(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】燃料組成物
(51)【国際特許分類】
C10L 1/16 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
C10L1/16
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565581
(86)(22)【出願日】2022-04-21
(85)【翻訳文提出日】2023-11-28
(86)【国際出願番号】 EP2022060541
(87)【国際公開番号】W WO2022228989
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】390023685
【氏名又は名称】シエル・インターナシヨネイル・リサーチ・マーチヤツピイ・ベー・ウイ
【氏名又は名称原語表記】SHELL INTERNATIONALE RESEARCH MAATSCHAPPIJ BESLOTEN VENNOOTSHAP
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100129311
【氏名又は名称】新井 規之
(74)【代理人】
【識別番号】100220098
【氏名又は名称】宮脇 薫
(72)【発明者】
【氏名】ベラ,トゥーシャー・カンティ
(72)【発明者】
【氏名】ジョンソン,キンバリー・アン
(72)【発明者】
【氏名】アラディ,アレン・アンベレ
【テーマコード(参考)】
4H013
【Fターム(参考)】
4H013CB02
(57)【要約】
燃料組成物であって、(a)内燃エンジンでの使用に好適なベース燃料と、(b)式(I)を有するテトラアルキルエタン化合物であって、式中、Arが、アリール基を表し、各Xが、独立して、水素原子、置換若しくは非置換の直鎖若しくは分岐C
1-C
12アルキル基、(CH
2)
nOH、又は(CH
2)
nNH
2であり、式中、nが、1~9の範囲にあるが、但し、各CX
3基中のX基のうちの少なくとも1つが、水素原子である、テトラアルキルエタン化合物と、c)式(II)を有するアルキルベンゼン化合物であって、式中、各R
1~R
6基が、独立して、水素及びC
1-C
15アルキル基から選択され、式中、R
1~R
6基のうちの少なくとも1つが、C
1-C
6アルキル基である、アルキルベンゼン化合物と、を含む、燃料組成物。本発明の燃料組成物は、改善された動力及び加速の利益、並びに増加した火炎速さ及び燃焼持続時間を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料組成物であって、
(a)内燃エンジンでの使用に好適なベース燃料と、
(b)式(I)を有するテトラアルキルエタン化合物であって、
【化1】
式中、Arが、アリール基を表し、各Xが、独立して、水素原子、置換若しくは非置換の直鎖若しくは分岐C
1-C
12アルキル基、(CH
2)
nOH、又は(CH
2)
nNH
2から選択され、式中、nが、1~9の範囲にあるが、但し、各CX
3基中のX基のうちの少なくとも1つが、水素原子である、テトラアルキルエタン化合物と、
d)式(II)を有するアルキルベンゼン化合物であって、
【化2】
式中、各R1~R6基が、独立して、水素及びC
1-C
6アルキル基から選択され、式中、前記R1~R6基のうちの少なくとも1つが、C
1-C
6アルキル基である、アルキルベンゼン化合物と、を含む、燃料組成物。
【請求項2】
前記アルキルベンゼン中の3つのR1~R6基が、独立して、C
1-C
6アルキル基から選択される、請求項1に記載の燃料組成物。
【請求項3】
前記アルキルベンゼン化合物が、トリメチルベンゼン化合物である、請求項1又は2に記載の燃料組成物。
【請求項4】
前記アルキルベンゼン化合物が、1,3,5-トリメチルベンゼンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の燃料組成物。
【請求項5】
前記アルキルベンゼン化合物が、前記燃料組成物の30ppm~2重量%のレベルで存在する、請求項1~4のいずれか一項に記載の燃料組成物。
【請求項6】
前記テトラアルキルエタン化合物のArが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、チエニル、又はアントラシルから選択される置換又は非置換芳香族基である、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料組成物。
【請求項7】
Arが、非置換フェニル基である、請求項1~6のいずれか一項に記載の燃料組成物。
【請求項8】
各Xが、独立して、水素原子、非置換の直鎖又は分岐C
1-C
6アルキル基から選択されるが、但し、各CX
3基中のX基のうちの少なくとも1つが、水素原子である、請求項1~7のいずれか一項に記載の燃料組成物。
【請求項9】
前記テトラアルキルエタン化合物が、1,1(1,1,2,2-テトラメチル-1,1-エタンジイル)ビス-ベンゼンである、請求項1~8のいずれか一項に記載の燃料組成物。
【請求項10】
前記テトラアルキルエタン化合物が、前記燃料組成物%の30ppm~10重量%のレベルで前記燃料組成物中に存在する、請求項1~9のいずれか一項に記載の燃料組成物。
【請求項11】
前記ベース燃料が、ガソリンベース燃料である、請求項1~10のいずれか一項に記載の燃料組成物。
【請求項12】
前記ベース燃料が、全ベース燃料に基づいて10体積%未満の芳香族を含む、請求項1~11のいずれか一項に記載の燃料組成物。
【請求項13】
前記ベース燃料が、全ベース燃料に基づいて、2体積%未満の9個以上の炭素原子を有する芳香族を含む、請求項1~12のいずれか一項に記載の燃料組成物。
【請求項14】
内燃エンジンの出力を改善するための方法であって、前記方法が、請求項1~13のいずれか一項に記載の燃料組成物を前記エンジンに燃料供給することを含む、方法。
【請求項15】
内燃エンジンの加速を改善するための方法であって、前記方法が、請求項1~13のいずれか一項に記載の燃料組成物を前記エンジンに燃料供給することを含む、方法。
【請求項16】
内燃エンジンにおける燃料組成物の燃焼持続時間を短縮する方法であって、前記方法が、請求項1~13のいずれか一項に記載の液体燃料組成物を前記内燃エンジンに燃料供給することを含む、方法。
【請求項17】
内燃エンジンにおける燃料組成物の火炎速さを増加させるための方法であって、前記方法が、請求項1~13のいずれか一項に記載の液体燃料組成物を前記内燃エンジンに燃料供給することを含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体燃料組成物に関し、特に、改善された動力及び/又は加速特性を有する液体燃料組成物に関する。本発明はまた、本明細書の以下に記載される液体燃料組成物を内燃エンジンに燃料供給することによって、内燃エンジンの動力及び/又は加速特性を改善する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
層流燃焼速度(「火炎速さ」とも称される)は、任意の燃料/空気混合物の基本的な燃焼特性である。SAE2012-01-1742に教示されているように、より速い燃焼速度を有するガソリン燃料ブレンドを配合することは、エンジン及び車両の性能を向上させるための有効な方策であり得る。燃料の燃焼が速くなると、より最適な燃焼位相調整がもたらされ得、その結果、エネルギー伝達がより効率的になり、ひいては加速がより速くなり、かつ性能がより良好になる。
【0003】
火花点火内燃エンジン(spark-ignition internal combustion engine、SI-ICE)における動力行程中の火花時期の最適化を可能にするのに十分に点火遅延時間(ignition delay time、IDT)を増加させることは、最適効率を較正する最良の機会を提供する。加えて、点火遅延時間の増加が、火花の前に生じる化学ラジカル反応を抑制し、これらの同じ反応が火花の後に生じるサイクルの温度/圧力軌道を更に上方にシフトすることによって引き起こされるように燃料が変性される場合、燃焼の改善は、より短い燃焼持続時間をもたらす火炎速さの増加を通して達成され得る。火炎速さ及び燃焼持続時間を集合的に制御する能力により、SI-ICEを較正して、用語「ブレーキ熱効率」(break thermal efficiency、BTE)で表される、燃料経済性と、動力と、加速との間の最良のバランスを達成することが可能になる。
【発明の概要】
【0004】
驚くべきことに、液体燃料組成物中に添加剤成分の特定の組み合わせを使用することによって、火炎速さの増加、燃焼持続時間の短縮、燃焼率の増加、出力の改善、加速性能の改善、及び燃料経済性の改善に関して利益が提供され得ることが見出された。驚くべきことに、本発明は、点火遅延時間(IDT)に影響を与えることなくこれを達成する。
【0005】
本発明によれば、燃料組成物であって、
(a)内燃エンジンでの使用に好適なベース燃料と、
(b)式(I)を有するテトラアルキルエタン化合物であって、
【0006】
【化1】
式中、Arが、アリール基を表し、各Xが、独立して、水素原子、置換又は非置換の直鎖又は分岐C
1-C
6アルキル基、OH、(CH
2)
nOH、(CH
2)
nNH
2から選択され、式中、nが、1~9であるが、但し、各CX
3基中のX基のうちの少なくとも1つが、水素原子である、テトラアルキルエタン化合物と、
c)式(II)を有するアルキルベンゼン化合物であって、
【0007】
【化2】
式中、各R1~R6基が、独立して、水素及びC
1-C
6アルキル基から選択され、式中、R1~R6基のうちの少なくとも1つが、C
1-C
6アルキル基である、アルキルベンゼン化合物と、を含む、燃料組成物が提供される。
【0008】
驚くべきことに、本発明の燃料組成物が、火炎速さの増加、燃焼持続時間の短縮、燃焼率増加、出力の改善、及び加速性能の改善を提供することが見出された。驚くべきことに、本発明は、点火遅延時間(IDT)に影響を与えることなくこれを達成する。
【0009】
本発明の別の態様によれば、内燃エンジンの出力を改善する方法であって、該方法が、本明細書の以下に記載される液体燃料組成物を内燃エンジンに燃料供給することを含む、方法が提供される。
【0010】
本発明の更に別の態様によれば、内燃エンジンの加速を改善する方法であって、該方法が、本明細書の以下に記載される液体燃料組成物を内燃エンジンに燃料供給することを含む、方法が提供される。
【0011】
本発明の更に別の態様によれば、内燃エンジンにおける液体燃料組成物の火炎速さを増加させる方法であって、本明細書の以下に記載される液体燃料組成物を内燃エンジンに燃料供給することを含む、方法が提供される。
【0012】
本発明の更に別の態様によれば、内燃エンジンにおける液体燃料組成物の燃焼持続時間を短縮する方法が提供され、該方法が、本明細書の以下に記載される液体燃料組成物を内燃エンジンに燃料供給することを含む。
【0013】
本発明の更に別の態様によれば、内燃エンジンにおける液体燃料組成物の燃焼率を増加させる方法であって、該方法が、本明細書の以下に記載される液体燃料組成物を内燃エンジンに燃料供給することを含む、方法が提供される。
【0014】
本発明の更に別の態様によれば、出力を改善するための、本明細書に記載される液体燃料組成物の使用が提供される。
【0015】
本発明の更に別の態様によれば、加速を改善するための、本明細書に記載される液体燃料組成物の使用が提供される。
【0016】
本発明の更に別の態様によれば、火炎速さを増加させるための液体燃料組成物の使用が提供される。
【0017】
本発明の更に別の態様によれば、燃焼持続時間を短縮するための液体燃料組成物の使用が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】表4に記載の実験データのグラフ表示である。
【
図2】表5に記載の実験データのグラフ表示である。
【
図3】実施例1~4について表6に記載の実験データのグラフ表示である。
【
図4】実施例1~5について表7に記載の実験データのグラフ表示である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の理解を助けるために、いくつかの用語を本明細書において定義する。
【0020】
本明細書で使用される「出力」という用語は、シャシーダイナモメータ試験において全開スロットル条件で固定速さを維持するのに必要な抵抗動力の量を指す。
【0021】
本発明によれば、内燃エンジンの出力を改善する方法であって、該方法が、本明細書の以下に記載される液体燃料組成物を、潤滑剤を含有する内燃エンジンに燃料供給することを含む、方法が提供される。本発明の本態様の文脈において、「改善する」という用語は、任意の程度の改善を包含する。改善は、例えば、本発明に従ってテトラアルキルエタン化合物及びまたアルキルベンゼン化合物を燃料配合物に添加する前の類似の燃料配合物の出力の0.05%以上、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上、更により好ましくは0.5%以上、特に1%以上、更に特に2%以上、また更に特に5%以上であり得る。出力における改善は、本発明に従ってテトラアルキルエタン化合物及びアルキルベンゼン化合物を燃料配合物に添加する前の類似の燃料配合物の出力の10%もの高さでさえあり得る。
【0022】
本発明によれば、燃料組成物によって提供される出力は、任意の既知の方式で決定され得る。
【0023】
本明細書で使用される「加速」という用語は、エンジンが所与のギアにおける2つの固定速さ条件の間で速さを増加させるのに必要な時間量を指す。
【0024】
本発明によれば、内燃エンジンの加速を改善する方法であって、該方法が、本明細書の以下に記載される液体燃料組成物を、潤滑剤を含有する内燃エンジンに燃料供給することを含む、方法が提供される。本発明の本態様の文脈において、「改善する」という用語は、任意の程度の改善を包含する。改善は、例えば、本発明に従ってテトラアルキルエタン化合物及びアルキルベンゼン化合物を燃料配合物に添加する前の類似の燃料配合物によって提供される加速の0.05%以上、好ましくは0.1%以上、より好ましくは0.2%以上、更により好ましくは0.5%以上、特に1%以上、更に特に2%以上、及びまた更に特に5%以上であり得る。加速における改善は、本発明に従ってテトラアルキルエタン化合物及びアルキルベンゼン化合物を燃料配合物に添加する前の類似の燃料配合物によって提供される加速の10%もの高さでさえあり得る。
【0025】
本発明によれば、燃料組成物によって提供される出力及び加速は、任意の既知の方式で、例えば、SAE Paper 2005-01-0239及びSAE Paper 2005-01-0244に記載されているような標準的な試験方法を使用して決定され得る。
【0026】
本明細書で使用される「火炎速さ」又は「層流火炎速さ」(laminar flame speed、LFS)は、層流燃焼速度を指す。LFSは、混合力学の複雑化を伴わない火炎伝播率の基本的な尺度である。しかしながら、エンジンでは、混合力学が役割を果たすため、測定された火炎速さは、「燃焼率」及び「燃焼持続時間」と称される。「燃焼率」及び「燃焼持続時間」という用語はまた、本明細書において「火炎速さ」と互換的に使用される。層流燃焼速度(Laminar Burning Velocity、LBV)は、化学成分の基本的特性である。それは、未燃焼ガスが火炎前面に伝播し、反応して生成物を形成する率(層流条件下で火炎前面に垂直)として定義される。
【0027】
本発明によれば、内燃エンジンの火炎速さを増加させる方法であって、該方法が、本明細書の以下に記載される液体燃料組成物を内燃エンジンに燃料供給することを含む、方法が提供される。本発明の本態様の文脈において、「増加する」という用語は、任意の程度の増加を包含する。増加は、例えば、本発明に従って特許請求される添加剤を燃料配合物に添加する前の類似の燃料配合物の火炎速さの0.05%以上、好ましくは0.1%以上、より好ましくは1%以上、及び特に5%以上であり得る。火炎速さの増加は、本発明に従って特許請求される添加剤を燃料配合物に添加する前の類似の燃料配合物の火炎速さの最大10%であり得る。
【0028】
しかしながら、出力、加速、及び火炎速さにおける任意の測定可能な改善が、他のどの要因が重要であると考えられるか、例えば、可用性、コスト、安全性などに応じて、価値のある利点を提供し得ることを理解されたい。
【0029】
本発明によれば、燃料組成物の火炎速さは、任意の既知の方式で決定され得、例えば、LFSの測定は、以下の3つの方法のうちのいずれか1つを使用して実施することができる。
1.停滞火災方法(最大5~7気圧)
2.球状膨張方法、定圧又は定体積(最大60~80気圧)
3.熱流束方法(最大5気圧程度)。
【0030】
これらの方法の3つ全ては、総説刊行物:Egolfopoulos,F.N.,Hansen,N.,Ju,Y.,Kohse-Hoinghaus,K.,Law,C.K.,and Qi,F.「Advances and challenges in laminar flame experiments and implications for combustion chemistry」,Progress in Energy and Combustion Science 43(2014)36-67,https://doi.org/10.1016/j.pecs.2014.04.004に記載されている。
【0031】
定体積の燃焼室(球状ボム)における火炎速さを測定するための以下の方法、Gillespie,L.L.,M.;Sheppard,C.G.;Wooley,R,Aspects of laminar and turbulent burning velocity relevant to spark ignition engines,Journal of the Society of Automotive Engineers,2000(2000-01-0192)を参照されたい。
【0032】
火炎速さを測定するための以下の方法は、正味圧力方法を使用する。Mittal,M.,Zhu,G.and Schock H.,’Fast mass-fraction-burned calculation using the net pressure method for real-time applications’,Proc.Instn Mech Engrs,Part D:J.Automobile Engineering 223(3)(2009):389-394。
【0033】
本明細書で使用される「燃焼持続時間」という用語は、燃焼が10%から90%(以下の実施例ではAI 10-90と称される)まで進行するのに必要な時間(エンジンクランク角度における)を意味する。以下の実施例では、AI 50-90という用語も、燃焼持続時間に関して使用され、燃焼が50%から90%に進行するのに必要な時間(エンジンクランク角度における)を意味する。
【0034】
本発明によれば、燃料組成物の燃焼持続時間は、任意の既知の方式で、例えば、本明細書の以下の実施例の節に開示される試験方法を使用して決定され得る。
【0035】
しかしながら、出力、加速、燃焼持続時間、及び火炎速さにおける任意の測定可能な改善が、他のどの要因が重要であると考えられるか、例えば、可用性、コスト、安全性などに応じて、価値のある利点を提供し得ることを理解されたい。
【0036】
本発明の液体燃料組成物は、内燃エンジンでの使用に好適なベース燃料、テトラアルキルエタン化合物、及びアルキルベンゼン化合物を含む。典型的には、内燃エンジンでの使用に好適なベース燃料は、ガソリン又はディーゼル燃料であり、したがって、本発明の液体燃料組成物は、典型的にはガソリン組成物又はディーゼル燃料組成物である。
【0037】
本明細書で使用されるテトラアルキルエタン化合物は、式(I)を有する化合物であり、
【0038】
【化3】
式中、Arは、アリール基を表し、各Xは、独立して、水素原子、置換又は非置換の直鎖又は分岐C
1-C
12飽和又は不飽和アルキル基、(CH
2)
nOH、(CH
2)
nNH
2から選択され、式中、nは、1~9の範囲、好ましくは1~6の範囲、より好ましくは1~4の範囲、更により好ましくは1~3の範囲にあるが、但し、各CX
3基中のX基のうちの少なくとも1つは、水素原子である。
【0039】
好ましくは、各CX3基中のX基のうちの少なくとも2つは、水素原子である。
【0040】
特に好ましい実施形態では、各CX3基中のX基のうちの3つは、水素原子である。
【0041】
好ましくは、テトラアルキルエタン化合物のArは、フェニル、ビフェニル、ナフチル、チエニル、又はアントラシルなどの置換又は非置換芳香族基である。より好ましくは、Arは、非置換フェニル基である。これは、式(I)の好ましい化合物の調製のために、市販されているクメンから出発することが可能であることを意味する。クメンから出発して、ジクメンは、米国特許第4,072,811号に記載されているように、いくつかの既知の方法によって調製することができる。
【0042】
好ましくは、各X基は、独立して、水素原子、及び非置換、直鎖又は分岐、飽和又は不飽和C1-C6、より好ましくはC1-C3、アルキル基から選択されるが、但し、各CX3基中のX基のうちの少なくとも1つは、水素原子である。
【0043】
より好ましくは、各X基は、独立して、水素原子、及び非置換、直鎖又は分岐、飽和C1-C6、好ましくはC1-C3、アルキル基から選択されるが、但し、各CX3基中のX基のうちの少なくとも1つは、水素原子である。
【0044】
一実施形態では、各X基は、独立して、水素原子、及び非置換直鎖、飽和C1-C6、好ましくはC1-C3、アルキル基、特にメチル、エチル、及びプロピルから選択される。
【0045】
式(I)の好適なテトラアルキルエタン化合物の例としては、以下が挙げられる。
【0046】
【0047】
【0048】
【0049】
本明細書の一実施形態では、テトラアルキルエタン化合物は、1,1’(1,1,2,2-テトラメチル-1,1-エタンジイル)ビス-ベンゼン(ジクメン)である。ジクメンは、Aldrich及び様々な他の化学薬品供給業者から市販されている。
【0050】
テトラアルキルエタン化合物は、好ましくは、燃料組成物の30ppm~10重量%、好ましくは100ppm~5重量%、より好ましくは100ppm~1重量%、更により好ましくは100ppm~5000ppm、特に500ppm~2000ppmのレベルで燃料組成物中に存在する。
【0051】
上述のテトラアルキルエタン化合物に加えて、本発明の燃料組成物は、以下の式(II)を有するアルキルベンゼン化合物も含み、
【0052】
【化7】
式中、各R1~R6基は、独立して、水素及びC
1-C
6アルキル基から選択され、式中、R1~R6基のうちの少なくとも1つは、C
1-C
6アルキル基である。
【0053】
テトラアルキルエタン化合物とアルキルベンゼン化合物との組み合わせを使用することによって、動力、加速、火炎速さ、燃焼持続時間特性における改善を得ることができることが見出された。
【0054】
本明細書の好ましい実施形態では、アルキルベンゼン化合物中の3つのR1~R6基は、独立して、C1-C6アルキル基から選択される。
【0055】
本明細書の好ましい実施形態では、アルキルベンゼン化合物は、トリメチルベンゼン化合物である。
【0056】
本明細書の特に好ましい実施形態では、アルキルベンゼン化合物は、1,3,5-トリメチルベンゼンである。1,3,5-トリメチルベンゼンは、Aldrich及び他の化学薬品供給業者から市販されている。
【0057】
アルキルベンゼン化合物は、好ましくは、燃料組成物の30ppm~2重量%、好ましくは100ppm~1重量%、より好ましくは100ppm~5000ppm、更により好ましくは500ppm~2000ppmのレベルで燃料組成物中に存在する。
【0058】
テトラアルキルエタン化合物及びアルキルベンゼン化合物は、任意の他の添加剤、例えば添加剤性能パッケージと一緒にブレンドされて、添加剤ブレンドを生成し得る。次いで、添加剤ブレンドをベース燃料に添加して、液体燃料組成物を生成する。
【0059】
添加剤ブレンド中の性能パッケージの量は、好ましくは、添加剤ブレンドの0.1~99.8重量%の範囲、より好ましくは5~50重量%の範囲にある。
【0060】
好ましくは、本発明の液体燃料組成物中に存在する性能パッケージの量は、液体燃料組成物の全重量に基づいて、15ppmw(重量百万分率)~10重量%の範囲にある。より好ましくは、本発明の液体燃料組成物中に存在する性能パッケージの量は、更に、以下に列記するパラメータ(i)~(xv)のうちの1つ以上と一致する。
(i)少なくとも100ppmw
(ii)少なくとも200ppmw
(iii)少なくとも300ppmw
(iv)少なくとも400ppmw
(v)少なくとも500ppmw
(vi)少なくとも600ppmw
(vii)少なくとも700ppmw
(viii)少なくとも800ppmw
(ix)少なくとも900ppmw
(x)少なくとも1000ppmw
(xi)少なくとも2500ppmw
(xii)最大5000ppmw
(xiii)最大10000ppmw
(xiv)最大2重量%
(xv)最大5重量%
【0061】
本発明の液体燃料組成物において、使用されるベース燃料がガソリンである場合、ガソリンは、自動車エンジンを含む当該技術分野において既知の火花点火(石油)の種類の内燃エンジンにおける使用、並びに例えば、オフロード及び航空エンジンなどの他の種類のエンジンにおける使用に好適な任意のガソリンであり得る。本発明の液体燃料組成物においてベース燃料として使用されるガソリンは、便宜上、「ベースガソリン」とも称され得る。
【0062】
ガソリンは、典型的には、25~230℃(EN-ISO 3405)の範囲で沸騰する炭化水素の混合物を含み、最適範囲及び蒸留曲線は、典型的には、気候及び一年の季節に応じて変動する。ガソリン中の炭化水素は、当該技術分野で既知の任意の手段によって誘導され得、好都合には、炭化水素は、直留ガソリン、合成的に生成された芳香族炭化水素混合物、熱分解若しくは触媒的に分解された炭化水素、水素化分解された石油留分、触媒的に改質された炭化水素、又はこれらの混合物から任意の既知の方式で誘導され得る。
【0063】
ガソリンの特定の蒸留曲線、炭化水素組成物、リサーチオクタン価(research octane number、RON)、及びモーターオクタン価(motor octane number、MON)は、重要ではない。
【0064】
好都合には、ガソリンのリサーチオクタン価(RON)は、少なくとも80、例えば80~110の範囲にあり得、好ましくはガソリンのRONは、少なくとも90、例えば90~110の範囲にあり、より好ましくはガソリンのRONは、少なくとも91、例えば91~105の範囲にあり、更により好ましくはガソリンのRONは、少なくとも92、例えば92~103の範囲にあり、更により好ましくはガソリンのRONは、少なくとも93、例えば93~102の範囲にあり、及び最も好ましくはガソリンのRONは、少なくとも94、例えば94~100の範囲にある(EN 25164)。ガソリンのモーターオクタン価(MON)は、好都合には、少なくとも70、例えば70~110の範囲にあり得、好ましくはガソリンのMONは、少なくとも75、例えば75~105の範囲にあり、より好ましくはガソリンのMONは、少なくとも80、例えば80~100の範囲にあり、最も好ましくはガソリンのMONは、少なくとも82、例えば82~95の範囲にある(EN 25163)。
【0065】
典型的には、ガソリンは、飽和炭化水素、オレフィン炭化水素、芳香族炭化水素、及び酸素化炭化水素の群のうちの1つ以上から選択される成分を含む。好都合には、ガソリンは、飽和炭化水素、オレフィン炭化水素、芳香族炭化水素、及び任意選択で、酸素化炭化水素の混合物を含み得る。
【0066】
典型的には、ガソリンのオレフィン炭化水素含有量は、ガソリンに基づいて0~40体積パーセントの範囲にあり(ASTM D1319)、好ましくは、ガソリンのオレフィン炭化水素含有量は、ガソリンに基づいて0~30体積パーセントの範囲にあり、より好ましくは、ガソリンのオレフィン炭化水素含有量は、ガソリンに基づいて0~20体積パーセントの範囲にある。
【0067】
典型的には、ガソリンの芳香族炭化水素含有量は、ガソリンに基づいて0~70体積パーセントの範囲にあり(ASTM D1319)、例えば、ガソリンの芳香族炭化水素含有量は、ガソリンに基づいて10~60体積パーセントの範囲にある。好ましくは、ガソリンの芳香族炭化水素含有量は、ガソリンに基づいて0~50体積パーセントの範囲にあり、例えば、ガソリンの芳香族炭化水素含有量は、ガソリンに基づいて10~50体積パーセントの範囲にある。
【0068】
本明細書の一実施形態では、ガソリンベース燃料は、全ベース燃料に基づいて10体積%未満の芳香族を含む。本明細書の別の実施形態では、ガソリンベース燃料は、全ベース燃料に基づいて、2体積%未満の9個以上の炭素原子を有する芳香族を含む。
【0069】
ガソリンのベンゼン含有量は、ガソリンに基づいて最大10体積パーセント、より好ましくは最大5体積パーセント、特に最大1体積パーセントである。
【0070】
ガソリンは、好ましくは、低硫黄含有量又は超低硫黄含有量、例えば、最大1000ppmw(重量百万分率)、好ましくは500ppmw以下、より好ましくは100以下、更により好ましくは50以下、及び最も好ましくは10ppmw以下を有する。
【0071】
ガソリンはまた、好ましくは、最大0.005g/lなどの低鉛総含有量を有し、最も好ましくは、鉛を含まない、つまりガソリンに鉛化合物が添加されていない(すなわち、無鉛)。
【0072】
ガソリンが酸素化炭化水素を含む場合、非酸素化炭化水素の少なくとも一部分は、酸素化炭化水素と置換されるか(マッチブレンド)、又は完全に配合されたガソリンに単に添加される(スプラッシュブレンド)。ガソリンの酸素化物含有量は、ガソリンに基づいて最大85重量パーセント(EN 1601)(例えば、エタノール自体)であり得る。例えば、ガソリンの酸素化物含有量は、最大35重量パーセント、好ましくは最大25重量パーセント、より好ましくは最大10重量%あり得る。好都合には、酸素濃度は、0、0.2、0.4、0.6、0.8、1.0、及び1.2重量パーセントのうちのいずれか1つから選択される最小濃度と、12、8、7.2、5、4.5、4.0、3.5、3.0、及び2.7重量パーセントのうちのいずれか1つから選択される最大濃度とを有する。
【0073】
ガソリンに組み込まれ得る酸素化炭化水素の例としては、アルコール、エーテル、エステル、ケトン、アルデヒド、カルボン酸、及びそれらの誘導体、並びに酸素含有複素環式化合物が挙げられる。好ましくは、ガソリンに組み込まれ得る酸素化炭化水素は、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、2-プロパノール、ブタノール、tert-ブタノール、イソ-ブタノール、及び2-ブタノールなど)、エーテル(好ましくは、1分子当たり5個以上の炭素原子を含有するエーテル、例えば、メチルtert-ブチルエーテル及びエチルtert-ブチルエーテル)、及びエステル(好ましくは、1分子当たり5個以上の炭素原子を含有するエステル)から選択される。特に好ましい酸素化炭化水素は、エタノールである。
【0074】
酸素化炭化水素がガソリン中に存在する場合、ガソリン中の酸素化炭化水素の量は、広い範囲にわたって変動し得る。例えば、主な割合の酸素化炭素水素を含むガソリン、例えばエタノール自体及びE85、並びに少しの割合の酸素化炭化水素を含むガソリン、例えばE10及びE5は、ブラジル及び米国などの国で現在市販されている。
【0075】
したがって、ガソリンは、最大100体積パーセントの酸素化炭化水素を含有し得る。ブラジルで使用されるようなE100燃料も本明細書に含まれる。好ましくは、ガソリン中に存在する酸素化炭化水素の量は、最大70体積パーセント、最大65体積パーセント、最大30体積パーセント、最大20体積パーセント、最大15体積パーセント、及び最大10体積パーセント、の量のうちの1つから、ガソリンの所望の最終配合物に応じて、選択される。好都合には、ガソリンは、少なくとも0.5、1.0、又は2.0体積パーセントの酸素化炭化水素を含有し得る。
【0076】
好適なガソリンの例としては、0~20体積パーセントのオレフィン炭化水素含有量(ASTM D1319)、0~5重量パーセントの酸素含有量(EN 1601)、0~50体積パーセントの芳香族炭化水素含有量(ASTM D1319)、及び最大1体積パーセントのベンゼン含有量を有する、ガソリンが挙げられる。
【0077】
また、バイオマス又はCO2のいずれかからの低炭素ガソリン燃料などの原油以外の供給源から誘導され得るガソリンブレンド成分、並びにそれらの互いのブレンド又は化石誘導ガソリン流及び成分とのブレンドも本明細書での使用に好適である。
【0078】
そのような燃料の好適な例としては、以下のものが挙げられる。
1)バイオマス誘導
a.バイオマスの水素化脱酸素からの直留バイオナフサ、並びに
b.合成ワックスの分解及び/又は異性化生成物(合成ガス(CO/H2)へのバイオマスガス化からFTプロセスによる合成ワックスへ)であり、次いで、これを水素化分解/水素化異性化して、ガソリン蒸留範囲の留分を含む生成物のスレートを生じる。
2)CO2誘導
a.FTプロセスによる合成ワックスへの変性された水/ガスシフト反応によるCO2+H2合成ガス(CO/H2))であり、次いで、これを水素化分解/水素化異性化して、ガソリン蒸留範囲の留分を含む生成物のスレートを生じる。
3)メタノール誘導
a.合成ガス(CO/H2)へのバイオマスガス化からメタノール、MTGガソリンへ(MTGは「メタノールからガソリン」プロセスである)。燃料の炭素強度を更に低減させるために、全てのプロセスで使用されるH2は、風及び太陽などからの再生可能な電気を使用する水の電気分解からの再生可能な(環境に優しい)H2であるだろう。
【0079】
生物学的供給源から誘導され得るガソリンブレンド成分が、本明細書での使用に特に好適である。そのようなガソリンブレンド成分の例は、国際公開第2009/077606号、国際公開第2010/028206号、国際公開第2010/000761号、欧州特許出願第09160983.4号、同09176879.6号、同09180904.6号、及び米国特許出願第61/312307号に見出され得る。
【0080】
本発明にとって重要ではないが、本発明のベースガソリン又はガソリン組成物は、好都合には、上記の必須のテトラアルキルエタン化合物及び必須のアルキルベンゼン化合物に加えて、1つ以上の任意選択の燃料添加剤を含み得る。本発明のベースガソリン又はガソリン組成物中に含まれ得る任意選択の燃料添加剤の濃度及び性質は、重要ではない。本発明のベースガソリン又はガソリン組成物中に含まれ得る好適な種類の燃料添加剤の非限定的な例としては、酸化防止剤、腐食防止剤、清浄剤、曇り除去剤、アンチノック添加剤、金属不活性化剤、弁座リセッション防止剤化合物、染料、溶媒、分散媒、希釈剤、及びマーカーが挙げられる。好適なそのような添加剤の例が、概して、米国特許第5,855,629号に記載されている。
【0081】
好都合には、燃料添加剤を1つ以上の溶媒とブレンドして添加剤濃縮物を形成することができ、次いで、添加剤濃縮物を本発明のベースガソリン又はガソリン組成物と混和することができる。
【0082】
本発明のベースガソリン又はガソリン組成物中に存在するいずれかの任意選択の添加剤の(活性物質)濃度は、好ましくは、最大1重量パーセント、より好ましくは5~2000ppmwの範囲、有利には、300~1500ppmwの範囲、例えば、300~1000ppmwにある。
【0083】
上記のように、ガソリン組成物はまた、合成又は鉱物キャリア油及び/又は溶媒を含有し得る。
【0084】
好適な鉱物キャリア油の例は、例えば、SN 500~2000クラスの粘度を有するブライトストック又は基油などの原油処理において得られる留分、並びに芳香族炭化水素、パラフィン系炭化水素、及びアルコキシアルカノールである。鉱油の精製において得られ、「水素化分解油」(高圧下で触媒的に水素化され、異性化され、更に脱パラフィンされた天然鉱油から得られる、約360~500℃の沸点範囲を有する真空蒸留留分)として知られている留分も、鉱物キャリア油として有用である。
【0085】
好適な合成キャリア油の例は、ポリオレフィン(ポリ-アルファ-オレフィン又はポリ(内部オレフィン))、(ポリ)エステル、(ポリ)アルコキシレート、ポリエーテル、脂肪族ポリエーテルアミン、アルキルフェノール出発ポリエーテル、アルキルフェノール出発ポリエーテルアミン、及び長鎖アルカノールのカルボン酸エステルである。
【0086】
好適なポリオレフィンの例は、特に、ポリブテン又はポリイソブテン(水素化又は非水素化)をベースとするオレフィンポリマーである。
【0087】
好適なポリエーテル又はポリエーテルアミンの例は、好ましくは、c2
_c60-アルカノール、c6-c30-アルカンジオール、モノ-又はジ-c2-c30-アルキルアミン、c1-c30-アルキルシクロヘキサノール、又はc1-c30-アルキルフェノールと、ヒドロキシル基又はアミノ基当たり1~30モルのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドとを反応させることによって、並びにポリエーテルアミンの場合には、アンモニア、モノアミン、又はポリアミンによるその後の還元的アミノ化によって得られる、ポリオキシ-c2
_c4-アルキレン部分を含む化合物である。そのような生成物が、特に、欧州特許第A-310875号、欧州特許第A-356725号、欧州特許第A-700985号、及び米国特許第A-4,877,416号に記載されている。例えば、使用されるポリエーテルアミンは、ポリ-c2-c6-アルキレンオキシドアミン又はその官能性誘導体であり得る。その典型的な例は、トリデカノールブトキシレート又はイソトリデカノールブトキシレート、イソノニルフェノールブトキシレート、並びにポリイソブテノールブトキシレート及びポリイソブテノールプロポキシレート、並びにアンモニアとの対応する反応生成物である。
【0088】
長鎖アルカノールのカルボン酸エステルの例は、特に、独国特許第A-3838918号に記載されているように、特に、モノ-、ジ-、又はトリカルボン酸と長鎖アルカノール又はポリオールとのエステルである。使用されるモノ-、ジ-、又はトリカルボン酸は、脂肪族酸又は芳香族酸であり得、好適なエステルアルコール又はポリオールは、特に、例えば6~24個の炭素原子を有する長鎖の代表例である。エステルの典型的な代表例は、イソオクタノール、イソノナノール、イソデカノール、及びイソトリデカノールのアジペート、フタレート、イソフタレート、テレフタレート、及びトリメリテート、例えば、ジ-(n-又はイソトリデシル)フタレートである。
【0089】
更なる好適なキャリア油系が、例えば、独国特許第A-3826608号、独国特許第A-4142241号、独国特許第A-4309074号、欧州特許第A-0452328号、及び欧州特許第A-0548617号に記載されており、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。
【0090】
特に好適な合成キャリア油の例は、例えば、プロピレンオキシド単位、n-ブチレンオキシド単位、及びイソブチレンオキシド単位、又はそれらの混合物から選択される、約5~35個、例えば約5~30個のc3-c6-アルキレンオキシド単位を有するアルコール出発ポリエーテルである。好適な出発アルコールの非限定的な例は、長鎖アルキルで置換された長鎖アルカノール又はフェノールであり、ここで、長鎖アルキルラジカルは、特に、直鎖又は分岐c6-c18-g-アルキルラジカルである。好ましい例としては、トリデカノール及びノニルフェノールが挙げられる。
【0091】
更なる好適な合成キャリア油は、独国特許出願第A-10102913.6号に記載されているようなアルコキシル化アルキルフェノールである。
【0092】
鉱物キャリア油、合成キャリア油、並びに鉱物及び合成キャリア油の混合物もまた、使用され得る。
【0093】
燃料中での使用に好適な任意の溶媒及び任意選択の共溶媒が使用され得る。燃料中での使用に好適な溶媒の例としては、ケロシン、重質芳香族溶媒(「ソルベントナフサヘビー」、「Solvesso 150」)、トルエン、キシレン、パラフィン、石油、ホワイトスピリッツ、Shell社から商標「SHELLSOL」で販売されているものなどの非極性炭化水素溶媒が挙げられる。好適な共溶媒の例としては、極性溶媒、例えば、エステル、及び、特に、アルコール(例えば、t-ブタノール、i-ブタノール、ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、2-プロピルヘプタノール、デカノール、イソトリデカノール、ブチルグリコール、及びアルコール混合物、例えば、Shell社から商標「LINEVOL」で販売されているもの、特に、c7-9一級アルコールの混合物であるLINEVOL 79アルコール、又は市販されているc12-14アルコール混合物)が挙げられる。
【0094】
液体燃料中での使用に好適な曇り除去剤/解乳化剤は、当該技術分野において周知である。非限定的な例としては、グリコールオキシアルキレートポリオールブレンド(例えば、商品名TOLAD(商標)9312で販売されているもの)、アルコキシル化フェノールホルムアルデヒドポリマー、フェノール/ホルムアルデヒド又はc1-18エポキシド及びジエポキシドによるオキシアルキル化によって変性されたc1-18アルキルフェノール/-ホルムアルデヒド樹脂オキシアルキレート(例えば、商品名TOLAD(商標)9308で販売されているもの)、及びジエポキシド、二酸、ジエステル、ジオール、ジアクリレート、ジメタクリレート、又はジイソシアネートで架橋されたc1-4エポキシドコポリマー、並びにそれらのブレンドが挙げられる。グリコールオキシアルキレートポリオールブレンドは、c1-4エポキシドでオキシアルキル化されたポリオールであり得る。c1-18エポキシド及びジエポキシドによるオキシアルキル化によって変性されたc1-18アルキルフェノールフェノール/-ホルムアルデヒド樹脂オキシアルキレートは、例えば、クレゾール、t-ブチルフェノール、ドデシルフェノール若しくはジノニルフェノール、又はフェノールの混合物(例えば、t-ブチルフェノールとノニルフェノールとの混合物)に基づき得る。曇り除去剤は、曇り除去剤を含まないガソリンが水と接触した場合に生じる可能性のある曇りを抑制するのに十分な量で使用されるべきであり、この量は、本明細書では「曇り抑制量」と称される。一般に、この量は、ガソリンの重量に基づいて、約0.1~約20ppmw(例えば、約0.1~約10ppm)、より好ましくは1~15ppmw、更により好ましくは1~10ppmw、有利には1~5ppmwである。
【0095】
ガソリン中での使用のための更なる慣用の添加剤は、例えば、有機カルボン酸のアンモニウム塩であって、該塩がフィルムを形成する傾向のある、アンモニウム塩、又は非鉄金属腐食保護のための複素環式芳香族のアンモニウム塩に基づく腐食防止剤;例えば、フェニルジアミンなどのアミン、例えば、p-フェニレンジアミン、N,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニルジアミン、ジシクロヘキシルアミン、若しくはそれらの誘導体、又は2,4-ジ-tert-ブチルフェノール若しくは3,5-ジ-tert-ブチル-4-ヒドロキシ-フェニルプロピオン酸などのフェノールの誘導体に基づく酸化防止剤若しくは安定剤;帯電防止剤;フェロセンなどのメタロセン;メチルシクロ-ペンタジエニルマンガントリカルボニル;潤滑添加剤、例えば、ある特定の脂肪酸、アルケニルコハク酸エステル、ビス(ヒドロキシアルキル)脂肪アミン、ヒドロキシアセトアミド、又はひまし油;及び染料(マーカー)である。適切な場合、例えば、国際公開第03/076554号に記載されているように、アミンも添加され得る。任意選択で、ポリマー有機酸のナトリウム塩又はカリウム塩などの抗弁座リセッション添加剤が使用され得る。
【0096】
本明細書のガソリン組成物は、清浄添加剤も含み得る。好適な清浄添加剤としては、参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2009/50287号に開示されているものが挙げられる。
【0097】
本明細書のガソリン組成物での使用に好ましい清浄添加剤は、典型的には、85~20000の数平均分子量(Mn)を有する少なくとも1つの疎水性炭化水素ラジカルと、
(A1)最大6個の窒素原子を有し、そのうちの少なくとも1個の窒素原子が塩基性を有するモノ又はポリアミノ基、
(A6)ヒドロキシル基、少なくとも1個の窒素原子が塩基性特性を有するモノ若しくはポリアミノ基、又はカルバメート基により終端するポリオキシ-c2-~-c4-アルキレン基、
(A8)無水コハク酸から誘導され、ヒドロキシル基及び/又はアミノ基及び/又はアミド基及び/又はイミド基を有する部分、並びに/あるいは
(A9)置換フェノールと、アルデヒド及びモノ又はポリアミンとのマンニッヒ反応によって得られる部分から選択される少なくとも1つの極性部分と、を有する。
【0098】
ベース流体中での適切な溶解性を確実にする、上記清浄添加剤中の疎水性炭化水ラジカルは、85~20000、特に113~10000、特に300~5000の数平均分子量(Mn)を有する。
【0099】
特に極性部分(A1)、(A8)、及び(A9)に関連する典型的な疎水性炭化水素ラジカルとしては、ポリアルケン(ポリオレフィン)、例えば、各々が300~5000、好ましくは500~2500、より好ましくは700~2300、特に700~1000のMnを有するポリプロペニル、ポリブテニル、及びポリイソブテニルラジカルが挙げられる。
【0100】
清浄添加剤の上記の群の非限定的な例としては、以下のものが挙げられる。
【0101】
モノ又はポリアミノ基(A1)を含む添加剤は、好ましくは、300~5000のMnを有するポリプロペン又は従来の(すなわち、主に内部二重結合を有する)ポリブテン若しくはポリイソブテンに基づくポリアルケンモノアミン若しくはポリアルケンポリアミンである。主に内部二重結合(通常ベータ及びガンマ位)を有するポリブテン又はポリイソブテンが、添加剤の調整において出発材料として使用される場合、可能な調整経路は、塩素化及びその後のアミノ化によるか、又は空気若しくはオゾンでの二重結合の酸化によるカルボニル化合物若しくはカルボキシル化合物の形成及びその後の還元(水素化)条件下でのアミノ化によるものである。アミン化のために本明細書で使用されるアミンは、例えば、アンモニア、モノアミン、又はポリアミン、例えば、ジメチルアミノプロピルアミン、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、又はテトラエチレンペンタミンであり得る。ポリプロペンをベースとする対応する添加剤は、特に、国際公開第A-94/24231号に記載されている。
【0102】
モノアミノ基(A1)を含む更に好ましい添加剤は、特に国際公開第A-97/03946号に記載されているような、5~100の平均重合度を有するポリイソブテンの、窒素酸化物又は窒素酸化物と酸素との混合物との反応生成物の水素化生成物である。
【0103】
モノアミノ基(A1)を含む更に好ましい添加剤は、特に独国特許第A-19620262号に記載されているように、ポリイソブテンエポキシドから、アミンとの反応及びその後のアミノアルコールの脱水及び還元によって得られる化合物である。
【0104】
ポリオキシ-c2-c4-アルキレン部分(A6)を含む添加剤は、好ましくは、c2-~c60-アルカノール、c6-~c30-アルカンジオール、モノ-若しくはジ-c2-c30-アルキルアミン、c1-c30-アルキルシクロヘキサノール、又はc1-c30-アルキルフェノールと、ヒドロキシル基又はアミノ基当たり1~30モルのエチレンオキシド及び/又はプロピレンオキシド及び/又はブチレンオキシドとの反応によって、並びにポリエーテルアミンの場合には、アンモニア、モノアミン、又はポリアミンによるその後の還元的アミノ化によって得られるポリエーテル又はポリエーテルアミンである。そのような生成物は、特に、欧州特許第A-310875号、欧州特許第A-356725号、欧州特許第A-700985号、及び米国特許第A-4877416号に記載されている。ポリエーテルの場合、そのような生成物は、キャリア油特性も有する。これらの典型的な例は、トリデカノールブトキシレート、イソトリデカノールブトキシレート、イソノニルフェノールブトキシレート、及びポリイソブテノールブトキシレート、及びポリイソブテノールプロポキシレート、並びに対応するアンモニアとの反応生成物である。
【0105】
無水コハク酸から誘導され、ヒドロキシル基及び/又はアミノ基及び/又はアミド基及び/又はイミド基を有する部分(A8)を含む添加剤は、好ましくは、300~5000のMnを有する従来のポリイソブテン又は高反応性ポリイソブテンと無水マレイン酸とを熱的経路によって、又は塩素化ポリイソブテンを介して反応させることによって得られるポリイソブテニルコハク酸無水物の対応する誘導体である。特に興味深いのは、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、又はテトラエチレンペンタミンなどの脂肪族ポリアミンを有する誘導体である。そのような添加剤が、特に、米国特許第A-4849572号に記載されている。
【0106】
置換フェノールとアルデヒド及びモノ又はポリアミンとのマンニッヒ反応によって得られる部分(A9)を含む添加剤は、好ましくは、ポリイソブテン置換フェノールとホルムアルデヒド及びモノ又はポリアミン、例えば、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン、又はジメチルアミノプロピルアミンとの反応生成物である。ポリイソブテニル置換フェノールは、300~5000のMnを有する従来のポリイソブテン又は高反応性ポリイソブテンに由来し得る。そのような「ポリイソブテン-マンニッヒ塩基」が、特に、欧州特許第A-831141号に記載されている。
【0107】
好ましくは、本発明のガソリン組成物中で使用される清浄添加剤は、少なくとも1つの窒素含有清浄剤、より好ましくは、300~5000の範囲の数平均分子量を有する疎水性炭化水ラジカルを含有する少なくとも1つの窒素含有清浄剤を含有する。好ましくは、窒素含有清浄剤は、ポリアルケンモノアミン、ポリエーテルアミン、ポリアルケンマンニッヒアミン、及びポリアルケンスクシンイミドを含む群から選択される。好都合には、窒素含有清浄剤は、ポリアルケンモノアミンであり得る。
【0108】
上記において、成分の量(濃度、体積%、ppmw、重量%)は、活性物質のものであり、すなわち、揮発性溶媒/希釈剤材料を除く。
【0109】
本発明の液体燃料組成物において、使用されるベース燃料がディーゼル燃料である場合、本発明においてベース燃料として使用されるディーゼル燃料は、自動車圧縮点火エンジンにおける使用、並びに例えばオフロード、船舶、鉄道、及び定置エンジンなどの他の種類のエンジンにおける使用のためのディーゼル燃料を含む。本発明の液体燃料組成物においてベース燃料として使用されるディーゼル燃料は、便宜上、「ディーゼルベース燃料」とも称され得る。
【0110】
ディーゼルベース燃料は、それ自体、2つ以上の異なるディーゼル燃料成分の混合物を含み得、及び/又は以下に記載されるように添加剤が加えられ得る。
【0111】
そのようなディーゼル燃料は、典型的には液体炭化水素中間留出ガス油、例えば石油誘導ガス油を含み得る、1つ以上のベース燃料を含有する。そのような燃料は、典型的には、グレード及び使用に応じて、150~400℃の通常のディーゼル範囲内の沸点を有する。そのような燃料は、典型的には、15℃で750~1000kg/m3、好ましくは780~860kg/m3の密度(例えば、ASTM D4502又はIP 365)と、35~120、より好ましくは40~85のセタン価(ASTM D613)と、を有する。そのような燃料は、典型的には、150~230℃の範囲の初期沸点及び290~400℃の範囲の最終沸点を有する。そのような燃料の40℃での動粘度(ASTM D445)は、好適には1.2~4.5mm2/sであり得る。
【0112】
石油誘導ガス油の例は、スウェーデンクラス1のベース燃料であり、これは、スウェーデン国内仕様EC1によって規定されるように、15℃で800~820kg/m3の密度(SS-EN ISO 3675、SS-EN ISO 12185)、320℃以下のT95(SS-EN ISO 3405)、及び1.4~4.0mm2/sの40℃での動粘度(SS-EN ISO 3104)を有する。
【0113】
また、バイオマス又はCO2のいずれかからの低炭素ディーゼル燃料などの原油以外の供給源から誘導され得るディーゼルブレンド成分、並びにそれらの互いのブレンド又は化石誘導ディーゼル流及び成分とのブレンドも本明細書での使用に好適である。
【0114】
そのような燃料の好適な例としては、以下のものが挙げられる。
1)バイオマス誘導
a.バイオマスの水素化脱酸素からの直留ディーゼル、並びに
b.合成ワックスの分解及び/又は異性化生成物(合成ガス(CO/H2)へのバイオマスガス化からFTプロセスによる合成ワックスへ)であり、次いで、これを水素化分解/水素化異性化して、ディーゼル蒸留範囲の留分を含む生成物のスレートを生じる。
2)CO2誘導
a.FTプロセスによる合成ワックスへの変性された水/ガスシフト反応によるCO2+H2合成ガス(CO/H2))であり、次いで、これを水素化分解/水素化異性化して、ディーゼル蒸留範囲の留分を含む生成物のスレートを生じる。
3)メタノール誘導
a.合成ガス(CO/H2)へのバイオマスガス化からメタノール、MTDへ(MTDは「メタノールからディーゼル」プロセスである)。燃料の炭素強度を更に低減させるために、全てのプロセスで使用されるH2は、風及び太陽などからの再生可能な電気を使用する水の電気分解からの再生可能な(環境に優しい)H2であるだろう。
【0115】
フィッシャー・トロプシュ燃料は、例えば、天然ガス、液化天然ガス、石油若しくはシェール油、石油若しくはシェール油処理残留物、石炭、又はバイオマスから誘導され得る。
【0116】
ディーゼル燃料中で使用されるフィッシャー・トロプシュ誘導燃料の量は、ディーゼル燃料全体の0体積%~100体積%、好ましくは5体積%~100体積%、より好ましくは5体積%~75体積%であり得る。そのようなディーゼル燃料が10体積%以上、より好ましくは20体積%以上、更により好ましくは30体積%以上のフィッシャー・トロプシュ誘導燃料を含有することが望ましい場合がある。そのようなディーゼル燃料が30~75体積%、特に30~70体積%のフィッシャー・トロプシュ誘導燃料を含有することが特に好ましい。ディーゼル燃料の残部は、1つ以上の他のディーゼル燃料成分から構成される。
【0117】
そのようなフィッシャー・トロプシュ誘導燃料成分は、中間蒸留燃料範囲の任意の留分であり、これは、(任意選択で水素化分解された)フィッシャー・トロプシュ合成生成物から単離することができる。典型的な留分は、ナフサ、ケロシン、又はガス油の範囲で沸騰する。好ましくは、ケロシン又はガス油の範囲で沸騰するフィッシャー・トロプシュ生成物が使用されるが、これは、これらの生成物が、例えば国内環境での取り扱いがより容易であるためである。そのような生成物は、好適には、160~400℃、好ましくは約370℃まで沸騰する90重量%を超える留分を含む。フィッシャー・トロプシュ誘導ケロシン及びガス油の例は、欧州特許第A-0583836号、国際公開第A-97/14768号、国際公開第A-97/14769号、国際公開第A-00/11116号、国際公開第A-00/11117号、国際公開第A-01/83406号、国際公開第A-01/83648号、国際公開第A-01/83647号、国際公開第A-01/83641号、国際公開第A-00/20535号、国際公開第A-00/20534号、欧州特許第A-1101813号、米国特許第A-5766274号、米国特許第A-5378348号、米国特許第A-5888376号、及び米国特許第A-6204426号に記載されている。
【0118】
フィッシャー・トロプシュ生成物は、好適には、80重量%超、及びより好適には95重量%超のイソ及びノルマルパラフィンと、1重量%未満の芳香族とを含有し、残部は、ナフテン系化合物である。硫黄及び窒素の含有量は、非常に低く、通常、そのような化合物の検出限界未満である。この理由から、フィッシャー・トロプシュ生成物を含有するディーゼル燃料組成物の硫黄含有量は、非常に低くなり得る。
【0119】
ディーゼル燃料組成物は、好ましくは5000ppmw以下の硫黄、より好ましくは500ppmw以下、又は350ppmw以下、又は150ppmw以下、又は100ppmw以下、又は70ppmw以下、又は50ppmw以下、又は30ppmw以下、又は20ppmw以下、又は最も好ましくは10ppmw以下の硫黄を含有する。
【0120】
本明細書での使用のための他のディーゼル燃料成分としては、生物学的材料から誘導するいわゆる「バイオ燃料」が挙げられる。例としては、脂肪酸アルキルエステル(fatty acid alkyl ester、FAAE)が挙げられる。そのような成分の例は、国際公開第2008/135602号に見出され得る。完全に水素化されたFAAEも利用可能であり、「再生可能ディーゼル」と呼ばれる。バイオ燃料は、動物油又は植物油から誘導され得る。
【0121】
米国特許出願公開第2013/0008081(A1)号に開示されているような、固体バイオマス及びバイオ油からの再生可能なディーゼル燃料が、本明細書で使用され得る。
【0122】
ディーゼルベース燃料は、それ自体添加剤が加えられてもよく(添加剤含有)、又は添加剤が加えられていなくてもよい(添加剤不含)。例えば製油所で添加剤が加えられる場合、それは、例えば帯電防止剤、パイプライン抗力低減剤、流動性改良剤(例えばエチレン/酢酸ビニルコポリマー又はアクリレート/無水マレイン酸コポリマー)、潤滑添加剤、酸化防止剤、及びワックス沈降防止剤から選択される少ない量の1つ以上の添加剤を含有する。
【0123】
清浄剤含有ディーゼル燃料添加剤は、既知であり、市販されている。そのような添加剤は、エンジン堆積物の蓄積を低減、除去、又は遅延させることを意図したレベルでディーゼル燃料に添加され得る。
【0124】
本目的のためのディーゼル燃料添加剤での使用に好適な清浄剤の例としては、ポリオレフィン置換スクシンイミド又はポリアミンのスクシンアミド、例えば、ポリイソブチレンスクシンイミド又はポリイソブチレンアミンスクシンアミド、脂肪族アミン、マンニッヒ塩基又はアミン、及びポリオレフィン(例えば、ポリイソブチレン)無水マレイン酸が挙げられる。スクシンイミド分散剤添加剤は、例えば、英国特許第A-960493号、欧州特許第A-0147240号、欧州特許第A-0482253号、欧州特許第A-0613938号、欧州特許第A-0557516号、及び国際公開第A-98/42808に記載されている。特に好ましいのは、ポリイソブチレンスクシンイミドなどのポリオレフィン置換スクシンイミドである。
【0125】
ディーゼル燃料添加剤混合物は、清浄剤に加えて他の成分を含有し得る。例は、潤滑向上剤;曇り除去剤、例えば、アルコキシル化フェノールホルムアルデヒドポリマー;消泡剤(例えば、ポリエーテル変性ポリシロキサン);点火改良剤(セタン改良剤)(例えば、硝酸2-エチルヘキシル、2-ethylhexyl nitrate、EHN)、硝酸シクロヘキシル、ジ-tert-ブチルペルオキシド、及び米国特許第A-4208190号の第2欄第27行~第3欄第21行に開示されているもの);防錆剤(例えば、テトラプロペニルコハク酸のプロパン-1,2-ジオール半エステル、又はコハク酸誘導体の多価アルコールエステルであって、コハク酸誘導体が、そのアルファ-炭素原子のうちの少なくとも1つに、20~500個の炭素原子を含有する非置換又は置換脂肪族炭化水素基を有するもの、例えば、ポリイソブチレン置換コハク酸のペンタエリスリトールジエステル);腐食防止剤;付香剤;耐摩耗添加剤;酸化防止剤(例えば、2,6-ジ-tert-ブチルフェノールなどのフェノール類、又はN,N’-ジ-sec-ブチル-p-フェニレンジアミンなどのフェニレンジアミン);金属不活性化剤;助燃剤;静電気消散添加剤;低温流動性改良剤;及びワックス沈降防止剤である。
【0126】
ディーゼル燃料添加剤混合物は、特にディーゼル燃料組成物が低い(例えば、500ppmw以下)硫黄含有量を有する場合、潤滑向上剤を含有し得る。添加剤が加えられたディーゼル燃料組成物において、潤滑向上剤は、好都合には、1000ppmw未満、好ましくは50~1000ppmw、より好ましくは70~1000ppmwの濃度で存在する。好適な市販の潤滑向上剤としては、エステル系及び酸系添加剤が挙げられる。他の潤滑向上剤は、特許文献に、特に低硫黄含有量ディーゼル燃料におけるそれらの使用に関連して、例えば以下に記載されている。
-Danping Wei and H.A.Spikes,「The Lubricity of Diesel Fuels」,Wear,III(1986)217-235による論文;
-国際公開第A-95/33805号-低硫黄燃料の潤滑性を向上させるための低温流動性改良剤;
-米国特許第A-5490864号-低硫黄ディーゼル燃料の耐摩耗潤滑添加剤としてのある特定のジチオリン酸ジエステル-ジアルコール;及び
-国際公開第A-98/01516-特に低硫黄ディーゼル燃料において耐摩耗性潤滑効果を付与するための、その芳香核に結合した少なくとも1つのカルボキシル基を有するある特定のアルキル芳香族化合物。
【0127】
また、ディーゼル燃料組成物が消泡剤を含有することが好ましい場合があり、より好ましくは、防錆剤及び/又は腐食防止剤及び/又は潤滑向上添加剤と組み合わせて含有することがより好ましい場合がある。
【0128】
特に明記しない限り、添加剤が加えられたディーゼル燃料組成物中のそのような任意選択の添加剤成分の各々の(活性物質)濃度は、好ましくは最大10000ppmw、より好ましくは0.1~1000ppmw、有利には0.1~300ppmw、例えば、0.1~150ppmwの範囲である。
【0129】
ディーゼル燃料組成物中の任意の曇り除去剤の(活性物質)濃度は、好ましくは0.1~20ppmw、より好ましくは1~15ppmw、更により好ましくは1~10ppmw、特に1~5ppmwの範囲である。存在する任意の点火改良剤の(活性物質)濃度は、好ましくは2600ppmw以下、より好ましくは2000ppmw以下、更により好ましくは300~1500ppmwである。ディーゼル燃料組成物中の任意の清浄剤の(活性物質)濃度は、好ましくは5~1500ppmw、より好ましくは10~750ppmw、最も好ましくは20~500ppmwの範囲である。
【0130】
ディーゼル燃料組成物の場合、例えば、燃料添加剤混合物は、典型的には、任意選択で上述のような他の成分とともに、清浄剤と、ディーゼル燃料適合性希釈剤と、を含有し、希釈剤は、鉱油、Shell社から商品名「SHELLSOL」で販売されているものなどの溶媒、エステルなどの極性溶媒、特に、アルコール、例えば、ヘキサノール、2-エチルヘキサノール、デカノール、イソトリデカノール、及びShell社から商標「LINEVOL」で販売されているものなどのアルコール混合物、特にc7-9一級アルコールの混合物であるLINEVOL 79アルコール、又は市販されているc12-14アルコール混合物であり得る。
【0131】
ディーゼル燃料組成物中の添加剤の総含有量は、好適には0~10000ppmw、及び好ましくは5000ppmw未満であり得る。
【0132】
上記において、成分の量(濃度、体積%、ppmw、重量%)は、活性物質のものであり、すなわち、揮発性溶媒/希釈剤材料を除く。
【0133】
本発明の液体燃料組成物は、必須のテトラアルキルエタン化合物及びアルキルベンゼン化合物を、内燃エンジンでの使用に好適なベース燃料と混和することによって生成することができる。必須の燃料添加剤が混和されるベース燃料がガソリンであるため、生成される液体燃料組成物は、ガソリン組成物である。同様に、添加剤が混和されるベース燃料がディーゼル燃料である場合、生成される液体燃料組成物は、ディーゼル燃料組成物である。
【0134】
驚くべきことに、本明細書に記載されるテトラアルキルエタン化合物とアルキルベンゼン化合物との組み合わせを液体燃料組成物中で使用することによって、液体ベース燃料で燃料供給された内燃エンジンと比較して、該テトラアルキルエタン化合物及び該アルキルベンゼン化合物を含有する液体燃料組成物で燃料供給された内燃エンジンの動力の改善、加速の改善、燃焼持続時間の短縮、火炎速さの増加、及び燃料経済性の改善に関して利益が提供されることが見出された。
【0135】
本発明は、以下の実施例から更に理解されるであろう。特に明記しない限り、実施例に開示される全ての量及び濃度は、完全に配合された燃料組成物の重量に基づく。
【0136】
実施例
これらの実験の目標は、ガソリン単気筒エンジン(gasoline single cylinder engine、GSCE)を使用して、燃焼向上特性の可能性を有する一連の添加剤をスクリーニングすることであった。燃焼向上は、基本的に、過早点火遅延(高圧縮比でのノックの低減に重要である、オクタン価上昇)又は火炎速さ改良剤(燃焼持続時間を短縮して動力を改善させる)の2つのモードで示され得る。
【0137】
多くの完全に配合された燃料組成物を以下に提供する(実施例1~4)。
【0138】
全ての燃料組成物は、同じベース燃料を使用する。ベース燃料は、性能添加剤を含有しない北米メイングレード仕様ASTM D4814に適合するE10燃料(10%エタノール含有)である。
【0139】
1,3,5-トリメチルベンゼン(trimethylbenzene、TMB)及び/又はジクメンを、以下の表1に示される処理率でベース燃料に添加した。表1はまた、各燃料配合物についてのRON値及びMON値を示す。
【0140】
【0141】
試験条件
これらの実験に使用したエンジンは、ガソリン単気筒エンジンであった。このエンジンは、AVLによって製造され、EA888 2.0L Audi TFSI/VW TSI(Euro 6)に基づいた。単気筒ベンチエンジンの詳細を以下の表2に示す。
【0142】
【0143】
エンジン試験条件を以下の表3に詳述する。
【0144】
【0145】
以下の試験プロトコルを、ベース燃料及び1日当たり1つの試験燃料(実施例1~4のうちの1つ)を用いて実行した。
・エンジンを暖機し、ベース燃料でラインアウトする
・ベースライン火花掃引の実行:1300ML、HL、3300ML(ML=中負荷;HL=高負荷)
・試験燃料に切り替え、30リットルフラッシュする
・試験:3つの異なる条件(1300rpm、IMEP:11.5バール及び8バール;並びに3300rpm、IMEP:12.4バール)での火花掃引
・終了。
【0146】
各試験燃料ブレンドを、2つの無作為化ループの各々において1回ずつ、2回スクリーニングした(実施例2を1回試験した)。
【0147】
Pmax、燃焼持続時間、及び排気温度の測定を行い、その結果を以下の表4、5、6、及び7に示す。表4は、1300HL、IGN=1(IGN=点火時間)での試験ブレンドとそのベース燃料対照との間のPmaxの平均%差を示す。
【0148】
図1は、実施例1~4について表4に記載された実験データのグラフ表示である(実施例番号はx軸上にあり、Pmaxの平均%差はy軸上にある)。表5は、1300HL、IGN=1での試験ブレンドとそのベース燃料対照との間の燃焼持続時間の%差分析を示す。
図2は、実施例1~4について表5に記載された実験データのグラフ表示である(実施例番号はx軸上にあり、燃焼持続時間の%差はy軸上にある)。表6は、各試験燃料についての排気温度、及び試験ブレンドとそのベース燃料対照(1300HL、IGN=1)との間の排気温度の%差を示す。
図3は、実施例1~4について表6に記載された実験データのグラフ表示である(実施例番号はx軸上にあり、排気温度の平均%差はy軸上にある)。表7は、1300HL、IGN=1における試験ブレンドとそのベース燃料対照との間の燃焼持続時間の平均%差(AI50-90)を示す。
図4は、実施例1~4について表7に記載される実験データのグラフ表示である(実施例番号はx軸上にあり、燃焼持続時間の平均%差(AI 50-90%)はy軸上にある)。
【0149】
【0150】
【0151】
【0152】
【0153】
考察
本発明のガソリン燃料組成物におけるジクメン/TMBの組み合わせの使用は、エンジン試験において燃焼持続時間の減少及びPmaxの増加を提供することが示された。本発明の燃料組成物では排気温度の低下も観察され、これは、燃料経済性の改善を意味する。これらの結果の大きさは、特に、使用されたジクメン/TMB添加剤濃度の非常に低いレベルを考慮すると、特に驚くべきことである。
【手続補正書】
【提出日】2023-12-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料組成物であって、
(a)内燃エンジンでの使用に好適なベース燃料と、
(b)式(I)を有するテトラアルキルエタン化合物であって、
【化1】
式中、Arが、アリール基を表し、各Xが、独立して、水素原子、置換若しくは非置換の直鎖若しくは分岐C
1-C
12アルキル基、(CH
2)
nOH、又は(CH
2)
nNH
2から選択され、式中、nが、1~9の範囲にあるが、但し、各CX
3基中のX基のうちの少なくとも1つが、水素原子である、テトラアルキルエタン化合物と、
c)式(II)を有するアルキルベンゼン化合物であって、
【化2】
式中、各R1~R6基が、独立して、水素及びC
1-C
6アルキル基から選択され、式中、前記R1~R6基のうちの少なくとも1つが、C
1-C
6アルキル基である、アルキルベンゼン化合物と、を含む、燃料組成物。
【請求項2】
前記アルキルベンゼン中の3つのR1~R6基が、独立して、C
1-C
6アルキル基から選択される、請求項1に記載の燃料組成物。
【請求項3】
前記アルキルベンゼン化合物が、トリメチルベンゼン化合物である、請求項1又は2に記載の燃料組成物。
【請求項4】
前記アルキルベンゼン化合物が、1,3,5-トリメチルベンゼンである、請求項1~3のいずれか一項に記載の燃料組成物。
【請求項5】
Arが、非置換フェニル基である、請求項1~4のいずれか一項に記載の燃料組成物。
【請求項6】
各Xが、独立して、水素原子、非置換の直鎖又は分岐C
1-C
6アルキル基から選択されるが、但し、各CX
3基中のX基のうちの少なくとも1つが、水素原子である、請求項1~5のいずれか一項に記載の燃料組成物。
【請求項7】
前記テトラアルキルエタン化合物が、1,1’(1,1,2,2-テトラメチル-1,1-エタンジイル)ビス-ベンゼンである、請求項1~6のいずれか一項に記載の燃料組成物。
【請求項8】
内燃エンジンの出力を改善するための方法であって、前記方法が、請求項1~7のいずれか一項に記載の燃料組成物を前記エンジンに燃料供給することを含む、方法。
【請求項9】
内燃エンジンの加速を改善するための方法であって、前記方法が、請求項1~7のいずれか一項に記載の燃料組成物を前記エンジンに燃料供給することを含む、方法。
【請求項10】
内燃エンジンにおける燃料組成物の燃焼持続時間を短縮する方法であって、前記方法が、請求項1~7のいずれか一項に記載の液体燃料組成物を前記内燃エンジンに燃料供給することを含む、方法。
【請求項11】
内燃エンジンにおける燃料組成物の火炎速さを増加させるための方法であって、前記方法が、請求項1~7のいずれか一項に記載の液体燃料組成物を前記内燃エンジンに燃料供給することを含む、方法。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0152
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0152】
考察
本発明のガソリン燃料組成物におけるジクメン/TMBの組み合わせの使用は、エンジン試験において燃焼持続時間の減少及びP
maxの増加を提供することが示された。本発明の燃料組成物では排気温度の低下も観察され、これは、燃料経済性の改善を意味する。これらの結果の大きさは、特に、使用されたジクメン/TMB添加剤濃度の非常に低いレベルを考慮すると、特に驚くべきことである。
本明細書は以下の発明の開示を包含する。
[項目1] 燃料組成物であって、
(a)内燃エンジンでの使用に好適なベース燃料と、
(b)式(I)を有するテトラアルキルエタン化合物であって、
【化8-1】
式中、Arが、アリール基を表し、各Xが、独立して、水素原子、置換若しくは非置換の直鎖若しくは分岐C
1
-C
12
アルキル基、(CH
2
)
n
OH、又は(CH
2
)
n
NH
2
から選択され、式中、nが、1~9の範囲にあるが、但し、各CX
3
基中のX基のうちの少なくとも1つが、水素原子である、テトラアルキルエタン化合物と、
d)式(II)を有するアルキルベンゼン化合物であって、
【化8-2】
式中、各R1~R6基が、独立して、水素及びC
1
-C
6
アルキル基から選択され、式中、前記R1~R6基のうちの少なくとも1つが、C
1
-C
6
アルキル基である、アルキルベンゼン化合物と、を含む、燃料組成物。
[項目2] 前記アルキルベンゼン中の3つのR1~R6基が、独立して、C
1
-C
6
アルキル基から選択される、項目1に記載の燃料組成物。
[項目3] 前記アルキルベンゼン化合物が、トリメチルベンゼン化合物である、項目1又は2に記載の燃料組成物。
[項目4] 前記アルキルベンゼン化合物が、1,3,5-トリメチルベンゼンである、項目1~3のいずれか一項に記載の燃料組成物。
[項目5] 前記アルキルベンゼン化合物が、前記燃料組成物の30ppm~2重量%のレベルで存在する、項目1~4のいずれか一項に記載の燃料組成物。
[項目6] 前記テトラアルキルエタン化合物のArが、フェニル、ビフェニル、ナフチル、チエニル、又はアントラシルから選択される置換又は非置換芳香族基である、項目1~5のいずれか一項に記載の燃料組成物。
[項目7] Arが、非置換フェニル基である、項目1~6のいずれか一項に記載の燃料組成物。
[項目8] 各Xが、独立して、水素原子、非置換の直鎖又は分岐C
1
-C
6
アルキル基から選択されるが、但し、各CX
3
基中のX基のうちの少なくとも1つが、水素原子である、項目1~7のいずれか一項に記載の燃料組成物。
[項目9] 前記テトラアルキルエタン化合物が、1,1(1,1,2,2-テトラメチル-1,1-エタンジイル)ビス-ベンゼンである、項目1~8のいずれか一項に記載の燃料組成物。
[項目10] 前記テトラアルキルエタン化合物が、前記燃料組成物%の30ppm~10重量%のレベルで前記燃料組成物中に存在する、項目1~9のいずれか一項に記載の燃料組成物。
[項目11] 前記ベース燃料が、ガソリンベース燃料である、項目1~10のいずれか一項に記載の燃料組成物。
[項目12] 前記ベース燃料が、全ベース燃料に基づいて10体積%未満の芳香族を含む、項目1~11のいずれか一項に記載の燃料組成物。
[項目13] 前記ベース燃料が、全ベース燃料に基づいて、2体積%未満の9個以上の炭素原子を有する芳香族を含む、項目1~12のいずれか一項に記載の燃料組成物。
[項目14] 内燃エンジンの出力を改善するための方法であって、前記方法が、項目1~13のいずれか一項に記載の燃料組成物を前記エンジンに燃料供給することを含む、方法。
[項目15] 内燃エンジンの加速を改善するための方法であって、前記方法が、項目1~13のいずれか一項に記載の燃料組成物を前記エンジンに燃料供給することを含む、方法。
[項目16] 内燃エンジンにおける燃料組成物の燃焼持続時間を短縮する方法であって、前記方法が、項目1~13のいずれか一項に記載の液体燃料組成物を前記内燃エンジンに燃料供給することを含む、方法。
[項目17] 内燃エンジンにおける燃料組成物の火炎速さを増加させるための方法であって、前記方法が、項目1~13のいずれか一項に記載の液体燃料組成物を前記内燃エンジンに燃料供給することを含む、方法。
【国際調査報告】