(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】光システム、光電子システム、及び光電気機械システム、並びにその使用方法
(51)【国際特許分類】
A61B 1/00 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
A61B1/00 735
A61B1/00 C
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563267
(86)(22)【出願日】2021-04-14
(85)【翻訳文提出日】2023-11-27
(86)【国際出願番号】 US2021027212
(87)【国際公開番号】W WO2022220816
(87)【国際公開日】2022-10-20
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】523388973
【氏名又は名称】オムニシエント イメージング,インク.
【氏名又は名称原語表記】OMNISCIENT IMAGING, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】バナジー,バスカー
(72)【発明者】
【氏名】フィステラー,リチャード
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムソン,ジョン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,シン-チアン
(72)【発明者】
【氏名】ジャン,ハイヨン
【テーマコード(参考)】
4C161
【Fターム(参考)】
4C161FF12
4C161FF15
4C161FF40
4C161HH28
4C161NN01
4C161NN03
4C161UU03
(57)【要約】
テザーでつながれた画像化カメラが、そのようなカメラのシェルレンズ要素にカプセル封入されて、生体器官を内部から見て画像化することを様々な方向に/様々な方向から行うことを可能にする。カメラの光学系の一部分、並びに光源及び光検出器がシェル内部のハウジング構造によって互いに協調しており、これらは、画像化処理を中断することなく物体空間の所望の見え方を変更するために、シェル内で可動/再方向付け可能である。テザーは、カメラへの又はカメラからの電気信号を搬送し、カメラへの又はカメラからの光学信号は搬送しない。制御可能な牽引コードがカメラを動かす。手持ち式コントロールユニット及び/又は電子回路が、カメラを動作させ、その動きを駆動するように構成されている。カメラの光学サブシステム、光電子サブシステム、及び光電気機械サブシステムの使用方法についても述べる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学画像化システムであって、
シェル軸を有するほぼ球状のシェルとして寸法決定された第1の光学要素と、
光軸と、前記第1の光学要素に面していて頂点を有する前部レンズ要素と、を有する光学レンズと、
を含み、
前記光学レンズは、回転軸を中心として、前記シェル軸と前記光軸との間で定義される回転角度で回転可能であるように前記第1のレンズ要素内にマウントされており、前記回転角度は、前記シェル軸及び前記光軸の両方を含む選択された面内で少なくとも-90~+90°の範囲のありとあらゆる値を取ることが可能であり、
前記第1の光学要素の一部分が、前記第1の光学要素内の前記光学レンズの前記回転角度に対応する立体角によって範囲を定められていて、光学的に透明であり、第1の、屈折力がゼロでないレンズ要素として構成されており、前記第1のレンズ要素と前記光学レンズとの組み合わせにより、前記光学画像化システムの光学画像化特性及び視野が定義される、
光学画像化システム。
【請求項2】
前記光学レンズの視野(FOV)は、前記光軸から測定される半角が最大88°である、請求項1に記載の光学画像化システム。
【請求項3】
前記第1の光学要素の一部分が、前記第1の光学要素内の前記光学レンズの前記回転角度に対応する立体角によってカバーされていて、光学的に透明であり、前記第1の光学要素と前記光学レンズとの組み合わせにより、前記光学画像化システムの光学系が定義されるように第1のレンズ要素として構成されている、請求項1及び2のいずれか一項に記載の光学画像化システム。
【請求項4】
以下の条件、即ち、
2a)前記シェル軸は、前記第1の光学要素の対称軸である、という条件、
2b)前記ほぼ球状のシェルの厚さの値は、前記シェル軸から測定される角度の関数として一定のままである、という条件、並びに
2c)前記回転軸は前記ほぼ球状のシェルの中にある、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項1~3のいずれか一項に記載の光学画像化システム。
【請求項5】
前記回転軸を中心とする前記光学レンズの回転角度がどれだけであっても、前記前部レンズ要素の頂点が前記ほぼ球状のシェルの内面から等距離のままである、請求項1~4のいずれか一項に記載の光学画像化システム。
【請求項6】
前記光学レンズは、負メニスカス光学レンズ要素のペアと、前記正レンズ要素のペアと、を含み、前記光学レンズの光学歪みは、66°までのどの半視野角においても40%を超えない、請求項1、2、4、及び5のいずれか一項に記載の光学画像化システム。
【請求項7】
前記光学レンズは、以下の条件、即ち、
7a)前記光学レンズは、非点収差が、矢状面又は接平面のいずれかにおいて、前記光学レンズの視野内の全ての視野高さにおいて25ミクロンを超えないことを特徴とする、という条件、
7b)前記光学レンズは、前記光学歪みが、44°までのどの半視野角においても20%を超えないことを特徴とする、という条件、並びに
7c)前記光学レンズは、前記光学歪みが、前記光学レンズの最大半視野角までのどの半視野角においても80%を超えないことを特徴とする、という条件
のうちの少なくとも1つを満たす、請求項6に記載の光学画像化システム。
【請求項8】
前記光学レンズは、負メニスカス光学レンズ要素のペアと、前記正レンズ要素のペアと、を含み、
光学系は、光学歪みが、前記光学系の最大半視野角までのどの半視野角においても20%を超えないことを特徴とする、
請求項1、2、4、及び4のいずれか一項に記載の光学画像化システム。
【請求項9】
前記光学系は、以下の条件、即ち、
9a)前記光学系は、非点収差が、矢状面又は接平面のいずれかにおいて、前記光学系の視野内の全ての視野高さにおいて20ミクロンを超えないことを特徴とする、という条件、
9b)前記光学系は、前記光学歪みが、66°までのどの半視野角においても10%を超えないことを特徴とする、という条件、並びに
9c)前記光学系は、前記光学歪みが、44°までのどの半視野角においても5%を超えないことを特徴とする、という条件
のうちの少なくとも1つを満たす、請求項8に記載の光学画像化システム。
【請求項10】
前記第1の光学要素と、前記第1のレンズ要素内の前記光学レンズとは、全体として空間的に再配置可能であるように互いに対して固定され、それによって、前記第1のレンズ要素の、空間内での再配置が、前記回転軸を中心とする前記光学レンズの回転がない所定の様式で行われる場合、前記光学レンズの、空間内での再配置も同じ所定の様式で行われる、請求項1~9のいずれか一項に記載の光学画像化システム。
【請求項11】
以下の条件、即ち、
11a)前記光学画像化システムの画像化面と前記前部レンズ要素の前記頂点との間の距離が5mmを超えない、という条件、
11b)前記前部レンズ要素の径が4mmを超えない、という条件、並びに
11c)前記光学画像化システムの空間解像度が少なくとも50ミクロンである、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項1~10のいずれか一項に記載の光学画像化システム。
【請求項12】
前記光学レンズの背後にあって、画像化面を定義している光検出器と、
前記光軸に直角な面内の、前記前部レンズ要素の周囲に配置されて、前記光軸に沿って光を放射する光源と、
を更に含み、
前記光検出器及び前記光源の両方が、(例えば、前記光学レンズに空間的に従って動くように)前記光学レンズと空間的に協調している、
請求項1~11のいずれか一項に記載の光学画像化システム。
【請求項13】
請求項1~12のいずれか一項に記載の光学画像化システムを含む光電子システムであって、前記ほぼ球状のシェルがほぼ流体を通さないことを特徴とし、
更に、
電子回路を載せたプリント回路基板(PCB)を含み、前記電子回路は、前記電子回路のうちの、少なくとも、(a)前記光学画像化システムで取得された光学画像の転送のためのストリームフォーマットを、前記シェルの外部で定義することと、(b)前記光学画像化システムの光源に印加される電圧を調節することと、を行うように識別された部分を制御するように構成されたプログラム可能マイクロプロセッサを含み、
前記PCBは、前記光検出器と電気的に接続されている、
光電子システム。
【請求項14】
前記光電子システムは、前記ほぼ球状のシェルの内部に電源がない、請求項13に記載の光電子システム。
【請求項15】
請求項1~14のいずれか一項に記載の光学画像化システムを含む光電子システムであって、前記ほぼ球状のシェルがほぼ流体を通さないことを特徴とし、
更に
テザーを含み、前記テザーの第1の端部から前記テザーの中を導電性部材が延びており、前記導電性部材は前記シェルの中身と電気的に接触しており、前記テザーの第2の端部が前記シェルの外側にあり、前記テザーは、前記テザーの内部に光学要素がない、
光電子システム。
【請求項16】
更に
テザーを含み、前記テザーの第1の端部から前記テザーの中を導電性部材が延びており、前記導電性部材は前記電子回路の一要素と電気的に接触しており、前記テザーの第2の端部が前記シェルの外側にあり、前記テザーは、前記テザーの内部に光学要素がない、
請求項13及び14のいずれか一項に記載の光電子システム。
【請求項17】
請求項15及び16のいずれか一項に記載の光電子システムと、
前部部分及びベース部分を有する光学レンズホルダであって、前記前部部分は前記光源を搭載し、一方、前記PCBは前記ベース部分に取り付けられている、前記光学レンズホルダと、
前記光学レンズホルダの第1の点に接続された第1のストリング、及び前記光学レンズホルダの第2の点に接続された第2のストリングであって、前記第1及び第2の点は、前記光軸を挟んでほぼ直径方向に互いに対向している、前記第1及び第2のストリングと、
を含み、
前記第1及び第2のストリングは、前記テザーの中を通って、前記テザーの前記第2の端部にあるリモートコントローラまで延伸されており、前記リモートコントローラは、前記第1及び第2のストリングのうちの選択されたストリングを引っ張って、前記光学レンズを前記シェル軸に対して傾斜させるように構成されている、
光電気機械システム。
【請求項18】
以下の条件、即ち、
18a)前記光電気機械システムは、前記ベース部分の中心に接続されて、前記テザーの中を前記ベース部分の前記中心から前記リモートコントローラ内の弾性要素まで延伸されている第3のストリングを含み、前記リモートコントローラは、前記光学レンズの名目方向を安定させるように構成されている、という条件、
18b)前記リモートコントローラは、ラックアンドピニオン機構を前記リモートコントローラのハウジング内に含み、前記ラックアンドピニオン機構は、前記第1及び第2のストリングのうちの選択されたストリングを引っ張るように構成されている、という条件、
18c)前記リモートコントローラは、モータ及びマイクロコントローラを前記リモートコントローラの前記ハウジング内に含み、前記マイクロコントローラは、前記ラックアンドピニオン機構を動作させるように前記モータを制御するように構成されている、という条件、並びに
18d)前記第1及び第2のストリングは、前記第1及び第2のストリングの引っ張り中に前記第1及び第2のストリングを伸ばす力を抑えるために、前記テザーの軸方向部分に配置されたらせんコイル又はチューブに個別に収容されている、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項17に記載の光電気機械システム。
【請求項19】
光学画像を形成する方法であって、少なくとも、
請求項1~12のいずれか一項に記載の光学画像化システムを使用することと、
前記第1の光学要素の内部の前記光源が発生させる光で前記第1の光学要素を通して前記物体空間の標的部分を照明するステップと、
前記標的部分から反射した前記光を前記光学画像化システム内に伝送することによって、前記光検出器において前記光の空間分布の光学的共役を形成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項20】
前記シェルを前記標的部分に対して固定したままで、前記ほぼ球状のシェルの内部の前記光学レンズを動かすステップを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
(21a)前記光学レンズを前記シェル内で固定したままで、前記ほぼ球状のシェルを前記標的部分に対して再配置するステップ、及び
(21b)前記光学レンズを前記シェル内で動かしながら、前記ほぼ球状のシェルを前記標的部分に対して再配置するステップ
のいずれかを更に含む、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
光学画像を形成する方法であって、少なくとも、
請求項13~16のいずれか一項に記載の光電子システムを使用することと、
前記光学画像を表す電気信号を、前記ほぼ球状のシェルの内部から、前記シェルの外部にある電子回路まで前記テザーを通して転送するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項23】
(23a)前記光学画像を転送するためのストリームフォーマットを定義する電気信号を前記テザーに通すステップ、及び
(23b)マイクロコントローラを使用して、前記光学画像化システムの前記光源に印加される電圧を調節することにより、前記光源の少なくとも1つが発生させる光の強度を変化させるステップ
の少なくともいずれかを更に含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
以下の条件、即ち、
24a)前記転送するステップは、前記光学レンズのホルダのベースに形成された開口を通る導電性部材を通して電気信号を転送するステップを含み、前記開口は、前記光電子システムのうちの前記導電性部材が接続されている部分が傾斜又は回転したときに前記開口内での前記導電性部材の動きを制約しないように寸法決定されている、という条件、
24b)前記転送するステップは、前記光電子システムのうちの前記導電性部材が接続されている前記部分が傾斜又は回転したときの前記導電性部材の曲がりを抑えるために前記光電子システムの回転アクスルの周囲にループ又はらせんを形成するように配置された前記導電性部材を通して電気信号を転送するステップを含む、という条件、並びに
24b)前記光学レンズのホルダのベースの前記開口は、前記光電子システムのうちの前記導電性部材が接続されている前記部分が傾斜又は回転したときの前記導電性部材の曲がりをほぼなくすために、前記導電性部材の向きを側方に変えて前記ホルダの軸から遠ざけるように寸法決定されている、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項22及び23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
光学画像を形成する方法であって、少なくとも、
請求項17~19のいずれか一項に記載の光電気機械システムを使用することと、
前記リモートコントローラを使用して前記第1のストリング及び前記第2のストリングの少なくとも一方を引っ張って、前記光学レンズの角度方位を前記シェル軸に対して変化させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
【請求項26】
前記引っ張るステップは、それぞれの対応するらせんコイル又はチューブで覆われて、前記テザーの前記軸方向領域内に配置された前記第1のストリング及び前記第2のストリングの少なくとも一方を引っ張るステップを含み、このように覆われて配置されるのは、
26a)前記引っ張るステップによって前記第1のストリング及び前記第2のストリングの少なくとも一方が強制的に伸ばされるのを抑える効果、並びに
26b)前記第1のストリング及び前記第2のストリングの少なくとも一方の周囲で伸び縮みして、前記光電気機械システムのうちの、前記第1のストリング及び前記第2のストリングの前記少なくとも一方が取り付けられている部分が傾斜又は回転したときの前記第1のストリング及び前記第2のストリングの前記少なくとも一方の曲がりの度合いを抑える効果
の少なくともいずれかの効果を達成するためである、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
上記引っ張るステップを中止するステップと、
前記第1のストリング及び前記第2のストリングに応力がかかっていない間に、前記光学レンズを前記名目方向に戻すように前記第3のストリングをマニピュレートするステップと、
を更に含む、請求項25及び26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記引っ張るステップは、前記リモートコントローラの前記ハウジング内で前記ラックアンドピニオン機構を動作させるステップを含む、請求項24~27のいずれか一項に記載の方法。
【請求項29】
前記ラックアンドピニオン機構を動作させる前記ステップは、ステッパモータ及びドライバを使用して、ピニオンに固定されたベベルギヤを回転させるステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
第1の軸を有する第1のレンズ要素と、第2の軸を有する光学レンズと、を含む光学系により物体を画像化する方法であって、
前記光学レンズを、前記第1のレンズ要素で定義されたボリューム内で、前記ボリューム内にある回転軸を中心として回転させるステップと、
前記回転の各角度において、前記光学系を通る、前記物体からの光を、前記ボリューム内に配置された光検出器で取得するステップと、
前記光の空間分布を表す信号を、前記ボリュームレンズ要素の内部から前記ボリュームの外部に転送するステップと、
を含む方法。
【請求項31】
以下の条件、即ち、
(31a)前記第1のレンズ要素は、前記光学レンズの少なくとも一部分を包み込んでおり、前記方法は更に、光源から前記第1のレンズ要素だけを通して送達される照明光を物体に照射するステップを含む、という条件、並びに
(32b)前記取得するステップは、前記物体からの前記光を、前記第1のレンズ要素及び前記光学レンズの両方を通して取得するステップを含む、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされ、
前記転送するステップは、電気信号を伝送するステップを含み、光学信号を伝送するステップを含まない、
請求項30に記載の方法。
【請求項32】
以下の条件、即ち、
(32a)前記回転させるステップは、前記光学レンズの前部レンズ要素を前記第1のレンズ要素から隔てている距離を、前記第1の軸及び前記第2の軸の両方を含む面内での前記第1の軸と前記第2の軸との間で測定される、少なくとも+90°~-90°の範囲内で選択されるどの緯度回転角度においてもほぼ一定に保ちながら、前記光学レンズをある緯度回転角度で回転させるステップを含む、という条件、並びに
(32b)前記方法は更に、前記光学レンズを回転させる前記ステップと同時に、又は前記光学レンズを回転させる前記ステップに続いて、前記第1のレンズ要素を前記第1の軸を中心として、ある方位回転角度だけ回転させるステップを含む、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項30に記載の方法。
【請求項33】
以下の条件、即ち、
(33a)前記光学系の視野(FOV)は半角が少なくとも80°であり、前記回転軸を中心として前記光学レンズを回転させる前記ステップ、及び前記第1の軸を中心として前記第1のレンズ要素を360°回転させる前記ステップによって前記物体空間内で前記光学系によって範囲を定められる合計立体視野角が少なくとも3.8πステラジアンである、という条件、並びに
(33b)前記第1の軸を中心として前記第1のレンズ要素を回転させる前記ステップは、前記第1のレンズ要素の開口を通して延伸されているテザーをねじることによって、前記ボリュームの中身を前記第1のレンズ要素の外側の一点と接続するステップを含み、前記テザーは、前記テザーの長さに沿って第1の点と第2の点とを接続する光学チャネルを全く有しない、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
以下の条件、即ち、
(34a)前記光学レンズを回転させる前記ステップは、立体角が少なくとも3πステラジアン以内で前記第1のレンズ要素の表面の湾曲の中心から見えるどの方向においても、屈折力がゼロでない前記第1のレンズ要素の光学的厚さがほぼ一定のままで、ボリューム内に封入された前記光学レンズを回転させるステップを含む、という条件、並びに
(34b)前記物体からの光を取得する前記ステップは、屈折力がゼロでない前記第1のレンズ要素を通して前記物体からの光を取得するステップを含み、前記第1のレンズ要素の光学特性は、前記立体角以内で前記湾曲中心から見えるどの方向においてもほぼ一定のままである、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項30に記載の方法。
【請求項35】
以下の条件、即ち、
(35a)前記光学レンズを回転させる前記ステップは、前記光学レンズのエッジの一部分を、前記第1の軸にほぼ平行な方向に引っ張るステップを含む、という条件、並びに
(35b)前記光学レンズを回転させる前記ステップは、前記光学レンズのレンズ要素のエッジにある第1及び第2の点に、時間的に交互に力をかけるステップを含み、前記第1及び第2の点は、前記第2の軸を中心として直径方向に互いに対向している、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項30に記載の方法。
【請求項36】
以下の条件、即ち、
(36a)前記引っ張るステップ及び前記力をかけるステップのいずれかが、テザー内の、前記テザーの軸方向領域内に配置された機械的部材を使用して前記光学レンズを再配置することにより、前記引っ張るステップによって前記機械的部材が強制的に伸ばされるのを抑えるステップを含み、
前記テザーは、光学要素が全くなく、遠位端部が、前記ボリューム内に収容された構成要素に取り付けられており、前記第1のレンズ要素にあるアパーチャを経由して前記第1のレンズ要素を通り抜けて前記構成要素まで延伸されている、という条件、並びに
(36b)前記機械的部材は、前記機械的部材の周囲で伸び縮みして、前記引っ張るステップの間の前記機械的部材の曲がりの度合いを抑えるチューブ又はらせんコイルで覆われている、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項35に記載の方法。
【請求項37】
前記ボリュームの内部に配置された前記複数の光源からの光源を前記第2の軸に沿って前記物体に照射するステップ
を含む、請求項30に記載の方法。
【請求項38】
以下の条件、即ち、
(38a)前記光の空間分布を表す信号を転送する前記ステップは、光学要素が全くないテザーを通して前記信号を転送するステップを含み、前記テザーの遠位端部が、前記ボリューム内に収容された構成要素に取り付けられている、という条件、
(38b)前記転送するステップは、前記光学レンズのホルダのベースに形成された開口を通る導電性部材を通して電気信号を転送するステップを含み、前記開口は、前記光電子システムのうちの前記導電性部材が接続されている部分が傾斜又は回転したときに前記開口内での前記導電性部材の動きを制約しないように寸法決定されている、という条件、
(38c)前記転送するステップは、前記光電子システムのうちの前記導電性部材が接続されている前記部分が傾斜又は回転したときの前記導電性部材の曲がりを抑えるために前記光電子システムの回転アクスルの周囲にループ又はらせんを形成するように配置された前記導電性部材を通して電気信号を転送するステップを含む、という条件、並びに
(38d)前記光学レンズのホルダのベースの前記開口は、前記光電子システムのうちの前記導電性部材が接続されている前記部分が傾斜又は回転したときの前記導電性部材の曲がりをほぼなくすために、前記導電性部材の向きを側方に変えて前記ホルダの軸から遠ざけるように寸法決定されている、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項30に記載の方法。
【請求項39】
前記ボリューム内に収容されているいかなる構成要素のいかなる動きも、前記ボリューム内で前記回転軸を再配置することを含まない、請求項30に記載の方法。
【請求項40】
ある光学視野(FOV)を有する画像化カメラであって、
屈折力がゼロでない第1のレンズ要素と、
前記第1のレンズ要素でほぼ囲まれたボリュームの内部に配置された光学レンズであって、前記FOVは、前記第1のレンズ要素及び前記光学レンズの両方で定義されている、前記光学レンズと、
前記光学レンズの構成レンズ要素同士を互いに対して固定している光学レンズホルダと、
前記第1のレンズ要素によって形成されているアパーチャを通って前記ボリューム内に延伸されているコードであって、前記コードの近位端部が前記光学レンズホルダに取り付けられている、前記コードと、
を含む画像化カメラ。
【請求項41】
前記FOVは、前記第1のレンズ要素と前記光学レンズとの組み合わせによってのみ定義され、前記ボリュームの内部に配置された光源と、前記アパーチャを通って前記ボリューム内に延伸されて前記光源に電気的に接続されている電気部材と、を更に含む、請求項40に記載の画像化カメラ。
【請求項42】
前記アパーチャによって範囲が定まる線形角度は、前記第1のレンズ要素の湾曲の中心から見て45度を超えない、請求項40に記載の画像化カメラ。
【請求項43】
回転軸を中心として前記光学レンズを回転させるように構成されていて、前記光学レンズを前記第1のレンズ要素の表面から隔てている距離が、そのような回転のどの角度においても一定のままであり、前記回転軸は前記ボリューム内に配置されている、請求項40に記載の画像化カメラ。
【請求項44】
前記FOVは、3つのメニスカスレンズ要素と、それぞれが2つの凸面によって拘束されている2つのレンズ要素と、の組み合わせによって定義されている、請求項40に記載の画像化カメラ。
【請求項45】
前記コードがその中を延びるテザーを更に含み、前記テザーは、前記テザーの内部に光学要素がなく、前記コードは、前記テザーの軸方向部分に配置されたチューブ又はらせんコイルに収容されている、請求項40に記載の画像化カメラ。
【請求項46】
ある光学視野(FOV)を有する画像化カメラであって、
屈折力がゼロでない第1のレンズ要素であって、前記第1のレンズ要素でほぼ囲まれたボリュームと、前記ボリュームへのアクセスを提供するように構成されたアパーチャと、を画定している前記第1のレンズ要素と、
前記ボリュームの内部に配置された光学レンズであって、前記FOVは、前記第1のレンズ要素と前記光学レンズとの組み合わせによってのみ定義されている、前記光学レンズと、
前記ボリュームの内部にあって、前記第1のレンズ要素を通してのみ、前記第1のレンズ要素の外側の物体空間を照明するように構成された光源と、
前記ボリュームの内部にあって、前記第1のレンズ要素及び前記光学レンズの両方を通して前記物体空間からの光を取得するように構成された光検出器と、
を含む画像化カメラ。
【請求項47】
前記光学レンズ、前記光源、及び前記光検出器は、機械的構造を使用して互いに機械的に協調することにより、前記光学レンズと前記光源と前記光検出器との間の相互の空間的な位置及び方位が不変に保たれるサブアセンブリを形成しており、
前記機械的構造は、前記ボリュームの完全に内部に配置されており、
前記機械的構造は、前記サブアセンブリの、前記第1のレンズ要素からの角度方位に無関係に、前記光学レンズの頂点の、前記第1のレンズ要素からの離隔距離をほぼ一定に保ったまま、前記角度方位を変化させるように構成されている、
請求項46に記載の画像化カメラ。
【請求項48】
前記光源及び前記光検出器の少なくとも一方に電気的に接続された導電性部材を含み、前記導電性部材は、前記アパーチャを通って前記ボリューム内に延伸されており、前記機械的構造のベースに形成された開口を通って延伸されており、以下の条件、即ち、
(48a)前記開口は、前記機械的構造が前記ボリューム内で傾斜又は回転しているときに前記開口内での前記導電性部材の動きを制約しないように寸法決定されている、という条件、
(48b)前記機械的構造が前記ボリューム内で傾斜又は回転しているときの前記導電性部材の曲がりを抑えるために、前記導電性部材は、前記機械的構造の回転アクスルの周囲にループ又はらせんを形成するように配置されている、という条件、並びに
(48c)前記光学レンズのホルダのベースの前記開口は、前記機械的構造が傾斜又は回転しているときの前記導電性部材の曲がりをほぼなくすために、前記導電性部材の向きを側方に変えて前記機械的構造の軸から遠ざけるように寸法決定されている、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項47に記載の画像化カメラ。
【請求項49】
前記アパーチャによって範囲が定まる線形角度は、前記第1のレンズ要素の湾曲の中心から見て45度を超えない、請求項46に記載の画像化カメラ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、生体器官の内部を画像化することに関し、特に、画像化システムであって、その画像化システムの一部分が、別の一部分によって慎重にカプセル封入されて、そのような別の封入カプセル部分の中で、封入カプセル部分によって画定されているアパーチャを貫通する機械的部材の使用によって回転可能であるように構成されている、画像化システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特定の身体器官(例えば、食道、胃、又は小腸(消化管))を検査するために、現行の先行技術では内視鏡を利用する。内視鏡は、体内器官を画像化するように構成された、細長い、可撓な又は剛体の機器である。そのような機器の構造(そして特にサイズ及び形状)(径が約10mm、長さが約1100mm)のために、検査の処置は非常に特殊な形式で行われることが必要である。即ち、処置の間、患者は少なくとも平静を保っていなければならず、好ましくは、鎮静状態でなければならない。そのような大きなサイズの機器を、口から咽頭を経由して食道、胃、及びその先まで進めなければならず、これは、装置が動いていく通り道を見ながら装置を押し進めることによって行われる。そのような装置の少なくとも一部分が、(典型的には約10mm径の)剛体の又は可撓な長い挿入シースを含み、これは、その中空部に様々なワイヤ、光チャネル、他のハードウェア構成要素を保持し、これらの中身を環境から保護する。
【0003】
更に、医師が内視鏡を消化管に沿ってある程度力ずくで前進させなければならない。装置は、このように力をかけない限り、簡単に飲み込まれて前進することができない。そして、そのような従来型構造の内視鏡の動作は、(例えば)シースの遠位端部をその元の位置から又はその元の位置に対して物理的に回転させること又は反らせること又は曲げることに必然的に関連付けられる。そしてそのことは、プローブと身体組織との間の物理的衝突、それによる体腔の外傷の発生につながる。検査を混乱なく円滑に進めて必要なデータを収集するためであるのはもちろんのこと、そのような処置に耐えるためであっても、患者は典型的には鎮静状態でなければならず、これは、保護的な生理的反射を弱めることによって処置のリスクを高めるものである。従来型内視鏡は、内視鏡の先端部を動かして/曲げて画像化カメラを方向付けることによって複数の方向を見ることを達成するが、これは、先端部が干渉する器官内面に外傷を引き起こす可能性がある。更に、そのような従来型内視鏡による反転操作された視野は、装置のまさにシースによって少なくとも一部分が覆い隠される。
【0004】
消化管等の体内からの画像を提供する別の選択肢として、封止されたカプセル状のハウジングに封入された、無線式のスタンドアロン飲み込み可能画像化プローブが考えられるが、その画像化処理は、使用される光学部品及び画像センサが小さいことによる画像解像度の低さがネックであることが認識されており、又、画像は、通常、一旦記憶され、処置が終わってからダウンロードして初めて見ることが可能である。当業者であれば容易に理解されるように、カプセル封入された無線カメラがライブ映像を送信するようにフォーマットされていたとしても、ユーザの判断でカメラの制御を実施することは現実的ではないであろう。それは、無線カプセルの方向、位置、及び動きが、重力、体位の変化、消化器官又は周囲器官の筋肉の動きによって決定され、これらのパラメータのほとんどが時間とともに変動し、患者ごとに様々であるためである。例えば、画像化方向を制御できないことは、画像化処置に好ましくない影響を及ぼす。これは、(例えば、胃等の)臓器腔を見ることが不十分になって、病変の見落としや最終的な誤診につながるためである。病変又は標的が一瞬観測されたとしても、収集された情報を再確認すること、又は詳細に拡大して見ることが必要とされる場合に、カプセルが自由落下していたのでは、そのような場所を再度又は繰り返し画像化することができない。実際、医師は、胃の潰瘍の辺縁を観察して、辺縁隆起等の腫瘍性成長の徴候を評価するために潰瘍の側面図を必要とする場合があり、或いは、画像化のコントラストを高めるために白色光よりも単色波長を追加で使用したい場合があり、或いは、様々な組織に関する構造情報又は代謝情報を集めるために、蛍光、自己蛍光、又は第2又は第3高調波発生の技術を含む画像化方法を使用する場合がある。同じ又は異なる画像化モダリティにより、様々な角度からの繰り返して見ることを必要とすることにより、貴重な診断情報が得られる。
【0005】
胃等の臓器を検査する際には、いかなる病変も見逃さないように臓器全体を繰り返し見ることが重要である。回転運動及び高度方向の運動を操作者が制御できること、並びに意識のある患者が体位を変えられることにより、完全な球面の見え方を達成することが可能になる。従来の構成のシース入り内視鏡のようなプローブチューブでは完全な球面の見え方は通常は不可能であり(それに対応する画像化処置を実施することに伴う複雑さは言うまでもなく)、一方、スタンドアロンのカプセル封入カメラでは、広角且つ繰り返し可能な画像化処理は不可能である。従って、現時点で利用可能な画像化方法は、少なくとも画像化の多用性と使用法の簡単さとに関する限り、特定の身体器官(例えば、食道、胃、又は小腸(消化管))を画像化するという特定のニーズを満たすには不十分である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、上記従来の技術における課題を解決するためになされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のアイデアの実施態様は、生体器官(例えば、食道、胃、又は腸等)の内部から、又は無生物物体又は無生物空間の内部から様々な方向に標的物体空間を(必要に応じて繰り返し)見て画像化するように構造化された、テザーでつながれカプセル封入された光電子画像化システムのための方法及び装置を対象とする。カプセル封入用ハウジング又はシェルの内部の光学系の一部分が、慎重に再配置可能であるように構造化されていて、その一部分は、光学画像化システムそのものと見なされる部分に対してシェルが固定されたままで、様々な方向に方向付けられることが可能であり、それによって、ユーザは、テザーでつながれたシステムの全体を動かしたり再配置したりすることなく所望の見え方を達成することが可能である(そして更に、テザーでつながれたシステムの全体を再配置することは、後述のようにテザーをマニピュレートすることにより実施可能である)。カプセル封入用ハウジングシェルの内部の画像化カメラ全体のうちの一部分に、レンズ要素、画像センサ又は光検出器、幾つかの照明源、及び説明されるような関連の電子回路が収容され、これらは全て、コンパクトな機械的ハウジング構造内に保持されるため、1つの光電気機械システムと見なすことができる。このカメラハウジング構造は、画像化処理を全く中断することなく、ユーザの所望のままにカプセル封入用シェルの内部で動くことが可能であるように構成されている。(患者が本システムを飲み込むことが容易であるように構成された)細い可撓テザーは、カプセル状ハウジングに固定されており、画像化カメラに電力を供給すること、並びに画像データを収集及び転送することに必要なワイヤを保持するだけでなく、カプセル内部のカメラの一部分の所望の動きに作用するように構成されたコード又はストリングも保持する。特に、従来型構造の内視鏡(腹腔鏡、又は他の従来型画像化プローブ)のシースで覆われた部分と比べて有利なことに、本発明の一実施形態のテザーは、テザーの一方の端部から他方の端部へ光を伝送するように構成された光学チャネルを全く含まない(即ち、そのような光学チャネルが欠落している、即ち、ない)。具体的な実施態様の詳細によっては、シェルのボリュームの内部に光学系をカプセル封入しているシェルが、標的物体空間の、動作的に満足できる画質の光学画像を形成するために存在することが必要とされる光学画像化トレインの一部として構成されてよく、それによって、シェルはレンズ要素そのものと見なされ、そのように動作することになる。そのような一具体例では、当業者であれば容易に理解されるように、光学画像化トレインの一部分が、光学画像化トレインの別の部分の内部で動くように構造化される。
【0008】
従って、本発明の詳細説明を読むことで明らかになることであるが、本発明の実施形態は、第1の光学要素及び光学レンズ(アセンブリ)を少なくとも含む光学画像化システムを提供し、第1の光学要素は、シェル軸を有するほぼ球状のシェルとして寸法決定されており、光学レンズ(アセンブリ)は、光軸と、第1の光学要素に面していて光軸上に頂点を有する前部レンズ要素と、を有する(第1の光学要素は、一具体例では、屈折力がゼロでない第1のレンズ要素として構成されてよく、光学レンズとともに、光軸から測定して最大88度の半角を有するFOVを定義し、それによって、このFOVで範囲が定まる物体空間と光学的に共役な光学画像が形成される)。ここで、光学レンズは、回転軸を中心として、シェル軸と光軸との間で定義される回転角度で回転可能であるように第1の光学要素内にマウントされており、回転角度は、シェル軸及び光軸の両方を含む選択された面内で少なくとも-90°から少なくとも+90°の範囲のありとあらゆる値を取ることが可能である。言い換えると、第1の光学要素の一部分が、第1の光学要素内の光学レンズの回転角度に対応する立体角によってカバーされていて、即ち、範囲を定められていて、光学的に透明であるように作られており、第1の、屈折力がゼロでないレンズ要素として構成されており、それによって、第1のレンズ要素と光学レンズとの組み合わせにより、光学画像化システムの光学画像化特性及び視野が定義されている。
【0009】
第1の光学要素の一部分の範囲が、第1の光学要素内の光学レンズの回転角度に対応する立体角によって定まる。代替又は追加として、光学画像化システムの任意の実施態様において、以下の条件、即ち、シェル軸は、第1の光学要素の対称軸である、という条件、ほぼ球状のシェルの厚さの値は、シェル軸から測定される角度の関数として一定のままである、という条件、並びに、回転軸はほぼ球状のシェルの中にある、という条件のうちの少なくとも1つが満たされる。ほぼあらゆる実施態様において、光学画像化システムは、回転軸を中心とする光学レンズの回転角度がどれだけであっても、前部レンズ要素の頂点がほぼ球状のシェルの内面から等距離のままであるように寸法決定される。
【0010】
光学画像化システムの少なくとも1つの具体例では、光学レンズは、負メニスカス光学レンズ要素のペアと、正レンズ要素のペアと、を含んでよく、そのような光学レンズの光学歪みは、66°までのどの半視野角においても40%を超えない。この場合には、光学レンズは、以下の条件、即ち、光学レンズは、非点収差が、矢状面又は接平面のいずれかにおいて、光学レンズの視野内の全ての視野高さにおいて25ミクロンを超えないことを特徴とする、という条件、光学レンズは、光学歪みが、44°までのどの半視野角においても5%を超えないことを特徴とする、という条件、並びに、光学レンズは、光学歪みが、光学レンズの最大半視野角までのどの半視野角においても15%を超えないことを特徴とする、という条件のうちの少なくとも1つを満たすように構造化されてよい。
【0011】
代替又は追加として、任意の実施形態において現実的に、第1の光学要素の少なくとも一部分が(第1の光学要素内の光学レンズの回転角度に対応する立体角によってカバーされていて又は範囲を定められていて)、光学的に透明であるように作られており、第1の光学要素と光学レンズとの組み合わせにより、前記光学画像化システムの光学系が定義されるように第1のレンズ要素として構成されてよい。ここで、光学レンズは、負メニスカス光学レンズ要素のペアと、正レンズ要素のペアと、を含み、光学画像化システムは、光学歪みが、光学系の最大半視野角までのどの半視野角においても10%を超えないことを特徴とする(後者の場合、光学画像化システムは、以下の条件、即ち、光学画像化システムは、非点収差が、矢状面又は接平面のいずれかにおいて、光学系の視野内の全ての視野高さにおいて20ミクロンを超えないことを特徴とする、という条件、光学画像化システムは、光学歪みが、66°までのどの半視野角においても10%を超えないことを特徴とする、という条件、並びに、光学画像化システムは、光学歪みが、88°までのどの半視野角においても15%を超えないことを特徴とする、という条件のうちの少なくとも1つを満たすように構成されている)。
【0012】
少なくとも1つの実施形態では、光学画像化システムは、以下の条件、即ち、光学画像化システムの画像化面と光学レンズ(アセンブリ)の前部レンズ要素の頂点との間の距離が5mmを超えない、という条件、前部レンズ要素の径が4mmを超えない、という条件、並びに、光学画像化システムの空間解像度が少なくとも50ミクロンである、という条件のうちの少なくとも1つを満たす。
【0013】
ほぼあらゆる実施形態において、光学画像化システムは、本発明の光電子システムを形成するために、光学レンズの背後にあって、画像化面を定義している光検出器、及び/又は、光軸に直角な面内の、光学レンズの前部レンズ要素の周囲に配置されて、光軸に沿って光を放射する光源で補完されてよい(ここで、光検出器及び光源の両方が、(例えば、光学レンズに空間的に従って(即ち、空間的に一致して)動くように)光学レンズと空間的に協調している)。そのように補完されると、そして、ほぼ球状のシェルがほぼ流体を通さないようにフォーマットされると、光電子システムは更に、電子回路を載せたプリント回路基板(PCB)を含んでよい(電子回路は、電子回路のうちの、少なくとも、(a)光学画像化システムで取得された光学画像の転送のためのストリームフォーマットを、シェルの外部で定義することと、(b)光学画像化システムの光源に印加される電圧を調節することと、を行うように識別された部分を制御するように構成されたプログラム可能マイクロプロセッサを含み、PCBは、光検出器と電気的に接続されている)。後者の場合、光電子システムは、好ましくは(但し任意選択で)ほぼ球状のシェルの内部に電源がない。
【0014】
光電子システムが、ほぼ流体を通さないほぼ球状のシェルを有する光学画像化システムを含む、いずれの場合においても、光電子システムはテザーで補完されてよく、テザーの第1の端部からテザーの中を導電性部材が延びており、導電性部材はシェルの中身と電気的に接触しており、テザーの第2の端部がシェルの外側にある。そのようなテザーは、必然的に、テザーの内部に光学チャネルがない(光学チャネルを欠いている、即ち、含まない)ように構成されている。
【0015】
光電子システムの上記で明らかにされたいずれの実施形態も、前部部分及びベース部分を有する光学レンズホルダ(前部部分は光源を搭載し、一方、PCBはベース部分に取り付けられている)を備えてよく、光学レンズホルダの第1の点に接続された第1のストリング、及び光学レンズホルダの第2の点に接続された第2のストリング(第1及び第2の点は、光軸を挟んでほぼ直径方向に互いに対向している)を備えてよい。ここで、第1及び第2のストリングは、テザーの中を通って、テザーの第2の端部にあるリモートコントローラまで延伸されており、リモートコントローラは、第1及び第2のストリングのうちの選択されたストリングを引っ張って、シェル内部の光学レンズをシェル軸に対して傾斜させるように構造化されている。本発明の光電気機械システムの後者の場合は、以下の条件、即ち、光電気機械システムは、ベース部分の中心に接続されて、テザーの中をベース部分の中心からリモートコントローラ内の弾性要素まで延伸されている第3のストリングを含み、リモートコントローラは、光学レンズの名目方向を安定させるように構成されている、という条件、リモートコントローラは、ラックアンドピニオン機構をリモートコントローラのハウジング内に含み、ラックアンドピニオン機構は、第1及び第2のストリングのうちの選択されたストリングを引っ張るように構成されている、という条件、並びに、リモートコントローラは、モータ及びマイクロコントローラをリモートコントローラのハウジング内に含み、マイクロコントローラは、ラックアンドピニオン機構を動作させるようにモータを制御するように構成されている、という条件のうちの少なくとも1つを満たすように更に構造化されてよい。
【0016】
本発明の実施形態は更に、光学画像を形成する方法を提供し、本方法は少なくとも、上記で明らかにされた実施形態のいずれかによる光学画像化システムを使用することと、第1の(シェル状)レンズ要素の内部に封入された光源が発生させる光で第1の(シェル状)レンズ要素を通して物体空間の標的部分を照明するステップと、標的部分から反射した光を光学画像化システム内に伝送することによって、光検出器においてそのような光の空間分布の光学的共役を形成するステップと、を含むことを特徴とする。本方法は更に、シェルを標的部分に対して固定したままで、ほぼ球状のシェルの内部の光学レンズを動かすステップ、及び/又は、以下のステップ、即ち、光学レンズをシェル内で固定したままで、ほぼ球状のシェルを標的部分に対して再配置するステップ、並びに、光学レンズをシェル内で動かしながら、ほぼ球状のシェルを標的部分に対して再配置するステップのうちの少なくとも1つのステップを含んでよい。
【0017】
本発明の実施形態は又、光学画像を形成する方法を提供し、本方法は少なくとも、上記で明らかにされた実施態様のいずれかによる光電子システムを使用することと、取得された光学画像を表す電気信号を、ほぼ球状のシェルの内部から、シェルの外部にある電子回路までテザーを通して転送するステップと、を含むことを特徴とする。少なくとも1つの場合には、本方法は更に、以下のステップ、即ち、光学画像を転送するためのストリームフォーマットを定義する電気信号をテザーに通すステップ、及び、マイクロコントローラを使用して、光学画像化システムの光源に印加される電圧を調節することにより、光源の少なくとも1つが発生させる光の強度を変化させるステップのうちの少なくとも1つのステップを含んでよい。
【0018】
加えて、本発明の実施形態は更に、光学画像を形成する方法を提供し、本方法は少なくとも、上記で明らかにされた実施形態のいずれかによる光電気機械システムを使用することと、リモートコントローラを使用して第1のストリング及び第2のストリングの少なくとも一方を引っ張って、光学レンズの角度方位をシェル軸に対して変化させるステップと、を含むことを特徴とする。そのような方法は更に、そのような引っ張るステップを中止するステップと、第1のストリング及び第2のストリングに応力がかかっていない間に、光学レンズを名目方向に戻すように第3のストリングをマニピュレートするステップと、で補完されてよい。代替又は追加として、引っ張るプロセスは、リモートコントローラのハウジング内でラックアンドピニオン機構を動作させるステップ、及び/又は、ステッパモータ及びドライバを使用して、ピニオンに固定されたベベルギヤを回転させるステップを含んでよい。
【0019】
本発明は、この後の「発明を実施するための形態」を、正しい縮尺では描かれていない添付図面と併せて参照することにより、より完全に理解されよう。図面は以下のとおりである。
【0020】
一般に、図面内の各要素のサイズ及び相対的な縮尺は、実際の要素とは異なるように設定されている場合があるが、これは、図面の簡潔さ、明確さ、及び分かりやすさを適切に促進するためである。同じ理由で、ある図面に存在する要素の全てが必ずしも別の図面でも示されるとは限らない。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一実施形態の一部分の概略斜視図を示す。
【
図2】本発明の一関連実施形態の一部分の概略斜視図である。
【
図3】本発明の一実施形態の画像化カメラの光学系のトレインの実施態様の図解を示しており、この光学系は、物体空間のうちの、対応する視野(FOV)でカバーされる部分を画像化するように構成されている。
【
図4】
図3の光学系によるFOV内の光学画像化中の横方向光線収差について説明している。
【
図7】対応するFOVにおける物体空間の画像化中の、
図3の実施形態の実際的な使用に関連付けられた像面湾曲、歪み特性、及びスポット図をそれぞれ示す。
【
図8】
図3の実施形態についての(画像化視野に対する)変調伝達関数の曲線を示す。
【
図9B】本発明のカプセル封入された実施形態による、画像化カメラの光学系の一部分の角度位置に応じた身体器官の見え方を概略的に示す。
【
図10B】画像化カメラの一部分の一実施形態の側面図であり、ハウジングシェル内部の傾斜駆動コード/ストリング及び電気ケーブル/部材/ワイヤの少なくとも一部分を概略的に示す。傾斜運動は、2本の側方コードで駆動され、第3のコードで制動される。
図10Aは「ポスト」を示す側面図であり、
図10Bは中央コードを示す正面図である。
【
図11】
図10A、10Bに対応する実施形態の斜視図であって、コード、電気ワイヤ、及びベースプレートの位置を示すために外側ハウジングシェルを省略した図を示す。
【
図12】モータを備えた手持ち式リモートコントローラの概略図である。任意選択で存在する、
図10A、10Bの実施形態の光電子構成要素及び/又はサブシステムを制御するように構成され、且つこれらと動作的に協調している電子回路及び/又はマイクロコントローラは、図示を簡潔にするために図示されていない。
【
図13】手持ち式リモートコントローラのコントロールパネルの一例を概略的に示す。
【
図14】導電性部材と、テザー内に延伸されている牽引用コード/ストリングを有する低摩擦チューブと、を有するテザーの断面を概略的に示す。
【
図15B】本発明のシステムの関連実施形態の側面図であり、この実施形態において構成されている、ハウジングシェル内部の傾斜駆動コード/ストリング及び電気ケーブル/部材/ワイヤの少なくとも一部分を概略的に示す。傾斜運動は、レンズのハウジングの外側表面に取り付けられた2本の側方コード/ストリングで駆動される。第3の(制動)コード/ストリングは任意選択であり、図示していない。
図15Aは、「ポスト」及び両方の傾斜コードを示す側面図であり、
図15Bは、それらのコードの一方だけを示す正面図である。
【
図16】
図15A、15Bに対応する実施形態の斜視図であって、コード、電気ワイヤ、及びベースプレートの位置をより明確に示すために外側ハウジングシェルを省略した図を示す。
【
図17】
図15A、15B、16の実施形態で使用されるように構成された、モータを備えた手持ち式リモートコントローラの概略図を示す。任意選択で存在する、
図10A、10Bの実施形態の光電子構成要素及び/又はサブシステムを制御するように構成され、且つこれらと動作的に協調している電子回路及び/又はマイクロコントローラは、図示を簡潔にするために図示されていない。
【
図18】
図15A~17の実施形態で使用されるように構成された、導電性部材と、テザー内に延伸されている牽引用コード/ストリングを収容するらせんコイルと、を有するテザーの一実施形態の断面を概略的に示す。
【
図19B】更に別の関連実施形態を概略的に示しており、この実施形態では、(カメラの光電子システムを外側の外部の点に接続していて、テザー内を延伸されている)電気的部材/ワイヤの少なくとも1本が、側方に方向付けられて、カメラの回転アクスルの周囲にらせんループを形成してから、ベースプレート上の対応する穴を通り抜けてテザーに入る。らせんループがあることにより、電気ワイヤを破損することなくカメラを繰り返し傾斜させることが容易になる。ループは、この実施形態にある両方のアクスルのいずれかに形成されてよい。
【
図20】本発明の画像化カメラの一実施形態の、2つの姿勢での簡略化された断面図を示す。
図20Aでは、外側レンズ要素と、外側レンズ要素に封入されたカメラの一部分とが名目相互方向にある。
図20Bでは、外側レンズ要素に封入されたカメラの一部分が外側レンズ要素に対して所定角度Bだけ回転している。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の好ましい実施形態によれば、テザーでつながれたカプセルとして構造化されて、中空の生体器官の内部を画像化するように構成されたカメラに関する方法及び装置が開示されている。
【0023】
寸法が非常に小さい、テザーでつながれたカプセル(約10mm径の球状ボディと断面規模が約3mmの細くて可撓なテザー)は、検査が鎮静なしで耐えられることを可能にするだけでなく、患者が眠らないで、カプセルを飲み込むことによって、カプセルが口から胃又は小腸まで進むことを助けるように協力することを必要とする。実際、利用されるテザーのサイズ及び可撓性によっては、カプセルを力ずくで身体器官内に進めることが実質的に不可能になる。
【0024】
しかしながら、一旦飲み込まれれば、テザーでつながれたカプセルから見える方向の変化は制限される。操作者がカプセル内部のカメラのロボット動作を指示するカプセルの利点は、カプセル自体の方向を変えることを必要とせずに複数の見え方が得られることである。しかしながら、テザーでつながれたカプセルは、固定カメラを有する無線カプセルでは見ることのできない器官や無生物空間を見ることを可能にする。そのような実施形態の方式の見る能力は、実際、従来型内視鏡の見る能力を超えており、その、体積が小さいこと及び可撓性により、器官を見ることが鎮静なしで、高い安全性で可能になるだけでなく、実施形態を曲げたり、実施形態の形状及び/又は位置を変化させたりすることなく、様々な方向の見え方を達成することが可能になる。
【0025】
光学的画像化システムの一部分の動きを、カメラ全体の外側シェル(即ちカプセル)の中に閉じ込めることにより、見る過程で器官内面に外傷を引き起こすこと(従来式内視鏡検査中に、画角を変えるために内視鏡の先端部の方向を変えたときにしばしば起こること)が避けられる。更に、従来式内視鏡検査中の反転操作された視野は、内視鏡の(約10mm径の)挿入チューブによって一部分が覆い隠されるが、これに対して、細いテザーによって視野が覆い隠されるのは無視できる程度であり、器官(空間又は器官)の動きによって容易に補償される程度であるため、完全な球面の見え方を達成することが可能である。無生物空間では、そのような、テザーでつながれてロボットアイカメラを有するカプセルにより、従来型ボアスコープではその遠位端部を曲げる余裕がない狭い場所で、狭いオリフィスを通して複数の方向を見ることが可能になる。
【0026】
本発明の光システムの一部分がカプセル内部で可動である、テザーでつながれたカプセルにより、カプセル自体を様々な方向に向けることを必要とせずに物体空間を様々な方向から観察する多用性が実現される。提案の実施形態を実施することにより、見る方向を変化させることが、物体空間中でカプセルの向きを変えるのではなく、カプセル内部で光学レンズを動かすことによって、内視鏡によって実現される場合と同等に実現される。従って、本発明のアイデアの、テザーでつながれた、カプセル封入された実施態様は、それによって実現される見える範囲が、内視鏡の見える範囲と同等であるか、且つ/又はそれを超えるものであり、一方、サイズが内視鏡の何分の1かにとどまるため、見る処置が、鎮静なしで、高い安全性で実施されることが可能である。
【0027】
カプセル封入されたシステムの概要
本発明の一アイデアによれば、
図1を参照すると、一実施形態の全体概略図が示されており、システム100が、(画像化カメラの少なくとも一部分として構成されていて、少なくとも光学レンズ114を光学レンズホルダ構造118内に収容している)テザーでつながれた(104)光電子システム110として構造化されている。画像化カメラ110は、光学的に透明なハウジングシェル(即ちカプセル)120の内部にある支持ベースプレート122Aと一体化されたカメラスタンド122で保持されており、これは、例えば、シェル内で少なくとも回転軸を中心に可動であり続けるためである(この回転軸は、スタンド122、及び/又はスタンド122をホルダ118につないでいてよい回転アクスルに対して定義されており、「高度」と表記された角座標で表されてよく、
図1では、ローカル座標系のY軸に対応する)。光学レンズ114のホルダ118と、少なくとも支持スタンド122及び支持ベースプレート122Aとの組み合わせは、カメラハウジング構造と見なされてよく、同義としてそのように呼ばれてよい。本実施形態の画像化カメラの光電子構成要素及び機械的構成要素は、シェル120の外部の一点と動作的且つ物理的に接続されており、且つ、テザー104の遠位点において、少なくとも、本開示の別の場所で説明するようにテザー内を通っている導電性部材124及び機械的なコード又はストリング128と動作的且つ物理的に接続されている。特に、カメラハウジング構造は、シェル120の中に構成されている。
【0028】
カプセル/シェル120は、表面が滑らかであり、少なくともその近位端部120A及び遠位端部120Bが丸みを帯びており、それによって、人がカプセル120を飲み込むこと、並びに、テザー104を使用して、シェルをその中身とともに体から取り出すことが容易に可能である。名目上は、カプセル120は球状である。シェル120の(約10mm径の)サイズ及び寸法により、飲み込む筋肉が使用されやすくなり、それによる蠕動によって、飲み込まれたカプセル120が食道の管腔に沿って進み、胃に入る(これは、飲み込まれた食物が胃に到達するのと同様である)。実施形態100の実際の使用時には、蠕動によって本実施形態が胃の先まで、或いは、自然孔又はストーマから入った体の別の部分に進むことが可能である。当業者であれば容易に理解されるように、更にずっと小さいカプセル(例えば、径寸法が3mmに満たないカプセル)であっても、それほど容易に飲み込まれて食道内を進むことができるものでもなく、更に、そのような小さいサイズであれば、ハウジングシェル内部の光学系は、実際に実装される際には、高解像度画像を提供することができないほど小さくなければならず、それとは異なり、システム100は、より大きな画像化センサ(光検出器)をカメラ110の一部として収容するサイズになっている。
【0029】
実施形態100の外側ケーシング120の、少なくとも、そこを通して標的物体空間の画像化が行われる部分は、ほぼ球状であり、光学的に透明であり、当業者であれば理解される光学的品質であり、好ましくは厚さが均一であり、防水であり(流体的に封止されており)、それによって、シェル120の外側の物体空間の光学画像が、光学画像化に関しての、そのような外側シェル120の機能的関与により、歪みなく明確にキャプチャされることが可能である。従って、当然のことながら、任意選択の、しかし好ましい実施態様では、本発明の画像化カメラの光学系は、屈折力がゼロでないレンズ要素として寸法決定されたシェル120を含み、そのようなシェル120の存在を必要とする。この場合、当然のことながら、カメラハウジング構造は、そのようなハウジング構造が支持しているカメラそのものの光学系の一部を形成する、屈折力がゼロでないレンズ要素の中に構成されており、画像化カメラの一部分が、画像化カメラそのものの光学系の一部を形成するそのようなレンズ要素にカプセル封入されており、この場合の電気的部材124及び機械的部材128は、そのようなレンズ要素に画定されたアパーチャを通ってテザー104の中に入っている。
【0030】
ここで、少なくとも幾つかの用語の意味を定義することが有益であろう。この目的に対して、本開示及び添付の請求項の目的上、特に別段の定義がない限り、「球状シェル」は、半径の異なる2つの同心球体の間にあるボールの領域として定義され、そのように見なされる(その意味では、当業者であれば理解されるように、球状シェルは、アニュラスを3次元に一般化したものである)。「ほぼ球状のシェル」は、ほぼ球状のシェルを限定している2つのボディが、ほぼ球状であるか、ほぼ球体であることにおいて、即ち、理想的な球面形状からのある程度の寸法偏差(これは、球体又は球面の成形又は製造中によくあることであり、且つ/又は、そのような球体の半径のばらつきによって画定され、そのばらつきは、名目半径値の±20%の範囲内にあり、好ましくは名目半径値の±10%の範囲内にあり、更により好ましくは名目半径値の±5%の範囲内にあり、最も好ましくは名目半径値の±2%の範囲内にある)が請求項の範囲内で許容され、請求項の範囲内にとどまることにおいて、球状シェルの近似として定義される。追加又は代替として、且つ任意選択で、ほぼ球状のシェルを限定するそのような2つのほぼ球体の同心性は、完全でなくてよいが、ほぼ球状のシェルを限定する2つのほぼ球状のボディの名目中心同士の間の距離がこれら2つのボディの半径の最大値の0~20%であってよく、好ましくはそのような最大値の10%を超えなくてよく、より好ましくはそのような最大値の5%を超えなくてよく、最も好ましくはそのような最大値の2%を超えなくてよいという点では不満なものかもしれない。理想的な場合には、ほぼ球状のシェルの厚さの値は、そのようなほぼ球状のシェルを限定及び画定する、半径の異なる2つの同心球体の空間的に一致する中心を通る選択された軸から測定される角度の関数として一定のままである。
【0031】
同様に、本出願で使用される「レンズレット」及び「レンズ要素」という用語は、明示的に別段の定義がない限り、単一の、シンプルな、構造的に不可分な、単独使用される光学的構成要素であって、そのような構成要素を通過する又はトラバースする光の収束度(又は発散度、又は視準度)を変化させる2つの光学面によって(そのような構成要素の軸の方向に)拘束される構成要素を意味するように定義される。これに対し、「レンズ」、「レンズ群」、「レンズ系」という用語、及び同様の用語は、複数のレンズレット又はレンズ要素の組み合わせ又はグループ化を意味するように定義される。ここで、例えば、2つのシンプルなレンズレット又はレンズ要素をペアにして構成した光学ダブレットは、レンズと呼ばれるが、レンズ要素とは呼ばれない。
【0032】
「画像」という用語は、空間的位置に対応する検出器出力の順序付けられた表現として一般的に定義され、そのような表現を意味する。例えば、光検出器で検出された光のパターンに対する応答として、ディスプレイ装置X(ビデオ画面又はプリンタ等)上に視覚画像が形成されてよい。システムの「リアルタイム」性能は、所与の事象からその事象に対するシステム応答までの動作期限を課せられた性能として理解される。例えば、画像化カメラ装置の光検出器からの画像化情報(例えば、光放射照度の空間分布等)のリアルタイム抽出は、ユーザによって、又はそうするようにプログラムされたマイクロプロセッサによって1回トリガされてから、光学画像取得のプロセスが中断されて、その間にそのような空間分布が検出されることがあってもなくても、一斉に実行されてよい。
【0033】
「物体空間」という用語は、従来、当該の光学画像化システムの外側にある空間であって、その空間の一部(物体と呼ばれる)が光学画像化システムを通して(光検出器の表面とほぼ一致してよい)像面上に画像化される空間として定義され、理解されている。物点と、光学画像化システムを使用して形成されるその画像とは、互いに光学的に共役であると考えられる。
【0034】
「光学的に共役」という用語及び関連する用語は、光可逆性の原理によって定義されているものと理解されている(この原理によれば、光線は、光の伝搬方向が反転された場合には元の経路に沿って進む)。従って、これらの用語は、2つの面に関する場合には、2つの面の各点が所与の光学系によって互いの上に画像化される、その2つの面によって定義される。物体が、その画像によって占有されている点まで動かされると、その動かされた物体の新しい画像は、その物体が発生した点に現れる。光学的に共役な面に広がる点は、光学的に共役な点と称され、そのように定義される。
【0035】
ここで再度、
図1を参照すると、シェル軸124(即ち、ほぼ球状のシェル120の中心を通る、シェルの軸)と、光学レンズ114の光軸128とがほぼ一致する場合(即ち、これら2つの軸の間の角度がほぼゼロの場合)には、ほぼ球状のシェル(即ちドーム)120と、そのようなシェル(即ちドーム)内に収容された光学レンズ114との間の「名目相互方向」(又は略して「名目方向」)が画定される。
図1の例に示した方向では、軸124と軸128は互いに対して傾斜して示されている。
【0036】
具体的な実施態様によっては、(外径が約10mmの)ドーム(即ちシェル)120のほぼ球状の表面は、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等の透明なプラスチックからダイヤモンド旋削又は射出成形されて作られてよい。又、この表面は、ガラス又は他の適切な、生物学的に不活性な、光学的に透明な材料から作られてもよい。一例では、厚さが約0.5mmである。
【0037】
ケーシング120のうちの、標的物体空間を見ることに使用されない部分(例えば、テザー104に近い部分)は、他の、必ずしも光学的に透明ではない材料から作られてよく、且つ/又は、ほぼ球状でなくてもよく、ケーシング内の構成要素の動き又は位置決めを可能にするように構成されていればよい。カメラ120の様々な構成要素及びサブシステムがハウジングシェル120の内部で組み立てられることを可能にするために、シェルは、それらの組み立ての後に互いに接合される2つ以上の部分から作られてよく、それによって、それらのエッジ同士はぴったりと嵌合し、耐水性の透明シーラントで封止されて、しかるべき接合部の表面が滑らかになるようにされ、それによって、組み立てられた実施形態が流体的に封止されることが可能になり、この表面全体は、承認されたクリーニング処置及び消毒処置によりクリーニング及び殺菌されることに適している。テザー104とシェル120との間に張力のがし要素130が組み込まれてよい。
【0038】
図2は、本発明の一部分の関連する(但し、実施形態100に対して相互に排他的ではない)実施形態200の概略図であり、ここでは、スタンド222及びベースプレート222Aが若干異なって構造化されているように示されており、機械的なストリング又はコード228の近位端部はレンズホルダ118の外側表面に固定されている(
図1に暗示されているようにホルダ118の内部の構造フィーチャに固定されているのではない)。
【0039】
画像化カメラの一実施形態の光学系の実施例
図3~8及び(Code V光学設計ソフトウェアの出力を要約した)表1は、本発明の一実施形態で利用される光学画像化システム300の非限定的ながら具体的な実施例を説明するものである。当業者であれば理解されるように、ここに示したカメラの光学画像化システムは、状況によっては、光学レンズ114だけが物体空間の標的部分の光学画像の形成に利用されて、シェル120の光学特性がそのような画像の形成において考慮されないように構成されてよいが、現実的に好ましい構成では、常に存在する光学的に透明なシェル状カプセルの光学(画像化)特性が、機能する光学画像化システムの一部分の光学特性として考慮されなければならない。この好ましい実施例は、以下のように考慮されている。
【0040】
【0041】
表1及び
図3に示すように、光学素子及び光学面の番号付けは、設計のこの例に固有である。従って、物体(OBJ)は0次面に相当する。
図1、2のシェル状カプセル封入要素120の一部分を表す光学要素310は、面1、2によって軸124に沿って拘束されている。続く光学要素314、318、322、及び326のシーケンス340は、
図1、2で114としてマーキングされている光学レンズの一実施形態を画定しており、要素314は、面3及び4によって軸方向に限定されており、要素318は、(図示を簡潔にするためにラベルを付けていないが)面5及び6によって軸方向に限定されており、要素322は、面7及び8によって軸方向に限定されており、要素326は、(ラベルを付けていないが)面10及び11によって軸方向に限定されている。開口絞りASは面9に相当し、像面は面12である。光学レンズ340及びシェル310は、名目相互方向に示されている。
【0042】
システム300のFOVの角度の範囲内にある光は、物体OBJからシェル310の外側表面1に到達し、シェル310及び光学レンズ240を通って(開口絞りASも通り抜けて)面12に光学的に結像して、物体における光の分布と光学的に共役な光の空間分布、即ち、物体の光学像が形成される。光学レンズ240の前部レンズレット群は要素214、218で形成されており、これらのそれぞれは、この実施例ではメニスカスレンズ要素であり、一方、(開口絞りAAによって前部レンズレット群と隔てられている)光学レンズ240の後部レンズレット群の各レンズレットの屈折力は、前部レンズレット群のどのレンズ要素の屈折力の符号とも逆の符号を有する。(この実施例では3つのメニスカスレンズ要素と2つの両凸レンズ要素とで形成された)レンズアセンブリ300の合計FOVは、半角が88度であり、レンズ240のローカル軸に直角な方向の画像化解像度が約50μmである(当業者であれば、FOVの半角が概ね80度を超えるがこの値よりは小さくてよい別のFOVを提供するようにこの実施例を再設計する選択肢があることを理解されよう)。
【0043】
レンズシステム240の最大直径範囲は4mmを超えない。(約450nmから約650nmのスペクトル帯域幅以内で良好に補正された画像化を実現する)レンズ要素の材料を表2にまとめた。光検出器は、像高が少なくとも1.54mmである像が得られるように構成されている。この設計の目的上、システム300のFOV内で見える物体空間は、約10mmの物体距離にあって軸128上に中心がある球面であるように考えられている。
【0044】
図4は、実施形態300の光学性能を表す(接平面及び矢状面の両方の)横方向光線収差を示す。当業者であれば容易に理解されるように、これらの収差は、少なくとも88度までの任意の視野で実質的に12ミクロンを下回る。
図5、6、及び7は、画角の関数としての、対応するスポット図並びに非点収差像面湾曲及び歪みを示す。光学系は、非点収差が、矢状面又は接平面のいずれかにおいて、光学系の視野内の全ての視野高さにおいて20ミクロンを超えないことによって、並びに光学歪みが66度までの全ての画角において10%を超えないことによって、並びに光学歪みが88度までの全ての画角において15%を超えないことを特徴とする。スポット図は、RMSスポットサイズが、全視野高さ(88度の視野)において約4.5ミクロンを下回り、18度までの全視野高さにおいて約2.5ミクロンを下回り、指定されたFOV内の物体の軸方向部分を結像させる場合に約2.5ミクロンであることを誇る。
【0045】
他のタイプの収差を評価する場合には、現実的に受け入れ可能なものの識別結果が変調伝達関数(MTF)曲線になる。提案の設計に基づき、
図8を参照すると(
図8は、合計FOV内のスペクトルの可視部分における実施形態300の動作を特徴付けるMTFのパラメータを示す)、理想的なソリューションは、回折限界であること(MTF曲線のうちの一番上の曲線)にほぼ近い。特に、この設計の軸上の性能は理想的なソリューションに近く(視野のエッジでは幾らかの減衰がある)、視覚及び/又は写真光学システムの分野の当業者には現実的に受け入れ可能な性能であると考えられるであろう。具体的には、スペクトルの可視部分における動作のカットオフ周波数は、少なくとも88度までの任意の視野の接平面又は矢状面での結像において(接平面でも矢状面でも)200サイクル/mmを実質的に上回る。そのような考慮は、従来技術において受け入れられており、本システムの実際の使用法の詳細において少なくともある程度説明され、そこでは、ユーザは、関心物体が視野の中心にあるように光学系を大まかに位置決めする。
図8のMTF曲線で示された十分な性能により、提案の設計は、光学スペクトルの少なくとも可視部分において動作的に安定している。
【0046】
【0047】
本発明の一実施形態で利用されている光学系の設計例について分かる当業者であれば容易に今や理解されるように、この光学系は、光軸と、光学的に透明なカプセル封入シェルに面する(屈折力がゼロでない)前部レンズ要素と、を有する光学レンズを含む。前部レンズは、光軸に頂点を有する。光学レンズは、回転軸を中心として、シェル軸と光軸との間で定義される回転角度で回転可能であるようにシェル内にマウントされており、回転角度は、シェル軸及び光軸の両方を含む選択された面内で少なくとも-90~+90°の範囲のありとあらゆる値を取ることが可能である。好ましくは、カプセル封入シェルは、シェル軸を有するほぼ球状のシェルとして寸法決定された、カメラ自体の第1の光学画像化要素として構成される。この実施例では、光学画像化システムを形成し、定義し、そのように識別されるために必要とされるのは、ほぼ球状の第1の光学画像化要素と、そのような第1の光学画像化要素に封入された光学レンズとの組み合わせである。上述の具体例では、光学レンズは、光学レンズの光軸から測定された半角が88°までの視野(FOV)を有するが、今や当業者にはこのFOVの値の変更方法が理解されるので、この光学系の代替として従来の実施例を投入する現実的な理由は全く存在しない。
【0048】
光電子サブシステム及び/又は光電気機械サブシステムの実施例
次に、本発明の一実施形態の光電子システムをもたらす、光学系と追加の光電子構成要素とレンズハウジング構造との間の動作可能な協調の、幾つかの関連及び/又は代替の、しかし、それでも相互排他的でない実施例について説明する。
【0049】
実施例A
【0050】
実施形態100の一実施例1000を、
図10A及び10Bの2つの側面図に概略的に示す。ここでは光学レンズ114とシェル120とがそれらの名目相互方向に示されている。
図11は、ハウジングシェル120を省略した実施例1000を斜視図で示す。レンズ114の個々の素子/レンズレットは、(
図1の118に対応し、(例えば)アルミニウム合金で作られている)対応するレンズホルダ又はハウジング1004に収容されており、それらは、迷光をブロックするための適切なアパーチャ及び/又はスペーサ及び/又は空間的延長部を含むように構造的されている。レンズホルダ1004の構成要素は、プラスチック又は他の材料で作られてもよい。一実施態様では、レンズ114及びそのハウジング1004は、全長が約5~6mmであり、外径が約4mmである。画像センサ(光検出器。図示せず)がプリント回路基板(PCB)1008上にマウントされており、PCB1008は、レンズホルダ1004のベースに取り付けられてよい。
図10A、10Bでは、参照符号1008からの引き出し線が、画像センサPCBエンクロージャと、PCBにつながっている電気部材1012(例えばワイヤ)のための適切に寸法決定されたスロットと、の両方を指している。照明用として、発光ダイオード(LED)1016が、レンズ114の周囲と、好ましくはレンズハウジング1004の前部とにマウントされている。LED光源1016のセットは、白色光及び/又は単色光及び/又は非可視波長の電磁放射により、シェル120を通して標的物体空間を空間的に均一に照明/照射するように選択され、適切に構成されている。
【0051】
当然のことながら、画像センサ又は光検出器は、シェル120及び光学レンズ114を通して画像をキャプチャするために、レンズ114の背後の像面に配置されている。実施形態(100、1000)は外部から電力を供給されており、画像は、シェル120の内部にバッテリを必要とせずにテザー経由で送信されるため、シェル120の内部には、従来構成の内視鏡で使用される画素数に匹敵するかそれより多い画素数であって、無線のカプセル封入画像化カメラで可能であろう画素数よりはるかに多い画素数を収容する画素アレイにより画像をキャプチャするのに十分な大きさの画像センサを収容するのに十分な空間が残っている。画像センサ(光検出器)は、他の電子部品とともにPCB1008上にマウントされており、それによって、画像センサPCBモジュールが形成されている。検出器は、高解像度画像化を促進するために、且つ、シェル120内に容易に収容されることを可能にするために、最大寸法が約5mmであることが好ましい。
【0052】
一特定実施例では、モバイルインダストリプロセッサインタフェース(MIPI)からユニバーサルシリアルバス(USB)への変換器、ストリームエンコーダ電子回路、クロック発生器電子回路、マイクロコントローラ、及び可変抵抗器が画像センサPCBモジュールに組み込まれてよい。MIPIからUSBへの変換器回路及びマイクロコントローラは、カメラシリアルインタフェース(CSI)MIPI信号をUSB伝送データに変換するように構成されてよい。この構成は、(例えば、Windows又はLinux(登録商標)等の)オペレーティングシステムでカメラをUSBカメラとして検出する動作を促進し、カメラの制御及びカメラとの通信を行うためのヒューマンインタフェースデバイス(HID)ドライバをロードすることが可能である。マイクロコントローラは、ストリームエンコーダ及び/又はクロック発生器電子回路と協調動作して、ユーザの選択に応じて様々なストリームフォーマット(例えば、モーション-ジョイント・フォトグラフィック・エキスパート・グループ(MJPEG))を適用するように追加的に構成又はプログラムされてよい。LEDの明るさをシームレスに調節するために、可変抵抗器を使用して、LED光源に印加される電圧を調節してよい。当然のことながら、本発明の電子回路の一部として、プログラムコードが格納された有形の非一時的メモリストレージがあってよく、このプログラムコードは、利用されると、ビデオストリームの様々な解像度を選択すること、更には、特定のビデオフレームを取り込んで(例えば、JPEGファイルとして)保存することをユーザが行うことを可能にする。
【0053】
カメラハウジング1004は、(
図1の122に対応する)2つのスタンド又はアーム1022の間に保持され、これらはベースプレート(即ち、カメラスタンドのベース)1026に取り付けられている。スタンドは、少なくとも回転軸1028を中心としてレンズハウジングを自由に動かすことを可能にするように位置決め及び成形されており、回転軸1028は、スタンド1022を通り、光軸128にほぼ垂直な面1030に横たわる。カメラは、(
図11で1102として示されている)適切なアクスルでスタンド1022に可動に固定されており、このアクスルは、回転軸1028(図示のように、ローカル座標系のY軸)を中心とする、又は回転軸1028に対するカメラの回転又は傾斜を促進する。一特定実施例では、レンズホルダ/カメラハウジング1004とスタンド1022との間の構造的協調は、カメラが軸1028上で、
図10A、10B、11に示された名目方向に対して±90°の傾斜角又は回転角の範囲内で、更には、そのような名目方向に対して±180°の範囲内で、自由に回転するのを可能にするように慎重に構成されている。
【0054】
少なくとも1つの実施形態では、ベースプレート1026は、(
図1の130に対応する)張力のがし1040の上方及び下方にあるカプセルシェルのベース部分又は下部部分に取り付けられて固定されてよく、張力のがし1040は、可撓なテザー104の外側カバー又は導管に(例えば、エポキシ等の接着剤1038で)追加的に固定されてよい。ベースプレート1026は、(この非限定的な実施例では電気ワイヤとして示されている)導電性部材1012及び/又は牽引コード(又はストリング)1034が通るアパーチャ又は開口1110(
図11)を備えてよい。後で
図12及び13を参照して詳述するが、実施形態100、1000は、レンズホルダ1004の内部に取り付けられた牽引コード1034とモータ制御ユニットとを利用して、レンズ114の空間的方向を実施形態の軸124に対して変化させるように構成されている(一実施形態では、3本の牽引コード(例えば、1034A、1034B、及び1034C)が使用されてよいが、
図10A、10Bでは、これらのコードは、図示を簡潔にするために、すべて1034と表記されている)。
【0055】
カメラの様々な構成要素及び/又はサブシステム(例えば、LED等)に電力を供給する電気ワイヤや、画像信号を伝送する電気ワイヤが、カプセルハウジングのベース1026から出ている。電気ワイヤは、ハウジングのベースから出ており、(それぞれの径が1.5mm未満である)2つ以上の束に分割されてよく、それらがハウジングの下の側方スロットを通って側方に横向きに方向付けられることにより、ワイヤが牽引コード1034から離れた状態が保たれ、ハウジングの動きが促進される。この目的のために、外側の導電性部材/ワイヤ1012は、対応するアパーチャ又は穴を通り抜けてよく、それらのアパーチャ又は穴の軸は、少なくともある場合には、軸124に対して角度を付けられてよく又は傾斜してよく、それによって、(例えば、
図11に見られるように)物体1012がカプセルハウジングの両側部に向かって空間的に向きを変える(ワイヤがベースプレートから出てくるこれらの穴は、通常、ワイヤが動くのを妨げないだけの余裕があるため、ワイヤをあまり曲げなくてよく、別の場所で説明する回転的な動きが容易になる。これらの穴/スロットは、電気ワイヤの向きを変えて中心から離すように構造化されており、それによって、ホルダ1004内のレンズ114が傾斜/回転したときにワイヤはほぼこれらのスロット/穴の中でスライドする。又、ワイヤが回転軸に垂直に位置決めされた場合にワイヤの曲げが少なくなる(そうでないと、動きに対する剛性及び抵抗が発生することになる)。ベースプレートのワイヤの周囲の開口にも幾らかの余裕があり、それによって側方に幾らか動くことが可能になり、やはり、電気ワイヤの曲がりや破損を防ぐことができる)。関連する一例では、ワイヤ1012は、互いに対して分離/分割されないままであってもよく、それによって、カプセル封入された実施形態の一方の側を通る単一のワイヤ束又はワイヤ列が形成される。カプセル内のワイヤは、ワイヤ1012及びワイヤ関連の電気的接続に過剰な応力がかかることなく、カメラハウジング1004がその回転軸1028に対して穏やかに傾斜することが可能になるのに十分な長さであるように寸法決定される。
【0056】
更に別の関連実施形態(図示せず)では、ハウジングのベース1026から出るワイヤ1012は、ハウジング構造1026の片側又は両側のアクスル1102に巻き付けられてよく、それによって、ハウジングがアクスル1102上で(軸1028を中心に)回転したときに、回転運動の方向に応じてアクスルの周囲のワイヤがほどけたり巻き付いたりして、ワイヤを損傷したり破損したり切断したりしかねない張力又は応力が、ワイヤの、アクスルとハウジング構造との間の部分にかからなくなる。更に別の関連実施形態では、PCBとテザーとの間のワイヤが、破損することなく繰り返し曲がることが可能なフレキシブル回路に置き換えられてよい。
【0057】
実施例Aのシステムとともに使用される様々なコントローラの非限定的な実施形態
【0058】
図12は、
図10A、10B、11のシステムのような光電気機械システムの実施形態との組み合わせで使用されることが可能な、モータを備えた手持ち式ユニット(即ち、リモートコントローラ)であるコントローラ1200の非限定的な実施例の概略図を示しており、コントローラ1200は、シェル120がテザー104に対してほぼ固定されている状態を保ちながら、本実施形態のカメラ(及びそれとともに画像化レンズ114)をほぼ球状の光学シェル120の範囲内で回転軸1028を中心として回転させることを実現する。特に、図示を簡潔にするために、リモートコントローラの機械的駆動系部分だけを示しており、(例えば、部材1012等の)様々な電気配線、並びに実施形態100、1000の外部に配置されてよいマイクロコントローラ及び/又はプログラム可能電子回路を示すことを省略している。
図12に示したリモートコントローラ1200は、適切に寸法決定されたハウジング1210に封入されたラックアンドピニオン機構1220を含み、これは、DC/ステッパモータ1238を使用して、カメラを傾斜させる/駆動する可撓な牽引コード1234(A、B、C)(これは
図10A、10Bのコード1034に対応する)を駆動する/引っ張るように構成されており、これによって、コードにかかる引っ張る動きが、回転軸1028を中心とするレンズ114の回転運動に転換される。モータ1238から発生した力及びトルクは、適切に構成されたベベルギヤ機構1232を使用して、ラックアンドピニオン機構1220に伝達される。
【0059】
図12の実施例では、3本の牽引コード1234A、1234B、及び1234Cが示されている。
図10A、10B、及び11を更に参照すると、最も一般的な実施態様では、3本のコード1234A、1234B、1234Cは全て、ベースプレート1026にある個別ポートを通って、
図10A、10Bのシェル120の範囲から出るように配置されてよい。この場合、最も外側(側方)のコード234A、1234Bのためのアパーチャ又は開口1110は、それらのコードが、ワイヤ1012と、アクスル1102を支持するスタンド1022とにほぼ垂直に、画像化カメラの外側ケーシング120に向かって方向付けられるように、角度を付けられている。そして中央のコード1234は、それ自体の、アパーチャ1110のうちのそれぞれに割り当てられた中央アパーチャを通ってシェル120から出るように配置されている。
【0060】
3本のコードのうちの2本(コード1234A及び1234B)の遠位端部が、回転軸1028に垂直にハウジング1004の両側部に固定されており、ハウジング1004のベースプレート1026にある、それぞれに対応するアパーチャ1110を通して引っ張られる。コード1234A、1234Bの近位端部は、(一実施態様では)止めねじを利用する釣り糸タイプの固定要素1242を使用してラックアンドピニオン機構1220のラック要素と協調する(当然のことながら、別の構成の固定も使用されてよい)。機構1220及び機構1232により、これらのコード1234A、1234Bは更に、モータ1238(又は、関連実施形態では、モータ1238の代わりに配置された手回しダイヤル式の位置変更装置(図示せず))に取り付けられており、モータ1238は、動作時には、コードをテザー104内で動かして、実施形態100、1000の画像化カメラを、
図1で「高度」と表記された角度空間内で傾斜又は回転させるために必要とされる牽引を行う。具体的には、側方コード1234A、1234Bのうちの選択されたコードに、機構1232、1220を使用してかけられる牽引により、モータ1238で発生したトルクが、ハウジング1004を(レンズ114とともに)そのような選択されたコードに向けて、そのコードの方向に傾斜させるハウジング1004の回転運動に転換される。側方コード1234A、1234B(又は、それぞれに対応する、
図10A、10Bでは1034として示されているコード)と接触する、カメラハウジング1004のエッジが空間的に湾曲していてよく、これは、コードに生じる摩擦と、引っ張り/傾斜を繰り返す間にコードが摩耗しうる非常に低い可能性とを減らすためである。コード1234A、1234B(及び使用されていれば1234C)は、手持ち式リモートユニットのハウジングから出ると(又はハウジングの、それらが方向を変える場所から出ると)、引っ張られたときの摩擦を低減するために、プーリ等の丸みを帯びた面(図示せず)に沿って通る。
【0061】
1234Cとして示されている第3の牽引コードは、側方コード1234A、1234Bの間に延伸されてよく、その遠位端部がカメラハウジングのベース1026の中心に取り付けられてよく、これは、カメラの位置決めを0°の傾斜に合わせるため、又は実施形態100、1000の長手軸124に合わせるためである。2つの側方コードがリモートコントローラ1200にあるモータ1238に接続されているのに対して、中央コード1234Cは、近位部がコントローラ1200のハウジング1210内の弾性要素1250(ばねとして示されている)に取り付けられていることによって、ほぼ一定の、不変レベルの張力を保つ。少なくとも1つの場合には、可撓コード1234(A、B、C)は、ナイロン、フルオロカーボン、又はポリエチレン等の材料で作られてよく、少なくとも250g(関連実施形態では500gまで、更に別の実施態様では1kgまで)の力/重量に耐えるように約0.15mm径に寸法決定されてよい。
【0062】
従って、当然のことながら、(本発明の一実施形態の光学画像化システムの少なくとも一部分を備える)画像化カメラを含む光電子システムと、
図10A、10B、11を参照して説明した、関連する電子構成要素及びサブシステム、並びに
図12を参照して説明した機械的機構と、を組み合わせることにより、本発明のアイデアの一実施形態による光電気機械システムが形成される。そのような光電気機械システムでは、第1のストリングが、本実施形態の光学レンズのホルダの第1の点に接続されており、第2のストリングが、その光学レンズのホルダの第2の点に接続されている(第1及び第2の点は、光学レンズの光軸を挟んでほぼ直径方向に互いに対向している)。第1及び第2のストリングは、本実施形態のテザーの中を通って、テザーの第2の端部にあるリモートコントローラまで延伸されており、リモートコントローラは、第1及び第2のストリングのうちの選択されたストリングを引っ張って、本実施形態のほぼ球状のシェルの軸に対して光学レンズを傾斜させるように構成されている。
【0063】
本発明の光電気機械システムの一特定実施態様の詳細によっては、以下の条件、即ち、(a)光電気機械システムは第3のストリングを含み、第3のストリングは、光学レンズのホルダのベース部分の中心に接続されており、テザーの中を通って、ベース部分のそのような中心と、リモートコントローラ内の弾性要素との間を延伸されており、リモートコントローラは、光学レンズのニュートラルな向きを安定させるように構成されている、という条件、(b)リモートコントローラは、リモートコントローラのハウジング内にラックアンドピニオン機構を含み、そのような機構は、第1及び第2のストリングのうちの選択されたストリングを引っ張るように構成されている、という条件、並びに、(c)リモートコントローラのハウジング内にはモータがあり、任意選択で、ラックアンドピニオン機構を動作させるようにモータを制御するように構成されたマイクロコントローラがある、という条件のうちの少なくとも1つが満たされてよい。
【0064】
本実施例の説明を完全にするために、リモートコントローラ1200のパネル1300の概略を
図13に示しており、ハウジング1210の前部にあるボタン/キー及び対応する記号を示している。既に上記で少し触れたように、コントローラ1200は更に、マイクロコントローラ(図示せず)を含んでよく、マイクロコントローラは、テザー140の内部の配線を通して、シェル120に収容された光電子システムの実施形態への、又はその実施形態からの電力の送達及び電気信号の伝達を容易にすること、画像化処理を開始及び/又は停止すること、白色又は単色のLED1016から、光学的に透明なシェル120を通して、物体空間の標的部分(例えば、関心対象の内部器官)まで送達される照明光源の動作を制御すること(コントローラ1308A、1308B)、及び/又は、個々のスナップショット及び/又はビデオ記録を取得するように画像化処理をフォーマットすること(コントローラ1310を参照)、並びに、例えば、カプセル封入された画像化カメラの動きを制御すること(コントローラ1304、1314)を行うように構成されている。
【0065】
図12を更に参照すると、図示された動きコントローラの特定実施態様はモータで駆動されるように設計されているが、関連実施形態では、モータは手動ダイヤルに置き換えられてよい。しかしながら、図示のように、カメラヘッドの位置を制御するためにステップモータ1238が使用されており、例えば、モータが時計回りに回転すると、カメラヘッドが(選択された基準軸及び/又は基準平面に対して)時計回り方向に回転/傾斜し、モータ1238が反時計回りに回転すると、カメラヘッドが反時計回り方向に回転/傾斜する。ステップモータは、USB3.0コネクタを介して電力供給されてよい。ボタン/キー1314を押すと、カメラを所望の方向に向けることが可能である。アジャスタ「R」は、カメラヘッドを時計回りに回転させることに関連付けられてよく、アジャスタ「L」は、カメラヘッドを反時計回りに回転させることに関連付けられてよい。アジャスタ「中央」は、カメラを、カプセル状シェル120の軸124に沿ってカメラの元の名目位置に戻すように、又は
図1の「高度」角度空間において0°に戻すように構造化並びに適切に関連付けされてよい。
【0066】
光源1016からの光を物体空間に照射するプロセスに関する限り、リモートコントローラ1200は、白色LED及び単色LED1016の切り換えを行うために2つのグループのボタン/キー/アジャスタを有してよい。(1308Aとラベル付けされている)一方のグループは、白色光LED1016を制御することに使用されてよく、これに対して(1308Bとラベル付けされている)他方のグループは、単色LED1016、又はカメラの実施形態に存在する代替の電磁放射源を制御することに使用されてよい。LED1016の明るさは、一例では、LEDへの電力を0Aから0.6Aまで変化させることによって制御されてよい。「スナップショット」ボタン130は、カメラで記録されたビデオストリーム全体から現在の瞬時画像フレームを取り込むこと、並びにそのようなフレームを、本実施形態の有形記憶媒体の指定されたデータフォルダにJPEGファイルとして保存することに関連付けられている。「ビデオ」ボタン1304、並びにリモートコントローラ1200の実施形態の電子回路の関連する部分は、このボタンを押すことによって画面のビデオを記録することに使用されてよい。
【0067】
実施例Aのシステムとともに使用されるテザーの非限定的な実施例
【0068】
当業者であれば今や容易に理解されるように、本発明のシステムの画像化カメラと、リモートコントローラ1200及び/又は補助外部マイクロコントローラ及び/又はプログラム可能電子回路(これらは、存在する場合には、
図1の矢印で示されている)との間の協調は、光を伝送するように構成されたチャネルが全くないテザー104を使用して実現される。この目的のために、(テザー104の一実施形態1400の概略断面を示す
図14を参照すると)例えば、牽引コード1234(A、B、C)は、張力のがし要素130を通ってシェル120から出た時点で、個々に個別の低摩擦可撓チューブの内部に収容され、これらのチューブにより、コードがテザー104、1400に沿ってその内部で動いてカメラを所望の方向にうまく傾斜させることが容易になる。それぞれに対応するチューブに入った牽引コード1234(A、B、C)は、それぞれ個別の絶縁カバーに収容されている電気ワイヤ1012と並んでテザー104、1400の内部にパッケージされている。具体的には、
図14は、低摩擦チューブ内の傾斜駆動コードを1410として示しており、3ペアのシールドされた差動電気部材をグランドワイヤとともに1420として示している。参照符号1424は、シリアルデータ及びクロック(クロッキングデータ)を転送するように構成された電気部材を表しており、参照符号1428は、LED制御信号を転送する電気部材を表しており、参照符号1432は、電力転送及び/又はグランドを担うように構成された部材を表しており、参照符号1440は、PVCジャケット及び編組シールド(ある場合)を表している。
【0069】
非限定的な一実施例では、テザー104の一実施形態1400の外径は約3mmであってよく、テザーは、(例えば、耐流体性でもあるポリウレタン又はシリコーン又は同様の材料で)非常に曲げやすく作られており、それによって、テザーが消化管内部にある状態でのカプセル100、1000の飲み込み及び使用が容易になる。好ましくは、テザー104の外面に、長さ方向に一定間隔で(例えば、1cmおき及び5cmおきに)マークがつけられており、これによって、ユーザ/臨床医は、本実施形態のカメラで光学的に検査している時点での門歯及び/又は器官の入り口からの距離を評価して、その器官内で遭遇する病変又は物体の寸法を推定することが可能である。テザーは、少なくとも1つの場合には50~100cmの長さで作られてよく、或いは特定の用途に応じて、より長く又はより短く作られてもよい。
【0070】
実施例B
【0071】
本発明の光電子システム/光電気機械システム/カプセル封入されたシステムの関連実施形態1500(
図2に示された実施形態にほぼ相当する実施形態)を、
図15A、15B、16に概略的に示す。ほぼ球状のシェル120の内部のハウジング構造(これは、少なくともレンズホルダ1504、スタンド又はアーム1022、アクスル1502を含み、アクスル1502は回転軸1028を定義しており、この回転軸に対して、レンズ114及びレンズホルダ1504(並びに関連付けられている封入されたPCB及び画像センサ1508)がともに傾斜又は回転することが可能であり、アクスル1502はスタンド1022をレンズホルダ1504に接続している)は、大まかには、既に
図10A、10B、11を参照して説明した実施形態のハウジング構造と非常によく似ているが、それでも、電気ワイヤ1512と傾斜/駆動ストリング1534との協調の、実施形態1000におけるそれらとの違いを吸収するために、実施形態1000のハウジング構造とわずかに異なるように構成されてよい。
【0072】
具体的には、画像化カメラ、LED1016に電力を供給する電気ワイヤ1512、及び取得された光学画像を表す信号をテザー104に通して伝送する電気ワイヤ1512は、ハウジング構造のベース1526においてテザーから出ており、これらは、その後、2つ以上のワイヤ束に分割されてよく、これらのワイヤ束は、任意選択で側方に向けられて、ハウジングの下の適切に寸法決定された側方スロット1530を通ることにより、個々の束が2つのコード1534から離れている(空間的に隔てられている)状態が保たれる。ワイヤ1512は又、カプセル封入された光電子システムの一方の側部を通る単一の列又は束を形成するように構成されてもよい。いずれの場合も、電気ワイヤのうちのシェル120内にある部分は、ワイヤ及びワイヤの接続部に過剰な応力がかかることなく、画像化カメラが軸1028を中心として穏やかに傾斜することが可能になるのに十分な長さである。この実施態様には2つの牽引コード1534があり、これらは、ハウジング構造のベースプレート1526にある、それぞれに対応する開口1610を通って延伸されている(
図16を参照)。コード1534の各端部は、図示のように、レンズホルダ1504の両側部に外から取り付けられている(実施形態1000と比較すると、第3の、中央に位置するコードは任意選択であり、図示の例には存在していないが、存在するとすれば、既に実施形態1000、1200を参照して説明したように、手持ち式制御ユニット内の専用の駆動モータ又はばねにより、カメラを前方位置又は0°位置に位置決めすることに役立つように使用されてよい)。実施形態100と全く同様に、可撓コード1534は、ナイロン、フルオロカーボン、又はポリエチレン等の材料で作られてよく、径が約0.15mmであってよく、カメラの動きを容易にする耐重量性を備えており、一例として、可撓コードは、アクスル1602で定義される回転軸1028を中心としてカメラハウジングを繰り返し傾斜又は回転させることに使用されるように、約250mg以上(好ましくは約0.5kg以上、関連する例では少なくとも250g)の重量の牽引の繰り返しに耐えることが可能である。2本のコードが、ハウジングの両側部に、回転軸にほぼ垂直に取り付けられており、フレームが取り付けられているベースプレートにある穴を通っている。テザー104内を通る側方コード1534にかかる張力によって、レンズホルダ1504がそのようなコードの方向に傾斜する。その後、他方の牽引コード1534に張力がかかると、ホルダ1504は逆方向に傾斜する。カメラハウジング/ホルダ1504の、側方コードと接触するエッジが、好ましくは、シャープエッジにならないように湾曲しており、それによって、摩擦、並びにコードが傾斜の繰り返しによって破損する可能性が低減される(
図15A、15B、16)。
【0073】
実施形態1500の光源1016及び画像化モード動作は、実施形態1000とほぼ同じである。
【0074】
具体的には、LED1016の明るさは、適切なプログラムコードを使用して調節されてよく、このコードによって本実施形態のマイクロプロセッサがロードされ、このコードによって、取得された光学画像の強度が連続的にサンプリングされる。このプログラムコードは、追加又は代替として、画像のコントラストを変化させ、最適化するように構成されてよい。ほぼ球状のシェル120の光学的に透明な部分を通してLED1016から送達される照明は、連続的又はパルス状であってよい。LED1016を通る電流を変化させるモダリティは、有利なことに、より高いレベルの電流をLEDに送達して照明光のパルスを発生させることを容易にし、同時に、物体空間を時間的に連続的に照明するために必要とされる連続電流を使用する場合に比べて、本実施形態が過熱する問題を防ぐ。パルス状の照明は又、高強度の光を発生させて、物体空間のうちの、低強度の連続ビームでは届かない部分を照明することを可能にする。LED1534からの光が2色以上であれば(例えば、白色光及び青色光であって、例えば、その両方が交互にパルス化されることが可能であれば)、画像化を色インタリーブ方式で構成することが可能であり、例えば、一度に特定の選択された1色だけで物体空間を照明する場合に、必要に応じて光を選択することが可能である。当業者であれば容易に理解されるように、LED照明が3種類(以上)(例えば、白色、シアン、及び赤外)であれば、3種類(以上)を全て順次パルス化して、3つ(以上)の画像化モダリティを提供することが可能である。最後に、組織の特性(例えば、血管分布や代謝)に関する情報を提供するために、2種類以上の照明を組み合わせて、混合された画像を提供することが可能であり、例えば、白色照明とシアン照明とが混合されて、その上に赤外がスーパインポーズされた混合画像を提供することが可能である。
【0075】
更に、実施形態1000の場合と全く同様に、白色光LED1534が、シェル120を通しての、物体空間の生体構造又は無生物構造のほとんどの検査に使用されうるのに対し、選択的な画像化にはそれ以外の照明が使用されてよく、例えば、高コントラスト画像の表示には単色光が使用されてよい。一例として、青色光やシアン光は、血管系の表示や、生体器官の細胞内膜の変化(例えば、うろこ状粘膜と円柱状粘膜との違い)の表示のために高コントラスト画像を提供することに使用されてよい。更に、可視スペクトルの外側の波長(例えば、紫外波長や赤外波長)が画像の表示に利用されてよい。電磁波長を使用して、カプセルを取り巻く組織や材料の分子を励起することにより、がん又は炎症又は化生等の病気や症状の追加画像やデータ特性を提供する蛍光画像を生成することが可能である。白色光画像化から単色光画像化、蛍光画像化、吸収画像化、及び多光子画像化に至る複数の光学技術が、そのようなテザーでつながれたカプセル、並びに周囲の物質及び組織の構造の画像化に使用される方法(例えば、超音波画像化や光音響画像化)に組み込まれてよい。
【0076】
実施形態1500の手持ち式リモートコントロールユニット1700の概略を
図17に示す。これは
図12とほぼ同様であり、異なる点として、
図17の場合には、2本の傾斜コード(1534A、1534B)だけの動作を制御しなければならない(任意選択の第3のコード1534Cも使用される場合は、
図12の実施形態が使用されてよい)。これらのコードは、摩擦を最小限に抑えるために、湾曲した面又はプーリ(図示せず)に沿って通されてよい。
【0077】
システム1500の画像化カメラと、リモートコントローラ1700及び/又は補助外部マイクロコントローラ及び/又はプログラム可能電子回路(これらは、存在する場合には、
図1の矢印で示されている)との間の協調は、光を伝送するように構成されたチャネルが全くないテザー104を使用して実現される。この目的のために、(テザー104の一実施形態1800の概略断面が示されている
図18を参照すると)実施形態1800は、金属編組シールドのエンベロープ又は管状部材1804を含んでよく、これは更に、ポリ塩化ビニルのカバー1810に包まれている。(概略1800の中央部分で黒色の円として図示されている)2本の牽引/傾斜コード又はストリング1534が張力のがし要素130を通ってシェル120の外に出ると、これらのコードは、個々に個別の(黒色の円を取り巻く円形境界として図示されている)らせんコイル1814の内部に収容され、らせんコイル1814により、コードがテザー1800に沿ってその内部で動いてカメラを所望の方向にうまく傾斜させることが容易になる。各牽引コードは、ベースプレート1526上の別々の穴を通ってカメラカプセルから出る。それらの穴は、2つのコード1534を収容して、ベースプレートの中心近くに誘導してテザー1800に入れるために、互いに対して側方に角度を付けられてよい。コイルばねは、ステンレス綱等の材料で作られてよい。一例として、0.15mm径のナイロン製牽引コードが、内径が約0.3mmであって、外径が約0.5mmであって、0.1mmのステンレス綱ワイヤで作られたステンレス綱コイルに包み込まれてよい。コイルばねにより、テザー1800を曲げてもコイルばねの内部構造が崩れたりよじれたりしないことが可能である。コイルばねは更に、牽引コード1534の長さの変化を容認し、牽引コード1534が最小限の抵抗で自由に動くことを可能にする。コイルばねは、好ましくはテザーの中心に置かれており、電気ワイヤ1812(電力用、グランド用、及び制御信号用の各ワイヤ)、1822(この電気ワイヤは、データ伝送用のシールドされた差動ペア及びグランドワイヤを表す)に隣接しており(且つ/又は囲まれており)。これは、所与の牽引コード1534に張力がかかったときのテザー1800の曲がりやこわばりを最小限に抑えるためである。金属編組シールド1804はグランドに接続されている。これは、ケーブル内部のワイヤを通るデータ転送との電磁干渉を防ぎ、体の局所器官に対するそのような影響を最小限に抑える。コイルばね1814は、手持ち式コントロールユニット1700においてグランドに接続されてよい。
【0078】
実施例C
【0079】
図19A、19Bは、本発明のシステムの別の関連実施形態を示しており(これは、見方によっては、
図10A、10Bの実施形態と
図15A、15Bの実施形態との構造的混合と言える)、このことは、関連する様々な実施形態の様々な要素及び構成要素が交換可能であってよいことを示している。ここで、カメラの電子回路に作用的に接続されている電気ワイヤ1912は、側方に方向付けられて、(スタンド1022の開口1920に嵌合されてそこに載っている)アクスルの周囲にらせんループ1912Aを形成してから、ベースプレートの穴を通って出て、張力のがし130を通ってテザーに入る。らせんループ1912Aにより、ワイヤを破損することなく、カメラを繰り返し傾斜させることが可能である。ループ1912Aは、一方又は両方のアクスルに形成されてよい。この実施形態では、実施形態1000と同様に3本の牽引コード1934が図示されており、これらはそれぞれ対応する開口1938を通り、例えば、コントローラ1200を使用して、実施形態1400に従って構成されたテザーを通して動作させることが可能である。参照符号1940は、嵌合コネクタ及び接着剤でテザーに取り付けられて張力のがし要素130で覆われているベースプレートを表しており、一方、参照符号1942は、電気ワイヤの空間的な向きを変えて実施形態1900の軸から側方へ遠ざけるように寸法決定されたスロットを表している。
【0080】
図20A、20Bは、本発明の一実施形態の画像化システムの一部分の異なる2つの姿勢を(必ずしも厳密ではなく)概略的に示しており、ここでは、画像化システム全体のうちの、ほぼ球状のシェル状の前部レンズ要素120の内部に配置されたレンズホルダ1004、1504に収容された画像化システムの一部分/レンズ114(対応するFOVの半角がAと表記されている)のそれぞれ対応する角度方位が、牽引コード(1034、1234、1534、1934)の動作の結果として互いに異なっている。具体的には、
図20Aは、レンズ114の軸128とシェル120の軸124とがほぼ一致しているときの名目角度方位にある実施形態を示しており、一方、
図20Bは、レンズ114の軸128とシェル120の軸124との間の角度傾斜が角度Bとして表される場合の傾斜方位にある実施形態を示している。参照符号2004は、角度Aの範囲を定める軸方向の光線及び最も外側の光線を表す。矢印2010は、テザーの一実施形態の方角、並びにテザーを通ってリモートコントローラに至る方角を指す。点Pは、トップアパーチャにある、レンズ114の軸上点であり、点Pの、シェル120からの最短離隔距離は、高度角度(
図1を参照)の利用可能な範囲内で傾斜角度Bがいかに変化しようとも、ほぼ一定のままである。当業者であれば容易に理解されるように、光学レンズ114が固定設計である場合、そのような条件は、レンズ114の頂点(最も外側の前面点)を、シェル120の内面からほぼ等距離のままであるように保持することにつながり、シェル120内では、レンズ114、レンズ114のホルダ、光源1016、及び対応する光検出器の回転が同時に行われる。
【0081】
第1のシェル状レンズ要素と、この第1のレンズ要素内の光学レンズとの間の上述の機械的協調に基づいて、これら2者の組み合わせは、全体として空間的に再配置可能であるように行われ、それによって、第1のレンズ要素の、空間内での再配置が、回転軸を中心とする光学レンズの回転がない所定の様式で行われる場合、光学レンズの、空間内での再配置も同じ所定の様式で行われる。
【0082】
本発明の光学系の上述の説明から得られることとして、画像化カメラの光学系が(上述の実施例と同様に)約180°の(全角度)FOVで特徴付けられる場合、カメラを、シェル120と光学レンズ114との間の名目相互方向から±90°傾斜又は回転させることにより、ユーザは、軸124、128を含む面内で物体空間のほぼ360°の視野及び画像化を完成することが可能になる(そして(例えば、テザーをねじることによって)軸124を中心とする実施形態の回転が追加されれば、物体空間のほぼ球状の視野を完成することが可能になる)。この設計により、一例として、
図9A、9Bに概略的に示すように、胃の幽門から胃食道接合部までを所望のままに完全に見ることが可能になる。画像化されている身体器官又は他の物体空間が(例えば、患者の体を曲げた結果として)軸124に対してわずかに傾斜するか曲がると、本発明以外の場合には物体空間の一部がテザーによって隠されて見える可能性があるが、本発明によれば正常に画像化されることが可能である。レンズ要素120の内部のレンズ114が±90°の範囲を超えて回転すると、場合によっては(
図9A、9Bに見られるように)テザーに沿ってカメラ上方に角度ギャップが存在する可能性があり、これは、本発明以外の場合にはカプセル上方のカメラギャップのFOVでカバーされない可能性があるが、本発明によれば、テザー及び張力のがしによって視野からブロックされる可能性のある空間以外は、ほぼ完全にカバーされることが可能である(それにより、カメラの「盲点」がなくなる)(但し、そのようにブロックされうる空間があることも、器官をわずかに傾斜させたり曲げたりすることで補うことが可能である)。
【0083】
名目方向のカメラで画像をキャプチャし(即ち、軸124に沿って前方に物体空間を見て)、その後、レンズ114を名目方向から左右に繰り返し傾斜/回転させれば、そして、そのような回転に管状身体器官に沿っての本実施形態の長手方向再配置が伴えば、それによって、管状器官のほぼ完全な、空間的に途切れない見え方を達成でき、それには、先行技術で使用される従来型の前方を見る機器では通常見えないであろう、器官のひだや障害物の背後を見ることも含まれる。必要であれば、ソフトウェアで様々な画像をつなぎ合わせ、画像同士が一部重なり合うことを考慮することにより、ひだがある管状器官又は管又は腸、或いは空洞や空間の完全な連続画像を構築することが可能である。一例として、テザーでつながれたカプセルを小腸に沿って引き戻す場合に、レンズ要素120内のレンズ114を左右に傾斜させることにより、先行技術で使用されている、前方を見る小腸内視鏡ではよく見えない、小腸内の何百ものひだ(輪状ひだ)の背後の粘膜を見ることが可能である。
【0084】
代替又は追加として、FOVの全体半角が90°より小さいように光学系が構成されている場合は、テザーをねじることによって、画像化カメラの全体の合計の見え方の中の視野が、方位角に沿った側方視野のギャップを埋めてカバーすることが可能であり、一方、テザー自体の牽引又は解放を行うことにより、管状器官又は管又は腸、或いは空洞や空間の完全な管状の同一方向の見え方を達成することが可能である。
【0085】
画像化カメラを長手方向に繰り返し(前後に)方向付けることが可能であることにより、物体空間の所定部分(例えば、身体器官のうちの関心領域)を、上述の交互照明モードで画像化することを含めて、繰り返し画像化することが可能であり、或いは、器官の筋肉の収縮により、前は見えなかった可能性のある領域を観察することが可能である。更に、レンズ114をわずかに異なる角度で回転させることにより、病変のトポグラフィをよりよく評価することが可能であり、これは(例えば、潰瘍の外側縁を検査する際の)診断に役立つ。
図9A、9Bを更に参照すると、本実施形態のカプセルを垂直軸に沿って持ち上げて(再配置して)レンズ114を上方に回転させることにより、胃の底、噴門、及び胃食道接合部をほぼ完全に見ることが可能になる。複数の視野を組み合わせることにより、胃のような器官のほぼ完全に球状の視野が実現される。
【0086】
集められた画像を、同一方向画像がない場合の、及び同一方向画像内での自動化された病変の識別及び局所化を行うために使用される人工知能システムにより、更に表示及びコンピュータビジョン処理することが可能である。そのように画像を表示し、画像同士を関連付けることの利点は、カメラが様々な方向に動いているときに観察者が方向感覚を喪失するのを防ぐこと、並びに、選択された基準画像を基準として表示される画像からのフィードバックによってカメラの動きを制御することを可能にすることである。一例として、基準画像が胃の幽門の画像である場合には、幽門を基準として他の画像を表示することが可能であり、それによって、画像の曲率がより小さいか、より大きいか、或いは、胃の本体の前壁か後壁かが、医師によって直ちに認識されることとなり、これによって、胃の中の病変のより精密且つ正確な局所化が可能になる。
【0087】
従って、当然のことながら、本発明のアイデアに従って、カプセル封入され、テザーでつながれた画像化カメラ、及びそのようなカメラを動作させる方法が提供される。
【0088】
一般に、本明細書に記載のタイプのカメラは、(屈折力がゼロでない、光学的に透明な、ほぼ球状のシェル状レンズ要素に実質的にカプセル封入された)内部レンズアセンブリと、画像センサ又は光検出器と、このシェル状の外側ケーシングを通して物体空間を照明するように構成された発光ダイオードと、を含み、内部レンズアセンブリは、見るための全ての姿勢において、シェルからほぼ等距離にあり続けるように配置される。一例では、内部レンズアセンブリは、画像化の空間解像度を約50μmに保ちながらほぼ180°の範囲を定めるFOVを提供する4つの要素を含む。どの時点においても、視野角が広いほど、画像化できる空間は広くなるが、視野角は用途ごとの必要に応じて様々であってよい。構成レンズ要素は、プラスチックポリマー製であってよく、ガラス製であってもよい。食道及び胃での使用のために、光学系は、食道と胃の上部とにおいて予想される、カプセルの表面から10cm以上までの距離範囲にわたって最適な画像化性能を実現するように設計される。焦点距離及び集束距離は、カプセルの必要に応じて様々であってよい。関連実施態様では、レンズは固定焦点を有してよく、又は自動焦点機能を有してよく、又は再焦点合わせを可能にする液体レンズを含んでよい。レンズ設計は、当然のことながら、内部レンズアセンブリが高度角度空間において角度的に再方向付けされたときに画像歪みが発生しないような、カプセルの透明ケーシングの屈折率に対応する。
【0089】
そのような画像化カメラを使用する方法は一般に、第1の光学要素の内部の光源が発生させる光で第1の光学要素を通して物体空間の標的部分を照明するステップと、標的部分から反射した光を光学画像化システム内に伝送することによって、光検出器において反射光の空間分布の光学的共役を形成するステップと、を含む。方法は更に、シェルを標的部分に対して固定したままで、カメラのほぼ球状のシェルの内部の光学レンズを動かすステップ、及び/又は、光学レンズをシェル内で固定したままで、ほぼ球状のシェルを標的部分に対して再配置するステップと、光学レンズをシェル内で動かしながら、ほぼ球状のシェルを標的部分に対して再配置するステップと、のうちの1つを含んでよい。代替又は追加として、本方法の一実施形態は、前記光学画像を表す電気信号を、ほぼ球状のシェルの内部から、シェルの外部にある電子回路までテザーを通して転送するステップと、光学画像を転送するためのストリームフォーマットを定義する電気信号をテザーに通すステップ、及び、マイクロコントローラを使用して、光学画像化システムの光源に印加される電圧を調節することにより、前記光源の少なくとも1つが発生させる光の強度を変化させるステップのうちの少なくとも一方と、を含んでよい。本方法のほぼあらゆる実施態様において、以下の任意選択の条件、即ち、電気信号を転送するプロセスは、光学レンズのホルダのベースに形成された開口を通る導電性部材を通して電気信号を転送するステップを含み、前記開口は、光電子システムのうちの導電性部材が接続されている部分が傾斜又は回転したときに開口内での導電性部材の動きを制約しないように寸法決定されている、という条件、前記転送するプロセスは、光電子システムのうちの導電性部材が接続されている部分が傾斜又は回転したときの導電性部材の曲がりを抑えるために光電子システムの回転アクスルの周囲にループ又はらせんを形成するように配置された導電性部材を通して電気信号を転送するステップを含む、という条件、並びに、光学レンズのホルダのベースの開口は、光電子システムのうちの導電性部材が接続されている部分が傾斜又は回転したときの導電性部材の曲がりをほぼなくすために、導電性部材の向きを側方に変えてホルダの軸から遠ざけるように寸法決定されている、という条件のうちの少なくとも1つが満たされてよい。更に、代替又は追加として、カメラを使用して光学画像を形成する方法は、リモートコントローラを使用して第1のストリング及び第2のストリングの少なくとも一方を引っ張って、光学レンズの角度方位をシェル軸に対して変化させるステップを含んでよい(少なくとも1つの場合には、そのような引っ張るステップは、それぞれの対応するらせんコイル又はチューブで覆われて、テザーの軸方向領域内に配置された第1のストリング及び第2のストリングの少なくとも一方を引っ張るステップを含み、このように覆われて配置されるのは、前記引っ張るステップによって第1のストリング及び第2のストリングの少なくとも一方が強制的に伸ばされるのを抑える効果、並びに、第1のストリング及び第2のストリングの少なくとも一方の周囲で伸び縮みして、光電気機械システムのうちの、第1のストリング及び第2のストリングの前記少なくとも一方が取り付けられている部分が傾斜又は回転したときの第1のストリング及び第2のストリングの前記少なくとも一方の曲がりの度合いを抑える効果の少なくともいずれかの効果を達成するためである)。本方法のいずれの実施態様においても、引っ張る処置を中止する操作と、第1のストリング及び第2のストリングに応力がかかっていない間に、カメラの光学レンズを名目方向に戻すように第3のストリング(任意選択で、あれば)をマニピュレートする操作とが実施されてよい。
【0090】
これらの実施形態のために選択された特定の値が記載されている場合があるが、当然のことながら、本発明の範囲内では、全てのパラメータの値は、異なる用途に適合するように広範囲にわたって様々であってよい。
【0091】
カメラの動作のプロセスの少なくとも一部が、メモリに記憶された命令で制御されるプロセッサ(マイクロプロセッサ、電子回路)を含むように記載されている。メモリは、制御ソフトウェア又は他の命令及びデータを記憶するのに適するランダムアクセスメモリ(RAM)、読み出し専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ又は他の任意のメモリ、或いはこれらの組み合わせであってよい。当業者であればやはり容易に理解されるように、本発明の機能を定義する命令又はプログラムは、多様な形態でプロセッサに送達されてよく、そのような形態として、非書き込み可能記憶媒体(例えば、コンピュータ内の読み出し専用メモリデバイス(ROM等)、又はコンピュータI/Oアタッチメントで読み取り可能なデバイス(CD-ROM又はDVDディスク等)に永続的に記憶された情報、書き込み可能記憶媒体(例えば、フロッピーディスク、リムーバブルフラッシュメモリ、及びハードドライブ)に変更可能に記憶された情報、又は、有線又は無線のコンピュータネットワークを含む通信媒体を通してコンピュータに搬送される情報があり、これらに限定されない。更に、本発明はソフトウェアで実施されてよいが、本発明の実施に必要な機能は、任意選択で、又は代替として、一部又は全体がファームウェア及び/又はハードウェアのコンポーネントを使用して実施されてよく、そのようなコンポーネントとして、組み合わせ論理、特定用途向け集積回路(ASIC)、フィールドプログラムゲートアレイ(FPGA)、又は他のハードウェア、或いはハードウェア、ソフトウェア、及び/又はファームウェアのコンポーネントの何らかの組み合わせがある。
【0092】
当然のことながら、説明された光電子画像化システム(画像化プローブ)は、大まかには(添付図面に具体的な構成が示されていてもいなくても)、本発明の光学系の一実施形態を有する光電子回路が配置されている遠位部分と、少なくともプログラム可能プロセッサ及び/又はしかるべき表示装置、並びにハウジング又はシースに好ましくは取り外し可能に接続された近位部分(その全体を通して光学的部材及び/又は電気的部材がプログラム可能プロセッサを光電子回路に作用的に接続している近位部分)と、を含む。
【0093】
本開示及び添付の特許請求項の目的のために、提示された値、要素、特性、又は特徴の記述子を参照する際に「ほぼ(substantially)」、「およそ(approximately)」、「約(about)」という語句、及び同様の語句を使用することは、参照される値、要素、特性、又は特徴が、必ずしも厳密に言葉どおりというわけではないものの、実際上はやはり、述べられたとおりであると当業者によって見なされることになるということを強調することを意図されたものである。これらの語句は、特定の特性又は品質の記述子に適用される場合には「ほとんど(mostly)」、「主に(mainly)」、「かなり(considerably)」、「全般的に(by and large)」、「本質的に(essentially)」、「大部分又はかなりの程度まで(to great or significant extent)」、「概ね同じだが、必ずしも完全に同じではない(largely but not necessarily wholly the same)」という意味になり、これは、例えば、近似の言い回しを妥当に示し、特定の特性又は記述子を、その範囲が当業者によって理解されるように説明するためである。一具体例では「およそ(approximately)」、「ほぼ(substantially)」、及び「約(about)」という語句は、数値に関して使用される場合には、特定の値に対して±20%の範囲を表し、より好ましくは特定の値に対して±10%、更に好ましくは±5%、最も好ましくは±2%の範囲を表す。
【0094】
これらの語句を、選択された特性又は概念の説明に使用することは、不明確であること、並びに特定の特性又は記述子に数的限定を加えることについて何らかの根拠を意味したり提供したりするものではない。当業者であれば理解されるように、そのような値、要素、又は属性の厳密な値又は特性の、そのように述べられたものからの実際の逸脱は、そのような目的の為に当該技術分野において受け入れられている測定方法を使用する場合に典型的な実験的測定誤差によって定義される数値範囲に収まるものであり、その範囲内で変動しうる。「ほぼ(substantially)」、「約(about)」、及び/又は「およそ(approximately)」という語句の意味の、別の実際的な状況に適用された他の具体例も、本開示の別の場所に示されている場合がある。
【0095】
本明細書全体を通しての、「一実施形態(one embodiment)」、「一実施形態(an embodiment)」、「関連実施形態(a related embodiment)」、又は同様の言い回しに対する参照は、その参照された「実施形態(embodiment)」に関して記述された特定の特徴、構造、又は特性が、本発明の少なくとも1つの実施形態に含まれることを意味する。従って、本明細書全体を通しての、「一実施形態では(in one embodiment)」、「一実施形態では(in an embodiment)」という語句、及び同様の言い回しの出現は、全てが同じ実施形態を参照している場合もあるが、必ずしも全てが同じ実施形態を参照しているわけではない場合もある。当然のことながら、本開示のどの部分も、それ自身として、並びに図面との可能な関連において、本発明の全ての特徴を完全に記述するものではない。
【0096】
本発明の説明を上述の例示的実施形態を通して行ったが、当業者であれば理解されるように、本明細書に開示の発明概念から逸脱しない限り、図示の実施形態に対する修正や変形が行われてよい。開示された態様は、上記で挙げられていない様式で組み合わされてよい。従って、本発明は、開示された実施形態に限定されるととらえられるべきではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-01-12
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光学画像化システムであって、
シェル軸を有するほぼ球状のシェルとして寸法決定された第1の光学要素と、
光軸と、前記第1の光学要素に面していて頂点を有する前部レンズ要素と、を有する光学レンズと、
を含み、
前記光学レンズは、回転軸を中心として、前記シェル軸と前記光軸との間で定義される回転角度で回転可能であるように前記第1のレンズ要素内にマウントされており、前記回転角度は、前記シェル軸及び前記光軸の両方を含む選択された面内で少なくとも-90~+90°の範囲のありとあらゆる値を取ることが可能であり、
前記第1の光学要素の一部分が、前記第1の光学要素内の前記光学レンズの前記回転角度に対応する立体角によって範囲を定められていて、光学的に透明であり、屈折力がゼロでない第1のレンズ要素として構成されており、
前記屈折力がゼロでない第1のレンズ要素と前記光学レンズとの組み合わせにより、前記光学画像化システムの光学画像化特性及び視野が定義される、
光学画像化システム。
【請求項2】
前記光学レンズの視野(FOV)は、前記光軸から測定される半角が最大88°である、請求項1に記載の光学画像化システム。
【請求項3】
以下の条件、即ち、
a)前記シェル軸は、前記第1の光学要素の対称軸である、という条件、
b)前記ほぼ球状のシェルの厚さの値は、前記シェル軸から測定される角度の関数として一定のままである、という条件、並びに
c)前記回転軸は前記ほぼ球状のシェルの中にある、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項1に記載の光学画像化システム。
【請求項4】
前記回転軸を中心とする前記光学レンズの回転角度がどれだけであっても、前記前部レンズ要素の頂点が前記ほぼ球状のシェルの内面から等距離のままである、請求項1に記載の光学画像化システム。
【請求項5】
前記光学レンズは、負メニスカス光学レンズ要素のペアと、前記正レンズ要素のペアと、を含み、前記光学レンズの光学歪みは、66°までのどの半視野角においても40%を超えない、請求項1に記載の光学画像化システム。
【請求項6】
前記光学レンズは、以下の条件、即ち、
a)前記光学レンズは、非点収差が、矢状面又は接平面のいずれかにおいて、前記光学レンズの視野内の全ての視野高さにおいて25ミクロンを超えないことを特徴とする、という条件、
b)前記光学レンズは、前記光学歪みが、44°までのどの半視野角においても20%を超えないことを特徴とする、という条件、並びに
c)前記光学レンズは、前記光学歪みが、前記光学レンズの最大半視野角までのどの半視野角においても80%を超えないことを特徴とする、という条件
のうちの少なくとも1つを満たす、請求項1に記載の光学画像化システム。
【請求項7】
前記光学レンズは、負メニスカス光学レンズ要素のペアと、前記正レンズ要素のペアと、を含み、
前記光学画像化システムは、光学歪みが、前記光学系の最大半視野角までのどの半視野角においても20%を超えないことを特徴とする、
請求項1に記載の光学画像化システム。
【請求項8】
前記光学画像化システムは、以下の条件、即ち、
a)前記光学画像化システムは、非点収差が、矢状面又は接平面のいずれかにおいて、前記光学画像化システムの視野内の全ての視野高さにおいて20ミクロンを超えないことを特徴とする、という条件、
b)前記光学画像化システムは、前記光学歪みが、66°までのどの半視野角においても10%を超えないことを特徴とする、という条件、並びに
c)前記光学画像化システムは、前記光学歪みが、44°までのどの半視野角においても5%を超えないことを特徴とする、という条件
のうちの少なくとも1つを満たす、請求項7に記載の光学画像化システム。
【請求項9】
前記第1の光学要素と、前記第1のレンズ要素内の前記光学レンズとは、全体として空間的に再配置可能であるように互いに対して固定され、それによって、前記第1のレンズ要素の、空間内での再配置が、前記回転軸を中心とする前記光学レンズの回転がない所定の様式で行われる場合、前記光学レンズの、空間内での再配置も同じ所定の様式で行われる、請求項1に記載の光学画像化システム。
【請求項10】
以下の条件、即ち、
a)前記光学画像化システムの画像化面と前記前部レンズ要素の前記頂点との間の距離が5mmを超えない、という条件、
b)前記前部レンズ要素の径が4mmを超えない、という条件、並びに
c)前記光学画像化システムの空間解像度が少なくとも50ミクロンである、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項1に記載の光学画像化システム。
【請求項11】
前記光学レンズの背後にあって、画像化面を定義している光検出器と、
前記光軸に直角な面内の、前記前部レンズ要素の周囲に配置されて、前記光軸に沿って光を放射する光源と、
を更に含み、
前記光検出器及び前記光源の両方が、前記光学レンズに空間的に従って動くように、前記光学レンズと空間的に協調している、
請求項1に記載の光学画像化システム。
【請求項12】
請求項1に記載の光学画像化システムを含む光電子システムであって、
前記ほぼ球状のシェルがほぼ流体を通さず、
電子回路を載せたプリント回路基板(PCB)を含み、前記電子回路は、前記電子回路のうちの、少なくとも、(a)前記光学画像化システムで取得された光学画像の転送のためのストリームフォーマットを、前記シェルの外部で定義することと、(b)前記光学画像化システムの光源に印加される電圧を調節することと、を行うように識別された部分を制御するように構成されたプログラム可能マイクロプロセッサを更に含み、
前記PCBは、光検出器と電気的に接続されている、
光電子システム。
【請求項13】
前記光電子システムは、前記ほぼ球状のシェルの内部に電源がない、請求項12に記載の光電子システム。
【請求項14】
テザーの第1の端部から前記テザーの中を延びる導電性部材、を含む前記テザーを更に備え、前記導電性部材は、前記電子回路の要素と電気的に接触しており、前記テザーの第2の端部は、前記ほぼ球状のシェルの外側にあり、前記テザーは、前記テザーの内部に光学要素がない、
請求項12に記載の光電子システム。
【請求項15】
請求項1に記載の光学画像化システムを含む光電子システムであって、
前記ほぼ球状のシェルがほぼ流体を通さず、
テザーの第1の端部から前記テザーの中を延びる導電性部材、を含む前記テザーを更に備え、前記導電性部材は、前記ほぼ球状のシェルの中身と電気的に接触しており、前記テザーの第2の端部は、前記ほぼ球状のシェルの外側にあり、前記テザーは、前記テザーの内部に光学要素がない、
光電子システム。
【請求項16】
請求項15に記載の光電子システムと、
前部部分及びベース部分を有する光学レンズホルダであって、前記前部部分は前記光源を搭載し、一方、電子回路を載せた前記プリント回路基板(PCB)は前記ベース部分に取り付けられている、前記光学レンズホルダと、
前記光学レンズホルダの第1の点に接続された第1のストリング、及び前記光学レンズホルダの第2の点に接続された第2のストリングであって、前記第1及び第2の点は、前記光軸を挟んでほぼ直径方向に互いに対向している、前記第1及び第2のストリングと、
を含み、
前記第1及び第2のストリングは、前記テザーの中を通って、前記テザーの前記第2の端部にあるリモートコントローラまで延伸されており、前記リモートコントローラは、前記第1及び第2のストリングから選択された一方を引っ張って、前記光学レンズを前記シェル軸に対して傾斜させるように構成されている、
光電気機械システム。
【請求項17】
請求項12に記載の光電子システムと、
前部部分及びベース部分を有する光学レンズホルダであって、前記前部部分は前記光源を搭載し、一方、前記PCBは前記ベース部分に取り付けられている、前記光学レンズホルダと、
前記光学レンズホルダの第1の点に接続された第1のストリング、及び前記光学レンズホルダの第2の点に接続された第2のストリングであって、前記第1及び第2の点は、前記光軸を挟んでほぼ直径方向に互いに対向している、前記第1及び第2のストリングと、
を含み、
前記第1及び第2のストリングは、テザーの内部に光学要素がない前記テザーの中を通って、前記テザーの前記第2の端部にあるリモートコントローラまで引き出されており、
前記リモートコントローラは、前記第1及び第2のストリングから選択された一方を引っ張って、前記光学レンズを前記シェル軸に対して傾斜させるように構成されている、
光電気機械システム。
【請求項18】
以下の条件、即ち、
a)前記光電気機械システムは、前記ベース部分の中心に接続されて、前記テザーの中を前記ベース部分の前記中心から前記リモートコントローラ内の弾性要素まで延伸されている第3のストリングを含み、前記リモートコントローラは、前記光学レンズの名目方向を安定させるように構成されている、という条件、
b)前記リモートコントローラは、ラックアンドピニオン機構を前記リモートコントローラのハウジング内に含み、前記ラックアンドピニオン機構は、前記第1及び第2のストリングから選択された一方を引っ張るように構成されている、という条件、
c)前記リモートコントローラは、モータ及びマイクロコントローラを前記リモートコントローラの前記ハウジング内に含み、前記マイクロコントローラは、前記ラックアンドピニオン機構を動作させるように前記モータを制御するように構成されている、という条件、並びに
d)前記第1及び第2のストリングは、前記第1及び第2のストリングの引っ張り中に前記第1及び第2のストリングを伸ばす力を抑えるために、前記テザーの軸方向部分に配置されたらせんコイル又はチューブに個別に収容されている、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、請求項17に記載の光電気機械システム。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0096
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0096】
本発明の説明を上述の例示的実施形態を通して行ったが、当業者であれば理解されるように、本明細書に開示の発明概念から逸脱しない限り、図示の実施形態に対する修正や変形が行われてよい。開示された態様は、上記で挙げられていない様式で組み合わされてよい。従って、本発明は、開示された実施形態に限定されるととらえられるべきではない。
〔付記1〕
光学画像化システムであって、
シェル軸を有するほぼ球状のシェルとして寸法決定された第1の光学要素と、
光軸と、前記第1の光学要素に面していて頂点を有する前部レンズ要素と、を有する光学レンズと、
を含み、
前記光学レンズは、回転軸を中心として、前記シェル軸と前記光軸との間で定義される回転角度で回転可能であるように前記第1のレンズ要素内にマウントされており、前記回転角度は、前記シェル軸及び前記光軸の両方を含む選択された面内で少なくとも-90~+90°の範囲のありとあらゆる値を取ることが可能であり、
前記第1の光学要素の一部分が、前記第1の光学要素内の前記光学レンズの前記回転角度に対応する立体角によって範囲を定められていて、光学的に透明であり、第1の、屈折力がゼロでないレンズ要素として構成されており、前記第1のレンズ要素と前記光学レンズとの組み合わせにより、前記光学画像化システムの光学画像化特性及び視野が定義される、
光学画像化システム。
〔付記2〕
前記光学レンズの視野(FOV)は、前記光軸から測定される半角が最大88°である、付記1に記載の光学画像化システム。
〔付記3〕
前記第1の光学要素の一部分が、前記第1の光学要素内の前記光学レンズの前記回転角度に対応する立体角によってカバーされていて、光学的に透明であり、前記第1の光学要素と前記光学レンズとの組み合わせにより、前記光学画像化システムの光学系が定義されるように第1のレンズ要素として構成されている、付記1及び2のいずれか一項に記載の光学画像化システム。
〔付記4〕
以下の条件、即ち、
2a)前記シェル軸は、前記第1の光学要素の対称軸である、という条件、
2b)前記ほぼ球状のシェルの厚さの値は、前記シェル軸から測定される角度の関数として一定のままである、という条件、並びに
2c)前記回転軸は前記ほぼ球状のシェルの中にある、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、付記1~3のいずれか一項に記載の光学画像化システム。
〔付記5〕
前記回転軸を中心とする前記光学レンズの回転角度がどれだけであっても、前記前部レンズ要素の頂点が前記ほぼ球状のシェルの内面から等距離のままである、付記1~4のいずれか一項に記載の光学画像化システム。
〔付記6〕
前記光学レンズは、負メニスカス光学レンズ要素のペアと、前記正レンズ要素のペアと、を含み、前記光学レンズの光学歪みは、66°までのどの半視野角においても40%を超えない、付記1、2、4、及び5のいずれか一項に記載の光学画像化システム。
〔付記7〕
前記光学レンズは、以下の条件、即ち、
7a)前記光学レンズは、非点収差が、矢状面又は接平面のいずれかにおいて、前記光学レンズの視野内の全ての視野高さにおいて25ミクロンを超えないことを特徴とする、という条件、
7b)前記光学レンズは、前記光学歪みが、44°までのどの半視野角においても20%を超えないことを特徴とする、という条件、並びに
7c)前記光学レンズは、前記光学歪みが、前記光学レンズの最大半視野角までのどの半視野角においても80%を超えないことを特徴とする、という条件
のうちの少なくとも1つを満たす、付記6に記載の光学画像化システム。
〔付記8〕
前記光学レンズは、負メニスカス光学レンズ要素のペアと、前記正レンズ要素のペアと、を含み、
光学系は、光学歪みが、前記光学系の最大半視野角までのどの半視野角においても20%を超えないことを特徴とする、
付記1、2、4、及び4のいずれか一項に記載の光学画像化システム。
〔付記9〕
前記光学系は、以下の条件、即ち、
9a)前記光学系は、非点収差が、矢状面又は接平面のいずれかにおいて、前記光学系の視野内の全ての視野高さにおいて20ミクロンを超えないことを特徴とする、という条件、
9b)前記光学系は、前記光学歪みが、66°までのどの半視野角においても10%を超えないことを特徴とする、という条件、並びに
9c)前記光学系は、前記光学歪みが、44°までのどの半視野角においても5%を超えないことを特徴とする、という条件
のうちの少なくとも1つを満たす、付記8に記載の光学画像化システム。
〔付記10〕
前記第1の光学要素と、前記第1のレンズ要素内の前記光学レンズとは、全体として空間的に再配置可能であるように互いに対して固定され、それによって、前記第1のレンズ要素の、空間内での再配置が、前記回転軸を中心とする前記光学レンズの回転がない所定の様式で行われる場合、前記光学レンズの、空間内での再配置も同じ所定の様式で行われる、付記1~9のいずれか一項に記載の光学画像化システム。
〔付記11〕
以下の条件、即ち、
11a)前記光学画像化システムの画像化面と前記前部レンズ要素の前記頂点との間の距離が5mmを超えない、という条件、
11b)前記前部レンズ要素の径が4mmを超えない、という条件、並びに
11c)前記光学画像化システムの空間解像度が少なくとも50ミクロンである、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、付記1~10のいずれか一項に記載の光学画像化システム。
〔付記12〕
前記光学レンズの背後にあって、画像化面を定義している光検出器と、
前記光軸に直角な面内の、前記前部レンズ要素の周囲に配置されて、前記光軸に沿って光を放射する光源と、
を更に含み、
前記光検出器及び前記光源の両方が、(例えば、前記光学レンズに空間的に従って動くように)前記光学レンズと空間的に協調している、
付記1~11のいずれか一項に記載の光学画像化システム。
〔付記13〕
付記1~12のいずれか一項に記載の光学画像化システムを含む光電子システムであって、前記ほぼ球状のシェルがほぼ流体を通さないことを特徴とし、
更に、
電子回路を載せたプリント回路基板(PCB)を含み、前記電子回路は、前記電子回路のうちの、少なくとも、(a)前記光学画像化システムで取得された光学画像の転送のためのストリームフォーマットを、前記シェルの外部で定義することと、(b)前記光学画像化システムの光源に印加される電圧を調節することと、を行うように識別された部分を制御するように構成されたプログラム可能マイクロプロセッサを含み、
前記PCBは、前記光検出器と電気的に接続されている、
光電子システム。
〔付記14〕
前記光電子システムは、前記ほぼ球状のシェルの内部に電源がない、付記13に記載の光電子システム。
〔付記15〕
付記1~14のいずれか一項に記載の光学画像化システムを含む光電子システムであって、前記ほぼ球状のシェルがほぼ流体を通さないことを特徴とし、
更に
テザーを含み、前記テザーの第1の端部から前記テザーの中を導電性部材が延びており、前記導電性部材は前記シェルの中身と電気的に接触しており、前記テザーの第2の端部が前記シェルの外側にあり、前記テザーは、前記テザーの内部に光学要素がない、
光電子システム。
〔付記16〕
更に
テザーを含み、前記テザーの第1の端部から前記テザーの中を導電性部材が延びており、前記導電性部材は前記電子回路の一要素と電気的に接触しており、前記テザーの第2の端部が前記シェルの外側にあり、前記テザーは、前記テザーの内部に光学要素がない、
付記13及び14のいずれか一項に記載の光電子システム。
〔付記17〕
付記15及び16のいずれか一項に記載の光電子システムと、
前部部分及びベース部分を有する光学レンズホルダであって、前記前部部分は前記光源を搭載し、一方、前記PCBは前記ベース部分に取り付けられている、前記光学レンズホルダと、
前記光学レンズホルダの第1の点に接続された第1のストリング、及び前記光学レンズホルダの第2の点に接続された第2のストリングであって、前記第1及び第2の点は、前記光軸を挟んでほぼ直径方向に互いに対向している、前記第1及び第2のストリングと、
を含み、
前記第1及び第2のストリングは、前記テザーの中を通って、前記テザーの前記第2の端部にあるリモートコントローラまで延伸されており、前記リモートコントローラは、前記第1及び第2のストリングのうちの選択されたストリングを引っ張って、前記光学レンズを前記シェル軸に対して傾斜させるように構成されている、
光電気機械システム。
〔付記18〕
以下の条件、即ち、
18a)前記光電気機械システムは、前記ベース部分の中心に接続されて、前記テザーの中を前記ベース部分の前記中心から前記リモートコントローラ内の弾性要素まで延伸されている第3のストリングを含み、前記リモートコントローラは、前記光学レンズの名目方向を安定させるように構成されている、という条件、
18b)前記リモートコントローラは、ラックアンドピニオン機構を前記リモートコントローラのハウジング内に含み、前記ラックアンドピニオン機構は、前記第1及び第2のストリングのうちの選択されたストリングを引っ張るように構成されている、という条件、
18c)前記リモートコントローラは、モータ及びマイクロコントローラを前記リモートコントローラの前記ハウジング内に含み、前記マイクロコントローラは、前記ラックアンドピニオン機構を動作させるように前記モータを制御するように構成されている、という条件、並びに
18d)前記第1及び第2のストリングは、前記第1及び第2のストリングの引っ張り中に前記第1及び第2のストリングを伸ばす力を抑えるために、前記テザーの軸方向部分に配置されたらせんコイル又はチューブに個別に収容されている、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、付記17に記載の光電気機械システム。
〔付記19〕
光学画像を形成する方法であって、少なくとも、
付記1~12のいずれか一項に記載の光学画像化システムを使用することと、
前記第1の光学要素の内部の前記光源が発生させる光で前記第1の光学要素を通して前記物体空間の標的部分を照明するステップと、
前記標的部分から反射した前記光を前記光学画像化システム内に伝送することによって、前記光検出器において前記光の空間分布の光学的共役を形成するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
〔付記20〕
前記シェルを前記標的部分に対して固定したままで、前記ほぼ球状のシェルの内部の前記光学レンズを動かすステップを更に含む、付記19に記載の方法。
〔付記21〕
(21a)前記光学レンズを前記シェル内で固定したままで、前記ほぼ球状のシェルを前記標的部分に対して再配置するステップ、及び
(21b)前記光学レンズを前記シェル内で動かしながら、前記ほぼ球状のシェルを前記標的部分に対して再配置するステップ
のいずれかを更に含む、付記19に記載の方法。
〔付記22〕
光学画像を形成する方法であって、少なくとも、
付記13~16のいずれか一項に記載の光電子システムを使用することと、
前記光学画像を表す電気信号を、前記ほぼ球状のシェルの内部から、前記シェルの外部にある電子回路まで前記テザーを通して転送するステップと、
を含むことを特徴とする方法。
〔付記23〕
(23a)前記光学画像を転送するためのストリームフォーマットを定義する電気信号を前記テザーに通すステップ、及び
(23b)マイクロコントローラを使用して、前記光学画像化システムの前記光源に印加される電圧を調節することにより、前記光源の少なくとも1つが発生させる光の強度を変化させるステップ
の少なくともいずれかを更に含む、付記22に記載の方法。
〔付記24〕
以下の条件、即ち、
24a)前記転送するステップは、前記光学レンズのホルダのベースに形成された開口を通る導電性部材を通して電気信号を転送するステップを含み、前記開口は、前記光電子システムのうちの前記導電性部材が接続されている部分が傾斜又は回転したときに前記開口内での前記導電性部材の動きを制約しないように寸法決定されている、という条件、
24b)前記転送するステップは、前記光電子システムのうちの前記導電性部材が接続されている前記部分が傾斜又は回転したときの前記導電性部材の曲がりを抑えるために前記光電子システムの回転アクスルの周囲にループ又はらせんを形成するように配置された前記導電性部材を通して電気信号を転送するステップを含む、という条件、並びに
24b)前記光学レンズのホルダのベースの前記開口は、前記光電子システムのうちの前記導電性部材が接続されている前記部分が傾斜又は回転したときの前記導電性部材の曲がりをほぼなくすために、前記導電性部材の向きを側方に変えて前記ホルダの軸から遠ざけるように寸法決定されている、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、付記22及び23のいずれか一項に記載の方法。
〔付記25〕
光学画像を形成する方法であって、少なくとも、
付記17~19のいずれか一項に記載の光電気機械システムを使用することと、
前記リモートコントローラを使用して前記第1のストリング及び前記第2のストリングの少なくとも一方を引っ張って、前記光学レンズの角度方位を前記シェル軸に対して変化させるステップと、
を含むことを特徴とする方法。
〔付記26〕
前記引っ張るステップは、それぞれの対応するらせんコイル又はチューブで覆われて、前記テザーの前記軸方向領域内に配置された前記第1のストリング及び前記第2のストリングの少なくとも一方を引っ張るステップを含み、このように覆われて配置されるのは、
26a)前記引っ張るステップによって前記第1のストリング及び前記第2のストリングの少なくとも一方が強制的に伸ばされるのを抑える効果、並びに
26b)前記第1のストリング及び前記第2のストリングの少なくとも一方の周囲で伸び縮みして、前記光電気機械システムのうちの、前記第1のストリング及び前記第2のストリングの前記少なくとも一方が取り付けられている部分が傾斜又は回転したときの前記第1のストリング及び前記第2のストリングの前記少なくとも一方の曲がりの度合いを抑える効果
の少なくともいずれかの効果を達成するためである、付記25に記載の方法。
〔付記27〕
上記引っ張るステップを中止するステップと、
前記第1のストリング及び前記第2のストリングに応力がかかっていない間に、前記光学レンズを前記名目方向に戻すように前記第3のストリングをマニピュレートするステップと、
を更に含む、付記25及び26のいずれか一項に記載の方法。
〔付記28〕
前記引っ張るステップは、前記リモートコントローラの前記ハウジング内で前記ラックアンドピニオン機構を動作させるステップを含む、付記24~27のいずれか一項に記載の方法。
〔付記29〕
前記ラックアンドピニオン機構を動作させる前記ステップは、ステッパモータ及びドライバを使用して、ピニオンに固定されたベベルギヤを回転させるステップを含む、付記28に記載の方法。
〔付記30〕
第1の軸を有する第1のレンズ要素と、第2の軸を有する光学レンズと、を含む光学系により物体を画像化する方法であって、
前記光学レンズを、前記第1のレンズ要素で定義されたボリューム内で、前記ボリューム内にある回転軸を中心として回転させるステップと、
前記回転の各角度において、前記光学系を通る、前記物体からの光を、前記ボリューム内に配置された光検出器で取得するステップと、
前記光の空間分布を表す信号を、前記ボリュームレンズ要素の内部から前記ボリュームの外部に転送するステップと、
を含む方法。
〔付記31〕
以下の条件、即ち、
(31a)前記第1のレンズ要素は、前記光学レンズの少なくとも一部分を包み込んでおり、前記方法は更に、光源から前記第1のレンズ要素だけを通して送達される照明光を物体に照射するステップを含む、という条件、並びに
(32b)前記取得するステップは、前記物体からの前記光を、前記第1のレンズ要素及び前記光学レンズの両方を通して取得するステップを含む、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされ、
前記転送するステップは、電気信号を伝送するステップを含み、光学信号を伝送するステップを含まない、
付記30に記載の方法。
〔付記32〕
以下の条件、即ち、
(32a)前記回転させるステップは、前記光学レンズの前部レンズ要素を前記第1のレンズ要素から隔てている距離を、前記第1の軸及び前記第2の軸の両方を含む面内での前記第1の軸と前記第2の軸との間で測定される、少なくとも+90°~-90°の範囲内で選択されるどの緯度回転角度においてもほぼ一定に保ちながら、前記光学レンズをある緯度回転角度で回転させるステップを含む、という条件、並びに
(32b)前記方法は更に、前記光学レンズを回転させる前記ステップと同時に、又は前記光学レンズを回転させる前記ステップに続いて、前記第1のレンズ要素を前記第1の軸を中心として、ある方位回転角度だけ回転させるステップを含む、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、付記30に記載の方法。
〔付記33〕
以下の条件、即ち、
(33a)前記光学系の視野(FOV)は半角が少なくとも80°であり、前記回転軸を中心として前記光学レンズを回転させる前記ステップ、及び前記第1の軸を中心として前記第1のレンズ要素を360°回転させる前記ステップによって前記物体空間内で前記光学系によって範囲を定められる合計立体視野角が少なくとも3.8πステラジアンである、という条件、並びに
(33b)前記第1の軸を中心として前記第1のレンズ要素を回転させる前記ステップは、前記第1のレンズ要素の開口を通して延伸されているテザーをねじることによって、前記ボリュームの中身を前記第1のレンズ要素の外側の一点と接続するステップを含み、前記テザーは、前記テザーの長さに沿って第1の点と第2の点とを接続する光学チャネルを全く有しない、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、付記32に記載の方法。
〔付記34〕
以下の条件、即ち、
(34a)前記光学レンズを回転させる前記ステップは、立体角が少なくとも3πステラジアン以内で前記第1のレンズ要素の表面の湾曲の中心から見えるどの方向においても、屈折力がゼロでない前記第1のレンズ要素の光学的厚さがほぼ一定のままで、ボリューム内に封入された前記光学レンズを回転させるステップを含む、という条件、並びに
(34b)前記物体からの光を取得する前記ステップは、屈折力がゼロでない前記第1のレンズ要素を通して前記物体からの光を取得するステップを含み、前記第1のレンズ要素の光学特性は、前記立体角以内で前記湾曲中心から見えるどの方向においてもほぼ一定のままである、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、付記30に記載の方法。
〔付記35〕
以下の条件、即ち、
(35a)前記光学レンズを回転させる前記ステップは、前記光学レンズのエッジの一部分を、前記第1の軸にほぼ平行な方向に引っ張るステップを含む、という条件、並びに
(35b)前記光学レンズを回転させる前記ステップは、前記光学レンズのレンズ要素のエッジにある第1及び第2の点に、時間的に交互に力をかけるステップを含み、前記第1及び第2の点は、前記第2の軸を中心として直径方向に互いに対向している、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、付記30に記載の方法。
〔付記36〕
以下の条件、即ち、
(36a)前記引っ張るステップ及び前記力をかけるステップのいずれかが、テザー内の、前記テザーの軸方向領域内に配置された機械的部材を使用して前記光学レンズを再配置することにより、前記引っ張るステップによって前記機械的部材が強制的に伸ばされるのを抑えるステップを含み、
前記テザーは、光学要素が全くなく、遠位端部が、前記ボリューム内に収容された構成要素に取り付けられており、前記第1のレンズ要素にあるアパーチャを経由して前記第1のレンズ要素を通り抜けて前記構成要素まで延伸されている、という条件、並びに
(36b)前記機械的部材は、前記機械的部材の周囲で伸び縮みして、前記引っ張るステップの間の前記機械的部材の曲がりの度合いを抑えるチューブ又はらせんコイルで覆われている、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、付記35に記載の方法。
〔付記37〕
前記ボリュームの内部に配置された前記複数の光源からの光源を前記第2の軸に沿って前記物体に照射するステップ
を含む、付記30に記載の方法。
〔付記38〕
以下の条件、即ち、
(38a)前記光の空間分布を表す信号を転送する前記ステップは、光学要素が全くないテザーを通して前記信号を転送するステップを含み、前記テザーの遠位端部が、前記ボリューム内に収容された構成要素に取り付けられている、という条件、
(38b)前記転送するステップは、前記光学レンズのホルダのベースに形成された開口を通る導電性部材を通して電気信号を転送するステップを含み、前記開口は、前記光電子システムのうちの前記導電性部材が接続されている部分が傾斜又は回転したときに前記開口内での前記導電性部材の動きを制約しないように寸法決定されている、という条件、
(38c)前記転送するステップは、前記光電子システムのうちの前記導電性部材が接続されている前記部分が傾斜又は回転したときの前記導電性部材の曲がりを抑えるために前記光電子システムの回転アクスルの周囲にループ又はらせんを形成するように配置された前記導電性部材を通して電気信号を転送するステップを含む、という条件、並びに
(38d)前記光学レンズのホルダのベースの前記開口は、前記光電子システムのうちの前記導電性部材が接続されている前記部分が傾斜又は回転したときの前記導電性部材の曲がりをほぼなくすために、前記導電性部材の向きを側方に変えて前記ホルダの軸から遠ざけるように寸法決定されている、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、付記30に記載の方法。
〔付記39〕
前記ボリューム内に収容されているいかなる構成要素のいかなる動きも、前記ボリューム内で前記回転軸を再配置することを含まない、付記30に記載の方法。
〔付記40〕
ある光学視野(FOV)を有する画像化カメラであって、
屈折力がゼロでない第1のレンズ要素と、
前記第1のレンズ要素でほぼ囲まれたボリュームの内部に配置された光学レンズであって、前記FOVは、前記第1のレンズ要素及び前記光学レンズの両方で定義されている、前記光学レンズと、
前記光学レンズの構成レンズ要素同士を互いに対して固定している光学レンズホルダと、
前記第1のレンズ要素によって形成されているアパーチャを通って前記ボリューム内に延伸されているコードであって、前記コードの近位端部が前記光学レンズホルダに取り付けられている、前記コードと、
を含む画像化カメラ。
〔付記41〕
前記FOVは、前記第1のレンズ要素と前記光学レンズとの組み合わせによってのみ定義され、前記ボリュームの内部に配置された光源と、前記アパーチャを通って前記ボリューム内に延伸されて前記光源に電気的に接続されている電気部材と、を更に含む、付記40に記載の画像化カメラ。
〔付記42〕
前記アパーチャによって範囲が定まる線形角度は、前記第1のレンズ要素の湾曲の中心から見て45度を超えない、付記40に記載の画像化カメラ。
〔付記43〕
回転軸を中心として前記光学レンズを回転させるように構成されていて、前記光学レンズを前記第1のレンズ要素の表面から隔てている距離が、そのような回転のどの角度においても一定のままであり、前記回転軸は前記ボリューム内に配置されている、付記40に記載の画像化カメラ。
〔付記44〕
前記FOVは、3つのメニスカスレンズ要素と、それぞれが2つの凸面によって拘束されている2つのレンズ要素と、の組み合わせによって定義されている、付記40に記載の画像化カメラ。
〔付記45〕
前記コードがその中を延びるテザーを更に含み、前記テザーは、前記テザーの内部に光学要素がなく、前記コードは、前記テザーの軸方向部分に配置されたチューブ又はらせんコイルに収容されている、付記40に記載の画像化カメラ。
〔付記46〕
ある光学視野(FOV)を有する画像化カメラであって、
屈折力がゼロでない第1のレンズ要素であって、前記第1のレンズ要素でほぼ囲まれたボリュームと、前記ボリュームへのアクセスを提供するように構成されたアパーチャと、を画定している前記第1のレンズ要素と、
前記ボリュームの内部に配置された光学レンズであって、前記FOVは、前記第1のレンズ要素と前記光学レンズとの組み合わせによってのみ定義されている、前記光学レンズと、
前記ボリュームの内部にあって、前記第1のレンズ要素を通してのみ、前記第1のレンズ要素の外側の物体空間を照明するように構成された光源と、
前記ボリュームの内部にあって、前記第1のレンズ要素及び前記光学レンズの両方を通して前記物体空間からの光を取得するように構成された光検出器と、
を含む画像化カメラ。
〔付記47〕
前記光学レンズ、前記光源、及び前記光検出器は、機械的構造を使用して互いに機械的に協調することにより、前記光学レンズと前記光源と前記光検出器との間の相互の空間的な位置及び方位が不変に保たれるサブアセンブリを形成しており、
前記機械的構造は、前記ボリュームの完全に内部に配置されており、
前記機械的構造は、前記サブアセンブリの、前記第1のレンズ要素からの角度方位に無関係に、前記光学レンズの頂点の、前記第1のレンズ要素からの離隔距離をほぼ一定に保ったまま、前記角度方位を変化させるように構成されている、
付記46に記載の画像化カメラ。
〔付記48〕
前記光源及び前記光検出器の少なくとも一方に電気的に接続された導電性部材を含み、前記導電性部材は、前記アパーチャを通って前記ボリューム内に延伸されており、前記機械的構造のベースに形成された開口を通って延伸されており、以下の条件、即ち、
(48a)前記開口は、前記機械的構造が前記ボリューム内で傾斜又は回転しているときに前記開口内での前記導電性部材の動きを制約しないように寸法決定されている、という条件、
(48b)前記機械的構造が前記ボリューム内で傾斜又は回転しているときの前記導電性部材の曲がりを抑えるために、前記導電性部材は、前記機械的構造の回転アクスルの周囲にループ又はらせんを形成するように配置されている、という条件、並びに
(48c)前記光学レンズのホルダのベースの前記開口は、前記機械的構造が傾斜又は回転しているときの前記導電性部材の曲がりをほぼなくすために、前記導電性部材の向きを側方に変えて前記機械的構造の軸から遠ざけるように寸法決定されている、という条件
のうちの少なくとも1つが満たされる、付記47に記載の画像化カメラ。
〔付記49〕
前記アパーチャによって範囲が定まる線形角度は、前記第1のレンズ要素の湾曲の中心から見て45度を超えない、付記46に記載の画像化カメラ。
【国際調査報告】