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特表2024-515781モバイル・アクセス・デバイスを介した伝送データの効率的なアップロード又はダウンロードのためのシステム及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】モバイル・アクセス・デバイスを介した伝送データの効率的なアップロード又はダウンロードのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
   H04W 48/16 20090101AFI20240403BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20240403BHJP
   H04W 28/14 20090101ALI20240403BHJP
   H04W 84/00 20090101ALI20240403BHJP
【FI】
H04W48/16 134
H04W16/26
H04W28/14
H04W84/00 110
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565891
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-10-26
(86)【国際出願番号】 EP2022061617
(87)【国際公開番号】W WO2022229454
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】21171430.8
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21173985.9
(32)【優先日】2021-05-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】21189071.0
(32)【優先日】2021-08-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】22164790.2
(32)【優先日】2022-03-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】590000248
【氏名又は名称】コーニンクレッカ フィリップス エヌ ヴェ
【氏名又は名称原語表記】Koninklijke Philips N.V.
【住所又は居所原語表記】High Tech Campus 52, 5656 AG Eindhoven,Netherlands
(74)【代理人】
【識別番号】110001690
【氏名又は名称】弁理士法人M&Sパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】ガルシア モーション オスカー
【テーマコード(参考)】
5K067
【Fターム(参考)】
5K067AA21
5K067DD20
5K067EE02
5K067EE06
5K067EE10
5K067JJ11
5K067JJ51
(57)【要約】
本発明は、モバイル・アクセス・デバイス(例えば、基地局(gNBなど)又はアクセス・ポイント)にリクエストされたデータをキャッシュすること、並びに、端末デバイスとモバイル・アクセス・デバイスとの間の、及びモバイル・アクセス・デバイスとマクロ・アクセス・デバイスとの間の、データのスケジューリング/転送を最適化することを行う能力を導入することによる、ネットワーク・システムにおける端末デバイス(例えば、スマートフォン又はIoTデバイス)のためのダウンロード能力の改善された提供を提案する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤレス・ネットワークにおける伝送データのアップロード又はダウンロードを制御するための装置であって、
モバイル・アクセス・デバイスの推定ロケーション情報及びターゲット・デバイスのロケーション情報に基づいて、前記モバイル・アクセス・デバイスを選択することと、
前記モバイル・アクセス・デバイスの前記推定ロケーション情報及び前記ターゲット・デバイスの前記ロケーション情報に基づいて、前記モバイル・アクセス・デバイスへの前記伝送データの転送、及び、前記モバイル・アクセス・デバイスから前記ターゲット・デバイスへの、又は前記ワイヤレス・ネットワークのコア・ネットワークへの、前記伝送データのその後の転送をスケジュールすることと
を行う、装置。
【請求項2】
選択された前記モバイル・アクセス・デバイスに前記伝送データをキャッシュする、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記モバイル・アクセス・デバイスがマクロ・アクセス・デバイスの所定の範囲内にあるときに前記マクロ・アクセス・デバイスを介して前記伝送データをアップロード又はダウンロードする、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
さらに、前記モバイル・アクセス・デバイスの現在の移動スケジュールを考慮して、複数のモバイル・アクセス・デバイスのどれが、前記ターゲット・デバイスの所定の範囲内にあるかを決定し、所定の時間における前記ターゲット・デバイスの位置情報、前記所定の時間における前記複数のモバイル・アクセス・デバイスのそれぞれの位置、及び前記所定の時間における前記ターゲット・デバイスのユーザの通信要件を考慮して、前記複数のモバイル・アクセス・デバイスのどれが、前記伝送データを前記ターゲット・デバイスに届けることができるかを識別する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項5】
さらに、選択された前記モバイル・アクセス・デバイスが伝送パラメータを事前最適化するか、伝送リソースを事前配分できるように、前記モバイル・アクセス・デバイスのルート沿いの前記ターゲット・デバイスの存在、前記ターゲット・デバイスの前記ユーザのデータ要件、及び、前記ターゲット・デバイスの位置のうちの少なくとも1つを、選択された前記モバイル・アクセス・デバイスに知らせる、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項6】
さらに、前記伝送データの前記転送のための前記モバイル・アクセス・デバイスの適切なロケーション、及び、選択された前記モバイル・アクセス・デバイスと、前記ターゲット・デバイスをサーブするマクロ・アクセス・デバイスとの間の、アップリンク又はダウンリンク通信のための適切なスタート時間を選択する、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項7】
請求項1又は2に記載の装置及び少なくとも1つのモバイル・アクセス・デバイスを備える、ワイヤレス通信システム。
【請求項8】
前記モバイル・アクセス・デバイスが、車両内又は前記車両の所定の範囲内にある端末デバイスをサーブする車載アクセス・デバイスである、請求項7に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項9】
前記モバイル・アクセス・デバイスが、転送するのに必要なデータ量、前記ターゲット・デバイスの位置情報、前記モバイル・アクセス・デバイスの予想軌道、並びに、前記ターゲット・デバイス又はマクロ・アクセス・デバイス及び前記モバイル・アクセス・デバイスが所定の範囲内にあるはずの予想期間のうちの少なくとも1つを考慮して、前記伝送データのアップロード又はダウンロード用の通信リソースを事前配分し、構成する、請求項7に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項10】
コア・ネットワーク機能若しくはマクロ・アクセス・デバイスが、前記モバイル・アクセス・デバイスが選択されるとすぐに、前記モバイル・アクセス・デバイスへの条件付きハンドオーバのリクエストをトリガする、又は、前記ターゲット・デバイスが、前記条件付きハンドオーバ・リクエストをトリガする無線リソース制御測定レポートを送信する、又は、前記ターゲット・デバイスが、前記条件付きハンドオーバをトリガしたいというリクエストを、前記ワイヤレス・ネットワークのコア・ネットワーク、若しくは前記マクロ・アクセス・デバイスに直接的に送信する、又は、前記ターゲット・デバイスが、所定の条件を満たした場合に前記モバイル・アクセス・デバイスに加わる、請求項7に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項11】
前記モバイル・アクセス・デバイスと、前記ターゲット・デバイスをサーブするマクロ・アクセス・デバイスとが、中央ユニットと分散ユニットとの間の分担の事例であり、前記モバイル・アクセス・デバイスが分散ユニットであり、前記マクロ・アクセス・デバイスが中央ユニットであり、前記中央ユニットが、ソース分散ユニットからターゲット分散ユニットに移動するためのタイミング及び条件を含む接続再構成メッセージを前記ターゲット・デバイスに送り、前記ターゲット・デバイスが、ランダム・アクセス手順及び/又は接続再構成完了メッセージにデータ配送ステータスについての情報を含め、前記伝送データが、前記ターゲット分散ユニットにキャッシュされる、請求項10に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項12】
前記モバイル・アクセス・デバイスの推定移動情報に応じて通信パラメータを作成することと、前記モバイル・アクセス・デバイスが前記IABドナー・ユニットの所定の範囲内にあるときに前記通信パラメータを有効化することと、前記モバイル・アクセス・デバイスが前記IABドナー・ユニットの範囲外にあるときに前記通信パラメータを保留することとを行う、インテグレーテッド・アクセス及びバックホールIABドナー・ユニットをさらに備える、請求項7に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項13】
前記データが、モバイル・エッジ又はマルチアクセス・エッジ・コンピューティングMEC環境内に分散され、前記ワイヤレス・ネットワークのコア・ネットワークのMECオーケストレータが、前記伝送データを前記ターゲット・デバイスに届けるための前記モバイル・アクセス・デバイス選択し、MECアプリケーションが、選択された前記モバイル・アクセス・デバイスにおいて最初に依頼され、前記伝送データが、前記ターゲット・デバイスからのアプリケーション・リクエストに基づいて前記MECオーケストレータのリクエスト時に転送される、請求項7に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項14】
前記ターゲット・デバイスをサーブするマクロ・アクセス・デバイスが、学習フェーズ中に前記モバイル・アクセス・デバイスの測位情報を収集し、収集された前記測位情報を使用して予測フェーズ中に前記モバイル・アクセス・デバイスの実際の位置を推定するように構成される、請求項7に記載のワイヤレス通信システム。
【請求項15】
請求項1又は2に記載の装置を備える端末デバイスであって、前記ロケーション情報及び前記推定ロケーション情報のうちの少なくとも1つに基づいて、前記モバイル・アクセス・デバイスに接続するべきかどうかを決める、端末デバイス。
【請求項16】
ワイヤレス・ネットワークにおける伝送データのアップロード又はダウンロードを制御する方法であって、
モバイル・アクセス・デバイスの推定ロケーション情報及びターゲット・デバイスのロケーション情報に基づいて、前記モバイル・アクセス・デバイスを選択するステップと、
選択された前記モバイル・アクセス・デバイスへの前記伝送データのキャッシングを開始するステップと、
前記モバイル・アクセス・デバイスの前記推定ロケーション情報及び前記ターゲット・デバイスの前記ロケーション情報に基づいて、前記モバイル・アクセス・デバイスへの前記伝送データの転送、及び、前記モバイル・アクセス・デバイスから前記ターゲット・デバイスへの、又は前記ワイヤレス・ネットワークのコア・ネットワークへの、キャッシュされた前記伝送データのその後の転送をスケジュールするステップと
を有する、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セルラー・ネットワークなどの-しかし、これらに限定されない-モバイル・アクセス・デバイスを有するワイヤレス・ネットワークにおけるデータ配信に関する。
【背景技術】
【0002】
小規模セル技術は、第5世代のセルラー・ネットワーク(5Gネットワーク)における新しい展開であるが、小規模セルが、ネットワーク接続を行うことになる唯一のアクセス・デバイス(すなわち基地局又はノードB)というわけではない。5Gネットワークは、接続用にマクロ・セル--セル・タワーなど--も使用し、これらのより大規模な基地局は、小規模セルの高周波ミリメートル波能力に比べて、より低い5G周波数を可能にし得る。
【0003】
マクロ・セルは、km範囲のセルラー・カバレッジを提供するために大規模タワー及びアンテナを通じて無線信号を送受信するセルラー基地局であり、その一方で、小規模セルは、高速ブロードバンド接続で特定エリア内のワイヤレス・ネットワーク接続を増強するための、物理的に小さい別のタイプのセルラー基地局である。その上、フェムト・セルは、屋内のセルラー接続を強化するために使用されるワイヤレス・アクセス・ポイントである。他のセルラー接続オプションと違って、フェムト・セルは、家庭内又はオフィスのセルラー接続を行うためにインターネットを遡って接続する。フェムト・セルはルータのように見え、動作し、ユーザは、自分の現在のネットワーク・ハードウェア設備の近くにフェムト・セルを設置することができる。フェムト・セルは、これを購入したいと思っているだれもがアクセス可能である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
状況によっては、端末デバイス(モバイル・ユーザ・デバイス(例えば、ユーザ機器(UE)などのモバイル・フォン、スマートフォン、ラップトップ、ノートブック、タブレットなど)、又はモノのインターネット(IoT)デバイス(例えば、センサ若しくは同様のもの))には、例えば、ビッグ・データ・ファイルのダウンロードが要求されることによる、高帯域幅のニーズがあり得る。このようなビッグ・データ・ファイルを取り出すことは、それでも、マクロ・セルが限られた接続しか行えない場合、又は、モバイル中継器が非常に限られた時間しか良い/速い接続を行えない場合もあるので、端末デバイスがモバイル中継器(例えば、5GネットワークのgNodeB(gNB)などのモバイル・セルラー・アクセス・デバイス)に最初に接続されなければならず、したがって、ファイルのダウンロードしかトリガできない場合、セルラー・ネットワークのマクロ・セルに接続されている間に問題を引き起こす。
【0005】
例示的なユース・ケースは、マクロ・セルを通じてセルラー・ネットワークに接続されたUEであり、現在のマクロ・セルでは完全にハンドリング不能な一部の帯域幅のニーズを要求する。例えば、医療ユーザは、ビデオ会議を開き、ビッグ・ゲノム・ファイルのダウンロードをさらにリクエストしていることもあり、又は、移動しているユーザは、いくつかのビデオを取り出そうとしているが、マクロ・セルを通じた現在の接続は、接続をサポートしない。
【課題を解決するための手段】
【0006】
ワイヤレス・ネットワークにおける改善されたデータ配信を可能にすることが本発明の目的である。
【0007】
本目的は、請求項1に記載の装置によって、請求項6に記載のワイヤレス通信システムによって、請求項14に記載の端末デバイスによって、請求項15に記載の方法によって、及びコンピュータ・プログラム製品によって、達成される。
【0008】
ワイヤレス・ネットワークのコア・ネットワーク・デバイス若しくは機能(例えば、AMF、SMF、若しくはIABコーディネータ)、又は端末デバイス(ターゲット・デバイス)に関する第1の態様によれば、ワイヤレス・ネットワークにおける伝送データのアップロード又はダウンロードを制御するための装置が提供され、装置は、
- モバイル・アクセス・デバイスの推定ロケーション情報及びターゲット・デバイスのロケーション情報に基づいて、モバイル・アクセス・デバイスを選択することと、
- モバイル・アクセス・デバイスの推定ロケーション情報及びターゲット・デバイスのロケーション情報に基づいて、アクセス・デバイスへの伝送データの転送、及び、アクセス・デバイスからターゲット・デバイスへの、又はワイヤレス・ネットワークのコア・ネットワークへの、伝送データのその後の転送をスケジュールすることと
を行うように構成される。
【0009】
コア・ネットワーク・デバイス若しくは機能又は端末デバイス(ターゲット・デバイス)に関する第2の態様によれば、ワイヤレス・ネットワークにおける伝送データのアップロード又はダウンロードを制御する方法が提供され、方法は、
- モバイル・アクセス・デバイスの推定ロケーション情報及びターゲット・デバイスのロケーション情報に基づいて、モバイル・アクセス・デバイスを選択することと、
- モバイル・アクセス・デバイスの推定ロケーション情報及びターゲット・デバイスのロケーション情報に基づいて、モバイル・アクセス・デバイスへの伝送データの転送、及び、モバイル・アクセス・デバイスからターゲット・デバイスへの、又はワイヤレス・ネットワークのコア・ネットワークへの、リクエストされたデータのその後の転送をスケジュールすることと
を有する。
【0010】
コア・ネットワーク・デバイス若しくは機能又は端末デバイス(ターゲット・デバイス)に関する第3の態様によれば、ワイヤレス・ネットワークにおける伝送データのアップロード又はダウンロードを制御する方法が提供され、方法は、
- モバイル・アクセス・デバイスの推定ロケーション情報及びターゲット・デバイスのロケーション情報に基づいて、モバイル・アクセス・デバイスを選択することと、
- モバイル・アクセス・デバイスの推定ロケーション情報、ターゲット・デバイスのロケーション情報、及び通信性能を最適化するモバイル・アクセス・デバイスの推定ロケーションに基づいて、モバイル・アクセス・デバイスを通じたターゲット・デバイスとコア・ネットワークとの間の伝送データの転送をスケジュールすることと
を有する。
【0011】
通信性能は、例えば、エンド・ツー・エンド・スループット(平均又は瞬間)、全体的なネットワーク・スループット(平均又は瞬間)、電力消費量の観点での最も効率的な通信、最低レベルの干渉を含む。スループット時間、データ・レート、又はレイテンシのような、最適な通信性能定義のための他の測定基準を考慮可能である。
【0012】
第4の態様によれば、第1の態様の装置、及び少なくとも1つのモバイル・アクセス・デバイスを備える、ワイヤレス通信システムが提供される。
【0013】
第5の態様によれば、第1の態様の装置を備える端末デバイス(例えば、ワイヤレス通信デバイス(UE)又はIoTデバイス)が提供される。
【0014】
最後に、第6の態様によれば、コンピュータ・デバイスで実行されると、第2の態様の上記の方法のステップを生み出すためのコード手段を備える、コンピュータ・プログラム製品が提供される。
【0015】
したがって、例えば、リクエストされたデータをモバイル・アクセス・デバイスにキャッシュし、ターゲット・デバイスとモバイル・アクセス・デバイスとの間で、及び/又はモバイル・アクセス・デバイスとマクロ・アクセス・デバイスとの間で、通信パラメータを配分することによって、ターゲット・デバイスとドナー・アクセス・デバイスとの間のモバイル・アクセス・デバイスを使用して、移動及びネットワーク・トポロジ、データの転送のうちの少なくとも1つを最適化することによって、ターゲット・デバイス(例えば、端末デバイス、IoTデバイス等)にとってのより良いアップロード又はダウンロード能力が達成可能になる。ドナー・アクセス・デバイスは、モバイル・アクセス・デバイスへの接続を行う能力があるマクロ・セル、又は、例えばピコ/フェムト/小規模セル、据置型、若しくはモバイルといった、任意の他のセルでもよい。
【0016】
上記の最適化はモバイル・アクセス・デバイスの測位情報に基づくので、通信は、データ通信が影響を受けないような方式で予め準備可能であり、関連ファイルのアップロード又はダウンロードは、例えば現在過負荷になっているので、マクロ・セルで保留され、モバイル・アクセス・デバイスは、リクエストされたデータのアップロード又はダウンロードのキャッシュを始め、ターゲット及びモバイル・アクセス・デバイスは、その無線アクセス・ネットワーク(RAN)通信設定を適合及び計画するために、その位置/軌道を認識させることが可能である。
【0017】
本発明の第1から第6の態様のいずれかで使用される変形物によれば、装置は、選択されたモバイル・アクセス・デバイスへの伝送データのキャッシュを開始するように構成されることが提案される。
【0018】
上記の第1から第6の態様のいずれかと組み合わされる第1のオプションによれば、リクエストされたデータは、モバイル・アクセス・デバイスがマクロ・アクセス・デバイスの所定の範囲内にあるときに、マクロ・アクセス・デバイスを介してアップロード又はダウンロードされる。これにより、改善された接続を達成するために短い距離で伝送データが転送されることを保証可能である。
【0019】
第1のオプション又は上記の第1から第6の態様のいずれかと組み合わされる第2のオプションによれば、伝送データは、アップロード若しくはダウンロードされることになるデータ・ファイル、ストリーミング・サービスからのデータ・ストリーミング、又はソフトウェア・アップデートである。したがって、モバイル・アクセス・デバイスを介してターゲット・デバイスとの間で大量のデータがより効果的に転送可能になる。
【0020】
第1若しくは第2のオプション又は上記の第1から第6の態様のいずれかと組み合わせ可能な第3のオプションによれば、モバイル・アクセス・デバイスの現在の移動スケジュールを考慮して、複数のモバイル・アクセス・デバイスのどれがターゲット・デバイスの所定の範囲内にあることになるかが決定され、所定の時間におけるターゲット・デバイスの位置情報、所定の時間における複数のモバイル・アクセス・デバイスのそれぞれの位置、及び所定の時間におけるターゲット・デバイスのユーザの通信要件を考慮して、複数のモバイル・アクセス・デバイスのどれが、伝送データをターゲット・デバイスに配送可能であるかが識別される。これにより、伝送データの効果的な転送に最も適したモバイル・デバイスが選択可能になる。
【0021】
第1から第3のオプションのいずれか又は上記の第1から第6の態様のいずれかと組み合わせ可能な第4のオプションによれば、選択されたモバイル・アクセス・デバイスは、モバイル・アクセス・デバイスのルート沿いのターゲット・デバイスの存在、ターゲット・デバイスのユーザのデータ要件、及びターゲット・デバイスの位置のうちの少なくとも1つについて知らされ、その結果、選択されたモバイル・アクセス・デバイスは、伝送パラメータを事前最適化するか、伝送リソースを事前配分することができる。これにより、モバイル・アクセス・デバイスにおける伝送データの効果的な転送が確保可能になる。
【0022】
第1から第4のオプションのいずれか又は上記の第1から第6の態様のいずれかと組み合わせ可能な第5のオプションによれば、ターゲット・デバイスは、伝送データのアップロード又はダウンロードのためにモバイル・アクセス・デバイスが近くにあり利用可能になるタイミングについて、マクロ・セルを通じて知らされる。したがって、ターゲット・デバイスは、伝送データの効果的な転送を準備することが可能になる。
【0023】
第1から第5のオプションのいずれか又は上記の第1から第6の態様のいずれかと組み合わせ可能な第6のオプションによれば、伝送データの転送にとってのモバイル・アクセス・デバイスの適切なロケーション、及び、選択されたモバイル・アクセス・デバイスと、ターゲット・デバイスをサーブするマクロ・アクセス・デバイスとの間のアップリンク又はダウンリンク通信にとっての適切なスタート時間が選択される。これにより、伝送データの転送の効果的なスケジューリングが達成可能になる。
【0024】
第1から第6のオプションのいずれか又は上記の第1から第6の態様のいずれかと組み合わせ可能な第7のオプションによれば、伝送データは、単一のモバイル・アクセス・デバイスが伝送データ全てをハンドリングできない場合、2つ以上のモバイル・アクセス・デバイスを通じて転送される。
【0025】
第1から第7のオプションのいずれか又は上記の第1から第6の態様のいずれかと組み合わせ可能な第8のオプションによれば、モバイル・アクセス・デバイスは、車両内又は車両の所定の範囲内にある端末デバイスをサーブするように構成された車載アクセス・デバイスである。これにより、伝送データの転送の効果的なスケジューリングを容易にし、強化された接続を行うために、所定の移動ルート及びスケジュールを有する公共交通機関の車両に複数のモバイル・アクセス・デバイスが設置可能になる。
【0026】
第1から第8のオプションのいずれか又は上記の第1から第6の態様のいずれかと組み合わせ可能な第9のオプションによれば、モバイル・アクセス・デバイスは、中間ユーザ・プレーン機能(I-UPF:intermediate user plane function)若しくはローカル・アプリケーション機能(AF:application function)を備えるか、又は、エッジ・コンピューティング・アプリケーション若しくはエッジ・アプリケーション・サーバをホストするように構成される。この措置は、データ・ソースからモバイル・アクセス・デバイスへの伝送データの転送が、より効果的になり得るという利点をもたらす。
【0027】
第1から第9のオプションのいずれか又は上記の第1から第6の態様のいずれかと組み合わせ可能な第10のオプションによれば、モバイル・アクセス・デバイスは、転送に必要なデータ量、ターゲット・デバイスの位置情報、モバイル・アクセス・デバイスの予想軌道、ターゲット・デバイス又はマクロ・アクセス・デバイス及びモバイル・アクセス・デバイスが所定の範囲内にあるはずの予想期間のうちの1つ又は複数を考慮して、伝送データのアップロード又はダウンロード用の通信リソースを事前配分し、構成するように構成される。これにより、伝送データの転送は、モバイル・アクセス・デバイスにおいて最適化可能になる。
【0028】
第1から第10のオプションのいずれか又は上記の第1から第6の態様のいずれかと組み合わせ可能な第11のオプションによれば、コア・ネットワーク機能が、モバイル・アクセス・デバイスが選択されると、モバイル・アクセス・デバイスへの条件付きハンドオーバのリクエストをトリガするように構成される、又は、ターゲット・デバイスが、条件付きハンドオーバ・リクエストをトリガする無線リソース制御測定レポートを送信するように構成される、又は、ターゲット・デバイスが、条件付きハンドオーバをトリガしたいというリクエストをワイヤレス・ネットワークのコア・ネットワークに直接的に送信するように構成される、又は、ターゲット・デバイスが、所定の条件を満たした場合にモバイル・アクセス・デバイスに加わるように構成される。これにより、モバイル・アクセス・デバイスを介したデータ転送は、ハンドオーバ動作によって効果的に開始可能になる。
【0029】
第1から第11のオプションのいずれか又は上記の第1から第6の態様のいずれかと組み合わせ可能な第12のオプションによれば、モバイル・アクセス・デバイスと、ターゲット・デバイスをサーブするマクロ・アクセス・デバイスとは、中央ユニットと分散ユニットとの間の分担の事例であり、モバイル・アクセス・デバイスは分散ユニットであり、マクロ・アクセス・デバイスは中央ユニットであり、中央ユニットは、ソース分散ユニットからターゲット分散ユニットに移動するためのタイミング及び条件を含む接続再構成メッセージをターゲット・デバイスに送信するように構成され、ターゲット・デバイスは、ランダム・アクセス手順及び/又は接続再構成完了メッセージにデータ配送ステータスについての情報を含めるように構成され、伝送データは、ターゲット分散ユニットにキャッシュされる。これらの措置は、モバイル・アクセス・デバイスを介したハンドオーバ・ベースのデータ転送を容易にする。
【0030】
第1から第12のオプションのいずれか又は上記の第1から第6の態様のいずれかと組み合わせ可能な第13のオプションによれば、インテグレーテッド・アクセス及びバックホール(IAB:integrated access and backhaul)ドナー・ユニットが提供され、IABドナー・ユニットは、モバイル・アクセス・デバイスの推定移動情報に応じて通信パラメータを作成することと、モバイル・アクセス・デバイスがIABドナー・ユニットの所定の範囲内にあるときに通信パラメータを有効化することと、モバイル・アクセス・デバイスがIABドナー・ユニットの範囲外にあるときに通信パラメータを保留することとを行うように構成される。これにより、伝送データが転送されるべきときに適切な通信パラメータが容易に利用可能になることが確保可能になる。
【0031】
第1から第13のオプションのいずれか又は上記の第1から第6の態様のいずれかと組み合わせ可能な第14のオプションによれば、伝送データは、モバイル・エッジ又はマルチアクセス・エッジ・コンピューティング(MEC:multi-access edge computing)環境内で配布され、ワイヤレス・ネットワークのコア・ネットワークのMECオーケストレータは、伝送データをターゲット・デバイスに届けるためのモバイル・アクセス・デバイスを選択するように構成され、MECアプリケーションは、選択されたモバイル・アクセス・デバイスにおいて最初に稼働し、伝送データは、ターゲット・デバイスからのアプリケーション・リクエストに基づいてMECオーケストレータのリクエスト時に転送される。これは、選択されたモバイル・アクセス・デバイスを介したアプリケーションからターゲット・デバイスへの伝送データの効果的な転送を確保する。
【0032】
第1から第14のオプションのいずれか又は上記の第1から第6の態様のいずれかと組み合わせ可能な第15のオプションによれば、ターゲット・デバイスをサーブするマクロ・アクセス・デバイスは、学習フェーズ中にモバイル・アクセス・デバイスの測位情報を収集し、収集された測位情報を使用して予測フェーズ中にモバイル・アクセス・デバイスの実際の位置を推定するように構成される。これにより、伝送データの転送の効果的なスケジューリング及び転送中の改善された接続が達成可能になる。
【0033】
第1から第15のオプションのいずれか又は上記の第1から第6の態様のいずれかと組み合わせ可能な第16のオプションによれば、端末デバイスは、ターゲット・デバイスのロケーション情報及びモバイル・デバイスの推定ロケーション情報のうちの少なくとも1つに基づいて、モバイル・アクセス・デバイスに接続するべきかどうかを決めるように構成される。
【0034】
上記の装置は、個別のハードウェア構成要素を有する個別のハードウェア回路機器、統合チップ、若しくはチップ・モジュールの配置に基づいて、又は、メモリに格納された、コンピュータ可読媒体に書かれた、若しくはインターネットなどのネットワークからダウンロードされた、ソフトウェア・ルーチン若しくはプログラムによって制御された信号処理デバイス若しくはチップに基づいて、実行されることが指摘される。
【0035】
請求項1に記載の装置、請求項7に記載のワイヤレス通信システム、請求項15に記載の端末デバイス、請求項16に記載の方法、及びコンピュータ・プログラム製品は、特に、従属請求項で定義されるような、類似及び/又は同一の好ましい実施形態を有することを理解されたい。
【0036】
本発明の好ましい実施形態はまた、従属請求項又は上記の実施形態のいずれかの、それぞれの独立請求項との組合せであることが可能であることを理解されたい。
【0037】
本発明のこれら及び他の態様は、以下に記載の実施形態から明らかであり、以下に記載の実施形態を参照しながら説明される。
【図面の簡単な説明】
【0038】
図1】本発明を実行可能なセルラー・ネットワークのアーキテクチャの概略図である。
図2】モバイル基地局から非内蔵端末デバイスへの計画的データ・ダウンロードの実施形態による例の概略図である。
図3図2の例の計画的データ・ダウンロードの信号及び処理の概略図である。
図4】実施形態によるモバイル・エッジ・コンピューティング(MEC)環境におけるデータ配信の信号及び処理の概略図である。
図5】様々な実施形態によるモバイル基地局及び全体システムの例示的具体例の概略ブロック図である。
図6】ダウンリンク・データが配送可能になるまでモバイル基地局にキャッシュされる場合の実施形態による例の信号及び処理の概略図である。
図7】様々な実施形態による第1の対応者ネットワークの位置確認及びマッピング手順の概略流れ図である。
図8】履歴データに基づくロケーションに対する、マクロ基地局とモバイル基地局との間のダウンリンク・スループットの特性曲線の図である。
図9】履歴データに基づくロケーションに対する、2つのモバイル基地局と端末デバイスとの間のダウンリンク・スループットの特性曲線の図である。
図10】モバイル基地局を通じた非内蔵端末デバイスへの計画的データ・ダウンロードの実施形態による例の概略図である。
図11】履歴データに基づくロケーションに対する、マクロ基地局とモバイル基地局との間の、及びモバイル基地局とUEとの間の、ダウンリンク・スループットの特性曲線の図である。この図は、個々の通信リンクを最適化するためのロケーションL1及びL3、並びにエンド・ツー・エンド通信リンクを最適化するためのロケーションL2を示している。
図12】履歴データに基づくロケーションに対する、マクロ基地局とモバイル基地局との間の、及びモバイル基地局とUEとの間の、ダウンリンク・スループットの特性曲線の図である。
図13】ビームがモバイル基地局の移動方向に対して配置される場合の、異なるビームを通じた同期信号ブロックのブロードキャストのためのビーム・フォーミング配置の図である。
図14】ビームがモバイル基地局の移動方向とは無関係の固定配置を維持する場合の、異なるビームを通じた同期信号ブロックのブロードキャストのためのビーム・フォーミング配置の図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
5Gセルラー・ネットワーク環境に基づいて、本発明の実施形態がここから説明される。
【0040】
本開示の全体を通して、省略形「gNB」(5G用語)は、セルラー基地局又はWiFiアクセス・ポイントなどの、アクセス・デバイスを意味することを意図している。gNBは、集中型制御プレーン・ユニット(gNB-CU-CP)、複数の集中型ユーザ・プレーン・ユニット(gNB-CU-UP)、及び/又は複数の分散ユニット(gNB-DU)から成る。gNBは、無線アクセス・ネットワーク(RAN)の一部であり、コア・ネットワーク(CN)内の機能へのインターフェースを提供する。RANは、ワイヤレス通信ネットワークの一部である。RANは、無線アクセス技術(RAT)を実行する。概念上、RANは、モバイル・フォン、コンピュータ、又は任意のリモート制御マシンなどの、通信デバイス間にあり、RANのCNと接続している。CNは、通信ネットワークのコア部分であり、RANを介して相互接続された利用者に数多くのサービスを提供する。より詳細には、CNは、通信ネットワーク及び場合によっては他のネットワーク介した通信ストリームを指示する。
【0041】
本開示の全体を通して、提案されたデータ配信機能に関するブロック、構成要素、及び/又はデバイスだけが添付の図面に示されていることが指摘される。簡潔さのために他のブロックは省略されている。
【0042】
図1は、本発明を実行可能なセルラー・ネットワークのアーキテクチャを概略的に示している。
【0043】
図1のアーキテクチャには、ドナー・アクセス・デバイス(例えば、gNB)20(すなわち、マクロ・アクセス・デバイス)と、端末デバイス(例えば、UEなどのワイヤレス通信デバイス)10との間でデータを中継するための、モバイル・アクセス・デバイス30が示されている。ドナー・アクセス・デバイス20は、5Gコア・ネットワーク40への接続を行う。
【0044】
例では、モバイル・アクセス・デバイス30は、車両内又は車両の近くにある端末デバイス(例えば、UE)をサーブするモバイル基地局として定義可能な車載中継器である。車載中継器はまた、様々な実施形態で言及される通信サービスを届けるための一部のネットワーク機能をホスト及び実行してもよい。
【0045】
モバイル・アクセス・デバイス30は、(例えば、3GPP(登録商標)仕様書TR_22839の図4-1に記載のように)第1のワイヤレス・リンク110を通じてドナー・アクセス・デバイス20に、及び第2のワイヤレス・リンク120を通じて端末デバイス10に、接続可能である。
【0046】
以下の実施形態のユース・ケースを実現するためのモバイル・アクセス・デバイス30の機能は、従来の静的なアクセス・デバイス(例えば、gNB)で実行される機能を超えることが指摘される。特に、モバイル・アクセス・デバイス30は、中間ユーザ・プレーン機能(I-UPF)又はローカル・アプリケーション機能(AF)など、一部のネットワーク機能の実行を必要とする。モバイル・アクセス・デバイス30は、エッジ・コンピューティング・アプリケーション又はエッジ・アプリケーション・サーバのホスティングも必要とする。
【0047】
様々な実施形態によれば、5Gシステム又は他のワイヤレス・ネットワークが端末デバイスのためにより良いダウンロード能力を届けるユース・ケース及びプロトコル・フローが説明される。これは、端末デバイス10とマクロ(ドナー)アクセス・デバイス20との間のモバイル・アクセス・デバイス30を使用して、移動及びネットワーク・トポロジ、モバイル・アクセス・デバイス30にデータをキャッシュすることによるデータの転送、並びに、端末デバイス10とモバイル・アクセス・デバイス30との間の、及び/又はモバイル・アクセス・デバイス30とマクロ・アクセス・デバイス20との間の、通信パラメータの配分のうちの少なくとも1つを最適化することによって達成可能になる。
【0048】
上記の最適化が、モバイル・アクセス・デバイス30の測位情報に基づく場合、通信は、データ通信(例えば、ビデオ通話)が影響を受けないように予め準備され、関連ファイルのダウンロードは、現在過負荷になっているのでマクロ・セルで保留され、モバイル・アクセス・デバイス(中継局)30は、端末デバイス10によるリクエストされたデータのダウンロードのキャッシュを始め、端末デバイス10及びモバイル・アクセス・デバイス30は、その無線アクセス・ネットワーク(RAN)通信設定を適合及び計画するために、その位置/軌道を認識する。
【0049】
例では、データ・ダウンロードは、5Gなどのワイヤレス・ネットワークの通信性能を改善するために、モバイル基地局を介して協調される。これを達成するために、RANプロトコルは、最適化された移動用に適合され、例えば、モバイル・アクセス・デバイス30の移動パターンに基づくマルチホップ・バックホーリングのために、インテグレーテッド・アクセス及びバックホール(IAB)におけるハンドオーバ・プロトコル又は修正を含む。
【0050】
他の例では、計画的データ・ダウンロード用のプロトコルは、エッジ・サーバの動的なセットアップ、又はモバイル・アクセス・デバイス30へのデータ・キャッシングを含む。
【0051】
さらなる例では、例えば静的な端末デバイスといった端末デバイス10と、モバイル・アクセス・デバイス30との間の、及び/又は、モバイル・アクセス・デバイス30と、そのマクロ・セルとの間のRAN接続は、モバイル・アクセス・デバイス30の測位情報の知識に基づいて最適化される。
【0052】
さらなる例では、オンボード基地局、いわゆるモバイル基地局(MBS:mobile base station)を有する車両は、中継器として機能し、効率的なデータ配送を行うのに役立つように構成される。このユース・ケースは、モバイル基地局と共に移動していないが、ユーザとモバイル基地局が接近しているときにMBSによって提供される接続から利益を得ることができる、ユーザのニーズに対処する。特に、このユース・ケースは、限られた接続を有する(例えば、マクロ・セルに接続されたとき)、又は、非常に要求が厳しい帯域幅のニーズを有する、端末デバイス(例えば、UE)のニーズに対処する。
【0053】
図2は、モバイル基地局から非内蔵端末デバイスへの計画的データ・ダウンロードの例を概略的に示している。
【0054】
図2では、斜線付きの各正方形が家のブロック200に対応する都市環境。固定のgNB20がドナーgNBとして機能し、UE10は、接続が悪い位置に、ドナーgNB20から2ブロック離れて示されている。さらに、モバイルgNB30及びそのルート(太い点線矢印)が示されている。ルートは、時間T0からT3までにおける、ロケーションL0からL3までを含む。ロケーションL1及び時間T1において、モバイルgNB30は、ドナーgNB20から第1のデータ転送210を受信し、第1のデータ転送210は、UE10への第2のデータ転送220によって時間T3におけるロケーションL3においてUE10に「中継される」。
【0055】
例えば、ユーザ、トムが、23番のバスを待っている。そうしている間、トムは、自分のUE10を介して、自分が好きなビデオ・ストリーミング・サービスのシリーズを視聴している。トムは、友人と通話もしている。それでも、トムの現在のロケーションにおけるトムのネットワーク接続は、ドナーgNB20がトムのUE10から遠く離れているので、特にビデオ・ストリーミング・サービスをハンドリングするには不十分である。この例では、UE10が、シリーズのダウンロードをリクエストし、例えば、まもなくバス停に到着する予定の45番のバスといった、ユーザの近傍にある適切なモバイル中継器を通じてその配送をスケジュール可能な場合、有益である。UE10へのモバイル基地局(gNB)30を有する45番のバスからのデータ転送220は、時間T3及びロケーションL3において実施される。
【0056】
上記の例は、モバイル・ネットワーク事業者(MNO:mobile network operator)がモバイル基地局及びマクロ・セルを都市で運用する前提条件として要求され、ユーザ、トムはUEを有しており、MNOに加入しており、マクロ基地局(図2に図示せず)に接続されており、特定のファイル(例えば、映画又はウェブサイト)を取り出す必要がある。
【0057】
提案されたデータ転送210及び220は、以下のサービス・フローを伴う。
● ユーザのUE10が、(5G)マクロ・ネットワークに接続される。
● (5G)マクロ・ネットワークには、ユーザの通常の通信ニーズ、特に、低レイテンシ且つ低帯域幅通信ニーズを届ける能力があるが、むらのあるカバレッジ及び多数のUEによる、大量のデータのダウンロードのために、限られた容量しか提供しない。
● MNOは、予備の追加の容量を提供するモバイル基地局を運用し、モバイル・ネットワークは、ユーザ、トムのダウンロード・ニーズが、トムのロケーションに近づいているモバイル基地局(gNB)30、つまり45番のバスによって満たされることが可能であると決定する。
● 5Gシステムは、トムのロケーションに近づいているモバイル基地局(gNB)30に、トムが要求したダウンリンク・トラフィックをキャッシュし、モバイル基地局(gNB)30へのこのデータのダウンロードは、モバイル基地局(gNB)30がマクロ基地局(gNB)20に非常に接近している時間T1及びロケーションL1において行われるので、非常に高速に実施可能である。
● 次いで、モバイル基地局(gNB)30が時間T3及びロケーションL3においてトムのUE10に接近すると、UE10はモバイル基地局(gNB)30に接続し、UE10は、全てのリクエストしたデータを素早く受信する。
● モバイル基地局(gNB)30が移動して離れると、トムのUE10は、モバイル基地局(gNB)30とのその接続を解放する。
【0058】
結果として、ユーザは、高速ダウンリンク接続を享受し、ユーザの通話に影響させることなく、ユーザが要求した全てのファイルを取り出すことができる。
【0059】
これを達成するために、セルラー(5G)システムは、モバイル基地局においてデータ・ダウンロードをスケジュール及びキャッシュする手段、高速データ・ダウンロードを届けるのに必要なマクロ基地局とモバイル基地局との間の移動を最適化する手段、又は、端末デバイスとモバイル基地局とが接続される前に端末デバイス(例えば、UE)とモバイル基地局との間のRAN通信を計画及び最適化する手段のうちの少なくとも1つを提供する。
【0060】
別の例では、ユーザ、トムは、自動車事故に到着したばかりの救急医である。トムは、数人の怪我人を診察している。トムは、近くの病院の他の臨床医と通話して、患者の健康状態及びどの病院に患者を移すべきかについて議論している。トムはまた、患者の電子健康記録を取り出して、より良い評価を行いたいと思っている。それでも、トムの現在のロケーション-事故エリア-におけるネットワーク接続は、特に患者のEHRにおける一部のより大きいファイルをダウンロードするには不十分である。この状況では、トムのUEがEHRのダウンロードをスケジュール可能である場合、有益である。これは、事故エリアに既に近づきつつある救急車のうちの1台に搭載された中継器によって実施可能である。この例はまた、図2によって示されることが可能である。ロケーションL0及び時間T0において、EHRデータ転送がUEによってリクエストされる。モバイル基地局、つまり救急車搭載中継器(AMR:ambulance-mounted relay)は、ロケーションL1及び時間T1においてマクロ・セルからEHRデータを受信する。AMRは、このEHRデータをキャッシュする。AMRが時間T3におけるロケーションL3にいるとき、AMRは、リクエストされたEHRデータをトムのUEに素早く届けることができる。代替の例では、端末デバイスは、ソフトウェア・アップデートの配送を要求するIoTデバイスである。一部のIoTデバイスは、マクロ・セルに連続的に接続できないことがあり、IoTデバイスは、モバイル基地局(gNB)が接近すると、モバイル基地局(gNB)からソフトウェア・アップデートを取り出す能力があってもよい。代替の例では、モバイル基地局は、無人航空機(UAV:unmanned aerial vehicle)又は衛星である。
【0061】
これらの関係する例及び実施形態では、例えばIoTデバイスといったUEには、モバイル基地局の移動パターンに対応する覚醒スケジュールを構成可能である。代替として、モバイル基地局には、例えばIoTデバイスといったUEの覚醒スケジュールにフィットする移動パターンが構成される。移動パターン及び覚醒スケジュールを互いに補完するようにデザインすることも可能である。
【0062】
実施形態では、例えばコア・ネットワークのネットワーク機能といった管理エンティティ、又は、少なくとも1つのモバイル基地局の移動パターンにアクセス可能なドナーgNBは、例えばAMFなどの別のネットワーク機能から、1つ又は複数のUEのアイデンティティ及びロケーションを使用及び/又は取り出し、この移動パターンにフィットするUEのための覚醒スケジュールをセットすることになり、すなわち、UEは、モバイル基地局が接近したときに覚醒するように構成されることになる。管理エンティティは、例えばデータベースに格納された、全ての情報(UEの移動パターン、アイデンティティ、及びロケーション、等)にアクセス可能でもよく、又は、ネットワークの他の管理エンティティ若しくはネットワーク機能からデータをリクエストすることが必要であってもよい。覚醒スケジュールは、例えば予想到着時間の前後に気づくことなど、モバイル基地局の到着時間の潜在的時間差を扱う能力があるようなものである。これは、構成可能パラメータであることが可能である。
【0063】
実施形態では、例えば、通りに隣接した1列の家のスマート・メータ、又は通りに隣接した照明灯のようなラインといった、所与の分布に従ってUEが置かれた場合、UEはまた、他のUEからモバイル基地局の到着時間の指示を得るために、又は到着時間を他のUEに通知するために、例えばPC5インターフェースを介して、互いに通信してもよい。例えば、モバイル基地局が14:00にUE1に及び14:02にUE2に達することになっており、UE1が、13:59に覚醒し、2分間覚醒したままでいるように構成されており、UE2が、14:01に覚醒し、2分間覚醒したままでいるように構成されており、モバイル基地局が、例えば14:00:30に、UE1に若干遅延して到着する場合、UE1は、例えばモバイル基地局の実際の到着までスリープする予定にすることによって、第2のUEがモバイル基地局の到着(例えば、時間通りに、遅れて、早く、…)に関する情報を考慮できるように、この情報を通信インターフェース(例えば、PC5インターフェース)を介して交換してもよい。
【0064】
実施形態では、モバイル基地局の移動パターンは、少なくともUEの覚醒スケジュールによって影響を受けることがある。この場合、コア・ネットワークのネットワーク機能、又は1つ若しくは複数のUEの覚醒スケジュールにアクセス可能なドナーgNBは、モバイル基地局(例えば、ドローン又は車両)の移動パターンを決定し、このような移動パターンを適宜構成してもよい。
【0065】
実施形態では、例えば、ソフトウェア・アップデート又はアプリ・アップデートといった、所与のリソースへのアクセスを要求するUEは、例えば、ネットワーク機能又は基地局といった、管理エンティティに予めその要求を公表してもよい。管理エンティティは、UEに代わって、対応するリソース・アップデートに加入することができる。管理エンティティは、このようなアップデートを取り出すか、通知され、モバイル基地局でこれらを利用可能にすることになる。UEは、次いで、例えば、UEが覚醒しているとき、及び/又はモバイル基地局が近くにいるときに、モバイル基地局からアップデートを取り出すか受信可能である。
【0066】
図10は、図2と類似しており、ドナーgNBからモバイル基地局を通じて、非内蔵端末デバイスへの計画的データ・ダウンロードの例を概略的に示している。図10では、ロケーションL0及び時間T0において、EHRデータ転送がUEによってリクエストされていることに気づく。この時点はまた、UEが特定のデータを使用又は送信することを知っているか予測している応用知識を表してもよい。この場合、データは、ロケーションL2及び時間T2においてドナーgNBからUEにエンド・ツー・エンドで転送される。ロケーションL2は、救急車搭載中継器(AMR)を介したドナーgNBからUEへのエンド・ツー・エンド接続を最適化するように選ばれる。この最適化は、UEとAMRとの間の、及びAMRとドナーgNBとの間の、履歴又は予測スループット曲線の知識に基づいて実施可能である。この予測スループットは図11に示されており、ここでは、L2が、AMRの経路内に、考えうる最良のエンド・ツー・エンド通信リンクがあるロケーションであることに気づく。L2は、ロケーションL1(AMR-ドナーgNB)及びロケーションL3(UE-AMR)における個々の通信リンクほど良いスループットを提供しないことに留意されたい。
【0067】
図3は、図2に示された例の計画的データ・ダウンロードの信号及び処理図を概略的に示している。含まれるデバイスは、UE10、マクロ基地局(gNB)20、CN50、ドメイン・ネーム・サーバ(DN)60、及びモバイル基地局(gNB)30である。
【0068】
図3の信号及び処理シーケンス、並びにその後の図4及び図6の信号及び処理シーケンスでは、上から下への垂直方向は時間軸に対応し、したがって、他のメッセージ又は処理ステップより上に示されたメッセージ又は処理ステップは、より早い時間に発生する。
【0069】
ステップ301において、UE10は、帯域幅/処理ニーズを公表する。これはCN50に通知可能であるか、又はUE10は、所与のデータ・ネットワークにおけるサード・パーティ・アプリケーションに通知してもよい。例えば、UE10は、特定のデータ・ファイルのダウンロードを要求することを公表可能である。この情報は、高いアプリケーション層から抽出可能であるか、又は、リクエストは、アプリケーション・プロバイダに直接的に提供可能である。例えば、ユーザが、ストリーミング・サービス(例えば、コンテンツ・プラットフォーム(CP))で2時間に及ぶ映画を視聴しようとしている場合、UE10は、データ・ファイル全体が、これから2時間のうちにストリーミングされる必要があると予想可能である。これは、モバイル・ネットワーク(すなわち、CN50及びRAN)を通じてストリーミング・サービスから配送されることが必要なデータである。
【0070】
CN50、DN60、及びストリーミング・アプリケーションは、ユーザの行動及びユーザのニーズも予測可能であることが指摘される。例えば、ユーザがテレビ(TV)シリーズのエピソードを毎晩視聴している場合、DN60は、ユーザの通信ニーズを識別可能である。これは、これらのユーザのうちの一部が通常、例えばユーザの通勤時間中にこのようなTVシリーズを視聴するなど、予測可能な方式で一部のデータ・リソースを利用し、したがって、通信ニーズがユーザの通勤行動に基づいて予測可能なので、通勤するユーザにも当てはまる場合がある。DN60がユーザの要求を知っており、CN50が、ユーザの移動パターンを認識している場合、DN60とCN50との間の協力によって、リクエストされたリソースをユーザが効率的に利用できるように、これらのリソースを正しい場所及び時間に置くことが可能になる。
【0071】
ステップ302において、DN60は、UE10へのデータ配送のためのリソースを配分するようにCN50にリクエストする。これは、特定のユーザ及びデータ・リクエストのためにオンデマンドで行われるアクションであることが可能である。代替として、これは、DN60及びCN50が最適化された様式でデータをユーザに届けることに同意した初期構成ステップであることが可能である。この同意に基づいて、CN50は、アプリケーション/データがエンド・ユーザに効率的に配送されるように、リソースを配分し、アプリケーション/データを移動させてもよく、例えばドナーgNB20の近くのエッジ・サーバにおいて、例えば、UEの近くにアプリケーション/データを置いてもよい。
【0072】
ステップ303において、CN50は、モバイル基地局のルート、並びに、ユーザ及びユーザのマクロ・セルのロケーションを知っている。CN50は、モバイル基地局の現在のスケジュールを考慮して、モバイル基地局のうちのどれがユーザのすぐ近くにいることになるかを予め考える。これに基づいて、CN50は、時間tにおける各UEの位置、時間tにおける各モバイル基地局の位置、及び時間tにおけるユーザの通信要件のうちの少なくとも1つを考慮して、どのモバイル基地局がどのUEにどのロードを届けることができるかを識別可能である。
【0073】
簡単な例示的戦略は、次にどのモバイル基地局がUE10に接近する予定であるか、及び、UE10と潜在的なモバイル基地局との間の利用可能な通信リンクが、UE10の通信要件をハンドリングするのに十分になるかどうかをチェックすることにある。利用可能な通信リンクは、通信リンクの距離及び予想持続時間を考慮した、UE10と潜在的なモバイル基地局とが遭遇したときに利用可能な通信リソースを指す。
【0074】
ステップ304において、CN50は、モバイル基地局30のルート沿いのユーザの存在、UE10のユーザのデータ要件、及び/又はUE10の位置を選ばれたモバイル基地局30に知らせ、これにより、モバイル基地局30は、例えば、ビーム・フォーミング又は周波数又は伝送リソースの事前配分など、伝送パラメータを事前に最適化可能である。
【0075】
ステップ305において、CN50は、例えばDNリクエストによってトリガされて、モバイル基地局30にリソースを配分する。これらのリソースは、データ転送をキャッシュするためのストレージ・リソース、又はデータ転送を実施するための通信リソースであることが可能である。CN50は、モバイル基地局30への、ユーザによって要求されたリソースのローカル・ダウンロード(例えば、コンテンツ・デリバリ・ネットワークにおけるようなキャッシング)を始める。
【0076】
ステップ306において、データ・キャッシング又はローカル・ストレージが、モバイル基地局30において実施されてもよい。
【0077】
ステップ307において、モバイル基地局30は、転送するのに必要なデータ量、ユーザの既知の位置、モバイル基地局30の予想軌道、及び、UE10とモバイル基地局30とが所定の範囲内にあるはずの予想時間のうちの少なくとも1つを考慮して、リクエストされたデータの伝送用の通信リソースを事前配分し、構成する。
【0078】
これらの通信リソースは、コーディング(例えば、スクランブル用コード、チャネライゼーション・コード)、タイミング及び周波数リソース、並びに/又はビーム・フォーミングを経時的に含んでもよい。これらのパラメータの一部は、モバイル基地局30が、モバイル基地局30の測位情報、及び、例えばレポートされたチャネル品質指標(CQI:channel quality indication)に関する、履歴データを知っているので、予め構成可能である。ビーム・フォーミングなどのパラメータは、UE10の位置がわかっており(場合によっては、静的と想定可能であり)、モバイル基地局30の軌道もわかっているので、最適化及び事前構成可能である。
【0079】
ステップ307aにおいて、効率のために、モバイル基地局30用の通信リソースの配分は、マクロ・セル(すなわち、マクロ基地局20)を通じて、すなわち、モバイル基地局30が所定の範囲内にあり、UE10がモバイル基地局30に接続される前、又はハンドオーバ手順が始まる前であっても、実行される。同様に、例えば、モバイル基地局に加わるため及び去るために必要な条件を含む条件付きハンドオーバ(CHO:conditional handover)のコンテキストにおいて、UE10は、マクロ・セルを通じてモバイル基地局30のことを知らされる。
【0080】
ステップ308において、CN50は、モバイル基地局30が配送のために近くにあり利用可能になるタイミングを、-マクロ・セル(すなわち、マクロ基地局20)を通じて-UE10に知らせることができる。オプションとして、CN50はまた、セル獲得を高速化するために使用することになる物理セル識別子及びビーム・インデックスをUE10に知らせる。別のオプションとして、CN50は、ハンドオーバ・パラメータ及び伝送パラメータをモバイル基地局30に提供する。モバイル基地局30によってブロードキャストされたシステム情報(例えば、マスタ情報ブロック(MIB)、システム情報ブロック1(SIB1))が署名された場合、CN50は、同様にマクロ・セルを通じてこの情報をUE10に提供可能であり、したがって、情報は、事前検証可能である。
【0081】
ステップ309において、UE10は、ハンドオーバを予めスケジュールする。UE10はまた、通信パラメータを予め受信する。これは、例えば、UE10がモバイル基地局30の予想軌道を認識しているので、ビーム・フォーミング・パラメータを含む。
【0082】
ステップ310において、モバイル基地局30がスケジュールのとおりに現れると、UE10は、モバイル基地局30に接続する。状況によっては、UE10はまた、必要なリソース(データ)再びをリクエストし、次いで、例えば、ドナーgNB20と一緒に置かれた、例えば、モバイル基地局30から又はエッジ・サーバから、ローカル・ダウンロードをトリガする。状況によっては、データは、既にリクエストされており、UE10とモバイル基地局30とが接続されるとすぐに、直接的にダウンロードされることになる。
【0083】
ステップ311において、UE10とモバイル基地局30とが互いに接続されると、通信パラメータが事前構成されているので、データ転送が最低限のレイテンシで発生可能になり、UE10は、UE10に近づいているときにデータをキャッシュしていた、例えば、ドナーgNBと一緒に置かれた、モバイル基地局30又は近くのエッジ・サーバから、データを直接的にダウンロードすることができる。
【0084】
ステップ312において、キャッシュされたデータは、モバイル基地局30において又はエッジ・サーバの近くで除去される。
【0085】
最後に、ステップ313において、大きいデータの交換が終わると、UE10は、UE10がそのときに接続をやめていた以前のマクロ・セル(すなわち、マクロ基地局20)に再接続する。
【0086】
より一般に、ステップ308~313は、第3の通信デバイスの移動パターンに少なくとも基づいて、第1の通信デバイス(例えば、UE)と第2の通信デバイス(例えば、ドナー・セル/マクロ基地局)と第3の通信デバイス(例えば、モバイル基地局)との間の条件付きハンドオーバを実施するための方法を定義可能であり、第1の通信デバイスは、第2の通信デバイスから第3の通信デバイスに移動し、その後、第2の通信デバイスに戻る。このような方法は、本実施形態の説明の全体を通して示される他の方法及び例とは無関係に(並びに、これらと組み合わせて)使用可能である。
【0087】
同様に、第1のデバイス(例えば、UE)は、ステップ308~313で説明されたように、第3の通信デバイスの移動パターンに少なくとも基づいて、第2の通信デバイス(例えば、ドナー・セル/マクロ基地局)から第3の通信デバイス(例えば、モバイル基地局)への、及びその後、第2の通信デバイスに戻る、条件付きハンドオーバを実施するように構成可能である。
【0088】
同様に、第2の通信デバイス(例えば、ドナー・セル/マクロ基地局)は、ステップ308~313で説明されたように、第3の通信デバイスの移動パターンに少なくとも基づいて、第1の通信デバイス(例えば、UE)から第3の通信デバイス(例えば、モバイル基地局)への、及びその後、第2の通信デバイスに戻る、条件付きハンドオーバを管理するように構成可能である。
【0089】
その上、さらに一般論として、ステップ307~313のコンテキストにおけるステップ306は、第3の通信デバイスの移動パターンに基づいて、第1の通信デバイスと第3の通信デバイスとの間の通信リンクが適切なとき、第1の通信とデータを効率的に交換するために、第3の通信デバイスにデータをキャッシュするステップを含む方法を定義する。このような方法は、本実施形態の説明の全体を通して示される他の方法及び例とは無関係に(並びに、これらと組み合わせて)使用可能である。
【0090】
同様に、第2の通信デバイス(例えば、ドナー・セル/マクロ基地局)は、ステップ307~313のコンテキストにおけるステップ306で説明されたように、第3の通信デバイスの移動パターンに基づいて、第1の通信デバイスと第3の通信デバイスとの間の通信リンクが適切になるまで受信データをキャッシュするために、第1の通信デバイス(例えば、UE)用のデータを第3の通信デバイスに向けて転送するように構成可能である。
【0091】
同様に、第3の通信デバイスは、第2の通信デバイス(例えば、ドナー・セル/マクロ基地局)からデータを受信するように構成可能であり、データは、第1の通信デバイス(例えば、UE)用であり、第3の通信デバイスは、ステップ307~313のコンテキストにおけるステップ306で説明されたように、第3の通信デバイスの移動パターンに基づいて、第1の通信デバイスと第3の通信デバイスとの間の通信リンクが適切になるまで受信データをキャッシュするように適合されたメモリを含む。
【0092】
本実施形態は、衛星及び無人航空機(UAV)が地上のUE又はUEアクセス・ポイント(AP)への接続を行うことになる場合、衛星及びUAVのシナリオにも適用可能であることが指摘される。
【0093】
したがって、マクロ・セルとモバイル基地局、及びモバイル基地局と端末デバイスとの間でデータを確実に高速転送可能にするために、最適化された移動が行われる。移動の最適化は、RAN内の複数レベルで達成可能である。これらのうちの1つは、ハンドオーバ手順を指す。別のオプションは、複数のホップ通信UE-モバイル基地局-マクロ・セルである。
【0094】
ハンドオーバ(HO:handover)手順に関して、この手順は、移動パターンを使用することによって最適化可能である。CHOを基にした最適化されたハンドオーバ手順は、以下のオプションのうちの少なくとも1つに基づく。
a) どのモバイル基地局がデータ配送に最も適したものになるかをCNが決定すると、CHOのリクエストは、UEによってトリガされるのではなく、例えば、5Gネットワークのアクセス及びモビリティ管理機能(AMF)又はセッション管理機能(SMF)といった、CN自体によってトリガされてもよい。これは、CNがモバイル基地局のルートを認識しており、ハンドオーバを計画可能なので、要求されてもよい。
b) CHOリクエストをトリガする無線リソース制御(RRC:radio resource control)測定レポートをUEが送信しても、ドナーgNB(マクロ基地局)は、どのモバイル基地局が近づいているのか認識していないことがある。この問題に対処するために、モバイル基地局のルート沿いの固定基地局(マクロ・セル)に、モバイル基地局のスケジュールが構成されることが可能である。これは、1回限りの構成ステップであることが可能である。同様に、モバイル基地局は、CNによってマクロ・セルのことを適宜知らされることが可能である。
c) オプションbの代替として、マクロ・セルは、UEによってリクエストされた接続をハンドリングするのに適切になり得るモバイル基地局についての入力をCNが-オンデマンドで-マクロ・セルに送信するように、UEからのリクエストをCNに転送してもよい。これは、CNがアップデートを認識するように、モバイル基地局がそのルート上でCNにアップデートを送信することを伴う。
d) オプションcの代替として、CHOをトリガしたいというUEによって送信されたリクエストは、CNに直接的に送信されてもよい。
e) モバイル基地局によって返されたRRC再構成メッセージは、これがモバイル基地局であるという事実と、UEがこの情報を考慮できるような(経時的な)モバイル基地局の測位情報と、モバイル基地局の位置が変化することによる複数の瞬間の接続パラメータ(これらの接続パラメータは、マクロ・セルがUEのロケーションをモバイル基地局に知らせる場合に利用可能になることが可能である)と、アップリンク用の構成済みの承諾パラメータ(パラメータrrc-ConfiguredUplinkGranを含むConfiguredGrantConfig)、及び事前構成/予測された通信パラメータに基づくダウンリンク用のセミパーシステント・スケジューリング(SPS)とのうちの少なくとも1つを含んでもよい。
f) RRC再構成は、例えばAMFといったCNによってリクエストされると、モバイル基地局によってドナーgNB(マクロ基地局)に送信される。
g) CHO構成メッセージの中でUEに配送されたセル・スイッチ条件は、モバイル基地局が複数のPCIを使用して、モバイル基地局が移動しているときの衝突を回避し得ると考えながら、モバイル基地局がUEの近くにいるときのモバイル基地局(gNB)の物理セル・アイデンティティ(PCI)と、その測位情報(例えば、現在のロケーション、スピード、加速度、旋回、…)を考慮してモバイル基地局が通信範囲内にいると予測されるタイミングと、その測位情報(例えば、現在のロケーション及びスピード)を考慮してモバイル基地局が通信範囲外にいると予測されるタイミングとのうちの少なくとも1つを含む。
h) UEが条件を満たした場合、例えば、UEがすぐ近くに十分長くいる予定であり、要求された接続を届ける能力がある場合、UEはモバイル基地局に加わる。
【0095】
車載中継器用に最適化されたCHOの上記の提案されたオプションは、実施形態に記載の主なユース・ケースとは無関係に、例えば3GPP(登録商標)仕様書TR22.839に記載のような、他のユース・ケースに適用される。例えば、これは、UEからCNに向けたデータのアップロードを最適化することが望ましいユース・ケースに適用可能である。
【0096】
HO最適化の別のオプションは、モバイル基地局(gNB)とマクロ基地局(gNB)とが、中央ユニット(CU)と分散ユニット(DU)との間で分担される事例の場合である。この場合、モバイル基地局とマクロ基地局とは、2つの完全に独立した基地局というわけではない。マクロ基地局は、モバイル基地局のCU、及び固定DUを含む。モバイル基地局(中継器)は、マクロ基地局のDUである。次いで、最適化されたハンドオーバは、所与の通信リンクをUEに届けるときにどのDUが使用されるべきかについてのCUの判定を指す。各DUは、複数のセルをサポートしてもよく、各セルは、複数のビームをサポートしてもよい。この場合、N3インターフェースを通じてユーザ・プレーン機能(UPF)と接続するために、GPRSトンネリング・プロトコル・ユーザ・データ(GTP-U)トンネルが使用される。このハンドオーバは、例えば3GPP(登録商標) TS38.401セクション8.2に記載のような、DU/CU分担アーキテクチャによって実施可能である。それでも、これらの手順のうちのいくつかは、モバイル基地局の測位情報を考慮して、モバイル基地局(gNB)用に最適化可能である。例として、TS38.401の図8.2.1.1-1は、NR内のgNB DU間移動がどのように実施されるかを示している。この場合、ソースgNB-DUは、コンテキスト・セットアップのリクエストをターゲットDUに送信することになるCUへのUEからの測定レポートをレポートする。次いで、ターゲットDUは、応答を送信して、UEコンテキストのセットアップを承認する。次いで、CUは、UEコンテキストを修正したいというリクエストをソースDUに送信する。結果として、ソースDUは、RRCConnectionReconfigurationをUEに送信し、ダウンリンク・データ配送の現在のステータスをCUに配送し、UEコンテキストの修正を確認する。次に、UEは、CUに転送されることになるRRCConnectionReconfigurationCompleteをUEがターゲットDUに送信するまで、ターゲットDUとのランダム・アクセス手順を実施可能である。同時に、CUは、UEに配送されるダウンリンク・ユーザ・データをターゲットDUに送信する。ターゲットDUはまた、アップリンク・ユーザ・データの受信を始めることができる。
【0097】
このプロトコルは、ハンドオーバをトリガする所与の測定レポートをUEがいつ送信する予定であるかを推定可能なので、モバイルDU(すなわち、モバイル基地局)の測位情報(ロケーション、速度ベクトル、等)についての知識から利益を得ることができる。どのDUがターゲットgNBになる予定であるかも予測可能である。この知識を用いて、以下のようにデータ配信性能の改善が可能である。
a) ソースDUからターゲットDUに移動するためのタイミング及び条件を含むRRCConnectionReconfigurationメッセージをCUからUEに送信することによって、UEは、ターゲットDUとのランダム・アクセス手順を直接的に実施可能であり、RRCConnectionReconfigurationを待つ必要はない。
b) ランダム・アクセス手順、及び/又は、UEによってターゲットDUに送信されるRRCConnectionReconfigurationCompleteメッセージに、ダウンリンク・データ配送ステータスについての情報を含めることによって、ターゲットDUは、伝送を始めるためのダウンリンク・ユーザ・データを選ぶことができる。
c) ダウンリンク・ユーザ・データをターゲットDUに予めキャッシュすることによる。ダウンリンク・データのキャッシングは、UPFにはSMFによってステアリングされるダウンリンク・データをバッファする能力があるので、UPFをgNBと一緒に置くことを伴ってもよい。
【0098】
例示的実施形態では、上記のハンドオーバ関連の例及びオプションの使用は、TS38.300の節9.2.3に記載の条件付きハンドオーバ手順のコンテキストで示されている。節9.2.3.4.1の一般的な条件に対して、以下の追加/修正が、個別に又は組合せで考慮されることが可能である。
(1) 実行条件は、ドナーgNB及び/又はコア・ネットワークによって生成されたものでもよい。
(2) 実行条件は、モバイル基地局の移動パターン(位置、スピード、加速度、スケジュール、ルート等)、及び/又は、VMRの位置に影響する外部因子/データ(例えば、信号機のステータス、混雑)を含んでもよい。
(3) CHOを実行しながら、UEは、特に、UE(例えば、モバイル基地局の外部にあるUE)が、元のソース・セルに戻すその後のハンドオーバを実施しなければならない場合のために、ソース・セルを監視し続けなければならないことがあり、一般に、UEは、セルの移動パターンに基づいてUEへの接続を行うことが予想されるセルのリストを監視し続ける必要があり得る。
【0099】
より一般に、第2の通信デバイス(例えば、ソース・セル又はドナーgNB)から少なくとも第3の通信デバイス(例えば、ターゲット・セル又はモバイル基地局)への第1の通信デバイス(例えば、UE)のハンドオーバを可能にするための方法が提案されることが可能であり、これによって、
- 実行条件は、第2の通信デバイス及び/若しくはコア・ネットワークによって生成されたものである、並びに/又は
- 実行条件は、第3の通信デバイスの移動パターン(位置、スピード、加速度、スケジュール、ルート等)、及び/若しくは第3の通信デバイスの位置に影響する外部因子/データ(例えば、信号機ステータス、混雑)を含む、並びに/又は
第1の通信デバイスは、第3の通信デバイスの移動パターンに基づいて、UEへの接続を行うことが予想される第2の通信デバイス及び/若しくは第3の通信デバイスを監視し続ける必要がある。同様に、第3の通信デバイスの移動パターンに基づく第3の通信デバイスへのハンドオーバが実行されると、第2の通信デバイスを監視し続ける第1の通信デバイスが提案される。
【0100】
同様に、第3の通信の移動パターンに基づいて、第3の通信への及び/又は第3の通信から戻す、第1の通信デバイスのハンドオーバのための実行条件を、単独で及び/又はコア・ネットワークと協調して、生成するように適合された第2の通信デバイスが提案され、実行条件は、第3の通信デバイスの移動パターン(位置、スピード、加速度、スケジュール、ルート等)、及び/又は第3の通信デバイスの位置に影響する外部因子/データ(例えば、信号機ステータス、混雑)を含む。
【0101】
これらの態様は、記載された本明細書の他の実施形態とは無関係に実施可能であり、又は、記載の実施形態、変形物、及び/若しくは記載された本明細書の例のうちの1つ若しくは複数と組み合わされた追加のオプションとして提案可能である。
【0102】
節9.2.3.4.2のC平面ハンドリングに関して、以下の追加/修正が個別に又は組み合わせて考慮される。(1)CHO(条件付きハンドオーバ)の準備及び実行は、5GCに、モバイル基地局のロケーション/スピード/加速度(一般に、移動パターン)、及びモバイル基地局のロケーション/スピード/加速度に影響する他の因子(例えば、交通信号、交通渋滞、…)についての知識があるので、5GCの関与を必要としてもよく、特に、AMFは、例えば、移動シナリオ(UE-ドナーgNB)→(UE-モバイル基地局)→(UE-ドナーgNB)に関係している、ソースgNB(例えば、ドナーgNB又は第1のモバイル基地局)及びターゲットgNB(例えば、第2のモバイル基地局)についての情報を提供してもよい。ここで、A-Bは、AがBに接続されることを意味し、(A-B)→(A-C)は、Aが最初にBに接続され、ハンドオーバを実施してCに接続することを意味する。セルの移動パターンによってトリガされるその後のいくつかのハンドオーバを含むこのような移動シナリオ又はその他では、ソースgNB、ドナーgNB、又はgNB-CUは、より多くのモバイル基地局が関係しているときの、例えば、ソースgNBからターゲットgNB(モバイル基地局)への第1のハンドオーバ、及びターゲットgNB(モバイル基地局)からソースgNBへの第2のハンドオーバを伴うCHOといった、ハンドオーバをスケジュール可能である。(2)図9.2.3.4.2.1-1のステップ0に関して、AMFは、例えばドナーgNBの役割を果たすこともあるソースgNBに、モバイル基地局に関係のある移動パターン及び外部因子に関する情報を提供してもよい。(3)図9.2.3.4.2.1-1のステップ1及び2に関して、UEのロケーション及び測定値に基づくソースgNBは、UEの近くにあるはずの、及び全体としてより良い通信リンクを提供することが予想される、ターゲットgNBを介したUEへの接続を行うことを決めてもよい。(4)図9.2.3.4.2.1-1のステップ3-5に関して、ソースgNBは、ターゲットgNB(モバイル基地局)と協調する。(5)図9.2.3.4.2.1-1のステップ6及び7に関して、ソースgNBは、近づいているターゲットgNB、及び、ターゲットgNBのターゲット・ロケーション(この場合、ロケーションは、モバイル基地局/ターゲットgNBによってブロードキャストされてもよい)を含むターゲットgNBに接続するための条件をUEに知らせ、さらに、ソースgNBは、その後ソースgNB(又は別のターゲットgNB)に接続を戻すための条件もUEに知らせることができ、さらに、ソースgNBは、例えば、ターゲット・セルID、及び/又は新しいC-RNTI、及び/又は選択されたセキュリティ・アルゴリズムのためのターゲットgNBのセキュリティ・アルゴリズム識別子、及び/又は専用のRACHリソース、及び/又はRACHリソースとSSBとの間の関連付け、及び/又はRACHリソースとUE固有のCSI-RS構成との間の関連付け、及び/又は共通のRACHリソース、並びに、ターゲット・セルのシステム情報、及び/又は固有のビーム構成といった、ターゲット・セルにアクセスするのに必要な情報をUEに知らせることができる。(6)図9.2.3.4.2.1-1のステップCHO条件評価及び切り離しに関して、CHOがモバイル基地局とモバイル基地局の外部のUEとに関するものである場合、UEは、古いセルから完全に切り離す必要はなくてもよい。
【0103】
ハンドオーバが実施される前、間、及び後に、(TS38.300の節9.2.3.2.2に関係のある)U平面ハンドリングは、個別に又は組み合わせて適用可能な場合があるいくつかの追加/修正を伴うことがある。(1)ユーザ・データは、HO実行の前に既にソースgNB(例えば、ドナーgNB)からターゲットgNB(モバイル基地局)に転送されてもよく、一般に、第1の通信デバイス(例えば、UE)とのハンドオーバが実行される前に、第2の通信デバイス(例えば、ソースgNB又はドナーgNB)が第3の通信デバイス(例えば、ターゲットgNB又はモバイル基地局)にデータを転送することを可能にする方法が提供され、同様に、第1の通信デバイス(例えば、UE)とのハンドオーバが実行される前に、第3の通信デバイス(例えば、ターゲットgNB又はモバイル基地局)にデータを転送する(第2の通信)デバイスが提供される。(2)ターゲットgNBは、元のソースgNBに戻すハンドオーバを実施することが予想されるので、経路切替えリクエストをAMFに送信しなくてもよく、一般に、第2の通信デバイスから第3の通信デバイスへの第1の通信デバイスのハンドオーバの完了を示すメッセージを第4の通信デバイス(例えば、AMF)に送信することを要求せずに、第3の通信デバイスが、第2の通信デバイスによって転送されたデータを第1の通信デバイスに届け続けることを可能にする方法が提供される。(3)ユーザ・データは、UEがターゲットgNBに接続されるとすぐに効率的な配送のためにキャッシュされるように、ターゲットgNB(モバイル基地局)に転送可能であり、一般に、第3の通信が第1の通信デバイス用の転送データをキャッシュし、第1と第3の通信デバイスが接続されると、このデータ届けることを可能にする方法が記載される。(4)ターゲットgNBは、UEがアクセスする予定であること、並びに次いで、5GC内部シグナリングに関する経路切替え、及びUPFにおけるターゲットgNBへのソースgNBの実際の経路切替えをAMFがトリガすることを知らせるために、UEがハンドオーバを完了する前に、経路切替えリクエスト・メッセージをAMFに送信してもよく、一般に、第1の通信デバイスを宛先にしたデータが第3の通信デバイスに送信されるべきであることを、第4の通信デバイスが第5の通信デバイス(UPF)に指示できるように、第2の通信デバイスから第3の通信デバイスへの第1の通信デバイスのハンドオーバ手順の予見される完了を示すメッセージを、第3の通信デバイスが第4の通信デバイス(例えば、AMF)に送信することを可能にする方法が提供される。(5)代替として、いくつかの実施形態で示されたようにI-UPFが活性化されてもよく、一般に、第3の通信デバイスと一緒に置かれてもよい第5の通信デバイス(I-UPF)を第4の通信デバイスが直接的又は間接的に活性化できるように、第2の通信デバイスから第3の通信デバイスへの第1の通信デバイスのハンドオーバ手順の予見される完了を示すメッセージを、第3の通信デバイスが第4の通信デバイス(例えば、AMF)に送信することを可能にする方法が提供される。(6)ソースgNB(例えば、ドナーgNB)は、ソースgNBがハンドオーバ成功メッセージを受信した後でも、又はターゲットgNB(例えば、モバイル基地局)へのハンドオーバが完了した後でも、ダウンリンクPDCP SNの配分を担当したままでもよく、これは特に、移動シナリオ(UE-ドナーgNB)→(UE-モバイル基地局)→(UE-ドナーgNB)のケースに適用される。(7)セキュリティ同期のために、ソースgNBによって割り当てられたPDCP SNを有する転送されたダウンリンクSDUのためのHFNが維持され、これは特に、移動シナリオ(UE-ドナーgNB)→(UE-モバイル基地局)→(UE-ドナーgNB)のケースに適用される。(8)ハンドオーバ実行期間中及び/又は後、ターゲットgNB(モバイル基地局)は、ROHCヘッダ圧縮、暗号化、及びPDCPヘッダの追加を実施せず、ソースgNBだけがこれらの動作を任されており、一般に、第1の通信デバイスが第3の通信デバイスとの第1のハンドオーバを完了するとすぐに、第1の通信デバイスと通信するときに使用される通信パラメータを第2の通信デバイスが管理することを可能にする方法が記載され、第1の通信デバイスは、第2の通信デバイスによって管理された通信パラメータに基づいて第3の通信から受信されたデータを処理するだけである。(9)アップリンク通信における転送トンネルの確立は必須である。(10)HFN及びPDCP SNは、ソースgNB(ドナーgNB)において維持される。
【0104】
他の実施形態と組み合わされてもよい実施形態では、モバイル基地局は、UEとドナーgNBとの間の効率的な通信を可能にする、車両に搭載された、例えば、スマートRFリピータ又はインテリジェント・リフレクティブ・サーフェスといった、RFリピータによって実現される。ドナーgNBは、例えば、車両の移動パターン、又はRFリピータを通じて受信された信号に関するUEによってレポートされた測定値に基づく、RFリピータの通信パラメータの制御を任せられている。ドナーgNBが、RFリピータを通じたUEとの適切な通信リンクを測定するとき、ドナーgNBは、車両に搭載されたRFリピータを通じてUEとの間でデータを送受信することになり、その一方で、ドナーgNBは、RFリピータを追跡し続けるようにその通信パラメータ(例えば、ビーム・フォーミング)を制御し、その(例えば、現在の/リアルタイムの/将来の)移動パターンに関係のある、ドナーgNBにレポートされた、車両に搭載されたRFリピータからの測定値/情報を含む、車両の移動パターンに基づいて、RFリピータの通信パラメータ(例えば、ビーム・フォーミング)がUE及びドナーgNBと調整されるように、RFリピータの通信パラメータを制御する。
【0105】
上記の提案された能力は、上記の実施形態における主なユース・ケースだけでなく、例えば、3GPP(登録商標) TR22.839に記載のような、他のユース・ケースにも適用される。例えば、これは、UEからCNへのデータのアップロードを最適化することが望ましいユース・ケースに適用可能である。
【0106】
他の実施形態では、インテグレーテッド・アクセス及びバックホール(IAB)の態様が、移動最適化のために考慮される。3GPP(登録商標) TS38.401のセクション6.1.3は、IABアーキテクチャについて記載している。セクション6.1.4は、IAB用のプロトコル・スタックについて記載している。IABの視点から、モバイル基地局は、IABドナー基地局(gNB)の役割を果たす親DUに接続するDUであることが可能である。モバイル基地局はまた、その位置を変えるとき、同じIAB gNBドナーの下の複数の親DU、又は、複数のIAB gNBドナーに接続してもよい。モバイル中継器のコンテキストにはIABにとっての複数の難題があり、そのうちの1つは、L2識別子、IPアドレス、又はルーティング・テーブルなどのIAB通信パラメータが、モバイル基地局の移動性により、あまり静的でなくなることである。実際、現在のTR22.839は、ホップ数を単一のホップに限定することを好む。しかしこの場合でも、モバイル基地局が移動し続ける場合、モバイル基地局が移動してその現在の親ノードの範囲から出て、別の基地局(潜在的な親ノード)に接近すると、モバイル基地局は再び登録する必要がある。
【0107】
実施形態では、モバイル基地局が複数のマクロ基地局又はIABノードに近づくことが決定される。周期的に同じルート、又は一般に、既知のルートだけに沿って進むモバイル基地局にとって、最適化は、モバイル基地局が当該のモバイル基地局であり、そのルート・タイミングを含んでいることを公にすること又は伝達することに本質がある。IABドナーCU/DUは、モバイル基地局の移動情報に応じたルーティング情報などの通信パラメータを作り出すためにこの事実を考慮する。モバイル基地局がIABドナーCU/DUの近傍にいるとき、この通信パラメータは、(再)有効化されることが可能である。モバイル基地局が範囲から出ると、モバイル基地局用の通信パラメータは、IABドナーCU/DUによって保留され、異なるIAB構成が適用される。このアプローチは、複数のレベルで実施可能である。
【0108】
例えば、実施形態では、同じgNB-CUによって制御される異なるDUの下でモバイル基地局が移動する場合、F1インターフェース(gNB-CUとgNB-DUとの間の相互接続)は、有効なままであることが可能であり、モバイル基地局が古いDUから新しいDUに移動して離れたことを考慮して、バックホール適合プロトコル(BAP:backhaul adaptation protocol)ルーティング・テーブルだけがアップデートされる必要がある。この場合、BAPルーティング・テーブルには、モバイル基地局の存在に応じて、有効又は非有効であることが可能なエントリを含めることができる。モバイル基地局を扱うとき、親ノード移行/トポロジ適合戦略が、以下のように改善される。
○ モバイル基地局が(古い親IABとの)バックホール(BH:backhaul)リンクの解放をリクエストしたとき、BHリンク及びBAP層ルートは解放されず、これらが後でより高速に再確立可能になるように休止状態になる。
○ モバイル基地局が(新しい親IABとの)BHリンクの確立をリクエストしたとき、BHリンク及びBAP層ルートは、利用可能でなくても確立されるか、又は以前の接続から利用可能であれば、再有効化される。
【0109】
より一般に、本実施形態では、第2の通信デバイスの移動パターン、及び第1の通信デバイスのロケーションに基づいて(非)有効化可能な、BAPエントリ、IPアドレス、L2パラメータ、F1インターフェースなど、IAB通信パラメータのセットを第1及び第2両方の通信デバイスに格納することによって、第1の通信デバイス(例えば、ドナーgNB又は第1のモバイル基地局)、及び第2の通信デバイス(例えば、第2のモバイル基地局)における(再)構成オーバヘッドを低減させるための方法が提案される。この態様は、記載された本明細書の他の実施形態とは無関係に又はこれと組み合わせて実行される。
【0110】
さらに、上記の実施形態は、第2の通信デバイスのロケーション及び/若しくは移動パターンに関する情報を第1の通信デバイスに格納すること、並びに/又は、第1の通信デバイスのロケーション及び/若しくは移動パターンに関する情報を第2の通信デバイスに格納することを行うことができる方法によって強化可能である。
【0111】
一般に、上記の実施形態は、互いに対話する権限を付与された通信デバイスにおいて通信パラメータ、又は通信パラメータを確立することを要求される証明書を構成する(格納する、管理する、…)能力を、例えばAMFといったコア・ネットワークに提供する方法によって強化可能である。
【0112】
同様に、この実施形態では、第2の通信デバイスとの通信リンク用の構成パラメータを格納するように適合され、第2の通信デバイスの移動パターンを考慮して通信パラメータ及び通信リンクを有効化又は非有効化するように構成された、第1の通信デバイスが提案される。
【0113】
同様に、上記の実施形態は、第1の通信デバイスとの通信リンク用の構成パラメータを格納するように適合され、第2の通信デバイスの移動パターンを考慮して通信パラメータ及び通信リンクを有効化又は非有効化するように構成された、第2の通信デバイスを提供する。
【0114】
同様に、この第1の(又は第2の)通信デバイスはまた、通信パラメータ、又は第2の(若しくは第1の)通信デバイスとの通信パラメータを確立するために使用される証明書を、第4の通信デバイス(例えば、コア・ネットワークの機能)から受信する能力がある。
【0115】
例えば、実施形態では、第2の通信デバイスが第1の通信デバイスのRAN通信範囲に初めて入ったとき、現在の手順に従って、第1の通信デバイスと第2の通信デバイスとの間のIAB通信パラメータのセットが最初に確立されてもよい。
【0116】
例えば、実施形態では、第1の通信デバイスと第2の通信デバイスとの間のIAB通信パラメータのセットは、第2の通信デバイスが第1の通信デバイスのRAN通信範囲に入る前に、コア・ネットワークから構成されてもよい。この場合、権限のあるデバイスだけが、初期構成及び提供フェーズで、通信パラメータのセットを受信することが可能にされてもよい。
【0117】
例えば、実施形態では、第1の通信デバイスと第2の通信デバイスとの間のIAB通信パラメータのセットは、例えば、トンネルを介して既存の方法(例えば、F1インターフェース)を実行すること、又は第1の通信デバイスから構成を取り出すこと/取り出すことによって、両方のデバイスがRAN通信範囲に入る前に、第2の通信デバイスと第1の通信デバイスとの間で確立されてもよい。
【0118】
例えば、実施形態では、BAP内のルーティング・テーブルが比較的安定したままであることを確保するために、モバイル基地局がIABにおける親ノードになることを阻止する能力が使用されることが可能である。これは、3GPP(登録商標) TS38.401、セクション8.12、フェーズ1の統合手順を修正することによって実施可能である。ここで、IABモバイル終了(IAB-MT)が、そのIAB能力を指示するために、RRCSetupCompleteメッセージにIABノード指示を含め、この接続がモバイルgNBノードを介して確立されているとき、モバイルgNBノードは、このような接続リクエストを公開可能である。代替実装形態又はデザインは、例えばシステム情報SIB1といった、gNB-DUによってブロードキャストされたシステム情報に、基地局のタイプについての情報を含めることに本質がある。例えば、基地局がモバイル中継器であるか否かを指示するためのビットがSIBに含まれてもよい。IABのMTは、基地局自体をモバイル基地局として識別している基地局をスキップするポリシを含んでもよい。これへの追加は、このポリシがまた、このような(モバイル)基地局の測位情報を考慮してもよいということである。例えば、モバイル基地局Aが別のモバイル基地局Bと一緒に移動しており(例えば、2台のバスが縦に並んで移動している)、モバイル基地局Aがこの測位情報を認識した状態になった場合(例えば、モバイル基地局BがSIBでこれを開示した場合、又はモバイル基地局AがCNによって知らされた場合)、モバイル基地局Aはまた、親IABのような移動局Bを好んでもよい。上記の実施形態は、UEが、ドナーgNBに直接的に接続されたモバイル基地局に接続することしかできないことを確保する。上記のアプローチは、RRCSetupCompleteでIABノードがそのIAB能力を指示し、コア・ネットワークによって構成された所与のポリシ、及び独自の構成データに基づいて、受信IABノードが接続を拒絶又は承諾する場合に、一般化可能である。例えば、モバイル基地局が最大例えば2ホップをサポートすることを指定するポリシを、ドナーgNBの1ホップ/2ホップ離れた基地局でもある受信IABノードが有する場合、受信IABノードは接続を承諾/拒絶することになる。同様に、上記のアプローチは、他のモバイル基地局がIABノード(モバイル基地局)に接続可能であるかどうか、又はことによると、接続可能な最大ホップ数を含めて、IABノード(モバイル基地局)がその存在をブロードキャストする場合に、一般化可能である。例えば、最大数3ホップが可能にされる場合、ドナーgNBの1ホップ離れた第1のモバイル基地局が、そのSIBで2ホップが利用可能であることを指示してもよい。したがって、第3の基地局をサーブする第2のモバイル基地局が接続しようとする場合、第2のモバイル基地局は、(これがポリシによって可能にされるので)試行することになるか、又は第1のモバイル基地局は、(これがポリシによって可能にされるので)可能にすることになる。
【0119】
より一般に、したがって、ブロードキャスト(例えば、SIB)又はユニキャスト(例えば、RRCSetupComplete)メッセージで共有される情報と、例えば可能にされる最大ホップ数を含む、例えば管理エンティティ(例えば、ドナーgNB又はコア・ネットワーク)によって構成されたポリシと、ローカル構成値(例えばドナーgNBからのホップ数)とに基づいて、マルチホップ通信リンク(例えば、モバイル基地局を介したIABベースの接続)の深さを限定するための方法が提案される。この態様は、したがって、本発明の他の実施形態と無関係に又は組み合わせて実施可能である。同様に、第2の通信デバイスによって送信されたブロードキャスト・メッセージ(例えば、SIB1)又はユニキャスト・メッセージ(例えば、RRCメッセージ)内の情報フィールド、及び第1の通信デバイスにおいて構成されたポリシに基づいて接続を確立することが許可されるかどうかを決定するように適合された管理エンティティに接続された、少なくとも第2の通信デバイス(例えば、モバイル基地局)を介した管理エンティティ(例えば、ドナーgNB)との通信リンクを確立しようとする第1の通信デバイス(例えば、モバイル基地局)が提案される。
【0120】
同様に、第1の通信デバイスによって送信されたユニキャスト・メッセージ(例えば、RRCメッセージ)内の情報フィールド、及び第2の通信デバイスにおいて構成されたポリシ、及びローカル構成値に基づいて、第1の通信デバイス(例えば、モバイル基地局)が接続を確立するのを可能にされるかどうかを決定するように適合された第2の通信デバイス(例えば、管理エンティティ(例えば、ドナーgNB)に接続されたモバイル基地局)が本実施形態において提案される。
【0121】
例えば、実施形態では、3GPP(登録商標) TS38.401のセクション8.9.13には、IABノードのためのIPアドレス配分が記載されている。モバイル基地局の場合、通信パラメータの再配分を毎回要求する代わりに、IABノードは、IABドナーCUにRRCを介して通信パラメータ(例えば、IPアドレス)の再有効化だけをリクエスト可能である。この再有効化はまた、ダウンリンク(DL)トラフィックのために使用される、インターネット・プロトコル(IP)ヘッダ・フィールドとL2パラメータ(例えば、BAPルーティングID、BH無線リンク制御(RLC)チャネル)との間のマッピングの再有効化を含んでもよい。IPアドレスが再活性化されると、対応するF1インターフェースも再び可能にされることが可能である。再有効化リクエストが送信されるとすぐに、モバイル基地局におけるIABノードは、通信を始めることができる。
【0122】
例えば、実施形態では、IAB-MTが非活性状態(例えば、INACTIVATE)に入るとき、一緒に置かれたIAB-DUのF1接続を維持するか解放するかは実施形態次第であると、3GPP(登録商標) TS38.401はセクション8.9.12で述べている。このF1接続は、CUに接続する。DUが、同じCUに何度も接続することになる、所与の、例えば周期的な、ルートに沿ってモバイル基地局が進む場合、F1接続は、(例えば、3GPP(登録商標) TS38.401のセクション8.9.10.1に記載のように)解放されず、MTが同じCU下の同じDUの親に再び接続されたとき、F1接続を素早く有効化できるようにIAB-DUで事前構成されたままである。同様に、CUは、F1構成を素早く再有効化できるようにF1構成を格納する。gNB-CUの制御部(CP)は、F1インターフェースが有効であるか否か、及びF1インターフェースが再有効化可能であるか、再有効化されるべきであるかを、(CP及びUPを接続する)E1インターフェースを介してgNB-CUのユーザ部(UP)に指示可能である。
【0123】
車載中継器のコンテキストにおけるIABを改善するための上記の提案されたオプションは、例えば、3GPP(登録商標) TR22.839に記載のように、上記の実施形態のユース・ケースに適用してよいだけでなく、他のユース・ケースにも、無関係に適用可能である。
【0124】
図4は、実施形態による、モバイル・エッジ又はマルチアクセス・エッジ・コンピューティング(MEC)環境におけるデータ配信のための信号及び処理図を概略的に示している。含まれるデバイスは、UE10、マクロ基地局(gNB)20、(AMF52、CN MECホスト54、及びMECオーケストレータ56を有する)CN50、ドメイン・ネーム・サーバ(DN)60、並びにモバイル基地局(gNB)30である。
【0125】
MECネットワーク・アーキテクチャ概念は、セルラー・ネットワーク(例えば5Gネットワーク)又は任意の他のネットワークのエッジにおける、クラウド・コンピューティング能力及びITサービス環境を可能にする。MECの背後の基本的なアイデアは、セルラー利用者の近くでアプリケーションを実行すること及び関連処理タスクを実施することによって、ネットワークの混雑が低減され、アプリケーションがより良く実施されることである。MEC技術は、セルラー基地局又は他のエッジ・ノードにおいて実施されるようにデザインされ、利用者のための新しいアプリケーション及びサービスの柔軟且つ迅速な展開を可能にする。情報技術の要素とテレコミュニケーション・ネットワーキングとを組み合わせて、MECはまた、セルラー事業者がそのRANを、アプリケーション開発者及びコンテンツ・プロバイダなどの権限のあるサード・パーティに開放することを可能にする。
【0126】
図4のステップ401において、UE10は、DN60からのアプリケーション・データをリクエストする。
【0127】
ステップ402において、アプリケーションは、ユーザに近いMECアプリケーション/データを配分するようにMECオーケストレータ56にリクエストする。これは、1回限りのリクエストでもよく、又はこの特定のアプリケーション及びUE10のための構成リクエストでもよい。MECオーケストレータ56は、これがモバイル基地局における所与のアプリケーション用のリソースの配分を要求するので、CN50内にあると想定される。それでも、他のアーキテクチャでは、MECオーケストレータ56は、CNの外部にあることも可能である。
【0128】
ステップ403において、アプリケーションは、MECホスト54にデータをアップロードする。
【0129】
ステップ404において、リクエストされたアップロード・データは、例えば5Gコア(5GC)の、CN50のMECホスト54にキャッシュされる。このアクションは、UE10からの特定のリクエストに基づいて起こってもよい。このアクションはまた、アプリケーション設定に応じて、先を見越して(例えば、夜間に)起こってもよい。
【0130】
ステップ405において、MECオーケストレータ56は、UE10にデータを届けるのに適切なモバイル基地局を、例えばAMF52又はSMFといった、対応する5Gネットワーク機能(NF)でチェックする。この基地局は、MECアプリケーション/データ(又はエッジ・アプリケーション・サーバ)をホストすることになる。
【0131】
ステップ406において、CN50(例えば、AMF52)は、MECオーケストレータ56から受信されたようなMEC要件に基づいて、並びに、gNBステータス、測位情報、及びUE位置のうちの少なくとも1つに基づいて、モバイル基地局(gNB)30を選ぶ。
【0132】
ステップ407において、CN50(例えば、AMF52)は、その選択をMECオーケストレータ56に知らせ、MECオーケストレータ56は、MECアプリケーション用の構成データを共有する。
【0133】
ステップ408において、CN50(例えば、AMF52)は、所与の構成パラメータ用のMECアプリケーションを依頼するために、マクロ基地局(gNB)20を通じて、選択されたモバイル基地局(gNB)30にリクエストを転送する。特に、ローカルDNSサーバは、モバイル基地局30においてホストされることになるエッジ・アプリケーションに、将来のUEリクエストがリダイレクトされるように、このステージで構成可能になる。図2の例を参照すると、これは、ロケーションL0及び時間T0において実施される。
【0134】
ステップ409において、MECアプリケーション/データは、モバイル基地局(gNB)30においてホストされる。
【0135】
ステップ410において、MECアプリケーション/データを転送するために、マクロ基地局(gNB)20とモバイル基地局(gNB)30との間でリソース配分が実施される。
【0136】
ステップ411において、MECアプリケーション/データは、CN50(例えば、MECホスト54)からモバイル基地局(gNB)30におけるMECホスト(図示せず)に転送される。図2の例を参照すると、これは、ロケーションL1及び時間T1において実施される。このステップは、モバイル基地局30がマクロ・セルに加わることを要求し、他の実施形態に記載の移動及びRAN最適化を伴うことに留意されたい。
【0137】
ステップ412において、モバイル基地局30におけるMECホストは、リクエストされたアプリケーション/データをホストする。
【0138】
ステップ413において、UE10は、モバイル基地局30からのアプリケーション・データをリクエストする。このステップは、UE10がモバイル基地局30に加わることを要求し、他の実施形態に記載の移動及びRAN最適化を伴うことに留意されたい。
【0139】
最後に、ステップ414において、リクエストされたアプリケーション・データは、UE10に転送される。図2の例を参照すると、これは、ロケーションL3及び時間T3において実施される。
【0140】
本実施形態では、UE10は、データを中継することによる通信遅延が減少したアクティブな通信リンクを有することができる。より詳細には、MECアプリケーションは、モバイル基地局(gNB)30において最初に依頼され、ここで、データは、アプリケーション・リクエストに基づく(MECオーケストレータ56がある)CN50のリクエスト時に、MECインフラストラクチャによって(例えば、図2のロケーションL1及び時間T1において)転送される。UE10は、(例えば、図2のロケーションL3及び時間T3において)エンド・ツー・エンド通信アーキテクチャを模倣するMECアプリケーションにアクセスした。
【0141】
図5は、図4のデータ配信手順を実施可能なモバイル基地局及び全体システムの例示的具体例のブロック図を概略的に示している。
【0142】
図5では、モバイル基地局30による例示的なモバイル・ネットワーク展開は、(例えば、アップリンク(UL)分類器(CL)又は分岐点(BP)を使用して)UPFによってルートされた初期ユーザ・プレーン機能(I-UPF)を含む。このようなI-UPFは、アクセス・ネットワーク(例えば、RAN)の近くに置かれ、図4のステップ409においてオンデマンドで展開されるか、又は事前構成可能である。通信フローは、N4インターフェースを通じてI-SMFによって制御可能である。ここで使用されるプロトコルは、(3GPP(登録商標) TS29.244に記載のような)パケット転送制御プロトコル(PFCP:Packet Forwarding Control Protocol)である。
【0143】
さらに、I-SMFは、F1インターフェースを介してマクロ基地局20に接続されたローカルUPF機能の動作を制御する。I-SMFの構成は、5G CN50のSMFから配信される。さらに、ローカル・アクセスDN55は、エッジ・アプリケーション・サーバ(EAS:edge application server)又はMECアプリケーションをホストするように構成される。これは、UE10がリクエストしているか、リクエストする予定であり、図4のステップ411においてモバイル基地局30にダウンロードされるデータである。
【0144】
3GPP(登録商標) TS23.548の図6.46.2-1のフローの後、(図5のI-UPFと同等の)ローカル・パケット・データ・ユニット(PDU:packet data unit)セッション・アンカー(PSA:PDU session anchor)UPFは、(例えば、RANの)サービス品質(QoS)を監視可能である。この情報は、ローカル・ネットワーク・エクスポージャ機能(NEF:network exposure function)にレポート可能である。このローカルNEFはまた、図4のステップ409において展開可能である。ローカルNEFは次いで、図4のステップ409においてさらに展開可能であることをローカル・アプリケーション機能(AF)に通知可能である。低いQoSがレポートされた場合、3GPP(登録商標) TS23.548のセクション6.3に記載のような、PSA再配置及び/又はEAS再配置が起こる。例えば、第1のローカルAFは、マクロ・セル(すなわち、マクロ基地局20)を通じたデータの配送をハンドリングする5G CN50のローカルAFでもよい。UE10によってリクエストされたようなデータをダウンロードするときのQoSが低下したことをこのローカルAFが通告した場合、モバイル基地局30の新しいローカルAF、ローカルNEF、又はローカルPSAがUE10のニーズを満たすことを依頼されることが可能である。基礎となるメッセージ・フローは、例えば3GPP(登録商標) TS23.548の図6.3.3.3.1.1-1に記載のものに、対応する。それでも、この状況は、上述のようなCHOなど、他のアクションもトリガすることが指摘される。
【0145】
3GPP(登録商標) TS23.548では、分散型アンカー・ポイント、セッション・ブレークアウト、及び複数のPDUセッションを含む、5G CN50におけるエッジ・コンピューティング用の複数の接続モードが記載されている。図4は、複数の接続モデルにフィット可能なアプローチを記載している。分散型アンカーのケースでは、TS23.548のセクション6.2.2.2は、EAS発見手順がどのように機能し得るかについて記載している。例えば、DNSリクエストは、PSA UPFに近いDNSサーバ(例えば、DN60)によって解決される。図4のケースでは、ステップ408においてローカルDNSサーバがアップデートされ、ローカルPSA UPFは、ステップ411において、アプリケーション・データと一緒に構成される。図5では、ローカルPSA UPFは、I-UPFとして示されており、アプリケーション・データは、EASに対応する。
【0146】
TS23.502には、一般的な5GC手順が記載されている。セクション4.23は、特定のSMFエリアを有する展開トポロジを記載している。これは、一般に、UE10をサーブする能力があるSMFをAMFが決定し、対応するUPFをSMFが管理するので、関係がある。特に、セクション4.23.9は、ダウンリンク・データがUPF(PSA2)(ローカルUPF)又はUPF(PSA1)(中央UPF)からやって来るように、BP又はUL CLがどのように確立されるかについて記載している。この動作を考慮して、図4のステップ406は、したがって、所与のモバイル基地局にあるSMF及びUPFの選択に言及することができる。このステップでは、例えば、リモートDNに接続する中央UPFを通じて、又は、モバイル基地局30にあるローカルUPFを通じて、データのダウンロードをステアリングするように、BP又はUL CLを確立可能であり、ここで、アプリケーション・データ、エッジ・サーバ、又はEASは、オンデマンドでキャッシュされたものである。ステアリングは、モバイル基地局30にローカルなSMFに構成をダウンロードすることによって実施可能である。この提案された能力は、例えば3GPP(登録商標) TR22.839に記載のように、上記の実施形態の主なユース・ケースだけでなく他のユース・ケースにも適用される。例えば、能力は、モバイル基地局を通じたデータのアップロードに適用可能である。
【0147】
上記の通信フローは、例えば、ローカル・サイトの、すなわちUEロケーションに近いPSA UPF、及び中央PSA UPFがある、3GPP(登録商標) TS23.548の図6.2.3.2.2-1と共に説明されたEASDFを用いたEAS発見手順にフィット可能である。
【0148】
図4のロジックは、3GPP(登録商標) TS23.548の図6.2.3.3-1のロジック(エッジ再配置におけるEAS再発見手順)に関係がある。それでも、基本的な違いは、新しい可能性、すなわち、モバイル基地局30がUE10の近くにいるときのモバイル基地局30へのEASの再配置、をもたらすモバイル基地局30の移動である。このイベント及びモバイル基地局30のロケーションは、PDUセッションのL-PSA挿入、変更、又は除去をトリガする。これは、AFへの通知もトリガする。性能のために、EAS再配置の能力及び権利は、例えばSMFの監督下など、5G CN50の監督下にあってもよい。この提案された能力は、例えば3GPP(登録商標) TR22.839に記載のように、上記の実施形態の主なユース・ケースだけでなく他のユース・ケースにも適用される。
【0149】
図6は、ダウンリンク・データが配送可能になるまでモバイル基地局にキャッシュされる、MECを使用しない実施形態による例についての信号及び処理図を概略的に示している。含まれるデバイスは、UE10、マクロ基地局(gNB)20、AMF52を有するCN50、ドメイン・ネーム・サーバ(DN)60、及びモバイル基地局(gNB)30である。
【0150】
本実施形態のアイデアは、ダウンリンク通信がモバイル基地局(gNB)30を通じてルートされ、データが配送可能になるまでモバイル基地局30にキャッシュされることである。
【0151】
ステップ601において、UE10は、DN60からのアプリケーション・データをリクエストする。
【0152】
ステップ602aにおいて、リクエストされたアプリケーションは、データの配送を始める。
【0153】
ステップ602bにおいて、マクロ基地局20は、データの量が大きく、通信リンクが十分でなく、したがってデータがマクロ基地局(gNB)20にキャッシュされることを決定する。
【0154】
ステップ603において、AMF52は、データを届ける能力があるモバイル基地局(gNB)があるかどうかをチェックする。
【0155】
ステップ604において、利用可能であれば、AMF52は、例えば、検出されたモバイル基地局(gNB)30が図2のロケーションL0にあるときに、検出されたモバイル基地局(gNB)30を事前構成する。
【0156】
ステップ605において、マクロ基地局20は、例えばIAB設定で、データ転送用のリソースをモバイル基地局30に配分する。
【0157】
ステップ606において、例えば、モバイル基地局30が図2のロケーションL1にいるときに、データがモバイル基地局30に転送される。
【0158】
ステップ607において、UE10がまだ接続されていないので、データがモバイル基地局30にキャッシュされる。
【0159】
ステップ608において、例えば、モバイル基地局30が図2のロケーションL3にいるときに、UE10が接続され、キャッシュされたデータがUE10に転送される。
【0160】
例では、モバイル基地局(gNB)30は、N4インターフェースによって制御される中間UPF(I-UPF)を有する。ここで、このUPFで確立されたパケット転送制御プロトコル(PFCP)セッションが、パケットがどのように(例えば、パケット検出ルール(PDR)を使用することによって)識別されるか、(例えば、転送アクション・ルール(FAR:forwarding action rule)を使用することによって)転送されるか、(例えば、バッファリング・アクション・ルール(BAR:buffering action rule)使用することによって)処理されるか、(例えば、QoS施行ルール(QER)を使用することによって)マークされるか、及び/又は、(例えば、使用レポート・ルール(URR)を使用することによって)レポートされるかについて定義する。3GPP(登録商標) TS29.244に記載のように、BARは、モバイル基地局におけるこのUPFのバッファリング行動を制御するための命令を提供可能である。BARは、PFCPセッションの全てのFARのためのバッファリング行動を制御する。特定のアクションが、3GPP(登録商標) TS29.244のセクション5.2.4.2に記載されており、その一方で、セクション8.2.29は、DLバッファリング持続時間を含む。この提案された能力は、例えば3GPP(登録商標) TR22.839に記載のように、上記の実施形態の主なユース・ケースだけでなく他のユース・ケースにも適用される。例えば、能力は、特定の時間にわたってキャッシュされてもよいモバイル基地局を通じたデータのアップロードに適用可能である。
【0161】
別の例では、UEから配送(DL)又は受信(UL)するときに、複数のモバイル基地局が、このように協調されてもよい。これらのモバイル基地局のそれぞれは、例えば、3GPP(登録商標) TS23.501のセクション5.33.2.2に記載のような、例えば同じSMFによって協調される、I-UPFを含んでもよく、この場合、冗長な伝送をサポートするために、ばらばらのトランスポート層経路を介して2つのN3トンネルが転送される。
【0162】
さらなる例では、図4のステップ408及び414、並びに図6のステップ606及び608におけるデータ転送は、マクロ基地局20とモバイル基地局30との間の、及びUE10とモバイル基地局との間の最良の接続が決定されたロケーションで実施されるように選ばれる。
【0163】
さらなる例では、図4のステップ408及び414、並びに図6のステップ606及び608におけるデータ転送は、マクロ基地局20とモバイル基地局30とUE10との間の最良のエンド・ツー・エンド接続が決定された同じロケーションL2で実施されるように選ばれる。このロケーションは、例えば、図10及び図11に関するロケーションL2である。このロケーションが選ばれると、モバイル基地局は、データをルートするだけでよく、データは、UEに近いドナー基地局20又はエッジ・サーバに一時的に格納又はキャッシュされ、本発明の他の実施形態に記載のように実施されてもよい。
【0164】
モバイル基地局(gNB)30とマクロ基地局(gNB)20及び/又はUE10との間のRAN接続は、モバイル基地局30の移動ルート及びUE10のロケーションの知識に基づいて最適化可能である。RAN接続は、(i)リンク接続(例えば、モバイル基地局(gNB)30とマクロ基地局(gNB)20、若しくはモバイル基地局(gNB)30とUE10)、又は(ii)図11に示されているようなモバイル基地局(gNB)30を介したUE10からマクロ基地局(gNB)20へのエンド・ツー・エンド接続を指してもよいことが指摘される。
【0165】
事前構成及び/又は予測通信パラメータのために、マクロ基地局(gNB)20のロケーション、及びモバイル基地局(gNB)30(のルート)を経時的に使用し、モバイル基地局30及びマクロ基地局20の両方が、その位置の知識を使用して、ビーム・フォーミング若しくは変調及びコーディング・スキームなどの通信パラメータを最適化すること、並びに/又はシグナリング・オーバヘッドを低減させることを行う。
【0166】
モバイル基地局30は高速に移動しているので、例えば変調又はビーム・フォーミングを使用するための通信パラメータにオンザフライで決めるために接続パラメータ(例えば、CQI))をレポートすることは、十分に高速でないか、又は大きなシグナリング・オーバヘッドを伴う。CQIのレポートが高いレートで実施可能であったとしても、レポートは、いくらか遅延して到着する。モバイル基地局30が移動している場合、モバイル基地局30の通信環境及びロケーションは、CQIレポートが受信及び/又は処理される時間までに既に変化している。これは、マクロ基地局20が、前の時間tデルタから期限切れのCQI接続パラメータに基づく時間tに通信パラメータを割り当てることを意味する。したがって、期限切れのCQI接続パラメータが時間tデルタに取得されたことを考慮して、時間tにおける実際のCQI接続パラメータを予測することが必要である。
【0167】
例えば、50km/hで移動している車は、1msに1.38cm、及び1sに13.8m移動する。受信品質は、モバイル基地局30のロケーションに大きく依存するが、この依存関係が経時的に変化しない場合、履歴データは、通信オーバヘッドを低減させ、通信パラメータの選択を改善するために使用可能である。
【0168】
例では、マクロ基地局20及びモバイル基地局30は、モバイル基地局30の測位情報に基づいて、例えば、ビーム・フォーミング、又は例えばCQIといった性能など、最適な通信設定についてのデータを収集する。この測位情報には、絶対ロケーション(例えば、座標x、y、z)、基準軸に対するその角度(例えば、1度)、そのスピード、又はその加速度を含めることができる。この情報を用いて、マクロ基地局20は、異なるモバイル基地局30のロケーション用の通信パラメータを事前構成及び選択可能である。モバイル基地局30は、独自の測位情報に基づいて、独自の通信パラメータ(例えば、独自のビーム・フォーミング)の一部を調節可能である。モバイル基地局30は、その測位情報をマクロ基地局に所与の瞬間にレポートする。これは、単一又は複数のメッセージによって実施可能である。測位情報は、例えば、CQIメッセージなどに他のデータと一緒に、例えばアップリンク・レポート・メッセージに、同様に含まれる。測位情報また、現在のロケーション及びスピード・ベクトル(規模及び方向)を含む単一のメッセージによって実施可能である。この情報を用いて、マクロ基地局20は、最良の通信パラメータを選択可能である。
【0169】
図7は、様々な実施形態による第1の対応者ネットワークの位置確認及びマッピング手順の流れ図を概略的に示している。
【0170】
この動作を実行するためには、マクロ基地局20は、例えばk周など、数周の間に(常に同じルートに沿って進む)モバイル基地局のルートを学習し、ここで、kは少なくとも1である。Rk周におけるこの学習フェーズLにおいて、モバイル基地局は、モバイル基地局30のルート沿いの複数のロケーションiの、例えば、CQI(k,i)及び測位情報P(k,i)といった、その接続パラメータをレポートする。マクロ基地局20は次いで、以前の知識を有していない通信リソースを配分することになる。マクロ基地局20は、この履歴情報を格納する。モバイル基地局30はロケーションをレポートするので、マクロ基地局20も、メッセージの伝搬遅延及び独自の処理遅延を推定可能である。これは、学習フェーズLの後、マクロ・セルが以下のようなテーブルを有することができることを意味する。
【0171】
【表1】
【0172】
図7を参照すると、予測フェーズPにおいて、マクロ基地局20は、履歴情報及び測位情報を使用して通信リソースのより良い割当てを実施可能である。予測フェーズPの間、マクロ基地局20は、ルートを既に知っており、学習フェーズLからこのルート沿いのCQIも知っている。Rm周におけるこの予測フェーズでは、マクロ基地局20は、レポートされた測位情報P(m,i)を使用して、測位情報メッセージがマクロ基地局20に到着したときのモバイル基地局30の実際の位置を推定可能である。これは、D(i)が既知であり、P(m,i)にスピード情報を含めることができるので、実施可能である。マクロ基地局20は次いで、モバイル基地局30の現在のロケーションに対応するエントリのCQIを調べることができる。追加のデータがこの判定に影響を及ぼし得ることに留意されたい。このデータは、例えば、車載中継器の場合のトラフィック・ステータス、天候など、外部ソースからやって来てもよい。
【0173】
上記の例では、通信リソースの最適化された配分のために測位情報がどれくらい使用可能であるかを示すために、簡単な「テーブル・ルックアップ」が使用される。それでも、より先進的な機械学習を適用可能である。例えば、Hao Yinらによる書類「Predicting Channel Quality Indicators for 5G Downlink Scheduling in a Deep Learning Approach」(2020年8月)は、上述のように、履歴データと、(特定の遅延で到着することになり、したがって期限切れになる、時間tにUEによってレポートされた)CQI値とに基づいて、時間tにおける実際のCQI値を予測するための関連方法を記載している。この予測は、長短期記憶(LSTM:long short-term memory)アルゴリズムに基づく。それでも、このモデルでは、ユーザ(UE)のロケーション及びスピードは、基地局とUEとの間で使用されることになる通信パラメータを推定する/選ぶために使用される予測アルゴリズムの入力として使用されない。この入力が使用されない理由は、UEが移動していると想定されるものであり、UEが、非常に異なるロケーション及び方向に移動している可能性があるからである。したがって、上記の書類の著者は、UEが同じルートに沿って反復的に移動する予定であることを想定していない可能性がある。
【0174】
それでも、本実施形態では、例えば固定マクロ基地局と通信するバス、列車、又は衛星に設置された多くのモバイル基地局は、固定された周期的/予測可能なルート、及びことによると、これらのモバイル基地局がこのような所定のルートに沿って移動するたびに、同様のスピードを有することになる。したがって、モバイル基地局30の現在のロケーション及びそのスピード・ベクトルは、通信パラメータを計算するときの重要な入力である。
【0175】
このようなパラメータは、例えばCQIレポートと一緒に、これらのパラメータを交換することによって、例えば、深層学習アプローチでダウンリンク・スケジューリングのためのチャネル品質指標の予測に組込み可能である。測位情報はまた、例えばシグナリング情報の一部としてブロードキャストされるなど、異なる方式でレポートされてもよい。上記の書類のLSTMアーキテクチャへの入力は、最後のN個のCQI測定値CQI(t-タウ)、CQI(t-タウ+1)、…,CQI(t-タウ+N)だけでなく、モバイル基地局30の現在の測位情報も含む。
【0176】
それでも、例えば、フィードフォワード・ニューラル・ネットワーク、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)などの、他の機械学習アルゴリズムは、ロケーション情報の使用からも利益を得ることが指摘される。
【0177】
図7の実施形態の上記のアプローチは、通信リソースの選択の改善を可能にするだけでなく、シグナリング・オーバヘッド、したがって、エネルギー消費量及び帯域幅のニーズの低減も可能にすることができる。例えば、予測フェーズPの間、予測能力が非常に良い場合、モバイル基地局30は、測位情報を、及びより低い頻度でレポートする必要があるだけである。別のオプションとして、配分されたリソースは、配分されたリソースがRRCメッセージによって展開されるセミパーシステント・スケジューリング・アプローチによって、モバイル基地局30に予め展開される。
【0178】
上記の提案された能力は、上記の実施形態の主なユース・ケースだけでなく、例えば、モバイル基地局を通じたデータのアップロードに焦点を合わせたユース・ケースといった、例えば3GPP(登録商標) TR22.839に記載のような、他のユース・ケースにも適用される。
【0179】
接続を最適化するための別のオプションは、データ転送のための最良のロケーションの選択であることが可能である。この選択は、1つの又は複数のモバイル基地局から、そのルート沿いの通信品質(スループット、レイテンシ、…)に関するデータを収集することによって、このデータを追跡し続けることによって、及びこのデータを使用してモバイル基地局30とマクロ基地局との間のアップリンク/ダウンリンク通信に最適なスタート時間を選択することによって、実施可能である。別のオプションとして、選択は、マクロ・セル予測のための基本伝搬モデル(例えば、自由空間又は平面地球損失)などの伝搬モデルに基づくことが可能である。ここで、全信号損失は、カバーされることになるエリア内の木、建物、及び地形特徴毎のロケーション、次元、及びパラメータの知識に基づいて予測される。代替として、経験的モデルが使用され、ここで、受信信号強度、周波数、アンテナ高、及び/又は地形プロフィールなどのパラメータが、大規模な測定及び統計的解析の使用を通じて特定の環境から導出され、次いで、元の測定に類似の環境で使用される。
【0180】
所与の瞬間のスループットT_tは、以下の等式で表現されるように、選ばれた変調及びコーディング・スキームTR(MCS_t)、並びに輸送率の現在のブロック誤り率B_tに対する、達成された伝送速度TRに依存することが指摘される。
T_t=TR(MSC_t)*(1-B_t)
【0181】
図7に関して上述されたように、モバイル基地局30のCQIは予め予測可能である。予測されたCQIは次いで、使用されることになる変調及びコーディング・スキーム(MSC)を決定するために使用可能である。ロケーションのCQIが既知なので、このロケーションにおけるブロック誤り率B_tを推定することも可能である。
【0182】
一般に、例えば、モバイル基地局30からのフィードバックを使用することによって、QCI、スループット、レイテンシ、信号強度、信号対雑音比、等に関するデータが、マクロ基地局20によって監視される。マクロ基地局20は、履歴データを追跡し続ける。
【0183】
図8は、履歴データに基づくモバイル基地局30のロケーションに対する、マクロ基地局20とモバイル基地局30との間のダウンリンク・スループットの特性曲線を示している。図8からわかるように、位置pa1とpa2との間のデータ通信は実現可能である。
【0184】
この履歴データは、モバイル基地局30が将来のデータ転送を実施するのに最良のロケーションを選択するために使用可能である。選択は、特定のモバイル基地局からの又は複数の基地局からの情報に基づくことが可能である。
【0185】
マクロ基地局20及びモバイル基地局30は、転送することになるデータ量を知っており、履歴データ(及び、モバイル基地局30によってレポートされた測位情報)に基づく予想転送率を認識しているので、マクロ基地局20は、所与の最適化目標に従って全データ転送を終えるために、データ転送の(モバイル基地局30によってレポートされた測位データに基づく)最良のスタート時間を選択可能である。
【0186】
データをダウンロードするためのスタート時間は、ソリューションがどのように構築されるかに応じて異なるエンティティの制御下にあってもよい。オプションは、マクロ基地局20のCUによってスタート時間を制御することでもよい。別のオプションは、ローカルなSMFによってスタート時間を制御することである。この場合、SMFは、システムの異なるエンティティから測位情報を受信し、図8の上記の曲線のようなスループット図、並びに対応する最適化及びスケジューリングを管理するべきである。
【0187】
第1の例では、マクロ基地局20は、図8の真ん中の曲線に示されているようなロケーションpb1とpb2との間に、すなわち、スループットが最高になることが予想されるロケーションの周囲に、マクロ基地局20とモバイル基地局との間のデータの転送を配分することによって、マクロ基地局20の全体的な通信リソースを最適化することを目指す。このようにして、マクロ基地局20及びモバイル基地局30のリソースは、ターゲット・データ転送の前後の他のUE又はモバイル基地局との他の通信リンクのために利用可能になる。それでも、これは、伝送がpa1において既にスタートしていた可能性があるとき、伝送スタートが、位置pb1において起こるだけなので、いくらかの追加のレイテンシを導入するという代償を払うことになる。この判定は、モバイル基地局30の2つの位置を考慮していることが指摘される。それでも、伝送時間(及びしたがって、交換することになる全データ量)は、モバイル基地局30のスピードに依存する。この視点から、図8の曲線は、モバイル基地局30が一定のスピードで移動していることを想定している。これは、ロケーションpb1及びpb2の選択が、モバイル基地局30によってレポートされた速度/加速度にも依存することも意味する。
【0188】
それでも、モバイル基地局30のスピードが速すぎることが原因でデータ転送が完了不能であるとマクロ基地局20が判定すると、マクロ基地局20は、ロケーションpb1とpb2との間の伝送時間が長くなり、データ転送全体が完了可能になるように、そのスピードを、例えば低減させるなど、適合させるようにモバイル基地局に命じてもよい。この特徴は、例えばUAVなど、車載中継器の特定のタイプのために使用可能である。モバイル基地局30はまた、同じ目的で、そのスピードを自主的に適合させることを決める。この提案された能力は、上記の実施形態の主なユース・ケースに適用されるだけでなく、例えば3GPP(登録商標) TR22.839に記載のような、他のユース・ケースにも適用可能である。
【0189】
モバイル基地局30はまた、外部データ・ネットワークからリクエストされた交通情報(例えば、前方に交通渋滞があるか、又は交通信号のタイミングはどうか)など、外部データ・ソースに応じて最適化を実施する。
【0190】
第2の例では、代替の最適化目標は、通信遅延を最小化することである。これは、図8の一番下の曲線に示されており、この曲線では、データの伝送は、ロケーションpc1=pa1において、すなわち、モバイル基地局30が通信範囲に入るとすぐにスタートする。データ転送は、ロケーションpc2、すなわち、pc2<pb2において終わり、したがって、マクロ基地局20がモバイル基地局30からデータをアップロードされるとすぐに、マクロ基地局20は、このデータをUE10に向けて(又は、アップリンク通信の場合、CN50に向けて)さらに転送できるので、エンド・ツー・エンドのレイテンシは最小化可能である。同様に、データがモバイル基地局30にダウンロードされるとすぐに、モバイル基地局は、UE10との通信をスタート可能である。
【0191】
図8の真ん中及び下の曲線では、モバイル基地局30がこれらのロケーションの間を一定のスピードで移動していると想定すると、pb1とpb2との間のスループット・ラインの積分は、pc1とpc2との間のスループット・ラインの積分に等しいことがさらに指摘される。
【0192】
さらに、UE10のロケーション及びモバイル基地局30(のルート)を経時的に使用して、通信パラメータを事前構成及び予測し、データ転送に最良のロケーションを選択することによって、UE10とモバイル基地局30との間の最適化されたRAN接続が達成可能になる。最適化アプローチは類似のものであることが可能であるが、UE10についての情報が現在あまり信頼できない可能性があるという違いがある。
【0193】
上記のアプローチで適用することになる尺度は、接続前及び接続中に、モバイル基地局30及びUE10がその位置を認識することについてのものである。モバイル基地局30は、UE10の位置を認識している必要があり、これ以降、モバイル基地局30は、現在のUEの位置にいた以前のUEからの履歴データをチェックすることができる。UE10は、例えば、モバイル基地局30のどのビームを通信中に使用可能であるかを適合及び予測するために、モバイル基地局30の位置を認識している必要がある。
【0194】
例えば、モバイル基地局30がデータ転送に最良のロケーションを選択しなければならないとき、モバイル基地局30は、モバイル基地局30のルート沿いの異なるロケーションにおけるUEとのデータ転送のために履歴データを維持することができる。これは、異なるロケーションについての、図8のような「スループット曲線」であることが可能である。モバイル基地局30が、そのダウンリンクでUE10へのデータ転送のリクエストを受信すると、モバイル基地局30は、UE10のロケーションをチェックして、UE10に最も適した「スループット曲線」を選択する。これは、履歴データ、伝搬モデル、その組合せ、等に基づく。選択された「スループット曲線」を用いて、モバイル基地局30は、図8の真ん中及び下の曲線と同様に、最適化目標に応じて、データ・アップロード/ダウンロードがいつスタートするべきかを選択することができる。
【0195】
例えば、モバイル基地局30がその通信パラメータを選択するためにUE10のCQIを推定しなければならないとき、モバイル基地局30は、UE10から受信されたデータ(例えば、現在のCQIデータ)を入力とするが、モバイル基地局30は、モバイル基地局30の新しいロケーションにおけるUE10の実際のCQIを予測するために、自身のロケーション及び速度ベクトルも入力として使用する。
【0196】
モバイル基地局30を介したUE10からマクロ基地局20へのエンド・ツー・エンド接続を最適化するとき、接続も、図12 a)及び図12 b)に示されているように、レイテンシを最小化するか伝送時間を最小化するように、最適化可能である。図12 a)では、接続は、レイテンシが最小化されるようにロケーションL2aとL2cとの間で起こる。図12 b)では、接続は、伝送時間が最小化されるように、ロケーションL2bとL2dとの間で起こる。ここで、L2a<L2b<L2c<L2d、及び(L2c-L2a)>(L2d-L2b)であり、モバイル基地局は、一定のスピードで移動することが想定される。
【0197】
上記の実施形態は、モバイル基地局を通じたデータの効率的な配送を可能にする。これらの実施形態は、例えば、モバイル基地局を通じたデータのアップロードといった、3GPP(登録商標) TR22.839に記載のユース・ケースの少なくとも一部にも適用可能である。
【0198】
このために、ネットワーク・システム(例えば5Gシステム)は、以下のオプションを行うように構成される。
● ネットワーク・システムは、車両の旅程沿いの車両内のUEに5Gアクセスを提供するモバイル基地局(中継器)の使用をサポートする、並びに/又は
● ネットワーク・システムは、車両内部のUEが、(例えば、車両に搭載された)モバイル基地局を介した5Gアクセス及び接続を提供されると、(例えば、車両に搭載された)モバイル基地局を介して接続されたままであることを確保するための手段を提供する、並びに/又は
● ネットワーク・システムは、モバイル基地局の存在下で(モバイル基地局間で、若しくはモバイル基地局と固定基地局との間で)セル選択を最適化し、不要セルの再選択を最小化するための手段を提供することができる(この要件は、例えば、UEが内蔵された車両内の(若しくは今まで一緒に移動していた、若しくは一緒に移動することが予想される)モバイル基地局の選択を最適化できるように、5Gシステム(UE及びモバイル基地局)に能力を提供するためのものである)、並びに/又は
● ネットワーク・システムは、例えば、相対的な移動若しくはスピードに基づいて、モバイル基地局を介してサーブされている間に、UEのための(モバイル基地局間の、若しくはモバイル基地局と固定基地局との間の)不要なハンドオーバを最小化するための手段を提供することができる、並びに/又は
● ネットワーク・システムは、(例えば、車両に搭載された)モバイル基地局を介して5GSネットワークにアクセスするUEへのロケーション・サービスの提供をサポートする、並びに/又は
● ネットワーク・システムは、例えば、特定のロケーション粒度、及び効率的なUE電力消費量を考慮して、(例えば、車両に搭載された)モバイル基地局を介してUEが5GSネットワークにアクセスするために、リクエストしたUE若しくは他のロケーション・エンティティへのロケーション情報の提供をサポートする、並びに/又は
● ネットワーク・システムは、モバイル基地局中継器の間の負荷分散を実施するための手段を提供することができる(この要件は、可能であればいつでも、ネットワーク・リソースの負荷を最適化できるように、ネットワーク・システム(UE及びモバイル基地局)に能力を提供するためのものである)、並びに/又は
● ネットワーク・システムは、UEのアクティブな通信が、マクロ・ネットワークから(例えば、車両に搭載された)モバイル基地局に、及び逆もまた同様に、変化したときの、効率的なハンドオーバをサポートして、(例えば、車両に出入りする)UE及び/若しくは中継器の移動中のエンド・ツー・エンドのサービス継続を確保することができる、並びに/又は
● ネットワーク・システムは、(例えば、車両内部のUEをサーブする)モバイル基地局がマクロ・ネットワーク・ノード間で変化するときの、UEのアクティブな通信の効率的なハンドオーバをサポートして、中継器の移動中のエンド・ツー・エンドのサービス継続を確保することができる、並びに/又は
● ネットワーク・システムは、(例えば、車両外部のUEをサーブする)モバイル基地局がマクロ・ネットワーク・ノード間で変化するときの、UEのアクティブな通信の効率的なハンドオーバをサポートして、中継器の移動中のエンド・ツー・エンドのサービス継続を確保することができる、並びに/又は
● ネットワーク・システムは、UEのアクティブな通信が(例えば、車両に搭載された)モバイル基地局間で変化するときの、効率的なハンドオーバをサポートして、(例えば、車両の内部で移動している)UEの移動中のエンド・ツー・エンドのサービス継続を確保することができる。
【0199】
上記のユース・ケース、及び3GPP(登録商標) TR22.839に記載の他のユース・ケースにおける上記のオプションは、以下の技術的ソリューションを用いて対処可能である。
● 基地局がモバイル基地局(中継器)であるかどうかを指示するための、例えば0又は1であるビットといった情報が、例えばSIB1といったSIBにオプションとして含まれる。このビットを含めることによって、UE又はIAB-MTは、これが、UE又はIAB-MTが加わることを望むセルであるか否かを決定することができる。
● モバイル基地局は、例えば、SIB1で、又はオンデマンドで新しいSIBで、測位データを提供する。この情報を用いて、UEは、その移動パターンがモバイル基地局の移動パターンにフィットするかどうかをチェックすることができる。
● UEがモバイル基地局に接続されると、UEは、旅程/タイミングについての入力をリクエスト又は取得することができる。これは、新しいSIBとしてオンデマンドで届けることができる。SIBは、基地局の現在のロケーション、及び速度(加速度)ベクトルを含む。この情報を用いて、自身の位置を知っているUEは、基地局がどれだけ長く範囲内にいるかを推定すること、通信パラメータを構成すること、などが可能である。
● SIBのオプションは、その現在のロケーションを含めることである。これは、この情報が周期的にブロードキャストされるので、この情報がSIB1に含まれる場合に適切なソリューションでもよい。SIB1は、周期160msでブロードキャストされる。この期間内で、同じSIB1が、例えば40ms毎に、複数回、再ブロードキャストされる。車両は、100km/hで移動している場合、160msの間に4.4m移動することになる。モバイル基地局(gNB)のロケーションがSIB1に含まれる場合、SIB1は、新しいSIB1が初めてブロードキャストされるときの位置、及び速度ベクトルを含んでもよい。この情報を用いて、UEが、2回繰り返されたSIB1を受信した場合、UEは、モバイル基地局の位置を導出可能である。他の代替は、SIB1の反復毎にモバイル基地局の予想位置を含めることでもよい。
● 別のオプションは、例えば、モバイル基地局のルート及びタイミングを含む新しいSIBにロケーション情報を含めることによって、ロケーション情報がオンデマンドで利用可能になることである。代替のオプションは、時間に応じた軌道を含めることである。例えば、現在のロケーション、速度ベクトル、及び失効時間。この情報を用いて、UE(又はマクロ・セル(DU/CU))は、失効時間まで、そのロケーションを知ることができる。
【0200】
より一般に、TS23.273、節4.3.5において、ターゲットUEは、UEベースのモード及びスタンドアロンを含む4つのモードの測位をサポートしてもよいことが述べられている。したがって、測位サービスに加入したUEは、この測位情報をモバイル基地局から取得してもよい。
【0201】
より一般に、第1の通信デバイスの移動パターンに関する位置確認データを(例えば、SIBなどのブロードキャスト・メッセージ、又はRRC保護メッセージで)送信することによって、第1の通信デバイス(例えば、モバイル基地局)が1つ又は複数の第2の通信デバイス(例えば、1つ又は複数のUE)に位置確認サービスを提供することを可能にする方法が提案される。第1の通信デバイスはまた、他のインターフェースを使用してもよく、例えば、IABベースのモバイル基地局は、MTを使用して発見メッセージを送信/ブロードキャストできてもよいMT-IABを有する。
【0202】
より一般に、第2の通信デバイスが、位置確認サービスへのアクセスを、例えばLMFといった、5GCのネットワーク機能にリクエストすることを可能にし、可能にされると、第2の通信デバイスが、第1の通信デバイスによって配信された情報を復号又は一体性検証するために使用可能な鍵材料のセット(例えば、対称暗号鍵、対称一体性鍵、署名検証公開鍵、及び/又は復号秘密鍵)を受信する方法が提案される。
【0203】
より一般に、1つ又は複数の第2の通信デバイスに位置確認サービスを提供する権限を第1の通信デバイスに付与し、権限が付与されると、暗号化するために第1の通信デバイスによって使用可能な鍵材料のセット(例えば、対称暗号鍵、対称一体性鍵、署名秘密鍵、及び/若しくは暗号化公開鍵)を受信すること、又は第1の通信デバイスによって配信された情報を一体性保護することを可能にする方法が提案される。
【0204】
より一般に、対称鍵で又は暗号化公開鍵でロケーション情報を暗号化することを可能にする方法が提案され、ロケーション情報は、一体性対称鍵で計算されたメッセージ認証コードを添付すること、又は、署名秘密鍵で計算されたデジタル署名を添付することによって、一体性保護可能である。
【0205】
より一般に、第1のデバイスからロケーション情報を受信することと、オプションとして、ロケーション情報を復号及び/又は一体性検証し、コア・ネットワークによって構成されたポリシに基づいてこのロケーション情報を使用することとを、権限のある第2のデバイスが行うことを可能にする方法が記載されている。例えば、(1)ロケーション情報が、モバイル基地局を搬送する車両についてのものであることに、第2のデバイスが気づくと、第2のデバイスは、受信したロケーション情報を使用することになり、車両の位置は、車両サイズが不確実なまま、このロケーションによって与えられることになる。(2)ロケーション情報が、移動局を搬送する車両についてのものでないことに、第2のデバイスが気づくと、第2のデバイスは、車両がモバイル基地局の通信範囲内のどこかにいることだけを、想定することになる。
【0206】
同様に、前記方法を実行する第1の通信デバイスが提供され、例えば、第1の通信デバイスは、その移動パターンに関する位置確認データを(例えば、SIBなどのブロードキャスト・メッセージ、又はRRC保護メッセージで)送信することによって、少なくとも第2の通信デバイスに位置確認サービスを提供する能力がある。同様に、前記方法を実行する第2の通信デバイスが提供され、例えば、第2の通信デバイスは、第1の通信デバイスの移動パターンに関する位置確認データを含むメッセージ(例えば、SIBなどのブロードキャスト・メッセージ、又はRRC保護メッセージ)を受信し、自身のロケーションを位置確認データから導出する能力がある。
【0207】
モバイル基地局から受信されたロケーション測定値は、IAB-MTとUEとの間の到来角、飛行時間、…又は測距測定など、追加の測位技法に基づいて改善されてもよい。特に、モバイル基地局が車両の特定のロケーションにある場合、モバイル基地局は、モバイル基地局の特定のロケーション(又は車両の任意の他の部分)に関するロケーション情報を配信することになる。ロケーション情報を受信したUEはさらに、IAB-MTとUEとの間の到来角、飛行時間、…又は測距測定など、追加の測位技法に基づいて、(基地局自体の)受信されたロケーションに対するUEの位置を決定することができる。例えば、到来角の場合、UEはさらに、受信されたロケーション、測定された到来角に基づいてそのロケーションを精緻化することができる。ロケーション測定値はさらにまた、例えば、磁気センサから取得されたような、及びUEとモバイル基地局との間で交換されてもよい、その向きに関する情報といった、UE又はモバイル基地局によって検知された情報に基づいて改善可能である。ロケーション測定値はさらに、モバイル基地局によって配信され得るか、他の方式でUEが利用できるようにされた、車両マップを使用することによって、UE(又はモバイル基地局)によって精緻化可能である。例えば、列車の場合、モバイル基地局はまた、車両内のその絶対又は相対ロケーションを含む、そのロケーションをさらに決定するためにUEによって使用可能な、車両に関するメタデータ(例えば、サイズ(長さ、幅)、建材、マップ、…)をブロードキャストしてもよい。例えば、UEが所与の到来角を測定すると、UEは、モバイル基地局から受信可能な車両自体の測定値を知ることによって、潜在的誤差を訂正可能である。例えば、UEが所与の発射角をレポートされ、車両内のモバイル基地局の向きを知ると、UEは、車両内のそのロケーション、及びその絶対位置をより良く決定可能である。
【0208】
より一般に、上記のような、すなわち、第1の通信デバイスの移動パターンに関する位置確認データを(例えば、SIBなどのブロードキャスト・メッセージ、又はRRC保護メッセージで)送信し、車両、若しくは車両の向き、及び/又は車両内のモバイル基地局のロケーション/向きに関するメタデータを提供することによって、第1の通信デバイス(例えば、モバイル基地局)が1つ又は複数の第2の通信デバイス(例えば、1つ又は複数のUE)に位置確認サービスを提供することを可能にする方法が提案される。この方法を実行する第1の通信デバイスも提供される。
【0209】
さらに、一般に、第1の通信デバイスの移動パターンに関する位置確認データ、及び/又は他の測位信号(例えば、到来角、飛行時間、…)を含む、第1のメッセージ(例えば、SIBなどのブロードキャスト・メッセージ、又はRRC保護メッセージ)を第1の通信デバイス(例えば、モバイル基地局)から受信する能力がある第2の通信デバイス(例えば、UE)が提案され、第2の通信デバイスは、位置確認データ及び/又は測位信号と組み合わせて車両(及び/又は、車両内のモバイル基地局の向き/位置)についてのメタデータ(サイズ、マップ、…)を使用して、より正確な位置推定を取得する。第2のメッセージで第1の通信デバイスからメタデータを受信する第2の通信デバイスがさらに提供される--第2のメッセージは、第1のメッセージに含まれてもよい。第2の通信デバイス上で動き、第2の通信から第1のメッセージで受信されたロケーション情報、及び車両についてのメタデータ情報を使用する、ソフトウェア・アプリケーションがさらに提供される。
【0210】
上記の実施形態に記載のように、UEが自身で測定を実施するときのUEのロケーションの正確な推定のために、車両内のモバイル基地局の向きの知識、及び車両自体の向きの知識が要求される。この情報はまた、コア・ネットワーク内のアプリケーション、又はコア・ネットワーク外部のアプリケーションが、UEによって実施された測定に基づいてUEのロケーションを決定するときに関係がある。したがって、UEに位置確認サービスを提供するために使用されるモバイル基地局も、その構成(車両に対する移動局の向き/位置)、及び車両自体の向きを前記アプリケーションに提供することが要求される。時間tにモバイル基地局によってブロードキャストされた測位信号に関するUEによってレポートされた測定値(例えば、到来角)は、ターゲット・アプリケーションがUEのロケーションを決定できるような測位信号が時間tにブロードキャストされたときのモバイル基地局の向き/構成でモバイル基地局によって強化されてもよい。代替として、モバイル基地局は、UEが測定を実施し、測定をレポートし、これに応じて測定及び向きの値が同期されることを確保できるように、要求されたデータ(例えば、車両の向きなどのリアルタイム・データ)を測位信号に含めてもよい。したがって、第2の通信デバイスが測位信号の測定値を第1の通信デバイスに伝送することを可能にし、第1の通信デバイスが第4の通信デバイス(例えば、コア・ネットワーク内のアプリケーション)に測定値を転送し、第4の通信デバイスが、測定値が取得されたときの第1の測位デバイスの向きを考慮して、第2の通信デバイスのロケーション値を取得する方法がさらに提供される。この方法は、測定された測位信号で受信されたような第1の通信デバイスの向きを、第2の通信デバイスが測定値に含めるようにすることによって強化可能である。この方法は、第1の通信デバイスが、受信した測定値を第4の通信デバイスに転送する前に、受信した測定値をその向きで強化するようにすることによって強化可能である。
● UEがモバイル基地局に接続しているとき、UEは、自身のロケーションについての情報を使用して、UEが移動しているかどうか、及びその方向がモバイル基地局のルートにフィットしているかどうかを検出してもよい。この場合のみ、UEは、この基地局に加わることになる。例えば、この情報は、加速度計から導出可能である。この情報は、スピード情報を導出することも可能にすることができる。代替として、UEは、その位置、スピード、及び方向を届けるようにモバイル・ネットワークにリクエストすることもできる。UEはまた、例えばGPSセンサといった他のセンサを使用してもよい。
● UEが、モバイル基地局に接続するべきか、通常の基地局に接続するべきかについて、自律的に決めることを可能にするために、UEがモバイル中継器に接続され、モバイル中継器のルートに従って移動している場合、信号がより強い他の基地局がUEには見えたとしても、UEが中継器に接続されたままであるべきことを指定するポリシを、UEは実行可能である。
● モバイル基地局がよい候補である場合のみ、UEがモバイル基地局に加わると決めることついての上記のポリシは、ハンドオーバ中にも適用可能である。例えば、CHO中、UEは、基地局についての測位情報を受信する。UEがモバイル基地局のルートに沿ってさらに移動していることをUEが検出した場合のみ、UEは、基地局に加わることに決める。
● 同様に、一次同期信号(PSS)、二次同期信号(SSS)、及びマスタ情報ブロック(MIB)を含む、受信された同期信号ブロック(SSB)を処理したときに、受信信号が強いいくつかの基地局をUEが検出したとしても、UEが接続したモバイル基地局のルートに沿ってUEが進んでいることをUEが検出する限り、UEがセルを変更しないことを指定するポリシを、UEは実行してもよい。
【0211】
モバイル基地局又は車載中継器(VMR:vehicle mounted relay)は、同期信号をブロードキャストし、特に、異なるビームを通じて同期信号ブロック(SSB)をブロードキャストしてもよい。モバイル基地局の動きは、異なるビームの受信が突然変化するという状況につながる可能性がある。例えば、図13のように、4つのビームがSSBをブロードキャストしているVMRを考える。ここで、ビーム1は移動方向に向けられ、ビーム2は移動方向に対して右にあり、ビーム4は移動方向に対して左にあり、ビーム3は、逆の進行方向に向けられている。この構成が固定され、車両の移動方向に対するものである場合、VMRの周囲のUEは、VMRがその進行方向を変えるたびに、SSB受信レベルの突然の変化を経験することになる。この状況を回避するために、VMRは、(VMRに対して)外部の基準系に対して、固定された配信でそのSSBを配信するべきである。このような配信が図14に示されており、ここでは、-VMRの移動方向とは無関係に-ビーム1は、北の方を指し示しており、ビーム2は、東の方を指し示しており、ビーム3は、南の方を指し示しており、ビーム4は、西の方を指し示している。これを行うには、外部の基準系(例えば、北のロケーション)に関する情報をVMRのビーム管理システムに統合し、VMRのビームの方向を調節し、これに応じて、VMRの方向の変化を補償することが要求される。
● 最後の実施形態と同様に、ビーム管理システムは、ビーム・フォーミングを適宜調節するために車両の移動情報をリアルタイム入力とし、UE及びドナーgNB両方との安定した接続を維持するべきである。
● 上記のビーム管理アプローチは、VMRと共に進んでいないUEには適切であるが、VMRと共に進んでいるUEには適切ではない。車両内に置かれたこれらのUEには、車両の内部をカバーし、車両移動方向とは無関係に一定の配置を維持する、1つ又は複数の固有のビームを有することがより適切である。UEによるVMR SSBの獲得を容易にするために、VMRは、特定のSSBの配列を使用し、この場合、ビームの一部(例えば、第1のSSB)が、車両に置かれたUEに向けてブロードキャストされ、残りのビーム(例えば、最後のSSB)が、車両外部のUEの接続を可能にするためにブロードキャストされる。例えばPBCH又はMIB内のビットといったSSBは、これがVMRであるかどうかを指示してもよい。UEは、次いで、自身の移動情報、すなわち、UEがVMRと共に移動しているか否かについての知識に応じて、どのビームを選ぶべきかを決めてもよい。
● 場合によっては、モバイル基地局は、これがモバイル基地局であるという事実をシステム情報の中でブロードキャストしなくてもよい。これが事実の場合、UEは、ハンドオーバをトリガしてもよく、特に、サービングセル(例えば、マクロgNB)を含むソースgNB(-DU)への測定レポート、及び潜在的ターゲット隣接セル信号強度を送信してもよい。ターゲット隣接セル信号強度がより強い場合、これは、ハンドオーバ手順を強制する。これは、例えば、モバイル基地局がUEの近くに移動した場合、起こることがある。これは、ターゲット・セルがモバイル基地局であるかどうか、及び(モバイル基地局の位置、スピード、…に基づいて)UEにサービスを提供するのに十分長くUEの現在のエリア内にいる予定であるかどうかを、RAN(例えば、gNBのCU)又はCN(例えば、AMF)がチェックした場合、回避可能である。ターゲット・セルが要件を満たさない場合、RAN又はCNは、例えばRRCメッセージで、ターゲット・セルが適切でないことを、ソースgNB(-DU)を通じてUEに知らせることになる。
● 本出願の上記の実施形態では、ドナーgNBとVMRとの間の接続は、IABに依存するものと考えられ、VMRとUEとの間の接続は、NR Uuに依存するものと考えられる。代替のアプローチは、gNBとVMRとの間のNR Uu、及びVMRとUEとの間のPC5を使用することに本質があり、ここで、VMRは、中継UEであり、UEは、リモートUEである。これが実施されると、上記の実施形態で論じられたハンドオーバの最適化が、VMRとドナーgNBとの間で適用される。データの転送に関する最適化は、類似の方式で適用可能であり、この場合、VMR(中継UE)は、特定の時間、リモートUEへのデータをキャッシュすることになる。リモートUE/中継UEの発見、及び直接の通信リクエストはまた、CHOに類似の方式で改善可能である。例えば、ドナーgNBは、VMR(中継UE)の移動パターン(ロケーション、スピード、…)に基づいて、近づいているVMR(中継UE)について、例えばRRCメッセージといった制御メッセージを通じて、リモートUEに知らせてもよい。この制御メッセージに、ドナーgNBは、発見メッセージ(モデルA/B)に含まれる情報を含めてもよい。例えば、ドナーgNBは、UEとVMRとが互いに成功裏に発見できるように、発見手順(例えば、TR33.847のソリューション3及び4)で要求される初期提供及び権限付与ステップをトリガしてもよい。例えば、ドナーgNBはまた、リモートUEが中継UEに実際に接続する前に、中継UEが、リモートUE/中継UE接続をハンドリングする能力がある/ハンドリングすることを可能にされるかについて検証するために、リモートUEから直接の通信リクエストを収集し、このリクエストを中継UE及び又はCNと共有してもよい。CNはまた、リモートUE及び中継UEが互いに発見する前に、リモートUE及び中継UE両方へのリプライを準備及び届けることができる。最後に、ドナーgNB、又はドナーgNBを通じたCNは、PC5リンクが利用可能になるとすぐに、PC5リンクを保護するために、例えば対称鍵といった鍵材料を配信してもよい。例えば、例えば、2021PF00120に記載のような公開鍵及び証明といった、いくつかの事前に配信された鍵材料に基づいて、配信された発見及びPC5確立手順をリモートUE及び中継UEが実施した場合、すなわちCNの関与がない場合、この配信されたプロトコル又はその一部は、リモートUE及び中継UEが範囲内に入る前の、ドナーgNBを通じたものでもよい。
【0212】
実施形態では、モバイル基地局は、モバイル基地局が動き回っているときにモバイル基地局による干渉(例えば、衝突するPCI)を低減させるために、サイドリンクを介して交換されるサイドリンク同期信号によってモバイル基地局の存在を公表する。UEは、VMR/モバイル基地局能力の指示を含んでもよいサイドリンク同期信号(SSS:sidelink synchronization signal)を監視する。SSSに気づくと、UEは、例えば、IAB-MT(モバイル基地局のUE部分)によってブロードキャスト/送信された公表メッセージといった、発見メッセージの配信を監視してもよく、公表メッセージは、例えば、RACH関連パラメータといった、権限のあるUEがモバイル基地局にアクセスすることを可能にする(例えば、発見メッセージのメタデータ・フィールドに)パラメータを含んでもよい。最後のステップでは、UEは次いで、モバイル基地局にアクセスしてもよい。
● 上記のユース・ケース及び他の実施形態では、UEはまた、IABモバイル終了(IAB-MT)ユニットを指す。
● ネットワーク・システムは、例えば、スループットを最大化するか、モバイル基地局を通じたドナー・アクセス・デバイスからUEへの最小スループット・レベルを確保する、データ転送用のロケーションを選ぶことによって、モバイル基地局に内蔵のUEへの最適化されたデータ配送をサポートする能力があってもよい。例えば、これは、ドナー・アクセス・デバイスの周囲のL1とL2との間のロケーションのセットを指してもよい。移動及びRANなどのプロトコルは、これらのロケーションの間で最適化されるべきである。
【0213】
別の実施形態では、CNはまた、例えば、基地局のどれも、全てのデータをハンドリングするのに十分長くUEの近くにいない場合、2つのモバイル基地局を通じてデータを配信することを選ぶことができる。例えば、基地局が、アップリンク・データをハンドリングすることができ、別の基地局が、ダウンリンク・データをハンドリングすることができる。
【0214】
この視点から、CNは、モバイル基地局がハンドリング可能なデータ量、及びさらに、モバイル基地局が確立可能な通信リンクのタイミング及び品質に基づいて、モバイル基地局の負荷の分散を任せられるべきである。
【0215】
これは、例えばgNB-UPのうちの2つなど、複数のgNB-UPを提供することによって達成可能である。2つのモバイル基地局がgNB-UPを実行し、マクロ基地局がgNB-CPを任せられることが可能である。代替として、モバイル基地局がgNB-UPを実行可能であり、マクロ基地局がgNB-CP及びUPを実行可能である。負荷分散の目標は、gNB-UPを実行する両方のモバイル基地局に配信された負荷をgNB-CPが分散できることである。この拡張されたアーキテクチャを達成するために、以下の拡張が要求される。
● UE選択時、基地局は、ブロードキャストされたシステム情報の中で、基地局がCPをサポートするか、UPをサポートするか、両方(旧式)をサポートするかを指示する。UEはまず、gNB-CPに加わる。次いで、UEは、そのポリシに応じて、少なくとも1つのgNB-UPに加わる。実現可能な分担により、2つのgNB-UPが、アップリンク・トラフィック及びダウンリンク・トラフィックを任せられることになる。
● NR-NRアーキテクチャにおけるUE接続シグナリング手順では、gNB-CPは、gNB-UPを追加する。gNB-CPはまた、トラフィック負荷を分散させるために、2つ以上のgNB-UPを追加可能である。
● ハンドオーバ・プロセスでは、負荷分散を実施するとき、gNB-CPは、ダウンロードされることになるユーザ・データ、並びにソースgNB-UP及びターゲットgNB-UPの位置を考慮して、例えばダウンリンクのための、ソースgNB-UPとターゲットgNB-UPとの間の負荷を分散させる。
【0216】
図9は、両方のモバイル基地局のルートを考慮した、UEにおいて接続するときのソースgNB-UP1(MBS1)及びターゲットgNB-UP2(MBS2)からgNB-CPが予想可能なロケーションに対するスループット曲線の例を示している。この情報は、例えば図7に関して上述されたように推定可能である。
【0217】
図9の上の曲線に示されているように、ソースgNB-UP1(MBS1)におけるデータ通信は、位置pa_s1とpa_s2との間で実現可能であり、その一方で、ターゲットgNB-UP2(MBS2)におけるデータ通信は、位置pa_t1とpa_t2との間で実現可能である。
【0218】
例では、負荷分散は、モバイルgNB-UP1(MBS1)とモバイルgNB-UP2(MBS2)との間で負荷(UEに送信されることになるダウンリンク・データ)を分散させることによって実施可能である。
【0219】
図9の下の曲線に示されているように、データ配信は、ロケーションpb0において、UEが、gNB-CPに、その後gNB-UP1(MBS1)に接続するように制御される。次いで、ロケーションpb1において、gNB-UP1(MBS1)からのデータ・ダウンリンク転送が始められる。この第1のダウンリンク転送中、gNB-CPは、ハンドオーバをトリガするgNB-UP1(MBS1)のロケーションをUEにおいて事前構成し、潜在的に、UEが加わったときのUEへのダウンロードのために、gNB-UP2(MBS2)にデータをキャッシュする。gNB-UP1(MBS1)からのデータ・ダウンロードが終わるロケーションpb2の直前で、UEは、gNB-UP2(MBS2)とのランダム・アクセス手順を実施する。次いで、ロケーションpb2において、gNB-UP2(MBS2)からのデータ・ダウンリンク転送が始められ、ロケーションpb3まで続く。
【0220】
要約すると、モバイル・アクセス・デバイス(例えば、基地局(gNBなど)又はアクセス・ポイント)にリクエストされたデータをキャッシュすること、並びに、端末デバイスとモバイル・アクセス・デバイスとの間の、及びモバイル・アクセス・デバイスとマクロ・アクセス・デバイスとの間の、データのスケジューリング/転送を最適化することを行う能力を導入することによる、ネットワーク・システムにおける端末デバイス(例えば、スマートフォン又はIoTデバイス)のためのダウンロード能力の改善された提供が記載されてきた。
【0221】
本発明は、図面及び前述の説明において詳細に例証及び説明されてきたが、このような例証及び説明は、例証的又は例示的なものであり、制限的なものではないとみなされるべきである。本発明は、開示の実施形態に限定されない。本発明は、モバイル・フォン、バイタル・サイン監視/遠隔計測デバイス、スマートウオッチ、検出器、又は他のタイプのポータブル・デバイスなど、様々なタイプの端末デバイスに適用可能である。
【0222】
端末デバイスは、例えば、モバイル・フォン、(車車間(V2V:vehicle-to-vehicle)通信、又はより一般的には、車車間/路車間(V2X:vehicle-to-everything)通信用の)車両、V2Xデバイス、IoTハブ、IoTデバイスといった、異なるタイプのデバイスであることが可能であり、健康監視のための低電力医療センサ、病院用途又は第1対応者用途のための医療(緊急)診断及び処置デバイス、仮想現実(VR)ヘッドセット等を含む。
【0223】
基地局は、地理サービス・エリアを提供する、任意のネットワーク・アクセス・デバイス(基地局、ノードB(eNB、eNodeB、gNB、gNodeB、ng-eNB等)、アクセス・ポイントなど)である。
【0224】
さらに、上記の実施形態の少なくとも一部は、5G新無線(5G NR)無線アクセス技術に基づく。
【0225】
その上、本発明は、医療要員によって使用される、例えば、ビデオ、超音波、X線、コンピュータ断層撮影(CT)イメージング・デバイス、リアルタイム患者センサ、オーディオ又は声又はビデオ・ストリーミング・デバイスといった、特定の平均データ・レートの連続的なデータ・ストリーミングを、ワイヤレス(例えば4G/5G)接続機器が時折使用又は生成する医療用途又は接続ヘルスケアにおける、複数のワイヤレス(例えば4G/5G)接続センサ又はアクチュエータ・ノードが関与する医療用途又は接続ヘルスケアにおいて適用可能である。特に、これは、例えば、例えば事故といった、緊急エリアにおける接続を改善するために救急車搭載中継器が使用される、緊急ヘルスケア状況において使用可能である。一般に、IoTアプリケーションは、緊急サービス及び重要な通信アプリケーションにおける、V2Xシステムにおける、高周波(例えば、mmWave)RFを使用する5Gセルラー・ネットワーク用の改善されたカバレッジのためのシステムにおける、及び中継が使用される5G通信の任意の他の応用分野における、ワイヤレス、モバイル、又は据置型のセンサ又はアクチュエータ・ノード(例えば、スマートシティ、物流、農業等)を伴う。
【0226】
開示の実施形態に対する他の変形形態は、図面、本開示、及び添付の特許請求の範囲の検討から、特許請求された発明を実践する際に、当業者によって理解され、影響を及ぼされることが可能である。特許請求の範囲において、単語「備える」は他の要素又はステップを除外せず、単数形の要素は、複数を除外しない。単一のプロセッサ又は他のユニットは、特許請求の範囲に列挙されたいくつかの項目の機能を満たす。特定の尺度が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、これらの尺度の組合せを有利に使用できないことを示しているわけではない。前述の説明は、本発明の特定の実施形態を詳述している。それでも、テキストにおいて前述がどれだけ詳細であるように見えても、本発明は、多くの方式で実践され、したがって、開示の実施形態に限定されないことが認識されよう。本発明の特定の特徴又は態様を説明するときの特定の用語の使用は、用語が関連付けられた本発明の特徴又は態様の任意の特定の特性を含めることに限定するものとして用語が本明細書で再定義されていることを示唆するものととられるべきではないことに留意されたい。追加として、表現「A、B、及びCのうちの少なくとも1つ」は、離接的として、すなわち「A及び/又はB及び/又はC」として理解されるべきである。
【0227】
単一のユニット又はデバイスは、特許請求の範囲に列挙されたいくつかの項目の機能を果たす。特定の尺度が相互に異なる従属請求項に列挙されるという単なる事実は、これらの尺度の組合せを有利に使用できないことを示しているわけではない。
【0228】
図3図4、及び図6に指示されたもののような記載の動作は、コンピュータ・プログラムのプログラム・コード手段として、及び/又は、関連ネットワーク・デバイス若しくは機能の専用ハードウェアとして、それぞれ実行可能である。コンピュータ・プログラムは、他のハードウェアと一緒に又はその一部として供給される、光ストレージ媒体又はソリッド・ステート媒体など、適切な媒体に格納及び/又は配布されるが、インターネット又は他の有線若しくはワイヤレス・テレコミュニケーション・システムなどを介して他の形式でも配布される。
図1
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【国際調査報告】