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特表2024-515818フォトトランジスタの光感度を調整する方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公表特許公報(A)
(11)【公表番号】
(43)【公表日】2024-04-10
(54)【発明の名称】フォトトランジスタの光感度を調整する方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 31/10 20060101AFI20240403BHJP
【FI】
H01L31/10 H
H01L31/10 A
【審査請求】未請求
【予備審査請求】未請求
(21)【出願番号】P 2023566419
(86)(22)【出願日】2022-03-18
(85)【翻訳文提出日】2023-12-12
(86)【国際出願番号】 EP2022057166
(87)【国際公開番号】W WO2022228776
(87)【国際公開日】2022-11-03
(31)【優先権主張番号】102021110886.1
(32)【優先日】2021-04-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(81)【指定国・地域】
(71)【出願人】
【識別番号】399011911
【氏名又は名称】ヴィシャイ セミコンダクター ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング
【氏名又は名称原語表記】Vishay Semiconductor GmbH
【住所又は居所原語表記】Theresienstr.2 D-74025 Heilbronn B.R.Deutschland
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(74)【代理人】
【識別番号】100104938
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜澤 英久
(74)【代理人】
【識別番号】100140361
【弁理士】
【氏名又は名称】山口 幸二
(72)【発明者】
【氏名】シュミット,マヌエル
(72)【発明者】
【氏名】ノル,デニス
(72)【発明者】
【氏名】クロムウェル,ケヴィン
【テーマコード(参考)】
5F149
【Fターム(参考)】
5F149BA18
5F149BA28
5F149BB07
5F149CB14
5F149CB15
5F149FA05
5F149FA12
5F149FA18
5F149FA20
5F149HA03
5F149XB04
5F149XB33
(57)【要約】
本発明は、ウェハベースの半導体プロセスで製造され、それぞれ、背面コレクタと、コレクタに埋め込まれたベースと、ベースに埋め込まれたエミッタと、エミッタ用の少なくとも1つのボンドパッドおよび特にトリミング構造を備えた前面メタライゼーション部と、を有するフォトトランジスタの光感度を調整する方法に関し、メタライゼーション部によって覆われた前面の領域が、それぞれのフォトトランジスタの非感光領域を画定し、前面の金属のない領域が、それぞれのフォトトランジスタの感光領域を画定しており、この方法は、フォトトランジスタのコレクタ-エミッタ電流を測定し、測定されたコレクタ-エミッタ電流に応じて、メタライゼーション部によって覆われた領域のサイズを変更することにより、特に、トリミング構造の少なくとも一部を除去することにより、感光領域のサイズを変更する、特に、拡大するステップを備える。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ウェハベースの半導体プロセスで製造され、それぞれ、背面コレクタ(11)と、コレクタ(11)に埋め込まれたベース(13)と、ベース(13)に埋め込まれたエミッタ(15)と、エミッタ(15)用の少なくとも1つのボンドパッド(19)およびトリミング構造(25)を備えた前面メタライゼーション部と、を有するフォトトランジスタの光感度を調整する方法であって、
メタライゼーション部によって覆われた前面の領域が、それぞれのフォトトランジスタの非感光領域を画定し、前面の金属のない領域が、それぞれのフォトトランジスタの感光領域を画定し、
前記方法が、
フォトトランジスタのコレクタ-エミッタ電流を測定し、
前記測定されたコレクタ-エミッタ電流に応じて、トリミング構造(25)の少なくとも一部を除去することで前記メタライゼーション部によって覆われた領域のサイズを変更することにより、前記感光領域のサイズを変更、拡大する、
ステップを備えた、フォトトランジスタの光感度を調整する方法。
【請求項2】
前記トリミング構造(25)の少なくとも一部を除去することが、前記測定されたコレクタ-エミッタ電流に応じて、トリミング構造(25)の面積が、その測定されたコレクタ-エミッタ電流に関連するトリミング領域(27,29)によって減少することを備え、
正確に3つの互いに隣接するコレクタ-エミッタ電流の測定値範囲が提供され、それぞれ、異なるサイズのトリミング領域(27,29)が関連付けられており、それぞれのトリミング領域(27,29)のサイズが大きくなるほど、それぞれの測定値範囲に入るコレクタ-エミッタ電流が小さくなる、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記測定されたコレクタ-エミッタ電流が、それぞれの場合において少なくとも1つのさらなる測定値範囲が上下に隣接する、所定の所望の値の範囲内にある場合、トリミング構造(25)の領域は、所定の所望の値のトリミング領域(27)によって縮小される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記所定の所望の値のトリミング領域(27)は、トリミング構造(25)の面積の50%に相当する、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
所望の値の範囲を下回る測定値範囲、または所望の値範囲を最も下回る測定値範囲のトリミング領域(29)は、トリミング構造(25)の面積の100%に相当する、請求項3または4に記載の方法。
【請求項6】
所望の値範囲を上回る測定値範囲、または所望の値範囲を最も上回る測定値範囲のトリミング領域は、トリミング構造(25)の面積の0%に相当する、請求項3~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記トリミング構造(25)の少なくとも一部を除去することが、前記測定されたコレクタ-エミッタ電流に応じて、フォトレジストがフォトトランジスタの前面に適用され、フォトマスクを使用して構造化され、その後、構造化されたフォトレジストによって覆われていないそれぞれのトリミング構造(25)の領域を、湿式化学エッチングまたは乾式エッチングによって除去することを備えた、請求項1~6のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記フォトマスクは、一組の異なるフォトマスクから選択され、特に、ポジ型レジストの場合には光を透過し、ネガ型レジストの場合には光を透過しない領域の面積が異なる、正確に2つの異なるフォトマスクから選択され、前記領域は、前記構造化されたフォトレジストによって覆われていないトリミング構造(25)の領域内のフォトレジスト上に像形成される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記フォトトランジスタのコレクタ-エミッタ電流を測定することが、それぞれのフォトトランジスタが点灯され、それぞれのベース(13)が接続されていない、または接続されていることを備える、または、
前記フォトトランジスタのコレクタ-エミッタ電流を測定することが、それぞれのベース(13)が接続され、それぞれのフォトトランジスタが非点灯または点灯されることを備えた、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記メタライゼーション部が、エミッタ(15)用のボンドパッド(19)およびトリミング構造(25)を構造として有し、任意選択的に、ベース(13)用のボンドパッド(17)および/または電場を遮蔽するための少なくとも1つのフレーム状構造(21,23)を有しており、前記トリミング構造(25)は、他の構造(17,19,21,23)とは別に形成されるか、または、他の構造(17,19,21,23)または他の構造のうちの少なくとも1つに接続される、特にベース(13)用のボンドパッド(17)に接続される、請求項1~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれかに記載の方法によって得られるフォトトランジスタ、すなわち光感度が調整されたフォトトランジスタ。
【請求項12】
ウェハベースの半導体プロセスで製造され、光感度を調整することが可能なフォトトランジスタであって、背面コレクタ(11)と、コレクタ(11)に埋め込まれたベース(13)と、ベース(13)に埋め込まれたエミッタ(15)と、エミッタ(15)用の少なくとも1つのボンドパッド(19)およびトリミング構造(25)を備えた前面メタライゼーション部と、を有し、
前記メタライゼーション部によって覆われた前面の領域が、フォトトランジスタの非感光領域を画定し、前面の金属のない領域が、フォトトランジスタの感光領域を画定し、
コレクタ-エミッタ電流を測定でき、
前記測定されたコレクタ-エミッタ電流に応じて、トリミング構造(25)の少なくとも一部を除去することで前記メタライゼーション部によって覆われた領域のサイズを変更することにより、前記感光領域のサイズを変更、拡大することが可能な、フォトトランジスタ。
【請求項13】
光送信機および光受信機を備え、前記光受信機が、請求項11または12に記載のフォトトランジスタとして構成された、光結合素子。
【請求項14】
周囲光の明るさを測定するための、特に自動車の計器盤照明および/または室内照明の明るさを設定するための、請求項11または12に記載のフォトトランジスタの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェハベースの半導体プロセスで製造され、それぞれ、背面コレクタ、コレクタ内に埋め込まれたベース、ベース内に埋め込まれたエミッタ、および前面メタライゼーション部を有する、フォトトランジスタの光感度を調整する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトトランジスタでは、ベース-コレクタ遷移は、光が入射し、コレクタ-エミッタ電圧が印加されると光電流を生成するフォトダイオードとして機能し、この光電流は、トランジスタの電流利得係数によって、コレクタ電流とも呼ばれるコレクタ-エミッタ電流に増幅される。電流利得係数、したがってコレクタ電流は、主に、ベース幅を決定するベースとエミッタの注入深さと、ベースとエミッタのドーピング濃度に依存する。したがって、フォトトランジスタの製造においては、半導体プロセスを可能な限り安定させることが重要である。
【0003】
それにも関わらず、これらのパラメータのプロセス変動、特にウェハごとの変動を完全に避けることはできない。これらのプロセスの変動は、対応する電流利得係数の変動、ひいては製造されるフォトトランジスタの光感度の変動をもたらし、その結果、フォトトランジスタが、それらに合わせて製造されたコレクタ電流の所望のビニング(binning)範囲内になく、別のビニング範囲内、特に需要のない隣接するビニング範囲にあるという問題を引き起こす。これにより、使用可能なフォトトランジスタの歩留まりが低下し、製造コストが増加する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の根本的な目的は、コレクタ電流が所望の範囲内にあるフォトトランジスタの歩留まりを高める可能性を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、独立請求項1の特徴を有する方法、すなわち、ウェハベースの半導体プロセスで製造され、それぞれ、背面(rear-side)コレクタと、コレクタに埋め込まれたベースと、ベースに埋め込まれたエミッタと、エミッタ用の少なくとも1つのボンドパッドおよび特にトリミング構造を備えた前面メタライゼーション部(front-side metallization)と、を有するフォトトランジスタの光感度を調整する方法によって達成され、メタライゼーション部によって覆われた前面の領域が、それぞれのフォトトランジスタの非感光領域(light-insensitive area)を画定し、前面の金属のない領域が、それぞれのフォトトランジスタの感光領域(light-sensitive area)を画定し、この方法は、フォトトランジスタのコレクタ-エミッタ電流を測定し、測定されたコレクタ-エミッタ電流に応じて、メタライゼーション部によって覆われた領域のサイズを変更することにより、特に、トリミング構造の少なくとも一部を除去することにより、感光領域のサイズを変更する、特に、拡大するステップを備える。
【0006】
本発明によれば、コレクタ電流の所望の範囲内にあるフォトトランジスタの歩留まりの増加は、半導体プロセスにおけるプロセス変動を低減することによってではなく、フォトトランジスタの光感度を調整(trimming)することによって達成される。調整(trimming)は、所謂後処理として行われ、実際、メタライゼーション部で覆われた領域のサイズ、つまり感光領域のサイズが変更される。対照的に、フォトトランジスタのメタライゼーションがその目的に要求される高温に耐えられないため、エミッタまたはベースの拡散、ひいてはコレクタ電流の変化を引き起こす後処理温度処理によるフォトトランジスタの光感度の調整は不可能である。
【0007】
メタライゼーション部はトリミング構造を含むことが好ましく、メタライゼーション部によって覆われる領域のサイズの変更は、トリミング構造の少なくとも一部を除去することによって行われる。しかしながら、一般に、メタライゼーション部によって覆われる領域のサイズの変更は、例えば、いわゆるリフトオフプロセスによって金属のない領域に追加の金属を堆積させることによっても可能である。しかしながら、トリミング構造の少なくとも一部の除去と比較して、金属のない領域における追加の金属の堆積は、より複雑であり、および/または高価である。
【0008】
感光領域のサイズをどの程度変更する必要があるかを判断するために、フォトトランジスタのコレクタ-エミッタ電流が事前に測定される。次いで、測定されたコレクタ-エミッタ電流に基づいて、感光領域のサイズの変化の程度が決定される。コレクタ-エミッタ電流の測定は、所定の測定条件下で行われる。一般に、測定されたコレクタ-エミッタ電流は、単一のフォトトランジスタでの1回の測定の測定値であってもよい。しかしながら、測定されたコレクタ-エミッタ電流は、好ましくは、特にウェハ上に分散して配置された異なるフォトトランジスタにおける複数の測定から計算された電流値、特に平均値であり、特に製造上の欠陥に起因する可能性のあるその計算の外れ値は無視できる。
【0009】
特に、トリミング構造の少なくとも一部を除去することは、測定されたコレクタ-エミッタ電流に応じて、その測定されたコレクタ-エミッタ電流に関連するトリミング領域により、トリミング構造の面積が減少することを備え、特に、正確に3つの互いに隣接するコレクタ-エミッタ電流の測定値範囲が提供され、それぞれ異なるサイズのトリミング領域が関連付けられ、それぞれのトリミング領域のサイズが大きくなるほど、それぞれの測定値範囲に入るコレクタ-エミッタ電流が小さくなる。
【0010】
これは、特定の限界値以降、トリミング構造の面積が減少せずに維持されること、つまり、対応する測定値範囲のトリミング面積が0%であることを除外するものではない。提供される測定範囲が多いほど、フォトトランジスタの光感度をより細かく調整することができる。
【0011】
本発明の好ましい実施形態によれば、測定されたコレクタ-エミッタ電流が、各場合において、少なくとも1つのさらなる測定値範囲が上下に隣接する、所定の所望の値の範囲内にある場合、トリミング構造の面積が、所定の所望の値のトリミング領域によって縮小される。したがって、この方法は、半導体プロセスにおいてプロセス変動が発生していない場合には、トリミング構造が所定の所望の値のトリミング領域だけ縮小されるように設定される。言い換えれば、製造中にプロセス変動が発生しなかった場合、フォトトランジスタは最初に離調(detuned)され、最初に所定の所望の値のトリミング領域によってトリミング構造を縮小することにより適応させる必要がある。このアプローチにより、プロセス変動が発生した場合に、フォトトランジスタの電流利得係数の対応する偏差を両方向、つまり、低すぎる電流利得係数の方向と高すぎる電流利得係数の方向の両方で補償できることが可能になる。所定の所望の値のトリミング領域は、特に、トリミング構造の領域の50%に相当する。
【0012】
所望の値の範囲を下回る測定値範囲、または所望の値の範囲を最も下回る測定値範囲のトリミング領域が、トリミング構造の面積の100%に相当する場合、つまりトリミング構造が完全に削除されることが好ましい。これにより、フォトトランジスタの電流利得係数の可能な限り最大の変化を達成することができる。
【0013】
所望の値の範囲を上回る測定値範囲、または所望の値の範囲を最も上回る測定値範囲のトリミング領域が、トリミング構造の面積の0%に相当する場合、すなわち、トリミング構造の面積は減少せず、維持されることが好ましい。これにより、一方では、フォトトランジスタの電流利得係数の可能な限り最大の変化が達成され、他方では、トリミング構造の一部を除去するための労力が節約される。
【0014】
好ましい実施形態によれば、トリミング構造の少なくとも一部を除去することが、測定されたコレクタ-エミッタ電流に応じて、フォトレジストがフォトトランジスタの前面に適用され、フォトマスクを使用して構造化され、その後、構造化されたフォトレジストによって覆われていないそれぞれのトリミング構造の領域が除去され、特に、湿式化学エッチングまたは乾式エッチングによって除去され、特に、残りのメタライゼーション部は構造化されたフォトレジストによって被覆されることを備える。これは、トリミング構造またはその一部を簡単に実行できる除去プロセスである。
【0015】
この点において、フォトマスクは、一組の異なるフォトマスクから選択され、特に、ポジ型レジスト(positive resist)の場合には光を透過し、ネガ型レジスト(negative resist)の場合には光を透過しない領域の面積が異なる、正確に2つの異なるフォトマスクから選択され、前記領域は、構造化されたフォトレジストによって覆われていないトリミング構造の領域、特に前述のそれぞれのトリミング領域内のフォトレジスト上に像形成(imaged)される、という規定が特に設けられる。特に、正確に3つの前述の測定値範囲が提供され、0%のトリミング領域が前述の所望の値の範囲より上にある測定値範囲に関連付けられている場合、正確に2つの異なるフォトマスクが存在し得る。
【0016】
フォトトランジスタのコレクタ-エミッタ電流の測定は、変形例によれば、それぞれのフォトトランジスタが点灯され、それぞれのベースが接続されていないか接続されているかを含むことができる。しかしながら、別の変形例によれば、フォトトランジスタのコレクタエミッタ電流の測定は、それぞれのベースが接続され、それぞれのフォトトランジスタが非点灯または点灯されることを含むこともできる。測定は、例えば5Vのコレクタ-エミッタ電圧、および/または1mW/cmの照度、および/または950nmの波長などの規定の測定条件下で行われる。一方の変形例による測定の場合の前述の所望の値の範囲は、通常、他方の変形例による測定の場合の所望の値の範囲とは異なる。
【0017】
メタライゼーション部は、構造として、エミッタ用のボンドパッドとトリミング構造とを有し、さらに任意選択的に、ベース用のボンドパッド、および/または、電場を遮蔽するための少なくとも1つのフレーム状構造を有することができ、トリミング構造は、他の1つまたは複数の構造とは別に形成されるか、または、他の構造または他の構造のうちの少なくとも1つに接続される、特にベース用のボンドパッドに接続される。それぞれのフレーム状構造は、エミッタのボンドパッドに接続されることが好ましい。
【0018】
本発明はさらに、上述した方法によって得られるフォトトランジスタ、すなわち光感度が調整されたフォトトランジスタ、および、ウェハベースの半導体プロセスで製造され、光感度を調整することが可能なフォトトランジスタであって、背面コレクタと、コレクタに埋め込まれたベースと、ベースに埋め込まれたエミッタと、エミッタ用の少なくとも1つのボンドパッドおよび特にトリミング構造を備えた前面メタライゼーション部と、を有し、メタライゼーション部によって覆われた前面の領域が、フォトトランジスタの非感光領域を画定し、前面の金属のない領域が、フォトトランジスタの感光領域を画定し、コレクタ-エミッタ電流を測定することが可能であり、測定されたコレクタ-エミッタ電流に応じて、メタライゼーション部によって覆われた領域のサイズを変更することにより、特に、トリミング構造の少なくとも一部を除去することにより、感光領域のサイズを変更、特に拡大することが可能な、フォトトランジスタに関する。
【0019】
本発明はさらに、光送信機および光受信機を備え、光受信機が上述したようなフォトトランジスタとして構成された、光結合素子(optocoupler)、および、周囲光の明るさを測定するための、特に、自動車の計器盤照明および/または室内照明の明るさを設定するための上述したようなフォトトランジスタの使用に関する。
【0020】
本発明のさらに有利な実施形態は、従属請求項、図面の説明、および図面に記載されている。本発明による方法に関して説明した好ましい実施形態は、本発明によるフォトトランジスタにも適宜適用される。
【0021】
本発明を、図面を参照しながら例示として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】フォトトランジスタの断面図である。
図2】フォトトランジスタの平面図である。
図3】本発明による方法で使用される第1の実施形態によるフォトトランジスタを示す図である。
図4】本発明による方法で使用される第2の実施形態によるフォトトランジスタを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1に示されるフォトトランジスタは、ウェハベースの半導体プロセスで製造され、背面(rear side)の弱くnドープされた(n-)コレクタ11と、コレクタ11に埋め込まれたpドープされた(p)ベース13と、ベース13に埋め込まれた強くnドープされた(n+)エミッタ15と、を備える。フォトトランジスタの背面には、コレクタ11の電気的接続のために金属接点(図示せず)が全領域にわたって設けられている。ベース13用のボンドパッド17およびエミッタ15用のボンドパッド19は、両方ともアルミニウムからなるフォトトランジスタのメタライゼーション部(metallization)の一部であり、フォトトランジスタの前面に適用される。さらに、ベース13およびエミッタ15は、それぞれのボンドパッド17,19が設けられていない領域が、図示されていない、入射照明に対する反射防止層として機能する窒化物層によって覆われている。
【0024】
図2からわかるように、ベース13およびエミッタ15用の2つのボンドパッド17,19に加えて、メタライゼーション部は、電界をシールドするための2つのフレーム状構造21,23を含む。2つのフレーム状構造21,23は、それぞれ、フォトトランジスタの動作時に接地されるエミッタ15のボンドパッド19に接続される。第1のフレーム構造21は、エミッタ15の領域の境界に沿って延在し、第2のフレーム構造23は、ベース13の領域とエミッタ15の領域の両方を取り囲む。
【0025】
メタライゼーション(metallization)によって覆われたフォトトランジスタの前面の領域はフォトトランジスタの非感光領域を形成し、金属のない領域はフォトトランジスタの感光領域を形成する。フォトトランジスタの光感度は、フォトトランジスタの前面の全領域のうちの感光領域の部分、つまりメタライゼーションで覆われていない前面の部分を介して設定することができる。覆われていない部分が大きいほど、光感度は高くなる。
【0026】
フォトトランジスタの光感度を調整できるようにするために、メタライゼーション部は、図3および図4に示すようなトリミング構造25を有する。トリミング構造25は、ベース13の領域の上に配置されるが、一般にエミッタ15の領域の上に配置することもできる。前述の窒化物層(図示せず)は、ベース13とトリミング構造25との間に配置される。図3による実施形態では、トリミング構造25は残りのメタライゼーションとは別に形成される。図4による実施形態では、トリミング構造25は、ベース13のボンドパッド17に接続されている。図3および図4に示すフォトトランジスタでは、トリミング構造25の領域の少なくとも一部が除去されることにより、感光領域のサイズを増大させることができる。
【0027】
トリミング構造25の領域の少なくとも一部の除去は、フォトマスクステップによって行われ、フォトマスクステップでは、フォトレジストが、ウェハレベルでフォトトランジスタのメタライゼーション部に適用され、フォトマスクによって構造化され、それにより、除去されるトリミング構造25の領域の一部は構造化されたフォトレジストによって覆われないため、金属エッチングステップによって除去することができる。この点において、残りのメタライゼーション部は構造化されたフォトレジストによって覆われ、したがって金属エッチングステップから保護される。
【0028】
フォトトランジスタの光感度の調整は、製造中にプロセス変動が発生し、それによりフォトトランジスタの光感度が期待の範囲内ではなく期待範囲外になる場合に必要である。これに該当するかどうか、つまり調整が必要かどうかは、光感度に対応するフォトトランジスタのコレクタ-エミッタ電流を測定することで判断できる。この測定は、トランジスタの電気的接続または光電気的接続のみの場合に実行することができる。
【0029】
両方向のプロセス変動、すなわち、大きすぎる電流利得と小さすぎる電流利得の両方を補償できるようにするために、フォトトランジスタは、トリミング構造25が完全に存在するときではなく、トリミング構造25が50%縮小されるとき、指定された電流利得を持たない。したがって、測定されたコレクタ-エミッタ電流が、フォトトランジスタが指定される予め定義された望ましい値の範囲内にあるとき、トリミング構造25は、第1のフォトマスクによって、トリミング構造25の面積の50%に相当する所望の値のトリミング領域27だけ縮小される、すなわち半分除去される。測定されたコレクタ-エミッタ電流が大きすぎて、所望の値の範囲を超えている場合、トリミング構造25は縮小されず、元のサイズに維持される。トリミングされる領域のサイズは0%になる。測定されたコレクタ-エミッタ電流が小さすぎて、所望の値の範囲を下回っている場合、トリミング構造25は、トリミング構造25の面積の100%に相当するトリミング領域29だけ縮小される、すなわち完全に除去され、次に、第1のフォトマスクとは異なる第2のフォトマスクが選択される。
【0030】
このようにして、フォトトランジスタの感光領域のサイズは、測定されたコレクタ-エミッタ電流に応じてウェハレベルで変更することができ、それによってフォトトランジスタの光感度の調整(trimming)を達成することができる。別の点では、トリミング領域は、前述の値以外の値を有することもでき、フォトトランジスタの光感度をより細かく設定できるようにするために、前述の2つ以上のフォトマスクを使用することもできる。
【符号の説明】
【0031】
11…コレクタ
13…ベース
15…エミッタ
17…ボンドパッド
19…ボンドパッド
21…フレーム状構造
23…フレーム状構造
25…トリミング構造
27…所望の値のトリミング領域
29…トリミング領域
図1
図2
図3
図4
【国際調査報告】