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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】カニューレアセンブリ
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/34 20060101AFI20240403BHJP
   A61M 5/32 20060101ALI20240403BHJP
【FI】
A61M5/34 550
A61M5/32 540
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565901
(86)(22)【出願日】2022-04-20
(85)【翻訳文提出日】2023-12-04
(86)【国際出願番号】 US2022025609
(87)【国際公開番号】W WO2022231921
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】63/180,955
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/202,432
(32)【優先日】2021-06-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】520375033
【氏名又は名称】アスクレピオス バイオファーマシューティカル, インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100078282
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 秀策
(74)【代理人】
【識別番号】100113413
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 夏樹
(74)【代理人】
【識別番号】100181674
【弁理士】
【氏名又は名称】飯田 貴敏
(74)【代理人】
【識別番号】100181641
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 大輔
(74)【代理人】
【識別番号】230113332
【弁護士】
【氏名又は名称】山本 健策
(72)【発明者】
【氏名】オカラガン, マイケル ダブリュー.
【テーマコード(参考)】
4C066
【Fターム(参考)】
4C066AA07
4C066BB01
4C066CC01
4C066DD07
4C066FF05
4C066KK04
4C066KK05
4C066KK07
4C066PP01
(57)【要約】
カニューレアセンブリは、カニューレと、ポリマー支持材料と、ハブとを含む。カニューレは、近位端と遠位端とを有する。ポリマー支持材料は、近位端またはその近傍においてカニューレの一部を実質的に包囲している。ハブは、シリンジに取り付けられるように構成されている。ポリマー支持材料は、カニューレとハブとの間に配置されている。カニューレ、ポリマー支持材料、およびハブは、接着によって取り付けられている。一実施形態において、カニューレは、グラスファイバを備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カニューレアセンブリであって、前記カニューレアセンブリは、
近位端と遠位端とを有するカニューレと、
前記近位端またはその近傍において前記カニューレの一部を実質的に包囲しているポリマー支持材料と、
シリンジに取り付けられるように構成されたハブと
を備え、
前記ポリマー支持材料は、前記カニューレと前記ハブとの間に配置され、
前記カニューレ、前記ポリマー支持材料、および前記ハブは、接着によって取り付けられている、カニューレアセンブリ。
【請求項2】
前記カニューレは、グラスファイバを備えている、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項3】
前記ポリマー支持材料は、テーパ状である、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項4】
前記ポリマー支持材料は、前記近位端から前記遠位端に向かって徐々に細くされており、前記ポリマー支持材料の厚さは、前記近位端においてより厚い、請求項3に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項5】
前記ポリマー支持材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド、フッ素ポリマー、ポリオレフィン、PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、またはそれらの組み合わせを備えている、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項6】
前記ポリマー支持材料は、ポリマー支持管類である、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項7】
前記ポリマー支持材料は、前記カニューレを完全に包囲している、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項8】
前記ハブは、ルアー締まり嵌めハブである、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項9】
前記ルアー締まり嵌めハブは、前記シリンジに取り付けられるように構成されたねじ山形成物を含む、請求項8に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項10】
前記カニューレアセンブリと前記シリンジとを堅く締めるように適合された翼状接続部をさらに含む、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項11】
前記ポリマー支持材料および前記ハブは、透明または半透明な材料を備えている、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項12】
前記接着剤は、UV感受性接着剤である、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項13】
上層管類をさらに含み、前記上層管類は、前記ポリマー支持材料から反対側で前記ハブに隣接して配置されている、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項14】
前記ポリマー支持材料は、複数のポリマー支持管セグメントである、請求項1に記載のカニューレアセンブリ。
【請求項15】
カニューレアセンブリとシリンジとの組み合わせであって、前記組み合わせは、
近位端と遠位端とを有するカニューレであって、ポリマー支持材料が、前記近位端またはその近傍において前記カニューレの一部を実質的に包囲し、前記ポリマー支持材料は、前記カニューレとハブとの間に配置され、前記ポリマー支持材料と前記ハブとは、接着によって取り付けられている、カニューレと、
針を含む前記シリンジと
を備え、
前記ハブは、前記カニューレと前記シリンジとを取り付けている、カニューレアセンブリとシリンジとの組み合わせ。
【請求項16】
前記ポリマー支持材料は、テーパ状である、請求項15に記載の組み合わせ。
【請求項17】
前記ポリマー支持材料は、前記近位端から前記遠位端に向かって徐々に細くされており、前記ポリマー支持材料の厚さは、前記近位端においてより厚い、請求項16に記載の組み合わせ。
【請求項18】
前記ポリマー支持材料は、前記カニューレを完全に包囲している、請求項15に記載の組み合わせ。
【請求項19】
前記ハブは、ルアー締まり嵌めハブである、請求項15に記載の組み合わせ。
【請求項20】
カニューレアセンブリを形成する方法であって、前記方法は、
近位端と遠位端とを有するカニューレ、ポリマー支持材料、およびハブを提供することであって、前記ポリマー支持材料および前記ハブは、透明または半透明な材料を備えている、ことと、
前記近位端またはその近傍において前記カニューレの一部を実質的に包囲するように前記ポリマー支持材料を配置することであって、前記ポリマー支持材料は、前記カニューレと前記ハブとの間に配置されている、ことと、
前記カニューレ、前記ポリマー支持材料、および前記ハブのうちの少なくとも1つの上に接着剤を設置することと、
前記接着剤を紫外線光にさらし、前記カニューレ、前記ポリマー支持材料、および前記ハブをしっかりと取り付けることと
を含む、方法。
【請求項21】
前記ポリマー支持材料は、テーパ状である、請求項20に記載の方法。
【請求項22】
前記ポリマー支持材料は、前記近位端から前記遠位端に向かって徐々に細くされており、前記ポリマー支持材料の厚さは、前記近位端においてより厚い、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ポリマー支持材料は、前記カニューレを完全に包囲している、請求項20に記載の方法。
【請求項24】
前記ハブは、ルアー締まり嵌めハブである、請求項20に記載の方法。
【請求項25】
カニューレアセンブリを形成する方法であって、前記方法は、
近位端と遠位端とを有するカニューレ、ポリマー支持材料、およびハブを提供することと、
前記近位端またはその近傍において前記カニューレの一部を実質的に包囲するようにポリマー支持材料を配置することであって、前記ポリマー支持材料は、前記カニューレと前記ハブとの間に配置されている、ことと、
前記ハブおよび前記ポリマー支持材料を前記カニューレに対して収縮包装し、前記カニューレ、前記ポリマー支持材料、および前記ハブをしっかりと取り付けることと
を含む、方法。
【請求項26】
対象の中枢神経系にウイルスベクタを送達する方法であって、前記方法は、
カニューレアセンブリとシリンジとを含む前記カニューレアセンブリと前記シリンジとの組み合わせを提供することであって、前記カニューレアセンブリは、カニューレと、ポリマー支持材料と、ハブとを含み、前記カニューレは、近位端と遠位端とを有し、前記ポリマー支持材料は、前記近位端またはその近傍において前記カニューレの一部を実質的に包囲し、前記シリンジは、針を含み、前記ハブは、前記カニューレアセンブリと前記シリンジとを取り付け、前記ポリマー支持材料は、前記カニューレと前記ハブとの間に配置され、前記カニューレ、前記ポリマー支持材料、および前記ハブは、接着によって取り付けられている、ことと、
前記ウイルスベクタを提供することと、
前記カニューレアセンブリと前記シリンジとの組み合わせを介して、前記中枢神経系に前記ウイルスベクタを送達することと
を含む、方法。
【請求項27】
前記ウイルスベクタは、組み換えウイルスベクタである、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記ウイルスベクタは、1回分投薬量が約0.5E9~約1.5E9vg/μlである、請求項26に記載の方法。
【請求項29】
前記ウイルスベクタは、1回分投薬量が約0.7E9~約1.3E9vg/μlである、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
前記ウイルスベクタは、1回分投薬量が約0.7E9~約1.1E9vg/μlである、請求項29に記載の方法。
【請求項31】
前記中枢神経系は、脳組織である、請求項26に記載の方法。
【請求項32】
前記中枢神経系は、脊髄である、請求項26に記載の方法。
【請求項33】
前記対象は、神経障害を有する、請求項26に記載の方法。
【請求項34】
前記神経障害は、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症(MS)、卒中、脳腫瘍、てんかん、アルツハイマー病、エイズによる認知症、パーキンソン病、またはハンチントン病である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記神経障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、またはハンチントン病である、請求項34に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本願は、それらの各々が参照することによってその全体として本明細書に組み込まれる2021年4月28日に出願された米国仮特許出願第63/180,955号および2021年6月10日に出願された米国仮特許出願第63/202,432号の優先権を主張する。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、カニューレアセンブリに関し、より具体的に、シリンジに接続するためのハブを含むカニューレアセンブリに関する。
【背景技術】
【0003】
カニューレは、シリンジとの組み合わせにおいて、流体を送達または受け取るために使用されている。カニューレおよびカニューレとともに使用される構成要素の使用に関連付けられた1つの問題は、滅菌である。カニューレの構成要素は、多くの場合、個々に滅菌され、次いで、シリンジに取り付けられる前、滅菌外科手術野内で組み立てられる。いくつかのカニューレ設計は、破損を受けやすく、かつ考慮されていない液体が蓄積し得る望ましくない量の死空間を有し得る。
【0004】
効率的に滅菌され得るカニューレアセンブリを形成する簡略化された方法を有すること、およびカニューレの破損を防止または阻止し、シリンジとともに使用されるときの死空間を減らす効率的カニューレアセンブリ設計を有することが、望ましいであろう。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
用語「実施形態」および同様の用語は、広義に、本開示の主題および下記の請求項の全てを指すことを意図している。これらの用語を含む文言は、本明細書に説明される主題を限定するものではなく、または下記の請求項の趣意または範囲を限定するものではないと理解されるべきである。本明細書において網羅される本開示の実施形態は、本概要ではなく、下記の請求項によって定義される。本概要は、本開示の種々の側面の高レベルの概観であり、下記の詳細な説明の節においてされに説明される概念のうちのいくつかを紹介している。本概要は、請求される主題の重要となる、または本質的な特徴を識別することを意図していない。本概要は、請求される主題の範囲を決定するために単独で使用されることも意図していない。本主題は、本開示の明細書全体の適切な部分、任意または全ての図面、および各請求項を参照することによって理解されるべきである。
【0006】
本開示の一側面によると、カニューレアセンブリは、カニューレと、ポリマー支持材料と、ハブとを備える。カニューレは、近位端と、遠位端とを有する。ポリマー支持材料は、近位端またはその近傍においてカニューレの一部を実質的に包囲する。ハブは、シリンジに取り付けられるように構成される。ポリマー支持材料は、カニューレとハブとの間に配置される。カニューレ、ポリマー支持材料、およびハブは、接着によって取り付けられる。
【0007】
上記の実装のある構成によると、カニューレは、グラスファイバを備えている。
【0008】
上記の実装の別の構成によると、ポリマー支持材料は、テーパ状である。ポリマー支持材料は、近位端から遠位端に向かって徐々に細くされており、ポリマー支持材料の厚さは、近位端においてより厚い。
【0009】
上記の実装のさらなる構成によると、ポリマー支持材料は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)、ポリアミド、フッ素ポリマー、ポリオレフィン、PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、またはそれらの組み合わせを備えている。
【0010】
上記の実装のさらなる側面によると、ポリマー支持材料は、ポリマー支持管類である。
【0011】
上記の実装のさらなる側面によると、ポリマー支持材料は、カニューレを完全に包囲する。
【0012】
さらに、上記の実装のさらなる側面によると、ハブは、ルアー締まり嵌めハブである。ルアー締まり嵌めハブは、シリンジに取り付けられるように構成されたねじ山形成物を含み得る。
【0013】
上記の実装のさらなる側面によると、カニューレアセンブリは、カニューレアセンブリおよびシリンジを堅く締めるように適合された翼状接続部をさらに含む。
【0014】
上記の実装の別の側面では、ポリマー支持材料およびハブは、透明または半透明な材料から成る。
【0015】
上記の実装のさらなる側面によると、接着剤は、UV感受性接着剤である。
【0016】
上記の実装の別の側面では、カニューレアセンブリは、上層管類をさらに含み、上層管類は、ポリマー支持材料から反対側でハブに隣接して配置される。
【0017】
さらに、上記の実装のさらなる側面によると、ポリマー支持材料は、複数のポリマー支持管セグメントである。
【0018】
本開示のさらなる側面によると、カニューレアセンブリとシリンジとの組み合わせは、カニューレと、シリンジとを含む。カニューレは、近位端と、遠位端とを有する。ポリマー支持材料は、近位端またはその近傍においてカニューレの一部を実質的に包囲する。ポリマー支持材料は、カニューレとハブとの間に配置される。ポリマー支持材料およびハブは、接着によって取り付けられる。シリンジは、針を含む。ハブは、カニューレおよびシリンジを取り付ける。
【0019】
上記の実装のある構成によると、ポリマー支持材料は、テーパ状である。ポリマー支持材料は、近位端から遠位端に向かって徐々に細くされており、ポリマー支持材料の厚さは、近位端においてより厚い。
【0020】
本開示のさらなる側面によると、ポリマー支持材料は、カニューレを完全に包囲する。
【0021】
上記の実装のある構成によると、ハブは、ルアー締まり嵌めハブである。
【0022】
本開示の1つの方法によると、カニューレアセンブリが、形成される。近位端および遠位端と、ポリマー支持材料と、ハブとを有するカニューレが、提供される。ポリマー支持材料およびハブは、透明または半透明な材料を備えている。ポリマー支持材料は、近位端またはその近傍においてカニューレの一部を実質的に包囲するように配置される。ポリマー支持材料は、カニューレとハブとの間に配置される。接着剤が、カニューレ、ポリマー支持材料、およびハブのうちの少なくとも1つの上に設置される。接着剤は、紫外線光に暴露され、カニューレ、ポリマー支持材料、およびハブをしっかりと取り付ける。
【0023】
本開示のさらなる方法によると、ポリマー支持材料は、テーパ状である。ポリマー支持材料は、近位端から遠位端に向かって徐々に細くされており、ポリマー支持材料の厚さは、近位端においてより厚い。
【0024】
上記の方法のある構成によると、ポリマー支持材料は、カニューレを完全に包囲する。
【0025】
上記の方法のある構成によると、ハブは、ルアー締まり嵌めハブである。
【0026】
本開示のさらなる方法によると、カニューレアセンブリが、形成される。近位端および遠位端と、ポリマー支持材料と、ハブとを有するカニューレが、提供される。ポリマー支持材料は、近位端またはその近傍においてカニューレの一部を実質的に包囲するように配置される。ポリマー支持材料は、カニューレとハブとの間に配置される。ハブおよびポリマー支持材料は、カニューレに対して収縮包装され、カニューレ、ポリマー支持材料、およびハブをしっかりと取り付ける。
【0027】
さらに別の方法によると、ウイルスベクタが、対象の中枢神経系に送達される。カニューレアセンブリとシリンジとの組み合わせが、提供され、カニューレアセンブリと、シリンジとを含む。カニューレアセンブリは、カニューレと、ポリマー支持材料と、ハブとを含む。カニューレは、近位端と、遠位端とを有する。ポリマー支持材料は、近位端またはその近傍においてカニューレの一部を実質的に包囲する。シリンジは、針を含む。ハブは、カニューレアセンブリおよびシリンジを取り付ける。ポリマー支持材料は、カニューレとハブとの間に配置される。カニューレ、ポリマー支持材料、およびハブは、接着によって取り付けられる。ウイルスベクタが、提供される。ウイルスベクタは、カニューレアセンブリとシリンジとの組み合わせを介して中枢神経系に送達される。
【0028】
上記の方法のさらなる側面では、ウイルスベクタは、組み換えウイルスベクタである。
【0029】
上記の方法のさらなる側面では、ウイルスベクタは、1回分投薬量が約0.5E9~約1.5E9vg/μlである。ウイルスベクタは、1回分投薬量が約0.7E9~約1.3E9vg/mil、または約0.7E9~約1.1E9vg/milであり得る。
【0030】
上記の方法の別の側面では、中枢神経系は、脳組織または脊髄である。
【0031】
上記の方法のさらなる側面では、対象は、神経障害を有する。神経障害は、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症(MS)、卒中、脳腫瘍、てんかん、アルツハイマー病、エイズによる認知症、パーキンソン病、またはハンチントン病であり得る。より具体的に、神経障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、またはハンチントン病であり得る。
【0032】
上記の概要は、本開示の各実施形態または全ての側面を表すことを意図していない。むしろ、前述の概要は、本明細書に述べられる新規の側面および特徴のうちのいくつかのある例を提供するにすぎない。上記の特徴および利点、および本開示の他の特徴および利点は、付随の図面および添付の請求項と関連して検討されると、本発明を行うための代表的実施形態およびモードの以下の詳細な説明から容易に明白となるであろう。本開示の付加的側面が、その簡単な説明が下記に提供される図面を参照して行われる種々の実施形態の詳細な説明に照らして当業者に明白となるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0033】
本開示およびその利点および図面が、付随の図面の参照とともに例示的実施形態の以下の説明からより深く理解されるであろう。これらの図面は、例示的実施形態を描写するにすぎず、したがって、種々の実施形態または請求項の範囲に対する限界として見なされるべきではない。
【0034】
図1A図1Aは、一実施形態によるカニューレアセンブリの断面側面図である。
【0035】
図1B図1Bは、図1Aのカニューレアセンブリの正面図である。
【0036】
図1C図1Cは、追加された接着剤を伴う図1Aから得られたエリア1Cの拡大側面図である。
【0037】
図2A図2Aは、別の実施形態によるカニューレアセンブリの断面側面図である。
【0038】
図2B図2Bは、図2Aから得られたエリア2Bの拡大側面図である。
【0039】
図3図3は、さらなる実施形態によるカニューレアセンブリの断面側面図である。
【0040】
図4図4は、一実施形態によるシリンジの斜視図である。
【0041】
図5A図5Aは、図1のカニューレアセンブリと図4のシリンジとの組み合わせの断面側面図である。
【0042】
図5B図5Bは、図5Aから得られたエリア5Bの拡大側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0043】
本発明は、種々の修正および代替形態を受け入れる余地があるが、具体的な実装が、例として図面に示されており、本明細書においてさらに詳細に説明されるであろう。しかしながら、本発明が、開示される特定の形態に限定されることを意図していないことを理解されたい。むしろ、本発明は、添付の請求項によって定義されるような、本発明の精神および範囲内にある、全ての修正、均等物、および代替物を網羅するものとする。
【0044】
種々の実施形態が、同様の参照番号が、類似する、または均等な要素を指定するために図の全体を通して使用される添付される図を参照して説明される。図は、縮尺通りに描かれておらず、本発明を例証するために提供されるにすぎない。本発明のいくつかの側面が、例証のために例示的用途を参照して下記に説明される。多数の具体的詳細、関係、および方法が、本発明の完全な理解を提供するために述べられることを理解されたい。しかしながら、当業者は、本発明が、具体的詳細のうちの1つ以上のものを用いることなく、または他の方法を用いて実践され得ることを容易に認識するであろう。他の事例では、周知の構造または動作は、本発明を曖昧にすることを回避するために、詳細には示されない。種々の実施形態は、いくつかの行為が、異なる順序および/または他の行為または事象と並行して生じ得るため、作用または事象の例証される順序によって限定されない。さらに、全ての例証される行為または事象が、本発明による方法論を実装するために要求されるわけではない。
【0045】
最初に図1Aおよび1Bを参照すると、一実施形態によるカニューレアセンブリ10が、それぞれ、断面側面図および正面図に示される。斜交平行線が、図1Aの明確性を向上させるために除去されている。本発明のカニューレアセンブリは、一実施形態では、シリンジ(例えば、図4に示されるシリンジ60)と係合するように構成される。カニューレアセンブリは、脳組織を含む身体のエリアに液体生成物を送達することを補助する。カニューレアセンブリは、脳輸液のための送達シリンジへのより実践的かつ漏出防止的接続を可能にする。カニューレアセンブリは、脳組織からを含む身体のエリアから液体を除去することまたはサンプルを集めることも補助する。カニューレアセンブリが他の実装における他の側面においても使用され得ることを想定されたい。
【0046】
図1Aおよび1Bに戻って参照すると、カニューレアセンブリ10は、カニューレ20と、ポリマー支持材料30と、ハブ40とを含む。図1Cは、追加された接着剤を伴う図1Aから得られたエリア1Cの拡大側面図である。カニューレ20は、一実施形態では管であり、身体の中に挿入されるように構成される。一実施形態におけるカニューレ20は、グラスファイバカニューレである。カニューレが金属等の他の材料から作製され得ることを想定されたい。カニューレを形成することにおいて使用され得る金属の非限定的な例は、ステンレス鋼およびチタンを含む。所望の剛性を伴うポリマー材料が、カニューレを形成することにおいて使用され得ることも想定されたい。
【0047】
カニューレ20の全長は、図1Aでは、明確化のために切り詰められており、したがって、縮尺通りに示されていない。カニューレは、近位端22と、遠位端24とを有する。遠位端24は、身体の中に挿入されるように構成される。カニューレ20は、長さが変動し得るが、典型的に、約0.3~約1.5メートルの長さL1を有する。1つの所望の実施形態では、カニューレ20は、約0.75~約1.25メートルの長さL1を有する。別の所望の実施形態では、カニューレ20は、約0.9~約1.1メートルの長さL1を有する。
【0048】
カニューレ20は、直径が変動し得るが、典型的に、約0.25~約0.5mmの直径D1(図1B参照)を有する。1つの所望の実施形態では、カニューレ20は、約0.3~約0.45mmの直径D1を有する。別の所望の実施形態では、カニューレ20は、約0.3~約0.4mmの直径D1を有する。
【0049】
図1A-1Cに示されるように、ポリマー支持材料30は、カニューレ20とハブ40との間に配置される。具体的に、図1Cに最良に示されるようなポリマー支持材料は、カニューレ20に隣接して配置される、内部表面32と、ハブ40に隣接して配置される、外部表面34とを有する。図1Aを参照すると、ポリマー支持材料30は、カニューレ20の近位端22またはその近傍に配置される。図1A-1Cに示されるように、ポリマー支持材料30は、近位端22またはその近傍においてカニューレ20の一部を実質的に包囲する。例えば、ポリマー支持材料は、近位端またはその近傍においてカニューレの一部の70%または85%を包囲する。別の実施形態では、ポリマー支持材料は、近位端またはその近傍においてカニューレの一部の90%または95%を包囲する。図1A-1Cのポリマー支持材料30が、図1Bに最良に示されるように、近位端22またはその近傍においてカニューレ20の一部を完全に包囲することが望ましい。
【0050】
ポリマー支持材料30は、応力上昇要因を防止または阻止することを補助する。応力上昇要因は、カニューレがグラスファイバから作製されるとき、カニューレの破砕を増加させる可能性が高い、可撓性の急激な変化である。ポリマー支持材料30は、距離の使用によって応力点を変更することを補助し、それは、カニューレ20の破損を防止または阻止することを補助する。
【0051】
ポリマー支持材料30は、長さが変動し得るが、典型的に、長さが約5~約40cmの長さL2(図1A参照)を有する。1つの所望の実施形態では、ポリマー支持材料30は、約10~約30cmの長さL2を有する。別の所望の実施形態では、ポリマー支持材料30は、約10~約20cmまたは約15~約20cmの長さL2を有する。
【0052】
ポリマー支持材料30は、一実施形態では、カニューレ20の近位端22から遠位端24に向かって徐々に細くされている。ポリマー支持材料30の厚さT1は、カニューレ20の近位端22またはその近傍においてより厚い。ポリマー支持材料30の厚さT1は、約1mm~約5mm、より具体的に、約1.5mm~約4mm、または約2mm~約4mmである。
【0053】
一実施形態では、ポリマー支持材料30は、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む。ポリマー支持材料は、他のポリマー材料またはポリマー材料の組み合わせから作製され得る。ポリマー支持材料を形成することにおいて使用され得るいくつかの他の非限定的な材料は、ポリアミド、フッ素ポリマー、ポリオレフィン、PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、またはそれらの組み合わせを含む。ポリマー支持材料が、UV接着剤が使用される場合、紫外線(UV)光の透過を可能にするように概してクリアまたは半透明であることも望ましい。アデノ随伴ウイルス(AAV)と適合性があるようなポリマー支持材料を形成する材料を有すること(すなわち、AAVウイルスが、材料に付着しないこと)も、望ましい。
【0054】
図1A-1Cに示されるようなに示されるようなハブ40は、ポリマー支持材料30の外部表面34に隣接して配置される。ハブ40は、カニューレ20およびシリンジ(例えば、図4のシリンジ60)を取り付け、固定することを補助するように構成される。ハブ40は、望ましくは、下記に議論されるであろうように、シリンジ内またはカニューレ20の近位端22内に含まれる任意の液体材料の漏出を防止または阻止することを補助するシリンジとの密閉も提供する。ハブ40はまた、望ましくは、任意の液体が考慮されないまたは気泡が蓄積し得る死空間の多くを減らすように、または効果的に排除するように構成される。
【0055】
図1Aに示されるようなハブ40は、第1の略水平な区分42、わずかに上向きテーパ状の区分44、および第2の略水平な区分46を描写する。第2の略水平な区分46は、外側周縁48を含む。外側周縁48は、ハブ40を補強する。
【0056】
一実施形態では、ハブ40は、ルアー締まり嵌めハブである。ルアー締まり嵌めハブを使用することのいくつかの利点は、取り付けの容易性および安全性を含む。他のハブも、カニューレアセンブリにおいて使用されることを想定されたい。
【0057】
ハブ40は、限定ではないが、ポリマー材料を含む材料から作製され得る。ポリマー材料のいくつかの非限定的な例は、限定ではないが、ポリオレフィン(例えば、ポリプロピレン)を含む。ハブが、UV接着剤が使用される場合、UV光の透過を可能にするように、概してクリアまたは半透明であることも望ましい。アデノ随伴ウイルス(AAV)と適合性があるようなハブを形成する材料を有することも、望ましい。
【0058】
カニューレ20、ポリマー支持材料30、およびハブ40は、一実施形態では、接着によって取り付けられる。接着剤は、カニューレ20、ポリマー支持材料30、およびハブ40をしっかりと取り付けるように異なるエリア内に適用および配置され得る。接着剤は、カニューレ、ポリマー支持材料、およびハブのうちの少なくとも1つの上に適用される。接着剤が、カニューレ、ポリマー支持材料、およびハブのうちの2つ以上の上に適用され得ることを想定されたい。いくつかの代表的なエリアが、接着剤70a-70dとともに図1Cに示される。接着剤エリア70a、70dは、ハブ40とポリマー支持材料30との間に配置される。接着剤エリア70b、70cは、ポリマー支持材料30とカニューレ20との間に配置される。接着剤は、カニューレ20、ポリマー支持材料30およびハブ40を恒久的かつしっかりと取り付ける。
【0059】
一実施形態では、接着剤は、UV感受性接着剤である。本実施形態では、接着剤は、典型的に、UV光を使用して硬化させられる液体接着剤である。液体接着剤が接触する材料の表面張力が、硬化する前の接着剤の位置付けを維持することを補助する。これは、1つの方法において単一のステップ内で実施され得る。別の方法では、接着剤の硬化は、多段階プロセスにおいて形成され得る。
【0060】
UV接着剤は、典型的に、エポキシ樹脂またはアクリル系物質に作用する、接着剤である。1つのUV接着剤は、アクリレート混合物(例えば、ウレタン、シアノアクリレート、またはシリコーン)をベースとしたラジカル開始UV接着剤である。したがって、UV接着剤は、限定ではないが、アクリル酸ウレタン接着剤組成物、シアノアクリレート接着剤組成物、およびアクリル酸シリコーン接着剤組成物を含む。アクリレートをベースとするUV接着剤は、典型的に、溶媒を含まず、1つの成分を含む。別のUV接着剤は、エポキシ樹脂をベースとするカチオン開始UV接着剤である。Bondic、RapidFix、およびDymax等の企業によるUV接着剤が、顕著である。
【0061】
硬化するために、UV感受性接着剤は、光源を要求する。これは、純粋な太陽光だけではなく、UV LEDライトおよびガス放電ランプにも由来することができる。しかしながら、LED光源は、それぞれの接着剤に合致させられなければならず、したがって、異なる波長において利用可能である。UV感受性接着剤は、通常、非常に迅速に硬化する。例えば、UV感受性接着剤の硬化は、約1~約10秒、より具体的に、約1~約5秒、および約1~約3秒で生じることができる。典型的に、光源が強烈であるほど、硬化プロセスは、より速い。UV感受性接着剤は、ユーザがそれを精密に定義された波長のUV光にさらすときのみに硬化する接着剤であり得る。
【0062】
カニューレ20、ポリマー支持材料30、およびハブ40は、個人が構成要素を互いから容易に分離できないように、しっかりと取り付けられる。したがって、例えば、カニューレ20、ポリマー支持材料30、およびハブ40は、締まり嵌めによって取り付けられない。したがって、カニューレ20、ポリマー支持材料30、およびハブ40は、締まり嵌めなしで形成される。
【0063】
一実施形態では、カニューレアセンブリは、非取り外し可能な閉鎖された滅菌システムである。1つの方法では、カニューレアセンブリを使用して送達されるべき生成物は、カニューレ20、ポリマー支持材料30、およびハブ40をしっかりと取り付けるために使用されている接着剤に接触しない。同様に、別の方法では、除去されるべき流体または他の生成物、またはカニューレアセンブリを使用して送達されるべき生成物は、カニューレ20、ポリマー支持材料30、およびハブ40をしっかりと取り付けるために使用されている接着剤に接触しない。
【0064】
カニューレアセンブリ10はさらに、シリンジ(例えば、図4のシリンジ60)とカニューレアセンブリ10の残部との間の接続部を堅く締めるように適合された翼状接続部50を含み得る。1つのプロセスでは、翼状接続部50は、親指および人差し指の使用によって堅く締められ得る。翼状接続部50を握持することを補助するために、それは、親指または他の指の形状と概して一致するような、波型の凹面形エリアを含み得る。
【0065】
図2A、2Bを参照すると、別の実施形態によるカニューレアセンブリ110が、断面側面図に示される。斜交平行線が、図2A、2Bでは、明確性を向上させるために除去されている。カニューレアセンブリ110は、カニューレ20と、ポリマー支持材料30と、ハブ140と、上層管類180と、翼状接続部50とを含む。
【0066】
ハブ140は、外側周縁148を除き、上記に説明されるハブ40と同じである。外側周縁148は、ハブ40に対する外側周縁48に類似する様式において、ハブ140を補強する。外側周縁148は、外部ねじ山形成物148aも含む。外部ねじ山形成物148aは、単一のねじ山または複数のねじ山であり得る。外部ねじ山形成物148aは、内部ねじ山形成物を有するシリンジの構成要素としっかりと取り付けられるように構成される。例えば、外部ねじ山形成物148aは、シリンジのHamiltonコネクタリングに取り付けられ得る。したがって、外部ねじ山形成物148aは、カニューレアセンブリ110をシリンジ(例えば、図4のシリンジ60)としっかりと取り付けることを補助する。
【0067】
上層管類180が、図2A、2Bに示されるように、ハブ140の外部表面142上に配置される。一実施形態における上層管類180は、可撓性材料から作製される。上層管類180を形成することにおいて使用され得る材料の非限定的な例は、限定ではないが、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を含む。上層管類を形成することにおいて使用され得るいくつかの他の非限定的な材料は、ポリアミド、フッ素ポリマー、ポリオレフィン、PVC(ポリ塩化ビニル)、ポリイミド、PEEK(ポリエーテルエーテルケトン)、またはそれらの組み合わせを含む。ポリマー支持材料が、UV接着剤が使用される場合、UV光の透過を可能にするように、概してクリアまたは半透明であることも望ましい。上層管類180は、カニューレ20の近位端22の略上方に配置される。上層管類180は、カニューレ20の破損を防止または阻止するために剪断荷重を吸収および発散させることを補助する。
【0068】
上層管類180は、長さが変動し得るが、典型的に、約5~約25cmの長さL3(図2A参照)を有する。1つの所望の実施形態では、上層管類180は、約10~約20cmの長さL3を有する。別の所望の実施形態では、上層支持部180は、約10~約15cmの長さL3を有する。
【0069】
図3を参照すると、さらなる実施形態によるカニューレアセンブリ210が、断面側面図に示される。斜交平行線が、図3では、明確性を向上させるために除去されている。カニューレアセンブリ210は、カニューレ20と、ポリマー支持材料230と、ハブ40と、翼状接続部50とを含む。ポリマー支持材料230は、応力上昇要因を防止または阻止することを補助する。
【0070】
ポリマー支持材料230は、互いの上に連続的にスタックされた複数のポリマー支持管セグメント232、234、236、238、240を含む。複数のポリマー支持管セグメント232、234、236、238、240の各々の長さL4-L8(図3参照)は、異なる。ポリマー支持管セグメント232の長さL4は、最も長い一方、長さL8は、最も短い。ポリマー支持管セグメント232、234、236、238、240の長さの各々は、次第により短くなる。ポリマー支持管セグメント232の長さL4は、ポリマー支持材料30の長さL1と同様である。ポリマー支持管セグメントの数が、図3に描写されるものより数が大きいまたは少なくあり得ることを想定されたい。
【0071】
上記に議論されるように、カニューレアセンブリは、流体を送達または受け取るために、シリンジと連動して機能するように適合される。カニューレアセンブリとともに使用され得る1つのタイプのシリンジが、シリンジ60を伴う図4に示される。シリンジ60は、針62と、バレルアセンブリ64と、プランジャアセンブリ66と、オス型終端68とを含む。針62は、針62との意図しない接触を保護するために、典型的に、ナット(図示せず)によって覆われる。シリンジ60は、Hamiltonシリンジと称され得る。図4を参照すると、シリンジ60は、Hamiltonシリンジである。例えば、Setonic、Trident、Becton Dickenson、およびAlibaba製のもの等の他のタイプのシリンジも、本発明のカニューレアセンブリとともに使用され得ることを想定されたい。
【0072】
図5A、5Bを参照すると、カニューレアセンブリとシリンジとの組み合わせ300が、断面図に示される。斜交平行線が、図5A、5Bでは、明確性を向上させるために除去されている。組み合わせ300は、上記に説明されるカニューレアセンブリ10と、シリンジ60とを含む。シリンジの針62は、改善された明確性のために示されない。死空間を減らすために、カニューレ20は、シリンジ60を受け取るようにハブ40の中に十分に延長される。カニューレ20は、プロセス許容誤差がいかなる潜在的な接着剤もカニューレ20の近位端22の開口部26の近傍に適用されることを可能にしないであろうように、ポリマー支持材料30を越えて十分な距離延びているべきである。接着剤送達およびUV光を用いた処理ステップは、カニューレを塞ぐことまたは漏出を生成することを回避するために、精密である必要がある。
【0073】
カニューレ20の近位端22がシリンジ60のオス型終端68の管腔の内側に配置されるので、最小の死空間が、存在する。図5A、5Bに示されるように、死空間90、92が、オス型終端68と、ハブ40と、ポリマー支持材料30との間に示される。ハブ40は、望ましくは、シリンジ内またはカニューレ20の近位端22内に含まれる任意の液体材料の漏出を防止または阻止することを補助するために、シリンジ60のオス型終端68との密閉も提供する。
【0074】
組み合わせが、カニューレアセンブリ110、210をシリンジ60または他のシリンジとともに用いて形成され得ることを想定されたい。
【0075】
さらに別の方法によると、ウイルスベクタが、対象の中枢神経系に送達される。カニューレアセンブリとシリンジとの組み合わせが、提供され、カニューレアセンブリと、シリンジとを含む。カニューレアセンブリは、カニューレと、ポリマー支持材料と、ハブとを含む。カニューレは、近位端と、遠位端とを含む。ポリマー支持材料は、近位端またはその近傍においてカニューレの一部を実質的に包囲する。シリンジは、針を含む。ハブは、カニューレアセンブリとシリンジとを取り付ける。ポリマー支持材料は、カニューレとハブとの間に配置される。カニューレ、ポリマー支持材料、およびハブは、接着によって取り付けられる。ウイルスベクタが、提供される。ウイルスベクタは、カニューレアセンブリとシリンジとの組み合わせを介して中枢神経系に送達される。
【0076】
本明細書に説明されるようなカニューレアセンブリとシリンジとの組み合わせ(例えば、カニューレアセンブリとシリンジとの組み合わせ300)を通して送達され得る薬品および療法デバイスの非限定的な例は、限定ではないが、薬物、ナノ粒子、生物学的製剤(例えば、細胞、ウイルス等)を含む。
【0077】
一実施形態では、ベクタは、限定ではないが、非ウイルスベクタまたはウイルスベクタであることができる。任意の側面の一実施形態では、ベクタは、DNAまたはRNAウイルスである。ウイルスベクタの非限定的な例は、AAVベクタ、アデノウイルスベクタ、レンチウイルスベクタ、レトロウイルスベクタ、ヘルペスウイルスベクタ、アルファウイルスベクタ、ポックスウイルスベクタ、バキュロウイルスベクタ、およびキメラウイルスベクタを含む。AAVの非限定的な例は、AAV1、AAV2、AAV3、AAV4、AAV5、AAV6、AAV7、AAV8、AAV9、AAV10、AAV11、AAV12、およびそれらの任意のキメラを含む。いくつかの実施形態では、AAVは、AAVアカゲザル血清型(AAV rh)である。AAV rh血清型の非限定的な例は、AAV rh8、AAV rh10、AAV rh20、AAV rh74、AAV rh39、AAV rh43、AAV rh38、AAV rh40、AAV rh2、AAV rh25、AAV rh57、AAV rh50、AAV rh49、AAV rh58、AAV rh61、AAV rh52、AAV rh53、AAV rh51、AAV rh64、AAV rh8、AAV rh1、AAV rh62、AAV rh48、AAV rh54、AAV rh55、AAV rh35、AAV rh37、AAV rh36、AAV rh13、AAV rh32、AAV rh33、およびAAV rh34を含む。
【0078】
技術分野において公知である任意のウイルスベクタが、カニューレアセンブリとシリンジとの組み合わせとともに使用されることができる。そのようなウイルスベクタの例は、限定ではないが、アデノウイルス科、ビルナウイルス科、ブニヤウイルス科、カリシウイルス科、カピロウイルス属、カルラウイルス属、カーモウイルスウイルス属、カリモウイルス属、クロステロウイルス属、コメリナ黄色斑ウイルス属、コモウイルスウイルス属、コロナウイルス科、PM2ファージ属、コルシコウイルス科、潜伏ウイルス属、クリプトウイルス属、ククモウイルスウイルス属科([PHgr]6ファージ属)、シストウイルス科、カーネーションリングスポット属、ダイアンソウイルスウイルス属、ソラマメウイルト属、ファバウイルスウイルス属、フィロウイルス科、フラビウイルス科、フロウイルス属、ゲルミニウイルス属、ジアルジアウイルス属、ヘパドナウイルス科、ヘルペスウイルス科、ホルデイウイルスウイルス属、イラルウイルスウイルス属、イノウイルス科、イリドウイルス科、レビウイルス科、リポスリクスウイルス科、ルテオウイルス属、マラフィウイルスウイルス属、トウモロコシ白化萎縮ウイルス属、ミクロウイルス科、ミオウイルス科、ネクロウイルス属、ネポウイルスウイルス属、ノダウイルス科、オルトミクソウイルス科、パポバウイルス科、パラミクソウイルス科、パースニップ黄斑ウイルス属、パルティティウイルス科、パルボウイルス科、エンドウひだ葉モザイクウイルス属、フィコドナウイルス科、ピコルナウイルス科、プラズマウイルス科、プロドウイルス科、ポリドナウイルス科、ポテックスウイルス属、ポティウイルス、ポックスウイルス科、レオウイルス科、レトロウイルス科、ラブドウイルス科、リジディオウイルス属、サイフォウイルス科、ソベモウイルス属、SSV1型ファージ、テクティウイルス科、テヌイウイルス、テトラウイルス科、トバモウイルス属、トブラウイルス属、トガウイルス科、トンブスウイルス属、トロウイルス属、ティウイルス科、ティモウイルス属、および植物ウイルスサテライトに由来するベクタを含む。
【0079】
ウイルスベクタ(例えば、組み換えウイルスベクタ(rAAV))の有効量は、動物を感染させることを標的とするために、または所望の組織を標的とするために十分な量である。いくつかの実施形態では、ウイルスベクタ(例えば、組み換えウイルスベクタ(rAAV))の有効量は、安定した体細胞遺伝子導入動物モデルを産生するために十分な量である。有効量は、主に、種、年齢、体重、対象の健康、および標的化されるべき組織等の要因に依存し、したがって、動物および組織の中で変動し得る。
【0080】
いくつかの実施形態では、ある用量のウイルスベクタ(例えば、組み換えウイルスベクタ(rAAV))が、暦日(例えば、24時間)あたり1回以下、対象に投与される。いくつかの実施形態では、ある用量のウイルスベクタが、2、3、4、5、6、または7暦日あたり1回以下、対象に投与される。いくつかの実施形態では、ある用量のウイルスベクタが、暦週(例えば、7暦日)あたり1回以下、対象に投与される。いくつかの実施形態では、ある用量のウイルスベクタが、隔週(例えば、2暦週において1回)以下、対象に投与される。いくつかの実施形態では、ある用量のウイルスベクタが、暦月あたり1回(例えば、30暦日において1回)以下、対象に投与される。いくつかの実施形態では、ある用量のウイルスベクタが、6暦月あたり1回以下、対象に投与される。いくつかの実施形態では、ある用量のウイルスベクタが、1暦年(例えば、365日または閏年には366日)あたり1回以下、対象に投与される。
【0081】
有効量、毒性、および療法的有効性が、例えば、最小有効用量および/または最大許容用量を決定するために、細胞培養または実験動物において標準的な製薬手順によって決定されることができる。1回分投薬量は、採用される1回分投薬量形態および利用される投与経路に応じて変動することができる。療法的に有効な用量は、最初に、細胞培養アッセイから推定されることができる。また、用量はまた、最小有効用量と最大許容用量との間で1回分投薬量範囲を達成するために動物モデルにおいて定式化されることもできる。任意の特定の1回分投薬量の効果が、好適なバイオアッセイ、例えば、とりわけ、ニューロンの分解または機能性に関するアッセイによって監視されることができる。1回分投薬量は、医師によって決定され、治療の観察される効果に適するように、必要に応じて調節されることができる。
【0082】
上記の方法のさらなる側面では、ウイルスベクタは、1回分投薬量が約0.5E9~約1.5E9vg/μl(約0.5E12~約1.5E12vg/mil)である。ウイルスベクタは、1回分投薬量が約0.7E9~約1.3E9vg/μl(約0.7E12~約1.3E12vg/mil)であり得る。別の実施形態では、ウイルスベクタは、1回分投薬量が約0.7E9~約1.1E9vg/μl(約0.7E12~約1.1E12vg/mil)であり得る。ウイルスベクタは、対象に送達され得る。所望の1回分投薬量は、下限における最小有効用量と軽度の毒性レベル未満との間の範囲内であるべきである。
【0083】
用量計算は、複雑であり得るが、脳の線条体または別の部分の実質に直接送達された生成物に対する組織反応によって強制化される。濃度が低すぎる(体積が小さすぎる)場合、いかなる療法効果も、存在しない。より濃縮されている場合、生成物は、効果的であり得る。濃度が、高すぎる場合、それは、炎症反応を発動し、十分に強い場合、それは、注入部位において細胞を死滅させる。1回分投薬量濃度が決定された後、4つの線条体葉の各々の中に注入されるであろう、その希釈物の体積が、計算される。ヒトおよび非ヒト霊長類(NHP)では、体積が、MRIを使用して個々に(2つの尾状部および2つの被殻)測定される。各葉の中に注入されるべき生成物の体積が、測定された器官容積の割合として計算される。例えば、この割合は、約15%~約50%の範囲に及ぶことができる。標的葉の中への不十分な灌流が、存在する場合、より高い割合(例えば、35~50%)が、使用され得る。ヒト対象内の被殻および尾状部に関する典型的な健康的容積は、NHPでは、それぞれ、約3.57および約2.73cm および約0.55および約0.41cmである。
【0084】
ハツカネズミでは、線条体に関する標準的体積が、使用され得る。ハツカネズミでは、線条体は、約20~約37mmの測定値になる。例えば、ハツカネズミに送達される体積は、2μLまたは4μLであり得る。別の例では、NHPに送達される体積は、約20μL~約250μLmの体積範囲内にあるであろう。さらなる例では、ヒトに送達される体積は、約140μL~約1mLの体積範囲内にあるであろう。
【0085】
1回分投薬量が、本発明のカニューレアセンブリを使用して送達される。例えば、脳の実質の中への針による送達は、組織の静的流体圧力を克服することを要求する。したがって、1つの方法では、非常に緩慢な率の注入が、最初に2つの段階を経た上昇される率を用いて使用され、送達を完了させる。これは、概して、「対流強化送達」と称される。他の3つの段階的輸液率を含む他の修正されたバージョンの送達も、使用され得ることを想定されたい。
【0086】
ウイルスベクタが、カニューレアセンブリとシリンジとの組み合わせを使用して対象に送達される。例えば、好ましくは、生理学的に適合性の担体中に懸濁される(すなわち、組成物中にある)、組み換えウイルスベクタが、対象、すなわち、ヒト、ハツカネズミ、ラット、ネコ、イヌ、ヒツジ、ウサギ、ウマ、ウシ、ヤギ、ブタ、モルモット、ハムスター、ニワトリ、シチメンチョウ、または非ヒト霊長類(例えば、マカク)等の宿主動物に投与され得る。いくつかの実施形態では、宿主動物は、ヒトを含まない。
【0087】
本開示の方法が適用可能である対象は、獣医対象(例えば、イヌ、ネコ、ウマ等)、および研究動物対象(例えば、ハツカネズミ、ラット、ウサギ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、霊長目動物等)、およびヒト対象を含む。方法は、類人猿を含む全ての霊長目動物に適用可能である。いくつかの実施形態では、方法は、ヒトに適用される。他の実施形態では、方法は、非ヒト霊長類に適用される。
【0088】
対象の任意の所望のエリアが、本明細書に説明される方法に従って標的化され得る。いくつかの事例では、所望のエリアは、限定ではないが、内胚葉起源の組織、外胚葉起源の組織、および中胚葉起源の組織を含む組織であり得る。神経組織が、典型的に、標的化される。いくつかの事例では、例えば、脳の組織および脊髄の組織を含む中枢神経系(CNS)の神経組織が、標的化され得る。いくつかの事例では、末梢神経系の神経組織が、標的化され得る。他の組織も、本明細書に説明される方法に従って標的化され得ることを想定されたい。
【0089】
いくつかの事例では、方法は、中枢神経系または末梢神経系を含む哺乳類神経系内の着目領域への薬品の効果的な送達/限局化のために適用され得る。本質的に、限定ではないが、脳、脊髄、脊髄神経節等を含む神経系の任意の着目領域が、本明細書に説明されるような方法に従って標的化され得る。
【0090】
いくつかの事例では、方法は、哺乳類の脳内の着目領域への薬品の効果的な送達/限局化のために適用され得る。本質的に、脳の任意の着目領域が、明細書に説明されるような方法に従って、標的化され得る。
【0091】
本明細書に説明されるウイルスベクタは、例えば、後頭葉、側頭葉、頭頂葉、前頭葉、脳皮質、小脳、視床下部、視床、下垂体、松果腺、扁桃体、海馬、および中部脳等の脳の任意の領域の中に直接注入されることができる。
【0092】
いくつかの事例では、限定ではないが、前頭葉(前頭葉全体、または限定ではないが、上前頭、吻側中前頭、尾側中前頭、弁蓋部、三角部、および眼窩部、外側眼窩前頭、内側眼窩前頭、前中心、傍中心、前頭極、それらの組み合わせ等を含むその一部のいずれか)、頭頂葉(頭頂葉全体、または限定ではないが、上頭頂、下頭頂、超辺縁、中心後、楔前部、それらの組み合わせ等を含むその一部のいずれか)、側頭葉(側頭葉全体、または限定ではないが、上側頭、中側頭、下側頭、上側頭溝の土手部、紡錘状、横側頭、嗅内、側頭極、海馬傍、それらの組み合わせ等を含むその一部のいずれか)、および後頭葉(後頭葉全体、または限定ではないが、外側後頭、舌、楔部、ペリカルカリン、それらの組み合わせ等を含むその一部のいずれか)を含む1つ以上の脳葉または脳葉内の特定のエリアが、標的化され得る。
【0093】
いくつかの事例では、限定ではないが、菱脳構造(例えば、髄脳構造(例えば、延髄、延髄錐体、オリーブ体、下オリーブ核、呼吸中枢、楔状束核、薄束核、介在核、髄質脳神経核、下唾液核、疑核、迷走神経背側核、舌下神経核、孤立核等)、後脳構造(例えば、脳橋、橋脳神経核、三叉神経感覚核(V)の主核または橋核、三叉神経(V)の運動核、外転神経核(VI)、顔面神経核(VII)、前庭蝸牛核(前庭核および蝸牛核)(VIII)、上唾液核、橋被蓋、呼吸中枢、呼吸調節中枢、持続性吸息中枢、橋排尿中枢(バーリントン核)、青斑核、大脳脚橋核、背外側被蓋核、被蓋橋網様核、上オリーブ複合体、傍正中橋網様体、小脳脚、上小脳脚、中小脳脚、下小脳脚、第4脳室、小脳、小脳虫部、小脳半球、前葉、後葉、片葉小節葉、小脳核、室頂核、挿入核、球状核、栓状核、歯状核等))、中部脳構造(例えば、蓋、四丘体、下丘、上丘、視蓋前域、被蓋、中脳水道周囲灰白質、傍小脳脚野、内側傍小脳脚核、外側傍小脳脚核、傍小脳脚下核(ケリカー・布施核)、内側縦束吻側間質核、中部脳網様体、背側縫線核、赤核、腹側被蓋領域、黒質、緻密部、網様部、脚間核、大脳茎、大脳脚、中脳神経核、動眼神経核(lll)、滑車神経核(IV)、中脳管(中脳水道、シルヴィウス水道)等)、前部脳構造(例えば、間脳、視床上部構造(例えば、松果体、手綱核、髄条、視床ひも等)、第3脳室、視床構造(例えば、前核群、前腹側核(すなわち、腹側前核)、前背側核、前内側核、内側核群、内側背側核、正中線核群、傍核、結合核、菱形核、髄板内核群、中心正中核、束傍核、中心傍核、外側中心核、内側中心核、外側核群、背側外側核、後外側核、視床枕、腹側核群、腹側前核、腹側外側核、腹側後核、腹側後外側核、腹側後内側核、視床後部、内側膝状体、外側膝状体、視床網様核等)、視床下部構造(例えば、前部、内側領域、視索前野の一部、内側視索前核、視交差上核、傍室核、視索上核(主に)、視床下部前核、外側領域、視索前野の一部、外側視索前核、外側核前部、視索上核の一部、視索前野の他の核、正中視索前核、脳室周囲視索前核、隆起部、内側領域、視床下部背内側核、腹内側核、弓状核、外側領域、外側核隆起部、外側隆起核、後部、内側領域、乳頭核(乳頭体の一部)、後核、外側領域、外側核後部、視交差、脳弓下器官、周室核、下垂体茎、灰白隆起、隆起核、隆起乳頭体核、隆起領域、乳頭体、乳頭核等)、視床腹部構造(例えば、視床核、不確帯等)、下垂体構造(例えば、神経下垂体、中間部(中葉)、下垂体前葉等)、終脳構造、白質構造(例えば、放射冠、内包、外包、最外包、弓状束、鉤状束、穿孔経路等)、皮質下構造(例えば、海馬(内側側頭葉)、歯状回、アンモン角(CA領域)、アンモン角領域1、アンモン角領域2、アンモン角領域3、アンモン角領域4、扁桃体(辺縁系)(辺縁葉)、中心核(自律神経系)、内側核(副嗅覚系)、皮質および基底核(主嗅覚系)、外側[要曖昧さ回避]および基底外側核(前頭側頭皮質系)、前障、基底核、線条体、背側線条体(すなわち、新線条体)、被殻、尾状核、腹側線条体、側座核、嗅結節、淡蒼球(被殻とともにレンズ核を形成する)、視床下核、基底前部脳、前有孔質、無名質、基底核、ブローカ対角帯、内側中隔核等)、嗅脳構造(例えば、嗅球、梨状皮質、前嗅核、嗅索、前交連、鉤等)、脳皮質構造(例えば、前頭葉、皮質、一次運動野(中心前回、Ml)、補足運動野、運動前野、前頭前皮質、回、上前頭回、中前頭回、下前頭回、ブロードマン野(4野、6野、8野、9野、10野、11野、12野、24野、25野、32野、33野、44野、45野、46野、47野)、頭頂葉、皮質、一次体性感覚野(S1)、二次体性感覚野(S2)、後頭頂葉、回、中心後回(一次体性感覚領域)、他のもの、楔前部、ブロードマン野(1野、2野、3野(一次体性感覚領域)、5野、7野、23野、26野、29野、31野、39野、40野)、後頭葉、皮質、一次視覚野(V1)、V2、V3、V4、V5/MT、回、外側後頭回、楔部、ブロードマン野(17野(V1、一次視覚野)、18野、19野)、側頭葉、皮質、一次聴覚野(Al)、二次聴覚野(A2)、下側頭皮質、後下側頭皮質、上側頭回、中側頭回、下側頭回、嗅内皮質、嗅周囲皮質、海馬傍回、紡錘状回、ブロードマン野(9野、20野、21野、22野、27野、34野、35野、36野、37野、38野、41野、42野)、中上側頭野(MST)、島皮質、帯状回皮質、前帯状部、後帯状部、脳梁膨大後部皮質、灰白層、膝下野25、およびブロードマン野(23野、24野、26野、29野、30野(脳梁膨大後部野)、31野、32野等))を含む1つ以上の脳構造または脳構造内の特定のエリアが、標的化され得る。
【0094】
いくつかの事例では、限定ではないが、上縦束、弓状束、大脳茎、脳梁、錐体路または皮質脊髄路、ドーパミン系の主要ドーパミン経路、中脳皮質経路、中脳辺縁系経路、黒質線条体経路、結節眼底経路、セロトニン系のセロトニン経路、縫線核、ノルエピネフリン経路、および青斑核等、上記に説明されるそれらの脳葉および構造の神経経路を含む1つ以上の神経経路または神経経路の特定の部分が、標的化され得る。
【0095】
標的化され得る罹患神経組織は、限定でないが、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症(MS)、卒中、脳腫瘍、てんかん、アルツハイマー病、エイズによる認知症、パーキンソン病、およびハンチントン病のうちの1つ以上のものに起因する神経組織疾患を含む。
【0096】
哺乳類対象への組成物の送達は、例えば、所望の部位、例えば、中枢神経系(CNS)に送達する任意の公知の手段によるものであり得る。組成物を対象のCNSに送達することは、望ましくあり得る。「CNS」によって、脊椎動物の脳および脊髄の全ての細胞および組織を意味する。したがって、用語は、限定ではないが、神経細胞、グリア細胞、星状膠細胞、脳脊髄液(CSF)、間質腔、骨、軟骨等を含む。本明細書に説明される任意の組成物が、例えば、定位注射等による当技術分野において公知である神経外科手術技法を使用した針、カテーテル、または関連するデバイスを用いた脳室領域の中、および線条体(例えば、線条体の尾状核または被殻)、脊髄および神経筋接合部、または小脳小葉への注入によって、CNSまたは脳に直接送達され得る。いくつかの実施形態では、本開示に説明されるような組成物が、静脈内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、本開示に説明されるような組成物が、脊髄内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、本開示に説明されるような組成物は、脳室内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、脳内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、髄腔内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、線条体内注射によって投与される。いくつかの実施形態では、組成物は、頭蓋内注射によって送達される。いくつかの実施形態では、組成物は、大槽注射によって送達される。いくつかの実施形態では、組成物は、脳側脳室注射によって送達される。
【0097】
CNSは、CNSのある領域、すなわち、限定ではないが、神経経路、体性感覚系、視覚系、聴覚系、神経、神経内分泌系、神経血管系、脳神経伝達物質系、および硬膜髄膜系を含む。
【0098】
CNSの例示的領域は、限定ではないが、髄脳、延髄、延髄錐体、オリーブ体、下オリーブ核、吻側腹外側髄質、尾側腹外側髄質、孤立核(孤束核)、呼吸中枢-呼吸群、背側呼吸群、腹側呼吸群または持続性吸息中枢、プレベッツィンガー複合体、ベッツィンガー複合体、後台形核、後顔面核、後曖昧核、傍曖昧核、傍正中網様核、巨大細胞性網様核、傍顔面帯、楔状束核、薄束核、舌下神経周囲核、介在核、前位核、舌下核、最後野、髄質脳神経核、下唾液核、疑核、迷走神経背側核、舌下神経核、化学受容体誘発帯、後脳、脳橋、橋核、橋脳神経核、三叉神経感覚核の主核または橋核、三叉神経の運動核、外転神経核(VI)、顔面神経核(VII)、前庭蝸牛核(前庭核および蝸牛核)(VIII)、上唾液核、橋被蓋、橋排尿中枢(バーリントン核)、青斑核、大脳脚橋核、背外側被蓋核、被蓋橋網様核、挿入核、傍小脳脚野、内側傍小脳脚核、外側傍小脳脚核、傍小脳脚下核(ケリカー・布施核)、橋呼吸群、上オリーブ複合体、内側上オリーブ、外側上オリーブ、台形体内側核、傍正中橋網様体、小細胞性網様核、尾側橋網様核、小脳脚、上小脳脚、中小脳脚、下小脳脚、第4脳室、小脳、小脳虫部、小脳半球、前葉、後葉、片葉小節葉、小脳核、室頂核、挿入核、球状核、栓状核、歯状核、中部脳(中脳)、蓋、四丘体、下丘、上丘、視蓋前域、被蓋、中脳水道周囲灰白質、内側縦束吻側間質核、中部脳網様体、背側縫線核、赤核、腹側被蓋領域、傍小脳脚色素核、黒質傍核、吻側内側被蓋核、尾線状核、縫線の吻側線状核、束間核、黒質、緻密部、網様部、脚間核、大脳茎、大脳脚、中脳神経核、動眼神経核(III)、エディンガー・ウェストファル核、滑車神経核(IV)、中脳管(中脳水道、シルヴィウス水道)、前部脳(前脳)、間脳、視床上部、松果体(松果腺)、手綱核、髄条、視床ひも、第3脳室、交連下器官、視床、前核群、前腹側核(すなわち、腹側前核)、前背側核、前内側核、内側核群、内側背側核、正中線核群、傍核、結合核、菱形核、髄板内核群、中心正中核、束傍核、中心傍核、外側中心核、外側核群、背側外側核、後外側核、視床枕、腹側核群、腹側前核、腹側外側核、腹側後核、腹側後外側核、腹側後内側核、視床後部、内側膝状体、外側膝状体、視床網様核、視床下部(辺縁系)(HPA軸)、前部、内側領域、視索前野の一部、内側視索前核、INAH1、INAH2、INAH3、INAH4、正中視索前核、視交差上核、傍室核、視索上核(主に)、視床下部前核、外側領域、視索前野の一部、外側視索前核、外側核前部、視索上核の一部、視索前野の他の核、正中視索前核、脳室周囲視索前核、隆起部、内側領域、視床下部背内側核、腹内側核、弓状核、外側領域、外側核隆起部、外側隆起核、後部、内側領域、乳頭核(乳頭体の一部)、後核、外側領域、外側核後部、表面、正中隆起、乳頭体、下垂体茎(漏斗)、視交差、脳弓下器官、周室核、灰白隆起、隆起核、隆起乳頭体核、隆起領域、乳頭核、視床腹部(HPA軸)、視床下核、不確帯、下垂体(HPA軸)、神経下垂体、中間部(中葉)、下垂体前葉、終脳(大脳)、大脳半球、白質、半卵円中心、放射冠、内包、外包、最外包、皮質下部、海馬(内側側頭葉)、歯状回、アンモン角(CA領域)、アンモン角領域1(CA1)、アンモン角領域2(CA2)、アンモン角領域3(CA3)、アンモン角領域4(CA4)、扁桃体(辺縁系)(辺縁葉)、中心核(自律神経系)、内側核(副嗅覚系)、皮質および基底核(主嗅覚系)、外側および基底外側核(前頭側頭皮質系)、扁桃体延長部、分界条、分界条床核、前障、基底核、線条体、背側線条体(すなわち、新線条体)、被殻、尾状核、腹側線条体、側座核、嗅結節、淡蒼球(被殻とともにレンズ核を形成する)、腹側淡蒼球、視床下核、基底前部脳、前有孔質、無名質、基底核、ブローカ対角帯、中隔核、内側中隔核、終板、終板血管器官、嗅脳(旧皮質)、嗅球、嗅索、前嗅核、梨状皮質、前交連、鉤、扁桃体周囲皮質、脳皮質(新皮質)、前頭葉、皮質、一次運動野(中心前回、M1)、補足運動野、運動前野、前頭前皮質、眼窩前頭皮質、背外側前頭前野皮質、回、上前頭回、中前頭回、下前頭回、ブロードマン野(4野、6野、8野、9野、10野、11野、12野、24野、25野、32野、33野、44野、45野、46野、47野)、頭頂葉、皮質、一次体性感覚野(S1)、二次体性感覚野(S2)、後頭頂葉、回、中心後回(一次体性感覚領域)、ブロードマン野(1野、2野、3野(一次体性感覚領域)、5野、7野、23野、26野、29野、31野、39野、40野)、後頭葉、皮質、一次視覚野(V1)、V2、V3、V4、V5/MT、回、外側後頭回、ブロードマン野(17野(V1、一次視覚野)、18野、19野)、側頭葉、皮質、一次聴覚野(A1)、二次聴覚野(A2)、下側頭皮質、後下側頭皮質、回、上側頭回、中側頭回、下側頭回、嗅内皮質、嗅周囲皮質、海馬傍回、紡錘状回、ブロードマン野(20野、21野、22野、27野、34野、35野、36野、37野、38野、41野、42野)、島皮質、帯状回皮質、前帯状部、後帯状部、脳梁膨大後部皮質、灰白層、膝下野25、およびブロードマン野(23野、24野、26野、29野、30野(脳梁膨大後部野)、31野、および32野)を含む。
【0099】
例示的神経経路は、限定ではないが、上縦束、弓状束、鉤状束、穿孔経路、視床皮質放射線、脳梁、前交連、扁桃体遠心路、視床間橋、後交連、手綱交連、脳弓、乳頭被蓋、束、視床下部間経路、大脳茎、内側前部脳束、内側縦束、ミオクローヌス三角形、孤束、ドーパミン作動性細胞群からの主要なドーパミン作動性経路、中脳皮質経路、中脳辺縁系経路、黒質線条体経路、結節眼底経路、セロトニン作動性経路、縫線核、ノルエピネフリン経路、青斑核および他のノルアドレナリン作動性細胞群、アドレナリン作動性細胞群からのエピネフリン経路、中橋核からのグルタミンおよびアセチルコリン経路、運動系/下行線維、錐体外路系、錐体路、皮質脊髄路、または脳脊髄線維、外側皮質脊髄路、前皮質脊髄路、皮質橋線維、前頭橋線維、側頭橋線維、皮質球路、皮質中脳路、視蓋脊髄路、間質核脊髄路、赤核脊髄路、赤核オリーブ路、オリーブ小脳路、オリーブ脊髄路、前庭脊髄路、外側前庭脊髄路、内側前庭脊髄路、網様体脊髄路、外側縫線核脊髄路、アルファ系、およびガンマ系を含む。
【0100】
例示的体性感覚系は、限定ではないが、背柱-内側毛帯経路、薄束、楔状束、内側毛帯、脊髄視床路、外側脊髄視床路、前脊髄視床路、脊髄中脳路、脊髄小脳路、脊髄オリーブ路、および脊髄網体路を含む。
【0101】
例示的視覚系は、限定ではないが、視索、視放線、および網膜視床下部路を含む。
【0102】
例示的聴覚系は、限定ではないが、第4脳室髄条、台形体、および外側毛帯を含む。
【0103】
例示的神経は、限定ではないが、脳幹、脳神経、終末部(0)、嗅覚(I)、視覚(II)、動眼(III)、滑車(IV)、三叉(V)、外転(VI)、顔面(VII)、前庭蝸牛(VIII)、舌咽(IX)、迷走神経(X)、副神経(XI)、および舌下(XII)を含む。
【0104】
例示的神経内分泌系は、限定ではないが、視床下部-下垂体ホルモン、HPA軸、HPG軸、HPT軸、およびGHRH-GHを含む。
【0105】
例示的神経血管系は、限定ではないが、中大脳動脈、後大脳動脈、前大脳動脈、椎骨動脈、脳底動脈、ウィリス輪(動脈系)、血液脳関門、グリンパ系、静脈系、および脳室周囲器官を含む。
【0106】
例示的脳神経伝達物質系は、限定ではないが、ノルアドレナリン系、ドーパミン系、セロトニン系、コリン作動系、GABA、神経ペプチド、オピオイドペプチド、エンドルフィン、エンケファリン、ダイノルフィン、オキシトシン、およびP物質を含む。
【0107】
例示的硬膜髄膜系は、限定ではないが、脳脊髄液関門、髄膜被覆、硬膜、くも膜、軟膜、硬膜外腔、硬膜下腔、くも膜下腔、上槽、終板槽、交叉槽、脚間槽、橋槽、大槽、脊髄くも膜下腔、心室系、脳脊髄液、第3脳室、第4脳室、側脳室、角束、前角、側脳室体、下角、後角、鳥距、および脳室下帯を含む。
【0108】
「PNS」は、脳および脊髄の外側の神経および神経節を指す。PNSの主な機能は、CNSを四肢および器官に接続し、本質的に、脳と、脊髄と、身体の残部との間の中継体としての役割を果たすことである。CNSとは異なり、PNSは、脊柱および頭蓋骨によって、または血液-脳障壁によって保護されず、それを、例えば、毒素および機械的損傷に暴露されたままにする。
【0109】
末梢神経系(PNS)は、体性神経系と自律神経系とに分けられる。体性神経系では、脳神経は、網膜に加えて視神経(脳神経II)を除いたPNSの一部である。第2脳神経は、真の末梢神経ではないが、間脳の索である。脳神経節が、CNS内で生じる。しかしながら、残りの10個の脳神経軸索が、脳を越えて延び、したがって、PNSの一部と見なされる。自律神経系は、平滑筋および腺にわたって不随意制御を及ぼす。CNSと器官との間の接続は、系が2つの異なる機能状態、すなわち、交感神経および副交感神経にあることを可能にする。
【0110】
本明細書で使用されるように、「神経学的疾患または障害」は、神経系に影響を及ぼす、またはそれに関連付けられる任意の疾患、障害、または病状、すなわち、中枢神経系(脳および脊髄)、末梢神経系(末梢神経および脳神経)、および自律神経系(中枢神経系および末梢神経系の両方の中に配置される部分)に影響を及ぼすものを指すことができる。600超の神経学的疾患が、ヒトの中で識別されている。非限定的例として、神経学的疾患または障害は、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病、カナバン病、リー病、脊髄性脳失調症、クラッベ病、バッテン病、レフサム病、トゥレット症候群、原発性側索硬化症、筋萎縮性側索硬化症、進行性筋萎縮症、ピック病、筋ジストロフィー、多発性硬化症、重症筋無力症、ビンスワンガー病、脊髄または頭部損傷に起因する外傷、眼疾患および障害、テイ・サックス病、レッシュ-ナイハン病、てんかん、脳梗塞、抑鬱症、双極性情動障害、持続性情動障害、二次気分障害、統合失調症、薬物依存症、神経症、精神病、認知症、偏執病、注意力欠如障害、精神性的障害、睡眠障害、疼痛障害、および/または摂食または体重障害を含む。いくつかの実施形態では、神経学的疾患または障害は、中枢神経系(CNS)疾患または障害、例えば、ハンチントン病、パーキンソン病、またはアルツハイマー病である。
【0111】
一側面では、本発明は、本明細書では「皮質神経障害」と称される皮質を伴う神経障害を治療する方法を提供する。方法は、本明細書に説明されるウイルスベクタまたはそれらの組み合わせのCNSまたはPNSへの送達を伴う。好ましい皮質神経障害は、皮質の大きいエリア、好ましくは、皮質の2つ以上の機能エリア、好ましくは、皮質の2つ以上の葉から皮質全体まで含むものを伴うものである。好ましい皮質神経障害は、限定ではないが、外傷性脳損傷、卒中、酵素機能障害、心的外傷後ストレス症候群を含む精神障害、ハンチントン病、パーキンソン病、およびアルツハイマー病を含む神経変性疾患、てんかん、および認知症、自閉症、および抑鬱症を含む認知障害を含む。好ましい酵素機能障害障は、限定ではないが、キャナヴァン病を含む大脳白質萎縮症、およびニーマン・ピック病、ゴーシェ病、バッテン病、ファブリ病、およびポンぺ病を含むリソソーム蓄積病(LSD)を含む。
【0112】
本明細書で使用されるような「皮質神経障害」は、皮質を伴う神経障害を指す。皮質神経障害は、(i)視床に解剖学的に直接接続される皮質内の細胞のある集団を伴うおよび/または(ii)(i)内の皮質細胞集団に解剖学的に直接接続される細胞の集団を伴う神経障害である。
【0113】
好ましい皮質神経障害は、皮質の大きいエリア、好ましくは、皮質の2つ以上の機能エリア、好ましくは、皮質の2つ以上の葉、および皮質全体までを伴うそれらである。好ましい皮質神経障害は、限定ではないが、外傷性脳損傷、卒中、酵素機能障害、心的外傷後ストレス症候群を含む精神障害、ハンチントン病、パーキンソン病、およびアルツハイマー病を含む神経変性疾患、てんかん、および認知症、自閉症、および抑鬱症を含む認知障害を含む。好ましい酵素機能障害障は、限定ではないが、キャナヴァン病を含む大脳白質萎縮症、およびニーマン・ピック病、ゴーシェ病、バッテン病、ファブリ病、およびポンぺ病を含むリソソーム蓄積病(LSD)を含む。障害のこの列挙は、例示的かつ非限定的である。
【0114】
皮質病理および神経解剖学的接続性に基づく本方法による治療のために好適である神経障害が、当業者に合理的に明白であろう。本明細書で使用されるような「皮質」は、脳皮質を指す。いくつかの実施形態では、神経学的疾患または障害は、CNS疾患または障害、例えば、ハンチントン病、パーキンソン病、またはアルツハイマー病である。いくつかの実施形態では、神経学的疾患または障害は、PNS疾患または障害、例えば、末梢神経障害である。
【0115】
1つの方法によると、ウイルスベクタが、対象の中枢神経系に送達される。方法は、カニューレアセンブリと、シリンジとを含むカニューレアセンブリとシリンジとの組み合わせを提供することを含む。カニューレアセンブリは、カニューレと、ポリマー支持材料と、ハブとを含む。カニューレは、近位端と、遠位端とを有する。ポリマー支持材料は、近位端またはその近傍においてカニューレの一部を実質的に包囲する。シリンジは、針を含む。ハブは、カニューレアセンブリおよびシリンジを取り付ける。ポリマー支持材料は、カニューレとハブとの間に配置される。カニューレ、ポリマー支持材料、およびハブは、接着によって取り付けられる。ウイルスベクタが、提供され、カニューレアセンブリとシリンジとの組み合わせを介して中枢神経系に送達される。
【0116】
別の方法によると、神経障害が、それを必要とする対象において治療される。方法は、カニューレアセンブリと、シリンジとを含むカニューレアセンブリとシリンジとの組み合わせを提供することを含む。カニューレアセンブリは、カニューレと、ポリマー支持材料と、ハブとを含む。カニューレは、近位端と、遠位端とを有する。ポリマー支持材料は、近位端またはその近傍においてカニューレの一部を実質的に包囲する。シリンジは、針を含む。ハブは、カニューレアセンブリとシリンジとを取り付ける。ポリマー支持材料は、カニューレとハブとの間に配置される。カニューレ、ポリマー支持材料、およびハブは、接着によって取り付けられる。ウイルスベクタが、提供され、カニューレアセンブリとシリンジとの組み合わせを介して中枢神経系に送達される。神経障害は、中枢神経系に送達されたウイルスベクタを使用して治療される。
【0117】
この方法における神経障害は、限定ではないが、髄膜炎、脳炎、多発性硬化症(MS)、卒中、脳腫瘍、てんかん、アルツハイマー病、エイズによる認知症、パーキンソン病、またはハンチントン病を含む。
【0118】
本発明では、ウイルスベクタは、そのゲノム内の療法核酸(例えば、DNAまたはRNA)を含む。rAAVは、療法的恩恵を有する任意の核酸を含むことができる。いくつかの実施形態では、療法核酸は、非コードである。例えば、療法核酸は、非コードRNAである。非コードRNAの非限定的な例は、shRNA、siRNA、miRNAである。他の実施形態では、療法核酸は、療法導入遺伝子をコードする。
【0119】
CNSの疾患または障害に関する療法的恩恵を提供し得る療法導入遺伝子の非限定的な例は、(ハンチントン病に関して)CYP46A1およびHTT、(パーキンソン病に関して)AADCおよびGDNF、(GM1に関して)GLB1、(MSAに関して)GDNF、(ニーマン・ピック病に関して)ASM、(アルツハイマー病、ALS、MS、およびてんかんに関して)CYP46A1、および(アンジェルマン病に関して)UBE3Aを含む。いくつかの実施形態では、ポリペプチドコード導入遺伝子は、その抗体または抗原結合性フラグメントをコードする。CNS疾患または障害の治療のためのアプローチ、代謝経路(例えば、ハンチントン病、パーキンソン病、ALS、およびアルツハイマー病に関してタンパク質脂質ラフトまたはタンパク質凝集物を一掃するためのCYP46A1)を標的化する(類似のアプローチはまた、シヌクレインおよび/またはタウを標的化し得る)、望ましくないmRNA転写物のmiRNA、shRNA、および/またはリボザイム媒介ノックダウン(例えば、ハンチントン病に関してmHTTまたはHTT、またはアンジェルマン病に関してATSノックダウン)を使用する(例えば、ハンチントン病において、MBNL2またはSFRF6を追加することによって正常接合を復元するための)遺伝子置換のための導入遺伝子発現(および抗シヌクレイン抗体、AADC、GDNF、または他の導入遺伝子の発現による、より従来的な遺伝子置換)を使用することもできる。疾患は、とりわけ、神経変性疾患(パーキンソン病、ハンチントン病、アルツハイマー病、ALS、多発性硬化症、てんかん)および先天性変異(AADC、アンジェルマン病、ニーマン・ピック病、MPS、および他のもの)を含むことができる。相同的組み換え(これは、例えば、アンジェルマン病に適用され得る)を含む導入遺伝子媒介遺伝子編集、例えば、CRISPR、またはARCUS、または他の遺伝子編集技術も、想定される。
【0120】
(実施例1)
【0121】
(AADCをコードする組み換えウイルスベクタの霊長類脳への送達)
【0122】
ヒトAADCをコードする組み換えAAVベクタ(AAV2-hAADC)が、以下のようにアカゲザルの被殻に送達される。
【0123】
(組み換えベクタ産生)
【0124】
組み換えAAV2が、トリプルトランスフェクションプロトコル(Matsushita et al.の(1998年)Gene Ther. 5(7):938-45)によって発生させられる。要約すると、10%のウシ胎仔血清および2mMのグルタミンを含むDMEM中の一連の使い捨て可能培養器を通したHEK293ワーキングセルバンクからの細胞の増殖の後、細胞が、3つのプラスミド(pAAV-hAADC-2、pHLP19、およびプラデノ5)で共トランスフェクトされる。rAAV2-hAADCベクタクローンは、前述に説明されたもの(Sanftner et al.の(2004年)Mol. Ther. 9(3):403-9)と同じである。プラスミドpHLP19およびプラデノ5は、米国特許第5,139,941号、第5,622,856号、第6,001,650号、および第6,004,797号(その開示は、参照することによってそれらの全体として本明細書に組み込まれる)により完全に説明されている。
【0125】
適切なトランスフェクション時間の後、トランスフェクション試薬を含む培液が、無血清培液と交換され、細胞が、さらにインキュベートされ、ベクタ産生を可能にする。細胞が、採集され、遠心分離によって濃縮され、凍結/融解方法によって溶解され、AAV-hAADC-2ベクタを解放する。細胞残渣を除去するための遠心分離の後、溶解物が、Benzonase(登録商標)、塩化カルシウムを用いて処理され、ポリエチレングリコールを用いて沈殿される。ベクタが、塩化セシウム中での2つのサイクルの等密度勾配超遠心分離によって精製される。AAV2-hAADCは、濃縮され、5%のソルビトールを含む滅菌緩衝食塩水(PBS)で透析濾過される。ポロキサマー188TM(0.001%)が、追加され、材料は、滅菌濾過され(0.22μm)、-70℃において凍結状態で貯蔵される。ベクタ純度が、SDS-PAGEによって査定される。この研究において使用されるべき精製されたrAAV2ベクタは、SDS-PAGEゲルの銀染色によってVP1、VP2、およびVP3のみを示す。力価が、ベクタゲノムのリアルタイムQ-PCR分析によって決定される。
【0126】
(外科手術手技)
【0127】
(被殻の解剖学的構造に基づく)定位固定座標が、最初に、アカゲザルにおいて識別される。2つの部位が、一方の部位が吻側被殻内で中心に置かれ、第2のものが尾側被殻内で中心に置かれた状態で各半球で標的化される。成体のアカゲザル(n=4)が、外科手術のために、ケタミン(Ketaset(登録商標)、10mg/kg、筋肉内注射)およびバリウム(登録商標)(0.5mg/kg、静脈内注射)の混合物で不動化、挿管、および準備される。等張流体が、2mL/kg/時間において静脈内に送達される。麻酔が、5%v/vにおけるイソフルレン(Aerane(登録商標)、Omeda PPD,Inc.(Liberty,N.J.))を用いて誘発され、次いで、外科手術の持続時間にわたって1%~3%v/vに維持される。動物の頭部が、MRI対応定位固定フレーム内に設置される。深部体温が、循環水毛布を用いて維持される一方、心電図、心拍数、酸素飽和度、および体温が、手技中に持続的に監視される。穿頭孔が、歯科用ドリルを用いて頭蓋骨内に作製され、標的部位の真上の硬膜のエリアを露出させる。AAV2-hAADCが、2つの群のサルの中に輸液され、一方の群は、(1)本発明のカニューレアセンブリ(例えば、図1A-1Cに示されるカニューレアセンブリ10)によって、他方の群は、(2)カニューレと、ゴム管類の対向端部の中に締まり嵌めされる針とを含む基準カニューレアセンブリによって輸液される。基準カニューレアセンブリ内のゴム管類は、カニューレと針との間の空間に橋架するように試みる。基準カニューレアセンブリは、本発明のカニューレアセンブリ内に含まれる、ハブおよびポリマー支持材料を欠いている。
【0128】
各サルは、4つの部位にわたって発散される200μLにおける合計3×1011vg(半球あたり2つの部位において、部位あたり50μL)を受け取る。輸液カニューレアセンブリが、各脳半球内の被殻に手動で誘導され、動物は、左半球に関して0.2μL/分(10分)、0.5μL/分(10分)、0.8μL/分(10分)、および1μL/分(35分)の輸液率、および右半球に関して1μL/分(50分)の一定率においてAAV2-hAADC(1.5×1012vg/mL)の両側輸液(すなわち、両方の半球内の吻側および尾側部位への順次的輸液)を受け取る。輸液の約10分後、カニューレアセンブリが、除去され、創傷部位が、閉鎖され、サルは、麻酔からの回復のために監視され、次いで、継続する観察のためにその住居ケージに戻される。
【0129】
ガドリニウム造影剤を含む溶液が、ウイルスベクタ溶液の送達を追跡するために、芳香族L-アミノ酸脱炭酸酵素遺伝子(AAV2-AADC)を担持するアデノ随伴ウイルスベクタに加えて使用される。ガドリニウムの可視化は、輸液されたボーラス投与器具が、カニューレアセンブリ先端の移動を追跡し、標的解剖学的構造の形状を綿密に模倣することを示す。しかしながら、サルの2つの群において、ガドリニウムの強度のかなりの差異が存在することが予期される。本発明のカニューレアセンブリを使用してAAV2-hAADC-ガドリニウムを受け取るサルは、基準群内のそれと比較してかなり強いガドリニウム強度を示すことが予期される。等しい体積および等しい量のウイルスベクタおよびガドリニウムが、両方の群に投与されることを前提として、基準カニューレアセンブリの使用は、溶液の漏出を明確に示すことが予期されるであろう一方、本発明のカニューレアセンブリは、漏出から保護される。
【0130】
(組織学および免疫組織化学)
【0131】
組織学的研究のために、動物が、心腔内生理食塩水輸液、続いて、10%の中性緩衝ホルマリン(NBF)を介して灌流される。脳が、次いで、除去され、脳成型型内で冠状ブロック(8~10mm)にスライスされる。採集された脳ブロックが、10%のNBF固定剤中への浸漬によって固定される。組織ブロックが、3~5日間にわたって昇順濃度のPBS/蔗糖溶液(10、20、および30%)の中への固定の2~3日後に移送される。脳が、イソペンタンの槽内で凍結され、ドライアイス上で冷却され、逐次、低温保持装置上で40μm厚の冠状切片に切断される。10個毎の切片が、組織病理学的分析のためにHematoxylin and Eosin(H&E)溶液(Richard Allen Scientific(Kalamazoo,Mich.))で染色される。免疫組織化学が、AADCに関して特異的な一次抗体(Chemicon(Temecula,Calif.)、1:1,500)を用いて浮動性切片に対して行われる。切片が、3%の過酸化水素中で30分にわたってインキュベートされ、内因性ペルオキシダーゼを急冷する。10%の正常ヤギ血清との非特異的結合に関するブロッキングの後、切片が、室温において一晩一次抗体中で、次いで、ビオチン化抗ウサギIgG抗体(Vector Laboratories(Burlingame,Calif.)、1:300)を用いて、ストレプトアビジン結合西洋ワサビペルオキシダーゼ(Vector Laboratories、1:300)を用いて、室温において、両方とも1時間にわたってインキュベートされる。複合体が、3-3’-ジアミノベンジジン(DAB,Vector Laboratories)および過酸化水素を用いて可視化される。切片は、Superfrost Plus(登録商標)スライド(Brain Research Laboratories(Newton,Mass.))上に搭載され、乾燥され、昇順エタノールシリーズ内で脱水され、キシレン中で一掃され、Cytoseal-XYL(Richard-Allen Scientific(Kalamazoo,Mich.))を用いて搭載される。hAADC免疫染色の前後分布が、公式(n×10×40μm)(式中、nは、hAADC陽性細胞を伴う切片の数であり、40μmは、切片の厚さであり、10個毎の切片が、調査される)によって決定される。分布の体積が、ビデオカメラおよびStereoinvestigatorTM立体解析学ソフトウェア(Microbrightfield(Williston,Vt.))を装備するZeiss顕微鏡上で63倍の倍率下で光分画器-光解離器設計ベースの立体解析学方法を用いてAADCに関して染色された一連の切片(10個毎)において推定される。CEEは、各群に関して<5%である。結果が、平均値±SDとして報告される。スチューデントのt検定が、統計的有意性を測定するために使用された。
【0132】
(リアルタイムの定量的PCR)
【0133】
この研究において使用されるベクタAAV2-hAADCは、ヒトAADC標的cDNAを含む。リアルタイムQ-PCRプライマおよびプローブが、AADC遺伝子のエクソン2および3に焼鈍し、ベクタシーケンス内に存在しないイントロンに跨架し、それによって、ゲノムDNAの増幅を最小にする。リアルタイムQ-PCRが、ベクタ挿入体を含む線状化プラスミドDNAで標準化され、ベクタゲノムが、前述に説明されるように定量化される(Sommer et al.の(2003年)Mol. Ther. 7(1):122-8)。
【0134】
(生体内におけるhAADC発現の免疫組織化学および定量化)
【0135】
hAADC発現の免疫組織学的分析が、ベクタ分布が、本発明のカニューレアセンブリによる輸液と基準カニューレアセンブリによる輸液との間で異なるかどうかを決定するために、AAV-hAADC-2輸液後の5.5週間において、各脳半球上で実施される。全てのサルが、被殻内でのhAADC発現を示す。逐次的切片が、明視野顕微鏡を用いてhAADC陽性細胞に関して検査された。hAADC導入遺伝子陽性細胞の分布の体積および前後(A-P)発散が、全ての動物に関して決定される。分布の体積は、2つの群のサルにおいて有意に異なることが予測され、すなわち、本発明のカニューレアセンブリを用いて注液されたサルは、他方の群よりかなり高いことが予期され、この差異は、本発明のカニューレアセンブリを使用した漏出のない状態と比較して、基準カニューレアセンブリ内のウイルスベクタ溶液の予期される漏出によるものである。
【0136】
全ての動物において、導入遺伝子発現が、被殻に限局化される。輸液軌道と直線状にある場合を除き、皮質領域内では、いかなるhAADC発現も、検出されない。各群のサル内の右半球および左半球の比較においては、AADC陽性細胞の数またはhAADC染色の強度に、いかなる差異も、認められない。しかしながら、基準カニューレアセンブリを使用して送達が実施される群では、ウイルスベクタを送達する時点におけるガドリニウム造影剤を用いた観察によって、かなりより少ないhAADC染色が、観測されることが予期される。言い換えると、基準カニューレアセンブリは、漏出を保護する、本発明のカニューレアセンブリと比較して、かなりの漏出を示すことが予期される。本発明のカニューレアセンブリを有する群と比較して、基準カニューレアセンブリが使用される群内の観察されたhAADCのより少ない発現は、したがって、かなりより少ない体積に起因し、故に、より少ない力価のウイルスベクタが、送達の間の漏出に起因して、輸液され、これらの2つの群間の全ての他の実験条件は、それ以外は同じである。
【0137】
ベクタの定量的回復が、本発明のカニューレアセンブリおよび基準カニューレアセンブリを使用した、模擬輸液を通して評価される。両方の場合において、AAV2-hAADCベクタが、5×1011vg/mL(0.5×10vg/μL)まで希釈される。充填の後、両方のカニューレアセンブリが、500μLのベクタ溶液を用いて8μL/分において(62.5分)送流される。50μLの2つの順次的アリコートが、0.2~1.0μL/分の流率において各カニューレアセンブリの3つのセットから収集される。各サンプル中のベクタ濃度が、リアルタイムの定量的PCR(Q-PCR)によって決定される。基準カニューレアセンブリに関する回復は、大規模な1時間の送流後にわずか49±15%である一方、ベクタの完全回復(101±3%)が、本発明のカニューレアセンブリに関して観察される。この完全なベクタ回復は、本発明のカニューレアセンブリ内での漏出からの優れた保護をさらに確認する。
【0138】
本明細書に説明される実験は、1:1~1:100の範囲に及ぶ、以前から存在するNAb力価を伴う動物を利用し、中和抗体を交絡変数として除外し、これらの力価は、被殻内のhAADC発現に及ぼす明白な影響を有していない。また、輸液後の力価は、ベクタ投与の後にごくわずかに上昇し、それによって、本デバイスおよび輸液条件を用いた良好に標的化され、最小限に破壊的な遺伝子送達を認めた。これらの結果は、AAV2の繰り返された線条体内輸液が、ヒト患者において実現可能であり得ることも示唆する。
【0139】
要約すると、本発明のカニューレアセンブリを介したサル被殻へのAAV2-hAADCの輸液は、漏出から保護されることが予期され、十分に許容される。
【0140】
本発明のカニューレアセンブリのある実施形態は、rAAVベクタを霊長類脳に効果的に送達するためのその能力を査定するために試験され、それは、ヒト対象におけるCNS疾患および障害の治療のための療法rAAVベクタの送達のためのモデルとしての役割を果たし得る。
【0141】
開示される実施形態は、1つ以上の実装に関して例証および説明されているが、均等な改変および修正が、本明細書および付け加えられた図面の熟読および理解に応じて、他の当業者に想起される、または公知となるであろう。加えて、本発明の特定の特徴が、いくつかの実装のうちの1つのみに関して開示されている場合があるが、そのような特徴は、任意の所与または特定の用途のために所望され、有利であり得るように、他の実装の1つ以上の他の特徴と組み合わせられ得る。
【0142】
本発明の種々の実施形態が、上記に説明されているが、それらが、限定ではなく、例として提示されているにすぎないことを理解されたい。開示される実施形態に対する多数の変更が、本発明の精神または範囲から逸脱することなく、本明細書における開示に従って、行われることができる。したがって、本発明の範疇および範囲は、上記に説明される実施形態のうちのいずれかによって限定されるべきではない。むしろ、本発明の範囲は、以下の請求項およびそれらの均等物に従って定義されるべきである。
図1A
図1B
図1C
図2A
図2B
図3
図4
図5A
図5B
【国際調査報告】