IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ロンザ・ソリューションズ・アー・ゲーの特許一覧

特表2024-515679不斉メチレンビスイミド及びその調製
<>
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】不斉メチレンビスイミド及びその調製
(51)【国際特許分類】
   C07D 207/444 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
C07D207/444
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564136
(86)(22)【出願日】2022-04-06
(85)【翻訳文提出日】2023-12-08
(86)【国際出願番号】 EP2022059096
(87)【国際公開番号】W WO2022223295
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】21169409.6
(32)【優先日】2021-04-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520346882
【氏名又は名称】アークサーダ・アー・ゲー
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】弁理士法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】エリンガー,シュテファン
(72)【発明者】
【氏名】ラ・デルファ,ガエターノ
(72)【発明者】
【氏名】アプゴッツポーン,マグヌス
(72)【発明者】
【氏名】フルニエ,ジャン
(57)【要約】
本発明は、式(I)を有する不斉メチレンビスイミド、それを調製する方法及び樹脂を調製するそれらの使用に関する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(II)の化合物と、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸又は無水1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸との反応(I)によって、式(I)の化合物を調製する方法;
【化1】
【化2】
(式中、
*及び**はそれぞれ、残基(A)の*及び**で示されるそれぞれのC原子への共有結合を示し;
(A)は、式(M)の残基、式(P)の残基、式(Q)の残基、式(O)の残基又は式(T)の残基のいずれかであり
【化3】
残基R2L、R3L、R6L、R2R、R3R及びR6Rは、同一であり又は異なり、H、C1-4アルキル及びClからなる群から互いに独立して選択され;
ただし、以下の3つのペアのうちの少なくとも1つの中で:
4.R2L及びR2R
5.R3L及びR3R
6.R6L及びR6R
は異なる残基であり;
ここで、R2、R3及びR6は、同一であり又は異なり、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル及びClからなる群から互いに独立して選択される。)。
【請求項2】
(i)R2、R3及びR6が、同一であり若しくは異なり、
H、メチル、エチル、イソプロピル及びCl
からなる群から互いに独立して選択され;並びに/又は
(ii)式(II)の化合物を、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸若しくは無水メチルナジック酸と反応させ、(A)が、式(M)、(Q)、(O)若しくは(T)の残基である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)の化合物が、式(IIIa)の化合物、式(IIIb)の化合物、式(IIIc)の化合物、式(IIId)の化合物、式(IIIe)の化合物、式(IIIf)の化合物、式(IIIg)の化合物、式(IIIh)の化合物、式(IIIi)の化合物及び式(IIIj)の化合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【化4】
【請求項4】
式(II)の化合物が、式(IXa)の化合物、式(IXb)の化合物、式(IXc)の化合物、式(IXd)の化合物、式(IXe)の化合物、式(IXf)の化合物、式(IXg)の化合物、式(IXh)の化合物、式(IXi)の化合物及び式(IXj)の化合物からなる群から選択される、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【化5】
【請求項5】
a)無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸若しくは無水1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸のモル量が、式(II)の化合物のモル量の2~4倍であり;
b)反応(I)が触媒(I)の存在下で行われ;任意選択的に
(i)触媒(I)が、p-トルエン硫酸若しくはp-トルエン硫酸一水和物であり;及び/若しくは
(ii)触媒(I)のモル量が、式(II)の化合物のモル量の0.1~1倍であり;
c)反応(I)が溶媒(I)中で行われ;任意選択的に
(i)溶媒(I)が、水と共沸混合物を形成することができる非極性溶媒であり;及び/若しくは
(ii)溶媒(I)のモル量が、式(II)の化合物のモル量の5~50倍であり;
d)反応(I)が、50~200℃の反応温度で行われ;並びに/又は
e)反応(I)の反応時間が1~12時間である、
請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
式(II)の化合物が、式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物とホルムアルデヒドとの反応(II)によって調製される、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法;
【化6】
(式中、
R2L、R3L、R6L、R2R、R3R及びR6Rは、請求項1又は請求項2(i)に定義されたとおりであり;任意選択的に
式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物は、式(Xa)の化合物、式(Xb)の化合物、式(Xc)の化合物、式(Xd)の化合物及び式(Xe)の化合物からなる群から選択される。)。
【化7】
【請求項7】
式(II)の化合物が混合物(I)として得られ、混合物(I)が、式(II)の化合物と、式(Va)の化合物及び式(Vb)の化合物との混合物である、請求項6に記載の方法;
【化8】
(式中、R2L、R3L、R6L、R2R、R3R及びR6Rは、請求項1又は請求項2(i)に定義されたとおりであり;任意選択的に
式(Va)の化合物及び式(Vb)の化合物は、式(VIa)の化合物、式(VIb)の化合物、式(VIc)の化合物、式(VId)の化合物及び式(VIe)の化合物からなる群から選択される。)。
【化9】
【請求項8】
式(II)の化合物が、混合物(I)の形態で反応(I)のために及び反応(I)において使用され、式(I)の化合物が混合物(II)の形態で得られ、混合物(II)が、式(I)の化合物と、式(VIIa)の化合物及び式(VIIb)の化合物との混合物である、請求項1~7のいずれか一項に記載の方法;
【化10】
(式中、*、**、R2L、R3L、R6L、R2R、R3R及びR6Rは、請求項1又は請求項2(i)に定義されたとおりであり;任意選択的に
式(VIIa)の化合物及び式(VIIb)の化合物は、式(VIIIa)の化合物、式(VIIIb)の化合物、式(VIIIc)の化合物、式(VIIId)の化合物及び式(VIIIe)の化合物からなる群から選択される。)。
【化11】
【請求項9】
式(IVa)の化合物の式(IVb)の化合物に対するモル比が4:1~1:4である、請求項6~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
式(IVb)の化合物及び式(IVa)の化合物が、表Aに定義されたものであり、表Aに定義された化合物を含む混合物(II)が得られる、請求項8又は9のいずれか一項に記載の方法。
【表1】
【請求項11】
a)ホルムアルデヒドが、ホルマリン溶液、パラホルムアルデヒド又はトリオキサンの形態であり;
b)ホルムアルデヒドが水溶液の形態で使用され、任意選択的に20~40重量%のホルムアルデヒドを含む水溶液の形態で使用され;
c)ホルムアルデヒドのモル量が、式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物を合わせたモル量の0.5~0.7倍であり;
d)反応(II)が酸性媒体中で行われ;
e)反応(II)が触媒(II)の存在下で行われ;任意選択的に
(i)触媒(II)が硫酸であり;及び/若しくは
(ii)触媒(II)のモル量が、式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物を合わせたモル量の0.8~1倍であり;
f)反応(II)が溶媒(II)中で行われ;任意選択的に
(i)溶媒(II)がイソプロパノールであり;及び/若しくは
(ii)溶媒(II)のモル量が、式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物を合わせたモル量の1~50倍であり;
g)反応(II)が40~200℃の反応温度で行われ;並びに/又は
h)反応(II)の反応時間が1~12時間である、
請求項6~10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
反応(II)において、さらなるアニリンが存在し、任意選択的に、1、2又は3つのさらなるアニリンが存在し、さらに任意選択的に、さらなるアニリンが、式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物とは異なる式(XI)の化合物である、請求項6~11のいずれか一項に記載の方法;
【化12】
(式中、R2、R3及びR6は、同一であり又は異なり、H、C1-4アルキル及びClからなる群から互いに独立して選択される。)。
【請求項13】
式(I)の化合物であって;
【化13】
式(I)の化合物は、請求項1~3のいずれか一項において定義されたものである、式(I)の化合物。
【請求項14】
式(I)の化合物と、式(VIIa)の化合物及び式(VIIb)の化合物との混合物であって、式(I)の化合物が請求項1~3のいずれか一項において定義されたものであり、式(VIIa)の化合物及び式(VIIb)の化合物が請求項8において定義されたものである、混合物。
【請求項15】
樹脂を調製するための式(I)の化合物の使用であって;
【化14】
式(I)の化合物は、請求項1~3のいずれか一項において定義されたものである、使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不斉メチレンビスイミド、例えば、ビスマレイミド及びメチレンビスフタルイミド、それらの調製及び樹脂を調製するためのそれらの使用を開示する。
【背景技術】
【0002】
ハイエンド適用の需要を満たす適用性質を備えた樹脂の需要が高まってきている。
【0003】
JP S61-93159Aでは、樹脂を調製するために使用されるビスマレイミド誘導体の使用が開示されている。
【0004】
EP0544266A1では、対称メチレンビスマレイミドを調製する方法が開示されている。
【0005】
既知のメチレンビスマレイミド樹脂と比較して、類似の又は低い反応性と合わせて、良好な適用性質、例えば、低い粘度及び優れた溶媒溶解性を示す樹脂が必要とされてきた。
【0006】
粘度の低下はプロセス温度の低下を、ひいてはエネルギー消費の低減をもたらし、経済的にも環境的にも有利である。粘度の低下は一般的な溶媒中での溶解性を改善し、及び/又は反応性の低下は容易な加工を可能にする。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開昭61-93159号公報
【特許文献2】欧州特許出願公開第0544266号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
驚くことに、この必要性は本発明の不斉メチレンビスイミドによって満たされた。
【0009】
略語
アルキル 直鎖状又は分岐状アルキル
asym 不斉
eq 当量;別段指定がない限り、当量はモル当量である
Ex 例
sym 対称
【課題を解決するための手段】
【0010】
(発明の要旨)
本発明の主題は、式(I)の化合物を調製する方法であって、
【0011】
【化1】
【0012】
式(II)の化合物と無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸又は無水1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸との反応(I)によるものである方法である;
【0013】
【化2】
(式中、
*及び**はそれぞれ、残基(A)の*及び**で示されるそれぞれのC原子への共有結合を示し;
(A)は、式(M)の残基、式(P)の残基、式(Q)の残基、式(O)の残基又は式(T)の残基のいずれかであり;
【0014】
【化3】
【0015】
残基R2L、R3L、R6L、R2R、R3R及びR6Rは、同一であり又は異なり、H、C1-4アルキル及びClからなる群から互いに独立して選択され;
ただし、以下の3つのペアのうちの少なくとも1つの中で:
1.R2L及びR2R
2.R3L及びR3R
3.R6L及びR6R
は異なる残基である。)。
【発明を実施するための形態】
【0016】
好ましくは、R2、R3及びR6は、同一であり又は異なり、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル及びClからなる群から互いに独立して選択され;
より好ましくは、R2、R3及びR6は、同一であり又は異なり、H、メチル、エチル、イソプロピル及びClからなる群から互いに独立して選択される。
【0017】
さらなる好ましい実施形態において、R2及びR6は、同一であり又は異なり、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル及びClからなる群から互いに独立して選択され、同時にR3は、H、メチル、エチル、n-プロピル及びイソプロピルからなる群から独立して選択され;
より好ましくは、R2及びR6は、同一であり又は異なり、H、メチル、エチル、イソプロピル及びClからなる群から互いに独立して選択され、同時にR3は、H、メチル、エチル及びイソプロピルからなる群から独立して選択される。
【0018】
好ましくは、式(II)の化合物は、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸又は無水メチルナジック酸と反応させ、(A)は、式(M)、(Q)、(O)又は(T)の残基である。最も好ましくは、式(II)の化合物は無水マレイン酸と反応させ、(A)は式(M)の残基である。
【0019】
式(I)の化合物の好ましい実施形態は、式(IIIa;BMIDEAMEA)の化合物、式(IIIb;BMIDIPADEA)の化合物、式(IIIc;BMIDIPAMEA)の化合物、式(IIId;BMIMIPADEA)の化合物、式(IIIe;BMIMIPADIPA)の化合物、式(IIIf;BMIMIPAMEA)の化合物、式(IIIg;BMICDEAMEA)の化合物、式(IIIh;BMICDEAMIPA)の化合物、式(IIIi;BMICDEADIPA)の化合物及び式(IIIj;BMICDEADEA)の化合物からなる群から選択される。
【0020】
【化4】
【0021】
式(I)の化合物のより好ましい実施形態は、式(IIIa;BMIDEAMEA)の化合物、式(IIIb;BMIDIPADEA)の化合物、式(IIIc;BMIDIPAMEA)の化合物、式(IIId;BMIMIPADEA)の化合物、式(IIIe;BMIMIPADIPA)の化合物及び式(IIIf;BMIMIPAMEA)の化合物からなる群から選択される。
【0022】
好ましくは、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸又は無水1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸のモル量は、式(II)の化合物のモル量の2~4倍であり、より好ましくは2~3倍であり、さらにより好ましくは2~2.5倍である。
【0023】
反応(I)は、触媒(I)の存在下で行ってもよく;好ましくは、触媒(I)は、p-トルエン硫酸又はp-トルエン硫酸一水和物である。
【0024】
好ましくは、触媒(I)のモル量は、式(II)の化合物のモル量の0.1~1倍であり、より好ましくは0.2~0.9倍であり、さらにより好ましくは0.3~0.75倍である。
【0025】
反応(I)は溶媒(I)中で行ってもよい。好ましくは、溶媒(I)は、水と共沸混合物を、好ましくは正の共沸混合物を形成することができる非極性溶媒である。溶媒は、一般的に比誘電率が15以下の場合、非極性であると考えられる。正の共沸混合物とは、その構成要素のいずれかの沸点よりも低い沸点を示す溶媒の混合物である。より好ましくは、溶媒(I)は、トルエン、キシレン異性体又は前述のいずれかの混合物である。
【0026】
好ましくは、溶媒(I)のモル量は、式(II)の化合物のモル量の5~50倍であり、より好ましくは10~30倍である。
【0027】
好ましくは、反応(I)は50~200℃の反応温度で行われ、より好ましくは75~175℃の反応温度で行われ、さらにより好ましくは100~175℃の反応温度で行われ、特に120~160℃の反応温度で行われる。
【0028】
好ましくは、反応(I)の反応時間は1~12時間であり、より好ましくは2.5~10時間であり、さらにより好ましくは3~8時間である。
【0029】
反応(I)は、常圧下又は昇圧下で行ってもよい。昇圧は、例えば、反応(I)が溶媒(I)中で行われ、選択された温度が溶媒(I)の沸点を超える場合に適用される。
【0030】
反応(I)の後、式(I)の化合物は、当業者に既知の標準的な方法、例えば、使用された任意の溶媒(I)の除去であって、好ましくは蒸留による除去;塩基の添加によるアルカリ性pHへのpHの調整であって、好ましくは塩基が水酸化ナトリウムであり、より好ましくは水酸化ナトリウム水溶液である調整;有機相からの任意の水性相の分離;有機相の水での洗浄;有機相からの任意の溶媒の除去であって、好ましくは蒸留による除去に従って単離してもよい。
【0031】
好ましくは、式(II)の化合物は、式(IVa;AML)の化合物及び式(IVb;AMR)の化合物とホルムアルデヒドとの反応(II)によって調製される;
【0032】
【化5】
(式中、
R2L、R3L、R6L、R2R、R3R及びR6Rは、それらの全ての実施形態も含めて本明細書に定義されたとおりである。)。
【0033】
1つの実施形態において、反応(II)によって調製される式(II)の化合物は、混合物(I)として得られる。混合物(I)は、式(II)の化合物と式(Va;BISL)の化合物及び式(Vb;BISR)の化合物との混合物である;
【0034】
【化6】
(式中、R2L、R3L、R6L、R2R、R3R及びR6Rは、それらの全ての実施形態も含めて本明細書に定義されたとおりである。)。
【0035】
式(Va;BISL)の化合物及び式(Vb;BISR)の化合物の好ましい実施形態は、式(VIa;BISDEA)の化合物、式(VIb;BISDIPA)の化合物、式(VIc;BISMIPA)の化合物、式(VId;BISMEA)の化合物及び式(VIe;BISCDEA)の化合物からなる群から選択される。
【0036】
【化7】
【0037】
式(Va;BISL)の化合物及び式(Vb;BISR)の化合物のより好ましい実施形態は、式(VIa;BISDEA)の化合物、式(VIb;BISDIPA)の化合物、式(VIc;BISMIPA)の化合物及び式(VId;BISMEA)の化合物からなる群から選択される。
【0038】
反応(II)は、式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物とホルムアルデヒドとの縮合である。
【0039】
式(Va;BISL)の化合物は対称的に置換されており、1当量のホルムアルデヒドと2当量の式(IVa)の化合物との反応(III)によって得られ、反応(III)は反応(II)における副反応として生じる。
【0040】
式(Vb;BISR)の化合物は対称的に置換されており、1当量のホルムアルデヒドと2当量の式(IVb;AMR)の化合物との反応(IV)によって得られ、反応(IV)は反応(II)における副反応として生じる。
【0041】
1つの実施形態において、式(II)の化合物は、混合物(I)の形態で反応(I)のために及び反応(I)において使用される。
【0042】
好ましくは、混合物(I)は、式(II)の化合物を、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%、少なくとも70重量%又は少なくとも80重量%の量で含み、より好ましくは少なくとも40重量%又は少なくとも50重量%の量で含み、最も好ましくは少なくとも40重量%の量で含む。
【0043】
式(II)の化合物が混合物(I)の形態で反応(I)のために使用された場合、式(I)の化合物は、混合物(II)の形態で反応(I)から得られる。混合物(II)は、式(I)の化合物と式(VIIa;BMIL)の化合物及び式(VIIb;BMIR)の化合物との混合物である;
【0044】
【化8】
(式中、*、**、R2L、R3L、R6L、R2R、R3R及びR6Rは、それらの全ての実施形態も含めて本明細書に定義されたとおりである。)。
【0045】
式(VIIa;BMIL)の化合物及び式(VIIb;BMIR)の化合物の好ましい実施形態は、式(VIIIa;BMIDEA)の化合物、式(VIIIb;BMIDIPA)の化合物、式(VIIIc;BMIMIPA)の化合物、式(VIIId;BMIMEA)の化合物及び式(VIIIe;BMICDEA)の化合物からなる群から選択される。
【0046】
【化9】
【0047】
式(VIIa;BMIL)の化合物及び式(VIIb;BMIR)の化合物のより好ましい実施形態は、式(VIIIa;BMIDEA)の化合物、式(VIIIb;BMIDIPA)の化合物、式(VIIIc;BMIMIPA)の化合物及び式(VIIId;BMIMEA)の化合物からなる群から選択される。
【0048】
好ましくは、混合物(II)は、式(I)の化合物を、少なくとも20重量%、少なくとも30重量%、少なくとも40重量%、少なくとも50重量%、少なくとも60重量%又は少なくとも70重量%の量で含み、より好ましくは少なくとも30重量%又は少なくとも40重量%の量で含み、最も好ましくは少なくとも30重量%の量で含む。
【0049】
さらなる実施形態において、式(II)の化合物は、実質的に純粋な形態で反応(I)のために及び反応(I)において使用され、すなわち、30重量%未満、20重量%未満、10重量%未満又は5重量%未満の総量で式(Va;BISL)の化合物及び式(Vb;BISR)の化合物を含む。
【0050】
式(IVa)の化合物の式(IVb)の化合物に対するモル比は広範囲で変更してもよく;好ましくは、式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物のモル量は同等である。したがって、好ましくは式(IVa)の化合物の式(IVb)の化合物に対するモル比は4:1~1:4であり、より好ましくは2:1~1:2であり、さらにより好ましくは1.5:1~1:1.5であり、特に1.3:1~1:1.3である。
【0051】
反応(II)における式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物の選択は、反応(II)からどのような特定の混合物(I)が得られるかを決定し;反応(I)における混合物(I)の選択は、反応(I)からどのような特定の混合物(II)が得られるかを決定する。
【0052】
表1は、反応(II)から得られた混合物(I)及び反応(I)から得られた混合物(II)における、式(IVa;AML)の化合物及び式(IVb;AMR)の化合物並びに得られた化合物の好ましい組合せを示す。
【0053】
【表1】
【0054】
表1による式(IVa;AML)の化合物及び式(IVb;AMR)の化合物のより好ましい組合せは、CDEA(Xe)を含まない。
【0055】
ホルムアルデヒドは、ホルマリン溶液、パラホルムアルデヒド又はトリオキサンの形態であっても、ホルムアルデヒドを形成する遊離型又は結合型のホルムアルデヒドの他の周知の形態であってもよい。
【0056】
好ましくは、ホルムアルデヒドは水溶液の形態で使用される。
【0057】
より好ましくは、ホルムアルデヒドは、20~40重量%のホルムアルデヒドを含む水溶液の形態で使用され、より好ましくは30~40重量%のホルムアルデヒドを含む水溶液の形態で使用される。
【0058】
好ましくは、ホルムアルデヒドのモル量は、式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物を合わせたモル量の0.5~0.7倍であり、より好ましくは0.5~0.6倍であり、さらにより好ましくは0.5~0.55倍である。
【0059】
好ましくは、反応(II)は酸性媒体中で行われる。
【0060】
好ましくは、反応(II)は触媒(II)の存在下で行われ;好ましくは、触媒(II)は硫酸である。
【0061】
好ましくは、触媒(II)のモル量は、式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物を合わせたモル量の0.8~1倍であり、より好ましくは0.85~1倍であり、さらにより好ましくは0.85~0.95倍である。
【0062】
反応(II)は、溶媒(II)中で行ってもよく;好ましくは、溶媒(II)はイソプロパノールである。
【0063】
好ましくは、溶媒(II)のモル量は、式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物を合わせたモル量の1~50倍であり、より好ましくは1.5~30倍であり、さらにより好ましくは1.5~15倍であり、特に1.5~10倍であり、より具体的には1.5~7.5倍であり、さらにより具体的には1.5~5倍である。
【0064】
好ましくは、反応(II)は、40~200℃の反応温度で行われ、より好ましくは50~175℃で行われ、さらにより好ましくは50~150℃で行われ、特に50~125℃で行われ、より具体的には50~100℃で行われ、さらにより具体的には50~75℃で行われる。
【0065】
好ましくは、反応(II)の反応時間は1~12時間であり、より好ましくは2.5~10時間であり、さらにより好ましくは4~8時間である。
【0066】
反応(II)は、常圧下又は昇圧下で行ってもよい。昇圧は、例えば、反応(II)が溶媒(II)中で行われ、選択された温度が溶媒(II)の沸点を超える場合に適用される。
【0067】
反応(II)の後、式(II)の化合物は、当業者に既知の標準的な方法、例えば、使用された任意の溶媒(I)の除去であって、好ましくは蒸留による除去;塩基の添加によるアルカリ性pHへのpHの調整であって、好ましくは塩基が水酸化ナトリウムであり、より好ましくは水酸化ナトリウム水溶液である調整;有機相からの任意の水性相の分離;有機相の水での洗浄;有機相からの任意の溶媒の除去であって、好ましくは蒸留による除去に従って単離してもよい。
【0068】
式(II)の化合物の好ましい実施形態は、式(IXa;BISDEAMEA)の化合物、式(IXb;BISDIPADEA)の化合物、式(IXc;BISDIPAMEA)の化合物、式(IXd;BISMIPADEA)の化合物、式(IXe;BISMIPADIPA)の化合物、式(IXf;BISMIPAMEA)の化合物、式(IXg;BISCDEAMEA)の化合物、式(IXh;BISCDEAMIPA)の化合物、式(IXi;BISCDEADIPA)の化合物及び式(IXj;BISCDEADEA)の化合物からなる群から選択される。
【0069】
【化10】
【0070】
式(II)の化合物のより好ましい実施形態は、式(IXa;BISDEAMEA)の化合物、式(IXb;BISDIPADEA)の化合物、式(IXc;BISDIPAMEA)の化合物、式(IXd;BISMIPADEA)の化合物、式(IXe;BISMIPADIPA)の化合物及び式(IXf;BISMIPAMEA)の化合物からなる群から選択される。
【0071】
式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物の好ましい実施形態は、式(Xa;MEA)の化合物、式(Xb;DEA)の化合物、式(Xc;DIPA)の化合物、式(Xd;MIPA)の化合物及び式(Xe;CDEA)の化合物からなる群から選択される。
【0072】
【化11】
【0073】
式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物のより好ましい実施形態は、式(Xa;MEA)の化合物、式(Xb;DEA)の化合物、式(Xc;DIPA)の化合物及び式(Xd;MIPA)の化合物からなる群から選択される。
【0074】
反応(II)において、さらなるアニリン、好ましくは1、2又は3つのさらなるアニリン、例えば、式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物とは異なる式(XI;AM)の化合物が存在していてもよい;
【0075】
【化12】
(式中、R2、R3及びR6は、同一であり又は異なり、H、C1-4アルキル及びClからなる群から互いに独立して選択され、好ましくはR2及びR6は、同一であり又は異なり、H、C1-4アルキル及びClからなる群から互いに独立して選択され、R3は、H又はC1-4アルキルからなる群から選択される。)。
【0076】
反応(II)におけるこのようなさらなるアニリンの存在は、不斉メチレン-ビス-アニリンと各対称メチレン-ビス-アニリンとのそれぞれの混合物をもたらし、これらは、反応(II)に存在する全てのアニリンのうちの2つのアニリンの組合せのいずれかから得ることが可能であり;
反応(I)におけるこのような混合物の使用は、不斉メチレン-ビス-マレイミドと対称メチレン-ビス-マレイミドとのそれぞれの混合物をもたらす。
【0077】
表2は、反応(II)において3つのアニリンが使用された実施形態、それによって、反応(II)及びその後の反応(I)から得られた混合物を示す。
【0078】
【表2】
【0079】
さらなる本発明の主題は、式(I)の化合物であって;式(I)の化合物は、その全ての実施形態も含めて本明細書において定義されたものである、式(I)の化合物である。
【0080】
さらなる本発明の主題は、式(I)の化合物と式(VIIa;BMIL)の化合物及び式(VIIb;BMIR)の化合物との混合物であって;式(I)の化合物、式(VIIa;BMIL)の化合物及び式(VIIb;BMIR)の化合物は、それらの全ての実施形態も含めて本明細書において定義されたものである、混合物である。
【0081】
さらなる本発明の主題は、樹脂を調製するための式(I)の化合物の使用であって;式(I)の化合物は、その全ての実施形態も含めて本明細書において定義されたものである、使用である。
【実施例
【0082】
略語:
A1 アミン1
A2 アミン2
A3 アミン3
Mp 融点
p-Tos p-トルエンスルホン酸一水和物
重量% 重量パーセント
Yd 収率
MEK メチルエチルケトン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
【0083】
材料
無水マレイン酸 CAS 108-31-6、99.0%以上、Sigma-Aldrich
p-トルエンスルホン酸一水和物 CAS 6192-52-5、98%以上、Sigma-Aldrich
【0084】
【表3】
【0085】
方法
(1)GC
機器パラメーター
カラムOPTIMA-1(30m×0.32mm×0.35マイクロメートル)
温度プログラム:
開始;時間 90℃;0分
速度1;最終1;時間1 30℃/分;200℃;0分
速度2;最終2;時間2 20℃/分;260℃;0分
速度3;最終3;時間3 2℃/分;280℃;0.33分
実行時間 17.00分
平衡時間 3分
様式 濃縮フロー(Cons. flow)
キャリアガス H
流速 2.0mL/分
スプリット比 50:1
入口温度 250℃
注入容積 1マイクロリットル(μL)
検出器:FID
検出器温度 320℃
試料の調製:
試料を50℃に加熱し、試料200mgを、2mLのGCバイアル中のメタノール1mLに添加し、振とうすることによってホモジネートする。
(2)HPLC-UV
HPLC-UVは、UV検出を使用した逆相HPLCである。
カラム:Xbridge Shield 150mm×3.0mm×3.5μm又は類似のもの
ポンプ:
最小圧力:5バール
最大圧力:400バール
最大流速勾配:100mL/分
溶出液A:20mmol酢酸アンモニウム水溶液 pH3.0
溶出液B:アセトニトリル
【0086】
【表4】
【0087】
注入:
注入容積 10マイクロリットル(μL)
検出器:
検出器タイプ UV
波長 269nm
カラムオーブン:
温度 40℃
試料の調製:
試料20mg+/-4mgをアセトニトリル20mL中に溶解した。
【0088】
LOD(検出限界)は0.02面積%であった。
【0089】
LOQ(定量限界)は0.07面積%であった。
【0090】
(3)収率の計算:
GC又はHPLCクロマトグラムによって判定された百分率は、それぞれのシグナルの面積百分率である。
【0091】
混合物のそれぞれの反応収率は、混合物の各単一の化合物のモル質量の合計に、GC又はHPLCによって個別に判定されたそれぞれの面積%含有量を乗じたものに基づいて計算される。
【0092】
一般手順1:式(II)の混合化合物の調製
異なる芳香族アミンの混合物(合計約2mol当量、表1A、1B及び1Cにおける具体的な当量を参照のこと。)を、プロパン-2-オール(4.73mol当量)及び水(2.16mol当量)中に溶解する。撹拌混合物に、硫酸(96.0重量%、1.81mol当量)を添加し、混合物を60℃に加熱する。1時間にわたって、ホルムアルデヒド水溶液(37重量%、1.08mol当量)を浸漬管に通して添加する。その後、反応混合物を60℃で5時間撹拌する。温度を25℃に調整し、水酸化ナトリウム水溶液(25重量%、3.80mol当量)を添加する。生成物をクロロホルムで抽出し、続いて水で洗浄する。有機相を単離し、有機溶媒を真空下で完全に除去して、対称(sym)及び非対称(asym)の式(II)の化合物の混合物を茶色融解物として得る。
【0093】
表4A、4B及び4Cは、一般手順1に従って調製された例を示す。
【0094】
【表5】
【0095】
【表6】
【0096】
【表7】
【0097】
一般手順2:式(I)の混合化合物の調製
式(II)の混合化合物の融解物(1mol当量、一般手順1に従って調製したもの)をキシレン(17mol当量)中に溶解して、キシレン中の式(II)の混合化合物の溶液を得る。ディーンスタークトラップを備えた反応器中、キシレン(17mol当量)を入れ、p-トルエン硫酸一水和物(0.46mol当量)及び無水マレイン酸(2.30mol当量)を溶解する。混合物を加熱還流する。キシレン中の式(II)の混合化合物のあらかじめ調製した溶液を1時間にわたって添加し、同時に反応混合物を還流下で維持する。キシレン中の式(II)の混合化合物の溶液を投薬後、反応混合物は、ディーンスタークトラップ中に水が収集されなくなるまで還流下で維持し、典型的な時間は3~5時間である。次いでキシレンの約20体積%を蒸留によって除去する。
【0098】
温度を90℃に調整し、水酸化ナトリウム水溶液(10重量%、5.7mol当量)を添加する。混合物を90℃で30分間撹拌する。水性相を分離し、その後有機相を水で3回(各回4mol当量)洗浄する。有機相を単離し、有機溶媒を真空下で完全に除去して、式(I)の混合化合物を茶色融解物として得る。
【0099】
表5は、一般手順2に従って調製された例を示す。
【0100】
【表8】
【0101】
(4)溶解性の分析:
溶解性は、Mettler Toledoハロゲンドライヤー(Mettler-Toledo GmbH;Giessen、Germany)を使用して判定した。各化合物の飽和溶液を個別の溶媒中で調製し、ハロゲンドライヤーのシリンジフィルター(孔径1μm)を使用してろ過後、液体相中の溶解量(重量%)を判定した。溶解性分析の結果を表6に要約する(BMPI-300はBMIDEA(式VIIIa)及びBMIMIPA(式VIIIc)の1:1の混合物であり;BMI-5100はBMIMEA(式VIIId)である。)。
【0102】
【表9】
【0103】
(5)ゲル化時間の分析:
ゲル化時間を、GELNORM(登録商標)Gel Timer(Gel lnstrumente AG、Thalwil、Switzerland)を使用して、製造業者の取扱説明書に従って判定した。溶解性分析の結果を表7に要約する。
【0104】
【表10】
【0105】
(6)粘度の分析:
粘度は、Thermosel System(BROOKFIELD ENGINEERING LABORATORIES、INC.;Middleboro、MA、USA)を備えたBrookfield LV-II-Pro粘度計を使用して、製造業者の取扱説明書に従って判定した。溶解性分析の結果を表8に要約する(ダッシュは融点を下回る温度を示す。)。本発明による式(I)の化合物は、対応する対称ビスマレイミド誘導体の共融混合物よりも粘度が低いことが観察された。
【0106】
【表11】
【手続補正書】
【提出日】2023-12-08
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物を調製するための方法であって、
【化1】
式(II)の化合物と無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸又は無水1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸との反応(I)によるものである方法;
【化2】
(式中、
*及び**はそれぞれ、残基(A)の*及び**を用いて示される個別のC原子への共有結合を示し;
(A)は、式(M)の残基、式(P)の残基、式(Q)の残基、式(O)の残基又は式(T)の残基のいずれかであり
【化3】
残基R2L、R3L、R6L、R2R、R3R及びR6Rは、同一であり又は異なり、H、C1-4アルキル及びClからなる群から互いに独立して選択され;
ただし、3つのペアのうちの少なくとも1つの中で:
4.R2L及びR2R
5.R3L及びR3R
6.R6L及びR6R
は異なる残基であり;
ここで、R2、R3及びR6は、同一であり又は異なり、H、メチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル及びClからなる群から互いに独立して選択される。)。
【請求項2】
(i)R2、R3及びR6が、同一であり若しくは異なり、
H、メチル、エチル、イソプロピル及びCl
からなる群から互いに独立して選択され;並びに/又は
(ii)式(II)の化合物を、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸若しくは無水メチルナジック酸と反応させ、(A)が、式(M)、(Q)、(O)若しくは(T)の残基である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
式(I)の化合物が、式(IIIa)の化合物、式(IIIb)の化合物、式(IIIc)の化合物、式(IIId)の化合物、式(IIIe)の化合物、式(IIIf)の化合物、式(IIIg)の化合物、式(IIIh)の化合物、式(IIIi)の化合物及び式(IIIj)の化合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【化4】
【請求項4】
式(II)の化合物が、式(IXa)の化合物、式(IXb)の化合物、式(IXc)の化合物、式(IXd)の化合物、式(IXe)の化合物、式(IXf)の化合物、式(IXg)の化合物、式(IXh)の化合物、式(IXi)の化合物及び式(IXj)の化合物からなる群から選択される、請求項1又は2に記載の方法。
【化5】
【請求項5】
a)無水マレイン酸、無水シトラコン酸、無水ナジック酸、無水メチルナジック酸若しくは無水1,2,3,6-テトラヒドロフタル酸のモル量が、式(II)の化合物のモル量の2~4倍であり;
b)反応(I)が触媒(I)の存在下で行われ;任意選択的に
(i)触媒(I)が、p-トルエン硫酸若しくはp-トルエン硫酸一水和物であり;及び/若しくは
(ii)触媒(I)のモル量が、式(II)の化合物のモル量の0.1~1倍であり;
c)反応(I)が溶媒(I)中で行われ;任意選択的に
(i)溶媒(I)が、水と共沸混合物を形成することができる非極性溶媒であり;及び/若しくは
(ii)溶媒(I)のモル量が、式(II)の化合物のモル量の5~50倍であり;
d)反応(I)が、50~200℃の反応温度で行われ;並びに/又は
e)反応(I)の反応時間が1~12時間である、
請求項1又は2に記載の方法。
【請求項6】
式(II)の化合物が、式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物とホルムアルデヒドとの反応(II)によって調製される、請求項1又は2に記載の方法;
【化6】
(式中、
R2L、R3L、R6L、R2R、R3R及びR6Rは、請求項1又は2(i)において定義されたものであり;任意選択的に
式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物は、式(Xa)の化合物、式(Xb)の化合物、式(Xc)の化合物、式(Xd)の化合物及び式(Xe)の化合物からなる群から選択される。)。
【化7】
【請求項7】
式(II)の化合物が混合物(I)として得られ、混合物(I)が、式(Va)の化合物及び式(Vb)の化合物を含む式(II)の化合物の混合物である、請求項6に記載の方法;
【化8】
(式中、R2L、R3L、R6L、R2R、R3R及びR6Rは、請求項1又は2(i)において定義されたものであり;任意選択的に
式(Va)の化合物及び式(Vb)の化合物は、式(VIa)の化合物、式(VIb)の化合物、式(VIc)の化合物、式(VId)の化合物及び式(VIe)の化合物からなる群から選択される。)。
【化9】
【請求項8】
式(II)の化合物が、混合物(I)の形態で反応(I)のために及び反応(I)において使用され、式(I)の化合物が混合物(II)の形態で得られ、混合物(II)が、式(VIIa)の化合物及び式(VIIb)の化合物を含む式(I)の化合物の混合物である、請求項1又は2に記載の方法;
【化10】
(式中、*、**、R2L、R3L、R6L、R2R、R3R及びR6Rは、請求項1又は2(i)において定義されたものであり;任意選択的に
式(VIIa)の化合物及び式(VIIb)の化合物は、式(VIIIa)の化合物、式(VIIIb)の化合物、式(VIIIc)の化合物、式(VIIId)の化合物及び式(VIIIe)の化合物からなる群から選択される。)。
【化11】
【請求項9】
式(IVa)の化合物の式(IVb)の化合物に対するモル比が4:1~1:4である、請求項に記載の方法。
【請求項10】
式(IVb)の化合物及び式(IVa)の化合物が表Aにおいて定義されたものであり、表Aにおいて定義された化合物を含む混合物(II)が得られる、請求項に記載の方法。
【表1】
【請求項11】
a)ホルムアルデヒドが、ホルマリン溶液、パラホルムアルデヒド又はトリオキサンの形態であり;
b)ホルムアルデヒドが水溶液の形態で使用され、任意選択的に20~40重量%のホルムアルデヒドを含む水溶液の形態で使用され;
c)ホルムアルデヒドのモル量が、式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物を合わせたモル量の0.5~0.7倍であり;
d)反応(II)が酸性媒体中で行われ;
e)反応(II)が触媒(II)の存在下で行われ;任意選択的に
(i)触媒(II)が硫酸であり;並びに/若しくは
(ii)触媒(II)のモル量が、式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物を合わせたモル量の0.8~1倍であり;
f)反応(II)が溶媒(II)中で行われ;任意選択的に
(i)溶媒(II)がイソプロパノールであり;並びに/若しくは
(ii)溶媒(II)のモル量が、式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物を合わせたモル量の1~50倍であり;
g)反応(II)が40~200℃の反応温度で行われ;並びに/又は
h)反応(II)の反応時間が1~12時間である、
請求項に記載の方法。
【請求項12】
反応(II)において、さらなるアニリンが存在し、任意選択的に、1、2又は3つのさらなるアニリンが存在し、さらに任意選択的に、さらなるアニリンが、式(IVa)の化合物及び式(IVb)の化合物とは異なる式(XI)の化合物である、請求項に記載の方法;
【化12】
(式中、R2、R3及びR6は、同一であり又は異なり、H、C1-4アルキル及びClからなる群から互いに独立して選択される。)。
【請求項13】
式(I)の化合物であって;
【化13】
式(I)の化合物は、請求項1又は2において定義されたものである、式(I)の化合物。
【請求項14】
式(VIIa)の化合物及び式(VIIb)の化合物を含む式(I)の化合物の混合物であって、式(I)の化合物が請求項1又は2において定義されたものであり、式(VIIa)の化合物及び式(VIIb)の化合物が請求項8において定義されたものである、混合物。
【請求項15】
樹脂を調製するための式(I)の化合物の使用であって;
【化14】
式(I)の化合物は、請求項1又は2において定義されたものである、使用。
【国際調査報告】