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特表2024-515719下向流水素処理リアクタのための濾過デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】下向流水素処理リアクタのための濾過デバイス
(51)【国際特許分類】
   B01J 8/02 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
B01J8/02 E
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023564650
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-30
(86)【国際出願番号】 US2022025823
(87)【国際公開番号】W WO2022226228
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】63/177,950
(32)【優先日】2021-04-21
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】503148834
【氏名又は名称】シェブロン ユー.エス.エー. インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ソング、スティーブン シューチ
(72)【発明者】
【氏名】ポーランド、マシュー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】フォルメル、マシュー ディー.
(72)【発明者】
【氏名】カシェヴァロフ、デイビット
(72)【発明者】
【氏名】フランス、ジェームス
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス、ティモシー ディー
【テーマコード(参考)】
4G070
【Fターム(参考)】
4G070AA05
4G070AB07
4G070BB05
4G070CA30
4G070CB11
4G070CB17
(57)【要約】
下向流触媒水素処理リアクタのための濾過デバイスが開示される。混合気体及び液体供給流からリアクタ触媒床への汚染物質を除去するために、高い温度及び圧力において、水素が存在する炭化水素原料の触媒反応において、石油及び化学的処理産業において濾過デバイスが使用され得る。水平トレイの取り付けとして、濾過デバイスがリアクタの上部に設けられ得、それによって、供給流液体は、リアクタの壁から濾過デバイスの中心に、その後、リアクタ触媒床に、放射状に内側方向に濾過媒体を通過する。もたらされる利点は、規模を最小化し、デバイスの下にある触媒床に到達する小さい/微細な微粒子を最小化すること、濾過器が完全に悪臭を放つときでさえ、リアクタを通じた圧力降下を低減させること、及び触媒グレーディング材料を使用する必要性を低減されたことに起因して触媒容積を潜在的に加えることである。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下向流触媒水素処理リアクタ内で液体供給流から汚染物質を除去する濾過デバイスであって、
内側表面、外側表面、及び上部プレート外縁を有する上部プレートと、
内側表面、外側表面、ベースプレート外縁、及びベースプレートアパーチャを有する、前記上部プレートに全体的に並列なベースプレートであって、前記上部プレート及び前記ベースプレートは、前記濾過デバイスの内部容積を定めるように、ある距離によって分離され、前記内部容積は、前記ベースプレート内部表面の上部に、及び前記ベースプレート内部表面に隣接して位置する濾過媒体容積と、前記濾過媒体容積の上部に、及び前記上部プレート内部表面に隣接して位置する流バイパス容積と、を含む、前記ベースプレートと、
前記ベースプレートアパーチャの周囲の周りに位置し、前記ベースプレートから前記濾過媒体容積の前記上部に、または前記上部プレートの底部表面に延長する、前記ベースプレート上で濾過媒体を保持するベースプレートアパーチャ封じ込めバリアと、
前記上部プレートと前記ベースプレートとの間で分離距離をもたらし及び維持する1つ以上の支持部を含む、前記濾過デバイスの前記内部容積内に位置付けられた前記上部プレートの支持構造と、
前記濾過媒体容積と前記流バイパス容積との間に位置付けられた分離器であって、前記分離器は全体的に、薄く、前記上部プレート及び前記底部プレートの両方に並列であり、前記濾過媒体容積内に前記濾過媒体を含有し、液体が前記濾過媒体容積の中に流れることを可能にする、前記分離器と、
前記濾過媒体容積内に含有された濾過媒体と、を備え、
前記ベースプレート、前記上部プレート、及び前記分離器は、同一の中心垂直軸の周りで中心に位置付けられ、前記分離器は全体的に、前記底部プレートと同一の面積寸法を有し、前記上部プレートは、前記底部プレートよりも小さい面積寸法を有し、その結果、供給流液体及び気体は、前記上部プレートの前記外縁と前記ベースプレートの前記外縁との間で前記濾過デバイス入口の中に流れることができる、
前記濾過デバイス。
【請求項2】
前記デバイス、及び前記上部プレート、前記ベースプレート、ならびに前記分離器の各々は、略円形であり、下向流触媒水素処理リアクタの上部空間内で水平に適合するようなサイズにされる、請求項1に記載の濾過デバイス。
【請求項3】
前記上部プレートは、それを通じて供給流液体及び気体が前記デバイスに入り、前記ベースプレートアパーチャに向かって内側に流れる、前記濾過デバイスの上部の周囲の周りで環状濾過デバイス入口領域を定めるように、前記ベースプレートよりも小さい略円形の直径を有する、請求項2に記載の濾過デバイス。
【請求項4】
前記上部プレート、前記ベースプレート、及び前記分離器のうちの1つ以上は、前記各上部プレート、前記ベースプレート、または前記分離器を共に形成する複数の区画を含み、その結果、リアクタ内部アクセス位置を通じて前記区画が前記リアクタ内に配置され、または前記リアクタから除去され得る、請求項1~3のいずれかに記載の濾過デバイス。
【請求項5】
前記支持構造は、前記上部プレートまたは前記上部プレートの区画を支持するための複数の横材を含む、請求項1~4のいずれかに記載の濾過デバイス。
【請求項6】
前記横材は、前記分離器または前記分離器の区画を支持する、請求項5に記載の濾過デバイス。
【請求項7】
前記横材は、前記ベースプレートまたは前記ベースプレートの区画を支持する、請求項4~6のいずれかに記載の濾過デバイス。
【請求項8】
前記横材は、前記横材の上部と底部との間で上部支持部及び中間支持部を含み、前記上部支持部は、前記上部プレートまたは前記上部プレートの区画を支持し、前記中間支持部は、前記分離器または前記分離器の区画を支持する、請求項4~7のいずれかに記載の濾過デバイス。
【請求項9】
前記分離器は、前記濾過媒体容積内で前記濾過媒体を保持するのに十分であるワイヤ、グリッド、メッシュ、スクリーン、または穴あき金属材料を含む、請求項1~8のいずれかに記載の濾過デバイス。
【請求項10】
前記ベースプレートアパーチャ封じ込めバリアは、前記濾過媒体容積内で前記濾過媒体を保持し、前記濾過媒体容積から前記ベースプレートアパーチャの中に、及び前記ベースプレートアパーチャを通じて供給流液体が流れることを可能にするのに十分であるワイヤ、グリッド、メッシュ、スクリーン、または穴あき金属材料を含む、請求項1~9のいずれかに記載の濾過デバイス。
【請求項11】
前記ベースプレートアパーチャは、前記ベースプレート内で中心に位置し、下向流触媒水素処理リアクタに取り付けられるとき、前記濾過デバイスの下に位置するリアクタの部分への人道アクセスを可能にする十分な寸法のものである、請求項1~10のいずれかに記載の濾過デバイス。
【請求項12】
前記濾過媒体は、約5ミリメートル~約20ミリメートルの範囲にある呼び寸法を有する微粒子濾過吸収性材料を含む、請求項1~11のいずれかに記載の濾過デバイス。
【請求項13】
前記デバイスは、前記ベースプレートから前記濾過媒体容積の前記上部または前記上部プレートの前記底部表面に延長する前記ベースプレートの周囲の周りに位置する封じ込めバリアを含まず、または前記濾過媒体は、前記ベースプレートの前記周囲の周りに含有されず、またはその組み合わせである、請求項1~12のいずれかに記載の濾過デバイス。
【請求項14】
請求項1~13のいずれかに記載の前記濾過デバイスを含む下向流触媒水素処理リアクタ。
【請求項15】
下向流触媒水素処理リアクタ内で液体供給流から汚染物質を除去する工程であって、前記工程は、請求項1~13のいずれかに記載の、前記リアクタの上部に取り付けられた濾過デバイスを通じて下向流触媒水素処理リアクタに供給流を通させることを含み、前記供給流の液体及び気体成分は、前記上部プレートの前記外縁と前記ベースプレートの前記外縁との間で前記濾過デバイスへの前記入口を通過し、その結果、前記供給流液体は、前記濾過媒体容積内に含有された前記濾過媒体を通過し、前記供給流気体は、前記濾過デバイスの内部容積の前記流バイパス容積を通過する、前記工程。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
本出願は、その全体が参照によって開示が本明細書に組み込まれる、2021年4月21日に出願され、“FILTRATION DEVICE FOR A DOWN-FLOW HYDROPROCESSING REACTOR”と題する米国仮特許出願第63/177,950号への優先権を主張する。
【0002】
下向流触媒水素処理リアクタのための濾過デバイスが開示される。混合気体及び液体供給流からリアクタ触媒床への汚染物質を除去するために、高い温度及び圧力において、水素が存在する炭化水素原料の触媒反応において、石油及び化学的処理産業において濾過デバイスが使用され得る。
【背景技術】
【0003】
固定床水素処理リアクタでは、気体及び液体反応物(例えば、水素及び炭化水素原料)は、固体触媒の1つ以上のベッドを通じて下方向に流れる。(例えば、Penickへの米国特許第4,597,854号を参照されたい。)反応物がリアクタ触媒床を通じて下方向に流れるにつれて、反応物は、触媒材料に接触し、所望の生成物を生成するように反応する。リアクタ供給流も、汚物及び汚染物質を含有し得、ガムなどの有機堆積物の形成を含む望ましくない堆積につながる。
【0004】
液体供給流において運ばれる汚物は、リアクタ内及び触媒床内で上部分配器トレイ上で悪臭を放つことにつながる場合があり、リアクタの性能を制限する望ましくない圧力降下の増大につながる。より短いランレングス、計画していないダウンタイム、使用していない触媒活動、触媒床内での不均一な液体分散、触媒床内でのホットスポット形成、及び分配器トレイの洗浄などのメンテナンスの増大を含む、好ましくない問題が結果として生じる場合がある。そのような問題を軽減するソリューションは、給水濾過器、ベッドグレーディング、いくつかのケースでは、上部分配器トレイの上にある濾過器トレイを取り付けることを含む。
【0005】
いくつかのケースでは、給水汚染除去のために、第1の触媒床内で、グレーディング製品が使用されてきた。そのようなソリューションは概して、性能の利点を示すと共に、貴重なリアクタ容積が実際の触媒容積から取り上げられ、それによって、動作実行時間及び/またはオンライン性能を低減させる。グレーディングベッドの使用も、上部分配器トレイ上で悪臭を放つことを防止しない。
【0006】
給水濾過器も、リアクタ入口の前に取り付けられ得、いくつかのケースでは、リアクタに入る供給流のために使用されるより低い温度で動作し得る。濾過された液体供給はその後、水素と混合され得、リアクタ入口の中に流れる前に炉内で加熱され、給水濾過器の後にこの加熱工程の間に、ガムなどの追加の有機堆積物が形成される場合がある。したがって、上部分配器トレイ及び触媒床を保護するために、リアクタ入口ヘッダ内で汚泥及び汚染物質を除去する手段が望ましい。したがって、供給流汚染物質を除去するためのデバイスを含む、下向流リアクタにおける改善のための必要性が継続して存在する。
【発明の概要】
【0007】
本発明は、下向流水素処理リアクタのための濾過デバイスに向けられる。デバイスは、液体供給流から水素処理リアクタ内の触媒床への汚染物質の効果的な除去をもたらす。濾過デバイスは、微細な汚染物質及び他の汚染物質の効果的な除去をもたらすと共に、デバイスを通じた圧力降下を最小化する。デバイスは、改造用途のために良好に適合し、効率的な供給流汚染物質除去を達成するために、新たなリアクタ設計に対して使用でき、その結果、リアクタ触媒床及びリアクタ内部は、悪臭を放たれず、リアクタ動作性能が改善する。
【0008】
動作の間に濾過デバイスを通じた圧力降下を最小化すると共に、汚染物質が除去されることに加え、濾過媒体が完全に悪臭を放たれると、すなわち、除去された汚染物質により充填されると、デバイスを通じた追加の圧力降下がない。
【0009】
濾過デバイスは全体的に、内側表面、外側表面、及び上部プレート外縁を有する上部プレートと、内側表面、外側表面、ベースプレート外縁、及びベースプレートアパーチャを有する、上部プレートに全体的に並列なベースプレートと、ベースプレートアパーチャ封じ込めバリアと、上部プレートに対する支持構造と、濾過媒体の上部の分離器と、デバイス内及びベースプレートの上部に含有される濾過媒体と、を含む。上部プレート及びベースプレートは、濾過デバイスの内部容積を定めるように、ある距離によって分離され、その結果、内部容積は、ベースプレート内部表面の上部に、及びベースプレート内部表面に隣接して位置する濾過媒体容積と、濾過媒体容積の上部に、及び上部プレート内部表面に隣接して位置する流バイパス容積と、を含む。ベースプレートアパーチャ封じ込めバリアは、ベースプレート上で濾過媒体を保持し、全体的に、ベースプレートアパーチャの周囲の周りに位置し、ベースプレートから濾過媒体容積の上部に、または上部プレートの底部表面に延長する。上部プレートに対する支持構造は全体的に、濾過デバイスの内部容積内に位置付けられ、上部プレートとベースプレートとの間で分離距離をもたらし及び維持する1つ以上の支持部を含む。分離器は、濾過媒体容積と流バイパス容積との間に位置付けられる。分離器は全体的に、上部プレート及び底部プレートの両方に並列する薄い多孔質材料である。分離器は、濾過媒体容積内に濾過媒体を含有し、液体が濾過媒体容積の中に流れることを可能にする。
【0010】
概して、ベースプレート、上部プレート、及び分離器は、同一の中心垂直軸の周りで中心に位置付けられる。分離器は全体的に、底部プレートと同一の面積寸法を有する。上部プレートは全体的に、底部プレートよりも小さい面積寸法を有し、その結果、供給流液体及び気体は、上部プレートの外縁とベースプレートの外縁との間で濾過デバイス入口の中に流れることができる。
【0011】
本発明は、濾過デバイスを含む下向流触媒水素処理リアクタと、そのようなリアクタ内で液体供給流から汚染物質を除去する工程とに関連する。工程は全体的に、リアクタの上部に取り付けられた濾過デバイスを通じて下向流触媒水素処理リアクタに供給流を通させることを含み、供給流の液体及び気体成分は、上部プレートの外縁とベースプレートの外縁との間で濾過デバイスに入口を通じて経路指定される。供給流液体は、濾過媒体容積内に含有される濾過媒体を通過し、供給流気体は、濾過デバイスの内部容積の流バイパス容積を通過する。
【0012】
図1~6は、本発明の実施形態に係る濾過デバイスの代表的な図面を提供する。本発明の範囲は、それらの代表的な図面によって限定されず、添付の特許請求の範囲によって定義されると理解されることになる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は、本発明の濾過デバイスの実施形態の側面図を示す。
【0014】
図2図2は、リアクタの上部に取り付けられた、本発明の濾過デバイスの実施形態の側面図を示すと共に、リアクタ壁及び既存の分散トレイ(本明細書で穴あきトレイとも称される)の側断面図も示される。
【0015】
図3図3は、図2におけるのと同一の図面を示すと共に、供給流液体及び気体の流路も示す。
【0016】
図4図4は、上部プレート及び分離器が除去された、リアクタ区画内に位置付けられた濾過デバイスの4分の1を切り欠いた4分の3の図を示す(濾過デバイスの下にある既存のトレイをも示す)。
【0017】
図5図5は、分離器が適切な場所にある、図4にあるようなリアクタ区画内に位置付けられた濾過デバイスの4分の1を切り欠いた4分の3の図を示す(濾過デバイスの下にある既存のトレイをも示す)。
【0018】
図6図6は、上部プレートが適切な場所にある、図5にあるようなリアクタ区画内に位置付けられた濾過デバイスの4分の1を切り欠いた4分の3の図を示す(濾過デバイスの下にある既存のトレイをも示す)。
【発明を実施するための形態】
【0019】
特定の実施形態及び利点が本明細書で提供される詳細な説明から明らかである。しかしながら、有益な実施形態を示すと共に、好ましい一部を含む、詳細な説明、図面、及びいずれかの特定の実施例は、例示のみの目的を意図しており、本発明の範囲を限定することを意図していないことを理解されるべきである。
【0020】
本発明は、下向流水素処理リアクタのための濾過デバイスを対象とする。デバイスは、内側表面、外側表面、及び上部プレート外縁を有する上部プレートと、内側表面、外側表面、ベースプレート外縁、及びベースプレートアパーチャを有する、上部プレートに全体的に並列なベースプレートと、ベースプレートアパーチャ封じ込めバリアと、上部プレートの支持構造と、濾過媒体の上部の分離器と、デバイス内及びベースプレートの上部に含有される濾過媒体と、を含む。
【0021】
上部プレート及びベースプレートは、濾過デバイスの内部容積を定めるように、ある距離によって分離され、その結果、内部容積は、ベースプレート内部表面の上部及びベースプレート内部表面に隣接して位置する濾過媒体容積と、濾過媒体の上部及び上部プレート内部表面に隣接して位置する流バイパス容積と、を含む。ベースプレートアパーチャ封じ込めバリアは、ベースプレート上で濾過媒体を保持し、全体的に、ベースプレートアパーチャの周囲の周りに位置し、ベースプレートから濾過媒体容積の上部に、または上部プレートの底部表面に延長する。上部プレートの支持構造は全体的に、濾過デバイスの内部容積内に位置付けられ、上部プレートとベースプレートとの間の分離距離をもたらし及び維持するための1つ以上の支持部を含む。分離器は、濾過媒体容積と流バイパス容積との間に位置付けられる。分離器は全体的に、上部プレート及び底部プレートの両方に並列する薄い多孔質材料である。分離器は、濾過媒体容積内に濾過媒体を含有し、液体が濾過媒体容積の中に流れることを可能にする。
【0022】
封じ込めバリアは全体的に、バリアの幅及び高さの全体を通じて浸透可能な液体であり得る。いくつかの実施形態では、封じ込めバリアは、バリアの幅及び/または高さの一部において浸透可能な液体であり得ると共に、液体が濾過容積内で保持されることを可能にするように浸透可能でない液体(または、より低い程度に浸透可能な液体で)であり得る。デバイスは、ベースプレートから媒体容積の上部または上部プレートの底部表面に延長するベースプレートの周囲の周りに位置する外側周囲封じ込めバリアを含む必要がなく、または必ずしも含まない。濾過媒体は、外側周囲封じ込め要素の使用を通じて、ベースプレートの周囲の周りに含有される必要がない。
【0023】
概して、ベースプレート、上部プレート、及び分離器は、同一の中心垂直軸の周りで中心に位置付けられる。分離器は全体的に、ベースプレートと同一の面積寸法を有する。上部プレートも全体的に、底部プレートよりも小さい面積寸法を有し、その結果、供給流液体及び気体は、上部プレートの外縁とベースプレートの外縁との間で濾過デバイス入口の中に流れることができる。濾過デバイスは、特定の形状または寸法に必ずしも限定されないと共に、ほとんどのケースでは、デバイスは、新たなリアクタまたは既存のリアクタの断面形状に合致し、典型的には、濾過デバイスは、形状において円形であり、その結果、上部プレート、ベースプレート、及び分離器の各々は、リアクタの内部寸法に対応し、リアクタの上部空間内で水平に適合するように円形及び寸法にされる。デバイスが全体的に円形であるケースでは、上部プレート(本明細書で上部流分流器プレートとも称される)の外側周囲とベースプレートの外側周囲との間の距離は、デバイスの外の周りの環状エリアであり、環状エリアを通じて、リアクタの外に分流された供給流液体及び気体は、デバイスに入り、ベースプレートアパーチャに向かって内部に流れる。
【0024】
上部プレート、ベースプレート、及び分離器も、それぞれの上部プレート、ベースプレート、または分離器を共に形成する複数の区画として形成され得る。上部プレート、ベースプレート、及び分離器のようなあるデバイス構成要素に対する区画の使用は、人道などのリアクタ内部アクセス位置を通じて区画がリアクタ内に配置され、リアクタから除去されることを可能にし、それによって、取り付け及びメンテナンスを促進する。
【0025】
上部プレート、または上部プレートの区画を支持し、上部プレートとベースプレートとの間のある距離をもたらすために、様々な支持構造が使用され得る。例えば、上部プレートを支持するために、リアクタの壁の間の断面距離に及ぶ、トラスなどの複数の横材が使用され得る。支持構造、またはより具体的には、横材は典型的には、既存のトレイの上部に残る支持部材によって、またはリアクタまたはリアクタ内部への他の接続を通じてなど、リアクタ内の構造によって支持される。いくつかのケースでは、例えば、横材が使用されるとき、分離器または分離器の区画を支持するために、支持構造も使用され得る。支持構造はまた、ベースプレートまたはベースプレートの区画を支持し得る。一実施形態では、支持構造は、リアクタ断面の区画にわたって1つのリアクタ壁からリアクタの他の側への距離に及ぶ複数の横材トラスを含み、その結果、ベースプレートは、トラスの下位部分上で支持され、分離器は、トラスの中間部分上で支持され、上部プレートは、トラスの上部によって支持される。上部プレート、ベースプレート、及び分離器の各々がそれぞれの構成要素の区画を含むケースでは、各々の区画は、トラスの間の空間内で支持されるように構成及び配列され得る。
【0026】
分離器は全体的に、濾過デバイス内の濾過媒体容積とバイパス流容積との間のエリアを定める。典型的には、分離器は、濾過媒体を適切な場所に濾過媒体容積内に保持するように機能する、薄い多孔質材料である。ワイヤ方式であるものと共に、グリッド、メッシュ、スクリーン、または穴あき金属などの様々な材料が使用され得る。特に限定されないが、分離器、またはその区画は、取り付けを支援し、動作の間にそれらの配置を維持することを助けるようにある程度剛性であり得る。いくつかの実施形態では、分離器は、場合による構成要素であり得、例えば、濾過媒体が濾過媒体容積内に含有されたままであるために分離器が必要とされない場合、必ずしもデバイスに含まれない。
【0027】
ベースプレートアパーチャは、供給流の液体及び気体が濾過デバイスを通過することと、リアクタ内の他の下方の位置に、例えば、濾過デバイスの下にある分配器に流れること、とを可能にする。アパーチャのサイズは、可変であり得、特に限定されない(流量制限を導入することを回避し、濾過容積の効率的な使用を可能にすることを除く)。ベースプレートアパーチャは、濾過デバイスの下にあるリアクタ内部への人道アクセスをもたらすように形状付けられ得る。
【0028】
濾過容積内で汚染物質除去をもたらすために、様々な濾過媒体が使用され得る。適切な材料は全体的に、本分野において既知のいずれかを含むと共に、典型的には、積み込み、維持、及び除去するのに便利である吸収性材料が使用される。そのような材料は、市販されており、ペレットまたは水素処理リアクタ用の他の通常の形状で典型的には設けられる。いくつかのケースでは、約5ミリメートル~20ミリメートルの範囲にある呼び長さを有するペレット形状の吸収性濾過媒体が有用であり得る。
【0029】
本発明は更に、水素処理システムにおいて、特に、下向流水素処理リアクタにおいて、例えば、そのようなリアクタの上部において内側に位置する汚染物質除去トレイとして、本発明に係る濾過デバイスの使用に関連し、また、濾過デバイスを使用する水素処理リアクタシステムに関連する。
【0030】
本発明の一実施形態では、図1~6に表されるように、濾過デバイスは、図1に示されるような中心断面を有し得る。ベースプレート10は、上部プレート20によって形成される上部を有する濾過デバイスの下位部分を形成する(それが液体及び気体の流れがリアクタの外に逸らすことを助けるので、ディフレクタトレイとも称される)。ベースプレート10は、ベースプレートアパーチャと称される開口を有し、開口は全体的に、ベースプレート上に中心に位置して、液体及び気体がデバイスを通過して下方に流れ、例えば、濾過デバイスの下にある分散トレイに流れることを可能にする。ベースプレート及び上部プレートを支持するためのトラス30であり得る横材が示される。下位濾過容積15と上位流バイパス容積25との間の分離器40は、デバイスの内部容積を2つの流区画に分離し、また、横材30によって支持される。封じ込めバリア50は、濾過デバイスの中心でベースプレートアパーチャを囲み、ベースプレートアパーチャは、液体及び気体がデバイスを通じて、及び穴あき分散トレイなどの既存のリアクタ内部に下方向に流れることを可能にする。濾過媒体60は、濾過媒体容積15内に含有される。上部プレート10も、濾過デバイスの内部へのアクセスを可能にするベースプレートアパーチャ開口に全体的に対応する開口を有し得る。必要とされないが、ベースプレート10、上部プレート20、及び分離器40は各々、横材30の間に位置する1つよりも多い区画(複数可)の形式で設けられ得る。いくつかのケースでは、ベースプレート10、上部プレート20、及び分離器40のうちの1つ以上は各々、区画化されていない、濾過デバイスの全体的な構成要素として設けられ得る。
【0031】
図2は、濾過デバイスが下向流リアクタに取り付けられる実施形態における、図1と同一の中心断面図を示す。示されるように、濾過デバイスは、リアクタの上部に取り付けられ得、リアクタシェル110の側壁の間に、及び、例えば、それが存在する場合、排水ます100の下に位置付けられ得る。図2は、リアクタ内でのデバイスの可能な取り付けの一実施形態を示すと共に、他の構成が使用され得る。また、例示の目的のために図2に含まれるのは、分散トレイ(穴あきトレイとも称される)70、分散トレイ70とベースプレート10との間に位置付けられるスペーサリング80、及びベースプレートとリアクタ側壁との間でシールを設けるためのシールリング90である。分散トレイ70、スペーサリング80、及びシールリング90は、濾過デバイスの必要とされる構成要素ではなく、またはリアクタ内のデバイスの取り付けの必要とされる構成要素ではなく、可能な取り付けの実施形態を例示するために本明細書で提供される。
【0032】
図3は、濾過デバイスが排水ます100の下にある下向流リアクタに取り付けられる実施形態における、図2と同一の中心断面図を示す。濾過媒体容積60内の濾過媒体15及び流バイパス容積25のそれぞれを通じた液体120及び気体130の流路が示される。示されるように、供給流液体の流れは、リアクタ側壁から内側に放射状であり、濾過デバイス入口及び濾過媒体容積を通過し、次いで、封じ込めバリアと、濾過デバイスの中心に位置するベースプレートアパーチャとを通過する。
【0033】
図4は、横材30の内部配列が支持し、封じ込めバリア50が容易に見られ得るように、上部プレート及び分離器が除去された、濾過デバイスの実施形態の3/4等角断面図を示す。示されるように、ベースプレート10の中心に位置するベースプレートアパーチャは、濾過デバイスの下にあるリアクタ内側への人道アクセスをもたらす。横材30がトラス支持部として示されると共に、適切な代替支持部材が使用され得る。
【0034】
図5は、分離器40が取り付けられ(ホールドダウンスクリーンとも称される)、横材30上の中間位置に支持される、図4に係る3/4等角断面図を示す。分離器は全体的に、ベースプレートと同一の面積寸法を有し、ベースプレートアパーチャの開口に対応する中心開口を包含する。また、示されるのは、取り付けられるときに上部プレートを支持する横材30の上部支持部である。
【0035】
図6は、上部プレート20が取り付けられ(ディフレクタトレイとも称される)、横材の上部に支持される、図5に係る3/4等角断面図を示す。中心人道パネルが除去された上部プレート20が示される。人道パネルは、標準のリアクタ動作のために取り付けられる。参照のために、図4及び5にあるように、他の構成要素も示される。
【0036】
本明細書で説明される特定の実施形態を含む本発明の濾過デバイスは、規模を最小化し、濾過デバイスの下にある触媒床(複数可)及びリアクタ内部に到達する小さい粒子または微粉を最小化することと、リアクタの動作の全体を通じた圧力降下の増大を低減させ、それによって、完全または延長した稼働する動作を可能にすることと、濾過器ベッドが完全に悪臭を放ち、すなわち、汚染物質だらけであるときでさえ、リアクタを通じた追加の圧力降下を最小化することと、触媒床の上部において必要とされるグレーディング材料の量を潜在的に低減させ、それによって、リアクタ内の活性触媒の容積を増大させることと、を含む水素処理用途におけるある利点及び改善をもたらす。
【0037】
本発明の1つ以上の実施形態の先述の説明は主として、例示を目的とし、本発明の必須性をなおも組み込む多くの変形が使用され得ることが認識される。本発明の範囲を判定する際に、以下の特許請求の範囲への参照が行われるべきである。
【0038】
本発明の先述の説明において引用された全ての特許及び出版物は、参照によって本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
【国際調査報告】