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特表2024-515658RF依存システムに対する電磁環境影響(E3)を推定するための方法および装置
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  • 特表-RF依存システムに対する電磁環境影響(E3)を推定するための方法および装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】RF依存システムに対する電磁環境影響(E3)を推定するための方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01R 29/08 20060101AFI20240403BHJP
   H04B 17/309 20150101ALI20240403BHJP
【FI】
G01R29/08 D
H04B17/309
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563271
(86)(22)【出願日】2022-03-24
(85)【翻訳文提出日】2023-12-18
(86)【国際出願番号】 US2022021805
(87)【国際公開番号】W WO2022221022
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】63/175,162
(32)【優先日】2021-04-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】508364749
【氏名又は名称】ケロッグ ブラウン アンド ルート エルエルシー
【住所又は居所原語表記】601 Jefferson Street Houston TX 77002(US)
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハーウッド ツー セオドア レナード
(72)【発明者】
【氏名】ブラック ジェリック クレイグ
(57)【要約】
記載されたシステムおよび関連の試験方法は、試験精度を大幅に向上させると共に、電磁環境影響(E3)システムレベル試験における試験時間を短縮する。システムは、リアルタイムスペクトラムアナライザと、ネットワークアナライザと、汎用コンピュータなどの情報処理機器によって制御されるスイッチング/フィルタリング/結合ネットワークとを含んでもよい。これらのシステムは、各受信機のすべての周波数をスキャン可能である。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のRF依存デバイスを有するプラットフォーム上において無線周波数(RF)発生源/影響先RF受信機試験を実施するための方法であって、
前記複数のRF依存デバイスの一群をRF信号通信ネットワークに接続することと、
複数の捕捉アンテナを前記RF信号通信ネットワークに接続することと、
リアルタイムスペクトラムアナライザを前記RF信号通信ネットワークに接続することと、
前記リアルタイムスペクトラムアナライザおよび前記複数の捕捉アンテナを用いて前記プラットフォームにおける周囲電磁気状態を継続的に監視することと、
RF発生源を動作させてRF信号を送信することであって、前記RF発生源が前記一群のうちの前記RF依存デバイスの1つである、RF発生源を動作させることと、
前記リアルタイムスペクトラムアナライザを用いて前記一群のうちの各RF依存デバイスの動作パラメータを推定することと、
推定した前記動作パラメータと前記周囲電磁気状態とを用いて対象信号を特定することと、
前記対象信号を用いて、影響を受けたRF依存デバイスを特定することと、
を含む、方法。
【請求項2】
請求項1に記載の方法であって、
前記動作パラメータは、基本周波数と、高調波と、スプリアス発射とのうちの少なくとも1つである、方法。
【請求項3】
請求項1に記載の方法であって、
複数の発生源が順次動作される、方法。
【請求項4】
請求項1に記載の方法であって、
前記一群には、前記プラットフォーム上の前記RF依存デバイスのすべてが含まれる、方法。
【請求項5】
請求項1に記載の方法であって、
前記一群には、前記プラットフォーム上の前記RF依存デバイスのすべてよりも少ないRF依存デバイスが含まれる、方法。
【請求項6】
請求項1に記載の方法であって、
前記プラットフォーム上の前記RF依存デバイスのすべてが通電停止されている間、前記プラットフォームの前記周囲電磁気状態を推定すること、をさらに含む、方法。
【請求項7】
請求項5に記載の方法であって、
前記リアルタイムスペクトラムアナライザを用いて前記プラットフォームの前記周囲電磁気状態を推定しながら、前記一群のうちの各RF依存デバイスを順次接続および通電することを含む、方法。
【請求項8】
請求項1に記載の方法であって、
前記RF信号通信ネットワークには、(i)スイッチングネットワーク、および(ii)フィルタリングネットワークのうちの少なくとも1つが含まれる、方法。
【請求項9】
複数のRF依存デバイスを有するプラットフォームに対する電磁環境影響(E3)を推定するための装置であって、
複数の信号キャリアを有するRF信号通信ネットワークであって、各信号キャリアが前記複数のRF依存デバイスのうちの関連のRF依存デバイスに接続されるように構成され、前記RF信号通信ネットワーク、関連の各RF依存デバイスと信号通信が可能であるRF信号通信ネットワークと、
前記RF信号通信ネットワークと信号通信しているスペクトラムアナライザであって、前記RF依存デバイスに接続された前記信号キャリアにおける誘導RFの広帯域測定を略瞬時に行うように構成されたスペクトラムアナライザと、
前記RF信号通信ネットワークと信号通信している少なくとも1つの捕捉アンテナであって、少なくとも1つの周波数範囲内の周囲E3情報を収集するよう構成された、少なくとも1つの捕捉アンテナと、
前記RF信号通信ネットワークと信号通信している情報処理機器であって、前記少なくとも1つの捕捉アンテナと前記リアルタイムスペクトラムアナライザによって生成された情報とを用いてE3特性データを生成するように構成された情報処理機器と、
を備える、装置。
【請求項10】
請求項9に記載の装置であって、
前記RF信号通信ネットワークには、(i)スイッチングネットワーク、および(ii)フィルタリングネットワークのうちの少なくとも1つが含まれる、装置。
【請求項11】
請求項9に記載の装置であって、
前記動作パラメータは、基本周波数と、高調波と、スプリアス発射とのうちの少なくとも1つである、装置。
【請求項12】
請求項9に記載の装置であって、
前記プラットフォーム上の前記RF依存デバイスのすべてが通電停止されている間、前記情報処理機器が前記プラットフォームの前記周囲電磁気状態を推定することをさらに含む、装置。
【請求項13】
請求項9に記載の装置であって、
前記リアルタイムスペクトラムアナライザを用いて前記プラットフォームの前記周囲電磁気状態を推定しながら、前記一群のうちの各RF依存デバイスを順次接続および通電することをさらに含む、装置。
【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
[技術分野]
本明細書に記載の実施形態は、概して、無線周波数(RF)依存システムおよびサブシステムに対する電磁環境影響(E3)の影響力を推定するためのシステム並びに方法に関し、特に、プラットフォームレベルでの電磁両立性(EMC)および電磁干渉(EMI)に関する。
[背景]
【0002】
プラットフォームRF発生源/影響先RF機器(コンポーネント)試験とは、プラットフォームEMCが認証機関の要件を満たしていることを認証機関に証明する認証データを提供するために利用されるいくつかの試験のうちの1つである。この試験が発生源/被害者試験と称されることもあるのは、「被害者」機器が、発生源によって送信されたRF信号に対して意図せずに望まない応答を行うという理由による。そうした試験は、EMCを実証するための構造的なアプローチを提供し、EMIが発見された場合には、運転使用前に干渉を解決できる。航空機のような複雑なプラットフォームでは、これらの試験には時間とコストがかかることもある。これらの試験は、EMIがプラットフォームの安全性に悪影響を及ぼし、その任務遂行能力を損なう可能性がある各電気および電子システムを監視しながら、あらゆる電気および電子システムを地上運転することを含む。発生源機器は、RFエミッションおよび電磁過渡現象発生の最悪のケースと考えられるモードで運転される。RF依存システムは、RF放射量や電磁過渡現象の影響を最も受けやすいと考えられるモードで動作しながら監視される。
【0003】
計装無線地上試験は、発生源/被害者機器試験のサブセットである。この試験は、無線アンテナポートにおいてスペクトラムアナライザ(周波数分布分析器)を接続すること、並びに、周囲および発生源の両方のシステム動作について、被試験無線受信機、つまり「被害者」、の動作周波数を掃引(スイープ)することからなる。すべての搭載システムは通電されているが、送信を行っていない。従来、この試験は静かなRF環境(電波暗室など)で行われてきた。しかしながら、これらの試験は、測定器の設置に数日要し、同一拠点の運転条件下での受信機性能を判断するために使用した場合、測定に数週間を要することがある。
【0004】
ある局面において、本開示は、従来技術よりも効率的に、RF依存システムおよびサブシステムに対するE3の影響を推定する必要性に対処する。
[発明の概要]
【0005】
本開示は、試験精度を大幅に向上させると共に、電磁環境影響(E3)システムレベル試験における試験時間を短縮するシステム、および、関連の試験方法を提供する。概して、本開示に係るシステムは、リアルタイムスペクトラムアナライザと、ネットワークアナライザと、汎用コンピュータなどの情報処理機器によって制御されるスイッチング/フィルタリング/結合ネットワークとを含んでもよい。本開示に係るシステムは、各受信機のすべての周波数をスキャン可能であってもよい。例えば、6秒未満では、本開示に係るシステムは、2MHzから26GHzまでスキャン可能である。
【0006】
さらなる局面において、本開示は、複数のRF依存デバイスを有するプラットフォームにおいてRF発生源/影響先RF受信試験を実施するための方法を提供する。この方法は、複数のRF依存デバイスの一群(セット)をRF信号通信ネットワークに接続することと、複数の捕捉アンテナをRF信号通信ネットワークに接続することと、リアルタイムスペクトラムアナライザをRF信号通信ネットワークに接続することと、リアルタイムスペクトラムアナライザおよび複数の捕捉アンテナを用いてプラットフォームにおける周囲電磁気状態を継続的に監視することと、RF発生源を動作させてRF信号を送信することであって、RF発生源が一群のうちのRF依存デバイスの1つである、RF発生源を動作させることと、リアルタイムスペクトラムアナライザを用いて一群のうちの各RF依存デバイスの動作パラメータを推定することと、推定した動作パラメータと周囲電磁気状態とを用いて対象の信号を特定することと、対象の信号を用いて、影響を受けたRF依存デバイスを特定することと、を含んでもよい。
【0007】
さらに別の局面において、本開示は、複数のRF依存デバイスを有するプラットフォームに対する電磁環境影響(E3)を推定するための装置を提供する。この装置は、複数の信号キャリアを有するRF信号通信ネットワークであって、各信号キャリアが複数のRF依存デバイスのうちの関連のRF依存デバイスに接続されるように構成され、RFスイッチングおよび/またはフィルタにより関連の各RF依存デバイスと選択的信号通信可能であるRF信号通信ネットワークと、RF信号通信ネットワークと信号通信しているスペクトラムアナライザであって、RF依存デバイスに接続された信号キャリアにおける誘導RFの略瞬時広帯域測定を行うように構成されたスペクトラムアナライザと、RF信号通信ネットワークと信号通信している少なくとも1つの捕捉アンテナであって、少なくとも1つの周波数範囲内の周囲E3情報を収集するよう構成された少なくとも1つの捕捉アンテナと、RF信号通信ネットワークと信号通信している情報処理機器であって、少なくとも1つの捕捉アンテナとリアルタイムスペクトラムアナライザによって生成された情報とを用いてE3特性データを生成するように構成された情報処理機器と、を含んでもよい。
【0008】
さらに別の局面において、本開示は、複数のRF依存デバイスを有するプラットフォームに対する電磁環境影響(E3)を推定するための装置を提供する。この装置は、複数の信号キャリアを有するRF信号通信ネットワークであって、各信号キャリアが複数のRF依存デバイスの各アンテナに接続され、RFフィルタにより各アンテナと選択的信号通信可能に構成されたRF信号通信ネットワークと、RF信号通信ネットワークと信号通信し、RF依存デバイスに接続された信号キャリア内の誘導RFの略瞬時広帯域測定を行うよう構成されたリアルタイムスペクトラムアナライザと、RF信号通信ネットワークと信号通信し、複数のRF装置の各RF依存デバイスと関連付けられた動作パラメータを測定するように構成されたネットワークアナライザと、RF増幅器および1または複数のアンテナであって、該RF増幅器と少なくとも1つの捕捉アンテナが協働して少なくとも1つの周波数範囲内の周囲E3情報を収集するよう構成されたRF増幅器および1または複数のアンテナと、RF信号通信ネットワークと信号通信している情報処理機器であって、RF信号捕捉ユニットと、リアルタイムスペクトラムアナライザによって生成された情報と、ネットワークアナライザによって生成された情報とを用いたE3特性データを生成するように構成された情報処理機器と、を含んでもよい。
【0009】
さらなる局面において、本開示は、複数のRF依存デバイスを有するプラットフォーム上においてRF発生源/影響先RF受信機試験を実施するための方法を提供する。この方法は、複数のRF依存デバイスの一群をRF信号通信ネットワークに接続することと、少なくとも1つの捕捉アンテナと、リアルタイムスペクトラムアナライザとを用いて周囲E3を推定することと、RF信号通信ネットワークと信号通信しているリアルタイムスペクトラムアナライザを用いて一群の各RF依存デバイスと関連付けられた動作パラメータを推定することと、RF信号通信ネットワークを用いて一群のうちの各RF依存デバイスの各アンテナ同士を選択的に切り替えることとを含む方法であって、周囲E3と各動作パラメータとが所定の周波数範囲内および選択された帯域幅で推定される、方法であってもよい。
【0010】
本開示の特定の特徴部の実施例は、以下の詳細な説明がより理解され得るように、かつ当該技術分野への貢献が理解され得るように、かなり広く要約されていることが理解されるべきである。当然ながら、以下に記載され、場合によっては、本明細書に添付される特許請求の範囲の主題を形成する、本開示の追加的な特徴が存在する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
本開示の詳細な理解のために、好ましい実施形態についての以下の詳細な記載は、添付の図面と合わせて参照されたい。添付の図面では、同様の要素には同様の参照符号が付与されている。
図1】1または複数のRF発生源と1または複数のRF依存デバイスとを有するプラットフォームを示す概略図である。
図2】本開示の一実施形態に係る電磁環境影響(E3)試験システムの一実施形態を示す概略図である。
図3】本開示の一実施形態に係る1または複数のRF発生源と1または複数のRF依存デバイスとを有するプラットフォームについての校正(キャリブレーション)試験を実施するための方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図4】RF遮蔽効果を評価するための、本開示の一実施形態に係るE3試験システムの一実施形態を示す概略図である。
図5図4のシステムを用いて遮蔽効果について試験する方法の一実施形態を示すフローチャートである。
図6】プラットフォームのノイズフロアを評価するための、本開示の一実施形態に係るE3試験システムの一実施形態を示す概略図である。
図7図6のシステムを用いてRF手順の変化を特定する方法の一実施形態を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
図1を参照すると、複数のRF依存デバイス12が配置されたプラットフォーム10が概略的に示されている。試験中、これらのRF依存デバイス12のそれぞれは、干渉を引き起こすRF信号を送信するRF発生源として機能してもよく、干渉によって影響される、影響を受けるRFデバイス(または「被害者」)としても機能してもよい。すなわち、異なる時間において、特定のRF依存デバイスは、RF発生源として働き、その後、影響を受けるデバイスとして働いてもよく、また、その逆であってもよい。便宜上、図1には、無線周波数(RF)発生源13として働くいくつかのRF依存デバイス12と、影響を受けるRFデバイスであるいくつかのRF依存デバイス14とが示されている。プラットフォーム10は移動体であってもよく、例えば、航空機、宇宙船、陸上車両、または水上船舶である。RF発生源12は、概して、RF信号を発信可能なあらゆるデバイスであり、RF依存デバイス12とは、そうした発信されたRF信号によって動作が損なわれ得るあらゆるデバイスである。いくつかの用途では、各RF依存デバイス12は、アンテナ16または他の同様のRF信号受信機器を含んでもよい。さらに、RFシールド18を用いてRF依存デバイス12のうちのいくつか(一部)を包囲してもよい。以下にさらに記載するように、本教示に係る電磁環境影響(E3)試験システム100を用いて、RF依存デバイス12へのE3影響を推定すると共に、システム診断および特性評価を行ってもよい。試験は、プラットフォーム10上のRF依存デバイス12の一群に対して行ってもよい。この一群は、プラットフォーム10上のRF依存デバイス12のすべて、またはすべてよりも少ないRF依存デバイス12から構成されてもよい。
【0013】
図2を参照すると、本開示に係るE3試験システム100の非限定的な一実施形態が概略的に示されている。試験システム100は、スペクトラムアナライザ102、ネットワークアナライザ104、RF増幅器106、1または複数のアンテナ108a,b,c、RF信号通信ネットワーク110、および汎用情報処理機器112を含んでもよい。
【0014】
RF信号通信ネットワーク110は、RF依存デバイス12(図1)のアンテナ16(図1)のカプラ116a,b,nとの選択的信号通信が可能になるように構成されたモジュール式信号通信ネットワークであってもよい。RF信号通信ネットワーク110は、プラットフォーム10上のこれらのRF依存デバイス12のすべて、またはすべてよりも少ないRF依存デバイス12と選択的信号通信してもよい。実施形態において、RF信号通信ネットワーク110は、関連の信号キャリア122a,b,nを介してカプラ116a,b,nと信号通信しているデジタル減衰器120を含んでもよい。なお、3つのカプラ116a,b,nおよび関連の信号キャリア122a,b,nが示されているが、他の実施形態では、2つ以下または4つ以上のカプラ116a,b,nおよび関連の信号キャリア122a,b,nを含んでもよいことを理解されたい。
【0015】
いくつかの実施形態では、RF信号通信ネットワーク100は、スイッチングネットワークであってもよい。これらの実施形態は、極めて低い挿入損失が要求され、信号公差が非常に厳しい場合、および、スペクトラムアナライザが、スプリアス発射を発生させることなく測定対象の近傍の大信号を測定可能である場合、に適している可能性がある。いくつかの実施形態では、RF信号通信ネットワーク100は、フィルタリングネットワークであってもよい。これらの実施形態は、挿入損失がわずかに増加しても問題とならずに測定を緩和可能である場合や、スペクトラムアナライザが隣接する大信号の近傍で対象信号を測定する際にスプリアス発射を発生させる場合、適している可能性がある。いくつかの実施形態では、RF信号通信ネットワーク100は、スイッチングネットワークおよびフィルタリングネットワークであってもよい。
【0016】
スペクトラムアナライザ102は、リアルタイムスペクトラムアナライザであってもよい。実施形態において、スペクトラムアナライザ102は、RF信号通信ネットワーク110と信号通信してもよく、RF依存デバイス12(図1)に接続された信号キャリア122a,b,nにおける誘導RFのほぼ瞬時(20~50ミリ秒)広帯域測定(160MHz)を行うように構成されてもよい。
【0017】
ここでのネットワークアナライザ104は、ある1つのネットワークアナライザであってもよい。実施形態において、ネットワークアナライザ104は、RFフィルタスイッチングネットワーク110と信号通信してもよく、RF依存デバイス12のRFパラメータと関連付けられた設定済みのVSWR、振幅、および位相を測定するように構成されてもよい。
【0018】
RF増幅器106およびアンテナ108a~cは、周囲EEEを推定するように構成されてもよい。ある1つの非限定的な配置において、アンテナ108a~cは、2MHz~50MHzの範囲の周囲EEEを収集するように構成されたロッドアンテナと、50MHz~500MHzの範囲の周囲EEEを収集するように構成された対数周期アンテナと、500MHz~26GHzの範囲の周囲EEEを収集するように構成された導波管ホーンアンテナとを含んでもよい。
【0019】
情報処理機器112は、マイクロプロセッサ、メモリ、アルゴリズム、および入力装置を含んでもよい。マイクロプロセッサ、メモリ、アルゴリズム、および入力装置は、E3試験システム100の1または複数の構成要素、例えばRFフィルタスイッチングネットワーク110、を制御することに適していてもよい。インフォメーションプロセッサ114は、ネットワークアナライザ104および/またはスペクトラムアナライザ102によって収集された情報を処理且つ保存することに適したアルゴリズムでプログラムされてもよい。
【0020】
図3を参照すると、図2の試験システムを用いて図1のプラットフォーム10の1または複数の動作特性を推定するための非限定的な方法130が示されている。図1および図2を参照すると、ステップ132では、アンテナ108aなどのアンテナが、プラットフォーム10(図1)上の選択された位置に配置される。ステップ134では、スペクトラムアナライザ102が動作され、RF依存デバイス12(図1)の周囲EEEデータを収集する。ステップ132および134は、プラットフォーム10(図1)上の異なる場所にそのアンテナを再配置することによって繰り返されてもよい。また、ステップ132および134は、異なるアンテナ(例えば、アンテナ108bおよびc)を使用して繰り返されてもよい。ステップ136では、スペクトラムアナライザ102の測定を用いて、データセットがコンパイルされる。
【0021】
そのようなデータセットは、プラットフォーム10(図1)の動作特性を意図せずに変化させる可能性のある保守などの1または複数のタスクを、プラットフォーム10(図1)に対して実施するときに有用でありうる。例えば、ステップ138では、プラットフォーム10(図1)の1または複数のサブシステムに対して保守や修理が行われてもよい。ステップ138の完了後、試験システム100を再び用いて、図1のプラットフォーム10の1または複数の動作特性を推定してもよい。ステップ140および142の位置決めおよびEEEデータ収集は、概して、ステップ132および134とそれぞれ同じである。すべての選択された位置ですべてのアンテナ構成に対してステップ140および142を繰り返した後、スペクトラムアナライザ102の測定を用いて、タスク後のデータセットがコンパイルされる。ステップ146では、ステップ136および144にてコンパイルされたデータセットが比較され、プラットフォーム10(図1)のシステムおよびサブシステムが、必要に応じて、調整、調節、または別の方法で再構成される。
【0022】
図4を参照すると、プラットフォーム上の機器を包囲するために用いた遮蔽の効果を評価するための、本開示に係るE3試験システム200の非限定的な一実施形態が概略的に示されている。試験システム200は、スペクトラムアナライザ102、ネットワークアナライザ104、RF増幅器106、1または複数の周囲アンテナ108a,b,c、RFフィルタスイッチングネットワーク110、および汎用情報処理機器114を含んでもよい。これらの装置については既に説明した。また、図4の試験システム200は、電磁信号を発信するように構成された1または複数の放射モジュール116a,b,cと、発信された電磁信号を受信する1または複数の受信アンテナ117a,b,cとを含む。放射モジュールおよび受信アンテナは、例えば、116aおよび117a、116bおよび117b、116cおよび117cのように対となっている。これらの対内にて送受信された信号を用いて、EEEからの遮蔽の効果を推定してもよい。各放射モジュール116は、放射素子118およびダミー負荷120を含んでもよい。
【0023】
図5を参照すると、対象の機器を包囲するために用いた遮蔽の効果を評価する、図4の試験システム200を用いた遮蔽効果試験方法201を示すフローチャートが示されている。ステップ202では、図3に関連して記載したように校正試験を行ってもよい。次に、基準値(ベースライン)EEEが決定される。ステップ204では、評価予定の遮蔽に近接してアンテナを配置する。ステップ206では、スペクトラムアナライザ102は、アンテナ108a,b,cを用いて周囲EEEを表すデータを収集する。ステップ204および206は、所望の全周波数範囲の周囲EEEのデータが収集されるまで繰り返される。ステップ208では、この周囲EEEデータを基準値データセットとしてコンパイルしてもよい。ステップ208は、ステップ204および206と同時に行われてもよいことに留意すべきである。
【0024】
ステップ210では、放射モジュール116aは評価予定の遮蔽構造体の内側に配置されてもよく、受信アンテナ117aはこの遮蔽構造体の外側に配置される。このステップのために、遮蔽パネルは撤去される。放射モジュール116b,cと受信アンテナ117b,cとの追加の対も同様に他の遮蔽構造体に配置される。ステップ212では、遮蔽パネルがない状態で、試験システム100が通電され、1または複数の周波数範囲(例えば、2MHz~50MHz、50MHz~500MHz、500MHz~26GHz)にわたって掃引が行われる。ネットワークアナライザ104はアンテナ117a,b,cの応答を測定し記録する。
【0025】
ステップ214では、遮蔽パネルは、遮蔽効率について評価予定のすべての場所に設置される。ステップ216では、遮蔽パネルがある状態で、試験システム100が通電され、1または複数の周波数範囲(例えば、2MHz~50MHz、50MHz~500MHz、500MHz~26GHz)にわたって掃引が行われる。ネットワークアナライザ104は、放射素子118によって発信された電磁信号が遮蔽を通過したことを確認するため、アンテナ108a,b,cの応答を測定し記録する。
【0026】
ステップ218では、ステップ212からのデータをステップ216からのデータと比較することにより、遮蔽効果が推定される。概して、遮蔽が設置される前と配置された後に測定されたEEE間の差は、その遮蔽の効果を示す。
【0027】
記載した方法では、試験予定の各遮蔽場所には、放射モジュールおよび受信アンテナ、例えば、放射モジュール116aおよび受信アンテナ117aが配置される。いくつかの変形例では、放射モジュールおよび受信アンテナは、ある試験場所から別の試験場所に移動してもよい。また、試験は、最初に遮蔽を設置した状態で実施し、その後撤去してもよいことに留意すべきである。
【0028】
図6を参照すると、本開示に係る、プラットフォームノイズフロアを推定するためのE3試験システム100の非限定的な一実施形態が概略的に示されている。試験システム100は、スペクトラムアナライザ102、1または複数のアンテナ108a,b,c、RF信号通信ネットワーク110、および汎用情報処理機器112を含んでもよい。これらの装置については既に説明した。
【0029】
図7を参照すると、図6の試験システム100を用いて対象プラットフォームのRFノイズフロアを推定するRFノイズフロア推定方法300を示すフローチャートが示されている。ステップ302では、図3に関連して記載したように、校正試験が行われてもよい。次に、基準値EEEが決定される。ステップ304では、特定の周波数範囲のために構成されたアンテナがプラットフォーム上に配置される。ステップ306では、スペクトラムアナライザ102を用いて周囲EEEが推定される。ステップ304および305は、異なる構成のアンテナを用いて繰り返されてもよい。ステップ306では、スペクトラムアナライザ102が記録を続けている間、プラットフォームの離散機器を所望の動作状態に通電する。ステップ308では、この周囲EEEデータを基準値データセットとしてコンパイルしてもよい。ステップ308は、ステップ304および306と同時に実施されてもよいことに留意すべきである。
【0030】
ステップ310では、プラットフォームに搭載された離散機器は所望の動作状態に通電され、その間に、ステップ312では、スペクトラムアナライザが定常状態のEEEを確立できるまでEEEデータを収集する。プラットフォーム10の追加の離散機器は、順次通電されてもよい。スペクトラムアナライザ102は、各離散機器が通電動作状態になるにつれてEEEデータを連続的に収集する。
【0031】
ステップ314では、離散機器はEEE干渉について試験されてもよい。各離散機器の動作周波数範囲は監視されてもよい。基本周波数、高調波、スプリアス発射などのパラメータは、記録/監視および分析され、EMI発生源を特定してもよい。例えば、本システムは、機器の周波数範囲で見つけられた放射量に調整され、干渉のレベルを判断してもよい。
【0032】
非限定的な実施形態では、ステップ314は、発生源/影響先デバイス(または「発生源/被害者」)テストであってもよく、該テストは、複数のRF依存デバイスの一群を信号通信ネットワークに接続するステップと、複数の捕捉アンテナを信号通信ネットワークに接続するステップと、リアルタイムスペクトラムアナライザを信号通信ネットワークに接続するステップと、リアルタイムスペクトラムアナライザおよび複数の捕捉アンテナを用いてプラットフォームにおける周囲電磁気状態を継続的に監視するステップと、RF発生源を動作させてRF信号を送信するステップであって、該RF発生源が一群のうちのRF依存デバイスの1つである、RF発生源を動作させるステップと、リアルタイムスペクトラムアナライザを用いて一群のうちの各RF依存デバイスの動作パラメータを推定するステップと、推定した動作パラメータと周囲電磁気状態とを用いて対象の信号を特定するステップと、対象の信号を用いて、影響を受けたRF依存デバイスを特定するステップとを含んでもよい。
【0033】
上記の記載は、本開示の実施形態を対象とするが、その基本的な範囲から逸脱することなく、本開示の他の実施形態、および、さらなる実施形態を考案してもよく、本開示の範囲は、添付の特許請求の範囲によって定められる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
【国際調査報告】