(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】ドープされたAg元素を含むナノチタン酸塩、ナノチタン酸、ナノTiO2の製造方法と用途
(51)【国際特許分類】
C01G 23/00 20060101AFI20240403BHJP
A01P 1/00 20060101ALI20240403BHJP
A01P 3/00 20060101ALI20240403BHJP
A01N 59/16 20060101ALI20240403BHJP
A01N 25/10 20060101ALI20240403BHJP
C09D 5/16 20060101ALI20240403BHJP
C09D 5/08 20060101ALI20240403BHJP
C09D 7/61 20180101ALI20240403BHJP
C09D 201/00 20060101ALI20240403BHJP
C09C 1/36 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
C01G23/00 B
A01P1/00
A01P3/00
A01N59/16 A
A01N25/10
C09D5/16
C09D5/08
C09D7/61
C09D201/00
C09C1/36
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565448
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-12-21
(86)【国際出願番号】 CN2022088182
(87)【国際公開番号】W WO2022222996
(87)【国際公開日】2022-10-27
(31)【優先権主張番号】202110444047.7
(32)【優先日】2021-04-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】523400998
【氏名又は名称】李 彦軍
(71)【出願人】
【識別番号】522359202
【氏名又は名称】趙 遠雲
【氏名又は名称原語表記】ZHAO, Yuanyun
【住所又は居所原語表記】Room 1401, Building 7, Shanhu Garden, No. 1 Kaide Road, Dalingshan Town Dongguan, Guangdong 523000, China
(74)【代理人】
【識別番号】110000800
【氏名又は名称】デロイトトーマツ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】李 彦軍
(72)【発明者】
【氏名】趙 遠雲
(72)【発明者】
【氏名】張 小雪
【テーマコード(参考)】
4G047
4H011
4J037
4J038
【Fターム(参考)】
4G047CA06
4G047CB05
4G047CC03
4G047CD02
4G047CD03
4H011AA02
4H011BA01
4H011BB18
4H011BC18
4H011BC19
4J037AA21
4J037DD10
4J037FF22
4J037FF26
4J038HA216
4J038HA246
4J038KA20
4J038NA03
4J038NA05
4J038PB07
(57)【要約】
ドープされたE元素または埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTi酸塩、ナノTi酸、ナノTiO
2の製造方法、及びその使用に関する。E成分元素が固溶したTi-T金属間化合物をTi源として用い、常圧で塩基溶液の沸点温度付近でE成分元素が固溶したTi-T金属間化合物を塩基溶液と反応させ、E元素がドープされたナノTi酸塩フィルムの常圧・高効率かつ短時間製造を実現する。これに基づいて、酸処理と熱処理を行うことで、埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTi酸塩フィルム、E元素がドープされたナノTi酸フィルム、埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTi酸フィルムとナノTiO
2シート粉末の製造が可能となった。さらに、その後の高温高圧反応と組み合わせることで、E元素がドープされたTi酸塩ナノチューブとTi酸ナノチューブ、および埋め込まれたEナノ粒子を含むTiO
2ナノチューブ/ロッドの効率的かつ低コストの製造が達成される。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の製造方法であって、
T元素、TiおよびE成分元素を含み、かつ、前記T元素が、AlおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含み、かつ、E成分元素が固溶したT-Ti金属間化合物を含有する相組成である初期合金を提供する工程1であり、E成分元素中のAgの原子百分率含有量は50%~100%であり、かつ、前記初期合金中のTiに対するT-Ti金属間化合物に固溶したE成分元素のモル比範囲は0<C
E/C
Ti≦0.25である工程1と、
前記初期合金をT
1の温度で塩基溶液と反応させ、その間に、反応界面が2μm/minを超える平均速度で初期合金の表面から内側に進み、初期合金における反応界面が、水素析出・脱T反応によりナノ断片化を受け、同時に、形状および組成の再構成により、E成分元素を含む固体凝集生成物を生成する工程2であり、T
1≧60℃である工程2と、
工程2に記載の反応系中の前記E成分元素を含む前記固体凝集生成物の温度をT
1から低下させ、E成分元素を含む固体凝集生成物を回収する、即ち、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料を得る工程3と、を含むことを特徴とするE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の製造方法。
【請求項2】
埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルム材料の製造方法であって、
請求項1に記載の生成物またはE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料を熱処理することにより製造することを特徴とする埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルム材料の製造方法。
【請求項3】
E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料の製造方法であって、
請求項1に記載の生成物またはE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料を酸溶液と反応させ、固体生成物を回収する、即ち、E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料を得ることを特徴とするE成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料の製造方法。
【請求項4】
埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料の製造方法であって、
請求項3に記載の生成物またはE成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料を熱処理することを特徴とする埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料の製造方法。
【請求項5】
埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO
2シート粉末の製造方法であって、
請求項3に記載の生成物、E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料、請求項4に記載の生成物、または埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料を熱処理することを特徴とする埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO
2シート粉末の製造方法。
【請求項6】
E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの製造方法であって、
請求項1に記載の生成物またE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムおよび/または請求項3に記載の生成物またはE成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムを含む固体物質を塩基溶液と共に密閉容器に密閉し、次いで、T
f溶液の温度よりも高い温度T
2で高温高圧処理し、
ここで、T
f溶液は、常圧下において反応に関する前記塩基溶液の沸点温度であり、かつ、T
f溶液<T
2であり、
一定時間反応させた後、前記密閉容器の温度を低下させ、圧力を常圧に戻し、最終固体生成物を回収する、即ち、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブを得る工程、を含むことを特徴とするE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの製造方法。
【請求項7】
埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸塩ナノチューブの製造方法であって、
請求項6に記載の最終生成物、またはE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブを熱処理することを特徴とする埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸塩ナノチューブの製造方法。
【請求項8】
埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの製造方法であって、
請求項6に記載の最終生成物、またはE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブを酸溶液と反応させ、固体生成物を回収することにより、埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブを得ることを特徴とする埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの製造方法。
【請求項9】
埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの製造方法であって、
請求項8に記載の生成物、またはE成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブを熱処理することにより製造することを特徴とする埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの製造方法。
【請求項10】
埋め込まれたEナノ粒子を含む結晶性TiO
2ナノチューブ/ロッドの製造方法であって、
請求項8に記載の生成物、またはE成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブを熱処理することを特徴とする埋め込まれたEナノ粒子を含む結晶性TiO
2ナノチューブ/ロッドの製造方法。
【請求項11】
E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料であって、
請求項1に記載のE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の製造方法により製造され、
前記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の厚さが0.25nm~10nmであり、前記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の平均面積が500nm
2以上であり、前記E成分元素とTiとのモル比が0<C
E/C
Ti≦0.25を満たし、前記E成分元素中のAgの原子百分率が50~100%であり、前記E成分元素は主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸塩フィルム中に分布しており、前記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの相転移熱安定性は、単純なナノチタン酸塩フィルムマトリックスの相転移熱安定性よりも高いことを特徴とするE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料。
【請求項12】
埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルム材料であって、
請求項2に記載の埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルム材料の製造方法により製造され、
前記Eナノ粒子のサイズが1.5nm~10nmであり、前記Eナノ粒子は主にナノチタン酸塩フィルム中に埋め込まれて存在し、前記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルムの厚さが0.3nm~10nmであり、前記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルムの平均面積が400nm
2以上であり、前記E成分元素とTiとのモル比が0<C
E/C
Ti≦0.25を満たし、前記E成分元素中のAgの原子百分率が50~100%であることを特徴とする埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルム材料。
【請求項13】
E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料であって、
請求項3に記載のE成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料の製造方法により製造され、
前記E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムの厚さが0.25nm~10nmであり、前記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの平均面積が500nm
2以上であり、前記E成分元素とTiとのモル比が0<C
E/C
Ti≦0.25を満たし、前記E成分元素中のAgの原子百分率が50~100%であり、前記E成分元素は主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸フィルム中に分布しており、前記E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムの相転移熱安定性は、単純なナノチタン酸フィルムマトリックスの相転移熱安定性よりも高いことを特徴とするE成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料。
【請求項14】
埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料であって、
請求項4に記載の埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料の製造方法により製造され、
前記Eナノ粒子のサイズが1.5nm~10nmであり、前記Eナノ粒子は主にナノチタン酸フィルム中に埋め込まれて存在し、前記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルムの厚さが0.3nm~10nmであり、前記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルムの平均面積が400nm
2以上であり、前記E成分元素とTiとのモル比が0<C
E/C
Ti≦0.25を満たし、前記E成分元素中のAgの原子百分率が50~100%であることを特徴とする埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料。
【請求項15】
埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO
2シート粉末であって、
請求項5に記載の埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO
2シート粉末の製造方法により製造され、
前記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO
2シートの形状は板状であり、前記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO
2シートの厚さが1nm~30nmであり、前記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO
2シートの平均面積が100nm
2以上であり、前記Eナノ粒子のサイズが1.5nm~10nmであり、前記Eナノ粒子は主にナノTiO
2シート中に埋め込まれて存在し、前記E成分元素とTiとのモル比が0<C
E/C
Ti≦0.25を満たし、前記E成分元素中のAgの原子百分率が50~100%であることを特徴とする埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO
2シート粉末。
【請求項16】
E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブであって、
請求項6に記載のE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの製造方法により製造され、
前記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの外径が2nm~20nmであり、前記E成分元素とTiとのモル比が0<C
E/C
Ti≦0.25を満たし、前記E成分元素中のAgの原子百分率が50~100%であり、前記E成分元素は主に原子または原子クラスターの形でチタン酸塩ナノチューブ中に分布しており、前記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの相転移熱安定性は、単純なチタン酸塩ナノチューブマトリックスの相転移熱安定性よりも高いことを特徴とするE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ。
【請求項17】
埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸塩ナノチューブであって、
請求項7に記載の埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸塩ナノチューブの製造方法により製造され、
前記Eナノ粒子のサイズが1.5nm~10nmであり、前記Eナノ粒子は主にチタン酸塩ナノチューブ中に埋め込まれて存在し、前記埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸塩ナノチューブの外径が2nm~20nmであり、前記E成分元素とTiとのモル比が0<C
E/C
Ti≦0.25を満たし、前記E成分元素中のAgの原子百分率が50~100%であることを特徴とする埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸塩ナノチューブ。
【請求項18】
E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブであって、
請求項8に記載のE成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの製造方法により製造され、
前記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの外径が2nm~20nmであり、前記E成分元素とTiとのモル比が0<C
E/C
Ti≦0.25を満たし、前記E成分元素中のAgの原子百分率が50~100%であり、前記E成分元素は主に原子または原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブ中に分布しており、前記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの相転移熱安定性は、単純なチタン酸ナノチューブマトリックスの相転移熱安定性よりも高いことを特徴とするE成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブ。
【請求項19】
埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブであって、
請求項9に記載の埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの製造方法により製造され、
前記Eナノ粒子のサイズが1.5nm~10nmであり、前記Eナノ粒子は主にチタン酸ナノチューブ中に埋め込まれて存在し、前記埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの外径が2nm~20nmであり、前記E成分元素とTiとのモル比が0<C
E/C
Ti≦0.25を満たし、前記E成分元素中のAgの原子百分率が50~100%であることを特徴とする埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブ。
【請求項20】
埋め込まれたEナノ粒子を含む結晶性TiO
2ナノチューブ/ロッドであって、
請求項10に記載の埋め込まれたEナノ粒子を含む結晶性TiO
2ナノチューブ/ロッドの製造方法により製造され、
前記Eナノ粒子のサイズが1.5nm~10nmであり、前記Eナノ粒子は主に結晶性TiO
2ナノチューブ/ロッド中に埋め込まれて存在し、前記埋め込まれたEナノ粒子を含む結晶性TiO
2ナノチューブ/ロッドの外径が2nm~25nmであり、前記E成分元素とTiとのモル比が0<C
E/C
Ti≦0.25を満たし、前記E成分元素中のAgの原子百分率が50~100%であることを特徴とする埋め込まれたEナノ粒子を含む結晶性TiO
2ナノチューブ/ロッド。
【請求項21】
E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの製造方法であって、
T元素、TiおよびE成分元素を含み、かつ、T元素が、AlおよびZnのうちの少なくとも1つの元素を含み、E成分元素が固溶したT-Ti金属間化合物を含有する相組成である初期合金を提供する工程1であり、E成分元素中のAgの原子百分率含有量は50%~100%であり、かつ、初期合金中のTiに対するT-Ti金属間化合物に固溶したE成分元素のモル比範囲は0<C
E/C
Ti≦0.25である工程1と、
前記初期合金を塩基溶液と共に密閉容器に密閉し、次いで、密閉反応系の温度をT
2になるまで加熱したうえで一定時間保温する工程2であり、100℃<T
f溶液<T
2であり、T
f溶液は、常圧下において反応に関与する前記塩基溶液の沸点温度であり、かつ、T
2の温度における反応容器内の圧力が、常圧よりも高い、工程2と、
密閉容器の温度を低下させ、圧力を常圧に戻し、最終固体生成物を回収する、即ち、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブを得る工程3、
を含むことを特徴とするE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの製造方法。
【請求項22】
E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの製造方法であって、
請求項21に記載の最終生成物またはE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブを酸溶液と反応させ、固体生成物を回収することにより、E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブを得ることを特徴とするE成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの製造方法。
【請求項23】
埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの製造方法であって、
請求項22に記載の生成物またはE成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブを熱処理することにより製造することを特徴とする埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの製造方法。
【請求項24】
埋め込まれたEナノ粒子を含むTiO
2ナノチューブ/ロッドの製造方法であって、
請求項22に記載の生成物、E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブ、請求項23に記載の生成物または埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブを熱処理することにより製造することを特徴とする埋め込まれたEナノ粒子を含むTiO
2ナノチューブ/ロッドの製造方法。
【請求項25】
請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された生成物材料、請求項21~24のいずれか1項に記載の製造方法により製造される生成物材料、または請求項11~20のいずれか1項に記載の材料の、ポリマー系ナノ複合材料を樹脂系複合材料、セラミック材料、光触媒材料、疎水性材料、廃水分解材料、殺菌コーティング、防食塗料、海洋塗料での応用。
【請求項26】
請求項25に記載の生成物材料の応用において、請求項3に記載の製造方法により製造されたドープされたAg元素を含むナノチタン酸フィルム材料とポリマーを混合し、
次にAg元素がドープされたナノチタン酸フィルムとポリマーを含む複合コーティングを製造し、
前記複合コーティングでは、Ag元素が原子または原子クラスターの形でナノチタン酸フィルムに埋め込まれて分散されており、ナノチタン酸フィルムはポリマー中に分散され、
前記ポリマー複合コーティングは、疎水性材料、廃水分解材料、殺菌コーティング、防食塗料、海洋設備および船舶用塗料の分野で使用することができることを特徴とする応用方法。
【請求項27】
前記工程2の反応系中のE成分元素を含む固体凝集生成物の温度をT
1から低下させる方法が、溶媒による希釈、濾過及び冷却のうち少なくとも1つの方法が含まれることを特徴とする請求項1記載のE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の製造方法。
【請求項28】
請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された生成物材料、請求項21~24のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された生成物材料、または請求項11~20のいずれか1項に記載の材料の、住宅装飾用塗料、殺菌スプレーまたは防汚塗料における応用であって、
住宅装飾用塗料の用途として、Agを含有する前記生成物材料又は前記材料を、塗料添加剤として塗料の他の成分と混合し、家具、器具、及び壁の表面に一緒に塗布することで、抗菌効果を達成し、
殺菌スプレーの用途として、Agを含有する前記生成物材料又は前記材料を、他の液体スプレー成分と混合し、スプレーキャリアを通して家具、器具、布地、及び壁の表面に一緒にスプレーすることで、抗菌効果を達成し、
防汚塗料の用途として、Agを含有する前記生成物材料又は前記材料を、従来の防汚塗料中の殺菌・防汚成分の代わりに使用して防汚効果を達成することを特徴とする、請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された生成物材料、請求項21~24のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された生成物材料、または請求項11~20のいずれか1項に記載の材料の住宅装飾用塗料、殺菌スプレー、防汚塗料での応用。
【請求項29】
請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された生成物材料、請求項21~24のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された生成物材料、または請求項11~20のいずれか1項に記載の材料の抗菌生地での応用であって、
Agを含有する前記生成物材料又は前記材料を分散させた後、布地の表面に付着または被覆させ、あるいは布地と混合して編むことにより、布地に抗菌・殺菌効果および能力を持たせることを特徴とする請求項1~10のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された生成物材料、請求項21~24のいずれか1項に記載の製造方法によって製造された生成物材料、または請求項11~20のいずれか1項に記載の材料の抗菌布地での応用方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ材料の技術分野に関し、特にドープされたAg元素を含むナノチタン酸塩、ナノチタン酸、ナノTiO2の製造方法、及びその使用に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ナノチタン酸塩とその後継品であるナノチタン酸やナノTiO2の主な製造方法は強塩基水熱法である。しかし、この反応は高圧反応容器を使用する必要があり、一般に市販のナノTiO2と高濃度の強塩基(例えばNaOH水溶液)を原料として、高温条件下で長時間水熱合成反応を行い、ナノチタン酸塩(例えばナノチタン酸ナトリウム)を得、中和・酸洗浄後、チタン酸塩ナノチューブを得、さらに熱処理によりTiO2ナノチューブを得るのが一般的である。例えば、工業用アナターゼ型TiO2と10mol/LNaOH水溶液を原料として、130℃の高圧反応容器で72時間水熱反応させ、生成物を中和洗浄することにより、管長数十~数百ナノメートル、内径5.3nmのチタン酸ナノチューブが得られることが2001年の文献に報告されている。チタン酸ナトリウムの製造方法として文献に報告されている他の方法としては、NaOH、TiO2を化学量論的な関係に従って秤量し、ポリテトラフルオロエチレン製の高圧反応器に移し、混合して230℃の温度で48時間から96時間保持した後、取り出して洗浄し、室温まで冷却した後に乾燥してナノチタン酸ナトリウムを得、さらに酸洗浄してナノチタン酸を得る方法もある。従来の強塩基水熱法の特徴は、1)チタン原料としてTiO2を使用すること、2)高圧反応容器で行われるため、気密性と高圧条件が必要であること、3)高温で行われること、4)数時間または数十時間という長い反応時間を必要とすること、5)得られる生成物は一般に管状のナノチタン酸塩または管状のナノチタン酸であること、であることがわかる。これらの特徴、特にチタン原料としてTiO2を使用することは、高圧の限定された環境と極めて長い反応時間を必要とし、生産コストを大幅に増加させ、生産効率を低下させ、ナノチタン酸塩、ナノチタン酸、ナノTiO2の大規模な製造と応用を妨げている。
【0003】
なお、ドープされた元素またはドープされたナノ粒子はナノチタン酸塩、ナノチタン酸、およびナノTiO2の機能応用に非常に重要な影響を与える。現在、一般的に用いられているドープ方法は、混合法、すなわち、上記マトリックス材料を製造した後、他の方法で製造したドープされた元素を主成分とするナノ粒子を上記マトリックス材料と混合し、ドープされたナノ粒子をマトリックス表面に吸着させる方法である。しかし、この機械的混合吸着法は、ナノ粒子とマトリックス材料との原子スケールでの物理化学的相互作用に不利であるだけでなく、ドープされたナノ粒子が上記マトリックスの表面から剥離しやすく、その結果、材料特性が不安定になり、劣化が生じる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
これに基づき、上記の技術的課題に対して、プロセスが簡単で、迅速かつ効率的な反応、条件が穏やかで、かつ、大規模生産に適しているドープされた元素を含むナノチタン酸塩、ナノチタン酸、ナノTiO2の製造方法を提供する必要がある。
【0005】
本発明のすべての技術的実施形態において、上記ドープは、Ag元素を含む対応するE成分元素が、原子または原子クラスターによって、対応するドープされたマトリックス材料に埋め込まれることを意味することを最初に述べておく。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の内容は、主請求項に関連する25の態様からなり、具体的には、特許請求の範囲に記載された請求項1~25の内容に順次対応する:
【0007】
第1の態様において、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の製造方法であって、以下の製造工程を含むことを特徴とする方法:
【0008】
工程1: 初期合金を提供し、上記初期合金は、T元素、TiおよびE成分元素を含み、ここで、T元素が、AlおよびZnのうちの少なくとも1つを含み、かつ、上記初期合金の相組成は、E成分元素が固溶したT-Ti金属間化合物を含み、ここで、E成分元素中のAgの原子百分率含有量は50%~100%であり、かつ、初期合金中のTiに対するT-Ti金属間化合物に固溶したE成分元素のモル比範囲は0<CE/CTi≦0.25である。
【0009】
工程2:上記初期合金をT1の温度で塩基溶液と反応させ、その間に、反応界面が2μm/minを超える平均速度で初期合金の表面から内側に進み、反応界面の初期合金が、水素析出・脱T反応によりナノ断片化を受け、同時に、形状および組成の再構成により、E成分元素を含む固体凝集生成物を生成する。
【0010】
工程3:工程2に記載の反応系中のE成分元素含む固体凝集生成物の温度をT1から低下させ、E成分元素を含む固体凝集生成物を回収し、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料を得る。
【0011】
さらに、上記フィルム材料が、巨視的には粉末材料の形態であり、微視的には多数の二次元フィルムから構成されている。
【0012】
さらに、上記フィルム材料が、巨視的には粉末材料の形態であり、微視的には多数の単一の二次元フィルムが分散または絡み合って構成されている。その構造は、従来の脱合金反応によって形成されたナノポーラス構造とは全く異なる。従来の脱合金反応により得られるナノポーラス構造は、三次元網目状の繋ぎ目が一体となって全体を構成しており、その全体的な外観は基本的に脱合金反応前の初期合金と同じである。
【0013】
さらに、上記二次元フィルム材料とは、材料の最小単位(例えば、モノリシックフィルム)の面積が大きく、その厚さ方向の寸法が面積方向の二次元寸法よりもはるかに小さく、厚さが10nm以下である材料を指す。
【0014】
さらに、上記ドープされたE成分元素は、化学分野における通常の表現であり、E成分元素は必ずしも不純物元素ではなく、これは依存するマトリックス材料の概念に相対するものであり、すなわち、E成分元素とは、マトリックス材料の組成と一致しない元素であり、かつ、その元素は特別な機能を有し、特定の目的を達成するために依存するマトリックス材料と均一に複合化させるように目的に応じて設計、添加されるものである。
【0015】
上記工程1において、
【0016】
さらに、上記T元素がAlを含み、さらにT元素がAlである。
【0017】
さらに、上記T元素がZnを含み、さらにT元素がZnである。
【0018】
さらに、上記T元素がAlおよびZnを含む。
【0019】
さらに、上記E成分元素が、主にAgであり、好ましくは、E成分元素がAgである。
【0020】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Ag中またはT-Ti金属間化合物中に固溶可能な他の元素からも構成され、それにより、E成分元素が、初期合金中において、固溶を介してT-Ti金属間化合物中に存在することができる。
【0021】
さらに、T-Ti金属間化合物が、Ti-T金属間化合物に相当する。
【0022】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Au、Cu、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうちの少なくとも1つを含む。
【0023】
さらに、上記固溶が、格子間固溶および置換固溶を含む。
【0024】
さらに、上記E成分元素が固溶したT-Ti金属間化合物とは、E成分元素がT-Ti金属間化合物の格子間隙に格子間原子の形で存在すること、または、E成分元素がT-Ti金属間化合物の格子中のT原子位置もしくはTi原子位置を置換原子の形で置換していることを意味する。
【0025】
さらに、上記TがT元素を意味する略記であり、TがAl、Zn、AlZnのいずれかを表し、かつ、AlZnにおけるAlとZnの比率は限定されない。
【0026】
さらに、上記初期合金中のTiに対するT-Ti金属間化合物に固溶したE成分元素のモル比含有量は、CE/CTiで表され、0<CE/CTi≦0.25である。
【0027】
さらに、0<CE/CTi≦0.10である。
【0028】
さらに、上記初期合金が、T元素、Ti、E成分元素を含む溶湯を凝固させることにより製造され、合金の凝固プロセス中に、T-Ti金属間化合物を含む凝固組織が形成され、E成分元素が主にT-Ti金属間化合物に固溶する。
【0029】
さらに、T-Ti金属間化合物が、Ti-T金属間化合物に相当する。
【0030】
さらに、上記初期合金溶湯の凝固速度が、1K/s~107K/sである。
【0031】
さらに、上記初期合金の相組成が主に、E成分元素を固溶したT-Ti金属間化合物から構成される。
【0032】
さらに、上記T-Ti金属間化合物が、T3Ti、T2Ti、TTi金属間化合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0033】
さらに、上記T-Ti金属間化合物が、Al3Ti、Al2Ti、およびAlTi金属間化合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0034】
さらに、上記初期合金が、E成分元素を固溶したT3Ti、T2Ti、およびTTi金属間化合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0035】
さらに、上記初期合金が、E成分元素を固溶したAl3Ti、Al2Ti、およびAlTi金属間化合物のうちの少なくとも1つを含む。
【0036】
さらに、上記初期合金が主に、E成分元素を固溶したAl3Ti、Al2Ti、およびAlTi金属間化合物のいずれかを含む。
【0037】
好ましくは、上記初期合金が主に、E成分元素を固溶したAl3Ti金属間化合物で構成される。
【0038】
好ましくは、上記初期合金が主に、E成分元素を固溶したAl2Ti金属間化合物で構成される。
【0039】
好ましくは、上記初期合金が主に、E成分元素を固溶したAlTi金属間化合物で構成される。
【0040】
好ましくは、上記初期合金中のTの原子百分率が75%以下である。
【0041】
好ましくは、上記初期合金中のTの原子百分率が70%未満である。
【0042】
好ましくは、上記初期合金中のAlの原子百分率が75%以下である。
【0043】
好ましくは、上記初期合金中のAlの原子百分率が70%未満である。
【0044】
好ましくは、上記初期合金がT相を含まない。
【0045】
好ましくは、上記初期合金がAl相を含まない。
【0046】
Al-Ti相図によると、Al-Ti合金中のAlの原子百分率が75%を超える場合、合金凝固組織が一般にAl相を含み、Al-Ti合金中のAlの原子百分率が75%未満の場合、合金凝固組織が一般にAl相を含まない。
【0047】
相図によると、合金がTiAl2を含む場合、TiAl2相はTiAl相またはTiAl3相とは共存できるが、Al相とは共存できないため、TiAl2を含む合金はAl相を含むことができない。
【0048】
さらに、上記T-Ti金属間化合物とは、金属間化合物の相組成がT-Ti金属間化合物相であること、すなわち、上記T-Ti金属間化合物のXRD相分析結果がT3Ti、T2Ti、TTi金属間化合物相構造を含むT-Ti金属間化合物であることを意味する。 このとき、T-Ti金属間化合物が、TおよびTiに加えて、固溶E成分元素などの他の元素を含んでいてもよい。
【0049】
さらに、T-Ti金属間化合物が、より固定的な元素割当関係を有するため、決定されたT-Ti金属間化合物の組成、E成分元素の組成、およびE成分元素とTiとのモル比に基づいて、初期合金の主組成比をおおよそ求めることができる。
【0050】
例えば、Al3Ti金属間化合物にAgを固溶させ、CAg:CTi=0.04とした場合、初期合金の平均組成がおおよそAl74.258Ti24.752Ag0.99となる。
【0051】
さらに、上記初期合金の形状が、三次元方向のいずれかの次元の平均サイズが4μmより大きい。
【0052】
さらに、上記初期合金の形状が、三次元方向のいずれかの次元の平均サイズが10μmより大きい。
【0053】
さらに、上記初期合金の形状が、三次元方向のいずれかの次元の平均サイズが15μmより大きい。
【0054】
さらに、上記初期合金は粉末またはリボンの形状であり、粉末粒子またはリボンは、三次元方向の少なくとも1つの寸法が5mm未満である。
【0055】
さらに、上記初期合金粉末粒子またはリボンが、三次元方向の少なくとも1つの寸法が1mm未満である。
【0056】
さらに、上記初期合金は粉末またはリボンが、三次元方向の少なくとも1つの寸法が500μm未満である。
【0057】
さらに、上記初期合金は粉末またはリボンが、三次元方向の少なくとも1つの寸法が200μm未満である。
【0058】
さらに、上記初期合金は粉末またはリボンが、三次元方向の少なくとも1つの寸法が50μm未満である。
【0059】
さらに、上記初期合金がリボンの形状である場合、溶融ストリップキャストを含む方法によって製造することができる。
【0060】
さらに、上記初期合金が粉末の形状である場合、鋳造法によってより大きな初期合金インゴットを製造し、次いで粉砕して初期合金粉末とすることもできる。
【0061】
上記工程2において、
【0062】
さらに、上記TがT型元素を意味する略記であり、TがAl、Zn、AlZnのいずれかを表し、かつ、AlZnにおけるAlとZnの比率は限定されない。
【0063】
さらに、上記水素析出・脱T反応とは、初期合金を温度T1で塩基溶液と反応させると、Tが塩基により塩に溶解して溶液中に混入し、同時に水素ガスが放出される反応を指す。
【0064】
さらに、上記塩基溶液が、NaOH、KOH、LiOH、RbOH、Ba(OH)2、Ca(OH)2、およびSr(OH)2溶液のうちの少なくとも1つを含む。
【0065】
さらに、上記塩基溶液の溶媒が、水を含み、好ましくは、上記塩基溶液の溶媒が、水である。
【0066】
さらに、上記塩基溶液中の塩基の濃度が、5.1~25mol/Lである。
【0067】
さらに、上記塩基溶液中の塩基の濃度が、5.1~15mol/Lである。
【0068】
好ましくは、上記塩基溶液中の塩基の濃度が、7~15mol/Lであり、さらに好ましくは、上記塩基溶液中の塩基の濃度が、7~12mol/Lである。
【0069】
さらに好ましくは、上記塩基溶液中の塩基の濃度が、10~15mol/Lである。
【0070】
さらに、上記塩基の濃度が、塩基中のOH-の濃度を意味する。
【0071】
さらに、初期合金と反応する塩基溶液中の塩基は過剰量であり、塩基溶液の体積は初期合金の体積の5倍以上であり、より高い塩基濃度で常時反応を進行させることができる。
【0072】
さらに、塩基溶液の体積は、初期合金の体積の10倍以上であり、さらに、塩基溶液の体積は、初期合金の体積の20倍以上である。
【0073】
さらに、上記塩基溶液の温度は、初期合金と塩基溶液との反応温度である。
【0074】
さらに、特定の塩基の濃度条件下で、上記塩基溶液の温度T1は、水素析出・脱T反応工程における反応界面が2μm/min以上の平均速度で初期合金表面から内部に進行し、かつ反応プロセスに、水素析出・脱T反応を通じて初期合金をナノ細分化させることを保証できればよい。すなわち、塩基溶液の温度T1と濃度は、水素析出・脱T反応速度または水素析出・脱T反応時間(反応速度と初期合金サイズを決定すれば反応時間が決定され、水素析出・脱T反応時間は肉眼では、確認できないガスが発生するまでの反応に要する時間である)、および反応効果によって決定される。したがって、反応速度の値を用いて反応条件を制限する場合、塩基溶液の温度T1や濃度範囲も間接的に制限されることになる。
【0075】
さらに、2μm/minの平均速度は、反応プロセス中に水素析出・脱T反応によって初期合金がナノ断片化の発生を起こす臨界反応速度である。
【0076】
さらに、上記ナノ断片化の発生とは、初期合金が水素析出・脱T反応によって、三次元方向の少なくとも1つの寸法が500nm未満の単一の中間体または生成物に断片化されることを指す。
【0077】
さらに、T1≧60℃である。
【0078】
さらに、上記初期合金と塩基溶液との反応は、常圧または高圧で行われる。
【0079】
さらに、上記初期合金と塩基溶液との反応は、密閉容器内で行われる。
【0080】
密閉容器内では、容器内の圧力が1気圧を超えると高圧となり、同時に、容器内の反応により発生したガスが排出できない場合には、さらに高圧となることもある。
【0081】
さらに、密閉容器内で反応を行う場合、まず初期合金と塩基溶液を密閉容器内に別々に入れ、塩基溶液の温度が設定した反応温度に達すると、初期合金と塩基溶液と接触させて反応を行う。
【0082】
さらに、密閉容器内では、塩基溶液の温度が常圧での沸点温度を超えていてもよい。
【0083】
さらに、上記初期合金と熱塩基溶液との反応が、常圧で行われる。
【0084】
さらに、上記常圧とは、密閉容器を使用しないときの大気圧のことであり、さらに、容器が密閉されていない場合、容器内の圧力は完全に開放された環境における周囲気圧よりもわずかに高いが、このときの圧力もまた、非密閉環境であるため、常圧の範疇に入る。
【0085】
さらに、上記反応は常圧環境下で行われ、常圧とは一般に1標準気圧を指し、このときの水の沸点は100℃に相当する。水に塩基が溶解している場合、1標準大気圧における塩基水溶液の沸点温度は100℃より高く、かつ塩基の濃度が高くなるほど、沸点も高くなる。例えば、モル濃度5mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の沸点Tf溶液が約108℃であり、モル濃度7mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の沸点Tf溶液が約112℃であり、モル濃度10mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の沸点Tf溶液が約119℃であり、モル濃度12mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の沸点Tf溶液が約128℃であり、モル濃度15mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の沸点Tf溶液が約140℃であり、モル濃度17mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の沸点Tf溶液が約148℃であり、モル濃度20mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の沸点Tf溶液が約160℃であり、モル濃度25mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液の沸点Tf溶液が約180℃であり、モル濃度10mol/Lの水酸化カリウム水溶液の沸点Tf溶液が約125℃であり、モル濃度12mol/Lの水酸化カリウム水溶液の沸点Tf溶液が約136℃であり、モル濃度15mol/Lの水酸化カリウム水溶液の沸点Tf溶液が約150℃である。
【0086】
さらに、60℃≦T1≦Tf溶液であり、Tf溶液が、常圧下での反応に関与する上記塩基溶液の沸点温度である。
【0087】
さらに、66℃≦T1≦Tf溶液である。さらに、71℃≦T1≦Tf溶液である。さらに、76℃≦T1≦Tf溶液である。
【0088】
さらに、81℃≦T1≦Tf溶液である。さらに、86℃≦T1≦Tf溶液である。さらに、91℃≦T1≦Tf溶液である。
【0089】
さらに、96℃≦T1≦Tf溶液である。さらに、100℃≦T1≦Tf溶液である。さらに、100℃<T1≦Tf溶液である。
【0090】
さらに、101℃≦T1≦Tf溶液である。さらに、105℃≦T1≦Tf溶液である。
【0091】
さらに、101℃≦Tf溶液-5℃≦T1≦Tf溶液である。
【0092】
さらに、101℃≦Tf溶液-2℃≦T1≦Tf溶液である。
【0093】
さらに好ましくは、上記塩基溶液の温度はTf溶液、すなわちT1=Tf溶液である。
【0094】
反応溶液は、常圧下で加熱できる最高温度がその沸点温度(Tf溶液)であるため、その温度に達すると、それ以上加熱しても溶液の温度が上昇しない。したがって、沸点温度は最も簡単、単純、かつ正確に制御できる。さらに、同じ条件下での沸点温度での反応に要する反応時間は、沸点以下の他の温度での反応に要する反応時間よりも短く、生成物の収率や効率も最も高い。
【0095】
さらに、60℃≦T1≦100℃である場合、上記塩基溶液にKOHが含まれる。
【0096】
さらに、60℃≦T1≦100℃である場合、上記塩基溶液中のKOHの濃度が2mol/L以上であり、このとき、他のOH-を他の塩基から供給して、総OH-濃度が5.1mol/L以上に達するようにすることができる。
【0097】
さらに、60℃≦T1≦100℃である場合、上記塩基溶液が主にKOH水溶液からなる。
【0098】
さらに、60℃≦T1≦100℃である場合、上記塩基溶液がKOH水溶液である。
【0099】
T元素(Al、Zn)は両性金属であり、高温の濃塩基溶液中でヒドロキシルラジカルと反応してT塩となり、水素ガスを激しく放出しながら溶液中に溶解するため、初期合金中のTは、Tと塩基溶液との反応によって除去することができ、初期合金中に残存するE成分元素とTiは、さらに塩基溶液と相互作用し、同時に、Ti原子の拡散的転位およびE成分元素、水素、酸素、OH-、塩基中の陽イオンとの相互作用を含む一連の変化を受け、形状および組成の再構築により、E成分元素を含むナノチタン酸塩フィルムが生成できる。
【0100】
さらに、60℃≦T1≦Tf溶液での上記初期合金と塩基溶液との反応は、フィルム状の微視的形態を備えた生成物の製造にとって非常に重要である。一比較実施形態において、常圧下で、Agを固溶したTiAl3金属間化合物の初期合金粉末を10mol/LのNaOH溶液と35℃で2時間反応させ、反応前後の元の初期合金粉末の形状はほぼ変化せず、角のある元の粉砕粉末粒子のままであり、かつ、その微細構造は、モノリシックな二次元フィルム状生成物を多数生成するのではなく、代わりに、ナノ多孔質構造を有するチタン酸塩またはナノ多孔質構造を有するチタンを生成する。そして、このナノ多孔質構造は、三次元ネットワークリンクを通じて元の合金粉末の形状と一致した外観を形成し、その粒子サイズは依然として元の合金粉末のサイズと同等であり、主に数ミクロンまたは数十ミクロンのオーダーである。したがって、室温付近のより低い温度で起こる初期合金と塩基溶液との反応は、本発明の60℃≦T1≦Tf溶液における反応、特にこの温度範囲の高温部での反応とは全く異なり、生成物の形態も全く異なる。
【0101】
具体的には、反応温度が溶液温度範囲60℃≦T1≦Tf溶液の低値範囲60℃≦T1≦100℃であり、塩基溶液がNaOH水溶液を主成分とする場合、得られる生成物にE成分元素がドープされたチタン酸塩フィルムの目的生成物の収率が低い。しかしながら、塩基溶液がKOHを含み、かつ、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムマトリックスがナノチタン酸カリウムフィルムマトリックスを含む場合、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの収率を大幅に向上させることができる。例えば、塩基溶液がKOH水溶液を主成分とし、反応温度が60℃である場合、得られた生成物中のE成分元素がドープされたナノチタン酸カリウムフィルムである目的生成物の収率が50%以上である。反応温度が71℃である場合、得られた生成物中のE成分元素がドープされたナノチタン酸カリウムフィルムである目的生成物の収率が65%以上である。反応温度が81℃である場合、得られた生成物中のE成分元素がドープされたナノチタン酸カリウムフィルムである目的生成物の収率が75%以上である。反応温度が91℃である場合、得られた生成物中のE成分元素がドープされたナノチタン酸カリウムフィルムである目的生成物の収率が85%以上である。反応温度が96℃である場合、得られた生成物中のE成分元素がドープされたナノチタン酸カリウムフィルムである目的生成物の収率が90%以上である。
【0102】
反応温度が溶液温度範囲60℃≦T1≦Tf溶液の高値範囲100℃<T1≦Tf溶液である場合、塩基の種類の変化に関わらず、得られた生成物中のE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの収率が高く、生成物の形態が元の初期合金粉末粒子またはリボンの形状と全く異なる。例えば、反応温度が101℃より高い場合、より高い収率のE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムが得られ、その収率が一般に95%~100%である。反応温度が常圧下での塩基溶液の沸点Tf溶液である場合、さらにより高い収率のE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムが得られ、収率が一般に99%~100%である。
【0103】
特に常圧下、塩基溶液の沸点温度で反応が起こる場合、反応系の溶液組成は明らかに特殊な変化があり、それは次のように現れる:塩基溶液の沸点温度以下の温度区間では、溶媒は主に液体の水として存在し、反応系の状態は普通であるが、塩基溶液の沸点温度または沸点温度付近では、溶媒は液体の水と沸騰によって生成される気体の水に加えて、液体の水から気体の水への遷移が進行している臨界状態の水も含んでいる。さらに、不均一核生成の原理に従って、溶液中の反応物と事前に生成されたナノスケールの反応生成物の存在により、多数の沸騰および蒸発粒子が提供され、反応系が完全に沸騰および蒸発の特殊な環境に置かれる。この特殊な環境では、水中の溶存大気ガス(酸素、窒素)の含有量と状態も極めて特殊である(沸騰水蒸気、Tと塩基の反応で発生する大量の水素が、水中の溶存ガスの飽和分圧条件を変化させるため)。同時に、E成分元素が固溶したTi-T金属間化合物と濃塩基溶液との反応は、合金中のTが除去される過程で大量の水素を発生させ、これらの短期間に発生した水素ガスと、不均一核沸騰蒸発により発生した大量の水蒸気が、水素析出・脱T反応界面に作用する。それによって引き起こされる激しい膨張効果が、反応界面での初期合金の連続的なナノ断片化と形状および組成の再構築プロセスをさらに促進する。また、塩基溶液に溶解したT塩も、反応溶液系の物質組成を変化させることになる。沸点温度における溶液のこれらの多くの特性は、反応に非常に特殊な反応環境を提供する。この特殊な反応環境下では、特殊な反応プロセスが発生し、初期合金が水素析出・脱T反応によって効率的なナノ断片化と形状・組成の再構成を受ける。そのため、一般に低温または室温での脱合金反応によって生成される三次元網目状の連続ナノ多孔質構造を安定化させることが困難になる。その代わりに、特殊なナノ細分化プロセスや形状・組成再構築プロセスによって、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムを主成分とする凝集生成物が生成される。これにより、目的のフィルム状製品の製造時間が大幅に短縮されるだけでなく、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの高い収率も達成される。 さらに、特定の塩基溶液の沸点温度が一定であるため、温度制御を極めて正確に行うことができ、製品の形態や組成の制御が極めて正確、かつ容易になる。
【0104】
さらに、上記工程2に記載の「ナノ断片化-生成物形状・組成の再構築」工程は、「水素析出・脱T」反応とほぼ同時に発生するため、上記工程2の生成物生成工程に必要な理論上の最小所要時間は、初期合金反応界面が表面から内側に進み、水素析出・脱T反応が完了するまでの時間であり、水素析出が完了したかどうかで判断できる。
【0105】
さらに、上記水素析出・脱T反応が、激しい水素析出・脱T反応である。
【0106】
さらに、上記激しい水素析出・脱T反応が、水素析出・脱T反応の反応界面進行速度が十分に速く、反応界面で析出した水素が短時間で濃縮・放出され、激しい反応過程を示すことを意味する。
【0107】
さらに、上記水素析出・脱T反応の激しさが、単位時間当たりの初期合金表面から内側への反応界面の前進速度に関係し、塩基溶液の温度が高いほど、反応界面の前進速度が速くなり、反応が激しくなる。
【0108】
さらに、上記反応界面が、4μm/minより大きい平均速度で初期合金表面から内側に進む。
【0109】
さらに、上記反応界面が、7.5μm/minより大きい平均速度で初期合金表面から内側に進む。
【0110】
さらに、上記反応界面が、17.5μm/minより大きい平均速度で初期合金表面から内側に進む。
【0111】
さらに、60℃<T1≦100℃である場合、上記反応界面が、2μm/minより大きい平均速度で初期合金表面から内側に進む。
【0112】
さらに、100℃<T1≦Tf溶液である場合、上記反応界面が、20μm/minより大きい平均速度で初期合金表面から内側に進む。
【0113】
例えば、塩基の濃度が10mol/Lである場合、Ag1Ti25Al74初期合金と塩基溶液との反応中に、反応界面が次の速度で初期合金表面から内側に進む:
【0114】
60℃<T1≦71℃である場合、上記反応界面の平均進行速度が、約2.5μm/min~4.0μm/minである。
【0115】
71℃<T1≦81℃である場合、上記反応界面の平均進行速度が、約4.0μm/min~7.5μm/minである。
【0116】
81℃<T1≦91℃である場合、上記反応界面の平均進行速度が、約7.5μm/min~17.5μm/minである。
【0117】
91℃<T1≦100℃である場合、上記反応界面の平均進行速度が、約17.5μm/min~35μm/minである。
【0118】
100℃<T1≦110℃である場合、上記反応界面の平均進行速度が、約35μm/min~60μm/minである。
【0119】
110℃<T1≦120℃である場合、上記反応界面の平均進行速度が、約60μm/min~125μm/minである。
【0120】
120℃<T1-Tf溶液である場合、上記反応界面の平均進行速度が、120μm/minより大きい。
【0121】
T元素(Al、Zn)は両性金属であるため、常圧下で沸点温度(100℃より高い)付近の塩基溶液との反応が、非常に速い。一般的に、初期合金中のT元素が完全に除去されるまでの反応時間は、初期合金の形状に関係する。つまり、初期合金粉末粒子が小さいほど、あるいは初期合金リボンが薄いほど、水素析出・脱T反応の完了に要する時間が短くなり、逆に、水素析出・脱T反応の完了に要する時間が長くなる。
【0122】
さらに、上記水素析出・脱T反応中に超音波が適用され、超音波処理によりナノ断片化効果と反応速度をさらに高める。
【0123】
さらに、上記超音波が、20kHz~106kHzの周波数を有する。
【0124】
反応界面の平均進行速度と初期合金のサイズに基づいて、水素析出・脱T反応が完了するのに必要な最小反応時間tを計算することができる。例えば、初期合金が厚さdのリボンであり、反応界面の平均進行速度がvである場合、反応界面がリボンの上側と下側からそれぞれ進行すると考えると、t=0.5d/vとなる。同様に、初期合金が直径dの粒子であり、反応界面の平均進行速度がvである場合、t=0.5d/vとなる。
【0125】
一実施形態では、固溶体Agを有するTiAl3金属間化合物の初期合金リボンは、沸点温度(沸点温度は約119℃である)で10mol/LのNaOH溶液と反応し、初期合金リボンの反応界面の平均進行速度が約 120μm/minであり、すなわち、厚さ40μmの初期合金スリボンの場合、水素析出・脱Al反応が10秒で完了することができ、厚さ20μmの初期合金リボンの場合、水素析出・脱Al反応が5秒で完了することができ、粒径5mmの初期合金球の場合でも、水素析出・脱Al反応が21minで完了することができる。
【0126】
上記dが約40μmである場合、その対応する初期合金の製造は極めて簡単であり、通常のストリップキャストによって容易に製造することができ、t=0.5d/vによれば、反応界面の平均進行速度が60℃の低温区間に対応する2.5μm/minであっても、水素析出・脱T反応が8minで完了することができる。
【0127】
水素析出・脱T反応が完了すると、反応系は平衡に達する。この時点で、反応系を元の反応温度で保持する時間を引き続き延長することにより、生成物の安定性が依然として確保される。 従って、初期合金と熱塩基溶液との反応時間が、必要な最小限の水素析出・脱T反応時間tを超える場合、例えば数時間であっても、対応する生成物を得ることができる。
【0128】
さらに、上記初期合金のT1温度での塩基溶液との反応時間が、最小10sであり得る。
【0129】
さらに、上記初期合金のT1温度での熱塩基溶液との反応時間が、10s~59minである。
【0130】
さらに、上記初期合金のT1温度での熱塩基溶液との反応時間が、10s~29minである。
【0131】
さらに、上記初期合金のT1温度での熱塩基溶液との反応時間が、10s~9.9minである。
【0132】
さらに、上記初期合金のT1温度での熱塩基溶液との反応時間が、10s~4.9minである。
【0133】
さらに、上記初期合金のT1温度での熱塩基溶液との反応時間が、10s~2minである。
【0134】
さらに、上記初期合金のT1温度での熱塩基溶液との反応時間が、10s~1minである。
【0135】
さらに、上記初期合金のT1温度での熱塩基溶液との反応時間が、10s~30sである。
【0136】
明らかに、T1が高くなるほど、初期合金の厚さが薄くなったり、粒径が小さくなったりすると、必要な反応時間が短くなり、逆に反応時間が長くなる。
【0137】
さらに、上記ナノ断片化の発生とは、水素析出・脱T反応による反応界面での初期合金のナノスケールの中間体または生成物への断片化、ならびにE成分元素を含む二次元ナノチタン酸塩フィルムを生成するための形状および組成の再構築のことを意味する。このプロセスでは、水素析出・脱T反応による水素の激しい放出が、中間体や生成物のナノ断片化、生成物の形状や組成の再構成、反応界面を離れた後の塩基溶液中での生成物の拡散分布を促進する。
【0138】
さらに、上記ナノ断片化の発生とは、反応界面における初期合金が、水素析出・脱T反応によって、三次元方向の少なくとも1つの寸法が500nm未満の単一の中間体または生成物に断片化されることを意味する。
【0139】
さらに、上記E成分元素を含む固体凝集生成物が、主に、三次元方向の少なくとも1つの寸法が20nm未満の単一の中間体または生成物から構成される。
【0140】
さらに、上記E成分元素を含む固体凝集生成物が、主に、三次元方向の少なくとも1つの寸法が10nm未満の単一の中間体または生成物から構成される。
【0141】
さらに、上記E成分元素を含む固体凝集生成物が、形状および組成の再構成により生成された後、初期合金反応界面に留まることなく、生成されながら拡散により初期合金反応界面を離れ、熱拡散および塩基溶液液対流により塩基溶液中にさらに拡散分布する。
【0142】
さらに、上記形状及び組成の再構築とは、初期合金水素析出・脱T反応及びナノ断片化後の中間生成物が同時に形状及び組成の更なる変化を受け、ミクロンまたはミリメートルスケールの初期合金とは全く異なる組成及び形状を有するナノスケール生成物を生成することを意味する。上記ナノスケール生成物の寸法が、次の工程3の説明に示されている。
【0143】
さらに、上記生成されたE成分元素を含むナノチタン酸塩フィルムが、三次元連続網目状ナノ多孔質構造または多孔質骨格構造を含まない。
【0144】
さらに、上記水素析出・脱T反応が、表面から内側への段階的なナノ断片化プロセスによって、ミクロンまたはミリメートルスケールの初期合金を、E成分元素を含む多数の二次元ナノチタン酸塩フィルムに変換する。
【0145】
さらに、上記E成分元素を含む凝集性固体生成物は、主に、E成分元素を含む多数の二次元ナノチタン酸塩フィルムが相互に凝集し、絡み合って構成されており、巨視的には固体である。
【0146】
さらに、上記凝集性固体生成物とは、ナノスケールのフィルム状生成物が拡散過程で凝集し、固体の凝集生成物となり、観察的観点から、溶液中でより長い時間懸濁させることができるものをいう。
【0147】
上記工程3において、
【0148】
一般的に、化学反応の温度と生成物が平衡に達した後、反応系の温度をゆっくり下げると、新しい温度で反応を長時間保持すると、元の反応平衡が崩れ、反応生成物の組成と形態が変化する可能性がある。
【0149】
上記工程2の反応系には、反応により生成した生成物と反応後の塩基溶液が含まれる。
【0150】
元の反応平衡の生成物を熱塩基溶液に保持し、同時に生成物の固液分離を促進するために、工程3には、工程2に記載の反応系内の固体凝集生成物の温度をT1からより低い温度区間まで下げる工程もさらに含まれる。温度降下速度を制御することにより、反応系の温度が急速に降下した場合でも、反応生成物が対応する変化を受ける時間がなくなり、それにより、60℃≦T1、特に100℃<T1の温度区間で生成される生成物の組成および形態が確実に保持されることができる。さらに、60℃≦T1≦Tf溶液、特に100℃<T1≦Tf溶液の温度区間で生成された生成物の組成および形態が確実に保持されることができる。
【0151】
さらに、常圧下で、工程2で説明した反応系における、E成分元素を含む固体凝集生成物の温度を、T1からより低い温度区間まで低下させる。ここで、60℃≦T1≦Tf溶液である。
【0152】
さらに、66℃≦T1≦Tf溶液である。さらに、71℃≦T1≦Tf溶液である。さらに、76℃≦T1≦Tf溶液である。
【0153】
さらに、81℃≦T1≦Tf溶液である。さらに、86℃≦T1≦Tf溶液である。さらに、91℃≦T1≦Tf溶液である。
【0154】
さらに、96℃≦T1≦Tf溶液である。さらに、100℃≦T1≦Tf溶液である。さらに、100℃<T1≦Tf溶液である。
【0155】
さらに、101℃≦T1≦Tf溶液である。さらに、105℃≦T1≦Tf溶液である。
【0156】
さらに、101℃≦Tf溶液-5℃≦T1≦Tf溶液である。
【0157】
さらに、101℃≦Tf溶液-2℃≦T1≦Tf溶液である。
【0158】
さらに、T1=Tf溶液である。
【0159】
さらに、工程2に記載の反応系において、E成分元素を含む固体凝集生成物の温度を、T1から45℃未満に低下させる。
【0160】
さらに、工程2に記載の反応系において、E成分元素を含む固体凝集生成物の温度を、T1から35℃未満に低下させる。
【0161】
さらに、工程2に記載の反応系において、E成分元素を含む固体凝集生成物の温度を、T1から30℃未満に低下させる。
【0162】
さらに、工程2に記載の反応系において、E成分元素を含む固体凝集生成物の温度を低下させる冷却速度は、5K/sより大きい。
【0163】
さらに、冷却速度は10K/sより大きく、さらに、冷却速度は20K/sより大きく、さらに、冷却速度は50K/sより大きい。
【0164】
さらに、工程2に記載の反応系において、E成分元素を含む固体凝集生成物の温度を低下させるのに所要時間は、20s未満である。
【0165】
さらに、温度低下の所要時間は10s未満であり、さらに、温度低下の所要時間は5s未満である。
【0166】
さらに、温度低下の所要時間は2s未満である。
【0167】
反応の温度区間が60℃≦T1≦Tf溶液温度区間の高い値の範囲、例えば100℃<T1≦Tf溶液温度区間またはTf溶液温度である場合、工程3を通じて反応生成物の温度を急速に下げることにより、生成物の組成および形態が安定であることを保証することが分かる。
【0168】
さらに、工程2に記載の反応系において、E成分元素を含む固体凝集生成物の温度を低下させる方法は、溶媒希釈、ろ過と冷却のうちの少なくとも1つを含む。
【0169】
常圧下、開放容器内で反応を行うため、反応系に冷溶媒(例えば水)を添加することで、工程2に記載の反応系内のE成分元素を含む固体凝集生成物の温度を急速に低下させ、同時に反応系内の塩基溶液の濃度を低下させることが容易である。また、別の方法として、熱塩基溶液を、E成分元素を含む固体凝集生成物と同時に急速に流出させ、同時にろ過分離することにより、反応系内のE成分元素を含む固体凝集生成物の温度を急速に低下させることも可能である。
【0170】
さらに、上記溶媒希釈に対応する溶媒が水を含む。
【0171】
さらに、上記溶媒希釈に対応する溶媒の温度が、室温である。
【0172】
さらに、上記溶媒希釈に対応する溶媒の温度が、0℃~30℃である。
【0173】
さらに、上記溶媒希釈に対応する溶媒の温度が、0℃~25℃である。
【0174】
さらに、上記溶媒希釈に対応する溶媒の温度が、0℃~20℃である。
【0175】
さらに、溶媒の添加による希釈を採用する場合、上記工程2に記載の反応系中のE成分元素を含む固体凝集生成物の温度を低下させ、同時に塩基溶液の温度も低下させる。さらに上記工程2に記載の反応系中の塩基溶液の濃度を低下させる。
【0176】
さらに、上記濃度を低下させた後の塩基溶液の濃度は元の濃度の0.25倍未満であり、同時に、温度を低下させた後の塩基溶液の温度は50℃未満である。
【0177】
好ましくは、上記濃度を低下させた後の塩基溶液の濃度は元の濃度の0.1倍未満であり、同時に、温度を低下させた後の塩基溶液の温度は45℃未満である。
【0178】
さらに、ろ過と冷却を採用する場合、具体的な手順は次のとおりである:常圧下、溶液温度60℃≦T1≦Tf溶液で、E成分元素を含む固体凝集生成物と塩基溶液を冷却したフィルターに流し、フィルターを通してE成分元素を含む固体凝集生成物と塩基溶液を分離する。E成分元素を含む固体凝集生成物の熱が、環境およびフィルターを通して急速に伝導されることにより、E成分元素を含む固体凝集生成物の温度が低温区間まで急速に低下することができる。
【0179】
さらに、101℃≦T1≦Tf溶液である。さらに、T1=Tf溶液である。
【0180】
さらに、フィルターメッシュの温度は30℃以下である。
【0181】
さらに、フィルターメッシュの温度は20℃以下である。
【0182】
さらに、フィルターメッシュの温度は10℃以下である。
【0183】
さらに、フィルターメッシュの平面は、水平面に対して角度をなしているため、固体の凝集生成物を含む熱塩基溶液がフィルターメッシュに注がれた後、フィルターメッシュ上で流動し広がりながら十分にろ過され、冷却されることができる。
【0184】
さらに、フィルターメッシュの平面と水平面との間の角度は、15°~75°である。
【0185】
さらに、フィルターメッシュのメッシュ開口サイズの範囲は、5μm~1mmである。
【0186】
さらに、フィルターメッシュは、多層フィルターメッシュを含む。
【0187】
さらに、フィルターメッシュは少なくとも4層からなる。
【0188】
さらに、フィルターメッシュは多層のフィルターメッシュを備えており、各層のメッシュサイズは一定でない。
【0189】
E成分元素を含む固体凝集生成物は、一般に凝集して絡み合ってより大きな凝集体を形成するため、より大きな細孔サイズのメッシュフィルターを通じて一次分離できる。多層フィルターを通じて、より大きなメッシュフィルターによる固形生成物の一次分離、中型メッシュフィルターによる固形凝集生成物の継続分離、および小型メッシュフィルターによる固形凝集生成物の最終分離が達成することができる。
【0190】
さらに、フィルターメッシュは熱伝導性に優れた金属フィルターメッシュを含む。
【0191】
コールドメッシュ濾過によって温度を冷却すると、E成分元素を含む固体凝集生成物の温度が急速に低下するだけでなく、元の反応平衡に対応する固液分離が起こり、希釈法に比べて分離副生成物溶液の体積が減少し、さらにT1温度で生成された生成物の組成と形態が確実に維持されるという積極的な意義があることが分かる。
【0192】
さらに、最終的に得られるE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の温度がT1より低い温度である限り、あるいは、T1より低い温度で固液分離、洗浄、保存、使用を行う限り、中間工程におけるE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の温度の履歴変化にかかわらず、工程3に記載の反応系におけるE成分元素を含む固体凝集生成物の温度を工程2に記載のT1から低下させる操作の一部となる。
【0193】
さらに、E成分元素を含む固体凝集生成物を回収する工程は、E成分元素を含む固体凝集生成物の固液分離、洗浄、および乾燥を含む。
【0194】
さらに、E成分元素を含む固体凝集生成物を回収し、E成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルム材料を得る。
【0195】
さらに、E成分元素を含む固体凝集生成物を回収し、E成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルム粉末材料を得る。
【0196】
さらに、上記フィルム材料は、巨視的には粉末材料の形状をしており、微視的には多数の二次元のフィルムから構成されている。
【0197】
さらに、上記フィルム材料は、巨視的には粉末材料の形状をしており、微視的には多数の単一の二次元フィルムが分散または絡み合って構成されており、その構造は、従来の脱合金反応によって形成されるナノポーラス構造とは全く異なる。従来の脱合金反応によって得られたナノポーラス構造体は、三次元網目テザーが連結して全体を形成しており、その全体的な外観は基本的に脱合金反応前の初期合金の外観と同じである。
【0198】
さらに、上記二次元フィルム材料とは、材料の最小単位(例えば、モノリシックフィルム)の面積が大きく、その厚さ方向の寸法が面積方向の二次元寸法よりもはるかに小さく、その厚さが10nmを超えない材料を意味する。
【0199】
さらに、上記ドープされたE成分元素は、化学分野における通常の表現であり、E成分元素は必ずしも不純物元素ではなく、これは依存するマトリックス材料の概念に相対するものであり、すなわち、E成分元素とは、マトリックス材料の組成と一致しない元素であり、かつ、その元素は特別な機能を有し、特定の目的を達成するために依存するマトリックス材料と均一に複合化させるように目的に応じて設計、添加されるものである。
【0200】
さらに、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料は、E成分元素がドープされた多数のモノリシックなナノチタン酸塩フィルムの重合によって形成される。多数のモノリシックなフィルムは、互いに絡み合い凝集することによって、軟凝集し得ることが理解される。
【0201】
さらに、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの厚さが、0.25nm~7.5nmである。
【0202】
さらに、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの厚さが、0.25nm~4nmである。
【0203】
さらに、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの厚さが、0.25nm~3nmである。
【0204】
好ましくは、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの厚さが、0.25nm~2nmである。
【0205】
さらに、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの平均面積が、500nm2より大きい。
【0206】
好ましくは、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの平均面積が、5000nm2より大きい。
【0207】
さらに好ましくは、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの平均面積が、20000nm2より大きい。
【0208】
さらに、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムは、主として低結晶性チタン酸塩である。
【0209】
さらに、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム中のナノチタン酸塩カチオン元素は、上記塩基中の対応するカチオン元素に由来する。
【0210】
さらに、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の化学組成は、E成分元素、Ti、O、及び塩基中の対応するカチオン元素を含み、ここで、Tiに対するE成分元素のモル比が、0<CE/CTi≦0.25を満たす。例えば、塩基がNaOHである場合、上記塩基中の対応するカチオン元素がNaであり、チタン酸塩がチタン酸ナトリウムであり、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の化学組成には、E成分元素、Ti、O、およびNa元素が含まれる。
【0211】
さらに、0<CE/CTi≦0.10である。
【0212】
さらに、上記E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸塩フィルム中に分布している。
【0213】
さらに、E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸塩フィルム中に分布している場合、ナノチタン酸塩フィルムは単相材料と見なすことができる。すなわち、Ti、Oなどのチタン酸塩組成元素と同様に、E成分元素が原子または原子クラスターとしてフィルム中に均一に分布しており、E成分元素が核となってチタン酸塩相以外のE相に成長することはない。このとき、得られる生成物は、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム、あるいはE成分元素が固溶したナノチタン酸塩フィルム、あるいは全く新しい物質と理解することができ、例えば、上記塩基中の対応するカチオン元素がNaである場合、このような全く新しい物質は、ナノチタン酸ナトリウム (銀)フィルムと考えることができる。
【0214】
さらに、上記E成分元素は、主に原子又は原子クラスターの形でナノチタン酸塩フィルムに埋め込まれ、分布している。上記埋め込まれ、分布していることの重要な特徴は、E成分元素が主に原子又は原子クラスターの形でナノチタン酸塩フィルム内に固定され、原子の拡散は、特定の温度に達した場合にのみ起こり得る。同時に、E成分元素のピン止め効果により、チタン酸塩フィルムマトリックスの相転移の熱安定性が大幅に向上することである。以下の関連する説明を参照。
【0215】
さらに、E成分元素が原子又は原子クラスターの形でドープされたナノチタン酸塩フィルム中に存在する場合、E成分元素のピン止め効果により、ナノチタン酸塩フィルムマトリックスの相転移の熱安定性を最大200℃まで高めることができ、かつ、Eの含有量が多いほど、相転移の熱安定性が高くなる。つまり、単純なナノチタン酸塩フィルムマトリックスと比較して、加熱時に同じ相転移を達成するために、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの熱処理温度を最大200℃上昇させる必要がある。
【0216】
このような相転移熱安定性の増加は、E成分元素が明らかなEナノ粒子相として存在するのではなく、原子または原子クラスタースケールでナノチタン酸塩マトリックスにドープされていることをさらに示唆している。明らかなEナノ粒子相として存在する場合、チタン酸塩マトリックスとEナノ粒子相は2つの別個の独立した相であり、チタン酸塩マトリックスの相転移熱安定性は大きな影響を受けない。
【0217】
さらに、上記工程3においてE成分元素を含む固体凝集生成物を回収する工程は、乾燥工程を含み、E成分元素がドープされた固体凝集生成物を乾燥することにより、E成分元素がドープされた粉末状のナノチタン酸塩フィルム材料が得られる。
【0218】
さらに、上記乾燥温度が50℃~350℃である。さらに、上記乾燥温度が50℃~300℃である。
【0219】
さらに、上記乾燥時間が1min~24hである。さらに、上記乾燥時間は5min~2hである。
【0220】
さらに、上記乾燥温度が高い値域を取る場合、上記乾燥時間が低い値域を取ることができる。
【0221】
さらに、上記乾燥温度が低い値域を取る場合、上記乾燥時間が高い値域を取ることができる。
【0222】
E成分元素は主にAgであるため、Ag元素の特性から、180℃以下の乾燥処理ではAg2Oに酸化されやすく、180℃以上の乾燥処理ではAg2OがAgに分解される。したがって:
【0223】
さらに、乾燥温度が範囲の低い値域をとる場合、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム中にOと結合したAg原子または原子クラスターを含む。
【0224】
好ましくは、乾燥温度が50℃~180℃である場合、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム中にOと結合したAg原子または原子クラスターを含む。
【0225】
好ましくは、乾燥温度が50℃~180℃である場合、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム中にOと結合したAg2O原子クラスターを含む。
【0226】
O-Ag結合は高温で切断・分解するため、乾燥温度が高い値域をとると、Agに結合しているO元素がO-Ag結合の切断によりAgから分離する。
【0227】
さらに、乾燥温度が範囲の高い値域をとる場合、上記E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸塩フィルム中に分布する。
【0228】
好ましくは、乾燥温度が181℃~350℃である場合、上記E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸塩フィルム中に分布する。
【0229】
従って、乾燥温度及び乾燥時間の制御により、Ag及びOとの結合度を制御することができる。
【0230】
さらに、乾燥温度が350℃より低い場合、チタン酸塩フィルムの形状は実質的に変化せず、E元素は依然として原子または原子クラスターの形でチタン酸塩フィルム中に埋め込まれて分布したままである。
【0231】
さらに、上記E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1.5nm未満である。
【0232】
さらに、上記E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1nm未満であり、E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1nm未満である場合、この原子クラスターのサイズが相界面で識別可能なE相ナノ粒子を形成するには十分ではなく、透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察方法では、コントラストの違いによりE成分元素を含む原子クラスターをマトリックスから区別することが困難である。したがって、このスケールでは、E成分元素を含む原子クラスターがマトリックス中に均一に分布している。
【0233】
さらに、上記E成分元素が、主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸塩フィルム中に分布している。
【0234】
さらに、上記E成分元素が、主に原子の形でナノチタン酸塩フィルム中に分布している。
【0235】
さらに、上記E成分元素中のAgの原子百分率は50%~100%である。さらに、上記E成分元素が主にAgである。
【0236】
さらに、上記E成分元素がAgである。
【0237】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Ag中またはAl-Ti金属間化合物中に固溶可能な他の元素からも構成され、それにより、E成分元素が、初期合金中において、固溶を介してAl-Ti金属間化合物中に存在することができる。
【0238】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Au、Cu、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうちの少なくとも1つを含む。
【0239】
さらに、上記最終生成物における、E成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルムの収率が、最終生成物におけるその重量%である。
【0240】
さらに、上記最終生成物におけるE成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルムの収率が、50%~100%である。
【0241】
さらに、上記最終生成物におけるE成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルムの収率が、65%~100%である。
【0242】
さらに、上記最終生成物におけるE成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルムの収率が、75%~100%である。
【0243】
さらに、上記最終生成物におけるE成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルムの収率が、85%~100%である。
【0244】
さらに、上記最終生成物におけるE成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルムの収率が、90%~100%である。
【0245】
さらに、上記最終生成物におけるE成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルムの収率が、95%~100%である。
【0246】
さらに、上記最終生成物におけるE成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルムの収率が、99%~100%である。
【0247】
具体的には、反応温度が溶液温度範囲60℃≦T1≦Tf溶液の低値範囲60℃≦T1≦100℃であり、塩基溶液がNaOH水溶液を主成分とする場合、得られる生成物にE成分元素がドープされたチタン酸塩フィルムの目的生成物の収率が低い。しかしながら、塩基溶液がKOHを含み、かつ、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムマトリックスがナノチタン酸カリウムフィルムマトリックスを含む場合、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの収率を大幅に向上させることができる。例えば、塩基溶液がKOH水溶液を主成分とし、反応温度が60℃である場合、得られた生成物中のE成分元素がドープされたナノチタン酸カリウムフィルムである目的生成物の収率が50%以上である。反応温度が71℃である場合、得られた生成物中のE成分元素がドープされたナノチタン酸カリウムフィルムである目的生成物の収率が65%以上である。反応温度が81℃である場合、得られた生成物中のE成分元素がドープされたナノチタン酸カリウムフィルムである目的生成物の収率が75%以上である。反応温度が91℃である場合、得られた生成物中のE成分元素がドープされたナノチタン酸カリウムフィルムである目的生成物の収率が85%以上である。反応温度が96℃である場合、得られた生成物中のE成分元素がドープされたナノチタン酸カリウムフィルムである目的生成物の収率が90%以上である。
【0248】
反応温度が溶液温度範囲60℃≦T1≦Tf溶液の高値範囲100℃<T1≦Tf溶液である場合、塩基の種類の変化に関わらず、得られた生成物中のE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの収率が高く、生成物の形態が元の初期合金粉末粒子またはリボンの形状と全く異なる。例えば、反応温度が101℃より高い場合、より高い収率のE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムが得られ、その収率が一般に95%~100%である。反応温度が常圧下での塩基溶液の沸点Tf溶液である場合、さらにより高い収率のE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムが得られ、収率が一般に99%~100%である。
【0249】
第2の態様において、本発明はまた、埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルム材料の製造方法であって、第1の態様において製造された生成物、またはE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料が熱処理によって製造されることを特徴とする方法に関する。
【0250】
ドープされたE 成分元素の存在により、ナノチタン酸塩フィルムの熱安定性が向上し、加熱下でのフィルムの厚さの増加と収縮がE成分元素によって妨げられる。したがって、上記の熱処理工程において、適切な熱処理温度および熱処理時間を制御することにより、ナノチタン酸塩フィルムの厚さがあまり変化せず(フィルム状態のまま)、ナノチタン酸塩フィルム中に主に原子または原子クラスターの形で分布しているドープされたE成分元素が元素拡散および凝集によって、ナノチタン酸塩フィルムに埋め込まれたEナノ粒子を生成することが保証される。このような埋め込まれたEナノ粒子は、他の文献で報告されているファンデルワールス力吸着に支配される通常のナノ粒子(ファンデルワールス力吸着ナノ粒子は移動・脱落可能)とは異なるため、埋め込まれたEナノ粒子はナノチタン酸フィルムに強固に埋め込まれる(移動・脱落不可能)ことが保証される。主に原子または原子クラスターの形で分布しているE成分元素がすべてEナノ粒子に凝集した後、Eナノ粒子が島状に分布しており、ナノチタン酸塩フィルムのマトリックスの空間的な障害によって連結することができず、Eナノ粒子が合体・成長を続けることが困難であるため、その後の加熱工程を継続してもほぼ同じ粒径を維持することができる。
【0251】
さらに、E成分元素が原子又は原子クラスターの形でドープされたナノチタン酸塩フィルム中に存在する場合、E成分元素のピン止め効果により、ナノチタン酸塩フィルムマトリックスの相転移の熱安定性を最大200℃まで高めることができ、かつ、Eの含有量が多いほど、相転移の熱安定性が高くなる。つまり、単純なナノチタン酸塩フィルムマトリックスと比較して、加熱時に同じ相転移を達成するために、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの熱処理温度を最大200℃上昇させる必要がある。
【0252】
例えば、E成分元素を含まないナノチタン酸塩フィルムを450℃で1h熱処理すると相変化が起こる。しかし、E成分元素を多く含むナノチタン酸塩フィルムを600℃で0.5h熱処理しても、フィルムマトリックスは依然として明らかな相変態および形状変化を受けない。650℃で2minの熱処理を選択した場合、基本的に明らかな相変化と形状変化が発生しないことが保証される。
【0253】
したがって、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの熱安定性の向上を利用し、フィルムの形状が大きく変化しないようにしながら、熱処理によってEナノ粒子が元素拡散・凝集し、フィルムマトリックス中に埋め込まれて析出することができる。
【0254】
さらに、上記熱処理温度が、350℃~650℃である。
【0255】
さらに、上記熱処理温度が、350℃~600℃である。
【0256】
さらに、上記熱処理温度が、350℃~550℃である。
【0257】
さらに、上記熱処理時間が、2min~96hである。好ましくは、上記熱処理時間が、10min~5hである。
【0258】
温度範囲の低い値が選択され、E成分元素の含有量が多い場合、Eナノ粒子が元素拡散を介して、凝集および析出するまでに長い時間がかかる。温度範囲の高い値が選択され、E成分元素の含有量が低い場合、Eナノ粒子が元素拡散を介して、凝集および析出するまでの時間が短くなる。
【0259】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~10nmである。
【0260】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~7nmである。
【0261】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~5nmである。
【0262】
さらに、上記Eナノ粒子は、主として埋込によってナノチタン酸塩フィルム中に存在する。
【0263】
上記埋め込みとは、その場での埋め込み生成の形成方法を意味し、すなわち、Eナノ粒子は、ドープされたE成分元素の拡散、凝集、成長により、その場で生成され、ナノチタン酸塩フィルム中に埋め込ませるための添加剤または外因性混合様式に依存することなく、部分的または全体的にカプセル化されることによって生成されるように現れる。
【0264】
さらに、上記ナノチタン酸塩フィルムは、Eナノ粒子を析出させるための熱処理後に、熱処理前よりもわずかに大きい厚さを有する。
【0265】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルムの厚さが、0.3nm~10nmである。
【0266】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルムの厚さが、0.3nm~5nmである。
【0267】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルムの厚さが、0.3nm~4nmである。
【0268】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルムの厚さが、0.3nm~2nmである。
【0269】
さらに、上記Eナノ粒子には、ナノチタン酸塩フィルムに埋め込まれた体積の一部に加えて、フィルムに埋め込まれていない露出した体積部分も含まれる。
【0270】
埋め込まれたEナノ粒子は、もともとナノチタン酸塩フィルムに分布していたE成分元素が拡散・凝集して生成したものであるため、フィルム内に埋め込むことができ、フィルムが十分に薄いため、一部のEナノ粒子は体積の一部がフィルム外に露出したままであることが理解される。
【0271】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルムの平均面積が、400nm2より大きく、好ましくは、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルムの平均面積が、4000nm2より大きく、さらに好ましくは、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルムの平均面積が、16000nm2より大きい。
【0272】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルム材料の主な化学組成は、E成分元素、Ti、O、および元の製造工程中の塩基内の対応するカチオン元素を含み、ここで、Tiに対するE成分元素のモル比が、0<CE/CTi≦0.25を満たす。
【0273】
さらに、0<CE/CTi≦0.10である。
【0274】
さらに、上記E成分元素中のAgの原子百分率含有量が50%~100%である。さらに、上記E成分元素が主にAgである。
【0275】
さらに、上記E成分元素がAgである。
【0276】
さらに、E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Ag中またはT-Ti金属間化合物中に固溶可能な他の元素も含む。
【0277】
さらに、E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Au、Cu、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0278】
第3の態様において、本発明はまた、E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料の製造方法であって、第1の態様において製造された生成物、またはE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料を酸溶液と反応させ、固体生成物を回収し、E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料を得ることを特徴とする方法に関する。
【0279】
酸溶液と反応させることにより、まずE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の表面に吸着した残留塩基が中和され、次にE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料中のカチオンと酸溶液中の水素イオンとの間でイオン交換が起こり、その結果、E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料が得られる。それ以外、酸反応後の生成物は、第1の態様に記載の生成物の主な特徴と概ね一致している。
【0280】
さらに、上記酸溶液が、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、リン酸、シュウ酸、ピクリン酸、オレイン酸、過塩素酸のうちの少なくとも1つを含む。
【0281】
本方法で製造したE成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルムまたは二次元ナノチタン酸フィルムが非常に薄いため、酸濃度が0.1mol/Lより高い場合、E成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸フィルムマトリックスの酸溶液へのさらなる溶解が明らかに発生する。したがって、E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムマトリックスの酸とのさらなる反応と溶解を防ぐために、上記酸溶液は希酸溶液であり、かつ、酸溶液中の水素イオン濃度が、0.1mol/L未満である。
【0282】
好ましくは、上記酸溶液中の水素イオン濃度が、0.0001mol/L~0.09mol/Lである。
【0283】
好ましくは、上記酸溶液中の水素イオン濃度が、0.0001mol/L~0.05mol/Lである。
【0284】
さらに好ましくは、上記酸溶液中の水素イオン濃度が、0.0001mol/L~0.01mol/Lである。
【0285】
さらに、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料と酸溶液とを反応させる具体的な工程は、以下の通りである:E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料を水に分散させ、攪拌状態で、上記酸溶液を徐々に添加し、混合溶液のpH値を連続的に低下させ、最終的に混合溶液のpH値を2~5に制御し、1min~5h後、分離、乾燥し、E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料を得る。pH値が2~5の間に維持されるように制御され、すなわち、混合溶液中の対応する水素イオン濃度を0.00001mol/L~0.001mol/Lに保つと、全工程において、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の表面に吸着した残留塩基が最初に中和され、次に、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料中のカチオンと酸溶液中の水素イオンの間でイオン交換が起こり、その後、酸溶液と明らかに反応しないE成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料を得ることが保証される。
【0286】
さらに、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムの厚さが、0.25nm~7nmである。さらに、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムの厚さが、0.25nm~4nmである。好ましくは、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムの厚さが、0.25nm~3nmである。好ましくは、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムの厚さが、0.25nm~2nmである。
【0287】
さらに、上記埋E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムの平均面積が、500nm2より大きく、好ましくは、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムの平均面積が、5000nm2より大きく、さらに好ましくは、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムの平均面積が、20000nm2より大きい。
【0288】
さらに、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムは、主として低結晶性チタン酸である。
【0289】
さらに、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムの化学組成は、E成分元素、Ti、H、およびO元素を含み、ここで、Tiに対するA成分元素のモル比が、0<CE/CTi≦0.25を満たす。
【0290】
さらに、0<CE/CTi≦0.10である。
【0291】
さらに、上記E成分元素が、主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸フィルム中に分布している。
【0292】
さらに、E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸フィルム中に分布している場合、ナノチタン酸フィルムは単相材料と見なすことができる。すなわち、Ti、H、Oなどのチタン酸組成元素と同様に、E成分元素が原子または原子クラスターとしてフィルム中に均一に分布しており、E成分元素が核となってチタン酸相以外のEナノ粒子相に成長することはない。このとき、得られる生成物は、E成分元素がドープされたナノチタン塩フィルム、あるいはE成分元素が固溶したナノチタン酸フィルム、あるいは全く新しい物質と理解することができ、例えば、ナノチタン酸(銀)フィルムと考えることができる。
【0293】
さらに、上記E成分元素は、主に原子又は原子クラスターの形でナノチタン酸フィルムに埋め込まれ、分布している。上記埋め込まれ、分布していることの重要な特徴は、E成分元素が主に原子又は原子クラスターの形でナノチタン酸フィルム内に固定され、原子の拡散は、特定の温度に達した場合にのみ起こり得る。同時に、E成分元素のピン止め効果により、チタン酸フィルムマトリックスの相転移の熱安定性が大幅に向上することである。以下の関連する説明を参照。
【0294】
さらに、E成分元素が原子又は原子クラスターの形でドープされたナノチタン酸フィルム中に存在する場合、E成分元素のピン止め効果により、ナノチタン酸フィルムマトリックスの相転移の熱安定性を最大200℃まで高めることができ、かつ、Eの含有量が多いほど、相転移の熱安定性が高くなる。つまり、単純なナノチタン酸フィルムマトリックスと比較して、加熱時に同じ相転移を達成するために、E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムの熱処理温度を最大200℃上昇させる必要がある。
【0295】
このような相転移熱安定性の増加は、E成分元素が明らかなEナノ粒子相として存在するのではなく、原子または原子クラスタースケールでナノチタン酸マトリックスにドープされていることをさらに示唆している。明らかなEナノ粒子相として存在する場合、チタン酸マトリックスとEナノ粒子相は2つの別個の独立した相であり、チタン酸マトリックスの相転移熱安定性は大きな影響を受けない。
【0296】
さらに、上記固体凝集生成物を回収する工程が、乾燥工程を含む。
【0297】
さらに、上記乾燥温度が50℃~350℃である。
【0298】
さらに、上記乾燥温度が50℃~300℃である。
【0299】
さらに、上記乾燥時間が1min~24hである。
【0300】
さらに、上記乾燥時間は5min~2hである。
【0301】
さらに、上記乾燥温度が高い値域を取る場合、上記乾燥時間が低い値域を取ることができる。
【0302】
さらに、上記乾燥温度が低い値域を取る場合、上記乾燥時間が高い値域を取ることができる。
【0303】
E成分元素は主にAgであるため、Ag元素の特性から、180℃以下の乾燥処理ではAg2Oに酸化されやすく、180℃以上の乾燥処理ではAg2OがAgに分解される。したがって:
【0304】
さらに、乾燥温度が範囲の低い値域をとる場合、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム中にOと結合したAg原子または原子クラスターを含む。
【0305】
好ましくは、乾燥温度が50℃~180℃である場合、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム中にOと結合したAg原子または原子クラスターを含む。
【0306】
好ましくは、乾燥温度が50℃~180℃である場合、上記E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム中にOと結合したAg2O原子クラスターを含む。
【0307】
O-Ag結合は高温で切断・分解するため、乾燥温度が高い値域をとると、Agに結合しているO元素がO-Ag結合の切断によりAgから分離する。
【0308】
さらに、乾燥温度が範囲の高い値域をとる場合、上記E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸フィルム中に分布する。
【0309】
好ましくは、乾燥温度が181℃~350℃である場合、上記E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸フィルム中に分布する。
【0310】
従って、乾燥温度及び乾燥時間の制御により、Ag及びOとの結合度を制御することができる。
【0311】
さらに、乾燥温度が350℃より低い場合、チタン酸フィルムの形状は実質的に変化せず、E元素は依然として原子または原子クラスターの形でチタン酸フィルム中に埋め込まれて分布したままである。
【0312】
さらに、上記E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1.5nm未満である。
【0313】
さらに、上記E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1nm未満であり、E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1nm未満である場合、この原子クラスターのサイズが相界面で識別可能なE相ナノ粒子を形成するには十分ではなく、透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察方法では、コントラストの違いによりE成分元素を含む原子クラスターをマトリックスから区別することが困難である。したがって、このスケールでは、E成分元素を含む原子クラスターがマトリックス中に均一に分布している。
【0314】
さらに、上記E成分元素が、主に原子の形でナノチタン酸フィルム中に分布している。
【0315】
さらに、上記E成分元素中のAgの原子百分率は50%~100%である。さらに、上記E成分元素が主にAgである。さらに、上記E成分元素がAgである。
【0316】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Ag中またはT-Ti金属間化合物中に固溶可能な他の元素も含む。
【0317】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Au、Cu、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0318】
第4の態様において、本発明はまた、埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料を製造する方法であって、第3の態様において製造された生成物、またはE成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料が熱処理によって製造されることを特徴とする方法に関する。
【0319】
ドープされたE成分元素の存在により、ナノチタン酸フィルムの熱安定性が向上し、加熱下でのフィルムの厚さの増加と収縮がE成分元素ピン止め効果によって妨げられる。したがって、上記の熱処理工程において、適切な熱処理温度および熱処理時間を制御することにより、ナノチタン酸フィルムの厚さがあまり変化せず(フィルム状態のまま)、ナノチタン酸フィルム中に主に原子または原子クラスターの形で分布しているドープされたE成分元素が元素拡散および凝集によって、ナノチタン酸フィルムに埋め込まれたEナノ粒子を生成することが保証される。このような埋め込まれたEナノ粒子は、他の文献で報告されているファンデルワールス力吸着に支配される通常のナノ粒子(ファンデルワールス力吸着ナノ粒子は移動・脱落可能)とは異なるため、埋め込まれたEナノ粒子はナノチタン酸フィルムに強固に埋め込まれる(移動・脱落不可能)ことが保証される。主に原子または原子クラスターの形で分布しているE成分元素がすべてEナノ粒子に凝集した後、Eナノ粒子が島状に分布しており、ナノチタン酸フィルムのマトリックスの空間的な障害によって連結することができず、Eナノ粒子が合体・成長を続けることが困難であるため、その後の加熱工程を継続してもほぼ同じ粒径を維持することができる。
【0320】
さらに、上記熱処理温度が、350℃~650℃である。
【0321】
さらに、上記熱処理温度が、350℃~600℃である。
【0322】
さらに、上記熱処理温度が、350℃~550℃である。
【0323】
上記熱処理温度は、厚さがわずかに厚くなることを除いて、ナノチタン酸フィルムマトリックスの形態を大きな変化なく維持しながら、ドープされたE成分元素が元素拡散および凝集によってナノチタン酸フィルム中に埋め込まれたEナノ粒子を生成することを保証することができる。
【0324】
さらに、E成分元素が原子又は原子クラスターの形でドープされたナノチタン酸フィルム中に存在する場合、E成分元素のピン止め効果により、ナノチタン酸フィルムマトリックスの相転移の熱安定性を最大200℃まで高めることができ、かつ、Eの含有量が多いほど、相転移の熱安定性が高くなる。つまり、単純なナノチタン酸フィルムマトリックスと比較して、加熱時に同じ相転移を達成するために、E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムの熱処理温度を最大200℃上昇させる必要がある。
【0325】
例えば、E成分元素を含まないナノチタン酸フィルムを450℃で1h熱処理すると相変化が起こる。しかし、E成分元素を多く含むナノチタン酸フィルムを600℃で0.5h熱処理しても、フィルムマトリックスは依然として明らかな相変態および形状変化を受けない。
【0326】
さらに、上記熱処理時間が、5min~96hである。
【0327】
好ましくは、上記熱処理時間が、10min~5hである。
【0328】
温度範囲の低い値が選択され、E成分元素の含有量が多い場合、Eナノ粒子が元素拡散を介して、凝集および析出するまでに長い時間がかかる。温度範囲の高い値が選択され、E成分元素の含有量が低い場合、Eナノ粒子が元素拡散を介して、凝集および析出するまでの時間が短くなる。
【0329】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~10nmである。
【0330】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~7.5nmである。
【0331】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~5nmである。
【0332】
さらに、上記Eナノ粒子は、主として埋込によってナノチタン酸フィルム中に存在する。
【0333】
上記埋め込みとは、その場での埋め込み生成の形成方法を意味し、すなわち、Eナノ粒子は、ドープされたE成分元素の拡散、凝集、成長により、その場で生成され、ナノチタン酸フィルム中に埋め込ませるための添加剤または外因性混合様式に依存することなく、部分的または全体的にカプセル化されることによって生成されるように現れる。
【0334】
さらに、上記ナノチタン酸フィルムは、Eナノ粒子を析出させるための熱処理後に、熱処理前よりもわずかに大きい厚さを有する。
【0335】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルムの厚さが、0.3nm~10nmである。
【0336】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルムの厚さが、0.3nm~5nmである。
【0337】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルムの厚さが、0.3nm~4nmである。
【0338】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルムの厚さが、0.3nm~2nmである。
【0339】
さらに、上記Eナノ粒子には、ナノチタン酸フィルムに埋め込まれた体積の一部に加えて、フィルムに埋め込まれていない露出した体積部分も含まれる。
【0340】
埋め込まれたEナノ粒子は、もともとナノチタン酸フィルムに分布していたE成分元素が拡散・凝集して生成したものであるため、フィルム内に埋め込むことができ、フィルムが十分に薄いため、一部のEナノ粒子は体積の一部がフィルム外に露出したままであることが理解される。
【0341】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルムの平均面積が、400nm2より大きい。
【0342】
好ましくは、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルムの平均面積が、4000nm2より大きい。
【0343】
さらに好ましくは、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルムの平均面積が、16000nm2より大きい。
【0344】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料の主な化学組成は、E成分元素、Ti、H、O元素を含み、ここで、Tiに対するE成分元素のモル比が、0<CE/CTi≦0.25を満たす。
【0345】
さらに、0<CE/CTi≦0.10である。
【0346】
さらに、上記E成分元素中のAgの原子百分率含有量が50%~100%である。さらに、上記E成分元素が主にAgである。さらに、上記E成分元素がAgである。
【0347】
さらに、E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Ag中またはT-Ti金属間化合物中に固溶可能な他の元素も含む。
【0348】
さらに、E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Au、Cu、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0349】
第5の態様において、本発明はまた、埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO2シート粉末の製造方法であって、第3の態様に記載の生成物もしくはE成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料、または第4の態様に記載の生成物もしくは埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料が熱処理によって製造されることを特徴とする方法に関する。
【0350】
さらに、上記熱処理時間が、1min~48hである。
【0351】
好ましくは、上記熱処理時間が、10min~3hである。
【0352】
さらに、上記熱処理の温度範囲が、600℃~1500℃である。
【0353】
さらに、上記熱処理の温度範囲が、600℃~1000℃である。
【0354】
さらに、熱処理過程中にナノTiO2が生成される。
【0355】
上記温度範囲の低い値を選択した場合、ナノチタン酸フィルムがナノTiO2シートに変化するのに長い時間が必要であり、上記温度範囲の高い値を選択した場合、ナノチタン酸フィルムがナノTiO2シートに変化するのに短い時間が必要である。
【0356】
さらに、上記熱処理過程において、被熱処理材料はE成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料である場合、まずドープされたE成分元素の拡散と凝集が起こり、ナノチタン酸フィルムに埋め込まれたEナノ粒子が生成される。熱処理温度と熱処理時間の増加に伴い、ナノチタン酸フィルムは面積が縮小し、厚さが増加し、同時に、ナノチタン酸フィルムからナノTiO2シート粉末への変化が起こる。ナノチタン酸フィルムに埋め込まれたEナノ粒子は、ナノチタン酸フィルムのマトリックスによって分離・隔離されているため、ナノチタン酸フィルムの材料変化と厚膜化の過程において、すでに完全に生成したEナノ粒子同士が合体して成長し続けにくく、その粒子サイズおよび形態は安定した状態になる。すなわち、マトリックス中に原子または原子クラスターとして存在するE成分元素が全てEナノ粒子に変化した後、追加のE成分元素の供給源はなくなり、既に生成した分散・分布したEナノ粒子は、熱処理温度の上昇と熱処理時間の延長に伴って大きく成長することはない。
【0357】
上記熱処理過程において、被熱処理材料は埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料である場合、ナノチタン酸フィルムに埋め込まれたEナノ粒子は、ナノチタン酸フィルムのマトリックスによって分離・隔離されているため、ナノチタン酸フィルムの相変化と厚膜化の過程において、チタン酸フィルムマトリックス中に原子または原子クラスターとして存在するE成分元素が全てEナノ粒子に変化した場合、追加のE成分元素の供給源はなくなり、既に生成した分散・分布したEナノ粒子同士が合体して成長し続けにくく、その粒子サイズおよび形態は安定した状態になり、すなわち、熱処理温度の上昇と熱処理時間の延長に伴って大きく成長することはない。
【0358】
さらに、生成されたナノTiO2シートの厚さが、Eナノ粒子の外径を超えない場合、Eナノ粒子は部分的にナノTiO2シートに埋め込まれ分布する。
【0359】
さらに、生成されたナノTiO2シートの厚さが、Eナノ粒子の外径を超える場合、Eナノ粒子は完全にまたは部分的にナノTiO2シートに埋め込まれ分布する。
【0360】
さらに、Eナノ粒子を含むナノTiO2シート粉末におけるナノTiO2の相組成は、ブルッカイト型ナノTiO2、アナターゼ型ナノTiO2、およびルチル型ナノTiO2のうちの少なくとも1つを含む。
【0361】
さらに、熱処理工程において、ドープされたE成分元素が拡散・凝集してナノチタン酸フィルムに埋め込まれたEナノ粒子が生成されることに加え、ナノチタン酸フィルムマトリックスの形態がナノチタン酸マトリックスの形態が、フィルムからシートに変化し、厚みが大幅に増加すると同時に、チタン酸からナノTiO2への変化も起こる。
【0362】
具体的には、熱処理温度と熱処理時間の増加に伴い、埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルムの熱処理生成物は、「埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム」→「埋め込まれたEナノ粒子を含むアナターゼ型ナノTiO2シート」→「埋め込まれたEナノ粒子を含むルチル型ナノTiO2シート」の連続的な変化を受ける。場合によっては、埋め込まれたEナノ粒子を含むブルッカイト型 TiO2シートが出現する可能性も排除されない。
【0363】
変化過程において、特定の熱処理温度と時間に対応する生成物状態では、例えば、「埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム」と「埋め込まれたEナノ粒子を含むアナターゼ型ナノTiO2シート」の共存、および「埋め込まれたEナノ粒子を含むアナターゼ型ナノTiO2シート」と「埋め込まれたEナノ粒子を含むルチル型ナノTiO2シート」の共存である2つの結晶形態の共存が起こり得る。
【0364】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO2シートの形状が、板状シートである。
【0365】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO2シートの厚さが、1.0nm~30nmである。
【0366】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO2シートの厚さが、1.0nm~20nmである。
【0367】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO2シートの平均面積が、100nm2以上である。
【0368】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO2シートの平均面積が、1000nm2以上である。
【0369】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO2シートの平均面積が、4000nm2以上である。
【0370】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子のサイズが、1.5nm~10nmである。
【0371】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子のサイズが、1.5nm~7.5nmである。
【0372】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子のサイズが、1.5nm~5nmである。
【0373】
さらに、上記Eナノ粒子は、主として埋込によってナノTiO2シート中に存在する。
【0374】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO2シートの化学組成は、E成分元素、Ti、およびO元素を含み、ここで、Tiに対するE成分元素のモル比が、0<CE/CTi≦0.25を満たす。
【0375】
さらに、0<CE/CTi≦0.10である。
【0376】
さらに、上記E成分元素中のAgの原子百分率含有量が50%~100%である。さらに、上記E成分元素が主にAgである。さらに、上記E成分元素がAgである。
【0377】
さらに、E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Ag中またはT-Ti金属間化合物中に固溶可能な他の元素も含む。
【0378】
さらに、E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Au、Cu、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0379】
第6の態様において、本発明はまた、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの製造方法であって、以下の製造工程を含むことを特徴とする方法に関する。
【0380】
その第1の態様に記載の生成物またはE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム、または(および)その第3の態様に記載の生成物またはE成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムを含む固体物質を、塩基溶液とともに密閉容器に封入し、その後、Tf溶液の温度よりも高い温度T2で高温高圧処理を行う。ここで、Tf溶液は、常圧下で上記反応に関与する塩基溶液の沸点温度であり、かつ、Tf溶液<T2である。一定時間反応させた後、密閉容器の温度を下げ、圧力を常圧に戻し、最終固体生成物を回収し、E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブを得る。
【0381】
さらに、上記塩基溶液が、NaOH、KOH、LiOH、RbOH、Ba(OH)2、Ca(OH)2、およびSr(OH)2溶液のうちの少なくとも1つを含む。
【0382】
さらに、上記塩基溶液の溶媒が、水を含む。好ましくは、上記塩基溶液の溶媒が、水である。
【0383】
さらに、上記塩基溶液中の塩基の濃度が、5.1~25mol/Lである。
【0384】
好ましくは、上記塩基溶液中の塩基の濃度が、5.1~15mol/Lである。
【0385】
好ましくは、上記塩基溶液中の塩基の濃度が、7~15mol/Lである。さらに好ましくは、上記塩基溶液中の塩基の濃度が、7~12mol/Lである。
【0386】
さらに好ましくは、上記塩基溶液中の塩基の濃度が、10~15mol/Lである。
【0387】
さらに、上記塩基の濃度が、塩基中のOH-の濃度を意味する。
【0388】
さらに、第1の態様に記載のE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム、または(および)第3の態様に記載のE成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムを含む固体状物質と混合される塩基溶液中の塩基は過剰量であり、かつ、塩基溶液の体積が、上記固体状物質の体積の5倍以上である。
【0389】
さらに、塩基溶液の体積が、上記固体状物質の体積の10倍以上である。さらに、塩基溶液の体積が、上記固体状物質の体積の20倍以上である。
【0390】
好ましい実施形態として、
【0391】
上記「第1の態様に記載のE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム、または(および)第3の態様に記載のE成分元素がドープされたナノチタン酸フィルムを含む固体状物質と塩基溶液」とは、第1の態様に記載の工程1及び工程2で得られた水素析出・脱T反応終了時のE成分元素を含む固体凝集生成物と、対応する塩基溶液である。
【0392】
即ち:第1の態様に記載の工程1及び工程2で得られた水素析出・脱T反応終了時のE成分元素を含む固体凝集生成物を、対応する塩基溶液とともに密閉容器に封入し、その後、Tf溶液の温度よりも高い温度T2で高温高圧処理を行う。ここで、Tf溶液は、常圧下で上記反応に関与する塩基溶液の沸点温度であり、かつ、Tf溶液<T2である。一定時間反応させた後、密閉容器の温度を下げ、圧力を常圧に戻し、最終固体生成物を回収し、E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブを得る。
【0393】
この好ましい実施形態では、E成分元素を含む固体凝集生成物と対応する塩基溶液を分離し、次いで塩基と混合する必要がなく、また、塩基溶液を冷却した後、昇温する必要がなく(T1<T2)、かつ、塩基濃度も、この好ましい実施形態の高温高圧反応の要件を満たす。 したがって、これは最も経済的で簡単な実施形態である。
【0394】
さらに、上記高温高圧処理工程中に、フィルム状チタン酸塩または(および)フィルム状チタン酸が、チューブ状チタン酸塩に変化し、かつ、Tf溶液<T2である。
【0395】
さらに、T1≦Tf溶液<T2である。
【0396】
さらに、上記反応を密閉容器内で常圧よりも高い圧力で行うため、塩基溶液の温度を常圧下での沸点温度Tf溶液以上に加熱することができ、E成分元素がドープされたフィルム状チタン酸塩、または(および)E成分元素がドープされたフィルム状チタン酸を高温高圧でチューブ状チタン酸塩に変化することができる。
【0397】
さらに、密閉容器内では、塩基溶液の種類と濃度が決まると、特定の温度値が特定の圧力値に対応しなければならない。すなわち、圧力値は温度値の関数であり、温度が高いほど、圧力が高くなる。
【0398】
さらに、Tf溶液<T2<300℃である。
【0399】
さらに、Tf溶液<T2<250℃である。
【0400】
さらに、Tf溶液<T2<200℃である。
【0401】
さらに、Tf溶液<120℃<T2<200℃である。
【0402】
さらに、Tf溶液<140℃<T2<200℃である。
【0403】
さらに、Tf溶液<150℃<T2<180℃である。
【0404】
さらに、上記T2温度での高温高圧処理時間が0.1h~10hである。さらに、上記T2温度での高温高圧処理時間が0.1h~1hである。さらに、上記T2温度での高温高圧処理時間が0.1h~0.5hである。さらに好ましくは、上記T2温度での高温高圧処理時間が0.1h~0.2hである。
【0405】
反応が均衡した後も温度を維持し続けることで生成物が得られるため、上記保温時間にはより長い時間値を選択することもできる。
【0406】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの外径が、2nm~20nmである。
【0407】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの外径が、3nm~15nmである。
【0408】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの平均長さが、その平均外径の5倍を超える。
【0409】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブは、主として低結晶性チタン酸塩である。
【0410】
さらに、上記チタン酸塩ナノチューブ中のカチオン元素は、上記塩基中の対応するカチオン元素に由来する。
【0411】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの化学組成は、E成分元素、Ti、O、及び塩基中の対応するカチオン元素を含む。ここで、Tiに対するE成分元素のモル比が、0<CE/CTi≦0.25を満たす。例えば、塩基がNaOHである場合、上記塩基中の対応するカチオン元素がNaであり、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの化学組成には、E、Ti、O、およびNa元素が含まれる。
【0412】
さらに、0<CE/CTi≦0.10である。
【0413】
さらに、上記E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でチタン酸塩ナノチューブ中に分布している。
【0414】
さらに、E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でチタン酸塩ナノチューブ中に分布している場合、チタン酸塩ナノチューブは単相材料と見なすことができる。すなわち、チタン酸塩ナノチューブ組成元素と同様に、E成分元素が原子または原子クラスターとしてチタン酸塩ナノチューブ中に均一に分布しており、E成分元素が核となってチタン酸塩相以外のEナノ粒子相に成長することはない。このとき、得られる生成物は、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ、あるいはE成分元素が固溶したチタン酸塩ナノチューブと理解することができ、あるいは全く新しい物質、例えば、チタン酸(銀)塩ナノチューブと考えることもできる。
【0415】
さらに、上記E成分元素は、主に原子又は原子クラスターの形でチタン酸塩ナノチューブに埋め込まれ、分布している。上記埋め込まれ、分布していることの重要な特徴は、E成分元素が主に原子又は原子クラスターの形でチタン酸塩ナノチューブ内に固定され、原子の拡散は、特定の温度に達した場合にのみ起こり得る。同時に、E成分元素のピン止め効果により、チタン酸塩ナノチューブの熱安定性に大きな影響を与える。以下の関連する説明を参照。
【0416】
さらに、E成分元素が原子又は原子クラスターの形でドープされたチタン酸塩ナノチューブ中に存在する場合、E成分元素のピン止め効果により、チタン酸塩ナノチューブの相転移の熱安定性を最大200℃まで高めることができ、かつ、Eの含有量が多いほど、相転移の熱安定性が高くなる。つまり、チタン酸塩ナノチューブと比較して、加熱時に同じ相転移を達成するために、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの熱処理温度を最大200℃上昇させる必要がある。
【0417】
このような相転移熱安定性の増加は、E成分元素が明らかなEナノ粒子相として存在するのではなく、原子または原子クラスタースケールでチタン酸塩ナノチューブにドープされていることをさらに示唆している。明らかなEナノ粒子相として存在する場合、チタン酸塩ナノチューブとEナノ粒子相は2つの別個の独立した相であり、チタン酸塩ナノチューブの相転移熱安定性は大きな影響を受けない。
【0418】
さらに、上記固体凝集生成物を回収する工程は、乾燥工程を含み、すなわち、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブが得られる。
【0419】
さらに、上記乾燥温度が50℃~350℃である。
【0420】
さらに、上記乾燥温度が50℃~300℃である。
【0421】
さらに、上記乾燥時間が1min~24hである。
【0422】
さらに、上記乾燥時間は5min~2hである。
【0423】
さらに、上記乾燥温度が高い値域を取る場合、上記乾燥時間が低い値域を取ることができる。
【0424】
さらに、上記乾燥温度が低い値域を取る場合、上記乾燥時間が高い値域を取ることができる。
【0425】
E成分元素は主にAgであるため、Ag元素の特性から、180℃以下の乾燥処理ではAg2Oに酸化されやすく、180℃以上の乾燥処理ではAg2OがAgに分解される。したがって:
【0426】
さらに、乾燥温度が範囲の低い値域をとる場合、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ中にOと結合したAg原子または原子クラスターを含む。
【0427】
好ましくは、乾燥温度が50℃~180℃である場合、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ中にOと結合したAg原子または原子クラスターを含む。
【0428】
好ましくは、乾燥温度が50℃~180℃である場合、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ中にOと結合したAg2O原子クラスターを含む。
【0429】
O-Ag結合は高温で切断・分解するため、乾燥温度が高い値域をとると、Agに結合しているO元素がO-Ag結合の切断によりAgから分離する。
【0430】
さらに、乾燥温度が範囲の高い値域をとる場合、上記E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でチタン酸塩ナノチューブ中に分布する。
【0431】
好ましくは、乾燥温度が181℃~350℃である場合、上記E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でチタン酸塩ナノチューブ中に分布する。
【0432】
従って、乾燥温度及び乾燥時間の制御により、Ag及びOとの結合度を制御することができる。
【0433】
さらに、乾燥温度が350℃より低い場合、チタン酸塩ナノチューブの形状は実質的に変化せず、E元素は依然として原子または原子クラスターの形でチタン酸塩ナノチューブ中に埋め込まれて分布したままである。
【0434】
さらに、上記E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1.5nm未満である。
【0435】
さらに、上記E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1nm未満であり、E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1nm未満である場合、この原子クラスターのサイズが相界面で識別可能なE相ナノ粒子を形成するには十分ではなく、透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察方法では、コントラストの違いによりE成分元素を含む原子クラスターをチタン酸塩ナノチューブマトリックスから区別することが困難である。したがって、このスケールでは、E成分元素を含む原子クラスターがマトリックス中に均一に分布している。
【0436】
さらに、上記E成分元素が、主に原子の形でチタン酸塩ナノチューブ中に分布している。
【0437】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブは、主に、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムを高温高圧処理することにより製造されるため、高温高圧処理が不完全な場合には、得られる生成物にもE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムが含まれることになる。
【0438】
さらに、上記最終生成物におけるE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの重量パーセント含有量が、50%を超える。
【0439】
さらに、上記最終生成物におけるE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの重量パーセント含有量が、90%を超える。
【0440】
さらに、上記E成分元素中のAgの原子百分率は50%~100%である。さらに、上記E成分元素が主にAgである。さらに、上記E成分元素がAgである。
【0441】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Ag中またはT-Ti金属間化合物中に固溶可能な他の元素も含む。
【0442】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Au、Cu、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0443】
第7の態様において、本発明はまた、埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸塩ナノチューブを製造する方法であって、第6の態様に記載の最終生成物、またはE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブが熱処理によって製造されることを特徴とする方法に関する。
【0444】
ドープされたE成分元素の存在により、チタン酸塩ナノチューブの熱安定性が向上するため、上記の熱処理工程において、適切な熱処理温度および熱処理時間を制御することにより、チタン酸塩ナノチューブの形態および相組成はほとんど変化せず、チタン酸塩ナノチューブ中に主に原子または原子クラスターの形で分布しているドープされたE成分元素が元素拡散および凝集によって、チタン酸塩ナノチューブに埋め込まれたEナノ粒子を生成することができる。このような埋め込まれたEナノ粒子は、他の文献で報告されているファンデルワールス力吸着に支配される通常のナノ粒子(ファンデルワールス力吸着ナノ粒子は移動・脱落可能)とは異なるため、埋め込まれたEナノ粒子はチタン酸塩ナノチューブに強固に埋め込まれる(移動・脱落不可能)ことが保証される。主に原子または原子クラスターの形で分布しているE成分元素がすべてEナノ粒子に凝集した後、Eナノ粒子が島状に分布しており、チタン酸塩ナノチューブの空間的な障害によって連結することができず、Eナノ粒子が合体・成長を続けることが困難であるため、その後の加熱工程を継続してもほぼ同じ粒径を維持することができる。
【0445】
さらに、E成分元素が原子又は原子クラスターの形でドープされたチタン酸塩ナノチューブ中に存在する場合、E成分元素のピン止め効果により、チタン酸塩ナノチューブマトリックスの相転移の熱安定性を最大200℃まで高めることができ、かつ、Eの含有量が多いほど、相転移の熱安定性が高くなる。つまり、チタン酸塩ナノチューブマトリックスと比較して、加熱時に同じ相転移を達成するために、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの熱処理温度を最大200℃上昇させる必要がある。
【0446】
さらに、上記熱処理温度が、350℃~650℃である。
【0447】
さらに、上記熱処理温度が、350℃~600℃である。
【0448】
さらに、上記熱処理温度が、350℃~550℃である。
【0449】
さらに、上記熱処理時間が、2min~96hである。
【0450】
さらに、上記熱処理時間が、5min~10hである。
【0451】
好ましくは、上記熱処理時間が、10min~5hである。
【0452】
温度範囲の低い値が選択され、E成分元素の含有量が多い場合、Eナノ粒子が元素拡散を介して、凝集および析出するまでに長い時間がかかる。温度範囲の高い値が選択され、E成分元素の含有量が低い場合、Eナノ粒子が元素拡散を介して、凝集および析出するまでの時間が短くなる。
【0453】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~10nmである。
【0454】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~7.5nmである
【0455】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~5nmである。
【0456】
さらに、上記Eナノ粒子は、主として埋込によってチタン酸塩ナノチューブ中に存在する。
【0457】
上記埋め込みとは、その場での埋め込み生成の形成方法を意味し、すなわち、Eナノ粒子は、ドープされたE成分元素の拡散、凝集、成長により、その場で生成され、チタン酸塩ナノチューブ中に埋め込ませるための添加剤または外因性混合様式に依存することなく、部分的または全体的にカプセル化されることによって生成されるように現れる。
【0458】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸塩ナノチューブの外径が、2nm~20nmである。
【0459】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸塩ナノチューブの外径が、3nm~15nmである。
【0460】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸塩ナノチューブの平均長さが、その平均外径の5倍を超える。
【0461】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子の埋め込み方法には、その体積全体がチタン酸塩ナノチューブ内に埋め込まれて分布すること、または体積の一部がチタン酸塩ナノチューブ内に埋め込まれて分布することに加えて、チタン酸塩ナノチューブ内に埋め込まれていない露出した体積部分も含まれる。
【0462】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸塩ナノチューブの化学組成は、E成分元素、Ti、O、及び元の製造工程中の塩基内の対応するカチオン元素を含む。ここで、Tiに対するE成分元素のモル比が、0<CE/CTi≦0.25を満たす。
【0463】
さらに、0<CE/CTi≦0.10である。
【0464】
さらに、上記E成分元素中のAgの原子百分率は50%~100%である。さらに、上記E成分元素が主にAgである。さらに、上記E成分元素がAgである。
【0465】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Ag中またはT-Ti金属間化合物中に固溶可能な他の元素も含む。
【0466】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Au、Cu、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0467】
第8の態様において、本発明はまた、E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの製造方法であって、第6の態様に記載の最終生成物、またはE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブを酸溶液と反応させ、固体生成物を回収し、成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブを得ることを特徴とする方法に関する。
【0468】
さらに、上記酸溶液が、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、リン酸、シュウ酸、ピクリン酸、オレイン酸、過塩素酸のうちの少なくとも1つを含む。
【0469】
酸溶液と反応させることにより、まずE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの表面に吸着した残留塩基が中和され、次にE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブと酸溶液中の水素イオンとの間でイオン交換が起こり、その結果、E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブが得られる。
【0470】
チタン酸ナノチューブは、チタン酸フィルムよりも比表面積がわずかに小さいため、その第3の態様に記載の方法よりもわずかに高い濃度の酸を用いて反応を実施することができる。
【0471】
さらに、上記酸溶液中の水素イオン濃度が、0.001mol/L~0.2mol/Lである。
【0472】
好ましくは、上記酸溶液中の水素イオン濃度が、0.001mol/L~0.1mol/Lである。
【0473】
好ましくは、上記酸溶液中の水素イオン濃度が、0.001mol/L~0.05mol/Lである。
【0474】
さらに、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ材料と酸溶液とを反応させる具体的な工程は、以下の通りである:E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ材料を水に分散させ、攪拌状態で、上記酸溶液を徐々に添加し、混合溶液のpH値を連続的に低下させ、最終的に混合溶液のpH値を2~4の間に維持されるように制御し、1min~5h後、分離、洗浄、乾燥を行い、E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブ材料を得る。チタン酸塩ナノチューブは一定の厚みで巻き取られているため、pH値を2~4の間に維持されるように制御し、すなわち、混合溶液中の対応する水素イオン濃度を0.0001mol/L~0.01mol/Lとすると、全工程でE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ材料の表面に吸着した残留塩基がまず中和され、次にE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ中のカチオンと酸溶液中の水素イオンとの間でイオン交換が起こり、明らかに酸溶液と反応していないE成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブ材料が得られることが確保される。
【0475】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの外径が、2nm~20nmである。
【0476】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの外径が、3nm~15nmである。
【0477】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの平均長さが、その平均外径の5倍を超える。
【0478】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブは、主として低結晶性チタン酸である。
【0479】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの化学組成は、E、Ti、O、及びH元素を含む。ここで、Tiに対するE成分元素のモル比が、0<CE/CTi≦0.25を満たす。
【0480】
さらに、0<CE/CTi≦0.10である。
【0481】
さらに、上記E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブ中に分布している。
【0482】
さらに、E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブ中に分布している場合、チタン酸ナノチューブは単相材料と見なすことができる。すなわち、Ti、H、Oなどのチタン酸ナノチューブ組成元素と同様に、E成分元素が原子または原子クラスターとしてチタン酸ナノチューブ中に均一に分布しており、E成分元素が核となってチタン酸相以外のEナノ粒子相に成長することはない。このとき、得られる生成物は、E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブ、あるいはE成分元素が固溶したチタン酸ナノチューブと理解することができ、あるいは全く新しい物質と考えることができる。
【0483】
さらに、上記E成分元素は、主に原子又は原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブに埋め込まれ、分布している。上記埋め込まれ、分布していることの重要な特徴は、E成分元素が主に原子又は原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブ内に固定され、原子の拡散は、特定の温度に達した場合にのみ起こり得る。同時に、E成分元素のピン止め効果により、チタン酸ナノチューブマトリックスの熱安定性に大きな影響を与える。以下の関連する説明を参照。
【0484】
さらに、E成分元素が原子又は原子クラスターの形でドープされたチタン酸ナノチューブ中に存在する場合、E成分元素のピン止め効果により、チタン酸ナノチューブマトリックスの相転移の熱安定性を最大200℃まで高めることができ、かつ、Eの含有量が多いほど、相転移の熱安定性が高くなる。つまり、単純なチタン酸ナノチューブと比較して、加熱時に同じ相転移を達成するために、E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの熱処理温度を最大200℃上昇させる必要がある。
【0485】
このような相転移熱安定性の増加は、E成分元素が明らかなEナノ粒子相として存在するのではなく、原子または原子クラスタースケールでチタン酸ナノチューブにドープされていることをさらに示唆している。明らかなEナノ粒子相として存在する場合、チタン酸ナノチューブとEナノ粒子相は2つの別個の独立した相であり、チタン酸ナノチューブの相転移熱安定性は大きな影響を受けない。
【0486】
さらに、上記固体凝集生成物を回収する工程は、乾燥工程を含む。
【0487】
さらに、上記乾燥温度が50℃~350℃である。
【0488】
さらに、上記乾燥温度が50℃~300℃である。
【0489】
さらに、上記乾燥時間が1min~24hである。
【0490】
さらに、上記乾燥時間は5min~2hである。
【0491】
さらに、上記乾燥温度が高い値域を取る場合、上記乾燥時間が低い値域を取ることができる。
【0492】
さらに、上記乾燥温度が低い値域を取る場合、上記乾燥時間が高い値域を取ることができる。
【0493】
E成分元素は主にAgであるため、Ag元素の特性から、180℃以下の乾燥処理ではAg2Oに酸化されやすく、180℃以上の乾燥処理ではAg2OがAgに分解される。したがって:
【0494】
さらに、乾燥温度が範囲の低い値域をとる場合、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブ中にOと結合したAg原子または原子クラスターを含む。
【0495】
好ましくは、乾燥温度が50℃~180℃である場合、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブ中にOと結合したAg原子または原子クラスターを含む。
【0496】
好ましくは、乾燥温度が50℃~180℃である場合、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブ中にOと結合したAg2O原子クラスターを含む。
【0497】
O-Ag結合は高温で切断・分解するため、乾燥温度が高い値域をとると、Agに結合しているO元素がO-Ag結合の切断によりAgから分離する。
【0498】
さらに、乾燥温度が範囲の高い値域をとる場合、上記E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブ中に分布する。
【0499】
好ましくは、乾燥温度が181℃~350℃である場合、上記E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブ中に分布する。
【0500】
従って、乾燥温度及び乾燥時間の制御により、Ag及びOとの結合度を制御することができる。
【0501】
さらに、乾燥温度が350℃より低い場合、チタン酸ナノチューブの形状は実質的に変化せず、E元素は依然として原子または原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブ中に埋め込まれて分布したままである。
【0502】
さらに、上記E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1.5nm未満である。
【0503】
さらに、上記E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1nm未満であり、E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1nm未満である場合、この原子クラスターのサイズが相界面で識別可能なE相ナノ粒子を形成するには十分ではなく、透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察方法では、コントラストの違いによりE成分元素を含む原子クラスターをチタン酸ナノチューブマトリックスから区別することが困難である。したがって、このスケールでは、E成分元素を含む原子クラスターがマトリックス中に均一に分布している。
【0504】
さらに、上記E成分元素が、主に原子の形でチタン酸ナノチューブ中に分布している。
【0505】
さらに、上記E成分元素中のAgの原子百分率は50%~100%である。さらに、上記E成分元素が主にAgである。さらに、上記E成分元素がAgである。
【0506】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Ag中またはT-Ti金属間化合物中に固溶可能な他の元素も含む。
【0507】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Au、Cu、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0508】
第9の態様において、本発明はまた、埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの製造方法であって、第8の態様に記載の生成物、またはE成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブが熱処理によって製造されることを特徴とする方法に関する。
【0509】
ドープされたE成分元素の存在により、チタン酸ナノチューブの熱安定性が向上し、加熱下でのチタン酸ナノチューブの構造変化がE成分元素によって妨げられる。上記の熱処理工程において、適切な熱処理温度および熱処理時間を制御することにより、チタン酸ナノチューブの組成及び形態はほとんど変化せず、チタン酸ナノチューブ中に主に原子または原子クラスターの形で分布しているドープされたE成分元素が元素拡散および凝集によって、チタン酸ナノチューブに埋め込まれたEナノ粒子を生成することができる。
【0510】
このような埋め込まれたEナノ粒子は、他の文献で報告されているファンデルワールス力吸着に支配される通常のナノ粒子(ファンデルワールス力吸着ナノ粒子は移動・脱落可能)とは異なるため、埋め込まれたEナノ粒子はチタン酸ナノチューブに強固に埋め込まれる(移動・脱落不可能)ことが保証される。主に原子または原子クラスターの形で分布しているE成分元素がすべてEナノ粒子に凝集した後、Eナノ粒子が島状に分布しており、チタン酸ナノチューブの空間的な障害によって連結することができず、Eナノ粒子が合体・成長を続けることが困難であるため、その後の加熱工程を継続してもほぼ同じ粒径を維持することができる。
【0511】
さらに、上記熱処理温度が、350℃~650℃である。
【0512】
さらに、上記熱処理温度が、350℃~600℃である。
【0513】
さらに、上記熱処理温度が、350℃~550℃である。
【0514】
上記熱処理温度は、チタン酸ナノチューブの形態を大きな変化なく維持しながら、ドープされたE成分元素が元素拡散および凝集によってチタン酸ナノチューブ中に埋め込まれたEナノ粒子を生成することを保証することができる。
【0515】
さらに、E成分元素が原子又は原子クラスターの形でドープされたチタン酸ナノチューブ中に存在する場合、E成分元素のピン止め効果により、チタン酸ナノチューブマトリックスの相転移の熱安定性を最大200℃まで高めることができ、かつ、Eの含有量が多いほど、相転移の熱安定性が高くなる。つまり、単純なチタン酸ナノチューブマトリックスと比較して、加熱時に同じ相転移を達成するために、E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの熱処理温度を最大200℃上昇させる必要がある。
【0516】
さらに、上記熱処理時間が、5min~96hである。
【0517】
さらに、上記熱処理時間が、5min~10hである。
【0518】
好ましくは、上記熱処理時間が、10min~5hである。
【0519】
温度範囲の低い値が選択され、E成分元素の含有量が多い場合、Eナノ粒子が元素拡散を介して、凝集および析出するまでに長い時間がかかる。温度範囲の高い値が選択され、E成分元素の含有量が低い場合、Eナノ粒子が元素拡散を介して、凝集および析出するまでの時間が短くなる。
【0520】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~10nmである。
【0521】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~7.5nmである。
【0522】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~5nmである。
【0523】
さらに、上記Eナノ粒子は、主として埋込によってチタン酸ナノチューブ中に存在する。
【0524】
上記埋め込みとは、その場での埋め込み生成の形成方法を意味し、すなわち、Eナノ粒子は、ドープされたE成分元素の拡散、凝集、成長により、その場で生成され、チタン酸ナノチューブ中に埋め込ませるための添加剤または外因性混合様式に依存することなく、部分的または全体的にカプセル化されることによって生成されるように現れる。
【0525】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの外径が、2nm~20nmである。
【0526】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの外径が、3nm~15nmである。
【0527】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの平均長さが、その平均外径の5倍を超える。
【0528】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子の埋め込み方法には、その体積全体がチタン酸ナノチューブ内に埋め込まれて分布すること、または体積の一部がチタン酸ナノチューブ内に埋め込まれて分布することに加えて、チタン酸ナノチューブ内に埋め込まれていない露出した体積部分も含まれる。
【0529】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの化学組成は、E成分元素、Ti、H、及びO元素を含む。ここで、Tiに対するE成分元素のモル比が、0<CE/CTi≦0.25を満たす。
【0530】
さらに、0<CE/CTi≦0.10である。
【0531】
さらに、上記E成分元素中のAgの原子百分率は50%~100%である。さらに、上記E成分元素が主にAgである。さらに、上記E成分元素がAgである。
【0532】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Ag中またはT-Ti金属間化合物中に固溶可能な他の元素も含む。
【0533】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Au、Cu、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0534】
第10の態様において、本発明はまた、埋め込まれたEナノ粒子を含む結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドの製造方法であって、第8の態様に記載の生成物もしくはE成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブ、または上記第9の態様に記載の生成物もしくは埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブが熱処理によって製造されることを特徴とする方法に関する。
【0535】
さらに、上記熱処理時間が、1min~48hである。
【0536】
好ましくは、上記熱処理時間が、10min~3hである。
【0537】
さらに、上記熱処理温度が、600℃~1500℃である。
【0538】
さらに、上記熱処理温度が、600℃~1000℃である。
【0539】
さらに、上記熱処理過程中に、チタン酸ナノチューブの結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドへの変化が発生する。
【0540】
上記温度範囲の低い値を選択した場合、チタン酸ナノチューブが結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドに変化するのに長い時間が必要であり、上記温度範囲の高い値を選択した場合、チタン酸ナノチューブが結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドに変化するのに短い時間が必要である。
【0541】
さらに、上記熱処理過程において、被熱処理材料は上記第8の態様に記載のE成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブである場合、まずドープされたE成分元素の拡散と凝集が起こり、チタン酸ナノチューブに埋め込まれたEナノ粒子が生成され、このとき、材料の状態は、上記第9の態様に記載の埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの状態と一致する。熱処理温度と熱処理時間の増加に伴い、チタン酸ナノチューブから結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドへのさらなる変化が起こる。チタン酸ナノチューブ又は結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドに埋め込まれたEナノ粒子は、チタン酸ナノチューブ又は結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドによって分離・隔離されているため、チタン酸ナノチューブから結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドに変化する過程において、既に生成しているEナノ粒子同士が合体して成長し続けにくく、その粒子サイズおよび形態が安定した状態になり、熱処理温度および熱処理時間の増加に伴って大きく変化することはない。
【0542】
さらに、上記結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドとは、結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドの形状が、チューブおよびロッドのうちの少なくとも1つを含むことを指す。チューブの内径がゼロまで収縮すると、ロッドの形状になる。
【0543】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むTiO2ナノチューブ/ロッドの相組成は、ブルッカイト型TiO2、アナターゼ型TiO2、およびルチル型TiO2のうちの少なくとも1つを含む。
【0544】
具体的に、熱処理温度と熱処理時間の増加に伴い、熱処理生成物は、「埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブ」→「埋め込まれたEナノ粒子を含むアナターゼ型TiO2ナノチューブ/ロッド」→「埋め込まれたEナノ粒子を含むルチル型TiO2ナノチューブ/ロッド」の連続的な変化を受ける。
【0545】
変化過程において、特定の熱処理温度と時間に対応する生成物状態では、例えば、「埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブ」と「埋め込まれたEナノ粒子を含むアナターゼ型TiO2ナノチューブ」の共存、および「埋め込まれたEナノ粒子を含むアナターゼ型TiO2ナノチューブ」と「埋め込まれたEナノ粒子を含むルチル型TiO2ナノチューブ/ロッド」の共存である2つの結晶形態の共存が起こり得る。
【0546】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~10nmである。
【0547】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~7.5nmである。
【0548】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~5nmである。
【0549】
さらに、上記Eナノ粒子は、主に埋め込みによって結晶性TiO2ナノチューブ/ロッド中に存在する。
【0550】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むTiO2ナノチューブ/ロッドの外径が、2nm~25nmである。
【0551】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むTiO2ナノチューブ/ロッドの外径が、3nm~20nmである。
【0552】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含む結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドの平均長さが、その平均外径の3倍を超える。
【0553】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子の埋め込み方法には、その体積全体がTiO2ナノチューブ/ロッド内に埋め込まれて分布すること、または体積の一部がTiO2ナノチューブ/ロッド内に埋め込まれて分布することに加えて、TiO2ナノチューブ/ロッド内に埋め込まれていない露出した体積部分も含まれる。
【0554】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含む結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドの化学組成は、E成分元素、Ti、Oを含む。ここで、Tiに対するE成分元素のモル比が、0<CE/CTi≦0.25を満たす。
【0555】
さらに、0<CE/CTi≦0.10である。
【0556】
さらに、上記E成分元素中のAgの原子百分率は50%~100%である。さらに、上記E成分元素が主にAgである。さらに、上記E成分元素がAgである。
【0557】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Ag中またはT-Ti金属間化合物中に固溶可能な他の元素も含む。
【0558】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Au、Cu、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0559】
第11の態様において、本発明はまた、第1の態様に記載のE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の製造方法によって製造され、その第1の態様に記載の特徴を有するE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料に関する。
【0560】
第12の態様において、本発明はまた、第2の態様に記載の埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルム材料の製造方法によって製造され、その第2の態様に記載の特徴を有する埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルム材料に関する。
【0561】
第13の態様において、本発明はまた、第3の態様に記載のE成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料の製造方法によって製造され、その第3の態様に記載の特徴を有するE成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料に関する。
【0562】
第14の態様において、本発明はまた、第4の態様に記載の埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料の製造方法によって製造され、その第4の態様に記載の特徴を有する埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料に関する。
【0563】
第15の態様において、本発明はまた、第5の態様に記載の埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO2シート粉末の製造方法によって製造され、その第5の態様に記載の特徴を有する埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO2シート粉末に関する。
【0564】
第16の態様において、本発明はまた、第6の態様に記載のE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの製造方法によって製造され、その第6の態様に記載の特徴を有するE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブに関する。
【0565】
第17の態様において、本発明はまた、第7の態様に記載の埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸塩ナノチューブの製造方法によって製造され、その第7の態様に記載の特徴を有する埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸塩ナノチューブに関する。
【0566】
第18の態様において、本発明はまた、第8の態様に記載のE成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの製造方法によって製造され、その第8の態様に記載の特徴を有するE成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブに関する。
【0567】
第19の態様において、本発明はまた、第9の態様に記載の埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの製造方法によって製造され、その第9の態様に記載の特徴を有する埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブに関する。
【0568】
第20の態様において、本発明はまた、第10の態様に記載の埋め込まれたEナノ粒子を含む結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドの製造方法によって製造され、その第9の態様に記載の特徴を有する埋め込まれたEナノ粒子を含む結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドに関する。
【0569】
第21の態様において、本発明はまたE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブを製造する別の方法に関し、以下の工程によって製造されることを特徴とする:
【0570】
工程1:初期合金を提供し、上記初期合金は、T元素、TiおよびE成分元素を含み、ここで、T元素が、AlおよびZnのうちの少なくとも1つを含み、かつ、上記初期合金の相組成は、E成分元素が固溶したT-Ti金属間化合物を含み、ここで、E成分元素中のAgの原子百分率含有量は50%~100%であり、かつ、初期合金中のTiに対するT-Ti金属間化合物に固溶したE成分元素のモル比範囲は0<CE/CTi≦0.25である。
【0571】
工程2:上記初期合金を塩基溶液とともに密閉容器に封入し、その後、密閉反応系の温度をT2まで加熱し、一定時間保温する。ここで、100℃<Tf溶液<T2であり、Tf溶液は、常圧下で上記反応に関与する塩基溶液の沸点温度であり、かつ、T2の温度における反応容器内の圧力は常圧より高い。
【0572】
工程3:密閉容器の温度を下げ、圧力を常圧に戻し、最終固体生成物を回収し、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブを得る。
【0573】
上記工程1および工程1の詳細な説明は、第1の態様(E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の製造方法)に記載の工程1および工程1の詳細な説明と完全に一致する(上記第1の態様に記載の工程1部分を参照)。
【0574】
上記工程2において、
【0575】
さらに、常温常圧下で上記初期合金を塩基溶液とともに密閉容器に封入し、その後、密閉反応系の温度をT2の高温高圧状態に加熱し、一定時間保温する。ここで、100℃<Tf溶液<T2である。
【0576】
さらに、上記塩基溶液が、NaOH、KOH、LiOH、RbOH、Ba(OH)2、Ca(OH)2 、およびSr(OH)2 溶液のうちの少なくとも1つを含む。
【0577】
さらに、上記塩基溶液の溶媒が、水を含み、好ましくは、上記塩基溶液の溶媒が、水である。
【0578】
さらに、上記塩基溶液中の塩基の濃度が、5.1~25mol/Lである。
【0579】
さらに、上記塩基溶液中の塩基の濃度が、5.1~15mol/Lである。
【0580】
好ましくは、上記塩基溶液中の塩基の濃度が、7~15mol/Lであり、さらに好ましくは、上記塩基溶液中の塩基の濃度が、7~12mol/Lである。
【0581】
さらに好ましくは、上記塩基溶液中の塩基の濃度が、10~15mol/Lである。
【0582】
さらに、上記塩基の濃度が、塩基中のOH-の濃度を意味する。
【0583】
さらに、初期合金と反応する塩基溶液中の塩基は過剰量であり、塩基溶液の体積は初期合金の体積の5倍以上であり、より高い塩基濃度で常時反応を進行させることができる。
【0584】
さらに、塩基溶液の体積は、初期合金の体積の10倍以上である。
【0585】
さらに、塩基溶液の体積は、初期合金の体積の20倍以上である。
【0586】
さらに、上記塩基溶液の温度は、初期合金と塩基溶液との反応温度である。
【0587】
常温常圧下での反応準備段階および反応開始段階では、初期合金と塩基溶液との反応が、非常に緩慢であり、初期合金と塩基溶液とを密閉容器に封入した後、初期合金中のT元素と塩基溶液との反応により発生した水素も密閉容器に封入されるため、密閉容器の圧力が上昇することが理解できる。
【0588】
さらに、密閉反応系は、初期合金、塩基溶液および密閉容器を含み、密閉反応系の温度は、初期合金、塩基溶液および密閉容器の対応する温度である。
【0589】
さらに、密閉容器内で初期合金と塩基溶液を常温からT2温度まで加熱する加熱速度が10℃/min以上である。
【0590】
さらに、密閉容器内で初期合金と塩基溶液を常温からT2温度まで加熱する時間が30min未満である。
【0591】
さらに、100℃<Tf溶液<T2<300℃である。
【0592】
さらに、100℃<Tf溶液<T2<250℃である。
【0593】
さらに、100℃<Tf溶液<T2<200℃である。
【0594】
さらに、100℃<Tf溶液<120℃<T2<200℃である。
【0595】
さらに、100℃<Tf溶液<140℃<T2<200℃である。
【0596】
さらに、100℃<Tf溶液<150℃<T2<180℃である。
【0597】
さらに、上記密閉反応系のT2温度での保温時間が0.1h~10hである。好ましくは、0.1h~2hである。好ましくは、0.1h~1hである。好ましくは、0.1h~0.5hである。さらに好ましくは、0.2h~0.4hである。
【0598】
反応が均衡した後も温度を維持し続けることで生成物が得られるため、上記保温時間にはより長い時間値を選択することもできる。
【0599】
さらに、常温からT2温度までの加熱段階で、密閉容器内で初期合金と塩基溶液との間で水素析出・脱T反応が起こり、主にE成分元素がドープされたナノ多孔質チタン酸塩中間生成物が生成される。
【0600】
さらに、密閉反応系のT2温度の保温段階で、E成分元素がドープされたナノ多孔質チタン酸塩中間生成物から、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブへの変化が起こる。
【0601】
さらに、密閉反応系の圧力は常圧より高い。
【0602】
さらに、密閉反応系の圧力は、T2温度での密閉系溶液に対応する圧力と、T2温度での水素析出反応により生成される水素ガスに対応する圧力とを重ね合わせたものである。
【0603】
密閉水素圧力の存在により、上記密閉反応系の圧力は、T2温度における単純な密閉系溶液の対応する圧力より高い。この高圧環境は、E成分元素がドープされたナノ多孔質チタン酸塩中間生成物から、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブに変化するための条件を作り出すことが理解される。
【0604】
上記工程3において、
【0605】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの外径が、3nm~25nmである。
【0606】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの外径が、3nm~20nmである。
【0607】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの外径が、4nm~15nmである。
【0608】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの平均長さが、その平均外径の5倍を超える。
【0609】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブは、主として低結晶性チタン酸である。
【0610】
さらに、上記チタン酸塩ナノチューブ中のカチオン元素は、上記塩基中の対応するカチオン元素に由来する。
【0611】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの化学組成は、E成分元素、Ti、O、及び塩基中の対応するカチオン元素を含む。ここで、Tiに対するE成分元素のモル比が、0<CE/CTi≦0.25を満たす。例えば、塩基がNaOHである場合、上記塩基中の対応するカチオン元素がNaであり、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの化学組成には、E、Ti、O、およびNa元素が含まれる。
【0612】
さらに、0<CE/CTi≦0.10である。
【0613】
さらに、上記E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でチタン酸塩ナノチューブ中に分布している。
【0614】
さらに、E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でチタン酸塩ナノチューブ中に分布している場合、チタン酸塩ナノチューブは単相材料と見なすことができる。すなわち、チタン酸塩ナノチューブ組成元素と同様に、E成分元素が原子または原子クラスターとしてチタン酸塩ナノチューブ中に均一に分布しており、E成分元素が核となってチタン酸塩相以外のEナノ粒子相に成長することはない。このとき、得られる生成物は、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ、あるいはE成分元素が固溶したチタン酸塩ナノチューブと理解することができ、あるいは全く新しい物質、例えば、チタン酸(銀)塩ナノチューブと理解することができる。
【0615】
さらに、上記E成分元素は、主に原子又は原子クラスターの形でチタン酸塩ナノチューブに埋め込まれ、分布している。上記埋め込まれ、分布していることの重要な特徴は、E成分元素が主に原子又は原子クラスターの形でチタン酸塩ナノチューブ内に固定され、原子の拡散は、特定の温度に達した場合にのみ起こり得る。同時に、E成分元素のピン止め効果により、チタン酸塩ナノチューブの熱安定性に大きな影響を与える。
【0616】
さらに、上記工程3における最終固体生成物を回収する工程は、最終固体生成物の乾燥処理を含み、すなわち、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブが得られる。
【0617】
さらに、上記乾燥温度が50℃~350℃である。
【0618】
さらに、上記乾燥温度が50℃~300℃である。
【0619】
さらに、上記乾燥温度が50℃~250℃である。
【0620】
さらに、上記乾燥時間が1min~24hである。
【0621】
さらに、上記乾燥時間は5min~2hである。
【0622】
さらに、上記乾燥温度が高い値域を取る場合、上記乾燥時間が低い値域を取ることができる。
【0623】
さらに、上記乾燥温度が低い値域を取る場合、上記乾燥時間が高い値域を取ることができる。
【0624】
E成分元素は主にAgであるため、Ag元素の特性から、180℃以下の乾燥処理ではAg2Oに酸化されやすく、180℃以上の乾燥処理ではAg2OがAgに分解される。したがって:
【0625】
さらに、乾燥温度が範囲の低い値域をとる場合、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ中にOと結合したAg原子または原子クラスターを含む。
【0626】
好ましくは、乾燥温度が50℃~180℃である場合、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ中にOと結合したAg原子または原子クラスターを含む。
【0627】
好ましくは、乾燥温度が50℃~180℃である場合、上記E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ中にOと結合したAg2O原子クラスターを含む。
【0628】
O-Ag結合は高温で切断・分解するため、乾燥温度が高い値域をとると、Agに結合しているO元素がO-Ag結合の切断によりAgから分離する。
【0629】
さらに、乾燥温度が範囲の高い値域をとる場合、上記E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でチタン酸塩ナノチューブ中に分布する。
【0630】
好ましくは、乾燥温度が181℃~350℃である場合、上記E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でチタン酸塩ナノチューブ中に分布する。
【0631】
従って、乾燥温度及び乾燥時間の制御により、Ag及びOとの結合度を制御することができる。
【0632】
さらに、乾燥温度が350℃より低い場合、チタン酸塩ナノチューブの形状は実質的に変化せず、E元素は依然として原子または原子クラスターの形でチタン酸塩ナノチューブ中に埋め込まれて分布したままである。
【0633】
さらに、上記E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1.5nm未満である。
【0634】
さらに、上記E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1nm未満であり、E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1nm未満である場合、この原子クラスターのサイズが相界面で識別可能なE相ナノ粒子を形成するには十分ではなく、透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察方法では、コントラストの違いによりE成分元素を含む原子クラスターをチタン酸塩ナノチューブマトリックスから区別することが困難である。したがって、このスケールでは、E成分元素を含む原子クラスターがマトリックス中に均一に分布している。
【0635】
さらに、上記E成分元素が、主に原子の形でチタン酸塩ナノチューブ中に分布している。
【0636】
さらに、上記E成分元素がドープされたナノ多孔質チタン酸塩中間生成物から、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブに変化する過程で、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムも生成されるため、高温高圧処理が不完全な場合には、工程3に記載の最終生成物にもE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムが含まれることになる。
【0637】
さらに、上記最終生成物におけるE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの重量パーセント含有量が、50%を超える。
【0638】
さらに、上記最終生成物におけるE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの重量パーセント含有量が、90%を超える。
【0639】
さらに、上記E成分元素中のAgの原子百分率は50%~100%である。さらに、上記E成分元素が主にAgである。さらに、上記E成分元素がAgである。
【0640】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Ag中またはT-Ti金属間化合物中に固溶可能な他の元素も含む。
【0641】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Au、Cu、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0642】
第22の態様において、本発明はまた、E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの製造方法であって、第21の態様に記載の最終生成物、またはE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブを酸溶液と反応させ、固体生成物を回収し、成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブを得ることを特徴とする方法に関する。
【0643】
さらに、上記酸溶液が、塩酸、硝酸、硫酸、酢酸、リン酸、シュウ酸、ピクリン酸、オレイン酸、過塩素酸のうちの少なくとも1つを含む。
【0644】
酸溶液と反応させることにより、まずE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの表面に吸着した残留塩基が中和され、次にE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブと酸溶液中の水素イオンとの間でイオン交換が起こり、その結果、E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブが得られる。
【0645】
チタン酸ナノチューブは、チタン酸フィルムよりも比表面積がわずかに小さいため、その第3の態様に記載の方法よりもわずかに高い濃度の酸を用いて反応を実施することができる。
【0646】
さらに、上記酸溶液中の水素イオン濃度が、0.001mol/L~0.2mol/Lである。
【0647】
好ましくは、上記酸溶液中の水素イオン濃度が、0.001mol/L~0.1mol/Lである。
【0648】
好ましくは、上記酸溶液中の水素イオン濃度が、0.001mol/L~0.05mol/Lである。
【0649】
さらに、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ材料と酸溶液とを反応させる具体的な工程は、以下の通りである:E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ材料を水に分散させ、攪拌状態で、上記酸溶液を徐々に添加し、混合溶液のpH値を連続的に低下させ、最終的に混合溶液のpH値を2~4の間に維持されるように制御し、1min~5h後、分離、洗浄、乾燥を行い、E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブ材料を得る。チタン酸塩ナノチューブは一定の厚みで巻き取られているため、pH値を2~4の間に維持されるように制御し、すなわち、混合溶液中の対応する水素イオン濃度を0.0001mol/L~0.01mol/Lとすると、全工程でE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ材料の表面に吸着した残留塩基がまず中和され、次にE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ中のカチオンと酸溶液中の水素イオンとの間でイオン交換が起こり、明らかに酸溶液と反応していないE成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブ材料が得られることが確保される。
【0650】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの外径が、3nm~25nmである。
【0651】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの外径が、3nm~20nmである。
【0652】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの外径が、4nm~15nmである。
【0653】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの平均長さが、その平均外径の5倍を超える。
【0654】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブは、主として低結晶性チタン酸である。
【0655】
さらに、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの化学組成は、E、Ti、O、及びH元素を含む。ここで、Tiに対するE成分元素のモル比が、0<CE/CTi≦0.25を満たす。
【0656】
さらに、0<CE/CTi≦0.10である。
【0657】
さらに、上記E成分元素は、主に原子又は原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブに埋め込まれ、分布している。上記埋め込まれ、分布していることの重要な特徴は、E成分元素が主に原子又は原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブ内に固定され、原子の拡散は、特定の温度に達した場合にのみ起こり得る。同時に、E成分元素のピン止め効果により、上記チタン酸ナノチューブマトリックスの熱安定性に大きな影響を与える。
【0658】
さらに、上記固体凝集生成物を回収する工程は、乾燥工程を含む。
【0659】
さらに、上記乾燥温度が50℃~350℃である。
【0660】
さらに、上記乾燥温度が50℃~300℃である。
【0661】
さらに、上記乾燥時間が1min~24hである。
【0662】
さらに、上記乾燥時間は5min~2hである。
【0663】
さらに、上記乾燥温度が高い値域を取る場合、上記乾燥時間が低い値域を取ることができる。
【0664】
さらに、上記乾燥温度が低い値域を取る場合、上記乾燥時間が高い値域を取ることができる。
【0665】
E成分元素は主にAgであるため、Ag元素の特性から、180℃以下の乾燥処理ではAg2Oに酸化されやすく、180℃以上の乾燥処理ではAg2OがAgに分解される。したがって:
【0666】
さらに、乾燥温度が範囲の低い値域をとる場合、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブ中にOと結合したAg原子または原子クラスターを含む。
【0667】
好ましくは、乾燥温度が50℃~180℃である場合、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブ中にOと結合したAg原子または原子クラスターを含む。
【0668】
好ましくは、乾燥温度が50℃~180℃である場合、上記E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブ中にOと結合したAg2O原子クラスターを含む。
【0669】
O-Ag結合は高温で切断・分解するため、乾燥温度が高い値域をとると、Agに結合しているO元素がO-Ag結合の切断によりAgから分離する。
【0670】
さらに、乾燥温度が範囲の高い値域をとる場合、上記E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブ中に分布する。
【0671】
好ましくは、乾燥温度が181℃~350℃である場合、上記E成分元素が主に原子または原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブ中に分布する。
【0672】
従って、乾燥温度及び乾燥時間の制御により、Ag及びOとの結合度を制御することができる。
【0673】
さらに、乾燥温度が350℃より低い場合、チタン酸ナノチューブの形状は実質的に変化せず、E元素は依然として原子または原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブ中に埋め込まれて分布したままである。
【0674】
さらに、上記E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1.5nm未満である。
【0675】
さらに、上記E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1nm未満であり、E成分元素を含む原子クラスターのサイズが1nm未満である場合、この原子クラスターのサイズが相界面で識別可能なE相ナノ粒子を形成するには十分ではなく、透過型電子顕微鏡(TEM)などの観察方法では、コントラストの違いによりE成分元素を含む原子クラスターをチタン酸ナノチューブマトリックスから区別することが困難である。したがって、このスケールでは、E成分元素を含む原子クラスターがマトリックス中に均一に分布している。
【0676】
さらに、上記E成分元素が、主に原子の形でチタン酸ナノチューブ中に分布している。
【0677】
さらに、上記E成分元素中のAgの原子百分率は50%~100%である。さらに、上記E成分元素が主にAgである。さらに、上記E成分元素がAgである。
【0678】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Ag中またはT-Ti金属間化合物中に固溶可能な他の元素も含む。
【0679】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Au、Cu、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0680】
第23の態様において、本発明はまた、埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの製造方法であって、第22の態様に記載の生成物、またはE成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブが熱処理によって製造されることを特徴とする方法に関する。
【0681】
ドープされたE成分元素の存在により、チタン酸ナノチューブの熱安定性が向上し、加熱下でのチタン酸ナノチューブの構造変化がE成分元素によって妨げられる。上記の熱処理工程において、適切な熱処理温度および熱処理時間を制御することにより、チタン酸ナノチューブの組成及び形態はほとんど変化せず、チタン酸ナノチューブ中に主に原子または原子クラスターの形で分布しているドープされたE成分元素が元素拡散および凝集によって、チタン酸ナノチューブに埋め込まれたEナノ粒子を生成することができる。
【0682】
このような埋め込まれたEナノ粒子は、他の文献で報告されているファンデルワールス力吸着に支配される通常のナノ粒子(ファンデルワールス力吸着ナノ粒子は移動・脱落可能)とは異なるため、埋め込まれたEナノ粒子はチタン酸ナノチューブに強固に埋め込まれる(移動・脱落不可能)ことが保証される。主に原子または原子クラスターの形で分布しているE成分元素がすべてEナノ粒子に凝集した後、Eナノ粒子が島状に分布しており、チタン酸ナノチューブの空間的な障害によって連結することができず、Eナノ粒子が合体・成長を続けることが困難であるため、その後の加熱工程を継続してもほぼ同じ粒径を維持することができる。
【0683】
さらに、上記熱処理温度が、350℃~650℃である。
【0684】
さらに、上記熱処理温度が、350℃~600℃である。
【0685】
さらに、上記熱処理温度が、350℃~550℃である。
【0686】
上記熱処理温度は、チタン酸ナノチューブの形態を大きな変化なく維持しながら、ドープされたE成分元素が元素拡散および凝集によってチタン酸ナノチューブ中に埋め込まれたEナノ粒子を生成することを保証することができる。
【0687】
さらに、E成分元素が原子又は原子クラスターの形でドープされたチタン酸ナノチューブ中に存在する場合、E成分元素のピン止め効果により、チタン酸ナノチューブマトリックスの相転移の熱安定性を最大200℃まで高めることができ、かつ、Eの含有量が多いほど、相転移の熱安定性が高くなる。つまり、単純なチタン酸ナノチューブマトリックスと比較して、加熱時に同じ相転移を達成するために、E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブの熱処理温度を最大200℃上昇させる必要がある。
【0688】
さらに、上記熱処理時間が、5min~96hである。
【0689】
さらに、上記熱処理時間が、5min~10hである。
【0690】
好ましくは、上記熱処理時間が、10min~5hである。
【0691】
温度範囲の低い値が選択され、E成分元素の含有量が多い場合、Eナノ粒子が元素拡散を介して、凝集および析出するまでに長い時間がかかる。温度範囲の高い値が選択され、E成分元素の含有量が低い場合、Eナノ粒子が元素拡散を介して、凝集および析出するまでの時間が短くなる。
【0692】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~15nmである。
【0693】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~10nmである。
【0694】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~5nmである。
【0695】
さらに、上記Eナノ粒子は、主として埋込によってチタン酸ナノチューブ中に存在する。
【0696】
上記埋め込みとは、その場での埋め込み生成の形成方法を意味し、すなわち、Eナノ粒子は、ドープされたE成分元素の拡散、凝集、成長により、その場で生成され、チタン酸ナノチューブ中に埋め込ませるための添加剤または外因性混合様式に依存することなく、部分的または全体的にカプセル化されることによって生成されるように現れる。
【0697】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの外径が、3nm~25nmである。
【0698】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの外径が、3nm~20nmである。
【0699】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの外径が、4nm~15nmである。
【0700】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの平均長さが、その平均外径の5倍を超える。
【0701】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子の埋め込み方法には、その体積全体がチタン酸ナノチューブ内に埋め込まれて分布すること、または体積の一部がチタン酸ナノチューブ内に埋め込まれて分布することが含まれる(また、チタン酸ナノチューブ内に埋め込まれていない露出した体積部分も含まれる)。
【0702】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの化学組成は、E成分元素、Ti、H、及びO元素を含む。ここで、Tiに対するE成分元素のモル比が、0<CE/CTi≦0.25を満たす。
【0703】
さらに、0<CE/CTi≦0.10である。
【0704】
さらに、上記E成分元素中のAgの原子百分率は50%~100%である。さらに、上記E成分元素が主にAgである。さらに、上記E成分元素がAgである。
【0705】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Ag中またはT-Ti金属間化合物中に固溶可能な他の元素も含む。
【0706】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Au、Cu、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0707】
第24の態様において、本発明はまた、埋め込まれたEナノ粒子を含む結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドの製造方法であって、第22の態様に記載の生成物もしくはE成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブ、または上記第23の態様に記載の生成物もしくは埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブが熱処理によって製造されることを特徴とする方法に関する。
【0708】
さらに、上記熱処理時間が、1min~48hである。
【0709】
好ましくは、上記熱処理時間が、10min~3hである。
【0710】
さらに、上記熱処理温度が、600℃~1000℃である。
【0711】
さらに、上記熱処理過程中に、チタン酸ナノチューブの結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドへの変化が発生する。
【0712】
上記温度範囲の低い値を選択した場合、チタン酸ナノチューブが結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドに変化するのに長い時間が必要であり、上記温度範囲の高い値を選択した場合、チタン酸ナノチューブが結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドに変化するのに短い時間が必要である。
【0713】
さらに、上記熱処理過程において、被熱処理材料は上記第22の態様に記載のE成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブである場合、まずドープされたE成分元素の拡散と凝集が起こり、チタン酸ナノチューブに埋め込まれたEナノ粒子が生成され、このとき、材料の状態は、上記第23の態様に記載の埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブの状態と一致する。熱処理温度と熱処理時間の増加に伴い、チタン酸ナノチューブから結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドへのさらなる変化が起こる。チタン酸ナノチューブ又は結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドに埋め込まれたEナノ粒子は、チタン酸ナノチューブ又は結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドによって分離・隔離されているため、チタン酸ナノチューブから結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドに変化する過程において、既に生成しているEナノ粒子同士が合体して成長し続けにくく、その粒子サイズおよび形態が安定した状態になり、熱処理温度および熱処理時間の増加に伴って大きく変化することはない。
【0714】
さらに、上記結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドとは、結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドの形状が、チューブおよびロッドのうちの少なくとも1つを含むことを指す。チューブの内径がゼロまで収縮すると、ロッドの形状になる。
【0715】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むTiO2ナノチューブ/ロッドの相組成は、ブルッカイト型TiO2、アナターゼ型TiO2、およびルチル型TiO2のうちの少なくとも1つを含む。
【0716】
具体的に、熱処理温度と熱処理時間の増加に伴い、熱処理生成物は、「埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブ」→「埋め込まれたEナノ粒子を含むアナターゼ型TiO2ナノチューブ/ロッド」→「埋め込まれたEナノ粒子を含むルチル型TiO2ナノチューブ/ロッド」の連続的な変化を受ける。
【0717】
変化過程において、特定の熱処理温度と時間に対応する生成物状態では、例えば、「埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブ」と「埋め込まれたEナノ粒子を含むアナターゼ型TiO2ナノチューブ」の共存、および「埋め込まれたEナノ粒子を含むアナターゼ型TiO2ナノチューブ」と「埋め込まれたEナノ粒子を含むルチル型TiO2ナノチューブ/ロッド」の共存である2つの結晶形態の共存が起こり得る。
【0718】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~15nmである。
【0719】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~10nmである。
【0720】
さらに、上記Eナノ粒子のサイズが、1.5nm~5nmである。
【0721】
さらに、上記Eナノ粒子は、主に埋め込みによって結晶性TiO2ナノチューブ/ロッド中に存在する。
【0722】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含む結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドの平均長さが、その平均外径の3倍を超える。
【0723】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むTiO2ナノチューブ/ロッドの外径が、5nm~30nmである。
【0724】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むTiO2ナノチューブ/ロッドの外径が、5nm~25nmである。
【0725】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含むTiO2ナノチューブ/ロッドの外径が、7nm~20nmである。
【0726】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子の埋め込み方法には、その体積全体がTiO2ナノチューブ/ロッド内に埋め込まれて分布すること、または体積の一部がTiO2ナノチューブ/ロッド内に埋め込まれて分布することに加えて、TiO2ナノチューブ/ロッド内に埋め込まれていない露出した体積部分も含まれる。
【0727】
さらに、上記埋め込まれたEナノ粒子を含む結晶性TiO2ナノチューブ/ロッドの化学組成は、E成分元素、Ti、Oを含む。ここで、Tiに対するE成分元素のモル比が、0<CE/CTi≦0.25を満たす。
【0728】
さらに、0<CE/CTi≦0.10である。
【0729】
さらに、上記E成分元素中のAgの原子百分率は50%~100%である。さらに、上記E成分元素が主にAgである。さらに、上記E成分元素がAgである。
【0730】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Ag中またはT-Ti金属間化合物中に固溶可能な他の元素も含む。
【0731】
さらに、上記E成分元素の全てがAgでない場合、上記E成分元素が、Au、Cu、Pt、Pd、Ru、Rh、Os、Irのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0732】
第25の態様において、本発明はまた、上記第1から第10の態様のいずれか1つに記載の製造方法により製造される生成物材料、または上記第21から第24の態様のいずれか1つに記載の製造方法により製造される生成物材料、または上記第11から第20の態様のいずれか1つに記載の材料のポリマー系ナノ複合材料、樹脂系複合材料、セラミック材料、光触媒材料、疎水性材料、廃水分解材料、殺菌コーティング、防食塗料、海洋塗料での応用に関する。
【0733】
さらに、本発明は、上記第3の態様に記載の製造方法により製造された、ドープされたAg元素を含むナノチタン酸フィルム材料の応用にであって、ドープされたAg元素を含むナノチタン酸フィルム材料とポリマーを混合し、次にAg元素がドープされたナノチタン酸フィルムとポリマーを含む複合コーティングを製造し、複合コーティングでは、Ag元素が原子または原子クラスターの形でナノチタン酸フィルムに埋め込まれて分散されており、ナノチタン酸フィルムはポリマー中に分散され、ポリマー複合コーティングは、疎水性材料、廃水分解材料、殺菌コーティング、防食塗料、海洋設備および船舶用塗料の分野で使用することができることを特徴とする応用に関する。
【0734】
さらに、上記ポリマーは、ポリマー材料、樹脂材料、および塗料のうちの少なくとも1つを含む。
【0735】
さらに、一具体的な実施形態では、ドープされたAg元素を含むナノチタン酸フィルム材料をPDMS(ポリジメチルシロキサンと呼ぶ)と混合し、Ag元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料とPDMSの複合コーティングを製造し、複合コーティングでは、Ag元素が原子または原子クラスターの形でナノチタン酸フィルムに埋め込まれて分散されており、Ag元素とナノチタン酸フィルムの殺菌性能を最大化し、同時にPDMSコーティングの疎水性を高めることができることを特徴とする。
【0736】
さらに、一具体的な実施形態において、上記Ag元素がドープされたナノチタン酸およびPDMSの複合コーティングは、疎水性材料、廃水分解材料、殺菌コーティング、防食塗料、海洋設備および船舶用塗料などの分野に適用することができる。
【0737】
第26の態様において、本発明はさらに、上記第1から第10の態様のいずれか1つの態様に記載の製造方法により製造される生成物材料、または上記第21から第24の態様のいずれか1つの態様に記載の材料製造方法により製造される生成物材料、または上記第11から第20の態様のいずれか1つの態様に記載の材料の、住宅装飾用塗料、殺菌スプレー、防汚塗料での応用に関する。
【0738】
住宅装飾用塗料の用途として、上記Ag含有生成物材料又は材料を、塗料添加剤として塗料の他の成分と混合し、家具、器具、及び壁の表面に一緒に塗布して抗菌効果を達成することを特徴とする。
【0739】
殺菌スプレーの用途として、上記Ag含有生成物材料又は材料を、他の液体スプレー成分と混合し、スプレーキャリアを通して家具、器具、布地、及び壁の表面に一緒にスプレーすることにより抗菌効果を達成することを特徴とする。
【0740】
防汚塗料の用途として、上記Ag含有生成物材料又は材料を、従来の防汚塗料(例えば、防汚ペイント)中の殺菌・防汚成分(例えば、亜酸化銅粉末)の代わりに使用して防汚効果を達成することを特徴とする。
【0741】
Agは、ナノチタン酸塩、ナノチタン酸及びナノTiO2中に非常に小さな粒径で存在するため、Agの利用効率が極めて高く、従って、最良の防汚効果を達成するために必要な添加量は非常に少量でよい。
【0742】
さらに、上記Agは、Ag、Ag2O、AgOの少なくとも1つとして存在する。
【0743】
第27の態様において、本発明はさらに、本発明はさらに、上記第1から第10の態様のいずれか1つの態様に記載の製造方法により製造される生成物材料、または上記第21から第24の態様のいずれか1つの態様に記載の材料製造方法により製造される生成物材料、または上記第11から第20の態様のいずれか1つの態様に記載の材料の抗菌布地での応用に関する。
【0744】
さらに、上記応用では、上記Ag含有生成物材料又は材料を分散させた後、布地の表面に付着または被覆し、または布地と混合して編むことにより、布地が抗菌および殺菌効果および能力を得ることを特徴とする。
【0745】
さらに、上記Agは、Ag、Ag2O、AgOの少なくとも1つとして存在する。
【0746】
具体的に、本発明は、以下の有益な効果を有する。
【0747】
第一、安価で入手しやすいE成分元素が固溶したTi-T合金をチタン源として工夫し、E成分元素が固溶したTi-T金属間化合物を熱塩基溶液と常圧下、塩基溶液の沸点温度付近で短時間反応させることにより、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の常圧での高効率製造を実現した。これに基づいて、埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルム材料、E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料、埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料、および埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO2シート粉末などの材料を低コストかつ高効率で製造することが可能となった。また、その後の重要な工程(水素析出・脱T反応)の高温高圧反応(第6の態様に記載)と組み合わせることで、固体生成物中のマトリックスをフィルム状からチューブ状に変化させ、さらに、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブ、E成分元素がドープされたチタン酸ナノチューブ、埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸塩ナノチューブ、埋め込まれたEナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブ、および埋め込まれたEナノ粒子を含むTiO2ナノチューブ/ロッドの効率的・短時間・低コスト製造が可能となった。
【0748】
強塩基水熱法は現在、ナノチタン酸塩、ナノチタン酸、ナノTiO2を製造する比較的成熟したプロセスであるが、その反応は高圧反応容器を使用する必要があり、一般にナノTiO2と高濃度の強塩基(例えばNaOH水溶液)を原料として、高温条件下で長時間水熱合成反応を行い、ナノチタン酸塩(例えばナノチタン酸ナトリウム)を得、中和・酸洗浄後にチタン酸ナノチューブを得るのが一般的である。例えば、工業用アナターゼ型TiO2と10mol/L水酸化ナトリウム水溶液を原料として、130℃の高圧反応容器で72時間水熱反応させ、生成物を中和洗浄することにより、管長数十~数百ナノメートル、内径5.3nmのチタン酸ナノチューブが得られることが2001年の文献に報告されている。チタン酸ナトリウムの製造方法として文献に報告されている他の方法としては、NaOH、TiO2を化学量論的な関係に従って秤量し、ポリテトラフルオロエチレン製の高圧反応器に移し、混合して230℃の温度で48時間から96時間保持した後、室温まで冷却した後、取り出し、洗浄し、乾燥させてチタン酸ナトリウムナノチューブを得、さらに酸洗浄してチタン酸ナノチューブを得る方法もある。従来の強塩基水熱法の特徴は、1)チタン原料としてTiO2を使用すること、2)高圧反応容器で行われるため、気密性と高圧条件が必要であること、3)高温で行われること、4)反応時間が非常に長く、数時間単位で計測されること、5)得られる生成物は、通常、チタン酸塩ナノチューブまたはチタン酸ナノチューブであること、であることがわかる。
【0749】
これとは異なり、本発明の第1~第5の態様では、フィルム状のチタン酸塩マトリックスおよびその後続生成物を製造するために、強塩基溶液も使用するが、従来の強塩基水熱法とは明確に異なる点:1)チタン源として、主にE成分元素が固溶したTi-T金属間化合物が使用されること、2)反応は常圧下の開放容器中で実施され、高圧の密閉容器が不要であること、3)反応は、塩基溶液の沸点または沸点温度付近で行うことが好ましく、非常に高い温度で行う必要がなく、かつ、温度の上限は塩基溶液の沸点であり、正確な制御が非常に容易であること、4)反応は1分以内、場合によっては数秒以内に完了することができること、5)得られる生成物は、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料であり、これに基づいて、埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルム材料、E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料、埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料、および埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO2シート粉末などの材料をさらに製造することができること、がある。
【0750】
なお、本発明の第6~第10の態様に記載のチューブ状のチタン酸塩およびその後続生成物の製造にも、高温高圧反応が採用されるが、高圧反応容器に添加される反応物は(第6の態様に記載)、製造済みでE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料、および対応する反応塩基である。したがって、従来の水熱反応のように、TiO2をチタン源として使用し、まず数時間かけてTi-O結合を切断し、さらに高温高圧をかけてTiO2ナノチューブ生成物を得る必要はない。具体的には、E成分元素が固溶したTi-T系金属間化合物は、数十μmの直径や厚みを有する粉末やリボンであっても、沸点温度の塩基溶液中に存在する特殊な環境により、常圧かつ塩基溶液の沸点温度付近で数分から数秒反応させた後、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料が生成され、フィルム状チタン酸塩マトリックスの製造時間が大幅に短縮される。さらにチューブ状のチタン酸塩マトリックスを製造する必要がある場合、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料の厚さが極薄であるため、第6の態様において、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブに変化するためには、高温高圧処理を短時間行うだけでよく、対応するチューブ状のチタン酸塩ナノチューブマトリックスの製造時間も大幅に短縮される。したがって、E成分元素がドープされたフィルム状チタン酸塩マトリックスを製造する場合でも、E成分元素がドープされたチューブ状チタン酸塩マトリックスを製造する場合でも、本発明に記載の製造プロセス全体の常圧反応時間と高圧反応時間の合計時間は分単位で測定でき(1hよりはるかに短い)、他の報告または開示された製造方法で必要とされる反応時間よりも依然としてはるかに短く、これは極めて明らかな積極的な意義を有する。
【0751】
この明らかな有益な効果、特に目的生成物の製造時間の大幅な短縮が得られるのは、チタン源としてE成分元素が固溶したTi-T金属間化合物を使用することと、反応が好ましい沸点温度(Tf溶液)またはその付近で行われることとが密接に関係している。 常圧下、塩基溶液の沸点温度で反応が起こる場合、反応系の溶液組成は明らかに特殊な変化を示し、それは具体的に次のように現れる:塩基溶液の沸点以下の温度区間では、溶媒は主に液体の水として存在し、反応系の状態は普通であるが、塩基溶液の沸点温度または沸点温度付近では、溶媒は液体の水と沸騰によって生成される気体の水に加えて、液体の水から気体の水への遷移が進行している臨界状態の水も含んでいる。さらに、不均一核生成の原理に従って、溶液中の反応物と事前に生成されたナノスケールの反応生成物の存在により、多数の沸騰および蒸発粒子が提供され、反応系が完全に沸騰および蒸発の特殊な環境に置かれる。この特殊な環境では、水中の溶存大気ガス(酸素、窒素)の含有量と状態も極めて特殊である(沸騰水蒸気、Tと塩基の反応で発生する大量の水素が、水中の溶存ガスの飽和分圧条件を変化させるため)。同時に、E成分元素が固溶したTi-T金属間化合物と濃塩基溶液との反応は、合金中のTが除去される過程で大量の水素を発生させ、これらの短期間に発生した水素ガスと、不均一核沸騰蒸発により発生した大量の水蒸気が、水素析出・脱T反応界面に作用する。それによって引き起こされる激しい膨張効果が、反応界面での初期合金の連続的なナノ断片化と形状および組成の再構築プロセスをさらに促進する。また、塩基溶液に溶解したT塩も、反応溶液系の物質組成を変化させることになる。沸点温度における溶液のこれらの多くの特性は、反応に非常に特殊な反応環境を提供する。特に、Ti-T金属間化合物の脱T反応は沸点温度または沸点温度付近で非常に激しいため、反応によって生成される水素も非常に速く生成される。従って、元の初期反応物(初期合金粉末又はリボン)は、その場で水素発生による高速膨張効果下、激しい水素析出・脱T反応によりナノ断片化され、一般に低温または室温での脱合金反応によって生成される三次元網目状の連続ナノ多孔質構造を安定化させることが困難となり、更に形状・組成の再構築によって、E成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルムからなる凝集生成物が生成され、目的生成物の製造時間が大幅に短縮されるとともに、E成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルムが高収率で得られる。沸点温度が一定であるため、温度制御を極めて正確に行うことができ、製品の形態や組成の制御が極めて正確、かつ容易になる。結論として、本発明のこの特殊な反応環境の設計と応用は、反応生成物の組成および形態を巧みに制御し、目的生成物の製造時間を大幅に短縮した。
【0752】
E成分元素が固溶したTi-T金属間化合物をチタン源として使用する場合、チタン源がミクロンサイズの粉末やリボン試料であっても、強塩基を用いてTiO2をチタン源としてチタン酸塩ナノフィルムまたはナノチューブを製造する従来の水熱法と比較して、反応機メカニズムは明らかに異なる。 本発明で使用する濃塩基溶液は、主に次の2つの目的を果たす:1)脱合金反応によってE成分元素が固溶したTi-T金属間化合物中のTが除去され、Ti-T金属間化合物からE原子およびTi原子を遊離させる。具体的には、E成分元素が固溶したTi-T金属間化合物が、特殊な反応環境下において、溶液の沸点温度またはその付近の温度で強塩基溶液と反応すると、まず、Tと強塩基溶液とが極めて急速に脱合金反応し、水に溶解したT塩が生成し、水素ガスが発生する。TがT塩として溶液中に入ると、E成分元素が固溶したTi-T金属間化合物中のE成分元素原子およびTi原子が遊離し、TiはOなどの元素と容易に結合し、さらに形状や組成を再構成してチタン酸塩フィルムを生成することができ、この過程は最短で数秒または数分以内に完了できる。2) 熱塩基の存在によりTi原子が遊離し、塩基溶液の沸点温度付近の特殊な環境で、Ti原子が塩基溶液中の陽イオンや酸素元素などと結合してナノチタン酸塩フィルムを生成することができ、この過程は最短で数秒または数分以内に完了できる。 同時に、同じ遊離の不活性E成分元素原子が原子または原子クラスターの形で、ナノチタン酸塩フィルムマトリックスに埋め込まれる。これに対して、従来の高圧水熱法は、非常に安定したTiO2をTi源として使用し、TiO2がナノスケールの粉末であっても、まずTiO2のTi-O結合構造を破壊してTiを遊離させ、新しい特殊な方法でOや他の元素と再結合させてチタン酸塩薄膜を生成させるために、高圧、高温、数時間反応させる必要がる。本発明の実施形態で提供される一比較試験において、Ti源として粒径50nm~100nmのアナターゼ型ナノTiO2を用い、10mol/L水酸化ナトリウム水溶液の沸点温度で10分間反応させた後も、粒径50nm~100nmのアナターゼ型ナノTiO2のまま(粒径の大きさはXRDピークの半値幅で変化なしと推定できる)であり、反応物はほとんど変化しなかった。したがって、反応生成物の迅速かつ短時間での製造には、溶液の沸点温度によって生じる特殊な環境に加え、E成分元素が固溶したTi-T金属間化合物のチタン源の選択も非常に重要である。
【0753】
第二、E成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルム材料およびE成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸フィルム材料の簡単な製造条件を創意工夫し、これを基づいて、さらに他の後続材料を熱処理または酸処理によって製造した。上記初期合金を60℃≦T1≦Tf溶液で塩基溶液と反応させることは、二次元フィルム状の微視的形態を備えた生成物の製造にとって非常に重要である。一比較実施形態において、常圧下で、Agを固溶したTiAl3金属間化合物の初期合金粉末を10mol/LのNaOH溶液と35℃で2時間反応させ、反応前後の元の初期合金粉末の形状はほぼ変化せず、角のある元の粉砕粉末粒子のままであり、かつ、その微細構造は、モノリシックな二次元フィルム状生成物を多数生成するのではなく、代わりに、ナノ多孔質構造を有するチタン酸塩またはナノ多孔質構造を有するチタンを生成する。そして、このナノ多孔質構造は、三次元ネットワークリンクを通じて元の合金粉末の形状と一致した外観を形成し、その粒子サイズは依然として元の合金粉末のサイズと同等であり、主に数ミクロンまたは数十ミクロンのオーダーである。したがって、室温付近のより低い温度で起こる初期合金と塩基溶液との反応は、本発明の60℃≦T1≦Tf溶液における反応、特にこの温度範囲の高温部(100℃<T1-Tf溶液)での反応とは全く異なり、生成物の形態も全く異なる。本発明は、創造性にE成分元素が固溶したT-Ti金属間化合物の初期合金を介して、E成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルムおよびE成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸フィルム材料を製造する新しい方法を見出した。
【0754】
具体的には、反応温度が溶液温度範囲60℃≦T1≦Tf溶液の低値範囲60℃≦T1≦100℃であり、塩基溶液がNaOH水溶液を主成分とする場合、得られる生成物にE成分元素がドープされたチタン酸塩フィルムである目的生成物の収率が低い。しかしながら、塩基溶液がKOHを含み、かつ、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムマトリックスがナノチタン酸カリウムフィルムマトリックスを含む場合、E成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムの収率を大幅に向上させることができる。例えば、塩基溶液がKOH水溶液を主成分とし、反応温度が60℃である場合、得られた生成物中のE成分元素がドープされたチタン酸カリウムフィルムである目的生成物の収率が50%以上である。反応温度が71℃である場合、得られた生成物中のE成分元素がドープされたチタン酸カリウムフィルムである目的生成物の収率が65%以上である。反応温度が81℃である場合、得られた生成物中のE成分元素がドープされたチタン酸カリウムフィルムである目的生成物の収率が75%以上である。反応温度が91℃である場合、得られた生成物中の埋E成分元素がドープされたチタン酸カリウムフィルムの目的生成物である収率が85%以上である。反応温度が96℃である場合、得られた生成物中のE成分元素がドープされたチタン酸カリウムフィルムである目的生成物の収率が90%以上である。
【0755】
反応温度が溶液温度範囲60℃≦T1≦Tf溶液の高値範囲100℃<T1≦Tf溶液である場合、塩基の種類の変化に関わらず、得られる生成物中のE成分元素がドープされたチタン酸塩フィルムの収率が高く、生成物の形態が元の初期合金粉末粒子またはリボンの形状と全く異なる。例えば、反応温度が101℃より高い場合、より高い収率のE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムが得られ、その収率が一般に95%~100%である。反応温度が常圧下での塩基溶液の沸点Tf溶液である場合、さらにより高い収率のE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルムが得られ、収率が一般に99%~100%である。
【0756】
第三、その第6及び第21の態様に記載のE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの製造プロセスは、前駆体として酸化チタンナノ粒子を使用する従来の製造方法と比較して、生成物の製造時間を大幅に短縮することができる。具体的には、その第6と第21の態様の違いは以下の通りである:その第6の態様では、まず、E成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルムを製造し、その後、高温高圧下でE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブを製造する。一方、その第21の態様では、E成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルムを製造する工程を省略し、反応系の昇温段階で、E成分元素がドープされたナノ多孔質チタン酸塩を生成し、高温高圧に保持する段階で、E成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルムを形成し、さらに、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブを形成する。その第6の態様の好ましい実施形態の水素析出・脱T反応は、沸点温度付近で行われ、激しい水素析出・脱T反応を利用することにより、(その第1の態様に記載)E成分元素がドープされた二次元ナノチタン酸塩フィルムの製造が極めて短時間で達成されるため、その後、比較的短時間の高温高圧処理でE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブを製造することができる。一方、その第21の態様は、反応準備段階および昇温段階での反応がゆっくりで激しくないため、激しい水素析出・脱T反応を利用せず、その昇温段階で得られるのはE成分元素がドープされたナノ多孔質チタン酸塩構造である。この観点から見ると、高温高圧保持段階でのE成分元素がドープされたナノ多孔質チタン酸塩構造からE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブへの変化は、その第6の態様よりも難しく(もう1つのE成分元素をドープした二次元ナノチタン酸塩フィルムの中間生成物への変化過程が必要)、より時間がかかるが、その第21の態様において、密閉容器には、反応する水素によって発生する追加の高圧が含まれており、同じT2温度での圧力が、その第6の態様に対応する圧力よりも高く、この高圧は、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの形成に寄与する。従って、この観点から見ると、その第21の態様の高温高圧保持段階におけるE成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの形成の難易度は、その第6の態様の場合よりも、圧力の観点から再び低くなる。実際には、このプロセスは2つのシナリオの駆け引きの結果であり、その第6の態様の方がその第21の態様よりも総製造所要時間が若干短く効率的であるが、その第21の態様の方が1つ工程少なく、手順はより簡単であるが、それぞれに利点がある。結論として、従来の製造方法と比較して、その第6の態様と第21の態様はいずれも、E成分元素がドープされたチタン酸塩ナノチューブの製造時間を大幅に短縮し、総反応時間が0.5h未満にすることができ、これは積極的な意義がある。
【0757】
第四、反応条件を正確に制御することにより、生成物の組成と形態を正確に制御することができる。具体的には、溶液中の塩基濃度が決定されると、塩基溶液が常圧下で加熱できる沸点温度も決定され、反応条件における圧力と温度が正確に決定されることになる。塩基溶液の沸点温度では、塩基溶液に加えられた余分な熱は、塩基溶液の温度を上昇させることなく水の気化熱に変換されるため、連続加熱により塩基溶液の温度を沸点温度で一定に保つことが可能となる。また、反応過程でE成分元素が固溶したTi-T金属間化合物の脱合金過程で多量の反応潜熱が発生しても、反応する塩基溶液の温度を塩基溶液の沸点温度に確実に維持することができる。
【0758】
一方、従来の高圧水熱合成法は、高温高圧で生成物の合成を行う。反応を終了させる必要がある場合、速やかに常温常圧に戻して試料を取り出すことは難しく、完了までにある程度の時間がかかる。一般的に、化学反応では、その一定の温度と圧力の条件は、生成物の一定の組成および形態に対応する。塩基溶液の温度と圧力を速やかに常温常圧に変え、時間内に試料を取り出すことができない場合、元の温度と圧力での反応物の平衡が崩れ、他のより高い温度と圧力で組成および形態における一定の変化が生じる可能性がある。これに対して、本発明におけるナノチタン酸塩フィルムの製造は、開放容器内で常圧下行われるため、反応を終了させる必要がある場合には、数秒以内に反応容器に冷水または室温の水を急速に加えるか、冷却フィルターを通して冷却するだけでよく、反応系の温度と濃度を、もはや反応が継続できない温度までほぼ瞬時に低下させることができ、元の反応を平衡化させ、生成物の組成と形態を維持することができる。このように、本発明が提供する技術的解決手段は、非常に安定した組成および形態を有するE成分元素がドープされたナノチタン酸塩フィルム材料を得ることができる。これに基づいて、安定した組成および形態を有する埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩フィルム材料、E成分元素がドープされたナノチタン酸フィルム材料、埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料、ならびに埋め込まれたEナノ粒子を含むナノTiO2シート粉末などの材料をさらに製造することができる。生成物の組成と形態を安定的に制御することは、幅広く応用するための重要な要素の一つであり、積極的な意義がある。
【0759】
第五、ナノチタン酸塩フィルム、ナノチタン酸フィルム、チタン酸塩ナノチューブ、およびチタン酸ナノチューブにおいて、ドープされたE成分元素の原子または原子クラスターの形でのその場ドープおよび分布が実現され、その後の熱処理を通じて、ナノチタン酸塩、ナノチタン酸、ナノTiO2、およびTiO2ナノチューブ/ロッドにおけるEナノ粒子のその場の埋め込み析出がさらに実現された。
【0760】
ドープされた元素やドープされたナノ粒子は、ナノチタン酸塩、ナノチタン酸、ナノTiO2の機能的応用において、非常に重要かつ積極的な役割を担っている。現在のところ、従来の製造方法では、ドープされた元素を原子または原子クラスターの形でナノチタン酸塩、ナノチタン酸のその場ドープを実現することは困難であり、一般にナノ粒子の添加によるドープしか実現できない。これらの従来の製造方法で採用されている戦略は主に以下の通りである:ナノチタン酸塩、ナノチタン酸、またはナノTiO2を製造した後、別の方法で製造されたドープされたナノ粒子をナノチタン酸塩、ナノチタン酸、またはナノTiO2と複合化し、混合することによって、ドープされたナノ粒子と混合されたナノチタン酸塩、ナノチタン酸、またはナノTiO2複合体が製造される。ここで、ドープされたナノ粒子は、主に物理吸着によってマトリックスに付着される。この機械的混合及び物理的付着は、ドープされたナノ粒子とマトリックスとの間の原子スケールでの物理化学的相互作用に不利であるだけでなく、ドープされたナノ粒子がナノチタン酸塩、ナノチタン酸、またはナノTiO2マトリックスから脱落し易く、その結果、複合材料の性能が不安定になり、劣化する。
【0761】
本発明は、上記の問題を創造的に解決する:各対応するマトリックス(ナノチタン酸塩フィルム、ナノチタン酸フィルム、ナノTiO2シート粉末、チタン酸塩ナノチューブ、チタン酸ナノチューブを含む)に埋め込まれたEナノ粒子の埋め込み分布を通じて、Eナノ粒子の脱落問題が解決され、ナノ粒子とマトリックスとの間の物理化学的相互作用も大幅に強化される。特に、本発明はまた、各対応するマトリックス(ナノチタン酸塩フィルム、ナノチタン酸フィルム、ナノTiO2シート粉末、チタン酸塩ナノチューブ、チタン酸ナノチューブを含む)中のドープされたE成分元素の原子または原子または原子クラスターの形での分布を達成した。 同時に、E成分元素のピン止め効果により、マトリックス材料の相転移熱安定性が大幅に向上し、マトリックスの相転移熱安定性が200℃まで向上し、応用上大きな意義がある。例えば、現在、工業界のAgナノ粒子は、一般に殺菌材料として使用でき、それらと機械的に混合されたナノチタン酸塩、ナノチタン酸、およびナノTiO2は一般にその担体として使用できる。殺菌の役割を果たすAgは、主にナノAg粒子表面のAg原子であるため、ナノAg粒子内部の原子は殺菌効果を発揮できず、内部のAg原子の性能がある程度無駄になり、コストアップにつながる。さらに、物理吸着したAgナノ粒子がマトリックスから脱落しやすく、性能が不安定になり、性能耐久性が低下する。これに対して、本発明は、ナノチタン酸塩フィルム、ナノチタン酸フィルム、チタン酸塩ナノチューブ、チタン酸ナノチューブにおけるAg元素の原子または原子クラスターの形での分布を独創的に実現し、Agの脱落問題を心配する必要がないだけでなく、また、Agの利用を最大限に活用できると同時に、マトリックス材料の相変化熱安定性も大幅に向上させることができ、極めて有益な意義がある。一実施形態において、このような原子または原子クラスターの形で存在するAgおよびチタン酸塩フィルムマトリックスがポリマーと複合化された後に得られる複合コーティングは、極めて優れた殺菌特性を示した。
【0762】
第六、関連する製品材料の大規模な工業生産が可能になる。この一連の発明における重要な工程の反応圧力は常圧であり、高圧密閉容器を必要とせず、反応温度は、溶液の沸点温度または溶液の沸点温度付近の温度(溶液中の塩基の濃度にもよるが、温度はおおよそ105℃~180℃であり、比較的温和である)である。必要なチタン源は、主にE成分元素が固溶したTi-T金属間化合物であり、「合金溶解+鋳造+粉砕」または「合金溶解+溶融ストリッピング」などの方法で大規模に製造できる。特に重要なのは、重要な反応時間が数秒と短く、極めて効率的であること、反応温度と圧力などの条件を正確に制御でき、所望の生成物を得るために反応を速やかに終了できることである。これらの特徴により、製造工程が大幅に素化され、生産効率が向上し、製造コストが削減され、対応する製品を低コスト、常圧、中温、短時間、高効率で大規模的に製造することが可能になった。
【0763】
従って、本発明の製造方法は、単純なプロセス、簡単な操作、高効率、低コストの特徴を有し、ナノフィルム、ナノチューブ/ロッドおよび他の形態を含む、多様なE成分元素がドープされたまたは埋め込まれたEナノ粒子を含むナノチタン酸塩、ナノチタン酸、およびナノTiO2材料の製造を実現し、ポリマー系ナノ複合材料、樹脂系複合材料、セラミック材料、光触媒材料、疎水性材料、廃水分解材料、殺菌コーティング、防食塗料、海洋塗料などの分野において良好な応用の見通しがある。
【図面の簡単な説明】
【0764】
【
図1】本発明の実施例1に記載のAgがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルムのTEM低倍率および高倍率写真である。
【
図2】本発明の実施例1に記載の埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸ナトリウムフィルムのTEM写真である。
【
図3】本発明の実施例1に記載のAgがドープされたナノチタン酸フィルムのTEM低倍率および高倍率写真である。
【
図4】本発明の実施例1に記載のAgがドープされたナノチタン酸フィルムの元素分布図である。
【
図5】本発明の実施例1に記載の埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸フィルムのTEM低倍率および高倍率写真である。
【
図6】本発明の実施例1に記載の埋め込まれたAgナノ粒子を含むアナターゼ型ナノTiO
2シート粉末のTEM低倍率、中倍率、および高倍率写真である。
【
図7】本発明の実施例2に記載のAgがドープされたナノチタン酸フィルムのTEM低倍率および高倍率写真である。
【
図8】本発明の実施例9に記載のAgがドープされたナノチタン酸フィルムのTEM低倍率および高倍率写真である。
【
図9】本発明の比較例1で製造された生成物のXRDパターンである。
【
図10】本発明の比較例1における反応前のアナターゼ型TiO
2粉末のXRDパターンである。
【
図11】本発明の比較例2の反応生成物の低倍率SEM写真である。
【
図12】本発明の比較例2の反応生成物の高倍率SEM写真である。
【
図13】本発明の比較例3に記載のドープされた元素を含まないナノチタン酸フィルムを475℃で2時間熱処理した生成物のTEM形態及び回折スペクトルである。
【発明を実施するための形態】
【0765】
以下、具体的な実施例により本発明をさらに説明する。
【0766】
実施例1:本実施例は、Agがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルム材料、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸ナトリウムフィルム材料、Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料、および埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノTiO2シート粉末の製造方法、及び、その用途を提供し、以下の工程を含む。
【0767】
金属Ag、TiおよびAl原料をAg1Ti24.75Al74.25(原子百分率)の比率に従って秤量し、溶融してAg1Ti24.75Al74.25の組成を有する合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~20μmのリボン状のAg元素が固溶したTiAl3金属間化合物を主成分とする初期合金に製造した。
【0768】
常圧下、上記製造したAg1Ti24.75Al74.25初期合金リボン0.25gを、濃度10mol/L、沸点温度(約119℃)のNaOH水溶液50mlに撹拌しながら添加し、Ag1Ti24.75Al74.25初期合金リボンは、濃塩基溶液との反応中、激しい水素析出・脱Al反応によってナノ断片化され、同時に形状と組成が再構成され、塩基溶液中に拡散分布した固体凝集生成物を生成した。
【0769】
水素析出・脱Al反応は15s以内に終了し、反応を完全に終了させるために保持時間を2min継続した後、室温の水450mlを攪拌下で反応系に一度に急速注加し、溶液中の塩基の濃度を2s以内に1mol/Lまで低下させ、温度を45℃以下まで低下させた。
【0770】
上記固体凝集生成物を塩基溶液から分離し、洗浄し、280℃で10min乾燥させ、Agがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルム材料を得た。その単一フィルムの厚さが0.25nm~2nmであり、フィルムの平均面積が2000nm
2以上であり、明らかな二次元材料の特徴を示した。そのTEM形態は
図1の低倍率-高倍率写真に示されている。その中で、Ag元素は主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸ナトリウムフィルム中に分布しているため、TEMではコントラスト特性を観察することができない。Agがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルムは凝集しているが、その構造にはナノ多孔質構造や多孔質骨格構造は含まれておらず、
図1の凝集体の観察から、TEMの電子線透過性と相まって、凝集体の厚みが極めて薄いことがわかった。このことは、凝集体が構造的に安定な球形に近い物体ではなく、TEM試料作製時にTEMカーボンメッシュ上に均一に平坦化された多数のフィルムの平坦な凝集体であることを示唆している。
【0771】
上記Agがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルム材料を550℃で2時間熱処理し、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸ナトリウムフィルム材料が得られ、その単一フィルムの厚さ範囲が約0.5nm~4nmであり、フィルムの平均面積が1000nm
2以上であり、Agナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。そのTEM形態を
図2に示されている。Ag元素のピン止め効果により、ナノチタン酸ナトリウムフィルムマトリックスの熱安定性が大幅に向上した(詳細について比較例3を参照)。
【0772】
塩基溶液から分離した上記固体凝集生成物を水に分散させ、次に0.025mol/LのHCl溶液をそれに徐々に添加して混合溶液のpH値を連続的に低下させ、最終的に混合溶液のpH値を2~5の間に制御した。5min後、固液分離、洗浄、250℃で15min乾燥させ、Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料が得られ、その単一フィルムの厚さが約0.25nm~2nmであり、フィルムの平均面積が2000nm
2以上であった。そのTEM形態は
図3の低倍率-高倍率写真に示されている。写真に示されたフィルムの面積が50000nm
2以上であった。その中で、Ag元素は主に原子または原子クラスターの形で上記製造されたナノチタン酸フィルム中に分布していた。
図4の元素分布特性評価の結果に示されるように、明視野画像ではAgのコントラストは見えませんが、組成分布図ではAgが3つの異なる小領域に均一に分布している (特性評価の便宜上、さまざまな領域で可能な限り最も強い差動信号を取得するために、組成のエリアスキャンではフィルムが小さな凝集体を分散させる領域を選択した) 。
【0773】
上記Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料を550℃で2時間熱処理し、製造されたナノチタン酸フィルム中に原子または原子クラスターの形で分布していたAg元素が拡散、凝集、成長して、ナノチタン酸フィルム中に埋め込まれたAgナノ粒子を生成し、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料が得られ、その単一フィルムの厚さが約0.5nm~4nmであり、フィルムの平均面積が1000nm
2以上であり、熱処理されていないナノチタン酸フィルムと比較して、厚さが増加し、面積が収縮した。埋め込まれたAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであり、埋め込まれたAgナノ粒子の一部は、フィルムマトリックスに部分的に埋め込まれていることに加えて、その体積の一部がフィルムマトリックスの外部に露出していた。得られた、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料のTEM形態を、
図5の低倍率および高倍率の写真に示されている。Ag元素のピン止め効果により、ナノチタン酸フィルムマトリックスの熱安定性が大幅に向上した(詳細について比較例3を参照)。
【0774】
上記Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料を650℃で3時間熱処理し、埋め込まれたAgナノ粒子を含むアナターゼ型TiO
2シート粉末を得た。この温度での熱処理により、Agがドープされたナノチタン酸フィルム中に原子または原子クラスターの形で分布していたAg元素が拡散、凝集、成長して、埋め込まれたAgナノ粒子を生成しただけでなく、そのチタン酸フィルムマトリックスもアナターゼ型TiO
2に変化し、同時に形態もフィルムからシートに変化した。得られたアナターゼ型TiO
2シートの厚さ範囲が1nm~15nmであり、平均面積が500nm
2以上であり、アナターゼ型TiO
2シートに埋め込まれたAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。そのTEM形態を
図6の低-中-高倍率写真に示している。
【0775】
上記Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料を950℃で2時間熱処理して、埋め込まれたAgナノ粒子を含むルチル型TiO2シート粉末を得た。得られたルチル型ナノTiO2シートの厚さ範囲が2nm~25nmであり、平均面積が300nm2以上であり、Agナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0776】
上記Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料をPDMS(ポリジメチルシロキサン)と混合し、次いで、コーティング製造方法に従って、Ag元素がドープされたナノチタン酸フィルムを含むPDMS複合コーティングを得た。このコーティング中のAg元素が原子または原子クラスターの形でナノチタン酸フィルムに分散されており、ナノチタン酸フィルムがPDMS中に分散しているため、Ag元素の殺菌性能、およびナノチタン酸フィルムの機械的強化と強力な疎水性を最大化し、優れた機械的特性、疎水性、殺菌性を備えたPDMS複合コーティングが得られる。このPDMS複合コーティングは、疎水性材料、木材の防腐・殺菌材料、光触媒材料、殺菌コーティング材料、海洋設備および船舶用塗料などの分野に応用することができる。
【0777】
住宅装飾用塗料としての用途:上記Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料を、塗料添加剤として塗料の他の成分と混合し、家具、器具、及び壁の表面に一緒に塗布して抗菌効果を達成する。
【0778】
殺菌スプレーとしての用途:上記Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料を、他の液体スプレー成分と混合し、スプレーキャリアを介して家具、器具、布地、及び壁の表面に一緒にスプレーして抗菌効果を達成する。
【0779】
防汚塗料としての用途:上記Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料を、従来の防汚塗料中の殺菌・防汚成分の代わりに使用して防汚効果を達成する。
【0780】
抗菌布地への用途:上記Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料を分散させた後、布地の表面に付着または被覆させ、あるいは布地と混合して編むことにより、布地に抗菌・殺菌効果および能力を持たせる。
【0781】
実施例2:本実施例は、Agがドープされたナノチタン酸カリウムフィルム材料、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸カリウムフィルム材料、Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料、および埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノTiO2シート粉末の製造方法、及び、その用途を提供し、以下の工程を含む。
【0782】
金属Ag、TiおよびAl原料をAg1Ti33Al66(原子百分率)の比率に従って秤量し、溶融してAg1Ti33Al66の組成を有する合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~20μmのリボン状のAg元素が固溶したTiAl2金属間化合物を主成分とする初期合金に製造した。
【0783】
常圧下、上記製造したAg1Ti33Al66初期合金リボン0.25gを、濃度10mol/L、沸点温度(約125℃)のKOH水溶液50mlに撹拌しながら添加し、Ag1Ti33Al66初期合金リボンは、濃塩基溶液との反応中、激しい水素析出・脱Al反応によってナノ断片化され、同時に形状と組成が再構成され、塩基溶液中に拡散分布した固体凝集生成物を生成した。
【0784】
水素析出・脱Al反応は10s以内に終了し、その後、保持時間を1h継続し、水素析出・脱Al反応の終了を確認した後、さらに保持時間を延長し続けても対応する生成物を得ることができた。保持時間中に蒸発した水を補充することで、溶液の体積を50mlに維持した。
【0785】
1h後、室温の水450mlを攪拌下で反応系に一度に急速注加し、溶液中の塩基の濃度を2s以内に1mol/Lまで低下させ、温度を45℃以下まで低下させた。
【0786】
固体凝集生成物を塩基溶液から分離し、洗浄し、150℃で10min乾燥させ、Agがドープされたナノチタン酸カリウムフィルム材料を得た。その単一フィルムの厚さが約0.25nm~2nmであり、フィルムの平均面積が2000nm2以上であった。ここで、Ag元素は主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸カリウムフィルム中に分布しており、また乾燥過程でのAgの酸化により、Oと結合したAgが含まれている。
【0787】
上記固体凝集生成物を塩基溶液から分離し、洗浄し、250℃で30min乾燥させ、Agがドープされたナノチタン酸カリウムフィルム材料を得た。その単一フィルムの厚さが約0.25nm~2nmであり、フィルムの平均面積が2000nm2以上であった。ここで、Ag元素は主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸カリウムフィルム中に分布していた。水素析出・脱Al反応終了後、保温時間を1h継続することにより、依然としてAgがドープされたナノチタン酸カリウムフィルムである目的生成物が得られることが示された。
【0788】
上記Agがドープされたナノチタン酸カリウムフィルム材料を550℃で1時間熱処理し、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸カリウムフィルム材料が得られ、その単一フィルムの厚さ範囲が約0.55nm~4nmであり、フィルムの平均面積が1500nm2以上であり、Agナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0789】
塩基溶液から分離した上記固体凝集生成物を水に分散させ、次に0.025mol/LのHCl溶液をそれに徐々に添加して混合溶液のpH値を連続的に低下させ、最終的に混合溶液のpH値を2~5の間に制御した。5min後、固液分離、洗浄、280℃で20min乾燥させ、Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料が得られ、その単一フィルムの厚さが約0.25nm~2nmであり、フィルムの平均面積が2000nm
2以上であった。ここで、Ag元素は主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸フィルム中に分布していた。そのTEM形態は
図7の低倍率-高倍率写真に示されている。
【0790】
上記Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料を500℃で5時間熱処理し、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料が得られ、その単一フィルムの厚さが約0.5nm~3nmであり、フィルムの平均面積が1500nm2以上であり、Agナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであり、Agナノ粒子の一部は、フィルムマトリックスに部分的に埋め込まれていることに加えて、その体積の一部がフィルムマトリックスの外部に露出していた。
【0791】
上記Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料を650℃で2時間熱処理し、埋め込まれたAgナノ粒子を含むアナターゼ型TiO2シート粉末を得た。得られたアナターゼ型TiO2シートの厚さ範囲が1nm~15nmであり、平均面積が500nm2以上であり、アナターゼ型TiO2シートにその場で埋め込まれたAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0792】
上記Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料を950℃で2時間熱処理して、埋め込まれたAgナノ粒子を含むルチル型TiO2シート粉末を得た。得られたルチル型ナノTiO2シートの厚さ範囲が2nm~25nmであり、ルチル型TiO2シートにその場で埋め込まれたAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0793】
上記Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料を、高分子材料を含むポリマーと混合し、次いで、コーティング製造方法に従って、Ag元素がドープされたナノチタン酸フィルムを含むポリマー複合コーティングを得た。このコーティング中のAg元素が原子または原子クラスターの形でナノチタン酸フィルムに分散されており、ナノチタン酸フィルムがポリマー複合コーティング中に分散しているため、Ag元素の殺菌性能、およびナノチタン酸フィルムの機械的強化と強力な疎水性を最大化し、優れた機械的特性、疎水性、殺菌性を備えたポリマー複合コーティングが得られる。このポリマー複合コーティングは、疎水性材料、木材の防腐・殺菌材料、光触媒材料、殺菌コーティング材料、海洋設備および船舶用塗料などの分野に応用することができる。
【0794】
実施例3:本実施例は、Agがドープされたナノチタン酸カリウムフィルム材料の製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0795】
金属Ag、TiおよびAl原料をAg1Ti24.75Al74.25(原子百分率)の比率に従って秤量し、溶融してAg1Ti24.75Al74.25の組成を有する合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~20μmのリボン状のAg元素が固溶したTiAl3金属間化合物を主成分とする初期合金に製造した。
【0796】
常圧下、上記製造したAg1Ti24.75Al74.25初期合金リボン0.25gを、濃度10mol/L、温度60℃のKOH水溶液15mlに撹拌しながら添加し、Ag1Ti24.75Al74.25初期合金リボンは、濃塩基溶液との反応中、激しい水素析出・脱Al反応によってナノ断片化され、同時に形状と組成が再構成され、塩基溶液中に拡散分布した固体凝集生成物を生成した。
【0797】
水素析出・脱Al反応は4min以内に終了し、反応を完全に終了させるために保持時間を2分間継続した後、固体凝集生成物を含む熱濃縮塩基溶液を、水平面に対して45度の角度で、孔径がそれぞれ200μm、20μm、5μm、5μm、5μmの五層銅メッシュ上に流し込み、固体凝集生成物を五層銅メッシュ上に保持させ、塩基溶液を濾過除去すると同時に、固体凝集生成物の温度を10s以内に40℃以下まで低下させた。
【0798】
得られた固体凝集生成物をさらに洗浄し、50℃で1h乾燥させ、収率60%以上のAgがドープされたナノチタン酸カリウムフィルム材料を得た。その単一フィルムの厚さが約0.25nm~2nmであり、フィルムの平均面積が2000nm2以上であった。ここで、Ag元素は主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸カリウムフィルム中に分布していた。
【0799】
実施例4:本実施例は、Agがドープされたチタン酸ナトリウムナノチューブ、埋め込まれたAgナノ粒子を含むチタン酸ナトリウムナノチューブ、Agがドープされたチタン酸ナノチューブ、埋め込まれたAgナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブ、および埋め込まれたAgナノ粒子を含むTiO2ナノチューブ/ロッドの製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0800】
金属Ag、TiおよびAl原料をAg1.5Ti24.5Al74(原子百分率)の比率に従って秤量し、溶融してAg1.5Ti24.5Al74の組成を有する合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~100μmのリボン状のAg元素が固溶したTiAl3金属間化合物を主成分とする初期合金に製造した。
【0801】
常圧下、上記製造したAg1.5Ti24.5Al74初期合金リボン1gを、濃度10mol/L、沸点温度(約119℃)のNaOH水溶液50mlに撹拌しながら添加し、Ag1.5Ti24.5Al74初期合金リボンは、濃塩基溶液との反応中、激しい水素析出・脱Al反応によってナノ断片化され、同時に形状と組成が再構成され、塩基溶液中に拡散分布した固体凝集生成物を生成した。
【0802】
水素析出・脱Al反応は1min以内に終了し、その後、上記固体凝集生成物を含む熱塩基水溶液をPTFEでライニングした反応釜に密閉し、反応系の温度を5min以内に200℃まで昇温し、この時、反応釜内の圧力は常圧より高かった。
【0803】
反応釜を200℃の高温高圧に10min保温した後、反応釜を20℃の冷水中に入れて冷却した。 反応釜を室温まで冷却した後、釜内の圧力を常圧に戻し、反応釜内の固形物を塩基溶液から分離し、洗浄し、250℃で10min乾燥させ、チューブの外径が3nm~10nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であるAgがドープされたチタン酸ナトリウムナノチューブを得た。ここで、Ag元素は原子または原子クラスターの形でチタン酸ナトリウムナノチューブ中に分布しており、得られたAgがドープされたチタン酸ナトリウムナノチューブの相転移熱安定性は、単純なチタン酸ナトリウムナノチューブマトリックスの熱安定性よりも高かった。
【0804】
上記Agがドープされたチタン酸ナトリウムナノチューブを550℃で2時間熱処理して、埋め込まれたAgナノ粒子を含むチタン酸ナトリウムナノチューブを得た。その外径範囲が3nm~10nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であり、チタン酸ナトリウムナノチューブ内に埋め込まれるように分布しているAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0805】
上記反応釜内の塩基溶液から分離した固形物を水に分散させ、次に0.025mol/LのHCl溶液をそれに徐々に添加して混合溶液のpH値を連続的に低下させ、最終的に混合溶液のpH値を2~4の間に制御した。15min後、固液分離、洗浄、250℃で15min乾燥させ、Agがドープされたチタン酸ナノチューブが得られ、その外径範囲が3nm~10nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であった。ここで、Ag元素は原子または原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブ中に分布しており、得られたAgがドープされたチタン酸ナノチューブの相転移熱安定性は、単純なチタン酸ナノチューブマトリックスの熱安定性よりも高かった。
【0806】
上記Agがドープされたチタン酸ナノチューブを550℃で2時間熱処理して、埋め込まれたAgナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブを得た。チタン酸ナノチューブ内に埋め込まれるように分布しているAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであり、上記チタン酸ナノチューブの外径範囲が3nm~10nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であった。
【0807】
上記Agがドープされたチタン酸ナノチューブを650℃で2時間熱処理して、埋め込まれたAgナノ粒子を含むアナターゼ型TiO2ナノチューブを得た。アナターゼ型TiO2ナノチューブ内に埋め込まれるように分布しているAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであり、得られたアナターゼ型TiO2ナノチューブの外径範囲が3nm~15nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であった。
【0808】
上記Agがドープされたチタン酸ナノチューブを950℃で2時間熱処理して、埋め込まれたAgナノ粒子を含むルチル型TiO2ナノチューブ/ロッドを得た。ルチル型TiO2ナノチューブ/ロッド内に埋め込まれるように分布しているAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであり、上記ルチル型TiO2ナノチューブ/ロッドの外径範囲が5nm~20nmであり、チューブの長さがチューブの外径の3倍以上であった。
【0809】
実施例5:本実施例は、Ag-Auがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルム、埋め込まれたAg-Auナノ粒子を含むナノチタン酸ナトリウムフィルム、Ag-Auがドープされたナノチタン酸フィルム、埋め込まれたAg-Auナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム、および埋め込まれたAg-Auナノ粒子を含むナノTiO2シート粉末の製造方法、及び、その用途を提供し、以下の工程を含む。
【0810】
金属Ag、Au、TiおよびAl原料をAg0.8Au0.2Ti24.75Al74.25(原子百分率)の比率に従って秤量し、溶融してAg0.8Au0.2Ti24.75Al74.25の組成を有する合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~15μmのリボン状のAg、Au元素が固溶したTiAl3金属間化合物を主成分とする初期合金に製造した。
【0811】
常圧下、上記製造したAg0.8Au0.2Ti24.75Al74.25初期合金リボン1gを、濃度10mol/L、温度範囲105℃~119℃(塩基溶液の沸点温度)のNaOH水溶液50mlに撹拌しながら添加し、Ag0.8Au0.2Ti24.75Al74.25初期合金リボンは、濃塩基溶液との反応中、激しい水素析出・脱Al反応によってナノ断片化され、同時に形状と組成が再構成され、塩基溶液中に拡散分布した固体凝集生成物を生成した。
【0812】
水素析出・脱Al反応は10s以内に終了し、反応を完全に終了させるために保温時間を2min継続した後、室温の水450mlを攪拌下で反応系に一度に急速注加し、溶液中の塩基の濃度を2s以内に1mol/Lまで低下させ、温度を45℃以下まで低下させた。
【0813】
上記固体凝集生成物を塩基溶液から分離し、洗浄し、250℃で10min乾燥させ、Ag-Auがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルム材料を得た。その単一フィルムの厚さが0.25nm~2nmであり、フィルムの平均面積が2000nm2以上であった。ここで、Ag、Au元素は主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸ナトリウムフィルム中に埋め込まれて分布していた。Ag、Au元素のピン止め効果により、ナノチタン酸ナトリウムフィルムマトリックスの熱安定性が大幅に向上した。
【0814】
上記Ag-Auがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルムを600℃で0.1h熱処理し、埋め込まれたAg-Auナノ粒子を含むナノチタン酸ナトリウムフィルム材料が得られ、その単一フィルムの厚さ範囲が約0.5nm~3nmであり、フィルムの平均面積が1200nm2以上であり、ナノチタン酸ナトリウムフィルム内に埋め込まれるように分布しているAg-Auナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0815】
塩基溶液から分離した上記固体凝集物を水に分散させ、次に0.025mol/LのHCl溶液をそれに徐々に添加して混合溶液のpH値を連続的に低下させ、最終的に混合溶液のpH値を2~5の間に制御した。4h後、固液分離、洗浄、250℃で10min乾燥させ、Ag-Auがドープされたナノチタン酸フィルムが得られ、その単一フィルムの厚さが約0.25nm~2nmであり、フィルムの平均面積が2000nm2以上であった。ここで、Ag、Au元素は主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸フィルム中に埋め込まれて分布していた。Ag、Au元素のピン止め効果により、ナノチタン酸フィルムマトリックスの熱安定性が大幅に向上した。
【0816】
上記Ag-Auがドープされたナノチタン酸フィルムを550℃で2時間熱処理し、埋め込まれたAg-Auナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料が得られ、その単一フィルムの厚さが約0.5nm~3nmであり、フィルムの平均面積が1500nm2以上であり、ナノチタン酸フィルム内に埋め込まれるように分布しているAg-Auナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0817】
上記Ag-Auがドープされたナノチタン酸フィルムを650℃で2時間熱処理し、埋め込まれたAg-Auナノ粒子を含むアナターゼ型TiO2シート粉末を得た。得られたアナターゼ型TiO2シートの厚さ範囲が1nm~10nmであり、平均面積が500nm2以上であり、アナターゼ型TiO2シートに埋め込まれるように分布しているAg-Auナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0818】
上記Ag-Auがドープされたナノチタン酸フィルム材料を950℃で2時間熱処理して、埋め込まれたAg-Auナノ粒子を含むルチル型TiO2シート粉末を得た。得られたルチル型ナノTiO2シートの厚さ範囲が2nm~20nmであり、平均面積が400nm2以上であり、ルチル型TiO2シートに埋め込まれるように分布しているAg-Auナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0819】
上記Ag-Auがドープされたナノチタン酸フィルム材料をポリアニリンと混合し、Ag-Au元素がドープされたナノチタン酸とポリアニリンの複合コーティングを製造した。このコーティング中のAg元素とAu元素が原子または原子クラスターの形でナノチタン酸に埋め込まれて分散されており、ナノチタン酸がポリアニリン中に分散しているため、Ag元素、Au元素とチタン酸の特性を最大限に利用することができる。この材料は、疎水性材料、光触媒材料、殺菌コーティング材料、海洋設備および船舶用塗料などの分野に応用することができる。
【0820】
実施例6:本実施例は、Ag-Au-Pdがドープされたチタン酸ナトリウムナノチューブ、埋め込まれたAg-Au-Pdナノ粒子を含むチタン酸ナトリウムナノチューブ、Ag-Au-Pdがドープされたチタン酸ナノチューブ、埋め込まれたAg-Au-Pdナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブ、および埋め込まれたAg-Au-Pdナノ粒子を含むTiO2ナノチューブ/ロッドの製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0821】
金属Ag、Au、Pd、TiおよびZn原料をAg0.8Au0.1Pd0.1Ti24.75Zn74.25(原子百分率)の比率に従って秤量し、溶融してAg0.8Au0.1Pd0.1Ti24.75Zn74.25の組成を有する合金溶融物を得た。得られた合金溶融物をインゴットに凝固させ、次にインゴットを粉砕して粒径が100μm以下のAg、Au、Pd元素が固溶したTiZn3金属間化合物を主成分とする合金微粉末を製造した。
【0822】
常圧下、上記製造したAg0.8Au0.1Pd0.1Ti24.75Zn74.25初期合金微粉末1gを、濃度10mol/L、温度範囲105℃~119℃のNaOH水溶液50mlに撹拌しながら添加し、Ag0.8Au0.1Pd0.1Ti24.75Zn74.25初期合金微粉末は、濃塩基溶液との反応中、激しい水素析出・脱Zn反応によってナノ断片化され、同時に形状と組成が再構成され、塩基溶液中に拡散分布した固体凝集生成物を生成した(この固体凝集生成物はその後分離・乾燥させ、Ag-Au-Pdがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルム材料となる)。
【0823】
水素析出・脱Zn反応は1min以内に終了し、その後、上記固体凝集生成物を含む熱塩基水溶液をPTFEでライニングした反応釜に密閉し、反応系の温度を10min以内に250℃まで昇温し、この時、反応釜内の圧力は常圧より高かった。
【0824】
反応釜を250℃の高温高圧に10min保温した後、反応釜を冷水中に入れて急冷した。 反応釜を室温まで冷却した後、釜内の圧力を常圧に戻し、反応釜内の固形物を塩基溶液から分離し、洗浄し、250℃で10min乾燥させ、チューブの外径が3nm~12nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であるAg、Au、Pdがドープされたチタン酸ナトリウムナノチューブを得た。ここで、Ag、Au、Pd元素は原子または原子クラスターの形でチタン酸ナトリウムナノチューブ中に分布しており、得られたAg、Au、Pdがドープされたチタン酸ナトリウムナノチューブの相転移熱安定性は、単純なチタン酸ナトリウムナノチューブマトリックスの熱安定性よりも高かった。
【0825】
上記Ag、Au、Pdがドープされたチタン酸ナトリウムナノチューブを550℃で1時間熱処理して、埋め込まれたAg-Au-Pdナノ粒子を含むチタン酸ナトリウムナノチューブを得た。その外径範囲が3nm~12nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であり、チタン酸ナトリウムナノチューブ内に埋め込まれるように分布しているAg-Au-Pdナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0826】
上記塩基溶液から分離した固形物を水に分散させ、次に0.025mol/LのHCl溶液をそれに徐々に添加して混合溶液のpH値を連続的に低下させ、最終的に混合溶液のpH値を2~4の間に制御した。10min後、固液分離、洗浄、250℃で10min乾燥させ、Ag、Au、Pdがドープされたチタン酸ナノチューブが得られ、その外径範囲が3nm~12nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であった。ここで、Ag、Au、Pd元素は原子または原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブ中に分布しており、得られたAg、Au、Pdがドープされたチタン酸ナノチューブの相転移熱安定性は、単純なチタン酸ナノチューブマトリックスの熱安定性よりも高かった。
【0827】
上記Ag、Au、Pdがドープされたチタン酸ナノチューブを550℃で1.5h熱処理して、埋め込まれたAg-Au-Pdナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブを得た。チタン酸ナノチューブ内に埋め込まれるように分布しているAg-Au-Pdナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであり、上記チタン酸ナノチューブの外径範囲が3nm~12nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であった。
【0828】
上記Ag、Au、Pdがドープされたチタン酸ナノチューブを650℃で2h熱処理して、埋め込まれたAg-Au-Pdナノ粒子を含むアナターゼ型TiO2ナノチューブを得た。アナターゼ型TiO2ナノチューブ内に埋め込まれるように分布しているAg-Au-Pdナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであり、得られたアナターゼ型TiO2ナノチューブの外径範囲が3nm~15nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であった。
【0829】
上記Ag、Au、Pdがドープされたチタン酸ナノチューブを950℃で2h熱処理して、埋め込まれたAg-Au-Pdナノ粒子を含むルチル型TiO2ナノチューブ/ロッドを得た。ルチル型TiO2ナノチューブ/ロッド内に埋め込まれるように分布しているAg-Au-Pdナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであり、上記ルチル型TiO2ナノチューブ/ロッドの外径範囲が3nm~20nmであり、チューブの長さがチューブの外径の3倍以上であった。
【0830】
実施例7:本実施例は、Agがドープされたナノチタン酸ナトリウム(カリウム)フィルム材料、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸ナトリウム(カリウム)フィルム材料、Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料、および埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノTiO2シート粉末の製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0831】
金属Ag、TiおよびAl原料をAg1Ti39Al60(原子百分率)の比率に従って秤量し、溶融してAg1Ti39Al60の組成を有する合金溶融物を得た。得られた合金溶融物をインゴットに凝固させ、次にインゴットを粉砕して粒径が1mm以下のAg元素が固溶したTiAl2金属間化合物を主成分とする合金粗粉末を製造した。
【0832】
15mol/LのKOH溶液と15mol/LのNaOH溶液を別々に製造し、2つの溶液を体積比で1:1に混合して、OH-濃度が15mol/LのKOHとNaOHの混合溶液を得た。
【0833】
常圧下、上記製造したAg1Ti39Al60初期合金粗粉末1gを、濃度10mol/L、温度範囲105℃~115℃のKOHとNaOHの混合溶液50mlに撹拌しながら添加し、Ag1Ti39Al60初期合金粗粉末は、濃塩基溶液との反応中、激しい水素析出・脱Al反応によってナノ断片化され、同時に形状と組成が再構成され、塩基溶液中に拡散分布した固体凝集生成物を生成した。
【0834】
水素析出・脱Al反応は8min以内に終了し、反応を完全に終了させるために保持時間を2min継続した後、室温の水700mlを攪拌下で反応系に一度に急速注加し、溶液中の塩基の濃度を2s以内に1mol/Lまで低下させ、温度を45℃以下まで低下させた。
【0835】
上記固体凝集生成物を溶液から分離し、洗浄し、250℃で10min乾燥させ、Agがドープされたナノチタン酸ナトリウム(カリウム)フィルム材料を得た。その単一フィルムの厚さが0.25nm~2nmであり、フィルムの平均面積が2000nm2以上であった。ここで、Ag元素は主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸ナトリウム(カリウム)フィルム中に分布していた。Ag元素のピン止め効果により、ナノチタン酸ナトリウム(カリウム)フィルムマトリックスの熱安定性が大幅に向上した。
【0836】
上記Agがドープされたナノチタン酸ナトリウム(カリウム)フィルム材料を550℃で2時間熱処理し、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸ナトリウム(カリウム)フィルム材料が得られ、その単一フィルムの厚さ範囲が約0.5nm~3nmであり、フィルムの平均面積が1000nm2以上であり、埋め込まれたAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0837】
塩基溶液から分離した上記固体凝集生成物を水に分散させ、次に0.025mol/LのHCl溶液をそれに徐々に添加して混合溶液のpH値を連続的に低下させ、最終的に混合溶液のpH値を2~5の間に制御した。5min後、固液分離、洗浄、250℃で10min乾燥させ、Agがドープされたナノチタン酸フィルムが得られ、その単一フィルムの厚さが約0.25nm~2nmであり、フィルムの平均面積が2000nm2以上であった。ここで、Ag元素は主に原子または原子クラスターの形で上記ナノチタン酸フィルム中に分布していた。Ag元素のピン止め効果により、ナノチタン酸フィルムマトリックスの熱安定性が大幅に向上した。
【0838】
上記Agがドープされたナノチタン酸フィルムを550℃で1.5h熱処理し、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料が得られ、その単一フィルムの厚さが約0.5nm~3nmであり、フィルムの平均面積が1000nm2以上であり、埋め込まれたAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0839】
上記Agがドープされたナノチタン酸フィルムを650℃で2時間熱処理し、埋め込まれたAgナノ粒子を含むアナターゼ型TiO2シート粉末を得た。得られたアナターゼ型TiO2シートの厚さ範囲が1nm~15nmであり、平均面積が400nm2以上であり、アナターゼ型TiO2シートにその場で埋め込まれたAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0840】
上記Agがドープされたナノチタン酸フィルムを950℃で2時間熱処理して、埋め込まれたAgナノ粒子を含むルチル型TiO2シート粉末を得た。得られたルチル型ナノTiO2シートの厚さ範囲が2nm~20nmであり、平均面積が300nm2以上であり、ルチル型TiO2シートにその場で埋め込まれたAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0841】
実施例8:本実施例は、Agがドープされたチタン酸ナトリウム(リチウム)ナノチューブ、Agがドープされたチタン酸ナノチューブ、埋め込まれたAgナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブ、および埋め込まれたAgナノ粒子を含むTiO2ナノチューブの製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0842】
金属Ag、TiおよびAl原料をAg3Ti27Al70(原子百分率)の比率に従って秤量し、溶融してAg3Ti27Al70の組成を有する合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~20μmのリボン状のAg元素が固溶したTiAl3金属間化合物とAg元素が固溶したTiAl2金属間化合物から構成される初期合金に製造した。
【0843】
6mol/LのLiOH溶液と14mol/LのNaOH溶液を別々に製造し、2つの溶液を体積比で1:1に混合して、OH-濃度が10mol/LのLiOHとNaOHの混合溶液を得た。
【0844】
常圧下、上記製造した初期合金リボン1gを、濃度10mol/L、温度範囲Tf溶液-5℃~Tf溶液の上記混合溶液50mlに撹拌しながら添加し、Ag3Ti27Al70初期合金リボンは、濃塩基溶液との反応中、激しい水素析出・脱Al反応によってナノ断片化され、同時に形状と組成が再構成され、塩基溶液中に拡散分布した固体凝集生成物を生成した。
【0845】
水素析出・脱Al反応は20s以内に終了し、その後、上記固体凝集生成物を含む熱塩基水溶液をPTFEでライニングした反応釜に密閉し、反応系の温度を5min以内に200℃まで昇温し、この時、反応釜内の圧力は常圧より高かった。
【0846】
反応釜を200℃の高温高圧に30min保温した後、反応釜を冷水中に入れて急冷した。 反応釜を室温まで冷却した後、釜内の圧力を常圧に戻し、反応釜内の固形物を塩基溶液から分離し、洗浄し、280℃で10min乾燥させ、チューブの外径が3nm~10nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であるAgがドープされたチタン酸ナトリウム(リチウム)ナノチューブを得た。ここで、Ag元素は原子または原子クラスターの形でチタン酸ナトリウム(リチウム)中に分布しており、得られたAgがドープされたチタン酸ナトリウム(リチウム)ナノチューブの相転移熱安定性は、単純なチタン酸ナトリウム(リチウム)ナノチューブマトリックスの熱安定性よりも高かった。
【0847】
上記塩基溶液から分離した固形物を水に分散させ、次に0.025mol/LのHCl溶液をそれに徐々に添加して混合溶液のpH値を連続的に低下させ、最終的に混合溶液のpH値を2~4の間に制御した。10min後、固液分離、洗浄、250℃で10min乾燥させ、Agがドープされたチタン酸ナノチューブが得られ、その外径範囲が3nm~10nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であった。ここで、Ag元素は原子または原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブ中に分布しており、得られたAgがドープされたチタン酸ナノチューブの相転移熱安定性は、単純なチタン酸ナノチューブマトリックスの熱安定性よりも高かった。
【0848】
上記Agがドープされたチタン酸ナノチューブを550℃で1.5h熱処理して、埋め込まれたAgナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブを得た。得られたチタン酸ナノチューブ内に埋め込まれるように分布しているAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであり、チタン酸ナノチューブの外径範囲が3nm~10nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であった。
【0849】
上記Agがドープされたチタン酸ナノチューブを650℃で3h熱処理して、埋め込まれたAgナノ粒子を含むアナターゼ型TiO2ナノチューブを得た。アナターゼ型TiO2ナノチューブ内に埋め込まれるように分布しているAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであり、得られたアナターゼ型TiO2ナノチューブの外径範囲が3nm~15nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であった。
【0850】
実施例9:本実施例は、Agがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルム材料、Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料の製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0851】
金属Ag、TiおよびAl原料をAg1Ti24.75Al74.25(原子百分率)の比率に従って秤量し、溶融してAg1Ti24.75Al74.25の組成を有する合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~20μmのリボン状のAg元素が固溶したTiAl3金属間化合物を主成分とする初期合金に製造した。
【0852】
常圧下、上記製造したAg1Ti24.75Al74.25初期合金リボン1gを、濃度10mol/L、沸点温度(約119℃)のNaOH水溶液50mlに撹拌しながら添加し、Ag1Ti24.75Al74.25初期合金リボンは、濃塩基溶液との反応中、激しい水素析出・脱Al反応によってナノ断片化され、同時に形状と組成が再構成され、塩基溶液中に拡散分布した固体凝集生成物を生成した。
【0853】
水素析出・脱Al反応は15s以内に終了し、その後、保持時間を2h継続し、水素析出・脱Al反応の終了を確認した後、さらに保持時間を延長し続けても対応する生成物を得ることができた。保持時間中に蒸発した水を補充することで、溶液の体積を50mlに維持した。
【0854】
2h後、固体凝集生成物を含む熱濃縮塩基溶液を、水平面に対して45度の角度で、孔径がそれぞれ200μm、20μm、5μm、5μmの四層銅メッシュ上に流し込み、固体凝集生成物を四層銅メッシュ上に保持させ、塩基溶液を濾過除去すると同時に、固体凝集生成物の温度を20s以内に45℃以下まで低下させた。
【0855】
得られた固体凝集生成物をさらに洗浄し、250℃で10min乾燥させ、Agがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルム材料を得た。その単一フィルムの厚さが0.25nm~2nmであり、フィルムの平均面積が2000nm2以上であった。ここで、Ag元素は主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸ナトリウムフィルム中に分布していた。
【0856】
上記Agがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルムを水に分散させ、次に0.025mol/LのHCl溶液をそれに徐々に添加して混合溶液のpH値を連続的に低下させ、最終的に混合溶液のpH値を2~5の間に制御した。30min後、固液分離、洗浄、250℃で10min乾燥させ、Agがドープされたナノチタン酸フィルムが得られ、その単一フィルムの厚さが約0.25nm~2nmであり、フィルムの平均面積が2000nm
2以上であった。そのTEM形態は
図8の低倍率-高倍率写真に示されている。水素析出・脱Al反応終了後2hの保温時間を継続し、その後の酸溶液反応と組み合わせることにより、依然としてAgがドープされたナノチタン酸フィルムである目的生成物が得られることが示された。ここで、得られた生成物中のAg元素は主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸フィルム中に分布していた。Ag元素のピン止め効果により、ナノチタン酸フィルムマトリックスの熱安定性が大幅に向上した。
【0857】
実施例10:本実施例は、Agがドープされたチタン酸ナトリウムナノチューブ、Agがドープされたチタン酸ナノチューブ、埋め込まれたAgナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブ、および埋め込まれたAgナノ粒子を含むTiO2ナノチューブ/ロッドの製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0858】
金属Ag、TiおよびAl原料をAg1Ti24.75Al74.25(原子百分率)の比率に従って秤量し、溶融してAg1Ti24.75Al74.25の組成を有する合金溶融物を得た。得られた合金溶融物をインゴットに凝固させ、次にインゴットを粉砕して粒径が50μm以下のAg元素が固溶したTiAl3金属間化合物を主成分とする合金微粉末を製造した。
【0859】
常温常圧下、上記製造した初期合金微粉末0.5gを、濃度10mol/LのNaOH水溶液50mlとともにPTFEでライニングした反応釜に密閉し、密閉した反応釜とその中の初期合金およびNaOH水溶液の温度を10min以内に直ちに250℃まで昇温し、その後25分間保温した。
【0860】
25min後、反応釜を冷水中に入れて急冷した。 反応釜を室温まで冷却した後、釜内の圧力を常圧に戻し、反応釜内の固形物を塩基溶液から分離し、洗浄し、250℃で10min乾燥させ、チューブの外径が3nm~12nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であるAgがドープされたチタン酸ナトリウムナノチューブを得た。ここで、Ag元素は原子または原子クラスターの形でチタン酸ナトリウムナノチューブ中に分布しており、得られたAgがドープされたチタン酸ナトリウムナノチューブの相転移熱安定性は、単純なチタン酸ナトリウムナノチューブマトリックスの熱安定性よりも高かった。
【0861】
上記塩基溶液から分離した固形物を水に分散させ、次に0.025mol/LのHCl溶液をそれに徐々に添加して混合溶液のpH値を連続的に低下させ、最終的に混合溶液のpH値を2~4の間に制御した。10min後、固液分離、洗浄、250℃で10min乾燥させ、Agがドープされたチタン酸ナノチューブが得られ、その外径範囲が3nm~12nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であった。ここで、Ag元素は原子または原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブ中に分布しており、得られたAgがドープされたチタン酸ナノチューブの相転移熱安定性は、単純なチタン酸ナノチューブマトリックスの熱安定性よりも高かった。
【0862】
上記Agがドープされたチタン酸ナノチューブを550℃で2時間熱処理して、埋め込まれたAgナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブを得た。得られたチタン酸ナノチューブ内に埋め込まれるように分布しているAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであり、チタン酸ナノチューブの外径範囲が3nm~12nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であった。
【0863】
上記Agがドープされたチタン酸ナノチューブを650℃で3時間熱処理して、埋め込まれたAgナノ粒子を含むアナターゼ型TiO2ナノチューブを得た。アナターゼ型TiO2ナノチューブ内に埋め込まれるように分布しているAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであり、得られたアナターゼ型TiO2ナノチューブの外径範囲が3nm~15nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であった。
【0864】
上記Agがドープされたチタン酸ナノチューブを950℃で2時間熱処理して、埋め込まれたAgナノ粒子を含むルチル型TiO2ナノチューブ/ロッドを得た。ルチル型TiO2ナノチューブ/ロッド内に埋め込まれるように分布しているAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであり、上記ルチル型TiO2ナノチューブ/ロッドの外径範囲が4nm~20nmであり、チューブの長さがチューブの外径の3倍以上であった。
【0865】
実施例11:本実施例は、Agがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルム材料、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸ナトリウムフィルム材料、Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料、および埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノTiO2シート粉末の製造方法、及び、その用途を提供し、以下の工程を含む。
【0866】
金属Ag、TiおよびZn原料をAg0.5Ti24.5Zn75(原子百分率)の比率に従って秤量し、溶融してAg0.5Ti24.5Zn75の組成を有する合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~20μmのリボン状のAg元素が固溶したTiZn3金属間化合物を主成分とする初期合金に製造した。
【0867】
常圧下、上記製造したAg0.5Ti24.5Zn75初期合金リボン1gを、濃度15mol/L、沸点温度(約140℃)のNaOH水溶液50mlに撹拌しながら添加し、Ag0.5Ti24.5Zn75初期合金リボンは、濃塩基溶液との反応中、激しい水素析出・脱Zn反応によってナノ断片化され、同時に形状と組成が再構成され、塩基溶液中に拡散分布した固体凝集生成物を生成した。
【0868】
水素析出・脱Zn反応は15s以内に終了し、反応を完全に終了させるために保持時間を2min継続した後、室温の水700mlを攪拌下で反応系に一度に急速注加し、溶液中の塩基の濃度を2s以内に1mol/Lまで低下させ、温度を45℃以下まで低下させた。
【0869】
上記固体凝集生成物を塩基溶液から分離し、洗浄し、250℃で10min乾燥させ、Agがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルム材料を得た。その単一フィルムの厚さが0.25nm~2nmであり、フィルムの平均面積が2000nm2以上であった。ここで、Ag元素は主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸ナトリウムフィルム中に分布していた。Ag元素のピン止め効果により、ナノチタン酸ナトリウムフィルムマトリックスの熱安定性が大幅に向上した。
【0870】
上記Agがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルム材料を550℃で1時間熱処理し、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸ナトリウムフィルム材料が得られ、その単一フィルムの厚さ範囲が約0.5nm~3nmであり、フィルムの平均面積が1500nm2以上であり、Agナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0871】
塩基溶液から分離した上記固体凝集生成物を水に分散させ、次に0.025mol/LのHCl溶液をそれに徐々に添加して混合溶液のpH値を連続的に低下させ、最終的に混合溶液のpH値を2~5の間に制御した。20min後、固液分離、洗浄、280℃で10min乾燥させ、Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料が得られ、その単一フィルムの厚さが約0.25nm~2nmであり、フィルムの平均面積が2000nm2以上であった。ここで、Ag元素は主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸フィルム中に分布していた。Ag元素のピン止め効果により、ナノチタン酸フィルムマトリックスの熱安定性が大幅に向上した。
【0872】
上記Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料を500℃で5時間熱処理し、埋め込まれたAgナノ粒子を含むナノチタン酸フィルム材料が得られ、その単一フィルムの厚さが約0.5nm~3nmであり、フィルムの平均面積が1500nm2以上であり、埋め込まれたAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0873】
上記Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料を650℃で2時間熱処理し、埋め込まれたAgナノ粒子を含むアナターゼ型TiO2シート粉末を得た。得られたアナターゼ型TiO2シートの厚さ範囲が1nm~10nmであり、平均面積が500nm2以上であり、アナターゼ型TiO2シートにその場で埋め込まれたAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0874】
上記Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料を950℃で2時間熱処理して、埋め込まれたAgナノ粒子を含むルチル型TiO2シート粉末を得た。得られたルチル型ナノTiO2シートの厚さ範囲が2nm~20nmであり、平均面積が300nm2以上であり、ルチル型TiO2シートにその場で埋め込まれたAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであった。
【0875】
上記Agがドープされたナノチタン酸フィルム材料をポリフッ化ビニリデン(PVDF)と混合し、次いで、Agがドープされたナノチタン酸とPVDFの複合コーティングを製造した。このコーティング中のAg元素が原子または原子クラスターの形でナノチタン酸に埋め込まれて分散されており、ナノチタン酸がPVDF中に分散しているため、Ag元素とチタン酸の特性を最大限に利用することができる。この材料は、疎水性材料、光触媒材料、殺菌コーティング材料、海洋設備および船舶用塗料などの分野に応用することができる。
【0876】
実施例12:本実施例は、Agがドープされたチタン酸ナトリウムナノチューブ、Agがドープされたチタン酸ナノチューブ、埋め込まれたAgナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブ、および埋め込まれたAgナノ粒子を含むTiO2ナノチューブ/ロッドの製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0877】
常温常圧下、Agがドープされたナノチタン酸塩フィルム材料を、濃度10mol/LのNaOH水溶液50mlを1:50の体積比で、PTFEでライニングした反応釜に密閉し、密閉した反応釜とその中の初期合金およびNaOH水溶液の温度を10min以内に直ちに250℃まで昇温し、その後10min保温した。
【0878】
10min後、反応釜を冷水中に入れて急冷した。 反応釜を室温まで冷却した後、釜内の圧力を常圧に戻し、反応釜内の固形物を塩基溶液から分離し、洗浄し、250℃で10min乾燥させ、チューブの外径が3nm~12nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であるAgがドープされたチタン酸ナトリウムナノチューブを得た。ここで、Ag元素は原子または原子クラスターの形でチタン酸ナトリウムナノチューブ中に分布しており、得られたAgがドープされたチタン酸ナトリウムナノチューブの相転移熱安定性は、単純なチタン酸ナトリウムナノチューブマトリックスの熱安定性よりも高かった。
【0879】
上記塩基溶液から分離した固形物を水に分散させ、次に0.025mol/LのHCl溶液をそれに徐々に添加して混合溶液のpH値を連続的に低下させ、最終的に混合溶液のpH値を2~4の間に制御した。60min後、固液分離、洗浄、250℃で10min乾燥させ、Agがドープされたチタン酸ナノチューブが得られ、その外径範囲が3nm~12nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であった。ここで、Ag元素は原子または原子クラスターの形でチタン酸ナノチューブ中に分布しており、得られたAgがドープされたチタン酸ナノチューブの相転移熱安定性は、単純なチタン酸ナノチューブマトリックスの熱安定性よりも高かった。
【0880】
上記Agがドープされたチタン酸ナノチューブを550℃で2時間熱処理して、埋め込まれたAgナノ粒子を含むチタン酸ナノチューブを得た。得られたチタン酸ナノチューブ内に埋め込まれるように分布しているAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであり、チタン酸ナノチューブの外径範囲が3nm~12nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であった。
【0881】
上記Agがドープされたチタン酸ナノチューブを650℃で3時間熱処理して、埋め込まれたAgナノ粒子を含むアナターゼ型TiO2ナノチューブを得た。アナターゼ型TiO2ナノチューブ内に埋め込まれるように分布しているAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであり、得られたアナターゼ型TiO2ナノチューブの外径範囲が3nm~15nmであり、チューブの長さがチューブの外径の5倍以上であった。
【0882】
上記Agがドープされたチタン酸ナノチューブを950℃で2時間熱処理して、埋め込まれたAgナノ粒子を含むルチル型TiO2ナノチューブ/ロッドを得た。ルチル型TiO2ナノチューブ/ロッド内に埋め込まれるように分布しているAgナノ粒子のサイズ範囲が1.5nm~5nmであり、上記ルチル型TiO2ナノチューブ/ロッドの外径範囲が4nm~20nmであり、チューブ/ロッドの長さがチューブ/ロッドの外径の3倍以上であった。
【0883】
実施例13:本実施例は、Agがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルム粉末材料、およびAgがドープされたナノチタン酸フィルム粉末材料の製造方法を提供し、以下の工程を含む。
【0884】
金属Ag、TiおよびAl原料をAg1Ti24.75Al74.25(原子百分率)の比率に従って秤量し、溶融してAg1Ti24.75Al74.25の組成を有する合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~100μmのリボン状のAg元素が固溶したTiAl3金属間化合物を主成分とする初期合金に製造した。
【0885】
常圧下、上記製造したAg1Ti24.75Al74.25初期合金リボン0.5gを、濃度10mol/LのNaOH水溶液50mlとともに密閉容器に入れた。最初、初期合金リボンは塩基溶液と接触していなかった。
【0886】
密閉容器内の温度および初期合金リボンと塩基溶液の温度を150℃まで上昇させ、このとき密閉容器内は高圧状態となり、密閉容器内のAg1Ti24.75Al74.25初期合金リボンとこの温度の塩基溶液を混合し、激しい水素析出・脱T反応させ、Ag1Ti24.75Al74.25初期合金リボンは、高温高圧反応過程で激しい水素析出・脱Al反応によってナノ断片化され、同時に形状と組成が再構成され、Ag含有固体凝集生成物を生成した。
【0887】
水素析出・脱Al反応は30s以内に終了し、30s後、密閉容器と反応系を冷却水に入れて室温付近まで急速に冷却させ、密閉容器内の圧力を常圧まで減圧させた。
【0888】
反応系の温度を常温常圧まで下げた後、固体凝集生成物を塩基溶液から分離し、洗浄し、280℃で10min乾燥させ、Agがドープされたナノチタン酸ナトリウムフィルム粉末材料を得た。その単一フィルムの厚さ範囲が0.25nm~5nmであり、フィルムの平均面積が1000nm2以上であり、明らかな二次元材料の特徴を示した。ここで、Ag元素は主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸ナトリウムフィルム中に分布していた。
【0889】
上記塩基溶液から分離した後の固体凝集生成物を水に分散させ、次に0.025mol/LのHCl溶液をそれに徐々に添加して混合溶液のpH値を連続的に低下させ、最終的に混合溶液のpH値を3~5の間に制御した。5min後、固液分離、洗浄、250℃で15min乾燥させ、Agがドープされたナノチタン酸フィルム粉末材料を得た。その単一フィルムの厚さ範囲が0.25nm~5nmであり、フィルムの平均面積が1000nm2以上であった。ここで、Ag元素は主に原子または原子クラスターの形でナノチタン酸フィルム中に分布していた。
【0890】
比較例1:常圧下、粒径範囲が50nm~100nm のアナターゼ型TiO2粉末1gを、濃度10mol/L、沸点温度(約119℃)のNaOH水溶液50mlに撹拌しながら加えた。
【0891】
10min後、室温の水450mlを攪拌しながら反応系に急速に注ぎ、溶液中の塩基の濃度を1mol/Lまで低下させ、温度を40℃以下まで低下させた。
【0892】
溶液中の固形物を溶液から分離し、洗浄、乾燥した後、
図9に示すように、生成物のXRDパターンが得られた。
【0893】
図10のこの反応前のアナターゼ型TiO
2粉末のXRDパターンと組み合わせると、10分間の反応後、アナターゼ型TiO
2はほとんど全く変化しなかったことが分析できる。 XRDピークの幅からも、TiO
2の粒径は大きく変化していなかったと判断できる。この比較例は、Ti源がTiO
2粉末である場合、大気環境における塩基水溶液の沸点温度により、TiO
2のTi-O結合を短時間で破壊することが困難であることを示している。
【0894】
比較例2:金属Ag、TiおよびAl原料をAg1Ti24.75Al74.25(原子百分率)の比率に従って秤量し、溶融してAg1Ti24.75Al74.25の組成を有する合金溶融物を得た。得られた合金溶融物をインゴットに凝固させ、次にインゴットを粉砕して粒径が30μm以下のAg元素が固溶したTiAl3金属間化合物を主成分とする合金粉末を製造した。
【0895】
常圧下、上記初期合金粉末を10mol/LのNaOH溶液と35℃で2時間反応させ、得られた生成物を
図11及び
図12に示している。この反応条件下では、反応前後の元の初期合金粉末の形状はほとんど変化せず、
図12に示すような角張った形態の、元の粉砕された角張った粉末粒子のままであり、かつ、その微細構造は、モノリシックな二次元フィルム状生成物を多数生成するのではなく、代わりに、ナノ多孔質構造からなる元の角張った粉末粒子であることがわかる。従って、低温で起こる初期合金と塩基溶液の反応平衡と、本発明の塩基溶液の沸点温度付近で起こる反応平衡とは全く異なり、生成物の形態も全く異なる。
【0896】
比較例3:金属TiおよびAl原料をTi25Al75(原子百分率)の比率に従って秤量し、溶融してTi25Al75の組成を有する合金溶融物を得た。得られた合金溶融物を銅ローラストリップキャスト法によって厚さが~30μmのリボン状のTiAl3金属間化合物を主成分とする初期合金に製造した。
【0897】
常圧下、上記製造したTi25Al75初期合金リボン0.25gを、濃度10mol/L、沸点温度(約119℃)のNaOH水溶液50mlに撹拌しながら添加し、Ti25Al75初期合金リボンは、濃塩基溶液との反応中、激しい水素析出・脱Al反応によってナノ断片化され、同時に形状と組成が再構成され、塩基溶液中に拡散分布した固体凝集生成物を生成した。
【0898】
水素析出・脱Al反応は15s以内に終了し、反応を完全に終了させるために保持時間を2min継続した後、室温の水450mlを攪拌下で反応系に一度に急速注加し、溶液中の塩基の濃度を2s以内に1mol/Lまで低下させ、温度を45℃以下まで低下させた。
【0899】
塩基溶液から分離した上記固体凝集生成物を水に分散させ、次に0.025mol/LのHCl溶液をそれに徐々に添加して混合溶液のpH値を連続的に低下させ、最終的に混合溶液のpH値を2~5の間に制御した。10min後、ナノチタン酸フィルム生成物が得られ、これを固液分離、洗浄、475℃で2h熱処理させ、アナターゼ型TiO
2シート粉末が得られた。そのTEM形態と回折スペクトルは
図13に示されている。この比較実施形態は、ドープされた元素を含まないナノチタン酸フィルムが475℃で明らかな相転移を起こすことができ、同時にフィルムからシートへの明らかな形態変化を起こすことを示している。
【0900】
以上に説明した実施例の各技術的特徴は、任意に組み合わせてもよい。説明を簡潔にするために、上記実施例における各技術的特徴の全ての可能な組み合わせを説明しなかったが、これらの技術的特徴の組み合わせに矛盾がない限り、本明細書に記載される範囲と見なされるべきである。
【0901】
以上に説明した実施例は、本発明の幾つかの実施形態を示しているに過ぎず、その説明が比較的具体的及び詳細的であるが、これをもって発明の保護範囲を制限するものであると理解されるべきではない。なお、当業者にとって、本発明の構想を逸脱しない限り、幾つかの変形及び改進を行うことができ、これらは、いずれも本発明の保護範囲に属する。従って、本発明の保護範囲は、添付する特許請求の範囲に準ずるべきである。
【国際調査報告】