(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】断熱材料、断熱材料の製造方法、及び断熱材料のリサイクル方法
(51)【国際特許分類】
B32B 7/027 20190101AFI20240403BHJP
B32B 27/00 20060101ALI20240403BHJP
F16L 59/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
B32B7/027
B32B27/00 N
F16L59/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565469
(86)(22)【出願日】2022-03-31
(85)【翻訳文提出日】2023-12-01
(86)【国際出願番号】 EP2022058519
(87)【国際公開番号】W WO2022228814
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】102021110571.4
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】507370644
【氏名又は名称】レオンハード クルツ シュティフトゥング ウント コー. カーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】240000327
【氏名又は名称】弁護士法人クレオ国際法律特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】テター マティーアス
(72)【発明者】
【氏名】ロイター ウヴェ
(72)【発明者】
【氏名】シンドラー ウルリヒ
【テーマコード(参考)】
3H036
4F100
【Fターム(参考)】
3H036AA09
3H036AB02
3H036AB12
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3H036AC03
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4F100JL16
(57)【要約】
本発明は、断熱材料(1)、断熱材料(1)の製造方法、及び、断熱材料(1)のリサイクル方法を含む。断熱材料(1)は、少なくとも2つの層を有し、少なくとも1つの第1の層(11)が反射体層として形成され、少なくとも1つの第2の層(12)がスペーシング層として形成され、少なくとも1つの第1の層(11)及び少なくとも1つの第2の層(12)は、いずれの場合も、ポリマー成分を有し、ポリマー成分は、非混合ポリマー材料から形成される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2つの層を有し、少なくとも1つの第1の層(11)が反射体層として形成され、少なくとも1つの第2の層(12)がスペーシング層(spacing layer)として形成される、断熱材料(1)であって、
前記少なくとも1つの第1の層(11)及び前記少なくとも1つの第2の層(12)は、いずれの場合も、ポリマー成分を有し、前記ポリマー成分は、非混合ポリマー材料から形成されることを特徴とする、
断熱材料(1)。
【請求項2】
前記少なくとも1つの第1の層(11)は、3μm~250μm、特に10μm~55μmの範囲の層厚を有することを特徴とする、
請求項1に記載の断熱材料。
【請求項3】
前記少なくとも1つの第1の層(11)は、上側及び下側を有し、少なくとも1つの反射層(13)、特に赤外線反射層は、前記少なくとも1つの第1の層(11)の前記上側及び/又は前記下側に適用されることを特徴とする、
請求項1又は2に記載の断熱材料。
【請求項4】
前記少なくとも1つの反射層(13)、特に赤外線反射層は、材料として、アルミニウム、銀、金から選択される金属を、個々にあるいは組み合わせて及び/又は合金として含むことを特徴とする、
請求項3に記載の断熱材料。
【請求項5】
前記少なくとも1つの反射層(13)、特に赤外線反射層は、10%~97%、好ましくは60%~97%の割合で入射放射(21)、特に赤外放射を反射することを特徴とする、
請求項3又は4に記載の断熱材料。
【請求項6】
少なくとも1つの吸収層(14)、特に赤外線吸収層は、前記少なくとも1つの第1の層(11)の前記上側及び/又は前記下側に適用されることを特徴とする、
請求項3に記載の断熱材料。
【請求項7】
前記少なくとも1つの吸収層(14)、特に赤外線吸収層は、カーボンブラック、カーボン、バインダー、金属、金属酸化物から選択される材料又は材料の組合せを含むことを特徴とする、
請求項6に記載の断熱材料。
【請求項8】
前記少なくとも1つの吸収層(14)、特に赤外線吸収層は、5%~96%、好ましくは75%~96%の割合で、入射放射(21)、特に赤外放射を吸収することを特徴とする、
請求項6又は7に記載の断熱材料。
【請求項9】
前記少なくとも1つの反射層(13)、特に赤外線反射層は、5nm~100μm、特に20nm~60nmの範囲の厚さを有することを特徴とする、
請求項3~8のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項10】
前記少なくとも1つの吸収層は、5nm~100μmの範囲の厚さ、特に、高真空中で蒸着された金属及び/若しくは金属酸化物で作られた層の場合、20nm~60nmの範囲の厚さ、又は印刷法、特にグラビア印刷によって適用されたカーボンブラック及び/若しくはカーボンで作られた層の場合、2μm~6μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、
請求項3~9のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項11】
前記少なくとも1つの第1の層(11)は、耐食性を向上させるために、好ましくは前記反射層(13)の上及び/又は下に配置される少なくとも1つの阻止層(inhibiting layer)を有することを特徴とする、
請求項1~10のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項12】
前記少なくとも1つの阻止層は、非混合ポリマー、無機コーティング、酸化ケイ素(SiO
x)、二酸化ケイ素(SiO
2)から選択される材料又は材料の組合せを有することを特徴とする、
請求項11に記載の断熱材料。
【請求項13】
前記少なくとも1つの第2の層(12)は、0.5mm~120mm、特に2mm~5mmの範囲の厚さを有し、及び/又は10g/m
2~2000g/m
2、特に50g/m
2~200g/m
2の範囲の表面重量を有することを特徴とする、
請求項1~12のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項14】
前記少なくとも1つの第2の層(12)は、構造化フィルム及び/又はエアー若しくはガス-クッションフィルム及び/又は発泡体及び/又は織布及び/又は不織布材料、特にフリース及び/又はフェルト及び/又は繊維及び/又は中空繊維として形成されることを特徴とする、
請求項1~13のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項15】
前記少なくとも1つの第2の層(12)は、格子構造及び/又はハニカム構造及び/又はダイヤモンド形状構造を有することを特徴とする、
請求項1~14のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項16】
前記少なくとも1つの第2の層(12)は、いくつかの繊維を含み、特に、前記繊維は、異なる厚さ及び/又は構造を有することを特徴とする、
請求項1~15のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項17】
前記少なくとも1つの第2の層(12)は、2つ以上のチャンバを形成する支持構造体を有し、前記チャンバは、前記支持構造体によって画定されることを特徴とする、
請求項1~16のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項18】
前記支持構造体は、1μm~1000μm、特に10μm~100μmの範囲の厚さを有する繊維を含み、及び/又は前記支持構造体は気密ポリマー構造体として形成されることを特徴とする、
請求項17に記載の断熱材料。
【請求項19】
前記2つ以上のチャンバは、1μm~100μm、特に5μm~20μmの範囲の厚さを有するいくつかの繊維、及び/又は少なくとも1つのガスで充填されることを特徴とする、
請求項17又は18のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項20】
前記少なくとも1つの第2の層(12)は、無機難燃剤、不活性ガス、希ガス、無機蒸着、物理的に作用する難燃剤、化学的に作用する難燃剤から選択される少なくとも1つの難燃剤又は難燃剤の組合せを含むことを特徴とする、
請求項1~19のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項21】
前記少なくとも1つの難燃剤は水酸化アルミニウムAl(OH)
3を有し、これは好ましくは、前記断熱材料(1)、特に前記少なくとも1つの第1の層(11)をリサイクルするプロセス中にアルミニウムを含む反射層(13)から形成されることを特徴とする、
請求項20に記載の断熱材料。
【請求項22】
前記ポリマー成分は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PA(ポリアミド)、バイオポリマーから選択される材料又は材料の組合せを含むことを特徴とする、
請求項1~21のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項23】
前記ポリマー成分は、75%~100%、好ましくは95%~100%の範囲の純度を有することを特徴とする、
請求項1~22のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項24】
前記断熱材料(1)は、2~30の層、特に5~15の多数の層を有し、特に、前記断熱材料(1)は、前記少なくとも1つの第1の層(11)を1回又は複数回含む、及び/又は前記少なくとも1つの第2の層(12)を1回又は複数回含むことを特徴とする、
請求項1~23のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項25】
前記断熱材料(1)は、1mm~120mm、特に5mm~50mmの範囲の厚さを有することを特徴とする、
請求項1~24のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項26】
前記断熱材料(1)は、少なくとも1つの他のリサイクル可能な異物を有し、特に、前記少なくとも1つの異物は、特に天然物質、プラスチック及び/又は金属で作られた成形部品及び/又はパネル、自動車部門用の複合材料要素、支持要素、クラッディング要素、従来の熱遮断材料、発泡体、鉱物繊維、製紙パルプ、樹皮パルプ、コルクマット、木質繊維マットから選択される物質及び/又は物質の組合せを有することを特徴とする、
請求項1~25のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項27】
前記少なくとも1つの異物は、前記少なくとも1つの第1の層(11)及び/又は前記少なくとも1つの第2の層(12)から取り外し可能に配置されていることを特徴とする、
請求項26に記載の断熱材料。
【請求項28】
前記少なくとも1つの異物及び/又は前記少なくとも1つの第1の層(11)及び/又は前記少なくとも1つの第2の層(12)は、摩擦溶接、超音波溶接、レーザ溶接、熱溶接、接着結合、ステッチ、機械的タッキングから選択される方法及び/又は方法の組合せによって接合されることを特徴とする、
請求項1~27のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項29】
前記少なくとも1つの異物及び/又は前記少なくとも1つの第1の層(11)及び/又は前記少なくとも1つの第2の層(12)は、仮止めねじ、特にT端(T-end)仮止めねじ、ピン、針、釘、ねじ、リベット、スタッドから選択される接合要素又は接合要素の組合せによって接合されることを特徴とする、
請求項1~28のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項30】
前記断熱材料(1)は、特に穴、切込み及び/又は穿孔の形態の所定の開口部を有し、好ましくは、これらの開口部は、特定の物質に対して規定された透過性を有する膜として形成され、及び/又は、これらの開口部は、一方向のみの材料交換のための弁として形成されることを特徴とする、
請求項1~29のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項31】
前記断熱材料(1)は、前記開口部の領域に前記非混合ポリマー材料で作られた補強材を有することを特徴とする、
請求項30に記載の断熱材料。
【請求項32】
前記断熱材料(1)は、DIN EN ISO 11925-2及びDIN EN ISO 13501-1に従って標準化された燃焼試験(fire test)の標準火炎(standard flame)の熱下で、通常可燃性(normally flammable)の、特に「E」又はより良好な、火炎に対する反応分類(reaction to fire classification)を有することを特徴とする、
請求項1~31のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項33】
前記断熱材料(1)は、DIN 75200及び/又はFMVSS 302に従って標準化された燃焼試験(fire test)の標準火炎(standard flame)の熱下で0mm/分の燃焼速度を有し、特に、FMVSS 302に従ってSE/NBR又は「自己消火性(self-extinguishing)/燃焼速度なし(no burn rate)」として分類されることを特徴とする、
請求項1~32のいずれか一項に記載の断熱材料。
【請求項34】
以下の工程が、特に以下の順序:
a)上側及び下側を有する反射体層として少なくとも1つの第1の層(11)を提供する工程と、
b)少なくとも1つの第2の層(12)をスペーシング層として提供する工程と、
c)少なくとも2つの層を有する断熱材料(1)を得るために、前記少なくとも1つの第1の層(11)を前記少なくとも1つの第2の層(12)に接合する工程であって、前記少なくとも1つの第1の層(11)及び前記少なくとも1つの第2の層(12)は、いずれの場合もポリマー成分を有し、前記ポリマー成分は、非混合ポリマー材料から形成される、工程と、
で実施される、特に請求項1~33のいずれか一項に記載の断熱材料(1)の製造方法。
【請求項35】
工程a)の後かつ工程b)の前に、以下の工程:
d)少なくとも1つの反射層(13)、特に赤外線反射層、及び/又は少なくとも1つの吸収層(14)、特に赤外線吸収層を、前記少なくとも1つの第1の層(11)の前記上側及び/又は前記下側に適用する工程
が更に行われることを特徴とする、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
アルミニウム、特に銀若しくは金、又はこれらの金属の組合せ及び/若しくは合金は、工程d)において反射層(13)、特に赤外線反射層として適用されることを特徴とする、
請求項35に記載の方法。
【請求項37】
カーボンブラック及び/又はカーボン及び/又は金属及び/又は金属酸化物及び/又はバインダーは、工程d)において吸収層(14)、特に赤外線吸収層として適用されることを特徴とする、
請求項35又は36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
前記少なくとも1つの反射層(13)は、工程d)において、5nm~100μm、好ましくは5nm~200nm、特に好ましくは20nm~60nmの範囲の厚さで適用されることを特徴とする、
請求項35~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
工程d)における前記少なくとも1つの吸収層(14)は、5nm~100μm、好ましくは20nm~60nm、特に好ましくは2μm~6μmの範囲の厚さを有することを特徴とする、
請求項35~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記少なくとも1つの反射層(13)及び/又は前記少なくとも1つの吸収層(14)は、特に高真空中で、蒸着によって工程d)で適用されることを特徴とする、
請求項35~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
工程d)の前及び/又は後に、以下の工程:
e)特に高真空中での蒸着によって、及び/又は印刷法、特にグラビア印刷及び/又はスクリーン印刷及び/又はフレキソ印刷によって、少なくとも1つの阻止層を、前記少なくとも1つの第1の層及び/又は前記少なくとも1つの反射層(13)に適用する工程
が更に行われることを特徴とする、
請求項35~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
工程e)における前記少なくとも1つの阻止層は、非混合ポリマー、無機コーティング、酸化ケイ素(SiO
x)、二酸化ケイ素(SiO
2)から選択される材料又は材料の組合せを有することを特徴とする、
請求項41に記載の方法。
【請求項43】
工程c)の後に以下の工程:
f)前記断熱材料(1)に所定の開口部を導入する工程であって、特に前記開口部が穴、切込み及び/又は穿孔の形態で導入される、工程
が更に行われることを特徴とする、
請求項34~42のいずれか一項に記載の方法。
【請求項44】
前記開口部は、工程f)において、特定の物質に対して規定された透過性を有する膜として、及び/又は一方向のみの材料交換のための弁として、前記断熱材料(1)に導入されることを特徴とする、
請求項43に記載の方法。
【請求項45】
前記開口部に、工程f)において、前記非混合ポリマー材料から作られた補強材が提供されることを特徴とする、
請求項43又は44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記膜及び/又は弁及び/又は補強材は、工程f)において、熱的方法及び/又は接着結合によって、前記断熱材料(1)に、及び/又は前記断熱材料(1)内に固定されることを特徴とする、
請求項44又は45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
工程c)の後に以下の工程:
g)前記断熱材料(1)を少なくとも1つの他のリサイクル可能な異物に接合する工程であって、特に、前記少なくとも1つの異物は、特に天然物質、プラスチック及び/又は金属で作られた成形部品及び/又はパネル、自動車部門用の複合材料要素、支持要素、クラッディング要素、従来の熱遮断材料、発泡体、鉱物繊維、製紙パルプ、樹皮パルプ、コルクマット、木質繊維マットから選択される物質及び/又は物質の組合せを有する、工程
が更に行われることを特徴とする、
請求項34~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記少なくとも1つの異物は、工程g)において、前記少なくとも1つの第1の層(11)及び/又は前記少なくとも1つの第2の層(12)から取り外し可能に配置されることを特徴とする、
請求項47に記載の方法。
【請求項49】
前記少なくとも1つの異物が、工程g)において、摩擦溶接、超音波溶接、レーザ溶接、熱溶接、接着結合、ステッチ、機械的タッキングから選択される方法及び/又は方法の組合せによって前記断熱材料(1)に接合されることを特徴とする、
請求項47又は48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記少なくとも1つの異物は、工程g)において、仮止めねじ、特にT端仮止めねじ、ピン、針、釘、ねじ、リベット、スタッドから選択される接合要素又は接合要素の組合せによって前記断熱材料(1)に接合されることを特徴とする、
請求項47~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
工程c)において、前記第1の層(11)の1つ又は複数の重なりと前記第2の層(12)の1つ又は複数の重なりとが接合されて、前記断熱材料(1)を形成し、その結果、前記断熱材料(1)は、2~30層、特に5~15の多数の層を有することを特徴とする、
請求項34~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
設けられた前記少なくとも1つの第2の層、特にスペーシング層は、工程b)において、無機難燃剤、不活性ガス、希ガス、無機蒸着、物理的に作用する難燃剤、化学的に作用する難燃剤から選択される少なくとも1つの難燃剤又は難燃剤の組合せを含むことを特徴とする、
請求項34~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記少なくとも1つの難燃剤は水酸化アルミニウムを有し、水酸化アルミニウムは、好ましくは、前記断熱材料(1)、特に前記少なくとも1つの第1の層(11)をリサイクルするプロセス中にアルミニウムを含む前記反射層(13)及び/又は吸収層(14)から形成されることを特徴とする、
請求項52に記載の方法。
【請求項54】
前記断熱材料(1)は、工程c)における前記接合の前及び/又は間及び/又は後にガスで充填され、特に、前記ガスは、前記少なくとも1つの第2の層の支持構造体によって形成される2つ以上のチャンバに封入されることを特徴とする、
請求項34~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
特に請求項34~54に記載の方法で製造された、請求項1~33に記載の断熱材料(1)をリサイクルする方法であって、前記方法において、以下の工程が、特に以下の順序:
I)粉砕デバイスを用いて前記断熱材料(1)を粉砕する工程と、
II)洗浄装置によって前記粉砕された断熱材料(1)を洗浄する工程であって、洗浄液が使用され、無機成分が放出及び/又は沈殿及び/又は分離及び/又は回収され、その結果、非混合ポリマー材料が提供される、工程と、
によって実施される、
特に請求項34~54に記載の方法で製造された、請求項1~33に記載の断熱材料(1)をリサイクルする方法。
【請求項56】
工程II)において、水(H
2O)及び水酸化ナトリウム(NaOH)の混合物が洗浄液として使用されることを特徴とする、
請求項55に記載の方法。
【請求項57】
工程II)における前記無機成分はアルミニウムを含み、特に前記アルミニウムは前記断熱材料(1)の前記少なくとも1つの第1の層(11)の前記少なくとも1つの反射層(13)に由来し、前記アルミニウムは前記洗浄液、特に前記水及び前記水酸化ナトリウム溶液と、反応式
2Al+6H
2O+2NaOH→2Na[Al(OH)
4]+3H
2
に従って反応して、
アルミン酸ナトリウム溶液Na[Al(OH)
4]及び水素H
2を形成することを特徴とする、
請求項55又は56のいずれか一項に記載の方法。
【請求項58】
前記水素形成は、熱回収に送達されることを特徴とする、
請求項57に記載の方法。
【請求項59】
前記アルミン酸ナトリウム溶液Na[Al(OH)
4]は、工程II)において、反応式
Na[Al(OH)
4]+CO
2→Al(OH)
3+NaHCO
3
に従って、二酸化炭素、特に、排気ガス流から取り込まれる二酸化炭素と共に反応して、
水酸化アルミニウムAl(OH)
3及び炭酸水素ナトリウムNaHCO
3を形成することを特徴とする、
請求項57又は58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
工程II)の後に以下の工程:
III)前記非混合ポリマー材料を乾燥装置によって乾燥させる工程
が更に行われることを特徴とする、
請求項55~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記乾燥した非混合ポリマー材料が再び使用されて、前記断熱材料(1)の前記少なくとも1つの第1の層(11)及び/又は前記少なくとも1つの第2の層(12)を製造することを特徴とする、
請求項60に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、断熱材料、断熱材料の製造方法、及び断熱材料のリサイクル方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱遮断には熱遮断材料を用いることが知られている。ここで、繊維状断熱材料、発泡断熱材料及び多層断熱材(=MLI(multilayer insulation))の間に区別が引かれる。MLIの場合、いくつかの重なりの異なる層が重なり合って配置される。全ての熱遮断材料は、それらが全くリサイクル可能ではないか、又は非常に限られた程度でしかないという問題を共有する。廃棄は通常、燃焼又は埋め立て地で行われる。ここでは、大量の資源が破壊されるだけでなく、多くの有害物質も放出される。現在入手可能なMLI断熱材料は、多種多様な原料及び添加剤からなり、同等の製品のためのそのような断熱材料の回収を不経済又は不可能にする。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ここで、本発明の目的は、使用後に再び同等の断熱材料に加工され得る、リサイクル可能、持続可能かつ資源効率の高い断熱材料を特定することである。重量及び総層厚に対する断熱材料の効率は、更に高められるべきである。更に、断熱材料の化学的及び物理的抵抗も改善されるべきである。
【0004】
この目的は、少なくとも2つの層を有する断熱材料によって達成され、少なくとも1つの第1の層は反射体層として形成され、少なくとも1つの第2の層はスペーシング層(spacing layer)として形成され、少なくとも1つの第1の層及び少なくとも1つの第2の層はそれぞれポリマー成分を有し、ポリマー成分は非混合ポリマー材料から形成される。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、以下の工程が、特に以下の順序:
a)上側及び下側を有する反射体層として少なくとも1つの第1の層を提供する工程と、
b)少なくとも1つの第2の層をスペーシング層として提供する工程と、
c)少なくとも2つの層を有する断熱材料を得るために、少なくとも1つの第1の層を少なくとも1つの第2の層に接合する工程であって、少なくとも1つの第1の層及び少なくとも1つの第2の層は、いずれの場合もポリマー成分を有し、ポリマー成分は、非混合ポリマー材料から形成される、工程と、
で実施される、特に請求項1~33に記載の断熱材料の製造方法によって、更に達成される。
【0006】
この目的は、方法において、以下の工程が、特に以下の順序:
I)粉砕デバイスを用いて断熱材料を粉砕する工程と、
II)洗浄装置によって粉砕された断熱材料を洗浄する工程であって、洗浄液が使用され、無機成分が放出及び/又は沈殿及び/又は分離及び/又は回収され、その結果、非混合ポリマー材料が提供される、工程と、
によって実施される、特に請求項34~54に記載の方法で製造された、特に請求項1~33に記載の断熱材料をリサイクルする方法によって、更に達成される。
【0007】
ここで、本発明による断熱材料、本発明による断熱材料を製造するための方法及び本発明による断熱材料をリサイクルするための方法を通して、ほぼ完全にリサイクルされ得る断熱材料が得られ、それから得られた生成物が再度使用されて、断熱材料を製造することができることが示された。混合されていない状態のために、常に同じままである製品品質も保証される。少なくとも1つの第1の層及び少なくとも1つの第2の層は、非混合ポリマー材料で作られたポリマー成分を有するため、個々の層の複雑な分離がリサイクル中に省かれ得る。したがって、断熱材料は、直接粉砕され得る。これは、リサイクルプロセスの効率を高め、更に、極めて経済的なリサイクル方法を表す。
【0008】
本発明の更なる有利な設計は、従属請求項に記載されている。
【0009】
多層断熱材又はMLIは、多層熱遮断材料を意味する。
【0010】
反射体層は、反射材料、特に赤外線反射材料で片面又は両面にコーティング又は蒸着された層、特にポリマー層及び/又はフィルムを意味する。反射材料は、無機及び/又は金属であり得る。
【0011】
スペーシング層は、層間の空間的分離を表す層を意味する。これにより、層は一定の距離に保たれ、層間の空気の移動が最小限に抑えられる。したがって、それは熱分離、又は断熱又は断熱することである。スペーシング層は、好ましくはポリマー成分を有する。スペーシング層が非ポリマー成分を有することも可能である。
【0012】
ポリマー成分は、繊維及びフィルムを形成するように加工され得るポリマー、例えばPET、PE、PP、PA及び/又はバイオポリマー等を意味する。
【0013】
非混合は、少なくとも1つの第1の層又は反射体層と、少なくとも1つの第2の層又はスペーシング層とが、同じポリマー材料又は同じポリマー成分を有することを意味する。ポリマー成分は、混合されていない状態であるため、同等の生成物を生成するために回収され得る。
【0014】
無機成分は、反射層、特に赤外線反射層、無機難燃性物質及びリサイクルプロセスからの不純物に由来する全ての非ポリマー成分を意味する。
【0015】
異物は、別個のリサイクル流に送達される、断熱材料に接合された材料を意味する。
【0016】
好ましくは、少なくとも1つの第1の層は、3μm~250μm、特に10μm~55μmの範囲の層厚を有することが可能である。
【0017】
特に、少なくとも1つの第1の層が上側及び下側を有し、少なくとも1つの反射層、特に赤外線反射層が、少なくとも1つの第1の層の上側及び/又は下側に適用されることが提供され得る。上側は、常に、断熱材料の外側表面に向けられた表面を意味する。少なくとも1つの第1の層が断熱材料の内側にも配置される場合があり得る。この場合、断熱材料の中心からの距離が小さい側を常に下側とする。その場合、反対側は上側として定義される。少なくとも1つの反射層は、入射放射、特に赤外放射及び/又は熱放射を反射するのに役立つ。入射放射が反射されるため、断熱材料の断熱特性が大幅に改善される。
【0018】
好ましくは、少なくとも1つの反射層、特に赤外線反射層は、材料として、アルミニウム、銀、金から選択される金属を、個々にあるいは組み合わせて及び/又は合金として含むことが可能である。少なくとも1つの反射層、特に赤外線反射層は、追加的又は代替的に、金属顔料及び/又はPVD顔料を有し得る。
【0019】
特に、少なくとも1つのバインダーは、反射層の成分、特に印刷法によって反射層を適用するための顔料及び/又は粒子を結合するために必要である。少なくとも1つのバインダーが、例えばポリエステルに基づくポリマー、好ましくは非混合ポリマーを有することが好ましく提供される。
【0020】
特に、アルミニウムが反射層、特に赤外線反射層として使用される場合、リサイクルプロセス中にアルミニウムが回収され得るという利点が生じる。以下で更に説明するように、断熱材料の製造中に難燃剤として少なくとも1つの第2の層に導入され得る水酸化アルミニウムは、アルミニウムから得られる。更に、アルミニウムは、費用効果が高く、特に真空中で蒸着によって少なくとも1つの第1の層上に均一に堆積され得るという利点を提供する。
【0021】
特に、少なくとも1つの反射層、特に赤外線反射層が、10%~97%、好ましくは60%~97%の割合で入射放射、特に赤外放射を反射することが提供される。特に、反射層、特に赤外線反射層を有するいくつかの第1の層が使用される場合、入射放射に対する層の全体的な複合材料における反射効果が最大97%まで増加され得る。
【0022】
少なくとも1つの吸収層、特に赤外線吸収層が、少なくとも1つの第1の層の上側及び/又は下側に適用されることも可能である。上側及び下側の定義に関しては、上記と同じ記述を適用する。少なくとも1つの第1の層が上側に反射層を有し、下側に吸収層を有する場合、又はその逆の場合は有利である。これにより、日射によるファサードの加熱を妨げるという従来のファサード断熱材料の欠点が低減され得ることが示されている。
【0023】
少なくとも1つの吸収層、特に赤外線吸収層は、カーボンブラック、カーボン、バインダー、金属、金属酸化物から選択される材料又は材料の組合せを含むことが可能であることが好ましい。
【0024】
吸収層の吸収カーボンブラック及び/又はカーボンを結合するために、少なくとも1つのバインダーが必要であることが好ましく提供される。バインダーは、好ましくはポリマー、特に例えばポリエステルをベースとする非混合ポリマーを含む。
【0025】
カーボンブラック及び/又は炭素は、リサイクルプロセスにおいてフローテーションによって分離され、調製後に吸収層として再び使用され得ることが好ましく提供される。
【0026】
少なくとも1つの吸収層、特に赤外線吸収層が、5%~96%、好ましくは75%~96%の割合で入射放射、特に赤外放射を吸収することが可能であり得る。特に、いくつかの吸収層が使用される場合、層の複合材料全体における吸収効果は、吸収層の重ね合わせによって増加され得る。
【0027】
好ましくは、少なくとも1つの反射層、特に赤外線反射層は、5nm~100μmの範囲の厚さを有することが可能である。特に、高真空中で蒸着された金属及び/又は金属酸化物から作られた反射層は、5nm~200nm、特に20nm~60nmの厚さを有する。印刷法、特にグラビア印刷及び/又はスクリーン印刷及び/又はフレキソ印刷によって適用された金属顔料及び/又はPVD顔料を有する反射コーティングは、2μm~100μm、特に2μm~6μmの厚さを有する。
【0028】
少なくとも1つの吸収層、特に赤外線吸収層は、5nm~100μmの範囲の厚さを有することが可能であることが好ましい。特に、高真空中で蒸着された金属及び/又は金属酸化物から作られた吸収層は、5nm~200nm、特に20nm~60nmの厚さを有する。印刷法、特にグラビア印刷及び/又はスクリーン印刷及び/又はフレキソ印刷によって適用される、カーボンブラック及び/又はカーボンを有する吸収性コーティングは、2μm~100μm、特に2μm~6μmの厚さを有する。
【0029】
少なくとも1つの第1の層が、耐食性を改善するために、好ましくは反射層の上及び/又は下に配置される少なくとも1つの阻止層(inhibiting layer)を有することも可能であり得る。阻止層は、少なくとも1つの反射層の耐食性を改善する抑制剤で作られた層を意味する。特に、少なくとも1つの阻止層は、非混合ポリマー、無機コーティング、酸化ケイ素(SiOx)、二酸化ケイ素(SiO2)から選択される材料又は材料の組合せを有することが提供される。
【0030】
少なくとも1つのバインダーが、阻止層の成分、特に、印刷法によって阻止層を適用するための顔料及び/又は粒子を結合するために提供されることが好ましく提供される。少なくとも1つのバインダーは、好ましくはポリマー、好ましくは例えばポリエステルに基づく非混合ポリマーである。
【0031】
少なくとも1つの第2の層は、0.5mm~120mm、特に2mm~5mmの範囲の厚さを有し、及び/又は10g/m2~2000g/m2、特に50g/m2~200g/m2の範囲の表面重量を有することが好ましく提供される。
【0032】
例えば、少なくとも1つの第2の層は、構造化フィルム及び/又はエアー又はガス-クッションフィルム及び/又は発泡体及び/又は織布及び/又は不織布材料、特にフリース及び/又はフェルト及び/又は繊維及び/又は中空繊維として形成されることが可能である。
【0033】
不織材料とは、ここでは、紡糸、切断及び/又は敷設される繊維で作られた全ての複合材料を意味する。織布複合材料は、不織布という用語に該当しない。少なくとも1つの第2の層はまた、異なる構造の組合せ、例えば織布及びフリースの組合せ、並びに/あるいはフリースのいくつかの重なりを含むことができる。異なる構造の組合せにより、断熱材料の可撓性が個別に適合され得る。したがって、断熱材料は、例えば、薄く、厚く、可撓性及び/又は剛性にされ得、異なる使用分野に特異的に設計され得る。例えば、断熱材料の特定の柔軟性は、パイプのクラッディングに有利であるが、非常に剛性の断熱材料が、例えば住宅壁のクラッディングに使用され得る。
【0034】
特に、少なくとも1つの第2の層は、格子構造及び/又はハニカム構造及び/又はダイヤモンド形状の構造を有することが可能である。これらの構造は、支持構造体として機能し、少なくとも1つの第2の層の一定の強度を保証する。更に、構造によって形成された空洞及び/又はチャンバは、結果として断熱効果を改善するために、ガス及び/又は他の物質で充填され得る。
【0035】
好ましくは、少なくとも1つの第2の層がいくつかの繊維を含み、特に繊維が異なる厚さ及び/又は構造を有することも提供される。少なくとも1つの第2の層が、2つ以上のチャンバを形成する支持構造体を有することも可能であり、チャンバは支持構造体によって区切られる。これらの支持構造体は、断熱材料の強度及び/又は剛性を増加させる。支持構造体が1μm~1000μm、特に10μm~100μmの範囲の厚さを有する繊維を含む場合、及び/又は支持構造体が気密ポリマー構造体として形成される場合が有利である。
【0036】
2つ以上のチャンバは、1μm~100μm、特に5μm~20μmの範囲の厚さを有するいくつかの繊維、及び/又は少なくとも1つのガスで充填されることも提供され得る。例えば、ここでは気体として空気が使用され得る。効率を高めるために、チャンバはまた、空気よりも低い熱伝導率を有するガスで充填され得る。そのようなガスは、例えば、アルゴン、クリプトン、キセノン及び/又は二酸化炭素である。好ましくは、少なくとも1つの第1の層と少なくとも1つの第2の層との間の断熱材料が少なくとも1つのガスで充填されることも可能である。このために、少なくとも1つの第1の層が、少なくとも1つの第2の層に線状の気密な継ぎ目で接合され、特に、継ぎ目が、少なくとも1つの第1の層及び少なくとも1つの第2の層の表面並びに継ぎ目によって画定される少なくとも1つのチャンバを形成することが好ましく提供される。ガスを同じ種類の2つの重なりの間、例えば、一方が他方の上に配置された2つの第1の層の間、及び/又は一方が他方の上に配置された2つの第2の層の間に入れることも可能であり得る。
【0037】
少なくとも1つの第2の層が、無機難燃剤、不活性ガス、希ガス、無機蒸着、物理的に作用する難燃剤、化学的に作用する難燃剤から選択される少なくとも1つの難燃剤又は難燃剤の組合せを含むことも可能であり得る。特に、少なくとも1つの難燃剤は、断熱材料、特に少なくとも1つの第1の層をリサイクルするプロセス中にアルミニウムを含む反射層から好ましく形成される水酸化アルミニウムAl(OH)3を有することが提供される。反射層のアルミニウムが更に処理されて、水酸化ナトリウム溶液を添加し、次いで二酸化炭素を添加することによって水酸化アルミニウムを形成する。したがって、形成された水酸化アルミニウムは、再び難燃剤として機能することができる。したがって、水酸化アルミニウムの使用は、それに必要なアルミニウムが断熱材料のリサイクルプロセスから得られるので、極めて資源効率的で環境に優しい。
【0038】
ポリマー成分は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PA(ポリアミド)、バイオポリマーから選択される材料又は材料の組合せを含むことが好ましく提供される。原則として、フィルムの形成及び繊維の形成の両方のために数サイクルで処理され得るこれらのポリマー材料が適している。少なくとも1つの第1の層及び少なくとも1つの第2の層は、有利には同じ材料を有する。これにより、非混合のリサイクルが可能になり、その結果、品質に関して同等の製品が形成される。
【0039】
特に、ポリマー成分は、75%~100%、好ましくは95%~100%の範囲の純度を有することが提供される。特に、このような純度の場合、「非混合」が挙げられる。この純度は、断熱材料をリサイクルする方法において同等の製品が再び形成され得ることを保証する。
【0040】
好ましくは、断熱材料は、2~30層、特に5~15の多数の層を有することも可能であり、特に、断熱材料は、少なくとも1つの第1の層を1回又は複数回含む、及び/又は少なくとも1つの第2の層を1回又は複数回含む。したがって、断熱材料は、いくつかの第1の層及びいくつかの第2の層から形成されることが可能である。いくつかの第1の層は、異なる層厚を有することができ、異なるようにコーティングされ得る。例えば、1つの第1の層が反射層及び吸収層の両方を有し、別の第1の層が2つの反射層を有することが可能である。いくつかの第1の層又は第2の層が、互いに重なって配置されることも可能である。この配置により、断熱材料は、その強度、柔軟性及び剛性の点で影響され得、様々な使用分野に適合され得る。
【0041】
特に、断熱材料は、1mm~120mm、特に5mm~50mmの範囲の厚さを有することが提供される。
【0042】
断熱材料は、少なくとも1つの他のリサイクル可能な異物を有することが可能であり得、特に、少なくとも1つの異物は、特に天然物質、プラスチック及び/又は金属で作られた成形部品及び/又はパネル、自動車部門用の複合材料要素、支持要素、クラッディング要素、従来の断熱材料、発泡体、鉱物繊維、製紙パルプ、樹皮パルプ、コルクマット、木質繊維マットから選択される物質及び/又は物質の組合せを有する。
【0043】
少なくとも1つの異物は、少なくとも1つの第1の層及び/又は少なくとも1つの第2の層から取り外し可能に配置されることが好ましく提供される。これにより、断熱材料をリサイクルするプロセスの前に、例えば粉砕プロセスの下流の空気分離プロセスによって、異物を断熱材料から容易に分離され得ることが達成される。次いで、異物は別個のリサイクルプロセスに送達され得、断熱材料は非混合で回収され得る。
【0044】
特に、少なくとも1つの異物及び/又は少なくとも1つの第1の層及び/又は少なくとも1つの第2の層が、摩擦溶接、超音波溶接、レーザ溶接、熱溶接、接着結合、ステッチ、機械的タッキングから選択される方法及び/又は方法の組合せによって接合されることが可能である。
【0045】
少なくとも1つの異物及び/又は少なくとも1つの第1の層及び/又は少なくとも1つの第2の層は、仮止めねじ、特にT端(T-end)仮止めねじ、ピン、針、釘、ねじ、リベット、スタッドから選択される接合要素又は接合要素の組合せによって接合されることが好ましく提供される。
【0046】
特に、断熱材料は、特に穴、切れ目及び/又は穿孔の形態の所定の開口部を有することが可能であり、好ましくは、これらの開口部は、特定の物質に対して規定された透過性を有する膜として形成され、及び/又はこれらの開口部は、一方向のみの材料交換のための弁として形成される。所定の開口部を通して、更に、例えばブラケット、パイプ、ケーブル等の構成要素が、簡単な方法で断熱材料を通して案内され得ることが可能である。これは、取扱い及び嵌合が実質的に容易になる。更に、開口部、特に膜及び/又は弁を通して、ガス、空気、水蒸気及び/又は水の形態の物質の、環境との交換を保証することが可能である。この態様は、それ自体が異なる温度又は相対湿度を有する物理的空間が壁を介してこの断熱材料と接合され、凝縮物の形成が防止されるべきである場合に重要である。他の場合では、そのような断熱材料が、例えば、対応する加熱要素を有し、水の排水/搬送が不可欠である、芝生構造に設置される場合、開口部は理にかなっている。そのような水の排水/運搬は、例えば雨又は雪の形態の沈殿によってもたらされる。
【0047】
断熱材料は、開口部の領域内に非混合ポリマー材料で作られた補強材を有することも可能であり得る。これにより、断熱材料の安定性の増加が開口部の領域で保証され、それによって、例えば構成要素が取り扱われ、案内されるときに、開口部の領域で起こり得る損傷が防止される。
【0048】
断熱材料は、DIN EN ISO 11925-2及びDIN EN ISO 13501-1に従って標準化された燃焼試験(fire test)の標準火炎(standard flame)の熱下で、通常可燃性(normally flammable)の、特に「E」又はより良好な、火炎に対する反応分類(reaction to fire classification)を有することが好ましく提供される。燃焼試験及び分類の性能は、図面を用いて以下で更に詳細に説明される。
【0049】
好ましくは、断熱材料は、DIN 75200及び/又はFMVSS 302に従って標準化された燃焼試験(fire test)の標準火炎(standard flame)の熱下で0mm/分の燃焼速度を有すること、特にFMVSS 302に従ってSE/NBR又は「自己消火性(self-extinguishing)/燃焼速度なし(no burn rate)」として分類されることも可能である。燃焼試験及び分類の性能は、図面を用いて以下で更に詳細に説明される。
【0050】
好ましい実施形態では、少なくとも1つの第1の層及び/又は少なくとも1つの第2の層が、スペーシング層及び反射体層として形成されることも提供され得る。この場合、構造化蒸着フィルム又は蒸着エアー/ガスクッションフィルムであることが好ましい。フィルムの表面は、押出プロセスにおいて構造化ローラを介して改質又は構造化され得る。プロセスにおいて、構造は、それらの隆起及び/又は窪みのためにスペーサとして機能する構造を形成する。これらの構造は、好ましくは粗面を有する。この粗面の助けを借りて、断熱材料は、この粗面がアンカーとして作用することができ、したがって断熱材料の容易な摺動が抑制されるので、ターゲット材料に良好に付着され得る。
【0051】
例えば、少なくとも1つの第1の層及び少なくとも1つの第2の層が、それらの温度の上昇及び結果として生じる凝集状態のために、製造中に既に互いに接合することも可能であり得る。例えば、少なくとも1つの第1の層が押出プロセスに由来し、少なくとも1つの第2の層がメルトブローンプロセスによって製造されることが可能である。少なくとも1つの第1の層の少なくとも1つの第2の層への接合を保証するために、2つの製造プロセスは互いに組み合わされ、その結果、2つの層は、押出プロセス及びメルトブローンプロセスの直後に互いに接合される。結果として得られる断熱材料は、異なる所望の数の重なりで一緒に組み立てられ、接合されるだけでよい。
【0052】
特に、工程a)の後かつ工程b)の前に、以下の工程:
d)少なくとも1つの反射層、特に赤外線反射層、及び/又は少なくとも1つの吸収層、特に赤外線吸収層を、少なくとも1つの第1の層の上側及び/又は下側に適用する工程
が更に行われることが提供される。
【0053】
少なくとも1つの第1の層の製造中にこの工程が既に実行されることも可能であり得る。この場合、工程a)において、反射層及び/又は吸収層で既にコーティングされた第1の層が次いで提供される。
【0054】
特に、アルミニウム、特に銀若しくは金、又はこれらの金属の組合せ及び/若しくは合金を、工程d)において反射層、特に赤外線反射層として適用されることが可能である。金属顔料及び/又はPVD顔料は、特に印刷法、特にグラビア印刷及び/又はスクリーン印刷及び/又はフレキソ印刷によって、反射層、特に赤外線反射層として適用されることも可能であり得る。
【0055】
カーボンブラック及び/又はカーボン及び/又は金属及び/又は金属酸化物及び/又はバインダーは、工程d)において吸収層、特に赤外線吸収層として適用されることも可能であり得る。少なくとも1つの吸収層、特に赤外線吸収層は、印刷方法、特にグラビア印刷及び/又はスクリーン印刷及び/又はフレキソ印刷によって工程d)で適用されることが好ましく提供される。工程d)で吸収層、特に赤外線吸収層として金属及び/又は金属酸化物が適用される場合、これらは高真空中で蒸着によって適用されることが好ましい。
【0056】
少なくとも1つの反射層は、工程d)において、5nm~100μm、好ましくは5nm~200nm、特に好ましくは20nm~60nmの範囲の厚さで適用されることが可能であることが好ましい。特に、高真空中で蒸着された金属及び/又は金属酸化物から作られた反射層は、5nm~200nm、特に20nm~60nmの範囲の厚さを有する。印刷法、特にグラビア印刷及び/又はスクリーン印刷及び/又はフレキソ印刷によって適用された金属顔料及び/又はPVD顔料を有する反射コーティングは、2μm~100μm、特に2μm~6μmの範囲の厚さを有する。
【0057】
特に、少なくとも1つのバインダーは、反射層の成分、特に印刷法によって反射層を適用するための顔料及び/又は粒子を結合するために必要である。少なくとも1つのバインダーが、例えばポリエステルに基づくポリマー、好ましくは非混合ポリマーを有することが好ましく提供される。
【0058】
少なくとも1つの吸収層、特に赤外線吸収層は、工程d)において、5nm~100μm、好ましくは20nm~60nm、特に好ましくは2μm~6μmの範囲の厚さで適用されることが好ましく可能である。特に、高真空中で蒸着された金属及び/又は金属酸化物から作られた吸収層は、5nm~200nm、特に20nm~60nmの範囲の厚さを有する。印刷法、特にグラビア印刷及び/又はスクリーン印刷及び/又はフレキソ印刷によって適用される、カーボンブラック及び/又はカーボンを有する吸収性コーティングは、2μm~100μm、特に2μm~6μmの範囲の厚さで適用される。
【0059】
少なくとも1つの反射層及び/又は少なくとも1つの吸収層は、特に高真空中で蒸着によって工程d)で適用されることも可能であり得る。特に薄い層厚は、このような蒸着によって実現され得る。加えて、それによって均一な適用が可能になる。
【0060】
少なくとも1つの吸収層は、印刷法、特にグラビア印刷及び/又はスクリーン印刷及び/又はフレキソ印刷によって適用されることも可能であり得る。
【0061】
特に、少なくとも1つのバインダーは、特に吸収層の吸収カーボンブラック及び/又はカーボンを結合するために必要である。少なくとも1つのバインダーが、例えばポリエステルに基づくポリマー、好ましくは非混合ポリマーを有することが好ましく提供される。
【0062】
好ましくは、工程d)の前及び/又は後に以下の工程:
e)特に高真空中での蒸着によって、及び/又は印刷法、特にグラビア印刷及び/又はスクリーン印刷及び/又はフレキソ印刷によって、少なくとも1つの阻止層を少なくとも1つの反射層に適用する工程
が更に実行されることが可能であり得る。
【0063】
阻止層を介して防食がもたらされ、断熱材料をより耐久性にする。少なくとも1つの阻止層の適用は、少なくとも1つの第1の層の製造中に既に行われていることが好ましく提供される。
【0064】
工程e)における少なくとも1つの阻止層が、非混合ポリマー、無機コーティング、酸化ケイ素(SiOx)、二酸化ケイ素(SiO2)から選択される材料又は材料の組合せを有することも好ましく可能である。
【0065】
特に、少なくとも1つのバインダーは、阻止層の成分、特に印刷法によって阻止層を適用するための顔料及び/又は粒子を結合するために必要である。少なくとも1つのバインダーが、例えばポリエステルに基づくポリマー、好ましくは非混合ポリマーを有することが好ましく提供される。
【0066】
特に、工程c)の後に以下の工程:
f)断熱材料に所定の開口部を導入する工程であって、特に開口部は、穴、切込み、及び/又は穿孔の形態で導入される、工程
が更に実行されることが提供される。
【0067】
既に上述したように、開口部を通して、例えばブラケット、パイプ、ケーブル等の構成要素を断熱材料を通して簡単な方法で案内することが可能である。
【0068】
特定の物質に対して規定された透過性を有する膜として、及び/又は一方向のみの材料交換のための弁として、工程f)において開口部が、断熱材料に導入されることも可能であり得る。
【0069】
開口部に、工程f)において、非混合ポリマー材料で作られた補強材が提供されることが好ましく提供される。
【0070】
膜及び/又は弁及び/又は補強材は、熱的方法及び/又は接着結合によって工程f)の断熱材料に及び/又は断熱材料内に固定されることも可能であり得る。その結果、断熱材料との強固な結合を形成し、弁又は膜は断熱材料に対して封止される。
【0071】
工程c)の後に以下の工程:
g)断熱材料を少なくとも1つの他のリサイクル可能な異物に接合する工程であって、特に、少なくとも1つの異物は、特に天然物質、プラスチック及び/又は金属で作られた成形部品及び/又はパネル、自動車部門用の複合材料要素、支持要素、クラッディング要素、従来の熱遮断材料、発泡体、鉱物繊維、製紙パルプ、樹皮パルプ、コルクマット、木質繊維マットから選択される物質及び/又は物質の組合せを有する、工程
が更に行われることが好ましく可能である。
【0072】
少なくとも1つの異物は、工程g)において、少なくとも1つの第1の層及び/又は少なくとも1つの第2の層から取り外し可能に配置されることが好ましく提供される。既に上述したように、断熱材料をリサイクルするプロセスの前に、異物は断熱材料から分離され得る。結果として、断熱材料の非混合のリサイクルが可能になり、異物は別個のリサイクルプロセスに送達され得る。
【0073】
特に、少なくとも1つの異物は、工程g)において、摩擦溶接、超音波溶接、レーザ溶接、熱溶接、接着結合、ステッチ、機械的タッキングから選択される方法及び/又は方法の組合せによって断熱材料に接合されることが可能である。
【0074】
工程g)において、少なくとも1つの異物が、仮止めねじ、特にT端仮止めねじ、ピン、針、釘、ねじ、リベット、スタッドから選択される接合要素又は接合要素の組合せによって断熱材料に接合されることも可能であり得る。これらの接合要素は、原則として解放が容易であり、その結果、異物が断熱材料から容易に分離され得、異物が別個のリサイクルプロセスに送達され得る。
【0075】
好ましくは、工程c)において、第1の層の1つ又は複数の重なり及び第2の層の1つ又は複数の重なりが接合されて断熱材料を形成することが可能であり、その結果、断熱材料は2~30層、特に5~15の多数の層を有する。特に、少なくとも1つの第1の層及び少なくとも1つの第2の層は、工程c)において上下に配置されることが提供される。既に上述したように、異なる重なりの組合せにより、断熱材料の強度、柔軟性、及び剛性がそれぞれの意図される用途に適合され得る。
【0076】
設けられた少なくとも1つの第2の層、特にスペーシング層が、工程b)において、無機難燃剤、不活性ガス、希ガス、無機蒸着、物理的に作用する難燃剤、化学的に作用する難燃剤から選択される少なくとも1つの難燃剤又は難燃剤の組合せを含むことも可能であり得る。
【0077】
少なくとも1つの難燃剤は、断熱材料、特に少なくとも1つの第1の層をリサイクルするプロセス中にアルミニウムを含む反射層から好ましく形成される水酸化アルミニウムを有することが好ましく可能である。既に上述したように、水酸化アルミニウムのアルミニウムは、リサイクル中に少なくとも1つの反射層から得られ、水酸化ナトリウム溶液及び二酸化炭素を添加することによって水酸化アルミニウムを形成するために更に処理される。
【0078】
特に、断熱材料は、工程c)における接合の前及び/又は間及び/又は後にガスで充填され、特に、ガスは、少なくとも1つの第2の層の支持構造体によって形成される2つ以上のチャンバに封入される。ガスが断熱材料の重なりの間にも導入されることも提供され得る。このために、特に、少なくとも1つの第1の層及び/又は少なくとも1つの第2の層が、例えば溶接によって、線状の気密な継ぎ目によって接合されることが提供される。継ぎ目は、少なくとも1つの第1の層及び少なくとも1つの第2の層の表面並びに継ぎ目によって画定される少なくとも1つのチャンバを形成することが好ましく提供される。これらのチャンバはガスで満たされることが好ましく提供される。
【0079】
好ましくは、断熱材料が、工程I)で切り刻まれ及び/又は切断され及び/又は細断され及び/又は引き裂かれることが可能である。
【0080】
特に、水(H2O)及び水酸化ナトリウム(NaOH)の混合物を工程II)の洗浄液として使用されることが可能である。
【0081】
工程II)の無機成分はアルミニウムを含み、特にアルミニウムは断熱材料の少なくとも1つの第1の層の少なくとも1つの反射層に由来し、アルミニウムは、反応式
2Al+6H2O+2NaOH→2Na[Al(OH)4]+3H2
に従って洗浄液、特に水及び水酸化ナトリウム溶液と反応して、
アルミン酸ナトリウム溶液Na[Al(OH)4]及び水素H2を形成することが好ましく提供される。
【0082】
水素形成が熱回収に送達されることも提供され得る。したがって、リサイクル方法の全ての生成物が回収され、これは特に環境に優しく資源効率的である。
【0083】
好ましくは、アルミン酸ナトリウム溶液Na[Al(OH)4]は、工程II)において、反応式
Na[Al(OH)4]+CO2→Al(OH)3+NaHCO3
に従って、二酸化炭素、特に、排気ガス流から取り込まれる二酸化炭素と共に反応して、水酸化アルミニウムAl(OH)3及び炭酸水素ナトリウムNaHCO3を形成することが可能である。反応に必要な二酸化炭素は排気ガス流から得られるため、この反応で二酸化炭素がほぼ完全に回収されるため、CO2フットプリントが大幅に低減され得る。炭酸水素ナトリウムNaHCO3は、例えば火災中に次いで起こる加熱中にCO2を放出するので、特に難燃剤として再び使用され得、したがって難燃性雰囲気を作り出す。
【0084】
形成された水酸化アルミニウムAl(OH)3及び炭酸水素ナトリウムNaHCO3が、難燃剤として再び使用されて新しい断熱材料を製造することが好ましく提供される。特に、水酸化アルミニウム及び炭酸水素ナトリウムは、少なくとも1つの第2の層の製造において難燃剤として使用されることが提供される。
【0085】
吸収層に由来するカーボンブラック及び/又はカーボンをフローテーションによって洗浄液から分離することが好ましく提供される。
【0086】
カーボンブラック及び/又はカーボンは、新しい断熱材料の吸収層に再び使用されることが好ましく提供される。
【0087】
特に、カーボンブラック及び/又はカーボンは、吸収層の製造に使用される。
【0088】
工程II)の後に以下の工程:
III)非混合ポリマー材料を乾燥装置によって乾燥させる工程
が更に実行されることも可能であり得る。
【0089】
乾燥した非混合ポリマー材料が再度使用されて、断熱材料の少なくとも1つの第1の層及び/又は少なくとも1つの第2の層を製造することが好ましく提供される。
【0090】
断熱材料は、輸送及び貯蔵中に温度に敏感な商品及び製品を保護するために、例えば航空宇宙産業、建築、自動車部門で使用される。これは、断熱材料の反射体層のために、宇宙旅行の分野で使用する場合に特に有利である。真空が空間内に広がり、その結果、断熱に関して熱放射が決定的な変数となる。反射体層は、この熱放射を反射することができる。
【0091】
以下では、本発明が、添付の図面を用いていくつかの実施形態の例を参照して例として説明される。したがって、示された実施形態の例は、限定的であると理解されるべきではない。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【
図2】第1の層の概略図、並びに放射に対する反射層及び吸収層の機能原理を示す図である。
【
図3】いくつかの重なりを有する例示的な断熱材料の分解図である。
【
図7】断熱材料をリサイクルするための方法の概略図である。
【
図8】断熱材料をリサイクルするための方法の概略図である。
【
図9】自動車における内部材料の燃焼挙動を決定するためのDIN 75200に従った試験設定を示す図である。
【
図10】自動車における内部材料の燃焼挙動を決定するためのDIN 75200によるサンプルを示す図である。
【
図11】DIN EN ISO 11925-2による試験設定を示す図である。
【
図12】DIN EN ISO 11925-2による試験設定の詳細図である。
【発明を実施するための形態】
【0093】
図1aは、第1の層11及び第2の層12を有する断熱材料1の概略図を示す。
【0094】
第1及び第2の層11、12は、いずれの場合もポリマー成分を有し、ポリマー成分は、非混合ポリマー材料から形成される。言い換えると、これは、第1の層11及び第2の層12が実質的に同じポリマー材料を有することを意味する。これは、断熱材料1がほぼ完全にリサイクルされ得、リサイクルされたポリマー材料形成から新しい断熱材料1が再び製造され得るという特定の利点を提供する。
【0095】
特に、ポリマー成分は、PET(ポリエチレンテレフタレート)、PP(ポリプロピレン)、PE(ポリエチレン)、PA(ポリアミド)、バイオポリマーから選択される材料又は材料の組合せを含むことが提供される。ポリマー成分が75%~100%、好ましくは95%~100%の範囲の純度を有することも好ましく可能である。このようなポリマー成分の純度は、断熱材料1のリサイクル後に、形成するポリマー材料が高純度を有し、出発生成物と同じ物理的及び/又は機械的及び/又は化学的特性も有することを保証する。
【0096】
断熱材料1の更なる実施形態の例が、
図1bに概略的に示されている。断熱材料1は、2つの第1の層11と、第2の層12とを有する。2つの第1の層11は、断熱材料1の外面を形成し、第2の層12は、2つの第1の層11の間のスペーシング層として配置される。
【0097】
断熱効果は、スペーシング層によって改善される。このために、例えば、スペーシング層の厚さが適合され得る。スペーシング層が厚く形成されるほど、その断熱効果は良好である。したがって、少なくとも1つの第2の層12は、0.5mm~120mm、特に2mm~5mmの範囲の厚さを有し、及び/又は10g/m2~2000g/m2、特に50g/m2~200g/m2の範囲の表面重量を有することが好ましく提供される。
【0098】
少なくとも1つの第2の層12は、構造化フィルム及び/又はエアー又はガス-クッションフィルム及び/又は発泡体及び/又は織布及び/又は不織布材料、特にフリース及び/又はフェルト及び/又は繊維及び/又は中空繊維として形成されることも好ましく可能である。
【0099】
第1の層11が
図2に概略的に示されており、第1の層11は、その上側に反射層13、特に赤外線反射層を有し、その下側に吸収層14、特に赤外線吸収層を有する。第1の層11は、好ましくは、高分子担体及び/又は高分子フィルムから形成される。
【0100】
更に、少なくとも1つの第1の層11は、3μm~250μm、特に10μm~55μmの範囲の層厚を有することが好ましく可能である。
【0101】
入射放射21及び反射放射22は、塗りつぶされていない矢印で上側に表されている。反射層13のために、入射放射21は、反射層13の表面に当たると反射され、特に反射放射22の反射角が入射放射21の入射角に対応する結果となる。しかしながら、入射放射21の一部は、反射層13にも放出される。放射された放射23は、塗りつぶされた矢印で表されている。この実施形態例に示す反射層13は、アルミニウムから作られた層である。この層は、製造プロセス中に、好ましくは蒸着、特に高真空によって堆積される。しかしながら、他の方法を用いて第1の層11が反射層13でコーティングされることも可能である。アルミニウムからなる反射層13は、断熱材料1のリサイクル中にアルミニウムが更に処理されて水酸化アルミニウムを形成し、これは、断熱材料1の第2の層12又はスペーシング層のための難燃剤として再び使用され得るという利点を提供する。反射層13が、材料として、アルミニウム、銀、金から選択される金属を、個々にあるいは組み合わせて及び/又は合金として含むことも好ましく可能である。
【0102】
図2の実施形態の例では、第1の層11は、その下側に吸収層14を有する。この吸収層14は、好ましくは、カーボンブラック及び/又はカーボン及び/又はバインダー及び/又は金属及び/又は金属酸化物から選択される材料又は材料の組合せを含む。
図2に示すように、入射放射21は、第1の層11の下側でほぼ完全に吸収され、全方向に放射する。放射された放射23は、黒塗りの矢印で表されている。したがって、熱遮断の有効性は、反射層及び吸収層の整列によって好ましい方向に操作され得る。
【0103】
特に、反射層13は、5nm~100μmの範囲の厚さを有することが提供される。特に、高真空中で蒸着された金属及び/又は金属酸化物から作られた反射層13は、5nm~200nm、特に20nm~60nmの厚さを有する。印刷法、特にグラビア印刷及び/又はスクリーン印刷及び/又はフレキソ印刷によって適用された金属顔料及び/又はPVD顔料を有する反射層13は、2μm~100μm、特に2μm~6μmの厚さを有する。
【0104】
特に、少なくとも1つのバインダーは、反射層13の成分、特に印刷法によって反射層13を適用するための顔料及び/又は粒子を結合するために必要である。少なくとも1つのバインダーは、例えばポリエステルに基づくポリマー、好ましくは非混合ポリマーを含むことが好ましく提供される。
【0105】
特に、吸収層14、特に赤外線吸収層は、5nm~100μmの範囲の厚さを有することが提供される。特に、高真空中で蒸着された金属及び/又は金属酸化物から作られる吸収層14は、5nm~200nm、特に20nm~60nmの厚さを有する。印刷法、特にグラビア印刷及び/又はスクリーン印刷及び/又はフレキソ印刷によって適用される、カーボンブラック及び/又はカーボンから作られる吸収層14は、2μm~100μm、特に2μm~6μmの厚さを有する。
【0106】
特に、少なくとも1つのバインダーは、特に吸収層14の吸収カーボンブラック及び/又は炭素を結合するために必要である。特に、少なくとも1つのバインダーは、例えばポリエステルに基づくポリマー、好ましくは非混合ポリマーを有することが提供される。
【0107】
図3は断熱材料1の概略的な分解図を示す。断熱材料1は、合計10の重なりを有し、2つの外側の重なりは、いずれの場合も反射体層の形態の第1の層11として形成される。反射体層は、第1の層11が少なくとも1つの反射層13、特に赤外線反射層を有することを意味する。2つの外側の重なりは、厚さ23μmのPETフィルムを有することが好ましい。2つの外側の重なりは、両側、すなわちそれらの上側及び下側に、厚さ30nmのアルミニウム蒸着で更にコーティングされる。このアルミニウム蒸着は、反射層13、特に赤外線反射層として作用する。
【0108】
内部の重なりは、第1の層11及び第2の層12の両方である。内部の第1の層11は、厚さ12μmのPETフィルムを有し、更に両面に厚さ30nmのアルミニウム蒸着が提供されている。ここでも、アルミニウム蒸着は、赤外放射を反射するために、反射層13として作用する。
【0109】
内部の第2の層12は、厚さ1mm及び表面重量70g/m2のPETフリースを有する。第2の層12には、14g/m2の表面重量を有する水酸化アルミニウムが更に提供される。ここで、水酸化アルミニウムは難燃剤として機能し、好ましくはリサイクルプロセス中に断熱材料1の反射層13から得られた。
【0110】
重なりの複合材料は、例えば超音波溶接等の摩擦溶接方法を使用して、及び/又は仮止めねじによって製造される。
【0111】
図4は、以下の工程が、特に以下の順序:
a)上側及び下側を有する反射体層として少なくとも1つの第1の層11を提供する工程と、
b)少なくとも1つの第2の層12をスペーシング層として提供する工程と、
c)少なくとも2つの層を有する断熱材料1を得るために、少なくとも1つの第1の層11を少なくとも1つの第2の層12に接合する工程であって、少なくとも1つの第1の層11及び少なくとも1つの第2の層12は、いずれの場合もポリマー成分を有し、ポリマー成分は、非混合ポリマー材料から形成される、工程と、
で実施される、断熱材料1の製造方法を示す。
【0112】
断熱材料1の製造において、同じポリマー材料が第1の層11及び第2の層12を製造するために使用され、特に、ポリマー材料が断熱材料1をリサイクルするプロセスに由来することが好ましく提供される。
【0113】
第1の層11及び第2の層12は、互いに独立して及び/又は異なる位置で製造されることが可能であり得る。しかしながら、第1の層11及び第2の層12の製造が同じ位置で行われ、二層11、12が続いて互いに接合されることも可能である。
【0114】
特に、工程c)において、第1の層11の1つ又は複数の重なり及び第2の層12の1つ又は複数の重なりが接合されて、断熱材料1を形成することが提供され、その結果、断熱材料1は2~30層、特に5~15の多数の層を有する。
【0115】
断熱材料1の製造方法の更なる実施形態の変形例が
図5に示される。これは、
図4に示す方法と実質的に同じ工程a)、b)及びc)を含むが、工程b)の後及び工程c)の前に以下の工程:
d)少なくとも1つの反射層13、特に赤外線反射層、及び/又は少なくとも1つの吸収層14、特に赤外線吸収層を、少なくとも1つの第1の層11の上側及び/又は下側に適用する工程
が更に実行される点が異なる。
【0116】
好ましい実施形態の変形例では、少なくとも1つの反射層13及び/又は少なくとも1つの吸収層14の適用は、少なくとも1つの第1のポリマー層11の製造中に既に行われることが可能である。
【0117】
特に、アルミニウム、特に銀若しくは金、又はこれらの金属の組合せ及び/若しくは合金が、工程d)において反射層13、特に赤外線反射層として適用されることが提供される。
【0118】
カーボンブラック及び/又はカーボン及び/又はバインダー及び/又は金属及び/又は金属酸化物が、工程d)において吸収層14、特に赤外線吸収層として適用されることが好ましく可能である。
【0119】
特に、少なくとも1つのバインダーは、特に吸収層14の吸収カーボンブラック及び/又は炭素を結合するために必要である。少なくとも1つのバインダーは、例えばポリエステルに基づくポリマー、好ましくは非混合ポリマーを含むことが好ましく提供される。
【0120】
更に、少なくとも1つの反射層13は、工程d)において5nm~100μmの範囲の厚さで適用されることが好ましく提供される。特に、高真空中で蒸着された金属及び/又は金属酸化物から作られた反射層13は、5nm~200nm、特に20nm~60nmの厚さを有する。印刷法、特にグラビア印刷及び/又はスクリーン印刷及び/又はフレキソ印刷によって適用された金属顔料及び/又はPVD顔料を有する反射層13は、2μm~100μm、特に2μm~6μmの厚さを有する。
【0121】
更に、少なくとも1つの吸収層14、特に赤外線吸収層が、工程d)において5nm~100μmの範囲の厚さで適用されることが好ましく提供される。特に、高真空中で蒸着された金属及び/又は金属酸化物から作られる吸収層14は、5nm~200nm、特に20nm~60nmの厚さを有する。印刷法、特にグラビア印刷及び/又はスクリーン印刷及び/又はフレキソ印刷によって適用される、カーボンブラック及び/又はカーボンを有する吸収層14は、2μm~100μm、特に2μm~6μmの厚さで適用される。
【0122】
少なくとも1つの反射層13及び/又は少なくとも1つの吸収層14は、特に高真空中で蒸着によって工程d)で適用されることも可能である。
【0123】
断熱材料1の製造方法の更なる実施形態の例が
図6に概略的に表される。方法は、
図5に示す方法に実質的に対応するが、工程d)の後に以下の工程:
e)特に高真空中での蒸着によって、及び/又は印刷法、特にグラビア印刷及び/又はスクリーン印刷及び/又はフレキソ印刷によって、少なくとも1つの阻止層を、少なくとも1つの第1の層11及び/又は少なくとも1つの反射層13に適用する工程
が更に実行される点が異なる。
【0124】
少なくとも1つの阻止層は、少なくとも1つの第1の層11、特に反射層13の耐食性を向上させる働きをする。
【0125】
工程e)における少なくとも1つの阻止層は、非混合ポリマー、無機コーティング、酸化ケイ素(SiOx)、二酸化ケイ素(SiO2)から選択される材料又は材料の組合せを有することが好ましく提供される。
【0126】
特に、少なくとも1つのバインダーは、阻止層の成分、特に印刷法によって阻止層を適用するための顔料及び/又は粒子を結合するために必要である。少なくとも1つのバインダーが、例えばポリエステルに基づくポリマー、好ましくは非混合ポリマーを有することが好ましく提供される。
【0127】
断熱材料1のリサイクル方法が
図7に示される。方法において、以下の工程が、特に以下の順序:
I)粉砕デバイスを用いて断熱材料1を粉砕する工程と、
II)洗浄装置によって粉砕された断熱材料1を洗浄する工程であって、洗浄液が使用され、無機成分が放出及び/又は沈殿及び/又は分離及び/又は回収され、その結果、非混合ポリマー材料が提供される、工程と、
によって実施される。
【0128】
例えば、カッティングミルが工程I)の粉砕デバイスとして使用され得る。
【0129】
好ましくは、断熱材料1が工程I)で切り刻まれ及び/又は切断され及び/又は細断され及び/又は引き裂かれることが可能である。
【0130】
水(H2O)及び水酸化ナトリウム(NaOH)の混合物が工程II)の洗浄液として使用されることが好ましく提供される。
【0131】
無機成分はアルミニウムを含み、特にアルミニウムは断熱材料1の少なくとも1つの第1の層11の少なくとも1つの反射層13に由来し、アルミニウムは洗浄液、特に水及び水酸化ナトリウムと、反応式
2Al+6H2O+2NaOH→2Na[Al(OH)4]+3H2
に従って反応して、アルミン酸ナトリウム溶液Na[Al(OH)4]及び水素H2を形成することは有利に示されている。
【0132】
特に、水素形成が熱回収に送達されることが可能である。したがって、水素は、他のプロセスのためのエネルギーキャリアとして使用され得る。したがって、断熱材料1をリサイクルする方法では、断熱材料1がリサイクルされるだけでなく、断熱材料1のリサイクルに必要な添加物も完全に再回収される。
【0133】
更に、アルミン酸ナトリウム溶液Na[Al(OH)4]は、工程II)において、反応式
Na[Al(OH)4]+CO2→Al(OH)3+NaHCO3
に従って、二酸化炭素CO2、特に、排気ガス流から取り込まれる二酸化炭素と共に反応して、水酸化アルミニウムAl(OH)3及び炭酸水素ナトリウムNaHCO3を形成することが好ましく提供される。二酸化炭素は、化石燃料の燃焼の生成物として形成し、得られた排気ガス流から取り出されることが好ましく提供される。したがって、生態学的に有害であると考えられる二酸化炭素は、水酸化アルミニウムの製造に利用され得る。この方法は特に生態学的であり、したがってCO2フットプリントが大幅に改善される。
【0134】
断熱材料1のリサイクル方法の更なる実施形態例が
図8に概略的に表される。この方法は、
図7に示される方法に対応するが、工程II)の後に以下の工程:
III)非混合ポリマー材料を乾燥装置によって乾燥させる工程
が更に実行される点が異なる。
【0135】
特に、乾燥した非混合ポリマー材料が再び使用されて、断熱材料1の少なくとも1つの第1の層11及び/又は少なくとも1つの第2の層12を製造することが可能である。
【0136】
DIN 75200(“Bestimmung des Brennverhaltens von Werkstoffen der Kraftfahrzeuginnenausstattung” [“Determination of burning behavior of interior materials in motor vehicles”];DIN 75200:1980-09;発行日:1980-09)による自動車における内装材料の燃焼挙動を決定するための試験設定が
図9に示される。試験設定及び性能、並びに燃焼速度の評価に関して、DIN75200は、米国規格FMVSS 302(“Federal Motor Vehicle Safety Standard-49 CFR Part 571-FMVSS 302-Flammability of Interior Materials”;発行日:02.12.1971;amendment level F.R.Vol.63 No.185-September 24,1998)に対応する。
【0137】
図9に示す試験装置は、ステンレス鋼製の燃焼キャビネット30と、燃焼キャビネット30内に配置された2つのU字形金属板からなるサンプルホルダ32と、燃焼キャビネット30内に配置されたバーナー31とを示す。サンプル33が垂れ下がらないように、サンプルホルダ32にサンプル33をクランプする。サンプルホルダ32は、バーナー31に出し入れされ得る。まず、試験の開始時に、サンプル33がクランプされたサンプルホルダ32が燃焼キャビネット30内にスライドされる。バーナー31は、ノズル中心がサンプル33の自由端の外縁の中心の19mm下に位置するように燃焼キャビネット30内に配置される。
【0138】
バーナー31を動作させるために必要なガスは、約38MJ/m
3の発熱量を有することになる。次いで、バーナー31は、ガス火炎が38mmの高さを有するように測定マークを用いて調整される。予備燃焼時間として、少なくとも1分が必要である。予燃焼時間が経過すると、サンプルホルダ32は燃焼キャビネット30内にスライドされる。ここで、サンプル33は、15秒間ガス火炎に曝される。この時間の最後に、バーナー31はオフにされる。燃焼時間の測定は、サンプル33上の火炎がゾーンIIに到達するとすぐに開始し、したがって正確に38mmの燃焼距離をカバーする。DIN 75200によるサンプル33の4つのゾーンへの分割は、
図10に示されている。サンプル33の長さは、合計356mmである。これらは4つのゾーンに細分される。ゾーンI、II及びIVはいずれも長さ38mmであり、ゾーンIIIは長さ216mmである。ゾーンは、ゾーンIからゾーンIVまで増加する順に配置されている。測定マークは、いずれの場合もゾーン間に配置され、その結果、炎の次のゾーンへの移行がより正確に検出され得る。火炎伝播は、サンプル33のより速い燃焼側(上側又は下側)で観察される。燃焼時間の測定は、火炎が最後の測定マークに達したとき、又は火炎が最後の測定マークに達する前に消えた場合に終了する。
【0139】
火炎が最後の測定マークに達しない場合、火炎がその消火までにカバーした燃焼距離が測定される。表面又は内部での燃焼により破壊されたサンプル33の分解部分が燃焼距離とみなされる。
【0140】
サンプル33が着火し、一旦着火炎が消火された際に燃焼し続けない場合、又は最初の測定マークに達する前に消火する場合、燃焼時間は測定されない。これらの場合、結果として「燃焼速度=0」が記録される。
【0141】
繰り返し又は連続試験の場合、新しい試験が開始される前に、燃焼キャビネット30及びサンプルホルダ32の温度が30℃未満になるように注意する。
【0142】
燃焼速度に加えて、以下の表に列挙されている更に別の評価基準が、米国規格FMVSS 302に含まれている。
【表1】
【0143】
断熱材料1は、DIN 75200及び/又はFMVSS 302に従って標準化された燃焼試験(fire test)の標準火炎(standard flame)の熱下で0mm/分の燃焼速度を有すること、特にFMVSS 302に従ってSE/NBR又は「自己消火性(self-extinguishing)/燃焼速度なし(no burn rate)」として分類されることが好ましく提供される。観察では、火炎はゾーンIIで既に消火し、したがって、実質的に断熱材料1の孔のみを燃焼させることが示されている。これは、断熱材料1が溶融によって火炎から逃げることによって実証される。この過程で、断熱材料1が収縮し、火炎が消失する。
【0144】
DIN EN ISO 11925-2(“Prufungen zum Brandverhalten-Entzundbarkeit von Produkten bei direkter Flammeneinwirkung-Teil 2:Einzelflammentest(ISO 11925-2:2020);German version EN ISO 11925-2:2020”[“Reaction to fire tests-Ignitability of products subjected to direct impingement of flame-Part 2:Single-flame source test”]、発行日:2020-07)による試験設定が
図11に概略的に示される。この規格は、追加の放熱なしに直接作用する火炎によって生成物の着火性を決定するための試験方法を設定する。この試験設定では、DIN EN 13501-1(“Klassifizierung von Bauprodukten und Bauarten zu ihrem Brandverhalten-Teil 1:Klassifizierung mit den Ergebnissen aus den Prufungen zum Brandverhalten von Bauprodukten;German version EN 13501-1:2018”[“Fire classification of construction products and building elements-Part 1:Classification using data from reaction to fire tests”]、発行日:2019-05)に従って、火災に対する反応及び滴下挙動に関する建築製品の分類が行われる。DIN EN ISO 11925-2による試験は、マッチ又はライターの火炎からの生成物の歪みをシミュレートする。このプロセスでは、垂直火炎伝播及び滴下挙動が調査される。
【0145】
ドア34及び通気口35を備えたドラフトフリーで設定された燃焼キャビネット30が
図11に示されている。バーナー31及びサンプル33がクランプされたサンプルホルダ32は、燃焼キャビネット30内に配置される。サンプルホルダ32、サンプル33及びバーナー31が示されている、DIN EN ISO 11925-2による詳細図が
図12に示される。
【0146】
分類に関して、15秒の火炎衝突と30秒の火炎衝突との間に区別が描かれている。このプロセスでは、長さ20mmの火炎がサンプル33の縁部又は表面に向けられる。サンプル33が建築製品である場合、これらは、意図された実際の用途において縁部に直接火炎衝突が生じ得ない場合、表面火炎衝突のみでDIN EN 13501-1に従って試験される。これは、例えば床カバーの場合である。実際の用途において、縁部が火によって歪められ得る場合、表面及び縁部の両方の火炎衝突が実行される。表面火炎衝突の場合、火炎は下縁部を越えて40mm、サンプル33の中心に向けられ、縁部火炎衝突の場合、火炎はサンプル33の下縁部の中心に向けられる。
【0147】
サンプル33は、250mm×90mm×dの寸法を有し、ここでd=適用厚さ(<60mm)である。DIN EN ISO 11925-2による試験では、製品アライメントごとに8つのサンプル33が必要であり、製品アライメントは、横方向又は縦方向を意味し、各場合で多層製品には12個のサンプル33が必要である。それぞれのタイプの火炎衝突について、それぞれ縦方向及び横方向に、3つのサンプル33が試験される。厚さが10mmを超える多層製品について、追加の試験が行われる。追加の試験では、サンプル33は、その垂直軸を中心に90°回転され、火炎衝突は、異なる層のそれぞれの中心線で、それぞれの場合に下縁で行われる。
【0148】
評価期間内に、火炎先端が高さ150mmで測定マークを超えたか否か、及びサンプル33の下にあるろ紙が落下した物質により発火したか否かを評価する。評価期間は、15秒火炎衝突の場合は20秒であり、30秒火炎衝突の場合は60秒である。
【0149】
DIN 4102及びDIN 13501-1による評価分類が以下の表に示される。
【表2】
【0150】
断熱材料1は、DIN EN ISO 11925-2及びDIN EN ISO 13501-1に従って標準化された燃焼試験(fire test)の標準火炎(standard flame)の熱下で、通常可燃性(normally flammable)の、特に「E」又はより良好な、火炎に対する反応分類(reaction to fire classification)を有することが好ましく提供される。
【符号の説明】
【0151】
1 断熱材料
11 第1の層
12 第2の層
13 反射層
14 吸収層
21 入射放射
22 反射放射
23 放射された放射
30 燃焼キャビネット
31 バーナー
32 サンプルホルダ
33 サンプル
34 ドア
35 通気口
【国際調査報告】