(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】散瞳、緑内障、及び他の眼の病態を治療するための方法及び組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20240403BHJP
A61K 9/08 20060101ALI20240403BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240403BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240403BHJP
A61K 47/10 20170101ALI20240403BHJP
A61K 31/417 20060101ALI20240403BHJP
A61K 31/4178 20060101ALI20240403BHJP
A61P 27/06 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K9/08
A61K47/26
A61K47/12
A61K47/10
A61K31/417
A61K31/4178
A61P27/06
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564598
(86)(22)【出願日】2022-04-22
(85)【翻訳文提出日】2023-12-19
(86)【国際出願番号】 US2022025912
(87)【国際公開番号】W WO2022226286
(87)【国際公開日】2022-10-27
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
(71)【出願人】
【識別番号】518363679
【氏名又は名称】オキュフィア・ファーマ・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Ocuphire Pharma, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100126778
【氏名又は名称】品川 永敏
(74)【代理人】
【識別番号】100162684
【氏名又は名称】呉 英燦
(74)【代理人】
【識別番号】100221523
【氏名又は名称】佐藤 渉
(72)【発明者】
【氏名】ペポーズ,ジェイ スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】レイザー,エリオット スチュアート
(72)【発明者】
【氏名】スーチ,ミナ
(72)【発明者】
【氏名】マイヤー,アラン アール
(72)【発明者】
【氏名】チャリザニス,コンスタンティノス
(72)【発明者】
【氏名】ホフマン,バーンハート
(72)【発明者】
【氏名】ピトリック,ウィリアム エイチ
【テーマコード(参考)】
4C076
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C076AA12
4C076BB24
4C076CC10
4C076DD38
4C076DD41Z
4C076FF12
4C076FF61
4C084AA18
4C084MA02
4C084MA17
4C084MA58
4C084NA05
4C084NA14
4C084ZA331
4C084ZA332
4C084ZC751
4C086BC38
4C086GA02
4C086GA07
4C086MA02
4C086MA03
4C086MA05
4C086MA17
4C086MA58
4C086NA05
4C086NA14
4C086ZA33
4C086ZC75
(57)【要約】
本発明は、眼の病態の治療のために、αアドレナリン拮抗薬(フェントラミン等)を、単独で、またはムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト(ピロカルピン等)との併用でのいずれかで含有する、方法、組成物、及びキットを提供する。具体的には、本発明は、散瞳、緑内障(閉塞隅角緑内障または狭隅角発作等)を患う患者を治療する方法、そして薄明りにおける視力の態様を改善する(視覚能力の改善、瞳孔径の低減、及び散乱光の異常な焦点の低減等)方法を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ある投薬量のα-アドレナリン作動性アンタゴニスト及びある投薬量のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、それらによって散瞳を治療するのに有効な量で、それらを必要とする患者の眼へ投与することを含む、患者の前記散瞳を治療する方法。
【請求項2】
前記患者が緑内障を患う、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
閉塞隅角緑内障発作のリスクを低減しながら緑内障を患う患者における散瞳を治療する方法であって、ある投薬量のα-アドレナリン作動性アンタゴニストを、それによって前記散瞳を治療し、閉塞隅角緑内障発作の前記リスクを低減するのに有効な量で、それを必要とする患者の眼へ投与することを含む、前記方法。
【請求項4】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、それを必要とする前記患者の前記眼へ投与することをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩である、請求項1、2、または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、ピロカルピンの薬学的に許容される塩である、請求項1、2、または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項7】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、塩酸ピロカルピンである、請求項1、2、または4のいずれか1項に記載の方法。
【請求項8】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約2mg未満である、請求項1、2、または4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項9】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約1mg未満である、請求項1、2、または4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項10】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.5mg未満である、請求項1、2、または4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.25mg未満である、請求項1、2、または4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項12】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.1mg~約1.5mgである、請求項1、2、または4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項13】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.1mg~約1.0mgである、請求項1、2、または4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項14】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.1mg~約0.5mgである、請求項1、2、または4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項15】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.1mg~約0.3mgである、請求項1、2、または4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.1mg~約0.2mgである、請求項1、2、または4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.1mg~約0.15mgである、請求項1、2、または4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項18】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.2mg~約0.4mgである、請求項1、2、または4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.3mg~約0.7mgである、請求項1、2、または4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.2mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.35mg、または約0.4mgである、請求項1、2、または4~7のいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬が、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト、脂質、及び薬学的に許容される担体を含有する眼用溶液の形態で投与される、請求項1、2、または4~20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.1%(w/v)~約4%(w/v)の範囲の濃度で前記眼用溶液中に存在する、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.2%(w/v)~約1%(w/v)の範囲の濃度で前記眼用溶液中に存在する、請求項21に記載の方法。
【請求項24】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.4%(w/v)の濃度で前記眼用溶液中に存在する、請求項21に記載の方法。
【請求項25】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約1%(w/v)~約1.5%(w/v)の範囲の濃度で前記眼用溶液中に存在する、請求項21に記載の方法。
【請求項26】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約1.25%(w/v)の濃度で前記眼用溶液中に存在する、請求項21に記載の方法。
【請求項27】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬が、点眼の形態で前記眼へ局所投与される、請求項1、2、または4~26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬が、1日あたり1回以下で前記眼へ投与される、請求項1、2、または4~27のいずれか1項に記載の方法。
【請求項29】
前記患者が、緑内障を患い、狭隅角を有する、請求項1~28のいずれか1項に記載の方法。
【請求項30】
前記散瞳が、薬理学的に誘導された散瞳である、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記散瞳が、前記患者が、アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、フルビプロフェン(flubiprofen)、スプロフェン、ハイドロキシアンフェタミン、フェニレフリン、ケトロラク、またはそれらの薬学的に許容される塩のうちの1つまたは複数を受けたことに起因する、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項32】
前記散瞳が、前記患者が、アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、またはそれらの薬学的に許容される塩のうちの1つまたは複数を受けたことに起因する、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項33】
前記散瞳が、前記患者が、トロピカミド、フェニレフリン、またはそれらの薬学的に許容される塩のうちの1つまたは複数を受けたことに起因する、請求項1~29のいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
患者における薄明りの条件下の視覚能力を改善する方法であって、ある投薬量のα-アドレナリン作動性アンタゴニスト及びある投薬量のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、それらによって薄明りの条件下の視覚能力を改善するのに有効な量で、それらを必要とする患者の眼へ投与することを含む、前記方法。
【請求項35】
前記方法が、スネレン視力表を使用して測定される前記患者の視力の少なくとも1ラインの改善によって特徴付けられる視力の改善をもたらす、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
前記方法が、スネレン視力表を使用して測定される前記患者の視力の少なくとも2ラインの改善によって特徴付けられる視力の改善をもたらす、請求項34に記載の方法。
【請求項37】
患者における薄明りの条件下の瞳孔径を低減する方法であって、ある投薬量のα-アドレナリン作動性アンタゴニスト及びある投薬量のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、それらによって薄明りの条件下の瞳孔径を低減するのに有効な量で、それらを必要とする患者の眼へ投与することを含む、前記方法。
【請求項38】
前記方法が、薄明りの条件下の瞳孔径の少なくとも20%の低減をもたらす、請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記方法が、薄明りの条件下の瞳孔径の少なくとも30%の低減をもたらす、請求項37に記載の方法。
【請求項40】
前記方法が、薄明りの条件下の瞳孔径の少なくとも35%の低減をもたらす、請求項37に記載の方法。
【請求項41】
薄明りの条件下の患者の眼における散乱光線の異常な焦点を低減する方法であって、ある投薬量のα-アドレナリン作動性アンタゴニスト及びある投薬量のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、それらによって薄明りの条件下の患者の眼における散乱光線の異常な焦点を低減するのに有効な量で、それらを必要とする患者の眼へ投与することを含む、前記方法。
【請求項42】
前記方法が、薄明りの条件下の患者の眼における散乱光線の異常な焦点を少なくとも3時間低減する、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記方法が、薄明りの条件下の患者の眼における散乱光線の異常な焦点を少なくとも6時間低減する、請求項41に記載の方法。
【請求項44】
前記方法が、薄明りの条件下の患者の眼における散乱光線の異常な焦点を少なくとも12時間低減する、請求項41に記載の方法。
【請求項45】
前記方法が、薄明りの条件下の患者の眼における散乱光線の異常な焦点を少なくとも24時間低減する、請求項41に記載の方法。
【請求項46】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩である、請求項34~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、ピロカルピンの薬学的に許容される塩である、請求項34~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、塩酸ピロカルピンである、請求項34~45のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約2mg未満である、請求項34~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約1mg未満である、請求項34~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.5mg未満である、請求項34~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.25mg未満である、請求項34~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項53】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.1mg~約1.5mgである、請求項34~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.1mg~約1.0mgである、請求項34~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項55】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.1mg~約0.5mgである、請求項34~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項56】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.1mg~約0.3mgである、請求項34~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項57】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.1mg~約0.2mgである、請求項34~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項58】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.1mg~約0.15mgである、請求項34~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.2mg~約0.4mgである、請求項34~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.3mg~約0.7mgである、請求項34~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬量が、約0.1mg、約0.15mg、約0.2mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.35mg、または約0.4mgである、請求項34~48のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬が、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト、脂質、及び薬学的に許容される担体を含有する眼用溶液の形態で投与される、請求項34~61のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.1%(w/v)~約2%(w/v)の範囲の濃度で前記眼用溶液中に存在する、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.1%(w/v)~約0.5%(w/v)の範囲の濃度で前記眼用溶液中に存在する、請求項62に記載の方法。
【請求項65】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.4%(w/v)の濃度で前記眼用溶液中に存在する、請求項62に記載の方法。
【請求項66】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約1%(w/v)~約1.5%(w/v)の範囲の濃度で前記眼用溶液中に存在する、請求項62に記載の方法。
【請求項67】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約1.25%(w/v)の濃度で前記眼用溶液中に存在する、請求項62に記載の方法。
【請求項68】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの第2の投薬を、前記患者の瞳孔の直径をさらに低減するのに有効な量で前記患者の前記眼へ局所投与することをさらに含む、請求項34~67のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記第2の投薬が、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを約0.1%(w/v)~約2%(w/v)の濃度で含む眼用溶液である、請求項68に記載の方法。
【請求項70】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬が、点眼の形態で前記眼へ局所投与される、請求項34~69のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬が、1日あたり1回以下で前記眼へ投与される、請求項34~70のいずれか1項に記載の方法。
【請求項72】
前記方法が、薄明りの条件下で約2.5mm~約5.5mmの範囲の瞳孔径を達成する、請求項34~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記方法が、薄明りの条件下で約3mm~約5mmの範囲の瞳孔径を達成する、請求項34~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項74】
前記方法が、薄明りの条件下で約3mm~約4.5mmの範囲の瞳孔径を達成する、請求項34~71のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、1日あたり1回以下で前記眼へ投与される、請求項1~74のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
前記患者が、前記方法により明所視条件下で測定された場合に、瞳孔径の少なくとも1mmの低減を経験する、請求項1~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記患者が、前記方法により明所視条件下で測定された場合に、瞳孔径の少なくとも2mmの低減を経験する、請求項1~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項78】
前記患者が、前記方法により明所視条件下で測定された場合に、瞳孔径の少なくとも3mmの低減を経験する、請求項1~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項79】
前記患者が、前記方法により明所視条件下で測定された場合に、約0.5mm~約5mmの範囲の瞳孔径の低減を経験する、請求項1~75のいずれか1項に記載の方法。
【請求項80】
前記患者が、前記方法により薄明視条件下で測定された場合に、瞳孔径の少なくとも1mmの低減を経験する、請求項1~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項81】
前記患者が、前記方法により薄明視条件下で測定された場合に、瞳孔径の少なくとも2mmの低減を経験する、請求項1~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項82】
前記患者が、前記方法により薄明視条件下で測定された場合に、瞳孔径の少なくとも3mmの低減を経験する、請求項1~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項83】
前記患者が、前記方法により薄明視条件下で測定された場合に、約0.5mm~約5mmの範囲の瞳孔径の低減を経験する、請求項1~79のいずれか1項に記載の方法。
【請求項84】
患者における急性閉塞隅角緑内障を治療する方法であって、ある投薬量の、フェントラミンまたはその薬学的に許容される塩から選択されるα-アドレナリン作動性アンタゴニストを、前記急性閉塞隅角緑内障を治療するのに有効な量で、それを必要とする患者の眼へ投与することを含む、前記方法。
【請求項85】
前記患者が、重度の眼痛、充血した眼、視力の低減、及びかすみ目からなる群から選択される少なくとも2つ病態を提示する、請求項84に記載の方法。
【請求項86】
患者における閉塞隅角緑内障を予防する方法であって、ある投薬量の、フェントラミンまたはその薬学的に許容される塩から選択されるα-アドレナリン作動性アンタゴニストを、閉塞隅角緑内障を予防するのに有効な量で、それを必要とする患者の眼へ投与することを含む、前記方法。
【請求項87】
前記閉塞隅角緑内障が、急性閉塞隅角緑内障である、請求項86に記載の方法。
【請求項88】
患者における狭隅角発作を治療または予防する方法であって、ある投薬量の、フェントラミンまたはその薬学的に許容される塩から選択されるα-アドレナリン作動性アンタゴニストを、前記狭隅角発作を治療または予防するのに有効な量で、それを必要とする患者の眼へ投与することを含む、前記方法。
【請求項89】
前記方法が、前記患者における狭隅角発作のリスクを低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項90】
前記方法が、閉塞隅角発作のリスクを低減する、請求項1に記載の方法。
【請求項91】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、前記患者の前記眼へ投与することをさらに含む、請求項84~90のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩である、請求項91に記載の方法。
【請求項93】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、ピロカルピンの薬学的に許容される塩である、請求項91に記載の方法。
【請求項94】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、塩酸ピロカルピンである、請求項91に記載の方法。
【請求項95】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約2mg未満の投薬量で前記患者の前記眼へ投与される、請求項91~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項96】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約1mg未満の投薬量で前記患者の前記眼へ投与される、請求項91~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項97】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.5mg未満の投薬量で前記患者の前記眼へ投与される、請求項91~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項98】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.25mg未満の投薬量で前記患者の前記眼へ投与される、請求項91~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項99】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.1mg~約1.5mgの投薬量で前記患者の前記眼へ投与される、請求項91~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項100】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.1mg~約1.0mgの投薬量で前記患者の前記眼へ投与される、請求項91~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項101】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.1mg~約0.5mgの投薬量で前記患者の前記眼へ投与される、請求項91~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項102】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.1mg~約0.3mgの投薬量で前記患者の前記眼へ投与される、請求項91~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項103】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.1mg~約0.2mgの投薬量で前記患者の前記眼へ投与される、請求項91~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項104】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.1mg~約0.15mgの投薬量で前記患者の前記眼へ投与される、請求項91~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項105】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.2mg~約0.4mgの投薬量で前記患者の前記眼へ投与される、請求項91~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項106】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.1mg、約0.15mg、約0.2mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.35mg、または約0.4mgの投薬量で前記患者の前記眼へ投与される、請求項91~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項107】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.3mg~約0.7mgの投薬量で前記患者の前記眼へ投与される、請求項91~94のいずれか1項に記載の方法。
【請求項108】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの前記投薬が、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト、脂質、及び薬学的に許容される担体を含有する眼用溶液の形態で投与される、請求項91~107のいずれか1項に記載の方法。
【請求項109】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.1%(w/v)~約4%(w/v)の範囲の濃度で前記眼用溶液中に存在する、請求項108に記載の方法。
【請求項110】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.1%(w/v)~約1%(w/v)の範囲の濃度で前記眼用溶液中に存在する、請求項108に記載の方法。
【請求項111】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約0.4%(w/v)の濃度で前記眼用溶液中に存在する、請求項108に記載の方法。
【請求項112】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約1%(w/v)~約1.5%(w/v)の範囲の濃度で前記眼用溶液中に存在する、請求項108に記載の方法。
【請求項113】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、約1.25%(w/v)の濃度で前記眼用溶液中に存在する、請求項108に記載の方法。
【請求項114】
前記ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、点眼の形態で前記患者の前記眼へ局所投与される、請求項91~113のいずれか1項に記載の方法。
【請求項115】
前記α-アドレナリン作動性アンタゴニストが、フェントラミンまたはその薬学的に許容される塩である、請求項1~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項116】
前記α-アドレナリン作動性アンタゴニストが、フェントラミンの薬学的に許容される塩である、請求項1~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項117】
前記α-アドレナリン作動性アンタゴニストが、メシル酸フェントラミンである、請求項1~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項118】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、水性の薬学的に許容される担体及びフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含有する眼用溶液の形態である、請求項1~114のいずれか1項に記載の方法。
【請求項119】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、水性の薬学的に許容される担体及びメシル酸フェントラミンを含有する眼用溶液の形態である、請求項118に記載の方法。
【請求項120】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、水性の薬学的に許容される担体及び約0.1%(w/v)~約2%(w/v)メシル酸フェントラミンを含有する眼用溶液の形態である、請求項118に記載の方法。
【請求項121】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、水、マンニトール、及びメシル酸フェントラミンを含有する眼用溶液の形態である、請求項118に記載の方法。
【請求項122】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、水、マンニトール、酢酸ナトリウム、及びメシル酸フェントラミンを含有する眼用溶液の形態である、請求項118に記載の方法。
【請求項123】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、
(a)約0.1%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;
(b)約1%(w/v)~約6%(w/v)の、マンニトール、グリセロール、及びプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つのポリオール化合物;
(c)約1mM~約6mMの酢酸アルカリ金属塩;及び
(d)水
を含有するキレート剤の無い水性の眼用溶液の形態であって;
4~6の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記形態である、
請求項118に記載の方法。
【請求項124】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、
(a)約0.5%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;
(b)約1%(w/v)~約6%(w/v)の、マンニトール、グリセロール、及びプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つのポリオール化合物;
(c)約1mM~約6mMの酢酸アルカリ金属塩;及び
(d)水
を含有するキレート剤の無い水性の眼用溶液の形態であって;
4.5~5.5の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記形態である、
請求項118に記載の方法。
【請求項125】
前記少なくとも1つのポリオールが、マンニトールである、請求項123または124に記載の方法。
【請求項126】
前記溶液が、4%(w/v)のマンニトールを含有する、請求項123または124に記載の方法。
【請求項127】
前記酢酸アルカリ金属塩が、酢酸ナトリウムである、請求項123~126のいずれか1項に記載の方法。
【請求項128】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、
(a)約0.25%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;
(b)約3%(w/v)~約5%(w/v)のマンニトール;
(c)約1mM~約6mMの酢酸ナトリウム;
及び
(d)水
を含有する水性の眼用溶液の形態であって;
4.5~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤である任意の追加の構成要素を含有しない、前記形態である、
請求項118に記載の方法。
【請求項129】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、(a)約1%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約4%(w/v)のマンニトール;(c)約3mMの酢酸ナトリウムを含むバッファー;及び(d)水を含む水性の眼用溶液の形態であって;4.5~5.5の範囲のpHを有し、キレート剤である任意の追加の構成要素を含有しない、前記形態である、請求項118に記載の方法。
【請求項130】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、約0.1mg~約2.0mgのフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含有する、請求項1~118のいずれか1項に記載の方法。
【請求項131】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、約0.5mg~約1.0mgのフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含有する、請求項1~118のいずれか1項に記載の方法。
【請求項132】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、約0.1mg~約2.0mgのメシル酸フェントラミンを含有する、請求項1~129のいずれか1項に記載の方法。
【請求項133】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、約0.3mg~約0.7mgのメシル酸フェントラミンを含有する、請求項1~129のいずれか1項に記載の方法。
【請求項134】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、約0.3mg~約0.6mgのメシル酸フェントラミンを含有する、請求項1~129のいずれか1項に記載の方法。
【請求項135】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、約0.3mg~約0.4mgのメシル酸フェントラミンを含有する、請求項1~129のいずれか1項に記載の方法。
【請求項136】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、約0.3mgのメシル酸フェントラミンを含有する、請求項1~129のいずれか1項に記載の方法。
【請求項137】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、約0.5mgのメシル酸フェントラミンを含有する、請求項1~129のいずれか1項に記載の方法。
【請求項138】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、約0.5mg~約0.7mgのメシル酸フェントラミンを含有する、請求項1~129のいずれか1項に記載の方法。
【請求項139】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、約0.6mg~約0.7mgのメシル酸フェントラミンを含有する、請求項1~129のいずれか1項に記載の方法。
【請求項140】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、約0.6mgのメシル酸フェントラミンを含有する、請求項1~129のいずれか1項に記載の方法。
【請求項141】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、約0.8mg~約1.2mgのメシル酸フェントラミンを含有する、請求項1~129のいずれか1項に記載の方法。
【請求項142】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの前記投薬が、約1mgのメシル酸フェントラミンを含有する、請求項1~129のいずれか1項に記載の方法。
【請求項143】
前記α-アドレナリン作動性アンタゴニストが、点眼の形態で前記患者の前記眼へ局所投与される、請求項1~142のいずれか1項に記載の方法。
【請求項144】
前記患者が、前記方法に起因して、前記眼における眼内圧の少なくとも10%の低減を経験する、請求項1~143のいずれか1項に記載の方法。
【請求項145】
前記患者が、前記方法に起因して、前記眼における眼内圧の少なくとも20%の低減を経験する、請求項1~143のいずれか1項に記載の方法。
【請求項146】
前記患者が、前記方法に起因して、前記眼における眼内圧の少なくとも30%の低減を経験する、請求項1~143のいずれか1項に記載の方法。
【請求項147】
前記患者が、前記方法に起因して、前記眼における眼内圧の少なくとも40%の低減を経験する、請求項1~143のいずれか1項に記載の方法。
【請求項148】
前記患者が、前記方法に起因して、前記眼における眼内圧の少なくとも50%の低減を経験する、請求項1~143のいずれか1項に記載の方法。
【請求項149】
前記患者が、前記方法に起因して、前記眼における眼内圧の少なくとも5mmHgの低減を経験する、請求項1~148のいずれか1項に記載の方法。
【請求項150】
前記患者が、前記方法に起因して、前記眼における眼内圧の少なくとも10mmHgの低減を経験する、請求項1~148のいずれか1項に記載の方法。
【請求項151】
前記患者が、前記方法に起因して、前記眼における眼内圧の少なくとも15mmHgの低減を経験する、請求項1~148のいずれか1項に記載の方法。
【請求項152】
前記患者が、前記方法に起因して、前記眼における眼内圧の少なくとも20mmHgの低減を経験する、請求項1~148のいずれか1項に記載の方法。
【請求項153】
前記眼内圧の低減が、少なくとも6時間の継続期間で持続する、請求項144~152のいずれか1項に記載の方法。
【請求項154】
前記眼内圧の低減が、少なくとも12時間の継続期間で持続する、請求項144~152のいずれか1項に記載の方法。
【請求項155】
前記眼内圧の低減が、少なくとも24時間の継続期間で持続する、請求項144~152のいずれか1項に記載の方法。
【請求項156】
前記患者の眼が、前記方法が遂行される前に、約25mmHg超の眼内圧を有する、請求項1~155のいずれか1項に記載の方法。
【請求項157】
前記患者の眼が、前記方法が遂行される前に、約30mmHg超の眼内圧を有する、請求項1~155のいずれか1項に記載の方法。
【請求項158】
前記患者の眼が、前記方法が遂行される前に、約40mmHg超の眼内圧を有する、請求項1~155のいずれか1項に記載の方法。
【請求項159】
治療を開始する前記患者が、約20mmHg~約50mmHgの範囲の眼内圧を有すると特徴付けられる、請求項1~155のいずれか1項に記載の方法。
【請求項160】
治療を開始する前記患者が、約30mmHg~約50mmHgの範囲の眼内圧を有すると特徴付けられる、請求項1~155のいずれか1項に記載の方法。
【請求項161】
治療を開始する前記患者が、約25mmHg~約30mmHgの範囲の眼内圧を有すると特徴付けられる、請求項1~155のいずれか1項に記載の方法。
【請求項162】
前記α-アドレナリン作動性アンタゴニスト及び任意のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、前記患者の前記眼へ同時に投与される、請求項1~161のいずれか1項に記載の方法。
【請求項163】
前記α-アドレナリン作動性アンタゴニスト及び任意のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストが、前記患者の前記眼へ別々に投与される、請求項1~161のいずれか1項に記載の方法。
【請求項164】
眼充血を低減する薬剤を、前記患者の前記眼へ局所投与することをさらに含む、請求項1~163のいずれか1項に記載の方法。
【請求項165】
ブリモニジンまたはその薬学的に許容される塩を、前記患者の前記眼へ局所投与することをさらに含む、請求項1~163のいずれか1項に記載の方法。
【請求項166】
酒石酸ブリモニジンを、前記患者の前記眼へ局所投与することをさらに含む、請求項1~163のいずれか1項に記載の方法。
【請求項167】
約0.025%(w/w)の酒石酸ブリモニジンを含む眼用溶液を、前記患者の前記眼へ局所投与することをさらに含む、請求項1~163のいずれか1項に記載の方法。
【請求項168】
前記患者がヒトである、請求項1~167のいずれか1項に記載の方法。
【請求項169】
前記患者の眼が狭隅角を有する、請求項1~168のいずれか1項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、2021年4月23日に出願された米国仮特許出願シリアル番号63/178,578の利益及び優先権を主張し、その内容は、参照することによってその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本発明は、散瞳、緑内障、及び他の眼の病態を患う患者を治療するための、α-アドレナリン作動性アンタゴニスト(フェントラミン等)を含有する方法、組成物、及びキットを提供する。
【背景技術】
【0003】
散瞳は、多くの場合、疾患、外傷、または薬理剤のうちの1つまたは複数によって引き起こされる、異常に拡大した瞳孔によって特徴付けられる眼の障害である。薬理剤は、例えば眼の検査の一部として瞳孔拡大を引き起こすために眼へ投与される薬剤であり得る。代替的に、薬理剤は、他の理由で患者へ投与される薬剤であり得、患者へ単回投与される薬剤または複数の機会で投与される薬剤であり得る。散瞳の負の効果としては、光への過敏症、及び特に明るい環境での焦点を合わせられないことが挙げられ得る。散瞳のための既存の治療は、散瞳の原因に基づいて変動するが、すべての患者に有効ではない、及び/または所望されない特徴を有する。より良い治療が、散瞳のために必要とされる。
【0004】
緑内障は、多くの場合、網膜及び/または視神経に影響し、もし治療せずに放置されるならば失明を導き得る眼の疾患である。眼内圧の長期の上昇は、緑内障の多くの形態に共通の特徴である。かかる眼内圧の長期の上昇は、網膜及び視神経への不可逆的損傷をもたらし、進行性で永続的な視覚喪失をもたらし得る。眼内圧を低減する治療は、緑内障を患う患者へ利益を提供する。しかしながら、眼内圧を低減する既存の薬物治療は、すべての患者に有効ではない、及び/または所望されない副作用を有する。より良い治療が、緑内障のために必要とされる。
【0005】
薄明りの条件下での視覚能力の欠損は、患者の生活の質に対して重大な負の影響を有し、例えば夜間の自動車の運転能力に影響し得る。夜間視力の問題を経験する可能性の高い患者としては、夜間近視を患うもの、赤道部皮質白内障を有するもの、眼内レンズを挿入するために外科手術をしたもの、及び/またはレーシック手術を受けたものが挙げられる。夜間視力不良の例示的な症状としては、グレア、ハロー、スターバースト、ゴーストパターン、及び/または奥行き感覚の不良が挙げられる。薄明りの条件下での患者視覚能力を改善するためには、治療が必要である。
【0006】
本発明は、散瞳、緑内障及び他の眼の病態を患う患者を治療する方法及び組成物のための前述の必要性に対処し、本発明は、他の関連する利点を提供する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、散瞳、緑内障、及び他の眼の病態を患う患者を治療するための、α-アドレナリン作動性アンタゴニスト(フェントラミン等)を含有する方法、組成物、及びキットを提供する。α-アドレナリン作動性アンタゴニスト(フェントラミン等)は、好ましくは水性液体の眼用製剤の形態で患者の眼へ局所投与される。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト(ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩等)は、患者の眼へ局所投与される。本発明の例示的な態様及び実施形態は、下で記載される。
【0008】
本発明の一態様は、患者における散瞳を治療する方法を提供する。方法は、ある投薬量のα-アドレナリン作動性アンタゴニスト及びある投薬量のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、それらによって散瞳を治療するのに有効な量で、それらを必要とする患者の眼へ投与することを含む。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、メシル酸フェントラミンである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、塩酸ピロカルピンである。
【0009】
本発明の別の態様は、閉塞隅角緑内障発作のリスクを低減しながら、緑内障を患う患者における散瞳を治療する方法を提供する。方法は、ある投薬量のα-アドレナリン作動性アンタゴニストを、それによって散瞳を治療し、閉塞隅角緑内障発作のリスクを低減するのに有効な量で、それを必要とする患者の眼へ投与することを含む。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、メシル酸フェントラミンである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、塩酸ピロカルピンである。
【0010】
本発明の別の態様は、患者における薄明りの条件下の視覚能力を改善する方法を提供する。方法は、ある投薬量のα-アドレナリン作動性アンタゴニスト及びある投薬量のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、それらによって薄明りの条件下の視覚能力を改善するのに有効な量で、それらを必要とする患者の眼へ投与することを含む。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、メシル酸フェントラミンである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、塩酸ピロカルピンである。
【0011】
本発明の別の態様は、患者における薄明りの条件下の瞳孔径を低減する方法を提供する。方法は、ある投薬量のα-アドレナリン作動性アンタゴニスト及びある投薬量のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、それらによって薄明りの条件下の瞳孔径を低減するのに有効な量で、それらを必要とする患者の眼へ投与することを含む。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、メシル酸フェントラミンである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、塩酸ピロカルピンである。
【0012】
本発明の別の態様は、薄明りの条件下の患者の眼における散乱光線の異常な焦点を低減する方法を提供する。方法は、ある投薬量のα-アドレナリン作動性アンタゴニスト及びある投薬量のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、それらによって薄明りの条件下の患者の眼における散乱光線の異常な焦点を低減するのに有効な量で、それらを必要とする患者の眼へ投与することを含む。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、メシル酸フェントラミンである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、塩酸ピロカルピンである。
【0013】
本発明の別の態様は、患者における急性閉塞隅角緑内障を治療する方法を提供する。方法は、ある投薬量の、フェントラミンまたはその薬学的に許容される塩から選択されるα-アドレナリン作動性アンタゴニストを、急性閉塞隅角緑内障を治療するのに有効な量で、それを必要とする患者の眼へ投与することを含む。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、メシル酸フェントラミンである。ある特定の実施形態において、方法は、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、患者の眼へ投与することをさらに含む。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、塩酸ピロカルピンである。
【0014】
本発明の別の態様は、患者における閉塞隅角緑内障を予防する方法を提供する。方法は、ある投薬量の、フェントラミンまたはその薬学的に許容される塩から選択されるα-アドレナリン作動性アンタゴニストを、閉塞隅角緑内障を予防するのに有効な量で、それを必要とする患者の眼へ投与することを含む。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、メシル酸フェントラミンである。ある特定の実施形態において、方法は、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、患者の眼へ投与することをさらに含む。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、塩酸ピロカルピンである。
【0015】
本発明の別の態様は、患者における狭隅角発作を治療または予防する方法を提供する。方法は、ある投薬量の、フェントラミンまたはその薬学的に許容される塩から選択されるα-アドレナリン作動性アンタゴニストを、狭隅角発作を治療または予防するのに有効な量で、それを必要とする患者の眼へ投与することを含む。ある特定の実施形態において、患者の眼は、狭隅角を有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、メシル酸フェントラミンである。ある特定の実施形態において、方法は、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、患者の眼へ投与することをさらに含む。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、塩酸ピロカルピンである。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】(1)CCLRU充血グレーディングスケール、及び(2)NYX-001充血グレーディングスケールに従って測定される例示的な眼充血を表す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明は、散瞳、緑内障、及び他の眼の病態を患う患者を治療するための、α-アドレナリン作動性アンタゴニスト(フェントラミン等)を含有する方法、組成物、及びキットを提供する。α-アドレナリン作動性アンタゴニスト(フェントラミン等)は、好ましくは水性液体の眼用製剤の形態で患者の眼へ局所投与される。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト(ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩等)は、患者の眼へ局所投与される。本発明の様々な態様がセクション中で下で記載されるが、1つの特定のセクションにおいて記載される本発明の態様は、任意の特定のセクションへ限定されるものではない。
【0018】
定義
本発明の理解を容易にするために、多数の用語及び語句を以下で定義する。
【0019】
「a」、「an」、及び「the」という用語は、本明細書において使用される時、文脈が不適切でなければ、「1つまたは複数の」を意味し、複数を包含する。
【0020】
本明細書において使用される時、「患者」という用語は、本発明の方法によって治療される生物体を指す。かかる生物体としては、好ましくは哺乳動物(例えばマウス、サル、ウマ、ウシ、ブタ、イヌ、ネコ及び同種のもの)が挙げられるがこれらに限定されず、最も好ましくはヒトが挙げられる。
【0021】
本明細書において使用される時、「有効量」という用語は、有益なまたは所望される結果を達成するのに十分な化合物の量を指す。別段の定めのない限り、有効量は、1回または複数回の投与、適用、または投薬量で投与され得、特定の製剤または投与経路に限定されることは意図されない。本明細書において使用される時、「治療すること」という用語は、病態、疾患、障害、及び同種のものの改善、またはそれらの症状の軽快をもたらす任意の効果(例えば軽減、低減、調節、軽快、または消失)を包含する。
【0022】
本明細書において使用される時、「医薬組成物」という用語は、活性薬剤と、不活性担体または活性担体との組み合わせを指し、当該組み合わせは、組成物を、インビボまたはエクスビボの治療の使用のために特に好適にする。
【0023】
本明細書において使用される時、「薬学的に許容される担体」という用語は、リン酸緩衝食塩水溶液、水、エマルション(例えば油/水エマルションまたは水/油エマルション等)、及び様々なタイプの湿潤剤等の標準的な薬学的担体のうちの任意のものを指す。組成物は、安定化物質及び防腐物質も含み得る。担体、安定剤、及びアジュバントの例については、Remington’s Pharmaceutical Sciences,15th Ed.,Mack Publ.Co.,Easton,PA[1975]中のMartinを参照されたい。
【0024】
本明細書において使用される時、「薬学的に許容される塩」という用語は、対象への投与に際して、本発明の化合物を提供することが可能な、本発明の化合物の任意の薬学的に許容される塩(例えば酸または塩基)を指す。当業者に公知であるように、本発明の化合物の「塩」は、無機酸または有機酸及び無機塩基または有機塩基に由来し得る。酸の例としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、過塩素酸、フマル酸、マレイン酸、リン酸、グリコール酸、乳酸、サリチル酸、コハク酸、トルエン-p-スルホン酸、酒石酸、酢酸、クエン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、安息香酸、マロン酸、ナフタレン-2-スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、及び同種のものが挙げられるがこれらに限定されない。他の酸(シュウ酸等)は、それら自体は薬学的に許容されないが、本発明の化合物及びそれらの薬学的に許容される酸付加塩を得る際の中間体として有用な塩の調製において用いられ得る。
【0025】
塩基の例としては、アルカリ金属(例えばナトリウム)水酸化物、アルカリ土類金属(例えばマグネシウム)水酸化物、アンモニア、及び式NW3の化合物(式中、Wは、C1-4アルキルである)、ならびに同種のものが挙げられるがこれらに限定されない。
【0026】
塩の例としては、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、樟脳酸塩、樟脳スルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホネート、フマル酸塩、フルコヘプタン酸塩(flucoheptanoate)、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2-ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、2-ナフタレンスルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パルモ酸塩(palmoate)、ペクチン酸塩、過硫酸塩、フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、ウンデカン酸塩、及び同種のものが挙げられるがこれらに限定されない。塩の他の例としては、Na+、NH4
+、及びNW4
+(式中、Wは、C1-4アルキル基である)等の好適な陽イオン、ならびに同種のものと化合された本発明の化合物の陰イオンが挙げられる。
【0027】
治療使用のために、本発明の化合物の塩は、薬学的に許容されるものとして企図される。しかしながら、薬学的に許容されない酸及び塩基の塩も、例えば薬学的に許容される化合物の調製または精製における用途が見出され得る。
【0028】
「アルカン酸塩」という用語は当技術分野で認められており、アルキル-C(O)O-を指す。
【0029】
「アルキル」という用語は、当技術分野で認められており、飽和脂肪族基を包含し、当該飽和脂肪族基としては、直鎖アルキル基、分岐鎖アルキル基、シクロアルキル(脂環式)基、アルキル置換シクロアルキル基、及びシクロアルキル置換アルキル基が挙げられる。ある特定の実施形態において、直鎖アルキルまたは分岐鎖アルキルは、骨格中に、約30以下の炭素原子(例えば直鎖についてC1-C30、分岐鎖についてC3-C30)、及び代替的に20以下の炭素原子を有する。同様に、シクロアルキルは、環状構造中に約3~約10の炭素原子、及び代替的に環状構造中に約5、6、または7の炭素を有する。
【0030】
「約」という用語は、明示された値の±10%以内を指す。本発明は、値が明示された値の±9%、±8%、±7%、±6%、±5%、±4%、±3%、±2%、または±1%以内である実施形態を網羅する。
【0031】
本明細書を通して、組成物及びキットが、具体的な構成要素を有するか、含む(including)か、もしくは含む(comprising)として記載される場合に、またはプロセス及び方法が具体的なステップを有するか、含む(including)か、もしくは含む(comprising)として記載される場合に、追加で、列挙された構成要素から本質的になるかまたはそれらからなる本発明の組成物及びキットがあること、及び列挙されたプロセシングステップから本質的になるかまたはそれらからなる本発明に従うプロセス及び方法があることが企図される。
【0032】
一般的な事項として、パーセンテージを指定する組成物は、別段の定めのない限り、重量当たりである。さらに、変数に定義が伴わないならば、その時は変数の以前の定義が優先する。
【0033】
I.治療方法
本発明は、α-アドレナリン作動性アンタゴニスト(フェントラミン等)を患者の眼へ投与することによって、散瞳、緑内障、及び他の眼の病態を患う患者を治療する方法を提供する。α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、好ましくは水性液体の眼用製剤の形態で患者の眼へ局所投与される。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト(ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩等)は、患者の眼へ局所投与される。治療方法の様々な態様及び実施形態は、以下のセクション中で記載される。これらのセクションは便宜上配置され、1つのセクション中の情報はそのセクションに限定されるものではないが、他のセクション中の方法へ適用され得る。
【0034】
A.第1の方法
本発明の一態様は、患者における散瞳を治療する方法を提供する。方法は、ある投薬量のα-アドレナリン作動性アンタゴニスト及びある投薬量のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、それらによって散瞳を治療するのに有効な量で、それらを必要とする患者の眼へ投与することを含む。
【0035】
ある特定の実施形態において、患者は、緑内障を患う。ある特定の実施形態において、患者は、緑内障を患い、狭隅角を有する。緑内障の文脈において、隅角という用語は、角膜及び虹彩によって形成され、そこを通して眼液が流動するドレナージ領域(隅角と称される)を指す。狭隅角は、隅角を介する眼液の流れが部分的に閉塞する状況を指す。
【0036】
ある特定の実施形態において、方法は、患者における狭隅角発作のリスクを低減する。
【0037】
ある特定の実施形態において、方法は、閉塞隅角発作のリスクを低減する。
【0038】
方法は、投薬レジメン及びα-アドレナリン作動性アンタゴニストの同一性、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの同一性、ならびに上記のものの投薬量等の追加の特色によってさらに特徴付けられ得る。本発明は、これらの特色のすべての順列及び組み合わせを包含する。
【0039】
B.第2の方法
本発明の一態様は、閉塞隅角緑内障発作のリスクを低減しながら、緑内障を患う患者における散瞳を治療する方法を提供する。方法は、ある投薬量のα-アドレナリン作動性アンタゴニストを、それによって散瞳を治療し、閉塞隅角緑内障発作のリスクを低減するのに有効な量で、それを必要とする患者の眼へ投与することを含む。
【0040】
ある特定の実施形態において、患者は、緑内障を患い、狭隅角を有する。
【0041】
ある特定の実施形態において、方法は、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、それを必要とする患者の眼へ投与することをさらに含む。
【0042】
方法は、投薬レジメン及びα-アドレナリン作動性アンタゴニストの同一性、任意のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの同一性、ならびに上記のものの投薬量等の追加の特色によってさらに特徴付けられ得る。本発明は、これらの特色のすべての順列及び組み合わせを包含する。
【0043】
C.第3の方法
本発明の一態様は、患者における薄明りの条件下の視覚能力を改善する方法を提供する。方法は、ある投薬量のα-アドレナリン作動性アンタゴニスト及びある投薬量のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、それらによって薄明りの条件下の視覚能力を改善するのに有効な量で、それらを必要とする患者の眼へ投与することを含む。
【0044】
ある特定の実施形態において、方法によって提供される視覚能力の改善は、視力の改善である。ある特定の実施形態において、方法は、スネレン視力表を使用して測定される患者の視力の少なくとも1ラインの改善によって特徴付けられる視力の改善をもたらす。ある特定の実施形態において、方法は、スネレン視力表を使用して測定される患者の視力の少なくとも2ラインの改善によって特徴付けられる視力の改善をもたらす。
【0045】
ある特定の実施形態において、方法によって提供される視覚能力の改善は、コントラスト感度の改善である。治療方法によって提供される利益は、患者のコントラスト感度の改善に従って特徴付けられ得る。例えば、ある特定の実施形態において、コントラスト感度の改善は、ホラデイ自動化コントラスト感度システムを使用して薄明視条件下で測定されて、少なくとも10%(または20%、30%、50%、60%、もしくは70%)の改善である。ある特定の実施形態において、コントラスト感度の改善は、ホラデイ自動化コントラスト感度システムを使用して明所視条件下で測定されて、少なくとも10%(または20%、30%、50%、60%、もしくは70%)の改善である。ある特定の他の実施形態において、コントラスト感度の改善は、ホラデイ自動化コントラスト感度システムを使用して薄明視条件または暗所視条件下で測定されて、少なくとも10%(または20%、30%、50%、60%、もしくは70%)の改善である。
【0046】
ある特定の他の実施形態において、方法によって提供される視覚能力の改善は、(i)視力の改善及び(ii)コントラスト感度の改善の両方である。
【0047】
方法は、投薬レジメン及びα-アドレナリン作動性アンタゴニストの同一性、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの同一性、ならびに上記のものの投薬量等の追加の特色によってさらに特徴付けられ得る。本発明は、これらの特色のすべての順列及び組み合わせを包含する。
【0048】
D.第4の方法
本発明の一態様は、患者における薄明りの条件下の瞳孔径を低減する方法を提供する。方法は、ある投薬量のα-アドレナリン作動性アンタゴニスト及びある投薬量のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、それらによって薄明りの条件下の瞳孔径を低減するのに有効な量で、それらを必要とする患者の眼へ投与することを含む。
【0049】
ある特定の実施形態において、方法は、薄明りの条件下の瞳孔径の少なくとも20%の低減をもたらす。ある特定の実施形態において、方法は、薄明りの条件下の瞳孔径の少なくとも30%の低減をもたらす。ある特定の実施形態において、方法は、薄明りの条件下の瞳孔径の少なくとも35%の低減をもたらす。
【0050】
方法は、投薬レジメン及びα-アドレナリン作動性アンタゴニストの同一性、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの同一性、ならびに上記のものの投薬量等の追加の特色によってさらに特徴付けられ得る。本発明は、これらの特色のすべての順列及び組み合わせを包含する。
【0051】
E.第5の方法
本発明の一態様は、薄明りの条件下の患者の眼における散乱光線の異常な焦点を低減する方法を提供する。方法は、ある投薬量のα-アドレナリン作動性アンタゴニスト及びある投薬量のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、それらによって薄明りの条件下の患者の眼における散乱光線の異常な焦点を低減するのに有効な量で、それらを必要とする患者の眼へ投与することを含む。
【0052】
ある特定の実施形態において、方法は、薄明りの条件下の患者の眼における散乱光線の異常な焦点を少なくとも3時間低減する。ある特定の実施形態において、方法は、薄明りの条件下の患者の眼における散乱光線の異常な焦点を少なくとも6時間低減する。ある特定の実施形態において、方法は、薄明りの条件下の患者の眼における散乱光線の異常な焦点を少なくとも12時間低減する。ある特定の実施形態において、方法は、薄明りの条件下の患者の眼における散乱光線の異常な焦点を少なくとも24時間低減する。
【0053】
方法は、投薬レジメン及びα-アドレナリン作動性アンタゴニストの同一性、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの同一性、ならびに上記のものの投薬量等の追加の特色によってさらに特徴付けられ得る。本発明は、これらの特色のすべての順列及び組み合わせを包含する。
【0054】
F.第6の方法
本発明の一態様は、患者における急性閉塞隅角緑内障を治療する方法であって、ある投薬量の、フェントラミンまたはその薬学的に許容される塩から選択されるα-アドレナリン作動性アンタゴニストを、急性閉塞隅角緑内障を治療するのに有効な量で、それを必要とする患者の眼へ投与することを含む、前記方法を提供する。
【0055】
ある特定の実施形態において、患者は、重度の眼痛、充血した眼、視力の低減、及びかすみ目からなる群から選択される少なくとも2つ病態を提示する。
【0056】
ある特定の実施形態において、方法は、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、患者の眼へ投与することをさらに含む。
【0057】
方法は、投薬レジメン及びα-アドレナリン作動性アンタゴニストの同一性、任意のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの同一性、ならびに上記のものの投薬量等の追加の特色によってさらに特徴付けられ得る。本発明は、これらの特色のすべての順列及び組み合わせを包含する。
【0058】
G.第7の方法
本発明の一態様は、患者における閉塞隅角緑内障を予防する方法を提供する。方法は、ある投薬量の、フェントラミンまたはその薬学的に許容される塩から選択されるα-アドレナリン作動性アンタゴニストを、閉塞隅角緑内障を予防するのに有効な量で、それを必要とする患者の眼へ投与することを含む。
【0059】
ある特定の実施形態において、閉塞隅角緑内障は、急性閉塞隅角緑内障である。
【0060】
ある特定の実施形態において、方法は、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、患者の眼へ投与することをさらに含む。
【0061】
方法は、投薬レジメンに従ってさらに特徴付けられ得る。例えば、ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、少なくとも3日間連続して投与される。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、少なくとも7日間連続して投与される。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、少なくとも14日間連続して投与される。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、5日間の期間中の少なくとも3日間で投与される。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、7日間の期間中の少なくとも3日間で投与される。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、3日間の期間中の1日間で投与される。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、5日間の期間中の1日間で投与される。
【0062】
方法は、投薬レジメン及びα-アドレナリン作動性アンタゴニストの同一性、任意のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの同一性、ならびに上記のものの投薬量等の追加の特色によってさらに特徴付けられ得る。本発明は、これらの特色のすべての順列及び組み合わせを包含する。
【0063】
H.第8の方法
本発明の一態様は、患者における狭隅角発作を治療または予防する方法を提供する。方法は、ある投薬量の、フェントラミンまたはその薬学的に許容される塩から選択されるα-アドレナリン作動性アンタゴニストを、狭隅角発作を治療または予防するのに有効な量で、それを必要とする患者の眼へ投与することを含む。
【0064】
ある特定の実施形態において、方法は、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを、患者の眼へ投与することをさらに含む。
【0065】
方法は、投薬レジメンに従ってさらに特徴付けられ得る。例えば、ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、少なくとも3日間連続して投与される。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、少なくとも7日間連続して投与される。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、少なくとも14日間連続して投与される。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、5日間の期間中の少なくとも3日間で投与される。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、7日間の期間中の少なくとも3日間で投与される。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、3日間の期間中の1日間で投与される。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、5日間の期間中の1日間で投与される。
【0066】
方法は、投薬レジメン及びα-アドレナリン作動性アンタゴニストの同一性、任意のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの同一性、ならびに上記のものの投薬量等の追加の特色によってさらに特徴付けられ得る。本発明は、これらの特色のすべての順列及び組み合わせを包含する。
I.第1及び第2の治療方法の追加の特色
【0067】
第1及び第2の治療方法は、例えば散瞳の型に従ってさらに特徴付けられ得る。ある特定の実施形態において、散瞳は、薬理学的に誘導された散瞳である。ある特定の実施形態において、散瞳は、患者が、アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、フルビプロフェン(flubiprofen)、スプロフェン、ハイドロキシアンフェタミン、フェニレフリン、ケトロラク、またはそれらの薬学的に許容される塩のうちの1つまたは複数を受けたことに起因する。ある特定の実施形態において、散瞳は、患者が、アトロピン、シクロペントレート、ホマトロピン、スコポラミン、トロピカミド、またはそれらの薬学的に許容される塩のうちの1つまたは複数を受けたことに起因する。ある特定の実施形態において、散瞳は、患者が、トロピカミド、フェニレフリン、またはそれらの薬学的に許容される塩のうちの1つまたは複数を受けたことに起因する。
【0068】
J.第1、第2、第6、第7、及び第8の治療方法の追加の特色
第1、第2、第6、第7、及び第8の治療方法は、例えば患者の視覚能力の改善、瞳孔径の低減、及び/または患者の眼における散乱光線の異常な焦点の低減に従ってさらに特徴付けられ得る。
【0069】
視覚能力の改善
治療方法の1つの利益は、患者が視覚能力の改善を経験し得るということでもある。視覚能力は、患者の全体的な視力の質に属し、明瞭に見えるという患者の能力、そして物体とその背景との間を区別する能力を包含する。
【0070】
視覚能力の一態様は、視力である。視力は、明瞭に見えるという患者の能力の測定である。視力は、例えばスネレン視力表を使用して測定され得る。さらに、視力測定は、暗所視条件、薄明視条件、及び/または明所視条件下で行われ得る。
【0071】
視覚能力の別の態様は、コントラスト感度である。コントラスト感度は、物体とその背景との間を区別する患者の能力の測定である。コントラスト感度は、例えばホラデイの自動化コントラスト感度システムを使用して測定され得る。コントラスト感度は、様々な光条件下で測定され得、当該条件としては、例えば明所視条件、薄明視条件及び暗所視条件、そして各々グレア無しまたは有りが挙げられる。ある特定の実施形態において、コントラスト感度は、グレア有りまたは無しのいずれかの薄明視条件下で測定される。
【0072】
ある特定の実施形態において、方法によって提供される視覚能力の改善は、視力の改善である。ある特定の実施形態において、方法によって提供される視覚能力の改善は、暗所視条件下の視力の改善である。ある特定の実施形態において、方法によって提供される視覚能力の改善は、薄明視条件下の視力の改善である。ある特定の実施形態において、方法によって提供される視覚能力の改善は、明所視条件下の視力の改善である。ある特定の実施形態において、視力の改善は、スネレン視力表を使用して測定される患者の視力の2ラインの改善である。ある特定の他の実施形態において、視力の改善は、スネレン視力表を使用して測定される患者の視力の1ラインの改善である。
【0073】
ある特定の実施形態において、方法によって提供される視覚能力の改善は、コントラスト感度の改善である。コントラスト感度の改善は、様々な光条件(明所視条件、薄明視条件、及び暗所視条件等)下で測定され得る。ある特定の実施形態において、方法によって提供される視覚能力の改善は、明所視条件下のコントラスト感度の改善である。ある特定の実施形態において、方法によって提供される視覚能力の改善は、薄明視条件下のコントラスト感度の改善である。ある特定の実施形態において、方法によって提供される視覚能力の改善は、暗所視条件下のコントラスト感度の改善である。さらに、コントラスト感度は、グレアの存在またはグレアの非存在下において測定され得る。光条件及びグレアのすべての組み合わせが企図される。
【0074】
治療方法によって提供される利益は、患者のコントラスト感度の改善に従って特徴付けられ得る。例えば、ある特定の実施形態において、コントラスト感度の改善は、ホラデイ自動化コントラスト感度システムを使用して薄明視条件下で測定されて、少なくとも10%(または20%、30%、50%、60%、もしくは70%)の改善である。ある特定の実施形態において、コントラスト感度の改善は、ホラデイ自動化コントラスト感度システムを使用して明所視条件下で測定されて、少なくとも10%(または20%、30%、50%、60%、もしくは70%)の改善である。ある特定の他の実施形態において、コントラスト感度の改善は、ホラデイ自動化コントラスト感度システムを使用して薄明視条件または暗所視条件下で測定されて、少なくとも10%(または20%、30%、50%、60%、もしくは70%)の改善である。
【0075】
ある特定の他の実施形態において、方法によって提供される視覚能力の改善は、(i)視力の改善(暗所視条件、薄明視条件、及び/または明所視条件下等)及び(ii)コントラスト感度の改善(暗所視条件、薄明視条件、及び/または明所視条件下等)の両方である。
【0076】
ある特定の実施形態において、視覚能力の改善は、近くでの視覚能力の改善である。ある特定の実施形態において、視覚能力の改善は、離れた距離での視覚能力の改善である。ある特定の実施形態において、視覚能力の改善は、弱光条件下の視覚能力の改善である。ある特定の実施形態において、視覚能力の改善は、視力の改善である。ある特定の実施形態において、視覚能力の改善は、コントラスト感度の改善である。ある特定の実施形態において、方法は、患者の眼における瞳孔径の少なくとも10%の低減を提供する。ある特定の実施形態において、方法は、患者の眼における瞳孔径の少なくとも15%の低減を提供する。ある特定の実施形態において、方法は、患者の眼における瞳孔径の少なくとも20%の低減を提供する。ある特定の実施形態において、方法は、患者の眼における瞳孔径の少なくとも25%の低減を提供する。ある特定の実施形態において、方法は、患者の眼における瞳孔径の少なくとも30%の低減を提供する。
【0077】
瞳孔径の低減
治療方法の1つの利益は、患者が瞳孔径の低減を経験し得るということでもある。瞳孔径の低減は、視覚能力における改善をもたらし得る。
【0078】
瞳孔径の低減は、例えばある特定の光条件下で測定された瞳孔の瞳孔径及びサイズのパーセント低減に従って特徴付けられ得る。したがって、ある特定の実施形態において、薄明視条件下の瞳孔径における低減は、同じ薄明視条件下の患者の瞳孔径であるが方法によって定義される治療法を受けていないものに比較して、少なくとも5%である。ある特定の他の実施形態において、薄明視条件下の瞳孔径における低減は、同じ薄明視条件下の患者の瞳孔径であるが方法によって定義される治療法を受けていないものに比較して、少なくとも10%である。ある特定の他の実施形態において、患者は、薄明視条件下で測定された場合に、同じ薄明視条件下の患者の瞳孔の直径であるが方法によって定義される治療法を受けていないものに比べて、少なくとも0.5mmの瞳孔径の低減を経験する。ある特定の他の実施形態において、患者は、薄明視条件下で測定された場合に、同じ薄明視条件下の患者の瞳孔の直径であるが方法によって定義される治療法を受けていないものに比べて、約0.6mm~約3mm、約0.6mm~約2.5mm、または約0.6mm~約2mmの範囲の瞳孔径の低減を経験する。ある特定の他の実施形態において、患者は、薄明視条件下で測定された場合に、同じ薄明視条件下の患者の瞳孔の直径であるが方法によって定義される治療法を受けていないものに比べて、約0.6mm~約1.2mmの範囲の瞳孔径の低減を経験する。さらに他の実施形態において、患者の瞳孔は、方法によって定義される治療法に起因して、薄明視条件下で約3mm~約5mm、約3mm~約6mm、約4mm~約5mm、約4mm~約6mm、または約4mm~約7mmの直径へ低減される。ある特定の実施形態において、患者の瞳孔は、方法によって定義される治療法に起因して、薄明視条件下で約4mm~約6mmの直径に低減される。
【0079】
ある特定の実施形態において、方法は、患者の眼における瞳孔径の少なくとも10%の低減を提供する。ある特定の実施形態において、方法は、患者の眼における瞳孔径の少なくとも15%の低減を提供する。ある特定の実施形態において、方法は、患者の眼における瞳孔径の少なくとも20%の低減を提供する。ある特定の実施形態において、方法は、患者の眼における瞳孔径の少なくとも25%の低減を提供する。ある特定の実施形態において、方法は、患者の眼における瞳孔径の少なくとも30%の低減を提供する。
【0080】
ある特定の実施形態において、方法は、薄明りの条件下で約2.5mm~約5.5mmの範囲の瞳孔径を達成する。ある特定の実施形態において、方法は、薄明りの条件下で約3mm~約5mmの範囲の瞳孔径を達成する。ある特定の実施形態において、方法は、薄明りの条件下で約3mm~約4.5mmの範囲の瞳孔径を達成する。
【0081】
患者の眼における散乱光線の異常な焦点の低減
治療方法の1つの利益は、患者が患者の眼における散乱光線の異常な焦点の低減を経験し得るということでもある。これは、患者の視覚能力の改善を提供し得る。ある特定の実施形態において、治療方法は、患者の眼における散乱光線の異常な焦点の低減を少なくとも20時間提供する。ある特定の実施形態において、治療方法は、患者の眼における散乱光線の異常な焦点の低減を少なくとも24時間提供する。さらに他の実施形態において、治療方法は、患者の眼における散乱光線の異常な焦点の低減を少なくとも36時間、48時間、60時間、または72時間提供する。
【0082】
K.治療方法についての一般的な考察
本明細書において記載される治療方法(例えば上記のパートA~J中で記載される方法)へ適用され得る一般的な考慮は、以下で提供され、当該考慮としては、例えばα-アドレナリン作動性アンタゴニストの同一性、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投与の頻度、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬量、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの同一性、眼充血の程度、方法に起因する眼における眼内圧の低減、眼内圧の低減の継続期間、及び治療方法からの特定の利益を導出し得る患者集団が挙げられる。かかる特色のより詳細な記載は、以下で提供される。本発明は、これらの特色のすべての順列及び組み合わせを包含する。
【0083】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの同一性
方法は、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの同一性に従ってさらに特徴付けられ得る。例えば、ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、フェントラミン、フェノキシベンザミン、トラゾリン、トラドゾン、アルフゾシン、ドキサゾシン、プラゾシン、タムスロシン、テラゾシン、シロドシン、アチパメゾール、イダゾキサン、ミルタザピン、ヨヒンビン、フェノルドパム、チモキサミン、または上記のもののうちの任意のものの薬学的に許容される塩である。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、フェントラミンまたはその薬学的に許容される塩である。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、フェントラミンの薬学的に許容される塩である。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、メシル酸フェントラミンである。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、メシル酸フェノルドパムである。
【0084】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、非選択的α-アドレナリン作動性アンタゴニストである。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、可逆的非選択的α-アドレナリン作動性アンタゴニストである。
【0085】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、ある特定のα-アドレナリン作動性受容体に向けたその活性に従って特徴付けられる。したがって、ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、α-1アドレナリン作動性受容体に向けたアンタゴニスト活性を有する。α-1アドレナリン作動性受容体に向けた活性は、活性がα-1アドレナリン作動性受容体サブタイプのうちの1つまたは複数(例えばα-1A、α-1B、及びα-1D)に向かってあるかどうかに従ってさらに特徴付けられ得る。したがって、ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、α-1Aアドレナリン作動性受容体に向けたアンタゴニスト活性を有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、α-1Bアドレナリン作動性受容体に向けたアンタゴニスト活性を有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、α-1Dアドレナリン作動性受容体に向けたアンタゴニスト活性を有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、α-1アドレナリン作動性受容体サブタイプの各々に向けたアンタゴニスト活性を有する。
【0086】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、α-2アドレナリン作動性受容体に向けたアンタゴニスト活性を有する。α-2アドレナリン作動性受容体に向けた活性は、活性がα-2アドレナリン作動性受容体サブタイプのうちの1つまたは複数(例えばα-2A、α-2B、及びα-2C)に向かってあるかどうかに従ってさらに特徴付けられ得る。したがって、ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、α-2Aアドレナリン作動性受容体に向けたアンタゴニスト活性を有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、α-2Bアドレナリン作動性受容体に向けたアンタゴニスト活性を有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、α-2Cアドレナリン作動性受容体に向けたアンタゴニスト活性を有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、α-2アドレナリン作動性受容体サブタイプの各々に向けたアンタゴニスト活性を有する。
【0087】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、(i)α-1アドレナリン作動性受容体vs(ii)α-2アドレナリン作動性受容体に向けたその活性に従って特徴付けられ得る。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、(i)α-1アドレナリン作動性受容体及び(ii)α-2アドレナリン作動性受容体の両方のアンタゴニスト活性を有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、(i)α-1アドレナリン作動性受容体であるが(ii)α-2アドレナリン作動性受容体ではないアンタゴニスト活性を有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、(i)α-2アドレナリン作動性受容体であるが(ii)α-1アドレナリン作動性受容体ではないアンタゴニスト活性を有する。ある特定の実施形態において、(i)α-1アドレナリン作動性受容体に向けたα-アドレナリン作動性アンタゴニストの阻害活性(例えばIC50値によって測定されるような)は、(ii)α-2アドレナリン作動性受容体に比較して、少なくとも10倍高い。ある特定の実施形態において、(i)α-2アドレナリン作動性受容体に向けたα-アドレナリン作動性アンタゴニストの阻害活性(例えばIC50値によって測定されるような)は、(ii)α-1アドレナリン作動性受容体に比較して、少なくとも10倍高い。
【0088】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投与の頻度
方法は、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投与の頻度に従ってさらに特徴付けられ得る。例えば、ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、1日あたり1回以下で眼へ投与される。
【0089】
α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬
方法は、α-アドレナリン作動性アンタゴニスト(例えばフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩)の投薬に従ってさらに特徴付けられ得る。例えば、ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、約0.1mg~約2.0mgのフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、約0.5mg~約1.0mgのフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含有する。ある特定の他の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、約0.1mg~約2.0mgのメシル酸フェントラミンを含有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、約0.3mg~約0.7mgのメシル酸フェントラミンを含有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、約0.5mgのメシル酸フェントラミンを含有する。ある特定の他の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、約0.8mg~約1.2mgのメシル酸フェントラミンを含有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、約1mgのメシル酸フェントラミンを含有する。
【0090】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、約0.3mg~約0.6mgのメシル酸フェントラミンを含有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、約0.3mg~約0.4mgのメシル酸フェントラミンを含有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、約0.3mgのメシル酸フェントラミンを含有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、約0.5mg~約0.7mgのメシル酸フェントラミンを含有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、約0.6mg~約0.7mgのメシル酸フェントラミンを含有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、約0.6mgのメシル酸フェントラミンを含有する。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、水性の薬学的に許容される担体及びフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含有する眼用溶液の形態である。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、水性の薬学的に許容される担体及びメシル酸フェントラミンを含有する眼用溶液の形態である。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、水性の薬学的に許容される担体及び約0.1%(w/v)~約2%(w/v)メシル酸フェントラミンを含有する眼用溶液の形態である。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、水、マンニトール、及びメシル酸フェントラミンを含有する眼用溶液の形態である。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、水、マンニトール、酢酸ナトリウム、及びメシル酸フェントラミンを含有する眼用溶液の形態である。
【0091】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬量は、1%w/wのメシル酸フェントラミンを含有する溶液の1滴の点眼である。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬量は、1%w/wのメシル酸フェントラミンを含有する溶液の2滴の点眼である。
【0092】
α-アドレナリン作動性アンタゴニスト(例えばフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩)の投薬は、望ましくは、眼用溶液の形態で患者の眼へ投与され、それは点眼の形態で眼へ送達される。標準的な点眼は、典型的には、約0.03mL~約0.05mLの溶液を含有する。
【0093】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、水性の眼用溶液の形態であり得る。例えば、ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、
(a)約0.1%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;
(b)約1%(w/v)~約6%(w/v)の、マンニトール、グリセロール、及びプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つのポリオール化合物;
(c)約1mM~約6mMの酢酸アルカリ金属塩;及び
(d)水
を含有するキレート剤の無い水性の眼用溶液であって;
4~6の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0094】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、
(a)約0.5%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;
(b)約1%(w/v)~約6%(w/v)の、マンニトール、グリセロール、及びプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つのポリオール化合物;
(c)約1mM~約6mMの酢酸アルカリ金属塩;及び
(d)水
を含有するキレート剤の無い水性の眼用溶液であって;
4.5~5.5の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0095】
ある特定の実施形態において、少なくとも1つのポリオールは、マンニトールである。ある特定の実施形態において、溶液は、4%(w/v)のマンニトールを含有する。ある特定の実施形態において、酢酸アルカリ金属塩は、酢酸ナトリウムである。ある特定の実施形態において、溶液は、3mMの酢酸ナトリウムを含む。
【0096】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、
(a)約0.25%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;
(b)約3%(w/v)~約5%(w/v)のマンニトール;
(c)約2mM~約4mMの酢酸ナトリウム;
及び
(d)水
を含有するキレート剤の無い水性の眼用溶液であって;
4.5~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0097】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、
(a)約0.5%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;
(b)約3%(w/v)~約5%(w/v)のマンニトール;
(c)約2mM~約4mMの酢酸ナトリウム;
及び
(d)水
を含有するキレート剤の無い水性の眼用溶液であって;
4.6~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0098】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、
(a)約0.5%(w/v)~約1%(w/v)のメシル酸フェントラミン;
(b)約4%のマンニトール;
(c)約3mMの酢酸ナトリウム;
及び
(d)水
を含有するキレート剤の無い水性の眼用溶液であって;
4.6~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0099】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、
(a)約0.25%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;
(b)約3%(w/v)~約5%(w/v)のマンニトール;
(c)約1mM~約6mMの酢酸ナトリウム;
及び
(d)水
を含有する水性の眼用溶液であって;
4.5~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤である任意の追加の構成要素を含有しない、前記溶液である。
【0100】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、
(a)約1%(w/v)のメシル酸フェントラミン;
(b)約3%(w/v)~約5%(w/v)のマンニトール;
(c)約2mM~約4mMの酢酸ナトリウムを含むバッファー;
及び
(d)水
を含有する水性の眼用溶液であって;
4.5~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤である任意の追加の構成要素を含有しない、前記溶液である。
【0101】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、
(a)約0.25%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;
(b)約3%(w/v)~約5%(w/v)のマンニトール;
(c)約2mM~約4mMの酢酸ナトリウム;
及び
(d)水
を含有する水性の眼用溶液であって;
4.5~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤である任意の追加の構成要素を含有しない、前記溶液である。
【0102】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、
(a)約0.5%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;
(b)約3%(w/v)~約5%(w/v)のマンニトール;
(c)約2mM~約4mMの酢酸ナトリウムを含むバッファー;
及び
(d)水
を含有する水性の眼用溶液であって;
4.6~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤である任意の追加の構成要素を含有しない、前記溶液である。
【0103】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、
(a)約0.5%(w/v)~約1%(w/v)のメシル酸フェントラミン;
(b)約4%のマンニトール;
(c)約3mMの酢酸ナトリウムを含むバッファー;
及び
(d)水
を含有する水性の眼用溶液であって;
4.6~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤である任意の追加の構成要素を含有しない、前記溶液である。
【0104】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、(a)約1%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約4%(w/v)のマンニトール;(c)約3mMの酢酸ナトリウムを含むバッファー;及び(d)水を含む水性の眼用溶液であって;4.5~5.5の範囲のpHを有し、キレート剤である任意の追加の構成要素を含有しない、前記溶液である。
【0105】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、(a)約1%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約4%(w/v)のマンニトール;(c)約3mMの酢酸ナトリウムを含むバッファー;及び(d)水を含むキレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4.0~7.5の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0106】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの同一性及び投薬量
方法は、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの同一性及び投薬量に従ってさらに特徴付けられ得る。例えば、ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピロカルピンまたはその薬学的に許容される塩である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、ピロカルピンの薬学的に許容される塩である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、塩酸ピロカルピンである。
【0107】
ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約2mg未満である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約1mg未満である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.5mg未満である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.25mg未満である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.1mg~約1.5mgである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.1mg~約1.0mgである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.1mg~約0.5mgである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.1mg~約0.3mgである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.2mg~約0.4mgである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.2mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.35mg、または約0.4mgである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.1mg、約0.15mg、約0.2mg、約0.25mg、約0.3mg、約0.35mg、または約0.4mgである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.1mg~約0.2mgである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.1mg~約0.15mgである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.05mg~約0.15mgである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.05mg~約0.3mgである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.3mg~約0.7mgである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.3mg~約0.8mgである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.2mg~約0.9mgである。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、約0.5mg、約0.6mg、約0.7mg、約0.8mg、または約0.9mgである。
【0108】
ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、0.4%w/wの塩酸ピロカルピンを含有する溶液の1滴の点眼である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、0.4%w/wの塩酸ピロカルピンを含有する溶液の2滴の点眼である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬量は、1.25%w/wの塩酸ピロカルピンを含有する溶液の1滴の点眼である。
【0109】
ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬は、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニスト、脂質、及び薬学的に許容される担体を含有する眼用溶液の形態で投与される。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、約0.1%(w/v)~約4%(w/v)の範囲の濃度で眼用溶液中に存在する。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、約0.1%(w/v)~約2%(w/v)の範囲の濃度で眼用溶液中に存在する。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、約0.1%(w/v)~約1%(w/v)の範囲の濃度で眼用溶液中に存在する。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、約0.2%(w/v)~約1%(w/v)の範囲の濃度で眼用溶液中に存在する。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、約0.1%(w/v)~約0.5%(w/v)の範囲の濃度で眼用溶液中に存在する。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、約0.4%(w/v)の濃度で眼用溶液中に存在する。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、約1%(w/v)~約1.5%(w/v)の範囲の濃度で眼用溶液中に存在する。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、約1.25%(w/v)の濃度で眼用溶液中に存在する。
【0110】
ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬は、点眼の形態で眼へ局所投与される。
【0111】
ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投薬は、1日あたり1回以下で眼へ投与される。
【0112】
ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの第2の投薬の投与
方法は、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの第2の投薬を患者へ任意選択で投与することに従ってさらに特徴付けられ得る。例えば、ある特定の実施形態において、方法は、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの第2の投薬を、患者の瞳孔の直径をさらに低減するのに有効な量で患者の眼へ局所投与することをさらに含む。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの第2の投薬は、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを約0.1%(w/v)~約1%(w/v)の濃度で含む眼用溶液である。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの第2の投薬は、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストを約0.1%(w/v)~約2%(w/v)の濃度で含む眼用溶液である。
【0113】
瞳孔径の低減
方法は、瞳孔径の低減の程度に従ってさらに特徴付けられ得る。例えば、ある特定の実施形態において、患者は、方法により明所視条件下で測定された場合に、瞳孔径の少なくとも1mmの低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法により明所視条件下で測定された場合に、瞳孔径の少なくとも2mmの低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法により明所視条件下で測定された場合に、瞳孔径の少なくとも3mmの低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法により明所視条件下で測定された場合に、約0.5mm~約5mmの範囲の瞳孔径の低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法により薄明視条件下で測定された場合に、瞳孔径の少なくとも1mmの低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法により薄明視条件下で測定された場合に、瞳孔径の少なくとも2mmの低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法により薄明視条件下で測定された場合に、瞳孔径の少なくとも3mmの低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法により薄明視条件下で測定された場合に、約0.5mm~約5mmの範囲の瞳孔径の低減を経験する。
【0114】
さらに他の実施形態において、患者の瞳孔は、方法によって定義される治療法に起因して、薄明りの条件下で約3mm~約5mm、約3mm~約6mm、約4mm~約5mm、約4mm~約6mm、または約4mm~約7mmの直径へ低減される。ある特定の実施形態において、患者の瞳孔は、方法によって定義される治療法に起因して、薄明りの条件下で約4mm~約6mmの直径に低減される。
【0115】
眼充血の程度
方法は、患者が経験する眼充血の程度に従ってさらに特徴付けられ得る。眼充血の程度は、University of New South WalesのSchool of Optometryによって開発されたCornea and Contact Lens Research Unit(CCLRU)充血グレーディングスケール等の、文献中で記載される手順を使用して、評価及び特徴付けられ得る。例えばTerry et al.in Optom.Vis.Sci.(1993)vol.70,pages 234-243;及びPult et al.in Ophthal.Physiol.Opt.(2008)vol.28,pages 13-20を参照されたい。CCLRU充血グレーディングスケールは、四点スケール:(0)眼充血無し、(1)非常に軽微な眼充血、(2)軽微な眼充血、(3)中等度の眼充血、及び(4)重度の眼充血で、眼充血を評価する。眼充血スケールの実例については、
図1を参照されたい。
【0116】
ある特定の実施形態において、患者は、方法によるCCLRU充血グレーディングスケールを使用して測定された2グレード以下の眼充血の増加を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法によるCCLRU充血グレーディングスケールを使用して測定された1グレード以下の眼充血の増加を経験する。
【0117】
投与経路
方法は、α-アドレナリン作動性アンタゴニスト及び/または任意のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストの投与経路に従ってさらに特徴付けられ得る。例えば、ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、患者の眼へ局所投与される。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、点眼の形態で患者の眼へ局所投与される。
【0118】
ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、患者の眼へ局所投与される。ある特定の実施形態において、ムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、点眼の形態で患者の眼へ局所投与される。
【0119】
投与の時間
方法は、α-アドレナリン作動性アンタゴニストが患者へ投与される日の時間に従ってさらに特徴付けられ得る。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストは、患者の就寝時でまたはその近くで、患者の眼へ投与される。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、患者の就寝時の2時間、1.5時間、1時間、45分間、30分間、または15分間以内に投与される。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニストの投薬は、患者の就寝時の1時間以内に投与される。
【0120】
ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニスト及び任意のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、患者の眼へ同時に投与される。ある特定の実施形態において、α-アドレナリン作動性アンタゴニスト及び任意のムスカリン性アセチルコリン受容体アゴニストは、患者の眼へ別々に投与される。
【0121】
眼における眼内圧の低減
方法は、方法に起因する眼における眼内圧の低減に従ってさらに特徴付けられ得る。例えば、ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも5%の低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも10%の低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも15%の低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも20%の低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも25%の低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも30%の低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも40%の低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも50%の低減を経験する。
【0122】
ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも1mmHgの低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも2mmHgの低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも3mmHgの低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも4mmHgの低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも5mmHgの低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも6mmHgの低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも7mmHgの低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも8mmHgの低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも10mmHgの低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも15mmHgの低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の少なくとも20mmHgの低減を経験する。
【0123】
ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の約1mmHg~約5mmHgの範囲の低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の約5mmHg~約10mmHgの範囲の低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の約10mmHg~約15mmHgの範囲の低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の約4mmHg~約8mmHgの範囲の低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の約8mmHg~約12mmHgの範囲の低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の約10mmHg~約25mmHgの範囲の低減を経験する。ある特定の実施形態において、患者は、方法に起因して、眼における眼内圧の約15mmHg~約25mmHgの範囲の低減を経験する。
【0124】
眼内圧の低減の継続期間
方法は、眼内圧の低減の継続期間に従ってさらに特徴付けられ得る。例えば、ある特定の実施形態において、眼内圧の低減は、少なくとも6時間の継続期間で持続する。ある特定の実施形態において、眼内圧の低減は、少なくとも12時間の継続期間で持続する。ある特定の実施形態において、眼内圧の低減は、少なくとも24時間の継続期間で持続する。ある特定の実施形態において、眼内圧の低減は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、14、21、または24時間の継続期間で持続する。
【0125】
ある特定の実施形態において、眼内圧の低減は、少なくとも2日間の継続期間で持続する。ある特定の実施形態において、眼内圧の低減は、少なくとも5日間の継続期間で持続する。ある特定の実施形態において、眼内圧の低減は、少なくとも7日間の継続期間で持続する。ある特定の実施形態において、眼内圧の低減は、少なくとも2、3、4、5、6、7、8、9、10、14、21、または28日の継続期間で持続する。
【0126】
ある特定の実施形態において、眼内圧の低減は、約5~約24時間の継続期間で持続する。ある特定の実施形態において、眼内圧の低減は、約12~約24時間の継続期間で持続する。ある特定の実施形態において、眼内圧の低減は、約1日間~約3日間の継続期間で持続する。ある特定の実施形態において、眼内圧の低減は、約3日間~約5日間の継続期間で持続する。ある特定の実施形態において、眼内圧の低減は、約5日間~約7日間の継続期間で持続する。ある特定の実施形態において、眼内圧の低減は、約7日間~約14日間の継続期間で持続する。
【0127】
治療方法から特定の利益を誘導し得る患者集団
方法は、治療方法から特定の利益を誘導し得る患者集団に従ってさらに特徴付けられ得る。例えば、ある特定の実施形態において、患者の眼は、方法が遂行される前に、約22mmHg超の眼内圧を有する。ある特定の実施形態において、患者の眼は、方法が遂行される前に、約25mmHg超の眼内圧を有する。ある特定の実施形態において、患者の眼は、方法が遂行される前に、約30mmHg超の眼内圧を有する。ある特定の実施形態において、患者の眼は、方法が遂行される前に、約40mmHg超の眼内圧を有する。
【0128】
ある特定の他の実施形態において、治療を開始する患者は、約20mmHg~約50mmHgの範囲の眼内圧を有すると特徴付けられる。ある特定の他の実施形態において、治療を開始する患者は、約30mmHg~約50mmHgの範囲の眼内圧を有すると特徴付けられる。ある特定の他の実施形態において、治療を開始する患者は、約25mmHg~約30mmHgの範囲の眼内圧を有すると特徴付けられる。
【0129】
ある特定の他の実施形態において、治療を開始する患者は、方法が遂行される前に、約20mmHg~約30mmHgの範囲の眼内圧を有すると特徴付けられる。ある特定の実施形態において、治療を開始する患者は、方法が遂行される前に、約20mmHg~約25mmHgの範囲の眼内圧を有すると特徴付けられる。
【0130】
ある特定の他の実施形態において、患者の眼は、方法が遂行される前に、約22mmHg以下の眼内圧を有する。ある特定の他の実施形態において、治療を開始する患者は、約12mmHg~約22mmHgの範囲の眼内圧を有すると特徴付けられる。ある特定の他の実施形態において、治療を開始する患者は、約15mmHg~約22mmHgの範囲の眼内圧を有すると特徴付けられる。ある特定の他の実施形態において、治療を開始する患者は、約18mmHg~約22mmHgの範囲の眼内圧を有すると特徴付けられる。
【0131】
ある特定の他の実施形態において、治療を開始する患者は、約17mmHg~約36mmHg、約17mmHg~約32mmHg、約17mmHg~約28mmHg、約17mmHg~約26mmHg、約17mmHg~約24mmHg、または約17mmHg~約22mmHgの範囲の眼内圧を有すると特徴付けられる。ある特定の他の実施形態において、治療を開始する患者は、約20mmHg~約36mmHg、約20mmHg~約32mmHg、約20mmHg~約28mmHg、約20mmHg~約26mmHg、約20mmHg~約24mmHg、または約20mmHg~約22mmHgの範囲の眼内圧を有すると特徴付けられる。ある特定の他の実施形態において、治療を開始する患者は、約20mmHg~約26mmHg、約20mmHg~約25mmHg、約20mmHg~約24mmHg、約20mmHg~約23mmHg、または約20mmHg~約22mmHgの範囲の眼内圧を有すると特徴付けられる。ある特定の他の実施形態において、治療を開始する患者は、約23、24、25、または26mmHg未満の眼内圧を有すると特徴付けられる。
【0132】
ある特定の実施形態において、患者は、ヒトである。ある特定の実施形態において、患者は、成人のヒトである。ある特定の実施形態において、患者は、小児のヒトである。
【0133】
ある特定の実施形態において、患者の眼は、狭隅角を有する。
【0134】
眼充血を低減する薬剤の投与
方法は、眼充血(例えばα-アドレナリン作動性アンタゴニストによって引き起こされた眼充血)を低減する薬剤を、患者の眼へ任意選択で投与することに従ってさらに特徴付けられ得る。例えば、ある特定の実施形態において、方法は、眼充血を低減する薬剤を、患者の眼へ局所投与することをさらに含む。眼充血を低減する例示的な薬剤としては、ブリモニジン、テトラヒドロゾリン、オキシメタゾリン、ナフタゾリン、またはLUMIFY(登録商標)(酒石酸ブリモニジン(0.025%w/w)を含有する商業的に入手可能な眼用溶液)等のその薬学的に許容される塩が挙げられる。
【0135】
ある特定の実施形態において、方法は、ブリモニジンまたはその薬学的に許容される塩を、患者の眼へ局所投与することをさらに含む。ある特定の実施形態において、方法は、酒石酸ブリモニジンを、患者の眼へ局所投与することをさらに含む。ある特定の実施形態において、方法は、約0.025%(w/w)の酒石酸ブリモニジンを含む眼用溶液を、患者の眼へ局所投与することをさらに含む。
【0136】
II.追加の治療剤の投与
本発明の別の態様は、追加の治療剤の投与を提供する。上で記載される方法は、1つまたは複数の追加の治療剤を、患者へ投与することを任意選択でさらに含み得る。例示的な追加の治療剤としては、例えば:
・プロスタグランジン類似体(ラタノプロスト、ビマトプロスト、トラボプロスト、タフルプロスト、ラタノプロステンブノド、またはその薬学的に許容される塩等);
・β遮断物質(チモロールまたはその薬学的に許容される塩等);
・αアゴニスト(ブリモニジンまたはその薬学的に許容される塩等);
・炭酸脱水酵素阻害物質(ドルゾラミド、ブリンゾラミド、アセタゾラミド、メタゾラミド、またはその薬学的に許容される塩等);及び
・Rhoキナーゼ阻害物質(ネタルスジルまたはその薬学的に許容される塩等)
が挙げられる。
【0137】
ラタナオプロスト(latanaoprost)は、およそ6.7のpH及びおよそ267mOsmol/kgの浸透圧のラタノプロストの滅菌された等張の緩衝水溶液の形態で投与され得、各々の1mLの溶液は、50マイクログラムのラタノプロストを含有する。溶液は、塩化ベンザルコニウム(0.02%w/w)、塩化ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム一水和物、及びリン酸水素二ナトリウムを任意選択で含有し得る。
【0138】
ラタナオプロストは、XALATAN(登録商標)処方情報(参照することによって本明細書に援用される)中で記載される手順に従って患者へ投与され得る。ある特定の実施形態において、1.5マイクログラムのラタナオプロストの単回の1日用量は、患者の眼へ投与される。ある特定の実施形態において、約0.5~約1.0マイクログラム、約1.0~約1.5マイクログラム、または約1.5~約2.0マイクログラムの範囲の単回の1日用量のラタナオプロストは、患者の眼へ投与される。
【0139】
チモロールは、眼用溶液の形態でマレイン酸チモロールとして投与され得る。1日あたり1滴または2滴の1mL基準で3.4mgのマレイン酸チモロールを含有する溶液は、患者の眼へ投与され得る。代替的に、1日あたり1滴の1mL基準で6.8mgのマレイン酸チモロールを含有する溶液は、患者の眼へ投与され得る。
【0140】
ネタルスジルは、眼用溶液の形態(およそ5のpH及びおよそ295mOsmol/kgの浸透圧を有するジメシル酸ネタルスジル(netarsudil dimesylate)(0.02%w/w)を含有する滅菌された等張の緩衝水溶液等)で、患者へ投与され得る。各々の1mLの溶液は、0.28mgのジメシル酸ネタルスジルを含有する。水溶液は、塩化ベンザルコニウム(例えば0.015%w/w)、ホウ酸、及びマンニトールを含有し得る。ジメシル酸ネタルスジルは、およそ5のpH及びおよそ295mOsmol/kgの浸透圧を有するジメシル酸ネタルスジル(0.02%w/w)を含有する滅菌された等張の緩衝水溶液の1滴の点眼として、1日あたり1回患者へ投与され得る。
【0141】
各々の治療剤の量、及び各々の治療剤の投与の相対的タイミングは、所望される併用治療効果を達成するために選択され得る。例えば、かかる投与を必要とする患者へ併用療法を施す場合に、併用における治療剤、または治療剤を含む医薬組成物(複数可)は、任意の順序(例えば順次に、並列して、一緒に、同時に、及び同種のもの等)で投与され得る。
【0142】
ある特定の実施形態において、治療剤は、相加的にまたは相乗的に作用し得る。相乗的な併用は、1つもしくは複数の薬剤のより低い投薬量の使用及び/または併用療法の1つもしくは複数の薬剤のより頻繁でない投与を可能にし得る。1つまたは複数の薬剤のより低い投薬量またはより頻繁でない投与は、治療法の有効性を低減させずに、治療法の毒性を低下させ得る。
【0143】
III.植え込み型眼用デバイス
本明細書において記載される組成物は、組成物を分配する植え込み型眼用デバイスを介して患者の眼へ投与され得る。植え込み型眼用デバイスは、所望される率及び/または頻度で組成物を分配するように構成され得る。ある特定の実施形態において、植え込み型眼用デバイスは、徐放性インサートである。
【0144】
IV.眼用溶液
治療活性剤は、眼用溶液の形態で患者の眼へ望ましいように投与される。かかる眼用溶液は、1つまたは複数の治療活性剤及び薬学的に許容される担体を含む。望ましくは、眼用溶液は、医薬品についての通常の流通経路を介する眼用溶液の流通を許容するように、良好な貯蔵安定性を呈する。ある特定の実施形態において、薬学的に許容される担体は、水である。追加の構成要素は、眼用溶液の能力特性を最適化するために眼用溶液へ添加され得る。例示的な追加の構成要素としては、例えばキレート剤(例えばEDTA)、ポリオール化合物、ポリ(C2-4アルキレン)グリコールポリマー、デキストラン、セルロース剤、バッファー、等張性修飾物質、防腐物質、抗酸化物質、粘度修飾剤、角膜透過促進剤、可溶化剤、安定化剤、界面活性物質、粘滑性ポリマー、湿潤剤、及び他の材料が挙げられる。
【0145】
眼用溶液は、キレート剤(例えばEDTA)、ポリオール化合物、ポリ(C2-4アルキレン)グリコールポリマー、デキストラン、セルロース剤、バッファー、等張性修飾物質、防腐物質、抗酸化物質、粘度修飾剤、角膜透過促進剤、可溶化剤、安定化剤、界面活性物質、粘滑性ポリマー、湿潤剤、及び他の材料のうちの1つまたは複数の存在または非存在に従ってさらに特徴付けられ得る。ある特定の実施形態において、眼用溶液は、キレート剤(例えばEDTA)を含有しない。ある特定の実施形態において、眼用溶液は、防腐物質を含有しない。
【0146】
上記の様々な治療方法は、フェントラミンまたはその薬学的に許容される塩の投薬を患者へ投与することを包含する。フェントラミンまたはその薬学的に許容される塩の投薬は、望ましくは、眼用溶液の形態である。眼用溶液は、患者の眼への投与に好適であるように製剤化され、望ましくは、フェントラミンの即時放出を提供し、すなわち、眼用溶液は、延長された継続期間(数時間、数日、または数週間等)にわたってフェントラミンを送達する持続放出性製剤ではない。
【0147】
眼用溶液は、望ましくは、水性の薬学的に許容される担体及びフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含む。眼用溶液は、眼への投与に好適な賦形剤(複数可)を含有し得る。様々な薬学的に許容される塩は、文献中で記載される。フェントラミンの好ましい塩形態は、メシル酸フェントラミンである。したがって、方法は、水性の薬学的に許容される担体及びメシル酸フェントラミンを含む眼用溶液を使用し得る。
【0148】
したがって、ある特定の実施形態において、方法において利用される投薬は、水性の薬学的に許容される担体及びフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含む眼用溶液である。ある特定の他の実施形態において、投薬は、水性の薬学的に許容される担体及びメシル酸フェントラミンを含む眼用溶液である。ある特定の他の実施形態において、投薬は、水、ポリオール、及びフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含む眼用溶液である。ある特定の他の実施形態において、投薬は、水、マンニトール、及びメシル酸フェントラミンを含む眼用溶液である。ある特定の他の実施形態において、投薬は、水、ポリオール、カルボン酸アルカリ金属塩、及びフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含む眼用溶液である。ある特定の他の実施形態において、投薬は、水、マンニトール、酢酸ナトリウム、及びメシル酸フェントラミンを含む眼用溶液である。
【0149】
本発明における使用のために企図される他の眼用溶液としては、例えば(i)キレート剤の無い水性の眼用溶液、及び(ii)ポリビニルピロリドン人工涙液製剤が挙げられ、その各々は、以下でより詳細に記載される。
【0150】
眼用溶液は、溶液の粘度に従ってさらに特徴付けられ得る。ある特定の実施形態において、約25℃の温度での眼用溶液は、0.9cP~約1.1cPへの範囲の粘度を有する。ある特定の実施形態において、約25℃の温度での眼用溶液は、約1cPの粘度を有する。
【0151】
眼用溶液は、任意の活性成分の放出率に従ってさらに特徴付けられ得る。例えば、ある特定の実施形態において、眼用溶液は、即時放出性眼用溶液である。ある特定の実施形態において、眼用溶液は、延長放出性眼用溶液である。
【0152】
キレート剤の無い水性の眼用溶液
ある特定の実施形態において、方法において利用される投薬は、キレート剤の無い水性の眼用溶液であり、前記溶液は、(a)フェントラミンまたはその薬学的に許容される塩;(b)少なくとも1つのポリオール化合物(250g/mol未満の分子量を有するポリオール化合物等);(c)少なくとも1つバッファー;及び(d)水を含み;溶液は、キレート剤を含有しない。水性の眼用溶液中の成分の量は、特定の能力特性(貯蔵への安定性、患者の眼への最小限の刺激、及び患者の眼の中へのフェントラミンの透過の促進等)を達成するために選択され得る。
【0153】
1つの例示的な好ましい溶液は、(a)約0.1%(w/v)~約4%(w/v)のフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩;(b)約1%(w/v)~約6%(w/v)の、250g/mol未満の分子量を有する少なくとも1つのポリオール化合物;(c)約0.1mM~約10mMの少なくとも1つのバッファー;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4.0~7.5の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0154】
水性の眼用溶液の例示的な構成要素及び特色は、以下でより詳細に記載される。
【0155】
フェントラミン及び薬学的に許容される塩
水性の眼用溶液は、フェントラミンまたはフェントラミンの薬学的に許容される塩を含む。例示的な薬学的に許容される塩としては、例えば塩酸塩及びメシル酸塩が挙げられる。したがって、ある特定の実施形態において、溶液は、フェントラミン(すなわち遊離塩基として)を含む。ある特定の他の実施形態において、溶液は、塩酸フェントラミンを含む。ある特定のさらなる他の実施形態において、溶液は、メシル酸フェントラミンを含む。
【0156】
水性の眼用溶液中のフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩の量は、所望される能力特性を達成するために調整され得る。例えば、水性の眼用溶液の単回投与において患者への大量のフェントラミン(またはその薬学的に許容される塩)を提供することが所望される場合に、フェントラミン(またはその薬学的に許容される塩)の濃度は、水性の眼用溶液中で増加する。フェントラミン(またはその薬学的に許容される塩)のより高い濃度を有する水性の眼用溶液の単回投与は、より多くのフェントラミン(またはその薬学的に許容される塩)が患者へ投与されるので、より長い継続期間で低減された眼内圧を患者に提供し得る。
【0157】
したがって、ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.1%(w/v)~約5%(w/v)のフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.1%(w/v)~約1%(w/v)のフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩、約1%(w/v)~約2%(w/v)のフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩、約2%(w/v)~約3%(w/v)のフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩、約3%(w/v)~約4%(w/v)のフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩、約4%(w/v)~約5%(w/v)のフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.1%(w/v)~約2%(w/v)のフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.25%(w/v)~約2%(w/v)のフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.5%(w/v)~約2%(w/v)のフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.25%(w/v)~約1%(w/v)のフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、約1%(w/v)のフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩を含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.1%(w/v)~約4%(w/v)のメシル酸フェントラミンを含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.1%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミンを含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.25%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミンを含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.5%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミンを含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.25%(w/v)~約1%(w/v)のメシル酸フェントラミンを含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、約1%(w/v)のメシル酸フェントラミンを含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.25%(w/v)または約0.5%(w/v)のメシル酸フェントラミンを含む。
【0158】
ポリオール化合物
水性の眼用溶液は、1つまたは複数のポリオール化合物を含む。ポリオール化合物は、少なくとも2つのヒドロキシル基(例えば2~約6のヒドロキシル基)を有する有機化合物である。ポリオール化合物は、例えば貯蔵に対する水性の眼用溶液の安定性を増加させ得る、及び/または水性の眼用溶液の等張性を修飾し得るので、水性の眼用溶液に有益である。例示的なポリオール化合物としては、例えばマンニトール、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ソルビトール、及びキシリトールが挙げられる。
【0159】
水性の眼用溶液は、単一のポリオール化合物または1つもしくは複数のポリオール化合物の混合物を含有し得る。換言すれば、水性の眼用溶液は、少なくとも1つのポリオール化合物を含む。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、マンニトール、グリセロール、プロピレングリコール、エチレングリコール、ソルビトール、またはキシリトールである、少なくとも1つのポリオール化合物を含む。ある特定の他の実施形態において、少なくとも1つのポリオール化合物は、マンニトールである。ある特定の他の実施形態において、少なくとも1つのポリオール化合物は、グリセロールである。ある特定の他の実施形態において、少なくとも1つのポリオール化合物は、プロピレングリコールである。ある特定の他の実施形態において、少なくとも1つのポリオール化合物は、マンニトールであり、溶液は、さらにグリセロールを含む。ある特定の他の実施形態において、少なくとも1つのポリオール化合物は、マンニトールであり、溶液は、さらにプロピレングリコールを含む。ある特定の他の実施形態において、少なくとも1つのポリオール化合物は、グリセロールであり、溶液は、さらにプロピレングリコールを含む。ある特定の他の実施形態において、上記の実施形態において記載されるマンニトールは、D-マンニトールである。
【0160】
水性の眼用溶液中の少なくとも1つのポリオール化合物の量は、溶液について所望される能力特性を達成するために選択され得る。ポリオール化合物は、例えば貯蔵に対する溶液の安定性を増加させて、及び/または溶液の等張性を修飾して、患者の眼への投与により好適にすることができる。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、約2%(w/v)~約5%(w/v)の少なくとも1つのポリオール化合物を含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、約3.5%(w/v)~約4.5%(w/v)の少なくとも1つのポリオール化合物を含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、約4%(w/v)の少なくとも1つのポリオール化合物を含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、約2%(w/v)~約3%(w/v)のマンニトール及び約0.5%(w/v)~約1.5%(w/v)のグリセリンを含む。ある特定の他の実施形態において、上記の実施形態において記載されるマンニトールは、D-マンニトールである。
【0161】
ある特定の実施形態において、ポリオールの量は、眼との等張性を達成するために、フェントラミン(またはその薬学的に許容される塩)の量とポリオールとの間で逆相関があるように、フェントラミン(またはその薬学的に許容される塩)の量に基づいて選択され得る。例えば、水性の眼用溶液が、約2%(w/v)のフェントラミンを含有する複数の実施形態において、マンニトールは、約3%(w/v)の濃度で溶液中に存在する。水性の眼用溶液が、約1%(w/v)のフェントラミンを含有する複数の実施形態において、マンニトールは、約4%(w/v)の濃度で溶液中に存在する。この原理をさらに例証すると、水性の眼用溶液が、約0.5%(w/v)のフェントラミンを含有する複数の実施形態において、マンニトールは、約4.5%(w/v)の濃度で溶液中に存在し得る。ある特定の実施形態において、上記の実施形態において記載されるマンニトールは、D-マンニトールである。
【0162】
水性の眼用溶液は、本明細書において記載される追加の成分(様々なポリマー材料等)を含有し得ることが認識される。1つのかかる実施形態は、例えばプロピレングリコールである少なくとも1つのポリオール化合物を含み、さらにポリプロピレングリコール(約5,000g/mol~約100,000g/molの範囲の重量平均分子量を有するポリプロピレングリコール等)を含む水性の眼用溶液である。
【0163】
ポリ(C2-4アルキレン)グリコールポリマー
水性の眼用溶液は、ポリ(C2-4アルキレン)グリコールポリマーを任意選択で含み得る。例示的なポリ(C2-4アルキレン)グリコールポリマーは、ポリプロピレングリコール(約5,000g/mol~約100,000g/mol、約10,000g/mol~約50,000g/mol、または約50,000g/mol~約100,000g/molの範囲の重量平均分子量を有するポリプロピレングリコール等)である。
【0164】
デキストラン
水性の眼用溶液は、デキストランを任意選択で含み得る。デキストランは、商業的に入手可能なグルコース分子を含む分岐多糖である。水性の眼用溶液中のデキストランの量は、特定の能力特性を達成するように選択され得る。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.01%(w/v)~約2%(w/v)のデキストランを含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.01%(w/v)~約1%(w/v)のデキストランを含む。
【0165】
デキストランは、その重量平均分子量に従ってさらに特徴付けられ得る。ある特定の実施形態において、デキストランは、約65,000g/mol~約75,000g/molの範囲の重量平均分子量を有する。ある特定の他の実施形態において、デキストランは、約70,000g/molの重量平均分子量を有する。さらに他の実施形態において、デキストランは、約5,000g/mol~約100,000g/mol、約10,000g/mol~約50,000g/mol、または約50,000g/mol~約100,000g/molの範囲の重量平均分子量を有する。
【0166】
セルロース剤
水性の眼用溶液は、セルロース剤を任意選択で含み得る。例示的なセルロース剤としては、例えばセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロクスプロピルセルロース(hydroxpropylcellulose)及びヒドロキシプロピルメチルセルロースが挙げられる。ある特定の実施形態において、セルロース剤は、ヒドロキシプロピルメチルセルロースである。ある特定の他の実施形態において、セルロース剤は、セルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、またはヒドロクスプロピルセルロース(hydroxpropylcellulose)である。水性の眼用溶液中のセルロース剤の量は、所望される能力特性を達成するために選択され得る。例えば、ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.01%(w/v)~約2%(w/v)のセルロース剤を含む。
【0167】
セルロース剤は、その重量平均分子量に従ってさらに特徴付けられ得る。ある特定の実施形態において、セルロース剤は、約5,000g/mol~約100,000g/mol、約10,000g/mol~約50,000g/mol、または約50,000g/mol~約100,000g/molの範囲の重量平均分子量を有する。
【0168】
バッファー
水性の眼用溶液は、少なくとも1つのバッファーを含む。バッファーは、溶液へ緩衝能力、すなわち、元のpHの比較的小さな変化または変化無しで、酸または塩基(アルカリ)のいずれかを制限内で中和する能力を付与する。バッファーは、酸、塩基、または酸及び塩基の組み合わせであり得る。バッファーは、有機構成要素、無機構成要素、または有機構成要素及び無機構成要素の組み合わせであり得る。バッファーは、水溶液中で少なくとも部分的に解離して、例えば酸及び共役塩基または塩基及び共役酸の混合物の形成することが理解されるべきである。例えば、バッファーは、カルボン酸及びそのカルボン酸塩の組み合わせ(例えば酢酸及び酢酸ナトリウムの組み合わせ)であり得る。別の実施形態において、バッファーは、酸及び塩基の組み合わせであり得、酸及び塩基は共役でない。例えば、酸は、ホウ酸であり得、塩基は、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)であり得る。
【0169】
例示的なバッファーとしては、有機酸(例えば酢酸、ソルビン酸、及びシュウ酸)、ホウ酸塩、炭酸水素塩、炭酸塩、グルコン酸塩、乳酸塩、リン酸塩、プロピオン酸塩、過ホウ酸塩、トリス-(ヒドロキシメチル)アミノメタン(TRIS)、ビス(2-ヒドロキシエチル)-イミノ-トリス-(ヒドロキシメチル)アミノアルコール(ビス-トリス)、N-[2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]グリシン(トリセン(tricene))、N-[2-ヒドロキシ-1,1-ビス(ヒドロキシメチル)エチル]グリシン、3-(N-モルホリノ)プロパンスルホン酸、N-(カルバモイルメチル)タウリン(ACES)、アミノ酸、その塩、及びそれらの組み合わせが挙げられる。バッファーの塩形態は、任意の好適なカウンターイオンを含み得ることが理解されるべきである。例えば、酸の塩形態は、アルカリ金属またはアルカリ土類金属のカウンターイオンを含み得る。
【0170】
バッファーは、その強度(すなわち緩衝能力)に従って特徴付けられ得る。緩衝能力は、例えば1リットルのバッファー溶液(標準単位)へ添加された場合に、バッファー溶液のpHを1単位変化させるのに要求される、強酸または強塩基(またはそれぞれ水素イオンもしくは水酸化物イオン)のミリモル(mM)を決定することによって試験され得る。緩衝能力は、概してバッファー構成要素の型及び濃度に依存し、特定のpH範囲でより大きくなり得る。例えば、バッファーは、バッファーのpKa付近のpH範囲(例えばバッファーのpKaの約1pH単位以内または約2pH単位以内)で最適な緩衝能力を有し得る。ある特定の実施形態において、バッファーは、カルボン酸アルカリ金属塩(例えば酢酸ナトリウム)等の弱バッファーである。
【0171】
ある特定の実施形態において、バッファーは、以下の特徴:(a)約4.0~約6.0;より好ましくは約4.5~約5.5のpKa;(b)約-0.50~約1.5;より好ましくは約-0.25~約1.35の親油性値Log P、のうちの1つまたは複数を有する弱酸バッファーである。
【0172】
バッファーの量は、水性の眼用溶液について所望される能力特性を達成するために調整され得る。例えば、ある特定の実施形態において、バッファーは、約10mM未満、約7mM未満、約5mM未満、約3mM未満、または約2mM未満の濃度で存在し得る。いくつかの実施形態において、バッファーは、約1mM~約10mM、約1mm~約7mm、約1mm~約5mm、約1mm~約3mm、約1mm~約2mm、約2mm~約5mm、または約2mm~約3mmの濃度で存在し得る。さらに他の実施形態において、バッファーは、約3mMの濃度で存在する。
【0173】
バッファーの量及び同一性は、水性の眼用溶液について特定の能力特性を達成するために選択され得る。例えば、バッファーの量は、水性の眼用溶液のpH中で実質的な変化がある前に、中和され得る酸の量に影響を与え得る。また、バッファーの量は、水性の眼用溶液の等張性に影響を与え得る。望ましくは、バッファーの量及び同一性は、患者の眼への水性の眼用溶液の投与によって引き起こされ得る任意の刺激を最小限にするために選択されるべきである。したがって、ある特定の実施形態において、バッファーは、約2mM~約4mMの範囲の濃度で存在する。さらに他の実施形態において、バッファーは、約3mMの濃度で存在する。ある特定の実施形態において、バッファーは、アルキルカルボン酸アルカリ金属塩を含む。ある特定の他の実施形態において、バッファーは、酢酸アルカリ金属塩を含む。さらに他の実施形態において、バッファーは、酢酸ナトリウムを含む。
【0174】
溶液のpH
水性の眼用溶液は、溶液のpHに従って特徴付けられ得る。望ましくは、水性の眼用溶液は、4.0~7.5の範囲のpHを有する。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、4.5~7.5の範囲のpHを有する。ある特定の実施形態において、溶液は、4.5~6.0の範囲のpHを有する。ある特定の他の実施形態において、溶液は、4.5~5.5の範囲のpHを有する。さらに他の実施形態において、溶液は、4.7~5.1の範囲のpHを有する。
【0175】
水性の眼用溶液のための追加材料
水性の眼用溶液は、組成物を患者の眼への投与により好適にするために追加材料を含有し得る。例示的な追加材料は、下で記載され、例えば等張性修飾物質、防腐物質、抗酸化物質、粘度修飾剤、安定化剤、角膜透過促進剤、及び界面活性物質が挙げられる。
【0176】
A.等張性修飾物質
水性の眼用溶液は、1つまたは複数の等張性修飾物質を任意選択で含み得る。等張性修飾物質は、イオン性または非イオン性であり得る。ある特定の実施形態において、等張性修飾物質は、塩、炭水化物、またはポリオールであり得る。例示的な等張性修飾物質としては、アルカリ金属ハロゲン化物またはアルカリ土類金属ハロゲン化物(LiBr、LiCl、LiI、KBr、KCl、KI、NaBr、NaCl、NaI、CaCl2、及びMgCl2等)、ホウ酸、デキストラン(例えばデキストラン70)、シクロデキストリン、デキストロース、マンニトール、グリセリン、尿素、ソルビトール、プロピレングリコール、またはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0177】
等張性修飾物質は、所望される浸透圧を提供するのに十分な量で水性の眼用溶液へ添加され得ることが認識される。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液が、約50~約1000mOsm/kg、約100~約400mOsm/kg、約200~約400mOsm/kg、または約280~約380mOsm/kgの範囲の浸透圧を有するように、等張性修飾物質は十分な量で水性の眼用溶液中に存在する。ある特定の実施形態において、等張性修飾物質は、水性の眼用溶液の約0.01%(w/v)~約7%(w/v)、約0.01%(w/v)~約5%(w/v)、約0.01%(w/v)~約1%(w/v)、約0.1%(w/v)~約1%(w/v)、約0.05%(w/v)~約5%(w/v)、約0.05%(w/v)~約0.5%(w/v)、約1%(w/v)~約3%(w/v)、または約2%(w/v)~約4%(w/v)の範囲の量で存在し得る。
【0178】
B.防腐物質
水性の眼用溶液は、例えば微生物汚染を低減または予防するために1つまたは複数の防腐物質を任意選択で含み得る。例示的な防腐物質としては、第四級アンモニウム塩(ポリクオタニウム-1、セトリミド、塩化ベンザルコニウム、または塩化ベンゾキソニウム等);チオサリチル酸のアルキル水銀塩(チオマーサル、硝酸フェニル水銀、酢酸フェニル水銀、または殺菌消毒等);パラベン(メチルパラベンまたはプロピルパラベン等);アルコール(クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェニルエタノール、シクロヘキサノール、3-ペンタノール、またはレゾルシノール等);過酸化物;二酸化塩素またはPURITE;グアニジン誘導体(グルコン酸クロロヘキシジンまたはポリアミノプロピルビグアニド等);及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0179】
防腐物質の量は、水性の眼用溶液について所望される能力特性を達成するために調整され得る。ある特定の実施形態において、防腐物質は、水性の眼用溶液の約5%(w/v)、3%(w/v)、1%(w/v)、または0.1%(w/v)未満の量で存在する。ある特定の他の実施形態において、防腐物質は、水性の眼用溶液の約0.01%(w/v)~約5%(w/v)、約0.01%(w/v)~約1%(w/v)、約0.1%(w/v)~約1%(w/v)、約0.05%(w/v)~約5%(w/v)、または約0.05%(w/v)~約0.5%(w/v)の範囲の量で存在する。
【0180】
C.抗酸化物質
水性の眼用溶液は、1つまたは複数の抗酸化物質を任意選択で含み得る。本明細書において記載される水性の眼用溶液における使用のための例示的な抗酸化物質としては、水溶性抗酸化剤(アスコルビン酸、塩酸システイン、硫酸水素ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、及び同種のもの等);及び油溶性抗酸化剤(パルミチン酸アスコルビル、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、レシチン、没食子酸プロピル、α-トコフェロール、及び同種のもの等)が挙げられる。
【0181】
抗酸化物質の量は、水性の眼用溶液について所望される能力特性を達成するために調整され得る。ある特定の実施形態において、抗酸化物質は、水性の眼用溶液の約5%(w/v)、3%(w/v)、1%(w/v)、または0.1%(w/v)未満の量で存在する。ある特定の他の実施形態において、抗酸化物質は、水性の眼用溶液の約0.01%(w/v)~約5%(w/v)、約0.01%(w/v)~約1%(w/v)、約0.1%(w/v)~約1%(w/v)、約0.05%(w/v)~約5%(w/v)、または約0.05%(w/v)~約0.5%(w/v)の範囲の量で存在する。
【0182】
D.粘度修飾剤
水性の眼用溶液は、1つまたは複数の粘度修飾剤を任意選択で含み得る。粘度修飾剤は、例えば活性剤の吸収を増加させるかまたは眼における水性の眼用溶液の保持時間を増加させるために使用され得る。例示的な粘度修飾剤としては、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロクスプロピルセルロース(hydroxpropylcellulose)、カルボキシメチルセルロース(CMC)及びその塩(例えばCMCナトリウム塩)、ゼラチン、セルロースグリコレート、ソルビトール、ナイアシンアミド、α-シクロデキストラン、ポリビニルアルコール、ポリエチレングリコール、ヒアルロン酸、ポリサッチカラアイド(polysachcharaide)、単糖、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0183】
粘度修飾剤の量は、水性の眼用溶液について所望される能力特性を達成するために調整され得る。ある特定の実施形態において、粘度修飾剤は、水性の眼用溶液の約10%(w/v)、5%(w/v)、3%(w/v)、1%(w/v)、または0.1%(w/v)未満の量で存在する。ある特定の他の実施形態において、粘度修飾剤は、水性の眼用溶液の約0.01%(w/v)~約5%(w/v)、約0.01%(w/v)~約1%(w/v)、約0.1%(w/v)~約1%(w/v)、約0.05%(w/v)~約5%(w/v)、または約0.05%(w/v)~約0.5%(w/v)の範囲の量で存在する。ある特定の他の実施形態において、粘度修飾剤は、約30センチポアズ~約100センチポアズの範囲の粘度を備えた水性の眼用溶液を提供するのに十分な量で存在する。
【0184】
粘度修飾剤は、溶液中の1つまたは複数の治療剤の遅延放出をもたらすポリマーであり得る。ポリマーの同一性は、1つまたは複数の治療剤について所望される持続放出プロファイルを達成するように選択され得る。
【0185】
E.角膜透過促進剤
水性の眼用溶液は、フェントラミン(または薬学的に許容されるその塩)の角膜の透過の促進のための1つまたは複数の薬剤を任意選択で含み得る。角膜の透過の促進のための例示的な薬剤としては、ポリマー、有機酸、有機酸のエステル(例えば8~12の炭素原子を有する脂肪酸のモノグリセリド)、シクロデキストリン、塩化ベンザルコニウム(BAK)、EDTA、カプリル酸、クエン酸、ホウ酸、ソルビン酸、ポリオキシエチレン-20-ステアリルエーテル(PSE)、ポリエトキシル化ヒマシ油(PCO)、デオキシコール酸ナトリウム塩(DC)、塩化セチルピリジウム(CPC)、ラウロカプラム、ヘキサメチレンラウラミド、ヘキサメチレンオクタンアミド、デシルメチルスルホキシド、メチルスルホン、ジメチルスルホキシド、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0186】
角膜透過促進剤の量は、水性の眼用溶液について所望される能力特性を達成するために調整され得る。ある特定の実施形態において、角膜透過促進剤は、水性の眼用溶液の約10%(w/v)、5%(w/v)、1%(w/v)、または0.1%(w/v)未満の量で存在する。ある特定の他の実施形態において、角膜透過促進剤は、水性の眼用溶液の約0.01%(w/v)~約5%(w/v)、約0.01%(w/v)~約1%(w/v)、約0.1%(w/v)~約1%(w/v)、約0.05%(w/v)~約5%(w/v)、約0.05%(w/v)~約0.5%(w/v)、約1%(w/v)~約3%(w/v)、または約2%(w/v)~約4%(w/v)の範囲の量で存在する。
【0187】
F.可溶化剤
水性の眼用溶液は、水性の眼用溶液中のフェントラミン(または薬学的に許容されるその塩)の溶解度を改善するように1つまたは複数の可溶化剤を任意選択で含み得る。例示的な可溶化剤としては、例えば脂肪酸グリセロールポリ-低級アルキレン(すなわちC1~C7、直鎖または分岐鎖)グリコールエステル、脂肪酸ポリ-低級アルキレングリコールエステル、ポリアルキレングリコール(例えばポリエチレングリコール)、ビタミンEのグリセロールエーテル、トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク酸塩(TPGS)、チロキサポール、ポリソルベート20、ポリソルベート40、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ポリオキシエチレン/ポリオキシプロピレン界面活性物質(例えばプルロニックF-68、F-84、及びP-103)、シクロデキストリン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0188】
可溶化剤の量は、水性の眼用溶液について所望される能力特性を達成するために調整され得る。ある特定の実施形態において、可溶化剤は、水性の眼用溶液の約10%(w/v)、5%(w/v)、3%(w/v)、1%(w/v)、または0.1%(w/v)未満の量で存在する。ある特定の他の実施形態において、可溶化剤は、水性の眼用溶液の約0.01%(w/v)~約5%(w/v)、約0.01%(w/v)~約1%(w/v)、約0.1%(w/v)~約1%(w/v)、約0.05%(w/v)~約5%(w/v)、または約0.05%(w/v)~約0.5%(w/v)の範囲の量で存在する。
【0189】
G.安定化剤
水性の眼用溶液は、貯蔵などへの水性の眼用溶液の安定性を改善するために1つまたは複数の安定化剤を任意選択で含み得る。製薬の文献中で記載される安定化剤は、本明細書において記載される水性の眼用溶液中での使用に適用可能であることが企図される。例示的な安定化剤としては、アルコール(例えばマンニトール、グリセロール、プロピレングリコール、ソルビトール、及びキシリトール等のポリオール)、ポリアルキレングリコール(ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール等)、ポリエチレングリコール-ノンフェノール(nonphenol)エーテル、ポリエチレングリコールソルビタンモノラウレート、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコールソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコールステラレート(sterarate)、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールエーテル、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリジン、アスコルビン酸、ビタミンE、N-アセチルカルノシン(NAC)、ソルビン酸、及びそれらの組み合わせが挙げられる。ある特定の実施形態において、安定化剤は、ポリマー(上で言及されるポリマーのうちの1つ等)である。
【0190】
安定化剤の量は、水性の眼用溶液について所望される能力特性を達成するために調整され得る。ある特定の実施形態において、安定化剤は、水性の眼用溶液の約10%(w/v)、5%(w/v)、または1%(w/v)未満の量で存在する。ある特定の他の実施形態において、安定化剤は、水性の眼用溶液の約0.01%(w/v)~約5%(w/v)、約0.01%(w/v)~約1%(w/v)、または約0.01%(w/v)~約0.1%(w/v)の範囲の量で存在する。
【0191】
H.界面活性物質
水性の眼用溶液は、1つまたは複数の界面活性物質を任意選択で含み得る。例示的な界面活性物質としては、ポリソルベート20(すなわちポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレート)、ポリソルベート40(すなわちポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)、ポリソルベート60(すなわちポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノステアレート)、ポリソルベート80(すなわちポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、ステアリン酸グリセリル、ステアリン酸イソプロピル、ステアリン酸ポリオキシル、ステアリン酸プロピレングリコール、ステアリン酸スクロース、ポリエチレングリコール、ポリプロピレンオキシド、ポリプロピレンオキシドコポリマー、プルロニックF68、プルロニックF-84、プルロニックP-103、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、アルキルグリコシド、アルキルポリグリコシド、脂肪アルコール、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、シクロデキストリン、ポリアクリル酸、ホスファチジルクロリン(chloline)、ホスファチジルセリン、及びそれらの組み合わせが挙げられる。
【0192】
界面活性物質の量は、水性の眼用溶液について所望される能力特性を達成するために調整され得る。ある特定の実施形態において、界面活性物質は、水性の眼用溶液の約10%(w/v)、5%(w/v)、3%(w/v)、1%(w/v)、または0.1%(w/v)未満の量で存在する。ある特定の他の実施形態において、界面活性物質は、水性の眼用溶液の約0.01%(w/v)~約5%(w/v)、約0.01%(w/v)~約1%(w/v)、約0.1%(w/v)~約1%(w/v)、約0.05%(w/v)~約5%(w/v)、または約0.05%(w/v)~約0.5%(w/v)の範囲の量で存在する。
【0193】
I.粘滑性ポリマー
水性の眼用溶液は、1つまたは複数の粘滑性ポリマーを任意選択で含み得る。粘滑性ポリマーは、多量の水を保持する能力があるので、眼の角膜をコーティングし湿らせるために有用である。例示的な粘滑性ポリマーとしては、セルロース誘導体、デキストラン40、デキストラン70、ゼラチン、及び液体ポリオールが挙げられる。
【0194】
J.湿潤剤
水性の眼用溶液は、1つまたは複数の湿潤剤を任意選択で含み得る。湿潤剤は、眼の表面を湿潤させるために使用され得る。例示的な湿潤剤としては、ポリソルベート、ポロキサマー、チロキサポール、及びレシチンが挙げられる。
【0195】
K.追加材料
水性の眼用溶液は、1つまたは複数の追加材料(アセチルシステイン、システイン、亜硫酸水素ナトリウム、ブチル-ヒドロキシアニソール、ブチル-ヒドロキシトルエン、酢酸α-トコフェロール、チオ尿素、チオソルビトール、ジオクチルスルホコハク酸ナトリウム、モノチオグリセロール、ラウリン酸ソルビトールエステル、オレイン酸トリエタノールアミン、またはパルミチン酸エステル等)を任意選択で含み得る。
【0196】
さらに、水性の眼用溶液は、担体(例えばMartin,Remington’s Pharmaceutical Sciences,15th Ed.,Mack Publ.Co.,Easton,PA[1975]中で記載される例示的な担体のうちの1つまたは複数等)を含み得る。担体は、例えば水及び水混和性溶媒(例えばグリセリン、植物油、または鉱物油等のアルコール)の混合物であり得る。他の例示的な担体としては、水、及び以下の材料:ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロースのアルカリ金属塩、ヒドロキシメチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、オレイン酸エチル、ポリビニルピロリドン、アクリレートポリマー、メタクリル酸塩ポリマー、ポリアクリルアミド、ゼラチン、アルギン酸塩、ペクチン、トラガカント、カラヤガム、キサンタンガム、カラゲーニン、アガー、アカシア、デンプン(酢酸デンプンまたはヒドロキシプロピルデンプン等)、ポリビニルアルコール、ポリビニルメチルエーテル、ポリエチレンオキシド、または架橋されたポリアクリル酸のうちの1つまたは複数の混合物が挙げられる。
【0197】
例示的な水性眼用溶液
概して上で記載された水性の眼用溶液は、以下のより具体的な実施例への参照によって、ここでより具体的に記載されるだろう。以下のより具体的な実施例は例示的なものにすぎず、本発明の範囲を多少なりとも限定することは意図されない。
【0198】
1つのかかる例示的な溶液は、(a)約0.1%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約1%(w/v)~約6%(w/v)の、マンニトール、グリセロール、及びプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つのポリオール化合物;(c)約1mM~約6mMの酢酸アルカリ金属塩;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4~6の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0199】
水性の眼用溶液は、以下の実施形態に従ってより具体的に定義され得る。例えば、ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.25%(w/v)~約1%(w/v)のメシル酸フェントラミンを含む。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、約1%(w/v)~約4%(w/v)のマンニトールを含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、4%(w/v)のマンニトールを含む。ある特定の実施形態において、酢酸アルカリ金属塩は、酢酸ナトリウムである。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、3mMの酢酸ナトリウムを含む。さらに他の実施形態において、水性の眼用溶液は、(i)約0.25%(w/v)~約1%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(ii)約1%(w/v)~約6%(w/v)の、マンニトール、グリセロール、及びプロピレングリコールからなる群から選択される1つまたは複数のポリオール化合物;(iii)約1mM~約6mMの酢酸アルカリ金属塩;(iv)酢酸;及び(v)水からなり;溶液は、4~6の範囲のpHを有する。
【0200】
別のかかる例示的な溶液は、(a)約0.5%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約1%(w/v)~約6%(w/v)の、マンニトール、グリセロール、及びプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つのポリオール化合物;(c)約1mM~約6mMの酢酸アルカリ金属塩;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4.5~5.5の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0201】
水性の眼用溶液は、以下の実施形態に従ってより具体的に定義され得る。例えば、ある特定の実施形態において、少なくとも1つのポリオールは、マンニトールである。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、約1%(w/v)~約4%(w/v)のマンニトールを含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、4%(w/v)のマンニトールを含む。ある特定の実施形態において、酢酸アルカリ金属塩は、酢酸ナトリウムである。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、3mMの酢酸ナトリウムを含む。さらに他の実施形態において、水性の眼用溶液は、(i)約0.5%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(ii)約1%(w/v)~約6%(w/v)の、マンニトール、グリセロール、及びプロピレングリコールからなる群から選択される1つまたは複数のポリオール化合物;(iii)約1mM~約6mMの酢酸アルカリ金属塩;(iv)酢酸;及び(v)水からなり;溶液は、4.5~5.5の範囲のpHを有する。
【0202】
別のかかる例示的な溶液は、(a)約0.25%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約1%(w/v)~約6%(w/v)の、マンニトール、グリセロール、及びプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つのポリオール化合物;(c)約1mM~約6mMの酢酸アルカリ金属塩;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4.5~5.5の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0203】
水性の眼用溶液は、以下の実施形態に従ってより具体的に定義され得る。例えば、ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.25%(w/v)~約1%(w/v)のメシル酸フェントラミンを含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、約1%(w/v)~約4%(w/v)のマンニトールを含む。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、4%(w/v)のマンニトールを含む。ある特定の実施形態において、酢酸アルカリ金属塩は、酢酸ナトリウムである。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、3mMの酢酸ナトリウムを含む。さらに他の実施形態において、水性の眼用溶液は、(i)約0.5%(w/v)~約1%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(ii)約1%(w/v)~約6%(w/v)の、マンニトール、グリセロール、及びプロピレングリコールからなる群から選択される1つまたは複数のポリオール化合物;(iii)約1mM~約6mMの酢酸アルカリ金属塩;(iv)酢酸;及び(v)水からなり;溶液は、4.5~5.5の範囲のpHを有する。
【0204】
さらなる例示的な水性の眼用溶液は、以下の表1~3中で提供され、各々の実例において、溶液は、4.7~5.1の範囲のpHを有する。
【表1】
【表2】
【表3】
【0205】
別の例示的な水性の眼用溶液は、メシル酸フェントラミン(例えば1%w/vで)、マンニトール(例えば4%w/vで)、約70,000g/molの重量平均分子量を有するデキストラン(例えば0.1%w/vで)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば0.3%w/vで)、塩化カリウム、純水、ホウ酸ナトリウム、及び塩化ナトリウムを含み;溶液は、約4~約6の範囲のpHを有する。ある特定の実施形態において、溶液は、4.5~5.1の範囲のpHを有する。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、メシル酸フェントラミン(例えば1%w/vで)、マンニトール(例えば4%w/vで)、約70,000g/molの重量平均分子量を有するデキストラン(例えば0.1%w/vで)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば0.3%w/vで)、塩化カリウム、純水、ホウ酸ナトリウム、及び塩化ナトリウムから本質的になり;溶液は、4~6の範囲のpHを有する。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、メシル酸フェントラミン(例えば1%w/vで)、マンニトール(例えば4%w/vで)、約70,000g/molの重量平均分子量を有するデキストラン(例えば0.1%w/vで)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(例えば0.3%w/vで)、塩化カリウム、純水、ホウ酸ナトリウム、及び塩化ナトリウムからなり;溶液は、4.5~5.1の範囲のpHを有する。
【0206】
別の例示的な水性の眼用溶液は、メシル酸フェントラミン(例えば1%w/vで)、マンニトール(例えば4%w/vで)、酢酸ナトリウム(例えば3mMで)、及び水を含み、溶液は、約4~約6の範囲のpHを有する。ある特定の実施形態において、溶液は、4.5~5.1の範囲のpHを有する。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、メシル酸フェントラミン(例えば1%w/vで)、マンニトール(例えば4%w/vで)、酢酸ナトリウム(例えば3mMで)、及び水から本質的になり、溶液は、4~6の範囲のpHを有する。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、1%w/vのメシル酸フェントラミン、4%w/vのマンニトール、3mMの酢酸ナトリウム、及び水を含み、溶液は、4.5~5.1の範囲のpHを有する。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、メシル酸フェントラミン(例えば1%w/vで)、マンニトール(例えば4%w/vで)、酢酸ナトリウム(例えば3mMで)、及び水からなり、溶液は、4.5~5.1の範囲のpHを有する。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、1%w/vのメシル酸フェントラミン、4%w/vのマンニトール、3mMの酢酸ナトリウム、及び水から本質的になり、溶液は、4.5~5.1の範囲のpHを有する。
【0207】
さらに他の例示的な溶液は、(a)約0.1%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約1%(w/v)~約6%(w/v)の、マンニトール、グリセロール、及びプロピレングリコールからなる群から選択される少なくとも1つのポリオール化合物;(c)約1mM~約6mMの酢酸アルカリ金属塩;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4~6の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0208】
さらに他の例示的な溶液は、(a)約0.25%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約3%(w/v)~約5%(w/v)のマンニトール;(c)約2mM~約4mMの酢酸ナトリウム;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4.6~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0209】
さらに他の例示的な溶液は、(a)約0.1%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約3%(w/v)~約5%(w/v)のマンニトール;(c)約2mM~約4mMの酢酸ナトリウム;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4.6~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.25%(w/v)~約1%(w/v)のメシル酸フェントラミンを含むキレート剤が無い。
【0210】
さらに他の例示的な溶液は、(a)約0.25%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約3%(w/v)~約5%(w/v)のマンニトール;(c)約2mM~約4mMの酢酸ナトリウム;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4.5~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0211】
さらに他の例示的な溶液は、(a)約0.5%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約3%(w/v)~約5%(w/v)のマンニトール;(c)約2mM~約4mMの酢酸ナトリウム;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4.6~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0212】
さらに他の例示的な溶液は、(a)約0.5%(w/v)~約1%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約3%(w/v)~約5%(w/v)のマンニトール;(c)約1mM~約4mMの酢酸ナトリウム;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4.6~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0213】
さらに他の例示的な溶液は、(a)約0.1%(w/v)~約1%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約4%のマンニトール;(c)約3mMの酢酸ナトリウム;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4.6~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.25%(w/v)~約1%(w/v)のメシル酸フェントラミンを含むキレート剤が無い。
【0214】
さらに他の例示的な溶液は、(a)約0.5%(w/v)~約1%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約4%のマンニトール;(c)約3mMの酢酸ナトリウム;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4.6~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0215】
さらに他の例示的な溶液は、(a)約0.25%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約3%(w/v)~約5%(w/v)のマンニトール;(c)約2mM~約4mMの酢酸ナトリウムを含むバッファー;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって、4.5~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0216】
さらに他の例示的な溶液は、(a)約0.5%(w/v)~約2%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約3%(w/v)~約5%(w/v)のマンニトール;(c)約2mM~約4mMの酢酸ナトリウムを含むバッファー;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4.6~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0217】
さらに他の例示的な溶液は、(a)約0.5%(w/v)~約1%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約3%(w/v)~約5%(w/v)のマンニトール;(c)約1mM~約4mMの酢酸ナトリウムを含むバッファー;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4.6~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0218】
さらに他の例示的な溶液は、(a)約0.1%(w/v)~約1%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約4%のマンニトール;(c)約3mMの酢酸ナトリウムを含むバッファー;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4.6~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、約0.25%(w/v)~約1%(w/v)のメシル酸フェントラミンを含むキレート剤が無い。
【0219】
さらに他の例示的な溶液は、(a)約0.5%(w/v)~約1%(w/v)のメシル酸フェントラミン;(b)約4%のマンニトール;(c)約3mMの酢酸ナトリウムを含むバッファー;及び(d)水を含む、キレート剤の無い水性の眼用溶液であって;4.6~5.2の範囲のpHを有し、キレート剤を含有しない、前記溶液である。
【0220】
水性眼用溶液の安定性特色
本明細書において記載される水性の眼用溶液は、特定の時間の長さの貯蔵後に水性の眼用溶液中に存在するフェントラミン(またはその薬学的に許容される塩)のパーセンテージ等のそれらの安定性特色に従ってさらに特徴付けられ得る。上で説明されるように、本水性の眼用溶液の利益のうち1つは、たとえ当該眼用溶液がキレート剤を有していなくても、それらが延長された期間にわたって良好な安定性を保持するということである。
【0221】
したがって、ある特定の実施形態において、水性の眼用溶液は、25℃で12週間の溶液の貯蔵に際して、分解するフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩が、2重量%未満であることによって特徴付けられる。ある特定の他の実施形態において、水性の眼用溶液は、25℃で24週間(または36週間もしくは48週間)の貯蔵に際して、分解するフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩が、2重量%未満であることによって特徴付けられる。さらに他の実施形態において、7重量%未満のフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩が、40℃で12週間(または24、36、もしくは48週間)の貯蔵に際して分解する。さらに他の実施形態において、水性の眼用溶液は、25℃で18か月、24か月、または36か月の貯蔵に際して、分解するフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩が、10重量%未満であることによって特徴付けられる。さらに他の実施形態において、水性の眼用溶液は、2~8℃の範囲の温度で18か月、24か月、または36か月の貯蔵に際して、分解するフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩が、10重量%未満であることによって特徴付けられる。さらに他の実施形態において、水性の眼用溶液は、25℃で18か月、24か月、または36か月の貯蔵に際して、分解するフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩が、4重量%未満(または好ましくは3重量%未満)であることによって特徴付けられる。さらに他の実施形態において、10重量%未満のフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩が、40℃で4、5、または6か月の貯蔵に際して分解する。
【0222】
ポリビニルピロリドン人工涙液製剤
本発明における使用のために企図される別の眼用溶液は、α-アドレナリン作動性アンタゴニスト(例えばフェントラミンまたはその薬学的に許容される塩)及びポリビニルピロリドン人工涙液組成物を含む眼用溶液である。例示的なポリビニルピロリドン人工涙液組成物は、例えば米国特許第5,895,654号;同第5,627,611号;及び同第5,591,426号;ならびに米国特許出願公開第2002/0082288号(そのすべては、参照することによって本明細書に援用される)中で記載される。人工涙組成物は、湿潤性及び展着を増進し、眼上での良好な保持及び安定性を有し、望ましくは使用者への著しい不快感を引き起こさないことが理解される。したがって、例示的なポリビニルピロリドン人工涙組成物は、(1)好ましくは溶液の約0.1~5重量%の量のポリビニルピロリドン;(2)好ましくは溶液の約0.01~0.10重量%の量の塩化ベンザルコニウム;(3)好ましくは溶液の約0.2~1.5重量%の量のヒドロキシプロピルメチルセルロース;(4)好ましくは溶液の約0.2~1.0重量%の量のグリセリン、及び(5)水を含み、組成物は、等張特性を有する水溶液である。
【0223】
持続放出性送達系
1つまたは複数の治療剤の患者への持続放出を有することが所望される場合に、治療剤(複数可)は、持続放出性送達系の形態で患者へ投与され得る。持続放出性送達系は、公開済み文献中で記載される。例示的な持続放出性送達系としては、小管内インサート、徐放性コンタクトレンズ、生体分解性IVTインサート、及び前房内インサートが挙げられる。インサートは、生体分解性または非生物分解性であり得る。持続放出性送達系における使用のための文献中で記載される例示的な材料としては、ポリエチレングリコール、EVA及びPVAのポリマーの混合物、シリコーン及びPVAポリマーの混合物、ポリイミド及びPVAポリマーの混合物、PMMA及びEVAのポリマーの混合物、PLGAポリマー、リポソーム、ならびに酸化ケイ素(例えば酸化ケイ素粒子、酸化ケイ素ビーズ、及び酸化ケイ素多孔質ナノ粒子)が挙げられる。追加の例示的な持続放出性送達系は、商業的に入手可能な(Duxeltech等からの)酸化ケイ素持続放出性送達系である。
【0224】
V.医療用キット
本発明の別の態様は、例えば(i)本明細書において記載される治療剤、ならびに(ii)本明細書において記載される方法に従って散瞳、緑内障、及び他の眼の病態を治療するための指示書を含む医療用キットを提供する。
【実施例】
【0225】
ここで概して記載される本発明は、以下の実施例を参照することによってより容易に理解され、これらは、単に本発明のある特定の態様及び実施形態の例証の目的のために含まれ、本発明を限定するとは意図されない。
【0226】
実施例1:メシル酸フェントラミンを塩酸ピロカルピンと併用した使用によるヒト対象における散瞳の回復
ヒト対象の眼における薬理学的に誘導された散瞳を回復させる、塩酸ピロカルピンと併用したメシル酸フェントラミンの能力を、臨床試験によって評価することができる。例示的な手順を下で記載する。
【0227】
少なくとも20名の対象を登録し、2つの治療順序のうちの1つへと1:1で無作為化する。散瞳剤を含有する点眼液を対象の眼へ送達することによって、すべての対象に、散瞳剤(フェニレフリン(2.5%w/w)またはトロピカミド(1%w/w))を最初に投与する。次いで、散瞳剤を投与したおよそ1時間後に、対象に、治療プロトコール1または治療プロトコール2に従って、試験医薬物を投与する。
【0228】
治療プロトコール1において、対象に、第1の治療日(来院1/1日目)にプラセボを投与し、第2の治療日(来院2/8日目+2日)に1滴の点眼の0.4%w/wの塩酸ピロカルピン眼用溶液と一緒に1滴の1%w/wのメシル酸フェントラミン眼用溶液の点眼を投与する。治療プロトコール2において、対象に、第1の治療日(来院1/1日目)に1滴の点眼の0.4%w/wの塩酸ピロカルピン眼用溶液と一緒に1滴の1%w/wのメシル酸フェントラミン眼用溶液を投与し、第2の治療日(来院2/8日目+2日)にプラセボを投与する。試験眼は、来院1で最大の瞳孔径を備えた眼(散瞳剤の滴下の1時間後)として定義される。両方の眼が最大の同じ瞳孔径を有するならば、試験眼は右眼である。
【0229】
すべての治療を、対象の両方の眼へ投与する。各々の来院時に、各々の眼の瞳孔径、順応、近見視力及び遠見視力(VA)、ならびに充血を、各々の眼における散瞳剤滴下(すなわち、試験治療の前に右側に投与する)前(-1時間/ベースライン)及びその1時間後(0分/最大)に、ならびに治療投薬の30分、1時間、2時間、4時間、及び6時間後に、測定する。瞳孔径の低減の分析を包含する有効性及び安全性を、評価する。
【表4】
【0230】
有効性の分析
主要有効性評価項目は、試験眼における治療の2時間後の薬理学的に誘導された散瞳薬(最大)瞳孔径(0分)の変化である。試験眼は、来院1で最大の瞳孔径を備えた眼(散瞳剤の滴下の1時間後)として定義される。両方の眼が最大の同じ瞳孔径を有するならば、試験眼は右眼である。これは、来院1及び来院2の査定の両方のための試験眼である。
【0231】
副次有効性評価項目(試験眼について;非試験眼について;両方の眼について)は、以下を包含する。
・各々の残りの時間点(30分、1時間、4時間、6時間)での、最大瞳孔径(0分間)からの変化(mmで)。
・各々の時間点(30分、1時間、2時間、4時間、6時間)での、最大瞳孔径からの≧2mm、≧3mm、及び≧4mmの前指定された低減を達成した対象のパーセンテージ。
・ 各々の時間点(0分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間)での、ベースライン(-1時間)を上回る瞳孔径が0.5mm以下であることを達成した対象のパーセンテージ。
・ 各々の時間点(0分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間)での、順応のベースライン(-1時間)からの変化。
・各々の時間点(0分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間)での、ベースライン(-1時間)から変化しなかった順応を伴う対象のパーセント。
・各々の時間点(0分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間)での、BCDVAのベースライン(-1時間)からの変化。
・各々の時間点(0分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間)での、ベースライン(-1時間)BCDVAへ戻った対象のパーセント。
・各々の時間点(0分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間)での、DCNVAのベースライン(-1時間)からの変化。
・各々の時間点(0分、30分、1時間、2時間、4時間、6時間)での、ベースライン(-1時間)DCNVAへ戻った対象のパーセント。
【0232】
実施例2:メシル酸フェントラミンを使用するヒト対象における急性閉塞隅角緑内障の治療
メシル酸フェントラミンがヒト対象の急性閉塞隅角緑内障を治療する能力を、臨床試験により評価することができる。例示的な手順を下で記載する。
【0233】
急性閉塞隅角緑内障の少なくとも20名のヒト対象を無作為化する。対象を1:1比で無作為化して、1滴の1%w/wメシル酸のフェントラミン眼用溶液またはプラセボの点眼を投与する。有効性評価は、眼内圧(IOP)の測定を包含する。
【表5】
【0234】
実施例3:塩酸ピロカルピンと併用してメシル酸フェントラミンを使用するヒト対象における瞳孔径の低減及び視覚能力の改善
ヒト対象において瞳孔径を低減し、視覚能力を改善する、塩酸ピロカルピンと併用したメシル酸フェントラミンの能力を、無作為化・二重盲検・プラセボ-対照臨床試験により評価した。およそ152名の対象を登録し、4つの治療群のうちの1つへと無作為化した。実験手順及び結果を以下で提供する。
【0235】
パートI:実験手順
ヒト対象を登録の可能性についてスクリーニングし、適格ならば、試験に登録した。試験に選択された対象へ登録のために使用した組入れ基準及び除外基準を、以下で提供する。登録期間に続いて、およそ152名の対象を登録し、4つの治療群のうちの1つへと無作為化した。4つの治療群は、以下の通りであった。
・群I:1%w/wのメシル酸フェントラミン眼用溶液及び0.4%w/wの塩酸ピロカルピン眼用溶液
・群II:1%w/wメシル酸フェントラミン眼用溶液
・群III:プラセボ眼用溶液及び0.4%w/wの塩酸ピロカルピン眼用溶液
・群IV:プラセボ眼用溶液。
【0236】
スクリーニング/ベースラインの来院(すなわち来院1)の間に、対象を、遠見矯正下近見視力(薄明視条件及び明所視条件下)、最高矯正遠見視力(薄明視条件及び明所視条件下)、最高矯正中間視力(明所視条件下)、瞳孔径、生体顕微鏡検査、眼内圧測定、及び結膜充血の視覚的査定について評価した。さらに来院1の間に、対象に、1%w/wのメシル酸フェントラミン眼用溶液またはプラセボ眼用溶液を提供し、来院2の直前の連続した3~4日間、就寝時またはその付近で、上記のものを治療群に従って対象の眼へ局所投与するように指示した。
【0237】
来院2で、1滴の0.4%w/wの塩酸ピロカルピン眼用溶液の点眼を、治療群I及びIIIの対象について、対象の眼へ投与した。すべての対象は老眼を有することが決定され、すべての治療を対象の両方の眼へ投与した。来院2で、瞳孔径、遠見矯正下近見視力(薄明視条件及び明所視条件下)、最高矯正遠見視力(薄明視条件及び明所視条件下)、及び最高矯正中間視力(明所視条件下)を、任意の0.4%w/wの塩酸ピロカルピン眼用溶液の投与の前に測定した。来院2の間の任意の0.4%w/wの塩酸ピロカルピン眼用溶液の投与後に、対象を、以下のこと:瞳孔径、遠見矯正下近見視力(薄明視条件及び明所視条件下)、最高矯正遠見視力(薄明視条件及び明所視条件下)、及び最高矯正中間視力(明所視条件下)、結膜充血、有害事象、及び対象眼の忍容性について、30分~6時間の複数の時間点で査定する。生体顕微鏡検査、眼内圧の測定、及び眼底検査を、来院2の間の任意の0.4%w/wの塩酸ピロカルピン眼用溶液の投与の6時間後に遂行した。来院2の1~3日後に、対象は、有害事象を査定するフォローアップコールに参加した。
【0238】
測定を行う場合に、
・DCNVA読字/近見を、Precision Vision Small 914 Illuminator Cabinet(ライトボックス)中のハイコントラスト近用視力表によって、明所視条件及び薄明視条件下で、16インチ(約40cm)で測定した。
・BCDVAを、ハイコントラストの標準的な糖尿病性網膜症の早期治療の研究(Standard Early Treatment Diabetic Retinopathy Study)(ETDRS)照明チャート(壁上またはスタンド)によって明所視条件下で、4mで測定した。
・BCIVAを、Precision Vision Small 914 Illuminator Cabinet(ライトボックス)中のハイコントラスト近用視力表によって、明所視条件下で、26インチ(66cm)で測定した。
・瞳孔径(PD)を、NeurOptics瞳孔計(mm)により測定した。
・結膜充血を、4ポイントのスケール(0~3)を使用してCCLRU画像により測定した。
o無し(0)=正常。容易に観察される結膜血管が少数であり、白く見える
o軽度(+1)=眼球結膜及び眼瞼結膜の両方の顕著なピンク色がかった赤色
o中等度(+2)=眼球結膜及び眼瞼結膜の明るい緋色
o重度(+3)=点状出血を伴う牛肉のような赤色、結膜下出血の証拠の暗赤色眼球結膜及び眼瞼結膜。
【0239】
明所視照明条件において、遠用及び近用の照明チャートは、およそ85~160cd/m2(85~160nits)の輝度レベルであるだろう。薄明視条件において、遠用及び近用の照明チャートは、およそ3cd/m2(3nit)の輝度レベルであるだろう。明所視及び薄明視両方の周囲照明は、ライトボックスの輝度レベルのみである。薄明視条件についての輝度低減を、輝度を低減するニュートラルフィルターによって行う。対象をこれらの照明条件に順応させるだろう(PD及び視力(VA)の測定のセット前の最小2分間、普通に眼を開けたままにする)。対象は、順応期間の間に及びすべて査定について、照明チャートに直接面する検査椅子に座った。
【0240】
室内照明を、予定された残りの安全性査定(例えば結膜充血、AE、対象の質問票など)のために点灯した。対象は、すべての査定について同じ部屋にいなくてはならず、同一人物がすべての来院で測定を遂行するようにあらゆる努力を行った。
【0241】
視力については、測定を文字で行い、必要に応じてLogMAR及び直線に変換した。
【0242】
組入れ基準
1.≧40歳及び≦64歳の年齢の男性または女性。
【0243】
2.すべてのプロトコールに義務付けられた手順を独立して遵守し、すべての予定された診療所来院に出席することが可能である。
【0244】
3.署名されたインフォームドコンセントを与えることが可能であり、その意志がある。
【0245】
4.試験期間の全体にわたって試験医薬物を自己投与することが可能である。
【0246】
5.明所視条件下で0.0LogMAR(20/20のスネレン等価)以上の各々の眼における最高矯正遠見視力(BCDVA)。
【0247】
6.明所視条件下で0.4LogMAR(20/50のスネレン等価)以下の各々の眼及び両眼における遠見矯正下近見視力(DCNVA)。
【0248】
7.両眼最高矯正近見視力が0.1LogMAR(20/25のスネレン等価)以上である老眼鏡または遠近両用眼鏡を使用する対象。
【0249】
除外基準
眼科的条件(いずれかの眼における):
1.店頭販売の(OTC)製品による眼瞼スクラブ(例えばOCuSOFT(登録商標)眼瞼スクラブ、SteriLid(登録商標)、ベビーシャンプーなど)を例外とした、7日間のスクリーニング内から試験完了までの、任意の局所用処方薬または任意の種類のOTC眼科用医薬物の使用。
【0250】
2.7日間のスクリーニング内から試験完了までの、任意の店頭販売の(OTC)人工涙液(保存物質有りまたは保存物質無し(preserved or unpreserved))の1日あたり少なくとも1回の使用。
【0251】
3.ドライアイのための任意の局所的眼科療法(例えばRestasis、Xiidraなど)の現在の使用。
【0252】
4.<5秒の涙液層破壊時間、または角膜フルオレセイン染色(National Eye Instituteスケールを使用して、下部域で≧グレード2または中央域で≧グレード1)。
【0253】
5.治験担当医師によって認められるような、試験を妨害する臨床的に重要な眼疾患(例えば白内障、緑内障、角膜浮腫、ぶどう膜炎、網膜変性、視野の喪失、任意の黄斑病状)。
【0254】
6.いずれかの眼における眼の感染または炎症の最近または現在の証拠(臨床的に重要な眼瞼炎、結膜炎、角膜炎などの現在の証拠等)。対象は、少なくとも7日間症状無しでなくてはならない。
【0255】
7.単純ヘルペスまたは帯状疱疹角膜炎の既往歴。
【0256】
8.糖尿病性網膜症または糖尿病性黄斑浮腫の既往歴。
【0257】
9.フェントラミン、ピロカルピンまたはビヒクル製剤のうちの任意の構成要素に対する、既知のアレルギー、過敏症、または禁忌。
【0258】
10.涙点の焼灼、または涙点プラグ(シリコーンまたはコラーゲン)挿入もしくは除去の既往歴。
【0259】
11.スクリーニング前の6か月以内の眼の外傷、眼の手術(例えば眼内レンズ)、眼のレーザー治療。多焦点眼内レンズの有る対象は、除外される。
【0260】
12.瞳孔または虹彩に影響する任意の外傷性病態(外科手術または非外科手術)または非外傷性病態(例えば不規則な形の瞳孔、神経原性瞳孔障害、虹彩萎縮、虹彩切開術、虹彩切除術、虹彩炎など)の既往歴。
【0261】
13.スクリーニングから試験完了までに、コンタクトレンズの使用を中止することを嫌がるかまたは可能でない。
【0262】
14.Cornea and Contact Lens Research Unit(CCLRU)の4ポイントのスケールで、結膜充血≧グレード2。
【0263】
全身的条件
15.α-アドレナリン作動性受容体アンタゴニスト及び/またはβ-アドレナリン作動性受容体アンタゴニストに対する、既知の過敏症または禁忌(例えば慢性閉塞性肺疾患または気管支喘息;異常な低血圧(BP)または心拍度数(HR);第2度もしくは第3度心ブロックまたは鬱血性心不全)。
【0264】
16.任意の全身性コリン作動性副交感神経作動剤に対する既知の過敏症または禁忌。
【0265】
17.治験担当医師によって認められるような、試験を妨害する臨床的に重要な全身性疾患(例えば制御されていない糖尿病、重症筋無力症、がん、肝臓障害、腎臓障害、内分泌障害、または心臓血管障害)。
【0266】
18.スクリーニング前の7日間または試験の間の、任意の全身性のアドレナリン作動性薬物またはコリン作動性薬物による治療の開始、または現在の投薬量、薬物、もしくレジメンの変化。
【0267】
19.スクリーニング前の30日間以内の任意の治験の参加。
【0268】
20.妊娠中であるか、授乳中であるか、妊娠を計画するか、または医学的に許容される受胎調節の形態を使用しない、出産能力のある女性。許容される方法としては、以下の:子宮内避妊具(IUD)、ホルモン(経口、注射、パッチ、インプラント、リング)、殺精子物質によるバリア(コンドーム、ペッサリー)、または禁欲のうちの少なくとも1つの使用が挙げられる。女性は、閉経後1年または不妊手術後3か月でない限り、出産能力があると判断される。卵管結紮術後の女性を含む出産の可能性のあるすべての女性は、来院1(スクリーニング/ベースライン)時に、尿妊娠テスト結果が陰性でなくてはならない。
【0269】
21.スクリーニング来院1時に、座位で少なくとも5分間の休息期間後に、50~110拍/分の指定された範囲外の安静時HR。HRは、指定された範囲外であるならば、座位で別の5分間の休息期間後に1回のみ反復してもよい。
【0270】
22.スクリーニング来院1時に、座位で少なくとも5分間の休息期間後に、安静時拡張期BP>105mmHgまたは収縮期BP>160mmHgの高血圧。BPは、指定された範囲外であるならば、座位で別の5分間の休息期間後に1回のみ反復してもよい。
【0271】
臨床試験において使用される試験医薬物は、以下の表において示される通りである。
【表6】
【0272】
パートII:結果
観察された瞳孔径の低減についてのデータを、以下の表2中で提供する。観察された最高矯正遠見視力(BCDVA)の改善についてのデータを、以下の表3中で提供する。観察された眼内圧についてのデータを、以下の表4中で提供する。
【表7】
【表8】
【表9】
【0273】
参照による援用
本明細書において参照される特許文書及び科学論文の各々の開示全体は、すべての目的のために参照することによって援用される。
【0274】
均等物
本発明は、その趣旨または本質的特徴から逸脱せずに、他の具体的な形態で実施され得る。したがって、前述の実施形態は、本明細書において記載される本発明を限定するものではなく、すべての点で例証と見なされるべきである。よって、本発明の範囲は、前述の記載によってではなく、添付の特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲の均等性の意味及び範囲内に入るすべての変化は、その中に包含されることが意図される。
【国際調査報告】