(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】陽電子放射断層撮影デバイスを修正するためのシステムおよび方法
(51)【国際特許分類】
G01T 1/172 20060101AFI20240403BHJP
G01T 1/20 20060101ALI20240403BHJP
G01T 1/161 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G01T1/172
G01T1/20 J
G01T1/161 A
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563052
(86)(22)【出願日】2022-04-15
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 CN2022087102
(87)【国際公開番号】W WO2022218414
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202110405984.1
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】514190349
【氏名又は名称】上海聯影医療科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shanghai United Imaging Healthcare Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】No. 2258 Chengbei Rd., Jiading District Shanghai, China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】マンクアン・シュエ
(72)【発明者】
【氏名】シンユ・リュ
【テーマコード(参考)】
2G188
4C188
【Fターム(参考)】
2G188AA02
2G188BB04
2G188BB05
2G188BB07
2G188CC21
2G188CC23
2G188EE16
2G188FF04
4C188EE02
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4C188GG19
4C188KK15
4C188LL05
4C188LL18
4C188LL27
(57)【要約】
本開示は、データマスキングのためのシステムおよび方法に関する。方法は、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータを取得するステップを含む。同時発生事象の各々は、PETデバイスの複数のクリスタルのうちの2つのクリスタルによって検出され得る。各々の同時発生事象と関連付けられるデータは第1の時間情報と第2の時間情報とを含み得る。方法は、第1の時間情報および第2の時間情報に基づいて、各々の同時発生事象に対応する第1の飛行時間(TOF)差を決定するステップを含む。方法は、各々の同時発生事象を検出する2つのクリスタルの場所に基づいて、各々の同時発生事象に対応する第2のTOF差を決定するステップを含む。方法は、第1のTOF差および第2のTOF差に基づいてPETデバイスを修正するステップを含む。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの処理装置と、少なくとも1つの保存デバイスとを備えるコンピュータデバイスで実施される、陽電子放射断層撮影(PET)デバイスを修正するための方法であって、
前記PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータを取得するステップであって、前記同時発生事象の各々は、前記PETデバイスの前記複数のクリスタルのうちの2つのクリスタルによって検出され、各々の前記同時発生事象と関連付けられる前記データは第1の時間情報と第2の時間情報とを含む、ステップと、
前記第1の時間情報および前記第2の時間情報に基づいて、各々の前記同時発生事象に対応する第1の飛行時間(TOF)差を決定するステップと、
各々の前記同時発生事象を検出する前記2つのクリスタルの場所に基づいて、各々の前記同時発生事象に対応する第2のTOF差を決定するステップと、
前記第1のTOF差および前記第2のTOF差に基づいて前記PETデバイスを修正するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
各々の前記同時発生事象はβ事象およびγ事象を含み、前記第1の時間情報は前記β事象に対応し、前記第2の時間情報は前記γ事象に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
同時発生事象と関連付けられるデータを取得する前記ステップは、
各々の前記同時発生事象について、
β粒子によって励起される第1の光学信号、およびγ粒子によって励起される第2の光学信号を取得するステップと、
前記第1の光学信号を変換することにより第1の電気信号を取得するステップと、
前記第2の光学信号を変換することにより第2の電気信号を取得するステップと、
前記第1の電気信号に基づいて前記第1の時間情報を決定するステップと、
前記第2の電気信号に基づいて前記第2の時間情報を決定するステップと
を含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
同時発生事象と関連付けられるデータを取得する前記ステップは、
標的エネルギー窓および標的時間窓に基づいて、前記同時発生事象と関連付けられる前記データを取得するステップであって、前記標的エネルギー窓は、β粒子エネルギー、γ粒子エネルギー、または基準エネルギーのうちの少なくとも1つに基づいて決定され、前記標的時間窓は基準時間に基づいて決定される、ステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記2つのクリスタルのうちの第1のクリスタルがβ粒子を検出し、前記2つのクリスタルのうちの第2のクリスタルがγ粒子を検出し、前記2つのクリスタルの場所に基づいて、各々の前記同時発生事象に対応する第2のTOF差を決定する前記ステップは、
前記第1のクリスタルの前記場所と前記第2のクリスタルの前記場所との間の距離に基づいて前記第2のTOF差を決定するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のクリスタルの前記場所と前記第2のクリスタルの前記場所との間の距離に基づいて前記第2のTOF差を決定する前記ステップは、
前記第1のクリスタルの前記場所と前記第2のクリスタルの前記場所との間の前記距離を光の速度によって割ることで前記第2のTOF差を決定するステップを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1のクリスタルを含む第1の検出器と前記第2のクリスタルを含む第2の検出器とが互いに離間される、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
前記第1のTOF差および前記第2のTOF差に基づいて前記PETデバイスを修正する前記ステップは、
前記PETデバイスの前記複数のクリスタルの各々のクリスタルについて、
前記クリスタルと他のクリスタルとの間で検出される前記同時発生事象のうちの1つまたは複数の各々に対応する前記第1のTOF差および前記第2のTOF差に基づいて、時間スペクトルを生成するステップと、
前記時間スペクトルに基づいてTOF修正値を決定するステップと、
前記PETデバイスの前記複数のクリスタルの各々の前記クリスタルに対応する前記TOF修正値に基づいて前記PETデバイスを修正するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記PETデバイスの前記複数のクリスタルの各々のクリスタルについて、前記時間スペクトルに基づいてTOF修正値を決定するステップは、
1回または複数回の繰り返しを含む繰り返し動作による前記時間スペクトルに基づいて前記TOF修正値を決定するステップを含み、前記1回または複数回の繰り返しのうちの少なくとも1つにおいて、前記方法は、
前記PETデバイスの前記複数のクリスタルの各々の前記クリスタルについて、
前記クリスタルの時間スペクトルを生成するステップと、
前記時間スペクトルに基づいて、前記クリスタルについてオフセット値を決定するステップと、
前記クリスタルについての前記オフセット値に基づいて、前記繰り返し動作が条件を満たすかどうかを決定するステップと、
前記繰り返し動作が前記条件を満たすかどうかを決定するステップの結果に応じて、前記クリスタルについての前記オフセット値に基づいて前記クリスタルのTOF情報を調整する、または、前記1回または複数回の繰り返しにおいて前記クリスタルについての1つまたは複数のオフセット値を合計することにより前記クリスタルについての前記TOF修正値を決定するステップと
をさらに含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記PETデバイスの前記複数のクリスタルの各々の前記クリスタルに対応する前記TOF修正値に基づいて前記PETデバイスを修正する前記ステップは、
前記TOF修正値を前記PETデバイスの修正ファイルに記録するステップ、または、
前記TOF修正値を前記PETデバイスの1つもしくは複数の検出器にプログラムするステップ
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項11】
前記第1のTOF差においてタイムウォーク効果修正および/または位置修正を実施するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記同時発生事象と関連付けられる前記データのエネルギー情報に基づいて前記PETデバイスを修正するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記同時発生事象と関連付けられる前記データに基づいて前記PETデバイスを修正する前記ステップは、
各々の前記同時発生事象のエネルギー情報に基づいて基準エネルギースペクトルを生成するステップと、
前記基準エネルギースペクトルにおける基準ピーク位置を決定するステップと、
前記基準エネルギースペクトルにおける前記基準ピーク位置に基づいて標的ピーク位置を決定するステップと、
前記標的ピーク位置および修正されたピーク位置に基づいて前記PETデバイスを修正するステップと
を含む、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記標的ピーク位置および修正されたピーク位置に基づいて前記PETデバイスを修正する前記ステップは、
前記標的ピーク位置および前記修正されたピーク位置に基づいて、前記PETデバイスが修正される必要があるかどうかを決定するステップと、
前記PETデバイスが修正される必要があるとの決定に応じて、
前記標的ピーク位置を前記PETデバイスの1つまたは複数の検出器にプログラムするステップと
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記基準エネルギースペクトルにおける前記基準ピーク位置に基づいて標的ピーク位置を決定する前記ステップは、
前記基準ピーク位置と、ピークの位置と前記ピークのエネルギーとの間の関係とに基づいて、前記標的ピーク位置を決定するステップを含む、請求項13に記載の方法。
【請求項16】
データマスキングのためのシステムであって、
命令のセットを含む少なくとも1つの保存デバイスと、
前記少なくとも1つの保存デバイスと通信するように構成される少なくとも1つの処理装置であって、前記命令のセットを実行するとき、前記少なくとも1つの処理装置は、前記システムに、
前記PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータを取得することであって、前記同時発生事象の各々は、前記PETデバイスの前記複数のクリスタルのうちの2つのクリスタルによって検出され、各々の前記同時発生事象と関連付けられる前記データは第1の時間情報と第2の時間情報とを含む、取得することと、
前記第1の時間情報および前記第2の時間情報に基づいて、各々の前記同時発生事象に対応する第1の飛行時間(TOF)差を決定することと、
各々の前記同時発生事象を検出する前記2つのクリスタルの場所に基づいて、各々の前記同時発生事象に対応する第2のTOF差を決定することと、
前記第1のTOF差および前記第2のTOF差に基づいて前記PETデバイスを修正することと
を含む動作を実施させるように命令するように構成される、システム。
【請求項17】
各々の前記同時発生事象はβ事象およびγ事象を含み、前記第1の時間情報は前記β事象に対応し、前記第2の時間情報は前記γ事象に対応する、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
同時発生事象と関連付けられるデータを前記取得することは、
各々の前記同時発生事象について、
β粒子によって励起される第1の光学信号、およびγ粒子によって励起される第2の光学信号を取得することと、
前記第1の光学信号を変換することにより第1の電気信号を取得することと、
前記第2の光学信号を変換することにより第2の電気信号を取得することと、
前記第1の電気信号に基づいて前記第1の時間情報を決定することと、
前記第2の電気信号に基づいて前記第2の時間情報を決定することと
を含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
同時発生事象と関連付けられるデータを前記取得することは、
標的エネルギー窓および標的時間窓に基づいて、前記同時発生事象と関連付けられる前記データを取得することであって、前記標的エネルギー窓は、β粒子エネルギー、γ粒子エネルギー、または基準エネルギーのうちの少なくとも1つに基づいて決定され、前記標的時間窓は基準時間に基づいて決定される、取得することを含む、請求項17に記載のシステム。
【請求項20】
前記2つのクリスタルのうちの第1のクリスタルが前記β粒子を検出し、前記2つのクリスタルのうちの第2のクリスタルが前記γ粒子を検出し、前記2つのクリスタルの場所に基づいて、各々の前記同時発生事象に対応する第2のTOF差を前記決定することは、
前記第1のクリスタルの前記場所と前記第2のクリスタルの前記場所との間の距離に基づいて前記第2のTOF差を決定することを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項21】
前記第1のクリスタルの前記場所と前記第2のクリスタルの前記場所との間の距離に基づいて前記第2のTOF差を前記決定することは、
前記第1のクリスタルの前記場所と前記第2のクリスタルの前記場所との間の前記距離を光の速度によって割ることで前記第2のTOF差を決定することを含む、請求項20に記載のシステム。
【請求項22】
前記第1のクリスタルを含む第1の検出器と前記第2のクリスタルを含む第2の検出器とが互いに離間される、請求項20に記載のシステム。
【請求項23】
前記第1のTOF差および前記第2のTOF差に基づいて前記PETデバイスを前記修正することは、
前記PETデバイスの前記複数のクリスタルの各々のクリスタルについて、
前記クリスタルと他のクリスタルとの間で検出される前記同時発生事象のうちの1つまたは複数の各々に対応する前記第1のTOF差および前記第2のTOF差に基づいて、時間スペクトルを生成することと、
前記時間スペクトルに基づいてTOF修正値を決定することと、
前記PETデバイスの前記複数のクリスタルの各々の前記クリスタルに対応する前記TOF修正値に基づいて前記PETデバイスを修正することを含む、請求項16に記載のシステム。
【請求項24】
前記PETデバイスの前記複数のクリスタルの各々のクリスタルについて、前記時間スペクトルに基づいてTOF修正値を決定することは、
1回または複数回の繰り返しを含む繰り返し動作による前記時間スペクトルに基づいて前記TOF修正値を決定することを含み、前記1回または複数回の繰り返しのうちの少なくとも1つにおいて、前記方法は、
前記PETデバイスの前記複数のクリスタルの各々の前記クリスタルについて、
前記クリスタルの時間スペクトルを生成するステップと、
前記時間スペクトルに基づいて、前記クリスタルについてオフセット値を決定するステップと、
前記クリスタルについての前記オフセット値に基づいて、前記繰り返し動作が条件を満たすかどうかを決定するステップと、
前記クリスタルについての前記オフセット値に基づいて、前記繰り返し動作が前記条件を満たすかどうかを決定するステップの結果に応じて、前記クリスタルについての前記オフセット値に基づいて前記クリスタルのTOF情報を調整する、または、前記1回または複数回の繰り返しにおいて前記クリスタルについての1つまたは複数のオフセット値を合計することにより前記クリスタルについての前記TOF修正値を決定するステップと
をさらに含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項25】
前記PETデバイスの前記複数のクリスタルの各々の前記クリスタルに対応する前記TOF修正値に基づいて前記PETデバイスを前記修正することは、
前記TOF修正値を前記PETデバイスの修正ファイルに記録すること、または、
前記TOF修正値を前記PETデバイスの1つもしくは複数の検出器にプログラムすること
を含む、請求項23に記載のシステム。
【請求項26】
前記少なくとも1つの処理装置は、前記システムに、
前記第1のTOF差においてタイムウォーク効果修正および/または位置修正を実施すること
を含む動作を実施させるように命令するように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項27】
前記少なくとも1つの処理装置は、前記システムに、
前記同時発生事象と関連付けられる前記データのエネルギー情報に基づいて前記PETデバイスを修正すること
を含む動作を実施させるように命令するように構成される、請求項16に記載のシステム。
【請求項28】
前記同時発生事象と関連付けられる前記データに基づいて前記PETデバイスを前記修正することは、
各々の前記同時発生事象のエネルギー情報に基づいて基準エネルギースペクトルを生成することと、
前記基準エネルギースペクトルにおける基準ピーク位置を決定することと、
前記基準エネルギースペクトルにおける前記基準ピーク位置に基づいて標的ピーク位置を決定することと、
前記標的ピーク位置および修正されたピーク位置に基づいて前記PETデバイスを修正することと
を含む、請求項27に記載のシステム。
【請求項29】
前記標的ピーク位置および修正されたピーク位置に基づいて前記PETデバイスを前記修正することは、
前記標的ピーク位置および前記修正されたピーク位置に基づいて、前記PETデバイスが修正される必要があるかどうかを決定することと、
前記PETデバイスが修正される必要があるとの決定に応じて、
前記標的ピーク位置を前記PETデバイスの1つまたは複数の検出器にプログラムすることと
を含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項30】
前記基準エネルギースペクトルにおける前記基準ピーク位置に基づいて標的ピーク位置を前記決定することは、
前記基準ピーク位置と、ピークの位置と前記ピークのエネルギーとの間の関係とに基づいて、前記標的ピーク位置を決定することを含む、請求項28に記載のシステム。
【請求項31】
少なくとも1つの処理装置によって実行されるとき、前記少なくとも1つの処理装置に、運動修正のための方法を実施させるように命令する実行可能命令を含む非一時的コンピュータ読み取り可能媒体であって、前記方法は、
前記PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータを取得するステップであって、前記同時発生事象の各々は、前記PETデバイスの前記複数のクリスタルのうちの2つのクリスタルによって検出され、各々の前記同時発生事象と関連付けられる前記データは第1の時間情報と第2の時間情報とを含む、ステップと、
前記第1の時間情報および前記第2の時間情報に基づいて、各々の前記同時発生事象に対応する第1の飛行時間(TOF)差を決定するステップと、
各々の前記同時発生事象を検出する前記2つのクリスタルの場所に基づいて、各々の前記同時発生事象に対応する第2のTOF差を決定するステップと、
前記第1のTOF差および前記第2のTOF差に基づいて前記PETデバイスを修正するステップと
を含む、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、2021年4月15日に出願された中国特許出願第202110405984.1号の優先権を主張し、この特許出願の内容は、本明細書によって参照により組み込まれる。
【0002】
本開示は、概して、陽電子放射断層撮影(PET)デバイスのためのシステムおよび方法に関し、より詳細には、PETデバイスを修正するためのシステムおよび方法に関する。
【背景技術】
【0003】
陽電子放射断層撮影(PET)が、診断および他の目的のために医療において広く使用されている。患者の病気の正確な評価は、PETデータの正確な獲得に依存している。しかしながら、PETデバイスの構成要素の経年劣化および外部環境の影響のため、PETデバイスの状態(例えば、エネルギー状態、飛行時間(TOF)状態)が変化させられる可能性があり、これが、PETデバイスによって取得されるPETデータの品質に影響を与える可能性がある。従来では、外部からの放射源が、PETデバイスの状態を修正するために導入される可能性があり、これは、作業者への不必要な放射をもたらす可能性があり、PETデバイスの利用できない時間を増加させる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
そのため、PETデバイスを正確かつ効率的に修正するためのシステムおよび方法を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の態様によれば、方法が、1つまたは複数の処理装置と、1つまたは複数の保存デバイスとを有するコンピュータデバイスにおいて実施され得る。方法は、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータを取得するステップを含み得る。同時発生事象の各々は、PETデバイスの複数のクリスタルのうちの2つのクリスタルによって検出され得る。各々の同時発生事象と関連付けられるデータは第1の時間情報と第2の時間情報とを含み得る。方法は、第1の時間情報および第2の時間情報に基づいて、各々の同時発生事象に対応する第1の飛行時間(TOF)差を決定するステップを含み得る。方法は、各々の同時発生事象を検出する2つのクリスタルの場所に基づいて、各々の同時発生事象に対応する第2のTOF差を決定するステップを含み得る。方法は、第1のTOF差および第2のTOF差に基づいてPETデバイスを修正するステップを含み得る。
【0006】
いくつかの実施形態において、各々の同時発生事象はβ事象およびγ事象を含み得る。第1の時間情報はβ事象に対応してもよく、第2の時間情報はγ事象に対応してもよい。
【0007】
いくつかの実施形態において、方法は、各々の同時発生事象について、β粒子によって励起される第1の光学信号、およびγ粒子によって励起される第2の光学信号を取得するステップを含み得る。方法は、第1の光学信号を変換することにより第1の電気信号を取得するステップを含み得る。方法は、第2の光学信号を変換することにより第2の電気信号を取得するステップを含み得る。方法は、第1の電気信号に基づいて第1の時間情報を決定するステップを含み得る。方法は、第2の電気信号に基づいて第2の時間情報を決定するステップを含み得る。
【0008】
いくつかの実施形態において、方法は、標的エネルギー窓および標的時間窓に基づいて、同時発生事象と関連付けられるデータを取得するステップを含み得る。標的エネルギー窓は、β粒子エネルギー、γ粒子エネルギー、または基準エネルギーのうちの少なくとも1つに基づいて決定され得る。標的時間窓は基準時間に基づいて決定され得る。
【0009】
いくつかの実施形態において、2つのクリスタルのうちの第1のクリスタルがβ粒子を検出でき、2つのクリスタルのうちの第2のクリスタルがγ粒子を検出できる。方法は、第1のクリスタルの場所と第2のクリスタルの場所との間の距離に基づいて第2のTOF差を決定するステップを含み得る。
【0010】
いくつかの実施形態において、方法は、第1のクリスタルの場所と第2のクリスタルの場所との間の距離を光の速度によって割ることで第2のTOF差を決定するステップを含み得る。
【0011】
いくつかの実施形態において、第1のクリスタルを含む第1の検出器と第2のクリスタルを含む第2の検出器とが互いに離間され得る。
【0012】
いくつかの実施形態において、方法は、PETデバイスの複数のクリスタルの各々のクリスタルについて、クリスタルと他のクリスタルとの間で検出される同時発生事象のうちの1つまたは複数の各々に対応する第1のTOF差および第2のTOF差に基づいて、時間スペクトルを生成するステップを含み得る。方法は、時間スペクトルに基づいてTOF修正値を決定するステップを含み得る。方法は、PETデバイスの複数のクリスタルの各々のクリスタルに対応するTOF修正値に基づいてPETデバイスを修正するステップを含み得る。
【0013】
いくつかの実施形態において、方法は、1回または複数回の繰り返しを含む繰り返し動作による時間スペクトルに基づいてTOF修正値を決定するステップを含み得る。1回または複数回の繰り返しのうちの少なくとも1つにおいて、方法は、PETデバイスの複数のクリスタルの各々のクリスタルについて、クリスタルの時間スペクトルを生成するステップを含み得る。方法は、時間スペクトルに基づいて、クリスタルについてオフセット値を決定するステップを含み得る。方法は、クリスタルについてのオフセット値に基づいて、繰り返し動作が条件を満たすかどうかを決定するステップを含み得る。方法は、クリスタルについてのオフセット値に基づいて、繰り返し動作が条件を満たすかどうかを決定するステップの結果に応じて、クリスタルについてのオフセット値に基づいてクリスタルのTOF情報を調整する、または、1回または複数回の繰り返しにおいてクリスタルについての1つまたは複数のオフセット値を合計することによりクリスタルについてのTOF修正値を決定するステップを含み得る。
【0014】
いくつかの実施形態において、方法は、TOF修正値をPETデバイスの修正ファイルに記録するステップ、またはTOF修正値をPETデバイスの1つもしくは複数の検出器にプログラムするステップを含み得る。
【0015】
いくつかの実施形態において、方法は、第1のTOF差においてタイムウォーク効果修正および/または位置修正を実施するステップを含み得る。
【0016】
いくつかの実施形態において、方法は、同時発生事象と関連付けられるデータのエネルギー情報に基づいてPETデバイスを修正するステップを含み得る。
【0017】
いくつかの実施形態において、方法は、各々の同時発生事象のエネルギー情報に基づいて基準エネルギースペクトルを生成するステップを含み得る。方法は、基準エネルギースペクトルにおける基準ピーク位置を決定するステップを含み得る。方法は、基準エネルギースペクトルにおける基準ピーク位置に基づいて標的ピーク位置を決定するステップを含み得る。方法は、標的ピーク位置および修正されたピーク位置に基づいてPETデバイスのクリスタルのエネルギー情報を修正するステップを含み得る。
【0018】
いくつかの実施形態において、方法は、PETデバイスのクリスタルのエネルギー情報が標的ピーク位置および修正されたピーク位置に基づいて修正される必要があるかどうかを決定するステップを含み得る。方法は、PETデバイスのクリスタルのエネルギー情報が修正される必要があるとの決定に応じて、標的ピーク位置をPETデバイスの1つまたは複数の検出器にプログラムするステップを含み得る。
【0019】
いくつかの実施形態において、方法は、基準ピーク位置と、ピークの位置とピークのエネルギーとの間の関係とに基づいて、標的ピーク位置を決定するステップを含み得る。
【0020】
本開示の他の態様によれば、システムが、命令のセットを保存する少なくとも1つの保存デバイスと、少なくとも1つの保存デバイスと通信する少なくとも1つの処理装置とを備え得る。保存された命令のセットを実行するとき、少なくとも1つの処理装置はシステムに方法を実施させることができる。方法は、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータを取得するステップを含み得る。同時発生事象の各々は、PETデバイスの複数のクリスタルのうちの2つのクリスタルによって検出され得る。各々の同時発生事象と関連付けられるデータは第1の時間情報と第2の時間情報とを含み得る。方法は、第1の時間情報および第2の時間情報に基づいて、各々の同時発生事象に対応する第1の飛行時間(TOF)差を決定するステップを含み得る。方法は、各々の同時発生事象を検出する2つのクリスタルの場所に基づいて、各々の同時発生事象に対応する第2のTOF差を決定するステップを含み得る。方法は、第1のTOF差および第2のTOF差に基づいてPETデバイスを修正するステップを含み得る。
【0021】
本開示の他の態様によれば、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体が命令の少なくとも1つのセットを含み得る。コンピュータデバイスの少なくとも1つの処理装置によって実行されるとき、命令の少なくとも1つのセットは少なくとも1つの処理装置に方法を実施させることができる。方法は、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータを取得するステップを含み得る。同時発生事象の各々は、PETデバイスの複数のクリスタルのうちの2つのクリスタルによって検出され得る。各々の同時発生事象と関連付けられるデータは第1の時間情報と第2の時間情報とを含み得る。方法は、第1の時間情報および第2の時間情報に基づいて、各々の同時発生事象に対応する第1の飛行時間(TOF)差を決定するステップを含み得る。方法は、各々の同時発生事象を検出する2つのクリスタルの場所に基づいて、各々の同時発生事象に対応する第2のTOF差を決定するステップを含み得る。方法は、第1のTOF差および第2のTOF差に基づいてPETデバイスを修正するステップを含み得る。
【0022】
追加の特徴は、後続の記載において一部で述べられており、以下のことおよび添付の図面の再背において当業者には一部で明らかとなる、または、例の製作もしくは動作によって学習され得る。本開示の特徴は、後で検討されている詳細な例において述べられている方法論、手段、および組み合わせの様々な態様の実施または使用によって、実現および達成させることができる。
【0023】
本開示は、例示の実施形態の観点からさらに記載される。これらの例示の実施形態は、図面を参照して詳細に記載される。図面は一定の縮尺ではない。これらの実施形態は非限定的な例示の実施形態であり、同様の符号が図面のいくつかの図を通じて同様の構造を表している。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本開示のいくつかの実施形態による例示の医療システムを示す概略図である。
【
図2】処理デバイスが本開示のいくつかの実施形態によって実施され得る例示のコンピュータデバイスの例示のハードウェアおよび/またはソフトウェアの構成要素を示す概略図である。
【
図3】端末が本開示のいくつかの実施形態によって実施され得る例示の携帯デバイスの例示のハードウェアおよび/またはソフトウェアの構成要素を示す概略図である。
【
図4】本開示のいくつかの実施形態による例示の処理デバイスを示す概略図である。
【
図5】本開示のいくつかの実施形態による、PETデバイスを修正するための例示の過程を示す流れ図である。
【
図6】本開示のいくつかの実施形態による、TOF修正値を決定するための例示の過程を示す流れ図である。
【
図7】本開示のいくつかの実施形態による、PETデバイスを修正するための例示の過程を示す流れ図である。
【
図8】本開示のいくつかの実施形態による、PETデバイスのクリスタルの例示の固有背景放射を示す図である。
【
図9】本開示のいくつかの実施形態による例示の時間スペクトルを示す図である。
【
図10】本開示のいくつかの実施形態による例示の基準エネルギースペクトルを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下の詳細な記載において、数多くの特定の詳細が、関連の開示の徹底した理解を提供するために、例を用いて述べられている。しかしながら、本開示がこのような詳細なしで実施できることは、当業者には明らかなはずである。他の例では、よく知られている方法、手順、システム、構成要素、および/または回路は、本開示の態様を不必要に不明確にすることを回避するために、詳細なしで比較的高い水準で記載されている。開示されている実施形態への様々な変更が、当業者には容易に明らかになり、本明細書に定められている大まかな原理は、本開示の精神および半から逸脱することなく、他の実施形態および用途に適用され得る。したがって、本開示は、図示されている実施形態に限定されず、クレームと一致する最も広い範囲に認められるものである。
【0026】
本明細書で使用されている用語は、具体的な実施形態だけを説明する目的のためであって、本発明の例示の実施形態の限定となるように意図されていない。本明細書で使用されているように、「1つ(a、an)」および「その(the)」といった単数形は、文脈が明確にそうでないことを指示していない場合、複数形も含むように意図されている。本明細書で使用されているように、「および/または」および「~のうちの少なくとも1つ」の用語は、関連する列記された項目の1つまたは複数の任意の組み合わせおよびすべての組み合わせを含む。「~を備える」、「~を備えている」、「~を含む」、および/または「~を含んでいる」という用語が、本明細書で使用されるとき、述べられた特徴、整数、ステップ、動作、要素、および/または構成要素の存在を明示するが、1つまたは複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、および/またはそれらのグループの存在または追加を除外しないことは、さらに理解されるものである。また、「例示」という用語は、例または図示に言及するように意図されている。
【0027】
本明細書で使用されている「システム」、「エンジン」、「ユニット」、「モジュール」、および/または「ブロック」という用語が、昇順において異なるレベルの異なる構成要素、要素、部品、区域、または組立体を区別するための一方法であることは、理解されるものである。しかしながら、用語は、同じ目的を達成する場合、他の表現によって置き換えられてもよい。
【0028】
本開示の態様が、PETデバイスを修正するシステムおよび方法に関する。本開示のいくつかの実施形態によれば、処理デバイスが、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータを取得することができる。同時発生事象の各々は、PETデバイスの複数のクリスタルのうちの2つのクリスタルによって検出され得る。各々の同時発生事象と関連付けられるデータは第1の時間情報と第2の時間情報とを含み得る。処理デバイスは、第1の時間情報および第2の時間情報に基づいて、各々の同時発生事象に対応する第1の飛行時間(TOF)差を決定することができる。処理デバイスは、各々の同時発生事象を検出する2つのクリスタルの場所に基づいて、各々の同時発生事象に対応する第2のTOF差を決定することができる。処理デバイスは、第1のTOF差および第2のTOF差に基づいてPETデバイスのTOF状態を修正することができる。
【0029】
本開示の他の態様が、PETデバイスを修正するためのシステムおよび方法に関する。本開示のいくつかの実施形態によれば、処理デバイスが、PETデバイスのクリスタルの固有背景放射に関する単一の事象または同時発生事象と関連付けられるデータを取得することができる。処理デバイスは、単一の事象または同時発生事象のエネルギー情報に基づいて、基準エネルギースペクトルを生成することができる。処理デバイスは、基準エネルギースペクトルにおける基準ピーク位置を決定することができる。処理デバイスは、基準エネルギースペクトルにおける基準ピーク位置に基づいて標的ピーク位置を決定することができる。処理デバイスは、標的ピーク位置および修正されたピーク位置に基づいてエネルギー修正状態を決定することができる。処理デバイスは、エネルギー修正状態に基づいてPETデバイスのエネルギー状態を修正することができる。
【0030】
したがって、PETデバイスの状態(例えば、TOF状態、エネルギー状態)が、外部からの放射源を使用することなく、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関連する単一の事象または同時発生事象と関連付けられるデータに基づいて修正され得る。PETデバイスの作業者が受ける放射量が低減でき、PETデバイス修正のためのコストが低減できる。
【0031】
図1は、本開示のいくつかの実施形態による例示の医療システムを示す概略図である。図示されているように、医療システム100は、医療デバイス110と、処理デバイス120と、保存デバイス130と、端末140と、ネットワーク150とを含み得る。医療システム100の構成要素は、様々な方法のうちの1つまたは複数で接続され得る。単に例を用いると、
図1に示されているように、医療デバイス110は、医療デバイス110と処理デバイス120とをつなげる点線での両方向矢印によって指示されているように直接的に、または、ネットワーク150を通じて、処理デバイス120に接続され得る。他の例として、保存デバイス130は、医療デバイス110と保存デバイス130とをつなげる点線での両方向矢印によって指示されているように直接的に、または、ネットワーク150を通じて、医療デバイス110に接続され得る。なおも他の例として、端末140は、端末140と処理デバイス120とをつなげる点線での両方向矢印によって指示されているように直接的に、または、ネットワーク150を通じて、処理デバイス120に接続され得る。
【0032】
いくつかの実施形態において、医療デバイス110は、被験者を走査することができ、被験者に関するデータを獲得することができる。いくつかの実施形態において、医療デバイス110は、放射型コンピュータ断層撮影(ECT)デバイス、陽電子放射断層撮影(PET)デバイス、単一光子放射型コンピュータ断層撮影(SPECT)デバイス、マルチモダリティデバイスなど、またはそれらの任意の組み合わせであり得る。例示のマルチモダリティデバイスは、CT-PETデバイス、MR-PETデバイスなどを含み得る。いくつかの実施形態において、マルチモダリティデバイスは、PET撮像および/または関連する分析を実施するためのモジュールおよび/または構成要素を備え得る。
【0033】
いくつかの実施形態において、医療デバイス110は、ガントリ111と、PET検出器112と、検出領域113と、テーブル114とを備えるPETデバイスであり得る。PET検出器112は、検出領域113から放出される放射事象(例えば、γ光子)を検出することができる。いくつかの実施形態において、PET検出器112は複数の検出器を備え得る。PET検出器112は、複数の検出器が単一の列で配置される単一列検出器、および/または、複数の検出が複数の列で配置される複数列検出器であり得る、および/または、そのような検出器を備え得る。いくつかの実施形態において、複数の検出器の各々の検出器が、クリスタル(例えば、シンチレータ)、光案内部、および光電変換デバイスを備え得る。クリスタルは異なる種類の化合物を含み得る。例示の化合物は、ゲルマニウム酸ビスマス(BGO)、フッ化バリウム(BaFl)、ケイ酸ガドリニウム(GSO)、オルトケイ酸ルテチウム(LSO)、オルトケイ酸ルテチウムイットリウム(LYSO)など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。光案内部は、光電変換デバイスへの光路を提供するために、クリスタルに光学的に連結され得る。被験者のPET走査の間、入射γ線はクリスタルに当たって、可視光または不可視光(例えば、光信号)の小さいバーストを作り出すことができる。可視光または不可視光は、光電変換デバイスによって電気信号(例えば、電気パルス信号)に変換され得る。いくつかの実施形態において、光電変換デバイスは、光電子増倍管(PMT)、シリコン光電子増倍管(SiPM)、アバランシェフォトダイオード(APD)など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0034】
処理デバイス120は、医療デバイス110、保存デバイス130、および/または端末140から取得されたデータおよび/または情報を処理することができる。例えば、処理デバイス120は、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータを取得することができる。他の例として、処理デバイス120は、第1の時間情報および第2の時間情報に基づいて、同時発生事象に対応する第1のTOF差を決定することができる。他の例として、処理デバイス120は、同時発生事象を検出する2つのクリスタルの場所に基づいて、同時発生事象に対応する第2のTOF差を決定することができる。なおも他の例として、処理デバイス120は、第1のTOF差および第2のTOF差に基づいてPETデバイスのTOF状態を修正することができる。
【0035】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は単一のサーバまたはサーバグループであり得る。サーバグループは中央集権化または分散化され得る。いくつかの実施形態において、処理デバイス120はローカルまたはリモートであり得る。例えば、処理デバイス120は、ネットワーク150を介して、医療デバイス110、保存デバイス130、および/または端末140からのデータおよび/または情報にアクセスすることができる。他の例として、処理デバイス120は、データおよび/または情報にアクセスするために、医療デバイス110、保存デバイス130、および/または端末140に直接的に接続されてもよい。いくつかの実施形態において、処理デバイス120はクラウドプラットフォームで実施され得る。例えば、クラウドプラットフォームは、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド、コミュニティクラウド、分散クラウド、インタークラウド、マルチクラウドなど、またはそれらの組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、処理デバイス120は端末140の一部であり得る。いくつかの実施形態において、処理デバイス120は医療デバイス110の一部であり得る。
【0036】
保存デバイス130はデータ、命令、および/または任意の他の情報を保存することができる。いくつかの実施形態において、保存デバイス130は、医療デバイス110、処理デバイス120、および/または端末140から取得されたデータを保存することができる。データは、処理デバイス120によって獲得された画像データ、アルゴリズム、および/または、画像データを処理するためのアルゴリズムなどを含み得る。例えば、保存デバイス130は、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータを保存することができる。他の例として、保存デバイス130は、処理デバイス120によって決定された同時発生事象に対応する第1のTOF差および第2のTOF差を保存することができる。なおも他の例として、保存デバイス130は、処理デバイス120によって決定された基準エネルギースペクトルを保存することができる。いくつかの実施形態において、保存デバイス130は、処理デバイス120および/または端末140が本開示に記載されている例示の方法を実施するために実行または使用することができるデータおよび/または命令を保存することができる。いくつかの実施形態において、保存デバイス130は、大容量記憶装置、リムーバブルストレージ、揮発性の読み出しおよび書き込みの記憶装置、読み出し専用記憶装置(ROM)など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。例示の大容量記憶装置は、磁気ディスク、光ディスク、ソリッドステートドライブなどを含み得る。例示のリムーバブルストレージは、フラッシュドライブ、フロッピーディスク、光ディスク、メモリカード、ジップディスク、磁気テープなどを含み得る。例示の揮発性の読み出しおよび書き込みの記憶装置はランダムアクセスメモリを含み得る。例示のRAMは、ダイナミックRAM(DRAM)、ダブルデートレート同期ダイナミックRAM(DDR SDRAM)、スタティックRAM(SRAM)、サイリスタRAM(T-RAM)、およびゼロキャパシタRAM(Z-RAM)などを含み得る。例示のROMは、マスクROM(MROM)、プログラマブルROM(PROM)、消去可能プログラマブルROM(EPROM)、電気的に消去可能なプログラマブルROM(EEPROM)、コンパクトディスクROM(CD-ROM)、およびデジタル多用途ディスクROMなどを含み得る。いくつかの実施形態において、保存デバイス130はクラウドプラットフォームで実施され得る。単に例を用いると、クラウドプラットフォームは、プライベートクラウド、パブリッククラウド、ハイブリッドクラウド、コミュニティクラウド、分散クラウド、インタークラウド、マルチクラウドなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0037】
いくつかの実施形態において、保存デバイス130は、医療システム100における1つまたは複数の他の構成要素(例えば、処理デバイス120、端末140)と通信するために、ネットワーク150に接続させることができる。医療システム100における1つまたは複数の構成要素は、ネットワーク150を介して保存デバイス130に保存されたデータまたは命令にアクセスすることができる。いくつかの実施形態において、保存デバイス130は医療デバイス110に組み込むことができる。
【0038】
端末140は、医療デバイス110、処理デバイス120、および/または保存デバイス130と、接続させることができる、および/または通信することができる。いくつかの実施形態において、端末140は、携帯デバイス141、タブレットコンピュータ142、ラップトップコンピュータ143など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。例えば、携帯デバイス141は、携帯電話、携帯情報端末(PDA)、ゲームデバイス、ナビゲーションデバイス、販売時点情報管理(POS)デバイス、ラップトップ、タブレットコンピュータ、デスクトップなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、端末140は、入力デバイス、出力デバイスなどを含み得る。入力デバイスは、キーボードを介して入力され得るアルファベットおよび他のキー、タッチスクリーン(例えば、触覚または触知のフィードバックを伴う)、音声入力、視標追跡入力、脳監視システム、または任意の他の同等の入力機構を含み得る。他の種類の入力デバイスは、マウス、トラックボール、またはカーソル方向キーなどのカーソル制御デバイスを含み得る。出力デバイスは、表示装置、プリンタなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。
【0039】
ネットワーク150は、医療システム100についての情報および/またはデータの交換を容易にすることができる任意の適切なネットワークを含み得る。いくつかの実施形態において、医療システム100の1つまたは複数の構成要素(例えば、医療デバイス110、処理デバイス120、保存デバイス130、端末140など)は、情報および/またはデータを、ネットワーク150を介して、医療システム100の1つまたは複数の他の構成要素と通信することができる。例えば、処理デバイス120および/または端末140は、ネットワーク150を介して、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータを取得することができる。他の例として、処理デバイス120および/または端末140は、ネットワーク150を介して保存デバイス130に保存された情報を取得することができる。ネットワーク150は、パブリックネットワーク(例えば、インターネット)、プライベートネットワーク(例えば、ローカルエリアネットワーク(LAN)、ワイドエリアネットワーク(WAN)など)、有線ネットワーク(例えば、イーサネットネットワーク)、無線ネットワーク(例えば、802.11ネットワーク、Wi-Fiネットワークなど)、セルラーネットワーク(例えば、ロングタームエボリューション(LTE)ネットワーク)、フレームリレーネットワーク、仮想プライベートネットワーク(VPN)、衛星ネットワーク、電話網、ルータ、ハブ、ウィッチ、サーバコンピュータであり得る、および/または、それらを含み得る。例えば、ネットワーク150は、ケーブルネットワーク、有線ネットワーク、光ファイバーネットワーク、電気通信ネットワーク、イントラネット、ワイヤレスローカルエリアネットワーク(WLAN)、メトロポリタンエリアネットワーク(MAN)、公衆電話交換網(PSTN)、Bluetoothネットワーク、ZigBeeネットワーク、近距離無線通信(NFC)ネットワークなど、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、ネットワーク150は1つまたは複数のネットワークアクセスポイントを含み得る。例えば、ネットワーク150は、医療システム100の1つまたは複数の構成要素がデータおよび/または情報を交換するためにネットワーク150に接続され得るのに通るベースステーションおよび/またはインターネット相互接続点などの有線および/または無線ネットワークアクセスポイントを含み得る。
【0040】
本記載は、例示となるように意図されており、本開示の範囲を限定するように意図されていない。多くの代替、改良、および変更が、当業者には明らかになる。本明細書に記載されている例示の実施形態の特徴、構造、方法、および他の特性が、追加および/または代替の例示の実施形態を得るために、様々な方法で組み合わせることができる。しかしながら、これらの変形および改良は本開示の範囲から逸脱しない。いくつかの実施形態において、医療システム100は1つまたは複数の追加の構成要素を備えてもよい、および/または、先に記載されている医療システム100の1つもしくは複数の構成要素が省略されてもよい。追加または代替で、医療システム100の2つ以上の構成要素が単一の構成要素へと組み込まれてもよい。医療システム100の構成要素が2つ以上の下位構成要素で実施されてもよい。
【0041】
いくつかの実施形態において、PETシステムが、検出器下位システム、電子システム、データ修正下位システム、および/または再構成下位システムを含み得る。被験者(例えば、患者)のPET走査の間、PETトレーサが被験者へと導入された後、PETトレーサ分子が、陽電子、つまり電子の反粒子を、放出することができる。陽電子は、同じ質量と、電子と反対の電荷とを有し、2つの粒子が衝突するときに電子(被験者の中に自然に豊富に存在し得る)との消滅(「消滅事象」、「同時発生事象」、または「臨床的同時発生事象」とも称される)を受ける。電子陽電子消滅は、2つの粒子(例えば、2つの511keVのγ光子)をもたらすことができ、それら自体の発生において、互いに対して反対の方向に移動し始める。いくつかの実施形態において、γ光子の各々が、検出器システムのクリスタルに当たって、可視光または不可視光の小さいバースト(例えば、光信号)を作り出すことができる。可視光または不可視光は、クリスタルに連結される光電変換デバイスによって電気信号へと変換され得る。電気信号は、波形の大きさもしくは形、騒音、濾過、および/または判別論理的選択のための電子システムのフロントエンド回路に送信され得る。処理された電子信号は、γ光子の位置情報、時間情報、および/またはエネルギー情報を取得するために、デジタル処理のための電子システムのバックエンド回路に送信され得る。データ修正システムは、γ光子と関連付けられる同時発生事象の情報を生成するために、γ光子の位置情報、時間情報、および/またはエネルギー情報を修正することができる。再構成システムは、同時発生事象の情報に基づいて、PET画像を生成することができる。
【0042】
図2は、処理デバイス120が本開示のいくつかの実施形態によって実施され得る例示のコンピュータデバイス200の例示のハードウェアおよび/またはソフトウェアの構成要素を示す概略図である。
図2に示されているように、コンピュータデバイス200は、処理装置210と、保存装置220と、入力/出力(I/O)230と、通信ポート240とを含み得る。
【0043】
処理装置210は、コンピュータ命令(例えば、プログラムコード)を実行することができ、本明細書に開示されている技術により、処理デバイス120の機能を実施することができる。コンピュータ命令は、例えば、本明細書に記載されている具体的な機能を実施するルーチン、プログラム、オブジェクト、コンポーネント、データ構造、プロシージャ、モジュール、および関数を含み得る。例えば、処理装置210は、医療デバイス110、端末140、保存デバイス130、および/または、医療システム100の任意の他の構成要素から取得される画像データを処理することができる。いくつかの実施形態において、処理装置210は、マイクロコントローラ、マイクロプロセッサ、縮小命令セットコンピュータ(RISC)、特定用途向け集積回路(ASIC)、特定用途向け命令セットプロセッサ(ASIP)、中央処理装置(CPU)、グラフィックス処理装置(GPU)、物理処理ユニット(PPU)、マイクロコントローラユニット、デジタルシグナルプロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、高度なRISCマシン(ARM)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、1つもしくは複数の機能を実行することができる任意の回路もしくは処理装置など、またはそれらの任意の組み合わせなど、1つまたは複数のハードウェア処理装置を備え得る。
【0044】
単に図示のために、1つだけの処理装置がコンピュータデバイス200に記載されている。しかしながら、本開示におけるコンピュータデバイス200が複数の処理装置を備えてもよいことは、留意されるべきである。したがって、本開示に記載されているように処理装置によって実施される動作および/または方法ステップは、複数の処理装置によって一緒または別々に実施されてもよい。例えば、本開示において、コンピュータデバイス200の処理装置が処理Aと処理Bとの両方を実行する場合、処理Aおよび処理Bは、2つ以上の異なる処理装置によって、コンピュータデバイス200において一緒または別々に実施されてもよく(例えば、第1の処理装置は処理Aを実行し、第2の処理装置は処理Bを実行する、または、第1および第2の処理装置が処理AおよびBを一緒に実行する)。
【0045】
保存装置220は、医療デバイス110、端末140、保存デバイス130、および/または、医療システム100の任意の他の構成要素から取得されるデータ/情報を保存することができる。保存装置220は、
図1との接続で記載されている保存デバイス130と同様であり得、詳細な記載は本明細書では繰り返されていない。
【0046】
I/O230は、入力および/または出力の信号、データ、情報などであり得る。いくつかの実施形態において、I/O230は、処理デバイス120との使用者のやり取りを可能にすることができる。いくつかの実施形態において、I/O230は入力デバイスと出力デバイスとを含み得る。入力デバイスの例は、キーボード、マウス、タッチスクリーン、マイク、録音デバイスなど、またはそれらの組み合わせを含み得る。出力デバイスの例は、表示装置、スピーカ、プリンタ、プロジェクタなど、またはそれらの組み合わせを含み得る。表示装置の例は、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)に基づく表示装置、フラットパネルディスプレイ、曲面スクリーン、テレビ装置、陰極線管(CRT)、タッチスクリーンなど、またはそれらの組み合わせを含み得る。
【0047】
通信ポート240は、データ通信を容易にするためにネットワーク(例えば、ネットワーク150)に接続され得る。通信ポート240は、処理デバイス120と、医療デバイス110、端末140、および/または保存デバイス130との間の通信を確立することができる。接続は、有線接続、無線接続、データの送信および/もしくは受信を可能にすることができる任意の他の通信接続、ならびに/またはこれらの接続の任意の組み合わせであり得る。有線接続は、例えば、電気ケーブル、光学ケーブル、電話線など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。無線接続は、例えば、Bluetooth(登録商標)リンク、Wi-Fi(登録商標)リンク、WiMax(登録商標)リンク、WLANリンク、ZigBeeリンク、モバイルネットワークリンク(例えば、3G、4G、5G)など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。いくつかの実施形態において、通信ポート240は、RS232、RS485などの標準化された通信ポートであり得る、および/またはそのような通信ポートを含み得る。いくつかの実施形態において、通信ポート240は、特別に設計された通信ポートであり得る。例えば、通信ポート240は、医療におけるデジタル画像と通信(DICOM)のプロトコルに従って設計され得る。
【0048】
図3は、本開示のいくつかの実施形態による例示の携帯デバイス300の例示のハードウェアおよび/またはソフトウェアの構成要素を示す概略図である。いくつかの実施形態において、端末140および/または処理デバイス120は、携帯デバイス300においてそれぞれ実施され得る。
【0049】
図3において示されているように、携帯デバイス300は、通信プラットフォーム310と、表示装置320と、グラフィックス処理装置(GPU)330と、中央処理装置(CPU)340と、I/O350と、メモリ360と、保存装置390とを備え得る。いくつかの実施形態において、限定されることはないが、システムバスまたは制御装置(図示されていない)を含む任意の他の適切な構成要素が、携帯デバイス300に含まれてもよい。
【0050】
いくつかの実施形態において、通信プラットフォーム310は、携帯デバイス300と医療システム100の他の構成要素との間に接続を確立するように、ならびに/または、携帯デバイス300と医療システム100の他の構成要素との間でデータおよび/もしくは信号を送信させることができるように、構成され得る。例えば、通信プラットフォーム310は、携帯デバイス300と医療デバイス110および/または処理デバイス120との間に無線接続を確立することができる。無線接続は、例えば、Bluetooth(登録商標)リンク、Wi-Fi(登録商標)リンク、WiMax(登録商標)リンク、WLANリンク、ZigBeeリンク、モバイルネットワークリンク(例えば、3G、4G、5G)など、またはそれらの任意の組み合わせを含み得る。通信プラットフォーム310は、携帯デバイス300と医療システム100の他の構成要素との間でのデータおよび/または信号を可能にすることもできる。例えば、通信プラットフォーム310は、使用者によって入力されたデータおよび/または信号を医療システム100の他の構成要素へと送信することができる。入力されたデータおよび/または信号は、使用者による命令を含む可能性がある。他の例として、通信プラットフォーム310は、処理デバイス120から送信されたデータおよび/または信号を受信することができる。受信されたデータおよび/または信号は、医療デバイス110の検出器によって獲得された画像データを含み得る。
【0051】
いくつかの実施形態において、モバイルオペレーティングシステム(OS)370(例えば、iOS(登録商標)、アンドロイド(登録商標)、Windows Phone(登録商標)など)と、1つまたは複数のアプリケーション(アプリ)380とが、CPU340によって実行させるために、保存装置390からメモリ360へと読み込まれ得る。アプリケーション380は、運動信号再較正に関する情報、または、処理デバイス120からの他の情報を受信して表示するためのブラウザまたは任意の他の適切なモバイルアプリを含み得る。情報の流れを伴う使用者とのやり取りが、I/O350を介して達成されてもよく、ネットワーク150を介して処理デバイス120および/または医療システム100の他の構成要素に提供されてもよい。
【0052】
本開示に記載されている様々なモジュール、ユニット、およびそれらの機能性を実施するために、コンピュータハードウェアプラットフォームが、本明細書に記載されている要素のうちの1つまたは複数のためのハードウェアプラットフォームとして使用されてもよい。ユーザインターフェース要素を伴うコンピュータが、パーソナルコンピュータ(PC)、他の種類のワークステーション、または端末デバイスを実施するために使用できるが、適切にプログラムされる場合、コンピュータはサーバとして作用することもできる。当業者が、このようなコンピュータ機器の構造、プログラミング、および大まかな動作に精通していると考えられ、結果として、図面は説明を必要としないはずである。
【0053】
図4は、本開示のいくつかの実施形態による例示の処理デバイスを示すブロック図である。いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、取得モジュール410と、決定モジュール420と、修正モジュール430とを備え得る。
【0054】
取得モジュール410は、医療システム100と関連付けられるデータおよび/または情報を取得するように構成され得る。医療システム100と関連付けられるデータおよび/または情報は、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象、同時発生事象に対応する第1のTOF差、同時発生事象に対応する第2のTOF差、基準エネルギースペクトル、基準エネルギースペクトル、基準エネルギースペクトルにおける基準ピーク位置、標的ピーク位置など、またはそれらの任意の組み合わせと関連付けられるデータを含み得る。例えば、取得モジュール410は、PETデバイスのクリスタルの固有背景放射に関する単一の事象または同時発生事象と関連付けられるデータを取得することができる。PETデバイスのクリスタルの固有背景放射に関する単一の事象または同時発生事象と関連付けられるデータのさらなる説明は、本開示における他の場所で見つけ出すことができる(例えば、
図5およびその説明)。いくつかの実施形態において、取得モジュール410は、医療システム100と関連付けられるデータおよび/または情報を、医療システム100の1つまたは複数の構成要素(例えば、医療デバイス110、保存デバイス130、端末140)から、ネットワーク150を介して取得することができる。
【0055】
決定モジュール420は、医療システム100と関連付けられるデータおよび/または情報を決定するように構成され得る。例えば、決定モジュール420は、第1の時間情報および第2の時間情報に基づいて、同時発生事象に対応する第1のTOF差を決定することができる。他の例として、決定モジュール420は、同時発生事象を検出する2つのクリスタルの場所に基づいて、同時発生事象に対応する第2のTOF差を決定することができる。第1のTOF差および第2のTOF差を決定することについてのさらなる説明は、本開示における他の場所で見つけ出すことができる(例えば、
図5およびその説明)。なおも他の例として、決定モジュール420はクリスタルの時間スペクトルを生成することができる。なおも他の例として、決定モジュール420は、時間スペクトルに基づいて、クリスタルについてのオフセット値を決定することができる。なおも他の例として、決定モジュール420は、オフセット値に基づいて、繰り返し動作が条件を満たすかどうかを決定することができる。なおも他の例として、決定モジュール420は、クリスタルについてのオフセット値に基づいて、クリスタルのTOF状態を調整することができる。なおも他の例として、決定モジュール420は、1回または複数回の繰り返しにおいて、クリスタルについての1つまたは複数のオフセット値を合計することにより、クリスタルについてのTOF修正値を決定することができる。なおも他の例として、決定モジュール420は、単一の事象または同時発生事象のエネルギー情報に基づいて、基準エネルギースペクトルを生成することができる。なおも他の例として、決定モジュール420は、基準エネルギースペクトルにおける基準ピーク位置を決定することができる。なおも他の例として、決定モジュール420は、基準エネルギースペクトルにおける基準ピーク位置に基づいて、標的ピーク位置を決定することができる。なおも他の例として、決定モジュール420は、標的ピーク位置および修正されたピーク位置に基づいて、エネルギー修正状態を決定することができる。
【0056】
修正モジュール430は、医療システム100と関連付けられるデータおよび/または情報を修正するように構成され得る。例えば、修正モジュール430は、第1のTOF差および第2のTOF差に基づいてPETデバイスのTOF状態を修正することができる。PETデバイスのTOF状態を修正することについてのさらなる説明は、本開示における他の場所で見つけ出すことができる(例えば、
図5、
図6およびその説明)。他の例として、修正モジュール430は、エネルギー修正状態に基づいてPETデバイスのエネルギー状態を修正することができる。PETデバイスのエネルギー状態を修正することについてのさらなる説明は、本開示における他の場所で見つけ出すことができる(例えば、
図7およびその説明)。
【0057】
処理デバイス120の上記の説明が例示の目的のために提供されているだけであり、本開示の範囲を限定するように意図されていないことは、留意されるべきである。当業者について、複数の変形および改良が本開示の教示の下で行うことができる。しかしながら、それらの変形および改良は本開示の範囲から逸脱しない。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のモジュールは単一のモジュールへと組み合わせることができる。例えば、決定モジュール420と修正モジュール430とは単一のモジュールに組み合わされてもよい。いくつかの実施形態において、1つまたは複数のモジュールが処理デバイス120において追加または省略されてもよい。例えば、処理デバイス120は、医療システム100と関連付けられるデータおよび/または情報(例えば、同時発生事象と関連付けられるデータ、同時発生事象に対応する第1のTOF差、同時発生事象に対応する第2のTOF差、基準エネルギースペクトル、医療デバイスのエネルギー修正状態)を保存するように構成される保存モジュール(
図4には示されていない)をさらに備えてもよい。
【0058】
図5は、本開示のいくつかの実施形態による、PETデバイスのTOF状態を修正するための例示の過程を示す流れ図である。いくつかの実施形態において、過程500は、
図1に示されている医療システム100で実施され得る。例えば、過程500は、命令の形態として、保存デバイス130および/または保存装置(例えば、保存装置220、保存装置390)に保存でき、処理デバイス120(例えば、
図2に示されているようなコンピュータデバイス200の処理装置210、
図3に示されているような携帯デバイス300のCPU340)によって呼び出しおよび/または実行され得る。図示されている過程の動作は、例示となるように意図されている。いくつかの実施形態において、過程500は、記載されていない1つもしくは複数の追加の動作を伴って、および/または、検討されている動作のうちの1つもしくは複数を伴わずに、遂行されてもよい。また、
図5に示されており、後で記載されているような過程500の動作の順番は、限定となるように意図されていない。
【0059】
符号510において、処理デバイス120(例えば、取得モジュール410)は、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータを取得することができる。同時発生事象の各々は、PETデバイスの複数のクリスタルのうちの2つのクリスタルによって検出され得る。各々の同時発生事象と関連付けられるデータは第1の時間情報および/または第2の時間情報を含み得る。
【0060】
いくつかの実施形態において、PETデバイスは複数の検出器を備え得る。複数の検出器は、走査される被験者を包囲するために、環、円筒、その一部分の形態で配置され得る。いくつかの実施形態において、検出器はクリスタル(例えば、シンチレータ)を備え得る。いくつかの実施形態において、クリスタルは特定の量の放射(固有背景放射とも称される)を放出する可能性がある。例えば、ルテチウム(Lu)に基づくクリスタル(例えば、オルトケイ酸ルテチウム(LSO)、オルトケイ酸ルテチウムイットリウム(LYSO))は、ルテチウム(176Lu)の放射性同位体を含み得る。176Luは、崩壊するとき、1つまたは複数のβ粒子(0keV~593keVのエネルギー範囲を伴う)と、1つまたは複数のγ粒子(88、202、または307keVのエネルギーを伴う)とを放つことができる。
【0061】
いくつかの実施形態において、第1のクリスタル(例えば、ルテチウムに基づくクリスタル)から放出されるβ粒子は、第1のクリスタルにエネルギーを堆積させることができ、第1のクリスタルによって検出されるだけであり得る。第1のクリスタルから放出されるγ粒子は、第1のクリスタルによって検出され得るだけでなく、第1のクリスタルの外側へ放出した後に第2のクリスタルによっても検出され得る。いくつかの実施形態において、単一の事象はβ事象とγ事象とを含み得る。β事象は、第1のクリスタルから放出されたβ粒子が第1のクリスタルによって検出される事象と言うことができる。γ事象は、第1のクリスタルから放出されたγ粒子が第2のクリスタルによって検出される事象と言うことができる。いくつかの実施形態において、γ粒子およびβ粒子が受け入れられ、特定の時間窓(例えば、1ナノ秒、2ナノ秒、5ナノ秒、10ナノ秒、20ナノ秒)の中で2つのクリスタルと相互作用する場合、2つの粒子が同じ固有背景放射から来るため、γ事象とβ事象とが同時発生事象と見なすことができることが、決定され得る。
【0062】
いくつかの実施形態において、クリスタルの固有背景放射と関連する同時発生事象と関連付けられるデータは、時間情報、エネルギー情報など、またはそれらの組み合わせを含み得る。時間情報は第1の時間情報および/または第2の時間情報を含み得る。第1の時間情報はβ事象に対応することができる。第2の時間情報はγ事象に対応することができる。第1の時間情報は、β粒子が第1のクリスタルによって検出されるときの時間(β粒子の検出時間とも称される)を含み得る。第2の時間情報は、γ粒子が第2のクリスタルによって検出されるときの時間(γ粒子の検出時間とも称される)を含み得る。
【0063】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、β粒子によって励起される第1の光学信号と、γ粒子によって励起される第2の光学信号とを取得することができる。処理デバイス120は、第1の光学信号を変換することにより第1の電気信号を取得することができる。処理デバイス120は、第2の光学信号を変換することにより第2の電気信号を取得することができる。例えば、β粒子(および/またはγ粒子)は、対応するクリスタルに当たって、可視光または不可視光の小さいバースト(つまり、第1の光学信号、第2の光学信号)を作り出すことができる。第1の光学信号(および/または第2の光学信号)は、対応するクリスタルに結合される光電変換デバイスによって、第1の電気信号(および/または第2の電気信号)にそれぞれ変換され得る。処理デバイス120は、第1の電気信号に基づいて第1の時間情報を決定することができる。処理デバイス120は、第2の電気信号に基づいて第2の時間情報を決定することができる。例えば、処理デバイス120は、第1の電気信号がβ粒子の検出時間として生成されるときの時間を決定することができる。処理デバイス120は、第2の電気信号がγ粒子の検出時間として生成されるときの時間を決定することができる。
【0064】
図8は、本開示のいくつかの実施形態による、PETデバイスのクリスタルの例示の固有背景放射を示している。
図8に示されているように、PETデバイスは第1のクリスタル810と第2のクリスタル820とを備え得る。第1のクリスタル810は、崩壊するとき、β粒子830と少なくとも1つのγ粒子840とを放つことができる。β粒子830は、第1のクリスタル810に当たって第1の光学信号を生成することができる(β事象とも称される)。γ粒子840は、第1のクリスタル810の外へ放出でき、第2のクリスタル820に当たって第2の光学信号を生成することができる(γ事象とも称される)。第1の光学信号は、第1のクリスタル810に連結される第1の光電変換デバイス850によって第1の電気信号へと変換され得る。第2の光学信号は、第2のクリスタル820に連結される第2の光電変換デバイス860によって第2の電気信号へと変換され得る。β事象に対応する第1の時間情報870は、第1の電気信号に基づいて、生成または取得させることができる。γ事象に対応する第2の時間情報880は、第2の電気信号に基づいて、生成または取得させることができる。
【0065】
いくつかの実施形態において、第1のクリスタルを含む第1の検出器と第2のクリスタルを含む第2の検出器とが互いに離間され得る。いくつかの実施形態において、PETデバイスは複数の検出器(例えば、第1の検出器、第2の検出器、第3の検出器、第4の検出器、第5の検出器、第6の検出器、第7の検出器、第8の検出器)を備え得る複数の検出器は環の形態で配置され得る。例えば、第1の検出器は第2の検出器に隣接することができ、第2の検出器は第3の検出器に隣接することができ、第3の検出器は第4の検出器に隣接することができ、第4の検出器は第5の検出器に隣接することができ、第5の検出器は第6の検出器に隣接することができ、第6の検出器は第7の検出器に隣接することができ、第7の検出器は第8の検出器に隣接することができ、第8の検出器は第1の検出器に隣接することができる。いくつかの実施形態において、第1の検出器のクリスタルの固有背景放射において、第1の検出器のクリスタルから放出されたγ粒子は第3の検出器、第4の検出器、第5の検出器、第6の検出器、第7の検出器によって検出でき、第1の検出器に隣接する第2の検出器または第8の検出器によっては検出できない。PETデバイスが任意の数の検出器を備えることができ、複数の検出器が任意の適切な手法で配置され得ることは、留意されるべきである。したがって、同時発生事象を検出する2つのクリスタルが互いに離間されるため、2つのクリスタルの間の距離は比較的長くでき、2つのクリスタルの間のγ粒子のTOFは比較的長くできる。同時発生事象と関連付けられるパラメータの大きさの比較的小さい度合いのため、同時発生事象を検出する2つのクリスタルの間の距離を大きくすることで、同時発生事象と関連付けられるパラメータの計算の難しさが軽減でき、同時発生事象と関連付けられるパラメータの計算精度を向上することができる。
【0066】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、標的エネルギー窓および標的時間窓に基づいて、同時発生事象と関連付けられるデータを取得することができる。いくつかの実施形態において、標的エネルギー窓は、β粒子エネルギー(例えば、0keV~593keV)、γ粒子エネルギー(例えば、88keV、202keV、307keV)、基準エネルギーなど、またはそれらの組み合わせに基づいて決定され得る。いくつかの実施形態において、基準エネルギーは臨床エネルギー(例えば、511keV)であり得る。いくつかの実施形態において、標的エネルギー窓は、β粒子エネルギー、γ粒子エネルギー、および/または臨床エネルギーより大きくできる。例えば、標的エネルギー窓は200keVから650keVまでの範囲であり得る。
【0067】
いくつかの実施形態において、標的時間窓は基準時間窓(例えば、臨床時間窓)に基づいて決定され得る。例えば、標的時間窓は臨床時間窓より大きくできる。被験者(例えば、患者)のPET走査の間、被験者はPETデバイスの視野(FOV)の中心に通常は位置付けることができ、2つの511keVのγ光子が臨床的同時発生事象において生成される消滅場所が被験者の身体にあり得る。2つの粒子(例えば、β粒子、γ粒子)がPETデバイスのクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象において生成される消滅場所が、クリスタルにあり得る。つまり、固有背景放射に関する同時発生事象において生成されたγ粒子の移動距離は、臨床的同時発生事象において生成されたγ粒子の移動距離より長くできる。したがって、固有背景放射に関する同時発生事象において第1のクリスタルから第2のクリスタルへと移動するγ粒子の時間は、臨床的同時発生事象において消滅場所からPETデバイスの対応する検出器へと移動するγ線の時間より長くなり得る。そのため、標的時間窓は臨床時間窓より大きくなることができ、それによって、PETデバイスは、PETデバイスのクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータを取得することができる。
【0068】
符号520において、処理デバイス120(例えば、決定モジュール420)は、第1の時間情報および第2の時間情報に基づいて、各々の同時発生事象に対応する第1の飛行時間(TOF)差を決定することができる。
【0069】
いくつかの実施形態において、第1のTOF差は、同時発生事象において生成された2つの粒子の2つの検出時間の間での測定された時間差であり得る。例えば、第1のTOF差は、β粒子の検出時間(または、γ粒子の検出時間)と、γ粒子の検出時間(または、β粒子の検出時間)との間の時間差であり得る。
【0070】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、同時発生事象に対応する第1の時間情報および第2の時間情報に基づいて、同時発生事象に対応する第1のTOF差を決定することができる。例えば、処理デバイス120は、第1の時間情報と第2の時間情報との間の時間差を第1のTOF差として決定することができる。
【0071】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、1つまたは複数の修正アルゴリズムに基づいて、第1のTOF差を修正することができる。例えば、処理デバイス120は、第1のTOF差においてタイムウォーク効果修正を実施することができる。PETデバイスにおいて、時間読み出し回路が、入力信号の立ち上がりエッジの到着時間を取得するために使用できる。時間読み出し回路歯入力信号を増幅することができ、信号の立ち上がりエッジの到着時間を立ち上がりエッジ判別器(LED)によって判別し、それによって信号の時間情報を決定する。しかしながら、入力信号の差の増幅は異なる可能性がある。比較的小さい振幅を伴う信号の立ち上がりエッジは、比較的大きい振幅を伴う信号の立ち上がりエッジより後に立ち上がりエッジ判別器に到着する可能性があり、時間読み出し回路の不正確なタイミングをもたらす可能性があるタイムウォーク効果が生成される可能性がある。そのため、タイムウォーク効果修正は、タイムウォーク効果を低減するために、第1のTOF差において実施され得る。他の例として、処理デバイス120は、第1のTOF差において位置修正を実施することができる。位置修正は、PETデバイスの検出器の異なる場所のため、タイムウォーク効果における差を修正するために使用されてもよい。したがって、1つまたは複数の修正アルゴリズムに基づいて第1のTOF差を修正することで、第1のTOF差の精度が向上され得る。
【0072】
符号530において、処理デバイス120(例えば、決定モジュール420)は、各々の同時発生事象を検出する2つのクリスタルの場所に基づいて、各々の同時発生事象に対応する第2のTOF差を決定することができる。
【0073】
いくつかの実施形態において、第2のTOF差は、同時発生事象において生成された2つの粒子の2つの検出時間の間での実際の時間差であり得る。例えば、第2のTOF差は、γ粒子が第1のクリスタルから第2のクリスタルへと逃れるための時間であり得る。
【0074】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、第1のクリスタルの場所と第2のクリスタルの場所との間の距離と、γ粒子の速度(つまり、光の速度)とに基づいて、第2のTOF差を決定することができる。例えば、処理デバイス120は、第1のクリスタルの場所と第2のクリスタルの場所との間の距離を光の速度によって割ることで第2のTOF差を決定することができる。
【0075】
符号540において、処理デバイス120(例えば、修正モジュール430)は、第1のTOF差および第2のTOF差に基づいて、PETデバイス(例えば、PETデバイスのTOF状態)を修正することができる。
【0076】
本明細書で使用されているように、PETデバイスのTOF状態は、PETデバイスの1つまたは複数のクリスタルによって検出される同時発生事象のTOF情報を参照している。いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、PETデバイスの複数のクリスタルの各々のクリスタルのTOF状態が、各々のクリスタルと他のクリスタルとの間で検出される少なくとも1つの同時発生事象に対応する第1のTOF差および第2のTOF差に基づいて、修正される必要があるかどうかを決定することができる。いくつかの実施形態において、PETデバイスの少なくとも1つの構成要素(例えば、光電変換デバイス、バックエンド回路)が機能不全である場合、第1の時間情報および第2の時間情報は不正確である可能性があり、第1の時間情報および第2の時間情報に基づいて決定された第1のTOF差も不正確な可能性がある。つまり、PETデバイスによって測定された第1のTOF差は、第2のTOF差と異なる可能性がある。
【0077】
いくつかの実施形態において、PETデバイスの複数のクリスタルのうちの特定のクリスタルについて、処理デバイス120は、特定のクリスタルについてTOF修正値を決定することができる。例えば、処理デバイス120は、特定のクリスタルと他のクリスタルとの間で検出される同時発生事象に対応する、第1のTOF差と第2のTOF差との間の差の値(つまり、TOF修正値)を、決定することができる。処理デバイス120は、差の値が第1の差の閾値より小さいかどうかを決定することができる。差の値が第1の差の閾値より小さいとの決定に応じて、処理デバイス120は、特定のクリスタルのTOF状態が修正される必要がないことを決定することができる。差の値が第1の差の閾値より小さくないとの決定に応じて、処理デバイス120は、特定のクリスタルのTOF状態が修正される必要があることを決定することができる。
【0078】
いくつかの実施形態において、PETデバイスの複数のクリスタルの特定のクリスタルについて、処理デバイス120は、特定のクリスタルと他のクリスタルとの間で検出される複数の同時発生事象の各々に対応する第1のTOF差と第2のTOF差との複数の対を決定する。処理デバイス120は、第1のTOF差と第2のTOF差との複数の対の各々において、第1のTOF差と第2のTOF差との間の差の値を決定することができる。処理デバイス120は、第1のTOF差と第2のTOF差との複数の対に対応する複数の差の値の平均値(つまり、TOF修正値)を決定することができる。処理デバイス120は、差の値が第2の差の閾値より小さいかどうかを決定することができる。平均値が第2の差の閾値より小さいとの決定に応じて、処理デバイス120は、特定のクリスタルのTOF状態が修正される必要がないことを決定することができる。平均値が第2の差の閾値より小さくないとの決定に応じて、処理デバイス120は、特定のクリスタルのTOF状態が修正される必要があることを決定することができる。
【0079】
いくつかの実施形態において、PETデバイスの複数のクリスタルの特定のクリスタルについて、処理デバイス120は、特定のクリスタルと他のクリスタルとの間で検出される同時発生事象のうちの1つまたは複数の各々に対応する第1のTOF差および第2のTOF差に基づいて、時間スペクトルを生成することができる。処理デバイス120は、時間スペクトルに基づいてTOF修正値を決定することができる。例えば、処理デバイス120は、1回または複数回の繰り返しを含む繰り返し動作による時間スペクトルに基づいてTOF修正値を決定することができる。時間スペクトルに基づいてTOF修正値を決定することについてのさらなる説明は、本開示における他の場所で見つけ出すことができる(例えば、
図6およびその説明)。
【0080】
処理デバイス120は、PETデバイスの複数のクリスタルの各々のクリスタルに対応するTOF修正値に基づいてPETデバイスのTOF状態を修正することができる。いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、PETデバイスの修正ファイルにおけるPETデバイスの複数のクリスタルのうちの1つまたは複数のクリスタルに対応する1つまたは複数のTOF修正値を記録することができる(オフライン修正モードとも称される)。被験者(例えば、患者)の走査の間、処理デバイス120は、PETデバイスの修正ファイルにおける1つまたは複数のクリスタルに対応する1つまたは複数のTOF修正値に基づいて、1つまたは複数のクリスタルによって検出される1つまたは複数の同時発生事象のTOF情報を修正することができる。特定のクリスタルに対応するTOF修正値が+50の時間単位である場合、特定のクリスタルによって検出される同時発生事象において生成される粒子の標的検出時間が、粒子の元の検出時間から50時間単位を減算することで決定され得る。したがって、PETデバイスの修正ファイルにTOF修正値を記録することで、PETデバイスのTOF状態をオフラインで修正することができ、修正過程を単純にすることができ、修正時間を短縮することができ、修正過程の効率を向上することができる。
【0081】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、PETデバイスの1つまたは複数の検出器におけるPETデバイスの複数のクリスタルのうちの1つまたは複数のクリスタルに対応する1つまたは複数のTOF修正値をプログラムすることができる(オンライン修正モードとも称される)。例えば、処理デバイス120は、PETデバイスの1つまたは複数の検出器のフロントエンド回路に1つまたは複数のTOF修正値をプログラムすることができる。したがって、PETデバイスの1つまたは複数の検出器のフロントエンド回路に1つまたは複数のTOF修正値をプログラムすることで、PETデバイスのTOF状態はオンラインで修正でき、修正効果を向上することができる。
【0082】
いくつかの実施形態において、修正モード(例えば、オフライン修正モード、オンライン修正モード)は、実際の必要性および/またはTOF修正値に基づいて決定することができる。例えば、TOF修正値の絶対値が比較的大きい(例えば、閾値より大きい)場合、PETデバイスのTOF状態はオンライン修正モードに従って修正され得る。TOF修正値の絶対値が比較的小さい(例えば、閾値より小さい)場合、PETデバイスのTOF状態はオフライン修正モードに従って修正され得る。
【0083】
いくつかの実施形態において、PETデバイスのTOF状態の逸脱は、PETデバイスの任意の構成要素の機能不全によって引き起こされる可能性がある。機能不全の構成要素の位置は、TOF修正値に基づいてだけでは決定できず、したがって、PETデバイスおTOF状態は、機能不全の構成要素を修理することで修正することができない。そのため、PETデバイスの修正ファイルにTOF修正値を記録すること、または、PETデバイスの1つまたは複数の検出器にTOF修正値をプログラムすることによって、PETデバイスのTOF状態は、PETデバイスの不具合の理由を決定すること、および、PETデバイスの不具合の構成要素を修復することなく、修正することができ、これは、修正過程の正確性および効率を向上することができる。
【0084】
上記の説明が例示の目的のために提供されているだけであり、本開示の範囲を限定するように意図されていないことは、留意されるべきである。当業者について、複数の変形および改良が本開示の教示の下で行うことができる。しかしながら、それらの変形および改良は本開示の範囲から逸脱しない。いくつかの実施形態において、過程500は、同時発生事象と関連付けられるデータに基づいて、PETデバイスのエネルギー状態を修正するための動作を含み得る。PETデバイスのエネルギー状態を修正することについてのさらなる説明は、本開示における他の場所で見つけ出すことができる(例えば、
図7およびその説明)。いくつかの実施形態において、PETデバイスの修正過程の間、PETデバイスのFOVに位置付けられた被験者が、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射から放出されるγ線を吸収するのを防止するために、被験者はPETデバイスのFOVに配置され得る。
【0085】
図6は、本開示のいくつかの実施形態による、TOF修正値を決定するための例示の過程を示す流れ図である。いくつかの実施形態において、過程600は、
図1に示されている医療システム100で実施され得る。例えば、過程600は、命令の形態として、保存デバイス130および/または保存装置(例えば、保存装置220、保存装置390)に保存でき、処理デバイス120(例えば、
図2に示されているようなコンピュータデバイス200の処理装置210、
図3に示されているような携帯デバイス300のCPU340)によって呼び出しおよび/または実行され得る。図示されている過程の動作は、例示となるように意図されている。いくつかの実施形態において、過程600は、記載されていない1つもしくは複数の追加の動作を伴って、および/または、検討されている動作のうちの1つもしくは複数を伴わずに、遂行されてもよい。また、
図6に示されており、後で記載されているような過程600の動作の順番は、限定となるように意図されていない。
【0086】
符号610において、PETデバイスの複数のクリスタルの各々のクリスタルについて、処理デバイス120(例えば、決定モジュール420)はクリスタルの時間スペクトルを生成することができる。
【0087】
いくつかの実施形態において、繰り返し動作における第1の繰り返しについて、処理デバイス120は、PETデバイスのクリスタルと他のクリスタルとの間で検出される同時発生事象のうちの1つまたは複数の各々に対応する第1のTOF差および第2のTOF差に基づいて、時間スペクトルを生成することができる。いくつかの実施形態において、時間スペクトルはガウス分布を満たすことができる。例えば、クリスタルと他のクリスタルとの間で検出される1つまたは複数の(例えば、すべての)同時発生事象の各々について、処理デバイス120は、同時発生事象に対応する第1のTOF差と第2のTOF差との間の時間差を決定することができる。処理デバイス120は、クリスタルと他のクリスタルとの間で検出される1つまたは複数の同時発生事象に対応する1つまたは複数の時間差に基づいて、クリスタルの時間スペクトルを生成することができる。
【0088】
いくつかの実施形態において、特定のクリスタルの時間スペクトルが、同時発生事象の計数と、特定のクリスタルと他のクリスタルとの間で検出される複数の同時発生事象の各々に対応する第1のTOF差と第2のTOF差との間の時間差とを反映することができる。例えば、時間スペクトルの横軸はTbinを参照することができる。Tbinは、同時発生事象に対応する第1のTOF差および第2のTOF差との間の時間差と、時間単位とに基づいて決定され得る。例えば、Tbinは、時間差を時間単位で割ることによって決定できる。時間単位は、医療システム100の使用者によって手動で設定できる、または、医療システム100の1つもしくは複数の構成要素(例えば、処理デバイス120)によって決定できる。例えば、時間単位は、10、20、30などであり得る。時間スペクトルの縦軸は同時発生事象の計数を参照することができる。いくつかの実施形態において、他のクリスタルのTOF状態が通常であることが仮定されており、処理デバイス120は、特定のクリスタルと他のクリスタルとの間で検出される複数の同時発生事象に対応する複数の時間差を累積することで、特定のクリスタルの時間スペクトルを生成することができる。例えば、特定のクリスタルと他のクリスタルとの間で検出される複数の同時発生事象の各々について、処理デバイス120は、同時発生事象に対応する第1のTOF差と第2のTOF差との間の時間差を決定することができる。処理デバイス120は、時間差がどのTbinに属するかを決定することができ、Tbinに対応する同時発生事象の累積計数に1を加えることができる。
【0089】
符号620において、処理デバイス120(例えば、決定モジュール420)は、時間スペクトルに基づいて、クリスタルについてのオフセット値を決定することができる。
【0090】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、ガウス分布を伴う時間スペクトルの期待値に基づいて、クリスタルについてのオフセット値を決定することができる。例えば、処理デバイス120は、現在の繰り返しにおけるクリスタルについてのオフセット値として、ガウス分布を伴う時間スペクトルの期待値を決定することができる。いくつかの実施形態において、クリスタルのTOF状態(本開示では、クリスタルのTOF情報とも称される)が通常である場合、クリスタルについてガウス分布を伴う時間スペクトルの期待値はゼロであり得、オフセット値もゼロであり得る。クリスタルのTOF状態が異常である場合、ガウス分布を伴う時間スペクトルの期待値は、ゼロより小さい、またはゼロより大きくであり得、オフセット値は期待値であり得る。本明細書で使用されているように、クリスタルのTOF状態は、クリスタルによって検出される同時発生事象のTOF情報を参照している。
【0091】
符号630において、処理デバイス120(例えば、決定モジュール420)は、オフセット値に基づいて、繰り返し動作が条件を満たすかどうかを決定することができる。
【0092】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、PETデバイスの複数のクリスタルについてのオフセット値に基づいて、繰り返し動作が条件を満たすかどうかを決定することができる。例えば、条件は、複数のクリスタルの各々のクリスタルについてのオフセット値が閾値より小さい場合に満たされ得る。他の例として、終了条件は、2つ以上の連続した繰り返しにおける複数のクリスタルの各々のクリスタルについてのオフセット値の変化が閾値より小さい場合に満たされ得る。
【0093】
符号640において、繰り返し動作が条件を満たさないとの決定に応じて、処理デバイス120(例えば、決定モジュール420)は、クリスタルについてのオフセット値に基づいて、クリスタルのTOF状態を調整することができる。
【0094】
いくつかの実施形態において、PETデバイスの複数のクリスタルの各々のクリスタルについて、処理デバイス120は、調整されたクリスタルの時間スペクトルがずれないように、クリスタルについてのオフセット値に基づいてクリスタルのTOF状態を調整することができる。本明細書で使用されているように、調整されたクリスタルは、TOF状態がクリスタルについてのオフセット値に基づいて調整されるクリスタルを参照している。つまり、調整されたクリスタルの時間スペクトルのオフセット値がゼロであってもよい。
【0095】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、クリスタルによって検出される同時発生事象と関連付けられるデータを調整することで、クリスタルのTOF状態を調整することができる。例えば、処理デバイス120は、クリスタルによって検出される同時発生事象の時間情報(例えば、第1の時間情報、第2の時間情報)を調整することができる。単に例を用いると、現在の繰り返しにおけるクリスタルについてのオフセット値が+50の時間単位である場合、クリスタルによって検出される同時発生事象において生成される粒子の標的検出時間が、粒子の元の検出時間から50時間単位を減算することで決定され得る。第1のTOF差は、修正された第1の時間情報および/または修正された第2の時間情報に基づいて調整され得る。
【0096】
図9は、本開示のいくつかの実施形態による、クリスタルの例示の時間スペクトルを示している。時間スペクトルの横軸はTbinを参照することができる。時間スペクトルの縦軸は放射事象(例えば、同時発生事象)の計数を参照することができる。
図9に示されているように、クリスタルの時間スペクトル910がガウス分布を満たす。時間スペクトル910の期待値は+50の時間単位である。クリスタルについてのオフセット値が+50の時間単位として決定され得る。クリスタルのTOF状態が修正された後、クリスタルの時間スペクトル920が生成される。時間スペクトル920の期待値は0の時間単位である。
【0097】
いくつかの実施形態において、動作610~630は、繰り返し動作が条件を満たすまで繰り返され得る。例えば、次の繰り返しにおいて、PETデバイスの複数のクリスタルの各々のクリスタルについて、処理デバイス120は、動作610との関連で記載されているように、クリスタルと他のクリスタルとの間で検出される同時発生事象と関連付けられる調整されたデータ(例えば、調整された第1の時間情報、調整された第2の時間情報)に基づいて、クリスタルの時間スペクトルを生成することができる。処理デバイス120は、動作620との関連で記載されているように、時間スペクトルに基づいて、クリスタルについてオフセット値を決定することができる。処理デバイス120は、動作630との関連で記載されているように、クリスタルについてのオフセット値に基づいて、繰り返し動作が条件を満たすかどうかを決定することができる。
【0098】
いくつかの実施形態において、繰り返し動作の1回または複数回の繰り返しの各々の繰り返しにおいて、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータの同じセットが使用されてもよい。いくつかの実施形態において、繰り返し動作の異なる繰り返しにおいて、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータの異なるセットが使用されてもよい。例えば、繰り返し動作の第1の繰り返しにおいて、処理デバイス120は、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータの第1のセットを取得することができる。繰り返し動作の第2の繰り返しにおいて、処理デバイス120は、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータの第2のセットを取得することができる。データの第1のセットとデータの第2のセットとは、PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する異なる同時発生事象と関連付けられ得る。
【0099】
符号650において、繰り返し動作が条件を満たすとの決定に応じて、処理デバイス120(例えば、決定モジュール420)は、1回または複数回の繰り返しにおいて、クリスタルについての1つまたは複数のオフセット値を合計することで、クリスタルについてのTOF修正値を決定することができる。
【0100】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、1回または複数回の繰り返しにおいて、特定のクリスタルについての1つまたは複数のオフセット値を合計することで、特定のクリスタルについてのTOF修正値を決定することができる。例えば、処理デバイス120は、特定のクリスタルについてのTOF修正値として、1回または複数回の繰り返しにおいて、特定のクリスタルについての1つまたは複数のオフセット値の合計を決定することができる。他の例として、処理デバイス120は、特定のクリスタルについてのTOF修正値として、1回または複数回の繰り返しにおいて、特定のクリスタルについての1つまたは複数のオフセット値の合計の加法に関する逆元を決定することができる。さらに、処理デバイス120は、動作540との関連において記載されているように、PETデバイスの複数のクリスタルの各々についてのTOF修正値に基づいて、PETデバイスのTOF状態を修正することができる。
【0101】
上記の説明が例示の目的のために提供されているだけであり、本開示の範囲を限定するように意図されていないことは、留意されるべきである。当業者について、複数の変形および改良が本開示の教示の下で行うことができる。しかしながら、それらの変形および改良は本開示の範囲から逸脱しない。
【0102】
図7は、本開示のいくつかの実施形態による、PETデバイスのエネルギー状態を修正するための例示の過程を示す流れ図である。いくつかの実施形態において、過程700は、
図1に示されている医療システム100で実施され得る。例えば、過程700は、命令の形態として、保存デバイス130および/または保存装置(例えば、保存装置220、保存装置390)に保存でき、処理デバイス120(例えば、
図2に示されているようなコンピュータデバイス200の処理装置210、
図3に示されているような携帯デバイス300のCPU340)によって呼び出しおよび/または実行され得る。図示されている過程の動作は、例示となるように意図されている。いくつかの実施形態において、過程700は、記載されていない1つもしくは複数の追加の動作を伴って、および/または、検討されている動作のうちの1つもしくは複数を伴わずに、遂行されてもよい。また、
図7に示されており、後で記載されているような過程700の動作の順番は、限定となるように意図されていない。
【0103】
符号710において、処理デバイス120(例えば、取得モジュール410)は、PETデバイスのクリスタルの固有背景放射に関する単一の事象または同時発生事象と関連付けられるデータを取得することができる。
【0104】
動作710は、
図5との関連で記載されているような動作510と同様の手法で実施させることができ、その記載はここでは繰り返さない。
【0105】
符号720において、処理デバイス120(例えば、決定モジュール420)は、単一の事象または同時発生事象のエネルギー情報に基づいて、基準エネルギースペクトルを生成することができる。
【0106】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、単一の事象のエネルギー情報に基づいて基準エネルギースペクトルを生成することができる。いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、同時発生事象の時間上方およびエネルギー情報に基づいて基準エネルギースペクトルを生成することができる。例えば、同時発生事象はβ事象およびγ事象を含み得る。処理デバイス120は、β事象の時間情報およびγ事象の時間情報に基づいて、β事象に対応する基準エネルギースペクトル、および/または、γ事象に対応する基準エネルギースペクトルを生成することができる。例えば、γ事象の検出時間は、β事象の検出時間より後であり得る。処理デバイス120は、γ事象の検出時間およびβ事象の検出時間に基づいて、β事象のエネルギー情報および/またはγ事象のエネルギー情報を取得することができる。処理デバイス120は、β事象のエネルギー情報およびγ事象のエネルギー情報に基づいて、β事象に対応する基準エネルギースペクトル、および/または、γ事象に対応する基準エネルギースペクトルを生成することができる。
【0107】
いくつかの実施形態において、Luに基づくクリスタルから生成される固有背景放射は、崩壊するとき、307keV、202keV、および88keVのエネルギーピークを伴う3つの種類のγ粒子を生成することができる。γ粒子は、PETデバイスのクリスタルに当たって光信号を生成することができる。光信号は、クリスタルに連結される光電変換デバイス(例えば、PMT)によって電気信号へと変換され得る。電気信号は、γ粒子のエネルギーピークに関する情報(つまり、γ事象のエネルギー情報)を含み得る。処理デバイス120は、電気信号を処理することで、γ事象に対応する基準エネルギースペクトルを生成することができる。いくつかの実施形態において、基準エネルギースペクトルは、各々がエネルギーに対応する1つまたは複数のピークを有し得る。例えば、γ事象に対応する基準エネルギースペクトルは、307keVに対応するピークと、202keVに対応するピークと、88keVに対応するピークとを有し得る。
【0108】
符号730において、処理デバイス120(例えば、決定モジュール420)は、基準エネルギースペクトルにおける基準ピーク位置を決定することができる。
【0109】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、基準エネルギースペクトルにおける1つまたは複数の基準ピークの1つまたは複数の位置(1つまたは複数の基準ピーク位置とも称される)を特定することができる。
図10は、本開示のいくつかの実施形態による例示の基準エネルギースペクトルを示している。放射源は、Luに基づくクリスタルによって生成される固有背景放射である。基準エネルギースペクトル1000の横軸はアナログ-デジタル変換器(ADC)チャンネル値を参照することができる。基準エネルギースペクトル1000の縦軸はPET計数(例えば、放射事象の計数)を参照することができる。ADCチャンネル値はADCのサンプリング値であり得る。ADCチャンネル値は放射事象のエネルギー情報を反映することができる。
図10に示されているように、202keVに対応する基準ピーク位置1001と、307keVに対応する基準ピーク位置1002とが、基準エネルギースペクトル1000において決定される。
【0110】
符号740において、処理デバイス120(例えば、決定モジュール420)は、基準エネルギースペクトルにおける基準ピーク位置に基づいて、標的ピーク位置を決定することができる。
【0111】
いくつかの実施形態において、標的ピーク位置は、基準エネルギースペクトルにおける標的エネルギーに対応する測定ピーク位置であり得る。いくつかの実施形態において、基準エネルギーは、PET放射性トレーサ(例えば、18F-フルオロデオキシグルコース(FDG))を伴う物体から放出される粒子(例えば、γ光子)のエネルギーであり得る。例えば、標的エネルギーは511keVであり得る。
【0112】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、基準ピーク位置と、ピークの位置(例えば、ADCチャンネル値)とピークのエネルギーとの間の関係とに基づいて、標的ピーク位置を決定することができる。例えば、307keV(または、88keV、202keV)に対応する基準ピーク位置が基準エネルギースペクトルにおいて決定される場合、処理デバイス120は、307keV(または、88keV、202keV)に対応するピーク位置と511keVに対応するピーク位置との間の関係に基づいて、511keVに対応する標的ピーク位置を決定することができる。
【0113】
いくつかの実施形態において、ピークの位置とピークのエネルギーとの間の関係は、ピークの異なるエネルギー、およびそれらの対応するピーク位置に関する表または曲線、図、数式などの形態で表すことができる。いくつかの実施形態において、ピークの位置とピークのエネルギーとの間の関係は、複数の放射能源(例えば、テクネチウム-99(Tc-99)、フッ素-18(F-18)、インジウム-111(In-111)、ヨウ素-131(I-131))によって生成される異なるエネルギーの粒子に対応する複数のピーク位置に基づいて決定できる。いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、第1の放射能源によって生成される第1のエネルギーを伴う第1の粒子に対応する第1のピーク位置(第1のエネルギーに対応する第1のピーク位置とも称される)と、第2の放射能源によって生成される第2のエネルギーを伴う第2の粒子に対応する第2のピーク位置と、第3の放射能源によって生成される第3のエネルギーを伴う第3の粒子に対応する第3のピーク位置とを取得することができる。第1のエネルギーと、第2のエネルギーと、第3のエネルギーとは異なり得る。第1の放射能源と、第2の放射能源と、第3の放射能源とは同じであり得る、または異なり得る。処理デバイス120は、第1のピーク位置、第2のピーク位置、第3のピーク位置、第1のエネルギー、第2のエネルギー、および第3のエネルギーに基づいて、ピークの位置とピークのエネルギーとの間の関係を決定することができる。例えば、処理デバイス120は、第1のエネルギーに対応する第1のピーク位置、第2のエネルギーに対応する第2のピーク位置、および第3のエネルギーに対応する第3のピーク位置に適合することで、曲線を生成することができる。処理デバイス120は、ピークの位置とピークのエネルギーとの間の関係としての曲線を指定することができる。
【0114】
いくつかの実施形態において、ピークの位置とピークのエネルギーとの間の関係は、医療システム100の保存デバイス(例えば、保存デバイス130)に保存され得る。処理デバイス120は、PETデバイスのエネルギー状態を修正するとき、ピークの位置とピークのエネルギーとの間の関係を、医療システム100の保存デバイス(例えば、保存デバイス130)から取得することができる。いくつかの実施形態において、異なるクリスタルは、ピークの位置とピークのエネルギーとの間で異なる関係に対応することができる。いくつかの実施形態において、異なるクリスタルは、ピークの位置とピークのエネルギーとの間で同じ関係に対応することができる。
【0115】
符号750において、処理デバイス120(例えば、決定モジュール420)は、標的ピーク位置および修正されたピーク位置に基づいて、エネルギー修正状態を決定することができる。
【0116】
いくつかの実施形態において、PETデバイスのエネルギー修正状態は、エネルギースペクトルにおけるエネルギーに対応するピーク位置がずれているかどうかを指示することができる。いくつかの実施形態において、修正されたピーク位置は、標的エネルギースペクトルにおける標的エネルギー(例えば、511keV)に対応する実際のピーク位置であり得る。いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、18F-フルオロデオキシグルコース(FDG)またはゲルマニウム-68(Ge-68)などの放射能源から生成される511keVのγ光子と関連付けられる単一の事象または同時発生事象と関連付けられるデータを取得することができる。処理デバイス120は、511keVのγ光子に対応する単一の事象または同時発生事象のエネルギー情報に基づいて、基準エネルギースペクトルを生成することができる。処理デバイス120は、基準エネルギースペクトルにおける修正されたピーク位置を決定することができる。
【0117】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、標的ピーク位置と修正されたピーク位置とを比較することで、エネルギー修正状態を決定することができる。例えば、処理デバイス120は、標的ピーク位置と修正されたピーク位置との間のオフセットがオフセット閾値より大きいかどうかを決定することができる。標的ピーク位置と修正されたピーク位置との間のオフセットがオフセット閾値より大きいとの決定に応じて、処理デバイス120は、エネルギー修正状態が異常であることを決定することができ、PETデバイスのエネルギー状態は修正される必要がある。他の例として、処理デバイス120は、標的ピーク位置と修正されたピーク位置との間の比が比閾値より大きいかどうかを決定することができる。標的ピーク位置と修正されたピーク位置との間の比が比閾値より大きいとの決定に応じて、処理デバイス120は、エネルギー修正状態が異常であることを決定することができ、PETデバイスのエネルギー状態は修正される必要がある。いくつかの実施形態において、オフセット閾値および/または比閾値は、異なる状況に応じて、医療システム100の使用者(例えば、医者)によって手作業で、または、医療システム100の1つまたは複数の構成要素(例えば、処理デバイス120)によって、決定され得る。
【0118】
符号760において、処理デバイス120(例えば、修正モジュール430)は、エネルギー修正状態に基づいて、PETデバイス(例えば、PETデバイスのエネルギー状態)を修正することができる。
【0119】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、エネルギー修正状態に基づいて、PETデバイスのエネルギー状態が修正される必要があるかどうかを決定することができる。PETデバイスのエネルギー状態が修正される必要があるとの決定に応じて、処理デバイス120は、標的ピーク位置をPETデバイスの1つまたは複数の検出器にプログラムすることができる。例えば、処理デバイス120は、PETデバイスの1つまたは複数の検出器のフロントエンド回路に標的ピーク位置をプログラムすることができる。
【0120】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、エネルギー修正状態に基づいて、ピーク位置とピークエネルギーとの間の関係を修正することができる。例えば、処理デバイス120は、エネルギー修正状態に基づいて、511keVのγ光子のピーク位置(例えば、ADCチャンネル値)を修正することができる。例えば、処理デバイス120は、511keVのγ光子のピーク位置を標的ピーク位置として指定することができる。
【0121】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、エネルギー修正状態に基づいて、PET検出器のエネルギー窓を決定することができる。本明細書で使用されているように、PET検出器のエネルギー窓は、PET毛主月によって検出される粒子のエネルギー範囲を参照している。いくつかの実施形態において、PET検出器のエネルギー窓は、放射性トレーサのエネルギースペクトルの1つまたは複数のピークに対応するエネルギーに基づいて決定され得る。例えば、エネルギー窓は、ピークのエネルギーの周りのエネルギー閾範囲の中のエネルギーを含み得る。例えば、ピークに対応するエネルギーが511keVであり、エネルギー閾範囲が100keVである場合、エネルギー窓は[411keV, 611keV]として決定され得る。いくつかの実施形態において、γ光子に対応する測定されたエネルギーが511keVから400keVへとずらされる場合、エネルギー窓は[411keV, 611keV]から[300keV, 500keV]へと変更することができる。したがって、エネルギー修正状態に基づいてエネルギー窓を変更することで、PETデータ(例えば、同時発生事象と関連付けられるデータ)の取得の精度は向上させることができる。
【0122】
上記の説明が例示の目的のために提供されているだけであり、本開示の範囲を限定するように意図されていないことは、留意されるべきである。当業者について、複数の変形および改良が本開示の教示の下で行うことができる。しかしながら、それらの変形および改良は本開示の範囲から逸脱しない。いくつかの実施形態において、PETデバイスの複数のクリスタルの各々のクリスタルについて、過程700は、クリスタルについてエネルギー修正状態を決定するように実施され得る。PETデバイスのエネルギー状態は、PETデバイスの複数のクリスタルについてのエネルギー修正状態に基づいて修正され得る。
【0123】
いくつかの実施形態において、PETデバイスのエネルギー状態が修正された後、処理デバイス120は、PETデバイスのクリスタル(例えば、Luに基づくクリスタル)の固有背景放射に関する単一の事象または同時発生事象と関連付けられる標的データを取得することができる。処理デバイス120は、単一の事象または同時発生事象のエネルギー情報に基づいて、候補エネルギースペクトルを生成することができる。処理デバイス120は、候補エネルギースペクトルにおける候補ピーク位置を決定することができる。PETデバイスのエネルギー状態修正過程(例えば、過程700)の間、処理デバイス120は、候補ピーク位置および基準ピーク位置に基づいてエネルギー修正状態を決定することができる。いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、候補ピーク位置と基準ピーク位置とを比較することで、エネルギー修正状態を決定することができる。例えば、処理デバイス120は、候補ピーク位置と基準ピーク位置との間のオフセットがオフセット閾値より大きいかどうかを決定することができる。候補ピーク位置と基準ピーク位置との間のオフセットがオフセット閾値より大きいとの決定に応じて、処理デバイス120は、エネルギー修正状態が異常であることを決定することができ、PETデバイスのクリスタルのエネルギー状態は修正される必要がある。
【0124】
いくつかの実施形態において、処理デバイス120は、複数の候補ピーク位置と複数の基準ピーク位置とに基づいて、エネルギー修正状態を決定することができる。例えば、処理デバイス120は、候補エネルギースペクトルにおいて、202keVに対応する第1の候補ピーク位置と、307keVに対応する第2の候補ピーク位置とを決定することができる。処理デバイス120は、基準エネルギースペクトルにおいて、202keVに対応する第1の基準ピーク位置と、307keVの粒子に対応する第2の基準ピーク位置とを決定することができる。処理デバイス120は、第1の基準ピーク位置と第2の基準ピーク位置との間に第1の距離を決定することができる。処理デバイス120は、第1の候補ピーク位置と第2の候補ピーク位置との間に第2の距離を決定することができる。処理デバイス120は、第1の距離と第2の距離との間の差が距離閾値より大きいかどうかを決定することができる。第1の距離と第2の距離との間の差が距離閾値より大きいとの決定に応じて、処理デバイス120は、エネルギー修正状態が異常であることを決定することができ、PETデバイスのクリスタルのエネルギー状態は修正される必要がある。
【0125】
上記の説明が例示の目的のために提供されているだけであり、本開示の範囲を限定するように意図されていないことは、留意されるべきである。当業者について、複数の変形および改良が本開示の教示の下で行うことができる。しかしながら、それらの変形および改良は本開示の範囲から逸脱しない。
【0126】
基本的な概念を説明してきたが、前述の詳細な記載が例だけを用いて提示されるように意図されており、限定とならないことは、この詳細な記載を読んだ後、当業者にはむしろ明らかであり得る。本明細書において明示的に述べられていないが、様々な代替、改良、および変形が行うことができ、当業者に意図される。これらの代替、改良、および変形は、本開示によって提案されると意図されており、本開示の例示の実施形態の精神内および範囲内にある。
【符号の説明】
【0127】
100 医療システム
110 医療デバイス
111 ガントリ
112 PET検出器
113 検出領域
114 テーブル
120 処理デバイス
130 保存デバイス
140 端末
141 携帯デバイス
142 タブレットコンピュータ
143 ラップトップコンピュータ
150 ネットワーク
200 コンピュータデバイス
210 処理装置
220 保存装置
230 入力/出力(I/O)
240 通信ポート
300 携帯デバイス
310 通信プラットフォーム
320 表示装置
330 グラフィックス処理装置、GPU
340 中央処理装置、CPU
350 I/O
360 メモリ
370 モバイルオペレーティングシステム、OS
380 アプリケーション、アプリ
390 保存装置
410 取得モジュール
420 決定モジュール
430 修正モジュール
810 第1のクリスタル
820 第2のクリスタル
830 β粒子
840 γ粒子
850 第1の光電変換デバイス
860 第2の光電変換デバイス
910 時間スペクトル
1000 基準エネルギースペクトル
1001 202keVに対応する基準ピーク位置
1002 307keVに対応する基準ピーク位置
【手続補正書】
【提出日】2023-12-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの処理装置と、少なくとも1つの保存デバイスとを備えるコンピュータデバイスで実施される、陽電子放射断層撮影(PET)デバイスを修正するための方法であって、
前記PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータを取得するステップであって、前記同時発生事象の各々は、前記PETデバイスの前記複数のクリスタルのうちの2つのクリスタルによって検出され、各々の前記同時発生事象と関連付けられる前記データは第1の時間情報と第2の時間情報とを含む、ステップと、
前記第1の時間情報および前記第2の時間情報に基づいて、各々の前記同時発生事象に対応する第1の飛行時間(TOF)差を決定するステップと、
各々の前記同時発生事象を検出する前記2つのクリスタルの場所に基づいて、各々の前記同時発生事象に対応する第2のTOF差を決定するステップと、
前記第1のTOF差および前記第2のTOF差に基づいて前記PETデバイスを修正するステップと
を含む、方法。
【請求項2】
各々の前記同時発生事象はβ事象およびγ事象を含み、前記第1の時間情報は前記β事象に対応し、前記第2の時間情報は前記γ事象に対応する、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
同時発生事象と関連付けられるデータを取得する前記ステップは、
標的エネルギー窓および標的時間窓に基づいて、前記同時発生事象と関連付けられる前記データを取得するステップであって、前記標的エネルギー窓は、β粒子エネルギー、γ粒子エネルギー、または基準エネルギーのうちの少なくとも1つに基づいて決定され、前記標的時間窓は基準時間に基づいて決定される、ステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記2つのクリスタルのうちの第1のクリスタルがβ粒子を検出し、前記2つのクリスタルのうちの第2のクリスタルがγ粒子を検出し、前記2つのクリスタルの場所に基づいて、各々の前記同時発生事象に対応する第2のTOF差を決定する前記ステップは、
前記第1のクリスタルの前記場所と前記第2のクリスタルの前記場所との間の距離に基づいて前記第2のTOF差を決定するステップを含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記第1のクリスタルを含む第1の検出器と前記第2のクリスタルを含む第2の検出器とが互いに離間される、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記第1のTOF差および前記第2のTOF差に基づいて前記PETデバイスを修正する前記ステップは、
前記PETデバイスの前記複数のクリスタルの各々のクリスタルについて、
前記クリスタルと他のクリスタルとの間で検出される前記同時発生事象のうちの1つまたは複数の各々に対応する前記第1のTOF差および前記第2のTOF差に基づいて、時間スペクトルを生成するステップと、
前記時間スペクトルに基づいてTOF修正値を決定するステップと、
前記PETデバイスの前記複数のクリスタルの各々の前記クリスタルに対応する前記TOF修正値に基づいて前記PETデバイスを修正するステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記PETデバイスの前記複数のクリスタルの各々のクリスタルについて、前記時間スペクトルに基づいてTOF修正値を決定するステップは、
1回または複数回の繰り返しを含む繰り返し動作による前記時間スペクトルに基づいて前記TOF修正値を決定するステップを含み、前記1回または複数回の繰り返しのうちの少なくとも1つにおいて、前記方法は、
前記PETデバイスの前記複数のクリスタルの各々の前記クリスタルについて、
前記クリスタルの時間スペクトルを生成するステップと、
前記時間スペクトルに基づいて、前記クリスタルについてオフセット値を決定するステップと、
前記クリスタルについての前記オフセット値に基づいて、前記繰り返し動作が条件を満たすかどうかを決定するステップと、
前記繰り返し動作が前記条件を満たすかどうかを決定するステップの結果に応じて、前記クリスタルについての前記オフセット値に基づいて前記クリスタルのTOF情報を調整する、または、前記1回または複数回の繰り返しにおいて前記クリスタルについての1つまたは複数のオフセット値を合計することにより前記クリスタルについての前記TOF修正値を決定するステップと
をさらに含む、
請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記PETデバイスの前記複数のクリスタルの各々の前記クリスタルに対応する前記TOF修正値に基づいて前記PETデバイスを修正する前記ステップは、
前記TOF修正値を前記PETデバイスの修正ファイルに記録するステップ、または、
前記TOF修正値を前記PETデバイスの1つもしくは複数の検出器にプログラムするステップ
を含む、
請求項6または7に記載の方法。
【請求項9】
前記第1のTOF差においてタイムウォーク効果修正および/または位置修正を実施するステップをさらに含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記同時発生事象と関連付けられる前記データのエネルギー情報に基づいて前記PETデバイスを修正するステップをさらに含む、
請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記同時発生事象と関連付けられる前記データに基づいて前記PETデバイスを修正する前記ステップは、
各々の前記同時発生事象のエネルギー情報に基づいて基準エネルギースペクトルを生成するステップと、
前記基準エネルギースペクトルにおける基準ピーク位置を決定するステップと、
前記基準エネルギースペクトルにおける前記基準ピーク位置に基づいて標的ピーク位置を決定するステップと、
前記標的ピーク位置および修正されたピーク位置に基づいて前記PETデバイスを修正するステップと
を含む、
請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記標的ピーク位置および修正されたピーク位置に基づいて前記PETデバイスを修正する前記ステップは、
前記標的ピーク位置および前記修正されたピーク位置に基づいて、前記PETデバイスが修正される必要があるかどうかを決定するステップと、
前記PETデバイスが修正される必要があるとの決定に応じて、
前記標的ピーク位置を前記PETデバイスの1つまたは複数の検出器にプログラムするステップと
を含む、
請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記基準エネルギースペクトルにおける前記基準ピーク位置に基づいて標的ピーク位置を決定する前記ステップは、
前記基準ピーク位置と、ピークの位置と前記ピークのエネルギーとの間の関係とに基づいて、前記標的ピーク位置を決定するステップを含む、
請求項12に記載の方法。
【請求項14】
陽電子放射断層撮影(PET)デバイスを修正するためのシステムであって、
命令のセットを含む少なくとも1つの保存デバイスと、
前記少なくとも1つの保存デバイスと通信するように構成される少なくとも1つの処理装置であって、前記命令のセットを実行するとき、前記少なくとも1つの処理装置は、前記システムに、
前記PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータを取得することであって、前記同時発生事象の各々は、前記PETデバイスの前記複数のクリスタルのうちの2つのクリスタルによって検出され、各々の前記同時発生事象と関連付けられる前記データは第1の時間情報と第2の時間情報とを含む、前記取得することと、
前記第1の時間情報および前記第2の時間情報に基づいて、各々の前記同時発生事象に対応する第1の飛行時間(TOF)差を決定することと、
各々の前記同時発生事象を検出する前記2つのクリスタルの場所に基づいて、各々の前記同時発生事象に対応する第2のTOF差を決定することと、
前記第1のTOF差および前記第2のTOF差に基づいて前記PETデバイスを修正することと
を含む動作を実施させるように命令するように構成される、少なくとも1つの処理装置と
を備える、システム。
【請求項15】
少なくとも1つの処理装置によって実行されるとき、前記少なくとも1つの処理装置に、
陽電子放射断層撮影(PET)デバイスを修正するための方法を実施させるように命令する実行可能命令を含む非一時的コンピュータ読み取り可能媒体であって、前記方法は、
前記PETデバイスの複数のクリスタルの固有背景放射に関する同時発生事象と関連付けられるデータを取得するステップであって、前記同時発生事象の各々は、前記PETデバイスの前記複数のクリスタルのうちの2つのクリスタルによって検出され、各々の前記同時発生事象と関連付けられる前記データは第1の時間情報と第2の時間情報とを含む、ステップと、
前記第1の時間情報および前記第2の時間情報に基づいて、各々の前記同時発生事象に対応する第1の飛行時間(TOF)差を決定するステップと、
各々の前記同時発生事象を検出する前記2つのクリスタルの場所に基づいて、各々の前記同時発生事象に対応する第2のTOF差を決定するステップと、
前記第1のTOF差および前記第2のTOF差に基づいて前記PETデバイスを修正するステップと
を含む、非一時的コンピュータ読み取り可能媒体。
【国際調査報告】