IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ノースウェスタン ユニバーシティの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】組織修復のためのメラニン材料
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/787 20060101AFI20240403BHJP
   A61P 17/02 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61K31/787
A61P17/02
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565895
(86)(22)【出願日】2022-04-28
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 US2022026669
(87)【国際公開番号】W WO2022232356
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/181,055
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500041019
【氏名又は名称】ノースウェスタン ユニバーシティ
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【弁理士】
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【弁理士】
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100123995
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 雅一
(72)【発明者】
【氏名】ジャンネスキ, ネイサン シー.
(72)【発明者】
【氏名】ル, カート キュー.
(72)【発明者】
【氏名】シウィッカ, ゾフィア エルズビエタ
(72)【発明者】
【氏名】コリンズ‐マッカラム, ナネキ チェルシー
(72)【発明者】
【氏名】ビヤシェフ, ダウレン
(72)【発明者】
【氏名】オネイ, ウンミエ ビーナス
(72)【発明者】
【氏名】デムチュク, マイケル マーク
【テーマコード(参考)】
4C086
【Fターム(参考)】
4C086AA01
4C086AA02
4C086FA03
4C086MA01
4C086MA04
4C086MA28
4C086NA14
4C086ZA89
(57)【要約】
本明細書に開示される態様は、対象の処置のための方法であって、人工メラニン材料を有するメラニン製剤を対象の損傷皮膚に(又は、対象の損傷皮膚の部位に)局所的に投与する(それによって人工メラニン材料を投与する)ステップであり;投与された人工メラニン材料が、損傷皮膚に(又は、損傷皮膚の部位に)、細胞外人工メラニン材料を含む、ステップと;少なくとも細胞外人工メラニン材料を介して創傷内で皮膚治癒を促進するステップであり;皮膚治癒を促進するステップが、細胞外人工メラニン材料の少なくとも一部が、治療的細胞外活性を発揮することを含む、ステップとを含む、方法を含む。
【選択図】 図6A
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象の処置のための方法であって、
人工メラニン材料を有するメラニン製剤を前記対象の損傷皮膚に局所的に投与するステップであり;
投与された前記人工メラニン材料が、前記損傷皮膚に、細胞外人工メラニン材料を含む、ステップと;
少なくとも前記細胞外人工メラニン材料を介して前記損傷皮膚の皮膚治癒を促進するステップであり;
前記皮膚治癒を促進するステップが、前記細胞外人工メラニン材料の少なくとも一部が、治療的細胞外活性を発揮することを含む、ステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記損傷皮膚が閉創である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記損傷皮膚が、熱的誘発損傷、化学的誘発損傷、放射線誘発損傷、機械的摩擦損傷、及び/又は感染蜂巣炎誘発損傷に関連するものである、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記損傷皮膚が、1個又は複数の水疱を含む、請求項1~3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記細胞外メラニン材料の少なくとも一部が、前記損傷皮膚の角質層内にある、請求項1~4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記損傷皮膚が細胞外フリーラジカル種を含み;前記治療的細胞外活性が、前記細胞外人工メラニン材料の前記少なくとも一部が、少なくとも前記細胞外フリーラジカル種をクエンチすることを含む、請求項1~5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記細胞外フリーラジカル種が反応性酸素化種を含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
クエンチされた前記細胞外フリーラジカル種の少なくとも一部が角質層内にある、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記損傷皮膚が炎症を含み;前記皮膚治癒を促進するステップが、投与された前記人工メラニン材料の少なくとも一部が、前記炎症を直接的及び/又は間接的に軽減することを含む、請求項1~8のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記治療的細胞外活性が、前記細胞外人工メラニン材料の前記少なくとも一部が、前記炎症を直接的及び/又は間接的に軽減することを含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記炎症を直接的及び/又は間接的に軽減することが、前記人工メラニンの少なくとも一部が、1種若しくは複数種の炎症因子及び/又は1種若しくは複数種の酵素因子を吸着する投与されたことを含む、請求項9又は10に記載の方法。
【請求項12】
前記炎症を直接的及び/又は間接的に軽減することが、前記細胞外人工メラニンの少なくとも一部が、1種若しくは複数種の細胞外炎症因子及び/又は1種若しくは複数種の細胞外酵素因子を吸着することを含む、請求項9~11のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記1種若しくは複数種の炎症因子及び/又は1種若しくは複数種の酵素因子が、TNFα、iNOS、MMP9、MAPK/ERK経路に関連する1種若しくは複数種のタンパク質、及び/又はMAPK/ERK経路に関連する1種若しくは複数種の酵素を含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
吸着された前記炎症因子及び/又は吸着された前記細胞外酵素因子の少なくとも一部が角質層内にある、請求項11~13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記促進するステップが、投与された前記人工メラニンの少なくとも一部が、前記人工メラニン材料が存在しないときと比較して炎症関連遺伝子及び/又はアポトーシス関連遺伝子を直接的及び/又は間接的に下方制御することを含む、請求項1~14のいずれか一項に記載の方法。
【請求項16】
前記促進するステップが、投与された前記人工メラニンの少なくとも一部が、前記人工メラニン材料が存在しないときと比較してアポトーシスを直接的及び/又は間接的に阻害することを含む、請求項1~15のいずれか一項に記載の方法。
【請求項17】
前記皮膚治癒を促進するステップが、投与された前記人工メラニン材料の少なくとも一部が治療的細胞内活性を発揮することをさらに含む、請求項1~16のいずれか一項に記載の方法。
【請求項18】
前記治療的細胞内活性が、
細胞内フリーラジカル種をクエンチするステップ;並びに/或いは
1種若しくは複数種の細胞内炎症因子及び/又は1種若しくは複数種の細胞内酵素因子を吸着するステップ
を含む、請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記皮膚治癒が、
損傷組織を含む創傷区域の減少;
前記損傷皮膚の前記炎症の軽減;
前記損傷皮膚のスーパーオキシドジスムターゼ活性の増加;
前記損傷皮膚の二つ折り皮膚厚の減少;
前記損傷皮膚の皮膚浮腫の減少;
前記損傷皮膚の痂皮剥離までの時間の減少;
前記損傷皮膚の傷害の深さの減少;及び/又は
前記損傷皮膚の上皮層の安定化
を含む、請求項1~18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
前記皮膚治癒が、前記皮膚治癒の間の前記人工メラニン材料の非存在下での同じ1つ又は複数の治癒特性よりも少ない以下の治癒特性:
a)前記メラニン製剤を投与する直前に損傷組織の量若しくは濃度をその50%まで減少させる総時間;
b)前記メラニン製剤を投与する直前に前記損傷皮膚の炎症をその50%まで減少させる総時間;
c)前記メラニン製剤を投与する直前に前記損傷皮膚の二つ折り皮膚厚をその50%まで減少させる総時間;
d)前記メラニン製剤を投与する直前に前記損傷皮膚の皮膚浮腫をその50%まで減少させる総時間;
e)前記メラニン製剤を投与する直前に前記損傷皮膚の傷害の深さをその50%まで減少させる総時間;及び/又は
f)領域内の痂皮剥離までの総時間
のうちの1つ又は複数によって特徴付けられる、請求項1~19のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
前記皮膚治癒が、前記皮膚治癒の間の前記人工メラニン材料の非存在下での同じ1つ又は複数の治癒特性よりも多い以下の治癒特性:
a)前記損傷皮膚を含む創傷区域の減少速度;
b)前記損傷皮膚の炎症の減少速度;
c)前記損傷皮膚の二つ折り皮膚厚の減少速度;
d)前記損傷皮膚の皮膚浮腫の減少速度;
e)前記損傷皮膚の傷害の深さの減少速度;
f)前記損傷皮膚の上皮層の安定化速度;及び/又は
g)前記損傷皮膚のスーパーオキシドジスムターゼの活性
のうちの1つ又は複数によって特徴付けられる、請求項1~20のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
前記人工メラニン材料が多孔質人工メラニン材料を含む、請求項1~21のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
前記人工メラニン材料が人工メラニン粒子を含む、請求項1~22のいずれか一項に記載の方法。
【請求項24】
前記人工メラニン材料が多孔質人工メラニン粒子を含む、請求項1~23のいずれか一項に記載の方法。
【請求項25】
前記人工メラニン材料の少なくとも一部が、ユーメラニン、フェオメラニン、アロメラニン、又はこれらの組合せとして特徴付けられる、請求項1~24のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
前記人工メラニン材料が非晶質人工メラニン材料を含む、請求項1~25のいずれか一項に記載の方法。
【請求項27】
前記人工メラニン材料が、複数種のメラニンオリゴマー及び/又はポリマーを含み;各メラニンオリゴマー及び/又はポリマーが、複数の共有結合メラニン基本単位を含む、請求項1~26のいずれか一項に記載の方法。
【請求項28】
前記メラニン基本単位が、1種若しくは複数種の置換又は非置換カテコールベースのモノマー単位、置換又は非置換ポリオールベースのモノマー単位、置換又は非置換フェノールベースのモノマー単位、置換又は非置換インドールベースのモノマー単位、置換又は非置換ベンゾチアジンベースのモノマー単位、置換又は非置換ベンゾチアゾールベースのモノマー単位、置換又は非置換ドーパミンベースのモノマー単位、或いはこれらの任意の組合せである、請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記人工メラニン材料の少なくとも一部のそれぞれがアロメラニンを含む、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項30】
前記メラニン基本単位の少なくとも一部が、置換又は非置換ナフタレンをそれぞれ独立して含む、請求項27~29のいずれか一項に記載の方法。
【請求項31】
前記メラニン基本単位の少なくとも一部が、ジヒドロキシナフタレンをそれぞれ独立して含む、請求項27~30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
前記人工メラニン材料の少なくとも一部が窒素を含まないメラニンオリゴマーを含む、請求項27~31のいずれか一項に記載の方法。
【請求項33】
前記人工メラニン材料の少なくとも一部がポリドーパミンを含む、請求項27又は28に記載の方法。
【請求項34】
前記メラニン基本単位の少なくとも一部が、置換又は非置換ドーパミンモノマーをそれぞれ独立して含む、請求項27、28、又は33のいずれか一項に記載の方法。
【請求項35】
前記メラニン基本単位の少なくとも一部がそれぞれ独立して、置換又は非置換ジヒドロキシドーパミンモノマー単位、置換又は非置換ジオキシドーパミンモノマー単位、置換又は非置換ジヒドロキシナフタレンモノマー単位、置換又は非置換ジヒドロキシフェニルアラニンモノマー単位、置換又は非置換ジオキシドーパミンモノマー単位、置換又は非置換チロシンモノマー単位、置換又は非置換チラミンモノマー単位、これらの任意の誘導体、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項27、28、又は33~34のいずれか一項に記載の方法。
【請求項36】
前記メラニン基本単位の少なくとも一部がそれぞれ独立して、3,4-ジヒドロキシドーパミンモノマー単位、3,4-ジオキシドーパミンモノマー単位、3,4-ジヒドロキシナフタレンモノマー単位、1,8-ジヒドロキシナフタレン、l-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニンモノマー単位、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される、請求項27、28、又は33~35のいずれか一項に記載の方法。
【請求項37】
前記複数種のメラニンオリゴマーの少なくとも50%が、モノマー単位、ダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー、及びその任意の組合せからなる群から選択される、請求項27~36のいずれか一項に記載の方法。
【請求項38】
各メラニンオリゴマーが、水素結合及びナフタレン環のπ-πスタッキングのうちの少なくとも1つを介して少なくとも1種の他のメラニンオリゴマー又はメラニンモノマーと非共有結合的に会合しており;前記メラニンモノマーが前記メラニン基本単位を含む、請求項27~37のいずれか一項に記載の方法。
【請求項39】
前記人工メラニン材料が多孔質人工メラニン材料を含み;前記多孔質人工メラニン材料の前記メラニンオリゴマー及び/又はポリマーが配列されて、複数の細孔を有する内部構造を形成し;前記多孔質人工メラニン材料が、0.1cm/g以上の材料の質量当たりの細孔容積によって特徴付けられ、前記細孔の少なくとも一部が、0.5nm以上の少なくとも1つのサイズ寸法を有する、請求項27~38のいずれか一項に記載の方法。
【請求項40】
前記人工メラニン材料が人工メラニン粒子を含み;前記人工メラニン粒子の少なくとも一部が、固体粒子、中空粒子、レース状粒子、又はこれらの任意の組合せである、請求項27~39のいずれか一項に記載の方法。
【請求項41】
前記人工メラニン材料の少なくとも一部が、1種又は複数種のセレノメラニンポリマーを含み;前記1種又は複数種のセレノメラニンポリマーが、複数の共有結合セレノメラニン基本単位を含み;1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれの化学式が、少なくとも1個のセレン原子を含む、請求項1~40のいずれか一項に記載の方法。
【請求項42】
各セレノメラニンポリマーがフェオメラニンである、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれの前記化学式が、前記少なくとも1個のセレン原子のそれぞれとの少なくとも1個の共有結合を含む、請求項41又は42に記載の方法。
【請求項44】
前記1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれの前記化学式が、置換若しくは非置換ベンゾセレナジン又はその誘導体、置換若しくは非置換ベンゾセレナゾール又はその誘導体、置換若しくは非置換7,10-ジヒドロ-2H-[1,4]セレナジノ[3,2-h]イソキノリン-3(4H)-オン又はその誘導体、置換若しくは非置換ベンゾセレナジノン又はその誘導体、或いはこれらの任意の組合せを含む、請求項41~43のいずれか一項に記載の方法。
【請求項45】
前記人工メラニン材料が、10nm~1000nmの範囲から選択されたサイズを有する人工メラニン粒子を含む、請求項1~44のいずれか一項に記載の方法。
【請求項46】
前記メラニン製剤中の前記人工メラニン材料の濃度が、0.5mg/mL~100mg/mLの範囲から選択される、請求項1~45のいずれか一項に記載の方法。
【請求項47】
前記メラニン製剤が、0.5mg/mL~100mg/mLの範囲から選択された濃度を有する人工メラニン粒子を含む、請求項1~46のいずれか一項に記載の方法。
【請求項48】
前記メラニン製剤が、前記投与するステップが前記損傷皮膚の少なくとも一部の上に前記人工メラニン材料の層を形成することを含むようなものである、請求項1~47のいずれか一項に記載の方法。
【請求項49】
前記メラニン製剤が親水性である、及び/又は前記人工メラニン材料が親水性である、請求項1~48のいずれか一項に記載の方法。
【請求項50】
前記メラニン製剤が、1種又は複数種の添加剤を含む、請求項1~49のいずれか一項に記載の方法。
【請求項51】
前記メラニン製剤が、クリーム又は軟膏であることによって特徴付けられる、請求項1~50のいずれか一項に記載の方法。
【請求項52】
前記メラニン製剤がヒドロゲルを含む、請求項1~51のいずれか一項に記載の方法。
【請求項53】
前記メラニン製剤が、非メラニン治療剤が付加されているか又は非メラニン治療剤で機能化されている人工メラニン材料を含まない、請求項1~52のいずれか一項に記載の方法。
【請求項54】
前記メラニン製剤が、非メラニン治療剤を運ぶ中空及び/又は半中空メラニン粒子を含まない、請求項1~53のいずれか一項に記載の方法。
【請求項55】
前記メラニン製剤が非メラニン治療剤を含まない、請求項1~54のいずれか一項に記載の方法。
【請求項56】
前記投与するステップが、前記対象の領域内で皮膚損傷事象が発生した後に発生する、請求項1~55のいずれか一項に記載の方法。
【請求項57】
前記投与するステップの前に皮膚を損傷して、前記損傷皮膚を形成するステップを含む、請求項56に記載の方法。
【請求項58】
前記投与するステップを繰り返すステップを含む、請求項1~57のいずれか一項に記載の方法。
【請求項59】
前記対象が哺乳動物である、及び/又は治癒される皮膚が、哺乳動物の皮膚である、請求項1~58のいずれか一項に記載の方法。
【請求項60】
投与された前記人工メラニン材料の少なくとも50%が前記細胞外人工メラニン材料である、請求項1~59のいずれか一項に記載の方法。
【請求項61】
前記細胞外人工メラニン材料が、前記損傷皮膚に存在する限り細胞外に存在する、請求項1~60のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
[0003]メラニンは、異なる生物において広く見出される普及した生体材料である。ヒトにおいて、メラニンは、メラノサイトに見出されるメラノソーム小器官により産生される。独特に、メラノサイトは、小器官を細胞外に排泄することができる唯一の公知の細胞である。メラニンは、皮膚内の暗褐色又は黒色色素としてとりわけ知られており、広帯域放射線吸着剤として機能する。メラノソーム産生は、UV曝露の増加を受けて増加し、UV放射線防護を助ける。メラニンの特性は、限定された光防護ではなく;それは、構造的着色、金属キレート化、小分子吸収、及び体温調節を含む、自然界のその遍在的存在を説明し得る生体色素の機能に特徴的でない無数の他の機能を有する。
【0002】
[0004]これらの多様な機能は、メラニンの化学的性質及びモルフォロジーに起因し得る。メラニンは、水素結合、π-πスタッキング、及び共有結合性相互作用などの多くの分子間相互作用を示すことができる。異なる分子間相互作用の豊富さは、メラニンの様々な官能基に起因する。その官能基の異なる酸化状態のために、メラニンは、電子を受容及び供与することができ、レドックス活性を可能にする。さらに、それは、その電子供与能のために抗酸化活性を有する。メラニンは、ラジカル酸素種(ROS)をクエンチすることができる。ROS経路を介して細胞損傷を防止する能力は、メラニンが放射線から細胞を保護して、細胞損傷を防止又は緩和する経路であり得る。
【0003】
[0005]しかし、細胞内保護機能を越えるメラニン、特に人工メラニン材料に関する治療的使用の調査は限定されている。
【発明の概要】
【0004】
[0006]本明細書に含まれるのは、メラニン材料を有するメラニン製剤を使用して、生存対象における閉創の場合におけるような、損傷皮膚の処置又は矯正のためなど、生存対象における組織治癒、特に皮膚治癒を促進するための方法である。予想外にも、例えば、組織治癒は、損傷皮膚の細胞外に存在する投与されたメラニン材料により促進することができる。
【0005】
[0007]本明細書に開示される態様は、対象の処置のための方法であって、人工メラニン材料を有するメラニン製剤を対象の損傷皮膚に(又は、対象の損傷皮膚の部位に)局所的に投与する(それによって人工メラニン材料を投与する)ステップであり;投与された人工メラニン材料が、損傷皮膚に(又は、損傷皮膚の部位に)、細胞外人工メラニン材料を含む、ステップと;少なくとも細胞外人工メラニン材料を介して損傷皮膚の(又は、損傷皮膚内で)皮膚治癒を促進するステップであり;皮膚治癒を促進するステップが、細胞外人工メラニン材料の少なくとも一部が、治療的細胞外活性を発揮することを含む、ステップとを含む、方法を含む。
【0006】
[0008]任意選択で、人工メラニン材料は、多孔質人工メラニン材料、人工メラニン粒子、及び/又は多孔質人工メラニン粒子を含む。任意選択で、人工メラニン粒子及び/又は多孔質人工メラニン粒子のそれぞれの少なくとも一部は、本明細書全体を通じて開示される実施形態による組成物を含む。任意選択で、創傷は炎症を含み、促進するステップは、細胞外人工メラニン材料が細胞外フリーラジカル種をクエンチすることの結果として炎症を軽減することを含む。
【0007】
[0009]本明細書に開示される態様は、対象の処置のための方法であって、メラニン製剤を対象の創傷に投与するステップであり、創傷が、損傷組織及び細胞外フリーラジカル種を含み;メラニン製剤が人工メラニン材料を含み;投与するステップが、創傷の細胞外に人工メラニン材料を用意することを含む、ステップと;投与された細胞外人工メラニン材料を介して創傷内で組織治癒を促進するステップであり;人工メラニン粒子の少なくとも一部が、組織治癒を促進するステップの間に創傷の細胞外にあり;組織治癒を促進するステップが、細胞外人工メラニン材料により少なくとも細胞外フリーラジカル種をクエンチすることを含む、ステップとを含む、方法を含む。任意選択で、人工メラニン材料は、多孔質人工メラニン材料、人工メラニン粒子、及び/又は多孔質人工メラニン粒子を含む。任意選択で、人工メラニン粒子及び/又は多孔質人工メラニン粒子のそれぞれの少なくとも一部は、本明細書全体を通じて開示される実施形態による組成物を含む。任意選択で、創傷は炎症を含み、促進するステップは、細胞外人工メラニン材料が細胞外フリーラジカル種をクエンチすることの結果として炎症を軽減することを含む。任意選択で、メラニン製剤は、局所的に投与される。
【0008】
[0010]本明細書に開示される態様は、対象の処置のための方法であって、メラニン製剤を対象の領域に投与するステップであり、領域が、損傷組織及び炎症を含み;メラニン製剤がメラニン粒子を含む、ステップと;投与されたメラニン粒子の存在の結果として領域内で組織治癒を促進するステップとを含む、方法を含む。
【0009】
[0011]本明細書に開示される態様は、対象の処置のための方法であって、メラニン製剤を対象の領域に投与するステップであり、領域が損傷組織を含み;メラニン製剤がメラニン粒子を含む、ステップと;メラニン粒子の存在の結果として領域内で組織治癒を促進するステップであり;領域内で反応性酸素化種をクエンチするメラニン粒子を含む、ステップとを含む、方法を含む。任意選択で、投与された製剤の細胞外メラニン粒子は、領域内で細胞外反応性酸素化種をクエンチする。任意選択で、投与は局所的であり、組織治癒は、皮膚組織を治癒することを含む。
【0010】
[0012]本明細書に開示される態様は、対象の処置のための方法であって、メラニン製剤を対象の創傷に投与するステップであり;メラニン製剤がメラニン粒子を含む、ステップと;メラニン粒子の存在の結果として創傷内で組織治癒を促進するステップであり;創傷内で反応性酸素化種をクエンチするメラニン粒子を含む、ステップとを含む、方法を含む。任意選択で、投与された製剤の細胞外メラニン粒子は、創傷内で細胞外反応性酸素化種をクエンチする。任意選択で、投与は局所的であり、組織治癒は、皮膚組織を治癒することを含む。
【0011】
[0013]いかなる特定の理論によっても制限されることは望まないが、本明細書に開示されるデバイス及び方法に関する基本原理の信念又は理解の本明細書における議論が存在してもよい。任意の機構的な説明又は仮説の最終的な正しさに関わらず、本発明のある実施形態は、それでもなお有効且つ有用であり得ることが認識される。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1A】人工メラニン材料の本明細書の実施形態に対応する高表面積及び低表面積の合成メラニン粒子のキャラクタリゼーションを示す図である。 それぞれHSA-SMPのTEM及びSEM顕微鏡写真である。スケールバー 1ミクロン。
図1B】人工メラニン材料の本明細書の実施形態に対応する高表面積及び低表面積の合成メラニン粒子のキャラクタリゼーションを示す図である。 それぞれHSA-SMPのTEM及びSEM顕微鏡写真である。スケールバー 1ミクロン。
図1C】人工メラニン材料の本明細書の実施形態に対応する高表面積及び低表面積の合成メラニン粒子のキャラクタリゼーションを示す図である。それぞれLSA-SMPのTEM及びSEM顕微鏡写真である。スケールバー 1ミクロン。
図1D】人工メラニン材料の本明細書の実施形態に対応する高表面積及び低表面積の合成メラニン粒子のキャラクタリゼーションを示す図である。それぞれLSA-SMPのTEM及びSEM顕微鏡写真である。スケールバー 1ミクロン。
図1E】人工メラニン材料の本明細書の実施形態に対応する高表面積及び低表面積の合成メラニン粒子のキャラクタリゼーションを示す図である。皮膚の表面に存在することが示された、それぞれ固体PDA及び多孔質PDAを含むマウス皮膚切片のH&E染色像である。スケールバー 100nm。
図1F】人工メラニン材料の本明細書の実施形態に対応する高表面積及び低表面積の合成メラニン粒子のキャラクタリゼーションを示す図である。皮膚の表面に存在することが示された、それぞれ固体PDA及び多孔質PDAを含むマウス皮膚切片のH&E染色像である。スケールバー 100nm。
図1G】人工メラニン材料の本明細書の実施形態に対応する高表面積及び低表面積の合成メラニン粒子のキャラクタリゼーションを示す図である。抗酸化剤の2,2-ジフェニル-1-ピクリルヒドラジル(DPPH)ラジカル捕捉活性を示す図である。
図2A】SMP処置が、本明細書の実施形態による例示的な損傷皮膚であるナイトロジェンマスタード(NM)傷害後の皮膚治癒を改善することを示す図である。1~5日目の創傷の代表的な画像である。
図2B】SMP処置が、本明細書の実施形態による例示的な損傷皮膚であるナイトロジェンマスタード(NM)傷害後の皮膚治癒を改善することを示す図である。創傷区域減少を示す図である。1群当たりn=11~18マウス;p<0.05;***p<0.001。
図2C】SMP処置が、本明細書の実施形態による例示的な損傷皮膚であるナイトロジェンマスタード(NM)傷害後の皮膚治癒を改善することを示す図である。ビヒクル(円形)、LSA-SMP(正方形)、及びHSA-SMP(三角形)の二つ折り皮膚厚(Bi-fold skin thickness)測定を示す図である。1群当たりn=9~10マウス;p<0.03、***p<0.0003、****p<0.0001。
図2D】SMP処置が、本明細書の実施形態による例示的な損傷皮膚であるナイトロジェンマスタード(NM)傷害後の皮膚治癒を改善することを示す図である。ビヒクル(円形)、LSA-SMP(正方形)、及びHSA-SMP(三角形)の痂皮剥離までの時間を示す図である。1群当たりn=9~10マウス;p<0.05、***p<0.001。
図3A】人工メラニン材料の本明細書の実施形態に対応するPDAナノ粒子処置が、本明細書の実施形態によるNM傷害後のSOD活性を増加させることを示す図である。 24時間、n=。
図3B】人工メラニン材料の本明細書の実施形態に対応するPDAナノ粒子処置が、本明細書の実施形態によるNM傷害後のSOD活性を増加させることを示す図である。 48時間、n=。
図3C】人工メラニン材料の本明細書の実施形態に対応するPDAナノ粒子処置が、本明細書の実施形態によるNM傷害後のSOD活性を増加させることを示す図である。 72時間、n=。p<0.05;**p<0.01:***p<0.001。
図4A】TaqManマウス免疫アレイ結果を示す図である。HSA-SMP処置群の有意に下方制御された遺伝子が示されている(すべてp<0.05)。ビヒクルのみの群が、人工メラニン材料の非存在に対応する参照として使用された。表1及び表2も参照されたい。非処置群のGzmb値は、検出レベル未満であった。
図4B】SMP処置が、NM誘発傷害後の炎症促進シグナル伝達を下方制御することを示す図である。 傷害後24時間のERK1/2リン酸化のウエスタンブロッティング分析(n=3)を示す図である。
図4C】SMP処置が、NM誘発傷害後の炎症促進シグナル伝達を下方制御することを示す図である。 パネルAに示されたデータのデンシトメトリー定量化を示す図である。
図4D】SMP処置が、NM誘発傷害後の炎症促進シグナル伝達を下方制御することを示す図である。 48(図4D、n=)及び72(図4E、n=5)時間後のMmp-9の発現を示す図である。p<0.05、**p<0.01。
図4E】SMP処置が、NM誘発傷害後の炎症促進シグナル伝達を下方制御することを示す図である。 48(図4D、n=)及び72(図4E、n=5)時間後のMmp-9の発現を示す図である。p<0.05、**p<0.01。
図4F】SMP処置が、NM誘発傷害後のアポトーシス促進性シグナル伝達を下方制御することを示す図であり、(図4F)TUNEL染色された画像である。
図4G】SMP処置が、NM誘発傷害後のアポトーシス促進性シグナル伝達を下方制御することを示す図であり、(図4F)TUNEL染色された画像である。 TUNEL染色の平均蛍光強度を示す図である。
図5】Cu/Zn SODの阻害が、NM傷害後の皮膚治癒に対するSMPの効果を抑止することを示す図である。(A)異なる日の創傷の代表的な画像である。(B)二つ折り皮膚厚測定、n=;(C)創傷区域減少、1群当たりn= マウス(D)TUNEL染色、(E)SOD活性:PDA NPがSOD活性をレスキューするのをCu/Zn SODの阻害が妨げることを示す図である。
図6A】PDAナノ粒子処置が、ヒト皮膚外植片のNM誘発損傷を緩和する(治癒を促進する)ことを示す、ビヒクル/対照(すなわち、人工メラニン材料を有するメラニン製剤の非存在)、低表面積合成メラニン粒子(LSA-SMP)での、及び高表面積合成メラニン粒子(HSA-SMP)(多孔質人工メラニン粒子)での処置後のナイトロジェンマスタード(NM)誘発傷害を有する損傷皮膚の低及び高倍率像を含む染色像(図6A)である。
図6B】PDAナノ粒子処置が、ヒト皮膚外植片のNM誘発損傷を緩和する(治癒を促進する)ことを示す、ビヒクル/対照(すなわち、人工メラニン材料を有するメラニン製剤の非存在)、低表面積合成メラニン粒子(LSA-SMP)での、及び高表面積合成メラニン粒子(HSA-SMP)(多孔質人工メラニン粒子)での処置後のナイトロジェンマスタード(NM)誘発傷害を有する損傷皮膚の低及び高倍率像を含む染色像(図6A)である。 ヒト皮膚外植片データからの2種の重要な炎症因子、図6B中のCCL20及び図6C中のCXCL8に関するデータのデンシトメトリー定量化を示す図である。図6B及び図6Cは、本明細書に開示される人工メラニン材料が、これらの炎症因子を下方制御することを確認するものである。
図6C】PDAナノ粒子処置が、ヒト皮膚外植片のNM誘発損傷を緩和する(治癒を促進する)ことを示す、ビヒクル/対照(すなわち、人工メラニン材料を有するメラニン製剤の非存在)、低表面積合成メラニン粒子(LSA-SMP)での、及び高表面積合成メラニン粒子(HSA-SMP)(多孔質人工メラニン粒子)での処置後のナイトロジェンマスタード(NM)誘発傷害を有する損傷皮膚の低及び高倍率像を含む染色像(図6A)である。 ヒト皮膚外植片データからの2種の重要な炎症因子、図6B中のCCL20及び図6C中のCXCL8に関するデータのデンシトメトリー定量化を示す図である。図6B及び図6Cは、本明細書に開示される人工メラニン材料が、これらの炎症因子を下方制御することを確認するものである。
図7A】本明細書の実施形態による高表面積合成メラニン粒子(HSA-SMP)(薄灰色)及び低表面積合成メラニン粒子(LSA-SMP)(濃灰色/黒色)キャラクタリゼーションを示す図である。 N吸着(黒マーカー)及び脱着(白マーカー)並びに密度汎関数理論(DFT)を使用して決定された細孔サイズ分布を示す図である。
図7B】本明細書の実施形態による高表面積合成メラニン粒子(HSA-SMP)(薄灰色)及び低表面積合成メラニン粒子(LSA-SMP)(濃灰色/黒色)キャラクタリゼーションを示す図である。 N吸着(黒マーカー)及び脱着(白マーカー)並びに密度汎関数理論(DFT)を使用して決定された細孔サイズ分布を示す図である。 密度汎関数理論(DFT)を使用して決定されたHSA-LSAの細孔サイズ分布を示す図である。
図7C】本明細書の実施形態による高表面積合成メラニン粒子(HSA-SMP)(薄灰色)及び低表面積合成メラニン粒子(LSA-SMP)(濃灰色/黒色)キャラクタリゼーションを示す図である。 動的光散乱を示す図である。
図7D】本明細書の実施形態による高表面積合成メラニン粒子(HSA-SMP)(薄灰色)及び低表面積合成メラニン粒子(LSA-SMP)(濃灰色/黒色)キャラクタリゼーションを示す図である。 紫外線可視分光法を示す図である。
図8A】本明細書の実施形態による高表面積合成メラニン粒子(HSA-SMP)(黒マーカー)及び低表面積合成メラニン粒子(LSA-SMP)(白マーカー)の抗酸化剤のDPPHラジカル捕捉活性を示す図である。 複数のサンプルを示す図である。
図8B】本明細書の実施形態による高表面積合成メラニン粒子(HSA-SMP)(黒マーカー)及び低表面積合成メラニン粒子(LSA-SMP)(白マーカー)の抗酸化剤のDPPHラジカル捕捉活性を示す図である。 捕捉活性サイクルを示す図である。DPPHアッセイが、粒子に対して実施され(サイクル1)、後で水で洗浄された。粒子が1週間水中に放置され、DPPHアッセイが再び実施された(サイクル2)。
図9A】合成メラニン粒子処置が、紫外線(UV)傷害後の皮膚治癒を改善することを示す図である。 ビヒクル、LSA SMP、及びHSA SMPの1~5日目のマウス皮膚のUV創傷傷害像である。
図9B】合成メラニン粒子処置が、紫外線(UV)傷害後の皮膚治癒を改善することを示す図である。 創傷区域減少を示す図である。1群当たりn=4~5マウス;p<0.05;***p<0.005;***p<0.0005。
図9C】合成メラニン粒子処置が、紫外線(UV)傷害後の皮膚治癒を改善することを示す図である。 ビヒクル(円形)、LSA SMP(正方形)、及びHSA SMP(三角形)に対するUVの皮膚厚%を示す図である。1群当たりn=4~5マウス;p<0.05;***p<0.005;***p<0.0005。
図10A】実施形態において、SMP処置が、ナイトロジェンマスタード(NM)誘発傷害後のカタラーゼ及びチオレドキシン活性を制御しないことを示す図である。 チオレドキシンレダクターゼ活性を示す図である。
図10B】実施形態において、SMP処置が、ナイトロジェンマスタード(NM)誘発傷害後のカタラーゼ及びチオレドキシン活性を制御しないことを示す図である。 カタラーゼ活性を示す図である。1群当たりn=4~10マウス。
図11-1】TaqManマウス免疫アレイ結果を示す図である。p<0.05
図11-2】TaqManマウス免疫アレイ結果を示す図である。p<0.05
図11-3】TaqManマウス免疫アレイ結果を示す図である。p<0.05
【発明を実施するための形態】
【0013】
〔化学化合物及び命名法に関する記載〕
[0025]一般に、本明細書において使用される用語及び語句は、当技術分野で認識されているそれらの意味を有し、それらは、当業者に公知の標準的な教科書、ジャーナル参考文献及び文脈を参照することにより見出すことができる。以下の定義は、本発明の文脈におけるそれらの特定の使用を明確にするために記載される。
【0014】
[0026]用語「損傷皮膚」は、生存対象の皮膚の領域を指し、領域は損傷皮膚組織を含む。損傷皮膚は、細胞外フリーラジカル種を含むフリーラジカル種を任意選択で含んでもよい。損傷皮膚は、炎症を任意選択で含んでもよい。損傷皮膚は、任意選択で閉創でもよい。損傷皮膚は、角質層を任意選択で含んでもよい。損傷皮膚は、1個又は複数の可視的水疱、微視的小水疱、及び真皮からの表皮の分離を任意選択で含んでもよい。その損傷皮膚は、熱的誘発損傷、化学的誘発損傷、UV誘発損傷、機械的摩擦損傷、感染蜂巣炎誘発損傷、及び/又は放射線誘発損傷を任意選択で含んでもよい。
【0015】
[0027]用語「閉創」は、技術分野、特に生物医科学の分野の用語と一貫していることが意図され、そこに表面皮膚の残遺物が付着された創傷を一般に指す。一般には、閉創は、必ずではないが、付着された表面皮膚の残遺物を有しながら1つ若しくは複数の小開口及び/又は損なわれた病巣区域を任意選択で含んでもよい。例えば、一般には、皮膚の切除生検により形成された病変は、閉創よりもむしろ開創として特徴付けることができる。例えば、開潰瘍床は、閉創よりもむしろ開創として特徴付けることができる。
【0016】
[0028]用語「治療的細胞外活性」は、細胞外で発生する治療的活性若しくは治療的機能、及び/又は活性を直接発揮するか、若しくはそれに直接関与する少なくとも1種の細胞外種を伴う治療的活性若しくは治療的機能を指す。用語「治療的細胞外活性」は、生物医科学の当業者により理解されることが意図される。例えば、治療的細胞外活性は、細胞外メラニン材料が、治療的活性を発揮するか、又はそれに関与することを指すことがある。例えば、治療的細胞外活性は、細胞外種が治療効果に作用することを指すことがある。例えば、治療的細胞外活性は、これらに限定されないが細胞外フリーラジカル種、(1種又は複数種の)細胞外炎症因子、及び/又は(1種又は複数種の)細胞外酵素因子などの細胞外種に対してか、若しくはそれと共に治療的活性を発揮するか、又はそれに関与する細胞外メラニン材料を指すことがある。治療的活性又は機能は、傷害、創傷、組織損傷、疾患、病態、若しくは状態の処置又は寛解のためなど、治療的若しくは薬学的な効果又は利益を有する活性又は機能である。治療的活性又は機能は、1つ若しくは複数の化学的反応又は転換、1つ若しくは複数の物理的転換、種間の共有結合性若しくは非共有結合性会合又は相互作用、吸着などのような1つ若しくは複数の化学的及び/又は物理的過程を含み得、治療的活性は、例えば、これらに限定されないがタンパク質、酵素、若しくは遺伝子発現因子、及びその任意の組合せなどの1種若しくは複数種の種のクエンチ又は捕捉、吸着、遺伝子発現の下方制御などの制御、活性若しくは機能の阻害などの過程を含み得るが、これらに限定されない。用語「治療的細胞内活性」は、細胞内で発生する治療的活性若しくは治療的機能、及び/又は活性を直接発揮するか、若しくはそれに直接関与する少なくとも1種の細胞内種を伴う治療的活性若しくは治療的機能を指す。治療的活性又は機能は、例えば、細胞外種及び細胞内種の両方を伴うか、又はそれらが関与する場合、任意選択で治療的細胞外活性及び治療的細胞内活性の両方であり得る。
【0017】
[0029]用語「炎症因子」は、用語が当技術分野、特に生物医科学において認識される通り、炎症に関連する因子を指す。炎症因子は、炎症に関連するタンパク質、遺伝子、酵素、及び/又は他の因子を含み得るがこれらに限定されない。用語「酵素因子」は、用語が当技術分野、特に生物医科学において認識される通り、炎症に関連する酵素を任意選択で含む、酵素活性に関連する因子を指す。炎症因子及び/又は酵素因子は、TNFα、iNOS、MMP9、ERK1/2、p38、JNK、炎症促進シグナル伝達の下方制御に関連する1種若しくは複数種の因子、炎症に関連する1種若しくは複数種の遺伝子の発現を制御する1種若しくは複数種の因子、アポトーシスに関連する1種若しくは複数種の遺伝子の発現を制御する1種若しくは複数種の因子、MMP9の発現を制御する1種若しくは複数種の因子、MAPK/ERK経路に関連する1種若しくは複数種のタンパク質、MAPK/ERK経路に関連する1種若しくは複数種の酵素、又はこれらの任意の組合せを含み得るがこれらに限定されない。用語「アポトーシス因子」は、用語が当技術分野、特に生物医科学において認識される通り、細胞アポトーシスに関連する因子を指す。
【0018】
[0030]用語「創傷」は、損傷組織を有する生存対象の領域を指す。創傷は、細胞外フリーラジカル種を含むフリーラジカル種を任意選択で含んでもよい。創傷は、炎症を任意選択で含んでもよい。創傷は任意選択で、皮膚組織の創傷であるか、又は損傷皮膚組織を任意選択で含む。創傷は、角質層を任意選択で含んでもよい。創傷は、1個又は複数の水疱を任意選択で含んでもよい。創傷又はその損傷組織は、熱的誘発損傷、化学的誘発損傷、UV誘発損傷、機械的摩擦損傷、感染蜂巣炎誘発損傷、及び/又は放射線誘発損傷を任意選択で含んでもよい。
【0019】
[0031]用語「フリーラジカル種」は、化学又は生化学の当業者により認識される通りの用語と一貫していることが意図される。フリーラジカル種は、一般には独立的な存在が可能であり、1個又は複数の不対電子を含む分子種である。フリーラジカル種は、変異原性、発癌性である、DNA鎖切断の生成を引き起こす、及び/又はDNA-タンパク質架橋を作り出すものを含んでもよい。例示的なフリーラジカル種は、活性酸素種(ROS)などの反応性酸素化種を含むがこれに限定されない。
【0020】
[0032]用語「クエンチする」及び「捕捉する」は、本明細書において交換可能に使用され、化学又は生化学の技術分野と一貫したフリーラジカル種をクエンチ又は捕捉する過程を指す。一般には、クエンチは、反応の結果としてフリーラジカル種ではない1種若しくは複数種の生成物へのフリーラジカル種の変換/転換又はさもなければフリーラジカル種の存在の中断に結果としてつながる、フリーラジカル種とのか、又はそれを伴う過程若しくは反応を指す。
【0021】
[0033]用語「非メラニン治療剤」は、メラニン材料ではなく、メラニン材料をそれ自体が含まない治療剤を指す。治療剤は、例えば、生存対象に曝露されたとき治療的若しくは薬学的に活性であるか、又は生存対象における疾患などの状態を処置するか、若しくは扱うことができる化合物、分子、又は部分などの種でもよい。例えば、治療剤は、小分子薬、ポリマー、ペプチド、アミノ酸、DNA、又はRNAでも、それらを含んでもよい。任意選択で、例えば、治療剤は、皮膚治癒を促進することができる1種又は複数種の治療剤(1種又は複数種の化合物、分子、又は部分など)である。
【0022】
[0034]種又は過程を記載するときの用語「細胞外」は、薬理学又は生化学の技術分野と一貫していることが意図され、細胞の外側(すなわち、細胞内でない)で見出されるか、又は発生する記載された種又は過程を指す。
【0023】
[0035]用語「対象」又は「患者」は、本明細書に記載される通りの製剤又はメラニン材料の投与により少なくとも部分的に処置又は矯正することができる創傷、疾患、若しくは状態を患うか、又はそれを有する生存生物を指す。非限定的な例は、ヒト、他の哺乳動物、ウシ、ラット、マウス、イヌ、サル、ヤギ、ヒツジ、ウシ、シカ、及び他の非哺乳類動物を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、対象はヒトである。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、対象は哺乳動物である。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、対象はマウスである。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、対象は実験動物である。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、対象はラットである。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、対象は試験動物である。
【0024】
[0036]用語「メラニン」は、例えば、生体細胞に内部移行されるか、又は取り込まれたときなど、色素として機能する1種若しくは複数種の化合物又は材料を一般に指す。メラニンは必ずしも細胞に取り込まれないことにも留意されたい。メラニンは、例えば、剛性、防御機構、及びそれ以上を実現するためなど、菌類の細胞壁内又は細胞壁上に組み込むことができる。別の例示的な例において、メラニンは、メラニンがケラチン又は類似のタイプの生体材料のマトリックス中で組織化される場合、それが単層又は多層へと組織化されて、構造色、暖かさ、及びそれ以上を実現することができる場合など、トリによって使用される。メラニン化合物又は材料は、例えば、メラニンモノマー、メラニンオリゴマー、メラニンポリマー、メラニンナノ粒子、メラニン層(例えば、メラニン薄皮膜又は被覆)、又は他のメラニン材料でもよいがこれらに限定されない。例えば、生体細胞に内部移行されたメラニンナノ粒子は、細胞内で色素として機能する。
【0025】
[0037]用語「人工メラニン」及び「合成メラニン」は、本明細書において交換可能に使用され、並びに合成されており、少なくとも部分的に、又は好ましくは全体的に、生物学的源、生存生物、又はかつての生存生物などの天然源から誘導されていないか、又はそれから抽出されていないメラニンモノマー、メラニンオリゴマー、又はメラニンナノ粒子などの1種若しくは複数種のメラニン化合物、分子、又は材料を指す。用語「合成」及び「人工」は、メラニン又はメラニンを含む材料に言及するとき、本明細書において交換可能に使用される。用語「合成メラニンナノ粒子」及び「人工メラニンナノ粒子」は、本明細書において交換可能に使用され、本開示全体を通じて同じ意味を有することが意図され、人工メラニンモノマー及び/又は人工メラニンオリゴマーなどの人工メラニンで形成されたナノ粒子を指す。用語「合成メラニン薄皮膜」及び「人工メラニン薄皮膜」は、本明細書において交換可能に使用され、本開示全体を通じて同じ意味を有することが意図され、人工メラニンモノマー及び/又は人工メラニンオリゴマーなどの人工メラニンで形成された薄皮膜を指す。用語「合成メラニン層」及び「人工メラニン層」は、本明細書において交換可能に使用され、本開示全体を通じて同じ意味を有することが意図され、人工メラニンモノマー及び/又は人工メラニンオリゴマーなどの人工メラニンで形成された層を指す。人工メラニンナノ粒子、人工メラニン薄皮膜、人工メラニン層、及びこれらのいずれかを含む任意の化合物、材料、又は製剤は、人工メラニンモノマー、人工メラニンオリゴマー、及び/又は人工メラニンポリマーを含む。任意選択で、人工メラニンナノ粒子、人工メラニン薄皮膜、人工メラニン層、及びこれらのいずれかを含む任意の化合物、材料、又は製剤は、人工メラニンモノマー、人工メラニンオリゴマー、及び/又は人工メラニンポリマーなどの人工メラニンからなるか、又はそれから本質的になる。任意選択で、人工メラニンナノ粒子、人工メラニン薄皮膜、人工メラニン層、及びこれらのいずれかを含む任意の化合物、材料、又は製剤は、人工メラニンモノマーを含まず(又は実質的に含まず)、人工メラニンオリゴマー及び/又は人工メラニンポリマーを含む。好ましくは、人工メラニンナノ粒子、人工メラニン薄皮膜、人工メラニン層、及びこれらのいずれかを含む任意の化合物、材料、又は製剤の各人工メラニンモノマー、人工メラニンオリゴマー、及び人工メラニンポリマーは、天然若しくは生体タンパク質性脂質に結合されていないか、それにコンジュゲートされていないか、それに付着していないか、それにより被覆されていないか、それにより包含されていないか、又はさもなければそれと化学的に会合していない。天然又は生体タンパク質性脂質は、天然由来か、若しくは生物学的に誘導された脂質又はかつての生存生物などの天然若しくは生物学的源から抽出された脂質を指し、前記脂質は、メラノサイト又はメラノソームの脂質(形質)膜などの1種又は複数種のタンパク質を含む)。任意選択で、人工メラニンナノ粒子、人工メラニン薄皮膜、人工メラニン層、及びこれらのいずれかを含む任意の化合物、材料、又は製剤の各人工メラニンモノマー、人工メラニンオリゴマー、及び人工メラニンポリマーは、天然若しくは生体脂質(例えば脂質二重層、脂質膜又はリン脂質化合物)に結合されていないか、それにコンジュゲートされていないか、それに付着していないか、それにより被覆されていないか、それにより包含されていないか、又はさもなければそれと化学的に会合していない。天然又は生体脂質は、天然由来か、若しくは生物学的に誘導された脂質又はかつての生存生物などの天然若しくは生物学的源から抽出された脂質を指す。任意選択で、人工メラニンナノ粒子、人工メラニン薄皮膜、人工メラニン層、及びこれらのいずれかを含む任意の化合物、材料、又は製剤の任意の人工メラニンモノマー、人工メラニンオリゴマー、及び人工メラニンポリマーは、合成若しくは人工脂質又は合成若しくは人工リン脂質に結合されている、それにコンジュゲートされている、それに付着している、それにより被覆されている、それにより包含されている、及び/又はさもなければそれと会合している。合成又は人工脂質は、かつての生存生物などの天然又は生物学的源から誘導又は抽出されていない合成された脂質を指す。
【0026】
[0038]用語「人工メラニン前駆体」は、酸化剤との化学的反応後など、化学的反応後に人工メラニン材料を形成することができる化合物又は材料を指す。人工メラニン前駆体は、それ自体メラニンであり得るが、必ずしもそれではない。例えば、人工メラニン前駆体は、メラニンモノマーであり得るが、必ずしもそれではない。例えば、メラニンモノマーなどの人工メラニン前駆体を酸化剤と接触させることは、人工メラニン前駆体の間で酸化的オリゴマー化(又は、重合)に結果としてつながり得、それによって(1種又は複数種の)人工メラニン材料を形成する。
【0027】
[0039]用語「セレノメラニン」は、セレンを含むメラニンを指す。例えば、セレノメラニン材料はセレンを含む。好ましくは、セレノメラニン材料の化学式は、セレン(例えば、少なくとも1個のセレン原子)を含む。
【0028】
[0040]特定の実施形態において、用語「フェオメラニン」は、化学式が、少なくとも1個の置換若しくは非置換ベンゾチアジン、少なくとも1個の置換若しくは非置換ベンゾチアゾール、少なくとも1個の置換若しくは非置換ベンゾセレナゾール、少なくとも1個の置換若しくは非置換ベンゾセレナジン、これらのいずれかの少なくとも1個の誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むメラニンを指す。特定の実施形態において、フェオメラニンという用語は、化学式が、少なくとも1個の置換若しくは非置換ベンゾチアジン、少なくとも1個の置換若しくは非置換ベンゾチアゾール、少なくとも1個の置換若しくは非置換ベンゾセレナゾール、少なくとも1個の置換若しくは非置換ベンゾセレナジン、これらのいずれかの少なくとも1個の誘導体、又はこれらの任意の組合せを含む、L-DOPA及びシステインから作られたメラニンを指す。特定の実施形態において、セレンフェオメラニンは、化学式が、少なくとも1個の置換若しくは非置換ベンゾセレナゾール、少なくとも1個の置換若しくは非置換ベンゾセレナジン、これらのいずれかの少なくとも1個の誘導体、又はこれらの任意の組合せを含むメラニンを指す。
【0029】
[0041]特定の実施形態において、ユーメラニンという用語は、化学式が、少なくとも1個のジヒドロキシインドール(DHI)(例えば、5,6-ジヒドロキシインドール)、少なくとも1個のジヒドロキシインドール-2-カルボン酸(DHICA)(例えば、5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸)、又はこれらの組合せを含むメラニンを指す。
【0030】
[0042]本明細書において使用される用語「ナノ粒子」は、1μm未満の少なくとも1つのサイズ特性又は物理的寸法を有する物理的粒子を指す。好ましくは、本明細書において使用される用語「ナノ粒子」は、最長のサイズ特性又は物理的寸法が1μm未満である物理的粒子を指す。
【0031】
[0043]用語「サイズ特性」は、サイズ属性に直接的又は間接的に関する、粒子の特性、又は特性のセットを指す。いくつかの実施形態によれば、サイズ特性は、電子顕微鏡(例えば、SEM及びTEM)又は光散乱法(例えば、DLS)など、粒子サイズを決定するために使用することができる任意の技法又は装置からのデータに基づくか、それにより決定されたか、又はそれに対応するサイズ特性など、検出される(1種又は複数種の)粒子の経験的に導かれたサイズ特性に対応する。例えば、サイズ特性は、(1種又は複数種の)粒子が検出されるとき、空気力学的、流体力学的、光学的、及び/又は電気的特性など、類似又は実質的に同じ特性を示す球状粒子に対応し得る)。いくつかの実施形態によれば、サイズ特性は、断面サイズなどの物理的寸法(例えば、長さ、幅、厚さ、又は直径)に対応する。
【0032】
[0044]用語「粒子」は、流体(例えば、液体)に分散及び/又は懸濁させることができる小さい固体物体を指す。例えば、スラリー、分散物、及び懸濁液は、流体中に粒子をそれぞれ含む。用語「粒子」及び「微粒子」は、交換可能に使用されることがある。例示的な粒子は人工メラニンナノ粒子である。複数の粒子が互いに会合して、粒子の塊を形成することもある。一般には、「ナノ粒子」又は「メラニンナノ粒子」などの用語「粒子」は、こうした個々の粒子の塊よりもむしろ個々の粒子を指す。
【0033】
[0045]用語「分散した」は、分散物を形成する流体中の粒子などの種を指す。本明細書において使用されるとき、用語「分散物」は、溶液、分散物、及び/又は懸濁液の当技術分野で認識されている意味のように、流体中の粒子などの1種又は複数種の化学種の混合物を大まかに指す。分散物に分散した粒子などの化学種は、分散した種と呼ばれることがある。好ましくは、分散物は、溶媒などの液体中の人工メラニン粒子などの粒子の混合物である。好ましくは、必ずではないが、分散物は均質な混合物である。分散物の文脈において、用語「均質な」は、肉眼には均一に見える液体混合物を指す。対照的に、不均質な液体混合物は、液体混合物から沈殿したか、又はそれに懸濁し、液体混合物中で肉眼によって明確に確認できるほど十分に大きい粒子を含む。不均質な液体混合物は、例えば、沈降した及び/又は沈降している粒子を含む。好ましくは、必ずではないが、用語「分散物」は、不均質な液体混合物ではない溶液及びコロイドなどの分散物を含むことが大まかに意図される。好ましくは、必ずではないが、分散物は、溶媒などの液体中の粒子の微視的に均質又は均一な混合物である。好ましくは、必ずではないが、分散物は、安定して分散したままが熱力学的に有利であるか、又は沈降により分離するのが熱力学的に有利であるが、沈降は、速度論的に減速又は阻止される。安定して分散していると特徴付けられる分散物の粒子は、常温常圧(NTP)及び空気曝露下、少なくとも5時間、好ましくは少なくとも12時間、好ましくは少なくとも24時間、より好ましくは少なくとも1週間、分散物に分散したままであり、沈降しないか、又は分散物の液体から沈殿しない。実施形態において、流体に分散していないか、又は分散することができない粒子は、流体中で混合されると沈殿物又は沈降物を形成する粒子を指す。
【0034】
[0046]水性である、ポリマーなどの材料に言及するとき、用語「水性」は、分散しているか、溶解しているか、又はさもなければ水により溶媒和されている前記材料を指す。「水性溶液」は、溶媒としての水と、分散しているか、溶解しているか、又はさもなければ水により溶媒和されている1種又は複数種の溶質種とを含む溶液を指す。重合などの水性過程は、水性溶液中で発生する過程である。任意選択で、必ずではないが、水性溶液又は水性溶媒は、20vol.%以下、任意選択で15vol.%以下、任意選択で10vol.%以下、好ましくは5vol.%以下の非水又は有機種を含む。任意選択で、必ずではないが、水性溶液又は水性溶媒は、20vol.%以下、任意選択で15vol.%以下、任意選択で10vol.%以下、好ましくは5vol.%以下の非水液体を含む。
【0035】
[0047]用語「ピークサイズ」は、粒子サイズ分布の統計モード、若しくはピーク頻度、又は粒子サイズ分布において最も一般に見出される粒子サイズを指す。粒子サイズ分布は、例えば、動的光散乱を使用して測定することができる。
【0036】
[0048]本明細書において使用される用語「球」は、通常及び通例の意味において、実質的に、2つの寸法において円形物体と類似の、完全に丸いボールの表面である、3次元空間内の丸いか、又は実質的に丸い幾何学的物体を指す。球は、すべて又は実質的にすべて所与の点から同じ距離rにあるが、3次元空間内の点の組として数学的に定義することができ、ここで、rは、数学的ボールの半径であり、所与の点は、数学的ボールの中心又は実質的に中心である。実施形態において、球の2つの点を結ぶ、ボールを通る最長の直線は、中心を通過し、したがって、その長さは、半径の2倍であり;それは、ボールの直径である。ナノ球は、1μm未満の半径を有するナノ粒子である。
【0037】
[0049]本明細書において交換可能に使用される用語「活性酸素種」及び「ROS」は、通常及び通例の意味において、酸化的分解を誘発することができる放射線への曝露(例えば、UV照射)の間に典型的に形成される過渡種を指す。
【0038】
[0050]用語「細胞」及び「生体細胞」は、交換可能に使用され、そのゲノムDNAを保存又は複製するのに十分な代謝又は他の機能を行う細胞を指す。細胞は、例えば、インタクトな膜の存在、特定の染料による染色、子孫を生む能力又は、配偶子の場合、第2の配偶子と組み合わさって、生存可能な子孫を生む能力を含む、当技術分野において周知の方法により同定することができる。細胞は、原核及び真核細胞を含んでもよい。原核細胞は、細菌を含むがこれに限定されない。真核細胞は、酵母細胞並びに植物及び動物に由来する細胞、例えば哺乳類、昆虫(例えば、スポドプテラ)及びヒト細胞を含むがこれらに限定されない。「生細胞」は生存生体細胞である。
【0039】
[0051]用語「実質的に」は、20%以内、10%、5%以内、1%以内、任意選択で0.1%以内であるか、又は基準特性、条件、若しくは値と同等である特性、条件、又は値を指す。用語「実質的に等しい」、「実質的に同等」、又は「実質的に不変」は、特性又は条件を記載する基準値と併せて使用されるとき、記載された基準値の20%以内、10%以内、任意選択で5%以内、任意選択で1%以内、任意選択で0.1%以内であるか、又は任意選択でそれと同等である値を指す。例えば、直径は、直径の値が、100nmの20%以内、任意選択で10%以内、任意選択で5%以内、任意選択で1%以内、0.1%以内、又は任意選択で100nmに等しい場合、100nmに実質的に等しい(又は、「は、実質的に100nmである」)。用語「実質的により大きい」は、特性又は条件を記載する基準値と併せて使用されるとき、記載された基準値よりも少なくとも1%、任意選択で少なくとも5%、任意選択で少なくとも10%、又は任意選択で少なくとも20%大きい値を指す。用語「実質的により小さい」は、特性又は条件を記載する基準値と併せて使用されるとき、記載された基準値よりも少なくとも1%、任意選択で少なくとも5%、任意選択で少なくとも10%、又は任意選択で少なくとも20%小さい値を指す。
【0040】
[0052]本明細書において使用されるとき、用語「約」は、指定された値とかなり近いと当業者が考えるであろう指定された値を含むある範囲の値を意味する。実施形態において、約は、当技術分野において一般に許容できる測定を使用した標準偏差内を意味する。実施形態において、約は、指定された値の+/-10%まで及ぶ範囲を意味する。実施形態において、約は、指定された値を意味する。
【0041】
[0053]本明細書において使用される用語「処置する」又は「処置」は、緩解;鎮静;症状の減弱、又は傷害、病態若しくは状態を患者にとってより許容できるものにすること;変性又は減退の速度の減速;変性の最終点をより衰弱性でないものにすること;患者の身体的又は精神的健康を改善することなどの何らかの客観的又は主観的パラメータを含む、傷害、疾患、病態若しくは状態の処置又は寛解における成功の何らかの証を指す。症状の処置又は寛解は、身体検査、精神神経検査、及び/又は精神医学的評価の結果を含む客観的又は主観的パラメータに基づくことができる。用語「処置する」、及びその活用形は、傷害、病態、状態、又は疾患の防止を含む。
【0042】
[0054]本明細書において使用される用語「有効量」は、記載された目的(例えば、それがそのために投与される効果を得る、疾患を処置する、疾患若しくは状態の1種又は複数種の症状を軽減するなど)を達成するのに十分な量を指す。「有効量」の一例は、疾患の1種又は複数種の症状の処置、防止、又は軽減に寄与するのに十分な量であり、それは「治療的有効量」と呼ばれることもある。1種又は複数種の症状の「軽減」(及びこの語句の文法的等価物)は、(1種又は複数種の)症状の重症度若しくは頻度の低減、又は(1種又は複数種の)症状の解消を意味する。「予防的有効量」の薬物は、対象に投与されたとき、所期の予防的効果、例えば、傷害、疾患、病態若しくは状態の発症(又は再発)の防止若しくは遅延、或いは傷害、疾患、病態、若しくは状態、又はそれらの症状の発症(又は再発)の可能性の低減を有することになるある量の薬物である。完全な予防的効果は、1回用量の投与によって必ずしも生じず、一連の用量の投与後にのみ生じることがある。したがって、予防的有効量が、1回又は複数回の投与で投与されることがある。厳密な量は、処置の目的に依存することになり、公知の技法を使用して当業者により確かめられることになる(例えば、Lieberman、Pharmaceutical Dosage Forms(第1~3巻、1992);Lloyd、The Art,Science and Technology of Pharmaceutical Compounding(1999);Pickar、Dosage Calculations(1999);及びRemington:The Science and Practice of Pharmacy、第20版、2003、Gennaro編、Lippincott,Williams&Wilkins参照)。
【0043】
[0055]本明細書において使用される用語「投与する」は、対象への経口投与、吸入エアロゾル又は吸入ドライパウダーとしての投与、坐剤、局所接触、静脈内、非経口、腹腔内、筋肉内、病巣内、髄腔内、鼻腔内又は皮下投与、又は徐放デバイス、例えば、ミニ浸透圧ポンプの植込みを指す。投与は、非経口及び経粘膜(例えば、頬側、舌下、口蓋、歯肉、経鼻、膣、直腸、又は経皮)を含む任意の経路による。非経口投与は、例えば、静脈内、筋肉内、細動脈内、皮内、皮下、腹腔内、脳室内、及び頭蓋内を含む。送達の他のモードは、リポソーム製剤、静脈内注入、経皮パッチなどの使用を含むがこれらに限定されない。「共投与する」により、本明細書に記載される組成物が、1種又は複数種の追加の療法、例えば化学療法、ホルモン療法、放射線療法、又は免疫療法などのがん療法の投与と同時にか、その直前又は直後に投与されることを意味する。本発明の化合物は、患者に単独で投与することができるか、又は共投与することができる。共投与は、個々にか、又は組み合わせて化合物(1種を超える化合物又は薬剤)の同時又は順次投与を含むことを意図する。本発明の組成物は、局所的な経路により経皮的に送達することができ、アプリケータースティック、溶液、懸濁液、エマルション、ゲル、クリーム、軟膏、ペースト、ゼリー、塗布剤、粉末、及びエアロゾルとして製剤化することができる。経口調製物は、患者による摂取に適した錠剤、丸剤、粉末、糖衣錠、カプセル剤、液体、ロゼンジ、カシェ剤、ゲル、シロップ、スラリー、懸濁液などを含む。固体形態調製物は、粉末、錠剤、丸剤、カプセル剤、カシェ剤、坐剤、及び分散性顆粒を含む。液体形態調製物は、溶液、懸濁液、及びエマルション、例えば、水又は水/プロピレングリコール溶液を含む。本発明の組成物は、徐放性及び/又は快適性を提供するために構成成分を追加的に含んでもよい。こうした構成成分は、高分子量のアニオン性ムコミメティックポリマー、ゲル化多糖及び微細化薬物キャリア基材を含む。これらの構成成分は、米国特許第4,911,920号、第5,403,841号、第5,212,162号、及び第4,861,760号により詳細に論じられている。これらの特許の内容全体が、その全体があらゆる目的のために参照により本明細書に組み込まれる。本発明の組成物は、体内での徐放のためのマイクロスフェアとして送達することもできる。例えば、マイクロスフェアは、皮下にゆっくり放出する薬物含有マイクロスフェアの皮内注射を介して(Rao、J Biomater Sci.Polym.Ed.7:623~645、1995参照、生分解性であり注射可能なゲル製剤として(例えば、Gao Pharm.Res.12:857~863、1995参照)、又は経口投与のためのマイクロスフェアとして(例えば、Eyles、J Pharm.Pharmacol.49:669~674、1997参照)投与することができる。別の実施形態において、本発明の組成物の製剤は、細胞膜と融合するか、又はエンドサイトーシスされるリポソームの使用により、すなわち、細胞の表面膜タンパク質受容体に結合して、結果としてエンドサイトーシスを生じる、リポソームに結合した受容体リガンドを使用することにより送達することができる。リポソームを使用することにより、特にリポソーム表面が、標的細胞に特異的な受容体リガンドを持つか、又はさもなければ特定の臓器に優先的に導かれる場合、in vivoでの標的細胞内への本発明の組成物の送達に焦点を合わせることができる。(例えば、Al-Muhammed、J.Microencapsul.13:293306、1996;Chonn、Curr.Opin.Biotechnol.6:698~708、1995;Qstio、Am.J Hasp.Pharm.46:1576~1587、1989参照)。
【0044】
[0056]用語「接触させること」は、2種の種を反応させるか、相互作用させるか、又は物理的に触れさせることを含んでもよく、ここで2種の種は、例えば、本明細書に記載される通りの医薬組成物及び細胞でもよい。実施形態において接触させることは、例えば、本明細書に記載される通りの医薬組成物を細胞又は患者と相互作用させることを含む。
【0045】
[0057]用語「類似体(analog)」及び「類似体(analogue)」は、交換可能に使用され、化学及び生物学内のそれらの明白な通常の意味にしたがって使用され、別の化合物(すなわち、いわゆる「参照」化合物)と構造的に類似しているが、組成が異なる、例えば、ある原子の異なる元素の原子による置換えが、或いは特定の官能基の存在、又はある官能基の別の官能基による置換え、又はその異性体を含む参照化合物の1個若しくは複数のキラル中心の絶対立体化学が異なる化学化合物を指す。したがって、類似体は、参照化合物と機能及び外観において類似しているか、又は同等であるが、構造若しくは起源において類似していないか、又は同等ではない化合物である。
【0046】
[0058]特に指定される場合を除き、用語「分子量」は平均分子量を指す。特に指定される場合を除き、用語「平均分子量」は数平均分子量を指す。数平均分子量は、サンプル体積の総重量をサンプル内の分子の数で割ったものと定義される。当技術分野において通例であり周知のように、ピーク平均分子量及び重量平均分子量が、サンプル内のポリマーの分布の分子量を特徴付けるために使用されてもよい。
【0047】
[0059]用語「重量平均分子量」(M)は、各ポリマー分子の分子量(M)にその重量分率(w)を掛けた積の和:M=Σwと定義される平均分子量を指す。当技術分野において通例であり周知のように、ピーク平均分子量及び数平均分子量が、サンプル内のポリマーの分布の分子量を特徴付けるために使用されてもよい。
【0048】
[0060]用語「wt.%」又は「wt%」は、質量百分率として表される重量パーセント、又は質量分率を指す。用語「at.%」又は「at%」は、分子、化合物、材料、ナノ粒子、ポリマー、分散物などのような所与の物質中の全原子に対する1つのタイプの原子の百分率として表される原子百分率、又は原子比を指す。
【0049】
[0061]用語「オリゴマー化」は、モノマー又はモノマーの混合物をオリゴマーへと変換する化学的過程を指す。用語「酸化的オリゴマー化」は、オリゴマーを形成する1種又は複数種のモノマーの化学的酸化を含むオリゴマー化の化学的過程を指す。オリゴマー化は、オリゴマーが重合の結果として形成される重合プロセスである。
【0050】
[0062]本明細書において使用されるとき、用語「ポリマー」は、基本単位とも呼ばれるいくつかの繰返し単位(例えば、2個以上の基本単位)によってしばしば特徴付けられる、共有化学結合により接続された繰返し構造単位から構成された分子を指す。本明細書において使用されるとき、用語「ポリマー」は「オリゴマー」を含む(すなわち、オリゴマーはポリマーであり;すなわち、ポリマーは、任意選択でオリゴマーである)。「オリゴマー」は、オリゴマーが低分子量ポリマーであるような、より少ないいくつかの繰返し単位によってしばしば特徴付けられる共有化学結合により接続された、基本単位とも呼ばれる繰返し構造単位から構成された分子を指す。好ましくは、必ずではないが、例えば、オリゴマーは、100個以下の繰返し単位を有する。好ましくは、必ずではないが、例えば、オリゴマーは、10,000Da以下のより低い分子量を有する。オリゴマーは、1種又は複数種のモノマー前駆体の重合生成物でもよい。オリゴマーの形成に結果としてつながる1種若しくは複数種のモノマー、又はモノマー前駆体の重合は、オリゴマー化と呼ばれることがある。オリゴマーは、100個以下、50個以下、15個以下、12個以下、10個以下、又は5個以下の繰返し単位(又は、「基本単位」)を任意選択で含む。オリゴマーは、10,000Da以下、5,000Da以下、1,000Da以下、500Da以下、又は200Da以下の分子量を有すると特徴付けることができる。ダイマー、トリマー、テトラマー、又はペンタマーは、それぞれ2個、3個、4個、若しくは5個の繰返し単位、又は基本単位を有するオリゴマーである。ポリマーは、例えば、100個超の繰返し単位を有することができる。ポリマーは、例えば、10,000Da超、いくつかの実施形態において50,000Da以上又は100,000Da以上などの高分子量を有することができる。ポリマーという用語は、ホモポリマー、又は単一の繰返しモノマーサブユニットから本質的になるポリマーを含む。ポリマーという用語は、2種以上の異なるタイプのモノマーが、同じポリマー内で連結されるとき形成されるコポリマーも含む。コポリマーは、2種以上のモノマーサブユニットを含んでもよく、ランダム、ブロック、ブラシ、ブラシブロック、交互、セグメント化、グラフト化、テーパード及び他の構造を含む。有用なポリマーは、非晶質、半非晶質、結晶又は半結晶状態でもよい有機ポリマー又は無機ポリマーを含む。ポリマーを架橋(例えば、物理的架橋)することができるポリマー側鎖は、いくつかの用途に有用であり得る。
【0051】
[0063]「オリゴマー」は、ポリマーの繰返し単位よりも少ないいくつかの繰返し単位(例えば、100個以下の繰返し単位)及びポリマーよりも低い分子量(例えば10,000Da以下)によってしばしば特徴付けられる、共有化学結合により接続された、基本単位とも呼ばれる繰返し構造単位から構成された分子を指す。オリゴマーは、1種又は複数種のモノマー前駆体の重合生成物でもよい。オリゴマーの形成に結果としてつながる1種若しくは複数種のモノマー、又はモノマー前駆体の重合は、オリゴマー化と呼ばれることがある。オリゴマーは、100個以下、50個以下、15個以下、12個以下、10個以下、又は5個以下の繰返し単位(又は、「基本単位」)を任意選択で含む。オリゴマーは、10,000Da以下、5,000Da以下、1,000Da以下、500Da以下、又は200Da以下の分子量を有すると特徴付けることができる。ダイマー、トリマー、テトラマー、又はペンタマーは、それぞれ2個、3個、4個、若しくは5個の繰返し単位、又は基本単位を有するオリゴマーである。
【0052】
[0064]本明細書において使用されるとき、用語「基」は、化学化合物の官能基を指すことがある。本化合物の基は、化合物の一部である原子又は原子の集合を指す。本発明の基は、1個又は複数の共有結合を介して化合物の他の原子に結合されてもよい。基は、それらの原子価状態に関して特徴付けることもできる。本発明は、一価、二価、三価など原子価状態として特徴付けられる基を含む。
【0053】
[0065]用語「部分」は、化学化合物又は分子の官能基などの基を指す。部分は、化学化合物又は分子の部分である原子の集合である。本発明は、一価、二価、三価など原子価状態として特徴付けられる部分を含む。一般には、必ずではないが、部分は、1個を超える官能基を含む。
【0054】
[0066]本明細書において使用されるとき、用語「置換」は、指定された原子の通常の価数を超えないという条件で1個又は複数の水素が別の官能基によって置き換えられた化合物を指す。例示的な置換基は、ハロゲン又はハロゲン化物、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルケニレン、シクロアルケニレン、アルキニレン、ヒドロキシル(-OH)、カルボニル(RCOR’)、スルフィド(例えば、RSR’)、ホスフェート(ROP(=O)(OH))、アゾ(RNNR’)、シアネート(ROCN)、アミン(例えば、一級、二級、又は三級)、イミン(RC(=NH)R’)、ニトリル(RCN)、ピリジニル(又はピリジル)、ジアミン、トリアミン、アジド、ジイミン、トリイミン、アミド、ジイミド、又はエーテル(ROR’)(ここでR及びR’のそれぞれは、独立して水素又は置換若しくは非置換アルキル基、アリール基、アルケニル基、或いはこれらの組合せである)を含むがこれらに限定されない。任意選択の置換官能基が、以下に同じく記載される。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、置換という用語は、1個を超える水素のそれぞれがハロゲン基などの別の官能基によって置き換えられた化合物を指す。例えば、置換基がオキソ(すなわち、=O)であるときは、原子上の2個の水素が置き換えられる。置換基は、本明細書に記載される任意の置換基であり得る。例えば、置換基は、ヒドロキシル、アミノ(例えば、一級、二級、又は三級)、アルデヒド、カルボン酸、エステル、アミド、ケトン、ニトロ、尿素、グアニジン、シアノ、フルオロアルキル(例えば、トリフルオロメタン)、ハロ(例えば、フルオロ)、アリール(例えば、フェニル)、ヘテロシクリル若しくは複素環式基(すなわち、環式基、例えば、環式基が1個若しくは複数のヘテロ原子を有する芳香族(例えば、ヘテロアリール)又は非芳香族)、オキソ、又はそれらの組合せのうちの1つ又は複数を含むことができる。置換が化合物の合成又は使用に著しく悪影響を及ぼさないという条件で置換基及び/又は変数の組合せが許容される。
【0055】
[0067]本明細書において使用されるとき、用語「誘導体」は、水素、ハロゲン又はハロゲン化物、アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、アシル、アルコキシ、アルケニル、アルキニル、アルキルアリール、アリーレン、ヘテロアリーレン、アルケニレン、シクロアルケニレン、アルキニレン、ヒドロキシル(-OH)、カルボニル(RCOR’)、スルフィド(例えば、RSR’)、ホスフェート(ROP(=O)(OH))、アゾ(RNNR’)、シアネート(ROCN)、アミン(例えば、一級、二級、又は三級)、イミン(RC(=NH)R’)、ニトリル(RCN)、ピリジニル(又はピリジル)、ジアミン、トリアミン、アジド、ジイミン、トリイミン、アミド、ジイミド、又はエーテル(ROR’)(ここでR及びR’のそれぞれは、独立して水素又は置換若しくは非置換アルキル基、アリール基、アルケニル基、或いはこれらの組合せである)を含むがこれらに限定されない、ある原子又は官能基が別の原子又は官能基(例えば、以下に同じく記載される通りの置換官能基)によって置き換えられた化合物を指す。任意選択の置換官能基が、以下に同じく記載される。好ましくは、用語「誘導体」は、1個若しくは2個の原子又は官能基が別の原子又は官能基によって独立して置き換えられた化合物を指す。任意選択で、誘導体という用語は、複素環式基の一員であるカルコゲン原子(S、Se)の置換えを指さないか、又はそれを含まない。任意選択で、特に記載されない限り、誘導体という用語は、カルコゲン原子及びNが、同じ複素環式基の一員である場合、カルコゲン原子(S、Se)の置換えもN(窒素)の置換えも指さないか、又はそれらを含まない。任意選択で、必ずではないが、誘導体という用語は、環構造の破壊、環員の置換え、又は環員の除去を含まない。
【0056】
[0068]当技術分野において通例であり周知のように、式中の水素原子は、必ずしも明示的に示されているとは限らず、例えば、芳香族、ヘテロ芳香族、及び脂環式環の炭素原子に結合された水素原子は、必ずしも明示的に示されているとは限らない。本明細書に記載される構造は、例えば式及び図並びに図面中の構造の説明の文脈において、本発明の方法及び組成物の化合物の化学組成を当業者に伝えることが意図され、当業者によって理解されるであろうように、記載される構造は、原子の特定の位置及び/又は配向並びにこれらの化合物の原子間の対応する結合角を示さない。
【0057】
[0069]本明細書において使用されるとき、用語「アルキレン」及び「アルキレン基」は、同義で使用され、本明細書に定義される通りのアルキル基に由来する二価基を指す。本発明は、1個又は複数のアルキレン基を有する化合物を含む。いくつかの化合物のアルキレン基は、連結及び/又はスペーサー基として機能する。本発明の化合物は、1個又は複数の連結基(例えばL~L)として、例えば、置換及び/又は非置換C~C20アルキレン、C~C10アルキレン及びC~Cアルキレン基を有してもよい。
【0058】
[0070]本明細書において使用されるとき、用語「シクロアルキレン」及び「シクロアルキレン基」は、同義で使用され、本明細書に定義される通りのシクロアルキル基に由来する二価基を指す。本発明は、1個又は複数のシクロアルキレン基を有する化合物を含む。いくつかの化合物のシクロアルキル基は、連結及び/又はスペーサー基として機能する。本発明の化合物は、1個又は複数の連結基(例えばL~L)として、例えば、置換及び/又は非置換C~C20シクロアルキレン、C~C10シクロアルキレン及びC~Cシクロアルキレン基を有してもよい。
【0059】
[0071]本明細書において使用されるとき、用語「アリーレン」及び「アリーレン基」は、同義で使用され、本明細書に定義される通りのアリール基に由来する二価基を指す。本発明は、1個又は複数のアリーレン基を有する化合物を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、アリーレンは、アリール基の芳香環の2個の環内炭素原子からの水素原子の除去によりアリール基から誘導された二価基である。いくつかの化合物のアリーレン基は、連結及び/又はスペーサー基として機能する。いくつかの化合物のアリーレン基は、発色団、発蛍光団、芳香族アンテナ、染料及び/又はイメージング基として機能する。本発明の化合物は、1個又は複数の連結基(例えばL~L)として、例えば、置換及び/又は非置換C~C30アリーレン、C~C20アリーレン、C~C10アリーレン及びC~Cアリーレン基を含む。
【0060】
[0072]本明細書において使用されるとき、用語「ヘテロアリーレン」及び「ヘテロアリーレン基」は、同義で使用され、本明細書に定義される通りのヘテロアリール基に由来する二価基を指す。本発明は、1個又は複数のヘテロアリーレン基を有する化合物を含む。ある実施形態において、ヘテロアリーレンは、ヘテロアリール基のヘテロ芳香族又は芳香族環の2個の環内炭素原子又は環内窒素原子からの水素原子の除去によりヘテロアリール基から誘導された二価基である。いくつかの化合物のヘテロアリーレン基は、連結及び/又はスペーサー基として機能する。いくつかの化合物のヘテロアリーレン基は、発色団、芳香族アンテナ、発蛍光団、染料及び/又はイメージング基として機能する。本発明の化合物は、1個又は複数の連結基(例えばL~L)として、例えば、置換及び/又は非置換C~C30ヘテロアリーレン、C~C20ヘテロアリーレン、C~C10ヘテロアリーレン及びC~Cヘテロアリーレン基を含む。
【0061】
[0073]本明細書において使用されるとき、用語「アルケニレン」及び「アルケニレン基」は、同義で使用され、本明細書に定義される通りのアルケニル基に由来する二価基を指す。本発明は、1個又は複数のアルケニレン基を有する化合物を含む。いくつかの化合物のアルケニレン基は、連結及び/又はスペーサー基として機能する。本発明の化合物は、1個又は複数の連結基(例えばL~L)として、例えば、置換及び/又は非置換C~C20アルケニレン、C~C10アルケニレン及びC~Cアルケニレン基を含む。
【0062】
[0074]本明細書において使用されるとき、用語「シクロアルケニレン」及び「シルコアルケニレン基」は、同義で使用され、本明細書に定義される通りのシクロアルケニル基に由来する二価基を指す。本発明は、1個又は複数のシルコアルケニレン基を有する化合物を含む。いくつかの化合物のシクロアルケニレン基は、連結及び/又はスペーサー基として機能する。本発明の化合物は、1個又は複数の連結基(例えばL~L)として、例えば、置換及び/又は非置換C~C20シルコアルケニレン、C~C10シルコアルケニレン及びC~Cシルコアルケニレン基を含む。
【0063】
[0075]本明細書において使用されるとき、用語「アルキニレン」及び「アルキニレン基」は、同義で使用され、本明細書に定義される通りのアルキニル基に由来する二価基を指す。本発明は、1個又は複数のアルキニレン基を有する化合物を含む。いくつかの化合物のアルキニレン基は、連結及び/又はスペーサー基として機能する。本発明の化合物は、1個又は複数の連結基(例えばL~L)として、例えば、置換及び/又は非置換C~C20アルキニレン、C~C10アルキニレン及びC~Cアルキニレン基を含む。
【0064】
[0076]本明細書において使用されるとき、用語「ハロ」は、フルオロ(-F)、クロロ(-Cl)、ブロモ(-Br)、ヨード(-I)又はアスタト(-At)などのハロゲン基を指す。
【0065】
[0077]用語「複素環式」は、環内に炭素に加えて少なくとも1つの他の種類の原子を含む環構造を指す。こうしたヘテロ原子の例は、窒素、酸素及び硫黄を含む。複素環式環は、複素環式脂環式環及び複素環式芳香族環を含む。複素環式環の例は、ピロリジニル、ピペリジル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、フリル、チエニル、ピリジル、キノリル、イソキノリル、ピリダジニル、ピラジニル、インドリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、トリアゾリル及びテトラゾリル基を含むがこれらに限定されない。複素環式環の原子は、広範囲の他の原子及び官能基、例えば、置換基として備えられた他の原子及び官能基に結合することができる。
【0066】
[0078]用語「炭素環式」は、環内に炭素原子のみを含む環構造を指す。炭素環式環の炭素原子は、広範囲の他の原子及び官能基、例えば、置換基として備えられた他の原子及び官能基に結合することができる。
【0067】
[0079]用語「脂環式環」は、芳香環ではない環、又は複数の縮合環を指す。脂環式環は、炭素環式及び複素環式環の両方を含む。
【0068】
[0080]用語「芳香族環」は、少なくとも1個の芳香族環基を含む環、又は複数の縮合環を指す。芳香族環という用語は、炭素、水素及びヘテロ原子を含む芳香族環を含む。芳香族環は、炭素環式及び複素環式芳香族環を含む。芳香族環は、アリール基の構成成分である。
【0069】
[0081]用語「縮合環」又は「縮合環構造」は、少なくとも2個の環内炭素原子及び/又はヘテロ原子を共有する縮合環などの縮合環構成で提供された複数の脂環式及び/又は芳香族環を指す。
【0070】
[0082]本明細書において使用されるとき、用語「アルコキシアルキル」は、式アルキル-O-アルキルの置換基を指す。
【0071】
[0083]本明細書において使用されるとき、用語「ポリヒドロキシアルキル」は、2,3-ジヒドロキシプロピル、2,3,4-トリヒドロキシブチル又は2,3,4,5-テトラヒドロキシペンチル残基など、2~12個の炭素原子及び2~5個のヒドロキシル基を有する置換基を指す。
【0072】
[0084]本明細書において使用されるとき、用語「ポリアルコキシアルキル」は、式アルキル-(アルコキシ)-アルコキシ(式中、nは、1~10、好ましくは1~4、より好ましくはいくつかの実施形態については1~3の整数である)の置換基を指す。
【0073】
[0085]アミノ酸は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、メチオニン、プロリン、フェニルアラニン、トリプトファン、アスパラギン、グルタミン、グリシン、セリン、スレオニン、セリン、トレオニン、アスパラギン、グルタミン、チロシン、システイン、リジン、アルギニン、ヒスチジン、アスパラギン酸及びグルタミン酸を含む。本明細書において使用されるとき、「天然α-アミノ酸の側鎖残基」への言及は、上で言及したアミノ酸の側鎖を詳細には含む。ペプチド及びペプチド部分は、本明細書において使用及び記載されるとき、ペプチド結合を介して接続された2個以上のアミノ酸基を含む。
【0074】
[0086]アミノ酸及びアミノ酸基は、天然に存在するアミノ酸、非天然(天然に存在しない)アミノ酸、及び/又はこれらの組合せを指す。天然に存在するアミノ酸は、遺伝コードによってコードされたもの、並びに後で修飾されるアミノ酸、例えば、ヒドロキシプロリン、γ-カルボキシグルタメート、及びO-リン酸化セリンである。天然に存在するα-アミノ酸は、限定することなく、アラニン(Ala)、システイン(Cys)、アスパラギン酸(Asp)、グルタミン酸(Glu)、フェニルアラニン(Phe)、グリシン(Gly)、ヒスチジン(His)、イソロイシン(Ile)、アルギニン(Arg)、リジン(Lys)、ロイシン(Leu)、メチオニン(Met)、アスパラギン(Asn)、プロリン(Pro)、グルタミン(Gln)、セリン(Ser)、スレオニン(Thr)、バリン(Val)、トリプトファン(Trp)、チロシン(Tyr)、及びそれらの組合せを含む。天然に存在するα-アミノ酸の立体異性体は、限定することなく、D-アラニン(D-Ala)、D-システイン(D-Cys)、D-アスパラギン酸(D-Asp)、D-グルタミン酸(D-Glu)、D-フェニルアラニン(D-Phe)、D-ヒスチジン(D-His)、D-イソロイシン(D-Ile)、D-アルギニン(D-Arg)、D-リジン(D-Lys)、D-ロイシン(D-Leu)、D-メチオニン(D-Met)、D-アスパラギン(D-Asn)、D-プロリン(D-Pro)、D-グルタミン(D-Gln)、D-セリン(D-Ser)、D-スレオニン(D-Thr)、D-バリン(D-Val)、D-トリプトファン(D-Trp)、D-チロシン(D-Tyr)、及びそれらの組合せを含む。
【0075】
[0087]非天然(天然に存在しない)アミノ酸は、限定することなく、天然に存在するアミノ酸と類似の方法で機能するL-又はD-配置のいずれかのアミノ酸類似体、アミノ酸模倣物、合成アミノ酸、N-置換グリシン、及びN-メチルアミノ酸を含む。例えば、「アミノ酸類似体」は、天然に存在するアミノ酸と同じ基本的な化学構造(すなわち、水素、カルボキシル基、アミノ基に結合されている炭素)を有するが、修飾側鎖基又は修飾ペプチド骨格を有する非天然アミノ酸、例えば、ホモセリン、ノルロイシン、メチオニンスルホキシド、メチオニンメチルスルホニウムであり得る。「アミノ酸模倣物」は、アミノ酸の一般的な化学構造と異なるが、天然に存在するアミノ酸と類似の方法で機能する構造を有する化学化合物を指す。アミノ酸は、IUPAC-IUB Biochemical Nomenclature Commissionにより推奨された一般に公知の3文字記号又は1文字記号のいずれかで本明細書において呼ばれることがある。
【0076】
[0088]用語「モノマー単位」、「繰返しモノマー単位」、「繰返し単位」、及び「重合モノマー」は、交換可能に使用され得、1種の個々の「モノマー」又は「重合可能なモノマー」の重合の生成物から誘導されるか、又はそれである、本明細書に記載されるポリマーのモノマー部分を指し得る。ポリマーのそれぞれの個々のモノマー単位は、1種の重合可能なモノマーの重合の生成物から誘導されるか、又はそれである。ポリマーのそれぞれの個々の「モノマー単位」又は「繰返し単位」は、1つの(重合)ポリマー骨格基を含む。例えば、X-Y-X-Y-X-Y-X-Y(ここで各Xは、Xと互いに同一であり、各Yは、Yと互いに同一である)のように配列されたモノマー単位X及びYを含むポリマーにおいて、各X及び各Yは、繰返し単位又はモノマー単位と独立して呼ばれることがある。
【0077】
[0089]アルキル基は、直鎖、分岐状及び環状アルキル基を含む。アルキル基は、1~30個の炭素原子を有するものを含む。アルキル基は、1~3個の炭素原子を有する小さいアルキル基を含む。アルキル基は、4~10個の炭素原子を有する中間の長さのアルキル基を含む。アルキル基は、10個を超える炭素原子を有する長いアルキル基、特に10~30個の炭素原子を有するものを含む。シクロアルキルという用語は、1個又は複数の環を有するアルキル基を含む、3~30個の炭素原子、任意選択で3~20個の炭素原子、及び任意選択で2~10個の炭素原子を含む環構造などの環構造を有するアルキル基を詳細には指す。シクロアルキル基は、(1個又は複数の)3、4、5、6、7、8、9又は10員炭素環を有するもの、特に(1個又は複数の)3、4、5、6、7、又は8員環を有するものを含む。シクロアルキル基内の炭素環は、アルキル基を持つこともできる。シクロアルキル基は、二環式及びトリシクロアルキル基を含むことができる。アルキル基は、任意選択で置換されている。置換アルキル基は、とりわけ、アリール基で置換されており、そして次に任意選択で置換することができるものを含む。特定のアルキル基は、それらのすべてが任意選択で置換されているメチル、エチル、n-プロピル、iso-プロピル、シクロプロピル、n-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、シクロブチル、n-ペンチル、分岐状ペンチル、シクロペンチル、n-ヘキシル、分岐状ヘキシル、及びシクロヘキシル基を含む。置換アルキル基は、1個又は複数の水素が1個若しくは複数のフッ素原子、塩素原子、臭素原子及び/又はヨウ素原子で置き換えられたアルキル基などの完全ハロゲン化又はセミハロゲン化アルキル基を含む。置換アルキル基は、1個又は複数の水素が1個又は複数のフッ素原子で置き換えられたアルキル基などの完全フッ素化又はセミフッ素化アルキル基を含む。アルコキシ基は、酸素との連結により修飾された、式R-Oにより表すことができ、アルキルエーテル基と呼ばれることもあるアルキル基である。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、ブトキシ及びヘプトキシを含むがこれらに限定されない。アルコキシ基は、基のアルキル部分が、アルキル基の説明に関連して本明細書に記載される通り置換されている置換アルコキシ基を含む。本明細書において使用されるとき、MeO-はCHO-を指す。本発明のいくつかの実施形態の組成物は、ポリマー骨格末端基及び/又はポリマー側鎖末端基などの末端基としてアルキル基を含む。置換アルキル基は、1個又は複数のシリル基を組み込んでいる置換、例えば1個又は複数の炭素がSiによって置き換えられている置換を含んでもよい。
【0078】
[0090]アルケニル基は、直鎖、分岐状及び環状アルケニル基を含む。アルケニル基は、1個、2個又はそれ以上の二重結合を有し、二重結合のうちの2個以上が共役二重結合であるものを含む。アルケニル基は、2~20個の炭素原子を有するものを含む。アルケニル基は、2~3個の炭素原子を有する小さいアルケニル基を含む。アルケニル基は、4~10個の炭素原子を有する中間の長さのアルケニル基を含む。アルケニル基は、10個を超える炭素原子を有する長いアルケニル基、特に10~20個の炭素原子を有するものを含む。シクロアルケニル基は、二重結合が環内にか、又は環に結合されたアルケニル基内にあるものを含む。シクロアルケニルという用語は、(1個又は複数の)3、4、5、6、7、8、9又は10員炭素環を有するアルケニル基、特に(1個又は複数の)3、4、5、6又は7員環を有するものを含む、環構造を有するアルケニル基を詳細には指す。シクロアルケニル基内の炭素環は、アルキル基を持つこともできる。シクロアルケニル基は、二環式及び三環式アルケニル基を含むことができる。アルケニル基は、任意選択で置換されている。置換アルケニル基は、とりわけ、アルキル又はアリール基で置換されており、ひいては、それらの基を任意選択で置換することができるものを含む。特定のアルケニル基は、それらのすべてが任意選択で置換されているエテニル、プロパ-1-エニル、プロパ-2-エニル、シクロプロパ-1-エニル、ブタ-1-エニル、ブタ-2-エニル、シクロブタ-1-エニル、シクロブタ-2-エニル、ペンタ-1-エニル、ペンタ-2-エニル、分岐状ペンテニル、シクロペンタ-1-エニル、ヘキサ-1-エニル、分岐状ヘキセニル、シクロヘキセニルを含む。置換アルケニル基は、1個又は複数の水素が1個若しくは複数のフッ素原子、塩素原子、臭素原子及び/又はヨウ素原子で置き換えられたアルケニル基などの完全ハロゲン化又はセミハロゲン化アルケニル基を含む。置換アルケニル基は、1個又は複数の水素原子が1個又は複数のフッ素原子で置き換えられたアルケニル基などの完全フッ素化又はセミフッ素化アルケニル基を含む。本発明のいくつかの実施形態の組成物は、ポリマー骨格末端基及び/又はポリマー側鎖末端基などの末端基としてアルケニル基を含む。
【0079】
[0091]アリール基は、複素環式芳香族環を含む1個又は複数の5、6、7、又は8員芳香族環を有する基を含む。ヘテロアリールという用語は、少なくとも1個の5、6、7、又は8員複素環式芳香族環を有するアリール基を詳細には指す。アリール基は、1個若しくは複数の縮合ヘテロ芳香族環、並びに/又は共有結合を介して縮合若しくは連結することができる1個若しくは複数の芳香族環及び1個若しくは複数の非芳香族環の組合せを含む1個若しくは複数の縮合芳香環を含むことができる。複素環式芳香族環は、環内に1個又は複数のN、O、又はS原子を含むことができる。複素環式芳香族環は、1個、2個若しくは3個のN原子を有するもの、1個若しくは2個のO原子を有するもの、及び1個若しくは2個のS原子を有するもの、又は1個若しくは2個若しくは3個のN、O若しくはS原子の組合せを含むことができる。アリール基は、任意選択で置換されている。置換アリール基は、とりわけ、アルキル又はアルケニル基で置換されており、ひいては、それらの基を任意選択で置換することができるものを含む。特定のアリール基は、それらのすべてが任意選択で置換されているフェニル、ビフェニル基、ピロリジニル、イミダゾリジニル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、フリル、チエニル、ピリジル、キノリル、イソキノリル、ピリダジニル、ピラジニル、インドリル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリジニル、ベンゾオキサジアゾリル、ベンゾチアジアゾリル、及びナフチル基を含む。置換アリール基は、1個又は複数の水素が1個若しくは複数のフッ素原子、塩素原子、臭素原子及び/又はヨウ素原子で置き換えられたアリール基などの完全ハロゲン化又はセミハロゲン化アリール基を含む。置換アリール基は、1個又は複数の水素が1個又は複数のフッ素原子で置き換えられたアリール基などの完全フッ素化又はセミフッ素化アリール基を含む。アリール基は、以下:ベンゼン、ナフタレン、ナフトキノン、ジフェニルメタン、フルオレン、アントラセン、アントラキノン、フェナントレン、テトラセン、テトラセンジオン、ピリジン、キノリン、イソキノリン、インドール類、イソインドール、ピロール、イミダゾール、オキサゾール、チアゾール、ピラゾール、ピラジン、ピリミジン、プリン、ベンゾイミダゾール、フラン類、ベンゾフラン、ジベンゾフラン、カルバゾール、アクリジン、アクリドン、フェナントリジン、チオフェン、ベンゾチオフェン、ジベンゾチオフェン、キサンテン、キサントン、フラボン、クマリン、アズレン又はアントラサイクリンのいずれか1つに対応する芳香族基含有基又は複素環式芳香族基含有基を含むがこれらに限定されない。本明細書において使用されるとき、上に列挙された基に対応する基は、本明細書に列挙される芳香族及び複素環式芳香族基の一価、二価及び多価基を含む芳香族又は複素環式芳香族基を明示的に含み、任意の適した結合点において本発明の化合物中に共有結合構成で提供される。実施形態において、アリール基は、5~30個の間の炭素原子を含む。実施形態において、アリール基は、1個の芳香族又はヘテロ芳香族6員環及び1個若しくは複数の追加の5又は6員芳香族或いはヘテロ芳香族環を含む。実施形態において、アリール基は、環内に5~18個の間の炭素原子を含む。アリール基は、置換基として1個若しくは複数の電子供与性基、電子吸引基及び/又は標的化リガンドを備えた1個若しくは複数の芳香族環又は複素環式芳香族環を任意選択で有する。本発明のいくつかの実施形態の組成物は、ポリマー骨格末端基及び/又はポリマー側鎖末端基などの末端基としてアリール基を含む。
【0080】
[0092]アリールアルキル基は、アルキル基が追加の置換基を任意選択で持ち、アリール基が任意選択で置換されている、1個又は複数のアリール基で置換されたアルキル基である。特定のアルキルアリール基は、フェニル-置換アルキル基、例えば、フェニルメチル基である。アルキルアリール基は、アルキル基が追加の置換基を任意選択で持ち、アリール基が任意選択で置換されている、1個又は複数のアルキル基で置換されたアリール基として代替的に記載される。特定のアルキルアリール基は、メチルフェニルなどのアルキル-置換フェニル基である。置換アリールアルキル基は、1個又は複数の水素が1個若しくは複数のフッ素原子、塩素原子、臭素原子及び/又はヨウ素原子で置き換えられた1個又は複数のアルキル及び/又はアリール基を有するアリールアルキル基などの完全ハロゲン化又はセミハロゲン化アリールアルキル基を含む。本発明のいくつかの実施形態の組成物は、ポリマー骨格末端基及び/又はポリマー側鎖末端基などの末端基としてアリールアルキル基を含む。
【0081】
[0093]1個又は複数の置換基を含む本明細書に記載される基のいずれかに関して、こうした基は、立体的に非現実的である、及び/若しくは合成的に実現可能でないいかなる置換又は置換パターンも含まないことが理解される。加えて、本発明の化合物は、これらの化合物の置換によって生じるすべての立体化学的異性体を含む。アルキル基の任意選択の置換は、アルケニル基又はアリール基が任意選択で置換されている1個若しくは複数のアルケニル基、アリール基又はその両方での置換を含む。アルケニル基の任意選択の置換は、アルキル基又はアリール基が任意選択で置換されている1個若しくは複数のアルキル基、アリール基、又はその両方での置換を含む。アリール基の任意選択の置換は、アルキル基又はアルケニル基が任意選択で置換されている1個若しくは複数のアルキル基、アルケニル基、又はその両方でのアリール環の置換を含む。
【0082】
[0094]任意のアルキル、アルケニル及びアリール基の任意選択の置換基は、とりわけ、以下の置換基のうちの1つ又は複数での置換を含む:
フッ素、塩素、臭素又はヨウ素を含むハロゲン;
-CNを含む擬ハロゲン化物;
-COOR(ここでRは、水素又はアルキル基又はアリール基であり、より詳細には、ここで、Rは、それらの基のすべてが任意選択で置換されているメチル、エチル、プロピル、ブチル、又はフェニル基である);
-COR(ここでRは、水素又はアルキル基又はアリール基であり、より詳細には、ここで、Rは、それらの基のすべてが任意選択で置換されているメチル、エチル、プロピル、ブチル、又はフェニル基である);
-CON(R)(ここで各Rは、Rとは互いに独立して、水素又はアルキル基又はアリール基であり、より詳細には、ここで、Rは、それらの基のすべてが任意選択で置換されているメチル、エチル、プロピル、ブチル、又はフェニル基であり;ここでR及びRは、1個又は複数の二重結合を含むことができ、1個又は複数の追加の炭素原子を含むことができる環を形成することができる);
-OCON(R)(ここで各Rは、Rとは互いに独立して、水素又はアルキル基又はアリール基であり、より詳細には、ここで、Rは、それらの基のすべてが任意選択で置換されているメチル、エチル、プロピル、ブチル、又はフェニル基であり;ここでR及びRは、1個又は複数の二重結合を含むことができ、1個又は複数の追加の炭素原子を含むことができる環を形成することができる);
-N(R)(ここで各Rは、Rとは互いに独立して、水素、又はアルキル基、又はアシル基又はアリール基であり、より詳細には、ここで、Rは、それらのすべてが任意選択で置換されているメチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル又はアセチル基であり;ここでR及びRは、1個又は複数の二重結合を含むことができ、1個又は複数の追加の炭素原子を含むことができる環を形成することができる);
-SR(ここでRは、水素又はアルキル基又はアリール基であり、より詳細には、ここで、Rは、それらが任意選択で置換されている水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、又はフェニル基である);
-SOR、又は-SOR(ここでRは、アルキル基又はアリール基であり、より詳細には、ここで、Rは、それらのすべてが任意選択で置換されているメチル、エチル、プロピル、ブチル、又はフェニル基である);
-OCOOR(ここでRは、アルキル基又はアリール基である);
-SON(R)(ここで各Rは、Rとは互いに独立して、それらのすべてが任意選択で置換されている水素、又はアルキル基、又はアリール基であり、ここでR及びRは、1個又は複数の二重結合を含むことができ、1個又は複数の追加の炭素原子を含むことができる環を形成することができる);及び
[0095]-OR(ここでRは、それらのすべてが任意選択で置換されているH、アルキル基、アリール基、又はアシル基である)。特定の例においてRは、-OCOR’’(ここでR’’は、水素又はアルキル基又はアリール基であり、より詳細には、ここで、R’’は、それらの基のすべてが任意選択で置換されているメチル、エチル、プロピル、ブチル、又はフェニル基である)を生じるアシルであり得る。
【0083】
[0096]特定の置換アルキル基は、ハロアルキル基、特にトリハロメチル基、詳細にはトリフルオロメチル基を含む。特定の置換アリール基は、モノ-、ジ-、トリ、テトラ-及びペンタハロ-置換フェニル基;モノ-、ジ-、トリ-、テトラ-、ペンタ-、ヘキサ-、及びヘプタ-ハロ-置換ナフタレン基;3-又は4-ハロ-置換フェニル基、3-又は4-アルキル-置換フェニル基、3-又は4-アルコキシ-置換フェニル基、3-又は4-RCO-置換フェニル、5-又は6-ハロ-置換ナフタレン基を含む。より詳細には、置換アリール基は、アセチルフェニル基、特に4-アセチルフェニル基;フルオロフェニル基、特に3-フルオロフェニル及び4-フルオロフェニル基;クロロフェニル基、特に3-クロロフェニル及び4-クロロフェニル基;メチルフェニル基、特に4-メチルフェニル基;並びにメトキシフェニル基、特に4-メトキシフェニル基を含む。
【0084】
[0097]1個又は複数の置換基を含む上記の基のいずれかに関して、こうした基は、立体的に非現実的である、及び/若しくは合成的に実現可能でないいかなる置換又は置換パターンも含まないことが理解される。
【0085】
[0098]本明細書に開示される分子の多くは、1個又は複数のイオン化可能基を含む。イオン化可能基は、プロトンを除去(例えば、-COOH)又は付加(例えば、アミン)することができる基及び四級化(例えば、アミン)することができる基を含む。こうした分子及びその塩のすべての可能なイオン型が、本明細書の開示において個々に含まれることが意図される。本明細書の化合物の塩に関して、当業者は、所与の用途のための本発明の塩の調製に適切である多種多様な利用可能な対イオンの中から選択することができる。特定の用途において、塩の調製のための所与のアニオン又はカチオンの選択は、その塩の溶解性の向上又は低下に結果としてつながり得る。
【0086】
[0099]本発明の化合物は、1個又は複数のキラル中心を含むことができる。したがって、本発明は、ラセミ混合物、ジアステレオマー、エナンチオマー、互変異性体及び1種又は複数種の立体異性体に富む混合物を含むことが意図される。記載及び特許請求される通りの本発明の範囲は、化合物のラセミ形態並びに個々のエナンチオマー及びその非ラセミ混合物を包含する。
【0087】
[0100]本明細書において使用されるとき、用語「異性体」は、同じ数及び種類の原子、したがって同じ分子量を有するが、原子の構造配列又は配置に関して異なる化合物を指す。
【0088】
[0101]用語「互変異性体」は、本明細書において使用されるとき、平衡状態で存在し、ある異性体形態から別の異性体形態に容易に変換される2種以上の構造異性体のうちの1種を指す。本発明の特定の化合物は、互変異性体形態で存在してもよく、化合物のすべてのこうした互変異性体形態が本発明の範囲内であることが当業者に明らかになるであろう。
【0089】
[0102]特に記載されない限り、本明細書に示される構造は、すべての立体化学的形態の構造;すなわち、各不斉中心におけるR及びS配置を含むことも意図する。したがって、本化合物の単一の立体化学的異性体並びにエナンチオマー及びジアステレオマー混合物は、本発明の範囲内である。
【0090】
[0103]特に記載されない限り、本明細書に示される構造は、1個又は複数の同位体濃縮原子の存在のみ異なる化合物を含むことも意図する。例えば、重水素若しくは三重水素による水素の置換え、又は13C-若しくは14C-濃縮炭素による炭素の置換えを除く本構造を有する化合物は、本発明の範囲内である。
【0091】
[0104]本発明の化合物は、こうした化合物を構成する原子のうちの1個又は複数において非天然比率の原子同位体を含むこともできる。例えば、化合物は、例えば三重水素(H)、ヨウ素-125(125I)、又は炭素-14(14C)などの放射性同位体で放射標識されてもよい。本発明の化合物のすべての同位体変種は、放射性かどうかに関わらず、本発明の範囲内に包含される。
[0105]記号「
【化1】

」は、表された分子、化合物、又は化学式との化学部分、官能基、原子、イオン、不対電子、又は他の化学種の結合点を表す。例えば、式
【化2】

中、「X」は、分子又は化合物を表し、記号「
【化3】

」は、共有結合を介したX(ここでXは、表された分子、化合物、又は化学式に対応する)との化学部分、官能基、原子、イオン、不対電子、又は他の化学種の結合点を表す。本明細書において使用されるとき、表された様々な官能基は、ハイフン若しくはダッシュ(-)又はアスタリスク(*)と組み合わせて使用されたダッシュを有する官能基において結合点を有すると理解されるであろう。言い換えれば、-CHCHCH又は-CHCHCHの場合、結合点は、左端のCH基であることが理解されるであろう。基が、アスタリスク又はダッシュなしで記載されている場合は、結合点は、記載された基の明白且つ通常の意味により示される。
【0092】
[0106]置換基が、左から右へ書かれたそれらの従来の化学式により指定されている場合、それらは、構造を右から左へ書く結果生じるであろう化学的に同一である置換基を等しく包含し、例えば、-CHO-は、-OCH-と同等である。
【0093】
[0107]用語「±」は、「X±Y」(式中、X及びYのそれぞれは、独立して数字である)が、X-Y~X+Yの範囲から選択される値の包括的な範囲を指すような値の包括的な範囲を指す。「X±Y」(式中、Yは、百分率である(例えば、1.0±20%))の場合において、値の包括的な範囲は、X-Z~X+Z(式中、Zは、X・(Y/100)に等しい)の範囲から選択される。例えば、1.0±20%は、0.8~1.2の範囲から選択される値の包括的な範囲を指す。
【0094】
[0108]用語「及び/又は」は、用語及び/又は現れるリストからの単一の要素だけ、又は要素の任意の組合せを指すために本明細書、説明及び特許請求の範囲において使用される。言い換えれば、用語「及び/又は」を有する2つ以上の要素のリストは、個々の要素だけのいずれかを有するか、又は列挙された要素の任意の組合せを有する実施形態を網羅することが意図される。例えば、語句「要素A及び/又は要素B」は、要素Aだけを有するか、要素Bだけを有するか、又は要素A及びBの両方をまとめて有する実施形態を網羅することが意図される。例えば、語句「要素A、要素B、及び/又は要素C」は、要素Aだけを有するか、要素Bだけを有するか、要素Cだけを有するか、要素A及びBをまとめて有するか、要素A及びCをまとめて有するか、要素B及びCをまとめて有するか、又は要素A、B、及びCをまとめて有する実施形態を網羅することが意図される。
【0095】
[0109]ある実施形態において、アロイ又はアロイの前駆体など、本発明の組成物又は化合物は、単離されるか、又は実質的に精製される。ある実施形態において、単離又は精製化合物は、当技術分野において理解されるであろうように少なくとも部分的に単離されているか、又は実質的に精製されている。ある実施形態において、本発明の実質的に精製された組成物、化合物又は製剤は、純度95%、任意選択でいくつかの用途については99%、任意選択でいくつかの用途については99.9%、任意選択でいくつかの用途については99.99%、及び任意選択でいくつかの用途については99.999%の化学的純度を有する。
【実施例
【0096】
〔本発明の詳細な説明〕
[0110]以下の説明において、本発明のデバイス、デバイス構成成分及び方法の多数の特定の詳細が、本発明の正確な性質を完全に説明するために記載される。しかし、本発明は、これらの特定の詳細なしに実行することができることが当業者に明らかになるであろう。
【0097】
[0111]様々な態様が、本明細書において企図され、それらのいくつかが、以下の段落に記載される。任意の態様又はその部分を組み合わせて、ある態様を形成することができることが明示的に企図される。さらに、例えば、用語「先行する態様のいずれか1つ」は、こうした語句を含む態様の前に現れる任意の態様が参照されることを意味する(例えば、条項「態様10:…先行する態様のいずれか1つに記載の方法」は、態様1~9を含む、態様10の前の任意の態様が参照されることを意味する)。加えて、態様X(ここでXは、以下の態様のうちの1つ(例えば、態様11)に対応する整数である)へのどのような言及も、態様AXa、AXb、及び/又はAXc(存在する場合)など(例えば、態様11a、態様11b、態様11c、及び/又は態様11d)への言及を含むことが明示的に企図される。
【0098】
[0112]態様1:対象の処置のための方法であって、人工メラニン材料を有するメラニン製剤を対象の損傷皮膚に(又は、対象の損傷皮膚の部位に)局所的に投与する(それによって人工メラニン材料を投与する)ステップであり;投与された人工メラニン材料が、損傷皮膚に(又は、損傷皮膚の部位に)、細胞外人工メラニン材料を含む、ステップと;少なくとも細胞外人工メラニン材料を介して損傷皮膚の(又は、損傷皮膚内で)皮膚治癒を促進するステップであり;皮膚治癒を促進するステップが、細胞外人工メラニン材料の少なくとも一部が、治療的細胞外活性を発揮することを含む、ステップとを含む、方法。用語「損傷皮膚の」は、損傷皮膚の部位、又は損傷皮膚の少なくとも一部を含む、任意選択で、必ずではないが、損傷皮膚を直接取り囲んでいるか、若しくはそれに隣接するいくつかの区域/領域も含む領域を一般に指す。用語「損傷皮膚の」は、「損傷皮膚の少なくとも一部の上の」を一般に含む。皮膚治癒を促進するステップは、一般には、排他的にではないが、メラニン製剤での損傷皮膚の処置なしか、若しくはその非存在下での、任意選択で任意の処置の非存在下での同じか、又は同等の損傷皮膚の治癒と比較して皮膚治癒を加速させること、若しくは速めることを指すか、又はそれを含む。この態様において任意選択で、投与された人工メラニン材料の少なくとも50%は細胞外人工メラニン材料である。この態様において任意選択で、細胞外人工メラニン材料は、損傷皮膚に存在する限り(又は、全時間)、細胞外に存在する(例えば、除去されるまで)。この態様において任意選択で、方法は、投与された人工メラニンの少なくとも一部が、1種若しくは複数種の炎症因子、1種若しくは複数種の酵素因子、及び/又は1種若しくは複数種のアポトーシス因子を吸着するか、不活性化/非活性化するか、又はさもなければ異なる種へと転換することを含む。
【0099】
[0113]態様2a:損傷皮膚が閉創である、態様1に記載の方法。態様2b:損傷皮膚が、付着された表面皮膚の残遺物を有する閉創である、態様1に記載の方法。
【0100】
[0114]態様3a:損傷皮膚が、熱的誘発損傷、化学的誘発損傷、及び/又は放射線誘発損傷に関連する、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。態様3b:損傷皮膚が、熱的誘発損傷、化学的誘発損傷、放射線誘発損傷(UV誘発損傷など)、機械的摩擦損傷、及び/又は感染蜂巣炎誘発損傷に関連する、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0101】
[0115]態様4a:損傷皮膚が、1個又は複数の水疱を含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。態様4b:損傷皮膚が、1個若しくは複数の可視的水疱、1個若しくは複数の微視的小水疱、真皮からの表皮の分離、又はこれらの任意の組合せを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0102】
[0116]態様5:細胞外メラニン材料の少なくとも一部が、損傷皮膚の角質層内にある、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0103】
[0117]態様6:損傷皮膚が細胞外フリーラジカル種を含み;治療的細胞外活性が、細胞外人工メラニン材料の少なくとも一部が、少なくとも細胞外フリーラジカル種(又は、細胞外フリーラジカル種の少なくとも一部)をクエンチすることを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0104】
[0118]態様7:細胞外フリーラジカル種が反応性酸素化種を含む、態様6に記載の方法。
【0105】
[0119]態様8:クエンチされた細胞外フリーラジカル種の少なくとも一部が角質層内にある、態様6又は7に記載の方法。
【0106】
[0120]態様9:損傷皮膚が炎症を含み;皮膚治癒を促進するステップが、投与された人工メラニン材料の少なくとも一部が、炎症を直接的及び/又は間接的に軽減することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0107】
[0121]態様10:治療的細胞外活性が、細胞外人工メラニン材料の少なくとも一部が、炎症を直接的及び/又は間接的に軽減することを含む、態様9に記載の方法。
【0108】
[0122]態様11a:炎症を直接的及び/又は間接的に軽減することが、投与された人工メラニンの少なくとも一部が、1種若しくは複数種の炎症因子及び/又は1種若しくは複数種の酵素因子を吸着することを含む、態様9又は10に記載の方法。態様11b:炎症を直接的及び/又は間接的に軽減することが、投与された人工メラニンの少なくとも一部が、1種若しくは複数種の炎症因子、1種若しくは複数種の酵素因子、及び/又は1種若しくは複数種のアポトーシス因子を吸着するか、不活性化/非活性化するか、又はさもなければ異なる種へと転換することを含む、態様9又は10に記載の方法。態様11c:炎症を直接的及び/又は間接的に軽減することが、投与された人工メラニンの少なくとも一部が、炎症に関連する1種又は複数種の遺伝子の発現を直接的及び/又は間接的に下方制御することを含む、態様9又は10に記載の方法。態様11d:炎症を直接的及び/又は間接的に軽減することが、投与された人工メラニンの少なくとも一部が、1種若しくは複数種の炎症因子、1種若しくは複数種の酵素因子、及び/又は1種若しくは複数種のアポトーシス因子を吸着するか、不活性化/非活性化するか、又はさもなければ異なる種へと転換することを含む、態様9又は10に記載の方法。態様11e:炎症を直接的及び/又は間接的に軽減することが、投与された人工メラニンの少なくとも一部が、Fas、Gzmb、Bcl2l1、Bcl2、Bax、又はこれらの組合せの発現を直接的及び/又は間接的に下方制御することを含む、態様9又は10に記載の方法。
【0109】
[0123]態様12a:炎症を直接的及び/又は間接的に軽減することが、細胞外人工メラニンの少なくとも一部が、1種若しくは複数種の細胞外炎症因子及び/又は1種若しくは複数種の細胞外酵素因子を吸着することを含む、態様9~11のいずれか1つに記載の方法。態様12b:炎症を直接的及び/又は間接的に軽減することが、細胞外人工メラニンの少なくとも一部が、1種若しくは複数種の炎症因子、1種若しくは複数種の酵素因子、及び/又は1種若しくは複数種のアポトーシス因子を吸着することを含む、態様9~11のいずれか1つに記載の方法。態様12c:炎症を直接的及び/又は間接的に軽減することが、細胞外人工メラニンの少なくとも一部が、1種若しくは複数種の炎症因子、1種若しくは複数種の酵素因子、及び/又は1種若しくは複数種のアポトーシス因子を吸着するか、不活性化/非活性化するか、又はさもなければ異なる種へと転換することを含む、態様9~11のいずれか1つに記載の方法。
【0110】
[0124]態様13a:1種若しくは複数種の炎症因子及び/又は1種若しくは複数種の酵素因子が、TNFα、iNOS、MMP9、MAPK/ERK経路に関連する1種若しくは複数種のタンパク質、及び/又はMAPK/ERK経路に関連する1種若しくは複数種の酵素を含む、態様11又は12に記載の方法。
【0111】
[0125]態様14:吸着された炎症因子及び/又は吸着された細胞外酵素因子の少なくとも一部が角質層内にある、態様11~13のいずれか1つに記載の方法。
【0112】
[0126]態様15a:促進するステップが、投与された人工メラニンの少なくとも一部が、人工メラニン材料が存在しないときと比較して炎症関連遺伝子及び/又はアポトーシス関連遺伝子を直接的及び/又は間接的に下方制御することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。態様15b:促進するステップが、細胞外人工メラニンの少なくとも一部が、人工メラニン材料が存在しないときと比較して炎症関連遺伝子及び/又はアポトーシス関連遺伝子を直接的及び/又は間接的に下方制御することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。態様15c:促進するステップが、細胞外人工メラニンの少なくとも一部が、Fas、Gzmb、Bcl2l1、Bcl2、Bax、Cxcr3、Stat1、Stat3、Ccr2、Ece1、MMP9、又はこれらの組合せを直接的及び/又は間接的に下方制御することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。一般には、「人工メラニン材料が存在しないとき」は、実施例1A~1Bにおいて論じられる対照又はビヒクルのケースなど、メラニン製剤が投与されないか、又はメラニンを含まない同等のメラニン製剤が投与される(例えば、対照として適した同じか、又は同等の皮膚損傷に)比較ケースを指すか、又はそれに対応する。
【0113】
[0127]態様16:促進するステップが、投与された人工メラニンの少なくとも一部が、人工メラニン材料が存在しないときと比較してアポトーシスを直接的及び/又は間接的に阻害することを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0114】
[0128]態様17:皮膚治癒を促進するステップが、投与された人工メラニン材料の少なくとも一部が治療的細胞内活性を発揮することをさらに含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0115】
[0129]態様18:治療的細胞内活性が、
細胞内フリーラジカル種をクエンチするステップ;並びに/或いは
1種若しくは複数種の細胞内炎症因子及び/又は1種若しくは複数種の細胞内酵素因子を吸着するステップ
を含む、態様17に記載の方法。
【0116】
[0130]態様19:皮膚治癒が、
損傷組織を含む創傷区域の減少;
損傷皮膚の炎症の軽減;
損傷皮膚のスーパーオキシドジスムターゼ活性の増加;
損傷皮膚の二つ折り皮膚厚の減少;
損傷皮膚の皮膚浮腫の減少;
損傷皮膚の痂皮剥離までの時間の減少;
損傷皮膚の傷害の深さの減少;及び/又は
損傷皮膚の上皮層の安定化
を含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0117】
[0131]態様20:皮膚治癒が、皮膚治癒の間の人工メラニン材料の非存在下での同じ1つ又は複数の治癒特性よりも少ない以下の治癒特性:
メラニン製剤を投与する直前に損傷組織の量若しくは濃度をその50%まで減少させる総時間(例えば、平均総時間);
メラニン製剤を投与する直前に損傷皮膚の炎症をその50%まで減少させる総時間(例えば、平均総時間);
メラニン製剤を投与する直前に損傷皮膚の二つ折り皮膚厚をその50%まで減少させる総時間(例えば、平均総時間);
メラニン製剤を投与する直前に損傷皮膚の皮膚浮腫をその50%まで減少させる総時間(例えば、平均総時間);
メラニン製剤を投与する直前に損傷皮膚の傷害の深さをその50%まで減少させる総時間(例えば、平均総時間);及び/又は
領域内の痂皮剥離までの総時間(例えば、平均総時間)のうちの1つ又は複数によって特徴付けられる、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。一般には、「人工メラニン材料の非存在下で」は、メラニン製剤が投与されないか、又はメラニンを含まない同等のメラニン製剤が投与される(例えば、対照として適した同じか、又は同等の皮膚損傷に)比較ケースを指すか、又はそれに対応する。
【0118】
[0132]態様21:皮膚治癒が、皮膚治癒の間の人工メラニン材料の非存在下での同じ1つ又は複数の治癒特性よりも多い以下の治癒特性:
損傷皮膚を含む創傷区域の減少速度(例えば、平均速度);
損傷皮膚の炎症の減少速度(例えば、平均速度);
損傷皮膚の二つ折り皮膚厚の減少速度(例えば、平均速度);
損傷皮膚の皮膚浮腫の減少速度(例えば、平均速度);
損傷皮膚の傷害の深さの減少速度(例えば、平均速度);
損傷皮膚の上皮層の安定化速度(例えば、平均速度);及び/又は
損傷皮膚のスーパーオキシドジスムターゼの活性(例えば、平均活性)
のうちの1つ又は複数によって特徴付けられる、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0119】
[0133]態様22:人工メラニン材料が多孔質人工メラニン材料を含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0120】
[0134]態様23:人工メラニン材料が人工メラニン粒子を含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0121】
[0135]態様24:人工メラニン材料が多孔質人工メラニン粒子を含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0122】
[0136]態様25:人工メラニン材料の少なくとも一部が、ユーメラニン、フェオメラニン、アロメラニン、又はこれらの組合せとして特徴付けられる、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0123】
[0137]態様26:人工メラニン材料が非晶質人工メラニン材料を含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0124】
[0138]態様27:人工メラニン材料が、複数種のメラニンオリゴマー及び/又はポリマーを含み;各メラニンオリゴマー及び/又はポリマーが、複数の共有結合メラニン基本単位を含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0125】
[0139]態様28:前記メラニン基本単位が、1種若しくは複数種の置換又は非置換カテコールベースのモノマー単位、置換又は非置換ポリオールベースのモノマー単位、置換又は非置換フェノールベースのモノマー単位、置換又は非置換インドールベースのモノマー単位、置換又は非置換ベンゾチアジンベースのモノマー単位、置換又は非置換ベンゾチアゾールベースのモノマー単位、置換又は非置換ドーパミンベースのモノマー単位、或いはこれらの任意の組合せである、態様27に記載の方法。
【0126】
[0140]態様29:人工メラニン材料の少なくとも一部のそれぞれがアロメラニンを含む、態様27又は28に記載の方法。
【0127】
[0141]態様30:前記メラニン基本単位の少なくとも一部が、置換又は非置換ナフタレンをそれぞれ独立して含む、態様27~29のいずれか1つに記載の方法。
【0128】
[0142]態様31:前記メラニン基本単位の少なくとも一部が、ジヒドロキシナフタレンをそれぞれ独立して含む、態様27~30のいずれか1つに記載の方法。
【0129】
[0143]態様32:人工メラニン材料の少なくとも一部が、窒素を含まないメラニンオリゴマーを含む、態様27~31のいずれか1つに記載の方法。
【0130】
[0144]態様33:人工メラニン材料の少なくとも一部がポリドーパミンを含む、態様27~28のいずれか1つに記載の方法。
【0131】
[0145]態様34:前記メラニン基本単位の少なくとも一部が、置換又は非置換ドーパミンモノマーをそれぞれ独立して含む、態様27、28、又は33のいずれか1つに記載の方法。
【0132】
[0146]態様35:前記メラニン基本単位の少なくとも一部がそれぞれ独立して、置換又は非置換ジヒドロキシドーパミンモノマー単位、置換又は非置換ジオキシドーパミンモノマー単位、置換又は非置換ジヒドロキシナフタレンモノマー単位、置換又は非置換ジヒドロキシフェニルアラニンモノマー単位、置換又は非置換ジオキシドーパミンモノマー単位、置換又は非置換チロシンモノマー単位、置換又は非置換チラミンモノマー単位、これらの任意の誘導体、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される、態様27、28、又は33~34のいずれか1つに記載の方法。
【0133】
[0147]態様36:前記メラニン基本単位の少なくとも一部がそれぞれ独立して、3,4-ジヒドロキシドーパミンモノマー単位、3,4-ジオキシドーパミンモノマー単位、3,4-ジヒドロキシナフタレンモノマー単位、1,8-ジヒドロキシナフタレン(dihydroxynapthalene)、l-3,4-ジヒドロキシフェニルアラニンモノマー単位、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される、態様27、28、又は33~35のいずれか1つに記載の方法。
【0134】
[0148]態様37:複数種のメラニンオリゴマーの少なくとも50%が、モノマー単位、ダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー、及びその任意の組合せからなる群から選択される、態様27~36のいずれか1つに記載の方法。
【0135】
[0149]態様38:各メラニンオリゴマーが、水素結合及びナフタレン環のπ-πスタッキングのうちの少なくとも1つを介して少なくとも1種の他のメラニンオリゴマー又はメラニンモノマーと非共有結合的に会合しており;メラニンモノマーがメラニン基本単位を含む、態様27~37のいずれか1つに記載の方法。
【0136】
[0150]態様39:人工メラニン材料が多孔質人工メラニン材料(例えば、多孔質人工メラニン(ナノ)粒子)を含み;多孔質人工メラニン材料のメラニンオリゴマー及び/又はポリマーが配列されて、複数の細孔を有する内部構造を形成し;多孔質人工メラニン材料が、0.1cm/g以上の材料の質量当たりの細孔容積によって特徴付けられ、前記細孔の少なくとも一部が、0.5nm以上の少なくとも1つのサイズ寸法を有する、態様27~38のいずれか1つに記載の方法。
【0137】
[0151]態様40:人工メラニン材料が人工メラニン粒子を含み;人工メラニン粒子の少なくとも一部が、固体粒子、中空粒子、レース状粒子、又はこれらの任意の組合せである、態様27~39のいずれか1つに記載の方法。
【0138】
[0152]態様41:人工メラニン材料の少なくとも一部が、1種又は複数種のセレノメラニンポリマーを含み;1種又は複数種のセレノメラニンポリマーが、複数の共有結合セレノメラニン基本単位を含み;1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれの化学式が、少なくとも1個のセレン原子を含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0139】
[0153]態様42:各セレノメラニンポリマーがフェオメラニンである、態様41に記載の方法。
【0140】
[0154]態様43:1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれの化学式が、少なくとも1個のセレン原子のそれぞれとの少なくとも1個の共有結合を含む、態様41又は42に記載の方法。
【0141】
[0155]態様44:1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれの化学式が、置換若しくは非置換ベンゾセレナジン又はその誘導体、置換若しくは非置換ベンゾセレナゾール又はその誘導体、置換若しくは非置換7,10-ジヒドロ-2H-[1,4]セレナジノ[3,2-h]イソキノリン-3(4H)-オン又はその誘導体、置換若しくは非置換ベンゾセレナジノン又はその誘導体、或いはこれらの任意の組合せを含む、態様41~43のいずれか1つに記載の方法。
【0142】
[0156]態様45a:人工メラニン材料が、10nm~1000nm(ここで任意の中間範囲が明示的に企図される)、任意選択で10nm超~1000nm未満、任意選択で10nm~50nm、任意選択で20nm~1000nm、任意選択で100nm~1000nm、任意選択で150nm~1000nm、任意選択で200nm~1000nm、任意選択で220nm~1000nm、任意選択で240nm~1000nm、任意選択で250nm~1000nm、任意選択で275nm~1000nm、任意選択で300nm~1000nm、任意選択で240nm~900nmの範囲から選択されたサイズ(又は、直径など、特性サイズ)を有する人工メラニン粒子を含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。態様45b:人工メラニン材料が、10nm~1000nm(ここで任意の中間範囲が明示的に企図される)、任意選択で10nm超~1000nm未満、任意選択で10nm~50nm、任意選択で20nm~1000nm、任意選択で100nm~1000nm、任意選択で150nm~1000nm、任意選択で200nm~1000nm、任意選択で220nm~1000nm、任意選択で240nm~1000nm、任意選択で250nm~1000nm、任意選択で275nm~1000nm、任意選択で300nm~1000nm、任意選択で240nm~900nm、任意選択で300nm~900nm、任意選択で250nm~800nm、任意選択で250nm~800nm、任意選択で275nm~800nmの範囲から選択された平均サイズ(又は、平均直径など、平均特性サイズ)を有する人工メラニン粒子を含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。態様45c:人工メラニン材料が、10nm~1000nm(ここで任意の中間範囲が明示的に企図される)、任意選択で10nm超~1000nm未満、任意選択で10nm~50nm、任意選択で20nm~1000nm、任意選択で100nm~1000nm、任意選択で150nm~1000nm、任意選択で200nm~1000nm、任意選択で220nm~1000nm、任意選択で240nm~1000nm、任意選択で250nm~1000nm、任意選択で275nm~1000nm、任意選択で300nm~1000nm、任意選択で240nm~900nm、任意選択で300nm~900nm、任意選択で250nm~800nm、任意選択で250nm~800nm、任意選択で275nm~800nmの範囲から選択されたピーク(又は、最大)サイズ(又は、ピーク直径など、特性ピークサイズ)を有する人工メラニン粒子を含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0143】
[0157]態様46a:メラニン製剤中の人工メラニン材料の濃度が、0.5mg/mL~100mg/mL、任意選択で1mg/mL~100mg/mL、任意選択で2mg/mL~100mg/mL、任意選択で5mg/mL~100mg/mL、任意選択で10mg/mL~100mg/mL、任意選択で15mg/mL~100mg/mL、任意選択で20mg/mL~100mg/mL、任意選択で50mg/mL~100mg/mL、任意選択で0.5mg/mL~50mg/mL、任意選択で1mg/mL~50mg/mL、任意選択で2mg/mL~50mg/mL、任意選択で5mg/mL~50mg/mL、任意選択で10mg/mL~100mg/mL、任意選択で20mg/mL~50mg/mL、任意選択で0.5mg/mL~20mg/mL、任意選択で0.5mg/mL~10mg/mLの範囲から選択される、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。態様46b:メラニン製剤中の人工メラニン材料の濃度が、0.1mg/mL~1000mg/mL(ここで任意の中間範囲が明示的に企図される)の範囲から選択される、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0144】
[0158]態様47a:メラニン製剤が、0.5mg/mL~100mg/mL、任意選択で1mg/mL~100mg/mL、任意選択で2mg/mL~100mg/mL、任意選択で5mg/mL~100mg/mL、任意選択で10mg/mL~100mg/mL、任意選択で15mg/mL~100mg/mL、任意選択で20mg/mL~100mg/mL、任意選択で50mg/mL~100mg/mL、任意選択で0.5mg/mL~50mg/mL、任意選択で1mg/mL~50mg/mL、任意選択で2mg/mL~50mg/mL、任意選択で5mg/mL~50mg/mL、任意選択で10mg/mL~100mg/mL、任意選択で20mg/mL~50mg/mL、任意選択で0.5mg/mL~20mg/mL、任意選択で0.5mg/mL~10mg/mLの範囲から選択された濃度を有する人工メラニン粒子を含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。態様47b:メラニン製剤が、0.1mg/mL~1000mg/mL(ここで任意の中間範囲が明示的に企図される)の範囲から選択された濃度を有する人工メラニン粒子を含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0145】
[0159]態様48:メラニン製剤が、投与するステップが損傷皮膚の少なくとも一部の上に人工メラニン材料の層を形成することを含むようなものである、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0146】
[0160]態様49:メラニン製剤が親水性である、及び/又は人工メラニン材料が親水性である、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0147】
[0161]態様50:メラニン製剤が、1種又は複数種の添加剤を含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0148】
[0162]態様51:メラニン製剤が、クリーム又は軟膏であることによって特徴付けられる、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0149】
[0163]態様52:メラニン製剤がヒドロゲルを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0150】
[0164]態様53:メラニン製剤が、非メラニン治療剤が付加されているか又は非メラニン治療剤で機能化されている人工メラニン材料を含まない、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0151】
[0165]態様54:メラニン製剤が、非メラニン治療剤を運ぶ中空及び/又は半中空メラニン粒子を含まない、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0152】
[0166]態様55:メラニン製剤が非メラニン治療剤を含まない、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0153】
[0167]態様56:投与するステップが、対象の領域内で皮膚損傷事象が発生した後に発生する、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0154】
[0168]態様57:投与するステップの前に皮膚を損傷して、損傷皮膚を形成するステップを含む、態様56に記載の方法。
【0155】
[0169]態様58:投与するステップを繰り返すステップを含む、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0156】
[0170]態様59:対象が哺乳動物である、及び/又は治癒される皮膚が、哺乳動物の皮膚である、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0157】
[0171]態様60:投与された人工メラニン材料の少なくとも50%(任意選択で少なくとも60%、任意選択で少なくとも70%、任意選択で少なくとも80%、任意選択で少なくとも90%)が細胞外人工メラニン材料(皮膚治癒を促進するステップの間に損傷皮膚の細胞外に存在する)である、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0158】
[0172]態様61:細胞外人工メラニン材料が、損傷皮膚に存在する限り(又は、全時間)、細胞外に存在する(例えば、除去されるまで)、先行する態様のいずれか1つに記載の方法。
【0159】
[0173]様々な潜在的に有用な説明、背景情報、本明細書の実施形態の適用/使用、専門用語(本明細書に定義される通りの用語と矛盾しない程度まで)、機構、組成物、方法、定義、及び/又は他の実施形態は、それぞれが本明細書と矛盾しない程度まで参照により本明細書に組み込まれる、国際特許出願番号国際出願PCT/US2017/041596(国際特許公開番号WO2018013609A2として公開された)、国際特許出願番号国際出願PCT/US2020/039769(国際特許公開番号WO2021021350A3として公開された)、国際特許出願番号国際出願PCT/US2020/057902(国際特許公開番号WO2021087076A1として公開された)、及び国際特許出願番号国際出願PCT/US2020/057939(国際特許公開番号WO2021096692A1として公開された)に任意選択で見出すことができる。
【0160】
[0174]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、人工メラニン材料は、天然に存在するメラノソームの生体適合性の合成類似体を生成するようにアルカリ条件下の水性溶液中のメラニンモノマーの自然酸化により調製された、人工メラニン様粒子又は合成メラニン様粒子とも本明細書において交換可能に呼ばれる、人工メラニン粒子とも本明細書において呼ばれる合成メラニン粒子を含む。
【0161】
[0175]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、人工メラニン材料は、脂質(すなわち、メラノサイト又はメラノソームの脂質(形質)膜などの1種又は複数種のタンパク質を含む脂質)に結合されていないか、それにコンジュゲートされていないか、それに付着していないか、それにより被覆されていないか、それにより包含されていないか、又はさもなければそれと会合していないメラニンから構成された(例えば、それを含むか、それからなるか、又はそれから本質的になる)非天然粒子を含む合成メラニン粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、人工メラニン材料は、タンパク質性脂質(すなわち、メラノサイト又はメラノソームの脂質(形質)膜などの1種又は複数種のタンパク質を含む脂質)に結合されていないか、それにコンジュゲートされていないか、それに付着していないか、それにより被覆されていないか、それにより包含されていないか、又はさもなければそれと会合していないメラニンから構成された(例えば、それからなるか、又はそれから本質的になる)非天然粒子を含む合成メラニン粒子を含む。
【0162】
[0176]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、人工メラニン材料は、縮合環ヘテロアリールモノマー及び/又は縮合環ヘテロシクロアルキルモノマーのモノマーを含む(例えば、それからなるか、又はそれから本質的になる)縮合環メラニンポリマーであるメラニンポリマーを含む合成メラニン粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、人工メラニン材料は、鉄を含むがこれに限定されない複数の遷移金属に結合されたメラニンポリマーを含む縮合環金属結合メラニンポリマーであるメラニンポリマーを含む合成メラニン粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、人工メラニン材料は、ジヒドキシドーパミン、3,4-ジヒドキシドーパミン、ジオキシドポアミン及び/又は3,4-ジオキシドーパミンを含むがこれらに限定されないドーパミンモノマーである縮合環メラニンポリマーを含む合成メラニン粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、縮合環ヘテロアリールモノマー及び/又は縮合環ヘテロシクロアルキルモノマーのそれぞれは、ヒドロキシル、カルボキシル及び/又はオキシから選択された1個又は複数の置換基で置換されていてもよい。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、縮合環ヘテロアリールモノマーのそれぞれは、6,6-縮合環ヘテロアリールモノマー、5,6-縮合環ヘテロアリールモノマー又は6,5-縮合環ヘテロアリールモノマーであり、縮合環ヘテロシクロアルキル部分のそれぞれは、6,6-縮合環ヘテロシクロアルキルモノマー、5,6-縮合環ヘテロシクロアルキル1モノマー又は6,5-縮合環ヘテロシクロアルキルモノマーである。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、縮合環ヘテロアリールモノマー及び/又は縮合環ヘテロシクロアルキルモノマー(一価又は二価形態の)は、インドール(ジヒドロキシインドール、5,6-ジヒドロキシインドール(DHI)、5,6-ジヒドロキシインドール-2-カルボン酸、ジオキシインドール、5,6-ジオキシインドール、5,6-ドロキシインドール-2-カルボン酸など)、ベンゾチアジン、ベンゾチアゾールから選択される。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、縮合環メラニンポリマーの縮合環モノマー単位は、ヒドロキシ置換基が縮合環モノマー(「カテコール縮合環モノマー」とも本明細書において呼ばれる)の6員環(例えば6員炭素環)の隣接する炭素に結合されているジヒドロキシ縮合環単位(例えばジヒドロキシ縮合環ヘテロアリールモノマー及び/又はジヒドロキシ縮合環ヘテロシクロアルキルモノマー)である。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、縮合環メラニンポリマーは、ヒドロキシル置換基のうちの一方又は両方がオキシ置換基であるジヒドロキシ縮合環単位の酸化バージョンを含むこともできる。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、合成メラニン粒子は、約1nm~約1000nm、約1nm~約1000nm、約50nm~約500nm、又は約100nm~約300nmのその少なくとも1次元軸を有する、好ましくは高アスペクト比を有する球、中空球、ナノロッド、蠕虫様構成、円柱状構成、及び同種のものの形態であり得る。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、合成メラニン粒子は、平均直径が約50nm~約500nm、約100nm~約300nm、約150nm~約250nm、又は約250nmの球の形態である。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、合成メラニン粒子は、中空球、任意選択でシリカで充填された中空球の形態である。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、合成メラニン粒子は、色素として機能することができる。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、合成メラニン粒子は合成メラニンナノ粒子である。
【0163】
[0177]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種の人工メラニンナノ粒子の各メラニンナノ粒子が、複数種のメラニンオリゴマーを含み;各メラニンオリゴマーが、複数の共有結合メラニン基本単位を含み;各メラニン基本単位が、置換又は非置換ナフタレンを含む、人工メラニンナノ粒子を含む。
【0164】
[0178]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種の人工メラニンナノ粒子の各メラニンナノ粒子が、複数種のメラニンオリゴマーを含み;各メラニンオリゴマーが、複数の共有結合メラニン基本単位を含み;複数種の人工メラニンナノ粒子が、100nm~300nmの範囲から選択されたピークサイズ並びに0.10以下に選択された多分散指数、及び任意選択でいくつかの実施形態については0.3以下に選択された多分散指数及び任意選択でいくつかの実施形態については0.2以下に選択された多分散指数によって特徴付けられる、人工メラニンナノ粒子を含む。任意選択で、複数種の人工メラニンナノ粒子は、100nm~200nmの範囲から選択されたピークサイズ及び0.10以下に選択された多分散指数によって特徴付けられる。
【0165】
[0179]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種の人工メラニンナノ粒子の各メラニンナノ粒子が、複数種のメラニンオリゴマーを含み;各メラニンオリゴマーが、複数の共有結合メラニン基本単位を含み;複数種の人工メラニンナノ粒子が構造色を示す、人工メラニンナノ粒子を含む。任意選択で、複数種の人工メラニンナノ粒子が、単層若しくはより厚いような層若しくは皮膜の形態であるか、又は例えばフリースタンディングペレットのようなペレットの形態であるとき、複数種の人工メラニンナノ粒子は構造色を示す。任意選択で、複数種の人工メラニンナノ粒子が、充填及び/又は規則構造の形態であるとき、複数種の人工メラニンナノ粒子は構造色を示す。任意選択で、複数種の人工メラニンナノ粒子が、乾燥されているか、又はさもなければ基材上に堆積されているとき、複数種の人工メラニンナノ粒子は構造色を示す。
【0166】
[0180]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種の人工メラニンナノ粒子の各メラニンナノ粒子が、複数種のメラニンオリゴマーを含み;各メラニンオリゴマーが、複数の共有結合メラニン基本単位を含み;複数種のメラニンオリゴマーの少なくとも50%が、モノマー、ダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー、及びその任意の組合せからなる群から選択される、人工メラニンナノ粒子を含む。モノマー、ダイマー、トリマー、テトラマー、及びペンタマーは、それぞれ1個、2個、3個、4個、及び5個のメラニン基本単位を有する。任意選択で、複数種のメラニンオリゴマーの少なくとも30%、任意選択で少なくとも40%、任意選択で少なくとも50%、任意選択で少なくとも60%、任意選択で少なくとも80%は、ダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー、及びその任意の組合せからなる群から選択され、人工メラニンナノ粒子は、モノマーをさらに含む。任意選択で、複数種のメラニンオリゴマーの少なくとも50%は、ダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー、及びその任意の組合せからなる群から選択され、人工メラニンナノ粒子は、モノマーをさらに含む。任意選択で、複数種のメラニンオリゴマーの少なくとも30%、任意選択で少なくとも40%、任意選択で少なくとも50%、任意選択で少なくとも60%、任意選択で少なくとも80%は、ダイマー、トリマー、テトラマー、及びその任意の組合せからなる群から選択され、人工メラニンナノ粒子は、モノマーをさらに含む。任意選択で、複数種のメラニンオリゴマーの少なくとも50%は、ダイマー、トリマー、テトラマー、及びその任意の組合せからなる群から選択され、人工メラニンナノ粒子は、モノマーをさらに含む。任意選択で、複数種の人工メラニンナノ粒子のそれぞれのか、又は少なくとも80%のそれぞれの少なくとも30質量%、任意選択で少なくとも40質量%、任意選択で少なくとも50質量%、任意選択で少なくとも60質量%、任意選択で少なくとも80質量%は、モノマー(各モノマーは、ただ1個のメラニン基本単位を有する)並びに/又はダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー及びその任意の組合せからなる群から選択されたメラニンオリゴマーである。任意選択で、複数種の人工メラニンナノ粒子のそれぞれのか、又は少なくとも80%のそれぞれの少なくとも30質量%、任意選択で少なくとも40質量%、任意選択で少なくとも50質量%、任意選択で少なくとも60質量%、任意選択で少なくとも80質量%は、モノマー(各モノマーは、ただ1個のメラニン基本単位を有する)並びにダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー及びその任意の組合せからなる群から選択されたメラニンオリゴマーである。任意選択で、複数種の人工メラニンナノ粒子のそれぞれのか、又は少なくとも80%のそれぞれの少なくとも30質量%、任意選択で少なくとも40質量%、任意選択で少なくとも50質量%、任意選択で少なくとも60質量%、任意選択で少なくとも80質量%は、モノマー(各モノマーは、ただ1個のメラニン基本単位を有する)並びに/又はダイマー、トリマー、テトラマー、及びその任意の組合せからなる群から選択されたメラニンオリゴマーである。任意選択で、複数種の人工メラニンナノ粒子のそれぞれのか、又は少なくとも80%のそれぞれの少なくとも30質量%、任意選択で少なくとも40質量%、任意選択で少なくとも50質量%、任意選択で少なくとも60質量%、任意選択で少なくとも80質量%は、モノマー(各モノマーは、ただ1個のメラニン基本単位を有する)並びにダイマー、トリマー、テトラマー、及びその任意の組合せからなる群から選択されたメラニンオリゴマーである。
【0167】
[0181]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種の人工メラニンナノ粒子の各メラニンナノ粒子が、複数種のメラニンオリゴマーを含み;各メラニンオリゴマーが、複数の共有結合メラニン基本単位を含み;各ナノ粒子が、0.90未満の真球度を有し、クルミ様、崩壊した球又は崩壊した楕円体、及び複数の凹みを有する球又は楕円体のうちの少なくとも1つとして特徴付けられる形状を有する、人工メラニンナノ粒子を含む。
【0168】
[0182]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種の人工メラニンナノ粒子の各メラニンナノ粒子が、複数種のメラニンオリゴマーを含み;各メラニンオリゴマーが、複数の共有結合メラニン基本単位を含み;複数種の人工メラニンナノ粒子が、その他は同一の条件下で複数種の人工メラニンナノ粒子と同じ直径を有するポリドーパミンナノ粒子のラジカル捕捉活性よりも高いラジカル捕捉活性によって特徴付けられる、人工メラニンナノ粒子を含む。任意選択で、複数種の人工メラニンナノ粒子は、その他は同一の条件下で複数種の人工メラニンナノ粒子と同じ直径を有するポリドーパミンナノ粒子のラジカル捕捉活性よりも少なくとも5%、任意選択で少なくとも10%、任意選択で少なくとも15%、任意選択で少なくとも20%高いラジカル捕捉活性によって特徴付けられる。
【0169】
[0183]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、各メラニン基本単位が、置換又は非置換ナフタレンを含む、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、各メラニン基本単位がジヒドロキシナフタレンを含む、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、各メラニン基本単位が1,8-ジヒドロキシナフタレンを含む、人工メラニンナノ粒子を含む。特定の実施形態によれば、各メラニン基本単位は、式FX1:
【化4】

を有する構造を含む。
【0170】
[0184]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、各メラニンオリゴマーが窒素を含まない、人工メラニンナノ粒子を含む。特定の実施形態によれば、複数種のメラニンオリゴマーの少なくとも20%、任意選択で少なくとも40%、任意選択で少なくとも50%、任意選択で少なくとも80%は、2個の共有結合メラニン基本単位を有するダイマーである。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種のメラニンオリゴマーの20%~80%が、2個の共有結合メラニン基本単位を有するダイマーである、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種のメラニンオリゴマーの少なくとも50%が、モノマー、ダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー、及びその任意の組合せからなる群から選択される、人工メラニンナノ粒子を含む。モノマー、ダイマー、トリマー、テトラマー、及びペンタマーは、それぞれ1個、2個、3個、4個、及び5個のメラニン基本単位を有する。任意選択で、複数種のメラニンオリゴマーの少なくとも30%、任意選択で少なくとも40%、任意選択で少なくとも50%、任意選択で少なくとも60%、任意選択で少なくとも80%は、ダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー、及びその任意の組合せからなる群から選択され、人工メラニンナノ粒子は、モノマーをさらに含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種のメラニンオリゴマーの少なくとも40%が、モノマー、ダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー、及びその任意の組合せからなる群から選択される、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種のメラニンオリゴマーの少なくとも20%、任意選択で少なくとも40%、任意選択で少なくとも80%が、モノマー、ダイマー、及びトリマー、並びにその任意の組合せからなる群から選択される、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種のメラニンオリゴマーの少なくとも50%が、モノマー、ダイマー、及びトリマー、並びにその任意の組合せからなる群から選択される、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種の人工メラニンナノ粒子のそれぞれのか、又は少なくとも80%のそれぞれの少なくとも30質量%、任意選択で少なくとも40質量%、任意選択で少なくとも50質量%、任意選択で少なくとも60質量%、任意選択で少なくとも80質量%が、モノマー(各モノマーは、ただ1個のメラニン基本単位を有する)並びに/又はダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー及びその任意の組合せからなる群から選択されたメラニンオリゴマーである、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種の人工メラニンナノ粒子のそれぞれのか、又は少なくとも80%のそれぞれの少なくとも30質量%、任意選択で少なくとも40質量%、任意選択で少なくとも50質量%、任意選択で少なくとも60質量%、任意選択で少なくとも80質量%が、モノマー(各モノマーは、ただ1個のメラニン基本単位を有する)並びにダイマー、トリマー、テトラマー、ペンタマー及びその任意の組合せからなる群から選択されたメラニンオリゴマーである、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種の人工メラニンナノ粒子のそれぞれのか、又は少なくとも80%のそれぞれの少なくとも30質量%、任意選択で少なくとも40質量%、任意選択で少なくとも50質量%、任意選択で少なくとも60質量%、任意選択で少なくとも80質量%が、モノマー(各モノマーは、ただ1個のメラニン基本単位を有する)並びに/又はダイマー、トリマー、テトラマー、及びその任意の組合せからなる群から選択されたメラニンオリゴマーである、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種の人工メラニンナノ粒子のそれぞれのか、又は少なくとも80%のそれぞれの少なくとも30質量%、任意選択で少なくとも40質量%、任意選択で少なくとも50質量%、任意選択で少なくとも60質量%、任意選択で少なくとも80質量%が、モノマー(各モノマーは、ただ1個のメラニン基本単位を有する)並びにダイマー、トリマー、テトラマー、及びその任意の組合せからなる群から選択されたメラニンオリゴマーである、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、各メラニンオリゴマーが、水素結合及びナフタレン環のπ-πスタッキングのうちの少なくとも1つを介して少なくとも1種の他のメラニンオリゴマーと非共有結合的に会合している、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、各メラニンオリゴマーが、水素結合及びナフタレン環のπ-πスタッキングのうちの少なくとも1つを介して少なくとも1種の他のメラニンオリゴマー又はメラニンモノマーと非共有結合的に会合している、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、メラニンモノマーがメラニン基本単位を含む、人工メラニンナノ粒子を含む。
【0171】
[0185]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種のナノ粒子の少なくとも50%、任意選択で少なくとも75%、任意選択で少なくとも90%、任意選択で少なくとも95%が、0.90超の真球度によって特徴付けられる、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種のナノ粒子が、0.10以下の多分散指数によって特徴付けられる、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、各ナノ粒子が、10nm~1000nm以下、任意選択で100±50nm~300±50nmの範囲から選択された直径などのサイズ特性を有する、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、人工メラニンナノ粒子の平均直径などの平均サイズ特性が、10nm~1000nm以下、任意選択で20nm~500nm、任意選択で100nm~900nm、任意選択で200nm~900nm、任意選択で100nm~800nm、任意選択で250nm超及び1000nm未満の範囲から選択された、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、ナノ粒子の少なくとも55%(任意選択で少なくとも75%、任意選択で少なくとも80%、任意選択で少なくとも85%)のそれぞれが、200nm超、任意選択で250nm超~1000nm未満の範囲から選択された直径などのサイズ特性を有する、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、各ナノ粒子が、10nm~1000nm以下、任意選択で100nm~300nmの範囲から選択された直径などのサイズ特性を有する、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、各ナノ粒子が、20nm~300±50nmの範囲から選択された直径などのサイズ特性を有する、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種の人工メラニンナノ粒子が、10nm~1000nm以下、任意選択で100nm~300nmの範囲から選択されたピークサイズによって特徴付けられる、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種の人工メラニンナノ粒子が、10nm~1000nm以下、任意選択で100nm~200nmの範囲から選択されたピークサイズによって特徴付けられる、人工メラニンナノ粒子を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、複数種の人工メラニンナノ粒子が、50nm~300nm、任意選択で50nm~200nmの範囲から選択されたピークサイズによって特徴付けられる、人工メラニンナノ粒子を含む。
【0172】
[0186]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、人工メラニンナノ粒子であって、メラニン製剤が、体積で少なくとも50%の水、任意選択で少なくとも75%の水、任意選択で少なくとも90%の水、任意選択で少なくとも95%である溶媒又は溶媒混合物を含む、人工メラニンナノ粒子を含む。特定の実施形態によれば、溶媒又は溶媒混合物は有機溶媒を含む。特定の実施形態によれば、溶媒又は溶媒混合物は緩衝剤を含む。特定の実施形態によれば、有機溶媒は、メタノール、エタノール、アセトニトリル、アセトンジクロロメタン、ジメチルホルムアミド、酢酸エチル、アセトン、又はその任意の組合せを含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、人工メラニンナノ粒子は、合成後にさらに老化させられるか、又はさらに酸化させられる。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、ナノ粒子の老化又はさらなる酸化は、有機溶媒の存在下の安定性を増加させるように、溶解性又は分散性(メラニン製剤中の)に影響する。特定の実施形態によれば、メラニン製剤中のナノ粒子は、任意選択で体積で少なくとも95%の水である溶媒又は溶媒溶液中、-50mV~-10mV、任意選択で-40~-20mVの範囲から選択されたゼータ電位又は平均ゼータ電位によって特徴付けられる。特定の実施形態によれば、メラニン製剤中のナノ粒子は、0.01mg/mL~5mg/mL、任意選択で0.01mg/mL~1mg/mL、任意選択で0.1mg/mLの20%以内の範囲から選択された濃度で少なくとも5時間後に沈殿物を形成することなく安定して分散している。特定の実施形態によれば、メラニン製剤中のナノ粒子は、0.01mg/mL~5mg/mL、任意選択で0.01mg/mL~1mg/mL、任意選択で0.1mg/mLの20%以内の範囲から選択された濃度で少なくとも12時間後に沈殿物を形成することなく安定して分散している。
【0173】
[0187]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、各メラニンモノマーが置換又は非置換ナフタレンを有するメラニンモノマーを含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、各メラニンモノマーがジヒドロキシナフタレンを有するメラニンモノマーを含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、各メラニンモノマーが1,8-ジヒドロキシナフタレンを有するメラニンモノマーを含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、各メラニンモノマーが窒素を含まないメラニンモノマーを含む。特定の実施形態によれば、人工メラニン材料は、生物学的源又は生存生物から誘導又は抽出されない。
【0174】
[0188]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料又はその複数種の人工メラニンナノ粒子は、その他は同一の条件下で複数種の人工メラニンナノ粒子と同じ直径を有するポリドーパミンナノ粒子のラジカル捕捉活性よりも高いラジカル捕捉活性によって特徴付けられる。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料又はその複数種の人工メラニンナノ粒子は、その他は同一の条件下で複数種の人工メラニンナノ粒子と同じ直径を有するポリドーパミンナノ粒子のラジカル捕捉活性よりも少なくとも10%、任意選択で少なくとも15%、任意選択で少なくとも50%高いラジカル捕捉活性によって特徴付けられる。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料又はその複数種の人工メラニンナノ粒子は、2,2-ジフェニル-1-(2,4,6-トリニトロフェニル)ヒドラジル(DPPH)のアッセイを使用した少なくとも0.012mol/gのラジカル捕捉活性によって特徴付けられる。
【0175】
[0189]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、1種又は複数種の多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、(i)1種若しくは複数種のメラニンオリゴマー、ポリマー又はその組合せを含む多孔質人工メラニン材料であって、1種若しくは複数種のメラニンオリゴマー及び/又はポリマーが、複数の共有結合メラニン基本単位を含み;メラニンオリゴマー及び/又はポリマーが配列されて、複数の細孔を有する内部構造を形成する、多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、(i)1種若しくは複数種のメラニンオリゴマー、ポリマー又はその組合せを含む多孔質人工メラニン材料であって、1種若しくは複数種のメラニンオリゴマー及び/又はポリマーが、複数の共有結合メラニン基本単位を含み;メラニンオリゴマー及び/又はポリマーが配列されて、複数の細孔を有する内部構造を形成し;多孔質人工メラニン材料が、0.1cm/g以上、任意選択で0.3cm/g以上の材料の質量当たりの細孔容積によって特徴付けられ、細孔の少なくとも一部が、0.5nm以上の断面寸法又は長手方向寸法などの少なくとも1つのサイズ寸法を有する、多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、0.1cm/g~0.6cm/g、及び任意選択で0.1~1cm/g、及び任意選択で0.3cm/g~0.6cm/gの範囲から選択された材料の質量当たりの平均細孔容積によって特徴付けられる多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、微孔質材料又はメソ多孔質材料である多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、多孔質人工メラニン材料の細孔が、0.5nm~2.5nm、及び任意選択で0.5nm~1.3nmの範囲から選択された断面寸法並びに/又は長手方向寸法などの少なくとも1つの平均サイズ寸法をそれぞれ有するミクロ細孔を含む多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、多孔質人工メラニン材料の細孔が、2nm~50nm、及び任意選択で2nm~25nmの範囲から選択された断面寸法並びに/又は長手方向寸法などの少なくとも1つの平均サイズ寸法をそれぞれ有するメソ細孔を含む、多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、細孔が、0.5nm~50nmの範囲にわたる細孔サイズの分布によって特徴付けられる、多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、内部構造の細孔が、多孔質人工メラニン材料のメラニンオリゴマー及び/又はポリマーの組織化により形成されている、多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、内部構造の細孔が、多孔質人工メラニン材料のメラニンオリゴマー及び/若しくはポリマーの最密充填並びに/又は自己集合により形成されている、多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、内部構造の細孔が、多孔質人工メラニン材料のメラニンオリゴマー及び/又はポリマーのテンプレート化により形成されている、多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、細孔が、例えば、材料が非結晶及び/又は非晶質であるため、多孔質メラニン材料全体にわたって均一に分布していない、多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、少なくとも部分的に非結晶材料及び/又は非晶質材料である、多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、内部構造の細孔が、ランダムに分布している、多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、内部構造の細孔が、繰返し構造で用意されており、非晶質多孔質人工メラニン材料が、少なくとも部分的な非結晶又は非晶質状態で用意されている、多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、多孔質人工メラニン材料の細孔が、円柱状細孔、チャネル様細孔、スリット形細孔、インク瓶細孔及びこれらの任意の組合せの群から選択された1種又は複数種の細孔タイプを含む、多孔質人工メラニン材料を含む。
【0176】
[0190]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、ナノ粒子などの多孔質メラニン粒子を有する多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、直径が20nm~500nmの範囲から選択された平均サイズによって特徴付けられる多孔質メラニン粒子を有する多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、固体粒子、中空粒子、レース状粒子、及びこれらの任意の組合せのうちの1つ又は複数である多孔質メラニン粒子を有する多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、固体多孔質人工メラニン粒子を有する多孔質人工メラニン材料、例えば、粒子全体にわたって分布した、例えば均一に分布又はランダムに分布した細孔を有し、中空構成を有さない、固体多孔質人工メラニン粒子を有する多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、レース状多孔質人工メラニン粒子を有する多孔質人工メラニン材料、例えば、粒子全体にわたって分布した、例えば均一に分布又はランダムに分布した細孔を有し、中空構成を有さない、レース状多孔質人工メラニン粒子を有する多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、中空多孔質人工メラニン粒子を有する多孔質人工メラニン材料を含む。
【0177】
[0191]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、精製又は単離された多孔質メラニン粒子を有する多孔質人工メラニン材料を含む。
【0178】
[0192]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、1種若しくは複数種の置換又は非置換カテコールベースのモノマー、置換又は非置換ポリオールベースのモノマー、置換又は非置換フェノールベースのモノマー、置換又は非置換インドールベースのモノマー、置換又は非置換ベンゾチアジンベースのモノマー、置換又は非置換ベンゾチアゾールベースのモノマー、置換又は非置換ドーパミンベースのモノマー或いはこれらの任意の組合せであるメラニン基本単位を有する多孔質人工メラニン材料を含む。
【0179】
[0193]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、アロメラニンを有するか、又はそれである多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、例えば、メラニン基本単位の少なくとも一部、及び任意選択でそのすべては、置換又は非置換ナフタレンをそれぞれ独立して含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、例えば、メラニン基本単位の少なくとも一部、及び任意選択でそのすべては、ジヒドロキシナフタレンをそれぞれ独立して含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、例えば、メラニン基本単位の少なくとも一部、及び任意選択でそのすべては、1,8-ジヒドロキシナフタレンをそれぞれ独立して含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、例えば、メラニン基本単位の少なくとも一部、及び任意選択でそのすべては、式FX1:
【化5】

を有する構造をそれぞれ独立して含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、例えば、各メラニンオリゴマーは窒素を含まない。
【0180】
[0194]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、ポリドーパミンを有する多孔質人工メラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、例えば、メラニン基本単位の少なくとも一部、及び任意選択でそのすべては、置換又は非置換ドーパミンモノマーをそれぞれ独立して含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、例えば、メラニン基本単位の少なくとも一部、及び任意選択でそのすべては、置換又は非置換ジヒドロキシドーパミンモノマー、置換又は非置換ジオキシドーパミンモノマー、置換又は非置換ジヒドロキシナフタレンモノマー、置換又は非置換ジオキシドーパミンモノマー及びこれらの任意の組合せからなる群からそれぞれ独立して選択される。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において、例えば、メラニン基本単位の少なくとも一部、及び任意選択でそのすべては、3,4-ジヒドロキシドーパミンモノマー、3,4-ジオキシドーパミンモノマー、3,4-ジヒドロキシナフタレンモノマー、及びこれらの任意の組合せからなる群からそれぞれ独立して選択される。
【0181】
[0195]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、アロメラニンを有する多孔質人工メラニン材料を含む。
【0182】
[0196]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、置換若しくは非置換カテコールベース又はポリオールベースの化合物を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、置換又は非置換ドーパミンモノマーを含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、置換若しくは非置換:ドーパミンモノマー、1,8-ジヒドロキシナフタレン又はその誘導体、チロシンモノマー、チラミンモノマー、アミノ酸、フェノールアミン、カテコールアミン、或いはこれらの任意の組合せを含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、置換若しくは非置換:ドーパミンモノマー、チロシンモノマー、チラミンモノマー、又はこれらの組合せを含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、フェノール誘導体、レゾルシノール、及び/又はパラフェニレンジアミンを含まない。任意選択で、ドーパミンモノマーは、置換又は非置換:ジヒドキシドーパミンモノマー、ジヒドキシドーパミンダイマー、ジヒドキシドーパミンオリゴマー、ジオキシドーパミンモノマー、ジオキシドーパミンダイマー、ジオキシドーパミンオリゴマー、ジヒドロキシナフタレンモノマー、ジヒドロキシナフタレンダイマー、ジヒドロキシナフタレンオリゴマー、ジオキシドーパミンモノマー、ジオキシドーパミンダイマー、ジオキシドーパミンオリゴマー、及びこれらの任意の組合せからなる群から選択される。任意選択で、ドーパミンモノマーは、チロシン及び誘導体、フェノール及び誘導体、レゾルシノール及び誘導体、並びにその任意の組合せからなる群から選択される。任意選択で、ドーパミンモノマーは、フェノール、レゾルシノール、L-DOPA、チロシン及びその任意の組合せからなる群から選択される。任意選択で、ドーパミンモノマーは、システイン誘導体、カルコゲナイド誘導体、セレノシステイン、及びその任意の組合せからなる群から選択される。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は:
【化6】

、その任意の組合せ、及びその任意の誘導体からなる群から選択された1種又は複数種のモノマーを含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、式(FX2):
【化7】

(式中、R~Rのうちの1つ又は複数(任意選択で1つ、任意選択で2つ)は-OHであり、R~Rのうちのその他のそれぞれは官能基である)を有する1種又は複数種のモノマーを含む。任意選択で、R~Rのうちのその他のそれぞれは、水素、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10アリール、C~C10ヘテロアリール、C~C10アシル、C~C10ヒドロキシル、C~C10アルコキシ、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C10アルキルアリール、-CO30、-CONR3132、-COR33、-NR3940、-NR41COR42、C~C10ハロゲン化アルキル、アクリレート、又はカテコールからなる群から選択されており;ここでR30~R42のそれぞれは、独立して水素、C~C10アルキル又はC~C10アリールである。任意選択で、本明細書に開示される任意の方法について、人工メラニン前駆体は、式(FX3):
【化8】

(式中、R~Rのうちの1つ又は複数(任意選択で1つ、任意選択で2つ)は-OHであり、R~Rのうちのその他のそれぞれは官能基である)を有する1種又は複数種のモノマーである。任意選択で、R~Rのうちのその他のそれぞれは、水素、C~C10アルキル、C~C10シクロアルキル、C~C10アリール、C~C10ヘテロアリール、C~C10アシル、C~C10ヒドロキシル、C~C10アルコキシ、C~C10アルケニル、C~C10アルキニル、C~C10アルキルアリール、-CO30、-CONR3132、-COR33、-NR3940、-NR41COR42、C~C10ハロゲン化アルキル、アクリレート、又はカテコールからなる群から選択されており;ここでR30~R42のそれぞれは、独立して水素、C~C10アルキル又はC~C10アリールである。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、1種又は複数種のチオール反応性部分を含む。任意選択で、チオール反応性部分は、チオール、マレイミド、ピリジルジスルフィドベースの化合物、アルケン、ハロゲン化アルキル及びその任意の組合せからなる群から選択された1種又は複数種の基である。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、式(FX2)又は(FX3)を有する1種又は複数種のモノマーを含み、ここでR~Rのうちの1つ又は複数は、チオール、マレイミド、ピリジルジスルフィドベースの化合物、アルケン、ハロゲン化アルキル及びその任意の組合せなどのチオール反応性部分である。
【0183】
[0197]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、1種又は複数種のセレノメラニンポリマーを有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料であって、1種又は複数種のセレノメラニンポリマーが、複数の共有結合セレノメラニン基本単位を含み;1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれの化学式が、少なくとも1個のセレン原子を含む、1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。任意選択で、各セレノメラニンポリマーはフェオメラニンである。任意選択で、セレノメラニンモノマーのそれぞれはアミノ酸である。任意選択で、1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれの化学式は、少なくとも1個のセレン原子のそれぞれとの少なくとも1個の共有結合を含む。任意選択で、1種又は複数種のセレノメラニンポリマーのそれぞれは、天然若しくは生体タンパク質性マトリックス、構成成分、又は脂質に結合されていないか、それにコンジュゲートされていないか、それに付着していないか、それにより被覆されていないか、それにより包含されていないか、或いはさもなければそれと化学的に会合していない。任意選択で、複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれは、天然若しくは生体タンパク質性マトリックス、構成成分、又は脂質に結合されていないか、それにコンジュゲートされていないか、それに付着していないか、それにより被覆されていないか、それにより包含されていないか、或いはさもなければそれと化学的に会合していない。任意選択で、1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれの化学式は、1個のセレン原子と、セレン原子との2個の共有結合とを含む。任意選択で、1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれの化学式は、置換若しくは非置換ベンゾセレナジン又はその誘導体、置換若しくは非置換ベンゾセレナゾール又はその誘導体、置換若しくは非置換7,10-ジヒドロ-2H-[1,4]セレナジノ[3,2-h]イソキノリン-3(4H)-オン又はその誘導体、置換若しくは非置換ベンゾセレナジノン又はその誘導体、或いはこれらの任意の組合せを含む。任意選択で、1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれは、式FX11、FX12、FX13A、FX13B、FX14、これらのいずれかの組合せ、又はこれらのいずれかの誘導体によって特徴付けられる部分を含む:
【化9】

。任意選択で、1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれは、式FX11、FX12、FX13A、FX13B、FX14、又はこれらのいずれかの組合せによって特徴付けられる部分を含む。任意選択で、1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれは、式FX11、FX12、FX13A、FX13B、FX14、又はこれらのいずれかの組合せによって特徴付けられる部分を含む。任意選択で、1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれは、式FX11、FX12、FX13A、FX13B、又はFX14によって特徴付けられる部分を含む。任意選択で、1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれは、式FX11によって特徴付けられる部分を含む。任意選択で、人工セレノメラニン材料は、人工セレノメラニンナノ粒子、人工セレノメラニン層、又は人工セレノメラニン薄皮膜のうちの1つ又は複数である。任意選択で、人工セレノメラニン材料は、人工セレノメラニンナノ粒子のうちの1つ又は複数である。任意選択で、1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれは、その環構造の一員としてSeを含む複素環式部分を含む。任意選択で、1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれは、その環構造の一員としてSe及びNを含む複素環式部分を含む。任意選択で、1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれは、式FX23、FX24、FX25、FX26、FX27、これらのいずれか1つの誘導体、又はこれらのいずれかの組合せによって特徴付けられる部分を含む:
【化10】

。任意選択で、1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれは、式FX23、FX24、FX25、FX26、FX27、又はこれらのいずれかの組合せによって特徴付けられる部分を含む。任意選択で、1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれは、式FX23、FX24、FX25、FX26、又はFX27によって特徴付けられる部分を含む。任意選択で、セレノメラニンモノマーのそれぞれは、式FX15、FX16、FX17、FX18、FX19、FX20、又はFX21によって特徴付けられる:
【化11】

【0184】
[0198]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、1種又は複数種のセレノメラニンポリマーのそれぞれが、天然若しくは生体タンパク質性マトリックス、構成成分、又は脂質に結合されていないか、それにコンジュゲートされていないか、それに付着していないか、それにより被覆されていないか、それにより包含されていないか、或いはさもなければそれと化学的に会合していない、1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。
【0185】
[0199]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれの化学式がベンゾセレナジンを含み、材料が、10wt.%~100wt.%の範囲から選択された濃度のベンゾセレナジンを含む、1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、50wt.%~60wt.%の範囲から選択された濃度のベンゾセレナジンを有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。例えば、1個又は複数のセレノメラニン基本単位のそれぞれの化学式はベンゾセレナジンを含み、材料は、55wt.%の濃度のベンゾセレナジンを含むことができる。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示される人工メラニン材料は、2wt.%~23wt.%の範囲から選択されたセレンの濃度によって特徴付けられる1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。例えば、人工セレノメラニン材料は、12wt.%のセレンの濃度によって特徴付けることができる。
【0186】
[0200]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、溶媒又は溶媒混合物が、少なくとも50%の水である、1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、15mV~50mV、好ましくは20mV~50mV、任意選択で15mV~40mV、任意選択で20mV~40mV、任意選択で15mV~30mV、任意選択で20mV~30mV、任意選択で17mV~34mVの範囲から選択されたゼータ電位の絶対値によって特徴付けられる人工セレノメラニンナノ粒子を有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。(実数の絶対値(absolute value)、又は係数(modulus)は、その符号に関係なく実数の非負値である。)任意選択で、人工セレノメラニンナノ粒子分散物中の人工セレノメラニンナノ粒子に対応するゼータ電位の符号は負である。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、0.1mg/mL濃度のナノ粒子の平均サイズに関して0.1mg/mL~10-4mg/mLの範囲から選択されたナノ粒子濃度でサイズ安定性がある人工セレノメラニンナノ粒子を有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、7のpHを有する分散物中のナノ粒子の平均サイズに関して11のpH、好ましくは少なくとも11のpHを有する分散物中でサイズ安定性がある人工セレノメラニンナノ粒子を有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、NaClを含まない同等の分散物中のナノ粒子の平均サイズに関して分散物中で50mM~250mMの範囲から選択されたNaClの濃度、好ましくは250mMであるNaClの濃度に曝露されたときサイズ安定性がある人工セレノメラニンナノ粒子を有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、周囲条件下で少なくとも7日、好ましくは少なくとも14日、好ましくは少なくとも60日の間、分散物に安定して分散している人工セレノメラニンナノ粒子を有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。
【0187】
[0201]態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、少なくとも20%、任意選択で少なくとも25%、任意選択で少なくとも30%、好ましくは少なくとも50%、より好ましくは少なくとも70%、さらにより好ましくは少なくとも80%、その上さらにより好ましくは少なくとも90%、より好ましくはいくつかの用途については少なくとも95%、さらにより好ましくはいくつかの用途については少なくとも99%、その上さらにより好ましくはいくつかの用途については少なくとも99.9%のメラニン純度によって特徴付けられる人工セレノメラニンナノ粒子を有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、複数種の人工メラニンナノ粒子の少なくとも50%、任意選択で少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%のそれぞれが、式FX11、FX12、FX13A、FX13B、FX14、又はこれらのいずれかの組合せによって特徴付けられる部分を含むセレノメラニン基本単位を有するセレノメラニンポリマーを含む、人工セレノメラニンナノ粒子を有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む:
【化12】

。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、複数種の人工メラニンナノ粒子の少なくとも50%、任意選択で少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%のそれぞれが、その環構造の一員としてSeを含む複素環式部分を含むセレノメラニン基本単位を有するセレノメラニンポリマーを含む、人工セレノメラニンナノ粒子を有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、複数種の人工メラニンナノ粒子の少なくとも50%、任意選択で少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%のそれぞれが、その環構造の一員としてSe及びNを含む複素環式部分を含むセレノメラニン基本単位を有するセレノメラニンポリマーを含む、人工セレノメラニンナノ粒子を有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、複数種の人工メラニンナノ粒子の少なくとも50%、任意選択で少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%のそれぞれが、式FX23、FX24、FX25、FX26、FX27、これらのいずれか1つの誘導体、又はこれらのいずれかの組合せによって特徴付けられる部分を含むセレノメラニン基本単位を有するセレノメラニンポリマーを含む、人工セレノメラニンナノ粒子を有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、複数種の人工メラニンナノ粒子の少なくとも50%、任意選択で少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%のそれぞれが、式FX23、FX24、FX25、FX26、FX27、又はこれらのいずれかの組合せによって特徴付けられる部分を含むセレノメラニン基本単位を有するセレノメラニンポリマーを含む、人工セレノメラニンナノ粒子を有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、複数種の人工メラニンナノ粒子の少なくとも50%、任意選択で少なくとも75%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%のそれぞれが、式FX23、FX24、FX25、FX26、又はFX27によって特徴付けられる部分を含むセレノメラニン基本単位を有するセレノメラニンポリマーを含む、人工セレノメラニンナノ粒子を有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、1種又は複数種のセレノメラニンナノ粒子のそれぞれが、天然若しくは生体タンパク質性マトリックス、構成成分、又は脂質に結合されていないか、それにコンジュゲートされていないか、それに付着していないか、それにより被覆されていないか、それにより包含されていないか、或いはさもなければそれと化学的に会合していない、人工セレノメラニンナノ粒子を有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、人工セレノメラニンナノ粒子の少なくとも50%、任意選択で少なくとも75%、好ましくは少なくとも80%、好ましくは少なくとも90%、より好ましくは少なくとも95%、さらにより好ましくは少なくとも99%のそれぞれが、人工メラニンモノマーを含まない、人工セレノメラニンナノ粒子を有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、人工セレノメラニンナノ粒子のそれぞれが、人工メラニンモノマーを含まない、人工セレノメラニンナノ粒子を有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。例えば、ナノ粒子などの人工セレノメラニン材料は、HCl溶液(例えば、1回)及び純水(例えば、3回)で徹底的に洗浄され、その結果として、人工セレノメラニン材料、又はその分散物若しくは製剤は、固体NMR、UV-Visスペクトルなどによって特徴付けられるように、人工セレノメラニンモノマーを含まないことがある。任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤は、それぞれモノマーのIC50よりも低いある濃度のメラニンモノマーを含む。態様1~61のうちのいくつかなど、いくつかの実施形態において任意選択で、本明細書に開示されるメラニン製剤中の人工メラニン材料は、人工セレノメラニンナノ粒子のそれぞれが、生体細胞の外部(細胞外)にある、人工セレノメラニンナノ粒子を有する1種又は複数種の人工セレノメラニン材料を含む。
【0188】
[0202]本発明は、以下の非限定的な実施例によりさらに理解することができる。
【0189】
[0203]実施例1A:合成メラニンは、組織修復を促進する
[0204]いかなる特定の理論によっても制限されることは望まないが、この実施例は、本発明の実行において有用ないくつかの例示的であるが限定的ではない方法、材料、プロセス、技法、組成物、製剤など、並びに例示的であるが限定的ではないデータ、議論、及び仮説を含む。任意の機構的な説明又は仮説の最終的な正しさに関わらず、本発明のある実施形態は、それでもなお有効であり有用であり得ることが認識される。
【0190】
[0205]メラニンは、異なる生物にわたって広く分散した普及したバイオポリマーである。ヒトにおいて、メラニンは、メラノサイトに見出されるメラノソーム小器官により産生される。独特に、メラノサイトは、小器官を細胞外に、主として皮膚内のケラチノサイトに排泄することができる唯一の公知の細胞である。メラニンは、皮膚内の暗褐色又は黒色色素としてとりわけ知られており、広帯域放射線吸着剤として機能する。3、4メラノソーム産生は、UV曝露の増加を受けて増加し、UV放射線防護を助ける。メラニンの特性は、限定された光防護ではなく;それは、構造的着色、金属キレート化、小分子吸収、7~9及び体温調節10を含む、自然界のその遍在的存在を説明し得る生体色素の機能に特徴的でない無数の他の機能を有する。これらの多様な機能は、メラニンの化学的性質及びモルフォロジーに起因し得る。メラニンは、水素結合、π-πスタッキング、及び共有結合性相互作用などの多くの分子間相互作用を示す。分子間相互作用の豊富さは、カテコール、カルボキシル、及びアミンを含む、メラニンの様々な官能基に起因する。そのカテコール基の異なる酸化状態のために、メラニンは、電子を受容及び供与することができ、レドックス活性を可能にする。11さらに、それは、その電子供与能のために抗酸化活性を有する。メラニンは、変異原性、発癌性であり、DNA鎖切断の生成を引き起こし、DNA-タンパク質架橋を作り出すラジカル酸素種(ROS)及び他の反応性酸素化種をクエンチすることが示されている。1、4、12ROS経路を介して細胞損傷を防止する能力は、メラニンが放射線から保護する主要な方法であり得る。創傷治癒のための抗酸化剤の使用が研究されてきており、それらは、酸化的ストレスの媒介を通じて創傷治癒を加速することができることが企図されている。13、14これらの特性は、生物及び本発明者ら自身の皮膚におけるメラニンの役割が、本発明者らが知るよりも複雑であり得ることを示唆する。
【0191】
[0206]この例において、本発明者らは、明確に定義されたナノスケール合成メラニン粒子(SMP)を合成する。SMPは、ドーパミンの酸化的重合を通じて合成される。合成メラニン模倣体は、それらの生体適合性及び無数の機能性のためにバイオイメージング15、薬物送達16、及びセラノスティクス17を含む生物医学的用途において広範に使用されてきた。関心があるのは、創傷治癒の目的のためにラジカル酸素種を捕捉するメラニンの能力である。熱的、化学的、又は穿刺創傷の結果として、異なる経路が、有害な創傷治癒効果を有する余分なROSを放出するようシグナル伝達され得る。18、19この実施例において、本発明者らは、以前の方法に基づいて合成された低及び高表面積合成メラニン粒子を使用する。20化学的及び熱的創傷モデル後の皮膚に対するメラニン利用能の重要性を調査するために、低及び高表面積粒子が適用される。SMPの適用に対して、炎症及び創傷区域が減少する。組織修復において低表面SMPに対する高表面SMPの利点が観察される。これらの創傷治癒特性の背後にある機構が企図され、スーパーオキシドジスムターゼ活性の増加が見出される。
【0192】
[0207]例示的な結果:
[0208]PDAナノ粒子:合成及びキャラクタリゼーション:
[0209]以前に報告された方法に基づくドーパミンの酸化的重合を通じて多孔質及び固体メラニン模倣体が合成された(図1A図1G)。20吸着、動的光散乱、及び紫外線-可視(UV-vis)分光法を使用して粒子の表面積及びモルフォロジーが特徴付けられた(図7A図7D)。以前に報告されたように、高表面積合成メラニン粒子(HSA-SMP)が、190m/gのBET面積並びにおよそ14及び30Åの細孔を有していた一方、低表面積合成メラニン粒子(LSA-SMP)は、20m/gのBET面積を有する非多孔質であった(図7A図7B)。20DLSにより、HSA-SMPは、220±50nmの流体力学的直径を有しており、LSA-SMPは、320±10nmの流体力学的直径を有していた(図7C)。加えて、LSA及びHSA-SMPは、UV-vis分光法により同じに見えた(図7D)。両方の粒子が、200nm辺りの吸収極大並びに300nmの肩及びブロードな吸収尾部を有していた。多孔度以外、2種の粒子は、類似の特性を有していた。HSAもLSA-SMPも皮膚の角質層に侵入することができなかった(図1E図1F)。
【0193】
[0210]HSA-SMP及びLSA-SMPの捕捉活性も、DPPHアッセイを用いて評価された(図1G)。HSA-SMPは、LSA-SMPよりも低い粒子濃度でより高い捕捉活性を達成した。両方の粒子の捕捉活性は、100ug辺りで頭打ちになり、HSA-SMPは、およそ90%の捕捉活性を達成し、LSA-SMPは、およそ80%を達成した。捕捉活性は、粒子の異なるバッチ間で一貫していた(図8A)。捕捉活性は、もう一度使用されたとき、両方のSM粒子について約40%まで減少した(図8B)。
【0194】
[0211]PDAナノ粒子処置は、NM誘発傷害後の皮膚治癒を改善する:
[0212]局所的SMPでの処置が創傷治癒を改善するという仮説を検証するため、本発明者らは、NM誘発化学的傷害マウスモデルを利用した。局所的NMが、各マウスの剃毛した皮膚に適用された。2時間後に、局所的SMPが創傷部位に適用された。局所的SMP適用が、24及び48時間において繰り返された。動物が最長16日間監視された。硬い痂皮形成が正確な測定を妨げるまで、通常数日、皮膚浮腫の代用である二つ折り皮膚厚が測定された。創傷閉鎖を追跡するために、傷害部位の写真が毎日撮影された(図2A)。
【0195】
[0213]いずれのタイプのSMPでの処置も、ビヒクル群と比較して創傷区域減少のより速い速度(図2B)及び痂皮剥離までの時間(図2D)から分かる創傷治癒を改善した。HSA-SMP処置動物は、ビヒクル群及びLSA-SMP群のいずれよりも速く治癒し、それぞれLSA群及びビヒクル群の30%及び0%と比較してHSAマウスの50%が、傷害後11日で痂皮剥離を示した(図2D)。さらに、HSA-SMP処置動物のみが、ビヒクル処置マウスと比較して皮膚浮腫の有意な減少を経験した(図2C)。
【0196】
[0214]2時間の時間的間隔を実施することによるこの効果に対する本発明者らの考慮にも関わらず、SMP処置マウスにおけるNMの物理的吸着が、初期傷害の重症度に影響しなかったことを確認するために、UV放射線誘発傷害モデルを使用して同じ実験が繰り返された。本発明者らは、再び、SMP処置が、皮膚浮腫の減少及びより速い創傷閉鎖速度に結果としてつながることを見出した。
【0197】
[0215]PDAナノ粒子処置は、NM傷害後のSOD活性を増加させる:
[0216]皮膚傷害は、ROSの過剰放出につながる。抗酸化性酵素は、ROSの悪影響からの保護において大きな役割を果たす。最も重要な抗酸化酵素のうちの1つはSODである。皮膚損傷により影響されることが公知であるので、本発明者らは、どのようにSMP処置がSOD活性に影響するかを評価した。本発明者らは、スーパーオキシドラジカルの不均化を測定する市販の比色キットを使用して、NM傷害後24、48、及び72時間に収集された皮膚サンプルからSOD活性を評価した。本発明者らは、NM処置マウスが、傷害後24時間の対照よりも有意に低いSOD活性(p<0.01)を有することを見出した。いずれのタイプのSMPでの処置も、ビヒクル群と比較してSOD活性を有意に向上させた(いずれについてもp<0.05)(図3A)。傷害後48及び72時間において、SMP処置群は、ビヒクルと比べて向上されたSOD活性を示し続けたが、HSA-SMP処置のみが、統計的有意性を達成した。
【0198】
[0217]他の抗酸化酵素がSMP処置により影響されるかを調査するため、本発明者らは、チオレドキシンレダクターゼ、e及びカタラーゼの活性を測定したが、実施形態における特定の条件下で実験群間に統計的に有意な差を見出さなかった。
【0199】
[0218]多孔質PDAナノ粒子は、炎症及びアポトーシス経路を下方制御する:
[0219]次に、本発明者らは、Taqmanマウス免疫アレイを使用して、SMP活性の可能性のある機構を確認した。各アレイカードは4つのサンプルにしか適応できないので、本発明者らは、1条件あたり3匹のマウスからの遺伝情報をプールして、各群について単一の代表サンプルを作成した。本発明者らは、解析のために得られたデータを橋渡しするために使用された未処置群を除いて、各群から異なるようにプールしたサンプルをそれぞれ使用して、アッセイを3回繰り返した。解析において、NM+ビヒクル群が、参照として使用された。
【0200】
[0220]NM誘発傷害後、HSA SMPでの処置は、ビヒクル処置動物と比較して29種の遺伝子を有意に下方制御した(図4A図4G及び図11)。LSA-SMP処置群では、個々のアレイ間の大きいばらつきのために2種の遺伝子(Bcl2及びEce1)のみが統計的に有意に下方制御されたが、傾向は、炎症関連遺伝子の下方制御に向かっていた(図11)。PANTHER Classification Systemを使用したこの遺伝子発現データの解析は、ビヒクル群と比較して7種の差次的に発現された遺伝子をそれぞれ含むSMP処置マウスにおける主要な強化経路のうちの2つとして「ケモカイン及びサイトカインシグナル伝達によって媒介された炎症」及び「アポトーシスシグナル伝達」を確認した(図4A)。分類「アポトーシスシグナル伝達」に対応するビヒクル群と比較したHSA-SMPによる遺伝子下方制御に対応するTaqMan Mouse Immune Array結果について表1を、分類「ケモカイン及びサイトカインシグナル伝達によって媒介された炎症」に対応するビヒクル群と比較したHSA-SMPによる遺伝子下方制御に対応するTaqMan Mouse Immune Array結果について表2を参照されたい。
【0201】
【表1】
【0202】
【表2】
【0203】
[0221]酸化的ストレスの誘発に加えて、NMなどの発疱剤は、マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)経路を通じて炎症促進シグナル伝達も誘発する[Kumar、2015]。本発明者らは、ウエスタンブロッティング分析を実施して、MAPK経路(ERK1/2、p38、JNK)シグナル伝達に対するSMP処置の効果を決定した。本発明者らは、いずれのタイプのSMPでの処置も、傷害後24時間においてERK1/2のリン酸化を著しく阻害する(図5A図5B)一方、p38のリン酸化は影響されないことを見出した。MAPK経路シグナル伝達は、翻訳及び転写のレベルで無数の炎症メディエーターを制御する[引用]ので、本発明者らは、SMP処置関連シグナル伝達の変化が公知のNM傷害関連炎症促進メディエーターの発現変化につながるのかを決定しようとした。MMP9の発現は、傷害後48及び72時間の両方においてHSA-SMPにより、72時間においてLSA-SMPにより著しく低下した。
【0204】
[0222]SMP処置がアポトーシスを阻害することを確認するために、本発明者らは、各実験群から収集された皮膚サンプルのターミナルデオキシヌクレオチジルトランスフェラーゼdUTPニック末端標識(TUNEL)染色を実施した。予想される通り、NM傷害のみが、強いTUNEL陽性染色に結果としてつながった(図4A図4G)。TUNEL染色は、平均蛍光強度でビヒクルのみの群と比較して、いずれかのSMPで処置されたマウスにおいて有意に低下(いずれについてもp<0.05)し、アポトーシスの減少を示した(図4A図4G)。
【0205】
[0223]Cu/Zn SODの阻害は、皮膚創傷治癒に対するSMP効果を部分的に逆転させる
[0224]本発明者らがSOD活性を測定するために使用したサンプル調製方法は、Cu及びZnを含むサイトゾルSOD1の単離を助ける。したがって、創傷修復に対するSMPの有益な効果がSOD1活性化に依存するのかを判断するために、本発明者らは、小分子銅キレート化剤及びSOD1の周知の阻害剤であるATN-224の存在下で動物実験を繰り返した。文献データに基づいて、SOD1の欠如は、創傷治癒に対して悪影響を有すると予想され、阻害剤に曝露されない動物と同等の、創傷治癒に対して比較的穏やかな効果を生むであろう処置レジメン(すなわち、阻害剤の用量及び処置の期間)を提供することが企図された。
【0206】
[0225]創傷の画像が図2Aに示されている。NM誘発浮腫の発生は、PBS(ATN-224のビヒクル)対照群と比較して、ATN-224で処置された全群においてわずかにより顕著であった。次いで、本発明者らは、ATN-224での処置が、マウス皮膚においてSOD活性の上方制御を阻害することを確認した。ATN-224での処置が、本発明者らのマウスにおいてSOD活性の上方制御を阻害することを確認した後、本発明者らは、ATN-224処置がさらに、浮腫のいかなる減少も妨げ、創傷治癒速度の改善を鈍らせ、ATN-224-/SMP+マウスにおいて以前に観察されたアポトーシスの阻害を制限することを見出した。しかし、いずれのATN-224+/SMP+群も、依然としてATN-224+/SMP-群よりも速く治癒したが、SMP群間に統計的に有意な差はなかった。したがって、Cu/Zn SODの阻害は、皮膚創傷治癒に対するPDA NPの有益な効果を少なくとも部分的に逆転させた。
【0207】
[0226]合成メラニン粒子処置は、ヒト皮膚外植片のNM誘発損傷を緩和する:
[0227]本発明者らは、腹壁形成手術を経た健常ドナーから得られたex vivo皮膚外植片を使用して、傷害ヒト皮膚に対するSMP処置の効果を評価した。NM誘発傷害は、表皮-真皮結合の破壊、上皮分離(小胞形成)、及びケラチノサイトの核濃縮を含む特徴的な病理組織学的特徴に結果としてつながった。
【0208】
[0228]治療的用量のNM(0.016% w/wメクロレタミンゲル)への健常ヒト皮膚の曝露が、炎症促進遺伝子の特性セットの上方制御に結果としてつながることも見出された。ビタミンD3処置によるこれらの遺伝子の抑制は、治癒におけるそれらの特定の役割を示唆した。この遺伝子セットの発現が、ヒト皮膚外植片のSMP処置により改変されるかどうか熟考された。
【0209】
[0229]非限定的な議論:新規な粒子、局所適用:
[0230]合成メラニン粒子(SMP)の局所適用は、化学的及び熱的傷害後の皮膚治癒を改善した。メラニンは、放射線からの皮膚保護においてある役割を果たす天然ポリマー性生体材料である。その電子豊富な官能基のために、メラニンは、それがラジカル酸素種を捕捉し、UV放射線曝露の間に皮膚内に生成される他の有害な分子を吸着することを可能にする複雑な酸化還元能を有する。メラニンのこの抗酸化活性は、それが創傷治癒を助けることが以前に示されているので特に興味深い。創傷損傷によって生じる活性酸素種の大量蓄積は、炎症期から増殖期への移行を延長又は阻止することができる。したがって、生体適合性ラジカル捕捉材料は、化学的又は熱的創傷後の組織修復に対して魅力的である。
【0210】
[0231]皮膚内の天然メラニンを模倣するように非毒性の生体適合性合成メラニン粒子(SMP)が合成された。以前の研究は、成人ケラチノサイト細胞(HEKa)の2D細胞培養液中で低表面積粒子(LSA-SMP)と類似のメラニンナノ粒子に対して実施され、それは、毒性又は細胞生存率の著しい変化を示さなかった。21低表面積粒子(LSA-SMP)と比較し、創傷治癒におけるメラニンの役割をさらに解明するために、増加したカテコール濃度及び可能性のある捕捉部位を有する高表面積粒子(HSA-SMP)が合成された。2Dケラチノサイト細胞はSMPを取り込むことができるが、LSAもHSA-SMPも局所的に適用されたとき皮膚の角質層に侵入せず、それでもそれらは、創傷区域サイズ及び皮膚厚を低減することを含む創傷治癒能力を依然として示す。全体として、LSA及びHSA-SMPの両方が創傷治癒効果を示し、HSA-SMPは、特定のケースにおいてLSA-SMPよりも性能が優れていた。ラジカル捕捉DPPHアッセイに見られるように、HSA-SMPは、より低い濃度でより高いラジカル捕捉活性を有し、ラジカルのクエンチにおいてLSA-SMPよりも効率的であり得、その優れた性能に寄与する。
【0211】
[0232]ROS;(皮膚)創傷内のROS:
[0233]ROSは、O2が付加電子で還元された反応性が高い分子である このファミリー内で最も研究された分子は、スーパーオキシドアニオン、過酸化物、過酸化水素、ヒドロキシルラジカル及びヒドロキシルイオンを含む。ホメオスタシスの間、ROSの基礎レベルは、しっかり制御され、正常細胞を機能させ続けることに関与する一方、ROSレベルの変化は、アポトーシス促進性シグナル伝達又は細胞周期停止を誘発し得る。
【0212】
[0234]SOD、SOD1の役割:
[0235]SODファミリーは、3種のアイソフォームを有する:Cu/Zn SOD1は、細胞質に主に見出され、Mn/Zn SOD2は、ミトコンドリアマトリックス中にあり、Cu/Zn SOD3は、細胞外に位置する。
【0213】
[0236]炎症経路、アポトーシス:
[0237]MAPK経路の刺激は、炎症反応、アポトーシス、遊走、増殖などを含むいくつかの様々な細胞事象の活性化につながる。硫黄マスタード、NM及びSEESなどの発疱薬へのマウス皮膚の曝露は、MAPKリン酸化に結果としてつながるということが示され、これらの薬剤によって引き起こされる炎症反応においてMAPKがある役割を果たすという考えを支持した。したがって、Kumarらによると、マウス皮膚内のNM傷害後、ERK1/2、p38及びJNK1/2のリン酸化だけでなく、TNFα、iNOS、MMP9などの炎症促進分子のレベルが著しく上昇した。一方、ROSは、MAPKの活性化に関係していた。データは、SMPによるROS負荷の低減が、傷害マウス皮膚内の炎症促進シグナル伝達を低下させ、ERK1/2リン酸化を低下させ、アポトーシスを抑制したことを示す。
【0214】
[0238]実施例1B:例示的、非限定的な材料及び方法は、実施例1Aに対応する
[0239]材料:オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)及び25wt%ポリ(アクリル酸)溶液(PAA)が、Acros Organicsから購入された。ヘキサデシルトリメチルアンモニウムブロミド(CTAB)が、東京化成工業株式会社(TCI)に注文された。塩酸ドーパミンが、Alfa Aesarから入手された。水酸化アンモニウムが、Fisher Scientificから購入された。フッ化水素酸(HF)、エタノール、及びTrizma@Base(トリス)が、Sigma Aldrichから入手された。すべての材料が、さらに精製せずに受け入れられたまま使用された。
【0215】
[0240]メソ多孔質シリカテンプレートの調製:テンプレートとして使用されるメソ多孔質シリカナノ粒子(MS)が、以前の文献の方法に基づいて合成された。22CTAB 0.55g及びPAA 3.00gが、25mLの超純水下で溶解され、激しく撹拌された溶液は透明であった。水酸化アンモニウム2.0gが、撹拌溶液に加えられた。20分後、TEOS 2.08gが加えられ、さらに15分間撹拌された。次いで、溶液が、120℃で48時間オーブン内に置かれた。次いで、混合物が、遠心分離され、乾燥された後、粒子が550℃で6時間か焼されて、残っている有機テンプレートが除去された。
【0216】
[0241]PDA多孔質の調製:報告された文献の方法に基づいてPDA多孔質が調製された。20250mgのMSが、超純水中で1時間超音波処理された。225mLの超純水及び25mLのエタノール(体積で9:1 HO:EtOH)に、MS 250mg及びドーパミン225mgが加えられ、室温で1時間撹拌された。次いで、トリス(10mM、pH8.5)が、反応物に加えられ、さらに4時間撹拌された。割り当てられた時間の後、反応物が、遠心分離され、超純水で5回洗浄された。一晩のフッ化水素酸(10wt%)エッチングを通じてテンプレートが除去され、次いで、遠心分離され、超純水で5回洗浄された。
【0217】
[0242]PDA固体の調製:ドーパミンの酸化的重合を通じてPDA固体が合成された。簡潔には、900mgのドーパミンが、300mLの超純水に溶解され、4mLの1M NaOHが、室温で溶液に加えられ、18時間撹拌された。次いで、溶液が、遠心分離され、超純水で5回洗浄された。
【0218】
[0243]ラジカル捕捉活性に関するDPPHアッセイ:PDA多孔質及び固体のDPPHラジカル捕捉活性が、報告された文献の方法にしたがって決定された。23水に分散した100μLのPDAナノ粒子が、DPPHの1.8mL溶液(95%エタノール中0.2mM)に加えられた。PDA粒子の総量が、5から200μgまで変えられた。溶液が、暗所で20分間放置された。その後、516nmの溶液の吸光度を取ることにより、捕捉活性が監視された。DPPHラジカル捕捉活性を決定するために、以下の計算(式1)が使用された。
【0219】
【数1】
【0220】
Iは、DPPHラジカル捕捉活性であり、Aは、DPPHを含むサンプルの吸光度であり、Aは、DPPHを含まないサンプルの吸光度であり、Aは、PDAサンプルを含まないDPPHの吸光度である。
【0221】
[0244]キャラクタリゼーション:すべてのPDA粒子が、透過型電子顕微鏡法(TEM、株式会社日立製作所HT-7700、120KV、又はSTEM、株式会社日立製作所HD-2300A、200KV)によって初めに特徴付けられた。動的光散乱(DLS、Malvern Instruments Ltd、Nano ZS)、ゼータ電位(Malvern Instruments Ltd、Nano ZS)、及び紫外線-可視分光法(UV-Vis、Agilent Technologies Cary 100 UV-Vis)が、流体力学的直径を調査するために使用された。
【0222】
[0245]サンプル活性化:Micromeritics Smart VacPrepを使用して、メソ多孔質シリカについては100℃、プレエッチングされたPDA多孔質については75℃でサンプルが真空下で熱的に活性化された。
【0223】
[0246]tousimis SAMDRI-PVT-3D Advanced Manual Critical Point Dryerを使用して、PDAサンプルが活性化された。活性化の前に、サンプルが、エタノールに一晩交換された。超臨界乾燥機を使用して、サンプルが、サンプルチャンバーに加えられ、0~10℃まで冷却され、800psiまで加圧された。系を2時間毎に5分間パージしながら、エタノールが、10時間にわたって液体COと交換された。5回目のパージの後、温度が40℃まで上げられ、系が1200~1400psiまで加圧された。圧力が、0.5cc/分の速度で一晩ゆっくり解放された。サンプルが、Micromeritics Smart VacPrep上に直ちに移され、吸着測定の前に真空下に25℃で2時間置かれた。
【0224】
[0247]窒素等温線:シリカ及びプレエッチングされたPDA多孔質サンプルについて、N等温線が、77KでMicromeritics TriStar物理吸着装置で収集された。
【0225】
[0248]PDAサンプルについて、窒素物理吸着測定値が、77KでMicromeritics ASAP 2020装置を使用して収集された。カーボンスリット幾何形状及びN DFTモデルを用いて密度汎関数理論(DFT)計算を使用して、細孔サイズ分布が得られた。
【0226】
[0249]動物:すべての動物研究が、Northwestern University IACUCにより承認された。6~8週齢C57BL/6J雌マウスが、Jackson Laboratoriesから購入された。
【0227】
[0250]ナイトロジェンマスタード皮膚傷害モデル:マウスの背側部が剃毛され、皮膚傷害誘発の48時間前に化学的に脱毛された。マウスが麻酔され、化学換気フード下のヒートパッド上に置かれた。1.5% DMSO-PBS中0.5%のメクロレタミン(mechloroethamine)塩酸塩(ナイトロジェンマスタード、NM)(Sigma、122564)溶液が、適用直前に調製された。合計で40μlのNM溶液が、2回の連続適用で円形(直径12mm)区域に適用された。適用後、マウスが、化学換気フード下の一時的な住空間に2時間置かれた。
【0228】
[0251]UV放射線皮膚傷害モデル:マウスが、以前記載された通りUV放射線に曝露された[X]。簡潔には、毛が脱毛された背中の皮膚の直径12mmの円形区域が、Kodacel(Eastman Kodak Co.、Rochester、NY)を通じてフィルターされた6つのFS-40蛍光灯からのUVB照射に曝露された。IL SED 240検出器を備えたIL-443光線療法放射計(International Light、Newburyport、MA)でUVB発光が測定された。皮膚炎症を誘発するために、マウスが100mJ/cm2の単一のUVB線量に曝露された。
【0229】
[0252]ポリドーパミンナノ粒子(PDA NP)での処置:PDA NPがmilli-Q水に50μg/μlの濃度で希釈された。1mgの総量の粒子が、傷害誘発の2時間後、次いで、24及び48時間後に傷害皮膚区域に適用された。Milli-Q水が、対照群のビヒクルとして使用された。処置の間、イソフルランを使用してマウスが麻酔された。
【0230】
[0253]皮膚傷害のモニタリング及び創傷治癒の測定:皮膚傷害の誘発後、マウスが非侵襲的に追跡調査された。モニタリングは、皮膚傷害の日から開始して、毎日実施された。傷害区域の写真が撮影され、傷害区域の二つ折り皮膚厚が、デジタルノギス(株式会社ミツトヨ、PK0505CPX)を使用して測定され、重量が測定された。炎症/創傷の区域が、Image J及びQuPathソフトウェアを使用して測定された。
【0231】
[0254]統計解析:ビジュアルグラフィックスを作成し、統計的有意性を計算するために、GraphPad Prism V.8.3.0ソフトウェアが使用された。p値を計算するために、一元配置ANOVA及びt検定が使用された。
【0232】
[0255]実施例1A及び実施例1Bに対応する参考文献:
1. D'Alba, L.; Shawkey, M. D.,Melanosomes: Biogenesis, Properties, and Evolution of an Ancient Organelle.Physiol. Rev. 2019, 99 (1), 1-19.
2. Simon, J. D.; Peels, D. N., The Red andthe Black. Acc. Chem. Res. 2010, 43 (11), 1452-1460.
3. Solano, F., Melanins: Skin Pigments andMuch More-Types, Structural Models, Biological Functions, and Formation Routes.New Sci. J. 2014, 2014, 1-28.
4. Jakubiak, P.; Lack, F.; Thun, J.; Urtti, A.; Alvarez-Sanchez, R., Influence of MelaninCharacteristics on Drug Binding Properties. Mol Pharm 2019, 16 (6), 2549-2556.
5. Razanowska, M.; Sarna, T.; Land, E. J.; Truscott, T. G., Free radical scavenging properties of melanin:Interaction of eu- and pheo-melanin models with reducing and oxidisingradicals. Free Radic Biol Med 1999, 26 (6), 518-525.
6. Kim, K.; Tsay, O. G.; Atwood, D. A.; Churchill, D. G., Destruction and Detection of Chemical WarfareAgents. Chem. Rev. 2011, 111 (9), 5345-403.
7. Smart, J. K., Medical Aspects of Chemicaland Biological Warfare. Office of the Surgeon General: Washington, DC, 1997.
8. Tu, A. T., Natural and SelectedSynthetic Toxins. Tu, A. T.; Gaffield, W., Eds. American Chemical Society:Washington DC, 2000; Vol. 745.
9. Makarovsky, I.; Markel, G.; Hoffman, A.; Schein, O.; Finkelstien, A.; Brosh-Nissimov,T.; Tashma, Z.; Dushnitsky, T.; Eisenkraft, A., Osmium Tetroxide: ANew Kind of Weapon. Isr. Med. Assoc. J. 2007, 9 (10), 750-752.
10. Saladi, R. N.; Smith, E.;Persaud, A. N., Mustard: a potential agent of chemical warfare and terrorism.Clin Exp Dermatol 2006, 31 (1), 1-5.
11. Ryu, J. H.; Messersmith, P. B.;Lee, H., Polydopamine Surface Chemistry: A Decade of Discovery. ACS Appl.Mater. Interfaces 2018, 10 (9), 7523-7540.
12. Siwicka, Z. E.; Son, F.A.; Battistella, C.; Moore, M. H.; Korpanty, J.; McCallum, N. C.; Wang, Z.; Johnson, B. J.; Farha, O. K.;Gianneschi, N. C., Synthetic Porous Melanin. Journal of the American ChemicalSociety 2021, 143 (8), 3094-3103.
13. Huang, L.; Liu, M.; Huang,H.; Wen, Y.; Zhang, X.; Wei, Y., Recent Advances and Progress onMelanin-like Materials and Their Biomedical Applications. Biomacromolecules2018, 19 (6), 1858-1868.
14. Wang, Z.; Carniato, F.; Xie, Y.; Huang, Y.; Li, Y.; He, S.; Zang, N.; Rinehart, J. D.; Botta, M.; Gianneschi, N. C., High RelaxivityGadolinium-Polydopamine Nanoparticles. Small 2017, 13 (43).
15. Zhang, R.; Fan, Q.; Yang,M.; Cheng, K.; Lu, X.; Zhang, L.; Huang, W.; Cheng, Z.,Engineering Melanin Nanoparticles as an Efficient Drug-Delivery System forImaging-Guided Chemotherapy. Advanced Materials 2015, 27 (34), 5063-5069.
16. Cheng, W.; Nie, J.; Gao,N.; Liu, G.; Tao, W.; Xiao, X.; Jiang, L.; Liu,Z.; Zeng, X.; Mei, L., A Multifunctional Nanoplatform against MultidrugResistant Cancer: Merging the Best of Targeted Chemo/Gene/Photothermal Therapy.Advanced Functional Materials 2017, 27 (45), 1704135.
17. Wang, J.-G.; Zhou, H.-J.; Sun, P.-C.; Ding, D.-T.; Chen, T.-H., Hollow Carved Single-CrystalMesoporous Silica Templated by Mesomorphous Polyelectrolyte-SurfactantComplexes. Chem. Mater. 2010, 22 (13), 3829-3831.
18. Ju, K.-Y.; Lee, Y.; Lee,S.; Park, S. B.; Lee, J.-K., Bioinspired Polymerization of Dopamine toGenerate Melanin-Like Nanoparticles Having an Excellent Free-Radical-ScavengingProperty. Biomacromolecules 2011, 12 (3), 625-632.
【0233】
[0256]追加の参考文献:
1. D'Alba, L.; Shawkey, M. D.,Melanosomes: Biogenesis, Properties, and Evolution of an Ancient Organelle.Physiol. Rev. 2019, 99 (1), 1-19.
2. Van Den Bossche, K.; Naeyaert,J.-M.; Lambert, J., The Quest for the Mechanism of Melanin Transfer. Traffic2006, 7 (7), 769-778.
3. Simon, J. D.; Peels, D. N., The Red andthe Black. Acc. Chem. Res. 2010, 43 (11), 1452-1460.
4. Solano, F., Melanins: Skin Pigments andMuch More-Types, Structural Models, Biological Functions, and Formation Routes.New Sci. J. 2014, 2014, 1-28.
5. D'Alba, L.; Van Hemert, C.; Spencer, K. A.; Heidinger, B. J.; Gill, L.; Evans, N.P.; Monaghan, P.; Handel, C. M.; Shawkey, M. D., Melanin-basedcolor of plumage: role of condition and of feathers' microstructure. IntegrComp Biol 2014, 54 (4), 633-44.
6. Goiran, C.; Bustamante, P.;Shine, R., Industrial Melanism in the Seasnake Emydocephalus Annulatus. Curr.Biol. 2017, 27 (16), 2510-2513.
7. Schroeder, R. L.; Gerber, J. P.,Chloroquine and Hydroxychloroquine Binding to Melanin: Some PossibleConsequences for Pathologies. Toxicol. Rep. 2014, 1, 963-968.
8. Jakubiak, P.; Lack, F.; Thun, J.; Urtti, A.; Alvarez-Sanchez, R., Influence of MelaninCharacteristics on Drug Binding Properties. Mol Pharm 2019, 16 (6), 2549-2556.
9. Price, R. J.; Lee, J. S., ParalyticShellfish Poison and Melanin Distribution in Fractions of Toxic Butter Clam(Saxidomus giganteus) Siphon. Can. J. Fish. Aquat. Sci. 1972, 29 (11),1657-1658.
10. Margalida, A.; Negro, J. J.;Galvan, I., Melanin-based color variation in the Bearded Vulture suggests athermoregulatory function. Comp Biochem Physiol A Mol Integr Physiol 2008, 149(1), 87-91.
11. Razanowska, M.; Sarna, T.; Land, E. J.; Truscott, T. G., Free radical scavenging properties of melanin:Interaction of eu- and pheo-melanin models with reducing and oxidisingradicals. Free Radic Biol Med 1999, 26 (6), 518-525.
12. Burgoyne, T.; O'Connor, M.N.; Seabra, M. C.; Cutler, D. F.; Futter, C. E., Regulation ofmelanosome number, shape and movement in the zebrafish retinal pigmentepithelium by OA1 and PMEL. Journal of Cell Science 2015, 128 (7), 1400-1407.
13. Puertas-Bartolome, M.; Benito-Garzon, L.; Fung, S.; Kohn, J.; Vazquez-Lasa, B.; SanRoman, J., Bioadhesive functional hydrogels: Controlled release of catecholspecies with antioxidant and antiinflammatory behavior. Materials Science andEngineering: C 2019, 105, 110040.
14. Bagheri, M.; Validi, M.; Gholipour, A.; Makvandi, P.; Sharifi, E., Chitosan nanofiberbiocomposites for potential wound healing applications: Antioxidant activitywith synergic antibacterial effect. Bioengineering & Translational Medicine2022, 7 (1).
15. Wang, Z.; Carniato, F.; Xie, Y.; Huang, Y.; Li, Y.; He, S.; Zang, N.; Rinehart, J. D.; Botta, M.; Gianneschi, N. C., High RelaxivityGadolinium-Polydopamine Nanoparticles. Small 2017, 13 (43).
16. Zhang, R.; Fan, Q.; Yang,M.; Cheng, K.; Lu, X.; Zhang, L.; Huang, W.; Cheng, Z.,Engineering Melanin Nanoparticles as an Efficient Drug-Delivery System forImaging-Guided Chemotherapy. Advanced Materials 2015, 27 (34), 5063-5069.
17. Cheng, W.; Nie, J.; Gao,N.; Liu, G.; Tao, W.; Xiao, X.; Jiang, L.; Liu,Z.; Zeng, X.; Mei, L., A Multifunctional Nanoplatform against MultidrugResistant Cancer: Merging the Best of Targeted Chemo/Gene/Photothermal Therapy.Advanced Functional Materials 2017, 27 (45), 1704135.
18. Bryan, N.; Ahswin, H.; Smart, N.; Bayon, Y.; Wohlert, S.; Hunt, J., Reactive oxygenspecies (ROS)-a family of fate deciding molecules pivotal in constructiveinflammation and wound healing. European Cells and Materials 2012, 24, 249-265.
19. Dunnill, C.; Patton, T.; Brennan, J.; Barrett, J.; Dryden, M.; Cooke, J.; Leaper, D.; Georgopoulos, N. T., Reactive oxygen species (ROS) and woundhealing: the functional role of ROS and emerging ROS-modulating technologiesfor augmentation of the healing process. International Wound Journal 2017, 14(1), 89-96.
20. Siwicka, Z. E.; Son, F.A.; Battistella, C.; Moore, M. H.; Korpanty, J.; McCallum, N. C.; Wang, Z.; Johnson, B. J.; Farha, O. K.;Gianneschi, N. C., Synthetic Porous Melanin. Journal of the American ChemicalSociety 2021, 143 (8), 3094-3103.
21. Huang, Y.; Li, Y.; Hu,Z.; Yue, X.; Proetto, M. T.; Jones, Y.; Gianneschi, N. C.,Mimicking Melanosomes: Polydopamine Nanoparticles as Artificial Microparasols.ACS Cent. Sci. 2017, 3 (6), 564-569.
22. Wang, J.-G.; Zhou, H.-J.; Sun, P.-C.; Ding, D.-T.; Chen, T.-H., Hollow Carved Single-CrystalMesoporous Silica Templated by Mesomorphous Polyelectrolyte-SurfactantComplexes. Chem. Mater. 2010, 22 (13), 3829-3831.
23. Ju, K.-Y.; Lee, Y.; Lee,S.; Park, S. B.; Lee, J.-K., Bioinspired Polymerization of Dopamine toGenerate Melanin-Like Nanoparticles Having an Excellent Free-Radical-ScavengingProperty. Biomacromolecules 2011, 12 (3), 625-632.
【0234】
〔参照による組み込み及び変形に関する記載〕
[0258]本出願全体を通じたすべての参考文献、例えば、発行若しくは付与された特許又は等価物;特許出願公開;及び非特許文献文書又は他の原資料を含む特許文書は、各参考文献が本出願の開示と少なくとも部分的に矛盾しない程度まで、参照により個々に組み込まれるかのように、参照によりその全体が本明細書によって本明細書に組み込まれる(例えば、部分的に矛盾している参考文献は、参考文献の部分的に矛盾する部分を除いて、参照により組み込まれる)。
【0235】
[0259]本明細書において使用された用語及び表現は、限定の用語としてではなく説明の用語として使用され、こうした用語及び表現の使用において、図示及び記載された特徴又はその一部の任意の等価物を排除する意図は存在しないが、特許請求される本発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、好ましい実施形態、例示的な実施形態及び任意選択の特徴により本発明が詳細に開示されてきたが、本明細書に開示される概念の修正及び変形が当業者により用いられ得ること、並びにこうした修正及び変形は、添付の特許請求の範囲により定義される通りの本発明の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。本明細書に記載される特定の実施形態は、本発明の有用な実施形態の例であり、本発明は、本説明に記載されるデバイス、デバイス構成成分、方法ステップの多くの変形を使用して行われてよいことが当業者に明らかになるであろう。当業者に明らかになるであろうように、本方法に有用な方法及びデバイスは、多くの任意選択の構成及び加工要素及びステップを含むことができる。
【0236】
[0260]本明細書及び添付された特許請求の範囲において使用されるとき、単数形「a」、「an」、及び「the」は、文脈により特に明瞭に指示されない限り、複数の指示対象を含む。したがって、例えば、「細胞(a cell)」への言及は、複数のこうした細胞及び当業者に公知のその等価物を含む。さらに、用語「a」(又は「an」)、「1つ又は複数」及び「少なくとも1つ」は、本明細書において交換可能に使用され得る。用語「を含む(comprising)」、「を含む(including)」、及び「を有する(having)」は、交換可能に使用され得ることにも留意されたい。表現「請求項XX~YYのいずれか一項に記載の(of any of claims XX-YY)」(ここでXX及びYYは請求項番号を指す)は、代替形態の複数の従属請求項を記載することが意図され、いくつかの実施形態において、表現「請求項XX~YYのいずれか一項に記載の(as in any one of claims XX-YY)」と交換可能である。
【0237】
[0261]置換基の群が本明細書に開示されるとき、群メンバーの任意の異性体、エナンチオマー、及びジアステレオマーを含む、その群及びすべての亜群のすべての個々のメンバーは、別々に開示されていることが理解される。マーカッシュ群又は他の群分けが本明細書において使用されるとき、群並びに群の可能性のあるすべての組合せ及び下位の組合わせのすべての個々のメンバーが本開示に個々に含まれることが意図される。化合物の特定の異性体、エナンチオマー又はジアステレオマーが、例えば式又は化学名において指定されないよう化合物が本明細書に記載されるとき、その記載は、個々にか、又は任意の組合せで記載される化合物の各異性体及びエナンチオマーを含むことが意図される。加えて、特に指定されない限り、本明細書に開示される化合物のすべての同位体変種は、本開示により包含されることが意図される。例えば、開示される分子中の任意の1個又は複数の水素は、重水素又は三重水素で置き換えられ得ることが理解されるであろう。分子の同位体変種は、分子に関するアッセイにおいて、並びに分子又はその使用に関係する化学的及び生物学的研究において標準として一般に有用である。こうした同位体変種を調製するための方法は、当技術分野において公知である。当業者が同じ化合物を異なるように名付けることがあることが公知であるので、化合物の特定の名称は例示的であることが意図される。
【0238】
[0262]本明細書に開示される特定の分子は、1個又は複数のイオン化可能基[プロトンを除去(例えば、-COOH)若しくは付加(例えば、アミン)することができるか、又は四級化(例えば、アミン)することができる基]を含んでもよい。こうした分子及びその塩のすべての可能なイオン型が、本明細書の開示において個々に含まれることが意図される。本明細書の化合物の塩に関して、当業者は、多種多様な利用可能な対イオンの中から所与の用途のための本発明の塩の調製に適切であるものを選択することができる。特定の用途において、塩の調製のための所与のアニオン又はカチオンの選択は、その塩の溶解性の向上又は低下に結果としてつながることがある。
【0239】
[0263]特に記載のない限り、本発明を実行するために本明細書に記載又は例示されるあらゆる材料、製剤、材料の組合せ、及び方法を使用することができる。
【0240】
[0264]ある範囲、例えば、温度範囲、時間範囲、又は組成若しくは濃度範囲が本明細書に示される場合は常に、示される範囲に含まれるすべての中間範囲及び部分範囲、並びにすべての個々の値が本開示に含まれることが意図される。本明細書の説明に含まれている任意の部分範囲又はある範囲若しくは部分範囲内の個々の値は、本明細書の特許請求の範囲から除外され得ることが理解されるであろう。
【0241】
[0265]本明細書に述べられるすべての特許及び刊行物は、本発明が属する技術分野の当業者の技能のレベルを示している。本明細書に引用される参考文献は、それらの公開又は出願日時点の最先端技術を示すためにその全体が参照により本明細書に組み込まれており、この情報は、必要であれば、先行技術に存在する特定の実施形態を除外するために本明細書において使用され得ることが意図される。例えば、物質の組成物が特許請求されるとき、本明細書に引用される参考文献に実施可能な開示が記載されている化合物を含む、出願人の発明の前に当技術分野において公知であり、利用可能な化合物は、本明細書において特許請求される物質の組成物に含まれることが意図されないことが理解されるべきである。
【0242】
[0266]本明細書において使用されるとき、「を含む(comprising)」は、「を含む(including)」、「を含む(containing)」、又は「によって特徴付けられる」と同義であり、包括的又はオープンエンドであり、追加の記載されていない要素又は方法ステップを排除しない。本明細書において使用されるとき、「からなる」は、請求項の要素に指定されない任意の要素、ステップ、又は成分を排除する。本明細書において使用されるとき、「から本質的になる」は、請求項の基本的であり新規な特性に実質的に影響しない材料又はステップを排除しない。本明細書の各例において、用語「を含む(comprising)」、「から本質的になる」及び「からなる」のいずれかが、他の2つの用語のいずれかで置き換えられてもよい。本明細書に例示的に記載される本発明は好適には、本明細書に詳細に開示されていない何らかの1つ又は複数の要素、1つ又は複数の制限の非存在下で実行することができる。
【0243】
[0267]出発材料、詳細に例示されるもの以外の生体材料、試薬、合成法、精製法、分析法、アッセイ法、及び生物学的方法は、過度の実験に頼ることなく本発明の実行において使用され得ることを当業者は理解するであろう。任意のこうした材料及び方法のすべての当技術分野公知の機能的等価物が本発明に含まれることが意図される。使用された用語及び表現は、限定の用語としてではなく説明の用語として使用され、こうした用語及び表現の使用において、図示及び記載された特徴又はその一部の任意の等価物を排除する意図は存在しないが、特許請求される本発明の範囲内で様々な修正が可能であることが認識される。したがって、好ましい実施形態及び任意選択の特徴により本発明が詳細に開示されてきたが、本明細書に開示される概念の修正及び変形が当業者により用いられ得ること、並びにこうした修正及び変形は、添付の特許請求の範囲により定義される通りの本発明の範囲内であると考えられることが理解されるべきである。
【0244】
〔関連出願の相互参照〕
[0001]本出願は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる、2021年4月28日に出願された米国特許仮出願第63/181,055号の優先権の利益を主張する。
【0245】
〔連邦政府による資金提供を受けた研究開発の記載〕
[0002]本発明は、国立衛生研究所から受けた助成金番号AR071168及びAR079795並びに空軍科学研究局から受けた助成金番号FA9550-18-1-0142の下で政府の支援によりなされた。政府は、本発明において一定の権利を有する。
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図2A
図2B
図2C
図2D
図3A
図3B
図3C
図4A
図4B
図4C
図4D
図4E
図4F
図4G
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8A
図8B
図9A
図9B
図9C
図10A
図10B
図11-1】
図11-2】
図11-3】
【国際調査報告】