(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ディスプレイパネルの輝度調整方法および装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/20 20060101AFI20240403BHJP
G09G 3/32 20160101ALI20240403BHJP
G09G 3/30 20060101ALI20240403BHJP
G09G 3/14 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
G09G3/20 642C
G09G3/20 670J
G09G3/20 670Q
G09G3/32 A
G09G3/30 K
G09G3/14 N
【審査請求】有
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564445
(86)(22)【出願日】2022-08-12
(85)【翻訳文提出日】2023-10-18
(86)【国際出願番号】 CN2022112023
(87)【国際公開番号】W WO2023024934
(87)【国際公開日】2023-03-02
(31)【優先権主張番号】202110966799.X
(32)【優先日】2021-08-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523395834
【氏名又は名称】集▲創▼北方(珠海)科技有限公司
(74)【代理人】
【識別番号】110001896
【氏名又は名称】弁理士法人朝日奈特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】卓 ▲聖▼田
【テーマコード(参考)】
5C080
5C380
【Fターム(参考)】
5C080AA05
5C080AA06
5C080AA07
5C080AA08
5C080AA10
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5C080AA14
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5C080DD15
5C080DD29
5C080JJ01
5C080JJ02
5C080JJ05
5C080JJ07
5C380AA01
5C380AA03
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5C380AB04
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5C380BA37
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5C380CF13
5C380EA05
5C380FA05
5C380FA28
5C380GA02
5C380GA12
5C380GA18
5C380HA10
(57)【要約】
本発明は、ディスプレイパネルの輝度調整方法および装置を開示し、該方法は、ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データを取得するステップと、複数のピクセルの輝度データ、予め設定された目標輝度データ、およびディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線に基づいて、複数のピクセルの補償データを取得するステップと、補償データを利用して複数のピクセルを駆動し、ディスプレイパネルの輝度を目標輝度に調整するために、複数のピクセルに対して老化処理を実行するステップとを含む。本発明は、追加のDIC回路および外部メモリを増設することなく、ディスプレイパネルの輝度を均一にすることができ、ディスプレイパネルの表示の均一性を向上させた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データを取得するステップと、
前記複数のピクセルの輝度データ、前記複数のピクセルの目標輝度データ、および前記ディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線に基づいて、前記複数のピクセルの補償データを取得するステップと、
前記補償データを利用して前記複数のピクセルを駆動し、前記ディスプレイパネルの輝度を目標輝度に調整するために、前記複数のピクセルに対して老化処理を実行するステップとを含む、ディスプレイパネルの輝度調整方法。
【請求項2】
ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データを取得するステップは、
テスト画像を表示するように、前記ディスプレイパネルを制御するステップと、
輝度取得装置を使用して前記ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データを取得するステップとを含む、請求項1に記載の輝度調整方法。
【請求項3】
前記複数のピクセルの輝度データ、前記複数のピクセルの目標輝度データ、および前記ディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線に基づいて、前記複数のピクセルの補償データを取得するステップは、
前記複数のピクセルの輝度データに基づいて、前記目標輝度データを取得するステップと、
予め収集された、前記ディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線を取得するステップと、
前記複数のピクセルにおける各ピクセルの輝度データと前記目標輝度データとの差を算出するステップと、
前記差および前記老化曲線に基づいて、前記複数のピクセルにおける各ピクセルの補償データを取得するステップとを含む、請求項1に記載の輝度調整方法。
【請求項4】
前記老化曲線は、第1温度および第1時間の条件で、ピクセルを目標輝度に老化するときの輝度差と、点灯するグレースケールとの間の関数関係式またはルックアップテーブルである、請求項3に記載の輝度調整方法。
【請求項5】
前記複数のピクセルの輝度データに基づいて、前記目標輝度データを取得するステップは、
前記複数のピクセルの輝度データのうちの最小輝度データおよび予め設定された誤差許容範囲とに基づいて、目標輝度データセットを取得するステップと、
前記目標輝度データセットの任意の値を前記目標輝度データとして選択するステップとを含む、請求項3に記載の輝度調整方法。
【請求項6】
前記補償データを利用して前記複数のピクセルを駆動し、前記複数のピクセルに対して老化処理を実行するステップは、
前記複数のピクセルの補償データを、前記ディスプレイパネルにおける複数のピクセルに対応して提供するステップと、
第1温度下で、前記補償データに基づいて第1時間の間で駆動するように、前記ディスプレイパネルを制御するステップとを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の輝度調整方法。
【請求項7】
ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データを取得するための輝度取得ユニットと、
前記複数のピクセルの輝度データ、前記複数のピクセルの目標輝度データ、および前記ディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線に基づいて、複数のピクセルの補償データを取得するための生成ユニットと、
第1温度および第1時間の老化処理環境を提供するための老化処理ユニットにおいて、前記ディスプレイパネルが、該老化処理環境下で前記補償データを駆動して輝度調整を実現することができる、老化処理ユニットとを含む、ディスプレイパネルの輝度調整装置。
【請求項8】
輝度調整装置は、
前記輝度取得ユニットによって取得された前記複数のピクセルの輝度データおよび予め設定された誤差許容範囲に基づいて、目標輝度データを出力するための目標輝度データ取得ユニットをさらに含む、請求項7に記載の輝度調整装置。
【請求項9】
輝度調整装置は、
予め収集された、前記ディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線を保存するためのメモリをさらに含む、請求項7に記載の輝度調整装置。
【請求項10】
前記老化曲線は、第1温度および第1時間の条件で、ピクセルを目標輝度に老化するときの輝度差と、点灯するグレースケールとの間の関数関係式またはルックアップテーブルである、請求項9に記載の輝度調整装置。
【請求項11】
前記ディスプレイパネルは、ブラウン管ディスプレイパネル、デジタル光処理ディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル、発光ダイオードディスプレイパネル、有機発光ダイオードディスプレイパネル、量子ドットディスプレイパネル、Mirco-LEDディスプレイパネル、Mini-LEDディスプレイパネル、電界放出ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、電気泳動ディスプレイパネルまたはエレクトロウェッティングディスプレイパネルを含む、請求項7~10のいずれか一項に記載の輝度調整装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2021年08月23日に提出された出願番号が第202110966799.Xであり、名称が「ディスプレイパネルの輝度調整方法および装置」である中国特許出願の優先権を主張し、上記中国特許出願に開示されている明細書、特許請求の範囲、添付の図面および要約の全体を参照することによって、それを本願の一部として援用する。
【0002】
本発明は、ディスプレイ技術の分野に関し、特に、ディスプレイパネルの輝度調整方法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
LED(Light-Emitting Diode、発光ダイオード)ディスプレイ技術およびOLED(Organic Light-Emitting Diode、有機発光ダイオード)ディスプレイ技術の両方は、フラットパネル情報ディスプレイの分野で大きな注目を集めている。どちらの技術も、自己照明、高輝度、高コントラスト比、広い視野角、広い動作温度範囲、および高い信頼性という利点がある。
【0004】
どちらのLED/OLEDディスプレイにも、対応するディスプレイパネルが含まれている。製造工程の材料の違いおよび/または製造工程の誤差などにより、一部のディスプレイパネルにMura現象が発生する場合がある。Muraとは、ディスプレイパネルにおいてサブピクセルの輝度が不均一であるため、発生するさまざまな痕跡(明るいスポットや暗いスポットなど)の現象を指し、視覚的な不快感をもたらし、液晶パネルの品質に深刻な影響を与える。Mura欠陥を改善するために、de-mura技術が広く使用されてきた。de-mura技術は、ディスプレイパネルのさまざまな領域での輝度と色度シフトの状況に応じて、ディスプレイ画面のグレースケールを変更することにより、ディスプレイパネルのディスプレイの均一性を向上させる。現在、一般的に使用されているde-muraの形式には、内部補償と外部補償がある。
【0005】
内部補償とは、補償段階でTFTの閾値電圧(Vth)をゲートソース間電圧(Vgs)に蓄え、発光の時、Vgs-Vthを電流に換算するもので、VgsにはすでにVthが含まれているため、換算するとVthの影響を相殺して、電流の整合性を実現する。ただし、内部補償の補償効果は、駆動回路の閾値電圧シフト(Vth shift)および電源電圧降下(IR drop)に限られ、補償効果は限られている。
【0006】
外部補償は、外部の駆動回路またはデバイスを介して、ピクセルの電気的または光学的特性を検出し、補償を実行することであり、LG社の大量生産されたOLED表示装置に代表される。外部補償は、検出されたデータの種類に応じて、光学的補償と電気的補償に分けることができる。光学的方法は、背面パネルを点灯させた後、光学CCD(Charge Coupled Device、電荷結合素子)により撮影して輝度信号を読み取ることを指し、電気的方法は、感知回路を通じてTFTおよびOLEDの電気信号を読み取ることを指す。電気的方法は、内部補償と同じであり、電流差のみを知ることができ、補償効果は限られている。対照的に、光学的方法は、最良の補償効果を持ち、最も広く使用されているが、光学的方法には、追加のDIC回路(Display Integrated Circuit、ディスプレイ集積回路、該DIC回路は、主に補償データをディスプレイに取り込んで回路に影響を与え、およびFlash、SRAMなどのメモリを操作するために使用される)および大量のメモリ空間(外部Flash、内部SRAMなど)を追加する必要がある。
【0007】
したがって、従来技術における上記の技術的問題を克服するために、改善された技術的解決手段を提供する必要がある。
【発明の概要】
【0008】
上記の技術的問題を解決するために、本発明は、ディスプレイパネルの輝度調整方法および装置を提供する。収集されたディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線を使用して、輝度取得装置(カメラなど)によって取得された不均一な輝度データを、パネルを高温で点灯させることにより、追加のDIC回路や外部メモリを増設することなく、ディスプレイパネルの輝度を均一にすることができ、ディスプレイパネルの表示均一性を向上させた。
【0009】
本開示の第1態様によれば、ディスプレイパネルの輝度調整方法が提供され、
ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データを取得するステップと、
前記複数のピクセルの輝度データ、前記複数のピクセルの目標輝度データ、および前記ディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線に基づいて、前記複数のピクセルの補償データを取得するステップと、
前記補償データを利用して前記複数のピクセルを駆動し、前記ディスプレイパネルの輝度を目標輝度に調整するために、前記複数のピクセルに対して老化処理を実行するステップとを含む。
【0010】
選択可能に、ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データを取得するステップは、
テスト画像を表示するように、前記ディスプレイパネルを制御するステップと、
輝度取得装置を使用して、前記ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データを取得するステップとを含む。
【0011】
選択可能に、前記複数のピクセルの輝度データ、前記複数のピクセルの目標輝度データ、および前記ディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線に基づいて、前記複数のピクセルの補償データを取得するステップは、
前記複数のピクセルの輝度データに基づいて、前記目標輝度データを取得するステップと、
予め収集された前記ディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線を取得するステップと、
取得された前記複数のピクセルにおける各ピクセルの輝度データと前記目標輝度データとの差を算出するステップと、
前記差および前記老化曲線に基づいて、前記複数のピクセルにおける各ピクセルの補償データを取得するステップとを含む。
【0012】
選択可能に、前記老化曲線は、第1温度および第1時間の条件で、ピクセルを目標輝度に老化するときの輝度差と、点灯するグレースケールとの間の関数関係式またはルックアップテーブルである。
【0013】
選択可能に、前記複数のピクセルの輝度データに基づいて、前記目標輝度データを取得するステップは、
前記複数のピクセルの輝度データのうちの最小輝度データおよび予め設定された誤差許容範囲とに基づいて、目標輝度データセットを取得するステップと、
前記目標輝度データセットの任意の値を前記目標輝度データとして選択するステップとを含む。
【0014】
選択可能に、前記補償データを利用して前記複数のピクセルを駆動し、前記複数のピクセルに対して老化処理を実行するステップは、
前記複数のピクセルの補償データを、前記ディスプレイパネルにおける複数のピクセルに対応して提供するステップと、
第1温度下で、前記補償データに基づいて第1時間の間で駆動するように、前記ディスプレイパネルを制御するステップとを含む。
【0015】
本開示の第2態様によれば、ディスプレイパネルの輝度調整装置が提供され、
前記ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データを取得するための輝度取得ユニットと、
前記複数のピクセルの輝度データ、前記複数のピクセルの目標輝度データ、および前記ディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線に基づいて、複数のピクセルの補償データを取得するための生成ユニットと、
第1温度および第1時間の老化処理環境を提供するための老化処理ユニットにおいて、前記ディスプレイパネルが、該老化処理環境下で前記補償データを駆動して輝度調整を実現することができる、老化処理ユニットとを含む。
【0016】
選択可能に、輝度調整装置は、
前記輝度取得ユニットによって取得された前記複数のピクセルの輝度データおよび予め設定された誤差許容範囲に基づいて、目標輝度データを出力するための目標輝度データ取得ユニットをさらに含む。
【0017】
選択可能に、輝度調整装置は、
予め収集された前記ディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線を記憶するためのメモリをさらに含む。
【0018】
選択可能に、前記老化曲線は、第1温度および第1時間の条件で、ピクセルを目標輝度に老化するときの輝度差と、点灯するグレースケールとの間の関数関係式またはルックアップテーブルである。
【0019】
選択可能に、前記ディスプレイパネルは、ブラウン管ディスプレイパネル、デジタル光処理ディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル、発光ダイオードディスプレイパネル、有機発光ダイオードディスプレイパネル、量子ドットディスプレイパネル、Mirco-LEDディスプレイパネル、Mini-LEDディスプレイパネル、電界放出ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、電気泳動ディスプレイパネルまたはエレクトロウェッティングディスプレイパネルを含む。
【0020】
本発明の有益な効果は、次のとおりである。本発明は、ディスプレイパネルの輝度調整方法および装置を開示し、輝度取得装置(カメラなど)を使用して、ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データを取得し、予め収集されたディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線を使用して、各ピクセルの輝度を目標輝度に調整するために、点灯に必要なグレースケール、すなわち補償データを取得し、パネルを高温で点灯させることにより、ディスプレイパネルを老化処理し、パネルにおける過度に明るいピクセルポイントを目標輝度に老化することで、追加のDIC回路や外部メモリを増設しなくても、ディスプレイパネルの輝度を均一にすることができ、それによってディスプレイパネルの表示の均一性を向上させた。
【0021】
なお、前述の一般的な説明と以下の詳細な説明の両方は、例示的かつ説明的なものにすぎず、本発明を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】
図1は、本開示の実施例によって提供されるディスプレイパネルの輝度調整方法のフローチャートを示す。
【
図2】
図2は、本開示の実施例によって提供されるディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データの取得方法のフローチャートを示す。
【
図3】
図3は、本開示の実施例によって提供される複数のピクセルの補償データの取得方法のフローチャートを示す。
【
図4a】
図4aは、本開示の実施例によって提供されるG160グレースケールでのディスプレイパネルの輝度分布の概略図を示す。
【
図4b】
図4bは、本開示の実施例によって提供される老化曲線の概略図を示す。
【
図4c】
図4cは、本開示の実施例によって提供された、ディスプレイパネルにより補償データを駆動する際の輝度分布の概略図を示す。
【
図4d】
図4dは、本開示の実施例によって提供された、老化処理後のG160グレースケールでのディスプレイパネルの輝度分布の概略図を示す。
【
図5】
図5は、本開示の実施例によって提供されるディスプレイパネルの輝度調整装置の概略構造図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の理解を容易にするために、添付の図面を参照して本発明をより詳細に説明する。本発明の好ましい実施例は、添付の図面に示されている。しかし、本発明は、異なる形態で実施することができ、本明細書に記載の実施例に限定されない。それどころか、これらの実施例は、本発明の開示内容の理解をより完全かつ包括的にするために提供される。
【0024】
以下、添付の図面を参照して本発明を詳細に説明する。
【0025】
図1は、本開示の実施例によって提供されるディスプレイパネルの輝度調整方法のフローチャートを示す。
【0026】
図1に示すように、本開示において、ディスプレイパネルの輝度調整方法は、ステップS1からステップS3まで実行することを含む。
【0027】
具体的には、ステップS1において、ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データを取得する。
【0028】
図2を参照して、ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データを取得する方法は、テスト画像を表示するように、ディスプレイパネルを制御する(ステップS11)、輝度取得装置を使用して、ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データを取得する(ステップS12)。
【0029】
本実施例において、テスト画像を表示するように、ディスプレイパネルを制御するとき、G0~G255のグレースケール範囲内で任意のグレースケール値を選択して、ディスプレイパネルにおける複数のピクセルを点灯させることができる。例示的には、ディスプレイパネルによって表示されるテスト画像は、単一のグレースケール値に対応する駆動データで構成され、このようにして、ディスプレイパネルにおける複数のピクセル(ディスプレイパネルにおけるすべてのピクセルに対応し、かつ各ピクセルは、1つの発光素子に対応する)の輝度差をより適切に区別することができる。
【0030】
選択可能に、ディスプレイパネルにおける複数のピクセルは、ディスプレイパネルにおけるピクセルの一部または全部に対応し、各ピクセルは、いずれもディスプレイパネルにおける1つの発光デバイスに対応する。例示的には、本開示におけるディスプレイパネルは、ブラウン管ディスプレイパネル、デジタル光処理ディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル、発光ダイオードディスプレイパネル、有機発光ダイオードディスプレイパネル、量子ドットディスプレイパネル、Mirco-LEDディスプレイパネル、Mini-LEDディスプレイパネル、電界放出ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、電気泳動ディスプレイパネルまたはエレクトロウェッティングディスプレイパネルであってもよい。
【0031】
さらに、輝度取得装置がCCDカメラである場合、ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データを取得するとき、CCDカメラを使用して、ディスプレイパネルに表示されるテスト画像を撮影することができ、
図4aを参照すると(G160のグレースケールを例とする)、現在のグレースケールでのディスプレイパネルの輝度分布データを取得することができる。
【0032】
ステップS2において、複数のピクセルの輝度データ、複数のピクセルの目標輝度データ、およびディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線に基づいて、複数のピクセルの補償データを取得する。
【0033】
図3を参照すると、ステップS2は、複数のピクセルの輝度データに基づいて、目標輝度データを取得する(ステップS21)と、予め収集された、ディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線を取得する(ステップS22)と、複数のピクセルにおける各ピクセルの輝度データと目標輝度データとの間の差を算出する(ステップS23)と、差および老化曲線に基づいて、複数のピクセルにおける各ピクセルの補償データを取得する(ステップS24)をさらに含んでもよい。
【0034】
本実施例において、複数のピクセルの輝度データに基づいて、目標輝度データを取得するステップは、複数のピクセルの輝度データのうちの最小輝度データおよび予め設定された誤差許容範囲に基づいて、目標輝度データセットを取得するステップと、目標輝度データセットの任意の値を目標輝度データとして選択するステップとを含む。例えば、輝度取得装置によって取得された複数のピクセルの輝度データのうちの最小輝度データが100であり、かつ予め設定された誤差許容範囲が±10%である場合、取得される目標輝度データセットは、100*90%~100*110%、すなわち90~110であり、つまり、このとき、90~110の値の範囲から1つの値を目標輝度データとして選択できる。このようにして、ディスプレイパネルのその後の老化プロセスにおいて、すべてのピクセルの輝度を一致した輝度に調整できることを保証できる。もちろん、本発明の他の実施例において、他の方法を使用して、目標ピクセル輝度を取得することもでき、例えば、複数のピクセルの輝度データのうち、小さいものから大きいものへと、1/4の位置でランク付けされた輝度データを目標輝度データとして選択するか、または、最も小さい一部のピクセルの輝度データの平均値を目標輝度データとして選択することができる、など。本発明における上記の数値の列挙は、単なる例示であり、実際の条件に従って選択することができ、本発明は、これに限定されないことを理解できる。
【0035】
さらに、複数のピクセルの輝度データのうち、最小輝度データと他の輝度データとの差が大きすぎる場合、該輝度データに対応するピクセルをチェックすることで、ピクセルの損傷によるディスプレイパネルの輝度調整結果への影響を回避することができ、輝度調整結果の精度を向上させる。
【0036】
本実施例において、
図4bに示すように、予め収集された、ディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線は、第1温度(例えば120℃)および第1時間(例えば1時間)の条件で、ピクセルを目標輝度に老化するときの輝度差と、点灯するグレースケールとの間の関数関係式またはルックアップテーブルであり、ディスプレイパネルにおけるピクセルの輝度データと目標輝度データとの差と、補償されるグレースケール値との間の対応関係を特徴付けるために使用される。つまり、特定のピクセルの輝度データと目標輝度データとの差を取得したとき、該老化曲線に基づいて、後続の老化プロセスで該ピクセルにロードする必要があるグレースケール値を推定でき、すなわち、該ピクセルに対応する補償データを取得する。
【0037】
本実施例において、老化曲線は事前情報であり、測定から得ることができる。例示的に、測定されるディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線を収集する場合、G0~G255のすべてのグレースケールを、測定されるディスプレイパネルにおけるピクセル(発光デバイス)と同じ仕様のピクセルに順次提供することができ、第1温度(例えば120°C)で第1時間(例えば1時間)老化した後、G0~G255の各グレースケールの輝度低下値を順次収集し、最終的に老化曲線を整理して形成する。さらに、該老化曲線をメモリに保存して、その後の呼び出しを容易にすることができる。
【0038】
ステップS3において、補償データを使用して複数のピクセルを駆動し、ディスプレイパネルの輝度を目標輝度に調整するように、複数のピクセルに対して老化処理を行う。
【0039】
本実施例において、ステップS3は、複数のピクセルの補償データをディスプレイパネルにおける複数のピクセルに対応して提供するステップと、第1温度で、前記補償データに基づいて第1時間の間で駆動するように、前記ディスプレイパネルを制御するステップとをさらに含む。
【0040】
複数のピクセルの補償データを取得した後、複数のピクセルの補償データを記憶ユニットに書き込むことができる。ディスプレイパネルにおける複数のピクセルに対する老化処理は、ディスプレイパネルを第1温度(例えば120°C)の環境中に置いて電源を入れ、記憶ユニット内の複数のピクセルの補償データを読み取り、該補償データに基づいて、それぞれ、ディスプレイパネルにおける対応するピクセルを第1時間(例えば1時間)の間で駆動し、高温で動作するとピクセルの輝度が低下するという原理を使用して、ディスプレイパネルにおける過度に明るいピクセルを目標輝度まで老化する。
【0041】
図4cおよび
図4dを参照すると、
図4cは、電源を入れた直後に補償データが駆動されたときのディスプレイパネルの輝度分布の概略図を示す。該表示画像において、複数のピクセルの輝度データはいずれも、目標輝度データよりも高い。
図4dは、ディスプレイパネルが第1温度(例えば120℃)で第1時間(例えば1時間)老化処理された後に、G160グレースケールを再び駆動するときのディスプレイパネルにおける輝度分布の概略図を示している。該表示画像において、複数のピクセルの輝度データは、均一になっている傾向がある。さらに、本発明は、高温でパネルを点灯させる老化処理によってディスプレイパネルの輝度を調整し、追加のDIC回路および外部メモリを増設することなく、ディスプレイパネルの輝度を均一にし、ディスプレイパネルの表示の均一性を向上させる。
【0042】
なお、本開示で設定する老化処理条件(老化曲線を収集するときの老化処理条件、補償データ取得後にディスプレイパネルに老化処理を施すときの老化処理条件を含む。なお、両方の老化処理条件は、同じであるはず)は、120℃で1時間であり、ただし、該条件は一例であり、実際の老化処理条件は、任意な条件であってもよく、実際の状況に応じて合理的に選択する必要があり、たとえば、製造時間を短縮するために、老化処理条件を200℃で10分間等に設定してもよく、本発明はこれに限定されるものではない。
【0043】
さらに、本発明は、老化曲線を収集するプロセス、およびディスプレイパネルの輝度を調整するプロセスにおいて、テスト環境での周囲光の輝度が同じであるため、輝度取得装置によって取得されたディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データの正確性および信頼性を確保でき、ディスプレイパネルの輝度調整結果の精度を向上させるのに役立つ。
【0044】
選択可能に、ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの老化プロセスが完了した後、ステップS1を再度実行して、ディスプレイパネルの輝度調整結果を検証し、調整結果が要件を満たすことができることを確認する。
【0045】
さらに、本発明は、ディスプレイパネルの輝度調整装置をさらに開示し、
図5に示すように、該装置は、輝度取得ユニット100、生成ユニット200、および老化処理ユニット300を含む。
【0046】
輝度取得ユニット(すなわち、CCDカメラなどの前述の輝度取得装置)100は、ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データを収集するために使用される。生成ユニット200は、輝度取得ユニット100と接続され、複数のピクセルの輝度データ、複数のピクセルの目標輝度データ、およびディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線に従って、複数のピクセルの補償データを取得するために使用される。老化処理ユニット300は、生成ユニット200と接続され、第1温度および第1時間の老化処理環境を提供し、これにより、ディスプレイパネルが、該老化処理環境下で補償データを駆動して、輝度調整を実現する。
【0047】
さらに、ディスプレイパネルの輝度調整装置は、目標輝度データ取得ユニット400をさらに含む。該目標輝度データ取得ユニット400は、それぞれ輝度取得ユニット100および生成ユニット200と接続され、輝度取得ユニット100によって取得された複数のピクセルの輝度データおよび予め設定された誤差許容範囲に基づいて、目標輝度データを出力する。
【0048】
さらに、ディスプレイパネルの輝度調整装置は、メモリ500をさらに含む。該メモリ500は、予め収集された、ディスプレイパネルにおけるピクセルの老化曲線を保存する。メモリ500に保存された老化曲線は、第1温度および第1時間の条件で、ディスプレイパネルにおけるピクセルを目標輝度に老化するときの輝度差と、点灯するグレースケールとの間の関数関係式またはルックアップテーブルである。
【0049】
本発明に開示されるディスプレイパネルの輝度調整装置は、
図1から
図4dに示されるようなディスプレイパネルの輝度調整方法を実施するために使用することができることを理解されたい。したがって、本実施例に示されるディスプレイパネルの輝度調整装置における各構成ユニットの特定の動作原理については、上記のディスプレイパネルの輝度調整方法の説明を参照することができ、ここでは繰り返さない。
【0050】
なお、本発明によって開示される技術的解決手段は、ディスプレイパネルにおける過度に明るいピクセルポイントを目標輝度に老化することができ、適用範囲が広い。例えば、それは任意のディスプレイ製品に適用することができる。すなわち、本実施例におけるディスプレイパネルは、ブラウン管ディスプレイパネル、デジタル光処理ディスプレイパネル、液晶ディスプレイパネル、発光ダイオードディスプレイパネル、有機発光ダイオードディスプレイパネル、量子ドットディスプレイパネル、Mirco-LEDディスプレイパネル、Mini-LEDディスプレイパネル、電界放出ディスプレイパネル、プラズマディスプレイパネル、電気泳動ディスプレイパネルまたはエレクトロウェッティングディスプレイパネルを含んでもよい。
【0051】
以上、本発明は、ディスプレイパネルにおける複数のピクセルの輝度データを取得し、予め収集された老化曲線を使用して、各ピクセルの輝度を目標輝度に調整するために点灯に必要なグレースケールを取得することで、パネルを高温で点灯させてディスプレイパネルに対して老化処理を行う場合、パネルにおける過度に明るいピクセルポイントを目標輝度に老化することができ、追加のDIC回路や外部メモリを増設することなく、ディスプレイパネルの輝度を均一にすることができ、ディスプレイパネルの表示均一性を向上させた。同時に、本発明の技術的解決手段は、すべてのディスプレイ製品に適用可能であり、適用範囲が広い。
【0052】
なお、明らかに、上述の実施例は、実施形態を限定するのではなく、本発明の例を明確に説明するための単なる例である。当業者は、上記の説明に基づいて、異なる形態の他の変更または変形を行うことができる。ここで、すべての実施形態を網羅する必要はなく、それも不可能である。しかし、そこから派生する明らかな変更または変形は、依然として本発明の保護範囲内にある。
【国際調査報告】