(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】直交脳室内アクセスのためのシステム及び方法
(51)【国際特許分類】
A61M 25/02 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
A61M25/02 504
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023565917
(86)(22)【出願日】2022-04-29
(85)【翻訳文提出日】2023-12-14
(86)【国際出願番号】 US2022026951
(87)【国際公開番号】W WO2022232521
(87)【国際公開日】2022-11-03
(32)【優先日】2021-04-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】500429103
【氏名又は名称】ザ トラスティーズ オブ ザ ユニバーシティ オブ ペンシルバニア
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ブルー、レイチェル
(72)【発明者】
【氏名】スパドラ、マイケル
【テーマコード(参考)】
4C267
【Fターム(参考)】
4C267AA01
4C267AA33
4C267AA39
4C267BB02
4C267BB03
4C267BB04
4C267BB11
4C267BB12
4C267BB19
4C267BB20
4C267BB25
4C267BB31
4C267BB32
4C267BB39
4C267BB40
4C267CC01
4C267CC02
4C267CC11
4C267CC12
4C267GG02
4C267HH07
4C267HH08
(57)【要約】
カテーテルの定位留置のためのデバイス及び方法が本明細書に開示される。デバイスは、第1の開口部及び第2の開口部を含む円錐形構成要素と、カテーテルを受けるための円筒形ロッドと、対象の皮膚の下にデバイスを固定するためのフットプレートと、カテーテルを保持するためのクリップとを備えることができる。第1の開口部及び第2の開口部は中を通る管腔を形成することができる。円筒形ロッドは第1の開口部に結合することができ、フットプレートは円錐形構成要素に結合することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
カテーテルの定位留置のためのデバイスであって、
第1の開口部及び第2の開口部を含む円錐形構成要素であって、前記第1の開口部及び前記第2の開口部は、中を通る管腔を形成する、円錐形構成要素と、
前記円錐形構成要素に結合された、前記カテーテルを受けるための円筒形ロッドと、
前記円錐形構成要素に結合された、対象の皮膚の下に前記デバイスを固定するためのフットプレートと、
前記円錐形構成要素に結合された、前記カテーテルを保持するためのクリップと、
を備える、デバイス。
【請求項2】
前記第2の開口部は前記円錐形構成要素の基部に位置し、前記基部は、標的組織と接触するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項3】
前記標的組織は、穿頭孔の前部の頭蓋冠表面である、請求項2に記載のデバイス。
【請求項4】
前記第2の開口部の直径は約0.5cm~約1.5cmである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項5】
前記円錐形構成要素は180°中空の円錐台形構成要素である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第1の開口部は前記円錐形構成要素の上部に位置し、前記第1の開口部の直径は約0.25cm~約0.75cmである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項7】
前記円錐形構成要素の高さは約1cmである、請求項1に記載のデバイス。
【請求項8】
前記デバイスは、穿頭孔全体がカテーテル留置のために空くように、半円形式で穿頭孔の前部の前記頭蓋冠表面上に配置されるように構成される、請求項3に記載のデバイス。
【請求項9】
前記フットプレートは、対象の皮膚の下に前記デバイスを固定するために、穿頭孔の前部の頭蓋冠表面に配置されるように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項10】
前記フットプレートの長さは、約0.1cm~約2cmである、請求項9に記載のデバイス。
【請求項11】
前記円筒形ロッドの一部分は前記管腔内に位置する、請求項9に記載のデバイス。
【請求項12】
前記円筒形ロッドの直径は約0.1cm~約0.75である、請求項1に記載のデバイス。
【請求項13】
前記円筒形は、前記カテーテルが前記円筒形ロッドに平行に位置合わせされ、前記円錐形構成要素の錐台を通じて脳室内に留置されるようにカテーテルを受けるように構成された管腔を含む、請求項1に記載のデバイス。
【請求項14】
前記クリップは、外科的処置中にカテーテルを適所に保持するように構成される、請求項1に記載のデバイス。
【請求項15】
カテーテルを留置するための方法であって、
前記カテーテルを挿入するために標的孔上にデバイスを配置することであって、前記デバイスは、
第1の開口部及び第2の開口部を含む円錐形構成要素であって、前記第1の開口部及び前記第2の開口部は、中を通る管腔を形成する、円錐形構成要素と、
前記第1の開口部に結合された、前記カテーテルを受けるための円筒形ロッドと、
前記円錐形構成要素に結合された、対象の皮膚の下に前記デバイスを固定するためのフットプレートと、
前記円錐形構成要素に結合された、前記カテーテルを保持するためのクリップと、
を備えることと、
前記カテーテルを前記円筒形ロッドに平行に位置合わせすることと、
前記カテーテルを、前記円錐形構成要素の錐台を通して標的組織内に留置することと、
を含む、方法。
【請求項16】
外科的処置中に、前記クリップを用いて前記カテーテルを保持することを更に含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記デバイスは3次元プリンタを用いてプリントされる、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記対象は症状を示し、前記症状は、くも膜下出血、脳室内出血、外傷性脳損傷(TBI)、水頭症、偽腫瘍及び術後の創部ドレナージ、又はそれらの組み合わせを含む、請求項15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、参照によりその開示全体が本明細書に援用される、2021年4月30日に出願された米国仮特許出願第63/182、229号の優先権を主張する。
【背景技術】
【0002】
脳室系への安全で信頼性の高いアクセスが、神経外科手術の成功に重要である。手術室において、脳室系へのアクセスは、内部脳室シャントによって達成することができる。例えば、外部脳室ドレーン(EVD:extra ventricular drainage)は、臨床における緊急状態下で多くの場合に行われる一般的な神経外科的処置である。いくつかの技法を用いて、EVDのためにカテーテルを同側前角内に留置することができる。例えば、通常の脳室及び頭蓋冠解剖学を仮定して、カテーテルは、同側内眼角の軌道においてコッヘルポイント(Kocher’s point)(すなわち、正中線から2~3センチメートル側方で、鼻根点から11センチメートル後部)に留置することができ、耳珠は、前外側脳室(anterior lateral ventricle)にカニューレを挿入することができる。さらに、通常の脳室及び頭蓋冠解剖学を仮定して、頭蓋表面に対し直角の(直交する)軌道に向けられたコッヘルポイントにおけるカテーテルの留置により、前外側脳室にカニューレを挿入することができる。表面的な解剖学的ランドマーク(例えば、内眼角及び耳珠)を用いたいくつかのフリーハンド技法をEVD留置に用いることができるにもかかわらず、EVDカテーテル留置の正確度は39.9%~84%であり得、改善の必要性を実証する。正確な軌道を得ることは、臨床条件下では、頭部の固定(pinning)及び全身麻酔の管理なしには困難である可能性がある。したがって、直交脳室内アクセスのための改善された技法が依然として必要とされる。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
開示される主題は、カテーテルの定位留置のためのデバイス及び方法を提供する。
【0004】
例示的なデバイスは、第1の開口部及び第2の開口部を含む円錐形構成要素と、当該カテーテルを受けるための円筒形ロッドと、対象の皮膚の下に当該デバイスを固定するためのフットプレートと、当該カテーテルを保持するためのクリップとを備えることができる。第1の開口部及び第2の開口部は中を通る管腔を形成することができる。円筒形ロッドは第1の開口部に結合することができ、フットプレートは円錐形構成要素に結合することができる。
【0005】
いくつかの実施形態において、円錐形構成要素は、180°中空の円錐台形構成要素であり得る。第2の開口部は、円錐形構成要素の基部に位置することができ、基部は、標的組織と接触するように構成することができる。非限定的な実施形態において、標的組織は、穿頭孔の前部の頭蓋冠表面であり得る。第2の開口部の直径は、約0.5cm~約1.5cmであり得る。第1の開口部は、円錐形構成要素の上部に位置することができる。第1の開口部の直径は、約0.25cm~約0.75cmであり得る。非限定的な実施形態において、円錐形構成要素の高さは約1cmであり得る。
【0006】
いくつかの実施形態において、当該フットプレートは、対象の皮膚の下に当該デバイスを固定するために、穿頭孔の前部の頭蓋冠表面に配置されるように構成することができる。フットプレートの長さは、約0.1cm~約2cmであり得る。
【0007】
いくつかの実施形態において、円筒形ロッドの一部分は管腔内に位置することができる。円筒形ロッドの直径は、約0.1cm約0.75cmであり得る。いくつかの実施形態において、円筒形ロッドは、カテーテルが当該円筒形ロッドに平行に位置合わせされ、当該円錐形構成要素の錐台を通じて脳室内に留置されるようにカテーテルを受けるように構成することができる管腔を含むことができる。
【0008】
いくつかの実施形態において、クリップは、外科的処置中にカテーテルを適所に保持するように構成することができる。
【0009】
いくつかの実施形態において、当該デバイスは、穿頭孔全体がカテーテル留置のために空くように、半円形式で穿頭孔の前部の当該頭蓋冠表面上に配置されるように構成することができる。
【0010】
開示される主題は、カテーテルを留置するための方法を提供する。例示的な方法は、カテーテルを挿入するために標的孔上にデバイスを配置することを含むことができ、デバイスは、第1の開口部及び第2の開口部を含む円錐形構成要素と、当該カテーテルを受けるための円筒形ロッドと、対象の皮膚の下に当該デバイスを固定するためのフットプレートと、当該カテーテルを保持するためのクリップとを備えることができる。第1の開口部及び第2の開口部は中を通る管腔を形成することができる。円筒形ロッドは第1の開口部に結合することができ、フットプレートは円錐形構成要素に結合することができる。方法は、当該カテーテルを当該円筒形ロッドに平行に位置合わせすることと、当該カテーテルを、当該円錐形構成要素の錐台を通して標的組織内に留置することとを更に含むことができる。
【0011】
いくつかの実施形態において、方法は、外科的処置中にクリップを用いてカテーテルを保持することを更に含むことができる。非限定的な実施形態において、デバイスは3次元プリンタを用いてプリントすることができる。
【0012】
いくつかの実施形態において、対象は症状(indication)を示す。症状は、くも膜下出血、脳室内出血、外傷性脳損傷(TBI:traumatic brain injury)、水頭症、偽腫瘍及び術後の創部ドレナージ、又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0013】
本開示の更なる特徴及び利点は、以下の詳細な説明を、本開示の例示的な実施形態を示す添付の図面と併せて読むことにより明らかとなるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1A】本開示による例示的なデバイスの正面図である。
【
図1B】本開示による例示的なデバイスの上面図である。
【
図2A】本開示による、円錐形構成要素に結合された円筒形ロッドを有する例示的なデバイスの正面図の写真画像である。
【
図2B】本開示による、円錐形構成要素に結合された円筒形ロッドを有する例示的なデバイスの背面図の写真画像である。
【
図3A】本開示による、円錐形構成要素の管腔内に位置する円筒形ロッドを有する例示的なデバイスの正面図の写真画像である。
【
図3B】本開示による、円錐形構成要素の管腔内に配置された円筒形ロッドを有する例示的なデバイスの側面図の写真画像である。
【
図4A】本開示による、皮膚の下に植え込まれた例示的なデバイスを有する頭蓋モデルの側面図の写真画像である。
【
図4B】本開示による、皮膚の下に植え込まれた例示的なデバイスを有する頭蓋モデルの正面図の写真画像である。
【
図5】本開示による、皮膚の下のフットプレートと、皮膚の開創器として機能する円錐形構成要素とを有する例示的なデバイスを実証する写真画像の編集物である。
【
図6】本開示による、開示されるデバイスの支援を用いた脳室留置を実証する患者頭部のコンピュータ断層撮影(CT)スキャン画像を実証する。
【
図7】本開示による、代替的な設計を用いた例示的なデバイスの図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図面全体を通じて、別段の指示がない限り、類似の参照符号を用いて、例示される実施形態の類似の特徴、要素、構成要素又は部分を表す。さらに、ここで本開示を図面を参照して詳細に説明するが、これは例示的な実施形態との関係で行われる。
【0016】
開示される主題は、カテーテルの定位留置のためのデバイス及び方法に関する。開示される主題は、全身麻酔を用いることなく、中程度の又は局所の鎮静と共に用いることができる。
【0017】
別段の定義がない限り、本明細書において用いられる全ての技術用語及び科学用語は当該技術分野の当業者のいずれかによって一般的に理解されるものと同じ意味を有する。
【0018】
本明細書において交換可能に用いられる「個人」、「患者」、又は「対象」は、ヒト又はヒト以外の動物であり得る。ヒト以外の動物対象の非限定的な例は、ヒト以外の霊長類、イヌ、ネコ、ネズミ、ラット、モルモット、ウサギ、ブタ、ニワトリ、ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ及び鯨類を含む。
【0019】
「約」又は「概ね」という用語は、当業者によって決定される特定の値についての容認可能な誤差範囲内を意味し、これは、或る程度は、値がどのように測定又は決定されるか、すなわち、測定システムの限界に依拠する。例えば、「約」は、当技術分野の実施による3以内又は3を超えた標準偏差にあることを意味し得る。或いは、「約」は、所与の値の、+/-20%まで、+/-10%まで、+/-5%まで、及び+/-1%まで、の範囲を意味することができる。或いは、特に生体系又は生物学的過程に関して、この用語は、或る値の1桁高い値まで、例えば5倍以内、又は2倍以内を意味し得る。
【0020】
用語「結合された」は、本明細書において用いられるとき、当該技術分野において既知の任意の手段によるデバイス構成要素と別のデバイス構成要素との接続を指す。2つ以上のデバイス構成要素を接続するのに用いられる結合のタイプは、デバイスのスケール及び操作性に依拠し得る。例えば、限定ではないが、本明細書に開示されるデバイスの2つ以上の構成要素の結合は、1つ又は複数の接合部、バルブ、固定具、継手、移送ライン又は封止要素を含むことができる。
【0021】
いくつかの実施形態では、開示される主題は、カテーテルの定位留置のためのデバイスを提供する。例えば、外科医が開示されるデバイスを用いて、ドレーン及びシャントへの脳室内アクセスを得ることができる。非限定的実施形態において、開示されるデバイスは、脳室カテーテルナビゲーションのためのスタンドアローンの補助物として用いることができる。
図1A及び
図1Bに示すように、例示的なデバイス100は、円錐101、円筒形ロッド102、フットプレート103及びクリップ104を含むことができる。
【0022】
いくつかの実施形態において、円錐形構成要素は、中を通る管腔を形成する第1の開口部及び第2の開口部を含むことができる。
図2Aに示すように、第1の開口部201は、円錐形構成要素202の上部に位置することができる。非限定的な実施形態において、第1の開口部の直径は、約0.01cm~約1cm、約0.01cm~約0.9cm、約0.01cm~約0.8cm、約0.01cm~約0.75cm、約0.02cm~約0.75cm、約0.03cm~約0.75cm、約0.04cm~約0.75cm、約0.05cm~約0.75cm、約0.06cm~約0.75cm、約0.07cm~約0.75cm、約0.08cm~約0.75cm、約0.09cm~約0.75cm、約0.1cm~約0.75cm、約0.2cm~約0.75cm、約0.25cm~約0.75cm、約0.3cm~約0.75cm、約0.4cm~約0.75cm、又は約0.5cm~約0.75cmであり得る。第1の開口部のサイズはカテーテルのサイズに依拠して変動し得る。非限定的な実施形態において、円筒形ロッドは、第1の開口部(
図2A及び
図2B)に結合することができる。
図2Aに示すように、第2の開口部203は、円錐形構成要素202の基部に位置することができる。非限定的な実施形態において、第2の開口部の直径は、約0.01cm~約2cm、約0.01cm~約1.9cm、約0.01cm~約1.8cm、約0.01cm~約1.7cm、約0.01cm~約1.6cm、約0.01cm~約1.5cm、約0.05cm~約1.5cm、約0.03cm~約1.5cm、約0.04cm~約1.5cm、約0.05cm~約1.5cm、約0.06cm~約1.5cm、約0.07cm~約1.5cm、約0.08cm~約1.5cm、約0.09cm~約1.5cm、約0.1cm~約1.0cm、約0.1cm~約1.5cm、約0.2cm~約1.5cm、約0.3cm~約1.5cm、約0.4cm~約1.5cm、約0.5cm~約1.5cm、約0.6cm~約1.5cm、約0.7cm~約1.5cm、約0.8cm~約1.5cm、約0.9cm~約1.5cm、又は約1cm~約1.5cmであり得る。
【0023】
いくつかの実施形態において、円錐形構成要素の壁の厚みは、約0.01cm~約3cm、約0.02cm~約3cm、約0.05cm~約3cm、約0.1cm~約3cm、約0.1cm~約2.5cm、約0.1cm~約2cm、約0.01cm~約1.5cm、又は約0.01cm~約1cmであり得る。
【0024】
いくつかの実施形態において、円錐形構成要素の基部は、標的エリアに接触するように構成することができる。例えば、円錐形構成要素の基部は、穿頭孔の前部の頭蓋冠表面と接触するか、又はこの頭蓋冠表面上に位置することができる。非限定的な実施形態において、第1の開口部及び第2の開口部は中空管腔を形成することができ、この中空管腔を通じてユーザは穿頭孔を見ることができる。非限定的な実施形態において、開口部のサイズは、穿頭孔が円錐形基部の中間点にある限り変動させることができる。
【0025】
いくつかの実施形態において、円錐形構成要素は、カテーテル留置のために穿頭孔全体を空けた状態で、半円形形式で穿頭孔の前部の頭蓋冠表面上に配置されるように構成することができる。例えば、
図1A及び
図2Aに示すように、円錐形構成要素は、180°中空の円錐台形構成要素であり得る。非限定的な実施形態において、円錐形構成要素の高さは、少なくとも約0.1cm、少なくとも約0.2cm、少なくとも約0.3cm、少なくとも約0.4cm、少なくとも約0.5cm、少なくとも約0.6cm、少なくとも約0.7cm、少なくとも約0.8cm、少なくとも約0.9cm、又は少なくとも約1cmであり得る。
【0026】
非限定的実施形態において、円錐形構成要素は、基部において約1.5cmの直径を有する180°中空の円錐台形構成要素であり得、この構成要素は、穿頭孔の前部で頭蓋冠表面と接触することができる。半円錐形構成要素は、高さが約1cm、及び頂点における直径が約0.75cmであり得る。半円錐形構成要素は中空管腔を含むことができ、この中空管腔を通じて穿頭孔を観測することができる。開示される測定は、穿頭孔が円錐形基部の中間点にある限り変動させることができる。
【0027】
いくつかの実施形態において、円筒形ロッドは円錐形構成要素に結合することができる。例えば、
図2A及び
図2Bに示すように、円筒形ロッドは、第1の開口部に隣接して円錐形構成要素に結合することができる。円筒形ロッドの直径は、約0.01cm~約1cm、約0.01cm~約0.9cm、約0.01cm~約0.8cm、約0.01cm~約0.75cm、約0.02cm~約0.75cm、約0.03cm~約0.75cm、約0.04cm~約0.75cm、約0.05cm~約0.75cm、約0.06cm~約0.75cm、約0.07cm~約0.75cm、約0.08cm~約0.75cm、約0.09cm~約0.75cm、約0.1cm~約0.75cm、約0.2cm~約0.75cm、約0.25cm~約0.75cm、約0.3cm~約0.75cm、約0.4cm~約0.75cm、又は約0.5cm~約0.75cmであり得る。非限定的な実施形態において、円筒形ロッドの直径は約0.75cmであり得る。非限定的な実施形態において、円筒形ロッドの長さは約1cm~約10cmであり得る。非限定的な実施形態において、
図1及び
図3に示すように、円筒形ロッドの一部分は、円錐形構成要素の管腔内に位置することができる。
【0028】
いくつかの実施形態において、円筒形ロッドは管腔を含むことができる。円筒形ロッドの管腔は、カテーテルを受けるように構成することができる。例えば、カテーテルは、円筒形ロッドの管腔内に挿入し、円筒形ロッドに平行に位置合わせすることができる。次に、当該カテーテルを、当該円錐形構成要素の錐台を通して脳室内に留置することができる。
【0029】
いくつかの実施形態において、円筒形ロッドの管腔の直径は、約0.01cm~約2cm、0.01cm~約1.5cm、0.01cm~約1cm、0.02cm~約1cm、0.03cm~約1cm、0.04cm~約1cm、0.05cm~約1cm、0.06cm~約1cm、0.07cm~約1cm、0.08cm~約1cm、0.09cm~約1cm、又は0.1cm~約1cmであり得る。
【0030】
いくつかの実施形態において、円筒形ロッドの長さは、約0.1cm~約10cm、約0.1cm~約9cm、約0.1cm~約8cm、約0.1cm~約7cm、約0.1cm~約6cm、約0.1cm~約5cm、約0.2cm~約5cm、約0.3cm~約5cm、約0.4cm~約5cm、約0.5cm~約5cm、約0.6cm~約5cm、約0.7cm~約5cm、約0.8cm~約5cm、約0.9cm~約5cm、約1.0cm~5.0cm、約1.0cm~4.0cm、又は約1.0cm~3.0cmであり得る。
【0031】
いくつかの実施形態において、フットプレートは円錐形構成要素に結合することができる。非限定的な実施形態において、フットプレートは、開示されるデバイスの位置を固定するために円錐形構成要素の基部に結合することができる。例えば、
図4A及び
図4Bに示すように、フットプレートは、対象の皮膚の下に当該デバイスを固定するために、穿頭孔の前部の頭蓋冠表面に配置されるように構成することができる。非限定的実施形態において、フットプレートの長さは、約0.1cm~約2cm、0.1cm~約1.75cm、0.1cm~約1.5cm、0.1cm~約1cm、0.2cm~約1cm、0.3cm~約1cm、0.4cm~約1cm、又は0.5cm~約1cmとすることができる。
【0032】
いくつかの実施形態において、クリップは円錐形構成要素に結合することができる。
図1~
図3に示すように、クリップ104は円錐形構成要素101の壁に結合することができる。クリップは、外科的処置(例えば、カテーテルをトンネリングする、カテーテルを頭蓋に安定して縫合する)中、カテーテルを適所に保持するように構成することができる。これにより、医師(proceduralist)がカテーテルをデバイスに固定し、残りの処置を完了させる間、これを適所に物理的に保持する必要がないようにすることが可能になる。これにより、カテーテルが脳室内の正しい位置に留まり、誤って深くに押し込まれるか引き抜かれることがないようにすることが可能になる。
【0033】
いくつかの実施形態において、クリップの内径は、0.1cm~約1cm、0.2cm~約1cm、0.2cm~約0.9cm、0.2cm~約0.8cm、又は0.2cm~約0.7cmであり得る。非限定的な実施形態において、クリップの外径は、約0.2cm~約2cm、約0.3cm~約2cm、約0.3cm~約1.5cm、約0.3cm~約1cm、約0.3cm~約0.9cm、又は約0.3cm~約0.8cmであり得る。いくつかの実施形態では、クリップの高さは、0.1cm~約3cm、0.1cm~約2cm、又は0.1cm~約1cmであり得る。
【0034】
いくつかの実施形態において、開示される円錐形構成要素、円筒形ロッド、フットプレート及びクリップは、オートクレーブ可能な樹脂、プラスチック又は任意の滅菌可能材料を含むことができる。非限定的な実施形態において、開示されるデバイスは、プラスチックを含めて、滅菌のためにオートクレーブすることができる。プラスチックの使用は、安価で廃棄可能なデバイスの大量生産を可能にすることができる。非限定的な実施形態において、各区画又はデバイス全体を、3次元プリンタを用いて製造することができる。
【0035】
図5は、使用中の開示されるデバイスを実証する。フットプレートは皮膚の下に載置され、円錐形構成要素は、スタンドアローンの皮膚開創器として機能し、医師が手術部位及び穿頭孔を完全に見ることを可能にする。
図5も使用中のクリップを実証し、医師が処置の追加の部分のために両手を空けておくことができるようにカテーテルを安定して保持することを可能にする。
図6は、デバイスの支援を用いて脳室留置を受けた6人の患者からの頭部CTスキャンを実証し、脳室挿管の成功を実証する。
【0036】
図7は、代替的な設計を用いて開示されるデバイスを実証する。開示されるデバイスは、ハンズフリー動作を可能にするための穿頭孔アダプタを含むことができる。非限定的な実施形態において、開示されるデバイスは、穿頭孔内にぴったりと嵌り、骨の閉塞を回避するために、シリコーン又はシリコーン様物質を含むことができる。
【0037】
いくつかの実施形態では、開示される主題は、開示されるデバイスを用いたカテーテルの留置のための方法を提供する。例示的な方法は、カテーテルの挿入のために標的穿頭孔の上に開示されるデバイスを配置することと、当該カテーテルを当該円筒形ロッドに平行に位置合わせすることと、当該カテーテルを、当該円錐形構成要素の錐台を通して標的組織内に留置することとを含むことができる。非限定的な実施形態において、方法は、外科的処置中にクリップを用いてカテーテルを保持することを更に含むことができる。
【0038】
いくつかの実施形態において、開示されるデバイスは、外部脳室ドレーン(EVD)/シャントカテーテル留置の正確性を増大させ、より少ないカテーテルの位置異常を可能にすることができる。非限定的な実施形態において、開示されるデバイスは、外科的処置中の感染を減少させることができるように、使い捨てデバイス及び/又はオートクレーブ可能デバイスであり得る。
【0039】
非限定的な実施形態において、開示されるデバイスは、切開を拡張することなく臨床処置において用いられる占有面積を含むことができる。非限定的な実施形態において、開示されるデバイスは、外科医の改善された両手の人間工学を可能にすることができる。開示されるデバイスは、ユーザの軌道をロックすることなく軌道変更を可能にすることができる。フットプレートは皮膚の下に載置され、円錐形構成要素の基部を、医師によって適所に保持される必要なく、頭蓋冠表面と同一平面に保持する。さらに、クリップは、カテーテルが、トンネリング及び縫合による最終的な固定の前に適所に安定して保持されることを可能にする。
【0040】
いくつかの実施形態において、開示されるデバイスは、様々な症状を有する対象について用いることができる。例えば、症状は、くも膜下出血、脳室内出血、外傷性脳損傷(TBI)、水頭症、偽腫瘍及び術後の創部ドレナージ、又はそれらの組み合わせを含むことができる。非限定的な実施形態において、開示されるデバイスは、臨床的合併症(例えば、管出血又は術後感染)を伴わない信頼性のある正確な脳室アクセスを提供することができる。
【0041】
いくつかの実施形態において、開示されるデバイスを、脳室カテーテルナビゲーションのためのスタンドアローンの補助物として用いることができる。非限定的な実施形態において、開示される主題は、開示されるデバイスを含む、脳室外穿刺/ドレナージ又は心室シャントシステムのためのキットを提供する。開示される主題は、臨床及び手術室において用いられ得る脳室系にアクセスする神経外科医又は他の提供者によって用いることができる。
【0042】
いくつかの実施形態において、開示されるデバイスは、患者のスキャンに基づいた調整を可能にすることができる。例えば、患者のスキャンにより、術前CTスキャンの測定に基づいて脳室の偏位が実証されるとき、医師はそれに応じてカテーテルの角度を調整することができる。この例において、カテーテルは、円筒形構成要素によって実証される軌道と位置合わせすることができ、次に、脳室の場所の術前評価に基づいてカテーテル角度をわずかに調整することができる。
【実施例】
【0043】
[実施例1]
カテーテル留置の正確性に対する開示される主題の効果が、開示されるデバイスを用いて外部脳室ドレーン(EVD)又はシャント留置の90°の軌道を与えることによって評価された。開示されるデバイス(すなわち、DIVEガイド)は、滅菌され、頭蓋と脳室との間で90°の角度を示すガイドとして頭蓋の上部に配置された。これをカテーテル留置のために用いることができる。デバイスは、頭蓋、脳又は脳室系内に進むことなく配置された。
【0044】
DIVEガイドを用いた脳室アクセスについて合計16人の患者が登録された。7人の患者が脳室腹腔シャントを受け、9人の患者が臨床脳室外ドレーン留置を受けた。処置の100%(16/16)が、平均1.12回のパスで脳室挿管に成功し、確認のための頭部コンピュータ断層撮影(HCT)の後に再位置決めを要したのは0%(0/0)であった。術後頭部CTにおいて、患者の87.5%(14/16)においてカテーテルの先端が同側前角又は第3脳室に位置し、患者の12.5%(2/16)において対側側脳室に位置した。表1を参照されたい。
【0045】
【0046】
標準的なフリーハンドの脳室アクセスと比較して、DIVEに誘導された処置は平均パス数及びカテーテル留置の正確性の双方において優れている。デバイスクリップはトンネリング中にカテーテルを固定し、カテーテルはいずれも誤って除去されなかった。いずれの患者も臨床的合併症又は感染を被らなかった。
【0047】
[実施例2]
脳室系に対する安全で信頼性の高いアクセスは、脳神経学装備一式における重要なスキルであり得る。フリーハンドの技法は、脳室アクセスのための受け入れられた方法であり続ける一方、カテーテル留置の正確度は、40%の低さであり、パス試行は処置あたり3回の高さであり、合併症は10~40%であると報告された。カテーテル留置を支援するためにいくつかのデバイスが開発された。しかしながら、これらのデバイスは、多くの場合大きな切開を必要として厄介であることがわかっているか、又は効果なナビゲーション技術を要する。
【0048】
開示される主題は、改善された安全性、効率及び正確性を有する信頼性があり正確な脳室アクセスのための低プロファイルデバイスを提供する。
【0049】
脳室進入のための新規のデバイスであるDIVEガイドが設計された。外部脳室ドレーン(EVD)又は心室シャント留置を受ける50人の患者が、非重大リスク(NSR)デバイス指定を有するDIVE支援カテーテル留置のために予め登録された。主要転帰は、術後CTスキャンにおけるカテーテル先端の場所であり、二次転帰尺度は、カテーテルパスの総数、臨床的に重要な管出血及び術後感染を含む。
【0050】
DIVE支援を用いた脳室アクセスについて合計50人の患者が予め登録された。症状は、くも膜下出血、脳室内出血、TBI、水頭症、偽腫瘍及び術後の創部ドレナージを含んだ。76%(38/50)が右側カテーテル留置を受け、24%(12/20)が左側カテーテル留置を受けた。処置の100%(50/50)が平均1.06回のパスで挿管に成功した。術後頭部CTにおいて、92%(46/50)においてカテーテルの先端が同側前角又は第3脳室に位置し(Kakarlaグレード1)、8%(4/50)において対側側脳室(Kakarlaグレード2)に位置した。表2を参照されたい。臨床的に重大な管出血又は術後感染はなかった。
【0051】
【0052】
表2に示すように、DIVE処置の100%が脳室挿管に成功し、92%が平均1.06回のパスでKakarlaグレート1を達成した。DIVEは、臨床的合併症なしで信頼性があり正確な脳室アクセスを提供する。
【0053】
本出願において引用される全ての特許、特許出願、出版物、製品についての記載、及びプロトコルは、それらの全てが参照としてここに取り込まれる。用語が相容れない場合においては、本開示が優先される。
【0054】
本明細書に記載の主題は、上記で示した利益及び利点を達成するように十分計算されていることが明らかとなるが、ここで開示した主題は、本明細書に記載の特定の実施形態によって範囲を限定されるものではない。開示される主題は、その趣旨から逸脱することなく、修正、変形及び変更が可能であることが理解されよう。当業者は、通常の実験だけを用いて、本明細書で述べる具体的な方法との多数の均等物を認識し、或いは確認するであろう。そのような均等物は以下の特許請求の範囲によって包含されることが意図される。
【国際調査報告】