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  • 特表-複合管及び製造方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】複合管及び製造方法
(51)【国際特許分類】
   B32B 1/08 20060101AFI20240403BHJP
   B32B 27/32 20060101ALI20240403BHJP
   B32B 27/16 20060101ALI20240403BHJP
   F16L 11/06 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B32B1/08 B
B32B27/32 A
B32B27/16 101
F16L11/06
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563164
(86)(22)【出願日】2022-05-18
(85)【翻訳文提出日】2023-10-14
(86)【国際出願番号】 US2022072393
(87)【国際公開番号】W WO2022246414
(87)【国際公開日】2022-11-24
(31)【優先権主張番号】63/189,930
(32)【優先日】2021-05-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500149223
【氏名又は名称】サン-ゴバン パフォーマンス プラスティックス コーポレイション
【氏名又は名称原語表記】Saint-Gobain Performance Plastics, Corporation
【住所又は居所原語表記】31500 Solon Road Solon, 44139 OH USA
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ツィヴァニス,マイケル ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ラドロー,ジェームス
【テーマコード(参考)】
3H111
4F100
【Fターム(参考)】
3H111AA02
3H111BA12
3H111BA15
3H111CB03
3H111CB04
3H111CB14
3H111DA10
3H111DB19
3H111EA04
3H111EA05
4F100AK03A
4F100AK03B
4F100AK04A
4F100AK04B
4F100AK07A
4F100AK07B
4F100AK12B
4F100AK17B
4F100AK24A
4F100AK25A
4F100AK25B
4F100AK41B
4F100AK45B
4F100AK46B
4F100AK51B
4F100AK52B
4F100AK54B
4F100AK63A
4F100AK64A
4F100AK68A
4F100AK70A
4F100AK74B
4F100AL01A
4F100AL07A
4F100AL09B
4F100BA02
4F100CA02A
4F100EH20
4F100EJ05A
4F100GB51
4F100JA04A
4F100JA05A
4F100JB13
4F100JB14
4F100JK07A
4F100YY00A
(57)【要約】
【解決手段】 複合管は、架橋ポリオレフィンエラストマーを含む第1の層であって、第1の層は、流体と接触するように構成された、第1の層と、第1の層に隣接する第2の層であって、第2の層は、エラストマーを含む、第2の層と、を含む。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合管であって、
架橋ポリオレフィンエラストマーを含む第1の層であって、前記第1の層は、流体との接触のために構成されている、第1の層と、
前記第1の層に隣接する第2の層であって、前記第2の層は、エラストマーを含む、第2の層と、を備える、複合管。
【請求項2】
前記架橋ポリオレフィンエラストマーは、C2~C10炭素系エラストマーを含む、請求項1に記載の複合管。
【請求項3】
前記架橋ポリオレフィンエラストマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンとプロピレンとのコポリマー、エチレンとα-オレフィンとのコポリマー、エチレンと極性ビニルモノマーとのコポリマー、エチレンと無水マレイン酸とアクリレートとのターポリマー、エチレンとアクリル酸と任意選択的に第3のモノマーとのアイオノマー、エチレンとメタクリル酸と任意選択的に第3のモノマーとのアイオノマー、又はそれらの組み合わせを含む、請求項2に記載の複合管。
【請求項4】
前記架橋ポリオレフィンエラストマーは、架橋剤を介して架橋され、前記架橋剤は、過酸化物、アゾ化合物、シラン、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の複合管。
【請求項5】
前記架橋ポリオレフィンエラストマーは、80℃を超える溶融温度を有する、請求項1に記載の複合管。
【請求項6】
前記架橋ポリオレフィンエラストマーは、-20℃未満などの、0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する、請求項1に記載の複合管。
【請求項7】
前記架橋ポリオレフィンエラストマーは、8,000ポンド/平方インチ(psi)未満などの、10,000psi未満の曲げ弾性率を有する、請求項1に記載の複合管。
【請求項8】
前記第2の層の前記エラストマーは、ポリスチレン、ポリエステル、シリコーンコポリマー、シリコーン熱可塑性加硫物、コポリエステル、ポリアミド、フルオロポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテル-エステルコポリマー、熱可塑性ウレタン、ポリエーテルアミドブロックコポリマー、ポリアミドコポリマー、スチレンブロックコポリマー、ポリカーボネート、ポリオレフィンエラストマー、ジエンエラストマー、熱可塑性加硫物、アイオノマー、ポリオキシメチレン(POM)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アセタール、アクリル、ポリ塩化ビニル(PVC)、又はそれらの組み合わせを含む、請求項1に記載の複合管。
【請求項9】
前記第1の層は、前記第2の層と直接接触している、請求項1に記載の複合管。
【請求項10】
前記複合管は、前記第1の層と前記第2の層との間に配設された接着剤層を含む、請求項1に記載の複合管。
【請求項11】
前記複合管は、耐薬品性蠕動ポンプ又は移送管である、請求項1に記載の複合管。
【請求項12】
複合管を形成する方法であって、
ポリオレフィンエラストマーを含む第1の層を提供することと、
前記第1の層を覆うエラストマーを含む第2の層を提供することと、
少なくとも前記第1の層を、放射線源、架橋剤、又はそれらの組み合わせで架橋して、前記ポリオレフィンエラストマーを実質的に架橋することと、を含む、複合管を形成する方法。
【請求項13】
前記ポリオレフィンエラストマーを含む前記第1の層を提供することは、
任意選択的に、過酸化物、アゾ化合物、シラン、又はそれらの組み合わせを含む架橋剤を、前記ポリオレフィンエラストマーと混合することと、
前記ポリオレフィンエラストマーを押出成形することと、を含む、請求項12に記載の複合管を形成する方法。
【請求項14】
前記ポリオレフィンエラストマーは、50℃より高い温度での熱処理によって架橋される、請求項13に記載の複合管を形成する方法。
【請求項15】
前記放射線源は、e-ビーム照射、ガンマ線照射、X線照射、又はそれらの組み合わせを含む、請求項12に記載の複合管を形成する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、全般的には複合管及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
多くの産業は、流体の送達及び除去のために蠕動ポンプ配管を利用する。蠕動ポンプ配管は、様々な産業で使用され得るので、典型的には、非毒性、可撓性、熱安定性であり、低化学反応性を有し、様々なサイズで製造することができる熱可塑性エラストマーが使用される。蠕動ポンプでは、ローラが配管と接触している。残念なことには、従来のポンプ配管は、ローラからの長期にわたる周期的な損傷及び/又は圧送される流体による配管の劣化のために、その寿命が限られている。しかしながら、蠕動ポンプ管の寿命を延ばすことができれば、それは有利であろう。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
したがって、寿命の長い改良された蠕動ポンプ管が望まれている。
【0004】
一実施形態では、複合管は、架橋ポリオレフィンエラストマーを含む第1の層であって、第1の層は、流体と接触するように構成された、第1の層と、第1の層に隣接する第2の層であって、第2の層は、エラストマーを含む、第2の層と、を含む。
【0005】
一実施形態では、複合管を形成する方法は、ポリオレフィンエラストマーを含む第1の層を提供することと、第1の層を覆うエラストマーを含む第2の層を提供することと、少なくとも第1の層を、放射線源、架橋剤、又はそれらの組み合わせで架橋して、ポリオレフィンエラストマーを実質的に架橋することと、を含む。
【0006】
更に別の実施形態では、複合管は、架橋ポリエチレン系エラストマーを含む第1の層と、第1の層に隣接する第2の層であって、第2の層は、ジエンエラストマーを含む、第2の層と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示は、添付の図面を参照することによって、より良く理解され、その多数の特徴及び利点が当業者に明らかにされ得る。
図1図1は、例示的な蠕動ポンプ管の図である。
図2図2は、例示的な蠕動ポンプ管の図である。
【0008】
異なる図面における同じ参照符号の使用は、同様の又は同一の部材を示す。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面と組み合わせた以下の説明は、本明細書に開示される教示の理解を補助するために提供される。以下の考察は、教示の特定の実装形態及び実施形態に焦点を当てている。この焦点は、教示を説明するのを助けるために提供されており、教示の範囲又は適用性に関する限定として解釈されるべきではない。
【0010】
本明細書で使用する場合、用語「備える」、「備えている」、「含む」、「含んでいる」、有する」、「有している」、又はそれらの任意の他の変形は、オープンエンドの用語であり、「含んでいるが、...に限定されない」を意味するように解釈されるべきである。これらの用語は、より限定的な用語「から本質的になる」及び「からなる」を包含する。一実施形態では、特徴のリストを含む方法、物品、又は装置は、必ずしもそれらの特徴のみに限定されるものではないが、明示的に列挙されていない他の特徴、又はそのような方法、物品、若しくは装置に固有の他の特徴を含み得る。更に、矛盾する記載がない限り、「又は/若しくは(or)」は、包含的な「又は/若しくは(or)」を指し、排他的な「又は/若しくは(or)」を指すものではない。例えば、条件A又は/若しくはBは、以下のいずれか1つによって満たされる:Aが真であり(又は/若しくは存在し)、Bが偽である(又は/若しくは存在しない)、Aが偽であり(又は/若しくは存在せず)、Bが真である(又は/若しくは存在する)、及び、AとBとの両方が真である(又は/若しくは存在する)。
【0011】
また、「a」又は「an」の使用は、本明細書に記載の要素及び構成要素を説明するために用いられる。これは、単に便宜上、及び本発明の範囲の一般的な意味を与えるために行われる。この説明は、そうでないことを意味することが明らかでない限り、1つ、又は少なくとも1つ、及び単数形が複数形も含むものとして、又はその逆として理解されるべきである。例えば、単一の物品が本明細書に記載されている場合、単一の物品の代わりに2つ以上の物品を使用することができる。同様に、2つ以上の物品が本明細書に記載されている場合、その2つ以上の物品を単一の物品に置き換えることができる。
【0012】
他に定義されない限り、本明細書で使用される全ての技術用語及び科学用語は、本発明が属する技術分野の当業者によって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。材料、方法、及び実施例は、例解的であるに過ぎず、限定的であることを意図しない。本明細書に説明されていない範囲で、特定の材料及び処理行為に関する多くの詳細は従来通りであり、構造に関する技術分野及び対応する製造技術分野内の参照文献及び他の情報源に見出すことができる。特にことわらない限り、全ての測定は約25℃で行われる。例えば、粘度の値は、特にことわらない限り、25℃におけるものである。
【0013】
特定の実施形態では、複合管は、少なくとも第1の層と、第2の層と、を含む。第1の層は、架橋ポリオレフィンエラストマーを含む。本明細書で使用する場合、「架橋ポリオレフィンエラストマー」は、架橋されたポリオレフィンエラストマーを記述するために使用される。ポリオレフィンエラストマーは、放射線源、架橋剤、又はそれらの組み合わせで架橋されてもよい。一実施形態では、第1の層は、流体との接触のために構成される。例えば、第1の層は、複合管の内側層である。架橋された場合、架橋ポリオレフィンエラストマーは、有利なことに、予想外の有利なポンプ寿命を有する蠕動ポンプ管を提供する。
【0014】
典型的には、ポリオレフィンエラストマーは、任意の妥当なオレフィン系モノマーを含む。典型的なポリオレフィンエラストマーとしては、C2~C10炭素系エラストマーなどの、モノマーから形成されるホモポリマー、コポリマー、ターポリマー、アロイ、又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。一実施形態では、オレフィンモノマーとしては、ポリオレフィンエラストマーを形成するための、例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、メチルペンテン、オクテン、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。一実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、エチレンとプロピレン若しくはα-オレフィンとのコポリマー、又はポリプロピレンとエチレン若しくはアルファオレフィンとのコポリマーであり得、そのポリオレフィンは、メタロセン又は非メタロセン重合プロセスによって製造される。一実施形態では、ポリオレフィンポリマーとしては、エチレンと極性ビニルモノマーとのコポリマー、例えば、アセテート(EVA)、アクリル酸(EAA)、メチルアクリレート(EMA)、メチルメタクリレート(EMMA)、エチルアクリレート(EEA)及びブチルアクリレート(EBA)を挙げることができる。別の一実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、エチレンと無水マレイン酸とアクリレートとのターポリマーであり得る。更に別の実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、エチレンと、アクリル酸又はメタクリル酸と、任意選択的に第3のモノマーとのアイオノマーであり得る。一実施形態では、第3のモノマーとしては、任意の妥当なアクリレートが挙げられる。
【0015】
例示的なポリオレフィンエラストマーとしては、高密度ポリエチレン(high density polyethylene、HDPE)、中密度ポリエチレン(medium density polyethylene、MDPE)、低密度ポリエチレン(low density polyethylene、LDPE)、超低密度ポリエチレン(very low density polyethylene、VLDPE)、エチレンプロピレンコポリマー、エチレンブテンコポリマー、ポリプロピレン(polypropylene、PP)、ポリブテン、ポリブチレン、ポリペンテン、ポリメチルペンテン、ポリスチレン、エチレンプロピレンゴム(ethylene propylene rubber、EPR)、チーグラー・ナッタオレフィン、メタロセンオレフィン、それらのブレンド、それらのポリマー組成物などが挙げられる。ポリオレフィンエラストマーとしては、オレフィン系ランダムコポリマー、オレフィン系インパクトコポリマー、オレフィン系ブロックコポリマー、オレフィン系特殊エラストマー、オレフィン系特殊プラストマー、それらのブレンド、それらのポリマー組成物などが更に挙げられる。一例では、ポリオレフィンエラストマーは、ポリエチレン系エラストマーを含む。メタロセンポリオレフィンの市販の例としては、ポリエチレン、Dow Chemical Co.から入手可能なEngage(商標)などのポリエチレン系エラストマー、及びポリプロピレン、Dow Chemical Co.から入手可能なVersify(商標)、Exxon Mobil Chemicalから入手可能なVistamaxx(商標)などのポリプロピレン系エラストマー、Flint Hills Resources、Exxon、Dowから入手可能なランダムポリプロピレンコポリマーなどが挙げられる。チーグラー・ナッタオレフィンの市販されているオレフィンの例としては、LyondellBasellから入手可能なProfax(商標)及びMoplen(商標)が挙げられる。
【0016】
ポリオレフィンエラストマーは、任意の妥当な添加剤を含んでもよい。一実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、架橋剤を含んでもよい。任意の妥当な架橋剤が想定される。例えば、ポリオレフィンエラストマーの架橋は、過酸化物、アゾ化合物、シラン、又はそれらの任意の組み合わせなどの化学架橋剤によって促進され得る。例示的な架橋剤としては、熱に曝露されると分解して少なくとも1つ、典型的には2つ以上のフリーラジカルを形成して架橋をもたらすフリーラジカル生成化学物質が挙げられる。例示的な実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、固体状態の形態のポリマーと架橋剤とをドライブレンドすることによって、すなわち、粉末形態で、調製され得る。あるいは、この物質は、液体形態で調製されるか、不活性粉末支持体中に収着されるか又はコーティングされたペレットなどを調製することによって調製され得る。
【0017】
例示的な有機過酸化物架橋剤としては、例えば、ジクミルペルオキシド、ジ-tert-ブチルペルオキシド、t-ブチルペルベンゾエート、ベンゾイルペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、t-ブチルペルオクトエート、メチルエチルケトンペルオキシド、2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルペルオキシ)ヘキサン、ラウリルペルオキシド、及びtert-ブチルペルアセテートが挙げられる。別の例示的な実施形態では、アゾ化合物が使用され得る。任意の妥当なアゾ化合物が想定される。好適なアゾ化合物は、2,2’-アゾビス(2-エトキシシラン)である。
【0018】
例示的なシランとしては、ビニル、アリル、イソプロペニル、ブテニル、シクロヘキセニル、又はγ-(メタ)アクリルオキシアリル基などのエチレン性不飽和ヒドロカルビル基と、ヒドロカルビルオキシ、ヒドロカルボニルオキシ、又はヒドロカルビルアミノ基などの加水分解性基と、を含む不飽和シランが挙げられる。加水分解性基の例としては、メトキシ基、エトキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基、プロプリオニルオキシ基、アルキル基、アリールアミノ基、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられる。特定のシランは、ポリマー上にグラフト化することができる不飽和アルコキシシランである。特に、シランとしては、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ-(メタ)アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。
【0019】
架橋剤の量は、ポリオレフィンエラストマーの性質、架橋剤、処理条件、グラフト化効率、最終用途、及び同様の要因に応じて広く変化し得る。任意の妥当な量の架橋剤が想定される。典型的には、ポリオレフィンエラストマーの総重量に基づいて、樹脂100部当たり少なくとも0.1部(phr)、例えば、少なくとも約0.7phrが使用される。一般に、架橋剤の量は5phrを超えず、例えば、約3phr以下である。一実施形態では、架橋剤は、ポリオレフィンエラストマー中に約1phr~約3phrなどの、約0.2phr~約5phrの量で存在する過酸化物である。
【0020】
一実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、耐衝撃性改良剤と、熱安定剤、酸化防止剤、UV安定剤、清澄剤、潤滑剤、ワックス、帯電防止剤、又はそれらの組み合わせなどの添加剤と、を含んでもよい。例示的な放射線安定剤としては、CIBAによって供給されるTinuvin 770などのヒンダードアミン光安定剤(hindered amine light stabilizer、HALS)が挙げられる。例示的な耐衝撃性改良剤としては、コモノマーとしてブテン又はヘキセンで変性されたポリエチレンであるEngage(登録商標)などの、ポリオレフィンエラストマーが挙げられる。典型的には、ポリオレフィンエラストマー中の添加剤パッケージは、ポリオレフィンエラストマーの総重量の約1重量%以下の量で存在し、ポリオレフィンエラストマー中の耐衝撃性改良剤は、約10重量%以下、又は更には約5重量%以下の量で存在する。
【0021】
一実施形態では、可塑剤が、ポリオレフィンエラストマー組成物中に提供されてもよい。特定の実施形態では、可塑剤は、鉱油である。任意の好適な鉱油が想定され得る。特定の実施形態では、鉱油は、パラフィン系、ナフテン系、又は芳香族含有量が実質的に0であるそれらのポリマー組成物である。特定の実施形態では、鉱油は、ポリオレフィンエラストマーの総重量の約0重量%~約70重量%、例えば、約10重量%~約70重量%、例えば、約20重量%~約70重量%の量で使用され得る。一実施形態では、鉱油は、ポリオレフィンエラストマーの総重量の約0重量%~約40重量%、例えば、約1重量%~約40重量%、又は更に約5重量%~約40重量%の量で存在する。鉱油の含有量は、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかとの間の範囲内であってもよいことが理解されよう。一実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、実質的に可塑剤を含まない。本明細書で使用する場合、「実質的に可塑剤を含まない」とは、ポリマーエラストマーの総重量の約0.1重量%未満で存在する鉱油を含むポリオレフィンエラストマーを指す。
【0022】
例示的な実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、熱安定剤、潤滑剤、充填剤、酸化防止剤、助剤、又はそれらの任意の組み合わせなどの、想定される任意の添加剤を更に含む。例示的な潤滑剤としては、シリコーンオイル、ワックス、スリップ助剤、粘着防止剤などが挙げられる。例示的な潤滑剤としては更に、シリコーングラフトポリオレフィン、ポリエチレンワックス又はポリプロピレンワックス、オレイン酸アミド、エルカミド、ステアレート、脂肪酸エステルなどが挙げられる。典型的には、潤滑剤は、ポリオレフィンエラストマーの総重量の約2.0重量%未満で存在し得る。一実施形態では、潤滑剤は、ポリオレフィンエラストマーの総重量の約0.5重量%未満で存在し得る。例示的な酸化防止剤としては、フェノール系酸化防止剤、ヒンダードアミン酸化防止剤、それらの組み合わせなどが挙げられる。例示的な充填剤としては、炭酸カルシウム、タルク、硫酸バリウムなどの放射線不透過性充填剤、オキシ塩化ビスマス、それらの任意の組み合わせなどが挙げられる。典型的には、充填剤は、ポリオレフィンエラストマーの総重量の約50重量%以下、例えば、ポリオレフィンエラストマーの総重量の約40重量%以下、又は更にポリオレフィンエラストマーの総重量の約30重量%以下の量で存在し得る。任意の助剤、例えば、ビス-フェノールAF、トリアリールイソシアヌレート(triaryl isocyanurate、TAIC)、トリアリールシアヌレート(triaryl cyanurate、TAC)、有機過酸化物、1,3ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジアクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、又はそれらの任意の組み合わせなどが想定される。任意の妥当な量の助剤が想定される。あるいは、ポリオレフィンエラストマーは、粘着付与剤、熱安定剤、潤滑剤、充填剤、及び酸化防止剤などの添加剤を含まなくてもよい。
【0023】
一実施形態では、第1の層のポリオレフィンエラストマーは、本質的に100%のポリオレフィンエラストマーである。いくつかの実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンとプロピレンとのコポリマー、エチレンとα-オレフィンとのコポリマー、エチレンと極性ビニルモノマーとのコポリマー、エチレンと無水マレイン酸とアクリレートとのターポリマー、エチレンとアクリル酸と任意選択的に第3のモノマーとのアイオノマー、エチレンとメタクリル酸と任意選択的に第3のモノマーとのアイオノマー、又はそれらの組み合わせから本質的になる。本明細書で使用する場合、層に関連して使用される「本質的に~からなる」という語句は、ポリマー組成物の基本的かつ新規な特性に影響を及ぼす材料の存在を排除するが、一般に使用される処理剤及び追加の添加剤は、層に使用してもよい。一実施形態では、「本質的に~からなる」は、非ポリオレフィンポリマーなどの他のポリマーの存在を排除する。一実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンとプロピレンとのコポリマー、エチレンとα-オレフィンとのコポリマー、エチレンと極性ビニルモノマーとのコポリマー、エチレンと無水マレイン酸とアクリレートとのターポリマー、エチレンとアクリル酸と任意選択的に第3のモノマーとのアイオノマー、エチレンとメタクリル酸と任意選択的に第3のモノマーとのアイオノマー、又はそれらの組み合わせ、及び架橋剤から本質的になる。
【0024】
一実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンとプロピレンとのコポリマー、エチレンとα-オレフィンとのコポリマー、エチレンと極性ビニルモノマーとのコポリマー、エチレンと無水マレイン酸とアクリレートとのターポリマー、エチレンとアクリル酸と任意選択的に第3のモノマーとのアイオノマー、エチレンとメタクリル酸と任意選択的に第3のモノマーとのアイオノマー、又はそれらの組み合わせからなる。一実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンとプロピレンとのコポリマー、エチレンとα-オレフィンとのコポリマー、エチレンと極性ビニルモノマーとのコポリマー、エチレンと無水マレイン酸とアクリレートとのターポリマー、エチレンとアクリル酸と任意選択的に第3のモノマーとのアイオノマー、エチレンとメタクリル酸と任意選択的に第3のモノマーとのアイオノマー、又はそれらの組み合わせ、及び架橋剤からなる。
【0025】
一実施形態では、ポリオレフィンエラストマーは、架橋剤、放射線源による照射、又はそれらの組み合わせによって架橋される。特定の実施形態では、放射線源は、ポリオレフィンエラストマーを実質的に架橋するのに十分である。本明細書で使用する場合、「実質的に架橋する」とは、例えば、レオメータデータによって決定される、90%超の最終架橋密度を指す(90%硬化とは、材料がASTM D5289によって測定される最大トルクの90%に達することを意味する)。一実施形態では、架橋の相対量は、既知の溶媒中でのポリマーの不溶性%(ゲル含量)によって評価することができる。架橋密度(mol/cm)は、膨潤試験を使用して測定することができる。適用可能な方法としては、ASTM D2765が挙げられる。電離放射線などの任意の妥当な放射線源が想定される。電離放射線は、イオンを発生させることができる高エネルギー放射線を含み、電子ビーム(e-ビーム)放射線、ガンマ放射線、及びX線放射線を含む。特定の例では、e-ビーム電離放射線は、バンデグラフ発生器、電子加速器、又はX線によって生成される電子ビームを含む。一例では、ガンマ放射線又はe-ビーム放射線は、約0.1MRad~約50MRadである。約10KGy~約200KGy(約1Mrad~約20Mrad)の線量が典型的である。例示的な実施形態では、ガンマ線によるブレンドの架橋のために、60Co源からの約1Mrad~約10Mradの放射線を使用することができる。更に、任意の回数の放射エネルギーの印加が実施されてもよい。
【0026】
特定の例では、ひとたび架橋されると、架橋ポリオレフィンエラストマーは、ある程度の結晶化度を有する。例えば、架橋ポリオレフィンエラストマーは、少なくとも約35%の結晶化度を有し得る。特定の例では、架橋ポリオレフィンエラストマーは、少なくとも約60%又は少なくとも約70%の結晶化度などの、少なくとも約50%の結晶化度を有し得る。特定の例では、架橋ポリオレフィンエラストマーは、高結晶化度ポリオレフィンであってもよい。あるいは、架橋ポリオレフィンエラストマーは、35%以下の結晶化度を有する低結晶化度ポリオレフィンエラストマーであってもよい。低結晶化度ポリオレフィンエラストマーは、特定の用途において透明度を改善し得る。あるいは、透明化剤又は核形成剤を使用して、架橋ポリオレフィンの物理的特性にほとんど又は全く有害な影響を与えることなく、透明度を提供することができる。一例では、核形成剤は、結晶化を加速して、より小さい結晶性ドメインをもたらし得る。
【0027】
一実施形態では、架橋ポリオレフィンエラストマーは、8,000ポンド/平方インチ(psi)未満などの10,000psi未満の曲げ弾性率を有する。一実施形態では、架橋ポリオレフィンエラストマーは、80℃を超える溶融温度を有する。更に、架橋ポリオレフィンエラストマーは、-20℃未満などの、0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する。更に、架橋ポリオレフィンエラストマーは、有利なtanδ、引裂抵抗、又はそれらの特性の組み合わせなどの他の望ましい特性を有する。例えば、架橋ポリオレフィンエラストマーのtanδは、非架橋ポリオレフィンエラストマーよりも低くなる。
【0028】
特定の実施形態では、第1の層に隣接する第2の層は、エラストマーである。任意のエラストマーが想定される。エラストマーとしては、熱硬化性エラストマー、熱可塑性エラストマー、又はそれらの組み合わせが挙げられる。より特定の実施形態では、エラストマーとしては、ポリスチレン、ポリエステル、シリコーンエラストマー、シリコーンコポリマー、シリコーン熱可塑性加硫物、コポリエステル、ポリアミド、フルオロポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテル-エステルコポリマー、熱可塑性ウレタン、ポリエーテルアミドブロックコポリマー、ポリアミドコポリマー、スチレンブロックコポリマー、ポリカーボネート、ポリオレフィンエラストマー、ジエンエラストマー、天然ゴム、ニトリルゴム、熱可塑性加硫物、アイオノマー、ポリオキシメチレン(POM)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アセタール、アクリル、ポリ塩化ビニル(PVC)、又はそれらの組み合わせなどの、エラストマーポリマーを挙げることができる。特定の実施形態では、第2の層は、ジエンエラストマーである。
【0029】
特定の例では、ジエンエラストマーは、少なくとも1種のジエンモノマーから形成されるコポリマーであリ得る。例えば、ジエンエラストマーは、エチレンとプロピレンとジエンモノマーとのコポリマー(EPDM)、熱可塑性EPDM複合体、又はそれらの組み合わせであり得る。例示的なジエンモノマーとしては、ブタジエン、イソプレン、クロロプレンなどの共役ジエン;1,4-ペンタジエン、1,4-ヘキサジエン、1,5-ヘキサジエン、2,5-ジメチル-1,5-ヘキサジエン、1,4-オクタジエンなどの5~約25個の炭素原子を含む非共役ジエン;シクロペンタジエン、シクロヘキサジエン、シクロオクタジエン、ジシクロペンタジエンなどの環状ジエン;1-ビニル-1-シクロペンテン、1-ビニル-1-シクロヘキセンなどのビニル環状エン;3-メチルビシクロ-(4,2,1)-ノナ-3,7-ジエンなどのアルキルビシクロノナジエン;メチルテトラヒドロインデンなどのインデン;5-エチリデン-2-ノルボルネン、5-ブチリデン-2-ノルボルネン、2-メタリル-5-ノルボルネン、2-イソプロペニル-5-ノルボルネン、5-(1,5-ヘキサジエニル)-2-ノルボルネン、5-(3,7-オクタジエニル)-2-ノルボルネンなどのアルケニルノルボルネン;3-メチルトリシクロ(5,2,1,0,6)-デカ-3,8-ジエンなどのトリシクロジエン;又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。
【0030】
特定の例では、第2の層のエラストマーは、自己融着性である。自己融着性エラストマーについては、ポリマー内のポリマー鎖上に化学的に活性な官能基をグラフト化すること、又はポリマーのマトリックス中に別個の化学成分を組み込むことのいずれかによって、エラストマーへの改質は、ポリマーと、そのポリマーが直接隣接する層との間の結合を増強する。任意の化学的に活性な官能基又は化学成分が想定される。
【0031】
例示的な実施形態では、第2の層のエラストマーは、熱安定剤、潤滑剤、充填剤、酸化防止剤、助剤、放射線安定剤、又はそれらの任意の組み合わせなどの、想定される任意の妥当な添加剤を更に含むことができる。あるいは、第2の層は、添加剤を実質的に含まなくてもよい。本明細書で使用する場合、「実質的に含まない」とは、第2の層のエラストマーの総重量の約1.0重量%未満、又は更には約0.1重量%未満を指す。
【0032】
一実施形態では、複合管の外側層は、有利な摩擦係数を有し得る。例えば、第2の層のエラストマーは、摩擦係数添加剤、低摩擦係数コーティング、表面処理、又はそれらの組み合わせを含み、そのような改質を伴わない複合管と比較して、摩擦係数を減少させてもよい。一実施形態では、蠕動ポンプ管の摩擦係数を減少させる任意の摩擦係数添加剤が想定される。例えば、エラストマーは、摩擦係数添加剤を含まないエラストマーと比較して、摩擦係数添加剤の添加により、より低い摩擦係数を有する。一実施形態では、任意の妥当な摩擦係数添加剤が想定される。例えば、摩擦係数添加剤としては、フッ素化油、ポリテトラフルオロエチレン(polytetrafluoroethylene、PTFE)粉末などのフルオロポリマー粉末、ペルフルオロポリエーテル(perfluoropolyether、PFPE)合成油、グラファイト、シリコーン油、有機変性シロキサン(organomodified siloxane、OMS)などの変性シリコーン添加剤、フッ素化シリコーン油、ポリエチレンワックス又はポリα-オレフィン油などのオレフィン系添加剤、グリセロールモノオレエート、長鎖カルボン酸、窒化ホウ素、又はそれらの組み合わせが挙げられる。任意の低摩擦係数コーティングが想定される。例示的なコーティングとしては、非晶質炭素コーティング、フルオロポリマー系コーティング、シリコーン系コーティング、それらの任意の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。コーティングを塗布する任意の方法が想定され、例えば、蒸着、スパッタリングプロセス、ディップコーティング、スプレーコーティング、又はそれらの組み合わせが挙げられるが、これらに限定されない。表面処理の場合、蠕動ポンプのローラと接触する複合管の外側表面を表面処理してもよい。表面処理は、外側層とポンプローラとの間の摩擦係数の減少をもたらす、エラストマーの外側表面に対する改質が挙げられ得る。任意の表面処理が想定される。一実施形態では、表面処理は、表面をフッ素化することを含む。
【0033】
図1に示すように、複合管100は、中空の中心孔を有する細長い環状構造である。複合管100は、外側層102及び内側層104を含む。外側層102は、内側層104の外側表面108に沿って、内側層104に直接接触してもよく、かつ直接結合してもよい。例えば、外側層102は、接着剤層を介在させることなく、内側層104に直接結合してもよい。例示的な実施形態では、複合管100は、2つの層を含み、複合管について説明したように、内側層104は、第1の層であり、外側層102は、第2の層である。内側層104は、流体との接触のために構成される。例えば、内側表面112は、管の中央ルーメンを画定し、流体がそこを通って流れる。
【0034】
複合管100の任意の寸法が想定される。例えば、層102、104の任意の厚さが想定され、典型的には、複合管100について所望の最終特性に応じて変化する。一実施形態では、内側層102の厚さの外側層104の厚さに対する比は、10:1~1:10などの、20:1~1:20であってもよい。上記の厚さの比は、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかとの間の範囲内であり得るということが理解されるであろう。一実施形態では、外側層102は、内側層104よりも大きな厚さを有する。
【0035】
複合管100の総管厚さは、約3ミル~約200ミル、又は約3ミル~約125ミルなどの、少なくとも約3ミル~約250ミルであってもよい。一実施形態では、内側層104は、約3ミル~約30ミル、又は約1ミル~約15ミルなどの、約1ミル~約50ミルの厚さを有する。一実施形態では、外側層102は、総管厚さの差を補う。
【0036】
特定の実施形態では、複合管100の外径は、約250ミル~約2000ミルなどの、約250ミルインチ~約5000ミルである。外径は、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかとの間の範囲内であってもよいということが理解されよう。一実施形態では、複合管100の内径は、約30ミル~約4000ミル、例えば約60ミル~約1000ミルなどの、約5ミル~約4000ミルである。複合管100の内径は、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかとの間の範囲内であり得るということが理解されよう。
【0037】
更に、複合管100は、複合管100の遠位端と近位端との間の距離である長さを有することができる。更なる実施形態では、複合管100の長さは、少なくとも約5メートルなど、少なくとも約10メートルなどの、少なくとも約2メートルであり得る。長さは、一般に、長い長さの保管及び輸送などの実際的な問題によって、又は顧客の要求によって制限される。
【0038】
図1に示される例示的な実施形態における、複合管100の本体の軸線方向に垂直な断面は、円形形状を有するが、複合管100の本体の軸線方向に垂直な断面は、想定される任意の断面形状を有することができる。
【0039】
あるいは、複合管200は、3つの層などの、2つ以上の層を含んでもよい。例えば、図2は、内側層204と外側層202との間に挟まれた、接着剤層206を図示している。内側層204は、流体との接触のために構成される管の中心ルーメンを画定する内側表面212を含む。例示的な実施形態では、接着剤層206は、内側層204と直接接触しており、内側層204に直接結合されていてもよい。そのような例では、接着剤層206は、接着剤層206の外側表面210に沿って、外側層202に直接接触してもよく、直接結合されてもよい。
【0040】
例えば、接着層206は、任意の妥当なポリマーであってもよい。例示的な実施形態では、接着層206は、熱可塑性材料を含む。例えば、熱可塑性材料は、天然由来又は合成由来の架橋性エラストマーポリマーなどの、熱可塑性エラストマーを含んでもよい。例えば、例示的なエラストマー材料としては、シリコーン、天然ゴム、ウレタン、オレフィンエラストマー、ジエンエラストマー、オレフィンエラストマーとジエンエラストマーとのブレンド、フルオロポリマー、ペルフルオロエラストマー、又はそれらの任意の組み合わせを挙げることができる。接着層206の更なる例示的な材料は、シラン、無水物、アクリレート、エポキシ、ビニル、水素化物官能基、又はそれらの組み合わせを含むポリマーを含む。
【0041】
例示的な実施形態では、接着剤層のポリマーは、架橋剤、助剤、光開始剤、充填剤、可塑剤、放射線安定剤、又はそれらの任意の組み合わせなどの、任意の妥当な添加剤を更に含み得る。接着剤層のポリマー組成物の架橋を増加させる、かつ/又は強化する任意の助剤が想定される。更なる実施形態では、助剤の使用は、助剤を含まない接着剤層と比較して、小分子の浸透の減少及び接着剤層の弾性回復の改善などの、所望の特性を提供し得る。任意の助剤、例えば、ビス-フェノールAF、トリアリールイソシアヌレート(TAIC)、トリアリールシアヌレート(TAC)、有機過酸化物、1,3ブチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、ジアクリル酸亜鉛、メタクリル酸亜鉛、又はそれらの任意の組み合わせなどが想定される。任意の妥当な量の助剤が想定される。あるいは、接着剤層は、架橋剤、助剤、光開始剤、充填剤、可塑剤、又はそれらの組み合わせを、実質的に含まなくてもよい。本明細書で使用する場合、「実質的に含まない」とは、接着剤層のポリマーの総重量の約1.0重量%未満、又は更には約0.1重量%未満を指す。
【0042】
2層管及び3層管として示されているが、任意の数の追加の層が想定される。例えば、複合管は、2つの層、3つの層、又は更に多数の層を含む。典型的には、追加層は、少なくとも約2ミル~約6000ミルの厚さを有する。追加層の厚さは、上記の最小値及び最大値のうちのいずれかとの間の範囲内であり得るということが理解されよう。存在する追加の層の数に関係なく、複合管の外径及び内径は、図1で定義された複合管100について定義された任意の値を有することができる。層の数は、複合管に望まれる最終的な特性に依存する。
【0043】
例示的な追加層としては、ポリマー層、補強層、接着層、バリア層、耐薬品層、金属層、それらの任意の組み合わせなどが挙げられるが、これらに限定されない。任意の追加層を提供する任意の合理的な方法が想定され、その方法は、選択される材料に依存する。例えば、追加層は、押出成形されてもされなくてもよい熱可塑性エラストマーの追加のポリマー層であってもよい。一実施形態では、任意の数のポリマー層が想定される。任意の数の追加層もまた想定される。
【0044】
一実施形態では、複合管の第1の層及び第2の層は、押出成形、射出成形、又はそれらの組み合わせなどの任意の妥当な手段によって形成され得る。特定の実施形態では、複合管の層は、押出成形によって形成される。任意の妥当な押出成形システムが想定される。押出成形システムは、典型的には、圧送システムを含み、複合管の少なくとも2つの層を形成するために利用され得るいくつかの装置を含むことができる。例えば、圧送システムは、ギアポンプ、スタティックミキサー、押出成形機、管状ダイ、放射線硬化装置、後処理装置、又はそれらの任意の組み合わせなどのポンプ装置を含むことができる。一実施形態では、ポリオレフィン及び任意選択の添加剤は、ドライブレンド又はドライコンパウンディングすることによって溶融処理することができる。一実施形態では、ドライブレンドは、粉末、顆粒、又はペレット形態であり得る。特定の実施形態では、複合管の第1の層を形成するために、対応するモノマー又はポリマーのペレットを、共回転噛合い二軸押出成形機を通して架橋添加剤と配合し、水浴によって冷却し、配合物ペレットに切断し得る。第1の層は、連続コンパウンディングプロセス又はバッチ関連プロセスによって作製されてもよい。得られたブレンドのペレットを、管状ダイを有する押出成形機に供給する。管は、管状ダイを通して押出成形され、管は、管の中央ルーメンを画定する内側表面を有する。
【0045】
複合管が複数の層を含む場合、複合管の個々の層の各々は、任意の妥当な手段によって形成されてもよく、その手段は、個々の層の各々の材料及び構成された位置に依存する。一例では、ポリオレフィンエラストマーの第1の層には、図1に見られるように、その上に形成された第2の層が提供される。典型的には、ポリオレフィンエラストマーは、上述したように、押出成形又は射出成形などの任意の妥当な手段によって提供される。ポリオレフィンエラストマーは、複合管の内側層などの層に形成される。
【0046】
内側層が形成された後、内側層は、第2の層に隣接する外側表面に表面処理を施してもよい。特定の実施形態では、内側層は、内側層の上に第2の層を形成する前に表面処理される。表面処理は、内側層が第2の層と直接接触している場合に、内側層の第2の層への接着力を増大させるためのものである。一実施形態では、表面処理は、2つの層の間の接着が凝集結合を提供することを可能にする、すなわち、凝集破壊が起こり、2つの材料の間の結合が破壊されるより先に、第1の層及び/又は第2の層の構造的完全性が破壊される。表面処理としては、放射線処理、化学エッチング、物理-機械エッチング、プラズマエッチング、コロナ処理、化学蒸着、又はそれらの任意の組み合わせが挙げられ得る。一実施形態では、第1の層の外側表面は、いかなる表面処理もされていない。一実施形態では、第1の層と第2の層との間の接着は、接着層の使用によって改善され得る。代替実施形態では、第1の層と第2の層との間の表面は、プライマーを含まない。
【0047】
一実施形態では、第2の層は、上述したように、押出成形システムによって形成され、その押出成形システムは、第1の層のために使用される押出成形システムと同じ又は異なる押出成形システムによって形成され得る。例えば、第1の層は、管の中央ルーメンを画定する内側表面を有するので、第2の層は、第1の層の上に押出成形される。一実施形態では、隣接する層の上に少なくとも1つの層を押出成形することを可能にするために、クロスヘッドダイが使用される。
【0048】
第2の層は、この実施形態では、第1の層が提供された後に送達されるものとして説明されているが、第1の層の送達及び第2の層の送達には、任意の順序が想定される。一実施形態では、第1の層及び第2の層は、共押出成形され得る。
【0049】
一実施形態では、放射線架橋を行ってポリオレフィンエラストマーを架橋し得る。放射線架橋は、第2の層が提供される前に第1の層上で生じてもよい。一実施形態では、放射線架橋は、第2の層が第1の層に隣接して提供された後に生じてもよい。任意の放射線が、第1の層のポリオレフィンエラストマーを架橋するのに有効であると想定される。第1の層内のポリマー分子の層内架橋は、硬化した組成物を提供し、複合管の第1の層に構造的強度を与える。加えて放射線は、層間架橋などによって、第1の層と第2の層との間の結合を有利に増加させ得る。特定の実施形態では、第1の層と第2の層との間の層間架橋結合の組み合わせは、層間剥離に対して高度に耐性であり、高品質の接着耐性及び保護表面を有し、最小量の接着耐性材料を組み込み、更に、複合管の便利な取り扱い及び展開のために物理的に頑丈である、統合された複合管を提示する。照射は、バッチプロセスで又はロールツーロールプロセスで行われてもよい。
【0050】
一実施形態では、架橋剤がポリオレフィンエラストマーを架橋するために使用される場合、任意の方法及び条件が想定される。方法は、制御された温度下での熱架橋を含むが、ポリオレフィンエラストマーを架橋するための圧力を伴っても又は伴わなくてもよい。ポリオレフィンエラストマー及び架橋剤に応じて、任意の温度、圧力、又はそれらの組み合わせが想定される。熱架橋の温度としては、例えば、少なくとも100℃など、少なくとも200℃など、又は更に240℃超の、少なくとも50℃が挙げられる。一実施形態では、熱架橋の温度は、240℃~280℃である。熱架橋のための圧力としては、例えば、少なくとも5バールなど、少なくとも10バールなど、又は更に12バール超の、少なくとも1バールが挙げられる。一実施形態では、熱架橋のための圧力は、12バール~20バールである。特定の実施形態では、架橋は、水及び可能な触媒の存在を含み得る。
【0051】
例示的な実施形態では、複合管は、層間に有利な接着強度を示し得る。例えば、第1の層が第2の層と直接接触している場合、第1の層と第2の層との間に層間架橋が存在する。特定の実施形態では、第1の層及び第2の層は、凝集破壊の接着強度を有する。
【0052】
一実施形態では、架橋ポリオレフィンエラストマーは、単層物品若しくは多層物品に形成されてもよいか、又は基材上に積層、コーティング、若しくは形成されてもよい。多層物品は、補強層、接着層、バリア層、耐薬品層、金属層、それらの任意の組み合わせなどの層を含み得る。架橋ポリオレフィンエラストマーは、フィルム、シート、管などの、任意の有用な形状に形成することができる。架橋ポリオレフィンエラストマーは、第2の層のエラストマーを含む、他の基材に接着又は結合することができる。
【0053】
特定の実施形態では、架橋ポリオレフィンエラストマーは、配管及びホースを製造するために使用される。例えば、架橋ポリオレフィンエラストマーを含む複合配管は、有利なことに、化学的安定性、流動安定性、及び寿命の増加などの、所望の特性を示す。特定の実施形態では、複合管が蠕動ポンプ管として使用される場合、複合管の寿命の増加は予想外であり、従来の市販の蠕動ポンプ管よりも大幅に改善されたポンプ寿命を有する。例えば、蠕動ポンプ管は、Cole-Parmer製の、L/S17蠕動標準ポンプヘッドと、ポンプ媒体として水とを使用して、600RPMで測定して、少なくとも約400時間など、少なくとも約500時間など、少なくとも約1000時間など、少なくとも約1500時間など、又は更に2000時間超の、少なくとも約200時間のポンプ寿命を有し得る。
【0054】
一実施形態では、架橋ポリオレフィンエラストマーによって製造された蠕動ポンプ管などの複合管は、最小の剥離(内部)及びファウリング(外部)などの、望ましい管摩耗特性を有する。特に、剥離は、流体経路における粒子及び破片の発生をもたらし、ファウリングは、ポンプヘッドの粘着性及びべとつきをもたらす。特定の実施形態では、管摩耗特性は、Cole-Parmer製の、L/S17蠕動標準ポンプヘッドを使用して試験した場合に、約1.0%未満の重量損失の剥離及びファウリングを有する。例示的な実施形態では、複合管は、流動安定性について試験した場合に、送達速度の損失が約40%未満であり得る。特に、複合管は、送達速度の損失が約30%未満であり得る。一実施形態では、複合管は、Masterflex製Easy-load IIポンプヘッドを用いて、400rpmで試験した場合に、その耐用年数にわたって、破損後の流量は、体積流量の減少が約20%未満など、約10%未満など、又は更に約5%未満の、30%未満である。
【0055】
一実施形態では、EPDMで形成された第2の層を含む複合管は、特に有利であり、望ましい寿命も提供する。更に、架橋ポリオレフィンから形成されたライナーを含む複合管は、特に有利であり、寿命特性及び低透過特性を提供する。一実施形態では、ライナーは、架橋ポリエチレン系エラストマーから形成される。
【0056】
一実施形態では、結果として得られる複合管は、更に望ましい物理的特性及び機械的特性を有し得る。例えば、複合管は、可撓性を有し、ねじれ耐性を有する。複合管の透明度を視覚的にチェックし、透明度に関して4つのレベル:透明、半透明、曇り、及び不透明に分類する。特に、得られる蠕動ポンプ管は、望ましい可撓性を有する。例えば、ポリマー組成物の複合管は、低デュロメータの管を有利に製造し得る。例えば、望ましい機械的特性を有する、ASTM D2240によって測定して、約60~約75などの、約35~約75のショアA硬度を有する複合管を形成し得る。そのような特性は、可撓性材料を示すものである。
【0057】
望ましい硬度に加えて、複合管は、硬度、可撓性、表面潤滑性、ポンプの寿命、剥離、ファウリング、引張強度、伸び、ショアA硬度、ガンマ線耐性、溶接強度、及びシール完全性の特性のうちのいずれか1つ以上の、最適レベルへのバランスなどの、有利な物理的特性を有する。
【0058】
一実施形態では、結果として得られる複合管は、望ましい熱安定性特性を有する。特定の実施形態では、得られる複合管は、現在入手可能な市販製品と比較して、より高い破裂抵抗性、より高い軟化点、及び/又はより高いオートクレーブ処理温度などの耐熱特性のうちの1つ以上を有する。
【0059】
例示的な実施形態では、複合管は、様々な用途で使用することができる。複合管の用途には多数ある。特に、複合管の無毒性の性質は、毒性が望ましくないいかなる用途にとっても、この複合管を有用なものとする。例えば、複合管は、FDA、ADCF、USPクラスVI、NSF、欧州薬局方準拠、米国薬局方(USP)準拠、USP生理化学的準拠、医療デバイスの生体適合性を評価するためのISO10993規格、及び他の規制における認可の可能性を有する。特定の実施形態では、複合管は、非細胞毒性、非溶血性、非発熱性、動物由来成分不含、非変異原性、非静菌性、非静真菌性、又はそれらの特性の任意の組み合わせを有する。
【0060】
一実施形態では、複合管は、産業用途、医療用途、ヘルスケア用途、バイオ製薬用途、飲料水用途、食品及び飲料用途、乳製品用途、実験室用途、FDA用途、物品洗浄用途、産業洗浄用途、細胞培養用途などの用途において使用され得る。例示的な実施形態では、複合管は、耐薬品性蠕動ポンプ又は移送管としての用途に使用され得る。特定の実施形態では、複合管は、食品及び飲料加工装置における流体移送管、医療及びヘルスケア、バイオ医薬品製造装置における流体移送管、並びに医療、実験室、及びバイオ製薬用途のための蠕動ポンプ管などの用途で使用され得る。特定の実施形態では、複合管は、物品洗浄、洗濯洗浄、施設洗浄、デジタル印刷、燃料移送、医療用流体移送、製薬における流体移送、バイオ製薬における流体移送、電子分野の化学処理、複合材製造、又はそれらの組み合わせを含む用途で使用される。
【0061】
特定の実施形態では、容器、反応器、リザーバ、タンク、又はバッグなどの流体源が、複合管に連結される。複合管は、ポンプ、管継手、弁、ディスペンサ、又は他の容器、反応器、リザーバ、タンク、若しくはバッグに係合してもよい。一例では、複合管は、水の容器に連結されてもよく、遠位端に嵌合されたディスペンサを有してもよい。別の例では、複合管は、流体バッグに結合され、遠位端で弁に連結されてもよい。更なる例では、複合管は、容器に連結され、ポンプによる関与を受け、遠位端では第2の容器に連結されてもよい。
【0062】
多くの異なる態様及び実施形態が可能である。これらの態様及び実施形態のいくつかを本明細書に記載する。本明細書を読んだ後、当業者は、それらの態様及び実施形態が例解的であるに過ぎず、本発明の範囲を限定するものではないことを理解するであろう。実施形態は、以下に列挙される項目のうちのいずれか1つ以上に沿ったものであってよい。
【0063】
実施形態1.複合管であって、架橋ポリオレフィンエラストマーを含む第1の層であって、第1の層は、流体と接触するように構成された、第1の層と、第1の層に隣接する第2の層であって、第2の層は、エラストマーを含む、第2の層と、を含む、複合管。
【0064】
実施形態2.複合管を形成する方法であって、ポリオレフィンエラストマーを含む第1の層を提供することと、第1の層を覆うエラストマーを含む第2の層を提供することと、少なくとも第1の層を、放射線源、架橋剤、又はそれらの組み合わせで架橋して、ポリオレフィンエラストマーを実質的に架橋することと、を含む、方法。
【0065】
実施形態3.架橋ポリオレフィンエラストマーは、C2~C10炭素系エラストマーを含む、実施形態1又は2に記載の複合管又は方法。
【0066】
実施形態4.架橋ポリオレフィンエラストマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンとプロピレンとのコポリマー、エチレンとα-オレフィンとのコポリマー、エチレンと極性ビニルモノマーとのコポリマー、エチレンと無水マレイン酸とアクリレートとのターポリマー、エチレンとアクリル酸と任意選択の第3のモノマーとのアイオノマー、エチレンとメタクリル酸と任意選択の第3のモノマーとのアイオノマー、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態3に記載の複合管又は方法。
【0067】
実施形態5.架橋ポリオレフィンエラストマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンとプロピレンとのコポリマー、エチレンとα-オレフィンとのコポリマー、エチレンと極性ビニルモノマーとのコポリマー、エチレンと無水マレイン酸とアクリレートとのターポリマー、エチレンとアクリル酸と任意選択の第3のモノマーとのアイオノマー、エチレンとメタクリル酸と任意選択の第3のモノマーとのアイオノマー、又はそれらの組み合わせから本質的になる、実施形態4に記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0068】
実施形態6.架橋ポリオレフィンエラストマーは、ポリプロピレン、ポリエチレン、エチレンとプロピレンとのコポリマー、エチレンとα-オレフィンとのコポリマー、エチレンと極性ビニルモノマーとのコポリマー、エチレンと無水マレイン酸とアクリレートとのターポリマー、エチレンとアクリル酸と任意選択の第3のモノマーとのアイオノマー、エチレンとメタクリル酸と任意選択の第3のモノマーとのアイオノマー、又はそれらの組み合わせからなる、実施形態5に記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0069】
実施形態7.架橋ポリオレフィンエラストマーは、架橋剤を介して架橋され、架橋剤は、過酸化物、アゾ化合物、シラン、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1~6のいずれか1つに記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0070】
実施形態8.過酸化物は、ポリオレフィンエラストマー中に、約1phr~約3phrなどの、約0.2phr~約5phrの量で存在する、実施形態7に記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0071】
実施形態9.架橋ポリオレフィンエラストマーは、80℃を超える溶融温度を有する、実施形態1~8のいずれかに記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0072】
実施形態10.架橋ポリオレフィンエラストマーは、-20℃未満などの、0℃未満のガラス転移温度(Tg)を有する、実施形態1~9のいずれかに記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0073】
実施形態11.架橋ポリオレフィンエラストマーは、8,000ポンド/平方インチ(psi)未満などの、10,000psi未満の曲げ弾性率を有する、実施形態1~10のいずれかに記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0074】
実施形態12.第2の層のエラストマーは、ポリスチレン、ポリエステル、シリコーンコポリマー、シリコーン熱可塑性加硫物、コポリエステル、ポリアミド、フルオロポリマー、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエーテル-エステルコポリマー、熱可塑性ウレタン、ポリエーテルアミドブロックコポリマー、ポリアミドコポリマー、スチレンブロックコポリマー、ポリカーボネート、ポリオレフィンエラストマー、ジエンエラストマー、熱可塑性加硫物、アイオノマー、ポリオキシメチレン(POM)、アクリロニトリルブタジエンスチレン(ABS)、アセタール、アクリル、ポリ塩化ビニル(PVC)、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態1~11のいずれかに記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0075】
実施形態13.第1の層は、第2の層と直接接触している、実施形態1~12のいずれかに記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0076】
実施形態14.第1の層と第2の層との間の層間架橋を含む、実施形態13に記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0077】
実施形態15.第1の層及び第2の層は、凝集破壊の接着強度を有する、実施形態13に記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0078】
実施形態16.複合管は、第1の層と第2の層との間に配設された接着剤層を含む、実施形態1~12に記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0079】
実施形態17.接着剤層は、シラン、無水物、アクリレート、エポキシ、ビニル、又は水素化物官能基を含むポリマーを含む、実施形態16に記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0080】
実施形態18.放射線源は、e-ビーム照射、ガンマ線照射、X線照射、又はそれらの組み合わせを含む。実施形態1~17のいずれか1つに記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0081】
実施形態19.複合管は、耐薬品性蠕動ポンプ又は移送管である、実施形態1~18のいずれか1つに記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0082】
実施形態20.複合管は、物品洗浄、洗濯洗浄、施設洗浄、デジタル印刷、燃料移送、医療用流体移送、製薬における流体移送、バイオ製薬における流体移送、電子分野の化学処理、複合材製造、又はそれらの組み合わせを含む用途で使用される、実施形態19に記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0083】
実施形態21.複合管は、その耐用年数にわたって、約20%未満、例えば約10%未満、又は更に約5%未満などの、約30%未満だけ変化する蠕動流量を有する、実施形態1~20のいずれか1つに記載の複合管又は複合管を形成する方法。
【0084】
実施形態22.ポリオレフィンエラストマーを含む第1の層を提供することは、過酸化物、アゾ化合物、シラン、又はそれらの組み合わせを含む架橋剤を、ポリオレフィンエラストマーと任意選択的に混合することと、ポリオレフィンエラストマーを押出成形することと、を含む、実施形態2に記載の複合管を形成する方法。
【0085】
実施形態23.ポリオレフィンエラストマーは、50℃を超える温度での熱処理によって架橋される、実施形態22に記載の複合管を形成する方法。
【0086】
実施形態24.エラストマーを提供することは、エラストマーを押出成形することを含む、実施形態2に記載の複合管を形成する方法。
【0087】
実施形態25.第1の層及び第2の層は、共押出成形される、実施形態2~24に記載の複合管を形成する方法。
【0088】
実施形態26.少なくとも第1の層を放射線源で照射する工程は、第2の層を提供する工程の前に行われる、実施形態2に記載の複合管を形成する方法。
【0089】
実施形態27.少なくとも第1の層を放射線源で照射する工程は、第2の層を提供する工程の後に行われる、実施形態2に記載の複合管を形成する方法。
【0090】
実施形態28.第2の層を形成する工程の前に、第1の層の外側表面を処理する工程を更に含む、実施形態2に記載の複合管を形成する方法。
【0091】
実施形態29.外側表面を処理することは、化学エッチング、物理的-機械的エッチング、プラズマエッチング、コロナ処理、化学蒸着、又はそれらの組み合わせを含む、実施形態28に記載の複合管を形成する方法。
【0092】
実施形態30.装置であって、実施形態1に記載の複合管と、その管に連結されて、その管内に収容されている流体を分注するポンプと、を含む、装置。
【0093】
実施形態31.ポンプは、蠕動ポンプである、実施形態30に記載の装置又は方法。
【0094】
実施形態32.複合管であって、架橋ポリエチレン系エラストマーを含む第1の層と、第1の層に隣接する第2の層であって、第2の層は、ポリオレフィンエラストマーを含む、第2の層と、を含む、複合管。
【0095】
実施形態33.ポリオレフィンエラストマーは、エチレンプロピレンジエンモノマー(EPDM)を含む、実施形態32に記載の複合管。
【0096】
本明細書に記載の概念は、以下の実施例において更に説明されるが、特許請求の範囲に記載の本開示の範囲を限定するものではない。以下の実施例は、本発明の方法及び組成物をよりよく開示及び教示するために提供される。これらは説明のためだけのものであり、添付の特許請求の範囲に記載された本発明の趣旨及び範囲に実質的に影響を及ぼすことなく、わずかな変形及び変更を行うことができるということを認識しなければならない。
【実施例
【0097】
以下の試料を調製した。
実施例1:エチレンコポリマーライナーを押出成形し、e-ビーム照射し、次いでTPVで被覆した。
実施例2:エチレンコポリマーライナーをEPDM配合物(被覆)と共押出成形し、次いで放射線架橋した。
実施例3:エチレンコポリマーライナーを放射線安定化TPVと共押出成形し、次いで架橋した。
【0098】
実施例は、物理的特性について試験され、有利な特性を有する。
【0099】
一般的な説明又は実施例において、上で説明される活動の全てが必要とされるわけではなく、特定の活動の一部が必要とされない場合があり、説明される活動に加えて1つ以上の更なる活動が行われ得ることに留意されたい。更に、活動が列挙される順序は、必ずしもそれらが行われる順序ではない。
【0100】
前述の明細書では、特定の実施形態を参照して概念を記載してきた。しかしながら、当業者であれば、以下の特許請求の範囲に掲げる本発明の範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更を行うことができることを理解する。したがって、明細書及び図面は、限定的な意味ではなく例示的な意味で考慮されるべきであり、全てのこのような修正は、本発明の範囲内に含まれることが意図される。
【0101】
利益、他の利点、及び問題の解決策は、特定の実施形態に関して上で説明されている。しかしながら、利益、利点、問題の解決策、及び任意の利益、利点、又は解決策をもたらすかより顕著にする可能性がある任意の特徴(複数可)は、請求項のいずれか又は全ての重要な、必要な、又は本質的な特徴として解釈されるべきではない。
【0102】
本明細書を読んだ後、当業者には、特定の特徴が、明確にするために、別個の実施形態の文脈において本明細書に記載されており、単一の実施形態において組み合わせて提供され得ることが理解されよう。逆に、簡潔にするために、単一の実施形態の文脈で説明されている様々な特徴は、別個に又は任意の部分的な組み合わせで提供され得る。更に、範囲で述べられた値への言及は、その範囲内のありとあらゆる値を含む。
図1
図2
【国際調査報告】