(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】受信装置及びレーザーレーダー
(51)【国際特許分類】
G01S 7/481 20060101AFI20240403BHJP
G01S 7/4863 20200101ALI20240403BHJP
【FI】
G01S7/481 Z
G01S7/4863
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023563815
(86)(22)【出願日】2021-12-09
(85)【翻訳文提出日】2023-11-20
(86)【国際出願番号】 CN2021136701
(87)【国際公開番号】W WO2022217948
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202110414378.6
(32)【優先日】2021-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】519434972
【氏名又は名称】上海禾賽科技有限公司
【氏名又は名称原語表記】Hesai Technology Co.,Ltd.
【住所又は居所原語表記】No.2 Building,No.468 XinLai Road,Jiading District,Shanghai,China
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 杰
(72)【発明者】
【氏名】向 少▲卿▼
【テーマコード(参考)】
5J084
【Fターム(参考)】
5J084AA05
5J084AD01
5J084BA04
5J084BA36
5J084BA39
5J084BB04
5J084CA03
(57)【要約】
受信装置(1002)及びレーザーレーダーであり、ここで、受信装置(1002)は、回路基板(100)と、回路基板(100)に位置し、光信号を電気信号に変換するための複数の受信ユニット(101)と、回路基板(100)から突出し、且つ複数の受信ユニット(101)を囲んで配置され、受信ユニット(101)を収容するキャビティ(103)を形成するパッケージ側壁(102)と、パッケージ側壁(102)に位置し、且つキャビティ(103)を被覆するパッケージ層(104)と、を備える。レーザーレーダーは、発光ビーム(L)を提供するための発光装置(1001)と、発光ビーム(L)が目標物(1003)を通過して形成されたエコービーム(L’)を探知するための受信装置(1002)と、を備える。受信装置(1002)の実装難易度を低減させ、これによって受信装置(1002)の実装速度を向上させ、更に実装効率を向上させた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザーレーダーのための受信装置であって、
回路基板と、
前記回路基板に位置し、光信号を電気信号に変換するための複数の受信ユニットと、
前記回路基板から突出し、且つ前記複数の受信ユニットを囲んで配置され、前記受信ユニットを収容するキャビティを形成するパッケージ側壁と、
前記パッケージ側壁に位置し、且つ前記キャビティを被覆するパッケージ層と、を備える受信装置。
【請求項2】
前記パッケージ層には貫通穴があり、
前記パッケージ層に配置され且つ前記貫通穴を被覆するフィルタを更に備える請求項1に記載の受信装置。
【請求項3】
光学アセンブリを更に備え、
前記複数の受信ユニットの光探知面は、前記光学アセンブリの焦点面に位置する、請求項1に記載の受信装置。
【請求項4】
焦点面を有する光学アセンブリを更に備え、
前記複数の受信ユニットの光探知面は、受信ビームの伝送方向に前記焦点面の下流に位置する、請求項2に記載の受信装置。
【請求項5】
前記貫通穴は光学アセンブリの焦点面に位置する、請求項4に記載の受信装置。
【請求項6】
前記パッケージ側壁の高さは、受信ビームが前記貫通穴を通過して前記光探知面での最大入射角が15~20度となるように設定される、請求項4又は5に記載の受信装置。
【請求項7】
前記受信ユニットは、前記電気信号を受信及び処理するための周辺回路に接続され、
前記周辺回路は前記パッケージ側壁内の回路基板に位置し前記受信ユニットに電気的に接続されるか、又は、前記周辺回路は前記パッケージ側壁外の回路基板に位置し、前記受信装置は電気的接続構造によって前記周辺回路に接続される、請求項1に記載の受信装置。
【請求項8】
前記フィルタは、前記貫通穴に近接する中心領域と、前記中心領域の周辺に位置する少なくとも1つの環状領域とを含み、前記中心領域と環状領域のめっき被膜材料が異なり、
前記フィルタは、中心領域から環状領域への方向において、めっき被膜材料に対応する中心波長が徐々に大きくなる、請求項2に記載の受信装置。
【請求項9】
前記フィルタは前記パッケージ層の前記受信ユニットに向かう面に位置するか、又は、前記フィルタは前記パッケージ層の前記受信ユニットに背向する面に位置する、請求項2に記載の受信装置。
【請求項10】
前記フィルタは前記パッケージ層に貼り付けられる、請求項2に記載の受信装置。
【請求項11】
前記回路基板と前記パッケージ側壁と前記パッケージ層のうちの1つ又はすべては独立した部品であるか、又は、前記回路基板と前記パッケージ側壁と前記パッケージ層は一体化構造である、請求項1に記載の受信装置。
【請求項12】
前記回路基板と前記パッケージ側壁は一体化構造であり、前記パッケージ層は独立した部品である、請求項11に記載の受信装置。
【請求項13】
前記回路基板及び前記パッケージ側壁はプリント回路基板であり、前記キャビティの底部に位置する回路基板には周辺回路が形成されており、前記複数の受信ユニットに電気的に接続される、請求項12に記載の受信装置。
【請求項14】
前記パッケージ層は、前記キャビティを被覆するアパーチャー絞りを含む、請求項13に記載の受信装置。
【請求項15】
前記パッケージ側壁と前記パッケージ層は一体化構造であり、前記回路基板は独立した部品である、請求項11に記載の受信装置。
【請求項16】
前記一体化構造の材料は絶縁材料又は金属材料である、請求項15に記載の受信装置。
【請求項17】
前記回路基板と前記パッケージ側壁と前記パッケージ層はいずれも独立した部品であり、前記回路基板はプリント回路基板であり、前記パッケージ側壁は絶縁側壁であり、前記パッケージ層は金属層である、請求項11に記載の受信装置。
【請求項18】
前記複数の受信ユニットは行列状に配列され、又は、前記複数の受信ユニットは行方向又は列方向において交差して配列される、請求項1に記載の受信装置。
【請求項19】
発光ビームを提供するための発光装置と、
前記発光ビームが目標物を通過して形成されたエコービームを探知するための請求項1から18のいずれか一項に記載の受信装置と、を備えるレーザーレーダー。
【請求項20】
前記発光装置は、多点垂直共振器型面発光レーザー、又は、単点垂直共振器型面発光レーザーである、請求項19に記載のレーザーレーダー。
【請求項21】
前記発光装置は、それぞれ発光ビームを提供するための複数の発光ユニットを備え、
前記レーザーレーダーは前記発光ユニットに対応する複数の受信装置を備え、前記複数の受信装置は、各受信装置の電気信号を受信及び処理するための周辺回路に接続される、請求項19に記載のレーザーレーダー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー探知分野に関し、特に受信装置及びレーザーレーダーに関する。
【背景技術】
【0002】
レーザーレーダー(LIDAR)は自動運転において路肩検出、障害物識別及びリアルタイム測位と地図作成(SLAM)等の重要な役割を果たしている。レーザーレーダーは、目標位置(距離及び角度)、運動状態(速度、振動及び姿勢)及び形状を正確に測定し、目標を探知、識別、区別及び追跡することができる。測定速度が早く、精度が高く、及び測距が遠い等の利点があるため、レーザーレーダーは自動運転車等の分野において広く用いられている。
【0003】
具体的には、LIDARシステムは発光装置及び受信装置を備える。発光装置は発光パルスを生成し、前記発光パルスは目標物に入射して反射され、且つエコービームを生成し、最終的に前記エコービームは受信装置によって受信される。受信装置は、発光パルスが発光されるから受信されるまでの伝送時間を正確に測定する。光パルスは光速で伝送され、且つ光速は知られているものであるため、伝送時間は、目標物とLIDARシステムとの間の距離に変換することができる。
【0004】
公開技術のレーザーレーダーにおける受信装置の光路図である
図1を参照する。前記受信装置10は、少なくとも光学アセンブリ15、アパーチャー層14、コリメーティングレンズ13、フィルタ12及び光電センサ11を備える。ここで、光学アセンブリ15は、エコービーム16を収束するためのものである。アパーチャー層14及びコリメーティングレンズ13は、各光電センサ11に入射する入射光の方向が同じであるように、光電センサ11の入射光の角度を制御するためのものである。フィルタ12は、探知不要な波長の光を遮断するためのものである。光電センサ11は、光信号を電気信号に変換するためのものである。
【0005】
レーザーレーダーにおいて、光電センサ11は、通常、シリコン光電子増倍管(Silicon photomultiplier,SiPM)であり、よく用いられている高感度光電検出部品である。SiPMは、複数の単一光子アバランシェダイオード(Single Photon Avalanche Diode,SPAD)からなるアレイである。SiPM作動状態時の回路図を示す
図2を参照する。SiPM内の各SPAD像素ユニット12は並列的に接続され、パラレルに作動することができる。したがって、一部のSPAD13がトリガーされた後、残りのSPAD13は依然として作動することができる。引き続き
図2を参照すると、各SPAD像素ユニット12が並列してSiPMの総出力端となり、SiPM出力端の信号は、トリガーされたすべてのSPADのパルス信号の重畳であり、これによってSiPMはSPADの感度と、一定のダイナミックレンジとの両方を有する。且つ、SPADの数が多いほど、ダイナミックレンジが高くなる。
【0006】
パッケージされていないSiPMは、外部環境の温度、不純物及び物理的な作用力に影響されやすく、破損しやすいため、密閉スペースに封入し、対応するピンを引き出し、プリント回路基板に適用する必要がある。一方、SPADの数が多いほど、SiPMアレイの密度が高くなり、これによってSiPMアレイは、非常に多くの高密度に配置されたピンを有し、実装の難易度を増大させた。公開技術における受信装置は、更に表面実装(Surface Mount Technology,SMT)プロセスを用いてSiPMアレイをプリント回路基板に溶接する。ここで表面実装プロセスは、ピンなし又はリード線が短い部品をプリント回路基板(Printed Circuit Board,PCB)の表面又は他の基板の表面に実装し、且つ溶接して組み立てるという技術である。更にSMT方式を用いてパッケージする場合、光を光電センサに投射するには、パッケージ構造上で窓を開ける必要があり、これは高密度及び高精度のSiPMアレイ実装に対して難易度を更に増大させた。
【0007】
しかしながら、公開技術における受信装置には、実装が容易ではないため、実装速度が遅いという問題が存在する。
【発明の概要】
【0008】
本発明が解決する問題は、受信装置の実装難易度を低減させ、受信装置の実装速度及び実装効率を向上させる受信装置及びレーザーレーダーを提供することである。
【0009】
上記技術的問題を解決するために、本発明は、レーザーレーダーのための受信装置であって、回路基板と、前記回路基板に位置し、光信号を電気信号に変換するための複数の受信ユニットと、前記回路基板から突出し、且つ前記複数の受信ユニットを囲んで配置され、前記受信ユニットを収容するキャビティを形成するパッケージ側壁と、前記パッケージ側壁に位置し、且つ前記キャビティを被覆するパッケージ層と、を備える、受信装置を提供する。
【0010】
選択的に、前記パッケージ層には貫通穴があり、前記受信装置は、前記パッケージ層に配置され、且つ前記貫通穴を被覆するフィルタを更に備える。
【0011】
選択的に、前記受信装置は、光学アセンブリを更に備え、前記複数の受信ユニットの光探知面は、前記光学アセンブリの焦点面に位置する。
【0012】
選択的に、前記受信装置は、焦点面を有する光学アセンブリを更に備え、前記複数の受信ユニットの光探知面は、受信ビームの伝送方向に前記焦点面の下流に位置する。
【0013】
選択的に、前記貫通穴は光学アセンブリの焦点面に位置する。
【0014】
選択的に、前記パッケージ側壁の高さは、受信ビームが前記貫通穴を通過して前記光探知面での最大入射角が15~20度となるように設定される。
【0015】
選択的に、前記受信ユニットは、前記電気信号を受信及び処理するための周辺回路に接続される。
【0016】
選択的に、前記受信ユニットに電気的に接続され、又は前記周辺回路は前記パッケージ側壁外の回路基板に位置し、前記受信装置は電気的接続構造によって前記周辺回路に接続される。
【0017】
選択的に、前記フィルタは、前記貫通穴に近接する中心領域と、前記中心領域の周辺に位置する少なくとも1つの環状領域とを含み、前記中心領域と環状領域のめっき被膜材料が異なり、前記フィルタは、中心領域から環状領域への方向において、めっき被膜材料に対応する中心波長が徐々に大きくなる。
【0018】
選択的に、前記フィルタは前記パッケージ層の前記受信ユニットに向かう面に位置し、又は、前記フィルタは前記パッケージ層の前記受信ユニットに背向する面に位置する。
【0019】
選択的に、前記フィルタは前記パッケージ層に貼り付けられる。
【0020】
選択的に、前記回路基板、パッケージ側壁、パッケージ層のうちの1つ又はすべては独立した部品であり、又は、前記回路基板、パッケージ側壁、パッケージ層は一体化構造である。
【0021】
選択的に、前記回路基板と前記パッケージ側壁は一体化構造であり、前記パッケージ層は独立した部品である。
【0022】
選択的に、前記回路基板及び前記パッケージ側壁はプリント回路基板であり、前記キャビティの底部に位置する回路基板には周辺回路が形成されており、前記複数の受信ユニットに電気的に接続される。
【0023】
選択的に、前記パッケージ層は前記キャビティを被覆するアパーチャー絞りを含む。
【0024】
選択的に、前記パッケージ側壁と前記パッケージ層は一体化構造であり、前記回路基板は独立した部品である。
【0025】
選択的に、前記一体化構造の材料は絶縁材料又は金属材料である。
【0026】
選択的に、前記回路基板、パッケージ側壁、パッケージ層はいずれも独立した部品であり、前記回路基板はプリント回路基板であり、前記パッケージ側壁は絶縁側壁であり、前記パッケージ層は金属層である。
【0027】
選択的に、前記複数の受信ユニットは行列状に配列され、又は、前記複数の受信ユニットは行方向又は列方向において交差的に配列される。
【0028】
それに応じて、本発明の実施例は、発光ビームを提供するための発光装置と、前記発光ビームが目標物を通過して形成されたエコービームを探知するための本発明の実施例で提供される受信装置と、を備える、レーザーレーダーを更に提供する。
【0029】
選択的に、前記発光装置は多点垂直共振器型面発光レーザー、又は、単点垂直共振器型面発光レーザーである。
【0030】
選択的に、前記発光装置は、それぞれ発光ビームを提供するための複数の発光ユニットを備え、前記レーザーレーダーは前記発光ユニットに対応する複数の受信装置を備え、複数の受信装置は、各受信装置の電気信号を受信及び処理するための周辺回路に接続される。
【0031】
従来技術と比べて、本発明は以下の利点を有する。
【0032】
本発明の受信装置は、パッケージ側壁及びパッケージ層によって前記受信ユニットを前記回路基板にパッケージする。一方で、前記受信ユニットは、前記回路基板との電気的接続を容易に実現するために、前記回路基板に直接配置される。他方で、パッケージ側壁及びパッケージ層は、前記受信ユニットを収容するためのキャビティを構成し、受信ユニットと外界との隔離を実現した。また、パッケージ側壁及びパッケージ層の高さ、厚さ、透光度及び穴の有無等のパラメータの調整によって、受信ユニットの光学的パラメータに対する外部光学システムの要求に適応可能である。したがって、本発明の受信装置は構造が簡単であり、且つ受信装置の実装難易度を低減させ、受信装置の実装速度及び実装効率を向上させた。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【
図1】公開技術のレーザーレーダーにおける受信装置の光路図である。
【
図2】公開技術における光電センサの回路図である。
【
図3】本発明の第1実施例の受信装置の側面模式図である。
【
図5】本発明の第2実施例の受信装置の平面図である。
【
図6】本発明の第3実施例の受信装置の平面図である。
【
図7】本発明の第4実施例の受信装置の平面図である。
【
図8】本発明の第5実施例の受信装置の平面図である。
【
図9】本発明の第6実施例の受信装置の側面図である。
【
図10】本発明の第7実施例の受信装置の側面図である。
【
図11】本発明の第8実施例の受信装置の側面図である。
【
図12】本発明の第9実施例の受信装置の側面図である。
【
図13】本発明の第10実施例の受信装置におけるフィルタの模式図である。
【
図14】フィルタのブルーシフト特性の原理である。
【
図16】本発明のレーザーレーダーの一実施例の模式図である。
【
図17】本発明の実施例のレーザーレーダーにおける発光装置の模式図である。
【
図18】本発明の実施例のレーザーレーダーにおける他の発光装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
背景技術に記載されているとおり、従来技術の光電センサには、実装難易度が高いという問題が存在する。
【0035】
上記技術的問題を解決するために、本発明の実施例は、レーザーレーダーのための受信装置であって、回路基板と、前記回路基板に位置し、光信号を電気信号に変換するための複数の受信ユニットと、前記回路基板から突出し、且つ前記複数の受信ユニットを囲んで配置され、前記受信ユニットを収容するキャビティを形成するパッケージ側壁と、前記パッケージ側壁に位置し、且つ前記キャビティを被覆するパッケージ層と、を備える、受信装置を提供する。
【0036】
本発明の実施例の受信装置は、パッケージ側壁及びパッケージ層によって前記受信ユニットを前記回路基板にパッケージする。一方で、前記受信ユニットは、前記回路基板との電気的接続を容易に実現するために、前記回路基板に直接配置される。他方で、パッケージ側壁及びパッケージ層は、前記受信ユニットを収容するためのキャビティを構成し、受信ユニットと外界との隔離を実現した。また、パッケージ側壁及びパッケージ層の高さ、厚さ、透光度及び穴の有無等のパラメータの調整によって、受信ユニットの光学的パラメータに対する外部光学システムの要求に適応可能である。したがって、本発明の受信装置は構造が簡単であり、且つ受信装置の実装難易度を低減させ、受信装置の実装速度及び実装効率を向上させた。
【0037】
本発明の上記目的、特徴及び利点をより明らかで分かりやすくするために、以下において、図面を参照しながら本発明の具体的な実施例を詳細に説明する。
【0038】
本発明の第1実施例の受信装置の側面模式図を示す
図3を参照する。前記受信装置はレーザーレーダーに応用され、エコービームを探知するためのものである。本実施例の受信装置は、回路基板100、受信ユニット101、パッケージ側壁102及びパッケージ層104を備え、且つ前記回路基板100及び前記パッケージ側壁102は一体化構造であり、前記パッケージ層104は独立した部品である。
【0039】
ここで、回路基板100はプリント回路基板(Printed Circuit Board,PCB)であり、前記回路基板100には、受信ユニット101と周辺回路又は他の電気部品との間の電気的接続を実現するための接続ワイヤが形成されている。
【0040】
受信装置には周辺回路が更に形成されており、前記複数の受信ユニット101は周辺回路に接続され、受信ユニット101によって形成された前記電気信号は前記周辺回路に伝送され、周辺回路によって前記電気信号を受信及び処理する。
【0041】
例えば、周辺回路は電源スイッチ回路、多重化回路、信号増幅回路、信号サンプリング回路のうちの1つ又は複数であってもよい。ここで、電源スイッチ回路は各受信ユニットに対してストローブ電力供給を行うためのものであり、多重化回路は複数の受信ユニットのうちの1つを選択して信号出力を行うためのものであり、信号増幅回路は受信ユニットによって生成された電気信号を増幅させるためのものであり、信号サンプリング回路は増幅された電気信号をサンプリングするためのものである。
【0042】
本実施例では、回路基板100には前記周辺回路が更に形成されており、より具体的には、パッケージ側壁の内部に位置する回路基板100には前記周辺回路が形成されており、周辺回路の接続端は前記回路基板100の表面から露出し、前記受信装置の構造集積度を向上させる。又は、回路基板100の構造を簡略化するために、前記回路基板100の下方にも前記受信ユニット101に電気的に接続された周辺回路を貼り付けることができる。
【0043】
他の実施例では、周辺回路は前記パッケージ側壁102の外側の回路基板に位置してもよく、前記受信装置は電気的接続構造(例えば接続プラグ、配線構造又はワイヤボンディング等)によって前記周辺回路に接続されることは説明必要である。
【0044】
複数の受信ユニット101は前記回路基板100に位置し、光信号を電気信号に変換するために用いられる。前記受信ユニット101は光探知面(例えば感光面)を含み、レーザーレーダーのエコービームは前記光探知面に入射し、探知を実現する。
【0045】
受信装置は、エコービームを収束するための光学アセンブリ(図示せず)を更に含んでもよいことは説明必要である。本実施例では、前記複数の受信ユニット101の光探知面は前記光学アセンブリの焦点面に位置し、これによって探知光の強度を向上させ、更に受信装置の探知精度を向上させる。
【0046】
本実施例では、前記受信ユニット101はパッケージされるべき単一のSiPMであり、複数のSiPMは、アレイ(SiPM Array)として配列された後にパッケージされ、受信装置を構成する。パッケージ過程において、パッケージされるべき単一のSiPMの各接続端と周辺回路との電気的接続を実現する。また、本発明の実施例における受信装置は、パッケージされるべき光電デバイスの光学性能を考慮する必要もある点で集積回路とは異なる。
【0047】
パッケージ時、受信ユニット101を回路基板100に直接貼り付け、受信ユニット101と回路基板100上の対応する接続端との電気的接続を実現することができる。本実施例では、受信ユニット101はパッケージされるべき単一のSiPMであり、前記回路基板100はPCB板である。
【0048】
具体的には、事前にPCB板上で接着剤ディスペンスするように、対応位置に導電性又は非導電性接着剤(例えば銀ペースト)及び金スズはんだを配置し、更に高精度のマウンターを用いて、パッケージされるべき単一のSiPMをPCB板上の接続されるべき端子に吸着することができる。SiPMアレイに対して、上記ステップに従って対応位置にSiPMを1つずつ実装し、SiPMアレイを形成することができる。例えば、単列に配列されたSiPMアレイに対して、垂直方向(列方向)に上記ステップに従ってSiPMを1つずつ実装し、一列のSiPMアレイを形成することができる。このような方式の実装精度が高く、且つ実装難易度が低い。
【0049】
本実施例の受信装置におけるパッケージ側壁102は回路基板100と集積された一体化構造である。具体的には、前記パッケージ側壁102は回路基板100の表面から突出したPCB板である。前記パッケージ側壁102は前記複数の受信ユニット101を囲んで配置され、前記受信ユニット101を収容するキャビティ103を形成し、これによって回路基板100に対して平行な面で受信ユニット101に対するシールを実現する。前記キャビティ103底部のPCB板には周辺回路が形成されている。
【0050】
実際の応用において、PCB凹溝を形成するようにPCB板をカスタマイズすることができる。PCB凹溝における凹溝の底部にある水平部分は前記回路基板100として用いられ、PCB凹溝の側壁部分は回路基板100から突出して配置されるパッケージ側壁102として用いられる。
【0051】
実装時、パッケージされるべき複数の受信ユニット101を一定の配列方式に従ってPCB凹溝に配置し、且つ実装後に、受信ユニット101の各接続端はワイヤボンディング105又は他の方式によって周辺回路との電気的接続を実現する。
【0052】
パッケージ層104は、前記パッケージ側壁102上に位置し、且つ前記キャビティ103を被覆し、これによって回路基板100に対して垂直な方向(即ちH方向)に受信ユニット101に対するシールを実現する。
【0053】
本実施例では、前記パッケージ層104はアパーチャー絞りである。アパーチャー絞りは光学システムにおけるエコービームを制限する役割を果たす部品であり、本実施例では、SiPMを用いて、わずかのエコービームでも探知できるため、前記アパーチャー絞りはほとんどのエコービームを遮断することができ、現像視界を限定し、環境光及び迷光を抑制する役割を果たし、更に受信ユニットをシールする役割を果たすことができる。
【0054】
前記パッケージ層104には、前記受信ユニット101に投射するエコービームを収束するための複数の貫通穴106が形成されている。具体的には、前記パッケージ層104は前記キャビティを被覆するアパーチャー絞りであり、且つ前記アパーチャー絞りにおける開孔の位置は前記受信ユニット101の感光面の位置に対応する。ここで位置で対応するということは、アパーチャー絞りにおけるアパーチャーの中心と感光面の中心は、回路基板100に対して垂直な方向に重なることを意味し、これによってアパーチャー絞りを通過するより多くの光を受信ユニット101によって探知することができ、受信装置の探知精度を向上させた。
【0055】
本発明の実施例では、パッケージ側壁102の高さHはアパーチャー絞りと受信ユニット101との間の距離をも決定し、よって受信ユニット101に投射される入射光の入射角αを定義することにも用いられる。
【0056】
引き続き
図3を参照する。本実施例では、前記受信装置は、前記パッケージ層104に配置され、且つ前記貫通穴106を被覆するフィルタ107を更に備え、前記フィルタ107は、探知不要な光を遮断し、検出されるべき光を通過させるためのものである。
【0057】
本実施例では、前記フィルタ107は貼り付けの方式によって、前記パッケージ層104の前記受信ユニット101に背向する面に固定される。
【0058】
実際の応用において、複数の受信ユニット101は、通常、前記回路基板100に配列され、且つ行列状に配列された部品であり、前記フィルタ107は、列方向に沿ったストライプ状のダイヤフラムであってもよく、即ち同一列の受信ユニット101は1つのフィルタ107を共用し、これによって受信装置の構造を簡略化することができる。
【0059】
本発明の実施例では、フィルタ107はパッケージ層104に固定され、それに応じて、パッケージ側壁102の高さHは、更にフィルタ107と受信ユニット101との間の距離を決定する。
【0060】
以上から、パッケージ側壁102の高さHはキャビティ103のスペースサイズを定義するためのものだけでなく、受信装置の光学性能(エコービームの受信ユニット101の感光面での入射角α)にも影響する。
【0061】
具体的には、貫通穴106が一定である場合、高さHを変えると、入射角αを変えることができる。又は、高さHが一定である場合、貫通穴106のサイズを変えると、入射角αを変えることができる。
【0062】
貫通穴106のサイズが一定である場合、パッケージ側壁102の高さHが大きすぎると、入射角αが小さすぎ、パッケージ側壁102の高さHが小さすぎると、スペースサイズが小さくなり、受信ユニット101のパッケージに影響する。前記パッケージ側壁Hの高さは、受信ビームが前記貫通穴を通過して前記光探知面での最大入射角αが15~20度となるように設定される。
【0063】
図3に示す受信装置の平面図を示す
図4を参照する。本実施例では、回路基板100に位置し、キャビティ内にパッケージされている受信ユニット101は単一のSiPMであり、且つ1つのパッケージ側壁102によって回路基板100内にパッケージされている複数のSiPMはアレイに配列される。
【0064】
本実施例の受信装置の1つのパッケージユニットは2N個のSiPMを含み、且つ2N個のSiPMは2列N行の行列状に配列される。
【0065】
具体的には、各SiPMはいずれもアノード(Cathode)、カソード(Anode)108及び出力端(FASTOUT)109を含み、各列のSiPMが共通アノードであることを例として、SiPMの共通端アノードは回路基板100に向かう面に位置し、回路基板100と接触式の電気的接続を採用することができる。一方、非共通端カソード108及び出力端109はそれぞれ前記回路基板100に位置する端子であり、2つの端子はワイヤボンディング105の方式によって周辺回路との電気的接続を実現することができ、それにより、複数の受信ユニット101のパッケージを実現する。
【0066】
本発明の第2実施例の受信装置の平面図を示す
図5を参照する。本実施例における前記受信ユニット501も単一のSiPMであり、
図4に示す実施例との相違点は、本実施例では2N個のSiPMは2列のように配列され、且つ2列のSiPMは交差的に配列されることである。
【0067】
本発明受信装置のパッケージ方式は、2N個のSiPMをパッケージすることができるだけでなく、より多くのSiPMをパッケージすることもできることは説明必要である。
【0068】
他の実施例では、探知区別率の要求に該当するという前提の下で、1つのパッケージユニットに位置するSiPMの数はより多くてもよく、且つ配列方式は他の変形であってもよい。
【0069】
上記実施例では、複数のパッケージされるべきSiPMをアレイに配列してから個別にパッケージし、PCB板には複数の個別にパッケージされているSiPMアレイがある(
図4及び5に示すように)ことは説明必要である。他の実施例では、PCBでのパッケージされるべきすべてのSiPMを全体的にパッケージすることもできる。本発明の第3実施例の受信装置の平面図を示す
図6を参照する。本実施例と第1実施例との相違点は、本実施例では、前記受信ユニット401はSiPMアレイ(SiPM Array)であることである。前記SiPMアレイは複数のSiPMを含む。図面を簡潔化するために、ここでSiPMアレイ内の各SiPMをすべて図示していないことは説明必要である。前記SiPMアレイ内の複数のSiPMは行列状に配列(
図4に示す配列方式)することができ、又は隣接列のSiPMは交差的に配列(
図5に示す配列方式)することができる。回路基板400に位置し、且つ1つのキャビティ内にパッケージされている受信ユニット401はSiPMアレイであり、且つ1つのパッケージ側壁402によって回路基板400内にパッケージされている受信ユニット401の数は2つであり、2つのSiPMアレイは列方向において交差的に配列される。
【0070】
他の実施例では、2つの受信ユニット401は一行に配列することもできる。
【0071】
本発明の受信装置のパッケージ方式は、2つのSiPMアレイをパッケージできるだけでなく、より多くのSiPMアレイもパッケージできることは説明必要である。本発明の第4実施例の受信装置の平面図を示す
図7を参照する。本実施例では、前記受信ユニット201はSiPMアレイであり、1つのパッケージ側壁202によって回路基板200にパッケージされている受信ユニット201の数は2N個(Nは1より大きい自然数)であり、且つ2列に配列され、各列はN個のSiPMアレイを含む。2N個のSiPMアレイは列方向に交差的に配列される。
【0072】
本発明の第5実施例の受信装置の平面図を示す
図8を参照する。本実施例では、前記受信ユニット301はSiPMアレイであり、
図7との相違点は、2列N行の受信ユニット301は行列(N行2列の行列)式に配列されることである。
【0073】
回路基板、パッケージ側壁及びパッケージ層は囲んで1つのパッケージユニットとなり、それに応じて、他の実施例では、探知区別率の要求に該当するという前提の下で、1つのパッケージユニットに位置するSiPMアレイの数はより多くあってもよく、且つ配列方式も交差的配列、行列状配列に制限されなくてもよい。例えば、受信ユニットは3列、4列であってもよく、受信ユニットは行方向において交差的に配列されてもよい。第1実施例では、回路基板とパッケージ側壁は一体化構造であり、パッケージ層は独立した部品であることは説明必要である。本発明の実施例は回路基板、パッケージ側壁、パッケージ層の独立性及び一体化を制限しない。具体的には、本発明の実施例の受信装置における前記回路基板、パッケージ側壁、パッケージ層のうちの1つ又はすべては独立した部品であり、又は、前記回路基板、パッケージ側壁、パッケージ層は一体化構造である。
【0074】
本発明の第6実施例の受信装置の側面図を示す
図9を参照する。本発明の実施例と第1実施例との共通点について説明を省略し、本発明の実施例と第1実施例との相違点は、前記パッケージ側壁702と前記パッケージ層704は一体化構造であり、前記回路基板700は独立した部品であることである。具体的には、パッケージ側壁702と前記パッケージ層704の一体化構造はシールカバーを構成し、前記受信ユニット701を回路基板700にシールする。
【0075】
パッケージ側壁702及び前記パッケージ層704は全プラスチック製の構造であってもよく、且つ射出成形工程によって形成される。前記パッケージ層704における貫通穴705は射出成形時に併せて形成することができ、貫通穴705を備えたパッケージ層704は絞りの役割を果たすことができる。
【0076】
他の実施例では、パッケージ側壁と前記パッケージ層の一体化構造は他の材料であってもよく、例えば、パッケージ側壁とパッケージ層の一体化構造は金属材料、又は、PCB材料であってもよいことは説明必要である。
【0077】
また、貫通穴は他の形成方式があってもよい。例えば、パッケージ層全体を形成した後、パッケージ層に穴を開ける(例えば、レーザーで穴を開けるか、又は、めっき被膜した後にパターン化する)という方式によって前記貫通穴を形成することができる。
【0078】
本実施例と第1実施例とのもう1つの相違点は、本実施例ではフィルタ706は前記パッケージ層704の前記受信ユニット701に向かう面に位置することである。フィルタ706はシールカバーの内部に固定され、後続のプロセスにおけるフィルタが抜ける確率を低減することができる。
【0079】
実際のパッケージ過程において、受信ユニット701を回路基板700に貼り付け、且つワイヤボンディングを完了した後、前記パッケージ層704の貫通穴705の位置での内壁にフィルタ706を貼り付け、その後、一体化構造のパッケージ側壁702と前記パッケージ層704を前記回路基板700に貼り付け又は係着し、更に受信ユニット701のシールを実現する。
【0080】
フィルタ706は、前記パッケージ層704の前記受信ユニット701に背向する面に位置してもよく、一体化構造のパッケージ側壁702と前記パッケージ層704が回路基板700に固定された後、前記フィルタ706を貼り付けることができることは説明必要である。
【0081】
本発明の第7実施例の受信装置の側面図を示す
図10を参照する。本発明の実施例と第1実施例との共通点について説明を省略し、本発明の実施例と第1実施例との相違点は、前記回路基板800、パッケージ側壁802及び前記パッケージ層804はいずれも独立した部品であることである。このように、各部品は、他の部品の材料によって制限されず、自身の機能に応じてより好適な材料を選択して形成することができ、より優れた柔軟性を有する。
【0082】
本実施例では、前記回路基板800はプリント回路基板であり、前記パッケージ側壁802はプラスチック等の絶縁側壁であり、前記パッケージ層804は金属層である。他の実施例では、パッケージ側壁は金属、PCBであってもよく、パッケージ層はプラスチックであってもよい。
【0083】
それに応じて、前記フィルタ806は前記パッケージ層804の前記受信ユニット801に向かう面に位置してもよく、又は、前記フィルタ806は前記パッケージ層804の前記受信ユニット801に背向する面に位置してもよい。
【0084】
本発明の第8実施例の受信装置の側面図を示す
図11を参照する。本実施例と第7実施例は、いずれも前記パッケージ側壁902と前記パッケージ層904が一体化構造であり、前記回路基板900が独立した部品であるという方式を採用する。その相違点は、本実施例では、前記パッケージ側壁902及び前記パッケージ層904は金属材料を用いることである。
【0085】
金属材料を用いる場合、半導体プロセスによって前記一体化構造を形成することができ、半導体プロセスはパッケージ側壁902及びパッケージ層904の厚さを薄くすることができ、これによってパッケージ構造のサイズを小さくすることができ(回路基板での投影面積及び回路基板の垂直方向での高さはいずれも小さくなる)、更に受信装置において配列できるパッケージユニットの密度を増大させる。
【0086】
また、厚さを薄くした場合、一体化構造と回路基板900との接着性を向上させるために、固定延在部903によって一体化構造と回路基板900との貼合面の面積を増大させることができる。具体的には、プロセスにおいて金属層を堆積する時に、キャリア基板にも一部の金属材料を堆積することによって、固定延在部903を形成することができる。前記固定延在部903によって一体化構造を前記回路基板900に貼り付け、固定延在部903と回路基板900との接触面積が大きいため、より多くの接着剤をコーティングすることができ、これによって受信装置の固着強度を増大させる。
【0087】
それに応じて、本実施例では、前記フィルタ906は前記パッケージ層904の前記受信ユニット901に向かう面に位置してもよく、又は、前記フィルタ906は前記パッケージ層904の前記受信ユニット901に背向する面に位置する。
【0088】
本発明の第9実施例の受信装置の側面図を示す
図12を参照する。本実施例と第1実施例との相違点は、本実施例では、前記複数の受信ユニット111の光探知面は、受信ビームの伝送方向に光学アセンブリの焦点面の下流に位置することである。
【0089】
受信ユニット111の光探知面を光学アセンブリの焦点面に配置する場合、それに応じて、受信ビーム(即ちレーザーレーダーのエコービーム)の焦点面での現像面積が小さいことは説明必要である。受信ユニット111がSiPMであることを例として、現像面積が小さいため、SiPMにおいてトリガーされたSPADの数が少なく、それに応じて、光電探知のダイナミックレンジが制限され、飽和状態になりやすくなる。また、トリガーされたSPAD数が少なさすぎると、大きなパルス離散性を生じやすくなるため、測距精度が劣るという問題をもたらし、これはより良い性能を達成するために多くの測定を必要とされる。
【0090】
一方、本発明の実施例では、受信ユニット111の光探知面を光学アセンブリの焦点面の下流位置に配置することによって、光探知面上のスポットを焦点はずしの状態にし、このように、エコービームはSiPMにおいてより広い面積をカバーすることができ、これによってより多くのSPADを配置し、更にSiPMの性能を向上させることができる。
【0091】
具体的には、本発明の実施例の受信装置において、パッケージ層114の貫通穴115は光学アセンブリの焦点面に位置し、それに応じて、受信ビーム116の伝送方向において、前記受信ユニット111の光探知面は前記焦点面の下流に位置する。
【0092】
また、本実施例では、パッケージ側壁112は回路基板110とパッケージ層114との間に位置し、パッケージ側壁112の高さは光探知面と焦点面との距離を決定するためのものであるため、受信ビームの発散角度を調整することができ、更に光探知面上のスポットのサイズを調整することができる。
【0093】
本発明の第10実施例の受信装置におけるフィルタの模式図を示す
図13を参照する。本実施例と第10実施例との相違点は、フィルタ126は前記貫通穴に近接する中心領域1と、前記中心領域1の周辺に位置する少なくとも1つの環状領域2、3とを含み、前記中心領域1及び環状領域2、3のめっき被膜材料が異なり、フィルタ126は、中心領域1から環状領域2、3への方向において、めっき被膜材料に対応する中心波長が徐々に大きくなることである。
【0094】
本発明の実施例はフィルタを分割することによって、異なる角度の入射光の中心波長がオフセットするという問題を解決し、更にフィルタを通過して受信ユニットに到達する光の波長差を小さくすることができる。
【0095】
以下において、
図14に示す線グラフを参照しながら本発明の実施例のフィルタの作動原理を説明する。
図14の横座標は入射角であり、縦座標は中心波長のオフセットである。曲線A、Bは、それぞれ異なるフィルタサンプルをテストする結果に対応しており、入射角が徐々に大きくなるにつれて、フィルタを通過する中心波長が小さくなる。例えば、曲線Aに対応するフィルタについて、入射角が0度である場合、フィルタの中心波長は884nmであり、入射角が15度である場合、フィルタ中心波長は881nmであり、即ち中心波長は3nm小さくした。曲線Bに対応するフィルタについて、入射角が0度である場合、フィルタ中心波長は884nmであり、入射角が15度である場合、フィルタ中心波長は881.5nmであり、即ち中心波長は2.5nm小さくした。このような現象はフィルタのブルーシフト特性であり、即ちフィルタの中心波長は入射角が大きくなるにつれて、短波方向にオフセットする。
【0096】
パッケージ層における貫通穴の光線はフィルタの異なる位置において異なる入射角を有することができるため、ブルーシフト特性により、異なる入射角の光は同じフィルタを通過する時に、通過した波長はオフセットする。それに応じて、本発明の実施例は、フィルタの異なる領域に異なるめっき被膜材料を配置することによって、入射角が小さく貫通穴に近接する中心領域は、めっき被膜に対応する中心波長が短くなり、入射角が大きく貫通穴から離れた外周の環状領域は、フィルタのめっき被膜に対応する中心波長が長くなり、それにより、ブルーシフト特性によるフィルタ中心波長のオフセットを制限することができる。
【0097】
図13を
図15に示す受信装置の部分側面図と組み合わせて参照すると、本発明の実施例では、入射角が5度以内の領域は中心領域1であり、該領域は第1めっき被膜材料を採用し、入射角が5~10度の領域は中心領域1以外の第1環状領域2であり、前記第1環状領域2は第2めっき被膜材料を採用し、入射角が10~15度の領域は第1環状領域2以外の第2環状領域3であり、前記第2環状領域3は第3めっき被膜材料を採用する。第3めっき被膜材料に対応する中心波長は第2めっき被膜材料に対応する中心波長よりも大きく、第2めっき被膜材料に対応する中心波長は第1めっき被膜材料の中心波長よりも大きい。本発明の実施例は異なる入射角領域に異なるめっき被膜を配置することによって、フィルタの異なる領域の中心波長のオフセットを1nmより小さくする。
【0098】
本発明の実施例は、大きな入射角によって広いダイナミックレンジを得ることができ、また、フィルタのめっき被膜配置によってブルーシフト特性を低減させ、背景光をよりよく制限し、受信装置の探知精度を向上させた。
【0099】
上記技術的問題を解決するために、本発明の実施例はレーザーレーダーを更に提供する。本発明のレーザーレーダーの一実施例の模式図を示す
図16を参照する。前記レーザーレーダーは、発光ビームLを提供するための発光装置1001と、発光ビームが目標物1003を通過して形成されたエコービームL’を探知するための本発明の実施例で提供される受信装置1002と、を備える。
【0100】
本発明の実施例のレーザーレーダーの受信装置は受信装置の実装難易度を低減させ、受信装置の実装速度及び実装効率を向上させた。
【0101】
本発明の実施例のレーザーレーダーの発光装置の模式図を示す
図17を参照する。前記発光装置は単点垂直共振器型面発光レーザー(Vertical-Cavity Surface-Emitting Laser,VCSEL)である。具体的には、前記発光装置20は発光点200を含む。5層接合の単一スポットVCSELを例として、パワー密度は1平方ミリメートル当たり5キロワットに達することができる。マルチスポットVCSELレーザーと比較して、単一スポットVCSELはパワー密度においてより大きな利点がある。
【0102】
本発明の実施例のレーザーレーダーにおける他の発光装置の模式図を示す
図18を参照する。前記発光装置はマルチスポット垂直共振器型面発光レーザーである。
【0103】
具体的には、前記発光装置30は、それぞれ発光ビームを提供するための複数の発光ユニット300を備える。それに応じて、レーザーレーダーは、前記発光ユニットに対応する複数の受信装置を更に備える。複数の受信装置は、各受信装置の電気信号を受信及び処理するための周辺回路に接続される。これによってレーザーレーダー測距を実現する。
【0104】
具体的には、複数のVCSELレーザーは受信装置におけるSiPMに一対一に対応して、VCSELレーザーアレイを形成する。前記VCSELレーザーアレイはエリアアレイ、リニアアレイのように配列されてもよく、配列方式はSiPMの配列方式と一致する。
【0105】
また、他の実施例では、複数のVCSELレーザー(例えば2つ)が1つのSiPMに対応する方式を採用することもできる。
【0106】
マルチスポットVCSELレーザーの全体的なパワー密度は、1平方ミリメートルあたり1キロワットに達することができ、且つマルチスポットVCSELの発光効率が高く、帯域幅がより狭く、温度ドリフトがより小さい。狭いフィルタにおいて、小さいパワーで同じ測距能力を達成することができ、レーザーレーダー測距における人の目の安全性には有利である。
【0107】
本発明は、以上のように開示されているが、それらに限定されるものではない。当業者にとって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更が可能である。したがって、本発明の保護範囲は、請求項で限定される範囲に準じるべきである。本発明は、以上のように開示されているが、それらに限定されるものではない。当業者にとって、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、様々な修正及び変更が可能である。したがって、本発明の保護範囲は、請求項で限定される範囲に準じるべきである。
【国際調査報告】