(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ポリペプチド製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 38/02 20060101AFI20240403BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240403BHJP
A61K 9/10 20060101ALI20240403BHJP
A61K 9/19 20060101ALI20240403BHJP
A61K 9/50 20060101ALI20240403BHJP
A61K 9/48 20060101ALI20240403BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240403BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240403BHJP
A61K 47/18 20170101ALI20240403BHJP
A61K 39/395 20060101ALI20240403BHJP
A61K 38/26 20060101ALI20240403BHJP
A61K 38/28 20060101ALI20240403BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240403BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240403BHJP
C07K 17/04 20060101ALI20240403BHJP
C07K 19/00 20060101ALI20240403BHJP
C07K 16/00 20060101ALI20240403BHJP
C07K 16/30 20060101ALI20240403BHJP
C07K 14/605 20060101ALI20240403BHJP
C07K 14/62 20060101ALI20240403BHJP
C07K 14/635 20060101ALI20240403BHJP
C12N 11/04 20060101ALI20240403BHJP
C12N 9/24 20060101ALI20240403BHJP
C12N 9/20 20060101ALI20240403BHJP
C07K 14/745 20060101ALI20240403BHJP
C07K 14/755 20060101ALI20240403BHJP
A61K 38/43 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61K38/02
A61K47/22
A61K9/10
A61K9/19
A61K9/50
A61K9/48
A61K47/10
A61K47/26
A61K47/18
A61K39/395 T
A61K38/26
A61K38/28
A61P35/00
A61P3/10
C07K17/04
C07K19/00
C07K16/00
C07K16/30
C07K14/605
C07K14/62
C07K14/635
C12N11/04
C12N9/24
C12N9/20
C07K14/745
C07K14/755
A61K38/43
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564032
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(85)【翻訳文提出日】2023-10-27
(86)【国際出願番号】 IN2022050355
(87)【国際公開番号】W WO2022219646
(87)【国際公開日】2022-10-20
(31)【優先権主張番号】202141017881
(32)【優先日】2021-04-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523391696
【氏名又は名称】バーミズ リサーチ ラボラトリー, プライベート リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】パイ, スルヤカント モティラル
(72)【発明者】
【氏名】シェノイ, バーミ
【テーマコード(参考)】
4B033
4C076
4C084
4C085
4H045
【Fターム(参考)】
4B033NA26
4B033NB62
4B033ND12
4C076AA16
4C076AA22
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4H045AA10
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4H045FA84
4H045GA40
(57)【要約】
本開示は、とりわけ、ポリペプチドの経口投与のための方法及び組成物を提供する。典型的に、多くのポリペプチドは、静脈内または皮下注射により溶液で投与される。本開示は、コアと、医薬的に許容されるカプセルとを含む経口送達用のポリペプチド製剤を含む、方法及び組成物を提供し、ここでコアは、非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物と、ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体とを含む。本開示は、本明細書で開示するポリペプチド及びビタミンEを含む製剤を経口投与することにより、ポリペプチドが首尾よく血流に送達されるという、驚くべき発見を含む。
【選択図】
図17
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)結晶化ポリペプチド組成物または非晶質ポリペプチド組成物と、(ii)ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体とを含む、経口送達用のポリペプチド製剤であって、
任意選択で、(i)前記ポリペプチド製剤が、コアと、医薬的に許容されるカプセルとを含むカプセル化ポリペプチド製剤であって、前記コアが、前記結晶化ポリペプチド組成物もしくは非晶質ポリペプチド組成物と、前記医薬的に許容される担体とを含む、前記カプセル化ポリペプチド製剤である、または(ii)前記ポリペプチド製剤が懸濁液製剤である、前記ポリペプチド製剤。
【請求項2】
ポリペプチドを対象の血流に送達する方法であって、前記方法が、(i)結晶化ポリペプチド組成物または非晶質ポリペプチド組成物と、(ii)ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体とを含むポリペプチド製剤を、前記対象に経口投与することを含み、
任意選択で、(i)前記ポリペプチド製剤が、コアと、医薬的に許容されるカプセルとを含むカプセル化ポリペプチド製剤であって、前記コアが、前記結晶化ポリペプチド組成物もしくは非晶質ポリペプチド組成物と、前記医薬的に許容される担体とを含む、前記カプセル化ポリペプチド製剤である、または(ii)前記ポリペプチド製剤が懸濁液製剤である、前記方法。
【請求項3】
前記ポリペプチドが、リンパ系を介して血流に送達され、任意選択で、前記ポリペプチドが、胸管を介して血流に送達される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
対象の胸管またはリンパにポリペプチドを送達する方法であって、(i)結晶化ポリペプチド組成物または非晶質ポリペプチド組成物と、(ii)ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体とを含むポリペプチド製剤を、前記対象に経口投与することを含み、
任意選択で、(i)前記ポリペプチド製剤が、コアと、医薬的に許容されるカプセルとを含むカプセル化ポリペプチド製剤であって、前記コアが、前記結晶化ポリペプチド組成物もしくは非晶質ポリペプチド組成物と、前記医薬的に許容される担体とを含む、前記カプセル化ポリペプチド製剤である、または(ii)前記ポリペプチド製剤が懸濁液製剤である、前記方法。
【請求項5】
経口送達用のカプセル化ポリペプチド製剤を生成する方法であって、前記方法が、(i)非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物と、(ii)ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体とを含むコアを、カプセル内に封入することを含む、前記方法。
【請求項6】
経口投与用のポリペプチド懸濁液を生成する方法であって、前記方法が、(i)結晶化ポリペプチド組成物または非晶質ポリペプチド組成物を、(ii)ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体に懸濁させることを含む、前記方法。
【請求項7】
前記ポリペプチドが、
(i)治療用ポリペプチド、
(ii)抗体またはそのフラグメント、
(iii)モノクローナル抗体またはそのフラグメント、
(iv)融合ポリペプチド、
(v)免疫グロブリン、
(vi)酵素、あるいは
(vii)(i)~(vi)のいずれかのアナログ及び/または修飾形態であって、任意選択で、前記ポリペプチドが、ペグ化、アセチル化、アミド化、脂質化、メチル化、リン酸化、グリコシル化、糖化、硫酸化、マンノシル化、ニトロシル化、アシル化、パルミトイル化、プレニル化、脂肪酸、またはこれらの組合せのうちの1つ以上によって修飾される、前記アナログ及び/または前記修飾形態を含む、請求項1~6に記載のポリペプチド製剤または方法。
【請求項8】
前記ポリペプチドが、抗体(例えば、抗HER2抗体、例えば、トラスツズマブ)、GLP-1受容体アゴニスト、ヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)もしくはそのアナログ(例えば、合成アナログ、例えば、リラグルチド)、副甲状腺ホルモン(例えば、組換えヒト副甲状腺ホルモンアナログ、例えば、テリパラチド)、インスリン(例えば、Humulin(登録商標))、リツキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、アガルシダーゼベータ、アガルシダーゼアルファ、イミグルセラーゼ、アリグルセラーゼ(aliglucerase)アルファ、ベラグルセラーゼアルファ、アルグルセラーゼ、セベリパーゼアルファ、ラロニダーゼ、イズルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、パンクレリパーゼ、サプロプテリン、エリグルスタット、ガルスルファーゼ、アスホターゼアルファ、ペグバリアーゼ、エラペガデマーゼ、サクロシダーゼ、第I因子、第II因子、第III因子、第IV因子、第V因子、第VI因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子、第XIII因子、フォンウィルブランド因子、エタネルセプト、アフリベルセプト、リロナセプト、アレファセプト、ロミプロスチム、アバタセプト/ベラタセプト、及び/またはデニロイキン-ジフチトックス、あるいはこれらのアナログまたは誘導体から選択され、任意選択で、前記ポリペプチドが天然、合成、または操作されたものである、請求項1~7のいずれか1項に記載のポリペプチド製剤または方法。
【請求項9】
前記ポリペプチドが、約50Da~約25kDaの間の分子量を有し、任意選択で、前記分子量が、約50Da~約1kDaの間、約50Da~約2kDaの間、約50Da~約3kDaの間、約50Da~約4kDaの間、約50Da~約5kDaの間、約50Da~約10kDaの間、約50Da~約15kDaの間、もしくは約50Da~約20kDaの間であるか、
または、前記ポリペプチドが、約25kDa~約1,000kDaの間の分子量を有し、任意選択で、前記分子量が、約25kDa~約500kDaの間、約100kDa~約500kDaの間、約120kDa~約250kDaの間、もしくは約150kDa~約300kDaの間である、請求項1~8のいずれか1項に記載のポリペプチド製剤または方法。
【請求項10】
前記ポリペプチド製剤が、約1μg~約2,000mgの前記ポリペプチドを含み、任意選択で、前記ポリペプチド製剤が、約1μg~約1,000mg、約1μg~約500mg、約1μg~約400mg、約1μg~約300mg、約1μg~約200mg、約1μg~約100mg、約1μg~約50mg、約1μg~約25mg、約1μg~約20mg、約1μg~約15mg、約1μg~約10mg、約1μg~約5mg、約1μg~約1mg、約1μg~約500μg、約1μg~約250μg、約1μg~約200μg、約1μg~約150μg、約1μg~約100μg、約1μg~約50μg、約1mg~約1,000mg、約1mg~約500mg、約1mg~約400mg、約1mg~約300mg、約1mg~約200mg、約1mg~約100mg、約1mg~約50mg、約1mg~約25mgの前記ポリペプチドを含む、請求項1~9のいずれか1項に記載のポリペプチド製剤または方法。
【請求項11】
前記ポリペプチド製剤が、約1mg~約2,000mgのビタミンE剤を含み、任意選択で、前記ポリペプチド製剤が、約1mg~約1,000mg、約1mg~約500mg、約1mg~約400mg、約1mg~約300mg、約1mg~約200mg、約1mg~約100mg、約1mg~約50mg、または約1mg~約25mgのビタミンE剤を含む、請求項1~10のいずれか1項に記載のポリペプチド製剤または方法。
【請求項12】
前記ポリペプチド製剤が、前記ポリペプチド製剤中のポリペプチドの量に対するビタミンE剤のモル過剰または重量過剰を含み、任意選択で、前記過剰が、少なくとも1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500、または1,000倍の倍数過剰である、請求項1~11のいずれか1項に記載のポリペプチド製剤または方法。
【請求項13】
前記結晶化ポリペプチド組成物が、25ミクロン未満、例えば、20、15、10、5、4、3、2、1、または0.5ミクロン未満の平均粒径を有するポリペプチドの結晶を含み、例えば、任意選択で、前記ポリペプチドの結晶が、0.5ミクロン~1、2、3、4、5、10、15、20、もしくは25ミクロンの間の平均粒径を有するか、または前記ポリペプチドの結晶が、1ミクロン~1、2、3、4、5、10、15、20、もしくは25ミクロンの間の平均粒径を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のポリペプチド製剤または方法。
【請求項14】
前記非晶質ポリペプチド組成物が、25ミクロン未満、例えば、20、15、10、5、4、3、2、1、または0.5ミクロン未満の平均粒径を有するポリペプチドの結晶を含み、任意選択で、前記ポリペプチドの粒子が、0.5ミクロン~1、2、3、4、5、10、15、20、もしくは25ミクロンの間の平均粒径を有するか、または前記ポリペプチドの粒子が、1ミクロン~1、2、3、4、5、10、15、20、もしくは25ミクロンの間の平均粒径を有する、請求項1~12のいずれか1項に記載のポリペプチド製剤または方法。
【請求項15】
前記ポリペプチド組成物が凍結乾燥ポリペプチドを含む、請求項1~14のいずれか1項に記載のポリペプチド製剤または方法。
【請求項16】
前記ポリペプチド組成物がポリペプチドの微結晶を含む、請求項1~15のいずれか1項に記載のポリペプチド製剤または方法。
【請求項17】
前記ポリペプチド組成物が、結晶化ポリペプチドを含む粉末を含む、請求項1~16のいずれか1項に記載のポリペプチド製剤または方法。
【請求項18】
前記コアが粘性溶液である、請求項1~17のいずれか1項に記載のポリペプチド製剤または方法。
【請求項19】
前記カプセルが、ハードシェルカプセルまたはソフトシェルカプセルであり、任意選択で、前記カプセルが、ゼラチンカプセルまたはHPMCカプセルである、請求項1~18のいずれか1項に記載のポリペプチド製剤または方法。
【請求項20】
前記カプセルが、腸への送達用に製剤化され、任意選択で、前記カプセルが、胃及び/または腸への送達用に製剤化される、請求項1~19のいずれか1項に記載のポリペプチド製剤または方法。
【請求項21】
前記カプセルが腸溶性コーティングを含む、請求項1~20のいずれか1項に記載のポリペプチド製剤または方法。
【請求項22】
前記コアが、凝集低減剤、糖もしくは糖アルコール、多糖、安定剤、ヒアルロニダーゼ、緩衝剤、防腐剤、担体、抗酸化剤、キレート化剤、天然もしくは合成ポリマー、凍結保護剤、凍結乾燥保護剤、界面活性剤、増量剤、酸性化剤、注射部位の不快感を低減する成分、消泡剤、キレート剤、天然または合成ポリマー、凍結保護剤、凍結保護剤、界面活性剤、増量剤、酸性化剤、注射部位の不快感を軽減する成分、消泡剤、アルカリ化剤、ビヒクル、凝集阻害剤、可溶化剤、張度調節剤、及び安定化剤、及びこれらの組合せからなる群より選択される1つ以上の賦形剤または添加剤をさらに含み、
任意選択で、前記1つ以上の賦形剤または添加剤が、個々にまたは累積的に、0.1mM~約1,000mMの間、約0.1mM~約500mMの間、約0.1mM~約200mMの間、または約0.1mM~約100mMの間の濃度で存在する、請求項1~21のいずれか1項に記載のポリペプチド製剤または方法。
【請求項23】
(i)前記凝集低減剤(複数可)が、ニコチン酸、クエン酸カフェイン、ニコチン酸カフェイン、カフェイン、オクチル-β-D-グルコピラノシド、及びn-ドデシル-β-D-マルトシド、任意選択で、これらとアルギニン、トリプトファン、ヒスチジン、プロリン、システイン、メチオニン、β-アラニン、グルタミン酸カリウム、アルギニンエチルエステル、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、EGTA(アミノポリカルボン酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、ヒドロキシプロピルベータ(HP-ベータ)シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルガンマ(HP-ガンマ)シクロデキストリン、スルホブチルエーテル(SBE)シクロデキストリン、TMAO(トリメチルアミンN-オキシド)トレハロース、エチレングリコール、ベタイン、キシリトール、ソルビトール、6-(N-(7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ)ヘキサン酸(NBD-X)、メチルアセチルホスフェート(MAP)、シトラコン酸無水物、ピロホスフェート、クエン酸塩、及びこれらの組合せのうちの1つ以上との組合せからなる群より選択され、
(ii)前記張度調節剤(複数可)が、アルギニン、システイン、ヒスチジン、グリシン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、グリセリン、もしくはマンニトール)、及びこれらの組合せからなる群より選択され、
(iii)前記抗酸化剤(複数可)が、グリシン、リジン、EDTA、DTPA、ソルビトール、マンニトール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、トコフェロール、及びこれらの組合せからなる群より選択され、または
(iv)前記凍結乾燥保護剤(複数可)が、スクロース、ラクトース、トレハロース、デキストラン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マルトース、ラクツロース、マルツロース、グルシトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルツロース、及びマンニトール;アミノ酸(例えば、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、もしくはグリシン);リオトロピック塩(例えば、硫酸マグネシウム);プロピレングリコール、グリセロール、ポリ(エチレングリコール)、もしくはポリ(プロピレングリコール);ゼラチン、デキストリン、化工デンプン、カルボキシメチルセルロース、及びこれらの組合せからなる群より選択される、請求項22に記載のポリペプチド製剤または方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
ポリペプチド治療薬は医学分野で重要な役割を果たしている。多くの最新の治療薬に酵素及び抗体などのポリペプチドが含まれている。ポリペプチド治療薬の典型的な投与経路は静脈注射または皮下注射である。治療薬の注射は周知の欠点を伴う。研究者は長年にわたり、ポリペプチド治療薬の代替的な組成物及び投与のための方法を模索している。
【発明の概要】
【0002】
本開示は、とりわけ、ポリペプチドの投与(例えば、経口投与)のための方法及び組成物を提供する。典型的に、多くのポリペプチドは、静脈または皮下注射による投与用の溶液として製剤化される。本開示は、とりわけ、非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物(例えば、非晶質ポリペプチドまたは結晶化ポリペプチドを含む粉末形態)と、ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体とを含む、経口送達用のカプセル化ポリペプチド製剤及び懸濁液を提供する。本開示は、本明細書で開示するポリペプチド及びビタミンEを含む製剤を経口投与することにより、ポリペプチドが首尾よく血流に送達されるという、驚くべき発見を含む。いかなる特定の科学理論にも拘束されることは望まないが、本開示はさらに、ビタミンE剤を含む本明細書で開示する製剤で経口投与するポリペプチドが、血流、リンパ系、及び胸管に効率的に送達されるという驚くべき発見を含む。様々な実施形態において、ビタミンE剤を含む本明細書で開示する製剤で経口投与するポリペプチドは、リンパ系を介し(例えば、少なくとも部分的には胸管を介し)血流に効率的に送達される。本開示は、ポリペプチド及びビタミンEを含む本明細書で提供する製剤が、血流にポリペプチドを送達する全般的能力により汎用性を有するプラットフォームを提供するという認識を含む。したがって、当業者は、本開示(本実施例を含む)から、本明細書で提供する製剤が、製剤に含まれるポリペプチドを特定する必要なく有利かつ有用であることを理解するであろう。なおさらに、本開示は、本明細書で開示する製剤の様々な経口送達の予想外に有利な特性(改善された薬物動態学的特性、例えば、血流への送達速度及び/または半減期の増加を含む)を実証する。
【0003】
少なくとも1つの態様において、本開示は、(i)結晶化ポリペプチド組成物または非晶質ポリペプチド組成物と、(ii)ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体とを含む、経口送達用のポリペプチド製剤を含み、任意選択で、(i)ポリペプチド製剤は、コアと、医薬的に許容されるカプセルとを含むカプセル化ポリペプチド製剤であって、コアが、結晶化ポリペプチド組成物もしくは非晶質ポリペプチド組成物と、医薬的に許容される担体とを含む、カプセル化ポリペプチド製剤である、または(ii)ポリペプチド製剤は懸濁液製剤である。
【0004】
少なくとも1つの態様において、本開示は、ポリペプチドを対象の血流に送達する方法を含み、この方法は、(i)結晶化ポリペプチド組成物または非晶質ポリペプチド組成物と、(ii)ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体とを含む、経口送達用のポリペプチド製剤を対象に経口投与することを含み、任意選択で、(i)ポリペプチド製剤は、コアと、医薬的に許容されるカプセルとを含むカプセル化ポリペプチド製剤であって、コアが、結晶化ポリペプチド組成物もしくは非晶質ポリペプチド組成物と、医薬的に許容される担体とを含む、カプセル化ポリペプチド製剤である、または(ii)ポリペプチド製剤は懸濁液製剤である。ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、リンパ系を介して血流に送達され、任意選択で、ポリペプチドは、胸管を介して血流に送達される。
【0005】
少なくとも1つの態様において、本開示は、対象の胸管またはリンパにポリペプチドを送達する方法を含み、この方法は、(i)結晶化ポリペプチド組成物または非晶質ポリペプチド組成物と、(ii)ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体とを含む経口送達用のポリペプチド製剤を、対象に経口投与することを含み、任意選択で、(i)ポリペプチド製剤は、コアと、医薬的に許容されるカプセルとを含むカプセル化ポリペプチド製剤であって、コアが、結晶化ポリペプチド組成物もしくは非晶質ポリペプチド組成物と、医薬的に許容される担体とを含む、カプセル化ポリペプチド製剤である、または(ii)ポリペプチド製剤は懸濁液製剤である。
【0006】
少なくとも1つの態様において、本開示は、経口送達用のカプセル化ポリペプチド製剤を生成する方法を含み、この方法は、(i)非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物と、(ii)ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体とを含むコアを、カプセル内に封入することを含む。少なくとも1つの態様において、本開示は、経口送達用のポリペプチド懸濁液を生成する方法を含み、この方法は、(i)結晶化ポリペプチド組成物または非晶質ポリペプチド組成物を、(ii)ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体に懸濁させることを含む。
【0007】
ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、(i)治療用ポリペプチド、(ii)抗体薬剤またはそのフラグメント、(iii)モノクローナル抗体またはそのフラグメント、(iv)融合ポリペプチド、(v)免疫グロブリン、(vi)酵素、あるいは(vii)(i)~(vi)のいずれかのアナログ及び/または修飾形態を含み、任意選択で、ポリペプチドは、ペグ化、アセチル化、アミド化、脂質化、メチル化、リン酸化、グリコシル化、糖化、硫酸化、マンノシル化、ニトロシル化、アシル化、パルミトイル化、プレニル化、脂肪酸、またはこれらの組合せのうちの1つ以上によって修飾される。ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、抗体(例えば、抗HER2抗体、例えば、トラスツズマブ)、GLP-1受容体アゴニスト、ヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)もしくはそのアナログ(例えば、合成アナログ、例えば、リラグルチド)、副甲状腺ホルモン(例えば、組換えヒト副甲状腺ホルモンアナログ、例えば、テリパラチド)、インスリン(例えば、Humulin(登録商標))、リツキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、アガルシダーゼベータ、アガルシダーゼアルファ、イミグルセラーゼ、アリグルセラーゼ(aliglucerase)アルファ、ベラグルセラーゼアルファ、アルグルセラーゼ、セベリパーゼアルファ、ラロニダーゼ、イズルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、パンクレリパーゼ、サプロプテリン、エリグルスタット、ガルスルファーゼ、アスホターゼアルファ、ペグバリアーゼ、エラペガデマーゼ、サクロシダーゼ、第I因子、第II因子、第III因子、第IV因子、第V因子、第VI因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子、第XIII因子、フォンウィルブランド因子、エタネルセプト、アフリベルセプト、リロナセプト、アレファセプト、ロミプロスチム、アバタセプト/ベラタセプト、及び/またはデニロイキン-ジフチトックス、あるいはこれらのアナログまたは誘導体から選択され、任意選択で、ポリペプチドは、天然、合成、または操作されたものである。ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、約50Da~約25kDaの間の分子量を有し、任意選択で、分子量は、約50Da~約1kDaの間、約50Da~約2kDaの間、約50Da~約3kDaの間、約50Da~約4kDaの間、約50Da~約5kDaの間、約50Da~約10kDaの間、約50Da~約15kDaの間、または約50Da~約20kDaの間である。ある特定の実施形態において、ポリペプチドは、約25kDa~約1,000kDaの間の分子量を有し、任意選択で、分子量は、約25kDa~約500kDaの間、約100kDa~約500kDaの間、約120kDa~約250kDaの間、または約150kDa~約300kDaの間である。ある特定の実施形態において、ポリペプチド製剤は、約1μg~約2,000mgのポリペプチドを含み、任意選択で、ポリペプチド製剤は、約1μg~約1,000mg、約1μg~約500mg、約1μg~約400mg、約1μg~約300mg、約1μg~約200mg、約1μg~約100mg、約1μg~約50mg、約1μg~約25mg、約1μg~約20mg、約1μg~約15mg、約1μg~約10mg、約1μg~約5mg、約1μg~約1mg、約1μg~約500μg、約1μg~約250μg、約1μg~約200μg、約1μg~約150μg、約1μg~約100μg、約1μg~約50μg、約1mg~約1,000mg、約1mg~約500mg、約1mg~約400mg、約1mg~約300mg、約1mg~約200mg、約1mg~約100mg、約1mg~約50mg、約1mg~約25mgのポリペプチドを含む。
【0008】
ある特定の実施形態において、ポリペプチド製剤は、約1mg~約2,000mgのビタミンE剤を含み、任意選択で、ポリペプチド製剤は、約1mg~約1,000mg、約1mg~約500mg、約1mg~約400mg、約1mg~約300mg、約1mg~約200mg、約1mg~約100mg、約1mg~約50mg、または約1mg~約25mgのビタミンE剤を含む。ある特定の実施形態において、ポリペプチド製剤は、ポリペプチド製剤中のポリペプチドの量に対するビタミンE剤のモル過剰または重量過剰を含み、任意選択で、この過剰は、少なくとも1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500、または1,000倍の倍数過剰である。
【0009】
ある特定の実施形態において、結晶化ポリペプチド組成物は、25ミクロン未満、例えば、20、15、10、5、4、3、2、1、または0.5ミクロン未満の平均粒径を有するポリペプチドの結晶を含み、例えば、任意選択で、ポリペプチドの結晶は、0.5ミクロン~1、2、3、4、5、10、15、20、または25ミクロンの間の平均粒径を有するか、またはポリペプチドの結晶は、1ミクロン~1、2、3、4、5、10、15、20、または25ミクロンの間の平均粒径を有する。ある特定の実施形態において、非晶質ポリペプチド組成物は、25ミクロン未満、例えば、20、15、10、5、4、3、2、1、または0.5ミクロン未満の平均粒径を有するポリペプチドの結晶を含み、任意選択で、ポリペプチドの粒子は、0.5ミクロン~1、2、3、4、5、10、15、20、または25ミクロンの間の平均粒径を有するか、またはポリペプチドの粒子は、1ミクロン~1、2、3、4、5、10、15、20、または25ミクロンの間の平均粒径を有する。
【0010】
ある特定の実施形態において、ポリペプチド組成物は凍結乾燥ポリペプチドを含む。ある特定の実施形態において、ポリペプチド組成物はポリペプチドの微結晶を含む。ある特定の実施形態において、ポリペプチド組成物は、結晶化ポリペプチドを含む粉末を含む。
【0011】
ある特定の実施形態において、コアは粘性溶液である。ある特定の実施形態において、カプセルは、ハードシェルカプセルまたはソフトシェルカプセルであり、任意選択で、カプセルは、ゼラチンカプセルまたはHPMCカプセルである。ある特定の実施形態において、カプセルは腸への送達用に製剤化され、任意選択で、カプセルは胃及び/または腸への送達用に製剤化される。ある特定の実施形態において、カプセルは腸溶性コーティングを含む。
【0012】
ある特定の実施形態において、コアは、凝集低減剤、糖もしくは糖アルコール、多糖、安定剤、ヒアルロニダーゼ、緩衝剤、防腐剤、担体、抗酸化剤、キレート化剤、天然もしくは合成ポリマー、凍結保護剤、凍結乾燥保護剤、界面活性剤、増量剤、酸性化剤、注射部位の不快感を低減する成分、消泡剤、キレート剤、天然または合成ポリマー、凍結保護剤、凍結保護剤、界面活性剤、増量剤、酸性化剤、注射部位の不快感を軽減する成分、消泡剤、アルカリ化剤、ビヒクル、凝集阻害剤、可溶化剤、張度調節剤、及び安定化剤、及びこれらの組合せからなる群より選択される1つ以上の賦形剤または添加剤をさらに含む。ある特定の実施形態において、1つ以上の賦形剤または添加剤は、個々にまたは累積的に、0.1mM~約1,000mMの間、約0.1mM~約500mMの間、約0.1mM~約200mMの間、または約0.1mM~約100mMの間の濃度で存在する。ある特定の実施形態において、(i)凝集低減剤(複数可)は、ニコチン酸、クエン酸カフェイン、ニコチン酸カフェイン、カフェイン、オクチル-β-D-グルコピラノシド、及びn-ドデシル-β-D-マルトシド、任意選択で、これらとアルギニン、トリプトファン、ヒスチジン、プロリン、システイン、メチオニン、β-アラニン、グルタミン酸カリウム、アルギニンエチルエステル、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、EGTA(アミノポリカルボン酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、ヒドロキシプロピルベータ(HP-ベータ)シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルガンマ(HP-ガンマ)シクロデキストリン、スルホブチルエーテル(SBE)シクロデキストリン、TMAO(トリメチルアミンN-オキシド)トレハロース、エチレングリコール、ベタイン、キシリトール、ソルビトール、6-(N-(7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ)ヘキサン酸(NBD-X)、メチルアセチルホスフェート(MAP)、シトラコン酸無水物、ピロホスフェート、クエン酸塩、及びこれらの組合せのうちの1つ以上との組合せからなる群より選択され、(ii)張度調節剤(複数可)は、アルギニン、システイン、ヒスチジン、グリシン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、糖(例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、グリセリン、もしくはマンニトール)、及びこれらの組合せからなる群より選択され、抗酸化剤(複数可)は、グリシン、リジン、EDTA、DTPA、ソルビトール、マンニトール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、トコフェロール、及びこれらの組合せからなる群より選択され、または(iv)凍結乾燥保護剤(複数可)は、スクロース、ラクトース、トレハロース、デキストラン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マルトース、ラクツロース、マルツロース、グルシトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルツロース、及びマンニトール;アミノ酸(例えば、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、もしくはグリシン);リオトロピック塩(例えば、硫酸マグネシウム);プロピレングリコール、グリセロール、ポリ(エチレングリコール)、もしくはポリ(プロピレングリコール);ゼラチン、デキストリン、化工デンプン、カルボキシメチルセルロース、及びこれらの組合せからなる群より選択される。
【0013】
定義
a、an、the:本明細書で使用する場合、冠詞「a」、「an」、及び「the」は、冠詞の文法上の目的語の1つまたは複数(すなわち、少なくとも1つ)を指す。例として、「要素」は、ちょうど1つの要素の実施形態及び2つ以上の要素を含む実施形態を開示する。
【0014】
約:本明細書で使用する場合「約」という用語は、値に関して使用する際、言及された値と文脈において類似する値を指す。概して、文脈に精通する当業者であれば、その文脈における「約」が包含する適切な程度の変動を理解するであろう。例えば、いくつかの実施形態において、「約」という用語は、言及された値の25%、20%、19%、18%、17%、16%、15%、14%、13%、12%、11%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、またはそれ以下の範囲内の一連の値を包含し得る。
【0015】
投与:本明細書で使用する場合、「投与」という用語は、典型的には、対象または系に、組成物を、その組成物そのものである薬剤またはその組成物に含まれる薬剤の送達を達成するために投与することを指す。
【0016】
薬剤:本明細書で使用する場合、「薬剤」という用語は、任意の化学的実体を指すことができ、これには限定されるものではないが、原子、分子、化合物、アミノ酸、ポリペプチド、ヌクレオチド、核酸、ポリペプチド複合体、液体、溶液、糖、多糖、脂質、またはこれらの組合せもしくは複合体のいずれか1つ以上が含まれる。
【0017】
アミノ酸:本明細書で使用する場合、最も広い意味において、例えば、1つ以上のペプチド結合の形成を介し、ポリペプチド鎖に組み込むことができる任意の化合物及び/または物質を指す。いくつかの実施形態において、アミノ酸は、一般構造H2N-C(H)(R)-COOHを有する。いくつかの実施形態において、アミノ酸は天然に存在するアミノ酸である。いくつかの実施形態において、アミノ酸は非天然アミノ酸である。いくつかの実施形態において、アミノ酸はD-アミノ酸である。いくつかの実施形態において、アミノ酸はL-アミノ酸である。「標準アミノ酸」とは、天然に存在するペプチドに一般的に見出される20種の標準L-アミノ酸のいずれかを指す。「非標準アミノ酸」とは、合成により調製されたか天然の供給源から得られたかにかかわらず、標準アミノ酸以外のアミノ酸を指す。いくつかの実施形態において、アミノ酸(ポリペプチド中のカルボキシ末端アミノ酸及び/またはアミノ末端アミノ酸を含む)は、典型的またはカノニカルなアミノ酸構造と比較して構造的な修飾を含み得る。例えば、いくつかの実施形態において、アミノ酸は、一般構造と比較して、メチル化、アミド化、アセチル化、ペグ化、グリコシル化、リン酸化、及び/または置換(例えば、アミノ基、カルボン酸基、1つ以上のプロトン、及び/またはヒドロキシル基のもの)により修飾され得る。いくつかの実施形態において、このような修飾は、例えば、修飾アミノ酸を含むポリペプチドの循環半減期を、他の点では同一の非修飾アミノ酸を含むものと比較して改変することができる。いくつかの実施形態において、このような修飾は、修飾アミノ酸を含むポリペプチドの関連する活性を、他の点では同一の非修飾アミノ酸を含むものと比較して顕著に改変しない。文脈から明らかであろうように、いくつかの実施形態において、「アミノ酸」という用語は遊離アミノ酸を指すために使用することがあり、いくつかの実施形態ではポリペプチドのアミノ酸残基を指すために使用することがある。
【0018】
非晶質:本明細書で使用する場合、「非晶質」という用語は、概して、ポリペプチドの非結晶性固体形態を指し、場合によっては「非晶質固体」または「非晶質沈殿物」とも称され、これは典型的には、結晶性固体状態に特徴的な分子格子構造を有しない、または本質的に有しない。
【0019】
アナログ:本明細書で使用する場合、「アナログ」という用語は、1つ以上の特定の構造的特徴、エレメント、構成要素、または部分を基準物質と共有する物質を指す。典型的には、「アナログ」は、例えばコアまたはコンセンサス構造を共有し、基準物質と顕著な構造的類似性を示すが、ある特定の個別的な点では異なるところもある。いくつかの実施形態において、アナログは、例えば基準物質の化学的操作により、基準物質から生成することができる物質である。いくつかの実施形態において、アナログとは、基準物質を生成するプロセスと実質的に類似した(例えば、複数のステップを共有する)合成プロセスの実施を通じて生成することができる物質である。いくつかの実施形態において、アナログは、基準物質の生成に使用されるプロセスとは異なる合成プロセスの実施を通じて生成される、または生成することができる。
【0020】
抗体:本明細書で使用する場合、「抗体」という用語は、特定の抗原に特異的結合を付与するのに十分な1つ以上のカノニカルな免疫グロブリン配列エレメント(例えば、重鎖可変ドメイン、軽鎖可変ドメイン、及び/または1つ以上のCDR)を含むポリペプチドを指す。したがって、抗体という用語は、限定されるものではないが、ヒト抗体、非ヒト抗体、合成抗体、及び/または操作抗体、これらのフラグメント、ならびにこれらを含む薬剤を含む。抗体は、天然に存在する免疫グロブリン(例えば、抗原に反応する生物によって生成されるもの)である。合成、非天然、または操作抗体は、組換え操作、化学合成、または当業者に知られている他の人工系または方法論によって生成することができる。
【0021】
当技術分野で周知されているように、典型的なヒト免疫グロブリンは、2つの同一の重(H)鎖ポリペプチド(各約50kD)及び2つの同一の軽(L)鎖ポリペプチド(各約25kD)を含むおよそ150kDの四量体であり、これらのポリペプチドは、互いに会合して一般的に「Y字型」と称される構造を形成する。典型的には、各重鎖は重鎖可変ドメイン(VH)及び重鎖定常ドメイン(CH)を含む。重鎖定常ドメインは、3つのCHドメイン:CH1、CH2、及びCH3を含む。「スイッチ」として知られている短い領域は、重鎖可変領域及び定常領域を接続する。「ヒンジ」は、CH2及びCH3ドメインを免疫グロブリンの残部に接続する。各軽鎖は、軽鎖可変ドメイン(VL)及び軽鎖定常ドメイン(CL)を含み、別の「スイッチ」によって互いに隔てられている。各可変ドメインは、「相補性決定領域」(CDR1、CDR2、及びCDR3)として知られている3つの超可変ループと、4つのある程度インバリアントな「フレームワーク」領域(FR1、FR2、FR3、及びFR4)とを含む。各VH及びVLにおいて、3つのCDR及び4つのFRが、アミノ末端からカルボキシ末端にかけて以下の順:FR1、CDR1、FR2、CDR2、FR3、CDR3、及びFR4に並んでいる。典型的には、重鎖及び/または軽鎖の可変領域は、抗原と相互作用することができる結合部分を提供すると理解されている。定常ドメインは、抗体と、様々な免疫系細胞(例えば、エフェクター細胞及び/または細胞毒性を仲介する細胞)、受容体、ならびに補体系のエレメントとの結合を媒介することができる。重鎖及び軽鎖は1つのジスルフィド結合によって互いに結合し、2つの他のジスルフィド結合が重鎖のヒンジ領域を互いに接続して、二量体が互いに接続され四量体が形成される。天然の免疫ブログリンがフォールディングするとき、FR領域は、ドメインに構造フレームワークをもたらすベータシートを形成し、重鎖及び軽鎖の両方からのCDRループ領域は三次元空間内で一緒になって、Y構造の先端に位置する1つの超可変抗原結合部位が生じる。
【0022】
いくつかの実施形態において、抗体は、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体、単一特異性抗体、または多重特異性抗体(二重特異抗体を含む)である。いくつかの実施形態において、抗体は、少なくとも1つの軽鎖単量体もしくは二量体、少なくとも1つの重鎖単量体もしくは二量体、少なくとも1つの重鎖-軽鎖二量体、または2つの重鎖単量体及び2つの軽鎖単量体を含む四量体を含む。さらに、「抗体」という用語は、(別段の明記がない限り、または文脈から明らかでない限り)抗体の構造的及び/または機能的特徴を利用する任意の当技術分野で知られているコンストラクトまたは形式を含むことができ、限定されるものではないが、これにはZybodies(登録商標)、Fabフラグメント、Fab’フラグメント、F(ab’)2フラグメント、Fd’フラグメント、Fdフラグメント、単離されたCDRまたはそのセット、単鎖抗体、単鎖Fv(scFv)、ジスルフィド結合Fv(sdFv)、ポリペプチド-Fc融合物、単一ドメイン抗体(例えば、IgNARなどのシャークシングルドメイン抗体またはそのフラグメント)、ラクダ抗体、ラクダ化抗体、遮蔽抗体(例えば、Probodies(登録商標))、アフィボディ、抗イディオタイプ(抗Id)抗体(例えば、抗抗Id抗体を含む)、低分子免疫医薬品(「SMIP(商標)」)、単鎖またはタンデムダイアボディ(TandAb(登録商標))、VHH、Anticalin(登録商標)、Nanobody(登録商標)ミニボディ、BiTE(登録商標)、アンキリンリピートタンパク質またはDARPIN(登録商標)、Avimer(登録商標)、DART、TCR様抗体、Adnectin(登録商標)、Affilin(登録商標)、Trans-body(登録商標)、Affibody(登録商標)、TrimerX(登録商標)、MicroProtein、Fynomer(登録商標)、Centyrin(登録商標)、KALBITOR(登録商標)、CAR、操作TCR、及び上記のいずれかの抗原結合フラグメントが含まれる。
【0023】
様々な実施形態において、抗体は、相補性決定領域(CDR)または可変ドメインとして当業者に認識されている1つ以上の構造的エレメントを含む。いくつかの実施形態において、抗体は、共有結合により修飾された(「結合体化された」)抗体(例えば、特定の抗原に特異的結合を付与するのに十分な1つ以上のカノニカルな免疫グロブリン配列エレメントを含むポリペプチドを含む抗体であって、ポリペプチドが治療剤、検出可能部分、別のポリペプチド、糖鎖、またはポリエチレングリコール分子のうちの1つ以上と共有結合している抗体)であり得る。いくつかの実施形態において、抗体の配列エレメントは、当技術分野で知られているように、ヒト化、霊長類化、キメラ化などがなされている。
【0024】
重鎖定常ドメインを含む抗体は、限定されるものではないが、重鎖定常ドメインアミノ酸配列(例えば、アルファ(α)、デルタ(δ)、イプシロン(ε)、ガンマ(γ)、及びミュー(μ))に基づいて、IgA、分泌IgA、IgG、IgE、及びIgMを含む任意の既知のクラスの抗体であり得る。IgGサブクラスも当業者に周知されており、限定されるものではないが、これにはヒトIgG1、IgG2、IgG3、及びIgG4が含まれる。「アイソタイプ」とは、重鎖定常領域遺伝子によってコードされる抗体のクラスまたはサブクラス(例えば、IgMまたはIgG1)を指す。本明細書で使用する場合、「軽鎖」は、軽鎖定常ドメインのアミノ酸配列に基づいて、別個のタイプ(例えば、カッパ(κ)またはラムダ(λ))であり得る。いくつかの実施形態において、抗体は、マウス、ウサギ、霊長類、またはヒト免疫グロブリンに特徴的な1つ以上の定常領域配列を有する。天然に産生される免疫グロブリンは、典型的にはCH2ドメイン上でグリコシル化されている。当技術分野で知られているように、Fc受容体におけるFc領域の親和性/及び他の結合属性は、グリコシル化または他の修飾を通じて調節することができる。いくつかの実施形態において、抗体は、天然に産生された場合に有するであろう共有結合的修飾(例えば、グリカンの付着)が欠如している場合がある。いくつかの実施形態において、本発明に従って産生及び/または利用される抗体は、グリコシル化Fcドメイン(修飾または操作されたこのようなグリコシル化を伴うFcドメインを含む)を含む。
【0025】
抗体フラグメント:本明細書で使用する場合、「抗体フラグメント」とは、本明細書に記載の抗体または抗体薬剤の部分を指し、典型的には、抗原結合部分またはその可変領域を含む部分を指す。抗体フラグメントは、任意の手段により生成することができる。例えば、いくつかの実施形態において、抗体フラグメントは、インタクトな抗体または抗体薬剤のフラグメント化により、酵素的または化学的に生成することができる。代替的に、いくつかの実施形態において、抗体フラグメントは、組換えにより(すなわち、操作された核酸配列の発現により)生成することができる。いくつかの実施形態において、抗体フラグメントは、全体的または部分的に合成により生成することができる。いくつかの実施形態において、抗体フラグメント(詳細には抗原結合抗体フラグメント)は、少なくとも約50、60、70、80、90、100、110、120、130、140、150、160、170、180、190アミノ酸またはそれ以上の長さ、いくつかの実施形態では少なくとも約200アミノ酸の長さを有し得る。
【0026】
~に関連する:本明細書でこの用語を使用する場合、2つの事象または実体が互いに「関連する」のは、一方の事象または実体の存在、レベル、及び/または形態が他方と相互関係を有する場合である。例えば、特定の実体(例えば、ポリペプチド、遺伝子シグネチャー、代謝産物、微生物など)が特定の疾患、障害、または状態に関連すると考えられるのは、その存在、レベル、及び/または形態が(例えば、関係する集団全体における)この疾患、障害、または状態の発生及び/または感受性と相互関係を有する場合である。いくつかの実施形態において、2つ以上の実体が互いに物理的に「関連」するのは、これらの実体が直接的または間接的に相互作用して、互いに物理的に近接している及び/またはその状態を保っている場合である。いくつかの実施形態において、互いに物理的に関連している2つ以上の実体は互いに共有結合しており、いくつかの実施形態において、互いに物理的に関連している2つ以上の実体は互いに共有結合しているのではなく、例えば水素結合、ファンデルワールス相互作用、疎水相互作用、磁気、及びその組合せによって非共有結合的に関連している。
【0027】
~の間(Between)または~から(From):本明細書で使用する場合、「~の間」という用語は、示された上方及び下方の、または第1及び第2の境界(boundary)(または「境界(bound)」)の間に入る(境界を含む)内容を指す。同様に、「~から」という用語は、値の範囲の文脈で使用される場合、その範囲が、示された上限及び下限、または第1及び第2の境界の間に位置する内容(境界を含む)を含むことを示す。
【0028】
バイオアベイラビリティ:本明細書で使用する場合、「バイオアベイラビリティ」という用語は、in vivo対象に投与される物質(例えば、抗体または抗体フラグメントなどのポリペプチド)が、その物質が標的とする組織(例えば、血流及び/または血漿)で利用可能になる程度を指すことができる。バイオアベイラビリティとは、in vivoの対象に投与された物質が、その対象の血液に送達される程度を指すことができる。バイオアベイラビリティとは、ある物質が対象内で機能を発揮する能力を指すことができる。バイオアベイラビリティは、複数の方法で(例えば、血流または血漿中の物質の濃度として)測定することができる。いくつかの実施形態において、バイオアベイラビリティは、例えば、時間の関数としての血漿濃度のプロットにおける「曲線下面積」(AUC)(ゼロ時間から血漿濃度がベースラインレベルに戻る時間までの血漿濃度曲線下面積)を比較することによって評価することができる。AUCは、例えば線形台形規則を用いて算出することができる。「AUC0-t」とは、ゼロ時間からt時間後まで、例えばベースラインに到達する時間までの血漿濃度曲線下面積を指す。
【0029】
がん:本明細書で使用する場合、「がん」という用語は、細胞が比較的異常な、制御不能な、及び/または自律的な増殖を示す疾患、障害、または状態を指し、そのため細胞増殖の制御が顕著に失われることを特徴とする増殖速度の異常な上昇及び/または異常な成長表現型を示す。いくつかの実施形態において、がんは、1つ以上の腫瘍を含み得る。いくつかの実施形態において、がんは、前がん性(例えば、良性)、悪性、前転移性、転移性、及び/または非転移性である細胞であり得る、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、がんは、固形腫瘍であり得る、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、がんは、血液腫瘍であり得る、またはそれを含み得る。
【0030】
操作された:本明細書で使用する場合、「操作された」という用語は、人手によって操作されたという態様を指す。例えば、ポリヌクレオチドが「操作された」とみなされるのは、自然界ではその順序で結合していない2つ以上の配列が、人手によって操作され、操作されたポリヌクレオチド内で互いに結合している場合である。当業者であれば、「操作された」核酸またはアミノ酸配列が組換え核酸またはアミノ酸配列であり得ることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、操作されたポリヌクレオチドは、自然界で第1の配列に作用可能に結合していることは認められるが、自然界で第2の配列に作用可能に結合していることは認められないコード配列及び/または調節配列を含み、これは操作されたポリヌクレオチド中に存在し、人手によって第2の配列と作用可能に結合している。いくつかの実施形態において、細胞または生物は、その遺伝情報が改変されるように処理された場合、「操作された」(例えば、形質転換、交配、体細胞ハイブリダイゼーション、形質移入、形質導入、もしくは他の機構により、それまで存在しなかった新たな遺伝子材料が導入された、または例えば、置換、欠失、もしくは交配により、それまで存在していた遺伝子材料が改変または除去されている)とみなされる。これは慣例であり、当業者は理解していることであるが、操作されたポリヌクレオチドまたは細胞の、完全または不完全な後代またはコピーは、直接の操作が先の実体のものであったとしても、典型的には依然として「操作された」と称される。
【0031】
賦形剤:本明細書で使用する場合、「賦形剤」とは、例えば、所望の粘性または安定化効果を提供するまたはそれに寄与するために、医薬組成物中に含まれてもよい非治療剤を指す。いくつかの実施形態において、好適な医薬賦形剤としては、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが挙げられる。
【0032】
「改善する」、「増加させる」、「阻害する」、または「低減する」:本明細書で使用する場合、「改善する」、「増加させる」、「阻害する」、及び「低減する」、ならびにこれらの文法的等価物は、基準からの定性的または定量的な差異を示す。
【0033】
医薬的に許容される:本明細書で使用する場合、本明細書で開示する組成物の製剤化のための1つ以上、または全ての構成要素(複数可)に適用される「医薬的に許容される」という用語は、各構成要素が組成物の他の構成要素と適合性でなければならず、そのレシピエントにとって有害であってはならないことを意味する。
【0034】
医薬組成物または製剤:本明細書で使用する場合、「医薬組成物」、または「製剤」という用語は、治療剤が1つ以上の医薬的に許容される担体とともに製剤化された組成物を指す。
【0035】
ポリペプチド:本明細書で使用する場合、「ポリペプチド」とは、2つ以上のアミノ酸のポリマー鎖を指す。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、自然界に存在するアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、自然界に存在しないアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、人手の行為によって設計及び/または産生されるという点において操作されているアミノ酸配列を有する。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、天然アミノ酸、非天然アミノ酸、またはその両方であるか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、天然アミノ酸のみまたは非天然アミノ酸のみであるか、またはそれらを含み得る。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、D-アミノ酸、L-アミノ酸、またはその両方を含み得る。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、L-アミノ酸のみを含み得る。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、例えば、ポリペプチドのN末端、ポリペプチドのC末端、非末端アミノ酸、またはこれらの任意の組合せにおいて、1つ以上のペンダント基または他の修飾(例えば、1つ以上のアミノ酸側鎖)を含み得る。いくつかの実施形態において、このようなペンダント基または修飾は、アセチル化、アミド化、脂質化、メチル化、リン酸化、グリコシル化、糖化、硫酸化、マンノシル化、ニトロシル化、アシル化、パルミトイル化、プレニル化、ペグ化など(これらの組合せを含む)から選択することができる。いくつかの実施形態において、ポリペプチドは環状であり得る、及び/または環状部分を含み得る。
【0036】
いくつかの実施形態において、「ポリペプチド」という用語は、基準ポリペプチド、活性、または構造の名称に付加して、関連する活性または構造を共有するポリペプチドのクラスを示すことがある。このようなクラスについて、本明細書は、アミノ酸配列及び/または機能が知られているクラス内の例示的なポリペプチドを提供し、及び/または当業者はそれらを認識するであろう。いくつかの実施形態において、ポリペプチドクラスまたはファミリーのメンバーは、そのクラスの基準ポリペプチドに対し、顕著な配列相同性もしくは同一性を示す、共通の配列モチーフ(例えば、特徴的な配列エレメント)を共有する、及び/または共通の活性(いくつかの実施形態では、同等のレベルもしくは指定された範囲内での活性)を共有する。例えば、いくつかの実施形態において、メンバーポリペプチドは、基準ポリペプチドとの少なくとも約30~40%、しばしば約50%、60%、70%、80%、90%、91%、92%、93%、94%、95%、96%、97%、98%、99%、もしくはそれ以上の全体的な配列相同性の程度を示し、及び/または非常に高い配列同一性、しばしば90%超、もしくは95%、96%、97%、98%、もしくは99%超を示す少なくとも1つの領域(例えば、いくつかの実施形態では特徴的な配列エレメントであるか、またはそれを含んでもよい保存領域)を含む。このような保存領域は、通常、少なくとも3~4個、場合によって最大20個またはそれ以上のアミノ酸を包含し、いくつかの実施形態において、保存領域は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、またはそれ以上の連続したアミノ酸の少なくとも1つのストレッチを包含する。いくつかの実施形態において、関連するポリペプチドは、親ポリペプチドのフラグメントであり得る、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、有用なポリペプチドは、複数のフラグメントであり得る、またはそれらを含み得、それらの各々は、関心対象のポリペプチドがその親ポリペプチドの誘導体であるように、同じ親ポリペプチド内で、関心対象のポリペプチド内で見られるのとは互いに異なる空間的配置で見られる(例えば、親内で直接結合しているフラグメントが、関心対象のポリペプチド内で空間的に離れていてもよく、その逆であってもよく、及び/またはフラグメントが関心対象のポリペプチド内で親と異なる順序で存在していてもよい)。
【0037】
基準:本明細書で使用する場合、「基準」とは、比較を実施する標準または対照を指す。例えば、いくつかの実施形態において、薬剤、試料、配列、対象、動物、もしくは個体、またはそれらの集団、またはそれらを代表する測定値もしくは特性は、基準、薬剤、試料、配列、対象、動物、もしくは個体、またはそれらの集団、またはそれらを代表する測定値もしくは特性と比較される。いくつかの実施形態において、基準は測定値である。いくつかの実施形態において、基準は、確立された標準値または期待値である。いくつかの実施形態において、基準は歴史的基準である。基準は、定量的な場合も定性的な場合もある。典型的には、当業者には理解されるであろうように、基準及び基準と比較される値は、同等の条件下での測定値に相当する。当業者であれば、依拠及び/または比較を正当化するのに十分な類似点が存在する場合に理解するであろう。いくつかの実施形態において、適切な基準は、例えば、1つ以上の特定の変数(例えば、薬剤または状態の有無)、またはそれらを代表する測定値または特性を評価する目的で、当業者であれば同等と認識するであろう条件下における、薬剤、試料、配列、対象、動物、もしくは個体、またはそれらの集団であり得る。
【0038】
低分子:本明細書で使用する場合、「低分子」という用語は、低分子量の有機及び/または無機化合物を意味する。概して、「低分子」とは、約5キロダルトン(kD)以下のサイズの分子のことである。いくつかの実施形態において、低分子は、約4kD、3kD、約2kD、または約1kD未満である。いくつかの実施形態において、低分子は、約800ダルトン(D)未満、約600ダルトン未満、約500ダルトン未満、約400ダルトン未満、約300ダルトン未満、約200ダルトン未満、または約100ダルトン未満である。いくつかの実施形態において、低分子は、約2000g/mol未満、約1500g/mol未満、約1000g/mol未満、約800g/mol未満、または約500g/mol未満である。いくつかの実施形態において、低分子はポリマーではない。いくつかの実施形態において、低分子はポリマー部分を含まない。いくつかの実施形態において、低分子はポリペプチドではない、及び/またはポリペプチドを含まない。いくつかの実施形態において、低分子は、ポリヌクレオチドではない、及び/またはそれを含まない(例えば、オリゴヌクレオチドではない)。いくつかの実施形態において、低分子は多糖ではない、及び/またはそれを含まない(例えば、いくつかの実施形態において、低分子は、糖タンパク質、プロテオグリカン、糖脂質などではない)。いくつかの実施形態において、低分子は脂質ではない。いくつかの実施形態において、低分子は調節剤である(例えば、阻害剤または活性化剤である)。いくつかの実施形態において、低分子は生物学的に活性である。いくつかの実施形態において、低分子は検出可能である(例えば、少なくとも1つの検出可能部分を含む)。いくつかの実施形態において、低分子は治療剤である。
【0039】
対象:本明細書で使用する場合、「対象」という用語は、生物、典型的には哺乳類(例えば、ヒト、ラット、またはマウス)を指す。いくつかの実施形態において、対象は、疾患、障害、または状態を患っている。いくつかの実施形態において、対象は、疾患、障害、または状態に感受性を有する。いくつかの実施形態において、対象は、疾患、障害、状態の1つ以上の症状または特徴を示す。いくつかの実施形態において、対象は疾患、障害、または状態を患っていない。いくつかの実施形態において、対象は、疾患、障害、または状態のいかなる症状も特徴も示さない。いくつかの実施形態において、対象は、疾患、障害、または状態に対する感受性またはリスクに特徴的な1つ以上の特徴を有する。いくつかの実施形態において、対象は、疾患、障害、または状態について検査された、及び/または治療が投与された対象である。場合によっては、ヒト対象は「患者」または「個体」と互換的に称されることがある。対象が関連する疾患、障害、または状態の治療に関連する薬剤を投与された対象は、その薬剤を必要とする対象、すなわち、それを必要とする対象と称することができる。
【0040】
治療剤:本明細書で使用する場合、「治療剤」という用語は、対象に投与したときに所望の薬理学的効果を引き出す任意の薬剤を指す。いくつかの実施形態において、薬剤が適切な集団全体において統計的に有意な効果を示す場合、その薬剤は治療剤とみなされる。いくつかの実施形態において、適切な集団は、モデル生物の集団またはヒトの集団であり得る。いくつかの実施形態において、適切な集団は、ある特定の年齢層、性別、遺伝的背景、既存の臨床状態などの様々な基準によって定義することができる。いくつかの実施形態において、治療薬は、疾患、障害、または状態の治療に使用することができる物質である。いくつかの実施形態において、「治療剤」とは、ヒトへの投与用に市販され得る前に政府機関によって承認された、または承認を要する薬剤である。いくつかの実施形態において、「治療剤」とは、ヒトへの投与に医学的処方箋を要する薬剤である。
【0041】
治療有効量:本明細書で使用する場合、「治療有効量」とは、投与に対し所望の効果をもたらす量を指す。いくつかの実施形態において、この用語は、ある疾患、障害、及び/または状態を患うまたはそれに感受性を有する集団に投与する場合に、この疾患、障害、及び/または状態を治療するのに十分である量を指す。いくつかの実施形態において、治療有効量は、疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の症状に対し、その発生及び/または重症度を低減する量、及び/またはその発症を遅延させる量である。当業者であれば、治療有効量が、必ずしも全ての特定の治療を行う個体において治療の成功を達成するとは限らないことを理解するであろう。むしろ、治療有効量とは、このような治療を必要とする患者に投与した場合に、意義ある数の対象において特定の所望される薬理学的応答をもたらす量であり得る。いくつかの実施形態において、治療有効量に対する言及は、1つ以上の特定の組織(例えば、疾患、障害、もしくは状態により罹患した組織)または体液(例えば、血液、唾液、血清、汗、涙液、尿など)において測定されるような量に対する言及であり得る。当業者であれば、いくつかの実施形態において、治療有効量の特定の薬剤または療法は、単回用量で製剤化及び/または投与することができることを理解するであろう。いくつかの実施形態において、治療上有効な薬剤は、例えば、投与レジメンの一部として、複数の用量で製剤化及び/または投与することができる。
【0042】
治療:本明細書で使用する場合、「治療」(及び「治療する」または「治療すること」)という用語は、特定の疾患、障害、または状態の1つ以上の症状、特徴、及び/または原因の部分的または完全な軽減、改善、緩和、阻害、発症遅延、重症度の低減、及び/または発生の低減を行う、あるいは任意のこのような結果を達成する目的で投与される療法の投与を指す。いくつかの実施形態において、このような治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態の徴候を示さない対象のもの、及び/またはその疾患、障害、及び/または状態の早期の徴候のみを示す対象の治療であり得る。代替的または追加的に、このような治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態の1つ以上の確立した徴候を示す対象の治療であり得る。いくつかの実施形態において、治療は、関連する疾患、障害、及び/または状態を患っていると診断された対象の治療であり得る。いくつかの実施形態において、治療は、関連する疾患、障害、または状態の発生リスクの増加と統計的に相関する1つ以上の感受性因子を有することが知られている対象の治療であり得る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【
図1】乾燥前(左パネル)及び乾燥後(右パネル)のトラスツズマブの微粒子を示す4つの画像のセットである。
【0044】
【
図2】当業者に知られている典型的な結晶化アプローチによって生成されたリラグルチドの微粒子を示す画像である。
【0045】
【
図3】当業者に知られている典型的な結晶化アプローチによって生成されたリラグルチドの微粒子を示す画像である。
【0046】
【
図4】当業者に知られている典型的な結晶化アプローチによって生成されたリラグルチドの微粒子を示す画像である。
【0047】
【
図5】当業者に知られている典型的な結晶化アプローチによって生成されたリラグルチドの微粒子を示す画像である。
【0048】
【
図6】当業者に知られている典型的な結晶化アプローチによって生成されたリラグルチドの微粒子を示す画像である。
【0049】
【
図7】当業者に知られている典型的な結晶化アプローチによって生成されたリラグルチドの微粒子を示す画像である。
【0050】
【
図8】当業者に知られている典型的な結晶化アプローチによって生成されたリラグルチドの微粒子を示す画像である。
【0051】
【
図9】当業者に知られている典型的な結晶化アプローチによって生成されたリラグルチドの微粒子を示す画像である。
【0052】
【
図10】当業者に知られている典型的な結晶化アプローチによって生成されたインスリンの微粒子を示す画像である。
【0053】
【
図11】当業者に知られている典型的な結晶化アプローチによって生成されたインスリンの微粒子を示す画像である。
【0054】
【
図12】当業者に知られている典型的な結晶化アプローチによって生成されたインスリンの微粒子を示す画像である。
【0055】
【
図13】当業者に知られている典型的な結晶化アプローチによって生成されたインスリンの微粒子を示す画像である。
【0056】
【
図14】当業者に知られている典型的な結晶化アプローチによって生成されたインスリンの微粒子を示す画像である。
【0057】
【
図15】当業者に知られている典型的な結晶化アプローチによって生成されたインスリンの微粒子を示す画像である。
【0058】
【
図16】当業者に知られている典型的な結晶化アプローチによって生成されたインスリンの微粒子を示す画像である。
【0059】
【
図17】リラグルチドの標準治療製剤を皮下投与した後、または本明細書で提供する形成物を経口投与した後のリラグルチドの経時的な血漿濃度を示すグラフである。
【0060】
【
図18】リラグルチドの標準治療製剤を皮下投与した後、または本明細書で提供する形成物を経口投与した後のリラグルチドの経時的な血漿濃度を示すグラフの対である。
【0061】
【
図19】リラグルチドの標準治療製剤を皮下投与した後、または本明細書で提供する形成物を経口投与した後のリラグルチドの経時的な血漿濃度を示すグラフの対である。
【0062】
【
図20】トラスツズマブの標準治療製剤を皮下投与した後、または本明細書で提供する形成物を経口投与した後のトラスツズマブの経時的な血漿濃度を示すグラフである。
【0063】
【
図21】トラスツズマブの標準治療製剤を皮下投与した後、または本明細書で提供する形成物を経口投与した後のトラスツズマブの経時的な血漿濃度を示すグラフである。
【0064】
【
図22】インスリンの標準治療製剤を皮下投与した後、または本明細書で提供する形成物を経口投与した後のインスリンの経時的な血漿濃度を示すグラフである。
【0065】
【
図23】トラスツズマブの標準治療製剤を皮下投与した後、またはビタミンE、ココナッツ油、タラ肝油、もしくはギーを含む製剤を経口投与した後のトラスツズマブの経時的な血漿濃度を示すグラフである。
【0066】
【
図24】ニュージーランドホワイトウサギにリラグルチド経口製剤を投与した後のリラグルチドの血漿濃度を示すグラフである。
【0067】
【
図25】ニュージーランドホワイトウサギにリラグルチド静注製剤を投与した後のリラグルチドの血漿濃度を示すグラフである。
【0068】
【
図26】ニュージーランドホワイトウサギにリラグルチド皮下製剤を投与した後のリラグルチドの血漿濃度を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0069】
製薬業界は、ポリペプチド治療薬を上市するために多大な努力を費やしてきた。臨床試験には、100超の状態の治療のために数百種ものポリペプチドが使用されている。しかし、ポリペプチドの臨床使用は、その送達の成功を妨げる多くの障害がネックとなっている。ポリペプチド送達のための製剤の開発において考慮される要因に含まれるものとして、バイオアベイラビリティ、安定性、及び治療有効性がある。多くのポリペプチドは、皮下注射、筋肉注射、及び静脈注射などの非経口経路により投与される。本開示は、経口投与が、ポリペプチド治療薬の注射よりも、例えば、患者の許容、家庭での使用、及び長期レジメンに対する遵守に関して、概して好ましいという認識を含む。とりわけこれらの利点により、ポリペプチド製剤の経口製剤は、非経口製剤とは異なる、及び/または非経口製剤よりも大きな治療的及び商業的価値を有すると考えられる。
【0070】
ポリペプチドの経口投与を達成するために多大な努力が払われているにもかかわらず、非経口送達は、依然としてポリペプチド治療薬において主要な投与様式である。経口投与は、低分子の投与に関しては標準的であり得るものの、ポリペプチドの経口投与が困難であることは、当業者に認識されている問題である。ポリペプチドの経口投与を非常に困難にしている要因に含まれるものとして、本質的な物理化学的及び生物学的特性があり、これには分子サイズが大きいこと、胃腸膜を浸透しにくいこと、胃液の低pHにより安定性が低いこと、及びタンパク質分解酵素に感受性を有することが含まれる。様々な試験において、経口投与されたポリペプチドが1%未満のバイオアベイラビリティを示すことが観察されたが、治療有効性を得るために好ましいと考えられるのは、より高いレベル、場合によっては少なくとも30%~50%の目標バイオアベイラビリティである。ポリペプチドの安定性及び性能を改善するための努力としては、ポリペプチドの化学修飾(例えば、PEG化、高グリコシル化、及びマンノシル化)、またはコロイド状担体(微粒子、ナノ粒子、リポソーム、カーボンナノチューブ、及びミセルを含む)の使用が挙げられる。このような努力にもかかわらず、ポリペプチドの非経口投与が標準として存続してきた。本開示は、経口投与用のポリペプチドの製剤化という長年の困難に対する解決策を提供するものである。
【0071】
本開示の様々な組成物は、医薬的に許容されるカプセル内にコアを含み得る。様々な実施形態において、コアは、非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物と、ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体とを含む。
【0072】
ビタミンE
本明細書で使用する場合、ビタミンE剤とは、対象に投与されると、その対象にビタミンE活性部分を送達する化合物または実体を指す。いくつかの実施形態において、ビタミンE剤は、塩、共結晶、遊離酸もしくは塩基、溶媒和物、エステル、水和物、多形体、または無水形態として提供及び/または利用される。いくつかの実施形態において、ビタミンE剤は、特定の立体異性体形態で、または立体異性体形態の混合物として提供及び/または利用される。いくつかの実施形態において、ビタミンE剤はビタミンEのプロドラッグであり、ビタミンEは、治療効果が意図された代謝産物である。
【0073】
ビタミンE剤(本明細書では互換的にビタミンEと称される)は、1つ以上のビタミンEトコフェロール及び/または1つ以上のビタミンEトコトリエノールから選択される1つ以上のビタミンEトコールであり得る、またはそれを含み得る。天然ビタミンEトコールには、2つのシリーズの化合物:飽和側鎖を有するトコフェロール及び不飽和側鎖を有するトコトリエノールが含まれる。トコフェロール及びトコトリエノールは類似する化学構造を有し、この構造は、6-クロマノール環の2位で結合する長いイソプレノイド側鎖を特徴とする。トコフェロールは、クロマノール環及び16炭素のテールを含む。トコトリエノールは、飽和イソプレノイドC16側鎖ではなくファルネシルを有する点でトコフェロールと異なる。ビタミンEトコール(例えば、トコフェロール及びトコトリエノール)は、クロマノール環のメチル化パターンに基づいて、α、β、γ、またはδとして命名される。β-及びγ-は、それぞれクロマノール環の5位及び8位、または7位及び8位でジメチル化されている。α-トコールはクロマノール環の5位、7位、及び8位でトリメチル化されており、δ-はクロマノール環の8位でモノメチル化されている。ビタミンE剤としては、α-、β-、γ-もしくはδ-トコール、またはこれらの混合物を挙げることができる。例えば、ビタミンEトコフェロールとしては、トコフェロールα、β、γ、及びδのいずれか1つ以上、ならびにこれらの誘導体を挙げることができる。ビタミンEトコトリエノールとしては、トコトリエノールα、β、γ、及びδのいずれか1つ以上、ならびにこれらの誘導体を挙げることができる。これらのビタミンEアルコールのうち、α-トコフェロール及びγ-トコフェロールは自然界に最も多く存在する。ある特定の市販のビタミンEサプリメントは、一般的にα-トコフェロールを含み得る。ある特定の市販のビタミンEサプリメントは、一般的に様々な特定の構造を有するビタミンEトコールの混合物を含み得る。
【0074】
ビタミンE剤は、ビタミンE剤の全ての立体異性体(例えば、エナンチオマーまたはジアステレオマー)形態及び全ての幾何または立体構造異性体形態を含み得る。例えば、ビタミンE剤の各立体中心のR及びS配置が本開示の一部として企図されている。そのため、ビタミンE剤の単一の立体化学異性体、ならびにエナンチオマー、ジアステレオマー、及び幾何的(または立体構造的)混合物は、本開示の範囲内である。例えば、ビタミンE剤は、ビタミンEトコフェロールまたはトコトリエノールの立体異性体であり得る、またはそれを含み得る。トコフェロール分子は、C-2、C-4’、及びC-8’に少なくとも3つの立体中心を有し、これにより少なくとも8つの立体異性体が可能となる。例えば、ビタミンE剤は、RRR、RRS、RSS、SSS、RSR、SRS、SRR、及びSSRから選択されるα-トコフェロールの立体異性体であり得る、またはそれを含み得る。様々な実施形態において、RRR立体異性体は天然に存在する。いくつかの実施形態において、ビタミンE剤は、1つ以上の立体異性体の混合物、例えば、1つ以上のα-トコフェロール立体異性体(例えば、1、2、3、4、5、6、7、または8つの立体異性体)を含む。天然のトコフェロールがRRR-構成で存在するのに対し、合成形態は8つの異なる立体異性体を含み得、all-rac-アルファ-トコフェロールと呼ばれる。トコトリエノールはC-2にのみ立体中心を有し、天然に存在するトコトリエノールはもっぱら2R,3’E,7’E構造のみにある。
【0075】
ビタミンE剤には、ビタミンEトコールの誘導体及び/またはアナログが含まれる。ビタミンEは様々な修飾を、例えば、ビタミンEトコールのクロマン部分に適用することができる。ビタミンEトコールの誘導体の例としては、2-、5-、または6-置換クロマン誘導体が挙げられる。ビタミンEトコールは、ペグ部分(ペグ化)または酸(例えば、ヒアルロン酸)などの薬剤との結合体化によって誘導体化することができる。
【0076】
ビタミンE剤は、ビタミンEトコールのプロドラッグ、例えば、ビタミンEトコールのエステル(例えば、酢酸、コハク酸、またはニコチン酸のエステル)であり得る、またはそれを含み得る。ある特定の実施形態において、ビタミンE剤のエステルは、当技術分野で知られている従来の方法を用いて、ビタミンE剤のフェノール形態から調製される。トコフェリルエステル(例えば、酢酸アルファ-トコフェリル、コハク酸トコフェリル、ニコチン酸トコフェリル、リノール酸トコフェリル、リン酸α-トコフェリルなど)は、酸化に対する感受性の低下を示し得る。トコフェロールエステルは、腸内で(例えば、酵素エステラーゼにより)脱エステル化され、遊離トコフェロールとして吸収される。ビタミンE剤は、非エステル化ビタミンEトコールであり得る、またはそれを含み得る。様々な実施形態において、遊離及びエステル化ビタミンEトコールは同等のバイオアベイラビリティを有すると理解されている。
【0077】
本開示は、例えば人体により、吸収されるビタミンE剤を含む。本開示は、ビタミンEの液体及び固体形態の両方を含む。ビタミンEの例示的な固体形態は、白色~薄黄褐色の粒状粉末であり得る。ビタミンEの液体形態は、水に不溶性、アルコールに可溶性、及び/または混和性(例えば、エーテル、アセトン、植物油、及び/またはクロロホルムに対し)であり得る。ビタミンEの様々な液体形態は、透明、黄色~褐色を帯びた赤色、及び/または粘性の油である。本開示は、脂溶性のビタミンE剤を含む。例えば、様々な実施形態において、コハク酸アルファトコフェリルなどの固体形態は、水に不溶性であるが、脂肪(例えば、植物油)には可溶性であり、様々な実施形態において、結晶化ポリペプチド及び/またはポリペプチド粒子をコーティングすることができる。
【0078】
ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体としては、ビタミンE剤(例えば、脂溶性ビタミンE剤)及び油を挙げることができる。様々な実施形態において、ビタミンEは担体に加えて栄養補助食品として機能することができる。様々な実施形態において、ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体(例えば、天然に存在するかまたは添加されたビタミンE剤を含む油)は、ビタミンE剤及び植物由来の油である油を含み得、任意選択で、植物由来の油は、麦芽油、ヘーゼルナッツ油、カノーラ/ナタネ油、ヒマワリ油、ベニバナ油、アーモンド油、グレープシード油、ヒマワリ種子仁、アーモンド、アーモンドバター、麦芽、カノーラ油、パーム油、ピーナッツ油、マーガリン、タブ、ヘーゼルナッツ、コーン油、オリーブ油、大豆油、松の実、ピーナッツバター、及びピーナッツから選択される。このようなある特定の組成物におけるビタミンEの例示的濃度を表1に示す。示されるこれらの濃度は、単に例示的なものであり、場合によっては、典型的または天然に存在するビタミンE剤の量を反映するものの、本開示は、例えば、ビタミンEを加えることにより、結晶化または非晶質ポリペプチドの懸濁液またはカプセル化製剤に使用するための本明細書で開示するビタミンEの量または濃度を達成するように、油組成物におけるビタミンE剤の量が変更されてもよいことを含む。
【表1】
【0079】
医薬的に許容される担体
本開示の製剤は、ビタミンE剤であるまたはそれを含む医薬的に許容される担体を含み得る。本明細書で使用する場合、「医薬的に許容される担体」という用語は、薬剤(例えば、医薬薬剤)の製剤化を容易にし、薬剤のバイオアベイラビリティを修飾し、または対象の1つの器官または部分から別の器官または部分への薬剤の輸送を容易にする、医薬的に許容される材料、組成物、またはビヒクル、例えば、液体または固体の充填剤、希釈剤、賦形剤、または溶媒カプセル化材料を指す。医薬的に許容される担体として機能し得る材料のいくつかの例としては、糖、例えば、ラクトース、グルコース、及びスクロース;デンプン、例えば、トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン;セルロース及びその誘導体、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロース;粉末化トラガカント;麦芽;ゼラチン;タルク;賦形剤;油、例えば、ピーナッツ油、綿実油、バージンココナッツ油、アーモンド油、麦芽油、任意の食用油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油、及びダイズ油;グリコール、例えば、プロピレングリコール;ポリオール、例えば、グリセリン、ソルビトール、マンニトール、及びポリエチレングリコール;エステル、例えば、オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル;寒天;緩衝剤、例えば、水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム;アルギン酸;パイロジェンフリー水;等張食塩水;リンゲル液;エチルアルコール;pH緩衝液;ポリエステル、ポリカーボネート、及び/またはポリ酸無水物;ならびに医薬製剤で用いられる他の無毒の適合性物質が挙げられる。賦形剤は、例えば、所望の粘性または安定化効果を提供するまたはそれに寄与するために、医薬組成物中に含まれてもよい非治療剤を含むことができる。いくつかの実施形態において、好適な医薬賦形剤としては、例えば、デンプン、グルコース、ラクトース、スクロース、ゼラチン、麦芽、米、小麦粉、チョーク、シリカゲル、ステアリン酸ナトリウム、モノステアリン酸グリセロール、タルク、塩化ナトリウム、乾燥スキムミルク、ココアバター、坐薬ワックス、グリセロール、プロピレングリコール、水、エタノールなどが挙げられる。様々な実施形態において、本開示のポリペプチド製剤(例えば、ポリペプチド製剤または懸濁液のカプセル化コア)は、1つ以上の医薬的に許容される担体をさらに含む。様々な特定の実施形態において、1つ以上の医薬的に許容される担体は、凝集低減剤、糖もしくは糖アルコール、多糖、安定剤、ヒアルロニダーゼ、緩衝剤、防腐剤、担体、抗酸化剤、キレート化剤、天然もしくは合成ポリマー、凍結保護剤、凍結乾燥保護剤、界面活性剤、増量剤、酸性化剤、注射部位の不快感を低減する成分、消泡剤、キレート剤、天然または合成ポリマー、凍結保護剤、凍結保護剤、界面活性剤、増量剤、酸性化剤、注射部位の不快感を軽減する成分、消泡剤、アルカリ化剤、ビヒクル、凝集阻害剤、可溶化剤、張度調節剤、及び安定化剤、及びこれらの組合せからなる群より選択される。
【0080】
様々な実施形態において、凝集低減剤は、ニコチン酸、クエン酸カフェイン、ニコチン酸カフェイン、カフェイン、オクチル-β-D-グルコピラノシド、及びn-ドデシル-β-D-マルトシド、任意選択で、これらとアルギニン、トリプトファン、ヒスチジン、プロリン、システイン、メチオニン、β-アラニン、グルタミン酸カリウム、アルギニンエチルエステル、リジン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、DTPA(ジエチレントリアミン五酢酸)、EGTA(アミノポリカルボン酸)、EDTA(エチレンジアミン四酢酸)、ヒドロキシプロピルベータ(HP-ベータ)シクロデキストリン、ヒドロキシプロピルガンマ(HP-ガンマ)シクロデキストリン、スルホブチルエーテル(SBE)シクロデキストリン、TMAO(トリメチルアミンN-オキシド)トレハロース、エチレングリコール、ベタイン、キシリトール、ソルビトール、6-(N-(7-ニトロベンゾ-2-オキサ-1,3-ジアゾール-4-イル)アミノ)ヘキサン酸(NBD-X)、メチルアセチルホスフェート(MAP)、シトラコン酸無水物、ピロホスフェート、クエン酸塩、及びこれらの組合せのうちの1つ以上との組合せのうちの1つ以上を含み得る。
【0081】
様々な実施形態において、張度調節剤は、アルギニン、システイン、ヒスチジン、グリシン、塩化ナトリウム、塩化カリウム、クエン酸ナトリウム、糖、例えば、スクロース、グルコース、デキストロース、グリセリン、またはマンニトール、及びこれらの組合せのうちの1つ以上を含み得る。
【0082】
様々な実施形態において、抗酸化剤は、グリシン、リジン、EDTA、DTPA、ソルビトール、マンニトール、アスコルビン酸、パルミチン酸アスコルビル、ブチル化ヒドロキシアニソール、ブチル化ヒドロキシトルエン、次亜リン酸、モノチオグリセロール、没食子酸プロピル、重亜硫酸ナトリウム、ホルムアルデヒドスルホキシル酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、二酸化硫黄、トコフェロール、及びこれらの組合せのうちの1つ以上を含み得る。
【0083】
様々な実施形態において、凍結乾燥保護剤は、スクロース、ラクトース、トレハロース、デキストラン、エリスリトール、アラビトール、キシリトール、ソルビトール、マルトース、ラクツロース、マルツロース、グルシトール、マルチトール、ラクチトール、イソマルツロース、及びマンニトール;アミノ酸(例えば、アルギニン、ヒスチジン、プロリン、もしくはグリシン);リオトロピック塩(例えば、硫酸マグネシウム);プロピレングリコール、グリセロール、ポリ(エチレングリコール)、もしくはポリ(プロピレングリコール);ゼラチン、デキストリン、化工デンプン、カルボキシメチルセルロース、及びこれらの組合せのうちの1つ以上を含み得る。
【0084】
様々な実施形態において、医薬的に許容される担体は、医薬的に活性の薬剤を明示的に除外する。様々な実施形態において、医薬的に許容される担体は、1つ以上の、または全てのポリペプチドを明示的に除外する。
【0085】
経口送達用のポリペプチド製剤が、非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物を含むコアまたは懸濁液と、ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体とを含む、様々な実施形態において、コア、懸濁液、または医薬的に許容される担体は、重量、モル比、または体積に基づいて、少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%であるビタミンE剤の量によって特徴付けられ得る。様々な実施形態において、コア、懸濁液、または医薬的に許容される担体は、重量、モル比、または体積に基づいて、10%~90%の間、20%~90%の間、30%~90%の間、40%~90%の間、50%~90%の間、60%~90%の間、70%~90%の間、80%~90%の間、10%~70%の間、20%~70%の間、30%~70%の間、40%~70%の間、50%~70%の間、60%~70%の間、10%~50%の間、20%~50%の間、30%~50%の間、または40%~50%の間であるビタミンE剤の量によって特徴付けられ得る。
【0086】
結晶化ポリペプチド及び非晶質ポリペプチド
本開示は、ビタミンE及びポリペプチド(例えば、非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物中に存在するポリペプチド)を含む経口製剤を含む。医薬薬剤は、多形、溶媒和物、水和物、塩、共結晶、及び非晶質固体を含む様々な形態で存在し得る。
【0087】
非晶質ポリペプチド組成物には、ポリペプチド分子が無秩序または本質的に無秩序である組成物が含まれ得る。非晶質ポリペプチドは、原子の位置の長距離規則度が欠如している、または本質的に欠如していることがある。様々な実施形態において、非晶質ポリペプチドは、同じポリペプチドの結晶化形態よりも溶解性が高い可能性がある。ある特定の実施形態において、非晶質ポリペプチドは、結晶化されていない、及び/または結晶化の方法に従って処理されていない組成物である。ある特定の実施形態において、非晶質ポリペプチド組成物は、短距離規則度、残留結晶性、多形状態、及び異なる密度の領域を含み得、これらはいずれも必ずしも長距離規則度を構成するものではない。様々な実施形態において、非晶質ポリペプチド組成物は、結晶化ポリペプチドの一部、例えば、質量、体積、またはモルに基づいて20%未満の全ポリペプチド(例えば、20%、15%、10%、9%、8%、7%、6%、5%、4%、3%、2%、1%、0.5%、または0.1%未満の結晶化ポリペプチド)である結晶化ポリペプチドの一部を含み得る。結晶化度を定量するための技法としては、XRD、DSC、溶液熱量測定、水分吸着、等温熱量測定、及び熱刺激電流(TSC)が挙げられる。様々な実施形態において、非晶質ポリペプチド組成物は、コヒーレントな方式でX線を回折せず、及び/または粉末X線回折パターンは、特徴的なピークがないもしくは非常に少ない幅広のハロである。
【0088】
様々な実施形態において、本開示の非晶質ポリペプチド組成物は、25ミクロン未満、例えば、20、15、10、5、4、3、2、1、または0.5ミクロン未満の平均及び/または最大粒径を含み、例えば、任意選択で、この粒子は、0.5ミクロン~1、2、3、4、5、10、15、20、または25ミクロンの間の平均及び/または最大粒径を有するか、あるいはポリペプチドの粒子は、1ミクロン~1、2、3、4、5、10、15、20、または25ミクロンの間の平均及び/または最大粒径を有する。様々な実施形態において、本開示のポリペプチド組成物の粒子は、ポリペプチドの微粒子である。
【0089】
本開示の非晶質ポリペプチド組成物は、他の薬剤または薬剤のタイプと比較して高い割合の(例えば、特定のアミノ酸配列によって特徴付けられるポリペプチドの)非晶質及び/または非結晶化ポリペプチドを含む組成物を含む。様々な実施形態において、本開示の非晶質ポリペプチド組成物は、組成物または組成物中に存在するポリペプチドの重量、モル比、または体積に基づいて、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の(例えば、特定のアミノ酸配列によって特徴付けられるポリペプチドの)非晶質及び/または非結晶化ポリペプチドを含む。様々な実施形態において、非晶質ポリペプチド組成物は、組成物または組成物中に存在するポリペプチドの重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、または90%の下限から、組成物または組成物中に存在するポリペプチドの重量、モル比、または体積に基づいて、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の上限の間である(例えば、特定のアミノ酸配列によって特徴付けられるポリペプチドの)非晶質及び/または非結晶化ポリペプチドの量によって特徴付けられ得る。
【0090】
様々な実施形態において、本開示の非晶質ポリペプチド組成物は、非ポリペプチド薬剤(及び/または非晶質ポリペプチド以外の薬剤)を含まない、または実質的に含まず、例えば、非晶質ポリペプチド組成物は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、または30%以下の非ポリペプチド薬剤(及び/または非晶質ポリペプチド以外の薬剤)を含む。様々な実施形態において、本開示の非晶質ポリペプチド組成物は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以下の非ポリペプチド薬剤(及び/または非晶質ポリペプチド以外の薬剤)を含む。様々な実施形態において、非晶質ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの粒子を含み、他のポリペプチド薬剤(任意選択で、1つ以上の特定のポリペプチドの結晶化形態(複数可)を含む)を含まない、または実質的に含まず、例えば、非晶質ポリペプチド組成物は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、または30%以下の他のポリペプチド薬剤を含む。様々な実施形態において、非晶質ポリペプチド組成物は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以下の他のポリペプチド薬剤を含む。様々な実施形態において、非晶質ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの粒子を含み、他の薬剤(任意選択で、1つ以上の特定のポリペプチドの結晶化形態(複数可)を含む)を含まない、または実質的に含まず、例えば、非晶質ポリペプチド組成物は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、または30%以下の他の薬剤を含む。様々な実施形態において、非晶質ポリペプチド組成物は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以下の他の薬剤を含む。
【0091】
様々な実施形態において、本開示の非晶質ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの粒子を含み、この1つ以上の特定のポリペプチドの粒子は、非ポリペプチド薬剤を含まない、または実質的に含まず、例えば、粒子は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、または30%以下の非ポリペプチド薬剤を含む。様々な実施形態において、本開示の非晶質ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの粒子を含み、この1つ以上の特定のポリペプチドの粒子は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以下の非ポリペプチド薬剤を含む。様々な実施形態において、本開示の非晶質ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの粒子を含み、この1つ以上の特定のポリペプチドの粒子は、他のポリペプチドを含まない、または実質的に含まず、例えば、この1つ以上の特定のポリペプチドの粒子は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、または30%以下の他のポリペプチドを含む。様々な実施形態において、本開示の非晶質ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの粒子を含み、この1つ以上の特定のポリペプチドの粒子は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以下の他のポリペプチドを含む。様々な実施形態において、本開示の非晶質ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの粒子を含み、この1つ以上の特定のポリペプチドの粒子は、他の薬剤(任意選択で、1つ以上の特定のポリペプチドの非結晶化形態(複数可)を含む)を含まない、または実質的に含まず、例えば、この1つ以上の特定のポリペプチドの粒子は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、または30%以下の他の薬剤を含む。様々な実施形態において、本開示の非晶質ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの粒子を含み、この1つ以上の特定のポリペプチドの粒子は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以下の他の薬剤を含む。
【0092】
非晶質ポリペプチド組成物を生成するためのプロセスとしては、融解物の分子クエンチ、抗溶媒添加による急速沈殿、フリーズドライ、噴霧乾燥、噴霧フリーズドライ、超臨界流体中での沈殿、固体分散、及び結晶性前駆体の固体化学反応(分解)を挙げることができる。例えば、タンパク質/PEGブレンド溶液をフリーズドライし、続いてマトリックスからPEGを除去すると、非晶質形態の沈殿したタンパク質粒子が得られることが判明している。機械的または化学的応力を導入するプロセス(粉砕、ミリング、及び湿式造粒)は、結晶性材料を完全または部分的に非晶質化することができる。
【0093】
いくつかの実施形態において、非晶質ポリペプチド組成物は、水和形態であり得る、または水和形態から調製され得る。水和形態は、アルコール(例えば、エタノール)を含み得る。いくつかの実施形態において、非晶質ポリペプチド組成物は、溶媒和形態である、または溶媒和形態から調製される。例示的な溶媒としては、例えば、酸性溶媒または有機溶媒を挙げることができる。いくつかの実施形態において、溶媒としては、DMSO、DMF、酢酸、アセトニトリル、メタノール、プロパノール、イソプロパノール、アセトン、アニソール、1-ブタノール、2-ブタノール、酢酸ブチル、fer/-ブチルメチルエーテル、クメン、ジメチルスルホキシド、エタノール、酢酸エチル、エチルエーテル、ギ酸エチル、ギ酸、ヘプタン、酢酸イソブチル、酢酸イソプロピル、酢酸メチル、3-メチル-1-ブタノール、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、2-メチル-1-プロラノール、ペンタン、1-ペンタノール、1-プロパノール、2-プロパノール、酢酸プロピル、テトラヒドロフラン、エタノール、及び/または水を挙げることができる。非晶質ポリペプチド組成物を調製するある特定の方法としては、溶媒和形態からの迅速な溶媒蒸発による溶媒の除去、噴霧乾燥、ローラー乾燥、溶媒沈殿、またはフリーズドライを挙げることができる。いくつかの実施形態において、非晶質ポリペプチド組成物はカチオン、例えば、2+荷電カチオン(例えば、Ba2+、Ca2+、Cr2+、Co2+、Cu2+、Fe2+、Pb2+、Mg2+、Mn2+、Ni2+、Sr2+、Sn2+、またはZn2+)を含む。
【0094】
結晶形成は、非結晶性固体薬剤を結晶性固体形態に構築することを含み得る。結晶形成は、様々な分子間相互作用(例えば、水素結合、pスタッキング、及びファンデルワールス力を含む)を利用することができる。水素結合の形成は、しばしば分子固体における分子間相互作用に関与する。典型的には、結晶化は、低分子薬剤に関して考慮されており、ポリペプチドに関してはあまり考慮されていない。典型的には、ポリペプチドは、溶液中で明確に定義された立体構造が欠如している。ある特定の実施形態において、非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物は、ポリペプチドの結晶を含む粉末形態である。
【0095】
様々な実施形態において、本開示の結晶化ポリペプチド組成物は、25ミクロン未満、例えば、20、15、10、5、4、3、2、1、または0.5ミクロン未満の平均及び/または最大粒径を有するポリペプチドの結晶を含み、例えば、任意選択で、ポリペプチドの結晶は、0.5ミクロン~1、2、3、4、5、10、15、20、または25ミクロンの間の平均及び/または最大粒径を有するか、あるいはポリペプチドの結晶は、1ミクロン~1、2、3、4、5、10、15、20、または25ミクロンの間の平均及び/または最大粒径を有する。様々な実施形態において、本開示の結晶化ポリペプチド組成物の結晶はポリペプチドの微結晶である。
【0096】
本開示の結晶化ポリペプチド組成物は、他の薬剤または薬剤のタイプと比較して高い割合の(例えば、特定のアミノ酸配列によって特徴付けられるポリペプチドの)結晶化ポリペプチドを含む組成物を含む。様々な実施形態において、本開示の結晶化ポリペプチド組成物は、組成物または組成物中に存在するポリペプチドの重量、モル比、または体積に基づいて、少なくとも1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、または100%の(例えば、特定のアミノ酸配列によって特徴付けられるポリペプチドの)結晶化ポリペプチドを含む。様々な実施形態において、結晶化ポリペプチド組成物は、組成物または組成物中に存在するポリペプチドの重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、6%、7%、8%、9%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、または90%の下限から、組成物または組成物中に存在するポリペプチドの重量、モル比、または体積に基づいて、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、99%、または100%の上限の間である(例えば、特定のアミノ酸配列によって特徴付けられるポリペプチドの)結晶化ポリペプチドの量によって特徴付けられ得る。
【0097】
様々な実施形態において、本開示の結晶化ポリペプチド組成物は、非ポリペプチド薬剤を含まない、または実質的に含まず、例えば、結晶化ポリペプチド組成物は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、または30%以下の非ポリペプチド薬剤を含む。様々な実施形態において、本開示の結晶化ポリペプチド組成物は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以下の非ポリペプチド薬剤を含む。様々な実施形態において、結晶化ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの結晶を含み、他のポリペプチド薬剤(任意選択で、1つ以上の特定のポリペプチドの非結晶化形態(複数可)を含む)を含まない、または実質的に含まず、例えば、結晶化ポリペプチド組成物は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、または30%以下の他のポリペプチド薬剤を含む。様々な実施形態において、結晶化ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの結晶を含み、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以下の他のポリペプチド薬剤を含む。様々な実施形態において、結晶化ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの結晶を含み、他の薬剤(任意選択で、1つ以上の特定のポリペプチドの非結晶化形態(複数可)を含む)を含まない、または実質的に含まず、例えば、結晶化ポリペプチド組成物は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、または30%以下の他の薬剤を含む。様々な実施形態において、結晶化ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの結晶を含み、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以下の他の薬剤を含む。
【0098】
様々な実施形態において、本開示の結晶化ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの結晶を含み、この1つ以上の特定のポリペプチドの結晶は、非ポリペプチド薬剤を含まない、または実質的に含まず、例えば、結晶は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、または30%以下の非ポリペプチド薬剤を含む。様々な実施形態において、本開示の結晶化ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの結晶を含み、この結晶は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以下の非ポリペプチド薬剤を含む。様々な実施形態において、本開示の結晶化ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの結晶を含み、この1つ以上の特定のポリペプチドの結晶は、他のポリペプチドを含まない、または実質的に含まず、例えば、この1つ以上の特定のポリペプチドの結晶は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、または30%以下の他のポリペプチドを含む。様々な実施形態において、本開示の結晶化ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの結晶を含み、この1つ以上の特定のポリペプチドの結晶は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以下の他のポリペプチドを含む。様々な実施形態において、本開示の結晶化ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの結晶を含み、この1つ以上の特定のポリペプチドの結晶は、他の薬剤(任意選択で、1つ以上の特定のポリペプチドの非結晶化形態(複数可)を含む)を含まない、または実質的に含まず、例えば、この1つ以上の特定のポリペプチドの結晶は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、または30%以下の他の薬剤を含む。様々な実施形態において、本開示の結晶化ポリペプチド組成物は、1つ以上の特定のポリペプチドの結晶を含み、この1つ以上の特定のポリペプチドの結晶は、重量、モル比、または体積に基づいて、1%、2%、3%、4%、5%、10%、15%、20%、25%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、または95%以下の他の薬剤を含む。
【0099】
ポリペプチド結晶は、ポリペプチド試料から調製することができる。ポリペプチド結晶は、他の薬剤及び/または混入物から実質的に純粋であるポリペプチド試料から調製することができる。ポリペプチドの結晶は、非晶質材料、例えば、非晶質である凍結乾燥材料または沈殿した非晶質固体から調製することができる。いくつかの実施形態において、ポリペプチド結晶は、非晶質物質及び結晶性物質の混合物、例えば、非晶質物質及び結晶性物質の混合物である凍結乾燥物質、または沈殿した非晶質固体及び結晶性固体の混合物から調製することができる。様々な実施形態において、ポリペプチド結晶は、0.1~200mg/mlの間のポリペプチド濃度を有するポリペプチド試料、例えば、0.1、1、5、10、15、20、25、50、75、または100mg/mlの下限から15、20、25、50、75、100、125、150、175、または200mg/mlの上限の間のポリペプチド濃度を有するポリペプチド試料から調製することができる。
【0100】
ポリペプチド結晶化の手段としては、限定されるものではないが、蒸発、緩慢拡散(例えば、周囲温度または低温での蒸気拡散)、緩慢冷却、スラリー化、ハンギングドロップ、シッティングドロップ、シード結晶発生、及び/または当技術分野で知られている他の結晶化方法が挙げられる。当業者であれば、多くの結晶化方法が当技術分野で十分に理解され知られており、ポリペプチドの結晶化が概して容易であることを理解するであろう。当業者であればさらに、ポリペプチドの結晶化が、特定の結晶サイズが要求されない場合、大きな結晶が要求されない場合、特定の結晶形態が要求されない場合、及び/または完全に規則的な結晶が要求されない場合は特に容易であり、これらのいずれかまたは全てが本開示の様々な実施形態を特徴付け得ることを理解するであろう。
【0101】
結晶性ポリペプチドは、ポリペプチドを好適な溶媒(例えば水)中で混合し、次いでポリペプチドを固相に戻すことによって調製することができる。例えば、ポリペプチドは、水溶液(例えば硫酸アンモニウム)から沈殿させると結晶を形成することができる。ある特定の例示的な実施形態において、ポリペプチド飽和溶液は、溶液中のポリペプチドの濃度を増加させることによって調製される。溶解度が最大になると、ポリペプチドの沈殿が生じ得、沈殿剤が結晶となり得る。沈殿速度が遅いと、少数の比較的大きな結晶が生じるが、沈殿速度が速いと、非常に多数の小さな結晶が生じ、そのため沈殿の速度は概して結晶の生成に決定的なものではない。
【0102】
蒸発(例えば、緩慢蒸発)は、ポリペプチドを結晶化する一般的な手段である。ポリペプチドの沈殿は、ポリペプチドの溶液の溶媒を、溶液が飽和に達するまで蒸発させ(例えば、ゆっくり蒸発させ)、それによりポリペプチドの沈殿を生じさせるによって起こり得る。
【0103】
冷却(例えば、緩慢冷却)は、ポリペプチドを結晶化するもう1つの方法である。ポリペプチドの沈殿は、ポリペプチドの溶液を冷却(例えば、ゆっくり冷却)させ、それにより溶液中のポリペプチドの最大溶解度を低減し、沈殿の発生を誘導することによって起こり得る。
【0104】
蒸気拡散法及びバッチ法も、ポリペプチドの結晶化に一般的に用いられている。蒸気拡散では、沈殿剤及び未沈殿ポリペプチドの混合物を含む液滴を、純粋な沈殿剤が入ったチャンバー内に密閉する。次いで水蒸気が液滴から、液滴及び沈殿物のオスモル濃度が等しくなるまで拡散する。液滴の脱水により、ポリペプチド及び沈殿物が、平衡が達成され得るまでゆっくり濃縮され、結晶化に好都合となる。蒸気拡散は、ハンギングドロップまたはシッティングドロップいずれかの形式で実施することができる。ハンギングドロップ法は、逆さにしたカバースリップにポリペプチド溶液の液滴を載せ、次いでこれをリザーバーの上に吊るす。シッティングドロップ法では、リザーバーから隔てられた台に液滴を載せることができる。これらの方法はいずれも、液滴とリザーバーとの間で平衡が生じるように環境を密閉する必要がある。
【0105】
バッチ法は、ポリペプチドを適切な量の沈殿剤と混合することにより、ポリペプチドを核生成ゾーンに直接持っていくことに依存する。本明細書で提供する様々な実施例は、バッチ結晶化を含む。バッチ結晶化は、バッチ実行の終了時に一度のみバッチ系用の結晶生成物を引き出す点において、連続結晶化と異なる。バッチ結晶化はセミバッチ系も含み得、セミバッチ系では、バッチの全部または一部を通じて、1つ以上のフィード溶液を一定または可変の速度で結晶器に加える。様々な実施形態において、バッチ結晶化は、例えば、1マイクロリットル(例えば、エッペンドルフチューブ内の)から1リットルまたはそれ以上(例えば、数千リットル)まで体積が変動し得る。様々な実施形態において、蒸気拡散法は伴わない。様々な実施形態において、蒸発は伴わない。様々な実施形態において、バッチ結晶化は、沈殿試薬を(例えば、バッチサイズに応じて、必要な場合は撹拌しながら)ゆっくり加えることを含む。
【0106】
典型的には、再現性及び製品品質を改善するために、バッチプロセスの初期に結晶化材料のシードを加えることができる。所望の量の固体が形成されると、典型的にはスラリーは固体-液体分離ユニットに移される。
【0107】
また、透析もポリペプチドの結晶化に一般的に用いられる別の方法である。この技法は、巨大分子が結晶化する濃度に徐々に近づける手段として、半透性膜を通じた沈殿分子の拡散と平衡化を利用する。大量のポリペプチドが利用可能な場合は、透析チューブを使用することができる。
【0108】
微量透析ボタンは、Cambridgeボタンとしても知られ、少量の試料から結晶を生成する好都合な方法をもたらす。ポリペプチド試料をボタン上部の小さなチャンバー内に入れ、試料を適切な分子量カットオフの透析膜で覆う。次いで装置を沈殿剤溶液が入ったリザーバーに浸漬する。沈殿剤分子の平衡は膜を通じて生じ得る。
【0109】
また、自由界面拡散もポリペプチドの結晶化に使用することができる。この技法は、キャピラリー内の濃縮ポリペプチド溶液の上部に沈殿剤溶液を注意深く積層し、その両端をワックスで封止することを含む。キャピラリーの直径が小さいため、系内の自然対流からの混合が最小限に抑えられる。したがって、沈殿剤及びポリペプチドがゆっくり相互拡散し、系は対拡散と呼ばれる現象によって平衡に達する。溶液が最初に接触し拡散混合が生じると、界面の近傍にあるポリペプチド溶液の領域は過飽和となり、核形成のための理想的条件が作出される。時間が進むに伴い、2つの溶液はキャピラリーの軸に沿って相互拡散し、互いに希釈され、このようにしてより小さな核の溶解及びより大きな核の成長が促進される。自由液体拡散により、一過性の核生成条件を達成することにより、ほとんどの場合において高品質の結晶を得ることができる。したがって、自由界面拡散は、結晶成長前面における過飽和度及び不純物レベルを最小化し、両方の値の安定性を確実にするための合理的な結晶化アプローチとみなすことができる。自由界面拡散法の1つの変形形態は、液体ブリッジ法と称され、この方法では、ポリペプチド試料の液滴及び沈殿剤溶液の液滴をカバーガラス上に極めて近接して設置し、薄い液体ブリッジにより接続する。2つの液滴間の液体拡散は、空気から密閉され、結晶成長を誘導し得る。
【0110】
場合によっては、結晶化核生成は、核生成剤、核生成促進物質(nucleant)、またはシードなどの材料を使用することによって誘導することができる。核生成は、核生成剤、核生成促進物質、またはシードの表面で生じ得、これにより、巨大分子の局所濃度の上昇を誘導し、核生成のエネルギー障壁を低下させ、自発的核生成の動態学的障壁を回避する。このような状況下では過飽和が必要とされ得る。
【0111】
医薬品共結晶は、医薬的活性成分及び1つ以上の共結晶形成剤(「共形成剤」)から構成された結晶性物質であり、そのため、活性成分及び共形成剤は同じ結晶格子内に一緒に存在する。共結晶は、塩とは異なり、定義された化学量論で共結晶格子内に共存する構成要素が非イオン的に相互作用するため、塩とは区別される。さらに、共結晶は多形体とも異なる。多形体は、1)結晶格子内で異なる分子の配置または立体構造を有する単一構成要素の結晶形態、2)非晶質、ならびに3)溶媒和形態及び水和形態などの多成分相を含むものとして定義されている。共結晶は、少なくともいずれも格子中に複数の構成要素を含むという点で溶媒和物に類似する。いくつかの実施形態において、本開示の非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物は、共結晶化ポリペプチドを含まない。いくつかの実施形態において、本開示の非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物は共結晶化ポリペプチドを含む。
【0112】
当業者であれば、結晶化の効率及び/または純度を増減するように多くの結晶化条件を調整することができることを理解するであろう。例えば、調整することができる結晶化条件としては、可溶化系(水性系及び/または有機溶媒系)、pH、対イオン、塩、温度、賦形剤、コフォーマー、及びポリペプチド濃度が挙げられる。これらの因子を調節し、それらの範囲を試験することは、当業者にとっては単純なことである。結晶化の技術分野では、多種多様な条件をサンプリングすることが典型的とみなされている。さらに、当業者であれば理解するであろうように、本開示は、最も効率的な結晶化形態を特定することを必ずしも要求しておらず、結晶を形成できることのみである。
【0113】
本開示の結晶化ポリペプチド組成物は、複数の結晶化ポリペプチドを含み得る。様々な実施形態において、結晶化ポリペプチドは、高濃度、高純度、及び/または高安定性によって特徴付けられ得る。当技術分野で知られている任意の好適な方法を使用して、提供される結晶化ポリペプチド組成物を特性評価することができ、限定されるものではないが、このような方法には、X線粉末回折(XRPD)、示差走査熱量測定(DSC)、熱重量分析(TGA)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフィー質量分析(LCMS)、レーザー回折、ホットステージ顕微鏡、偏光顕微鏡などが含まれる。
【0114】
様々な実施形態において、本開示の非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物は、1つ以上のまたは任意の沈殿試薬を含まない、または実質的に含まず、任意選択で、沈殿試薬は、塩、有機溶媒、またはポリマーのうちの1つ以上を含み、任意選択で、塩は、硫酸アンモニウム、クエン酸塩、及びセチルトリメチルアンモニウム塩から選択される塩を含むことができ、有機溶媒は、2-メチル-2,4-ペンタンジオールまたは2-メチル-2,4-ペンタンジオールから選択される有機溶媒を含むことができ、及び/またはポリマーは、ポリエチレングリコールであるポリマーを含むことができる。
【0115】
様々な実施形態において、本開示の非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物は、1つ以上のまたは任意の沈殿試薬を含まない、または実質的に含まないポリペプチド結晶を含み、任意選択で、沈殿試薬は、塩、有機溶媒、またはポリマーのうちの1つ以上を含み、任意選択で、塩は、硫酸アンモニウム、クエン酸塩、及びセチルトリメチルアンモニウム塩から選択される塩を含むことができ、有機溶媒は、2-メチル-2,4-ペンタンジオールまたは2-メチル-2,4-ペンタンジオールから選択される有機溶媒を含みことができ、及び/またはポリマーは、ポリエチレングリコールであるポリマーを含み得る。
【0116】
別段の指定がある場合を除き、当業者であれば、当技術分野における結晶化に関する言及が、ポリペプチドではない分子の結晶化、例えば、低分子である分子(例えば、低分子治療薬)の結晶化を指すことを理解するであろう。
【0117】
様々な適用において、ペプチド結晶化により、概して均一な含量を有する秩序ある結晶を得ることができる。本開示は、秩序ある結晶を含むポリペプチド組成物を含むものの、本開示の製剤は、特定のまたは一貫したサイズまたは特性を有する結晶を要しないという認識も特に含む。様々な実施形態において、結晶化ポリペプチド組成物は、ポリペプチドの1つ以上の結晶形態(例えば、ポリペプチドの1つ以上の多形体または水和物)を含む。
【0118】
いくつかの実施形態において、ポリペプチド/ペプチドは、ビタミンEで覆われた液滴の形態で水性形態をとることができる。他の実施形態において、水溶液に溶解することができるビタミンEの誘導体が担体として使用され得る。
【0119】
当業者であれば、本明細書で提供される組成物及び方法が、多種多様なポリペプチドの送達に有用であることを、本開示から理解するであろう。例えば、当業者であれば、本明細書で提供する組成物及び方法が、経口投与後、例えばリンパ系を通じて、例えば、有利な薬物動態学的特性により、血流及び/または血漿にポリペプチドを送達するため、少なくとも部分的には有利であることを、本開示から理解するであろう。
【0120】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、例えば、少なくとも約25kDa、50kDa、100kDa、150kDa、200kDa、250kDa、300kDa、400kDa、500kDa、1,000kDa、またはそれ以上であり得る分子量を有する。本開示のポリペプチドは、例えば、約1~約1,000kDa、例えば、約25kDa~約1,000kDa、約25kDa~約500kDa、約100kDa~約500kDa、約125kDa~約250kDa、約125kDa~約175kDa、または約150kDa~約300kDaの範囲の分子量を有し得る。様々な実施形態において、本開示のポリペプチドは、例えば、約1、10、20、30、40、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、または500kDaの下限と、例えば、約100、150、200、250、300、350、400、450、500、750、または1,000kDaの上限とを有する分子量を有し得る。
【0121】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドは、例えば、約50Da~約25kDaであり得る分子量を有し、任意選択で、分子量は、約50Da~約1kDaの間、約50Da~約2kDaの間、約50Da~約3kDaの間、約50Da~約4kDaの間、約50Da~約5kDaの間、約50Da~約10kDaの間、約50Da~約15kDaの間、または約50Da~約20kDaの間である。様々な実施形態において、本開示のポリペプチドは、例えば、約50Da、約100Da、約150Da、約200Da、約250Da、約300Da、約400Da、約500Da、約600Da、約700Da、約800Da、約900Da、約1kDa、約2kDa、約3kDa、約4kDa、または約5kDaの下限と、例えば、約250Da、300Da、400Da、500Da、600Da、700Da、800Da、900Da、1kDa、2kDa、3kDa、4kDa、5kDa、10kDa、15kDa、20kDa、または25kDaの上限とを有する分子量を有し得る。
【0122】
本開示のポリペプチドは、例えば、約1~約1,000個のアミノ酸、例えば、約10~約500個、約10~約250個、約10~約100個、約100~約1,000個、約100~約750個、約100~約500個、約100~約250個、約250~約1,000個、約250~約750個、または約250~約500個のアミノ酸を含み得る。様々な実施形態において、本開示のポリペプチドは、例えば、約1、10、20、30、40、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、または500個のアミノ酸の下限と、例えば、約100、150、200、250、300、350、400、450、500、750、または1,000個のアミノ酸の上限とを有するアミノ酸数を含み得る。
【0123】
様々な実施形態において、本開示のポリペプチドは治療用ポリペプチドであり得、例えば、それを必要とする対象に投与するための、例えば、酵素または抗体であり得る。当業者であれば、多種多様な治療用ポリペプチドの内容及び特性について精通しているであろう。
【0124】
様々な実施形態において、本開示のポリペプチドは、組換えポリペプチド、単離もしくは合成ポリペプチド、細胞骨格タンパク質、細胞外マトリックスタンパク質、血漿タンパク質、凝固因子、急性期タンパク質、ヘムタンパク質、細胞接着タンパク質、膜貫通輸送タンパク質、シンポート/アンチポートタンパク質、ホルモン、成長因子、受容体、膜貫通受容体、細胞内受容体、DNA結合タンパク質、転写調節タンパク質、RNA結合タンパク質、免疫系タンパク質、栄養貯蔵・輸送タンパク質、シャペロンタンパク質、酵素、糖タンパク質、リンタンパク質、膜タンパク質、輸送タンパク質、もしくはリポタンパク質、抗体、組み換え抗体、抗体フラグメント、モノクローナル抗体、修飾酵素、ペグ化ポリペプチド、治療用ポリペプチド、貯蔵ポリペプチド、酵素、成長因子もしくはホルモン、免疫修飾剤、抗感染剤、抗増殖剤、ワクチン、または他の治療薬、予防薬、診断用ポリペプチド、及びこれらの組合せであり得る、またはそれらを含み得る。
【0125】
様々な実施形態において、本開示のポリペプチドは抗体または抗体フラグメントであり得る、またはそれを含み得る。いくつかの実施形態において、抗体はモノクローナル抗体またはそのフラグメントである。いくつかの実施形態において、抗体はポリクローナル抗体またはそのフラグメントである。いくつかの実施形態において、抗体は、天然、合成、または操作されたものである。
【0126】
抗体フラグメントには、Fabフラグメント(パパイン酵素で消化することにより完全な抗体から単離される単一のFab)及びF(ab’)2フラグメント(抗体をペプシン酵素で消化することにより生成される互いに共有結合した2つのFab)が含まれる。Fabフラグメントは単特異性であり、一方F(ab’)2フラグメントは二重特異性である。抗体フラグメントは、二本鎖Fv(dsFv)フラグメント及び一本鎖Fv(scFv)フラグメントを含む(いずれの場合も「v」は「可変(variable)」の略である)。dsFvフラグメントは、Fabフラグメントから定常領域を除いたものからなり、すなわち、互いに共有結合した重鎖及び軽鎖の可変領域のみからなる。scFvフラグメントは単一のポリペプチド鎖であり、ペプチドリンカーを介して軽鎖の可変領域と結合した重鎖の可変領域からなる。古典的には、dsFvフラグメント及びscFvフラグメントはいずれも一価である(したがって単特異性である)。ただし、2つのdsFvフラグメントまたは2つのscFvフラグメントを結合して、二重特異性フラグメントを形成することができる(これは、定常領域なしのF(ab’)2フラグメントに類似すると考えられる)。さらに、異なる抗原結合部位(すなわち、異なる特異性)を有する2つのdsFvフラグメントまたはscFvフラグメントを結合して、二重特異性フラグメントを形成することも可能である。このようなフラグメントは、研究ツールとして、または治療用もしくは診断用試薬として使用することができる。
【0127】
いくつかの実施形態において、抗体は免疫グロブリンである。天然に存在する免疫グロブリンの場合、各四量体は、2つの同一のポリペプチド鎖の対を含み、各対は1つの「軽」鎖(約25kD)及び1つの「重」鎖(約50~70kD)を有する。各鎖のアミノ末端部分は、主に抗原認識を担う約100~110またはそれ以上のアミノ酸の可変(「V」)領域を含む。各鎖のカルボキシ末端部分は、主にエフェクター機能を担う不変領域を定義する。4つの鎖は、古典的な「Y」モデルで配置されている。「Y」の下の「脚」はFc領域と呼ばれ(「c」は「結晶化可能(crystallizable)」または「相補結合(complement-binding)」を表す)、抗体を細胞膜内に固定するために使用され、またマクロファージ細胞と結合して相補性を活性化するためにも使用される。「Y」の上部にある2本の「腕」はFab領域と呼ばれる(「ab」は「抗原結合(antigen-binding)」を表す)。各Fab領域は、不変領域(Fab及びFc領域の接合部)と、可変領域(「Y」またはFc領域の先端まで伸びる)とを含む。各可変領域は、「Y」の各先端に同一の抗原結合部位(「超可変」領域と呼ばれる可変領域内の領域)を含む。「超可変」領域という用語は、相補性決定領域またはCDR(すなわち、Kabat et al.,Sequences of Proteins of Immunological Interest,5th Ed.Public Health Service,National Institutes of Health,Bethesda,Md.(1991)に記載されているように、軽鎖可変ドメイン内の残基24~34(L1)、50~56(L2)、及び89~97(L3)、ならびに重鎖可変ドメインの残基31~35(H1)、50~65(H2)、及び95~102(H3)のアミノ酸残基)を指す。「フレームワーク」またはFR残基は、超可変領域残基以外の残りの可変領域残基である。各Fab領域は1つの抗原結合部位を有し、そのため完全な抗体分子は2つの抗原結合部位を有する(すなわち、「二価」である)。天然に存在する抗体上にある2つの抗原結合部位は互いに同一であるため、抗体は1つの抗原に特異的である(すなわち、「単特異性」である)。
【0128】
免疫グロブリンは、重鎖の不変ドメインのアミノ酸配列に応じて、異なるクラスに割り当てることができる。重鎖はミュー(μ)、デルタ(Δ)、ガンマ(γ)、アルファ(α)、及びイプシロン(ε)に分類され、それぞれIgM、IgD、IgG、IgA、及びIgEとして抗体のアイソタイプを定義する。典型的には、IgG、IgE、及びIgDは単量体として生じるが、IgAは単量体だけでなく二量体または三量体としても生じることがあり、IgMは五量体として生じることがある。上記のうちのいくつかは、サブクラスまたはアイソタイプにさらに分類することができる(例えば、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgA1、及びIgA2)。異なるアイソタイプは異なるエフェクター機能を有し、例えば、IgG1及びIgG3のアイソタイプは抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を有する。ヒト軽鎖は、カッパ(κ)軽鎖及びラムダ(λ)軽鎖として分類される。軽鎖及び重鎖内で、可変領域及び不変領域は約12個以上のアミノ酸の「J」領域によって連結されており、重鎖はさらに、約10個以上のアミノ酸の「D」領域を包含する(概して、Fundamental Immunology,Ch.7(Paul,W.ed.,2nd ed.Raven Press,N.Y.(1989)を参照)。
【0129】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドはキメラ抗体であり得る。天然に存在する抗体は単一の種に由来するが、操作された抗体及び抗体フラグメントは複数の動物種に由来することがあり、すなわちキメラであり得る。マウス(ネズミ)/ヒトのキメラ抗体が作成されているが、他の組合せも可能である。キメラ抗体はさらに、2つのサブタイプ:キメラ抗体及びヒト化抗体に分類される。典型的には、マウス/ヒトキメラ抗体は、およそ75%のヒトアミノ酸配列及びおよそ25%のマウスアミノ酸配列を含む。ヒト配列は抗体の不変領域に相当し、マウス配列は抗体の可変領域(したがって抗原結合部位を含む)に相当する。このようなキメラを使用する理論的根拠は、マウス抗体の抗原特異性を保持し、ただしマウス抗体の免疫原性(マウス抗体はマウス以外の種においてそれに対する免疫応答を引き起こす)を低減し、ヒトの治療にキメラを用いることができるようにするためである。キメラ抗体には、異なるヒト抗体のCDR領域を含む抗体も含まれる。CDR領域は、超可変領域とも呼ばれ、抗原結合部位を形成する抗体分子の可変領域内にある配列である。CDR領域がこのような名称であるのは、結合部位が抗原上で認識されるエピトープに対し形状及び電荷分布が相補的であるためである。代替的に、キメラ抗体は、ある抗体からのフレームワーク領域及び別の抗体からのCDR領域を含む。またキメラ抗体には、少なくとも2つの異なるヒト抗体のCDR領域を含む抗体も含まれる。典型的には、ヒト化抗体はおよそ90%(またはそれ以上)のヒトアミノ酸配列を含む。このシナリオでは、存在する唯一のマウス配列は、超可変領域の配列である(可変領域内に含まれる実際の抗原結合部位である)。ヒト化抗体は、キメラ抗体と比較して最小限のマウス免疫原性を有する。
【0130】
抗体及び抗体フラグメントの例としては、限定されるものではないが、イダルシズマブ(Praxbind(登録商標))、ラキシバクマブ(ABSTRAX(登録商標))、アテゾリズマブ(TECENTRIQ(登録商標)、RG7446(Roche))、オファツムマブ(Arzerra(登録商標))、オビヌツズマブ(GAZYVA(登録商標)、GA101(Roche))、ベズロトクスマブ(ZINPLAVA(商標))、ネシツムマブ(Portrazza(商標))、オビルトキサキシマブ(ANTHIM(登録商標))、オララツマブ(Lartruvo(商標))、リツキシマブ(RITUXAN(登録商標)、ABP 798(Amgen)、MabThera(登録商標)、GP2013(Novartis))、トシツモマブ(Bexxar(登録商標))、トラスツズマブ(HERCEPTIN(登録商標)、ABP 980(Amgen)、HERTRAZ(商標)、CANMAB(商標))、ペルツズマブ(PERJETA(登録商標)、RG1273(Roche))、トシリズマブ(ACTEMRA(登録商標))、ベバシズマブ(AVASTIN(登録商標)、ABP 215(Amgen))、ダラツムマブ(Darzalex(登録商標))、エロツズマブ(EMPLICITI(商標))、シルツキシマブ(SYLVANT(商標))、パニツムマブ(Vectibix(登録商標))、ベドリズマブ(Entyvio(登録商標))、エクリズマブ(Soliris(登録商標))、ナタリズマブ(TYSABRI(登録商標))、セツキシマブ(ERBITUX(登録商標))、イピリムマブ(YERVOY(登録商標))、レスリズマブ(CINQAIR(登録商標))、ペンブロリズマブ(KEYTRUDA(登録商標))、ニボルマブ(OPDIVO(登録商標))、インフリキシマブ(REMICADE(登録商標)、ABP 710(Amgen)、FLIXABI(登録商標))、アブシキシマブ(ReoPro(登録商標))、エボロクマブ(Repatha(登録商標))、セクキヌマブ(Cosentyx(登録商標))、セルトリズマブペゴル(Cimzia(登録商標))、イキセキズマブ(TALTZ(商標))、オマリズマブ(Xolair(登録商標))、カナキヌマブ(Ilaris(登録商標))、アリロクマブ(Praluent(登録商標))、ダクリズマブ(ZINBRYTA(商標)、ZENAPAX(登録商標))、デノスマブ(XGEVA(登録商標))、デノスマブ(Prolia(登録商標))、メポリズマブ(Nucala)、ウステキヌマブ(Stelara(登録商標))、ゴリムマブ(Simponi(登録商標))、アダリムマブ(HUMIRA(登録商標)、ABP501(Amgen)、GP2017(Novartis))、ラムシルマブ(CYRAMZA(登録商標))、ラニビズマブ(LUCENTIS(登録商標)、RG3645(Roche&Novartis))、エファリズマブ(Raptiva(登録商標))、パリビズマブ(Synagis(登録商標))、Ado-トラスツズマブエムタンシン(KADCYLA(商標))、アレムツズマブ(Campath(登録商標))、アレムツズマブ(LEMTRADA(商標))、バシリキシマブ(Simulect(登録商標))、ベリムマブ(Benlysta(登録商標))、ブリナツモマブ(BLINCYTO(登録商標))、ブレンツキシマブベドチン(Adcetris)、カプロマブペンデチド(ProstaScint(登録商標))、ジヌツキシマブ(Unituxin)、エロツズマブ(EMPLICITI(商標))、ゲムツズマブオゾガマイシン(Mylotarg)、イブリツモマブチウキセタン(Zevalin(登録商標))、イトリズマブ(Alzumab(商標))、ムロモナブ(Orthoclone OKT3(登録商標))、ニモツズマブ(Theracim(登録商標))、ノフェツモマブ(Verluma(登録商標))、ならびにこれらのバイオシミラー及び組合せが挙げられる。様々な実施形態において、抗体及び抗体フラグメントの例としては、限定されるものではないが、アブシキシマブ、パリビズマブ、ムルモナブ-CD3、ゲムツズマブ、トラスツズマブ、バシリキシマブ、ダクリズマブ、エタネルセプト、イブリツモマブ、及び/またはチウキセタンが挙げられる。
【0131】
抗体及び抗体フラグメントの例としては、限定されるものではないが、抗サイトカイン抗体、抗CD抗原抗体(例えば、抗CD3、-CD20(リツキシマブ)、抗CD25、抗CD52、抗CD33、及び抗CD11a)、抗TNF-α(例えば、インフリキシマブ)、抗ガラガラヘビ毒液、抗ICAM(例えば、抗ICAM-1及び抗ICAM-3)、抗成長因子抗体(例えば、抗VEGF)、抗成長因子受容体抗体(例えば、抗HER2/neu(トラスツズマブ)及び抗EGFR)、抗免疫グロブリン抗体(例えば、抗IgE)、抗ポリクローナルAb抗体、抗ウイルス抗体(例えば、抗CMV、抗HIV(抗gp120)、抗HBV、抗RSV(抗F糖タンパク質))、抗補体抗体(例えば、抗C5)、抗凝固因子抗体(例えば、抗gpIIb/IIIa及び抗第VII因子)、抗インターロイキン抗体(例えば、抗IL-5、抗IL-4、及び抗IL-8)、主要組織適合性複合体を標的とする抗体(例えば、抗HLA)、抗イディオタイプ抗体、抗インテグリン抗体(例えば、抗β-2-インテグリン)、抗17-IA細胞表面抗原、抗α4β7、抗VLA-4、抗CBL、ならびにこれらの組合せが挙げられる。
【0132】
いくつかの実施形態において、ポリペプチドはバイオシミラー抗体である。概してバイオシミラーは、安全性及び有効性の両面において生理化学的または生物学的に基準に類似する。バイオシミラーは、1つ以上のin vitro試験を用いて基準に対し評価することができる。in vitroでの比較は、薬物動態、薬力学、及び/または安全性の類似性を示すin vivo データと組み合わせることができる。臨床評価としては、薬物動態学的特性の比較(例えば、AUC0-inf、AUC0-t、Cmax、tmax、Cトラフ)、薬力学的エンドポイント、または臨床有効性の類似性(例えば、ランダム化並行群間比較臨床試験を用いて)を挙げることができる。バイオシミラーと基準との間の違いとしては、翻訳後修飾、例えば、1つ以上の生化学的基(例えば、リン酸、様々な脂質、及び炭水化物)の結合体化によるもの、翻訳後のタンパク質分解切断によるもの、アミノ酸の化学的性質の変化によるもの(例えばホルミル化)、または他の多くの機序によるものを挙げることができる。他の翻訳後修飾は、製造プロセス操作の結果であり得る。例えば、糖化は、生成物が還元糖に曝露されることにより生じ得る。他の場合には、保存条件が、酸化、脱アミド化、凝集などのある特定の分解経路を許容することがある。
【0133】
概して、抗体は、その特異的な標的結合特性及び/または標的中和、例えば、疾患状態に関連する標的の結合及び/または中和により、例えば、がん、炎症、心血管疾患、及び移植拒絶反応の治療に使用することができる。例えば、モノクローナル抗体のインフリキシマブは腫瘍壊死因子に結合し、細胞表面受容体との相互作用を遮断することにより、炎症におけるその役割を中和する。リツキシマブは、悪性Bリンパ球の細胞表面CD20抗原に結合することにより、悪性Bリンパ球を標的とする。臨床的に意義のある抗体は、用いられる治療領域に従って分類されることもある。いくつかの実施形態において、治療的使用に用いられる臨床抗体には、がん(例えば、膵臓癌)、炎症性疾患(例えば、自己免疫疾患、関節炎)、心血管疾患(例えば、卒中)、感染性疾患(例えば、HIV/AIDS)、呼吸器疾患(例えば、喘息)、組織移植拒絶反応及び臓器移植拒絶反応を治療するための抗体が含まれ得る。いくつかの実施形態において、臨床抗体が放射免疫療法に用いられる。
【0134】
様々な実施形態において、本開示のポリペプチドは、ポリペプチド置換療法、酵素(例えば、治療用置換酵素)、及び/または融合ポリペプチドであり得る、またはそれらを含み得る。ポリペプチド及び/または酵素の例としては、例えば、抗体(例えば、抗HER2抗体、例えば、トラスツズマブ)、GLP-1受容体アゴニスト、ヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)もしくはそのアナログ(例えば、合成アナログ、例えば、リラグルチド)、副甲状腺ホルモンもしくはそのアナログ(例えば、組換えヒト副甲状腺ホルモンアナログ、例えば、テリパラチド)、インスリンもしくはそのアナログ(例えば、Humulin(登録商標))、リツキシマブ、ベバシズマブ、セツキシマブ、エタネルセプト、インフリキシマブ、またはこれらのアナログもしくは誘導体が挙げられる。酵素、例えば補充酵素療法用の酵素の例としては、アガルシダーゼベータ、アガルシダーゼアルファ、イミグルセラーゼ、アリグルセラーゼ(aliglucerase)アルファ、ベラグルセラーゼアルファ、アルグルセラーゼ、セベリパーゼアルファ、ラロニダーゼ、イズルスルファーゼ、エロスルファーゼアルファ、ガルスルファーゼ、パンクレリパーゼ、サプロプテリン、エリグルスタット、ガルスルファーゼ、アスホターゼアルファ、ペグバリアーゼ、エラペガデマーゼ、及び/またはサクロシダーゼを挙げることができる。置換ポリペプチドの例としては、第I因子、第II因子、第III因子、第IV因子、第V因子、第VI因子、第VII因子、第VIII因子、第IX因子、第X因子、第XI因子、第XII因子、第XIII因子、及び/またはフォンウィルブランド因子が挙げられる。融合ポリペプチドの例としては、例えば、エタネルセプト、アフリベルセプト、リロナセプト、アレフェセプト、ロミプロスチム、アバタセプト/ベラタセプト、及び/またはデニロイキン-ジフチトックスを挙げることができる。本開示は、本明細書で開示するポリペプチドのアナログ及び修飾形態を含み、例えば、1つ以上のペンダント基または修飾、例えば、ペグ化、アセチル化、アミド化、脂質化、メチル化、リン酸化、グリコシル化、糖化、硫酸化、マンノシル化、ニトロシル化、アシル化、パルミトイル化、プレニル化、またはこれらの組合せを含む。様々な特定の実施形態において、本開示のポリペプチドは、ペグ化及び/または脂肪酸から選択される1つ以上のペンダント基または修飾を含む。
【0135】
本開示はさらに、本明細書で開示するポリペプチドの操作及び/またはバイオシミラー形態を含み、これらは例えば、本明細書で開示するポリペプチドに対し、少なくとも80%の配列同一性を有し、例えば、本明細書で開示するポリペプチドに対し、少なくとも80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%、または99%の同一性を有する。
【0136】
本開示はさらに、ポリペプチド(例えば、抗体及び/または抗体フラグメントを含む)が、当技術分野では概して「低分子」または「化合物」とは称されないという認識を含む。したがって、低分子及び化合物は、本明細書で開示するポリペプチド(例えば、抗体及び/または抗体フラグメント)とは非常に異なる物理的及び薬物動態学的特性を有し得ることから、当業者であれば、低分子及び化合物に関する先行技術の開示内容が、本明細書で開示するポリペプチドに関する製剤及び方法に適用可能であるとは理解しないと考えられる。
【0137】
医薬的に許容されるカプセル
本開示の非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物を含むコアは、ポリマーカプセルに封入することができる。本開示のカプセルは、経口投与または経直腸投与に適した医薬的に許容されるカプセルを含む。様々な実施形態において、本開示のカプセルは、腸へのポリペプチドの送達(例えば、特異的送達)に適したカプセルである。様々な実施形態において、本開示のカプセルは、小腸及び/または大腸の一方または両方へのポリペプチドの送達(例えば、特異的送達)に適したカプセルである。
【0138】
本開示のカプセルは、ハードシェルカプセル及びソフトシェルカプセルを含む。様々な実施形態において、カプセルは、ゼラチンカプセルまたはヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)カプセルである。例示的なカプセル材料としては、ポリマー、例えば、ポリグリコール酸(PGA)、ポリ乳酸(PLA)及びそのコポリマー、ポリ(ラクチド-co-グリコリド)(PLGA)、ならびに非イオン性セルロースエーテル、例えば、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)及びヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)を挙げることができる。いくつかの実施形態において、カプセルは植物性カプセルである。
【0139】
ソフトゼラチンカプセルは、ソフトゲルとも呼ばれ、一片のゼラチンから生成することができる。これらは、水をベースとしない溶液(水はゼラチンを溶解するため)のカプセル化に使用することができる。摂取するとカプセルは溶解し、コアを露出させる。
【0140】
硬質ゼラチンカプセルは、本体及びキャップの2つの部分から作られている。ハードゼラチンカプセルは、粉末形態の乾燥成分を含むコアで充填することができる。最初に本体をコア組成物で充填し、次いでカプセルをキャップで閉じる。摂取すると硬質カプセルは溶解し、コアを露出させる。
【0141】
様々な実施形態において、カプセルは腸溶性コーティングを含み得る。典型的には、腸溶性コーティングは、経口製剤のコアが露出される、及び/または経口製剤のコアが送達されるレシピエント本体(例えば、消化器系、例えば、腸、例えば、小腸及び/または大腸)の位置を制御するバリアである。多くの腸溶性コーティングが低pHでは不溶性であるが、腸管内の高pHでは溶解、膨潤、または可溶化する。腸溶性コーティングに使用する典型的な材料としては、CAP(セルロースアセテートフタレート)、CAT(セルロースアセテートトリメリテート)、PVAP(ポリ(ビニルアセテートフタレート))、及びHPMCP(ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート)、ポリ(メタクリル酸-co-メチルメタクリレート)、脂肪酸、ワックス、セラック(例えば、アロイリット酸のエステル)、プラスチック、及び植物繊維を挙げることができる。様々な実施形態において、腸溶性コーティングの溶解pHは、例えば、約4.5~約7の間、例えば、約4.5~約5.5、約4.5~約6.0、5.5~約7.0、約5.0、約6.2、または約7.0であり得る。様々な実施形態において、腸溶性コーティングは、約4.5、5.0、5.5、または6.0の下限と、約5.0、5.5、6.0、6.5、7.0、または7.5の上限とを有する範囲内のpH放出を有する。
【0142】
本開示は、本開示の方法及び組成物に従って本明細書で開示するポリペプチドの、血流、血漿、リンパ系、及び/または胸管に、例えば治療有効量で到達するための送達には、腸溶性コーティングは必要ではないという認識を明示的に含む。
【0143】
様々な実施形態において、非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物を含む本開示の製剤は、生体接着性製剤である、または、例えばカプセルまたは錠剤の中または表面にそれを含む。様々な実施形態において、生体接着性製剤は、粘膜内層などの特定の生物学的位置に接着する(粘膜付着)。生体接着性投与形態は、ポリペプチド薬剤を少用量で長期間にわたって送達する、及び/または生体接着によって腸内に局在化させることにより、ポリペプチド薬剤の経口吸収を改善することができる。様々な生体接着性ポリマーは、大まかには特異性または非特異性であり得る。特異性生体接着性ポリマー(例えば、レクチン及びフィンブリン)が、生体分子内の特定の化学構造に接着する能力を有するのに対し、非特異性生体接着性高分子(ポリアクリル酸[PAA]及びシアノアクリレート)は、細胞表面及び粘膜層の両方に結合する能力を有する。生体接着性ポリマーのさらなる例としては、CMCナトリウム、カーボポール、ポリカルボフィル、トラガカント、アルギン酸ナトリウム、HPMC、カラヤガム、ゼラチン、グアーガム、ペクチン、アラビアゴム、キトサン、及びヒドロキシプロピルセルロースが挙げられる。生体接着性ポリマーの例としては、親水性ポリマー(例えば、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、HPMC、Na CMC、及びカルボマー)、チオール化ポリマー(例えば、キトサン-イミノチオラン、PAA-システイン、PAA-ホモシステイン、キトサン-チオグリコール酸、キトサン-チオエチルアミジン、アルギン酸-システイン、ポリ(メタ)アクリル酸-システイン、カルボキシメチルセルロースナトリウム-システイン)、レクチンベースポリマー(例えば、レンチルレクチン、ピーナッツアグルチニン、及びulex europaeusアグルチニン)、Polyox WSR(例えば、WSR N-10、WSR N-80、WSR N-205、及びWSR N-750)、ならびに他のポリマー(例えば、トマトレクチン、PAA-co-PEG、及びPSA)が挙げられる。本開示はさらに、経直腸送達に適した坐薬を含む。様々な実施形態において、坐薬は、投与すると融解または溶解する。様々な実施形態において、坐薬は、コアを封入するカプセル(例えば、本明細書で開示するカプセル、例えば、硬質ゼラチンカプセルまたは軟質ゼラチンカプセル)を含む。様々な実施形態において、坐薬はカプセルを含まない(すなわち、コアを封入するカプセルを含まない)。坐薬は、ワックス状物質、構造化グリセリン、水素化植物油、ポリエチレングリコールワックス誘導体、またはポロキサマーベース混合物から形成することができる。様々な実施形態において、坐薬は、周囲温度では固体であるが、体温では急速に融解する。乳化剤は、坐薬塊中の結晶化ポリペプチドまたは非晶質ポリペプチドの溶解度を高めるため、及び/または坐薬が融解した後の結晶化ポリペプチドまたは非晶質ポリペプチドの分散を促進するために使用することができる。
【0144】
様々な実施形態において、本開示はさらに、錠剤、速溶性錠剤、液体ゲルカプセル、シロップ、ロゼンジ、エアゾールスプレー、チューインガムなどを含む。
【0145】
製剤
本開示は、医薬的に許容されるカプセルまたは懸濁液内にコアを含む経口または直腸送達用のポリペプチド製剤を含む方法及び組成物を含み、コアまたは懸濁液は、ポリペプチド組成物(例えば、非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物)と、ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体とを含む。
【0146】
様々な実施形態において、本開示の懸濁液は、ビタミンE剤及び/またはビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体中に、非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物の懸濁液を含む。本開示の懸濁液は、非晶質ポリペプチド薬剤または結晶化ポリペプチド薬剤が懸濁媒体(例えば、ビタミンE剤、医薬的に許容される担体、またはこれらの組合せ)中に分布する液体製剤を含む。様々な実施形態において、本開示の懸濁液は、希釈懸濁液(例えば、重量または体積に基づいて10%以下のポリペプチド薬剤を含む懸濁液)または濃縮懸濁液(例えば、重量または体積に基づいて10~50%以上のポリペプチド薬剤を含む懸濁液)であり得る。様々な実施形態において、本開示の懸濁液は、凝集懸濁液または脱凝集懸濁液であり得る。様々な実施形態において、懸濁液は、粗懸濁液(例えば、直径1μm超の粒子の懸濁液)、コロイド懸濁液(例えば、直径1μm未満の粒子の懸濁液)、またはナノ懸濁液(例えば、直径1~100nmの粒子の懸濁液)であり得る。本開示の懸濁液は、例えば経口または経直腸により、投与することができる。
【0147】
様々な実施形態において、コアまたは懸濁液は、約1mg~2,000mgのポリペプチド(例えば、結晶化ポリペプチドまたは非晶質ポリペプチド)を含む。様々な実施形態において、コアまたは懸濁液は、約1mg~1,000mg、1mg~500mg、1mg~400mg、1mg~300mg、1mg~200mg、または1mg~100mgの結晶化ポリペプチドまたは非晶質ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、製剤は、例えば、1、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、150、200、250、300、350、400、450、または500mgの結晶化ポリペプチドまたは非晶質ポリペプチドの下限と、100、150、200、250、300、350、400、450、500、1,000、または2,000mgの上限とを有する量の結晶化ポリペプチドまたは非晶質ポリペプチドを含む。様々な実施形態において、コアまたは懸濁液は、約50μg~2,000mgのポリペプチドを含み、任意選択で、ポリペプチド製剤は、約50μg~1,000mg、50μg~500mg、50μg~400mg、50μg~300mg、50μg~200mg、50μg~100mg、50μg~50mg、50μg~25mg、50μg~20mg、50μg~15mg、50μg~10mg、50μg~5mg、50μg~1mg、50μg~500μg、1mg~1,000mg、1mg~500mg、1mg~400mg、1mg~300mg、1mg~200mg、1mg~100mg、1mg~50mg、1mg~25mgの結晶化ポリペプチドまたは非晶質ポリペプチドを含む。様々な実施形態において、コアまたは懸濁液は、約1μg~2,000mgのポリペプチドを含み、任意選択で、ポリペプチド製剤は、約1μg~1,000mg、1μg~500mg、1μg~400mg、1μg~300mg、1μg~200mg、1μg~100mg、1μg~50mg、1μg~25mg、1μg~20mg、1μg~15mg、1μg~10mg、1μg~5mg、1μg~1mg、1μg~500μg、1μg~250μg、1μg~200μg、1μg~150μg、1μg~100μg、1μg~50μgの結晶化ポリペプチドまたは非晶質ポリペプチドを含む。いくつかの実施形態において、製剤は、例えば、1μg、5μg、10μg、15μg、20μg、25μg 50μg、100μg、200μg、300μg、400μg、500μg、600μg、700μg、800μg、900μg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、10mg、または25mgの結晶化ポリペプチドまたは非晶質ポリペプチドの下限と、500μg、600μg、700μg、800μg、900μg、1mg、2mg、3mg、4mg、5mg、10mg、25mg、50mg、100mg、500mg、1,000mg、または2,000mgの結晶化ポリペプチドまたは非晶質ポリペプチドの上限とを有する量の結晶化ポリペプチドまたは非晶質ポリペプチドを含む。
【0148】
様々な実施形態において、本開示の製剤(例えば、カプセル化または懸濁製剤)及び/またはそのコアは、製剤中の結晶化ポリペプチドまたは非晶質ポリペプチドの量に対するビタミンE剤のモル過剰または重量過剰を含み、任意選択で、この過剰は、少なくとも1.1、1.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、500、または1,000倍の倍数過剰であり、例えば、1~10、1~20、1~30、1~40、1~50、1~100、または1~1,000倍の範囲内の倍数増加である。様々な実施形態において、製剤中の結晶化ポリペプチドまたは非晶質ポリペプチドの量に対するビタミンE剤のモル過剰または重量過剰の倍数は、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、20、30、40、50、75、100、150、200、または250の下限と、30、40、50、75、100、150、200、250、500、または1,000の上限とを有する範囲内の倍数増加である。
【0149】
様々な実施形態において、1つ以上の医薬的に許容される担体が、0.1mM~約1,000mMの間、約0.1mM~約500mMの間、約0.1mM~約200mMの間、または約1mM~約100mMの間の濃度で、本開示の製剤(例えば、カプセル化もしくは懸濁製剤)またはそのコア中に存在する。様々な実施形態において、1つ以上の医薬的に許容される担体が、0.1、1、5、10、20、30、40、50、75、または100mMの下限と、10、20、30、40、50、75、100、150、200、250、または500mMの上限とを有する濃度で、本開示の製剤(例えば、カプセル化製剤または懸濁製剤)またはそのコア中に存在する。
【0150】
本開示のある特定の坐薬製剤は、非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物と、坐薬賦形剤、例えば、親油性基剤(例えば、ココアバター、ココナッツ油、バージンココナッツ油、アーモンド油、麦芽油、任意の食用油、水素化植物油、及び硬質脂肪)または親水性基剤(例えば、グリセリン化ゼラチン及びポリエチレングリコール)とを含み得る。親油性基剤は体液と混和せず、体温で容易に融解して粘膜表面で薬物を放出するのに対し、親水性基剤は、薬物を放出させるために生理的液体中で溶解する必要がある。坐薬製剤には、固体、半固体、及び液体形態が含まれ得る。
【0151】
様々な実施形態において、本開示の坐薬製剤は、ゲルまたは泡沫などの半固体の投与形態を含む。経直腸ゲルは、ポリマーネットワーク内に溶媒を閉じ込めて粘性の軟度を作出する半固体製剤である。ゲルの粘性は、共溶媒(例えば、グリセリン及びプロピレングリコール)ならびに電解質を加えるによって修飾することができる。
【0152】
様々な実施形態において、本開示の坐薬製剤は、液体坐薬、例えば、感熱性ポリマー(例えば、ポロキサマー)、粘膜付着性ポリマー(例えば、カーボポール、アルギン酸ナトリウム、ポリカルボフィル、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びメチルセルロース)、または感熱性ポリマーと粘膜付着性ポリマーとの組合せを含む液体坐薬を含む。坐薬はさらに、例えば、セルロースエーテルポリマー(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、及びメチルセルロース)を含み得る。
【0153】
様々な実施形態において、本開示の坐薬製剤は泡沫、例えば、発泡剤を含む親水性液体連続相及び全体に分散した気体分散相を有するコロイド状投与形態を含む。経直腸投与後、ある特定のこのような製剤は、粘膜表面上で泡沫状態から液体または半固体状態に移行する。発泡剤は、泡の生成及び安定化に重要である両親媒性物質を含む。
【0154】
上記に加えて、本開示の医薬組成物は、当技術分野で知られている任意の形態をとり得る。このような形態としては、例えば、液体、半固体、及び固体の投与形態、例えば、溶液(例えば、注射用液及び注入用液)、分散液または懸濁液、錠剤、丸剤、粉末、リポソーム、ならびに坐薬が挙げられる。本開示の医薬組成物は、経腸または局所投与、例えば頬側投与することができる。本開示の医薬組成物は、注射用液または注入用液の形態をとり得る。本開示の医薬組成物は、非経口様式(例えば、静脈内、皮下、腹腔内、または筋肉内注射)による投与のために製剤化することができる。本明細書で使用する場合、非経口投与とは、経経腸及び局所投与以外の投与様式、例えば、注射による投与様式を指し、限定されるものではないが、これには静脈内、鼻腔内、経鼻、眼内、経肺、肺内、肺内外、筋肉内、動脈内、髄腔内、嚢内、眼窩内、心臓内、腹腔内、経気管、皮下、経皮、表皮下、関節内、被膜下、くも膜下、脊髄内、硬膜外、脳内、頭蓋内、頸動脈内、及び胸骨内の注射及び注入が含まれる。医薬組成物は、滅菌溶液または懸濁液を含む注射用製剤の形態で非経口投与することができる。例えば、ポリペプチド組成物を1つ以上の医薬的に許容される担体と好適に組み合わせることにより、医薬組成物を製剤化することができる。投与は、全身的であっても局所的であってもよい。
【0155】
いくつかの実施形態において、組成物は、肺内投与(例えば、吸入器またはネブライザーを介した投与)用に製剤化することができる。このような組成物を製剤化するための方法は、当技術分野で周知されている。肺投与は、経口及び/または経鼻であり得る。肺送達用の医薬デバイスの例としては、定量吸入器、乾燥粉末吸入器(DPI)、及びネブライザーが挙げられる。
【0156】
いくつかの実施形態において、組成物は、例えば、医薬的に許容される溶液、懸濁液、または軟膏の形態(例えば、点眼薬)で、眼への送達用に製剤化することができる。眼の治療に使用する製剤は、例えば、限定されるものではないが、防腐剤、緩衝剤、張度調節剤、抗酸化剤及び安定化剤、非イオン性湿潤剤または清澄化剤、ならびに粘度増加剤などの追加成分を含む、滅菌水溶液の形態をとり得る。本明細書に記載の製剤は、治療を必要とする対象の眼に、従来の方法、例えば、液滴の形態で、または治療用溶液に眼を浸すことにより、局所投与することができる。
【0157】
対象の年齢及び状態に基づいて、好適な投与手段を選択することができる。医薬製剤に含まれる有効成分の量は、指定された範囲内の好適な用量が提供されるような量である。用量及び投与方法は、患者の体重、年齢、状態、及び他の特徴に応じて異なり、当業者であれば必要に応じて好適に選択することができる。
【0158】
ポリペプチドの送達及び適用
本開示の組成物及び方法は、対象への経口投与用の製剤を含み、経口投与は、対象の胸管、リンパ系、及び/または血流へのポリペプチドの送達をもたらす。いかなる特定の科学理論、本発明者らの知識にも拘束されることは望まないが、本開示は、胸管及び/またはリンパ系を介して血流にポリペプチドを送達するために、経口製剤及び/またはビタミンE剤を含む経口製剤を初めて利用している。
【0159】
長い間、ビタミンEは受動拡散によって吸収されると想定されていたが、最近のデータにより、実際には、このプロセスが以前考えられていたよりもはるかに複雑であることが示されている。いかなる特定の科学理論にも拘束されることは望まないが、典型的な食物摂取後のビタミンE剤消化、消化-吸収プロセスの第一段階は、食事の脂質相へのビタミンEの溶解である。脂肪消化プロセスは、舌リパーゼによって口腔内で開始し、胃内で主細胞によって生成される胃リパーゼが加えられて継続する。胃内でのビタミンEの代謝(すなわち、分解または吸収)は存在しないように思われる。脂肪消化の大部分は、乳化胆汁酸の支援を伴って、膵臓のリパーゼ及びコリパーゼにより十二指腸内で行われる。脂質は、胃及び十二指腸の両方のレベルで乳化されて脂質小滴となる。加えて、液滴のサイズは、その後のビタミンEの吸収効率にいかなる影響も及ぼさないように思われる。十二指腸では、脂肪分解から生じたモノグリセリド及び長鎖脂肪酸は、リン脂質、コレステロール、及び脂溶性ビタミンとともに、胆汁酸塩とミセルを形成する。ビタミンEは、脂質消化産物とともに混合ミセルに取り込まれ、腸細胞による吸収へのステップとなる。混合ミセルは疎水性構成要素を可溶化し、撹拌されていない水層(グリコカリックス)に拡散して腸細胞の刷子縁膜に近づくことができる。刷子縁膜に近づくと、混合ミセルは既存のpH勾配により解離し得る。すると放出された構成成分は、腸細胞に吸収されるための様々な系により(例えば、受動拡散及び/またはスカベンジャー受容体により)捕捉される。ひとたび吸収されると、腸管を横断したビタミンEの運命は十分に説明されていない。疎水性であることから、ビタミンEは、おそらくはオルガネラ膜、細胞質脂質小滴、または結合タンパク質に結合するトラフィックに局在すると考えられる。細胞内局在により、ビタミンEがミクロソーム膜、すなわち、小胞体、ゴルジ、リソソーム及びペルオキシソーム膜に蓄積し得ることが明らかになった。長鎖脂肪酸及びモノグリセリドは再エステル化されてトリグリセリドとなり、続いてポリペプチド、リン脂質、及びコレステロールと結合してカイロミクロンを形成する。ビタミンEのほとんどは、ゴルジ体レベルでその遊離形態でカイロミクロンに取り込まれてからリンパに放出される。この後、カイロミクロンは胸管を通じて腸管リンパ管に入り、最終的には末梢循環に入る。リンパ系は様々な免疫系細胞を循環させ、またある特定の栄養素の主な吸収部位でもある。大きな分子量の消化産物は、リンパ系に吸収されてから静脈系を通じて全身循環に達する。全体的に見て、ビタミンE吸収の機序はまだ部分的な理解にとどまっている。当業者であれば、ビタミンE吸収の大部分が腸の遠位部で生じることを一般的に理解するであろう。
【0160】
いかなる特定の科学理論にも拘束されることは望まないが、本発明者らは、驚くべきことに、ビタミンE剤及びポリペプチドを含むコアまたは懸濁液において経口投与されたポリペプチドが、血流に、例えば、胸管及び/またはリンパ系を介して、効率的に送達されることを発見した。したがって、本開示は、多様なポリペプチドを胸管、リンパ系、及び/または血流に送達するための、本明細書で開示する組成物及び方法を含めた一般的なプラットフォームまたは系を提供する。
【0161】
本開示は、例えば、対象へのポリペプチドの送達、例えば、対象の胸管、リンパ系、及び/または血流への送達のための、組成物及び方法を提供する。様々な実施形態において、本開示の組成物または方法は、有益な薬物動態学的特性により、ポリペプチドを血流に送達する。様々な実施形態において、有益な薬物動態学的特性は、リンパ系を通じた(例えば、胸管を介した)ポリペプチドの分布からもたらされ得る。したがって本開示は、具体的には、リンパ系への(例えば、胸管を介した)ポリペプチドの送達のための方法及び組成物を含む。
【0162】
様々な実施形態において、ポリペプチド製剤のポリペプチドは、複数の試料、系、及び/またはポリペプチド分子において(例えば、ポリペプチド製剤を各対象に投与した後の複数の対象において)、少なくとも15時間の半減期の中央値、平均値、または最頻値を有することを特徴とし、任意選択で、半減期は、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、60時間、またはそれ以上であり、任意選択で、半減期の中央値、平均値、または最頻値は、30、35、40、45、または50時間の下限値及び35、40、45、50、55、60時間、またはそれ以上の上限値を有する範囲にある。様々な実施形態において、本開示のポリペプチド製剤を対象に経口投与した後、ポリペプチド製剤のポリペプチドは少なくとも15時間の半減期を有し、任意選択で、半減期は、少なくとも20、25、30、35、40、45、50、55、または60時間、またはそれ以上であり、任意選択で、半減期は、30、35、40、45、または50時間の下限及び35、40、45、50、55、60時間、またはそれ以上の上限を有する範囲にある。
【0163】
様々な実施形態において、ポリペプチド製剤のポリペプチドは、複数の試料、系、及び/またはポリペプチド分子において(例えば、ポリペプチド製剤を各対象に経口投与した後の複数の対象において)、(例えば、ポリペプチドの標準治療投与経路に従う)ポリペプチドの注射(例えば、皮下投与)によって達成される半減期の中央値、平均値、または最頻値よりも、基準に対し少なくとも10%大きい半減期の中央値、平均値、または最頻値を有することを特徴とし、任意選択で、ポリペプチド製剤のポリペプチドの(例えば、経口投与後の)半減期の中央値、平均値、または最頻値は、(例えば、ポリペプチドの標準治療投与経路に従う)ポリペプチドの注射(例えば、皮下投与)によって達成される半減期の中央値、平均値、または最頻値よりも、基準に対し少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、3倍、または4倍大きい。様々な実施形態において、ポリペプチド製剤を対象に経口投与した後、ポリペプチド製剤のポリペプチドは、(例えば、ポリペプチドの標準治療投与経路に従う)ポリペプチドの注射(例えば、皮下投与)によって達成される半減期よりも、基準に対し少なくとも10%大きい半減期を有し、任意選択で、対象に経口投与した後のポリペプチド製剤のポリペプチドの半減期は、(例えば、ポリペプチドの標準治療投与経路に従う)ポリペプチドの注射(例えば、皮下投与)によって達成される半減期よりも、基準に対し少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、3倍、または4倍大きい。
【0164】
様々な実施形態において、ポリペプチド製剤のポリペプチドは、複数の試料、系、及び/またはポリペプチド分子において(例えば、ポリペプチド製剤を各対象に経口投与した後の複数の対象において)、(例えば、このポリペプチドの標準治療投与経路に従う)ポリペプチドの注射(例えば、皮下投与)によって達成されるTmaxの中央値、平均値、または最頻値よりも、基準に対し少なくとも10%大きいTmaxの中央値、平均値、または最頻値を有することを特徴とし、任意選択で、(例えば、経口投与後の)ポリペプチド製剤のポリペプチドのTmaxの中央値、平均値、または最頻値は、(例えば、ポリペプチドの標準治療投与経路に従う)ポリペプチドの注射(例えば、皮下投与)によって達成されるTmaxの中央値、平均値、または最頻値よりも、基準に対し少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、3倍、または4倍、5倍、10倍、または20倍大きい。様々な実施形態において、ポリペプチド製剤を対象に経口投与した後、ポリペプチド製剤のポリペプチドは、(例えば、このポリペプチドの標準治療投与経路に従う)ポリペプチドの注射(例えば、皮下投与)によって達成されるTmaxよりも、基準に対し少なくとも10%大きいTmaxを有し、任意選択で、対象に経口投与した後のポリペプチド製剤のポリペプチドのTmaxは、(例えば、このポリペプチドの標準治療投与経路に従う)ポリペプチドの注射(例えば、皮下投与)によって達成されるTmaxよりも、基準に対し少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、3倍、または4倍、5倍、10倍、または20倍大きい。
【0165】
様々な実施形態において、ポリペプチド製剤のポリペプチドは、複数の試料、系、及び/またはポリペプチド分子において(例えば、各対象にポリペプチド製剤を経口投与した後の複数の対象において)、(例えば、このポリペプチドの標準治療投与経路に従う)ポリペプチドの注射(例えば、皮下投与)によって達成されるバイオアベイラビリティの中央値、平均値、または最頻値よりも、基準に対し少なくとも1%大きいバイオアベイラビリティを有することを特徴とし、任意選択で、(例えば、経口投与後の)ポリペプチド製剤のポリペプチドのバイオアベイラビリティの中央値、平均値、または最頻値は、(例えば、このポリペプチドの標準治療投与経路に従う)ポリペプチドの注射(例えば、皮下投与)によって達成されるバイオアベイラビリティよりも、基準に対し少なくとも1%、1.5%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、3倍、4倍、または5倍大きい。様々な実施形態において、ポリペプチド製剤を対象に経口投与した後、ポリペプチド製剤のポリペプチドは、(例えば、このポリペプチドの標準治療投与経路に従う)ポリペプチドの注射(例えば、皮下投与)によって達成されるバイオアベイラビリティよりも、基準に対し少なくとも1%大きいバイオアベイラビリティを有し、任意選択で、対象に経口投与した後のポリペプチド製剤のポリペプチドのバイオアベイラビリティは、(例えば、このポリペプチドの標準治療投与経路に従う)ポリペプチドの注射(例えば、皮下投与)によって達成されるバイオアベイラビリティよりも、基準に対し少なくとも1%、1.5%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%、2倍、3倍、4倍、または5倍大きい。様々な実施形態において、ポリペプチド製剤のポリペプチドは、複数の試料、系、及び/またはポリペプチド分子において(例えば、各対象にポリペプチド製剤を経口投与した後の複数の対象において)、少なくとも1%、例えば、少なくとも1%、1.5%、2%、3%、4%、5%、10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、100%であるバイオアベイラビリティの中央値、平均値、または最頻値を有することを特徴とする。
【0166】
様々な実施形態において、ポリペプチド製剤のポリペプチドは、複数の試料、系、及び/またはポリペプチド分子において(例えば、各対象にポリペプチド製剤を経口投与した後の複数の対象において)、(例えば、このポリペプチドの標準治療投与経路に従う)ポリペプチドの注射(例えば、皮下投与)によって達成されるCmaxの中央値、平均値、または最頻値よりも、基準に対し少なくとも10%小さいCmaxの中央値、平均値、または最頻値を有することを特徴とし、任意選択で、(例えば、経口投与後の)ポリペプチド製剤のポリペプチドのCmaxの中央値、平均値、または最頻値は、(例えば、このポリペプチドの標準治療投与経路に従う)ポリペプチドの注射(例えば、皮下投与)によって達成されるCmaxの中央値、平均値、または最頻値よりも、基準に対し少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%小さい。様々な実施形態において、ポリペプチド製剤を対象に経口投与した後、ポリペプチド製剤のポリペプチドは、(例えば、このポリペプチドの標準治療投与経路に従う)ポリペプチドの注射(例えば、皮下投与)によって達成されるCmaxよりも、基準に対し少なくとも10%小さいCmaxを有し、任意選択で、対象に経口投与した後のポリペプチド製剤のポリペプチドのCmaxは、(例えば、このポリペプチドの標準治療投与経路に従う)ポリペプチドの注射(例えば、皮下投与)によって達成されるCmaxよりも、基準に対し少なくとも20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、または90%小さい。
【0167】
様々な実施形態において、本開示の方法は、本開示の組成物の投与を、それを必要とする対象において行うことを含むことができ、組成物は、対象が患う疾患または状態の治療のためのポリペプチドを含む。
【0168】
本明細書ではさらに、哺乳類における疾患または障害を治療する方法であって、ポリペプチドの治療有効量を含む本開示の組成物を哺乳類に投与することを含み、製剤が、医薬的に許容される粘度低減剤、凝集低減剤、または上記のような他の添加剤をさらに含み、治療用製剤が、疾患または障害の治療に有効である、方法が開示される。いくつかの実施形態において、治療用製剤は、基準製剤と比較して改善された安定性を有する。いくつかの実施形態において、賦形剤化合物は本質的に純粋である。
【0169】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物の治療的使用は、がん、例えば、乳癌、胃癌、非ホジキンリンパ腫、尿路上皮癌・固形腫瘍、転移性大腸癌、非扁平上皮非小細胞肺癌、転移性乳癌、ホジキンリンパ腫、胆道癌、急性骨髄性白血病、前立腺癌、多発性骨髄腫、骨の固形腫瘍、神経芽腫、膵臓癌、急性骨髄性白血病、転移性黒色腫、転移性扁平上皮非小細胞癌、退形成性星細胞腫、脳腫瘍、膠芽腫、神経膠腫、頭頸部癌、メルケル細胞癌、上咽頭癌、食道癌、肝細胞癌、難治性神経芽腫、骨肉腫、腹膜癌、卵管癌、中皮腫、転移性黒色腫、腎細胞癌、がんのためのNR-LU-10、ループス、慢性リンパ性白血病、軟部肉腫、卵巣癌、膀胱癌、食道癌、胃上咽頭癌、副腎皮質癌、HER2陽性乳癌、腺癌、多発血管炎性肉芽腫症(GPA)、顕微鏡的多発血管炎、特発性肺線維症、巣状分節性糸球体硬化症、プロラクチノーマ、及びこれらの組合せの治療及び/または検出を含み得る。
【0170】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物の治療的使用は、自己免疫疾患、例えば、関節リウマチ(RA)、変形性関節症、若年性特発性関節炎(JIA)、乾癬性関節炎(PsA)、強直性脊椎炎(AS)、クローン病(CD)、潰瘍性大腸炎(UC)、尋常性乾癬(Ps)、全身性エリテマトーデス、ループス腎炎、家族性寒冷自己炎症症候群(FCAS)、シェーグレン症候群、及びこれらの組合せの治療及び/または検出を含み得る。
【0171】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物の治療的使用は、別の免疫関連疾患、例えば、白血球減少症、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)、血栓性微小血管症(TMA)、炎症性腸疾患、潰瘍性大腸炎及び移植拒絶反応、手術関連の生命を脅かす制御不能な出血、ならびにこれらの組合せの治療及び/または検出を含み得る。
【0172】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物の治療的使用は、感染性疾患、例えば、Clostridium difficile感染症、呼吸器合胞体ウイルス(RSV)疾患、炭疽、流感ウイルス感染症、インフルエンザウイルス感染症、B型肝炎ウイルス感染症、狂犬病ウイルス感染症、侵襲性カンジダ感染症、細菌性敗血症性ショック、HIV感染症、院内肺炎、Staphylococcal感染症、下痢及びHUS(溶血性尿毒症症候群)を引き起こすSTEC(志賀様毒素産生Escherichia coliまたはE.coli血清型O121)感染症、サイトメガロウイルス、ボツリヌス症、エボラウイルス、ならびにこれらの組合せの治療及び/または検出を含み得る。
【0173】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物の治療的使用は、心血管疾患、例えば、心虚血性合併症、経皮的冠動脈インターベンション、急性心筋梗塞、肺塞栓症、深部静脈血栓症、動脈血栓症または塞栓症、動静脈カニューレの閉塞、慢性免疫(特発性)血小板減少性紫斑病(ITP)を伴う血小板減少症、及びこれらの組合せの治療及び/または検出を含み得る。
【0174】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物の治療的使用は、眼科障害、例えば、加齢黄斑変性(AMD)、黄斑浮腫、網膜静脈閉塞症(RVO)、糖尿病性黄斑浮腫、視神経脊髄炎、及びこれらの組合せの治療及び/または検出を含み得る。
【0175】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物の治療的使用は、呼吸器障害、例えば、喘息、慢性特発性蕁麻疹、急性気管支痙攣または喘息状態、慢性閉塞性肺疾患、及びこれらの組合せの治療及び/または検出を含み得る。
【0176】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物の治療的使用は、代謝障害、例えば、高脂血症、1型及び2型糖尿病、高コレステロール血症、脂質異常症、ならびにこれらの組合せの治療及び/または検出を含み得る。
【0177】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物の治療的使用は、血友病A及びB、プラダー・ウィリー症候群、ターナー症候群、クリオピリン関連周期性症候群(CAPS)、マックル・ウェルズ症候群(MWS)、X連鎖性低リン血症、鎌状赤血球疼痛発作、及びこれらの組合せのような遺伝子障害の治療及び/または検出を含み得る。
【0178】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物の治療的使用は、骨粗鬆症、再生不良性貧血、及びこれらの組合せのような骨関連疾患の治療及び/または検出を含み得る。
【0179】
いくつかの実施形態において、本開示の組成物の治療的使用は、毒液の除去、アルツハイマー病、背部痛(坐骨神経痛)、偏頭痛、アトピー性皮膚炎、デュシェンヌ型筋ジストロフィー、肝線維症、嚢胞性線維症、Pseudomonas aeruginosa感染症、人工呼吸器関連肺炎、及びこれらの組合せを含む他の障害の治療及び/または検出を含み得る。
【0180】
様々な実施形態において、本開示は、本開示の製剤を生成する方法であって、例えば、(1)非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物と、ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体とを含むコアを調製するステップ、及び(2)医薬的に許容されるカプセルにコアを封入するステップを含む、方法を提供する。様々な実施形態において、本開示は、本開示の製剤を生成する方法であって、例えば、(1)ポリペプチドを結晶化して、非晶質ポリペプチド組成物または結晶化ポリペプチド組成物を生成するステップ、(2)結晶化ポリペプチドまたは非晶質ポリペプチド組成物と、ビタミンE剤を含む医薬的に許容される担体とを含むコアを調製するステップ、及び(3)医薬的に許容されるカプセルにコアを封入するステップを含む、方法を提供する。
【実施例】
【0181】
以下の実施例は、ポリペプチド及びビタミンE剤を含むポリペプチドを経口投与するための方法及び組成物を実証するものである。以下の実施例は、本開示の経口製剤の利点(注射による投与用の同じポリペプチドの基準液体製剤と比較しての半減期及びバイオアベイラビリティの改善を含む)をさらに実証するものである。
【0182】
本実施例は、結晶化ポリペプチドまたは非晶質ポリペプチドであるポリペプチドとビタミンE剤とを含む経口製剤の製剤化及び試験を提供する。本実施例は、バッチ結晶化を利用して結晶化ポリペプチド組成物を生成する。当業者であれば本開示から理解するであろうように、結晶の特定の生成方法、サイズ、サイズ分布、形状、及び形状分布は、本明細書で提供する方法及び組成物に従ってポリペプチドを首尾よく製剤化するために不可欠な特徴ではない。本実施例は、非晶質ポリペプチドまたは結晶化ポリペプチドを含む本開示の経口製剤を有利に生成することができることを明示的に実証するものである。
【0183】
実施例1:トラスツズマブの結晶化
本実施例は、本明細書で開示する経口製剤に使用するための結晶化トラスツズマブの形成を示す。トラスツズマブは、Herclon(登録商標)(Roche)として市販されているヒト化モノクローナル抗体である。トラスツズマブは、ヒトフレームワーク領域と、HER2と結合するマウス抗体(4D5)の相補性決定領域とを含むIgG1カッパ抗体である。トラスツズマブは、上皮成長因子受容体2(HER2)タンパク質の細胞外ドメインを過剰発現する乳癌の治療に広く使用されている。本実施例は、トラスツズマブが、経口製剤が有利と考えられるポリペプチドの例示であるという認識を含む。
【0184】
トラスツズマブを無菌凍結乾燥粉末としてその元の440mgバイアルに保存し、続いて5mlの無菌水に溶解した。溶解したトラスツズマブ溶液には、88mg/mlのトラスツズマブ、39.6mgのL-ヒスチジンHCl、25.6mgのL-ヒスチジン、1600mgのα,α-トレハロース二水和物、及び7.2mgのポリソルベート20(USP)が含まれた。
【0185】
トラスツズマブ微粒子を生成するため、3.96mg/mlのL-ヒスチジン塩酸塩、2.56mg/mlのL-ヒスチジン、160mg/mlのα,α-トレハロース二水和物、及び0.72mg/mlのポリソルベート20(USP)を含む緩衝液に入った500μlアリコートのトラスツズマブ(88mg/ml)を、20%のPEG300、10%のPEG8000、10%のグリセロール、100mMのトリス(pH8.5)を含む1,000μlの試薬と混合し、室温で一晩インキュベートした。溶液中のトラスツズマブの最終濃度は29.33mg/mlであった。次いでボルテックスを用いてこの混合物を混合し、室温で放置した。翌日、トラスツズマブ微粒子を得た(
図1)。この方法により、投入したトラスツズマブの95%が微粒子を形成した。
【0186】
実施例2:リラグルチドの結晶化
本実施例は、本明細書で開示する経口製剤に使用するための結晶化リラグルチドの形成を示す。リラグルチドはVictoza(登録商標)(Novo Nordisk)の商品名で販売されている。リラグルチドは、組換え技術を用いて生成されたヒトグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)の合成アナログであり、GLP-1受容体アゴニストとして作用する。リラグルチドはネイティブヒトGLP-1と97%相同であり、34位のリジンをアルギニンに置換している。リラグルチドは、ペプチド前駆体の26位の残りのリジン残基上にグルタミン酸スペーサーを有するC-16脂肪酸(パルミチン酸)を含む。リラグルチドの治療効果としては、膵臓からのインスリン放出の増加及び過剰なグルカゴン放出の減少が挙げられる。本実施例は、リラグルチドが、経口製剤が有利と考えられるポリペプチドの例示であるという認識を含む。
【0187】
リラグルチドの半減期は治療滴使用において重要な考慮事項である。内在性GLP-1は、ジペプチジルペプチダーゼ-4(DPP4)及び中性エンドペプチダーゼ(NEP)という遍在性の酵素によって分解されるため、1.5~2分という血漿半減期を有する。筋肉注射後の半減期はおよそ30分であるため、この方法で投与しても治療薬としての使用が限定される。GLP-1の代謝活性形態は、内在性GLP-1-(7-36)NH2、及びより希少なGLP-1-(7-37)である。リラグルチドの作用の持続は、GLP-1-(7-37)分子の1つの位置に脂肪酸分子を結合して、自己会合及びアルブミンへの結合の両方を可能にすることによって達成される。すると、活性GLP-1がアルブミンからゆっくりと一定の速度で放出される。
【0188】
本実施例で使用するために、リラグルチドを無色透明またはほぼ無色の溶液のVICTOZAとして得た。VICTOZA溶液の各1mLには、6mgのリラグルチドならびに以下の不活性成分:リン酸二ナトリウム二水和物1.42mg、プロピレングリコール14mg、フェノール5.5mg、及び注射用水が含まれる。事前充填された各ペンには、18mgのリラグルチド(遊離塩基、無水)に相当するVICTOZAの3mL溶液が含まれる。
【0189】
リラグルチド微粒子を生成するため、リラグルチドを水に対し、3回交換しながら24時間透析し、凍結乾燥して乾燥粉末を得た。次いで、リラグルチドの凍結乾燥粉末を80mg/mLの濃度で水に溶解した。次いで、以下に記載する様々な方法を用いてリラグルチドのアリコートを結晶化した。
【0190】
結晶化方法1:水中500μlのリラグルチド(80mg/ml)のアリコートを、1.34Mの硫酸アンモニウム、3.35%(v/v)のPEG400、0.05Mの硫酸マグネシウム、0.1Mのトリス塩基/塩酸pH 8.5を含む1,000μlの試薬と混合し、室温で一晩インキュベートした。溶液中のリラグルチドの最終濃度は26.67mg/mlであった。次いでボルテックスを用いてこの混合物を混合し、室温で放置した。翌日、リラグルチド微粒子を得た (
図2)。この方法により、投入したリラグルチドの75%が微粒子を形成した。
【0191】
結晶化方法2:水中500μlのリラグルチド(80mg/ml)のアリコートを、35%(v/v)のMPD、100mMのトリス塩基/塩酸pH7.0、200mMの塩化ナトリウムを含む1,000μlの試薬と混合し、室温で一晩インキュベートした。溶液中のリラグルチドの最終濃度は26.67mg/mlであった。次いでボルテックスを用いてこの混合物を混合し、室温で放置した。翌日、リラグルチド微粒子を得た (
図3)。この方法により、投入したリラグルチドの85%が微粒子を形成した。
【0192】
結晶化方法3:水中500μlのリラグルチド(80mg/ml)のアリコートを、1,000mMの二塩基性リン酸アンモニウム、100mMのクエン酸ナトリウム/クエン酸pH5.5、200mMの塩化ナトリウムを含む1,000μlの試薬と混合し、室温で一晩インキュベートした。溶液中のリラグルチドの最終濃度は26.67mg/mlであった。次いでボルテックスを用いてこの混合物を混合し、室温で放置した。翌日、リラグルチド微粒子を得た (
図4)。この方法により、投入したリラグルチドの90%が微粒子を形成した。
【0193】
結晶化方法4:水中500μlのリラグルチド(80mg/ml)のアリコートを、25%(w/v)のPEG1500、100mMのSPG緩衝液pH8.5を含む1,000μlの試薬と混合し、室温で一晩インキュベートした。溶液中のリラグルチドの最終濃度は26.67mg/mlであった。次いでボルテックスを用いてこの混合物を混合し、室温で放置した。翌日、リラグルチド微粒子を得た (
図5)。この方法により、投入したリラグルチドの85%が微粒子を形成した。
【0194】
結晶化方法5:水中500μlのリラグルチド(80mg/ml)のアリコートを、40%(v/v)のエチレングリコール、100mMのMES/水酸化ナトリウムpH6.0、200mMの酢酸亜鉛を含む1,000μlの試薬と混合し、室温で一晩インキュベートした。溶液中のリラグルチドの最終濃度は26.67mg/mlであった。次いでボルテックスを用いてこの混合物を混合し、室温で放置した。翌日、リラグルチド微粒子を得た (
図6)。この方法により、投入したリラグルチドの75%が微粒子を形成した。
【0195】
結晶化方法6:水中500μlのリラグルチド(80mg/ml)のアリコートを、3Mの塩化ナトリウム、5%(v/v)のMPD、0.1Mの塩化カルシウム、0.1Mのイミダゾール/塩酸pH6.5を含む1,000μlの試薬と混合し、室温で一晩インキュベートした。溶液中のリラグルチドの最終濃度は26.67mg/mlであった。次いでボルテックスを用いてこの混合物を混合し、室温で放置した。翌日、リラグルチド微粒子を得た (
図7)。この方法により、投入したリラグルチドの80%が微粒子を形成した。
【0196】
結晶化方法7:水中500μlのリラグルチド(80mg/ml)のアリコートを、0.429Mの塩化ナトリウム、9.9%(v/v)のイソプロパノール、0.1Mの塩化カルシウム、0.1Mのイミダゾール/塩酸pH6.5を含む1,000μlの試薬と混合し、室温で一晩インキュベートした。溶液中のリラグルチドの最終濃度は26.67mg/mlであった。次いでボルテックスを用いてこの混合物を混合し、室温で放置した。翌日、リラグルチド微粒子を得た (
図8)。この方法により、投入したリラグルチドの70%が微粒子を形成した。
【0197】
結晶化方法8:水中500μlのリラグルチド(80mg/ml)のアリコートを、5.36%(v/v)のMPD、0.67Mの二塩基性リン酸カリウム/一塩基性リン酸ナトリウムpH8.5を含む1,000μlの試薬と混合し、室温で一晩インキュベートした。溶液中のリラグルチドの最終濃度は26.67mg/mlであった。次いでボルテックスを用いてこの混合物を混合し、室温で放置した。翌日、リラグルチド微粒子を得た (
図9)。この方法により、投入したリラグルチドの85%が微粒子を形成した。
【0198】
実施例3:インスリンの結晶化
本実施例は、本明細書で開示する経口製剤に使用するための結晶化インスリンの形成を示す。Humulin(登録商標)Rは、Escherichia coli細菌の非疾患生成実験室株においてrDNA技術を通じて合成されたヒトインスリンと構造的に同一のポリペプチドホルモンである。Humulin Rは、成人及び小児の1型及び2型糖尿病患者において、血糖制御を改善するために食事及び運動の補助治療として適用される。Humulin Rは、皮下に使用する場合、通常は1日3回以上食前に投与する。本実施例は、インスリンが、経口製剤が有利と考えられるポリペプチドの例示であるという認識を含む。
【0199】
本実施例は、Humulin R(インスリン(ヒト遺伝子組換え))U-100(100単位/mL)を利用する。インスリン微粒子を生成するため、インスリン(Sigma Chemical Company)を0.01N NaOHを用いて以下のように脱塩した。62mgのインスリンを4mLの0.01N HCl(pH2.0)に溶解した。各回に10uLの0.1N NaOHを加えることにより、ポリペプチド溶液のpHをポリペプチドが沈殿するまで増加させた。沈殿したポリペプチドを採取し、5mLの水で2回洗浄し、各回ごとに水を別々に採取した。採取した水に0.1N NaOHを加えて、溶解したポリペプチドを水から採取した。最後に、全ての沈殿物を1mLの0.01N HCLに溶解した。次いで、以下に記載する様々な方法を用いてインスリンのアリコートを結晶化した。
【0200】
結晶化方法1:水中500μlのインスリン(約62mg/ml)のアリコートを、40%(v/v)のPEG300、100mMのカコジル酸ナトリウム/塩酸pH6.5、200mMの酢酸カルシウムを含む1,000μlの試薬と混合し、室温で一晩インキュベートした。溶液中のインスリンの最終濃度は15.5mg/mlであった。次いでボルテックスを用いてこの混合物を混合し、室温で放置した。翌日、インスリン微粒子を得た (
図10)。この方法により、投入したインスリンの90%が微粒子を形成した。
【0201】
結晶化方法2:水中500μlのインスリン(約62mg/ml)のアリコートを、40%(v/v)のPEG600、100mMのカコジル酸ナトリウム/塩酸pH6.5、200mM酢酸カルシウムを含む1,000μlの試薬と混合し、室温で一晩インキュベートした。溶液中のインスリンの最終濃度は15.5mg/mlであった。次いでボルテックスを用いてこの混合物を混合し、室温で放置した。翌日、インスリン微粒子を得た (
図11)。この方法により、投入したインスリンの90%が微粒子を形成した。
【0202】
結晶化方法3:水中500μlのインスリン(約62mg/ml)のアリコートを、40%(v/v)の1,2-プロパンジオール、100mMの酢酸ナトリウム/酢酸pH4.5、50mMの酢酸カルシウムを含む1,000μlの試薬と混合し、室温で一晩インキュベートした。溶液中のインスリンの最終濃度は15.5mg/mlであった。次いでボルテックスを用いてこの混合物を混合し、室温で放置した。翌日、インスリン微粒子を得た (
図12)。この方法により、投入したインスリンの90%が微粒子を形成した。
【0203】
結晶化方法4:水中500μlのインスリン(約62mg/ml)のアリコートを、14.4%(w/v)のPEG8000、80mMのカコジル酸ナトリウム/塩酸pH6.5、160mMの酢酸カルシウム、20%(v/v)のグリセロールを含む1,000μlの試薬と混合し、室温で一晩インキュベートした。溶液中のインスリンの最終濃度は15.5mg/mlであった。次いでボルテックスを用いてこの混合物を混合し、室温で放置した。翌日、インスリン微粒子を得た (
図13)。この方法により、投入したインスリンの90%が微粒子を形成した。
【0204】
結晶化方法5:水中500μlのインスリン(約62mg/ml)のアリコートを、20%(w/v)のPEG3000、100mMのトリス塩基/塩酸pH7.0、200mMの酢酸カルシウムを含む1,000μlの試薬と混合し、室温で一晩インキュベートした。溶液中のインスリンの最終濃度は15.5mg/mlであった。次いでボルテックスを用いてこの混合物を混合し、室温で放置した。翌日、インスリン微粒子を得た (
図14)。この方法により、投入したインスリンの90%が微粒子を形成した。
【0205】
結晶化方法6:水中500μlのインスリン(約62mg/ml)のアリコートを、20%(w/v)のPEG1000、100mMのカコジル酸ナトリウム/塩酸pH6.5、200mMの塩化マグネシウムを含む1,000μlの試薬と混合し、室温で一晩インキュベートした。溶液中のインスリンの最終濃度は15.5mg/mlであった。次いでボルテックスを用いてこの混合物を混合し、室温で放置した。翌日、インスリン微粒子を得た (
図15)。この方法により、投入したインスリンの90%が微粒子を形成した。
【0206】
結晶化方法7:水中500μlのインスリン(約62mg/ml)のアリコートを、10%(v/v)の2-プロパノール、100mMのMES/水酸化ナトリウムpH6.0、200mMの酢酸カルシウムを含む1,000μlの試薬と混合し、室温で一晩インキュベートした。溶液中のインスリンの最終濃度は15.5mg/mlであった。次いでボルテックスを用いてこの混合物を混合し、室温で放置した。翌日、インスリン微粒子を得た (
図16)。この方法により、投入したインスリンの90%が微粒子を形成した。
【0207】
実施例4:ニュージーランドホワイトウサギにおけるビタミンE含有リラグルチド製剤の薬物動態試験
本実施例は、本明細書で開示する経口製剤の例示であるリラグルチドの経口製剤が、例えば、同じポリペプチドの非経口投与と比較して有利な特性を伴って、治療的に有効な薬物動態プロファイルを有することを実証するものである。
【0208】
本実施例には、以下のように調製した結晶化ポリペプチドの経口製剤が含まれる:市販のVictoza(登録商標)(Novo Nordisk)(3mL溶液に6mg/mLのリラグルチド、5.5mgのフェノール、水酸化ナトリウム、塩酸、及び注射用水が含まれる)を、水に対し4℃で24時間、3回交換しながら透析した。次いで、透析したリラグルチドを使用して、実施例2で言及した手順に従って微粒子を調製した。次いで、微粒子リラグルチドを低温のイソプロパノールで洗浄した後に凍結乾燥した。次いで、50μLのビタミンE(Sigma Chemical Company)が入ったサイズ1の透明ゼラチンカプセルに、凍結乾燥リラグルチド(表2で言及した投与量)を移した。次いで、カプセルをさらなる使用まで4℃で保存した。
【0209】
体重1.5kgの雄のニュージーランドホワイトウサギにおいて薬物動態学的分析を5日間行った。実験計画を表2に示す。重炭酸ナトリウムを含む飼料(20gmの通常の飼料+3gmの重炭酸ナトリウム(水を加えることにより調製したペレット/飼料ボール))でウサギを飼育した。動物を、投与の前の-3日目~0日目までは上記の飼料で飼育し、続いて実験期間中のみ通常の飼料で飼育した。異なる時点で採取した血漿試料を、ABBEXAのプロトコルに従ってLRT ELISAキットにより分析した。このキットは、競合的酵素結合免疫吸着アッセイ技術に基づく。抗体の抗リラグルチドを96ウェルプレートにプレコーティングした。標準物質、試験試料、及びビオチン結合体化試薬をウェルに加え、インキュベートした。ビオチン標識LRTとプレコーティング抗体上の非標識LRTとの間で競合的阻害反応が起こる。次いでHRP結合体化試薬を加え、プレート全体をインキュベートした。各段階で、結合していない結合体を洗浄緩衝液で除去した。TMB基質を使用してHRP酵素反応を定量化した。TMB基質を加えた後、十分なLRTが入ったウェルのみが青色の生成物を生成し、これは次に酸性の停止液を加えた後は黄色に変化する。黄色の濃さは、プレート上で結合したLRT量に反比例する。マイクロプレートリーダーで450nmにおけるODを分光測定し、そこからLRTの濃度を算出することができる。
【0210】
特定の酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて、血漿中でリラグルチドを分析した。PK Solutionsソフトウェアを用いた非コンパートメント法を用いて薬物動態エンドポイントを決定した。観察濃度に台形則を用いてAUCを近似した。各リラグルチド用量のCmaxを、全ての有効濃度の最大値として導出し、次いでtmaxをCmaxに対応する時点として決定した。最終消失速度定数(λz)は、濃度-時間曲線の最終部分に対する対数線形回帰によって推定し、次いでt1/2をt1/2=ln2/λzとして算出した。
【0211】
表3及び
図17のデータは、種々の時点におけるリラグルチドの平均血漿濃度を示している。経口投与したリラグルチド製剤は、皮下製剤と比較すると39%のバイオアベイラビリティを示した。
【表2】
【表3】
【0212】
実施例5:ビーグル犬におけるビタミンE含有リラグルチド製剤の薬物動態試験
本実施例は、本明細書で開示する経口製剤の例示であるリラグルチドの経口製剤が、例えば、同じポリペプチドの非経口投与と比較して有利な特性を伴って、治療的に有効な薬物動態プロファイルを有することを実証するものである。
【0213】
本実施例には、以下のように調製した結晶化ポリペプチドの経口製剤が含まれる:市販のVictoza(登録商標)(Novo Nordisk)(3mL溶液に6mg/mLのリラグルチド、5.5mgのフェノール、水酸化ナトリウム、塩酸、及び注射用水が含まれる)を、水に対し4℃で24時間、3回交換しながら透析した。次いで、透析したリラグルチドを実施例2で言及した手順に従って処理して、微粒子を調製した。次いで、微粒子リラグルチドを低温のイソプロパノールで洗浄した後に凍結乾燥した。次いで、50μLのビタミンE(Sigma Chemical Company)が入ったサイズ1の透明ゼラチンカプセルに、凍結乾燥リラグルチド(表4で言及した投与量)を移した。次いで、カプセルをさらなる使用まで4℃で保存した。
【0214】
体重15kgのビーグル犬を用いて薬物動態分析を5日間行った。実験計画を表4に示す。異なる時点で採取した血漿試料を、ABBEXAのプロトコルに従ってLRT ELISAキットにより分析した。このキットは、競合的酵素結合免疫吸着アッセイ技術に基づく。抗体の抗リラグルチドを96ウェルプレートにプレコーティングした。標準物質、試験試料、及びビオチン結合体化試薬をウェルに加え、インキュベートした。ビオチン標識LRTとプレコーティング抗体上の非標識LRTとの間で競合的阻害反応が起こる。次いでHRP結合体化試薬を加え、プレート全体をインキュベートした。各段階で、結合していない結合体を洗浄緩衝液で除去した。TMB基質を使用してHRP酵素反応を定量化した。TMB基質を加えた後、十分なLRTが入ったウェルのみが青色の生成物を生成し、これは次に酸性の停止液を加えた後は黄色に変化する。黄色の濃さは、プレート上で結合したLRT量に反比例する。マイクロプレートリーダーで450nmにおけるODを分光測定し、そこからLRTの濃度を算出することができる。
【0215】
表5及び
図18のデータは、種々の時点におけるリラグルチドの平均血漿濃度を示している。経口投与したリラグルチド製剤(カプセル製剤において15mg)は、皮下対照(皮下、1.5mg、1回目の注射から96時間後に2回目の注射)と比較すると19%のバイオアベイラビリティを示した。
【0216】
特定の酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて、血漿中でリラグルチドを分析した。PK Solutionsソフトウェアを用いた非コンパートメント法を用いて薬物動態エンドポイントを決定した。観察濃度に台形則を用いてAUCを近似した。各リラグルチド用量のC
maxを、全ての有効濃度の最大値として導出し、次いでt
maxをC
maxに対応する時点として決定した。最終消失速度定数(λ
z)は、濃度-時間曲線の最終部分に対する対数線形回帰によって推定し、次いでt
1/2をt
1/2=ln2/λ
zとして算出した。
【表4】
【表5】
【0217】
実施例6:ミニブタにおけるビタミンE含有リラグルチド製剤の薬物動態試験
本実施例は、本明細書で開示する経口製剤の例示であるリラグルチドの経口製剤が、例えば、同じポリペプチドの非経口投与と比較して有利な特性を伴って、治療的に有効な薬物動態プロファイルを有することを実証するものである。
【0218】
本実施例には、以下のように調製した結晶化ポリペプチドの経口製剤が含まれる:市販のVictoza(登録商標)(Novo Nordisk)(3mL溶液に6mg/mLのリラグルチド、5.5mgのフェノール、水酸化ナトリウム、塩酸、及び注射用水が含まれる)を、水に対し4℃で24時間、3回交換しながら透析した。次いで、透析したリラグルチドを実施例2で言及した手順に従って処理して、微粒子を調製した。次いで、微粒子リラグルチドを低温のイソプロパノールで洗浄した後に凍結乾燥した。次いで、50μLのビタミンE(Sigma Chemical Company)が入ったサイズ1の透明ゼラチンカプセルに、凍結乾燥リラグルチド(表6で言及した投与量)を移した。次いで、カプセルをさらなる使用まで4℃で保存した。
【0219】
体重12kgのミニブタを用いて薬物動態分析を5日間行った。実験計画を表6に示す。異なる時点で採取した血漿試料を、ABBEXAのプロトコルに従ってLRT ELISAキットにより分析した。このキットは、競合的酵素結合免疫吸着アッセイ技術に基づく。抗体の抗リラグルチドを96ウェルプレートにプレコーティングした。標準物質、試験試料、及びビオチン結合体化試薬をウェルに加え、インキュベートした。ビオチン標識LRTとプレコーティング抗体上の非標識LRTとの間で競合的阻害反応が起こる。次いでHRP結合体化試薬を加え、プレート全体をインキュベートした。各段階で、結合していない結合体を洗浄緩衝液で除去した。TMB基質を使用してHRP酵素反応を定量化した。TMB基質を加えた後、十分なLRTが入ったウェルのみが青色の生成物を生成し、これは次に酸性の停止液を加えた後は黄色に変化する。黄色の濃さは、プレート上で結合したLRT量に反比例する。マイクロプレートリーダーで450nmにおけるODを分光測定し、そこからLRTの濃度を算出することができる。
【0220】
表7及び
図19のデータは、種々の時点におけるリラグルチドの平均血漿濃度を示している。経口投与したリラグルチド製剤(カプセル製剤において1.250mg)は、皮下(0.0625mg)と比較すると38%のバイオアベイラビリティを示した。
【0221】
特定の酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて、血漿中でリラグルチドを分析した。PK Solutionsソフトウェアを用いた非コンパートメント法を用いて薬物動態エンドポイントを決定した。観察濃度に台形則を用いてAUCを近似した。各リラグルチド用量のC
maxを、全ての有効濃度の最大値として導出し、次いでt
maxをC
maxに対応する時点として決定した。最終消失速度定数(λ
z)は、濃度-時間曲線の最終部分に対する対数線形回帰によって推定し、次いでt
1/2をt
1/2=ln2/λ
zとして算出した。
【表6】
【表7】
【0222】
実施例7:ニュージーランドホワイトウサギにおけるビタミンE含有トラスツズマブ製剤の薬物動態試験
本実施例は、本明細書で開示する経口製剤の例示であるトラスツズマブの経口製剤が、例えば、同じポリペプチドの非経口投与と比較して有利な特性を伴って、治療的に有効な薬物動態プロファイルを有することを実証するものである。
【0223】
本実施例に含まれる結晶化ポリペプチドの経口製剤を以下のように調製した。商業的に入手したトラスツズマブ、HERCEPTIN(登録商標)(凍結乾燥粉末は、440mgのトラスツズマブ、9.9mgのL-ヒスチジンHCl、6.4mgのL-ヒスチジン、400mgのα,α,-トレハロース二水和物、及び1.8mgのポリソルベート20(USP)、ならびに再構成の注射用水としての20mLの水を含む)、6mLの注射用水に再構成した。次いで、再構成したトラスツズマブを実施例1で言及した手順に従って処理して、微粒子を調製した。次いで、微粒子トラスツズマブを低温のイソプロパノールで洗浄した。次いで、50μLのビタミンE(Sigma Chemical Company)が入ったサイズ00の透明ゼラチンカプセルに、トラスツズマブ(表8で言及した投与量)を移した。次いで、カプセルをさらなる使用まで4℃で保存した。
【0224】
体重1.5kgの雄のニュージーランドホワイトウサギにおいて薬物動態学的分析を14日間行った。実験計画を表8に示す。重炭酸ナトリウムを含む飼料(20gmの通常の飼料+3gmの重炭酸ナトリウム(水を加えることにより調製したペレット/飼料ボール))でウサギを飼育した。動物を、投与の前の-3日目~0日目までは上記の飼料で飼育し、続いて実験期間中のみ通常の飼料で飼育した。異なる時点で採取した血漿試料をELISAにより分析した。簡潔に説明すると、MAXISORP NUNC免疫プレートをpH9.6の炭酸ナトリウム緩衝液中2μg/mLの抗トラスツズマブコーティング抗体(Abcam)で4℃で一晩コーティングした。コーティングしたプレートを洗浄緩衝液(PBS+0.01% Tween(登録商標)20)で洗浄した。洗浄後、プレートをブロッキング緩衝液(PBS+1%のBSA)により室温で3時間ブロッキングした。分析を行う血漿試料をPBSで希釈し、コーティング抗体とともに1時間インキュベートし、次に洗浄し、ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異性)-ペルオキシダーゼ捕捉抗体(Sigma)を加えた。TMB基質を用いて検出を450nmで行った。
結果
表9及び
図20のデータは、種々の時点におけるトラスツズマブの平均血漿濃度を示している。経口投与したトラスツズマブ製剤は、静注と比較すると26%のバイオアベイラビリティを示した(再構成Herclon(Roche)バイアルには21mg/mLのトラスツズマブ、L-ヒスチジン(histidibe)塩酸塩、L-ヒスチジン、-トレハロース二水和物、ポリソルベート20、及び注射用水が含まれる)。
特定の酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて、血漿中でトラスツズマブを分析した。PK Solutionsソフトウェアを用いた非コンパートメント法を用いて薬物動態エンドポイントを決定した。観察濃度に台形則を用いてAUCを近似した。各トラスツズマブ用量のC
maxを、全ての有効濃度の最大値として導出し、次いでt
maxをC
maxに対応する時点として決定した。最終消失速度定数(λ
z)は、濃度-時間曲線の最終部分に対する対数線形回帰によって推定し、次いでt
1/2をt
1/2=ln2/λ
zとして算出した。
【表8】
【表9】
【0225】
実施例8:ニュージーランドホワイトウサギにおけるビタミンE含有トラスツズマブ製剤の薬物動態試験
本実施例は、本明細書で開示する経口製剤の例示であるトラスツズマブの経口製剤が、例えば、同じポリペプチドの非経口投与と比較して有利な特性を伴って、治療的に有効な薬物動態プロファイルを有することを実証するものである。
【0226】
本実施例に含まれる結晶化ポリペプチドの経口製剤を以下のように調製した。商業的に入手したトラスツズマブ、HERCEPTIN(登録商標)(凍結乾燥粉末は、440mgのトラスツズマブ、9.9mgのL-ヒスチジンHCl、6.4mgのL-ヒスチジン、400mgのα,α,-トレハロース二水和物、及び1.8mgのポリソルベート20(USP)、ならびに再構成の注射用水としての20mLの水を含む)、6mLの注射用水に再構成した。次いで、再構成したトラスツズマブを実施例1で言及した手順に従って処理して、微粒子を調製した。次いで、微粒子トラスツズマブを低温のイソプロパノールで洗浄した後に凍結乾燥した。次いで、50μLのビタミンE(Sigma Chemical Company)が入ったサイズ00の透明ゼラチンカプセルに、凍結乾燥トラスツズマブ(表10で言及した投与量)を移した。次いで、カプセルをさらなる使用まで4℃で保存した。
【0227】
体重1.5kgの雄のニュージーランドホワイトウサギにおいて薬物動態学的分析を5日間行った。実験計画を表10に示す。重炭酸ナトリウムを含む飼料(20gmの通常の飼料+3gmの重炭酸ナトリウム(水を加えることにより調製したペレット/飼料ボール))でウサギを飼育した。動物を、投与の前の-3日目~0日目までは上記の飼料で飼育し、続いて実験期間中のみ通常の飼料で飼育した。異なる時点で採取した血漿試料をELISAにより分析した。簡潔に説明すると、MAXISORP NUNC免疫プレートをpH9.6の炭酸ナトリウム緩衝液中2μg/mLの抗トラスツズマブコーティング抗体(Abcam)で4℃で一晩コーティングした。コーティングしたプレートを洗浄緩衝液(PBS+0.01% Tween(登録商標)20)で洗浄した。洗浄後、プレートをブロッキング緩衝液(PBS+1%のBSA)により室温で3時間ブロッキングした。分析を行う血漿試料をPBSで希釈し、コーティング抗体とともに1時間インキュベートし、次に洗浄し、ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異性)-ペルオキシダーゼ捕捉抗体(Sigma)を加えた。TMB基質を用いて検出を450nmで行った。
【0228】
表11及び
図21のデータは、種々の時点におけるトラスツズマブの平均血漿濃度を示している。経口投与したトラスツズマブ製剤(Herclon(Roche)再構成バイアルには21mg/mLトラスツズマブ、L-ヒスチジン塩酸塩、L-ヒスチジン、トレハロース二水和物、ポリソルベート20、及び注射用水が含まれる)は、静注と比較すると2%のバイオアベイラビリティを示した。特定の酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて、血漿中でトラスツズマブを分析した。PK Solutionsソフトウェアを用いた非コンパートメント法を用いて薬物動態エンドポイントを決定した。観察濃度に台形則を用いてAUCを近似した。各トラスツズマブ用量のC
maxを、全ての有効濃度の最大値として導出し、次いでt
maxをC
maxに対応する時点として決定した。最終消失速度定数(λ
z)は、濃度-時間曲線の最終部分に対する対数線形回帰によって推定し、次いでt
1/2をt
1/2=ln2/λ
zとして算出した。
【表10】
【表11】
【0229】
実施例9:ニュージーランドホワイトウサギにおけるビタミンE含有インスリン製剤の薬物動態試験
本実施例は、本明細書で開示する経口製剤の例示であるインスリンの経口製剤が、例えば、同じポリペプチドの非経口投与と比較して有利な特性を伴って、治療的に有効な薬物動態プロファイルを有することを実証するものである。本実施例はビタミンEのインスリン懸濁製剤について実証し、本開示の製剤の有利な適用に腸溶性製剤が必要とされないことを実証する。
【0230】
本実施例には、以下のように調製した結晶化ポリペプチドの経口製剤が含まれる:商業的に入手した通常のインスリン、Humulin R(インスリンヒト遺伝子組換え)U-100は、ヒトインスリン(rDNA由来)100単位/mL、グリセリン16mg/mL、及びメタクレゾール2.5mg/mL、内在性亜鉛(およそ0.015mg/100単位)、及び注射用水を含む、無菌、透明、水性、及び無色の溶液である。pHは7.0~7.8とする。インスリンを水に対し24時間透析し、凍結乾燥した。凍結乾燥したインスリンを希酸で再構成した。次いで、再構成したインスリンを実施例3で言及した手順に従って処理して、微粒子を調製した。次いで、微粒子インスリンを低温のイソプロパノールで洗浄した後に凍結乾燥した。次いで、凍結乾燥したインスリン(表12で言及した投与量)を500μLのビタミンE(Sigma Chemical Company)に懸濁した。次いで、試料をさらなる使用まで4℃で保存した。
【0231】
体重1.5kgの雄のニュージーランドホワイトウサギにおいて薬物動態学的分析を2日間行った。実験計画を表12に示す。重炭酸ナトリウムを含む飼料(20gmの通常の飼料+3gmの重炭酸ナトリウム(水を加えることにより調製したペレット/飼料ボール))でウサギを飼育した。動物を、投与の前の-3日目~0日目までは上記の飼料で飼育し、続いて実験期間中のみ通常の飼料で飼育した。胃まで達するGチューブを通じてインスリンの経口送達を行った。次いでGチューブを10mLのココナッツオイルでフラッシュして、チューブ壁に付着する試料を除去した。異なる時点で採取した血漿試料をELISAにより分析した。簡潔に説明すると、MAXISORP NUNC免疫プレートをpH9.6の炭酸ナトリウム緩衝液中2μg/mLの抗インスリンコーティング抗体(Crystal Chem)で4℃で一晩コーティングした。コーティングしたプレートを洗浄緩衝液(PBS+0.01% Tween(登録商標)20)で洗浄した。洗浄後、プレートをブロッキング緩衝液(PBS+1%のBSA)により室温で3時間ブロッキングした。分析を行う血漿試料をPBSで希釈し、コーティング抗体とともに1時間インキュベートし、次に洗浄し、ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異性)-ペルオキシダーゼ捕捉抗体(Sigma)を加えた。TMB基質を用いて検出を450nmで行った。
【0232】
表13及び
図22のデータは、種々の時点におけるインスリンの平均血漿濃度を示している。経口投与したインスリン製剤は、静注と比較すると4%のバイオアベイラビリティを示した。特定の酵素結合免疫吸着測定法(ELISA)を用いて、血漿中でインスリンを分析した。PK Solutionsソフトウェアを用いた非コンパートメント法を用いて薬物動態エンドポイントを決定した。観察濃度に台形則を用いてAUCを近似した。各インスリン用量のC
maxを、全ての有効濃度の最大値として導出し、次いでt
maxをC
maxに対応する時点として決定した。最終消失速度定数(λ
z)は、濃度-時間曲線の最終部分に対する対数線形回帰によって推定し、次いでt
1/2をt
1/2=ln2/λ
zとして算出した。
【表12】
【表13】
【0233】
実施例10:ニュージーランドホワイトウサギにおけるトラスツズマブ製剤の薬物動態試験
本実施例は、トラスツズマブの経口製剤をビタミンEで製剤化すると、他の同様の医薬的に許容される担体による製剤と比較して、経口投与に関して独特の特性を有することを実証するものである。本実施例は、ビタミンEのトラスツズマブ懸濁製剤について実証し、本開示の製剤の有利な適用に腸溶性製剤が必要とされないことを実証する。
【0234】
本実施例に含まれる結晶化ポリペプチドの経口製剤を以下のように調製した。商業的に入手したトラスツズマブ、HERCEPTIN(登録商標)(凍結乾燥粉末は、440mgのトラスツズマブ、9.9mgのL-ヒスチジンHCl、6.4mgのL-ヒスチジン、400mgのα,α,-トレハロース二水和物、及び1.8mgのポリソルベート20、USP、ならびに再構成の注射用水としての20mLの水を含む)、6mLの注射用水に再構成した。次いで、再構成したトラスツズマブを上記の実施例に記載のように処理して微粒子を調製した。次いで、微粒子トラスツズマブを低温のイソプロパノールで洗浄した。以下の医薬的に許容される各経口製剤用担体:ビタミンE、ココナッツ油、タラ肝油、及びギーに、微粒子トラスツズマブの試料を21mg/mLで懸濁した。
【0235】
体重1.5kgの雄のニュージーランドホワイトウサギにおいて薬物動態学的分析を14日間行った。実験計画を表14に示す。表14に示すように各経口製剤を経口投与した。表14に示すように、対照の標準治療製剤(微粒子も懸濁液を含まない)も皮下注射により投与した(再構成Herclon(Roche社製)バイアルには、21mg/mLのトラスツズマブ、L-ヒスチジン塩酸塩、L-ヒスチジン、α,α,--トレハロース二水和物、ポリソルベート20及び注射用水が含まれる)。重炭酸ナトリウムを含む飼料(20gmの通常の飼料+3gmの重炭酸ナトリウム(水を加えることにより調製したペレット/飼料ボール))でウサギを飼育した。動物を、投与の前の-3日目~0日目までは上記の飼料で飼育し、続いて実験期間中のみ通常の飼料で飼育した。Gチューブを用いて動物への経口投与を行った。シリンジを用いて懸濁製剤をGチューブに通した。投与後、5mLのココナッツオイルで、次いで5mLの水でチューブを洗浄した。
【0236】
異なる時点で採取した血漿試料をELISAにより分析した。簡潔に説明すると、MAXISORP NUNC免疫プレートをpH9.6の炭酸ナトリウム緩衝液中2μg/mLの抗トラスツズマブコーティング抗体(Abcam)で4℃で一晩コーティングした。コーティングしたプレートを洗浄緩衝液(PBS+0.01% Tween(登録商標)20)で洗浄した。洗浄後、プレートをブロッキング緩衝液(PBS+1%のBSA)により室温で3時間ブロッキングした。分析を行う血漿試料をPBSで希釈し、コーティング抗体とともに1時間インキュベートし、次に洗浄し、ヤギ抗ヒトIgG(Fc特異性)-ペルオキシダーゼ捕捉抗体(Sigma)を加えた。TMB基質を用いて検出を450nmで行った。
【表14】
【0237】
結果
図23のデータは、種々の時点におけるインスリンの平均血漿濃度を示している。ココナッツ油、ギー、またはタラ肝油が、いかなる時点にもゼロを上回る有意な血漿濃度を示さなかったのに対し、市販の「イノベーター」製剤の皮下投与及びビタミンE経口製剤の場合には、ともにかなりの血漿濃度が得られた(例えば、ビタミンE経口製剤では100時間で約50μg/mL、市販の「イノベーター」製剤の皮下投与では100時間で約150μg/mL)。これらのデータは、驚くべきことに、かつ予想外に、本開示のビタミンE経口製剤の投与が、他の様々な類似の製剤とは異なり、治療的及び商業的に有力であることを実証するものである。
【0238】
実施例11:ニュージーランドホワイトウサギにおけるビタミンE含有リラグルチド製剤(非晶質)の薬物動態試験
本実施例は、非晶質リラグルチドを含み本開示の経口製剤の例示であるリラグルチドの経口製剤が、例えば、同じポリペプチドの非経口投与と比較して有利な特性を伴って、治療的に有効な薬物動態プロファイルを有することを実証するものである。
【0239】
本実施例は、以下のように調製した非晶質リラグルチドの経口製剤を含む:市販の凍結乾燥原薬リラグルチド(非晶質形態)を粉末化し、25ミクロンシーブに通して25ミクロン未満の粒径を得た。次いで、100μLのビタミンE(Sigma Chemical Company)及び50μLの麦芽油が入ったサイズ00の腸溶性コーティングカプセルに、凍結乾燥リラグルチド(表15で言及した投与量)を移した。次いで、カプセルをさらなる使用まで4℃で保存した。
【0240】
体重1.5kgの雄のニュージーランドホワイトウサギにおいて薬物動態学的分析を5日間行った。実験計画を表15に示す。ウサギを通常の飼料で飼育した。異なる時点で採取した血漿試料を、ABBEXAのプロトコルに従ってリラグルチド(LRT)ELISAキットにより分析した。このキットは、競合的酵素結合免疫吸着アッセイ技術に基づく。抗体の抗リラグルチドを96ウェルプレートにプレコーティングした。標準物質、試験試料、及びビオチン結合体化試薬をウェルに加え、インキュベートした。ビオチン標識LRTとプレコーティング抗体上の非標識LRTとの間で競合的阻害反応が起こる。次いでHRP結合体化試薬を加え、プレート全体をインキュベートした。各段階で、結合していない結合体を洗浄緩衝液で除去した。TMB基質を使用してHRP酵素反応を定量化した。TMB基質を加えた後、十分なLRTが入ったウェルのみが青色の生成物を生成し、これは次に酸性の停止液を加えた後は黄色に変化する。黄色の濃さは、プレート上で結合したLRT量に反比例する。マイクロプレートリーダーで450nmにおけるODを分光測定し、そこからLRTの濃度を算出することができる。
【表15】
【0241】
本実施例のリラグルチドELISAプロトコルを以下に記載する。以下のような試薬を室温にしてから使用した:(1)検出試薬A、B:検出試薬A、Bをそれぞれアッセイ希釈液A、Bを用いて1:100に希釈した。(2)洗浄緩衝液(30X):希釈:洗浄緩衝液(1X)を作るため、580mlの脱イオン水に20mlの洗浄緩衝液(30X)を加える。これが作業溶液である。(3)標準リラグルチド(1ml):標準バイアルを短時間遠心分離し、1mlの試料希釈液をバイアルに加えて1000pg/mlを得、さらに段階希釈して333.33pg/ml、111.1pg/ml、37.03pg/ml、12.34pg/mlを得た。(4)TMB基質溶液: 試薬を解凍したら、適切に分取し、2回を超えて凍結融解しないようにした。全ての試薬を使用の直前に希釈した。低体積に適用可能な場合は、バイアルを素早くスピンダウンして希釈前にバイアルの底に沈殿物が得られるようにした。ELISAを以下のステップに従って行った:(1)事前に指定した各ウェルに、50μlの標準物質、ブランク、または試料を加えた。(2)直ちに50μlの検出試薬A作業溶液を各ウェルに加え、プレートシーラーで覆った。プレートを静かに撹拌して、十分な混合を確実に行い、37℃で1時間インキュベートした。(3)各ウェルからの液を吸引し、マルチチャネルピペットを用いて、およそ350μlの洗浄緩衝液を加えて3回洗浄した。(4)完全に吸引する前に各洗浄を1~2分行った。(5)最後の洗浄の後、残った任意の洗浄液を吸引し、次いでプレートを清潔な吸水紙にブロットした。(6)全てのウェルに対し、100μlの検出試薬B作業溶液を加え、静かに撹拌して十分な混合を確実に行い、プレートを新たなプレートシーラーで覆い、37℃で30分間インキュベートした。(7)各ウェルからの液を吸引し、マルチチャネルピペットを用いておよそ350μlの洗浄緩衝液を加えることにより3回洗浄した。(8)90μlのTMB基質溶液を各ウェルに加え、プレートを37℃で10~20分間暗所でインキュベートした。(9)インキュベート後、50μlの停止液を各ウェルにTMB基質溶液と同じ順序及びタイミングで加え、プレートを静かに撹拌した。(10)450nmに設定したマイクロプレートリーダーを用いて、直ちに各ウェルの光学密度(OD値)を読み取った。結果を表16~27に示す。
【表16-1】
【表16-2】
【表16-3】
【表16-4】
【表16-5】
【表16-6】
【表17】
【表18】
【表19-1】
【表19-2】
【表20-1】
【表20-2】
【表21】
【表22】
【表23-1】
【表23-2】
【表24-1】
【表24-2】
【表25】
【表26-1】
【表26-2】
【表27-1】
【表27-2】
【0242】
他の実施形態
多数の実施形態について説明したが、発明者らの基本的な開示内容及び実施例が、本明細書に記載の組成物及び方法を利用する、またはそれに包含される他の実施形態を提供し得ることは明らかである。そのため、その範囲は、例として示した特定の実施形態によってではなく、本開示内容及び添付の特許請求の範囲から理解され得るものによって定義されることが理解されよう。
【0243】
本明細書で引用する全ての文献は、参照により本明細書に援用される。
【国際調査報告】