ana、California(U.S.オフィス)のSBG Systems S.A.Sを含む。
【0052】
オペレータコンピュータ340は、本発明の以上に列記された目的の全てを実現するのに必要なタスクを実行するように、ハードウェア及びソフトウェアの両方において建設的に構成された従来のコンピュータである。コンピュータ340は、シリアル及びパラレル通信ポートを含んでもよい。例えば、コンピュータ340は、ユニバーサルシリアルポート(USB)、Centronicsパラレル通信ポート、ethernetポート、RS-232ポート、RS-485ポート、及びオペレータシステム205の他のコンポーネントと通信するのに必要な他の通信ポートを含んでもよい。
【0053】
ディスプレイ330は、Dell Computerのモデル番号E1920H等の従来のコンピュータモニタであり、データバス332を介してコンピュータ340と通信する。第1のディスプレイ上の複数のウィンドウ間をクレーンオペレータに切り換えさせることなく、追加的な情報を表示するために、任意の第2のディスプレイ360が提供されてもよい。例えば、第1のディスプレイ330は、持ち上げリストの表現を表示してもよく、第2のディスプレイ360は、建設現場の3D表現と、シェイクアウト場内の構造部材の初期位置から目的位置(例えば取り付け位置122)までの射影吊り上げ経路と、目的位置からシェイクアウトフィールド110までの戻り経路と、を表示してもよい。第2のディスプレイ360は、データバス334を介してコンピュータ340と通信する。
【0054】
オペレータシステム205はまた、データバス351を介してコンピュータ340に接続された1つ以上の入力デバイス350(例えば従来のキーボード又はタッチ感応ディスプレイ)を含み、クレーンオペレータがコンピュータ340とインタラクトすることを可能とする。他の入力デバイスが提供されてもよく、従来のジョイスティック341及びマウス342を含む(従来のジョイスティック341及びマウス342はいずれも図示されていない)。スピーカ370は、ケーブル371を介してコンピュータ340に接続された従来のスピーカであってもよく、コンピュータ340からクレーンオペレータに、潜在的な衝突の警告等の可聴の指示、及び他の可聴通信を伝達する。いくつかの実施形態においては、ケーブル371は、Bluetooth(登録商標)接続等の無線接続に置き換えられてもよい。電源380は、クレーン105の電力源139に接続され(明確さのため接続は図示されていない)、オペレータシステム205に必要な電力を、電力バス381を介して提供する。
【0055】
ここで図5を参照すると、撮像システム210のブロック図が示されており、撮像器無線モデム410、撮像器INS420、撮像器コンピュータ440、及び撮像器電源480を含むコンポーネントを備えている。これらのコンポーネントは、オペレータシステム205の対応するコンポーネントと同様であるか又は同一であってもよく、再び詳細には議論されない。撮像システム210はまた、撮像器430及び距離センサ450を含む。いくつかの実施形態においては、撮像システム210は、耐候性ハウジング212の中に封入され、クレーンのメインフックブロック(例えば図2のメインフックブロック136)に取り付けられる。撮像システム210のメインフックブロック136への装着の詳細は、図9A及び図9Bを参照しながら更に議論される。撮像システム210はまた、建設現場を自動的に又は遠隔制御で行き来することができる、1台以上のドローン機に装着されてもよい。
【0056】
撮像システム210がクレーンのメインフックブロックに装着される実施形態においては、INSシステム420は、メインフックブロック136のGNSS位置と、吊り上げられた建築材料オブジェクトのGNSS位置と、を決定してもよい。メインフックブロック136のGNSS位置は、従来の座標系変換を使用して、UTM等の他の座標系に変換されてもよい。IMU422のデータは、GNSS衛星329の信号が構造物115によって又は他の建設現場若しくは他の障害物によって弱められたり除去されたりした場合の推測航法の間に、メインフック及びブロック136のGNSS位置を提供するために使用されてもよい。撮像システムが他のどこか(例えば1台以上のドローン機上)に位置付けられる実施形態においては、メインフックブロック及び吊り上げられたオブジェクトについてのGNSS位置データが他のシステムコンポーネントに利用可能なままであることを確実にするために、INSシステムは依然としてメインフックブロック136に装着されてもよい。
【0057】
撮像コンピュータ440は、単一の撮像器430(又は図2に示されるように1つよりも多い撮像器が使用される場合は撮像器430a及び430b)に対してハードウェアトリガ信号を提供することによって、いつ画像が取得されるかを制御することができる。撮像コンピュータ440はまた、距離センサ450(又は1つよりも多い距離センサが使用される場合には距離センサ450a及び450b)に対してハードウェアトリガ信号を提供することによって、いつ目標距離が取得されかを制御することができる。撮像コンピュータ440はまた、従来のアナログ-デジタル(A/D)システム及びデジタル-アナログ(D/A)システム(図示せず)を含んでもよい。例えば、A/Dは、バッテリ470の電圧をサンプリングするために使用されてもよい。
【0058】
好ましくは、撮像器430は、地表面(例えば地表面109)に対して下向きに焦点を合わせている。撮像器430のレンズ431は、地表面109及び/又は撮像器430及びレンズ431の視野内にある他の任意のオブジェクト(例えば図1の構造部材120及び121)に焦点を維持することができる。いくつかの実施形態においては、シェイクアウトフィールド110の視野を拡大するため、及び/又はシェイクアウトフィールド内の任意の構造部材の立体画像を提供するため、複数の撮像器(例えば図2及び図9Aの撮像器430a及び430b)が使用されてもよい。以下の明細書では、明確さのため単一の撮像器430及び単一のレンズ431を参照するが、各々がそれ自体のレンズ及び他の付属品を有する複数の撮像器が明示的に想定されることに留意されたい。いくつかの実施形態においては、撮像器430はまた、光学フィルタ429を含む。いくつかの実施形態においては、撮像システム210は、シェイクアウトフィールド110のエリア内の建築材料オブジェクトの側面を見るための追加的なサイドビュー撮像器を含む。
【0059】
撮像器430は、好ましくは、レンズ431によって決定されるカメラの視野内のオブジェクトの画像を取得するための、波長(色)応答性の従来のプログレッシブ走査型CMOS撮像器である。かかる撮像器は、光を電気信号に変換するよう構成された矩形状の画素アレイを有するCMOS平面センサ435を含むが、(赤外線又は紫外放射等の)他のタイプの電磁放射を電気信号に変換するために、他のセンサが使用されてもよい。このタイプのCMOS撮像器の一例は、Ahrensburg、GermanyのBasler AGにより製造されるモデル番号acA1440-73gcである。このセンサは、1440x1080のアクティブ画素の平面的なセンサアレイを有し、GigE通信仕様に準拠している。撮像器430は、ローカルバス432及び/又はマスタバス418を介して、コンピュータ440と通信する。モデル番号Aca1440-73gcカメラについては、ローカルバス432は高帯域幅Ethernetケーブルであるが、撮像器430の仕様に依存して他の通信プロトコルが使用されてもよい。
【0060】
撮像器430は、種々の撮像器-オブジェクト目標距離において、画像空間距離に対してオブジェクト空間を正確にマッピングするように較正されてもよい。例えば、特定の撮像器-オブジェクト目標距離において、オブジェクト空間距離は画像空間距離に対応することとなり、逆もまた同様である。撮像器はまた、レンズ歪み及び射影歪みについても較正され、追加的に各画像画素のGPS位置を決定するために較正される。
【0061】
撮像器430は、光学バンドパスフィルタ429を含むレンズ431と、手動又は電子的に調整可能な絞り(図示せず)を含む。撮像器430はまた、CMOSセンサ435によって受光される光の量を制御可能に決定する、プログラム可能な電子シャッタ(図示せず)を有する。撮像器430は、レンズ431とともに、従来から規定されている光軸436を有する。撮像器430はまた、ローカルバス432及びマスタバス418を介して、従来のEthernetバスインタフェースを使用して、ステータスデータ、制御データ、及び画像データをコンピュータ440に通信する、電子回路(図示せず)を含む。
【0062】
撮像器430は、トリガ信号を受信したときに、画像を取得するようにトリガされてもよい。トリガ信号は、ハードウェアトリガ(例えば撮像システム210内に位置付けられた手動操作ボタン)、時間決定的トリガ源(すなわちトリガ信号の発生の時間が既知である)、ソフトウェアコマンドトリガ(例えばオペレータシステム205又はモバイルシステム215のユーザからのコマンドを受信した際)、又はフリーラン(すなわち画像を非同期で取得するものであり、この場合には、コンピュータ440の内部クロック、INSにより提供されるタイミング信号、又は外部タイミング源を使用して、画像がタイムスタンプされる)を介するものを含む、多くの方法で生成され得る。撮像器430は、現在の画像の取得がいつ開始されたかを示す、取得された各画像に付加された内部タイムスタンプを含んでもよい。この情報は、一連の画像の順序付けに有用となり得る。目標輝度ステータス及びフレームID等の他の情報が、画像データに付加されてもよい。フレームIDは、露光された画像のフレーム番号を示し、0から始まり、カメラが撮像を停止するか又は電源が切られるまで、露光された各画像について1ずつ増加する。カメラの製造業者及びモデル番号に依存して、更に別の情報(例えばメタデータ)が画像データに付加されてもよい。
【0063】
撮像器430と同様に、距離センサ450は下向きに焦点を合わせている。距離センサ450は、レーザビーム806を発し、目標位置の表面からのレーザビームの反射808を受光することにより、距離センサ450から目標位置までの垂直距離を測定する。例えば、目標位置が地面(例えば図1の地表面109)にある場合、距離センサ450はセンサの位置から地面までの垂直距離を提供することとなる。同様に、目標位置が構造部材(例えば図1の構造部材121)の上面である場合、距離センサ450はセンサから構造部材の上面までの垂直距離を提供することとなる。図16を参照しながら更に議論されるように、これら2つの垂直測定値の差をとることが、構造部材121の高さを導出する。図9Aに示されるように、2つ以上の距離センサ450(距離センサ450a及び450bとラベル付けされている)が、撮像システム210に組み込まれてもよい。
【0064】
距離センサ450から目標までの距離は、正しい画像からオブジェクト空間への変換の選択を支援するためにも使用され得る。例えば、10メートルの距離においては、各画素は0.25インチを表し、20メートルの距離においては、各画素は0.5インチを表し得る。かくして、LIDAR距離測定は、正しい画像からオブジェクト空間への変換を決定するために使用され得、逆もまた同様である。撮像された各構造部材が関連する距離データとGNSS位置を有するように、画像及び距離データがGNSS位置と同期させられてもよい。距離センサ450からの距離データは、双方向ローカルバス451及び/又はマスタバス418を介して、コンピュータ440に送信される。距離センサ450は、好ましくは、レーザビームを距離センサ450の前面から外向きに投射させる、光距離測距(LIDAR)センサである。LIDAR距離センサの一例は、Raleigh、North CarolinaのMicro-Epsilonにより製造されているモデル番号optoNCDT ILR2250である。超音波距離センサ及びRADARベースの距離センサ等の他の距離センサ技術が、撮像システム210に組み込まれてもよい。追加的に、距離データの点群を生成する走査型LIDARセンサが使用されてもよい。
【0065】
図6を参照すると、モバイルシステム215のブロック図が示されている。モバイルシステム215は、無線モデム510、INS520、ディスプレイ530、コンピュータ540、入力デバイス550、及び電源580を含む。これらのコンポーネントは、オペレータシステム205及び撮像システム210の対応するコンポーネントと類似するか又は同一のものであってもよく、再び詳細には議論されない。好ましくは、モバイルシステム215のコンポーネントは、ラップトップコンピュータ、タブレット、又は携帯電話等の1つの物理的ユニットに組み合わせられる。
【0066】
図7を参照すると、サーバシステム220のブロック図が示されている。サーバシステム220は、無線モデム610、INS620、ディスプレイ630、コンピュータ640、及び入力デバイス650を含む。これらのコンポーネントは、オペレータシステム205、撮像システム210、及びモバイルシステム215の対応するコンポーネントと類似するものか又は同一のものであってもよく、再び詳細には議論されない。サーバへの電力は通常、AC電力基幹及び電源によって提供される。携帯型サーバについては、電力はバッテリ電源によって供給される。サーバシステム220は、建設現場100(例えば現場の建設事務所の内部)に位置付けられてもよいし、又は現場外の位置に位置付けられてもよい。従来のRJ-45ハードワイヤEthernet接続652は、(モデム612のインターネット接続に加えて)インターネットへの接続を提供する。
【0067】
以下の開示は、I形梁等の構造部材に言及しているが、この開示は、初期位置(シェイクアウトフィールド)から建設現場上の目的位置(通常は構造物115上のどこか)に吊り上げられる必要がある他の建築材料オブジェクトにも適用可能であり、構造部材だけに限定されず、全ての建築材料オブジェクトを含む。
【0068】
ここで図8A及び図8Bを参照すると、構造部材121(従来のI形梁として図示されている)が、シェイクアウトフィールド110内の地表面109上に静置されて図示されている。構造部材121は、ウェブ厚さ703を有するウェブ701、上部フランジ705、上部フランジ上面714、下部フランジ707、下部フランジ底面706を含む。同様に図8A及び図8Bにマークされているものは、フランジ幅708、フランジ厚さ709、梁長さ710、及び梁高さ711である。I形梁の深さは、上部フランジ上面714から下部フランジ底面706までの公称高さ(梁高さ711としてマークされている)として定義される。
【0069】
追加的に、図8A及び図8Bに示されているものは、ブラケット712並びに取り付け穴の対720a、720b、720c、及び720dを含む、いくつかの構造特徴である。ブラケット712は典型的には、従来の鋼製ボルト及びナットを用いて上部フランジ上面714に取り付けられるが、いずれの適切なハードウェアが使用されてもよい。ブラケット712は、追加的な構造部材を構造部材121に保持するために備えられてもよい。取り付け穴の対は、構造部材121の両端に形成され、上部フランジ705を貫通している。穴の対720a、720b、720c、及び720dは、部分的に完成した構造物118に構造部材121を取り付けるために使用される。
【0070】
同様に上部フランジ上面714に位置付けられているものは、手書きの又はステンシルで記された識別印740である。識別印740は、構造部材121を識別し、持ち上げリストデータとともに、構造部材を構造物115上へと吊り上げる順序を決定するために使用される。識別印740は典型的には、識別印と上部フランジ上面714との間に高い視覚的コントラストを提供する色の、チョーク又は他の材料(スプレー塗料等)で手書きされる。通常は、白色チョーク又は白色塗料が使用されるが、これは構造部材が灰色塗料又は他の暗い色の防錆材料等の対照的な色の材料で被覆されているからである。識別印740の色は、印の色と印が配置される表面の色との間の高いコントラストを確実にするために、鋼材組立業者に伝えられる構造部材121の仕様に組み込まれもてよい。識別印740はまた、上部フランジ上面714にステンシルで記されてもよく、英数字及び/又は記号で構成されてもよい。
【0071】
いくつかの実施形態においては、1つ以上の直線バーコード又はQRコード(2D)が英数字の印を補足してもよい。例えば、各構造部材は、従来のQRコード及び/又は以上に説明された手書きの英数字の識別印でマークされてもよい。これらの実施形態においては、QRコードは英数字の識別印とともに撮像される。QRコード及び英数字の印は、建築材料オブジェクトに印刷されてもよいし、又は材料の適切な断片(厚紙又は紙等)に一緒に又は別々に印刷されてもよく、それが次いで、従来の取り付け手段を使用して建築材料オブジェクトの表面に配置される。
【0072】
識別印740(又はその電子的表現)は、建設現場データベース内に含まれる構造部材121に関連する、より具体的な情報にアクセスするために使用されてもよい。この情報は、例えば、構造部材の長さ、高さ、幅、重量、製造日、構造部材121と一体化された付加的な構造特徴(ブラケット712、及び取り付け穴の対720a、720b、720c、及び720d等)、並びに構造部材121に対する構造特徴の位置及びその寸法を含んでもよい。識別印740を使用して建設現場データベースからアクセスされ得る他の情報は、他の周囲の及び/又は嵌合する構造部材、取り付け位置座標、鋼材組立業者の身元、及び他の任意の関連情報を含んでもよい。
【0073】
米国では、I形梁は通常、深さ711及びフィート当たりのポンドでの重量によって指定される。例えば、W12x22のI形梁は、約12インチの深さ、及びフィート当たり約22ポンドの重さを有する。W12x22のタイプのI形梁構造部材の長さを知ることは、構造部材の重量が決定されることを可能にする。構造部材の長さ及びタイプは通常、建設現場データベースに含まれており、特定の構造部材についての識別印を使用してアクセスされ得る。特定の構造部材についての識別印は、その特定の構造部材についての全ての関連データ同士をリンクするために使用される。オペレータがそれぞれの構造部材の吊り上げ荷重を決定し、荷重がクレーン105の持ち上げ能力を超えないことを確実にすることができるように、構造部材の重量を知ることは重要である。
【0074】
追加的に、重心(CG)は、部分的に完成した鉄骨構造に構造部材を吊り上げるのに必要な索具を取り付ける際に、重要な考慮事項である。重心は、建設現場データベース内に含まれ、その特定の構造部材についての識別印を使用してアクセスされるデータを使用して、所与の構造部材について決定されてもよい。所与の構造部材についての断面プロファイル及び他の幾何学的寸法が、建設現場データベースから決定されてもよい。特定の構造部材の重心は、その特定の構造部材についての寸法及び材料密度から決定される。オブジェクトの重心を決定することは、本分野においてよく知られている。
【0075】
図9A及び図9Bを参照すると、メインフックブロック136に取り付けられ、防水ハウジング212内に封入された、撮像システム210が図示されている。防水ハウジング212内に含まれているものは、地面に向かって下向きに焦点を合わせた撮像器430a及び430bである。各撮像器は、それぞれの視野802a/802b及び光軸436a/436bを有する。撮像器430aと撮像器430bとは、互いに水平方向に一直線上にあるが、ハウジング212の反対側に位置付けられている。同様に図9Aに示されているものは、モデムアンテナ415及びINSアンテナ421である。
【0076】
撮像システム210は、説明の目的のため、メインフックブロック136に取り付けられて示されているが、撮像システム210はまた、従来のスプレッダ梁及び持ち上げ梁に取り付けられてもよいし、又はシェイクアウトフィールド110の遮られない視界を与える他の位置において取り付けられてもよい。撮像システム210はまた、建設現場を自動的又は遠隔制御の下で行き来することが可能な、1台以上のドローン機に装着されてもよい。撮像器430a及び430bのそれぞれの視野802a及び802bは、その中に位置付けられた構造部材(例えば梁、桁、及び/又は柱)及び他の建築材料オブジェクトの部分的な又は全体的な画像を含む、シェイクアウトフィールドの画像を捕捉することができる。同様にハウジング212内に封入されているものは、距離センサ450a及び450b(例えばLIDARセンサ)であり、いずれも地面又は構造部材の上部フランジ上面等の他の目標に向かって、下方に向けられている。距離センサ450a及び450bは、それぞれレーザ光806a及び806bを発し、それぞれの反射808a及び808bを受光する。LIDAR距離測定センサ450aとLIDAR距離測定センサ450bとは、互いに水平方向に一直線上にあるが、ホーシング212の反対側に位置付けられている。いくつかの実施形態においては、撮像システム210は、走査型LIDAR技術を備えてもよい。走査型LIDARは、撮像器430及び/又は距離センサ450の代わりに又はそれに加えて使用されてもよい。走査型LIDARを使用して、撮像システムは、シェイクアウトフィールド(その中に位置付けられた全ての構造部材を含む)の完全な3D表現、及び/又は部分的に完成した構造物の完全な3D表現を生成してもよい。
【0077】
撮像器430a及び430b並びにLIDAR距離測定センサ450a及び450bの両方について他の装着構成も可能であり、それらの配置はメインフックブロック136の構成に依存し得る。例えば、いくつかの用途においては、ハウジング212は、図9Bにおける点線213によって示される代替の装着位置において、メインフックブロック136に垂直に取り付けられることが有益となり得る。代替としては、構造部材121を持ち上げフック140に取り付けるために使用される索具に依存して、装着構成の組み合わせが使用されてもよい。しかしながら、装着構成及びハウジング212の位置が、撮像器430a/430b及び距離センサ450a/450baに、シェイクアウトフィールドの遮られない視界を提供することが重要である。
【0078】
ハウジング212は、従来の締結具(図示せず)を用いてメインフックブロック136に取り付けられてもよいし、又は、永久磁石を有する1つ以上の従来の磁気切り換え可能な保持デバイス(図示せず)を使用してメインフックブロック136に磁気的に固定されてもよい。磁気切り換え可能な保持デバイスは、永久磁石によって生成される外部磁束がオン又はオフにされることを可能にする。オペレータはこのとき、磁気切り換え可能なデバイスをオフにすることによって、保管、修理、サービス、バッテリ充電若しくは交換、又は他の理由のために、撮像システム210をメインフックブロック136から容易に取り外すことができる。
【0079】
メインフックブロック136は従来、ケーブル810及び812によって昇降させられる。かくして、メインフックブロック136を昇降させることは、撮像器430a及び430b並びに距離センサ450a及び450bとともに撮像システム210も昇降させる。追加的に、撮像器の視野がシェイクアウトフィールドの画像を取得するのに十分である場合には、単一の撮像器430及び/又は単一のLIDAR距離センサが使用され得る。建築材料オブジェクトの識別印を決定するため取得するために、他のタイプのセンサが使用されてもよい。例えば、バーコードリーダ及びRFIDリーダもまた、ハウジング212内に装着されてもよい。センサは、以上に開示されたものに限定されない。
【0080】
ここで図10を参照すると、オペレータシステム205のコンピュータ340のメモリ900のブロック図が示されている。メモリ900は、コンピュータ340のハードウェア、ソフトウェア、及び他のリソースを管理するための、従来のコンピュータオペレーティングシステム(OS)ソフトウェア910と、本発明の好ましい実施形態によるタスクを実行するためのいくつかのソフトウェアプログラムを含む、プログラムメモリ920と、データを記憶するための、データメモリ930と、を含む。図10に関して議論された様々なプログラムは、オペレータシステム205内で実行されるが、これらのプログラムは、撮像システム210、モバイルシステム215、サーバシステム220、又はクラウドサービス225を含む、他のいずれの適切なシステム上で実行されてもよいことに、留意されたい。
【0081】
コンピュータオペレーティングシステムソフトウェア910は、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)、UNIX OSソフトウェア、LINUX OSソフトウェア(例えばLinuxのディストリビューションであるUbuntu及びDebianは、LINUXベースのオペレーティングシステムの例である)、Windows OSソフトウェア(Microsoft Corporationによって提供される)、又は他の互換性のあるオペレーティングシステムソフトウェア等の、従来のオペレーティングシステムソフトウェアを含んでもよい。オペレーティングソフトウェアは、従来のオペレーティングシステムソフトウェアの機能を実行し、コンピュータ340のプログラムメモリ920に記憶された様々なプログラムを実行することができる。
【0082】
プログラムメモリ920は、通信プログラム932、アンパックアンドゴー(unpack-and-go)プログラム934、画像補正及びノイズ除去プログラム936、二次元(2-D)画像ステッチプログラム938、画像空間からオブジェクト空間への変換プログラム940、画像分析及び畳み込みニューラルネットワーク(CNN)プログラム942、ビーム高さプログラム944、データ融合プログラム946、仕様比較プログラム948、重心算出プログラム949、GNSS位置算出器2003、及びシステム制御プログラム950を記憶する。
【0083】
データメモリ930は、揮発性メモリ及び不揮発性メモリの両方で構成されてもよく、いずれのメモリ技術にも限定されない。例えば、従来のランダムアクセスメモリ(RAM)、ソリッドステートドライブメモリ、電気的にプログラム可能なメモリ、フラッシュメモリ、及びハードディスクメモリが、データメモリ930の実装を構成してもよい。例えば、データメモリ930に記憶されるデータは、画像データ、GNSS位置及びIMUデータを含むINSデータ、タイムスタンプデータ、距離センサデータ、診断データ、画像補正データ、画像空間からオブジェクト空間への変換パラメータ、持ち上げリストデータ、及び以上に列記された全てのデータを含む。
【0084】
通信プログラム932は、オペレータシステム205から、それぞれ通信チャネル230、235、240、及び260を介して、撮像システム210、モバイルシステム215、サーバシステム220、及びクラウドサービス225への全ての双方向通信を制御する(すなわちデータの受信及び送信を制御する)。通信プログラム932はまた、モデム310を構成及び管理する。例えば、通信プログラム932は、モデムの各々についての通信チャネル230、235、240、及び260についてのボーレート及びパリティを設定する。
【0085】
通信プログラム932は更に、(a)インデクスデータ1052、シリアル化された圧縮画像データ1054、タイムスタンプデータ1056、距離データ1058、INSデータ(GNSS位置データ1060、IMUデータ1062、及びパリティデータ1064を含む)を含む、システム210(図20に関して以下に詳細に議論される)によって送信されたデータパケット1050と、(b)建設現場データベースデータ及び持ち上げリストデータを含む、サーバシステム220によって送信されるデータと、(c)クラウド225によって送信される任意のデータと、(d)モバイルシステム215によって送信される任意のデータと、(e)本発明の目的を満たすのに適切な他の任意のデータと、を含む、モデム310によって受信された全てのデータを受信し、メモリ930に記憶する。
【0086】
アンパックアンドゴープログラム934は、メモリ930に記憶されたデータにアクセスし、アンパック(解析)する。このデータは、例えば、撮像システム210によって送信されるデータを含み得る。アンパックアンドゴープログラム934によって解析されるデータは、異なるメモリ位置にあるデータメモリ930に(解析された形式で)書き戻される。メモリ930に以前に記憶された他のパックされたデータも、アンパックアンドゴープログラム934によって解析されてもよい。好ましくは、元の解析されていないデータは上書きされない。
【0087】
図11を参照すると、図10の画像補正及びノイズ除去プログラム936の動作を示すブロック図が示されている。画像補正及びノイズ除去プログラム936は、メモリ930に以前に記憶された単一の生の圧縮画像データ1066を入力として受け取り、単一の非圧縮生画像データ1067を出力として生成する。圧縮画像データは、撮像システム210に常駐する圧縮アルゴリズムによって生成され、その後、通信チャネル230を介してオペレータシステム205に送信され、このことは以下に更に議論される。図1の構造部材121に関連する圧縮生画像データ1066は、図12Aに示され、非圧縮の、歪み補正され、ノイズフィルタ処理され、セグメント化された画像データ1067が、図12Bに示されている。図12Aに示される画像951は、画像データ1066の一具体例であること、及び、図12Bに示される画像データ959は、画像データ1067の一具体例であることに、留意されたい。各画像1066に対して、対応する画像1067があることにも留意されたい。
【0088】
画像補正及びノイズ除去プログラム936は、アンパックアンドゴープログラム934によってメモリ930に以前に記憶された各圧縮生画像1066を入力し、圧縮生画像を展開し、展開された生画像データのレンズ歪み(ピンクッション型歪み及び樽型歪みを含む)及び射影歪みを補正し、画像をノイズフィルタリングし、次いで、セグメント化法を使用して画像を処理し、新たな、展開された、歪み補正され、ノイズフィルタリングされ、セグメント化された画像データ1067を作成する。好ましくは、元の生画像データは上書きされない。画像1066及び1067は、撮像システム210、モバイルシステム215及びサーバシステム220を含む全てのシステム要素に利用可能である(それゆえクラウドサービス225に利用可能である)。光学歪みを補正するために画像補正及びノイズ除去プログラム936によって必要とされるそれぞれの歪みパラメータは、Natick、MassachusettsのMathWorks,Inc.によって提供され、カメラ較正分野において知られているもの等の、従来の光学歪み補正プログラムによって決定される。歪みパラメータは、メモリ930の不揮発性部分に記憶される。
【0089】
レンズ歪みを補正した後、画像補正及びノイズ除去プログラム936は、ホモグラフィック変換を使用して射影歪みを補正する(この手法は、構造部材121の上面714が、カメラ430のCMOSセンサアレイ435の平面に平行な平面内に有することを仮定している。画像補正及びノイズ除去プログラム936は、適切なソフトウェアとともに、寸法的に定義された2Dチェッカボードパターンの画像データを使用して、光学歪み及び射影歪みを最小化するために必要な補正パラメータを決定する。更に、画像空間座標は、ここでもまた構造部材121の上面714がカメラ430のCMOSセンサアレイ435と平面であると仮定すると、実際の歪みのない画像境界を越えて延在し得る。
【0090】
画像補正及びノイズ除去プログラム936は、歪み補正された各画像から画像ノイズ949を更に除去する。画像ノイズ949は典型的には、塩及びコショウ様ノイズとして現れ(図12Aに示されているものはコショウ様ノイズのみである)、主に撮像システム210の撮像器430による画像取得の間、及び撮像システム210からオペレータシステム205への画像の電子的な送信の間に発生する。画像ノイズはまた、ガウシアンノイズを含み得る。画像中のノイズ除去は、機械及びコンピュータビジョン分野においてよく知られている。例えば、歪み補正された画像は、画像ノイズ949を除去するために、Weiner線形フィルタによって又は空間領域フィルタリング手法によって、処理されてもよい。
【0091】
画像補正及びノイズ除去プログラム936は、個々の画像データ1066にセグメント化法を更に適用する。セグメント化法は、古典的な方法、人工知能法、又はその2つの組み合わせを含み、機械及びコンピュータビジョンの分野においてよく知られている。セグメント化法は、閾値処理、クラスタリング、ヒストグラムベースの方法、エッジ検出アルゴリズム(例えばソーベルエッジ検出器及びラプラスエッジ検出器)、デュアルクラスタリング法、領域拡張法、及び畳み込みニューラルネットワーク(CNN)方法を含むAI技術を含み得る。個々の歪み補正され及びノイズフィルタリングされた画像に対してセグメント化法を適用することは、重なる画像を見当合わせする(すなわち位置合わせする)ために画像ステッチプログラム938において使用される従来の二次元(2D)画像見当合わせアルゴリズムによって使用され得る、別個の画像特徴(隅等)を定義する。
【0092】
実用的な例として、図12Aを参照すると、構造部材121の生の、圧縮された、歪んだノイズの多い画像951が示されている。ノイズの多い画像951は、例えば図11に示される画像1066に対応するものであり得る。左側の横のエッジ線952、右側の横のエッジ線954、長手方向の底部のエッジ線956及び上部の長手方向のエッジ線958が、直線ではなく湾曲した弓形として示されており、レンズの歪みが明確に見える。ブラケット712及び穴の対構造部材121の構造特徴である構造特徴720a、720b、720c、及び720d)もまた歪んでいる。したがって、画像951から導出されるブラケット712の位置情報及び寸法、並びに穴の対720a、720b、720c、及び720dの穴の位置及び寸法は、かなりの誤差を有することになる。
【0093】
図12Bを参照すると、画像補正及びノイズ除去プログラム936は次いで、非圧縮の、歪み補正され、ノイズフィルタ処理され、セグメント化された画像959を生成する。例えば、図12Aにおける湾曲した線分956は、図12Bにおいては直線956’としてここでは正しく表示されている。同じプロセスが、メモリ930に保存された一連の画像1066に対して実行されて、メモリ930に記憶された、歪みが補正され、ノイズフィルタリングされ、セグメント化された一連の画像(画像のシーケンス)を作成してもよい。例えば、二次元画像ステッチプログラム938は、(画像補正及びノイズ除去プログラム936によって)メモリ930に以前に記憶された、個々の重なっている、歪み補正され、ノイズフィルタリングされ、セグメント化された複数の画像1067をステッチし、シェイクアウトフィールド110全体の新たな合成画像を形成する。
【0094】
図13Aを参照すると、インデクス付けされた、重なっている個々の、非圧縮の、歪み補正され、ノイズフィルタリングされ、セグメント化された、一連の6つの画像データ960、962、964、966、968及び970が示されており、それぞれ個々の画像原点及び座標系961(u1,v1)、963(u2,v2)、965(u3,v3)、967(u4,v4)、969(u5,v5)、及び971(u6,v6)を有する。画像データ960、962、964、966、968、及び970は更に、シェイクアウトフィールド110のレイアウト表現画像111(点線)上に重ねられて示されている。一連の画像1067(ひいては一連の画像1066)は、撮像器430の視野がシェイクアウトフィールド110全体を包含する場合については、単一の画像のみからなるものであってもよいことに、留意されたい。この場合、1つのシェイクアウトフィールド110の画像しかないので、複数の画像を単一の合成画像に結合するステッチ機能は必要とされない。
【0095】
画像をステッチするプロセスは本分野においてよく知られており、このタスクを達成するために利用可能ないくつかのソフトウェアプログラムがある。例えば、Microsoft Researchは、画像を合わせてステッチするためのソフトウェアツール(Image Composite Editor)を有する。二次元ステッチのための別のソフトウェアツールは、University of British ColumbiaのMatthew Brown及びDavid G.Loweによって開発された、AutoStitchである。画像のステッチに関する一般的なチュートリアルは、Richard Szeliskiによる“Image Alignment and Stitching: A Tutorial”(Foundations and Trends in Computer Graphics and Vision、Vol.2、No1(2006)1-104)である。複数画像分析についての参考文献は、Richard Hartley及びAndrew Zissermanによる“Multiple View Geometry In Computer Vision”(Cambridge University Press、2003)、Oliver Faugeras及びQuang-Tuan Luongによる“The Geometry of Multiple Images”(The MIT Press、2001)、及びYi Ma、Stefano Soattoらによる“An Invitation to 3-D Vision From Images to Geometric Models”(Springer-Verlag、2004)を含む。
【0096】
図10の二次元ステッチプログラム938は、画像データ960、962、964、966、968、及び970に対して、特徴抽出、見当合わせ、ステッチ、及び混合を実行する。特徴抽出は、補正された各画像を次元削減された形式に変換することを含み、画像に含まれる関連する形状情報を記述する。画像の見当合わせは、画像データ960、962、964、966、968、及び970間の幾何学的対応を作成し、画像の画素値を直接に使用してもよく、周波数領域ベースの見当合わせ方法、エッジ及び隅を使用するアルゴリズム、並びにオブジェクト及びそれらの合致する特徴間の関係を考慮するアルゴリズムを使用してもよい。画像は、シェイクアウトフィールド110に対する撮像器430(又は撮像器430a及び430b)の回転によって生成される画像間の回転について、更に補正される。
【0097】
図13Bを参照すると、シェイクアウトフィールド110全体の単一の包括的な完全ビューのステッチされた画像972が示されている。ステッチされた画像972は、6つの補正されセグメント化された画像データ960、962、964、966 968及び970から形成され、単一の画像原点及び(u,v)座標系974(u,v)を有するものとして示されている。二次元ステッチプログラム938は、非圧縮の、歪み補正され、ノイズフィルタリングされ、セグメント化された個々の画像間の幾何学的対応を組み合わせて合成画像972を形成し、混合を使用してステッチプロセスの間に生成された継ぎ目を除去する。画像を混合するための2つのよく知られた方法は、アルファ混合及びガウシアンピラミッド混合である。6つの補正された画像データ960、962、964、966 968及び970の各々の画素解像度は、ステッチされた画像972においても実質的に保存されることに留意されたい(例えば画像960中の画像空間寸法及び対応するオブジェクト空間寸法を有する画素は、合成画像972中に実質的に保存されることとなる)。かくして、ステッチされた画像972(又はそこから導出される他の画像)は、実質的に単一画像の解像度を有する画像空間の幾何学的特徴の属性、寸法及び測定値を決定するために、使用されてもよい。
【0098】
図13A及び図13Bに同様に示されているものは、画像960、962、964、966、968、及び970についての目標反射点976、978、980、982、984、及び986である。これらの目標反射点は、(例えば図4の距離センサ450によって)距離測定が行われた点である。2つの距離センサ(例えば図9Aの距離センサ450a及び450b)が採用される場合、各センサは、それ自身の目標反射点のセットに関連付けられることとなる。それゆえ、ステッチされた画像972データは、構造部材121の、非圧縮の、歪み補正され、ノイズフィルタリングされ、セグメント化された画像を(シェイクアウトフィールド110内で撮像された構造部材120及び鉄筋の束121a等の追加的な建築材料オブジェクトとともに)含み、各構造部材に関連する構造特徴オブジェクトの画像(例えば構造部材121に関連するブラケット712及び穴の対720a、720b、720c、及び720dの画像)を更に含み、また他の建築材料オブジェクト特徴も含み得ることは、理解されよう。識別印740の画像もまた含まれ、更にステッチされた画像972中の目標反射点に関するデータ(例えば地面からの距離及びu-v座標系内の位置)も含まれる。
【0099】
図10の画像空間からオブジェクト空間への変換プログラム940は、画像972の各画素を、等価のオブジェクト空間距離に変換する。例えば、補正された画像のu軸方向における画像空間中の1つの画素は、x軸方向におけるオブジェクト空間中の0.25インチ(又は約6.4mm)に対応し得る。代替としては、画像空間からオブジェクト空間への変換プログラム940は、オブジェクト空間距離を、対応する歪みのない画像空間座標に変換する。画像空間からオブジェクト空間への変換プログラム940は、画像空間からオブジェクト空間への変換が、レンズから撮像されるオブジェクトまでの距離に依存するという事実を更に考慮する。
【0100】
図14を参照すると、インチ当たりの画素の値(y軸)とレンズから撮像されるオブジェクトまでの距離(x軸)との間の関数的な依存性973の例が示されている。画像空間からオブジェクト空間への変換比は、レンズと結像されるオブジェクトとの間の距離の関数であり、従来のレンズについては一定ではないことが、よく知られている。撮像器/レンズの組み合わせは事前に較正されており、レンズから撮像されるオブジェクトまでの距離と、画像空間からオブジェクト空間への変換値と、の間の関数関係を提供する。
【0101】
レンズと撮像されるオブジェクト(例えば構造部材121)との間の距離は、距離センサ450によって決定される。いくつかの実施形態においては、この距離は、例えば位置的な装着の違いに起因するものであり得る、撮像装置430と距離センサ450との間の垂直オフセットを考慮して補正されなければならない。画像空間からオブジェクト空間への変換プログラム940は、画像空間寸法からオブジェクト空間寸法を決定するのに有用であり、構造部材121の上面714の画像から長さ710等のオブジェクトの幅、長さ、高さ、及び面積を決定するのに特に有用であり、又は特定の構造部材の構造特徴の相対的な位置及び寸法(例えば構造部材121に対する撮像されるブラケット712の位置及び寸法)を決定するため、又は補強筋121aの長さ等の他の建築材料オブジェクトについてのオブジェクト空間寸法を決定するために、特に有用である。
【0102】
図15を参照すると、図10の画像分析及び畳み込みニューラルネットワークプログラム942は、シェイクアウトフィールド110のステッチされた画像972を分析し、(a)各建築材料オブジェクト(例えば構造部材121)を検出するための、(b)取り付けられたブラケット712等の各構造部材に関連する構造特徴オブジェクト、又は他の建築材料オブジェクト特徴を検出するための、(c)識別印740(又は他の建築材料オブジェクトの識別印)等の、各構造部材に関連付けられた識別印オブジェクトを検出するための、(d)目標反射976978等の目標オブジェクトからの距離センサ目標反射を検出するための、及び(e)ステッチされた画像972内の他のオブジェクト及び次いで画像997を作成する、畳み込みニューラルネットワーク手法を含む、よく知られたコンピュータビジョン画像セグメント化を使用する。画像セグメント化法を記載している参考文献は、Rafael C.Gonzalez及びRichard E. Woodsによる“Digital Image Processing”、(Addison-Wesley Publishing Company、1992)、及びRafael C.Gonzalez、Richard E.Woods及びSteven L.Eddinsによる“MATLABを使用したデジタル画像処理”(Pearson Prentice Hall Publishing Company、1992)、及びNatick、MassachusettsのMathWorksによって開発されたMATLABプログラミング言語数値コンピューティング環境を含む。MATLAB及び画像セグメント化に関する一般的なインターネット検索は、画像セグメント化を実行するための多くの記事及びプログラム例を提供している。畳み込みニューラルネットワーク技術もまた、画像のセグメント化のために使用され得る。画像セグメント化のための畳み込みニューラルネットワークの一例は、U-Netである。
【0103】
画像分析プログラム942は、コンピュータビジョン法(スケール不変特徴変換等)及び/又は畳み込みニューラルネットワーク(CNN)法を使用して、オブジェクトを分類する。画像分析プログラム942は次いで、セグメント化法によって識別されたオブジェクトを分析し、(a)構造部材121等の構造部材オブジェクト、(b)各構造部材に関連するブラケット712等の構造特徴オブジェクト、(c)構造部材121の識別印740等の各構造部材についての識別印オブジェクト、(d)反射目標978等の距離センサ目標反射オブジェクト、及び(e)他の任意の望ましいオブジェクトを含む、検出されたオブジェクトの周囲の隅のu-v位置(座標原点974を基準とした)を算出する。例えば、画像分析プログラム942は、構造部材121に関連する画像データを分析し、次いで、各々がu-v原点974を基準としたu-v座標を有する、構造部材121の左上隅988、右上隅989、左下隅990、及び右下隅991のu-v座標を決定する。構造部材121の周囲987は、左上隅988、右上隅989、左下隅990、及び右下隅991のu-v座標から決定される。
【0104】
画像分析プログラム942は次いで、隅のu-v座標を使用して、検出されたオブジェクトの周囲線分のu-v座標を決定する。周囲の線分はオブジェクトの周囲を定義し、周囲のu-v座標は画像997内のオブジェクトの位置を定義する。例えば、画像分析プログラム942は次いで、隅のu-v座標(例えば座標原点974を基準とした(u1,v1)、(u2,v2)、(u3,v3)、及び(u4,v4))を使用して、構造部材121の周囲の線分987a、987b、987c、及び987dのu-v座標を決定する。画像分析プログラム942はまた、画像空間の周囲データから画像空間の面積を算出してもよい。隅のu-v座標及び線分987a、987b、987c、及び987dは、画像空間における構造部材121の周囲987を定義し、それゆえ、構造部材121の上面174(及び構造部材120又は他のタイプの建築材料オブジェクト等の、画像内に含まれるいずれかの他の構造部材)の画像空間における位置を表す。
【0105】
画像分析プログラム942は次いで、撮像された構造部材121のオブジェクトに関連する他の幾何学的寸法を決定する。例えば、画像分析プログラム942は、線分987bの画像空間における距離を使用して、画像空間における構造部材121(及びシェイクアウトフィールド110内に含まれる他の全ての構造部材)の幅708を決定する。画像分析プログラム942は、同様に、線分987aの画像空間における距離を使用して、画像空間における構造部材121(及びシェイクアウトフィールド110内に含まれる他の全ての構造部材)の長さ710を決定する。
【0106】
画像分析プログラム942は次いで、各構造部材に関連する構造特徴オブジェクトのu-v位置を決定する。例えば、このプログラムは、ブラケットオブジェクト712及び穴のペアオブジェクト720a、720b、720c、及び720dを含む、構造部材121に関連する構造特徴オブジェクトの画像空間における位置を決定してもよい。画像分析プログラム942は更に、ブラケットオブジェクトの隅992、993、994、及び995のu-v座標(u-v原点974を基準とする)を決定し、構造部材121の局所的なu-v座標系原点999に対する構造特徴のu-v座標を基準としてもよい。
【0107】
このu-v座標の隅のデータから、このプログラムは、構造部材121オブジェクトの幅及び長さを決定するために使用されたものと同様の手順を使用して、ブラケット712オブジェクト(撮像されたブラケット)の画像空間における幅及び長さを決定する。例えば、画像分析プログラム942は、u-v座標を使用する従来の分析幾何学方法を使用して、u-v座標系974又は/又は構造部材121上に描かれた原点に対する画像空間におけるブラケット712オブジェクトの周囲及び位置を決定する。ブラケット712の(画像空間における)幅も、同様の方法で決定されてもよい。構造部材121に対する及び座標系974に対する画像空間におけるブラケット712の位置もまた、u-v座標992、993、994、及び995を使用して表され得る。同様に、穴の対720a、720b、720c、及び720dに含まれる個々の穴オブジェクトのu-v座標、並びに個々の穴の直径(穴の周囲)は、画像分析プログラム942によって画像空間において(ここでもまたu-v原点974を基準として)決定され、又は、構造部材121の上面714を基準とした画像座標系を基準としてもよい。
【0108】
画像分析プログラム942は、画像972の上面714の画像を更に分析し、畳み込みニューラルネットワーク手法を含む従来のコンピュータビジョン技術を使用して、(a)識別印オブジェクトを検出し、次いで(b)識別印オブジェクトをカプセル化する矩形の境界ボックス996を構築し、境界ボックスの隅のu-v座標(u-v原点974又は構造部材121を基準とする)を決定する。かくして、識別印740の画像が検出され、境界ボックスが作成される。
【0109】
画像空間において識別印オブジェクトが検出され定義されると、トレーニングされた畳み込みニューラルネットワーク(CNN)が、境界ボックス内に含まれる英数字及び/又は記号の画像データに適用されて、識別印740の画像をデジタルデータ表現に変換する。例えば、CNNが文字を「A」として認識し、デジタルデータに10進数のASCIIコード065を割り当て得る(2進数表現は01000001である)。図15に示される機械生成された識別印の画像表現979は、より大きく、元の手書きの印740の画像とは異なる機械生成されたフォントを有し、境界ボックス996を有する画像997(手書きの印の元の画像は除去されている)上に重畳されていることに留意されたい。
【0110】
画像分析プログラム942は更に、従来のコンピュータビジョン技術を使用することによって、目標反射点976、978、980、982、984、及び986の各々についてのu-v座標(u-v原点974を基準とする)を決定する。例えば、色空間閾値処理手法は、個々の画像960、962、964、966、968、及び970中の赤色目標反射点(LIDARレーザが赤色波長を発光している場合)のu-v座標(u-v原点974を基準とする)を決定するために、ステッチされた画像972に、並びにステッチされた画像972内に適用されてもよい。他のカラーレーザ(緑色レーザ等)が使用されてもよい。その場合、緑色閾値処理が使用されることとなる。画像分析プログラム942はまた、距離センサから得られた距離データを、撮像された各目標反射点のu-v座標に付加する。例えば、撮像された目標反射点978は関連する距離975を有し、撮像された目標反射点908は関連する距離977を有する。
【0111】
画像分析プログラム942はまた、撮像器430の光軸436(画像の中心点)からオブジェクト距離センサ430の送信ビーム806までのオブジェクト距離を使用してもよい。このオブジェクト距離は、測定されてもよいし、又はデータシート及び装着分離距離仕様から取得されてもよい。オブジェクト距離は次いで、画像空間からオブジェクト空間への変換プログラム940を使用して、画像空間座標に変換される。それゆえ、各画像の中心のu-v座標は既知であるため、それゆえ画像の中心点に対する目標反射点のu-v座標も既知である。例えば、目標反射点978及び980の画像は、(u-v原点974を基準として)u-v座標(u10,v10)及び(u11,v11)を有する。これらの画像空間のu-v座標は、データ融合プログラム946によって使用されてもよい。
【0112】
画像分析プログラム942は更に、第2のINS420から取得されたGNSS位置データを、撮像された各目標反射点のu-v座標に付加する。撮像器は、画像中の各画素がGNSS位置を割り当てられるように較正され、更に撮像器から撮像されるオブジェクトまでの距離について較正された、GNSSであってもよい(オフセットは撮像器430とINS420との間の距離を考慮して補正される)。かくして、撮像された全ての目標反射点976、978、980、982、984、及び986は関連する距離データ及びGNSS位置を有し、画像中の全ての画素はGNSS位置を有する。
【0113】
画像分析プログラム942は次いで、メモリ930に記憶された画像分析データを結合し、ステッチされた画像997の周囲998内に、原点974に対して、(a)構造部材121の周囲987(及び、存在する場合には、シェイクアウトフィールド110内に含まれる他の全ての建築材料オブジェクト)と、(b)構造部材121に関連する構造特徴の周囲(例えばそれぞれ、ブラケット712の周囲985、及び穴の対720a、720b、720c、及び720dの穴{983a、983b}、{983c、983d}、{983e、983f}、{983g、983h}についての周囲、及びボルト716a、716b、716cの周囲983i、983j、及び983k)と、(c)機械生成された識別印979(CNNを使用して識別印740の画像から分析される)、構造部材121の表面714の画像上に配置されるもの、及びLIDAR反射976、978、980、982、984、及び986の画像と、を表示する、画像997を生成する。
【0114】
その結果の画像997は、構造部材の周囲987、構造特徴ブラケットの周囲985、構造特徴穴の周囲983a、983b、983c、983d、983e、983f、983g、及び983h、識別印979、並びにLIDAR反射976、978、980、982、984及び986のu-v座標とともに、メモリ930に記憶される。追加的に、全ての画像空間の距離及び位置の算出もまた、メモリ930に記憶される。構造特徴の位置は、周囲線987aと周囲線987bとの交点(周囲987の左上隅)に位置する構造部材ローカルu-v座標系999を基準とされてもよい。他の構造部材のu-v座標系の位置も可能である。
【0115】
画像空間からオブジェクト空間への変換プログラム940は、画像空間における各次元を、等価なオブジェクト空間の次元に変換する。例えば、構造部材121の画素単位の長さが、等価なインチ単位の長さに変換されてもよい。画像空間からオブジェクト空間の次元への変換は、データ融合プログラム946において、図18を参照しながら開示される。
【0116】
図16を参照すると、図10のビーム高さプログラム944は、位置Aにある距離センサ450から構造部材121の上面714における目標位置978までの垂直距離975を決定し、次いで(距離センサ450がクレーンオペレータによって移動させられた後に)位置Bにある距離センサ450から目標位置980を有する地表面109までの垂直距離977を決定することによって、構造部材121(及びシェイクアウトフィールド110内に含まれる全ての建築材料オブジェクト)の高さ711を算出する。ビーム高さプログラム944は次いで、距離977と距離975との差を算出し、構造部材121の高さ711を与える。距離センサ450から撮像されたオブジェクトまでの距離データ977及び975は、メモリ930に記録され記憶される。
【0117】
一例として、目標反射点978はI形梁121の上部フランジ上面714上に位置付けられ、目標反射点980は地表面109上に位置付けられる。距離センサ450から上部フランジ上面714(点978)までの垂直距離975と、距離センサ450から点980における地面109表面までの垂直距離977との差は、I形梁121の高さ711を導出する。高さデータはメモリ930に記憶され、構造部材121に関連付けられる。シェイクアウトフィールド110中の他の構造部材及び建築材料オブジェクトの高さは、構造部材に関連付けられた構造特徴の高さとともに、同様の態様で決定される。追加的に、センサ450から目標までの距離がメモリ930に保存される。
【0118】
図17を参照すると、データ融合プログラム946は、画像分析プログラム942によってメモリ930に記憶されたデータを入力し、構造部材121についての画像空間データ構造1200を作成する。データ構造1200は、非排他的に、区切りデータフィールド1201、識別印データフィールド1205、周囲u-v座標データフィールド1210、幅データフィールド1215、長さデータフィールド1220、高さデータフィールド1225、GNSS位置データフィールド1230、フラグデータフィールド1332、ブラケット構造特徴データフィールド1235、ブラケット周囲u-v座標データフィールド1240、ブラケット幅データフィールド1245、ブラケット長さデータフィールド1250、ブラケット高さデータフィールド1255、穴構造特徴データフィールド1260、穴周囲データフィールド1265、穴構造特徴中心オブジェクト空間座標データフィールド1270、及び構造特徴直径1275のフィールドを含む。u-v寸法は画素単位であることに留意されたい。用途及び利用可能なデータに依存して、他の構造特徴が追加又は削除されてもよい。
【0119】
高さデータフィールド1225は、高さデータを含み、GNSS位置データフィールド1230は、関連する検出された構造部材(例えば構造部材121)のGNSS位置を含む。データフィールド1210、1215、1220、1240、1245、1250、1265、1270、及び1275の値は、画像空間座標(例えば画素)のものである。構造部材121のGNSS位置座標は、LLA座標で与えられるが、ECEF座標又は他の適切な座標系のものであってもよい。
【0120】
データ構造1200のデータフィールドの数は、シェイクアウトフィールド中の構造部材121及び他の建築材料オブジェクトについての望ましい詳細のレベルに応じて、拡張又は縮小され得ることは、理解されよう。例えば、いくつかの例においては、構造部材121に関係するデータフィールドだけが重要とみなされ、ブラケット及び穴の構造特徴等の構造部材121に関連する構造特徴は重要ではないとみなされ得る。この場合、データフィールド1201、1205、1210、1215、1220、1225、1230、及び1232のみが、データ構造1200に含められることになる。他の実施形態においては、構造部材121の任意の及び全ての構造特徴についての測定データが追加されてもよい。
【0121】
図18を参照すると、図10のデータ融合プログラム946は、画像空間からオブジェクト空間への変換プログラム940を使用して、検出された各構造部材について新たなオブジェクト空間データ構造1400を作成する。オブジェクト空間データ構造1400は、非排他的に、区切りデータフィールド1301、識別印データフィールド1305、オブジェクト空間周囲座標データフィールド1310、幅データフィールド1315、長さデータフィールド1320、高さデータフィールド1325、GNSS位置データフィールド1330、フラグデータフィールド1332、ブラケット構造特徴データフィールド1335、ブラケットオブジェクト空間周囲座標データフィールド1340、ブラケット幅データフィールド1345、ブラケット長さデータフィールド1350、ブラケット高さデータフィールド1355、穴構造特徴データフィールド1360、穴構造特徴中心u-v座標データフィールド1370、構造特徴直径1375のフィールドを含む。データ融合プログラム946は、データ構造1200の区切りデータフィールド1201、識別データフィールド1205、高さデータフィールド1225、GNSS位置データフィールド1230、ブラケット構造特徴1235、及び穴構造特徴1260を、それぞれ、データ構造1400のデータフィールド1301、1305、1325、1330、1335、及び1360にコピーする。この時点においては、他のデータフィールド1310、1315、1320、1340、1345、1350、1355、1365、1370、及び1375は空である。
【0122】
データ融合プログラム946は次いで、距離センサからの距離データを各構造部材オブジェクトに渡し、各構造特徴オブジェクトについての距離データを画像空間からオブジェクト空間への変換プログラム940に渡す。画像空間からオブジェクト空間への変換プログラム940は次いで、図14に示されるように、距離センサから撮像されたオブジェクトまでの距離の関数として正しい変換比を戻す。データ融合プログラム946は次いで、データ構造1200のデータフィールド1210、1215、1220、1240、1245、1250、1265、1270、及び1275に含まれる画像空間寸法を、それぞれ、データ構造1400のデータフィールド1310、1315、1320、1340、1345、1350、1365、1370、及び1375に含まれるオブジェクト空間寸法(例えばインチ)に変換する。それゆえ、データ融合プログラム946は、画像997中で識別されたオブジェクトのオブジェクト空間座標及び寸法(例えばインチ又はcm)に変換されたデータ構造1200の全ての画像空間u-v座標及び測定値からなり、構造部材121(及び他の任意の撮像された構造部材)についての識別印及びGNSS位置を更に含む、最終的なオブジェクト空間データ構造1400を生成する。追加的なデータフィールドを追加することによって、構造部材121の他の属性が、オブジェクト空間データ構造1400に追加されてもよい。これらの追加的なデータフィールドのためのデータは、データ融合プログラムによって算出されてもよいし、又は建設現場データベースから直接にアクセスされてもよい。
【0123】
オブジェクト空間データ構造1400は次いで、メモリ930に記憶され、識別印データフィールド1305によってメモリ中でアクセスされる。最終的なオブジェクト空間データ構造は、サーバ220、撮像システム210、モバイルシステム215、及びクラウド225に送信され、それぞれのメモリに保存されてもよい。画像空間データ構造1200及びオブジェクト空間データ構造1400のデータフィールドは、タイムスタンプデータ1056を含むように拡張されてもよい(図20を参照)。
【0124】
図10の仕様比較プログラム948は、データ融合プログラム946から計算された構造部材121(又は他の建築材料オブジェクト)のオブジェクト空間データ構造1400を、建設現場データベースから得られた構造部材121についての、同様にフォーマットされたデータ構造と比較する。建設現場データベースは、オペレータシステム205、撮像システム210、モバイルシステム215、サーバシステム220、クラウドサービス225、又はこれらの任意の組み合わせに常駐していてもよい。データ構造1400と建設現場データベースからの同様にフォーマットされたデータ構造との間の不整合が見出され、ディスプレイ330上に表示されるメッセージを介して、又はスピーカ370等の他の何らかの手段によって、クレーンオペレータが通知を受ける。通知メッセージはまた、不整合を記録するため、及び/又は現場の他の作業員に通知するために、モバイルシステム215、サーバシステム220、及び/又はクラウドサービス225に送信されてもよい。
【0125】
重心プログラム949は、構造部材(又は他の建築材料オブジェクト)についての重心を算出して、クレーンオペレータが、吊り上げられるべき待ち行列に入れられた望ましい部材又は他の建築材料オブジェクトの上にメインフックブロック136を位置決めするのを支援する。例えば、重心についての相対的な構造部材の座標(位置)を知ることは、吊り上げ索具についての取り付け位置を定義するための重要なデータである。この位置は、建設現場データベースによって提供されてもよいし、又は幅、長さ、高さ、断面プロファイル、及び重心を算出するのに必要な追加的な構造部材データを使用して算出されてもよい。重心を算出するために使用され得る必要な追加的な構造部材データは、材料特性(材料密度等)及び建設現場データベースから得られる断面積を含み得る。オブジェクトについての重心算出は、本分野においてよく知られている。追加的に、建築材料オブジェクトの重量は、建設現場データベースから得られてもよいし、又は、吊り上げられている建築材料オブジェクトの密度及び幾何学的特性を既知として算出されてもよい。重量データは、クレーンの最大持ち上げ能力が超えられないことを確実にするために使用される。
【0126】
シェイクアウトフィールド内の各構造部材についての重心の位置は、各構造部材の表面画像に重畳された、別個の記号(「CG」ラベルを伴う赤い十字等の色付き目標記号等)を重畳することによって更に表示されてもよく、このことは図22を参照しながらより詳細に議論される。
【0127】
GNSS位置算出器2003は、プロジェクトベースの座標系における取り付け位置又は目的位置の座標がそれぞれ与えられると、構造部材又は建築材料オブジェクトの取り付け位置又は目的位置のGNSS座標を決定し、このことは図23を参照しながら議論される。
【0128】
システム制御プログラム950は、メモリ920の他のプログラム間のインタラクションを制御し、本発明の目的を達成するための他のプログラミング機能を提供し、更にシステム205の診断自己評価を実行する。
【0129】
図19を参照すると、撮像システム210のコンピュータ440のメモリ1000のブロック図が示されている。メモリ1000は、コンピュータ440のハードウェア及び他のリソースを管理するための、従来のコンピュータオペレーティングシステムソフトウェア1010と、本発明の好ましい実施形態によるタスクを実行するためのいくつかのソフトウェアプログラムを含む、プログラムメモリ1020と、システムデータ、並びに画像データ、GNSS位置データを含むINSデータ、IMUデータ、タイムスタンプデータ、距離センサデータ、及び他のデータを含む、他のデータを記憶するための、データメモリ1030と、を含む。
【0130】
コンピュータオペレーティングシステム(OS)ソフトウェア1010は、リアルタイムオペレーティングシステム(RTOS)、UNIX OSソフトウェア、LINUX OSソフトウェア(例えばLinuxのディストリビューションであるUbuntu及びDebian)、Windows OSソフトウェア(Microsoft Corporationによって提供される)、又は他の互換性のあるオペレーティングシステムソフトウェア等の、従来のオペレーティングシステムソフトウェアを含んでもよい。オペレーティングソフトウェアは、従来のオペレーティングシステムソフトウェアの機能を実行し、コンピュータ440のプログラムメモリ1020に記憶された様々なプログラムを実行することができる。プログラムメモリ1020は、画像取得プログラム1032、距離取得プログラム1034、位置取得プログラム1036、パックアンド(pack-and-go)ゴープログラム1038、診断プログラム1040、及びシステム制御プログラム1042を含む。
【0131】
画像取得プログラム1032は、撮像器430(若しくは撮像器430a及び430b又は使用される場合には更なる撮像器)からの画像の取得を制御し、取得された生画像(及び任意の他の付加されたカメラメタデータ)をデータメモリ1030に記憶する。画像取得プログラム1032は、撮像器430の製造業者によって提供されるアプリケーションプログラミングインタフェース(API)及び関連するソフトウェアライブラリを使用してもよい。画像取得プログラム1032はまた、生画像データを圧縮し、圧縮画像データもデータメモリ1030に記憶する。かくして、生画像データ及び圧縮画像データはいずれもデータメモリ1030に記憶されることは、理解されよう。
【0132】
画像取得の開始時に、画像取得プログラム1032は、画像取得開始コマンドを撮像器430に送信して、画像の取得を開始する。画像は、ハードウェアトリガ、ソフトウェアコマンドを用いて同期的に取得されてもよいし、又は非同期的に取得される、すなわちフリーラン画像取得であってもよい。撮像器430がタイムスタンプ又はフレームIDを自動的に付加しない場合、画像取得プログラム1032は、この情報を生画像データ及び圧縮画像データの両方に付加する。タイムスタンプデータは、撮像器430又は他の時間データの供給源によって提供されない場合には、INS420を介してコンピュータ440から受信されてもよい。取得された各生画像及び圧縮画像は次いで、撮像器430(又は2つの撮像器が使用される場合には撮像器430a及び430b)又はコンピュータ440によって、画像データに付加される任意の追加的なデータ(タイムスタンプ及び/又はフレームID等)とともに、データメモリ1030に順次記憶される。
【0133】
距離取得プログラム1034は、距離センサ450からの(又は1つよりも多い距離センサが使用される場合には450a及び450b等の複数の距離センサからの)目標距離データの取得を制御する。距離センサデータは、プログラム1034から送信されたトリガ信号に応答して取得され、撮像器430から取得された画像データと同期されてもよい。例えば、距離センサ450に送信されるものと同じトリガ信号が、撮像器430をトリガするために使用されてもよい。距離センサ450はまた、距離情報を非同期的に取得してもよい。非同期距離データはこのとき、補間を使用して又は他の手段によって画像データと同期されることとなる。それゆえ、撮像器430から取得された各生画像及び生画像の圧縮画像は、距離センサ450からの関連する目標距離測定値を有することは、理解されよう。
【0134】
GNSS位置取得プログラム1036は、GNSS受信器424からのGNSS位置データ、及びINS420のIMU422からのIMUデータの取得を制御する。GNSS424位置データ及びIMU422データは、ローカルバス426及び/又はマスタバス418を介してINS420からコンピュータ440に出力され、その後データメモリ1030に記憶され、撮像器430からの生画像データ、圧縮生画像データ、及び距離センサ450データにタグ付けされる(すなわち関連付けられる)。
【0135】
図20を参照すると、パックアンドゴープログラム1038は、インデクス番号データ1052、メモリ1030に記憶された圧縮画像データ1054、タイムスタンプデータ1056、距離センサ450からの距離データ1058、GNSS位置データ1060、及びINS420からのIMUデータ1062を組み合わせる。次に、パックアンドゴープログラム1038は、パリティチェックビット1064を算出して付加し、直列化されたペイロードデータパケット1050を形成する。巡回冗長検査(CRC)等の他のより高度なエラー検出技術が使用されてもよい。データパケットのための他のフォーマットも可能である。
【0136】
パックアンドゴープログラム1038はまた、メモリ1030から圧縮画像画素データを入力し、後続する各画像行データを前の画像行データに連結することによって、圧縮画像データの一次元配列を形成する。パックアンドゴープログラム1038は次いで、オペレータシステム205、モバイルシステム215、サーバシステム220、及びクラウドサービス225への送信のために、ペイロードデータパケット1050をモデム410に送信する。
【0137】
診断プログラム1040は、撮像システム210の全てのコンポーネントに対して自己診断評価を実行し、撮像システム210の動作状態を与える診断レポートを作成し、メモリ1030に保存される。
【0138】
システム制御プログラム1042は、無線モデム410、INS420、撮像器430(又は2つの撮像器が使用される場合には撮像器430a及び430b)、及び距離センサ450(又は2つの距離センサが使用される場合には距離センサ450a及び450b)、並びに無線電源スイッチ471等の撮像システム210の他のコンポーネントの間のインタラクションを制御し、本発明の目的を達成するために必要な他の機能を実行する。システム制御プログラム1042はまた、オペレータからの要求に応答して診断レポートをオペレータシステム205に送信してもよい。
【0139】
図21A図21Cは、クレーンオペレータを支援するための例示的な方法のフロー図である。以下の動作の議論は、サーバ220及びモバイルシステム215が事前に電源を入れられており、サーバシステム220のための通信チャネル255及び275と、モバイルシステムのための通信チャネル255及び270とが動作可能であることを仮定している。追加的に、建設現場データベース及び持ち上げリストデータが、サーバシステム220又はクラウドサービス225に事前にアップロードされており、オペレータシステム205、撮像システム210、モバイルシステム215、サーバシステム220、及びクラウドサービス225を含む、システム200の全てのシステムが、建設現場データ及び持ち上げリストデータへの操作上のアクセスを有することが、更に仮定される。更に、本発明の目的を達成するために必要な任意の較正データが、オペレータシステム205、撮像システム210、モバイルシステム215、サーバシステム220、及びクラウドサービス225において利用可能であることが仮定される。
【0140】
図21Aの方法1500は、ステップ1505で始まり、ここで撮像システム(例えば図1の撮像システム210)及びオペレータシステム(例えばオペレータシステム205)が初期化される。撮像システムを初期化することは、例えば、撮像システムのコンピュータの電源を入れて起動することを含み得る。撮像システムがクレーンのメインフックブロック上に位置付けられている実施形態においては、オペレータはメインフックブロックを下げて撮像システム210へのアクセスを可能にしてもよい。必要であれば、クレーンオペレータは次いで、放電したバッテリ470を完全に再充電されたバッテリと交換してもよい。撮像システムにおいて1台以上のドローン機が装着されている実施形態においては、作業員は撮像システムの電源を入れて起動してもよい。現場の作業員は、電源(例えば電源480)をオンにすることによって撮像システムに電力を供給してもよく、このことは次いで、電力バス481を介して、コンピュータ440、無線モデム410、INS420、撮像器430(又は2つの撮像器が使用される場合には撮像器430a及び430b)、及び距離センサ450の電源をオンにする。無線電源スイッチ471が、システム210に電力を供給するために使用されてもよい。無線電源スイッチ471は、クレーンのオペレータが、メインフックブロック136を下げて手動で電源を切り換える必要なく、撮像システムの電源をオン及びオフにすることを可能とする。
【0141】
撮像システム210はまた、コンピュータ440、無線モデム410、INS420、撮像器430、距離センサ450(又は距離センサ450a及び450b)、及びバッテリ470を含む、そのコンポーネントの診断自己評価を、システム制御プログラム1042を使用して実行してもよい。撮像システム210はまた、モバイルシステム215、サーバシステム220、及びクラウドサービス225の間の双方向通信を、それぞれ通信チャネル245、250及び265を介して、確立しようと試みる。全ての通信チャネルが動作可能である場合、動作フローは継続するが、いずれかの通信チャネルが動作可能でない場合には、問題が解決されるまで動作フローが終了してもよい。
【0142】
クレーンオペレータは、電源380をオンにすることによって、オペレータシステム205に電力を供給する。次いで、電力バス381を介して、コンピュータ340、無線モデム310、INS320、及び1つ以上のディスプレイを含むシステム205の全てのコンポーネントに電力が供給される。その後、コンピュータ340が起動し、動作可能になる。オペレータシステム205は次いで、コンピュータ340、無線モデム310、INS320、及び1つ以上のディスプレイを含む、オペレータシステム205のコンポーネントの診断自己評価を実行する、システム制御プログラム950を実行する。オペレータシステム205は次いで、撮像システム210、モバイルシステム215、サーバシステム220、及びクラウドサービス225の間の双方向通信を、それぞれ通信チャネル230、235、240、及び260を介して確立しようと試みる。全ての通信チャネルが動作可能である場合、動作フローは継続するが、いずれかの通信チャネルが動作可能でない場合には、動作フローが終了してもよい。
【0143】
オペレータシステム205のコンピュータ340は、「診断レポート送信」メッセージを(通信チャネル230及び第1のモデムを介して)撮像システム210に送信してもよい。これに応答して、撮像システムは、通信チャネル230を介して、診断ステータスレポートをオペレータシステムに送信して戻す。オペレータシステム又は撮像システムのいずれかがそれぞれの診断自己評価に失敗した場合、動作フローは終了してもよく、オペレータシステムがクレーンオペレータに失敗した初期化を通知するメッセージを表示してもよい。
【0144】
ステップ1510において、オペレータシステムは、持ち上げリストデータを受信する。いくつかの実施形態においては、オペレータシステムは、持ち上げリストデータを直接に(例えば紙の持ち上げリストから)ダウンロードするが、他の実施形態においては、オペレータシステムは、1つ以上のサーバシステム220、モバイルシステム215、又はクラウドサービス225に記憶され得る建設現場データベースから、持ち上げリストを取得する。受信された持ち上げリストデータは次いで、それぞれ通信チャネル240又は260を介して、コンピュータ340のメモリ930に記憶される。他の実施形態においては、持ち上げリストデータは、(例えばメモリスティックから又は他の手段によって)データメモリ930に事前にロードされているものであってもよい。
【0145】
ステップ1515において、撮像システムは、シェイクアウトフィールドの画像及び距離測定値の収集を開始する。例えば、ステップ1515は、オペレータシステムが、通信チャネル230及び/又は通信チャネル310を介して、撮像システムがデータ(例えばデータパケット1050の形をとる)の送信を開始することを要求するメッセージ(例えば「データ送信開始」)を、撮像システムに送信することを含んでもよい。これに応答して、撮像システムは、オペレータシステムにデータパケットを連続的に送信することを開始する。
【0146】
いくつかの実施形態においては、オペレータシステムは、クレーンオペレータに、メインフックブロック136をシェイクアウトフィールド110の先頭に移動させるように指示する(例えば「シェイクアウトフィールドグラウンドの先頭にフックブロックを位置決め」メッセージを表示することによって)。オペレータは次いで、距離センサ(例えば距離センサ450)が地表面109上に位置決めされ、撮像システムが距離センサから地表面までの距離を決定することができるように、メインフックブロックを移動させる。メインフックブロック136の移動は、INS420によって監視されてもよい。メインフックブロック136の移動の間に撮像器430によって取得された画像は、シェイクアウトフィールド110の先頭において、クレーンオペレータがメインフックブロック(及びそれゆえ撮像器430(又は撮像器430a及び430b))を設置するのを支援するために、ディスプレイ330上に表示されてもよい。撮像システムがドローンに装着されている実施形態においては、撮像器430によって取得された画像は、(例えばモバイルシステムのディスプレイを使用して)ドローンオペレータに表示されてもよい。
【0147】
いくつかの実施形態においては、オペレータシステムは、メインフックブロック136がシェイクアウトフィールド110の地面の先頭に位置決めされたときに、クレーンオペレータに、入力デバイス350における「準備完了」ボタンを押下するようにメッセージを送る。「準備完了」ボタンが押下されたことに応答して、コンピュータ440は、距離センサ450から距離データを入力し、通信チャネル230を介して距離データをコンピュータ340に送信する。コンピュータ340は次いで、距離センサ450からの距離データが撮像器430についてのフォーカスの許容範囲内であるか否かを判定する。距離データが許容範囲内にない場合、クレーンオペレータは、撮像システムを許容範囲内に移動させるために、ブロックフックを上方に又は下方に動かすようにメッセージを受ける。この算出は、システム制御プログラム950によって実行されてもよい。
【0148】
撮像システムが許容距離範囲内に入ると、オペレータシステムは、入力デバイス上の「走査開始」ボタンを押下するよう、ディスプレイを介してクレーンオペレータにメッセージを送ってもよい。「走査開始」ボタンの押下に応答して、コンピュータ340は、撮像システムから受信されたデータパケットを、メモリ930に直ちに記憶し始める。クレーンオペレータは次いで、シェイクアウトフィールドを横切ってメインフックブロック136を移動させることによって(例えば前後移動を使用して)、シェイクアウトフィールド110全体を走査するように指示される。クレーンオペレータは、シェイクアウトフィールド110が完全に撮像されるまで、撮像装置によって捕捉され、ディスプレイ上で動的に更新される画像を、ガイドとして使用することができる。クレーンオペレータは更に、走査動作が完了したときに、入力デバイスの「走査停止ボタン」を押下するようにメッセージを送られる。「走査停止」ボタンの押下に応答して、コンピュータ340は、メモリ930へのデータパケット1050の記憶を停止する。コンピュータ340は、キーボードの「走査開始」の押下と「走査停止」の押下との間の時間間隔の間に、データパケット1050をメモリ930に記憶する。
【0149】
撮像システムが1台以上のドローン機に装着される実施形態においては、以上に詳述された走査手順は、クレーンオペレータではなくドローンオペレータによって実施されてもよい。例えば、遠隔制御手段を使用するドローンオペレータは、シェイクアウトフィールドの先頭にドローン機を位置決めし、撮像システムが必要な画像及び距離データを全て捕捉するまで、シェイクアウトフィールドのまわりでドローンを飛行させてもよい。走査が完了すると、ドローンオペレータは、ドローンにメッセージを送信して、撮像システムに走査を停止させてもよい。他の実施形態においては、ドローン機は自律的に動作してもよい。例えば、ドローンオペレータは、シェイクアウトフィールドの境界を定義するジオフェンスを設定してもよい。次いでドローンが飛び立たされ、適切な開始位置及び高さに自身を自動的に位置付け、シェイクアウトフィールド全体をカバーするために撮影される必要がある最小限の数の画像(所与の撮像器の視野に対して)を算出し、走査が完了するまでシェイクアウトフィールドを自動的に行き来してもよい。ドローンは次いで、建設現場における指定された位置(例えばドローン充電ステーション)に自動的に戻ってもよい。
【0150】
ステップ1520において、オペレータシステム(又はサーバシステム、モバイルシステム、若しくはクラウドサービス等の他の適切に装備されたシステム)は、収集された画像のノイズ及び歪みを補正する。オペレータシステムのコンピュータは、メモリ930に以前に記憶された全てのデータパケットを処理することを開始し、直列化された単一アレイ形式の画像データ1054を二次元の元の画像データアレイ1066に変換することができるアンパックアンドゴープログラム934を実行する。各パケット1050から導出された元の画像データ配列は、メモリ930に記憶され、(例えばインデクス番号データ1052を使用して)インデクス付けされる。二次元画像データ配列は、インデクス番号、タイムスタンプ、又はフレームID(装備されている場合にはカメラ430によって提供される)を使用してインデクス付けされる。一連の元のデータパケット1050は、好ましくは破壊されない。
【0151】
コンピュータ340は次いで、シェイクアウトフィールド110の各画像1066を展開し、レンズ歪み及び射影歪みについて各展開画像を補正し、補正された画像をノイズについてフィルタリングする、画像補正及びノイズ除去プログラム(例えば画像補正及びノイズ除去プログラム936)を実行してもよい。例えば、構造部材121の単一の非圧縮の歪んだ画像951(図12Aを参照)は、図12Bの画像959に示されるように、画像補正及びノイズ除去プログラム936によって、レンズ歪み及び射影歪み並びにノイズについて補正されてもよい。コンピュータ340は次いで、1つ以上のセグメント化プロセスを適用して、新たな一連の画像1067を作成してもよい。セグメント化アルゴリズムが各画像1066に適用されて、個々の画像1066内に含まれる構造部材121(及び他の任意の構造部材又は建築材料オブジェクト)の周囲及び隅を定義してもよい。セグメント化アルゴリズムは、ステッチプログラム939が次いで一連の画像の間で対応関係を自動的に見出し、画像の共通の特徴を照合するための、画像1067中の見当合わせ点を定義するのに役立つ。
【0152】
かくして、各画像1066について、対応する、展開され、歪みが補正され、ノイズフィルタリングされ、セグメント化された画像1067がある。一連の個々の画像1067(一連の個々の画像1066に対応する)は、メモリ930に記憶され、インデクスデータ1052又はタイムスタンプデータ1056によってインデクス付けされる。前述したように、シェイクアウトフィールド110のサイズ及び撮像器430の視野に依存して、単一の画像のみが必要とされ得る。一連の個々の画像1066は、メモリ930に保存される。この時点において、シェイクアウトフィールド110(構造部材121及び追加的な構造部材を有する)の全ての画像は、歪み補正され、ノイズフィルタリングされ、セグメント化されたものとなり、インデクス番号データ1052(又はタイムスタンプ1056若しくはフレームID)によってインデクス付けされた一連の個々の画像1067としてメモリ930に記憶される。
【0153】
ステップ1525において、オペレータシステムは、ノイズ及び歪みが補正された画像をステッチして、ステッチ画像を形成する。例えば、二次元画像ステッチプログラム(例えば二次元画像ステッチプログラム938)は、一連の画像1067にアクセスし、全ての画像を合わせてステッチしてステッチ画像1069(図22に示される)を生成する。例えば、ステッチ画像は画像972と同様のものとなり得るが、シェイクアウトフィールド内の全ての構造部材を含むこととなる。例えば、図12Aに示されるような、非圧縮の、l歪み補正され、ノイズフィルタリングされ、セグメント化された、一連の6つの個々の画像960、962、964、966、968、及び970は、図12Bに示されるように、レイアウトフィールド110全体のステッチ画像972を作成する二次元画像ステッチプログラムによってアクセスされる。
【0154】
ステップ1530において、オペレータシステムは、(例えば画像分析及び畳み込みニューラルネットワーク(CNN)プログラム942を介して)ステッチ画像1069を受信し、ステッチ画像内のオブジェクトを認識する。例えば、画像分析及び畳み込みニューラルネットワーク(CNN)プログラムは、ステッチ画像全体に対して動作して、(a)撮像された各建築材料オブジェクト、(b)各建築材料オブジェクトに起因する撮像された特徴オブジェクト(すなわち取り付けられたブラケット712等)、(c)撮像された識別印オブジェクト(例えば識別印740)、(d)撮像された距離センサ目標反射オブジェクト(画像反射976等)、及び(e)ステッチ画像内の他の撮像されたオブジェクトを検出する。
【0155】
ステップ1535において、オペレータシステムは、ステッチ画像1069中の認識されたオブジェクトを分析し、画像空間座標系(例えばu-v座標系974)に対して、(a)建築材料オブジェクト、(b)各建築材料オブジェクトに起因する特徴オブジェクト、及び(c)識別印オブジェクトを含む、各検出されたオブジェクトのu-v座標位置及び周囲を決定する。画像分析及び畳み込みニューラルネットワークプログラムはまた、識別印オブジェクト740の画像を含む境界ボックスを算出する。識別印の周囲は、識別印740を構成する英数字及び/又は記号の画像の位置を定義する境界ボックスの周囲として定義される。
【0156】
ステップ1540において、オペレータシステムは、検出された識別印の文字及び/又は記号を解析する。これらの文字及び記号を解析するために、オペレータシステムは、文字及び/又は記号を分離し、実際の文字及び/又は記号の表現を特定の確率内で決定する畳み込みニューラルネットワークアプリケーションに通してもよい。例えば手書きされたものであってもよい、元の識別印740が次いで、畳み込みニューラルネットワーク表現979によってステッチ画像997内で置き換えられてもよい。例えば、図15に示されるように、図12Bに示される手書きの印740の画像の畳み込みニューラルネットワーク表現画像979。手書きの識別印740の元の画像は、畳み込みニューラルネットワーク表現画像979によって置き換えられている。CNN処理された識別印画像979は、構造部材121の画像987に関連付けられている。
【0157】
ステップ1545において、オペレータシステムは、(例えば仕様及び比較プログラム948を介して)持ち上げリストデータに列記された識別印を、シェイクアウトフィールド110内に含まれる撮像された構造部材の識別印のリストと比較する。それゆえ、このステップは、持ち上げリストデータに列記されている全ての構造部材が、取り付け点122まで吊り上げるためにシェイクアウトフィールド110中で利用可能であることを確実にする。シェイクアウトフィールド中で利用可能な構造部材と、列記するリスト中で識別されたものとの間に不整合がある場合には、現場のオペレータ及び/又は他の作業員がアラートを受ける(例えばオペレータシステム及び/又はモバイルシステムのディスプレイを介して)。このようにして、列記するリスト中で識別された構造部材のいずれかがシェイクアウトフィールドから欠落している場合、オペレータは可能な限り早くアラートを受けて、それにより問題を修正するためのステップが行われることができる。いくつかの状況においては、方法1500は、欠落している構造部材が見つけられるか、又は代替品が建設現場に届けられるまで、終了する。いくつかの状況においては、この方法は、列記するリスト中に設定された順序に従って、欠落している構造部材を吊り上げるべき時間となるまで継続してもよい。
【0158】
更に別の状況においては、現場における1人以上の作業員が、識別された構造部材のうちの1つ以上に誤った識別印がマークされているか否かを決定してもよい。この場合、方法1500は、(例えば構造部材の再マーキング及び再走査によって)間違いが修正されるまで、一時停止されてもよい。いくつかの実施形態においては、構造部材の再マーキングは、方法1600が実行され、間違ってマークされた構造部材が、持ち上げリストからの合致しなかった構造部材の属性と合致することが決定された後にのみ行われ、このことは、識別された不整合が、より深刻な問題ではなく、間違ってマークされた識別印によるものであったことを確認するのに役立ち得る。持ち上げリストデータに列記されている全ての構造部材が吊り上げに利用可能であると識別されると、動作制御は図21Bに示される方法1600のステップ1605へと継続する。
【0159】
図21Bの方法1600は、ステップ1605において始まり、ここで、オペレータシステム(又はモバイルシステム、サーバシステム、若しくはクラウドサービス等の他の適切なシステム)が、決定された画像空間座標を使用してシェイクアウトフィールド内で検出されたオブジェクトの各々について幾何学的属性を算出する。例えば、画像分析及び畳み込みニューラルネットワークプログラムは、(上から見た)長さ及び幅を含む各構造部材の様々な寸法を算出してもよい。画像分析及び畳み込みニューラルネットワークプログラムは、メモリ930内に全ての画像空間データを記憶する。プログラムはまた、識別されたオブジェクトの各々を含む、シェイクアウトフィールド110の画像997を作成する。
【0160】
ステップ1610において、オペレータシステムは、(例えばビーム高さプログラム944を使用して)画像997中の識別されたオブジェクトの各々の高さを決定する。例えば、ビーム高さプログラムは、構造部材周囲データを使用して、どの目標反射点が構造部材の周囲内にあるかを決定してもよい。高さデータは次いで、メモリ930中のそれぞれの構造部材オブジェクトに関連付けられる。距離センサから目標までの距離データも決定され、対応する目標反射オブジェクトとともに保存される。高さデータ及び距離データは、メモリ930に保存される。画像空間の幾何学的属性及び高さデータがメモリに記憶されると、コンピュータ340は(例えばデータ融合プログラム946を実行することによって)画像空間データ構造1200を作成する。高さデータ及びGNSS位置データフィールドには、メモリ930に以前に記憶された値が入力される。いくつかの実施形態においては、オペレータシステムは、最初にデータをメモリ930に記憶するのではなく、データを画像空間データ構造1200に直接に書き込んでもよい。
【0161】
ステップ1615において、オペレータシステムは、画像空間データをオブジェクト空間データに変換する。例えば、データ融合プログラム946は、構造1200の画像空間データフィールドを、構造1400の対応するオブジェクト空間データフィールドに変換してもよい(例えば画像空間からオブジェクト空間への変換プログラム94)。具体的な例として、画像空間データ構造1200の画素単位の幅1215及び画素単位の長さ1220は、オブジェクト空間データ構造1400の十進法インチでの幅1315及び十進法インチでの長さ1320に変換されてもよい。データ融合プログラムはまた、オブジェクト空間座標で既に測定されたデータ(例えば距離センサによって捕捉された高さデータ)を、データ構造1200からデータ構造1400にコピーしてもよい。
【0162】
ステップ1620において、オペレータシステムは、検出されたオブジェクトの各々についてのオブジェクト空間データを、オブジェクト空間データ構造1400に列記されたデータと比較され得る構造部材及び構造特徴データを含み得る、持ち上げリスト、建設現場データベース、又は建物情報管理(「BIM」)システム等に記憶されている対応するオブジェクト空間データと比較する。オペレータシステムは次いで、(例えば仕様比較プログラム948を介して)吊り上げのために利用可能な各構造部材について、オブジェクト空間データ構造1400選択データフィールドを、建設現場データベースに列記されている対応するデータフィールドに対してデータフィールドと比較する。例えば、仕様比較プログラム948は、識別印データフィールド1305、幅データフィールド1315、長さデータフィールド1320、高さデータフィールド1325、第1の特徴1335、幅データフィールド1345、及び長さデータフィールド1350を含む、吊り上げに利用可能な特定の構造部材のオブジェクト空間データ構造1400選択データフィールドを、建設現場データベース内の対応するデータフィールドと比較してもよい。
【0163】
様々な実施形態によれば、持ち上げリストデータは、建設現場データベース及び/又はBIMとは別個のものであってもよいし、又はそれらと一体のものであってもよい。持ち上げリストデータは、構造部材についての識別印、及び通常はそれぞれの取り付け位置を含む、順序付けされた持ち上げリストを含む。他の情報が、持ち上げリストデータに含まれていてもよい。例えば、各構造部材の取り付け位置が好ましくは、GNSS座標で与えられる。
【0164】
ステップ1625において、オペレータシステムは、オブジェクト空間データ構造1400内のいずれかのデータが、建設現場データベースに列記されている対応するデータフィールドと合致しないか否かを判断する。いずれかのデータフィールド間に不整合がある場合(例えばオブジェクト空間データが仕様データのまわりの適切な許容範囲の外にある場合)、コンピュータ340は、表示デバイス330を介してクレーンオペレータにメッセージを送り、不整合をクレーンオペレータに通知し、建設現場データベースの仕様に合致しない構造部材の各々の上に、視覚的なインジケータを配置する。コンピュータはまた、構造部材が建設現場データベースの仕様を満たしていないことを示すために、画像空間データ構造1200及びオブジェクト空間データ構造1400中のフラグ1232及び1332をリセット(「0」を書き込む)してもよい。この時点において、方法1600は、問題が修正されるまで一時停止してもよい。オブジェクト空間データ構造1400のデータフィールドと、建設現場データベースに列記されている対応するデータフィールドとの間に不整合がない場合、コンピュータ340は、建設現場データベースの仕様を満たす構造部材の各々の上に視覚的インジケータを配置することによって、レイアウトフィールド110の画像997を更新する。例えば、建設現場データベースの仕様を満たす全ての構造部材の周囲が「緑色」で表示されてもよいし、若しくは緑色の「X」等の色付きの記号として表示されてもよいし、又は緑色の点が構造部材の上に配置されてもよい。他のタイプの記号が使用されてもよい。動作フローは、ステップ1725へと継続する。
【0165】
図21Cの方法1700は、ステップ1705で始まり、ここでオペレータシステムが、(例えばコンピュータ340及び表示デバイス330を介して)シェイクアウトフィールド(そこに位置付けられた任意の構造部材を含む)の表現をオペレータに表示する。例えば、この表現は、建設現場データベースの仕様に合致する構造部材の全てをオペレータに示してもよい。走査が完了した後はいつでも、クレーンのオペレータは、オペレータシステムの入力デバイス(例えばマウス、タッチスクリーンディスプレイ、又はジョイスティック)を使用して特定の構造部材を選択し、(建設現場データベース、部品表、BIM、又は構造部材に関連する他の仕様データベースから取得された)情報を受け取ることができる。
【0166】
ステップ1710において、コンピュータ340は、シェイクアウトフィールドの表現内のオブジェクトの上に視覚的インジケータを配置してもよい。例えば、建設現場データベースの仕様を満たす構造部材を識別するために、画像997中の構造部材の画像上に重ねられた緑色の点が使用されてもよい。同様に、建設現場データベースの仕様を満たさない構造部材を示すために、画像997中の構造部材の画像上に重ねられた赤い点が使用されてもよい。
【0167】
ステップ1715において、コンピュータ340は、画像997中で、取り付け位置122に吊り上げられるべき持ち上げリストデータからの最初の又は後続する構造部材を、クレーンオペレータに視覚的に示す。例えば、コンピュータは、持ち上げリストデータ上の最初の構造部材に関連付けられた緑色の点を点滅させてもよい。クレーンオペレータは次いで、点滅している緑色の点を有する構造部材にメインフックブロックを移動させるように指示される。
【0168】
例えば、図22を参照すると、シェイクアウトフィールド110のステッチ画像1069が、2つの構造部材120及び121を有するものとして示されている。明確さのため2つの構造部材のみが示されているが、実際にはシェイクアウトフィールド110は更に多くの部材を有し得る。構造部材120及び121に関連付けられているものは、視覚インジケータ1001及び1002であり、この例については、それぞれの構造部材120及び121が建設現場データベースの仕様に合致し、吊り上げに利用可能であることを示す、緑色の点である。明確さのため、部材121の構造特徴は図示されていない。追加的に、コンピュータ340は、緑色の点1002を点滅させ、構造部材121が吊り上げられるべき次の待ち行列に入れられた建築材料オブジェクトであることの視覚的な指標を、クレーンオペレータに与える。クロスハッチングパターンは、緑色の点が点滅していることを示す。コンピュータ340は次いで、構造部材120の重心を示す重心記号1003を(関連する「CG」印1003aとともに)構造部材121の表面の画像上に配置する。
【0169】
撮像システムがメインフックブロック上に位置付けられている場合、コンピュータ340はまた、撮像システムのGNSS位置(INS422によって決定される)を使用して、十字線目標記号を画像997上に重ねて、メインフックブロックの現在位置を示してもよい。オペレータは次いで、十字目標記号を視覚的フィードバックとして使用して、点滅する点を有する構造部材上でメインフックブロック136を移動させる。シェイクアウト担当者は次いで、索具等を介して構造部材をメインフックブロック136に取り付ける。いくつかの実施形態においては、クレーンが正しい位置において構造部材を持ち上げることを確実にするために、構造部材の重心の視覚的表現が、オペレータ及び/又はシェイクアウト担当者に示されてもよい。
【0170】
選択された構造部材の吊り上げは、LIDARによって、撮像器及び/又はINS(加速度及びGNSS位置を測定する)によって視覚的に、又はこのデータの組み合わせを使用して、検出されてもよい。構造部材の吊り上げを検出すると、オペレータシステムのコンピュータは、視覚的なシェイクアウトフィールドを更新し、選択された吊り上げられた構造部材をシェイクアウトフィールド画像から削除する。
【0171】
ステップ1720において、コンピュータ340は、シェイクアウトフィールド内の構造部材の初期位置から取り付け位置122までの、視覚的な三次元吊り上げ経路を生成する。視覚的な三次元吊り上げ経路は、クレーンオペレータが取り付け位置122において構造部材を配置するのを支援するため、1つ以上のオペレータシステム上に表示されてもよい。コンピュータ340は、構造部材のシェイクアウトフィールド110のGNSS位置、取り付け位置のGNSS位置、及び現在の鉄骨構造を使用して、吊り上げ経路を算出する。かくして、クレーンオペレータが吊り上げられた構造部材を取り付け位置に移動させると、ディスプレイが継続的かつ動的に更新されて、建設現場に対する吊り上げられた構造部材の現在位置、及び部分的に完成した構造物の取り付け位置を表示する。
【0172】
コンピュータ340はまた、クレーンオペレータに表示される、特に取り付け位置122を示す、部分的に完成した構造物118の動的な三次元表現を提供してもよい。動的な三次元表現は、構造部材が構造物に取り付けられたとき又は構造物から取り外されたときに、継続的に更新されてもよい。いくつかの実施形態においては、三次元表現は、建設現場データベースに記憶されたデータに基づいて生成され、部分的に完成した構造物に新たな構造部材が取り付けられるたびに更新されてもよい。他の実施形態においては、撮像システムは、(例えば走査型LIDAR技術を使用して)部分的に完成した構造物を物理的に走査してもよい。これらの後者の実施形態においては、LIDAR走査は、取り付けエラーが発生していないことを確実にするために、建設現場データベースと比較されてもよい。データベースは、単独で常駐していてもよいし、又は第1のコンピュータ340、第2のコンピュータ440、モバイルコンピュータ540、サーバシステム220、及び/又はクラウド225の間に分散させられてもよい。
【0173】
いくつかの実施形態においては、オペレータシステムは、クレーンオペレータを支援する拡張現実(AR)ソフトウェアを含む。このARソフトウェアは、コンピュータにより生成された知覚情報によって強調された周囲の建設現場のデジタル画像とともに、吊り上げられるべき構造部材を表示してもよい。かくして、コンピュータ340は、建築材料オブジェクトの幾何学的測定値及び他の特性とともに、取り付け位置に建築材料オブジェクトを配置するための計算された経路を表示してもよい。更なる実施形態においては、オペレータシステムは、仮想現実(VR)システムを装備してもよく、これによって、クレーンオペレータ及び他の人は、シェイクアウトフィールド、建築材料オブジェクト、建物材料オブジェクトの持ち上げ経路、及び部分的に完成した構造物上の取り付け位置を含む、仮想建設現場を表示するゴーグルを提供されてもよい。
【0174】
ステップ1725において、クレーンオペレータが、構造部材を目的位置まで吊り上げる。構造部材が目的位置まで吊り上げられると、部分的に完成した構造物上の鉄工作業員が、構造部材を取り付け位置122に取り付ける。視覚的な三次元吊り上げガイド経路を生成するために使用されるデータベースは、新たに取り付けられた構造部材を反映するように更新される。オペレータシステムのINSは、構造部材がいつ構造物に取り付けられたかを決定し(建設現場データベースのINSデータからの取り付け位置の既知のGNSS位置の比較から)、建設現場データベース(又は他のデータベース)を更新するために使用されてもよい。いくつかの実施形態においては、コンピュータ340が、新たに取り付けられた構造部材の位置を考慮に入れて、取り付け位置122からシェイクアウトフィールド110に戻る視覚的な三次元ガイド戻り経路を生成する。クレーンオペレータは、メインフックブロック136をシェイクアウトフィールド110に戻す。コンピュータ340は、メインフックブロックのGNSS位置及びシェイクアウトフィールド110のGNSS位置を使用して、メインフックブロックがシェイクアウトフィールド110の上にいつ来るかを決定する。いくつかの実施形態においては、人間のクレーンオペレータが、完全に不要にされ得る。例えば、吊り上げ経路及び戻り経路が算出されると、人間の介入なしにクレーンを制御するために、それらの経路が使用され得る。かくして、本発明のいくつかの実施形態は、人間の介入なしに全てのクレーン操作が完了させられる、完全に自律型のクレーンシステムを提供する。
【0175】
ステップ1730において、コンピュータ340は、吊り上げられる必要がある持ち上げリストデータ中に列記されている追加的な構造部材があるか否かを決定する。追加的な構造部材がない場合、動作フローはステップ1735において終了する。持ち上げリストデータ中に列記されている追加的な構造部材がある場合、動作フローはステップ1715に戻る。方法1700は、持ち上げリストデータ中に列記されている全ての構造部材が構造物に取り付けられるまで、以上に説明されたように継続する。
【0176】
図23は、BIMデータベース2001、IFC(Industry Foundation Classes)ファイル2002、及びGNSS位置算出器2003の間の関係を示す。通常、BIMは、プロジェクト基準点及びプロジェクト座標系を定義し、これらは、建物又は他の構造物の建設のための座標系を定義し、通常はカーテシアンベースの座標系である。
【0177】
通常、構造物及び(構造部材等の)建築材料オブジェクトの幾何学的形状は、カーテシアンベースのプロジェクト座標系に参照され得る構造部材の全ての取り付け位置及び寸法を含む、BIMデータ中に明確に定義される。GNSS位置算出器2003は、IFCファイルから(又はBIMデータから若しくは他のデータ源から)の測地マーカデータ及びプロジェクト基準点を入力し、全ての取り付けられた構造部材及び他の建築材料オブジェクトのGNSS位置を算出する。このGNSS位置情報は次いで、吊り上げ経路の算出によって使用されるGNSS座標での目的位置を決定するために使用される。追加的に、本発明は、建築材料オブジェクトの吊り上げを介して建物の建設の完全な記録を提供する。
【0178】
以上、本発明の1つ以上の実施形態について詳細に説明されたが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなく、本明細書の開示に従って、開示された実施形態に対する多くの変更がなされ得ることは、理解されよう。それゆえ、以上の説明は、本発明の範囲を限定することを意図されたものではない。あくまで、本発明の範囲は、添付される特許請求の範囲及びその均等物によってのみ決定されるべきである。
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9A
図9B
図10
図11
図12A
図12B
図13A
図13B
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21A
図21B
図21C
図22
図23
【国際調査報告】